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1960-12-17 第37回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十二月十七日(土曜日)     午後一時五十八分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 小笠 公韶君 理事 草野一郎平君    理事 高橋  等君 理事 宮澤 胤勇君    理事 飛鳥田一雄君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君       内海 安吉君    江崎 真澄君       菅  太郎君    佐々木義武君       島村 一郎君    高田 富與君       竹山祐太郎君    辻  寛一君       福田  一君    藤原 節夫君       保科善四郎君    牧野 寛索君       三和 精一君    杉山元治郎君       西宮  弘君    山内  広君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小澤佐重喜君         国 務 大 臣 西村 直己君         国 務 大 臣 迫水 久常君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         総理府総務長官 藤枝 泉介君         総理府総務副長         官       佐藤 朝生君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   増子 正宏君         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     山本 幸雄君         行政管理政務次         官       西田 信一君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監理局長)  山口  酉君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         大蔵政務次官  大久保武雄君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      船後 正道君  委員外出席者         海上保安庁次長 和田  勇君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 十二月十六日  委員服部安司辞任につき、その補欠として逢  澤寛君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員逢澤寛君、大森玉木君及び今松治郎辞任  につき、その補欠として菅太郎君、三和精一君  及び高田富與君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員菅太郎君、三和精一君及び高田富與辞任  につき、その補欠として逢澤寛君、大森玉木君  及び今松治郎君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 十二月十六日  傷病恩給の是正に関する請願小川半次君紹  介)(第二二号)  同(永山忠則紹介)(第二三号)  呉市東小坪弾薬荷揚場設置計画反対一に関する  請願川上貫一紹介)(第二四号)  公務員賃金引上げ等に関する請願外五件(川  上貫一紹介)(第三三号)  同外六件(志賀義雄紹介)(第三四号)  同外五件(谷口善太郎紹介)(第三五号)  同外五件(赤松勇紹介)(第五四号)  同外十一件(有馬輝武紹介)(第五五号)  同外一件(淡谷悠藏紹介)(第五六号)  同外十五件(安宅常彦紹介)(第五七号)  同外十四件(井岡大治紹介)(第五八号)  同外一件(井手以誠君紹介)(第五九号)  同外四件(角屋堅次郎紹介)(第六〇号)  同外二十件(五島虎雄紹介)(第六一号)  同外六十八件(阪上安太郎紹介)(第六二  号)  同外十四件(島上善五郎紹介)(第六三号)  同外二十四件(島本虎三紹介)(第六四号)  同外十八件(高田富之紹介)(第六五号)  同(辻原弘市君紹介)(第六六号)  同外一件(中嶋英夫紹介)(第六七号)  同外一件(野原覺紹介)(第六八号)  同外二十一件(広瀬秀吉紹介)(第六九号)  同外二件(安井吉典紹介)(第七〇号)  同外三件(山中吾郎紹介)(第七号)  同外十五件(湯山勇紹介)(第七二号)  同外三百二件(井手以誠君紹介)(第九三号)  同外三件(高田富之紹介)(第九四号)  国家公務員給与改訂実施に関する請願角屋  堅次郎紹介)(第七四号)  建設省定員外職員定員化等に関する請願(松  原喜之次紹介)(第七五号)  国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び  薪炭手当の支給に関する法律の一部改正に関す  る請願中澤茂一紹介)(第九二号)  行政機関定員外職員全員定員化に関する請願  (矢尾喜三郎紹介)(第九五号)  北海道開発局札幌開発建設部庁舎新築に関する  請願安井吉典紹介)(第一一四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  一般職職員給与に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出第八号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九号)特別職職員給与に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第一二  号)  行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三号)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。  質疑の申し出があります。これを許します。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 先日の質問におきまして、社会党としては、実施期日について非常に問題がある、あるいは上厚下薄が非常にきわだっておるので、これも是正すべきである、あるいはまた期末手当勤勉手当統合すべきである、期末手当をさらに二・五カ月分まで引き上げるべきであるというようなことを中心に、いろいろお尋ねをしたわけでございますが、もう一つ実は問題があるわけであります。それは俸給表統合の問題であります。行政職の一と二、それに海事職医療職の二と二といったようなものは、当然一本にすべきではないか。特に行政職の一表、二表というものを分けておる点からいろいろ考えてみますと、何となく公務員諸君の中でも、この給与表が別だというところから、身分的にも差別されておるような感じを非常に強く、持っておるわけであります。現に格づけの面で当然これは行政職俸給表に行くべきではないかと思われるものが、予算定数その他から二つに格づけされておるといったような矛盾もあるわけでありまして、こういう点を根本的に解決をはかるためには、どうしても統合しなくちゃならぬのじゃないかと実は私ども考えておるわけでございますけれども、この点について一体どういうふうな考え方を政府として持っておるか、まずお尋ねしてみたいと思うわけであります。
  4. 増子正宏

    増子政府委員 石橋委員のただいまの御質問でございますが、俸給表統合の問題につきましては、もちろんいろいろと御意見のあるところであろうと存じますが、現行の体系につきましても、御承知のように人事院勧告に基づきましてでき上がっているわけでございます。今後御指摘のような点につきましては、人事院の今後における調査研究の結果に待ちまして、政府としては処理をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  5. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは人事院にお尋ねしますけれども、今申し上げたような角度から、身分的な差別感をなくするというような面からいっても、またどうしても一表、二表に分けておると、格づけの面で不合理が出てくる。これを是正することは、私はなかなか困難じゃないかという点からいっても統合すべきだという意見を持っているわけでございますが、若干の例をここであげてみますと、大学関係においても、この格づけで非常に不合理があるような気がするわけです。大体同じような仕事をしておる人たち、特にこれは技術系人たちに多いわけですけれども、一体技術というものと、あるいは技能労務というものとをどういうふうな基準で格づけしているのか、その辺のところが非常にあいまいになっているのじゃないかと思うのです。専門的なものになればなるほど……。人事院は自信を持って格づけをされるにしても、実際には線の引きにくいところに無理に線を引いておる、そういうような面があるような気がしてならぬわけですが、いかがですか。
  6. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 俸給表の問題でございまするが、現在の給与体系になります以前に、すなわち十五級時代におきまして、どういう取り扱いが行なわれておったかということであります。御存じのように俸給表こそ少なかったのでありますが、いわゆる資格基準表というものを非常に数多く設けまして、事実上俸給表がたくさんあると同じような取り扱いが行なわれておったのであります。しかもそのことは俸給表という明確な形でなしに、つまり人事院規則段階でそういうことが行なわれておったのであります。こういうことはやはりはっきりする方がよろしいし、それから現在の公務員法建前から申しましても、給与職務責任種類によって支払われるという建前になっておりますので、俸給表を分ける——これは何も身分的に分けるというわけではございません。その職務責任種類によって分けるということでございます。ただいま例としてお示しになりました、たとえば医療職二、医療職三というようなものを見てみましても、医療職三は、これは御存じのように看護婦俸給表でございます。また医療職二は薬剤師、そのほか栄養士等も入っておりますけれども薬剤師も主体とする俸給表であります。これはやはり職務種類が違うのでございますから、同じ俸給表を適用することはむずかしい。かりに同じ俸給表を適用いたしますれば、従前のように資格基準表ということで、規則段階で無理をして区別をするというのもはなはだ不適当ではなかろうかというように考えている次第でございます。また御指摘のように分かれ目というところでは、職務内容を截然と区別するということは、事実上困難なことは御指摘通りでございます。しかしそういう問題につきましては、これは従来分かれていなかったものを分けたというわけではないのでございまして、これはやはり十五級時代にそれぞれ分かれておったわけでございます。それを新しい俸給表に引き継いだわけでございますから、そういう事態が新しく起こつたわけではございません。しかしその後切りかえの際等に多少不用意に切りかえられたもの等がございましたので、これは各方面から指摘されまして、われわれの方としてもそれは適正にやるべきであるというので、いろいろ具体的個々事例につきまして問題を解決して参っております。現在の状態におきましては、われわれ相当程度この問題は解決しておると思っております。なお残りの問題がないとは言い切れませんが、そういうものが出て参りましたときには、個々の具体的な職務内容等を精査いたしまして、この俸給表適用変更をするのが適当というものにつきましては、これをいたしていく所存でございます。
  7. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今までも何度もそ説明は聞いているわけですけれども、実際には差別はないのだといいながらも、今私が一つの例としてお話したように、技術技能とは違うのだ、何この間も差があるようなことを言って、実は格づけにおいて差別をしておる。一体その技術技能というものを一つとらえてみても、何が技術であり、何が技能であるか、なかなかそう明確には区別できないのではないか。その点もし明確に基準があるとするならば、どういう点で区別をしておるのかということをまずお伺いしたいわけです。
  8. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、技術技能の境の辺では、御指摘のように非常にむずかしい問題があろうかと思います。しかしながらおおむね技術技能ということは分かれるのでございまして、むしろ技術には独創的に技術を開発していくというような問題が要求されるわけであります。それだけの素養と申しまするか、そういうものが備わっておる。これは学歴等とも場合によって純関係があります。もちろん学歴関係なしに、技術的に高度のものもございますけれども、おおむね分け方としましてはそういう問題が出て参ると思うのであります。そういう観点から、やはり技術技能というものは大筋においては分け得るのである。その境のところにおいては、御指摘のように非常に困難な問題があろうかと思いまするが、これは個々具体的事例につきましてわれわれの方で判断していきたいと思うわけでございます。
  9. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 言うまでもなく、一たび行政職の二表の格づけを受けますと、将来についての希望をほとんど持てないといってもいいような状況にあると思うのです。これは最高給でも大体三万円程度、今度改定されましても四万円程度じゃないかと思いますし、五等級の最高給は二万五百円ですか、新しく改定されても二万二千円、四等給の最高給は二万二千三百円、新しく改定されても二万四千二百円、しかもそれらの最高給に行くまでには三十年前後もかかるという状況であって、非常に致命的なものになると私どもは考えておるわけであります。そういう心配があったればこそ、三十二年の新体系ができますときに、本委員会においても附帯決議をつけて、慎重にやってもらいたい、特に特殊な技術などを持いておる人については第一で格づけしてもらいたいということを強く要望しておったと思うのです。大体処理されておるということでございますけれども、ここにもたくさん例が出てきております。時間がありませんから、どれもこれも取り上げることができないのでございますが、たとえば東京大学史料編纂所において、こういう例がある。経師製本職、これは文部技官というふうなことになると思うのですけれども、古文書、古記録古画等古史料の復元、補修に当たっている。長年にわたり特殊な技能を研磨し、名人芸に達しているほか、古史料についての研究を積み、余人をもってかえることのできない人だ。こういう一つ技術技能によって、研究対象とされておるいろいろな史料が生かされてきたという例は、枚挙にいとまがないというようなことを述べておるわけでございますが、こういう人も現に行政職の第二表に格づけされておる。ほかにもたくさんここに出てきておるわけです。こういったいろいろな例がありますし、また現に人事院で扱っておるものの中にも、同じ大学関係で、昭和三十四年の十二月二十日づけ東北大学職員組合連合から苦情審査請求書人事院に出されておるようなものもあると思いますが、特に大学関係にはたくさんあるように聞いておるわけです。こういうようなものを、それではできるだけ不合理をなくして、将来に希望が持てるように行一の方に格づけするように、一つ努力していただきたいということを申し上げておきたいと思うのですが、この点について、ちょっと御返事だけ承っておきたいと思います。
  10. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今石橋委員がお示しになられました件は、私の方へもそのお話は来ており、その問題につきましては具体的に調べておると思っております。その問題がどういうふうに処理されたか、今そこまで私この場ではっきり申し上げることができませんが、そういうような問題につきましては、まずその人の職務責任が、たとえば行二の俸給表でその俸給が適当であるとか、あるいは上の俸給が適当であるというような問題もございましょうし、それからまたこの三十二年の給与改正のときに、しばしば御意見がございました点に従いまして、われわれ特殊な名人的な方につきましては、行一に適用変更しておるような例もございます。従いまして今後といえどもそういう御趣旨は十分尊重いたしまして、対処して参りたいと思っております。
  11. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは時間の都合で次に移ります。  この間、問題を提起いたしました海上保安庁旅費のことについて一応資料を要求いたしておりましたし、またその後の保安庁自体調査内容もあろうかと思いますので、最初に御報告をお受けしたいと思います。
  12. 和田勇

