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1960-12-15 第37回国会 参議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十二月十五日(木曜日)    午前十時三十二分開会   ―――――――――――――   委員異動 十二月十三日委員大谷藤之助辞任に つき、その補欠として下條康麿君を議 長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     清澤 俊英君    理事            北畠 教真君            近藤 鶴代君            加瀬  完君    委員            小幡 治和君            下條 康麿君            杉浦 武雄君            野本 品吉君            岡  三郎君            千葉千代世君            豊瀬 禎一君            常岡 一郎君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    総理府総務長官 藤枝 泉介君    文部政務次官  纐纈 彌三君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省大学学術    局長      小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○教育、文化及び学術に関する調査  (当面の文教政策に関する件)   ―――――――――――――
  2. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動につき御報告いたします。  去る十二月十三日、大谷藤之助君が委員辞任され、その補欠として下條康麿君が委員に選任されました。以上であります。   ―――――――――――――
  3. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 次に、委員長及び理事打合会の経過につき御報告申し上げます。  一昨十三日及び本日の理事会におきまして協議いたしました結果、本日はまず、安部清美君より理事辞任申し出がありましたので、これを許可することとし、次いでその補欠互選を行ないました後、先般来持ち越しとなっておりまする新潟大学分校統合及び校舎改築問題、僻地学校への特別措置蟻害地域、台風常襲地域校舎鉄筋化問題等派遣委員報告中の諸問題につき調査を行ない、次いで午後一時より、教育公務員給与是正暫定手当等に関する件につき調査を進めます。なお、さらに文部大臣出席を求め、当面の文教政策に関しまして調査を行なうことに決定を見ました。  なお、次回以降の委員会審査日程につき協議いたしました結果、来たる二十日は定例日でありますが、委員会は開会せず、幼稚園問題に関する懇談会を行なうこととし、委員会は二十一日、二十二日の両日開会いたすこととし、なお二十一日には、懸案の板付基地等騒音防止設備について調査をいたすことに決定を見ました。  以上、理事会決定通り取り計らって参りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。   ―――――――――――――
  5. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) まず、理事辞任につきお諮りいたします。  安部清美君から、都合により理事辞任したい旨の申し出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選方法は、慣例によりまして、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 御異議ないと認めます。それでは私より近藤鶴代君を理事に指名いたします。   ―――――――――――――
  8. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) それでは、委員派遣報告中の問題点につき調査を進めます。  質疑の通告がございますので、この際発言を許します。豊瀬禎一君。
  9. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 まず、新潟学芸大学教育学部の問題についてお尋ねするのですが、政府関係出席者ですね、それを一応明らかにしていただきたいと思います。
  10. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 初中局長と、大学学術局長小林さんと、二人見えております。
  11. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 手元に配付されております資料がありますので、まず小林さんの方から、ごく簡単に、今日までのいわゆる分校施設ないしは統合、あるいは、前回から質問しておりました調査の実態、その大まかな結論等について説明をお願いしたいと思います。
  12. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 前回委員会で御要求のございました点につきまして、お手元資料を付してお配りしてございますが、それについて御説明申し上げます。  御承知のように、昭和二十四年に新制国立大学発足いたしました。その当時は、御承知のごとく各府県一つ、一県一大学というような大体の原則があったのでございます。従って教員養成大学につきましても、各府県に少なくとも一つ大学または学部設置するということを目標にいたしまして、従前ございました師範学校あるいは青年師範学校等母体といたしまして、学部あるいは学芸大学というようなものを編成したわけでございます。そこに表としてございますように、学芸大学が七つ、それから教育学部としてできましたものが二十一ございます。なお、学芸学部としてできましたものが十八でございます。ただ、この教育学部として当時発足いたしました二十一の中には、その後その中から文理系のものが独立いたしまして、理学部あるいは法文等に分離独立したようなものがございますので、現在の数は必ずしもこうなってはおりません。  それからその下にございますように、その当時の統合関係方法でございますが、先ほど申しましたように、同じ府県の中の青年師範学校なり、師範学校母体といたしまして学部発足したわけでございますが、それまでに師範学校が当時二つあった、あるいは女子部男子部が別々の場所にあったというような場合には、原則といたしましては極力一カ所に統合整理をはかったのでございますが、いろいろな財政事情や、教員需給実情等から、統合をすることが困難なものもございました。で、こういうような場合においては一カ所を本校として四年課程を置く、それから他の施設分校または分教場として二年の課程を置く。また、場合によっては教科の中の一部の教科をその分校または分教場でやってもらうというようなことにいたしたのでございます。ただ、その後二十七、八年ごろから大学整備も順次進んで参りました。また、教員需給状況終戦直後とはかなり変わって参りまして、いわゆる数でそろえるよりもむしろ質ということになって参りましたので、二年課程の方は漸次縮小してその数は少なくする、四年課程の方を充実したいということになって参ったわけでございます。そういうことに伴いまして分校あるいは分教場本校統合するというような線が出てきたわけであります。ただ一般的にはそうでございますけれども、一部の若干の府県におきましては、従来通り分校を存置してもらいたい、あるいは従来二年課程だけであった分校に四年課程を置いてもらいたいというような要望も出て参りました。そこで、文部省といたしましては、やはり、それぞれの大学内の実情地元との関係その他を調査して適切な措置を講ずる必要があろうということから、三十三年度予算におきまして約百万円、そのうち五十万円は他の公立大学関係のものもございますので、実質は五十万円でございますが、調査費を計上いたしまして、委員を委嘱し、関係の大半について実地調査を行なったわけでございます。その実地調査を行ないました大学が、第二表にございますように、北海道学芸大学につきましては本校札幌分校函館分校旭川分校釧路分校岩見沢分校、それから弘前大準教育学部につきましては本校野辺地分校、それから新潟大学教育学部につきましては本校高田分校長岡分校、それから愛知学芸大学につきましては本校と岡崎の分校と名古屋の分校大阪学芸大学につきましては本校と天王寺の分校、池田の分校、平野の分校、それから広島大学につきましては本校東雲分校福山分校三原分校福岡学芸大学につきましては本校福岡分校小倉分校田川分校久留米分校、こういうようなところに委員が参りまして、関係者お話を聞き、また実情調査いたしたのでございます。ただ、その調査の結果でございますが、個々の大学について、調査委員としては、これを即座にどうしろああしろという具体的なはっきりした結論が出ておるわけでもないのでございます。ただ、全体を通じての意向は、最後のページに書いてございますようなことでございまして、大体当初の新制大学発足当時の原則でございます一県一大学という原則は、まあ特別の場合を除き守られてよいのだが、分校の置かれておる道府県教員需給事情道府県の規模なり地域性、交通その他の社会事情から考えると、北海道を除き、一府県について二カ所以上を置くことは絶対に必要であるとは考えられない。ただ、そういう原則であるけれども、以下のような条件がある場合には、本校のほかにもう一カ所ぐらいの分校を置き、さらに四年課程を置くことも考えられるということで、(1)(2)(3)(4)と理由が出ておりますが、分校の置かれておる道府県の面積が非常に広大である、あるいは人情、習慣等を異にする地域に分かれておる、こういうような特別な事情がある場合、また教員需要数が相当多数である、これを本校一カ所で養成する場合には、模規が非常に大きくなって、収容力教育効果の面で必ずしも有効ではないというような場合、なおその反面、現在ございますところの分校が相当物的にも人的にも充実しておる、そうして二年課程の上に二年課程に合わせて四年課程を置くために特別に大きな物的、人的な整備の必要がないというような場合、それからなお地元関係、あるいは大学内部関係、この間の意見調整が十分できる、そして将来ともいわゆる対抗意識が生ずるおそれがない、こういうような場合には、本校のほかにもう一カ所ぐらいの分校を置いて、そこに四年課程を置くことも考えられるというような、まあ全体を通じての結論といたしましては、抽象的なものでございますが、大体の意向はそういうようなことであったわけでございます。文部省といたしましては、こういう調査の結果に基づきまして、いろいろ具体的に大学について検討をいたしたのでございまして、御承知のように、その後弘前大学野辺地分校は、発足以来施設設備等も十分でないし、地理的にもそれほど遠いというわけでもございませんでしたので、大学とも話し合いをいたしまして、これを弘前大学教育学部の方に統合をいたしました。また、北海道函館分校につきましては、三十四年度から四年課程を新たに設置をいたしたわけでございます。なお、それ以外の分校についても、もちろん従来から検討はいたしておりましたが、大学内部におきましてまだ意見の対立がある、あるいは地元の間の意見調節がまだできていないというようなこともございまして、具体的な統合整備の方針が現状のところまだつかめておりません。私どもといたしましては、さらに引き続いて慎重に検討を進めて参りたいと、かように思っておる次第でございます。
  13. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 まず、最初にお尋ねしたいのは、ただいまの説明でアウトラインはつかめましたけれども原則線であるところの一県一大学という一応の線を、大体当時の財政事情教員需給事情から分散設置を認められたようになっておるんですが、まずその財政事情について、当時の状況から、私ども考えでは、問題は解決したと申しますか、その障害がなくなったように判断しております。また教員需給事情も、現在のようにかなり多くの県が学芸大学ないしは教育学部、あるいは学芸学部卒業者が必ずしも全部就職していない、むしろ教員が余っていると、こういったような事情の中で、今言いました財政事情と、第二の教員需給事情ともに、大まかに言って、多数分校設置分散設置必要性というものが解消しておるように考えられるのですが、どういうふうに判断しておられるか。
  14. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) お話通り新制大栄発足いたしました昭和二十四年度、あるいは四、五年前後の財政事情と今日とは、かなり実際の状況が変わっております。その当時は終戦後でございまして、非常に窮屈であった。しかし、たとえば一つの県の申に一つ分校を作り一つの四年課程を置く場合と、それから二つないし三つ分校を置いてそれぞれ四年課程設置するという場合には、施設設備の面におきましても、またいわゆる教官の人的な面の整備につきましても、非常に違って参るのでございまして、分校の数が多ければ、それだけ余分な金がかかるという実情はあるわけでございます。財政事情は当時に比べますと緩和されておりますが、また別の意味の、いわゆる経費の有効的な使用という面から申しますと、文部省としては、やはり発足当時の原則でありました一府県教員養成学部という線が実現できるのならば最も適切ではなかろうかと思っておるわけでございます。
  15. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 今御答弁のように、国の全体の財政事情は非常によくなりましたが、逆に、たとえばこの表にありますように、分校三つ四つもあるようなところでは、そのために施設人件費ともにむだな経費を使っていると思うのです。そういう点からして、最初養成機関大学設置の際の原則線であるところの一県一校という原則線方向に移行していく方が、現在の状況では、国の財政を有効適切に使うという面からしても、また教員需給事情から見ても、よろしいのじゃないかと思う。特に、分校に出すべきところの設備費は、御承知通り、一校のところの四倍も配当されるというわけではございませんので、同じ最低必要な、たとえば書籍にしても、本校にも要れば分校にも要るという種類があると思う。そのために、一県一校の学校と数校分校があるところを見てみますと、全国的にはわかりませんけれども、二、三の県をとって見ますと、非常に劣悪な施設状況にあると思うのです。こういった点から考えますと、原則としては、やはり統合していく方向が現段階では望ましいのではないかと思うのですが、この点についてどうお考えでしょうか。
  16. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 先ほど申しましたように、経費の面、その他いろいろな教育効果の面から考えましても、私ども原則としては一県一教員養成学部方向が望ましいと思っておるわけでございます。ただ、物理的にそれが不可能である、あるいは地元その他のいわゆる関係者意見等考えないわけには参りませんけれども、私ども教育的な面から申せば、一つの県に一つ教員養成学部があることが望ましいと思っております。
  17. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そこで、資料にあります最後結論ですね。大体非常に微妙な表現がしてありまして、「二カ所以上置くことが絶対必要であるとは考えられない。」、これは大体一校が望ましいという簡単な結論だろうと思うのですが、今おっしゃったように、地元事情とか、いろいろな運動が行なわれておりますために、こういうデリケートな用語を使われたと思うのですが、その資料の第二の方に、ただし、次のような条件があった場合には、もう一カ所ぐらいの分校、しかもそれは二年課程でなくて、四年課程を置くことが考えられる。これに四つあげてありますね。この四カ条とも具備した場合には置かれるというお考えですか、それとも、四つ条件のうちどれかを具備した場合には、本校のほかに一カ所ぐらいの分校を置いてもいいのじゃないかというお考えですか。
  18. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私どもといたしましては、なるべく、先ほど来申し上げましたように、一カ所であることが理想であると思っておりますので、それ以外に分校を置くような場合には、その条件は厳重であってしかるべきものと考えているわけです。従って、少なくともこの四つ程度のものはともに条件が満たされることが望ましい。従って、たとえば教員需給数が相当多数あるということだけで分校を置いてよろしいというわけには参りませんので、それ以外の条件、たとえば関係地元の間の意見がまとまるというような条件も必要でありますし、その他の条件も必要であろうと思っております。
  19. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 先ほども申し上げましたように、またあなたからいただきました資料の中にも、かなり多くの県に分校設置されております。そうして、御承知のように、この分校を独立させるか、あるいは四年課程を置くか、あるいは統合するかといったような問題については、学芸大学当局並びに地元においてかなり大きな問題を生じています。そうして、大学当局も、年間かなり多くの人々が上京していろいろの運動をし、また地元出身議員に対してもかなり努力が払われておると思う。こういったことが、いわゆる教員養成教育についても、必ずしもいい影響だけを与えていないと思うのです。従って、いろいろ地元事情、あるいは各学芸大学当局意向はありましょうけれども、この際、純粋の教育的観点に立って、今述べられましたように、原則線にできるだけ沿うように事態を解決するように努力をさるべきではないかと思いますが、この点についての御見解を承りたいと思います。
  20. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 確かに、この分校のあります大学統合問題について、一応平静を保っておりますものと、現在具体的に大学なりあるいは地元でその統合措置が進行中のものもございます。そういったところにおきましては、大学内部意見調整もうまくいってないようなこともございますし、たとえば施設設備整備をするというような場合にも、いろいろ関係者の間の意見の相違なり誤解等から、これが予定通りできないというようなものもございます。また、学生そのものに対する教育の面からも、ただいま御指摘のございましたようなおもしろくない現象も起こってくると思いますので、文部省としては、そう特に紛糾を起こさないような方法を講じながらも、できるだけ、できるものなら、そういうものについて統合の線を今後も進めていくように努力をいたしたいと思います。
  21. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そこで、具体的な問題に入りまして、ただいまお答えのように、幾つか現在盛ん々運動が行なわれておるものの中に、先ごろ私どもが視察しました新潟大学教育学部の問題もあるのではないかと思うのですが、この前の視察報告に申し上げましたように、これは北畠委員の方からも御指摘されたのですが、私どもはここで校舎老朽についてるる説明申し上げるまでもなく、人命の危険に関するような施設の中に長く放置しておくということは、非常に重要な問題だと思うのです。そこで、この新潟教育学部校舎建築の問題について現在持っておられる構想を簡単にお述べ願いたいと思います。
  22. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 新潟大学教育学部、これは新潟市にあるものでございますが、その校舎施設師範当時のものでございまして、非常に老朽しておることは、御指摘通りでございます。大学の方からもこれの改築についての実は予算要求も出ておるわけでございますが、いろいろ予算要求ワク等もございますし、また新潟大学そのものにおきまして、施設整備順序等も実はございますものですから、これは明年度には取り上げておりませんけれども、三十七年度以降には必ず取り上げるようにいたしたいと、かように考えております。
  23. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 その新潟大学に関する施設順位というのは、どういうことですか。
  24. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御承知のように、新潟大学では、従来から医学部病院整備ということに非常に力点を置いておるわけでございます。御視察いただきましたときにも、おそらくそちらの方もごらんいただいたと思いますが、病院外来等はもう完成いたしておりますし、中央診療等もできておりますし、ただいま病棟の工事を年次的にやっておるわけでございます。なお、それに並行いたしまして医学部の基礎の方の改築もしなければなりませんし、また付属学校整備も、これは本校以上に老朽でございますし、また入っております者が児童生徒年少者でございますので、そういうものを先にやらなければならぬ。まあ大学全体といたしまして、施設整備のいろいろなやり方に順番があるわけでありまして、文部省も、予算を編成いたします場合に、できるだけ大学のそういった御希望を尊重して予算を組むと、こういうことにいたしておるわけでございます。
  25. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体私どもが陳情を受けました際の計画によりますと、国費要請分として、新潟大学の分は一億二千五百万円といっておるのですが、文部省としてもその程度の金がかかるとお考えですか。
  26. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 大へん申しわけございませんが、実は私その直接の所管ではないものでございますから、はっきりこまかい数字は実は覚えておりませんので、その辺はもしできましたら後日、関係局長にお尋ねをいただきたいと思います。
  27. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体その順位、ないし今後の計画、三十七年度は手がけたいということですが、三十七年度に手がけるということは実際の予算としては三十八年度予算になるような気がするのですが、どうなんですか。
  28. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私どもは実は従来公立学校とのバランスの問題として考えておりますが、公立学校の方はだんだん整備が進んで参りまして、五カ年計画も樹立されて通行中でございますが、国立大学設備はそういうことが、もちろん私ども希望はいたしておりましたのですができませんで、非常におくれておるわけでございます。三十六年度明年度予算から実は五カ年計画を立ててはっきりした長期的な計画のもとに大学施設整備をやりたいと思っておるわけでございましてこの新潟大学教育学部改築問題も当然その中に織り込まれてくるわけでございます。三十七年度と申しますのは、三十七年度予算要求をいたしまして、三十七年度から改築に着手すると、こういう考えでございます。
  29. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体年度計画なり、およその構想はわかったのですが、先ほど簡単に数字に触れましたように、一応完成めどとして三億円の中でその程度の一億何ぼの金を国に要請しておるわけです。これを一年度で一気にやってしまうということではなかろうと思いますし、幾つかに分けて第一期、第二期工事と進めていけば、そう国としても大した金が要ることでないし、病院、あるいは付属学校設備をすでに手がけておられましても、この新潟大学校舎現状から見ると、これはあと一年も二年も放置しておくべき問題ではなくして、直ちにでも建築にかかるべき問題だと思うのです。文教予算の来年度要求されております千九百億ですか、その総額から見ましても、また大学関係の費用から見ましても、国に要請分の総工費の一億二千万円というのはそのうちの微々たる金ですし、これをまた二年間に区切ってやっていくと、国の負担分というのはもっと少額で年度分としては済むと思うのです。この際、従来の計画をもう少しテンポを早めて、次年度予算の中で少なくとも第一期工事には着手するというような考え方になってもらうわけにはいかないものですか。
  30. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 国立大学施設整備の速度の問題でございますが、これはここ数年わずかながらでございますが、順次伸びて参りまして、二、三年前までは二十億程度予算でございましたものが、本年度は四十二億ないし四十三億程度に伸びてきておるわけでございます。しかし、御承知のように戦災復旧もまだ完全にはできておりませんし、科学技術者養成のための施設もおくれておるわけでございます。その他老朽改築等もございまして、やはり施設整備の全体の問題といたしましては、できるだけ予算ワクを広げて計上してもらう以外にないと思っておるわけでございまして、明年度は従来ございました予算に倍するような大きな計画を現在のところ立てて要求をしておるわけでございます。もしそれが実現しますならば、ただいまお話のございましたような施設整備のテンポも全国的に早くなってくると思います。ただいまお話のございましたようなひどい老朽建物の改築も当然着手されていくことと思います。
  31. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 視察をしました際に、私ども学生代表には会いませんでしたけれども、その後学生の意向を聞いてみましても、かなり現状で放置されているということに対して不満を持っているようです。御承知のように、あすこの学生は割と、こういっては何ですが、おとなしいようですし、いわゆる他に見られるような学生運動としての形でこの建設問題を進めてはいないですけれども、これがやがて高じて参りますと、もっと別の形をとった学生運動という形になる可能性もあると思うのです。これは学生自身が悪いということではなくして、やはり通行にも危険を感ずるような検舎で放置されているということに原因があると思うのです。それでいろいろ御苦心のほどはよくわかりましたので、全体的な配慮をしていただくことももちろん必要なことですけれども、やはり視察報告に書きましたように、私どもの視察感としては、この問題は幾つもの地方で受けました陳情の中でも最も緊急を要する問題ではないかと考えております。従って、一年度で必要所要額を全部満たすということであればいろいろの困難も生じてくると思いますけれども、今御答弁のように、次年度予算が通過するように努力していただくとともに、何らかの全体的な配慮の中で一年でも半年でも時期を早めて工事にかかっていただきたいということを特にお願いしたいと思うのです。  それと、もう一つは、全体の統合問題ですが、これも今さら私は説明するまでもなくて、先ほど申し上げましたように、施設一つをとりましても、分校がたくさんある学大、あるいは教育学部ほど施設は貧弱ですし、教授陣にも率直に申し上げて弱いところがあると思うのです。地元の立場から考えますと何年、あるいは何十年の歴史を持つ旧師範のあとに何らかの教育養成機関設置しておきたいという気持はよくわかると思うのです。しかし、純粋な教育の立場から見ますと、これが今言いましたように教授陣の不足とか、あるいは設備の不足とか、あるいはそのことによる教育界そのものの中にも対立拮抗の姿を生じて、必ずしも好ましくない情勢が幾つも生じてきていると思うのです。こういう点は十分御承知のことと思いますので、地元意向を無視して、いきなりこれを統合するということはこれは事教育に関する問題ですし、いろいろ大きい問題を惹起すると思いますけれども、十分その点を調査していただきまして、できるだけ早急に全体の解決を基本線に沿って解消していただくように努力をお願いいたしたいと思うのですが……。
  32. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私どもも常々こういう分校統合問題につきましては、相対立するような意見の方々からお話を公平に、客観的に承っておるつもりでございます。ただ、やはり教育的な純粋な立場から、できれば理想的な一つのものに持っていきたいというふうに念願いたしておるわけでございます。ただ、その場合にももちろんできるだけ早くやらなければなりませんけれども、やはりその場合にできるだけまた一面円満に進行してもらわなければならぬと思っております。その辺の問題は非常にデリケートでございますが、お話のございましたような線で今後も措置して参りたいと思います。
  33. 加瀬完

