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1961-04-11 第38回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十六年四月十一日(火曜日) 午前十時二十九分
開議
出席委員
委員長
山口
好一君
理事
菅野和太郎
君
理事
齋藤 憲三君
理事
中村 幸八君
理事
前田
正男君
理事
岡 良一君
理事
岡本 隆一君 有田 喜一君 谷垣 專一君 西村 英一君 石川 次夫君 小林 信一君
田中
武夫
君
出席政府委員
科学技術政務次
官 松本 一郎君
総理府事務官
(
科学技術庁
振
興局長
) 原田 久君
委員外
の
出席者
総理府技官
(
科学技術庁
振
興局科学調査
官)
前田
陽吉君
総理府技官
(
科学技術庁
振
興局管理課長
) 佐藤 松男君 参 考 人 (
青山学院大学
法学部教授
)
杉村章三郎
君 ————————————— 本日の
会議
に付した案件
参考人出頭要求
に関する件 新
技術開発事業団法案
(
内閣提出
第一二四号) ————◇—————
山口好一
1
○
山口委員長
これより
会議
を開きます。 新
技術開発事業団法案
を議題といたします。 この際、
参考人出頭要求
の件についてお諮りいたします。 すなわち、新
技術開発事業団法案
について、
青山学院大学教授杉村章三郎
君を
参考人
と決定し、本日その
意見
を聴取いたしたいと思いますが、これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山口好一
2
○
山口委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 この際、
杉村参考人
に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ、本
委員会
の
法律案審査
のためわざわざ御
出席
をいただきまして、まことにありがとうございます。厚くお礼申し上げます。 本
委員会
は、ただいま新
技術開発事業団法案
について
審査
をいたしておりますが、本案につきまして、
杉村参考人
には忌憚のない御
意見
をお述べ願いたいと存じます。 直ちに
質疑
に入ります。
質疑
の通告がありますので、この際、これを許します。
田中武夫
君。
田中武夫
3
○
田中
(武)
委員
実は、
委員部等
から御
連絡
を申し上げておるとは思うのですが、新
技術開発事業団法
という
法案
がこの
委員会
にかかっております。それから、別に
鉱工業技術研究組合法案
というのが
商工委員会
にかかっておるわけであります。実は、私は、
科学技術庁
とか
経済企画庁
といった
官庁
は、
科学技術
あるいは経済に関する
総合調整
をやるのを主たる
任務
とする
官庁
である、従って、
事業
に直結するところのものは
事業所管省
がやるべきじゃないか、こういう主張を持っておるわけであります。そこで、この両方を見ました場合に、まず、新
技術開発事業団
は、第二条に定義がありますように、
試験研究
の結果で
企業化
されていないものを
企業的規模
において
実施
するように、
企業
まで持っていこう、こういう
目的
の
事業団
でございます。一方、
鉱工業技術研究組合法案
は、
鉱工業
の
生産技術向上
をはかるために、
試験研究
を共同に行なおうという
組合
でございます。これは
鉱工業
という頭があるので、
通産省
が
鉱工業関係
をやるということなんだが、あえて、
研究組合
は
鉱工業
に限らない、従って、
鉱工業
ということをはずして
技術研究
ということにしているが、こういう
法案
こそ、
科学技術庁
が
担当
すべきであって、新
技術開発事業団
のような、
企業
的な
規模
において云々するというようなのは
科学技術庁
の
設置
及び
科学技術庁設置法
から
考え
て、どうも少しおかしいのじゃないか、こういうように
考え
ておるわけです。 それで、まず、
先生
にお伺いしたいのは、
科学技術庁
とか
経済企画庁
とかいうような
官庁
の
あり方
は、それぞれの
設置法
から見ましてどうあるべきかということについてお伺いしたいと思います。
杉村章三郎
4
○
杉村参考人
御
質問
にお答えする前に、一応問題の内容を伺いまして、自分の
考え
を大体書いて参りましたが、
科学技術庁
につきましては、その
設置法
において、その
任務
としまして、
科学技術
に関する
行政
を
総合
的に
推進
するとあるわけでありまして、その
任務
のうちに、新
技術
の
開発
というような、いわば
第一線行政作用
が含まれておるかどうかという問題であります。新
技術
の
開発
ということは、それぞれの
専門
に応じて
通産
、運輸、
