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1961-03-10 第38回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月十日(金曜日)    午前十一時十九分開議  出席委員   委員長 三池  信君    理事 有田 喜一君 理事 生田 宏一君    理事 尾関 義一君 理事 川野 芳滿君    理事 高橋清一郎君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 山口丈太郎君       伊藤 郷一君    鈴木 仙八君       關谷 勝利君    塚原 俊郎君       細田 吉藏君    増田甲子七君       加藤 勘十君    勝澤 芳雄君       島上善五郎君    田中織之進君       西宮  弘君    肥田 次郎君       安平 鹿一君  出席政府委員         運輸政務次官  福家 俊一君         総理府事務官         (調達庁次長) 眞子 傳次君         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局計画課         長)      遠藤  胖君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         大蔵事務官         (理財局地方資         金課長)    堀込 聰夫君         通商産業技官         (企業局工業用         水課長)    藤岡 大信君         運輸事務官         (港湾局管理課         長)      岡田京四郎君         建設事務官         (河川局次長) 鮎川 幸雄君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月十日  委員矢尾喜三郎辞任につき、その補欠として  田中織之進君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田中織之進君辞任につき、その補欠として  矢尾喜三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月七日  長野県内国鉄輸送力改善に関する請願井出一  太郎紹介)(第一一一四号)  智頭上郡線調査線編入に関する請願赤澤正  道君紹介)(第一一四一号)  国鉄南勝線及び若桜線廃止反対に関する請願  (赤澤正道紹介)(第一一四二号)  国鉄水郡線下瓜連、静両駅の貨物取扱い存続に  関する請願石川次夫紹介)(第一一七二  号)  同(大高康紹介)(第一二六七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  港湾整備緊急措置法案内閣提出第一七号)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  港湾整備緊急措置法案議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 先般の質問に引き続いて港湾関係に申し上げるわけでありますが、本日は調達庁、出ておりますか。——それでは調達庁の方にお伺いするわけでありますが、アメリカ駐留軍が現在日本施設使用している、特に港湾関係はどういうことになっているか。大体どういうところでどの程度使っているか、その概要をまず知らしてもらいたい。
  4. 眞子傳次

    眞子政府委員 現在駐留米軍提供しておりまする港湾施設といたしましては七カ所でございます。その場所は横浜横須賀、久里浜、呉、神戸、門司、佐世保でございます。
  5. 久保三郎

    久保委員 これは一つの例をとって申し上げるわけでありますが、横浜についてはどういうところを提供しているか。
  6. 眞子傳次

    眞子政府委員 横浜港のうちノースドックでございます。
  7. 久保三郎

    久保委員 この駐留軍使用中の施設は、一般の港湾事情から見ても非常に重要なところをお使いになっているわけです。と同時に最近の港湾事情は輻湊いたしておりまして、日本自体で使うのにも非常に事欠いている。今回政府緊急措置法というようなものを提案して参ったわけでありますが、この法律に基づいて事業を促進することもさりながら、一方アメリカ側において相当余裕をもって使っている施設については、これは対等の立場からいっても返還をしてもらうのが筋ではないかと思う。たとえば横浜なら横浜の七バースなら七バースについて従来どういう交渉をなさっているか、この点をお伺いしたい。
  8. 眞子傳次

    眞子政府委員 現在横浜港のうら米軍使用しております提供地区であるノースドックは、米軍が現在なお相当使用度の高いものとして使っておりますので、米側においてもこれを返還するという意向は認められないので、要求をしてもその見込みがないものと存じます。
  9. 久保三郎

    久保委員 要求しても見込みがないというのは調達庁の主観であるかどうか。日本事情をしさいに持ち込んで、そうして譲り得るものは譲ってもらうという交渉を重ねることも大事なことだと思うのでありますが、こういう努力はどうなんですか。
  10. 眞子傳次

    眞子政府委員 お説はごもっともな点もございますが、米側がもし使わないあるいは非常に使用度が減ずるということになりますれば、お説のようなことも考えられるのでありますが、元来このノースドック提供事情を申しますと、昭和三十三年八月まではセンターピアノースドック米側使用させておったものでありまして、横浜市からセンターピア横浜港の発展のためにぜひ返してもらいたいという要請がありましたので、米側センターピア返還してもらい、そのかわりノースドックのみは——そこへセンターピアにあったいろいろな施設を移してノースドックだけを使わせるということにしてセンターピアを返させ、ノースドック提供となり、引き続いてノースドック使用するという状態になりまして、現在米側相当使用度の高いものとして、これまでに米側にただしたところでは、米側はそれを返す意思はないようでございます。
  11. 久保三郎

    久保委員 返す意思はないというが、これは日米合同委員会等で正式に申し入れをして、詰めた話をしたことが最近ありますか。
  12. 眞子傳次

    眞子政府委員 これは施設委員会で正式に申し入れたものではございません。
  13. 久保三郎

    久保委員 そういうところへ持ち出す意思は今日あるかないか。
  14. 眞子傳次

    眞子政府委員 これは先ほども申し上げましたノースドックを使わせるようになりましたいきさつから申し、また実際に米側がそこを関東方面における重要な港として船の発着荷物の積みおろし等に使っておりますので、施設委員会等で正式に申し入れようというところまでは考えておりません。
  15. 久保三郎

    久保委員 港湾局長にお尋ねしますが、この問題について運輸省調達庁に対して折衝開始要求したことがございますか。
  16. 中道峰夫

    中道政府委員 日米合同委員会施設委員会がございまして、その委員会を通じまして全般的に港湾施設接収解除については申し入れをしているわけでございますけれども、ただいま調達庁からのお話がございましたように、横浜港湾については、運輸省といたしましては、この施設接収解除されることは最も希望するところでございますけれども、調達庁のただいまの御説明のような事情にございますので、現在のところこれ以上の提供施設返還されるということは相当困難があると考えられますので、今回の整備五カ年計画には、山下埠頭その他のバースの増強を考慮いたしておる次第でございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 どうもお二人の御意見を聞いていますと、返す見込みがないから返還要求もしないのだ、これ以上やってもむだだろう、こういう消極的な態度であって、どうもわれわれとしては了解に苦しむわけであります。特に港湾局長にお尋ねしますが、これから五カ年計画は、今まで私があなたに質問してきた通り、実施においても当初のおくれが目立っている。特に横浜港については、この間一緒に視察されましたが、相当な輻湊をしておる、この船のさばき方についてもなかなか困難である。多いときには百はいも沖待ちしているというような実態であります。こういう実情であるとするならば、港湾整備をこれから直ちに開始しましても、これは年月を要することでありまして、あした直ちに予算が通過し、法案が通過したからそれで整備ができるということではない。そうだとすれば、やはり日本実情というものをとくと訴えて何らかの方法をとってもらうという交渉もやるべきだと思う。なるほど謙譲の美徳であって、他人の気持なり立場をそんたくして遠慮することもいいかもしれませんが、今日はそういう事態ではない。いわゆる海運業者なりあるいはあそこを中心にする業者が今日えらい損害をこうむっている。これがもし一部でも返還されれば、それだけ大きなプラスになるということをやらぬのは、われわれとしては非常に了解に苦しむのですが、そのことについてどう思うのですか。
  18. 中道峰夫

    中道政府委員 運輸省といたしましては、ただいま申し上げましたように、このノース・ピア返還を切に望むわけでございますが、国全体の政策の面の関係もございまして、調達庁からただいま御説明のありましたような状況でございますので、われわれといたしましては強く希望をいたしますが、しかしそれだけでこれが早急に解決するとは考えられませんので、先ほど申しましたような整備計画を進めておるというのが現状でございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、くどいようでありますが、運輸省としては調達庁を通じて返還要求をする意思は毛頭ない、こういうことでありますか。
  20. 中道峰夫

    中道政府委員 調達庁に対しまして、機会あるごとに返還要求をいたしたい、これは考えております。
  21. 久保三郎

    久保委員 機会を見てとにかく返還要求したいと思うというが、今まではないのですね。
  22. 中道峰夫

    中道政府委員 従来も、先ほど申しましたように全般的に返還要求をいたしておるわけでございます。しかし、先ほどからのお話のような事情でございますので、現在のところは、ただいま申しましたような実情でございます。なお今後につきましては、ただいま申しましたように、機会を見ましてできるだけ返還要求は申し出たいというふうに考えております。
  23. 久保三郎

    久保委員 今まで調達庁に対して返還要求を正式にはしているのですか、していないのですか。今後のことは別にして……。
  24. 中道峰夫

    中道政府委員 このノース・ピア返還問題につきまして、横浜市長から横浜調達局長及び調達庁長官あて返還要求が提出されておりますし、また現地関係者、つまり港湾管理者現地司令官に対しましてこれを要求したというような事情がございます。運輸省といたしましても、それに対しまして、調達庁にはそれらの要求を訴えましてその返還に対処していただくように申し出ておるわけであります。
  25. 久保三郎

    久保委員 港湾局長、今の、調達庁申し入れておるわけです、とこういうお話ですが、それはいつですか。
  26. 中道峰夫

    中道政府委員 これは、ただいま申しましたように、現地の方の横浜市長あるいは港湾関係者からの要求がありますつど、それを調達庁にも申し出ておるというようなことでございますので、たとえば昭和三十五年の五月ごろとか、そういうように、そのつどやっておるわけでございます。
  27. 久保三郎

    久保委員 それは単にお取次という格好だけであって、港湾実情調達庁に別に詳しく御説明はなさっておらぬのでありますか。
  28. 中道峰夫

    中道政府委員 それはやはり、運輸省といたしましては、港湾事情もあわせて説明して調達庁お話ししておるわけでございます。
  29. 久保三郎

    久保委員 調達庁にお尋ねしますが、今のような申し入れというか、そういうものはどういうふうにお扱いになったのですか。さらには、調達庁自身として、当該の港の全体の事情を今日御理解になっているかどうか——理解になっているかどうかというのは、日本側使用状況、あるいは港の状況、あるいは駐留軍使用状況、こういう全体の実情について御理解になっているかどうか。
  30. 眞子傳次

    眞子政府委員 従来の経緯につきましては今港湾局長からお答えの通りでありますが、先ほどお答え申しました通り返還問題につきましては、その提供事情や現在米側が実際必要として使っておる状況等からして、これまでそういう返還口頭での申し入ればいたしておりますけれども、今の使用状況あるいは実際必要とする米側要求事情等を考えますれば、日本への返還は困難であるといわざるを得ないと思っております。
  31. 久保三郎

    久保委員 そうすると、本問題は正式な日米合同委員会に持ち出す価値がない、こういうふうに判断されて持ち出さないわけですか。
  32. 眞子傳次

    眞子政府委員 そういうことになります。
  33. 久保三郎

    久保委員 大へんあきらめが早いようでありますが、たとえばあの近辺では横須賀も接収されておりますな。
  34. 眞子傳次

    眞子政府委員 横須賀は海軍の施設として使っておりますので、それとこれと同一に扱うわけに参らぬと思います。
  35. 久保三郎

    久保委員 それは米軍の言うことであって、日本としては、横須賀余裕があるならばそこにある程度移動をしてもらうように、やはり実情を訴えるべきではないか、こう思うのですが、どうですか。
  36. 眞子傳次

    眞子政府委員 今まで米側との口頭での話し合いでは、そういう余地も見出せない現状でございます。
  37. 久保三郎

    久保委員 調達庁というのは米軍出先のような、大へん失礼な言い方だが、ものの考え方が何か向こう実情だけを訴えているようですが、これは日本出先なんだから、そういう意味でもう少し詰めた交渉ができないものかどうか、こう思うのです。どうも向こう言い分だけ聞いてきて、日本政府の内部において、向こうがこう言うからお前の方でそういうことを言ってきてもだめなんだ、こういうふうにとれるのですが、どうなんでしょうか。
  38. 眞子傳次

    眞子政府委員 その点、先ほどもお答え申し上げましたように、センターピアにあったもの、あるいは横浜市内にあった野積み場とか、いろいろそういう施設ノース・ピアに移さして、あそこを船の発着荷物の荷おろし、そういったことのできるように特に米側要求して、そうしてセンターピアを返さした。その上でノースドックを現在使っておるというような提供事情等から考えましても、今日本側から直ちに返せというような要求を強くやる事情にもありませんし、実際米側が使っておる状況、途中では野積み場があいたりするような事情もありますけれども、通じて見れば向こうがこれをどうしても必要とする事情がわかりますので、これを全面的に返せということは言えないものと思います。
  39. 久保三郎

    久保委員 ノース・ピアではなくて、中央埠頭返還は、私の聞いていることに間違いがあれば訂正しますが、あなたの方の御努力重点ではなく、地元横浜の強い要望が効を奏したのであって、何も大した手柄にならぬじゃないかと私は思うのです。それと同時に全部を返せと直ちに言っても、これはなかなかむずかしい面もあるでしょう。しかしそこには才覚というか工夫があるのであって、使用方法についてももう少し考慮してもらうというようなことで話を詰めていかなければならぬのであって、向こう言い分だけ聞いて、どうも見たところいいあんばいに使っていそうだから、これはうまくないだろう、交渉してもだめだろう、こういうことではわれわれはどうも話が少しぴんとこない。御承知かもしれませんが、今審議中の法案は三十六年度から始まるわけですが、十カ年五千三百億で港湾整備をはかろう、その中でも重点特定重要港湾、こういうふうになっておる。ところが実際を言うと、これは大体池田内閣所得倍増論にも合わないのです。ますます港湾の方は追っつけないということになる一そういうときに——しかも長年月かわらなければ港湾整備は完了できない。船はますます大型化し、あるいは船の出入りも多くなってくるということになりますれば、これは手っとり早い話かもしれませんけれども、今お使いになっておる、提供しておるところの施設を一部使用返還を認めさせるということがなかったら、これは困ると思うのです。大体実情について——失礼ですが、次長、あなたはたとえば横浜の港の全体の実情をおわかりでしょうね。
  40. 眞子傳次

    眞子政府委員 ただいま御指摘の一部使用とかあるいは共同使用とかいうようなことになりますれば、この点は調達庁といたしましても米側使用状況を見まして、場合によってはそういう要求をするということは努力してみたい。この部分解除ということは不可能だと思いますが、共同使用という点については努力してみたい、こう考えております。
  41. 久保三郎

    久保委員 横浜は、早く言えば米軍の好意ということになっているんだが、実情は、あなたのおっしゃるところの一部は実際やっておるわけです。あなたの方でちっとも目をつけない。地元交渉でそういうことはやっているらしい。だけれどもいろいろな制限があって、これはなかなかうまくいかない。早く言えば、あなたの方は港、たとえば横浜なら横浜実情を十分知っておらないということだと思うのです。港湾局長説明も、なるほどそのつど説明をされているようなお話ですが、調達庁日本側意向を十分伝えていない。日本出先十分実情を知らないで米軍との関係を解消しようとか、消化しようといったって無理なんですよ。実際どうなんですか、実情は。何か地元から要請書なり請願書があれば、それをそのつど取り次いで、こういうものがきておりますから適当にお願いします、ということじゃないですか。あなたは港湾を建設するばかりが能ではない。あるものをやっぱり有効に使わせるという立場にあるのじゃないですか。だから調達庁意向だけ聞いたのでは話にならぬ。日本港湾行政をどうするかという観点から考えなければいかぬ。そういう点からもう少し話を詰めてやる必要がありはしないかと思うのですが、どうでしょう。
  42. 中道峰夫

    中道政府委員 この接収港湾につきましては、先ほど申しましたように日米合同委員会施設委員会がございまして、従来から横浜港ばかりじゃなくて、神戸港その他の港湾を終戦以来接収解除に極力努力をして参ったわけでございます。その場合にそれらの港湾事情は、調達庁にも、それらの施設合同委員会がございますので、十分われわれの方からも説明をいたしておりますし、今日まで順次返還を見ておるような事情でございます。ただお説のように、最近の経済の飛躍的な発展に対応いたしまして、特に横浜港あるいは神戸港等において施設の不足がはなはだしくなっておりますので、それらの点についてはただいまお話のように、われわれといたしましても機会を通じまして実は説明もし、また現地要求も申し上げておるわけでございますが、ただいまのような事情がございますので、もちろんわれわれといたしましても、今後ともその点については一段と努力いたしまして、この返還に対する説明なりあるいは返還の実現ができますように努力していきたいと考えております。
  43. 久保三郎

    久保委員 努力していきますといっても、どうも具体的に努力している形跡がないし、調達庁自身米軍調達をやっているようで——もちろんそうなのだろうが、そういうことでは実際いってわれわれとしては納得しがたい。これは調達庁にお聞きしますが、この施設委員会というのはどういうメンバーなのです。
  44. 眞子傳次

  45. 久保三郎

    久保委員 幹部というのはだれですか。
  46. 眞子傳次

    眞子政府委員 委員会調達庁長官日本側議長であり、その他は関係各省局長級であります。
  47. 久保三郎

    久保委員 局長級というのは具体的に何の局長が出ているのですか。外務省局長はだれ、大蔵省はだれ。
  48. 眞子傳次

    眞子政府委員 ただいま委員会委員メンバーの資料を持ってきておりませんが、外務省アメリカ局長大蔵省管財局長でございます。
  49. 久保三郎

    久保委員 そうしますと施設委員会というのは、在日米軍司令部、それから何人出てくる、どういう人が出てくる、調達庁外務省大蔵省から出てくる、こういうだけですか。それくらいのことをこの席でもっとはっきり御説明いただいてもいいのじゃないですか。
  50. 眞子傳次

    眞子政府委員 今、全部のメンバーを調べますから、ちょっとお待ち下さい。——あらためて申し上げます。日本側議長調達庁長官外務省安全保障課長大蔵省管財局長主計官、それから防衛庁は経理局長運輸省港湾局長でございます。
  51. 久保三郎

    久保委員 港湾局長おいでになっていますね。これほどまでにお尋ねしているのに、あなたは何で今まで身分を明らかにしなかったんです。あなたはその当該委員会おいでになっているわけです。あなたは調達庁をわずらわすまでもなく、日本側正式委員として御列席になっておいでになるなら、今の事情をあなたの立場からおっしゃればいい。私が知らないから、これをお尋ねしなければそのままで過ごす。こういう積極性がないから今度五千三百億もちぎられる。今まで施設委員会に何度おいでになったか。
  52. 中道峰夫

    中道政府委員 私の説明が足りなかったかもしれませんけれども、先ほど申しましたように、日米合同委員会施設委員会で、これまでの接収解除の問題を申し上げておるわけでございます。私自身といたしましては、ちょっと今はっきり記憶いたしませんけれども、その会合の開かれますときに出席をいたしておったわけでございますが、回数についてはちょっと今記憶がございません。
  53. 久保三郎

    久保委員 回数は何回でもいいでしょう。しかし、これは調達庁にお伺いするのだが、この施設委員会をやる前に、この議長である調達庁長官日本側委員を招集して、議題等についてそれぞれ整理をし御相談をなさってから交渉に臨むのですか。
  54. 眞子傳次

    眞子政府委員 月二回この定例日がございまして、あらかじめ打ち合わせを要すべきものがあれば関係各省集まって協議をして、準備をした上で会議に臨むということはやっております。
  55. 久保三郎