    ○加瀬完君 ちょっと関連して。今、豊瀬委員の方から御質問がございました校舎施設の改善とか、あるいは講師の獲得とか、こういうことも局長さんの方の御担当ですか。
  34. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私は大学学術局で、大学関係全体に一応関係していることでございますけれども、たとえば今お話のございましたような建物をどう整備するとか、その予算をどう執行する、あるいは校地をどういうふうに、どの程度の値段で買うということは、管理局の方で実はやっておるのでありますから、こまかい資料は実は私ども手元にはございません。
  35. 加瀬完

    ○加瀬完君 では管理局長に御出席をいただいた方がよろしいと思うのですが、豊瀬委員の御質問にも新潟大雛の問題が出ましたが、新潟大学だけにとどまらないで、どうも施設整備のテンポというものが全然のろい、率直にいえば文部省が何をやっているかという声が、必ずしも新潟のみならず各地で起こっておる、特に学芸大学とあるいは大学教育学部といったようなものと、旧制の大学等の校舎校地の譲渡問題になりますと、具体的な例を言うならば、東京大学と千葉大学と、こういうものの校地校舎の譲渡問題になりますと、全然文部省は、何といいましょうか、目的を進めるような手を打ってくれないので、地元民は困っておる、こういう具体的な例が各地にあります。管理局長出て参りましたら管理局長にそれらの点を若干伺いたいと思いますので、一応保留いたします。
  36. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) ちょっと私から申し上げておきたいが、この間私は新潟大学の、豊瀬さんや北畠さんが熱心にやっていて、地元の国会議員としてまだ一ぺんも拝見してないのはいかんので見てきました。大学学術局長としてあの校舎で、大体非常に風の強い、吹雪の多いところで学生が教授を、満足に教育を受けられるのかどうか、ごらんになりましたか。
  37. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私もことしは拝見いたしておりませんが、二、三年の間に二度ばかり拝見をいたしております。実は先ほど豊瀬委員の御質問にお答えした中でも申し上げたわけでございますが、付属の校舎改築をやるか、あるいは本校改築をやるかということをいろいろ議論したことがございます。大学当局の方は付属の方をということであります。私どもの方としてはまず本校をやる方がいいのじゃないかということを考えたのでありますが、大学側の強い御要望もありましたので、付属の校舎改築を一応、進めたわけでございます。私どもといたしましても、現在の教育学部の建物が非常に老朽していることはよく知っておりますので、できるだけ早い機会に改築するというつもりであります。
  38. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 私お伺いしているのはそういうめんどうなことではないのです。あの状態の中で、これから北陸の特有な気候ですね、それに対応して学生が教授を受けていられるかどうかということを聞いておるわけです。私は無理じゃないかと思うのです。ストーブなんかたいても、窓ガラスが全部だめになって、すき間も二、三寸あいている、吹雪を食う中で教授を受けるのは無理じゃないかと思う。できないことなら付属も大学も何もないのだと思うのです。野原で教授を受けろということは私はむちゃじゃないかと思うのです。そういうばかな話はない。予算で仕事をするのか、教育していくのか、教育の実態としてやっていかれるのか、どっちなんですか。大体私は教育のことはしろうとですけれども、どうもちょっと疑問があります。どっちが中心になるのですか。
  39. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 確かに現状は御指摘のようなことがございます。この問題としましては、実は改築を始めるまでも、少なくとも修理をされたらどうかということは、私ども大学に申し上げておるわけでありますが、それは、内輪の話になることでありますが、修理をやるとまた延ばされるのじゃないかというお気持もございまして、大学の方も修理という点でちょっと邊巡されておるようなこともあります。私ども現状は非常に荒廃していることはよく存じておりますので、とにかく一年間の使用をさせるためにも修理が必要じゃないかということはかねがね申しておるところであります。
  40. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) いま一つお伺いしますが、修理ということを言っておられるが、あれを修理するといったら、どんな修理をしたらいいことになるのか。土台はなくなっている、柱は半分以上虫が食っている、窓は立たない、しかも窓を直すといったら全部直さなければならぬ、そんなことをしたら改築にかえって金がかかる、そういうことになるでしょう。従いまして、しからば全部板でもぶつけて一応の風でも入らぬような方法でもとるということが、突っかい棒でもかつて風で倒れない準備をするというようなことくらいで、修理にならないと思うのですが、どれくらいの範囲に修理を考えておられるのですか。
  41. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私、直接ではございませんのであまり具体的なことは申し上げられませんが、確かに一部の建物には土台が相当腐朽しているというところも、また窓のいわゆる窓ワクと申しますか、あるいは天井も相当いたんでいるというところもございます。もちろんこれを完璧に修理をするということでありますと、相当補修費に金がかかるわけでございますが、少なくとも使用にたえるようなふうに応急補修をする、応急修理をするということは必要であろうと、私どもは思っているわけであります。
  42. 加瀬完

