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1961-05-29 第38回国会 衆議院 決算委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月二十九日(月曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 木村 公平君 理事 丹羽喬四郎君    理事 三和 精一君 理事 小川 豊明君    理事 西村 力弥君       生田 宏一君    宇田 國榮君       小島 徹三君    佐藤虎次郎君       薩摩 雄次君    正示啓次郎君       鈴木 正吾君    藤井 勝志君       久保 三郎君    森本  靖君       山田 長司君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         農林政務次官  八田 貞義君         農林事務官         (大臣官房計理         課長)     日比野健児君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君  委員外出席者         農 林 技 官         (農林経済局企         業市場課長)  鈴木 一美君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      酒折 武弘君         農林事務官         (農地局参事         官)      堀  直治君         農林事務官         (畜産局参事         官)      花園 一郎君         農林事務官         (畜産局流通         飼料課長)   石田  茂君         農 林 技 官         (畜産局自給飼         料課長)    佐々木 即君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      岡崎 三郎君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    諫山 忠幸君         会計検査院事務         官         (第四局長)  宇ノ沢智雄君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 五月二十六日  委員示啓次郎辞任につき、その補欠として  海部俊樹君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員海部俊樹君、菅野和太郎君、田中角榮君、  山口喜久一郎君及び原彪辞任につき、その補  欠として正示啓次郎君、佐藤虎次郎君、生田宏  一君、小島徹三君及び久保三郎君が議長指名  で委員に選任された。 同日  委員生田宏一君、小島徹三君、佐藤虎次郎君及  び正示啓次郎辞任につき、その補欠として田  中角榮君、山口喜久一郎君、菅野和太郎君及び  海部俊樹君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十三年度政府関係機関決算書  昭和三十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十三年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十三年度物品増減及び現在額総計算書  昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十四年度政府関係機関決算書  昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十四年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十四年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これより会議を開きます。昭和三十三年度決算外三件及び昭和三十四年度決算外三件を一括して議題とし、農林省所管について審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 農林省前回お尋ねをしておりましたビール麦耕作並びに取引関係でありますが、最近聞きますと、これとは別個に、ビール会社の方から近々のうちに麦芽三万五千トンの輸入許可申請が出されるそうでありますが、それは真実であるかどうか、これをまずお尋ねします。
  4. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 麦芽輸入申請についての御質問でございますが、麦芽輸入につきましては、実は国税庁におきまして、業界からの輸入申請に基づきましてこれを査定し、農林省協議を求めて参るわけでございます。現在、今お話のありました麦芽輸入協議につきまして、五月の十九日付で農林省経済局長あて麦芽輸入申請についての協議の文書が参っておりますが、その数量は約三万五千トンに相なっております。
  5. 久保三郎

    久保委員 農林省協議を求められたといいますが、現在まで農林省内部においては、この問題の処理はどういうふうにお考えでありますか。あるいは三万五千トンの麦芽輸入について、いかなる理由によって大蔵省協議を求めてきたのか。その間の事情を御説明願います。
  6. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 国税庁から協議が参りましたのは五月の十九日付でございますが、きわめて最近におきまして、農林省でこの書類を入手いたしましたので、今農林省におきましては、この数量及び内容につきまして関係の局におきまして検討いたしておるわけでございます。経済局が一応の所管でございますけれども振興局あるいは食糧庁等々と関係がございますので、部内におきましては、これを検討いたしておるところでございます。申請の要旨といたしますところは、最近におきますビール消費需要の増に伴いまして、これに必要な原料としての麦芽輸入申請でございます。麦芽自身につきましては、一部国内でもちろん生産できるわけでございますけれども、現在の国内における麦芽製造能力等から見まして、どうしても輸入に仰がなければならないというような現在の状況にある。従って、その意味におきまして、会社からこの数字申請になった、そうして国税庁から協議の依頼があった、こういう状況でございます。
  7. 久保三郎

    久保委員 その申請内容とする、いわゆる麦芽製造能力ビール消費増に伴わないから、麦芽そのもの輸入しよう、こういうことでありますが、この申請内容であるところのこれらのいわゆる数字的な基礎は、どういうふうになっておりますか。
  8. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 麦芽不足見込量といたしまして、今後どれだけのものが必要であるかということにつきましては、今申し上げましたように、われわれの中におきまして今検討いたしておるところでございます。具体的内容そのものは、一応国税庁におきまして、ビール会社から申請のあったものにつきまして、さらに検討が行なわれるだろうと思いますけれども、一応そのままの数字によりますると、最近のビール移出見込み量——移出というのは、要するに製造される量でございますが、三十四年と三十五年と比べてみると、二三%伸びておる。従って、三十六年度中におきましても二三%伸びるであろうという仮定を一応置いてみますると、現在の手持量から見まして、麦芽必要数量が約十四万三千トンになります。この十四万三千トンを現在の手持量と、それから国内麦芽処理可能量等から見まして、約三万五千トンが差引不足する、こういうことでございます。詳細につきましては、今申しましたように、私の方でまだ未検討でございますので、概略のことしか今のところ申し上げられないわけでございます。
  9. 久保三郎

    久保委員 先般もお尋ねを申し上げた通り国内産ビール麦取引関係は、三年後に——まだ確定しておらぬ、いわば軌道に乗っておらぬ、しかも三十五年度の結末がついておらないさなかに、すでに三十六年産ビール麦が収穫される、こういう時期において、麦芽の三万五千トンを輸入しようというこの問題は、単に需給の原則に立っての、いわゆるビール消費増に伴うところの輸入というだけには私はとれないので、これは農林省は十分おわかりだと思うのでありますが、少なくとも、国内におけるビール麦生産並びに取引関係軌道に乗らないままに三万五千トンを要求してくる腹は、ある程度私は政治的であると思うのであります。こういうことを考えてみれば、まず、三万五千トンの輸入申請を要求する前に、国内生産並びに取引関係の態勢を整えるという誠意が、ビール酒造会社になければならぬと私は思うのですが、農林省当局はどのように考えておりますか。
  10. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ビール麦国内取引におきましていろいろ問題がありますことは、先般本委員会におきまして、先生の御質問があり、それに対して坂村経済局長からいろいろ答弁いたした通りでございます。振興局といたしましては、そのような取引の問題を一応離れまして、国内におけるビール製造見込みから申しまして、一体どれだけ国内において生産できるのか、できるだけ国内生産高め——生産といいますか、麦芽自給率を高め、それに必要な増産施設を講じていくというように指導いたしておるわけでございますが、なおその上におきましても不足するというようなものにつきましては、ビール自身需要が伸びているということを原料面で押えるということはいかがか、かように考えておるわけでございます。従って、国内における麦芽生産能力を高めるような努力、またできるだけそれによって自給率を高めていくというふうな指導、これは今後ともいたしていく考えであります。現在においてもそのような考えでおるわけでございますが、それによってもまかない得ないものにつきましては、それによって数量調整しつつ、輸入を認めていくという考え方をとらざるを得ない、かように考えております。
  11. 久保三郎

    久保委員 御承知のように、ビール会社は、昨年本国会に参りまして、こういうことを言っておりました。すなわち、今までの製麦能力が足りないので、これは本年度——というのは去年でありますが、製麦能力を十分につけるということで工場を建設している。そうしますれば、大体そういう製表能力に押えられてビール麦年産を押えることはしないで済むのだ、こういう言明をしておるのでありますから、こういう観点からいけば、麦芽輸入は、その見通し、その能力をやはり推しはかって、その上で、真に三万五千トンの麦芽輸入が必要であるかどうか、こういうことから考えてもらわなければいかぬと思う。いずれにしても、この前も申し上げたように、すでに会期も末期になりまして、私から要望したのは、今度のこのビール麦の問題は、あらためて農林委員会等でも御返事をいただくが、せめて今月中くらいに農林省当局で適切な手配をすべきである。こういう要望をしておきまして、努力いたしますというお話でありましたが、その後いかなる手配ができておりますか。
  12. 酒折武弘

    酒折説明員 現在農林省といたしましては、全販連等と連絡いたしまして、現在までの交渉の経過あるいは問題点調査しております。その調査の結果によりまして、必要な事項につきましては、公取等と連絡いたしまして善処いたしたい、そう考えております。
  13. 久保三郎

    久保委員 いや公取公取立場でこれはさばくのでありまして、あなたの方はさばくのじゃなくて、行政的な立場から、耕作農民ビール会社との関係調整するということでありますから、これは混同しないでやってほしいと思います。公取に対しては、われわれの注文は別にあります。公取は正しくさばいてもらうということであります。  そこでこの前も申し上げたのでありますが、政府大麦裸麦転換を迫っておる。法案も出し、若干の予算をつけておる。その中で転換可能なものは、大麦についてはビール麦なんです。そういうことを考えますれば、何といっても、麦芽輸入について検討する前に、あなたの方の趣旨からいっても、国内ビール麦生産取引関係を早急に整備するのでなければ、実際はうまくいかない。それに対する対策は、どうもお話ではうまくいっていない。大蔵省から協議を求められた三万五千トンについては、もちろんこれから検討されるでありましょうが、そういうことをやる前に、私は、なぜこれを三年間も放置したのかということを言いたいのです。今日四十億くらいの麦転換予算をつけて、野放図に転換を迫るということでありますが、ビール麦取引は、すでに三年前から問題があるということであります。ところが、今日まで放置したことについて、何ら責任も感じていないし、今後もどうもゆるふん的である。これでは困るではないか。会期は八日までしかありません。八日までの間に一つめどをつけて、本委員会に報告してほしい、こう思うのであります。しかし、残念ながら、なかなか力もないようでありますから、ビール会社に立ち向かうのは容易でないようであります。これはやはり政府として確固たる方針を確立すれば、簡単であると思うのであります。そういうことをまず強く要望しておきます。  次に、公取にお伺いしますが、ただいま申し上げたように、先般おいでいただきました時点からは、だいぶまた変わって参っております。ビール会社は、三万五千トンの麦芽輸入してほしいということを今日言って参っておる。これに対しては、私は先ほど申し上げた通りの見解を持っておる。ついては、先般御要望申し上げた通り、いわゆる系統共販に対しては公正取引に違反するということの認定は出ているのでありますが、この十二月に出した警告は、その後いわゆる荷見・山本協定というものがあるから、これで見のがした、こういうことでありますが、すでに御案内の通り、荷見・山本協定については、これはほご同然というか、あって害があるようなもの、役にも立たない。しかも、先般も申し上げたように、大麦転換を迫っておる。それに対して脅迫的言辞まで弄して、耕作農民のいわゆる自主的な団結を乱すようなことまでやっておる。これに対して、その後すでにしばらくになりましたから、いかなる方針でお臨みになっておるのか。
  14. 坂根哲夫

    坂根政府委員 たしかこの委員会で、五月十八日に久保先先からお話のような御質問を受けまして、私どもは、直ちに久保先生の御質問趣旨関係担当の者によく伝えまして、最近の事情を至急調査するように話しておきました。それから公取委員会の方に対しても、当委員会における久保先生質問趣旨お話ししておきまして、公取委員会としても、私の方で担当しておりますのは審査部でありますが、審査部の方から、最近の事情を至急取りまとめて委員会に話をするようにということでございまして、ただいま担当部課で研究、調査をしておりますが、その間、たしか五月二十三日であったかと思いますが、日本農民連盟から再度本問題に対する調査要望審査部当局に出されまして、その要望された事情を拝見しながら、今関係者を呼びつつ、事情調査して、至急公取として法律上解釈できる問題を片づけていきたい、こう考えております。
  15. 久保三郎

    久保委員 公取は、そういう再調査の要求があったので、それぞれの部局において審査なり何なりをやっておられることは、その通りでけっこうだと思います。しかし、これは、すでに十二月の末に公取からお出しになりましたいわゆる警告に相反することであります。今さら日にちをかけて審査するまでもなく、過去におけるところの是正が全然なされていないばかりか、新しい事実が出てきておるわけです。それで、あらためてお聞きしたいのですが、これはあらためて取り上げるのか、十二月二十五日に出した公取警告に基づいてやっておるのか、どちらですか。
  16. 坂根哲夫

    坂根政府委員 ただいまの御質問趣旨は、私どもとしては、十二月の終わりに出しました警告趣旨を当事者が取り間違えないように取り運んでもらいたい、こういう趣旨調査を進めていきたいと考えております。
  17. 久保三郎

    久保委員 そうだとすれば、もうすでにそういう事実はお調べになっていて、それが改められたかどうかの問題だと私は思うのであります。そう審査調査日にちはかけなくても、適切な手配ができるのではなかろうかと私は思うのです。むしろ新しい事実がこれに付加されるのでありますから、これがなくても、公取法違反ということで処断すべき時期ではないだろうか、こう思うのです。もちろん、私は、処断することだけが万能だとは思っておりません。むしろ公正な取引が回復され、コンクリートされることが一番いいと思うのでありますが、なかなかもって警告ぐらいでは言うことを聞かない。寡占というか、独占事業というものは、今日力を持っておる。政治的な圧力もあるでしょうから、その辺の配慮をして、同時に力の弱い耕作農民を、——もう目の前に三十六年の刈り取りが迫っている。三十五年の代金というか、そういう手数料は、いまだに払っておらぬ。しかも、三十六年度は、その系統共販については一切拒否しているという事実は、もう明白なものです。さらに私は、この内容については申し上げませんが、新たな事実ももう一つありはしないかと思う。これはお気づきでありましょうか知りませんが、ここであえて私は申し上げません。こういう事実についても取り上げて、そうして新たな観点から正当な裁断を早急に下してほしい。まあ見通しを聞くのは大へん恐縮でありますが、今の段取りで、近日中にそういう結論が出る見込みでありますか。
  18. 坂根哲夫

    坂根政府委員 見通しは、私としてもすぐここで責任を持ってお答えする確固たる根拠を持っておりませんが、関係部課調査の模様を私が聞いておる限りでは、割合早く公取委員会に問題を持ち込み得るのではないか、こう考えます。
  19. 久保三郎

    久保委員 この問題あまり長くなりますから、最後に、農林省出局お尋ね一つだけしておきます。先ほどの麦芽の三万五千トンの輸入は、輸入結着をどうつけるかは別にして、今の取引関係が確立されない限りは、この問題に手を触れることは、農民立場からいって大へん不利だと思うし、またそういうことをやるべきじゃないと思うのでありますが、これはいかがでしょうか。
  20. 八田貞義