    久保委員 港湾局長、あなたにお尋ねしますが、あなたがいかなる積極さをもって日本側議長のもとで港湾問題について話をしたか、そういうためしがあるかどうか。
  56. 中道峰夫

    中道政府委員 この施設委員会におきましては、議題が提出されます。それぞれの施設返還議題になるわけでございます。その際にわれわれの側といたしましては、それらの事情説明して、この返還を強くその委員会に持ち出して要求しておるのが今までの実情でございます。
  57. 久保三郎

    久保委員 そうすると、横浜初め現在提供している施設についてこの返還要求議題にしてもらうことに努力したことがございますか。
  58. 中道峰夫

    中道政府委員 この横浜港につきましても、先ほどから申しましたように、従来一括いたしましてその返還要求議題に載せておったわけでございます。しかし先ほどから調達庁の御説明がございますように、そのような事情で現在まで推移しておるというので、われわれといたしましてはこの横浜港、神戸港の提供施設返還については、従来強く要求して参ったわけでございます。
  59. 久保三郎

    久保委員 強く要求してきたが、日本側議長の取り上げるところとならなかったということになりますか。
  60. 中道峰夫

    中道政府委員 これはその委員会議題で討議されたわけでございまして、日米合同委員会でございますから、それらの機関によって処理されてきたという実情でございます。
  61. 久保三郎

    久保委員 私が質問していることと御答弁がだいぶ食い違うのです。日米合同委員会で処理されてきた、あたりまえの話です。それを聞いているのではなくて、積極的にこういう問題を取り上げてもらうように努力して、議長が取り上げなかったのか、議長調達庁長官だから調達庁長官が取り上げなかったのか、それともほかの委員からそれはむらやだからやめろと言われたのですか、どうなんですか。たとえば横浜の今残っている七バースですか八バ一スですか、この問題一つにしぼってみましょう。この問題について港湾局長は提案されたためしがあるかどうか。
  62. 中道峰夫

    中道政府委員 繰り返すようでございますけれども、施設返還につきましては、もちろん個々の港の個々施設についてやるわけでございます。各施設についてそれぞれを議題にし、それぞれを討議いたしたわけでございます。しかしその場合に、先ほどからの御説明のように、ノース・ピアについては現在まだ返還を見ておらないというのが実情でございます。
  63. 久保三郎

    久保委員 それは現在を説明いただいたわけであって、私は過去の問題をお尋ねしているわけです。現在は返還に至っておらない、わかっております。わかっているから御質問申し上げている。今までに日本の方の担当者として日本側会議の中で強く要望されたためしがございますか、こう私はお尋ねしているわけでございます。それで現実には返還の運びにも至らないし、施設委員会議題にもなっておらないのは、他からの制約があったか、あるいは説得があったからか、あなたが出さなかったのか、出しても他から押えられたか、議長が取り上げなかったのか、どちらですか。言わなければ全然問題になりませんよ。そういうことをお尋ねしている。
  64. 中道峰夫

    中道政府委員 この施設返還につきましては、先ほどから申しておりますように、港湾局といたしましては、今の施設合同委員会にそれぞれのケースについて説明をし、返還要求をいたしております。その委員会の結論として今日こういうような状態になっているという姿でございます。
  65. 久保三郎

    久保委員 港湾局長、落ちついて答弁してもらいたい。私がお尋ねしていることは、くどいようでございますが、あなたが当面の委員として、今まで、たとえば横浜の現在提供中のバース返還について、正式にこの日本側会議で提案をされたためしがあるかどうか。それからあるとするならば、今日日米合同委員会の、この委員会の中で取り上げられていないのだから、なぜ取り上げられないか。それは議長が御採用にならなかったかあるいはほかの委員から押えられたか、そういう事情はどうなんだろうか、これをお尋ねしているわけです。提案をされたためしがないというならそれ以上のお答えはないわけですがね。
  66. 中道峰夫

    中道政府委員 どうも繰り返すようでまことに申しわけありませんが、この施設接収返還要求は、最初申しましたように要求はいたしておるわけでございます。しかしその事情が、調達庁お話のような困難な事情がございますので、港湾局としては極力この返還を要望するわけでございますけれども、なかなかこの実現が困難だ。その施設委員会に対しましては私も委員としてそれらの返還要求を従来からしておったわけであります。
  67. 久保三郎

    久保委員 どうも貴重な時間で的はずれな御答弁しかいただけないので、実際大へん残念でございます。これはあなたの方もどうもものの考え方が違うのじゃないか。今の言葉じりをとらまえるわけではございませんが、調達庁の方の御意向もあってとおっしゃるが、それならば調達庁は、そんなことを言ったって通らぬ、だからやめておけという一点張りで今日までおいでになっているのですか、調達庁次長
  68. 眞子傳次

    眞子政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、米側とは口頭で折衝して、向こう事情も無理からぬところがありますので、これを正式に取り出しましても結局効果が上がらない、返還等の問題は、どこの場合におきましても相当折衝を重ねて、公式、非公式いろいろやってみて、そうして結局まとまるというような段階を経ますわけでございますが、ノース・ピアにつきましては、今までそういった口頭交渉いたしましても、現在のところ向こう実情を見れば、この全面返還ということはきわめて困難だ、こう思っております。
  69. 久保三郎

    久保委員 どうもあなたのお話を聞いていると米軍出先機関のように聞こえるわけなんです。なるほどこれは立場上、米軍実情について一番御理解の深いのは日本側においてはあなたの方でしょう。ところがそれだけでは問題は処理できない。ところが片方の港湾局長、これは日本側の純然たる出先なんだが、との出先がどうも消極的であるところにもってきて、米軍事情をお知りになっている調達庁が上にかまえているということになりますと、この問題は、百年河清を待つごとしという言葉があるが、まことにその通りじゃないか。貴重な税金で、経済成長に追いつこうということで港湾を構築、整備しよう。ところがこれもなかなか日にちもかかることである。出すのならば、全面返還は別としても、一部返還要求はやはり正式に出してみるべきじゃないかと思う。出さぬでいて、どうもどの方面と折衝しているんだかわからぬが、折衝の工合では、向こう事情もあるから返してもらえない、無理だろう、だからこいつはやめておけ、こういうことになる。これでは国民の立場になったらどうも納得しがたいものがたくさんあると思う。  そこでもう一つお聞きしたいのは、アメリカ側はどういう方が施設委員会おいでになるのか。
  70. 眞子傳次

    眞子政府委員 現在のところ在日米軍司令部のスタングラー大佐が米側議長でありまして、それから三軍から一人ずつ代表が出ております。
  71. 久保三郎

    久保委員 との米軍の方々はそれぞれ三軍から出ておいでになるというけれども、軍の立場から出ておいでになるわけなんですね。
  72. 眞子傳次

    眞子政府委員 さようであります。
  73. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、港湾そのもの、日本の経済というか、そういうもの等の御理解が薄いのではなかろうかと思う。これは当然そうだと思う。アメリカ軍としての立場からものを判断し考えていくということは当然だと思う。そうだとするならば、日本側から出ていくところの委員メンバーは、当然日本全体の立場からものを考え、そうして交渉に当たらなければ、米軍のぺースでもって話していたのでは、どこまでいっても解決がつかぬ、私はそう思う。どうでしょうか。日本実情、経済、あるいは港湾行政港湾整備、そういうことについては、アメリカの方の委員理解が全然ない。米軍オンリーの立場でものを判断する。ところが今までの御答弁を聞いていますと、港湾局長もしかり、調達庁もしかり、いずれも米軍のペースにおいて話を進める、これではできません、これでいいのだろうか。私は調達庁次長にお尋ねしますが、なるほど立場上なかなか問題は多いと思うのだが、そういう観点から、日本実情を訴えるという立場でこれまでも進めてきたものかどうか。向こうアメリカ軍という立場でやっている、だからこの違いを解消しなければ日米合同委員会日本立場を主張することは実際貫き得ないのです。そうでしょう、どうなんですか。今までは調達庁立場として十分日本全体の立場理解させるという努力に私は欠けていると思うのだが、どうでしょう。
  74. 眞子傳次

    眞子政府委員 申すまでもなく、安保条約、地域協定によって日本側は基地の提供をしております。この提供するということは、いろいろ日本側の、ことに地元等のいろんな権利、利益と衝突する事柄がきわめて多いのでありまして、との米側の実際に必要とする安保条約上の要求と、それから国民のそういった権利、利益、希望、自由といったものの総合的ないろんな調整にわれわれも苦慮しているところでありまして、想定できる場合の、また実際の要求のあるところ、権利のあるところ、希望のあるところをできるだけいろいろ調整いたしまして、提供させたりあるいは返還をさせたり、あるいは今申しました共同使用するとか、いろんな形をとって条約上の義務を履行するということをはかっておる次第でございます。
  75. 久保三郎

    久保委員 この提供という言葉は、言葉のあやだと思うのであります。実情はいわゆる駐留軍として、占領軍としてアメリカ軍隊が来たときに接収されたものが実質的には残っている。ところが安保条約を結び、さらに改定をいたした今日は——われわれ自身はこれはもちろん反対である、しかしながら現実にある条約は御承知のように対等の立場で、独立国として結ぶのだが、実態は接収なんだ。なるほど条約上は提供になっている、ところが今までの御答弁の中で、ずっと聞いてみると、実際いって接収の姿がずっと残っているわけだ。提供という言葉のニュアンスから出てくるところの交渉はどこにもなさってない。港湾局長どうでしょう。あなたはメンバーだから、特に港湾整備を促進するという今審議中の法案もさることながら、直ちにこの一部でも、できれば全部でも、積極的に返還要求することを真剣に考える必要があると思うのだが、どうでしょう。
  76. 中道峰夫

    中道政府委員 先ほどからのお話通り横浜港等わが国の重要な港湾において、これらの施設が不足するために、現在各方面にいろいろな隘路を生じておるわけでございまして、そのために、特に横浜ノース・ピアの接収については、われわれといたしましてもこの返還を強く要望しておるわけでございます。従いましてこの点につきましては、先ほどから申し上げますように、従来から施設合同委員会においてこれらの事情説明しておるわけでございますが、現在の段階におきましてはさらにその必要性を痛感いたしておりますので、今後さらにこれらの施設共同使用あるいはその他の問題につきまして、港湾施設整備がそれによって補われますように、調達庁とも連絡いたしまして、一そう折衝を続け、その実現に努力いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  77. 久保三郎

    久保委員 調達庁と折衝し交渉することも、私はその通りだと思いますが、港湾局長、あなたは港湾のことは日本で一番よく知っている最高の役人であります。そういう観点からいけば、調達庁の折衝も必要だが、あなたも決心が必要だと思うのです。一つでも二つでもいいから、やはりこの際ほしいのです。しかも日本の経済にも追いつけないで、たくさんの関係者は今困っておるわけです。困っておるとするならば、これを幾分でも救ってもらうということが一番大事なんです。またアメリカも、ほんとうに日本が友だちだということならば、この辺のことをやはり考えるように、理解するように努力してもらうべきだ。きょうは大臣はおられないが、大臣の問題にもなってくるのです。委員長、大臣は本委員会に来ないことになっているのですか。
  78. 三池信

    ○三池委員長 政務次官がかわりに見えております。
  79. 久保三郎

    久保委員 いずれにしてもこれは大きい問題ですよ。調達庁次長、あなたは長官のかわりで御出席になったと思うのでありますが、今までお聞きしていると、私の方のちょっとひがみかしりませんが、日本実情を伝える。パイプの役割としては、どうもパイプが詰まっているのじゃないかと思う。その立場上、なかなかむずかしい立場ですから、そう簡単に考えられないにしても、どうも御答弁には、われわれの考えを歩引きしましても少し物足らない、こう思うのです。そこで調達庁ではどうなんです。もう少し積極的にやってみようというお気持はないのですか。ただ下の方で口頭で話してみたが、どうもあの米軍の大佐は言うことを聞きそうもない、だから持ち出してもむだだからやめておこうということで今日まできているわけです。そういう意味で港湾局長も、調達庁あたりから、君のところがそう言ったってそれは無理だ、まあ中央埠頭を返してもらったのだから、それでがまんしておけ、あとは当分だめだぞと言われたら、港湾局長が行っても口をつぐんで、横浜のよの字も言わない、返還のへの字も言い出せない、港湾のいわゆる能力についても、一言も施設委員会日本実情を述べることができない。だらしがないと思う。返還できるかできないか別にして、努力するのがほんとうだ、理解させることが先決だと思うのだが、どうでしょう。
  80. 眞子傳次

    眞子政府委員 港湾の主管省である運輸省、ことに港湾局長がきょうおいでになっておりますが、先ほどから港湾局長の御説明通り、また先生の御指摘の通り横浜港の輻湊事情は私ども大体わかっております。それで今後におきましては、港湾局やその他関係省と協議いたしまして、その緩和に役立つように、また共同使用とかあるいはその他の方途によってこれを緩和し得るように努力するということを申し上げて、お答えといたしたいと思います。
  81. 中道峰夫

    中道政府委員 港湾局といたしましても、御趣旨の線に沿いまして、極力努力していきたいと考えております。
  82. 久保三郎

    久保委員 努力するというととは、国会答弁の用語でございますから、ここの席を出れば、あとはわれわれも監視いたしておりませんので、もうわからぬということになるから、そこで約束してほしい。近い将来、この正式な委員会に持ち出すかどうか。
  83. 眞子傳次

    眞子政府委員 その点につきましては、外務省運輸省等と事前に協議いたし、その上で考えたい、こう思います。
  84. 久保三郎

    久保委員 必要を認めるんだから、これはやるべきです。こちらから正式に話を持ち出さぬものを、軍隊の立場からは、これを返しますとだれが言いますか。米軍がいる限りは港は必要なんです。それを考えたら、こちらが積極的に出すべきです。しかし、その結論を予想して行くことが、いわゆるあなた方の今までの態度です。こう言ったって米軍事情はこうだから、だめだからやめておこう、これが日本の悪いくせで、これが、いわゆる安保条約を改定しても提供でなくて接収で、占領軍の立場を尊重しているわけです。われわれは条約そのものには反対だが、条約が改定されたら対等の立場です。それで提供になった。提供とは使わせるということです。接収とは、向こうが取るということです。わかるでしょう。ところが今までの御説明の中では全部接収だ。その心がまえが問題の解決にならない。運輸次官、どうですか。
  85. 福家俊一

    ○福家政府委員 久保委員の御質問はごもっともと思います。運輸省といたしましてはその趣旨にのっとって、関係当局と十分合議の上、一日もすみやかに横浜港が、われわれ日本国民の期待に十分沿うような話し合いを進めるよう、私の責任において大臣と相談し、所管大臣として調達庁、外務大臣に申し入れをして、御趣旨に沿うよう努力することをお誓いいたします。
  86. 久保三郎

    久保委員 政務次官が答弁されましたから、あとからまたいろいろ申し上げるのも大へん失礼でありますが、一応申し上げておきたいのは、今会期中にその進行状況を、逐次本委員に御報告というか、連絡願いたい、こういうように思います。  それから、調達庁にさらに資料の提出を要求します。現在接収中の港湾施設等はどことどこであるか、そういう当該場所をこまかく願います。それから提供先は米軍の何であるか、利用の目的は何であるか、それから提供のされ始まった期間、あるいは占領中から今日までに解除されたもの、これを近日中に出してほしい、こういうように思います。  それで経済企画庁は来ておりますか。
  87. 三池信

    ○三池委員長 経済企画庁は見えていません。
  88. 久保三郎

    久保委員 谷川主計官おいでになりますか。
  89. 三池信

    ○三池委員長 谷川主計官はほかの委員会に出て、ちょっと出席がおくれるそうです。
  90. 久保三郎

    久保委員 それじゃあとにしておきます。次に進んで下さい。
  91. 三池信

    ○三池委員長 それでは、久保君の質問は後刻関係官が見えてから……。  次の質問に移ります。田中織之進君。
  92. 田中織之進

    ○田中(織)委員 港湾整備緊急措置法に関連をいたしまして若干質問をいたしたいと思うのであります。これはこの法律に基づきまして港湾整備五カ年計画をこれから策定して、港湾整備に対する基本的な方針をこれからきめるということを義務づけた法律ではございますけれども、別途過般衆議院を通過いたしました三十六年度の予算には、すでにこの法律に基づいて三十六年度から五カ年計画に織り込むための第一年度の予算、また五カ年計画についての全体の資金計画というようなものが、すでに予算に関連して予算委員会で明らかにされておるのであります。その意味で、この法律に基づいてこれから政府が策定しようとする五カ年計画については、大体の構想はまとまっているんではないか。少なくとも五カ年計画の中にはこれこれのものを織り込みたいということについての具体的な案がすでに運輸省になければならぬと私は思うのですが、その点については現在の時限においてどこまでそういう準備が進んでおるのか、この際承りたいと思います。
  93. 中道峰夫

    中道政府委員 お答えいたします。今回の新長期港湾整備五カ年計画でございますが、所得倍増計画に伴いまして港湾の取り扱い貨物量が増加して参ります。この目標といたしまして、昭和三十四年に約三億八千万トンでございましたが、昭和四十年には六億二千万トンに達するものと推定されるわけでございます。そこでこの所得倍増計画によります港湾計画といたしまして、現在の港湾の立ちおくれを解消いたします必要から、その具体的な整備計画といたしまして前期五カ年を重点的に整備したい、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこでこの改修計画の内容でございますが、大きくこれを分類いたしまして、外国貿易港湾整備の問題と産業基盤強化のための港湾整備の問題、沿岸輸送力強化のための港湾整備の問題、その他と、大体四つの大きな項目に分類をいたしております。  そこでこの外国貿易港湾整備につきましては、昭和四十年の輸出雑貨でございますが、これが約一千八十万トンと推定をされますので、これらの輸出貨物に対しまして港湾の経費を節約することによって輸出振興を促進し、日本経済の成長に寄与するということで、これにつきましては昭和三十四年に発足いたしました特定港湾施設工事特別会計に引き継ぎまして特定港湾事業といたしまして、次に申しますような港の埠頭の整備をいたしたい。それは横浜、名古屋、大阪、神戸−下関、門司でございます。次に一般外国貿易埠頭の整備でございますが、生活水準の向上でありますとか、あるいは工業生産の拡大に伴います外貿雑貨の増加、あるいは食糧その他の一般外貿の貨物が大幅な増加をいたすように考えられますので、ただいま申しました特定港湾事業で整備いたします輸出専門埠頭以外の一般港湾整備事業で、主として定期船の寄港いたします港湾を対象として外国貿易埠頭の整備をしようとするものでございます。この対象になります港は横浜、清水、名古屋、四日市、大阪、下関、門司、青森、塩釜、舞鶴、堺等でございます。その次は木材の輸入施設整備でございますが、木材に対しまするわが国の需要が最近非常に増大いたしまして、これに伴いまして、外材の輸入も昭和三十一年には九百三十万石でございましたものが、三十四年には二千三十万石と二倍以上に著しい伸びを示しておるわけでございます。今後の見通しといたしましても、さらに増加するのではないかと考えられますので、わが国の木材を受け入れます港湾における輸入材の取り扱い施設が現在では十分に整備されておりません。特に水面の貯木場が不足しております現状でございますので、これらの貯木場の施設整備する。この点は特に一昨年の伊勢湾台風の例から見ましても、防災上の見地からも、この整備は特に重要であるというふうに考えるわけでございます。  それから、先ほど申しました大きな区別の中の第二の分類といたしまして、帝業基盤強化のための港湾整備と申しましたのですが、その整備の対象になりますものといたしましては、製鉄原料確保のための港湾整備、石油輸入港湾整備、それから石炭輸送のための港湾整備、工業原材料輸送のための港湾整備、臨海工業地帯開発に伴う工業港の整備、これらの大体五つの分類によりまして、それぞれの対象港湾整備していこうというわけでございます。  次に第三の分類として申し上げました沿岸輸送力強化のための港湾整備の問題でございますが、国内輸送を増強いたしますために、内航輸送分野の強化に必要な港湾施設、僻地、内海島嶼、離島におきます港湾施設、あるいは漁獲物を輸送するための港湾施設整備をはかりまして、同時に避難港あるいは航路等を整備しよう、こういう趣旨でございます。  その他の問題といたしましては、これらの工事に伴います建設用の機械でありますとか、あるいはそれに関連する港湾の調査というふうなものをこの計画の中に織り込んで進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  以上が大体この計画いたしております内容の骨子でございます。
  94. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、大体五カ年計画で資金量は二千五百億、このように承っておるのでありますが、その二千五百億は、今大別して四つの種類に分けられたわけですけれども、その内訳は、大体のめどをつけておられるのでしょうか。これからの計画が具体的なものになる過程で金額がきまっていくのでしょうか。大体のめどがあるのでしょうか。
  95. 中道峰夫

