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1960-12-16 第37回国会 衆議院 文教委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十二月十六日(金曜日)     午後一時五十五分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 臼井 荘一君 理事 坂田 道太君    理事 竹下  登君 理事 中村庸一郎君    理事 米田 吉盛君 理事 栗原 俊夫君    理事 西村 力弥君 理事 長谷川 保君       伊藤 郷一君    田川 誠一君       千葉 三郎君    花村 四郎君       松山千惠子君    八木 徹雄君       高津 正道君    楢崎弥之助君       三木 喜夫君    村山 喜一君       山崎 始男君    湯山  勇君  出席国務大臣         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君  出席政府委員         文部政務次官  纐纈 彌三君         文部事務官         (管理局長)  福田  繁君  委員外出席者         専  門  員 石井つとむ君     ————————————— 十二月十六日  委員原彪辞任につき、その補欠として湯山勇  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員湯山勇辞任につき、その補欠とて原彪君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公立中学校校舎新築等に要する経費につ  いての国の負担に関する臨時措置法案内閣提  出第一九号)  学校教育に関する件      ————◇—————
  2. 坂田道太

    坂田(道)委員長代理 これより会議を開きます。  濱野委員長が都合により少しおくれるとのことですので、本日、委員長がお見えになります間、委員長指名により、私が委員長の職務を行なうことになりましたので、何分よろしくお願いいたします。  それでは、公立中学校校舎新築等に要する経費についての国の負担に関する臨時措置法案を議題とし、審査を進めます。  質疑に入ります。質疑の通告があります。順次これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山委員 監理局長お尋ねをいたしますが、公立中学校校舎整備費四十億余につきまして、これは地方負担がやはり二分の一ほどでありますから、一般財源として四十億程度のものが必要になるだろうと思います。これは地方財政計画の中で一応見られていると考えるわけでございますけれども、そういうような補助事業、それから、これ以外に単独事業としてなしているものがどの程度計画されているのか、さらにまた、昭和三十六年度において施行しなければならないとするものの本年度繰り上げ施行の分は何%を占めておるのか、その具体的、基礎的な数字がありましたら、それをお示し願いたい。
  4. 福田繁

    福田政府委員 ただいまの御質問起債の問題でございますが、御承知のように、五カ年計画に基づきまして公立中学校校舎整備をいたすにつきましては、当初から大体全体の事業を、補助事業が七〇%、単独事業が三〇%というような七、三の割合でもって計画がきめられております。従って、七〇%の補助事業の分につきましては国庫負担金が二分の一でございますので、その残りの二分の一の分につきましては当然補助に見合う起債措置をされておるわけでございます。単独事業の分につきましては、その三〇%に伴います財源措置としては当然起債で見る、こういう建前になっておりますが、今回の補正予算に見合います校舎整備につきましては、従来の例と同じに補助事業につきましては二分の一の分に対して充当率は八〇%、単独事業につきましても充当率はり八〇%、こういうことで、これは自治省の方に財源措置をお願いしておるわけでございますが、これも決定いたしております。昭和三十六年の不足教室を一部繰り上げて三十五年の補正整備をするという計画といたしましては、大体三十六年に不足する教室の七〇%を補正予算で繰り上げていく、こういう積算になっておるのであります。
  5. 村山喜一

    村山委員 地方債一般会計分として義務教育費施設整備事業の五十六億というものがありますが、その中身は、いわゆる補助事業単独事業との合算額というのが起債対象になるわけですね。そういたしますと、今ちょっと聞き漏らしたのですが、単独分として幾ら計上されておるのですか。
  6. 福田繁

    福田政府委員 ただいま御指摘になりましたように、起債の分として総額五十六億でございます。その中で、単独事業の分といたしまして二十六億、その残りの分が補助に見合う分でございます。
  7. 村山喜一

    村山委員 それらの財源的な措置についてはわかりましたが、三十六年度分を本年度繰り上げて施行する分が七〇%で、それに来年度施行しなければならないのが三〇%残っているわけでございますが、それが完成をされた暁においては中学校の不正常授業というものは完全に解消されてくる計画になっているものなのか、さらにお伺いいたします。
  8. 福田繁

    福田政府委員 これは、御承知のように、昭和三十四年度から五カ年計画を設定いたしまして、その計画に基づいて逐年校舎整備をやってきているわけでございます。従いまして、この生徒数の増に応じた校舎整備というものを計画としては続けてきておりますので、五カ年計画の終わりますときにおきましては、いわゆる三十七年の五月の生徒数基準にいたしておりますので、生徒の最もふえますときの普通教室不足はこの五カ年計画の完了によって解消するものと考えております。
  9. 村山喜一

    村山委員 大臣がお見えでございますので、大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、今回昭和三十五年度分の地方交付税特例に関する法律案が提案をされておりますが、その第二条によりまして、三百六十億の交付税のうち二百四十億をこえる分については三十六年度分に加算して交付するようになっているようでございます。これにつきましては、当然交付されなければならない交付税が二百四十億円でとどめられて、残りを翌年度に交付するということになって参りますると、やはり、地方財政といたしましては、行政水準の向上をはからなければならない幾多の問題点をかかえておりますし、文部省の方の地方教育費調査報告書を見てみましても、父兄負担解消という問題が、実情といたしましては漸次増高方向をたどっているようでございますが、そういうような面に対するところ父兄負担解消という問題等はできないような状況に相なるのではないかと考えられるわけでございますが、こういうような教育費総額の中に占めますところ寄付金なりあるいは学校徴収金の減額という方向考えた際において、この地方交付税特例に関する法律案に対しまして大臣がどのようなお考え方をお持ちになっているのか、お伺いいたします。
  10. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 ちょっと具体的にお答え申し上げなければならないと思いますので、政府委員の方からお答えいたすことをお許しいただきたい。
  11. 福田繁

    福田政府委員 ただいまお尋ねになりました地方交付税特例に関する問題でございますが、これは、私聞いておりますのは、今回のベース・アップに伴います財源措置として、そういう交付税特例に関する法律案自治省から出されたように伺っております。今御指摘のような一般学校経費に対する単位費用引き上げ等につきましては、これは相当根本的な問題でございますので、いろいろ自治省等におきましても検討をいたしておるような状況を聞いております。文部省といたしましても、たとえば高等学校単位費用引き上げ等の問題も将来の問題として自治省と協力して検討中でございます。
  12. 村山喜一