    八田政府委員 本問題につきましても、久保委員の御発言につきましては、よく拝察させていただきました。今までの経過も織り込みまして検討を加えまして、早急に対処いたしたい、こう考えております。
  21. 久保三郎

    久保委員 八田政務次官、くどいようでありますが、三万五千トンの麦芽輸入は、これは今まで懸案である国内産ビール麦取引関係が一応軌道に乗ったあとでやるべきだと私は思うのでありますが、いかがでしょうか。こういうことです。大へん具体的で恐縮でございますが……。
  22. 八田貞義

    八田政府委員 その点につきまして、今までの経過等を織り込みまして検討して参りたい、処置して参りたい、こういうふうに申し上げておきます。
  23. 久保三郎

    久保委員 いや政務次官、なかなかむずかしいと思うのでありますが、農林省農民のためのものでありますし、あなたの責任からいっても、大麦あるいは裸麦転換を迫っているのでありますから、提案した政府責任からいっても、この取引関係がこちらはさっぱりだめだというときに、麦芽の方だけは一つ検討しようでは逆だから、農林省としては、麦芽申請はあるけれども、これはあと回しにして、この整備が先だ、せめてこういうふうに明確にやらなければ、政治的な責任としてもまずいのではなかろうかと私は考えるのですが、そういう点どうでしょうか。
  24. 八田貞義

    八田政府委員 取引関係等につきまして、耕作農民に対して非常に不利を与える、こういうような時点に立った場合には、十分耕作農民立場に立って善処して参りたい、かように考えます。
  25. 久保三郎

    久保委員 その御答弁の裏を返せば、今輸入しようとする麦芽は、今年度使うものであって、三十六年度産ビール麦は来年にならなければ使わないのだから、そういうものには関係ないから、これは優先して検討を始めようということに、裏返せばなりますよ。だから、三万五千トンは直ちに使うのだということで言ってくるかもしらぬ。これはちょっと待ってろ、こういうことを言ってほしい。そう考えるべきだと私は思うのですよ。また、農民のためになるかならぬかというなら、今までの三十五年あるいは三十六年、この関係からいっても、ここで確立するということでなければ、もうだめなんです。だから、これが優先じゃなかろうかと私は考えるのですよ。取引関係をコンクリートする、正常なものにしていくということが先だ。それがきまらなければ、三万五千トンは検討する時期ではない。これくらいの御答弁はいただきたいと思うのですが、どうでしょう。
  26. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいまの麦芽輸入問題についてでございますが、先ほど私が申し上げましたように、われわれとしては、国内農民生産されたものが最大限にビール原料として活用されるように指導して参りたい、かように考えておるわけでございますが、遺憾ながら、麦芽としての製造設備に、現在においてはなお制約があるわけでございます。従って、できるだけビール麦それ自身自給率を高めることについては、もちろん先生お話し通りでありまして、それに必要な麦芽製造施設の増設についても、今考慮いたしておるわけでございます。従って、なおそのビール需要に満たない麦芽不足量については、需給上の調整をするということは、これはやむを得ない措置と考えております。しかし、今先生お話しになりましたように、この輸入の時期等によりまして、国内におけるいろいろの問題とも相関連するということでございますならば、その間の関係もよく考慮いたしまして対処して参りたい、かように考えます。
  27. 久保三郎

    久保委員 なるほど、御説明通りでしょう。麦芽製造能力限界があるから、ビール消費増見込みからいっても、その能力以上だ、だから麦芽輸入したい、こういう申請でなければ、どこへ行ったって通りませんよ。それはそう言ってくるのはあたりまえですよ。だから許可するのは、それはことしならことしの麦の生産を見てやっていけばいいのであって、能力はもうきまっておるのですから、この能力限界までフルにやって、なおかつ、それに足らなければ、その時期にこれはやるべきであって、今直ちにいいか悪いかということは、あなたの御意見からいっても、私はやるべきではないと思うのであります。と同時に、先ほどからくどいようでありますが、今の時期にいつもそうなんです。大体四月から五月にかけて、毎年と言っていいくらい、今までの例からいっても、麦芽輸入をやっておるのです。はたしてそういう必要があるかどうか。輸入された麦芽を直ちに使うのかどうかという問題です。これは実際予定ですから、直ちに使うはずがない。だから、そういうことも考えると、今日この三万五千トンというのは、今までの例からいっても大へん量が多いのですよ。この前はチェコ等から入れました。あれはバーターで、リンク制というので九千トンかそこいら入れたのですね。これも四月です。そのときの取引関係はごたごたしておる。こういうことは今日までは許されたかもしれないが、あなたの方の立場からいっても、大麦転換を迫っておる時期に、取引関係はちっとも整備されていない、こういうところに三万五千トンのいわゆる許可をするかどうか、今あなたがおっしゃるような観点からのみ、これは検討すべきではないと私は思う。むしろこれはたな上げしておいて、取引関係を先にやるつもりはあるのかどうか。私はこれを聞きたいのです。振興局長、どうでしょうか。
  28. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 取引関係の問題につきましては、直接私の方で所管いたしておりませんけれども、今お話しになりましたように、ちょうど今後の麦の出回り期に再会して、なおかつ、輸入したものが今使われるかどうかというふうなことでもないというふうな関係があり、他方それが非常に耕作農民麦転換等の問題と相関連して不利な影響を与えるというようなことにつきましては、これは先生の御指摘の通り、われわれとして十分留意すべき点であると考えておりますので、その辺のところは、現実の輸入をするにいたしましても、十分調整をはかって対処いたして参りたい、かように考えております。
  29. 久保三郎

    久保委員 それからもう一つあなたの方にお尋ねしたいのは、いわゆる規格外の残麦ですね。残麦は、従来ビール会社がやはり普通大麦の百万増しぐらいで買っていくわけですね。中には仲買人がこの残麦を買っていくわけです。その行く先はどういうふうになっているか、御存じでありますか。
  30. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 お答え申し上げます。  ただいま残麦についてのお尋ねでございますが、三十五年度は、ちょっと天候が悪かったためでございますが、一般の大麦裸麦と同様、ビール麦も実は品質が多少落ちたのでございます。従いまして、いわゆるこの残麦には、実は二色ございまして、合格した中で契約数量以外のもの、これが残麦のうちの一部分をなしております。それからもう一つ、残麦と普通いわれております中には、いわゆる合格しなかった麦、このものもございます。大体その両者合わせまして、残麦というのは大体四十万俵程度出ておったのじゃないか、こう思います。そのうちで、大部分のものは、これはもちろん契約以外のもので、しかし、合格はしておるけれども、契約のワク以外のものであったというものにつきましては、これはビール会社が全部買い取っておるようでございます。大体私どもの方の数字では、約五万七千俵程度というふうになっております。それからそのほかに、いわゆる残麦の中で合格しなかったもの、つまり不合格になって、あらためて普通の二条大麦、大粒の大麦として検査を受けたもの、これが約百万俵程度でございます。もちろん、この百万俵の中には、いわゆるビール大麦として検査を受けて不合格になったものも、それから最初からそれに見切りをつけて、あるいはまたビール大麦として不適当なものということで、最初から普通大麦としての検査を受けたものもございます。それが大体百万俵ございます。その中から、ビール会社が約四十九万俵、まあ五十万俵程度買っておるわけでございます。以上でございます。
  31. 久保三郎

    久保委員 これはどちらの所管でありますかわかりませんが、農林省として、先ほどから再三申し上げた通り大麦転換をやっているわけなのでありますが、特に残念なのは、今まで試験研究の中で、とにかくビール麦の原種あるいは原々種、そういうものについては、ビール会社専門で扱っておる、農林省は全然責任を持っておらぬということ自体も、問題だと思うのですが、今まで何を考え、何をやっていたのか、これをお尋ねいたしたい。
  32. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 近来ビール需要の増大に伴いまして、使用原料麦の需要も、年々増加して参ったわけでございます。農林省といたしましては、国の試験場におきまして、従来とも、ビール原料用の品種につきましての試験をやって参ったわけでございます。本年度から、従来栃木の県の試験場に指定試験としてビール麦の指定試験をやっておりましたが、三十六年度からは、さらに鳥取県の試験場につきましても、ビールの指定試験を行なうということに予算上計上いたしておるわけであります。今後このようなビール原料用の麦につきましての需要が、相当増大するわけでございますから、われわれといたしましては、先ほど先生お話のような、転換部面における指導についてはもちろんのことでありますけれどもビール原料自身としての品種、栽培方法等につきましても、一そう力を入れていきたい、こういう考え方でございます。
  33. 久保三郎

    久保委員 大体今の御説明では、少しはやっておるようですが、一回りおそいのですね。しかも、歴史的な経緯もありまして、現在の原種、原々種は、ほとんどがビール会社専属になっている、こういうことが、まず取引関係からいっても問題があるわけです。進んでこの際やらなければ、これはどこまでも四つのビール会社に牛耳られて、転換を迫ろうといったって、転換できません。価格の問題一つとっても問題がある。こういういわゆる特殊作物の総合的な研究を、今日までどういうふうにやっておられ、どういう方針なのか。新しい農基法が提案されておるが、こういう中で、どの程度にやっておるか。三十六年度の予算についても、あるいは過去についても、この試験研究はあまり日の目を見ない、こういうふうにわれわれは考えている。いかがでしょうか。
  34. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ビール麦その他の新しい用途に対応する品種等に関連いたします試験研究につきましては、従来に増して今後とも一そう重要性を増してきたことは、御指摘の通りであります。特に、今後の伸びていく作物を考えてみますと、転換に伴う新たなる導入する作物、あるいは転換に伴う他の作物を導入することによる品種上のいろいろな問題点を解決していく必要があるわけでございます。そういう意味から、今年の試験研究におきましても、特にそういうことに重点を置きまして、たとえば大麦であれば、飼料化の試験であるとか、あるいは小麦でございますれば、大麦から小麦に転換した場合の熟期を早めるための技術的問題を解決するとか、あるいは菜種あるいはビート、こういったものについてのいわゆる商品作物、あるいは農家が新しく導入する作物についての試験研究については、今年度については特に重点を置いて予算の計上等をいたしたわけでございます。
  35. 久保三郎

    久保委員 それでは最後に食糧庁お尋ねいたしますが、今年のビール麦の検査関係は、どういうふうになっておられますか。あるいは下見検査等は、どういうことをやっておられますか。
  36. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 お答え申し上げます。  今年の検査も、大体昨年の検査と同じようなやり方でやりたいと思っております。従いまして、ただいま申されました下見検査その他につきましても、要望のあり次第、私どもの方で現地に検査員を派遣いたしまして、これに参加させたい、こう思っております。
  37. 久保三郎

    久保委員 この検査そのものもいろいろ問題があるのでありますが、そういう点の改善は、今までの経験からいって今年はされるかどうか。たとえばビール会社の要請に基づいてだけ、これは出張してやられるのですか。
  38. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 ただいまのお尋ねでございますが、実は昨年度におきましても、これは県によって、あるいは事務所によって、その状況に応じて異なったわけでございますが、ある事務所、ある県におきましては、単にビール会社あるいはビール耕作組合連合会からだけの要請では出かけない、むしろ麦耕連なりあるいはビール会社と、それからいわゆる系統農協の筋からの要請、両方が合致して、出てこいといったときには出ていく、そういうような取りきめで進んでおったところもございます。ただ、これは必ずしも一がいに、全国的にこの方針でいけというわけには参りません。その土地々々のそれぞれの状況に応じまして、その事務所ごとにきめさせておるわけでございます。今年も、そのようなことで、極力その土地々々の農協の関係の団体、あるいはまたその土地にビール耕作組合連合会がございますれば、その方との打ち合わせで、皆様方の全体の一番満足のいくようなやり方で、下見検査その他をやりたい、こういうふうに存じております。
  39. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、いわゆる話の合ったところだけ出ていく、話が合わぬところは出ていかないということでありますね。それともう一つは、差別はしない、そういう差別に巻き込まれるようなことはしない、こういうことでとっていいですか。
  40. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 あとの方の御質問からお答えいたしますが、実は昨年もそうでございましたが、私ども、検査の関係では、実は毛頭差別というようなことは考えておりません。また、差別するような検査を、昨年もいたした覚えはございません。ことしも、同じような態度でやって参りたい、こういうふうに考えております。  それから話がつかなかった場合にどうかということになりますが、話がつかなかった場合には、やはりこれは話がつかないのだから、行くわけには参らぬ。昨年も一、二そういう事態が起こったことはございます。ぜひ来てくれとある一方の当事者からだけ言いましたが、全体としての話がつかなかった場合には、実は昨年出かけなかったという例もございます。以上でございます。
  41. 久保三郎

    久保委員 差別的な検査をやったというのは、検査に手心を加えるとかなんとかいうことじゃありませんよ。あなたの方が、どちらかの要請に基づいて、たとえば麦耕運なら麦耕運の要請、こういうものに基づいてだけ検査をしますれば、これは結果としては差別待遇になるわけですね。たとえばこの場合は麦耕運、これは系統共販、去年の例からいえば、これは六月の末なら末に、こっちは検査をしてしまう。本検査で検収をやっちまう。片方は、七月になっても、八月になっても、ほったらかしておるということが出てきているわけですね。こういうことはやらない、こういうことでございますかと聞いているんですよ。どうです。
  42. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 ただいま久保先生お話通りに、そういう差別待遇はいたしません。  本来なら、原則といたしましては、どこのいわゆる農業協同組合から申請がありましても、出かけて参りますのが実は私ども使命でございますが、ただ、そういう取引上のいざこざというようなことがあります場合には、できる限りこれを円満に解決するという観点から、皆さんの一番いいような、つまり両方から申請があったときに出かけていくとか、そうでなければ行かぬということをやっておるようでございまして、かりに系統農協の下見には出かけていかないとか、あるいは本検査をおくらすとか、そういうことは毛頭ございません。
  43. 久保三郎

    久保委員 政務次官、あなたの答弁も最後にもらいたいんですがね。さっきから振興局長や何かからの御答弁でも、やっぱりあやふやですから、一番困るんです。結局麦芽の三万五千トンの輸入は、なるほど協議は求めてきてはいるが、これは一応たな上げだ。たな上げというのは、今の国内ビール麦取引、こういう問題が片がつかない限りは、これに検討を加えるわけにはいかない。こういうふうに御答弁が願えないでしょうかというわけです。
  44. 八田貞義

