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1961-04-12 第38回国会 衆議院 議院運営委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月十二日(水曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 佐々木秀世君 理事 鈴木 正吾君    理事 小泉 純也君 理事 長谷川 峻君    理事 田邉 國男君 理事 柳田 秀一君    理事 下平 正一君 理事 前田榮之助君       飯塚 定輔君    宇野 宗佑君       服部 安司君    細田 吉藏君       毛利 松平君    安宅 常彦君       有馬 輝武君    兒玉 末男君       阪上安太郎君    佐々木良作君  委員外出席者         議     長 清瀬 一郎君         副  議  長 久保田鶴松君         議     員 谷口善太郎君         事 務 総 長 山崎  高君     ————————————— 本日の会議に付した案件  特別委員会設置の件      ————◇—————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  まず、特別委員会設置の件について、昨日に引き続き御協議を願います。
  3. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 昨日、ILO八十七号条約取り扱いにつきまして、わが党といたしましても、いろいろな関係法案一緒特別委員会設置していただいて慎重審議を願いたいという提案を申し上げたのでありますが、昨日は、御承知通り、十分な意見の交換ができませんで、最終的な結論を得ることができなかったのでありますが、本日も引き続きわれわれの方から各党にお願いをいたしまして、最後まで話し合いをいたしまして、何とか一つこれに対して御協力を願いたいという立場でございますから、どうぞ忌憚のない御意見等を伺いまして、ぜひ一つ最終的な妥協点に立ちたいと考えておりますので、何とぞよろしく御協力をお願いいたします。
  4. 下平正一

    下平委員 この議論は、いろいろな角度から思い思いの議論を進めてやっていきたいと思うのですが、僕はけさ新聞を見たのでありますけれども——新聞のことを言うといかぬと言われますが、この条約審議は、あるいは特に関係法審議というものは、特別委員会でしなければならぬという原則はないと思う。僕は、土俵一つしかないという場合には、これはなかなか問題が重要だと思うのですが、このILO条約並びに関係法案については、どう言っても、特別委員会でなければいかぬ、それ以外に審議土俵がないというものではないと思う。だから、どうしても特別委員会でなければならぬ、あるいは新聞情報によると、今週中に自由民主党単独ででもきめて、やっていくのだ、そうした固定した概念でこの議論をやってみても、私は意味がないと思う。また、そういう議論のやり方は、必ずしも適当ではないと思う。そこで、けさ新聞に出ておりますが、執行部としては、今週中にきめて、来週は審議に入るのだというのですが、そういうことでは、一体自民党さんの執行部と出先の委員との関係はどうなっておるのか、もし、かりにそうだとすれば、佐々木理事でくの坊だと言われるのです。ここでまじめに議論しても、意味がないのです。
  5. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 申し上げますが、きのうも新聞記事を取り上げまして社会党さんの方からいろいろとお話がございました。また、確かにけさ新聞で、今週中に特別委員会は発足するということが出ておるから、はっきり申し上げますが、大橋副幹事長の談話が載っておるわけであります。党としては、むしろ、われわれに対して、何をやっておるんだ、先月の二十五日から議運取り扱い方をきめてもらうように出してあるのに、いまだに結論が出ないのかという、与党責任からの考え方はあると思うのです。しかし、御承知通り、きのうも申し上げたように、十三日に強行するなんと書かれておる新聞記事は、決してわれわれ承服したのでもありませんし、議運としては、委員長がきのうも何回も申し上げておる通り最後まで努力をして意見一致を見出したいというのが委員長考え方でありまして、与党から出ておる委員長ではありますが、やはり議運議運としての努力をするということも、これは国会運営をまかされている以上は、やはり責任からいっても当然のことでありますが、与党の中ではそういう意見が相当強いのであります。われわれといたしましては、今申し上げたように、十三日に強行するとか、今週中に発足してしまうんだというようなことは、ただいまのところは考えておりません。それははっきり申し上げます。将来のことをここで聞かれると、今のところ返答しにくいのですが、現在の立場は、新聞記事はどうありましょうとも、党の方でどういう発表をなさいましょうとも、できる限りの努力を尽くしてお話し合いを願うというのが、隠しのない気持でありますから、それだけは御信用を願いたい。それで、あしたに強行されたら、われわれはでくの坊かもしれないけれども、しかし、それをやらせないように努力をしておる真摯の姿をお認め願いたいと思います。
  6. 柳田秀一

    柳田委員 佐々木理事初め皆さんでくの坊とは決して思っておりません。最も有能な方々がお越しになっておるとわれわれは考えております。そういうふうに御理解を願いたいと思います。  そこで、今下平理事から言いましたように、国会が何かの場合に非常に与野党意見が対立する、そうして対立したあげくが激突する、そうして国会批判を受ける、国会自体の問題として議長さんはこれを心痛される、国民はこれに対して批判を持つ、そういう従来の事例を考えて、今下平理事も的確に指摘しましたが、このILO条約を付託するに、外務委員会に付託する、あるいは特別委員会を作る、特別委員会でなければ審議ができない、二者択一というような問題、特別委員会でなければこのILO審議ができないのだというような場合には、あるいは激突した場合に、与党与党なりのこれはまた御意見もあろうかと思う。野党野党なりに行動して、それに対して野党の言い分もあるかもしれぬが、百歩譲って、与党立場に立ったならば、与党の方に御意見があるかもしれない。しかしながら、それは土俵がないわけじゃない。特別委員会設置しなければ、このILOの問題というものは国会では国民の負託にこたえる道はこれ以外にないのだという問題ならば、国会正常化のために、大政党の自民党さんが寛容と忍耐話し合いをもってやられておるならば、われわれもまた野党として、寛容と忍耐話し合いのそれを受け入れるにやぶさかでないことは、昨日も申し上げました。しかし、どうしても特別委員会でなければならぬという結論は私は出てこぬと思う。しいて特別委員会でなければならぬ、ほかの委員会にかけたのではまずい、野党が三派こぞって、わざわざ特別委員会にする必要はないと主張するときに、与党の方は、どうしても特別委員会でなければならぬと言われるならば、その理由をまず御説明願いたい。  そこで、佐々木さんもきのう発言されましたように、ILO条約は、国際的な観点から非常に大切なものだ、その通りです。これは早く批准をしなければならぬとおっしゃるならば、われわれもそれに対しては一言半句異論を差しはさみません。早く審議をいたします。むしろ、これはわれわれの方から批准しろと言ったのですから、ほんとうに論議はございません。これは憲法に書いてある通りでありまして、もう論議はございません。幾らでも早く審議はいたします。憲法二十一条、二十八条は、ちゃんとILO精神をうたっておるわけです。日本憲法の二十一条と二十八条というものは、ILO精神とかわりないと思う。ILOの八十七号条約を承認しろとおっしゃるならば、社会党は喜んで即日でも承認いたします。決して延ばそうなどという気持は毛頭ない。どうしてもこれは特別委員会でなければならぬというその理由一つお示しを願いたい。
  7. 小泉純也