    村山委員 学校教育費単位費用引き上げ等について検討中というお言葉でございますが、やはり起債充当額が八〇%ということで、従来程度確保されているわけでございますけれども、あとの二〇%は地方自治体における一般財源の中において充当されるべきものであり、しかもそれらのものがややともすれば父兄の寄付行為に求められていくという傾向があるわけでございます。従いまして、そういうような点から考えたときに、今回の交付税の額は給与改善費二百四十億を交付するだけであるということは、これは交付税法建前から言いまして非常におかしな格好になっていると思うのであります。しかも、その三百六十億当然交付しなければならないのを、わざと百二十億はとどめておいて昭和三十六年度に交付する、こういうような中においては、当然国あるいは地方公共団体で持たなければならないところ財源がいつまでも父兄の手にしわ寄せをされてくるというような方向において、解決をされないと思うのでございます。けさほどの新聞にも出ておりましたように、東京都の例が出ておりましたが、だんだん年を追うごとに父兄負担は多くなっていく、こういうような実情も出されておるようでございますので、従いまして、単位費用引き上げ等について、当然公費でまかなわれなければならないものはまかなうことができるような方向検討をされているとは思うのでありますが、そういうようなのがどの程度監理局の方において検討されているのか、さらにお尋ねをいたしたいと思います。
  13. 福田繁

    福田政府委員 実はこの問題は文部省におきましては初等中等局財務課が扱っておる問題でございます。従って、その単位費用改定等に関しましては十分連絡をとりながらやっておる次第でございますが、まだ具体的には成案を得ておりませんので、目下のところは申し上げる内容を持っておりません。
  14. 坂田道太

    坂田(道)委員長代理 湯山勇君。
  15. 湯山勇

    湯山委員 この法律の中で趣旨としてうたわれておることは、不正常授業解消ということでございます。不正常授業解消ということになれば、当然学級編制ということが重要な要素になってくると思います。ただ単に坪数だけでは、どういう校舎をどういうふうに建てるかということが計画できないわけですから、そこで、これと関連して、一体文部省学級編制基準をどういうふうに考えておられるのか、その点をまず伺いたいと思います。
  16. 福田繁

    福田政府委員 学級編制の問題でございますが、これは直接には初等中等局の方の問題でございますけれども、いわゆる学級定員適正化と申しますか、そういう見地から、施設の面といたしましては、その学級定員正常化をはかる計画と大体歩調を合わせまして従来進んでおるわけでございます。五カ年計画の設定当時におきます考えは、五カ年計画が完了いたします昭和三十八年におきましては中学校の一学級正常定員は五十人になる、三十七年までの整備が終われば三十八年においては五十人に見込んで施設整備をはかる、こういう計画を立てておるのでございます。
  17. 湯山勇

    湯山委員 当初、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律が三十三年に成立したときには、文部省説明に、小学校すし詰め解消は大体三カ年計画でやる、中学校の場合は五カ年計画でやるということをはっきり委員会でも申しておりましたし、説明の中にもそういうことがあったと思います。そういたしますと、大体小学校の場合は法律にあるように今年度においてはもうすでに一学級五十名になっていなければならないし、中学の場合も、今局長の御答弁にありましたように三十八年度が五十名というのではなくて、実際は三十七年度から五十名になるんじゃないかというように考えますが、その点と、それから、来年度、三十六年度学級編制基準はどういうふうにお考えになっておられるのか。
  18. 福田繁

    福田政府委員 これは、ただいま申し上げましたように、当初から、中学校につきましては三十八年一学級五十人という目標で進めておるわけでございます。来年の学級定員でございますが、これは一応二十六年度は五十四人ということで進めておる次第でございます。
  19. 湯山勇

    湯山委員 三十六年度五十四名とおっしゃいましたが、中学校の場合、今年度は何名でしたか、それから昨年度は何名でしたか。
  20. 福田繁

    福田政府委員 今年度は五十四名でございます。昨年度は五十六名だったと思いますが、これは、ちょっと調べまして、もし間違っておれば訂正いたします。
  21. 湯山勇

    湯山委員 この今出されておる法律もそうなのですけれども、とにかく、平たい言葉で言えば、すし詰め解消、こういうことが趣旨になって出された法律である。その裏づけとして今の施設に対する国庫負担ということがなされたわけですけれども、こういうふうに中学生徒がふえてくるというようなことは、これは急に子供の数がふえるということはないわけで、当初施設に対する国庫負担法ができた当時からそういうことはわかっておったことですし、それから、すし詰め解消法律ができたときにも、もうすでにそういうことはわかっておったことだろうと思うのです。それによって三カ年計画なり五カ年計画なりが立てられたわけですから、この法律が悪いというのじゃありませんけれども、こういう法律をもっと早く出して、そうして、今年度学級編制基準が五十四名、来年度もまた同じように五十四名では、これは当初法律を作ったときの趣旨が非常に尊重されていないということになると思いますので、一体そういう責任はどこにあるか、そういう問題ですから、一つ文部大臣からお答えいただきたいと思います。
  22. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 率直に申し上げまして、政府努力不足である、文部省努力不足であると言えると思います。そういう意味では恐縮ではありますが、せめて御了解いただきたいことは、当然のことではございますけれども、今度の補正予算及び三十六年度予算と一緒にいたしまして、少なくとも中学については三十七年学年初頭には一応青空教室なんということはないように、すし詰め状態も極力緩和する状態に前向きに考えたということをせめてお考えいただいて、ごかんべんいただきたいと思います。繰り返し申し上げます。今までの法律建前通りやっていけなかったということは、政府として努力不足国民におわびせんならぬと思います。今後もっと努力いたしまして、御期待に沿いたいと思っております。
  23. 湯山勇

