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1961-04-14 第38回国会 衆議院 決算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月十四日(金曜日)    午前十時九分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 木村 公平君 理事 三和 精一君    理事 小川 豊明君 理事 勝澤 芳雄君    理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    大上  司君       久保田藤麿君    薩摩 雄次君       正示啓次郎君    鈴木 正吾慰       藤井 勝志君    久保 三郎君       山田 長司君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木暮武太夫君  出席政府委員         調達庁次長   眞子 傳次君         運輸政務次官  福家 俊一君         運輸事務官         (大臣官房長) 辻  章男君         運輸事務官        (鉄道監督局長) 岡本  悟君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局総務課         長)      亀徳 正之君         会計検査院事務         官         (第五局長)  平松 誠一君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     兼松  学君         日本国有鉄道常         務理事     関  四郎君         日本国有鉄道監         査委員会委員長 石田 礼助君         日本国有鉄道監         査委員会委員  西野嘉一郎君         日本国有鉄道総         裁室長     堀口 大八君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  山田 明吉君         日本国有鉄道参         与         (資財局長)  紙田千鶴雄君         日本国有鉄道参         与         (管財部長)  山崎  武君         日本国有鉄道参         与         (監察局長)  川本  勇君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 四月十四日  委員山中吾郎君辞任につき、その補欠として足  鹿覺君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十三年度政府関係機関決算書  昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十四年度政府関係機関決算書      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和三十三年度決算及び昭和三十四年度決算を一括して議題とし、日本国有鉄道関係について、審査を進めます。  昨日に引き続き、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。小川豊明君。
  3. 小川豊明

    小川(豊)委員 きのう、私は、ごく短かい時間でしたが、御質問を申し上げて明確になったのは、国鉄経営の基本的な考え方としては、公共性主軸であり、そうして公共性主軸としたところの企業体である、こういう総裁答弁でございました。従って、そういうお考えに基づいて、これからお尋ねをしたいと思うわけでありますが、現在国鉄がかかえている新線は、継続工事中のものは二十五線、着工を迫られているものが十一線、さらに継続調査線と称するものは五線で、計三十六線あります。このうち、すでに投資済みのものは三百九十七億円、三十五年度以降に千五百億円、これがいわゆる出資計画なんですが、千五百億円の工事をされるわけですが、これら三十六線の建設が、建設線に想定される赤字というものは、七十五億から百億といわれております。これに対して、国鉄はやはりこういう赤字を出すことを予想しておられるのかどうなのか、この点と、これに対してどう対処されるつもりか、この点をお尋ねしたいわけです。
  4. 十河信二

    十河説明員 それらの線の中には、赤字の線も黒字の線もあるかと思いますが、御承知のように、最近、自動車の発達、また道路改善等が着々と進んでおります。また、今回国鉄運賃も値上げしていただくことになりましたので、それらの点と、地方の経済状態をあわせてさらにもう一度十分検討して、どういうふうに進めていくかということを考えてみたい、こう思いまして、今一生懸命調査をさせているところであります。
  5. 小川豊明

    小川(豊)委員 ただいまの答弁だと、この着工したもの、あるいは計画したもの、こういうもので三十六線あるが、道路がだんだんよくなっていき、バス発達してくるので、必ずしも三十六線みんなおやりになるということでもないようにも考えられるわけですが、従って、三十六線の中には、変更するものもあるだろう、あるいはバス路線に置きかえるものもあるだろう、中止するものもあるだろう、こういうことが含みとして考えられるわけでございます。こう解釈してよろしゅうございますか。
  6. 十河信二

    十河説明員 それらの調査の結果を運輸省建設審議会に報告いたしまして、建設審議会検討を経て、運輸省でどういうふうに取り上げられるか、政府の御意向を伺って、それで工事をどう進めていくかということが最終的にきまりまして、それが国会に予算として提案せられることになると思います。
  7. 小川豊明

    小川(豊)委員 だから、三十六線というのは、計画されているけれども、これはまだ計画であって、必ずしも全部着工するものであるとは限らない、こういうふうにわれわれは御答弁の中から抽出するほかないんだが、そう抽出してよろしゅうございますか。
  8. 十河信二

    十河説明員 一応決定して、工事を進めておるものもありますが、工事を進めておるものにつきましても、最近の実情を建設審議会運輸省に報告いたしまして、それらの関係方面の御意見を伺って、最終的に、こういうふうに工事を早く進めるとか、あるいはこれはこの程度で、しばらく他の交通機関発達状態を見るかというようなことを、皆さんの御意見を伺って進めていくことになると考えております。
  9. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは同じことです。私は別にこれを追及しているのでも何でもなく、三十六線計画されているが、今のあなたの御答弁によると、進めるものもある、ストップさしておくものも出てくるだろう、皆さんの御意見を伺って、そういうふうに最終的にきめたい、こういう御答弁でしたが、従って、これを中止するかしないかわからぬけれども、そういうものもある、進めるものもあるだろう、こういうふうに解釈されるわけですが、よろしゅうございますね。——それから私ゆうべちょっと見ていたのですが、質問整理がついてないので、順序不同になって非常に恐縮ですが、中央線増線工事の中で、三十三年度二百十八億の総工事費を見たわけですが、三十四年度に五十六億円、これは大阪線も含めてですが、東京三鷹の間の増線計画というものは、全くおくれて、都市交通混雑が、最近きわめて悪い状態になっている。それで、ことしの正月には、ホームから落ちて、死亡者まで出しているわけです。この計画は、どういうふうにお進めになっていくつもりですか。
  10. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 中央線通勤輸送緩和のための投資計画といたしましては、ただいま御質問にございましたように、中野から三鷹の間の複々線化工事に、三十六年度から着工いたす予定にいたしております。それで、そのために必要な予算を、三十六年度の予算の中に計上させていただいておるわけであります。
  11. 小川豊明

    小川(豊)委員 その点については、あと勝澤委員の方からも質問があると思いますから、私はこれだけにしておきます。  次に、投資効果のきわめて悪い例として、山陽本線鷹取西明石間路線増設工事、これは三十年の九月から三十九年の三月まで、電車列車を同一線路に運転する。ところが、通勤時には二・五倍の混雑が予想されている。こう発表されています。しかも、踏み切りは六十四カ所ある。これもほとんど高架にする必要がある。こうしたところは、この計画でいくと、工事が十年もかかるように看取されるわけです。それからもう一つは、小千谷発電所の第四期工事、これも発電機は一万五千キロワットを二台据え付ける。こうしてすでに投資されたものは五年間で十四億、完成までには四十億要るといわれておりますが、これは今後、この形でいくと、十五年くらいたたないと発電することができないように思われるわけです。こういう投資効果のきわめて悪い、しかもおくれている点があるようですが、この点について御説明を願います。
  12. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまお尋ねのございました山陽本線鷹取西明石間の線路増設工事でございまするが、これはお言葉の通り投資効果は非常によくないところでございます。しかし、幹線の輸送力を増強いたしますためには、採算を無視してもやらなければならないようなところがたくさんございますので、この鷹取西明石間の線の増設工事は、そういうものの一つでございます。この区間は、御指摘通り、私どもの方で申しておりますいわゆる線路容量というものが、もう一ぱいになっておりまして、現在以上の列車増発も不可能でございますので、どうしてもここで線路を増さなければなりませんし、それから、これまた御指摘通り、たくさんの踏み切りがございまして、道路通行に支障を来たしておりますのみならず、列車運転の上からも危険が多いところでございますので、これらの点を解決いたしますために、この区間十七・五キロを、現在線に平行して二線線増し踏み切りを除くことを考慮しつつ、垂水、明石付近高架に改築をする。また、これに伴いまして、明石貨物設備西明石に移転いたしまして、須磨及び西明石両駅に電車待避設備を設けるということで、現在工事中であるわけでございます。  それからもう一つお尋ねのございました小千谷発電所の第四期工事のことにつきましては、担当関常務から御説明を申し上げたいと思います。
  13. 関四郎

    関説明員 御説明申し上げます。  この信濃川の発電所は、御承知のように、昭和十四年に千手の第一期工事発電所が完成いたしまして、現在東京の近くにあります川崎火力発電所がございまして、これと合わせまして、現在の発電能力は三十七万五千キロでございます。それで、お尋ね小千谷の第四期工事でございますが、ただいま小千谷は、二万五千キロワットアワー発電機三台で七万五千キロでございますが、引き続いてこれにトンネルを掘りまして、あと二万五千キロ二台、合計五万キロを増設しようというのが、この第四期工事でございます。それで、これを始めまして、現在三十七万五千キロでございますが、これが冬の渇水の場合に、約五万キロぐらい水力の方が発電力が減りますために、ことしの二月現在で申しますと、東京付近の信濃川と川崎で持っております電力の尖頭負荷最大負荷が二十九万キロになっております。それですから、あと非常に余裕が少ないということでございますが、これに対して、第四期工事二つに分けまして、第四号の発電機を増設するということと、それからトンネルをもう一本掘りまして完成させるという、この二つ工事全体で、工事費が五十五億でございます。ただいままでに投資いたしました費用は、約十五億でございまして、あと四十億残っております。それで、この小千谷発電所では、調整池というため池がございまして、この池を利用いたしますと、朝夕の最大電力の要る場合に、まだ発電する能力があるということで、トンネルを掘らなくても、発電機さえ一台増設すれば、あと二万五千キロ尖頭負荷時に出せるということでございまして、現在三十六年度から二カ年でもって二万五千キロの発電機一台、いわゆる四号機と申しておりますが、これを増設する。これでもって、あと二万五千キロ尖頭負荷時に出すことによりまして、これが三十八年、九年まで大体持っていくだろう。それであと四期工事の残りのトンネルを掘りまして、全体を完成するのを、新五カ年計画最終年度の四十年度までに完成するということで、現在工事を進めておりまして、これは東京付近電気運転用電力需要の増加と、発電所開発とちょうどにらみ合わせまして、やっているわけでございます。もちろん、この工事は、大ざっぱに申しまして、五万キロ増設いたしまして、全体で五十五億を投資して、そうして年間に約二億キロワットアワー電力を発電するわけでございますから、これは発電地帯としては、割合に現在としては有利な発電地点でございますが、資金事情その他によって、国鉄線路輸送力増強というものと、電気運転用電力需要とにらみ合わせまして、この需要を充足させていくということで、最も経済的に工事を進めておるわけでございます。
  14. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは私は、不経済的だから聞いている。今私のお聞きしたのは、片一方は十年もかかるじゃないか。片一方は十五年春かからなければ完成しないじゃない。今あなたは四十年に完成すると言われるが、それならそれでいい。進捗状況を見ると、小千谷の方は、十五年もかからなければ完成しないじゃないか。それから前段の方は、十年もかかるように出ているじゃないか。こういうのをもっと促進する方法がないのかということを聞いている。あなたは、これはこうやった、そうやったと言うが、もっと早くやる方法はないのか。
  15. 関四郎

    関説明員 御説明申し上げます。  この監査報告書では、実績をもとにしまして、二億ないし五億ではそれに十年もかかるということになるわけでございますが、現在、これはその程度工事余力を維持するという程度にやりまして、実際必要となった——現在の線路増強工事が、懐妊期間が長いということで、前半期輸送力増強の方に重点を置きますので、そうしてまた電力需給の方でも間に合いますために、後半においてこの発電所の方に大きく予算を入れまして、四十年度までに完成する、こういう予定になっておりまして、それまでのつなぎは、発電機だけ増設するということで充足していく。こういうふうな計画にいたしております。
  16. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は、自分で調べたのじゃない、監査報告を見てお聞きしている。従って、あなたの方では、監査報告で見ると、十五年もかかるようになっている。だから、監査報告が違っているなら、それでいいです。監査報告の結果、これがもっと進められるようになったというなら、それでいい。その点どうなんですか。
  17. 関四郎

    関説明員 御説明申し上げます。この監査報告書も間違っておりませんし、過去の予算の入れ方は、財政面からいって、その程度しか入れられなかったことは事実でございますが、今度新五カ年計画に移行しまして、この点は十分に発電計画も取り込めるようになりましたので、新五カ年計画では、四十年度までにこの四期工事を完成するということに計画の中に入れております。
  18. 小川豊明

    小川(豊)委員 次に総裁お尋ねしますが、国鉄には、鉄道建設審議会というのがございます。この審議会意見なり答申なりというものは、あなたの方では十分にこれを尊重なさるのか、参考として取り入れられるのか、この点はどうなんですか。
  19. 十河信二

    十河説明員 十分に尊重をいたしまして、政府と御相談をして、最終予算決定をいたします。
  20. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうしますと、この鉄道建設審議会においては、建設線の経費は政府出資によってまかない、やむを得ず借入金による場合は、国が利子補給をすべしと建議したということですが、これに対して国鉄当局はどういうお考えを持っておられるか。さらに利子補給をするとしても、借入金償還計画というものは、どう立てられるのか、この点をお尋ねしたい。
  21. 十河信二

    十河説明員 国鉄といたしましては、政府出資をしていただきたい。どうしてもそれができなければ——建設審議会の建議の通りに、政府出資をしてくれるか。どうしてもそれがいけなければ、最小限度利子補給をしてもらいたいということで申請をいたしました。その結果、諸種の事情を勘案して、政府で本年は出資はできないが、利子補給だけやろうということに決定されたのであります。
  22. 小川豊明

    小川(豊)委員 借入金償還計画というのは、できておりますか。
  23. 十河信二

    十河説明員 毎年どれだけ借入金を償還しなければならぬという計画期限通りにやりますと、それがある年は非常に多くなり、ある年は比較的少ないということで、なかなか経理上いろいろな不便を生じますので、これを均等償還するようにいたしたい、こう計画して今やっておるところであります。
  24. 小川豊明

    小川(豊)委員 国鉄の新建設線昭和二十七年から昭和三十三年度に開業した路線経営成績は、昭和三十四年度分を見ると、新建設線二十三線全部赤字経営です。そしてこの赤字総額は、二十二億六千百五十四万二千円となっておる。営業係数も三六五、収益は原価の四分の一、はなはだしいのは、収入が固定資産税分にも及ばない。こうした中で、新建設線経営されておるわけです。これらの新建設線について、運輸審議会決定なり判断の材料というものは、これは国鉄当局検討に基づくものだ、こう思うわけでありますが、特に運送需要輸送需要測定等というものは、どういうふうにしておやりになられたのか。こういう赤字が出ることについて、あなたの方でこういう膨大な赤字が出ることを最初から計画の中に入れてやられておったのか、それともそうではなかったのか、この点をお尋ねしたいと思います。
  25. 十河信二

    十河説明員 多くの建設線は、どの線でも、建設した当座の三年とか五年とかという間は、どうしても赤字になりがちであります。営業してから五年先にどうなるかということを、今日までは建設局担当して調査をして参りました。それで、その調査が、どうも実際営業してみると、その通りに参らぬ場合が非常に多いのであります。そこで、今度その調査のやり方を改めまして、建設局だけで調査をしないで、営業の方の開発部というものを作りまして、開発部と協力して調森を進め、なるべく実際に沿うような調査をさせたい、こう考えまして、最近はそういうふうに改めて、今検討し直しておるところであります。
  26. 小川豊明

    小川(豊)委員 次に、国鉄監査委員会は「非採算線建設は、国鉄独立採算企業体である以上、経営収支のバランスの範囲内にとどめるべきは当然であり、重要な交通網産業開発の面で鉄道を有利とするものに限定する必要がある。さらに採算のとれない赤字線区の一部の撤去すら考えざるを得ない国鉄の情勢を思えば、現在工事中のものも、予定線についても、建設続行については慎重に再検討し、必要と認められないものについては、一時中止することを考慮すべきである。」「以上の趣旨に反する場合は、政府出資特別運賃の設定、運営に伴う損失額の補償などの措置を要請する必要がある。」こういう強い勧告が出されております。国鉄当局としては、これを受け入れるお考えをお持ちですか。そして赤字克服のほんとうの腹がまえというものを、私は示してもらいたいと思います。
  27. 十河信二

    十河説明員 監査委員会の御意見を十分尊重いたしまして、たびたび申し上げますように、以前は国鉄独占事業であったのですが、最近は競争運輸機関がたくさんできております。それらの発達状況、それから経済の伸展の状況等考えまして、どうしたらいいかということを、今全線にわたりまして調査検討を続けておるところであります。
  28. 小川豊明

    小川(豊)委員 次に、監査報告の二百五十七ページ、「財産管理の強化」として「国鉄が所有する財産を確実には擬し、遊休資産を清用するとともに、不用資産整理することは、企業運営上重要なことである。」こう言われております。このことは、最近赤字克服の一環として、国鉄不用資産整理するということで、新聞にもこれが取り上げられております。しかしながら、国鉄用地不法占拠国鉄高架下の不当、不法使用状況は、依然として改善されているとは思えません。この適正化について、抜本的な対策を立てなければならないじゃないか。ここに私の調べた表を申し上げますと、昭和三十四年度末における不法占拠状況は、件数で五百六十四件、面積で九万七千四百二十三平方メートル、占拠人員が三千百二十九人、撤去して原状回復したのは、二百四十二件で三万九千四百七平方メートル、正式に使用をあなたの方が認めたものが、二百三十六件で二万一千四百九十四平方メートル、売ったのは六十五件、これが二万五百三十四平方メートル、訴訟しておるのが十一件、その他がまだ十件、こうありまして、きのうの御答弁では、高架下の問題も着々解決している、こういう御答弁でしたが、この状況を見ますと、転貸しをしているものが百十九件、この中で処理したものが六十九件、まだ未処理のものが五十件も残っておる。名義貸しその他の所有建物の全部または一部を第三者にこれまた賃貸ししているものもあるわけです。その他も百三十二件、これで処理したのは九十三件、こういうふうになっております。ことに、調べたところでは、御徒町のガード下などは、わずか二十坪また貸しして十五万円も取っておる。あなたの方では、非常に安い価格で貸しておるにもかかわらず、こういうまた貸しされたりなんかしているものもあり、しかも、不法占拠になっているものもある。これは、きのうは着々整理されていると言われましたが、こういうふうに残っている。これをどういうふうに御解決なさるつもりですか。
  29. 十河信二

    十河説明員 今お話がございました高架下の貸付のごとき、これは刷新委員会というものを設けまして、民間の専門家権威者のお力も拝借いたしまして、極力努力をいたしておるのであります。非常にむずかしい問題でございまして、進捗状況は、思うように参っていないということは事実でありますが、ある程度整理をいたして参ったつもりでおります。しかし、まだ十分満足のいく程度に至っておりませんので、今もなお続けて努力をいたしておるところであります。現状については、担当者から御説明申し上げます。
  30. 小川豊明

    小川(豊)委員 現状については、あとでまた質問があると思いますから、そのときに報告してもらうことにして、私は概略を聞きます。  次に、国鉄当局駐留軍陸海空軍の飛行機、トラックによって与えられた損害というものは、昭和三十三年七月七日現在で、件数で三十九件、金額にして六千三百十二万円からあるわけです。この損害賠償について、国鉄は、やはり国内の問題と同様に、駐留軍に対しても損害賠償請求の権利を持っていると私は思うのです。従って、これらはどういう算出をしてこうなったのか、それからこの徴収状況等はどうなっているか、この点をお尋ねしたいと思います。
  31. 兼松学

    兼松説明員 お答え申し上げます。  駐留軍国鉄に与えました損害は、昭和二十七年までは払われておりましたが、その後、行政協定解釈論向こうは出して参りまして、十八条の二でございますか、この解釈論で、が国家機関であるという主張先方がいたしまして、国家機関がその相互に与えた問題は相互請求権を放棄するという規定があるという主張をいたしまして、その後支払いがとまりましたものでございます。そこで当方といたしまして、外務省に対しまして、合同委員会の席上で解決するようにお願いいたしておりました。一方当方も、たまたま洞爺丸の事故で向こうの方に損害を与えた時期がございましたので、この方の解決も、先方解決について進めるまで同時解決ということで押えておりまして、現在懸案になっておりますものが、合計四十六件で、九千二百六十八万八千四百八十五円ということになっておりまして、外交の御交渉にお願いをしておるという次第でございます。
  32. 小川豊明