建設
、
農林
というような
各省
の
権限
に分属するものでありまして、
技術庁
が取り扱うのは筋違いではないかという議論であろうと思います。ただ、この点、
科学技術庁設置法
の第四条十一号というのを見ますと、
原子力
につきましては、
研究
、
開発
、
利用
ということが明らかに
技術庁
の
権限
に属するということになっておりますし、この
設置法
の
技術庁
の
権限
を見ますと、そのほか、
放射性同位元素
の
販売業務
を許可するというような、
第一線行政機関
の
権限
をやはり
技術庁
に属せしめておるわけであります。しかし、これは
原子力
の
関係
だけでありまして、一般の
科学技術
については、
基本
的な
政策
を
企画
、
立案
、
推進
するというような
権限
を持っておるにすぎないわけであります。ですから、
技術庁
の
形式解釈
から申しますれば、
技術庁
にはそういうような
開発
、
利用
の
権限
というものはないのではないかというようにも見られるわけであります。しかし、
科学技術庁
はみずから
科学技術
を
開発
するというのではなくして、
開発事業団
を設けてこれを行なわしめて、これに対して
監督権
を行なうというにすぎないのでありますし、
事業団
の仕事も、新
技術
を
企業化
するまでの
段階
でありまして、新
技術
を導入した以後の
企業
の
監督
は、それぞれ
専門
の
各省
の
権限
となるのでありますが、
各省
の
権限
をそれで侵すというようなものでもなかろうと思います。現に、
特殊法人
で
科学技術庁
の
監督下
にある
理化学研究所
というのは、
事業団
と同じように新
技術
の
開発
の
権限
を持っておるのであります。この
権限
を、すなわち新
立法
によりまして新
技術開発事業団
に移行させる、こういうことのようであります。そういう点が
一つ
あると思います。それから、もう
一つ
は、
設置法
の
科学技術
に関する
基本政策
を
推進
するという
権限
の中には、
科学技術庁
に対して新
技術
の
開発
ということも含まれると
解釈
することもあるいはできるかと思いますが、さらに、
国家行政組織法
の
基本
にさかのぼって
考え
ますと、
科学技術庁
は
総理府
の
外局
であります。
総理府
の
外局
には、およそ
三つ
の型がありまして、その
一つ
は、広
範囲
の事項につきまして、
国家
全体の
企画総合事務
を
担当
する、これが
先ほどお話し
の
経済企画庁
とか、
行政管理庁
とか、あるいは
科学技術庁
とかいうものであると思いますが、その
二つ
は、二省以上にまたがる
行政事務
で、一省の
専属
たらしむるに適しない
事務
、これは
公正取引委員会
だとか、北海道
開発
庁とか、あるいは
首都圏整備委員会
であるとかいうふうなもの、それから、どの省にも属せしむるに適しない
事務
、これは宮内庁とか防衛庁とかいうようなもの、こういうおよそ
三つ
の部類に分けることができると思います。この
あと
の
二つ
のものの
外局
は、これは、いわば
独立
の省——小さいものもありますけれども、いわば
独立
の省に該当する
機関
でありまして、国民に対する
第一線
の
行政行為
をなし得るということは明らかであります。第一類の、いわば
企画総合機関
が同様の
作用
をなし得るかどうか、こういう点について問題があろうと思います。本来、これらの
機関
は、
内閣総理大臣
の所轄のもとにありまして、
国家
全体の
立場
から
各省
に属する
事務
の
最高政策
を
企画
したり、あるいは
相互
の
調整
をするというようなことがその主たる
任務
でありますが、
総合調整
の
段階
におきまして、
地方公共団体
あるいは
公共企業体
とか、その他の
法人
に対して直接
行政機能
を発揮する必要のある場合が存するわけでありまして、
行政管理庁
の
監察作用
というようなものはこれに属するのであろうと思います。
科学技術庁
に与えられる新
技術開発事業団
に対する
監督作用
というのも、結局この種の
作用
に属するというように
考え
られます。 思い出しますのは、
昭和
三十一年に
科学技術庁
が
総理府
に
設置
されましたときのことでありますが、その
設置
の
理由
は、
航空関係
の
研究
が日本に再開されるということに
なり
まして、その
機会
に、
各省
に散在しておった、いわばばらばらな
指導方針
によって運営されておった
自然科学関係
の
研究
所の
あり方
を再検討する、重複しておるものはこれを統合し、
研究
とか、あるいは設備、あるいは予算というようなもののむだや重複を省く、そうして、その
研究
の成果を上げるというようなことが
目的
だったと思います。今回の
事業団
に対する
監督
も、
組織法
の原則に反しない、また、
各省
の
専属権限