    湯山委員 大臣からそういう御言明があれば、それは私ども率直に承る以外にないと思います。ただ、ここで重要な問題は、今急にこういう措置をおとりになりましても、実際は末端の中学校はさて今どう間に合わせていくかということが問題なんです。将来五十名で学級編制するという法律建前通りいくとすれば、教室の数が、このまま今の五十四名で来年度いくというのと、将来五十名になるというのでは、設計などが変わってくるわけです。そこで、そういうことを見通していくと、大臣はそういう御熱意を持っているかと思いますけれども、文部省の今おっしゃったような態度から見ますと、三十八年度から五十名ということも非常に危惧の念を抱きます。というのは、実際、小学校は三年で五十名以下にする、中学は五年以内でやると言っておったのが、すでに最初の年に足踏みし、さらにことし来年と足踏みするというような局長の今御言明です。しかし、まだ来年度予算は終わってないわけですから、来年度も五十四名でやることは、私はどうしても納得できない。予算がほんとうにきまったというわけではありませんし、せっかく法律施設についてこういう臨時措置法をお考えになるのであれば、学級編制基準の方は政令でやれることでありますから、これは、五十四名というのは、今年度通りのことをおやりになるのではなくて、せめて五十三名にするか五十二名にするか、将来こうなるのだということが見えるようなことをおやりにならなければ、五十四名で間に合うような建築をやって、今度はまた五十名になった暁にはいろいろやり直しをしなければならない、手直しをしなければならない、こういうことになると思います。そこで、この際まだ予算もきまらない段階ですから、局長の方が事務的に来年度も今年通り五十四名ということの心づもりをお話しになりましたけれども、大臣としては、そうじゃなくて、五十三名なり五十二名なり、ここでとにかくそういう方向へ進んでいくということを見せていただきたいと思うのですが、大臣のお考えを承りたいと思います。
  24. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 大体、中学につきましては、三十七年度最後ピークを迎えまして、そのための施設を今申し上げました通り整備いたしますれば、三十八年からは御承知通り中学生が徐々に減少して参ります。そうしますと、正確な数字的なことはちょっと今記憶しませんので申しかねますけれども、四十一年ごろになりますと、ずいぶん教室にもゆとりが出て参りまして、五十名はおろか、もっと四十名近くまでも学級編制を少数に切り下げ得るという見込みになっておるわけでございます。できますことならば急増の場合におきましても五十名ないしそれ以下におさめ得るような努力をすべきことは当然でございますけれども、ただ、一方、納税者たる国民立場ということからきますると、そこにおのずからある程度妥協せざるを得ないということが、今日まで五十名とすべきにかかわらずやり得なかった、内幕を申し上げればそういうこともあって、一種の妥協線で歩いてきておるかとも思いますけれども、しかし、建前からいけば、努力不足であったことはさっき申し上げた通りであります。ただ、急増ピークに応じ得ることを目標にさしむき整備しますれば、それ以後はだんだんと理想状態に近づいていける。偶然な結果みたいなことではありますけれども、ともかくピークに一応五十名ときちんとはいきませんけれども、極力整備をするという結果が幾らかでも国民立場からの御期待にこたえ得るのじゃないか、かような考え方でただいまおるわけでございます。
  25. 湯山勇

    湯山委員 大臣の言われることは一応わからないことはないのですけれども、やはり大臣ももう少し実情をごらんいただきたいと思うのは、現在でも、講堂を仕切って授業しておるとか、いろいろ工夫してやっておるところがたくさんあるわけです。そして、この法律によって特に予算支出が行なわれたとしても、それで現在望んでおるもののすべてが満足されるという状態でないことはおわかりの通りです。そういうことがある反面、学校によっては、都市などはそういう大臣の言われたような現象が大きいかと思いますけれども、地方では、余裕があって、定数基準をたとえば五十三名にしてもらえば、それで十分収容できるところもあるわけです。     〔坂田(道)委員長代理退席委員長着席〕 そうだとすれば、大体建前は五十三名なり五十二名に減らしていって、そうしてやむを得ないところは暫定的に五十四名を認めるというような行き方の方が、これは父兄負担ということもおありになるかとも思いますけれども、それよりも何よりも、父兄が望んでいたことは、あの法律ができたときに、すし詰め解消がそれによってできるだ、それに対する期待の方が大きかったと思う。そうだとすれば、今のような、施設がこうだからというのですし詰め解消を足踏みさせるのではなくて、逆に——施設の劣っておるところ、間に合わないところはやむを得ないから足踏みしても仕方ないとしても、本筋としては、定数基準は一ぺんに四名も減すということはなかなかできないことで、三十七年度までふえていって、三十八年から四名減すということは不可能ですから、今からでも一名減していって、五十三名、五十二名、五十一名といって、そうして最後は五十名という法律通りということが私は正しいと思うのです。それはできないことじゃないと思うのです。法律でなくて政令でできることですから。そこで、そういう措置をおとりになっていただかなければ、せっかくこういう親心のある法律をお出しになりましても、この法律も生きてこないし、これでやったことがかえってあとでまた手直しをしなければならないというようなことになったのでは困るではないかということを申し上げておるわけであります。もう予算は大詰めへ来ておると思いますけれども、大臣の御努力で、ぜひ定数基準の方を、今局長の言われたように、ことしもそれから来年も五十四名だというようなことではなくて、この点についての前進をはかっていく、これが私は実際に親たち国民希望だと思いますので、その努力を一つ願いたいと思うのですが、いかがでしょうか、大臣
  26. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 御説は私もことごとく同感でございます。微力を尽くしていきたいと思います。なお、この運用と申しますか、全国的な定数で今申し上げたように五十四名だあるいは五十六名だと申し上げますけれども、実際問題を聞いてみますると、御指摘通り市街地といなかとはだいぶん違うので、市街地では、急増対策で百坪充実したとするならば、だんだん人口が減ってくる場合にはがらんどになって、立ちぐされみたいになって、無用の施設の膨大なものが、しかも鉄筋コンクリートのものが残るというふうな醜態をさらけ出すと言ってもいいくらいの違いがあるやに聞いております。従いまして、成立さしていただいた予算使用配分につきましては、今おっしゃったような趣旨も含めて、変なことにならないように活用をはかりたいということを今相談もいたしております。将来に向かってもそういう考慮を払いつつ、お示しのような方向をとりたいと思います。努力をいたします。
  27. 湯山勇

