○
説明員(
臼田彦太郎君)
入国管理局の
臼田次長でございます。
現在
外国人が一国に入国いたします、また滞在いたしますことを許すかどうかは、その国の主権の
自由裁量に属するということが
国際慣行上確立されておりまする
原則でございます。そこで私
たちは
入管行政を預っているものといたしましては、この
原則に基づきまして、
日本の現在の
国際収支であるとか、
国内の産業、また
国内の治安、そうしたことに対する
影響等を考えまして、
わが国に及ぼす
利害得失の観点を考えまして、広範な
考慮を払いまして、この
入国管理の
行政を行なっている次第でございます。
国際の礼譲を尊重するという一面、また
外国人の
人権の保護というものも非常に重要なことでございまして、私
たちが
法規を執行する場合において、この
人権に及ぼす
影響というものも十分
考慮いたしまして、
法令の命じておりまする趣旨にのっとりまして、
法規を厳格に順守しているのが
現状でございます。
私
たちの
行政につきましてはいろいろな点がございますが、大きく分けまして
四つに分かれております。
一つは、
日本人及び
外国人が
わが国に出入りする場合、それについて審査をする点でございます。これが第一点であります。
第二点は、
外国人が
日本国に
在留いたしました場合に、いかなる活動をいたすか。また
日本に
在留いたすためには
一定の
在留の
資格というものがございまして、この
資格に関する調べをいたすわけでございます。これが第二点でございます。
それから、第三点は、
在留しておりまする
外国人がいろいろな
違反をいたす
━━入管令に基づきました
法令の
違反をいたします場合に、この
違反の
調査をする。そしてそれがはっきりいたしますれば、国外に
退去を求めるという
手続を進める。私
たちの言葉では
退去強制の
手続と申しますが、そうした
手続を実施するというのが第三点でございます。
第四点は、
外国人の
登録の実施を行なっております。で、これは一部指紋の採取を含んでおるわけでございますが、そうした
外人の
登録というもの、これもやはり
入管の
行政の中の
一つになるわけでございまして、さきに申しました
四つの点のうち、一から三までは
根拠法令といたしましては
出入国管理令がございます。また、後者の
登録につきましては
外国人登録法がございます。
そこで、次は私
たちの
機構を簡単に御
説明いたしますと、現在、
職員の
定員は千三百五十九名でございまして、現在員は千三百九十名でございます。それ以外に、
定員外の
職員は百六十七名持っております。御
承知と思いますが、
大村に
入国者の
収容所というものかありまして、ここに
朝鮮人の
違反者を収容しております。また、
川崎に
入国者収容所というものがありまして、これは
朝鮮人以外の
外国人の
違反者を収容しておるわけであります。
国内にこの二つの
収容所がございまして、これに配置されておりまする
職員が、
定員といたしまして三百六十三名あるわけでございます。また、そうした
違反者を収容しておる以外に、先ほど申しましたいろいろな
入管の
仕事をする
事務所といたしましては、
全国に十二カ所
入国管理事務所がございまして、またその出先といたしましては、それぞれの
空港であるとか海港に
出張所がございます。これが
全国に五十三カ所あるわけでございます。で、
登録の
事務に関しましては、
都道府県知事に委任してありまして、その実際の
仕事は
市区町村で
登録事務が行なわれております。
こういうのが大体の
入管の
機構のあらましでございまして、現在私
たちの問題となっておりまするものを若干御
説明いたしますと、この
日韓会談が行なわれておりますこの
在日朝鮮人の
在留資格というものは、本来ならば
講和条約の発効のときにきまるべきものでありましたが、いろいろな
日韓周の問題でそれが不安定な
状態になりまして、現在は
在日朝鮮人を初めといたしまして
戦前日本人でありました
外国人につきましては、
在留の
資格なくして当分の
間日本国に
在留できるという特別の
法令が出ております。私
たちはそれを俗に
法令の
名称から一二六という
資格━━百二十六号でありますが、一二六の
資格ということで呼んでおるわけでありますが、こうした
人たちがこの
日韓会談の推移によりまして、
在留の
資格を与えられるということにもしきまりますると、その
在留資格を付与するというやり方その他によりまして、大
へんな問題が起こると考えられるわけでありまして、私
たちは
事務的にその点を十分
考慮いたしまして現在
会談に臨んでおるわけでございます。と申しますのは、実際
外国人の
登録をいたしておりまするのは、本年の九月末現在で六十二万八千二百四十八名あるわけであります。そのうち
朝鮮、
韓国となっておりますのが五十八万九千七百四十八人でございます。ほとんど大
部分が
朝鮮、
韓国という
名称で
登録されておりまする
人たちでありまして、それ以外の
人たちについては、私
たちはいわゆる
在留の
管理をいたしておるのでありますが、これらの
朝鮮、
韓国となっておられる
人たちについては、一二六という
関係で、まだ
在留資格が不安定な
状態にありますので、実際の