    小川(豊)委員 お聞きしますが、国鉄は一体国家機関ですか。国家機関でないのですか。この点をはっきりしてもらいたい。
  33. 兼松学

    兼松説明員 お答え申します。  私どもが法制局に聞きました関係では、政府関係機関としての国鉄職員は、国家公務員でないという日本政府の解釈をいただいておりますので、当分としては請求権があるという解釈で、外務省に日米間の合意をお願いしているわけでございます。
  34. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは、これは国家関係機関であることは認めるけれども、国家機関ではない。従って、請求権があるはずであります。しかし、この点は、調達庁の方が来ておりませんから、またお聞きするとして、次に、昨日山田委員から質問し、答弁がありました部外貸しの点について、きのうの山田さんの質問とダブらないようにお聞きしますが、有料七百八十九個、無料七百八十七個、計千五百七十六個あるわけですが、この電話の使用料の算定の基礎は、Aは平均三十八回より使わない、Bは十八回である、これを基礎にして月額二千七百五十円という金額が割り出されている。そうしてこれらは、東京から鹿児島まででも、どこでもどんどんこの電話を使っている。この二千七百五十円というのは、たとい有料であるにしても、安い。従って、これを改める必要があるのではないか。こう思うわけですが、その前に、こういう算出の根拠というものを、もう一度御説明いただきたい。きのう、この問題に対して安い、高いの議論がありましたが、二千七百五十円というものを算出するについて、三十八回とか十八回より使わないというのならば、そんなに電話は必要ない。使うなら必要である。しかし、わずかしか使わないということで、二千七百五十円という安い料金が算出されているわけですが、その算出の根拠をお尋ねします。   〔委員長退席、三和委員長代理着席〕
  35. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 いわゆる電話の使用料の算定の方法は、どういうことで算定したかというお尋ねでございますが、この計算方法といたしましては、国鉄の電話全体に対する一年間の人件費、物件費を総計いたしました、その年間の所要経費を備えつけの交換電話機の数で割りまして、電話機一個当たりの経費を算出いたしまして、それに基づいて使用料を算定いたしたのでございます。しかし、この額につきましてこの算定をいたしましたのは、だいぶ前でありますので、近いうちに、さらに改定増額をいたす予定にしております。
  36. 三和精一

    ○三和委員長代理 荒舩清十郎君。
  37. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 過日、当委員会において、武州鉄道の許可問題について質問をいたしましたところが、答弁がきわめて不明瞭であり、納得でき得ないのでございます。きょうは、運輸大臣も御出席でありますし、同時に国鉄当局もおいででありますから、はっきり御答弁願いたいと思います。  先日、運輸当局並びに運輸大臣の答弁によりますと、中央線、すなわち東京から三鷹駅の間が非常に混雑をいたしまして、そのために、それを増強しない限りは、武州鉄道の許可はできないのだ、こういう御説明がございました。そこで、国鉄総裁お尋ねいたしますが、一体国鉄というものは、そういうことでよろしいのかどうか。国鉄を主体にして、私鉄を犠牲にしてよろしいのかどうか。こういう点をはっきり承りたいと思います。
  38. 十河信二

    十河説明員 これはどうも私から答弁するのは適当じゃないと思いますが、私といたしましては、国鉄は非常に混雑いたしておりますし、国鉄のこの上の混雑はできるだけ避けたい。国民の皆様に御迷惑をかけることをできるだけ少なくしたいということを考えまして、中央線も、先ほど答弁いたしましたように、今年度から線増を——複々線を作りたい、こう考えておる次第であります。以前に、中央線の複々線は予算をいただいたのですけれども、御茶ノ水から東京駅までは、どうしても用地買収ができませんで、それで中央線混雑は、なかなか思うように解消できません。ただいま中野から地下鉄の五号線を共用させてもらって、この混雑を避けたらどうかということで、運輸省や地下鉄の方面といろいろ御協議を願っておるような次第であります。
  39. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 そこで私のお尋ねしたいことは、国鉄がオールマイティで、いわゆる国鉄優先主義で、国鉄の増強のできるまでは私鉄を犠牲にしていいのかどうかという、この点の方針を承りたい。
  40. 十河信二

    十河説明員 そういう大それたことを国鉄考えていない、と申し上げるのほかないと思います。今国鉄の引き受けているお客さんだけでも運び切れないのでありますから、オールマイティで、ほかの交通機関を押えようとかなんとかいう意思は、国鉄には毛頭ありません。
  41. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 まことにけっこうな答弁をいただいて、ありがとうございました。さすがに国鉄総裁は、はっきりした御答弁でございまして、私は敬意を表します。昭和三十五年五月十六日の運輸省における運輸審議会の公聴会において、国鉄のたしか小川調査役といっておりますが、関東支社の調査役と思いますが、この人の発言によりますと、いやしくも国の輸送を受け持っている国鉄としては、私鉄で運び込んでくる乗客を運べませんというような恥ずかしいことは申し上げられません。非常に困難ではあるが、不可能ではありません。はっきりそういう発言をしておるのでございます。しかるに、この間の運輸省当局からの発言によりますと、実は、国鉄の複々線が完了できないうちは、武州鉄道は許可できないんだ、こういう発言があったようでございますが、この点について、運輸大臣はどう考えておられますか。そういうことでよろしいのかどうか、承ります。
  42. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 先日の私並びに運輸省政府委員答弁が、言葉が足りないので誤解を招いたとすれば遺憾であると存ずるのでございますが、先日話しましたのは、国鉄が今増強を中野から三鷹までやっている。そうしてこれの増強の程度を見通して、これと見合いながらこの問題については検討をしたいということで、国鉄ができなければ免許しないとかするとかいうようなことを、明瞭に言ったような意思はないと思います。  そこで、はっきり私から本件につきましてお答えを申し上げておきたいと思いますが、ただいま御質問になりました武州鉄道の免許の申請は、昭和三十四年一月十四日付で運輸省に申請が出されたのでございます。運輸省といたしましては、同年十一月二十一日付で運輸審議会に諮問いたしまして、ただいまは運輸審議会にかかっておるわけでございます。今荒舩委員長からのお話のように、運輸審議会では、昭和三十五年五月十六日と十七日の両日公聴会を開催いたしまして、そうしていろいろ検討を加えておる途中でございます。その後内容の一部変更——たとえば建設費とか営業収支予想等、それから発起人として初め名前を書いた人が脱退したり、発起人総代の変更等、申請者の内部事情がありましたものですから、運輸審議会の審議が今日まで延ばされておることと存ずるのでございますが、当局といたしましては、運輸審議会の答申を待って、その答申のあり次第、早急にこの処分をいたす考えでございます。どうぞ御了承を願います。
  43. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 了承いたしません。そこで、この間運輸当風から、武州鉄道三鷹お花畑間開業初年度推定輸送人員調べというのが表になって私の手元に届いておりますが、首都圏の人口は、次第に中央線沿いに西へ向かって激増しつつある現状だということは、私ども認めております。激増しておるのでありますから、これを輸送する国鉄としても、複々線にするまで踏み切ってやるということですから、大へんなことであり、私どもはそういうことを早くやっていただきたいと思います。しかしながら、これができない限りは私鉄の許可はしないのだというような方針を、もし運輸省がとるといたしますれば、これは非常に方針がまずいと考えております。従って運輸大臣にはっきり申し上げたいと思いますが、昨日出てきたこ弔いう運ぶ人員の推定というようなものだけをたてにとって、それで私鉄は許可しないのだというような方針は、改めてもらわなくちゃならないと考えております。この線については、運輸大臣が御承知のごとく、三十四年六月二日には、東京都知事及び埼玉県知事、並びに首都圏整備委員長であり、当時の建設大臣であった村上勇氏から、早くこれを許可すべきだという、いわゆる運輸省あてに、何というか、早く促進すべきだという意見書が出ているわけです。なお、これに続いて、その沿道の市町村は、すべて、これを早く誘致すべきだということで決議もしており、なお沿線の三十万の署名運動までして、これの促進を運動しているわけなんです。それで歴代の大臣は、これに対して、方針としてはすみやかにこれを許可するのだ、こういうことを言い切ってある。また、運輸審議会の方としても、その方針で進められておると思うのですが、何らかそこにデマが飛び、あるいは何らか運輸省当局が感情に走るような点があって、遅々として進まないということは、この路線ばかりではなく、日本全体の運輸行政について、私ははなはだおもしろくないことだと思う。どうか感情を捨てて、ほんとうに国家的に見てこの路線が必要であるということであれば、国鉄優先主義だというようなことばかりでなく、私鉄もなるべく早く許可をして、そうしてこの交通難を救わなくちゃならない、こう考えております。従って、運輸大臣、おざなりの答弁でなく、これを一つ早く許可するのだという言明をもらいたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  44. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 ただいまのお言葉の中にございましたが、運輸当局が感情に走るというようなことを御指摘になりましたが、そういうようなことは、私はもちろんございませんが、その任に当たる者があるべきはずはございませんし、あってはならないのでございます。感情に走る理由も、何もありません。国家的見地に立ってものを処理いたすことは、地方鉄道の免許ばかりではございません、すべてのことにそれはいたすつもりでございますから、その点は、どうぞ御了承を願いたいと思います。  ただいま申し上げましたように、運輸審議会へかけて、ただいま審議をいたしておるわけでございまして、公聴会も、昨年の五月、二日にわたってやりましたことは御承知通りでございますので、おそらく近くその答申が出てくると思います。答申が出ますれば、早急に処分をいたす考えでございますから、どうぞ御了承を願いたいと思います。御承知通り運輸審議会というものの答申が、まだない。それがどういう答申であるかということが拝見いたしませんうちに、運輸大臣が免許するとか、免許しないとかいうようなことを軽率にここで申し上げるということは、それこそきわめて適切でないのじゃないか。運輸審議会の慎重な、公聴会までやって、審議を経て、諸般の事情を勘案いたしまして、必ず適正妥当な国家的見地に立った答申が来ることを、私は確信をいたしておるのでございます。これを見ましたら、早急に処分をいたすつもりでございます。どうぞ御了承願います。
  45. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 了承。   〔三和委員長代理退席、委員長着席〕
  46. 小川豊明

    小川(豊)委員 あと委員の都合もありますから、簡単に質問いたします。  国鉄の外郭団体は、十四あります。そのうち主要なもの二、三を取り上げてお尋ねしてみたいと思うのですが、その前に、私が総裁お尋ねしたいのは、国鉄の従業員というのは、そんなに待遇が悪いのですか。それから退職者の退職金制度、病人とかけが人等が出た場合に対する援護の施設とか、そういうものは何ら講じられておらないのですか。非常に不安定な状態国鉄の従業員は仕事をしなければならない状態に置かれているのですか。あなたは、国鉄としては、他の団体との関連の上において、これで十分にできる待遇はしておる、こうお考えなのですか。非常によくない、低位な、不利な条件で国鉄の従業員は仕事をさせられておるのですか。どう思いますか。
  47. 十河信二

    十河説明員 国鉄従業員の待遇は、公務員でありますから、他の関係方面の従業員の待遇とにらみ合わせまして、大体同じような待遇をいたしておるつもりであります。もちろん、今後待遇をだんだんよくしていくということの必要は、私ども痛感いたしております。そういうふうに努力をいたしたいと思います。
  48. 小川豊明

    小川(豊)委員 それから退職した場合、あるいは病気になった場合、けがをした場合等に対するこういうことも、ほかのどこと比較しても劣らないような状態、安心していけるような状態になっておりますか。
  49. 十河信二

    十河説明員 それらの点につきましても、大体他の面とよくにらみ合わせましてやっているつもりであります。それらの点につきましても、あるいは病院施設、あるいはその他の厚生施設等につきましても、できる限りだんだんよくしていくということを努力いたしたいと存じます。
  50. 小川豊明

    小川(豊)委員 今お聞きすると、十分ではないが、他の団体に対して見劣りのないようにやっておられる、こういう御答弁でした。そうすると、ここに鉄道弘済会の設立目的というものは、社会福祉事業、ことに鉄道に勤めていた人の退職した人、あるいは病気になった人、けがをした人等の救護、援護等を主目的として作られておるわけです。そこで、そこに対して非常な、かゆいところに手が届くということがありますが、かゆくないところまで手が届くような、非常な恩典を与えている。便宜を与えている。そうしてこういう作った目的というものは、国鉄のいわゆる退職者や、病気になった人や、けがをした人の救済援護に当たる。あなたの方で、こういうものに対して、国鉄赤字を出しながら、便宜供与を与えなくてもいいではないかという感じがするのですが、これは一体どういうことですか。
  51. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私からお答え申し上げます。  国鉄の職員は、作業の性質上、昔からでございますけれども、現場の作業が中心になっておりますので、他の現業の公務員等に比較いたしまして、非常に殉職者の数も多うございましたし、またけがをいたしますと、割合に傷の程度が重くて、機能障害を残す、不具者になるというようなものが、非常に多かったわけでございます。今日におきましても、残念ながら、そういう殉職者や身体障害者の数がなかなか絶滅できないでおりますので、これらの殉職者あるいは身体障害者に対しては、退職に際してできるだけの処置をいたしておりますけれども、その後の殉職者の遺家族の救済でございますとか、あるいは身体障害者のその後の更生策でございますとかいうような方策につきましては、国鉄自身がやりたいのでありますけれども、国鉄の性格上、自分で直接にそういうようなことをやることはできないというような仕事も、いろいろございます。そういうようなことを鉄道弘済会にかわってやってもらいたいということで、鉄道弘済会がスタートをいたしたわけでございますが、弘済会は、その後、次第に社会事業部門に対する仕事の範囲を広めて参りまして、今では、単に鉄道の職員の殉職者の遺家族、あるいは鉄道で負傷して、公傷で身体障害者になったような者の救済ということだけでなしに、厚生省も認めた社会事業団体として、その他の一般社会福祉事業もやらしていただいておる。そういう状況にあるわけでございます。
  52. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は、これ一問で終わりたいと思いますが、そこで運輸大臣にお聞きしますが、この言葉は当たるか当たらないか知らぬが、いわゆる外郭団体というものが十四団体もあります。そこで、この外郭団体の人事を見ると、役員の九割以上は国鉄の出身者であります。私は、この点はひとり国鉄ばかりを言うのではなくして、通産省であろうと、どこであろうとも、外郭団体を盛んに作ったところが、各省から人を派遣して、そうして多額の補助金を出し、あるいは便宜を供与している。こういうものを改めないで、そうして国鉄赤字だ、赤字だと言っても——これは交通公社の問題を見たってわかる。どの一つをとってみたって、そういう状態になっている。これを改善すべきではないか。たとえば交通公社を見ても、評議員というものがあります。この交通公社の評議員は、二十五名おります。この中には大蔵次官、外務次官がいる。一体なぜこういう人が交通公社に必要なのか。交通公社というものは、あれは公益法人だと思うんです。ところが、やっている仕事は、これは全く営業行為です。切符の代売なんです。この中には、国鉄の加賀山さんだとか堀木さんだとか、こういうのが、交通公社や弘済会の双方へ顔を出している。そのほかに、交通公社では、参与というものが二十一名、顧問が八名、役員の総数が六十六名ありますが、この中に、あなたも、評議員だか顧問だか知らぬが、入っておる。そうしてこの交通公社の人件費というものは、損益計算書を見ると、六割が人件費なんです。これが十六億三千七百万、大へんな給与を払っている。それに払わなければならないという評議員だ、顧問だ、何だかんだと一ぱいこしらえて、そこへあなたも入っていますよ。こういうものを整理しないで——交通公社が必要なら必要でいいけれども、一方においては、交通公社なんか、切符の売り上げの金を、最初は三カ月であったが、それが国会でいろいろ議論されて、だんだんに減ってきて、今は二十日かそこらになってきているが、しかし、ここでも交通公社が二十億という金——これは交通公社から国鉄に入るべきものが、毎月毎月二十億というものが、これは計算の都合上でしょうけれども、一年間ぶつ通しで交通公社に置かれておる。そうして交通公社は、このために、三十三年度には二千八百万円、三十四年度には三千三百万円という利子をちゃんと特別預金として取っています。あなたの方の金で交通公社がこういう金利をもうけていながら、あなたの方では、いやそれ以上は狭めることができないんだ。一体この五%——きのうも預託の問題での話があったが、代売手数料の五%の料率というものは、こういう膨大なものを売るんだから、もう少し引き下げることだって可能じゃないか。それを引き下げないで、こういうふうに五%で置いて、そうして十六億もの人件費、六割というものが交通公社で人件費に充てられて、そうして国鉄の出身の人らがみんなここへ名前を連ねては、評議員だ、顧問だ、何だといって給料をもらっているとするならば、これは国鉄を食っているものです。これを改善しないでどうするというのですか。御改善なさるお気持がありますか。
  53. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 お答えを申し上げます。  まず、私の名前を御指摘になりまして、交通公社の評議員ですか、入っておるというのですが、交通公社は、御承知通り、国内観光、国際観光の仕事をやっております。私は、個人の資格ではございませんで、これは御存じないと思うのですが、十数年前から、日本でホテルの数の少ないのを補うために、国際観光旅館連盟というものができまして、現在七、八百軒の日本旅館を外国人の接遇に使うことに運輸省が指導しておりますわけでございますが、それの創立以来私が会長をしておりますので、国際観光旅館連盟の会長として、評議員として、日本交通公社に名前を出しておるわけでございまして、これは評議員というものは、今人件費がどうこうというお話がございましたが、一文も給料などはもらっておりませんから、この点は御安心を願いたいと思うのであります。  それから、今の日本交通公社に、鉄道関係の人とか、いろいろ外務省関係の方ですか、そういう役所の人が出ているがというお話でございますが、ただいま申し上げましたような。日本交通公社の性格、仕事の関係上から申しまして、多年鉄道の方で経験のある人、あるいは外務省とも、御承知通り、国際観光ということは非常に深い関係がございますものですから、外務省の人というようなことがありましたならば、そういう意味でそこへ入った。私は、そういうような仕事の性質上、あるいは仕事ぶりの上から見て、必要な知識経験を持っておる者ならば、広く——これは鉄道にいたからいかぬとかなんとかいうような狭い考えでなく、鉄道にいた、あるいは観光事業に従事し、あるいは輸送の仕事に従事していたような者の長い間の知識、経験をそういうところで使っていくということは、必ずしもそう一がいに非難すべきことではないようにも考えられます。  それから人件費が非常に多いと言いますが、日本交通公社には、私は正確な記憶はございませんが、誤っておりますれば訂正しますが、多分四千人おります。皆様方から、そういう勤労者の待遇はよくしなければならぬということを始終いろいろの委員会で御注意を受けるわけでございますが、そういう人が四千人もおるわけですから、そういう人の給与が大部分でございまして、顧問であるとか評議員であるとかいうものは、全然無給で、それこそ手弁当で働いておりますわけでございますから、どうぞこの点は御了承下さいますようにお願いいたします。
  54. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたは、観光協会の会長という資格でここへ評議員として名を連ねてあるのだ、こういう御答弁です。あなたは運輸大臣です。運輸大臣として国鉄を監督する立場にあり、従って、交通公社のような国鉄と重大な関係のあるところに対して、当然これは運輸省から指導監督がなされるべきである。そのなすべき人が、たとい観光協会の会長の資格でいっておるとしても、運輸大臣になったならば、こういうところはやめて——給料をもらっているとか、もらってないとかということが問題ではありません。しかも、交通公社というものがいかに国鉄の便宜供与を受けてここまで発展してきたかということは、私が言わなくても、あなたがおわかりの通りです。しかも、これらの団体は、すべてその経営が放漫であり、ずさんであり、国鉄におんぶしているのだということを、監査委員会からも指摘されている。指摘されているのだから、これは改善しなければならぬのは、当然であります。その改善しなければならないところに、あなたが、観光協会の会長であろうが、何の資格であろうが、運輸大臣になった以上は、そこに名を連ねることは、給与をもらっている、もらってないは別問題で、これは当然お改めになるべきだと思う。
  55. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 ただいまあなたが、きっと古い名簿をごらんになったのだと思うのですが、私の名前があるというお話でございましたから、そこでこういう資格で評議員に入っておって、評議員は無給であるということを申し上げたわけでございます。あなたが今御指摘になりましたように、運輸大臣は、国鉄とかその他いろいろ関係の団体を監督するものでございますから、運輸大臣就任と同時に、私は辞表を出して退職をいたしまして、今日は、そういう運輸省が監督したり、交渉する団体には一切名を連ねておりませんから、どうぞその点は、無実の罪のようなもので、誤解のないようにお願いいたします。
  56. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたが、運輸大臣就任と同時におやめになったということはいいです。それから前段で、こういう点に知識、経験のある人をそういう団体にどんどん入れていくことは差しつかえないじゃないか、むしろプラスになるのではないか、あなたはこういうお説でしたが、農林省でも、通産省でも、運輸省でも、ありとあらゆる省をごらん下さい。いろいろな団体をたくさん作って、そこへどんどん役人が行って、総理大臣よりも高い給料をとっている人がたくさんあるわけでしょう。こういうことが一体いいのか、悪いのか。役所では、日がたてば、これは人事からいって、煙突が詰まったように詰まってくるのです。そうすると、煙突掃除をしなければならぬようになる。掃除をしなければならなくなるために、いろいろな団体を作ってそこへ入れる。これは過言ですけれども、煙突掃除のすすの捨て場みたいなものです。そういうような団体を作ってはいけない。団体を作るならば、あくまでもそれだけの効率、効果のあるようにしなければならないにもかかわらず、自分で団体を作って、自分のところから人を出して、そこへ何億という補助金を出して、そうしていろいろ計画を立てて、今度は開発銀行からどんどん金を回さしていく。これが日本の今日の政治の最もいけない一つの焦点です。これを改善しなければならぬ。だから、あなたも、知識、経験があるから役所から出したらいいだろう、そういう安易な考えでなくて、日本全体の政治の中から見て、これは相当正すべきではないかというのが、私の意見です。  私の質問は、これで終わります。
  57. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 一般的に申しますと、ただいまの御意見に幾多傾聴すべきものがあるように考えて、今後非常に参考になったことを喜ぶのでございますが、役所からそこへ入れる目的で団体を作るというようなことが、いいことではないことはもちろんでございます。しかし、私が先ほど申しましたのは、交通公社という一つのものに限定されまして、鉄道の者が入っておったり、外務省の役人が入っておったりするということの御指摘がありましたので、交通公社は、国内並びに国際観光事業を推進していく大きな役目を持っておりますので、鉄道にいても、観光事業や輸送のことなどに知識経験がありますならば、こういうものをとってもって利用してその効果をあげるということは、必ずしも一がいに誹議すべきものでないということを申したようなわけであります。
  58. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は、時間がないから交通公社一つを例にとったので、十九団体あるのです。これを一々洗っていったら、これと同じなんです。ほとんど大同小異。ただ、時間がないから、交通公社をあげたので、交通公社だけをやり玉にあげたのではない。十九の団体がこういう形をとっている。これをもう少し反省なさったらどうです。これは率直にお考えになったらいかがですか。
  59. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 よく御趣旨を体しまして、今後検討して、指導、監督をいたしたいと思います。ことにただいまお話の交通公社の手数料等につきましては、国鉄当局が事務的の折衝をいたしておる次第でございます。
  60. 山田長司

