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1961-04-12 第38回国会 衆議院 決算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月十二日(水曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 木村 公平君 理事 高橋 英吉君    理事 三和 精一君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    大上  司君       久保田藤麿君    薩摩 雄次君       正示啓次郎君    鈴木 正吾君       藤井 勝志君    森本  靖君       山田 長司君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木暮武太夫君  出席政府委員         運輸政務次官  福家 俊一君         運輸事務官         (大臣官房長) 辻  章男君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     原山 亮三君         運輸事務官         (海運局次長) 若狭 得治君         運輸技官         (船舶局長)  水品 政雄君         運輸事務官         (船員局長)  吉行市太郎君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  廣瀬 眞一君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         運輸事務官         (航空局長)  今井 榮文君         運輸事務官         (観光局長)  津上 毅一君         気象庁長官   和達 清夫君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  石井  健君         海上保安庁次長 和田  勇君         会計検査院事務         官         (第三局長)  白木 康進君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 四月十一日  委員山中吾郎辞任につき、その補欠として成  田知巳君が議長指名委員に選任された。 同日  委員成田知巳辞任につき、その補欠として山  中吾郎君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員久保三郎辞任につき、その補欠として渡  辺惣蔵君が議長指名委員に選任された。 同日  委員渡辺惣蔵辞任につき、その補欠として久  保三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十三年度政府関係機関決算書  昭和三十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十三年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十三年度物品増減及び現在額総計算書  昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十四年度政府関係機関決算書  昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十四年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十四年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これより会議開きます。  昭和三十三年度決算外三件及び昭和三十四年決算外三件を一括して議題といたします。  運輸省所管について、調査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の通告があります。これを許します。小川豊明君。
  3. 小川豊明

    小川(豊)委員 主として運輸省航空局関係、さらに管制制度の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、先般千歳とか小牧とかの各空港における事故があったわけです。そこで管制制度の再検討が叫ばれておるわけです。この惨事の原因として、飛行場共用問題の解決が根本問題である。すなわち、軍と民間飛行場分離が根本ではないか、こう言われています。これについては、名古屋空港事故の当時、運輸大臣は、滑走路共用をやめたい、こういうことを言われています。その後、小牧飛行場管理等に関する覚書を見ますと、運輸次官防衛次官覚書交換の中には、この点が明文化されていないわけです。運輸大臣の方では、滑走路共用はそれをやめたいと言っておるにもかかわらず、その後の運輸次官防衛次官覚書交換には、この点が明確になっていない。なぜ明確になっていないかということを、まずお答え願いたいわけです。
  4. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 お答え申し上げます。  小牧飛行場共用分離の問題につきましては、その後、自衛隊ともいろいろ話し合いをいたしたのでございますが、現在の状況におきましては、これを早急に分離することは非常に困難であるという結論に到達いたしました。しかしながら、事故の再発を未然に防止する意味におきまして、両者における十分緊密な連絡のもとに、自衛隊機管制民間機管制とが十分な調和を保つような覚書交換いたしまして、現在進んでおるわけであります。なお、防衛庁といたしましては、小松、美保等飛行場整備充実につれまして、でき得る限り小牧軍用機をそちらへ移すというような計画も考えておりまして、できるだけ民間機運航に支障がないようにという線で、両者協議いたしておる状況であります。
  5. 小川豊明

    小川(豊)委員 協定書の中には、自衛隊は三カ月ごとに飛行場使用計画書を提出する。この点では、形の上では民間優先となっていますね。しかし、実際面で見ますと、どちらを先に考える余裕もない、こういうことを管制官は言っているわけです。これを今度三十四年度の実際の運営で見ると、年平均離着陸機数は五万八千四百六十八機、これは羽田ですが、一カ月平均四千八百七十二機、従って、一日に百六十二機、こういう飛行機が離着陸している。そこで羽田におけるこれの要員を見ると、タワーの方は十四人、GCAは二十七人、わずかに四十一人でこの国際空港を受け持っていることになる。ここにも私は問題があると思う。かなり労働強化というようなことも考えなければならないし、従って、休養をとる時間もないではないか。そういう点も、事故等の発生の原因として考える必要があるのじゃないか。ここであなたの方にお尋ねしたいのは、ここの要員対策、これだけたくさんの飛行機が離着陸しているのに対して、わずか四十一人で足りるのか、足りないのか、足りないとすればどうするのか、こういう点をお尋ねしたい。
  6. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 先生の御指摘通りでございます。私ども、実は昨年度までは、管制官勤務体制は三直四交代ということで現在の定員計算いたしまして、定員通り要員を配置しておるわけでございますが、従来、管制につきまして米軍あるいは自衛隊管制部隊の例を見ますと、四直五交代で実施しておるのが現状でございます。従って、私どもも、今年度から四百五交代を実施して、管制官勤務体制を改善して、休養時間をなるべく多くしてやるということに決定いたしまして、現在準備をいたしておる状況でございます。   〔委員長退席大上委員長代理着席〕 従いまして、四百五交代制が実施できることになりますれば、当然増員も考えなければならないわけでございまして、その増員といたしましては、毎年、御承知のように、四十名ないし五十名の管制官を新規に養成いたしておるわけでございます。ことしの四月にも、すでに養成された管制官が相当数出ているわけであります。そういうような管制官、並びに自衛隊管制委任する飛行場から引き揚げる管制官というようなものと合わせまして、今先生のおっしゃったような、繁忙な空港におけるタワー並びにGCA勤務体制を十分改善していきたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたの方から、管制官制度の問題が出て、これを人的にも増員して充実したい、こういう答弁です。これはけっこうなんですが、私は、根本的に——この羽田ばかりじゃありません。駐留軍飛行機自衛隊飛行機、そして民間飛行機、こういう形で三つがそれぞれ独立しながら入り乱れて離着陸しているというところに、根本的には問題があるのじゃないか。ますます速力は増大されていき、大きくもなっていく。そういう中で事故ということを考えるときに、考えなければならないのは、この三つがいつもあそこを共用しているという形がいいのか悪いのか、こういうことに根本的にはなってくるのじゃないか。この対策というものを考えないと、ただ管制官制度がどうだこうだといったって、それだけでは解決する問題ではないと思うのです。この点を運輸大臣、どう考えておりますか。
  8. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 お答えを申し上げますが、ただいま御指摘のように、これを駐留軍とか、あるいは自衛隊とか、民間とかの航空機が共同に使用しておるということは、必ずしもいいことではないと私どもも考えておるのでございまして、理想的に申しまするならば、おのおのその目的を異にしておりまする航空機の使用する飛行場が別にあることが望ましいようにも考えられる次第でございます。しかしながら、わが国の現状におきてましては、どうも現在の状態がやむを得ざることとしてまだ当分続くのではないか。そういう場合におきましては、ただいま航空局長から御説明申し上げましたような、関係者の間で緊密な連絡をとりまして、この管制官等の過労に陥らないように注意をいたしまして、あのかつて皆さん方に御心配をかけた小牧事故のようなことの再び発生しないように努力をいたしたいものであると考える次第でございます。気持といたしましては、ただいま御指摘のようなことをわれわれとしても考えておるのでございますが、御承知のような日本現状におきましては、共用のやむなき事態であると、われわれは今日も考えておる次第でございます。
  9. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは経費の点から、そういうことが言われておるのだろう、こう思うのです。しかし、一つ軍事目的一つ警戒目的一つは輸送になっておるわけです。目的がそれぞれ違って、指揮命令系統が違ってくるわけです。ただ、管制官制度を充実する、緊密な連絡をとるといっても、これは限界があるのです。あの事故というのは一回か二回だったけれども、これは一つ限界の現われであって、これは何としても、私は、運輸省としては根本的に考えなければならない問題ではないかと思う。われわれがそういうことを言うのではなくて、むしろあなた方の方が、この点については考えなければならぬのではないかと思います。そこで、さっきこの管制官の問題が出たわけですが、ここで一方は軍用機、一方は民間機ですが、これの給与の差、待遇の差を見ると、はなはだしい差があるのです。こういうところに、ただ休養をとらせるとかなんとかでなく、あなたの方で十分考えなければならぬ点が出てくるのじゃないですか。たとえば航空局管制官というのは、一般職一般公務員です。自衛隊の方は特別職です。その取り扱いで、職務内容は全く同じなんです。だが、身分上の扱いでは違ってきておる。給与内容平均水準を見ますと、板付空港の例で見ますと、航空局は十三名、平均給与は一万三千八百四十六円、それから防衛庁の方は五名で、そうして一万七千五百三十四円ですね、この表を見ると……。しかも、航空局職員の方が、全般的に見ると、学歴は高い。高学歴です。平均年令も二・八年。自衛隊よりずっと上でなければならないにもかかわらず、給与では三千六百八十八円下回っておるのです。こういうような形をとっていて、大切な人命を預からなければならないことになってくる。ここに問題がある。航空局側防衛庁側の環境の比較というか、これは行管でも、この点指摘しています。ですから、このはなはだしい差というものは、当然航空局側で問題として考えなければならないと思うが、あなたの方は、これに対してどういう是正をなさるつもりですか、この点をお尋ねします。
  10. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 自衛官運輸省管制官との給与差につきましては、先生が御指摘通りでございまして、先生今板付空港の例についてお話しになりましたが、これと全く同じような資料を実は私ども作っておりまして、たとえば、まず当初に、運輸省管制官は、短大を出て六カ月間の研修をいたしまして、初級管制官として業務につくわけでございますが、このまず当初の給与につきましては、現在四級地、つまり東京大阪等の非常に繁華なところでございますが、四級地勤務いたす者で約一万二千円程度、それから無級地につきましては、約一万一千円からちょっと出るというふうな程度が、一番最初に職務についたときの給与でございます。これに対しまして、自衛官の方は、短大卒ではございませんで、通常の場合には高等学校卒の経歴になっておるわけでございますが、これが初級任用試験に合格いたしまして、基本給で一万一千九百円、これに対して、営外居住する場合には営外居住手当というものが二千五百八十五円つき、これに通勤手当がもちろん六百円つくわけでございますが、これに対して被服は給与されるということで、総計いたしますと、一万五千円程度になるわけでございまして、初級管制官として勤務する場合においての両者の差異が、すでに、先生も御指摘になりましたが、三千円程度開きがあるわけでございます。私どもといたしましては、何とかして——一応建前は、一方は特別の俸給表を適用されておりますが、運輸省管制官一般行政職で採用されるという観点から、どうしてもそういうふうな給与体系の差からくる規制を受けなければならない状況でございますが、私どもとしては、極力この管制官待遇をよくするために努力をいたして参っております。実は、三十五年度におきまして、管制特別手当というものをようやく認めていただきまして、これによりまして、最高二千円から最低一千円程度の、繁忙な管制業務に従事する管制官に対する手当が創設されたのであります。さらに三十六年度におきまして、この手当の五割増しということが予算的に実現を見たわけでございます。はなはだ微力で申しわけないのでございますが、私どもとしては、でき得る限り管制官給与の向上についても、今後とも努力を続けていきたいと思っております。
  11. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたの方で努力して、だんだんそういうふうに均衡をとってきたということはいいのです。これは人命を扱うので、非常に大切なところなんです。その中で、自衛隊の方とあなたの方では、目的が違うわけです。ことにあなたの方は、まあ自衛隊飛行機に乗る人は、ある場合には、訓練であるから事故があっても仕方がない一とまではいえないけれども、あなたの方は、安全ということが第一なんです。それが、こういう形で、同じところで働いていて、最も大切な仕事をしている、そこの給与がずっと低いなんということは、人の数ばかりではなくして、こういう待遇という点も、十分あなたの方で考うべきだと思う。  次に、三十六年六月一日施行で、航空法が改正されておりますね。この管制権の問題ですが、防衛庁委任がなされております。この権限は、防衛庁への委任は、防衛庁長官協議の上政令をもって指定することになっておるわけです。その協議というものがととのっておるということは、私どもの記憶ではない。協議の上政令をもって指定するとなっているが、協議というのはととのっていないままに委任されてしまっている。これは協議がととのっているならばいいけれども、私どもはととのっていないというふうに解釈しているわけです。松島とか美保飛行場には、当然管制業務責任者である航空局管制官がおるべきなのに、あそこから引き揚げています。自衛隊自主管制にまかされてしまっているわけです。ところが、美保の場合、全日空の民間機大阪から乗り入れている。こういう場合に、航空法建前からいうならば、飛行場管制業務というのは、航空局管制官がやる。この航空局が引き揚げたあとで、事実上は防衛庁がやっているわけであります。防衛庁の方では、民間機に対しては責任はない、こういうことを言っている。そうすると、管制圏として指定されている飛行場については、当然管制上の法律的な責任は、運輸省にあるわけです。今申し上げたように、協議がととのわない前に引き揚げてしまっている。そうして実質的には防衛庁にまかされている。防衛庁の方では、民間機に対する責任はおれの方にはないのだ。こういう状態の中で、民間機がそこへ乗り入れている、こういうことになるわけです。この責任の所在というのは、今は事故がないからいいけれども、一たん事故があった場合、あるいは何かあった場合、責任は一体だれがどこで負うのか。この点について伺いたいと思います。
  12. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 航空法の改正によりまして、新たに防衛庁政令をもって管制委任する飛行場をきめまして、正式に防衛庁に対して管制委任すると同時に、防衛庁管制を行なう管制官につきましては、運輸大臣の指定する試験を受けて、運輸大臣の発行する資格証書を保有して管制を行ない、しかも、その管制業務につきましては、運輸大臣統制に服するということで、現在防衛庁との間に、政令によって委任する飛行場についての協議を行なって参ったわけでございますが、最近ようやく防衛庁との間に具体的におまかせする飛行場についての決定もいたしまして、近く政令を出すという段階になっておるわけでございます。  それで、そういうことが行なわれます前の管制につきましては、先生が今おっしゃいましたように、自衛隊が管理して運用いたしております飛行場につきましては、事実上自衛隊管制下管制をおまかせしておるというのが実情でございます。従いまして、先生がおっしゃいましたように、万一事故が起こった場合の責任がどうなるかというふうな問題が起こって参ると思いますが、この点につきましては、まだ私、詳しくそういった面について十分ここで御説明申し上げるほどの資料を持ち合わせておりませんので、後ほどそういった責任問題等については、十分研究した上でお答えいたしたいと思います。
  13. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたは、研究してから答えるというけれども答えようがないでしょう、まだ協議がととのっていないのだから。だから、ととのっていないうちに入ってしまったのは悪いが、自衛隊の方で来てしまってやっておる。自衛隊の方では、民間飛行機に対する責任はない。そうすると、責任はあなたの方で負わなければならない。負わなければならないにもかかわらず、あなたの方はだれも行っておらない。これでは答えようがない。ですから、これは答えるよりも、一刻も早くこういうふうな事態を改善するようにしていただきたい。これは僕の方から答弁を教えていくほかないと思うのです。  それから次に、航空局防衛庁共用する飛行場についての協定というのは、具体的にはまだ十分でない。さっきも申し上げたように、協定するとか何とか言っておるけれども協定ができていない点が多々ある。従って、民間機自衛隊機との飛行計画運航調整等には、かなりの欠陥があるから、この間の小牧のような問題が出てくるわけです。航空局管制圏が指定されておる飛行場隣接地に、防衛庁飛行場が設置されております。従って、この訓練によって、民間機定時制というものが、かなり阻害されておるのではないか。たとえば松島飛行場が、仙台局空域や霞ノ目の飛行場の側にある。それから東京航空交通管制圏と木更津だって、すぐくっついておる。宮崎の飛行場と新田原の防衛庁飛行場とくっついておる。こういうふうに、諸地域で防衛庁航空訓練が、運輸省に何らの通報もないままに行なわれておる。飛行場の上空が全く無統制の形になってしまっておるのではないか。これはあなたの方に協定の具体的な取りきめがないから、こういうふうになっておるので、これは協定の具体的な取りきめはできたのですか。今差しつかえないようになっていますか。できていないならば、どうするつもりなのか。この点をお尋ねいたします。
  14. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 今お話のございました民間機自衛隊機とのそれぞれの飛行場が近接しておる点につきましては、私ども防衛庁と従来よりいろいろ管制やり方等につきまして協議をいたして参ってきたのでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、政令によって委任する飛行場並びに委任する管制の範囲というふうな点について、最近ようやく話がまとまって参ってきております。従いまして、これに基づきまして、今御指摘のような両者管制の運用の調整その他について、十分遺憾のない措置をできるだけ早くとるつもりでおります。
  15. 小川豊明

