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1960-12-20 第37回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十二月二十日(火曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 伊能繁次郎君 理事 小笠 公韶君    理事 草野一郎平君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君       大森 玉木君    佐々木義武君       辻  寛一君    福田  一君       藤原 節夫君    保科善四郎君       久保田 豊君    杉山元治郎君       西宮  弘君    山内  広君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 西村 直己君  出席政府委員         総理府総務長官 藤枝 泉介君         総理府総務副長         官       佐藤 朝生君         内閣審議官         (内閣官房内閣         審議室長内閣         総理大臣官房審         議室長)    飯田 良一君         防衛庁参事官         (防衛庁長官官         房長)     門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         外務政務次官  津島 文治君         外務事務官         (外務大臣官房         長事務取扱)  古内 廣雄君  委員外出席者         議     員 石橋 政嗣君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      大石 孝章君         外務事務官         (大臣官房総務         参事官)    北原 秀雄君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     吉田 健三君         通商産業事務官         (重工業局長) 佐橋  滋君         通商産業事務官         (重工業局車両         課長)     安岡  孝君         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 十二月十七日  連合国占領軍等行為による被害者等に対する  給付金支給に関する法律案石橋政嗣君外十  名提出衆法第五号)  総理府設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二二号)  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二三号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  二四号) 同月十九日  公務員賃金引上げ等に関する請願外五百九十  八件(加藤勘十君紹介)(第一一五号)  同外五百二十七件(河野密紹介)(第一一六  号)  同外百二十七件(島上善五郎紹介)(第一四  四号)  同(岡良一紹介)(第一七二号)  同外百二十五件(加藤勘十君紹介)(第一七三  号)  同外八十七件(島上善五郎紹介)(第一七四  号)  同外一件(辻原弘市君紹介)(第一七五号)  同(三鍋義三紹介)(第一七六号)  同外二百九十六件(帆足計紹介)(第一七七  号)  同外百五十三件(加藤勘十君紹介)(二〇八  号)  同外四百七十一件(河野密紹介)(第二〇九  号)  同外十件(帆足計紹介)(第二一〇号)  同外七件(井手以誠君紹介)(第二三〇号)  同外五件(風見章紹介)(第二三一号)  同外千百四十二件(川上貫一紹介)(第二三  二号)  同外百二十件(久保三郎紹介)(第二三三  号)  同外五件(小林進紹介)(第二三四号)  同外四百件(志賀義雄紹介)(第二三五号)  同外十三件(島上善五郎紹介)(第二三六  号)  同外九件(島本虎三紹介)(第二三七号)  同外五件(下平正一紹介)(第二三八号)  同(多賀谷真稔紹介)(第二三九号)  同外百六十件(谷口善太郎紹介)(第二四〇  号)  同外五件(戸叶里子紹介)(第二四一号)  同外三件(長谷川保紹介)(第二四二号)  同外二百八十一件(広瀬秀吉紹介)(第二四  三号)  建設省定員外職員定員化に関する請願外二件  (五島虎雄紹介)(第一一七号)  同外五十九件(湯山勇紹介)(第二四四号)  同(西村関一紹介)(第二八九号)  福島小野町の寒冷地手当増額に関する請願(  吉村吉雄紹介)(第一一八号)  同(野口忠夫紹介)(第一四一号)  同(澁谷直藏紹介)(第二四七号)  福島県船引町旧移村地区の寒冷地手当増額等に  関する請願吉村吉雄紹介)(第一一九号)  同(野口忠夫紹介)(第一四二号)  厚生省に老人局設置に関する請願中山マサ君  紹介)(第一二〇号)  山形県下の寒冷地給緑地是正等に関する請願(  黒金泰美紹介)(第一二四号)  小牧飛行場騒音防止に関する請願丹羽兵助  君外三名紹介)(第一三六号)  北海道開発局札幌開発建設部庁舎新築に関する  請願高田富與紹介)(第一三七号)  兵庫県出石町の寒冷地手当増額等に関する請願  (小島徹三紹介)(第一三八号)  同(有田喜一紹介)(第二四五号)  兵庫県但東町の寒冷地手当増額等に関する請願小島徹  三君紹介)(第一三九号)  同(有田喜一紹介)(第二四六号)  兵庫県浜坂町の寒冷地手当増額等に関する請願  (小島徹三紹介)(第一四〇号)  建設省定員外職員定員化等に関する請願(阪  上安太郎紹介)(第一四三号)  同(西村関一紹介)(第二九〇号)  国旗掲揚に関する請願白浜仁吉紹介)(第  一七八号)  建国記念日制定に関する請願外四件(椎熊三郎  君紹介)(第二一一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十七日  金鵄勲章年金復活に関する陳情書外五件  (第一  号)  青少年省設置に関する陳情書  (第九一号)  公務員暫定手当の本俸繰入れに関する陳情書  (第九八号) 同月十九日  水戸補助飛行場接収解除に関する陳情書  (第一二七号)  公務員賃金引上げ等に関する陳情書  (第二〇〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部  を改正する法律案内閣提出第一四号)  総理府設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二二号)  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二三号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  二四号)  連合国占領軍等行為による被害者等に対する  給付金支給に関する法律案石橋政嗣君外十  名提出衆法第五号)      ――――◇―――――
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  連合国占領軍等行為による被害者等に対する給付金支給に関する法律案議題とし、提出者より提案理由説明を求めます。石橋政嗣君。     —————————————
  3. 石橋政嗣

    石橋政嗣君 ただいま議題となりました連合国占領軍等行為による被害者等に対する給付金支給に関する法律案に対する提案理由説明申し上げたいと思います。  今日、高原景気とか所得倍増とか言われておりますが、無暴な太平洋戦争の痛手はいまだ国民生活の上に痛々しくそのつめあとを残しているのであります。この法律案で取り上げました占領軍被害者の問題もその特徴的なものの一つであります。  敗戦後より今日まで、占領軍軍人及びその構成員等不法行為によって、善良な一般市民が、実に十四万八千人以上もそのとうとい生命または重大な損害を受けているのであります。たとい占領軍であっても善良な一般市民に対しては、その財産生命に対して脅威または損害を与えてならないことは国際法上明白な事柄であります。しかし日本の場合は、これら占領軍から損害を受けた被害者は、何ら顧みられることなく放置され、日本行政機関にその事実を訴え出た者のみがわずかの見舞金日本政府または地方自治体から支給されているにすぎないのであります。しかもこれら不運な人々は、サンフランシスコ平和条約第十九条によって、訴訟上の権利すらも放棄せしめられたのであります。  ただ平和条約発効以後発生した事故については、行政協定第十八条に基づいて損害補償を行なうこととなっており、十分とは言いがたい措置ではあるが、昭和二十七年以降三十四年度末までに六万九百四人の被害者に対して、死亡の場合最低二十万円から最高百五十万円までの補償を行なっているのであります。ところが平和条約発効以前の死亡約三千七百人以上を含む約九千人に及ぶ被害者に対しては、その後若干の補正的な追給措置が行なわれたが、前に述べましたように涙金程度見舞金支給したにすぎません。さらにそれすらも受けていない泣き寝入りの人が数多く取り残されているのであって、昭和三十五年五月現在の調達庁調査によっても二千人以上の未受給者がいるのであります。これらの人々には何ものをもってもかえることができない生命身体損害を十年間も放置されていたわけであります。私どもは国の措置としてこれらの人々を一刻おり、十分とは言いがたい措置ではあるが、昭和二十七年以降三十四年度末までに六万九百四人の被害者に対して、死亡の場合最低二十万円から最高百五十万円までの補償を行なっているのであります。ところが平和条約発効以前の死亡約三千七百人以上を含む約九千人に及ぶ被害者に対しては、その後若干の補正的な追給措置が行なわれたが、前に述べましたように涙金程度見舞金支給したにすぎません。さらにそれすらも受けていない泣き寝入りの人が数多く取り残されているのであって、昭和三十五年五月現在の調達庁調査によっても二千人以上の未受給者がいるのであります。これらの人々には何ものをもってもかえることができない生命身体損害を十年間も放置されていたわけであります。私どもは国の措置としてこれらの人々を一刻も早く救うことが、ほんとうに血の通った政治ではないかと思うのであります。  もちろん原則的には憲法及び国際法上の建前から十分正当な補償の立場を主張すべき根拠を有するかとも思うのでありますが、しかし原則論によってじんぜん日を過すがごときを許されないほど、被害者生活はきわめて逼迫しているのであります。特に一家の柱と頼む人が死亡または重傷を負わせられた人々は、まことに悲惨な毎日を送っているのであります。これらの事情から、この際せめて昭和二十七年以降の現行補償制度と比較して、著しく均衡を失しているものに対し、緊急に救済措置を講ずる必要があると痛感する次第であります。  以上がこの法律案提出するに至った基本的な態度であります。  次いで、法案具体的内容についてその概要説明申し上げます。  まずこの法律案による給付範囲でありますが、第一条に規定しましたように、連合国占領軍行為によって死亡または傷害を受けた者及びその遺族に限定し、財産上の損害はこの際除外した次第であります。  最高裁判所のある判決文の中に、「人間の生命は、全地球よりも重し」という名言を残しているのでありますが、何ものにも優先して尊重さるべき生命及び身体損害は、いかなる事情があるにせよ早急に救済さるべきであるとの見地に立っているのであります。  その適用範囲については、前にも述べたように昭和二十年九月二日より昭和二十七年四月二十七日まで発生した事故で、被害者日本国籍を有する者とした次第であります。従って第三国人等被害者はこの法律権利者たり得ないわけでありますが、外交上の問題として政府において円満な解決をはかられんことを強く希望しているのであります。なお、ポツダム宣言受諾以後昭和二十年九月二日以前においても若干の被害者があるので、これらの者も救済し得るよう附則規定して、その措置をとることにしたのであります。  また給付金基準についてでありますが、事件発生後約十年以上も経過した事実に対して、個々にその程度を認定して給付金金額を算定することはきわめて困難な事情にあるので、労働省で作成した昭和三十五年一月の毎月勤労統計によることが妥当と考え、この全産業労働者一人当たりの平均給与額をとることとし、その三十分の一をもって一率に基準日額としたわけであります。  給付金種類は、療養給付金休業給付金障害給付金遺族給付金葬祭給付金打ち切り給付金の六種類でありますが、それぞれの給付金種類に応じて基準日額を乗じて給付金額を算定することとしたのであります。たとえば遺族給付については、基準日額の千日分に相当する金額とし、葬祭給付基準日額の六十日分、傷害者に対する打ち切り給付金は、基準日額の千二百日分に相当する金額としたことなどであります。なお現実支給にあたっては、当然のことながらすでに何らかの給付を受けている者については、この法律による給付金額からすでに支給した相当給付金額を控除した金額支給することとした次第であります。療養給付金については、実際療養に要した費用を支給することにしたのでありますが、この法律施行以前の療養費については、実情の把握が困難なので、調達庁長官が一定の基準を政令によって定め、それによって支給することとしたのであります。また連合国占領軍等行為という特殊な関係から、婦女子等の場合で、その行為により直接負傷し、または疾病にかからなくとも、その行為が原因となり重大な精神的衝撃等によって死に至らしめた場合は、やはりその遺族に対し遺族給付金支給する規定を設けた次第であります。  さらにこの法律現実に施行されましても、事件後十数年を経過したものが多いことから見て、個々の状況を判断する資料に乏しく、調達庁長官だけでの認定が困難なケースが相当数あると予想されるのであります。これらのものについては、各地方調達局学識経験者等調達局長が任命する七人の委員構成する被害者給付金審査会を付置して、調達局長諮問に応じ調査審議し、その万全を期することにしたのであります。またこの法律による権利者調達庁長官の処分に不服がある者は、一年以内に書面で調達庁長官に不服の申し立てを行なうことができることとし、再審査の方途も講じてあるのであります。  次いでこの法律の実施にあたっては、迅速かつ正確な運用をはかるため、関係都道府県警察署等行政機関協力義務規定した次第であります。さらに給付金を受ける権利の時効を三年とし、この法律による給付金はすべて非課税として、給付金権利については、譲渡または担保、差し押え等の行為を禁止することとしてあります。また遺族の順位その他手続に関する規定等必要な措置規定し、さらに細部の必要手続については総理府令にゆだねることとしたのであります。  以上法律案主要点について御説明申し上げましたが、何とぞ立法の趣意を十分御了察の上、慎重審議すみやかに可決されんことを心から願う次第であります。      ————◇—————
  4. 久野忠治

    久野委員長 次に総理府設置法の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。藤枝総務長官。     —————————————
  5. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいま議題になりました総理府設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明いたします。  この法律案は、総理府にその付属機関として新たに、内閣総理大臣諮問に応じて公営競技に関する現行制度検討を加え、関係諸問題を調査審議するため公営競技調査会を置こうとするものであります。  現在行なわれている公営競技には、競馬法に基づく競馬を初め、それぞれの法律に基づく競輪、小型自動車競走及びモーターボート競走がありますが、これらの公営競技は、当初より畜産の振興地方財政健全化機械工業合理化機械輸出振興等に寄与するため行なわれているものであり、また一方国民大衆的娯楽としましても現在まで大きな役割を果たして参りましたことは御承知通りであります。しかしこれらの公営競技国民射幸心を刺激し、数々の社会悪の環境とまるまど、弊害を生じてきてることもまた否定できない現状であり、これに対する世間の批判も多く聞かれております。  現在の公営競技根拠となっているそれぞれの法律は、昭和二十三年から二十六年に制定施行されたものであり、すでにいずれも十年前後の年月を経過しており、その目的の一半が達成されましたこと及び近時の世論にもかんがみますれば、今や現行公営競技制度及びその運営の全般について根本的検討を必要とする時期にあると考えられるのであります。政府におきましてはこの実態に即応し、本調査会を設けて利害関係のない公正な第三者の意見を求め、今後の施策に指針を得たいと考える次第であります。  なお昭和三十四年四月に総理府付属機関として設置されました皇居造営審議会は、内閣総理大臣諮問に応じて皇居造営に関する重要事項調査審議して参りましたが、総理府設置法附則第四項の規定により昭和三十五年三月三十一日をもってその存続期間が終了し、またその調査審議も終了するに至りましたので、ここにあわせて、これに関する規定を削除することといたしました。  以上がこの法律案提出する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。      ————◇—————
  6. 久野忠治

    久野委員長 次に防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、政府より提案理由説明を求めます。西村国務大臣。     —————————————
  7. 西村直己

    西村国務大臣 防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由及び内容概要について御説明申し上げます。  最初に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、国力国情に応じて防衛力を整備する必要があると認め、防衛庁職員定員を八千四百五人増加し、現在の定員二十五万四千七百九十九人を二十六万三千二百四人に改めることといたしました。この八千四百五人の増加分のうち、七千四百十六人が自衛官で残りの九百八十九人が自衛官以外の職員であります。自衛官増加分は、そのおもなるものについて申し上げますと、陸上自衛隊については千五百人でありまして、施設関係部隊の増強のために充てるものであります。また海上自衛隊における増員は二千四百一名でありまして、艦艇増加に伴い必要とされる人員の配置並びに航空部隊の整備及び後方関係充実等のために充てるものであります。なお航空自衛隊における増員は三千四百八十五人でありまして、航空方面隊及び航空団の増設並びに保安管制教育補給等の部門の拡充のために充てるものであります。  第二に陸上自衛隊海上自衛隊及び航空自衛隊の一そうの統合的、かつ能率的指揮運用を達成するため、統合幕僚会議の機能の充実をはかることとし、出動時における自衛隊に対する指揮命令の基本及び統合部隊行動についての指揮命令に関する職務を統合幕僚会議が行なうこととし、さらに統合幕僚会議統合幕僚学校を新たに付置することといたしました。  次に自衛隊法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  第一に、自衛隊の組織及び編成等を整備することといたしました。海上自衛隊については操縦教育の一元化をはかるため、新たに長官直轄部隊として教育航空集群を置くこととし、また従来艦艇のみからなっていた自衛艦隊編成を改め、自衛艦隊護衛艦隊及び航空集群その他の直轄部隊からなるものとし、海上艦艇部隊海上航空部隊との一元的運用をはかることといたしました。そのほか従来の練習隊群は、練習艦隊に改称することといたしました。航空自衛隊については防空体制充実をはかるため、西部航空方面隊を新設してその隷下に第五航空団を置き、また中部航空方面隊隷下に第六航空団を新設する等の措置を行ないました。  また陸、海、空各自衛隊補給処における調達補給等業務効率的運用をはかるため、その統制業務を行なう機関として補給統制処を置くことができるように所要の改正を行ないました。  なお陸上自衛隊第六管区総監部は、山形県東根市に移すことといたしました。  第二に、防衛庁設置法における統合幕僚会議所掌事務改正に応じて、統合部隊行動についての長官指揮統合幕僚会議議長を通じて行なうものとし、これに関する長官命令統合幕僚会議議長が執行するものとすることに改めました。  第三に、自衛隊施設において自衛隊のための作業に従事する隊員以外の者で、みずから食事をととのえることができないものに対して、自衛隊見学者の場合と同様に適正な対価で食事支給し得るようにいたしました。  以上両法案提案理由及びその内容概要を申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。     —————————————
  8. 久野忠治

    久野委員長 これより両案について質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石橋政嗣君
  9. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私どもは今このような法案を出してきた防衛庁意図が、実はわからないわけであります。御承知通り今度の特別国会は、解散、総選挙後新たに構成された議会の、いわゆる議会構成ということを主にして召集されておるのでございまして、期間も非常に短期間であり、今このような法案提案いたしましても、実質的にこれを審議する十分な時間もないことは十分にわかっておると思うのでございますが、なぜことさらにあと二、三日で会期が終わるというようなときに、こういう法案を出してきたのか、まず最初にその意図をお承りしておきたいと思います。
  10. 西村直己