    山田(長)委員 関連して。公社の話が出たから、一応大臣に伺っておくのです。御承知のように、鉄道運賃の値上げで、一般大衆は次々と圧迫されているわけです。そこで交通公社の問題を小川委員が今取り上げたわけは、交通公社なるものは、資本金が十三万円です。その十三万円の資本金でやっている機構が、今二十八億の資産になっている。年間二十二億の事業をやっておる。今大臣が言われるように、旅館のあっせん等で外国の旅客等に多大の便益を与えているということですが、それは確かにその通りだと思うのです。ところが、この団体が切符の代売をやっている。この切符の代売のために、十七、八億円の金が二十日間交通公社に遊ばしてある。電話は、全国どこへかけても無料だ。公社が赤字で困っているときに、何のために十七、八億もの金を二十日間遊ばしておくかということが問題なんだ。鉄道運賃を値上げする以上は、一つ一つ——私は、あと国鉄のことを明細にわたって伺いますが、監査委員会指摘をしております。私は、監査委員会の労苦にはまことに感謝しているのですが、鉄道運賃などをやたらに次々上げて——あとで五カ年計画なるものをもう一ぺん十河総裁に伺いますけれども、無料電話もあるのだから、売り上げの状態はすぐにわかるから、それを至急に報告させて——十七、八億もの金が年じゅう遊んでいるのですよ。今から数年前に、国会でやはり私たちが取り上げたときは、大阪から送ってくる金が、三カ月の間大阪の交通公社の資金にほうっておいてあった。それがようやく二十日間になったけれども、国鉄赤字で困っておるというならば、当然これをもっと早く取り上げてやるべきだ。当時は利子までとった。今でも公社でおそらく利子をとっていると思うのです。こういうことであるから、二十八億もの資産になってしまった。そこへ専門家が入ってくるのだからいいじゃないかと大臣は言われるけれども、少しばかりの専門家が入っていくことによって、こういうことの請求ができなくなっている。私はそうだと思う。こういう問題を処理せずに、やたらに鉄道運賃を上げるということでは、国民はたまったものではない。私は、関連で伺っているから、あとで聞きますが、そういう点が小川委員質問しようとしている理由だと思うので、おわかりになっていただきたい。民間で国鉄のものを扱うならば、こういう扱う団体から、保証金の十億くらい取れというのです。金を預けておくのじゃない。十億くらい保証金を取って扱わせたらどうだ。国民の血税を保管しているのですから、こういうことは、ずさんじゃないかと思うのです。
  61. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 お答えを申し上げます。  御指摘の点は、まことにごもっともでございますので、そういう点を今度の国鉄経営合理化の上に反映させるべく、国鉄当局は事務的に大いに努力をいたしておるわけでございます。ただ、金の集まったのを中央に送るのでございますから、技術的に、やはりある期間停頓いたしますことは、やむを得ないと思いますが、ただいま御指摘のような国鉄経理内容から見まして、できるだけすみやかに、代売の代金などは国鉄の方に集めていくというのが当然のことのように思いますので、今、国鉄としてそういう点につきましても改善を加えて、経営の合理化をさせるように努力をいたしておる次第でございます。
  62. 山田長司

    山田(長)委員 そんななまぬるいことだから、なかなか国鉄赤字は解消できないと、私は思うのです。監査委員会指摘していることは、二年や三年前のことじゃないのですよ。監査委員会が年じゅう指摘しているのに、今ごろになって合理化なんということを言っておる。国鉄運賃の値上げなんというのは、国会できまるか、きまらないうちに、もう前もって値上げする準備をしておいて値上げするのに、何でこういう問題については——保証金を中央で十億でも取っておいて、それでどんどん差し引くようにすればいいじゃないか。こういう点が、何べん監査委員会指摘されても、軌道に乗らないのです。これはやはり大臣からこういう点をどんどん指摘して、血の通ったやり方をやらなければ、国鉄はまた値上げをするような事態になりますよ。何で、一体監査委員会指摘事項というのは、ほうっておかれるのですか。
  63. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 詳細な数字や何かのことでございますから、国鉄当局から御納得のいくように御説明させます。
  64. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 交通公社を初め、外郭団体の関係しております事柄につきましては、私どもとしては、大臣の御趣旨に沿いまして、極力今まで努力もいたしておるつもりでございます。なお、監査委員会から御指摘を受けました事項につきましても、できる限りの措置はいたしてきておるつもりでございます。それで、特にそういう団体の関係につきましては、三十二年に部外団体等公正委員会というものを作っていただきまして、そこに部外の学識経験者、各方面の権威の方にも入っていただきまして、国鉄のいわゆる外郭団体と国鉄との関係につきまして、根本的に御検討をいただきまして、その御意見の線に沿うてそれぞれ処理をいたして参ったような次第でございます。  なお、ただいまお話に出ました交通公社の関係の保証金の問題でございますが、これは、今までは交通公社の預金を封鎖させまして、国鉄の承認がなければ引き出せないというような形に押えておりました。まあこれを一つの担保にいたしておったわけでございますが、昨日も申し上げましたように、近いうちに、今度は納期を短縮させることにいたします。従いまして、この封鎖しておりました預金は、全部国鉄の方へ、それに伴いまして納めさせることになっております。なお、今後は、銀行に債務の保証をさせるという方法をとることにいたしておる次第でございます。
  65. 山田長司

    山田(長)委員 旅客運賃が上がりました今日、やはり前回と同じように、手数料の五%を支払うのですか。
  66. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 その点につきましては、代売手数料を引き下げることにいたしております。
  67. 山田長司

    山田(長)委員 そういう言明がありましたが、私のふに落ちないのは、やはり保証金を取っていないことです。公社以外の民間の機関にも国鉄の切符を代売させているようですが、もし保証金を取らずにいる場合には、私は、民間からも国鉄の切符を販売したいという希望があるに違いないと思う。これを少しよけい取って、本社はこれを押えておくべきですよ。何でこういうことを言うかというと、連絡切符の場合でも、この前、十一社のたな上げを行なっている。私鉄と国鉄の連絡の場合における滞りのある何億という金を、払わないでいいということになっている。この報告書によって見ても、かなりの滞りが出ている。その背後に、政党人が関係しているか、どういう実益が関係しているか知らないが、国鉄は一生懸命何とか黒伊にしたいと思って努力している最中に、民間と国鉄の連絡のあるその切符の滞りを払わなくてもいい、こんなばかなことが一体ありますか。また、私は、今度それをやるのじゃないかという気がする。そこで、その十一社、及び今度のまた滞りのある八社、この名前、それから八社における重役の名前、それからどういう政党人がこの会社の顧問をしているか、こういうものをあとで詳細に出してもらいたい。鉄道運賃を値上げする以上は、当然そういうものを請求して、取り上げるべきですよ。私は、これはあとで資料の請求をしますから、委員長から要求してもらいたいと思います。これは関連ですから、あとで本格的に聞きますが、その点を伺っておきたい。
  68. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ただいまの山田君の発言は、非常に重要な点だと私は考えておりますが、吾孫子総裁から、今度切符の販売手数料の引き下げを行なう、こういうお話がありましたが、それはいつからそういうことをやるか、及び何パーセント引き下げるのか、ということの説明を願いたいと思います。同時に、およそ民間との取引であれば、こういう多額なものに対しては、保証金を取るということは当然であると思う。そういう点について、国鉄総裁は、保証金を取るという御意思があるかいなか。また、保証金を取るとすれば、どのくらい取るのかというような、はっきりした答弁が私は必要だろうと思う。私の関連した質問に対して、御答弁願います。
  69. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 代売手数料の料率の引き下げの時期でございますが、これは国鉄の今度の運賃改定の時期、すなわち四月六日にさかのぼりまして実施をいたす予定にいたしております。そしてその引き下げの率は、これは実は運輸御当局とも御相談をいたしたいと思っておりますが、考え方は、今度の運賃の値上げによって、収入も当然ふえて参るわけでございますが、それらに見合う分はもちろんのこと、そのほか、さらに公社の中の経営の合理化をやってもらいまして、国鉄に今までよりもより多く寄与してもらうという考え方で料率をきめる、そういう考え方でございます。
  70. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 考え方はわかったのですが、そうすると、四月六日から率を下げる、こういうことになるのですか。
  71. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 さようでございます。
  72. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 同時に、何%下げるのだということは言い得ないのですか。
  73. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 大体計算しておりますけれども、今ちょっと運輸当局とも御相談した上で、御発表いたしたいと思います。
  74. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 わかりました。同時に、総裁でも副総裁でもけっこうですが、今の保証金の問題は、どういうお考えでありますか、明確な答弁を願います。
  75. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 先ほども山田委員の御質問にお答え申し上げましたのでございますが、従来は、公社の預金の一部を封鎖——押えておりまして、国鉄の承認がなければ引き出せないという格好にすることでそれを保証しておったわけでございますが、今回からは納期を短縮いたさせますので、その額に見合っておる預金は、全部国鉄の方へ納めることになるわけでございます。そのほか、今後の保証といたしましては、先ほども申し上げましたように、銀行をして保証せしめる、こういう考え方で処置いたそうかと、ただいまは考えております。
  76. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 そうすると、保証金を取るということじゃないのですな。預金を一時押えておくということですか。
  77. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 先に金を納めさしておくということではございません。ただ、それと同じ効果がある方法でやるというふうに考えて、銀行をして債務の保証をさせる、こういうつもりであります。
  78. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 そこでお尋ねいたしますが、まことに話はうまいような話ですが、それじゃ、実際何億円押えてありますか。具体的に御説明願います。
  79. 兼松学

    兼松説明員 現在封鎖預金の額は約八億円ございますが、これが納入になりましたところでは、ただいまの副総裁の御説明の内容は二十日分、加うるにあとの一割の約二十二日分の銀行保証をとって、滞納があった場合には、銀行から同額を納めてもらうということを現在とっていきたいということを申し上げておきます。
  80. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 考えておるのですか、実行なんですか。
  81. 兼松学

    兼松説明員 実行いたします。
  82. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 実行しておるのですか、実行するつもりなんですか。どういうことなんですか。
  83. 兼松学

    兼松説明員 ただいま副総裁がおっしゃられたように、運輸当局とも御相談して、料率引き下げが確定いたしますと同時に、契約を改定いたしまして、さかのぼって実施する、それで、預金の方の処置は、その日以後実施するということでございます。
  84. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 その日以後ということになりますと、何月何日になりますか。
  85. 兼松学

    兼松説明員 約一週間以内と心得ております。
  86. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 そうすると、その額は絶えず——常時八億ずつは、いわゆる保証金という意味で押えておくということになるわけですな。
  87. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 八億というのは、今まで押えておった、今度短縮します十日分ぐらいに見合うことになるわけでございます。それは国鉄の方へ、今度から納期を短縮いたしますから、八億は納めてしまう。そうして今後は、大体二十日分ということになるわけでございますが、それに約一割を加えた二十二月分ぐらいに当たる金額を銀行に保証させる、そういうことにいたすということでございます。
  88. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 説明は、非常にしろうとだましのような説明でございまして、私は別に議論をするわけではございませんが、現在八億ありますが、たとえばそれが零になったときには、保証金の意味をちっとも加味しないことになるのですが、どうも話は議会答弁としては非常にお上手ですが、八億最低あるならいいのですが、それがないときにはどういうことになりますか。
  89. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今後の保証につきましては、銀行は全額保証いたしておりますからないときという問題は起こらないと思います。
  90. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 そこで、私はなおお尋ねいたしますが、どうなんでしょうか、きょうは運輸大臣もおいでだし、国鉄総裁も、副総裁も、経理担当せられる兼松説明員理事としておいででございますが、とにかく運賃を引き上げる。しかも、切符はまるで専売特許と同じように、公社に一手販売のような形をさせている。独占禁止法にもひっかかるのではないかというようなほどやっておる。なお、国鉄の古手の人とか——古手といっては失礼でございますが、国鉄の人及び運輸省の人を優先的にどんどん公社あるいはほかの団体に回してやって、そうして、いわば、形は幾つかに分かれているが、一つの形で運営されている。そういうようなことをして、しかも保証金を取るべき——民間とすれば当然取るべきものを取らないでおいて、しかも銀行の預金を押えるのだというような子供だましみたいな話をして、一体そういうお考えで、そういう答弁で、そういう方針で、九千万国民の血の出るような税金を取り立てて、国鉄は欠損だ、欠損だといい、その上に電話を千何百本もただで貸しておいて、一体そういうような方針でよろしいかどうか。私は、国民を代表して、運輸大臣にも、国鉄総裁にも、はっきりこういう方針で一体よろしいのかどうか——私は自由民主党でございまして、与党です。でありますから、あまり皆さんを強く突っ込んでどうということではありませんが、まことに不可解千万の、まことに納得のできない御説明であり、そういう方針でよろしいかどうか、一つはっきり運輸大臣としてのお考えを承りたいと思いますが、御答弁を願います。
  91. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 ただいまも、いろいろ各委員の方からもお話がございましたが、決算委員会において御審議の間に、ただいまのようなお話がございましたことをよく勘案いたしまして、今後は十分に検討してみたいと考えておる次第でございます。この方針が悪いかいいかというようなことを今すぐこの席で申し上げるということには、もう少し時間をかして検討させていただきたいように思う次第でございます。
  92. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 けっこうでございます。検討してもらって、すみやかに当委員会の総意をよく含んでもらって、なるべく早くこういうものの解決をしていただかなくらゃならない。同時に、国鉄総裁に申し上げますが、私どもは、ほんとうに国民の代表として、こういう議論を展開しなければならないということは、非常に残念だと思う。国鉄というものは、長い歴史があり、長い間のしきたりもあって、ついにこういうような形になってきていると思うのですが、私は、ひとり国鉄に対して申し上げるのじゃない、各省においてこういう外郭団体があって、同じような形が往々にしてずいぶんあるように見受けられる。そのつど、決算委員会において、こういう同じような議論を展開しなくちゃならないということは、まことに国民の一人として、悲しむべきことだと私は思うのです。そこで、国鉄総裁は、こうした問題に対して、すみやかに改善すべきだというお考えがあるかどうかを御答弁願いたいと思う。
  93. 十河信二

    十河説明員 ただいま運輸大臣から御答弁がありましたように、国鉄運輸省との間で、今いろいろ相談をいたしております。皆さんの御意見を十分に参照いたしまして、至急に改善の実をあげていきたいと思っております。
  94. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 勝澤芳雄君。
  95. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、国鉄経営の基本的な問題についてお伺いをいたしたいと思うわけであります。  その前に、特に今委員長からも発言をされて、いかに今回の運賃の値上げというものが不当なものであるかということを、与党の立場から指摘をされて、まことに同感の意を表する次第であります。特に監査委員会から指摘をされている事項を詳細に一つずつ拾ったならば、今回の運賃の値上げをしなくてもよろしい、運賃の値上げは不当なものである、こういうことが明確に結論として出るのであります。従いまして、今委員長を中心といたしまして、この監査委員会の報告を中心にして、われわれと同じ意見になったことは、まことに好ましいことであります。従いまして、運輸大臣も、あるいは昨日は池田総理も、とにかく運賃の値上げはしないのだということを、今回の運賃値上げを契機に発言をされているようであります。これは当然のことだと思うのです。  そこで、まず監査委員長お尋ねをいたしたいのでありますけれども、今国鉄経営の中で、監査委員会は、実に良心的に、国民的な立場で、私は意見書というものが出されているように思います。特に本決算委員会で指摘をされたのは、一体会計検査院というのは何をするところだ。昭和二十九年からだんだん検査報告書が薄くなったじゃないか、こういうことが指摘されております。会計検査院とか監査委員会というものは、その企業の中で率直な意見を言うということは、なかなか困難であります。しかし、困難な中でも、いかにして国鉄を国民のものにするかという立場から、実に微に入り細にわたって監査報告を出されております。特に新線建設の問題でも、あるいはまた公共負担の問題でも、あるいは通勤運輸等々、重要な問題点というものが、ここ数年来指摘をされている問題であります。これについて国鉄当局や運輸当局も努力をされておるようでありますが、この努力の足りなかったことが、今回運賃値上げとして国民にかぶせられたわけであります。こういう立場から、今日まで監査委員会としては、国鉄経営というものをどういう立場で検討され、そしてこの勧告がなされてきたか。特に今国鉄の問題で中心になっている問題は、公共性と企業性ということが一番大きくクローズ・アップされているわけであります。こういう点などにつきましても、監査委員会の監査にあたっての態度というようなものについて、お伺いをいたしたいと存じます。
  96. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ちょっとお待ち下さい。ただいま勝澤委員からの発言中に、委員長である荒舩清十郎が発言したことについて誤解があるようですから、その点を簡単に私の立場から釈明しておきます。もちろん当委員会の発言は自由でございますが、私は、先ほど運輸省及び国鉄に対しまして、委員会を代表して取りまとめた意見を申し上げたのでございまして、これは今回の運賃値上げとは、全然関係はございません。従いまして、この運賃値上げの問題については、勝澤君が発言のこととはまことに違いがあります。ただし、当委員会は、政党政派でございません。あらゆる党派がこの審査に当たるということでは、党派を超越して審査に当たっておるわけでございます。従って、誤解のある運賃の問題については、勝澤君と意見が同じだということは絶対ございませんから、その点は、私ははっきり釈明しておきます。  続いて勝澤君の発言に対しまして、監査委員会委員長の石田説明員から、説明を求めます。
  97. 石田礼助

    ○石田説明員 監査委員会は、一体どういう心がまえで職務を遂行しておるかという御質問のように考えますが、御承知通り国鉄は、公共企業体で、公共の事業を企業精神をもって経営していくということになっております。そしてわれわれ監査委員としては、この国鉄の本体に即して、一体国鉄というものがこの目的を遂行するにはどうしたらいいのだということを、経理の面、また仕事の面、両面から考えて、謙虚の気持をもって検討しておるのでありまして、もちろん、われわれとしては、やはり国鉄人の立場になっても考えてやらなければならぬということで、大体われわれがある問題をつかまえました時分には、事務局の監察局をして調査さして、それによって国鉄責任者と検討して、そうしてその上でプラクティカルな結論を出して、それを運輸大臣並びに国鉄総裁に建言する。こういうようなことでやっているのであります。
  98. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今の委員長意見、まことにごもっともなことだと存じますが、そのように慎重な審議をし、あるいは国鉄の立場を考えて、そしてあらゆる施策の中で検討されたこの報告書というものが、十分実施されていない面がたくさんあると思う。その最たるものは、結論として、今日国鉄運賃の値上げという形で国民に転嫁をされておると思う。これは監査委員会指摘をされております、たとえば公共負担の問題、あるいは新線建設の問題——公共負担だけでも、この指摘の中で五百二十五億と書かれております。あるいは新線建設の問題でも、約五百億といわれておるわけであります。これが毎年三十六億という赤字を出していると書かれているわけであります。こういうことが実施されていないことは、監査委員会としても遺憾であるということを数回にわたって指摘をされておるわけでありますけれども、国鉄総裁は、この監査報告書についてどのように努力をされておるかという点を、一つ具体的に御説明を願いたいと思う。
  99. 石田礼助

