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1960-12-16 第37回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十二月十六日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 濱田 幸雄君    理事 金子 岩三君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君    理事 阪上安太郎君 理事 安井 吉典君       天野 公義君    伊藤  幟君       宇野 宗佑君    小澤 太郎君       仮谷 忠男君    前田 義雄君       太田 一夫君    佐野 憲治君       二宮 武夫君    野口 忠夫君       肥田 次郎君    松井  誠君       山口 鶴男君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         自治政務次官  渡海元三郎君         自治事務官         (行政局長)  藤井 貞夫君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君  委員外出席者         専  門  員 圓地与四松君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を  受けた地方公共団体起債特例に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第七号)  昭和三十五年度分の地方交付税特例に関する  法律案内閣提出第二〇号)      ————◇—————
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律の一部を改正する法律案及び昭和三十五年度分の地方交付税特例に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告があります。順次これを許します。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井(吉)委員 私は、もっぱら地方交付税特例に関する法律案に関しまして政府当局のお考えをもう少しただしたいと思います。とりわけ、地方交付税交付金額のうち相当部分明年度繰り越していくという問題につきまして、昨日来川村委員その他からいろいろ御質疑があったのですが、まだなかなかふに落ちないような気がするわけであります。その点を中心にいたしまして初めにお尋ねをしたいと思うわけでありますが、まず初めに明年度交付税見通しは大体どういうふうになっておりましょうか。大体明年度予算編成の資料も整っているころだと思うんですが、初めに一つ見通しをちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  4. 奥野誠亮

    奥野政府委員 来年度国税増収額がどうきまってくるかということがわかりませんと、交付税総額の推定をすることも困難であります。ただ総体で三千億円以上の増収があるのだ、こういうようなことが言われておるわけでございますので、そのうち少なくとも八割内外のものが三税になるのじゃないだろうか、こういうように期待いたしておるわけであります。従いまして、そういう見通しに立ちます限りは相当増収を予定することができるのじゃないだろうか、こういうように思っておるわけであります。なおまた来年度は、三十四年度国税について自然増収があったわけでございますので、それについても繰り入れの済んでいません額を五十六億円ほどさらに繰り入れてもらえる、こういうような状態になっているわけでございます。的確な数字はいま少ししませんと申し上げかねると思います。
  5. 安井吉典

    安井(吉)委員 いずれにしても相当大幅な伸びがあるという見通しをお持ちだということは明らかになっているはずでありますが、そこへ持ってきてさらにまた大きく繰り越しを見ていかなければいけないというような点については、まず第一番目に疑問を持たざるを得ないわけでありますが、今の来年度見通し関連いたしまして、来年度における給与費は現在の段階の情勢を引き伸ばしたような形におきまして大体どのくらいになり、しかもそれに見合う財源措置はどういうふうにお考えになっておられるか、それを一つ
  6. 奥野誠亮

    奥野政府委員 従来から、国家公務員給与改定に準じて地方公務員等について給与改定を行なう場合には、平年度一般財源で六百二十億前後を必要とするだろうということを申し上げて参っておるわけであります。現在におきましても大体その前後の金額になるだろう、かように思っておるわけであります。来年度相当収入を期待することができますけれども、他面今申し上げますような問題もございますし、さらに地方財政健全化のために進めていくべきいろいろな施策もあるわけでございますし、同時にまた所得倍増計画等との関連におきまして公共事業費がかなり伸びてくる。同時に地方におきましてもそういう意味財源を用意しなければならないというようなことがありますので、われわれは来年度楽観できない。どうやって収支計画を立てていくかということについてはなお苦慮しておるわけでございます。
  7. 安井吉典

    安井(吉)委員 今の六百二十億円というのはベース・アップ後の数字ですか。
  8. 奥野誠亮

    奥野政府委員 三十五年度地方財政計画に対応する数字として、それよりも六百二十億円一般財源をよけい必要とすることになる、こういうことでございます。
  9. 安井吉典

    安井(吉)委員 そうしますと、今の繰り越し財源を考慮しなければ、こういったようなものに対処するに十分でないというふうに自治省はお考えになっておられるということですか。
  10. 奥野誠亮

    奥野政府委員 百二十億円繰り越す、繰り越さないということと、来年の収支のバランスが合う合わぬの問題とは、必ずしも直接の関連を持たして考えておるわけじゃございません。来年は来年なりに地方財政計画全体が成り立つようにしていかなければならない、かように考えておるわけであります。しかしながら、昨日も申し上げましたように、ある程度は収入と見合って行政水準ということを考えざるを得ない。収入を離れて抽象的に行政水準ということを考えるわけにはいかぬのではないだろうか、こういうような感じを持っておるわけであります。そういうことを考えますと、できるだけ将来にわたって行政水準引き上げ財源を確保していきたい、それがために単位費用引き上げのための財源を少しでも留保していった方がいいのではないだろうか、こういう感じを持っておるわけであります。なおまた昨日も申し上げたのでありますが、財政計画上の数字の問題と現実地方団体ふところ工合と、これはやはり建前が必ずしも同じでございませんで、ことし地方団体ふところ地方税増収として入っているところが来年度地方財政計画として入ってくるので、それが来年度必要経費に充てられていくわけであります。そういうことから見ますと、数字上の問題は別として、ことし地方団体ふところ現実増収が入っていくわけでありますが、同じ調子で来年さらに伸びていくかということになりますと、必ずしもそれをそのままに予定してかかるわけにはいかないのじゃないだろうか、こう思っておるわけであります。そういうことからいきますと、ことしよりも来年の方が地方団体収支関係はかなり窮屈になるだろう、こういう心配をいたしておるわけでございます。
  11. 安井吉典

    安井(吉)委員 現実に今地方財政の面におきまして改善すべき要素はきわめて多いと思うのです。しかもその改善の道は一日も早い方がいいというふうに考えるわけなんですが、そういうふうな意味で、私どもは今、来年に繰り越されようとしておりますものを今のうちにがっちり計画を立ててそれに向けるべきだし、それで当然、来年度は来年度として予算編成に際しましていろいろ考慮されたい、そういうように考えるわけです。しかも時期的にもう十分時間がないじゃないかというふうに言われるかもしれませんが、しかし昭和三十六年度予算がきまりまして、それが手を打たれるのには、現在よりも少なくも三カ月ないし四カ月ズレが出てくるのは明らかです。そうでしょう。吟は補正予算で手が打てるし、来年度のやつは、これから予算編成がすったもんだ、すったもんだして、おそらくお正月には農業予算地方財政予算が最後のどん詰まりまで残って、大へんな苦労のあとにできて、国会を通過するのはおそらく四月になってからになる。少なくも三月一ぱいかかるだろうと思います。そういうふうなことからすれば、今打てるものは今のうち手を打つべきではないかと思うのですが、当面すぐにでも打たなければならないといったような問題がたくさんあると思いますが、そういう点について自治省はどういうふうに把握されておりますか。
  12. 奥野誠亮

    奥野政府委員 かりに安井さんが仮定的にお考えになっておりますように、ことし全部配分してしまうということになりますと、現在予定されている特別交付税がさらに百数十億円多くなってくる。こういう建前になるわけであります。今度の再計算に基づきます普通交付税交付もおそらく一月の末ないし二月の初め、どんなに急ぎましてもそのころにならざるを得ないだろうと思います。そうすると、現実に決定されて資金が渡りますのは二月だといたしますと、その金を基礎にして地方団体がどのような財政運用をしていくか、予算的措置をとるのはあと三月一カ月しかないわけでございます。そうしますと、個々地方団体もその財源基礎にしていろいろ計画を立てていくことができるだろうと思うのですけれども、時期的にはあまり余裕がないということは当然御了解いただけると思うのであります。かりに来年度以降に送るといたしますとどういうことになるかといいますと、いずれ来年度交付税法改正通常国会で御審議いただくことになるわけでございますが、そうしますと、来年度どれだけ財源が保障されるかということは、改正さるべき単位費用基礎にいたしまして地方団体で推定できるわけでありますから、年間の計画を立てます場合にそれを計画的に織り込んでいくことができるわけであります。また、かりにことし配ってしまいますと、ことしだけのことで終わってしまうわけでありまして、来年度以降はその金を単位費用引き上げ財源に充てられませんから一年限りで終わってしまうわけであります。しかしこれを来年に送ってしまいますと、それだけの単位費用をよけい引き上げてくるわけでありますから、来年だけではなしに、来年度以降にわたり地方行政水準引き上げ計画的に行なっていくことができるわけでありまして、しかも地方団体におきましても将来にわたる見通しの上に立って財政運用をしていくことができるわけであります。そういうようなことも考えあわせまして、私どもはやはり来年に送ることが至当だという結論に達しておるわけであります。
  13. 安井吉典

    安井(吉)委員 ちょっとお伺いしますが、もしこの第二条の規定がなかったとすれば、どういうことになるのですか。
  14. 奥野誠亮

    奥野政府委員 それだけの金がそのまま特別交付税に算入されて、特別交付税として配分されていくということになります。従いまして、本年度に限りまして特別交付税地方交付税総額の六%であるものが一〇%内外に結果的にはなるということでございます。
  15. 安井吉典

    安井(吉)委員 しかしその場合でも、地方財政計画の、つまり基準財政需要額の方を根本的に変えでおけばそういうことはないわけですね。基準財政需要額のこの第一条の単位費用が今根本的に改められておけば、全部そこへいくというわけではないのですね。それはそれにしてもこういう点はどうですか。今回のこの配分はすべて給与に向けられるべきだという考え方ですね。そういう点は地方交付税法の第三条第二項の「国は、交付税交付に当っては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」という規定に違反しませんか。
  16. 奥野誠亮

    奥野政府委員 年度当初に地方財政計画を策定し、同時にまたそれを基礎にして地方交付税法改正を行なったわけであります。その後に特にこれらの諸点について改定を加えるべき事由が生じたのは、さしあたり給与の問題であります。そういう意味で、給与に関する経費についての単位費用だけを引き上げるという措置をとるわけであります。自然単位費用引き上げられますと、財源不足額が多くなって参りますので、それを埋めるだけの財源を別途用意しなければならないわけでありますけれども、幸いにして一応地方交付税増額があったからそれで充てていくことができるわけであります。こういう計算をしますが、しかしそれは別に地方団体は必ず給与に充てなければならないという性格のものでないことは、よくこれは御承知の通りであります。しかし、現実地方団体では給与財源を多額に要することになったことは事実でございますので、それだけのものは各団体にとにかく財源を保障しておこうというのが今回の地方交付税法改正の趣旨であります。いずれにいたしましても地方交付税制度は、金があれば基準財政需要額引き上げるし、金がなければ基準財政需要額を引き下げる、こういうことをやっているわけではなしに、地方団体必要最小限度財源はこの制度を通じて恒久的に保障していく建前をとっているわけであります。従いまして、たまたま補正によって交付税増額になったから、年度当初に策定した時期に起きた事由給与改定以外の問題について、ただ金があるから単位費用を上げる、こういうような改正をすることはできないと思います。もしかりにそんなことをしますと、将来金がないときには単位費用を下げたらいいのではないか、こういうことになってしまうのではないかと思います。やはり毎年度どの程度の地方行政水準を予想していくか、それの運用に必要な財源を同時に確保していく、これが地方交付税制度の本来の精神だと考えておるわけであります。その精神に基づいて運営していく限りは、金がある限りは給与以上に単位費用引き上げていくべきだ、こういう措置はとるべきではない。そういう措置をとった場合に、将来金がなければ単位費用を引き下げたらいいのではないか、こういう議論にも発展していくわけであります。従って、それは年度当初において将来における計画を立てていくべきであります。その計画を立てる場合には——しかし、そうかといってやはりどのくらいの財源を確保できるかということも一つの見合いにならざるを得ないだろう。行政水準が低いことには、大体においてすべて同じような考え方をもっていただいているわけでありますから、そういう作業がまた可能であろう、こういう見通しを立てているわけであります。
  17. 安井吉典

    安井(吉)委員 私は、その金がなければ単位費用も下げなければいかぬというような論拠に立って申し上げているわけではないのです。社会党は二八・五%では少ないから三〇%にしろ——これはすでに審議未了になりましたけれども、たびたびそういう地方交付税法改正案を出しているわけであります。政府部内でも、やはり今の二八・五%では少ないのではないかというような意見が多分にあるはずです。そういうところからいって、何か金を余して——自治省は、この地方交付税の全体的な運用法律でまかされているはずでありますが、それをもてあましているのではないかというような印象を他に与えるおそれはないでしょうか。その点どうですか。
  18. 奥野誠亮

    奥野政府委員 あるいは地方交付税制度なり地方財政の問題なりを十分理解されておられぬ方は、そういう感じを持たれることがないとは言えないと私は思います。そういうこともわれわれ心配しながらこの結論を得るまでにはずいぶん考えたつもりでございます。しかし、いろいろと総合的に判断をして参りますと、昨日来申し上げて参りましたような理由に基づいて、これを来年度繰り越した方が妥当だ、こういう結論に達したわけでございます。
  19. 安井吉典

    安井(吉)委員 地方には問題がたくさんあるんですから、今これを処理できなくても、地方公共団体がそれぞれ団体ごとに来年に繰り越したりなんかするという方法もないわけじゃないと思うのですが、それについてお考えにならなかったのですか。
  20. 奥野誠亮

    奥野政府委員 もちろんそういうことも考慮したわけであります。それよりはむしろ来年度以降にわたる地方行政推進財源に使った方が個々地方団体にとっても有利な措置だろう、こう判断いたしておるわけでございます。
  21. 安井吉典

    安井(吉)委員 何かそういう意味から——そういう意味といいますか、今私が申し上げておるのは、何か地方公共団体に対する不信感というか、そういうようなものを自治省はお持ちになっているのじゃないか。一回おろしてしまえば一体何に使うかわけがわからぬ、だから国の方でその責任の衝にある自治省が全部つかまえておいて、あとでいいように分けてやるから、今のうちは黙っている、どうもそういうような考え方があるような気がするのですが、どうでしょう。
  22. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方団体不信の念を持っているということ、そういうことはございません。ただ、しかし、現実にこういう問題はあろうかと思います。地方団体財政当局者が、従来から財政が非常に窮屈なもんですから、いろいろな支出要求に対しましても、とても金がないものだから、それはそのままに応ぜられない。また地方団体としましても、できる限り金を有効的に使いたいものですから、一般的な経費はできる限り押えて、そして重点的に公共投資に向けようという努力も払って参ってきているわけでございます。そういうような言動を繰り返しながら、年度末になってから金が来て、そのまま余剰金になってきた。そうすると、君たちは今まで金がない金がないと言いながら、こんなに黒字を出しているじゃないか、こういうような批判をされる。また世間的に申しましても、地方財政が苦しい苦しいと言いながら、何だ決算を見てみたら非常に黒字がふえているじゃないか、どうしてこれを減税できないのか、こういうような問題にも発展する。こういう心配を私は持っているわけであります。地方財政の実態というものを正確に把握して、そこから出た判断じゃなしに、ただ、いわゆる見当が違っていたんじゃないか、あるいは単に数字の上では黒字がふえてきているのじゃないかというようなことだけでもって、その間にいろいろな誤解が出てくるのじゃないか、こういう心配はいたしております。個々地方団体運用について心配を持っているのではありませんで、今のような誤解の生ずるということは強く心配いたしております。
  23. 安井吉典

    安井(吉)委員 地方財政上のいろいろな問題点のうち、たとえば給与についても、地方公共団体における給与問題というものは地方財政上の一つの大きなネックになっていると思います。たとえば今の投資的経費というよりも消費的経費に大部分なるかと思いますが、それにいたしましても、一応給与財源が見られておっても、投資的経費が非常に不十分なものだから、そちらの方に流用されてしまっている。流用という言葉は当たらないかもしれません。交付税には一々お金にしるしがついていないのですから、ないのかもしれませんけれども、そちらの方に流用されてしまっているという面も十分あるわけです。だから、事業面では年度が終わりに近づいていて十分な措置ができなくても、たとえば給与改善といったような面では、これはもう簡単にできることなんですから、そういうようなことによって他の投資的経費に分類されるような事業も円滑に進んでいく。そういうような面がいろいろ制約を受けている。その欠陥を補われることができるかどうか、そういうようなことも考えられるわけです。給与の問題につきましては、次の機会にもう少し時間をかけてもっと論議をいたしたいと思います。今私は、一例を給与の問題に取り上げたわけでありますけれども、時期が迫っておっても、百十七億という金を生かして使う道はあるというふうに考えるわけです。  そこでさらに問題を進めまして、この繰越額金額を押えるのはどの時点で押えるのですか。
  24. 奥野誠亮

    奥野政府委員 法律には補正によってふえました三百五十七億円から二百四十億円を控除した額が繰り越し最高限度と書いてあるわけであります。従いまして、最高限度の額が百十七億円ということになるわけであります。現在百十七億円を特別の事情が起きません限りは来年度繰り越したい、こう存じておるわけであります。要するに、繰り越し最高限度だけをきめて、あとをその運営におまかせをいただきたい、こういうお願いのもとに法律案を提出いたしておるわけであります。
  25. 安井吉典

