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1961-04-13 第38回国会 衆議院 決算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月十三日(木曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員   委員長 荒舩清十郎君    理事 木村 公平君 理事 高橋 英吉君    理事 丹羽喬四郎君 理事 三和 精一君    理事 小川 豊明君 理事 勝澤 芳雄君    理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    久保田藤麿君       薩摩 雄次君    正示啓次郎君       鈴木 正吾君    藤井 勝志君       森本  靖者    山田 長司君  出席政府委員         運輸政務次官  福家 俊一君         運輸事務官         (鉄道監督局長)岡本  悟君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局総務課         長)      亀徳 正之君         会計検査院事務         官         (第五局長)  平松 誠一君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     兼松  学君         日本国有鉄道常         務理事     関  四郎君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  山田 明吉君         日本国有鉄連参         与         (資材局長)  紙田千鶴雄君         日本国有鉄道参         与         (監察局長)  川本  勇君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十三年度政府関係機関決算書  昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十四年度政府関係機関決算書      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和三十三年度決算及び昭和三十四年度決算中、日本国有鉄道関係について、審査を進めます。  まず、運輸政務次官より決算概要について、説明を求めます。福家政務次官
  3. 福家俊一

    福家政府委員 昭和三十三年度日本国有鉄道決算書会計検査院決算検査報告とともに本国会に提出いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和三十三年度における日本国有鉄道収入は、上半期における経済界不況影響による不振が大きく響き、下半期に入って幾分持ち直したとはいえ、年間を通じて大きな伸長が見られませんでした。これを予算予定した収入に比較いたしますと、旅客においては、わずかではありますが予定を上回ったのに対して、貨物においては、大幅に予定を下回りましたので、結局、全体ではかなり予定を下回る結果となりました。一方、支出面におきましては、日本国有鉄道は、極力支出節約に努め、経営合理化をはかりましたが、収入減が大きく響き、予定された純利益を上げるまでには至りませんでした。ところが、損益計算上は、営業外利益約七十四億円があったため、百一億円余の純利益を生じ、前年度に引き続いて黒字決算となっております。  以下、決算内容勘定別に御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入済み額は三千三百七十八億円余、支出済み額は三千三百三十五億円余でありまして、収入支出を超過する額は、約四十三億円であります。これに収入支出済み額に同額計上してある受託工事関係収支を除き、収入済み額に含まれていませんが、損益計算利益に屈する前期損益修正等営業外収入約九十億円、及び支出済み額に含まれていますが、損益計算損失に属しない資本勘定へ繰入額の中の四十四億円余を加算いたしますとともに、他方支出済み額には含まれていませんが、損益計算損失に属する固定資産除却約六十億円、前期損益修正等営業外経費約十六億円を減じますと、本年度利益は、前述のように百一億円余となります。  以上の決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額三千五百七十八億円余に対して、約二百億円の減収となります。その内容は、運輸収入におきまして百七十四億円余の減収雑収入におきまして約二十六億円の減収となっております。他方支出におきましては、予算現額三千五百九十二億円余から支出済み額を差し引きますと、その差額は約二百五十七億円で、そのうち、翌年度への繰越額は約六十一億円で、残りの約百九十六億円は不用額となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額は一千五十三億円余、支出済み額は一千五十三億円余でありまして、収支差額はありません。  以上の決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額一千百五十三億円余に対しまして、百億円余の収入不足となります。これは、損益勘定よりの受け入れ減約百八十億円、鉄道債券繰り越し発行額五十九億円、及び資産充当等による収入増加約二十一億円があったためであります。一方、支出におきましては、予算現額一千二百三十一億円余との差額は百七十八億円余でありまして、全額不用額となっております。  最後工事勘定におきましては、収入済み額は九百六十五億円余、支出済み額は八百七十二億円余でありまして、収入支出を超過する額は約九十三億円であります。これは、翌年度への工事繰り越し等があったためでありまして、その超過額は、運転資金増加となって現われております。  以上の決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、資本勘定からの受け入れが少なかったため、予算額一千六十二億円に対しまして、約九十七億円の減少となります。また、支出におきましては、予算現額一千百十五億円余に対しまして、二百四十三億円余の差額を生じます。この内容は、翌年度への繰越額九十億円余及び不用額約百五十三億円となっております。  なお、昭和三十三年度予算執行につきまして、前年度に比して半数以下に減少しているとはいえ、会計検査院から不当事項五件、不正行為一件の御指摘を受けましたことは、日本国有鉄道においても種々事情があったこととは存じますが、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに綱紀粛正と、予算効率的運用一段努力をいたすよう指導監督して参りたいと考えております。  以上、昭和三十三年度日本国有鉄道決算につきまして、その概略を御説明申し上げましたが、詳細につきましては、さらに御質問のつど御説明申し上げたいと存じます。  何とぞ御審議のほどお願いいたします。  昭和三十四年度日本国有鉄道決算書会計検査院決算検査報告とともに本国会に提出いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和三十四年度における日本国有鉄道収入は、景気回復によるわが国経済の大きな成長を反映して、年度当初から好調に推移し、旅客貨物収入とも予算を大幅に上回りました。ことに貨物収入において、経済界好況影響が顕著に現われております。一方、支出面におきましては、日本国有鉄道は、極力支出節約に努め、経常の合理化をはかりましたが、輸送量増加に伴う支出増加のほか、人件費減価償却費等固定的窪川増加が大きく響き、予定された純利益を上げるまでには至りませんでした。  しかし、損益計算上は、常業外利益約七億円を含め、約三十五億円の純利益を生じ、前年度に引き続いて黒字決算となっております。  また、昭和三十四年度までの国鉄五カ年計画進捗状況について申し上げますれば、金額面では全体の五〇%となり、当初の計画に比して若干のおくれを生じましたが、その成果は着々と現われております。  以下、決算内容勘定別に御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入済み額は三千六百九十一億円余、支出済み額は三千六百二十七億円余でありまして、収入支出を超過する額は約六十四億円であります。これに収入支出済み額に同額計上してある受託工事関係収支を除き、収入済み額に含まれていませんが、損益計算利益に属する前期損益修正等営業外収入約六十二億円、及び支出済み額に含まれていますが、損益計算損失に属しない資本勘定へ繰入額の中の約三十九億円を加算いたしますとともに、他方支出済み額には含まれていませんが、損益計算損失に属する固定資産除却約七十五億円、前期損益修正等営業外経費約五十五億円を減じますと、本年度利益は、前述のように約三十五億円となります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額三千五百八十五億円余に対して、約百六億円の増収となります。その内容は、運輸収入におきまして百二十四億円余の増収雑収入におきまして約十八億円の減収となっております。他方支出におきましては、予算現額三千七百八億円余から支出済み額を差し引きますと、その差額は約八十一億円で、そのうち、翌年度への繰越額は約五十五億円で、残りの約二十六億円は不用額となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額は一千二百十三億円余、支出済み額は一千二百十三億円余でありまして、収支差額はありません。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額一千二百十七億円余に対しまして、約四億円の収入不足となります。これは、損益勘定からの受け入れ減等による収入減が約三十九億円ありましたが、資産充当等による収入増加約三十五億円があったためであります。一方、支出におきましては、予算税額約一千二百四十七億円との差額は、約三十四億円でありまして、全額不用額となっております。  最後に、工事勘定におきましては、収入済み額は一千百十一億円余、支出済み額は一千七十五億円余でありまして、収入支出を超過する額は約三十六億円であります。これは、翌年度への工事繰り越し等があったためでありまして、その超過額は、運転資金増加となって現われております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、資本勘定からの受け入れが少なかったため、予算額一千百十五億円に対しまして、約四億円の減少となります。また、支出におきましては、予算明細一千二百三十五億円余に対しまして、約百六十億円の差額を生じます。この内容は、翌年度への繰越額約百二十億円、及び不用額約四十億円となっております。  なお、昭和三十四年度予算執行につきまして、前年度に比して三分の一に減少しているとはいえ、会計検査院から不当事項二件の御指摘を受けましたことは、日本国有鉄道においても種々事情があったこととは存じますが、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに綱紀粛正と、予算効率的運用一段努力をいたすよう指導監督して参りたいと考えております。  以上、昭和三十四年度日本国有鉄道決算につきまして、その概略を御説明申し上げましたが、詳細につきましては、さらに御質問のつど御説明申し上げたいと存じます。  何とぞ御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  4. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 続いて会計検査院当局より、検査報告概要について、説明を求めます。平松第五局長
  5. 平松誠一

    平松会計検査院説明員 まず、昭和三十三年度日本国有鉄道関係につきまして、御説明いたします。  個別事項は、不当事項五件、不正行為一件、計六件でございまして、前年度の十六件に比べて少なくなっております。  三四六号から三四九号までは工事に関するもので、三四六号は、東京電気工事局の委託により、盛岡工事局東北線電化のため必要な自動信号機用継電器類を収容する建物及び付属設備を施設したのでありますが、着手がおくれたため、工期内に問に合わせるためには、高価特殊組み立て構造のものとせざるを得なくなり、約四百四十万円だけが不経済支出となったというものでございます。  三四七号は、東京電気工事局で、東北線電化に伴いまして、宇都宮制御所−氏家間にケーブル一条を埋設する工事を請け負わせたものについてでありますが、関係個所相互連絡が十分でなく、埋設位賢適切を欠いたため、別途線路増設工事において線路敷を拡幅するにあたりまして、ケーブルの一部が支障となり、その移転のため三十四年度中だけで約百三十五万円が不経済となっていると認められるものであります。  三四八号は、東京電気工事局で武蔵境−新宿変電所間に特高ケーブル用管路を施設する等の工事を請け負わせたものについてでございますが、この工事予定価額積算におきまして、舗装道路の取りこわしについて、実際は大部分が厚さ五センチメートルのアスファルト簡易舗装であるのに、三十センチメートルのコンクリート舗装歩掛りを適用したり、管路の掘さく、埋め戻しの歩掛りが、他の同種工事の例に比べて過大であったり、土砂骨材運搬について、人肩運搬歩掛りを過大に見込んだり、型ワク製作取付面積を誤計算いたしておりますために、約六百九十八万円高価となっていると認められるものであります。  三四九号は、新潟鉄道管理局で請け負わせました新潟操車場拡張工事におきまして、予定価額積算にあたり、盛土の採取、運搬等積算適切を欠いたために、工事費が約四百五十七万円高価となっていると認められるものであります。  三五〇号は、物件でありまして、大井外二工場において、昭和三十三年度中に鋳鉄及び鋳鋼の鋳物用材料として使用したレールくずは、八百九十五トン余に上っているのでありますが、これは普通鋼くずより高価に売り渡すことができるものでありますから、これは売り渡すことといたしまして、ほかに発生する普通鋼くず特級品Aのうち、鋳物用として同等に使用できるレールくずを使用したといたしますれば、約四百五十万円有利となったと認められるものでございます。  三五一号は、職員不正行為により損害を与えたものでありまして、東京鉄道管理局北府中駅で、関係職員収入金三十三万二千余円をほしいままに領得したものであります。  なお、以上のほか、概説の項におきまして、工事費予定価額積算資材回転率とも改善の跡が見受けられますが、なお適切を欠き、あるいは過剰品を重ねて購入している例もありますので、一そうの検討改善を要すると認める旨を記述いたしてございます。  次は、三十四年度でございますが、個別事項は、不当事項二件でございます。  二八七号は、工事に関するものでありまして、東京給電管理事務所で請け負わせました川崎発電区新一号汽罐及び付属機器点検修繕工事におきまして、工事費積算にあたり、工事内容が前年に施行した内容と差異がないのに、前回より過大な労務費を見込んだり、他の部分積算してある労務費を重ねて積算したものがあったりいたしまして、約二百四十万円高価となっているというものでございます。  二八八号は、物件に関するものでありまして、資材局で購入した電線管継手についてであります。この電線管継手は、日本国有鉄道で定めた規格のものを購入しているのでありますが、日本工業規格等による製品でも、使用上支障がないのでありますから、これを購入したとすれば、約三百八十万円を節減することができたと認められるものであります。  なお、以上のほか、概説の項におきまして、工事予定価額積算、現場における指導、監督及び検収が適切を欠いている事例もありますので、一そう適切を期する要がある旨を記述いたしております。  以上で説明を終わります。     —————————————
  6. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 続いて質疑に入ります。  質疑の通告がありますのでこれを許します。木村公平君。
  7. 木村公平

    木村(公)委員 私は、本委員会におきまして、運輸省並び国鉄当局に対しまして、若干の質疑を試みたいと存ずるのでございます。  まず、国鉄総裁にお伺いいたしたいのでございますが、世上いわゆる赤字線と申すものがいろいろ言われておるのでございますが、国鉄当局において赤字線と認められるものは、全国国有鉄道においておよそ何線ありまするか、まず、それをお伺いいたしたいのでございます。
  8. 十河信二

    十河説明員 線区が、全体で二百二十四線区あります。そのうちで、採算のとれるものが十九線区で、採算のとれないものが二百五線区となっております。営業キロで申しますと、全国の総営業キロが二万四百二キロ、そのうちで、採算のとれるものが四千二百三十キロ採算のとれない、いわゆる赤出子になっておるといわれておるものが、一万六千百七十二キロあります。
  9. 木村公平