    ○石田説明員 今の御質問に対しまして、私は補足的に申し上げます。運輸大臣並びに国鉄総裁に対して、これはこういうことにしたらどうだという私たちの意見を申し上げたのでありますが、必ずしもそれはすぐに実行できるということには限っておらぬ。たとえば一番適例は、人事問題、これなんかにしても、こういう方針で行ったらどうだということで、すぐこういうふうにやったらどうだと、こういうことには言ってないのであります。たとえば今の公共負担の問題にしても、あるいは新線建設の問題にしても、つまりわれわれの見るところをもってすれば、運賃の値上げということは、一般国民の負担になるのだ。それをやるについては、運賃そのほかの問題について、いわゆる公共負担、地方新線建設の問題なんかについては、合理化しなければならぬ。これをやって、できないなら、そこで初めて運賃の値上げに踏み切ろうじゃないかというのですが、こと地方新線建設問題にいたしましても、そしてまた公共負担の問題にしても、これは、国鉄総裁としてはいかんともすべからざる外の力によって決定される。国鉄総裁には、実施権は何もない。これは国会できめるべき問題で、国鉄総裁ではいかんともすることができないということを申し上げておきます。
  100. 勝澤芳雄

    勝澤委員 監査委員長、こういうことなんです。私も、あなたと同じように、国鉄総裁経営について大した権限はないということは、よく存じております。十河総裁も、私は、従業員を首切ることだけが私の権限です、それ以外の権限はあまりありません、ということをよく言われておるわけです。ですから、あなたが監査報告書を出され、国鉄も同じ意見努力をしております、こう言っておる。それが実施をされていない。実施をしないがために、今度は、片方で国鉄運賃の値上げというものが出されておるわけであります。そしてたまたまそれが先ほど交通公社の問題に発展した。これもみな指摘されておるこまかい問題だ。それが五千万なり、一億なり、一億なり、あるいは公共負担五百二十五億なり、あるいは新線建設の五百億なり、こういうものを集めれば、一年間で四百八十五億なんというものは、簡単にできるわけです。ですから、あなたが心血を注いで国鉄の監査をした監査報告書が、あまり実施されていないということは、大へんあなたとしては遺憾だと思うのです。ですから、きょうわざわざ決算委員会に来てもらって、監査委員長として、国鉄の監査をした結果、紙に書いて出したけれども、どうもこういう点が実施されていないじゃないかということを、十分あなたはきょうの機会に発言をしていただいて、運賃の値上げをしなくてもいいんだということを、私は力説してもらいたいと思う。  そこで、あなたから指摘をされておる諸問題について、まず伺いたいと思うのです。特にきょう説明員で大蔵省から呼ばれておりますから、まず、大蔵省の関係の点を御質問したいと思うのですが、国鉄の預託金の問題というのは、大へん重要な問題になっておる。四十億も、国鉄は無無利子で預けておる。それ以外の利子も、まことにお粗末な利子である。一体この制度というものは、いつから起きて、なぜこうなっておるか、なぜそれが改善されないのか、こういう点について、昨日は国鉄から説明を聞きましたが、きょうは、一つ大蔵省の方からその説明を聞きたい。
  101. 亀徳正之

    ○亀徳説明員 国鉄、電電公社の資金、特に余裕金を今日のような扱いにしております理由、根拠ということの御質問でございますが、現在国鉄と電電の資金の処理の仕方、これは、実は公社の性格との関連もあろうかと考えるのでございます。公社の公共性、同時に企業性、この双方をからみ合わせてどのように処理したらいいかということが問題点でございまして、現在のように、国鉄、電電の予算決算が、ともに国会に提出されまして、特に予算につきましては国会の議決を経なければならないということもからみ合わせますと、やはりその資金も自由に運由するというわけにはなかなか参らないので、一応一つの限界があるのではないか。現在は、国鉄の資金はすべて国庫に預託するという建前になっております。その預託されましたものについて、日歩八厘の利子をつける。同時に申し上げたいことは、非常に国鉄の資金に不足を来たしましたとき、非常に短期に資金を調達しなければならぬという場合に、国庫の——これは国の金全体でございますが、国庫の余裕金から一時繰りかえ使用をすることを認めている。同時に、繰りかえ使用いたしました金利は、同じく日歩八厘、こういう低い金利で、一時繰りかえ使用を認める。こういうふうに、国庫に預託されました金利も八厘であると同時に、資金に不足を生じましたときに国庫から一時繰りかえ使用を認める、いわば国鉄にお貸しするわけでございますが、それも日歩八厘という安い金利でお貸しする。いわば国鉄の仕事の公共性にかんがみまして、資金全体といたしましては、やはり国の金と同じように取り扱う。ただ、若干公社の企業性にかんがみまして、たとえば公社の場合には、実は八厘の利子をつけないということがあるのでございますが、この八厘の利子をつけるということになっておるわけでございます。先ほどの無利子の限度四十億の問題でございますが、これは一日の経費的なもので、すぐ金を引き出さなければならぬ、そういう直らに資金が要る場合の手元現金といいますか、それに類する、銀行で言えば当座預金に類するようなものというような考え方で、一応四十億という無利子の限度を設けておるような次第でございます。
  102. 勝澤芳雄

    勝澤委員 国鉄監査委員会から、この預託金制度は不合理なものであって、当然是正すべきであるという勧告が出され、国鉄も、その通りだということで、理事会の決議でこれについての要請をしておると思うのですが、それについて、あなたの方はどういうふうにお考えになっておられるのですか。
  103. 亀徳正之

    ○亀徳説明員 ただいま、現行の制度、考え方を申し上げたのでございますが、実はなおこの余裕金の運用について、このままでいいかどうかという点が問題になっておりまして、鋭意われわれ研究しておるわけでございます。ただ、この問題は、国鉄だけの問題でございませんで、実は電電その他公社、さては広がりまして、政府関係機関というものの資金をどういうふうに扱っていくかということ、政府資金というものの取り扱いを全般としてどう処即するかという問題とも関連いたしますので、なお結論は得ておらないのでありますが、できるだけこれを有利にする方向で、しかも同時に、これが先ほど申しましたように、公社の予算は国会の議決を経なければならないという、高度に公共性を持った立場というものも十分考えながら、その範囲でどの程度まで有利にし縛るかという方向で、目下検討いたしまして、できるだけ早く結論を得るように努力いたしております。
  104. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 亀徳君のただいまの御説明でございますが、これに対しましては、まだ議論が残っております。しかしながら、今監査委員会の西野説明員が、どうしても十二時に退場しなければならないということで、もう時間も過ぎておりますので、その関係からいたしまして、西野説明員に対する御質問がございましたら、それを優先的に取り扱いたいと思います。——西野さん、どうも御苦労さまでした。
  105. 勝澤芳雄

    勝澤委員 国鉄経営が困難だという立場から、今回、われわれ野党の反対、あるいは国民大多数の反対にもかかわらず、運賃の値上げをしたわけです。そして国鉄経営の中にこういう不合理があるということが、国鉄監査委員会から正式に指摘されているわけです。この指摘は、過去数回にわたって行なわれているわけです。しかし、この預託金制度を改めることによって、国鉄としては数億も経営がよくなるということになるわけでありまして、従って、この問題は早急に解決しなければならぬ問題だと私は思うのです。今の話では、検討をされておるということをお聞きしました。しかも、この点については、国鉄が不当なものだから、ある程度有利にやらなければいかぬという方向も示されました。しかし、もう少し運賃を値上げをしなければならぬという国鉄の立場、あるいは国民に対する今の政府の言いわけといいますか、こういうことからも、このように指摘されている事項というのは、早急に解決すべき問題だと思うのです。そこで具体的に、いつから、大体どういうふうな方向によってこの問題が解決されるのかという点を、一つお答え願いたいと思います。
  106. 亀徳正之

    ○亀徳説明員 私の立場から、今いつ、どうということまでお答えしかねるのでございますが、しかし、問題点をある程度私申し上げまして、御了解なり、また、その問題点をお話しすることによって、今後の処理の時期なりということも、御判断いただきたいと思うのでございます。  おっしゃるように、余裕金もいろいろな角度からの議論があろうかと思います。たとえば一つには、現在の預託いたしておる金利が低いではないかというような見地からの御議論もございましょうし、また、この余裕金の運用というものをもう少し、あるいは債券の買い入れ、資金運用部への預託、国債の保有、こういったところにまで範囲を広げていいんじゃなかろうかというような議論があるわけでございます。たとえば日歩八厘の金利を上げたらどうだろうというような議論につきましても、実はそれを上げるということは、当然また財政負担を多くして、やはり税金にしわ寄せすることにならざるを得ませんし、また、現在資金運用部資金と申しますのは、各特別会計の余裕金は、すべて資金運用部に預託して、これを総合的に運用しておるわけでございますが、これの金利も、七年以上長期にわたって預託されておりますものについては、日歩一銭六厘四毛の利子をつけておりますが、一カ月から三カ月につきましては、日歩五厘五毛、それから三カ月から一年未満につきまして、日歩九厘六毛ということになっておるわけであります。従いまして、現任の八厘というのは、やはり余裕金の性格からいたしますならば、資金運用部のこういった預託の利率、また余裕金というものは、その状況に応じて常時ふえたり減ったりするもので、相当多額のものが長期間同じように余裕金として残っているということは、むしろ姿としてはおかしいのではなかろうか。やはり余裕金というものは、短期の資金だということで考えるべきではないか、そういう見地から申しますと、にわかにこの金利を引き上げるというわけには、なかなか参りにくいのではないだろうか。従って、考えられますことは、資金運用部に預託する。まあこれも、金利は今言ったようなあれで、五十歩百歩でございます。むしろ国債の保有ということがかりに認められますならば、政府の短期証券を買い入れますと、六分二毛に回るというようなこともあるのでございます。それも、どこまでその限界を広げていくかということでございまして、やはり現在政府機関、特に予算を国会に提出いたして議決を経ているというようなものにつきましては、おのずから資金の運用は、今また範囲をさらに越えることは、非常に困難なのではなかろうか、まあそういった点。なお、実は国鉄ばかりではございません。電電その他の公社全体の資金の取り扱いをどうするかということとも関連し、またあるいは電電債、こういった債券の償却、そういったものをどうするかというような点も含めまして、総合的に考えなければならないという立場にもございますので、いろいろ問題が多岐にわたるのでございますが、今言った点を中心に、できるだけすみやかに問題の解決をはかりたいと考えております。
  107. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣、この運賃値上げにあたって、内部に向かっては割合——何といいますか、強く合理化というのが行なわれてきたわけです。特に従業員に対する福利厚生の切り捨てだとか、あるいは低賃金政策というようなものが、続けられておるわけです。しかし、外に向かって、対大蔵省なり、対国なり、国鉄本来の政策については、まことに低姿勢でなおざりになっているわけです。一つ解決をしていないというのも極端な言い方ですけれども、そう当たらずといえども遠からずだと思う。まあ一つ解決したといえば、新線利子補給が、ちょっぴり頭を出したというところだと思うのです。今のこの預託金の問題にいたしましても、これはやはり当然解決をしなければならぬ問題であるし、監査委員会から何回もいわれているわけです。ましてや、今の大蔵省の説明でも、またこれはどこでもいわれているごまかしがある。利用者が負担するのか、あるいは税金で負担するのかという論争を、またこの預託金の中でいわれておるわけです。そういうものではないのです。利用者に不当な負担をかけているから、こういう監査報告書でいろいろな問題が出ているわけです。正しい負担ならいいわけです。利用者に普通の負担以上に、十円で輸送原価が計算できるのを、十五円にしたり、二十円になっているから、それを取り払えという議論が、基本的に監査委員会の中から出ているわけです。従って、私は、この余裕金の問題というものは、大蔵省の考え方をやはりもっと積極的に解決させるために、これは大臣として、こんな不当な経営を押しつけているやり方というものは、この際改善をすべきだと思うのですけれども、大臣の御所見を賜わりたいと思う。
  108. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま問題になっております国鉄の国庫に対する預託金の件につきましては、すでに大蔵大臣からも、他の公社等との関係もあるので、至急に検討してみたいという御答弁がありまして、運輸大臣といたしましては、こういうものを、国鉄経理の健全性の上から見て、一日もすみやかに改めていただくように努力をいたすつもりでございます。
  109. 木村公平

    ○木村(公)委員 関連して。国会の議論の中には、ただいまの勝澤委員の議論と異なった議論があることをも申し上げて、世人の誤解を解きたいと存じますので、一言質疑をいたしたいと思うのであります。   〔「関連じゃない」と呼び、その他発言する者あり〕
  110. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 木村君に発言を許してあります。
  111. 木村公平

    ○木村(公)委員 たとえば運賃値上げ等の問題につきまして、いろいろお説があるのでございますけれども、もともと国鉄というものは、国営鉄道から公社になったものでありまして、国のものが、たまたまコーポレーションの形になったことは、申し上げるまでもありません。従いまして、昨日、運輸大臣でありましたか、総裁でありましたか、お説によりますれば、もしも今資産の再評価をすれば、少なくとも一兆円以上の資産であろうというお話があったのでありますけれども、もしもそれが事実だといたしますると、一兆円以上の、国のもとの財産を踏襲したとも、別の言葉をかりて申せば、いい得るわけであります。私どもの見るところによりますれば、一兆というのは過小評価であって、少なくとも数兆円の国の資産を踏襲しておると、私は存ずるのであります。しこうして一方においては、国家は、公社に対して独立採算制を要求いたしておるのであります。国の数兆円、とわれわれは想像しておるのでありますが、その国家資金を資本といたし、そうして独立採算制の絶対命令を受けておる国鉄に対して、今どきになって公共負担を強く要求するということは、まことに基本問題を忘れた考え方でありまして、われわれは反対であります。従いまして、われわれは、公共負担というものは、これ以上考えるべきではない。独立採算制の建前から、もしも賃金ベースの引き上げその他新線建設等の必要がある場合には、税金で出すか、運賃で出すかの相違があるだけでございますから、またやむを得ないという見地から、運賃値上げの問題について賛意を表したわけであります。もともと運賃値上げがベース・アップに何割食われておるかということは、国鉄当局からは明快な御答弁がありません。さぞかしこれはいろいろな御事情がありましょうから、あえて私は伺いませんけれども、私の見るところによりますれば、運賃値上げのおそらく六割は賃金の引き上げに充当されるものと存ずるのでありますから、労組の諸君は、これに対して大いに謝意を表さなければならぬと思うわけであります。  次に、預託金の問題でありますが、四十億の預託金の操作についていろいろ御議論があるが、もともとこれは国の財産を法律によって国鉄に移譲いたし、この資産によって、国鉄の責任において独立採算ができるようにやりなさいという趣旨でございますので、預託金の操作のある程度の自由裁量というものは、国鉄にまかせるのが当然であるという考え方をわれわれは持っておるのであります。この画会議員のすべてが、ただいまの勝澤君その他の諸君と同意見でないということをこの際開陳しておいて、当局がこれに対してお答えの場合にも、半分以上の反対説もあるということを心にして御答弁あらんことを、特に関連質問として申し上げたいと存じた次第であります。
  112. 勝澤芳雄

    勝澤委員 預託金の意見は、今の説明の中でも、木村委員と私と意見が違っていないのですよ。きのうの委員長の発言も、同じことなんです。ですから、同じ発言を関連質問だといって——質問じゃない、演説ですが、これはやっぱりお考えいただきたいと思う。きのう前段で言われたことは、私十分お聞きいたしました。ただいまも御意見としてお聞きいたしましたが私も意見として言っているわけであります。ですから、委員長一つ、関連のない質問はお許しにならないようにしていただきたい。
  113. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 時間もだいぶ切迫しておりますので、関連質問を取り上げることにいたします。今、預託金の問題についての質疑でございます。従いまして、預託金の質疑につきまして、御意見がございましたら、発言を求めます。
  114. 山田長司

    山田(長)委員 これは大臣にも大蔵当局にも伺うのですが、国鉄赤字を切り抜けるためには——あとで資金源の問題を聞こうと思っていますけれども、借りるものには全部利子がついているのに、預託金に利子がつかぬのはおかしいと思う。これはやはり全額有利子とすべきだと思うが、この点、大臣はどうお考えですか。これは大へんな利息になるんですよ。
  115. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 ただいま預託金の成り立ち等について大蔵省の方からお話がございましたようなこともございまして、今までの預託金に対する政府考え方は、ただいまの通りでよろしいと思うのでございます。それで今後におきましては、先ほど申し上げました通りに、国鉄経理状態から見まして、国鉄としては、こういうものを非常に低い利子の預託金制度、または無利子のもので続けていくということは、経理の上からは好ましからざることでございます。しかし、この預託金の制度は、国鉄ばかりではございませんで、ほかの公社等がいろいろ関連していることでございます。そういうものとよく見合いまして、大蔵省でも検討してみたい、こう申している次第でございますから、そういうことについて、大蔵省において、従来の経緯にかんがみて、また皆さん方の御意見のあるところを体して、検討して下さるように、運輸省としても大蔵省に働きかけるつもりでございます。
  116. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 預託金の問題で、私から申し上げます。運輸大臣である木暮さんは、国務大臣でもあると思う。これは運賃の問題とは別な問題でございまして、山田君及び勝澤君の質問をしておりますことは、国鉄が他から借りる場合には相当額の利子を払っているが、預託金に対しては無利子のものもある、また非常に低い利子のものもある。こういうことでございまして、国鉄を監督せられる運輸大臣といたしましては、借りる方はなるべく利息を少なくして、預託金の方はなるべく多額の利息を取るべきだというのが、指導方針だと私は考えている。大蔵省まかせだという運輸大臣の発言は、私は聞き取れないと思う。とんでもない発言でありまして、これはもう少しはっきりした答弁を願いたいと思います。
  117. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 私の言葉が足りないので誤解を与えましたが、大蔵省まかせではございません。繰り返し言うように、国鉄経理の上から見て、こういうことは好ましくないことである。そこで私は、ほかの委員会でも、こういうものはなくすようにしてもらいたいということで努力をするということを言うておるのでございまして、今大蔵省から、従来の経緯の話がございました。ほかの公社やなんかとの関連もございますので、検討をしておると旨い、さきに大蔵大臣が、他の公社とも関係しておるから、一つ大いに考えてみよう、こういうふうな言明がございましたから、私は、初めの考え通り努力をいたしたい、こう申し上げた次第でございまして、決して大蔵省にまかせて、こっちは拱手傍観しておるというような、そんな態度でないことを、どうぞ御了承を願いたいと思います。
  118. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 亀徳説明員にお尋ねをしますが、これはひとり国鉄だけの問題じゃないのです。電電公社もあれば、いろいろなことでこういうことだと思うのです。しかし、国鉄は、現在赤字でありまして、しかも、運賃の値上げをしなければならない。これは御承知通りでございます。そこで、まあ四十億は無利子でもいいという大蔵省の方針でありますか。預託金は無利子がいいんだという御方針なんですか。その方針だけを一つ……。
  119. 亀徳正之

    ○亀徳説明員 この無利子という点が非常に強調されたようでございますが、余裕金を国庫に預託した場合には、四十億までは無利子でございますが、それをこえるものについては日歩八厘の利子をつける、有利子でございます。同時に、金が足りないというときには、国庫の余裕金から、やはり八厘の安い金を幾らでもお回しします、こういう仕組みになっております。四十億につきましては、考え方は、これは若干議論の存するところではございますが、大体一日平均に一般経費がどのくらいかかるだろうか、それの一週間分くらいのものをとりますと、実は昭和二十八年−三十一年のころの状況を見ますと、約三十五億ないし四十億程度の数字になりますので、これは、いってみれば手元現金に相当するような、銀行でいえば当座損金に相愛するようなものであろうから、むしろ、大体予算の規模はふくれ上がっておりますので、その同じような考え方をとりますと、その額がまだふえる、ふやさなければいかぬという議論も実は成り立ら得るので、そういうことをやるかどうかということ、これは問題がございますが、同時に、すべて有利子にしなければいけないということも、どうであろうかというふうに考えております。
  120. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 きのう国鉄兼松理事から発言がありまして、国鉄当局としては、さっき申し上げるように、運賃の値上げまでしなければならないというときであるので、四十億という預託金も、なるべく額を少なくするか、あるいは利子のとれるようにするか、そういうことを大蔵省と折衝中であるという御答弁があったのでございます。そこで当委員会の委員としては、借りる方は、国鉄は非常な利息を払っているんだ。それで預託金の四十億というものは、無利息だ。借り入れの方は、年六分から七分くらいで借り入れている。だから、これを年六分にしても、四十億に対しても二、三億の利息がつくのじゃないか、これをとったらそれだけ赤字が補てんできるのじゃないか、こういうまじめな議論があったわけです。従って、この点については、大蔵省の当局としても、よほどそういう意見も加味して、そうして運輸省に対し、国鉄に対する方針を立ててもらうのが妥当ではないか、こういう意見が出たわけです。従って、ただいま勝澤君の意見、あるいは山田君の意見等も、きのうから強い意見もあるので、こういうところを十分参酌していただきたい、こう思うわけです。
  121. 勝澤芳雄