    和田説明員 お答えいたします。先日の石橋先生からの御質疑等につきまして、私の方でこれはまだ完全に調査は終わっておりませんが、調べますると、問題は結局旅費を辞退させた際に無理がなかったか、要するに強制でなかったかどうかということに一番重点が置かれると思いまして、その点について調査いたしましたところ、まだ全部ではございませんが、二、三そういった強制に近い、あるいはまあ強制といっても差しつかえないのではないかと思いますが、そういう事例が出て参りましたので、こういった点につきましては、われわれの方といたしましても、今後このようなことがないように十分対策を練り、かつすみやかにそれを実施いたしまして、すでに発令いたしておりますものにつきまして、大体予算を当たってみますると、まだ概算でございますが、百十万程度赴任旅費を必要といたします。これはすぐ右から左へ出るほど余裕はございませんが、ただいま本省を通じて大蔵省に流用の申請をいたしておりますので、それが認められますると全部支払いたいと、かように考えております。なお予算的に見まして、現在七管では四十五万ばかり赴任旅費が残っておりますので、こういったことにつきまして、先ほど申しました流用がきまります前に、この費用を充てて支払いたいというふうに考えております。
  13. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私も、当然支給すべきものを支給してもらえば一応の目的は達するわけですから、あまり深くは追及しないつもりでおりますけれども、どうも新聞の報道などを読んでみましても、七管の本部長には全然反省が見られないような気がするわけです。上の方ではそうして心配しておるようでございますけれども、全然、自分がやっておることは当然の措置だというようなうそぶき方もしておるような感じを、新聞の談話では受け取っております。こういうことでは反省がないのではないかと思う。こういう点について、私は当然責任を明らかにすべきではないかということが第一、それから今までも強制的にはそういう辞退書を書かしておらなかったと本庁ではお考えになっておられるようですけれども、下の方では絶対にそういうことはない、明らかに脅迫的な言辞を弄しておるわけです。言うことを聞かなければ、それでは旅費をつけてやるから奄美大島に行くか、北海道に行くか、こういうようなことまで言われておる人がたくさんおるわけです。ましてや、このまま責任者などを放置しておれば報復的なこととして、これが強化されるような心配も私はしなくてはならぬわけです。そういうことになってくれば、あらためていつでもやりますけれども、絶対にそういうことはさせないということも、あわせて明確に御答弁願っておきたいと私は思うので、この責任の問題と、それから今後絶対にそういった報復的な言辞を弄したり、措置をしたりすることはやらせないというお約束をここでいただいておきたいと思う。
  14. 和田勇

    和田説明員 お答えいたします。先日のお話から、私帰りまして長官にしさい報告いたしまして、かつまだここでは申し上げる段階には至っておりませんが、このようなことが起こりましたのは、一つには私ども本庁の幹部の監督が十分でなかったといったことにつきましても非常に恐縮するとともに、また今石橋先生のおっしゃるように、渡辺本部長自身にも、多少何と申しまするか、今後改めてもらわねばならぬ点もございまするし、われわれの方といたしましても、御心配のような、かえってこのことから部下につらく当たるというようなことがないように措置いたしますのはもちろん、ただいまお話のありましたような趣旨に沿いまして、適当な処置をいたしたいと考えておることをお答え申し上げます。
  15. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは最後に、この間私が提示したのは巡視艇の「むらさき」と「いそちどり」の場合でございましたが、その後もどんどん出てきておるわけです。たとえば「おおよど」、「きたかみ」、「きくち」、「のかぜ」、「おきかぜ」といったようなものも同様な例があるようでございますから、一つ早急によく調査されて、完全にこういう不合理処置がなくなるように善処していただくことを望んで終わりたいと思います。
  16. 久野忠治

  17. 石山權作

    石山委員 人事院総裁にお伺いしますが、私は今度の給与表をば、人事院一つ理論体系からもって、非常に確信をもって勧告なさったと思っていますが、これは普通一般にいわれている科学的というふうな言葉をそのまま認めてやっておられるのでございますか。
  18. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院勧告をいたします際には、非常に精細な民間給与調査をいたしまして、そして公務員法の命ずるところに従いまして勧告をいたすわけでございます。科学的という意味につきましては、その調査のやり方あるいはその採用の仕方等十分意を尽くしてやるという意味におきまして科学的だ、このように考えておるわけであります。
  19. 石山權作

    石山委員 私は科学的ということが、ただ普通いわれている、学問としての科学的あるいは理論的ということであれば、何ら懸念がないと思うのですが、それが一つ実生活と直結する科学的である、理論的である、これが給与問題のむずかしさだと思うのです。こうした場合に、たとい今までの勧告の例を見ましても、人事院の科学的というのは、冷酷である科学的だと私は思うのですが、政府がなかなかそれに応じないとすれば、公務員諸君実生活が、科学的、理論的に見れば、かなりそこなわれているということになると思うのですが、いかがですか。
  20. 淺井清

    ○淺井政府委員 われわれ科学的と言っておりますのは、そうむずかしい自然科学的なことを言っているのではないのでございます。つまり自然科学におきましては、実験によって証明することができるのでありますが、われわれの方で言っておりまする給与問題等における科学的ということは、要するにみんなが納得するというような程度のことでよろしいのじゃないかと思っております。
  21. 石山權作

    石山委員 そう言いますと、みんなが納得するような、むずかしくない、形のくずれた、いわゆる科学的という言葉は、非常に世論に屈服する、あるいは政府の政策に屈服するということに通ずるのではないですか。
  22. 淺井清

    ○淺井政府委員 世論に屈服すると仰せられまするけれども世論はこれはどうしても民主主義政治の基本となるべきものでございまするから、これに反対するわけにはいかないのです。もちろん公務員の立場だけを考えますれば、多々ますます弁ずでございましょうけれども、そういうこともできないだろうと思います。
  23. 石山權作

    石山委員 私の言うことは、人事院が正確な数字を持って問題を処理しているだろうということを信頼しているからです。そうしますと、政府勧告を七割しか採用しなくても、あなたの意見に従えば大したことにならないという意見です。
  24. 淺井清

    ○淺井政府委員 世論政府とは違うと思います。われわれはこの勧告が全面的に採用せらるべきことを申しておるわけでございます。
  25. 石山權作

    石山委員 人事院世論を尊重するということは、組合員諸君世論を尊重するとかいうふうな、そういう世論の見方もある。組合員要請公務員要請、こういうのは世論一つだと思う、しかし人事院は、そのことによっては問題を屈しないというふうな強い見解を前々から持っておられる。私はそうでなければならぬと思っております。しかし今のように勧告が実施されない。そうすると人事院の持っている科学性理論体系というものは、政府の権力に屈しているということを如実に示しておるのではないですか。
  26. 淺井清

    ○淺井政府委員 科学性意味でございますが、それはさいぜん申しました通りでございます。ただし人事院の言っております科学性は、決して数字を無視してはおりません。やはり精密な調査を基礎として言っているということは前提でございます。しかしながら刑法の規定を見ましても、物を盗んだ者は罰せらるべきことをいっておるのであって、逃げ隠れして罰せられないこともあり得る。しかしそのために刑法の規定が存在しないということはないのでございまするから、人事院といたしましては、人事院勧告が採用せらるべきことを言えば、それでよろしいと私は考えておるのでございます。これは勧告権の限界を示すものです。ただいま石山さんは、人事院勧告が実施せられないということを仰せられましたが、たとえば人事院は今回は五月からこの勧告が実施せらるべきことを言っておるわけでございます。ところが実際の結果といたしましては、これが十月になっておるのでございますから、石山さんの御説をもってすれば、人事院科学性は踏みにじられたということになると思うのでございますが、ちょっと考え方が違っておるのであります。人事院といたしましては、この勧告が五月から実施せらるべきことを主張しておるわけでございますが、この勧告の実施に要する数百億の金というものをだれが調達するかといいますと、これは国家の財政全般を考慮して調達するよりほか仕方がないのでございますから、これは人事院勧告権の限界を示すものであっていわゆる石山さんの踏みにじられたというような考え方のものではないように思うのであります。
  27. 石山權作

