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1961-03-30 第38回国会 衆議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月三十日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 有田 喜一君 理事 生田 宏一君    理事 尾関 義一君 理事 川野 芳滿君    理事 高橋清一郎君 理事 久保 三郎君    理事 山口丈太郎君       伊藤 郷一君    河本 敏夫君       佐々木義武君    壽原 正一君       鈴木 仙八君    關谷 勝利君       高橋 英吉君    細田 吉藏君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       肥田 次郎君    矢尾喜三郎君       安平 鹿一君    田中幾三郎君  出席政府委員         運輸政務次官  福家 俊一君         運輸事務官         (大臣官房長) 辻  章男君         運輸事務官         (海運局長)  朝田 靜夫君         運 輸 技 官         (船舶局長)  水品 政雄君         運輸事務官         (船員局長)  吉野市太郎君         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君  委員外出席者         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 三月三十日  委員内海清辞任につき、その補欠として田中  幾三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田中幾三郎辞任につき、その補欠として  内海清君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十九日  海上保安官に協力援助した者等災害給付に関  する法律の一部を改正する法律案關谷勝利君  外六名提出衆法第一七号) 同日  航海訓練所練習船大成丸沈没による遭難者の補  償に関する請願辻寛一紹介)(第一八二〇  号)  国鉄運賃値上げ反対に関する請願外三百一件(  高津正道紹介)(第一八三一号)  同(坪野米男紹介)(第一八三二号)  同外三百十六件(吉村吉雄紹介)(第一八三  三号)  同外七十六件(久保三郎紹介)(第一八六八  号)  同外二百五十二件(淡谷悠藏紹介)(第一八  六九号)  同外六十七件(坪野米男紹介)(第一九七七  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  港湾法の一部を改正する法律案内閣提出第八  八号)  国内旅客船公団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第第六三号)      ――――◇―――――
  2. 有田喜一

    有田委員長代理 これより会議を開きます。  国内旅客船公団法の一部を改正する法律案及び港湾法の一部を改正する法律案一括議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。山口丈太郎君。
  3. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 ただいま議題となりました国内旅客船公団法の一部を改正する法律案並びに港湾法の一部を改正する法律案の両案について、若干の質問をいたしたいと思います。  まず第一に、国内旅客船公団法の一部を改正する法律案についてそれぞれ関係当局からお答えを願いたいと思います。  私のまず質問いたしたいと思いますことは、これまでの質問においても明らかになったわけでありますけれども、当初の予定されておりました国内戦標船解撤総予トン数によりまして法案が提出され、予算提出されてみますと、当初の計画とは大幅に解撤トン数が減っておるわけでありますが、そうなりますと当初の計画は非常に長期にわたる計画変更をしなければならぬと思うのであります。一方解撤船状況を御報告になりましたが、それによりますと、この非採算、非能率的な戦標船解撤につきましては、これは緊急を要する、しかもその検査を厳重にして、危険船とも称せられる戦標船解撤を一日も早く完成しなければならない至上命令がある、こういうように報告をされ、私どももそれを痛感いたしておるわけでありますが、本年度予定されました予算に伴う解撤船建造を推し進めていきますためには、ほぼ何年くらいの計画をもってこの解撤船解撤を完了せられるか、またこの解撤船を全部完了いたしますためには、その予算計画が必要であると思いますが、本年度のこの状況から見ますると、どうしても当初の計画変更せざるを得ないのでありますが、その計画変更の目標について一つお答えを願っておきたいと思います。
  4. 朝田靜夫

    朝田政府委員 ただいまの戦時標準船代替計画でございますが、私どもが昨年八月に、たびたび申し上げることでございますけれども戦標船船主に対してアンケートを出しまして実態調査をいたしましたところによりますと、全体のトン数は御承知通り戦標船は七十万トンございます。そのうちで約六万トンというものが昨年末に実施いたしました十六次計画造船でつぶすことに決定をいたしております。従いまして、同様十七次以降の計画造船にリンクさせて解撤予定いたしておりますものが十六万トンございますので、計画造船にリンクされてつぶされるべきものが合計二十二万トンでございます。従いまして残りは四十八万トンになるわけでございますが、このうち、先ほど申し上げました昨年八月に私ども調査をいたしましたところによりますと、継続使用希望いたしております船主が二十八万トンございます。従いまして四十八万トンから二十八万トンを引きますと二十万トン残るわけでございます。その二十万トンに対して私ども措置を講じなければならないのでございますが、今申し上げますように、昨年の八月に調査をいたしましたので、その後の調査を至急やりつつあるのでございますけれども、こういった船主意向というものは、スクラップ・アンド・ビルドの政策にも関連して船主は腹をきめるというような問題も起こって参りますので、至急調査をいたしますが、一応昨年八月調査をいたしましたものに基づきまして、私ども対策を講じておるわけでございます。そこでただいま申し上げました二十万トンが、私ども措置をしなければならない戦時標準船の対象になる。そこで三十六年度におきましては、ただいま御指摘通り開銀七億円、公団八億円、こういうことで参りますと、おおむね約四万トンをつぶしまして三万トン建造をするという見通しでございます。従いまして三十六年度におきまして四万トン解撤をいたしますので、残りの十六万トンを三十七年度と三十八年度において解撤をしていかなければならないということになりますが、三十六年度開銀及び公団予定をいたしておりますような財政資金では、そういう程度で参りますと非常に長期にわたる。従いまして三年間の計画では、三十七年度、三十八年度財政資金を大幅に増ワクをいたしませんと、予定通り解撤計画が完遂できない、こういうことでございます。   〔有田委員長代理退席委員長着   席〕
  5. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 ただいまの御答弁によりますと、当初は、承りましたのは、これを大体二年の期間くらいで完成したい、こういう非常な意気込みでありましたし、私どももこの戦標船解撤問題は、単に非採算、非能率という点からだけではなくて、いわゆる海難防止という重大使命を帯びておるものとしてその解撤には賛同をしておるわけでありますが、今の御答弁によりますと、当初の計画は少なくとも倍以上の年月になる、さらに多額の資金を集めなければできないというようなお答えでありますが、その資金についてめどを立てておられるのかどうか、一つ伺いたい。
  6. 朝田靜夫

    朝田政府委員 私どものただいまの三十六年度計画を実施します際に実施細目相当きめて参りませんと、三十七年度、三十八年度を通ずる実施方針というものも共通でありますから、そういう実施細目方針をきめませんとならないわけでございますが、ただいま申し上げましたように、おおむね四万トンを解撤いたしまして三万トンを建造するということでございますので、四万トンつぶしますとあと十六万トン残るわけでありますから、三十七年度、三十八年度年度にわたりましてこれを平均いたしますと、八万トンということになるわけでございますので、ただいまの予定されております三十六年度のほぼ倍に近い金額が必要であるというふうに考えておるわけでございます。
  7. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 その金額が非常に多くなる、ところがそれに対してやはり資金面からこれを確保し得る見通しがなければこの計画というものは実行できないわけでありますが、私はその資金計画というものが立っているのかどうか、この点お尋ねいたしておるわけであります。  それからもう一点は、四万トンを解撤して三万トンを建造する、そうすると残りの一万トンというものはそこにトン数減少してくるわけでありますから、従って船は少なくなるという結果になるのであります。この四万トンを解撤してそれをもとの四万トンに復元いたしますためには、全然新しい、解撤対象としての見返りの三万トンに対して新造一万トンというものを予定しなければならぬ、こう思っておるのですが、この予定はあるのですか、どうですか。
  8. 朝田靜夫