    勝澤委員 預託金の問題につきましては、大臣も御答弁がありましたし、大蔵省の態度も明確になっておりますので、これはまた、責任のある大臣になると言いにくい点もあると思いますから、早急に善処をしていただくように期待しておきまして、なお、この次の監査の中でこういう指摘がされないように、努力の結果をまた見せていただきたいと思います。  その次に、まだ経営の問題、新線建設その他あるわけですけれども、今調達庁が来られておりますから、調達庁の関係について、先に進めたいと思います。  これは、先ほど小川委員から、駐留軍関係の損害についての未解決部分があるんじゃないかという話があり、私の手元に出ております資料によりましても、昭和二十七年から四十六件、約九千二百六十八万八千四百八十五円というようなものが、今日まで未処理のままになっておるわけです。一体この処理はどういうふうになっておるのか、一つ調達庁の方から御説明願いたいと思うのです。
  122. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 お答えを申し上げます。  米軍の不法行為によりまして国鉄に与えました損害の、昭和二十七年四月二十八日旧行政協定の発効以降昭和三十五年六月二十三日新協定の発効までの間に、調達庁が把握しました事故の件数と金額を申し上げますと、件数にして四十七件、金額にして約九千万円、正確に申しますと、九千六十一万八百六十九円となっております。   〔委員長退席、薩摩委員長代理着席〕
  123. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それを聞いたわけじゃないのです。それが未処理の理由は何かというのです。
  124. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 この問題は、旧行政協定の解釈上、日米間に相違がありまして、本来米軍の不法行為による損害の処理は、行政協定の十八条によって処理されてきたのでございますが、わが方は、国鉄等三公社は、行政協定第十八条第一項第二号の適用を受ける国の機関ではなくして、その所有する財産は、国有財産とは解されない。従って、米側はこれに対して補償すべきだ。つまり本条の第三者に当たるものであるから、結局は七五%は米側、二五%は日本政府が負担する。つまりそういった補償を国鉄に対して与えるべきだという建前で交渉していたのでありますが、米側は、国鉄は国の機関であり、その所有する財産は国有財産と解するという建前をとりまして、議論を重ね、これが調達庁と米車との間でなかなか話が進みませんので、昭和三十年七月十四日、第百十八回合同委員会に付託されました。その以後、第百六十三回及び第百七十一回の日米合同委員会において、さらに本問題の解決を促進いたしましたが、この問題は、まだ解決いたしておらない現状でございます。
  125. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、日本側とアメリカ側の意見の相違点は、国鉄が国有財産に値するかどうかという点が、論争点になっているのですか。
  126. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 さようでございます。
  127. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今の見通しですと、大体いつごろまでに、どういう方法で、これは解決するのですか。
  128. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 この問題は、旧行政協定から新地位協定に移ります際になるべく解決すべきだという考え方で、合同委員会でも、また外務省の外交交渉でも、米側と折衝しておるわけでございますけれども、この問題は、今申し上げましたように、国鉄以外の電電公社及び専売公社の財産に対する損害につきましても、問題が並行してございまして、それと一緒にして話を進めておりますけれども、双方の意見が一致しないために未解決でございまして、いつこれが解決がつくかということは、私も見当つきませんが、交渉の経過等につきましては、できれば外務省にお聞き願いたいと思います。
  129. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、今まで国鉄以外にもあると言われておるのですが、これと類似のというのは、大体どこでどれくらいあって、どれくらいの金額に上っているのですか。
  130. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 お答え申し上げます。  電電公社の関係におきましては、昭和二十七年から三十四年までに、件数にして百十五件、金額にいたしまして百十八万円余でございます。それから専売公社につきましては、二件で十万円余でございます。
  131. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、公共企業体となった電電なり、専売なり、国鉄を、向こう国家機関と見ておる、こっちはそうじゃない、そういうことで意見が分かれているというわけですか。
  132. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 さようでございます。
  133. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、やはりこれは国の方の態度にも閥係すると思うのですが、国鉄としては、これについては、日米合同委員会解決するまでは、そらら待ちということで待っておられるのですか。あるいは積極的に、これは国の方針にも関係があるので、その辺の努力といいますか、その辺はどうなっているのですか。
  134. 兼松学

    兼松説明員 お答えいたします。  本件につきましては、外交交渉にしがるまで、私どもが鋭意折衝努力をいたしまして、ずいぶん先方ともやりましたのですが、私どもでは、強制執行の方法がございませんので、ついに調達庁を通じ、外交折衝に上がったような問題でございます。私どもとしても、そこへくるまでには、鋭意折衝いたしたのでございます。本件は、さきにもちょっと触れましたように、洞爺丸等の事故もございますので、金銭的にはわれわれが必ずしも有利になるとは考えておりませんけれども、なお筋は通すべきだということで、私どもとしては主張を継続しておるわけでございます。
  135. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この問題は、外務省当局にも関係があると思いますので、もう少し総合的に深めるために、私の質問はこの程度にとどめます。
  136. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連して伺います。  昭和二十七年以降の分はそれでわかりますが、占領後ずっと米軍に与えた利益、こうむった損害、そういうものを算定すると、累計どのくらいになりますか——。御答弁がないのですが、今政府が、ガリオア、エロアの返還の交渉に入っておるということになっおりますね。そういうものをはっきりと握っていないということでは、これはいかにもわが方に不利に進行することになる。朝鮮動乱の際なんかにおいては、国鉄機関というものは、相当勝手に使われておった。これはわれわれが目で見ておる。そればかりでなく、米軍が占領で進駐した以後、こまかく言えば、ある程度の施設の建設から始まりまして、ずっと相当の負担をやっておるだろうと思うのです。そういうことは、やはり国鉄として計算をしておくということが必要ではなかろうか。向こうに与えた利益、こうむった損害、そういうものを累積すると、幾らくらいになりますか。そういう計算はできておるか、できておらないか。お尋ねしたわけです。
  137. 兼松学

    兼松説明員 初め、国鉄に限定しての御質問と心得ませんでしたので、一般的と解釈いたしました。御質問国鉄といたしましては、終戦処理以来、非常に経費がかかりまして、それから使用上は、いろいろ軍の指示というようなことで当方の思うにまかせない場合もございましたけれども、それらは、講和前のものは、すべて終戦処理費で米軍からいただいたわけでございます。従って、国家としては、いろいろ出されておりますけれども、国有鉄道の会計といたしましては、全領を終戦処理費からいただいたわけであります。ただ、ごく小さい、終戦処理費の財産の中で、大蔵省の管財局との間にまだ整理が完了してないものが若干ございますけれども、大筋は、全部当時繰り入れていただきましたものでございますので、ただいま手元に数字は持っておりませんけれども、完全に数字、記録もございますので、御要求がございますれば、私の方でお出しすることはできます。
  138. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでしたら、総額どのくらい終戦処理費で処理されたか。それから、その処理の対象になった事案というのはどういうものか。客車をただで使ったとか、そういうことだけでなく、いろいろな問題がたくさんあるだろうと思うのです。それのどれとどれを対象として処理したか、そういうことを一つ明示していただきたい。こう思うわけであります。
  139. 兼松学

    兼松説明員 承知いたしました。私の方としては、車の輸送については、すべての輸送の賃金を受けております。それから作りました施設についても、全部記録を持っております。それから施設ではありませんが、サービス提供として輸送以外に関連してやりましたものも、終戦処理費でお払いいただきましたので、整理できると思いますから、整理してお出しいたします。
  140. 西村力弥

    ○西村(力)委員 議事進行ですが、きのう資料を要求した。一日で作ってくれというのも無理だろうと思うのですが、未提出が相当あるようです。きのうは委員長も発言をして、きょうまでに出してもらうことになっておる。ところが、その中で出てない資料がたくさんあるのですから、審議に入る前に、なぜ出せなかったか、資料の点についてはっきりして、それから審議に入るべきだ。あなたは、代理委員長だから勝手が違いますが、そういう工合にしないと、うまくないと思うのです。それで、きのう提出を求めた資料の未提出の分について、未提出の理由を一つお話しを願いたい。
  141. 兼松学

    兼松説明員 一つは、建設線の、これからやることになっておりますものの収支見通しというような資料の御要求があったと思いますが、これにつきましては、いろいろ検討いたしておりますけれども、ちょっと早急にはできかねます。と申しますのは、今度は運賃の改定等もお認めいただきましたし、それらの要素も入れまして、また、その後いろいろ事情の変化の起こっておるところもございますので、一つ一つの線につきまして、どうなるかということを今早急にまとめかねたものでございますから、それにかえて、といっては恐縮でございますけれども、鉄道で運営した場合と自動車で運営した場合、収支の面においてどういう違いが出てくるかということの一つの例といたしまして、白棚線の経営についての資料を一部御参考までに出さしていただいたというようなわけでございます。御注文通りのものを作りますことは、今ちょっとむずかしゅうございますので、これは一つお許しをいただきたいと思うのでございます。  もう一つ、交通公社の手数料の算出の基礎について出すようにという御注文がございました。これも資料が相当膨大になりますので、ごく簡単なものを憩いでまとめさせるべく作業をいたしておったのでございますけれども、ちょっと間に合いかねまして、本日お手元に差し上げることができなかったわけでございます。  その他の資料につきましては、御要望がありましたものは、おおむね一通りお出ししたようなつもりでおります。あるいは落ちているかもしれませんけれども、できるだけ間に合わしたのでございますけれども、いろいろな関係で間に合わなかったものができましたことは、申しわけないと思います。
  142. 西村力弥

    ○西村(力)委員 資料要求をするのは、だてや慰みでやるのではなくて、審議に必要なので要求しているのです。それが整わないうちに私たちが審議を終了するということは、これはちょっと工合が悪いことになってしまいますので、その点、せっかく御努力下さった結果として出せないという事情はわかりましたが、これは、委員長においてしかるべく取り計らっていただきたいと思うわけであります。
  143. 薩摩雄次

    ○薩摩委員長代理 承知いたしました。なるべく早く資料を整えて出していただきたいと思います。
  144. 山田長司

    山田(長)委員 大臣及び十河総裁にもお伺いするわけでありますが、お伺いをする前に、ちょっと石田監査委員長にお伺いしたいわけです。  昨日、きょうと、国鉄のどこに赤字の原因があるのか、いろいろそういう問題を伺っているわけでございますが、国鉄当局でかなり苦労されていることは、よくわかるのです。あなた方が苦労された監査委員会の報告書などについても、よくここまでお調べになったと、実は感謝をしながら通読さしていただいているのでございますが、国鉄の資金繰りの大きな問題点は、どういうところにおありになると思うか。監査委員長に最初に一言伺いたいと思います。資金の問題で非常に苦労されることはわかるのですが、問題点はどういうところにおありになると思いますか。
  145. 石田礼助

    ○石田説明員 資金繰りの困難の問題点でありますが、結局国鉄としては、できるならば自己資金でまかないたい。それができない場合において借入金でやる。それでもなおかつできない場合においては、やむを得ず、公共負担の問題であるとか、あるいは運賃値上げというようなことになってくるのでありますが、国鉄の財政の根本問題からいきますと、この三十五年度はいいのですが、それまでは経費の増に見合うような収入増がない。経費の増の根本問題は、人件費の増加だ、こういうことになっているのであります。大体それでよろしゅうございますか。   〔勝澤委員「収入の増をもっと具体的に言ったらどうですか。」と呼ぶ〕
  146. 石田礼助

    ○石田説明員 要するにこの問題は、私は国鉄の合理化という問題になってくると思う。これはちょっと時間がかかりますよ。よろしゅうございますか。
  147. 薩摩雄次

    ○薩摩委員長代理 簡単に要点だけ言って下さい。
  148. 石田礼助

    ○石田説明員 国鉄運賃値上げというような問題が起こるときには、必ず、まず国鉄は合理化しろ、これはごもっとも千万。では、一体どこに合理化の余地があるか、どの程度に合理化の余地があるか、こういう問題になってくると思う。たとえば三十四年度の国鉄の支出は、約三千六百なんぼありましたが、そのうち一番大きなものは人件費であり、それから固定償却費である。これはちょっと数字をもって御説明しましょう。三十四年度における国鉄の支出は、全体で三千六百五十億円、このうちで人件費が千六百六十二億、償却費が五百二十二億、租税公課が七十八億、利子が百七十八億、固定資産の除却費が七十五億、合計で二千五百十五億になる。それが第一の組み合わせでありますが、その次は、動力費が三百八十億、修繕費が五百二十億、業務費が二百三十五億、合計でそれが千百三十五億になる。この二つを寄せたものが、国鉄経費の全体になるわけです。それでは、このうちで一体どこに合理化の余地があるか、こういう問題でありまするが、人件費の千六百六十二億というものについては、これは監査委員会の報告にもありますが、国鉄総裁としてはコントロールに手なし。その一番いい例は、最近における国鉄従業員に対する給与の問題にいたしましてもアービトレーションの数字が最後のものとなる。こういうことで、さっき私が申し上げたら、だいぶ反対がありましたが、国鉄総裁には自主権なし。これはいかんともしがたい。その次の償却費の五百二十二億、これで十分かどうか怪しまれる。あるいは十分でないかもしれない。これは多々ますます弁ずる。その次の租税公課七十八億円、これは多少まだ切り下げの余地はある。利子の百七十八億円、これは預託金制度にもかかってくるんですが、これは私は、相当に合理化の余地はあると思う。その次の固定資産除却費の七十五億円ですが、これはいかんともすべからず。かくのごときものが二千五百十五億ある。ところが、その次に動力費の三百八十億と修繕費の五百二十億、業務費の二百三十五億、合計千百三十五億、これは合理化の余地はないと言えば言える。こまか言えば、私はまだ相当余地があると思う。けれども、これは一ぺんに思い切ったことをやるということはできない事情にあるんです。まず第一に、動力費の三百八十億でありまするが、これは昭和二十七年以後今日まで、非常に輸送量がふえているにかかわらず、ほとんどふえていない。そこにつまり国鉄がいろいろな合理化をやった効果が出てきておるわけです。その次の修繕費の五百二十億でありまするが、これまたほとんどふえてない。昭和二十七年を一〇〇とすると、昭和三十四年度においては一〇二くらいになっておる。その次の業務費の二百三十五億であります。これは相当にふえておりますが、業務の増加に伴うてふえたもので、私は、これは相当に合理化されていると思う。このうちの相当の部分は、御承知の例の民有車両、つまり製造家に作らせまして、それを年賦で払っている。それで要するに大した余地はない。それから、さっき申しましたこれらの合理化の問題でありますが、これはあまり急激にひどくやりますと、変なことになることがあるんですよ。一番具体的に申しますと、昭和三十三年度くらいまでの国鉄の支出を見ますと、こういう圧力がどこにかかってくるかというと、保線費あたりにかかってくるんです。どうしてそういうことになってくるかというと、保線というのは隠れたる仕事で、派手でない。そういうところにしわが寄ってくる。その結果はどうなるかというと、国鉄輸送の安全というものにひびが入ってくる。これは国鉄としては大問題だ。だから、監査委員会といたしましては、国鉄総裁に、合理化もやはり合理的にやらなければいかぬ、あまりひどいことをやると、結局大へんなことになっちゃう、だから、これはやはり段を追うてやらなければいかぬということを申し上げたんです。  それからもう一つちょっと申したいのですが、動力費の三百八十億と修繕費五百二十億、業務費の二百三十五億、合計千百三十五億。このうちに、人件費が入っている。約三百億。とれが営業費に入ってない人件費というようなことで、この三項目について合理化する余地というものは、大したものじゃない。合理化する余地はありますよ。けれども、大したものじゃない。こういうことでありますからして、国鉄は、合理化すれば百億くらいの金は出てくるじゃないか、こういうことは、言うはやすいが、実際どこをつついたらそういうまとまったものが出てくるかということになると、これはなかなか困難である。こういうようなことで、合理化の余地というものは、これはあるけれども、大したものじゃない。一方に人件費というものが、年々歳々百億というものを最小限としてふえていく。これに応じて一体収入が増してくるかどうか、こういうこと、ここに国鉄というものの財政上に、非常に心配しなければならぬ点がある。人件費の問題でありますが、あなた方御承知のように、国鉄の従業員の年令構成から見ますと、三十から四十代まで、あそこに非常に大きなかさばりがあるのですね。との間なんか、要員対策委員がやらなかったら、大へんなことになる。もう十年もたつと、退職手当だけでもって五、六百億も出さなければならぬことになる。これではどうなるのだ。それで結局は、それに対しては年々一万五千人ぐらいの人間を整理したらいいじゃないかというのですが、それじゃどうしたら整理できるか、こういうことについては、別に何らの意見も言っておられない。われわれ監査委員会の立場からいえば、とにかく一生を国鉄の仕事にぶち込んだ人間を、国鉄の都合によって、お前要らぬから出て行け、どういうことは、これはいかぬ。やはり合理的に整理せにゃいかぬ。ここにおいて、国鉄総裁も、何か一つ別に仕事を見つけてやろう、こういうふうに御配慮なさっているのですが、これはごもっとも千万で、国鉄の将来は、こういういやな問題にぶつかっているのですよ。  もう一つ申し上げたいことは、今度は運賃の値上げということで問題の解決がついたが、一体これからも同じような定石でいくことができるのかどうか、私はすこぶる疑問だと思う。大体旅客の問題につきましては、私はまだ上げる余地はあると思う。やろうとすれば、運賃値上げ即増収ということになりますが、貨物に関する限りは、運賃値上げ即増収にならぬ。減収になる時期がだんだん近寄りつつある。そこでわれわれ監査委員会といたしましては、どうするか。今申し上げたことは消極的の合理化なんだが、積極的な合理化をやっていって収入をふやすべきだ。ここに国鉄の生きる道があるのだ。その点につきましては、われわれは、国鉄のためにこれは非常にいいものだが、最近における国鉄の企業心の発達というものは相当なものだ。諸君が御承知通り国鉄で一番大きなねらいどころは、旅客列車の、しかも特急だとか、急行だとか、あそこにあれがあるのだ。たとえば「こだま」を東京−大阪圏に走らせている。今までは、あの特急というのは、東京から大阪に行くだけだった。最近は、速力を上げたために、一回転することができる。そこに非常な投資効果というものが出てきている。そこで、「こだま」なんというのは、一年に相当の収入を上げている。準急しかり、急行しかり、すべてそうだ。この点については、三月一日からの時刻改正とともに、国鉄事業は約千本のこういう特別列車を設置する。これは企業心の発揮だな。  さっき申し上げたついでに、一つお聞き願いたいのだが、預託金の問題がある。われわれのねらうところは、国鉄の企業精神の発揚というところにある。一体今のような制度で、——あれは官庁的制度であって、企業的考え方じゃないでしょう。とにかく利息というものを離れて、どこに一体企業があるか。国鉄人が一番欠けているところは、役人的の考えで、利息という観念がない、今までは。今はあります。そこなんです。たとえば投資管理の問題なんかでも、やはりその根本をなすものは利息なのです。十五年も二十年も、ネコの涙のように出してぽちぽちやったって、利息を勘定すれば大へんなことです。これは、国鉄の財政から、やむを得ずこういうことをやる事情がありますが、まあ利息の観念を離れて、企業なんかありっこない。この預託金制度というものは、われわれのねらっていることは、国鉄人に利息の観念を涵養しよう、これです。それで、大蔵省の方は預託金制度の効用を述べましたが、私は議論になるから言いませんが、企業は企業らしいことをやらなければいけませんよ。これによって、相当に金利というものはプラスになってくる。金額からいえば三億とか四億ぐらいのものでしょうが、国鉄が今ネットに正味三億なり四億の金をもうけるのはなかなかむずかしいということで、大体国鉄の生きる道は、積極的な合理化にある。ところが、今まで第一次五カ年計画で、これは輸送力は天井につかえた。積極的な合理化をやろうといったって、輸送力がないところに積極的な合理化はできない。そこにおいて国鉄が生きる道は、第二次の五カ年計画によって出てきたということで考えてみると、第二次五カ年計画とともに、国鉄の将来は決して悲観することはない。ただし、まず一年に二百億も二百五十億も年々歳々人件費がふえた日には、いかんともお手上げだということが、われわれ監査委員会としての大体の観測です。
  149. 山田長司

