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1961-03-03 第38回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月三日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 有田 喜一君 理事 生田 宏一君    理事 尾関 義一君 理事 川野 芳滿君    理事 高橋清一郎君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 山口丈太郎君       伊藤 郷一君    木村 俊夫君       壽原 正一君    鈴木 仙八君       關谷 勝利君    高橋 英吉君       塚原 俊郎君    細田 吉藏君       山田 彌一君    勝澤 芳雄君       兒玉 末男君    西宮  弘君       肥田 次郎君    安平 鹿一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木暮武太夫君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 辻  章男君         運輸事務官         (海運局長)  朝田 靜夫君         運輸技官         (港湾局長)  中道 峰夫君         運輸事務官        (鉄道監督局長) 岡本  悟君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  廣瀬 眞一君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         気象庁長官   和達 清夫君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     兼松  学君         日本国有鉄道常         務理事     滝山  養君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 三月一日  委員勝澤芳雄辞任につき、その補欠として小  松幹君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小松幹辞任につき、その補欠として勝澤  芳雄君が議長指名委員に選任された。 三月三日  委員矢尾喜三郎辞任につき、その補欠として  兒玉末男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員兒玉末男辞任につき、その補欠として矢  尾喜三郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十五日  港湾法の一部を改正する法律案内閣提出第八  八号) 同月二十八日  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第七六号)  日本国有鉄道新線建設補助特別措置法案内閣  提出第一〇三号) 同月二十四日  口之津海員学校の司ちゆう科補導教育実施に関  する請願馬場元治紹介)(第九六六号)  国鉄貨物運賃の改訂に関する請願山本猛夫君  紹介)(第一〇一〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十四日  青森、函館間貨物航送強化等に関する陳情書  (第三五二  号)  北海道の国鉄電化等に関する陳情書  (第三五三号)  塩川駅等の貨物取扱存続に関する陳情書  (第三五四号)  通学定期券値上げ反対に関する陳情書  (第三五五号)  国鉄の大集配制実施に関する陳情書  (第三八六号)  国鉄運賃等値上げ反対に関する陳情書  (第三八七号)  運送車両保安基準に関する陳情書  (第三九五号)  国鉄運賃特別料金制度廃止等に関する陳情書  (第四二一号)  国鉄線路市街地高架化に関する陳情書  (第四二二号)  東北地方の駅頭及びふ頭滞貨に対する貨車増配  等に関する陳情書  (第四二三号)  国鉄赤字線自動車化反対に関する陳情書  (第四二四号)  東北本線複線及び電化工事促進に関する陳情  書(第四二五  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  港湾法の一部を改正する法律案内閣提出第八  八号)  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第七六号)  日本国有鉄道新線建設補助特別措置法案内閣  提出第一〇三号)  港湾整備緊急措置法案内閣提出第一七号)  気象(日向灘地震)に関する件  陸運に関する件  海運に関する件      ――――◇―――――
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  去る二月二十五日本委員会に付託されました港湾法の一部を改正する法律案、二月二十八日本委員会に付託されました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道新線建設補助特別措置法案一括議題といたします。     —————————————
  3. 三池信

    三池委員長 まず三案について政府当局より提案理由説明を聴取いたします。木暮運輸大臣
  4. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま議題となりました港湾法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  近年、重要な港湾地帯における地盤沈下は著しいものがあり、港湾活動及び民生の安定上重大な影響を及ぼしております。政府といたしましては、この事態を早急に改善するため鋭意努力を重ねて参ったのでありますが、これに必要な港湾工事には多額費用を要しますので、港湾管理者財政負担力にかんがみ、このたびこれらの工事について高率の国庫負担等を行なうこととし、この法律案提出いたした次第であります。  次に、その要旨について申し上げますと、港湾管理者地盤沈下対策港湾工事を行なう場合には、国は通常の港湾工事でございますと、その工事に要する費用の十分の五を負担いたしますところを、当分の間、十分の六まで負担することができることといたしました。また、国がこれらの工事を直轄で施行いたします場合にも、右に準じた措置をとることといたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でございます。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。  ただいま議題となりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案提案理由について御説明いたします。  国鉄輸送力は、現状でも国民輸送需要をまかない切れない実情にあり、なお政府所得倍増計画とも関連して今後の経済発展の隘路とさえなるものと思われます。  このような輸送力現状並びに今後の輸送需要の増大に対処するため、国鉄においては昭和三十六年度を初年度とする新五カ年計画を策定いたしましたが、この計画においては、東北本線北陸本線等主要幹線一千百キロの複線化主要幹線一千八百キロの電化電化されない区間の全面的ディーゼル化通勤輸送の緩和、踏み切り設備改善車両増備及び東海道新幹線建設等計画しており、このためには総額九千七百五十億円、年額一千九百五十億円の資金が必要となります。このほか昭和三十六年度に例をとりますと、借入金の返還が約二百億円ありますので、所要資金は合計二千百五十億円に上ることとなります。  これらの所要資金に対しまして、国鉄経営収支状況から見ますと、自己資金によって調達される分は減価償却費等の繰り入れ約六百億円程度にすぎない実情にありますので、国鉄新五カ年計画実施いたすためには何らかの資金確保方法を講じなければならないことになります。  この所要資金不足額を全面的に借入金によってまかなう場合には、本年度末において三千七百億円の多額に達する借入金はさらに膨大なものとなり、昭和四十年度においては一兆一千億円をこえ、そのときにおける支払い利子は七百億円をこえる見通しとなり、とうてい健全な経営を維持することはできないものと思われます。これとともに国家財政現状から見ましても、このような膨大な財政融資は困難であります。  翻って設備資金所要額のうちには、通勤輸送対策幹線輸送力増強踏み切り設備改善、取りかえ及び諸改良等約一千二百億円の採算に乗らない工事資金が含まれておりますので、これらの資金利子のつく借入金で本来まかなうべきものでないと考えられます。従いまして、一部借入金増額によるほかに、運賃改定による増収によって所要資金を調達するほかないものと決意いたしたわけであります。  運賃引上率決定にあたりましては、運輸審議会の答申を尊重し、また国鉄運賃国民生活への影響を十分考慮いたしまして極力低位にとどめるべく、借入金増額昭和三十六年度増加して約一千億円とし、また企業努力経営合理化等による自己資金の捻出をはかりまして、必要最小限度四百八十六億円、増収率一二%程度運賃改定による増収額として見込むことといたしました。  次に運賃改定内容についてでありますが、まず旅客遠賀改定内容について申し上げますと、二等の普通旅客運賃賃率は、三百キロメートルまでの第一地帯は一四・六%、三百一キロメートル以上の第二地帯は一二・五%の引き上げとし、一等運賃は二等の一・六六六倍すなわち通行税込み二倍といたしました。なお、航路旅容運賃もこれに伴いましてほぼ同程度改定をいたしました。  次に貨物運賃についてでありますが、賃率をおおむね一五%引き上げることにいたしました。  なお、定期旅客運賃につきましては、割引率は、そのまま据え置くこととし、普通旅客運賃賃率引き上げに伴う改定にとどめることといたしております。  以上が今回改定のおもな点でありますが、この運賃改定によって得られます増収額は、これをあげて輸送力増強に充て、今後五カ年間に国鉄輸送力の抜本的な拡充をはかり、もって今後の経済伸びに伴う輸送要請にこたえたいと考えまして、今回の運賃改定もやむを得ない措置であると考えた次第であります。  最後に本法案実施は来る四月一日からと予定しておりますので、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成賜わるようお願い申し上げる次第であります。  日本国有鉄道新線建設補助特別措置法案提案理由につきまして御説明申し上げます。  国鉄の新線建設は、昭和二十六年運輸大臣諮問機関として設置されました鉄道建設審議会の議を経て行なわれておるものであります。  同審議会は、わが国経済の発達及び文化の向上に資することを目標とし、公正かつ合理的に審議し、鉄道建設が必要であるものについて、鉄道敷設法別表に掲げる予定鉄道線路のうちから工事に着手すべきものを順次選定していくわけであります。  その選定につきましては、重要な交通網を形成するもの、あるいは他の交通機関と比較して鉄道を必要とするもの等あらゆる角度からの検討を行なうことといたしております。  しかしながら、何分にもこれらの新線は、開業後も長期にわたり赤字であり、これが国鉄経営上大きな負担となっております。従って、政府におきましても新線建設合理化につきましては、交通政策全般見地から今後とも積極的に配慮していく所存でありますが、当面国家的見地から行なわれる新線建設につきましては、国鉄経営上の負担をできるだけ軽減し、その経営健全化に資するため、昭和三十六年度におきましては三億八百七十五万円の新線建設費補助金を計上いたした次第であります。また、法律措置としましては、前述のような観点からさしあたり、政府昭和三十六年度から昭和四十年度までの間新線建設補助を行なうことができるよう特別措置を講じることといたしたのであります。  次に本法律案内容について御説明申し上げます。  まず本法律案におきましては、政府は、日本国有鉄道に対し、鉄道敷設法別表に掲げる予定鉄道線路のうちで昭和三十五年度以降の建設に要した資金につきまして、その利子相当分限度として昭和三十六年度から昭和四十年度までの間に限り補助することができることといたしております。  次に、補助対象となっている新線につきまして、開業利益を生じた場合には、その利益の額に相当する金額を翌年度補助金の額から控除することといたしております。  第三に、補助対象となった新線につきましては、当該線路につき最初補助を行なった年度から十五年間に利益が生じた場合には、その利益の額に相当する額の二分の一以上を政府に還付することを国鉄に対し義務づけております。  このほか補助の額を算定する基準となる利子額算定、新線開業後の利益の額の算定方法等については、運輸大臣大蔵大臣と協議の上運輸省令で定めることといたしております。  以上がこの法律案提案する理由であります。何とぞ十分御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  5. 三池信

    三池委員長 次に、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について補足説明を聴取いたします。岡本鉄道監督局長
  6. 岡本悟

    岡本政府委員 ただいま提案になりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内容につきまして、逐条的に御説明申し上げます。  まず、第三条関係について申し上げます。  本条の改正は、普通旅客運賃についてであります。現在二等の普通旅客運賃賃率は、営業キロ一キロメートルごとに三百キロメートルまでの部分については二円四十銭、三百キロメートルをこえる部分については一円二十銭となっておりますが、これを三百キロメートルまでの部分については一キロメートルごとに二円七十五銭、三百キロメートルをこえる部分については一キロメートルごとに一円三十五銭といたしました。  一等運賃の二等運賃に対する倍率は、従来二倍、すなわち通行税込み二・四倍でありましたが、最近は車両設備が一般的によくなってきておりますし、また航空運賃との比較もあわせ考えまして、一等と二等の運賃上の格差を二倍、すなわち通行税込み二・四倍とすることがむずかしくなってきておりますので、今回の改正におきましては、これは一・六六六倍、すなわち通行税を含んで二倍ということにいたしました。  なお、諸外国の例を見ましても一・四倍−一・八倍程度となっております。  次に別表第一の関係について申し上げます。  これは航路普通旅客運賃についてであります。現行の二等運賃は、青森−函館間二百五十円、宇野−高松間六十円、仁方−堀江間百七十円、宮島ロ宮島間二十円、下関−門司港間四十円でありますが、今回の改正におきましては、鉄道の場合と同程度に、すなわち鉄道普通旅客運賃値上げ率一四・六をかけまして端数整理したものといたしました。  次に別表第二の関係について申し上げます。  これは車扱貨物運賃賃率表改正でありますが、今回は各貨物一律に一五%アップといたしました。  なお、これと同時に、現行遠距離逓減率は二百八十キロ以上は原価割れとなっておりますので、五百キロ−八百キロ地帯を中心として〇・一%ないし一・八%、平均〇・六%程度の修正をいたしました。  以上が本法律案内容であります。
  7. 三池信

    三池委員長 ただいま提案理由説明を聴取いたしました三案に対する質疑は次会に譲ることといたします。      ————◇—————
  8. 三池信

    三池委員長 次に港湾整備緊急措置法案議題とし、前会に引き続き審議を行ないます。  質議の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  9. 久保三郎

    久保委員 前会中途で質問を保留いたしましたので、引き続いて御質問申し上げるわけでありますが、まず、現在の五カ年計画というものはこれを練り直して、所得倍増の面に見合って新五カ年計画あるいは十カ年計画にしたことは一応わかるわけでありますけれども、現在の五カ年計画を修正せねばならぬ大きな理由はそれだけか、現在の五カ年計画でもその計画予定通り進捗をしていないものを含めて今回の新計画を策定したのかどうか、こういうことを一つ念のためにお伺いしておきます。
  10. 中道峰夫

    中道政府委員 三十三年度から実施をいたしました前の港湾整備五カ年計画につきましては、前回説明申し上げましたように、この計画運輸省といたしまして決定をいたしました計画でございますが、この実施につきましては、予算関係においてはこれが単年度事業になっておりまして、いわゆる長期に全体のワクを確定した計画でなくて、毎年々々予算折衝いたしまして、そのときの財政状態あるいは経済情勢とにらみ合わせてその当年度予算をきめていくという仕組みでもってきたわけでございます。従いましてわれわれといたしましては、極力この計画の推進に努めて参ったわけでございますが、ただいま申しましたような事情のために、全体といたしましては予定通り進捗を見なかったことは、まことに遺憾に存ずる次第でございます。ただ内容的には、この前お示しいたしましたような資料によりますと、重要な貿易港湾でありますとか、あるいはその他の産業基盤関係するような港湾については、かなりの進捗率を見せておるわけでございますが、全体といたしましてやはり予定通り進捗を見なかったわけでございます。そういう事情でございまして、今回わが国経済の飛躍的な発展と見合いまして、新たに所得倍増計画が立案される運びになりまして、その所得倍増計画に合わせまして、港湾整備を進めていかなければならないという情勢から、先般来御説明申しておりますような新長期五カ年計画を確立する運びになったのでございます。それにつきましては従来のいわゆる旧五カ年計画のようなやり方では、どうしても予定通り進捗率を保つことはなかなか困難な事情もあるのではないかと考えますし、また一方、新しい経済情勢と合わせまして進めていかなければならないということから、今回の五カ年計画におきましては、前期の五カ年を実施段階といたしまして、これを確実に実施するという建前で、そのためには法的措置をとりまして、港湾審議会の議を経て、事業の量と目標閣議決定をいたしまして、そういうことによって計画の全体のワクを確立し、その内容をきめるわけでございます。さらにこれを実施する場合に、確実にこれを実施できるようにしたいということから、新しく特別会計制度を設ける、これは御承知のように港湾費用につきましては国費でまかなうものでございますし、起債等地方費でまかなうものもありますし、あるいは民間資金を入れて行なうものもあるということで、これらの費用収支を明確にいたしまして、実施促進を確保するという趣旨特別会計制度を設けまして、それぞれの勘定によってこの港湾整備計画を確実にしていこう、こういうような趣旨で、従来の五カ年計画残り分包含して、経済情勢に合わせて新長期五カ年計画を確立する、それを法的措置をもって確実に実行していこうというような趣旨で取り運んできた次第でございます。
  11. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、新しい港湾整備計画というのは、全体には五千三百億ときめて、前期五カ年は二千五百億ときめて、このワクは、先般御質問申し上げたように、最小限度のものであるから、これは一応くずさぬということが確定しておるわけでありますか。さらには特別会計というものの性格は、ただいま御説明をお聞きしておりますと、前の特別会計とは性格が違うようにも聞き取れるわけでありますが、今度はこの計画を着実に狂いのないように計画通り推進するために、そういうためにも特別会計というふうにしているわけなんでありますか。そういう意味でございましょうか。
  12. 中道峰夫