に抵触しない限りは、
科学技術庁
一本に行なうということが、あるいは
政策
的な問題でありますけれども、至当ではないかというように私としては
考え
ておるわけであります。これは御
質問
の趣旨より少し広くなったかもしれませんけれども、本来はむろん
総合調整
であります。その
総合調整
の
段階
において、まだ
第一線
の
専属行政機関
、
各省
の手に渡らない間におきましての
一つ
の
作用
が含まれておるのではないか、私はそんなように
考え
ております。
田中武夫
5
○
田中
(武)
委員
設置法
について
解釈
をお伺いする前に、まず、私は、
行政法
の大義といいますか、
先生
に来ていただきましたのは、
行政機構
の
あり方
について、
科学技術庁
とか
経済企画庁
というのはどうあるべきか、こういうことを、まず
行政法
上の
立場
から、
行政機構
の
あり方
ということについて
一つ
お伺いしたいと思います。と申しますのは、今日この
法案
がそういうように問題になっているのと同様、御
承知
のように、きのうの新聞にも発表になっておりましたが、
水資源開発
についても同じような点が出ておるわけなんです。たとえば、
水資源開発促進法
というのは
経済企画庁
でやる、そうして
水資源開発公団法
が
建設省
、
用水事業公団法
が厚生、
農林
、
通産
の
三省共管
でやるというのが
一つ
の
政府
の行き方のようでございます。あるいは与党の決定のようでございます。また、御
承知
のように、今
商工委員会
に低
開発地域工業開発促進法案
というのが出ております。これと、
建設省
で
考え
ておる広
地域都市構想
と自治省の
基幹都市構想
、
通産省
の低
開発地帯開発構想
、それぞれがほとんど同じことをねらっておるわけです。そこで、過去がどうであったとか、たとえば、
先生
のおっしゃいました
理化学研究所
が
技術庁
の
所管
であったからというようなことでなく、私は、まず、この際、こういった
総合調整機関
と、実務といいますか、
事業所管機関
との
区別
をはっきりとしておかない限り、今後至るところで同じような問題が出てくる、こう思うのです。従って、この
機会
に、私は、まず学者としての
先生
から、
行政機構
の
あり方
、こういうものについて、
行政法
上の
立場
からどうあるべきが正しいか、こういうことをお伺いしたいのでございます。
杉村章三郎
6
○
杉村参考人
私は、
行政機構
の
あり方
、これは
行政法
の問題というよりは、むしろ
行政学
といいますか、そういういわゆる事実の
学問
といいますか、あるいは
政策
の
学問
といいますか、そういうふうな領域かとも思うのでありますが、ただ、むろん御説のように、
総理府
における
総合調整機関
というものは、つまり、
各省
全体、
国家
全体の
立場
から、ある
行政
といいますか、あるいは、ある
事業
の
推進
といいますか、あるいは、むしろ
企画立案
というふうなものをつかさどることが本来の姿だろう、そうして
各省
々々のそれぞれの
専門分野
におきましては、それぞれの一個の
分野
における
企画
もしようし、あるいは
立案
もしょう、そういう必要がまたあろうと思います。そうして、また、それはそれぞれ
各省
の、悪い
言葉
でいえばセクショナリズムでありますが、そういうものの
所管
、しかも、それが今日におきましては、
先ほど
いろいろ御説のように
水資源
にしましても、
通産
、
農林
あるいは
建設
というような、二以上の官省の
所管
にどうしてもまたがるということが非常に多くなっておると思います。そういう場合には、通常の
やり方
としましては、
各省全般
にわたるようなものでない限りにおきましては、いわゆる
共管事務
ということになる。そうして、
相互
の
連絡
、協議というふうなことで問題が解決されるというのが従来の
組織法
の
考え方
であろうと思います。しかし、
各省
それぞれ
二つ
なり
三つ
なり
でなく、もっと広い視野において問題が取り上げられる、こういうような場合におきましての
企画
なり
総合調整
、これは
科学技術庁
というふうなもの、あるいは
経済企画庁
というふうなもの、そういう全体的な
立場
において見る
官庁
がこれをつかさどるというのが適当ではないかというように
考え
るわけでありまして、その点は、私そういう
考え
でおるのであります。
田中武夫
7
○
田中
(武)
委員
今、
先生
の言われた全体的な
立場
に立ってものを見る、これがいわゆる
総合調整
の
担当官庁
の
あり方
である、こういうように理解いたしますと、その
観点
からこの新
技術開発事業団
を見た場合、これは
技術研究
といった全体的な
立場
から一歩進めまして、
企業的規模
において
企業化
するということです。これはすでに
