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岸田参考人 最近の宇和
開発を、
アメリカとソビエトとの間でどういうふうに見ているかということから始めたいと思いますが、大ざっぱに言いますと、ミサイル・ギャップが解消して、そして
宇宙開発のギャップというのが非常にはっきりとした形で現われてきたというふうに見ることができると思います。今から三年はかり前、一九五七年の十月四日ですか、初めてソビエトが
人工衛星を打ち上げたころには、その
人工衛星というのは、軍事的には全く何も
目的を持ってないものなんですけれども、それを受け取る方の側では、その軍事的な
意味というものを非常に強く感じ取ったわけです。そこで
アメリカでは、ソビエトの
人工衛星によって想像されるソビエトと
アメリカとのミサイル・ギャップというものを急速に埋めなければならないというふうに考えて、そういう方向に向かった努力に力を集中してきたわけであります。そして、私たちの見るところでは、そのミサイル・ギャップというのは、もうすでになくなったというふうに考えます。ミサイル・ギャップというのは、ソビエトのICBMあるいはIRBMを潜水艦にくっつけた体型、そういった長
距離の戦略弾頭ミサイルのことをいうのですけれども、そういった面での大きな開きは、今はなくなっているというふうに思うのです。その開きを幾つかの項目であげますと、まず、その数はどうなっているか、それから、その打ち上げの信頼性はどうなっているか、それから、打った弾頭の精度、正確さはどうなっているかということが、もしほとんど同じくらいになっているとすれば、ギャップはなくなるというふうに言えるわけです。そこで、その数ですが、ソビエトの方は数を発表していませんから、
アメリカの方だけしかわからないわけですけれども、
アメリカが今準備している、今言ったようなICBM、つまり、
アトラス、あるいはタイタン、あるいは固体ICBMのミニットマン、あるいは潜水艦にくっつけて運ぶポラリスというものの数を総計しますと、四年
あとの一九六五年までにはおよそ千三百発くらいになりますか、総計は、今数を申しますから、そちらでやっていただきたいのですが、
アトラス、タイタンが、合計しましておよそ二百五十発、それから固体ICBMのミニットマンが十四個大隊で、一個大隊におよそ五十発ですから、七百発くらいになります。ポラリスは、今度ケネディが国防
予算の追加の要求を出しまして、もしこれが承認されれば、総計ポラリス潜水艦が二十九隻ということになるわけですけれども、おそらく、それが承認されることは明らかだと思います。二十九隻のポラリス発射の原子力潜水艦、その一隻が十六発打ちますから、合計しまして四百六十四発です。こういったものの合計した数が一九六五年ころまでにはそろうわけです。このポラリスというのは、特に
アメリカで力を入れているものなんですけれども、ポラリスの射程は、今までですと、一番
最初の段階では二千キロに到達しなかったものが、A2という改良型のポラリスで、当初の予定であった二千四百キロをわずかにオーバーする射程になりまして、そうして、最近の国防
予算の特別教書によりますと、ケネディは、A3のもっと射程を延ばした改良型のポラリス
開発を急ぐことを要求しております。こういった数がそろってくるわけです。そこで合計しますと千三百発くらいですか、四年間くらいたちますと、それくらいの数になります。ソビエトの側はわかりませんけれども、この数は、ミサイル・ギャップというものを埋めるには非常に十分過ぎる数であるというふうに考えられるのです。たとえば、オルソップなどは、今のミサイル・ギャップという言葉を依然として使っているのですが、私は、ミサイル・ギャップはなくなっていると思うのです。
数の点は、こういう点ではっきりわかるのですが、信頼性という点で申しますと、今までの
アトラスあるいはタイタンの発射などを見ておりますと、発射の失敗に対して
成功する
パーセンテージが、
最初の六〇%くらいから、最近では八〇%を越す、あるいはしばらくすると、それは九〇何%までになると思いますが、そういうふうに、打ち上げようと予定したものはほとんど全部打ち上げられるというふうに、急速に近づいてきておりますので、この点でも、ソビエトの方はわかりませんけれども、ともかく、一〇〇%に両方とも近づいているということは言えると思います。