    木村(公)委員 国鉄当局のいわゆる赤字解釈でございますが、たとえて申しますると、私から見ました卑近な例で恐縮でございますが、国有鉄道に、岐阜県でございますが、高山駅というものがございます、そこで切符を求めまして乗車をいたしまして、岐阜駅で乗り継ぎをいたしまして東京へ出た場合に、国鉄当局では、高山線運賃高山から岐阜までをもって計算せられて、岐阜から東京までの運賃は、高山線によるいわゆる収入とは計算されないように存ずるのでございますが、もしもさような計算でありますれば、赤字線解釈というものが、われわれとは多少違って参りますので、その点一つ明確に計算の基礎をお伺いいたしたいと存じます。
  10. 兼松学

    兼松説明員 お答えいたします。  国鉄収入を分けますにつきましては、先生のお示しになりました例で申し上げますと、発着経費というものをまず全体の中から差し引きまして、約一七%と原価計算上なっておりますが、それをまた今度は発の方を重く、着の方を少なく原価計算上の比率で割りまして、その残ったものは、それぞれの線区キロで按分して割っております。従いまして、岡山から東京までお買いになりました場合には、高山の所属する線に対しましては、発の経費が計上され、それから高山東京との間は、遠距離逓減がございますが、その分はならしまして、合計してそれをキロで按分して、それぞれの管理局なり線区なりに割り当てておるのが、現在の原価計算の仕方でございます。
  11. 木村公平

    木村(公)委員 そういたしますると、同じ例で恐縮ですが、高山から岐阜までの間をいわゆる通称高山線と私どもは呼んでおるのでございますが、岐阜から東京までの運賃は、キロ数によって逓減せられまして、その計算では、いわゆる高山線に百パーセント高山線運賃は計上されないということになるわけじゃございませんか。
  12. 兼松学

    兼松説明員 長距離の場合には、遠距離逓減を全部の区間で按分いたしますので、高山から岐阜までの短い区間お客さんよりは、その場合には割が少なくなるというのは、先生の御指摘の通りでございまして、国鉄全部としての合計は同じでございますけれども線区に割るときには、さようになると思います。
  13. 木村公平

    木村(公)委員 そういたしますると、高山駅で乗車をいたしまして、東京駅なり、あるいは大阪駅なり、富山を経過して各地へ行かれる人がたくさんあるのでございますが、その区間は、高山線に限って、乗り継ぎから先のことを逓減して計上するような計算方法でなければ、短い区間でございますから、赤字になるのもまたやむを得ないような、私どもしろうと考えでございますが、気がするのです。従って、この赤字線解釈につきましては、これはなかなかむずかしい計算があるようでございますので、私も、その点はまだ不勉強でございますので、もう少しお尋ねをいたしたいと思うのでございますが、これに付随して考えられますことは、赤字線はすなわち政治線だということを当局の方々からもときどき申されることが、私どもにははなはだ遺憾であります。鉄道というような大事業は、結局政治の力が関与することが多いものでございまして、たとえば東海道線にいたしましても、今度の東海道の新幹線にいたしましても、この新線のために、あるいは政府においては佐藤大蔵大臣が協力した、あるいはわが党の幹部が協力したというようなことは、事実であります。従って、黒字線であろうとも、これまた政治線ということも言えないことはないと存じますが、もしもそのような論拠を展開いたしますれば、政治線ならざるところの黒字線赤字線がはたして日本の国内にあり得るかどうか。ひとり赤字線だけを政治線であるということは、あたかも国鉄世上に対してみずからの責任を回避されるような、われわれは印象を受けざるを得ない。赤字線だけが政治家責任である、政治の線である。黒字線政治家とは関係がないのだというようなことでありますると、あたかも赤字線というものの責任の大半は、政治家、時の政府、あるいはその与党が負わなければならないような印象を与えることを私は心配をいたしますので、この機会に赤字線も、ときによっては、公共性から、赤字線ということがわかっておってもやむを得ないのであるというようなことをも、一つ御説明いただきたいのでございます。  それと同時に、赤字線でなく、これなら大丈夫黒字だとの国鉄当局の御判断によって新線が建設された場合に、それがはからずも赤字線になったというような場合に、政治線であるといったようなことをもってその責任の回避はできないと存じますから、赤字線の性格、あるいは赤字線ということが初めからわかっておりながらも、政治家圧迫、強圧によって新線建設をされることが多いのか。それとも、黒字線と思って、国鉄当局あるいは運輸審議会あたり判断によってそれが建設されたけれども、はからずも後において赤字線になったものが多いのか。その点も、国鉄当局から御説明をお伺いしておきたいと思います。
  14. 十河信二

    十河説明員 お話のように、赤字線にもいろいろありまして、初めから赤字になることがわかっておっても、あるいは連絡上の必要からどうしても作らなければならぬというものもありますし、また、初めはこの鉱山が相当繁盛する、鉱山鉱物だけを送っても、これは相当経済的に価値のあるものだというふうに判断いたしまして建設したが、経済事情の変遷によって、その鉱山経営難に陥って鉱物が出てこない、このために荷物がすっかりなくなっちまって、荷物がなくなると同時にお客も減ってしまって、赤字になったというふうなところもあります。また、国鉄の予想が当たらなくて、こういうふうな貨物旅客がこの程度あるであろうと予想しておったところが、自動車が非常に発達して、自動車の方に大部分とられちまって、それで赤字になったというふうな、いろいろな原因が錯綜しております。赤字線政治線だというふうなことは、私どもは必ずしも申しておらないのであります。お話のように、国鉄線路は、どこもほとんど全部、経済上、社会上、文化上、非常に重要な基盤をなしているものでありますから、これは国の政治と密接な関係を持っております。従って、政治的に皆さんにいろいろ御考慮を願い、判断をしていただかなければならぬことが、たくさんあるのであります。そういう意味においては、もちろん全線が政治線だ、赤字線も、黒字線も、全部が政治線だと言い得ると思うのであります。しかし、最近技術の進歩に伴って交通機関がいろいろ発達して参りましたので、建設審議会におきましても、前と多少方針をお変えになりまして、自動車の方が非常に有利だ、便利だというふうな場合には、建設予定線であっても、それをやめて、自動車にするように、そういう比較検討をしろというふうな建設審議会の御決議がありました。われわれも、最近は、他の交通機関道路改善等とにらみ合わせまして、今日までの調査をもう一度再検討するということを今やっているような次第であります。
  15. 木村公平

    木村(公)委員 ここで明確にしておきたいと存じますことは、いわゆる世上いわれる赤字線というものは、おおむね政治家の圧力、政治家圧迫によって建設されたものであるといったような間違った考え方が、世間に往々流布されておりまするので、この機会に国鉄当局から、鉄道というがごとき大きい仕事については、政府並びに政府与党等の政治力を借りなければならないけれども、特に赤字線に限って政治家の力を借りるのではないので、それが黒字線であろうと、赤字線であろうと、鉄道敷設というそういう大事業に対しては、日本政治形態から、政治家の助力、助言を得なければならないということを一つ言明をしていただきませんと、赤字線に限って政治家が容喙する、赤字線に限って政治家圧迫を加えるといったような間違った印象を世間に与えておりますことを、私は与党の立場から残念に思うのであります。ただいま御説明の中にも、鉄道建設審議会なりあるいは国鉄当局が、これは鉱物の搬出あるいはその他のその付近のいろいろの産物の搬出等から考えて、これは当然黒字線になるという計画のもとに新線を建設された後において、自動車等が並行するとか、その他の計算に入れざるところの障害のために赤字線に転落するということも、あり得るのだ。それから初めから少々赤字であるということはわかっておるけれども、公共のために、これは国家要請に基づいてやらなければならないような線もあるのだ。赤字線の中にはいろいろあって、一がいには言えないけれども政治家の圧力によってすなわち赤字線はできるものであるといったような考え方は間違っておるのだということの御説明があったように存じますので、この点を一つ、もう一度明確に、赤字線政治線にあらず、もしも鉄道というものが政治線だというならば、赤字線黒字線もことごとく国家並びに与党のお力を借りなければできませんというところまで、一つ言明をしていただきたいと存ずるのであります。
  16. 十河信二

    十河説明員 私は、別の機会において御質問にお答えしたこともあるのでありますが、私は、日本経済、文化の基盤になっておる国民の国鉄をお預かりしておる。従って、でき得る限り国民の御希望を御満足していただけるようにいたしたい、こういうふうに考えてやっております。そこで、赤字線でも黒字線でも、国民の代表として選ばれた朝野両党の国会議員の有力な方方が委員になっておられる建設審議会の御決議は、これは公共上の必要ありとして当然われわれはこれに従わなければならぬ。法律上は、建設審議会の決議に拘束力はありません。これは運輸大臣の諮問機関であるから、法律上は拘束はありませんが、それに従わなければならぬ。これは公共的性格を高度に持っておる日本国有鉄道としては当然でありますということを、お答えしておいたのであります。ただいまお話のありましたように、赤字線黒字線も、これは政治線といえばともに政治線であるということに、何ら間違いないと思っておるものであります。
  17. 木村公平

    木村(公)委員 国鉄総裁のお考え方は、少しく私の所見と異なるところがございます。昨今問題になっておりますのは、いわゆる諮問機関である審議会のあり方でございます。鉄道建設審議会は、あくまで運輸大臣の諮問機関でございまして、運輸大臣の諮問に対して答申をする限りの権限を有しておるものでございます。それ以上は、国権の最高機関でございまする国会審議の権限があることは、私が申し上げるまでもございません。従いまして、建設審議会が答申をいたしたことは、よくても悪くても、これは絶対不可避なものであるといったような考え方は、学識経験者等を網羅しておるといわれる各種委員会に対する一つの錯覚でございます。今日多くの委員会というものが、有害無益であるとまでいわれているゆえんのものは、いたずらに学識経験者と称する者が、時には御用学者なり、時には御用の弁のみを努めまして、むしろ各役所に対して、あるいは国家機関に対して、有害な働きをいたしておるやに見受けられる点本間々あるのでございまして、あなたのごとく、この審議会を絶対の金科玉条と心得て、国会審議よりもこれは上位なものである、従って、この審議会で一たびきめられたものは、公共性の多い国有鉄道は、有無を言わずこれに従う。それは少しく審議会の性格を間違えておられるのでございまして、審議会というものは、国鉄の諮問機関ではないのでありまして、国鉄監督をしておりまする運輸大臣の諮問機関である。しこうして、運輸大臣には答申をする権限をのみ持っております。しこうして、その答申を採択するやいなやということは、一に運輸大臣の権限下にあることは、私が申し上げるまでもないのでございます。その建設審議会においてきめられたことは、よくても悪くても、これは公共性があるから——赤字というものは初めからわかっておろうと、これがどんなに計画上自分たちが反対であろうとも、従わざるを得ないといったような情けない考え方を、一つぜひとも改めていただきたいと存じまして、次の問題に移りたいと存じます。  第二の問題は、国鉄総裁でなく、運輸大臣が今日所用がございまして御出席ができませんので、そのかわりの政務次官、あるいは鉄監局長からお伺いをいたしたいのでございますが、しかし、私のこれから質疑を試みようといたしますことの御答弁は、差しさわりがあるようなことになるかも存じませんので、場合によって、もしもそれがために国会に波乱を与えるとか、あるいはそれがために国鉄が不測の障害を受けるようなことがございました場合には、答弁はあえて求めないで、私どもの意見を一つ申し上げてみたいと存じますので、できる限りにおいて御答弁をいただきたいと存じます。  まず一つの問題は、先般四月五日でございましたか、脚光の反対によって少しおくれたのでございますが、運賃値上げとベース・アップの関係でございます。私どもの調査によりますと、今回の運賃値上げの使途は、営業費でありまして、しこうしてその営業費の六割はベース・アップに予定されておると、われわれは調査をすでにいたしておるのでございます。しかるところ、運輸委員会その他の記録を調査いたしますと、国鉄当局は、運賃値上げとベース・アップとは全く関係がないかのごとき御答弁が間々なされておるのでございますが、これはまことに奇怪千万な御答弁でございまして、今日の運賃値上げの六割の使途は、実に国鉄労組のベース・アップに充当されておるということを、明確にわれわれは調査済みであります。これに対して、国鉄当局がもしも答弁を回避されるならば、それはそれでよろしゅうございますが、この機会に、記録を通じて国内にぜひとも聞いてもらわなければなりませんことは、おそらく国鉄労組の諸君といえども、この運賃値上げの六割までが自分たちのベース・アップに充当されるということを知りながら、なおかつ、国鉄当局に対しストをもってこれを強要し、そしてついに仲裁裁定にまで持ち込んだというような、その態度——結果においては、自分たちのふところがあたたかくなる。そうしてそれに賛意を表しましたところの政府並びに与党であるわれわれは、まるきり泥をかぶっておる。しかも、その内容は六割がベース・アップであるにもかかわらず、それを世間にどうしても国鉄当局は発表したがらない。そうして世間には、あたかもわれわれが、多くの人たちの運賃値上げの泥をかぶってベース・アップに対しては反対をしておるような印象を与えておる。片方においては労組から恨まれ、片方においては善良な多数の国民から怨嗟の声を放たれる、こういうばかげた政治がどこにありますか。しかも、この運賃値上げの六割というものがベース・アップに充当されるのだということが、今度の仲裁裁定において明らかになってきたのであります。あの仲裁裁定のために、先ほどの運賃値上げでも、ベース・アップをなしがたいということは、あなた方自身が発表されておる。そうして仲裁裁定によって思わざる高額な裁定がなされた。そうすると、運賃値上げで追っつかないといえば、運賃値上げの中にベース・アップの金が充当されておったということを、問わず語りに国民に言っておられることになる。しかも、わが党の副幹事長であります大橋君は、運賃の中にべース・アップ分は含まれておるということを、新聞記者会見においてしばしば発表しておられる。われわれも、わが党の総務会において、責任ある幹部から、この運賃の値上げは営業費に充当され、しかも、その六割はベース・アップに充当されるのだということを明確に聞かされておる。私どもは、公務員の給料よりも九百円も国鉄労組の諸君の給料が安いということを聞いて、これはいかぬ、何とかして——思想こそときに異なることがあろうとも、ぜひとも一つこのベース・アップはしてやるべきだというので、労組に対する好意から、労組に対する思いやりから、労組に対するわれわれの涙の政治だと思っている。それあるからこそ、ベース・アップということを承知の上で、世間からとやかくいわれる運賃値上げにわれわれは率先して賛成し、野党の大圧迫を受けながらも、これをとうとう可決いたしたのであります。しかるに、いまなおべース・アップと運賃値上げと何ら関係がないと、いろいろな御事情はありましょうけれども、それをもってここを糊塗されるということになりますれば、与党の諸君、政府の諸君は、国民に対して欺瞞しておるということになる。国鉄はもちろんのことです。だから、この機会に、もしも答弁がしにくいようでありますれば、婉曲に、あなた方の真意だけでもこの際伺っておきたいと存ずるのでございます。
  18. 福家俊一