    西村国務大臣 ただいま石橋委員から御質問がありましたが、私どもとしては、格別変った意図があるわけではございませんで、すでに御存じの通り政府におきましては当委員会を通じ、また今春の予算審議を通じまして、自衛隊のただいま提案されておるこの法律案趣旨とうらはらになりまして、増員国会で御審議願い、国会成立をいたしております。また一般行政機関職員の点につきましても、すでに当委員会におきまして定員法を御審議願い、成立を見た次第でございます。これらと相待ちまして私どもはこれを今国会に上程したい、こういう趣旨政府側としては御審議をお願いした次第であります。
  11. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 主として補正予算との関係というふうに聞いたのでございますけれども、そういうことになりますと、一番大きな中心点は、定員増ということになるわけです。ところが実際にこの法案がかり法律として成立したとしても、年度内にこれだけの、八千人を上回る人員を充足することが時間的に可能なのか、これは全然問題にならないと思う。それだけではなしに、現在すでに自衛隊においては陸、海、空を通じて大へんな欠員がございます。これは明細を出していただきたいと思うのですが、私どもの方で知っているものだけでも本年の九月末までに計二万人を上回るところの欠員がある。そこへもってきてさらに八千四百五人の増加をやってみても、これはいよいよもって定員の充足なんということは不可能だ。そういうふうになってくると、どちらの面から押してみたところで全く形式的な提案ということになるのじゃないかと思うのですが、この点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  12. 西村直己

    西村国務大臣 御反論申し上げるようでございますが、私どもはかりにこれが国会で御承認いただけたということになりましても、形式的なこととは考えておりません。むしろ一日もすみやかにこの法案成立を願っておったのでありますが、解散前の国会におきましても、数度にわたり、当委員会に大へんな時間をさいていただいたように、私経過を拝承いたしております。御審議等を再々願ったように考えております。またこれがかりにこの国会において成立をいたしますれば、直ちに充員等について努力をし、この法の趣旨に十分沿うように自衛隊の運営上その目的を果たして参りたい、こういう所存でございます。
  13. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 事務当局からでけっこうでございますが、陸海航空隊別になるべく新しい時点においてとらえた欠員の状況をお知らせ願いたいと思います。
  14. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊につきまして、三十五年九月末現在の欠員状況を御説明申し上げます。  陸上自衛隊は一万八千六十四人、海上自衛隊は千百名、航空自衛隊は千百十名でございます。
  15. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 先ほど私申し上げた通り、陸、海、空合計で二万二百七十四名ということになると思う。これにさらに八千四百五人というものが増加するわけでございますが、これだけの欠員を充当することがどういうふうにしてできるわけですか。
  16. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 先ほど大臣からも御説明がありました通り、今回の定員増は八千四百五名でありまして、大体陸関係自衛官千五百、その他の六千余名というのは海、空に充当いたしたいと考えております。海、空の自衛隊欠員状況はただいまも申し上げました通り、全体的にそう大きい数字を数えておりません。のみならず航空機ができ、あるいは艦船ができるに従いまして、これに要する乗員を早急に養成しなければならないという実情から御要求いたしておるわけでございます。なおまた陸の千五百名につきましては、主として施設部隊、全部を施設部隊に充当したい。五つの作業隊、一個大隊の施設大隊及び建設大隊、これに充てたいと考えておる次第であります。
  17. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 まあいろいろ御説明はしますけれども、実際に時間的にも技術的にも、特に陸上自衛隊の場合はこれを充当することは不可能といっていいのじゃないかと思うのです。  まず第一にこれだけたくさんの欠員が出ておるという一番大きな理由は一体何か、これをお聞きしたい。もう一つは第一次防衛三カ年計画において、一つ大きな柱となっておる陸上自衛隊十八万という線が、約二万人近くも欠員状況になっておるわけでございますが、こういう状態で支障を来たさないものかどうか。相当の根拠に基づいて十八万という数字をはじいておられたと思うのですが、実際には十五万程度しかそろえられなかったという点から、大きな支障を来たしておるのじゃないかと思うのですが、この点どういうふうにお考えになっておられますか。
  18. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 最近の募集状況については私からことさら申し上げるまでもなく、すでに御承知と思いますが、経済情勢の好転に伴いまして、民間産業界における雇用の伸長がめざましく、特に学校の新規卒業者と若年層の就職状況がきわめて好調であるというようなことが、主たる理由をなしておるものと考えております。これらに対しましては、われわれは募集の面において、なお相当研究をする余地がある。たとえば地方連絡部における活動の面におきまして、また受験から入隊までの期間を短縮するというような面におきまして、なお相当工夫を加える余地があると考えております。先ほど九月末現在の欠員の状況を申し上げましたが、年度のおしまいである三月には、この欠員の状況は相当大きく改善し得る見通しを持って、目下のところ募集業務に進んでおるわけでございます。
  19. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 後段を大臣から一つ……。
  20. 西村直己

    西村国務大臣 私どもといたしましては、なるほどこれには国防会議等で基本的に目標十八万、定員においてただいま十七万、それに対して今回八千四百五人というものを出しております。今回の増員は、中心がどちらかというと、数におきましては海、空にあるわけでございます。海、空になりますから、私どもはこれは当然法案成立いたしますれば、十分、応募者の状況から見まして、かなり積極的に充足は進め得ると考えております。また同時に充足することによって、艦艇あるいは航空機の整備、あるいは管制保安、こういった方面に対しても、国土防衛上能率の非常に上がるものだと考えております。陸上に関してはただいま御指摘のように、一万八千名の欠員はございます。しかしただいま官房長から御答弁いたしましたように、季節的な一時的の一つの現象も加わっておると思うのであります。従って防衛庁をあげてよい質の者を選ぶ。ただいま応募者がこれに対して少ないという、もちろん比例的には少ないのでありますが、やはり防衛庁としましては、自衛官の質を下げてまでという考え方はないのでありますから、そこにある程度欠員は起こっています。それからさらに季節的と申しますのは、やはり多少常時浮動があります。退職者も起こって参りますから、ある程度欠員というものは従来の例を考えていただいてもあるわけでございます。それからこの法案については、特にわれわれが業務計画上すみやかに実行いたしたいために、陸上自衛官について千何名ですか、出しています趣旨は、中心が建設大隊あるいは作業隊、こういう方面にあるのでありまして、これは非常に民生安定にも寄与する、建設を中心にした、災害時あるいは平常時に、自衛力を、訓練を通じて民生安定に寄与する、こういう面からも、これらはやはり充足率もよろしいし、技術面でもあって、特に充足率はよろしいと私は考えております。こういう趣旨からこれを出しておるわけであります。
  21. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私がお伺いしておるのは、現在の自衛隊の増強計画の根本をなす考え方というものが海、空、特に空については依然としてほとんど全面的にアメリカに依存する。海については対潜等一部の作戦について日本が肩がわりできるような形に進めていく。陸については全面的に日本自衛隊が肩がわりしていこう、こういう考え方の上に立って進められてきたと思うのです。そういう中から陸上自衛隊十八万という数字が出てきたと思うのですが、定員においてもすでに一万欠けておるし、現員においては三万近くの差がここに出てきておる。目標からいって……。そういう段階において、目標に遠く及ばないという形が現実に出てきておるのですが、そういう点で何ら支障はないのでございますかとお聞きしているわけです。
  22. 西村直己

    西村国務大臣 私どもといたしましては、目標、また現在定員というものがございまして、これに対しては十七万というものを持っておる。現在の法律上の定員であります。それに対する財政を勘案した充足率というものは、もちろん御承知通りあるわけであります。定員満度の計算で足りない分も多少あろうと思います。しかしそれに対して充足をするということは、やはりわれわれが十八万を持っておれば国土防衛、その他自衛隊がある目的の達成に非常に力強いものを持つわけでありますが、しかし国力といいますか、そういうもの等も勘案いたしまして、十七万の定員なりそれに対する充足率なりの問題が起こって参ります。その範囲内におきましては、私どもは防衛上現在の段階においてのちょうど必要な限度、こういうふうに考えてやっておるわけであります。それに対して私どもは、現在の季節的やその他の諸般の状況がありますけれども、それを乗り越えて、それに当てはまるように今後も努力し、やって参りたい、こういう趣旨なのであります。
  23. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 どうも防衛計画というものにあまり権威がないような印象を受けます。そこでこういった問題はいずれ通常国会に入って詳細に御質疑もいたしたいと思うのでございますが、さしあたって次の五カ年計画という問題が出てくるわけなのです。特に第一次三カ年計画は本年度で終わるわけでございまして、来年度から第二次計画に移っていく。さきに前赤城防衛庁官長の発表によると、これは五カ年計画にするのだというようなことが言われて参りました。ところが現実すでに予算編成期を前にしておるわけでございますけれども、来年度の予算編成というものと関係のない計画があとからできても、これまた実にナンセンスだと思うのでございますが、一体次の第二次長期防衛計画というものを実際に確定する意図があるのかどうか。あるとするならば、いつごろそれが国防会議にかけられて確定を見ることになるのか。予算編成期との関係において明確に一つお答えを願っておきたいと思います。
  24. 西村直己

    西村国務大臣 お説の通りたしか三十三年から三十五年までの第一次の防衛計画は今年度をもって一応終了し、次期防衛力の整備計画と申しますか、計画は前々長官の赤城長官時代からそういう声はありました。従ってただいま部内において私どもはこれを検討中でございます。そしてこれを予算とどの程度に扱っていくかということも、ただいま部内において検討中でございます。
  25. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 予算との関係検討中ということは、来年度予算の編成に間に合わなくてもやむを得ないということも考えているのだということですか。
  26. 西村直己

    西村国務大臣 間に合う場合もありますし、間に合わぬ場合もあります。
  27. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこでまた長期計画というものが非常に権威のない実態を暴露していると思う。すでに第二次計画の初年度に当たる来年度予算の編成関係がなく、長期計画ができる場合もあり得る、そんな計画を一体何のために作るのかと私は考えます。  もう一つ条件があると思うのです。それは現在非常に大きな問題になっておりますアメリカにおけるドル防衛、これに関連して当然日本に対する供与、援助というものも大きく削減されるだろうといわれております。特に無償供与というものはほとんど望めなくなるのじゃないかと思うのでありますが、そういうものの実態を十分に把握できない現段階にあって、はたして長期計画というものを作ってみたところで、権威のあるものができるかどうか、この点も私ども大いに疑問を持つわけでございますが、いかがですか。特に赤城さんの談話によりますと、第二次計画というものは量の増強にあらずして、質の増強だというようなことを言っておられるわけです。その裏にはアメリカに非常におんぶした考え方というものがあったように伺っておりますが、そういうふうな関連の上に立って、現段階ではたして第二次長期防衛計画を作って、権威のあるものができると大臣はお考えになっておられるかどうか。
  28. 西村直己

    西村国務大臣 権威という言葉のとり方でありまするが、私どもはただいまお答えをいたしましたように、間に合う場合もあるし間に合わぬ場合もあるということは、必ずしも数字的にぴっちりきめて、第二次防衛計画を予算編成前に国防会議を開いてきめない場合でも、防衛庁長官としてはそれの大きなる方向、柱、骨子というものと、来年度予算要求とは必然的に関連させて参りたいと考えております。  なおお説がありましたように、今後多少ともドル防衛から来るところのMSA等、特にMAPに関係します部分についてはある程度の影響はもちろんあると思います。これはできるだけ向こうの当局と折衝して、その変化の状況はよく固めて参りたい。ただしその場合でも、私どもは他の委員会等でも御説明申し上げましたように、MAPの変化、特に無償の供与というような部分は、防衛庁といたしましてはもうある程度従来織り込んでおりますから、その点では非常に大きな変化を受けるというふうには判定いたしておらないのであります。
  29. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 肝心のアメリカは政権の交代もありまして、先の見通しはほとんど不可能なんですよ。そういう時点で長期計画というものが成り立つかどうかという疑問を私どもは持っているということです。  もう一つは赤城さんの発表された第二次長期計画などというものは、たしか六カ年計画であったと思うのですが、これは最近五カ年計画というふうに言い直されているような感じを受けておるのですけれども、実際防衛庁で今作っておられるのは、六カ年にわたっての計画を作っておられるわけですか。それとも五カ年に修正されたわけですか。
  30. 西村直己

    西村国務大臣 その間の経緯は、私新任でありまして十分には存じておりませんが、一応私が承知しておるのでは、赤城長官時代のは三十五年を始期にしておる。私どものは三十六年を始期にしておる。その意味で五カ年計画、こういうふうに御了承をいただきます。
  31. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 先ほど申し上げたように詳しい質問は通常国会に入って本格的にやりたいと思うのですけれども、最近の新聞報道によりますと、大臣就任されていろいろ張り切って談話を発表されておられるような印象を受けております。たとえばその一つが国防省に昇格させるのだというようなことを言っておられるようでございますが、そういう意図で今考えておられるわけですか。
  32. 西村直己

    西村国務大臣 新聞に出ておるところは、新聞紙のそれぞれのお気持によりまして、私の発言をいろいろな角度々々からおとりになる。従って多少のニュアンスはありますが、ただ私が防衛庁長官を承りました気持としましては、やはり一つの隊組織なり、国土防衛という一つの重責をいただいておる部隊組織が私の隷下にあるわけであります。従って私はやはりこれに対して国民の要望にこたえるような士気の高揚に努めたい、こういう観点から私どもの意見が出て参る場合もあると思うのであります。国防省というような言葉につきましては、これは単にそれのみではありませんが、国防省というものの考え方は世論におきましても——世論の全部とは考えておりませんが、あるいは国会の内部におかれましても、それぞれのお立場において行政機構改革の一環として、またあれだけの人員や予算を擁しておる、しかも隷下には部隊組織を持っておるものについて、こういうようなことをしたらどうかという御意見も相当流れております。御発言もあります。従ってわれわれはこれらをいろいろな角度から検討というか、研究というか、そういうことを部内において、また防衛庁長官においてやることは、当然の職責と考えておる次第であります。
  33. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 当然になっておるのかどうか、大臣が就任されて栄誉礼を受けて張り切る気持はわかりますけれども、実際に今の自衛隊防衛庁というものは、憲法上まだ認知されているものじゃないわけなのだ。それにもかかわらず今言ったような国防省に昇格させたいというようなことをおっしゃる。これも私は率直に言ってちょっと軽率じゃないかという感じを受けました。またちょっとこまかいように思っておられるかもしれませんけれども、特車というものを戦車とはっきり出した方がいいじゃないか、そういうようなことを言っておられるようでございますが、張り切った気持はわかりますけれども、そういうふうに結局は明らかに憲法上もはっきりしているのだという確信を持って、嫡子として大手を振って歩こうというお気持なのですか。
  34. 西村直己

    西村国務大臣 私はただいまの自衛隊は憲法上認知されていないという考えは持っておりません。やはり憲法の条章のワク内において国会が正式にお認め下さった、政府の一つの行政機関であるというかたい信念を持っております。従ってその範囲内において用語等についていろいろわかりやすい用語を使うことは、また当然そういうふうな方向で研究いたすことは、防衛庁長官としての当然の職責と考えております。
  35. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大臣はそう思っておられるかもしれませんけれども国民は全般的にそういうふうな認識はまだ持っておらないわけです。そういうような点と関係してくるわけでございますが、きょうは私は一つ具体的な例をあげてお尋ねをしておきたいと思うことがあるわけです。  それは北海道の千歳において起きた事件でございます。すでに一部新聞にも報道されておるようでございますが、あらましを申し上げますと、千歳の中学校において、これは例年の行事だそうでございますけれども、子供の生活発表大会というのがあるのだそうです。これには学級から一名ずつ代表者が参加して、日常感じていることを発表し合う、そして審査の先生たちによって順位がきめられる。その入選した論文は例年千歳毎日という新聞に載せることになっているそうですが、今回五位に入りました中学一年生の二本木君という生徒が平和についての一つの発表をしておるわけです。ところがこれをとらえて自衛隊の千歳駐屯地司令が反論しておる。まことに私はおかしいと思うのです。なぜ一体自衛隊の駐屯地司令なる者が反論をしなくちゃならないのか、私は全くわからない。子供のけんかに親が出るという言葉がございますけれども、これは子供とけんかをしている。まあその程度の知能なのかもしれませんけれども、全くおとなげないと思うのです。  私、最初にこの二本木君が発表会で述べておる意見なるものをちょっと読んでみます。一体なぜ自衛隊の司令なる者がのこのこ出てきて反論をしなくちゃならない理由があるのか、大臣その気持がわかるなら教えていただきたいのです。どこが自衛隊にとって悪いのか、ちょっと読んでみます。   みなさん、ぼくはみなさんに真剣に聞いてもらいたいのです。今世界は自由主義国家と共産主義国家がたがいににくしみあっています。そして原子爆弾や水素爆弾をどんどん作り、軍隊や武器をふやしているようです。これは明らかに戦争をまねく結果になるでしょう。そして自分たちの平和を自らの手でこわしてしまうことになるのです。   しかしみなさん、これはおとなどおしの考えであり、大人どおしのにくみあいです。決して少年少女のねがいではありません。   日本の子どももアメリカの子どももソ連の子どもも、いや全世界の子どもが平和な生活をのぞんでいます。各国の少年少女はこうした大人のにくみあい、あらそいを悲しんでいます。   しかしぼくたち少年少女がどんなに平和をねがっているかもしらず、大人たちのあらそい、にくみあいはまだまだつづくでしょう。一体ぼくたちはどうすればよいのでしょう。  わかりません。   でも考えねばならないのです。そしてぼくたちの小さい力でもかまいません。こわれかかった世界の平和を作りあげるのです。それにはぼくたちがしっかりとした意見とやさしい心を持つことです。そしてまじめによく考え、進んで正しいことを実行し、仲よく助けあっていくのです。   みなさん、ホームルームを考えてください。みんなが熱心に話しあい、熱心に考え、正しく仲よくくらしているでしょうか。授業時間を考えてください。りっぱな頭をもった人間になるために、みんなが熱心に助けあって勉強しているでしょうか。   みなさん、ぼくたちがしっかりした人間にならなければ、明日の平和は約束されません。平和はぼくたちが守るのです。ぼくたちの力で守るのです。   みなさん、しっかりやろうではありませんか。  こういう意見なんですね。こういうものをとらえて長々と——あとで読んでみますけれども、駐屯地司令なる者がプリントにして反論している。そしてこの子供の気持というものを踏みにじる。非常に大きな反響を及ぼしている。一体私どもにはその理由がわからない。今言った意見の中にわざわざ駐屯地司令なる者が出てこなくちゃならない事項がどこにあるのか。大臣にはそのお気持がわかるというならば、私ども説明していただきたいのです。全くおとなげないと思うのです。純真な子供の心を傷つけるだけに終わっているのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  36. 西村直己