    安井(吉)委員 この提案理由の大臣の説明の中に、六ページですか、「百十七億円を限度とすることにいたしております。特別の事情が生じません限りは翌年度への繰越額は百十七億円といたすつもりであります。」と言われておりますが、これはまだ不確定な要素がずいぶんあるものですから、百十七億円を限度とするということを繰り返して書かれておりますが、しかし、この額に最終段階できまったものじゃないのではないでしょうか。
  26. 奥野誠亮

    奥野政府委員 その通りであります。大災害等のことはもちろん予想いたしておりませんけれども、しかしそういうことがありません限りは、政府としては百十七億円にいたしたい、こういうつもりでおるのだということであります。
  27. 安井吉典

    安井(吉)委員 特別の事情というのはどういうことを予想されておりますか。
  28. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今申し上げましたように、災害がさらに起こった場合に、地方財政需要がかさんでくる。そういう場合には、特別の団体に対しまして特別交付税増額するというような措置がより妥当だということになるわけでございます。そういう場合には繰越額を小さくせざるを得ないということにもなってくるだろうと思います。
  29. 川村継義

    川村(継)委員 今の安井さんの質問にちょっと関連してお尋ねします。これは初めに行政局長意見をお聞きした方がいいと思いますが、聞きますと、内閣委員会で、出ております給与表検討がなされて、八百円のべース・アップを見るところは九百円に意見の一致が見つつあるということを聞いております。そうなりますと、国家公務員の場合には六千万円、これは平年度じゃないかと私は思うのですが、六千万円の余分の経費が要るということを聞いたのであります。そうなりますと、行政局長としては、やはり地方公務員もその通りになさるお考えでございまするか。
  30. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 どういう修正に相なりますか、まだ確定的なことは承知いたしておりません。ただ承っておるところでは、今お話のありましたように、最小昇給額でございまする八百円について百円を追加するというようなことにまとまるのではないかといわれておるのであります。そういうふうになりました場合は、当然国家公務員に準じて地方公務員の場合においても措置する建前でございますので、同様の措置が講じられることに相なります。また法律案がそのように成立いたしました暁には、私たちといたしましても、これに準じた措置がとられるように地方に向かっても指導いたすつもりであります。
  31. 川村継義

    川村(継)委員 そうなりますと、奥野さんにちょっとお聞きしますが、地方公務員の場合には一体どれくらいの財源が必要になるでしょうか、大ざっぱな見通し一つお聞かせいただきたい。そうしてついでに、その場合に、今ここで安井さんの質問に出ておりましたような、大体今二百四十億というのが出ておりますが、給与改定に必要な財源としておそらくそれにプラスしなければならぬ。その場合にあらためて財政需要単位費用等計算をやり直して、二百四十億というのを改めるのか、あるいは百十七億というものが繰り越されていくのなら、それを削って、あるいは交付なら交付の形で一応ことしは穴埋めをする考え方が立つのか、その辺のところを明らかにしていただきたい。
  32. 奥野誠亮

    奥野政府委員 現在どれくらいの地方財源の増が予想されるかということについては、まだ算定いたしておりませんので、的確な数字を申し上げかねるわけであります。     〔委員長退席金子(岩)委員長代理着席〕 ただ、いずれにしましても大きな金額について新しい財政需要が起きます場合には、やはり単位費用改定しなければならないという問題になるだろうと思います。しかしまた反面、そのような大きな財政需要を伴うものについて、簡単に国、地方を通じてやっていけるかどうかということについては、もとより慎重な検討国会においてなされることだろうと思っております。わずかな金額であります場合には、あえて単位費用改定するというふうなことをする必要はないのじゃないか、かように思っております。
  33. 安井吉典

    安井(吉)委員 この計算がなされます場合、この計算というのは、特にその二百四十億円でありますが、その場合に、自然増収の見積もりを一応予想されておられるわけでありますが、これも徴税工合の関係だとか、まだだいぶ月数があるわけですから、だいぶ異同があるのではないかと思いますが、その点はどうでしょう。
  34. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今御指摘になっております問題は、基準財政収入額の再算定という意味での御質問でございましょうか。もしそうであるといたしますなら、大法人につきましてのことしの四月から九月までの決算、これに基づきまして、法人事業税、法人税割を再算定するだけのことであります。これらにつきましては、全体的には大体の推定がついておるわけでございますので、そう大きな異同は生じない、かように思っておるわけでございます。昨日も申し上げましたように、交付団体の分で基準財政収入額が七十億円前後増額する、こう予想をして計画を立てておるわけでございます。
  35. 安井吉典

    安井(吉)委員 私、今そういうことをお聞きいたしております理由は、ここではっきり二百四十億という数字をきっぱりお出しになっているという点です。つまりことし二百四十億だけ使って、残りは来年に回すのだというふうなお考えでありますが、この繰り越し額が決定されるにはいろんな要素があると思います。第一には国の税の増減によってこれは違ってくるわけですね。それから二番目には、今回は特に給与が中心的な課題になっておりますけれども、その給与財源が、今川村さんから御質問があったようなことその他の理由で、一応見込まれた線でおさまるかどうかということ、それも一つの不確定要素だと思います。それから第三番目には、今お尋ねをしましたような地方団体側の自然増収見通しが、そのような形でその通りにいくかどうかということ、この三つの要素があって今の繰り越し額というものがきめられるべきだと思うのです。ところが、この三つの要素のうち給与財源見通しについては三百三十億ですか、ぴしゃりと押えてしまっておる。それから地方団体側の自然増収見通しについても一応ぴしゃりと押えてしまって、二百四十億円という数字をはじかれて、余ったものは、結局国の税の増減のいかんによって余ったものが計算されるわけです。そういうものだけによって繰り越し額が決定されるということ、つまり地方団体側の給与財源とそれから自然増収見通しは、そこだけは確定してしまって、国の部分だけの増減を繰り越しの方に見ているというふうな考え方が、何かもう地方団体のやつは、その見通しは、自治省だけはすっかり押えてしまうのだ、それ以外のやつはみんな来年回しだ、そういうような考え方がどうもくみ取れるような気がするのですが、この点どうでしょうか。
  36. 奥野誠亮

    奥野政府委員 給与改定に要する財源を全体的に考えました場合には、昨日も申し上げましたように、地方税でも、今の国税でいわれている千六百三十億円の増収をべースに考えて、六百億円内外増収があると申し上げておるわけですから、かりに全地方団体で三百三十億円内外給与財源を要することになったといたしましても、交付団体だけでいいますと、二百四十億円の給与財源の増加を要することとなったといたしましても、それだけの交付税増額、それだけのためなら交付する必要はない、こういう結論になるわけであります。しかし私たちとしましては、今回の給与改定財政的に見ました場合には非常に大きな金でございます。個々団体にとりましても非常に大きな金でありますので、この改定国家公務員に準じてふん切っていくためには相当の度胸の要ることだと思います。そうなって参りますと、それだけの額は全体としては必ず地方交付税地方団体に配分するのだという建前を明確にした方が、私どもの方の給与の切りかえが比較的に円滑にいくのではないか、こういうことであえて二百四十億だけは必ず本年度において追加配分するのだということを明確にしたわけであります。きのう来申しますような数字でもおわかりいただけるように、ただそれだけの給与改定だけを考え計算していきますと、何も二百四十億円も配る必要はないではないか、こういう議論も実は成り立つわけですが、今申しますような配慮のもとで、あえて二百四十億だけはどんなことがあっても地方交付税の追加配分をするのだということにしたわけであります。団体によっては非常に増収があるところもございます。また増収の全然ないところもたくさんあるだろうと思います。そうしますと、こういうような措置を明確にする方が給与改定を円滑ならしめることになるのではないか、また単位費用引き上げることによって、将来にわたってそれだけの財源が確保されるのだということも同時に明確になっていくわけであります。そういうような配慮をいたしておるつもりであります。
  37. 安井吉典

    安井(吉)委員 私、特に申し上げたい気持は、この給与財源だとか、自然増収の見積りなどというものは、地方公共団体でも相当正確な見積りをしておっても狂ってくるというようなことがよくあるわけであります。たとえば給与だって、一律に国が指導されようとしたってさ、これは国が強制すべき筋合いのものでもないし、地方公共団体の、たとえば職員団体との折衝の中で違った線が出てこないとも限らない。これが国が一たん予想されておるものと相当大幅な増加が行なわれるようなことがあったにしても、これは上から押えられておる。財源措置はきまっておるのですから、何かその団体の中の妙なところにしわ寄せが起きてしまわないとも限らない。あるいは自然増収だって、これから何カ月かあとの、例のドル防衛が直ちに三月ごろまでの間に影響があるとは申しませんが、何か大きな火災があるとか何かで、その年の増収にも大きくひびが入るというようなこともないわけでもないと思います。特別交付税という問題もありますけれども。ですから、そういうふうな相当程度不確定な要素があるにもかかわらず、しかも財源が余っておるにもかかわらず、二百四十億という線でぴしゃりと押えて身動きがとれないようにがんじがらめにされておるというその点に私いささか疑問を感ずるわけです。繰り越しをすること自体においても問題がありますが、同時にその額を、そういうふうな問題点がだいぶ残っておるにもかかわらず、あくまでそういったような線で押えなければいかぬという点に一つ疑義を感ずるわけですが、その不確定性という問題について——たとえば給与の問題とか、自然増収などについての不確定要素が残っておる。もしそういう場合にはどうするつもりか、その点を一つ伺いたいと思います。
  38. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方税の自然増収もかなりの額にのぼっておるわけでありますけれども、今回の再計算で基準財政収入額の増額を行ないますのは、交付団体で七百億円程度のものだけでございます。これらはいずれも大法人の所得にかかるものでありますので、自治省の方で計算をして、決定額を各団体に通知しているわけでございます。従いまして各団体では、これらの大法人にかかる分につきましては、それよりも幾ら増収になってきたかということはよくわかっておるわけでございます。また増収になったものは翌年度交付税計算の際には当然算入されてくる。そういう計算方式になっておりますし、そのことは地方団体でもわかっておるわけでございますので、従ってその分についてだけの再算定でありますと、別段地方団体が予定をしております財政運営に支障を与えることにはならない、かように考えておるわけでございます。また年度の途中でありますので、支障を与えないためにあえていずれは基準財政収入額の増収になってくる税目の部分についてだけしか再算定しない。またそれを再算定しておいた方が来年度以降の地方団体財政運営のためにはかえってよろしいのじゃないか。来年基準財政収入額が増額されるその結果交付税が減ってくる、そうすると来年度になりますと、現金の面においては税金も入ってこない、交付税も入ってこない、こういうことになってしまうわけです。それなら現金の入ったときに交付税が入った方がバランスが合うわけでございますから、財政面を混乱させないことになるわけでございます。地方財政の承知している部分についてだけそのような意味において再算定する、そういうことにおいて年度の途中におけるこういう支障をあとう限り排除していきたい、かような考え方に基づいておるわけでございます。
  39. 安井吉典

    安井(吉)委員 大臣がお見えですし、また予算委員会に御出席の時間があるそうでございますから、一、二点お伺いをしておきたいと思うのですが、今交付税のうち三百四十億円くらいをことし出して、あとは来年にため込んでおいて、それを来年一緒に使おうというようなお考え方が出されているわけでありますが、私どもは現在二八・五%という繰り入れ率だけでも非常に大きなしわが地方財政の面に寄せられておって、その総額が少ないことで地方財政は数多くの欠陥を内蔵しているというのが現在の姿だと思うのです。だから私どもはむしろこの率は、今のように取っときを作るよりも、さらにこれを増して三〇%くらいにふくらませる努力をこそすべきだと思うのですが、お考えはいかがですか。
  40. 安井謙

    安井国務大臣 御説の交付税率の増額につきましては、いろいろおっしゃるような御議論、御見解もあろうかと存じます。また交付税率二八・五が多いか少ないか、あるいは三〇くらいにすべきであるかどうかという点につきまして、御承知の通りの三税を基礎にしましたそれの二八・五でございますから、国税の中で占める割合としても相当大きなものに今日なっておることは事実でございます。この率を動かすか、あるいは国の補助金といったような面で地方財政をさらにカバーしていくかという点は、もう少し来年度計画自体を見ました上で、よく検討いたしていきたいと思っておる次第であります。
  41. 安井吉典

    安井(吉)委員 大臣御就任の機会にこれは特に大事なことだからぜひ御検討や御努力をいただきたいと思うのですが、今の地方財政の総ワクが小さいばっかりに、たとえば給与の問題だとか、各種の投資的な事業の内容等においてさまざまな不都合が起きて、それが最終的には財政の大きな赤字になったり、無理な運営でひびがたくさん寄っている、そういうようなのが実際今の姿だと思うのです。ですから交付税率を上げることだけですべてが終わるとは私は申しません。しかしながら、交付税率の引き上げということで固有の財源を幾らかでも増額していくということ、単にいろんな補助金を乱発して、それで地方財政はいいだろうというふうなことではなしに、本筋であります地方交付税の問題に根本的な考慮を払われるということは非常に大切なことだと思います。ぜひ御検討を十分にいただきたいと思うわけです。  そこでその御検討に際しましてこの点を一つ伺っておきたいのですが、所得倍増計画、経済成長計画、そういったものを自由民主党はお出しになっておられるわけでありますが、それと地方財政との関連についてどういうふうにお考えになっておられますか。
  42. 安井謙

    安井国務大臣 所得倍増と申しますか、国民所得がどんどんふえて参りますにつきまして、これは地方財政全体としては潤ってくることは間違いなかろうと存じます。しかし、考えなければならないと思いますのは、やはりその中でも所得の格差が出てくる、あるいは地域の格差が出てくる、こういったような問題が起こり得る可能性もあると存じますが、そういった点につきまして、特に地域格差といったようなものにでき得る限り支障のないように自治省としましても措置をやっていきたいと考えております。
  43. 安井吉典

    安井(吉)委員 特に選挙等における公約の中から印象づけられておりますことは、公共投資相当大幅に増そうということをどなたも公約されておるわけであります。しかし、それに見合うものは地方財源の充実でなくてはいけないので、何もかも国が全面的に御自分のふところ金だけでおやりになればそれはけっこうです。しかしそうはいかなくて、相変わらず仕事だけはやってやる、しかしながらツケは地方公共団体にくるというふうな仕組みでやられたのでは、地方財政の方はいつまでたったってうだつが上がらない、こういうことではないかと思うのです。その大事な問題が経済伸長計画の中に含まれて考慮されなくてはならないと思うのですが、その点はいかがですか。
  44. 安井謙

    安井国務大臣 御説のようなことは起り得る可能性が十分ございます。従いまして、国が仕事を地方にやらせる、あるいはやる場合におきましても、この補助率等につきましては十分弾力のある率の高いものにしていくという方策を今後ともとっていきたいと思っております。
  45. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ただいまの問題と関連して、私、率直に一つこの際だめ押しをしておきたいと思うのです。  この百十七億円の繰り越しの問題ですけれども、私は日ごろ交付税というものを考えつつ、最近の交付税の動向を考えてみて非常におそれておるのは、国の重点政策、たとえば減税政策であるとか、あるいはその他公共事業関係の問題であるとか、こういった国の重点政策を遂行するための手段として、どうも交付税が使われている向きが最近だんだんと著しくなってきておる。これは大へんな問題ではなかろうか、こういうふうに私は考えておるわけなんです。そこで私は、この百十七億にいたしましても非常に疑義を持っておるのですが、本年度における減収補てんあるいは将来予想されておる退職年金の財政措置に使っていくというようなことが、あなた方はお考えになっておらぬでも、大蔵省あたりではそういうことが頭の中にもう深くしみ込んでおるのじゃなかろうか、私はこういうことを非常におそれるわけなんであります。公共事業地方負担分等今話がありましたような問題につきましても、それはあけすけに当然のことであるというようなことで、こういった余裕財源というものを大蔵省あたりでは使っていこうという考え方になっておるのじゃなかろうか、こういう点についてこの交付税の問題については私は非常に心配しておるわけなんであります。一方においては単独事業というものはどんどん伸びが減っておるとは言いませんけれども、伸びが非常に少ない。そしてただ単に単位費用を上げていって地方公共団体行政水準を上げていくという考え方だけでは、私はこれはおさまりがつかぬような状態になってきていると思う。もっと行政の体質改善をやっていかなければならぬ段階にきておるのじゃないか、ことに自治庁から自治省に昇格されまして、われわれは半面非常におそれておった面もありますけれども、同時にまた半面では声を大にして賛成しておったのであります。おそらくこの体質改善を思い切って自治省はやっていくのじゃなかろうか、こういうことを考えておるのでありますけれども、そういった方向への百十七億——これは今年の場合でありますけれども、これが使われていく向きよりも、むしろ先ほど言いましたように、大蔵省あたりの関係に乗ぜられて、そして当然国の施策遂行の手段として別途の措置を講じなければならぬものを交付税でもって措置していく、こういうような方向へどうも進んでおるように思うのであります。こういった点について大臣は、そういうことはないということを言い切ることができるかどうか、これを一つ伺っておきたいと思います。
  46. 安井謙