    山田(長)委員 大へん国鉄に対する希望を持たれ、さらに大久保彦左衛門的に監査の内容の一端を伺うことができてうれしいのですが、まだこれだけで納得するわけではないのです。ぜひ一つお聞き願いたいと思います。今までは非常に官僚的であったが、これから企業的になってきていく。企業に対する大へんな関心を持ちつつあるというが、ゆうべのテレビを見ていたら、赤字線がここにも開通したという鹿児島の路線が、十一時のニュースに出ていた。私は、何となしに、まだ国鉄の内部に官僚的な運営をしている向きが多々あると思うのです。何かしら政治的な圧力か何かで、作らなくともよい路線を作らなければならないような事態があったり、今まで出ている資料を見ただけでも、そういうことは多々感じられるのです。それで新しく作る路線赤字になる。前にも赤字路線があるのに、また作る。何としても理解ができないのですが、あなたの場合は、今のお話を伺ってもわかりますように、民間の経営者の立場から、こういう問題について、運輸大臣や国鉄総裁がいてなかなか話しにくい点もあると思うのですが、今お話になられたように、もっと率直に赤字路線について、国鉄経営上の負担を生じている面、最初から投資をする上において、これは赤字になるかならぬかということはわかっておる場所に、公然と路線を新設する、こういう問題について、どういうところにこんなばかばかしいことがあるのか。忌憚なくきょうは一つ話してもらいたいと思います。
  150. 石田礼助

    ○石田説明員 今の御質問は、私が答弁する問題ではなくて、運輸大臣並びに国鉄総裁答弁すべき間額だと思うのですが、ただ、監査委員の立場からいえば、とにかく新線建設にしたって、必ずしも全部が否定すべきものではない。国土開発というものもあるし……。ただ問題は、鉄道を敷設して、これが国家的に見て利益のある場合はやる。そのほかの線は考えなければならぬ、こういうことは監査委員として言い得る極度でありまして、それ以上のことは、ちょっと監査委員会としては、領土外の問題ではないかと思います。
  151. 山田長司

    山田(長)委員 やっぱり監査委員はそこまで監査をして、国民に立場を明らかにしてもらいたいと思うのです。  次に伺いたいのは、赤字路線の場所がはっきりしているのに、そこに新しく敷設する。前にできているところは、ちっともかまわずにおいて、廃止する。これはどうもふに落ちないのです。そういう点で、たとい国土の開発といっても、投資効果というものを最初からねらわずに——ねらっておるのだろうけれども、どういう点でこんなばかばかしい新しい路線を次々作るのか。今までの路線で、廃止するものは廃止する。赤字だから廃止する。どっちも赤字なのです。これだけ努力をされている監査委員に私は敬意を払うのですが、だが、もう一歩、やっぱり忌憚のない意見を言うべきものと思うのです。私は、十河総裁はそれだけのものを受け入れる雅量がある人とにらんでいる。その点どうです。
  152. 石田礼助

    ○石田説明員 これはさっきから申し上げますように、ちょっとどうも監査委員会の機能の外だと思います。要するに、そういう投資効果のない線まで作らねばならぬ、作るべきであるかということの決定は、鉄道建設審議会がやることで、監査委員会としては、審議会に対してそんなことをすべからずという権限はないのだ。あなたが監査委員長になってごらん。一体そういうことができるか。できないでしょう。われわれの方も——あなたのお考えはわかりますがね。監査委員会の、これは手の伸び得る外だな。
  153. 山田長司

    山田(長)委員 そこが監査委員という重要な職責にある、大久保彦左衛門みたいな存在ですよ。そういう人の注意は、やはり国鉄当局でもかなり聞き入れて、実行に移していると思うのです。私はあとで伺いたいのですが、とにかくお昼になるというので、委員長の方からやめろといいますから、一つだけ伺っておく。こういう点なども監査委員としてどうお考えになるか。たとえば、これは官僚統制時代に今の県とかあるいは府とかいうのがあったが、それと同じような形で引き継がれて、国鉄が地下鉄などに投資をしている。五十億もの巨額に上るものを投資しているが、これから地下鉄が、どんどんどんどん都市交通上やむなく伸びていきます。そういう場合に、これなどは当然国が負担すべきものだと私は思うのです。国鉄当局でこういうものに次々に負担するということになれば、これは国鉄としたって、赤字をしょわなければならない事態だと思うのです。監査委員だって、このくらいなことは——やはりこんな形で、いつまで官僚時代における機構と同じようなもので、国鉄が次々と金を出しているのではなくて、国で出すべきではないか。企業体として、これは国鉄もそろそろ切りかえてもいいのじゃないか。法律改正をやって、開銀あたりに金を切りかえて、開銀の投資か何かにしてもらう。そういうことをやはり監査委員会としては、大乗的な見地から答申あってしかるべきだと思うんです。その点を見受けられないので、一応伺うのですけれども、とにかく国鉄を黒字にしようとする大きな希望を持っておられる監査委員会としては、やはりそういう問題についても、当然具申があってしかるべきだと思うんです。これは、いろいろ政治的な圧力等もあるのじゃないかと思うんです。だが、これじゃ、国鉄赤字を切り抜けることはできないと思うんです。そういう点で、何としてでも国鉄赤字を切り抜ける態度を打ち出すために、監査委員会は、遠慮なく苦言を呈してもいいと私は思うんです。そうでなければ、政治路線なんかが次々できてしまって、赤字をしょってしまって、国鉄はだんだんどうにもならなくなる。今度の五カ年計画は、きのうの十河総裁の話では、今度は大丈夫だというようなことを言っておりますが、私は、次もまた一、二年したら、運賃を値上げしなければならぬという事態になると思うんです。いろいろな点から総合してみて……。監査委員長、どういうふうにお考えになりますか。
  154. 石田礼助

    ○石田説明員 今のお話の東京都の地下鉄に対する国鉄の投資でございますが、これは四十億とか五十億とか、そんな大きなものじゃないでしょう。(「七十億ですよ」と呼ぶ者あり)これは要するに、結局東京都の方の通勤、通学の問題というものに関連してくるわけですが、これについては、国鉄の余資任じゃないのだ。国鉄にも一部の責任があるが、主として東京都の責任である。ただ、国鉄としては一翼をになう、こういう意味において投資しておるのでありまして、その意味からいくと、今の投資額というものは、これは大して大きなものじゃないのじゃないか、私どもはこういうことに考えておるのですが、これは今あなたのおっしゃるように、非常な大きな問題で、国鉄の収支のバランスに相当に大きな影響があるということであれば、今後さらに検討して、一つ善処したいと思います。
  155. 山田長司

    山田(長)委員 私が監査委員長に伺いたいのは、一カ所の金は、それはあなたが思われるように多くないが、十億、二十億というものが至るところにある。この金を全部総合したら、何百億になると思う。それで一カ所の例を今話したのですよ。さっき話された民間の車両の問題だって、何十億という利息を払っていますよ。これだって、資金運用部から融資を受けるというような形で、利息の少ないのを使えば浮いてくる。至るところに、たとえばさっきの保証金の問題なんかもお聞きになっていればわかるように、国鉄の切符の代売の場合には保証金を取るというような形が生まれてくれば、方々に何十億という金が出てくるのです。だから、私は、今一カ所の事例を御質問したのです。委員長に対して、お考えをこういう問題にも一つ及ぼしていただきたいと思うと申し上げたわけなんですけれども……。
  156. 石田礼助

    ○石田説明員 これはお話によって、さらにわれわれとしても謙虚に省みて、一つ御期待に沿うようにしたとい思いますが、ただ一言申し上げておきたいのは、われわれ監査委員会としては、運輸大臣の期待にそむかないように、何ら遠慮会釈なく、国鉄に対して言うべきことは言っておるのでありまして、大久保彦左衛門か何か知らぬが、ほんとうに国鉄のためになるようなことができるように、今後とも一つ十分努力したいと思っております。
  157. 薩摩雄次

    ○薩摩委員長代理 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後二時三十分より再開することといたし、この際休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ————◇—————    午後二時四十三分開議
  158. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。勝澤芳雄君。
  159. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先ほど山田委員が、特に建設線の問題について取り上げておりましたので、私は、ここから少しお尋ねをいたしたいと思うのであります。  最初に、私は、国鉄当局に少し御注意を申し上げなければならぬと思うのですが、新線建設の資料というのは、出されてくる資料々々がどうもみんな違っておって、一体どれがほんとうだかわからないような状態なんです。たとえば監査委員会から出している監査報告書の三十四年度の二百二十一ページに出ておるのですが、これと新しく一枚刷りで出してきているのを見てみますと、常業キロが違う。それから営業係数が違う。収支が違う。一体どれがほんとうの資料で、われわれは一体どれを審議したらいいかという点で、実は判断に苦しむわけであります。従って、昨日これについての資料の要求をしたわけなんですけれども、実はその出されておる資料は、きょうの審議のわれわれの要求した資料にはならないわけです。従って、一体新線建設現状がどうなっているかという点について、実に判断に苦しんでいるわけでありますけれども、こういう点は、せめて営業キロが違うなんというばかばかしいことはやめていただき、あるいは収支の問題でも、あまりにも金額の違いがひど過ぎるわけでありますから、こういう点は、資料を出すときに十分お気をつけになっていただきたいと思うわけであります。  そこで建設線の問題を、資料を出されておりませんので、資料なしでお尋ねするわけでありますけれども、昭和二十七年から今日まで投資された総額というのは、三十五年度を含めて約四百九十億、こういうふうになっておりますが、これで間違いないでしょうか。
  160. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 先ほどの資料の点は、まことに不行き届きの点があったと思いますので、申しわけありませんが、ただキロ数の違いは、ちょっとお断わりをいたしておきたいと思います。建設線のキロにつきましては、営業キロで表わしたものと、それから建設工事の関係上、建設工事の実キロで表わしたキロと両方ございまして、それで表によっては違っておるのがあるようでございます。  そこで、こまかい食い違いの点は、それぞれ後ほどまた御報告、御説明申し上げたいと思いまするが、ただいまお尋ね昭和二十七年度以降三十四年度末までの投資額は、おおむね三百九十六億、すなわち四百億弱ということになっております。
  161. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、投資額が三百九十五億六千五百万円ということでわかったわけでありますけれども、この一枚刷りの「国鉄建設線(昭二七年度−昭三三度開業)経営成績昭和三十四年度)日本国有鉄道」という資料は、そちらからお出しになった資料ですか。
  162. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 さようでございます。それはこちらで差し上げたものでございます。
  163. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今の表と、監査委員会から出されておる二百二十一ページの百十一表というのは、これはどういう関係があるのですか。同じものなんですか、違うものなんですか。
  164. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 この監査報告書の二百二十一ページにございます表と同じ表でございますが、その監査報告書の方に書かれてあります表は、車両費が入っておるわけでございます。こちらの別途一枚刷りで差し上げましたものの中には、車両費が入っておりませんので、それで金額の違いがあるわけでございます。
  165. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、ここでたとえば羽幌線ですか、監査報答書には、三八キロになっておりますけれども、この表では三八・三キロになっているわけです。あるいは湧網線ですか、この表では三〇・二キロになっておっても、監査報告書では二九・八キロになっているわけです。一体どっちが営業キロか。これは実キロとか何とかさっき副総裁が言ったけれども、これはどうも実キロでも何でもないのじゃないかと思います。もう一つは、これを合わせていきますと、損失の関係、営業係数の関係というものは、大幅に違っているのですが、一体私たちは、どっちを問題にしてこの投資効果というものを判断したらいいのでしょうか。その点を一つ説明願いたいと思う。
  166. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 きょうお配りいたしました表の方のキロ数が、監査報告書のキロ数よりも延びております。これはその後延びたものがありますので、本日差し上げました表の方が、現在の実情に合ったものとお考えいただきたいと思います。  そこで、もう一つお尋ねになりましたのを今ちょっとうっかりいたしまして……。
  167. 勝澤芳雄

    勝澤委員 営業係数とか損失が違うわけなんですが、一体投資効果を見る場合には、どっちが正しい表なんですかということです。
  168. 中村卓

    ○中村説明員 実はきょうお手元へお配りしました資料は、建設線にかかっただけの利子と法定の利率でもってはじいて勘定してございます。それから監査委員会の方の報告書は、これは全国一本で、これらの利子を各線に平均して計上してあるわけでございます。国鉄の原価計算といたしましては、監査報告書に書いてございますような原価計算を一応やっておりますけれども、特に建設線だけのことについて資料の御要求がございましたので、それにかかった利子をまるまるこれにかぶせて計算したのが、きょうお配りした資料でございます。
  169. 勝澤芳雄

    勝澤委員 実はその説明を聞いても、建設線はわからないのです。表が、幾らどのように組み合わしてみても合わないのです。それは、きのう私が要求した資料が出てくれば、営業キロがこんなに違ったり、係数がこんなに違わないものになるんじゃないかと思うのです。それは出てきてからの問題ですが、一応資料はこの辺にして、私は、この監査報告書に出ている表からお尋ねをしたいと思うのですけれども、とにかく今の営業線というものは、新しいこれを見ますと、二十三線になっております。この投資で、十九線で年間損失が三十六億、こう計算されておるわけでありますけれども、この三十五年度の末で、投資額はわかりましたが、新線建設による赤字というのは、この百十一表と同じような計算でやったら、幾らになるのですか。
  170. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今お尋ねのあれは、三十五年度末で締めてみたらどうなるかという……。
  171. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうです。
  172. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 三十五年度末のものは、まだちょっとわかりません。
  173. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十四年度として損失が三十六億、こう計算されているわけですね。三十五年としては幾らか。あるいはことしの三十六年度の予算の上では幾ら赤字が出るかというのは、大体の推定ができるのじゃないでしょうか。
  174. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 三十四年度の決算は、はっきりしておりますから、三十六億と出ているわけでございますけれども、三十五年度の決算は、まだできておりませんので、確たる数字はちょっとわかりません。
  175. 勝澤芳雄

    勝澤委員 しかし、三十六年度の予算を作るときに、新線は十九で、三十六億だ。そうして今度三十五年末二十三線になれば、それで三十六億が四十億なり、四十五億になり、今のまま、またことし九十五億の投資をして新線建設されていけば、また経常費で五十億なり、六十億になる、こういう計算というのは、国鉄はされていないのですか。
  176. 中村卓

    ○中村説明員 私が、かわって御説明申し上げます。  予算の要求のときは、経常費の関係と申しますか、経理の関係、そういうものにつきましては、全体の輸送量、それによりまして収入ももちろん考えた、また、経費の方もそれをもとにして考えておりますので、個々の線区々々によってプラスになる、マイナスになるという計算は、決算が行なわれました後の線区別の計算ということでわかってくる次第であります。従いまして、予算を組みますときには、個々の建設線の投資を幾らにするかということ、それから、これによって、できましたときにどのくらいの赤字が出るか、あるいは収支がどうなっていくかという一応の見通しはつきますけれども、一々年度別に当たってこまかく予算を組むわけではありません。
  177. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今国鉄に対する一つの大きな意見として言われているのが、新線開業の問題なんです。この新線は、経済的に必要ならば、それは議論はないのです。しかし、経済的に必要でないところに赤字路線がどんどん作られている。ここに問題があるのです。そうして国鉄は、監査委員会から、三十四年度においてはとにかく年間三十六億、昭和二十七年から建設した線を経営するについては、年間三十六億ずつ赤字が出るのだ。それが今度三十五年末、三十六年末になれば、三十六億の赤字はますますふえていく、こういうことなんです。ですから、これを何とかしなければならないではないか、こう監査委員会が言っているわけです。けれども、いや、私の方は、今年はただ幾ら投資をするということしか考えていません——九十五億の新線建設をしたらどれだけ赤字が出るか、その赤字の金はどこから持ってくるか、これは常識的なことだと思うのです。国民は、今それを希望しているではありませんか。なぜ作るのか、作る価値というものにいろいろあるでしょう。しかし、でき上がったものを見れば、すぐそばに省営バス、あるいは私鉄が通っていたり、あるいはりっぱな国道がある。こういうところに作っているということで、いろいろ批判を浴びているわけです。それは、なおさら監査委員会から指摘されているでしょう。国鉄は、とにかく昭和二十七年から新線建設したために、三十六億の赤字が出たのです。三十五年度も、これだけ作りましたら、これだけ赤字がふえます、今年も、これだけしましたら、これだけ赤字が出ます、私は、こういう資料が出されるべきだと思うのです。監査委員、長、どうなんでしょうか。
  178. 石田礼助

    ○石田説明員 ただいまおっしゃったことは、すなわち、監査委員会が言っていることだと思います。監査委員会は、そこまでは言いますが、そこで、これを撤去するとかどうとかいうことは、これは審議会がきめるべきもので、監査委員会としては、そこまではどうも言うことができないというのが、われわれの見解なんであります。   〔委員長退席、宇田委員長代理着席〕
  179. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、監査委員長、あなたはさっきから——午前中の話を聞いていると、できない、できないと言われている。しかし、これは監査委員会と書いてあるから、あなたのところで書いたと思うのです。この中を読んでみますと、その部分についてまで、監査委員会としてはやはり一つの方向というものを国鉄に明示をしているのです。明示をしているにかかわらず、行なわれていないわけです。行なわれていない障害というものは、それは鉄道建設審議会なり、いろいろ審議会にあると思うのです。しかし、根本は、ここに考えてもらわなければいかぬことは、新線はたれが作っているかというと、国鉄総裁が作るという機構になっている。国鉄総裁が、ここに赤字路線を作って下さいということを、鉄道建設審議会できまったのを、その答申に基づいて、今度はそれを申請しているのは国鉄総裁なんですよ。あなたがここで指摘をしているように、十九線作って、三十四年度末で三十六億赤字を出した。三十五年末では、今度二十三線になって、また赤字が増大をしているわけです。また、ことしも新線を作って、赤字が増大をする。これはいけないとあなたが言っているのです。資格があるとかなんとか、そんなことは言えぬとか言っているけれども、それをあなたが言っているのです。それをしも国鉄総裁は無視をして、運輸大臣かあるいは建設審議会か知りませんけれども、それから圧力を受けているかいないか知りませんけれども、そういう形で新線の申請をしてはやっているわけなんです。そして、その中には、あなたたちが指摘をしているように、国道ができているところに新線が作られたり、私鉄のバス通り、私鉄が通るところに作られている、そういう線がずっとあるじゃありませんか。それは、せっかくここで表も出されているのですから、一つ一つの線に、具体的に当たってみられれば、おわかりになると思うのです。きのう言葉がありましたから言いますと、能登線は益谷線だとなっている。岩目線は岸線だとなっている。私がこれから言う二、三の問題については、なかなか指摘をしにくいようで、まだしていないようですから、それはこの次に申し上げますけれども、監査委員会で、大へんりっぱなことを考えられ、また指摘をされているのですから、この問題については、もっときぜんたる態度で当たるべきだと私は思うのです。一体総裁、どうなんでしょう。この新線建設は、運賃値上げの場合にも問題になりました。今日も問題になりました。なお、今後も問題になると思うのです。私たちは、経済開発のための路線というものは、国鉄がやらなければなりませんから、当然やるべきだと思うのです。しかし、そうでない政治路線というものは、この際きっちり見きわめをつけて、はっきり区別をすべきだと思うのです。その点、どうなんでしょう。
  180. 十河信二

    十河説明員 この線が地方開発のためにどの程度役に立つかどうかということ、あるいは政府の方針で、地方的の格差をできるだけなくしようというふうな御方針にかなうかかなわないか、そういうために必要であるかないかということにつきましては、私どももいろいろ判断をして意見を出しますが、私どもの意見だけでこれは決定するわけにはいかぬ。そのために建設審議会というものがあって、朝野両党から代表者が出ております。その上に学識経験者が出て、そこでいろいろ検討をされて、建議なり、決議なり、何なりになって出てきておるのであります。私は、自分の我意を通すべきでない、これはこの決議を尊重すべきじゃないか、それ以上のことは、政府なり、国会なりでおきめを願うほかない、こう考えて、新線建設の申請をいたした次第であります。
  181. 勝澤芳雄

    勝澤委員 通俗的に、総括的にいえば、そうなると思うのです。しかし、一つ路線を取り上げてみて検討すれば、いかに国鉄が政治的な圧力の中で、国家全体から見たときにむだな投資をしているかというのは、これは総裁、私が言うまでもなくおわかりになろうと思いますから、それをあまり指摘をするのは、きょうは御遠慮しておきたいと思うのです。  そこで、監査委員会は、「さらに採算のとれない赤字線区の一部の撤去すら考えざるを得ない国鉄の情勢を思えば、現在工事中のものも予定線についても、建設続行については、慎重に再検討し、必要と認められないものについては、一時中止することを考慮すべきである。」りっぱな意見を言っているわけです。どうですか、監査委員長、これが今どのように実施をされているとあなたは認識されておりますか。
  182. 石田礼助

