○
帆足委員 簡単に御
質問申し上げますが、
在日朝鮮人の
帰国の問題につきまして昨年はこれが超党派的な
皆さんの御
理解と御
努力によって順調に進みましたことは御同慶の至りでございますが、昨年の秋に
協定延長の
交渉が停滞いたしまして、その
交渉の停滞が
帰国問題に
相当の影響をもたらしまして、また、たまたまことしの冬は大へん寒い冬でありましたし、北
朝鮮の冬は一そう寒いわけでございますので、第一期の引き揚げが済みましたあとはだんだん
気持もなごやかになって参っておりますので、どうせ帰るならば冬が明けてから帰るという
希望者が比較的多くなりまして、その上にまた
南朝鮮の
政治情勢が変わりまして、大部分の
朝鮮の
諸君は
南朝鮮生まれの
人——いわば
長崎生まれの者が東北に旅をしようというわけでありますから、
ふるさとの
南朝鮮の
政治情勢がゆるんでくれば、そこにこの
情勢を見ようというような
気持もわくのも当然であろうと存じますが、そういうことのために
帰国の
流れが多少ゆるやかになって参りまして、こういう
状況では二船に満たないのではあるまいかというようなことも論議されるようなこともございました。その後
インフルエンザが流行いたしまして、
朝鮮側は
インフルエンザの蔓延をおもんばかりまして、ただいま船が一時的に停止しておるような
状況は御承知の
通りであります。こちら側といたしましては、
センターにおります七百五十名の
在日朝鮮人の
方々だけはすでに
予防注射も済んでおるからお引き取り願いたいということを日赤から申しておるようでございますけれ
ども、
先方では、ラジオ、新聞に
小学校が続々休校しておるというような記事も出ますので、
インフルエンザが入り込んできたらお互いに非常に迷惑であるからもう少し慎重にしようというのが
先方の考えのようでございまして、現に
東京の
インフルエンザはもう
下火になりましたけれ
ども、最近、
新潟地方に広がって参りまして、ちょうど
センターの近所の
小学校が一昨々日から
休校状況になっております。従いまして、また
センターの中にも、現在の
インフルエンザではありませんけれ
ども、かぜの患者も
相当おりますし、七十名からの
病人も出ておるというような
状況でございまして、これは
インフルエンザが
下火になれば、自然に解決することであろうと私は思っております。
また、
在日朝鮮総連の
諸君とも打ち合わせをしてみましたところ、
南朝鮮の
状況が多少好転しつつあるといいましても、急激に
南朝鮮の
生活状況が改善されるわけでもなし、また
日本国内における
在日朝鮮人の
生活は、残念ながら非常に苦しい
状況に依然としてありますので、やはり資源が豊富で、人口の少ない、そして
建設途上の
朝鮮人民民主主義共和国に
生活の安定と
建設への道を求めたいという
希望は、今後とも続くのであるまいかというふうに観測されております。従いまして、
インフルエンザ問題が解決しましたならば、再び
帰国の
流れは順調になりまして、四月、五月とすべて順調にいくのであるまいかと予想されておりますから、
外務省当局にも申し上げたのでありますが、どうか、
関係官庁におきましては、そのような
見通しに立たれまして、この問題に
政治的雑音の入らないように好意的に見守っていただきたい。また、今年下半期の
見通しにつきましては、五月になればそれが明確になって参りまするから、
民間の
協力団体も
実情をよく視察いたしまして、そして適切なる、公正な認識のもとに、今後の方針について適切な御助言もいたしますから、五月ごろまでは
協定通りにいくという
見通しのもとに、四、五月の
実情を見まして、
問題点があるならば、深い
理解と友情をもって問題を検討してみたいと思っておりますから、
政治的雑音によって
帰国の
流れが阻害されることのないように、
一つ御注意のほどお願いしたいと思います。
それから第二に、
朝鮮人の
帰国の問題は、一定の
収容所における、
戦時収容者を集団
帰国せしめるというような画一的な仕事でありませんで、
日本で実際に
生活をしておる六十万の
人たちが
生活を転換していく問題でございまするから、そこにはさまざま、複雑な要因があるのでございます。また、
朝鮮人は単なる
外国人と
立場を異にしておりまして、長い間の
植民地政策、
同化政策、また
軍国主義の犠牲となっておりまして、そして苦しい
生活をしておりますが、いわば
帰国問題は
日本の過去の
軍国主義政策の贖罪にも当たるし、または過去の
政策の清算という
意味も持っておるわけでございますから、雪解けの
流れのように、
朝鮮人諸君が
ふるさとに帰っていくということは谷川の水が
流れるように自然に起こる現象でございますので、その
人たちが
ふるさとへ帰るのを、南北を問わず、特に
生活の苦しい
人たちに対しては
汽車賃を補助し、また
センターの
設備もございまして、幾らの経費もかかるものではございませんから、その
センターの
便宜をはかるということは、
国際赤十字が介入して現在のような
形式の
帰国が行なわれておる時代でも、またそうでない段階が参りましても、別にそれほど過当なことではあるまいと私は思っております。このようなお世話をすることはきわめて常識的なことではないか。それがただ
日韓会談のような
政治問題に災いされまして、ことさら