    中道政府委員 最初のお尋ねの点でありますが、全体のワクといたしまして十カ年間の見通しは五千三百億、なおこの前から申しましたように産業立地調整費というものをその一部に考えるわけでございますが、前期の、今回提案をいたしております計画といたしましては二千五百億、これは財政当局と折衝いたしまして、現在政府としては確定をいたしておる、きめておる数字でございます。  それから第二点でありますが、これを確実に実施するために特別会計制度を設けました趣旨は、ただいまお話通りに考えております。
  13. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、現在ある港湾整備特別会計というものの性格と、今回提案されておるところのこの特別会計性格は違うわけでございましょうか。
  14. 中道峰夫

    中道政府委員 この前の港湾施設特別会計は、今回の特別会計包含をいたしましたわけでございまして、ただいまこの中で勘定といたしまして、前回特定港湾施設特別勘定一般港湾勘定と二つに分けた制度実施しようとするものでございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 いや、それは御説明がございましたから、承知しておるわけなんです。ただ、その古いといってはなんですが、現在まである特別会計では計画通り投資ができなくて、いわゆる投資不足のために計画通りいっていない、こういうことでございますか。たしか古い計画は五カ年間で千六百億と記憶しておるのでありますが、その千六百億に対して、今までの実施が非常におくれておる、こういうことなんです。今度は、先ほどの御説明では、全体五千三百億の前期五カ年二千五百億、これを確実にやっていくためにも特別会計を設定する、大体こういうふうに聞きましたので、それでは性格が違うのか、こうお尋ねしておるのです。今度はこういう組織というか、こういう形でやるならば、経済伸びと、この計画のズレは別としまして、計画自体は着実に前期五カ年計画はこの二千五百億ということで必ず実行できるということになっているのか。それはどこでどういうふうにきまったのか、特別会計のそういう性格できまっているのか、それとも政府一つの方針として確定したのか、これをお尋ねしたい。
  16. 中道峰夫

    中道政府委員 繰り返すようではなはだ申しわけございませんが、従来の特定港湾施設特別会計と今回の新港湾整備特別会計との関係でございますが、この特定港湾施設特別会計昭和三十年度限りにこれを廃止いたしまして、従来その対象となっておりました特定港湾施設工事は今回新たに設置を予定いたしております港湾整備特別会計包含をいたしまして実施するという建前でございます。そこでこの新特別会計は、港湾整備勘定とただいま申しましたように特定港湾施設工事勘定との二勘定別といたしまして、この特定港湾施設工事勘定特定港湾施設整備特別措置法に規定する民間資金の導入を考えたところの特定港湾施設工事等を経理する。なお港湾整備勘定におきましては、ただいま申しましたような特定港湾施設工事等以外の港湾整備事業等を経理する、こういう建前でございます。そこで今回の法律でございますが、これは国としての港湾整備計画を策定するための法律、すなわち計画法でございます。これに対しまして特定港湾施設整備特別措置法は、この施行令で指定いたしておりますように、特定施設工事に要します費用の財源の一部に充当するために、この法律によりまして、特別利用料とか企業合理化促進法受益者負担金を徴収することといたしましたことに伴いまして、国と港湾管理者費用分担につきまして港湾法特例を定めたものでございます。すなわち費用分担特例法、こういうような考え方に立っておるわけでございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 いや、御説明のところはわかっているのです。それでもっと端的にお尋ねすれば、旧計画はやはり特別会計でありましたが、今度の新特別会計に全部それは入れて、特定港湾整備勘定にしてやるということはわかっているのです。わかっているが、古い五カ年計画計画通り実施されなかったというのが一つ大きな問題になっているわけです。経済の成長にはもちろん追いつけなかった、それ以上に当初立てた五カ年計画が既定通りいってないということが今度の大きな問題になっているのですね。ところが先ほどの御説明によりますれば、今度のこういう形でやれば前期二千五百億、こういう全体計画狂いなく実施できるのだというお話がありましたから、そのために特別会計が新たにできているのか、そういう意味があるのか。特別会計の中にはこういうことがあるのか、ないのか。
  18. 中道峰夫

    中道政府委員 その点につきましては、これらの工事実施するための会計制度でございまして、前回特定港湾施設整備特別措置法におきましては、計画的な法的措置がなされなかったわけでございます。今回は特別会計制度のみならず、まずその前提として緊急措置法という計画を作って、その実施の総ワクあるいは事業目標というものを閣議決定をして、きめていこう、こういう点が、前回港湾施設特別会計によって行ないました工事と異なりまして、全体のワクを確定することにより、前回のような遅延を招かずに、これを確実に実施していこう、こういうような趣旨になると考えておるわけでございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 それでは、別に特別会計性格は変わりはないわけですね。  そこでお尋ねしたいのでありますが、前期五カ年計画あるいは全体計画について、この法案が通過しなければ——港湾整備会議ですか、ここで策定するわけですね。そこで全体計画はコンクリートされるわけですね。そうですね。そうしますと、今運輸当局から出されておる二千五百億というのは、そのワク内での中身の策定ですか。どうなんです。
  20. 中道峰夫

    中道政府委員 法律に規定がございますように、この計画法といたしまして、全体の事業目標とその量をきめるわけでございますが、それの根拠になりますものは、もちろん事業内容でございます。従いまして、その事業内容はそれぞれの各港の内容がきめられていくという姿になりますので、それに対しましては、現在もございますが、港湾審議会の議を経まして、関係各方面の意見を十分取り入れまして、その上で全体の各港の姿及び全体の事業目標を立てていく、こういう形になるわけでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 ちょっとくどいようですが、この港湾整備五カ年計画そのものは港湾審議会運輸大臣が諮問して確定するわけですね。
  22. 中道峰夫

    中道政府委員 これは、法律といたしましてこの計画目標と量をきめることになるわけでございますが、その場合に、港湾審議会の意見を聞きました上で閣議決定をする、こういう建前をとっておるわけでございます。
  23. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、この五カ年計画はまだコンクリートされていないというふうに了解していいわけですね。
  24. 中道峰夫

    中道政府委員 この五カ年計画は、当初御説明申し上げましたように、わが国の貿易関係、あるいは産業基盤、あるいは臨海工業、あるいは地方沿岸荷役増強というような方針によりまして、これは各港別にまとめてできておるわけでございますが、ただ細部にわたりましては、この予算の総額の二千五百億に対しまして、この法律にございますように、さらに港湾審議会の意見を聞いて決定するというような形になって参るわけでございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 質問の仕方が悪いせいか、どうも御答弁の方も、私の質問とちょっと合わないところがあります。お尋ねしたい第一点は、この新しい五カ年計画二千五百億という総ワクは、まだコンクリートされていないのだろうかということです。政府でもって決定していないのだろうかということです。いかがですか。
  26. 中道峰夫

    中道政府委員 先ほど申しましたように、二千五百億という総額を、財政当局ときめたわけでございます。その内容につきましては、お話のように、その詳細に至るまでの確定は、現在いたしておらないわけでございます。
  27. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、総ワク閣議決定になっているわけですね。これは港湾審議会の議を経ずしてきめておるのですね。
  28. 中道峰夫

    中道政府委員 この二千五百億と申しますのは、五カ年計画のもとになるいわゆる港湾事業費、私の方では行政投資額と申しておりますが、この行政投資額としてきめたという趣旨でございます。
  29. 久保三郎

    久保委員 その行政投資額はわかっておりますが、最後をちょっと聞き漏らしましたが、それをどうしたとおっしゃるのですか。
  30. 中道峰夫

    中道政府委員 ただいまの段階では、行政投資額としてきめたものでございまして、正式には、この法律によって閣議決定をした上できめていく、それに対して港湾審議会の意見を聞く、こういう形になるわけであります。
  31. 久保三郎

    久保委員 法律建前からそうだろうと思うのですが、そうしますと、二千五百億の行政投資額は、政府でもって一応内定しておるということですね。  引き続き先に参りますが、年次別計画がコンクリートされれば、これは確実に責任を負って政府措置をしなければならぬということになっているから、その通り今度はいくのかどうか。今までのとそこが違うのかどうか。
  32. 中道峰夫

    中道政府委員 今回の法律によりまして、この法律が施行されますれば、確実に実施できると考えております。
  33. 久保三郎

    久保委員 そこで次に移るのでありますが、新五カ年計画の投資配分の率は、今度変えていくわけですか。たとえば特定重要港湾あるいは重要港湾、地方港湾その他ということになりましょうが、そういうものの配分率は変えていくのかどうか。
  34. 中道峰夫

    中道政府委員 ただいまの御質問ですが、投資配分率、つまりそれは国費の負担率のことでございますか。その点は変更ございません。
  35. 久保三郎

    久保委員 私の聞いているのは総額でですよ。割合じゃなくて——割合というのは国から出すところの金の全事業に対する割合、比率じゃなくて、特定重要港湾に投資するものが、御承知のように三〇%なら、今度二五%に下げるとか、こういう配分率は変わるかどうか。
  36. 中道峰夫

    中道政府委員 国費あるいは地方費の振り合いでございますが、これは港湾法によりまして、それぞれの負担率あるいは補助率というものがきめられておりまして、今回の措置法によりまして、この負担率あるいは補助率は、変更は考えておりません。変更いたしません。
  37. 久保三郎

    久保委員 いや、局長、それはわかっているんですよ。それを聞いているのじゃなくて、事業の比重を変えるかどうかということです。
  38. 中道峰夫

    中道政府委員 全体の二千五百億の中で、各重要港湾あるいは特定重要港湾に対する費用の率を変更するかどうか、こういう御質問と思いますが、これは、ただいま申しましたように、この計画目標と量をきめる、こういうことでございまして、やはりこれは港湾審議会の意見を聞きました上で閣議で決定する、つまり全体の企画の中で重要港湾にどの程度費用を充当し、あるいは地方港湾にどの程度費用を充当するということにつきましては、ただいま申しましたように、港湾審議会の意見を聞きまして閣議で決定するという建前をとるわけでございます。
  39. 久保三郎

    久保委員 確定するのはそういうことでしょうがね。今度新しい五カ年計画を出すにあたっては、先般来御説明があった通り、その事業量の比重が若干変わるのではなかろうか、御説明からこういうふうに思うわけです。それは変わるかどうか。おたくの方では変えていくのかどうか。
  40. 中道峰夫

    中道政府委員 御質問の御趣旨でございますが、今二千五百億のワクで考えておりますが、お話の点は、当初われわれの方で要求いたしておりました三千二百億との関係でございますか。
  41. 久保三郎

    久保委員 いや違う。三千二百億というのは、二千五百億に対する三千二百億でしょう。そういう意味でしょう。そうじゃなくて、私が言うのは、今までの古い計画からいけば、特定重要港湾には全体の事業量の何%、今度は、提案の御説明にもありましたように、だいぶ違ってきておるわけですね。だから、この事業量の比重の置き方を変えていきますか、こう言うのです。おわかりでしょうか。
  42. 中道峰夫

    中道政府委員 港湾整備計画の問題と存じますが、今回の計画におきましては、先ほどから申しておりますように、港湾審議会の意見を聞いて閣議で決定するわけでございますが、御質問の御趣旨から考えますと、たとえば特定重要港湾あるいは地方港湾あるいは産業基盤関係港湾等いろいろございますが、これは、やはり現在の経済情勢、各地の港湾実情を十分検討いたしまして、それに対応できるようにそれぞれの港湾整備計画をきめていくわけでございます。総括的に申しますと、今日特に重要な貿易港と考えられておりますような、東京でありますとか、横浜、神戸、名古屋、大阪というようなところには、おそらくそのウエートが大きく置かれてくるのではないかと考えられます。また、産業基盤関係で、石炭でありますとか、あるいは鉄鋼、石油等の産業基盤関係する港湾は、それぞれの産業計画等、あるいは輸送計画等とも見合いまして、やはり重点的に考えていかれることと思います。また地方港湾の中におきましても、特に先行投資的な意味で、この港湾をすみやかに整備して、一応産業開発の基盤を造成していくという必要性のあるものは、それを重点的に取り上げていく、そういうような形になって参ると思いますが、いずれにいたしましても、それらのものは港湾審議会の意見を聞きまして閣議決定をしていく、こういうような姿になるわけでございます。
  43. 久保三郎

    久保委員 次にいきましょう。大へん失礼ですが、よくわかりません。経済の成長というか、所得倍増にからんで先般運輸大臣が特に強調されたかと思うのでありますが、港というものは、海と陸の結節点だというだけに限定してものは考えるべきではない。だから背後地について考慮してやらなきゃいかぬ。そうなれば既存の特定な重要港湾などは別として、発展性がないというか、もう変貌しつつあるものも出てくる。そこで地方開発と並んで新たな構想からこの問題を解決する、そういうことが一つの特色になっていると思う。こういう問題は古い計画に比べて新しい計画はどの程度に考えておられるか、こういうことです。
  44. 中道峰夫

    中道政府委員 お話の点に関しましては、今回の整備計画の中におきましても特に重点的に考慮いたしまして、臨海工業地帯開発に伴う工業港の整備という形で、工業の基地造成の基盤となる工業港の施設、たとえば防波堤でありますとか航路整備を公共事業費をもって行なおう、これによりまして、産業の地方分散あるいは地方開発をも考慮していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。その他地方の輸送力あるいは付近の工業原材料の輸送のための港湾等につきましても、従来よりもさらに重点的に整備を進めていこう、こういう考え方をいたしておるわけでございます。
  45. 久保三郎

    久保委員 それともう一つ、新しい計画で古い計画と違った点はこういうふうにお聞きしているわけですが、そうであるかどうか。いわゆる生産的資本の方は政策として国としては薄めていく、しかし社会的資本ですね、こういうものについて重点を置いていく、いうなれば結局係船施設等は向こうさんというか、利用者自体に負担をしてもらっていく、こういう性格が強まっているわけですか。
  46. 中道峰夫

    中道政府委員 係船施設その他もございますが、これにつきましては港湾の中でいわゆる公共的な港湾、つまり外国貿易、内国貿易等を扱いまする公共的な港湾につきましては、従来港湾法によりまして国が港湾法にきめるそれぞれの負担率、たとえば五割とか七割五分とかいうような負担率をもってこれを整備する方針をとっております。それから鉄鋼でありますとかあるいは石油でありますとか、そういうような産業関係港湾におきましては、そういった係船の施設はそれを利用する方面で施設するということで、国は航路でありますとか、あるいは泊地でありますとか、あるいは防波堤でありますとかいうような、いわゆる公共的性格を持った港湾の外郭施設の半額をさらに地方の管理者と国で負担するという建前になっておるわけであります。
  47. 久保三郎