それから、今度は、打ったものが非常に正確に着くかどうかということなのですが、これもソビエトのICBMの精度の発表はないのです。
アメリカの方でICBMの精度について発表したのは、去年の一月の年頭教護で、そのことについてアイゼンハワーがどういうふうに言ったかといいますと、去年で、最近十四回の試射で
アトラスは平均して三・二キロ以内の地点に到達している、それで、そのときの射程は八千キロメートルであるというふうに言っております。そうしますと、三・二キロ以内に到達するというふうな精度は一万分の四くらいですが、それくらいの誤差で
目標地点に到達することができるというふうになります。その前に、実は一九五九年の九月九日、初めて
アトラスの実戦用の大隊が太平洋岸にできた。そうして、その日にウエーキ島の近くに
目標地点を設けて
アトラスの試射をやったのですが、そのときには七千キロ飛びまして、誤差が一マイル以内であったというふうに発表されております。そうしますと、それは精度にしまして一万分の二くらいになります。つまり、非常に正確に当たるということがわかるわけです。この程度の正確さはどういう
意味を持つかといいますと、たとえば、相手方の地下発射のICBMの基地があるとします。こちらのICBMの弾頭に一メガトンくらいの大きさの水爆をつけまして、一万分の五くらいの精度ですと、せいぜい三発か四発かでその地下発射の基地がこわれてしまうというくらいの精度なんです。ところで、ICBMの弾頭は、一メガトンでなくて、最大五メガトンくらいのものがつくから、ICBMが一発で相手方のICBMの基地をこわしてしまうことができるという精度になったことがわかるのです。そこで、ソビエトの方の精度がそれくらいだということは、
金星ロケットが
金星に正確に向かっていく、これは大体十一・何キロかの初速にして一メートルくらいの誤差しかないという精度なんです。つまり、一万分の一くらいです。それから月に命中した場合は、あれが一万分の七とか八とかいう誤差だったと思います。従って、両方とも非常に似たような精度になっているということなんです。先ほど、数のことでミサイル・ギャップがなくなったというふうに言ったのですが、これだけの数がありますと、実は、
地球の大きさは一定なものですから、この
地球を全部こわしてしまうに必要な
ロケットなら
ロケット、あるいは水爆なら水爆の数にはある限度があるはずなので、それ以上の数をそろえることは
意味がない。そういうことで、数はある限度がある。その限度を幾らと考えるかという点ですけれども、一九五九年の五月に、
アメリカでいわゆる水爆戦争公聴会というのが開かれたわけですが、そのときの
アメリカの受ける水爆の数の仮定は、
アメリカに二百六十三発の水爆が落とされる、それが合計千九百メガトンなんです。そのほか、
アメリカ側の
ヨーロッパの前進基地なんかにも落とされるとして、全
世界で四千メガトンの水爆が落とされるとして計算しているのですが、そういった仮定で、
アメリカの国民が四〇%以上死傷する、そして家の倒壊が、やはり約半数くらいになるというふうな計算をしております。この二百六十三発という数よりは、先ほど私が述べた一九六五年までにそろう戦略弾道ミサイルの数の方がはるかに多いのです。従って、すでに
あと何年かすると、ミサイルの数というのは、両方とも満腹の
状態になるということが非常にはっきりしております。きのう新聞にも出ておりましたけれども、ポーリングは水爆、原爆を
アメリカが現在保有している数は十二万五千発であるというふうなことを言っております。そしてソビエトはその半分である。この数にしましても、ポーリングはその次に説明して、この
アメリカの持っている数は、ソビエトの全土を十六回全滅させる能力を持っている、ソビエトの場合も、もちろん
アメリカを全滅させることができるというふうに説明しております。つまり、そういうふうに、兵器という点でいうと、すでに両方とも満腹の
状態というのが近づいておりまして、そういう
意味でミサイルのギャップはなくなっている。ミサイルのギャップがなくなってきているものですから、たとえば、おととしの
アメリカの議会、あるいは去年の
アメリカの議会では、このミサイルのギャップという問題は、