    湯山委員 大臣から定数基準についてもなお努力をするという今のような御言明をいただきましたので、その点については、私は、ぜひ大臣のそういう御言明を実際に実現するように、なお重ねてお願い申し上げたいと思います。  それから、いま一つお尋ねしたいことは、学校統合によるものに対する補助の問題です。これは、たとえば今年度学校統合が行なわれて、そしてその学校統合に対する補助は、現在の場合は現在数に対する補助になっておると思います。その学校が三十七年度においてこれだけの生徒数になるという計画の下にさらに増築をしようという場合に、それはやはり本法によって補助対象になるかどうか。これは局長の方から一つお答え願いたいと思います。
  28. 福田繁

    福田政府委員 ただいまの御質問でございますが、これは、一般中学校普通教室と同様に、学校統合をすでに行ないました学校におきまして不正常の実態が将来起る、三十七年五月一日を押えまして起るという事態がありますれば、同様にこれは今回の法律によりましても対象になり得るのでありまして、予算的に申しますと、四十億の中に約四億円その分が入っておるわけでございます。
  29. 湯山勇

    湯山委員 大体わかったのですが、もうちょっと具体的にお聞きしたいと思います。二十五年度、今年度学校統合を行なって、現在の生徒数に応じた補助が今出ている。ところが、この法律が出たので、三十七年度になれば、こういう今のままでは不正常になってくるということで、計画変更をして増築するということを行なった場合にも、やはり補助対象になりますか。
  30. 福田繁

    福田政府委員 これは当然に補助対象として見られるわけでございます。
  31. 湯山勇

    湯山委員 終わります。
  32. 濱野清吾

  33. 西村力弥

    西村(力)委員 積雪地方、雪国ですが、今から予算が制定されましても、年度内工事に着手できないという、こういう場合にはどう措置されるか。
  34. 福田繁

    福田政府委員 積雪地方でございますが、これはいろいろ地方実情によりましても若干の違いがございます。各県の事情をいろいろ聞いてみますと、木造であれば年度内にできるというところも相当ございます。従って、鉄筋工事はあるいはできないかも存じませんが、木造校舎としてできるところは、なるべくその木造建築をやってもらう。どうしてもできないというところは、これはやむを得ませんので、三十六年度当初の予算でいく。こういうように、いろいろ建築計画自体を見きわめまして、個々の学校について御相談をいたしております。
  35. 西村力弥

    西村(力)委員 それから、この坪単価の算定について明年度はどういう考えを持っていられるか。現状のままでは、とうていこれは低きに過ぎて、実情に合わないじゃないかと思うんです。
  36. 福田繁

    福田政府委員 三十五年度補正予算におきましては、予算単価は、鉄筋におきまして五万六千二百円、木造におきまして二万七千二百円、こういうような単価になっておりますが、現実の問題といたしましては、中学校校舎建築いたします際に、木造校舎を建てるという希望が減ると言うと語弊がございますが、鉄筋の方がより希望が強いわけでございます。従って、現在の予算では、大体木造鉄筋鉄骨の比率が五〇%比率になっておるわけでございますが、文部省といたしましては、これを実情に合うように、鉄筋鉄骨の構造比率を引き上げまして、そうして実際の建築に即するように合わしていきたい、こういうような考え方で、その問題も含めて処理いたしたいと考えております。
  37. 西村力弥

    西村(力)委員 そうすると、言外に示されていることは、鉄筋単価は妥当である、こういうことであって、木造は引き上げを必要とする、こういう考え方に立っているように聞こえたのですが。
  38. 福田繁

    福田政府委員 地方でその単価の問題についていろいろ申しておりますけれども、私どもといたしましては、実行単価といたしまして、大体これは現在までの実績にかんがみましても行けるという考え方予算単価がきまっておるわけでございます。
  39. 西村力弥

    西村(力)委員 これは無理をしてそういうことをおっしゃっておるのじゃないかと思いますが、再度検討願って、もう少し実情に即したように善意の御努力を願いたい。関連はそれだけです。  次に監理局長に別の点でお尋ねをしますが、実は今度の給与改定の問題は内閣委員会で取り上げられておりますので、一応それは触れないことにしまして、文部省の外郭団体の職員の給与でありますが、この点お話をお聞きしましたが、その職員諸君が役員に対して交渉すると、給与関係の最後のきめ手は文部省にあるのだから、こういうことを言われておる。ところが、そういう要求というものは当然な要求であるという工合に、私がいただいた資料では考えられるわけなんです。その例を申し上げますと、学徒援護会が大学卒で初任給が九千二百円、私立学校振興会が八千七百円、それから、日本育英会というのが、これは試験をやった結果であるが、一万二千円、こういう工合になって、他の政府関係の特殊法人、さまざまありまするが、その職員の初任給に比較しまするとはなはだしい懸隔があるわけなんです。こういうままに放置しておくということは、これは監督者である文部省として当を得ないことではないか、こう思うわけなんでありまするが、一体、これは、近く給与法の改定がきまると当然改定しなければならぬけれども、その際に、これらの関係職員の給与について全体的な是正をするという工合に一つぜひやっていただかなければならぬじゃないか。他の、建設省あるいは科学技術庁とか、さまざまな外郭団体でやれることが、文部省の外郭団体だけやれないというのはおかしいじゃないか、これはぜひ一つそういう工合にやってもらわなければならぬと思うのですが、いかがでございましょうか。
  40. 福田繁

    福田政府委員 外郭団体の、何と申しますか、特殊法人の給与の問題につきましては、それぞれ主管部局と官房会計課で相談をする問題でございますが、ほかの方は存じませんが、文部省所管の特殊法人の職員の給与につきましては、国家公務員の給与に準じて取り扱われております。従って、文部省所管の特殊法人の給与につきましては、それぞれ懸隔はないものと考えております。今御指摘のありました初任給の問題でございますが、他の省の特殊法人は存じませんが、大体文部省所管の法人につきましては違いはないと存じます。ただ、若干の違いが生じておりますのは、採用の際におきます、大学卒に対しまして国家公務員に準ずるような試験をやって、それに対して合格した者につきましては、一万七百円でございましたか、一万円以上の初任給を給する、そうでない一般の職員につきましては、大学卒でありまして八千七百円程度の初任給を給する、こういうような建前になっておりますので、制度自体としては国家公務員に準じた扱いをいたしておりまして、初任給の改定は現在のところ問題になってないと思いますが、しかしながら、現実に働いております職員の中で給与について不合理があれば、これは当然検討いたしまして是正しなければならぬと考えておる次第でございます。
  41. 西村力弥

