○
島村政府委員 原子力委員会におきまして先般
長期計画の
改定を行ないましたが、その
理由等から申しまして、ただいまお尋ねのございました前提となります問題、つまり、
原子力開発の態度についての考え方の問題につきましては、大体おっしゃる
通りであろうと思います。ただ、
原子力ムードがさめまして、今まで追っかけるのに急で、実用の
方面ばかりやっておったのを、
基礎の方からやり直すことにした——と申しますと多少語弊かあろうかという気がいたしますが、御承知の
通り、
原子力委員会自体におきましても、決して
応用方面に追っかけることに急である、そっちの方が大事だということで動いておるわけではございませんで、
基礎から始めまして
応用に至るという、両建と申しますか、一体とした形においてこれを進めていきたい、こういうつもりでやっておったわけでございます。たまたま
原子力委員会の
長期計画にも述べられておりますように、世界の
エネルギー事情がだいぶ変わって参りました。と申しますのは、石油が非常に多くなっている、あるいは
原子力自体におきましても、
技術的な困難性というものが再認識されてきたといういろいろな
事情がございまして、
原子力の実用化という問題が世界的にやや延びるという結果になって参りました。
日本のこれに対する考え方と申しますものは、
外国に追いつくということが一つの大きな命題でございましたので、結局、その間に余裕ができたということじゃないか。従いまして、今までより以上に
基礎的な問題につきましても
研究を進めていく時間的な余裕ができたというところから、先生がおっしゃいますように、
基礎的な
研究関係にも今後大いに力を入れていくことができる、こういうふうに考えておるわけでございます。前提の問題は、そういうわけで、やや補足させていただいたわけでございます。
研究施設が全般におくれておるのじゃないか、
基礎的な
研究を行なう
施設がおくれておるのじゃないかというお尋ねにつきましては、私どもも、当初計画いたしました
通りにはなかなか進んでおらないという
事情を認めざるを得ないわけであります。これは事実でございます。御指摘のように、第二
号炉も非常におくれておりまして、昨年ようやく臨界に達し、その後まだ予備実験的な
運転を行なっておるという
状況でございます。また、これは直接
原子力委員会の問題あるいは
科学技術庁の問題ではございませんけれども、大学におきますところの
研究炉の第一号でありました
関西の
原子炉も、御承知のような
事情で非常におくれておる、これは認めざるを得ないところであります。しかしながら、全般といたしましては、おくれながらも着々計画の
通りに動いておりまして、私どもが一番待望いたしておりますところの国産一
号炉も、どんどん作業が
進展しておりまして、近く据付も完了できるというような
状況にあります。
さらに、今後そのような
基礎的
研究のための
研究炉等をふやしていくつもりはないかというお尋ねでございます。これは
長期計画にも述べられておりましたように、当初考えられておりました実験用の
原子炉と申しますものは、国といたしましては、原研に原則として集中する
方針のもとに、一
号炉、二
号炉、三
号炉——三
号炉は国産一
号炉になるわけであります。それから
動力試験炉という構想、それに時期がやや不明確になっておりましたけれども、材料試験炉を作りたいという計画を持っておりました。先般発表された
改定された
長期計画によりますと、三十六年度、つまり、ただいま
国会で御
審議願っておりますところの
予算案におきましても予算が計上せられておりますが、そのほかに、スイミング・プール型の
原子炉を、やはり
原子力研究所に
設置するということをつけ加えたわけでございます。なお、材料試験炉につきましても、
長期計画は、時期その他詳細につきましては、まだできておりませんけれども、やはり適当な時期にこれを置くことを計画いたしております。
さらに、いわゆる厳密な意味で
原子炉という範疇には入りませんけれども、
臨界実験装置、つまり、核分裂反応が始まるという程度までの装置、これは実質的には
原子炉とほとんど変わらない、むしろ非常に小型なものよりは、いわゆる実験用、
研究用といたしましては、決してその
安全性の面でも軽視できないような炉につきましては、現在までも、
原子力研究所においてそれぞれ小
規模に
実施いたしておりますけれども、今後、たびたび問題になっております半均質の
研究等も進みますにつれまして、これらにつきましても、さらに
研究の
進展に応じまして試作をやっていくというような問題も出て参ろうかと思うのであります。
国の
関係いたします
原子炉等につきましては、大体そういうような
状況でございますが、なお、それ以外に、国立の大学
関係につきましては、
関西の
原子炉以外にも、いわゆる
臨界実験装置あるいは
原子炉というような形で要望があることも承知いたしておりまして、逐次具体化していくものと考えております。
なお、国以外の問題でございますが、これらにつきましても、すでに御承知の
通り、私立の大学でございますとか、あるいは各
民間におきます
企業等におきまして実験装置等を持つ傾向が出て参っております。これらも、次々に続出するというふうにも考えておりませんけれども、そのものが適当でございますれば、国といたしましてもこれをとめて参るということは考えておりません。適当なものでございます限り、そういった傾向は今後も出て参るというふうに考えておるわけでございます。
大体お尋ねの点につきましてお答え申し上げた次第でございます。