    久保委員 とにかくこの間もお話が食い違っておるわけですが、局長は大本前期二千五百億は、何かきまった過程というか、結論はあいまいなことをおっしゃいましたけれども、実際はそれじゃ足りないような話ですが足りないのでしょうね。だけれどもまあまあ上の方で何とかするということで了解が遂げられたようでありますから、こういうことで二千五百億不満ながら大体計画としてはのんだというふうに私は了解しております。そうだとすれば、全体としてあなたの方の計画から見れば、二千五百億では当然投資不足がくるということもいえるわけです。しかしそういうことできめられたのでは、あなたの方でもそれ以上にどうこうするわけにはいかぬかもしれません。ところがこの法律ができますれば、当然港湾審議会の意見を聞いて運輸大臣はその計画のいわゆる閣議決定をしてもらうということになるわけですね。その場合、港湾審議会から二千五百億ではとてもだめだという意見が出れば、これはふくらむ可能性がございますか。
  48. 中道峰夫

    中道政府委員 この点につきましては先般来御説明申し上げておりますように、二千五百億では百パーセントというわけではございません。しかし産業立地調整費という項目がございまして、一応五千億というワクがあるわけでございます。従いまして、それらの中から今後の情勢を見まして必要分をそれに充当できるように今後努力していきたい、こういうふうに申し上げておるわけでございます。従いまして港湾審議会でどのような結論が出されますかわからないわけでございますが、現在の二千五百億の内容でこの計画審議していただきまして、なおそれらの御要請が出ますれば、これは今から申し上げる段階ではございませんけれども、そういった場合には産業立地調整費の中から回しまして、できるだけ整備計画計画通り推進していくというふうに努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  49. 久保三郎

    久保委員 そこで産業立地調整費でございますが、局長おっしゃるようにそういうふうにうまく参りますか。たとえば大体この文字から類推するのに、産業立地調整費とはあなたの方では、急に航路を浚渫する必要はない、ところが臨海埋め立ての方で直ちに土砂がほしいという場合には、それは立地調整費から出るでしょう。けれどもそれ以外は出ないと思うのですね。あなた自身の計画、いわゆる港湾局自身の計画をふくらますなり何なりするというときに出ないと思うのですが、これはどうでしょう。
  50. 中道峰夫

    中道政府委員 産業立地調整費は、お説のように産業に関係する調整として考えられておるわけでございますが、これはやはりその利用と申しますか、適用範囲は相当広く考えられるのじゃないかというふうにも思われます。ですから今後の港湾の姿から考えましたときに、そういうものを充当することによって現在の計画との調節をはかりながらこの計画を推進していくことが可能ではないかというふうに一応見通しとして持つわけであります。ただこれは現在そういう段階になっておりませんので、そういうふうに今後努力をいたしまして、この計画がきまりますればそれに基づいて計画をし、さらにそれらの点を考慮してこの整備計画をできるだけ確実に推進していきたいというふうに考えておるわけであります。
  51. 久保三郎

    久保委員 産業立地調整費は企画庁の意見とはだいぶ違うようでございますね。運輸省では局長おっしゃるようにもっと幅が広いようにお考えのようでありますが、企画庁からは、先ほど私が例を引いたようなものだけが産業立地調整費というふうに、私は別に聞いております。あなたの御意見だというと、あれは早い話がポケット・マネーだ、足りないところには実情に応じて配分してやる、こういうふうにもとれるのです。調整費だからもちろんポケット・マネーというふうにも考えられるが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  52. 中道峰夫

    中道政府委員 これは、御承知のように所得倍増計画にも記載してございますが、いわゆる産業立地調整費でございまして、単に船の大型化によって水深が増加したから航路の浚渫をするというようなことだけでもないと思いますし、そうかといって単なる調整費で足りないところはこれで補うという性質のものでもないと思います。やはり産業立地に関係する費用だ。しかしそういう意味合いから考えましても、港湾についてはそれに適用せられる範囲は相当広いとわれわれは考えておるわけでございます。
  53. 久保三郎

    久保委員 これは予算を持っている主管は企画庁でございますから、この方面にもよく確かめますが、それがうまく参りましても、港湾関係だけで五千億の大半をとるわけには参りません。そうしますと全体としては二千五百億であまりふえないだろう、こう見るのが現実には妥当だと思うのです。そうなりますと、さっき言った特定なものが利用する施設は低めていくのが妥当だと思うのです。だからそういうことを強く考えるべきが、今度の新しい、少ない金でうんと効果を上げていくという場合には必要だと思うのです。これが非常にあいまいだというと、新しい計画意味は私はないと思うのです。二千五百億のワクの中で、所得倍増計画に何とか追いついていこう、投資不足のおくれも取り返していこう、こういうことは言うだけであってなかなかむずかしいのじゃなかろうか。こういうのはもちろんこれからの御決定でございましょうが、これに対しては概要どういうふうにお考えでありましょうか。もう一ぺん御説明をいただきたい。
  54. 中道峰夫

    中道政府委員 ただいまお話のように、産業立地調整費につきましては、これはそう簡単にどうこうということも、相当今後の努力を要する問題でございます。しかし、われわれ二千五百億をきめたわけでございますが、所得倍増計画の十カ年計画の五千三百億ということに対しましては、これは十カ年計画でございますので、この五カ年とさらに今後の五カ年の経済情勢の推移もございます。従いましてこの産業立地調整費等につきましても、われわれとしては現在の計画を推進していく上にぜひ必要なものはこれから増すように極力努力いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  そこでお話の配分の点でございますが、繰り返すようで恐縮でございますけれども、これにつきましては、地方の管理者あるいは今の港湾審議会等において十分に審議を尽くしまして閣議決定をするというような行き方で進みたいというふうに考えております。
  55. 久保三郎

    久保委員 そこで、この間局長さんも一緒に行っていただきましたが、これは調達庁ですが、一応念のために運輸当局の御意見を聞いておきましょう。横浜の接収されている七バースかの返還問題ですね、これは今まで返還について正式な交渉を日米合同委員会でやったことがあるかどうか、まずそれを一つ……。
  56. 中道峰夫

    中道政府委員 最初に、接収状況について御説明いたしたいと思います。横浜港につきましてはセンター・ピアと申しております中央埠頭及びノース・ピアと申しております北埠頭、この両方の施設が主要な提供施設であったわけでございまが、昭和三十五年の九月までにこのセンター・ピアは全部で十二バースのうち一バースだけ残しまして日本側に返還をされたわけでございます。従いまして結局現在提供中のものといたしましては、アメリカ側の第二港湾司令部というのがありますが、この司令部の基地になっておるノース・ピアの七バース、それとただいま申しましたセンター・ピアのうちの一バースと、さらに第一号の上屋、それから冷蔵倉庫、及びノース・ピアにあります第二メイジャー・ポートと申しておりますが、それを引き続いて米軍側で使用中でございます。  ついでに神戸港を申し上げます。神戸港につきましては、新港地帯と申しますか、そこにございます第一、第二、第三桟橋の大部分及び第六突堤が主要な提供施設でございましたが、現在では新港町の川西冷蔵会社の前の物揚場、これは延長は七十五メートルでございますが、それと港湾司令部の敷地とそれから第六突堤の西側の半分、ツー・バースでございますが、西側の半分と、同じく上屋一棟だけが現在提供施設、そういうことになっておるわけであります。
  57. 久保三郎

    久保委員 それでこの利用度の方も、わが方に比較して非常に閑散といっては語弊があるが、あれほど広くとらぬでも、これはお返し願うのが当然ではないか。横浜のごときは、この間一緒に参ってお話を聞いたのですが、多いときには百ばいもとまっているというようなことであります。これは日米合同委員会を通じて強力な折衝をして、一挙にみな返せといってもあるいは不可能かもしれませんが、少なくとも日本の実情からいきますと、これは大へん不都合をきわめているわけなんです。そういう点は日米合同委員会でやるべきだと思うのですが、今までやったことはないですか。
  58. 中道峰夫

    中道政府委員 これは調達庁の関係でございますので、詳細はお答えできかねるわけでございますが、今日まで調達庁を通じまして米軍側に実は強く返還を主張して参ったわけでございます。その結果といたしまして、ただいま申しましたように、最初主要な施設の大部分が接収されておったわけでございますが、今日比較的大部分が返ってきておるということでございます。なおそれにいたしましても、横浜港といたしましては、重要な施設が米軍側の接収になっておりまして、わが国といたしましてはこの返還を強く実は希望をいたしておるわけでございます。調達庁に対しましても、絶えずこの返還については返還要求を強く折衝していただくように申し入れをいたしておるわけでございます。
  59. 久保三郎

    久保委員 これは次会に調達庁においでいただきまして、あわせてお尋ねすることにいたしましょう。  そこで、この港湾整備計画の中で次のような点は当然考えるべきだと思うのだが、この点を一つ御回答いただきたいということであります。一つには引き舟の問題であります。引き舟の整備計画は当然この港湾整備計画の中に入れるべきだと思うのだが、従来どういうふうにやっておられたか、あるいは今度の新しい計画ではどういうふうにするのか、この点。
  60. 中道峰夫

    中道政府委員 この引き舟の整備につきましては、港湾整備促進法というのがございまして、起債処置によりまして、起債を港湾管理者に回しまして、港湾管理者がそれによって整備をするということで現在までかなり効果を上げておると思いますし、今後ともこの計画に合わせまして、必要な引き舟につきましては、この港湾整備促進法によりまして起債措置によって整備をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  61. 久保三郎

    久保委員 御趣旨のほどはよくわかりましたが、実情は、もう私から申し上げる必要がないほど港湾領域がなかなか広がらない、そこへ舟はたくさん、しかも大型化してくる、こういうことになれば、引き舟をやはりこれに応じて整備しなければ何ら意味がないと思うわけです。  そこで私がお尋ねしたいのは、港湾整備促進法によって起債の点でやっているからいいんだと言うが、整備法を一つ出しておいて、自由に起債の方は申し込んで下さいというふうにやっておるのか、それともこの五カ年計画に合わせて所要量はこういうふうである、よって起債のワクはこういうふうにしなければいかぬというにやっておるかどうか。
  62. 中道峰夫

    中道政府委員 従来港湾整備促進法によりまして、その計画に合わせて起債をやっておったわけでございますが、今後もこの計画に合わせまして必要な計画を立てて、港湾整備促進法によってこの起債をそれに充当できるようにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  63. 久保三郎

    久保委員 これはあとで資料を出して下さい。今までの計画でどういうふうに増強されたか、それから三十六年度起債のワクでどの程度ふやすか、あるいは前期五カ年計画でどういう程度になるのか。  それから続いてお伺いしますが、この整備計画の中に、船舶の給水施設を従来考慮しないでそういう整備をしている向きがあると思います。これは人に聞いたことで、私が実地に見たわけじゃないのですが、そうなるとそういう施設ができたのでは困るわけです。施設がないところでありますから、当然これは給水せんの配備もせねばならぬ、こういう点はどういうふうに考慮されておりますか。
  64. 中道峰夫

    中道政府委員 この給水施設につきましては、港湾管理者あるいは民間の方でこれを施設して参っておるのが従来の現状でございます。なおそれらの点につきましては、この計画と合わせまして、さらに港湾管理者を指導いたしまして、この計画に合わせるようにいたしたいと考えております。
  65. 久保三郎

    久保委員 どうも他人ごとのように聞こえますが、これは当然港湾施設をするときに考慮さるべきものでありますから、新しい施設をされる場合には十分考慮してもらいたい。そういう不便なところはどことどこにあるのか、これはあとでけっこうですから、何か書いたものを下さい。給水せんがなくてはだめだということですね。  それから次に、この整備計画には今まで設計なり施工といいますか、そういう場合には当然船舶運航者の意見を取り入れてやるべきだと思うのでありますが、これをいれているのですか。
  66. 中道峰夫

    中道政府委員 港湾審議会委員として船舶運航者、つまり舶主協会とかあるいは船長会、そういった関係の方が委員になっておられます。
  67. 久保三郎

    久保委員 しかし必ずしもそれは十分でないように聞いているわけです。だから利用する者の意見を十分にいれられるように、今入っているからそれでいいというのではなくて、一つ一つ特定港湾について、整備する場合には上の段階でやっているからそれでいいのではなくて、神戸なら神戸、横浜なら横浜の整備計画する場合には、そういう土地における場合の運航者、そういう者を入れて十分合理的な設計と施工をすべきだと思うのです。これはお願いすればいいと思います。  続いて時間もありませんから申し上げますが、新しい計画では防波堤の高さ、それから水深の維持、これに関連して浚渫というのがありましょうが、そういう関係はどういうふうに考慮されているか。防波堤の高さなどは新しい計画では従来の計画よりは高めにしているというようなことをやっているかどうか。
  68. 中道峰夫

    中道政府委員 防波堤を築造いたします場合に、その地盤関係がございますとかあるいは波浪の状況でございますとか、そういった技術的な問題をよく検討いたしまして、将来沈下をするようなおそれのある場合には、ある程度沈下を見込んだかさ上げをしておきまして、将来多少の沈下があっても支障がないようにする。そういうふうに考えているわけであります。
  69. 久保三郎

    久保委員 それはかさ上げの話でありますが、新しく防波堤を作る場合、従来の線からいえば技術的に何メートルと出ているでしょう。これを最近の傾向からいって高める必要がある。伊勢湾台風のようなもの、あるいはチリ地震の津波、そういうことがありまして、これから割り出した経験からこれを高めにしていくという考えがあるのかないのか、これを伺いたい。
  70. 中道峰夫

    中道政府委員 この防波堤の構造につきましては、工事の仕様書がございますので、それによって一定の規定をいたしておりますが、しかし、ただいま申しましたように、現地の実情とかあるいは最近のような高潮あるいは津波、そういった特殊の事態に対しましては、それに対応するような設計なり計画をいたして、防波堤としての効用を十分発揮し得るものというふうに考慮いたしております。
  71. 久保三郎

    久保委員 先ほど申し上げた水深維持のために、当然浚渫船というか、そういうものの整備計画というか増強計画が必要だと思いますが、これは五カ年計画ではどういうふうに考えておりますか。
  72. 中道峰夫

    中道政府委員 水深維持と申しますと、つまり航路なり泊地の水深の維持になるわけでございますが、防波堤の高さは大体泊地の静穏を期するというのが主要な点でございます。もし航路等において水深が浅くなるというような場合には、航路の量測に従ってあるいは土砂どめの堤防を作る、あるいは防波堤の役目をなす、そういうような構造もとっておるわけでございます。
  73. 久保三郎

