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下平委員 福永さんの
発言の中に重大な問題点が二つほどあると思います。その
一つは、あとの三法をどうするかということは追ってきめればいいと言います。私もこれは深追いはしません。ただ、もう会期も少なくなったから、
ILO条約その他の
特別委員会を作って
審議を進めてくれという
立場の
方々の
意見としては、あとの三法はまた適当な時期にということは矛盾しておると思うのです。どうせ
継続審議だからと
考えておられるなら別でありますけれ
ども、
審議をして上げようという
立場にお立ちになるなら、
ILO条約の
批准と関係法は必要欠くべからざるものだという
立場の
提案をなさる方としては、やはり一緒に
審議をしなければ、あとの三法は、三日四日やっておれば、会期内にできなくなってしまう、これは矛盾しております。しかし、私深追いはしません。
そこで、問題のもう
一つは、大へん寛容と忍耐ということを言っておりますが、寛容と忍耐ということは、時間をかけるだけが寛容と忍耐じゃないと思うのです。これはいんぎん無礼なんです。こういう
態度というものは、議会は厳密に
批判しなければいかぬと思う。同じ
政党人の
与党の
皆さんを相手にして大へん言いにくいのでありますが、時間をかけさえすれば、それがいわゆる寛容と忍耐だ、最後になって数で押し切ればいいじゃないかというふうにうかがわれるのです。これは私
どもとあなた方とのやりとりならばいいのですが、対
政府、立法府対行
政府ということになってくると、大へん重大な問題になるのです。最近、議会にそういう妙な形が出ております。たとえば、最近の
国会に対する
法律案の
提案を見ても、水資源開発促進
法案あるいは水資源開発公団
法案という、とてつもない、
日本の将来の水資源の活用について重要な
法案が、会期末になってどかどかと出てくる、あるいはまた、きのうおとといあたり
提案をされた災害基本
法案なんという、災害の基本をきめるような重大な
法案も、会期末にどかどかと出てきておる。これを悪く言えば、どさくさまぎれに数で押し切ってしまえという底意でありましょう。よく
判断しても、
継続審議でいいから、出すだけ出しておけ
——本来、議会で
議論の結果いろいろと取り扱った結果がやむを得ず
継続審議になるということは、これはあり得ることだと思います。
法案の提出の当初から、どうせ
継続審議だ、これはどっちでもいいのだというふうな形で
政府が
法案を出すことは、きわめていけないことだと思います。立法府としては厳に警告をしなければいかぬことだと思うのです。そういう
態度が出てくるのも、今福永さんが言った、時間をかけた、六十七日かけたのだから、これがいわゆる寛容と忍耐だということについては、私はだいぶ異論があります。問題は、寛容と忍耐というものは、時間の問題でなくて、その寛容と忍耐の結果出てきた
結論、具体的な事実が、はたして寛容と忍耐
——との場合、寛容と忍耐を言うならば、やはり
反対党の
立場というものを十分尊重して、その上に
審議を促進する方策を見出していくことが、私は
ほんとうの
意味の寛容と忍耐だと思います。六十七日かけたから寛容と忍耐だということについては、私はずいぶん問題があると思います。
もう
一つ、福永さんが、
科学技術特別委員会設置のときに満場
一致で設置をきめたが、それは云々と言われましたが、これも私はきわめて遺憾だと思う。今議会政治の中で一番重大な欠陥になるのは、幾つもありましょうけれ
ども、私は、その
一つは、
お互い与党と
野党の間に信頼感が非常に少ない、
野党は
与党に対して非常な懐疑心を持っておる、
与党も同様に
野党の出方について非常な懐疑心を持っておる、
お互いに
政党政治をやりながら、
政党同士の信頼感がないというところに、今の議会政治を混乱さしておる
——混乱と言えば語弊があるかもしれませんが、やや
正常化を欠いた場面がちょいちょい出てくる一番の原因だと思うのです。
お互いに党の
都合はあります。党の
都合はあっても、一たんきめたことは、少なくともその会期中は守っていくという厳然たる
立場がなかったら、不信感を増すばかりであります。私はここで
科学技術特別委員会設置の際の申し合わせ事項をわざわざ読み上げようとか、もう一ぺん
議論をしようとは思いませんが、少なくとも本
国会は
特別委員会の設置については各党満場
一致できめましょう、こういうことを
国会の申し合わせできめてありますので、この種のきめ方が、今日の段階になって、あれはあのときのきめだというような、そういう解釈が出ておるとするならば、よけいに私は不信感を増すと思う。一たんものをきめても、
情勢が推移し、党内事情が変わってくれば、
お互いに
都合の悪いことはずいぶんあります。しかし、
情勢の変化や党内事情の変化で、きめたことがそのときそのときの
都合で変更されるというようなことは、私は不信の一番大きな原因だと思うのです。従って、この
特別委員会設置の件については、私
どもは、まっ正直に速記録に載っておるものを読んだ
通りすなおに解釈していくことが、
正常化の一番の道だと思う。今の
議会制度から
正常化しかけておる点をあえてくずすような形は、
お互いに慎しむべきだと思っております。