    福家政府委員 お答え申し上げます。  木村委員からまことに御高邁なるお説を拝聴いたしました。当該運輸省、国鉄といたしましては、目下予期せざる高額な裁定が下りまして、四苦八苦の立場でございます。率直に申して、まことにあたたかい思いやりのような感じがいたすのでございますが、この裁定のために、約四割の百九十億近い金を国鉄自体の中でやり繰り算段しておる状態でございます。しかし、われわれといたしましては、三十六年度におきましては、予備金の一部を回す処置を講ずるとか、あるいは鉄道社債の増発行等によりまして、あるいは内部の合理化節約等によって、所定の五カ年計画を遂行したい、こういう熱意で、寧日なく全国鉄社員が愛社の精神に燃えて目下努力いたしておるところでございます。
  19. 木村公平

    木村(公)委員 いろいろまだ質疑をいたしたいことがございますが、立場が与党でございますので、本日はこの程度で終了いたしまして、後日また建設的な意見を開陳いたしたいと思います。本日は、これをもって終わります。
  20. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 続いて質疑の通告があります。小川豊明君。
  21. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 総裁が十一時半までだそうですから、総裁に御答弁願う簡単なことだけを質問しておきます。  国鉄では、独立採算制を掲げると同時に、その公共性ということをも強く打ち出しておるわけです。この独立採算制というものと公共性というものは、相背反するものなんです。その相背反するものが、いわゆる一つの肉体の中に仲よく住めるはずはないのでありまして、ここには、おのずから独立採算を中心にしていくのか、あるいは公共性を中心にしていくのか、その限界というものが当然出てこなければならない。そういう点から、きょう、あすと二日間にわたって国鉄の審査をしていくについて、まずお聞きしたいのは、独立採算制と公共性との相反するものの限界というものをどこに置いて、国鉄の運営をなさっていかれるのか。これは数字の上でも出てくることだし、人の構成においても、おそらく国鉄の役員の中でも、総裁であるあなたは、独立採算制に立っておられる人だと思う。その他の理事の方々は、大体公共性に立っておられる人じゃないか。これは明確には区分できるわけではありません。それから経営内容を見てでも、ここには、ある場合には公共性が打ち出される。さっき木村委員が言われたよう兵いわゆる赤字線を作る場合には、公共性が打ち出されてくる。ところが、さっき出たような職員の待遇の問題、そういう問題になってくると、ここには独立採算制が打ち出されてくる。どこにこの限界を置いて国鉄の運営に当たっていかれるのか。この点をまずお尋ねしたいわけです。
  22. 十河信二

    十河説明員 御質問の独立採算制と公共性、この交錯をどう調和するかということは、御質問の中にもありましたように、非常にむずかしくて、規則で、この点からこっちは独立採算制に重きを置くんだ、これからこっちは公共性に重きを置くんだというふうに、はっきり割り切ることが困難じゃないかと思うのであります。私どもは、その二つの相反する要請をどう調和するかということに、日夜非常に苦労をいたしておるのであります。  独立採算制の大体の目安と申しますか、限界は、全体において国鉄収入支出とバランスをとってみて、全体で収支が償っておるというところが一応の目安じゃないか、こう考えます。独立採算制と公共性というものは、全然相反するようでありますが、また必ずしもそうではないので、たとえば近代化をやって収入を増す、サービスを向上するということは、これは公共性からいっても、非常に大切なことであります。また、企業性、独立採算制の立場からいっても、近代化してサービスをよくしなければ収入がふえないのでありますから、企業性からいっても、これは非常に大切なことでありまして、独立採算制と公共性との相反しない、一致しておる点も多々あるのであります。そこのところは、一がいにここが境だということを割り切ってお話をすることは、非常に困難じゃないかと思います。
  23. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今の御答弁を聞いておったのでは、結局全体のバランスの中で、独立採算制の中で公共性を高めていくというのか、公共性というものがあくまでも中心で、しかもその中で独立採算をとれるようにしていくのか、これはどっちかでなければならぬ。独立採算公共性というのは、仲よく住めるのだ。一致するということは、あなたがおっしゃる通り、サービスの改善とかその他においては一致していくわけです。ところが、独立採算を主軸としていくならば、赤字をどんどん出していくような新線を建設しないというのが、あなたの方の建前になってこなければならぬ。ところが、それはそれでやっていく。こっちは公共性だ。そこで、国鉄全体として独立採算を中心とした中における公共性を見ていくのか、公共性が主軸になって、その中に独立採算制をおとりになろうとするのか、この点をお聞きしておるのであって、その中で仲よく——こっちは差しつかえないのだ、こっちはこうなるのだということではない。国鉄自身の独立採算制を中心にして、その中に公共性を高めていくというのか。公共性があくまでも中心であって、その中に独立採算をとろうとしていかれるのか。この点はどっちなんですか。
  24. 十河信二

    十河説明員 その点につきましては、国鉄は、高度の公共性を持っておる企業である。この点は、民間の私企業と違うところであります。公共性を多分に持っておる企業体であるということが、当然じゃないかと思っております。
  25. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それは総裁国鉄ばかりじゃございませんよ。私鉄であろうと何であろうと、公共性を持たない鉄道というものはありません。全部公共性を持っておる。しかし、鉄道というものを分離して、こういう国有鉄道という形にしたというところに、独立採算制を中心にして、その中に公共性というものを取り入れられていくということではないかとも思うのですが、この点、あなたの方の経営方針を見ておるときに、どっちが主軸になっておるかわからない。この点をお聞きしていかないと、きょう、あすと国鉄の審査を進めていくについても、背骨がわからないのでは、やりようがありません。公共性国鉄の主眼目ならば、そのつもりで審査を進めていきます。独立採算制があなたの方の主軸であるとするならば、その線に沿って審査を進めるわけです。この点をもう一度繰り返してお尋ねします。
  26. 十河信二

    十河説明員 今申し上げましたように、多分に公共性を持っておる企業体である。国鉄は、申すまでもなく、以前は国の直営の事業でありました。この場合には、もっともっと公共性が強くて、ほとんど公共性ばかりだといってもいい。あるいはそういうふうに世間から言われておる企業であったと思うのであります。ところが、それではいけない。これに企業性を少し加味しなければいけないというふうに終戦後お考えになった結果が、独立採算制を取り入れるということになったのじゃないか。従って、いわば公共性ということが中心になって、その上に企業性を取り入れるということになったと言い得るのじゃないかと思っております。
  27. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 公共性国鉄の主軸であり、その公共性の中に独立採算を取り入れるような経営の形態をとっていく、こういう御答弁で、この点はわかりました。  その次に、今も問題になったわけですけれども国鉄の先般の運賃値上げの問題で、運賃値上げをすべからずという意見と、これはやむを得ないという意見とが議論されたことも、これはわかっております。そこで、この運賃値上げをしなければいけなかったということは、いわゆる五カ年計画の達成、国鉄自身が赤字で悩んでおる、そういう点から運賃値上げというものが出てきた、こうわれわれは理解しているわけです。ところが、この運賃値上げの問題とからんで、いわゆるベース・アップの問題も出てきたわけですけれども、このベース・アップに対して裁定が行なわれた。そして政府もこれをのんだ。とたんにあなたの方では、兼松理事からだと思いますが、五十億からの剰余金があるということを発表した。これは発表しなくたって七月になればわかることなんですから、隠しておいたんだとはわれわれは考えてはおりません。しかし、これは勘ぐれば、裁定がどうなるのか、そして政府がこれをのむのか、のまないのか、こういう一つの不安、心配というものが、あなたの方にはあったのではないか。だから、この五十億というものは、当然あなたの方では、もっと早く発表するならばしてもよかったはずです。ところが、それらがきまってから五十億を発表したというところに、これは法律上どうだ、こうだではない、裁定法上どうだ、こうだではないが、国鉄としてはいささかどうもきたないやり方ではないか、こういう感じがせざるを得ないのです。なぜあの時期にこれを発表しなければならなかったか、これはどういうことなんです。裁定がきまり、政府がのむときまったとたんに五十億の剰余金があるということを発表したのは、発表の時期からいって、上手であったとは私どもはほめられないと思うのです。なぜあの時期にこれを発表したか。
  28. 十河信二

    十河説明員 兼松理事が発表したということは、言葉の理解が少し違っておったかと思いますが、その点は後刻兼松理事から釈明いたさせますが、いつでしたか、予算委員会でも私ちょっと触れたと思うのでありますが、三十五年度国鉄予算は、大体十億前後の赤字になっておったと思います。ところが、年度末になって、収入がある程度増加いたしました。雪害等もありましたので、どうかと思っておったのでありますが、年度末になって収入増加いたしまして、その結果、多少の黒字になる。予算委員会でも、たしか私は、少し黒字になると思うという意味のお答えをしておいたと思うのです。ところが、この黒字になった部分は、これは三十七年度以降の財源にしか充てられない。九月以降にならないと決算がつきませんから、そういうふうなことになっておるのであります。それが今度、今お話のありました仲裁裁定が出ました。仲裁裁定は、われわれとしては初めから拘束せられる。これは法律で規定されておるのであります。政府はまた、初めからこれを完全実施するといっておられたのであります。しかし、その裁定がどれだけ出るかということはわかりません。三十六年度予算には、公務員と大体にらみ合わせて、同程度のことはできるように予算を組んでおりますし、五カ年計画では、一応所得倍増の構想に沿うた収入支出の見積もりをいたしております。けれども、仲裁裁定が予期以上に例年よりか少し金額が多かったものですから、先ほど政務次官から御答弁がありましたように、これをどういうふうにしてやったらいいか、一部分は今の予備費を流用するというふうなことによってまかない得ますが、それだけではまかない切れない。だから、借入金、債券の募集等によってまかなわなければならぬ部分もある程度出てくるのじゃないか、そういうことを今苦慮いたしておるところであります。
  29. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは総裁、この運賃値上げ分は、三十六年度では四百八十六億ということになる。そうすると、五十億というものがあるなら、あれだけの値上げをしなくてもまだ済むのではないか。いわゆる過当値上げじゃないかという意見も出てくるわけです。この五十億についての見解は、あと質問があるそうですから答弁を聞いていると、あなたが出ていくのに困ると思うので、この点の答弁はあとにしてもらいたい。  もう一点だけお聞きしておきますが、三十四年の監査報告を見ると、この監査報告の中に指摘されている中で、特に問題になる、強く出てくるのは、未収金整理が必要である。ところが未収金整理を怠っておる。こういう点が一点指摘されております。二点は、物品調達が不経済である。非常にルーズである。だから、物品調達については、物の購入については、もっと厳格な規定をきめて慎重にやったらいいじゃないか。こういう点が二点としてあげられておる。それから三点には、契約方式——契約というものは、公入札であるというのが国の建前になっておる。従って、国鉄としても、公入札でやることが建前でなければたらないと思うわけです。ところが、あなたの方の契約を見ますと、指名入札、随意契約、これでほとんど九〇%、従って、公入札という形はとられていない。こういう契約方式というものについても、もっと慎重な検討を加える必要がある。これが三点。それから財産管理が、これまたずさんである。たとえば高架線下の建物などは、不法、不当に占拠されていた。これに対する処理というようなものは、非常に延び延びになっておる。幾多の指摘の中で、この四点が強く指摘されておるわけです。これに対するあなたの方のお考えをお尋ねして、私の質問を終わります。
  30. 十河信二

    十河説明員 今御指摘の点につきましては、私といたしまして、まことに恐縮いたしておる次第であります。これらの点につきましては、年来努力して、こういう御指摘を受けないようにということで努力いたしております。力及ばずしてそういうふうな点がまだ多々あるということは、われわれ大いに反省をいたしまして、今後これの絶滅を期するように努力いたしておるところであります。それらの点につきまして、今の契約の指名入札というようなものは、国鉄の仕事は、いろいろ生命財産に非常に関係する特殊なものが多数あるために、一般競争入札になし得るものもありますが、そうでないものも多数あるのであります。それで指名競争入札というのがふえておるかと思います。また、物品購入等につきましても、いろいろな委員全等を設けまして、広く皆さんの御意見を取り入れて、改善努力いたしております。高架下なども国会でもたびたび御指摘がありました。刷新委員会というようなものを設けまして、専門の方々の御意見を伺って、いろいろ修正をいたして参ったのであります。なお及ばないところが多々ありますので、今後一そう努力して、そういう御指摘を受けないように懸命の刷新をいたしたいと覚悟いたしておる次第であります。
  31. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は、今申し上げたこれらの点について、これから個々の点に入っていきたいと思いますが、総裁も何かほかに約束がある、あと総裁のおる間に総裁質問したいという委員がおりますから、私からの質問は、きょう午前中はこれで打ち切って、あとに譲ります。
  32. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 山田長司君。
  33. 山田長司