    西村国務大臣 御存じの通り自衛隊員の服務の本旨として、「隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、」云々、「身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえる」という服務の条項があるわけです。私ども自衛隊員がやはり国防に対する基本的な観念をきっちり持って、また必要に応じ限度に応じて、国民の各階各層に理解を求めるという態度は当然であり、かつまたあってしかるべきだと考えます。ただ、ただいまの具体的事件の詳細は長官として存じておりませんが、お説のようでありますれば、子供の一つの作文に対して、成年男子であり、しかも自衛官である者が直接何かやったことがあれば、それはヒューマニティというか、人間性の面において、われわれとして少し検討し、あるいは反省すべき余地があるのではないかというふうに私は考えております。
  37. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大臣もこういうやり方にはあまり共感されないようでございますからけっこうだと思います。しかし今後のこともありますし、もう少しこれは明らかにしてみたいのですが、実はこういう意見発表が校内で行なわれたのを見て、塚本という駐屯地司令が、このプリントですが、これを刷って主として自衛隊の子弟を対象としたとは言っておりますけれども、各家庭にずっと入れているわけですね。ところがこの反論の方がまことにもって政治的な発言をしているのですよ。それから私たちに言わせれば独断に満ち満ちているのです。しかもそこには先入観が入っているのです。子供が平和についてこんなに真剣に考えているというようにすなおにとらないで、これは先生がやらせているのだ、こういう先入観に基づいて措置をとっているようです。そうだとするならばなおさらのこと、最初に学校の先生に会って、そして事情をよく聞くなり何なりすればいいけれども、先生の方が問題にして司令に会見を申し込んで、その結果、どうもその点は自分たちに間違った先入観があったようだ、子供に書かせたと自分たちは思ったからやったのだということを言っているようです。どだいこういう措置をとる前にそういう先入観を持っておったところに問題があるのです。あとでまたほかの事件もありますけれども、どうも千歳では問題が多過ぎる、政治的な動きが多過ぎるのです。十分に注意していただかなければならぬと私は思う。  そこでこの反論でございますけれども、いろいろなことを言っております。これは全部読んでおったら時間がございませんから、ちょっと申し上げますと、   アルジェリヤ、スエズ、ラオス、南米等の紛争は決して単なる共産主義と自由主義国の争いではありません。民族の独立や後進民族の特別の事情等が原因です。或学者が歴史が始まって以来の戦争の原因を研究して見たら、その原因の数は数億件に達したとのことです。戦争の原因をそんなに簡単なものと考えてはいけません。  こういうような文章が一つ出てきております。最初に読んだアルジェリア、スエズ、ラオス、南米、こういうものの紛争が、単なる共産主義と自由主義国家の争いではないというのもまた一つの見方でしょう。しかしその両者の対立がまた現在発展しつつあるものもある。こういうものについても見解は当然違ってくるのじゃないかと私は思う。また学者の説だといって、戦争の原因には数億件あるなんて、これは独断ですよ。簡単なものと考えてはいけません。数億件あるというなら、私は数億件もお伺いしようと思いませんが、五十件でもいいですけれども、どんな原因があるのか教えてもらいたいくらいだ。これは防衛庁からでもいいですよ。この駐屯地司令なる者は数億件あると言っている。私はそんなにたくさん要求しませんから、五十でもいいです。あげてごらんになるならあげていただきたい。子供に対してこんなにめちゃめちゃなことを言っている。しかも学者の説だなんて権威がましいことを言っている。  まだあります。   世界各国は今水素爆弾や原子爆弾をそんなにどんどん作ってはいません。  これも独断ですよ。いかなる根拠に基づいてそんな独断を述べているのですか。これも防衛庁の方で、この司令がやったのだとおっしゃるなら、根拠を示して下さい。  それから軍縮のことについても、   軍隊は世界的に見ますとふやしてはいません。アメリカも、ソ連も、その他の国々にも出来るだけ小さく縮少しようと努力しています。  それではここに書いてあるだけでもいいです。アメリカもソ連も小さく縮小しようと努力しているというならば、ソ連の場合はわかりますが、アメリカはどういう形で縮小しているか、これも説明していただきたいところです。  それから一番問題なのは、   日本の自衛力は、まだまだ少いので、当分の間信頼出来ると国民が思っているアメリカと手を結んで力を合わせ、平和をたもとうと考えています。それが安全保障条約というものです。  これは純然たる政治的発言ですよ。あれほど国民の広い層にわたって安保条約反対という運動があった。これくらいのことは知っているはずです。そういう非常に有力な意見があることを伏せて、独断的に安保条約の礼賛などを一自衛隊の司令ごときがやっていいのかどうか。こういう政治的発言が許されるのか。この点についても私は見解を聞きたいところです。  それから最もけしからぬと思うのは、   おだやかな話しあいでことを決しないで、法律を無視した暴力的行動を平気でしたり、平和平和と毎日さけんでいるだけで、自分の自衛力の充実をおこたっていると却ってあぶないのです。  これは私たちのことを言わんとしているのでしょうが、こういうことを子供にまともに向かってやることを容認されるのですか、これもお伺いしたい。容認されるならわれわれの立場から有力な反論もあるのです。それでは私たちが意見をどんどん書いて自衛隊に持っていきますから、それを入れていただけますか。私たちが行って講演してくるのを許してくれますか。あるいは自衛隊の子弟でもよろしい、私たちの側の子弟でもよろしい、どんどんこういう反論をやることを内閣として大臣はお認めになりますか。私はこういうことは明らかに法で禁止されている政治的な行為にも入ると思う。御承知通り自衛隊法六十一条、あるいは施行令の八十六条ですか、こういうもので政治的行為の制限をされております。施行令の方が明らかですから、そちらの方を引用してみたいと思うのですが、第八十六条五号、「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。」、これは禁ぜられている行為ですよ。今私が申し上げたようなことはこれに入りませんか。それから八十七条第一号、「政治的目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用すること。」十七号にも書いてありますが、「なんらの名義又は形式をもってすると問わず、前各号の禁止又は制限を免かれる行為をすること。」とありますが、こういった一連の法律によって規制されておる政治的行為というふうにも判断できると思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。  以上各質問についてお答えを願いたいと思います。
  38. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん具体的な政治的な活動、政治行為は政令等である程度規制せられております。これは自衛隊の目的あるいは職責から考えて制限されております。しかし塚本団長のやった行為は、子供に対しての、小さい人に対しての反論という点について私は御批判が残ると思いますが、その意見の内容等につきましては、国際情勢や世界平和の維持に関する見解を披瀝したものであるから、この関係規定云々ということは私どもは当たらないというふうに考えております。
  39. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは先ほど申し上げたような安保条約について、国民の中にも有力な反対意見がある、こういうものを無視して、一方的な政治的な発言をすることもかまわないと大臣はおっしゃるのか。それからわれわれの側をとらえて、自衛隊の司令なる者が、こういう「おだやかな話しあいでことを決しないで」云々というような独断を下して誹謗することが許されるのかどうか、この点を伺いたい。
  40. 西村直己

    西村国務大臣 自衛隊員は国土防衛、そのためには安保体制の趣旨に従っての自衛隊の目的を果たしていくという考え方のもとに、今日の自衛隊は動いておるのであります。その範囲内において、私どもが今の世界平和のために、世界平和維持に対する見解を披瀝することは許された行為であると思うのであります。自衛隊員であるがゆえに、その言論の自由あるいは思想の自由を非常に極度に圧迫するというようなこと自体は、また逆に考えれば自衛隊法趣旨ではないと思います。
  41. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは今申し上げたような自衛隊法施行令で規制されておるこの第八十六条の五号にいう「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。」というのはどういうことを意味するのですか。どういうことはいけないのですか。
  42. 西村直己

    西村国務大臣 法令の解釈につきましては、関係政府委員からさらにお答えいたします。
  43. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 御指摘のありました自衛隊法施行令第八十六条に掲げてありますことは、たとえば特定の政党その他の政治団体を支持し、あるいは反対する、特定の内閣を支持し、または反対する、非常に制限せられた意味の政治的目的というものを掲げてございます。おあげになりました第五号、政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張したかどうかという点が、政治的目的を持って活動したかどうかということにかかろうかと思います。そうして本件の場合におきましては、先ほど大臣からお話がありました通り、団長個人が考えております世界情勢の分析とか軍事情勢の分析を自分の考えに基づいて述べておるのでありまして、これはいわゆる「政治の方向に「影響を与える意図で」云々には該当しないと考えております。
  44. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私が政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、または反対するという例としてあげたのは、今おもなものとして二つあげておるのですよ。安保条約についての考え方、それから安保反対の勢力を誹謗するという考え方ですね。この時期は解散直前ですよ。こういうビラを総選挙直前に自衛隊が配っておる。これで意図がなかったとどうして断言できますか。子供を対象としてこんなものを流すことがけしからぬとおっしゃるけれども、子供を対象としてやると同時に、それにかこつけて一般にPRする、いわゆる自民党の政策というものを浸透させようという意図がなかったとは言えないじゃありませんか。ああいう時期にこういうことを発表してもいいと言うのですか。この第五号に該当しないと言うのですか。しないと言うならば、するような例はどんなことがあるかということですよ。何ぼ規定したっていけないことは何もないということになるのじゃないですか。大臣、大へんな問題ですよ。今あなた方与党だから都合がいいから容認してかまわないとおっしゃるかもしれないが、とんでもないことですよ。特に最近私たち政治家が一番考えなければならないことは、軍の横暴というものは絶対に防がなければいけない、政治的な優先の原則というものはあくまでも生かしていかなければならない、これは私たち与野党を通じて十分に考えなければいけない点です。今都合がいいからと言ってこんなものを容認しておったら、頭にきて何をし出すかわかりませんよ。あとでお話しするようないい例もあるのですよ。現実に政治運動に介入しているじゃないかという疑いを持たれるような事件すら千歳にある。そういう裏づけもあるから、よけい私は念を押しておるのですよ。解散、総選挙の直前に、こういう明らかに政策的、政治的な発言を文書にして家庭に配るというようなことが、もしこの施行令の八十六条五号に該当しないというならば、一体どんなものが該当するのですか。ないじゃありませんか。いかがですか。
  45. 西村直己

    西村国務大臣 私自体も、この安保体制に対しての一つの主張を述べるということは、決して自衛隊法やその政令に該当するものではないと考えております。と申しますのは、すでに安保体制というものは、国が実際に条約を結び、それに基づいて国の方向としても政治として決定されて行なわれていることであります。その地盤に基づいて、ずっと自衛隊の立場、隊員の立場から、あるいは隊員でない個人の立場から、一つの国防に対する、あるいは世界平和の維持に対する見解を披瀝することは、私は一向に差しつかえないと考えております。
  46. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それは池田内閣の考え方と違いますよ。私ども国民の承認を得てから、条約の承認は取りつけなさいと言ってきたのです。ところが既成の事実として調印もし、批准も終えて、そうしてあとで追認という形で国会を解散し、そうして総選挙をやる、こう言ってきたのじゃありませんか。その国民の承認を得るか得ないか、そのための解散だと言っているのですよ、池田内閣は……。解散の一つの大きな意義は、いわば安保条約を国民が承認するかしないかというのが、この間の解散の一つの大きな意義だったのです。それを対象としてこういう一方的な見解を流すということは、明らかに政治的な意図がありとわれわれは考えざるを得ないのですよ。解散、総選挙の対象になっているものについての見解を、自衛隊の司令が出して、そうして家庭に配っているのですよ。明らかじゃありませんか。私はこういうようなものについては率直に、私はあらゆる立場というものを、小さな立場というものを抜きにして、もっと日本の政治、日本自衛隊はどうあるべきかという大所に立って大臣はものを考えていただかないと、あとで非常にに禍根を残すと思うから、これだけ真剣に申し上げているのです。一時のがれで済む問題じゃないのです。大臣がかまわないなんて言ったら、今後選挙があるたびに——これは国会の選挙だけではありません。地方自治体の選挙においてもそこに激しい政治活動が行なわれてくるのですよ。現に総選挙で争われようとしている命題をとらえて、そうして安保賛成の側に立って、しかも安保反対の側に立った者を誹謗する、そんなことが許されておりましょうか。個人としてそういう考えを持つことはいいかもしれません。しかし司令という肩書きで文書として家庭に配るということが許されておるとお考えになりますか。非常に重要な問題ですから、私は慎重に考えていただきたいと思います。即断できなければ時間を与えてもいいです。私は非常に大切な問題だと思いますから、もっと真剣に先のことまでおえになってお答えを願いたいと思います。
  47. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 今の石橋委員の御質問でございますが、実情は御承知通りと思います。司令が配布いたしました今のお示しの書類は、ああいう問題が起きたので、私の考えはこうだということを、やはり同年くらいの生徒のおる家庭だけを選びまして、私の承知しておるところでは約二百戸というふうに聞いておりますが、そこに参考のために配布したのであって、全体に対して配ったというような事実はないように承知いたしております。
  48. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 まあ部数も少なくおっしゃっていますが、小学校四年以上の子供を持つ家庭に配っているようです。しかしこの内容なりあるいはその漢字なり、小学校の子供でこれが読めますか。あなた方の子供さんはよほど秀才でしょうから読めるかもしれませんけれども、こんなむずかしい言葉、このむずかしい政治的な問題をとらえて、見解を述べて、子供にわかりますか。これは何だったらよく読んでいただきたいと思います。帰ってお子さんに見せていただいてもいいです。子供を対象にしておりませんですよ。しかもこれは先ほど申し上げたように、二本木君の作文を読んでみて、どこにおとなが乗り出さなくちゃならない点がありますか。自衛隊が問題にしなくちゃならない点がありますか。だから二つの見方があるのです。私が言っているように、むきになって子供とけんかしたこの格好もおかしな話です。自衛隊の司令なんてその程度の知能かもしれませんけれども、それがまずおかしいと同時に、私どもの常識では子供のこの作文に反論しなくちゃならないようなものは何にもございません。純真な気持で、そしてただ思った通りを言っているのです。何も自衛隊に支障を来たすような内容は一つもありません。だからこれをとらえて、選挙を目ざして一方的なPRをやったというにおいの方が強いのです。どちらも悪いけれども、それだけに私は念を押しているのです。そこで事務的な答弁を求めておるのではございません。先ほど申し上げたように非常に大切な問題です。特に法律的にいっても、政治的な行為というものがどの程度まで入るのかということは、一つの基準にもなることです。選挙前にこういう、明らかに一つの方向に導こうとする意図がはっきり出ているような文書を配ることがいいのかどうか。これは何度も申し上げますように、今後の政治家と自衛隊というものとの関係の上に立って、十分に慎重に考えなくてはならない面につながっている。だからきょう大臣がお答えできなければ時間を与えてもいい。もう少し検討していただいてもいい。もっと慎重にお答え願えませんかということをお伺いしている。
  49. 西村直己

    西村国務大臣 私は何も軽率にお答えしておるのではなく、防衛庁長官の責任においてお答えしておるのであります。安保等に対して一つの所見というものを自衛隊員が持つことは、自衛隊法の違反ではないと私は考えるのであります。御存じの通り安保というものは、先般の安保によって初めて構想が出たのではありません。昭和二十六年のサンフランシスコ条約のときから、すでに安保体制というものが政治の事実として、国策として遂行されておる。その上に乗って一つの自衛隊の協力部門もあるわけであります。そういう面から考えまして、私はそれ自体を書いているということは、別に自衛隊法にどうということはないと思います。ただやり方において、少年を相手にして云々という点については、先ほど申し上げましたような点において、私は批判の余地が残るではないか、こういう考え方であります。
  50. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私が言ったのはそうじゃないのです。この子供の、二本木君が言っておることに対して、何も乗り出さなければならないような内容は少しもないのに乗り出してきて、こんなことをいろいろつべこべと言うこと自体おかしい。もう一つは、実は何も反論しなくてはならないようなものがないにもかかわらず乗り出してきたのは、この文書を配ったのが十月の三十日、いいですか、そうしますと解散、総選挙の直前、今度の解散、総選挙において、社会党と自民党とが争っておる一番大きな争点はこの安保なんです。池田内閣も言っておるように安保なんです。安保条約というものを賛成か反対か、これを国民に問うというのが今度の解散、総選挙の一番大きな命題であったわけです。自民党の側の意見はわかります。私たちの側の意見もおわかりの通り、その一方の意見を正しいものと判定を下し、しかもこれに反対したものを誹謗して、自分の主張だけが正しいと思い込んでおるなんというでたらめなことを言っておる。そういうことを相手に言うなら自分だってそうですよ。妥当なりという考え方のものだって、有力な反対意見があるのだから……。そういうように明らかに総選挙で争われている問題をとらえて、意見をプリントして、何百枚というビラを配るという行為、明らかに子供が読んでわからないような文書を配っている以上、おとなにも読ませよう、逆にいえばおとなにこそ読ませようと考えたかもしれない。そういう行為をやることが政治的行為に入らないのですか。そんなことが入らないなんといえば、それこそこれからあらゆる点にわたって自衛隊は乗り出して参りますよ。あなたたちは、今与党に有利だからいいくらいに、軽い考えでいられるかもしれないが、そういうものを繰り返しておったら大へんなことになります。単に法律を犯すだけでなしに……。私は考えを持つことを言っておるのではない。その考えを一本にプリントとして配っておることを言っておる。そういうことを大臣がここでいいなんと言ったら大へんな問題になる。法律上も疑義があるし、それから政治優先の原則にも大きな影響を与えてくるのじゃないか。単に子供をどうしたこうしたというような小さな面だけで問題をとらえようとなさらないで、私が言っているような大きな面でとらえて、もう少し慎重に部内でも御検討あってしかるべきじゃないか、こう申し上げておるのですが、いかがでしょうか。
  51. 西村直己

