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今井(榮)
政府委員 日本航空と全
日本空輸との今後の関係をどう規律していくべきかということでございますが、現在の実情から申し上げますと、
日本航空は、
東京−札幌、
東京−
大阪、
東京−福岡という
日本の幹線と、それから現在国際線の運営を担当しておるわけでございますが、実際の収支の面から見ますと、国際線は、今日のところまだ競争が非常に激甚で、苦しい
状態でございます。その苦しい
状態の国際線を、さらにことしの六月からは、北極回り欧州線というものを新たに開設する。その開設のために新しい
飛行機を購入するほか、欧州各地におけるオン・ライン・オフィスあるいはオフ・ライン・オフィスというような事務所を新設しまして、職員も配置しなければならぬという問題もあります。さらにまた、北極線につきましては、非常に激甚な競争が予想されているわけでございます。さらにまた
日本航空は、インド洋を経由して欧州線の
計画等も進めておりまして、これも早ければ来年の初頭には実現をしようということで、現在
努力しておるところでございます。そういうふうな
状況下におきまして、今日、日航の海外進出を実質的に非常に援護いたしておりますのは、日航の幹線運営における収入でございます。これは国際線をやる会社については、国が一切の負担をした上で伸びるようにしてやるというのも
一つの考え方でございますが、実際問題といたしまして、財政的に潤沢に日航の海外進出を援護するだけのソースを手に入れることが非常に困難でありまして、従って、私
どもの考え方からしますれば、
日本航空が、ある
程度国際線の進出、特に欧州、あるいは場合によってはこの数年間において世界一周線を完成する、そういう過程において、十分働き得るようにしてやらなければならない。そのためには、現在国際線で不用になった機材で、主として幹線を行なうという
計画でおります。こういったものも使わせまして、
国内線における収益もある
程度確保させていかなければならない、こういうふうに考えられるわけであります。
それから全日空につきましては、下田沖における
事故以後におきまして、その
対策といたしまして、
日本航空の技術的、資本的な援助を実現しました。それからまた、国からも乗員
養成についての補助金を出しておるような次第であります。さらにまた、従来
日本航空が担当しておりました
東京——札幌、
東京——大阪等における幹線への参加をも認めまして、現在大体日航七割、全日空三割というふうな形で、この幹線運営にも参加いたしておるわけでございます。全日空が幹線に参加いたしました当時は、ローカル線が非常に苦しい。それでローカル線
——しかも公共的に必要な不採算路線を経営するという
建前から、その経営を少しでも楽にしてやるということで、私
どもとしては幹線参加を進めたわけでございますが、
現状においては、幹線も非常に好況を呈してきておると同時に、
先生の御
指摘になるように、全般的にローカル線につきましても、経営が非常に改善されてきておるというのが
現状でございます。将来、この
両者をどのように規律していくか。あるいは全日空を
日本航空に統合して、国内、国際ともに一元的な会社でこれを担当せしめることが、
航空機の安全上、あるいは航空事業の面から必要である。それからまた、
国内線について全日空と一緒にして、
国内線会社というものを作る。また、国際線については、
日本航空が、ちょうどイギリスのBOACのごとくに、国際線のみを担当する会社にすることの方がいいかという問題があるわけであります。
〔木村(公)
委員長代理退席、三和
委員長代理着席〕
この点についても、私
どもとしては、今後一生懸命に勉強していきたい、掘り下げていきたいと思いますが、さしあたっての問題といたしましては、
日本航空の国際線進出がある
程度円滑に行なわれるに至るまでは、しばらくの間は現在の全日空、
日本航空の提携関係をできるだけ強化させる。それからまた、全日空の幹線への参加等につきましても、
両者が今後国内で機材の更新その他の施設が十分やり得るようなところまで逐次伸ばしてやるというような考え方、
両者の協調関係、幹線における協調運営というふうな形でしばらくはやっていくことが、最も実際的ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。