    山田(長)委員 総裁は何時まで……。
  34. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 総裁は、実は十一時半というのですが、今交渉して十二時までおられますから……。
  35. 山田長司

    山田(長)委員 国の方針でも、その場所、その場所によってまことにずさんの点があったり、まことにスムーズにその方針に従ってやられたりすることを、国民は、四月の新学期を前にいたしまして、町でうわさにさえしておる。それはどういうことかというと、義務教育の場面に至りましては、義務教育なんというのは、当然国庫で負担すべきものなんです。それから児童憲章なんという、すばらしい名文の児童のための憲章なんかあるが、これは絵にかいたもちのようなものだ。しかるに、国鉄が方針を打ち立てると、それが即歴に運賃の値上げを実施することができるというようなことで、ちまたの間では、運輸省と国鉄との区別等がつかないから、そういうことについてかなり非難の声が出ておる。  そこで最近出された資料を見ますると、まず国鉄総裁にいろいろ伺うのですが、前提に伺っておきたいことは、最近の新設路線には、かなり赤字路線がたくさんある。この赤字路線の中に、ちまたの間で悪口を言われている線に、熊登線がある。これは穴水と鵜川のところでしょうが、この線のことを益谷線と言っておる。それから岩目線の部分については、これを岸線と言っておる。こういう政治路線のようなものが次々できたのでは、国鉄当局はなかなか大へんだと思うのです。そこで総裁に英断を望むから私は申し上げるのですが、国の政策を国鉄にやらしているという線が非常に強いのですけれども、このために、運賃を仕方なしに値上げをしなければならないというようなことがあるのじゃないかと思うのです。きのう出された資料に、国鉄の五カ年計画なるものが発表されているが、車両の新製、これについても二六%しかできていない。それからディーゼル化の問題も三六%しかできていない。電車も四七%しかできていない。気動車が五二%、客車が二七%、貨車が六〇%、こういう進捗状態である。そこへ持ってきて、さらにこれから五カ年計画の実施をする。その五カ年計画を実施するということで、やはり東海道新線とか、あるいは電化、電車化、ディーゼル化、取りかえその他、いろいろ五カ年計画で発表されておるのですが、こういうことは、財源は運賃の値上げをしたことによって、実施するのだと言っておるけれども、どうもしろうとの私たちから考えてみますると、前の五カ年計画から見て、今度あ五カ年計画を発表しましても、これがまた途中で思ったようにいかなくて、運賃値上げをしなければならないのじゃないかというような印象を強く受けるのですけれども総裁は、この点について、どんなふうに御計画案をお持ちになっておられるか。これはまた次になって値上げをするということじゃ、大変だと思うんですよ。どうお考えになりますか。
  36. 十河信二

    十河説明員 第一次の五カ年計画は、たびたび申し上げておりまするように、老朽資産の取りかえ、改良するということを忠実にいたしまして、その上に輸送力の増強、近代化というふうなことをやりたいということで樹立いたしまして、御協賛を得て実行して参ったのであります。それが、一方において収入が減る、他方において経費がふえるということがあったために、今御指摘のようなおくれが方々に出て参っておるのであります。しかしながら、おかげさまで、当初中心にしておった輸送の安全を確保するための老朽施設の取りかえということが大体できておることは、その表でもごらんの通りであります。その後、危険なところを発見いたしまして、四カ年間に一〇〇%以上にやっておるようになっておるのであります。そういうために、ほかの力が多少おくれておるということは、これはどうも、私どもの最初立てた計画も、少し何といいますか、一面においては甘過ぎた、他面においては少し辛過ぎたというふうなことがありまして、予期の計画通りに実行することができなかったということは、非常に遺憾に思っておる次第であります。その経験を生かしまして、今度樹立いたしました第二次の五カ年計画は、政府の所得倍増計画に順応いたしまして、輸送量の伸び力も、それから経費等も、政府各方面の御意見を伺いまして、十分検討をいたしておりまして、他の委員会でも、運輸大臣からも御答弁があったと思います。この五カ年間に再び運賃値上げをお願いするようなことはない。そうしてこの五カ年計画は、完全に実施するということを、われわれは決意してかかっておる次第であります。五年先のことでありますけれども、万そういう心配はないというふうにお考え下すってけっこうだと思います。
  37. 山田長司

    山田(長)委員 大へん総裁の確固たるお言葉は、もっとものように伺えるのですが、先ほど私が御質問申し上げた問題で、落ちている点がありますので申し上げるのですが、国鉄の新しく建設される路線の問題です。こういう問題を負担にしょわされておったのでは、どういうふうな計画総裁が今言われても、私はどうも信頼ができないのです。こういうものについて、あなたに課せられておる使命はずいぶん大きいと思うのですが、新路線の建設については、さっぱり意味のないようなところの線が、われわれしろうとには、新しく次々と建設されているという印象なのですけれども、こういう問題について、必ずしもこの路線を作らなくても、この路線の範囲は、バスを走らすとか、何か抜本的な処置がとられて、赤字をなくする体制が立てられてしかるべきだと思うのですけれども、昨日出された資料によりますと、これは三十四年度までの開業の新路線でありますが、おそらく三十四年以後も、こういう路線計画が——しろうと目で見て悪口をいわれて、政治路線といわれる印象の線ですが、こういうものの計画はあるんじゃないかと思うのですけれども、これらについては、総裁としてはどういうお考えで、最初から赤字が出ておる路線を次々推進されるのか。何か御所見があってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  38. 十河信二

    十河説明員 赤字の原因につきましては、先刻もお答えいたしました通りであります。最近、道路も漸次改善されて参りました。自動車の数もどんどん増加いたしております。また経済事情も、産業界の分布等につきましても、政府においても地方的の格差をなくするというふうな御計画が進んでおります。これらの最近の経済界あるいは交通業界の事情等をさらに詳細に勘案いたし、検討いたしまして、今までの調査をもう一度やり直して調査をするということで、ただいま調査をいたしておりますところであります。でき得る限り輸送の計画を立てて、そして政府の方針に従って地方の格差もなくする、経済の開発に資するというふうな点をも考慮いたしまして、検討し直すということで、ただいま作業をやっておるところであります。
  39. 山田長司

    山田(長)委員 こういう路線についての総裁の信念は、私に言わせると、少し弱いのじゃないかという気がするのです。国鉄当局総裁赤字の汚名だけを背負っているようですが、何か国鉄当局自体、もう少し、やり方によったらば黒字になるのじゃないかという、私はしろうと考えがあるものですから、こういうことを伺うのです。ことしの六月まで農作物の公共割引というものが延期されたということは、この問運賃値上げのときの論争等から知ることができているわけですが、農作物のほかに、重要産物の扱い方等についても、やはり割引がなされているそうですが、これらについては、国鉄自体でこの料金は普通料金を取って、国の負担とすべきものは国の負担にしてもらって、今の新路線の場合でも、収支の見通しというものを立てたらいいのではないか、私はこう思うのです。外国では、こういう場合国が出しているという話を伺っているのですけれども、この点について、もしこれが国鉄当局で、国の負担にしてもらって、これの料金というものを普通料金で取ったとすれば、年間五百億くらいの剰余が生まれるのだという話を聞いているのですが、この金額の差は、私明確じゃないのですけれども、これはお答え願いたいと思いますが、こういうことについて、私は国が負担してしかるべきだと思うのですけれども総裁の御所見はどうですか。
  40. 十河信二

    十河説明員 これもなかなかむずかしい問題でありまして、公共負担と運賃との関係、これは日本国鉄だけでなく、外国でもなかなかむずかしい問題で、長い間論争せられておるところであります。外国は、御承知のように、運賃日本よりか非常に高くなっておりまして、安くとも倍とか、高いのは三倍、五倍になっておるようなところもあります。そういうこと等を勘案して、外国でも、一部分運賃の値上げをしておるが、一部分は国が負担しておるというふうなところもいろいろありまして、一がいには、こういうふうな標準でやっておるということは、ちょっと言いかねるところであります。そういう点も考慮いたしまして、先刻申し上げましたように、われわれといたしましては、建設審議会の御意見も伺いまして、そうしてなるべくそういう赤字の負担の出ないようにということで、いろいろ再検討をいたしておるところであります。
  41. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 国鉄総裁は、実はやむを得ざる用事でどうしても退席しなくちゃならないのですが、あした十時から総裁は出て参りますから、いかがでしょうか。本委員会は、先ほど理事の諸君と打ち合わせをいたしましたが、一時までこのまま続行いたします。だから、総裁に対する御質問等がございましたら、あした十時からやりますから、そういうことで御了承願いたいと思います。いかがでしょう。
  42. 山田長司

    山田(長)委員 了承できないけれども、それでもやるのでしょう。始まったばかりですもの、だめですよ。了承できないですよ。
  43. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 了承してもらわなくちゃ……。あした十時からやりますから。——山田君も御承知をいただきましたので、明日十時から御出席を願うこととして、総裁の退場はよろしゅうございます。なお、あしたは運輸大臣の出席を求めておりますから、どうかあしたは一つよく勉強して御質問願います。勝澤君。
  44. 勝澤芳雄

    勝澤委員 会計検査院があした都合が悪いようでありますから、きょうは特にその関係を少し……。私は、最初に三十三年度決算検査報告に出ている三四七、三四八のこの件を中心に、お尋ねをいたしたいと思います。   〔委員長退席、三和委員長代理着席〕  このような検査報告というのは、三十一年度においても見られるわけであります。そこで建設省——ほかの省もそうなんでしょうけれども、一体入札のやり方というものは、どういう形でなされておるのかという点について、これは国鉄でもいいのですけれども会計検査院の方がよろしいでしょうから、会計検査院として、入札というものは今一体どういうふうにやられておるか、そしてそういうものが入札の段階でもって発見できないのはどういうわけかというような点について、少し波及してお尋ねをしたいと思うのですが、最初に、今日におけるこういうものの入札というものは、どんな形になっておるかという点について、一つお願いいたします。
  45. 平松誠一

    平松会計検査院説明員 大体この案件に載っておりますものは、公開競争入札あるいは指名競争入札によっておりまして、工事そのものにつきましては、大体指名あるいは公開競争入札によってやるものが多いと思います。なお、その指名競争のやり方につきましては、これは、一般会計なり特別会計など、国の各省でやっておる競争のやり方と、別に変わった点はございません。  なお、入札の際にそういったことが発見できなかったかどうかということでありますが、ここに書いてございますのは、部内の連絡が悪かったというような問題、あるいは予定価格の積算のやり方がまずかったという点の問題でありますので、入札の際にそれがわかるとかという以前の段階の問題でございます。
  46. 勝澤芳雄

    勝澤委員 公開競争入札とか指名競争入札というのは、これはやはり工事を出す場合には、ある程度の条件というのが明示されていると思うのです。その明示をされている中でやる場合、公開なりあるいは指名でも、お互いに単独でないわけですから、いろいろな会社が入り乱れておる。こういう中で入札をするときに、かりにここに出てくるような誤計算であったというようなものは、入札の段階において、どうもやはり明確になるんじゃないだろうか。そういう場合における誤計算というものは、やはり発見できるんじゃないだろうか。担当者の誤計算、あるいはそこにおける場所、物の見方といいますか、アスファルトをコンクリートで計算したとかなんとかいうことが出ておりますが、こういうものは発見できると思いますが、その点どうなんでしょうか。
  47. 平松誠一

    平松会計検査院説明員 予定価格は間違って積算をいたしておりますけれども、入札いたす方の側におきまして、自分の方ではそれほどかからないというようなことで、正確な見積もりをいたしますれば、当然その請負額が安くなってくるわけでありますが、実際入札した結果を見ますと、予定価格といたしておりますものと、それから落札価格との間に、それほどの開きがない。ところが、予定価格の方にはまずい点がある。従って、そのまずい点を是正してから入札したとすれば、ほんとうはもっと安く請け負わせることができたんじゃないかというようなことのために、こういったまずい結果が出てくるわけでございます。入札をいたしますものも、妥当な価格で入札しておれば、予定価格がいかようでありましても、安い場合には安く入札されるわけでございますが、そういうふうにならない場合が多いものですから、こういった結果が出てくるわけでございます。
  48. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、それは比率の問題だと思うんですね。たとえば一千万の工事に百万くらいというのが誤計算かなにかというのは、いろいろ議論があるところなんですけれども、このような二千三百万のうちの六百九十万ですか、こういう形に指摘されているわけでございますね。結局この三四七、三四八だけでなくて、三十一年の決算を見ますと、大へん類似の問題点が出ておるわけなんですね。ですから、そういう点からいうならば、その指名競争あるいは公開競争というものが、ほんとうに趣旨通りにやられておるとするならば、明らかにこういうことがあり得べきでないわけなんです。どうなんですか。やはりあるということを会計検査院としてはお認めになるわけですか。
  49. 平松誠一

    平松会計検査院説明員 やはり指名競争をやりましても、こういった結果になることはあり得ることじゃないかというふうに考えております。
  50. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、会計検査院としても、これの指摘をされたわけでありますから、それで指摘に対して国鉄の回答の中でも、たとえば三四八の(エ)頂、これについては、会計検査院積算についての意見の相違点というのが、回答として出されておるわけでありますから、一つこの分につきまして、三四七、三四八の分につきましては、もう少し会計検査院としてこの報告を出すに至ったいろいろの検査の状態があろうと思うので、入札の条件、あるいは入札をした会社といいますか、そしてまたあなたの方として、これについては幾ら、これについては幾ら、こういうふうに計算をされて出されておるわけですから、一つこの資料をあすの委員会までに出していただけますか。
  51. 平松誠一