    西村国務大臣 私は前回申し上げた通りの意見でございます。
  52. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 もう一回言って下さい、大切な問題ですから。
  53. 西村直己

    西村国務大臣 安保自体に対する意見が、所見が——子供に対する、少年に対する事柄自体については、先ほど申し上げた通りで御理解願ったと思うのでございますが、安保等を云々したということについては、安保体制というものが、すでにこれは自衛隊自体が、その目的の中でもっておのずから任務の一部に遂行されていく部分もある。そういう意味から安保体制というものに対して、世界の情勢下において、こういうものについて意見を述べ、多少それが流れていくことについては、私は自衛隊法から見て差しつかえないと考えます。
  54. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは選挙のときに、その選挙で争われておる争点について、一方の側を利するような意見をプリントして、自衛隊員が一般に配っても、どのようにワクを、何百枚、何千枚にしようと、そういうようなことをやっても、法律違反にはならない、こういうお考えですか。
  55. 西村直己

    西村国務大臣 今回の選挙だけにいかにも因縁があるように御主張になさいますが、私どもは時たまたまそういう一つの事例があるにすぎないのでありまして、毎回の選挙におきましても、安保体制その他国防のあり方については、政党でいえば与野党間に激しい意見の食い違いがあるのは事実でございます。従ってこれらについて一つの国策としてきまった基盤の上に、しかも法律にのっとって一つの隊活動というものができておる上において、その範囲内において、自衛隊あるいは自衛隊員の個人が意見を発表し、あるいはこれを表わすということについては、私は差しつかえないという考えでございます。
  56. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではその池田内閣が今度の総選挙において、新安保を賛成か反対かということを国民に問うのだと言ったのはうそですか。
  57. 西村直己

    西村国務大臣 これは自民党としてあるいは当然そういう主張はありましたでしょう。しかしこれは単に池田内閣のみではありません。いかなる内閣におきましても、それらの外交政策、国防政策というものが一つの選挙の論議になっておることは、あなた方も御存じの通りと私は考えております。
  58. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私が聞いておる通りお答え願いたい。今度の総選挙の一番大きな意義、それは新安保条約是か否かということを国民に問うのだと池田内閣は言ってきたと思うのですが、そういうものを取り立てて国民に問う意思はなかったとお考えなのかと聞いておるのです。
  59. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん池田内閣は、それも一つの問題であります、と同時に経済成長等についても意見を大いに政策上出しておる。これも御存じの通りであります。
  60. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 後段は要らぬことですよ。私が聞いておるのは、それではあなたはお認めになった。今度の総選挙で国民に新安保条約是か否かということを問うとおっしゃった。池田内閣は、安保是か非かということを総選挙の争点にしているのですよ。反対というものもある。賛成というものもある。これを国民に問おうじゃないかという態度を示したということをお認めになった、特定の政策です。そうするとそれを、政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、またはこれに反対することは、明らかに違反じゃありませんか。問題は、政治の方向に影響を与える意図があったかなかったかということなら私はわかります。しかしそれはあなた方これから調べなければわからぬでしょう。しかし意図があったとすれば、明らかに法律違反じゃありませんか、いかがです。
  61. 西村直己

    西村国務大臣 この文書の内容は、詳細に私は読んでおりませんが、しかしお説によりますれば、安保体制に対しての一つの所見を出したという点だと思います。しかし安保体制は、単に今回の選挙において論ぜられたのでなしに、また御存じの通り旧安保において長い間国策の一つの基盤として実行されて、日米間においても条約がずっと存在をしておった問題であります。その点において私はもっとあなたよりは——単なる今回の選挙のためにこの文書が使われたというふうには私は解釈していないのであります。それ以上に、国際情勢下における自衛力のあり方というか、平和のあり方等についての所見と考えておるのであります。
  62. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは旧安保条約のときに、日本に自衛力はありましたか。
  63. 西村直己

    西村国務大臣 警察予備隊でございましたが、もちろん自衛力というものはあったわけでございます。
  64. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 条約に何と書いてありますか。あったと書いてありますか。
  65. 西村直己

    西村国務大臣 ちょっと御質問をもう一ぺん聞かせて下さい。
  66. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 旧安保条約に、その当時自衛隊には自衛力はありましたかと言ったら、あなたはあったというけれども、条約に自衛力があると書いてありますか。
  67. 西村直己

    西村国務大臣 私の説明が多少語弊があるかもしれませんが、私は旧安保条約が結ばれた瞬間のことを言うのではないのであります。その後において、いわゆる安保条約後において、自衛力そのものについて、自衛力の有効なる行使というような問題について、警察予備隊等が発生した、あるいはその後における今日までの自衛隊の経緯を見ますると、そういう状況下に立っておるということでございます。
  68. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 経緯は私知っていますよ。自衛力があったかなかったか、あったかと聞いているのです。ないでしょう。条約にはないと書いてありますよ。今度の安保条約ではあった。そうするとこれは旧安保のことじゃないですよ。少ないのでと書いてある。あることを前提にして書いてあります。これは明らかに新安保条約ですよ。しかもこの間の安保反対闘争というものを誹謗することをつけ加えておるじゃありませんか。前のことじゃありませんよ。これは読んでいただいたらわかりますように、明らかに今度の新しい安保条約というものを頭に置いて書いておるのですよ。だから私もう一回申し上げます。これは明らかに特定の政策を主張しているのです。間違いありません。主張してないとおっしゃるなら、それはあなた詭弁ですよ。ただ問題は、政治の方向に影響を与える意図があったかなかったかです。これは私はあったと判定をしておる。あなた方は調べてみなければわからぬとお考えになるでしょう。だから調べていただいて、そうして結論を出すべきじゃないですか。本席で軽々に出すようなことになったら大へんな尾を引きますよと申し上げている。私は非常に親切な聞き方をしていると思うのですが、これが特定の政策を主張することにならないということにはなりませんよ。明らかに特定の政策を主張しまたはこれに反対することですよ。問題になるのは前段ですよ。前段について私とあなた方の見解が分かれることは認める。しかしそれは調べてみなくちゃわからぬことでしょう。だからお調べになって、そうして明快に判定を下すべきじゃないですかと、こう申し上げているのですが、いかがですか大臣、そうしていただけませんか。
  69. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん具体的な文書等については、私はまだ読んでいるわけでありません。あなたの御説明を通した部分から、私の意見を申し上げておるのであります。従って文書と申しますか、意見の表現というようなものもありまして、思想であっても、これが表現になった場合には文書になります。その文書はまだ私の手元にありませんけれども、おそらくそれはそういう意味では、文書を通じてのことは、私は調査をしてみなければならぬと思っております。ただ私の考え方は、あなたの御質問がある範囲内においては、さっきから申し上げたような気持で私はおるわけであります。
  70. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 十月三十日といえばすでに解散しておったと思うのです。いよいよ選挙に入る日ではなかったかと思います。そういう時期をとらえて、明らかに二つの政党の片一方を利するような有力な政策を、今度の総選挙において最も大きな争点となっておるものをとらえて、そうして一方を支持し、一方を誹謗するような意見を述べたプリントを、たとい数を何百かに限定しようとも、家庭にこれを配るという行為は、明らかにこれは政治的行為である。問題は政治の方向に影響を与える意図があったかなかったかということによって判定は下ります。意図があったかなかったかということは、早急にここで結論を出すことはむずかしいでしょうから、防衛庁としても一つ責任を持って調査をしていただきたい、そのあとで明確な判定を下していただきたい、こう申し上げますがいかがでしょう。
  71. 西村直己

    西村国務大臣 私はこの点ではっきり申し上げておきたいのは、私の基本の考え方は、自衛隊にも広い意味の政治、特定の政策とか、そういう意味でない意味においての言論とか、行動の自由というものは、自衛隊法で許されておる。ただ具体的な、ただいま言われたような文書を通しての表現において、今言ったような点があれば、それはもちろん当然の職責として内容を調査するということは私どもの責任だと思っております。しかし今石橋さんから言われた事柄を私が受け取ったところに対する所見としては、私は自衛隊法上許されたる範囲内の行動だというふうに考えておるわけであります。
  72. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 政治の方向に影響を与える意図があれば違反なんでしょう。この点いかがですか。
  73. 西村直己

    西村国務大臣 自衛隊法の正面からぶつかることであれば、これは当然の問題になって参ると思います。
  74. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 わからないのですがね。政治の方向に影響を与える意図を持っておれば、自衛隊法施行令の第八十六条第五号に明らかに違反する結果になりはせんですか。私は意図を持っておったか、持っておらなかったかということをここで争っても、これは争いにとどまる。調査してみなくちゃわからないと譲っているわけですよ。意図があればこれはもう明快ですよ。
  75. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 ただいまの大臣の御答弁に補足させていただきますが、私がこの問題について調査したところによりますと、そういうふうな特定な意図を持って、本件の文書を配付したというようには考えておりません。なお十分一つ検討を続けたいと思いますが、今まで私が調べたところは以上でございます。
  76. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 検討を続けていただくことはけっこうです。おそらく時日もなかったでしょうから、お宅で調べるのも……。今後検討を続けていただくことはけっこうですが、この意図があれば、明らかに五号に違反するということについてはどうですか。
  77. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 法律に書いてある意図を持って、法律に書いてある行為をするということは、明らかに自衛隊法に違反することになります。
  78. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではけっこうです。あなたの方でも調べていただきたい。私たちの方でもさらに調べます。こういうでたらめなやり方をやっているところを見ますと、意図があったとしか思えません。何にも反論を必要とするような作文でもないのに、それを口実にして、時期はよしとPRをやったというように私どもは考えておるわけであります。この点は今後も一つ争いたいと思います。  もう一つあるのです。同じ千歳です。これは千歳の市長が自衛隊協力会というものを作りました。一体何をするのか、その会則なるものを調べてみましたら、これは、自衛隊協力会のことは御承知だと思いますから、私申し上げません。ところがこれに対して、この協力会を作るための一切の事務を実は市長が市の職員を使って、市のお金を使って始めたわけなんです。そこで市の議会が非常にこれを大きく問題として取り上げました。けしからぬ、市長が個人的に自衛隊協力会を作ろうと、会長になろうと、何をされようとそんなことはかまわぬけれども、市長として市の職員を使って、市の金を使ってそんなことをするのはけしからぬという問題が出てきたわけなんです。ところが市長の方では、これは当然の市の仕事だ、市の業務なんだ。おそらくこれは国の委任業務だというような意味だろうと思うのですけれども、そういうとんでもない見解を発表して対立してきた。そうしましたら、今度はこの市議会を解散すると出てきました。えらい鼻息が荒いと思って調べてみたら、どうも自衛隊の票を当てにしているようなんです。現に市議会がそういった猛烈な反対をしたときに、自衛隊の隊員は個々に戸別訪問をして説得しておる事実もある。相当深入りしておるようですよ。これなどはもう事実であれば文句なしに自衛隊法に違反すると私は思う。このリコールなどに協力すればなおさらです。現にそういう反対する人に、そういうことをしたらためになりませんよといったような動きをしたことすら、私は問題があると思うのですが、この点はいかがですか。
  79. 西村直己

    西村国務大臣 千歳におきまする協力会の活動といいますか、結成、これに市会の紛争、まだ私は具体的にその内容については聞いておりませんが、防衛庁としては、隊員が政治に関与するということについては、もちろん厳重に注意をすると同時に、協力会は部外友好団体であるというように私は解釈しておりますから、自衛隊としてはこれに関与はいたしていない、こういうように御了承願いたいと思います。
  80. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 千歳の市内に自衛隊が何人おりますか。
  81. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 今私的確に承知いたしておりません。
  82. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 概数でいいです。
  83. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 取り調べてお答えいたします。
  84. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私は約一万と聞いているのですよ。この自衛隊の莫大な数を当てにして、市長が、いわゆる市議会の多数の反対派を粉砕するために、リコール運動を起こしておるという見方を一般の市民はしておるのです。これもゆゆしき問題ですよ。先ほどお話ししたような行動といい、このリコール問題にもからんで起こっておる疑いといい、千歳の部隊が不当に政治問題に首を突っ込んでおることは間違いないのです。この点も非常に重要な問題ですから、さらに一つ調査を進めていただきたいと思いますが、ようございますか、大臣。
  85. 西村直己

    西村国務大臣 私、防衛庁長官としては、まだ詳細の事実については報告を受けておりません。従ってこれは事実は明らかにしなければならぬと、こういうように考えております。
  86. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 ただいまの点につきまして、私の方で承知しておりますごく簡単な概要を申し上げたいと思います。  今お述べになりました通り千歳におきましては、市政を中心にして紛争が起こっておるようでございます。自衛隊としてこの紛争に巻き込まれないように厳に注意指導をいたしておる次第でございます。十二月十一日の日曜日に、隊員の外出時をねらって、同志会、いわゆる市長派の方が市会解散の署名運動をやるというような情報がありましたために、私の方から指令を出しまして、署名運動に積極的に参与するということは、これは明らかに自衛隊法に書いてある政治活動と目されるおそれがありますので、こういうことは絶対にやってはいかぬ。さらに隊員の家族に対しましても、市民から批判の対象あるいは批判を受けるということのないように、厳重に注意を発しております。署名運動は取りやめになったというふうに報告を得ておるわけでございます。
  87. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこなんですよ、問題は。市長は自衛隊票というものを当てにして、反対する議会を解散させ、これをリコールさせようと、こう来たのです。ところがその後、法律的に自衛隊の隊員が署名運動に応ぜられないことがわかってきて、これはもう勝つ見込みがないというので、やめているのです。そこに自衛隊の幹部とこの市長との間に何らかの話し合いがあったのじゃないかという疑問も、市民には持たれておる。あるいは市長が一方的に、非常に自衛隊が好意を寄せてくれるから、これを頼みにしてやってみた。法律的なところまで調べておらなかった。それがあとでわかったからやめたかもしれない。とにかく何らかの深い因縁があることは事実なんです。非常に不明朗です、この千歳地区の自衛隊の幹部のあり方は。こういうものは徹底的にこの際粛正していただかなくちゃならぬと思いますから、強く要望しておきます。  ちょっと話が変わりますけれども防衛庁の外局としての調達庁、これがもう年々職員が首を切られて縮小されていって非常に不安におののいている。何とかしなければならないのではないかということを毎国会お尋ねするのでございますが、そのたびに大臣は検討中々々々と言っておるのですけれども、今のまま調達庁の仕事が減るにまかせて、職員もぼつぼつと首を切っていって、一体先はどうなるのか。ここのところを明確にどうするというような対策をお持ちなのですか。いろいろ腹案としては流れておるわけです。たとえば一部を防衛庁の建本と一緒にしたらどうかとか、そういう腹案はあるようですけれども、とにかく将来にわたって調達庁の職員が安心して仕事ができるような方向をここで打ち出してやるべきじゃないかと思うのですが、この点についての大臣のお考えをお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  88. 西村直己

    西村国務大臣 調達業務は相手があって、特に対米関係においては変化というものが起きてきます。従ってそこに情勢の変化によって現実業務をやっていくということは、確かに不安定な部分があるのでありますが、私はまだ着任早々でありますから、そういうような状況は一応見ております。と同時に、部内においてそれに対処すべき対策というか、機構というか、そういうものについて検討いたして、私といたしましてもできる限りの努力をいたして、これが方向づけと申しますか、安定化と申しますか、具体的には機構等の問題をやはり取り上げて参りたい、こういう考えでございます。
  89. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ずいぶん歴代長官検討中というお答えを私は得ておりますので、一つ次の通常国会には具体的な案がお聞きできるように、研究を進めていただきたいということを申し上げて、本日の質問を終わりたいと思います。
  90. 久野忠治

    久野委員長 質疑を継続いたします。申し出がありますので、これを許します。久保田豊君。
  91. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 最近政府の方としても、第二次防衛五カ年計画といいますか、これを立てようとするような動きがあるようであります。それと連関しまして、世界情勢というか、特にアメリカのいろいろな関係が相当変わってきているので、その基本について二、三お尋ねをしたいと思うわけであります。  そこでまず第一に防衛庁長官にお聞きしますが、新聞で見ますと、今の第二次五カ年計画、つまり赤城構想、これを防衛庁としてはある程度変えてやるか、変えないでそのままやっていくかという点が今問題になっているようです。この点について長官はどういうふうにお考えになっているのか、基本を一つお示しいただきたい。
  92. 西村直己