    小泉委員 先ほど、下平君からも、柳田君からも、どうしても特別委員会でなければ審議ができないのであるか、こういうような御意見でございましたが、自民党としては、特別委員会でなければ審議が不可能だ、そういうような考え方に立っておるのではなくて、ILO八十七号条約批准関係法案、この案件審議は、普通の委員会個々審議を進めていくよりも、特別委員会設置して総合的に審議を進めていった方が、よりベターじゃないか、こういうような考え方に立って特別委員会設置をお願いしておるわけであります。その内容については、個々常任委員会でありますと、いろいろな問題で連合審査を要する問題もたくさん出てきます。関連法案が多いので、これを二ないし三の連合審査会に持っていくと、場合によっては全委員会がこのために総動員をされるというようなことになるのは、皆さん承知通り。他の常任委員会にかかっておる他の案件も、そのために審議がおくれる。特別委員会設置してこれを一本にまとめて審査をすることが、審議を進める上においても非常に可能ではないか、こういうような考え方から、在来の特別委員会の例に徴しましても、本件特別委員会設置して、そこで急速に審議を進めていく、こういう考え方に立っておるのです。申すまでもなく、本条約批准ということは、野党三派が多年にわたって要望しておられ、また、自民党においても岸内閣以来の懸案でございます。本国会においても、御承知通り党内でいろいろな論議がありましたが、最後池田総理が、いわゆる最後の断を下して党内をまとめて、批准に踏み切ったというようないきさつもありますので、これの批准を完了したいという最後の目的に向かっては、与野党のいわゆる意見一致しておる。その与野党意見一致をどういうふうな過程をたどって可能ならしめるかというところに、特別委員会設置、また野党方々の、特別委員会設置の必要はないというところに意見が分かれるわけであります。私が申し上げたいことは、特別委員会でなければ絶対に審議はできないのだ、そういう考え方に立っておるのではなくて、特別委員会がよりベターであるという考え方からお願いしておるということを申し上げておきます。
  8. 柳田秀一

    柳田委員 それでは確認しておきますが、今小泉理事からの御発言のように、自民党さんとしては、どうしても特別委員会でなければならぬというのではないが、特別委員会を設けた方が、国会審議のためによりベターだ、こういう御意見に承りました。すなわち、絶対のものではないが、比較のものだ、どうしても特別委員会でなければならぬというわけのものではないが、特別委員会にした方が、自民党としては審議がよりベターだ、絶対ではないが、比較の問題だ、こういうように了解してよろしゅうございますか。
  9. 小泉純也

    小泉委員 本件は別にしましても、特別委員会と普通の委員会関係からいきまして、私は、特別委員会設置しなければ審議ができないという断定的なものではないのです。ただ、本件については特別委員会設置する必要があり、また、特別委員会設置して審議を進めることが最も適切であるという考え方に立っております。
  10. 柳田秀一

    柳田委員 そこで、この条約審議して批准する上において、どうしても特別委員会を作らなければならぬというのではないが、ただ、他の法案関係もあり、連合審査等関係もあるので、特別委員会を作った方がより都合がよろしい、こういうふうに今小泉さんが言われたわけです。そういうふうに私どもは理解してこれから先は論議を進めていきます。
  11. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 小泉理事の御発言は、確かに特別委員会を作ることがベターであるというお話でございましたが、その通りなんです。ただ、一言申し上げておきたいことは、先ほどから小泉理事お話申し上げておる通り、わが党内におきましても、この問題に対してはお互いに相当の議論があったわけです。それを今日これまでまとめて今国会で八十七号を批准しようというところまでくるには、その議論をまとめるためには、いろいろな議論を尊重して、これを批准するためには、特別委員会にかけることが、一つ党内における条件——と言っては語弊があるかもしれませんが、まとめるための一つ方法として、特別委員会にかけるのだということにおいてこれまでまとめてきておるのです。だから、特別委員会ができない場合は、外務委員会にかけてもよろしいのかというような御質問になりますと、現在のところは非常に困難である。要するに、きのう私が申し上げました通り労働組合の問題というものは、あらゆる産業ないし国民の利益に重大な関係があるものですから、あるいは昨日申し上げた五つの法律案のように、国家公務員の問題とか、あるいは公共企業体労働関係法の問題とか、これらを考えますと、やはりわが党といたしましても、外務委員会でできないこともありますまい、あるいはまた、各委員会には国会議員の優秀な人たちが配置されておるのですから、できないことはありますまいが、しかしながら、いろいろな関係を考えるときに、各関係ベテランを一カ所に特別委員会でお集まり願って審議をすることが、慎重審議できる、しかもまた、国民のいろいろな疑惑をもそこで解決することができる、あるいは究明したい点もそこで十分究明できる、こういうようなあらゆる総合的な考え方からいたしまして 現在のところは、どうしても特別委員会でやるべきだという一つ結論が出ておるということだけは一つ御了承願いたい。
  12. 柳田秀一

    柳田委員 くどいようですが、私はこういう聞き方をしておるのです。自民党さんの党内事情で困難だとか、そういうようなことを聞いておるんじゃない。われわれ議院運営委員として、国会運営上、今の国会法の建前で、このILO条約批准に関しては、これを特別委員会でなければ審議ができないものかどうか、党内事情とか、ベテランをそろえるのだとかなんとか、そういうことはそれぞれ運営によって幾らでもやれるのですから、法規典例によって、国会法の示すところによって、特別委員会を作らなければ、このILO批准に対しては国会はそこまで持っていけないものかどうか、その点をお聞きしておる。絶対か比較か、比較の問題は聞いておりません。絶対の問題を聞いておる。
  13. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 国会法上から言いますと、常任委員会が中心の審議機関になっておりますから、法律上できないということは申し上げません。要するに、国会法の四十五条にもあります通り、特に必要と認めた場合は特別委員会を作るとあるのですから、今の法律からいって、できないという御返事は申し上げられない。しかし、特別委員会を作ることが、あらゆる点において慎重審議、しかも迅速にできるということの御返事しか申し上げられない。法律上できないというふうには申し上げていません。
  14. 柳田秀一

    柳田委員 だから、これは絶対のものではない、比較のものだ、こういうふうに私理解してよろしいかというのですが、やはりそういうふうになるのですね。
  15. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 特別委員会はすべて比較の問題で、ほんの例外はありますけれども、今まで比較の問題で論議してきたと私承知しております。
  16. 下平正一