    石山委員 私は人事院総裁になれないのです。だから人事院総裁の気持にはなれないでしょうけれども、あなたが誠意を込めて、理論的にも正しいと思っているものが、五月一日から勧告をしているにもかかわらず、十月一日からしか実施ができないとすれば、踏みにじられたということでしょう。残念には思いませんか。政府のやり方を少し無情だとは考えませんか。
  28. 淺井清

    ○淺井政府委員 私はそれは遺憾だと思っております。人事院いとたしましては、今日もなお五月から実施せらるべきことを考えていることは、これは当然のことでございます。しかし人事院勧告権は、公務員法で認められている最も強力な権限でございます。これを行使してなお実施せられないというのならば、問題は制度の上にあるのでございます。それ以外にはないように思います。
  29. 石山權作

    石山委員 私はもう一つお伺いしたい点があるのですが、いわゆる上に厚く下に薄いと言われているこの体系は、政府側にお伺いしますが、政府として正しいとして受け取ったということは、上厚下薄に対して利点があったと思うのです。世論はいろいろ批判があったが、これをこのままの体系として受け取ったのには、利点があったから受け取ったと思いますが、政府側が考えている利点は、どういうところでございましょうか。
  30. 佐藤朝生

    ○佐藤(朝)政府委員 政府側といたしましては、人事院から勧告がございましたこの勧告が、今いろいろと御意見がございましたが、妥当なものとして受け取ったのであります。
  31. 石山權作

    石山委員 どうも佐藤さんの答弁は、あまり簡略で理解しにくいのですが、増子さん、ここは委員会ですから、もう少し情理を尽した御答弁を私はほしいのです。
  32. 増子正宏

    増子政府委員 政府人事院勧告を正しいと言っておるのは、何か利点があったからではないかという御趣旨と理解いたしますが、利点があるから正しく、利点がないから正しくないというような考え方は、政府としてはいたしていないわけでございます。人事院が従来の経過、あるいは今日のいろいろな調査の結果現れてきました事実に基きまして、この俸給表の新しい体系が適当であるというふうに判断された、その考え方につきまして、私どもはそれを妥当だというふうに判断いたしたわけでございます。
  33. 石山權作

    石山委員 それは公務員制度を調査なさるあなた方としては、はなはだ怠慢ではないかというふうに思われる。人事院調査方法は、公務員の生活権利を守ってやるという建前ですが、受け取る皆さんの方には、利点がなければ簡単に受け取ってはならぬと思う。この上厚下薄が、いわゆる政府側から見れば非常に能率的であるのだ、こういう利点がなければ受け取らぬでしょう。たとえば給料表の全部が書きかえられたわけでしょう。一部修正じゃない。全部書きかえられたから、制度上における給与体系の一大変化なんです。それが公務員のいわゆる自律自戒、あるいは能率、勤勉、こういうようなものに影響しないとするならば、こんな大幅な変更のあるものを、しかも上厚下薄といわれて世論ごうごうたるものを、そのまま受け取る必要はないじゃないですか。私はそういうことを言っているのです。皆さんから考えていわゆる公務員のそういうふうなものに影響があるというふうに考えて受け取っておるかどうかということを聞いておる。
  34. 増子正宏

    増子政府委員 ただいまお話のような意味でございますれば、私どもはそれはもう当然のことというふうに考えているわけでございます。すなわち人事院勧告によりまして公務員給与場を改善することは、これはすなわち公務員の待遇をよくし、また職に対する適切な報酬を与えることによって、公務の能率的な運営をはかる、そういう趣旨に根本的に出ているわけでございますので、その点は私どもあえて申し上げるまでもないことと考えたわけでございます。
  35. 石山權作

    石山委員 私はもう一つ申し上げたい。われわれは給与体系を変えたとき、一つ希望というものを表によって見るわけですね。その場合今度の表を見てみますと、いわゆる上級試験を受けなければなかなかいい給料へ行けないということが歴然としてしまつた。こういうことに対して、いわゆる勤労意欲というものを非常に抑圧するような給与体系になっているというふうにお考えにならなかったのですか。
  36. 増子正宏

    増子政府委員 今度の新しい給与体系が、上級試験を受けて合格しなければ有利にならないというふうには必ずしも私ども考えていないわけでございます。もちろん全体の俸給表運用上におきまして、上級試験合格者が、その他の職員に比べまして、比較的有利な格づけが行なわれるということはございますけれども、それはしかるべき理由があってのことでございます。すなわち上級試験というものが、そういういわば有利なポストにつき得る資格、能力として判定された者に対する処遇でございますので、それは制度上当然のことであるというふうに考えられるわけでございます。なおそれでは上級職試験の合格者でなければ上位等級に進めないかというと、決してさようではないわけでございます。その他の者につきましても、その資格基準等に従いまして処遇されるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
  37. 石山權作

    石山委員 これは人事院も立ち会って、数字を突き合わしてみせて表を比べれば歴然としているのです。だけれども、今そういう討論を試みるほどわれわれは余裕はないわけなんです。残念に思います。この問題はやはりいわゆる公務員の職階級という制度が先行するのか、そのあとに給与がその体系に付随していくのか。あるいは今回のように給与表がずっと変わったことによって、むしろ公員務の職階級という制度に移行したという場合もあり得るわけなんです。これは相関関係だと思うのですが、私はその点ではやはり公務員調査室では、十分そういう弊害に陥らないような機構制度というものを整備しておく必要があるのではないか、こういうふうに思っているわけです。  それからせんだっても私申し上げましたが、今度の給与体系給与勧告等を見まして、いわゆる職責というものと給与とが一貫した態度で新しく見直される段階にきておる。ということは、公務員公務員としての立場において給与問題を論ずる時期が近づいているのではないか、こういうような印象を今回受けていますので、皆さんの方でもその点は十分研究していただきたい。  淺井さんにお伺いしますが、淺井さんの答弁は、どうもあまりに政治的な配慮のもとで答弁がなされまして、給与の話とはちょっと隔たっているのではないかというふうに思われてなりません。今までの例からしましても、たとえば皆さんの方で科学的であるとか、正しいことであるとかいうならば、問題を伏せておく必要はないだろうと私は考えておる。それがたとえば今度のいわゆる上厚下薄の問題が起きますと、こういうふうに言っているのです。昭和三十三年、三十四年においても行一上級公務員は、民間に比べて二〇%も低かったのだ、押えていたのだ、勧告しなかったのだというような表現をなさっているわけなんですね。あなたの答弁にうんと似ているのですよ。実際の給与というものは、もしかりに給与制度がくずれたにしても、現われた現象をこういうふうな格好で押えておくということは、正しい勧告ではないというふうな気持でございますが、それはどういうふうな御見解で今回なさったのか。答弁もそういうふうなことで私は承っているわけなんです。大臣の給与にしても私はそういうふうなことが言えると思う。たとえば総理大臣がこの前辞退をした。辞退をしたのは給与体系から見ればけしからぬというふうに皆さんの方で再勧告してもよろしいと思う。自信のあるものはそういうふうな形でやっていただかなければならぬのに、なぜ三十三年、三十四年とも二〇%低いということがわかっていてそれを押えていたか、三段式に給与勧告をなさったからそういうふうな弊害みたいなものが現われたのかもしれませんが、もしかりにあなたの方が正しいとするならば、三十三年にそういうことを勧告していなされば、上厚下薄というそしりをあるいは受けなくて済んだのではないか。それが三十三年、三十四年は伏せておいて今度勧告をなさるというから、問題が上厚下薄という点のみで追及されておるのではないか、その点はいかがでしょうか。
  38. 淺井清

    ○淺井政府委員 それは昨年並びに一昨年におきましては、官民の給与の格差が今年のように大きく出なかったのでございます。でございますから、その官民の格差をどの程度改善をすべきであるか、これは上級職員の改善に使ってもよろしかったのであります。何となれば、上級職員は官民の格差が大きいのであります。しかしわれわれはまず下の方を改善しよう、そこで中だるみ是正とかあるいは初任給の是正をやったわけであります。それで今回は相当の開きが出ましたから、上級職員にこれを及ぼした。そこで上厚下薄ということをよく仰せられますけれども、われわれは上厚下薄とは思っていないのでございます。それはつまり昨年の中だるみ是正、一昨年の初任給是正等々とあわせてお考え下さいますならば、上の方はそんなふうになっていないのであります。上下の格差もあれくらいの相違は過去にもあったのでありまして、決して上厚下薄ではない。でございますから、さいぜん石山さんが、政府がこれを採用するのに、上厚下薄俸給表を採用する利点がなくてはいかぬと仰せられますけれども、知に言わしむれば、問題はその前にあるので、私どもは第一これが上厚下薄なのかどうかが問題だろうと思っております。
  39. 石山權作

    石山委員 私の言うのは、総裁はなぜ三十三年に起きた現象、それを現わして昇給昇格を勧告しなかったかという点を聞いておるわけです。
  40. 淺井清

    ○淺井政府委員 それはさいぜん申しましたように、全体としての官民格差をまず基礎にしてやるのでございますから、全体としての官民格差が非常に少なかったのでございます。それで下の方をよくした、こういう意味でございます。なお給与局長から補足させます。
  41. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま総裁が申されましたように、三十三年、三十四年におきまして、全体的な給与の是正を行なわずに、初任給是正あるいは中だるみということをやったのはどういうわけかというお話でございますが、これは何も計画的に年次的にやろうという意図が人事院にあったわけのものではございません。公務員法によりますれば、五%以上給与の水準を引き上げる必要があるときには勧告しろ、言いかえてみますと、五%以上の格差が出た場合にはまずその程度のところにおいて問題にしろ、こういうふうに公務員法二十八条には精神が書いてあると思うのであります。人事院といたしましては、五%に満たない差額でありますので、これを全体的な給与改善にするということをしてもよろしいのでありますけれども、その法文の読みようによりましては、その程度の差額であるならば、差額を絶対的に埋めることは必要であっても、それを重点的に使ってもいいじゃないかという考えがございまして、まず初任給是正、それから次の年もあまり格差がないものでありますから、その原資を使って、中だるみを中心に、その点を重点に勧告を行なった、こういう次第であります。
  42. 石山權作