    西村国務大臣 先ほどもちょっとこの問題に触れましたが、私といたしましては、もちろん来年度予算編成を控えております。従って来年度予算と自衛隊の将来の防衛力、これには財政力が裏づけになるわけですが、食い違いを起こしたり、禍根を生じたり、あるいは無計画になったり、そういう考え方はとるべきでない。元来この防衛力というものは長期の姿でながめることに基本を置いていく、これが一つの考えであります。長い目でずっと考えていく。ただ具体的な計画そのものは、私も着任早々であります。その間に対米関係から見ますと、ドル防衛というような問題も入って参りました。そこらのところを含めて、どういう内容、どういう取り扱いにするかということは、昨日も部内になるべくすみやかに一つの考えをまとめてほしい、そういう指示と申しますか、そういう意見を伝えております。
  93. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その点に連関しまして、時間がありませんから大筋だけお伺いします。このドル防衛の問題だけではありません。もっと根は深いと思うのでありますけれども、私の見るところでば、アメリカの戦略体制というものが世界的な規模で変わりつつあるのではないかというふうに思われるわけです。少なくとも赤城構想の前提になっておりますものは、いわゆる地域的限定戦争——戦略といいますか、こういうものが土台であります。ところが特に最近ハーター長官がNATOあたりで出している提案を見ますと、これは変わってきておる。どう変わってきておるかというと、よく言われるような有限戦略というような格好に変わってきておるようであります。つまり陸上の基地とか、あるいは陸上兵力とか、普通のそれではなくて、大体においてミサイルなり原子兵器なり原水爆なり、こういうものを海上もしくは空中で使って、しかも自分の本土の方はやられても、海上ないしはそういう敵にやられない勢力で、あとで相手の領地といいますか、住民を殺す。この限度のものをもってやるというふうに戦略の体制がすっかり変わってきているように思う。こういう点については実はこの前安保体制のときもお聞きしたのですが、日本防衛庁はこの戦略体制、アメリカの戦略問題については全然知らされておらない、研究もしていない、こういう加藤さんの御答弁だった。あるいは赤城さんもそうだ。そういうべらぼうなことで私は一国の防衛計画などは立つはずがないと思う。それならばその点を安保条約のどこでどう保障しているのかということを聞いてもこれが何もない。こういう変化についてどういうふうにアメリカ側と打ち合わせをしているのか。しかもNATOでハーター長官が言っているのは、NATO軍に対しましてはポラリス潜水艦を大体六二年まで五そう提供しよう。そのほかにポラリスのIRBMを百基提供しよう。しかしこれは乗せる飛行機なり軍艦なりは向こうでつける。こういうことです。それは大体において六三年までに提供しよう、こういうことです。こういう点については政府としては防衛庁としてはどういうふうにアメリカと連携をしてやっておるのか。また第二次五カ年計画にもし入れるとするならば、私はこういう点をどういうふうに織り込んでいるのか、具体的にどうやっているのか。この基本がはっきりしませんと、日本の防衛計画なんというものは全く無意味になってしまう。あるいは自衛隊そのものが無意味になってくる。それがその通りで、大体今までの御説明の中でも、安保の規定の中でも、共同防衛ということは基本であって、日本だけでは何もできないということを言っているのですから、少なくともアメリカの兵力ないしその戦略というものがその土台ではなくては、日本の防衛というものはできないということですから、この一番基本になるアメリカの戦略がどう変化するかといいますと、今の長官のお話のように五カ年なり六カ年の先を考えた場合に、まさにその点が重要な問題になってくると思うが、この点についてはどのような交渉なりあるいは連絡なりを受けておるのか。これに対して日本側としてはどういう意見を出して、そしてそれとの調整において第二次五カ年計画を考えておるのか考えてないのか、こういう点を明らかにしてもらいたい。
  94. 加藤陽三

    加藤説明員 防衛計画の問題につきましてはただいま長官のおっしゃった通り検討中でございます。ただアメリカとの共同防衛体制でございますが、私ども日本の防衛に関する限りにおきましては、アメリカ側と緊密に連絡をいたします。ただしかしアメリカはグローバルな戦略を考えておるわけでございまして、アメリカ全体としては日本だけ特に取り上げて考えるということは、事情によりましてはなかなかむずかしい問題もあろうと思うのでございます。アメリカからグローバルな戦略等について聞くということはもちろんございません。ただ私どもはアメリカの戦略というものがどういうふうに変わるであろうということについては、絶えず研究をいたしております。先ほどのお話でございますが、最近は御承知通りポラリスというものはいよいよ実用化いたしまして、これはとにかく弾道弾の時代になりましても水中から発射するものでございまして、なかなか捕捉されにくいということがございます。一つの大きな抑制力として、アメリカはこれに力を入れておるということはございます。民主党の政権に近く変わるわけでございますが、民主党の政権になりましても、どういうふうな国防政策をとるであろうかということは注意をして見ておりますけれども、まだこれといったはっきりしたものはないのでございます。ただ共和党政権に対しまして、共和党の防衛努力というものが足りないというふうなこと、あるいはミサイルにおいてソ連からおくれをとった。これはやはり国防費等の問題についても問題があるのだというふうなことは言っておるのでございます。また民主党として新政権がどういうふうな国防政策をとるであろうかということは、推測の域を出ないのでございまして、確実なことは申し上げられないと思うのであります。ただしかし戦略がどういうふうに変わるかということは非常に大きな問題でございますが、現在の世界の情勢を考えますと、どうしても戦略的には戦争抑制という方向に大きく動いておることはこれは間違いありません。と同時に国連憲章の精神によりますれば、すべての紛争というものは平和的に解決をするということが建前でございますけれども、同時に五十一条というものがありまして、侵略が起こった場合には集団的または個別的自衛権を害するものではないというふうなことを言っておりまして、日本の防衛構想もそれに従いまして、さきに述べられておりますところの国防の基本方針に従ってやっていくということは変わらないと思うのであります。国防の基本方針というのは、国連が十分に強力になりまして、これによって安全の保障ができるまでは、米国との共同防衛体制でやっていくということであります。私どもはその方向で防衛計画というものも深く研究しておる次第であります。
  95. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それは一般にはそう言わざるを得ないでしょうが、一番基本になるのは、日本の国防についてはアメリカと打ち合わせをしておる。しかしグローバルな戦略については打ち合わせもしていなければ聞いてもいない。少なくともアジアに関しては私はこの点のお互いの了解なり何なりがなければ、日本の国防というものは成り立たぬと思うのです。アジアに対してアメリカがどういう戦略を持っているのか、それはお先まっ暗で日本の国防だけでやっているということは、あとは全部アメリカさんにおまかせしたからやりたいようにやってくれ、その範囲において私どもはついていくということに、結果においてなるのじゃないでしょうか。少なくともアジアなり極東におけるアメリカの戦略なり何なり——これはもちろん世界戦略というものと連関をしてくる問題であり、一部であります。しかしこれがわからなければ日本の国防というものは私は成り立たぬと思う。その極東に対する戦略についてアメリカを信用するから、われわれは口を出さぬでもいいというのですか。それから先のことはアメリカさんに全部おまかせしてわれわれは知らぬ顔で安心している、こういう御意見ですか。私どもは少なくとも日本の国防というものを今の極東の情勢の中で考える場合においては、いやでもおうでも最低日本は——世界戦略については詳しいことまでわからないかもしれません。しかしながら少なくともアジアの戦略については、できるだけ詳細のことを知って、それとの連関において日本の共同防衛というものを考えるよりほかにないと思うのですが、この点はどうなのです。
  96. 加藤陽三

    加藤説明員 アジアにおきまするところの米軍の配置というものにつきましては、私ども一応知っておるわけであります。しかし先ほど申し上げました通り、グローバルな考え方を持っておりまするから、アメリカ本土に持っておりまするところの戦略的な力をどういうふうに使うかということもございましょう。私どもといたしましては、日本の基地、施設を使うという場合——これは日本以外の防衛の場合でもございます。これは今度の安保条約によりまして、日本政府と事前に協議をするということになってきておるわけでございます。たとえばアメリカが太平洋に持っておる艦隊とか空軍とかいうものを、どこへどういうふうに使うかというふうな、日本関係のないことまで知るということは、お互いの国家といたしまして私はなかなかむずかしいことであろうと思うのであります。
  97. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 しかしそれはある程度知らなければ、たとえば第七艦隊が日本の横須賀へ入ってきて、これはどういう行動をするかということがある程度見当つかなければ、日本の防衛はできないじゃないですか。そういう点はどうなんですか。日本におるアメリカ軍というのは、日本だけの防衛の任務を持っておるのじゃないことははっきりしていますよ。ハワイでもって指揮されて、要するに極東全体ないしはグローバルといいますか、世界戦略の一環として動かされているのですから、日本を防衛するだけの任務なんというものは、今度の安保条約にはどこにもないのです。そういう点から見ても、少なくともアジアにおける戦略体制については、相当詳細なことなりあるいは連絡を受けなければ、日本の防衛はいつ戦争に巻き込まれるかわからぬじゃないですか。この点はどうなのです。
  98. 加藤陽三

    加藤説明員 どうも私おっしゃることが理解しにくいのでありますが、戦略を知っておるということと、アジアにおける太平洋軍の力を知るということとは別だと思います。太平洋軍の力をどう使うか、あるいはその必要に応じましてはさらに本国から来援を求めるかもわかりません。そういうことが集まって一つの戦略というものがあるのだろうと思います。私どもは太平洋軍の力というものにつきましては、もちろんある程度承知しておる。ただ横須賀に寄港した第七艦隊がこれからどこへ行くのか、どういう任務を持ってどこへ行くのかということまでチェックすることは、私どもは今必要ないと思います。
  99. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 時間がありませんから、それ以上はやめますけれども、今度のハーター長官のNATOで出しておりますああいうポラリスの問題ですね。あれはそうすると、日本のあなた方としては、今度のケネディ政権ができれば変わる性質のもの、どう変わるかまだわからぬのだ、こういうお考えですか。私どもは少なくともNATOのあの会議に、アメリカの代表的長官がああいう提案をする以上は、次のケネディ政権とも十分打ち合わせ済みの提案だろうと思うのです。あれがまたどう変わるかわからぬというのでは、ちょっとおかしいと思うのですが、この点はどうなのです。
  100. 加藤陽三

    加藤説明員 これは政権の交代が近いことでございまするから、おそらくはある程度の打ち合わせはしておると思います。私が申し上げたのはポラリスの配置をどうするかこうするかということについて、新政権がどういうふうなことを打ち出すかということではなくて、もっと大きなアメリカの国防、世界の平和維持ということにつきまして、ケネディ政権がどういうふうな方向を打ち出すかということはまだわからない。個々の専門的な問題になりますると、私はおそらくある程度の了解はしながらやっておると見るのが穏当だろうと思います。
  101. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 問題は世界の平和をどういうふうに維持するかとか、そういう大きな政治的な考慮、方策は別として、少なくとも軍事面に関する戦略面に関しては、あそこに有限戦略といいますか、こういうものがはっきり出ておるように私どもは見ておるわけなのです。この点はあなた方はどう見ておるのですか。従来のいわゆる限定戦略から有限戦略に変わってきておるように私どもは見ておる。これは米ソの軍事的ないろいろな力関係その他を見ても、そう変わらざるを得ないように思われるのでありますが、この点については日本防衛庁としてはあれをどういうふうに評価し、あるいは見ておるのか、今後アメリカの戦略なり何なりの方向がどういうふうに変わっていくのか、どういうふうに見ておるのですか。この点をお聞きしたいと思う。
  102. 加藤陽三

    加藤説明員 これは先ほど申し上げました通り、新政権がどういうふうな国防方針を打ち出すかということは、推測の域を出ませんので、今私がここで申し上げるのはいかがかと思います。ただ兵器の進歩というのは片方に厳然たる事実としてあるわけでございますが、これらの兵器を使ってどういうふうなことを考えるかということになるわけでございます。兵器の進歩にある程度即応した考え方、それと離れた考え方はできないと思います。今の世界の平和というのは、私はやはり米ソ両陣営の均衡を軍事力というもので保たれておるというのが、理想論は別として、現実だろうと思います。米ソの軍事力というのは、御承知かと思いますが、それぞれ特徴がございます。アメリカを中心とする自由圏は海洋を中心にして考えておる。共産圏は大陸を中心にして考えておる。その任務に応じた編成なり装備を持っておるわけであります。ソ連の方で今進歩しておりますのは大陸間弾道弾、大規模なロケット等でありまして、ソ連といたしましてはやはりアメリカの海外基地その他を考えまして、そういうふうなことを考えなければアメリカと拮抗できないというふうな考え方だろうと思います。アメリカはポラリスというふうなものに非常に力を入れて開発している。戦略空軍をどうするかというような問題はございますが、しかし一面におきましてはこういうような米ソの弾道兵力というふうなものが発達して参りますると、もう大規模な戦争というものは人類の滅亡に通ずるものだ。これはできにくくなっている。実際起こり得るものは制限戦争と申しますか、通常の兵器による戦争ではなかろうか。この方面に対する抑制力と申しますか、これを鎮圧する力というものを今強化する段階でないかという意見もありますことは、御承知通りであります。有限戦争とおっしゃった意味が私よくわからないのでありますが、全面核戦争か、しからざれば通常兵器による戦争か、あるいは制限核を使うことを考える戦争か、いろいろ考え方はあると思います。限定戦争という場合におきましても兵器の限定か、地域の限定か、いろいろ内容は異なってくるのでありまして、ただアメリカは、これも御承知と思いますが、今までは周辺基地を使いますところの大量報復思想というものを根底に持っており、戦略空軍その他在外基地というものを非常に強化しておりながら、一面におきましては、戦術的な攻撃兵力あるいは本土防衛兵力というものも増強して参っております。ソ連の軍事雑誌等に現われました思想を見ますと、制限戦争というような考え方は成り立ち得ないのだ。それは相手側が有利だからそういうことを言っている。もし今後戦争が起こるならば、それは必ずや全面的な核兵器を使う戦争になるだろうというふうな論文が、ソ連の雑誌や新聞などに現われております。これは私どもから公平に見ますと、お互いに自分の利益と長所を活用する考え方であろうと思うのであります。現実の戦争というものは起こらないことを希望いたしますけれども、起こる場合にどういう形をとるかということを推測するのは、これは何人といえども非常にむずかしい問題ではなかろうかと思うのであります。
  103. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 時間がありませんから詳しい議論はまた次にやろうと思いますが、そこで私お伺いしたいのは、今度のNATOその他のいろいろの状況を考えてみて、少なくともいろいろの定義の問題は別としまして、従来のアメリカの戦略思想の根本であった、いわゆる限定戦争というものから有限戦争といいますか、要するに基地を土台にした戦略ではなくして、海上なりあるいは空中なりから核兵器なりあるいはミサイルなどを飛ばして、しかもそれは本土がやられたあとでも相手方は生き残れぬぞというのが、簡単に言いますとどうも有限戦争の一番基本のようです。要するに本土がやられ、基地がやられても、相手が本土をやっつけてしまっても、海上なり空中にいるものがいつでも飛んでいって向こう側をやるぞというのが、どうも中心の思想のようです。これはしろうとですから間違っているかもしれぬが、どうもそういうのが基本の考えのようで、これは私は軍事思想として非常な堕落だと思いますが、そういう観点の戦略だというふうに私どもは思っておるのです。この点についてはいろいろ意見もあることでありましょうが、そういうふうに変わりつつあるようにどうも考えられる。そういう場合にそういったことが極東の方のアメリカの戦略に今後どう響いてくるかということを、御研究になっておられることと思います。片方においては御承知通りドル防衛という観点から、海外の基地の整理ということ、あるいは海外におる米軍の整理という問題が、現にすでに国防長官からそのための調査という指令が出ているわけです。そういうものと結びつけて考えてみると、そこに非常に大きく問題が出てくるように思う。そこで極東の問題についてお伺いしたいのは、その二点のからみ合いをどういうふうにごらんになっているか、この点が一番中心になろうかと思います。  もう一つの観点は、極東に関しましては御承知通り、これはソビエトなりあるいは中国の軍事力といいますか、そういうものが急速に伸びつつあることも事実であります。それと同時に中国の国連加盟が来年あたり実現するということも、政治的に既成の事実になってくる。同時にこれに連関して朝鮮の南北統一問題というものは現在火がついている。台湾の本土復帰という問題も、これはおそらく中国の国連加盟という問題が解決すれば、国際舞台においても現地においても火がつくことは明らかである。さらに御承知通りラオスの問題が、単にラオスの問題だけでとどまらず、今の状況でいきますとまかり間違えば少なくともラオス、タイあるいは南北ベトナムを含めた、あの辺での大きな問題になって、しかもこれが多分に社会革命的な内容と同時に、これに連関する軍事的な性格を持ってくることは明らかであります。こういう事実の上に立って、こういう予想の上に立ってアメリカとしては日本を考えるでしょうし、また日本としてもそういう関連から立って国防というものを考えなければならぬと思いますが、こういう点についてはドル節約の問題もからんで、どういうふうに長期の見通しなり検討をしているのですか。これは今の段階ではなかなかわかりにくいことだと思います。しかしこういった点についてある程度の見通しを立てなければ、少なくとも五カ年なり七カ年の防衛計画なり、日本の軍隊の整備計画というものは、有効なものは立たぬと思う。あるいは日本自衛隊の任務なり何なりが変わってくれば別ですが、こういう点についてはどういうふうにお考えになり、また今後こういう問題についてはどの程度検討されて、第二次防衛五カ年計画を立てられるつもりか。ことしの予算獲得の裏づけとして、どうしても第二次防衛計画を一応早くでっち上げなければならぬというふうな考え方では、非常に困ると私どもは思うわけです。この点はどうなんでしょう。
  104. 加藤陽三

