○
野田(武)
委員 大体
日韓問題に対するお
考えや
交渉の状態がわかりましたので、次の問題に移りたいと思います。
次の問題と申しますのは、今
国際間におきましても、また
日本の外交におきましてもきわめて切実であり重大でありますところの日中問題でございます。この問題につきましては
池田総理も
施政方針の中で、中国大陸との
関係改善、特に貿易の増進は、
わが国としても歓迎するところであり、この問題への接近が本年外交の
一つの課題であると述べております。日中問題がいかに重要性を持っておるかということは、この総理の
演説の一節を見ましても明らかであります。しこうしてこの日中問題は、この
解決ということが、ただひとり
日本の
立場ばかりでなくて、
国際間に非常な影響を持つだけに、それだけにまた
外務大臣としても、この問題の衝に当たって、きわめて重大な御決意と同時に、万般の事態を考慮されて、遺憾なきを期されるべき問題でございまして、私
どもは、この日中問題の改善が一日も早く実を結ぶことを希望する者の
一員といたしまして、率直に
一つ外務大臣のお
考えを承ってみたいと思うのであります。
そこで先般の
外務大臣の
外交演説にも、この中共の問題が取り上げられまして、その際の一節にも出ておりますが、ここにお配り願った中にも出ておりますが、「中共問題は、最近は、
国際間においても、
国連代表権問題あるいは
軍縮問題等とも関連いたしまして、新たなる注目を集めつつあります。中共が、いかなるときに、また、いかなる方法によって
国際社会に参加できるかの問題は、複雑な要素を含んでいるのでありますから、
政府は、中共の
動向とこれをめぐる
国際情勢の推移を慎重に見きわめて参る所存であります。しかしながら、中共との政治的
関係の調整は、広く
国際政治上の問題として
考えられねばならないのであります。
わが国の、
世界、特に
アジアにおいて占める地位にもかんがみ、
わが国の動きが
国際的に多大の影響を及ぼすことを十分考慮しなければならないと思うのであります。」、さらに末尾においては、「高度の政治的考慮を必要としている」という
言葉を使っておられます。従って、総理の言われる本年外交の最重要な課題の
一つである中国問題が、遺憾ながらなかなかわれわれの希望するように前進しないという
一つの要因がどこかにあるのではないか。これらを検討して参ります場合には、これは中国問題だけで実は相当時間をとってお尋ねしたいと思いましたが、時間の割当がございまして制限されておりますから、きわめて遺憾ながら簡単に
一つお尋ねいたしたいと思うのでありますが、私はこの問題の
解決にあたっては、もちろん
日本としては
アジアの
一員としての
立場、同時に
国際的の影響を
考えて、高度の政治的考慮を払うという
外務大臣の
言葉はよくわかります。しかし従来の
日本政府の
態度に対しまして、中国側が盛んに敵視政策をとっている
言葉を使っております。私が特にこの問題を取り上げますのは、一九五八年の第四次民間貿易
協定に私が
関係いたしておりましただけにその間の事情が多少わかっているつもりでありますが、これは率直にいって、
日本の
態度並びに中共の
態度ともに
一つお互いに、反省という
言葉は過ぎるかもしれませんが、ともに慎重な考慮をしてやらなければこの問題の
解決はできないと思う。
そこでこの
機会に私は申し上げますが、実は特にこの問題は、第四次
協定を結ぶまでは保守党も革新党も一緒になって、貿易促進の議員連盟を作ってその衝に当たっておりました。第四次
協定が不成立に終わった以後というものは、だいぶん両者のうちに間隔が出て参りまして、国論においても相当な
考え方の相違が現われてきておるようであります。私は、日中問題のこの
解決が
外務大臣の言われる
国際的の影響があることはもとより認めますが、しかし同時にもっと強くやはり
アジアの
一員である
日本としての自主的な独自な見解を尊重した方がいいのじゃないか。もとより勝手なことをやれというのではありません。そういう心がまえがやはりこの問題の
解決に重要じゃないかと思っております。また同時に中共が盛んにいっておりますところの敵視政策を
日本がとっているということ、これは私当時
関係した
一員として当たっていない、時間の制限がありますから申し述べませんが、第四次
協定を締結するという熱意におきましては、私
どもは中共より以上の熱意を示してこれに当たったわけであります。当時の岸内閣の中共に対する
態度も全然敵視政策をとるとか、敵視した
態度をとったということはないのであります。ここに大きな中共側の
誤解があることを私は今でも遺憾に思っております。これは私は実例を引いてもよろしゅうございますが、今申しますところの時間の制限がありますから申しませんが、(「ノー、ノー」と呼ぶ者あり)ノー、ノーとおっしゃるから二、三を申し上げます。たとえば当時、
協定の内容として一番問題になったのは、代表部を設置する問題あるいは指紋の問題あるいは決済の問題あるいは国旗掲揚の問題、これらにつきまして、たとえば
一つ例をあげますと、指紋の問題のごときは、私みずからこれに当たりまして、
政府といたしましては改正法律案を出しまして指紋の問題を
解決いたしております。また代表部設置につきましても
政府はこれを認めまして、ただ国交が正常化していないから、つまり国交正常化に基づく外交官としての代表部の部員に対する資格はないが、同様な待遇をするということまで明言しておる。また決済問題は、これは両者において片づいた。最後に残った国旗掲揚の問題についても、中共はこれを権利として認めてくれということでございましたが、これは
国際法上国交が正常化いたしておりませんから、権利として認めることはできないが、最大の敬意を払ってこれに対する保護もしよう、またいついかなるとき、いかなる場所においても国旗掲揚を認めるというまでの
態度をとったわけでございます。当時私は何がゆえにあの第四次
協定が不成立に終わったかという理由を
自分自身でもいろいろと調べてみたのでございますが、中共側に相当政治的意向があったのじゃないかということを私は想像をしておるのでございます。しかし今これを論争いたしましても、これはむだなことでございまして、これらの点につきまして、私も一日も早く日中の友好が促進されて、互いにともに手を握って、そうしていわゆる
アジアの同士として、お互い
アジアの
一員として、また
世界平和のためにわれわれは貢献する、そのためには
経済的な提携もする、こういう
立場からいたしまして、この問題の
解決を非常に希望するのであります。そこで私が特にお尋ねしたいことは、今日
日本政府といたしまして日中間の貿易は非常に希望するということは、前提として総理
大臣も
外務大臣もおっしゃっておりますが、中共側は
政府間
協定でなければ応じないということを言っております。こうしてこれらにつきまして、ただお互いに言いっぱなしでありまして、一向その間の接触と申しますか、先ほど
外務大臣は今後の外交は大体
話し合いでいきたいということを言っておられましたが、これらについて
日本としてそれをいわゆる
政府機関でやるか、あるいは何かのやり方、方法、手段は別でありますが、積極的に
日本政府の意向を反映するような方法によって中共側と話し合うという心がまえであるかどうか、その点を特に
一つ外務大臣のお
考えをお聞きしてみたいと思っております。