予算を請求する必要上
方々でいわれていながら、しかし、その真剣さは、一九五八年、つまり、ソビエトが
人工衛星を初めて打ち上げた直後に行なわれた議会の真剣さと比べてはるかにのんびりしたものであったというふうに伝えられております。
そこで、こういった
状態で、実は
宇宙開発のギャップが非常にはっきり出てきたというのが
現状なんです。今ちょっと勘定をしてみますと、今までに
地球の上に打ち上げられた
人工衛星あるいは人工の
惑星といったもあの総計は五十四発になるのです。一回の打ち上げで一個というふうに数えて五十四発になるのですが、そのうち四十九個が
人工衛星である、それから一個は月に命中したもの、ソビエトのものです。それから四個が
太陽の
まわりを回る人工
惑星であるというわけです。そのうち、
太陽の
まわりを回る四つの人工
惑星は、おのおの
アメリカが二つ、ソビエトが二つ、それから、
地球の
まわりを回る
人工衛星では、ソビエトが十二個、
アメリカが三十七個、ですから、数の上では
アメリカが勝つということになります。しかし、そういった打ち上げられた
人工衛星を見まして、ここではっきりわかることは、ソビエトの
人工衛星あるいは人工
惑星の方がはるかに大型であるということです。そして、その大型ということは非常に致命的なことであるということを、実は第三者ではなくて、
アメリカ自身が考えておるというのが
現状です。
アメリカは、
最初、この大型の
人工衛星あるいは大型の人工
惑星を打ち上げることを別に必要と考えていなかった。なぜかといいますと、
地球の大きさは一定ですから、
アメリカからソビエトの国をねらうICBMを作るためには、ある程度の大きさ以上の
ロケットは必要ない、そこで、
ロケットの大きさには、ある限度がある、それ以上のものは必要ない。特に、そのことがはっきり
アメリカの人たちにいわれたのは一九五九年、ソビエトが月に命中する
ロケットを打ち上げたときですが、そのときにアルパ
——アルパというのは
アメリカの三軍を統合する
宇宙開発機関ですが、この局長が、ウエーキ島に非常に正確なICBMを打ち上げた九月九日の翌々日、精度からいっても
アメリカにはすでに月にぶつけるくらいの精度のものは存在している、それに
地球の上では、そんな月にぶつける必要はないのだから、そんなものを打ち上げて何になるかという発言をしておった。しかし、
アメリカのそういった考え方は、やはり
宇宙開発のギャップは見過ごすことのできないものであるという考え方に徐々に移ってきておるように私は思います。そのことか非常にはっきり現われたのは、ことしの一月十二日に
アメリカで
宇宙に関する
委員会の報告というのが出ておりますが、その
委員長になったのはゼロ・ウイスナーで、このときは、この
委員長であったにすぎなかったのですが、この報告が出たしばらく
あとに、ケネディ大統領の特別
科学顧問になっております。従って、ケネディ大統領の今後の
科学技術の
開発、特に
宇宙に関する基調はこのウイスナー報告に盛られたところによることになると思いますが、このウイスナー報告では、
宇宙に関して幾つかの重大な点を掲げております。まず第一は、国の威信の問題が
宇宙開発には存在しておるというふうに指摘しております。少し長くなりますが、御紹介しますと、
宇宙開発が
世界の人々の心をとらえている、この数年間、
アメリカの威信はある程度
宇宙開発の面で示されることになるだろう、この
宇宙開発に示されるリーダー・シップによって
アメリカの威信というものが決定されることになる、この
意味合いで
人間衛星というものを考えなければならないということを言っております。第二番目には、やはり、
宇宙圏発というものは国の安全保障と関連がある。第三番には、
宇宙の
科学開発ということは非常に重要なことであって、その点を決して忘れてはならない。第四番に、
宇宙開発の実用面というものが存在しておる、たとえば、
通信衛星あるいは航海
衛星といったようなもの、あるいは測地
衛星といったようなものであるということです。そして第五番目に、
宇宙開発に力を入れることによって
世界の
科学の
協力体制という
可能性がより刺激されることになるというふうに言っております。とにかく、五つのうち、第一番に国の威信ということを掲げて、そして、その面で