    加藤説明員 最初に仰せになりましたポラリスとか、戦略空軍が空中に絶えず待機しているというような問題は、これは私はグローバルな問題だと思うのであります。これによりまして片方からの先制奇襲に対しまして、自分で反撃する力を持とうという考えでございますから、これは世界全体の視野に立っての戦略思想であると思うのでありまして、この考え方は直接極東にどうこうということには私はあまりならないと思うのでございます。ただそういうふうに戦争抑制力というものが強化されますけれども、他方におきまして、局地戦、と申しますか、在来戦と申しますか、こういうふうなものが起こらないという保証はない。むしろお互いの戦略的な反撃力というものが強まれば強まるほど、そういうふうな侵略なり戦争なりの形になりやすいということは、一応私どもも考えなければならないと思うのであります。アメリカとしてもそういうことを考えておると思います。そういう見地に立ちますと、現在の極東における米軍の配置は、今急に大きく変わるということはまずあるまいというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  105. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もちろん今急に、今年じゅうとか来年じゅうに変わることはないと思います。しかし今言ったような遊撃戦略なりそういう戦争というものは、グローバルな問題であると同時に、極東にもやはりこれは逐次くる問題であります。極東は欧州と条件がいろいろ違いますから、それに応じた変化というものは当然くると思います。しかしながら全体としては戦略の大きな流れ、あるいは軍備なり何なりの大きな流れとしては当然そうなると思う。そこで今私があげましたような極東にいろいろな新しい情勢が出てきておるわけであります。しかもこれは今年の問題ではないにしても、来年なり再来年には確実に出てくる問題であります。現にすでに出てきつつある問題であります。そういう問題とひっからんで、グローバルな戦略的な問題と極東の特殊性という問題とが、どう結びついてくるかということが検討の一番中心にならなければならぬと思うのであります。その観点から私はアメリカとしても、極東戦略というものを考えてくるだろうと思うのです。あるいは極東におりますアメリカ軍の配置なり何なりを変えるとか、あるいは削減するとかいう問題が当然出てくる。そうしてその場合においては、この穴埋めをどこでするかという問題も当然出てきましょう。お説の通り今の段階では、極東で起こる問題がすぐに米ソの本格的な戦争になるかどうかということは相当疑問があります。しかしながら今のラオスの例を見ましても、これが単なるラオスの国内におけるパテト・ラオなり、あるいは親米派と親ソ派の戦いでないことは明らかであります。これに何らかの形において米ソが軍事的に介入しておることは事実であります。そういう線があっちにもこっちにも出てくるということになってくる。いやおうなしにそうなりましょう。南鮮でも私はそういう日は決して遠くないと思います。台湾は今やや安全なようですけれども、これとても国連加盟が出てくればこの問題が当然出てくると思うのです。そういう場合に、あらゆる意味において大きな影響を受けるのは——その影響の受け取り方、評価は立場によって違いましょう。しかしながら必ずその問題は日本に大きな響きを持ってくるわけであります。当然な話であります。その場合に、アメリカのそういう戦略の変化と結びつけて考えなければ——私どもは防衛計画なり自衛隊の戦備増強などというものを認めているわけではありませんが、かりにあなた方の立場に立ってみても、そういう問題は当然真剣に考えなければ、今後五年なり七年なりの第二次防衛計画は立つはずがないと思う。そこでそういう問題を今までどの程度検討されているのか、第二次防衛計画にそういう問題をどの程度織り込むのか、そういう用意をしておるのかどうかという点を聞いておるわけです。
  106. 加藤陽三

    加藤説明員 これはお話の通り、アメリカといたしましては日本のみならず、台湾政府とも、南鮮とも、またフィリピンとも、SEATOとも連結を保っておるわけでございますから、アメリカの太平洋軍というものはそういうふうな全面的な配慮の上に編成され、運用をされていくものだと思います。もちろろん日本も重要なそういう一つの考慮の中に入ってくると思います。ただ私どもとしましては大きなそういう流れは留意しなければなりませんけれども個々具体的にアメリカがどういう場合にどういうふうなことをやってくれるということよりも、まず日本自体としてある程度の抑制力を持ちたいということに主眼を置いて、第一次の長期計画もできておりますし、次期計画も大きな観点では、そういう日本自体の抑制力をまず持ちたいという観点に立ってやるべきものだと思うのでございます。大きな意味においての米軍の太平洋における兵力配備の考え方というものは、もちろん考慮に入れなければなりません。しかしその点は今はあまり大きな変化はないのではなかろうかというぐらいが、ただいまの見通しでございます。
  107. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 非常に重大な発言ですが、日本だけで米ソを相手にしたいわゆる戦争抑制力というものが、ある程度という限定がありましたけれども、できると考えておられるのですか。
  108. 加藤陽三

    加藤説明員 米ソを相手にした抑制力ができるというふうには私は考えておりません。ただ日本自衛隊日本の国土を防衛するという任務を持っておるのでございますから、国力、国情に応じた防衛力、これは私ども主として抑制力としての見地から考えていかなければいけないという趣旨を申し上げたのでございます。
  109. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それはなるほど抑制力ですが、抑制力はやはり相手を見た抑制力でなければならぬと私は思う。相手のない抑制力などは無意味です。安保条約の際にも政府は口をすくして、中ソを仮想敵国にしてはいないと言っておりますけれども、少なくともアメリカは中ソを相手にしてやっているわけです。その戦略体制の一環として日米安保条約ができたということも既定の事実です。その場合に日本だけの抑制力が成立すると考えておられるのかどうか、この点をあらためてもう一度お伺いしたいと思います。
  110. 加藤陽三

    加藤説明員 私が申し上げるまでもなくおわかり願えると思うのでございますが、たとえば要撃機を千何百機どういう性能のものを持つ、あるいはどういう性能の艦艇をどれだけ持つということになりますれば、その段階においてはこれは抑制力になると思います。ただこれ以上の力を持った国がそれ以上の力を持ってくるということになりますれば、これは足りないことは申し上げるまでもございません。
  111. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 時間がありませんから、長官に一つだけお伺いしておきます。第二次五カ年計画の際に、そういうふうな世界の戦略体制、アメリカの戦略体制も相当変わりつつあるように——私ども専門家でありませんからはっきりしたことはわかりません。しかし、少なくともこの二、三日来のNATOに対するあれを見ると、相当変わってくる。専門家がよく今まで指摘したような線が出てきております。これはまたドル防衛という見地からも当然出てこなければならぬ一つのアメリカの考え方だと思う。世界をどこも一律にやるというわけには参らないでしょう。ですからさしあたりは十九カ国ということになりましょう。極東の場合にはいろいろの特殊事情がありますけれども、大きな流れとしてはそういうことになってきて、さっき申しましたような極東の情勢も急速に変わりつつある。こういう際に、日本の五カ年なり七カ年の防衛計画というものは、もっと掘り下げた——今加藤さんのおっしゃるように、少なくとも当分は変わりそうもないというふうなそら頼みではなくて、相当突っ込んだ検討をしなければならぬ段階になってきておるように思います。この点を御検討される意思があるかないか、私はこの点だけを長官にはっきりお伺いしておきたいと思います。
  112. 西村直己

    西村国務大臣 もちろんアメリカに新政権ができまして、ケネディ新政権が具体的な国防政策の面においてはまだ発表等もしてないと思います。そこでわれわれといたしましては、それらの具体的な変化というものをもう少し見詰めながらいたしたいとは思います。しかしながら一面におきまして、ケネディ政権が基本的にいろいろ発表されたところを見ると、極東の防衛については相当重要視している、こういう線も打ち出されておる。また一面において、経済面からくるドル防衛という線も、経済面以外に防衛面でも多少の変化を日本に与えるわけであります。そこらを勘案しながら、われわれとしては次期の長期計画を練って参りたい。最初に申し上げましたように、日本の国防力と申しますか、防衛力というものは長期的に見て、国民あるいは国力に上手にできる限りにおいてマッチさせる努力はしなければならぬと思う。こういう努力は私は続けて参りたい。しかし同時に来年度の予算編成も控えていますから、そこらの具体的な問題ともまたかみ合うようにもして参りたい。確かにお説のように非常に困難な面もあります。しかしわれわれとしては政治に責任を負う以上は、その判断に誤まりなきを期したいという基礎に立って努力をして参る、こういうふうな考え方であります。
  113. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もっと具体的にお伺いしますが、そうしますと来年度の予算要求決定までに、第二次五カ年計画をきめられるというのですか、どうなんです。
  114. 西村直己

    西村国務大臣 先ほど石橋委員の御質問の際にも申し上げましたように、きめるともきめないともまだ私は決定いたしておりません。また私だけが考えるべきではありませんで、これは政府全体としての態度の問題でございます。しかしわれわれとしてはそのきめ方にも、具体的にこまかにきめなくても、基本的な問題、ことに来年度の予算に関連するような問題についてだけきめるという面もあります。これらの問題を今部内において取り急ぎ検討させておる段階でございます。
  115. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それではその問題については今度は次の国会で少し時間をいただいて、突っ込んで話し合いをしたいと思います。  そこで具体的にお伺いしますが、今度の国防長官の海外基地ないしは海外米軍の削減のための調査の中では、極東についてはどういうふうに見ているのですか。特に日本におりまする米軍が減らされるとか、米軍の基地が少なくなるとか、こういう点についてはすでに交渉があるのですかないのですか。またないとすれば防衛庁としては大体どういうふうな見当、見通しをつけておりますか、これをお話し願いたい。
  116. 西村直己

    西村国務大臣 現在まで防衛庁長官としての立場におきましては、そういうドル防衛等で基地とかの変化について一時情報が流れましたけれども、まだ米軍から正式のあれはございません。ただしいわゆるユニホームの諸君等は常時折衝しておりますから、その面においての多少のサウンド程度のことはお互いにやっておるのであります。それらの結果を一応私として承りましたところによりますれば、大きなる変化はなく、ことに陸上部隊のごときはほとんどいないのでございます。それから空、海があるわけですが、それらも主として後方関係、しかも今まで私が承知いたしておるところでは、病院とか学校とか厚生施設とかいう面の部分の変化があるのではないか、言いかえれば節約面とか、それもその後における新聞情報等によると、かなりまたゆるめられた。たとえば家族の引き揚げなんかも、一時いわれました世界じゅう四十八万人を二十万人に減らすというのを二十六万に減らすとか、アメリカの国防上の体制からいうと、一時発表されたよりも少しアメリカ側の方が引き揚げ方だとかいろいろな影響が後退しておるように、私は情報程度に承っております。
  117. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 時間がないようですから、要点だけもう二、三お聞きします。  その場合に第二次五カ年計画をどっちにしても考えられるということになれば、問題になる点は、今度のドル防衛の問題と連関して問題になってくると思いますが、第二次五カ年計画では、新聞で発表するところによりますと、防衛庁としては、アメリカのMAPですか、無償の援助を千五百億程度見込んでおった。総額が一兆二千億、そのうちで千五百億程度のものを大体見込んでおった。これがどの程度今後のドル防衛と連関して減らされるか、あるいはこれが当然まだもらえるものと考えておるのかどうか。この点が一点。  それから従来、新聞によりますと、いわゆるMAPでもって相当多額の兵器その他をもらって、それで今装備をしておるわけですね。これが来ないということになりますれば、これの要するに代替というものを国産でやらなければならぬということになろうと思う。これにどのくらい銭がかかるのか、それがはたして現実にできるのかどうか。今度は、第二次五カ年計画では少なくともこの二つのものだけはやらなければならぬ、それにいろいろな新しい要素を加えたものもやらなければならぬ、こういうことになろうと思いますが、これらの点についての見当といいますか、見通しはどう立っておりますか。それらを含めて第二次五カ年計画の一兆二千億なら二千億で間に合うものと考えておられるのかどうか。この点が第二点の御質問です。  それからもう一つ、大体今までアジアの米軍の同盟軍に対する兵器の一部は日本でこしらえて、ICAによって買ってもらって向こうにやっておるのもあるし、また日本で修理その他をやっておるわけですが、そういうものが現実にどれくれいあったのか。こういうものがとまってしまった場合日本だけで、日本の防衛産業というものは成り立つのかどうか。つまり日本自衛隊の発注だけで成り立つものかどうか。成り立たないとすれば、これはそういう面からまた別個の要素が出てくる懸念が非常にあるわけですね。その点から日本自衛隊の増強というものは非常に強くなるという危険があるわけです。その面から不当にやらされるという例が、アメリカあたりははっきり出ているわけですから……。こういう三つの点についてどういうふうな見通しを持っておられるのか、これは一つ一つこまかく聞こうと思ったのですが、まとめてお伺いしますが、具体的に御説明を願いたいと思います。
  118. 加藤陽三

    加藤説明員 次期計画におきましてはもちろん私ども、米国の軍事援助というものを予定いたしております。これらが全然打ち切られるというふうには今考えておりませんし、また将来、これはある程度漸減はいたしましょう。今までも漸減して参っておりますし、今後も漸減はいたしましょうけれども、急になくなるというふうには考えておりませんで、相当のMASというものを期待しておるわけでございます。このMASの中には、今久保田さんが無償のものだけおっしゃったようでございますが、そうではないのでございまして、無償のものもございます。あるいはコスト・シェアリングと申しますか、費用分担で作るものもございます。飛行機のごときはそうでございます。それからMSMSと申しまして有償援助というものもございます。そういうふうなものをまとめまして、MASとして次期計画としては考えておるわけでございます。ただ漸減して参りますことは、これは長官もおっしゃいましたが、計算に入れて計画を立てなければいけない。それから日本の今の防衛産業の能力からいたしますれば、相当のものは日本でも調達できると思うのでございます。  次期計画の重点といたしましては、御指摘になりました通り米国から貸与または供与を受けました武器類がだんだん古くなって参りますので、その代替をしなければならない。陸上について申しますれば、人員をふやさないで、主として古くなった装備品を更新して参るということが重点でございます。海上について申しますれば、米国から貸与、供与を受けたもの及び旧海軍の使っておりました艦艇で、昭和四十二年までに五万トンのものが艦齢に達しますので、その代艦を建造しようとしているわけでございます。どれだけの注文ができるかということは、日本の防衛費の負担がどれぐらいになるだろうということと関連をするわけでございまして、これが次期計画作成の上におきましての一つの大きな重点でございます。それから米軍が日本で発注しておりましたもの、今私ここに資料を持っておりませんので正確には申し上げかねますが、昨年あたりの実績を申し上げますと車両などでございます。そのほか飛行機の修理というふうなものがございます。車両について申し上げますれば、これは防衛庁の注文というものはごくわずかでございますから、あまり影響はないと思います。ただしかし飛行機その他になりますと、これは修理等がとまりますと相当な影響が出てこようと思いますが、これはやはり米軍というものが急にいなくなるというわけではございませんで、日本周辺に相当の航空部隊を持っておるということになりますれば、これが全然とまるというようなことはまずなかろう、どの程度の影響があるかということは今後注意して参りたい、かように考えておるわけでございます。
  119. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それらの計数上の試算なり何なりというものはまだやってないのですか、どうなんですか。
  120. 加藤陽三

    加藤説明員 これはいろいろやっております。この次期計画というものは一年半以上前からやっておるわけでございまして、そのつど手を入れて検討し、修正に修正を重ねてきておるわけでございます。
  121. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 きょうは時間がありませんから、私は結論的にだけ意見とか希望を申し上げておきたいと思いますが、日本の防衛の一番おもな力になるのは、少なくともあなた方の立場に立てば、やはり安保条約に基づく米軍の戦力ということだろうと思います。その戦力なり戦略がどう変わってくるかということが、これはやはり基本であります。それと同時にアジアの情勢が、今言ったように中国の国連加盟なりその他の問題を含んで、今急速に変わりつつある。これに対してアメリカがどう対処するか、その中で日本自衛隊がどういう役割を持たされるかということは、これは第二の大きな要素だと思います。  それからドル防衛に連関して、今申しましたような諸点がどう日本に響いてくるかという点を一つ冷静に判断をしていただきたい。日本自衛隊なり当局はいつでも、池田内閣もそうでありますけれども、アメリカは何か日本だけは特別扱いをしてくれるのじゃないか、つまりヨーロッパではこうだけれども日本には甘く非常に便宜をはかってくれるのじゃないかというふうな点が非常に多いと思います。しかしながらそういうふうなわけにはいかないと私は思います。従ってそういう点を十分織り込んだ第二次防衛計画なり何なりというものでなければ、ざっくばらんに見ましてあなた方の立場でも役に立たぬものになろうと思います。そういう点を、もし今度の国会で第二次防衛計画を決定されるなら、十分国民の納得のいくように、少なくともわれわれの納得のいくように、十分に内容を整えたものにしてもらいたいと思います。赤城さんの計画だけでは、私も聞きましたけれどもなかなか納得ができない点が多いのであります。どうか一つそういう点を十分に織り込んだ、しかも国民が納得のできるような、少なくとも国会で十分な答弁のできるような、はっきりした根拠を持ってやってもらいたいと思います。この点をはっきり御要望申し上げて、きょうは時間がありませんから、この辺で質問を終わります。      ————◇—————
  122. 久野忠治

    久野委員長 次に、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案及び総理府設置法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑を許します。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。石山權作君。
  123. 石山權作

    ○石山委員 在外公館のことについてでございますが、ここで感じられることは、何か数多く大使館をお作りになって、館員の昇給をば実施する。私はそこに目的があるような気がしてなりません。必要性が提案理由の中にあるわけでございますが、私は外国のことはよくわかりませんけれども、ここにナイジェリアとコンゴの貿易額がついておるわけでございます。ナイジェリアの方は四千七百五十万ドル、コンゴの方は輸出額が六百二十万ドルで輸入額が三十五万ドルというふうになっております。私これと給与の問題と結びつけて考えると、どうも多く商売をなさっている国に赴任なさる方の方がコンゴの方よりも少ない、これは慣例とかなんとか特別な事情があって、こういうふうになっているのでございましょうか、その点一つお伺いしたいのです。
  124. 古内廣雄

    ○古内政府委員 ただいまの御質問は、ナイジェリアとコンゴの給与が違っているがどうかという御質問でございます。これは一応今までございました領事館の給与をベースとして両方計算しておりますので、ただその間に実情に沿わない格差があるという点はわれわれも承知いたしておりますが、全般的に在外給与の点については今検討中でございます。この在外給与を戦後きめたときと今日と、物価の情勢その他いろいろ変わっておりますので、その点をいろいろ考慮して今研究中でございますので、いずれ近い将来に結論を得るということを期待して、そのときにまた御指摘になった格差などを考慮していきたい、こう考えている次第でございます。
  125. 石山權作