    西村(力)委員 文部省の関係の特殊法人のあれがでこぼこがないと言うけれども、今申したように、私立学校振興会で八千七百円で、援護会が九千二百円ということ、これは財団法人になっておるからちょっとあれですけれども、しかし、そのように開きが現実にあるということが私の知ったところでは現われておるわけなんですが、ないというようなことは一体どういうところからそう仰せられるか。それが一つと、それから、国家公務員に準ずるということをおっしゃるが、確かに、振興会の給与をちょっと調べてみますると、文部省からこちらに移られた課長諸君の給与は、むしろ国家公務員よりも上回っている、大体それと見合って、よくとも悪くはない、こういうことになっておりまするが、他の一般職員はずっと悪いという工合になってきておるのであります。国家公務員に準じておるというようなことは、その二、三の上級幹部職員だけには言えることでございまするが、他の者には全然それが言えない。その一部のケースをもって国家公務員に準じているがごとくいってもらっては、これは困るではないか。しかも文部省からおいでになった方だけがそうなっておる。これは私たちはまことに好ましくないことであると思うのです。しかも、国家公務員に準ずる、文部省の外郭団体はそういう方針でいるんだと言うけれども、他のものはそれに準じてやっているかというと、それ以上にやはりぐんぐんと上回った措置をやっている。文部省だけが国家公務員に準じてやらなきゃならぬという理由はどこにあるか。そして、準ずるということは、何かそうしなければならぬ規制があるのかどうか。これは全然ないと思う。準ずるという規定はどこにもないと思う。地方公務員が国家公務員に準ずるという工合に規定に書かれているのと違って、そういうことはないと思うのです。ですから、今申し上げたような点につきまして再度はっきりお答え願いたいと思います。
  42. 福田繁

    福田政府委員 ただいまの点につきましては、私も詳細なことは存じませんけれども、その職員につきまして採用・任命いたしますのは、文部省でなくて私立学校振興会というふうな特殊法人でございます。従って、一々の個々の人につきまして幾ら幾らということは私の方にはわからないわけでございます。振興会の方の職員を採用いたします際には、当然に国家公務員と同じようなやり方で学歴あるいは経験年数等を十分勘案いたしまして計算をしていることでございまして、従って、特に低いという方がおれば別でございますけれども、他の特殊法人と文部省所管の特殊法人と比べましてこれは検討いたしてみなければわかりませんけれども、そう低くはない、こういうふうに私どもは一般に聞いております。
  43. 西村力弥

    西村(力)委員 聞いているということは、あなたの方がやはり当面の担当じゃございませんですか。これは私がいただいた資料が誤りだというようなことになるとするならば、これは私が実情をうのみにしていることになりまして問題になってしまうわけでございますが、それじゃ、そこの組合の諸君が理事長に交渉した場合に、給与の問題はやはり最終権限は文部省にあるんだと言っておる、そのことを肯定されますか。
  44. 福田繁

    福田政府委員 その問題につきましては、給与の基準をきめるとか、あるいは給与費の総額をきめるというような予算上の問題になりますと、それは文部大臣の承認を要する事項でございます。しかしながら、個々の職員につきましては何ら文部省が関与すべき問題ではないのであります。
  45. 西村力弥

    西村(力)委員 初任給をいかにするかということは給与の基準に該当するんだと思うのですが、はっきり基準ではないのですか。そこの点に大きな開きがあるから引き続いて全体系において下がってくるということになるわけです。これは、今おっしゃったごとくに、その基準の設定にあたっては、文部省の認許可ですか、こういう立場を発揮していかなければならぬということになるのですから、やはり、他のものに比較してぐんと劣る、たとえば建設省関係の日本住宅公団の初任給一万四千三百円に対して私立学校振興会は八千七百円、こういうようなひどい措置に放置されるということでは、とんでもないことじゃないかと思うのです。実情は他と違わないというようなことを言われますけれども、もっと的確な調査をしていただかなければならぬし、また、基本的な考え方として、国家公務員に準ずるという、そういう何ら根拠のないものをよりどころとせずに、他の政府関係機関、特殊法人の職員と同率まで引き上げる、こういう考え方に立つということが文部省として必要じゃないですか。他の方が上がっても、文部省は教育であるから安くてもいいというような思想が残っているみたいな考え方、そういうふうなことではいかぬのじゃないかと思うのですよ。国家公務員に準ずるというような、そういう根拠のない言い方を改めて、他の政府関係機関の特殊法人の給与体系に準じた引き上げ方に努力をしよう、こういうようなお考えを持ってもらうわけには参らないかどうか。
  46. 福田繁

    福田政府委員 この問題は、私立学校振興会だけを取り上げてこれを引き上げるというようなことは申し上げられませんが、文部省所管の法人につきまして全般的にそういう問題が起こって参りますれば、私ども十分検討いたしたいと考えております。
  47. 西村力弥

    西村(力)委員 起こって参りますればと言うけれども、これはくどいようですけれども、あなたの方にこの問題が起きていることはもうわからないはずはないと思うのです。私は見なかったけれども、話を聞きますと、十一月何日かの日本教育新聞にはあなたの談話も載っておる。知らないはずはないじゃないですか。他の政府関係の特殊法人並みに引き上げるという考え方になって、一つぜひ引き上げる努力をせられるように、そしてまた、こういう諸君がその問題についてあなたの方に交渉なり要請なり要求なりに行く場合に、親身にそれと交渉を持つ、こういう態度をとってもらわなければならぬと思うのです。この点も一つお願いをしたいと思うわけです。  では以上でとどめます。
  48. 濱野清吾