アメリカは非常に大きい努力をしなければならないのだということを言っております。こういったことが、実はケネディの今後の
科学技術開発の
一つの大きなモメントになるかと私は思うのです。ケネディが、先ほど言った国防
予算の特別教書を出したのとほとんど同じ日に、原子力
委員会と
航空宇宙局との新しい債務負担行為の要求、つまり、新規の追加
予算の請求をしているのですが、その原子力
委員会の方の新規の請求の中には、先ほど
糸川先生も言われた
原子力ロケットの
研究の推進というのが入っております。それから
航空宇宙局の方の請求の中には、サタンC2の
開発の促進というようなことが入っております。特に、サタンC2の
開発促進のためには、一億トルの追加
予算が請求されております。一億ドルというのは、NASA、
航空宇宙局の
予算としては決して少なくない額でして、サタンC2の
開発を非常に急ぐということはこれでもわかるわけですが、そのサタンC2というのは、
地球の
まわりを回る
人工衛星にする場合には、二十トンの大きさの
人工衛星が作れるというほどの
ロケットです。ソビエトがことしの二月四日に打ち上げたイスポリン、巨人
衛星というのは、重さが六・五トンの
人工衛星なんですが、そのサタンC2が実現しますと、
地球の
まわりを二十トンくらいの
人工衛星を飛ばすことができる。それから、これを月に送りますと、月にソフト・ランディングする、月に着陸する
ロケットで、一トンないし二トンの計測装置を中に入れたものを着陸させることができるというくらいの能力を持ったものです。そういったものを、
最初は一九六七年ごろに初めて打ち上げられるという予定であったこのサタンC2を、一億ドルの追加
予算請求によって、一年以上繰り上げて、一九六五年には何とか第一回の試射が行なわれるようにしたいというような
目標が今打ち出されておるわけです。
それから、もう
一つ人間衛星のことでは、このウイスナー報告も同じように述べておるのですけれども、
アメリカで現在進行されているマーキュリー
衛星の
計画というのは、基本的に
計画に欠点があるということを指摘しております。それは、
一つの非常にロング・レンジの、長期にわたる
計画の中でなければならない、
人間を
地球上空に打ち上げるということ、それが最終の
目的ではなくて、ただマーキュリーの場合は、
地球上空を三回回すということが
一つの
目標なんですけれども、それはある一段目の
目標にしかすぎなくて、最終的には、月に着陸されるとか、あるいは
火星、
金星にまで送るということが
目標になるわけですから、まず第一に必要なことは、そういった長期の
計画に耐える
ロケットを作ることであるということを言っております。そこで、マーキュリー
計画のように、そこだけが最終の
目的になっておるような
計画ではなくて、もっと全体的な
計画を立てる必要がある、そのために大型の
ロケットということから基礎的に積み上げていかなくてはならぬということが、ウイスナー報告で触れられておることですが、そういった方針に従って、サタンC2というものの追加
予算請求がケネディによって行なわれた。従って、ケネディがこれから打ち出そうとしておる
宇宙の
開発というのは、今までアイゼンハワー時代に行なわれていた
宇宙開発というものとは相当違ったものになるのじゃないか。今のところ、
宇宙開発のギャップというものは確かに大きいと思います。大きいというのは、今のままだと、ますます開く方向にあると思いますけれども、ここでケネディが特別
予算教書を出した、あるいはその背景にウイスナー報告のようなものがあったということで、
アメリカの今後の長期にわたる
宇宙開発の
計画というものが比較的
——比較的じゃなくて、正しい軌道に乗って、だんだんと
宇宙開発のギャップというものは、もし順調に進めば縮まる
可能性があるというふうに考えます。しかし、ここで、実は
人間衛星打ち上げのときに、
アメリカのケネディもそう言っていたようですけれども、国連の大使、今スチブンソンが出ておりますが、そのスチブンソンの言った言葉は、よく考えなければならない。そのスチブンソンの言葉は、おもしろい言い方をしておるのですが、
ソ連は
人間衛星を国内から打ち上げることに
成功した、そこで、
ソ連が
