○岡
委員 実は、ここで特に具体的な事例について
科学技術庁としての態度をお聞きしたいと思っておったのですが、ポリプロピレンの問題です。ポリプロピレンについては、昨年の暮れ近くに三菱化成、住友化学、三井化学がイタリアのモンティカティニとの間に
技術提携をいたしました。そのほか新日本窒素がアメリカのアビサンと
技術提携をしたように聞いておる。ところが、モンティカティニとしては、ポリプロピレンについては、アビサンとの間に、アピサンが特許権の侵害ではないかということで問題を起こしておるというふうに聞いておる。ところが、この事例でも頭金が約十億、これも伝えられるところによれば、日本の各社がモンティカティニ参りをやったために、いわば足元を見られて、法外に高い頭金を支払うことになったというふうにも聞いておる。しかもロイアリティは十五カ年間に六%。特にこれはお聞きしたいと思うのだが、輸出市場についてもおそらく制限を受けておると私は思う。そういうものが、とにかく
技術導入ができて、きのうあたりの新聞を見ると、ポリプロピレンの生産について化繊各社が非常な競合をやっておる。そこで化繊は供給過多というか、過剰生産の傾向本あるからこれを押えようということで、来年の秋おそくに工場が稼働できるというようないろいろな条件で、
通産省の化繊の部会の方では、三井と住友と三菱と新日本窒素だけを一応認めようではないか、
あとは、その条件が満たされるところがあれば追加していくんだという方針のようであります。ところがこのポリプロピレンについては、日本の民間の
企業の中で九分
通りまで製造をし得る
研究ができておったということを私は聞いておる。そうしてみれば、何のためにミラノ参りをしなければならぬのか。いわばそういう情勢を特に見きわめて、そうしてロイヤリティや法外な頭金を支払わないでも、日本の民間
企業の
研究室でも、もう九分までできておるかどうか、できておるなら、これを育てるという方向にいくのが国産
技術の確立の方向であり、日本の
科学技術振興の方針である。そういう方針が、またこの
事業団となって生まれておると思う。ところが、全然野放しになっている。だから、そろそろ規制をしなければならないとすれば、具体的にどう規制するか。たとえば、外国の
技術が、情報としてこういう
技術があるということが伝えられた場合、甘木の民間
企業の
研究の中で、こういう同じ方向に向かっての
技術研究があるのかないのか、あればどこまできておるか、こういう実態を把握しないと、外国の特許によって全部さらわれてしまう。こういう点について、
科学技術庁としては、もっと具体的な国家対策があっていいのじゃないか。ただそろそろ規制をしなければならないというだけでは、やはりポリプロピレンの例が、第二、第三のポリプロピレンとなって僕は出てくると思う。しかも、こういう
技術導入とともに、大きな資本の要るプラントの輸入がまた伴われてくるということが起こる。そうして、今問題となっておる設備過剰というような、投資の過剰というような問題が
技術導入で拍車されてくる。だから、私は、
技術導入というものをコントロールするということは、そういう
意味からいえば、日本の国産
技術の確立とともに、やはり日本の経済の安定した繁栄のためにも、今度は大きな
立場から非常に重要な要素になると思う。私は、こういう点について、もう少し
科学技術庁が中心となって、国内においても、ある程度まできておるならばこれを育ててやる、そして、日本の大メーカーも、この
技術導入の競合というものを押えて、これを育ててやる、こういうような方針を政策として具体化すべきじゃないかと私は思うのです。こういう点について御
意見を伺いたいと思います。