    石山委員 給与局長の話を聞いているとさもさもらしく聞えるけれども、川実際はさもさもらしく問題は進展していない。たとえば先ほどの淺井総裁の御答弁を聞いてみても、科学的であると言いながらも、世論を傾聴しなければならぬ、世論は民生主義だとおっしゃっている。そうすると今のような格好で人事院勧告なされていると、後退していくと思うのです。たとえば今度の勧告は、五月一日から勧告したにかかわらず、十月一日からしか実施できなかった。そこでもし人事院の態度というものがくずれると、政府勧告しそうな十月一日から実施しなさいという勧告を行なう危険性がだんだん積み重なっていくのではないか。そういう危険は答弁の中を詳細に見てみますと明らかだと思う。やむを得ないのだと言われるが、そのやむを得ないのだというあきらめと退嬰的な気持が、次の勧告にも重大な影響を与えてきたという結果を私たちは見ているような気がしてなりません。組合の諸君は、人事院は最近御用機関になりかかっているから、人事院を廃止しなければならぬなどと気負い立っているけれども、私たちはそれはそれとして別だと思う。しかし人事院の権威、人事院の誠実、こういうものを十分に考えていながらも、皆さんの言葉のあやから受け取る印象としては、どうしても次の勧告は何かもっと政策的なものを考えなければならぬというお心みたいなものがうかがわれてなりませんが、人事院総裁は、今度の五月一日勧告をば十月一日に実施せよという政府の、私たちに言わしめれば冷酷むざんな仕打ちにあっても、もっと志をかたくして勧告するという態勢はくずしていないのかどうか。あなたの御答弁を聞いておると、それは限界だ限界だと言っている。限界だということはあともう何もないことで、参ったという印象なのかどうか知りませんが、その限界が私にはよく了解できないのでありまして、私はそういう心配を持っているだけ、あなたの限界説も、もっと公務員諸君に元気を与えるような答弁の限界を示してもらいたいと思うのです。
  43. 淺井清

    ○淺井政府委員 限界と申しましたのは、公務員法として人事院に与えられておる権限は勧告をすることである、この財源を調整することはわれわれはできない、それを限界と申したのでありまして、私は十月一日から実施されることを少しも満足していない、遺憾に思っております。でございますから、来年は十月一日実施にするのではないか、こういうふうに先回りしてお考え下さらないようにお願いいたしたいと思います。
  44. 石山權作

    石山委員 私も政治家の端くれだから、私は先走るということを避けたい。現実的に問題を処理したい。ただ皆さんの過去の勧告の実態、政府がそれを受け取った実態を考えますと、心配になるわけであります。先走らざるを得ない一つの現象が現われているものですから……。たくさんの権限を一度は人事院から剥奪されるようになって、また人事院に権限が付与された問題もたくさんあるわけでありますから、この際思い切って給与問題に対しては、人事院はきぜんたる態度でやはり再認識を公務員諸君に求めるくらいの気魄を持ってやっていただきたいと思うのです。人事院に立ち返った権限の一、二の例の中で暫定手当の問題がございます。寒冷地、薪炭等の問題も新しく付与されたわけですが、大きい問題になって、国会にもかなりの陳情を受けた暫定手当の取り扱いは、その後両二年、三年進捗しておりません。これに対して人事院はどういうふうな工夫をなさって、前にわれわれが国会で決議しておった、あるいは討論しておった趣旨にのっとって作業を進めているか。暫定手当に関する作業の状況を、あるいは方向を見出したならばその方向を御説明していただきたい。
  45. 淺井清

    ○淺井政府委員 暫定手当につきましては、ただいまお示しのように、国会の付帯決議の御趣旨に従って最近に内閣に勧告いたしたい。ただいままでしませんでしたのは、あの権限は一ぺん取られておったわけです。今年の六月でございましたかまた返ってきたわけでございますから、本特別国会には間に合いませんけれども、来年の四月一日からやり得るように、かつ予算の編成その他に間に合うように最近にいたしたいと思っております。どういうふうにやるかはまだきめておりませんから、ちょっとここで申し上げられませんが、大体暫定手当は漸次これを整理いたしたい。ことに一番先にやりたいと思いますことは、同一の行政区画内における不均衡、これをなくするような方向に持っていきたい、それは考えております。
  46. 石山權作

    石山委員 この前の討論の一つの要旨として、物価差がなくなってきた。都会と農村の物価差がかなりなくなってきた。そういう意味で五%を基本給に繰り入れたのが始まりでございました。その当時の話としてはもう五%程度、あるいは一〇%というようなお話もあったのですが、まず第二段階としてはそういうことが正しいのではないかというふうに論議をされた、こういうふうにわれわれは記憶をしているわけであります。それが今の総裁の御意見だと、同一行政区域内、もっと言葉を平たく言うと、一種のでこぼこ是正で、まず今度の問題はそういう格好で前進したいという意味ですか。
  47. 淺井清

    ○淺井政府委員 その通りでございます。ただし暫定手当というものはとても一度に改善できないと私は思っております。でございますから今回は、ただいま申し上げましたようにまずやりたいと思っております。
  48. 石山權作

    石山委員 そうすると行政区域内の統合をまず勧告して、その次の段階はまだ調査中でございますか。
  49. 淺井清

    ○淺井政府委員 その通りでございます。
  50. 石山權作

    石山委員 それではあの当時のわれわれの決議から見ると、どうも尊重の度合いが薄いのではないですか。もう少し急いでおやりになるということが必要なのではないかと思うのですが、何かその間に重大な事情、これはもちろん人事院はお金を念頭に置かないだろうと思うのですが、お金以外に何か特別な事情がおありですか。
  51. 淺井清

    ○淺井政府委員 別に特別の事情はございませんが、これも科学性の問題で、どうすれば合理的なことになるのか、こういう問題であろうかと思っております。
  52. 石山權作

    石山委員 次に寒冷地、薪炭の問題に入りたいと思いますが、これはこの春の国会で論議をされまして、あなたも十分にわれわれの討論をばお聞きになったと思いますし、われわれの附帯決議もお読みになったと思いますが、五月十日の当委員会における問題でございます。このときにはちょうど北海道石炭手当通りました。しかしわれわれは、この問題は薪炭のみの問題ではない、あるいは北海道の方々の石炭のみの問題ではない、寒冷地地帯一般に住んでいられる方のいわゆる特殊給与として問題を取り上げる必要がある。それで与野党で話をした結果、こういうふうな決議をば上げております。「現行の寒冷地手当薪炭手当には種々不合理不均衡が生じている実情にかんがみ、政府は、速やかに人事院をして調査研究せしめ、昭和三十六年度より改正するよう措置するものとする。右決議する。」これは私の方が提案しているのではなくして、三党の、しかも与党の岡崎委員よりこれは提案されているのでございますから、与党としても責任が大へん重い問題だと思います。特にわれわれとしては、昭和三十六年度よりこれを実施するようにというふうに、ある種の規制をしているわけでございます。この決議に対して人事院はどういうふうに解釈なさって作業なさっているか。と同時に、このことは政府としてもどういうふうにお考えになっておられますかということをお聞きしたい。
  53. 淺井清

    ○淺井政府委員 それはその御決議の御趣旨を尊重いたしまして、そのとき私もさようにいたすというような答弁は速記録にあるはずでございますから、四月一日に実施されるよう、これも最近に、ただいま申しました暫定手当の方と合わせて勧告いたしたいと思っております。ただしちょっとこれはいろいろ問題もありますから、三つ一度に勧告ができるのか、あるいは一つずつ切り離すのか、いずれにもせよ、これはそう遠からず、そう遠くない意味においての最近において勧告をいたしたいと思います。ただしこの国会中はちょっとできかねると思っております。
  54. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 薪炭手当寒冷地手当につきましては、人事院勧告をもちまして、政府としては処理いたしたいと考えておる次第であります。
  55. 石山權作

    石山委員 きょうは給与担当大臣がおらないので非常に残念に思いますが、人事院勧告を尊重する、人事院勧告を待っておやりになる。しょっちゅう承っております。今度の尊重だって、今までわれわれ尊重というものは非常に重大な言葉と考えているのですが、自民党や政府の高官の言われる尊重というものは三日月尊重ですよ。三分の一か四分の一、三日月だ。そんな尊重なんて——私は尊重というものは円満な、まるいものだと考えているのです。それでこそ尊重に値するのです。あなた方は勝手に三分の一に切ったり四分の一に切ったりして、そして尊重すると言っておる。ですから、たとえば今度の人事院勧告などを見ましても、高級官僚やその他には非常に有利でございますけれども、それでさえもなかなか尊重の態度を見せない。特殊給与などになりますと、こういう大きい給与問題になると、下積みになってしまって浮かび上がってこない。十分そういう点を私は勘案していただきたいと思います。問題が小さげれば小さいほど声を出しにくいのであります。いわゆるあなたの方のお得意の声なき声に、こういう場合にこそ十分に耳を傾けていただいて——前の益谷給与大臣もりっぱに御答弁をなさっておる。そういう点を十分一つ勘案していただきたいと思います。  自衛隊の問題について一つだけお聞きしておきたいのですが、今度の補正予算の問題について、一番ネックになって難航した要素として裁判官と自衛官の給与問題があったようでございます。世上伝えられるところによると、自衛隊諸君給与一般職から比べると非常に高い。これは警察官よりも高いし、消防隊員よりも高いといわれている。これは皆さんの方では高いのは当然だというふうなお考えで大へん力説されていたようでございますが、そういうところは一体、特にほかの官職よりも高くなければならぬと、こう力説されなければならない要素は、われわれとしてはちょっと理解に苦しんでいるものです。あなたから一つ説明をいただきたいと思います。
  56. 小野裕