    濱野委員長 委員長失念いたしまして、ただいまの西村君の給与に関する質疑は、学校教育に関する調査ということの議題についての質疑でありますから、さよう御了承願いたいと思います。  ただいまの西村さんの質疑に関連いたしまして湯山委員から質疑の申し入れがありますから、これを許します。
  49. 湯山勇

    湯山委員 給与について関連質問をいたしたいと思います。これは、あるいは担当の政府委員がおられないかもしれませんけれども、きわめて常識的なことでございますから、どなたからかお答え願いたいと思うのです。  今までに産業教育手当あるいは定通手当、それから国家公務員に準ずるという立場から管理職手当、こういう諸手当が出ております。ところが、その手当相互間の関連でございますけれども、最近、聞くところによりますと、管理職手当の出ておる者については産業教育手当は出さないというようなことを文部省が指示をして、現に支給が停止されておるという実例があるようでございますが、もしそういうことを文部省がおやりになったとすれば、明らかに法律違反であるし、これは重大な問題じゃないかと思います。おそらく、法律によってきめられた産業教育手当を、ただ文部省の口頭による指示、そういうことによって停止することは私はないと思いますけれども、そういう事実があるのかどうか、あればこれはきわめて重要な問題ですから、それについて文部省はどういうふうにお考えになっておるか、承りたいと思います。
  50. 福田繁

    福田政府委員 その問題につきましては、私まだ伺っておらないのでございますが、私から申し上げましてもし間違いがあってもいけませんので、担当の局長からまた後ほどお答えを願うことにいたしたいと思います。
  51. 湯山勇

    湯山委員 それでは、質問を留保させていただいて、担当局長見えてから今の質問をさせていただきます。
  52. 濱野清吾

    濱野委員長 長谷川保君。
  53. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 先ほどいただいた資料はちょっと私わかりかねるのでありますけれども、先ほどいただいた資料によりますと、三十三年度学生一人当たり支出経費は、国立大学が十二万四千五百四十七円、私立大学が六万五千八百九十八円、こうなっておりますが、これは、国庫が私立大学に出した金を学生一人当たりで割ると六万五千八百九十八円となる、こういう意味でしょうか。もう一つ書いたのをいただきましたが、三十五年度私立大学生一人当たり国庫補助金として、全学生は四千六百五十七円ということになっておりますけれども、これはどういうように解釈をするのでしょうか。この点を伺いたい。
  54. 福田繁

    福田政府委員 国立大学学生一人当たり十二万四千五百四十七円と申しますのは、きのう御指摘になりました国の経費全体、施設費を含めまして、全体の支出を学生一人当たりに計算したものでございます。それから、私立大学六万五千八百九十八円と申しますのは、これは補助金も自己資金も一切がっさい含めました私立学校の全経費に対する学生一人当たりの経費でございます。それから、その次のは、私立大学の全体の経費の中で、国から出ております補助金あるいは補助金に類するものを含めますが、それだけ取り出しますと、私立大学全体の学生に対しまして一人当たり四千六百五十七円、理工系の学生だけをとると一万一千六十九円、こういう計算になっておるのでございます。
  55. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 よくわかりました。  そこで、昨日お伺いいたしました私学の授業料の値上げの問題でありますが、また同志社大学でも値上げが昨日決定をいたしまして、そうして学生が不満を持ってハンスト等を始めたという記事を拝見したのであります。この私立大学の授業料等を値上げする問題は、職員の給与の引き上げ問題とともに、下手をまごつくとまた病院ストのような泥沼に入るようなことになりはせぬかと私は心配をするのであります。ただいまお話いただきました資料等によりましても、国立大学の学生に支出いたしまする国の費用というものと、私立大学に出しまする国の補助金学生一人当たりの費用というものがあまりにもひどく違い過ぎておるということを考えるわけであります。もちろん、国立大学は国立であり、私立大学は私立でありますから、それを全部国が負担するということはあり得ませんけれども、あまりにも大きく開き過ぎているではないか。十二万四千五百四十七円、四千六百五十七円という違いでありますから、一人についておそろしく違っておるわけであります。新聞の報ずるところによりますと、多分これは間違いない数字だと私も思うのでありますけれども、中央大学におきましても、あるいは慶応大学におきましても、同志社大学におきましても一律に引き上げがなされるようでありますし、その引き上げられまする額から申しまして、たとえば中央大学では、入学時に必要な金は、文科で六万七千四百円、工学部で八万三千四百円、また、授業料は、法経商文学部等で一万一千円引き上げられて三万五千円になる、工学部では一万四千円引き上げられて四万円になる、こういうようなことであります。この間私はある女子医科大学の経理の書類をちょっと拝見いたしましたところが、あるいはその数字の違いかもしれませんが、一人当たり入学に要します金が数十万円、その額はあまり大きいので、私も疑いを持っておりますから、今その額を申し上げませんけれども、私の受けとりました書類によりますとずいぶん大きなものです。多分寄付金だと思いますけれども、数十万円を要しておるのであります。これはその大学の書類であります。でございますから、一人当たりそれくらいの平均の入学金を要するということになっております。そういうことは、医科大学等を除きましては、あるいは工学部等においては相当あるかもしれませんけれども、まれな例だと思いますけれども、いずれにしても、今日こういうような国立大学と私立大学とに学ぶ学生がこれだけ大きな違いをしなければならぬ、それを父兄負担しなければならない、あるいは本人がアルバイトしなければならぬ、こういうことはしておくべきことではないと私は思う。これはやはり今日この問題が社会問題として大きくなって参りません先に相当な手を打つべきではないかというように思うのであります。あまり大きな問題でありますから、もちろん一挙にどうするということは困難であろうと思いますけれども、私は、こういうようになって参ります大きな原因は、昨日ちょっとお伺いしようとしたのでありましたが、私立大学が最近施設、設備、建物等を非常に大きなものを作っていったその借金の問題、その施設費あるいは設備費の問題が大きな問題だろうと思うのです。私立学校振興会の方へは国の補助が五十億円か幾らか出ておるようでありますけれども、それくらいではとても足りないのであって、もっと大きな金を出し、あるいは適当な方法、——昨日西村委員からお話がありましたような、こういうような教育事業、公共的な事業に対しましては寄付金等を無税にするというような方法、その他ずいぶんと努力すればやれる方法があるのではないか、ことにこのようなある意味では景気のいい時代にはそういうことに着手する絶好のチャンスではないかというように思うわけであります。前にも一度申し上げたことがあるかと思うのでありますけれども、私も、アメリカへ参りましたときに、あまりアメリカの大学がりっぱでありますから、その財源についていろいろ調べたことがあるのでありますけれども、ことに相続税などを、相続いたします財産あるいは遺産を寄付した場合には相続税を出さなくてもよろしいというようなことになりますれば、ずいぶん違ってくるんではないか。アメリカにおける相続税の税率というのは非常に高いのでありますが、それだけに大学あるいは病院、慈善事業等に対する遺産の寄付ということが非常によく行なわれる。それがアメリカの大学や図書館、研究設備というものを非常にりっぱにしておる。私が当時調べたところの記憶によりますと、そういうような公共事業に遺産を寄付します場合には、遺産をそういうところへ寄付してもよし、あるいは税金として納めてもよし、どっちでも本人が選択してよろしいのだというように伺いまして、なるほどと思ったのでありますが、こういうように日本のような勉強をしたい学生が非常にたくさんあり、これは私は決して悪いことではないと思うのです。駅弁大学とかなんとかずいぶん悪口を言うのでありますけれども、青年諸君が勉強をしたいという意欲を持っておることは何よりけっこうであります。そういう学生諸君の意欲を十分に満たしてやることは、やはり政治を担当する者がほんとうに真剣にやらなければならぬ。私、カリフォルニア州の法律を調べたときであるかと思いますけれども、カリフォルニア州では、いわゆる日本で言えば短大あるいは専科大学と申しますか、二年もしくは三年制の大学を公立のものは全部無料でやる、また、大学キャンパスを入学の希望者があれば無制限に広げなければならぬというような法律ができております。やはりそれだけの学生諸君に対する深い配慮というものを文化国家というようなことを考えるたらばすべきであり、また、日本の将来の国運ということを考えるならば、そういうことに十分力を尽くすべきであると思うのです。  いろいろ申し上げましたけれども、まず最初に私が申し上げました私立大学の負債、そういうような施設、施備を新設、拡張して参りますための負債槻いうものが一体どんな事情になっておるのか、また、その利子等にどうなっておるのか、その点を昨日お願いしておきましたが、お調べになってきておりますかどうか、お調べができておれば伺いたい。
  56. 福田繁