    小川(豊)委員 聞けば大臣は十二時までだそうで、これから僕がお聞きしようと思うのは、大臣に対する質問じゃなくて、むしろ当局の方々でいいわけです。山田君が大臣に対する質問があるそうですから、一応僕の質問をやめて、山田君に譲りたいと思います。
  16. 大上司

  17. 山田長司

    山田(長)委員 大臣にお尋ねします。  小川君の質問にも関連があるのですが、航空機国内線発達もさることながら、外国に向けての航空機発達も、かなり急速に発展していくと思うのです。そういうやさきに操縦士需給計画というものが、今のように航空大学国内線が三十六年度三十人、三十七年度も三十人、三十八年度も三十人、三十九年度も三十人、四十年度も三十人、こういう少数の人員の養成で毎年計画がされていることは、私は、航空機発達の上に大きな障害になるのじゃないかと思うのです。やはり大臣として、不足数などから考えてみて、大所高所からこれらのことが当然考えられてしかるべきだと思うのです。こういう点で、大臣としてどういう構想をお持ちになっておるか、伺っておきたいと思います。
  18. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 お答え申し上げますが、ただいま御指摘になりましたように、現在の状態で必ずしも満足すべきものでないと私も考えておるのでございまして、今後におきまする航空機発達等に伴いまして、操縦士養成とかあるいは訓練とかいうことにつきましては、これから予算措置を従来以上に講じまして、もっと十分なことをいたさなければならぬというふうに私ども考えておるわけでございます。
  19. 山田長司

    山田(長)委員 予算面等から見て理解ができないのは、飛行機の種類で、たとえばDC7Cという飛行機がありますが、この飛行機に乗っている日本パイロット給料は、十五万三千九百七十四円、これに同じアメリカの人が乗っている給料というものは、一カ月八十八万七千四戸円、こういうことを考えてみて、どんどん養成されれば——もちろん日本パイロット給料というものも、これで適当だなどとは思っていませんけれども外人パイロットに一カ月八十八万七千四百円払っているというようなことは——どんどん養成されれば、こういう面でも経費の節減ができると思うのです。今の大臣お話を伺いますと、需給計画というものがどうもふに落らないのですけれども、もっと緊急にこれが増員計画というものを、当然この予算の面からも考えられてしかるべきだと思うのですけれども、もう少し具体的な計画というものはないものでしょうか。
  20. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 大臣にかわって御答弁申し上げます。  今お話のございました、外人操縦士給与日本人操縦士給与との差がございますことは、おっしゃる通りでございます。しかしながら、その数字といたしましては、私ども調査数字とは多少違いがございますようで、私どもの持っております資料では、外人操縦士給与平均は、一応五十五万五千円、日本人操縦士平均は十二万七千円となっております。
  21. 山田長司

    山田(長)委員 平均ですと、外人パイロット給料は七十九万三千八百八十円、日本人平均は十一万一千百六十円になっている。ずいぶんな開きがある。こういう面から考えてみても、パイロット養成を抜本的に計画を立てれば、立てたことによって何とかもう少し方法がとれるのじゃないかと思うのです。技術もさることながら、高額を払うということもですね。これを伺っておきたい。
  22. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 おっしゃる通りでございます。私ども、できるだけ外人操縦士の雇用を少なくするように努力して参ってきておるわけでございますが、最近特に御承知のように、日本航空におきましては、ダグラスDC8等の大型ジェット機が入ってきておるのでありまして、従いまして、従来私ども養成しております航空大学校の三十名程度の規模では、まかない切れないという現状でございます。なお、早急にこれが対策を立てるべきであるという点につきましては、私どもとしても全く同感でございまして、極力他にソースを求めておるわけでございます。しかしながら、戦前にパイロットとしての技量経験を持っておった方々は、戦後の航空大学校における三カ月間の研修によりまして、現在もうすでに第一線のパイロットとして活躍しておる現状でございます。従いまして、今私どもパイロットのソースを求め得るところは、自衛隊の退職される方々以外には非常に困難な状況でございます。従いまして、そういった方々をも、でき得る限り防衛庁の方と話し合いをいたしまして、民間パイロットとして現在いただいておるような状況でございます。なお、私どもとしては、抜本的には航空大学校の養成規模を拡充するということを、一日も早く実現しなければならないと考えておる次第でございます。
  23. 山田長司

    山田(長)委員 局長の話を聞き、大臣の話を聞いていると、最近の急激に変化しつつある航空事情に対処するのには、少しまだるっこい印象です。自衛隊の退職する人を当てにして航空計画を立てていくというようなことは、ちょっとまだるっこい気がする。やはりこれは、運輸省当局としても、もっと操縦士需給計画をしっかりと作るべきものと私は思うのです。こういう点は、ひとの職場で退職になった人間を当てにしているようなことでは、日本の航空事情が発展するものとは考えられないのですが、大臣においても、この点は一つしっかり計画を立ててもらいたいと思うのです。  次に大臣に伺っておきたいことは、最近オリンピックを目ざして、ずいぶんいろいろホテルの計画が進んでいるように見受けられますが、このホテルの整備計画というものは、何か運輸省として計画がなければならぬはずだと私は思うのですけれども、どんな計画があるのですか。一応その点伺っておきます。
  24. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 オリンピックを目ざして、日本の外国人受け入れ態勢のホテルの問題でございますが、御承知通り、現在日本には、ホテルの部屋は約一万ばかりあるのでございまして、今ベッドがちょうど一万七千何百ありますので、オリンピックに対しましてはまだ足りないのでございまして、年々ホテルの増設あるいは新設等に、特殊の開発銀行その他からの資金の融通によりまして、だんだんホテルの部屋数を増すことを運輸省としては考えておることが、まず一つでございます。  それともう一つは、御承知通り、外国人で日本へ来ます人たちが、必ずしもアメリカ流やヨーロッパ流のホテルにのみ泊まりたがらないのでございまして、日本のホテルは今非常に大きくふえておりまして、これがアメリカなどのトップ・レベルのホテルは日本にはどんどんできておるのですけれども、しかし、実際は、オリンピックなどに参ります人たちというものは、いわゆる百億長者というような者ばかりではなく、一般中流階級の人が外国から参りますものですから、むしろヨーロッパにありますような、五ドルとか六ドルくらいのホテルが必要であります。しかし、現在日本ではそういうものが少なくて、トップ・レベルのホテルの方が非常にたくさんあるのでございます。そういうことを考えてみますると、ホテルの欠乏しておることを補いますために、外国人のいわゆる日本趣味を満喫したい希望者が多いこと等も考え合わせまして、日本旅館に外国人に向きますようにある程度の改造を加えまして、揚言いたしますならば、一番大切な問題は便所の改良で、いわゆるフラッシュ・トイレットと申しますか、水洗便所にすることとか、ドアにかぎをつけることとか、あるいは隣りの部屋とふすま仕切りでなく壁にいたしますとか、ベランダを作るとかいうようなことの方法によって、日本旅館をホテルの補完作用として使うということに、運輸省としても力をいたしておるのでございます。いずれにいたしましても、内閣にありまする観光事業審議会でございますか、あそこから答申が総理大臣に出ておりまして、オリンピックの前の昭和三十八年には、外国人の観光客を三十五万人受け入れまして、そうして二億ドルの外貨を獲得するという目標で、今日本観光協会等が宣伝に努めておりますことから見ますると、ホテルにしても、外国人用の日本旅館にしても、まだ十分だということは申せないのでございまして、オリンピックを控えまして、運輸省といたしましては、ホテルの方も、また、外国人接遇、受け入れに適しまする日本旅館の改造ということにつきましても、観光局を中心として指導いたしておりますような実情でございます。
  25. 山田長司

    山田(長)委員 オリンピックを目ざして来る人員の目標とか、あるいはベッドの数、部屋の数というようなものは大体わかったのですが、外へ向けての宣伝は、かなり力を入れているようですが、どうも国内についてのそういう点が、非常に欠けているという印象を持つわけです。よくわからぬのですが、国際観光の組織があり、さらに国際観光協会というようなものがあったと思うのですが、これは債権、債務についてはどんな引き継ぎをしたのか、これについてわかっていることがあったら、お答え願いたい。これは大臣でなくてもいいです。
  26. 津上毅一

    ○津上政府委員 ただいまの、対外宣伝だけでなくして、国内におきまする受け入れ態勢、あるいは観光観念の普及、こういった点は、観光政策として、大へん重大な事柄だと私ども考えております。特に、オリンピックを前にいたしまして、ただに宣伝するだけでなくして、こちらに来訪いたしました人々を満足させるような事柄が充実しなければならない、かように考えまして、私ども考えておりますことは、ただいま御指摘がございましたような宿泊施設という点だけでなくして、接遇の関係の諸問題、あるいは国民に対する観光の受け入れの心がまえ、接遇の態度というようなものに対しまする普及、そんなことに鋭意努力しているわけでありまして、さような仕事は、もちろん私どもとしても関係が大いにあるわけでございますが、主として日本観光協会におきまして、この事業の中心的役割をやって、各種の団体と連携して指導をいたしておるようなわけでございます。
  27. 山田長司

    山田(長)委員 大臣がおられるうちに伺っておこうと思いますので、今の問題を続けて伺うのですが、話を先に戻して、もう一ぺん伺うことがあるのです。それは、国内における航空年度別の整備状況の問題です。三十一年度から毎年続けて整備がなされているのですが、その整備のなされている範囲が非常に小予算で、三十六年度の整備がなされている地域は、たとえば広島とか、あるいは屋久島ですか、パーセンテージが非常に低い。たとえば佐渡島みたいにゼロのところもあるのですが、どういう地域は、秋田、富山——やはり国内航空線の問題は、観光と関連を持ちまして、あるいは実質的な日本の経済面と非常に関連を持ちまして、重要な役割をすると思うのですけれども、非常にパーセンテージの少ない地域があるのですが、これは運輸省当局として、どういう基礎に基づいて整備計画が進められているのか、大臣の所見を伺いたいと思います。
  28. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘になりましたように、今後におきまして、航空機の利用が画期的な趨勢をもちましてふえて参りますることにかんがみ、また、国内においての航空機の利用というものが非常に盛んになりますので、国内のローカル空港というものに対しましても、運輸省といたしましては、できるだけ整備に力を尽くしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  29. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 大臣の御説明を補足して申し上げます。  ローカル空港の整備につきまして、予算のつけ方等につきまして、多少の不均衡な面が見られるのではないかという御質問だと思いますが、これにつきましては、私どもといたしましては、ローカル空港の整備計画は、大体におきまして、長いところでも、初年度と次の年度をもちまして完全に滑走路、誘導路あるいはエプロンというふうな施設面の整備をいたしまして、その次の年に保安施設、管制塔、無線施設等についての整備を完了して、完全なものにするという計画で進んでおるわけでございます。ただいま御指摘のございましたような、ある年次におきまして特に予算が計上してないというふうな空港につきましては、おそらく計画としては考えておったのでございますが、用地の決定あるいはそれの取得の困難というふうな問題が関連して、その年には予算がつけられなかったというふうなことがあるのではないかと思われます。
  30. 山田長司

    山田(長)委員 今の航空の問題とか、あるいはホテルの問題とか、道路とか、あるいは観光客に関連のあるガイドの問題とか、こういうものを省内で五カ年の計画を立てて、これが万全を期しているという話ですが、省内にそういう五カ年計画というものをお立てになっているものかどうか。いるとするならば、明らかにしてもらいたいと思うのです。
  31. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 将来の見通しをつけた五カ年計画等のようなものは、今日考えておらないのでございますが、ただいま御指摘の航空の問題であるとか、ことに観光の問題などにつきましては、御承知通り、観光収入という外貨の獲得が目に見えない輸出と同じものでございまして、外貨手取り率から申しますと、観光収入が一番であるというようなことを議論さるる今日でございますので、極力特殊法人の日本観光協会を指導いたしまして、これに外国に対する宣伝、あるいはまた国内におきまする受け入れ態勢を整備することの指導等をやらせるために、五カ年計画というふうな長期の見通しの計画をもって予算をつけてはおりませんけれども、大体ただいま申し上げましたように、観光につきましては、三十八年度に三十五万人の観光外客を受け入れて、二億ドルの外貨獲得をしようというような見逸しのもとに、特殊法人の日本観光協会をしていろいろ受け入れ態勢の整備とか、あるいは宣伝をやりますとか、あるいは開発銀行その他特殊金融機関が、国内におきまする受け入れの態勢に対して従来のごとく冷淡でなく、観光施設の改善整備に金融をつけること等につきまして、いろいろ指導尽力をいたして参りたい、こう考えておる次第でございます。   〔大上委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 山田長司

    山田(長)委員 大臣にもう一点伺っておきますが、ただいまの整備については一応了承できるのですが、御承知のように、最近都市交通が非常にひんぱんになってきて、これに対処するために、東京都内にも各地に地下鉄の延長を見るに至っておるようでありますが、この地下鉄の延長については、むろん特別法によって国鉄当局と都との間にこれが進められておるのですが、増資のときなどに、国鉄から多額の出資がなされておる点です。これから先もどんどん地下鉄の伸長を見ると思うのでありますが、これについて、国鉄がやはり旧来と同じような比率で負担をするのかどうか。私は、これは非常に問題だと思うのです。これらのために経費が国鉄当局から出ておることによって、赤字の補てん等が国民に運賃の値上げという形で向けられておる面を強く持つわけでありますけれども、今までと同じような比率で、国鉄当局が都との連携のもとに地下鉄の伸長を見るものかどうか。運輸省当局としては、何かこの際、これについての抜本的な措置が講ぜられなければ、国鉄当局の赤字というものは、どんどんこれからまた続くのではないかと思うのです。これらについて、大臣の御所見を伺っておきたい。
  33. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま御指摘のように、最近における東京大阪を考えてみましても、都市交通が非常に混雑をしておるのでありまして、これの一番前提として考えられるところの、年年三十万人も東京に人口が集まって、東京都を非常に過大な人口にしておる趨勢に対して、これは運輸省とか国鉄ということではございませんが、国全体として、これ以上東京の人口を過大にしないような、いわゆる人口分散の方法を別に考えるべきことはこれは別の問題としてございまして、これもきわめて大切だと思いますが、現在東京に、昼間におきましては一千万人をこえるような人口が集中することを近ごろの新聞などが報道しておりますことを考えてみますると、現在の状態におきましても、国鉄は輸送の責任上から、何とかいたさなければならぬと考えておる次第でございますが、この問題につきましては、国鉄ばかりの力でできるものではございません。ただいまお話のございましたような、いわゆる地下鉄等を十分に発達いたさせますることが、総合的にこの混雑を緩和する道であると考えておるのでありまして、国鉄といたしましても、そういう意味におきまして、地下鉄に対しまして従来から投資をやってきて、地下鉄の伸展に寄与いたして参ってきておるのでございますが、これをもって十分だとは考えておりませんで、政府といたしましても、東京都並びにいわゆる地下鉄の営団に対しまして、年々財政融資を増して、そうして地下鉄の延長を支持していくということをやっておるのでございます。現在ありまする地下鉄のキロ数というものは、きわめて少ないのでございまして、運輸省といたしましては、都市交通に対しまして調査会を作りまして、大阪、名古屋、東京等の都市の交通について、いろいろ御調査を願いまして、答申を得ておるのでございまするが、その答申をもってしても、われわれとしては、現在の混雑を緩和することは困難であると考えまして、新たに都市交通の調査会に対して諮問をいたしまして、多分この夏には、またあらためて、地下鉄をどのくらいふやしたらいいかというような具体的の数字が出ることと思うのでございます。国鉄といたしましては、すでに国会におきまして、予算のお認めをいただきました三十六年度を起年といたしまする五カ年計画におきましても、東京大阪等の都市交通の非常に混雑いたしておりますることを緩和いたしまするために、線をふやしていきますとか、あるいはまた車両を増備するとか、あるいは駅のホームを長くいたしまするとかいうような改良、整備をいたしまして、できるだけ都市交通の今日の混雑を緩和していきたいということに努力をいたしておりますわけでございます。   〔委員長退席、三和委員長代理着席〕 具体的のことは、国鉄の者がおりますから、御説明をさせます。
  34. 山田長司