    ○加瀬完君 局長、少し認識不足じゃないかと思うのですよ。新制大学でも旧高等学校、専門学校というのは、割合に年代も新しく建てて、校舎も割合に完備している。そこで若干の手を加えれば、教室で授業をするには差しつかえないという程度ですけれども、旧師範学校というのは、大体明治時代の建物が多いのです、焼けたか何か特殊の事情のない限りは。で、五十年、六十年たっている、しかも木造建築です。これを修理して一体使うのが妥当なのか、そうではなくて、新しい予算大学らしい校舎にしていくことが一体必要なのか、ここらの見解をもっと明確にしていただかないと困ると思うのです。一体新潟大学もそうですけれども、多くの師範大学に昇格されて、その校舎というものは木造建築で、すでに小中学校ならこれは危険校舎老朽校舎として補助対象になる、それよりもはるかに古い校舎が多いということを御存じですか。
  43. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私は今の大学局長になる前、管理局長をやっておりました関係上、その辺の事情はよく存じておるつもりでございます。確かに小中学校改築は最近非常に遊んで参りました。大体四千五百点以下のものについては、改築を進めております。ただ大学につきましては、そういった事情とは非常にかけ離れた現実の状況でございまして、これを明年度以降、とにかくまあ小中学校程度老朽改築をするような予算をとっていかなければならぬ、こういうことで、先ほど申しましたような五カ年計画を立てたいということであるわけでございます。確かにお話のような、たとえば新潟大学にも教育学部校舎等は、もちろんできるだけ早い機会に完全に改築をするという必要があるわけでございますが、それまでの間、多少時間がかかるかもしらぬけれども、あるいは一年、一年半かかるから、その間のつなぎとして応急に補修されたらどうであろうというのが管理局の気持であったわけでございます。決して完全に改築することを否定するわけじゃないわけであります。
  44. 加瀬完

    ○加瀬完君 今、豊瀬委員の質問を聞いておりましても、局長さんの御答弁を伺っておりましても、予算がないということは言えないわけですね。新潟大学そのものにも付属なりあるいは本校舎の建築なりというものには予算が投入されておる、そういう使い方をするのと、今問題になっているような教育学部ですかの校舎改築をするのに予算が使われるのと、一体前後の関係というものがちょっと妥当を欠いているのじゃないかというように、私どもお二人の質疑応答を伺っておって推察をされるわけです。そうすると、結局教育学部などというものはあんまり政治力が強くない。ところが、医科大学関係など、そういったものは政治力が強い。そこでそちらの方に予算が先に投入をされて、初めからやらなければならぬような……あらためて伺いますが、一体小学校などの老朽度にすれば新潟大学は何点になるのですか、そういったものは置き去りにされておるというのが、どうも文部省の態度において若干私どもは疑問を持たざるを得ない点が感じられる。おかしいじゃないですか、そういう点。
  45. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 新潟大学病院の問題は、これは加瀬完生、御承知だと思いますが、先年火災で焼けたわけでございます。そうして県下で非常に県民の御要望もございまして、県民の方から各市町村を通じて寄付金まで集められたという関係もございまして、国費をそれに合わせまして、まず外来病棟を完成した。それに伴って外来と病棟との関係上どうしても必要な中央診療所等を一応完成し、さらに新潟大学の病棟というものはこれまた非常に悪いものでございますので、その一部の改築を現在やっているような状況でございます。だからといって、教育学部をやらぬというわけではございませんが、私ちょっと今の御質問を聞き漏らしたわけでございますが、小中学校の危険度がどの程度であったかということでございますが、一般的な問題といたしましては、大体四千五百点以下のものを建築補助の対象としているわけでございますが、新潟大学の付属小中学校……。
  46. 加瀬完

    ○加瀬完君 新潟大学そのものは……。
  47. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) それはちょっと、私今のところは担当の局長じゃございませんから、わかりませんが、大体危険度から申しますと、本校と同程度であると私どもは思っております。ただその場合に、どっちをとるかということでございますが、先ほど申しましたように、小中学校の生徒の入っている校舎の方を先というのが大学の御希望であったわけでございます。
  48. 加瀬完

    ○加瀬完君 その付属小中学校老朽度が何点かということを私は聞いているのじゃない。小中学校老朽度の点数に比較すれば少なくも改築を要するような条件新潟大学はあるんじゃないか。伺っておれば、土台もないというし、ストーブをたいたって空気の流通の方がよくて、ストーブの暖かさが残らないという、そういう程度であればこれは至急改築をしなければならぬような条件にあるんじゃないか。それを一応手を入れて五カ年計画で徐々にやっていこうという考え方は、御説明だけでは、私どもには受け取れない、こういう点なんです、伺っているのは。
  49. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 確かにいわゆる老朽度から申せば、付属と本校とは当初あまり差異がなかったと思います。ただ土台がないと申しましても、全体に土台がないわけでは決してございません。(笑声)そういう非常に腐朽しておる土台の部分もあるということでございまして、土台がないということはないと思います。
  50. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっと、僕発言したいと思わなかったんですけれども、ただ一言だけお聞きしたいのだが、こういう立場からこの問題考えられましたか。子供たちの、生徒の教育問題としてどういうふうに影響を与えるかという観点からこの問題を一体検討されたことがあるのかどうか。こういう点で私もかつて札幌分校を見たことがあるが、実は寄宿舎の問題ですけれども、あれは実際すごいものだった。つららがあすこはすごいでしょう。窓が破れてつららが部屋の中にだんだん毎日毎日できてくる、こういうところが残っている。こういう状況をあなたたち見られたとしたら、一番先にこれはどういうふうに一体生徒に影響を与えるか、同時に、端的に、教育行政だけの問題を事務的にやっているということでは、教育問題は解決しないと思います。思想善導とか何とかということを百万べん言っても筋は立たないですよ。この点から、一体あなたたち政治問題として考え、小学校老朽改築する程度にもなっていないということは、今の加瀬委員の質問に明らかになったように、大学局の政治問題、政治力の貧困ということになるのですか。こういう形で来たのでは話にならぬ。こういう点、どういうふうに考えられるか。つまり、私は教育的な立場から考えて、この問題をどう大学局長は判断しているのか、一点を聞きたい。これでいい。
  51. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この戦後の国立大学校舎整備につきましては、まず一番大事な意図としては、戦災復旧ということを考えたわけでございます。これが、現在大学は七割程度戦災復旧はできておるという状況でございまするから、ただ、その当時はそれが最重点でございまして、少なくとも校舎のあるものについての改築ということにまでなかなかいかなかったわけでございますが、やや落ちつきましてから、たしか昭和二十七、八年ごろでございましたか、老朽改築ということに手をつけ、最近はことに学術の進歩に対応する科学技術面の必要な施設ということの整備もやっておるわけでございます。確かにお話のように、国立大学の中には非常に老朽荒廃している建物もございましてそこで実際教育を受ける学生の側から見ますと、教育の効果を減殺する非常に大きな要素になっておると思います。また、御指摘のございましたような、いわゆる自宅外から通っております者にとりまして最も大事な学生寮も、これは非常にひどい状態のものがございます。実は、学生寮が先か校舎が先かというような問題もございまして、いろいろ文部省としも検討はいたしましたが、さしあたってやはり、特別の場合は別でございますが、原則として校舎が優先されるべきであろうということにたしておりますが、とにかく老朽の建物の改築には極力力を入れていかなければならぬと思っておるわけでございます。明年度以降の五カ年計画でも、確かにこの老朽改築の点に重点を置くことになっておると存じます。
  52. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも一般論的な答弁をされて、ちびっと私の質問に対しては答えられるという答えをされるところに問題がある。これが大体この問題を解決することのできない根本問題じゃないか。さっきから委員長は最も簡明直截に質問しています。たとえば、あの校舎で一体どういうふうに過ごすのか、あれで教育ができると思っているのか。この点をあなたは率直にむしろそのことを答えられた。私の聞いていることは、教育的にどういう影響を与えるかということを聞いても、そのことを答えて下さらない。あとのことはわかっていますよ。必要ないのだ。そのことを聞くということは、あなたたちの教育のこの問題に対処する熱意を測定する一つのバロメーターとして聞いているのだ。これに答えてもらいたい。この国会の論議というものは、われわれはむなしくしたくない。短い時間でいいのだ。あなた方の決意を聞いていることなんだ。そうでしょう。だから、その点が、むろんあなたたちを責めるというのは酷だということを知っています。日本の政治の問題だ、実際は……。文化国家とか何とかいっているが、中身は御承知通りの状態だ。そのことを聞いているのだが、しかし、その局に当たるあなたの熱意を私はお聞きしたい。そういう意味で、それを具体的な問題にしてお聞きしているわけだ。そういう点について率直に答えていただきたい。そうして、その熱意の度合いによって、われわれ自身がこの問題を判断し、あなたたちと協力してこの問題を解決するために力を合わせたいと考えております。決してそこのところを、単にあなたたちを酷に批評しようとか、そんなことじゃないですから、そういう点でまっこうに胸で聞いているのだから、胸で答えてもらいたい。どうもいかんのだな、その答弁は……。
  53. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 先ほど申しましたように、そういったひどい老朽荒廃の建物で行なわれる教育というものでは、同じ教育が行なわれても、教育上の効果を大いに減殺することになろうということを申し上げたわけでございまして、そういうことではもちろん大学教育の真価を発揮することはできませんので、できるだけまあこの老朽改築というものはスピード・アップして進めていかなければならぬということを申し上げたわけでございます。私先ほども申しましたように、担当局長ではございませんが、具体的な新潟大学教育学部校舎改築については、担当局の方でも三十七年度以降早急に改築するという考えでおるようでございます。その点を申し上げたわけでございます。
  54. 野本品吉

    ○野本品吉君 大学の問題がいろいろ論議されているようですから、日ごろ考えております大挙関係一つの事柄についてお伺いいたしたいと思います。  それは、近年いわゆる奨学制度、奨学金の交付のことが逐次前進しつつありますけれども、私どもはまだ十分だとは思っておりません。これをさらに前進させて、そしていわゆる天下の英才を十分育てていきたいという気持を持っておるわけです。そのことを考えれば考えるほど問題になってきますのは、奨学金というものはどういうふうに運営されているかということです。そこでまずお聞きいたしたいと思いますことは、今まで大学の学生に対する奨学金としてどのくらいの国の支出をしているか、それを一つ
  55. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) ちょっと私、予想を申し上げておりませんでしたので、こまかい具体的な資料を持っておりませんが、たしか昭和十七、八年ごろ日本育英会ができまして以来今日まで大体年々まあ増加をいたしておりますが、三百四十億程度の金が国家から日本育英会の方に支出をされておると思います。
  56. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは一応返す建前になっているわけですね。そこで、三百四十億という膨大な――まあ膨大と言えば言えると思うのですが、相当な金が出ている。それが一応返す建前になっておるのだが、現実においてどれくらい返されておるか。
  57. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 三百四十億の金が大学の学生、高等学校の生徒に御承知のような定額で貸与されておるわけでございまして、従ってこれは当然将来返還されるものでございますが、その大部分はまだ返還時期のきていないもの、それから一部はたとえば死亡その他の関係で免除になっておるもの、また一定のたとえば小中学校の先生になれば免除される、あるいは大学を出て研究の職につけば免除されるというような規定もございますので、そういった関係から大部分はまだいわゆる返還時期に達していないものでございまして、本年の初めの数字でございますが、返還されるべき金額は四十四億、そういう数字になっておるわけでございます。従ってまあ三百億以上はまだ返還時期のきていない金であるわけでございます。
  58. 野本品吉

    ○野本品吉君 ことしの初めに返還時期のきておらないもの、それから返還の免除になっているものを除いて四十四億ということですね、返還されるべきものは。
  59. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) はい。
  60. 野本品吉

    ○野本品吉君 その四十四億のうち、じゃ現実にどれくらい返還されていますか。
  61. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 三十四年の末までに実際に返還された額は、この四十四億のうちの二十三億でございまして、返還された率は大体五三%ということになっております。
  62. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは驚き入ったことですね。三十四年中に返還されるべきものが四十四億で、まだ返還されないものが二十一億、返還の率が五三%。そうすると、返還すべ芦ものの半分きり返しておらないということになる。これは、この返還さるべきものが返還されておれば、この返還された二十三億なり四億なりというものを再び奨学資金に運転して、いわゆる教育の再生産ということになる。返還されないことによって教育の再生産というものが停止されておる。こういうことですね。一体返還されない五〇%、二十何億という金はどういうわけで返還されないのか、その点についてどういうふうにお考えですか。
  63. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この奨学金の返還につきましては、従来、日本育英会といたしましては郵便通信による督促というようなことを主にいたしておったわけでございまして、一面そういった方法が効果が薄いということからもまあ効果を上げていなかった。もちろん戦後の非常に学生の窮迫した時期でございまして、就職等もそれほど思わしくない状況もあったわけでございますので、そういった面で返還の実績が上がらないというようなことも事実でございます。文部省といたしましては、特にただいま野本委員の御指摘のように、返還されました育英資金は荷び三たびまた将来の優秀な学生に貸与されるわけでございますので、返還については今後特別な考え方で、特別な方策を講じていきたいと思っておるわけでございます。実は、本年度から東京周辺地区を選びまして、従来の通信による返還督促だけでなしに、集金制度というものを実施いたしました。これはまだ半年くらいの実績でございますが、かなりの成果を上げておるわけでございますので、こういったものを今後二、三年のうちに全国的に支部を発足させて、いわゆる集金人制度による集金をやりたいということを考えております。なお、それ以上に必要な場合にはたとえば――これはまだできるかどうかわかりませんけれども文部省としては、たとえば中小企業以上のところに就職をした学生に対してはその雇用主である会社等と本人の了解のもとに契約をいたしまして、給与のうちの一部分を差し引き、送ってもらうというようなことができればこの返還の点から申せば非常に実は効果が上がるのじゃなかろうかということを考えております。もちろん法律による強制徴収というような方法も抽象的には考えられないことはございませんけれども、それは将来の問題として、できるだけ現実的な方法で成績を上げて参りたいと、かように考えております。
  64. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は、こういう状態において、さらに文部省が奨学金の増額ということをお考えになっておるそれには全面的に賛成です。しかし、賛成すればするほど、この問題を解決しないことにはなかなか前途が心配である。率直に言いますというと、この二十何億という金を返さない先輩の学生諸君が後輩の進学を妨げておる。そこで返せないには返せないいろいろな事情もあるかもしれませんけれども、私は奨学金を受けられた学生諸君の、後輩のための自覚、後輩のための思いやりといったようなものを十分喚起しましてこの問題の処理をしない限りには、奨学金をどうふやしてもこれは前途非常に心配だというふうに実は考えておる。そこで、この奨学金の返還が二十億以上滞っておる、私があとでまたいろいろと論議いたしたいと思っておりますが、これは一つお伺いしておきたい点は、学校によってこの返還すべき金の停滞が違いがあるかどうか、一律に各大学ともそうなっておるか、学校によって差があるかということですが、これはどうですか。
  65. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私、現存その辺の調査資料を持っておりません。もし必要でございましたら、育英会を通じて調べてみたいと思います。
  66. 野本品吉