    安井国務大臣 阪上委員もいろいろ心配されることであろうと思いますし、われわれもまたそういう点には十分戒心しなければならぬと思いますが、繰り越しをやります主たる原因は、何分年度末でございますし、これの配分を今やりましても、結局積み立てて実際上団体繰り越していくと同じ状態になる可能性も非常に強いといったようなことと、一般の財政収入が予定以上にもふえておる際だから、この分は来年度に回して、より合理的な配分をいたしたい、こういう考え方を持っておる次第であります。繰り越し財源があるのだから、あとは何もかも来年度押えていくのでよろしいといったようなふうにはならないように、十分気をつけて計画も立てていきたいと思っておる次第でございます。
  47. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私は、ちょっと大蔵省と覚書をかわしてもらっておいた方がこれは安全じゃないかと思うくらい心配しておるわけです。今はそういうふうに体裁よく話が進んでおりましても、将来の年度においてまたこういったものを種にして大蔵省は攻勢に転じてくる。こういうことも考えられますので、できればこの際そういうふうなやり方をしないという覚書くらいは、この前逆に覚書をとられたそうでありますが、今度は一つこっちから覚書をとっておくくらいのやり方をやってもらいたいと思うくらいであります。ことにただいま仰せられました年度途中ということについて、われわれは逆に考え方一つ持っておるのでありますが、不交付団体に対する措置、これはかなり見ているということを言われておりますけれども年度途中であればこそ思い切って全額見てやられるような気持になれないものかどうか。これを奥野さんに一つ伺っておきたいと存じます。
  48. 奥野誠亮

    奥野政府委員 不交付団体につきまして、基準財政需要額増額する結果やはり交付団体になる、その場合には当然普通交付税交付されることになるわけでございます。反面そういう再算定をしてもなお不交付団体だという場合がございます。そういう場合に、その団体特別交付税交付額を計算いたします場合には、一応計算をいたしまして超過額を差し引く、そしてなお特別交付税交付になれば差額を交付するし、超過額の方が多ければ特別交付税交付しない、こういう計算の仕方を従来いたして参ってきておるわけでございます。ただ今回の場合は年度中途に起こった、しかも莫大な財政需要でございますので、その団体でもわずかな超過額しか持たないところは、ただそのまま通り一ぺんの差し引き計算で済むものかどうか、団体としては不交付団体交付団体よりは若干財源があった計算になっておりましても、それはそれなりに使ってしまっておるという問題が多分にあるだろうと思います。従いまして、そこは従来の一律的な計算方式ではなしに、超過額をそのまま差し引きしたというよりも、何かそこに配慮を加えた計算をして特別交付税交付をした方がいいのじゃなかろうか、要するに不交付団体の特別な財政運営の状況を頭に置いて、不交付団体への交付額の計算に今回は当たらなければならないのじゃなかろうか、こういう気持を持っておるわけでございます。
  49. 佐野憲治

    ○佐野委員 安井委員質問関連いたしまして、大臣に一つだけお尋ねしたいのですが、地方財政計画と決算とがいつも食い違いが大きい。これでは国会地方財政計画を提出し、一般に公表する意味が失なわれておるのじゃないか、かようにも考えさせられますので、この機会に地方財政計画の修正をして、そうして歳入歳出の見積りをやはり国会に提出する、こういう考えはお持ちにならないでしょうか。
  50. 安井謙

    安井国務大臣 ごもっともな御質問かと存ずるのでございますが、大体地方財政計画と申しますのは、御承知のように非常に膨大な団体の総合的な計算見通しでございまして、年度当初において相当手をかけて、主として収支のバランスを見るという点に重点を置いているわけであります。特に収支のバランス上特別の異常がない。あるいは計画が修正していけるというような場合には、今ここであらためて途中で変更をいたすというふうには今のところ考えていないわけでございます。
  51. 佐野憲治

    ○佐野委員 しかしながら、財政計画国会に提出をして一般に公表する、そういう法律の趣旨を理解しますならば、やはりこの財政計画によって地方団体は合理的な財政の運営というものを考えておると思うのであります。しかるにかかわらず、これほど計画と決算とが食い違ってしまっておるようでは、何ら本来の目的に沿わなくなるのじゃないか、こういう点をおそれるわけであります。単なる収支見通しだけを国会に提出をする、あるいは一般に公表する、それでは無意味ではありませんか。今の繰り越しの問題にも関連するのですが、こういう機会にこそ地方財政計画を修正して、あるいは単位費用にしても補正係数についても個々に改め、基準財政収入額においてはっきり見込めるものは見込んでいく。そうすることが、やはり国が一般に公表する、国会に提出する責務を果たすことになるのじゃないか。でないと、先ほど阪上委員が指摘された疑惑が出てくるのじゃないか。単なる時間的に間に合わない、あるいは地方団体もこれを繰り越すことにすぎないのじゃないかというようなことをもってしては、どうもやはり疑惑が出てくるのじゃないか。やはり妥当な合理的な水準に達していない、いろいろな税外負担がある、地域的な格差が出てきて参っておるというような、いろいろ解決しなければならない問題が山積しておるときに、そういう交付税の金をもって、この機会にこそ地方財政計画を修正すべきじゃないかと考えるわけであります。それをやらないで繰り越すということは、やはり明年度予算編成とからんでくるのじゃないか。合理的な妥当な水準を維持するために必要な財政需要額が忘れられて、国の公共投資、独占資本育成のための大企業中心の政策が進められ、そのための地方負担金としてこれが使われていってしまう、こういう危険性を私たちは危惧いたしておるわけであります。ですから当然、現在においてさえも行政水準が低下しておる今日の地方行政の現状を考えてみますときに、この機会にこそ地方財政計画を修正していくべきではないか、そういう考え方を持つわけですが、大臣の所見はいかがですか。
  52. 安井謙

    安井国務大臣 私も、できますればそういう年度の途中で財政収入の予定に大きな変更があれば直すということは、より正確という意味では正しいことだと思っておりますが、大体この計画を立てました場合と決算との食い違いにつきましては、これはどうもいつを基準にやりましてもまた相当開きができるというような事情もございますし、この非常に膨大な収支の予想表でありますので、基本的に狂いがなければそのままで行く以外になかろう、こういうふうに思っておるのであります。しかし今御質問のありましたように、そういうものを立てないから次の年度計画で十分なものが立てられないのだろうという御配慮もございますが、その点につきましては、たとえば本年度の予想については、計画として正式に発表するのは別といたしまして、十分予算編成の際に考慮いたしましてこれを織り込んで計画を立てておる次第でございます。
  53. 佐野憲治

    ○佐野委員 私は本年度予算編成のときにも言ったわけでありますが、地方交付税法の第六条の規定の趣旨から、国家あるいは地方における予算編成が、どうしても国の方の方針が先に決定してしまう、あるいは地方交付税の場合においても決定する。その逆算のもとに地方財政計画がいつも作られておる。地方においてどういう負担、どういう財政需要が必要か、こういうことの積み上げの結果として地方財政計画が作られる、あるいは国の政策をその上においていろいろと検討する、こういうのじゃないのですね。逆に国の方針がきまってしまってから、地方の施策あるいは地方財政がワクづけられてくる。そのために合理的な水準、妥当な行政、これを行なうことがほとんど不可能になってしまっておる。そういうことが結局は決算と計画とのズレ、食い違いとなって現われてくる。こういう点を指摘しておったわけです。自治省関係の皆さんにもその点においていろいろのふんまん、あるいはまた要求のいれられなかった点に対していろいろとお話を聞いたわけですけれども、そういうことがやはり繰り返されてくるのではないかということを心配することと、そういう中において当然問題となっておる諸点はたくさんあると思うのです。それをどう充実していくか、それをどう補っていくか、こういうために年間の努力が続けられて参っておるはずだと思うのです。であるとするならば、交付税増額になるこういう機会に、日ごろ検討されておる、あるいは地方団体からいろいろな要求が出て参っておる計画の欠陥あるいはまた矛盾しておる点を是正する声が強く出て参っておるわけであります。ですから、今地方財政計画を変更する、財政需要額を改める、単位費用あるいは補正係数を修正する、こういうことはちっとも困難でも何でもないのじゃないですか。逆に、地方が日ごろ要求しておることを国が固めることによって、直ちに順応するような態勢ができておるのじゃないですか。何も困難な問題じゃないと思うのです。できることをやらずにおいて、しかも明年度の予備的財源とするんだ、それにより妥当な行政水準の充当に資するのだ、こう言われますけれども、そうじゃなくて、結局国が要求する公共投資あるいは大企業のための産業投資、こういうことのために地方負担分としてこれらの財源が当然隠されておるのではないか。ですから予算委員会を傍聴しておりましても、どうもそういう感じがするわけです。というのは、政府の言う公共投資、減税、社会保障——減税、社会保障はやっぱり少ない。そういうことになって参りますので、結局財源があるのじゃないかという工合につつかれる。そういうことをごまかすために、交付税として地方には渡すけれどもこれは留保しておく。明年度における公共投資のためにこの金を使おうとするのだ、こういう考え方が、すでに補正予算の性格の中ににじみ出ておるのではないか。そういうしわ寄せ、犠牲が今日の交付税における特徴となって現われてきたのではないか、こういう工合に考えますので、この点に対して率直な大臣の所見をお聞きしておきたいと思います。
  54. 安井謙

    安井国務大臣 地方財政のあり方につきましては、御説のようないろいろな欠陥、傾向も従来なかったじゃない、あったことも必ずしも否定できないと思うのであります。ことに数年前までの地方財政が非常に窮迫をしておった時代というようなときには、特にその感が深かったと思いますが、これもここ数年来徐々に今御指摘のような問題も解決はしつつある、変わってきておると思うのでございまして、ことに交付税の税率問題は、御承知の通り基準収入と基準支出との差額はその税率で埋めるのだ、こういう建前できておるのでありますから、先に国が出す交付税の額をきめておいて、もうそれでぶった切りでやるのだというような考え方のものでもなかろうと思うわけであります。一方では、さらに地方団体につきましても、より合理的な運営、財政計画を立ててもらいまして、両々相待って今のような問題を少しでもなくしていきたいというふうに考えておる次第であります。
  55. 安井吉典

    安井(吉)委員 今最後に佐野委員が言われたこと、非常に大切なことだと思うのですね。つまり、今日の段階においても何かというと隠れみのに地方財政がなってきておる。たとえば給与改善の問題についても、一部では、そんなに国家公務員給与のアップをしても、地方財政が持たぬではないか、そういうようなことで公務員の切なる要求が地方財政をうしろだてにして阻止される。あるいはまた、今度のように財源が残ったという形で新年度を迎えた場合には、公共投資を膨大に増額するのだというふうな、そういうような自民党政府考え方が、明年度予算の中でどういうふうな形で現われるかこれはわかりませんけれども地方に持たせてみたって金はあるじゃないか、そういうようなことが頭から財政当局その他の先入観となって、問題が仕組まれまして、それによって地方の公共団体の意に反したいろいろな仕事までが、財源があるではないかという形で押しつけられる、こういうような可能性を——この財源あとまで引き延ばすという中から出てくる可能性がきわめて大きいと思うのであります。そういうような問題も、これはもう重大な問題としてわれわれもっと考えていかなければならないし、その点政府御当局でも、もっと善意な立場で、地方財政を大事にしてやろうというような善意なお立場でこれはお考えになったのかもしれない。しかしながら、そういうふうに悪用と言ったら語弊があるかもしれないが、とんでもない方向にこれが引きずられていくおそれをここで持つことになるのだということだけ、一つ考えをいただきたいと思うわけです。  そこで、さらに問題を財政需要額の方の問題に移したいと思いますが、その前に財源の問題で、この百十七億円を来年度まで残すおけですが、来年はどういうふうにして使用されるわけですか。機械的にただ合算してしまうのか。それとも別な基準を作って別ワクでやられるのか、あるいはまたこれだけは給与向けにするのだとか、そのような特別のお考えをお持ちでしょうか、どうですか。
  56. 安井謙

    安井国務大臣 普通交付税の配分でございますから、一般の基準に入れる財政収入と見なければならないと思いますが、技術的な点につきましては、担当局長から説明いたします。
  57. 奥野誠亮

    奥野政府委員 来年度地方交付税改正のための財源として考えていきたいわけでありますから、特別なひもをつける意思はございません。
  58. 安井吉典

    安井(吉)委員 それだけに私がさっき心配した問題が出てくるわけなんですが、それはそれとし、てあとの問題にいたしまして、臨時地方特別交付金の関係も〇・三%ですか、ふえるわけですね。これは今年の分はどういうふうに配分しましたか。それからもう一つ、今後新たにふえると予想される分はどういうふうにお使いになるおつもりか。その点一つ……。
  59. 奥野誠亮

    奥野政府委員 これは春に申し上げました考え方と、現在のところ少しも変わっておりません。特別交付税を決定いたします際に、両方のことを頭に置いて決定をしていきたいというように存じておるわけでございます。従いまして、二月に決定交付をいたしたい、かように考えております。  なお、今回の国税三税の増収に伴いまして、約四億円の増額計上が今回の補正予算に行なわれておるわけであります。
  60. 安井吉典

    安井(吉)委員 そうすると、これはいわゆる減税向けということですね。
  61. 奥野誠亮

    奥野政府委員 住民税の減税における影響もございましょうし、その他地方財政全般を改善していく。たとえば種地の低い町村の財政需要を将来は漸次引き上げて、そうして均衡化を前進させていきたいという一つの希望を持っておるわけでございます。その他いろいろなことを考えながら額を決定いたしまして、そのうち総体的に何パーセントかになるものは臨時特例法に基づく配分額だということにして額をきめていった方が無難じゃないだろうかというふうに思っておるわけでありまして、特別交付税で〇・三%の額を一緒に決定して、便宜幾らが特例法に基づくものだというようにした方がやりやすいんじゃないだろうか、こういうふうな考え方もいたしておるわけでございます。そういう方向でなお最終的な決定までには検討いたしたいと思います。
  62. 安井吉典

    安井(吉)委員 いわゆる〇・三%の、初めは三十億円ですか、あれは所得税の減税による財源、住民税の減収、補てんという点に主力を置いて配分されるのだというふうに、ことしの春理解したと思うのですが、現実にはどういうふうな措置をとられますか。
  63. 奥野誠亮

    奥野政府委員 お話しの通り、そういう点は十分今回の額の決定の際には算定して参りたいと思っております。
  64. 安井吉典

    安井(吉)委員 それから今の額について、特交の今度の増加分は、二百四十億円の中身になるわけですか、外の数字になるわけですか。
  65. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今回ふえました地方交付税三百五十七億円の六%は自動的に特別交付税になるわけであります。従いましてその額が二十一億円であり、これは当然特別交付税として配分されなければならないわけでございます。そういうものも全部含めまして、とにかく補正によってふえた額のうち、地方団体交付するものは二百四十億円を下らないのだ、こう書いてあるわけでございます。
  66. 安井吉典

    安井(吉)委員 つまり中数字ですね。  次に、給与の問題が今度の財源措置の重点になっているわけでありますが、一応これで二百四十億円くらいの金を出すという手はずだけはできたような形でありますが、大臣、どうでしょうか。これで地方公共団体の公務員に対する財源措置は十分とお考えでしょうか。
  67. 安井謙

    安井国務大臣 給与が、今の二百四十億だけでございますか、これは十分ということになりますと、非常にいろいろな語弊もあろうかと思いますが、ことしは当初の計画から比べまして、全体の財政収入もふえておるときでございます。また緊急やむを得ない措置災害等の跡始末の措置につきましては、地方債もさらに追加をして出ておるということで、必ずしも二百四十億がまるまる給与財源として要らないという計算も別途に立つようでございますが、しかし計算上所要とされる二百四十億というものは、少しおつりが出るかもしれないが配付しよう、こういうつもりでやっておるわけでございます。
  68. 安井吉典

    安井(吉)委員 そうすると、これだけ出せばもう地方公共団体の職員の給与問題は解決だ、おつりがくるくらいだ、そのおつもりなんですか。
  69. 安井謙

    安井国務大臣 これは先ほども申し上げましたように、財政収入の中でも七十億程度のものは新たに見込まれるわけでございます。二百四十億の所要額と申しましても、ほんとうをいえば財源としてはそれから七十億引いた百七十億でよろしいという理屈も、しいて言えば立たないでもないかと思うのであります。しかし、この交付団体に対する給与に対する所要額だけは、少なくとも計算上のものは全額支給をしよう、こういうつもりで考えておるわけでございます。
  70. 安井吉典

    安井(吉)委員 私は計算上のそれだけを言っているのじゃなしに、地方公務員の全体的な給与体系なり、そういうようなものに対する財政措置は、これで十分かどうかということを申し上げているわけです。
  71. 安井謙

    安井国務大臣 今度の改定は、御承知のように、国家公務員に準じた改定でありますので、それに準じた計算をいたして出た結果がこの金額になっております。全体申しまして今の給与体系そのままでいいかどうかといったような問題その他につきましては、まだ今後考究をしていく余地は十分にあると存じております。
  72. 安井吉典