    八田政府委員 取引関係の当面の問題でございますが、これにつきましては、いわゆる荷見・山本協定ですね、こういった協定の線に沿って正しい体系づけができまするように努めて参りたい。麦芽の方の輸入関係につきましては、現在農林省の各関係部局におきまして、検討を加えております。目標を現在の取引関係を整備するというところにおきまして、並行的に検討して参りたい、こう考えております。
  45. 久保三郎

    久保委員 さっきから何べんも言ってているのは、並行的にやる筋合のものじゃないじゃないか、こういうことなんです。何もあわてて三万五千トンの輸入検討する時期じゃない。むしろ麦芽製造能力国内でこの辺が限界だ。しかし、今度の、ことしならことしのいわゆる三十六年産ビール麦生産量からいって、これがもう限界を突破するのかどうか。今ビール会社が言っているのは、系統共販で新しく入ったものは買わぬと言っている。買わぬということになれば、製造能力には余裕が出てくるわけだ。しかし、内でもってビール麦が、ことしは二百三十万トンくらいになりそうだ。二百三十万トンでは、とにかく製造能力は間に合わぬ。全部買い上げてやる。こうなればなるほど、三万五千トンの緊急輸入をしなければならぬかもしれない。ところが、今の農協の態度は、ビール会社の態度は、新しく系統共販に入るものは去年と同じ数量しか買わぬということなんです。しかも、麦耕連では、片方ではこれは要らぬというんです。こうなった場合には、製造能力には、ビール会社の言う通りなら、相当の余裕が出てくる。麦芽三万五千トンの輸入は必要ないという結論が出てくるのですね。だから、あなたの言う並行して検討するということは、おかしいと思う。ビール会社の態度がきまるかきまらないかによって変更してくる。だから、今のままだったら、三万五千トンの輸入は必要ない、そういうように考える。ここがやはり農林省が力があるかないかの話ですよ。ビール会社に遠慮して、言う通りやるかどうか、耕作農民の側に立つかどうかということなんですよ。ビール会社は力があるんだから、ほったらかしておいても大丈夫。私は、決してビール会社をいじめるつもりはなく、対等の立場に立たせるには、どうしても系統共販を確立する必要がある。今ごたごたしているのを整理してやるのが、農林省の役目じゃないか。ビール会社の一方五千トンを輸入するのが役目じゃない。その辺をはっきり御答弁をいただきたい。
  46. 八田貞義

    八田政府委員 私が並行的と申し上げましたのは、共販体制、系統農協による共販体制、荷見・山本協定によるもの、この筋を通していきたい、こういう意味におきまして、輸入等の問題につきましても、まだ関係部局において、目下のところこれの検討に入っていないのです。ですから、その並行してと申し上げましたのは、結局は取引体系というものを整備していこう、山本・荷見協定に基づいてやっていこう、そうしてその上で輸入問題については十分に考えていこう、こういうことを申し上げたのでございまして、決して輸入を前提にして考えていこう、こういうことではございません。
  47. 久保三郎

    久保委員 政務次官答弁、大へん上手なんでわからぬ。政務次官だから政治的なんでしょうが、しかし、これは先ほどから言う通り、端的に表明してほしいことなんです。なるほどまだ検討が始まっておらぬ、三万五千トンの輸入申請については……。はっきり言って、それはたな上げにしておけばいい。たな上げしておいて、まず当面何をビール麦についてはやるか、あるいはビールの問題については農林省は何をやるかということを、その目標さえはっきりきめればいい。それは今の取引関係を一正していくということですが、先般も政務次官並びに経済局長から御答弁のように、系統共販に持っていくのは正しいと思うんですよ。それなら、その思うことを先にやるのが先決じゃないか。さらにあなたの言うように、大麦転換の法律案も出してきているんですからね。その方が先だと思うのです。三万五千トンのビール生産に必要な麦芽輸入は、あと回しにしていいと思う。こういうふうに考えていいでしょうか。それだけお返事をいただきたい。
  48. 八田貞義

    八田政府委員 どうも私の答弁が非常にまずいので大へん申しわけないのでございますが、十分久保委員の御質問の見解の通りに、取引関係というものを整備していきたい、こういう考えでございます。もちろん輸入等に関しましては、国内に悪影響を与えないように、十分適時に適当量が輸入されるような対策をやって参りたい、こういう考えでございます。
  49. 久保三郎

    久保委員 あまりくどいようですが、政務次官あとの話はしてもらいたくないですね。あとの方は、先ほどの私の趣旨からいっても、整備をしてからあと検討しますということでしょうね、今のお話は。
  50. 八田貞義

    八田政府委員 さようでございます。
  51. 久保三郎

    久保委員 それじゃわかりました。終わります。
  52. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 小川豊明君。
  53. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私、自分の質問に入る前に政務次官に申し上げますが、この前、私が土地改良の問題で質問した。あなたの答弁あとで速記録を読んでみると、上手というか、ずるいというか、あくまで農民に迷惑はかけないようにと言っている。これはいい。ところが、国に損も与えない。これも私は答弁としては当然だと思うのですが、そういう上手な行き方はでき得ないので、農林省並びに県の事務の破り扱いの失態によって生じたことなんで、やはりその処理は、農民の権利をあくまで守るということで私はよかったと思う。ところが、あなたの方は、国費にも損をかけないという、これは当然ではあろうが、そういう上手な行き方は——水も使わないで火事も消します、そんなことはできないと私は思う。これから私がお聞きすることについても、やはり端的なお答えを願った方がいいと思う。  そこで、これは次官の方の答弁じゃございませんが、畜産局の方からお尋ねしますが、昭和三十三年の五月一日に、中央卸売市場法を改正して、枝肉市場を作って、そして肉畜取引を合理化して、不明朗な取引制度は廃止し、公開のせり市場を実現するということを、農林省としては声明したわけです。そして三十五年の十一月に農林省の畜産局長の出した家畜取引関係資料というのを見ますと、市場を開設したのは、全国で二十二カ所のうち、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡、この五カ所にしかすぎない。他の十七カ所は、従前通り、屠場のままで、それに付随して取引が行なわれているというような形なのであります。現在芝浦を初めとして、これらの屠場は、都道府県が、建物を貸したり、衛生監督をする程度で、実際的な取引に対する指導監督機関は全くないのが実情であります。こういう現状で、全国十七カ所の屠場は、芝浦を初めとして全く野放しの状態になっておるわけです。卸売市場法の規制は、ここではなしという状態といわなければなりません。農林省の畜産当局が昭和三十三年以来の主張であるところの、公開市場、卸売市場を作るという方策は、一体どうなっておるのか。四年間全く無為無策に過ごしたと言われてもいたし方がないではないか。一体法や規則の権威をどう守っていくおつもりなのか。この点をお尋ねしたいわけです。
  54. 花園一郎

    ○花園説明員 全国の取引市場につきましては、ただいま御質問の中にありましたように、二十二カ所の取引市場があるわけでありまして、そのうちで、御説明通り、五カ所の都市について、中央卸売市場法の適用に乗っかった取引をやっております。東京の芝浦屠場を初めその他のところで、屠場における食肉の単なる取引というような形態で、中央卸売市場法の適用を受けておらぬところがあるということにつきましては、確かにお説の通りであります。取引市場の大小はそれぞれありますけれども、いずれから中央卸売市場法の適用市場として整備して参るかということについては、畜産局としては、逐次大きなところから、たとえば東京の芝浦屠場に何とか中央卸売市場法の適用をさせたいということで現在努力しておるわけでありますが、全体の問題といたしましては、中央卸売市場の関係については、若干経済局所管にかかる部分がございますから、その方から……。
  55. 鈴木一美

    鈴木説明員 中央卸売市場の現状についてただいまお話がございましたが、現存全国で十八都市に中央卸売市場ができております。そしてその中央卸売市場の中に、青果部、鮮魚部及び食肉部というふうに分かれてございます。そして食肉につきましては、畜産局から御説明されたような次第でございます。それで本国会におきましては、先般中央卸売市場法の改正案を上程いたしまして、現在の法律においては、人口十五万というふうになっておりますが、今後十五万以上の都市に順次計画的に中央卸売市場を作っていきたい。そしてその計画に基づいて、場合によりましては勧告することができるように改正案を提出しておるような次第でございます。現在のところ、先ほどお話申し上げましたように、畜産関係の食肉関係につきましては、五市場ができておるような次第でございます。さらに根本的には、これは現行法においては、各地方公共団体がその施設を作りまして、農林大臣に認可を求めて、認可があったものが中央卸売市場になる、こういう状況になっておりまして、順次整備していきたいと考えておるような次第でございます。
  56. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 この中央卸売市場法を改正し、制定したということは、公正な取引取引の公開を目的として作られた。それが作られて四年間、申し上げたように、今まだごくわずかなところのほか実施されていない。あなたの方では五カ所できたと言うけれども、五カ所しかないということなんです。そういう点からいって、芝浦では、昭和三十五年十一月のあれで見ると、牛で年間八万四千頭、豚で五十万頭、牛で全国の四分の一、豚では半分というものを芝浦の市場が消化している。膨大な取引量を持っているわけです。その一番先にやらなければならない芝浦を、なぜ中央卸売市場法を改正しながら、放置しておるのか。そしてこの法律に呼応して作った大阪とか広島とか福岡とか、こういうところも——大阪等でも、全国が一律にいかないのだから、くっついていくことは困難だということで、大阪の方では、またもとの屠場の形に返さなければならないのじゃないかという動きさえ出ている。この市場法というのは、さっき申し上げたように、あくまでも公開を原則として公正な取引を行なうということで、市場制を屠場制に戻すことではない。ところが、せっかく作ったこの市場法が、そういう形に逆転する危険さえ生じているということは、これは農林省の意図ではないはずです。そういう点から、この市場制の実施について、農林省はもっと一段と力強く出ていかなければいかぬと思う。この市場制というものは、生産者の利益を守るために作られたはずです。ところが、今までの取引を見てみると、家畜商や肉商の利益を守るための、結果としてはそうなっている。政府が意図する生産者の利益は、守られていない。日本で最も大きな取引をしている芝浦だって、今までどういうふうに価格を立てられたか、どういうふうに取引がされたか、一つ生産者にわかっていないでしょう。従って、これをそういうふうに改正するということが、中央卸売市場法から言って最も急務にやらなければならないのにかかわらず、あなたの方でこれに対する手が打たれていない。これは一体どうなさるおつもりですか。
  57. 花園一郎

    ○花園説明員 ただいま御質問になりました通りに、国内の食肉の取引量の中におきます芝浦屠場のウエートというものは、格段に大きいわけであります。従いまして、ただい言われました通り、三十三年以来大阪、福岡、広島にそれぞれ枝肉市場ができまして、中央卸売市場法の適用を受けます食肉市場が逐次開設をされまして、これの運営につきましては、当事者が非常に公正な態度でこれを発展せしめようとしておりますが、それについては、やはり芝浦屠場をすみやかに中央卸売市場法の適用を受けた市場にしなければならぬ、これがおそらく、食肉市場の全国のあり方を公正化いたします最も大きい天目山であろうかとも言えると思います。従いまして、畜産局といたしましては、三十三年以来この問題に取っ組んで参りまして、特に芝浦におきます屠場のいわゆる卸売人が、一つの組合を作りまして、それが自主的に運営している現状を、すみやかに卸売市場法の適用を受けたきちっとしたものにせよということで、しばしば東京都に文書をもって、または面談をいたしまして、これはただいま鈴木課長からも申し上げました通りに、都道府県知事の管轄下にあるわけでございますから、これに強く改組を勧告して参ったわけであります。ところが、なかなか東京都自体が、現状に押されまして、動きが非常に鈍い。われわれとしましては、その面で数度にわたった勧告の結果、最近におきましては、東京都の経済局におきまして、経済局長名で芝浦の卸売人の組合長に対しまして、都は市場を開設する準備がある、これは三十七年度には実施したいということを通知いたしておるという旨の文書回答を実はいただいておるわけです。われわれとしましては、ただいま申し上げましたように、東京都の芝浦屠場を何とかすることが、全国の公正化の一番大きな問題であるという意味において、東京都がそこまで態度を鮮明化いたしましたので、この際一拳に東京都を支援して押し切るように考えておる次第でございます。元来、非常に長い間の慣習の持続した古めかしい業界でございますけれども、その点につきましては、近く一挙にこれを押し切るように考えておる次第でございますから、御了解を願いたいと思います。
  58. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これをあなたの方の意図するように持っていくためには、長い間の因襲からやってきているから、容易でないことは認めるけれども、しかしながら、ここを直さなかった限りにおいて、いたずらに公正取引を呼号しても、芝浦のように全国の半分も取引をやっておるところが直らなかったら、これはとうてい直らない。そこでこういう点が出てくると思う。市場制を実現するということは、やはり生産者を間接取引に参加させるという意図がある。そういう点からいうと、生産者団体としては、家畜の方は全販連だ。ところが、大阪でこの市場制が実現されたときは、全販連が荷受機関を希望したにもかかわらず、荷受機関としては、大阪畜産と中央畜産と二者が指定された。この二者のうち、大阪畜産の方は、家畜商の組合である。中央畜産は、肉商の組合である。こういう団体が二つ指定されて、生産者団体の全販が希望したにもかかわらず、これを入れなかったということは、私には理解できない。全販の肩を持つわけではないが、市場を制定していくからには、生産者の団体が当然荷受機関として指定さるべきだが、これを指定しなかった。ここにも私は、あなたの弱腰というか、へっぴり腰というか、あるいは家畜商や肉屋の組合の今までの強固な因襲に押し切られてこういうことをせざるを得なかったか知らぬが、一体なぜ農林大臣は二者だけを指定して、出産者団体を指定しなかったか、この点お尋ねいたします。
  59. 花園一郎