    下平委員 今、特別委員会は、国会法二つ性格があって、その院において特に必要があると認めた案件の場合と、常任委員会の所管に属しない特定の案件審査する場合と、二つに分かれております。そこで、私は、今小泉理事が言われました通り与党である自由民主党も、政府も、野党である各派も、いずれもこのILO条約批准したいという気持、これは間違いないと思う。そこで、一応ILO条約批准するという気持一致しているならば、審議をする土俵というものは、一常識上、さして問題にならない。片一方ILO条約批准できないという立場をとり、片一方条約批准したいということになれば、審議土俵が多少問題であります。しかし、各党会派政府を込めて、批准をしたいというのですよ。そういう各党、各会派一致した条約については、私は審議をする土俵が問題になることはないと思う。これは条約だけではない。たとえば、委員会審査を省略して本会議で直ちにやるという手続がありますね。これはちょいちょいあります。各党、各会派一致すれば、そんなにむずかしい議論をする必要はない。各党、各会派がこの条約批准する限りにおいては、その影響するところ、その条約そのものがどういう効果を持ち、国内の、たとえば労働運動なり経済の問題なりにどの程度の影響を与えるかということを、各党がおのおの責任を持ち、特に政府執行部立場として十分な検討をした上で条約批准ということをやった方がよい。そうするならば、私は、各党、各会派一致している問題については、審議土俵が問題になること自体がおかしいと思う。普通、衆議院慣例からいえば、委員会審査を省略して直ちに本会議ですよ。そういうことになってくる。だから、この問題については、土俵議論というものはおかしいと思う。言うなれば党利党略です。特に今佐々木理事から言われたように、ベテランを集めて十分審議をするというなら、衆議院でいろいろ慣例があります。たとえば、外務委員会の員数は三十人ですか、外務委員の数を三十人を四十五人にふやせばよい。しかも衆議院ではそういう取り扱いをやってきておる。もし、ベテランを集めてやるということが特別委員会を作る重大な理由であるとするならば、先例に従って、外務委員会の三十人を四十五人に増加すれば、事足りる。問題は全部の人が承認しようという条約なんです。その承認をしようという条約に、審議土俵場所で争いをするといろことは、常識上考えられない。そういう点で、佐々木さんの言われたような党内事情はわかります。私の方にも社会党らしい党内事情はあります。しかしながら、お互い党内事情をここでやっていたのではケリがつきません。最後には力の対決になるというだけであって、ここでは議論にならぬと思う。
  17. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 今の下平君の、各党とも批准したいという気持がある、そこで土俵は問題にならぬという議論ですが、そうなれば、批准したいということが一つの前提で、土俵は問題じゃないというなら、私は、特別委員会によってやろうとする一つ土俵を認めてもらいたい。ということは、たとえば、ILO条約そのもの外務委員会かもしれぬが、私の方で出している関係法案は、運輸があったり、内閣があったり、地方行政があったり、社労があったりで、そういうものを審議するのには一緒の方が便宜である、しかも条約批准したいという根本原則は諸君と同じである、その土俵が問題じゃないというならば、一つにしてやった方がなお便利だということも私は御理解願えると思う。土俵は問題じゃないというが、ばらばらに分けた場合は、今の国会運営からいって、大臣の奪い合いとか、いろいろなことで、かえって難渋するのじゃないかと思います。
  18. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 関連して。今の長谷川さんのお話ですと、先ほどの佐々木さんのお話とちょっと話が違う。各党ともこれは賛成で、やろうという話は、ILO八十七号条約オンリーの話です。ですから、私は、昨日から言っておるように、これだけをやる委員会なら、やってもいい。やってもちっともかまわない。問題は、そうでなく、今長谷川さんが言っておるように、関係法案を一括して審議させようというところに問題がある。個々のものはみな土俵が違う。従って、先ほどの話ではないが、土俵の問題よりも、土俵の上で相撲をとらせる相撲取りが違っておる。中身が違っておる。そこをしっかりさせたらいいじゃないか、その点をはっきりお伺いしたい。自民党さんは、ILO条約批准というものと、今提案されておる関係法案可決成立と、不可分の関係に考えておられるのかどうか。
  19. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 御承知通り、この委員会内容に入れないものですから、ILOあるいは関係法案内容まで入って論議すると、お互いにある程度理解ができるのでしょうが、議運というものは取り扱いが重点なものですから、内容まで入れないのですが、正直に話しますと、八十七号を批准することによって労働組合性格が大きく変わることは、御承知通りなんです。たとえば、組合員として職場にいない人でも役員にすることができるとか、あるいは専従職員の問題とか、いろいろ関係する重要な問題があるわけです。わが党といたしましては、それらの問題を一体として八十七号を批准するという態度になっているわけです。八十七号一つだけ論議するというならば、お話しのように、外務委員会でやってもけっこうだと思う。私が昨日から申し上げておることは、国民利害にもいろいろ関係がある、しかも性格も変わってくるわけですから、そういう重大な問題は、やはり、昨日お話したように、平和条約批准とか、あるいは日ソ共同宣言とか、あるいは安保条約というような大きな条約と同一に考えておるということを申し上げたのです。ですから、はっきり申し上げますが、八十七号の批准だけするということにわが党は一致したのではなくて、一体としてILOの問題を解決するという態度であることをはっきりしておきたいと思います。
  20. 下平正一

    下平委員 今、佐々木さんの言われた自由民主党態度はわかります。ILO批准するについては、自由民主党なり政府なりの考え方国内の態勢を整えたいというその気持もわかりますし、そのねらっている方向もわかりますけれども、そのことと特別委員会とは何ら関係はありません。
  21. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そこが違うのです。
  22. 下平正一