    朝田政府委員 御質問の最初の第一点でございますが、資金計画めどが立っておるかというお尋ねでございます。私どもは、ただいま申し上げましたように、十六万トンに見合う計画を三十七年度、三十八年度において遂行しなければなりませんので、それだけの財政資金は必要であるという程度でございまして、毎年度資金の問題につきましては、各年度に応じた財政の検討、その他予算等関係もございますので、その当該年度において決定するよりほかに方法がないのでございますが、できるだけ私どもの十六万トンの解撤の両年度にわたる計画を実行いたしますために財政資金の増額に努力をしたい、こういうことでございます。  第二点の、建造計画解撤計画との間においては、ことし通りやれば一万トン減少するではないか、こういう御質問でございますが、これについて所得倍増計画等におきます国内輸送伸びに対応いたしまして、戦標船以外の自己建造、その他北海道東北開発公庫等融資によりますもの、そういったものを合わせて今後の経済成長伸びに対応してできて参る船もございますので、全体の国内におきます海上輸送の面におきましては、従来の実績から考えてほぼ達成できる、こういうふうに考えておるのでございます。
  9. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私のお尋ねしているのは、四分の三の建造であって、四分の一というものは船腹減少ということになってくるわけですが、どう考えてみても、前の御答弁では、たしか今度これによって解撤をし得る代替船についてはトン数もさらに一隻のトン数を大きくしていく、いわゆる大型化していくということを承ったと思うのであります。そうなりますと、これは一ぱい船主等が多いわけでありまするから、従って解撤はして船はつぶすが、その代船がもらえないような船主もできてくるんじゃないか。そうすると言いかえると、業界では四分の一を整理統合しなければならないというようなことになると私は思うんですが、そうなればそういう業界の再編成も伴わなくてはならないことになると思います。これをどういう工合に調整しようとしておられるのですか。
  10. 朝田靜夫

    朝田政府委員 一応ただいま申し上げますような、四万トンつぶして三万トン建造するということで、新造解撤の間に差が出てきて、船腹減少するということになりますので、ただいま御指摘通り国内中小船主統合といったようなことも、自然行なわれざるを得ないじゃないかということでございますが、私ども政府意向で、ある程度強権的にそういう方向へ持って参りますことは、いろいろ弊害もございますので、そういうことはしたくないというふうに考えておるのでございますけれども大型化近代化に対応して、船主みずからの意思企業の整理なり統合なりをやるということについては、まことに好ましい傾向であるというふうに考えておるのでございます。この点につきましては、企業みずからの意思でそういう方向をたどられることはむしろ歓迎すべきであるということで、私どもは、強圧的にそういうことにしなければならぬという考えは持っておらないのでございます。
  11. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私の心配をいたしますのは、ただいまお答えになりました政府強制もしくはそれに類似するような行為で行政的にやるのではなくて、自主統合を促進していきたいという御希望のようでありますが、しかしこれは一方においては、先ほど申しますように非能率、非採算的な船というだけではなくて、これを運航していることは、いわゆる人命財産にも及ぶ危険船をそのままにしておくことになる。検査に通らない危険船をそのままにしておくわけにはいかないので、従ってこの解撤船問題というものが生じてきたと思うのです。そうなりますと、これは強制を伴わなくとも、一ぱいしか持っていない船主がその危険船を命令的に解体をさせられるということになって参りますから、従って勢いこの四分の一の船腹減少というものは、とりもなおさず船はとられてつぶされた、そうして船を持たない名目船主というものが現われてくる、こういうことに私はなると思うのです。それを野放しにしておくということは、業者にとっても死活の問題でありますし、それのみならず、船員関係におきましても容易ならぬ失業状態を現出してくるわけでありますから、事はきわめて重大だと思うのですが、それについて何らの計画もなしにやられるというのでは、私はどうも納得ができない。従ってその具体的な計画をどういう工合に立て、また強制的に指導することができないにいたしましても、少なくとも業界に対してそれに対応し得る行政措置はとられてしかるべきだと私は思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  12. 朝田靜夫

    朝田政府委員 まことにごもっともなお話でありますが、一ぱい船主が船を作れないということではなしに、解撤比率に応じまして小さくはなりますけれども、一隻の新造は可能なのでございます。また私ども非常に実情に合うように考えて参ります場合に、一隻の場合は一・五トンつぶして一トンの新造を認めていきたい。それから二隻同時につぶします場合にはその合計トン数で、言葉をかえて申し上げますと、一トン対一トンというような形でその処理をすることが現在の戦標船主実情に最も合った、また財政資金を効率的に使う上から、共有方式をとります上から、いろいろな面から考えてそれがいいのではないかとただいまは考えているのでございますが、ただいま御指摘のようなこともございますので、実施細目についてはなお十分各方面の意見を承りまして最終的にきめたいと思っているのでございます。
  13. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今の御答弁で大体了承いたしますが、確認をしておきたい。一ぱい船主に対してはその代替船は作るのだ、そうして解撤自己資金調達等が困難な場合には、その方式に従って減トンをしても必ず一隻は代替船を与えるのだ、こういう原則だと答弁の中から承るわけでありますが、確認意味において、それに間違いがないかどうか。
  14. 朝田靜夫

    朝田政府委員 全部戦標船主代替船を作れるのだということになりますと、まことにその通りだとは申し上げられないのでございますが、ただいまお話にありましたように、原則としてそういうことにするのだということについては、私どももそういう方向で参りたい、こういうふうに考えておるのでございます。といいますことは、まことに回りくどいような御答弁で恐縮でございますが、要するにはしにも棒にもかからぬ、使用料公団に対して納められぬことは明らかだというようなものは、それでも一ぱい船主戦標船主であるから作らせるんだ、こういうことでは公団の方も立って参りませんので、そういうものについては、企業みずからの意思統合されるなり何なりの問題が起こってくると思うのであります。要するに端的に申し上げますとはしにも棒にもかからぬというものまで救うことはまことに困難でございますので、原則としてはそういう方向で、できるだけ救済的な意味を加えて実施して参りたい、こういうことでございます。
  15. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 次にお尋ねいたしますのは、今のお話にもありましたが、公団ベースに乗り得ない、また公団ベースに入ることを好まない船主もあろうかと思うのですけれども、しかし代替建造をやる能力はない、こういうような船主もたくさんあるように聞いておるわけです。調査したところによると、そういったような公団ベースに乗り得ないような会社船主等相当にありまして、これに従事しておる船員は約六百名近いともいわれております。これが事実であるといたしますと、今後の海運行政上きわめて重大な結果をもたらすおそれがあると思うのですが、これらに対する対策はどういうことになっておりますか、一つお伺いしたいと思います。
  16. 朝田靜夫