宇宙に関する話し合いを、この国連という打ち上げ場所から発射させることを望みたいということをスチブンソンが言っております。ケネディも同じように、両方の国の
協力と国際
協力が必要だということを言っている。それから、先ほど言いましたように、ウイスナー報告も
宇宙開発の五つの観点というものの最後に、
各国の
協力態勢ということを言っておるのですけれども、ここで、確かにそういったチャンスが今出てきておるというふうに思います。
大気圏外平和
利用委員会というものが一九五九年の末にできたことは御存じの通りです。その前にもできていたのですけれども、ソビエトが入っていなくて、実質的には動かなかった。それが実質的にソビエトが入ってきて動くようになった。大気圏外平和
利用委員会というものが国連の中にできたのは一九五九年の終わりなんですけれども、それにはもちろん
日本も入っております。東側が七つ、中立国が五つ、西側の国が十二、つまり、西側の十二に対して、中立国と東側を合わせて十二というふうに、バランスのとれる格好になったので、ソビエトはそれを承認したわけですけれども、そういった格好の大気圏外平和
利用委員会ができたのはおととしの暮れです。おととしの暮れにできたのですが、この
委員会ができてから
あとは開店休業、去年の三月に、
アメリカの方が話し合いをしようじゃないかと言ったのに対して、小
委員会の構成問題でどうもつまずいたらしくて、その辺の詳報はわからないのですけれども、開店休業の
状態です。しかし、今この
人間衛星が打ち上げられたという段階で、
アメリカからもそういう呼びかけもあり、それからソビエトの方でもアピールを出しておりまして、あのアピールにはそういった内容の呼びかけがあります。そうしますと、この大気圏外平和
利用委員会というものが動く
一つの大きいチャンスを今得たのだと思います。その中にはもちろん
日本も入っておるわけですが、
日本の役割というものは、
一つは、
日本での
科学技術の
開発、こういった
世界の情勢を見ながら
日本での
宇宙開発ということを考えていくということが
一つ確かにあるのですが、
世界の
宇宙開発の
協力態勢というものに対して、
日本が
日本の役割を果たすということが確かに存在しておると思います。そして、そのチャンスが今来ておるように思われます。従って、そういった点での役割を果たすことを私は大いに考えていただきたいのですが、それでは、この大気圏外平和
利用委員会というものを動かしていくにはどうすればいいか、
最初から政治的な話し合いで話を臨めていこうというのは非常にむずかしいと思います。やはり、先ほど言った
宇宙開発というものは、どうしてもその五つの観点の中に言われているように、国家の安全保障とか、電解的な
意味というものが全くないわけにはいかないものですから、
最初から政治的な話し合いをするということは無恥かと思いますが、さしあたって、たとえば、そのいい実例としては、国連に
科学委員会というものがございますが、国連の
科学委員会では、
放射能の
影響に対して
科学者たちが非常にたくさんのデータを持ち寄って、そのデータに基づいて話し合いを進めております。そのデータに基づいた話し合いで、一九五八年に核
実験の停止が自発的に行なわれなければならないような報告を出したということがあります。それからまた、核
実験停止
会議というものが今行なわれておりますが、その停止
会議が行なわれる前には、核
実験停止の
専門家会議という
科学者の
会議が行なわれまして、
最初に、核
実験の停止に必要な管理の問題とか、探知の問題とかいうものは
科学的に可能なんだという結論を出した上で、今の話し合いが進んでいるわけです。従って、大気圏外平和
利用という問題に関しても、政治的な話し合いの前に
科学者たちの話し合い
——大気圏外を平和
利用するためにはどういうふうな考え方でいけばいいかということを
科学者たちが話し合って、ある
専門家の報告を出す、あるいは
専門家の態度を打ち出すということはできると思います。そういったところから話し合いをもし進めていくならば、
人間衛星の打ち上げというものは非常に大きな機会であるかと思うので、そういったイニシアチブをとる役割を
日本の
科学者あるいは
日本の議会がやられることは、この段階で非常に大きい意義を持つものだと思います。
まとまりのない話でしたが、これで終わりたいと思います。