    ○野本品吉君 これからこの問題について議論をする、意見の交換をいたします資料といたしまして、大学別に奨学生が何人あったか、返還すべき該当者が何人あるか、それからどれだけ返還されておるか、その数及び率等をわれわれにわかりますように資料の提出をお願いしたいと思います。
  67. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して。私はただいまの資料に賛成ですが、同時に就職してどのくらいの賃金をもらっておるかということを同時に調査してもらいたいのです。はたして奨学金というのは返さなくちゃならぬもの、だれも余っていて返さない人というのはそんなにないと思うのですが、返そうとして返せないというような低賃金のところに縛られておるという現実がないのかあるのか、この問題がやはり当委員会で論議される重要な私は課題と思います。従ってどれだけの貧血を取っているのか、これはいろいろ違いがありましょうが、この点もあわせて今の資料につけ加えて、こういうことをお願いしたい。
  68. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 今の資料は時間がかかると思います。お許しをいただきます。
  69. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 今の資料を出していただくとき……、返還規定というような法律があるのですか。
  70. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 育英会の規程にはあると思います。この就職して現在それぞれ返還すべき人がどの程度の賃金をもらっているかというようなことは急にはできないと思います。やるにしてもかなり時間がかかると思います。その辺は御了承をいただきます。
  71. 岩間正男

    ○岩間正男君 抜き取りでいいです。
  72. 加瀬完

    ○加瀬完君 資料の問題で、抜き取りという話がありましたけれども、返還されておらない者の状態というものを割合詳細に、調べられる範囲において詳細にやはり出していただかないとわからないと思います。お願いします。
  73. 千葉千代世

    千葉千代世君 一つだけ伺いたいと思うのです。大学教員養成計画性について伺いたいというのは、卒業した学生さんが専攻した科目によって就職できる者と、できない者とが非常に不均衡を生じているという現状なんです。具体的には、東京なんか例にとりますというと、昨年は三回くらい選考試験をやったのですが、社会科だとか家庭科なんというようなものは選考試験さえやらないわけなんです。というのは、余っているから、こういう理由で、体育とか音楽とか理科とか英語とか、こういう専攻した方たちについては選考できるということになっているわけなんです。そうしてみますというと、大学で学生を募集いたしますときには、就職の可能いかんにかかわらず、ただずっと今までの引き続いた人数だけで募集しているという、こういう惰性でやっているのじゃないかということが一つでございます。その点について。
  74. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 教員養成学部の卒業生の就職の問題に関連いたしまして、これは御承知のように、一応教職員の必要定数と、それから従来のいわゆる減耗率というものを見込みまして、各府県それぞれの事情に応じて、養成すべき学生の数を一応きめているわけでございますが、建前といたしましては、御承知のような憲法上の選職の自由というものもございますので、はっきりした計画養成というものは現在やっておりません。やるべきであるという御意見もございます。そうしてまた中央教育審議会等でも、教員養成に関する問題を審議されたときに、計画養成を、少なくとも義務教育の先生については計画養成をすべきであるという御意見も出ておりますが、いろいろそれに対する批判等もございまして、現在までのところ実施はいたしておりません。ただ現実の問題といたしまして、私どもは従来から都道府県教育委員会が、将来の需給状況をよく見きわめて、大学と十分話し合いの上で、現実に募集すべき先生の数を相談してもらいたいということを、教育委員会の方にも話をし、また大学当局の方にも、実は話をしておるわけでございます。お話にもございましたように、まあ特別の地域に、需給上のアンバランスが起こってくることも事実でございます。また特別の教科に、多少需給のアンバランスが起こっておりますが、私どもは決して従来からの惰性で、大学の学生数をきめるということはしないようにしたいということで、大学当局には常々そういうことを申しておるわけであります。
  75. 千葉千代世

    千葉千代世君 というのは、そろそろ二月から三月にかかって各県ではまあ辞職勧告などが相次いで起こるわけなんです。そういうときに理由としては、新しく大学を出てくる者の行き口がないではないか、だからここらで新陳代謝をする、だから古い人はやめろ、こういう論法でやってくるわけなんです。そうすると、県によりましては学校の生徒の定員を四十に下げる、六十を五十に下げるとかして減らしていく、これが建前です。それをとらないでもって、ただ今までいた者をやめさして、新しい人を単に穴埋めするという機械的なことでもって、責任回避をやるわけなんです。ですから、教員の中には停年制がございませんにもかかわらず、県によっては四十五才、あるいは五十才、五十五才というような内規ですか、申し合わせですか、それによってやってくるわけなんです。そうすると鹿児島から北海道までを見てきますというと、ひどいのには校長は五十五、一般が五十、女が四十五なんという男女差をつけ、職階制をつけていく、そういう中で、ずいぶん首切りの中にあえいでいる先生が多いわけです。そうすると、新しい学生さんは、僕たち行くところがないのだからしようがない、僕たちは教員になるために学校に入ったのだ、こう専攻したのだから、初めからそういうことがわかっているなら自分も考えたのだったけれども、こういうふうに卒業してしまって、いざ行くところがなければしょうがないから、とにかく何とか就職できるように、こういうふうにしますと、そういう希望教育委員会が、自分の都合のいいようにとって、新しい学生の行くところがなければ、気の毒じゃないか、その一手でくるわけです。そうして二月、三月になりますと、各県ではいつも問題が起きてくる。ですから私は、ただ機械的に家庭科が余るからそれをやめようとか、社会科が余るからそれを今度は補充しないとかで、機械的ではなくてやはりある程度の恒久的な計画性が必要じゃないかしらということを考えているわけです。そうしますというと、やはり県によってアンバランスがある。たとえば神奈川、東京、千葉等とございますですね。ですから、そういうふうな需給関係についての調節は、これは大学の方ではないでしょうけれども養成課程について特に婦人の、女子教員の採用、養成なんかについても検討されているように伺うわけなんですが、具体的に申し上げますと、中学校の校長さんたちが集まって、どうも女の人はお産をするから、お産をしない男を養成してほしいということを教育委員会に九州のある県で言っているわけです。そういうふうなことがやはり社会の趨勢と待って具体的に出てこないとも限らないのじゃないかと、これは全国の女の先生の会合で出されたわけなんですが、養成の衝に当たっておりますあなたの方では何か考えることがないのでしょうか。
  76. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 確かにお話のございましたように、昔に比べますと、いわゆる退職その他による減耗率というのが下がってきている。従来は大体三%程度が普通でございましたのが二%強に現状は下がってきておるわけでございまして、そういった傾向も見越して私どもは御承知のように、数年前には教員養成大学の学生定員を一時減少したこともございます。しかし、これは全国的なことでございまして、ただ、たとえば島根県の学生は島根県内に就職しないでも、あるいは瀬戸内海方面、ことに兵庫とか大阪へ非常に行くとか、奈良の学芸大学の学生が大阪の方に行くとかいうような事情もございまして、その県内だけでは需給上のアンバランスがありましても全体として就職はうまくいっているというようなこともございます。本来は、教員養成大学はその県内の小中学校の先生を補充するということが主目的でございますので、先ほどもうしましたように、県の教育委員会が詳細な需給計画を立てて大学当局と個々に具体的に話し合いをしてもらいたいということを私どもかねがね言っておるわけでございますが、恒久的な計画といたしましては私ども大体現状、これは全国を通じての話でございますが、現在の先生方の数とそれから学芸大学の学生定員というものは大体現状の減耗率でいけばまあマッチしておるのじゃないか、将来たとえば先ほどお話のございましたように、学級の規模を五十人から四十人に下げるというようなことになりますれば、やはりそこに学生の募集をしなければならない事態が私は起こってくるのではないかと思っておるわけでございます。婦人教員のことについてお尋ねがございましたが、私はやはり少なくとも義務制の小中学校では婦人教員の方が男子の教員に比べて一定比率で保たれていることがいいのではないか、どんどん男子にとってかわられてしまうということは必ずしも私はいいことじゃないと思っております。
  77. 千葉千代世

    千葉千代世君 今、局長がおっしゃったのですけれども、大体各県で見合わせて卒業生がとんとんに就職しているのじゃないかとおっしゃったのですが、各県で採用の方法が違うわけなんです。ある県によりますというと面接だけでいいというし、ある県によりましては学科試験をすごく厳重にする。たとえば福島県のようなところは新卒を全部産休補助教員に当てまして、一年間やったものについては一年間の勤務状況を五点とかなんとか増加して全体を何点にして優先的に就職させていくとかいうふうに、こういうふうに違うわけです。ですから、そう簡単にはいっていないということが一つ。その証拠には非常に就職できないでいるものがたくさんいるわけです。そして初任給が違うわけです、県によって。東京とそれから佐賀県とは違うとか、こういうふうなかなりの較差がございます。ですから、無理やり就職しましても、またいいところがあったら転任したいという折をうかがっているという現状もございます。初任給がそうですから、今度は退職いたします場合にも、長い給与の是正をやっていっても退職金がうんと違う、東京の三分の二が、たとえば兵庫であるとか、あるいは東京と同じところというのは大阪であるとか福岡であるとか、こういうふうに違っていきますので、働くにしましてもやはり生活の安定の保障がないと、どうしてもやはり安心して教職についていかれないという現状もございます。ですから、やはりこれは各県が自由に交流できるということがございますれば別です、ございませんためにこれは大へんな隘路になっているわけです。ですから、そういう点も御調査いただいて、少なくともそこで養成された者が安心して就職できるという体制、これをもっていきませぬと、そのときの経済状況によって、たとえば俗な言葉で、景気がいいというと教員養成の募集人員が足りなくて、そうして景気が悪いというと、先生ならということでもって入ってくる、こういうことが常に繰り返されておったわけなんです。そうしますと、ほんとうに教育に自分が一生懸命打ち込みたいという希望を持った者がかなえられていかないんじゃないか、こんなように考えますので、その点特に御留意いただきたいということと、もう一つは、教員養成の中で養護教員養成でございますが、これは全国に二万人ぐらいおりますんですが、長い間の要求でもって、一校一人必置にしてもらいたい、こういう請願陳情が続けられておって、幾たびか文教委員会でも取り上げたわけなんですが、御承知のように、学校教育法の百三条というものが撤廃されませぬと、これがなかなか養成機関とマッチしないわけです。そうして文部省の方の言い分ですと、ほしくても養護教諭が足りないじゃないか。各県でも言われるわけです、足りないならば養成機関を作ってほしいと言うんですが、これは作ってくれないわけです。で、今ありますのが山形とか岩手とか全国で四つか五つぐらいでございます、広島にありましたが、有名無実になって実際に出ない。こういうふうになりまして、国立の大学の中に養護教員養成科でもよろしいし、それから何かそこに養成機関として国が責任をもってしてもらわないとこれは解決できないという非常に悲痛な叫びをあげているわけなんです。昨年、北海道などは全道一校一人必置ということで打ち出して、人数が足りなければ内地から大歓迎だから、あの海を越えてくる者は全部就職を保証するということで募集しておったんですが、それでも足りないという現状なんです。そこで、やはり養成機関についてはもう本数年来文部省要求しておって、そうして今度予算に盛って、切られるのはどこで切られるかというと、大蔵省で切られたからやむを縛ませんということで逃げてしまって、そしてなかなか日陰におります教員養成については本腰を入れていただけないというのが現状なんです。この件についてはあらためて学校教育法の問題と兼ねて別の機会に詳しく御質問申し上げて御答弁をいただきたいと思うんですけれども、重ねて要望しておきたいと思います。
  78. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 養護教諭の養成につきましては、現在は大体養護教諭の数に見合ってその減耗を補充するという程度養成をしているわけでございまして、大学で免許状を取り得る施設として約十ヵ所程度ございます。それから、それ以外に県立の養成所というものも約これと同数程度ございまして、そこで免許状を取る仕組みになっているわけですが、今後のいろいろこういった特殊教育の進展に応じまして将来ともこの養成施設というものを拡充し整備して参りたいと思います。
  79. 千葉千代世