    朝田政府委員 公団ベースに乗り得ないというものがはっきり出ておるかどうか、ただいまお話がございましたが、私どもといたしましては、政府の施策として、公団を通じて共有方式にまで踏み切っておるのでございますから、七割が御承知通り公団持ち分、三割分が船主負担でございますから、その三割の中でも、戦標船解撤によりましてスクラップ代金が入って参りますし、損害保険等からの融資もございましょうから、残りの三割のうちでそういったものを差し引きますと、比較的少ない部分負担で済むわけでございます。そういうものにも乗り得ないというものも確かにあるとは思いますけれども、この点につきましては、いろいろ私どもも非公式に相談を受けております。私どもも、そういった船主の立場を十分考慮いたしまして、できる限りの相談にも乗り、金融機関等に対してもあっせんの労をとりたい、こういうふうに考えておるのでございます。そういったような弱小な企業側の意図によってこういういいアイデアがあるんだというようなこともおっしゃっておられるわけでありますが、そういうことに対して十分実情に合うように相談にも乗って参りたい、非公式な話でありますが、そういう気持で行政を進めて参りたい、こう思っておるわけでございます。
  17. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 この二つの今まで質問しました問題につきましては、一つは、行政指導のよろしきを得ていけば、公団ベースに全然乗り得ないというような船主は解消されていくのではないかというふうにも考えますが、これを極力――そういうベースに乗り得ないような、そして解撤が思うように進行しないようなことでは困りますから、これについては十分の配慮を希望いたすわけであります。また解撤による船腹減少によって、ただ一ぱいの船を生命として運航しているような船主船会社につきましては、極力その減トンを避ける措置を講じてもらうように、行政指導をお願いいたしたいと思います。  次に、これに伴いまして余剰船員が出て参るのでありまして、これにつきましては今までも質問はあったわけでありますけれども、私は総括的に考えまして、この余剰船員の、あるいはまた解撤期間中の下船船員の処遇の問題についてであります。承るところによると、職業の再訓練を行なう、そうして失業を救済していくということを言われておるわけでありますが、しかし予算面から見ますときわめて僅少であって、これは職業の転換やあるいは外国船へ乗船がえをさせるための就業先への宣伝等、そういうようなPRの費用にほとんどとられて、実質的には、その下船船員の再訓練中の生活保障、あるいはまたその訓練そのものに要する費用等予算はほとんど見受けられないような状態にあるのではないかと思いますが、これは船員局ではどういう工合にお考えになっておりますか。
  18. 吉野市太郎

    吉野政府委員 ただいまお尋ね戦標船解撤に伴います下船船員の問題についてでございますが、大体解撤予定されております四十二万トンに対する船員数か約五千名でございまして、これをさらに大量観察いたしますと、年々の新造がございますから、一応大量観察としては、この戦標船全体での下船船員が三千名余りという数字になって参るという工合考えておりますが、ただ年々相当計画造船自己資金船という新造がございますので、今まで年々一万人程度新規労働力の供給が出て参っております。従いまして三千名余りの数が一応計算上出て参りますけれども、これはいわゆる山出し船員、つまり今まで船に乗っておりませんで、一応陸上から直ちに船に乗るというものが相当おるわけでございますが、そういう山出し船員が大部分抑制されるという形になって、三千名が直ちに下船船員ということにはならないのではないかと考えております。いろいろ検討いたしましてその数字を見当つけたいと思っておりますが、とりあえず昭和三十六年度におきます解撤並びにそれの代替建造につきましては、先ほど海運局長から御説明いたしましたように約四万トンをスクラップいたしまして、約三万トンを新造するということになっておりますので、その分だけを考えてみますと、大体三百名見当ではないかという工合考えております。この下船船員とりあえず三十六年度の三百名程度につきましても、代替建造もございますし、そのほかに新しい純増の新造船がございますので、大部分はしかるべくそちらの方へ転向できるのではないかという工合考えておりますけれども、ただ現実の問題といたしましては、新船ができます時期と解撤の時期との間に時間的ズレがございまして、ただいま御指摘のありましたような一時的な摩擦的失業考えられますし、さらにまた下船船員の新しく乗るべき船に対して技術あるいは資格が不足であるという場合もあるかと思います。さらにまたスクラップされる船主代替建造される船主とが違っておるという場合もあろうかと考えられますので、部分的にはそういう一時的失業という問題の発生が十分予測されるわけでございます。これに対します対応策といたしまして、船員職業安定所の機能を強化しさらにまた積極的に求人開拓広域職業紹介という面で一応来年度予算数字を計上していただいておりますが、さらにまた海外に短期移民という形で合理的な範囲で船員を派遣していくということを考えております。ただこの下船船員の再教育につきましては、これは一応われわれの方では海技専門学院並びに海員学校でそれぞれ操機手その他に対する特別講習と申しますか、そういうものを考えております。大体海員学校で半年二百名、海技専門学院で五十名程度の再教育が可能でございます。この点は一応現在までの予算におきましてもその程度の分は学校におきます施設に実際上余裕がございますので、その程度であれば現在の予算規模の中で実行上まかない得る、かように考えておりますので、そういう点につきまして、船主なり船員希望があればこれに応じて再教育に当たらせたい。それによってできるだけ短期間に、しかもスムーズに新しい船に乗れるように指導いたしまして、できるだけ時間的な摩擦的な失業発生を食いとめたい、かように考えておる次第でございます。
  19. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 聞くところによりますと、政府職業安定審議会等いろいろの機関を通してこの説明をされておるようでありまするけれども、実際その衝にあります組合あるいは従業員等の中においても、必ずしもお考えになっているようなことに対して全面的な了解を得るには至っていないように聞いておるわけであります。特に下船船員更生面、再就職面におきましては、政府考え方は非常に甘い考えである。そういうような政府の言明にもかかわらず、なおかつ非常な不安を今日持っておるというのが実情ではないかと思います。私の方にもそういう不安を訴える者が非常に多いのであります。解撤を行なうことは人命に関することでもあり、また国策面から考え解撤を行なおうとし、しかもそれを行政面から解撤するものについては半強制的な行政措置である。これに対してその犠牲となる船員等人的救済面においてはきわめて対策がなおざりにせられていて、まことに遺憾に思われるというような強い批判が続々参っておるのであります。ただ再教育、再就職といいましても、小型船から大型船への乗りかえについては、その船の操船技術その他免許もあることでありますから、免許資格等においても、なかなか一気に解決し得ないむずかしい問題を蔵しておると思うのでございます。しかも先ほど御答弁のありましたように、解撤をいたしますと四分の三までは船腹を回復することはできるが、あとの四分の一は大体切り捨てというようなことにもなりかねない状態にある。そうなりますと現在乗っている船員というのは、解撤いたしましても代替船はだんだん大型化してくるために船員減少する。しかも小型ばかりを扱っていたのであるから、航海技術等においてもなかなか一朝一夕にして習得することができなくなる。不本意ながら下船、失業せざるを得ない状態になる。こうなると船員が持つ不安というものはもっともではないかと思われるのであります。ただいま御答弁のありましたように、なかなか至れり尽くせりの構想ではあるにいたしましても、私はこれはなかなか重大な問題になると思われるのですが、もう少し具体的にその対策をどうされるか、また下船船員更生面についてもどういうお考えを持っておるのか、その進路を一つ明確にしていただきたいと思います。
  20. 吉野市太郎