    山田(長)委員 国鉄の方には、あとであらためて聞くからいいです。そこで私は大臣に伺っておきたいのは、こういう状態で国鉄当局が今まで出している金は六十五億からあるというんですが、国鉄がこれからも地下鉄のために金をどんどん出すということになりますと、私は、国鉄当局は、それでなくても、いろいろかかえていることが大へんたくさんにあると思うのです。そこで、都の場合には、今まで開銀で地下鉄に関して融資をしてないというんですが、運輸省当局は、開銀からでも長期融資をさせるようにして、それで国鉄当局は手を引かせたらいいのじゃないかと私は考えるのですが、この点どうお考えになるか、大臣に伺いたい。
  35. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 お答えを申し上げます。  国鉄は、ただいま申し上げましたような今の都市の混雑を緩和するときに、相ともに提携してその利用を促進する必要がございますので、地下鉄に対しましても、毎年五億円の投資をいたして、三十六年度におきましても、五億円の投資をいたすということになって、帝都高速度交通営団に対しまして今まで出資した金額は、七十五億をこえておりますわけでございます。それから東京都は三十五億でございまして、両方合わせますると、百十一億を帝都高速度交通営団に出資いたしまして、地下鉄の発展をはかっておりますわけでございます。
  36. 山田長司

    山田(長)委員 私の伺っているのは、金額もさることながら、開銀あたりから融資をすることを運輸省で国鉄にも指示して、それで国鉄当局の手を引かすことはできないものかどうかということを伺っているのですよ。これからどんどん地下鉄がふえるたびに、やはり都と国鉄で金を出すわけですが、国鉄はそれでなくとも容易ならぬ事態にあるわけなんで、こういう問題は、一つ一つ処理していかなければいかぬじゃないかという気がするのですが、運輸当局として、監督の衝にあって、これらの問題をどうお考えになるかということを聞こうとしているのですよ。
  37. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 お答えを申し上げますが、御承知通り、地下鉄も、政府のあっせんによりまして、開銀等から借入金をいたしまして、そうして仕事をやっておりますわけで、東京都もやはり政府の財政融資等を受けて仕事をやっておりますわけでございますが、今の国鉄がたとい年に五億円ずつでも出しますということは、これは開銀などから六分五厘で借りますよりは、それだけ地下鉄の経営を楽にいたしまして、地下鉄の発展に資することがあると考えます。ことに国鉄は、ただいま申し上げましたような都市交通に対しましては、地下鉄等と提携をして、相ともに混雑を緩和することに努力をいたすのでございますので、その協力を求める意味におきまして、従来通り、今まで国鉄からも出資をやってきたという次第でございます。
  38. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、これから先もやはり——東京都と国鉄とはどういうパーセントになっているかわからぬけれども、これから延びる地下鉄の事業に対して、やはり運輸省としてはこれはこのままに認めておくということになるわけなんですか。
  39. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま申し上げましたような関係がございますので、従来通り程度のことは、地下鉄に対して国鉄がやっていっても妥当であると、私ども考えております。
  40. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ちょっと関連して一問だけ。  大臣一つだけお尋ねしたいのですが、帝都高速度交通営団の資本金は、百十一億なんですね。国鉄の資本金は、幾らなんですか。八十九億くらいでしょう。どうなんですか。そうしますと、国鉄の方は、赤字で困っておるわけなんです。国鉄の資本金は、たしか八十九億だと思う。それで自分が投資をしている帝都高速度交通営団は、七十五億出資されていながら、百十一億なんです。ですから、今の方針を進められるということは、これはやはり検討すべき段階にきているはずなんです。ですから、大臣、この間の運賃値上げの問題のときに運輸委員会で聞きましたけれども、これはやはりまだ続けていくということよりも、この際検討するということを——まだあした、あさって国鉄をやるときに、この問題はもう一回私も質問したいと思っておりますので、一つ御研究をいただいて、今の話ですっきりはしておりますけれども、もっと検討された御回答をわずらわしたいと思うのです。
  41. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 国鉄の資本は、御承知通り、国が出しておるものでございまして、従来、国鉄の営業分量等に対しまして資本金が過小であるというようないろいろの御議論があるのでございまして、一方では、国鉄の持っております固定資産を再評価いたしまして、これを資本に繰り入れるということが妥当ではないかという学者などのいろいろ意見もございますので、今そういう点を実は研究をいたしておりますので、もしかりにいろいろ学者の方方などの委員会などの意見によりまして、国鉄の所有する国有財産、固定資産を再評価して、これを資本に操り入れるということになりますと、一兆二千億円くらいの国鉄の資本金になるわけでございまして、形の上から見ると、国鉄の営業分量等から見て、あるいはその方が妥当ではないかというようなことも考えられますので、国鉄の資本の問題につきましては、今研究をいたしておりますような次第でございます。
  42. 三和精一

    ○三和委員長代理 荒舩清十郎君。
  43. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 大臣に、端的に結論から申し上げますと、武州鉄道の埼玉県の秩父乗り入れに対して、大臣がどういう見解を持っているか、一つ説明を願いたいと思います。御意見を伺います。
  44. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま御質問になりました武州鉄道というのは、秩父の方から三鷹のところだそうでございますが、これは御承知通り、国鉄におきまして、現在の都市交通の混雑を緩和いたしますために、中野から三鷹まで、ことしの夏からまた複々線を引くことになっております。これは先ごろ予算で御協賛を得ました国鉄の新しい第二次五カ年計画で、これをやるのでございます。これの見通し等もございますものですから、今いろいろ検討を加えておるわけでございます。と申しますのは、三鷹のところへ一どきに人が殺到してくると、やはり今日以上にまた交通の混雑を招くというようなことも考えますものですから、今の国鉄の方の中央線の線路の増強というものと勘案して研究をいたしておることと、私は聞いておるわけでございます。まだ詳細な報告は聞いておりません。
  45. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 ちょっとおかしな答弁で、私はよく意味がわからないのですが、三鷹で国鉄に集中されると人間が多くなるから、武州鉄道は引けない、こういう結論ですか。どうもちょっとおかしいですね。
  46. 石井健

    ○石井説明員 今のお話でございますが、御承知のように、ことしの一月、二月に、国鉄は中央線が大へん混雑をいたしまして、国鉄としては、ただいま大臣が申し上げましたように、中央線の混雑緩和のために、現在中野まで複々線になっておりまして、中野から先は複線だけでございます。そうして中野−三鷹間の線路の余裕がないために、大混雑を起こしたような状況でございます。それを大臣が話しましたように、この夏から工事を始めまして、四年か五年と思いますが、三鷹−中野間の複々線が完成する。そうしますと、中央線が非常に楽になる状態でございますが、そうなる前の現在のままでございますと、三鷹に接続される鉄道でお客を送り込まれると、国鉄自身として運べないという状態が出てくる、こう推定されますので、その国鉄の中野−三鷹間の線路増強という見通しというものを十分考えながら、武州鉄道については処置していきたい、こういうふうに考えます。
  47. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 人間が中野−三鷹間にたくさん集まってくるから、それをどこかへ排除しなくちゃならないという意味になるじゃないですか。そこで国鉄は混乱をするから、武州鉄道は許可できないのだという方針は、何か運輸省の方針として少し違いやしないですか。そういう答弁では、どうも私どもはっきり聞き取れないのです。もう少しちゃんとした答弁をしてもらわぬと、それはそうですが、承知しましたというわけにいかぬのです。
  48. 石井健

    ○石井説明員 許可できないということじゃございませんので、今直ちにあそこに多くの人をぶつけられたら、国鉄自身が大へんなことになるから、国鉄が増強して、それを受け入れられる状態になる見通しを立てて処置したい、こう申し上げておるのであります。許可しないということではございませんと申し上げたのでございます。
  49. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 どうもそれはおかしな話ですな。武州鉄道と国鉄は経営が違うんですよ。だから、もしそこが混雑すれば、その混雑しないような方法はあり得ると思うんですがね。それだから武州鉄道を許可することは今のところできないのだということでなく、もう少しはっきりした答弁を聞きたいと思う。国鉄が混雑するから武州鉄道は許可しないということでは、どうも運輸当局の答弁としては、なっていないです。もう少しはっきりした答弁をしてもらいたい。それなら、もし三鷹や中野がだめなら、もう少し離れたところを起点にして、秩父までを許可するのだということか。武州鉄道へ話をして、それじゃここは混雑するから、もう少し離れた吉祥寺なら吉祥寺までにしろというような方法は、あるのじゃないですか。そういうことで許可しないという方針なら、大へんなことです。それはおかしな話だ。
  50. 石井健

    ○石井説明員 国鉄の混雑を当然予想しながら、これ以上中央線の混雑をひどくさせるといいますことは、われわれとしては、運輸行政上、通勤、通学も見てやらなければならない立場にありますので、より以上困難になるということを推定予想しながら、直ちに処擬するというようなことは、できかねるのじゃないかと思います。
  51. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 ちょっと関連して。事情がわかりませんが、今の問答を聞いていると、武州鉄道によってそこまで乗客を運び得るものが、現在武州鉄道がないために運べなくて困っている状態なんじゃないかということになるんでしょう。乗り入れが許可になれば、新しい乗客が流れる。武州鉄道が許可にならなければ、その新しい乗客というものは、武州鉄道によって乗り入れの終点まで来ることができずに困っているということになる。その困っている人が、武州鉄道が開通すれば、それによって乗ってくることができる。武州鉄道ができなければ、その乗ってくる人は困ることになるのじゃないか。そうすると、武州鉄道の乗り入れが許可されて、ずっと延長された地点まで来て困るのと、その手前で困るのと、どういう関係になるのですか。やはりそれだけの乗客の必要性があるなら、それは許可した方がいいのじゃないか。どこかで困ることが出てくるわけでしょう。
  52. 石井健

    ○石井説明員 ただいまお話の、客はどうしているかということでございますが、おそらくバスで武蔵境なり、小金井ですか、あの方向に出ていると思うのです。しかし、私が申し上げますのは、ある私鉄ができますと、その沿線に団地その他が急速にでき上がっていくことは、今までの経験上事実なんです。急速に団地ができていくと、国鉄の線の増強ができないうちに、それが全部三鷹に流れ込んでくる。そうすると、国鉄が運び切れぬという状態になる。幾ら国鉄のしりをたたいても、やはり中野−三鷹の複々線というものは、四年ないし五年かかるのじゃないかという見通しを持っておるわけです。
  53. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 非常に答弁が私は気に入らないのですが、一体武州鉄道というのは、人間を運ぶことだけを目的にしているのじゃない。秩父地方は、量、質において日本で最高の石灰岩がある。これを運んでくるということを目標にしておるわけなんです。同時に、もちろん鉄道が敷かれる以上は、観光の振興、開発ということになりますか、あるいは森林資源の開発、こういう目的で、しかも、運輸行政上からいったら、なるべく都会の人口を地方へ分散する、また、非常事態の起こったときに早く避難できるようなことも考えなくちゃならないというような点からして、三鷹線が増強されるから、国鉄が増強されるから、武州鉄道は許可できないのだという運輸当局の方針だとすれば、考え方が違うというのですか、私どもの考えとは大へんな違いがある。一体そういう考えであれば、この大事な運輸行政をあなた方にまかせておくわけにはいかない。それはとんでもないことだ。もう少しはっきりした答弁を聞きたい。なるほど、武州鉄道を今直ちに許可できないんだという根本方針を聞かしてもらいたい。大臣も忙しいでしょうが、はっきりした満足をする答弁を得られないうちは、他の委員会への出席はごめんこうむりますから、どうか徹底した答弁を聞きたい。
  54. 石井健

    ○石井説明員 先生のおっしゃられました通り、武州鉄道は、人だけではございません。武州からの石灰石の輸送、それからセメントの輸送、それから青梅までの住宅地の開発ということを考えまして、青梅までの人間の輸送、それから青梅から先の森林木材、この三つの大きい目的を持っておるわけですが、今申し上げましたのは、青梅までの人口増加の問題であります。それにつきましては、何回も申し上げて恐縮ですが、急速にあそこに人口が増加しますと、その通勤のために国鉄が大へんなことになるので、その見通しをはっきりさせて処置をしていきたい、こう考えておるわけであります。  なお、これはちょっと別なことになるかも存じませんが、東京都心の人口を分散するのが目的じゃないかというお話ですが、私どもの考えますのは、分散させた人口が、分散させられた先で職業を見つけて分散してもらうということが、これからの都市交通にとっては重要なものだと思います。分散はしたが、それがまた都心に流れてくるということでは、いつまでたっても都市交通の解決はできませんので、その点で、首都圏整備委員会なども、衛星都市というものは、ベッド・タウンではなくて、衛星都市に住んでそこに商売を持つ、東京には出てこないという考え方でやっておるわけでありまして、現在の武州鉄道を青梅まで延ばせというのは、どうしてもベッド・タウン的なものになるのじゃないかと、われわれは考えておるわけです。
  55. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 もしそういう議論であるとしたら、三鷹でなく、青梅から秩父までを許可したらどうですか。もし国鉄がどうしても困るということであれば、青梅から秩父までの間を許可するという方針にしたらどうですか。その点一つ承りたい。
  56. 石井健

    ○石井説明員 申請者がそういう希望を持つかどうかは私存じませんが、検討してみたいと存じます。
  57. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 そうすると、今の武州鉄道を今直ちに許可せられないということは、国鉄が混乱するために、国鉄の輸送に支障を来たすために武州鉄道を許可しないんだ、こういう方針で運輸省当局はおるんだと考えてよろしゅうございますか。
  58. 石井健

    ○石井説明員 国鉄の線路増強の見通しをよく確かめてから処置したい。それまで、許可しないとは申しません。確かめてから処置したい。
  59. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 その場合、確かめるというのは、何月何日までに確かめられますか。
  60. 石井健

    ○石井説明員 そこまでは私申せませ  ん。
  61. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 そうすると、非常におかしな話です。国鉄の調査がつくまでは許可できないんだ、こういうことになれば、まだ調査ができない、まだ調査ができないで、何百年たつかわからない。非常におかしな答弁で、国会の答弁としては、あなた方ゼロですよ。国会を何と考えておいでになっておるのか。これは大へんな問題だと思うのです。あしたでもいいですから、もう少しりっぱな答弁で、なるほど国会へ出てきての答弁だというようなことを、原稿書いて持ってきてもらいたい。よろしゅうございますか。それじゃ、あしたの十時までにしっかりお願いしたいと思いますが、大丈夫ですか。
  62. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 関連して。先ほどの私の質問に対する答弁について、ちょっと再質問したいのですが、これは具体的な問題は知らないけれども、あなたの答弁から見ると、現在では団地がまだ増加していない、新しい乗客というものがふえていないのだから、武州鉄道というものの乗り入れを許可したら、がらあきということになるわけです。あなたが今覆われるのは、団地ができて初めて混雑するということになるわけですね。そういうことについてのこまかい計算がどうなるのか。現在ではがらあきになるのか、現在でも混乱するのか。そうしてその将来の見通しはどうか。たとえば複々線の完成は四、五年後だということになるのですが、乗り入れを許可して、乗り入れが完成するのは、何カ月後になるのか。何年後になるのか。団地ができて、家屋が建って、住民がそこにいつくのが何年後になるか。その間は、何年混乱期間があるかということですね。そういうことの調べはついておるのですか、ついていないのですか。
  63. 石井健

    ○石井説明員 年度別にどうなるか、どういう輸送量が出てくるかということは、一応調査しております。これは推定要素が非常に多く入っております。
  64. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 今の高橋君の質問に対する調査も、あした十時までに提出してもらえますか。
  65. 石井健

    ○石井説明員 提出させていただきます。
  66. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 それでけっこうです。
  67. 三和精一

    ○三和委員長代理 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ————◇—————    午後一時十三分開会
  68. 木村公平