    久保委員 浚渫船の整備計画はあわせてやっているのかどうかということなのです、泥かき船です。
  74. 中道峰夫

    中道政府委員 港内の俊深作業に必要な浚渫船のお話と思いますが、いろいろ実は種類がございまして、沖合いで仕事をする場合にはバケット式の浚渫船を使う、あるいは港内で埋め立てとあわせて泊地なり航路を掘ります場合にはポンプ式の浚渫船を使う。あるいはその他特殊の浚渫船等もございますが、大体私どもの従来の方針から申しますといわゆるバケット式の浚渫船、そういったもの、あるいはディパー式と申しますか固い岩盤を掘りますとか特殊な工事に使います浚渫船については国で整備する方針をとっております。この埋め立て等に使いまするポンプ船につきましては営利事業として成り立つ向きもございますので、主として民間の手によってこれらのポンプ船を保有し、これらの仕事に従事しておるというのが現状でございます。今後とも大体そういった方針を進めていく考えをしておるわけであります。
  75. 久保三郎

    久保委員 船の構造を聞いているのではないのでありまして、そういう船が十分でないために船は大型化してもなかなか入らぬ。船さえ増強すれば相当に大きい船も浮かぶことができる。そういうのが足りないのではなかろうか、こう言うのです。だからそれの増強計画はこの中でどうなっているのか。
  76. 中道峰夫

    中道政府委員 その点は作業船整備といたしまして、この全体計画の中でも工事進捗あるいは計画のそごを来たさないように考慮をしておるわけであります。
  77. 久保三郎

    久保委員 いずれ計画ができましたら御提出願います。  それから貯木場でございますが、これも伊勢湾台風で苦い経験を味わったのですが、これに対してはどういうふうに計画されていますか。
  78. 中道峰夫

    中道政府委員 木材の関係でございますが、木材に関しまするわが国の需要は御承知のように最近非常に増大しております。これに伴いまして、外材の輸入は昭和三十一年には九百三十万石でございましたが、昭和三十四年には二千三十万石というように、二倍以上の著しい伸びを示しているわけでございます。今後の見通しといたしましては、さらに増加するのではないかと考えられます。しかしただいま御指摘のように、わが国の木材の受け入れ港湾におきまする輸入材の取り扱い設備が十分に整備されておらないわけであります。特に水面貯木施設が非常に不足しておるために、一昨年の伊勢湾台風の例からもわかりますように、防災上の見地からも重要な問題だと考えておりますので、今回の五カ年計画にはこれらの木材の受け入れ施設整備計画して、この整備をはかっておるわけでございます。
  79. 久保三郎

    久保委員 構造的にはやはり御検討なさっているわけですか。従来の貯木場といいますか、そういうものに対して再検討されて、新しい計画というか設計を考えておりますか。
  80. 中道峰夫

    中道政府委員 今申しましたように台風災害等の例もございますので、そういった被害を受けないように従来の構造等にも再検討をいたしまして万全を期しておる状況でございます。
  81. 久保三郎

    久保委員 やはり整備計画の中で、この前、山口委員から御質問があったと思うのであります。特に危険物の問題ですが、これに対しての取り扱い施設といいますか、たとえば最近では石油液化ガスも出てきている。遠からずと言っては大へん近いようですが、少し時間はあるでしょうが原子力船の問題も出てくる。こうなりますとそういう方面で、原子力の問題は別にしまして、当面液化ガスの取り扱いあるいは火薬等の取り扱いはいろいろ議論があるようでありますが、実際を言うとこれによる事故もあるわけです。こういうものの取り扱いについての施設はどう改善される意向でありますか。
  82. 中道峰夫

    中道政府委員 危険物の取り扱い施設でございますが、石油の関係等におきましては一定の石油基地といたしまして危険を分散するというような考え方にいたしておりますが、なおこの取り締まりにつきましては海上保安庁の方で取り締まり規定がございまして、それに基づいて危険のないように指導なり計画をいたしておるわけでございます。
  83. 久保三郎

    久保委員 いや、指導の方は別にお尋ねしているわけではなくて、そういう施設をどういうふうにお作りになるのかということをお尋ねしているわけですが、時間がきましたからいいでしょう。  最後に、運輸大臣に一言お尋ねというか要望を申し上げます。大臣、御承知のように、港湾整備五カ年計画というのを現在やっておるわけですが、これが計画通りいかない上に経済成長がさらに大きく伸びているという二つの面から大へん港湾関係がおくれているわけですね。そこで今度新しい五カ年計画というか十カ年計画前期五カ年計画を今日政府提案されております。ところでこの五カ年計画一つとりましても、大体いろんな指数のとり方にもよるでありましょうが、十カ年で大体先般運輸当局からの御説明では六千五百億ぐらい必要だというお話なんですね。ところが実際に策定されているのは五千三百億。五千三百億の中で、前期五カ年で今回二千五百億という計画、そうしますと所得倍増がどうなるのか、これは神様のみが御存じでしょうからわかりませんが、大体池田さんがそう言っているからそうだろうという考えをしている向きがありますが、できるかどうかは別にして、現実に今日港湾のおくれているのは確かなんです。この五カ年計画所得倍増に見合ったものだとするならば、実際はこれは二千五百億では足りないですね。しかも二千五百億では当初のおくれを取り戻すということにもならぬ。さらに三十六年度第一年目の三百八十億の投資では、これは五カ年に割っても少ないわけですね。算術平均しましても一年分として少ない。しかも港湾の特殊性からいえば先行投資、経済成長に先んじてこれは整備計画しなければならぬ。ところがすでに前の五カ年計画はおくれている。その上に策定したところの整備計画が総額としては少ない。少な目のうちに今度はさらに前期五カ年間算術平均しても少ない。さらに三十六年度予算は五カ年計画の算術平均一年分には少ない。こうなりますと、どうもこの五カ年計画というのは、これは仕方がないからやろうという程度のものではないだろうか、こういうふうにもとれるわけです。容易ならぬことだと思う。この法案か通過いたしますれば、直ちに運輸大臣港湾審議会の意見を聞いて閣議決定に持ち込んで政府は責任をもってやる、こう言っております。大臣は先ほどおいでになりませんが、港湾局長の御答弁では、二千五百億で足りなければ産業立地調整費が五千億あるから、その中から回してもらえるだろう、そして何とかやっていきたいというのです。御承知のように産業立地調整費というのは、運輸省港湾局が使う金ばかりではなくて、しかも立地調整費はポケット・マネー的な存在ではないのでありますから、そう五カ年計画に合わせた金に使えるというふうにはわれわれは考えないのでありますが、政府としては策定されましたやつは着実に実行されるかたいお見通しはございますか。
  84. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ちょっとよんどころないことで席をはずしまして申しわけございません。いろいろ港湾局長から御説明申し上げたことと思いますので、港湾局長から御説明いたしたことに対しては私は責任をとる考えでございまして、今回の五カ年の新しい特別会計ができて、五カ年間二千五百億のワクができまして、これで予算通りまするならば、いろいろの手続を踏みまして、できるだけ計画に応じて全力を尽くしていきたい、こう考えている次第でございます。
  85. 久保三郎

    久保委員 大臣は港湾局長の答弁には責任を持つと言われるのですが、しごく、といっては局長に大へん失礼ですが、あいまいなんですよ。これはもう仕方がない話でしょうが、産業立地調整費からもらえばという心もとないお話です。大臣、これはよほど御研究をいただいて本腰を入れておやりになるのならやる——経済成長も池田さんは所得倍増と言っているが、そんなふうにはならぬだろうというお考えならば二千五百億でもある程度間に合うと思うのですが、それが本物だとするならば、ちょっと間に合わないのじゃないかと思うのです。十分一つ努力をいただきたいと思います。  委員長に申し上げておきますが、駐留軍の接収中のバースの返還についての質問を、次会に調達庁においでいただきまして、続行させていただきます。一応きょうはこれで終わります。      ————◇—————
  86. 三池信

    三池委員長 次に、気象に関する件について調査を進めます。  先般の日向灘地震について質疑の通告がございますので、これを許します。兒玉末男君。
  87. 兒玉末男

    兒玉委員 気象庁長官にお伺いいたしたいと存じますが、御承知のように、二月二十七日の午前三時十一分に日向灘において地震が発生いたしまして、死者二、重傷者七、それに家屋の倒壊損害百七十余戸という甚大な被害が発生しておるわけであります。特に私もちょうどこのとき帰省しておったのでありますが、全く予告なしの地震にみんな驚愕いたしたわけでありますけれども、地震課長等の談話によりますと、地震の予測ということはほとんど不可能に近い、こういうことを言われておるわけでありますし、さらにまた一面においては、今度の地震は偶発的なものだ、こういうこと等も言われておるわけであります。これはほかの災害と違いまして予測なしにくるというところに、今後予想される地震に対しましても国民は非常な不安を感じておるわけでありますが、技術的な立場から、どうして予測できないのか、この点についての見解を承りたいと存じます。
  88. 和達清夫

    和達政府委員 地震学の研究は最近非常に進んで参りましたが、しかし端的に申して、地震の予知をするということを実際的に行なうことはまだでき得る段階に至っておらないのであります。もちろん予知に関する研究は部分的にはいろいろありますが、これを総合し十分なる資料に基づいて少しでも実用的になる予報を出すという段階には現在は至っておりません。従って地震予知を実用的なものにしようとするには、大規模な、相当長年月をかけた総合的研究を必要とするのであります。
  89. 兒玉末男

    兒玉委員 今回発生しました日向灘地震の震源地というのは、今から二十年前の昭和十六年十一月に発生いたしました場所とほとんど変わっていないのです。今回の場合は北緯三十二度、東経百三十二度、五十キロの沿岸でありまして、昭和十六年の場合も北緯三十二度三分、東経百三十二度四分ということで、ほとんど同じような地点に発生し、しかも三百キロという広範な地域に及んでおるわけであります。気象庁の地震課長の談話によると、偶発的だということを言いながらも、過去の統計上そういうことが明確に記録に出されておるわけであります。そういう点から考えますならば、予知ができないとかあるいは偶発的だとかいう見解は、技術的な立場から私は少しおかしいのじゃないかと思うのです。それについてどういうふうな見解をお持ちになりますか。
  90. 和達清夫

    和達政府委員 仰せのように、日向灘の地域は、西日本におけるこの程度の大きさの地震が多く発生する地域でございます。でありますから、過去におきましてもほとんど同じ地域にこのような地震が数回起こっております。これらの地震の被害は別紙にお配りいたしたような程度に出ておりますが、大地震の中では中級の程度であります。そしてこの地域は幸いなことに海岸から数十キロ離れましたところに震源がありますために、これだけの被害が起きたことははなはだ残念でありますが、陸上に震源のある場合に比しまするとこの程度で済んだとも申せるのであります。このように大地震のうちの中程度の地震がこういうふうに同じような場所に重ねて起こることは、他の地区にも見られることでございまして、そういう意味におきましては今後もこの地域がこの程度の地震があり得るという推測はつくわけでございますが、何分にも先ほど申し上げましたように地震の予知ということは実用的になる——私の実用的というのは、大よそいつごろどの程度の地震がどこに起こるというようにはまだできないのでございますので、そういう意味において偶発的と申したのではないかと推察いたす次第であります。もちろん日本の国の太平洋側には非常に大きな地震が起こりました。たとえば関東大地震とか三陸の地震とか南海道の大地震のようなもの、そういうような非常に大きな地震は、今までの統計によりますと、同じ地域におきまして六、七十年から百年くらいの間に起こってきておるのであります。この地方に大地震がないとは断言できませんけれども、この地域は今までの経過といたしましては、こういうような中程度の地震がこういうふうに起こって参ったということはわれわれ存じておりますけれども、何分にも地震というものはいつどこに起こるか、私どももそういうことを予知することができませんし、また起こりますれば非常な惨害を起こすものでありまして、軽々しき予測を立てるということにどうしても慎重にせざるを得ないのでありまして、今後地震学者の総合的研究によりまして、もう少し確実な推測ができるようになりますればと私どもは念願しておる次第であります。
  91. 兒玉末男

    兒玉委員 長官にお伺いしたいのは、予報とかそういう予測はなかなか困難だということを言われるわけでありますけれども、地震国といわれて長年の地震に対する研究も相当進められておるのじゃないかと私は思うわけですが、そういう予測なり予報の措置ができないというのは技術的に不可能なのか、あるいは設備その他の予算上の関係においてできないのか、そのいずれにあるかをお伺いしたいと思います。
  92. 和達清夫

    和達政府委員 現在における地震予知の最も有力な手段は、微細な土地の動きを始終監視することと、地震が、非常に小さい地震までを含めましてどういう場所に起こっているかということを観測し続けることにあります。気象庁の任務はその地震の観測の方でありますが、もう一つ土地が非常にわずかでありますがいつもどういうふうに動いているかということを絶えず監視することが、地震予知の最も有力な手段であります。これを行ないますことは非常に大きな規模におきまして、費用も相当にかかりますし、人手もかけ、そして長年月やりまして、その資料に基づいて地震予知がどのくらい行なわれるかということを私どもは見たいのであります。そのために日本の国も戦後ここまで参りましたから、ここらでこういう大計画を立て、どのくらいの費用で、どのくらいの規模でやりましたならば、どのくらいの研究が進み、実用的にどのくらい前進できるかということを計画いたすために、現在地震学のその方面の有志が集まりましてこの計画を検討中で、ございます。
  93. 兒玉末男

    兒玉委員 長官は気象庁の主たる任務がそういうふうな観測等に重点が置かれておるように言われますが、気象業務法の第十三条、第十四条、第十四条の二によりますと、気象庁としては予報並びに警報の義務が明確に課せられておるわけであります。今の長官の答弁によりますと、こういうふうな予報並びに警報の義務づけがされておる法律があるにもかかわらず、実際的には空文にひとしい状態ではないか、こういうふうに感ずるわけですが、この気象業務法との関連について長官はどのようなお考えを持っておるか、お伺いしたい。
  94. 和達清夫

    和達政府委員 気象業務法におきましては、気象と津波に対しての義務づけが行なわれておると存じております。火山の噴火、地震の予知につきましては研究段階でありますので、まだ業務法にはっきり明示してないと存じます。しかし私どもは業務法にないからそれでいいのだとは決して思っておりませんので、一日も早く、少しでも実用的な段階にいき、そうしてできたところから実際にもお役に立つようにしたいと思っております。
  95. 兒玉末男

    兒玉委員 今回の場合の警報の措置でありますが、たとえば宮崎の観測所においては、地震計のバネが地震が起きてから二十秒から三十秒程度しか記録されないで、途中で針が折れてしまって記録ができなかった、こういうことも言われておるわけですが、これは、こういう地震に対する記録をとる上においても、設備上の欠陥といいますか、きわめて怠慢ではないかと私は思うわけですが、そういうような地震計の一番心臓部といわれるバネが折れたということについて、長官としてはどういうふうな今後の措置をとろうとしておるのか、見解を承りたいと思います。
  96. 和達清夫