    下平委員 佐々木さんは、ILO条約内容にわたってはいけないと言われますが、一体ILO条約というものは、どういう内容条約であって、それに基づいて国内でどういうことをやるかということは、議論をしなければいけないと思いますので、あとでやりますけれども、今話に出たチェック・オフだとか、専従制限だとかいうことは、これは一つ自由民主党労働政策政府労働政策国内政策です。国内政策というものは、何もILO条約には直接関係はない。もっと具体的に言えば、ILO条約国内政策が不可分のものであるとするならば、ILO条約批准した国の国内法は全部そろうはずです。しかし、各国とも、この条約批准しても、チェック・オフをやっていないところもあります。専従制限なんということもしないところもある。それはその国の政府自民党なら自民党労働政策です。国内政策ILO条約批准というものを一致させていきたいという気持はわかります。政策としてあなた方が持つことはわかります。政府政策として持つことはかまわぬ。しかし、それを特別委員会に結びつけるということについては、大へんな問題がある。間違いなんです。私はあとでもって詳しく議論をいたしますけれども、全然違っているのです。特別委員会設置する、しないということは、院における審議土俵をきめ、審議方法をきめることなのです。その方法論政府与党国内政策一致させるから、混同してくる。だから、政策としてお持ちになることはちっとも反対しない。しかし、実際は、具体的に政策を やるには、政策をやる機関というものがある。国会法によって十六の委員会がありまして、政府与党政策審議する機関は別にちゃんと設けてある。だから、あなた方が政策を含めてやろうとするならば、これは当然関係常任委員会に議案を出して、そこで並行審議をやっていけばよい。この政策論政府与党国内政策労働政策と、国内審議場所についての議論特別委員会議論とごっちゃにしているところに問題がある。
  23. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 要するに、日本の国の政治をおあずかりしているわが党といたしましては、国民の生活にあらゆる法律がどういう影響があるか、どういう利害があるかということだけは、常に慎重に検討するわけです。それがまた政策となって現われてくるのでしょう。そうして八十七号の問題にいたしましても、国際条約としてこれを批准しておる国もありますれば、加盟はしているが、まだ批准はしていない国もあるわけです。その国その国において実情は非常に違う。しからば、政治をおあずかりしているわが党といたしましては、あなたのおっしゃるように、各国が同じような条件にあって批准をするというならば、お話はわかりますが、わが国は戦争に負けまして、その後、労働三法というものもでき、労働関係法ができました関係から申しまして、日本の労働法規は、いわばまだ非常に新しい。解釈においてもまちまちであります。だから、労働組合の動きいかんによっては、国内産業にも非常な影響を来たすことは当然であります。そういう点から考えますと、ことに今度のILO条約八十七号の批准は、労働組合性格が非常に変わるわけです。一変すると言っては語弊があるかもしれませんが、大きな変革です。その変革によってもたらさるべき影響を常に考えなければならぬ。考えた結果、その関係国内法の整備をすることが、現在の国内態勢からして、ILO条約八十七号を批准するに適当であるという考え方から出しておるのでありまして、この八十七号を批准して何も国民影響がない、労働組合のあり方も変わってこないというなら、議論の余地はないですが、われわれはそういう点まで心配するのです。国内の実情は各国で非常に違っております。そういう点からいって心配があるものですから、われわれといたしましては、心配のあるところの国内態勢を整えるということは当然だと思います。
  24. 柳田秀一

    柳田委員 佐々木さんは、わが国の労働問題に非常に大きな関係があると抽象的に言われるのですが、ILO八十七号というものは、結社の自由と団結権の擁護でしょう。労働関係法で労働者の団結権が擁護されておる。そうすると、佐々木さんの言われるのは、団結権の問題ですか。労働組合は団結権を持ち、団体交渉をやる、あるいは、争議権すら憲法で認められておる。そうすると、そういう団結権の変革と同時に、争議権もみなひっくるめて、これは一連のものとして考えられておるのですか。
  25. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 私の申し上げておるのは、労働組合には団結権、団体交渉権、争議権もちゃんと認められておる、これはよくわかります。ただ、その運用によっては非常な影響があるということを申し上げておるのであって、それを否定するものではありません。
  26. 柳田秀一

    柳田委員 だから、ILO八十七号の批准によって労働組合に非常な変革があると言われるが、団結権も争議権もともに大きな変革があるという意味において、やはり一つ特別委員会を作った方がいい、こういうふうにおっしゃるのですか。
  27. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それは先ほどから議論が出ておるのだが、ただ批准すればいいじゃないかという話が出ておるから、申し上げておるのであって、特別委員会設置の問題は、先ほど私が申し上げた党内の実情から、これは特別委員会でやる方がより慎重審議ができるということ、あるいは便宜であるということを申し上げておるので、そのことだけで特別委員会を設けるということじゃありません。その中の一つには入っておるかもしれませんが……。
  28. 柳田秀一

    柳田委員 だから、団結権の擁護はこの条約にうたってある。しかし、争議権とは別個のものとお考えになりますか、一緒のものとお考えになりますか。同じ範疇に入れて審議すべきものとお考えになりますか。
  29. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それは直接これに対して争議権云々ということは行き過ぎだと思います。別の法律で認めておるわけです。そういう点も心配して審議の過程においていろいろ質問は出るだろうと思います。私は、争議権はどうだといって、それを直接関係があるということは申し上げません。けれども、あらゆる関連性からいって、そういうことも心配の一つに入るだろうということを申し上げておる。
  30. 柳田秀一

    柳田委員 すると、争議権と団結権というものは関連があって、同じ一つ土俵でやった方がいいとおっしゃるのですか。
  31. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 全部含めて特別委員会でやった方が、慎重審議ができるというのです。
  32. 柳田秀一

    柳田委員 分けちゃいけませんか。そこのところが問題です。そうなってくると、民社党の佐々木さんの言われるように、関係法案はそれぞれの委員会審議した方がいいということになる。分けちゃいけませんか。
  33. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 われわれは一緒の方がいいと思います。
  34. 柳田秀一

    柳田委員 それはおかしい。ILO八十七号の批准に関しては、倉石労働大臣のときに労働問題懇談会というものを作りましたね。その答申に基づいて政府批准に踏み切った。労、使、公益、三者構成になっておる労懇の結論は尊重する、こう言っておる。この労懇からはっきり答申書が出ておるわけです。労懇の昭和三十三年九月二十四日の報告にははっきり書いてある。読んでみますと、「団結権と争議権とは密接な関連を持つことは明らかであるが、本条約はその審議経過等からみて直接争議権の問題にふれるものではない。」と、はっきり書いてある。だから、それと条約というものは可分なものですね。そこで、この条約は今出ている五法案とは不可分のものでないわけです。これは可分なものだ、われわれは可分なものだという根拠に立って論議を進めているわけです。佐々木さんの方は、今おっしゃるように、これが可分なのか不可分なのかわからぬ、その点をはっきりしてもらわぬと、これから論議が進まない。だから、条約と団結権と争議権は密接な関係はある、しかし、これは労懇からの答申にも明らかなように、条約そのものは直接争議権の問題にはふれておらぬとはっきり出ているのです。ILO条約批准というものは、労働者の争議権というものと可分のものだということが、はっきり労懇からも出ておるのです。その前提に立ってわれわれは議論を進めていっているわけです。それはあなた方は認めるでしょう。
  35. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それは認めますが、しかし、直接関係があるということは申し上げておりません。関連があるということを申し上げておる。
  36. 安宅常彦