    ○木村(公)委員長代理 それでは休憩前に引き続き、会議開きます。  委員長は都合によりおくれますので、私が、その指名により委員長職務を行ないます。  質疑を続行いたします。小川豊明君。
  69. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は、午前中は、主として航空局管制権の問題、そこに働いている管制官等給与のアンバランスの点をお尋ねしたわけです。今、来たらば、ここに「小牧飛行場管理等に関する覚書」というのがありましたが、午前中私がお尋ねした協定書というのは、このことをいうのですか。——そうすると、これは小牧だけですが、各飛行場ごとに協定というものをやるわけですか。これは小牧と断わってありますが、運輸次官防衛庁の次官との間で、飛行場ごとにこういう協定は行なわれるわけですか。
  70. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 小牧飛行場につきましては、運輸次官防衛次官との協定になっておりますが、全部の飛行場につきまして、全部次官同士が覚書交換するというふうな約束にはなっておりません。従いまして、その協定の重要性その他に従いまして、基地司令官と現場の航空保安事務所長との間の協定等もございますし、それからまた航空局長と防衛局長との申し合わせというふうな形も考えられないことはないと思います。小牧につきましては、次官同士の覚書になっております。
  71. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは小牧事故があったから、それにかんがみて小牧に関する協定を作ったと思われるのですが、こういう問題は、非常に不幸な事件でしたけれども小牧だけを考えるべきじゃなくて、私が午前中申し上げたように、米軍防衛庁民間機とが入り乱れて——というのは誇張かもしれぬが、たくさんの飛行機が離着陸しているから、しかも、これを管制するのはわずかな人でやっていることで、こういう事故というものは、今後も、不幸なことだが、このままでいくと、あると予想しなければならぬ。従って、これに対しては、抜本的に、各飛行場とも管制権がどこに帰属するか、その人たちはどうするかということを私はお尋ねしたわけだ。従って、この小牧だけでなく、こういうのは飛行場全体に対する管制権の問題として協定なさるべきじゃないか。しかも、これを見てみますと、一通りちょっと見ただけですけれども、ただ、出入がどうだとかこうだとか、いわゆる主権的なものは運輸省にあるのだけれども自衛隊の方も、それについて管制官の指令に従わなければならぬとかなんとかなっているけれども、最後の項になって、非常に重要な点は、「防衛庁において管理を継続すべきものについては、別に協議して定める」とあって、しかも、この最後の点などは、かなり安全上からみると重要な問題になってくるのじゃないか。そういう点を明確にしていないところに、この協定というものが、これではまだ完璧とはいえないのじゃないか、こう思うのです。この点についてのお考えはどうなんですか。これでもう差しつかえないというお考えなんですか。
  72. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 基本的な了承の取りきめにつきましては、大体この線で差しつかえないと思いますが、特にこの中に書いてございますように、UHFの無線の送受信機であるとか、あるいはその他それに類する器材の中で、防衛庁が、特に自衛隊機のみに必要のあるというふうなものについては、管理の継続をしたいという申し入れが当時ございまして、この点についてはなお別途協議をしてきめようということになっておるのでありまして、大体の問題につきましては、一応この協定で、小牧につきましては処置できるのではないかというふうに考えております。
  73. 小川豊明

    小川(豊)委員 御答弁を聞いてわかったのですが、自衛隊機だけに必要だから、これは自衛隊の方で管理していくのだ、こういうことなんで、これはこれでわかりました。自衛隊のみが必要だということは、もう一つは、アメリカから自衛隊に供与されたものだから、自衛隊が持つべきだという考え方も根底にあるんじゃないか、こう思うのですが、いずれにしても、私は、その個々を言うのではなくて、飛行場に必要なものは、飛行場の管理の責任者運輸省なんだから、運輸省が全部これに対しては責任を持っていくという建前をとらないと、その責任の帰属がはっきりしないのではないかと思うわけです。  それから次に、これを見ると、甲、乙であるとか、一種とか二種とかありますが、こういう飛行場として許可されたものでなく、ただ航空法の七十九条のただし書きか何かによって離着陸している飛行場というのは、かなりたくさんある。しかも、これは米軍なり防衛庁の管理下に置かれている。そこで最も大切な安全の保持ということについては、あなたの方では差しつかえないと言うけれども、その責任は負えない状態で離着陸している飛行場というのは、たくさんあるように考えられるが、そういうことはありませんか。
  74. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 おっしゃるように、正式に飛行場の設置告示をいたしまして、定期運航が行なわれておる飛行場以外に、場外着陸の許可で運航いたしておる飛行場がございます。空港整備法によりまして作った二種、三種の飛行場の中でも、現在まだ滑走路、誘導路、エプロンができ上がっただけで、保安施設あるいは管制施設等の工事がまだ完成しておらないという飛行場で、有視界飛行で十分に飛び得るような飛行場につきましては、場外着陸の許可で運航をさしておるのがございます。それから本来、飛行場として設置告示をして、正式な飛行場として認め得ないもの、たとえば現在水上機が使っております紀州の白浜であるとか、あるいは四国の新居浜であるとかいうふうなところは、水上機に離発着を許しておりますけれども、これは正式な飛行場とは認められないものでございます。そういうふうな形で、御指摘のように場外離着陸の許可のみで運航さしておる飛行場はございますが、安全上の点につきましては、運航規定あるいは飛行機の整備規定等において十分シビヤーな条件を課して運航させておりまして、安全上の注意は十分気をつけておるつもりでおります。  なお、未完成飛行場につきまして、場外離着陸の許可をしておる飛行場につきましては、でるだけ早く保安施設、管制施設等を完成いたしまして、正式に飛行場としての告示をいたしまして、定期運航等ができるように措置していきたいと思っております。
  75. 小川豊明

    小川(豊)委員 それはいいんです。いいんですが、ただ、こういうことを言いたいのです。今後どんどん発達させていかなければならない民間航空路は、あなたの方では、保安や管制上の施設がまだ乏しいけれども、支障ないように期してやっていく。こういうことは、支障ないように期すとか、期さないとかの問題ではなく、できた場合のことが非常に重大になってくる。しかも、ここで私が問題にして心配しているのは、管理権というのはあなたの方にない。これは防衛庁なり米軍が管理権を持っている。そういう形で今後民間飛行というものを発達させても、これではいつまでたっても、安全保持の点からも、また管理の上からも、好ましくない。これは、もっとあなたの方は自主性を持った飛行場の設置をやっていくべきじゃないのか。いつもおんぶした形でやっていったのでは、安上がりで危険だということになりはしないか、こういうことを懸念して、私はお聞きしているわけです。
  76. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 御指摘のように、現在自衛隊が管理使用している飛行場に、民間機が定期または不定期で入ってくるケースがございます。こういったものにつきましては、私どもといたしましても、防衛庁との間に現在進行いたしております管制委任に関連する政令の制定を待ちまして、自衛隊管制委任する飛行場につきましては、さらに自衛隊と、その飛行場共用飛行場として使用するという点についての話し合いを明確にいたしまして、話し合いのついたものにつきましては、軍民の共用飛行場としての告示をいたしまして、管制その他の面についても、先生のおっしゃるように、一つの秩序ある方式でこれを安全にやっていきたいと考えております。
  77. 小川豊明

    小川(豊)委員 率直に言えば、かりに一つ羽田の例をとっても、米軍機も、自衛隊機も、そうして外国の飛行機も、国内の線も、みなあすこに離着陸しているということは、単に管制だけで論ぜられているが、その規模からいっても、あそこはおそらく不適当になってくるのではないか。だから、民間飛行場と軍目的に使われるものとは、分離すべきではないかというのが、私の根底にある考え方なんです。ただ、今これができるか、できないかということはわからぬけれども、そうすべきじゃないか。ことに民間航空の場合には、たとえばニューヨークからでも、ロンドンからでも、ごく短時間できて、しかも、今度東京へ入るのには一時間半もかかるというような形というものは、今後許されなくなる。むしろそういう点からいうならば、離着陸する場合に、もっと短時間にいくようにということで考えなければならないだろう。少なくとも民間機においては、そう考えなければならぬ。軍用目的の場合は違います。もっと離れたところにいてもらわなければならぬということになる。そういう点から、国としては、行く行くは分離することを考えてもらわなければならないのが当然じゃないか。ところが、いつもおんぶしてやっていたのでは、この問題はだんだん深入りして、分けるにも分けられなくなってしまう。分けられる時期というものを早く考えていく、あなた方の根底には、そういう考え方がなければならないじゃないか、こう思って聞いているんですが、これはどうなんです。
  78. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 おっしゃいますように、自衛隊機民間機とが使用する飛行場は、ぜひ分離するような方向が好ましいというふうに、全く同じに私どもも考えております。現実問題としては、先ほどから御質問に申し上げておるような事情でございますけれども、将来ともに、私どもとしては、でき得る限り民間機飛行場自衛隊飛行場とは分離するという理想に向かって努力を続けていきたいと思っております。
  79. 小川豊明

    小川(豊)委員 わかりました。  次に、そういう問題でなく、これは羽田ですが、羽田には、国有の土地が五千六百七十九坪使用されて、ターミナル・ビルの敷地になっておる。使用者は日本空港ビルディング株式会社、そしてこの使用期間は、昭和三十年五月十七日から昭和六十年三月三十一日、三十カ年の契約がなされているわけです。そこで私がこれからお聞きしたいと思うのは、ここのビルの使用料が年額八十八万三百七十三円で、坪数が五千六百七十九坪ですから、一坪当たり百五十六円という非常に安い価格で貸し付けされて、使用料というものが決定されておるわけです。そこで、これは公益ではない、もちろん株式会社であり、相当の利益を上げてもいる会社ですから、この坪当たり百五十六円で貸してあることが適当であるかないかという一つの問題が出てきます。その前に、この土地の使用料は、運輸省航空局の歳入徴収官が発行する納入告知書によって、指定期日までに指定払込機関へ納入する、こういうことになっています。そこで、指定納入機関というのは一体どこであり、国庫のいずれの機関にこれが納められているのか、この点お尋ねをいたします。
  80. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 ただいまの使用料の額が適当であるかどうかという点につきましては、実は国有地の使用料の算出につきましては、財務局の方で一定の額を算出する、こういう形にたっておりまして、私どもも、実は財務局の算出した使用料というものを徴収しておるという形になっております。  なお、指定納入機関でございますが、これは大蔵省ではなしに、運輸省が指定納入機関になっております。
  81. 小川豊明

    小川(豊)委員 坪当たり百五十幾らという使用料の問題は、大蔵省の財務局で決定している、こういうことですから、これはまたあとで大蔵省関係になったときにお聞きしますが、この使用許可条件を見ると、空港ビルの管理権というのは航空局長のところに帰属しているように思うのですが、航空局長に管理権があるわけですか、どうなんですか。
  82. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 空港内における施設あるいは活動等につきましては、運輸省令であります空港管理規則に基づきまして、航空局において監督をやっておるわけでございます。
  83. 小川豊明

    小川(豊)委員 あそこは国の財産になっているわけですが、六千三百四十二坪のうち、五千六百七十九坪をこの空港ビルが使っているわけですが、あとの六百六十三坪というものは、これはあなたの方がお使いになっているのですか。どこになっていますか。
  84. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 今の五千六百七十九坪以外のスペースにつきましては、国がこれを購入いたしまして、現在使用いたしておりますのは、運輸省航空局の出先機関である東京航空保安事務所も使用いたしておりますが、それ以外に、空港の税関、それから入国管理局、それから厚生省の検疫関係、それから気象庁、それから農林省の動植物検査の関係、こういうようなところがその国有施設を使っておるわけでございます。
  85. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、さっきからお尋ねしたように、ここは航空局長が管理されておるということでありまして、従って、この許可条件、その後の使用、こういうものは航空局長の管理下にあると思いますが、ここの空港ビルを借りているものの名簿を見ますと、外国航空会社が十二社、国内の航空会社が三社、一般テナントが五十一社、コンセッションが八社、こうなっておりますが、この選定は、どういう基準で、どういう条件でおやりになりましたか。
  86. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 空港ビルディングが部屋を賃貸しいたします場合には、その賃貸しの基本的な料金につきましては、航空局長の認可を得てやることになっております。なお、個々の契約そのものは、その空港の中で業務を営みたい会社と、空港ビルディングとの間の契約になっておるわけでございます。ただ、空港の中で業務を営みたいというふうな賃借の希望につきましても、その業務が果して空港の中で行なうべき性質のものであるかどうかという点については、構内営業の許可という観点から、航空局長がこれを監督いたしておる次第でございます。
  87. 小川豊明

    小川(豊)委員 賃貸借の総坪数は、三百四十二万四百二十一坪というのが床面積ですが、そうしてその月額は、一千五百六十二万二千八百三十七円というのが月当たりの賃貸料になっているように思いますが、これは私の数字が違っていれば訂正して下さい。そこで一坪当たりの賃貸料というものが五千円程度なんですが、この賃貸料率の決定基準というものは、これも大蔵省でおきめになるのか、あなたの方でおきめになるのか。あなたの方でおきめになるとするなら、この料率の決定基準は、どういう点から算出されたのですか。
  88. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 ただいまの賃貸料も、先ほど申し上げましたように、航空局長の認可事項になっておるのでございますが、それの認可申請の算出の根拠を見ますと、その家賃を出します計算の方法といたしましては、現在のターミナル・ビルが、総工費大体九億円かかっておるわけでございます。その中で、先ほど御説明申し上げましたように、官庁部分として国が買い取りました額が、約二億円でございます。従いまして、現在民間部分として使っておりますものが、七億円程度の工費をかけておるわけでございます。この工費に対しまして、一割程度の銀行利子を計算する。あるいはまた、二十六年間の定額償却による減価償却費の一部を見まして、それ以外に保険料、あるいはまた政府に支払います地代であるとか、一般管理費というふうなものも合算いたしまして、この七億円につきましての経営費の原価というものを出して、これが一億五千九百二十二万円、こうなっております。これを実際に有償坪数と申しますか、つまり家賃の取れる坪数が、先ほどの五千数百坪の中で、約半分でございます二千五百坪程度のものが、大体家賃が取れる坪数になっておりまして、その坪数で先ほど申しました経費の原価を割りますと、五千二百八十八円という数字が出るわけでございます。従って、私どもが認可いたしております坪当たりの家賃五千二百八十八円というものは、一応建設費から割り出しました経営原価に基づいて、平均家賃として計算されておるわけであります。
  89. 小川豊明

    小川(豊)委員 家賃が坪五千円程度だという点はわかりました。  そこで、この空港ビルのコンセッションの経営者に対しては、売り上げの総収入から一定料率に従って家賃を取ることができるとなっておりますが、この料率の定めはどれくらい実施されておるか、これはさっきの償却とは違ってくるのですが……。
  90. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 どれだけのものをコンセッションの業者から取っておるかという点については、個々の業者によって、たとえばみやげ物売場であるとか、あるいは理髪業であるとか、あるいはそれ以外の写真であるとかいうふうな、個々の業者によって非常に違った計算をやっておるわけでありまして、現在実はそういうこまかい個々の契約の資料は持って参っておりませんものですから、今ここでちょっと御説明できないのであります。
  91. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはあなたの方では、さっきの説明によると、こういうふうになっているわけですね。利子とか、二十六年間における償却とか、保険料、こういうものを見積もって、大体坪五千幾らになる。従って、それで貸しているのだが、一方においては、売り上げの総収入から一定率の料金を取っておるのもある。二通りに契約しているのですか。これは一通りではない、二通りになっておるようですが、この点はどういうことですか。
  92. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 おっしゃる通りに、二通りになっております。一通りのコンセッションの方につきましても、大体最低の取り分というものが、坪数の単価に見合うような形でできておるのではないかと思うのであります。
  93. 小川豊明

    小川(豊)委員 私がなぜこういうことを聞くかというのは、あとで出てくることですが、ここの空港ビルは、ほとんど、こういう運輸の仕事に関係なすっておる方ではありますけれども、いわゆる日本の財界の大所という人が借りてやっているのです。そこで私がこれに対して疑問を持つのは、そういう人たちの出資によって空港ビルというのができて、そしてその人たちがまたこの小間を借りているのです。使っています。そうすると、あなたの方の今の御説明では、二十六年間の償却だ、保険料だ、金利だ、こういうことで割り出してこうだと言うけれども、借りている方から言うと、大体私が見ると、何らか政府のいろいろな機関に顔を出している人が、やはりこの中へも顔を出している。たとえば一つの例をあげるなら、大阪の杉さんのように、ジェトロヘも関係している、こっちにも関係する、こっちにも関係する、ほとんど政府の機関的なものへ関係している。そうしてこういう安い——あそこで坪五千円というのは、私は、高いというよりも、安過ぎるのではないかと思うのだ。それを安く借りて、そうして今度は、自分たちがまたその一小間を持って仕事をしているのです。そういういき方というものには、何かわれわれは割り切れない、明朗でないものを感じさせられるわけなのです。  そのことはまたあとで触れるとして、そこでこの賃貸契約について、証書を作成しますね。これはビルが作成すると思うのですが、外国航空会社は甲で、国内航空会社は乙で、一般借室者は丙で、コンセッションは丁だ、こういうふうに分類している。これは一体どういうわけで、資力の弱い者ほど高いものを払わなければならないような分類がなされているのか。これはどういうわけですか。
  94. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 契約のやり方としましては四種類に分かれておりますが、その契約書の内容等につきましては、さして大きな差があるようには見受けられないのでございます。たとえばこの中で、特に日本のエア・ラインと外国エア・ラインとを比較してみました場合に、特に賃貸借契約書の第五条の書き方等が、多少違うというふうなことではないかと思います。五条について、まず外国航空会社について見ますと、この五条の使用条件あるいは使用の権限等に関する規定でございますが、非常に内容が詳細になっております。この詳細になっておる理由は、これはむしろ、私どもの想像では、外国のエア・ライン側からの強い希望によって、こういうふうな契約条項を書かされておるということではないかと思います。日本側の場合には、従来の契約の例文からいたしましても、さほど詳細な規定を必要としないということで、このBでございますか、乙でございますか、国内航空会社関係の第五条等につきましては、きわめて基本的な、簡単な規定が書いてあるのみでございます。従いまして、これは外国の風習と日本の風習との違いであるというふうな面も多いと思いますが、この契約書そのものの内容について、甲乙丙丁が、それぞれ取り扱いを非常に差別的に受けておるというふうなことはないように思うのでございます。
  95. 小川豊明