    ○石田説明員 監査委員会といたしましては、ただいまあなたがおっしゃる意見は、これは申し上げますが、それは要するに国鉄総裁なり運輸大臣に対して、われわれは命令するわけじゃないのだ。われわれの意見として申し上げる。それはつまり監査委員会の職務だ。それ以上にいくということは、これは職務外——職務を越えた態度だ。そこまでは、私いかに勇気ありといえども、これはちょっとむずかしいな。
  183. 勝澤芳雄

    勝澤委員 十河総裁、今の監査委員長答弁というのは、おわかりになろうと思うのです。そこで今の監査委員長指摘をされた事項について、国鉄はどのように努力をされ、努力をこれからするのですか。
  184. 十河信二

    十河説明員 監査委員会の御意見は、私は貴重な御意見だ、こう考えまして、私も、監査委員長からこういう意見が出ております、こういうふうに考えられますというふうなことを建設審議会でも申し上げまして、その上で、建設審議会で、さっき申し上げましたような委員各位がお集まりになって検討をせられた結果は、これまた監査委員会意見を尊重するように建設審議会意見も尊重いたしまして、政府の方へ申請をしておるのであります。
  185. 勝澤芳雄

    勝澤委員 総裁は、何か都合が悪くなると、建設審議会の方に責任を転嫁をされているわけじゃないでしょうけれども、苦しいからそういうお話になると思うのですけれども、建設審議会も、割合と公平な答申を最近はやられておると思います。たとえば、建設線は、これは国鉄でやらなければ、ほかでやれないところだ、だから、これは国鉄でやるべきだ、その場合においては、国が利子を十分補給すべきだ、こういう意見を言っておるわけです。ですから、それは絶対的な条件なのです。その条件がなされていないで建設が行なわれているから、結局国鉄経営が苦しくなって、そうして運賃の値上げで片一方を押えつけようとしておるわけです。そこがやはり問題になっておる。国会の内外を問わず、赤字線といいますか、あるいは新線といいますか、あるいは政治路線といいますか、このことが、今ほど問題になったことはないと思う。今こそ勇気を持って新線建設についての態度を——やはりこれとこれとこういうものは作らなきゃならぬ、これは作るべきじゃないということを明確にすべきだと思う。しなければ、国民は、これから幾らたっても国鉄を信用しないと思う。幾ら監査委員長が企業努力をせよと言って、預託金の問題について、金利の問題で努力されても、従業員に聞いてみなさい、この間開業になったあの新聞記事を見ただけで、国鉄の従業員は働く意欲をなくしますよ。また赤字ができたか、あれのところでは集約輸送だ、おれのところでは請負だ、おれのところでは線路をはずす、こう言っていながら、また政治路線ができた。何とかいう人が作った。これでは幾らたっても、幾ら預託金の問題をわれわれが与野党一致して解決したとしても、従業員の働こうという意欲がなくなりますよ。総裁、そうでしょう。その点はどう思いますか。
  186. 十河信二

    十河説明員 お話しのように、私も、監査委員会の御意思を体しまして、政府利子補給をしてもらいたいということをいろいろお願いいたしました。政府の方でも、日本経済の全体、財政の状態等から総合的に勘案せられまして、今までは認められなかった利子補給を、本年から認めてくれるということに相なったのであります。政府の方でも、その点は、金はわずかですけれども、方針は相当思い切って曲がりかどを曲がったと申しますか、そういうふうなことをやってくれた、こう認めて、その意味において感謝いたしておる次第であります。
  187. 勝澤芳雄

    勝澤委員 総裁利子補給を三億認めても、きのうだか、おとといだか出た古江線、これはまた赤字線が一つふえたということで、従業員は落胆をしている。企業努力をしようという意欲は阻害されている。このことをあなたはどう思うかというのです。
  188. 十河信二

    十河説明員 そういうことはあり得ると思います。あり得ると思いますから、今申し上げたような努力をいたしました結果、わずかながら、そういう政府の補給金というものが予算に現われてきたということを申し上げたわけであります。
  189. 勝澤芳雄

    勝澤委員 従業員の企業努力が阻害されるということをあなたは認められた。そのことは大へんいけないことだと思う。しかし、そういうことがまだこれからもずっと起きるという現状に、今なっておるじゃありませんか。それをどうするのですか。私ははっきりしてもらいたいと思うのです。これからできるものを私は先ほど読み上げました。ですから今、古江線と同じようなものが、あしたか、あさってか知りません、あるいは一カ月後であるか知りませんけれども、まだ今年度も方針として続けられていく。これをきっちりして下さい。そうしなければ、これが最後なんだ、もうあとはできぬから、君たちが一生懸命やってくれればよくなる、こういう見通しが立たないじゃありませんか。そんな三億ばかりでだまされて、またそんな線ができたたびに世論の非難を食っては、働く意欲が出ませんよ。その点をはっきりして下さい。
  190. 十河信二

    十河説明員 その点は、国鉄建設線だけでなく、何事に限らず、これがいい、これが悪いといって、いいことがみんな行なわれて、悪いことがみんななくなるかというと、なかなかそうはいかない。少しずつでもよくなれば、私は、その限りにおいて満足して、自分のなすべき努力はなすべきではないか、こう考えて、そういうふうに職員を指導いたしたいと思います。
  191. 勝澤芳雄

    勝澤委員 総裁、それはあなたと私とお年が違うから、あなたの方は気長にと言うし、私の方は早くやれと言う。しかし、お年を比べてみたら、あなたは、せめて生きているうちにこういうものをなくそうという努力をする。私の方は、気長にやったって、総裁くらいになるまでにはそうなるのだから、こう、ものの考え方が逆になると思うのですよ。それとこれと比べてみましたら、これはあなた、最重要の問題ですよ。私は、ほかの問題を言っているわけではない。国鉄経営の中に大きく圧迫となっている問題、そして運賃値上げを契機にとにかく一番注目されている問題、あるいは国鉄がこれから経営の合理化をしようとして、一生懸命あらゆる個所で合理化の集約輸送をやったり、仕事を請負に出したり、あるいは線路をはずして自動車を入れる、こういうときに、一番問題になる問題というのは、この建設線ですよ。その建設線が、どうしても必要なものならよろしい。しかし、必要でないもの、あるいはむだなものが、今も考えられて、それが着工され、なおかっこれから調査されるものにそういうものが入っているとするならば、それはやはり国民にも、従業員にも納得するものをここできっちりしなければいけないと思う。それをほかのことでだまされないように、やはりこの問題はいつまでに、あるいはきょうお答えが困難なら、どうするかという方針を国鉄として立てるべきだ、私はこう思うのです。どうでしょうか。
  192. 十河信二

    十河説明員 この新線建設が、国全体として経済開発その他文化の向上に役立つか、役立たないか、あるいはその緩急の度合い等も、いろいろな意見があります。いろいろな愚見がありますが、そのいろいろな意見を総合して決定するのが政府であり、今の建設線につきましては、大体その審議会が朝野両党の代表者を入れ、そのほかに学識経験者が入って、そこでおきめになるのですから、個人の意見はいろいろありましょうが、総合した立場から決定されたことは、われわれはこれを尊重する必要があるのじゃないか。だから、たとい自分の意見と違うところがあっても、その違うところがあるからといって、自分の義務を怠るようなことをしてはならぬということを申し上げたわけであります。
  193. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、総裁は、新線建設の問題では、鉄道建設審議会の下に国鉄総裁がある、今の御答弁はそうなるのですが、そうですが。
  194. 十河信二

    十河説明員 下とか上とかいうことではないのでありまして、それは政府で設けられた審議会でありますから、その審議会意見を尊重して、最後の決定政府なり、国会なりがするのだ。しかしながら、自分自身は反対の意見を持っておるからといって、建設審議会決定を無視することは私にはできないのでありますということを申し上げたのであります。
  195. 勝澤芳雄

    勝澤委員 総裁、先ほどからの話で、建設審議会が与野党で一致してきめるので、何か不合理なものでも、大へんなものでも、自分の意見と違っても、のまなければならぬというふうに、聞き方によっては受け取れるのですが、建設審議会意見は、割合公平に出されておるのです。たとえば利子補給をしなければとか、いろいろ条件が出されておる。それが満たされていないから、国鉄経営についての圧迫があった。今私が言うのは、そういう点もあわせて、政治路線というものについて、もう少し検討しなければいかぬじゃないか。まだこれからの予定でも、千五百億作らなければならぬ線があるのでしょう。今まで投資したのが約四百億です。これからはまだ千五百億投資をしなけばならぬ。今まで四百億の投資をした中で考えられるのは、毎年三十六億の赤字なんだ。これから千五百億投資をしたら、毎年の赤字は一体幾らになるでありましょう。それを考えないといかぬ。経営者として、企業者として考えなければいかぬ。働く従業員から見れば、いかに国鉄は公共企業体となっても、経営者の方はまだおやじの日の丸だ。これでは働けば働くほど損だ。こういう考えになる。それは、監査委員長も言われておるわけです。だから、建設審議会でいろいろな意見を出します。それをあなたが尊重するのはけっこうです。しかし、国民の代表として国鉄を監査する監査委員会が出しておる、この監査報告書に対しても、あなたは尊重しなければならぬ義務がある。今日運賃値上げを契機に、この建設審議会の問題もあれば、それも含まれるでしょうけれども、今後の新線建設については、国鉄としても、政府に対して、新線建設のあり方についてもう一回再検討してもらう時期に今きておるわけです。そうしなければ、国民が納得できない。それをあなたは、明確にされる時期に今きておる、それを聞きたいのです。
  196. 十河信二

    十河説明員 そういうふうに考えまして、政府に申請をしてお願いをした結果、利子補給ということがきまったということを申し上げておるのでございます。
  197. 勝澤芳雄

    勝澤委員 新線建設の問題は、やればやるほど国鉄としては問題があると思います。そこで私は、運輸委員会でも要求しておったのですが、まだ出ておらないのですけれども、一つきのう申し上げました資料をしっかり出していただきたい。一体国鉄は、新線建設費の赤字の経常費の圧迫を幾らまでやるのか。三十四年度までで三十六億。三十五年末でもふえる。三十六年末でまたふえるでしょう。新しい線を作って、経常費の赤字が出る。それを公共企業体として、幾らくらいまで赤字が出ても国鉄は受け付けるのか、こういう点などの資料は、まだ出てないと思う。その点、この際新線建設に伴う国鉄経営の問題点というふうなものを、ぜひ検討されて、一つこの際国会に提出していただきたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
  198. 十河信二

    十河説明員 われわれとしては、赤字はできるだけなくしていく、軽減していきたいということに、今までも努力して参りましたが、今後も懸命の努力をするつもりでおります。
  199. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今私が申し上げました昭和二十七年からの新線建設に伴う国鉄としての諸問題、それからこれからの投資の建設審議会できまっている状態、この中から、国鉄新線建設によって赤字を作り、それを変わった形で国民に転嫁をしていると私は思うのです。ですから、その点についての総括的な国鉄のPRを、一つ国会中に出していただきたいと思うのですが、総裁どうでしょうか。
  200. 十河信二

    十河説明員 いろいろ御意見は承りましたが、この前も申し上げましたように、私たちは、鉄道をかけるよりか道路の方がいいじゃないかと思うところでも、地方へ行ってみますと、地方の国民が非常に熱望するのです。それゆえに私は、この前も別な機会に申し上げたかと思うのでありますが、国民に鉄道よりかもっといい新しい交通機関のこういうものがあるのだ、だから、これをやられたらどうかということで、たとえば白棚線の鉄道をやめて自動車道路にして、地方の国民が非常に満足しておられるというふうなものを、これを映画に作りまして、そうして全国方々でPRをやっておるのであります。今日までもやっておりますが、将来もこれを続けてやるつもりでおります。
  201. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは、総裁はだいぶお気の毒のようですから、一つ監査委員会として指摘をされていることでもありますし、三十四年度にしても指摘をされておるのですから、三十五年度以降の問題についても検討されて、ぜひ出していただきたいのです。  先ほど監査委員長は、人件費の増大の問題について申されました。また、人件費の問題につきましては、国鉄はわざわざ諮問委員会を作って、その答申を求めました。それと同じウエートにあるこの新線建設については、国鉄はまだまだ政治的に自主性がないようで、そういうものを出すと、どうも怒られそうだから、総裁はあまり積極的に出す意思はないようでありますけれども、監査委員会としては、そういう点は問題ないようですから、三十五年度のこういうやつを出されるときに、その見通しについては、やはり十分監査をして、そうしてあと千五百億の投資というものがあるのですから、そういう問題まで含めて、一つ見通しを御検討願いたいと思うのですが、どうでしょうか。
  202. 石田礼助

    ○石田説明員 ただいまのお話は、ごもっとも千万であります。監査委員会としては、ある問題を提起いたしまして、さらに考えた結果、われわれの主張に正当性がある場合には、決してその年でやめるのではなくて、何年も何年もやる。これは、これまでの監査委員会の報告をごらんになれば、十分御承知のことだと思います。ただ、これはよけいなことだと思いますが、総裁からただいま申されたように、この新線建設の問題の震源地は、何といったって鉄道審議会なんです。その中に各党の代表者というものがおられるのだから、その中で一つ御奮闘せられるということが、最も効果的じゃないかと私は考えるのです。
  203. 勝澤芳雄

    勝澤委員 国鉄当局も、あるいは監査委員会も、この新線建設の問題については、まことに企業能力がないものの考え方で、私は、はなはだ遺憾であります。その責任を建設審議会に負わして、いかにも国会にも責任があるようなものの言い方をされている点は、大へん遺憾であります。従いまして、私は、皆さんがお出しにならないなら、けっこうであります。私が十分調査をいたしまして、いかに国鉄あるいは監査委員会の怠慢によって、こういうものがそのまま見のがされているかということを十分審査をして、この問題があと千五百億を投じたら幾ら赤字になるのかというような問題を、十分別な機会に究明したいと思います。一つ監査委員会の方でも、十分御用意をしておいていただきたいと思います。  それから次に、私は今度は公共負担の問題についてお尋ねするのですが、公共負担について、監査委員会国鉄に勧告をしているわけでありますけれども、公共負担というものについてのお考えは、どういうふうにお考えになって、これは公共負担にすべきであるというふうに出されたのですか。
  204. 石田礼助

    ○石田説明員 公共負担の問題につきましては、公共負担というものを是正をしなければいかぬということを、三十四年度の監査委員会の報告においては、その冒頭においてうたったわけです。要するに、さっき申し上げましたように、国鉄は合理化というものを徹底的にやらなければいかぬ。それには、国鉄内部の問題と国鉄外部の問題がある。国鉄内部の問題につきましては、さっき申し上げました。国鉄の外部の問題については、公共負担の是正、それから新線建設問題ということが出てくるわけです。それで、との公共負担の是正ということは、結局運賃の合理化だと私は思う。たとえば、学生に対する九割二分なんという割引は、いかに考えたってこれは問題にならぬ。また、通勤者に対する八割以上の割引だって、これまた問題にならぬ。新聞紙、雑誌に対する八割の運賃割引だって、これまた問題にならぬ。ここに合理化の余地がある、こういうことですが、これは結局国策そのほかいろいろの原因によって出てきていることでありまして、国鉄総裁としては、たとえば新聞運賃の是正をやるとかなんとかいろいろ主張したのですが、幸いに新聞の方はある程度できましたが、いずれにしても、一ぺんにやるということはどうしてもできぬ。やはりこれは時をかしてやる、こういうことで、私は、これは国鉄としては今後ともしつこく進むべき問題ではないか、こういうことに考えております。
  205. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたが指摘をされた公共負担というのは、今日はだれが負担をしておるとあなたは思いますか。たとえば定期の九割引きをやっておる。あるいはこれはこんなに割引をやっておる。その割り引かれている運賃というものは、だれが負担をしているとあなたはお考えですか。
  206. 石田礼助

    ○石田説明員 公共負担による国鉄のマイナスというものの是正は、結局私は運賃がやっているのではないかと思います。
  207. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ほかのお客がですね。
  208. 石田礼助

    ○石田説明員 そうです。お客、それから貨物です。そういうことじゃないですか。
  209. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そういう、あなたの言う合理化すべき割引をやっているその割引の運賃を負担しているのは、だれが負担をしているかというと、ほかのお客や貨物の荷主が負担をしているわけです。ほかの旅客やほかの荷主が負担をしている。それはけしからぬ。 しからぬ。だから、それは国の政策の中で行なわれているものは当然国が負担をすべきであるということを、私たちは今度の運賃値上げには、公共負担法という法律を出しまして、今運輸委員会で一生懸命やっているわけです。結局これは監査委員会が出した報告に基づいて、公共負担は一般利用者が負担している。これは国の政策でやられておるのだから……。国鉄が負担しているのではないのです。一つその点だけは了解していただきたい。  そこで総裁お尋ねしたいのですが、結局そういうしわが、今日都市輸送の行き詰まりになっている。これは監査委員会も、何回となく指摘された。このままでは、都市輸送が行き詰まる。早く何とかしなければならぬということを、何回も指摘している。御無理ごもっともでございます、五カ年計画努力をします、こう言っておるのですけれども、実はもうからぬところにはやらないんです。公共的なところであってもやらない。しかし、片方でもうからぬところでも、どんどん新線を作っている。ここに私は、国鉄経営のやり方についての矛盾があると思うのです。都市輸送について、全般的にはまたいつかの機会にお尋ねしたいと思うのですけれども、総裁、これは先ほどの新線と同じように大きな勇気をふるうならば、国電の複々線化というのは可能なんです。あるいは都市交通を何とかするための、もっと積極的な努力というのは、可能なんです。片方で、山の中の新線というのが、道路があるとか、あるいは私鉄が走っているところにできているです。それで、それができたために赤字になっている。だから、そういう都市交通について、もっと積極的な努力が必要だと思うんですが、その点、総裁の御意見はどうなんですか。
  210. 十河信二

    十河説明員 ごもっともで、われわれも、われわれのなすべき努力を相当やってきたつもりです。また、今後ももっともっと一生懸命やろうと思っておりますが、これはなかなか容易でないんです。たとえば、今一番問題になっておりますのは、中央線です。中央線の御茶ノ水から東京駅まで、線路をもう二本増したいということで予算も用意いたしまして、いろいろ苦労をいたしましたけれども、どうしても用地の買収ができないんです。そこで、今年非常な殺人的の混雑というふうな状態に相なったというのは、まことに遺憾に存じますが、これもラッシュの一番混雑する時間帯は、八時半から九時までなんです。この間は、二分間隔で十五列車、十両編成で動かすことになっておるのでありますけれども、お客さんが殺到して、十五列車動かすことができない。半分しか動かせなかった、こういう状態でありますから、もっと線路を分散して、都市の合理的な計画が進められないと、どうしてもうまくいかぬじゃないか。山手線をもう一つ複線を作ったらという御意見は、まことにごもっともだと思いますが、この山手線の複線を作るに何年かかるか、何十年かかるか、われわれでは、ちょっと見当がつきかねるのであります。そういうことは、容易にできないのです。それで非常に苦労をいたしておりまして、午前中にも申し上げましたように、やむを得ないから、中央線の中野あたりから、今度地下鉄の五号線というのに中央線を乗り入れて、それから先の方だけ、しやすいところを複々線を作って、そうして困難なところは、他の方法によって何とか一つ緩和しようじゃないかということで、今苦しまぎれにそういう相談を運輸省や地下鉄とやっておるところであります。できるだけ御趣旨に沿うようにやりたいと思いますけれども、そういうふうな実情であります。
  211. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、私は、監査委員会として当然指摘をすべき事項にかかわらず、指摘をしていないという点を、これから国鉄経営の中で指摘をしたいと思います。  それはまず、帝都高速度交通営団に対する出資の問題であります。午前中の質問の中で、監査委員長はそう詳しく御存じでないような様子も見受けられましたけれども、帝都高速度交通営団に対する出資というものは、かつての国有鉄道の残存であって、今日公共企業体となった国鉄というものは、国鉄自体が金繰りに困っておるのですから、そんなところに出す必要はない、こういうふうに思うのです。また、帝都高速度交通営団への今日国鉄出資は、たしか七十億ほどと存じます。国鉄の資本金は八十九億だと聞いておりますけれども、帝都高速度交通営団は、それを含めて約百十一億と言われておりましたけれども、こういう点を考えると、帝都高速度交通営団に対する国鉄出資というものは、この際政府出資をする、こういうふうに私は移行すべきだと思うのです。そこで、それらの問題については、もう再検討すべき段階にきていると思うのですが、鉄監局長、まだ再検討すべき段階でないのでしょうか。
  212. 岡本悟