    ○安宅委員 しかし、そういうところまで話が進む前に、きのうの論議からどうも私は頭にひっかかっている問題がある。特にきょうの佐々木さんや小泉さんの発言を聞いていると、私は、そういうのだったら、きのうの議論をもう一回むし返すようだけれども、やってみたらどうかと考えているのです。たとえば、自民党としては、どうしても特別委員会でなければならないというものではないのであって、特別委員会の方がよりベターではないか、こういう考え方だ、それにまた付け加えて佐々木さんの方からは、このILOに限っては特別委員会でなければならないというような気持ではおります、しかし、その理由として、党内のことでいろいろ問題があって、総理大臣が断を下して、批准をするということにせっかくなったのだから、こういうことを考えてみた場合に、ILOは非常に重要だからそうなったので、べテランをそろえて慎重審議したい、こういう気持から特別委員会を主張するんだという理由をつけておる。そうすると、大へん言いにくいのですが、議運に出ておる方は大へんりっぱな方方だが、あとは石頭ばかりそろっているから困るんだというように聞える点もあるので、せっかくそこまでおっしゃるならば、私は、党内事情で、こういう特別委員会でなければならぬというふうにせっかくそこまでこぎつけたんだ、だから、どうだというふうにちょっと聞こえないでもないような御発言もあるような気がしてならないのです。それに附随して、また最後長谷川さんの方からは、土俵一つというならば、特別委員会でやるということでいいではないか、こういう話があったのです。ところが、こちらの下平さんからは、ILOの問題もそうですが、あなたの方で五つやりたいというのは、それぞれ土俵が今度は常任委員会で、違うのじゃないかということをあなたは聞き違えて言ったのじゃないかと思うのです。常任委員会でやる方が、専門の、詳しい連中がたくさんおるのですから、そういうところにまかせた方がかえっていいと思うので、また佐々木さんは、関連する関連すると言いますけれども、条約の附属文書や何かだったら、明確に、一緒にやってもいいのだけれども、まるっきり違う鉄道営業法とか、そういうものをILO特別委員会ILO条約一緒にやるというのは、やはりこっちは理屈に合わないと思うのです。そういうことから判断すれば、このILOに関する特別委員会というものは設けていいのか悪いのかという論議に逆戻りするのじゃないか。それで、きのうまでは、言葉の言い回しで、私は頭にどうも納得がいかない点があるということを最後に言ったのですが、特別委員会は、設けるとするならば、真にやむを得ないものだけをやる、しかも、それは各党一致したときにやるのだという申し合わせをしておる、私は、こういう言い回しではないかと言ったら、設けようという気持なんだが、そのときには各党一致でいいではないか、こういう言い回しで、きのうは大へん違っておる。私言ったのですが、特別委員会というものは、真にやむを得ない場合にだけこれは設けるのである。そうして、ほんとうは何も設けなくてもいいのだ、設けないでやるのがほんとうなんだ、しかし、真にやむを得ないときだけ設置する場合はあり得る、その場合には、各党一致した場合にのみこれをやるという、そういう申し合わせなんだ。これは速記録を見てもはっきりしておるのです。そういう場合に、せっかく約束してから、まだ一カ月もたたないうちに、特別委員会をどうしても設けなければならないというふうな意味にとれる発言、せっかく小泉さんからそうでもないのだというふうの意味発言があったら、そうじゃないのだと盛んにあわを食って訂正しておるような、そういう空気はこの際とって、きのうの場合のように、科学技術のときに、そういう問題は、一たん、これはやむを得ず、悪例中の悪例として一つは作ったけれども、あとは作らないのだ、真にやむを得ない場合にのみ作るのだ、その場合には、各党一致したときに作るのだ、こういうふうな与野党の申し合わせがあるのですから、それを守らなければならないのだということを、あなたの方の国対なり、あるいは党全体に対してもう少し強く言ってもらう、こういう立場をとってもらえないだろうか。そういう議論をきょうもう少し掘り下げてやってみたらどうか。
  37. 小泉純也

    小泉委員 特別委員会がよりベターだという議論の根拠から、下平君は、どうしても特別委員会を作らなければならないという法はないではないかというような御議論でしたから、それはその通り国会法によっても、特別委員会でなければならないということはないし、四十五条の特別委員会設置する場合は、むしろこれは除外例的に、必要やむを得ざる場合にこれは設けてもいい、いわゆる設けることが可能であるということですから、決して特別委員会を作らなければならぬという原則論に立っておるのではないという意味を申し上げた。同時に、ただいま議題になっております本案件については、わが自民党としては、この際特別委員会設置して、特別委員会審議をまかした方が、普通の委員会でやるよりはよりベターだという見解に立つのであって、今回はどうしても特別委員会によってこの審議を進めていきたいというのが、自民党の方針であるということを申し上げたわけです。
  38. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから、下平さんが聞いているのは、よりベターだというのはどういうことかという聞き方をすると同時に——われわれも同じ意見ですが、外務委員会なら外務委員会の人をふやしたっていいじゃないか、それから、そういう国家公務員法の改正とか、公労法関係のものとか、そういうものはそれぞれの委員会でやった方が、慎重審議するには、専門家がおってかえっていいじゃないか、そういうことが明確なのに、なぜ、一本にまとめた方がベターなのかということです。これがどうもわからないのです。
  39. 阪上安太郎

    ○阪上委員 きのうから、佐々木さんから、自民党を代表して、特別委員会を作るという理由を何べんも述べられ、昨日の段階では、迅速にあげたい、それから、各方面に関連を持っておるきわめて重要な問題だ、この二つ理由が表面的には出ておるけれども、きょうは、先ほどからまたこの問題を論議しておる過程において、党内事情の話を、忍びないかもしれぬけれども、おっしゃった。そうして、ILO批准党内にも反対の向きもあったけれども、結局、特別委員会を作るということでもって了承されたのだ、こういうような話が出てきて、それから民社の佐々木さんの質問による、条約と現在出ておる法律改正案というものは密接不可分の関係にあるかどうかということについて、大体答えとしては、密接不可分であるということに、あなたの方で回答が出てきたわけです。そうなってくると、自民の皆さん方が特別委員会設置する理由の根本的なものは、これは五つの改正法案と密接不可分の関係にあるという考え方が根底に出てきておる、こういうことになると思うのです。私はそこのところに問題があるのだと思う。そうなってくると、佐々木さんの先ほどの説明の中で、国内事情、いろいろな関係から考えていって密接不可分であるということについては、結局のところ、言葉を変えて言うならば、その国々の国内事情のいかんによっては、法律条約の解釈もまちまちの解釈ができるというような……。
  40. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 条約の解釈ではない、それに関連するものだ。
  41. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで、憲法四十一条による立法権の問題で考えてみても、条約というものは、わが国の憲法では特別な扱いをしておる。例外として、最高裁の規則の制定であるとか、われわれの院内の規則の制定であるとか、それから地方自治関係の条例の制定であるとか、あるいはまた、今問題になっているこういった条約の承認手続であるというような問題については、これは例外として、一般の立法権と違った立場をはっきりと憲法は規定しておるわけなんです。そこで、この国内法規の改正とこの条約承認——批准じゃなくて、承認、国会の承認です。これが密接不可分の関係にあるということは、これは附属文書でない限りにおいては——明らかに附属文書ではないのだから、安保のときと違うと思う。だから、どうしても私は、密接不可分の考え方を持つということは、何らかそこに妙な企図をしておるのじゃないかと思う。私は、憲法の解釈からいっても、取り扱いからいっても、立法の手続からいっても、そういう密接不可分の関係だというふうに、現在あなたの方で出されておるところの五つの一部改正法案というものとを結びつけるということは、これは不当じゃないかと思うのですが、この点どうでしょうか。
  42. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そこが結局は見解の相違になるのじゃないかと思うのですよ。われわれは非常に関連性があると見ておるわけです。その上に立って議論しておるのと、あなた方は、それは全然違う、条約そのものをあっさり批准すればいいじゃないかという、そこに見解の相違があるのです。
  43. 下平正一