    ○花園説明員 大阪の卸売人の問題でございますが、実は東京都の場合は、卸売人が現在七十数名で、実はこれが一番問題でございまして、信用、資力等の非常に不足しておる者、あいまいな者、それがいわゆる相対取引でばらばらにやっておる。大阪のように中央卸売市場法の適用を受けてきちんとやっておるところは、その点は非常にきびしく卸売人がみずから協定をいたしまして、たとえば今言われました家畜商、卸売の組合などが一つの卸売人として入っておるわけでございますが、大阪の場合には、全販が入らなかった。東京の場合は、ただいま先生も言われました通り、農協を通ずる生産者の系統組織というものが市場に直接顔を出すようにしなければいかぬじゃないか、この点については、確かに一つ考え方としては当然あるわけでございます。東京の場合につきましては、現在の七十何人を幾らにセーブして参ればよろしいのか、現在検討中でございますけれども、この場合には、当然全販を中核といたしました系統組織をその卸売人の中に入れて参るということについては、十分考えて参りたいと思うわけでございます。なお、大阪につきましては、卸売人を一応二者にきめて参りましたときに、全販が入らなかったということは、一つの過去の姿としてきまっておりますので、これについては、中央卸売市場における卸売人のあり方というものとの関係において、さらに数をふやす方がいいかどうかははなはだ問題もあることでございますから、これについては、なお現状を見守って参りたいと思うわけでございますが、東京については十分考慮して参りたいと思います。
  60. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 どうもはっきりしない。今全国で牛や豚を集荷する最も大きな集荷機関は、全販になってきています。しかも、全販は生産者の代表機関である。その最も大きく集荷しているものをここへ入れずに、家畜商や肉商だけを指定してやらせる、そしてあなたの方で公正な取引をやれとかどうとか言ったって、現に行なわれているのはやはりそでの下取引です。芝浦を見てごらんなさい。あれは相場が立たないでしょう。そでの下で幾ら幾らとやっておる。生産者が、幾らに値が立てられてどうなっておるのか、一つもわかっていないのが、今日の現状です。あなたの方は、農業基本法とかあるいは近代化法とかいろいろ作って、米麦の主穀農業から園芸やあるいは家畜の方に農業は新しく踏み出さなければならない。そうしてそれに呼応して、畜産というものが大きく伸びつつある。その最も眼目である生産だけさせても、安い高いは別として、取引が公正に行なわれないようなところへ、さあ牛を飼え、豚を飼えといったって、伸びっこないですよ。ここを公正化するということが、最も必要な段階にあるにもかかわらず、今の答弁を聞いていると、何か一社以上ふやすのはどうかと思うから残したというが、一体肉商と家畜商だけは入れて、生産者団体を入れないというのは、今のあなたの答弁では答弁にならない。何とかこれは指定し得ない理由があったならば、指定し得ない理由というものははっきり出して、全販なら全販に対する改善を望むならばいいけれども、お前の方は初めからだめだというのは、どうもあなたの方が、まだ家畜商や肉商の力に圧倒されて、手をつけると手を焼くから、まあまあこれでこっちはあきらめさせろというようなへっびり腰の態度であったじゃないかと思うのですが、どうなんですか。
  61. 花園一郎

    ○花園説明員 卸売人の数が何人が適当であるかということにつきましては、三十二年のいわゆる青果物会社のマル東事件以来、農林省としてはいろいろ考えて参っておりますが、できるだけ多くない方がいいということについては、異論のないところであろうと思います。それで、青果物の方につきましては、ある場合は一社、ある場合は三社というふうに、数を制限しております。生産名についても、あまり多くないところでということでやっておりますが、それでは幾らがいいかということについては、もちろんまだ確定的な数字を出しておるわけではございませんので、ただ大阪につきましては、大阪市が一応そういうふうな線を出して参りまして、これについて特に全販をこの際入れろということについても、その場合の段階では言えなかった事情もあるわけであります。東京については、これはこれからのことでございますし、何しろ七十四人というような多くの卸売人がおるところでございますので、これを将来において十以下にまとめていくということについては、鋭意努力をいたすつもりでおりますが、この際は、全販連については十分考慮いたします。
  62. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ちょっと関連。市場の指定荷受人というか、そういうものは、単一化していこうというのが、農林省の方向じゃないですか。その答弁が、いかにもこちらの質問に合うがごとくあやふやにしていますけれども、はっきりそういうような方向をとっておりながら、そういう答弁はおかしいじゃないかと私は思う。そこを一つ明確にしなければいかぬじゃないか。
  63. 花園一郎

    ○花園説明員 ただいま御質問通りに、できるだけ単一であることが望ましい、その方向へ持っていくことは、私申し上げたつもりでおります。ただ、現実の姿としまして、一挙にそこまで持っていくと、これをむしろ市場化することに障害になるという場合は、経過的な段階において、あるいは複数制を考え、若干の数字にまとめるというふうなことで、将来に向かって単一化の方向に進めていくということが、やはりすみやかに公正な市場を整備するということとの関係におきましては、ある段階においてはやむを得ない場合もあろうかと思います。
  64. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 この議論は、やはり市場をすみやかに公正取引に持っていけるようにすべきである。そして持っていくにあたっては、生産者の利益を守れるようた形で公正な取引が行なわれなければならない。従って、生産者団体というものも、この中には加えていくのが本筋じゃないか。私はそういう考えで、これをあなた方がどうお考えになるか。これはまた議論になって、時間がたつのであとに譲りますが、こういうふうに思います。  そこで次に、芝浦なり、大阪なり、各都市には、農林省が中央卸売市場法に基づき、枝肉市場開設のために冷蔵庫の補助金を交付しております。この補助金の交付総額というのは一体どのくらいあって、交付先はどこかということを伺いたいのです。私の調べたのでは、芝浦では、建設費は総工費二億円程度で、そのうち、四千万円を農林省は補助しておるというふうに出ておるのですが、これは間違いあるかないか。その通りでございますか。
  65. 花園一郎

    ○花園説明員 四千万円は、その通りであります。
  66. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、この冷蔵庫の設立の目的は、農林省としては、あくまでも中央卸売市場法による枝肉市場を作ることが、この補助金を交付している目的でなければならない。大蔵省の主計局の出したこの「昭和三十五年度予算補助金、負担金、交付金、補給金及び委託費等に関する調」、これには明らかに「枝肉の出荷のため」、こういうふうなことをはっきり理由としているわけです。そこでこの販売調整によって価格支持をはかろうとするこの実態が、どうもその目的というのが達せられていない。第二冷蔵庫は、一部はこれは都営なんです。ところが、これはその大部分が貸冷蔵庫になってしまっている。その借りているのはだれか。全国畜産、富士畜産とか高浜畜産、寺田商店、東京畜産、こういう二十数軒がこれを借りているわけです。これらの借りている人たちは、これは生産者の利益を守るためでなくて、自分らの取引品を保管するために、この国から補助をもらった冷蔵庫は、自分らの利益のために、自分らのものを貯蔵するために、使われているわけです。生産者の利益を守るために、そういうふうに使われていないのが、この冷蔵庫の現状だと思う。従って、この点でお聞きしたいのは、一体あの冷蔵庫を作ったのは、生産者の利益を、守るために使ったのか、それとも肉屋の利益を守るために補助金を出したのか、一体あれはどっちなんですか。
  67. 花園一郎

    ○花園説明員 三十一年におきまして、東京都に四千万円の交付をいたしたことがございます。これは当然枝肉取引改善のための枝肉取引市場整備が目的でございます。これについては、これはこの補助金で施設を整備した以上は、当然この屠場を中央卸売市場法に準じて運営するようにということで、条件をつけておったわけであります。その意味におきまして、東京都に対しては、最近までその意図がなかなかはっきりしません消極的な態度でありましたために、数次にわたって促進方を要望して参ったのでございますが、その間におきまして、それによってできました冷蔵庫の使用状況は、当然これは使用料はとっておるわけでございますけれども、現場の商人、取引員のいわば力がなかなか強い業界でございまして、その点についてなお十分監督して公正を期する必要があるかと思いますが、あくまでこの冷蔵庫を設置いたしました目的は、枝肉の出荷を促進し、取引を公正にすること、これが当面の目標でございます。
  68. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは、業者から借庫料を取って貸す目的で国が補助したのじゃないのです。生産者の利益を守るために、価格調整等に使えるために、あなたの方でせっかく骨を折って出したわけです。それが全く違ったことに使われている。それに対しては借庫料をとっているからいいというが、そこを東京都で借りて、借席料を払わないというばかなことはない。そういうことは答弁にならない。ここでは生産者の利益ばかりでいかないことがある。しかし、不当に生産者の利益が侵害されているのを、畜産振興の立場からいって、生産者の利益を守るようにしなければならぬ。そのためには、市場の今の取引制度というものは改正すべきであり、この冷蔵庫も、そういう趣旨のために使われるように改善しなければならないではないか、こういうことなんです。あなたの方はそうするつもりなのか、つもりでないのか、この点をお伺いすればいいわけです。  そこでもう一点は、農林省は最近中央卸売市場法の一部の改正を考えて、中央卸売市場の開設及び整備に関する勧告権を持とうとしておるらしいのですが、この今までの現状で、あなたの方が改正を企てても、四年たっても改正されていない、この根深い家畜取引の病根、根幹というものを、この一片の勧告くらいで取り去ることができると、あなたの方では一体思っておられるのかどうなのか。こういう勧告を出したけれども言うことを聞きませんで、どうもやむを得ませんということで通せる段階じゃないです。これはあなたの方ではもっとはっきりした決意を持って進まれるか、進まれないか、この点を聞いて、私は、この点は終わりたいと思う。
  69. 花園一郎

    ○花園説明員 まず第一の御質問につきましては、これは当然取引施設改善で補助金を出しておりまして、いわゆる流通過程におきます合理化に資することが、当面の目標であろうかと思います。従いまして、流通合理化をはかることは、ひいては出離者並びに消費者の利益になるという意味におきましては、当然に取引合理化に対して補助金を出す。それが、取引の合理化をはかり得ますれば、それははねかえって生産者の利益になる。そういう意味においては、やはり生産者の利益であろうと思いますが、当面の主目的といたしましては、やはり取引合理化、取引施設の整備ということであろうかと思うのであります。ただ、ただいま先生の御指摘があります通りに、そういう施設をしながら、それが公正取引に持っていけない、つまり市場法の適用を受けた市場に移し得ていないということが、むしろ生産者の利益または公正な取引の実現ということには向かっておらぬということでございまして、補助金を出したときに、卸売市場法の適用を受ける市場にしてゆきたいということで勧告しておる。その方ができておらぬということについては、やはり年産者保護、または公正取引の実現ということに欠けるところがあるという意味におきまして、せっかく施設を補助した以上は、東京の芝浦屠場は、東京卸売市場法の適用市場にしなければいかぬという方向で、われわれは引き続き努力をしたいと思っております。
  70. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 僕はあとは、あなたは勧告権を持とうとしているが、勧告だけでそんなことはできる段階じゃないじゃないかということなんだが、それはまあいい。  そこで、これは牛の肉でも、豚の肉でも、肉が高いことがいいんじゃない。消費者に安く行かなければ、需要が喚起されない。消費者に安く、そして生産者もそれに見合った形で、やはり生産して割に合うような形でなければならない。ところが、今の場合は、消費者の方は高く、生産者の方は安い取引が行なわれている。この市場を根城として、肉商や家畜商が膨大な利益をあげている。その証拠には、僕らは家畜商を調べてみた。ところが、家畜商というのはまたおかしいんで、非常にもうかるものだから、博労さんがりっぱな家畜商になって、巨大な金を持っている。そしてひどい根を張っている。ところが、自分が金持になったから、せめて子供を大学へやろうと思ってやってしまう。新しい教育を受けた子供らは、あんなものはおかしくてできないといってほかへ行ってしまうから、家畜商は大体一代、しかもそれは巨万というか、数十億の利益をあげておる。そういう点からいって、消費者は高いものを買わなければならない。生産者は安く売らなければならない。そのガンはどこにあるかというなら、この取引にあるのだから、この取引をまず是正するという眼目をはっきりして、これに対して一大決意を持って取引の公正化をはかるということが、畜産振興の最も大きな要因であり、眼目じゃないかと思う。牛を飼え、豚を飼えといって、そこに補助金の何ぼか、目くされ金を出して、畜産振興になっておると思ったら、大当て違いです。この取引をはっきりさせるということのあなたの決意をお聞きしたい。
  71. 花園一郎

    ○花園説明員 ただいま言われました通り政府が一応の勧告権を握るだけでは何もできぬじゃないかという、そういう点につきましては、われわれもある意味で同感でございます。ただ、各秘の産業の合理化に応じまして、この産業のうちにも、やはり近代化へのきざし、要望が見えて参っております。七十四人の芝浦の取引員も、もうわれわれもいつまでもがんばっておれぬということを観念いたしております。それで自分自身の方でも、市場化への努力または前進の考え方を持っております。大体東京都というところは、その意味で非常に行政力が弱い地方庁でございまして、現場の空気が動くことで東京都が動くという感じをいたすのであります。その東京都が、三十七年からやりたいと言い出したことは、これは市場の空気がそういうように動いておることの証左であろうと、われわれは見ております。それで、ただいま小川先生言われました通りに、家畜または食肉取引が合理化されることが、生産者のためにも、消費者のためにも、両方によくなるということは、はっきりいたしておりまして、生鮮食品の中でも、魚と並んで非常に利幅の多い畜産物でございますから、その意味におきましては、われわれとしても、非常に長年の慣習のある世界でございますが、できるだけ早く御要望の線に沿うように改善して参りたい。その点におきましては、畜産局といたしましては、いろいろな手段を講じて、特に天日山である芝浦屠場の市場化ということを当面の努力目標といたしまして、実現して参りたいと思います。
  72. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連。会計検査院にお聞きしたいのですが、そういう国費が目的以外に使われ、そのまま放置されるという場合は、こういう補助金の返還について、会計検査院ではどういう工合に判定するか。農林省自体としても、補助金の返還を求めるという工合に行き得ないかどうか。もう少し強い決意をそういう形で示してはどうか、こういう考えが浮かんでくるわけでありますが、これはどうでしょうか。
  73. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 ただいまの西村委員の御質問でありますが、具体的には、ただいま問題になっております農林省の冷蔵庫の補助金についてでございます。先ほどの農林省の御答・弁によりますと、三十一年度の補助金のようでありまして、事柄はだいぶ年数もたっておりますので、私は事実を詳細には存じておりませんが、私の方といたしましては、補助金を検査いたします場合に、これこれしかじかの設備をするのに金が幾らかかるが、それに対して補助金を幾ら出すということで、私たちが検査に参りましたときに、その設備が、当初の計画、設計通りにできておりますれば、一応補助金の検査としてはそれでよろしいということで確認いたして帰ってくるわけでございまして、補助申請書にこれはこういう目的に使うのだということがいろいろ書いてございますので、私たちが検査に行ってみたときに、なるほど設備はできておる。ところが、その構造たり、あるいは現実にもうその設備を使っておるような場合もありましょう。そういう場合に、当初の補助申請通りに使われておらないということでございますれば、私たちは、それは補助金の交付の目的を達していないのじゃないかということで批難いたしますけれども、おそらく本件の場合は、その当時実地検査に参りましたかどうか、あるいは参りましたとしましても、まだ設備がその当時やっとできた程度で、それがどういう目的に使われるかということは、その後の現実の使用の姿を見てみないとわかりかねるのであります。三十一年度としては、私たちは決算をそれで一応確認いたしておりますので、二年、三年後の使用状況というものを追いかけてまで検査するというようなことは、従来やっておりませんので、その点一つ御了承願いたいと思います。
  74. 西村力弥