    千葉千代世君 ちょっともう一つ。今、県立の養成所の問題が出ましたのですが、そこの養成所へよその県から入ります場合には、やはり条件があるわけなんです。それから一つは、埼玉大学でたまたま、たしか二、三年前と思いましたが、養護教員養成科というのを設置いたしまして、これ、全国で初めてだと思います。国立大学の中に。そこでは養護教諭と保健の免状をくれるわけです。二つくれるわけです。ほかの養成所ですと養護教諭だけしかくれない。こういうふうに非常に内容にも違いがございますし、四年制のがたしか岩手だけだと思います。こんなふうな工合でございますから、できましたら資料を頂戴したいと思うのですが、養成期間と学費とか、それからその就職状況とかという七つぐらいだと思いますから、一ついただいて、またの機会に質問したいと思います。
  80. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) どうですか、資料出ますか。
  81. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) できるだけ整備いたします。
  82. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 今の教員養成に関連する問題ですが、これは別に今国会中でなくともいいですから、先ほどの質問と関連して、六大学ですか、分校設置しておる国立の教員養成機関の二十四年度から前年度までの卒業者数、それと就職数、それから同時にその他の一般大学、私立、国立を問わず、大学からの教員希望者ですね、それと就職数を出してもらいたいと思います。先ほどの千葉さんの質問と関連するのですけれども、必ずしも学大卒業生が全部さばけなくとも一般大学から試験の結果採用しておるという格好があると思う。私はそれは必ずしも間違いだという考え方ではないのです。先ほどの施設の問題と関連して、分校がたくさんあるような教員養成機関では理科関係の卒業生は設備不足のために一般大学から出てきたものの方がはるかに優秀だ、だからむしろ一般大学出の方がよろしいという意見なんかもあるところがあるのです。そういった点も関連しますので、その関係数を出していただきたいと思う。  それともう一つは、同じ分校を持っておる六大学の生徒数に対する教授の鰐成ですね、教授、助教授、それからこれ、どういう形式でやったがいいかちょっと考えつきませんけれども、先ほど言いましたように、施設が単独、県に一校の養成機関大学に比べて、分校がある場合に悪いと思うのです。だから幾つかの項目を、たとえば図書とか、あるいは施設設備費として出されたものが、四分校、三分校に分散しておる場合には一校単位幾らと、一県一校の場合はそれが全部使われておる、その際には幾らというような幾つかの出校を出しておいていただきたいと思うのです。  それからもう一つですが、先ほどの新潟大学の問題に関連して、岩間さんもいろいろ聞いたのですが、少なくとも小林局長の方では、新潟大学の場合を例にとってみますと、病院も作ってやる、それから付属学校の建設もしてやっている。だから、たとえば四十億の金のうち新潟に三億いっているとしますね、それからほかの余りの金が他の国立大学にいっているのですが、その際に新潟大学ほど老朽していなくても、その県にいく金から比べると、新潟には大体三億か四億いっているから、必要度は低くても他に配当されるということも従来はよく聞く話なんです。少なくとも非常に要求度の高いものについては国立大学全般を一律に考えていただいて、この県に幾らいっているから、あるいはこの大学に幾らいっているから、一緒に病院、付属、あるいは教育学部校舎建築まですると予算が行き過ぎるという観点ではなくして、要求があれば一県に十億いっても、一つ学校に二十億いってもかまわないという観点に立って、予算の配当要求等についても再検討していただきたいと思うのです。以上です。
  83. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 最後の点は、これは管理局の方でございますので、ちょっとお答えできないと思います。
  84. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) それじゃ他に御質疑の方ございませんか。――他に御質疑がなければ、本件に関する質疑はこの程度にいたします。残余のものは後日にまた機会を見てやることにいたします。  なお、午後は教育公務員の給与及び暫定手当の件につき調査いたしますが、質疑の都合もありますので、午後一時より正確に始めることにいたしますから、委員各位の御協力をお願いいたします。  それでは休憩いたします。    午後零時七分休憩    ―――――・―――――    午後一時八分開会
  85. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) ただいまより文教委員会を再開いたします。  荒木文部大臣より発言を求められておりますので、これを許可いたします。
  86. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一言ごあいさつを申し上げます。このたび引き続いて文部大臣の重責をになうことになりましたが、もとより浅学非才の身でございますが、委員各位の格段の御協力、御指導を賜わりまして誠心誠意事に当たり、わが国文教の振興のために微力を尽くしたい所存でございます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。  申すまでもなく文教のことはわが国の将来の繁栄をになうべき青少年の育成であり、国家の将来にかかわる重大な問題であります。私は、わが民族と国土と文化を愛し、国際的にも尊敬と信頼を受けるに足る自主的な青少年の育成をはかるということを念願いたしまして、当面する文教上の諸問題の解決に当たる所存でございます。  当面いたしております緊急の課題としては、いわゆる中学校、高等学校の生徒急増問題でございます。ことに、中学校にありましては、昭和三十五年度から三十七年度までに約二百万人の生徒が増加するのであります。これがため、従来の五カ年計画を繰り上げまして、この急増に対処する施設整備を今年度明年度にかけて完了することにいたしたいと考えております。今国会には、これに必要な補正予算を計上し、あわせて法律案の御審議をお願いすることに相なっております。  そのほか、当面する文教の重要な課題は少なくありませんが、各位の御鞭撻をいただいて努力して参りたいと存じます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
  87. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 次に、纐纈政務次官から発言を求められております。これを許します。
  88. 纐纈彌三

    政府委員(纐纈彌三君) 纐纈彌三でございます。  今回、はからずも文部政務次官を拝命いたしましたが、もとより浅学非才、その器ではございません。ことに、文教問題の重大性、また、当面いたしておりまする幾多の重大問題のありますることを考えますときに、まことに責任の重大なるを痛感いたしておるような次第でございます。どうか、文教行政についてベテランでありまする委員の皆様方の絶大なる御指導と御鞭撻をいただきましてこの重責を果たすために誠心誠意努力をいたしていきたいというふうに考えておりますので、何分ともよろしくお願い申し上げます。簡単でございますが、ごあいきつにかえます。   ―――――――――――――
  89. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) それでは、これから教育公務員の給与の是正及び暫定手当に関する件を議題といたします。  質問の通告がございますので、この際発言を許します。
  90. 岡三郎

    ○岡三郎君 私は、今委員長が申されました通りに、暫定手当並びに一般の給与の問題の中で、教職員についてちょっと質問申し上げたいと思います。  暫定手当の前の地域給という名称、これは終戦後の異常な物価高、インフレの中で、都市生活者と農村生活者の実態の中から地域給というものが止まれてきて、その後インフレが終息するともに、この問題については、すみやかに都市と農村の手当の不均衡というものを是正していかなければならぬ、こういう考え方が強く出て、暫定手当として政府自体も地域給を本俸に繰り入れてこれが解決に当たらなくてはならぬという態度の表明はしばしばあったわけです。そうして、第一段として五分の本俸繰り入れが実施されましたが、その後杳としてこの具体的な遂行がなされてこない。で、具体的に申し上げますというと、市町村合併に伴って、勤務している教員が同じ自治体におりながら手当の差が出ている。従って、教職員の異動等についてもなかなかうまくいかない。こういうふうな問題がずいぶん前から問題にされて参っておるわけですが、最近においてはやや慢性化しておるわけです。そういう中で、今回、ベース・アップの問題が大きく取り上げられて参りました。本俸が上がるというと、さらに手当自体が、率はそのままとしても、給与額は違ってくるわけですね。差が開いてくる。こういう問題があって、市町村合併のいろんな問題も含めて、緊急にこういうふうな措置の是正をお願いしたい、こういう強い声が下の方にはあるわけです。これが解決を何とか早く促進してもらいたいというのが本員の願いなんです。これに対して、本日は主として人事院総裁なり、あるいは給与局長に聞くべきが至当でしょうが、大臣にこの問題について認識を持っていただいてこれが解決に御協力を願いたいと、こういうことが文部大臣に対する質問の要旨であります。
  91. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいまお示しの案件につきましては、私も大いに関心を持っております。今日まで文部省としましても、関係当局とも相当話し合いを進めて参っておりますが、何とかして三十六年度予算としては解決をいたしたいものだと、こういう考えでおるわけでございます。しかしながら、これはまあ教職員だけじゃなしに、全部の地方公務員に関係のあることでございますしいたしますので、私が断定的にはむろん申し上げかねますけれども、教職員に関しまする限りは、今申し上げましたような心がまえで今までも参りましたが、今後も具体的に実現をはかりたい考え方でおります。いずれにしましても、人事院当局の考え方がこれにタイミングとしても間に合うように、また、事柄としても取り上げてもらわないことにはどうにもなりませんけれども、今申し上げましたような心がまえで進みたいことを申し上げてお答えにいたします。
  92. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょうど淺井総裁、瀧本ざんもおいでになったので、私はむずかしいことをお聞きするわけじゃありません。前からの懸案で、予算委員会においても過去において政府にお願いをして参った問題でございますが、暫定手当という名称になってからも相当の年月が経過しておる。それで、五分の本俸繰り入れ以後、杳として消息不明で、人事院の態度も明確でない。そこで、できるならば今回のベース・アップのような時期に、本俸繰り入れという第二段の作業が行なわれることが至当でなかったか、行なわれる必要があったんでないだろうか、こういうふうに思っておったんですが、一応べース改定はベース改定として、今度昭和三十六年度予算の編成ももう目睫に迫っております。で、実際問題として、この解消といいますか、本俸繰り入れの仕事は、急いでもらわぬというと、いろんな面において不均衡を生じておる。本俸が高くなれば高くなるほど、実質的な給与の差が農村と都市4、」開いてくる。こういうふうな問題点考えたときに、人事院として暫定手当に対する今後の具体的な方針、こういうものをお聞きいたして、われわれとしても協力をしていかなければならぬ、すみやかにこの解消に当たっていかなければならぬというふうに考えておるわけですが、まず、先に人事院の暫定手当に対する基本的な具体的な考え方、それをお聞きしたいと思います。
  93. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お答えを申し上げます。  この暫定手当の始末の問題、これは非常なむずかしい問題だと私は実は思っておるのでございます。それで、このいわゆる旧勤務地手当を暫定手当に切りかえましたときに、この勤務地手当に関する人事院の勧告権を給与法の中から取ってのけまして、これを政府の方へ移してしまったわけであります。その後また昨年でございましたか、法律の改正によりまして新たに人事院の勧告権をまたこしらえたわけでございます。でございまするから、人事院といたしましては、それに基づいて至急にまた調査、研究に従事した、こういうことになっております。そこで見通しといたしましては、この暫定手当は、これを一ぺんに解消するということはなかなかむずかしい問題だと思っております。そこで今回の附帯決議の御趣旨もありますので、まず第一に最近にやりたいと思っておりますることは、この合併されました同一市町村内における不均衡をなくする、こういうことでございまして、これは最近この新しい給与法の条文に従いまして国会及び内閣へ勧告をしたい、かように考えております。
  94. 岡三郎

    ○岡三郎君 まあ、最近において勧告したいということですが、事実上予算編成期はもう迫っておるわけですね。そうするというと、時期を失すればまた一年見送りということになるのですが、それで最近という時期が非常に重要でないかと私は思います。もう少し詳細に、差しつかえがなければ総裁の具体的な考え方を一つお示し願えないでしょうか。
  95. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 国会の附帯決議によりますれば、三十六年の四月から何とかするようにと、こういうことがうたってあるわけでございます。ですから、これまでにはどうしても間に合わなければならぬ、これは法律の改正を必要とするかとも思いますが、この特別国会では間に合わないと思っております。次の通常国会にはどうしても法律の改正を必要とする、しかし、この法律には裏づけとなる予算が要るわけでございますから、この予算の編成は最近に行なわれるわけでございまするから、それに間に合うようにもちろんやるつもりでおるわけでございます。
  96. 岡三郎

    ○岡三郎君 そこで、当面の市町村合併に伴う不均衡を是正する措置はよくわかったのです。これは重要なことだから、まずそれをやってもらうことは非常に喜ばしいことだと思うのですが、本質的な、いわゆる暫定手当の解消、本俸繰り入れ、これはやはり非常にむずかしい問題だとわれわれも思いますが、しかし、暫定ですからね、いつまで暫定ということも許されないと思うので、これに対する人事院としての対処方針というものが私はやはりあると思うのです。そういう点をもう少し具体的にお述べ願いたいと思うのです。
  97. 淺井清

    政府委員(淺井清君) これは実はまだきめてないのでございます。ただこの現在ある暫定手当、現在もうすでにゼロ級地と一級地は暫定手当がないわけでございますから、これをどうするかという問題に帰着するだろうと思います。ところが、ただこのいわゆる底上げ方針をとりますと、いなかの方はよろしい、実質的なべース・アップになって現われてくるわけでございます。ところが、都会の方は何にも実質的にはふえない、こういう結果になるわけでございますが、その辺が一番問題だろうと思います。そこで、この問題はなお今後研究させていただきたいので、今日の段階ではまだちょっと御答弁を申し上げるわけにいかない。しかし、なお今回やりまする措置で同一市町村中における暫定手当をすべて解決するということにはならないと思うのです。なお残るかもしれません。しかし、なくす方向へ向かっていくということはこれは事実なのでございます。この暫定手当にはいろいろ級地の異なるものがございまして、ことに最近市などの場合におきましては非常に地域を拡大いたしておるのでございます。最もいい例は京都市を見てもわかるように、四級地からゼロ級地までここに入っておる、これを一度に、このゼロ級地を一級地まで上げますれば、そのゼロ級地と、隣接町村と非常に段階がそこにできてしまう、こういうことになりますので、これも漸進的な方法によってやらなくちゃいかぬと思っておりますが、ただ最近におきまして、この暫定手当について人事院が勧告をいたすことだけは間違いございません。
  98. 岡三郎

    ○岡三郎君 また問題がもとに戻ったわけですが、そうするというと、今の総裁の御答弁の中でうかがわれることは、同一市町村の中においても、今言ったような京都市の特例みたいな問題がありましたが、そうすると一級だけ上げるということですか、具体的にいって。
  99. 淺井清

    政府委員(淺井清君) これはいろいろ給与局長からあとから申し上げますが、実はまだきまってないのです。なぜきまってないかと申しますと、われわれ今毎日国会に出ておりますので、なかなか会議を開く時間がないものですから、この国会が済みますれば急速に結論に達したいと思っております。しかし、この今ありまする暫定手当がついている市町村というものは、おそらく百二十七、八あるだろうと思っております。人事院が意図しておりますところは、そのうち今措置をとりますれば、そのおそらく半数以上は解決してしまうだろうと思っております。残るところはその半数以下が残るだろう、こういうことになるわけでございます。
  100. 岡三郎