    下平委員 それは違うのです。私がさっき、特別委員会でなければ絶対にいかぬということを切り出してあなた方に質問をしたのは、ILO条約だけ批准をして、あとは手放しでいいという考え方ではないのです。ILO条約批准することによって二つ影響が出てくると思うのです。当然なさなければならぬことが……。その一つは、ILO条約に違反する条項は、当然、批准と同時に削除をしなければならぬ。これは条約批准に伴う義務条項であります。これが一つあると思います。もう一つの条項は、その国々の経済状態あるいは国民性、あるいは労働運動のあり方、いろいろの面から見て、その国の実情に応じて、ILO条約批准することによって、何かその改正なり、手心を加えなければならぬという問題がある。条約批准についての問題点は二つあると思います。そこで僕は、後段いわれておるところの、関連性があるという自由民主党の主張、政府の主張を聞いてみると——関連性があるかないかということについては、あとでまた十分議論をしたいと思いますが、それを聞いてみると、たとえばチェック・オフ、組合費を天引きしてはいかぬとか、専従の制限をしなければいかぬとかということだ、こういうことです。これはILO条約のどこを読んでみても出ていない条項です。ILO条約の条項を読んで出てくる問題は、首を切られてしまった人を役員につけてはいかぬというようなこと、首を切られた人を役員に選べば正規の組合として認めないというような、そういうことはいけないのだ、組合は自主的にどんな人でも代表者として選ぶことができるのだ、こういうことなんです。これに抵触している部分というものは、条約批准と同時に、義務条項として、これは国がはずさなければならない、この二つに分けられると思うのです。そこで、今、後段の、自民党皆さん方が重大な関係ありと言われていることは、二段目の部分なんです。それに伴って国内事情に合わせてとるべき政策議論政策議論だと思うのです。そこで私は、自由民主党が、あるいは政府が、今日の労働組合の実情その他を政府なり与党なりに考えてみて、こうしたい、こういう制限をつけたいというその気持は、気持としてはわかります。間違いではないと思います。われわれはまたそれについて反対の議論を展開いたします。ところが、その労働政策なりあるいは政府の方針というものと特別委員会とを結びつけるところに問題がある。特別委員会というものは、従来の慣例もそうです。きのう佐々木さんが例示をされました特別委員会三つ、二十六年十月十日に始まった平和条約及び日米安全保障条約特別委員会、三十一年十一月十二日に設けられた日ソ共同宣言特別委員会、三十五年二月十一日に設けられた日米安全保障条約特別委員会、これらの委員会の経過を見ても、関連法規というものは、政策というものはやっていないのです。たとえば、平和条約及び日米安全保障条約特別委員会においては、平和条約の締結について承認を求めるの件、条約第一号、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の締結について承認を求めるの件、条約第二号、この二つだけしかやっておりません。次の日ソ共同宣言もそうです。それから安保条約については、日米行政協定、これだけです。これは直接義務条項であります。そういうものしかやっていない。そこで、日米安保条約を結ぶについては、ILO条約を締結した以上に日本国内態勢、日本の方向が変わることは明らかなんです。ILOよりはもっと重大だと思います。あるいは今度の安保、あるいは日ソ共同宣言もそうであります。ILOと同じく、あるいはILOよりももっと明らかに、日本の国の変革を求められるあれであったのです。そういう場合であっても、条約批准というものと、それに直接義務条項として伴ってくる一連の法律案、これと、政策として行なうべき関連法規の改正というものは明らかに分けて行なっておると思うのです。私はここを理解してもらいたいと思います。佐々木さんなり小泉さんの言う、ILO条約批准することによって、自由民主党としては、政府としては、労働対策上これこれのことをやらなければならぬという主張が間違っているとは言いません。反対理由を私は持っておりますけれども、主張そのものは私は否定しません。しかし、その主張そのものと、特別委員会という国会審議のルールを結びつけるところに問題があると思います。だから、国会においては、ルールに従い、条約付属文書、直接義務規定、こういうものに限って特別委員会を作るなら、特別委員会でもよろしいでありましょう。私はこれにも異論がありますけれども、かりに百歩譲って、それでもいいと思う。それと、あなた方が政策でやろうとすることとは別に考えなければならぬ。従って、土俵というものは明らかに分かれるのです。政策論争の土俵というものは常任委員会——国会法によって十六の常任委員会があるのでありますから、そこでやって十分に間に合うし、それが国会のルールなんです。そのルールをやめて、あなた方が考えておる、直接関係のない政策議論までも一緒特別委員会でやってこれを上げようということは、国会審議場所としては、これは間違った議論であるというふうに申し上げておるのです。これは理解してもらいたいと思う。
  44. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 労働問題懇談会から、三十四年にILO八十七号条約批准に関する答申が出ておるわけです。その場合でも、その附帯に、やはり、近代的労使関係の基本精神がわが国の労使関係に十分取り入れられるように、業務の正常な運営を確保する必要があるということをうたっておるわけなんです。ですから、そういう意味では、この関係法律案というものをわれわれの方は必要としておる。その土台として、そちこちの委員会がばらばらにやられることは非常に不便であるから、そういう意味合いにおいて特別委員会を設けるというのが、われわれの主張なんです。
  45. 柳田秀一

    柳田委員 問題はそこなんです。労懇からの答申は、ILO条約はすみやかに批准すべし、公労法の四条三項と地公労法の五条三項は削除すべしということが出ておる。だから、今、下平君が展開した議論はそこなんです。それはちゃんと労働問題懇談会から出ておるのです。そして今あなたが述べられたようなことは、これは関連が全然ないとは言いませんが、それを自民党政策としてやるのは、ちゃんと土俵があるじゃありませんかということを下平君が言っておるのです。そこが問題です。
  46. 下平正一