    安井(吉)委員 行政局長はどうお考えですか。
  73. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御承知のように、地方財政計画その他におきましては、地方公務員給与の見積もりというのは、国の基準に合わせまして、その基準にのっとった額を算定をいたしまして、それぞれの所要の要素を加味して単価を出してやっておるのであります。今次の場合、やはり国と同じ給与改定がこれに準じて行なわれるということを建前といたしまして所要額を算定をしておるのでありまして、その意味合いにおきましては、それぞれ地方団体において国の措置に準ずる給与改定は行なえるものと確信いたしております。
  74. 安井吉典

    安井(吉)委員 地方公務員の問題についてはずいぶん範囲が広いわけです。たとえば非常勤的な職員、補助職員、非常勤職員、あるいはまた特別会計でまかなわれております職員、そういうふうに全体的にきわめて範囲が広いわけでありますが、そういうものを総体的にどういうふうな考慮をされましたか。
  75. 奥野誠亮

    奥野政府委員 お話しになりますように、一般職員だけではなしに、いろいろな給与関係の人たちがあるわけであります。一応そういう人たちにつきましても、財政計画上所要の額を計算いたします場合には基礎の中に入れて計算をいたしております。
  76. 安井吉典

    安井(吉)委員 先ほどの大臣の地方公務員給与全体に対する御認識がどうも何か不十分なように思うのです。その点さらにそちらの方に突っ込んでおります時間がきょうはありませんので、別な機会に譲りたいと思いますが、そういうようなことでは、将来の自治省の運営の上でもいろいろな支障を来たすのじゃないかと思いますから、その点もう少し深く入った地方公務員給与についての御検討をお願いだけしておきます。そこで、きょうの場合、もっと具体的に二、三お尋ねをしておきたいと思うのですが、特別職について、つまり首長の立場だとか、あるいは議会その他各種委員会等がありますが、それについてどんな考慮がされておりますか。
  77. 奥野誠亮

    奥野政府委員 一応財政計画上の数字に基づきまして、実はこの数字地方財政計画上はかなり低い額になっております。ある程度議員報酬その他も引き上がって参っておるわけでございます。しかしながら、低いわけですが、今地方財政計画に算入されておるものを基礎にして、三〇%ないし四〇%ふえるだろうという見積もりのもとに金額をはじいておるわけでございます。総体で約十五億円程度という数字を、そういう意味計算をいたしております。
  78. 安井吉典

    安井(吉)委員 三〇ないし四〇%程度で十五億円ですね。そこでこれは、たしか、いつか問題になったと思うのですが、地方公共団体の議員等の報酬についてある種の基準をきめたらどうかというような話が出ていたのですが、それについてはどうでしょうか。
  79. 奥野誠亮

    奥野政府委員 財政当局からいいますと、きめてもらいたいという気持を持っておるわけでございます。しかしながら、なかなか地方団体の実態が千差万別でありますので、きめることもなかなか基準がむずかしいわけでございまして、行政局の所管になるわけでありますが、現在のところはさまっていないわけであります。そういうこともございまして、地方財政計画上の数字は、従来の低い数字のままにそのまま据え置かれて今日まで至っておるわけでございます。そこで今回の給与改定は自然そういう方面にも及ばざるを得ない性格のものでございますので、市町村については三〇%、府県については四〇%というような計算のもとに所要額をはじきまして、先ほど申し上げました十五億円内外だったと思いますが、計算になっておるわけでございます。三百三十億円内外と申し上げております中には、この程度のものが入っておるわけであります。
  80. 安井吉典

    安井(吉)委員 そういたしますと、各市町村あるいは都道府県で非常にまちまちな、つまり現在でもアンバランス、それがさらに三〇%、四〇%というふうな形で格差拡大とでもいいますか、そういうような格好になりはしませんか。その点何か自治省である種の指導といいますか、そんなようなおつもりをお持ちでしょうか。
  81. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 特別職の給与のあり方につきましては、どういうような基準でいくか、あるいはそもそも基準をきめていくのがいいのか悪いのかという点につきましては、実はいろいろ問題がございまして、従来からも検討は加えておるのでございますけれども、今のところまだこう行くべきだという結論には実は到達をいたしておらないのであります。特別職につきまして、たとえば三役といわれるような方々等につきましては、おのずから大体の目標というものがあろうかと思うのであります。ただ現実問題といたしましては、三役、なかんずく知事、市町村長の方々につきましても非常に格差がございます。なかんずく町村長さんあたりになりますと、御本人の御意向もございますというようなこともありまして、非常にまちまちに相なっておるのであります。私たちといたしましては、特別職でありましても、少なくとも常勤の方々についてはやはりそれ相当給与を支給するという建前がいいのじゃないかというふうに実は考えております。ただその場合に、どういう基準がいいのかということにつきましては、それぞれの地方の実情等もございましょうし、これを町村長さんは幾らがいいのだというようなことまで積極的にこちらとして指導すべきかどうかということにつきましては、もう少し考えてみなければならぬ要素がたくさんあるのじゃないかというふうに思っておるのであります。  それから議員さんのお話がございましたが、これは実は昨年来各地方でかなり問題になっておりまして、世論もこれに対していろいろ動きがあったようであります。昨年中にかなり引き上げが行なわれたのでありますが、これに対していろいろ批判も高まりました点もございまして、自粛の機運がその後起こって参ったのでありまして、その結果、若干地方団体等においても引き上げの機運が一応消えたということになっておりましたが、その後また再燃をいたしまして、最近になりまして、特に九月の県会あたりを中心にいたしまして、議員さんの給与改定等も行なわれたようであります。今回の場合、議員さんの報酬問題についてどうするかということにつきましても、私たちの方では、今のところ積極的にこうでなければならぬという指導をするつもりは持っておりません。一般的な特別職の給与の取り扱い、それに対する指導方針の一環として考えていくのが妥当ではあるまいか、かように考えておるのであります。
  82. 安井吉典

    安井(吉)委員 特別職の給与問題は、強制するということはこれも間違いだろうし、そうかといって非常に大きなアンバランスも問題だし、大へんめんどうな問題だと思うのですが、一つ検討願います。  それから地方公共団体には膨大な国庫補助負担職員がいるわけでありますが、これに対して国自体給与単価も非常に不十分な面が多いわけでありますが、今回の財源付与の考慮では、ただ機械的に国のままにやったということですか。
  83. 奥野誠亮

    奥野政府委員 国庫負担職員のうち、地元負担分については当然従来の算定基礎引き上げて差し上げているわけでございます。
  84. 安井吉典

    安井(吉)委員 たとえば石炭手当なんかはたしか算定基準に落ちていると思うのですが、そういうものも今度の場合には地方財政の面からも全く考慮なしで、ただ機械的にそのまま付与した、そういうことですね。
  85. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今おっしゃっている問題は、補助金額が少いわけだから、地元負担金が計算上算定される額よりもっと多いということだろうと思います。そういう意味の是正は、今回何ら手をつけておりません。
  86. 安井吉典

    安井(吉)委員 そういうような意味からも金を余すどころか、使い道がたくさんあるということを私は申し上げたいわけですが、それはそうとして、各特別会計、特に国保等ですね。あるいはその他いろいろな公営企業があるはずです。水道だとかガスだとか、あるいはことによったら電気だとか、そういうものの財源地方交付税で見るというような、それだけで措置できるという性格のものではないと思いますが、自治省としてどういうふうな考慮を払われておりますか。今度のこのベース・アップの際、どういうふうな御考慮が払われておるか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  87. 奥野誠亮

    奥野政府委員 国民健康保険会計の問題につきましては、厚生省や大蔵省に対しましても、絶えず改善をはかっていくように申し入れをいたして参っておるわけでございます。これがやはり国民健康保険会計の中において、収支の均衡が保持できるようにやってもらいたいという考え方は、今回の給与改定に当たりましても依然として変わりはないわけであります。そういう意味においては、現在の事務費の計算によりましてもそれだけ所要額を広げてもらわなければならない、こういう申し入れをして参っておるわけでございます。今回の補正予算では若干の引き上げが行なわれておる、こう承知いたしておるわけであります。もとよりそれで十分だとは思っておらないわけでありまして、将来ともそういう方向で努力をしていきたいと思っております。  また公営企業会計の問題につきましては、あくまでも公営企業は公営企業を利用する人たちの料金収入でまかなっていけるという態勢は続けてもらわなければならないのじゃないか。一般会計でめんどうを見るということは、全納税者が公営企業に要する経費を負担するということにもなって参りますので、あくまでも独立採算制という建前で善処してもらいたい、こういう気持を伝えておるわけであります。それがために今回のような事態になって参りますと、公営企業だからといって、一般会計の職員の給与改定が行なわれるのに、そのまま済ましてしまうというわけにも参らないところがずいぶん多いだろうと思います。そういう場合にも、あくまでも企業態勢の整備ということを大前提に考えてもらわなければならない。従ってまたさしあたり企業態勢の整備にも手をつけていくけれども、資金繰りだけの問題として自治省においても考慮せよ、こういうことであれば、そういうものについては十分協力をしましょう、こういうものの言い方、考え方を現在のところはいたしておるわけでございます。
  88. 安井吉典

    安井(吉)委員 財政措置という面からは、もちろん一般会計も各特別会計も、あるいはまた公営企業も別々であるのは当然ですが、職員の間では人事の交流などがあるわけです。そういうようなことで、一方の一般会計におれば今の財源付与ができる。しかし他方たとえば病院の事務の方に移ったとすれば、独立採算のためにベース・アップができなくなるというようなことになっては、地方公共団体全体の運営という上においても非常に不都合が起きてくるだろうと思います。それは当然なことでありますので、その点も、こういったような全体的なベース・アップというような機会に、きめのこまかな配慮がやはり自治省としてなくてはならない。またこれもいずれさらにいただきたいと思います。  それからきのういただいた資料を見ますと、消防職員の中で非常勤団員の方については、何か措置がなかったように思ったのですが、私の読み違いか、どうですか。
  89. 奥野誠亮

    奥野政府委員 いわゆる旧消防の関係の者につきましては、給与という建前で報酬が支払われておるわけのものでございませんので、今回のような給与改定があったから一律にその報酬を十何%か引き上げるという措置をとらない方が穏当であろうという考え方をとっておるわけであります。もとより来年度以降を考えます場合には、今御指摘になったようなことを十分配慮して交付税基礎に算入していきますことも考慮して参りたいと思います。もともと小さい額でありまして、それについて一割か何か引き上げるということはさらにナンセンスじゃないか、こう思っておるわけであります。しかし、来年度以降の場合には十分検討、考慮いたしたいと思っております。
  90. 安井吉典

    安井(吉)委員 小さな問題かもしれませんが、市町村では非常勤職員と常勤職員とはほとんど同居するような形でいる場合もあり得るわけです。そういうような場合に、一方がべース・アップの恩恵を受けて、一方はそれは単なる給与ということでないことはよくわかりますけれども、やはりそれぐらいの考慮というものはなされることが正しいと思うのです。今回でもそれに指導か何かの面で何とか御措置されるお考えはありませんか。
  91. 奥野誠亮

    奥野政府委員 消防庁には特別な見解があるかもしれませんけれども財政的に考えました場合には、旧消防の人たちには給与的な面では、その所要経費を別に歳入の基礎に算入していないわけであります。従いまして年度の途中で、給与改定が行なわれたから、それをすぐに同じような比率でいじって、十円前後になるのでしょうか、何かそんなものをふやしたりすることも性質上かえって失礼じゃないか、こう思うのであります。しかし来年度以降年間を通じて考えます場合には、今の額でいいのかどうか、これは当然考えていかなければならぬと思います。非常勤職員といえば非常勤職員でありますけれども、旧消防の団員の性格は、給与の面で見た場合には、いわゆる非常勤職員と多少違いがあるのじゃないか、こういう感じを持っているわけであります。
  92. 安井吉典

    安井(吉)委員 上げてもらって失礼だと言う人はありませんよ、上げてくれればうれしいですよ。そして同じ非常勤団員でもいろいろなニュアンスはあると思います。ほんとうのかけつけ的なものから常勤に近いような種類のものまでずっとニュアンスがある。ですから、そういう点指導の適正を一つ期していただきたいと思うのです。  最後に臨時職員の問題でありますが、地方公務員であります臨時職員について、今回のべース・アップ全体の計画の中でどういうふうな御措置がなされているでしょうか。
  93. 奥野誠亮

    奥野政府委員 財政計画全体といたしましては、昨日申し上げましたような職員数別の率をはじきますと同時に、特別職全体につきましては、市町村分について三〇%、府県分については四〇%を総額に乗じまして所要額を算定いたしておるわけであります。
  94. 安井吉典

    安井(吉)委員 それはつまり物件費支弁なんかでよく見ますね、そういうような人たちについてもやはり三〇%なり四〇%をかけたという形ですか。
  95. 奥野誠亮

    奥野政府委員 そうじゃございませんで、財政計画上所要額をはじきます場合には、今申し上げましたような学校の先生でありますとか、あるいは一般職員でありますとかいう以外の者、特別職全体につきまして、その総額に今申し上げたような数字を乗じて算定したわけであります。率直に申し上げますと、地方財政計画に見ております議員の報酬も、委員の報酬も、現実的に考えますとかなり低いわけでございまして、これは是正しなければならぬと思っておるわけであります。なお、総額はそこに目途を置いたわけでありますけれども地方交付税計算の場合には、個々の単位の算入の基礎引き上げますと同時に、なお十分でありません点では、さらに今言います議員の報酬の算定はしていかなければならぬのでありますけれども、これを幾ばくの金額にすることが妥当であるかどうか、若干指導的な意味を持ってくるわけであります。指導的な意味を持たせることになって参りますと、先ほど行政局長が言いましたように、なお検討したい面もありますので、その他の諸費の中で所要額を全部見ていくというような計算の仕方をいたしまして、改定案の御審議を願っておるわけであります。
  96. 安井吉典

    安井(吉)委員 私がお聞きしておるのはそういう意味でなしに、臨時の雇員とか用員、あるいはまた土木だとか、そういったような仕事で使われている人、そういういわゆる役員的な要素でなしに純粋のいわゆる下級職員について配慮がなされているかどうかということです。
  97. 奥野誠亮

    奥野政府委員 もとより地方財政計画上職員数に算入されている者につきましては、全体的に給与金額が出ておるわけでございますから、その財源計算してあるわけです。またそういう職種別に見まして給与改定財政的に及ぼす影響の率も算定しておるつもりでございます。
  98. 安井吉典

    安井(吉)委員 現実的には地方公共団体には定員外職員がずいぶんいるということは御承知のはずですし、地方公共団体だけじゃございません、自治省の中にもずいぶんいるはずです。年がら年じゅう定員法の改正なんということで問題が起きているはずですが、そのいわゆる定員外職員なのです。これについてだってやはりこの際あたたかな考慮がなければ——現実地方公共団体の長の立場なら、お前らはこれは別なんだからというような措置はできないと思うのです。そういうような意味で、財政措置というような面でも、今度のこういうような場合に配慮がなされるべきだと思いますが、その点をもう少し詳しくお話し願いたいと思います。
  99. 奥野誠亮

    奥野政府委員 要するに、臨時職が幾らいるから、その分について幾らの給与改定が行なわれなければならないのだというような計算はいたしていないわけであります。ただ、今申し上げましたように職種別に計算をはじくほかに、特別職については先ほど申し上げたような計算のはじき方をしたというようなことでありまして、単位費用ということになって参りますと、そういう分は基礎の中に入って参りませんので、一々それの算定がえをするということも作業としてはあり得ないわけであります。しかし、地方財政計画上所要額とされるものが、それだけでは十分でありませんので、その他の諸費の中に一括して所要額を算入する、こういうやり方をいたしておるということでございます。
  100. 安井吉典

    安井(吉)委員 最後に公共事業全体について、人件費が全体的に変わった、こういうふうな動きの中で考慮がえというか、そういうものをなされる動きがあったかどうか。
  101. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今回の作業におきましては、公共事業費の増加もございます。それによる地方負担の増加も考えておるわけでありますけれども、人件費が増額になったから、それだけをつかまえて地方財政計画の上だけで改定をするというようなことはやっておりません。しかし、今御指摘の問題が府県の学校建築、市町村の学校建築等において相当大きな問題になってきておるようでございます。単価等の問題にもはね返っておるかもしれませんが、来年度の国、地方を通ずる財政計画の場合には十分問題にしなければならないことじゃないだろうかというふうに存じております。
  102. 川村継義

    川村(継)委員 関連。午前中で終わりになるそうでありますが、きょう安井委員質問いたしましたのに関係して一、二点お伺いしておきたいと思います。先ほど私は国家公務員の場合に八百円の昇給が九百円になると、地方財源にどれくらい手当を必要とするかということを聞いておりましたが、これも額がどれくらいかわかりませんが、やはり当然措置しなければならない財源の問題として残ってくると思います。  そこで次にもう一つ、これは行政局長にお尋ねしたいと思います。今定員法が出ております。内容についてはまたいずれ機会を見て詳しくお尋ねしたいと思いますが、政府の案では七千人余り考えてあるようであります。私の方では二万人以上、臨時職員も定員繰り入れのことを要求しておりますが、今両方から接衝いたしております。どこでその線が折れ合うかわかりませんが、これがなされるとなると、当然地方公務員にもそれを措置されるだろうと思いますが、どんなにお考えですか。
  103. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 臨時職員の定員繰り入れの措置は、国家公務員における措置と準じまして従来も二回にわたってやってきておるのであります。この方針は今後とも続けて参りたいと思っておりまして、今後国の場合にこの定数内繰り入れが行なわれますれば——そのパーセンテージが幾らになるか、今のところきまっておりませんけれども、きまりますれば、同じような措置を指導して参りたいと思っております。
  104. 川村継義