    ○西村(力)委員 農林省答弁を求めたいのは、私はあまりよくわかりませんけれども、ずっと党の方で軍事基地のことをやって参りましたので、そういう場合、農林省所管の開拓財産、そういうものを防衛庁の使用に変更する場合に、それに相当条件をつけてそれを承認する、こういうことは、その条件をつけて承認したという場合に、自分の立場は一応守ったように見せかけておるけれども、実際はその条件というものが満たされるかどうかということに対しては一切責任をとらない。そしてただ移しかえだけをやっておる。農林省は承認しておる。こういうことは、たくさんの例があるのです。私は、農地局の関係でそういう例に何べんもぶつかっているわけです。ですから、今回問題になっておる補助金の問題にしても、条件を付したら、その条件が満たされない場合には、その返還を求めるというふうにするのが、国費の正しい使い方ではないか、こういうことを今指摘しておるわけなのです。だから、これはどういう工合に経理はなっておるのかはっきりわからぬけれども、たとえば何か商工業関係で補助金を出して、その補助金を出した結果、ある発明をやって特許をとった、それで相当収入があった場合には、補助金だけは年賦で返還させるという、こういう方式があるのです。そういう工合にして補助金というものを与え、利益というものが一部に片寄る場合には、そういうふうにしたらいかがかと思うのですが、こういう工合にして、農林省として全然違う目的に使われたままに四年間も放置されておるというような現状からいって、それは返還を求めるというのが、国費の使用の忠実なるあり方ではないか、こういう気がするのですか、そういうことについてどう考えるか。それをお聞きしたいと思います。
  75. 花園一郎

    ○花園説明員 補助金を交付いたしますときの条件といたしましては、補助金交付請求書の提出までに、具体的実施要項を定めて農林省協議しろというのをつけたわけでございます。そしてその後、具体的実施要項が一向にきまらぬというのが実態でございまして、それについて押し問答を繰り返しているうちに四年たってしまったということでございまして、ただいま西村先生の御指摘の点につきましては、当決算委員会の空気等を十分に体得いたしまして、東京都にもその旨を伝えて、この際、中央卸売市場法の適用市場への推進をなおしぶるような態度がございました場合には、ただいま先生のお説のように処置するように督励して参ります。
  76. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 僕がここでこういうことを言うのは、今あなたの言う通り、あなたの方でずいぶんやってはいられるようだけれども、四年間もできていない。従って、この決算委員会でこれを取り上げたということも、その推進のために、あなたの方で、国会の決算委員会からこういう意見さえ出ているのだ、どうしてもやらなければならないということの材料にでもすればいいと思って、僕は言ったのです。  そこで最後の一点ですが、この補助金なども、あくまで公正取引を行なうために出した補助金なんです。それが業者の利益のために使われておるというのなら、これは交付目的というものが違って参ります。だから、本来からいうならば、これは返還を求めるということも出てくるかしらぬが、できちゃっている。できちゃっていて、返還しろといってもしようがないだろうが、それを作られたものは、あくまでも卸売市場法の適用されるような形で使用されるように、一日も早くこれをそういうふうに持っていかないといけない。従って、私どもがあなた方にここで言っておくのは、国会は来年もあるわけです。来年こういう点が改められているかいないか、これは問題になる。ここであなたは、そうします、そうしますと言って、また国会が過ぎてしまったら、ずるずるべったりにならないように、来年には直す。そのくらいに言って、再来年になるかならぬかわからぬ。ともかくその決意をもってやってもらわなければならない。それから会計検査員も、交付された金額、みずからの負担した金額によってその規模のものができたということは認める。その点であなたは差しつかえないというけれども、その目的と違った方に使われているとするならば、会計検査としても、もっと眼光紙背に徹した検査をして、これはその後になって、三十一年度はそうであったかしらぬが、やはりこの点は検査院として、そういうふうにあなたの方からも——国会ばかりでなく、会計検査院からも、この使用目的に対しては、はっきりその目的に沿うように改むべきだということを勧告なさるべきである。あなたの方も、これがそういう目的に使われていればいいが、いなかったら、勧告しなければならぬ。なさるつもりがあるかどうか。また畜産局としても、それを生産者のために、消費者のために、中間で家畜商あたりが膨大な利益をあげるような、こういう不公明な制度はすみやかに是正するという決意がおありになるかどうか。この点だけを両方からお聞きして、私の畜産に関する質問を終わります。
  77. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 小川委員の御意見、まことにごもっともだと思います。ただ、先ほど私が申し上げましたように、三十一年度で出しました国の補助金は、検査の結果異状がないということでありますれば、その年度としては確認をいたすわけでございます。一ぺん会計検査員が正当として確認したものは、それについては、翌年度においてまた再びそういう同一の事実についての当不当ということについて検査はいたさないということになっておるのでございまするが、ただいまの御趣旨まことにごもっともなので、その後、私たちが当該団体、具体的に申し上げますれば東京都でございまするが、そういうところへ翌年度補助金の検査に行った際に、もし前に交付された補助金でできた施設が 当初の目的通り使われておらないということでございますれば、この点については注意なり勧告なりをいたすのでございますが、一応そういう事態があるということを農林省の注意を促すという程度のことは、先生の御趣旨通り、検査院としても、その辺は十分注意して検査しておるつもりであります。国費の使用上から見ても、そういうことは当然じゃなかろうかと思います。
  78. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ただいまの宇ノ沢君の説明は、まことに奇々怪々でありまして、一ぺん検査すると、あとはそれで決定したのだからできないという意味なんですか。どういうことなんです。
  79. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 会計検査院としましては、一ぺん年度の決算を正当として確認しました暁には、それについて、さらにその翌年度にわたりまして、その支出なりあるいは収入なりについての当不当ということの判定は、いたさないということでございます。
  80. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 それはおかしいですね。奇々怪々じゃないですか。それでは、会計検査院は要らないじゃないですか。もし間違った検査をして、それを再び検査をしないなんて、そんなばかな会計検査院がありますか。冗談じゃない。とんでもない。
  81. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 私の説明があるいは御納得いかない点があるかと思うのでありますが、従来そういうことで、これは検査上一つの慣習のようなことになってきておりますので、私たちは、そういうふうな考えで検査をしております。
  82. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 従来はそういう方針なんですか。
  83. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 そうでございます。
  84. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これは大へんなことですね。宇ノ沢君だけを責めるわけじゃないが、会計検査院がもしその場合に間違った——といっては語弊があるが、検査をしたからそれはあとで二度そのことに関しては検査はないなどということになったら、これは大へんなことだ。もし会計検査院で簡単に検査をしてしまって、あとからいろいろなことが出た場合に、どうなるのですか。そうなったら、会計検査院というものは要らたくなってしまうじゃないですか。これはとんでもないことで、そんなことが、会計検査院法の第何条に書いてあるのですか。そういう説明は、国会を無視している。
  85. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 これは、何年度の検査報告でもけっこうでございますが、昭和三十四年度の決算検査報告、その十三ページをごらんいただければ、第一、一般会計のところに、歳入歳出決算額幾ら幾らというふうにあって、「同上のうち未確認額」幾ら、「右決算額は、未確認額を除いてこれを検査確認した。」——検査確認したということは、その数字が間違いがないということと、それからその事項について当不当を判定して、不当として掲記すべき事項はこの検査報告に掲げてあるけれども、それ以外のものは正当として確認いたしましたということでございます。判定のつかないものは、未確認額として翌年度また検査をするという取り扱いになっております。
  86. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 未確認のときは翌年度にやるかもしれないが、確認してしまって、もしそこに間違いがあっても、二度検査しないのだということなら、間違ったときには、だれが責任をとりますか。それは大へんなことです。それはその局に当たった人ばかりじゃないですね。会計検査院長はどういう責任をとり、どういう処置をとるか、一つお聞かせ願いたい。
  87. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 会計検査院長がどういう責任をとるかということについては、私この委員会の席上で申し上げることはできませんけれども、私たちとしては、そういう検査上のミス、不手ぎわといいますか、そういうものにつきましては、別に法律上きめられた条項で処断されるということはございませんけれども、私たちとしても、検査上のミスにつきましては、道義的責任なり、あるいは公務員としての責任は十分痛感しておる次第であります。
  88. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 そこで宇ノ沢君に申し上げます。あなたは悪意を持っての発言でないと私は考えますが、これはちょっと取り消す部面があり、ちょっと決算委員会としては許すべからざる発言のように私は思う。決して悪意だとは私は考えておりませんが、あなたの発言は私としてはどうしても納得できませんから、あとで速記を見てもらって、もし発言中ちょっとまずい部面がありましたら、一つ訂正をするようにしていただきたいと思います。決してあなたが悪意を持っての発言と思っておりませんが、非常に重大な発言だと思いますので、御注意申し上げます。
  89. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 ただいまの委員長お話でございますが、私といたしましては、現在私が会計検査院に職を奉じておりまして、これまで検査院の職員として検査院法なりを理解して参りました限度で私は申し上げたので、よく速記を見まして、あとで取り消すべきような点がございましたら、決して取り消すのにやぶさかではございません。
  90. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは宇ノ沢さん、こうなんですよ。どろぼうしても、人殺ししても、裁判では一審、二審の段階がある。ところが、会計検査院の制度はそれがない。その点で会計検査院の職制は、大切であり、慎重でなければならぬ。あなたの今言った通り、会計検査院法によってこれは差しつかえないと言ったり、一事不再議、それでかまわない。そうすると、これはたとえ話で、庶民住宅として、公庫住宅を建てるのに、補助なり政府資金を借り入れた。それが間もなく、一年も二年もたたないで、淫売屋をやってしまう。それでは使用目的が違う。しかしあのときに建てる規格が差しつかえなかったからいいんだということと同じことになってしまって、交付の目的でないものに使われるということは、金の出し入れに不当、不正はなかったとしても、使用目的がはなはだしく違ってしまう。これではやはり会計検査院としてはいけないと思う。今あなたの方の言われるのは、あそこの市場に四千万なら四千万を出した。冷蔵庫を作った。この冷蔵庫は、規格通り作っておるから差しつかえないという検査をしたんだと思う。ところが、その冷蔵庫を作る金は、その目的の通りに使われておらずに、業者の利益のために使われておるとすれば、これは交付目的はもはや違ってきてしまっているから、そこでこれに対してあなたの方では勧告なり、注意なり、あるいは指摘なりあってしかるべきではないか。検査というものは、そこまでいかないとほんとうの検査にならないからというので、今委員長は、あなたの答弁に対して非常に珍しく親切に、訂正するならば猶予を置くから訂正した方がいいと言ったのであって、われわれも聞いていて、あなたの発言の中に——あなたが発言することは、宇ノ沢さん個人の発言でなくて、検査院自身の発言になってくるわけですから、重大な波紋を投げるので、委員長の意見をいれて、訂正すべきところがあったら訂正をさせていただきますということにするがいいと思う。  それから検査のやり方に対しては、そのとき適正に使われているからといって、その後に目的以外に使われているものに対して、これはやはり慎重にやるべきであって、それが今の検査院の制度は、一審も二審もないから、こういうことになってくるのだと思う。そこで私は検査院の制度そのものさえ改めなければならぬじゃないか、こういう考えを持つのです。
  91. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 私の説明が十分でなかったか、あるいは表現がまずかったかもしれませんが、こういうことであります。その年度の支出を、指摘事項以外の分については検査確認したということで国会に報告した以上は、その翌年度以降において、同じ事項については検査はやらないのが従来の建前で、ただし、もし過去の年度においてそういう予算の目的通り、あるいは補助金の目的通りに施設が使われていないような事態がありますれば、これは先ほど私が申し上げました通り、農林当局なりについて注意なり、勧告なりはいたす、こういうことでございます。
  92. 久保三郎

    久保委員 あなたの答弁で大体了解しますが、私から会計検査院法を読み上げる必要はないと思いますけれども、会計検査院法をよく知らないでやっているのじゃないかと思うので、私は一言いたします。  会計検査院法の第二章権限の第二十条第二項に「会計検査院は、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」というのがあります。検査の確認は、第二十一条の決算の確認である。これは別にこれと切り離した格好になっております。だから、今具体的にいわゆる補助金等の適正化に関する法律違反ですから、これがこの国会で問題になって、農林省が、どうも実は常道ではないという御答弁である。それならば、これに対して是正をはかるということは、当然の任務としてあるんだ。今まで長たらしい答弁をやっていることはないと思うが、どうか。
  93. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 委員の各位に申し上げますが、時間もだいぶ経過しておりますので、暫時休憩をし、午後一時三十分より再開をすることといたしたいと思いますが、続いて農林省に対する質疑は、一時三十分から行なうことといたしたいと思いますが、いかがでしょうか。——暫時休憩をいたします。    午後零時四十四分休憩      ————◇—————    午後一時五十五分開議
  94. 三和精一