    下平委員 長谷川先生も労懇の結論を読んでおられると思うのです。労懇の答申は二本立で、僕の言った議論なんです。条約批准すべきである、その第二項には「右条約批准するためには、公労法第四条第三項、地公労法第五条第三項を廃止しなければならない。」これは明確な義務規定なんです。そのほかに、第三項の方にいって、「ILO条約の趣旨とする労使団体の自主運営並びにその相互不介入の原則がわが国の労使関係においても十分とり入れられるよう、別にしかるべき方法で、現行労使関係法全般についても、再検討することが望ましい。」これは希望条項なんです。言うならば、私の言った政策条項なんです。だから、僕は、この議論というものは、お互いに、党できまったからどうだということを離れて、純粋に、ここは国会運営議論する場所でありますから、運営の問題として焦点をしぼってやっていく、そうなれば、党内できまったいわゆる政策論争というものが、特別委員会でなければ絶対にできないという場合だったら、あなた方の意見も私は大部分賛成します。しかし、そうでなしに、あなた方の行なうべき政策というものは、ちゃんと土俵を与えてある。国会法で十六の常任委員会があって、おのおの所管事項が与えてある。政策論争はそこでやっても一向に苦にならぬじゃないですか。特に私が言いたいのは、国会審議のルールというものが各党、各会派党利党略でそのたびに変えられていくという形は、これはお互いに党のひも、党の制約もありますけれども、議運という立場では、僕はなるべくルールを守るように努力していかなければならぬと思う。そこで、私は、先ほど小泉さんが言ったように、ほかに方法がないならば私たちも考えますけれども、国会審議のルールとしては、ちゃんと政策論議をする場所というものが与えられておるのでありますから、その場所でやってもいいのじゃないか。特にルールがあり、土俵がある。そういう条件のもとで、ルールについて一党独裁的な単独採決なり、あるいは他党の参加なしに一党だけでルールをきめていくというやり方は、私は断じてとってはならぬと思います。だから、私は先ほどからくどく言っておるわけです。ルールとしては、政策論争と義務規定というものは明確に分けるべきである。あなた方が出された従来の特別委員会においても、明らかにこの方式は守られているわけです。ここでそのルールをくずすことになれば、これは自民党とか社会党とかの立場を離れて、せっかく軌道に乗ってきたこの正常化された議会というものは、こんなことをやってはこわれてしまう、このルールだけは守っていこう、こういうことが大方の人に理解してもらえる議論だというように考えております。
  47. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 下平君のあげ足をとるわけじゃないが、先ほどから三つの例を出されまして、平和条約日ソ共同宣言安保条約——私もそれを出しましたが、それに対して、過去の特別委員会で取り扱ったのは、単なる批准とか承認とか、締結の問題だけじゃなかったか、そういうお話でした。しかし、それですらも特別委員会を作ったのですね。これは逆の議論で言えば、単なる条約の締結だけであるならば、それこそ外務委員会でもよかったじゃないか。逆に議論すれば、そこへ持ってきて、われわれは、ILO条約というものはいろいろな関連性があるから、なおさら特別委員会を必要とするということを申し上げておるのであって、だから、その点はどうもわれわれと話が違うように思う。それこそ外務委員会でやればいいと思います。
  48. 下平正一

    下平委員 ちょっと誤解をされていますが、私が今言っている議論というものは、特別委員会なり、あるいは外務委員会にいって、所管事項の変更は国会の院議でできますけれども、それを含めて言っておるのです。義務規定と政策というものをかね合わせてそれで議論をして、土俵一つにするということは、いささか国会審議のルールにはずれてきておる、こういうことを言っておるのです。
  49. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 この問題は、今下平君が言ったように、特別委員会を作るのに、一党一派の政策に基づいた案件を重要視して特別委員会を作るか作らぬかということに私はなると思う。安保条約のときに、安保条約第二条に、自由経済によって両国は経済の発展をはかると約束づけられておる、その約束づけられておることによって自由経済にするならば、たとえば関税法の改正も必要だろうし、いろいろな問題が付随しておる、これも一緒に議題に上げなければ、安保条約批准ということにはならぬのじゃないかという理屈と私は同じだと思う。このILO条約自民党さんの方も社会党も民社も共産党も批准すべしという方向はきまっておっても、しかし、批准をする限りにおいては、労働関係の問題はどうなるとか、あるいは地方公務員関係はどうなるとか、こういう問題は論議すべからずというのじゃないが、経済や政治やいろいろな関係にどういう影響が出てくるだろうか、こういう論議は、ただ単純にILO批准の問題だけを議題にして委員会論議しても、問題は当然そういうところまできますが、そのことによって、関係法規をこの委員会一緒に付議しなければ、国会常任委員会あるいは特別委員会等が進めないという性格のものでもなければ、そういうことを考えることこそが間違っておるという基本的の問題に、下平君の言われる点があると思う。これは日本憲法に基づく国会運営に重要な関係がある。この点については、残念ながら、自民党さんの今まで佐々木君やその他の方が言われたことは、ピントがはずれておると思う。これが明確にならないと、特別委員会設置すべきやいなやという問題の解決点にはならぬのじゃないか、その点、特別委員会を、今言う土俵をどういうふうにするかという問題点をもっとすっきりしないと——一党一派の政策に基づいてこうするのだ、ああするのだということは、今後の議会運営に重要な関係がある問題で、ただ単に今回の問題だけじゃないということに重要な点があるのであって、その点を十分お考えを願ったらどうかと思います。
  50. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 大体そういうことで話がいっておるのですが、きのうから私も申し上げております通りILO八十七号条約というものは非常に大切な条約だから、十分審議をしよう、自民党さんが言われるように慎重に審議して、なるべく早く上げようということには賛成なんです。だから、そういう意味で、特別委員会を作ってやるということには反対ではないということを申し上げておるわけです。そのことと、きのうからきようにかけて展開されておる、特に今長谷川さんあたりから展開されて非常に端的に言われたところの、池田内閣としては、自民党としては、ILO条約を承認するとともに国内法整備をやりたいという関係法案、それと密接不可分に結びつけられて、それを同時審議しようというところに問題があるわけです。だから、きのうから私が申し上げておるように、その不可分性というものが、阪上さんが言われ、下平さんが言われましたように、あくまで議会運営上の法的の手続上の不可分性ではなくて、より好ましいという政策上の不可分性でしょう。その意味では、最初私が質問して途中から別の話になったのだけれども、ILO八十七号条約の承認手続という問題と、今それと同時に通したいといって提案されておる関係法案の可決という問題を不可分に結びつけられるかと言ったら、今のあなたの立場からすれば不可分に考えたいと言ったけれども、私は不可分だということは言い得ぬと思う。それは政策論議であり、希望論議であって、今阪上さんが申された、条約付属文書とか、そういう形の不可分一体のものではないのです。そこのところは明確に頭に入れていただきたいということと、不可分だと考えられる五法案の中でも、きのうから話がありましたように、鉄道営業法は別にしてもいい、不可分に考えられるものでも、重要なものと不重要なものがあるということから見ても、必ずしも不可分性というものが、先ほどから申し上げております一体不可分性というものではないわけです。そういうふうに政策的に分けて考える場合に、今度は、その法案自身を最も適当に審議する箇所というと、その法律を作ったもとの常任委員会ということに私は当然なると思う。従って、きょうも大体十二時ごろまでということでありますから、時間もそろそろきそうでありますが、私がきのうも申し上げた、約束したとかせぬとかいう話の前に、きょうやっと出てきたような本論を持ち帰ってよく相談してもらいたい。一体不可分というものは、国会運営原則論ではなくて、単なる自由民主党のなるべく一緒に上げたいという便宜主義だけでしょう。理屈はどうも負けたが、便宜主義なら便宜主義でいくのか、その次の相談をしてきてくれませんか。
  51. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 時間がないのですが、お互いに不可分、可分の問題を論議しても落ちつかないと思うのです。私らの見解とあなた方の見解と今のところ非常に離れておりますから、少しぐらい内容に入っても私は審議の逸脱じゃないと思います。もう少し、日をあらためて、たとえば労働問題の内容まである程度入っても、私は差しつかえないのではないかと思います。実は先ほど下中君の発言の中に、このILO条約審議する上において、いわゆる義務事項がございます、どうしても改正しなければならぬ事項ですが、これは四条三項、五条三項の問題でございますけれども、こういう問題を一緒にやってもよろしいとお考えになりますのか。きのう私が、ある程度話し合いも不可能じゃないということをちょっとほのめかしたのも、この五つの関係法案を全部必ずしも特別委員会でやるというのでもない、しかし、基調は、とりあえず私たちの現在の考え方は、五つを含めてやってもらいたい、しかしながら、話し合いということは、どちらかが譲るか、あるいはどちらも角突き合わしておったのでは話し合いにならないのですから、そこに話し合いのある程度の余裕を残しておいたのですが、義務事項は一緒にやるお考えがありますか、それをとりあえずお聞きしておきたい。
  52. 下平正一