    吉野政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、まず第一に戦標船に乗っておられます船員諸君の不安というお話がございましたが、この点につきましては私どもといたしましては、三十六年度予算案に計上されております予算なり、先ほど申し上げましたような施策を関係船主なり労働組合の方に常時連絡いたしまして、できるだけスムーズにやれるように両サイドに連絡を現在もとっておりますし、今後もとりつつスムーズに進めて参りたいと考えておる次第でございます。  それからこの対策の内容といたしまして今お尋ねがございましたが、海外に対する短期移民の送出につきましては、名前は失念いたしましたけれども、労働省の方から審議官の方が鉱山労務者の関係で西独の方に参られましたので、その際にこの船員の分も向こうで事情を調査するようにお願いいたしてございます。この点で先方の事情なり条件なりをよく検討いたしまして、合理的な範囲で希望者があれば、短期移民の形で新しい世界で働いていただくということを考えております。  それから国内の安定所関係でございますが、これは海運局支局が単位になりまして船員職業安定のために従来ともやっておるわけでございますけれども、残念ながら従来は旅費、庁費のたぐいが非常に窮屈でございました。今回必ずしも十分ではないかと思いますけれども、一応旅費なり通信費、その他の庁費が計上されましたので、従来の地区ごとの船員需給を考えるのではなくて、広域職業紹介という形で全国各地、直ちに広い範囲で需給のバランスをはかっていくということが可能になるのではないかと考えております。  それから第二の、こういう下船される船員の方たちの福祉関係の施設をどう考えるかという点でございますが、この戦標船下船船員だけを対象にしたわけではございませんけれども、従来から船員ホームなり、そういう船員の厚生施設が各地にございます。ただ残念ながら量も十分でなく、またその質が非常に劣悪でございますので、今後この方面へ大いに力を入れて参りたい。幸い三十六年度予算においては二千五百万円の予算がそういう施設に対する国家補助として認められておりますので、できるだけこれを有効に活用いたしまして、そういう施設の量的、質的拡充を進めて参りたいと考えております。もちろんこれは全船員を対象にしておるものでございますから、特に戦標船下船船員のみの施策とは言えないかと思いますけれども、そういう面で施設が広く拡充されて参りますと、たとえば就職のために郷里から都会地に出てくるというような場合にも、非常に安く宿泊その他ができるということにもなろうかと存じております。  それから実はとりあえず三十六年度は一応四万トン対三万トンということで考えておるわけでございますが、年度に入りましてこの戦標船下船船員の需給の実際をよく検討いたしまして、三十七年度以降にさらに必要とあれば必要な予算を計上していただくように努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  21. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 なるほど海員ホームなど船員の厚生施設が充実されていきつつあることは私も認めるわけであります。しかしこの戦標船解撤という特殊の事情に基づく船員の厚生福祉並びに失業救済のための保障というものは、当初に申しましたように、国策としてもやらなければならない重要な、いわば国家が行政的に強制しなければならない運命に置かれておる船であります。従ってこの解撤を行なう場合には、少なくとも元のトン数に復元をしてやるということが何といっても原則でなくてはならぬ、こういうふうに思うわけです。それからまた、代替船を先に作って解撤していくようにすれば乗り継ぎができるわけでありますから、従って下船というような騒ぎはなくて済む、しかも、たといそれが短期間であるにせよ、失業という事態は起こらなくて済む、こういうように考えるわけですけれども、そういうような処置はできないものかどうか、一つお伺いをしたい。
  22. 吉野市太郎

    吉野政府委員 私どもといたしましては、解撤される量よりもさらに以上の代替建造ができるということを希望いたすわけでありますが、予算の制約もございまして、先ほど海運局から説明のありましたような形で一応三十六年度は進まざるを得ないということになるかと考えますけれども、ただ下船船員と申しましても、最近だいぶ船員の需給逼迫ておるというふうな声も一部にはございます。特に船が小さくなるほどむしろ求職難よりも求人難という問題がちらほら頭を出すような状況でございますので、戦標船解撤されまして下船することになるといたしましても、そこで直ちに失業というわけでなく、今後の船腹拡充に備えて予備員なりそういう形でおそらく使用者側はつないでいくのではなかろうかということも考えられるわけでございます。そういうふうに、失業という形でなくて、できるだけスムーズに新しい船へのシフトができますように当局といたしましても、間接的ではございますが、できるだけそういう方向で進んでもらうように関係の方々に一つ相談し、推進して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 ただいま質問をしました代替船建造方法といいますか、これは今申したように代替船を作ってそして解撤する、そして乗りかえをさす、こういうような方法ではなくて、いわゆる解撤船をつぶしてしまう、そしてそのつぶしたトン数に従って新しい船を作るということになりますと、そこに新造船を作るまでの期間は船員が下船することになり、失業することになる、こういうことにならないようにするためには、私がさっき申したような方法をとることができないかどうか、一つお伺いをしたいと思います。
  24. 朝田靜夫

    朝田政府委員 ただいま船員局長からお答えを申し上げましたように、できるだけ私どもも竣工と同時に解撤いたしまして、スムーズに船員の配乗が転換されますように十分配意してやりたいと思うのでございますが、しかし実際問題といたしまして、そういうことができなかった場合でも予備員というような形で雇用関係は継続されるわけでございますから、しかし時間的にも制約がございますので、そういう点は十分配慮いたしまして実施いたしたい、こう考えるのでございます。
  25. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 その予備員となっておる期間はまあ船主がつないでおるわけでありますけれども、しかし給与の面においては、これは中小企業でありますから、稼働していたときのような給与というものが渡せるかどうかということについては非常な疑問があると思うのです。そうなってくると、やはり船員生活保障という点からは、稼働していないのですから、しかも資力がない船主でありますから、これは勢い船主にばかりそれを負わすということも非常に困難な面が出てくると思うし、また、これは理論は別といたしましても、私は非常にむずかしい問題になると思う。ここで要らぬ摩擦が生じぬとも限らない。私の言いたいのは、その下船した期間中に船員に対して、新造船に乗船するに備えての職業訓練も必要でありまするし、同時に幾分かの生活保障をやはりしてやるという処置をとる必要があると思うのですが、これはどう考えられますか、一つお伺いしたいと思います。
  26. 吉野市太郎

    吉野政府委員 解撤による下船から次の代替建造なり、あるいはそれ以外の一般船の新造船に現実に乗り組むまでの期間が長ければ、これはただいまお話がありましたように、個々の船員にとっては非常にお気の毒なことになるかと考えます。ただ、先ほど申し上げましたように、最近むしろ求人難というふうな傾向が出ておりまして、船主の方でも、何とか自社の船員に上の免状をとらし、上の職員にさせる必要があるということを、非常に痛感されておるようなわけでありまして、下船から乗船までの間に、海技専門学院なり海員学校で、そういう人たちのための再教育の施設を持って一応待っておるわけでございますから、その間に新しい船の技術なり資格なりをとられるようにやっていただければ、スムーズにいくのではないか。全般的に小型船ほど求人難の傾向が非常に強うございますから、場合によっては、従来の船よりも多少小さな船にでも乗るというつもりになられれば、おそらく何カ月も下船を余儀なくされるというようなこともないかと考えます。また全般的に船腹の増加は、今後長期に見まして非常に重要な、緊急な問題でありますから、全般として見ますれば、そう長く下船を余儀なくされているというようなことはないのではなかろうかというふうにも考えられる次第でございます。
  27. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 どうも答弁を聞いておると、一向に積極的にこうしてやろうという答弁がないのは非常に遺憾に思うのです。一方船舶局の方では、この代替船船腹は減らすが、しかしトン数においては従来よりも大型化の傾向へ持っていきたいのだ、こういうお話なんです。そういたしますと、先ほど申すように、これは国の至上命令によって行なう行政措置でありますから、従って、それだけのものを処置するためには、その発案者である政府が、それに見合う責任を持って、行政面から船主並びに船員に対してそれだけの責任ある処置をしてやって初めて万全な行政ということが言えると私は思うのです。ところが一方船主に対しては、国策であるからというので、あるいはまたその他の理由によって解撤強制している。そしてそのあとのつずまりについては、それは君たちの方で処置しろ、こういうのでは、私は労使双方ともに国のために犠牲をしいられて、そして時には、一般船主などは営業もできなくなるというような状態を引き起こしかねない。こういうことでは私は行政とは言い得ないと思うので、これについては、船員大型化していくであろう代替船に乗船する場合においても、誤りなく安全操業ができ得るよう、政府でそれだけの再訓練を施して、そして船に乗せるように処置すべきであるし、そのために弱小船主に対して、船を建造するための資金わずか三割を調達することすら非常に困難を訴える船主が多い現状において、それを調達するのに精一ぱいの努力を払っているその上に、なおかつ大きな負担をかけさせることは、これは実際上できない相談だと私は思う。であるから、当然それを軽減してやるための政府行政措置というか、そのための予算の裏づけというものをなさなければならない行政的義務があると私は考える。その義務をなおざりにしておいて、そして国家行政権のみしいるような行政はどうであろうかと私は思う。運輸大臣はおられませんが、その点については大臣答弁にいたしたいのですけれども、当路の方々としてはどういうように考えられているか、一つ聞いておきたい。
  28. 吉野市太郎