    平松会計検査院説明員 入札の状況というようなものならば資料はございますが、それでよろしゅうございましたら……。
  52. 勝澤芳雄

    勝澤委員 結局、私はこういうことを言っているわけです。この事件をどうこうということよりも、やはり指名競争入札とか公開競争入札というものでは、ある程度係官の誤計算なんというようなものは、それは一千万のうちあるいは百万円近いというのは、妥当かどうかよくわかりませんけれども、ある程度そういうものは発見できるはずじゃないだろうか。それが発見できないとするならば、やはり指名とか公開競争入札というのは、何の役にも立たないんじゃないだろうか。だから、そこにもう少しメスを入れて、一体入札というものはどうあるべきか。むしろ片方の役所で出そうという予算をばらに出して、そして各業者にみんなこまかく計算をさして、幾らでできる、それで見積もりをやらした方が、私はより合理的ではないかと思うんです。その問題の中には、いろいろ問題を含んでいると思うんです。たまたま建設省がやったときにも、一つ工事不足の問題が出ておりました。ですから、この際こういう問題についてどこに欠陥があるかということを、私は、十分に決算委員会として検討すべきだし、あるいはしなければならないと思うんです。そういう点で、この問題をお扱いになったあなたのところで、十分われわれに協力できるような立場で資料を出していただきたい、こういうことをお願いしているわけですが、どうなんですか。
  53. 平松誠一

    平松会計検査院説明員 この指名競争なり公開競争入札をやった工事は、非常にたくさんあるわけでありますが、ここで問題にしましたのは、この二つだけでございまして、指名競争あるいは公開競争入札によったからこういうことがわからずじまいになったというようなことは、必ずしも言われないのではないかというように考えます。
  54. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、この資料についてあすまでに御提出いただけますね。
  55. 平松誠一

    平松会計検査院説明員 ちょっとどういう御趣旨の資料を提出してよろしいか、まだ理解いたしかねるわけでございます。
  56. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは三四七と三四八を指摘をしたわけであります。会計検査院としては、相当こまかく計算をしてこの指摘をいたし、それについて国鉄当同から回答が出されているわけです。その回答の中で、意見の相違している回答が出ている部分がある。積算について、お宅の方の計算国鉄の方の計算というか、それについて意見が分かれている点があるわけですから、そういう点を含めて、これについて会計検査院として指摘をするに至った、何といいますか、私が前提として申し上げました、指名競争あるいは公開競争においてはこういうことが発見できないだろうかという、この問題の一つの参考として、決算委員会として検討したいと思っているわけでありますから、そういう立場で、会計検査院として積極的にこの問題を資料としてお出し願えますか。こう言っているわけです。もしおわかりにならなければ、具体的にもっとこまかく申し上げてもいいですよ。
  57. 平松誠一

    平松会計検査院説明員 三四七号につきましては、当局におかれましても、これは検査院の言う通りであるということを全面的に認めておられます。  それから三四八号につきましては、この(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)とあります中の(エ)について、若干当局と見解の相違している点がございますが、そういった点につきまして、ただいまの御趣旨になるべく沿えるような資料を提出いたしたいと思います。
  58. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、民衆駅の関係についてお尋ねをいたしたいのであります。  民衆駅の問題につきましては、いろいろと過去に問題がありまして、国鉄におきましても、今日民衆駅の建設につきましては、十分な御検討をされているようでありますけれども、まだ、ときどきこの問題につきましては、いろいろな指摘がされているわけであります。特に最近建設を予定されている新宿のステーション・ビルについての一つの経過なり、それからこれがどういうように計画をされて、どんな運営によってなされるかというような点と、それから今後民衆駅にあたっての国鉄の方針といいますか、それからなお監査委員会からも、この民衆駅の問題につきましては、何らかの検討をすべきであるという指摘がされているようでありますが、そういう点を含めて、これからの問題について検討をし、これもあすまでに一つ出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  59. 兼松学

    兼松説明員 お答えいたします。  民衆駅の設置につきましては、きわめて限定的に行なっておりまして、駅施設の整備は、テービス上当然国鉄で施行すべきものでございますけれども、戦後の状態で、戦災を受けた駅の復旧、その他古い駅の改善まで国鉄の手が回りませんので、そのような関係から、民衆駅という形で民間の資本を導入して、国鉄の施設の改善に資して、一面において土地の利用による収入をはかるとともに、公共の利便を増進していこうということで行なわれたわけでありまして、現在ございますものは、御承知の通り、豊橋、池袋西口、秋葉原、尾張一宮、門司、高円寺、西鹿児島、札幌、福井、富山、東京駅の八重洲口、金沢、沼津、松江、八幡、水戸、池袋東口、新潟、小倉、宇都宮、川崎、岐阜、姫路というようなものでございまして、目下建設中のものが、天王寺、秋田、錦糸町、釧路というものでございます。御指摘のございました新宿の駅は、長い間の懸案でございましたが、いろいろ地元の方々の関係者の意見がまとまりまして、同時に国鉄の方としても新宿の拡張は急を要すると考えられますので、現在の地下鉄と国鉄との連絡改善、地下駐車場の問題も含めまして、民衆駅委員会にお諮りをいたしまして、目下その方向に進むということで、寄り寄りいろいろの打ち合わせをいたしておる段階でございます。まだ正式に承認になってはおりませんが、現在の段階は、さような次第でございます。その計画の程度ならば御報告できると思いますが、正確には、新宿の民衆駅の詳しい設計その他については、まだ正式のものは確定いたしていないのが現状であります。幾つかの案を審査しておるという段階でございます。
  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは一つ、新宿駅の民衆駅の今日までの状態といいますか、その点についての資料は出していただけますね。  それから次に、監査報告に指摘されておるこの民衆駅の問題については、やはり国鉄としても回答を出されておるようでありますが、これについては、どういうようなことを考え、どのような経過になっておりますか。
  61. 兼松学

    兼松説明員 先生、まことに恐縮でございますが、監査報告のところで、私ちょっとすぐ開けませんので、御指摘の点、御教示願えますでございましょうか。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十四年度の二百六十ページにこの民衆駅の関係についての指摘がされ、なお三十四年度国鉄の回答書の九十八、九十九、百ページにわたって回答がなされておるわけでありますが、その具体的な内容についての……。
  63. 兼松学

    兼松説明員 御指摘の点につきまして、監査委員会の方から従来の方針では不十分ではないかという御指摘がございましたのですが、この点には二つ意味を持っておりまして、実は、民衆駅というものを非常に限定して現在駅をやっておるのでございますが、各地力では、国鉄線路その他が都市のまん中を通る場合に、駅の少し前後に、国鉄経済から申しますと、いわゆる土盛りと申しますか、土を積んでやって参っておりまして、それを地方で、一部高架にすれば、当然コンクリート構造になりますので、経費が上がるわけでありますが、その差額を負担するから、ぜひ都市のまん中に土手を作らないでくれというようなお話がたくさんございまして、当方といたしましても、今まできわめて消極的に考えて参ったのでございます。ところで、いろいろ都市計画の発展とともにそのような時代になりましたので、そのままではできないので、現在民衆駅委員会に、その問題を従来の行き方より一歩進めることについてどうかということで、実はお諮りしているような次第でございます。この点につきましては、現在千葉であるとかその他いろいろな点で、都市の発展上、従来の民衆駅よりももう少し考え方を広めてやらないかという地方の御要望と、従来の委員会の答申、方針等をどう調和さすか、あるいは新しい事態に即しまして、どういうふうにやったらいいかということを、目下お諮りをいたしておりまして、その御答申も得ました上で、私どもも地方機関の方へ指示しようと考えているのでございますが、現在の進行は、そのうちで小委員会ができまして、元の高架下刷新委員長であられました長野先生を特に臨時にお願いいたしまして、その方が試案をこれから作成していただく段階までは進んでおるのでございます。その上で、私どもの方としてもいろいろ検討いたしまして、はっきりした問題を打ち出したい。また、監査委員会への御回答にもいたしたいと考えておる次第でございます。
  64. 勝澤芳雄

    勝澤委員 民衆駅という問題の一番中心になって進めるところというのは、やはり国鉄がいろいろな問題を考えて、そして国鉄自体でできないから、地方公共団体なりあるいは民間の諸団体の資金を入れて作る、こういうことだと思うのですが、そうなんですね。
  65. 兼松学

    兼松説明員 大体そうでございますが、経過的に申しますと、地方の御要望と国鉄の設備改善計画と両方が一致したところで民衆駅にするのが、適当と認められるような場合ということになるかと考えます。
  66. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その場合の駅の内容というものは、やはり国鉄が最も効果的に旅客にサービスをするという建前で作られるというふうに私は考えるのですが、そうでなくて、デパートの中に駅があるということになるのですか。あるいは駅の中にデパートがあるということになるのですか。その辺の基本的な考え方というものは、国鉄なり民衆駅委員会というものは、どういうふうに考えられているのですか。
  67. 兼松学

    兼松説明員 もちろん国鉄旅客のサービスが第一でございまして、国鉄といたしまして公共的に必要な姿というものをまず基本的に構想いたしまして、それと地方の御要望との間に調和をとりましてやっておることでございまして、民衆駅施設のために国鉄の設備を犠牲にするというようなことは、全く考えておりませんし、そうすべきでないということで、サービスが一番よくなるようにということを中心に審査されております。
  68. 勝澤芳雄

    勝澤委員 民衆駅の問題については、山田委員から関連質問があるようでありますので、次の問題に移るまで、一つ山田委員の方に譲ります。
  69. 山田長司

    山田委員 ただいまの民衆駅の問題について、関連して伺いたいと思います。  今勝澤委員質問で、新宿の民衆駅の話が出ましたが、民衆駅は、新宿以外に、今東京駅の大丸の南にまた民衆駅の計画があるという話を伺っております。おそらく東京周辺に、主として乗客のサービスのためとはいわれるが、一たび民衆駅が、たとえば渋谷のようにできてしまうと、これはあとで改築するといっても、なかなか困難だと思うのです。そういう点で、今東京都内に民衆駅の計画はどことどこにあるのか。私は、これは一応資料として出してもらいたいと思います。
  70. 兼松学

    兼松説明員 お話の渋谷は、東急の用地に東急がデパートを作っているのでございまして、国鉄の民衆駅にはなっておりません。私どもの用地は一つも使っていないというわけでございます。  それから東京駅の御指摘がございましたが、私ども東京駅の八重州口には、現在これ以上民衆駅ができるという計画を聞いておりませんし、また、請願も出ておりません。御指摘のことは、このいずれかではないかと思いますのは、一つは、ただいま新幹線の工事で、終点が東京駅になります。その東京駅の工事のために、現在の名店街をほとんど取りのけなければならない事態に達するのでございまして、もしあるとすれば、名店街の代林地を将来の高架下にできるだけ考えるという問題が、東京駅に関しては一つございます。  もう一つは、東京都の方へ申請がありまして、当方が協議を受けておりますものには、東京駅の八重州口に地下駐車場を作って、その地下駐車場の中に地下街を作りたいという特許の申請が都に出ておりまして、都知事の方から協議を受けております。この二件がございますが、新しい民衆駅の企画は、東京駅の八重州口には、現在のところございません。それ以外の土地につきましては、現在東京都内では、新宿と蒲田、錦糸町がございます。それだけでございます。
  71. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、私は、国鉄の遊休資産の整理の問題で、特に土地払い下げ等の問題について、お尋ねをいたしたいのです。特に国鉄の中でも、あるいはむろん国有地でもそうなんですけれども、相当不要になった土地があるにかかわらず、なかなかその問題がスムーズにいっていない。言うならば、土地あるいは建物の払い下げについては、いろいろな思惑といいますか、政治的なものが入るので、なかなかやりにくいというようなことが言われておるわけでありまして、結局あまりもめるようなことで、あとで問題にされるようなことなら、なるべくやらぬ方がいいということで、こういう問題というものが、今日国やあるいは公共団体の土地、建物というものが、なおざりになっている面がたくさんあるわけであります。たとえば、私の知っておるようなところでも、きれいな町の中に、古ぼけた建物がある。払い下げたらどうだ。払い下げるについては、相当の価格で売れる。そうしてまた新しいものを建てても、資金的には別に損はないというようなものが、依然として、手をつけない方がいい、手をつげるとまたあとでうるさい、こういう形になっておるわけでありますけれども、こういう遊休資産の整理について、国鉄としては、何かこの払い下げの仕方のような問題について、先ほど民衆駅委員会というようなものができておると聞きましたけれども、こういうものについては何らか考えられて、また今日までどんな形でやられておるのですか。
  72. 兼松学