    ○三和委員長代理 これより再開いたします。  荒舩委員長は所要のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。  休憩前に引き続き、農林省所管について審査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。小川豊明君。
  95. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 午前中、取引市場の問題でお尋ねしましたが、畜産局関係で、牧野改良の問題でお尋ねしたいと思います。時間がありませんので、質問の要点をかなり端折ってお聞きするので、お答えづらいかと思いますが、これは一つ実例をあげて言った方がかえって納得がいくし、答弁もしよいと思うわけです。時間も省けますから……。結局、畜産振興とからんで、政府も非常に本腰を入れて牧野改良に当たって、昭和三十三年度の予算では一億七千四百万、三十四年度が三億三百万、三十五年度には二億五千八百万というものを投入して、野草を飼料用の牧草として改善することに努力されておるわけですが、この経済的な成果がどう上がってきたかということが、お聞きする問題の主点になるわけであります。この点では、私どもは当局の方とあるいは見解の相違が出てくるかもしれぬが、この経済効果というものは、そう上がっていない、きわめて不振だとは言わないが、その経済効果は上がっていない。そこでその経済効果が上がらない原因はどこにあるのかということになると、あなたの方で地区を指定して、モデル地区のようなものを作ってやっておられるわけですが、その指定された地区が、非常に荒蕪地というようなところを指定してしまっておる。従って、集団で酪農等をして家畜を飼っておるところは、きわめて交通が不便で、地味はきわめてまたやせ衰えておるところである。傾斜が非常に急で、四つんばいにならなければ草も刈れないというようなところを指定しておるような傾向があるので、こういう悪条件下では、牧野の改良というものは予期した通りにいっていない。その一例を示すならば、岩手県の遠野市の青笹というところに五百町歩か六百町歩、あなたの方では、いわゆる笛吹牧場、ここを指定してやっておるわけですけれども、ここの選び方なども、地区の選定が必ずしも適地ではない。適地ではないところを選定してやったがために、今ではここの農民は、むしろ逆に負債をしょい込まなければならないような形になってしまっておる。農林省は、一時非常にモデル地区として宣伝した。調査にも盛んに行っておったが、今、あなたの力で、むしろ手を焼いてしまって顧みないような状態じゃないか、こう思われるわけです。それからもう一つは、鳥取県の日野郡の江府町というところに、やはり牧野組合が作られておる。ここの場合は、今度は酪農をやる人、肉牛を飼う人、馬の生産をやっておる人、いろいろなもの、ごちゃごちゃなものが牧野組合を作ってやっておるから、それぞれの目的、草に対する利用目的が違ってきております。ですから、酪農をやる人は、草地の改良を当然主張するでしょうし、役牛の生産の場合には、この点はそんなに主張しなくなってきている。むしろそういうものよりも、馬の生産をやっている方は、道路を作れ、こういうふうに、牧野改良には道路も必要、何も必要だけれども、それぞれ飼育する人によって要求が違ってくるものを、ごちゃごちゃにしてやってしまっている。そこに成果の上がらない点が出てくるのじゃないか。そして貸し出しの方法は、今度は農協を中心にして貸し出している。あるいは組合を中心に貸し出している。これはあなたの方として当然かと思うわけです。そこで、農協は別として、こういう組合を作る場合に、目的を一つにしたものでやっていかないと、この成果が上がってこないではないかと思われるわけです。従って、せっかくのモデル地区を作って補助し、助成しても、これは成果が上がらない。  さらにもう一つは、補助金の率にかなり問題があるのではないか。この補助金は、農林省が三分の一を負担する。つまり国が三分の一負担する。そして三分の二は都道府県が負担することになっておるわけですけれども、今の自治体の実態からいって、こういう牧野改良を農林省では一生懸命指導しているのだけれども、三分の二の負担にたえられないというか、そっちまでまだそういう負担が回っていかないという形のしわ寄せというものが、出てきてしまっておる傾向が多分にあるわけです。農林省には、自給飼料課というものを置いてある。都道府県へ行ってみたところが、草地係とでもいうか、そういう係すらない県がたくさんあるわけです。そういうところに、国が三分の一負担で、あとの三分の二を持て、これだけやってやるからといって土地を指定しても、これは上がっていかない。こういうことで改善しなければならない点としては、土地の選定にもう少し慎重を期すべきではないか。荒れ地の傾斜のひどいようなところを、ここがいいだろうというようなことでなくて、距離も測定して——さっき言った岩手県の場合は、笛吹牧場とこれを利用するところとの間が、十六キロくらいあるのです。十六キロもあるところを草刈りに行けといっても、これはなかなかできるものではない。もっとこういう点の選定を慎重にすべきではないか。  それから補助率についての地方負担を、もう少し軽減すべきではないか。軽減することができないならば、これに対する考慮を払ってやるべきだし、それから補助をする規定だから、牧さくというものを作らなければならない。この牧さくが非常に金のかかるあなたの方の設計なのです。こういう点も、作らせるならば、それに対する補助というものを考えたやり方をしないと、負担にたえられなくなる。  それから、これは私自身もこれでいくべきだという固まったものではありませんが、組合を作らせて、組合でなければいけないという指導になっておるが、今も言う個々ばらばらのものを集めていって組合を作っても、目的が違ってくるから、内部の統一ができていないということから、これは小組合でもいいから、使用目的別の組合を作っていくようにしないと、馬を生産する人、酪農をやる人、あるいは役牛を飼う人、そういうものをみんな一緒くたにしていっても、牧野は牧野だから、これを改良することはいいことだといっても、さっき言ったように、この金でおれの方は道路を作るべきだ、こっちは牧草をよくすべきだという、まちまちの点が出て、成果が上がらない点があるから、こういう点に対するあなたの方のお考えを聞くと同時に、この改善措置について、どういうお考えを持っておるか、お尋ねしたい。
  96. 花園一郎

    ○花園説明員 日本の畜産の奨励のために、結局は飼料問題が最もポイントになることは御説の通りでありまして、ことに家畜の姿いかんによっては、輸入飼料の急増が避けられないということが一方にあります関係上、自給飼料の努力を進めることが、畜産振興上必要なことだと思います。飼料をできるだけ国内で自給いたします措置の中でも、一つは、既耕地の中の大麦なり米なりというものを逐次飼料作物化して参ることが、現実に国内各地における家畜の存在の関係からいいますと、一つの要点でございますが、同時に、家畜の種類のいかんによりましては、これまでの既耕地でない草地の改良に結びつけて家畜をふやして参るということが、畜産上の一つの要点でございます。  従来の方策並びにその予算上の実績につきましては、前会に御説明申し上げましたような数字でございますが、特に集約牧野については、おおむね乳牛とのつながりを考え、改良牧野については、おおむね役牛との関係考えるというのが、従来の行き方でございます。その面につきましては、実は全国的に見ました場合にどの程度の効果があるだろうと想定されるかということは、対象物が対象物でありますために、把握が非常にむずかしいという点は、何分ごかんべんいただきたいと思いますが、その中でも、先生の言われますように、比較的成果の上がっておらぬところと、相当に成果の上がっておるところと、それぞれ地域的にだいぶ違いがあるようであります。その一つ一つをとってみますと、やはり先生がただいま言われましたように、立地的な条件または土地の傾斜というようなことで、元来土地の悪いところ、そういう選定そのものにも相当問題があるであろうということが、確かに肯定されるわけでございますが、今後の行き方といたしまして、まず一番問題になりますのは、草地というものが、所有権の関係、利用権の関係で、非常に放置された格好になっておりまして、これの制度的な把握が実は十分でない。ただいま草地制度協議会を昨年以来実行しておるのでありまして、本年七月ないしは九月を目途に草地制度の改正についての結論をいただくように、ただいま進行中でございますが、やはり一つの感覚としては、草地制度全体を通じまして、今まで農地の関係できわめて密な農地法なり土地改良事業関係の法律、こういったもので、所有、利用制度と土地の改良事業の制度というものが、それぞれ整備されておる。このスタイルをやはり草地についても十分参考として参らなければならぬであろう。ただいま先生が覆われました通りに、組合の結成方法その他につきましては、やはり従来の牧野、採草地をさらに幅を広げますと、現在林地になっておるところまで草地というものがあり得るわけでありますが、それについての利用権をどういうようにまとめていくか。これが現実の所有権との関係を一応切り離しましても、やはり利用権確立の線でまとまった土地を対象に把握できるようにして参ることが必要であろうかと思います。またそのためには、今先生がおっしゃいましたような遠野周辺は、元来馬産地でありましたために、比較的高層地に草地がありまして、いわば人の上に林があり、林の上に家畜がおるというふうな状態にありますが、これはやはりもう一ぺん考えまして、人の上に家畜が乗っかり、その上に林があるというふうな土地区分、利用区分というものを整備して参らなければならぬだろうと考えます。また、これまでの補助金実施の要領その他につきましては、ただいまいろいろと御指摘なり、御教示を賜わったわけでありますが、その点につきましては、従来の国の補助率三分の一を三十六年度から四〇%に上げたわけであります。特に、これは面接的に草地改良ではございませんが、北海道の湿地牧野の補助率は、四五%を五五%に上げたというふうなことで、牧野改良事業の補助率のかさ上げにつきましては、例年努力しているわけであります。  それともう一つは、補助の対象要目につきましても、あるいは牧道を入れるとか、牧さくを入れる、その他いろいろ手段を講じておるわけでありますが、牧さくについては、家畜の種類によりましては、土塁であってもいい場合もありますし、その点につきましては、それぞれ要件に応じましてきめて参りたい。そうして要するに、全体として国の草地改良の事業というのがあって、これが一つには畜産そのものの姿がまだ非常に弱かったということもございまして、やはり米麦を中心にいたしました各種の施策並びに制度に対しましては、非常におくれを見せておることは事実でございまして、その点については、たまたま最近におきます選択的拡大の方向に即しまして、われわれといたしましては、当然畜産用地というものに対する施策をこの際確立して参るということが肝要であろうかと思うのであります。当面われわれが草地改良につきまして最も必要と考えておりますのは、小さい飛び飛びの土地で、草地改良をやっておってはいけないので、やはり大規模草地改良という線が一つ望ましいところである。そのためには、実はこのたびの予算編成にからみまして、国会の皆様から強い御要望があったわけでございますけれども、やはり今まで土地改良事業が行なっておったような、公共事業化への道を歩まなければならぬ。そういうような姿でなった場合に、初めて国の補助率ももっと手厚く、また微に入り細をうがった世話のやり方もできるのではないか、今のように、ある意味ではその後の効果もなかなか測定しがたいというような行き方では、補助率をこれ以上上げるのもなかなか困難である、かように考えまして、この草地改良につきましては、おおむねこれまでの農地の改良事業が歩んでおりましたような力強い線を取り入れて参るようにいたしたい、かように考えておる次第であります。
  97. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私の畜産に関する質問は、ほかに御質問の方があるかもしれませんが、これで終わります。  次に、私は、今度は農地改良の点でお尋ねするわけです。  それで、これは概括的にいうならば、特別会計事業は七年完成を予定しておりますが、われわれが見ても、七年では完成し得ない仕事である、こういうことを言い得るわけです。例をあげるならば、鹿島南部の総事業費十六億のものが、三十四年度までに、これはまだ始まったばかりかしらぬが百六十万円、着工は三十四年度で、四十年度が完成見込みである。笠の原は事業費が十九億、三十四年度まで七千四百七十万円といわれておりますが、こういう例をあげていくと、いつ一体完成するのか。七カ年どころではなく、何十年たったら一体完成するのかということが言い得るわけです。そういう点から、時間の関係上いろいろ省いて、ここで事例を、あげてお尋ねしたいと思うわけですが、九州の有明干拓の場合、これは台風地帯でもあるけれども、台風ごとに堤防がくずされて、事業計画が遅延に遅延を重ねて、全く完成のめどが立たないような状態ではないか。これは、このむだを繰り返さないで完成するには、どういう計画を立てて、何年ごろまでにはこれを完成してしまうつもりであるかという点。  それから用排水の問題で、幹線だけはよく進んでいるわけです。ところが、支線、派線というものは団体営になっている。これが進まないから、せっかくの貴重な水がここでは眠ってしまっていて、あまり用をなさない。それから愛知用水公団を見ると、これは多目的のダムを作り、農業用水、工業用水等に使われるために公団が作られたわけですけれども、ここでは工業者の方は負担能力があるけれども農民の方では、この水はとうてい買い切れない、負担にたえ切れないということから、ほとんど水は工業優先になってしまって、農民のための用水が工業用水になってしまうという傾向が、だんだん顕著に現われてきている。従って、ここでは経済力の点からいって、工業家の使う水をもっと農民が農業用水として使い得るように、水の利用値段を考えてやるべきではないか。こういうことは、各用水なり、土地改良の事業なりを見ていくと出てくるわけですが、これに対して、あなたの方はどういう対策をお立てになるつもりか、お尋ねするわけです。
  98. 堀直治