    和達政府委員 仰せのように地震計がこの地震において破損をいたしたことは、私どもの設計の不十分であることを率直に認めたいと思います。言いわけじみますけれども、地震計には大きい地震、小さい地震、それぞれの任務を持つ地震計がございまして、しかも精密に記録するというような要件もございますので、大きな地震がきますといろいろ故障を起こすものでありますが、地震国における日本の地震計は外国のものと違いまして、激しい地震に対しても故障を起こさないということが大切であるということは申すまでもありませんので、今後その点は十分改善したいと思っております。
  97. 兒玉末男

    兒玉委員 私も専門的なことはよくわかりませんけれども、地震の強度に一から七まであるそうですが、では現在全国にそれぞれ測候所があるわけでございますが、この測候所の地震計というのは最高の烈震といいますか、七度の度合いまで耐えるだけの設備がなされておるのかどうか、この辺の状況はどうでございますか。
  98. 和達清夫

    和達政府委員 地震の現模は七だけでなく八あるいは、九に近いものまでございます。幸いにして日本では八という程度はそうめったに起こらないものでございます。しかしわれわれの地震計というものは十分耐えるように設計されておるはずであります。しかし何分にも地震の規模の八以上というのは非常に大きな振幅を持つ激しい地震でありますので、これを正確に記録するということは非常に困難なことでありまして、残念ながらまだ気象庁の地震観測設備は、必ずしもそういう激しい地震に満足なる記録を得るだけの設備が全体的に行き渡っておると言うことはできません。この点に関しましては、地震工学の立場から、建設省におかれましても、そういう非常に強い地震に対する地震計、また地震研究所におきましてもそういう特殊なものを作りまして、これをわが国の要所に散布し観測しております。気象庁におきましても、地震国でありますから、こういうような——めったにはないことでありますけれどもそういう激しい地震に対する地震計の十分なる観測施設、観測網を確立したいと存じております。
  99. 兒玉末男

    兒玉委員 これは新聞の報道でございますけれども、今度の地震の際、福岡の管区気象台が、地震発生後約二十分して津波警報を出されておるようです。それから高松の気象台では、四時十四分、実に一時間後に警報が出されておるわけですが、こういうことは、何といいますか、私たちがしろうとで考えますならば、予報の時期、警報の時期というのが非常におそいのじゃないか、こういうふうに感ずるわけですが、この辺は技術的に不可能なのかどうか、承りたいと思います。
  100. 和達清夫

    和達政府委員 地震がありますと、それは夜でも昼でも、いつでも、直ちに、その地震がどこに起こってどのくらいの大きさである、この地震は津波を起こすかということをすみやかに判定しまして、そうして津波の警報を出すのでありまして、これを二十分以内に行なうということは非常に困難なことである、しかしわれわれは二十分以内というふうに定めまして、そして津波の警報を出すので、今回も福岡におきましてはそれを行ない得たのであります。高松におきましては、この地震の大きさからいいまして、自分の管内の方には、それほど、津波が来るかどうかという判定に時間をとりましたことと、多少津波の伝播は時間がありますので、それらもありますか、多少おくれましたようで、今後はもう少し早く警報が出るように努力することにいたします。
  101. 兒玉末男

    兒玉委員 一月でございましたか、新潟の長岡地震がありましてから、東大の地震関係の研究所と気象庁の間に地震予知準備委員会というのが設けられたように、私、聞き及んでおりますが、これによりますと、五カ年計画で、七十五平方キロに一カ所の割合で地震計を設置する、こういうことが報道されておったようでございますが、七十五平方キロという基準なり、あるいはこのことによって、先ほど来長官が言っておるところの予報関係に万全を期し得られるのかどうか、この点について承りたいと思います。
  102. 和達清夫

    和達政府委員 ただいまのお話は、おそらくその中のメンバーの一員の私見であると私は思います。もちろんある一定区間に観測所を置きまして、そこで土地の動き、また地震の観測をすることも大事でありますが、日本全体あるいは地震のよく起こりそうなところを、綿密に何回も水準測量を繰り返すというような作業も必要であります。他の方法もあわせ用いなければならないのでございますから、単にその点だけではちょっとお答えいたしかねます。
  103. 兒玉末男

    兒玉委員 長官としては特定のグループの研究会的なものだということを言っておりますけれども、長官自身としては、こういうふうな委員会等を通じ、あるいは組織的にこれを確立をさせまして、そうしてこういうふうな予報措置がより完全にできるような対策を積極的に講ずるべきだ、二月には十八回も全国で地震が発生している、こういうところから考えますならば、もう少し積極的な政策をとるべきじゃないか、こういうふうに感ずるわけですが、長官の見解、いかがですか。
  104. 和達清夫

    和達政府委員 全く仰せの通りでございまして、私も、これからも今まで以上に地震予知の研究とそれが実用化に対しては最大の熱意を持って努力し、自分もその研究に加わりたいと思っております。
  105. 兒玉末男

    兒玉委員 これに関連しまして国鉄の方にお伺いしたいのでございますが、今度の日向灘の地震におきまして、宮崎−南宮崎間の大淀川にかかっている鉄橋が、部分的には約十八センチほど折れまして、その結果線路のレール等が曲がり約一日不通になったわけでありますけれども、このような地震の大へん多い日本における国鉄の橋梁の設計等はどういうふうになっておるのか。さらに先ほど長官の答弁によりますと、気象業務法による予報及び警報については、地震の方はそれに入らない。しかし津波と地震は密接な関係にあるわけであって、当然この業務法によってこれは規制さるべきじゃないか。特に十四条の第二項に、鉄道事業や電気通信事業については、義務制ではなくて予報することができると、こういうふうになっているわけですが、これは法的な改正をして、そうしてやはり義務規定にする必要があるんじゃないか、こういうことを感ずるわけですが、国鉄当局としては、このような法的な措置と橋梁等の耐震構造についてどういうような今後の措置をとろうとするのか、承りたいと思います。
  106. 滝山養

    ○滝山説明員 お答え申し上げます。  前段の御質問は、橋梁の設計に対してどういう考えをとっておるかということだと思います。実は、日本は地震国でございますので、橋梁の設計については、鉄道だけでなく建設省も含めまして、全国的な土木の考え方は、土木学会その他の指導によりまして一つ基準を持っております。ほかの国よりもその点は大きくとっておりますが、重力に対しまする二割程度の横の力が働くということで構造物は計算され、それに対しての強度を持つようになっておるのであります。ただ、今回地震を受けました大淀川の橋梁、こういった橋梁になりますと、橋梁そのものの基礎の状態によりまして地震のゆれ方が変わるわけでございます。今回もその橋脚がゆれたためにアンカー・ボルトが切れまして橋げたが移動したということで、新聞でごらんになったようにけたが波打ったのでございますが、これは直ちにけたをもとへ戻しまして、半日足らずの後に復旧したわけでございますが、非常に地震のむずかしいのは、個々の地質とか、いろいろな条件がございますので、今後の地震につきましては、十分そういった地質の状態、あるいは川の場合には川の洗掘の度合いというものを調査いたしまして遺憾のないようにしたいと考えております。  それから気象庁との関係でございますが、国鉄は旅客の人命を預かっておりますので、台風の時期あるいはいろいろな災害につきましては、常に気象庁あるいは測候所と気象的に連携をとりまして、情報の交換、国鉄から資料を提供する場合もございますけれども、こういう災害の場合は情報をいただきまして措置をとるような態勢を、各管理局を指導いたしまして現地ごとにとらせております。
  107. 兒玉末男

    兒玉委員 今回の場合はちょうど午前三時という全然列車運行に関係ない時間帯であって、幸い人的な被害も免れたわけでありますけれども、今後予想されることは、いっこういうふうな地震が発生するかわからないわけでございます。全国的に気象庁等の統計によっても地震の起こる地域というのが大体出ておるわけでありますけれども、今後そういうふうな不意に予想されるところの地震に対する耐震構造等について、あるいはまたそういう事態が発生した場合の一般旅客公衆への避難対策なり、そういうような面について十分考慮すべきだと思うのですが、この点についての見解を承りたいと思います。
  108. 滝山養

    ○滝山説明員 今御指摘の点ごもっともだと存じます。ただ今回は御指摘のように深夜でございまして、列車に支障がなかったのが幸いでございますが、何分にも列車がちょうど通っておる瞬間ということになりますと、これはあらゆる災害も共通でございますが、なかなか人力をもっては防備し得ない場合が多いのでございます。しかし常に現場の警戒態勢をとりまして、事故が起きたあとに列車が乗り上げることがないような措置というものは、万全を期していかなければならぬと考えております。
  109. 兒玉末男

    兒玉委員 これは気象庁長官にお伺いしたいと思いますが、一昨日の建設委員会で住宅局長は、最近非常に高層建築が多いわけでございますが、この建築について耐震強度というものは大体どの程度の考えを持っておるかという質問について、大正十二年の震災程度のものには耐え得る、こういうようなことを答弁されておりましたけれども、最近発生する火災等においてもほとんど避難設備等がないために焼け死んだという例もあるわけであります。まして不意にくる地震については避難の時間的余裕というものはきわめて少ないのではないか、こういうように私は考えるわけでございます。最近相当高層のアパートができておるわけでありますけれども、気象庁としてはこういうふうな高層建築に対する避難の設備なり、あるいは技術的な立場からの強度等の指導、こういうことはどういうようにやっておられるのか、承りたいと思います。
  110. 和達清夫

    和達政府委員 気象庁におきましては地震の観測をいたしまして、応用方面へ資料を提供いたすこと、また先ほども仰せのように地震が起こり、余震が続いておる場合にその経過を知らせる、あるいはもし懸念ができますればある程度地震に対する注意というものも出すわけでありますけれども、建築との関係その他におきましては、私どもは建設省その他に資料を提供するだけでございますので、その点はお答えいたしかねます。
  111. 兒玉末男

    兒玉委員 最後になりますけれども、今回の日向灘地震の場合においては地震発生と同時に停電をいたしまして、全然情報を知ることができないわけであります。もちろんトランジスター・ラジオ等を持っている家庭はそういう情報が聞けると思うのですけれども、停電のため一般家庭においては全然情報がとれない、そういう点から考えますならば、これが昼間であれば避難等も十分にできると思うのですが、深夜等の場合においては停電による不測の災害ということも予想されるわけであります。こういう点については報道機関なり、あるいは電灯等の設備というものはきわめて不完全ではないか、こういうことを私は痛切に感じておるわけでありますけれども、今後気象庁として、そういうふうな技術面の指導ということはできないにいたしましても、この前の程度の地震ですら停電してしまう、これでは今後予想される地震に対しましても、住民がきわめて不安を持つと思うのですが、このような点についても一つ積極的な指導をしてもらいたい、こういうことを最後に御要望申し上げまして、私の質問は終わりたいと思います。      ————◇—————
  112. 三池信

    三池委員長 次に、陸運及び海運に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。鈴木仙八君。
  113. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 鉄道関係についてお尋ねをします。  中央線の混雑緩和のために地下鉄四号線の荻窪開通を繰り上げるようにするとの話がありますが、どういう工合に工事を進行させることになっておりますか。荻窪へ地下鉄が到達するのは一体いつごろになるのですか。混雑緩和の見込みはどのくらいの程度でございましょうか。まずこの点をお尋ねいたします。
  114. 岡本悟

    岡本政府委員 御質問の荻窪までの開通は来年の三月であります。国鉄の中央線の混雑にかんがみまして、できるだけ荻窪までの完成を急ぐよう帝都高速度交通営団に指令をいたしておりますが、御承知のようにすでに荻窪までの全区間にわたりまして工事中であります。従いましてこの工事を急ぐということは、技術的に非常に難点があるようであります。と申しますのは何といいますか、地下で工事をいたしますから、物量といいますかあるいは人といいますか、そういったものをこれ以上投入してスピード・アップいたすということにいたしましても限度がございますので、技術的には非常にむずかしいように聞いております。しかしかりに一日でもあるいは五日でもいいから極力早く開通するようにということを督励いたしております。  しからば荻窪線の開通によりまして中央線の混雑がどのくらい緩和するかということでございますが、目下これについては詳しい数字は持っておりませんので、後ほどお答えいたすことにいたしますが、そう大して期待はできないのじゃないかと考えます。と申しますのは、やはり年々通勤客が非常に増加しておりますので、やはりそういう点を考慮いたしますと、にわかに期待することはできない、こういうふうに考えております。
  115. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 地下鉄四号線を荻窪よりさらに西北の方向に延長して大急ぎで建設をさせることは、事実上の中央線の複々線となるものなので、現在の地形であったならばあまり障害物もなく、場合によっては高架線として田園地帯を西北に走り、青梅市へ到達させることが適当であると思いますが、この点いかがでしょう。この方が国鉄中央線を無理な工事をして複々線化を強行するよりも、国家の財政投資の投資効率から見て、安くて工期も短縮ができると思いますが、この点いかがでしょう。
  116. 岡本悟

    岡本政府委員 御意見は十分検討いたしてみたいと存じますが、ただいまのところでは直ちに御答弁申し上げる情勢になっておりませんことを遺憾に存じます。実は、荻窪線は御承知のように四号線と申しておりますが、これは六両編成でございまして、編成両数から申しますると、国電の十両編成に比較いたしまして輸送力は非常に弱いわけでございます。従いまして、もちろん詳細検討いたしてみなければわかりませんが、目下のところでは、われわれの考えでは、やはり国電中央線の三鷹−中野間の複々線を急ぎまして、これを地下鉄の五号線と結んだ方が中央線沿線一体の通勤輸送の緩和のためには効果的ではないかというふうに考えております。もちろん仰せの点につきましては至急検討してみたいと存じております。
  117. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 地下鉄の有効長は、三号線もわずか三両連結で非常な混雑状態を現出しているのです。すでに八年前の昭和二十八年第十六国会から第十八国会へかけまして、私は通勤輸送問題について質問をしたことがあるのですが、その後虎ノ門と神宮前間の五駅の有効長を延長して現在四両連結で走っているありさまで、あまり誠意がないと思うのでございますが、この点いかがでございましょう。幸いにして東京都営の第一号線は、各駅のプラットホームを、将来は十両連結までさしたる改良工事を施さずに可能であると聞いておりますが、帝都高速度交通営団の地下鉄は、四号線の新中野延長工事でも、三キロそこそこの区間に八十億円の巨費を投じながら、その有効長は相変わらず五両か六両であると聞いております。鉄道監督局はどういう態度で営団を監督しているのですか。プラットホームの有効長についてまず伺いたいと思います。
  118. 岡本悟