    中道政府委員 今申しました分類の内容のさらに各個別の問題でございますが、これは法案に規定いたしておりますように、それぞれの港湾につきましては、港湾審議会の議を経まして、閣議で決定するという運びになるわけでございます。従いまして、個々計画を策定いたしまして、港湾審議会にかけてきめていく。運輸省といたしましては、大よその見通しはつけておるわけでございます。
  96. 田中織之進

    ○田中(織)委員 先ほどの御説明にありましたように、十年後の所得倍増計画と見合って重要港湾整備されようという計画、きわめて時宜に適した計画だと思うのです。しかし、それは港湾とは事情は違いますけれども、政府が別に考えておられる道路整備五カ年計画、この資金量は二兆二千億、それに比べますと、もちろん全国の道路網と港湾は条件が違いますから同一に論ずる考えはございませんけれども、道路五カ年計画の約一割に当たらない計画では、はたして所得倍増計画に見合うだけの、国内から輸出し、あるいは倍増計画のために必要な原料資材等の輸入、あるいは消費財の輸入というようなものは、今日航空事業は非常に発達をいたしましても、こういう貨物はやはり海上輸送を通じて入ってこざるを得ないと思う。これは原子力の時代になって、船を動かすのが原子力に変わったといたしましても、やはり海上輸送を通じて入ってくるということは、おそらく何十年間かは、あるいは何百年かもわかりません、まだ私は変わらないと思うのです。そういう点から見ますならば、五カ年計画で当面緊急なものということを頭にうたっておるわけですけれども、計画自体が非常に貧弱なんじゃないか、このような感じを持つのです。重ねてお伺いいたしますけれども、港湾の荷役その他の関係を見て、現在この法律に基づいてこれから遂行せられようというような、今お話しになったような五カ年間の計画で、はたして港湾関係の能力というものが十分見合うものだという確信がおありなのかどうか、この法律が出てくるまでの間にそういうことについての議論がなされたかどうか、お伺いしたいと思います。
  97. 中道峰夫

    中道政府委員 御承知のように港湾事業につきましては、経済の伸展に立ちおくれを示しておりますので、従来から経済に対応するようにその整備なりあるいは行政面を指導推進して参ったわけでございます。しかしながら、従来のやり方ではどうしても十分な施策が考えられませんので、それにはどうしても事業というものを長期に確立いたしまして、それぞれの年度にどういう施設が完成するかということをきめませんと、いろいろな輸送計画なりあるいは事業計画というものがそれにマッチしてこないというふうに考えられるわけでございます。従いまして、今回はただいまお話のございますような前期五カ年を緊急に整備するということで、これをいわゆる戦前の継続事業的性格にかんがみまして、この五カ年間はそれぞれの港湾計画を策定する、従ってその内容については来年度にどういう施設ができるというところまで確定していきたいというように考えるわけでございます。特に五カ年間の事業量は幾ら、従来は御承知のように単年度事業でございます。毎年々々予算が国の財政事情によって左右されていくということで、一つの港をとりましても、来年あるいは再来年どういう施設がどういうふうにできるということは大体の見通しがつきましても、的確なところまでいかない。従ってその港湾を利用する方面につきましても、たとえば工場建設をいたしましても、その生産計画港湾を利用する計画とがなかなかマッチしにくいという点が問題になっておったわけであります。従いましてそれが結局経済の発展と合わないし、ほんとうに港湾が能率的に利用できないという面にもなる。一方から考えますれば、港湾の行政面あるいは管理上からいいましても、十分な施策がそれに対応しないといういろいろな配慮がございましたので、それらを打開したいということで、長期に五カ年間を確定する、しかもそれは全国的にこれをまとめまして、それぞれの港湾の調節も考えていこうという趣旨が、今回の長期港湾整備五カ年計画の趣旨でございます。従いまして、ただいま申しましたように、横浜神戸等の重要港湾のみならず、地方の港湾なりあるいは工業港、そういったものも含めまして、全体を長期の五カ年計画に包含して、その計画をきめていく。その計画をきめました上は、さらにそれを確実に実施していくというために、港湾につきましては御承知のように費用が国費あるいは地方費あるいは民間資金という分担になりますので、それらの収支を明らかにいたしますために特別会計法を設けまして、それぞれの勘定を明らかにして実施を推進していくというような趣旨で、緊急措置法とあわせて特別会計法ということでこの五カ年計画を推進していきたい、こういうような趣旨でございます。
  98. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、三十六年度の総予算にあります港湾整備特別会計と、この法律に基づいてできる特別会計とは別個なものという考え方の上に立つのでしょうか。それから三十六年度が緊急整備五カ年計画の第一年度だといたしますと、第一年度の予算というもの——もちろん地方自治体等、港湾管理者が国でない場合の費用分担等の関係が出て参りますけれども、現在港湾整備特別会計に盛られておるものと、この法律に基づいてできる五カ年計画との三十六年度における調整の問題は、具体的にはどういうようになるのでしょうか。
  99. 中道峰夫

    中道政府委員 お尋ねの点は、ただいま御説明いたしました特定港湾施設整備特別措置法というので従来やっておった特定の施設についての法律でありますが、それと、今回御提案申し上げております港湾整備緊急措置法との関係だと思うのでございます。この従来の特定港湾施設整備特別措置法におきましては、これは御承知のように輸出貿易の伸長と工業生産の拡大という点から考えまして特にその隘路となっております主要港湾の岸壁でありますとか航路でありますとかいうような、主要な港湾施設を緊急に整備するということを目的といたしまして、さらに民間の資金の活用等も考えまして特別の措置を規定したというのがこの建前でございます。ところがその後におきまして、経済の拡大発展が予想以上に伸展をして参っておりますので、またさらに近い将来におきましては一そうこれが飛躍的に発展をするということが現在考えられるわけでございます。従ってこういった新たな見地から、港湾整備事業全般につきまして総合的、計画的な実施を促進するということが、特に緊急を要するというような事態と考えるわけでございます。このために、今回提出しておりまする港湾整備緊急措置法案におきましては、従来の特定港湾施設整備特別措置法の対象になっておりました特定港湾施設工事を含みます港湾整備事業全般につきまして五カ年計画の閣議決定を行なう、この新特別会計の設置と相待ちまして港湾整備を一そう促進をする、こういう趣旨でございます。そこでその結果といたしまして、この特別措置法は、今回の緊急措置法の対象事業となっております港湾整備事業の中で特定港湾施設工事につきまして特別の措置を行なうためのこれが根拠になる。従いまして、これは一つの根拠法としてそのまま存続するわけでございます。なお、新しい特別会計といたしましては、港湾整備事業全体を経理するということになりまして、従来の特定港湾施設工事だけを経理しておりました旧特別会計分でございますが、これがおおむね新特別会計の特定港湾施設工事勘定で、その他の港湾整備事業についての件につきましては、新しい特別会計の港湾整備勘定で経理する、こういうような経理勘定の分け方になるわけでございます。なお、緊急措置法の附則といたしまして、港湾区域外の航路の規定もございますが、これは今回の特別会計に包含されますので、これらの規定を削除するということになっております。ちょっとおわかりにくいと思いますが、法律の関係から申しますと、そういうようなことでございます。一言にして申しますと、二つの勘定は、つまり勘定としてはそのまま存続いたします。特に新しい特別会計の中に包含させるということでございます。
  100. 井岡大治

    ○井岡委員 関連して。この間から聞いておるのですが、どうもわからないのです。ただ港湾局長は、特定港湾施設整備特別措置法は地方の分担金等のことを重点的に考えたものだ、こういうようにこの間からおっしゃっておるわけです。そうすると、今度の緊急措置法の地方公共団体の分担金と違うのか違わないのか、ここのところを明らかにしてもらいたい。国の負担ですね。
  101. 中道峰夫

    中道政府委員 国席負担の関係は従来と同じでございます。
  102. 井岡大治

    ○井岡委員 僕はこの間も聞いたのですが、もし同じだということになれば、なぜ同じようなものを二つ作るのかという理由がわからぬのです。今度の法案をこしらえるなら、特定港湾の方も含めてこしらえたものだと思うのです。そうすれば特定港湾の方を廃案にするなり何なりにして差しつかえないのじゃないか、それを何のために二つにするのか、どうしても理由がわからない。この点もう一回明らかにしてもらいたい。
  103. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 今、先生のおっしゃいましたように、今度の法律の中に従来のものも包含するという規定の仕方もあろうかと思いますが、実は従来の特定港湾施設整備特別措置法と申しますものは、計画の面を考えましたようなこともございますが、実際の法律の規定から申しますと、産業関連関係、すなわち鉄鋼なり石油港湾について受益者負担金をとる。そのためには特別に、これには港湾法の本来の補助の関係、国費なり公共事業体の負担ということだけしか書いてございませんので、特別の法律の規定が要るわけでございます。そういったことをこの従来からあります特別措置法に書いてあるわけであります。すなわちこういう受益者負担金とか特別利用料につきましては、具体的に政令でもって、どの港のしかもどの施設についてはどういう負担を課すんだということが書かれるわけでございますので、この関係の規定を全部そのまま今度の新しい法律にそっくり写し直すこともまた法律技術的には可能でございますけれども、いろいろ法制局等にも打ち合わせいたしました結果、負担の特例法と申しますか、そういう規定であるからこれはこのままで残しておいた方が法律の形としてはかえっていいだろうというわけで二本にいたしたわけであります。従って計画法的な色彩のものは、今度の新しい法律の方に盛り込む、今申し上げましたような負担の特例法というようなほんとうに技術的な面でございますが、これだけを残したということでございます。
  104. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点私も十分理解できないのですが、先ほど港湾局長の御答弁だと、従来から特別措置法がやはり基本法のようなもので、今度の緊急措置法はその基本法をさらに緊急に措置しなければならぬものについて施策を進める上から見てできた特別法的な性格を持つんだ、こういうようにお答えになったと思うのです。私の理解があるいは間違っていたのかもしれませんけれども……。その点とただいまの管理課長の御答弁、実体法的な計画法的な部分は新しい緊急措置法に全部移るんだ、しかし受益者負担だとかあるいは地方公共団体等の費用分担等に関する部分はこのあとの法律に入れることも可能だけれども、何か現在あるものを別にやめる必要もないからこの部分は残るんだ、こういうふうな御説明とは私ども食い違うと思うのです。むしろあとの今審議中のものが基本法になるんで、費用負担に関する特例的な部分は前の法律にその部分だけ残るんだ、こういう御説明なら首尾一貫すると思うのですが、どうもその点が理解されないのと、それからなぜ私がこの点を伺うかという点は、従来からもいわゆる港湾整備特別会計というものがありまして、石油と鉄鋼関係だけでも三十六年度において五十億の予算がすでに、これは国の関係でありますけれども組まれておるわけなんです。それが少なくとも五カ年計画で二千五百億、こういうことになると、従来のそういうものにうんとプラスした計画を現内閣としてやろうとして、それがこの法律になって現われたんだ、こういう理解の上から見て、ちょっとその点が法律との関連で理解しにくいのですが、重ねてこの点についての御説明をいただきたいと思います。
  105. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 今度の法律と前の特別措置法との関係でございますが、これは今、先生がおっしゃいました通りでございます。すなわち前から法律の直接の規定といたしましては、大体において負担の特例的なものが書いてございましたが、これを設けまして、特に従来の特別会計を持ちました趣旨は、やはりその当時緊急に処理すべきものについてだけ考えたわけであります。そういう意味で計画法的なニュアンスが実際にはあったわけであります。そういう面は今度新しくできますところの措置法に全部吸収するわけであります。それから従来の特別会計の関係から申しますれば、従来の特別会計を今度は発展的に解消いたしまして、全体の港湾の改修関係を一丸とした新しい特別会計に盛り込む。その中で勘定は二つに分けまして、この負担の特例になりますようなもの、こういったものは特定勘定ということにいたしているわけであります。そういうことで、二つの法律の分担と申しますか、今後この従来の特別措置法は完全に負担の特例ということだけになるわけでございます。
  106. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、三十六年度予算に、いわゆる輸出港湾施設工事費以下、石油港湾施設工事費、鉄鋼港湾施設工事費、石炭港湾施設工事費、この総計は幾らになるか計算をしておりませんが、この緊急措置法が通過したあと、これに基づいて五カ年計画が新たに設定された場合に、この予算額は、特別会計において追加分というのは、新たなる特別会計で起こす、こういうふうに理解していいでしょうか
  107. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 石油なり鉄鋼なりの施設につきましては、今後も従来の特別会計に入れておりましたものの色彩を持つところの新しい特別会計では、先ほど申し上げました、正式には特定港湾施設工事勘定でございますが、その特定勘定の方で新たに追加するものがございましても、やはりこの方の勘定でまかなうことになっております。
  108. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それは従来の特別会計より以上に、当然三十六年度の新五カ年計画による第一年度の予算はふくれると思うので、そういうようなものは新しい特別会計の中に盛られる。従ってこの新しい特別会計の関係は三十六年度の当初予算には入っておらないので、この法律が通って新五カ年計画があとでできた場合には、その意味で三十六年度が実施第一年度ということになるといたしますと、別な特別会計の予算というものが三十六年度の補正として出てくるものだと理解していいのですか。
  109. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 三十六年度予算がきまりました場合には、これはこの五カ年計画の初年度ということに考えております。従いまして、三十六年度について、この法律に基づく計画ができました後に補正を組むということは現在考えておりません。
  110. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、従来からも特別会計をこしらえて、特定港湾については整備事業を進めている。それを今度は積極的に進めるのだということになれば、やはりこの法律は、新しい五カ年計画を法律が通ってからきめるということになるわけで、大体の構想はお持ちだろうと思いますが、それに基づく第一年度の予算というものと、従来港湾整備特別会計でやってきていたものとは規模なりあるいは質が違わなければ、港湾関係について特に所得倍増計画と見合って積極的なものを盛り込んでいる、こういう政府側の説明とは私は一致しなくなると思うのですけれども、その点は今当初予算審議の過程でありますからなかなか何しないと思うのですけれども、この法律が通って三十六年度の少なくとも早い期間に、新五カ年計画というものができた場合には、現在の予算で組んでいるものでは私は初年度にふさわしい事業にはならないと思うのです。勢いそれは新しい予算的な処置を講じなきゃ、ならぬのじゃないか。たとえばそういうようなものが産投特別会計その他の関係から振りかえられるような、何かそういう道が残されておるんだといえば私はおのずから別だと思うのですけれども、特にこういう港湾関係ということになれば、その点についてはもちろん先の問題で、ある意味から見れば仮定の議論になるかもしれませんけれども、現在三十六年度の予算に盛っているもので第一年度をそれでカバーしていくんだという考え方では、新五カ年計画というものが私は泣くような結果になるんじゃないかと思うのです。その点、別に補正予算を出すと言ったじゃないかといってどうこう言うわけじゃないのですから、考え方としては、そうでなければこの計画そのものが実のあるものになってこないという感じから私伺っているんで、率直にお答えいただきたいと思うのです。
  111. 中道峰夫

    中道政府委員 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、従来の特定港湾施設工事は御承知のように鉄鋼、石油等ばかりでなく、横浜神戸等の重要な貿易の施設もあるわけでございまして、それらのものを従来の法律で推進して参ったわけでございますが、最近の事情から考えますと、従来よりさらに飛躍的に経済が伸展いたしておりますし、事実問題といたしまして各港湾において荷物の扱い量あるいは船舶の出入隻数等も飛躍的に増加して参っております。従いまして従来の計画でやっておりますこと自体は別に変わらないわけでございます。すなわち横浜港なら横浜港の貿易施設というものは別に変わりませんけれども、その施設を増強していく必要性と申しますが、それが非常に緊急性を持ってきておるというふうなことで、従来の特定の施設についてはそれを今回の計画に合わせましてさらに増強して進めていくという形になります。従いまして五カ年計、画でそれらの見通しを立てて、その立てた計、画のもとに推進していく。従いましてその内容につきましては、従来の特定港湾施設工事でやりました施設をそういった観点から進めていくものは、その勘定をそういった勘定にいたしまして進めていくのが会計法上便利であるという考え方でございます。なおその他の港湾につきましては、先ほど申しましたように全体的な観点からこれを緊急に推進したいということで、全部を包含した長期五カ年計画を確立して、緊急措置法と特別会計法をもって事業の確実な推進をはかる、こういう趣旨でございます
  112. 田中織之進

    ○田中(織)委員 局長の御説明理解できないことはないのですけれども、港湾整備特別会計に基づいて従来やってきたことについては、これは別に変更しないのだ、しかし倍増計画その他輸出増強というような観点から見て、さらに緊急にその整備計画というものを強化するためにこの法律を出されて、その部分については、従って、新しい特別会計を起こすということまで言われておるわけなんですから、従って、その部分については、現在の特別会計の予算ではなしに、それがきまったときに、やはり新しい予算というものが組まれなければ、強化するということにはならないじゃないか。かけ声だけで、予算は三十六年度で従来からある特別会計だけだということでは、私は理解できないと思うのです。それともあなたたちは、この法律に基づいての新特別会計というものがやはり三十六年度の予算で、特別会計予算の中に別途項目が起こされて、それに対する数字の裏づけがあるとでもおっしゃるのか、その点をはっきりしていただきたいと思う。
  113. 中道峰夫

    中道政府委員 三十六年度予算の政府案を決定いたします際に、五カ年計画といたしまして予定いたしております二千五百億円と合わせまして、三十六年度予算をその初年度分として決定していく、こういうことになるわけでございます。
  114. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それは、三十六年度で新五カ年計画に基づくいわゆる二千五百億のうちで、三十六年度を第一年度とした予算は、総額幾らと見込まれて、それがどこに入っているのですか、御説明いただきたいと思います。
  115. 中道峰夫