    吉野政府委員 先ほどから申し上げておりますように、全般的な見通しから考えますと、そう大量の船員が深刻な失業に見舞われるということは、現在及び今後の船腹増強の必要から考えまして、そう深刻な問題ではないのではなかろうかという工合考えております。実は、たとえば先ほどの短期移民の問題につきましても、予算面には出ておりませんけれども、かりにその問題が実現されますと、これは外務省所管でございますが、海外移住振興株式会社の方の、こういう船員短期移民のための旅費の貸し出しにつきましても、事前に連絡をとって、スムーズに参るように、外務省とも十分な連絡をとっております。さらにこの戦標船の問題は、三十六年度だけでございませんので、現在三十六年度を中心に考えておりますけれども、これの実際を見まして、三十七年度以降さらに必要とあれば必要な施策なり予算を計上するように努力をいたしたい、かように考えております。
  29. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は、この点については、本年度予算を見ましても、まことに微々たるものであって、これは本来ならば、追加予算または補正予算を要求してでも、万全の処置をしてもらうように要請をしたいと思うのです。一そう各般の努力をしていただくようにお願いをいたします。  それから今言われました短期移民の点でありますけれども、これはいつかの新聞にも報ぜられておりましたが、外国船に今まで日本の船員が雇われていったのは、一体どこどこでありますか。
  30. 吉野市太郎

    吉野政府委員 従来から外国船には年々日本人の船員が乗っております。ただし、これは特に運輸省の方で積極的に指導推進したわけではございませんで、申しますと、自主的に乗られた方々でございますが、過去数年間、大体二百名前後の船員外国船に乗っております。これの船籍を見ますと、大部分やはりリベリアとかパナマとか、便宜置籍船が多いのでありまして、この点、乗り組む船員のための労働基準が適正であるかどうかという点を十分にわれわれといたしましては監督し、目を光らせてやっておるわけでございますが、現在まで、大体年々二百名程度がそういう外国船に乗っておる状況でございます。
  31. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 船員お話によりますると、外国人と混乗して作業をしている場合、日本の船員は、労働時間の点についても、あるいは作業内容の点についても、あるいは、はなはだしきに至っては、食事その他の日常生活の点についても非常な差別を受けていて、もう二度と乗らない、日本の監督官庁としては、いま少しこれらの外国船に乗り組んでおる船員の処遇についてきびしく指導監督をしてもらわなければ、われわれとしては乗船できない、こういうような談話が載っていたことを私記憶しておるのですが、これは、私は国内のこういうような情勢とにらみ合わしてゆゆしい問題だと思うのです。一体、待遇やその他の点についてはこういうことになっておるか、またそれをどのように外国に要請し、指導せられておるか、この状況について詳細御答弁を願いたいと思います。
  32. 吉野市太郎

    吉野政府委員 現在、そういう便宜置籍船に乗っております船員は、詳しい統計はございませんけれども、一応一年の期間で、給料といたしましては、大体月に三百ドルぐらいもらっておるようでございます。ただ従来から乗っておりました外国船配乗につきましては、これはむしろ自発的に個々の船員が乗船せられる点が多いわけでございまして、われわれといたしましては、消極的と申しますか、労働条件が適正であるかどうかという点をチェックするということにとどめておったわけでございますが、今後この点につきましてはよく目を光らして参りたいと考えております。  それから、先ほど申し上げました、今当局の方で考えております短期移民につきましては、これはかりに関係の国の間で話がうまくつくといたしますと、政府間の問題、あるいは政府間でないにいたしましても、何らかの公的機関相互間の問題といたしまして、いろいろな労働条件その他を定めることになろうかと考えておりますので、そういう面で十分条件の適正化は期し得る、かように考えておる次第でございます。
  33. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 これも外国船でありますから非常にむずかしい問題であると思います。しかし、少なくとも日本船員を雇用する外国船主、船舶については、やはりその政府間において船員の労働条件、作業内容、処遇等について何らかの外交的措置を講ずる必要があると考えるわけでありますが、今までそういう措置がとられていないとすれば、今後そういう措置をとるお考えがあるかどうか、一つ聞いておきたいと思います。
  34. 吉野市太郎

    吉野政府委員 今後もし船員の需給の現在及び近い将来を考えてどうしてもかなりの日本人船員を海外に出さなければならないというふうなことになりますと、先ほど申し上げましたように、政府間の話し合い、あるいは政府意向を反映した公的機関同士の話し合いということで給料その他労働条件の適正化に進んで参りたいと考えておりますので、むしろこういうリベリア、パナマ等の船に乗りますよりも、そういう公的な筋のつながった方向船員が向かってもらいたい、かように考えておりまして、そういう方向で労働条件ができるだけ有利であるように、合理的であるように持って参りたい、かように考えております。
  35. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 これについては、政府間協定などというような、いわゆる外交上政府間の何らかの協定をするというようなことはできないのでありますか。
  36. 吉野市太郎

    吉野政府委員 お尋ねの点につきましては、まだ私も正確にわかっておりませんけれども、たとえば西独の場合などにおきましては、やはり共同市場各国との関係その他がございまして、政府同士の何らかの協定ということは非常にむずかしいのではないかというふうな話を聞いておりますので、直接政府間ではなくしてもしそういうことが実現できるといたしますと、両国の社団法人でありますか何ですか、何らかの公的機関同士の話し合い、実質は政府同士がその内容に参画するわけでありますが、形の上では政府間ではなくして公的機関相互の話し合いというのが一番スムーズにいく道であるというふうな話を聞いております。直接国と国との間の問題となりますと、第三国との関係その他で受け入れ側で非常にむずかしい問題もあるように聞いております。従いまして、国と国とのこういう船員の派遣についての問題は、おそらく協定に持ち込むことは無理ではなかろうかと考えている次第であります。
  37. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 次に、海運局長お尋ねいたします。この法律が改正されますと、特定船舶整備公団、こういうように改まってくるわけですね。そうして、従来は内航旅客船のみを扱っていたが、今度は内航貨物船も扱って運用するということになるわけです。もちろん、会計では戦標船解撤等に対する会計は別々に扱わせて、そうして解撤を行なっていくということでありますが、旅客船と貨物船と全然性格の違うものを一まとめにしてやるということは、将来公団の運営に非常にむずかしい問題を起こしはしないかということを憂えるわけですけれども、いかがでしょうか。この公団の運営指導については、私は行政上からも非常にむずかしくなりはしないかと思うのですけれども、これについての見解を聞いておきたいと思います。
  38. 朝田靜夫