    岡本政府委員 ただいま御指摘の三号線つまり浅草から新橋を経まして渋谷に参ります線は、確かに仰せのような欠陥がございます。もともとこれは御承知のように非常に古い線でございまして、当時おそらく今日のように輸送量が非常に膨大になるということを予測し得なかったか、ないしは予測し得たといたしましても、私企業でこれを工事したものでございますので、イニシアル・コストが非常にかかるというふうな点も考慮いたしまして、ああいうふうな有効長の短い設計になったかと心得ております。しかし帝都高速度交通営団が引き継ぎまして、特に終戦後におきましては有効長の延伸に努めておりますことは、すでに御指摘の通りでございます。目下のところは五両編成でございますが、早急にこれを六両編成にするという計画は持っておるようでございますので、今後これを督励していきたい、かように存じております。  それからもう一点、池袋から出まして東京駅それから新宿、荻窪に参ります四号線につきまして、これも御指摘のように六両編成にとどめなければならないような有効長の設計の仕方というものは一体どういうことなのか、非常に見通しがないじゃないかというおしかりでございますが、確かにその通りでございまして、池袋線を着工いたしましたのはたしか昭和二十六年であったかと存じますが、当時の事情をいろいろ聞いてみますと、これを八両編成にすべきであるかあるいは六両編成でいいのか、そういったことにつきましてずいぶん議論がなされたようでございますけれども、やはりこれも見通しを誤りまして、六両編成にとどめたようなことを聞いておりますが、大へん遺憾に存じておりまして、今後は十分そういうことのないよう指導していきたいと存じております。御指摘のように東京都営の一号線は十両編成の建前になっておりますので、将来相当大量の輸送需要にもこたえ得ることができる、かように考えております。
  119. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 次に営団五号線という地下鉄の予定線に速急に着工して、その線へ中央線と総武線の電車を流通をさして混雑を緩和をすることになり、三十六年度に五億円を予算としてつけてありますが、その線は中野から高田馬場を通って大手町へ出てくるもので、東京駅よりも北の方を通る経路になっております。これで現在の通勤通学の流れを緩和をすることがはたしてどの程度に可能であるか、お見通しをお伺いしたいと思います。
  120. 岡本悟

    岡本政府委員 詳細な数字は後ほど御提出さしていただきたいと思いますが、要するに三鷹、中野それから東京の都心を通って参ります線でございますので、もう一本中央線ができるのと同じ効果を持つということになるようにわれわれは考えておる次第でございます。
  121. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 将来大手町付近で地上へ出てきた勤め人の大群が丸ノ内、新橋、有楽町方面へ歩いていくのも大へんであろうし、大手町駅を地下で立体交差をさして乗りかえをさせることもできるであろうが、こうした場合にどのくらいの効果があるでしょう。
  122. 岡本悟

    岡本政府委員 御指摘のように、総武線の方へ相なるべくなら五号線を結んでいきたい、かように考えまして研究を進めておりますが、従いますと当然大手町で乗りかえるということは起こって参ります。しかし都心へ参りまする現在の中央線方面の通勤客は、東京駅あるいは神田駅でおります場合には乗りかえはございませんが、東京駅から西の方へ参ります通勤客は、当然東京駅で乗りかえておるわけでございまして、これは御承知の通りでございますが、そういう点からいけば、大手町付近で乗りかえさせるということはやむを得ない手段であろうかと考えております。もちろんこれはまっすぐで行ければよろしいのでございますけれども、先ほど申しましたような総武線との関係もございますので、やむを得ないことだとは存じておりますが、その乗りかえの施設につきましてはできるだけスムーズに流れますように指導していきたい、かように考えております。
  123. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 国鉄電車は中央線で将来十二両、十四両、十六両も増結となる見通しがありますから、そのような長大な電車から、現在の十両連結でも約四千人の乗客が出てくる状態であって、これが地下鉄へ線路共用で流れ込む場合には、地上と地下との連絡階段などに特段な保安設備が必要となると思います。またその乗客の大群の離合集散について技術上の御成案を承っておきたいと思います。
  124. 岡本悟

    岡本政府委員 まだそこまで設計の準備が進んでおりませんので、詳細に申し上げる段階にはなっておらないわけでございます。いずれこの設計が進みまして具体的な内容が固まりました際には、詳細申し上げたいと存じます。
  125. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 国鉄電車が帝都高速度交通営団の地下鉄へ流れ込むのは初めての設計で、将来の前例となるものですから、今回の五号線でこれを三十六年度から予算化するにあたって、運輸大臣諮問機関の各種の審議会のどれを通過させたのですか、この際伺っておきたいと思います。  国鉄電車が入っていく以上、国鉄新線意味もあると思うので、鉄道建設審議会にも諮るべきだと思いますし、また運輸審議会の方へもかける必要はないのでしょうか。別に都市交通審議会の議も必要ではないのでしょうか。ことに東京の地下鉄網については、従来しばしば都市交通審議会の答申庁待って、今年の四月とか六月とかに、だんだん検討すると当局は言明しておきながら、三十六年度予算の第三次査定くらいになって、突然といってもよいくらいに五億円が出てきたのは、都市交通審議会の権威を傷つけることになりはしないでしょうか。営団と国鉄の当時者さえ協定すれば、何でもやれるというふうに考えてよろしいでしょうか。
  126. 岡本悟

    岡本政府委員 昨年九月でございましたか、都市交通審議会運輸大臣の方から第二号の諮問をいたしまして、東京都における高速鉄道網の整備につきまして、去る三十一年に答申をいただきました高速鉄道網に追加する必要があるかどうか、あるいは五号線を含めまして新しい構想があるかないか、これにつきまして諮問をいたしておるわけでございまして、目下それにつきまして審議をいただいております。仰せの通り四月あるいは六月ころまでには最終的な結論をいただくわけでございまして、そこで御指摘のように当然国鉄の五号路線への乗り入れということも御審議いただくわけでございます。従いましてその答申が出てみませんことには、はたしてそういう構想が許されるかどうかということは、もちろん疑問でございます。ただ国鉄といたしましては、都市交通審議会におきましてすでにその希望を表明いたしておりまして、中央線の混雑緩和につきましての抜本的な対策としては、われわれ事務当局といたしましてはまことに適切な方法ではないかというふうに考えているわけでございます。もちろんこの都市交通審議会の最終的な結論をいただきまして、なおかつ運輸審議会等の手続を経まして実際には着工に相なるわけでございます。鉄道建設審議会の方はどうかというふうなお話でございますけれども、これは改良計画でございますので、別に御諮問申し上げる必要はないように考えております。
  127. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 この際伺っておきますが、東海道新幹線の路線で横浜駅を現在の横浜線小机駅付近に設置をし、そこから東京に入ってくる部分にいろいろな問題が生じているとのことですが、貨物線に線路増設をして並行さして、品川から川崎市に入り、川崎市を通過する線区で反対が起こって、川崎市では地下式にしてくれなどと騒いでいるとのことですが、どういうお見通しでこれに対処しているのですか、御説明を要求いたします。
  128. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまお尋ねのございました横浜、川崎付近の敷地の問題や建設の仕方につきまして、実はただいま私詳しいことは存じておりません。いろいろ地元の方とも新幹線当局の方で今御相談をしておる最中であろうかと思いますが、詳しいことはまたあらためて御報告申し上げるようにしたいと思います。
  129. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 次に都市交通問題で、自治体が経営する路面電車の存廃問題でありますが、この問題は自動車業界やら警視庁方面からときどき思い出したようにわき上がって、警視庁の交通部あたりで、交通政策に立ち入って路面電車の撤廃を主張して新聞などに意見を発表するのは、一日二百万人にも上る都電乗客を無視をした態度で、その言動はまことにどうもいかがかと思います。運輸省鉄道監督局は、庶民大衆の交通を擁護をして、東京、大阪を初め大都市の路面電車を援護して、いいかげんな立場からする撤廃論と戦わねばならないのではないかと思います。運輸省国鉄や営団と上級人事がもう親密に流通をしておりますから、国鉄や営団となるとどうもむやみに何か肩を持たれるような傾向があるのではないかというふうに考えられますが、各自治体の路面電車の問題などは大したことではないと軽く扱って無責任な撤廃論を台頭さしているのは、運輸行政上片手落ちのそしりを免れないのではないかと思いますが、撤廃論がほんとうに正しいなら、運輸省もこれに対しまして明確な撤廃論をみずから打ち出して、堂々と路面電車の撤廃行政を実行したらよいと思います。またむやみに撤廃論を振り回すのがよろしくないのなら、その趣旨を天下に公表して戦わねばならないのではないかと思います。ただどっちつかずに、その場限りの低回趣味でこのような重大問題をマスコミの勝手な評論にまかして高見の見物をしているような態度は、筋が通らないのではないかと思います。鉄道監督局長の御決心をこの際お聞きしておきたいと思います。
  130. 岡本悟

    岡本政府委員 この問題につきましては、確かに仰せの通りでございまして、運輸省といたしましては非常に慎重な態度で検討して参った次第でございます。すでに二年前から都市交通審議会におきまして、この問題を研究審議していただきまして、昨年八月にこの問題についての答申をいただいております。その骨子は、要するに御指摘のように現在一日約百六十万から百七十万の乗客が利用しているかと思いますが、こういったいわば大衆の足である路面電車を軽々に撤去するということは問題である。従いまして路面交通混雑の緩和には確かに路面電車の撤去ということは必要であることは認めるけれども、そのかわりになるつまり代替交通機関というものを考えて整備しておかないと大へんなことになるではないか、しかも路面電車撤去につきましては、従業員の配置転換の問題もございますし、あるいは利用者の負担増の問題もおそらく出てくるかと存じますが、そういったいろいろな解決すべき問題点が多いのでありまして、そういったことをあわせ考えて実行すべきであるというふうな答申をいただいております。われわれといたしましては軽々にこの問題を扱っているわけではございませんし、従いまして常に百六、七十万に上る大衆の、しかも安い足であるということを忘れていただかないようにということを新聞等を通じまして啓蒙はしているつもりでございます。しかし、いずれにしましてもただいまの結論では、行く行くは、つまり代替交通機関整備されるに従って、やはり撤去する方がいいんだという結論に達して、その方向に向かいまして、特に地下鉄の整備というものを、路面電車にかわる機関としての立場からも再検討いたしまして、追加路線網を審議していただくようにお願いしておるわけでございます。
  131. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 御答弁で、非常に懇切に承りました。同感な点もございます。特に路面電車を撤廃する方針に少しでも触れたおりは、お説のようにその代替機関を考えてつけ加えるのが、行政上のバランスである。昭和五十年には蒸気機関車を全廃する御方針を公約しているが、その時期には国鉄電化、ディゼル化ができ上がっているという御説明があるから、国民全体は納得をしているのじゃないかと思います。路面電車の撤廃をさながら既定方針のごとくマスコミに宣伝をされて、その代替機関を何一つ心配してやらないようなことであっては、交通行政の大本山たる運輸省として公正を欠いているといううらみがあると思ったようなわけでございまして、鉄道監督局はかねがね、東京の地下鉄には営団と東京都の複数主義で、二本立でやっていくと唱えているが、その実行を誠意をもって進められる御決心があるのですか、この機会にお伺いをしておきたいと思います。
  132. 岡本悟

    岡本政府委員 東京の地下鉄の整備につきまして、その企業主体を帝都高速度交通営団のみにまかせるか、あるいは地下鉄の整備が非常に急速にやらなければならぬということで、その他のものでも能力があればやらすべきではないかということにつきまして、都市交通審議会におきましては、昭和二十九年からいろいろ審議して参りまして、去る三十一年に、八月でございましたか、やはりこの地下鉄網の整備は急速にやらなければならぬから、帝都高速度交通営団だけにまかしておいたんでは不十分だ、そういう能力を十分に持っておるものがおれば、その援助も借りるべきだというふうな御結論をいただきまして、さっそくそれを実行に移しまして、さしあたり一号線を東京都に建設させるような手続を進めたような次第でございまして、現在東京都は鋭意一号線の建設をやっておるわけでございます。これは御承知の通りでございます。そこで、今後この複数主義をさらに続行していくかどうかというお尋ねでございますが、この四月か六月ごろには、追加路線網につきましての御答申を都市交通審議会からいただくことと心得ておりますが、その際にいろいろなデータを審議会の方へ御提供申し上げまして、この複数主義をさらに進めていくべきかどうかということについてもいろいろ御判断をいただきたい、かように考えておりまして、その御意見に従いまして、この複数主義をとっていくかどうかということをきめていきたいと存じております。しかし客観的な見地から申しますと、地下鉄網の整備をより一そう急速に進めていかなければならぬという情勢は明らかでございますので、依然複数主義を続行するかどうかということについては、いろいろ議論があるとは思いますけれども、やはりそういうことにしなければいかぬのではないかというふうに、私自身は考えております。
  133. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 重ねて申しますが、マスコミの無責任な物の言い方に対して、運輸省が何一つ弁解もせず、間違った考えが押し通るようになっている問題の一つに、国鉄赤字新線問題があると思います。赤字心々というが、赤字線の乗客が幹線へ流れ込む量が多いからこそ幹線の黒字採算が見られるのであって、商人が本店のほかに多くの支店、分店を経営して、全体の採算が黒字なら、支店の中の若干が赤字になっても、これを吸収していくのは、多角経営では当然のことと思います。現に多くの私鉄は、鉄道部門が赤字でも、バスや観光事業で黒字をかせいでいく勘定になっているし、学校の経営でも、理工科系は赤字だが、法文科系で夜学生などを多量に入れて黒字をかせぐのが、学校経営の常道であると思いますが、国鉄が今回の運賃引き上げ理由として、国鉄輸送力の貧困が経済成長を妨げると公表している。これはみずから輸送力の貧弱なことを認めているのではないでしょうか。これは私が昭和二十八年夏の第十六国会にはっきり指摘したことであって、日本の国力の成長発展の前に国鉄輸送力がこんなに貧弱では、やがておそるべき行き詰まりが近い将来必ず起こると予言をしたにもかかわらず、どうも当時の国鉄の幹部の皆さんは、私の言ったことをもう一笑に付して、せせら笑っていたように思います。今日、八年たって、初めてようやく御自分自身で輸送力が貧弱であるということを言い出したのではないかと思います。正しいことを認めさせるのに、国会において八年の歳月をけみしたものであります。その間無責任なマスコミは何を言っていたか。もはや鉄道は斜陽産業である、これからは自動車飛行機の時代であると言っているではありませんか。このマスコミの無責任な言葉というものはいろいろな障害を起こすもので、はなはだどうも、枝葉末節のことかもしれませんが、私はかつて京浜、山手線電車の分離運転を主唱したことがございます。当然運輸委員の一人としてこれを主唱し、さらに三十年の選挙の街頭や演説会に、輸送力増強という建前から、貧弱な知識ですが、この京浜、山手線分離運転問題を取り上げて演説をしていた。ところが三十年の二月の選挙、しかも投票日を前にして——一週間ぐらい前だ。東京新聞が、選挙のまつ最中に、二月の十五日の社説の中で、「橋をかけるとか補助金をとってやるなどと、選挙区の利益で投票を釣るものがある。東京にも山手線と京浜線の分離などをうたう輩がある。国会議員は国民全体の利益代表であって、一選挙民の御用ききではない。こういう手合は国費の濫費や汚職に縁が深い」こういうふうなことを大見出しでもって私は書かれたことがございます。選挙はもちろん落選いたしました。いろいろ申しますけれども、それは決して国鉄やなんかの暗躍とは考えておりません。私みたいな貧弱な人間に対して——しかし私に対する批判は手きびしいものでございまして、これは間違いなく落選はいたしましたが、直ちに私はこれを告発いたしました。ところが東京新聞から出てきた人は、今はもう済んだことですからお名前を申し上げることは差し控えますが、現在でもそうそうたる政治評論家であり、しかも一言半句も、私の京浜、山手電車分離運転に対するお答えがございませんでした。そうしてまあ謝罪をせられたという事実がございますけれども、一貧弱な私にいたしましても、日本の輸送能力というものを考えて、もう貧しい知識ながらそうしたことをやったことは、かえって逆になり、また鉄道会館問題等もございましたでしょうが、いろいろ聞くとどうも実は情けない思いがするのでございますけれども、恐るべき筆先の暴力とでも申しましょうか、ただマスコミの無責任なことをそのままにしておいてはいけないということを、この際申し上げておきたいと思います。こういういい加減なものの言い方とはっきりと戦わないから八年間の間国鉄輸送力増強はすっかり足踏みをしてしまって、今ごろ所得倍増計画政府から出され、そうしてろうばいをして斜陽産業意識から脱し、自分自身で輸送力の貧困などと言い始め、どろなわ式に車両をふやそうというのはいかにも無定見なような気がいたします。昭和二十八年の第十六国会で私もさんざんな目にあいましたが、その間、国鉄よ目をさまして下さいなんてなまいきなことを申し上げましたが、国鉄の八年間の足踏みを私は実に残念に思うのであります。今や国民は一歩自宅を出れば国鉄の残酷なぎゅうぎゅう詰め輸送に苦しめられ、それこそほんとうにドイツ軍のアウシュヴィッツやトレプリンカの人間焼却炉に送られた人たちの貨車輸送のようなありさまで、日夜塗炭の苦しみにあえいでいる現状でございます。中央線の混雑のために話がどうも少し大きくなるかもしれませんけれども、毎朝オーバーのボタンが千個も二千個も、靴が百足も二百足も、カバンが十個も二十個も落ちていて、新宿駅には医師、看護婦が出動しているというような暴状を日本ほどの高度の工業国家がどうすることもできないというのはまことに残念な次第であると思います。これというのもマスコミのいわゆる商売主義に対し何一つ戦わないからであると思いますが、これから飛躍的に増強をする産業が何のゆえに斜陽産業といわれているのか、また座席定員輸送を命じた鉄道営業法第二十六条の定めこそ、これによって国鉄、私鉄をぴしっと引き締めて監督すべきではないかと思います。岡本鉄監局長、広瀬国鉄部長の監督行政に関しての御決心を重ねてお尋ねをしておきたいと思います。
  134. 岡本悟