    小川(豊)委員 それからさっき申し上げた、この空港ビルを作っている発起人というか、株主は、どういう人かというと、日本郵船の浅尾さん、大島開発か何かやっている小川栄一、日本航空の柳田さん、ジェトロのというか、大阪商工会議所の杉さん、これらの人々の中には、たとえば一例をあげるなら、五島さんのように、株主として相当安くここを借りて、そして自分はまたそこの店というか、事務所というか、それを使って仕事をしているわけですね、柳田さんなど。そういうふうに、せっかく国が必要として作られるものを——あなたの方で作らしている。これは特殊会社を作ってやらした方がいいということで、特殊会社を作らした。この理屈はわかるんです。理屈はわかるけれども、さて作ってみると、こういうふうに財界の煙中に恩典を与えるような結果になってしまう。五千円というのは、おそらくないでしょう。あすこは五千円で借りられますか。坪五千円というのは非常に安い。だから、自分らが借りて、自分らでまた店を持ってやっている。こういうことになってくると、あなたの方はきわめて善意だと解釈するけれども、その善意というものが、財界のこういう巨頭というか、大どころに、ますます踏みにじられている。牛耳られてしまっているんじゃないか。ここでもうかなり考えなければならぬ点があるんじゃないか、こう思うわけです。  そこで、さらにこの空港ビルでもう一つ問題になるのは、不動産関係の収入より付帯事業収入の方が、この空港ビルは多い。その一つの例としては、学校の生徒たちがあすこにみんな見学に行きます。これは三十三年度で二百六十二万人という数字が出ています。三十四年度で二百六十二万人、三十五年度では二百四十三万人、こういうふうになっています。そして生徒らから一人当たり、二十円ずつ取っていますね。そうすると、これが三士五年度では、七千八百十六万円という収入が上がっています。そのほかに、これは見学だから、三階に上がる。それから今度、飛行機がどこでどういうふうに出るかを見るために、フィンガーに出ると、また二十円取る。これが三十五年度では百十七万人で、二千三百五十七万円——これは違っていたら訂正して下さいよ。こういう数字を私は持っている。そうすると、この見学による収入というものは、大半が小中学生程度のもので、この生徒から、フィンガーの送迎所で二十円、屋上の展示場に行くのも二十円、四十円ずつ取っているということになるわけです。そういう収入によって相当の利益を上げている。不動産関係の収入よりも、付帯卒業収入の方が多い。こういうことを航空局長として、空港ビルの建物の管理権者として、こういう料金——しかも一つにおいては、航空知識の普及発達ということも考えて、これはやっている。それをここへ行って二十円、ここへ行って二十円、合わせて四十円ずつ取って、こういう収入でここをまかなわしている。しかもまかなわしてもらっているこの空港ビルの出資者というのは、ほとんどが財界の大どころである。ここの三十四年度の損益計算書の総益金が一億三千九百七十四万六千八十三円、こういう利益金を上げて、しかも、そう配当するとまずいものだから、利益を繰り越している。こういう行き方に対して、あなたの方では、せめてあすこの三階に上がるのに二十円、出入りするのに二十円というのはもう少し減らして、サービスしてやったらいい。管理権はあなたの方にあるんだ。向こうがきめるんではなくて、あなたの了解がなければきめられないんだから、あなたの方で下げてやったらどうかと思うんです。決算委員の言うことではないかもしらぬが、そういう感じを深くする。損をしているんなら仕方がないけれども、損をしているんではなくて、相当な利益を上げている。しかも上げているのは、個人々々はもうすでに安くスペースをとって、自分はそれぞれ商売してもうけていながら、それで全体としてはこういう利益を上げている。その利益の中には、こういう小中学生からの金の四十円ずつも入っているというなら、これはあなた、改めさして——ただにしろとは言わないから、もう少し引くくらいのことは考えるべきじゃないか。この点について、あなたの御見解はどうです。
  96. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 先ほどの先生の御指摘につきまして、一言、言いわけがましいことでありますが、説明さしていただきたいと思いますが、その役員に顔を並べられておられる方々が空港ビルの部屋を安く借りておるというふうなお話があったと思いますが、この家賃そのものにつきましては、外国エア・ライン、あるいは日本航空からもそうでございますが、むしろ高いのじゃないかというふうな声が、一方強く上がっておるようでございます。これに対して、空港ビル側としましては、この五千円何がしの家賃につきましては、有償で貸し得るスペースが非常に狭い。建物の特殊上、航空用部分が非常に多くて、家賃の取れる部分が非常に少ないから、五千円以上もらわなければならないというふうな説明をいたしておるような状況でございます。  それからなお、これらの役員の方々があすこに部屋を借りておるということでございますが、これは調べてみますと、やはり空港の中で必要な業務を行なっておる者についてのみ部屋が借りられておるということでございまして、あるいは借りた部屋をまた貸しておるというお話があったようなふうに——これは私の聞き違いかもしれませんが、そういうふうな事実は、私どもとしては全然ないのじゃないかと思うのでございまして、もしそういうことがありますれば、これはまた大へんだと思いますので、一つ調査いたしたいと思います。  それから見学者、送迎人等に対する一般の見学料二十円、それから展示室その他も含めて、全体のターミナル・ビルの見学が四十円というふうな金になるという点が、非常に高いというお話でございますが、実際にあすこに行って見ておりますと、そういったふうな見学者のために便宜を与えるような、航空知識の普及、宣伝のための施設が、相当してあるわけであります。たとえば国鉄の各駅におきましては、駅の構内は、もちろん見業者等が入るべき筋のものではございませんが、入場料も金十円を取っておるわけでございまして、空港ビルディングが、あの中に特に見学者のための施設を作りまして、これに対してパンフレットの配布であるとか、あるいはまた展示室の見学による説明であるとか、というふうなものをいろいろ合算いたしますと、一般的に、四十円というのは、それほど現在では高いものではないのじゃないかという感じがするのでございまして、今のような事情からすれば、まああれだけの施設をすれば、その程度は取ってもよろしいのじゃないか。国鉄であれば、ただのところを十円取って中に入れる。これは整理の都合等があるかと思いますが、それに比べれば、妥当な値段ではないかというふうに考えられるのでございます。
  97. 小川豊明

    小川(豊)委員 人が取っておるからおれも取らなければならぬという理屈はないのです。おくれた日本の航空思想の普及、発達というのが、あの眼目なんです、展示したり何かは。それをよそでやらすよりも、飛行機が着陸するところで、目で見ながらやった方が実感が出てくるからそれをやっているので、こういうものをもっと金をかけて、ただで見せたからといって、だれも文句を言う者はいないのです。それをもうけていながら——しかも、あなたの方がもうけているなら、これは国の収入だから、どこかに出すということになる。会社でもうけているのでしょう。それをあなたが弁護して、安過ぎると言う必要は毛頭ないと思うのです。それはおかしいですよ。  それからもう一つは、私は、また貸ししているとは言っていない。特にこの人たちに家賃を安く貸しているとも言ってない。初めから五千何ぼというもの自体が安い。こうして安く借りて、また自分が商売している。特に本人が安く借りているのじゃなくて、全体が安い。今あの辺で、ああいう建物は、権利金だって五千円じゃ安い。しかも、そこで商売をやっている人たちが、みんな財界の大どころだ。私がどうしてこれを取り上げたかというと、各省の決算を見ていくと、各省が負けず劣らずいろんな機関を作っている。それだけの必要があり、有効なものもあることは認めますけれども、そういうのを国がやるといったのでは工合が悪いからというので、特殊な機関を作っているのです。どこもそうです。そこに顔を出しているのが、ほとんどと言ってもいいくらいに、あっちにもこっちにも顔を出している。一つ見れば何でもないけれども、国全体を見ると、方々に顔を出して、よくももうけを見のがさずにやっているじゃないかという感じを持つ。それがみな、自分で刻苦精励して、努力してもうけているならいいけれども努力はしているでしょうが、みんな国の機関の何かにぶら下がってもうけをしていくということになっている。これでは、全体として、そういう恩典にも何もあずかれない一般の国民からいうと、批判の対象にならざるを得なくなってくる。こういう点は改めるべきではないか。ということは、あなたのところだけを言っているのじゃなくて、全体から見て、運輸省の中にもやはり、顔を出しているから、そこでこれを一つ問題にしておきます。  さらに、今あなたは二十円は高くないと言うが、もっと金をかけてやったらいいでしょう。もっとりっぱなものを作ってただにしたって、一つもこれは国の損にはなりませんよ。若い小学生、中学生に、そういうことによって航空知識が普及されていくなら、やるべきでしょう。それを、二十円で安いからもう十円増そうかというような考え方は、捨てるべきじゃないか。もう一回この点を……。
  98. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 おっしゃる点は重々よくわかる次第でございますが、空港ビルディングも、本来からいって、ああいうふうな施設を国として経営した方がいいか、あるいはまた現在のような形で、私企業でやっていくのがいいかというふうな根本問題はあるかと思いますが、現在は、とにもかくにも株式会社としてあそこを経常しておる。しかも、公共的にも相当必要なスペースをみずからの力で生み出して作っていかなければならない。御承知のように、オリンピックを目標にしまして、空港の施設については、現在滑走路その他大拡張工事が進んでおるわけでございます。概算の見積もりをいたしまして、現在の全体の坪数の二・三倍程度のものに将来拡張するということで、今、私ども拡張計画を審査しております。そういうようにして、その拡張計画の実施そのものについては、政府は何ら出資あるいは補助金というふうなものは与えておらない状況でございまして、空港ビルそのものがみずからの力で生み出していかなければならぬということになるわけでございます。  修学旅行の点につきましては、たしかあれは団体割引の制度があって、これに書いてありますような額そのもの全部をとっておるのじゃないと思いますが、なお調査したいと思います。しかし、そういう点については、御趣旨よくわかりますので、なお十分検討いたしたいと思います。
  99. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は、あと一問で終わります。  あなたの方では、ここへは別に補助助成はしてないと言う。それはその通りだろうと思います、ここはもうかっておるのだから。しかし、今度こっちを見ると、あなたの方も、よくもよくも気前よく出したなと思うほど、補助金がずいぶん出ているのです。これを一つ一つ、この補助金がどうだこうだと言っては、切りがないから言いませんが、この中で一つお聞きするのは、これは役所だから、役所らしい考え方だが、何千円なんてちょっぴりした補助金まで出している。これはためになる金ですか。そうかと思うと、何千万というのもずいぶんあります。何百万はざらだ。その中に、何千円、あるいは何万何千円なんてのがある。しかも、名だたる大会社に対して何万何千円なんて、これでは審査したり何かすると、手間だけでもそれくらいかかってしまうじゃないかと思う。こういうのは、もっと整理したらいいのじゃないか。これは航空局だけじゃない、運輸省全体ですから、従って官房長だろうと思うのですが、ずいぶん出している。この一覧表、見て下さい。これを読んだって時間がかかりますよ。よくもこういうふうに調べ上げて出すところを見つけたなと思って、私はあきれ返っているのです。この中には、全くおざなりなものもある。出すなら、ためになるものを出す。ためにならないものは出さない方がいい。これはもっと整理なさったらどうかと思うのですが、どうですか。
  100. 辻章男

    ○辻政府委員 ただいま、非常に補助金が多種類ありまして、また中には少額なものがあるじゃないかというお話でございますが、お手元に差し上げましたようなものを出しておる次第でございますけれども、これは、いずれも法律及び予算に基づきまして出しておるのでございます。たまたまあるところに対しまして非常に少額に相なっておりますが、法律の趣旨から申しまして、少額であるがゆえにこれをやめるというわけにも参りませんので、法律に基づきまして、その計算に従って出しておる次第でございます。また、私どもは、少額のものといえども、多額のもの同様に、補助金を出した先に対しましては、厳重な審査をいたしておる次第でございます。
  101. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたの方では、五千円出しても、それは当然審査するでしょう。けれども、大きな会社に二万五千円か二万円補助金を出すために、いろいろな書類を取り寄せてそれを調査し、審査して、そうしてそれを検査していったのでは、その金で元金がなくなってしまう、全体の経費としては。その金はそれで使われるかもしれぬが、全体の経費として見たら、わずか一万円か二万円の補助金を出すために、二人も三人もの人で——これは一億出すのも、五千円出すのも、調査は同じことなんだ。だから、実にむだな金を使っている。しかも、もらった方でありがたいかといったら、ありがたくも何ともない。出さなければならないから出すのだと言われれば、それまでだけれども、お出しになるなら、こんなに百からあるものをもっと整理したらいいじゃないか。  それからもう一つ言いたいのは、同時にほかの省でも持っているような機関があるわけだ。外務省でも通産省でも持っているというようなものがあるが、全く類似のものは——これは運輸省にはないだろうと思ったところが、運輸省にも二つ三つ見える。こういうのは各省で相談して整理すれば、もっと機能を発揮できるようになるのではないか。あるから、それぞれその権限を主張して、それぞれの協調、連絡がとれない。一つにしていったって同じことだ。そういう方が、いわゆる予算の効率的使用に合致するんじゃないか、こう思うので申し上げたのです。
  102. 辻章男

    ○辻政府委員 私どもの出しております補助金の中で、たとえば科学技術研究補助金のような性質のもの、それからもう一つは、いわゆる船舶に対する利子補給金のようなもの、大体この二種類がございます。二種類あると申し上げましたのは、科学技術研究補助金のようなものは、補助の申請に対しまして、私どもの方でその内容を見、それからそれに要する会社の負担等も考えまして、補助金の交付を決定する次第でございまして、こういうふうな性質の補助金につきましては、一件々々審査いたしまして、今御指摘のございましたように、非常に研究としてはりっぱでございますが、それに対する補助金が一万円とか二万円とかいう少額のものは、出さないような方針にいたしております。ただ、海運につきまする利子補給金のようなものは、ある金融機関に対しましては、定められた計算のものが、補助金を受ける方から申しますと、権利があるわけでございまして、これが少額で、手数がめんどうであるから辞退すると言いません限り、たとい少額でございましても、特定の金融機関を除外するというわけには参りませんので、そういうふうな少額のものを出しておる次第でございまして、今御指摘ございましたような御趣旨は、私どもも十分考慮いたしまして、そういうふうに、裁量によりまして補助金の交付の決定ができるような種類の補助金につきましては、措置していきたい、かように考えておる次第でございます。
  103. 木村公平