    ○堀説明員 土地改良事業が大へんおくれておりまして、特に、特別会計で七カ年でやることになっているのにかかわらず、いろいろな事業所において、どうも今の予算のつけ方では七カ年では終わりそうにないという御指摘でございますが、御指摘にありました鹿島南部は、鹿島南部地先の畑地及び未墾地を開発して畑地灌漑をする事業であります。たまたまこれを国営に移管して計画を変更いたしましたときに、地先の反対が一部にございまして、それの解決に手間取ったということと、もう一つ最近に至りまして、あそこの地先に工業地帯を作りたい、水のアロケートをいたしましてさらに練り直したいというような話が持ち上がりまして、そういう問題を解決するまで事業の着工を一部見合わせております。そういう関係で、三十四年度の着工にかかわらず、まだ仕事が進んでおりません。従いまして、これは実質的に着工して七カ年でやるような形に直さざるを得ないというように考えております。  笠の原についても同様でありまして、田畑、畑地灌漑、及びあそこに作りますダムの補償の解決に非常に手間取りました関係上、着工が延びたわけでございますけれども、ようやくこれらの問題もおおよそ解決いたしましたので、三十六年度から本格的な仕事に入る段取りになっております。  それからなお干拓関係では、いろいろ予算的に見ても七カ年で終わらないように見受けられるものがあるわけでございまして、これは一つには、干拓堤防が伊勢湾台風の被害を受けた関係上、従来の計画を大幅に変更いたしまして、堤防の補強事業をしなければならなくなってきた事実がございます。従いまして、当初予定いたしました総事業費を七カ年でやるという予定が狂って参りまして、そういうものの一部につきましては、七カ年を上回るということもやむを得なくしているものがあるわけでございます。御指摘の有明海はその一つの例でございまして、それは非常に古くからやっておりまして、ようやく完成の間ぎわに至りましてから、堤防の補強をやり直そうということになりまして、その分だけが追加工事のような形になったと思います。しかし、これも計画がきまりまして、予算の方も大よその見当がつきましたので、補強いたしまして至急完成するという予定でおるわけでございます。  それからなお両総用水につきましては、国営工事は大よそ完了するめどがつきましたが、それに伴う県営の農業水利事業と団体営の灌漑排水事業が、いずれもまだ未着手のものが多いわけでございます。これらが完成いたしませんと、せっかくの用水事業も役に立たないという問題がございます。これはまさに御指摘の通りでございまして、私たち関係者としても、一日も早く完成するように今後の努力をお誓いいたしまして、御了承願いたいと思う次第でございます。  なお愛知用水の問題の水の価格の問題、あるいは工業用水とのアロケートの問題に関係いたすことでございますが、農業の方が、従来とも農業川水を幾らかでも節約いたしまして、工業用水の方に回すことができれば、それによって工業用水から出る利益によりまして、農民の負担を軽くすることができるわけでございます。今後もそういったような面では努力いたしますし、愛知用水も現在工業用水に多少とも水を回しまして、できるだけ農民の負担を軽くするように考えております。この問題の具体的な現われといたしましては、計画変更で相当大幅な事業費の増加がございましたけれども農民の負担は変らないということで計画の変更をいたしたような次第でございます。この中には、工業用水で一部水を使うというアロケートの問題も含まれておるわけでございます。しかし、農業用水とほかの工業用水その他がこういうような水路を使いますときに、非常に大きな問題となりますのは、農業は、早魃のとき、あるいは田植えというようなときに、一時に大量の水を通すための大きな入れものが要るということでございます。工業用水、水道は、比較的小さな——年間を通しますと非常に大きな水量を使いますけれども、水を通す入れものは非常に小さくて済む。従って、アロケートの場合には、どうも農業の方がよけいに負担をしなければならないというような結果が起こってくるわけでございまして、こういう点につきましても、今後大いにアロケートの方法を研究いたしまして、農業者側に不利のないように努めたいと思っております。
  99. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今説明を聞いてわかったのですが、これはいろいろ予期しない事故も起こった。たとえば有明海のような問題であると思いますが、予期しない事故も起こった。これはわかるのです。それから両総用水の場合には、今御説明を聞けばわかるのです。しかし、目的は、水を一年でも早く耕地に回すということが目的なんで、おれの方の受け持ち分だけはできてしまっているけれども、県営、団体営ができないからああなっているのだというようなことでは、目的は達せられないわけなんで、できないならば、どこに障害があるのか、突き詰めて、県を奨励したり、金がないならば融資の道を講じてやったりして、これは早く目的を達するようにしないと、何十億かかけた金が、結局一年無利息でこれは寝ているということと同じことなんですから、早くそういう道を講ずべきであると思います。  それから愛知用水の問題でございますが、愛知用水公団は、設立の目的は、農業用水として設立された、こう私は記憶しているのです。時代の変遷というか、産業の発展の形態か変わってきて、工業に回す部分が多くなってきた。これも趨勢としてやむを得ないことかもしれませんが、やはり設立の目的は農業用水なのであって、農民の側からいえば、農業用水をこしらえてやる、こしらえてやるといって喜ばしておいて、どんどん工業の方に使って、水が高くてわれわれとしては使い切れないという問題が出てくる。理由はどうであれ、やはり必要な水を農民の方に回してやれるような措置を講じないと、せっかくの当初の目的というものが狂ってくるわけです。農民の方からいうと、そういう事情がはっきりわかっていないから、おれらのためにこしらえてやるといってもったいぶってこしらえたところが、みんな工業の方にやってしまっているじゃないか、こういうことになるので、こういうそしりというか、非難を受けないような措置を講ずべきであるという意見を申し上げまして、この点については一応終わります。
  100. 久保三郎

    久保委員 土地改良の問題で一つだけ関連してお伺いしたいのは、現在全国的に土地改良区がございますが、土地改良区が、運営なり出発が大へんまずいために、土地改良をして生産を上げるつもりであったものが、実は土地改良をして、農民自身が土地を失わねばならぬという事態が、たくさんあると思うのです。いわゆる不良土地改良区でありますが、これは大よそ全国的に見てどのくらいの数があるか、おわかりになりましたら、御説明を願いたいと思います。
  101. 堀直治

    ○堀説明員 ただいま詳細な資料の持ち合わせがございませんので、後刻調べて御報告申し上げたいと思います。
  102. 久保三郎

    久保委員 それでは、これは各県別のいわゆる受益面積というか、そういう面積と、組合の数、それから不良の定義はいろいろありましょうが、少なくとも農林中金等から借りた金が、今日の時点で返し得ないような組合、これに限定してけっこうだと思いますから、出していただきたいと思います。  それからこれに関連して申し上げるのですが、わが党では、今国会にこの不良土地改良区の、再建整備についての法案を出しております。内容については農林水産委員会ですでに提案理由の説明をしておりますが、農地局ではこの中身は御承知でありましょうか。
  103. 堀直治

    ○堀説明員 社会党から出した案については、大よそ承知しております。
  104. 久保三郎

    久保委員 そうしますれば、私から御説明する必要はないと思うのですが、今小川委員から説明されたいわゆる直轄国営の土地改良自体にも、非常な問題があると思う。あるいは代行建設の問題も、これは問題があると思う。すでに十何年間かかっても、目的の十分の一も達成できないものが、私の地区にございます。しかも、当初の計画から見れば、水は半分しかない。しかも、その地帯は、最近は工業地帯に置きかわるという様相がある。これなども実はお尋ねをしたいのでありますが、これは小川委員からお尋ねがありましたから、私はそこで言いたいのは、これらの結末をどうつけるのか。ケース・バイ・ケースで再検討する時期がきていやしないか、こういうふうにも思うのです。しかも、農民の犠牲でやってきたのでありますが、さらに今度も犠牲がしいられそうだというのであるが、これは大へんな問題であります。私は、大きい問題は別にして、今申し上げた不良土地改良区の再建整備は、農林当局としては今までどういうふうに考えられておったか。
  105. 堀直治

    ○堀説明員 土地改良区の中に、所期の目的に反しまして、事業効果の上がらないもの、あるいはまたそれに関連いたしまして、負債の償還が困難なもの、相当の数のあることは承知いたしております。従いまして、これらの組合と申しますか、これらの土地改良区につきましては、工事の指導をいたしまして、よって来たる原因が、工事が疎漏であったとか、あるいは計画が不良であったとかというようなものにつきまして、手直し工事によって工事が完全になり、目的を達し得られるものにつきましては、計画変更その他の手続によりまして工事をやり、それの原因を除去するようにいたしております。また貸付金につきましても、公庫、中金等と話し合いをいたしまして、償還年限の延長その他の手続をとっているわけでございますけれども、御指摘のように、十分にそれらの効果を上げ、あるいは農民に対する負担を全部肩がわりしてやるというところまではいっておりません。やはり原因が非常に多岐に分かれておりまして、借金にいたしましても、工事の悪かったために起こったものもあり、あるいは徴収をすべきときに徴収しなかったために起こったというようなものもございまして、原因が単一でございませんので、おのおのの土地改良区につきまして十分調査いたしませんと、それが万全の対策ができないわけでございます。しかし、そういったようなものを救済する道というものが、非常に少ないということも事実でございまして、今後は、戦争中、戦後の食糧増産という一方的な推進方針を十分検討いたしまして、そういうような農民に対する不安と申しますか、土地改良をやったために起こった不安というものを除去するように、仕事のやり方を検討していきたいというふうに考えております。
  106. 久保三郎

    久保委員 不良土地改良区といっても、中身がだいぶ違うというお話です。千差万別というほどではございませんが、ある程度四つか五つの類型に分かれると思います。これに対しての再建方策をとらなければ、今転換方策を迫られているさなかで、この問題一つをやらぬければ、土台は固まらぬと思うのです。だから、わが党が出しておる法案をこのまま与党がのんでというか、賛成していけばいいのですが、会期も幾らもありませんし、そうなると、この会期中にその法案が成立するという見通しは、今のところ私はないと思います。むしろこういうものは、農林省当局政府提案として出すことが、基本法と同時にやる仕事ではないだろうかと、われわれは考えておる。八田政務次官、たばこをつけたところで悪いですが、どうなんですか、そういうことを一緒に出すべきだと思うが、この国会に間に合わなければ、来国会あたりにこれはもう出す時期だと思うが、出す御意思ございますか。
  107. 八田貞義

    八田政府委員 先ほども久保さんからお話がありましたが、今農林水産委員会において、社会党から提案のありました法案について審議中でございます。もちろん政府といたしましては、こういった不良土地改良区の問題につきましては、調査を進めておる段階でございます。先ほど堀説明員から申し上げましたように、非常に根深いものもあるし、またあるいは簡単な行政指導によって再建のレールに乗っかる、こういったものもございますので、十分実態をきわめまして、そして対処していきたい、こういうふうな考え検討いたしております。
  108. 久保三郎

    久保委員 それでは堀さんに最後に伺います。政務次官から御答弁がありまして、しっかり調査をしておるということでありますが、今あなたの方では調査を進めていて、どのくらいたったらそれが終わるのですか。いかがです。
  109. 堀直治

    ○堀説明員 七月ごろまでにこれの対策を練るということになっておりますので、およその調査は、それまでに整えたいと思います。
  110. 西村力弥

    ○西村(力)委員 問題はちょっと違いますが、この間、私がある地区の県会議員の補欠選挙の応援にいったのでありますが、戦後指導によって開拓農民として入植した。それは相当高いところでありましたが、そこの状態を見て、全くお話にならぬお気の毒次第なんです。粗収入が八万円だというんです。それで国会の三十四年あたりの決算を見ましても、返還額が予算額よりずっと減ってきている。それから貸し付ける予算を立てても、それが全部消化しきれない、開拓関係で。そういう工合に出ております。要するに、聞いてみますと、借りた金をただ借りかえて別のところに返すというか、そういう措置をやっているだけだ、こういうことでありましたが、今の話は不良土地改良区ですが、そういう窮迫した状態にある開拓農民というものは、自然に離農をするのを待っているのか。あるいはそれに対して、本人たちが希望する場合に、相当強力な集団的な離農対策を立てるのかどうか。これはもうほんとうに捨てておけない状態に私はあると思います。まことにお気の毒次第なんです。そういうことは、そこ一カ所でなく、全国にあるでしょう。もちろん開拓で成功したところもあるだろうと思いますけれども、ああいうところは、相当手を加えて、そして開拓農民として立てるのなら立てる。そうでなくて、本人としての希望があるなら、十分過ぎるほど見てやって、そして転業なら転業をはかる、こういう工合にしなければならぬと思うのでありますが、そういう措置については、どういう工合に今考えられておるか。これは農林水産委員会の政策的なものの話になりますけれども、今のに関連して、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  111. 堀直治

    ○堀説明員 開拓の組合につきまして、終戦後の計画を立てないうちに入植した者、あるいは非常に山の奥の寒冷地に入った者、あるいはまた経営面積が非常に少ない者というような、いろいろな原因がございまして、実際問題といたしまして、一農家当たり七万円を割るというような個所が、まだ相当残っております。およそ開拓組合のうちの七割近いものが、経営不振という形でおるわけでございます。これに対しましては、農林省及び県が不振地区の対策を立てまして、それの原因の除去に努め、またその原因が建設工事あるいはその他の施設にあるものにつきましては、特に不振開拓地改良という予算を作りまして、目下これの補足工事をやっております。なお、融資の問題につきましても、開拓地の融資の一本化ということをはかりまして、一本化をはかると同時に、高利率のものを低利率のものに借りかえるとか、あるいは保証の限度も伸ばすように、いろいろな融資の減免の措置を講じております。なお、資金が足りないために営農の不振になっているものにつきましても、追加の融資をいたすような措置を講じておりまして、不十分ながら開拓地の改良に努力いたしておるわけでございます。なお、どうしても開拓地として残っておるわけにいかないでよそに出たい者につきましては、わずかでありますが、補助金を出しまして、これが外へ出ることの奨励もいたしておるというような次第でございます。ただ、遺憾ながら十分でないという点につきましては、今後の努力によってできるだけやっていきたいというふうに考えております。
  112. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 あと食糧の一般会計の問題もあるので、これも簡単にお聞きしますが、農業共済事業というのは、災害から農民を守るということで、農業政策の一つの大きな柱だと思うのです。従って、これは制度としては非常にりっぱな制度であり、お互いに努力してこの制度の完璧を期さなければならぬということはもちろんです。ところが遺憾ながら、農民のためにできたこの法律、制度は、適用を受ける農民からきわめて不評を買っている。この事実は、あなた方の方でもわかっておることだと思うのです。そこで、そういう不評を農民からこうむりながら、一方においては、三十三年度、三十四年度のこれを見ると、三十四年度では、会計検査院が百四十七組合を調べた結果、六十九組合が経理当を得ない。金額にして三億七千四百万円余ある。三十五年度は、七十一組合を調べたところが、二十九組合がやはり経理当を得ない。この金額は十億余もあるということになると、調査した件数の三分の一というものは、不正、不当な経理をしているということになる。日本全国のいわゆる共済制度に基づく共済組合というたくさんの中から調査した結果から見ると、三分の一の共済組合というものは、やはり不正、不当な経理をしているということになってくるので、これは大へんな問題だと思うのです。この欠陥というのは、なぜ一体こういうことをしなければならないのか。自分らのためにできている組合の掛金をごまかしたり、補助金をごまかしたりして、自分らの大切な組合を自分らでつぶしてしまうような結果は、どこから一体出てくるのか。同時に、これに対する原因は、掛金はどうだろう、こうだろうということは、すべて論じ尽されたことだからここで論じなくてもいいが、この欠陥はどこにあり、この対策はどう立てるかということは、緊急を要する問題だと思うので、この点をお聞きしたいのが一点。  その次に、農業共済と、いま一つは農協がやっている農協共済というのがあります。建物共済になっておるわけなんだが、保険事業になってやっておる。同じ農業の部門を扱い、一つは国がやっているんだが、それが個々の農家へ行って、建物はおれの方の共済にかけろ、こっちにかけろといって見苦しい争奪戦を演じていることなんか、これはもう農業政策という点からいったら、下の下である。こういうことを一元化し、統一することは、農業政策としての根幹であろう、こう思う。そこでなぜ一体この二つにそういうものをやらしておくのか。これを一元化する道がないのかあるのか。あるとするならば、おやりになるのかならないのか。この点をお尋ねしたいわけです。
  113. 坂村吉正

