○
木村(公)
委員 国鉄総裁のお考え方は、少しく私の所見と異なるところがございます。昨今問題になっておりますのは、いわゆる諮問機関である
審議会のあり方でございます。
鉄道建設審議会は、あくまで運輸大臣の諮問機関でございまして、運輸大臣の諮問に対して答申をする限りの権限を有しておるものでございます。それ以上は、国権の最高機関でございまする
国会に
審議の権限があることは、私が申し上げるまでもございません。従いまして、
建設審議会が答申をいたしたことは、よくても悪くても、これは絶対不可避なものであるといったような考え方は、学識経験者等を網羅しておるといわれる各種
委員会に対する一つの錯覚でございます。今日多くの
委員会というものが、有害無益であるとまでいわれているゆえんのものは、いたずらに学識経験者と称する者が、時には御用学者なり、時には御用の弁のみを努めまして、むしろ各役所に対して、あるいは国家機関に対して、有害な働きをいたしておるやに見受けられる点本間々あるのでございまして、あなたのごとく、この
審議会を絶対の金科玉条と心得て、
国会の
審議よりもこれは上位なものである、従って、この
審議会で一たびきめられたものは、
公共性の多い
国有鉄道は、有無を言わずこれに従う。それは少しく
審議会の性格を間違えておられるのでございまして、
審議会というものは、
国鉄の諮問機関ではないのでありまして、
国鉄の
監督をしておりまする運輸大臣の諮問機関である。しこうして、運輸大臣には答申をする権限をのみ持っております。しこうして、その答申を採択するやいなやということは、一に運輸大臣の権限下にあることは、私が申し上げるまでもないのでございます。その
建設審議会においてきめられたことは、よくても悪くても、これは
公共性があるから——
赤字というものは初めからわかっておろうと、これがどんなに
計画上自分たちが反対であろうとも、従わざるを得ないといったような情けない考え方を、一つぜひとも改めていただきたいと存じまして、次の問題に移りたいと存じます。
第二の問題は、
国鉄総裁でなく、運輸大臣が今日所用がございまして御出席ができませんので、そのかわりの政務次官、あるいは鉄監
局長からお伺いをいたしたいのでございますが、しかし、私のこれから
質疑を試みようといたしますことの御答弁は、差しさわりがあるようなことになるかも存じませんので、場合によって、もしもそれがために
国会に波乱を与えるとか、あるいはそれがために
国鉄が不測の障害を受けるようなことがございました場合には、答弁はあえて求めないで、私
どもの意見を一つ申し上げてみたいと存じますので、できる限りにおいて御答弁をいただきたいと存じます。
まず一つの問題は、先般四月五日でございましたか、脚光の反対によって少しおくれたのでございますが、
運賃値上げとベース・アップの
関係でございます。私
どもの調査によりますと、今回の
運賃値上げの使途は、営業費でありまして、しこうしてその営業費の六割はベース・アップに
予定されておると、われわれは調査をすでにいたしておるのでございます。しかるところ、運輸
委員会その他の記録を調査いたしますと、
国鉄当局は、
運賃値上げとベース・アップとは全く
関係がないかのごとき御答弁が間々なされておるのでございますが、これはまことに奇怪千万な御答弁でございまして、今日の
運賃値上げの六割の使途は、実に
国鉄労組のベース・アップに充当されておるということを、明確にわれわれは調査済みであります。これに対して、
国鉄当局がもしも答弁を回避されるならば、それはそれでよろしゅうございますが、この機会に、記録を通じて国内にぜひとも聞いてもらわなければなりませんことは、おそらく
国鉄労組の諸君といえ
ども、この
運賃値上げの六割までが自分たちのベース・アップに充当されるということを知りながら、なおかつ、
国鉄当局に対しストをもってこれを強要し、そしてついに仲裁裁定にまで持ち込んだというような、その態度——結果においては、自分たちのふところがあたたかくなる。そうしてそれに賛意を表しましたところの
政府並びに与党であるわれわれは、まるきり泥をかぶっておる。しかも、その
内容は六割がベース・アップであるにもかかわらず、それを世間にどうしても
国鉄当局は発表したがらない。そうして世間には、あたかもわれわれが、多くの人たちの
運賃値上げの泥をかぶってベース・アップに対しては反対をしておるような
印象を与えておる。片方においては労組から恨まれ、片方においては善良な多数の国民から怨嗟の声を放たれる、こういうばかげた
政治がどこにありますか。しかも、この
運賃値上げの六割というものがベース・アップに充当されるのだということが、今度の仲裁裁定において明らかになってきたのであります。あの仲裁裁定のために、先ほどの
運賃値上げでも、ベース・アップをなしがたいということは、あなた方自身が発表されておる。そうして仲裁裁定によって思わざる高額な裁定がなされた。そうすると、
運賃値上げで追っつかないといえば、
運賃値上げの中にベース・アップの金が充当されておったということを、問わず語りに国民に言っておられることになる。しかも、わが党の副幹事長であります大橋君は、
運賃の中にべース・アップ分は含まれておるということを、新聞記者会見においてしばしば発表しておられる。われわれも、わが党の総務会において、
責任ある幹部から、この
運賃の値上げは営業費に充当され、しかも、その六割はベース・アップに充当されるのだということを明確に聞かされておる。私
どもは、公務員の給料よりも九百円も
国鉄労組の諸君の給料が安いということを聞いて、これはいかぬ、何とかして——思想こそときに異なることがあろうとも、ぜひとも一つこのベース・アップはしてやるべきだというので、労組に対する好意から、労組に対する思いやりから、労組に対するわれわれの涙の
政治だと思っている。それあるからこそ、ベース・アップということを承知の上で、世間からとやかくいわれる
運賃値上げにわれわれは率先して賛成し、野党の大
圧迫を受けながらも、これをとうとう可決いたしたのであります。しかるに、いまなおべース・アップと
運賃値上げと何ら
関係がないと、いろいろな御
事情はありましょうけれ
ども、それをもってここを糊塗されるということになりますれば、与党の諸君、
政府の諸君は、国民に対して欺瞞しておるということになる。
国鉄はもちろんのことです。だから、この機会に、もしも答弁がしにくいようでありますれば、婉曲に、あなた方の真意だけでもこの際伺っておきたいと存ずるのでございます。