    福田政府委員 私どもの方にただいま新しい資料がございませんので、私立学校振興会にあります資料によって調べてみますと、大体、短大を含めまして大学の負債が、三十三年度末におきまして六十五億、こういうような数字になっております。現在はあるいはそれ以上になっておるかと思います。  利息につきましては、負債と申しましてもいろいろございまして、私立学校振興会から借り入れました借入金に大体五億八千万くらいでございます。その他一般の金融機関から借り入れましたものが二十三億程度に上っております。そのほか後援者からの融資、あるいは学債による借り入れがございますので、これに一様ではございませんけれども、私立学校振興会から借りましたのは六分ないし六分五厘であります。一般の金融機関から借ります場合は八分五厘以上になっております。そういうものにつきましては、私立学校振興会で、高利債を借りかえる際にこれを優先的に取り扱うという処置はいたしております。その際には大体八分ぐらいで借り入れをやっております。
  57. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私立学校振興会に出資しております金は全部で幾らですか。
  58. 福田繁

    福田政府委員 債権出資を含めまして七十一億でございます。
  59. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 七十一億の中で大学はわずかに五億ばかりですか。どうも少し数字が合わないのじゃないかと思うのですがね。五十億くらいあるのじゃないですか。私の持っている資料では五十億くらいあるように数字を見ておるのですけれども、どうですか。
  60. 福田繁

    福田政府委員 累積いたしました分を合わせますと相当になりますが、これは三十三年度の決算に現われたのを取り上げたのでございまして、その一年の分でございます。従って、大学は五億八千程度であります。
  61. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 そういたしますと、累積いたしました貸し出し総額は五十億くらいあるのじゃないでしょうか。私の方の資料ではそのくらいあるように見えるのです。
  62. 福田繁

    福田政府委員 今資料を持っておりませんが、大体それくらいになると思います。
  63. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 ここに一つは父兄からの借入金、それは一種の体のよい入学金という形になる、それにほぼ準ずるようなものになるのでありましょう。それから金融業者から二十三億ほど借りている。これが八分五厘ということでありますけれども、こういうようなものがもっとあるだろうと思うのです。今文部省の方でそうおっしゃれば、そう信ずるよりほかに道はないのでありますが、こういうものが相当財政を圧迫しているのではないか。少なくとも新しい施設を作るについては学校で入学の際に寄付金を取っていくということがずいぶん多かろうと思うのですが、入学する際に学生の父兄から入学を条件として寄付金を取る、こういうものは一体総額でどれくらいあるかわかりませんか。たとえば昨年度の統計でけっこうです。
  64. 福田繁

    福田政府委員 ただいま申し上げました三十三年度におきまして、寄付金が十六億というようにあがっております。しかし、この寄付金十六億は全部父兄から取る寄付金ではございませんで、その中には一般の卒業生その他縁故のある方から寄付をもらったものも入っていると思います。正確にはわかりませんが、大体それの半分程度は少なくとも学校における父兄寄付金であろう、こういうように推測はできるわけであります。
  65. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私の友人で、ある私立大学に入ろうとしたところが、やはり五十万円寄付金を取られている人があります。そういうのはもちろんできの悪い子であるかもしれませんが、そういう相当ひどい例をちょいちょい耳にするのです。できの悪い子を無理に入れようとしてそういうことになるのかもしれませんが、そればかりではありません。私も、自分のむすこを入れるについて、そう大きな金ではありませんけれども、やはり寄付金を頭から押しつけられたことがございます。これは全体としますと相当大きなものであろうと思うのです。こういうことがなおさら私学に参ります学生とその父兄を非常に苦しめるという結果になり、あまりにも教育の機会均等という意味でそこに無理がいっている。国立大学に行っている諸君だけが大学教育を受けるにふさわしいというならば別でありますが、国立大学では受け切れぬから、その二倍もの学生は私立大学へ行くということになるのです。その私立大学を出てきた諸君の中にも有能な諸君はずいぶんいるのでありまして、ことに、国会議員は有能か有能でないか知りませんけれども、国会議員の中にも私立大学を出た諸君が非常に多いのであります。そうなりますと、やはり私立大学に対してもっと積極的に力を入れなければ、先ほど大臣からもちょっとお話がありました教育の機会均等という憲法の立場から申しましてもずいぶんえこひいきになってしまって、一部の者だけを利することになり、教育の機会均等ということが行なわれないのではないか、こういうように思うわけであります。文部省は一体三十六年度においてこういう私立大学に対してどれくらいの予算を大蔵省に要求しておるのであるか、お差しつかえなければ伺いたい。
  66. 福田繁