企業
に入る前提なんです。そういうような場合にはいかがなものでございましょうか。
杉村章三郎
8
○
杉村参考人
私は、その点、
技術
的なことは一向知らないのでございますけれども、そこに
個々
の
監督行政
という
個々
の
専門分野
においてそれぞれの
監督
をするという以前に、はたして
企業化
できるかどうかというような、つまり、
個々
のものにつきましていずれ
研究
されるわけでありますけれども、そこの
段階
において
技術庁
が
総合
的な見地からこれを取り上げるというふうなこともあり得るのではないか、要するに、問題は、そのバックにある
研究機関
にあるのではないかということも
考え
られるわけであります。だから、
科学技術庁
の背後といいますか、あるいは附属的な
研究機関
において、はたしてその
企業化
というふうなことができるかどうか、それからまた、
委託研究
というようなことが
科学技術庁
としてはたしてできるかどうか、こういう問題がむろんあると思うのであります。そういう点からも、
個々
の場合においては判断しなければならぬと思うのでありますが、一応そういう
推進
というような面からしまして、
科学技術庁
で取り扱うということが、別に違法というような、あるいは不当という問題まで
考え
られないのではないかというのが私の
考え方
でございます。
田中武夫
9
○
田中
(武)
委員
私は、違法とか不当とかいうもう
一つ
前に、
行政事務
をいかに
交通整理
するかという問題にかかっておると思うのです。それがいわゆる
科学技術庁
とか
経済企画庁
の
総合調整行政機関
の
あり方
の問題だ、それを
総合
的な
行政法
の
立場
から
先生
にお伺いしたい、こういうことで来ていただいたわけでございまして、違法とか何とかいう具体的な
解釈論
にわたりましては、後に申し上げたいと思います。その前に、私は、
立法論
といいますか、
政策論
といいますか、
行政機構
の
あり方
、こういう問題で、まず
先生
にお伺いしておるわけです。今の
先生
の御
意見
を聞いておりますと、それでは、
各省
の
技術行政
と
科学技術庁
の
技術行政
との
接点
をどこに求めたらよろしいですか。
杉村章三郎
10
○
杉村参考人
これはやはり
各省
それぞれの
専門分野
といいますかが、おのずから
設置法
に
範囲
がきまっておるわけであります。それは
先ほど
申しましたように、二以上の
所管
といいましても、単に
二つ
とか
三つ
とかいうことでなくして、もっと広い
分野
の場合におきましては、それは
科学技術庁関係
にする方が適当であろう、
政策
的にも、
立法
政策
的にも適当だ、
個々
の、むろん
通産省
なら
通産省関係
ということにしぼらなければならぬ、しぼるということが適当であろうと思いますが、しかし、
一つ
ではなくして、二
なり
三
なり
というような、いわゆる
共管事務
として適切であろう、そういう場合には、やはり
各省
の
権限
とするということになろうかと思います。要するに、
先ほど
申しましたように、全体的な
立場
の問題と
各省別
の
行政機構
の問題、
行政事務
の配分の問題、そのかね合いの問題と思います。その点はいいのでありますけれども、
先ほど
御指摘の
企業化
という問題に
なり
ますと、今度は
実施官庁
と
企画官庁
の
区別
、こういうことに
なり
ますと、その
接点
というのは非常にむずかしいのじゃないかというふうに
考え
るのであります。ただ、
原子力
は、
先ほど
古いことであるといいましても、これは
一つ
の新しい事実でありまして、
原子力
の場合におきましても、これを
企業化
するという場合は、いわゆる
監督
の
段階
におきましては、本来
各省
に属せしめるべきものであろうと思いますけれども、それを、現在
科学技術庁
がやっておる。これは
原子力行政
を一本にするということが
一つ
の
政策
であろうと思います。そういうふうな
政策
的な
観点
から、この
事業団
の場合も、おそらく
考え
られておるのじゃないかというふうに
考え
ておるのでありますけれども、私は内部のことには通じておりませんので、はっきりしたお答えはできません。
田中武夫
11
○
田中
(武)
委員
私が
先生
に来ていただいた第一の
理由
といいますか、
先生
にお伺いしたい点は、今言ったように、具体的な過去のいきさつとか、各
質問
の過去の経歴とか、なわ
張り争い
ということは全然別にして、純法学的といいますか、
行政法
的な、
行政学
的な
立場
から、そういう
企画官庁
と
実施官庁
の
あり方
をいかにすべきか、こういう点をはっきりと
先生
から伺いたい、こういう点だったのであります。と申しますのは、
先ほど
来言っているように、私は、この
法案