    ○岡三郎君 今総裁の言葉にあったように、給与局長の方からもう少し具体的に。何か聞きょうによってはだいぶよくなるようなお話で、また、とりようによっては依然として不均衡が大きく残るような心配もあるのです。給与局長、言える範囲内でけっこうですから。
  101. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 近日中と申しますか、総裁が言われましたように、この問題は予算編成の問題とも関係があるわけでございまして、三十六年度予算にそういうものを見ていただきませんとこれはできない、従いましてそれに間に合うように人事院としては勧告する、総裁が申し上げた通りであります。勧告の前にどういうことをするかということになりますので……。
  102. 岡三郎

    ○岡三郎君 勧告内容ではなくて、具体的に。今言ったような地域給について根本的な改革をしてもらいたいのだが、今総裁の答弁の中から、市町村合併に伴う不均衡は何とか解消しなければならぬ、その解消するために、同一市町村は同一暫定手当と言うだろうと思って聞いておったが、どうもそうでなさそうなことだから、もう少しここのところは、この答弁中に給与局長なり総裁が腹を固めてもらってもけっこうなんです。私は何もむずかしいことを聞いておるのではなくて、大体こんな程度でやったらどうかというふうな、これが後刻変更されても私たちは追及しません。そういう点で給与局長に。
  103. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 先ほど総裁も申し上げましたように、現在四級地というものがあります地域は非常に限られておるのでございます。四級地があって、それで市町村合併をやったため、従来のゼロ級地と四級地というところが入ってきておるところがございます。また先ほど総裁ちょっと京都市の例を言われましたが、京都市のごときは当初から一級地というものがあったのです。これは町村合併以前から一つの行政区域内でやはり違ったものがある、これはやはりそういう必要があったわけです。今回考えます場合は、これを分けて考えるということはできないことだろうと思います。問題は現在三級地以上の級地というものが非常に限られております。二級地というのが問題の大半でございます。従いまして先ほど総裁が申されましたように、同一行政区域内の人事行政というものを円滑に行なわれるということを目途にするわけでありますが、一挙に全部をやってしまうという場合には、また別のいろんな問題が起きますし、ことに先ほど総裁が申されましたように、暫定手当の処理問題ということにつきましていろいろ部分的な研究はしておりますけれども、まだ現在の段階で方針が確立されておるというわけでもない。そういう現状におきまして、大部分の問題を解決する、それからあと、また、あとの問題として処理するということで、総裁が申されましたように、問題を相当部分解決できる方途を考えたい。大部分の町村につきましては、これはもう市町村の中におきまして支給率が異なるということがないようにいたす、こういう目途でございます。
  104. 岡三郎

    ○岡三郎君 抽象的だが、大体わかったような気がするのです。今言われたように、基本的に本俸繰り入れの方向の仕事が進まぬと、何か、やればやはり矛盾がそこへ新しく発生するということになると思うのですが、この前の基本的な態度として、本俸へ五分繰り入れるということ、この方針は私は堅持されてしかるべきだと思うのですがね。底上げ方式と巷間いわれている方式ですが、次の予算措置の中で合併市町村の問題とともに、五分繰り入れということになれば、相対的にもう一つ級地が減るわけですからね、はっきりしてくると思うのです。これをいつやってもらえるかということになるのです。そうしないというと、本質的に市町村の中を操作するということになれば、やはりそこに隣接との関係で差が今よりももっと拡大するわけですね、現在よりも。つまり、引き上げられるところはいいが、その隣は依然としてゼロはゼロだという形が残るということになってくると、級地の暫定手当の不均衡が部分的には拡大するという要素が出てくる。だから、やはり側面的に級地暫定手当の五分を本俸に繰り入れるという作業が伴っていけば、そこに非常に差が縮められてくるということになると思うが、その見通し、及び将来一体暫定手当は全部なくなって、そうして都市手当のようなものになっていくのかどうか。いろいろと構想があると思うのですが、さしあたってとにかく五分の本俸繰り入れによって暫定手当の差をもう少し縮めるという作業が進まぬというと、大きな問題が依然として残るのじゃないかと思うのですが、その点どうですかね。
  105. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 率直にお話いたしますけれども、ただいま人事院としては底上げ方式のことは考えていないのです。つまり、それは、底上げ方式をとりますと、いかなの公務員はよろしいのでございます。あるいはこれが右へならえをする地方公務員はよろしいのでございます。しかし、都市に集中している国家公務員というのは実質的には少しの貸上げにもならないということに事実はなるわけでございますね。その辺をどうするかが問題でございますが、率直に申し上げるとすれば、今回やる勧告の中にはそれは含まれていない。今回は、ただ、同一市町村内の不均衡を是正するという方向に持っていって足固めをする。こういう状態ですから、それを、その現状をながめますと、都市とそうでないところとは違ってくるという考え方は残るだろうと思うのです。
  106. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、地域給から暫定手当になって、暫定手当の性格というか、これがまた、今の御答弁によるというと、変わってくるのじゃないかというような気がするのですがね。底上げ方式をしない。で、本俸繰り入れというと、都市は伸びなくて、地方が伸びる。しかし、そうじゃなくて、今のところは都市の方と、農村というか、地方にいる人との、給与、物価いろいろなものの相関関係で見ても、やっぱり暫定手当という形で不均衡を残されるべきではないという私は考え方を持っている。新しい要素によって都市の方を考えるというなら、私はまたそれなりに基準なり、方針なりというものを検討して賛成するのにやぶさかでない。ひとまずとにかく現状においての矛盾が残っておる、これをやっぱり解消していくふうに考えるならば、それを、底上げ方式でなければ、別の方法で何らか解決していかなければ、これは問題点は依然として残っていくのじゃないかと、こう考えるわけですがね。それを本俸に入れないで、新しい、たとえば都市給的な制度に持っていってしまえば、これは実質的な切り下げに地方がなる心配があるのじゃないか。だからそういうような点を考えてみて、もう少し人事院の方としても明確に、いずれにいくかは別にしても、向こうところをはっきりしてもらわなければ私は困ると思うのですがね。
  107. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ごもっともだと思っております。その問題が一番根本問題だろうと思っております。私どももそれは今後研究したいと思っております。ただ私が申しましたのは、現在差し迫ってやろうとしておる勧告はそういうわけで、暫定手当というものをなくして――なくす方向に持っていくのだが、それには同一市町村内におけるところの、主として行政上の人事異動とその他の問題からして、なるべく較差を少なくしょうという問題で、それによって半数以上の都市については、その人事異動その他の不便をなくする、その第一段を考えておるわけであります。それでこれは国会の附帯決議の御趣旨もありまして、どうしても来年四月から実施の方向に向かっていかなければならない。これは予算を伴ってくる。そこで予算編成が終わってしまってから金が足らぬではわれわれの責任になりますから、そういうことのないように早くやりたいと思っております。
  108. 岡三郎

    ○岡三郎君 現状においては、これ以上追及しても、いろいろと検討の過程にあるようですから、私もやぼなことは申しません。ただ同一市町村のことですが、較差をなくしていくという努力をする。その中で漸次今度は第一段にそれをやって、次に、第二段にやられるかもわかりません。しかし、本質的には先ほど私が言ったような方向で、むずかしい問題であっても対処して、そうして都市と農村の問題について新たなる角度で手当その他を検討する、こういうのならばそれに対する考え方もわれわれもあるわけです。だから、本質的な面に向かって人事院としても遅滞なく御検討いただくということをきょうここでお願い申し上げておいて、暫定手当については、一つ同一市町村の中の矛盾、これの解消促進にできるだけいい勧告を出してもらって、矛盾の点も解消してもらいたいというふうに考えるわけであります。  これはこれで終わりますが、もう一つ、今内閣委員会等においても給与問題をいろいろと検討されておりますが、勧告の中において、特に政府が雇用する人々が職種によって集まらぬ、特に理科、理数科――理科系統、技術系統の職員はなかなか集まらぬという、そういうような状態の中で、初任給の、何というのか、これを補正するために二千円とか千四百円とか七百円というものを作った、微温的に。今、住宅公団の問題としても、初任給一万六千円ということで大蔵省がストップしておるという問題があるわけですが、これは文部省の方の技術科学、こういった教職員を採用する問題と関連があると思うのです。抜本的にもう少し初任給というものを上げなければ民間との較差があり過ぎるのじゃないかということが根本問題であろうと思うのです。そういうふうな点について、まあ補正的な手当を出して、この場合糊塗しようということになっておるようですが、抜本的に初任給という線を戦前に比較してみても、二万円くらい出したって多くないんじゃないか。そういうようなことを考えている私にとっては何かすっきりしない。今回の勧告に従っても下が非常に少ない、こういうことを見てみるというと、これではほんとうに政府機関、地方公共団体に就職する人材の結集というか、人材を集めるわけにも参らぬということを考えてみておるわけですが、その点もう少し具体的に、総裁の方から初任給をめぐるそういう問題についてお考えをお聞きしておきたいと思います。
  109. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ごもっともでありまして、官界に有為な人材を投入しますために、初任給を上げるということは私として賛成でございます。ただ、公務員法の規定の通りに、これが民間給与とあわせて大体均衡を保つ、こういう方向でございますので、四月の官民給与の較差から見まして、大体この辺でよかろうということで、ことに競争率の高くして採用困難なるものについては初任給調整号俸を立てると、一応このような方法で人事院は勧告したわけでございます。ただ、将来の問題といたしましてはこれは別でございまして、その後また民間もどれだけ上げるかわからないことでございますゆえに、よくなりつつあるようにも思っております。それでございまするから、人事院といたしましては、今後のことはまた考えたいと思います。
  110. 岡三郎

    ○岡三郎君 どうもナマズ問答になるからあまりしたくありませんが、しかし、とにかく私は今の初任給ではようやく大学卒業して、高等学校卒業して、生活が自立できないんじゃないかというふうに痛感しているものです。だから、ある程度研修させたりいろいろ公務員に張りを持たせる、そういうようなことを考えたときに、やっぱり総合的な給与体系というものを考えていかなければならぬとともに、あまり初任給が安過ぎるということで、民間の方に例をとってみても給与内容というものから考えていけば、理科系統だけじゃなくて文科系統の者でもだいぶ違ってきておるんじゃないか、どこと比較するかということになると、問題点があるんでしょうがね。そういうふうな点で私は大学を卒業して、少なくとも四、五年たったらみんな結婚適齢期になるということになれば、道徳の根元とかいろいろなことを言うけれども、やっぱり衣食足って礼節を知るわけです。具体的に大学を出て、四、五年たてば生活が維持できるような待遇というものを、国がある程度見てやらなければ網紀を厳正にすると言っても、なかなか具体的に成果が上がらないんじゃないか。だから、抜本的に待遇の改善ということは、これはすべてに通ずる根本原則だというふうに考えて、この前私は独得の言葉で道徳賃金論というやつを言ったことがあるんです。これは自分がまじめに働いてそうして生活をする、学校を出て生活していくその場合に、自分のとったサラリーで切り詰めてもなかなか生活ができぬという状態にしておいて、なお実家なりその他から支援をしてもらえる人たちはいいけれども、そうでない人はどうしてもアルバイト、あるいはその他の収入の道をはからなければならぬ。そういうことであっては端本的にならぬじゃないかということを考えて、少なくても大学卒業して数年たったならば、その人が細君を迎えて一戸をかまえることのできるような最低の保障、底をしっかり作ってもらうための一つ給与勧告あたりをしてもらわなければいかぬ、そういうことをこれは数年来、もっと前から考えたのでありますが、そういうことを考えついたときに、政府の方針というものは、なかなか財政問題もあるとしても、非常にテンポがおそくて、民間がはるかに先に行ってから、ようやく半分程度の給与の実質増加という形できているのじゃないかということを考えたときに、基本的に大学を卒業して数年後、一定の年令に達したときには、家庭が持てるような給料ということを根本的に考えた給与体系というものを考えてもらいたいというのが……。私の考え方は初任給をある程度高くして、そうして一定の年数まで相当の上昇をもっていって、そうしてある一定の年令へきたらば、それからは比較的スローでもいいが、とにかく傾斜の急なところではどうしても無理がある。だから、ある程度初任給を上げて、そうして家庭を持った、一子、二子、三子――まあ家族の状態もありますが、とにかくその程度。それからある程度きたら、ぜいたくはできぬでもしんぼうしろということで、カーブをゆるやかにしてもそれはいけるじゃないか。ところが、今それは逆なんです。初任給うんと低くして、上層へ行くに従って伸びるようになっているけれども、生活破綻というか、ある相当の年令にこないというと生活の安定とか、保障というものはない仕組みになっている。これでは何と言ったって道徳的に私は生活の中で問題が残っておる。だから、とにかく一人前の仕事をさせるためには、自分のまじめな働きによって得られる給与によって家庭を作り、子女を養成して、そうしてその中でまじめな生活ができるような体系というものを考えていったときには、今の給与体系では少し無理が多過ぎるんじゃないかというふうな、初任給は少なくとも最小限度とにかく二万円の線くらいまではとんとんと上げて、三万円くらい、ある程度まで上げていってもらって――今の状態の中でも。それから先は少しゆるやかでもいいんじゃないかというような気がするのですが、今のところは上厚下薄という言葉がよくいわれるように、あまりにも下の方がテンポがのろ過ぎるんじゃないか、その点どうですか。
  111. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 大体私は岡さんに御同意でして、別に岡さんの御意見に反駁することはしていませんけれども、ただ人事院のやっておりまする勧告における給与表というものは、民間のと大体合わせる傾向になっておりますから、民間がやはり大体ある程度の初任給、もちろん民間の方が若干高うございますが、大体こういうふうになっているものでございますから、これは一つの常識であろうと思ってやっているのでございます。現に一昨年やりました初任給の是正というのは、岡さんの言うように初任給だけを上げて、ある程度これを収斂するという方法をとったわけでございまして、上原下薄というお言葉ではございまするけれども、今回の勧告だけをごらんいただきますと、上の方は三〇%上げて、下の方は一〇%だとございますけれども、上の方は従来押えておりましたから、民間の上厚下薄はもっとひどいのでございます。ただし、私は決して岡さんの御議論に反対はいたしません。人事院といたしましても将来は初任給をよくやっていく。しかし、これは人事院だけの問題ではございません。初任給がよくありませんと、みんな民間へとられてしまうのですから、そういう意味で能率のいい公務員を得る意味から言いましても、初任給を上げるという一つの議論には、私は決して反対しないのでございます。
  112. 岡三郎