    ○木村(公)委員長代理 勝澤芳雄君。
  104. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、今航空行政についての問題が出ておりますので、引き続いて航空問題についてお伺いいたしたいのでありますが、今航空行政というのは、運輸省、通産省、科学技術庁、防衛庁、こんなふうに分かれておるようでありますが、との各省のやられておる内容と、これを調整しなければならぬ段階に今きているんじゃないか、こういう立場から見た場合、こういうふうに分かれていることの問題点というようなものについての航空局としてのお考えを、まず最初にお聞きしたいと思います。
  105. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 航空行政機構の問題につきましては、非常に大きい問題でございますので、私どもの考え方は、きわめて事務的な考え方になりますが、御了承願いたいと思います。  本来、航空行政は、先生の御指摘通り、現在四つの省庁に分属しておるわけでありますが、今後航空の発展につれて、こういったものがどういうふうな形をとることが最も理想的であるかという点については、私どもも、平素いろいろ研究をいたしております。この場合に幾つかの考え方があるのでございますが、航空関係の行政機構を全部一元化して、航空庁あるいは航空省を作ることが最も能率的ではないかというふうな考え方と、もう一つは横断的に、運輸に所属するものは運輸省——現在運輸省は陸上輸送、海上輸送、航空輸送という三つの輸送部門を行政の柱にいたしておるわけでございますが、こういうふうな考え方からいたしますと、輸送行政という観点から航空を律していく。それから技術行政につきましては、科学技術庁で総合的な技術開発を行なっておるわけでございまして、従って、航空技術の特に研究的な部分につきましては、科学技術庁に所属させる方がより能率的であるというふうな考え方もあるのではないか。ただ、製造工業については、現在通産省が所管いたしておるわけでございますが、私どもの希望といたしますれば、製造工業というものは、でき得れば輸送行政と一体化するという方向へ持っていく方がより能率的ではないか、かように考えておるわけでございます。  なお、航空行政のあり方につきましてもう一つの考え方は、特に管制を中心にいたしまして、防衛庁管制機構と運輸省の現在行なっております管制とを行政的に一本にすることが、より航空の安全のために適当ではないかという考え方があるわけでございまして、この考え方は、現に行政組織としてはアメリカが採用いたしております。アメリカは、航空局に相当するものはシビル・エアロノーティックス・ボードというものがございまして、これが航空についての主として監督行政に関する部分を担当いたしております。さらに大統領直轄の機構といたしまして、フェデラル・エビゲーション・エージェンシー、つまりFAAという機構がございまして、このFAAの機構はごく最近でき上がったものでございますが、米空軍の管制に関する組織と機能、それから従来一般の民間航空関係に所属しておりました民間機管制に関する部分というものを全部統合いたしまして、軍から派遣された職員も通常のシビリアンという形で勤務いたしておりますが、このFAAにおいて、主として管制を中心とする行政の一本化ということが行なわれておるわけでございます。従いまして、日本におきましても、将来非常に高速化し、あるいはまた機数も非常に増加してくる空の交通管制というものを所管いたしますために、そういうふうな組織を作った方がいいのではないかというふうな考え方もあるわけでございます。こういった点につきましては、なお事務的にも十分今後研究を進めていきたい、かように考える次第でございます。
  106. 勝澤芳雄

    勝澤委員 航空行政の一元化の問題につきましても、いろいろ検討されているようでありますし、あるいは過般航空審議会からも一応の答申がなされているようであります。陸上の交通を考えた場合、一体都市交通が行き詰まっている原因は何かといえば、国の政策がないというところに問題があると思います。だれが握っているかといえば、運輸省が握っているわけですけれども、結局、たとえば道路につきましても、そのほかの問題につきましても、いろいろ問題がありまして、うまくいってないのが私は原因じゃないかと思うのです。やはり航空行政につきましても、今の形でいくならば、やがて私はこの陸上と同じような形になってくるのではないだろうかという心配をするわけなんです。これは私だけではない、航空局長もそうなる心配はあると思うのです。一つの例を申し上げますと、通産省で輸送機を一生懸命作っておるわけですね。この輸送機を使うかと防衛庁に聞けば、そんなおくれた飛行機をと、こう言う。あなたの方で会社に買うかといえば、買わぬと思うんですよ。結局それはどこでというと、日本で国の税金を入れて出資をして一生懸命作って、そしてでき上がったやつを日本では買い手がないから、よその国に売りつける。しかし、そろばんをはじいてみれば、私は、ばかばかしいものになるのじゃないだろうかと思うのです。そういう関係は、やはり総合的にいろいろ研究すべきものがあるのじゃないだろうかと思うのです。ですから、そういう点は、一つ遠慮のない立場で、航空行政はこうあるべきだというのを、ここ半年か一年くらいの間に積極的に進められることが、それがかりに実現する、しないは政治の問題としても、行政を担当される皆さんの立場からいうならば、それを積極的にしていくことが問題を解決するし——また事故が起きれば起きたときに呼ばれて、航空局けしからぬじゃないか、いや、それは私の方ではありません、防衛庁の方ですというような、ばかばかしい論議が出てくると思うのです。ですから、それはこの際根本的な検討をなさるように努力をしていただきたいと思うわけでございます。  次に、今国際線の場合においては、日本航空が取り扱っておるようでありまして、国内線の場合においては、大きく日本航空と全日空というのがやっているようでありますが、これらの関係について、ある一部の人たちの中でも、大きな基幹の国内線は一本の会社でやった方がいいじゃないだろうか、いや競争があった方がいいじゃないかと、いろいろ論争はあるようでありますが、この際、これも国有鉄道が公共企業体なり——独占化からは変わってきつつはありますけれども、航空行政についても、そのやり方についてここらでやはり検討しておかないと、大へん問題になるのじゃないだろうか。なぜならば、だんだんもうかるようになってきたからです。もうからない段階においては、何も差しつかえないだろうと思うのです。もうからないことは、だれもやりません。しかし、もうかるようになってきた。三十五年度の決算を聞いてみましても、日航は五億とか、全日空も一億七千万かもうかるような話が出ておるわけでありまして、これらの問題については、どういうふうにお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  107. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 日本航空と全日本空輸との今後の関係をどう規律していくべきかということでございますが、現在の実情から申し上げますと、日本航空は、東京−札幌、東京大阪東京−福岡という日本の幹線と、それから現在国際線の運営を担当しておるわけでございますが、実際の収支の面から見ますと、国際線は、今日のところまだ競争が非常に激甚で、苦しい状態でございます。その苦しい状態の国際線を、さらにことしの六月からは、北極回り欧州線というものを新たに開設する。その開設のために新しい飛行機を購入するほか、欧州各地におけるオン・ライン・オフィスあるいはオフ・ライン・オフィスというような事務所を新設しまして、職員も配置しなければならぬという問題もあります。さらにまた、北極線につきましては、非常に激甚な競争が予想されているわけでございます。さらにまた日本航空は、インド洋を経由して欧州線の計画等も進めておりまして、これも早ければ来年の初頭には実現をしようということで、現在努力しておるところでございます。そういうふうな状況下におきまして、今日、日航の海外進出を実質的に非常に援護いたしておりますのは、日航の幹線運営における収入でございます。これは国際線をやる会社については、国が一切の負担をした上で伸びるようにしてやるというのも一つの考え方でございますが、実際問題といたしまして、財政的に潤沢に日航の海外進出を援護するだけのソースを手に入れることが非常に困難でありまして、従って、私どもの考え方からしますれば、日本航空が、ある程度国際線の進出、特に欧州、あるいは場合によってはこの数年間において世界一周線を完成する、そういう過程において、十分働き得るようにしてやらなければならない。そのためには、現在国際線で不用になった機材で、主として幹線を行なうという計画でおります。こういったものも使わせまして、国内線における収益もある程度確保させていかなければならない、こういうふうに考えられるわけであります。  それから全日空につきましては、下田沖における事故以後におきまして、その対策といたしまして、日本航空の技術的、資本的な援助を実現しました。それからまた、国からも乗員養成についての補助金を出しておるような次第であります。さらにまた、従来日本航空が担当しておりました東京——札幌、東京——大阪等における幹線への参加をも認めまして、現在大体日航七割、全日空三割というふうな形で、この幹線運営にも参加いたしておるわけでございます。全日空が幹線に参加いたしました当時は、ローカル線が非常に苦しい。それでローカル線——しかも公共的に必要な不採算路線を経営するという建前から、その経営を少しでも楽にしてやるということで、私どもとしては幹線参加を進めたわけでございますが、現状においては、幹線も非常に好況を呈してきておると同時に、先生の御指摘になるように、全般的にローカル線につきましても、経営が非常に改善されてきておるというのが現状でございます。将来、この両者をどのように規律していくか。あるいは全日空を日本航空に統合して、国内、国際ともに一元的な会社でこれを担当せしめることが、航空機の安全上、あるいは航空事業の面から必要である。それからまた、国内線について全日空と一緒にして、国内線会社というものを作る。また、国際線については、日本航空が、ちょうどイギリスのBOACのごとくに、国際線のみを担当する会社にすることの方がいいかという問題があるわけであります。   〔木村(公)委員長代理退席、三和委員長代理着席〕 この点についても、私どもとしては、今後一生懸命に勉強していきたい、掘り下げていきたいと思いますが、さしあたっての問題といたしましては、日本航空の国際線進出がある程度円滑に行なわれるに至るまでは、しばらくの間は現在の全日空、日本航空の提携関係をできるだけ強化させる。それからまた、全日空の幹線への参加等につきましても、両者が今後国内で機材の更新その他の施設が十分やり得るようなところまで逐次伸ばしてやるというような考え方、両者の協調関係、幹線における協調運営というふうな形でしばらくはやっていくことが、最も実際的ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  108. 勝澤芳雄

    勝澤委員 具体的には、日本航空と全日空とは、資本の関係はどういうふうになっておりますか。
  109. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 現在のところでは、全日空に対して日本航空が二億出資いたしております。今年度全日空が現在の資本を倍額増資する計画でおりますので、倍額増資いたしますれば、日航の資本参加は約四億ということになるわけであります。
  110. 勝澤芳雄

    勝澤委員 全日空の総資本は幾らになりますか。もしわからなければ、日本航空の占める率は、どのくらいのものになるのですか。
  111. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 現在全日空の総資本は、二十億だそうでありますから、従いまして、日航の資本参加は一割ということになります。
  112. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで国内線は、一応日本航空と全日空という形にはなりますけれども、それ以外に、また同じようなこれの次か次になるような形の会社というのを、国内線にはまだ設けることになるのですか。その辺はどういう方針なんですか。
  113. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 全日空、日本航空以外の国内線会社といたしましては、現在北海道の道内輸送を担当いたしております北日本航空、それから東京、大島、八丈島というところをやっております日本遊覧、それから水上機でございますが、大阪を起点にいたしまして、白浜、徳島あるいは新居浜をやっております日東航空、それから九州で南西諸島と鹿児島を主としてやっております東西航空、それから一部九州と、現在新潟、佐渡というような離島路線をやっております富士航空、この五社がございます。これらにつきまして、最近の航空全体の需給関係が非常に改善され、伸展の傾向が非常に強くなって参りました現状において、やはりそれらの社もおのおの路線を伸長したいという強い希望を持っておるわけでございまして、先般航空審議会に、いわゆる局地、ローカル路線というものの今後の施策についてどういう方針でいったらいいかという点を諮問いたしました。一応結論を出していただいたのでございますが、全体の輸送秩序というものを維持しながら、やはりそういった企業意欲というものも今後十分伸ばしていきたい、こういうことで考えていきたいと思います。それ以外に、現在、路線において貨客輸送をやっておる会社はございません。なお二十数社ございますが、これは、主として小型飛行機あるいはヘリコプターによりまして、写真撮影であるとか、あるいはまた送電線のパトロールであるとか、あるいはまた農薬の散布であるとか、あるいは宣伝ビラをまくというような、いわゆる私営事業をやっておる業者が、二十数社ございます。
  114. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、全日空と日本航空に対する国の資金的な援助関係は、どういうふうになっておりますか。
  115. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 日本航空につきましては、すでに御承知のように、約百億の資本に対しまして、七割近いものが政府出資になっておるわけでございます。それから毎年、政府出資並びに政府の保証債の援助が行なわれておるわけでございますが、昭和三十三年以降を見ますと、昭和三十三年には、五億の政府出資と五億の政府保証債、三十四年度には、同じく五億の政府出資と二十三億の政府の保証債、三十五年度には、やはり五億の政府出資と二十億の政府保証債、三十六年度予算につきましては、三億の政府出資と二十二億の政府保証債が計上してございます。こういうふうに、日本航空に対しましては、主として出資と保証債の形で援助が行なわれておりますが、全日空に対しましては、昭和三十四年度におきまして約五千万円、これは、現在国内線に使っておりますDC3の機器の統一のために補助金を出しました。これは非常に効果が上がったのでございますが、三十五年度には、約二千万円の乗員養成補助、三十六年度には、やはり二千万円の乗員養成補助が計上してございます。全日空自体は、政府の出資補助金というふうなものについては、必ずしも非常に多額な期待は、実は会社自体がしておりません。でき得れば、自主的な株式会社として今後とも伸びていきたいという強い希望を持っておるわけでございます。政府としても、できるだけそういうふうな希望をいれながら、航空機の安全その他の観点から補助をやはり続けていきたい、こういうふうに考えております。
  116. 勝澤芳雄

    勝澤委員 特に空の交通ということも、公共性の高いものでありますし、また最近におきましては、国鉄の独占が変わりつつあるという中から、運賃形態の中でも、やはり国鉄と私鉄、あるいはバスなり、海運なり、飛行機という形の競合的なものといいますか、競争的なものが出てきておるわけでありまして、その面からも、たとえば東京大阪が、国鉄で行くよりも飛行機で行った場合には五百円程度高いのだったら、これは飛行機の方がいいという、こういう形の流れというものも出ていると思うのです。そういう観点からながめてみると、なおさら公共性の高いものであるし、政府が、今日まで日本航空を中心にして相当積極的な保護助長政策をやってきたわけでありまして、そういう中から、ようやくにして今日黒字になってきた。一方、全日空についても、いろいろ——直接的には政府の補助は微少でありますけれども日本航空を通じて出ておったということを考えるならば、そう大して違いはない問題だと思うのです。従いまして、この際、空の戦国時代というのがこない段階において、やはり十分検討された方向というものをきめるべきだと思うのです。そういう点からも、これは先ほど行政の一元化の問題を申し上げましたけれども、国内あるいは国際的な路線の問題につきましても、めちゃめちゃにならぬうちに、すっきりしたところをきめて、一つ方針というものをしっかりお立てになられることを、まず要望いたしておきます。これは、航空審議会でもそういう言い方をしておるようでありますが、今航空局長の話を聞いてみると、どうもまだ不十分のように思われる。これは、機構の中に問題があるからでありましょうけれども一つ積極的な施策を要望いたしておきまして、また、その問題につきましては、あらためて次の機会にお聞きしたいと思うのです。  それからその次に、航空機の乗員養成の問題ですけれども、これは今国でやっておる航空大学ですか、年三十名養成というふうにやっておるようでありますが、最近の計画からいって、三十名では足りないから五十名だということで、予算の要求はしたようでありますけれども、それが残念ながらできなかった。しかし、できないけれども、何をやっているかというと、片方で御承知のように、乗員養成の補助金を出し、全日空は、独自の立場で航空乗員養成をしなければ間に合わない。こういうふうになってきているわけですから、こういう点を考えてみると、国だけでは航空乗員養成というものは三十名しかできないけれども、あとの二十名の養成については、全日空でも金を出してもらって、これは補助金を出すのをひっくるめれば、できるのではないだろうかという理屈も成り立つわけなんです。ですから、こういう点は、もっと一元化した乗員養成というものも考えるべきだ。予算の面においても、大蔵省が言うことを聞かないといえばそうかもしれないけれども、それならば、そういうところでもやるわけですし、ましてや一番大事な立場にある人たちですから、その点も十分な御検討をこの辺でしていただいて、片方にあるのですから、それを二重に民間でやる場合には補助金を出さなければならないということにならないように、一つお考えを願いたいと思いますが、その点はどうでしょう。
  117. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 全く先生のおっしゃる通りでございまして、実は御承知のように、三十六年度の予算要求におきましては、航空大学校の規模を二十名拡充するという案を出したわけでございます。その予算総額は、大体約一億でございます。これは機材、あるいは教官の雇い入れ、その他の費用を全部くるめてでございます。しかし、一方すでに、御承知のように、管制本部の移転という大きな予算要求も掲げておりまして、これは通ったのでありますが、養成の方は見送るという形になって、私どもは、はなはだ残念に思っております。この規模の拡大につきましては、さらに全力を傾注して、一日も早く予算化するように努力をいたしたい。  それからなお、先ほど私が申し上げました全日空の養成補助でございますが、実は航空学校での養成は、一応双発のビーチクラフト程度飛行機の事業用操縦士の免状を取り得るところまで教育するわけであります。それを出ました者が、日本航空並びに全日空に就職いたしまして、そこでさらに上級の免状を取るための訓練を受けるわけでございます。それからまた、上級の免状を得るための訓練以外に、現在すでに免状を持って飛んでおる連中に、さらにまた一年ごとに行なわれる技量チェックというための訓練も出てくるわけでございます。従いまして、航空大学校の規模の拡大のための予算と、会社に出す補助金とは、多少性質が違っておるわけでございます。しかしながら、乗員が非常に不足しておる現状にかんがみまして、先生のおっしゃるように、一つどもとしては、今度は予算の最大眼目として、乗員養成の問題を取り上げていきたい、かように考える次第でございます。
  118. 勝澤芳雄

