○帆足
委員 国際的な問題は、そういう実際的な問題または論理的な問題は、比較的普通妥当な問題でありますから、一歩誤れば、
一つの国できまったことはそのまま同じような条件のある他の領域にも同じ論理が適用されるということになるわけですから、南
朝鮮からの賠償を認めるということになれば、北
朝鮮に対しても、同じ要求をし得る権利を潜在的に認めるということにもなるし、中国に対しても、たとえば満州のような特殊領域に対して同じことを認めるというような結果にもなりますから、これは私は非常に慎重な
態度が必要であると思うのです。国民の常識から言えば、満州で、または
朝鮮で拮据経営してきたその
努力は、一人々々の国民においては
善意を尽くしたのであろうとも、全体としては植民地政策の一環であったから、植民地政策が崩壊した今日、それを置いたままになってしまうこともやむを得ないであろう。しかし、それだけの
財産がとにかく
向こうへ置きっぱなしになって、そうして
向こうに使われたから、その他の賠償はまあ免除してもらおうというのが、私は国民の一般の常識だと思うのです、
気持だと思うのです。それに今度は新たな負担がまた加わるようなことを南
朝鮮ときめるということになれば、国民は不安を感じますし、それは北
朝鮮にも満州にもまた適用される同じ論理になるというおそれもありますから、世論はこれに対して良識ある措置を期待しておるものと思います。従いましてこの問題の取り扱いを、きわめて部分的利害のために軽率にきめることは非常に憂慮すべき影響を持つものと思いますので、御注意を願いたい。だとするならば、李ラインの問題も非常に困難であるし、また今の
財産請求権の問題も非常に困難でありますから、私
どもとしては、南
朝鮮地域に対して事務的にかつ争いのない平和な状況があることはもちろん望ましいことでありますけれ
ども、
朝鮮全体にわたることに対しては、軽率な
交渉はできるだけ控えてもらいたいというのが社会党の
意見でありますことは、
政府当局は重々御了承のことと思いますが、これはきょうは
意見だけを述べておきます。
時間がありませんから、最後に一言お尋ねしたいのですが、最近ニュース映画で、コンゴの状況を十五分ばかり見ました。その際、ルムンバ首相が虐殺される悲惨な姿をニュースで見ました。口の中に髪の毛を突っ込まれ、引きずり回され、撲殺される痛ましい姿を見ましたが、われわれがルムンバ虐殺のニュースで驚きましたちょうどそのときに、インドのあの温厚にして篤実なネール首相が、憤然として色をなして、この事件に対してだけはがまんができない、この虐殺事件の裏には、コンゴのさる反動的な政治勢力が糸を引いておることは明らかであると新聞記者に語った。その直後に、
外務大臣に、この真相はどうであるかということをお尋ねしましたところが、まだ的確なニュースのないときに判断は差し控えたいということでありましたが、その後ルムンバ虐殺の真相について、正確な報道が外務省当局に入っておりますかどうか。入っておるとするならば、その真相の要点を聞かしていただきたい。
第二に、かくのごときことが行なわれることに対して、
外務大臣はいかなる御感想を持っておられるか。
日本政府は、もし法を無視して一国の首相たりし者が虐殺されるというような事態に対しては、どのようなお
考えを抱かれるか。この虐殺を行なった責任ある
政府また政治家に対して、一体どういう感想を持たれておられるか、伺っておきたいと思います。