    朝田政府委員 ただいまお話にございましたように、貨物船の関係の業務を行ないます際に、従来からやっております国内旅客船業務に支障を与えない方法として勘定項目その他別々にやるということにいたしておりまして、支障を与えないようにやって参る方針でございます。貨物船と旅客船とは全然異なったものであるので、将来ともに一体支障を来たさないか、こういうお尋ねでございますが、私どもはバックグラウンドは違うのでございますけれども政府機関が共有関係にまで入って資金調達困難な船主に対して協力をしていくということについては、共通の理念で公団業務は行なえるものと考えましたので、国内旅客船公団を改組いたしまして特定船舶整備公団にしたわけでございます。将来ともに戦標船というものに対して別の公団でやった方がいいんじゃないかというような御意見もありましたが、公団がそう多数でき上がることも政府全体としての考え方もございます。しかもまた建造の業務は三年に限っておりますので、あとは管理業務と使用料の取り立て、あるいは船舶の譲渡、使用等の業務が残りますけれども、一応現在の国内旅客船公団を改組してやる方が効率的であり、また従来の旅客船業務に対しても支障を与えない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  39. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 船舶局長お尋ねいたしますが、公団運営上からは将来支障を来たさないように運用したいということでありますが、船舶の管理運営についてこういう公団で支障はないかどうか、それからまた将来船舶の譲渡その他の、その解撤完了後にも事務は残っていくわけでありますから、そういたしますというと、将来船舶のそういう利権譲渡等の問題を中心にしまして船の管理運営上非常に複雑な問題をかもしはしないか、そのことが船舶運営上支障を来たしはしないかということを心配いたすのですけれども、その見解を一つお伺いしたいと思います。
  40. 朝田靜夫

    朝田政府委員 私からお答えを申し上げた方が適当かと思いますのでお許しを願いたいのでありますが、将来船舶の譲渡等につきましては管理上支障を与えないかということでございますけれども、御承知のように公団船主と共有関係に立って船舶の建造を推進するわけでございますが、その際船主がある年限がたちまして買い取りたい、こういうようなことになりますと、一定の価格で公団船主に譲渡することができることになっておるのであります。これは現在の国内旅客船公団におきましても同様でございまして、その際に、船主が経営状況も好転いたしまして、買い取りまして公団との共有関係を解消することはきわめて望ましいというふうに考えておりますので、むしろそういうことが推進されるように持っていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  41. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 前からの質問と重複いたしますから、この旅客船公団関係については、以上をもって私は質問を終わります。  次に、港湾法の一部を改正する法律案について一、二港湾局長お尋ねをいたします。  この港湾法の改正は地盤沈下対策を主としたものであり、その対象となるものが新潟の地盤沈下に伴う港湾整備ということを対象にしておられるようでありますが、それで間違いがないかどうか、一つ
  42. 中道峰夫

    ○中道政府委員 その通りでございます。新潟を対象にいたしております。
  43. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今日地盤沈下に伴う港湾整備の必要な地点は、そのほかにも地盤沈下対策とあわせ多くの地方にこれが見られるわけですが、たとえば東京湾、大阪湾沿岸等は非常に地盤沈下が急速でありまして、そのために非常にやかましく言われておるわけであります。特に大阪湾沿岸、いわゆる阪神間等におきましても、この地盤沈下に伴う災害防止につきましては、きびしく地元からも要請をされ、また私どもも非常に不安を感じておるわけであります。東京湾においてもしかりであります。こういう港の整備は防災の点からいたしましても、しかも日本の経済の一大動脈地点をなしておるところでありまして、非常に緊急を要する問題であると思うのですが、新潟だけを特に指定された――なるほど新潟の地盤沈下の急速であることも私はよく認めますし、これに対する応急策は、むしろおそきに失するといっても過言ではございません。けれども、今申しますように、おそきに失してから対策を立てるというのでは、これは行政の万全を期したものとは言えないので、そういうことが予測されるという、単なる予測ではなくて、現在もう当面しておる重要地点が東京湾及び大阪湾沿岸、阪神地区にあると思いますが、こういう点については、なぜ重点的なものがとられないのか、一つお伺いしたいのです。
  44. 中道峰夫

    ○中道政府委員 お説の通りにわが国の重要地帯におきまして、お話のように東京湾の周辺あるいは大阪湾の周辺につきましては従来から地盤沈下現象が起こりまして、それに対する諸種の対策を講じて参っております。特に伊勢湾の台風以後、防潮対策、高潮対策等を兼ねましてそれぞれの地区に所要の施策を進めておるわけでございますが、ただ新潟地区といたしましては、御承知のように三十二、三年以後ガスの採取の関係で急速な地盤の沈下を生じまして、おそきに失するではないかというお話、まことにごもっともでございますが、相当地核の深層部に起こっている現象でありますために、的確にこれをつかむことがなかなか困難であった関係もありまして、われわれといたしましてはいろいろな観測井その他を置きまして、積極的にこの原因探求に努めて参ったのであります。従いましてその結果といたしまして、経済企画庁あるいは科学技術庁において原因探求の委員会が設けられまして、それの原因に対する答申が出たということで、それまでにもすでに応急対策は講じておったわけでございます。三十六年度から恒久対策に切りかえまして根本的な対策を実施するというような段階になっておるわけでございます。他の地区につきましても、単に新潟地区だけでなくて、東京湾あるいは大阪湾につきましても、それに対する施策としてはやはり計画的にこれを推進して、その防災対策を樹立したいというふうに考えておるわけであります。
  45. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今、原因探求ということで非常にむずかしい調査をされておるようでありますけれども、しかし新潟においては、これは地下ガスの採取、それからまた東京、阪神間の地盤沈下の原因は工業用水のくみ上げにあるということは、もう何といっても万人が認めているところでありますから、原因など今時分探求してなどと言ったところで、これはもうすでに原因ははっきりしているのです。だから幾らガスで収益が上がるといっても、こういう無計画なガスの採取を許したり、あるいはまた無計画な工業用水道を掘らせたり、こういうことをやらせておいて、そして防災施設を幾らやったって、私は施設は完全に防災に役立つものとは思わない。尼崎あたりにおきましてもあれだけがんじょうな防潮堤を作ってもらっても、完成するまでにもうすでに二十センチも三十センチも沈んでいるというありさまです。ですから私は最も完全な防災を願うためには、施策も必要であるが、しかし直接の防災施設を作る前に、その原因のはっきりしているものをなおその原因を追求したりなどしているそんなことではなくて、いわゆるその地区における地下ガスの採取あるいは工業用水道の掘さく等につきましてはもっと手早く規制措置を厳重に講ずべきである。これは通産省が見えておりませんから言いませんけれども、そうでなければ災害が起こった場合あたかもこちらの責任のようにぱっぱっとやられるが、しかし平素のそういった災害の起こる原因となるべきものについては何らの規制措置もしないでほうっておくということでは、これは私はいけないと思うのです。官庁のなわ張りとかなんとか往々にして言われますが、それらは所管通産省なりあるいは建設省なり、もっと政府が一体となって、そうして合議の上で、いやおれのところの所管だ、おれのところの所管だというような争いではなくて、これは国家の要請に基づく一貫した施策をとってもらいたい。それでなければこれは何をやってもだめなのですから。今まで新潟においてもそういうガスの採取井戸を作るためのボーリングなどを行なう場合のいわゆる規制について要請をされたことがあるかどうか、政府でそういうものに対する対策を協議せられたことがあるのかどうか、ありとすればどういう処置をとっておられるのか、私はこういった点をお伺いしたい。
  46. 中道峰夫