    勝澤委員 航空行政についての問題というのは、これからまだ大へんたくさんの新しい問題が出てくると思いますので、これはまた別の機会にお伺いするといたしまして、次に私は、自動車局にお尋ねいたしたいと思います。  自動車の問題は、最近、何といいましても台数の増加で、いろいろと各所に問題が出ているわけでありますが、その中で、特に陸運事務所の問題というのが、昨年から相当クローズアップされ、この一元化の問題が叫ばれてきたわけでありますが、今日までまだ結論が出されていないようであります。そこで、結論を出されていないために、いかに陸運事務所の中で苦しい仕事をしておるかという点を、よく聞かされるのであります。従いまして、一つ最近における特に陸運事務所関係の人員というものは、どんなふうな趨勢になっておるのでございましょうか。
  119. 國友弘康

    國友政府委員 お答え申し上げます。  今先生のおっしゃいましたように、陸運事務所の仕事というものは、自動車が、最近の状況で申し上げますと、昨年の十二月末現在で三百四十五万台ほど数えておりまして、月々六万台以上ふえておりますので、そういう状況を反映いたしまして、非常に仕事がふえて参っております。昭和三十五年度の予算で申し上げますと、陸運事務所の要員は、千四百三十七名でございます。全体的に申し上げますと、陸運事務所の要員が、昭和二十六年当時は千六百十一人でありましたのですが、これが行政整理というようなこともございまして、今申し上げましたように、昭和三十五年度には千四百三十七名というふうになった。車両は非常に増加をしまして、たとえば今申し上げました昭和二十六年には、車両は四十六万五千両でありましたのが、三十五年十二月末現在では、三百四十五万台というほど増加しておりますのに、職員は一〇%減員をしておるという状況でございます。本年の予算要求におきましては、九十二名の増員を要求いたしまして、予算は認められたわけでございますが、これでもまだ足りない状態であります。しかし、仕事はやらなければなりませんので、この限られた人員で、成果をあけるべく鋭意努力しておるのでございます。
  120. 勝澤芳雄

    勝澤委員 月々六万台ずつ自動車がふえていく。しかし、人は、二十六年に千六百十一人で、三十四年には千四百三十七人に減っておる。そうしますと、これによって仕事をやるについて、昭和二十六年当時の陸運事務所の仕事のやり方と今日の仕事のやり方というものは、相当変えなければやっていけないと思うのですが、法律の整備その他仕事のやりくりというのは、具体的にどんなふうに改正をしてやらしておるのですか。
  121. 國友弘康

    國友政府委員 一番大きな改正点としましては、昭和二十六年当時は、ガソリンの消費規制をやっておりまして、これの割当事務をやっておりましたが、これらの行政事務は整理いたされましたので、一番大きい理由はその原因のために減ったのでございまして、その後の状況といたしましては、大体昭和三十三年度あたりから、毎年百三十五名ないし八、九十名程度増員をいたしております。
  122. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますとあれですか、この陸運事務所のやる仕事の内容というものは、法規あるいは規定、いろいろあるでしょうが、そういうものは、今日では相当簡素化されてきたのですか。具体的には、今まではこういうやり方に検査、あるいは登録、あるいはいろいろな仕事がなっておったけれども、今度はこの程度でよろしい、簡単にやれというふうになった。その点はどういうふうになっておられますか。
  123. 國友弘康

    國友政府委員 事務の簡素化の面も心がけまして、いろいろな扱いの定型化とか、そういうようなこともいたして参りましたし、検査等につきましても、機械化を実行いたしまして、これには相当な施設の経費を注入いたしておりますが、それによりまして、流れ作業で自動車の検査をし得るようにいたした。そういうような事務改善をいたしております。
  124. 勝澤芳雄

    勝澤委員 特に、前には陸運事務所の関係の仕事が大へんだったために、車両検査のための民間協力団体というようなものができて、民間協力団体が検査協力の費用を取り、それによって人を使ったり、あるいは一部陸運事務所の費用にしておったということが指摘をされ、そして最近ではそういうものがなくなっていったようでありますが、このことは、当時の状態からいって陸運事務所の人が足りない、何とかやりくりしなければいかぬ、こういうことから出てきたものだと思うのですが、その点はどうなんでしょうか。
  125. 國友弘康

    國友政府委員 確かに陸運事務所の要員が足りませんので、たとえば自動車販売店協会とか、整備振興会の職員等の協力を受けまして、仕事をしておった実情がございましたわけであります。しかし、このような部外協力者の存在ということは、本来好ましいことではありませんので、極力その整理を行なってき、さらに毎年の増員によりまして、その人員を吸収してきたという状況でございます。現在におきましては、まだ六名程度残っておりますけれども、昨年に比べますと、昨年は三十九名なので、二十三名ほど整理いたしました。そういう状態でございますして、確かに要員は不足をいたしておりますが、要員の不足より以上に、部外の者の協力を受けて仕事をするということはどうかと思われますので、そういう面では仕事の強化にはなりますが、部外協力者は極力整理するという方向で参ったのでございます。
  126. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いろいろ調べてみますと、部外の協力団体というのが、どこにもあるのです。たとえば交通関係でも、交通安全協会というのがありまして、年に百円とか二百円とかとっておりますが、何をするのかと思ったら、道路に白い線を引くのに、この交通協力費の中から出しているし、署長さんがかわったときに一ぱい飲むというようなことがありますし、これは各省調べれば調べるほど問題がたくさん出ているわけであります。特にPTAというようなのが一番問題になっておりますけれども、しかし、これと同じようなものというのは、行政の中で、結局予算の関係といいますか、あるいはお役所と話がしやすいといいますか、こういった関係があるわけでありまして、陸運事務所の中でも、部外の協力団体が今どういうふうになっているか。自家用車組合というのがあるが、こういうのはどういう関係になっておるのか。その辺をちょっと教えていただきたいと思います。
  127. 國友弘康

    國友政府委員 陸運事務所の関係は、各都道府県に存在しておるわけでありますが、都道府県単位の自動車関係の団体というものが相当存在いたしておりまして、今申し上げましたような整備振興会、あるいは自動車販売店協会、あるいは自家用組合というようなものが、いろいろ存在いたしております。これは、一番の眼目といたしますところは、やはりその業種の業界の人たちが集まって、お互いに進んでいく方針を討議し合ったり、あるいは親睦を深めていくということを主たる任務としておる協会でございまして、自動車販売店協会等におきましては、販売店の関係者が集まって協会を作り、整備振興会のごときは、自動車の修理業者が集まって協会を作っているわけでございます。自家用組合につきましては、これは一番最初にできましたときには、ガソリンの割当等にも参画しておったのでございますが、ガソリンの消費規制がとれましてからは、純然たる自家用所有者たちの親睦団体ということになっておりますが、そのほかに、自動車損害賠償責任保険の取り扱い等も、この協会がいたしております。
  128. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この部外協力団体という問題につきましては、これは自動車局だけでなくて、各省、各個所にありまして、相当問題になるべき点があろうと思うのです。従って、これは特に自動車局に関する問題についてお伺いをいたしましたが、やはりそのあり方というものについては、相当検討さるべき問題があろうと思います。しかし、それが本旨ではありませんので、その問題は次の機会に譲りますが、本題の問題として、今日、自動車の行政というもので、大へん陸運事務所というものが不明確になっているために、相当困っている。たとえば取り締まりをしようとして出ていっても、結局自分で取り締まりができないから、警察にお願いせねばならぬ。警察の方はなかなかやってくれない。結局、警察の方へよこせばおれの方でやれる、いや、そうもいかぬということで、なかなか困っている。それから台数がどんどんふえているのに人がない。規定はそのままになっているから、やはりやらなければならない。しかし、人がない。人がないから、今まで何とか協力団体がやってきてくれたけれども、今度はおしかりを受けて、これではいけないということで、きっちりやられてつぶされた。しかし、人の方は何ともふえていない。従って、やはりこの問題はもとへ戻ってきて、一体陸運事務所というのはどちらでやるのが正しいのかという論点が、出てきておると思うのです。これは過般、どの委員会でしたか、運輸大臣と自治大臣を呼びまして、いろいろと論議をされておりましたけれども、この辺ではっきりしてやらないと、陸運事務所の職員も仕事がしにくい、あるいはできないと思うのです。むしろ自動車局の方は、陸運局まで見ておれば問題はない。人の問題についても、予算の問題についても、十分めんどうを見ておると言っておりますが、これでは私はお粗末だと思うのであります。結局、検査に行ってこい、汽車賃は自腹で行けと言って、旅費もろくろく与えておらなくて検査をさせる。そうして検査をするには、自分に権限がないから。警察に頼むと、警察はなかなかうんと言ってくれないということで、実に気まずい仕事のやり方をしておると思います。こういう観点から、運輸省としては、この行政を自動車局において明確にするというのでしょうが、具体的に、いつまでにこの問題は明確になるのかという点を、私はお伺いしたい。
  129. 國友弘康

    國友政府委員 陸運事務所及び陸運事務所の仕事の仕方につきまして、申し上げたいと思うのでありますが、私どもは、決して陸運事務所の段階を軽視しておるわけではありません。陸運事務所の仕事は、やはり自動車行政の中枢的な仕事になります。現場の仕事としては最も重要な仕事でありますので、これらの面につきまして、人の増員の面及び予算の面にも努力しておるわけであります。最近の状況においては、むしろ陸運事務所の増員ということを、本省や陸運局よりも多く認めるように努力をしておるのであります。ことに検査等のお話が出たのでありますが、この検査というのは、陸運事務所の本来の仕事でありまして、これらの旅費等の点においては、極力その出張にふさわしい旅費を出すように努力いたしておりまして、決して手弁当で行けというようなことではやっておらないのでございます。  さらにそういう検査につきましては、警察とか、そういうところに依頼するようなことは絶対にやっておりません。自動車の検査に関しましては、県庁所在地その他に本場車検場と称する運輸省陸運事務所直轄の検査場がございまして、そこで中枢的な大部分の検査をいたしまして、そのほかに出張検査場というものを全国に設けておりますが、これは日にちを限って検査官が出張していく。その場合に、その検査場の施設については、部外の協力団体が設置しておる施設を利用する場合がある。それは借り入れをいたしまして、代金を払って利用しておる、こういう状況で運用しておるのでありますが、そもそも陸運事務所のあり方に関しましては、現在陸運事務所の職員の身分は国家公務員であり、予算等はすべて運輸省が所掌しておるのでありますが、形式的には都道府県知事の下部機関という形で、非常に中途半端な機関でありまして、このために、陸運事務所、それからその上部でありますところの都道府県知事、陸運局長との関係というようなものに関しましても、非常にいろいろ繁雑な問題を生じておるのであります。陸運局長は都道府県知事を指揮監督できるかというような問題に関しましても、現行法令の範囲内におきましては、明確な規定がないのでありまして、その解釈もいろいろと問題があるわけでございまして、現在の状況におきましては、都道府県知事は、陸運事務所長にほとんど事務を専決処理させていく。そうして陸運局長は、陸運事務所長に対しまして、事務的な連絡をして行政をやっておる。そういう状況でありまするが、人事その他の関係がございますので、陸運事務所長は、陸運局長連絡を十分に守って仕事はいたしておりますけれども、先ほど申し上げましたような、明確なる権限的な規定は、陸運局長と陸運事務所長の間にはない、こういう状況でありますので、これらの関係を明確にいたしたいと考えまして、昨年もその線に沿って非常な努力を続けたのでございますが、そういたしまして岸内閣のときに、大臣は松橋運輸大臣と、益谷行政管理庁長官と、石原自治大臣、三者の大臣がおられましたときにも、これに関しまする話し合いがなされまして、陸運事務所を直轄化する。それについては公安委員会の権限をある程度規定し、自動車検査に関する特殊機関を作るということの申し合わせのようなものも一時はできたのでありますが、それが予算要求の過程におきまして、この方向が実現いたせませんで、やはり従来通りの形ということになったわけであります。今後におきましても、実は私どもとしては、陸運事務所を運輸省の直轄の地方支分部局とすることについては、その考え方を積極的に進めていきたいと思っておりますので、現在も行政管理庁、あるいは自治省、警察庁と折衝を続けております。ただ、現在の段階におきましては、まだ法律案を提案するというところまで参っておりませんので、いつまでにこの方向が実現するかということも、時期的には限って申し上げられない状況でございまするが、鋭意今後努力をして、その方向に施策を進めていきたいと思っております。
  130. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今現場で仕事をしている人たちは、こういうことを言っているのです。とにかくどっちでもいいからはっきりしてもらいたい、仕事がやれなくて困る、こういうことなんです。今國友さんの局長になっている間は、とにかく何とか運輸省直轄になるように國友さんがやって下さるけれども、しかし、いつまで局長をやっているかわからぬ。あしたにでもかわったら、また変わって、どうなるかわからぬ、そういう不安があるわけです。ですから、もう少し見通しをはっきりと一つ示してもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  131. 國友弘康

    國友政府委員 この点に関しましては、運輸省限りでできる問題じゃありませんので、今申し上げましたように、権限裁定官庁である行政管理庁とか、あるいはそのほか相手方の官庁であります自治省、あるいは警察庁、あるいは大蔵省等の意見もあわせまして、具体的な結論を出して法案にしなければなりませんので、この見通しというような点に関しましては、これはいついつまでということは、今申し上げましたように、非常にむずかしいことだと思っておりまするが、ただ、私の今考えておりまする点では、この通常国会でも、法案が提案できますれば、実は法案を提案して、御審議を願いたいと思っておるのですが、もしどうしてもそれが実現の運びになりません場合には、今度の国会で臨時行政制度調査会が設置を認められることになりましたか、法案が提案されておりますので、今国会でそういうことが実現いたしませんならば、そういう行政制度の調査会にかけて、そしてこれの実現を期したいというふうに考えております。
  132. 勝澤芳雄

    勝澤委員 しかし、この問題は、私はもう長い懸案だと思うのです。そしてもうこの辺で結論をつけなければならぬ問題じゃないだろうかと思うのです。結局、自動車局長の御答弁で、見通しがまだ大へんだということならば、自動車局長が、おれの方でなくて、とにかく県でやる、こういうことになれば、あしたにでも解決するんじゃないでしょうか。その辺のことを、もう少し陸運事務所の諸君の立場に立って考えてやらないと、宙ぶらりんになっていると思うのです。ましてや国の出先といいますか、これで一番冷遇されている職場というのは、大体陸運事務所なんです。そうして県の方では年末手当をたくさんもらっても、陸運事務所の方では、国の方だから何ももらえぬ。そして住んでいるところも、みな片すみの方だ。陸運局へ行っても、同じことだと思うのです。こういうあり方では、いつまでたったって、これから発展をする自動車の行政を満足にやっていくことは不可能だと、私は思うのです。何だか、また臨時行政制度調査会なんといっても、結局逃げ口上で、二年か三年かかるわけですから、最初は、これをもう少しすっきりするような構想があったように思うのですけれども、その辺どうなんでしょうか。
  133. 國友弘康

    國友政府委員 今陸運事務所を、たとえば純然たる県の機関にするというようなことについての決心というようなお話も出たわけでありまするが、この点に関しましては、自動車というものが非常にふえて参りまして、ことに自動車は県単位ではなくて、広域に運行をいたしますので、それらのものに関しまする運送行政、登録行政、検査行政というようなものにつきましては、やはり都道府県単位ではなくて、国の単位、あるいは陸運局の単位において見なければ、いい行政はできないと思っておるのでありまして、こういう点では、どうしても私どもとしては、運輸省、陸運局、陸運事務所という三段階の一本筋の通った行政をいたすべきだと考えておるのでありまして、そういう点で、今後も純然たる国の機関として活動できるように努力いたしたいと思います。陸運事務所の職員が、県の職員に比べて給与等も少ないというお話もあったのでありまするが、これは給与の面においては、やはり国家公務員は国家公務員としての給与を受けることになりまするが、予算その他の面におきましては、十分努力をしていきたいと思っておるのでございます。さらにわれわれとしては、陸運事務所を通じまして、交通政策あるいは交通行政に関しまするいろいろな施策を生み出すための資料、あるいは直接業者その他の監督というようなものもいたしておりますので、それらの点でも、陸運事務所を強化して仕事をさせていきたいと思っております。先ほど申し上げておりますように、交渉の相手方がある仕事でありますので、それらの点につきましては、なかなか解決がむずかしい点もあるのでありますが、臨時行政制度調査会等におきましては、二、三年ということではなしに、できるだけ早い機会に、この陸運事務所の問題は取り上げていただきたいと思っております。と同時に、最近の官庁内部間の考え方その他に関しましては、陸運事務所の問題というものは、今のような状態ではとてもやっていけないのだ、これはもう何とか解決しなければならないのだという考え方なり、気分なりというものは、非常に皆さん方に御理解を得て参っておりますので、これらの考え方にものっとって、その方向でできるだけ早く努力していきたいと思っております。
  134. 勝澤芳雄