    ○石山委員 私が言うのは、この表に書かれている給与表を見ますると、ナイジェリア連邦よりもコンゴの方に赴任なさる方が給与が高いわけですね。高いということは、あなたの方の提案理由の一部では、貿易額が多いとかあるいは政治情勢の勘案等によるところのものとか、物価とか、いろいろあるだろうと思うのですが、表としては貿易額が提供されているわけです。ですから私はその貿易額を対照してみたら、たまたまナイジェリアの方が貿易額が多くて、コンゴの方が少ないのです。そういうような提案の仕方から見れば、むしろコンゴの方の給料が少しくらい安くてもいいじゃないかというような印象を受けるわけですから、その点をお聞きしているわけです。
  126. 古内廣雄

    ○古内政府委員 現在の貿易額とは関係なく考えたわけでございまして、今基準になる給与は昭和二十七年のときにきめたので、そのときのその両地の物価状況その他を見てきめた給与をそのまま一応踏襲しよう、こういう考えでございまして、御指摘になりました現在の貿易量とは無関係にきめたわけでございます。
  127. 石山權作

    ○石山委員 かつて私どもがドイツから、コンゴ川流域の貿易権という名前かどうかわかりませんけれども、かなり広範囲権利をば委譲を受けて、非常に貿易が振興した時代を覚えております。そういう見通しからいって、たとえばコンゴのああいうふうな騒乱事件がおさまれば非常に貿易上有利だ、こういう御判定のもとに大使館昇格をお考えになっているのですか。
  128. 古内廣雄

    ○古内政府委員 現在の貿易量ばかりではなく、将来の——これらの国は独立して参ったわけであります。これから大使館を設置してコンゴに日本の経済が相当伸びるだろうということを考慮したものと、それから御承知のようにナイジェリア、コンゴともにアフリカにおいては相当指導的な地位を占めている国家でございますから、ほかにたくさんの国家があるのでございますが、そのうちの二つだけをとって大使館にして、また政治的な発展をそこで観察させよう、それと将来期待されます経済発展とかみ合わせて考えてやったのでございます。
  129. 石山權作

    ○石山委員 大使館という名前だけ聞きますと、外部から見ると、大へんな昇格なように考えられます。たとえばわれわれは英国大使館、アメリカ大使館というふうに呼ぶのと、呼称からすれば同じですが、内容的にはこれはもちろんランクしていると思うのです。現在大使館の内容として、給与で区別をしているのか、あるいは身分差みたいなものを考えられて、外交官の場合の昇格を行なっているのか、何かABCというふうな区別がおのずから習慣的かあるいは明文の形でか行なわれているか知りませんが、そういう経緯があったならば御説明いただきたい。
  130. 古内廣雄

    ○古内政府委員 御承知のように最近大使館が非常にふえて参りますのは、必ずしもわれわれの方からの希望と申しますよりも、先方の希望が非常にあるのでございます。もちろん大使館を設置するためには、その相手国の国際的な重要性あるいは日本にとっての重要性ということももちろん考えるのでございますが、最近はことにそれにプラスして先方の国、ことに新しくできた国々はいつも大使を置きたい。自分の国の立場を上げるためでもございましょうが、そういう希望が非常に強いのでございまして、日本ばかりでなく、各国も大使の数が非常にふえてきております。東京におります外交官のうちでも、大使館の方がずっと多いわけでありますし、またわれわれが出先に出しておる公館の方も、大使館の方がだんだん多くなってきているようでございまして、実は御承知のように大使と公使の職務内容は、ちっとも違わないのでございます。ただ先方の国に参りました場合の儀礼的な取り扱いは、いまだに非常に差がある。それでたとえば大統領に会いにいくときでも、大使が先に行って公使があとに行くというような、いろいろなその点の不便さがございますので、ほかの国とも歩調を合わせて、こっちもできるなら大使にしていこうという考えでございます。ただ給与については、大使の給与にも段階がたしか三つか四つございまして、第一級と下の方の大使の俸給は相当違いますし、また下の方の階級の大使の俸給は、公使の俸給と同じだというようなわけでございます。そこに派遣する大使あるいは官庁の経歴等を見まして、どのくらいの程度の大使にするかということをきめていくわけでございます。大使にしたからといって、給与が当然に上がっていくというわけではございません。
  131. 石山權作

    ○石山委員 私はこの法案のうちでちょっと気になる点は、館員がふえるかどうかということが不明でございます。今回新聞等を見ますと、コンゴ問題に対しては外務省はさっぱり的確な情報は握っておられなかった、こういうふうな意見があるわけです。私たちは東洋の君主国ですから、儀礼は重んじているわけです。より以上に形式的かもしれません。そのために公使から大使になる、あるいは総領事から公使にするというふうな儀礼面は私たちは理解できるのです。しかし儀礼が何ら実質的な待遇を持たないとするならば、これはいたずらに高級官僚だけを作ってしまう。やはり大使館に昇格するならば、それに付随して館員もふえる、情報も的確になれるし、わが国の意図というふうなものも相手国に大いに理解せしめ得る、親善という面と実利的な貿易の面もそのためにふえるのだ、こういうふうな内容があるだろうと思うのですが、その件に関しましては、ちょっと人員等の問題については明確を欠くのですが、大きくなるのでございますか。
  132. 古内廣雄

    ○古内政府委員 当面の問題といたしましては、これをお許しいただいてすぐに発足いたします両国の大使館の人員は、従来の両方の国の領事館の人員と変わらないわけでございます。ただ新規予算において多少一、二名いずれの場合もふやしていただくようにお願いするわけでございます。ただいま先生のお話で、従来の出先ではあまり情報が得られなかったというおしかりを受けまして、その点十分反省していきたいと思うのでございますが、やはり先方の希望に応じまして大使を置くということになれば、それだけこちらの顔もよくなるわけでありますし、仕事もやりやすくなりますし、従ってそのほかの国もみな逐次大使館を置いておりますのに、日本だけが領事館でおっては、立場上、いろいろな活動上の立場が悪い。むしろそれを大使にしていただければ、活動の基礎がよくなるという判断のもとにお願いしておるわけでございます。
  133. 石山權作

    ○石山委員 それでは総理府長官にお伺いいたしますが、私先ほど東洋の君主国の日本というものを力説しているわけで、そういう点では私たちも大使館に昇格することは否定いたしません。ただ問題になるのは、実利を伴わないやり方を一つ考えること、それから給与という問題があるわけです。この給与の問題は、大使館という特殊な立場、外国に赴任された特殊な立場からして、ともすれば国内からはずれたよその国のいわゆる給与、その国の大使館、公使館の給与に匹敵される部面が多いのではないかと思うのです。これは今度から外交官の給与問題も当委員会に付託されるので、われわれも十分研究させていただく機会を得たわけでございますけれども、そういう危険性があるということ、それから政府としてお考えになっておることだろうと思うのですが、どうも私たちからすればむぞうさな提案の仕方でやってきておるのではないか。あるいは今度のコンゴ問題等につきまして便乗したような形で問題を提出しておるのではないか。何だか東京新聞等を見ますと、来年度の予算もそんな考え方で、外務省は大幅な情報費ですか、あるいは外交官の費用ですか、それらを要求する心がまえなのだというようにおもしろ、おかしく批判しておるわけですが、政府としてはいろいろな点を考えながらいろいろ取捨選択して、ここら辺ならばよろしかろう、こういう確信を持ってこれをお出しになったのだろうと思いますが、長官の御意見を聞きまして、私たちの気持をきめたいと思います。
  134. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 大公使等の給与につきましても、もちろん公務員間の均衡をはかりつつ、しかも大公使たる職務の特殊性を加味しまして決定いたしておるわけでございまして、赴任する相手の外国の給与というようなものは、あまり考慮には入れていないわけでございます。しかしそのほかに外国におりますことについての必要性から在外の手当であるとか、あるいはその他の報酬費であるとかいうようなものも別にあることは御承知通りでございまして、今後も十分公務員間の均衡というものもはかりつつ、決定をして参りたいと存じておる次第でございます。
  135. 石山權作

    ○石山委員 それでは次にお許しを得まして、総理府設置法の一部について質問いたしたいと思います。  これは昭和二十三年と申しますから、ずいぶん長い年限を経て今日まで競輪、競馬その他を許してきておるわけでございますが、これは通産省の方に伺いますが、機械工業合理化に寄与したという提案をなさっておられるわけです。あるいは機械の輸出の振興にも寄与し、大へん競輪、競馬を——通産省の態度はそうではなくて、モーターボート、競輪等をさしておるのですが、そんなに寄与するものでしょうか。皆さんの場合は、今まで競輪、競馬をずっと続けてきた実績に対する説明をいささかしたくらいで、中身はそんなにないのではないか、こう思っておるのですが、実際に寄与しておるかどうか。
  136. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 御承知のように競輪法の中に振興資金の規定がありまして、大体年間十億ないし十三億の金が機械及び自転車の振興に出されております。これを提案理由にもありましたように、いろいろの機械の性能解析とか、あるいは公共団体のやっております公立の試験場に対する寄付とか、いろいろな面で機械関係振興にはあずかって力がある、こういうふうに考えております。
  137. 石山權作

    ○石山委員 そうすると日本の国は貧しいために、賭博のテラ銭によって機械の性能の向上をはかったり、地方財政の援助を固めたということをあなたは力説しているわけですか。
  138. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 機械振興の全部がこの競輪の上がりから振興された、こういうふうに申し上げておるわけではありませんので、この機械の振興の一部分に確かにあずかって力がある、こういうふうに従来までのところは考えておるわけでございます。
  139. 石山權作

    ○石山委員 私の質問したのは、直接的な機械の合理化というふうに考えておったのですが、あなたは間接的に寄与しているとおっしゃっておるのでございますので、その通りでございましょう。私は直接的な合理化とすれば、たとえば競輪の場合、モーターボートの場合は、合理化はスピードに通ずるだろうくらいに考えておったのですが、あなたはもっと別なことをおっしゃっていたので、日本の工業もどうもモーターボートや競輪のテラ銭によって発達しなければならないほどちゃちなものかと、うたた感慨無量なんです。私はあなたが担当されているいわゆる機械工業合理化あるいは輸出貿易の振興、こういうようなものは競輪、モーターボートのいわゆる一部の寄付金等によって、今後も続けていくのが正常な形であるかどうかということも、この際一つ聞かしていただければよろしいと思うのですが……。
  140. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 機械工業振興は、御承知のように所得倍増計画等におきましても相当大きなにない手にされておるわけでありまして、今後の機械工業合理化あるいは振興というものが、こういった少額の金でできるとは考えておりませんので、当然主たるところは国の財政支出あるいは財政投融資といったような面に大きく依存しておるわけであります。この部分を、非常にプラスではありますが、これでなければならぬのだというふうに申し上げておるわけではないのであります。
  141. 石山權作

    ○石山委員 私は商工委員会などになかなか行けませんので、この際要望しておきたい点があるわけですが、所得倍増論とかなんとか言わずして、そういうことを無視しても、日本産業の膨張、日本産業の伸張というものをはからなければならぬ。それに付随する外交、貿易等ももちろんでございますけれども、いわゆるわれわれが必然的に日本人としての高度の機械工業の能力を持つ、日本の国の将来の民生安定、あるいは文化の向上などと幾ら言っても、それがなければならないという意見を私たちは持っているわけです。こういう小さなところからの、ある意味の寄付金でありましょうが、こういうことによってなど日本の正常な経済、工業というものは伸びるものではないのでございますから、こういうことはこの際であるから一応捨ておいていただきまして、正常な形における日本産業の興隆、こういうことを一つ大いに力説していただきたいと思います。  それから総務長官にお伺いしますが、これは審議委員会をば律する意味ではなくして、政府が十何年間おやりになった結果、これを存続させるというような気持でお出しになっておるのか、廃止の方向がよろしいというような気持でこの問題を提案しているのか。政府の腹がまえというものは白紙でございますか。
  142. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 廃止するのがよろしいか、存続するのがよろしいかということを、政府としましてはあまり先入観を持たずに、公平な第三者の調査会としての御意見に従ってやりたい、かように考えておる次第でございます。
  143. 石山權作

    ○石山委員 都合のいいことばかりあなたはおっしゃっているのですが、政府というものはそういう腹がまえではいかぬと思うのですよ。何だか大平官房長官は、池田内閣には何もないけれども、肝っ玉と腹玉だか何だか、玉はあるそうでございますが、やはりこういう問題は十何年間経過してきましたから、あいまいにする必要はないと思うのだ。たとえば廃止の方向であるとか——既存の、それによって生活をなさっているいろいろな方々、あるいはそのことによって大きな影響を受けている団体に対しては救済方法を講じて、廃止の方向に向けるなどということは、政府の腹がまえとしておのずから出てきてもいい時期だ、そう思って私はお伺いしているのです。きのうきょうの問題ではないわけですからね。それでもまだ制肘したくないというような御意見でございますか。
  144. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 競輪、競馬等の問題につきましては、一面において相当その弊害等を指摘されておるのでありまして、これを廃止すべきであるという御議論も有力にあります。また一方、この十年間続いた競輪、競馬等につきまして、今御指摘のような、それで生活している人、あるいはそれによって地方財政その他への影響というものもありまして、なお存続すべきであるという御議論もあることは御承知通りでございます。そういう幾つかの御議論が分かれているところでございますから、むしろ政府としましては先入感を持たずに、こうした公平な第三者の調査会の御意向を待って処置した方が妥当であるというふうに考えている次第でございます。
  145. 石山權作

    ○石山委員 そうなってきますと、政府は非常に慎重な態度で問題をながめておるということになるだろうと思います。そうしますと私たちの意見とするところの方が、大かた宙ぶらりんに置かれております。私たちは廃止した方がよろしかろうという側に立って問題を進めようとしているわけですが、そうしますと政府は、今あなたのおっしゃっているような、全く中立的な立場に立って本問題をながめていき、そつのないような行政を行なおうとしている、こういうふうに思うのですが、それをうまくやっていただくためには、政府が委任されるいわゆる委員の方々の顔ぶれによって問題が決定されていくのではないかと思います。あなたの御意見を聞いていると、良識という言葉がこの際尊重されなければなりませんが、良識ということを一体どこへ置いて今度の委員をば委任なさるか。この選出方法等は、今まではとにかく学識経験者といって、いろいろなところへ、べたべたいろいろの委員をつけているのですが、今度は良識をほんとうの意味に必要としている場合でございますから、委員の選定に関して一つ御答弁をいただきたいと思います。
  146. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 この委員につきましては、直接利害関係のある方は省きたい、そうしまして学界、経済界、言論界、スポーツ関係等の、競輪、競馬等には関係のない中正な方を選びたいという方針でございます。
  147. 石山權作

    ○石山委員 私たちはこの委員会に来てから直接、間接という言葉をたくさん使っているわけなんですが、あなたがもしかりに直接という利害関係だけで問題をきめますと、この委員会としては有名無実になる可能性がある。間接の部門、背後の声と言ってはいかぬかもしれぬけれども、そういうことのないもの、そういうふうなやり方をすると、おそらくこれは手数でしょう。しかしこの際、社会悪というような苦い経験——新聞の三面などを見ますと、このことによって生活破綻者を出すなど、家庭を破壊するたくさんの事例を見ている。ですから、ほんとうの意味のいわゆる良識のある第三者、間接的にも利害関係のないような方々をなるべく選ぶ、そうして公正妥当な判断をしていただく。私は特に間接の部門まで政府が用意周到に考えを及ぼして委員をば人選していただきたい、こういう要望に対してはどうでございましょうか。
  148. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 間接という言葉がどういう点を指摘なすっておりますか、多少見解がありますけれども、御趣旨の点は、こういう競輪、競馬等に多少でも利害関係を持って、ある先入観を持ってこれを論議するというような人を排除しろという御趣旨だと思いますので、そうした御趣旨に従いまして公正な委員を選出いたしたいと存じます。
  149. 石山權作

    ○石山委員 もう一つ来年の九月三十日、この期限も、私たち設置法をやる場合は、大てい一年を限度にしております。場合によっては、重要法案によっては、それをまた一年延期するという前例もなきにしもあらずでございますけれども、この問題はいろいろと特にわれわれの庶民生活に重大な影響のある問題でございますから、来年の九月二十日までに必ず結論を出すように政府側でも督励さす、延期をさせないという建前を一つこの際特につけ加えておきたいと思います。
  150. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 御趣旨のように、この期限内に結論を出しますように、委員の皆様にはお願いをするつもりでございます。
  151. 久野忠治

    久野委員長 次に受田新吉君。
  152. 受田新吉

    ○受田委員 今度出された外務省所管の法案についてお尋ねいたします。  石山委員からすでに在外公館の名称及び位置を定める法律改正案について、コンゴとナイジェリアの大使館昇格についての基本的なお尋ねがあったようでありますから、これに関連して、大体日本政府は、アフリカに新しくできた国々を、どのような程度にこれを重要視されておるのか。イギリス、フランスの植民地が、それぞれ相次いで十数カ国の新興国家を作っておるのでございますが、その国々の独立国としての形態、実力というようなものをどの程度に評価しておられるのかを、アフリカに関する新興国家について、それぞれの国名をあげて御答弁を願いたいと思います。できるだけ地図をここへ出していただいて御説明願えると、委員各位の御理解に非常に都合がいいのです。
  153. 古内廣雄

    ○古内政府委員 ただいまの御質問に、私まだ新米でございまして、官房総務参事官がおりますから、その国名を説明させますから、どうぞお許しを願います。
  154. 北原秀雄