    ○岡三郎君 これもなかなかこれ以上言っても具体的に問題は解決できないと思うのですが、しかし、私は考え方として、今までは民間給与に右へならえの形で、非常に御苦労願ったと思うのですが、しかし、ある段階では人事院自体が給与はこうあるべきだという、一つのひな形といいますか、そういうふうな態度で給与というものを考えていただかないというと、何と言っても私は無理じゃないかというような気がするのです。この点は一つお願いしたいと思うのです。  文部大臣の方に伺いますが、今の初任給の問題と関連して初任給の調整号俸といいますか、調整額、これは二千円、二年になって千四百円、三年で七百円、これは昇給することを考慮に入れて考えておられるようですが、民間はいろいろと具体的な措置をどんどんやっておるのです。学校関係でも技術系統あるいは理科系統、こういうものを含めてなかなか採用というものがむずかしくなっているということを聞いております。それで、あるときに文部大臣が、ここで言ったかどうかは知らないが、臨時教員養成所というものを考えてそれの充足を考えていけば間に合うのだろうというようなお考えを示したことがあるやに聞いておるのですが、具体的に教職員の中においてもやはり間に合うような――あるときはやむを得ぬときもあるでしょうが、やはり恒久的に考えた場合に、それではならぬということを大臣は考えておられると思うのです。従って大学というものを通じてそういう方面の人材をとにかく集めるためには何らかの措置が必要だと思うのですが、学校関係については初任給の調整号俸というものはあるのですか。
  113. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今度の人事院勧告の適用範囲を極力広げていただくように、法案の審議過程においてもいささか努力をいたしましたが、相当カバーできるのじゃないかというふうに考えております。
  114. 岡三郎

    ○岡三郎君 相当にカバーできる――もう少し具体的なお話を……。
  115. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 問題は高等学校の先生が具体的に出てくると思うのですが、高等学校の方にも広げてもらいたいという考え方で折衝をいたしました。人事院規則が定まりませぬと明確な範囲はまだわからぬようですけれども希望としましては、高等学校の一先生にもぜひ適用していただきたいということで、当面曲がりなりにも今の御心配のことに対処し得るのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  116. 岡三郎

    ○岡三郎君 高等学校だけですか。大匿、高等学校の技術職員なり、理科系の職員だけでは済まぬと思うのですがね。あまりいろいろなことを言ってむずかしくしても因ると思うのですが、どうですか、これはやはり大学なり、あるいは中学なり……。
  117. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今の理工系、特に科学技術の関係の職員につきましては、大学については当然適用あるものと私どもも心得ておるわけであります。ただ問題は、高等学校以下の問題ですが、小中学校は、御承知通り教員計画養成をいたしておりますので大体間に合うのではなかろうかと考えております。高等学校のうちの理工系につきましては、大学と同じように調整号俸をつけていただかないと、今まで実は採用に非常に困窮いたしておりますので、高等学校にぜひ適用していただくように人事院あるいは内閣の方にもお願いをしておるわけでございます。
  118. 岡三郎

    ○岡三郎君 やはりいろいろと問題点が大きく出てくると思うのでして、私は先ほど淺井さんに言ったように、抜本的に初任給というものを考えてもらわないと、何か破れ障子にこうやくを張っているような格好で便法的にやっても、問題は、先ほど暫定手当のようにますます問題が残ってくる。そういうふうな点で、理科とか技術といっても、今度は中学の方は計画養成をしているからできるといってもそう簡単にいえるものかどうか、私は非常に疑問に思う。現状において、中学の技術系統なりといった人の雇用関係について、非常にやっぱり難渋しているのじゃないですか。また、そういうふうな点で私は初任給の調整手当というものをつけること自体が大反対な人間なんですがね。便法的にそういうふうにやられて当面糊塗するという形で当座これをやるということにしても、これはやっぱり今度学校の中において、小さい学校なんかにいけば、免許のない科目を持っている先生方が相当おるのですよ。たとえば文科系統の免状でも、学校の規模によってはいろいろ数学を教えてみたり、あるいはいろいろな技術の面の方にかり出されてみたり、まあ非常に多いわけです。この間も水産手当とか、工業手当とか、いろいろなもので工業学校の技術職員の手当とかいうようなことになって、一般の教科の先生方の中で非常に不満が台頭していることも聞いております。そのいわゆる学校の職員の構成によっては、はっきりと、でかい学校は別にしても割り切れない要素が一ぱいある。自分の免許を持っている以外の科目をずいぶん持たされているということがね。そういうふうなことを考えたときに、一つ今のような形のみならず、もう少し抜本的に初任給というものを上げてもらえば、民間との較差という問題も解消できるし、総合的にうまく運営ができるのじゃないかというふうに考えざるを得ないのですけれどもね。この点、大臣もう一ぺんお答え願いたいと思う。
  119. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘通りだと思います。ことに池田内閣の一枚看板の所得倍増という言葉を取り上げて考えましても、これが実現には、推定技術関係の要員として大学卒業程度の者が十七万人でございますか、工業高校卒業程度の者が四十四万人不足する、それを補っていかなければならぬということ、その要請を考えますときに、なおさら今の御指摘の点が問題としてむずかしくなってくることも考えられるわけでございまして、ですから先生の養成の問題から考えなければならぬ。しかも希望者がなければいよいよもって大へんだということで、御指摘の問題は私たちも実は頭痛の種になっておりますが、人事院においても、今お話通り抜本的なことも一方において考えていただくと同時に、さしよりは今お答え申し上げたようなことで当面を糊塗するほかにはやりようがないわけですけれども、今後懸念がないようにはどうすればいいかということを文部省自体としても十分じっくりと考えて、実現をはかるべく努力せねばなるまいかと思っております。
  120. 岡三郎

    ○岡三郎君 時間がきましたので、せっかく藤技総務長官が来ておるので、これは質問というよりも善処をしてもらいたい問題ですが、今言ったような初任給の問題ですね、それから給与体系の問題、最近において今淺井さんから言明されたように、暫定手当の矛盾を解消するための勧告が出される、そういうふうなことで、さしあたって予算措置という問題が俎上に上ってくるわけです。ですから、それを含めて、さらに暫定手当の矛盾解消の抜本的な本俸繰り入れの問題、こういった問題についても内閣として一つ検討願いたいと、こういう考え方、予算措置の善処を願いたいとともに、そういう方面の一つ御考慮を要請して、私の質問を終わります。
  121. 藤枝泉介

    政府委員(藤枝泉介君) 第一に、暫定手当につきましては、当面今人事院の総裁が言明されたような勧告が出ますれば、それの実現には早急に取りかかりたいと存じております。  それからかねがね国会側で御希望、御要望のありまする暫定手当の本俸繰り入れにつきましては、人事院の調査研究を待ちまして、なお人事院とも十分連絡をいたしまして、その早急な実現に努力をいたして参りたいと思います。  それから初任給の問題につきましては、先ほど来の御趣旨の点は十分考慮に入れまして、人事院の調査研究と相待ちまして、実情に即した、しかも公務員の給与体系としてあるべき姿を研究して参りたいと存ずる次第でございます。なお当面、例の初任給調整手当につきましては、各省の御希望もございますので、実は御提案申し上げました一般職の給与に関する法律の改正につきましても、多少当初人事院が考えられておられましたよりも字句の調整をいたしまして、範囲が広くなりまするような考慮もいたしております。この点はなお各省の御希望等も十分人事院に伝えて善処を願いたいと考えておる次第でございます。
  122. 岡三郎

    ○岡三郎君 時間が参りましたので、私の質問はこれで終わります。
  123. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 他に御質問の方ございませんか。――他に御発言がなければ、本件に関する質疑はこの程度といたします。   ―――――――――――――
  124. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 次に、僻地教育に関する特別措置につきまして調査を進めます。質疑の通告がございますので発言を許します。
  125. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 僻地手当につきましては昨年度改正されまして、かなり何と申しますかよくなったといえると思います。しかし、実際におきましてはまだまだ取り残されておるといいますか、その現地の条件から照らし合わせますと、非常に状況が悪いところがあると思うのです。そこでまず、大臣に最初に基本的な態度としてお尋ねいたしたいのは、前回委員会でも簡単に意見を出しましたように、僻地に勤務しておる教員数がかなり多いということ、それから御承知のように、僻地の実態は単に僻地手当が多少出されても必ずしもそれで万事が解決したというべきでなくして、数年間僻地におるために研修の問題とか、住宅の問題とか幾多の問題が残っておると思う。こういった教職員の待遇、施設の問題と同時に、僻地のある市町村におきましては原則として地方自治体の力が弱いと思うのです。こういうところにつきましてはへき地教育振興法に基づきまして、僻地集会室の設備等、いろいろ努力していただいておりますけれども、たえば前回視察に参りました山形県の田麦俣分校ですか、これのごときももう十月ごろからぼつぼつ交通困難になり、約年間の半分近い日数が学校に通うことができなくなる。それなのに宿舎の設備もない。従って子供はどうしても自動的に自宅で勉強するか、あるいは特別天気のよいとき以外には学校に行けない、こういう状況があると思う。そこで大臣に基本的に二点お尋ねしたいのは、現行の僻地に対する特別法の範囲を越えて、もっと教員に対する研修あるいは住宅、ないしは手当等、これを再検討して増額していただきたいと思うのですが、これがどうかということと、施設に関して文部省から資料が出されておりますけれども、まだこれではかなり年数がかからないと解決できないし、それでもまだ不十分なところがあると思いますけれども、この際に施設の面につきましても国庫補助の面を別途配慮していただきたいと思うのですが、こまかな数字は別にして、基本的な態度として大臣の御見解を承りたいと思います。
  126. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) お説賛成でございます。先日新聞を見ていましたら、今お話の中に出てきていました僻地教育に従事している教職員には住宅もなくて難渋しておるのだという、僻地教育に従事している先生に住宅を、というような投書が出ているのを見まして、なるほど大へんだなとも思いましたし、先日はからずもテレビを見ておりましたら、根雪が降る前に分校に移住している状況が出ておりまして、私自身実は僻地のある地域に住んでいないものですから、現実に僻地教育のむずかしさというものを知りませんので実感をもってはわかりませんが、そういう断片的なことを見聞しましても、これは大へんなことだ、ずいぶん御苦労願っているのだなあということがわかったような気がいたします。ですから、今お話のような努力をする気持は十分ございますけれども、現行制度のもとに、はたしてお話のようなことができるかどうかという具体的なことはちょっと申し上げかねますのでお許しいただきますが、考え方としては僻地教育のむずかしさ、困難さ、そういう立場におられる先生方の立場に立ってものを考えなければ申しわけないような気がいたします。気持だけを申し上げまして御勘弁を願いたいと思います。
  127. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 資料によりますと、まず第三項目に教員の資質向上のために研修旅費の増額ということが出ております。これにつきまして係の方の方に従来僻地の研修旅費というのは僻地以外の地域に比べて何%くらい増額されておったかというのと、明年度の義務教育国庫負担金の中でその増額をはかりたいというのは、現在要求してある予算の中ではどの程度ふえているか御答弁願いたいと思います。
  128. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 教員の旅費につきましては従来から大体実績負担でございますが、実績の二分の一を負担するという建前をとっております。で、今までのところ大体四千円くらいでございます。ところが、最近教育課程の研修等の関係で旅費も増額をいたしておりますので、実績を調査いたしまして増額をはかって参りたい。目標といたしましては大体六千円くらいを予定しておるわけでございます。この場合に具体的に今度予算の配分にあたりまして、都市部と僻地との関連がございますので、実情に適するように各府県が配分するのが適当と考えております。
  129. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私がお聞きしたのは、一般の教員の研修旅費の増額の問題でなくして、少なくとも僻地におきましては御承知のような実態ですから、その配当額が多くなるべきだと思うし、できれば僻地の研修旅費というのは別個に支出してもらいたいという考え方を持っておるのですが、その点がどうなっておるかということなのです。
  130. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これはただいま申しましたように、旅費は一般的に実績の二分の一負担の原則でございますので、予算の組み方といたしましては僻地と分けておりません。ただ、各府県が配当する場合に僻地は距離も遠いのでございますからよけいに配当しなければならぬ、また事実しているはずでございますが、実績を見て適切に処理したいと考えております。
  131. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あなたは詳しいのだから私、質問を非常に簡略にしたのですがね、旅費は実績の半分を持つというのはよくわかるのですよ。だから、現行制度ではその通りですね、最初から。それを僻地に対して、あるいは現行制度を越えて配慮していただきたいというのが十月三十日の私の委員会報告の趣旨ですよ。それに基づいた具体的な答弁をしてくれというのが当時の要求なんですよ。それから実績の半分はやっておりますから、六千円になりましたら三千円出しますというような答弁じゃなくて、現行法ではその通りになるけれども、僻地として別個に僻地の実態から出す意思があるかないかということを聞いているのです。
  132. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これはたびたび申しましたように各府県の問題なんです。各府県が僻地校に対しては旅費を一律均等配分すべきじゃなくて、現実にもよけいに配当しているわけです。ですから、総額としてその府県の旅費に支障のないようにするのが建前でございますので、文部省予算を編成する場合には僻地と一般のものとを分けない、込みで要求しておりますが、実際のこれは配当の問題になろうかと思います。
  133. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうするとへき地教育振興法のどこかに追加して、僻地における教員の研修旅費は別途に支給するとか、僻地手当のように。そういう意図がないと判断してよろしいですね。
  134. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようでございます。
  135. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。それでは結局ここに僻地の教員の資質向上のために旅費なんかを増額するといっても実質的には増額にならないということでしょう。これはもう内藤さんよく御存じのように、六千円といったっても一人確実に六千円旅費にいくわけじゃないでしょう。これは平均が六千円になるということですね。僻地は六千円以上にならなければならないことなんでしょうね、文部省の意図としては。ところが、六千円になるかというと、そういかないと思う。たとえば特に分教場みたいなところの教員の旅費というものは、本校の校長とか教頭とかいうものの旅費が多分に取られるとこれは平均六千円よりも僻地であってもはるかに下回るというのが実績です。だから僻地の教員が一人六千円なら六千円を下らないのこと、あるいは六千円平均というもの何%を増すというものを基準とするという行政指導でも相当強烈にやらなければ、これは絵にかいたもちで、やはり現状の僻地の教員ほど旅費がかえってあてがい扶持で少ないという問題点を解消することにはならないと思う。これはもっと極端に言うと、全体の教員の旅費を各府県の出先心教育出張所といったようなところでピンはねして寄付するような形で幾らかづつ取って、これは役人の旅費にしているというようなところもございます。今度、学校になりますと、校長、教頭とか、そういうものに旅費が多分に取られますから、今度は分教場、先ほど申しましたように、かりに僻地であっても一人、平均というのは非常に少ない。ですから、一番研修させたいところの教員には研修旅費は平均六千円なんかというものはとてもいかないというのが現状なんです。この問題を行政的に解決しなければ、豊瀬委員の今御指摘したような問題は解決できないと思いますが、まあ文部省はよく御存じのはずなんですから、僻地の教員の旅費がもう少しはっきりとワクをつけてやらなければ問題の解決ができないと思いますが、この点はいかがですか。
  136. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 結局これは各府県予算の配当の問題で、どこの県でも距離で大体配当しているのです。距離と学校割りとで配当しているわけでございます。ですから、その場合に、距離の割合が十分考慮されていないというあるいは御非難が私はあろうかと思います。しかし、文部省が大蔵省に予算要求する場合に、各校別に要求するのじゃなくて、教員の一人出たりの実績に基づいて要求する。その中でできるだけ僻地の実情を考慮して、僻地の教員が研修に支障のないううな配当をするようにという文部省はもちろん指示しております。ですから、この指示に基づいて的確に配当ボ行なわれまするならば御心配の関係はなかろうかと思っております。
  137. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは心配の点がありますから結局豊瀬委員の御質問になると思うのですよ。今の旅費規程なんかというものは非常に形式的には合理的ですけれども、実際的には不合理でしょう。たとえば山があって山越えしなければ実際は行けないような位置でも、地図の上で一番学校に至近距離の位置を押えてそこから旅費を計算するでしょう。分教場、僻地なんというものは実際にはもらった旅費だけでは二回分もらわなければ出張できないというのが実際ですから、これをやはり分教湯でも、僻地でも確実に研修に行けるような、実際をまかなえるような旅費の配分というものをどうすればできるかということを指導してもらわなければこれはだめです。そういうふうに各県やっておりませんよ。個々六千円という形にはとても旅費はいきません。
  138. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 個々六千円という配当はどこの県もしておりません。ですから、割当の場合に、たとえば研修があればこの研修に何ぼ配当するとか、あるいは学校割りで幾ら配当するとか、あるいは地域を考慮して配当する。できるだけ各府県実情に沿うような配当をしておるのです。各校別に距離を算定して文部省が一律にやるというような式は今とっておりませんので、全体の中で実情に合うように配当するように文部省も指導しているわけです。
  139. 加瀬完