    福田政府委員 御承知のように、文部省といたしましては、直接私立学校の経営に対しまして関与することはできませんが、施設・設備の充実につきましてはできる限りこれを援助していきたいというような考え方で従来から参っておるわけでございます。来年度の要求といたしましては、本年度の私学振興予算に比べて相当大幅に要求いたしておるのであります。私立学校振興会からの融資に充てるべき政府出資金を、来年度におきましては三十三億、それから、私立大学の理科特別助成の補助金でございますが、これが二十三億、監理局の分といたしましては五十六億円でございます。大学学術局で所管いたしております私立大学の研究設備に対する補助でございますが、これを約二十億円要求いたしております。従って七十六億円程度、あるいはその他を合わせますとそれを上回るわけでございますが、少なくとも七十六億円程度の要求をいたしておるわけであります。
  67. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 今日の段階では相当大きな額が出ていくわけでありますが、こういうような形でいくにいたしましても、なお入学金やあるいは授業料を上げていかなければならない。もちろん私立大学はそれぞれ自主的な立場をとって教育研究の自由ということを守っていくところに私立大学の大きな意味があるわけでありまして、それはあくまで行政府がそれに対して干渉すべきものではないと確信をするのであります。しかし、同時に、学生諸君がこういう窮地に立ってくるということについては、なお特別な方法を講じなければならぬと思います。  次に伺いたいことは、奨学金の割合が、国立大学の学生一人当たりに対して幾ら出ておるのか、また私立大学の学生一人当たりに対して国の方から奨学金が幾らくらい出ておりますか。それはわかりましょうか。
  68. 福田繁

    福田政府委員 これは大学学術局の所管でございまして、私今手元に数字を持っておりませんので、後刻調査して申し上げますが、一人当たりの額は官公私立の学生につきまして差はないと考えます。
  69. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私が伺いたいのは、私立大学に出ている奨学金の総額を学生全部で割ったときに幾らに当たるか、また国立大学に出ております奨学金が学生全部で割ったときに一人当たり幾らになるかということを知りたい。そうすると、父兄や学生自身、就学することができるとかできないとか、その困難さということがそこで判別できまずから、もしそれが非常に違うのであれば、そういうことについてなおさら十分な手を打ってやれば、学生諸君が苦しんで今日非常な反対運動をしなければならぬというようなことがなくなるのではないか、そういう配慮をやはりしてやるべきではないか。すでに授業料において、国立大学が九千円、私立大学が四万円の金を出しておるということになると、そこにハンディキャップがあるわけであります。こういう問題をやはり国の方で——大学自体の教育、学問研究の自由ということを守るのは別として、学生自身が今度は勉強するのについてどれだけ公平に扱っておるかという問題がそこへ浮き上がってくるわけであります。公平であるか不公平であるかという問題が出てくるわけであります。そこで、やはり奨学金に対する努力をしてあげれば進学の道が守られていくのではないか、こういうように考えるわけです。  きょう数字をお持ちにならなければ、次の機会にまた伺わせていただきたいと思いますが、どうか大臣におかれましても、そういう点について行政当局を十分御監督になって、教育の機会均等を守られるように御努力願いたいと思います。  そのことにつきましては次の機会に質問することにいたします。
  70. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 ただいまのお話は育英奨学の問題かと拝聴いたしましたが、この点は、僻地教育の徹底化ないしは特殊教育の徹底化とあわせまして、経済的に恵まれないがゆえに才能を持ちながらその才能を伸ばし得ないということ、いわば機会均等の立場を失うということを重大視いたしまして、従来も政府は育英奨学に努力しておりまして、多分、私の記憶に間違いなくば、三十五年度は約五十億円をこれに投じておったかと思います。それを三十六年度におきましては少なくとも三倍以上、四倍近く実現したいということで概算要求をいたしております。高等学校につきましても、今まで千円かそこらを出しておったかと思いますが、この単価も引き上げますし、さらに、大学生に対しましては今までよりもっと単価を引き上げる、そのほかに特奨と称しております特別奨学金制度を拡充いたしまして、その点は、約一万五千人くらいをまかないたいということで、それもあわせまして、今申し上げるように現年度の約四倍近くの概算要求をいたしまして、その求めに応じたいと思っております。
  71. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 先ほども申し上げましたように、私大の学生と国立大学の学生と就学します費用が非常に違う。ここに私大の学生の父兄の方の非常な苦労があるわけです。だから、この次の機会に、先ほど申しました国立大学と私大の学生に対する奨学金が幾ら一人当たり行っているかを伺ってから後に質問したいと思うのであります。予算の編成期でありますから、いろいろその割り振り等につきましても行政当局ではお考えになっていると思いますが、やはり、こういう私立大学に学ぶ学生諸君の非常な苦衷というものをお考えになっていただいて、そういうものに対する特別の配慮をしていただきたい。予算の編成期でありますから、私は特にお願いしたい。また次の機会に質問をいたします。
  72. 湯山勇

    湯山委員 担当局長がお見えになりませんから、今の質問について文書でお答え願ってもけっこうですから、委員長の方で一つそうおはからい願いたいと思います。
  73. 濱野清吾

    濱野委員長 本日はこの程度とし、次会は十九日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。     午後三時十四分散会