    勝澤委員 陸運行政の中から、やはり陸運事務所が運輸省の下部機構にならなければならぬということは、私もよくわかるのです。しかし、そんなことを言っておって、いつまでたっても今のままでいいかといえば、今のままでは気の毒で仕方がないわけです。県庁の方では、大体五人に一人か十人に一人の課長さんが、みんなりっぱな宿舎に入っておるのに、陸運事務所の方の課長なんというものは、まことにみじめなものなんです。結局、自動車局とかあるいは陸運局はいいけれども、陸運事務所というのは、政争の具の中で忘れられた存在になっておるわけであります。ですから、あなたが考え、積極的に努力していることもよくわかるのです。何とかしなければならぬといっておられることもよくわかるのです。しかし、もう現実の問題として、これはどっちかに決定をしなければならぬという段階にきておるわけですから、一つこれは私は強く要望をいたしておきますし、また別の機会にこれは大臣の方にもよく申し上げておきたいと思うのです。  そこで、私は資料として、特に陸運事務所の最近五年間の人員の傾向の問題と、それから予算関係の問題、それから陸運事務所の業務の動き、こういう問題を御提出をお願いいたしたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  135. 國友弘康

    國友政府委員 できるだけ用意いたしまして、提出いたします。
  136. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連して。駐留軍労働者の離職者の企業組合、タクシー会社なんかやろうとして申請した場合の取り扱いの態度。それから今まで申請したものの許可の割合ですね。そういうようなことはどうなっておるか。その一点だけ伺いたい。
  137. 國友弘康

    國友政府委員 駐留軍離職者の関係に関しましては、駐留軍離職者対策が、たしか昭和三十一年の二月の閣議了解で決定されまして、その中に、駐留軍予算削減、一部撤退等に伴う解雇労務者の就業対策等についても規定があり、さらに昭和三十二年の九月の閣議決定で、離職者の対策につきまして規定がありまして、これらの点に関しては、できるだけ駐留軍離職者の関係を配慮するようにということで、それに関します事項を各陸運局長あてに通達をいたしまして、関係申請事案の処理の促進をはかっておるわけでございますが、これに関しましては、閣議の書き方としましては、離職者が自立のために組織する企業組合その他の事業団体に対しては、その事業の許認可について優先的に取り扱うという趣旨のことが書かれておるわけでありまして、これらの点に関しましては、具体的な免許申請の事案の審査をいたします際に、駐留軍関係者の申請に関しましては、特にそういう離職者対策という面からも検討を加えているわけであります。しかし、駐留軍離職者の関係の申請事案も非常に多いのでありまして、これをたとえば全部免許するとかいうようなことはできませんのですが、そういう点を十分に考慮しながら、免許可行政をやっているわけでありまして、昭和三十六年の一月二十日現在で、ハイヤー、タクシー事業の免許は四十二件ございます。トラック事業は免許六件、分解整備事業の認証は十七件、この程度の免許をいたし、さらに多数の離職者をハイヤー、タクシー等の関係事業に就職のあっせんをしているというような状況で、陸運局長のととろで仕事をしているようであります。
  138. 西村力弥

    ○西村(力)委員 全部許可できないという理由は、これはだれにもできない地域だからやらぬ、こういう趣旨なのか。あとのつり合い上やらないというのか。それからまた、私のお聞きしたいのは、今許可した件数を申されましたが、それは申請のどのくらいの率になっているのか。こういうことをお聞きしたかったわけです。
  139. 國友弘康

    國友政府委員 免許申請に関しましては、道路運送法の第六条に免許基準がありまして、たとえば需給の状態がどうであるかとか、事業計画がどうであるかとか、あるいはその会社としての事業を遂行する能力があるかどうかとか、そういうようなたぐいの免許基準に該当するかどうかを審査してきめるわけでありまして、それらの点に合格しなければ免許をされないわけであります。そこで、駐留軍離職者の関係でありましても、たとえば車庫の状態が悪いとか、あるいは車庫の道路に面したところの状況がとても免許できないというようなことがあれば、これは当然却下になるわけでありまして、そういう具体的な事案々々について審査をして、免許、却下をきめておるわけでございますが、ハイヤー、タクシー事業に関しましては、却下と取り下げというのがありまして、この却下は、陸運局が却下行為をするのであります。取り下げは、申請者本人がその意思において取り下げをいたしますが、その却下と取り下げを含めまして、百六件であります。免許は、四十二件であります。それからトラック事業におきましては、却下、取り下げ、それから失効という、営業開始をしなくて、効力がなくなって、免許がなくなってしまったというものまでも含めまして十一件、免許は六件。分解整備事業の認証は、全部認証いたしております。こういう状況であります。
  140. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その離職者の車庫がどうこうというようなこと、あるいは企業の基礎、条件、そういうものが他に比して、いわゆる既存の業者に比して劣ることは、やむを得ないことだと私は思うのですが、これに対するバック・アップは何であるかというと、国の方針であり、また都道府県のそれに対するバック・アップだ、そういう点を十分にやはり見てもらわなければならないのじゃないかと思います。今のハイヤー、タクシーだと、百何件に対して四十何件の許可ですと、これは率からいうと、三割くらいになりますかどうかですね。その程度になっておるのであって、これはやはり閣議決定なんということで打ち出した線から見ましても、非常に不満足な数字ではないかという気がするのです。その点、なお一そう高度な配慮を願いたいものだと、こういうことを申し上げておきたいと思います。  それから委員長に、これは運輸省関係じゃないけどれも、交通安全協会の、どこの県でもいいから、県名は明示しなくてもいいから、そこの協会の規約ですか、そういうもの、それから役職員、それから予算、決算、そういう資料一つどこかの県のを取りそろえるようにやってもらいたい。これは運輸省じゃなくて警察庁の所管であろうと思うのだけれども、関係ありますので、この際、その資料を要求をしておきたいと思います。委員長どうです、それを一つやってもらいたい。
  141. 三和精一

    ○三和委員長代理 よろしゅうございます。
  142. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、私は観光局について簡単にお尋ねをいたしたいと思うのですが、この観光局の予算を見ると、実はおもな予算というのがみな協会の補助になっちゃって、あまり観光局というのは中心がないようでありますけれども、その観光というもの、観光局の仕事といいますか、こういう問題について、一つ一体何を中心にやるところというか、その辺のところを、観光局のあり方といいますか、お考えを一つ承りたいと思うのですが……。
  143. 津上毅一

    ○津上政府委員 観光ということになりますと、これは非常に広範な事柄に関係いたしますわけでございますが、私の方の運輸省観光局の所管の事項といたしましては、運輸に関して観光事業の発達、改善、調整をはかること、こういうふうに抽象的に表現をされております。ところが、実際におきまして、運輸に関する行政の中には、たとえば航空でございますとか、そういった問題は航空局がおのずからやるというようなことになることが多いわけでございまして、具体的に観光局が取り上げておりますことは、ただいま御指摘ございました日本観光協会に対しまする指導、監督、それからホテル、旅館の登録、国際観光ホテル整備法による登録、それから観光地、観光施設の調査、改善、あるいは通訳案内業、いわゆるガイドでありますが、通訳案内業法による試験、免許、それから旅行あっせん業に対しまする登録、こういった事柄を所管しておるわけでございます。従いまして、予算上出て参ります補助という面では、観光協会が大きく出るわけでございますが、行政事務といたしましては、通訳案内業法とか、あるいは旅行あっせん業法とか、ホテル整備法とか、そういった事務的な行政事務が相当あるわけでございます。そういった観光全体のことにつきましての一般的な行政事務、あるいは指導をやっておる。かように説明できるかと思うのであります。
  144. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、この観光局というものの仕事を聞けば聞くほど、何といいますか、あまり悪口を言うわけにはいきませんけれども、やはり観光ということになれば、自然美も、それから人工美もあるのでしょうけれども、やはり何か人工的なものを作るなら作るように、やはり指導的な役割というものがあるべきだと思うのです。しかし、今では自然発生的にもうかるところへ、もうかる施設を作る。このごろでは、山へ行っても、どこへ行っても、みんなお金をとるようになっているんです。ほっておいてくれれば自然美で美しいものが、わざわざ人工を加えて、みな金もうけになっているわけでありまして、そのよしあしは別として、やはり観光施設の改善、あるいは道路の問題につきましても、あるいは宿舎の問題につきましても、観光局というのがなければいいのですけれども、あるのですから、その辺はお考えをいただいて、少し積極的なものの出方というのを一つ検討すべきじゃないだろうかと思うのです。今のままでいけば、どこかの県で何かやった、どこかでホテルを作る、それじゃ開銀の融資を少しやってやろうという程度です。しかし、聞いてみると、このごろホテルが足りなくて困って、外人客がなかなかうまくいかぬというような話も聞きますし……。ですから、そういう点も考えてみると、これはやればやるほどおもしろい仕事で、大きい仕事だと思う。やらなければやらないで済む仕事で、補助金を下へ流していればいいという仕事だと思うのでありますから、その点は、観光局のあり方、あるいは観光のあり方というものについても、一つ総合的に、法律があってもなくても、関係ないわけでありますから、行政の中で一つ積極的に、建設省に頼む場合もあるでしょうし、あるいは各県の場合もあるでしょうから、そういう点は、一つ御検討を願いたいと思うのです。従って、そういうふうに見てみると、観光局が新しいのでしょうけれども日本観光協会と……。観光協会というのは補助団体ですね。
  145. 津上毅一

    ○津上政府委員 そうでございます。
  146. 勝澤芳雄

    勝澤委員 日本貿易振興会ジェトロというやつですか、これは政府出資の協会なんですね。あるいはまた、いろいろな面で日本観光協会に対する扱いと、それから道路公団とかジェトロとか扱います政府のあり方が、どうもいろいろだと思うのです、いろいろな面で……。ですから、これは御検討願えればおわかりになることだと思いますが、観光局に言っても、これは何といいますか、結論がつかない問題もあるでしょうし、大蔵省の関係もありますから、またあらためて、一体こういうものについての大蔵省の態度というのを聞こうと思うのですけれども一つこういう点から、観光協会に対する扱い、それからよその道路公団とか、ジェトロというふうなものとの扱い方の相違、そういう点についての改正すべき問題、それから観光行政の全般を一体どういうふうにしたらいいかというような問題、これらについても、との辺で、あまり他力本願でない積極的な施策をお願いしたいと思うのですが……。
  147. 津上毅一

    ○津上政府委員 ただいま、前段のお話は、きわめて私どもにお励ましのお言葉をいただいたわけでございます。私どもの行政といたしましては、実は最初申し上げましたように、観光は各省に非常に関係がございまして、それぞれの各省に密着している。たとえば道路の問題でございますとか、たとえば衛生の問題でございますと厚生省とか、そういうふうにいろいろな点がございますが、私どもは、観光を実際にする客の立場に立って、また観光事業を一つの産業として発達育成する、こういう建前から努力しなければならないわけでございますから、御説のように、私どもも、そういった観点からできるだけこの観光事業が発達いたしますように努力しなければならないと存じております。  後段のことにつきましては、御説の点よく勉強さしていただきたいと存じております。
  148. 正示啓次郎

    ○正示委員 大へん時間がおそいので恐縮ですが、非常に重要でございますから、簡単に御質問申し上げます。  観光は、今度の三十六年度の予算の一番の弱点と言われておる国際収支の関係からいっても、今勝澤先生もおっしゃいましたが、これはもう私は、日本全部が世界の公園であると、こういうふうなはっきりした認識を持つべきだと思うのです。歴史を振り返ると、日本は尊皇攘夷で、外人が来ることを非常に迫害した、あるいは軍国主義の時代には、要塞地帯を設けた。そういうようなことがありまして、このりっぱな世界の公園である日本を外人の目からシャット・アウトした。これは、われわれの先輩の非常なミステークだと思う、今日、ドル防衛とか、国際収支の危機が叫ばれておるが、この日本が天から授かったところの風景を世界に売り出すという観念は、私は、社会党の先生方も同じふうに考えておられると思う。そこで、ただハガチー事件なんかがあると、これはやはり外人にしてはディスカレッジするので、大いに社会党の先生方も、今後日本の風景を世界に売り出す問題についてディスカレッジしないように、一つ御協力を願いたいと実は思う。そこで、私は今勝澤先先のお話を聞いておって痛切に思うのは、観光局という役所が運輸省の一部局としてあるようでは、これはとてもだめだと思う。私は、すべからく日本を世界に売り出す大きな役所を作るべきであって、そして外国の各地に観光協会の支部を持っておるのは、けっこうだと思う。私は、本年度の予算において、外務省の予算に、一体外務官僚は観光ということに認識があるか、各地の大使館、公使館、あるいは領事館で、観光の問題に協力しておるかといったら、びた一文も予算要求をしなかった。だから、これは要求をすべきであると主張したのでありますが、これは運輸省からは逆に、どうも正示は運輸省予算を外務省に持っていったのだというような、ほんとうに腹にもないようなことを言われて非常に心外でございますが、私は、決してそんなけちなことじゃない。すべからく観光省ぐらいを設けて、世界に向かってわれわれは、天から授かったところのりっぱな景色をどんどん売り出して、外貨を獲得すべきである。そうすれば外貨収入の今のような問題も、大きく変わってくると私は思うのであります。そこで、観光局長にぜひお願いしたいのは、あなたは今の勝澤委員に対する御答弁でも、非常に遠慮しておられるようだが、あなたこそは日本の国際収支の非常に大きな柱をしょっておるのだ。だから、すべからく観光行政というものを各省の中において堂々と打ち出すべきものであるという認識に立脚して、やっていただきたいと思うのです。そこで、観光協会大いにけっこう。しかし、補助金だけではいけないので、世界の公園であるこの日本の至るところに、ほんとうにごろごろとりっぱな観光資源がころがっている。そのころがっている観光資源を、あなた方運輸省みずからが開発しなければ、これは怠慢のそしりを免れないと思う。三十三年度、三十四年度の決算を見ましても、要するに退嬰的であり、私は大蔵省におりましたが、観光局の予算の要求は実になまぬるいと思う。もっとすべからく観光省くらい打ち出して、外貨獲得を一身にしょってやるくらいの気魄を持ってやっていただきたい。このことを一応申し上げます。
  149. 三和精一

    ○三和委員長代理 観光局長に申し上げますが、正示君の御高見、私は全く同感です。まさに日本は国全部が公園なんだから、これに対しましては、観光局なんてけちなことを考えないで、観光省を作るというような腹を持ってやってもらいたい。特に三年先にはオリンピックが日本で始まる。そういう場合には、わが青森県の十和田湖あたりを紹介するのも、また一つの方法だと思う。
  150. 宇田國榮

    ○宇田委員 今委員長が、僕の言わんとするところを言うたが、私は、世界の観光施設を見て回った。イタリアは、千五百万のいわゆる外来客を吸収して、そうして第一の産業にのし上がった。アメリカも第二の産業にのし上がった。日本だけが、遺憾ながら微々としておる。そこで、イタリアは、一昨年八月観光局を観光省に昇格した。日本もこの例にならって、今同僚議員から言われたように、それくらいの襟度を持って、予算を今後どしどし出して、そして獲得するようにお願いします。
  151. 津上毅一

    ○津上政府委員 ただいまは励ましの言葉を数々いただきまして、どうもありがとうございました。私、微力でございますが、できるだけのことをやりましておこたえしたいと思います。ただ、組織の問題につきましては、大臣が御答弁なさるような項目でございまして、大きな問題でございますから、私は触れないことにいたします。
  152. 三和精一

    ○三和委員長代理 本日はこの程度にとどめ、明日は、国有鉄道関係決算について、審議を進めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十六分散会