    坂村政府委員 農業共済についての御質問でございますが、先般の当委員会におきましても、これに関します御質問がございまして、荒筋につきましては申し上げたわけでございますが、ただいま御指摘のように、農業共済の会計検査の結果といいますものは、非常に不正、不当といいますか、多いわけでございます。この点は非常に遺憾でございまして、年々いろいろの指導をやって参りますけれども、これが数年前まではだんだん減って参りました。しかし、またこの一、二年ふえておるというような状況でございまして、これは小川委員御指摘のように、この制度について根本的にやはり農民に不満があるわけでございます。その不満あるいは不平というようなものは、いろいろこれはそういう欠陥があろうかと思いますが、第一に、私ども考えてみますと、制度自体が非常にむずかしいということがあるわけでございます。この点は、そういう意味からいたしまして、私ども、ずっとこの制度の不評判、あるいは運営がうまくいかない点等を検討いたして参ったのでございますが、結局根本的には、この制度が中途の段階で切れちゃっているんじゃないか、非常に端的に申し上げますと、農民にほんとうに浸透していない、こういう感じがするわけであります。そこで農民が、自分の制度としてこの制度の中にほんとうに入り込んでいない、こういう面があろうかと思うのです。その点は、第一に、この制度は、御承知のように、末端に町村段階の共済組合がございまして、それが県段階に連合会を作っておりまして、それで町村の共済組合の事業をやっておりまして、その共済責任を県の連合会に保険をしておるわけでありまして、その連合会は、国の再保険特別会計に再保険をしておる、こういう仕組みになっておるわけでございますが、大体末端の共済組合では、責任の一割しか持っていないというような状況でございます。従いまして、農民が掛金をかけましても、一割だけが自分の末端の組合に保有されて、あとはみんな上の方に上げられてしまう、こういう格好になるのでございます。そこで災害が起こりました場合も、一割分については共済組合がその支払いの責任に応じますけれども、これも非常に災害が大きい場合には、減額して削減してしまうというようなことができることになっていますので、大体末端の共済組合が無責任状態にあるということが言えるんじゃないかと思うのです。そこで現在のようにだんだん災害が片寄って参りまして、それから少なくなって参りますと、農民は毎年金をかけておっても、この金の大部分はどこへ行ってしまうかわからぬという不満が、そこに出てくるわけでございます。そういうようなことで、いろいろこの問題はございますけれども、突き詰めていいますと、その制度が農民と遊離をしておるということと、末端の事業をやっておる組合が無責任態勢にある、非常に率直にいいますと、そういう感じがするのでありまして、この問題を根本に解決しなければ、幾ら制度の枝葉末節なところを直しても、これは農民がほんとうに喜んで利用する制度にならないのじゃないかというような感じがするわけでございます。  しかも、一面においては、この災害補償制度というものは、日本の農政の上からいえば、どうしてもこれは育てておかなければいかぬ問題でございますので、そこで現在国会に提案をいたしまして御審議をいただいております案では、いろいろな改正点はございますが、根本は、この制度を農民にくっつける、農民の末端に今まで遊離している面を農民に密着をさせるということ、それから末端の共済組合に事業の責任を負わせる、こういうところに重点を置いたわけでございます。通常災害の責任は、全部末端の共済組合が負う、こういう原則で制度の改正を行なったわけでございます。それに基づきまして、たとえば基準反収をきめる場合におきましても、あるいは損害評価をする場合におきましても、そのほかいろいろな組合の運営、それから事業の運営におきましても、末端の組合の自主性というものが相当強くなって出て参るのでございます。そういうようなことで運用するよりほか、今までの現われましたようないろいろな欠陥を直すわけにいかぬじゃないかというふうに考えておるわけでございます。それが今度の制度改正の中心のねらいになっておりますわけでございます。  それからもう一点の、農協と農業共済団体とが、建物共済についていろいろの相剋摩擦のありますことは、これはもう仰せの通りで、非常に見苦しい争いをやっておるのでございまして、私どもも農政の上からいって、決して好ましい姿ではないというふうに考えておるのでございますが、数年前に、昭和三十二年か三十一年でございまするが、この問題を何とかすっきりさせようということで、いろいろ国会におきましても御議論等もございまして、ずいぶん農林省も努力したのでありますが、とうとうこれもまとまりませんで、結局そのときの扱いといたしましては、現在までの扱いで、県知事が地方の実情によって裁定をする、その裁定によって農林省は認可をしていく、こういうことで現在まで扱ってきておるわけでございます。それで大ざっぱに申し上げますると、全国的に見まして、大体短期の共済、いわゆる一年期限の普通の火災保険と同じようなかけ捨ての短期の共済は、これはどちらかといいますれば、大部分が共済団体がやっている。それから長期の積立式のもので、満期を持っておりまして、積み立てておりまして、十五年なり二十年なりの満期が参りましたら、満期金がとれる、その間に災害が起こった場合には、その災害のときの保険金を払う、そういう方式のものでございます。その長期のものは、どちらかといいますれば、大部分のものが農協系統でやっている、こういうことで大ざっぱに事業調整ができておるわけでございますが、しかし、その末端では、その間にもいろいろな出入りがございます。従いまして、この点は、今度の農業災害補償制度の改正と同時に、一つ何とか解決したい、こういうことで、農業災害補償制度協議会等におきましても、いろいろ検討して参りましたわけでございますが、御承知のように、そのもとが、何といいますか、団体問題になっておるようなわけでございまして、それに応じましていろいろ相当深刻な政治問題にもなっている状況でございまして、これはなかなか簡単には——一元化といいましても、あるいは事業調整といいましても、むずかしい問題がございまして、この際は、農業災害補償制度の改正案を提案するにあたりましては、非常な両方の団体間の争いになって、この補償制度自体にもいろいろ影響を与えるようなことがあると、この補償制度のためにもよろしくない、こういうような意味をもちまして、農業災害補償制度とは切り離しまして、農林省におきましても、できるだけ早くこの問題だけを取り上げて、一つ具体的な調整案を作りたい、こういうようなことで、預かったような形になりまして、今検討を始めておる段階でございます。非常にむずかしい問題でございまして、時間がかかるのでございますが、そういうようなことで御了承願いたいと思うのであります。
  114. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それじゃ了承できないのです。これは一つは、あなたの方ではいろいろ共済事業の欠陥はわかっていて、ああする、こうするというけれども、結局一つもできていない。だんだん制度がだめになって、死滅してしまうような状態になっておる。それで今度は、あなたの方が事業団か何か作って、そっちへしょわせようというのだが、あなた、権限を持っている農林省がやってもできないものを、事業団をこしらえてそっちへ持っていってこれをやれといっても、結局責任のがれみたいなもので、もっと混乱するだけのことだと思う。これは事業団を作ってやらせるならやらせるでいいから、こういうふうに行くべきだという筋金だけはすぱっとはっきりさせて、そしてやらせなければできはしませんよ。ことに事業団の何か運営の中で二段階制にするとかいう案が出たでしょう。ところが、二段階制の答申か何かあって、二段階制にしようと思ったら、たちまちつぶされてしまって、また三段階制に逆戻りしようとしておる。そんな腰のないことで、何で共済制度をりっぱにすることができますか。それからもう一つ、裁定を知事にまかしたというけれども、なぜ一体知事にまかせるのか。というのは、各団体がそれぞれ強力な政治力を持ってきて、農林省はやり切れないから、自分の方で知事にまかしてしまったら、農林省でもできないものを、さらにそれよりも政治力にもっと弱い知事がまかせられても、できるはずがない。だんだん悪くなってしまう。僕の要求するのは、そういう答弁でなくて、柱を——この際事業団を作るということは、事業団を作ることのいい悪いは、これは政策だからここでは論じなくてもいいが、そういうものを作らなければならないところに、農業共済制度が非常に大きな欠陥を露呈して、こういうふうに幾つも問題を起こしているのだ。この際、そういうことをなからしめるようなはっきりした筋金を立てて、事業団にやらせるならやらせるでやらしてもいいけれども、立てないで渡しても、それは農林省自身が指導監督してできないものを、事業団が何でできるものですか。できると思いますか。それから知事に裁定をまかした。それはあなたの方でできないものを知事にやらしても、知事はもっと政治力に弱い。これもくしゃくしゃ。だから、だんだんだんだん共済制度がだめになってしまう。この際、農協と二つ競合しておる問題も、これもはっきりする。それから農業共済制度も、この制度自体は、私は必要な制度だと思っている。必要であるならば、これは農民にも歓迎される——国も資本を投じ、金を投じてやっていくのだから、農民にも歓迎され、期待される制度に直すべきである。今のあなたの答弁では、これはとても私は共済制度がよくなるはずはないと思う。もう一奮発してやるべきだ、こう思いますが、きょうのこの点の質問は、これで終わります。  それから食糧庁に入るのですが、食糧庁の方来ておりますね。——この前、審査するために私資料を御要求申し上げておって、それによって資料が来たのですけれども、私は三項目にわたって、要求した。二項目は出てきているが、一項目出ていない。そこで、これはなぜお出しになれないのか。できないのか、出さない方が都合がいいから出さないのか、出し得ないのか、一体どういうことなんですか。私がこの資料を御要求申し上げたのは、食糧行政についてお尋ねするには、この三つの資料がなかったならば資料とはならないのであって、頭だけ持ってきて、これは人間だといわれてもわからない。やはり胴も足も持ってきてもらわなければならぬ。あなたの方で頭と胴中を持ってきて、これで完璧だと言われても困る。御要求した一、二、三のうち、いわゆる小売商が取り扱った資料というものが出ていない。これはどういうわけなんですか。
  115. 諫山忠幸

    ○諫山説明員 申しわけなかったのでありますが、府県からの調査が全部まとまっておらぬものですから、先般来電報照会いたしまして、先ほどやっと整いましたので、今お手元に御配付いたしたい、こう考えております。
  116. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 小売商は、翌月の十日までに市町村長、卸売機関に届けるようになっている。それから卸売機関は、それをさらに食糧事務所へ、市町村長は知事へ、そして知事と食糧事務所から食糧庁へくるような規則になっている。だから、これがなくて最も重大な食糧行政を扱えるはずはない。それをずっと前に要求しておいて、きょうようやくまとまったというのだが、私は、三十六年度のを要求しているのじゃない。三十三年度と三十四年度を要求している。三十三年度と三十四年度が、要求してすぐ出ないというのは実におかしい。ようやくきょうまとまったというのは、一体どういうわけなんです。あなたの方でも、盛んにそっちへ電報を打ったそうだが、僕の方でも府県へ照会してみた。そうしたら、府県から出しています。そして茨城県だかどこだかの県では、食糧庁が電報か電話でもって要求してきたが、そんなものは今まで出している。これはどういうことなんです。こういう重要な食糧行政を論じようとするときに、必要な資料が手元にないというのは、実に遺憾千万な話だと思う。
  117. 諫山忠幸

    ○諫山説明員 お説の通り、小売業者の配給実態数量というものを知事から農林大臣に報告するようになっているわけでありますが、どうも従来から報告が相当おくれておるという実態になっているような姿でございましたので、相当督促をいたしておったわけでございますけれども、全部の県が整備をいたしておらないものでございますから、全国的にまとまった数字を現在まで十分につかんでおらなかったわけでございます。それで、これはどういうわけかと申し上げますと、大体小売商が五万数千あるわけでございますが、私どもが国全体のナショナル・ベースの需給を見ております上から申し上げますと、従来卸、小売の間は、大体卸に売ったものが小売にそのままの数字で流れておるのが実態なんでございまして、報告をとりましても、大体そういう数字が出て参っておる。そうして結局一年間を通じて見ますと、いわゆる小売商のランニング・ストックと申しますか、操作をいたしますに必要な数字が、多少年の初めと終わりで食い違うというのが、一つ数字でございますので、私どもが各府県と需給調整及び需給の計画を四半期別に当たっておりますが、そういうときに、その県の報告の材料を中心にいたしまして、その県としてはどのくらいのランニング・ストックの不足になっておるかという資料にもっぱら使っておったわけでございます。そういう意味で、私どもが卸に売却をいたしました数字というものは、ほぼそのまま従来も報告されておるわけであります。五百万トンくらいの中で、一、二万トンくらいの差はございますが、それは年の初めと終わりの小売業者の手持ちの問題だけである。それをほんとうに使いますのが、やはり末端におきます、それぞれの県におきますところの需給操作の問題として非常に重要でございますが、各府県の態勢というものが、順次食糧から少し手を抜くような態勢にございます点もありまして、私どもも必要に迫られない点がございましたので、割合おろそかにいたしまして、十分にその督促をいたして、全部のものを整備しておらなかったわけでございます。しかし、これは当然整備をいたしまして、十分に検討する資料でございますので、今後は、一県といえども残るところがないように整理をいたして参りたい、こういうふうに考えます。
  118. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 るる聞きましたが、あなたの方では、昭和三十四年十二月三日付と、それからさらに昭和三十五年四月十一日付で、いろいろ詳細に、小売段階ではこういう書類を出せ、それを受けたものはどうしろ、こうしろということが、ちゃんとこの通り指示してあるのです。こういう指示をしてあって集まらないという話はないということが一つ。もう一つは、重要な九千万の国民が食う米を扱っているのだから、そこには需給関係というものが当然精細に出てこなかったら、食糧行政は成り立たない。この最も大切な末端の——あなたの方では、食糧事務所を通じ卸へ行ったまではわかっているらしいのだが、それが小売へ幾ら行って、小売からどういうふうに出たかということを一つもつかんでいないということは、今あなたの答弁——私は三十三年度、三十四年度を要求しているので、三十五年度を要求したのなら、まだできないということは言えるだろうと思うのですが、三十三年度、三十四年度を要求して、それがまだできないということは、これはやらなかったと同じことなんです。そういうことで一体、食糧行政の完璧が期せられますか。期せられないであろうと思う。こういう二つの通達を出しておきながら、それを一つもとっていない。今お聞きすると、それほど重要でないからあまり集めなかったというが、重要でないものならば、何でそんな通達を出す必要があるのです。現にそれを出しているんです。あなたの答弁では、一つも納得いきませんよ。しかし、そのことを議論していてもしようがないが、その御要求した三つの資料がないと、私の方では質問の筋が立って、きません。従ってきょうできているのなら、きょう出して下さい。この食糧に関する限りは、きょうその資料をもらって、きょう質問しろといっても、筋が合いませんから、これは後日に譲ってもらいたいと思います。
  119. 三和精一

    ○三和委員長代理 本日はこの程度にとどめ、明日は、文部省及び労働省所管について審査を行なうこととし、散会いたします。    午後三時十一分散会