    川村(継)委員 奥野局長に聞きますけれども、今の国家公務員に準じて地方公務員の定員繰り入れということがなされますと、当然これはまた一つそれだけの給与財源が必要になってくると思うのですが、どうでございますか。
  105. 奥野誠亮

    奥野政府委員 財政的にも可能なように、地方財政計画なりあるいは交付税計算なりをするようにしていかなければならないと思います。いずれにしましても、直ちに大きな金額になって参るわけではございませんので、この法案の内容そのものに今手をつけ加えなければならないというようなことにはならないと思います。
  106. 川村継義

    川村(継)委員 とにかく二百四十億というような今度の給与改定措置をされておりますが、一応それで押えておく、残ったものは繰り越すという考えのようでありますが、その限度というものは心配ありませんか。
  107. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今お話しになっておりますような事案だけでありますと、別に金額に変動をさせなければならないというほどのものではなかろうと思っております。
  108. 川村継義

    川村(継)委員 さらにもう一つお聞きいたしますが、この地方交付税地方団体に配分されるということは、地方団体の側から見れば、これは一体地方団体の権利ですか、あるいは国家から、お前たちが財政的に困っているから与えてやるんだという恩恵的な性質のものですか、どうですか。
  109. 奥野誠亮

    奥野政府委員 私たちは常に、地方団体は国民からいろいろな任務を負託されている、従ってまた国民からそれだけの財源を与えてもらう権利を持っておる、こういう考え方をいたしております。地方団体が直接国民から出してもらうものもございましょうし、あるいは国の徴税機関を通じまして政府予算を通じて出してもらうものもあろうと思います。
  110. 川村継義

    川村(継)委員 昨日いただいた市長会の機関誌「市政」という雑誌の中に、あなたが今度の給与改定財政需要の関係を書いておられる中にもそのような御意見があったと思うのですが、私も実は同感するものであります。私もやはり権利だと思うのです。そうなりますと、今度の法律について疑問が出てくるのが一つあるので、明確に教えてもらいたいと思うのです。  というのは、地方交付税法の第六条の読み方でございますね。これはもう私が言う必要もないのでありますけれども、「毎年度分として交付すべき交付税総額は、当該年度における所得税、法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の二十八・五に相当する額の合算額に当該年度の前年度以前の年度における交付税で、まだ交付していない額を加算」する、あるいは減額する、こういうことが書いてありますが、この毎年度分に交付すべき総額というのは、これによってきまるわけですね。昨年度は二千五百億程度の交付税がきまった。本年度は当初二千八百億程度きまり、今度また追加されるということは、その年度交付すべき総額ということになりますし、もしも前年度以前のやつに清算分があったらそれを加算するということになるだろうと思いますが、この当該年度の前年度以前の年度における交付税でまだ交付していない額というのは、これは三十四年度にもしも清算分が出てきたならば、それは三十五年度に加えるという意味ですか、三十六年度に加えるという意味になりますか。三十五年度に清算がされたならば、その清算された額は三十六年度に加えるのですか、三十七年度に加えるのですか。当該年度の前年度におけるというこの意味、前年度以前の云々というのはどういうことになるのですか。
  111. 奥野誠亮

    奥野政府委員 ここに書いてある通りでございまして、三十四年度の清算額は、基本的には決算が確定して参りませんと幾ら繰り入れてないものがあるかわかりませんので、三十六年度にならざるを得ないと思います。しかし国がその金を三十五年度予算に計上することがあり得ますならば、その際にはやはり三十五年度の方に繰り入れられるということになろうかと思います。
  112. 川村継義

    川村(継)委員 そこできのうからも非常に疑問を持ってお尋ねしておるのですが、今度の法律改正で「昭和三十五年度内に交付しないで、これを法第六条第二項の当該年度の前年度以前の地方交付税でまだ交付していない額」とみなす、「額として」ということは額とみなすわけですね。そしてこれを三十六年度交付する。こういうような、もとの大事な法律を曲げたような法律を作ることは、私はどうかと思うのです。私そこに一つ疑問があるんですよ。百十七億というやつを繰り越そうとするならば、これを第六条第二項の当該年度の前年度以前の地方交付税でまだ交付してない額とするならば、これは三十七年度にいくでしょう。そう考えるならば、私は筋がちょっと通るように思うのです。それを六条二項をそういうふうに考えないで、わざわざ来年度に繰り越す、こういうような法律改正というか、これをすることはどうだろう。ということは、結局一面からいうと、先ほど申し上げますように、地方団体の権利を大きく干渉しておることになるのじゃないでしょうか。また毎年度分として交付すべき交付税総額というのはちゃんときまってくるのですから、ことしやるべきものはちゃんと出していく。それなのに、その地方団体に対する権利をあなたたちの方で干渉しておるのですよ。侵害しておることになりはしませんか。そこでくどいようでありますけれども、三十五年度内に交付しないで、これを法第六条第二項の当該年度の前年度以前の地方交付税でまだ交付していない額とみなしたならば、三十六年度交付しないで三十七年度交付する、こういう順序をとるべきではありませんか。こういう何か都合のいいように法律をひん曲げるということは私はおかしいと思う。どうです。
  113. 奥野誠亮

    奥野政府委員 少し解釈の仕方が異なっておるようであります。もし国の補正予算に計上されませんで、そのまま決算上剰余金になってしまったというような場合には、御指摘の通り三十七年度交付税として交付されることになるわけであります。しかし予算に乗っかりますと、当該年度交付税として交付することができるわけであります。他面特別会計法の中には翌年度に繰り越すことができるという規定を置いておるわけであります。そうすると特別会計法のその規定で、ことし配らなかったものは当然来年度に繰り越されるわけであります。すなわち、三十六年度交付税として使われていくことになるわけであります。従いましてそれとはずを合わせましてこの六条二項を援用して来年度交付税なんだ、そういうことに見合わして配分するんだ、こういう断わり書きを、言いかえれば丁寧にあえて規定しておるのだ、こういう形になろうと思います。
  114. 川村継義

    川村(継)委員 おっしゃることはよくわかりますよ。もしもそうなら、当該こえる額を限度とし、当該限度内の額を昭和三十五年度内に交付しないで、昭和三十六年度分の地方交付税総額に加算して交付する、こうあっさり書いたらどうですか。それを言っておるんです。あなたのおっしゃるようなことであれば、何もくどくど余分な、もとの法律をひん曲げ、疑問が起こるような書き方をしないで、昭和三十五年度内に交付しないで、昭和三十六年度分の地方交付税総額に加算して交付することができる、ということでいいじゃありませんか。それをわざわざ、法第六条第二項の当該年度の前年度以前の地方交付税でまだ交付していない額とするというんだから、そうしたら三十六年度交付するのはおかしい。三十七年度に出すべきですよ。そうなりませんか。くどいようですがもう一ぺん言いますよ。「法第六条第二項の当該年度の前年度以前の地方交付税でまだ交付していない額として」というんですからね。額としたら、昭和三十六年度に配るということは、当該年度の前年度以前の地方交付税にならぬじゃないですか。昭和三十四年度のものじゃないでしょう、三十五年度に出てくるものでしょう、そういう解釈になるでしょう。私はそれが疑問だと言っているんですよ。これは私がさっきも言っているように、繰り越したいならば、三十五年度内に交付しないで、昭和三十六年度分の地方交付税総額に加算して交付すると、あっさり書いたっていいじゃないですか、こう私は言っているわけですよ。
  115. 奥野誠亮

    奥野政府委員 法文の書き方にはいろいろな書き方があろうかと思います。あろうかと思いますが、この前からも申し上げておりますように、先例もあるわけでございます。先例の用語例に従ったわけでございます。先例の用語例にもし疑問があるならば、必ずしも従わぬでもよろしいわけでございますが、「法第六条第二項の当該年度の前年度以前の地方交付税」三十六年度になりますから、三十六年度の前年度、三十五年度以前の地方交付税それに違いないわけでありますから、まだ交付していない額は、当然三十六年度に持っていけることになりますし、特別会計法では繰り越し規定をわざわざ置いておるものですから、自然それともはずが合うんじゃないか、こういう考え方に立って、なるたけ現行法に即しながら用語を使っていくというような関係で、従来からこういう規定になってきているわけであります。もとよりいろいろ御異議があります点につきましては、将来ともよく研究していけばよろしいことだと思います。
  116. 川村継義

    川村(継)委員 私の方がはっきりしていないのかもしらぬけれども、三十六年度地方交付税に百十七億持っていくというその百十七億が、三十四年度の分であれば私は何も言わないつもりですが、三十五年度のものを使うというのですから、そうなると、「法第六条第二項の当該年度の前年度以前の地方交付税でまだ交付していない額」なんということはおかしいじゃありませんか、と言っておるわけです。前例が云々と言われますけれども、私まだ前例をよく知らないのですけれども自治省になったんでしょう。自治庁じゃないのですから、そういう点はよく考えていただかなければ、こういう疑問が、次から次に出てきて、財源の問題と別に、私としてはこれはどうも納得がいかない、こう言っておるわけです。渡海次官いかがでございましょうか、御見解をお聞かせ下さい。
  117. 渡海元三郎

    ○渡海政府委員 私も政務次官就任前に、本法律案を皆様方と同じ立場において審議さしていただいたのでございまして、ただいま川村委員御指摘の通りに、率直にそういうふうに解釈しております。ただ法文の上の書き方は、前の例もございましたので、そのまま書きますことにそう大して疑問を感ぜずにおりましたのでございまして、意味といたしましては、川村委員御指摘の通り、今こうやるのが率直でないかと言われておりますが、その通りに解釈いたしております。
  118. 川村継義

    川村(継)委員 ただいまの点について、行政局長、法文の考え方、読み方というようなものをあなたから一つ聞かせてくれませんか。
  119. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 これは専門家の財政局長財政課長がおられますので、その見解に従うのが一番正しいかと思います。
  120. 金子岩三

    金子委員長代理 午後一時三十分より再開し、質疑を続行することとして、これにて休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時五十二分開議
  121. 濱田幸雄

    濱田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。門司亮君。
  122. 門司亮

    ○門司委員 今提案されております昭和三十五年度分の地方交付税特例に関する法律案提案理由の説明についてまず最初にお聞きをしておきたいと思いますが、この改正案を出されるにあたりましての政府考え方についてます最初に聞いておきたいと思います。  御承知のように、この交付税の基本的の理念として考えられておりますのは、この法案によって地方の自治体の自主性が絶対に失われるものではない、こういうふうに私どもとしては実は三条を解釈いたしております。御承知のように地方公共団体の自主性というもの、あるいは尊厳を傷つけてはならないということを明確に三条に書いております。従って法の全体を貫く精神としては、やはり同じように法律に書いておりますように、この財源はもちろん特定財源にしてはならないということが明確に書かれております。ところが提案されたこの法案の説明の第二段に明らかに書いておりますことは、今度の給与改定に要する費用の額が大体このくらいでよろしいから、こういうことがここに書いてあります。そういたしますと、この法律に基づいて配付される今回の交付税というものは明らかに一定目的を持っておるということが考えられる。このことは一体交付税の趣旨に沿うか、沿わぬかということがこの法案の一つの論争だと私は考えております。これに対して大臣は一体どうお考えになっておるのか。いわゆる財源が足りないことはわかっておる。しかも財源の足りない原因が今度の給与ベースの改定に伴うものであるということはわかっておる。しかしそれを理由にして書くということは、いささか行き過ぎだと私は考えておる。この点について大臣はどうお考えになっているか、まず最初にお聞きしておきたいと思います。
  123. 安井謙

    安井国務大臣 お答え申し上げます。  この地方交付税の配付基準をきめます際にいろいろな費用単価を見積もります。そういうような単価の一つとして今度の給与増額分を見るという意味でこれは書かれておると思うのでございまして、私は、そういう意味でこれを特定のひもつきにするという形じゃなくて、基準額の算定をあらためてし直す、そういうときの費目の一つになる、こういうふうに解釈しておるわけであります。
  124. 門司亮

    ○門司委員 私もそうだと思います。そうするなら前段だけでよかったと私は思う。第一の項目だけで私はよかったと思う。この説明要旨の(二)には明らかに数字を書いております。そういう大臣の御意見なら、前段の(一)だけで「基準財政需要額に算入しなければなりませんし、また、基準財政需要額の算出の基礎となる単位費用について本年度分の特例を法定する必要が出て参るわけであります。」これでよかった。ここまでなら今の大臣の答弁で了解できるのであります。その次に書いてあることが非常に気になるのであります。ここには明らかに「給与改定に要する経費の額は地方交付税交付を受ける団体においておおむね二百四十億円程度でありますので、これをこえる部分については、明年度地方財政の状況等も考慮いたしまして」とあって、ここで御承知のように百十七億が三十六年度に繰り越されておる。私はこの措置について今お聞きしておるのでありまして、前段のことは私はよく了解しておるのですが、どうして一体こういうことを書かれたか、どうしても私は了解に苦しむ。前段は私はよろしいと思う。行き過ぎだと私が考えておりますのは、給与改定にこれだけのものが必要だからこれだけ地方に出せばよろしいのだという自治省考え方であります。この考え方交付税法の趣旨に非常に大きくまっこうから反しておるのです。要素であることは間違いない。要素であるとするならば、前段で私は事は足りたと思う。余るとか余らぬということではないと思う。もしこれが足りなかったらどうするのです。足りなかったらどこからか持ってこなければならぬでしょう。これは六条の三でありますかどこかにその措置はとることができるように交付税法の方に書いてある。それはそれでよろしい。相当額が余ったからこれを来年度に繰り越すというようなことは、明らかに地方自治体に対しての指示であります。それから使途を明確にしているものであります。交付税の使途は明確にしないことになっているはずであります。だから使途を指定したというところに一体どういう考え方があるかということであります。その点を一体自治省はどうお考えになっておるか。交付税でそういうことができるかどうか。私はこれは絶対にできないと考えておる。こういう書き方というものは、一つ要素であることには間違いない。しかし全体の費目としてこういうこともあるから結局単位費用を変えるのだということになるだろうと思う。もう一つの問題は、補正予算が組まれて三百幾億かの交付税がふえるから、従ってこれについてはやはり単位費用を一応改正する必要があるということは、理屈はわかります。私はその通りだと思う。しかし、一方の問題はどうしても私は政府考え方がわからない。大臣の方は経験がございますのでよく御存じだと思いますが、かつての例の平衡交付金のときの状態であれば、これは積み上げ方式をとっておりましたから、非常に大きな一つの問題としてこういう問題が直接出てくる。ところが現在の段階では、単位費用というのはあの当時の積み上げ方式による単位費用とは非常に趣を異にしておりまして、交付税総額はまずきまっておる。そうしてこれに合わせていくという形を大体今日はとっておる。従ってこの法律自体、例のそうした二つの要素も含めて書いた法律でありますから、非常にあいまいな点があることは法律自身の一つの性格であります。あいまいな性格を持っておる法律であることには間違いないのだが、しかし、それにしてもやはり自治省が出されております案としては、使用目的をこういうところに明確にお書きになって、そしてこれだけの使用目的に使う金はこれだけあればよろしい、残りの分は翌年度に回すのだということは、私は法律自体非常に誤りだと思う。私がこの際はっきり大臣に聞いておきたいと思いますことは、この提案理由の説明の中から、その二の次に云々と書いてあります分を削られることができるかどうか。
  125. 安井謙

    安井国務大臣 門司さんの御説の通り交付税そのものへひもをつけたり、目的をつけるようなことはできないという点は御説の通りでございます。先ほど申し上げましたように、普通交付税の算定基準を変える際の費目の一つになることは間違いございません。そしてその目的というのは、要するに給与改定に一体どのくらいかかるのだという算定をいたします上からそういう数字も出さざるを得ないのじゃなかろうか、こう思いますし、それからもう一つ、それじゃ残りの部分についてはより正確な来年度以降の配分に応ずるために繰り越しをやる、有効にするためにやるという建前をうたいます必要もありまして、この第二段というものは出てきておるのであると思っておる次第でございます。
  126. 門司亮

    ○門司委員 私はその問題で押し問答しようとは考えません。私は、ここに書かれております自治省考え方は、この法律の第三条にまっこうから違反する考え方だと考えております。それに私も間違いないと考えております。そもそもこれに当てはめるには、こういう特定の目的を指示するわけにはいかないのでありますから。要素であることには間違いない。しかしそれを指示するわけにはいかぬ。従ってこの大臣の説明書については、私納得するわけには参りませんし、これはおそらく何人もこれによって納得する人はなかろうと私は考えております。  それからもう一つ重要なことを聞いておきたいと思いますことは、今日の地方財政計画が必ずしも十分でないということは、私は、大臣もあるいは関係の当局もよく知っておると思います。そういうときに、たくさんの金なら別でありますが、百億余りの金を来年度にこれを使うことができるというようなことにされることが、一体どうしてできるのかということを私は非常に疑問に思っております。ところが、その中の一つの、大臣の、これを回される理由一つとして、同じように説明書の中に書いてありますものを読んでみますと、かなり「明年度地方財政は本年度よりも窮屈になることが予想されますので、」と、こう書いてあります。従って、この窮屈になると予想される原因と、その大体の額は一体どのくらいに自治省は想定されておるのか、これを一つこの機会にはっきりしておきたいと思います。
  127. 安井謙