    ○北原説明員 実は本日ここに委員の皆様に地図をお配りしなかったのは、まことに不行き届きでございまして、私実ははたと今思い当たりまして残念に思っております。私どもの手元にございますこの小さな地図でもしお許し願えますなれば、一つこれで御説明させていただきたいと思います。  アフリカ政策全般に対してどう考えるかという総括的な御質問でございますが、まず全般的に、わが国といたしましては、これらの国が植民地時代に相当の貿易をやって参りました。しかし独立国といたしまして、これらの国とまず友好関係をとにかく至急促進していきたい、友好関係を進めますための具体的な方策といたしましては、やはり人的交流が最もいいのではないか、そういう意味でアフリカのこれら新興国の指導者にわが国をなるべく早い機会に、適当な機会に見ていただくということに第一の重点を置いておる次第でございます。その次は通商貿易、経済協力の促進でございますが、現在わが国のアフリカ輸出は全輸出の一二%でございますが、これらも将来大いに推進していきたいというふうに考えております。  そこで、そのアフリカの新興国を大体旧英系の国と旧フランス系の国と分けまして、旧英系が六カ国、旧フランス系が十一カ国程度と存じますが、これらの国はいろいろ発展段階において異なる地域があると存じます。たとえばアフリカの中央のチャドという共和国でございますが、これなどは最近外務省の一参事官を視察に歩かせましたところ、その報告を聞きましても、まだ非常に原始的な状態にあるということでございます。しかしながら全部非常な新興の意気に燃えておりまして、およそ政治家及び政府首脳のおもな方方は、英国あるいはフランスの大学で勉強された方が多いようでございますが、非常に若い方々の手によって、非常な新興の意気に燃えてやっておるというのが現状だろうと思います。  受田先生の御質問に対しまして、将来の在外公館の設置に関する問題でございますから、大体どういう構想を持っているのかという点をごく簡単に御説明いたしますが、現在サハラ以南のこの大きなアフリカ大陸に対しまして、わが国はエチオピアとガーナに二つ大使館を置いております。それから総領事館を南アフリカのヨハネスブルグに一つ、それから領事館は、今問題になっておりますナイジェリアのラゴス、コンゴのレオポルドビル、それから東の方のケニアのナイロビ、この三地区に置いておるわけであります。この非常に膨大な大陸に対しましては、非常に不完全な在外公館の配置であると私どもも考えております。  将来の計画といたしましては、これら多数の独立国に対しましてどういう考えでおるかという点でございますが、大体西アフリカにおきましては旧フランス系の植民地が多いわけでありますが、来年度の本予算においては、西の端のセネガルのダカールに大使館を置くように今予算の準備をいたしておるわけであります。そのほか、特に通商上の見地からいたしまして、エジプトの南のスーダンとの通商関係の重要性にかんがみまして、ここに大使館を設置するということを計画いたしております。それから本年の予算ですでに認められたものといたしましては、南アフリカの北の方のローデシア・ニアサランドのソールスベリーに来年の一月から総領事館を置くことになりました。  以上をもっていたしましても、なお全アフリカに対しましてわが国の公館はやっと九つという状態でありますが、しかし漸次必要があることは十分でございますので、財政上の許します限り適当にこれを充実していきたいと考えております。
  155. 受田新吉

    ○受田委員 私この夏フランスを訪問した際に、古垣大使からマダガスカル独立についての見解の表明があって、この国は非常に日本に好意を寄せており、また資源が豊かで日本の将来にとっては貴重な対象であるというような発言もされておったようであります。大体このアフリカの各地にそれぞれ日本が経済的に進出して、特にAAグループの尊重という立場からも、領事館、総領事館をこちらから積極的に働きかけていく。向こうから要求があったからということでなくて、こちらから進んで領事館の設定、貿易協定、こういうものがどんどんと積極的にいくことを対米政策一辺倒の日本政府の欠陥というものが、すでにドル防衛で暴露されつつある今日、非常に大事なことではないかと思う。外交方針をそういう方向へ持っていくという努力を、一つこの機会に根本的に考えておられるのかどうか、その点、きょう外務大臣がおられないようですが、その次の責任のある地位の人からしてもらいたいと思います。
  156. 津島文治

    ○津島政府委員 申し上げますが、ただいまのお話の線に沿うて努力しなければならないものと思うのであります。
  157. 受田新吉

    ○受田委員 えらい力のない、たよりない答弁ですが、大体その線に沿うて努力しなければならないと思うておるというのは、積極的な意欲を持ってやろうとしておるという意思を持った当局の見解と了解してよろしゅうございますか。
  158. 津島文治

    ○津島政府委員 よろしゅうございます。
  159. 受田新吉

    ○受田委員 これまた機会をあらためて一つお尋ねをすることにしましょう。  そこで技術的な問題として、外交技術にこれは関係するのですが、大体こういう大使館を置く、あるいは公使館を置くとかいう問題は、向こうから言うてこなければやれない問題ですか。こちらから働きかけて大使の交換をやろうじゃないかというふうに努力されている最近の例もあるのですか。この点御答弁願います。
  160. 古内廣雄

    ○古内政府委員 外交慣習上はどっちから言ってもいいわけでございまして、わが国としても必ずしも先方の言い分だけを待たないで働きかけるつもりであります。
  161. 受田新吉

    ○受田委員 こちらから積極的に働きかけて実を結んだ最近の実例をお示し願います。
  162. 北原秀雄

    ○北原説明員 本件二件につきましても、当方から積極的に働きかけました。ナイジェリアにつきましては、十月一日これが独立いたしましたので、わが方の現在持っております領事館は、旧イギリス支配下において作られたものでございますので、独立後は即日ナイジェリア新政府の承認のもとに日本の大使館を作るということで、特派大使を派遣いたしました折もその旨申し入れました。ただ設置が現実におくれましたのは、ナイジェリア政府からの大使館設置に関します承認が、実は取りつけますのにだいぶ事務的におくれたわけでございます。これは各国ともおくれました。その理由は、ナイジェリアが独立いたしましたあとも、大使館の昇格に関しましては英国女王との事務上の連絡が必要でございまして、その点でおくれたわけでございます。それからコンゴの方も、六月三十日独立と同時に大使館に昇格すべく、ずっと事務的には話を進めておりましたが、コンゴの内乱のために最近までその許可を得ることがおくれておった次第でございます。
  163. 受田新吉

    ○受田委員 積極的に大使館設置をされるわけでございますが、大使館、公使館という順序があるのですが、大使館、公使館の区別が全然ないのなら私は申し上げませんが、大使として公使よりも高い地位というものが国際慣例で認められておるということであるならば、初めから大使館をやらないで、公使館を多数の国々にやって、適当な機会にその国交が円満に進行するという段階で、大使に昇格交渉ということもできるわけです。初めから大使というものをぶつけて交渉をされておるのですか。
  164. 古内廣雄

    ○古内政府委員 これはこちらから積極的に大使で始めました。その前に先方といろいろ話し合ったときに、こっちから公館を置くという申し込みをしまして折衝している途中に、向こうからも大使にしてくれと申しましたし、もう一つはこの二つの場合に、重要な国々がやはり大使を置いておりますので、その点も考えましたのと、また費用の点において大使館が公使館よりも必ずしも多くなるというわけでもございませんので、これは先ほども説明いたしましたが、どうせ行くなら大使として行った方が、その後の活動に有利であるという判断に立ったわけでございます。
  165. 受田新吉

    ○受田委員 日本が世界各国に公使の交換をしている国々を説明してもらいたい。
  166. 古内廣雄

    ○古内政府委員 ただいまの御質問は日本が公使を派遣している国々でございますか——何でしたらリストをお届けしてもよろしゅうございますが……。
  167. 受田新吉

    ○受田委員 おもなところをそこで読んで下さい。
  168. 古内廣雄

    ○古内政府委員 たとえばウルグァイ、フィンランド、コスタリカ、エクアドル、パナマ、リビア、ボリビア、ブルガリア、アイスランド、アイルランド、チュニジア、エルサルバドル、ホンジュラス、グァテマラ、ハンガリー、ニカラグア、ハイチ、パラグァイ、イスラエル、スーダン、ヨルダン、ルーマニア、ルクセンブルグ、これがすでに法的措置が完了して、かつ事実上公使館を設置している場所でございます。
  169. 受田新吉

    ○受田委員 今御指摘になった国々で、当然大使館に昇格すべき国々、ウルグァイのごとき日本と非常に関係の深い国なんです。こういう将来日本の国の進出の対象になる国々が、まだそのまま公使館で残されている。今新たにアフリカの国々に積極的に大使館の設置をこちらから働きかける、こういう御要望でございましたが、ネパールでも大使館、こういうことでこの前のとき、私向こうから積極的に大使館にしてくれというのが最近の国々の国際的な動きであるとお聞きしていたのが、こちらから進んでどんどん大使館にするということであれば、今私が指摘しておりますような国々を進んで大使館に昇格して、世界の国々に外交官の交換をする場合には、大使館一本にしておいたらどうです。
  170. 古内廣雄

    ○古内政府委員 ただいまのお話、ちょっと私の言い方がまずかったかもしれませんが、いかなる場合にもこちらから進んで大使々々と申しているわけではございませんで、問題のありました今のコンゴとナイジェリアについてそうだったとお答えしたわけでございます。なお、これら二つの国について大使館としたからには、ほかにも今公使館所在地の中にも大使館にした方がいいのではないかとおっしゃったと了解するのでございますが、その通りで、たとえば南米の国のエクアドルとかパラグァイというような国は、やはり今後大使館にした方がいいのではないかと考慮中でございます。  なお最後におっしゃったのは、すでに世界各国が非常に多く大使館にしているときに、公使館との区別をやらない方がいいのではないかというお説だと思います。それに関連いたしましては、世界各国においてもそういう考え方がだんだんできておりますので、実は来年の三月にウイーンにおいて第二回ウインナ・コングレス、第一回は一八一五年にウイーンでございまして、そのときに現在の外交官の特権とか地位とかがきまったわけでございますが、第二回のウイーン会議が国連の監督下に来年の春、ウイーンで開かれることになりまして、当然その際に大使館と公使館を区別して設置する理由があるのかどうかという問題も討議されるものと了解しております。
  171. 受田新吉

    ○受田委員 いま一つ、この新しい給与法の改正案の中に出てきている大使、公使の給与及び今度の法律の中に出てきている在勤俸の点でナイジェリア連邦、コンゴの最上級の額が一万二千二百ドル、こういう額になって、だんだん下にいくほど相違している。上が同じで、なぜ相違しているか。そしてコンゴやナイジェリアの国の経済事情がまだ調査が十分できていないのにこういう数字が出ておるということは、どういうところに根拠をお持ちになったのか、お示し願いたいのです。
  172. 古内廣雄

    ○古内政府委員 先ほどもほかの先生の御質問に対してお答えしたと思いますけれども、館員の在勤俸については、昭和二十七年に初めて戦後の在勤俸をきめたときのコンゴ及びナイジェリアの領事館の給与、これを基礎にしたわけでございます。その間、先ほども申しましたように、いろいろ情勢の変化がございまして、それはただいまやっておりまする在勤俸の改正に関するいろいろな研究の際に、そしてその研究ができ上がりまして国会の御承認を得るような段階になりましたときに、そのナイジェリアとコンゴの間の館員の在勤俸の差も調整されるものと了解しております。
  173. 受田新吉

    ○受田委員 そのときまで従来のしきたりを重んずるということでなくして、現実にいろいろな統計などによって変更すべきものを変更した格で出さるべきものだと私は思います。改正案ですからね。従来の領事館の古い基準をそのまま用いるというのでなくて、新しい独立国になったときと前の植民地のときとは、物価とかその他いろいろ違っておると思うのです。そういうものを織り込んだ案が出るべきだと私は思う。  もう一つ、新しい大使の特別職の俸給を拝見しますと、一番下の五等大使が九万円になっておる。一等大使が十五万円になっておる。大使の五等級の差というものは、外務省でそういう等級が国によってつけてあるのですか。
  174. 古内廣雄

    ○古内政府委員 その任命される人の経歴によりまして等級をつけて、大蔵省と相談の上きめることになっております。従来のその人の経歴でございます。
  175. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますとアメリカが一等大使、今度出るようなところが五等大使というようなことでなくて、どこでも一等大使になれるのですか。
  176. 古内廣雄

    ○古内政府委員 御本人の経歴でございます。アメリカに行くのが必ず一等とは限りません。若い局長クラスの人が抜擢されてかりにワシントンに参りますときは、一等の俸給でなくて、おそらく下の方の俸給になる、こういうふうになっております。
  177. 受田新吉

    ○受田委員 そうして大使に五等級つける。私は認証官問題であとで触れますが、同じ大使としての立場で、九万円という局長くらいの給与の大使、これで認証官という体面が保てますか。
  178. 古内廣雄

    ○古内政府委員 それはいろいろ希望すれば切りのない話でございますが、要するに体面を汚さずに働けるという最小限度をきめておるわけでございます。ですから、今の九万円で体面が保てるかというお話では、現在のところ保てますとお答えいたします。
  179. 受田新吉

    ○受田委員 保てない時期もくるという想定の御答弁のようです。大体認証官というものは、人事官が十五万円、大体国務大臣以上の十五万どころにある認証官が一番下で、それから上は——これは宮内庁の例ですが、大体認証官の給与というものは十五万から上がほとんどです。こういうときに九万円の認証官、これでははなはだ認証官の権威がなくなるわけです。大体大使と公使の数、認証官として認証を受ける立場にある人の数は今何人になっておりますか。それから、おそらく資料があると思いますが、これは長官でもけっこうですが、他の認証官——私今その数を持っていませんが、外交官以外の認証官の数等、ちょっとお示し願いたい。
  180. 古内廣雄

    ○古内政府委員 外務省に関する限り、認証官は大使が現在五十三名、公使が八名でございます。
  181. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 外交官以外の認証官は、御承知のように、総理のほか国務大臣が十六、人事官が三、会計検査官が三、最高裁判事が十四、検事総長が一、公取の委員会委員長が一、宮内庁長官一、高裁長官が八、次長検事が一、検事長が八、侍従長が一ということでございます。
  182. 受田新吉

    ○受田委員 総計は。外交官を除いて。
  183. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 五十七名です。
  184. 受田新吉

    ○受田委員 外務官僚がほとんどを独占する。外交官は認証官が、ただいまの報告では六十一名、そのほかの全部の官僚の方々のあこがれの的であり、また一般の民間人にしてもあこがれの的である認証官は五十七名、そうすると外務官僚の方々だけは認証官というポストについては他の省を全部ひっくるめても及ばないところの多数を制しておるわけですね。これはどうですか。認証官というものは、大使を交換するという関係で、それがふえるのは当然だ、これからは次々とどんどんふやしているのですから、それらしいものに近くなるはずですが、大使、公使が認証官でなければならないという何か理由があるのですか、理由があれば一つ……。
  185. 古内廣雄

    ○古内政府委員 外務省が認証官を非常に多く持って大へんあつかましいわけで、恐縮でございますが、これはやはりわれわれ外に出て参りまして、ほかの国の大使、公使はみな元首のサインで任命されているわけでございます。われわれといたしましては、国内的にはいろいろそういう問題もございましょうが、少なくとも任地において働きまする点におきましては、元首に派遣されたという格好をつけさしていただいた方が、非常に仕事がやりやすいということになっておるわけでございます。
  186. 受田新吉

    ○受田委員 ということになっておるのですね。そうしなくともよいわけなんですね。この問題は認証官にしなければならないということ、つまり元首の派遣だということ——在外公館、それぞれの大使館、公使館に菊の紋が残っておりますね。われわれが外国を歩いて見ても菊の紋が残っておる。この菊の紋章を掲げるには、やはり元首の派遣だというサインがどうしても要るのでしょうか。それでなくてもやれる方法がありますか。
  187. 古内廣雄

    ○古内政府委員 元首のサインがあって御紋章をいただいた方が、仕事がやりやすいことは事実でございます。
  188. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと認証官でなければならないのは、外交、国際親善の上にどうしても必要だというはっきりした根拠になるのですか。それともそうしなくても、他の公務員とのバランスもあるから、認証官というある特定の大使は、一等大使くらいを認証官として、それ以下の、その他大ぜいの大使の方は認証官にしない、こういう方法も技術的にはとれますかどうか。
  189. 古内廣雄

    ○古内政府委員 われわれの考え方といたしましては、そうしていただかないと困る、そうでなくちゃいかぬという結論でございます。これは非常にむずかしい問題で、今後いろいろ御討議いただくことと思いますけれども、私どものお答えを申し上げれば、すべての大使、公使は認証官として、元首のサインと御紋章をいただいていかなければならぬとはっきり考えておる次第でございます。領事は別でございます。
  190. 受田新吉

    ○受田委員 この認証官乱用が今後ますますはびこるわけですけれども、私非常に心配しているのは、九万円くらいでもう認証官だというような形では、認証官というそのものの権威というものも問題になるので、もう九万とか十万とかいう給与をもらう立場の皆さんは、認証官に希望を持っていただかないように、認証官のバランスというものを、外務省一本に多数の認証官が独占せられるという、そのバランスを何とか——それへ傾いているものをほかの公務員とのバランスをとる方向へ、政治的に努力していかなければならぬと私は思うのです。藤枝さん、あなたはそういうことについて何か御意見はないですか。
  191. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 御承知のように外交官以外の認証官も、戦後、現在申し上げた五十七名でなく、もっと多かった時代もございます。それをある程度外交官以外は整理をして参りましたことは御承知通りであります。現在、今御指摘のありました点につきましては、認証官全体の制度といたしまして公務員制度の一環として研究をいたしておる次第でございまして、その研究を待って処置をいたしたいと考えております。
  192. 受田新吉

    ○受田委員 藤枝さんの御答弁で、認証官制度全般の問題を考えたい、その際に大使や公使の認証官制度を廃止するとか、あるいは一等大使だけに認証官を与えるとか、いろいろなことが当然検討されるということになりますね。
  193. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 その通りでございます。
  194. 受田新吉

    ○受田委員 では質問を終わります。
  195. 久野忠治

    久野委員長 他に御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、これにて両案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  196. 久野忠治

    久野委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案及び総理府設置法の一部を改正する法律案の両案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よって両案はいずれも可決いたしました。  両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時十二分散会