でたまたま問題を投げかけておりますが、そうでなく、あらゆる面において出て参るわけであります。そとではっきりしたものをとらえ、それによって
交通整理
をしていく必要がある。そうでなければ、今後こういった
所管争い
とか、両省にまたがるいろいろなものが出てくると思う。そういうものはどういうふうにしたらいいのか、実はわれわれも悩んでいるわけであります。それで
先生
に来ていただいたわけであります。
先生
のお話を聞いておりますと、二省以上にまたがるものであって、
総合的立場
から
企画立案
するものが、すなわち
総合調整担当所管
である、こういうように理解するのですが、それでよろしゅうございますか。
杉村章三郎
12
○
杉村参考人
私は、
二つ
の
やり方
があると思うのです。
一つ
は、つまり
共管事務
、従来
共管事務
として行なっておってその効率を上げているものがあります。これは純粋に
組織
の方から申しますと、
一つ
の省の
所管
ではないのでありますから、そこに両省協議していろいろ
行政事務
を処理しなければならぬという面があると思います。そういういわゆる狭い
共管事務
のほかに、もっと広い
範囲
の
共管事務
といいますか、
総合
的な
事務
というものが相当あると思います。これにつきまして、
総合調整機関
が、つまり
各省
の
分担事務
に至らないまでの間の
調整
をする必要があると思う。こういうふうに私は
考え
ております。
田中武夫
13
○
田中
(武)
委員
いわゆる
広義
の
共管事務
であって、
各省
の
担当
に入るまでのものを
科学技術庁
のような
総合調整所管
とすべきである、こういうことですね。
杉村章三郎
14
○
杉村参考人
そうです。
田中武夫
15
○
田中
(武)
委員
そうしますと、そういう
立場
から現在の
科学技術庁
の
設置法
、あるいは
経済企画庁
の
設置法
を見ていただきまして、どうでしょう、そういう
立場
からこれを変える必要はないでございましょうか。
先生
がおっしゃいましたように、
科学技術庁
ができました当時の模様からいえば、
航空技術
の
開発
の問題とか
原子力
、
原子力
は新しい問題であって、どこの
所管
でもなかったということで、
原子力
に対しては
実施
まで入っていると思う。その他の問題については、今おっしゃったような
観点
に立っている、こう思うのです。そういたしますと、この
設置法
との
関係
は、そういう面から見てどうでしょうか。私は、新
技術開発事業団
を
所管
する以上は、これは何省だとは言わないが、
科学技術庁設置法
では疑問がある。もちろん、第
三条
の、
先生
の言われた
総合
的に
推進
するという中に含まれておるのではないか、こういう
解釈
も出て参ろうと思います。しかし、これは
調整事務
だということに狭く解することもできますし、あるいは、
総合
という中に、
事業所智者
の
分野
にまで入り得るのかという
解釈
も出てこようかと思うのです。少なくとも、
三条
の
任務
からは、もちろんそういう
解釈論
が出て参るとしても、疑義がある。これはただ
解釈論
の上における
論争
にすぎないと思うのです。入るといい、あるいは入らないといっても、これは
論争
になるだけだと思う。これは
解釈論
になるだけだと思う。
先生
はそういうように
広義
に解せられたわけですが、これは必ずしも
社会通念
からいって、
広義
が正しいかどうか、まだ疑問を持っております。そこで、そういう疑問のないような
開発
という
言葉
が、
原子力
以外に出てくれば、私はいいと思うのです。そういう建前から、疑問を残したまま
法案
を通す以前に、
科学技術庁設置法
の
改正
を必要としないか、こういうように
考え
ておるのですが、
先生
の御所見はいかがでしょうか。
杉村章三郎
16
○
杉村参考人
私は、むしろ
解釈論
の方で、ここに
原子力
と相対して
開発
及び
利用
というふうなことが含まれておる。これは
一つ
の
形式的解釈
でありますけれども、そういう問題も起こり得るという面から、これをはっきり表わすということにすれば、むろん明らかになる。その点、御疑問のある点は明らかになると思いますが、現在のままにおきましても、
先ほど
申しましたような意味合いからしまして、その
解釈
も成り立ち得るのではないか、こういうふうに
考え
ております。
田中武夫
17
○
田中
(武)
委員
そこで、この
三条
の
解釈いかん
ということになるのですが、私は、
広義
に解するのをいけないとは言いません。しかし、
狭義
に、私のように言うのも、私は間違っているとは
考え
ていないのです。これはあえて
行政法
の大家の
先生
と口論をするわけではありませんが、私は
狭義
の
解釈
も出てくると思うのです。そうならば、お互いに
解釈論
の上における
論争
にすぎないと思うのです。そこで一歩進めて、