    安井国務大臣 今、来年度に窮屈になると申しますのは、特に来年度から窮屈になるということより、一般に地方行政の水準も上がっていく、あるいは社会保障の問題、あるいは公共事業費の問題等も国の予算の増大に伴ってだんだんふえていく、また、給与改定が固定化されていく、こういう状況から、少なくともことしの規模よりは自動的にふえていくであろうということを想定したわけでございまして、金額につきましてまでまだ申し上げるほどの計算ができておらぬわけでございます。
  128. 門司亮

    ○門司委員 大臣の答弁は一応わかります。給与が平年度六百億よけい要るということも一応の基準になることに間違いない。さらに政府考えております諸般の施設の計画をずっと考えて参りますと、相当額がふえるであろうということはわかる。わかっておりますが、しかし、だからといって本年度の分も来年度に回すということは、将来の地方財政計画に非常に大きな影響を及ぼすのではないかと考えられます。従って、今の総理であります池田さんが大蔵大臣の当時に、地方財政が非常に窮迫をいたしておりましたときに、翌々年度の分、先ほど午前中議論になりました翌々年に当然配分されるものを、約四十億か七十億と私は記憶しておりますが、百億に満たない金でありましたが、それを繰り上げて前年に消費した事実がございます。こういうことを考えて参りますと、私は今の池田さんを信用しないわけではありませんが、池田さんの地方財政に対するものの考え方というものが、その当時、給与関係か何かで当然国が責任を持って補てんしなければならないと考えられておったものを、その翌々年度に当然使用されるものを、——むしろ翌年度になろうかと思いますが、前年度に繰り上げてこれを使った事実があります。私は、こういうことを考えて参りますと、政府のとって参ります地方財政に対する考え方というものについては、実は信用が置けないのであります。従って、もしこういう形で、本年度の二八・五%というものが余ったということによって、これを来年度に繰り越すという措置がとられるとするならば、それだけ来年度地方財政計画に大蔵省の圧力が強くなると私は考える。私は内輪だけだから申し上げておきます。今地方財政を最も多く圧迫しておるのは大蔵省である。私は自治省の今後の仕事、いわゆる従来の長官が大臣になったという一つの大きな目的——どもの期待することは、少なくとも従来のような予算の提案権あるいは説明というようなものが、総理大臣の代理として行われるのだ。自治庁の長官自身にはそういう権限がなかったのだ。いわゆる大臣の格づけの上において、閣議等においても主管大臣としての発言でなくて、担当大臣としての発言である。これは非常に弱かったかもしれない。これを強めることが地方自治体の将来の発展のために非常に有意義であるということが、私は省に昇格をした最大の目的であったと考える。そうだといたしまするならば、自治省がやはり大蔵省に対して十分な発言のできる立場に絶えずいるということが、これから先の地方行政あるいは地方財政の問題についての最大の問題だと私は考える。そういうきわめて重大な初めての段階のときに何もこういうものは単位費用だけを修正しておいて、単位費用の修正というものは配分の方法でありますから、別にむずかしい問題ではございません。しかし、さっき申し上げましたように、平衡交付金のときは、これが平衡交付金を獲得するための一つ基礎になっておりましたから、非常に大事な問題であった。しかし、これが交付税に変わった今日では、この単位費用というのは単なる配分の基礎になる数字にすぎないのであります。その点、私は自治省もよくおわかりだと考える。従来のような積み上げ方式で足りない分だけを国が出すという法律ではないのでありまして、最初からきまっておる数字を配分するのでありますから。そう考えて参りますと、こういう理由があるから単位費用をこういうふうに変えるのだということであれば、それでよろしいのでありますけれども、これだけ余ったからそれを来年度に回す、来年度に回すその理由というのは、来年度予算の編成について、あるいは地方財政計画について窮屈な点があるから、これを補うのだということになれば、私は自治省の性格がわからぬ。これは大蔵省の言い分です。大蔵大臣ならばこういうことは言えるかもしれない。少なくとも日本の今日の自治体の財政状況くらいは大臣はおわかりだと思う。しかも今日、この交付税を受ける団体は三千をこえております。町村が二千八百か二千九百あるはずであります。市は五百五十幾つかある中で、受けてないのは百二十幾つですか、四百幾つというものは交付を受けるのであります。府県の大部分は交付を受けるのであります。それを全体に配分してごらんなさい、一つの自治体幾らになりますか。そういうものまでも、本年度当然配付さるべきものを配付しないで来年度に繰り越すほど地方の自治体の財政は今日豊かではございません。そのことは大臣もおわかりだと思う。大蔵省から出てくるならば、私は承知ができる。あるいは承知しなければならぬかもしれない。しかし、自治省がこういうものを出すということについては、非常に不愉快であります。不愉快というよりも不可解であります。  最後に、この機会にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、大臣は、こういう法案をお出しになるからには、今日の地方財政というものは十分まかなわれておる、今の地方財政でよろしいのだという見解にお立ちになってこういう案をお出しになったかどうか、その点を一つ明確にしておいていただきたいと思います。
  129. 安井謙

    安井国務大臣 門司委員の御指摘の件につきましては、当然議論の分かれる点と申しますか、生ずるところであるということは私ども重々承知をいたしております。ただ数年前の池田大蔵大臣のいろんな処置、当時私も関係いたしておりましたが、そういう点につきましては門司委員と同じような考えを持ったわけでございまして、はなはだ当時も不満でございました。しかし、最近の政府考え方は若干進歩いたしておる。地方行政あるいは地方財政に対するものの見方がだいぶ変わってきておる。また池田総理にいたしましても、大蔵大臣として考えられておったような時代から見ますと、非常に変わった、弾力を持っておられるというふうにわれわれは観測をいたしておるわけでございまして、当時のようなことは今日ではそのまま行なわれる心配は万あるまいと考えるわけでございます。  なおこの繰り越しにつきましては、なるほど御指摘のような問題は多分にあると思いますが、実際問題といたしまして、これをことしじゅうに配付をして、結局都道府県あるいは自治体でもっては——都は入りませんか、もらっても、結局事実上の繰り越しになるということでありますならば、むしろ来年度計算に入れて合理的な配分にした方が能率が上がるのじゃなかろうかという比較検討の上におきまして、その方がより合理的であるという判断に立ちまして、今度はこのような処置にいたしたわけでございます。なおしかし、そんな余すような金があるほど一体地方財政は裕福かというお話になりますと、地方財政そのものは決してまだ裕福でないことは私もよく承知いたしております。まだまだやらなければいかぬ問題がたくさんございます。しかし、これもやはり段階的にある程度見ていく。そうして地方財政自体を合理的に財政計画も立てていくのだという実績を示すことも、半面今後の財政措置をやるために必要じゃないかというような気もいたしまして、そういう点で今日十分であるとは私も決して申しませんが、段階を追って相当ずつ改善されつつあるという現状であり、ことしはもうすでに年度が非常に進んでおりますし、税の増収相当ある年で、大体ことしの事業計画はことしの分としては足りなければ足りないままに行なわれておるというような見地から、こういった処置をとったわけでございます。
  130. 門司亮

    ○門司委員 大臣ばかりではありませんが、政府でよくお考えを願いたいと思いますことは、こういうことです。来年度地方財政予算が非常に膨張するであろうということは私も知っております。しかし、そのことと地方の自治体の自主性というものとの関連性は、私はやはり自治省が考慮すべきであると考えております。来年度計画によって地方の自治体の予算がふえて参りますことは、国家の計画による必然的の、言いかえるならば、義務的経費とも考えられるような面が非常にふえるのであって、地方の自治体の独自の仕事というものはそのことのために非常に後退するであろうということを私は実は心配するのであります。こういうことをどうして自治省考えなかったかということです。従って、この年度内に、たとい百十七億の金でありましてもあるならば、これを地方に配付して、そうして地方の自治体がいわゆる独自の仕事というものをでき得るだけ本年度計画するなり、あるいはこれに手をつけていくということが、私は親切な地方自治体の見方であったと考えるわけです。従って先ほどから申し上げておりますように、大蔵省の言い分ならば、私はそれでよろしいと考えるが、国の考えておる五カ年計画を遂行する、公務員の給与引き上げ、こういうすべての国の施策に基づく地方負担の増加ということが考えられるのであります。このことは否定するわけには参りません。そのことのたばめに地方の自治体の持っております、ほんとうの自治行政の持ち味でなけれならない、住民と密接な関係を持っております諸般の事業というものが、財政の陰に隠れて遂行できないということになりますと、地方自治体の自主性というものが失われてくる。これを失わないようにするには、少なくとも本年度財源があるならば、早くその財源地方の自治体に回してあげて、地方の自治体の態勢を整えていくということが、私は自治省の思いやりであり、また自治省としてとるべき手段だったと考えております。この点は非常に遺憾に存じております。ですからさっきから毒づいておりますが、大蔵省ならわかりますが、自治省としてはわからぬ。大蔵省ならわかります。ことしのうちに予算をとっておかなければ国の考えておる仕事ができないということはわかります。しかし自治省は少なくともサービス省としての性格を持ち、地方自治体の親、という言葉は行き過ぎであるかもしれませんが、行政上、財政したよりにいたしております自治省がこういう姿であっては日本の自治体は助からない、こういうことをぐちのようでありますが私は考えております。だから先ほどから申し上げておるのであります。  もう一つ大臣に申し上げておきたいことは、来年度予算編成が非常に窮屈であるということの原因は、私は今申し上げるようなことだと考えております。それ以外に窮屈なものはないはずであります。これは税収がふえておりますから、そういう国からの押しつけの仕事さえなければ地方財政にゆとりができるわけです。今日の地方の自主性というものは、一割行政とか二割行政とかやかましくいわれておりますが、大臣の方が私よりもよく御経験だと思いますが、日本で一番大きな財源を持ち財政を持っております東京都ですら、東京都知事の裁量によってほんとうの東京都民のためにサービス行政を行なおうとする費用は大体一割あるいは一割五分程度のものとしか考えられないのであります。そういう時期にこういう処置をとられるということは、私はどうかと思いますが、大臣はこの点をもうちょっと考え直される余地はございませんか。このことは直ちに国の財政に影響を持たぬのでありまして、何も国家財政に影響を持たない財政でありますから、今からでも私はおそくないと思いますが、大臣にお考え直しをいただき、そうしてこの案の撤回ができればこの三百何十億というものを直ちに配付していただくことができる。その撤回するという意味は、後段の方を撤回してもらいたいという意味であって、そのことのために当然単位費用改正は必要でありましょう。そういうお考えはできませんか、私は単刀直入にお伺い申し上げておるのです。
  131. 安井謙

    安井国務大臣 だんだんの門司さんのお話、私どももそのお気持につきましては非常にわかる点も多々あるのでございます。ことに自治省が大蔵省的感覚を持って今後地方団体を指導していくといいますか、世話をしていくということであってはならぬ、これも私どもよく心得ておるつもりでございます。ただ先ほどからも申し上げましたように、ことしの処置といたしましては、これだけのものをむしろ来年に合理的に配分した方がより有効であるという観点に立ってやったわけでございますのと、それからできますならば、先ほども御指摘がありましたように、数年前まで、まあ最近までもそうでございますが、大蔵省と自治体側との極端な対立状態でやって参った、しかし向こうも少し譲歩して考え直してこい、こちらもできるだけの合理的な対策は立てていくというふうな案で今後の折衝もあった方がよりベターじゃないかというような考え方も若干ございまして、今度合理的なことをやるのだから、そのかわり自治省側の要求についても十分聞けというふうな出方もできょうか、これは見方でございましょうが、そういう気持もありますので、今回のこの案につきましては曲げて一つこれで御承認をいただきたいと考えておる次第であります。
  132. 門司亮

    ○門司委員 私はもうこれ以上大臣と押し問答はやめます。押し問答していても、今のような大臣の御答弁では仕方がないと思います。実際今日の地方の行財政というものを私ども考えて現地を見て参りますときに、私は非常に大きな誤りがあると思います。こういうことはできない。大臣はもう少し地方の自治体のことを考えてもらいたい。  これは事務当局に聞いておきたいと思いますことは、この二百四十億という数字はどこから出た数字であるかということであります。私がこういうことを聞きますのは、今日の地方自治体の町村の給与というものが非常に低いのであります。これは標準よりもはるかに低いのであります。そこで私は、この二百四十億という数字は今の国家公務員の平均給与に全部の市町村の職員の給与を引き直した二百四十億であるのか、あるいは現行給与の一二・四%をかけたものの二百四十億であるのか、一体どちらであるか、どの基礎でこれを計算されたのか、その点をもう一度聞いておきたい。
  133. 奥野誠亮

    奥野政府委員 現在の地方公務員の三月三十一日現在の職種別、号俸別の構成、これを基礎にして改定されるべき国家公務員の職種別俸給表、これを当てはめてみた場合にどう出てくるか、こういう計算のもとにはじいた数字でございます。
  134. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、実質的には自治体の、ことに町村の給与が非常に低いということは自治省もおわかりだと思いますが、これを国家公務員並みに今度一挙に引き上げることができるのですか。そういうことになりますか。そういうことにならなければおかしいですね。
  135. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今回の増加所要額は、もしその人が国家公務員であれば幾ら昇給になるか。それだけの額を増加所要額としてはじいておるわけでございます。今おっしゃいました問題は、現在の職員の給与をどう持っていくかということでございましょう。昇給額とは別個に、基本をどうするかというお考えを述べておられると思うのであります。地方財政計画上は現実給与額を計算基礎に置いておりませんで、その人が国家公務員であれば本来幾らの給与が支給されるか、こういう理論給与額を基礎にしてはじいて参ってきておるわけであります。総額は、国家公務員であれば支給されるべき額が地方財政計画上に盛られておるわけでございまして、大ざっぱな申し上げ方をすれば、市町村でも、町村の現実給与よりは若干高い給与地方財政計画に盛られておるし、大都市の実際の給与よりは若干低い給与額しか地方財政計画には盛られていない、こういうことになろうかと思うのであります。この額を基礎にしながら、幾ら増加になるかという率は、現実の職員の給与額、それが国家公務員であれば幾らに昇給になるか、それによって幾ら経費が増加してくるか、この率を採用してはじいておるのであります。
  136. 門司亮

    ○門司委員 そこでわからぬのですが、私の聞いておりますのは、自治省もおそらく市町村の給与は非常に低いということは私はおわかりだと思います。個々に当たってごらんなさい。必ずそういうものが出ておりますから。山の奥の村と東京と同じ給与を払ってないことはわかっていることです。この二百四十億の算定の基礎になっておりますものが、今の答弁によりますと、実態と非常にそぐわない形が出てくるのではないかと私は思う。同時にまた、地方の自治体の給与というものは引き上げることが必要なのです。現実規定された公務員の給与より非常に低いということは事実でありますから、それを引き上げなければならぬ。これは私は事実だと思う。こういう問題についてちっとも配慮がされないので、ただ、今のお話のようなことをただ算術的にこれだけのものが必要になってきたからこれだけのものを出すのだということになりますと、基本給与に対する引き上げはちっとも考えられてないということに私は大体なろうかと考えます。そういう給与の関係をそのままにしておいて、百十七億余るからこれを来年度に回すということについても、私は非常に大きな疑問があると思う。やはりこういう財源があるときに、地方の低いところの給与水準を引き上げていく必要がありはしないか。その点がこの中には含まれておらない。ただ算術的に、国家公務員はこれだけふえるからお前の方も計算するとこれだけふえるんだという数字であって、これは理論的な計数であって、実際的な計数に当てはまらぬのだと思いますが、その点を聞いておるのです。実際的の計数に当てはまらない。理論的には一応こういうものが立つかもしれない。これは計算の仕方でありますからそうなる。しかし、実際的なものにはこの数字は私は当てはまらぬと思う。ですから、もう少し数字を明確にして聞いておきたいと思いますのは、一体地方公務員の今日一番安い給与をもらっておる諸君は、これは国家公務員であった場合にはどのくらいの給与水準でよろしいのかということが、自治省に統計があるかないかということであります。統計がございますか、あったら一つここでそれを明確にしておいてもらいたい。
  137. 奥野誠亮

    奥野政府委員 問題は二つあると思うのでありますが、現在の町村の職員の給与額が国家公務員に比して低いからこれを引き上げるべきじゃないか、その財政措置をすべきじゃないか、こういうことだと思うのです。この点は年度当初の地方財政計画の中では、理論給与額を基礎として所要財源をはじいておりますから、そういう手当はしておるのだ、こう答えてよろしいと思うのであります。その次の問題は、給与改定ができるかできないか、こういうことだと思うのであります。これは基礎そのものを上げる問題とは別個の問題だと思うのであります。それは国家公務員に準じて引き上げることが可能なような計算をしております、こう申し上げておるわけであります。第三に給与が低いか高いか、そういうことを知る数字を持っているか持っていないかということでございますが、地方財政計画は、国家公務員であれば幾らの給与を受けるはずであったかという基礎数字、いわゆる理論給与基礎にしてはじいておるわけでありまして、理論給与を出す場合には、現実地方公務員について給与額を当たっておるわけでありますから、一応そういう数字は持っておるわけであります。従って、どういう団体給与国家公務員に比べてどうであるかということはわかっておるわけでありまして、ただ総体的に申し上げまして、市町村といいましても、町村は低い、大都市方面はむしろ高い、こういう現状になっておるわけであります。
  138. 門司亮