    兼松説明員 お答え申し上げます。  国鉄の土地の、遊休資産の整理につきましては、過去におきましては、先生指摘のような考え方も、地方一般にはあったのではないかと考えますが、ここ数年来は、特に私どもとしては、この整理に力を入れるよう指導いたしておりまして、特にこの三十六年度は、私どもとしては、いわゆる資産整理に相当な財源を期待しなければならぬ場合でもございますので、できるだけ促進することにいたしております。現在国鉄におきましては、一定面積以上の土地につきましては、運輸大臣の御承認を得て処理しなければならないという制約が一つございます。それから売り方につきましては、公共団体あるいは公益法人のような場合には、契約によって売ることができますけれども、その他は一般公開入札によることになっておりまして、全部その方法によります。現実問題といたしまして、最近も徐々に売れておりますし、できるだけ努力して、今年は特にこの方による収入を、徹底的な合理化努力の一端に考えて、期待をいたしておりますので、従来に倍した努力をいたして指導していきたいと存じておる次第でございます。
  73. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この土地あるいは建物の払い下げで特によく問題になる点は、たとえば国鉄の例でいいますと、変電所を作るから土地を売ってくれといって、農家の人たちに一生懸命頼んで、十人なり二十人の農家から変電所の用地を買う。しかし、実際には、今度は計画の変更によってその土地は使わなくなって、ほかへ変電所ができる。その土地に何ができたかというと、鉄道の宿舎ができてしまった。そういうような例がある。そうして今度は、それだったら払い下げてくれというと、国鉄というものは、なかなか払い下げをしない。あるいはまた払い下げる場合、それはやはり旧地主あるいは旧持主に考えてやるやり方というものが、国鉄はむろんそうなんですが、よその官庁においても、そういうことは当然考えてあげないと、次のときに土地を買ったり、次のときにいろいろ物を買うときに、国鉄は、あるいは国が、ということを言われるわけでありまして、そういう点については、私は常識的なことだと存じますので、この資産の処理にあたっては、一つ十分問題の起きないようなやり方というものを特に御検討なされて、たくさんな資産払い下げをやって国鉄の財源に充当するように聞いておりますので、その点については、従来にない御検討をされ、問題のないようなやり方をやっていただきたいと思います。
  74. 兼松学

    兼松説明員 お答えいたします。  御指摘の点につきましては、格別に努力して問題のないようにいたしたいと存じますが、旧所有者に譲りますのにつきましては、従前、私ども国有財産に関する規定をいろいろ準用してやっておりますので、十年以内に取得したものにつきましては、いろいろ特例として旧所有者にお返しすることができるように考えておりますが、古いものにつきましては、やはり一般公開によらなければならないことになっております。そういった点で問題のあることも過去にもございましたし、将来もあり得ることと考えますので、できるだけ関係者の御理解を得て、円滑に、かつ、厳正に処理するようにいたしたいと存じます。
  75. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今私たちが、この東海道新幹線の土地の問題でよく言われる点は、やはり国鉄なり、あるいはまた土地の問題は、建設省、農林省に関係があるのですが、その役所の信用というものが、一番大きな問題になると思うのです。ですから、そういう点については、今言われました法律なり、規定なり、いろいろあると思うのです。しかし、そうはいいましても、公開競争入札の制度もあるでしょうけれども、十分な了解を得て、あとあとまでも問題が波及しないように要望いたしておきたいと存じます。  その次に、後払い運賃の問題につきましては、監査委員会からもその回収について指摘をされているようでありますが、今日、その問題はどんなふうな形になっておりますか。
  76. 兼松学

    兼松説明員 お答えいたします。  後払い運賃料金につきましては、私どもも、できるだけ円滑にやるように考えております。特に滞納のないようにということを非常に考えております。現在三十三年と四年にかけましての連絡運輸の関係でございますが、滞納が約一意六千五百万円あります。これも各関係会社に整理計画を立てて、徐々に減らしておりますので、大体今年度末は、十四社程度になるのではないかと思います。  それから荷物運賃料金等につきましては、現在のところ、翌月末日に納めていただくことになっておりますが、滞納はございません。  それから業務の委託等をやっておりますところでも、滞納はございません。  それから貨物運賃の後払いにつきましては、日本通運、それから大荷主等は、現在のところ滞納がございませんが、小さい運輸会社で、ただいまのところ四千八百万円の滞納がございまして、これも二年前には一億三千二百万円ほどございましたのですが、徐々に減少して参っております。  それからあと、後払いをいたしておりますのは、各官庁関係、その他官庁に準ずべきもので、運輸省、郵政省、法務省、米軍というようなものでございます。こういうところにつきましては、何ら今のところ問題はないと思います。  それから交通公社につきましては、翌月の同日、つまり一カ月おくれで納めることになっておりますが、四月以降は、二十日に縮めさせることにいたす方針でおります。できるだけ納期を短縮していきたいと思っております。これは貨物旅客、それぞれ沿革もございますし、商慣習もございますので、期日は必ずしも同じでないようになっておりますが、できるだけ短くしていくという方針で整理して参りまして、現在滞納になっておるのは、今申し上げましただけでございます。あとは順当に納めていただいております。
  77. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十三年度の監査委員会から出されている監査報告書の百五十八ページに、後払い貨物運賃回収の問題が指摘をされておるわけでありまして、これにつきましては、同じく三十三年度国鉄当局のこれに対する回答として、四十四ページに出ておるわけでありまして、これには具体的に今説明されたより短縮をすべきであるということが指摘をされ、短縮をしますと、回答が出ておるように思うのですが、この点はどうなんでしょうか。
  78. 兼松学

    兼松説明員 申し上げました通り、交通公社につきましては、一カ月を二十日に締めて、十日短縮することにいたしました次第でございます。その他の大荷主とか通運業者等につきましては、現行通りにしております。   〔三和委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、交通公社の売り上げた代金の最近の納入の状態といいますか、あるいは資金の滞留状態といいますか、それと、ここで指摘されている後払い貨物運賃のおもなる個所についての指摘された納入状況の資料というものを、あすまでに出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  80. 兼松学

    兼松説明員 お答えいたします。  御指定の通りに提出いたしますが、滞納ではございませんので、規定通りみな順調に納まっております。
  81. 勝澤芳雄

    勝澤委員 別に滞納ではなくて、資金がどういうふうに入って、どういうふうに流れておるかという点を、一つお願いいたします。  あと、まだ私質問がありますけれども山田委員の方から発言の、要求がありますので、私はあすに譲りまして、山田委員に……。
  82. 山田長司

    山田(長)委員 総裁にさっき伺いたかったのでありますが、それは赤字路線の増設をやっていながら、前の赤字路線の廃止をしようとしているという点です。ちょっと矛盾がありますので、これは先ほど聞こうと思っておったのでありますが、帰られてしまったので伺うことができなかったのですが、今国鉄当局で廃止をしようとしている赤字路線の資料を、あした出してもらいたいと思うのです。いいですか。
  83. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 地方の赤字の程度のひどい線区経営のやり方につきまして、いろいろ検討をいたしておりますが、今特に廃止することをきめたとかなんとかいうものはございませんけれども赤字の程度のひどい路線で、将来の経営形態等についても検討を要すると思われるような線区の目録というようなものでございましたならば、差し出すことができるかと思いますが、廃止をきめたというもの、また廃止を具体的に考えておるというようなものは、今ございません。
  84. 山田長司

    山田(長)委員 何で私はこんなことを伺うかというと、実は、私の選挙区内にあるのです。真岡線の廃止で、地元住民はかなり大騒ぎをしているのです。もう一つ、これは選挙区外ですが、宇都宮から出ている鳥山線、これも廃止するということが、東鉄管内で言われていると思うのです。実は、新たに作られるところは赤字路線であっても増設をやるが、前の赤字路線は廃止するということでありましたので、これらのことも関連して伺おうと思ったのです。今言われた資料でいいですから、あしたお出し願いたいと思います。
  85. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 よろしゅうございます。
  86. 山田長司

    山田(長)委員 次に伺いますが、これも総裁でなければあるいは無理かと思うのですが、もしおわかりになるならば、お答え願いたいと思うのです。それは、国鉄当局で預託金をやるわけですが、この預託金制度に、四十億以下は全然利息がつかない。一体そんなはかばかしいことが——国鉄当局で借りた金はその日から利息がつくのに、四十億だけは利息がつかずにほってある。どうもこれは、何としても今の国鉄赤字救済に、こういう問題をほうっておく筋合いのものじゃないと思うのです。どういうわけで、四十億分だけは利息をつけずに預けておくということをしているのですか。
  87. 兼松学

    兼松説明員 お答えいたします。  これは、国鉄が四十億をほっておくという形ではございませんので、預託金の制度ができましたときに、大蔵省の方でおきめになった金額でございまして、国鉄は、ほかの金は原則として、銀行に数日たまった後にみな預託金になるという建前になっておりまして、預託金になってから初めて支出ができるわけでありますが、大蔵省の御見解では、当座預金というものは当然無利子である。それで国鉄の支払いの当座預金に見合う分ということで、四十億円がそのようになっておるように聞いておりますし、電電公社についても、たしか三十億だと考えますが、同じように無利子の限度というものが定められておるわけでございます。それで、私どもといたしましては、お金の有効な運用という点から、預託金の範囲を縮小していただきたい、また預託金以外にも、銀行に預けるなりなんなりする道を拡大いたしたいということを、運輸大臣及び大蔵大臣にお願いしておるという次第でございます。
  88. 山田長司

    山田(長)委員 これが一年や二年ならいざ知らず、いつごろからお願いしているのです。四十億という、われわれから見たら莫大な金ですが、これについては利息をとらなくてもいいんだということでお願いしているのですか。いつごろからお願いしているのです。
  89. 兼松学

    兼松説明員 たしかその限度、四十億の額がきめられましたのは、四年くらい前だと思いますが、私どもがお願いしておりますのは、その無利子限度の問題と申しますよりは、現在の法律自体を改正していただいて、預託金にしなければならぬという制限を緩和していただきたいということで、法律事項として、運輸大臣及び大蔵大臣にお願いしておるわけでございます。この四十億そのものの問題につきましては、監査委員会からも御指摘もあり、また別に関係当局にもいろいろ意見を述べておられますので、今までのところ、むしろそちらの方の御意見でそういうことになっておるようなわけであります。
  90. 山田長司

    山田(長)委員 やはり赤字救済のためには、誠意を持ってやってほしい。国鉄当局で借りているものについては、みんな利息を払っておるのですから、こういう問題については、力を入れた折衝がなさるべきものと私は思うのです。  次に伺いたいのは、外部から資金の導入がなされている。たとえば共済組合から借りて病院を建てたり、あるいは職員宿舎を建てたり、それから民間から車両を借りたり、超短波の無線機を借りたりしていますが、こういう民間からの金を借りないで、長期金融銀行とか、あるいはもっと安い利息で借り入れる個所があると思われるのに、国鉄当局では、こうした民間の金を借りて、病院建設とか宿舎の建設に充てているが、どうもこの点が理解できないのですけれども、いかがなものです。
  91. 兼松学

    兼松説明員 公済組合の関係はいささか別だと考えますが、民有車両だとかあるいは超短波無線機の場合には、国鉄の借入金の限度というものは、予算国会の御承認を得られた限度に限られておるわけでございます。そこで、たまたま輸送が非常に繁忙になり、あるいは施設整備の緊急を要しましたときに、単年度で払えませんので、それを借りまして、将来御承認を得た予算で返していこうということで、信用で借りてやったということであります。これは予算の借入金の限度以上のものでございますので、ほかから借りる方法がないということで、当時輸送の逼迫したときに、やむを得ず、ここ数年やったような事態でございます。  それから共済組合の問題は、共済組合の資金の運用ということを考えつつ、同時に国鉄の最小限の経費で、現在職員の厚生条件の重要な問題になっております宿舎問題の解決の一端に資するということでやって参ったようなものでございまして、これは、いわゆる民間の資金の場合とちょっと条件が違うように思います。
  92. 山田長司

    山田(長)委員 ただいま申された、共済組合と民間資金の問題とは別だと言いますけれども、これは別なら別でもいいのです。私が理解できないのは、利息に支払っている金が非常に莫大な金だという点です。たとえば病院の場合だって一億二千六百万、宿舎の場合でも五億八千三百万、それから民有車両の場合でも三億九百万、こういう莫大な利息が払われておるわけです。これらのものが、もし政府機関から借りることができれば、多少金額的にこれを少なくすることができるのじゃないかと思うので、伺うわけです。
  93. 兼松学

    兼松説明員 民有車両あるいは超短波無線機の場合には、利息の計算は六分七厘の計算にいたしております。それから共済組合につきましては、七分の計算になっております。現在国鉄が調達しております資本は、公募債によるものが、発行者の経資といたしては七分五厘二毛二糸になっております。それから資金運用部から拝借している限定された金額につきましては、六分五厘でございますが、やはり資金運用部の関係で公募債を引き受けていただいておるものにつきましては、七分五厘二毛三糸になっておりますので、六分七厘というのは、利用債と同じ金利でございまして、国鉄側から見ると、金利としては妥当なものではないかと考えております。
  94. 山田長司

    山田(長)委員 はたして私が伺うことが妥当であるかどうかわからぬのですが、鉄道の電話を部外に使用さしているという問題です。あまり部外に電話を使用さしていることによって、実際に本業に支障を来たすというようなことがあるのだということをちまたで言っているのです。有料電話だというけれども、たとえば運輸省、通運に二百本、その他に七十六本、それから交通公社に、有料だといって三十四本、無料で三百三十九本、日本旅行会に、有料十二本の無料が十一本、近畿日本ツーリストに、有料が二本、無料が十四本、それから全日本観光に無料が六本、それから日本交通観光に三本、それから東急観光に有料二本の無料が二本、あるいはそのほかに、食堂などにも有料二十一本、帝国ホテル食堂部に二本、都ホテルに四本、新大阪ホテルに二本、弘済会に一本——これは弘済会の函館営業所、弘済会の本部には二十八本、それから業務部に七十四本、福祉部に十本、無料が義肢製作所に七本、授産所に四本、その他に二本という工合に、かなりの本数が貸してあるようです。無料の場合はむろん無料でしょうけれども、有料の場合には、どんな料金をとっているものか。このことによって、今の右線電話のことですから、おそらくはかの仕事にも使われるようなことが多々あるのじゃないかと思うのです。このことによって、民間でいわれているように、忙しい国鉄支障を起こすような電話の長話をされて、外部に使用されることによって非常に障害を起こしておるという話を聞くのですけれども、これらについては、有料の場合幾ら、それからこれはどうして無料にしているのか、どういう理由でこんなに使わせなければならないのか、一応伺っておきます。
  95. 兼松学