    ○加瀬完君 だから、わかるのですよ。それは僻地には僻地のワクをはめて指導しなければ、ここの御説明のような趣旨にはいきっこない。こういうことを私たち言っている。その配慮がちょっと文部省においては薄いように思われますので、僻地教育振興ならば僻地教育を振興するように旅費が確実に配当されるような方法を講じてもらいたいというのが先ほどの私どもの主張なんですよ。
  140. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御期待に沿うようにいたします。
  141. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) ちょっと待って下さい。文部大臣二時までの約束で来てもらっているのですが、できたら文部大臣を先に済まして……。
  142. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 時間の関係がありますので、僻地の問題は一応抜きにして、午前中質問しました教員養成大学並びに学部の連行問題について大臣の見解をお聞きしておきたいと思うのです。御承知のように、昭和二十四年度新制国立教員養成大学設置されまして、その際にやはり一県一大学といいますか、これが望ましいという基本方針でしたけれども、当時の財政事情あるいは教員の需給状態から数校分校設置されたことがあると思います。文部省のその後の資料によりましても、やはり現段階では当時の財政事情も緩和してきたし、教員需給状況も御承知のように、ある年は学大卒業生がかなり余るという状況、それから一般大学からの教員志望者もかなり出てきております。こういう状況の中で現在六県にわたる分校設置されておって、しかも、その分校設置のために設備費あるいは施設費等がそれに応じて多額に組まれないために一定のワクを分散して配当するという関係から施設の劣悪、それから、さらに教授構成も非常に悪いという状況で、いわゆる教員養成の機関としての機能が低下しておるという現状があると思う。もちろん地元事情も無視して、これをいきなり全部統合するということはいろいろ問題があると思いますけれども、現在の統合、分離ないしは独立問題をめぐって展開されている運動、必ずしも教育的に好ましくないと思うのです。従って早急にこれらの六県の分校を保有しておる養成機関に対して調査を行なっていただいて、基本線であるところの教育的な立場に立って、一大学統合し、施設の充実、教員構成の充実に必要な教員養成機関としての充実ができるようにはかっていただきたいと思うのですが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  143. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 余談を申して恐縮ですが、私、実は地元関係者から要請されまして、福岡の問題で文部省に陳情に出かけたことがあるわけですが、当時はまさにお話通り教員養成大学原則として一県一校というふうな方針であったように当時聞いておったのですが、今日でもおそらくその考え方には変更はなかろうと思っておりますが、事務当局にその一点だけについて特に究明して聞いたことございませんので、はなはだ申しわけないのですけれども。しかし、一方においてすでに御指摘のごとく地元事情等もそれぞれございまして、実際問題とすると、これはうるさいことだと思って、これまた頭痛の種の一つでございますが、しかし、目的はあくまでいい学校を作って、その大学設置目的が十分果たせるようにどうすればいいかということを考えればいいかと心得ますが、そんなふうな考え方のもとに、なるべくすみやかに、本来の教員養成大学というものはいかにあるべきか、かつて一県一校であった考え方そのままで今後もいって支障ないかどうかというふうな角度から十分検討いたしまして、なるべく早く数年来の懸案もたくさんあるようでございますから、解決がつきますように努力したいと思っているところでございます。
  144. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 もう一つだけ。大体基本的の態度というものはよくわかりましたが、当面私どもが九月の視察報告にも書いておりますように、新潟大学は明治四十三年ですか、校舎建築が行なわれて、いわゆる危険校舎という域を越えて、廊下なんかもいつくすれ落ちるかわからないというような、通行禁止の個所も数カ所あって、これは午前中の学術局長の答弁でも教育施設として使用不可能という現状に陥っていると思うのです。この点につきましても、いろいろの陳情が出ておると思いますので、早急に御検討いただきまして、一日も早く新潟大学教育学部教員養成機関としての機能が果たせるように、建築の問題についても御努力をお願いしたいと思うのです。
  145. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 努力をいたします。
  146. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私が言っている趣旨はもう十分わかると思いますが、現行の法律制度の中では、御指摘のように、都道府県が独自の条例を作るか、あるいはしかるべき措置をして、僻地の教員に特別の研修費を出すとか、あるいは旅費を、別個の条例の中で、一般には四千円だけれども、僻地の場合六千円という給与条例を作って、それに自動的に本省が半額負担をするという形が現行法では望ましいと思うのです。しかし、御承知のように、全国には僻地を多数持っているところと僻地のないところがあるし、また今の地方自治体の力ではそこまでいきかねると思うのです。私が聞いておるのは現行法のへき地教育振興法、その他の給与関係諸法規、こういうものを一応抜きにして、僻地の教員の待遇ということであれば、一つは宿舎の問題、一つは僻地手当、この僻地手当を増額していただくか、それがいろんな立場で困難とすれば、いわゆる教員の研修費というのを振興法の中で別個に設置してもらいたい、こういう考え方なんです。それで僻地手出の増額かあるいは研修費の支給か、いずれでもいいと思うのです。というのは、僻地の人たちには局長十分御承知のように、現在の僻地手当は、これはいわゆる本俸とは別ですね。従ってほかのところにいくと、これは当然のこととして切り落とされている。これを恩給計算の基礎にしてもらいたいという意向もあるわけですね。こういった個々の要望は別にして、僻地教員の今の窮状を救うためには、昨年できた僻地手当を大幅に増額するということは困難であるとすれば、へき地教育振興法の一部修正等の措置によって、教員の研修費ないしは研修旅費というものを支給するようなことが考えられないかというのが私の趣旨なんです。
  147. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 僻地手当につきましては、昭和三十四年度の改正によりまして、お手元にあげた資料によって大幅に増額されて、実は三倍以上に伸びておると思います。支給の人員もそうですし、金額の方は三倍以上に伸びる。ですから、手当をこれ以上出すすことは実は非常に困難かと思っております。  そこで御指摘の研修旅費の問題ですが、これはあくまでも実費弁償の建前でございまして、給与ではございません。従って僻地の教員が研修に支障のないような旅費をいただくことが必要かと思うのです。各府県の場合に一般は四千円で僻地は六千円、こういうようなきめ方はいたしておりませんで、それぞれ地域実情によって配当をしているわけでございます。ですから、今の給与の負担法では実績の二分の一を負担するという制度になっておりますので、制度自体は私けっこうではないかと思うんです。ただ、御指摘のように、配分にあたって僻地をできるだけ優遇するという気持の問題になってくるのではなかろうか。旅費の総額が実は少ない点も私はあろうと思うんです。総額を上げながら、同時に配分にあたっては僻地に最優先を置くように権道をして参りたいと考えております。このことによって豊瀬先生の御希望は満たされるのではなかろうかと考えております。
  148. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 お急ぎのようですから、研修費の問題は、もっと深いことは次回に譲るとして、四項の二ですね。教員宿舎について、かなりいろいろなところに宿舎の設備ができまして助かっているようですが、資料によりますと、「なお、今後の応急所要戸数は二千四百四十四戸でこれに要する国庫補助所要額は約四億三千万円と見込まれる。」、この次にこう何か一行ばかり落ちているんじゃないですか。見込まれるから早急に予算を組んで、これを実現したいと思っているというのがどうも落ちているような気がするんですが、いかがですか。
  149. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようでございます。
  150. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 御名答ですが、御名答も少し聞きたいんですが、四億三千万円を大体いつごろまでに消化していただく予定ですか。
  151. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは実は管理局の方の所管でございますので、私の方は便宜一括いたしましたので遠慮したわけでございますが、いずれ管理局長からお答えした方が適正かと存じます。
  152. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 局長じゃなくて、どなたか来ておりませんか。――それでは設備の問題ですが、この一点で終わります。施設整備という中の一つですね。四項の……。三十六年度から三十八年度国席補助実施予定坪数三・五万坪それにまだ不足坪数は二十六万坪となっている。これは現行五カ年計画、三十八年度までの計画が終了した後に二十六万坪をこれから手がけていく、こういうふうな資料なんでしょう。
  153. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これ実は管理局所管のものでございますので、あとで一括お願いを申し上げたいと思います。
  154. 加瀬完

    ○加瀬完君 この補助というのは、やはり二分の一地元といいますか、地方公共団体の負担ということになるんですか。
  155. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 施設関係でございますか。――二分の一補助地元負担でございます。
  156. 加瀬完

    ○加瀬完君 僻地の学校を持っている町村というのは、市は別としても、なかなか自己財源というのはないんですね。従って、二分の一は地元負担ということになりますとね、補助だけありましてもなかなか困難なんですね。これを千編一律に二分の一負担という地元負担を伴わなければ国の補助を出さないというやり方は、僻地なんかの場合はやはり考えを改めてもらわなければだめじゃないかと思うんです。希望を申し上げまして、これは所管は管理局だそうですから、管理局長にまたあとで伺います。
  157. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 これは局長の所管の問題だと思うんですが、先ほど淺井総裁その他が答えておりました暫定手当是正の問題ですね。何か話によりますと、義務教育関係二万一千人の是正、二億四千万ですか、これを要求してあるというように聞いているんですが、ちょっと説明願いたいと思います。
  158. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようでございます。同一市町村内の職員については同じ暫定手当にするという考え方のもとに二億数千万円要求しておるわけでございます。
  159. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 その中で、無級地のものが一級上がる該当者がどのくらいおりましょうか。
  160. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ちょっと、ここで今資料がございませんが、この次の機会に資料をお持ちしてお答えいたします。
  161. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 原則として淺井総裁が答えたように、完全に同じ町村内における現存もらっておる暫定手当ですか、これをまた一気に全部引き上げるということじゃなくて、前段に淺井総裁が答えたような趣旨に基づいての予算要求ですか。
  162. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この要求は淺井人事院総裁のと多少違うかと思いますが、同一市町村内は全部一緒に最高級に上げる考え方でございます。
  163. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 非常に御承知のように、この地域給の暫定手当の差というのが人事暴動その他に支障を来たしておることは御承知通りでございますので、ぜひただいまの趣旨で予算が実現しますように御努力お願いしたいと思います。
  164. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 他に御質疑の方はございませんか。――他に御質疑もなければ、本件に関する調査はこの程度といたします。これにて散会いたします。    午後二時三十一分散会