    ○岡本政府委員 この問題につきましては、先般、運輸委員会で勝澤先生のお尋ねにお答えいたしました通りでございまして、現段階におきましては、やはり現在のような行き方が適当であろうかと存じております。
  213. 勝澤芳雄

    勝澤委員 一応一つの話題を投げかけておきましたから、監査委員会の方で一つ検討願えば、今の鉄監局長意見というものは少し無理だなというのがおわかりになろと思います。別の機会に私はこの問題はお伺いすることにいたしまして、もう一つ国鉄に公安官という警察官がおるのです。これは一年間に十五億の金を使っておる。これも私は、もうそろそろ終戦じゃないわけですから、再検討すべきときにきておる、こう思うのです。十五億、預託金より率が多いわけですから、これも、今日まで監査委員会としては検討されたか、あるいは検討しなかったか、あるいはされたけれども、こうだったというような御意見がありますれば、お伺いしたいと思います。
  214. 石田礼助

    ○石田説明員 実は公安官の問題につきましては、白状して申しますと、去年まではそう深く立ち入って検討したわけではありません。実はきのうやったのです。私は、うそを言うのはきらいだから、正直に申し上げます。そこで今までにわかったところで言うと、私は、公安官の方は強化こそすれ、むしろ弱化すべきではない。これは私は、決して労働運動に関連して言うわけではございません。ございませんが、最近における列車内の秩序というものは、非常に乱れている。これの一番いい例が、関西におけるあの持ち込み屋、何といったか、むずかしい名前で言いますが、これなんか、もうどうにもならない。実にひどい。これは、このままにしておいたら、一体どうなるか。そしてまた、最近における不正乗車というものは、すこぶるひどい。この不正乗車は、監査委員会といたしまして、かつて東京管理局長に対して、徹底的にやらねばいかぬと申し入れた。要するに、近ごろの若い人たちは、不正乗車をすることを非常に楽しんでいる。今にしてこれをつまなかった日には、これが一般的な問題になったら、諸君どうしますか。大へんな問題ですよ。これを取り締まるのが公安官。公安官を離れてこれを取り締まる道はありませんよ。そうして私は国府津に住んでおりまするが、皆様のうちに国府津に住んでおられる人があれば同感だと思うのだが、ある汽車に乗っていくということは、非常な危険ですよ。たとえば私なんかは、一等車に乗って一人になったら、決してそこにおらぬな。二等車に移りますよ。あの中を横行濶歩してあるく人たちを見てごらんなさい。実に物騒だ。こういうことを取り締まるということは、これは私は国鉄の義務だと思う。つやり車内における安全秩序というものは、どうしても維持しなければいかぬ。安全なる旅行ができないで、国鉄の存在に何の価値がある。こういうことになりますと、私は、公安官の存在というものは、むしろ強化すべきもので、弱化すべきものではないと思う。どうぞ一つ実情をお調べ下さい。
  215. 勝澤芳雄

    勝澤委員 監査委員長、実情はあなたより私の方が知っているんです。あなたはきのう審議した。審議した内容は、国鉄の資料によってやったわけです。かりにこの監査報告書国鉄の資料によって書かれたとするならば、国鉄の都合のいい監査報告書になっていると思う。ですから、国鉄の都合の悪いことは出ていないということを二つ言った。一つは、帝都高速度交通営団に対する問題、これは議論のある問題です。もう一つは、鉄道公安官の制度に対する問題。それは、車内の秩序を維持しなければいかぬ、取り締まりをしなければいかぬということは、あなたと私とは同意見です。それはだれがやるべきかということの意見が違う。これは戦争前は、移動警察で警察官がやっておった。終戦後になって、ごちゃごちゃとなって、議員立法で作ってしまって、労働運動には適用しませんといってあれは作られたが、このごろは、労働運動専門に公安官というものは作られておるわけです。ですから、あなたがおっかない汽車が通っているというのは、公安官が本来の仕事をやることができなくて、よその方へ行っておるもので、そういうことになっている。そこで私は、やはり公安官の制度というものを、国鉄という企業の中で、国鉄自体がやるのが正しいのか、それとも、それは本来の仕事として警察がやる。昔やっておったのだから。それが正しいのか、こういう論争になるのです。労働運動というものを抜きにしたら、そういう論争になる。そうすると、今国鉄はあらゆるところでもって、とにかく合理化しなければならぬ、合理化しなければならぬでやってきたわけです。その中で十五億も占めて、約三千人という人がおって、そういう仕事をしなければならぬかというところに、疑問が起こるわけです。ですから、それをやる必要がないといって、ある時期は減らしてきたことがあるのです。ですから、今私が申し上げましたことを、もう一回、国鉄の資料だけでなくて、十分御検討されて、一つまた監査報告を書かれるときには、大きな視野に立って、国鉄経営という立場からこの際検討をお願いをいたしまして、私の質問を終わっておきます。
  216. 石田礼助

    ○石田説明員 ただいまの公安官に関して反対される空気は、私は二つあるように承知しました。第一は、十五億の経費がかかるということ、第二は、労働運動に対して手を出すということ。けれども、労働運動に対する問題は、これは年に一度か二度の問題だ。公安官としては、たまたまそういうことがあって、国鉄の運転が阻害されるがゆえに、大衆のために公安官が国鉄の運転を擁護するというので、これはどうも仕方がないと思う。第二に、経費の問題である。十五億といえば、実際十五億かかっていますが、そのほかに不正乗車取り締まりから来る収入というのが相当にある。(勝澤委員「車掌が足りないからだ」と呼ぶ)車掌を置けばまた金がかかる。結局十五億というのは、それから相当に大きなやつを引くということになると、これは一つの経費を落としてもいいんじゃないか。現に不正乗車によって失うところのものは約五十億、その三割をやれば、十五億というものは十分浮いてくる。そして鉄道の秩序、公安が保たれるということになれば、またあなたがお考えを直されることになるんじゃないかと思うな。
  217. 宇田國榮

    ○宇田委員長代理 山田長司君。
  218. 山田長司

    山田(長)委員 いろいろ監査当局の名答弁もあるようでありますが、さらに十河総裁に伺いたいのです。実は昨日、三十二年度から三十六年までの五カ年計画につきまして、いろいろ伺ったのでありましたが、最初のこの五カ年には、取りかえ及び諸改良のために使われた、そういうことが経費の点で言われており、それから進捗状態もこれでかなり進んだと言われておったのでありますが、何と言いましても、新線建設にかなりの経費が使われているんじゃないかと思うのです。これらから見ますと、通勤輸送とか、幹線輸送とか、こういうものの進捗状態は、必ずしもよくなかったと思うのです。そこで、これらから勘案いたしまして、三十六年からさらに四十年の新五カ年計画の表を見ますと、今度は取りかえその他の点は、経費の点が、前から比較いたしますとそう問題にならないと思うのでありますが、この状態で次の五カ年計画というものに立ち至ってうかがいますと、一体次の五カ年計画が必ずしもうまくいくかどうかという点については、疑念を持つわけなんですが、新路線などに対しては、今度はいかなるお考えをお持ちになって、五カ年計画を遂行されるのでありますか、これを伺っておきたいと思います。
  219. 十河信二

    十河説明員 それは午前中にもちょっと触れて申し上げましたが、建設審議会の方でも、自動車の発達道路改善等にかんがみまして、自動車にした方がいいというところは自動車にすべきであるという御意見でありまして、私どももしごくごもっともだと考えまして、最近の地方の開発状況経済状態、あるいは道路の改善の状態、自動車の発達等を考えまして、総合的に今再検討をさせておるところであります。いずれその検討ができましたら、これを建設審議会の方へ提出して、意見を申し上げることになるはずであります。今はそういう検討を作業いたしておる途中であります。
  220. 山田長司

    山田(長)委員 作業の途中であるというのでありますから、さらに突き進んで第二次五カ年計画について質問をすることをやめますが、次に伺いますことは、国鉄と私鉄との連絡未収金の回収についてであります。国鉄と連絡して運輸締結をしている会社が、昭和三十四年度末現在で二百六社、国鉄と相殺収納月額は十億であったようでありますが、それが三十三年末ごろに十社で一億四千百九十七万円であって、それがさらに三十四年度末には八社で一億千五百八十一万、減少はしているのですが、しかし、ここでたな上げ以外に、三十三年に五社で四千四百五十九万円、それから三十四年度末に十一社で一億四千六十万円、これが回収せずにある。こういうことで、またそのたな上げをするのではないかという印象が、決算委員会としては持っているのです。この点で、このたな上げをした会社、それからたな上げをせずにありますけれども、納金が非常に悪い会社の役員名と顧問名をここでわかるなら、知らしてもらいたいと思います。
  221. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまのお尋ねの会社の名前だけはわかっておりますが、役員名までは今ここにはちょっと資料の持ち合わせがございませんが、会社の名前だけでも申し上げましょうか。いかがいたしますか。
  222. 山田長司

    山田(長)委員 会社の名前だけでいいですから、たな上げしたとき、その前にたな上げされた会社がまた残っているかどうか。
  223. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 このたな上げと申しますのは、よく御存じと思いますが、滞納金を弁済させます方法を定めて、弁済手段として一応たな上げをしたわけでありまして、たな上げしたものは、弁済させないというわけではございません。これは別の方法で弁済させておるという意味でございます。そこで、たな上げをいたしております会社が、三十四年度末で八社あるわけでございますが、その八社の名前は寿都鉄道、岩手開発鉄道、流山鉄道、草軽鉄道、岳南鉄道、御坊臨港鉄道、船木鉄道、山鹿温泉鉄道、この八社でございます。
  224. 山田長司

    山田(長)委員 たな上げ以外の会社で、十一社滞納がありますね。この十一社はどうですか。
  225. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 たな上げ以外の十一社は、銚子鉄道、北丹鉄道、加悦鉄道、南薩鉄道、筑豊鉄道、定山渓鉄道、茨城交通、北陸鉄道、有田鉄道、九州商船、島原鉄道、それだけでございます。
  226. 山田長司

    山田(長)委員 わからぬと今言われましたが、これらの会社の役員とそれから顧問名、これらを一つ、きょうわかっておれば、わかっておる範囲で答弁して下さい。わかっていなければ、あとで資料等で出して下さい。
  227. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 役職員、顧問の名前は、今ちょっとわかっておりません。
  228. 山田長司

    山田(長)委員 資料として出して下さい。  次に、総裁に伺っておきたいのです。それは、国鉄の資金繰りから起こっていることと思うのでございますけれども、国鉄の駅の庁舎です。駅の庁舎が、資金難から起こっているとはいうものの、民衆駅になってしまって、たとえば池袋のような場合、現在ではあの状態で仕事はできるにいたしましても、将来の日本の交通量から考上えて、東京の交通量から考えて、あそこが狭くなることは時間の問題だと思うのです。こういう場合、監査委員会から別に出ていないようでありますけれども、民間資本があそこへ入ってしまったために、にっちもさっちもならなくなってしまうと思うのですが、こういう場合、やはり国鉄の将来を考えたときに、民間資本を導入してにっちもさっちもならないような形に作るのでなくて、やはり借入金でああいう民衆駅を作り上げるのではなくて、何とか独自の建物を作っていかなければ、あとで非常に困ることが起こるのではないかと思うのですが、この点いかがなものですか。
  229. 十河信二

    十河説明員 なるべくそういうことが起こらないように用意はいたしておりますが、戦災で多数の駅が破壊せられて、都市計画でほかは完成したが、肝心な都市の中心になる駅が完成しないというようなことのために、地方に非常に御迷惑をかけているというような実情を考えまして、なお、弊害の起こらないように、民間の権威者をわずらわして委員会を作って、われわれだけでなく、広く知識を求めて検討いたしまして、その上で、なるべくその地方の皆さんに御迷惑をかけないように、国鉄の運転に支障を来たさないようにということで、民衆駅というものをやっているのであります。今お話のような支障を来たさないようにということは、いろいろ配慮をいたして実施いたしている次第であります。
  230. 山田長司

    山田(長)委員 先ほどから、いろいろ監査委員会からも資金のやりくり等について御意見を伺ったのですが、国鉄当局といたしまして、やはり資金のやりくり等について、たとえば民間の資金が入っておるのがありますが、これらについても、資金運用部から金を借りて一本化した形でいかないと、これはいろいろ不明朗なものを感ずるのですけれども、この点について、総裁はいかがお考えですか。
  231. 十河信二

    十河説明員 お話の通り、できるならば自己資金でやりたいのであります。また、できるならば資金運用部の資金の融通を受けてやるのが一番いいと思いますけれども、なかなか資金の需要多端でありまして、思うように参らないものでありますから、やむを得ず、民間の資金を拝借してやるようなことに相なっておるのであります。
  232. 山田長司

    山田(長)委員 報告書などを見まして強く印象を受けるのは、外部の資金を導入をしているということで、何か国鉄一家だけがうまいことをやっているのではないかという印象が出てくるのです。たとえば宿舎の問題だとか、あるいは民有車両の問題だとか、あるいは極超短波の機械の購入等について、借り入れている額が、大した金額じゃないにいたしましても、利息で支払っている金というものが、宿舎の建設に使われているのが五億八千三百万円利息を払っている。あるいは民有車両の問題について、三億九百万円の利息を払っているというような工合で、これがもし強引に資金運用部の金でも使っているということになれば、不明朗も感じないのですが、監査委員会の報告書の中にこれらのことが指摘されていますけれども、やはりこういう点については、はっきりした線で資金の借り入れというものがなされないといかぬのじゃないかという気がするのです。総裁どういうふうにお考えですか。
  233. 十河信二

    十河説明員 その点、私、国鉄一家というふうな考えをもっていささかもやっているものではないのであります。それぞれの自己資金でやる場合でも、資金運用部の資金を使ってやる場合と同じようなやり方でやっておりますから、別にそういう憂いはないように考えております。
  234. 山田長司

    山田(長)委員 それから、小川委員が先ほど質問した中に、信濃川の発電工事の問題があるのです。これについて監査委員会指摘があるのですが、投資効果から見まして、数十億の金を投じて仕事をなさる場合に、それが何年もの歳月を費やしているとすれば、これは投資効果が半減してしまうどころか、なくなってしまうと思うのです。こういう場合、やはり何とかもう少し早く資金の借り入れをやって、所期の目的が達せられるようにすべきものと思うんです。幾ら資金が入手できないといつも、どうせ作らなければならぬことなんですから、早く完成さして効果を上ぐべきものと思いますけれども、これはどういうことで工事が伸びておるのですか。これは総裁と監査委員長に伺いたいと思います。
  235. 十河信二

    十河説明員 お話の通りに、資金が潤沢にあれば、できるだけ輸送量に見合った速度で早くやりたいというふうに考えておりますが、資金が十分でないために、そういうふうな不経済なことをやって参ります。それにしても、なお改善の必要があると認めまして、今朝も関理事から説明いたしましたように、四号機と五号機を早く取りつけて、その資金効果をできるだけ高くしようじゃないかということで、今四号機の取りつけを計画して進めておるような次第であります。今後は、ああいうだらだらしたことをなるべくやらないように努力いたしたいと思います。
  236. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連して。こまかいことですが、国鉄工事、たとえば貨物引込線とか、ポイントの切りかえ部分とか、それぞれセメント工事に必要な工事が、冬季間になってから施行されている例が非常に多いのです。これは一般官庁の四月から三月までの年度の区切り方、こういうところから、予算の配分ということで仕事はやむを得ずおくれるという、煩瑣な手続からそういう工合になるということもあるのですが、国鉄という公共企業体は、もっと早目にそういう仕事をやり得るのではないか。これは日も短くなるし、コンクリート工事なんか、ことに雪国では、冬はちょっと楽じゃない。ロスが非常に多くなるんじゃないか、こう見ておるのです。何かあれを改善する策はないものか。やり得るんじゃないかと思うのです。この点は、十分お気づきで改善策をとられておるんだろうと思うのですが、それはどうでしょうか。
  237. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいま御指摘のございました点は、私どもとしても気がついておるのであります。しばしば御注意を受けたこともありますし、できるだけセメントを使うような工事は、冬季にかからないうちにやれるように、今までもある程度債務負担行為等の制度も利用いたしましてやっておるわけでございますけれども、まだ努力の足らない点があったことは、遺憾に存じております。しかし、最近では、これらの工事に対して、工事の指定を急ぐとか、いろんなことで、できるだけ早く、今御指摘を受けたことのないように、なお一そうの努力をいたしたいと思っております。
  238. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に、広告掲載とか、あるいは構内の営業とか、こういうものとの料金の協定をやる場合に、一体何を基礎にしてやっているんだろうか、こういうことを私感じておるのです。構内の売店なんかは、駅として純粋な意味における旅客輸送に直接でない——直接でないという言い方は少し語弊がありますが、旅客の便益も考慮しなければならぬから、駅の構造としては必要かもしれません。しかし、やはり駅それ自体の純粋な意味の目的からいえば、オーバーした建築設計になるだろうと思うのです。そういう場合に、オーバーした設計になって投資したものを算定をして、契約がなされておるかどうか。また、広告なんかでは、あき間を利用するということでも間に合うのですが、構内での販売とかいう場合においては、初めからそれを予定した設計になっている。それだけ金がつぎ込まれております。そこの分をはっきり算定して、そうして何年で償却するという立場から、料金の協定、はじき方をしておるかということ、そういうところがちょっと疑問なんですが、そういう点はどうですか。
  239. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 構内営業料金とか、あるいは広告料金というものは、私どもの方でいわゆる雑収入に当たるものでありますが、これらの料金につきましては、数年来ほとんど毎年のように改定いたしまして、逐次引き上げておるわけでございます。今後もなお引き上げるつもりでおりますが、その計算の基礎につきましては、担当管財部長が今来ておりますから、管財部長からお答え申し上げます。
  240. 山崎武

    ○山崎説明員 お答えいたします。  ただいま御質問の御趣旨の中に、構内で営業をいたします場合に、償却とか、あるいは面積をあらかじめ考えていないのかという御趣旨のようにちょつと承ったのでありますが、実は構内の営業には二種類ございまして、公衆営業という面と、旅客営業という面とございます。最近できました民衆駅でございますが、これは国鉄で当初から駅を作るという計画がございましたところへ民間から資本を入れるという場合には、民間の資本の入れ方によりまして、規模はおのずからきまってくる。それにつきまして、私どもとして、公衆営業としてはある土地の評価をいたしまして、坪当たり幾らということで取っておるわけでございます。これと採算に基づきまして、やはり公衆営業として入居者をきめていることになっております。ところが、ただいまちょつと先化がおっしゃいました旅客営業的なもの、たとえばくつみがきだとか、あるいは一階に食堂なんかがございます。あるいは置き台で新聞を売っているのがございますが、これは当初から予定はいたしておりません。駅というのは、やはり旅客公衆を対象としているものでございますから、旅客公衆のために十分なる面積をとるようにしておるわけでございます。たまたま階段の下とか、あるいは場所によりまして、こういうところにお客様のために新聞の置き台でも置いたらいいというような場合には、それを許しておるわけでございます。その場合の計算の基礎と申しますのは、置き台のような小さいものは、面積坪当たり幾らというふうに取るわけに参りませんので、売り上げに対して、ある比率をもって取っております。ああいう小さいものは、大体千分の十七がまず最低になっております。非常に高いものは、千分の二十五くらいになっております。それから食堂のようなのは、やはり面積を使います。あるいは理髪店のようなものも、そうでございます。これは、十五平米以上は、やはり売り上げによって取るというよりも、むしろ土地を対象にすべきではないかというので、坪当たり幾らということにいたしております。この坪当たりの評価といいますのは、東京あるいは大阪におきましては、評価委員会というのがございまして、それをもとにして、ある。パーセンテージをかけて取っておる次第でございます。
  241. 西村力弥

    ○西村(力)委員 いずれこれはもう一回やることになるんじゃなかろうかと思うのです。それで、きのうの交通公社の後払いの問題にしましても、ただいまの料金の設定にしましても、副総裁の言では、年々それを料率を上げたり、契約金を上げたりしてやっておる。これは一応けっこうのように聞こえますけれども、それだけ、初めから協定に基礎がなくて、腰だめで約束をしておる。ところが、実際にこれが正当な、妥当なものでないということから、逐次上げていく、こういうことをやる、そのそもそもの最初のなにが、腰だめ的なものから発しているから、そういう工合にせざるを得なくなっているんじゃないか。こういうような問題につきましても、やはり国鉄ということになれば、確たる基礎資料、基礎計算に基づいてなされるべきじゃなかろうか、こういう気がするのであります。  きょうは、もっとお尋ねしたいことがあるのでありますが、後日にまた譲ります。
  242. 宇田國榮

    ○宇田委員長代理 今後の審査日程につきましては、散会後の理事会によって協議いたすこととし、本日は、この程度にとどめ、散会いたします。    午後四時十五分散会