    ○中道政府委員 先ほど申し上げましたように、原因についてはすでに結論が出ておるわけであります。港湾の関係といたしましては、実はわれわれの方は立場からいえば被害をこうむる方の立場でございまして、そのためにただいま申しましたような原因に対しても積極的に調査をし、さらにそれの規制措置としてのガスの規制あるいは圧力水の注入、あるいは工業用水道等の転換という問題について、関係各省、主として通産省でございますが、通産省に対して強く要請をいたして参ったわけでございます。それは私の方だけでございません、建設、農林等も、また地元においてもいろいろな対策委員会がございまして、それらが一丸になりまして強くそういった規制措置を要望いたしまして、すでに今日まで三回にわたってガスの規制を行なっておるわけであります。その結果といたしまして、最大百五十センチ、年間五十センチ程度の沈下を見ておったのでございますが、漸減いたして参りまして、今日では約二十センチ程度の沈下を見ておるような状況でございます。  なお今後の見通しでございますが、現在のところ経済企画庁の地盤沈下対策委員会でこれに対する答申が出されまして、一応今後見通しとしては一メートル二十という結論が出ております。ただしかしそこまで下がるのを待つというのではなくて、それまででもなお沈下を少なくするようなあらゆる方途を講ずべきであるということを言われておるわけであります。そういう情勢で、われわれの方といたしましては、現在までその原因除去については、被害者の立場からも極力規制して、原因を除去するという方向に対しては要請して参ったような状況であります。
  47. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私はただいま申し上げたように、地盤沈下対策として、防災の観点から見ても、東京湾、阪神間等、今言われておる新潟など、およそ地盤沈下を起こしているところはすべて工業地帯あるいはそういうガス採取地帯にあると思います。でありますからこれは原因ははっきりしているのです。ですからその原因のために人災を起こすようなこういうものについては、もっと強力に政府間において規制処置をしてもらうように希望いたします。そうでないと何ぼ予算を出してがんじょうなものを作って防災に備えても、これはむだ金ばかりを使っているということになるので、なるほど国策としての産業開発伸展の上から見ても、地下資源を使うということは、これは重要なことであるには相違ありませんけれども、しかし国土を破壊してまでそういうことをやるというのは私は行き過ぎだと思う。ですから国土をもっと大切にする意味においても、私は一段の強い規制措置を講ぜられるように希望して、私の質問を終わります。
  48. 三池信

    ○三池委員長 久保三郎君。
  49. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんので、簡単にお伺いするわけでありますが、大臣も政務次官もそのうちおいでになるでしょう。港湾法の問題で今御質問もありましたが、これに関連してお伺いするのは、やはり同じようなことであります。政府が持っている地盤沈下対策審議会というのは、大体答申が出たのですが、いかなる答申が今日出ているのか、いつごろ出したのか、これを一つ具体的にお答えいただきたいと思います。
  50. 中道峰夫

    ○中道政府委員 昭和三十五年十一月二十五日に地盤沈下対策審議会の会長から経済企画庁の長官あてに「地盤沈下対策の基本的方策について」という答申が出ておるわけでございます。一応これのおもな点だけ読んでみます。昭和三十四年八月二十四日付諮問によりまして、地盤沈下対策の基本的方策につきましては、それに対して検討を加えた結果、次のような答申をする。(1)といたしまして、「天然ガス溶解水の汲上げに基因する地盤沈下の防止及び復旧対策について」ということで、これは新潟地区でございますが、最初に、「当地区の地盤沈下の防止に関しては、過去三次にわたって天然ガス規制が行なわれた結果、相当の成果を収めることができたが、いまだに観測井の抜上り」これは収縮でございますが、「抜上りが認められるので、今後地盤沈下の推移を勘案のうえ、必要あれば全層にわたりさらに天然ガス溶解水の汲上げ規制を強化すべきである。」その次といたしまして、「地盤沈下の防止対策の一環として、大量の水の地下圧入を行なうことを検討すべきである。」その次といたしまして、「市街地における地盤沈下の恒久対策としての復旧事業の設計条件としては、」水準点の「最終沈下量をとりあえず一二〇㎝とし、その他の地点の最終沈下量はそれぞれの最近の沈下速度と」水準点の「それとの比率により算定して、復旧事業計画を策定することとする。」その次に、この「最終沈下量とは設計条件であって、これまで沈下することが許される意味ではない。」さきに申しましたような「手段を尽して沈下を最小限度に食い止めるべきことはもちろんである。」「復旧事業の遂行のため必要な財政上の措置については、格段の考慮を払うべきである。」また「工業用水及び冷房用水の汲上げに基因する地盤沈下の防止対策について」――これは他の地区でございますので、省略いたしますが、新潟地区につきましては、以上のような答申が出ておるわけでございます。
  51. 久保三郎

    久保委員 その答申案はあとで詳細手元まで届けていただきたいと思います。  そこでお伺いしたいのですが、対策審議会で答申したが、政府の施策としては、たとえば今提案になっておる港湾法の一部改正で、国庫負担を引き上げるというようなこと、その他にはあるかもしれぬが、最近建設省の地理院から発表されたものを見ましても、これは各地においてのいろいろな調査の結果が出ておるわけです。それに対して早急に対策を立てねばいかぬ。特に最近のように地域開発の計画で工場の分散というようなこと、あるいは経済成長に伴うところの産業の発展拡充、こういうことになりますと、当然地下水の問題が問題になってくる。そうなりますと先ほどもお話があったように、単なる防災というより災害復旧程度のものだけではとうてい追いつけない、こういうように思うわけです。そこでこれは港湾局長に聞くのはどうも筋違いでありまして、これは委員長、次会に経済企画庁長官を呼んでいただきたいと思います。大体怠慢きわまりないと思うのです。新潟一つとっても大へんな問題でありますが、新潟のみならず、東京あるいは尼崎あるいは高知の方にもありますね。九州あるいは八郎潟、こういうところをとると、現在でさえそうでありますから、これからどんどんふえていくという格好が出ている。こういう基本的なものを何らやっておらないし、たとえば地盤沈下対策審議会というのは大体関係各省の事務次官が出ていって、そうして経済企画庁長官に答申をしたがさっぱりその答申が――今度の予算の中というか、今までもこれに対する根本的な法律というか、そういうものの提案もないということでは非常にこれは問題が大き過ぎると思うのです。港湾局長はこのメンバ一ではないし、あなたに聞くのはちょっと無理かと思うのでありますが、政府として地盤沈下対策として、あなたも先ほど御答弁になったように、規制の問題、あるいはそれに対する工場配置の適正化の問題、こういうものを含めて地盤沈下に対応する対策を今考えているかどうか、これを一つお答え願いたい。
  52. 中道峰夫