立法論
にまで上りまして、これを疑問のないようにやるべきではないか、こういうように
考え
るわけですが、いかがでございましょうか。
杉村章三郎
18
○
杉村参考人
御
質問
はごもっともであると思います。私は、そこまで
考え
ませんけれども、むろん、
改正
を
開発
というところまで含めるようになされば、もっとはっきりするということは確かであります。
田中武夫
19
○
田中
(武)
委員
私の疑問の
一つ
につきましては、
杉村先生
から伺いましたから、この点は
あと
へ譲ります。 それから、これには直接
関係
がないのですが、
先生
が当初言われました
総理府
の管轄の中で、
公正取引委員会
につきまして、
先生
は、やはり
各省
にまたがる
事務
、こういう中に入れられたのですが、私は、
公正取引委員会
は性格が全然違う、いわゆる準司法的な
行政委員会
である、そういうことで、今
先生
が
三つ
に分けられました中ではなく、特別な
立場
として一応
総理府
という中にあるが、
権限
は
独立
しておる、こういうふうに
考え
ておるわけなんですが……。
杉村章三郎
20
○
杉村参考人
それは御説の通りだと思います。ただ、本来からいえば、
公正取引委員会
は
商工関係
の事案だろうと思いますので、
通産省関係
の
権限
に属するものであろうと思うのですけれども、しかし、必ずしもそうもいえない。独禁法の施行に伴う
事務
でありますから、まあ、おそらくそういうことだろう。あるいは
通産省
へ属せしめるようなものがあったと思いますが……。
田中武夫
21
○
田中
(武)
委員
全然
内閣
とも
独立
した
機関
であると僕は言っておる。
独立
の
行政委員会
である。
杉村章三郎
22
○
杉村参考人
それはそうですけれども、
行政委員会
でもどこかに属しています。だから、
総理府
の
外局
となっておるということですね。
外局
ですから、
通産省
からもむろん離れておりますし、これは一種の
裁判機関
です。
田中武夫
23
○
田中
(武)
委員
準
司法機関
です。
杉村章三郎
24
○
杉村参考人
そういうことです。私、入れましたのは、特別にそう大きな強い意味があるわけではありません。
田中武夫
25
○
田中
(武)
委員
わかりました。ほかの
官庁
と並べて、そういう
理由
で
総理府
にある、こうおっしゃったので、
独立
した準
司法機関
である、こういうことを申し上げたわけでございます。これは本題とは離れますので、ちょっと申し上げたのであります。 そこで、私から
杉村先生
にお伺いする点はお伺いいたしました。ほかに各
委員
の御
質問
があるだろうと思いますので、私はこれでやめますが、
委員長
に申し上げたい点は、お聞きの通り、
杉村先生
も違法ではない、不当ではない、しかし、すっきりするためには、
科学技術庁設置法
を
改正
する方がいいのじゃないかというような御
意見
も出たようです。これは
行政学
の大家の御
意見
でありますので、私は、けんけん服膺していきたい。従って、私、
あと
でもう一度総理に御
意見
を伺っておきたい、こう
考え
ておりますから、御善処願います。
山口好一
26
○
山口委員長
ほかに御
質疑
ございますか。——ほかに御
質疑
もないようですから、
杉村参考人
からの
意見
聴取はこの程度にとどめます。
杉村参考人
に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は長時間にわたり、しかも、貴重なる御
意見
の開陳をいただきまして、まことにありがとうございました。本
委員会
を代表して私から厚くお礼申し上げます。 ————◇—————
山口好一
27
○
山口委員長
この際、
参考人出頭要求
の件についてお諮りいたします。 すなわち、コールダーホール改良型原子炉の安全性に関する問題について、
原子力
発電株式会社副社長一本松たまき君を
参考人
と決定し、
意見
を聴取いたしたいと存じますが、これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山口好一
28
○
山口委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、
参考人
は明日来ていただくことにいたしたいと存じますが、所要の手続につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じます。これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山口好一
29
○
山口委員長
御
異議
なしと認め、さよう決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午前十一時九分散会