    岡本政府委員 私、昨年鉄道監督局長を拝命いたしましてそのときに痛切に感じましたのは、確かに国鉄輸送力整備経済の進展から見ますと非常におくれておる。私がそのときに申しましたのは、国鉄輸送力はやはり終戦直後の様相を全般的なバランスから申しますと少しも脱していない。貨車の配給不足に対する陳情は年がら年じゅう慢性化いたしておりましたし、あるいは旅客の輸送でも、通勤輸送を初めといたしまして一般輸送におきましても、年末年始であるとかあるいはウィーク・エンドには人の上に人が重なって乗っているというような窮状でございます。確かに御指摘の通りでございまして、私もそのとき心に非常に強く期したのでございますが、ぜひとも国鉄輸送力を飛躍的に増強して今までのおくれを取り返すとともに、また将来のわが国の急速な経済成長に対しましておくれをとらぬようにやらしていきたい、かように強く決心した次第でございます。仰せの趣旨をよく体しまして十分監督して参りたいと存じます。
  135. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 この機会に一般乗用旅客自動車運送事業の一般事項について質問をさしていただきたいと思います。  去る二月十一日の午後零時半をもって締め切りとなりました東陸局管下における本年度の一般乗用旅客自動車の三部門、すなわち既存業者に対する車両増許可の申請、それから新規業務開始の許可申請並びに個人タクシー営業の新規許可申請に関して質問をしたいと思います。以上三種にわたる総申請は、件数にして四千六百六件、車両総数で一万七千六百三十四両であり、この数は予定総数よりはるかに上回っておりますが、これを種別によって色分けいたしてみると、イ、既存業者の車両増強願いが三百三十五件の車両総数が三千四百二両、口、新規法人の出願は四百七十五件、車両総数は実に一万四百三十六両、ハ、個人タクシーの出願三千七百九十六件、車両総数は同数の三千七百九十六両であります。これらの出願に対して、御当局では出願者から提出されている詳細な付属書類をしさいに検討の上、直接の個々審査の上、個別の聴聞まで行なった上、その適否がきめられるわけですが、この規格については、昨年十二月二十四日付でかねて諮問中の東京陸運自動車運送協議会から東京陸運局あてに、東自協答申第五号による答申書が送達されております。その第二項によると、「増車申請の既存事業者及び新規免許の申請に対する増強車両の配分については、諸般の事情を慎重に検討した結果、次の通りとし、各別に審査を急ぎ、審査の完了したものよりすみやかに処分をして、増強輸送の早期実現を期する。」とあって、審査の慎重公平を要求されております。また、次の第三項を見ると、「本措置に伴う申請に対しては、道路運送法第六条第一項に規定する免許基準に適合するかどうかについて厳正公平な審査を行なうことはもとより、」云々とあり、さらにつけ加えて「車庫の立地条件と収容能力の適不適」「運転者のためにする保健上の施設整備」というような点が強く要請され、これが許可の先行条件として重要な点となっておりますから、もちろん本年の審査に際しても十分ここに重きを置いておられることと思いますが、審査の結果、以上の条件に合わないものは申すまでもなく許可にならないものと思われますけれども、当局はどういうふうにお取り扱いになっているかということが一点。さらにかりに免許になりましてもでき上った車庫の実態がはなはだしく不完全であったり、運転者の休養に不適当であったり、車庫の立地条件から構造及び収容能力等にわたり著しく適正でないという点がはっきりとした際は、一たん免許を受けましても直ちにこれを取り消すという御方針であるかどうか、まずこの点をお尋ねをしておきたいと思います。
  136. 國友弘康

    國友政府委員 お答え申し上げます。今、鈴木先生からお述べになりました数字等についてはその通りでございまして、これらの非常に多くの申請件数に対しまして、現在東京陸運局におきまして鋭意審査をいたしておるところでございますが、本年の一月七日に公示をいたしまして、東京陸運局としてただいま先生のお述べになりましたように厳正公平に審査を進めるという方針のもとに処置をいたしておるのでございますが、今おっしゃいました車庫の問題、あるいは運転者の休憩、睡眠または仮眠の施設整備というような点等につきましては、特に重視して審査をするということを公示にも述べております。そういう方針で審査をいたしておるのでございます。従いまして、免許に関します審査をいたします場合には、道路運送法第六条の免許基準につきまして審査を厳正に進めておるわけでありまして、この免許基準に合わないものにつきましては当然却下をしなければならない、こういうふうに考えております。さらにそれらが、計画上はいいから免許をされたけれども、免許をされたあとで、車庫その他の施設において欠けるところがあるというような場合には、大体四カ月以内に事業開始をいたしますが、その前に確認の行為をいたしまして、事業計画に適合したように十分に施設をし、それが法的にも望ましいような形になっているかどうかということをよく調査をいたしまして、その結果、事業開始ができるということになりますれば、事業開始をさせるのでございます。そういう関係は十分に調査をした上で措置をいたしますが、それでもどうしてもその基準に合わないというようなものにつきましては、当然取り消しその他の処分も考えなければいけない、そういうふうに考えております。
  137. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 よくわかりました。ただ現在の状況下において私どもが最も憂えていることは、この予備的な審査がはたして法規の要求通り厳正にして公平に行なわれているかどうかという点であります。ちょっと考えてみても、四千六百六件の出願数で、これに伴う免許申請の総車両数が一万七千六百三十六両という、この大きな数に対して、今回許可される総車両数がわずかに二千両しか許可しないという不動のワクがはめられておるのですから、結局審査の結果、二千六百六件の出願と一万五千六百三十六両の車両は当然不許可となって引き下がらざるを得ないことになります。これはまさに一人娘に婿八人以上、もしくは高等学校や大学の入学試験以上の競争状態であることは論を待たないのであります。このような状況でありますから、この免許取りつけのためには、当然激しい競争が裏面において発生してくることは一点の疑いもないところであります。私はこのような状態の発生していることに深き憂いとおそれを感じずにはいられないのであります。巷間うわさされているところによれば、タクシー免許を得た車両一台について最高三百万円の権利価値があるというくらいであるから、かりに一社で十台の割当許可があった場合すでに最高三千万円の権利価値を生ずることになるので、業者や関係者はその利権をたやすく見のがすはずはありません。従って昨年度などもこの許可獲得のため関係者がばらまいた運動資金は相当莫大なものであったと言われておるし、許可獲得のため出願側は血眼になってあらゆる政治的権力のひもに取りすがったり、陸運局関係のコネを探し回ったり、これにものを言わせようとかなり深刻な地下運動が行なわれたという風聞は一再ならず耳にいたしておるのであります。かような状態なので、免許申請の審査は厳重公正でなければならぬことは申すまでもありません。私はこの審査に当たられる当該係官の公平と潔白を信ずるものでありますが、いわゆる李下に冠を正さずの言葉の通り、いやしくも審査の経過や結果について世間の疑惑を受くることのないよう、陸運局首脳部の方々また御監督の方々の厳重なる監督を希望しておきます。  そこでお尋ねいたしますが、本年度の審査はすでに始まっておるようですが、陸運局のいずれの部課の人々が審査を担当されておるのか、それが一点。その総数は何人くらいで構成されておりますか。また車庫、営業所等の現場を審査される場合、単独で調査をされるのか、だれか他に同行立ち合いをやっておるのかどうか、これはどうなっておりますか。この点もお尋ねしておきたいと思います。
  138. 國友弘康

    國友政府委員 私どもといたしましては、いろいろ報道機関その他に記事が出ることもございまするが、行政をいたします場合、ことにタクシー免許申請を審査いたします場合には、最も厳正公平に施行いたしておりまして、この点、私どももさらに東京陸運局長初め関係の者も全く真剣に厳正にやるということで徹しております。そういういろいろな忌まわしい問題は決して起こらないということを確信いたしておりますが、この審査にあたりまして、審査を担当いたしておりますのは、これは陸運局長初め幹部がもちろん一生懸命やるわけでございますけれども、自動車部がまず担当いたしております。それでその自動車部の中の主たる担当は旅客二課でございまして、この旅客二課には現在三十六名おりまするが、この三十六名によりましてまず聴聞という審査を行ない、さらに車庫、営業所等の審査は現地調査に参りますが、これにつきましては少なくとも二名の人間が参ることにいたしておりまして、単独で参るようなことはございません。さらにこの審査に対しましては、できるだけ早く審査をしたいとも考えておりますので、これらに関しまして人員等の点につきましても、この審査をやってみましてあるいはもう少しやり方を考えなければならないというような場合にはもっと促進をする方法も考えていきたい、そういうふうに思っておる次第でございます。
  139. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 お答え、よくわかりました。この調査はもちろん道路運送法第六条の第二項、第三項に明記された許可基準に沿うて行なわれていると思うのですが、ただいまお説のようなお答えでございます。その報告は百パーセントの信憑性があるのでしょうか。従来の調査で不行き届きや疎漏なものはありませんでしたでしょうか。人間が神様でない以上、ときには重大なあやまちが不作為的になかったとは申せませんが、これまでここに調査不十分な点があったというようなことで再調査をしたとか訂正したとか事例はありませんでしたか。これは率直にお答えが願いたいと思います。
  140. 國友弘康

    國友政府委員 私どもとしては、また担当の陸運局としては、極力間違いのない方法で調査、審査をいたしておりますので、出て参りました資料につきましては百。パーセントの信憑性があると私は確信をしておるのです。ただ、今おっしゃいましたように、人間でありますのであるいは間違いがあったかもしれないと思いますが、しかしこの点につきましては、特に私の耳にこういう問題で重大な誤りがあった、あるいは調査不十分であったということで訂正を要するというようなことについては入っておりません。今後もそういう点につきましては十分細心の注意を払って調査の万全を期したいと思っております。
  141. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 御答弁率直に承っておきましょう。ただ御当局の御説明を承っていると、事前審査は厳正公平に行なわれているようで、それならばまことにけっこうなんですが、次に申し述べるようなまことに聞き捨てにならない話もあるのです。  それは、これまで幾年か陸運局に勤務していてこれらの業者を多数取り扱っていた係官が、退職すると非常に高い俸給でタクシー会社や営業所の幹部に就職をされるということで、事実引っぱりだこで迎えられていく、そうしてその担当するところはもちろん陸運当局との折衝事務だそうです。たとえばことしのような車両増強の予定が発表されると、こうした特務班は活発に暗躍を始めるわけです。あのめんどうな申請書類などは、なれた仕事ですから、わけもぞうさもなく作成をして提出をする。それからあとはさきごろまで部下であったりするかつての同僚や先輩の間を自由に泳ぎ回って、虚々実々の暗中飛躍をやるということです。また一方には新規免許申請者を探し出して、私はこういう関係の者で当局と十分コネがあるから、必ず許可がとれるよう運動してやると称して、相当な運動費を出させている者もあるということです。こんなことが事実行なわれているとしたら重大な問題ですから、私も現実にこれに関する資料を慎重に調査をしておりますが、当局はどのように考えておられるか、またもしこれに類するような事態が事実あったとしたら、そのときはいかに御処理なさるか、これは一応よく承っておきたい点であります。  さらにもう一つ、この審査の機密事項、具体的に申すならば許可の正式発令以前に審査の結果が外部に漏洩するようなことはありませんか、これもはっきりと伺っておきたいと思います。
  142. 國友弘康