    兼松説明員 お答え申し上げます。  御指摘の通りの鉄道電話は、現在国鉄の仕事を代行しているところ、あるいは委託しているようなところにやってあるわけでございまして、連絡面をやる仕事と業務上の問題、それから日本通運、交通公社等は、すべてうちの輸送上の貨車の配車とかその他についての連絡を代行させておりますために行なっておるものでございます。  それから帝国ホテルとか都ホテル等に二個、四個とございますのは、これは列車食堂部の列車食堂の積み込みその他の準備に、こちらから列車の変更その他を指示する連絡用のものでございまして、弘済会等も、こちらの仕事を委託しているような関係でございまして、現実問題といたしまして、直接国鉄のみの仕事だけをやっているものと、それから双方が稗益するもの、たとえば列車食堂とか観光事業というように、国鉄お客も持ってくるが、同時に国鉄が輸送上の割当をしたり、変更したり、いろいろな指図もするというようなものは、有料ということで、現在約千五百のうちで、有料と無料が半々になっております。その砥かに、部外としては、労働組合に三百四十個ほどつけております。現在有料の月額は、二千七百五十円という料金を徴収しておりますが、最近原価も値上がって参りましたので、これをことしから若干値上げするということで、今準備をいたしております。
  96. 山田長司

    山田(長)委員 ただいま国鉄の仕事に関係のある個所に便利を与えるために電話を設けられているというような話でありますが、どうも私には理解ができないのは、たとえば交通公社の場合一つをあげてみても、公益法人という名がついているかもしれないが、実際において、旅館のあっせんをしたり、あるいは観光客を引っぱって歩いたり、まるで民間の観光業を業とするものとほとんど変わっていないという印象を、私は持たざるを得ないのです。どういう利益をあげて運輸省の隣にあれだけの建物を建てたかわからないけれども、とにかくやっている仕事が、実際はサービス業で、実際はこれは有限会社か株式会社でやるべき筋合のもののような印象なんです。これはかなり切符の代売代金などについても、特別なサービスがなされておるようでありますが、こういう問題について、これはあくまで国鉄当局としては、なくてはならない存在として見ておるものか、この点が私には理解できないのです。現在切符の委託販売などをさしておるところがかなりあるようでありますけれども、これらについての金のあと払いなどについて、先ほど勝澤委員からも質問がありましたけれども、どうもこれだけ国鉄出局が力を入れるべき筋合いなのかどうか、これについて疑問があるのですけれども、これはやはりこのままの存在にしておくべきものであるのかどうか。切符の代売をやっておるほかの会社の場合など、全部会社がやっておるのですが、公社の場合などは、そうではなく、特別の扱いをされておるようですけれども、これはこのままにいつまでもしておくお考えでありますか、どうですか。
  97. 兼松学

    兼松説明員 お答えいたします。  交通公社の業務自体が、その業務の面におきまして大部分の代売等につきましては、他の民間事業と変わらないじゃないかというお話の点につきましては、私どもその面については同様に考えております。それで交通公社の方の手数料も、一般の民間の手数料も、すべて同率で、同じものは原則として同じように払わせるということにいたしております。ただ、交通公社は、ほかよりも一般乗車券の代売をしておりまして、ほかの方は周遊券とか団体券に限っておりますので、交通公社の業務範囲が広いということでございます。  それから交通公社の業務量の中で、国鉄関係は約半分でございまして、他の半分は、民間の航空会社とかの仕事をいたしております。それで鉄道の御指摘の電話は、私どもとしては、鉄道の予約、座席の予約とか、駅との連絡を緊密に必要といたしますので、団体の列車の時間の予約とか、そういった予約業務を中心にやっておりますので、旅館の予約等については、お客様からそれぞれ通信料をいただいて実施させるように契約もいたしておりますし、できるだけ監視をいたしておる次第でございます。たまにあるいは乱用があるかどうかということにつきましては、私どもの方としては、できるだけ気をつけて契約をいたしておる次第でございます。現在のところ、こういった国鉄の事業というものが、競争が激しくなって参ります中でいろいろ仕事をして参りますにつきまして、またいろいろ総合的なサービスが要望されておる形におきましては、こういういわゆるエージェントというものを使ってやるということは、鉄道としても必要であり、お客さんとしても御便宜なものであるので、こういったものの存在価値は高いものではないかという見解を持っております。
  98. 山田長司

    山田(長)委員 存在価値があることはあっても、やはり民間の会社と何ら変わりのない形のものの内答をもって仕事をしているものが、いかにも国鉄当局から庇護されて仕事をやっておるというふうなことは、間違いないと思う。この点が、やはり明確になってもよいところへきている段階じゃないかと、私は思うのです。これは建物がりっぱなものができたとかなんとかいうのじゃなくて、やはり民間の組織であることには間違いないのであって、それがいかにも庇護されたような形で仕事をしているという点において、場合によればもっと発展するかもしれないが、発展をせられない内容も持っているのじゃないかと思われるわけです。私は、何かここの点が明確になるべき段階にきているのじゃないかという印象を持つのです。明確にこうあるべきだという指示ができないのは、まことに残念に思うのですけれども、私は、現在、もっと明確化していい段階にきているのじゃないかという気が強くするのです。この点について、ほかのサービス業と同じような形に作り上げていく意思はないものかどうか、ということを伺いたいと思います。
  99. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまのお言葉にございました点でございますが、私どもといたしましても、交通公社というような、旅客サービスの関係だけでなく、貨物の方のサービスその他につきましても、やはり個々のお客様なり荷主さんなりに直結いたします窓口として、いろいろな民間事業の会社があるわけでございます。そういう会社と国鉄との関係、また、それを介してお客様なり荷主さんなりとの関係というものを、国鉄のサービスというものを改善して参りますためには、いろいろ検討すべき多くの問題が含まれておるというふうに考えておりまして、それらの点につきましては、またいろいろな方面から御指摘を受けたようなこともありますので、そういう点を根本的にこれからいろいろ検討して参りたいということも考えております。ただしかし、さしあたっての問題といたしましては、たとえば交通公社と国鉄との関係というようなことにつきましては、先ほど兼松理事から申し上げましたように、代売の手数料その他については、一般の民間のその他の旅行あっせん業者と同じような扱いをしておるわけでございます。しかし、お言葉のように、交通公社に対して何か特別の庇護を与えておるのではないかというようなふうにごらんになられる方々もいらっしゃいますし、私どもとしましては、旅客サービスをできるだけ完全にするためには、交通公社のようなものも十分監督しながら、しかも、また利用もしなければならぬと思っておるわけでございますけれども、その利用の際に、何か特別右利な条件を交通公社にだけ与えるというようなことは、よくないと考えておりますので、他の業者と同様に取り扱うようにいたしております。また、先ほど勝澤委員の御質問の際に、たしか御答弁申し上げたと思いまするが、代売手数料の納期の問題については、これは四月からさらに短縮させるように考えておりまするし、また、手数料の料率につきましても、これを引き下げるように目下検討中でございます。近いうちにきめまして、さらに料率の引き下げを行なって、少しでも国鉄収入を確保するということのために、なお一そう努力をいたすつもりにいたしております。
  100. 山田長司

    山田(長)委員 何で私がこんなことを申し上げるかというと、交通公社の資本金が十三万円、今の資産が二十八億といわれている。この二十八億の資産になるまでの間における便益というものは、国鉄がいろいろ与えたことによることが大きいのではないか。十三万の資本金が二十八億になるまでの過程の中には、会社の仕事と同じような形でやっていたからこそ、これだけの財産になったと思うのです。先ほどの勝澤委員質問に対して、代売代金の納期が二十日だというようなことを言われたのですが、この二十日の間滞る金というものは、十七、八億になっている。私の調べたことが間違っているかどうかわかりませんけれども……。そうすると、そのままストップされているとすれば、年じゅう十七、八億の金が、大体公社の自由になっていると思うのです。こういう便益があるということに、私は疑問を持つわけなんです。こういう莫大な資産を持つような段階になっておっても、なおかつ、これだけの便益を公社に与えなければならないということ自体、どうも不可解なんです。ですから、この二十日間の問題も、もっと短時日の間に取り上ぐべき筋合いのものでありましょうし、国鉄当局が庇護される面もやはり何とか変えて、利益の上げられるものはどん、どん国鉄当局で上げていく態勢を作っていかなければならぬと思うのです。この点などについて、今の答弁では、どうも私には理解ができないのです。もう少し、この問題については十分な研究をさるべきだと思うのです。そしてまた、結論を出すべき段階にきているではないかと思うのですが、もう一ぺんお答え願います。
  101. 兼松学

    兼松説明員 お答え申し上げます。  御指摘の点につきましては、私どもも、できるだけ、いわゆるエージェントと申しますか、そういうものについて考えて、何か基本的な線を出すということにつきまして努力をいたしておりまして、なるたけ短く上げていくということを目模にいたしておるわけであります。交通公社は、数年前にございました財政上の不始末がございまして、それを整理して、現在納期にきらんと納まるようになったわけでございます。さらに本年から十日を短縮するということも、その一つに考えております。やはり民間事業でも、即日というのは事務としてもなかなか困難でございまして、日本航空はたしか十五日か二十日、全日空も二十日とか、外国の航空会社はどういうふうになっているか存じませんが、それぞれの会社で、やはり連絡機構を分けて納めたりする事務上のこともありますので、若干の日にちをかけておるようなのが商慣習のように思われますし、それから現在では、こういった会社が切符を発行した当日に、必ずしもお金を収納してない場合もあるようでございますが、私どもとしては、御指摘の趣旨に沿いまして、できるだけすみやかに国鉄が回収し得るように、一段努力をいたしたいと存じております。
  102. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの答弁の中に、言いにくいというか、質問にも私は言わなかった点もあるのですが、ロマンス社に公社が浮き貸しした事件というのを、私は知っております。公社が、そういう何億という金を一雑誌社のために浮き貸しをすることができるというようなずさんさがあったということは、これは監督上の問題ばかりでなしに、やはり公社自体にゆとりがあるから、そういうことができたのだと私は思うのですけれども、雑誌社のために金を貸すというふうな事態があって、その結論がどうにかついたと言われるが、私は、もうこの段階にきて、明確化した線が打ち出されないで、このままにしておくというようなことになれば、これはまた失態を重ねないとは限らぬと思うのです。こういう点で、やはり明確化する必要を私は感ずるものですから、老姿心ながら、こういう御質問を申し上げたわけです。  ついでに、これは国鉄当局関係はないといえばそれきりになってしまうのですが、参考に、もしあなたの方で言われるならば、一つこの際お答えしてもらいたいと思うのですが、今度あそこにあれだけのビルディングができました。土地は三菱の土地だそうですが、三菱と交通公社と共同であそこへあの建物を建てたというのでありますが、これらについては、国鉄出局は何も干渉はできない筋合いのものかもしれませんけれども、何か知っている点があったら、この際ここで明らかにしてもらいたいと思うのです。
  103. 兼松学

    兼松説明員 交通公社のビルの建設につきましては、いろいろ先生からのお話等も予想いたしまして、同社の幹部を呼びまして、私どもが、情報として同社の説明を聴取いたしました。その聴取した内容を御報告申し上げます。  それによりますと、あの土地は三菱地所の土地であって、あのビルは、三菱地所が丸ノ内ホテルの裏の一部と交通公社が使っておった土地とにビルを、こしらえた。それで、交通公社の使用する、所有に将来帰する部分が二千六百坪である。総建坪は七千五百五十坪であって、約三分の一である。建設費は約十五億円である。そのうちで、公社の負担に帰するものが五億円である。その五億円については、公社が、正式の地上権はないそうでございますが、その価値を一部評価してもらって、同町に、社内で退職引当金として持っておるような金をこの建設費に充てて固定さしておるというのが、先方の説明でございます。
  104. 山田長司

    山田(長)委員 終わります。
  105. 西村力弥

    ○西村(力)委員 交通公社が金を納める納期の短縮十日ということですが、これの変遷はどうなっていますが。ずっと年次別に……。
  106. 兼松学

    兼松説明員 お答え申し上げます。  昭和二十九年の四月までは、翌月の末日ということで、四十五日の後になりました。その後、二十九年の五月分から、三十八日に短縮いたしました。三十一年から、毎年一日ないし二日ずつ短縮いたしまして、三十四年の四月に三十日に縮まりまして、そうして現在に至っておりますが、この四月以降は、二十日に短縮するということでございます。
  107. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、十日に短縮するという方針だ、こういうようなことをおっしゃったのですが、二十日ですか。
  108. 兼松学

    兼松説明員 三十日を十日短縮いたしまして、二十日にいたしますということでございます。
  109. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それは即日にできないことはわかるのですが、ぎりぎり一。はいのところは、やはり二十日ですかね。そういう専務処理上のぎりぎりの線が、二十日という工合に言わざるを符ない根拠はあるのかどうか。
  110. 兼松学