    下平委員 それはもう少しこの委員会議論が発展してきませんと、たとえば、私が言いました義務事項、公労法には義務事項以外に改正点がずいぶん出てきます。佐々木理事が言われることは、四条三項の義務事項、五条三項の義務事項が入っておる公労法と地公労法は特別委員会でいいかどうか、こういう質問だと思います。これはもう少し議論を進めていってもらいたいと思う。というのは、四条三項、五条三項だけが改正案として提案されておるならば、私は即座にオーケーと言います。しかし、内容は、御承知通りに、今言った政策的なものが多分にこれに入っておるのです。そこで、私はこの委員会においては、議論はまだ熟していないと思います。きょうの議論は、国会の正常な審議を守るためのルール的なことを議論したので、これについては、やはり各党とも持って帰ってお互いに検討しなければいかぬと思う。私はさっき極端なことを言うのを避けましたけれども、今言った政策的なものを含めて、一体特別委員会でやるというようなことが慣例として打ち出されると、かりに立場を変えて社会党が天下をとったときに、あなた方困ると思うのですったとえば、今度運賃値上げの法案が出ましたが、そういうものを各委員会でやるとうるさくていかぬから、値上げ法案特別委員会を作ってぱっとやってしまえ、こういうことに、極端な議論かもしれませんが、なりかねない状況なんです。おのおのの政党は選挙で国民政策を通す責任を持っておるのですから、その政策をやるのは一向かまわぬのですが、しかし、その公約をした政策を実行するルールなり機関というものは、確かに別にあると思うのです。
  53. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 お互いにしかるべく研究したいと思います。私らの党内にも問題がありますから研究いたしますが、あなた方の方でも研究してもらいたいと思います。さっき問題が出ましたが、内容に関して、チェック・オフの問題とか、専従制限の問題とか出ましたが、こういうものはやはり関係があると思いますので、この問題も一つ研究してみてくれませんか。
  54. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今の問題ですが、私が先ほども言っておるように、憲法の規定からいって、国会条約承認手続というものは、法律制定の手続というものとは、例外として別個に認められておる。従って、条約の修正もなければ、あるいはまた、条件付の条約というものもない、そういう建前で、はっきりと例外として手続は扱われておる。これははっきりしておるのです。そこで、今の問題も基本的に言うならば、これは一緒にして審議していくというやり方自体が、私は、基本的にはよろしくない、こういう考え方を持っておるわけであります。だから、先ほどからお話があったように、議運としては話し合いでという話が出ておりますから、基本的には別個の扱いをすべきであるという考え方を持っております。
  55. 安宅常彦

    ○安宅委員 佐々木さんから下平さんに対してというか、私らに対して、こういうことを研究してもらえませんかというお話がありましたが、その中の前段の方に関連しておりますが、ぜひお願いしたいことは、きょうの新聞を見ますと、ちょっと言いにくいことですが、鉄道営業法等は別でもいいようなみたいなことが出ておるのです。そうすると、どうもその辺もあなたの方で、国家公務員はどうなるのか、あるいは公共企業体の方はどうなるのか私はわからないのですが、切り離してもいいとほのめかした新聞記事が出ておりまして、これは池田総理大臣のところに行って国会対策委員長が打ち合わせたことだと書いてあるのですが、そういうことはどうなのか、逆に研究して下さいということになるのですが……。  それからもう一つは、さっきから私がくどいように言っておるのですが、特別委員会設置に関する申し合わせというものは、あの申し合わせをしてから旬日を経ない状態の中にあるのだからということを党内皆さんによく話をして、その辺もあなたの方で研究しておいてもらいたい。こちらに対して要望がありましたから、私らの方も申し上げておきたいと思います。
  56. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それでは申し上げておきますが、結局、私がお話した通りお互いに主張を一歩も譲らずにいくならば平行線です。私の言うのは、やはり話し合いとなった場合は、ある程度お互いにどの程度までおりられるかということのためにもろもろの相談をしておることは事実なんです。しかし、これだけは一歩も譲れない、これは譲るのだというような最終的な決定をしていないことだけは申し上げておきます。
  57. 安宅常彦

    ○安宅委員 関連があるのだ、関連があるのだということで、鉄道営業法は別だというのは、私らにはわからないのですが、そのいきさつなんかをこの次あたりにもう少し聞きたいと思うのです。
  58. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 先ほどあなた方からお話があった通り、五つ出ておるが、その中でも関連の深いものと浅いものがあるでしょうという御発言がありましたが、その通りなんです。だから、前もって話し合いということになれば、ある程度まで譲らなければならぬところが出てくるのが話し合いなんだからということを、きのう僕は申し上げておるのです。しかし、その点、五つが全部重要度が同じかということになれば、それはおのずから違いますから、その点は一つ御了解を願いたいと思います。
  59. 小平久雄

    小平委員長 それでは、本件は本日のところこの程度とし、次回の委員会においてさらに御協議を願うことといたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会