    國友政府委員 先ほど来申し上げましたように、事前審査は厳正に行なう方針で細心の注意を払ってやっておりますが、今おっしゃいましたように陸運局に関係があるから必ず許可をとってやるというようなことを申しまして、そういう者に金を出した者があるということは、これはどこの何ということは確かめませんでしたけれども、確かに私の耳にも入っております。しかしこれは陸運局の勤務の者ではなかったと思いますが、陸運局の勤務の者がタクシー会社等に入っている事例もございます。これにつきましてはわれわれとしても審査の場合には厳正に審査をしておりまして、その陸運局の職員がそういうものに関係をしておるからどうのこうのというようなことはございませんで、全部免許基準に適合するものから免許をするということにいたしております。その点は私どもとして汚職とかいうようなことをいわれておりますので、細心の注意を払って措置をいたしておるのでございます。  さらに審査終了のあと免許、却下をきめます前に、そういう審査の結果が漏洩するというようなことに関しましては、そういうことはないと確信しております。今後もそういうことはないように実行していきたいと思っております。
  143. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 質問の焦点を別の角度に合わせてお尋ねをしたいと思います。  大体タクシー車庫の区域内における配置は適正でなければならないことは申すまでもないことです。東京都内に例を引いてみましょう。私は元来北区に居住しておりますが、この北区を例にとって申しますと、大体田端から中里方面、西ケ原から滝野川にかけての地域、飛鳥山から王子、豊島方面への区域、十条から神谷にかけての区域、赤羽駅を中心として浮間方面の地区、堀船町から田端新町付近へかけての地域がタクシー営業に関しての重点的な地域になることはきわめて明瞭なのであります。従って新規免許の場合、この地域を公平に勘案、按分して増車配分が考えられ、営業所というか車庫が設けられなければならないと思われます。これが法第六条一項の要求する免許基準なのでありましょう。だからこの営業所を適正に配置するのでなければ、幾ら車両増強ばかりしてみたところで、輸送増強の理念にはいささかのプラスにはならないのであります。とにかくその配置が一応適正である見通しがついたら、次に車庫の立地条件とか車両の収容能力とかが考えられるわけだと思うのです。元来車庫はひんぱんに車両が出入りする性質のものだから、この出入りが通行者や近隣へ危険を及ぼすようなおそれがあってはならないし、必然的にガソリンの貯蔵とか取り扱いに関する危険を生じないだけの設備が十分でなければなりません。また労務管理の適正を確保するため、運転者の休憩または仮眠施設が完全であるかどうか、これは最も厳重な審査対象でなければならないはずですが、これらについてこれまでの審査で、以上申し上げたような御配慮が完全に行なわれていたかどうか、この点をさらにお答え願いたいのであります。
  144. 國友弘康

    國友政府委員 今先生のおっしゃいました通りに審査をいたしておるのでありまして、先ほど一月の七日に東京陸運局長が公示いたしました公示事項があるのでございますが、その中にも「供給輸送力の比較的稀薄と認められる地域又は国鉄および私鉄の駅における輸送力増強に資するよう適切な計画であること。」が必要である。このことは新規の法人の申請についても、さらに個人タクシーの申請についても、既存の業者の増車申請についても、今申し上げましたような適切な計画を持っていなければならないということを述べておるのでございますが、そういう「供給輸送力の比較的稀薄と認められる地域」に許される、できるだけそちらの方は多く許されるということは、そういう方向で参ると思っております。  さらに車庫その他車庫の立地条件、収容能力等につきましては、やはりその公示の中に、それらのことを重点的に審査をする、さらに労務管理の適正を期するため、運転者の休憩、睡眠または仮眠の施設等についても十分整備をしなければならない、こういうことで規定をいたしておりまして、従来もこういう方針で審査をいたしておりましたが、さらに今後におきまする審査は、公示事項の中にも今先生のおっしゃいましたようなことを特にうたいまして、この方向で審査を進めていこうとしておるところでございます。
  145. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 念を押すようではなはだ失礼ですが、御当局としては許可申請をいたしておる各営業者の目論見書なり、設計図をもととして現場を十分検証された上、これならよろしいということになって車庫の位置なり構造について認可いたされたというわけなんですね。——それなら重ねてお尋ねいたします。  前に申し上げた通り、私は北区に住んでおり、北区におけるこれらの状況は比較的よく知っているわけなんです。前年度に、北区で営業開始を許可され、合計六十九台が割り当てられた法人五会社のあることを御承知ですね。この五法人会社の営業免許を一つの顕著な例としてお聞きするのですが、この当該五会社に対して許可の指令が出るまでには、順序として、法律に規制されている通り、出願法人の実態調査や成規の聴聞をいたされたものと判断をいたします。そこで、ごめんどうをかけるようですが、わずか五つの会社のことで、きわめて簡単だと思いますから、調査というか審査と申すか、その結果の概略と、聴聞の結果当局の得られた心証がどの程度のものであったか、そしてその結果、この五法人には免許を与えてしかるべきものとの結論を得られた経過をはっきりと御説明が願いたいのです。もしもこの席に資料をお持ち合わせなければ、すぐに取り寄せてでも御答弁が願いたいと思うのですが……。
  146. 國友弘康

    國友政府委員 この北区の五会社に関しまする資料は、ただいまここに持ち合わせておりませんので、できるだけ早く取り寄せたいとは思いまするが、これらに関しましては、調べまして後刻お答えいたしたいと思いまするが……。
  147. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 それでは後ほど、それはお調べになってお答え願いたいと思います。御当局の御答弁は一応承りおくだけにとどめましょう。大体の質疑の済んだところであらためて総括的の御意見を承りたいし、また私からも結論的な意見を申し上げることにいたしまして、ここでは関連事項の質問を続行したいと思います。  北区の実例についてさらにお尋ねいたしますが、個人タクシーは別として、前年度に北区の法人の出願が、たしか十五、六社出ているはずです。これに対して当局は、厳重公平に御審査の結果、十一社が脱落をして五社だけを許可されたのであります。申し上げれば、同心交通(志茂町)、大田交通(志茂三丁目)、浅井交通(神谷三丁目)、大正交通(滝野川中里)、日本平和交通(豊島八丁目)、丸和交通(田端町)、十条交通(東十条一)、都北交通(浮間一)、北交通(神谷一)、鹿島交通(岩渕町)、鳳華交通(稲付西町)、インター・ナショナル(稲付四丁目)、大光自動車(浮間三丁目)、新都交通(稲付島下町)、こだま交通(神谷三丁目)、王子運送(神谷一丁目)、以上でありますが、ところがこの許可された五社は、不思議にも赤羽警察署管内の営業者ばかり、しかもこれがみな北部寄りのものばかりであって、王子、滝野川両警察署管内の出願はみな不合格になっておるのです。しかも営業代表者は、ある一社を除くほか、みな他区在住の人たちばかりで、王子で生まれ、王子ではえ抜いた地元からの請願は、ことごとく却下されているという状態、このような偏向的な許可がはたして公正妥当でありましょうか。がぜんこれに対する不満不平の声は、昨年来相当に高まっております。これは断じて営業所の適正な配置ではないと思います。御当局は、また局長は、現地をよくごらんなっておらないと思われるのですが、一度現地を御視察になってごらんなさい、実際ひどいものです。特に浮間地区のごときは、ろくにまだ道路も下水も完成していない荒れ野原であり、昼間でも通行の人がまことに少なく、夜になったら、おそらくまっ暗で人通りなどはないでしょう。まるで上海戦線そっくりの場所です。こんなところに現在二カ所の営業所が許可されており、一つは浮間三丁目、もう一つの許可は神谷一丁目で取りつけた一社でありますが、その後浮間の荒れ地の中央に移転したものであります。その地形と現場は、ここに最近写した写真もあるので、ごらん下さればよくわかると思いますけれども、このようなへんぴな場所に二十三台から配車されてあるわけですが、一体こんなところの車をだれが利用するのでしょうか。しかも、見渡したところ、車庫らしい仮建造物の中には一台の車も見えない。つまり車庫待ち車両を常時置くことという規制を無視して、所属車両は流しをかせぐために出払っておるものと思われます。写真はこの事実をはっきり証明しております。このような不健全な状態でも、御当局としてはそのままに許しておかれるのでしょうか。これも一応御説明が願っておきたいと思います。  さらに、ある一社が許可になった当時、各自動車メーカーが新車売り込みのため許可の祝電を発したが、浮間の原の中央でタクシー会社らしい姿が見当たらないので、電報配達が困り果てて、交番へ四通も電報を預けていったというような、全くどうも情けない事実もあるやに聞いております。人の姿もまれな環境なのですからもちろん仕方がないと思いますが、こういう事実も一応御調査になっているかどうか、御説明が承りたいと思います。
  148. 國友弘康

    國友政府委員 北区の実情につきましては、私、調査いたしましてお答え申し上げたいと思うのでございますが、今先生のおっしゃいましたところにつきまして、やはり私どもとしましては、厳正に免許基準の第六条に適合しておるかどうかということを審査いたしておりますので、地域的な配分を考えますと同時に、免許基準に合っておるかどうかということも重要なる審査の要素になりますので、それらの点に関しまして、一方の方の地域のものが利用計画その他の面において不適格なものがあったということではないかと思いまするが、この点につきましてはよく調査をいたしたいと考えます。  さらに車庫待ちの車両が一台も見当たらないというようなことに関しましては、やはり車庫待ちが営業にハイヤーとして出ておることもあると思いまするが、しかし、これらの点に関しましては、私どもとしましても十分に運用について調査をし、その実態を明らかにいたしたいと考えます。  まあ免許がありました際に祝電等が参りましたというようなことに関しましては、この点は私考えますのに、申請者の住居地とその計画をするところとは違う場合が多うございまして、免許があってから四カ月以内に建物を建て、施設をし、車両を整えて営業を開始することになっておりますので、免許をされましたその直後におきましては、そういう施設がその目的の場所にできておらないということは当然あり得るわけでありまして、それらを、ただ免許を受けましたものの、その目的地に電報を打ったというような現象ではないかと思いまするので、これはディーラーなりの闘争がいたさせたことかと思いまするが、今申しました車庫の問題、その他車両の運用等につきましては、十分に調査いたしたいと考えております。
  149. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 御答弁のようにハイヤーはやはりお客の利便をはかってそこに置かれなくてはならない。それが許可になっておるところで客待ちの車が年じゅうないという事実です。免許発令以前の審査は全く慎重にやっていただかなければならないことは申すまでもありません。法規に定められた規制を責任を持って履行することもできないような、資格薄弱な出願者が続々許可されている一方、資産状態から設備計画その他一切の条件のすぐれているりっぱな資格者が多数不許可となっているのは、何か権力のある筋のひものついている、名前だけの出願者だけが許可されて、政界や御当局と何のコネもない出願者はいつまでたってもとうてい許可の見込みがないということで、もしもさような手心が加えられているとするなら、これは黙視することのできない重大な問題であることは申すまでもありません。現にそのような非難の声が北区だけではなく、全都の業者の間に相当高まっていることは、火のないとごろに煙は立たないという古い言葉通り、多少なりともそこに火の気があるから、さようなうわさを生むのだと考えます。これらの風説に対して、さような事実はない、とんでもないことだと簡単に打ち消すことができますでしょうか。要するに車両増強、新免の許可申請、個人タクシーの許可に関し、相当深刻なうわさが流れているので、これに対し御当局はいかなる態度と御決意のもとに今後処置されるのか。それにつき一つ一つ誠意あるお答えを願いたいと思います。  まだ問題は他にもたくさんありますが、第一回の質問としてこの程度にとどめたいと思います。大体今までの御説明で、昨年度における既存業者の増車許可申請、個人タクシーの免許及び新規法人に対する免許の審議が公正に行なわれているような御説明でしたが、はたしてそうでしょうか。これに関連した一連の問題について、どうも現在の陸運局長を引き合いに出すことはきわめて御迷惑でもあり、不愉快なことであろうと思いますが、この点非常に木村局長にお気の毒だと思いますけれども、前の津上局長のあまりに飛躍し過ぎたと思われるような御行動があるので、一応よくこれに関連する事態をのみ込んでおいていただいて、今後のあなたの御方針に誤りのないことを期待申し上げたいのであります。とにかく昨年度の免許審議の経過というものは、断じて明朗公正でなかったということを、これから具体的事実について一々申し上げるつもりでございますが、前の陸運局長の津上さんは御栄転になっているようですけれども、これは疑惑の中心的存在でありますから、津上前局長を本委員会に喚問したいと思います。それから当時の芳賀自動車部長、薗村総務部長、杉山一課長の出席をも要求いたし、しさいに一間一答いたしたいのですが、この機会に委員長に申し入れておきます。お諮りを願います。  あまり長くなってもどうかと思いますから、本日はこの問題は一応この辺にとどめて終わらしておきたいと思います。
  150. 三池信

    三池委員長 ただいまの御要求は理事会に諮りまして処置いたします。
  151. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 次に、海運局の方に太平洋客船についてお尋ねをいたします。  太平洋客船については毎年運輸省から予算要求が出ているが、大蔵省の査定で切られて、なかなかこれが実現をいたしませんようです。特に三十六年度予算の折衝にあたっては、大蔵大臣から調査費はどうかと水を向けられたのに対し、運輸省側で断わったという話が伝わっておりますが、この真相はどうですか。目下太平洋へ回されると報道されている外国の客船はどういう状況になっておりますか。
  152. 朝田靜夫

    ○朝田政府委員 最初のお尋ねでございますが、三十六年度予算要求に際しまして、太平洋客船の問題について、調査費を大蔵省の方から話があったということでございますが、私どもの事務折衝におきましても、また大臣から伺っております大臣折衝の話し合いからも、そういう事実はございません。そういう考え方は私どもの内部でそういう調査費をつけてもらったらどうかという問題はございましたが、大蔵省からはそういう話はございませんでした。  第二点の御質問でございますが、ただいまは太平洋の客船航路につきましては、APLが配船をいたしております。また英国系のOPラインというものも配船をいたしておりまして、二万トン程度の客船を、将来は四万トンあるいは四万五千トンというような大型の建造も計画されておるようでございます。私どもといたしましても、こういった国際的な環境、条件から、どうしてもオリンピックまでには太平洋客船一隻は少なくとも建造をしたいということで、御指摘の通り年々予算要求を続けて参っておるのでございますが、航空機の非常な発達との関連におきまして、どうしても一隻建造するというところまで政府全体が踏み切れなかった、こういうことでございます。
  153. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 日本郵船の氷川丸が、たった一そう生き残っておりました北太平洋航路の客船でありましたが、それが昨年の秋三十三年の奉公を終わって係船となって、その代船建造の予算もつかないというありさま、これはどういう次第ですか。永久に太平洋客船はわが国では建造をしないという決定がどこかで出されてしまっているのではないでしょうか。アメリカにいる日系米人の意向がこの問題の早期実現を祈っているということであります。どういう事実でありますか、この際伺っておきたいと思います。
  154. 朝田靜夫

    ○朝田政府委員 御承知のように太平洋客船につきましては建造費がまことに莫大に上がるので、一隻私どもの計画いたしました二十二ノット、二万二千トン、定員が九百五十名程度の客船にいたしましても、七十五億からの建造費を要するのであります。しかもまた金利の問題等にも関係いたしまするし、客船の運航は御承知のようになかなか採算をとるのに困難でございますので、将来建造竣工後におきましても運航補助金多額に要する、私どもの計算によりますと、九年間運航補助をいたしまして、十年目から補助金が必要でなくなるというようなことにもなっておりますので、膨大な財政融資なりあるいは国家財政負担ということも考え合わせまして、今の段階におきましてはなかなかそこまで決心がつかないというのが実情であります。
  155. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 よろしいです。
  156. 三池信

    三池委員長 次会は来たる十日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十一分散会