    中道政府委員 この港湾整備五カ年計画と三十六年度の予算の問題でございますが、ただいま申しましたように、港湾整備五カ年計画は、昭和三十六年度を初年度として、五カ年間に二千五百億円の事業を実施するという計画でございます。従いまして、昭和三十六年度の予算案におきましては、国費といたしまして約百九十五億円を支出することにいたしております。これに港湾管理者の負担金等を加えましたいわゆる港湾改修事業費の総額といたしましては、約三百八十億円になるわけでございます。従いまして、三十六年度を初年度といたしますただいまの金額をもって五カ年計画を推進していくという考え方をしておるわけでございます。
  116. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そうすると、従来の港湾整備特別会計の三十六年度の予算は、総額幾らですか。
  117. 中道峰夫

    中道政府委員 従来のいわゆる特定港湾施設工事勘定になるわけでございますが、それは一般会計からの繰入金といたしまして約三十一億円、それと港湾管理者及び受益者の負担金とを合わせまして、総額で約八十三億の会計規模になります。
  118. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、三十六年度特別会計予算の関係で、運輸省所管で五百四十九ページから五百五十ページにあります関係で、この輸出港湾施設工事費四億四千五百万円、それから石油港湾施設工事費九億三千三百万円、それから鉄鋼港湾施設工事費四十億九百万円、石炭港湾施設工事費十七億八千万円、この大きな四つの項目を拾い上げますると、それはざっと大ざっぱな私の計算ですけれども、約七十二億程度の数字が出てくるのでありますが、この数字と先ほど局長が答弁されました三十六年度において国費で百九十五億を計上しておるということと、それから今従来の特別会計の関係では大体三十一億円を三十六年度、従来の特別会計で計上しておるというのと、その三つの数字のつながりはどういうような関係になるのでしょうか。
  119. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 ただいま田中先生のおっしゃった七十二億円と先ほど局長が申し上げました三十一億円との関係について申し上げますと、三十一億円というのは特定港湾施設工事勘定に一般会計から繰り入れる額でございます。これに港湾管理者及び受益者の負担金等とを合わせて会計規模は総額約八十三億になるのでありますが、この八十三億とただいまおっしゃった七十二億との違いは、この八十三億の中には予算書の五百四十八ページの中ごろ以下に書いてあります受託工事費約三億八千万、他会計へ繰り入れ約七千三百万、他勘定へ繰り入れ約五億三千万、予備費一億五千万が先ほどの輸出、石油、鉄鋼、石炭の各港湾施設工事費のほかに加わるからでございます。
  120. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、この予算書の五百四十六ページにあるただいま御説明になりました特定港湾施設工事勘定、これはこの三十六年度の港湾整備特別会計という中のいわゆる今審議中の緊急措置法案に基づいてできる特別勘定分、そういうふうに理解していいのですか、いかがですか。
  121. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 その通りであります。ただ今度の新しいこの五カ年計画の対象にいたしておりますのは、今申し上げた特定港湾施設の工事勘定だけではございませんで、港湾整備勘定と申します。これも特別会計に入れて、そして全体の港湾改修関係をこの五カ年計画の中に入れる、すなわち対象範囲を従来よりも拡大しているわけでございます。従いまして、今の予算書の、先生の御指摘のところのすぐ前の方に、実は昭和三十六年度運輸省所管港湾整備特別会計としまして、先に港湾整備勘定というものがあります。それであとに参りまして、今の特定港湾施設工事勘定が出ておるわけであります。その両方をごらんいただきまして、その両方が全体の計画の内容ということになるわけでございます。
  122. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そうしますと、先ほど局長の答弁とそこのととろで矛盾してくると思うのですけれども、特別会計は、従って、港湾整備特別会計として一本なんでしょう。その中に港湾整備勘定というのと、今度の緊急措置法に基づく特定港湾施設工事勘定、そういう勘定が二つに分かれるという理解が正しいのではないでしょうか。ところが先ほどは、従来の港湾整備特別会計とは別個に、新五カ年計画に基づく新しい特別会計が設定されるのだ、このように先ほど答弁されたと思うのですけれども、その点はやはり港湾関係の特別会計は運輸省所管では一つで、その中に従来の港湾整備工事の関係と今度の新法によるところの新しい特定施設工事勘定とが分かれて入るのだ、こういうことになるのではないかと思うのですが、私の理解が誤りですか。
  123. 中道峰夫

    中道政府委員 お話通りでございます。私、先ほど申しましたのも、そういう趣旨で申したつもりでございますが、今回緊急措置法を作り、特別会計を設けるわけでございますけれども、ただいまお話のように、運輸省といたしましては、この特別会計は一本でございまして、その中に勘定が従来の特定港湾施設工事勘定と今回のその他の港湾施設勘定とが入るおけであります。勘定が二本立になっておる、特別会計は一本になっております。
  124. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それは後ほど速記録をごらんになればわかると思うのですけれども、最初、特別会計は二本になるというような意味のお答えになったものですから、私の理解ができなかったのですが、今、最後の点で私が申し上げた通りだということであれば、理解できないことはありませんから、次へ移ります。先ほど大体五カ年計画は四つに大きく区分してやられるということ、そして具体的に港湾関係等をあげられたのでありますが、その外国貿易関係港湾施設は、具体的にあげられた関係は、この予算書にある輸出港湾施設工事勘定の中には、大阪、下関、門司だけしか出ておらないのですが、先ほど横浜、名古屋も包含されたように思うのですけれども、その点で先ほど局長が最初にあげられた第一の外国貿易関係港湾関係等はどういうようになるのでしょうか。
  125. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 実はこの特別会計はほんとうの会計技術的なものでございまして、そうしてこの特別会計のためには特別会計法が別途この国会に提案されているわけでございます。これは特別会計法でございますので、大蔵委員会の方だと思いますが、その特別会計の方は全く会計処理上の技術的なものでございまして、先ほど局長から申し上げましたのは、実体的な面で外国貿易関係というものを総括して申しております。ところが今度の特別会計の上では、負担の特例になりますもの、それが下関、門司ではこれは特別利用料を取ることになっております。従って、そのものは特定施設の方の勘定に入れてございます。それ以外の横浜とか神戸等につきましては、これは港湾整備勘定の方でございますね、そちらに入っておりますので、今、先生の御指摘の分は特定施設の方の工事勘定に入っている分についておっしゃったことと思います。会計上は二つの区分に分かれて入っているということであります。
  126. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ちょっとその点が先ほどの御答弁との関連でまだ理解できない点があるのですが、だいぶ時間も経過しておるので、いずれまた別の機会もあろうかと思いますから次へ進みます。  次に、産業基盤強化関係の具体的な港としての関係は、ここに石油港湾施設工事の関係で千葉、大阪、水島ですかの三つと、それから鉄鋼港湾施設工事の関係で千葉以下洞海までの十二、それから石炭港湾施設工事の関係で苫小牧以下唐津港までの九つをあげておりまするが、それはいずれも今度の緊急措置法に基づいて特別措置をする港と了解していいわけでしょうか。
  127. 中道峰夫

    中道政府委員 お説の通りでございまして、緊急措置法によって整備する対象になります。
  128. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その場合に、石油港湾施設工事の関係でありますけれども、問題は具体的に鉄鋼港湾施設工事の中に入っておりまする和歌山下津港の問題に関連してお伺いをいたすのですが、石油関係の重要港湾としては、和歌山下津港は、現在あげておられる三つよりもより重要な、たとえばここでの荷役量、輸入量その他の関係から見てあげられるのではないかというふうに考えるのですが、その点はもちろん北港の方が——三月十五日に火入れをいたしまする住友金属の関係がございますので、鉄鋼関係で和歌山下津港は入っているわけなんですけれども、その点は昭和二十五年に貿易港としてあそこを指定するときにいろいろいきさつがありまして、和歌山下津港といって非常に広い海域を一つの港に指定をしてもらった関係から見て、そういう矛盾が出てきておるのですけれども、その点については、鉄鋼関係施設の重要港という形で和歌山下津港が入れられれば、和歌山下津港全体についての緊急に措置しなければならぬ岸壁、あるいはそういうような関係整備を全部進められるものだ、このように理解していいのでしょうか。現実には和歌山北港といわゆる石油を主として積みおろしをいたします下津とはかなりの距離が離れておるわけです。しかし、一つの湾内にある特殊な経済的な関係等を考慮に入れて、和歌山下津港ということで昭和二十五年に貿易港として指定を受けて、いわゆる重要港湾として現在にきておるわけですが、その点私の理解通りでいいものでしょうか。  なお、政務次官もお見え下さったので、その点についてもう少し補足してお伺いをいたしますけれども、現在私がただいま申し上げましたような経過で重要港湾としての指定を受けておるわけですが、いわゆる特定重要港湾としては和歌山下津港は実は指定を受けておらないわけなんです。しかしながら従来はそのような関係で下津港——これは最近は日本に輸入して参りますもので四日市なり川崎等に荷揚げする部分もありますけれども、ここ数年前までは日本に輸入いたします石油は全部和歌山下津港に揚げた関係があります。ところが、先ほども申し上げましたように、住友金属が第二の八幡といわれるような製鉄設備を和歌山に建設しておる関係から、北港ではすでに鉄鋼の原料等の積みおろしのために三万トンの船が横づけできる岸壁設備も完成しております。そういう関係から見まして、さらには先ほど局長も貿易関係の点で木材の例をあげましたけれども、最近の日本の国内へ輸入されますソ連材、北洋材ですね、あるいは米材等の関係につきましては、かつての小樽等の例は別ですけれども、少なくとも全国的に見て非常な部分が和歌山に輸入されて和歌山で積みおろしがされておるわけです。そういう関係から見て、貿易額の点から見ましても、あるいは貨物のトン数の点から見ましても、特定重要港湾として指定されておる名古屋港と実はほぼ匹敵するだけの取り扱い貨物トン数になっておるわけなんです。その意味からいえば、一番少ない小倉あるいは清水、四日市、こういうようなところが特定重要港湾として指定されておるよりも和歌山下津港の方がはるかに上回るわけです。その意味から、いわゆる特定重要港湾に指定をしていただきたいということの陳情を運輸省にも盛んに行なっておるわけでございますが、やはり今私がお伺いをしましたように、和歌山下津港は鉄鋼関係の特定港として緊急整備の対象にもなっておるようでありますけれども、この機会に、もうそういうことに入っておれば問題はないので、従来のような特定重要港湾としての指定は必要ないんだということであれば、重ねてたってとは申しませんけれども、量から見まするならば、やはり名古屋、関門よりも上回る貨物を和歌山下津港が積みおろしをしておるという関係から見て、特定重要港湾としての指定をいただきたいと思うのです。そういう点について、この整備計画との関連で運輸省の方で検討して下さっておることと思うのですが、この際御意向を承りたいと思います。
  129. 福家俊一

    ○福家政府委員 田中委員の仰せの通り、和歌山県の関係方面から熱烈なる陳情を承っております。またお説のごとく、現在特定重要港の指定を受けております小倉、四日市、清水等よりも和歌山は貿易量も多いということも事実でございます。しかし、特定重要港湾選定基準の第八条に「国際交通の要衝にあたり、重要なる国際定期航路の寄港地であること」という一項がございます。現在和歌山港には定期航路が寄港しておりません。そこで、大蔵省ともよく打ち合わせ、その結論を出す必要もございますので、運輸省といたしましては、地元の陳情の熱意にも動かされて、高度なる政治的配慮をもって、和歌山港を特定港に指定したいと、目下検討中でございます。
  130. 田中織之進

    ○田中(織)委員 政務次官の答弁で了承いたしますけれども、現実にやはり大阪、神戸は和歌山の沖を通って大阪湾に入って参るのです。もちろん神戸は関門から瀬戸内海の安全航路をたどるという事実もございますけれども、外洋から入って参ります場合には、紀淡海峡を通ってこれらの港に入っていくのです。その点から見ますならば、特に鉄鋼関係の重要港湾としての施設をお急ぎ下さるということからいっても、すでにこの十五日には溶鉱炉も火入れを行なうような段階でございます。御承知のように鉄鋼は原料の大部分を国外から輸入いたしますけれども、やはり日本の鉄鋼業が発展する要素は、原料の大部分を国外から輸入をしておりましても、製品の鋼材を、まずその五分の一も輸出すれば—— 現在二千万トン以上の原料についての輸入を行なっていますけれども、約五百万トンの鋼材の輸出を行なえば、鉄鋼原料の輸入に見合うだけの、あるいはそれをオーバーするだけの輸出ということに相なるわけでありますから、そういう観点から見て、ますます私は港の重要性というものは加わって参ると思いますので、形式的には、古い法律でありますから、今、政務次官が指摘された、定期航路が和歌山に発着していないじゃないかという点の問題がありますけれども、これは日ならずして、特に大阪港あるいは神戸港よりももっと外洋に近いだけに、可能性だけじゃなくて、ここに入る必然性は迫っておる、私はこのように理解をしておるので、その点ぜひ一つ早い機会に御決定をいただきたいということを重ねてお願いをしておきます。  そこで、先ほど前段で御質問申し上げた点は、鉄鋼関係の重要港湾ということになっておるわけですけれども、石油関係におきましても、下津は非常に重要な位置を占めております天然の良港ではありますが、桟橋の設備その他——きょうは隣りの委員会で石油事情について参考人が来て意見を聴取しておりますけれども、ますます石油の需要が増大いたしますと、和歌山下津港の整備というものも緊急度が加わって参ると思うのです。鉄鋼関係で入ったからということで、特に北港の部分というようなことではなしに、和歌山下津港全体の必要な部分を整備していただけるものだと理解するのですが、その点は私の理解で間違いがないかどうかお聞かせをいただきたいと思います。
  131. 福家俊一

    ○福家政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、この問題は大蔵省とも十分打ち合わせる必要がありますので、かすにいましばらくの時間を与えていただきたいと思います。特に高度なる政治的配慮と申し上げましたが、その点に一つ御信任をいただきたいと思います。
  132. 田中織之進

    ○田中(織)委員 なお伺いたい点はたくさんございますが、時間もずいぶん経過をいたしておりますので、私の質問はこれで終わりますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、所得倍増計画とうらはらの関係港湾整備に今から着手するということは、これは時期的にむしろおそいわけです。しかし特別会計で従来からやってきておるという努力は認めますけれども、今この法律に基づいて策定しようとする五カ年、二千五百億程度の資金では、とても倍増計画に見合う従来輸出入物資の輸送は必ず港湾を通さなければならぬわけです。そういう点では整備は十分達成されない。従って、先ほど久保委員から、米軍等で占拠しておる部分もまず開放させるべきではないかという切実なる質問も行なわれておったわけであります。この法律ができた場合に、五カ年計画で継続的な事業として、従来の単年度主義を改めて計画的にやるんだということを局長もおっしゃられましたけれども、政務次官もいなくなったから何ですが、あんたたち事務当局はやはり着実に、十年後の所得倍増計画に基づく輸送力を十分達成できる港湾設備のために、もっと計画を検討して大きなものにしなければとうてい間に合わないのではないか、このような感じを先ほど来の答弁を伺っていたしますので、その点を一つ十分検討していただきたいという私の意見を申し述べまして、私の質問を終わります。
  133. 三池信

    ○三池委員長 久保三郎君、経済企画庁、建設省、大蔵省おいでになっておりますから、質問を一つ……。
  134. 久保三郎

    久保委員 経済企画庁にお尋ねをするわけですが、新しい港湾整備五カ年計画は、予算の関係では十カ年で大体五千三百億と計算され、さらに前期五カ年が二千五百億の投資、こういうことになったわけであります。この五カ年計画なり十カ年計画の基礎になったものは、十カ年で六億四千万トンですか、そういう物の扱い量を基礎に置いたというのでありますが、はたして五千三百億というのはそういう貨物の取り扱い数量に見合ったものであるかどうか。と申しますのは、いろいろお尋ねしておるさなかに、原単位のとり方に多少幅はあるにしても、五千三百億では、そろばんをはじいた結果として、これはあまりにも少ないだろうという見方もあるわけです。  そこでお尋ねしたいのは、先ほど申し上げたように、この積算の基礎であるべき港湾の扱い数量の推移、さらにはこの予算のとり方における原単位を幾らにとられたのか、こういうことをまず最初にお伺いしたい。
  135. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 初めにちょっとお断わりを申し上げたいのでございますが、本日たまたま局長が不在で、かわりに私参りましたのですが、担当の計画官も出張中でございますし、港湾関係計画ができ上がります前の準備作業として、経済審議会の交通体系小委員会で、いろいろ今お尋ねのような貨物の取り扱いあるいは原単位計算というようなものから基本的ないろいろな計算を出したわけでありますが、その関係につきましては、私、直接の担当者ではございませんので、あまり詳しく存じない点をあらかじめ御了承願いたいと思います。  ただいまお尋ねのうちの計画の本文に載っております五千三百億の算定の考え方でございますが、この点について簡単に御説明を申し上げますと、計画の本文の中に書いておりますように、原単位方式による巨視的計算によれば、なおかなりの巨額を要する計算だということをいっております。これはただいまのお尋ねのように、貨物の取り扱い量を原単位計算でいきますと、たしか六千億程度の数字が投資額として出てくるという事情もございまして、この点は実は主として需要面からする所要投資額という計算になっております。これに対しまして、計画の本文のうちにとりました十年間の投資所要額と申しますのは、片一方で、投資配分という委員会の作業をもとにいたしまして、財政のおよその収支バランス上の計算から出て参りました十年間のいわゆる行政投資所要額、計画は各行政投資事業別に配分をいたしておるのでございます。その性質は、言えば十年間におきまする行政投資の可能額と申しますか、そういうもののうちから港湾に幾ら振り向けるべきだろうかというような感じの計算、従いまして需要面からの計算をいたしました巨視的な計算、あるいはそういった財政のバランスの方から出て参ります行政投資の配分計画、そういうものをも突き合わせまして、大体十年間で投資所要額は五千三百億であるということを計画本文でいっております。従いまして、五千三百億円は直ちにただいまの原単位方式に結びついておらないわけであります。一応御説明申し上げます。
  136. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、五千三百億の計画というのは、交通体系小委員会と投資配分小委員会の妥協の産物である、こういうふうにとってよろしいでしょうか。
  137. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 お答えいたします。経済審議会の中での算定の経緯といたしましては、今のお話通り、投資配分小委員会と交通体系小委員会それぞれが若干異なる角度で算定いたしましたそれぞれの投資額を、いわば調整しましてきまった、こういうふうな経緯になっております。
  138. 久保三郎

    久保委員 そこで、所管外のようでありますが、交通体系小委員会から審議会そのものに出された結論というのはいかなるものであったか、御説明が願えるでしょうか。
  139. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。交通体系小委員会港湾に対しまする投資所要額として計算をいたしましたのは、六千二百億ないし七千九百億ということになっております。
  140. 久保三郎