    ○小野政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、自衛官の職務、任務というような点につきましては、他の公務員の方々も大へんでございますけれども、また変わった点がございまして、特にごめんどうを見ていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。変わった点と申しますのは、私どもとして常に考えておりますことは、たとえば一番若い士でございます一士、二十、三十、士長、あの士の階級等につきましては、これは任期制でございまして、二年か三年か、あるいはもう少し任期継続をいたしますが、ある期間御奉公するわけでありまして、そういうような特徴がございます。またいわゆる曹と申しますか、あるいは幹部につきましてはそれぞれ停年制がございまして、若いものは四十才から、最高位のもので五十八才というような停年制がございまして、本人の希望とか意向というものなしに自然退職をすることになっておるのでございまして、こういうような点は制度上の特色でございまして、ここに勤務する者にはめんどうを見ていただきたいと考えております。あるいはまた誓いものにつきましては、曹、士でございますが、これは部隊運営の必要上営内に居住することを定めておるわけでありまして、しかも勤務は一応普通の勤務がございますけれども、常時待機の態勢にございまして、しかも教育、訓練、あるいは各種の出動というような際には、いわゆる過勤務というような観念なしに、十時間でも二十時間でも継続勤務をいたしますし、またさらにその仕事の性質上も非常に厳格な規律がございまして、非常の場合等には職務を離脱いたしますならば体刑をもって厳罰に処せられるというような制度にもなっておるわけでございます。そういうように自衛官の職務あるいは服務というものの性質、態様というものは、質の面から見ましても量の面から見ましても他の公務員の方々とは違った点かあるというように考えまして、それらの点について何分の考慮を払うことが適当である、そのように考えておる次第であります。
  57. 石山權作

    石山委員 私ども社会党は、働く者には働いた対価というものは十分支払われなければならないという意見でございます。ですから自衛隊のみならず、その基本の生活擁護というものに一ついては差別をつけておりません。ただここで考えられるのは、皆さんの方で力説されている特殊事情というものは、私は各特別職あるいは公務員技術職等にもあるのではないかという考え方です。もう一つは、たとえば憲法が改正されまして、真の意味のいわゆる戦闘部隊であるというふうになれば、これはまたほんとうの意味の特殊だと思うのですが、今のような場合にはやはり一種の職業だろうと思うのです。職業だろうという解釈は妥当ではございませんか。
  58. 小野裕

    ○小野政府委員 あらゆる職種につきましていろいろ御苦労があり、いろいろ特色のある点はお話通りだと存じます。ただ私どもの判断といたしましては自衛官の職務については非常に変わった要素がある。この点についてできるだけ御配慮をいただきたい、こういう考えを申し重ねるだけでございます。いろいろ御意見もあろうかと存ずるのでございますが、そういうふうに考えておる次第でございます。
  59. 石山權作

    石山委員 それでは人事局長一つだけお聞きしたいのですが、それで終わります。今度の実際に皆さんの方で昇給なさった率はどのくらいにおさまりましたか。
  60. 小野裕

    ○小野政府委員 俸給表によりましてアップいたしました率は、自衛官全員を通じまして一二・八%でございます
  61. 石山權作

    石山委員 ちょうど大臣がおいでになりましたから、大臣に一つだけお聞きして終わります。  先ほどあなたがおいでになる前に総務長官にもお話ししましたが、皆さんの方ではしょっちゅう人事院勧告は尊重なさるという言葉を冒頭に出します。しかしその次に来るのは、諸般の事情にかんがみということをすぐ持ってくるわけです。諸般の事情は、尊重という言葉を台なしにしてしまうわけですね。人事院に先ほど伺いましたら、人事院給与勧告する場合には非常に緻密に科学的に数値を設定しているのだから、勧告通りにやっていただかないと公務員の生活の救済にはならぬというふうに発言をしております。非常に遺憾だ。その遺憾は淺井総裁は何べんも繰り返したから、遺憾の二乗になるでございましょう。政府からお金をもらっているから政府をざんぼうというふうなことにはいかぬけれども、淺井総裁はかなりに憤慨しているように思います。やはり尊重なさるという言葉をその意味のままに生かすとするならば、次に尊重を台なしにするような諸般の事情とか緊急事態という言葉をば避けて、やはり尊重していただかなければならないのではないか。特に今回のように上の方に厚くて下に薄いというような世論ごうごうたる中において、さらにチェックなさるようなことであれば——池田さんが給与倍額ということを一番先に、組閣な さる前から提案をしておった。経済企画庁のあなたでございますから、その点では見通しを持っていろいろ処理をなさっておられるだろうと思うのでございますが、私はその処理の事項というよりも、今度これから人事院勧告をなさったならば、必ずその通り尊重をして実施をなさる、こういう態度を給与大臣に第一にとっていただかなければなならぬと思います。そういう点について一つ強い御答弁をいただきたいと思います。
  62. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 今後できるだけ御趣旨の線に沿うて努力をいたします。
  63. 石山權作

    石山委員 終わります。
  64. 久野忠治

    久野委員長 受田新吉君。
  65. 受田新吉

    ○受田委員 私あまり時間をかけないで、関係閣僚の皆さんと人事院総裁及び関連の政府委員の方々に御質問をいたしたいと思います。  今度の給与法の改正で一番根本になる問題として、人事院勧告がある。この勧告の中身が、いろいろ取りざたされておりますが、私は一つだけお伺いいたします。人事院は今度の勧告で、懸案を幾つも解決したと思っておられると思うのでありますが、しかし懸案が解決されたようであって、実は別の問題が派生をしておるのではないかと思うのです。それは人事院勧告、報告書の中に、今まで毎年職種別に、民間企業と公務員給与の比較表が出ておりました。たとえば行政職の一の二等級における官民の格差がどうなっているかというのが、昨年の資料にもあったと記憶いたしておるのでありますが、これがこのたびはずされておるのはどういう理由でございますか。
  66. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院勧告をいたします際に報告をいたすのでございますが、その際に参考資料というものもつけて、一応全体の報告書の体系をまとめておるわけでございます。従いまして、ただいま御指摘の等級別の比較というものが出ていないではないかということがございますけれども、われわれは全体的にごらん願えばこの程度でおわかり願えるのではないかという観点で、今回は報告表及び参考表を作成した次第であります。
  67. 受田新吉

    ○受田委員 特に二等級、三等級あたりを比較しますと、官民の格差というものが非常に大きく出ている、そういうところを重点的に取り上げられて、上の方に厚くまた下の方に薄いという結果が現われた、こういうふうにながめてよろしいのでございますか。これは民間の給与の実態と公務員給与の実態をそのまま同じ線に持っていくという方針を中心に勧告、報告をされたのであるかどうか、これをちょっとお伺いいたします。
  68. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院が行ないます民間給与調査は、それぞれ職種別に俸給表を対照いたしまして、その格差を求めてこの俸給表を求めたのでございます。しかし公務部内のバランスということもございますので、今回はそういう点にも相当注意を払った次第でございます。すなわち人事院がいたしました俸給表比較から申しますならば、たとえば医療職三、看護婦、こういうものは現在人事院の対比によりますと民間の方がかえって低いというような状況が出ております。そのほか多少民間の方が低いものもございます。しかしやはり公務部内におきまして民間が低いからといいまして引き下げるわけには参らないのであります。従いましてこれは全体の比較をいたし、二等級につきましては、この行一の二等級、医療一の二等級、研究の二等級、これは大体対応いたします等級でございますが、教の二等級だけはこれは例外として除きまして、その三職種を平均いたしまして民間と比較してみる、その結果の格差がどのくらいになっているということを重点に置いたのでございます。また下の等級におきましては、それぞれ対応いたします等級を全部寄せ集めまして、それの格差がどういうふうになっているかという点を重点にいたしまして出した。全体といたしましては民間格差の一二・五に近い一二・四の改善をいたしている、このような状態であります。
  69. 受田新吉

    ○受田委員 過去二年間に初任給の手直しと中だるみ是正という下級職員の是正措置が行なわれているのですが、それが一応終わったものとして計算をされている。三十一年の三月現在の基礎の上に立って下級公務員の昇給率が上の者と比較して大体バランスがとれたなどとおっしゃっている。これは人事院のやり方としてははなはだずるいやり方で、もうすでに下の方は上がっている、だから上がっている分は一応計算に入れて、今まで上がっていない方の分を上げるのだという考え方、これは人事院給与の改善をするための勧告を出される考え方としては、はなはだずるいやり方だと私は思う。現実に現在の時点に立ってこの給与の改善を全面的に全職員に及ぼすという考え方に立たなければならない。こういう給与政策上、国家公務員法の六十四条の、人事院が何かの考慮をしてもいいようなあの人事院に与えられた権限を、あまり強く見過ぎているのではないか、こういう考えをしています。この点について総裁は、このたびの勧告上厚下薄というのは、民間もそうなっておるからやむを得ぬ、それから下級職員はすでに引き上げられておるからそれでいいのだという、きわめて場当たり的な考えで勧告をされたのか、あるいは給与政策上、下の者をもっと優遇して上の者をもう少し押えて、できるだけ公務員は、民間の職員とは変わった立場で、公務に精励して能率を上げていくという立場からは、初めて就職する者に比較的高い給与を与えて、民間に流れる人材を公務員に吸収するというような、そういう給与政策をとる方がいいという、そういう配慮を持って勧告したのであるか、どちらであるかをお示し願いたいと思います。
  70. 淺井清

    ○淺井政府委員 今回の勧告上厚下薄であるという世論があるというように仰せられますから、過去のことを申し上げたのでございまして、官民格差は一二・五ということになっておりますから、下の方あるいは中級の方もほっておいたのではないのでございます。それは俸給表の改善をごらん下されば、よくわかるのでございます。ただ上の方が三〇%余り上がっておる。しかしこれはやはり一つには官民給与の格差を反映するものであり、また従来上級公務員給与改善をしなかった、そういうところにある、こういうわけでございます。
  71. 受田新吉

    ○受田委員 民間給与を基礎にして給与政策を考える、あるいは民間給与とは別に、人材を公務員に吸収せられるためには、初任給あたり、低所得の下級職員給与を相当引き上げて、そのかわり上の者を比較的押えるというような、そういう給与政策もあるわけです。あなたとしてはそのいずれをおとりになろうとされておるのか。私が申し上げたあとの問題は、あなたのお立場では、お考えにならないことになっているのかどうかを伺いたい。
  72. 淺井清

    ○淺井政府委員 公務員法の規定によりますれば、職務責任に応じて給与は支払うということになっておりまするから、それは官民給与の格差から見まして、職務責任に応じて給与をこしらえるということは当然でございまして、別に上をへっこますとか下を持ち上げるとか、そういうことを特に考える考えはございません。 受田委員 公務員が吸収されていくように、公務に従事する職員を、せっかく人事院が試験までやって、一応合格者をきめられておるにかかわらず、公務員給与が低いというので、民間へ流れておる、そういう現象はあなたは御存じですか。
  73. 淺井清