    ○門司委員 その点がどうもはっきりしないのですが、大都市の高いということはわかっておる、市町村の安いこともわかっておる。だからその安いのを引き上げる、いわゆる一定のレベルまで引き上げるのにどれだけの財源が必要なのか。それがこの中に含まれておるのかどうかということであります。この数字というのは、おそらく人事院勧告に基づく一つの基準のベースを当てはめた数字だと思う。いわゆる理論的の数字だと考える。実際的の数字ではないと思う。実際的にこの二百四十億の手当でそこまで引き上げることができるかどうか、低いところをここまで引き上げることができるかどうかということ、これがやはり今日の給与を議論する場合に一つの問題になろうと思うのであります。国家公務員の場合はいい。しかし、地方の自治体の場合は現実見てごらんなさい。国家公務員であれば相当の二万円なり三万円なりの数字でなければならないものが、まだ一万円台のものがたくさんおりますよ。町村に行ってごらんなさい。そういう問題について、一体これで町村のそういう低い人たちが上げられるかどうかということであります。理論的にではなく、実際的にそれが引き上げられるかどうか。それが、もしできるという御答弁ができるならばできるという答弁をして下さい。できないならできないということを。
  139. 奥野誠亮

    奥野政府委員 このたびの措置は、給料表を改めるというために必要な財源措置だけのことでございます。それ以上のことは今回の案には盛られておりません。
  140. 門司亮

    ○門司委員 そういうことになりますと、あとに問題を残しておきたいと思いますが、最後に私はもう一度大臣にはっきり聞いておきたいと思いますことは、御承知のように地方財政の最も大きな問題の一つとして考えられております交付税法交付率に対する問題であります。これが地方団体から非常にやかましいことを言われておりまして、そうして今の百分の二八・五でありますか、これにもいろいろ議論がございまして、厳密に言えば二八・二であって、二はまごまごしておると来年度は削られるかもしれない。これは特別法律で加えておりますから、従って地方の自治体の要求としては、この交付税をふやしてもらいたいという要求の強いことは御承知の通りであります。ところが今日この二八・五でもこういうふうに財源が余るのだという措置がとられて参りますると、地方の自治体の要望しております交付税の税率の増額ということについては非常に大きな打撃を受けるのではないか。これは大蔵省との間で非常にやかましいような問題があろうかと思う。従ってで交付税交付しております率、いわゆる三税の二八・五%という数字が大臣としてはやはり正しいのだ、これを増額する必要があるかないかというお考えがおありになるかどうか。
  141. 安井謙

    安井国務大臣 交付税率についてのお尋ねでございまして、今の門司委員のおっしゃる二八・五が実質が二八・二とおっしゃるお話は、これはそうではなくして二八・五プラス臨時の〇・三が入っておる。事実上は二八・八だということでございますが、それはそれといたしまして、交付税率が一体どの程度でよいのだという問題は非常にむずかしい問題でもあろうかと思います。全体の割合を占めるものが三割にもなって、一体国の財政地方財政とにらみ合わして、いいものかどうかといった議論は当然起こってくるわけであります。しかし同時にこれは地方財政の状況ともにらみ合わせまして、必要によってはまた変えなければならぬと思われる場合も出てこようかと思いますが、他の補助金の問題そのいろいろと計算し合わせてみませんと、今ここでこれでよろしいとかいかぬとかいうことを申し上げる段階にはまだいってないと思っております。
  142. 門司亮

    ○門司委員 大臣としてはおそらくその程度の答弁しか今日の段階では困難であろうかと考えます。しかし先ほどから申し上げておりますように、地方財政の問題については、ことに大蔵省の認識が非常に不足でありまして、そしてこれに対する考え方を是正していこうとするには、やはり自治省自身がもう少しはっきりした見解をぜひ持ってもらいたい。先ほどから申し上げておりますように、その見解が非常に薄れてきておるところに私はこの法案に対する最大の不満があると思います。  交付税率をふやしていくということはどういうことにお考えをお持ちになっておるかということを聞きましたものの一つとして私が考えておりまするのは、地方の自治体が来年度以降行ないます、いわゆる政府の発表いたしておりまする、たとえば財政投融資の問題等にしても、港湾であるとか、道路であるとか、あるいは橋梁とかいうところにたくさんのウエートが置かれているようでありますが、そうすると、これに伴う地方財政の負担というものは非常に大きなものが出て参ります。従ってこれらの事業、あるいは教育の問題につきましても、来年度から二、三年間というものは中学の生徒はかなりふえるであろうと考えられます。これらの経費につきましても、これは地方自治体の固有の事務を遂行するものであることに間違いはございませんけれども、しかし一面国の責任であることもまた間違いはない。こういう国の事業計画とマッチして、地方がこれを遂行していこうとするには、やはりどうしても地方財源というものについての考え方も十分に持たなければならない。そういう議論をいたして参りました場合に出てくる問題は、この財政の委譲の問題であります。私どもは、端的に言うならばこういう交付税なんというものはやめたいと考えております。こういう不安定な財源でなくて、地方の自治体は十分なる自主財源を持つべきだと思います。これは私は当然だと思います。従って、この交付率はできるだけ少なくしていくことが私は順序だと思います。しかし今日の日本の現状を見て参りますと、地方が自主的に行なう仕事でなく、国からの押しつけの仕事、いわゆる義務的経費というものが年々ふえて参っておるのであります。それに対処していくためには、やはり国が当然これを補うだけの費用というものは持つべきであります。ということを考えて参りますと、交付税というものを相当ふやしていかなければならないという議論は、私は現在の段階では成り立つと思います。従ってこの理由書の中に書いてありますように、またここで大臣がお話しになりましたように、われわれも考えておりますように、来年度地方財政計画では、かなりそうした国の施策に基づくものが原因として、窮屈さが出てくるであろうということは考えられると思うのであります。従ってこの際、私は当然自治省考え方としては、やはり交付税交付税率を増額すべきであるということが一応の基本方針としては出されるべきではないかというように考えておりますが、この点についてどうお考えになっておりますか。  それからついでだからもう一つ一緒に聞いておきますが、さっきでお話しの例の〇・三でありまするか、本年度の特別の措置をいたしましたものは、当然これを国の二八・五にもう〇・三を加えるべきだと考えておりまするが、これの法律改正はされる御意思はございますか。これはあの法律ができたときのいきさつから申しますと、いろいろな経緯がございますが、私はこれを最小限度でも平年度化すべきだ、いわゆるこの法律に織り込むべきだと考えておりますが、その辺の具体的なものを一つ聞いておきたいと思います。
  143. 安井謙

    安井国務大臣 今の税率の問題でございますが、基本的にはわれわれも税率が高いほど地方財政にとってやりいいことは間違いないのであります。しかし、これも今の国の財政あるいは主要三税との関係の占める割合という点につきましては、なかなかまだ問題も起きると思いますので、せっかく検討いたしたいと思っております。ことに義務的経費がふえますことも事実でございますが、その点につきまして補助率のかさ上げとか、あるいは起債の問題、それから増収の問題、そういったものを総合的に考えて今後の判断にしたいと思っておるわけであります。  なお〇・三の臨時の分につきましては、実は私個人としましては、昨年これをやります際に二八・八にしろというように強い主張をいたしておったわけでございますが、現実では八にするより何より、あの金をぶんどること自体が非常にやっかいな問題であったわけであります。現実にはああいった臨時措置という名前を課す妥協になっておるわけであります。理想から申しますれば、二八・八というふうに持っていくように、今後もできるだけ私どもは努力をいたしたいと思っておる次第であります。
  144. 門司亮

    ○門司委員 どうも努力をいたしたいというお考えで、それを追及する意思は私は今のところございません。しかし、少なくとも問題になりますのは、〇・三を特別措置をしてことしはとった。ところが財源の上ではこういう余りが出てきているではないか——私は余りとは申しませんが、自治省措置は、来年度に回すのですから余剰になっている。そういうことになりますと、今の大臣のお考えも、お考えとしてはそうではございましょうが、実際は実現できないのじゃないでしょうか。もうそういう特別の措置をしなくてもよろしいのだというようなことになり、明らかに大蔵省に言質を与えるものだと思う。私はそのことを心配するのであります。  だからこの法案自身を見て参りますと、今申し上げましたように幾つかの大きな疑問を実は持っておるのであります。どう考えても、この法案というものは自治省の案ではない。大蔵省から非常に強くしいられて無理にこしらえた案ではないかとさえ勘ぐらざるを得ないと思うのでございます。だからこれは質問ではございませんが、これ以上私ここで追及してもしようがないから聞きませんが、大臣はもう少し強くなってもらいたい。そうでなければ地方自治体は助かりません。〇・三の問題も大蔵省と折衝される場合非常に困難だろうと思います。こういう法案を出されますならば、私の方では二八・五でいいと考えておったのだ、お前たちの方で八にしろと言うから〇・三だけを加えてきたのだが、実際は百十七億も余ったんじゃないかということになりますと、どうなるのですか。せっかく今までお互いが、ことに今の大臣は〇・三をふやすことのために尽力されている。そうしたことが大蔵省に逆に利用されるような結果になりはしないかということを非常に憂うるのである。そういう点で特にこの法案の扱いと今の大臣のお考えとは非常に大きな矛盾があると思います。再考慮願いたいと思います。  それから事務当局にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、さっきからの質問の内容を聞いてみますると、特交の方に三百幾らですか、回すのだというお話でございます。そういうことが現実にできますか、特交の方に回す分は、今度の新たに加えられた三百五十七億ですかの百分の六を加えるということになる。そうして差し引いた残りのものが来年度に回されるのだということになる。こういう答弁のように私は聞いたのですが、現実にそういうことができますか。この法案の建前上、特交だけは本年度に使える、しかし現実は来年度に繰り越すということになりますと、そこにはもうすでに交付税の性格というものがある程度失われていくような気がするのですが、この財政措置としてはそういうことができるというお考えだけであって、私は当然来年度に繰り越す分の百十七億というものは、来年度交付金、交付税の中に含めるべき数字であると考える。そうだといたしますならば、来年度の分も百分の六の中に入れられるということは、これは容易に考えられる。本年度三百五十七億でありますか、この百分の六は本年度特交に加えられることになると、実におかしなもののような気がするのですが、よろしゅうございますか。事務当局でけっこうです。
  145. 奥野誠亮

    奥野政府委員 交付税法の第六条の二に「毎年度分として交付すべき普通交付税総額は、前条第二項の額の百分の九十四に相当する額とする。」同時に、「毎年度分として交付すべき特別交付税総額は、前条第二項の額の百分の六に相当する額とする。」と書いあるわけでありまして、一応この法律にうたっておりますように、六条の二項で三十五年度交付税なんだが、まだ交付していなかったから、その部分だけは翌年度へ送るんだ、特別会計法にも送ることができると書いてあるものですから、そういう意味総額を一応三十五年度分の交付税なんだ、こういう建前をとっておるわけであります。そうしますと、一応総額の百分の六が特別交付税になり、九十四が普通交付税になるのですけれども普通交付税としては財源不足額を完全に補てんして残りが出てくるわけであります。残りが出てくるのだが、その場合には、自動的に特別交付税に入ると書いてあります。しかし自動的に特別交付税に入るものがあっても、交付するのは総額を二百四十億にとどめてしまうわけでありますから、あとは三十六年度に送るんだ、こうしておるのであります。
  146. 門司亮

    ○門司委員 その点、私は今の説明だけではわからぬのですが、そうなりますと、来年度交付税はどうなるのですか。交付税の中に特別にこれだけのものを加えるという法律ができておりますから、この法律が生きておるとすれば、そのまま来年度に移行されて、百十七億という金が交付税の中に交付されるということだけで済まされる。従って、この百十七億というのは来年度交付税の性格を持たない財政処置というように考えてよろしいのですか。交付税の性格を持たないとすれば、ここで百分の六を本年度の特交に加えるということになると、少し問題がおかしいような気がするのですが、財政処置として考えてよろしいのか、あるいは交付税として考えてよろしいのか、どっちなんですか。
  147. 奥野誠亮

    奥野政府委員 三百五十七億、一応三十五年度分の交付税総額でございます。これを加えまして再計算いたしましても、基準財政需要額の増加額との関係もないわけではありませんが、とにかく財源不足額を完全に埋めまして相当額が余って参ります。その余った額は、六条の三で自動的に特別交付税交付されることになりますが、それを交付しないで翌年度に送るわけであります。送ったものは、当然三十六年度分になるわけでありまして、第六条の二項で三十六年度分の交付税総額は、前年度でまだ交付されていないものも加えた額、こう書いてありますから、送られたものは、当然に三十六年度分の交付税になって参るわけであります。
  148. 門司亮

    ○門司委員 そういう説明を聞いて参りますと、非常にこまかい問題が出てくる。交付税が入ったからだという。いわゆる財源を十分補てんしてそうして余ったからだ、こうおっしゃる。その考え方は一体どこからくるのですか。私は冒頭に大臣に申し上げましたように、最初の問題になりますが、例の地方財政平衡交付金のときは、そういう理屈は一応言えたと思います。これは積み上げ方式でありましたから、足らない部分は補てんするのが法律の実際の建前ですから、そのまま一応そういう建前をとっておったわけです。従って地方の自治体から積み上げてきたものがこれだけあれば補てんして、あとは余ったということは言えたと思います。しかし今日の場合は、総額においてきめておる。そしてこれをいかに配分するかということなんです。しかし私は、政府当局がそういう答弁をされるならば、もう一度聞いておきたいと思いますが、地方の自治体が政府から示した従前の——私は従前の問題でもよろしいと思いますが、従前の算定基準額によって算出した額と政府の算定した額との相違があるでしょう。これはないとは言わせません。必ずあります。その相違をここで明らかにしてもらいたい。あなた方の法律で示した算定基準に基づいて地方が算定して自治省に報告した数字と、自治省が二八・八に合わせた数字との間には必ず開きがあるはずだと思います。もしその開きがあったとすれば、どれだけ開きがあったか、その数字一つ明らかにしていただきたい。
  149. 奥野誠亮

    奥野政府委員 三十五年度分の普通交付税の決定を八月に行なっておりますが、その場合に財源不足額を完全に埋め切れなかった額が三十七億円でございます。それを今度の増加額で埋めたい、こう考えております。
  150. 門司亮