    久保委員 昨日、これは非公式に電話でその資料をというお話をしたわけでありますが、そういうものは何もないのだ、こういう御回答なんで、不思議に思ったわけですが、交通体系小委員会の一応の結論ですね、これは審議会に報告されてきていると思うのです。これはきのうの非公式な電話とは違うようでありますが、その資料を後刻届けてほしいということを要望しておきます。  そこでお尋ねするわけでありますが、先ほど申し上げた交通体系小委員会と投資配分小委員会との妥協が五千三百億であるのだろうかということに対しては、そこで調整いたしましたということですが、調整と妥協とは違うのかどうか、これを伺いたい。
  141. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 お答えいたします。ただいまのお尋ね、現実の経済審議会での審議過程に対するお尋ねといたしましては、大へんお返事のしにくいような点でございますが、私ども審議会の審議のお世話をいたしておりました事務の方といたしまして見ておりましたところでは、それぞれそういう算定に対する基礎と申しますか、片一方は先ほど申し上げましたように、もっぱら需要面といいますか、投資需要の方からの算定、それから片方は、主として全体の財政規模の中での投資の配分、どれだけそれに差し向けられるかという観点で算定をいたしておりますので、妥協と言ってはいかぬと思いますが、いわばそういう二つの違う考え方を調整をしてきめたということでございまして、異なる二つの数字を中取りできめたあるいはどっちにきめたということでは必ずしもないようにお見受けしておったわけでございます。
  142. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、私が言うところの妥協ではない。妥協というのは理論がないわけです。あっても、多少の方ですね。そこでお尋ねしたいのは、現在あるところの港湾整備計画、これは運輸省自体のものだそうでありますが、これが三年目を終わるわけでありますけれども、三年目を終わるについては、前から御質問があるように、これは投資不足なんですね。大体三四とか三九%、通常ならばこれは六〇%なくちゃならない。そしてまた、その計画自体が小さいというので、今度は所得倍増計画に見合って港湾整備をはかろうということでございます。それで、この交通体系小委員会から出てきた原単位方式によりますれば、大体七千億以上のものであります。ところが、これが五千三百億と相なりますというと、現在あるところの計画がそれぞれ投資不足している中に、さらに今度は前期五カ年計画で二千五百億円と詰めてきた。そうなりますと、この計画自体も腰だめ鉄砲的なものではないだろうか、こういうふうに思うわけなんです。だから、所得倍増計画に見合ったものとはこれはなかなか言いがたいのじゃないか。ただ単に今の経済成長に追っつけないから、ここで名目を変えて、これに何とか理屈をつけて、と言うては語弊があるが、まあまあ今までよりは少し投資をよけいにしてやっていこうというだけであって、どうも理論的に一貫してない、こう思います。これはいかがでしょう。
  143. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 お答えいたします。各委員会で算定をいたしましたのは、委員会によって算定の方法なり何なりが多少異なりますが、交通体系の小委員会ではいわゆる原単位方式というのをかなり採用されております。それから行政投資の他の分野で申しますと、住宅等につきましては必ずしも原単位方式をとっておりません。もちろん原単位方式自身にも、専門家でございませんけれども、聞いておりますところによりますと、理論的にまだ発展の余地があるもののようでございます。それから何よりも今申し上げましたように、異なる事業間の行政投資の所要額あるいは投資配分小委員会と交通体系、交通体系と住宅・生活環境の小委員会というような、いわば投資需要の算定をいたします異なる各委員会の間で、必ずしも方法論的に同じ方法を使っておりません。従いましてこれを調整あんばいをいたします場合に、原単位方式でこれだけ出てきたから、それはまず優先的に一つの財政規模の中で確保する、原単位方式をとっていないものについてはとらないというような工合にも必ずしもいたしかねる面がございます。従いましておおむね計画の投資所要額として本文のうちに採用いたしましたものの基礎になっております投資配分小委員会の算定と申しますのは、過去の行政投資のそれぞれの事業別の伸び率あるいは過去の財政規模におけるそれぞれの事業の配分比というようなものを総合勘案いたしまして、その上でなお多少政策的な判断も、たとえば道路投資には従来の伸びよりも少し多目に見る必要がある、あるいは全体の需要のうちで三分の一以上のものを差し向けることが必要ではないかというような点を、委員会の各学識経験者でございます専門員等の御判断も願いまして、そうして投資配分小委員会で事業別の配分をいたしました。従いまして、なお進んで申し上げますと、これは一つの財政規模の中での配分比重の数字でございますので、たとえて申しますと、全体の経済成長がこの十年間に十六兆一千三百億という行政投資の総ワクが前提しております年率七・二%の成長よりも早い成長を示す、ほかの言葉でいえば、十年よりも早い期間に倍増を達成いたしますというようなことでございますれば、当然その年々の投資所要額あるいは十年の投資所要額に対して具体的に港湾の五カ年の計画というようなものは、必ずしもその半分であるとか、あるいは複利率で伸ばしました年々の倍増計画が一応想定している伸びと異なる伸び率を持った五年間の投資が出てくるということは当然あり得ます。そんな関係で今のこの七千億以上の計算も合うんじゃないか。それからそれを多少あいまいな形で五千三百億ときめた、さらに五年計画はこれと見合っていないじゃないかという点は、直ちには判定できない、いろいろ計算してみないとわからないのではないか、かように考えております。
  144. 久保三郎

    久保委員 なるほどお説のようなこともありますが、大体その前提を度外視すればそういうこともありましょう。しかしその前提となっているのは、現在ある五カ年計画の投資のおくれということが一つの大きな前提、それにもう一つ前提の大きいのは、経済の伸びが非常にすばらしい、こういうことになりますと、これは算術計算でいかなくても比重はどっちに置くのかということにもあるんじゃないかと思うのです。これはあなたと論争していても切りのない話であります。  そこで私は端的にお伺いしたいのは、この五カ年計画は、二千五百億のワクで——ワクというか、二千五百億で五カ年計画を遂行する場合は、五年後には、現在の経済の成長というか、経済の規模に合った港湾整備ができるという確信はあるのですか。そういう意味で、簡単で俗受けするような質問ですが……。
  145. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 お答えいたします。この点は先ほどお答えしました中にも関連をいたしておることでございますから、所得倍増計画自身が、十年後の目標、それからたとえば今の行政投資の所要額等につきましても十年間の計画ということになっておりまして、必ずしもその年々の計画というものを持っておりません。それからその中間の五年目までに幾ら要るだろうかという点も倍増計画自身は端的には申しておりません。従いまして、ただいまの運輸省の方で御計画になります港湾の五カ年計画の投資所要額というものは、数字的に直ちに所得倍増計画と突き合うものではございません。所得倍増計画で十年間に五千三百億円ということを申しております。私どもの常識上の一つの判断としては、二千何百億ということが五年で計画される場合には、かなり前半に重点を置いて、先行的な投資が当然行われ得るのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  146. 久保三郎

    久保委員 なるほど、そうですが。  それではお尋ねしたいのですが、所得倍増計画というのは、早い話が、これはどなたもそうだと思うのですが、別にきまったものではなし、なるだろうという、してもらいたいという願望だろうと思うのです。願望ですね。ところが、願望は願望でそれはいいとしましても、少なくも政府は九%の伸びがあるんだということを前提にしてすべての施策を行なうのだと言明しているのでありますから、これは九%の成長に見合ったものを出してくるのは当然ではなかったかと思うのです。だから私の聞きたいのは、それもあるけれども、現実に所得倍増が大体先ほど言った願望ですから、なるかならぬかわからぬし、またうんと倍増以上になるかもしれぬ、あるいはもっと低目になるかもしれぬ。こういうのは別にしまして、現実に港湾整備の五カ年計画というものが、二千五百億で日本の経済に見合ったものになり得るという一応の推定なり確信を持っておられるのか、こういうことなんです。もっと詰めて御質問申し上げますと、二千五百億というこの港湾整備計画が、現在のような形での経済成長に見合ったものであるかどうか、そういう確信から二千五百億ときめたのだろうか、お尋ねしたいのはこういうことなんです。
  147. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 お答えいたします。先ほども申し上げましたように、倍増計画の行政投資の配分数字を含めまして各種の経常的な数字が上がっておるわけでございますが、それは全体の成長率を七・二%、計算の基礎としては三十二年から七・八%でございますが、そういった全体の経済の成長率の想定、それを前提にいたしております。従いまして、現実の経済成長がこれを上回っております場合に、それに対応いたしましてそれぞれ算定されます。この倍増計画の期間と異なる期間を持ったような長期計画については、所得倍増計画は必ずしも直接的にものを言っておるわけではございません。従いまして、ただいまのお尋ねの趣旨かと存じます二千数百億の五カ年間の港湾投資所要額、所得倍増計画を作った局長計画から見てどうだという点につきましては、まあ先ほど申し上げましたように、そう線ははずれておらないと思いますという以上に、具体的に現実の経済の成長速度、これは将来わからない問題でございますし、その通りなっていくかということは私ども事務当局としてはお答えしにくい問題でございます。
  148. 久保三郎

    久保委員 港湾の貨物取り扱い数量の伸びというか成長というか、そういうものは理論的にはどういうところを基礎に置いたのですか。それはおわかりになりますか。
  149. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 先ほどお断わりいたしましたように、各部門について全部こまかいことまで存じませんので、できますれば運輸省の方に……。
  150. 久保三郎

    久保委員 運輸省港湾局長おわかりですか。
  151. 中道峰夫

    中道政府委員 港湾の取り扱い貨物量の推定でございますが、これの推定の方式はいろいろあるわけでございますけれども、これまでいろいろやって参りまして比較的信頼のおけると申しますか、実際やりますものとこれらの実績が合致してきたのは、大体工業生産指数との関連で、従来の実績と工業生産指数とを関連せしめて推定していくという方式がよく合致しておるので、そういう線でわれわれの方は推定いたしております。
  152. 久保三郎

    久保委員 それで私がお尋ねしたいのは、どういう成長率でやっているのかということですが、具体的なパーセンテージ等の御説明はありませんが、あとで答えて下さい。  時間もだいぶたちますから簡単にお尋ねします。大蔵省の地方資金課長さんおいでになっていますか。——この整備五カ年計画に伴って地方資金といいますか、そういうものの計画は一応内部的に確保されるという見通しをとっておられるわけですか、いかがですか。
  153. 堀込聰夫

    ○堀込説明員 港湾整備に関連します地方の資金はいろいろの事業がございまして、直轄事業に伴う分担金の資金でございますとか、あるいは補助事業の地方分担金あるいは単独のものも若干あります。そのほか港湾計画に入っておりません単独事業もございますので、そのおのおのについて内容は違うと思いますけれども、大体直轄事業につきましては、来年度におきましては直轄事業債百六十億という資金をもちましてその分担金の一部を補助するという方式をとっております。それから補助事業につきましては、港湾整備事業に対する補助債を用意しております。それから全然五カ年計画に入っておらない起債事業については、起債対象の事業といたしまして、上屋の整備であるとか荷役設備あるいは埠頭の整備というものに対して合計して百四十五億でありますけれども、この百四十五億の起債のワクを用意しております。来年の地方債計画における資金の姿は大体そういうことでございます。将来につきましても、その年度の地方財政の状況その他によりまして措置していくということになっております。
  154. 久保三郎

    久保委員 これは資金課長御存じのように、現在あるところの五カ年計画の中では、起債関係分は相当平均率を下回っている。こういうものは挽回するということでとっていいのですか。
  155. 堀込聰夫

    ○堀込説明員 この点は、公共事業の方がやはり事業として先行いたしますので、従来確かに御指摘のように若干ずつおくれて参っているかと思います。われわれとしては、このぺースに合わせるように努力いたしたいと思っております。現に来年度におきましては、起債等は飛躍的にいずれも金額をふやしております。準公益事業の港湾整備事業の費用は、三十五年度の七十五億に対して百四十五億という、約倍増の起債額を準備いたしております。そういう形で、その間におくれがないように、事業の資金の起債はめんどうを見ていくというふうにいたし、将来もそういうふうに持っていかなければならないと思っております。
  156. 久保三郎

    久保委員 主計官にお尋ねしたいのですが、五カ年計画は、この法案通りますれば、港湾審議会にかけて政府でもってきめていくわけですが、将来の資金計画というものについては一応のめどをつけておやりになっていると思いますが、それはどういう手順になりますか。
  157. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 お答え申し上げます。すでに運輸省の方でいろいろお話があったことと思います。私、ただいま参りましたので、あるいは重複をいたすかもしれませんが、あらかじめ御了承願いたいと思います。  港湾整備につきまして長期計画を作るのは今回が初てでございます。従いまして、従来道路等につきましても、長期計画をそれぞれ策定いたしておりますが、こういったものと大体同様の手順を踏んでいくのではないかと私ども考えておりますので、そういったものを参考にして申し上げてみますと、法律が通りましたあとで、運輸省の方としては、二千五百億を、五カ年計画につきまして具体的に内容を御検討なすって案をお作りになることと思います。その段階で審議会なり、あるいは政府の交通閣僚懇談会がございます、これは経済企画庁の方で事務当局が出て、各省の幹事が出ていろいろ議論いたしますが、おそらくその辺のところで、この案について検討をいたされて、ただいまお話のように審議会で審議をし、閣議決定をする、こういうふうになるものと思っております。
  158. 久保三郎

    久保委員 主計官おいでにならぬ席で、運輸省からこの問題でいろいろ答弁があったわけであります。その中で、先ほど来申し上げたように、早くいえば妥協の産物だろうと思いますが、二千五百億では港湾局自体が考えている線から下回っているのではないか、こういうお話を申し上げましたら、港湾局の方では、いやそれは足りない、しかしこれは企画庁でお持ちになっている予算の立地調整費といいますか、これから一つ出してもらうのだ、こういう御答弁もあったのでありますが、この調整費そのものはそう簡単に——五カ年計画の中である程度消化できる見込みはあるのですか。
  159. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 五カ年計画の内容はこれから作って参るわけでございまして、私どもの方がまだ運輸省のお考えを聞いていない段階でございますので、ただいま御指摘のありました調整費といいますか、そういったものの関係でその中にどういうふうに織り込んでいくかということは今後の問題となると思いますが、いずれにしましても今後五カ年の長い期間の計画でございますので、新しい産業立地の方法なり何なりを十分に現段階で予測して内容を全部きめてしまうということは困難な面もあるかと思います。従いましてそういった調整といいますか、ある程度ゆとりのあるものをこの中に置いておくということも一つの考えではないかと私どもは考えております。
  160. 久保三郎

    久保委員 そこでその立地調整費についてさらにお尋ねしたいのですが、この立地調整費というものは、いわゆるポケット・マネー的な性格のものか、それとも関係個所が多くていずことも判定しがたいというときにこれを出して調整するというのか、いずれなんでしょうか。たとえば五カ年計画でどうもこれでは経済なり港湾の成長というか膨張に対して追っつけないといって、この調整費から出そうというような性格のものか、それとも違う、たとえばまだこの航路を深く掘って浚渫してやる必要はないのだ、しかし埋め立ての問題もあるから、そこで一つ浚渫とあわせてやると、そういう場合には調整費を出していくということなのか、いずれなんでしょうか。性格としてははっきりしていないのですか。
  161. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 概要計画の中の問題でございまして、直ちに予算の問題じゃないと思いますので、私からお答えいたします。今御指摘の立地調整費と申しますのは、多分、当初配分表の中にあります産業立地調整というので、十年間に五千億というものを充てております。その費目かと思いますが、これは計画の中で申しておりますように将来の産業立地の姿と申しますか、そういうようなものもこの所得倍増計画では、具体的に必ずしも描き出せておりません。あるいはこれからのいろいろな検討で変わっていく要素もあろうかという考えのもとに、いわば全体の十六兆一千三百億のワクのうちから将来そういう産業立地の考え方なり何なりが各関連した相互のいろいろな各種の事情の間で固まり、そしてまた新しい今予想できない事情というようなものが出てきた場合の調整というようなもののために、ある程度の額をいわばリザーブしておくことがいいんじゃなかろうかということで、産業立地調整費というような形で、いわばつかみの金として五千億円ここに書いておいたというものでございます。従いまして、たとえば具体的に本年度の予算の中にこれに見合うものとして幾ら計上されたかというわけのものではございません。
  162. 久保三郎

    久保委員 そうしますと多分にこれは政治的に利用されるのではなかろうかという気もするわけですね。しかも五カ年計画では、原局である港湾局の計画からは、あるいは経済企画庁自体の交通体系小委員会から割り出しても、これは出た結論というものは少し少な目である。こうやっておいて片方にポケット・マネーを置いておくというと、どうも明朗を欠いておるように思うのです。これはもう少しすっきりしてやった方がいいと思うのですが、どうなんですかな。私はどうも、調整費というものはわからぬわけではございません、各官庁に関連した事業が出てくるとか、全体としてやらなければならぬとかというものが出てくれば、当然それは予測されないものですから、これはもう必要だと思うのです。ところがどうも片方締めておいて——これは正しいかどうか知りませんよ。ただし原局の意見を聞くと、五千三百億ではどうも少ない、現実から見てもどうもおくれている、こういうことなんですね。これはこのままにしておいて、片方でポケット・マネーを置くというやり方はどうも不明朗ではないだろうか、こう思うのです。これは私の意見ですから。もちろんあなたの方では、そんなことはございませんという御答弁でしょうからいただく必要はありませんが、そこで最後に主計官にお尋ねしたいのですが、大体二千五百億の五カ年計画、これの単位のとり方というか、そういうものは、大蔵省自身としてはどういうふうにお考えできめたのでしょうね。
  163. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 この前のお話にも関連いたしますが、五カ年計画の規模を私ども考えますにあたりましては、もちろん運輸省のお考えも十分拝聴して、結果的にこういう数字になったわけでありますから、一つのよりどころとしては、先ほどお話に出ておりました所得倍増計画の十カ年の投資規模というものがあると思います。五千三百億円というものがある。またその外に、今御指摘のありました調整費というようなものが、やはり港湾にある程度くるであろうということも考えなければならないと思います。そういうことで、十年としての一つの規模といいますか、そういうものをある程度考えまして、そして前期の五カ年の計画を作るわけでありますから、どういう考え方でこれを通していくかということで五カ年の規模をきめて参るという考えがとられるわけであります。その場合に、やり方といたしましては、三十五年度というのは実績がございますから、これを足場にして今後十年間にどういうテンポで伸ばしていくかという増加率、伸び率、そういうものを目安にして考える場合があり得ると思います。たとえば五千三百億といたしまして三十五年を基礎にして伸び率を計算しますると、おそらく一一%ちょっとになる。この一一%で毎年伸びていくということにいたしますとどのくらいになるかと申しますと、大体前期五カ年で千九百億くらいになる。しかし港湾のような事業でございますからできる限り先行投資をした方がいいのじゃないかというような考え方から参りますと、そういった伸び率というような考えではなくて、できるだけ前期にウエートをかけてやる。たとえば半々でやるというような考え方もあるかと思います。しかし財政的な目で見て参りますと、やはり国の経済の規模が年々大きくなっていくわけでございますから、それに応じて財源も出て参るという点から考えますれば、やはりある適当な伸び率でいくということの方が望ましいという考え方になるのは、これまた当然のことでございます。そういったことをいろいろの面から検討いたしまして、相当前期に重点を置いた計画にするということで、二千五百億という計画の規模がきめられたわけでございます。この五カ年二千五百億という計画は、港湾としての事業種別のはっきりした計画でございまして、このほかに調整費のようなものが出てくるというふうに何かお考えのようなお話もございましたけれども、そういうことには私ども考えていません。二千五百億のうちでそういうものが出るかどうか、あるいはとるべきかどうかということになれば、現段階で作って参るわけですから、ある程度その中でなおゆとりを持った方がいいのじゃないか、こういうふうに今考えているわけでございます。
  164. 久保三郎