韓国政府に遠慮してこういうことが
政治問題になっているというような事情もおくみ取り、お考え下さいまして、
帰国問題にあまり
政治的雑音をことさら立てることは好ましくないことと考えております。いずれ、この問題につきましては、五月に入りましてから、また
政府当局といろいろ
意見の交換もいたし、公正な
措置をもって
帰国に協力いたしたいと考えております。
そこで、当面の問題として、
厚生省当局にお願いいたしたいことは、すでに
文書等も差し上げてございますけれ
ども、三泊四日の
滞在ときまるということで、すべての
設備がしつらえられておりました
赤十字センターに対して、一カ月も二カ月も
インフルエンザのために
滞在するということになれば、そこでいろいろな支障が起こって参っておりますから、お
帰りになる
人たちが、あたたかい
気持で双方ともよい感情をもって送り、また送られいたしますために、至急必要な
措置だけは敏速に善処していただきいと思います。
最近、私の方へ
新潟から使いが参りまして、いろいろ
報告も承りましたが、たとえばお
医者様にいたしましても、三名お
医者さんがおるからいいではないか、こう
赤十字が言われるのですけれ
ども、三名が三名とも
外科医でありまして、みんな
臨時交代のものでございまするから、
責任者がおりません。従いまして、一人ぐらいは常勤の
内科のお
医者を置いていただきたい。現在七十数名も
病人がおるわけでございます。また
病室が一ぱいになっておりまして、
病人が
雑居生活の中に、せきをしたり熱が出たりいたしておりますから、
長期にわたる
病人は市内の適当な
病院に入院せしめて、そして軽い
病人を
病室に運び、そして
雑居の苦労から解放することが必要であるまいかと思います。また
毛布な
ども三泊の
毛布でございまして、三泊ごとに消毒しておりましたけれ
ども、
長期滞在となりますると、御
病人が使った
毛布を、今度は
病気がなおってすわるようになりますと、今度はほかの人が使うということにもなりますから、
病人の
毛布だけは、これは別にしていただきたい。それから、各自の
毛布はその間は糸でしるしでもつけまして、各自が処理し、庭ではたき、日光で乾燥させるというようなふうに御指導あってしかるべきでないかと思います。
食事につきましては、
外米が二割も入っておるのが苦痛なように訴えられておりますが、米どころの
新潟にわざわざ
外米を運ばなければならぬ
理由もあるまいと私は思います。短期間のことでございますから、それほど長い間のことではございませんから、これはぜひとも
希望通り、
一つ外米を
内地米にかえていただきたいと思います。おかずに対しましても、
朝鮮民族としての特殊の
好みもありますので、泊っている
人たちの
希望を聞いていただきたい。特に
乳幼児、
妊産婦の
人たち、それから
病人の
食事等につきまして、
くだもの、牛乳、また
お菓子等の特別の御
措置もお願いいたしたいと思います。こういうことは当然のことでございまするし、また
学童たちを一カ月、二カ月漫然と遊ばせておきますとしつけになりませんので、幸いにして教職に
経験のある引揚者もおりまして、
臨時学校が開かれておりますので、その黒板とか学用品とか
託児所の幼児のための若干のおもちゃ、絵本などにつきましても御
配慮願いたいと思います。さらに、
更衣室がありませんので
——日本のゆかたや
着物でありますると、
着物のかげで一瞬にして着かえることもできますけれ
ども、洋服や
朝鮮服ではそうも参りかねますので、部屋の片すみなりともベニヤ板の囲いでもけっこうでございますから
更衣室を作ってあげるというくらいの親切はぜひともお願いいたしたいと思います。また今度の
経験で、
流行性の
病気がはやりましたときは、
帰国申請をしております者から要求がありましたときは
予防注射の
便宜をはかっていただきたい。
帰国申請いたしております者で
流感の
注射をしていただけなくて、私
どもの方にそのことを訴え出て参った村もございますから、幸いにして
赤十字病院という有力な施設があるわけですから、そのようなことにも遺憾のないようにしていただきたい。幸いにいたしまして、
厚生省当局、特に
センター長並びに
従業員の皆様は国にお
帰りになる
朝鮮人の
方々をあたたかく見送るというやさしいお
心持で当初から接しておりますこと、私
どもも
センターに参りまして、
従業員御一同のお
気持には感謝いたしております。
センター長も非常に心を配って、
本省と密接に連絡いたしておるようでございますけれ
ども、
本省も医療問題などでお忙しいのか、多少打つ手がおくれております。もちろん
流感の前途の予測な
どもつきかねましたので
対策がおくれたのであろうと存じますけれ
ども、急を要する問題でありますから、直ちに二、三日中に必要な
措置を完了していただくことを切にお願いいたしますと同時に、
センター関係皆さんのあたたかいお
心持と御
理解のほどに対しては、私
どもこれに協力いたしております者も感謝いたしておりますような次第でございます。これらの点につきましてせっかく敏速な御
措置を
——一週間も二週間も
たちますと時期が過ぎてしまいますから、この一両日中くらいにすべて必要なる
措置を完了するというふうに
援護局長から格別のお取り計らいをお願いいたしたいと思います。