    ○中道政府委員 お話のように対策審議会は関係各省の次官で構成されているわけでございますが、この地盤沈下対策につきましては、今日までお話のように東京なり大阪なりで起こって、おりますので、それらもあわせましてこの対策審議会が開かれているわけでございます。その過程を通じまして、先ほど申しましたような地下水のくみ上げ規制、ガスのくみ上げ規制あるいは工業用水の転換あるいは圧力水の注入ということで地盤沈下の原因を除去し、あるいはガスその他の規制を行ないまして、あるいはその地区の防災的な面を強化していく対策を立てていくということを従来関係各省で進めて参っているわけでございます。運輸省の方といたしましては、この対策審議会の過程におきまして、やはり港湾関係部分につきましては、従来から応急対策工事を今日まで約二十二億近くの金額をかけまして進めて参ったわけでございますが、今回は恒久対策工事を立てなければなりませんので、その答申に基づきまして今後の見通しを立てた上で根本的な対策を立てるという施策をしております。従いまして私から申し上げるのはちょっと不適当かもしれませんが、関係各省としましても、それぞれの立場においてこれに対する対策は進めて参っておると考えております。
  53. 久保三郎

    久保委員 どうも港湾局長では全部御答弁をいただくというわけには参りませんので、これは次会経済企画庁長官――先ほど非公式に聞いたら経済企画庁はこの対策審議会の方は大体幹事役であって、能動的でなくて他動的である。こういう非公式の返事があったので呼ばなかった。これは経済企画庁長官に答申したというのであるから、経済企画庁長官そのものは当面の責任者であるはずなんだ。ところが企画庁自身が地盤沈下対策審議会の方は幹事役で、よその官庁から持ち込んできたものを受けて立つというくらいの話であって、積極的なものがない。そうしますと、政府は本腰を入れて地盤沈下対策をやろうという気がまえがない。出てきたものは仕方がないから、個々の補助率でも引き上げたり、多少各省によって違うがいろいろ出たあとの相談でやっていこうということであって、これでは大へん問題が違うと思う。よって、私は要求しておきますが、次会は経済企画庁長官を呼んでいただきたい。と同時に、当面の運輸省の責任者である大臣なり政務次官を私は注文をつけますから呼んでいただきたい。早急に呼ばなければ休憩してもらいたい。それからもう一つは、これも注文でありますが、船員局長、あなたにこの閥お願いしておいた船員対策、この詳細なのを一つお届けいただきたいという注文をしておいたところが手元に届いておらぬのでありますが、持ってきておりますか。
  54. 吉野市太郎

    吉野政府委員 先般御要望のありました資料につきましては、今至急に整備いたしまして、あと二、三日お待ちいただければそのときにお渡しできると考えております。もう二、三日お待ちいただきたいと思います。
  55. 久保三郎

    久保委員 政務次官、あなたがおいでになりませんので待っていたのです。  地盤沈下の対策については、御承知のように政府部内で地盤沈下対策審議会というものができて、両三回審議したそうであります。その答申が経済企画庁長官に出ているそうでありますが、これは政府として恒久的な対策を一刻も早くつけなければならぬということはだれも考える点だと思います。これに対しては政務次官一人でここでどうするということもできないかもしれませんが、早急に対策を立てる必要があると思うのだが、これは閣議の決定なり何かして早いところ法案なり何か出す、たとえば地下水のくみ上げに対する規制ということが必要ならやる、あるいは工場配置についても、そういう場所についてはある程度の規制をするというようなことも必要になってくると思います。単に沈下ができてからそれに対する原形復旧をするというような予算的裏づけというようなことだけでは足りないと思う。次会に経済企画庁長官も呼んでお尋ねをしますが、政府当局としてこの問題をどういうふうに解決するつもりであるか、一言お答えをいただきたい。  それから時間もありませんからもう一つ海員行政の中で一番弱いというか、日当たりの悪いのは大体船員対策だと思う。今度の代替建設にしても犠牲船員に対する処遇というものは必ずしも今までの御答弁の中では万全でないように思うわけです。従ってこの船員の再訓練なりあるいは移民の問題なり、あるいは解撤方式に伴うこういう船員対策についてはもっと十分な力を入れないと万全を期し得られないと思う。これはやはり政務次官として、当面の責任者としてさらに強力に進めていただきたいと思いますが、どう思っておられますか。
  56. 福家俊一

    ○福家政府委員 お答え申し上げます。久保委員のお説、まことに建設的で感謝にたえません。審議会の答申を政府といたしましては十分尊重し、関係各省とも連絡協議の上、必要な対策を早急に講ずる考えでございます。海員問題につきましては、ことしの予算を百。パーセント活用いたしまして、また足らない場合は、来年私以上の政務次官が十二分に政治力を発揮して予算を獲得し、久保委員の御期待に沿うよう努力していただくように念願するものであります。
  57. 三池信

    ○三池委員長 ほかに御質疑はございませんか。――ないようでございますので、両案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     ―――――――――――――
  58. 三池信

    ○三池委員長 これより両案について討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認め、これより順次採決いたします。  まず港湾法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  60. 三池信

    ○三池委員長 起立総員。よって、港湾法の一部を改正する法律案は原案の通り可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  61. 三池信

    ○三池委員長 次に国内旅客船公団法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  62. 三池信

    ○三池委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  この際山口丈太郎君より発言を求められておりますので、これを許します。山口丈太郎君。
  63. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 ただいま可決されました国内旅客船公団法の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党三党共同提案になる附帯決議を付する動議を提出いたしたいと存じます。  すなわち、ただいままでの質疑において明らかになりましたが、この戦標船解撤につきましては、その代替船建造に関する予算につきましては、当初の計画相当下回り、従って解撤完了までにはなお相当の時日を要することが明らかとなりました。また下船いたしまする船員の処遇につきましても、万全を期する必要があると考えまするので、この決議案を提出いたす次第であります。  決議案を朗読いたします。     国内旅客船公団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   わが国海運の体質の改善を図る上から非採算的であり且つ安全性の乏しい戦標船解撤を行い代替船建造することの緊要欠くべからざるは異論のない処である。然るに、昭和三十六年度における融資額は僅かに開銀七億円、公団八億円計十五億円に過ぎず、斯くしては、予定せる二十万トンの解撤建造には相当長期間を要することとなる。   よって、政府は、左記事項について、特段の措置を講ずべきである。     記  一、融資額の増額を図ること。  二、戦標船解撤に伴う下船船員に対する処遇について善処すること。   右決議する。
  64. 三池信

    ○三池委員長 ただいま山口君の動議のごとく、国内旅客船公団法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  この際、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。福家政務次官。
  66. 福家俊一

    ○福家政府委員 ただいま御決議いただきました国内旅客船公団法の一部を改正する法律案に対しなされました附帯決議につきましては、当局としては感激にたえません。今後御決議の趣旨を十分体して格段の努力をいたす所存でございます。  重ねて、港湾法の一部を改正する法律案につきまして御可決いただき、まことにありがとうございます。御審議に際しまして御指摘をいただきました事項等につきましては、その御趣旨を体しまして地盤沈下対策を初めとする港湾の整備運営に関し、今後一そう尽力いたす所存でございます。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  67. 三池信

    ○三池委員長 なお両案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次会は来たる四月四日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会      ――――◇―――――