    久保委員 港湾局長、あなたのお考えと主計官のお考えは少し違うようだが、私も主計官のような考えを持っているわけだ。そういう点はやはりこれから私に答弁したような考えでいたら甘いですよ。そうでしょう。はっきり言えば今の御答弁が筋ですよ。私がやる場合もそうです。時間もありませんから、いろいろお話を伺いましたが、まだまだこの港湾については私よくわかりません。折に触れてまたお尋ねをする場合があると思いますが、せっかくおやりになるからここで最後に一つ申し上げたいのは、とにかく国の金を使ってやる仕事の分野をはっきりしていく。これは主計官にも聞いていただきたいのですが、とにかく二千五百億という、ちびった金といっては語弊があるが、港湾局のお話によれば——もっとも港湾局はちびられたとは言いませんが、そういう結論になるわけです。そこで、結局港湾実情も、局部的に見ても実際これは今大へんなもんです。そうだとすればやはり二千五百億の投資というものを生かしていくということでありますから、そうなれば国でやらなきゃならない分野と、われわれ利用者がやるべきだという分野は画然と分けていくことが正しいし、またそうあるべきだと思う。ところが従来はこの補助率その他にしても負担率にしてもあながちそういうことは画然としていない。私ははっきり申し上げます。私は港湾整備が急務だと思う。急務だとすれば、利用するものと国との両者からこれは整備しなきゃならない。ところが案外、政治的にといっては語弊があるが、今年の港湾整備の、たとえばこういうものが出てくるについても、中身を掘っていくというと、何かどうも、国の金で自分の方は少し助けてもらおうという考えが多いんですね。これはやっぱりはっきり区分けして予算は使うべきだ、工事もやるべきだと思うのです。だから、幾分今度の計画の中では、そういう面は修正されているようでありますが、投資効果を上げたり、港湾全体の整備を早急に確立していくという場合には、やはり資金の受益者負担という格好をもう少しはっきり具体的にやるべきだ。これから法案通りますれば五カ年計画を立てる。その中では各港別のいろいろなものが出てくるでしょう。厳重にやはり規制していってほしい、こういうふうに思います。
  165. 三池信

    ○三池委員長 それでは、本会議散会後まで暫時休憩いたしまして、本会議散会後直ちに再開いたします。  なお、委員会再開後は引き続き港湾整備緊急措置法案質疑を行ないますので、大蔵省、建設省の方々は御出席要求しておきます。  暫時休憩いたします。    午後二時二十二分休憩      ————◇—————    午後三時四十五分開議
  166. 三池信

    ○三池委員長 これより再開いたします。  港湾整備緊急措置法案議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
  167. 勝澤芳雄

    勝澤委員 港湾整備緊急措置法案につきまして、二、三御質問したいと思うのですが、従来昭和三十三年から三十七年までの港湾整備五カ年計画は新長期経済計画によって樹立されて参りましたが、今回は政府の国民所得倍増計画に対応する港湾整備計画でありますけれども、一体新長期経済計画による従来の五カ年計画と、今回の国民所得倍増計画によるものとの相違点はどこにあるのでしょうか。
  168. 中道峰夫

    中道政府委員 お答え申し上げます。  旧港湾整備五カ年計画と申し上げるわけでございますが、昭和三十三年から三十七年までに運輸省が樹立いたしました計画でございます。この計画の趣旨でございますが、これはただいまお話がございましたように、新長期経済計画の一環といたしまして、港湾整備計画の前期計画として実施する建前でございまして、昭和三十三年度を初年度として、昭和三十七年度を最終年度といたしたわけでございます。この新長期経済計画によりますと、当時は年率六・五%の経済成長率を見込んでおりまして、その中に輸出の伸長と国際収支の改善、産業構造の高度化、エネルギー供給の確保、輸送力の増強、国土の保全というようなものが要請されておるわけでございます。そこで港湾関係の五カ年計画といたしましては、これらの要請に対応いたしまして、外国貿易港湾整備、産業基盤強化のための港湾整備、沿岸輸送力強化のための港湾整備、離島振興のための港湾整備、国土の保全事業、これらの事業を行なうことといたしまして、港湾取り扱い貨物量の増加、船舶の大型化、港湾荷役の合理化に対処することといたしたわけでございます。  そこで今回の新長期五カ年計画は御承知のように所得倍増計画の趣旨にのっとりまして計画をいたしたわけでございまして、この場合に前回から申し上げておりますように、港湾計画といたしましては、昭和三十六年度を初年度として昭和四十年度を最終年度といたします五カ年計画でございます。この計画目標といたしましては、昭和四十年におきまする全国港湾取り扱い貨物量を約六億二千万トン、これは昭和三十四年度の実績の約三億八千万トンに対しまして一・六倍になるわけでございます。従いましてこれらの所得倍増計画に盛られております趣旨に従いまして、経済の発展に伴います貨物量の増加あるいは船型の大型化あるいは取り扱い貨物の荷役の合理化、その他重化学工業の発展に伴います臨海重要工業地帯の防護、あるいは工業地帯の港湾の機能を維持するための事業を促進する、あわせて所得の格差を是正する、こういう趣旨でこの計画を立てたわけでございまして、その内容といたしましては先ほど来申し上げましたように外国貿易港湾整備、産業基盤強化のための港湾整備、あるいは沿岸輸送力強化のための港湾整備、その他の問題というような大きな分類のもとにこの計画を樹立いたしておるわけでございます。なおそれらの事項に対する内容につきましては、先ほど来御説明申し上げた通りでございます。
  169. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は港湾整備の旧五カ年計画と今度の五カ年計画との相違点が実は具体的によくわからないのです。極端な言い方をすると、名前が違うだけであって、中身は同じだということに尽きると思うのです。ですからそこに本質的に、今までの新長期経済計画の中の五カ年計画としてやられてきたものを、この際新しい角度から五カ年計画として立てなければならない根拠というものは何かという点をもう少しお示し願いたいと思います。
  170. 中道峰夫

    中道政府委員 ただいま御説明申し上げましたのは、旧五カ年計画並びに新長期の骨子のようなものでございます。御承知のように三十二年度から始まりました計画は、経済計画に合わせた計画でございますが、最近の情勢、並びに今後の見通しから申しますと、それらをはるかに上回る飛躍的な発展が予想せられる情勢になっていると考えられますので、それらの新しい情勢に対応してこの港湾計画を樹立しなければならない情勢になってきているということと、それから従来の五カ年計画は年度途中でございますが、それらの計画は先般来御説明申し上げておりますように、単年度の事業計画でございまして、年度ごとに予算編成をしなければならないということもございますし、こちらで考えておりますような計画通り事業が進捗を見ておらないという点もございまして、今回どうしてもこれを継続的に長期に事業の計画を確定しなければいけない、単年度の事業としてやるのではなくて、長期の計画としてきめていかなければならない。その長期と申しますのは、所得倍増計画が十カ年計画になっております。港湾計画の方はその前期五カ年を実施段階といたしまして、特に重点的にこれを整備しよう、こういうことでこの五カ年間はそれらの事業を単年度でなくて五カ年をきめていく、これが今回の計画樹立の骨子にもなるわけでございます。従いましてこの計画をそういうふうに確定いたし、また実施を確保していくためにはどういった措置が最も必要であるかという点を考慮いたしますと、法律的に計画の内容をきめ、実施を法律によって確保していくというような方向へ持っていがなければならないというふうに考えたわけでございます。従って今回御審議をいただいております緊急措置法によりまして、計画の規模、量を港湾審議会の議を経て閣議決定をいたす、こういう趣旨になって参っているわけでございます。  なおそれとあわせまして、港湾の各費用、つまり一つ港湾の中の費用につきましては、国費あるいは地方費あるいは民間の費用というものが港湾改修事業費として入るわけでございます。従いましてそれらの会計の収支を明らかにいたしまして、事業の推進を確実に行なうというのがこの特別会計を策定する趣旨でございます。
  171. 勝澤芳雄

    勝澤委員 従来の五カ年計画も、先ほどの御説明によれば、十カ年計画の中の前段としての五カ年計画というものが新長期経済計画として立てられた。今度の計画も国民所得倍増計画の十カ年計画の前半として立てられている。何も本質的には変わりがないと思う。予算の問題で単年度事業計画だ、こう言われた。単年度事業計画だったらなぜ新長期経済計画の五カ年計画と言ったか、五カ年計画というならば五カ年間の計画というものがあったはずだと思う。今回あらためて新長期経済計画と言っておらないのですね。国民所得倍増に対応する港湾整備五カ年計画と言っている。そこで昭和三十三年から三十七年でやってきたこのやり方が結局不十分であった、あるいは計画が十分でなかったのでこの際計画をし直す、こういうものであるならばよくわかると思うのです。極端に言うならば経済の見通しを誤ったのだ、こういうことになるわけでありますから、それならばここではっきり、五カ年計画で今までは運輸省だけでやってきたけれども、今度は法律的措置をして固定したものだ、こういうふうになればよくわかると思うのですが、どうも今の説明ですと、今までの五カ年計画は空想的なものであって、単年度でことしの計画、来年の計画は来年にならなければわからぬ、その次も再来年にならなければわからぬ、こうだったというふうに言われているのですが、前回の五カ年計画はそういうものではなかったと思う。ですからもう少しこの必要性を明確にしていただきたいと思います。
  172. 中道峰夫

    中道政府委員 前回の三十三年度からの計画でございますが、私申し上げたのは財政的措置が単年度事業として進められたということでございまして、計画自体はお話の経済計画に合わせて作っております。従いまして、経済計画が今回国民所得倍増計画というところで大きく変貌してきたわけでございまして、港湾計画の内容もそれに合わして変えてきた、どういう推移であります。その点はお説の通りだと思います。財政的な点につきまして私先ほど申しましたように単年度予算編成制度ではなくて、長期の計画を決定していく制度をとる、こういう趣旨でございます。
  173. 勝澤芳雄

    勝澤委員 一番大きな原因は新しい情勢に対応するためだ、こういうことじゃないですか。今までは予算規模が少なかった。経済の伸びが意外に大きくてそれに対応できないので、ここに新しくもう一回作り直すのだ、こういうことじゃないのですか。
  174. 中道峰夫

    中道政府委員 従来の経済計画に合わせて港湾計画を立ててきたわけでございますけれども、その経済計画が大きく変貌してきたということで、それに合わせてこの計画が新しく立てられてきた。その点お説の通りだと私は考えておるわけでございます。
  175. 勝澤芳雄

    勝澤委員 港湾審議会が新五カ年計画を作る計画は、いつまでに作り閣議の決定を考えておられますか。
  176. 中道峰夫

    中道政府委員 この点につきましては、河川あるいは道路も同様でございますが、各個別の内容等についても十分審査をいたす関係もございますので、大体今われわれの考えております予定といたしましては、夏か秋時分までには全部決定をしていきたいと考えております。
  177. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、夏か秋までには港湾整備の五カ年計画の案が大体閣議で本ぎまりになる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  178. 中道峰夫

    中道政府委員 その通りでございます。
  179. 勝澤芳雄

    勝澤委員 所得倍増十カ年計画と今回の五カ年計画との関連はどういうふうにお考えになられておるのですか。
  180. 中道峰夫

    中道政府委員 所得増倍計画におきまして港湾計画と関連して参ります点につきましてはいろいろございますが、先ほど申し上げましたようにそれぞれの港湾において出入りいたします貨物量の推定が出てくるわけでございます。集約するとそれらの貨物量の推定ということになると思います。従いまして貨物量の推定をいたしまして、それに対応する港湾施設整備していくという点が最も所得倍増計画との関連において関係の深い面になると思います。
  181. 勝澤芳雄

    勝澤委員 十カ年計画の規模は五千三百億、産業立地調整費が五千億、こういうふうに聞いておりますが、そうですね。
  182. 中道峰夫

    中道政府委員 その通りでございます。
  183. 勝澤芳雄

    勝澤委員 五千億の産業立地調整費のうち、港湾投資をされる見通しはどうなっておりますか。
  184. 中道峰夫

    中道政府委員 産業立地調整費五千億の性格なりにつきましては、先ほど委員会でいろいろ経済企画庁からも御説例があったわけでございますが、所得倍増計画の投資配分小委員会港湾投資五千三百億という線が答申されておるわけでございます。そのほかに今お話の産業立地調整費五千億というものが設けられておりまして、これは港湾に限りませんので、いわゆる産業立地に対応するような費用をこの中から充当するいわゆる調整的な意味に考えるということでございます。
  185. 勝澤芳雄

    勝澤委員 幾ら港湾投資の配分があるかという見通しをお尋ねしているのです。
  186. 中道峰夫

    中道政府委員 幾らになるかということは、現段階でまだそこまで的確な見通しはございません。これは現在二千荒戸億、総体で五千三百億という線が出ておりますが、それに加えまして産業立地調整費五千億がございます。これは道路もございます。河川もございます。そういう中から考えられるわけでございまして、今後十カ年の推移の中において、それに充当するような費用なり施策ができましたときに、それを充当していくというような性格のものだと考えております。
  187. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうするとこの五千億というのは、五カ年計画の段階ではどれだけなんですか。今年度はどれだけ予算化されているのですか。
  188. 中道峰夫

    中道政府委員 その点につきましては、ただいま申しましたようにこれが全体の十カ年の投資配分の中で考えられている数字でございますから、現在の段階において二千五百億で幾らということはまだきめられておらないわけでございます。
  189. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いや、今度の五カ年計画の中に産業立地の調整費の五千億は幾ら考えられておるのか、今年度の予算の中に幾ら考えられているのか、との点をお尋ねしたいのです。
  190. 中道峰夫

    中道政府委員 ただいま港湾局の方で考えております五カ年計画は二千五百億を目標にいたしまして立てておるわけでございます。従いまして産業立地調整費をどういうふうに扱っていくかということは今後の問題になると考えております。
  191. 勝澤芳雄

    勝澤委員 産業立地調整費が今年度の予算に幾ら予算化されておるかおわかりにならないのですか。これは十カ年計画でしょうけれども五カ年計画の中では幾らを予定されておるのですか。
  192. 中道峰夫

    中道政府委員 産業立地調整費は、今後の推移によりましてそういった性格のものに充当する。たとえば港湾の水深をさらに増加しなければならないというような事態が今後起こりますかどうか。現在たとえば六万トンなら六万トンの油送船が就航しておる。しかし今後さらにそれが十万トンあるいは十二万トンというふうになりました場合にはそういうことが考えられる。これは一例でございますが、そういうことが考えられると思います。そういう今後の情勢を見まして、この費用の扱いを考えていくべきものと私どもは考えております。
  193. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は扱いでなくて、この法案に伴って産業立地調整費が五千億ある、五千億あるという話をされておるので、どこにあるのかということを聞いておるわけです。その五千億というのは十カ年間の計画だ。十カ年間の計画だとすれば、五カ年間の中で、今言われましたように、港湾の五カ年計画が始まるでしょうし、道路の五カ年計画も始まるでしょう。ほかがみな五カ年計画で始まるのですから、その中でも調整をしなければならぬ金が出てくると思うんです。ですから、それは今度の五カ年計画に見合って経済企画庁で持っているわけですから、それが五カ年間の計画では幾ら五千億の中であるのですか。そうしてことしの予算の中でどうなっておるのですか。こういうことをお尋ねしておるのです。
  194. 中道峰夫

    中道政府委員 その点につきましては、先ほど説明申し上げました通りでございますが、現在の段階では、この二千五百億の中、あるいは三十六年度の中に幾らあるということは考えておりません。これは入っておらないと考えております。
  195. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、産業立地調整費五千億というのは言っているだけであって中身はないものだ、こういうことなんですね。
  196. 中道峰夫

    中道政府委員 これは先ほどから申し上げておりますように、今後の情勢を見まして、その中からこれに充当していくというようにわれわれは考えておるわけです。
  197. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、情勢を見ながら充当していくというと、予備費か何かになっているのですか。そこがよくわからぬのですよ。
  198. 中道峰夫

    中道政府委員 五千三百億の外になっておりますから、従いまして、ただいまお話のように、考えようによりましては一種の予備費的な性格にもなると思います。
  199. 勝澤芳雄

    勝澤委員 産業立地調整費というのは運輸省にあるわけじゃない。経済企画庁にあるわけです。予算的にはそうなんですね。経済企画庁の中にあって、経済企画庁の予算の中で経済企画庁で合議をしてきめていく、こういう性格のものなんですね。
  200. 中道峰夫

    中道政府委員 これは経済企画庁が、今の所得倍増計画の投資配分小委員会で答申によってきめられておるわけでございます。従いまして、これを実際に予算化していく場合には、もちろんこれは財政当局の問題になるわけですが、現在の見通しとしては、経済企画庁がその答申によってそれだけの見通しをつけておるということでございますから、今後港湾にどういうふうにそれを回すとか、あるいはそれを持ってくるかということになりますと、経済企画庁と合議いたしまして、それらの額なり、あるいは扱い方をきめていく、どういうことになっております。
  201. 勝澤芳雄

    勝澤委員 産業立地調整費の五千億というのは、財政的に価値といいますか、資金的な裏づけというものはあるものなんですか、どうなんですか。
  202. 中道峰夫

    中道政府委員 これは五千億に限りませんので、つまり経済企画庁が投資配分小委員会で答申として出した各公共事業の行政投資がそれぞれの金額で出ております。従いまして、政府はその線に沿って所要の財政措置を今後していくような運びになると思うわけでございます。
  203. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、港湾整備五カ年計画の中では、この産業立地調整費五千億というものは考慮に入れられぬものだ、こういうことなんですか。
  204. 中道峰夫

    中道政府委員 五千三百億プラス産業立地調整費、ただしその五千億の中でどれを出すかということは今後の問題であります。
  205. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで五千億の中からは少し港湾にくるかしれないけれども、ことしの予算では予算が組まれていない、こういうことなんですね。
  206. 中道峰夫

    中道政府委員 その通りでございます。
  207. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大体経済企画庁というところの予算を見てみると、結局つかみ金を持っていって、力の強いところに、各省に少しずつくれるところなんです。あそこはそれしか役目がないわけです。ですから運輸省が強ければ港湾にくるでしょうし、建設省が強ければ道路にくる、結局端数整理をした端数をあそこで持っている。ですから五千三百億では投資不足だということは認めておるのですから、五千億のこの産業立地調整費というのはあるわけですから、これをどれだけ五千三百億にプラスするかというのは、局長、あなたの腕なんです。あるいは運輸省当局のあれなんです。それが今聞いてみるとあまり根拠のないものですから、もうこれ以上つついても仕方がありませんけれども、五千三百億が投資不足だということは何回となく言われておるのですから、そこで、港湾としての全体の計画というものは、今度の五カ年計画の中で具体的にどういうふうに考えられておるのですか。
  208. 中道峰夫