管理の対象になっていないのでございます。従って、将来、
日韓会談その他が進みまして、それらの
人たちに
在留資格が与えられますと、この
大勢の
人たちについていかにその
人たちの
資格を取得するかの
手続をきめると同時に、また
一定の
在留資格が与えられますと、それに対して
管理をしなければならないということになりますので、これまでと違いまして
入管行政は非常に幅が広くなって、従って非常な複雑な
行政を実施しなければならない、こういうことになると考えるわけであります。それが第一点であります。
それから今日
朝鮮人の
北鮮帰還問題というものがございます。これにも
入管は
関係しておりまして、実際にこの
人たちが出国をします場合に、その
手続を
入管が直接新潟で行なっております。また
法務省といたしましては、
帰還を
希望するものがありましても、その
人たちが
外人登録の不備があるかどうか、また現
益被疑者とか
被告人、刑の
執行未了者であるかどうかという点の
調査を要しますので、これらにつきましても私
たちの方で
帰還希望者の中からそうした
該当者がおるかどうかということを詳細に
調査いたしまして、そうした
該当者でないものに限って日赤に通知いたしまして、
帰還の
業務を進めるという手はずを行なっておるわけであります。この
業務につきましては、引き続き延長されましたので、この完遂に私
たちの方も関与しておる次第でございます。
現在
入管として問題になっておりますのは、
韓国との
関係が非常に円滑に参りましたので、
大村の
収容所におりまする
人員が非常に減って参ったということであります。あそこには
定員といたしましては千二百名の
収容能力があるわけでありますが、一時千五百名以上もおりまして、そこで非常ないろいろな
トラブルが起こったのでありますが、現在は百十数名になっております。そうしてまた大体四カ月に一回くらいの割合で各国に
強制送還をするということが一応慣行的になりましたので、今後、
大村収容所というものにそれほど多くのものが収容されるということがなくなる、従って、それに伴ういろいろな
トラブルも起こる余地が少なくなったということが言えると思います。しかし一面、
川崎にあります
外国人の
収容所でございますが、これは大体
収容能力が五十名くらいでありまして、
麻薬等の
違反を犯しまする
第三国人を収容いたしましても、実際問題といたしましては、たとえばそれが
中国人でありましても、なかなか
中国その他
中共関係で引き取ってくれないものでありますので、その
送還が円滑にいっていないという問題がございます。その他私
たち今問題にいたしておりますのは、
羽田の
空港でございますが、
羽田の
空港は
東京入国管理事務所の
出張所になっております。しかしここには非常に
出入者が増加いたしまして、この
出入国の
管理事務を円滑にするため、
入国管理事務所への昇格を考えておりまして来年度の予算の際には御審議を願う段取りになると思いますが、いずれにしましても、この
空港で仕入する
人たちの数が飛躍的に増加しておりますので、この点について、私
たちの
人員の不足その他もありまして今後
日本の表玄関であります
羽田の
入管の
事務というものを円滑にするためには、よほどの
考慮を要する、こういう
状態になっております。
時間の
関係で要点だけ申し上げましたが、その他、現在
正規に入国いたしまする
外国人の数を若干申し上げますと、三十二年には六万台でありましたのが、昨年では十一万台になっております。本年度はさらにそれより多くて、十三万台になるのじゃないかと思います。またそれ以外に船などで
寄港地に上陸する者がありますし、観光で通過いたします者もあります。船から船に転船する者もありまして、いろいろ合わせまして、そうした特例の
上陸者の数が昨年では七十五万七千百六十名、こうした
大勢に達しているわけでございます。本年もそれより多くなると思いますので、
正規にお客として入って来る以外に、
船舶等で
わが国に入ったり出たりする数が非常に多くありまして、これらの
人たちを、要するに港の
出張所でいろいろその
出入国関係を審査している次第でございます。
共産圏その他の出入りについても若干の増減もございますが、さして現在申し上げることはございません。
次は
韓国からの、
朝鮮からの
不法入国者があとを断たないという問題がありまして、これは御
承知の
通り対馬でありますとか、九州それから
中国の
沿岸筋に入国して参るわけでございます。昨三十四年度には、
検挙いたしました者が千三十三名でございますが、ことしの六月までにもう九百六十七名
検挙しておりまして、昨年以上に
検挙者が多くなると思います。しかしこれは
検挙された数でございまして、実際の
密入国者はそれ以上になるのではなかろうか、かなり上回っておるのじゃないかと考えております。従いまして、
朝鮮との
関係におきましては、私
たちの
仕事といたしましては、こうした
検挙をしました者を取り調べるばかりでなくて、一
たん検挙を免かれまして
国内に潜入しました者に対してもその
登録、無
登録等を追及いたしましてその
調査を進めておる次第でございます。
以上、非常に時間の
関係もありまして、簡略に申し上げましたが……。