    兼松説明員 私どもは、整理は、約十日で最終目標はいいものと考えております。一時に十日ということは、事実問題として非常にむずかしい点もございますので、今回は、封鎖預金全額も国鉄に即納させまして、そうして十日を短縮いたしますとともに、ここ数年のうちに十日以内に縮めさすように、私どもとしては、契約上の要求をして、措置していきたいと考えております。
  111. 西村力弥

    ○西村(力)委員 二十九年のときまでは四十五日、そのときはそのときで四十丑日を必要としたのかどうかということ。今回は、事実問題として十日でいい、しかし、一時にはできないから二十日に押える、こういうことをおっしゃいますが、そのつどそのつどその理屈は立つようですけれども、やはりこれはぎりぎり一ぱいまで早急にやり得るんじゃなかろうかという気がするわけなんです。  それから今山田君から無料電話の件そのほかがありましたが、交通公社とか、そういう関係機関に対する国鉄のそういう意味における奉仕的なものは、そういう無料電話を使わせることだけのことか。そのほか、交通公社に対しましては、国鉄側として共同の仕事をするというような趣旨に基づくサービス的なやり方は、ないかどうか。
  112. 兼松学

    兼松説明員 施設の提供というようなことについては、その限度であると考えます。なお、国鉄旅客宣伝、そういうことには仕事を手伝わしています。  それから最初にお述べになりました四十五日というのは、理論があっての四十五日というのではなくて、その当時の総司令部とのいろいろないきさつその他があった結果、また、それまでに御指摘のありましたような不始末があっておくれたので、私どもとしても、国会の御指摘もあり、鋭意督励いたしまして、契約上推進して徐々に短縮をして参ったのであります。
  113. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私の聞き方が悪かったのですが、交通交社なんかに与えておる便益、利益、そういうものは、無料電話を使わせるとか、そういうこと以外にないかということ。
  114. 兼松学

    兼松説明員 別に物的な設備は何もございませんが、乗車券箱を貸すとか、その他国鉄の切符を販売するに必要なものをやっておるわけであります。
  115. 西村力弥

    ○西村(力)委員 乗車無料などという利益供与、サービス供与というようなことは、全然ありませんか。
  116. 兼松学

    兼松説明員 やっておりません。
  117. 西村力弥

    ○西村(力)委員 手数料率を今度引き下げる、こういうことを副総裁がおっしゃったのですが、現在の手数料の率を算定した基礎は、相当克明な基礎資料があるかと思うのです。ただ腹づもりで、大体このくらいの手数料だ、こういうような工合に契約を結んでいるという工合には、私たちには考えられないのですが、この手数料率を算定した基礎的な資料があれば、出してもらいたいと思うのですが、そういうことはないですか。
  118. 兼松学

    兼松説明員 非常に古い沿革のものでございまして、一般代売について五%というのが当初のコストでございましたので、それを基礎にしてやりましたが、その後、定期券の発売をやらしたり、その他の代売業者などもありますし、それから団体券のコストが変わって参ります、運賃値上げがあったたびに、いろいろ変わったりいたしますので、定期、団体券等の手数のかからないものについては、ずっと料率が低くなっておりまして、それぞれ計算した根拠のもとにやっておるわけでございます。
  119. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その計算というものは、めんどうなのですか。相当膨大ですか。率には適正マージンということを含め、また必要経費というものもずっと算定して、それに適正な利潤といいますか、そういうものはこれこれという工合に、ずっとその妥当性を証明する基礎計算というのはあるだろうと思うのですが、そういうものは、相当膨大なものであるかどうか。大綱だけでも一つ示してもらったら、ありがたいものだと思うのです。
  120. 兼松学

    兼松説明員 ただいま手元に計算の資料を持ち合わせませんのですが、これは、それぞれ計算をいたしまして、同時に他の業者、航空会社とかバス会社、私鉄会社等の委託手数料も一つの相場がございますので、それらも勘案してきめたものでございます。御要望がございますれば、別に詳細御報告申し上げたいと思います。
  121. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまあなたの答弁の中に、鉄道のパスが出ていないというような話ですが、これらの民間団体には、ほとんど出ていると思います。現に私は見ていますから。この点、どの程度まで出ているのか、お答え願えれば、お答えしてもらいたいと思います。  もう一つは、これだけの有料、無料、直通の電話があるのですから、代売代金の問題は、もっとスムーズに処理ができてしかるべきだと思うのです。今の普通電話のように、交換台を呼んで二時間も三時間もかかるのではなくて、すぐにどこの地点でも通ずるのですから、その日の売り上げというものは、夕方集計して、すぐにでも報告するというようなことは、できないはずはないと思うのです。もしこれが民間の会社であったとするならば、これはその日のうちに、どれだけの売り上げがあったくらいのことは調べると思うのです。この点、もう少しスムーズにできないものかと思うのですが、いかがでしょうか。
  122. 兼松学

    兼松説明員 おそらく御指摘乗車証は、団体旅行の世話人に対して出されているものだろうと思いますが、これは、引率世話人の一定数に一人ということで出しておるわけでございます。  それから今の現金の売り上げは、金額は即日報告されておりまして、一応売り上げ数字は、翌日に全部わかっております。ただ、現金の出納といいますのが、いわゆる帳簿の問題で、国鉄の取引銀行を通しまして、駅から取引銀行へ入れてこちらへ上げてくる、あるいは本社間で受け取るというふうに、徴収手続のあるもの、これにつきましては、多少時間がかかるわけでございまして、ことに最近の周遊券その他の切符は、国鉄だけにお金を納めるだけでなくて、精算部分もあるわけでございまして、そういう手間を見まして、大体十日ぐらいには技術的に短縮できて帳簿ができるという考えでございまして、その日の、たとえば駅に引き継ぎ得る団体の数とか、売れた切符の額とかいうものは、私どもの方としては、数字としては通報を受けているわけでございますから、統計的にはわかるのでございますが、お金を動かす徴票ということでは、ある程度の時間を要する、こういうことでございます。
  123. 山田長司

    山田(長)委員 私は、こう考えるのです。今通報とか、金が入ってくるのが二十日とかいうのではなくて、国鉄の金を扱うこれらの会社の人たちに、保証金の五千万や一億積ましておいてやるべきものなのですよ。そういう筋合のものです。しかるに、払い込んだら二十日も先でなければ精算ができないということではなくて、通報がありさえすれば、積んだ保証金の中から引くというくらいのことにしてしかるべきだと思うのですよ。そういうばかばかしいことをいつまでやっていてもいかぬと思うのです。たとえば民間の会社を見てごらんなさい。金を扱うところは、たとい五方、十万の金を扱うところでも、りっぱに保証人を立てるなり、保証金を積み立てたりしておる。何億という金を扱うのに——もちろん、この会社はつぶれないでしょう。つぶれないだろうけれども、それくらいな抜本的な措置をやってもいい。五千万円の保証金を積めばうちの切符を扱わせるということをやっても、それは幾らでも保証金を積んで扱いますよ。その点が、もっと生きた扱い方をしていいと私は思う。
  124. 兼松学

    兼松説明員 すべての金の取り扱いは、国鉄は、保証金、あるいは保証金に匹敵する証券の寄託、または銀行保証を全部についてとっておりまして、交通公社については、今度は二十日になれば、二十二日の銀行保証をとることにいたしております。
  125. 山田長司

    山田(長)委員 それならば、無料電話があるから、その日の売り上げがあったとすれば、二十日なんぞかからずに、その金は全部その日のうちに引けるのです。十何億もあと払いにするというような形でない方法が、それならばとれるのですよ。それくらいなことを理事者は一つお考えになって、赤字救済の一途をお考えになられた処置を、御契約をおさせになっていただきたいと私は思うのです。
  126. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 あすの審査のために、今御答弁ができればいいのですけれども、本会議があるそうですから資料として出してもらいたいと思うのです。  三十四年度、三十五年度における開業した新線の建設費、それから営業距離、収益、原価、損失、営業係数。それから現在修繕工事、継続工事、新設予定線の総数、及び建設費、営業距離、収益予定、原価の予定損失予定、営業係数の見込み。三に、現在運輸審議会で審議中の新線予定路線はどこか。またこれらの建設費、営業係数。それから四に、以上の新線をバス略線にした場合の建設費、収支、意業係数等について比較した場合の資料を、あすまでにお願いしたい。  次に、この性格的なものだけ来ているそうですが、資料として、日本通運、それから日本交通公社の業務状況を出してほしい。それだけです。
  127. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今の小川先生に追加をして、新線建設関係の資料をお願いをしたいと思うのです。  これは今こまかく言いましたので、私のとダブる点もあると思うのですが、あとでこまかく申し上げますから、一つお願いしたいと思います。  それから監査委員会から出ている資料と、国鉄でわれわれ決算委員会に資料として出されているのは、建設関係は、だいぶ資料が違っております。たとえば営業キロの場合においても、あるいは営業係数の場合においても、違いがあります。その点もあとで指摘をいたしますから、営業キロが違っているような資料では困りますから、そういう点も一つ検討されて出していただきたい。
  128. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 よろしゅうございますか。  なお、私から申し上げますが、先ほど西村力弥君からの質問でございましたが、交通公社に対する手数料の算出方法ですね、いかなる方法によって算出したかという資料を一つ出していただきたい。もう一つ、交通公社に対し、国鉄にいた人が、人事の交流というのですか、そこに流れ込んでいくというのですか、行っていると思うのですが、そういう人たちがあるのですかどうですか。そういう点も一つ、度にはどのくらいな人が行っているか。要するに、先ほどから質問をしている山田君の質問にいたしましても、西村君の質問にいたしましても、ずいぶん交通公社に対する国鉄の便宜の与え方というものは、見方によったら、非常な、何といっていいか、交通公社を化かすために国鉄が損をしているようなことがあるのじゃないかと思う。そのはけ口は、やはり自分たちの仲間が行くのだからというようなふうに考えられる節があるので、これらを一つ是正をしなくちゃならないし、国鉄赤字を出している際に、こういうようなばかげたことが一体あっていいかどうか、こういう点。  それからいま一つ、私が不審に考えているのですが、預託金は、現在総額でどのくらいあるのです。
  129. 兼松学

    兼松説明員 預託金は、三月末現在では約四百五十億でございますが、そのうち、二百五十億円は、長期借入金を三月三十一日、年度末に拝借して、支払いに充てるものでございますので、六月末の預託金は、現在政府に提出しました資金計画では、三十三億ということになっております。
  130. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 そこで、なお何年度には——三十三年度以降の預託金の平均の額、及び大蔵省の指定によって四十億までは無利息で預託しておけというようなさっきの答弁ですが、預託金といえども、利息を取って悪いということは、私はないと思うのです。たとえば私は、山田君の質問に対する答弁において非常に不愉快に感じたことは、大蔵省で四十億までは無利息で預託していいのだから、そういう方針でやっているのだということは、経営方針において非常にまずいことであって、預託金であっても、利息は取れるものは版るべきなんです。たとえば国鉄の借り入れが平均六分ないし七分ですから、六分五厘としても、四十億無利息で預託しておるものを、利息を取るとすれば、いわゆるそのレートでやった場合は、当然二億から三億程度のものは、何とも言わずに利息が上がってくるべきものなんです。一方に借り入れの方には多額の利息を払い、貸して、預けてある方からは利息を坂らないのだ、大蔵省で預託金を四十億までは認めたのだといって、利息を取らないのだ、こういうことで利息を請求をしないのだ、それから利息を取るべく交渉もしないのだといたしましたら、はなはだ言葉は言い過ぎるかもしれないが、あなた方には、国鉄経営の能力なし。国民の血の出るような税金を取って、めちゃくちゃなやり方をしている、こう言わざるを得ない。だから、統計的に出してもらうし、私は、決算委員長として、今の預託金は、四十億までは大蔵省で認めておるのだから取れないのだという方針であるとすれば、これから毎日このことについて決算委員会を開いて、皆さんの御意見を承るし、方針を承りたいと思う。私は、非常に不愉快に感じました。  それからいま一つ……。
  131. 兼松学

    兼松説明員 取らないのじゃないのです。よこさないのです。
  132. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 よこさないじゃありません。それでは交渉の方法が、もしあなた方に力が足りなければ、国会として、衆議院として交渉してあげます。  それから電話を無料で使わしておる。これらもずいぶん——私は、ここで委員会で言いたくない言葉ですから言いませんが、これは実に不可怪千万であって、しかも、交通公社に対して保証金をとって切符を売らせるのが当然なんだ。しかも、それが四十日が二十日になったから大手柄をしたなんて、あなた方とんでもない錯覚です。これは、扱い手数料の一割なら一割は完全に保証金として取っても——民間ならそれは一割そこらじゃありませんよ。とんでもない錯覚で、経営能力なしです。  それから、これらの問題は、さっきの答弁ではまことにおざなりで、国鉄が損をすれば国家が補償するのだからとか、やれ運賃を上げればいいのだというような、まるでおざなりのやり方で、この決算委員会として聞くにたえない答弁だと、私は考えております。これは、私が言うことは言葉が粗雑な言い方かもしれませんが、一体こんなことで国鉄経営をしていいかどうか、こういうあなた方に国鉄の経常をやらしていいかどうか、こういうことまで実は私は不審の念を持って先ほどから聞いておるのですが、これらについて、私の言い方がまずければ取り消しをいたしますが、根本的な考え方を直してもらわなくちゃならないと思う。そこで、明日は午前十時から委員会を開きますが、同時に運輸大臣、国鉄総裁、副総裁国鉄理事、及びきょうおいでになった方々全員、一人も欠けず御出席を願いたい。  本日はこの程度にとどめます。明日は、引き続き、国有鉄道決算について、審査を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十九分散会