    中道政府委員 今回の港湾整備五カ年計画の内容でございますが、これは実は先ほどから申し上げておるわけでございますけれども、大きな柱といたしましては、外国貿易港湾その他の項目でそれぞれやっております。それからその各分類に従いまして、外国貿易港湾といたしましては横浜、名古屋、大阪、神戸等の外国貿易港湾施設を、それぞれの港における取り扱い貨物量に対応いたしまして整備する方針で進めておるわけでございます。また同じく、外国貿易港湾整備といたしましても、ただいま申しました港以外の一般の外国貿易埠頭の整備につきましても、同様に工業生産の拡大なりあるいはその他の貨物の増大あるいは定期船の寄港する港湾を対象といたしましてそれらの港湾整備する、たとえば横浜なり清水なり、あるいは名古屋、四日市、あるいは塩釜、青森というような港湾を今のような趣旨によって整備していくわけでございます。また、これも先ほどからお話が出たわけでございますが、木材の輸入に関係いたします施設といたしまして、特に東京、清水、名古屋といった輸入外材の扱いをいたします施設が今日非常に不十分でございますので、またこれが台風等の場合には災害をもたらす危険もあるということから、防災上の見地においてもこれらの整備を促進しなければならないということで取り上げておるわけでございます。  その次の、産業基盤強化のための港湾整備という分類におきましては、大体これは製鉄関係の原料輸送に対する港湾整備をいたします。また石油に関係いたしましては、それらの大型の船舶が出入する港湾整備する。また石炭輸送につきましては、同じく石炭の出炭量に見合いましてその積み出し地または揚げ地の施設整備いたすことによりまして、石炭産業の合理化というとともあわせて考えていきたい、こういうような趣旨でやっておるわけでございます。なおまたさらに一般の臨海工業地帯、あるいは重化学工業の行なわれております地帯、そういった地帯に対する工業原材料を取り扱う港が、全国に実は散在しておるわけであります。それらの港につきましても同様に必要な岸壁でありますとかあるいは防波堤、航路、泊地というようなものの整備をはかる、こういうことでございます。  なお第三の分類として沿岸輸送力強化のための港湾整備でございますが、この点につきましては、いわゆる国内の輸送を増強するということで、いわゆる内航輸送分野の強化に必要な港湾施設、また僻地でありますとか、あるいは内海の離島でありますとか、あるいは島嶼地区における港湾施設整備して、旅客あるいは生活必需物資その他の必要な物資の輸送を円滑にする、あるいは漁獲、魚でございますが、そういったものを扱います港湾施設整備する、そういうようなことのために必要な港湾整備を進めるわけでございます。  そのほか、これらの工事に必要な工事用の機械、船舶でございますとか、あるいはこれらの港湾工事を適正に施行するために必要な港湾事業の調査をいたします費用とか、そういうものを見込んでおります。  以上申し述べましたような内容のもとに、それぞれに該当する港湾について各港ごとに内容を検討して、これを港湾審議会に諮問いたしまして、閣議決定をいたして決定する、こういうような運びにいたしておるわけであります。
  209. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ここでもう一回戻って従来の五カ年計画の予算規模というのは大体幾らであったかということと、三十三、三十四、三十五年度三カ年間進められてきたわけでありますから、その進捗率について、今までの御答弁を総括してみるといろいろ食い違っているといいますか、あるいは一部分だけしか述べておりませんので、総括的な割合がよくわかりませんので、一つ、三十五年度末までにおける実績が五カ年計画の中でどれだけになるか、それを特定重要港湾あるいは重要港湾、あるいは地方港湾と分けたらどういうふうになるか、こういう点をお聞かせ願いたいと思います。
  210. 中道峰夫

    中道政府委員 三十一二年から三十七年度までの計画の規模並びにその進捗率でございますが、これは大体港湾事業といたしまして、全体計画の規模は千四百五十五億、その内訳といたしまして一般港湾で千百十四億、特定港湾といたしまして三百四十一億、なおこの港湾事業と対応いたしまして起債関係の事業がございます。この起債関係事業の金額は八百九十八億でございます。従いまして港湾事業とこの起債関係を合わせますと、二千三百五十二億というのが全体計画の規模としておるわけでございます。そこで実績でございます。三十三年度でございますが、三十三年度は港湾事業が百三十六億、その内訳といたしまして、一般港湾が百三十六億で、特定港湾はございません。ゼロでございます。起債関係は八十六億、合わせまして二百二十二億。次に三十四年度でございますが、三十四年度の実績は、港湾事業といたしまして二百十四億、そのうち一般港湾は百四十六億、特定港湾が六十八億、それから起債関係といたしましては九十一億、合計いたしまして三百五億。それから三十五年度でございますが、三十五年度は、港湾事業といたしまして二百三十四億、そのうちで一般港湾が百五十一、特定港湾が八十三でございます。なお起債関係といたしましては百六十二、合計いたしまして三百九十六。  そこで進捗率でございます。ちょっと今三十五年度までの進捗率の数字を持ち合わしておりませんですが、三十六年度推定いたしておりますので、その数字をちょっと申し上げたいと思いますが……。
  211. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十六年度というと、どういうことですか。
  212. 中道峰夫

    中道政府委員 三十六年度は、これは推定であります。
  213. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十六年の三月末ということでございますね。
  214. 中道峰夫

    中道政府委員 そういうことでございます。来年の三月末ということです。——ちょっと訂正いたします。三十五年度末が、つまり今年の三月末で、三十五年度予算がしまるわけなんでございます。そこで今内容的な進捗率を持ち合わせておりませんが、事業全体といたしまして、総括的に約三〇%の進捗率でございます。
  215. 勝澤芳雄

    勝澤委員 またよく数字が合わないのですがね。山口委員の質問に対して六一%の進捗率だと言われておるわけです。それからそのあと、一般港湾の進捗率は五九で、特定港湾は七〇で、その他起債で大体六〇だと言われておるのですが、この場合と久保委員の場合との進捗率というのがどうもよくわからないのです。わからなければ大体でいいのです。ゆっくりあとで出せば間違いない数字が出るでしょう。大体の進捗率はどうなっておられますか。
  216. 中道峰夫

    中道政府委員 今ちょっと私申し上げたのは間違っておったと思いますが、三十五年度末で全体で約四〇%、この前、久保先生からのお話のときに、そのように申し上げておきました。それから前の山口先生の場合には、三十六年度までを推定いたしまして、三十六年度まで終わった場合には約六一%というふうに申し上げたと思います。その点は、実績は三十五年度まででございますから、大体四〇%になります。
  217. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、旧五カ年計画というものは三年間たって四〇%しかできなかった、こういうことでいいのですね。この点は局長の方は六一%、久保委員の方は三九%というふうに議事録にはなっておるのですが、四〇%ですか。その辺をもう一回……。
  218. 中道峰夫

    中道政府委員 三九%ちょっとです。私は約四〇%と申し上げたわけでございます。
  219. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで次の特定重要港湾と重要港湾と地方港湾という形に分けたら、どういうパーセンテージになりますか。
  220. 中道峰夫

    中道政府委員 この前、山口先生のお話がございまして主要な港湾についての進捗率を提出したわけでございます。その中で東京、川崎、横浜、清水、名古屋、四日市、大阪、神戸等、数港の進捗率を申し上げたわけでございまして、それぞれの港のそれぞれの施設によって進捗率が違うわけでございます。たとえば東京でございますと、航路泊地浚渫の進捗率は、三十五年度末で申し上げますと、四三・五%、晴海埠頭は七四%、品川埠頭は一〇・三%、それから……
  221. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それはきておるからいいです。総括をして比率がどうなるか。私はこの特定重要港湾と重要港湾と地方港湾の進捗率を見ると、どうも特定重要港湾というのが計画の中では総体的におくれているように見えるのです。だからその原因が一体どこにあるのか。五カ年計画の中で三カ年の間に四〇%しかやらなかったのですから、総体的におくれていることはよくわかります。ですからそういう点をお聞きしたがったのですけれども、それはそのくらいにして、もう一回、ちょっと数字の点だけわからないのですが、旧五カ年計画が二千三百五十三億と言われておりますけれども、私の持っている運輸省発行の「運輸と国民生活」の三十三年度版によると、総事業費は二千八百九十億で、そのうち公共事業費は二千六十三億となっておりますけれども、このとき立てられた計画の規模は二千八百九十億じゃないですか。
  222. 中道峰夫

    中道政府委員 御説明申し上げますが、そのお手元の資料はおそらく港湾の事業費、あるいは行政投資額というような考え方からいたしますと災害関係あるいは防災関係の分もそこに一部入ってくるわけでございます。ただいま私の申し上げましたのは、防災事業あるいは災害関係は含めておりません。港湾改修事業及びそれに関連する起債事業を合わせまして申し上げたわけでございます。それで港湾事業と起債関係を合わせますと二千三百五十三億の規模になっておるということであります。
  223. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、昭和三十三年度から始めた五カ年計画港湾整備計画の予算規模は二千三百五十三億だということになるのですね。−そうむずかしいことないですよ。旧五カ年計画が組まれたわけですね、そのときの規模をただ聞いておるわけです。
  224. 中道峰夫

    中道政府委員 旧五カ年計画全体といたしましては、今申しました港湾事業と起債関係のほかに、防災事業それから災害関係も入るわけでございます。そういうものを全部合わせますと約三千二百九十二億という数字になります。そこで、この計画の立て方がいろいろあるわけでありまして、私の方の今の港湾事業、起債事業ということで考えますと二千三百五十三億、それに防災、災害を合せますと三千二百九十二億ということになるわけであります。
  225. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私、あまり数字に強いわけではないのです。弱いのですけれども、その数字を見ると合わない数字ばかり出てくるのです。今も、新長期経済計画の五カ年計画整備したその計画の総事業費は二千八百九十億、こうなっているわけです。ですから二千八百九十億と今の二千五百億と大したことはありませんからいいですけれども、そういたしますと、今度の五カ年計画の二千五百億に見合うものは旧では二千三百五十三億だ、こういうことになりますか。
  226. 中道峰夫

    中道政府委員 今の二千五百億に対応いたします分は、起債関係は含めておりませんので、それを二千三百五十三億から引きまして大体千六百億の計画にいたしております。前の計画では、二千五百億に対応するものは千六百億の計画であります。
  227. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この前の五カ年計画は、港湾事業が千四百五十五億で、それが一般で千百四十五億、特定が三百十億、起債が八百九十八億、二千三百五十三億ですから、二千三百五十三億から八百九十八億を引いた千四百五十五億が二千五百億に対応するのじゃないですか。
  228. 中道峰夫

    中道政府委員 はなはだややこしくて申しわけございませんが、港湾事業と災害関連事業というのがございます。それと地方単独事業というのがございます。そういうものを合わせまして、いわゆる行政投資額として算出しておるのがその数字だと思います。それを合わせますと大体千六百億という数字になるわけであります。
  229. 勝澤芳雄

    勝澤委員 よくわかりませんけれども、調べれば調べるほどわからないのですが、そこで次の五カ年計画の二千五百億の年度別の投資計画はどういうようにお考えになられておるのですか。
  230. 中道峰夫

    中道政府委員 五カ年計画の初年度といたしまして、三十六年度が三百八十億でございます。従って今後毎年事業費を平均いたしまして約一四%増額していくことによりまして、二千五百億の総事業を遂行できるというふうに考えております。
  231. 勝澤芳雄

    勝澤委員 年度別の投資計画を教えていただきたいのです。
  232. 中道峰夫

    中道政府委員 ただいま申しましたように、初年度で三百八十億、従いまして、それの一四%ずつ各年度ふえたものがそれぞれの年の投資総額になるわけでございます。
  233. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それではこの二千五百億の場合、これはよくわからないのですが、国の負担、地方の負担というのがあるじゃないですか。これはどういうふうになるんでしょうか。
  234. 中道峰夫

    中道政府委員 各港湾別あるいは施設別によりまして費用負担がそれぞれ港湾法によって違いますので、今ここにその費用負担の全体の数字を持っておりませんが、後刻これを調べまして御報告いたしたいと思います。
  235. 勝澤芳雄

    勝澤委員 二千五百億に対する国なり地方の負担というものの内訳はおわかりになるわけですね。
  236. 中道峰夫

    中道政府委員 大体でよろしければ、大体その六割が国の負担になるわけでございます。あとが地方負担あるいは受益者負担であります。
  237. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、二千五百億の中の六割といいますと、千五百億ですが、その千五百億と旧五カ年計画の行政投資の千六百億と見合うものなんですか。
  238. 中道峰夫

    中道政府委員 旧五カ年計画と新五カ年計画とは計画自体が違うわけでございます。従いまして、それらも別に関係はないわけでございます。新しい今度の五カ年計画の総事業費並びに国費はただいま申し上げた通りであります。前の計画では総事業費が千六百億になるわけであります。従いまして、先ほどお話がございましたように、今度の二千五百億に対応したものが前の千六百億、こういうことになるわけであります。
  239. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、二千五百億の国の負担、地方の負担というものを考えながら投資ということがおありになるといいますと、投資の対象港湾というものも大体のお考えがあるわけですね。その場合に、投資の対象港湾というのは、具体的な港の名前でなくてどういうふうに考えておられるでしょうか。
  240. 中道峰夫

    中道政府委員 投資の対象と申しますのは、もちろんこれは個々港湾になって参るわけであります。それぞれの港湾に投資して各港ごとにその予算を組み上げていく形になるわけであります。
  241. 勝澤芳雄

    勝澤委員 対象港湾として考えられている数は、種別に分けたらどれくらいになるのですか。
  242. 中道峰夫

    中道政府委員 今、港湾の方では、特定重要港湾と重要港湾、地方港湾、との三つの種類があるわけでございます。その数を申し上げますと、特定重要港湾が十二港、重要港湾が七十三港、地方港湾が九百九十八港、全部で千八十三港でございます。これは現在の港湾のそれぞれの港格によって申し上げたわけでございますが、そのうちで現在投資の対象としておりますものは、これは全部でございません、ちょっとその数字を今持っておりませんので大体申し上げますと、特定重要港湾は全部投資の対象になっております。それから、重要港湾もほとんど投資の対象になっております。地方港湾が全体で現在約三百が投資の対象になっております。
  243. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この港湾の数も、私のいただいておる統計とはちょっと数が違うようなんです。これも港湾局から出された資料ですから、どららが正確ですかよくわかりませんけれども、数はともかくとして、投資の態度なんですけれども、この所得倍増計画によると、投資についてこういうことが言われておるわけです。「投資の合理性追求のために、格別の努力が期待される。なお、港湾経営の確立、とくに財政的基盤強化のための受益者負担制度、港湾利用料率の適正化等の新しい方向の導入、さらには地方港湾のうら投資の必要性の比較的うすいものへの国庫補助の縮少等が考慮される必要がある。」こういうふうに指摘されているわけです。今、日本の国全体の中で一番問題になっているのは、やはり予算の経済的な投資のあり方だと思うのです。そのやり方というものは、やはり国会議員ですから、みな選挙地盤の関係があって、総花的になりやすいと思うのです。しかし、現実にもう東京の都市交通が行き詰まっているように、重要港の中には相当行き詰まっている点がたくさんあると思うのです。しかし、それが総花的な投資のために、いつまでも片方は行き詰まりがあって、片方は総花的で少し手をつけただけのものもある、こういうことがあると思うのです。これは局長にそんなことを言ってもなかなかむずかしい問題だと思いますけれども、やはり投資の態度としては、ある程度、所得倍増計画の中で指摘されているようなものの考え方をしていかないと、やがて五カ年計画というものがまた三年もたたずして、もう一回やり直さなければならぬときがくると私は思うのです。これはもう現に局長自身が、五千三百億では投資不足だから、もう一回やり直さなければならぬと、今審議している中で考えていると思うのです。こういう点から考えてみると、これは重大な問題だと思う。ですから、港湾審議会で十分審議をされるでしょうから、一つそういう点については、あとで修正をさせることのないように、お考えをいただきたいと思う。  そこで、私は三十六年度の予算の中で少しお尋ねしたいのですが、三十六年度予算は国が百六十八億で、地方単独が二百二十億、合計三百八十億だといわれておるわけですが、この中身の港湾整備勘定とか、特定港湾施設工事勘定、あるいはその他の事務費、予算書から見た場合とこの委員会を通じて答弁をされておる数字とが、どうも食い違っておるように思うのですが、この点予算の内容について御説明願いたいと思います。
  244. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 三十六年度予算で、この五カ年計画に対応する分でございますが、これは国費が百九十五億でございます。前に百六十八億ということを申し上げたことがあるかと思いますが、百九十五億でございます。その総事業費は約三百八十億となっております。それから特別会計におきます勘定別で申し上げますと、港湾整備勘定の分が百五十七億。一般会計から繰り入れます額でございますが、これが百五十七億でございます。それから特定港湾施設工事勘定に属します、これに一般会計から繰り入れます額が約三十一億でございます。この二つを合わせましたものが百九十五億になるわけであります。
  245. 勝澤芳雄

    勝澤委員 百九十五億にならぬじゃないですか。
  246. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 これは、実は特別会計の各勘定のことからいいますと、その中で北海道関係の事務費に属しますようなものが一部入っておりますために、今申し上げた額とちょっと食い違いがあるわけであります。つまり、北海道関係七億というものが今の特別会計へ繰り入れます額の中には除かれております。その七億を入れますと、百九十五億ということになっております。
  247. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この予算書を見ると、今の数字はどうしても合わないのですが、これをどういうふうに予算書で継ぎ合わして今の数字になるのですか、間違いがなければいいですが。
  248. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 北海道の七億と申しますと、一般会計としましては、総理府の方の予算になるわけであります。そこからこちらに移しかえることになるわけでございます。北海道の事務費に相当する分なのでございます。それで運輸省港湾特別会計に入っておりますものは、先ほど申しました百五十七億と三十一億の分が出ておるわけでございます。
  249. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、これは答弁が違っておるのですが、二月の二十一日に久保委員の「三十六年度予算は五カ年計画で幾ら要求しておるのですか。」こういう質問に対して局長のお答えは、「港湾改修関係予算といたしましては約百六十八億円でございます。これが新しい港湾整備五カ年計画の初年度に該当するわけでございます。これは前年度の当初予算に比較いたしますと、総額におきまして約二十八億円の増額となっております。このうちで港湾整備勘定への繰り入れといたしましては約百二十九億円、特定港湾施設工事勘定への繰り入れといたしましては三十一億円、その他事務費約八億円、」「そうすると、全体で四百八十億円くらいですか。」という久保委員の質問に対して、「この五カ年計画の初年度といたしまして、三十六年度の港湾改修関係の事業費の総額でございますが、地方単独事業分等も含めまして約三百八十億円」こう言われておるのです。三百八十億という規模は同じですけれども、中身は、今の説明と、局長の答弁と、それから予算書と違っておるわけなんですか。これはどういうわけですか。
  250. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 前に局長から百六十八億と申し上げましたのは、伊勢湾の関係が二十七億でございますが、これが入ったものとして伊勢湾関係二十七億を一応除いたものとして申し上げていたわけでございますけれども、今度の五カ年計画の改修事業という場合には、この分はやはり入って参ります。一方において伊勢湾の高潮対策というのがございますけれども、この港湾改修の五カ年計画の中に入るものというふうに考えております。それを入れた数字で申し上げたわけでございます。
  251. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それだけじゃわからないのですが、五カ年計画の予算をざらっと言ってくれればいいわけです。概略言ってくれれば合うわけですから……。
  252. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 前に百六十八億という数字を出しましたのは、百五十七億とさっき申し上げましたが、それと三十一億……。
  253. 勝澤芳雄