    ○淺井政府委員 その意味でございますれば、上級公務員を押えるということの意味がないのでございまして、上級公務員もやはり能率を発揮させ、公務に熱心であってもらいたいと思うのでございます。
  74. 受田新吉

    ○受田委員 上級公務員というのはごく一部の人である。それで、たとえば初級試験、中級試験というようなものに合格した数、これが大半である。ごく一部の上級試験、ごくまれにしかやられない部長とか局長のポストを大事にするために、初級の職員、中級の職員というような人々を希望を失わしめて、おれたちはどこへ行っても大したところまで行けないのだというような幻滅の悲哀を感じさせるような政策をおとりになるのが妥当か、あるいは下級職員相当程度の余裕のある待遇を与えて、人材を公務員に吸収するような政策をとる、こういう行き方をとるのが大事なのか、人事院にある程度給与政策の権限が与えられておると思うのです。その点、ある程度給与政策の権限を与えられておるという私の考えが間違っておれば御指摘願いたいし、また私の考えが正しいと思われるならば、その点について御答弁を願いたいのであります。
  75. 淺井清

    ○淺井政府委員 失礼でございますけれども、受田さんの仰せられるような二者択一はやっておらぬのでございます。下もよくしますし、上もよくしたい、両方ともよくしたいということでございます。
  76. 受田新吉

    ○受田委員 下がよくなっておれば、人材が吸収されなければならない。ところが実際は民間工場等に流れて、公務員には人材がなかなか集まり得ないという現状、これをあなたは御存じですか。
  77. 淺井清

    ○淺井政府委員 そこで今回初任給調整手当等も新設いたしまして、苦心をしたつもりでございます。
  78. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は初任給調整などという手当で解決するような問題ではないのでございますから、根本的な問題があるのです。時間が相当迫っておるそうですから、私はあなたに対する質問を終わりまして、そこで今度は特別職の問題が討議されかけておりますので、一言二言お尋ねをして、自民党の諸君の御要望にこたえたいと思います。  そこで今度特別職俸給表、これを私拝見しますと、総理大臣が二十五万となっております。この二十五万というのは、何を基礎にして計算された数字であるかをお示し願いたい。
  79. 船後正道

    ○船後政府委員 内閣総理大臣等の特別職給与は、従来から一般職公務員との均衡を考慮して定められてきております。今回の人事院勧告のもちろん対象ではございませんけれども、従来から以上のような経緯で定められてきておりますので、今回の勧告により一般職職員給与が上がりますので、それに伴いまして特別職職員給与改正を行なうことといたしたのであります。ただいまの御質問は二十五万円の根拠でございますが、これにつきましてはまず第一に、現在事務次官は一等級の五号俸でありまして、これは本俸にいたしまして約三二%、基準給与にいたしまして約二八%のアップになるわけでございますが、特別職職員のうち委員会委員、これは現在七万五千円でございますが、これはこの辺のアップと合わせまして十万円にいたしました。次いで問題になりますのは、一般職である事務次官と、また特別職である政務次官との給与のバランスで問題がございます。なおまた国会議員につきましては、もちろん議員の歳費法できめられておる問題でございますが、現行法ではそれぞれ、議員は政務次官の、また副議長は国務大臣の、議長内閣総理大臣のというふうにきまっておりますので、これらとの権衡も考慮する必要がある。従いまして事務次官のアップ率、期末、勤勉を含めました総給与の増額、これらを考慮いたしまして、政務次官の俸給を現行の九万円から十三万円にいたした次第でございます。そして従来から内閣総理大臣、国務大臣、政務次官のバランスがございますので、これらのバランスを考慮いたしまして、内閣総理大臣の十五万円を二十五万円にいたした次第でございます。
  80. 受田新吉

    ○受田委員 バランスによってきめられた政治的給与と了解してよろしゅうございますか。
  81. 船後正道

    ○船後政府委員 私から政治的云々は申し上げるわけにも参らぬのでございますが、やはり特別職相互間にはそれぞれの職務責任に従いまして給与のバランスがございます。現在も総理が十五万に対して国務大臣が十一万円である。このような格差があるわけでございまして、内閣の首長である総理は、やはり国務大臣よりも高くなければならない。この間の格差は現在約三八%程度と記憶しておりますが、今回もやはり国務大臣と総理との間にはその程度の格差を設けております。
  82. 受田新吉

    ○受田委員 国務大臣、総理大臣を非常に高いところ——この上がり方というものは、総理大臣が七割上がっておる。この七割上がっている職種がほかにありますか。
  83. 船後正道

    ○船後政府委員 総理のアップ率は、御指摘のように本俸にいたしまして六六%ぐらいでございます。これを暫定手当を含めまして基準給与にいたしますと五八%でございます。御指摘の、ほかにこういうアップをしたものがあるかということでございますが、従来司法府の長である最高裁長官が内閣総理と同額の俸給月額で参っておりますので、最高裁長官も同様に上がっております。また先ほど申しましたように、立法府におきましても、両院議長が内閣総理の俸給月額を歳費として受けますので、議長もまた同様なだけ上がっておるわけでございます。
  84. 受田新吉

    ○受田委員 その理論は成り立たぬわけです。最高裁が上がったというこの問題は、政府責任者が最高俸給をどこへ置いたらいいかということについて、いかにもずさんな、ほかの方へ転嫁しておる傾向があります。そこでちょっと関連してお尋ねしますが、国家公安委員会委員が十三万円になっておる。国家公安委員会委員は、勤務日数が一年間にどれだけあるのか、ちょっとこれをお伺いしておきたいと思います。
  85. 船後正道

    ○船後政府委員 国家公安委員会の開催等につきましては、国家公安委員会が所管いたしておりまして、私どもの方では判明いたしかねますから、御連絡の上、後日御報告いたしたいと思います。
  86. 受田新吉

    ○受田委員 これは特別職給与表はだれが出されましたか、責任者は——。
  87. 山本幸雄

    ○山本政府委員 ただいま国家公安委員の勤務につきましてお尋ねがございました。これは御承知の通り、公安委員というものは警察の独善化を防止するという意味で、絶えず国民の良識を代表して民主的な警察の管理に当たる、こういう仕事を持っておられまして、公安委員会がありまする場合には、それに出席されて、大綱を御決定になるという任務を持っておられるわけでございます。ただいまのところの勤務の状態は、毎週一回ずつ定例の会議を開いてやっております。そのほかに臨時の会議がございます。あるいはまた警察本部長会議だとか、あるいは国家公安委員さん同士の会議でございますとか、いろいろそうした会議もございます。それからまた警察庁と常時連絡をとって、いろいろ警察庁の管理について御意見を伺うこともあるわけでございます。特に警察といたしましては、警察の職務の性質からいたしまして、いつも公安委員さんには出てきていただけるような態勢をおとり願っておるようなことになっておりまして、常時の勤務といたしましてはただいま申し上げましたようなことになっております。
  88. 受田新吉

    ○受田委員 常時の勤務日数がよくわからない。過去の実績……。
  89. 山本幸雄

    ○山本政府委員 毎週一回でございますから、月にいたしますれば四回ないし五回でございまして、それが一年分に相なる。そのほかに臨時会とか何かがある。定例会といたしましてはただいま申し上げたようなことでございます。
  90. 受田新吉

    ○受田委員 一週間に一回勤務すればいい。しかも毎週やっているはずはない、休む週もあるはずですから……。そうすると三十数回かそこらで、出勤簿を見るとなおよくわかると思うのです。そういう人々の給与が十三万となると、大へんな給与になる。こういう人々は非常勤職員として、別に人事院勧告した中にも千円増額する日当があるのですから、こういうところに当てはめていくべき性格のものではないか。それが常勤者として高額をはむということは問題があるのじゃないか。この特別職には各所にそういう問題がひそんでおる。政治的な給与としていいかげんに線を引かれるのでしたら、少なくとも国民の税金でまかなうことになるのですから、許されないと思う。特別職に非常にずさんな給与決定の基準があるのじゃないかと思うのです。  もう一つ関連してお尋ねしますが、それとあわせてお答え願って私の質問は終わります。特殊法人、例の開発銀行とか、輸出入銀行とか、あるいは公庫、公団、こういう政府が全部出資し、あるいは日航のような半額出資とかいろいろあるが、ああいう国民の税金でまかなわれた政府出資の機関の理事長とか総裁とかいうものが、二十万とか二十五万とかいう金額をもらっておるのです。これは大蔵省として御答弁ができると思うのですが、これはどこを基準としておきめになった俸給でしょう。
  91. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 公庫、公団等の職員給与ベースにつきましては、民間のそれに類似しました機関の職員給与、並びに公務員給与等とのバランスをとりまして決定したようなわけでございます。
  92. 受田新吉

    ○受田委員 今まで総理大臣は十五万円であったのに二十万とか二十五万とかいう。大蔵省やその他の高級官僚の方が転出される総裁の給与がきまっておる。これはあまり身勝手な給与じゃないか。これは総理大臣が十五万円時代に、すでに二十万とか二十五万とかもらっておる。一体これはだれが給与をきめたのですか。給与決定の最終権限を有する人は大蔵大臣でございますか、あるいは総理大臣でございますか。
  93. 船後正道

    ○船後政府委員 ただいま御質問の公庫、公団等でございますが、これにつきましてはそれぞれ監督官庁がございまして、役員給与につきましても監督官庁の認可を得まして、その上で決定に相なったものでございます。
  94. 受田新吉

    ○受田委員 監督官庁は大蔵大臣ですか。
  95. 船後正道

    ○船後政府委員 監督官庁が大蔵大臣であります場合もございますれば、また公団等につきましては建設、農林等が監督官庁である場合もございます。
  96. 受田新吉

    ○受田委員 ほかの、たとえば建設その他の公団等で給与をきめる場合には、大蔵大臣と協議するという規定がそれぞれの法律にあると思うのです。そうじゃないのですか。
  97. 船後正道

    ○船後政府委員 御指摘通りでございます。
  98. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると大蔵省が全部給与を調整する責任があると思うのです。大蔵省が関与しないで給与がきめられるはずがないのです。そうじゃないですか。
  99. 船後正道

    ○船後政府委員 協議がございます場合には、大蔵省といたしまして、もちろんその内容につきましての御相談をいたすわけでございます。そういう意味におきましては大蔵大臣は、ほとんど全部の政府関係、法人の役職員給与につきましては、関与しておるということでございます。
  100. 受田新吉

    ○受田委員 そういう重大な責任のある大蔵大臣が、大蔵省から出られ、あるいはほかの高級官僚の方が転出される公庫、公団の理事長の給与を二十万とか二十五万というものをおきめになっておくから、またこういう問題が起こる。これは全額政府出資ですから国民の税金です。こういうことについて人事院という、給与に関して常に公正な研究をする機関があるのですが、そういうところに全然おかまいなしに政治的な給与がきめられておる。給与体系を作る上に非常にこの問題がひそんでおると思うのです。これは一つの議題を、あなたは大臣であられませんから、提供しておくにとどまることになります。  そこで、大蔵省の責任であるということははっきりわかります。そうしてそういう特殊法人の給与は、ばか高いものをもらっておるということはわかる。これらの点について低額の給与所得者と、莫大な給与をもらう一部の元高級官僚、恩給も加えていくとすばらしい収入になる人々との間に、非常な差のできていることを十分検討していただいて——大臣で御出席願っているのはお二人ほどおられるわけです。こういうものの全体の調整をとる責任者というものは私はいると思うのです。それを給与担当大臣、大蔵省は大蔵大臣が勝手にそういうものをきめられる。給与担当大臣、あなたは特別職には権限はない。一体そういう全体のバランスをとって、公務員給与の全面的な体系を公正にする責任は一体どこにあるのですか。給与担当大臣、御答弁願います。
  101. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 結局内閣がやるほかはないのだと思いますが、それの具体的な機構の問題については将来よく研究をいたします。
  102. 受田新吉

    ○受田委員 今のところその最終的な調整をとる最高責任者というものはだれか、それはないわけですか、きまっていないわけですか。
  103. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 内閣というものがその調整をとる最後のところでございます。
  104. 受田新吉

    ○受田委員 もうこれでおきますが、内閣においての群雄割拠の状況がはっきりしておりますので、どうも答弁がばらばらであるということが示されました。  そこでいま一つ、特殊法人の総裁や理事長は二十万も二十五万ももらっておるのに、そこに働く一般職員の給与改善というものはどういうことになっておるのですか。公団や公庫の職員は今度やるのですか、やらないのですか、これを一つ
  105. 船後正道

    ○船後政府委員 公庫、公団等の職員給与につきましては、もちろん国家公務員あるいは三公社五現業の職員と異なりまして、原則として労働三法の適用下にあるわけでございます。従いましてそれぞれが当事者によって決定される、これが原則でございます。ところがこれらの公庫、公団等は、先ほど来先生御指摘のように営利事業を行なうものでもございません。従って職員給与も純粋に経済原則というものによって決定されるものでもございません。従いまして従来から国家公務員給与に準じまして、おおむねこれによりまして、あるいは一〇%、あるいは一五%といったふうな上位に置れて参った次第でございます。今回も一般職国家公務員給与の改定になるに伴いまして、各公庫、公団当局並びに労働組合等から同様に給与改定の御希望が出ております。従いましてこの際といたしましては、従来から公務員給与とある程度リンクされてきたいきさつもございますので、公庫、公団等につきましても、この際おおむね公務員に準ずる程度給与の改定は行うことになると思うのであります。
  106. 受田新吉

    ○受田委員 質問を終わります。
  107. 久野忠治

    久野委員長 以上をもちまして三案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  108. 久野忠治

    久野委員長 一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案に対し、小笠公韶君外十七名提出の修正案がそれぞれ提出されております。俸給額の手直しをいたそうとするものであります。  御承知のごとく、今回の給与改定を個々の号俸について検討して参りますと、最低のところでは七百円程度しか増額になっておらないのでありまして、初任給が低過ぎるという御意見もあり、何とかもう少し引き上げられないものか、いろいろ研究いたしてみたのであります。しかしながら技術的にも財政的にもなかなかむずかしい問題が多いのでございます。一方年末に向かって、増額分の支給を待っておられる公務員諸君のあることを考えますと、検討にあまり時間もかけられません。諸般の事情を勘案いたしまして、わずかな手直しではございますが、このような修正案を提出いたした次第であります。  よろしく御賛成のほどをお願い申し上げます。
  109. 久野忠治

    久野委員長 両修正案はいずれも予算を伴うものでありますので、国会法五十七条の二の規定により、内閣に対して意見を述べる機会を与えることといたします。迫水国務大臣。
  110. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 ただいま御提案の修正案につきましては、俸給表全体の構造から見まして必ずしも適当とは申せませんので、遺憾ながら賛成いたしかねる次第でございます。
  111. 久野忠治

    久野委員長 西村防衛庁長官
  112. 西村直己

    ○西村国務大臣 ただいま御提案の修正案につきましては、自衛官俸給表の構成上から見まして必ずしも適当とは申せませんので、遺憾ながら賛成いたしかねる次第でございます。
  113. 久野忠治

    久野委員長 これにて内閣の意見開陳は終りました。     —————————————
  114. 久野忠治

    久野委員長 両修正案について質疑はありませんか。——御質疑もないようでありますので、これより一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び修正案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及び修正案、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を一括して討論に入ります。  討論の通告がありますので、これを許します。石橋政嗣君
  115. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 日本社会党を代表しまして、ただいま議題となっております三法案並びに修正案に反対の意見を申し上げたいと思います。  まず反対の第一は、実施期日の問題でございます。政府は常に人事院勧告は尊重するということを申しておりますし、最近は特にこれを完全に実施することが法の精神にもかなうものである。すなわち人事院勧告の実施、公労委の調停案、仲裁裁定の実施等は、ぜひ政府としてもやらなくてはならない問題であるから、これは今後ともやっていく。ただし組合の方の十分に違法なる行為などはやらないようにしてくれということを言い続けておったわけでございますけれども、今度の人事院勧告については、残念ながら完全実施が政府において行なわれておらないと思うわけであります。その最たるものが実施期日で、勧告通り当然に五月一日にさかのぼってこれを行なうべきであって、これをやらないということは政府みずから労働法規なり公務員法規を破るものであるし、公務員法の精神をふみにじるものであるというふうに私ども考えておりますので、反対いたします。  第二番目は内容でございますけれども、先ほどからいろいろと論議されておりますように、非常に上厚下薄という言葉の一語に尽きる内容だという点が、私どもの反対の理由の第二であります。試みに若干の数字をあげてみますと、平均一二・四%、二千六百八十円引き上げるのだといいながら、上級職においては三七・五%、二万三千七百円も上げる、そのかわり下級の職員においては行一の場合でも八百円、今度修正が行なわれましても九百円程度しか上がらない、非常に不均衡でございます。こういう上厚下薄を手直しするということであればまだわかるのでありますけれども、この点についても私どもはどうしても納得できない。最近の物価の高騰というようなことは、十分に皆さん方も御存じ通りであろうかと思いますし、このような下級職員の改定では、現在の生活苦と戦っていくことが非常に困難だと私ども思うわけであります。特に初任給については政府も認めておりますように不当に低い。従っていい公務員を集めることができないというような点を、この際指摘しておきたいと思います。  第三番目は、いよいよ職階、職務給的な性格が強化されてきておるということです。私たちの不満に思う第三の理由はここにあるわけです。特権上級官僚を優遇しておるということもその現われでありましょうし、下級公務員に対しては分裂支配を強める、あるいは競争を激化させるというような形が非常に強く出てきておる、こういうものを私どもはのむわけには参りません。絶えず申し上げておりますように、この際通し号俸制を復活するというようなことを考え、俸給表統合をはかるというような点で、この性格を弱める方にむしろ向かうべきではないかというのが反対の第三の理由であります。  第四は期末手当の面であります。今度〇・一カ月分の増額を勧告したわけでございますが、この点については政府がそのまま採用したというでありましょう。しかし人事院勧告を実際に検討してみると、民間は三一九カ月分であるということを人事院みずから認めておるわけです。ところが〇・一ふやしましても三カ月分にしかならない。人事院勧告においてすら〇・一九の差がここに厳然としてあるわけでございますから、こういう点も十分政府は考慮して、この際二・五カ月分の期末手当を年末に支給するのが妥当であろうというふうに考えておるわけであります。  こういったいろいろな角度から言いまして、どうしても賛成することはできない。なお修正案についても今度の改定の引き上げ額が非常に少ない八百円未満の者について、百円ずつ上げるというのでありますが、これはこの所要経費を見てもわかりますように、実に微々たるもので、スズメの涙というにも値しない、このようなもので私どもは納得するわけには参りません。  以上申し上げた理由で原案並びに修正案に、いずれも反対という態度を示したいと思います。(拍手)
  116. 久野忠治

    久野委員長 受田新吉君。
  117. 受田新吉

    ○受田委員 私は今提出されております給与関係の三法案及び修正案は、いずれもわれわれの願っている方向を逸脱している法案として反対させていただきます。  それは今質問でも申し上げた通り給与というものは公務の能率を高めて、公務員にその職務に精励させるための大事な基礎になるものである。その基礎になるものが、何らかの形で権力の行使の具に供せられるような印象を受けるような形で、これが法案となって現われていることを否定できないのです。すなわち管理監督の地位にある者は著しく高給の俸給をはむことができる。人間として生きる最低の生活保障さえもなし得ない下級の公務員の立場を思うときに、管理監督の地位にあって高給をはむ方々が、みずからの給与を引き上げることを断わってでも下級職員を優遇する、そういう立場に給与政策が向いていかなければならないと思う。大体日本は世界で文明国と名のつく国の中では一番低賃金の国であり、公務員給与も一番低給与です。文明国の名に恥ずるほど低い給与である。その点において特に低額の給与を受くる人々をもっと優遇するという給与政策を、内閣としても十分考えて下さらなければならない。その点が人事院の検討においても欠けておるし、また政府措置においても欠けておる。私たちは政府自身が強力に、今申し上げた点を今後推進することを期待しておきます。  もう一つは、一般職を中心にして他の特別職給与というものは非常にアンバランスである。防衛庁の職員給与にしましても、事務次官、議長、参事官の俸給表を見ると、事務次官と議長だけが俸給月額が十二万円となっている。もちろんこの中にはいろいろな手当関係が考えられておりますけれども、しかしながら防衛庁の事務次官だけをなぜばかげた特別な扱いをしておるかという問題も考えられる。それから防衛庁の給与を見ましても、自衛官と一般職を分けている。同じ防衛庁に勤めておる職員が、同じような内容をもって働いている職員区別されているというような問題もある。一般職として見ていいような職員をわざわざ特別職にしている傾向もある。こういう点において公務員制度そのものにも給与関係して大事な問題がひそんでおるのであるが、これも何ら是正されておらない。いわんや特別職俸給表を拝見してみますと、この俸給表には勤務を一カ月のうちに三日か四日くらいしかしないような人でも十三万円という多額の禄がはまれておる。総理大臣の二十五万円は、最高裁判所の長官や国会の議長と同じにするのだというけれども、国会の議長はまだきまっておりません。どういうところからそういうことが出たのか。国会議員の給与はまだきまっておらぬ。きまっておらぬ先から国会の議長と同じ、こういうまことに研究不足の政府の発言がある。こういう無責任な発言、国会で通ってもないようなことを堂々と、すでに最高裁の長官と国会の議長は二十五万円になっておる、われわれは最高裁判所裁判官の報酬の方は伺っておりますけれども、国会の議長給与はまだ伺っておりません。こういう非常に重大な政治的な給与特別職にきめられておる。こういうことを考えて、政府部内で何かそこの連絡調整をはかって、もっとはっきりした基礎をもって優遇するというならば納得しますけれども、ばかげた高い給与特別職に出して、下級職員は取り残されておるということを、政府自身がもっと真剣に、各省の群雄割拠でなくて、みんなで給与全般の問題を研究をして、国民の納得する線で給与体系をりっぱに打ち出してもらいたい、そういうことでわれわれの納得する俸給表をお示し願いたい。従って現在のところはその大事な国全体の給与政策の上の問題、アンバランスの問題等が是正されておらない限りにおいて、この給与法を承認するわけにいかないということで、反対をさせていただきます。
  118. 久野忠治

    久野委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  119. 久野忠治

    久野委員長 これより採決に入ります。  まず一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する小笠公韶君外十七名提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  120. 久野忠治

    久野委員長 起立多数。よって小笠公韶君外十七名提出の修正案は可決いたしました。  次にただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  121. 久野忠治

    久野委員長 起立多数。よって修正部分を除いては原案の通り可決いたしました。  これにて一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案は、修正議決いたしました。次に防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対する小笠公韶君外十七石提出の修正案について採決いたしまり。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  122. 久野忠治

    久野委員長 起立多数。よって小笠公韶君外十七名提出の修正案は可決いたしました。次にただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  123. 久野忠治

    久野委員長 起立多数。よって修正部分を除いては原案の通り可決いたしました。これにて防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案は、修正議決いたしました。次に特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  124. 久野忠治

    久野委員長 起立多数。よって本案可決いたしました。ただいま議決いたしました三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。      ————◇—————
  126. 久野忠治

    久野委員長 行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。石橋政嗣君
  127. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 本国会に提案されました定員法は、さきの三十五国会に提案されたものと同様と考えております。三十五国会におきましてこの定員法は継続審査になり、三十六国会で審議未了となったわけでございます。一方、予算面を見ますと、当初予算においてすでにこの法案の裏づけが行なわれておったと思うのでございますが、この増員あるいは減員される分について、今までどういう扱いが現実に行なわれてきたのかということを、まずお尋ねしてみたいと思います。
  128. 山口酉

    ○山口政府委員 三十五年度新規事業に伴います必要な定員が、定員法改正案の不成立のために一部執行が困難となりまして、一部は執行を遷延しているものがございます。そのほかでき得る限り部内の職員の運用によりまして、かなりの労働過重になった部分もございますが、それ以外につきましては、予算流用等によりまして、臨時の職員を雇い入れまして、それで辛うじて運営しているような次第でございます。
  129. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 定員法というものがいかに権威がないかということを示すような御答弁でございますが、その点はあとで触れるといたしまして、さしあたりこの減員の面で特にお尋ねしておきたいのは、本法が成立いたしますと、調達庁においては七十五名、その他においても若干の減員があるわけでございます。すでに調達庁においては減員が執行されておるというふうに聞いておるのでございますけれども、その事実、もしされておるとするならば、どういうふうにして実出血を避ける措置を講じてあるのかということについて、具体的に御説明を願いたいと思います。
  130. 山口酉

    ○山口政府委員 減員の分につきましては予算がすでに落ちておりますので、実際執行をいたしませんと予算に不足を生ずる関係もございますし、さらに定員法の改正案はできるだけすみやかに成立することを願っておった次第でございますので、その成立した暁に急激に減員をするということも事実上不可能でございますので、それぞれの減員のあります機関におきましては、既定の計画に従いまして、できるだけ部内で他の増員の方面に振り向けるという努力をいたしまして、ただいままでのところ順調に整理をいたしております。
  131. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大臣にお答え願っておきたいと思うのですが、調達庁の場合などは、特に役所の性格からいって、ある一面この減員もやむを得ない面があるわけでございますが、それだけに非常に職員が、将来に希望もなく、絶えず不安にさらされておる。こういう職員に対してあたたかい手を常に差し伸べてやらなければならないと考えますので、責任を持って他の役所に振り向けるといったような措置を今後とも講じていただくことを、ここで確約していただきたいと思います。
  132. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 仰せの点はごもっともでありまして、十分に考慮いたしたいと思います。
  133. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それから先ほどもちょっと申し上げたわけでありますけれども、最近の定員法は特にその権威のないことがはっきりしてきておるわけです。これはやむを得ないわけでございまして、昭和二十四年の五月に初めて本法が成立いたしました目的が行政整理にあった。しかし実際に職員の整理はやってみたけれども、事業量は減るどころか、逆に増大の一途をたどってきた。そこで脱法的な行為として常勤職員というものが生まれてきた。ところがこの常勤職員にもワクをはめたら、今度は常動的非常勤というものがまた出てきた。こういうことをいつまでも繰り返しておることは、まことに法の権威の建前からいっても私は重大な問題じゃないかと思います。ここで何とか措置を講ずべきじゃないか。私どもの方といたしましては、特に実状に沿わない現業官庁等はこの際定員法のワクからはずしてしまって、その事業量に応じて定数を定めることができるような措置を講ずべきであって、その他の一般の職員のみに拘束を及ぼす法律に改めるべきじゃないか、こういうような考えを持っておるわけでございますけれども、この点についていかがお考えか、大臣にお答えを願っておきたいと思います。
  134. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 お示し通り、この法律は廃止しようか、あるいは存続しようかという点に非常な迷いを持っておるものでございまして、その結論が出ますれば、この法律改正するかもしれません。
  135. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 もう時間がありませんからこれでやめますけれども、今申し上げましたように全部廃止するということには非常に問題があると思うのです。そこで特に実状に沿わない現業部門ははずして自主的にやっていただく、その他の一般の官庁においては依然として制規してきちっとした法律として権威を高めていくというふうにやっていただきたいということを申し上げて、一応終わりたいと思います。
  136. 久野忠治

    久野委員長 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑もないようでありますので、これにて本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  137. 久野忠治

    久野委員長 本案に対し小笠公韶君外二十八名より修正案が提出されております     —————————————
  138. 久野忠治

    久野委員長 この際本修正案について提出者よりその趣旨説明を求めます。小笠君。
  139. 小笠公韶

    ○小笠委員 ただいま議題となっております行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して、三党の共同提案にかかる修正案を提出いたします。  修正案はお手元に配付してありますので、朗読は省略さしていただきます。  御承知のように、現在行政機関職員定員法のワク外にある常勤労務者及び常勤的非常勤職員等のうち、その職務の性質及び勤務の実態において、定員法上の職員とほとんど異ならないものが多数に上っております。これらの定害毒公員外職員の定員化問題は、去る第二十二回国会以来の懸案事項でありますので、昨年に引き続き今回も可能な範囲で、すなわち約五千名の定員化をはかろうとするものであります。  以上が修正案提出の理由であります。何とぞ御賛成をお願い申し上げま     —————————————
  140. 久野忠治

    久野委員長 本修正案について御質疑はありませんか。——御質疑もないようでありますので、これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず小笠公韶君外二十八名提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  141. 久野忠治

    久野委員長 起立総員。よって小笠公韶君外二十八名提出の修正案は可決いたしました。  次にただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  142. 久野忠治

    久野委員長 起立総員。よって修正部分を除いて原案の通り可決いたしました。  これにて行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案は、修正議決いたしました。     —————————————
  143. 久野忠治

    久野委員長 本案に関し石橋政嗣君外二十八名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際本動議について提出者よりその趣旨説明を求めます。石橋君。
  144. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 まず動議の内容となります決議案を朗読いたします。   郵政省における定員は、定員法の制約をうけて、著しい定員不足を来たしているが、現に、業務の運行を確保するため、雇庸されている定数、又は定数的非常動職員等、長期間雇庸している非常勤職員の定員化並に、新規業務量増嵩に見あう定員を確保するため、政府は、三十六年度に於いて、すみやかに抜本的解決をはかるよう善処すべきである。   右決議する。  決議案の趣旨でございますけれども、ただいまの修正案の説明の際にも述べられておりましたように、各官庁において現在臨時職員の扱いは非常に問題になっておるわけでございます。特に郵政省は、最近新規事業の拡張あるいは国民人口の増加等に伴う取り扱い物量の増加等に伴いまして、たくさんのこういった定員外職員をかかえておるのでございますけれども、今回本委員会で五千人の定員化をさらに行なったといたしましても、一番問題のある郵政省においては、予算等その他の事情からその実現をはかることが非常に困難だという事情にありますので、今後なるべく早く、長期間雇用している非常動職員取り扱い政府の方で解決をはかるように善処してもらいたいというのが、本決議案の趣旨であります。何とぞ御賛成を願いたいと思います。
  145. 久野忠治

    久野委員長 本動議について採決いたします。本動議を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よって本動議は可決いたしました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時二分散会