    ○門司委員 私は、政府のいうこの税法に基づいての財源を埋めたということは言えないと思います。今度のこの査定の方法については、これは逆算してありますから、大体あなた方は、地方自治体が狂わないように、合うように勘定しておられるでしょう。しかし地方の自治体としては、これに基づいて計算してみましても、やはりまだ不十分なものがありはしないかということが考えられるのと、もう一つは、この法律自体というものが、何度も申し上げておりますように、財政基準に基づく積み上げた数字によらないで総体の額をきめたというところに、もう少し自治省考えを及ぼすべきではないか。これを二十八コンマ幾ら、あるいは三十コンマにしなければならぬという数字基礎を出して参りましたことは、それだけ地方財政に援助してやらなければ地方自治体の財政運営が困難であるというところにこの数字が大体出てきているわけであります。従って、この地方交付税につきましては、これを全額その年度地方の自治体に交付するというのが、この税法の建前でしょう。これ以外に建前はないわけでしょう。前の地方財政平衡交付金のような場合には、今のような理屈は言えると思います。またこういう法律案を提案することもできると思います。第二段のような考え方も言えると思います。しかし、実際はそうではないでしょう。この法律を最初からしまいまでずっと読んでごらんなさい、何と書いてありますか。運営の基本方針と書いてあるところと、同時にこの一条の目的のところに書いてある考え方、その中の後段の方に書いてあるというよりも、むしろ全文を読んだ方が私はいいかと思いますが、「この法律は、地方団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能をそこなわずに、その財源の均衡化を図り、及び地方交付税交付の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障することによって、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする。」こう書いてあります。ここで法律地方自治体の計画的の運営を保障するということが一つと、もう一つは、事務を処理して行政の執行の権能をそこなわぬようにするということに大体一条の目的がしぼられております。そう考えて参りますと、この法律の趣旨というのは、あくまでもこの法律にきめられた額というものは、地方の自治体にやはりその当該年度にこれを配付するということが建前でなければならぬと思う。そういうことをこの法律は、どう考えてみても指示しておるものとしか考えられない。ところが、政府の行き方はそうではなしに、先ほど申し上げましたように、池田さんが大蔵大臣のときに、地方財政を食ったわけではないのだ、ただ来年度に配付するものを繰り上げてことし使うだけで、地方財政のワクの中のものを早く使うか、来年使うか、ことし使うかということだけで、決してきずをつけてはおりませんというようなことを答弁されております。今度は逆であって、ことし使うものを来年使うからきずつけたものではないという答弁をされると思いますが、しかし、法律自身はそうなっておらない。法律自身は、あくまでもこの年度にやはり消化し、これを配付すべきものであるということは、この目的の問題と運営の基本という一条と三条の条文を見てもらいますれば、十分におわかりになると思います。従って、つけ加えて申し上げておきますが、三条の三項に「地方団体は、その行政について、合理的、且つ、妥当な水準を維持するように努め、少くとも法律又はこれに基く政令により義務づけられた規模と内容とを備えるようにしなければならない。」こう書いてあります。このことは、明らかにやはり当該年度に対する配付を完了するものであるということがこの法律の趣旨であることは、何度繰り返して読んでみても私は間違いないと考えておる。ところが今申し上げましたように、下からの積み上げ方式の問題がある。三十七億足りなかった。それを今度は埋めるんだとおっしゃる。それをさかのぼって議論をいたしますと、もしこういう処置がとられなかったら、この三十七億はどうするのだ。切り捨てられたのでしょう。埋める処置はできなかったでしょう。今度幸いにしてこういうものが出てきたからそれが埋められる。ここに法律の趣旨のあいまいさがある。平衡交付金と交付税のあいのこみたいなものが出てきたから問題が出てくる。地方の積み上げてきたものを切り捨てるとか、余ったときには来年度に送るというようなものの考え方は、この際取り下げた方がよろしい。そして前段だけにこれをしぼってもらいたい。これ以上申し上げませんが、最後に、この百十七億を来年度に繰り越すということはやめてもらいたい。それに基づいてもう一度この単位費用の算定の基準というものを一つ直してもらいたい。と申し上げますのは、この算定の基準というものは必ずしも正しいものではございません。これは逆算した数字でございます。地方の自治体はこれでよろしいとは言っていないのであります。それでよろしいと言っているならば、地方の自治体が今のように財政上窮屈な状態じゃないと思う。どうですか、大臣。くどくは申し上げませんが、前段の単位費用を修正するということだけで、そして百十七億を加算した全額をこの際地方に出すということは理論上私は成り立つと思います。この三百五十七億ですか、その中から特交だけを差し引いて、残りのものを次に送る。そして送ったものについては来年度交付税の額にこれを加えるということになると、また問題が起こると思う。百分の六を流用させたことになってしまう。こういう数字が出てくる。私はその辺の数字のつじつまがどうしても合わぬと思うのですよ。ことしこれを差し引いておいて、そしてこの百十七億を来年度に延ばす。そうして特別に財政処置をするのかというと、そうじゃない。交付税の中に入れるのだということになると、また交付税の中から来年度百分の六を差し引かなければならない。百十七億に関しては二度百分の六を差し引くことになりはしませんか。これは数字的な問題として事務当局のお考えでよろしゅうございますが、前段は、どうしてもこの際この法律を通されようとするならば、基準財政需要額の基準単価だけを改正することにとどめていただいて、そして全額を出していただくことが妥当だと考えておりますが、これは大臣の答弁は私は同じだと思いますが、もう一度念を押しておきたいと思います。
  151. 安井謙

    安井国務大臣 門司委員のだんだんの御議論まことに傾聴すべきものがあると正直考えております。しかし、さらに来年度とことしと組み合わせて、より合理的に交付税の配分をいたすには、今提案して御審議を願っておるやり方の方がベターであるというふうに私ども判断をいたしてお願いしておる次第でございます。
  152. 奥野誠亮

    奥野政府委員 来年度に繰り越される百十七億円から二度特別交付税の部分が差し引かれるのじゃないかという御質問があったわけであります。そうじゃございませんで、もし百十七億円を送りませんと、百十七億円の全額が特別交付税になるわけであります。来年度に送ることによって大部分が普通交付税にかわっていく、かように考えておるわけでございます。
  153. 門司亮

    ○門司委員 私はそんなことを聞いているのではない。それはわかっている。大体百十七億自身がおかしい。これは本年度普通の交付税として配付されるべき筋合いのものだ。君らが勝手に百十七億というものをこしらえている。だからこの法律が必要になる。ただこの六法全書に書いてある通りなら、この法律は要らないのだよ、もし要るとすれば前段だけでよろしい。基準の単価だけを取りかえればよろしいのだ。だから私はそのことを何度も大臣に申し上げているように、前段だけの方が正しいのだ、基準費用だけを取りかえればよろしいのだ、そうして百十七億というものを来年度に送らぬ方がよろしいのだ、本年度これを普通交付税として全額出しなさいというのが私の考え方だ。それをあなた方が勝手にきめるというところに問題が起こるのだ、今年なぜできないのでしょう。余るというのはどこから余るのだ、この法律をこしらえるから余るのだ、この単価を技術的に少しいじってごらんなさい、どんなものができ上るか。自治省がそういう議論をなさるなら、私はもう少し議論をしていった方がよろしいと思うのですが、この基準単価の問題について、算定の基礎となるべき数字一つ明確にお示しを願いたい。  まず第一の警察費の警察職員数について、ここに書いてある増額は一体何を基準としておるか、あるいは道路費についても、一体何を基礎にしてこれだけの費用を上げようとするのか、明確に御答弁願いたい。そうでないと私は一々この数字が的確であるかどうか議論をしなければなりません。その議論をあなた方はされていないでしょう。本年度配付する額が大体きまるから、その額から逆算したものがこの数字でしょう。それに間違いないでしょう。もしそうでないとするならば、その算定の基礎を明確に一つずつ知らせてもらいたい。これは将来の基準財政単位費用をきめるのに非常に大きな参考になろうと思いますから、この際どうしてこういうものが必要なのか、たとえば道路の面積については、一平方メートルについてこういう数字がどこから割り出せば出てくるのか、道路の延長について、こういうものが書いてあるが、どこから割り出せばこういう数字が必要になってくるか、橋梁費についても、一体こういうものがどうして必要になってくるか、この算定の基礎になったものがもし自治省数字があるなら出してもらいたい。ことに林野行政の費用というものはわかる道理がない。これ自身がきわめてあいまい不確実でしょう。私はこまかいことで文句を言いたくありませんが、この林野行政について何が書いてあるか、「一町歩につき」と書いてある。今ごろ政府の用語で一町歩ということが許されますか。なぜヘクタールと書いてないかおかしいでしょう。私はこういうこまかい議論をしたくないが、しかし、今のようにこれで足りているのだというならば、どこから割り出された数字か、われわれの納得のいく数字をここに示して下さい。それがない限り、この審議をする必要は私はないと思います。あなた方の方で今年の給与費は二百四十億しか要らないのだ、あとは余っているのだという考え方に立つからこういう数字が出てくる。その二百四十億の数字に合わせて基準単価をきめるから、こういう数字が出てきたのだ。私はそれに間違いないと思う。だから、今のような事務当局の答弁なら、私どもの納得のいく数字一つここにぜひ出してもらいたい。きょうあすのうちにそれができますか。これはだれがどうお考えになっても逆算した数字であることに間違いがないのだ。こういうこまかいわけのわからぬ議論をしたくないのでありますが、あなた方の方でこれでよろしいのだという断定を下されているところに私は問題があると思う。よろしいのだという断定を下されるなら、その数字を明らかにしてもらいたい。それでなければ大臣、気の毒だけれどもこの審議を待ってもらいたい。それとも私、今すぐ聞きましょうか。どういう数字でこういうものが出てくるのか。お答えができるなら一つ答えていただきたい。この中に書いてある最もめんどうな問題だと考えられるものの一つに港湾のところの問題がある。一ページに「昭和三十五年度分の地方交付税特例に関する法律案参照条文」と書いてある書類の二ページに書いてあります。いわゆる港湾費というのがある。この中で、「港湾(漁港を含む。)における外かく施設の延長」と書いてある、この「外かく施設」とは何をさすのですか。何がこの「外かく施設」です。こういうことがおわかりになりますか。土木専門にやらなければわからぬはずです。
  154. 奥野誠亮

    奥野政府委員 門司さんのお考え方と私ども考え方あるいは理解の仕方とに若干食い違いがあったようであります。一応、地方行政の水準をどの程度に考えて、それに必要な財源を各地方団体にどの程度まで確保していくか、こういうことでこの単位費用がきまっているわけであります。三十五年度における全地方団体について国が保障していく財源のめどをどこに置くかということについては、さきの通常国会において御審議をいただき、すでに確定を見ているわけであります。その確定を見ている線まで十分保障し切っていないじゃないか、それはどうするかというお話があり、その差額は三十七億円ございますから、それは埋めますと申し上げているわけであります。その後にいろいろな事情の変化がありますれば、これは当然単位費用改定を行なうべきでありましょう。その場合に給与問題が地方財政に大きく影響してくるわけでございますので、これは今回引き上げることにしているわけであります。この引き上げる場合にも、さきの通常国会において御審議をいただきましたように、標準団体なり標準施設なりにおきましてどの程度の職員を予想すべきであるかということで、それぞれについて一応あるべき姿を推定してのことではございますが、その基礎国会に明確に資料を提出いたしまして、御審議をいただいたわけでございます。しかしながら、その単価に変更を加えなければなりませんので、今回の改正になって参っているわけでございます。  幸いにして今回の補正予算によって相当交付税増額を見たわけであります。交付税増額を見たから、妥当な行政水準が低いからすぐ単位費用引き上げる、これはことしだけのことならそれでもいいのかもしれません。しかしながら、地方交付税制度というものは、金があれば水準を引き上げるし、金がなければ水準が下がったままでいいのだというわけのものではないのでありまして、恒久的に地方行政の水準をどう考え、幾ばくの財源を各団体について保障していかなければならないか、こういう性格のものだと思うのであります。従いまして、不幸にして財源が非常に少なくなってきた場合には、どうしてもこの交付税総額をもってしては財源不足額を埋め切れないという場合には、それは制度改正を行なうべきだと思うのでありまして、地方交付税法の中にはその趣旨を明確に書いているわけであります。  私たちは、地方財政平衡交付制度地方交付税制度との間には本質的には差がないと思っております。総額を積み上げ方式でやるか、あれは単年度ごとに行なわれておる、従って長期的に一応めどを置いておくかだけの違いではなかろうかと思っているわけであります。その趣旨が第三条の第一項に、「衡平にその超過額を補てんすることを目途として交付しなければならない。」要するに財源不足額を埋めていくのだ、この精神を明確にしているわけであります。同時にまた、六条の三の二項をもちまして、「毎年度分として交付すべき普通交付税総額が引き続き第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」こううたっているわけであります。私たちは、恒久的に国がどこまで地方団体財源を保障していくべきかということを頭に置きながらこの単位費用をきめていくべきであり、それが長期にわたって不足を来たすような場合には制度改正するのだ、ここまでこの法律考え方を明確にしておるわけであります。  ただ私は、門司さんのお話しになりました内容が、単位をもっと引き上げれば埋められるじゃないか、普通交付税で配分できるじゃないか、こういう趣旨でおっしゃっておることを、そうは理解しておりませんで、ただ、このままでいけば計算上余ったものが特別交付税に入ってしまう、それでことし配ってしまえばいいじゃないか、こう御議論なさっていると思っておったわけであります。だんだん伺って参りますと、現在の行政水準が低いんだから、そのことも織り込んで単位費用を上げるべきだと御議論なさっておったようでございます。それは御議論としてもっともなことだと思います。ただ政府としては、やはり毎年度々々々、年度当初において地方財政計画も立て、恒久的に、どこまで財源を保障していけるかという一つの将来にわたる目安を置いて立法していかなければなりませんし、年度の中途に金が若干ふえてきたから、それだけで、その年度だけ単位費用引き上げるということは、この制度の本質をゆがめることにもなるかと思いますので、そういう問題は、来年度の当初の地方財政計画において十分考慮し、そうして地方交付税法の全般的な改正を行ないたい、こう考えておるということを申し上げて参ってきておるわけであります。門司さんのお話を若干誤解をしておったようでありますが、今申し上げたような考え方でおりますことをつけ加えさせていただきます。
  155. 門司亮

    ○門司委員 今の御答弁で一応わかりましたが、来年度取りかえる、いわゆる改正するということですが、それはそれでよろしいと思います。この法律特例法でしょう。何も現行法を変えるわけじゃないのでしょう。だから私は今の奥野君の答弁の中にその辺の矛盾があると思う。これは特例法ですからね、特例法でやれるのだ。取りかえる必要はない。現行法を取りかえるというならあれだが、特例法だから変えられるはずだと思う。現行法を取りかえろと言っておるのじゃない。特例法でなければなかなかむずかしい問題ですよ。ずっと将来にわたってある程度見通しをつけて単位費用をこしらえるということになると、私は先ほどから議論を申し上げておりますが、かなり議論のあるところだと思います。しかしこれは特例法ですから、何も単位費用を取りかえるのはわけはない。わけはないと言うと怒られるかもしれないが、あなたの方では大へんだと言うかもしれないが、しかしむずかしいはずはないと思う。そうして、やはり一般の交付税として配付すべきである。  それからもう一つ誤解があってはならないと思いますが、地方交付税法のできた推移と日本の地方財政に対する国の援助計画、援助を実施してきた歴史というものを一つ考えてごらんなさい。明治時代からずっとこの問題はつながっておる問題です。そうして最後に、御承知のように、戦争前あるいは戦争直後に行なわれた地方財政の調整という文字を使った法律を直して、シャウプ勧告に基づいて平衡交付制度に直したのだが、その平衡交付制度に直したときも、私どもとしてはかなり大きな議論があった。そういうことは実際としてできない、そうするなら会計年度を取りかえなければならない、積み上げ方式でいくなら会計年度を取りかえなければそういうことはできないのだ、少なくとも国の予算でそれを本年度に配付するというようなことは積み上げ方式では無理だということは、たしかその当時から議論されておったはずである。これは当局も知っておるはずだ。ところが、さてそれをやってきたが、なかなかうまくいかない。どうしても積み上げ方式というものは形式だけになる。従って、また昔の調整法の形に戻って、総額を先にきめて、その総額の中でこれをいかに配分するかということに直した。その直したときの一つの算定の方法として、前の平衡交付制度でやったときの方法を使っただけのことで、折衷されたものであります。だから、すっきりしたものでないことはだれでもわかっておる。もしこの法案で、今の局長の言うようなことで正しいものだと解釈するなら、これは私は非常に大きな問題になろうと存じます。大改革をしなければ、この法律はなかなかむずかしい。将来の見通しその他をつけて、地方財政計画計画的に、五年度なり十年度なりのうちにすべての地方財政の完璧を期する、あるいは地方の行政の完璧を期することを一応の目安にして単位費用をきめて、その単位費用については国が責任を持ってどこまでもこれは推進するという形をとっていくという形がこの中に盛り込まれなければならない。ところがそれをやらない。年々これは変わっております。単位費用というのは毎年変えているでしょう。変えなければ配付ができないでしょう、総額が先にきまって参りますから。こういうあいまい性格を持っておる。だから、そういうふうに、あなた方のようにはっきりこれを言い切って、そうして、こうなっておるから、これだけ余っておるからこれだけは先に残すのだというような概念を変えてもらいたいということをさっきから私は申し上げておるのです。前段だけを変えて、いわゆる配付の基準の数字だけを取りかえれば、全額これで配付できるはずだと考えておる。またそうしなければならないと考えておる。そうしておかないと、さっきから申し上げておりますように、来年度地方財政計画を立てる場合に、大蔵省との関係が一つ出てくるということですね。本年度、幸いにして〇・三をふやしておる。これも来年度は、大臣の気持はこれをこの本文の中に繰り入れたいという気持がありましても、大蔵省は財政が余ったじゃないか、〇・三は削るべきだということで、向こうに——向こうという言葉を使うと悪いのでありますが、これは大蔵省に言質を与える。従って、この法律に対しては、特にそういうことを頭に置いてこの法律を見ないと、将来の地方財政計画に大きな影響を持つものであるということを心配するから、そういうことを申し上げる。  それでは最後に大臣に聞いておきますが、こういう法律をこしらえて来年度地方財政計画について絶対心配ございませんか。
  156. 安井謙

    安井国務大臣 今お話しの、せっかく財源があるのだからこの際上げて、特例だから直した方がいいのじゃないか、このお考えもやり方としては非常にごもっともな御発言だと思うのであります。しかし、この考え方でございますが、給与の問題にいたしましても、これは徐々に地方と中央あるいは地方同士のアンバランスは直していくのでございませんと、中央、地方事情にもよって現在違っておる面も多かろうと思います。その方面につきましては自治省としましても、行政指導により徐々に毎年々々直していくような方向でこれをやっておるわけでございます。この際一挙にそういう形で直していきますことは、また地方の影響についても、一概にそれが絶対よろしいとも言えまいかという感じがして、今度は機械的な計算による分だけにとどめたわけでございます。それから〇・三ということになりますと、これは〇・三じゃないんだという解釈になっておりますが、その実質分につきましては、われわれはことし限りのものであるという解釈は絶対とっておりません。これは来年も引き継がれるものという確信を持っている次第でございます。
  157. 濱田幸雄

    濱田委員長 次会は明十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとして、本日はこれにて散会いたします。     午後三時十二分散会