    勝澤委員 百五十七億というのが予算書で、どことどことどうつけ加えて百五十七億になるかわからないのです。予算の五カ年計画の規模は三百八十億ですね。
  254. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 百五十七億と申しますのは、この港湾整備勘定のところの最初に書いてございます。このまん中のところでございますが、そこに百五十七億二千万幾らと出ております。これをざっと申し上げまして百五十七億と申し上げたわけでございます。
  255. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、五カ年計画の予算規模は三百八十億だ、これだけは間違いないわけですね。そうですね。そこで次に進みましょう。  そこで、予算の中で前年度に比較して大幅に伸びておる港湾技術の振興と国際協力の促進というのがありますけれども、これは具体的にはどういうことをお考えになられておるのですか。
  256. 中道峰夫

    中道政府委員 技術振興の関係といたしましては港湾局に調査設計室が設けられておりますが、その方の関係の費用でございます。
  257. 勝澤芳雄

    勝澤委員 去年三十七万九千円が今回は千二百六十二万円になったわけですから、それではあまり説明が簡単過ぎると思うのですが、まあ時間の関係もありますから次に移ります。  その次に港湾行政組織の整備強化ということが書かれておるのですが、これは具体的にはここに書かれておるだけだ、こういうことなんでしょうか。港湾局に参事官を設ける、工事検査官を設ける、地方支分部局として伊勢湾港湾建設部を設ける、これだけなんですか。
  258. 中道峰夫

    中道政府委員 その通りでございます。
  259. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで三十五年末で、港湾建設の状況の中からまだ相当進捗の関係で予算の繰り越しとかあるいは次年度に工事が継続される概要があると思うのですが、簡単にその状況はどんなふうになっておりますか。
  260. 中道峰夫

    中道政府委員 繰り越しの関係は現在のところあまりないのじゃないかと思います。ただあるいは——これは推定なんで今月一カ月ございますからわかりませんが、あるいは用地の関係等において若干そういうものがあるかもわかりません。これは今のところわからないわけでございます。
  261. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十三年度なり三十四年度の決算から見て参りますと、いろいろあるわけですが、それは今後決算の方でお伺いすることにいたしまして、次の、港湾を作る場合いろいろ問題になるのは漁業補償の問題だと思うのです。この間、予算委員会の分科会において、伊勢湾の高潮防潮堤の問題で赤松委員からも質問があったと思いますが、港湾局の方針としてはなるべく漁業に携わる人たち、地元の人たちとも円満な話し合いで進めていきたい、こういう御答弁をされておりまして、大へんけっこうだと思います。予算の繰り越しあるいは不用額——こういう時期でありますけれども、やはりそういう点を見通しを持たれて十分円満な話し合いでこういう問題を解決をされて、場所は違いますけれども、本州の江戸川のようなこととは、ちょっと関連はありませんけれども、そういうことが起こらないように一つ十分考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
  262. 中道峰夫

    中道政府委員 漁業権の補償の問題は、港湾工事に関係いたしまして非常に困難な問題でございますが、従来とも港湾管理者あるいは関係者の十分な話し合いによって円満に解決するように指導をいたしておりますし、また今までは大体そういう方向で問題の解決が進められたと考えております。ただ今後この問題はますます重要性を帯びてくると思いますので、仰せのように今後ともなお十分検討もいたし、また関係者とも話し合いの上でその解決をはかって、事業の進捗をはかっていきたいと考えております。
  263. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで今回の五カ年計画を進めていく上に一番問題になるのは人の問題だと思うのです。今度の五カ年計画の中でもあまり人員の増加ということは考えられていないようであります。予算の規模からは大幅な予算の増額でありますけれども、この人員の問題はどういうふうにお考えになられておるか。それと同時に、現場の人たちの要望を聞きますと、相当長い間常勤である臨時というものがあるようでありますが、こういう現況はどうなっておりますか。これからの人員の増加の問題とその問題をお答え願いたいと思います。
  264. 中道峰夫

    中道政府委員 これは運輸省だけでございませんで、常勤職員の定員化、また常勤的非常勤職員の定員化の問題につきましては、運輸省といたしましては、すみやかにこの定員化をはかっていくという方針で進んで参りまして、そとで常勤職員につきましては、三十五年度の定数で千二十八名、それが定員化いたしまして約千名、それで現在残っておりますものが七名でございます三十六年度予算でそういうふうに定員化する。それから常勤的非常勤、これが三十五年度の定数は千三百四十九名、それに対しまして、三十六年度では六百三十七名の定員化をはかる予定でございます。これについては、なお残るわけでありますが、さらに定員化をはかるように管理庁とも相談いたしまして、そういう方向で進めていきたいというふうに考えているわけであります。   〔離席する者多し〕
  265. 勝澤芳雄

    勝澤委員 委員長、質問できるような格好にして下さい。これでは答弁が聞えませんよ。委員長、何とか釈明して下さいよ。   〔「休憩しなさい」と呼ぶ者あり〕
  266. 三池信

    ○三池委員長 それでは五分間休憩いたします。    午後五時十八分休憩      ————◇—————    午後五時二十八分開議
  267. 三池信

    ○三池委員長 それでは再開いたします。  勝澤芳雄君。
  268. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先ほど局長説明によりますと、常勤が千二十八人で、千人が定員化される。それから常勤的非常勤が千三百四十九人で六百三十七人しか定員化されない。なお七百十二名もそのままになっておるという現状は、私は大へん遺憾だと思うのです。片方で予算が伸びながらそんなに一般の人員が増加してないわけですから、今のものを現状をそのまま上げただけなんです。それだから早急に定員化のために努力すべきだと思うのです。それはいろいろ大蔵省との関係もあろうと思うけれども、これらに対する考え方をお尋ねしたいと思います。
  269. 中道峰夫

    中道政府委員 お説のように相当数の定員外職員が残っておるわけでございます。これらの職員につきましては、昭和三十六年度中に行政管理庁におきまして、これら職員の職務の実態を調査することになっております。定員に組み入れることが適当と認められるものにつきましては定員化をはかっていくという方針でございますが、港湾局といたしましては従来通り全員定員化ということを要望しておるわけでございます。
  270. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十六年度は行政管理庁も考えられるということで大へんけっこうだと思いますけれども、これはやはり同じ仕事をしていながらも、給料とか一切がっさいの身分差がつけられているわけでありまして、大へん気の毒な状態だと思うのです。特に港湾局だけが多いとは言いませんけれども、しかしこれは特殊な存在だと思うのです。こういうことが許されるとするならば、結局雇用の二重構造といいますか、経済の二軍構造、地域格差をなくすると言っていながら、いつまでも現存しておくことになるわけでありますから、そういう建前からも大いに一つ努力していただきたいと思うのです。  そこで私は最後に港湾労務者の問題についてお伺いしたいのですが、過般も横浜港に参りまして、いろいろと現地の方々から実情を聞きました。労務者の問題については大へん困っておるという話を聞きました。これはやはり船の出入りとか、あるいは業務の繁閑等で一様にはいかないと思うのですけれども、こういうものについては、やはり何らか福祉厚生施設なり、あるいは特別な住宅政策というようないろいろな問題について考えてみなければならぬ点があると思うのです。こういう点について、一つ港湾局としてはどういうふうにお考えになられておりますか。
  271. 中道峰夫

    中道政府委員 港湾におきます港湾荷役に伴います港湾労働の問題でございますが、この点につきましては、先般港湾運送事業法が免許制に切りかえられまして、その面で港湾運送事業そのものが今後健全な方向に進められるということになるわけでございます。この事業の健全化とあわせまして、港湾の労務者の、つまり港湾労務者はそれぞれの港湾運送業者がこれを雇用しておるわけであります。それらにつきましては、港湾のこれらの業界を通じ、またそれぞれの港の港湾管理者にそれらの福利厚生施設あるいは住宅施設等についてのいろいろな改善施策を講ずるように、従来も指導しております。また順次それらの点で宿舎ができ、またそれらの労務者に対する施設整備されつつある現状でございますけれども、まだしかし、もちろん十分でございません。従いまして、なお今後ともこれらの業界を指導し、また港湾管理者を通じまして、さらに一そうそれらの福利厚生施設なり必要な施設を整えまして、港湾の荷役が円滑に運行されますように、従いまして、港湾運送事業というものが、業の精神にかなって行なわれますようにやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  272. 勝澤芳雄

    勝澤委員 港湾労務者に対する考え方というものは、やはりまだ古い考え方というのが残っておるように私は思うのです。やはり新しい時代に立った考え方というものをしなければならないと同時に、いろいろ特殊的な立場というものを考えてみなければならないと思います。労務供給というものを円滑にする方法というものも、やはり別の角度から考える場合に、たとえば港湾労働法というようなものとか、あるいは別個なものの考え方というふうなことについては、どんなふうにお考えになっておりますか。
  273. 中道峰夫

    中道政府委員 この港湾労働の問題につきましては、御承知と思いますが、労働省に港湾労働審議会がございまして、そこで関係の方々がいろいろな問題につきまして、審議をしておるわけであります。これらの審議過程を通じまして、港湾の労働問題を漸次改善していく。これはだいぶ前に、港湾労働問題に対する答申が出ております。七・一九答申と申しておりますが、その答申が出ておりまして、その答申の線に沿って逐次これを実現化していくような方向で現在進んでおるわけであります。
  274. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この港湾労働の問題につきましてもだいぶ進んでいるようでありますが、一つ港湾局の立場からも、せっかく投資をしても片方において行き詰まっておれば、全体的な運営というものがうまくいかないわけであります。また、当然突き詰めていけば、先ほどの接収をされておる港湾施設と同じように、港湾局も別に知らないわけではなく、この中では相当重要な役割をしながら審議されていると思うのです。そういう点で、やはり新しい近代的な労務のあり方、そして近代的な港の経営というものが円滑に、なお能率的になされるように一つ十分配慮を願いたいと思うのです。  まだ質問がたくさんあるのですけれども、まあしかし、何か約束されている時間のようでありますので、以上、私はこれで終わります。
  275. 三池信

  276. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ただいままで質問をされて参りました港湾について、私は時間の関係もございますから、希望を申し述べつつ二、三の点について質問をいたしたいと思います。  第一に私の希望申し上げたい点は、本日の質疑の中にもありましたが、接収されております現在の港湾返還については、今までの質疑の内容からいたしますと、きわめて従属的であって、積極性を欠いておる。これでは経済の伸長に見合うせっかくの港湾五カ年計画も、私は円滑に遂行するととが困難であると思う。従って、この接収港湾の早期返還については、極力これが実現のために努力せられるように希望をいたします。  次にお尋ねいたしますのは、これはきわめて重要でありますから、これについては御答弁を願いたいと思うのであります。それは何かと申しますと、たとえば阪神間等におきましても、今日海岸線の埋め立て問題が非常に大きな問題として俎上に上り、しかも阪神間におきましては、ある都市においては某石油会社の進出によります埋め立てで非常に議論が沸騰しておるのであります。これは聞くところによりますと、私企業のいわゆる私有地として海岸の埋め立て工事が行なわれようとしているようであります。そうなりますと、国の総合的な計画に大きな支障を来たすばかりではなく、一個の企業によってこういう計画が実行されるということになりますと、その造成された土地というものは、少なくともその造成した私企業によって、他の土地の利害に関係なくその利用が進められることになり、これはひいては国家的見地から見ましてゆゆしい問題と相なると私は思うのであります。従って、これについてはやはり私は確固たる当局の方針を持って臨まなければならぬと思うのであります。これには建設省並びに運輸省、企画庁等、関係各省の緊密な連携のもとに、国家事業としてこれを遂行すべきものであると考えるのでありますが、これらの点について基本的に関係各省から御意見を伺っておきたい、かように考えるわけでありますが、一つ御答弁願います。
  277. 中道峰夫

    中道政府委員 港湾局としてお答え申し上げます。港湾内の埋め立て事業でございますが、これはただいまお話通りきわめて重要な問題でございます。これに対しましては公有水面埋立法がございます。われわれの方といたしましてはこの埋立法によりまして、それらの埋め立て事業の申請については港湾管理者である都道府県知事がこれを許可する建前になっており、なお、さらに重要な事態につきましては運輸大臣がこれを認可するという建前になっておりますので、それらの申請が出て参りますれば、それらの手続により、また法律の規定するところによりまして、慎重に検討いたしましてこれを審査し、認可をいたすという方針をとっておるわけでございます。
  278. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これについて通産省及び建設省から、出席をされておりますから、その見解について一つ御答弁願います。
  279. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 ただいま御質疑の点は、西宮市の付近に埋立地の申請があるようにお話しでございましたが、私どもも具体的な内容についてはまだ伺ってないわけでございます。公有水面埋立法は、御承知のように港湾区域に関係する問題につきましては運輸省の方で所管になっておりますし、その他の事項につきまして建設省が所管いたしておるわけでございます。ただいま港湾局長からお答えがございましたように、この件につきまして具体的な申請が参りますと、公有水面埋立法の建前は、第一次には、都道府県知事が埋め立ての免許をするようになっておるわけでございます。従いましてこれについて申請が出て参りました際には、都道府県知事は関係地元市町村の意見を徴しましてそれによって判断を下すことになるかと存じておるわけでございます。
  280. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 西宮の埋め立てにつきましては、仄聞するところによりますと日石が進出するというふうに聞いておりますので、その工業用水の供給につきましては相当問題があるというふうに考えて、今関係の個所に連絡をいたしまして、特に兵庫県の河川課とも連絡いたしまして、地元でそれが解決し得るかどうかということを検討中でございます。そういうものの解決ができない限り立地は非常にむずかしいのじゃないかということを会社にも通知をいたしてございます。
  281. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは直接西宮の港湾の問題ではなくて、いわゆる海岸の埋立地の問題であります。こういうものが各所に現われるということになりますというと、それに伴っていわゆる港湾施設等の重大な問題を起こして参るわけであります。従ってこれは管理権移管という問題に発展するわけでありますが、これはまた後刻の質問に譲るといたしましても、緊急を要するものとして法律まで出そうとされるのでありまするから、従って、確固たる五カ年計画に基づいてこれを実施されようとする場合に、こういうような私企業が勝手気ままに海岸を埋め立て、あるいはそこに施設を設け、あるいは工場を建設するというようなことになりますれば、それは海岸防護の建前からいっても、一体ただ単なる地方自治体の調査だけにこれをまかして、国は単なるその申請に基づく審査だけでこれが許可されていいものかどうかということについては、私は大きな疑問を持つわけであります。従って、これは将来の国の港湾計画と並行して、運輸省においては十分に考えるべきであるし、また建設省においても、通産省においても、いわゆる工場を建設する場合における立地条件については、十分に地方住民の意思を尊重し、かつ、今申し上げましたような諸条件を勘案して許認可の方針を決定されてしかるべきだと思うのでありますが、これらの方針がどうも確たるものではなくて、港湾局長説明によれば、ばく然たるもので、ただ権限が地方自治体にあるからやむを得ないというようなふうに聞こえて、いわゆる中央官庁としての指導性に乏しいように思うのでありますが、とれについてはどうお考えになるか。またこれは政治的にもきわめて重要な問題をはらんでおるのでありますから、次官からもこの問題に対しては、確固たる御答弁をいただいておきたいと思います。
  282. 中道峰夫

    中道政府委員 先ほど申し上げましたわけでございますが、ただいま御指摘の西宮地区でございますと、これは地方港湾でございますから、地方長官の許可事項になるわけでございますが、それらの港湾におきましても、その利用に対し著しく影響を及ぼすおそれがあると考えられます場合の免許につきましては、運輸大臣が許可することになります。従いまして、お話港湾はこれに該当するものと考えますので、そういう線でわれわれの方は、もし出て参りますれば、慎重に検討いたす考えであります。
  283. 福家俊一

    ○福家政府委員 今港湾局長のお答えした通り実行いたします。
  284. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これにつきましては、ただいまの答弁通り私は慎重に審議をされて、いやしくも単なる地方庁または自治体の裁量にまかすことのないように十分に配慮せられるよう希望いたします。  それから海岸の埋め立てその他海岸線を改変造することと並行いたしまして、この緊急措置によりまする地盤沈下対策についても、あるいはまた災害復旧に関する防災施設につきましても、私はこの緊急措置法を旅行せられる場合におきましても欠くべからざる要件を持っておると思いますから、十分にこれについての配慮を願いたいと思うのであります。  三番目には、私がはなはだ遺憾に思いますのは——この質問を通じて、少なくとも旧五カ年計画と並行して、新しく経済伸長に見合う五カ年計画を設立し、その五カ年計画に基づく緊急やむを得ないものを重点的に措置しようとするのがこの港湾緊急措置法という法律たと思うのでありますが、その港湾計画を作成する意図はいいと思う。しかしながら遺憾なことは、この緊急五カ年計画と称しあるいは何カ年計画と称して予算を請求し法律案を提出される限りにおいては、その年度内に、いわゆる五カ年の間に行なうべき具体的な工事計画並びに年度別の所要予算額等を示し、それによってこの五カ年計画を最終年度に完成すべき工事量を明示すべきだと思うのであります。ところがこれにつきましては、遺憾ながら同僚委員からの質問に対しても、あるいはまたこの法案説明ないしはその資料としても何ら触れられていないのであります。従ってこれは五カ年計画とは言うものの、単年度計画といっても過言ではないのであります。従って、時にはこれが変更を自由自在にされるという結果になり、これでは何の計画かがわからないということになるのであります。こういうばく然たることで、ただ所得倍増による五カ年計画、五カ年計画といわれましても、私どもはその五カ年計画の具体的な内容を知るわけに参らぬのであります。こういうことでは、はなはだもって私は国民にも相済まぬと思うのであります。従って、後日これらの具体的な五カ年間における工事の概要、予算の内容等について、資料として提出を願いたいと思うのであります。  次には、重要港湾と特定港湾との整備についての旧五カ年計画における資料の提出を求めました。それを詳細調べてみますと、この種の計画に基づく工事の進捗はまことに遅々たるものであります。しかも今申しましたように、何カ年計画といいながら、単年度計、画のごとき無計画な、ただ口先だけの計画に終わっている結果がこういうことになっておるといっても過言ではありません。これではいっその計画に基づく工事が完了するのかわからないのでありまして、こういうようなことでは、まことに不見識といわざるを得ません。でありますから、運輸省におきましても、これらを勘案されて、五カ年計画といわれるのでありますから、五カ年後には必ずその所期の計画は完成しているという建前に立たなければならぬと思いますから、従って、これについて十分の留意を願いたいと思うのであります。  以上申し上げました諸点は、これは詳細にわたって私は内容の説明を求めたく思っておったのでありますけれども、本日は時間の関係もありますから、以上のことを希望条件として、本案については賛成をすることにいたします。
  285. 三池信

    ○三池委員長 ほかに御質疑はございませんか。——ほかにないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終局します。     —————————————
  286. 三池信

    ○三池委員長 これより討論に入りたいと存じますが、討論の申し出もありませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  287. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  港湾整備緊急措置法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  288. 三池信

    ○三池委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  この際、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。福家政務次官。
  289. 福家俊一

    ○福家政府委員 ただいま御議決をいただきました港湾整備緊急措置法案につきまして、慎重御審議をいただき、まことにありがとうございました。今後港湾整備につきまして一そうの努力をいたす覚悟でございます。ありがとうございました。
  290. 三池信

    ○三池委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  291. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  暫時休憩して、理事会を開きます。    午後五時五十六分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕      ————◇—————