○門司
委員 私は、
政府のいうこの税法に基づいての
財源を埋めたということは言えないと思います。今度のこの査定の方法については、これは逆算してありますから、大体あなた方は、
地方自治体が狂わないように、合うように勘定しておられるでしょう。しかし
地方の自治体としては、これに基づいて
計算してみましても、やはりまだ不十分なものがありはしないかということが
考えられるのと、もう
一つは、この
法律自体というものが、何度も申し上げておりますように、
財政基準に基づく積み上げた
数字によらないで総体の額をきめたというところに、もう少し
自治省は
考えを及ぼすべきではないか。これを二十八コンマ幾ら、あるいは三十コンマにしなければならぬという
数字の
基礎を出して参りましたことは、それだけ
地方財政に援助してやらなければ
地方自治体の
財政運営が困難であるというところにこの
数字が大体出てきているわけであります。従って、この
地方交付税につきましては、これを全額その
年度に
地方の自治体に
交付するというのが、この税法の
建前でしょう。これ以外に
建前はないわけでしょう。前の
地方財政平衡
交付金のような場合には、今のような理屈は言えると思います。またこういう
法律案を提案することもできると思います。第二段のような
考え方も言えると思います。しかし、実際はそうではないでしょう。この
法律を最初からしまいまでずっと読んでごらんなさい、何と書いてありますか。運営の基本方針と書いてあるところと、同時にこの一条の目的のところに書いてある
考え方、その中の後段の方に書いてあるというよりも、むしろ全文を読んだ方が私はいいかと思いますが、「この
法律は、
地方団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能をそこなわずに、その
財源の均衡化を図り、及び
地方交付税の
交付の基準の設定を通じて
地方行政の
計画的な運営を保障することによって、
地方自治の本旨の実現に資するとともに、
地方団体の独立性を強化することを目的とする。」こう書いてあります。ここで
法律が
地方自治体の
計画的の運営を保障するということが
一つと、もう
一つは、事務を処理して行政の執行の権能をそこなわぬようにするということに大体一条の目的がしぼられております。そう
考えて参りますと、この
法律の趣旨というのは、あくまでもこの
法律にきめられた額というものは、
地方の自治体にやはりその当該
年度にこれを配付するということが
建前でなければならぬと思う。そういうことをこの
法律は、どう
考えてみても指示しておるものとしか
考えられない。ところが、
政府の行き方はそうではなしに、先ほど申し上げましたように、池田さんが大蔵大臣のときに、
地方財政を食ったわけではないのだ、ただ来
年度に配付するものを繰り上げてことし使うだけで、
地方財政のワクの中のものを早く使うか、来年使うか、ことし使うかということだけで、決してきずをつけてはおりませんというようなことを答弁されております。今度は逆であって、ことし使うものを来年使うからきずつけたものではないという答弁をされると思いますが、しかし、
法律自身はそうなっておらない。
法律自身は、あくまでもこの
年度にやはり消化し、これを配付すべきものであるということは、この目的の問題と運営の基本という一条と三条の条文を見てもらいますれば、十分におわかりになると思います。従って、つけ加えて申し上げておきますが、三条の三項に「
地方団体は、その行政について、合理的、且つ、妥当な水準を維持するように努め、少くとも
法律又はこれに基く政令により義務づけられた規模と内容とを備えるようにしなければならない。」こう書いてあります。このことは、明らかにやはり当該
年度に対する配付を完了するものであるということがこの
法律の趣旨であることは、何度繰り返して読んでみても私は間違いないと
考えておる。ところが今申し上げましたように、下からの積み上げ方式の問題がある。三十七億足りなかった。それを今度は埋めるんだとおっしゃる。それをさかのぼって議論をいたしますと、もしこういう処置がとられなかったら、この三十七億はどうするのだ。切り捨てられたのでしょう。埋める処置はできなかったでしょう。今度幸いにしてこういうものが出てきたからそれが埋められる。ここに
法律の趣旨のあいまいさがある。平衡
交付金と
交付税のあいのこみたいなものが出てきたから問題が出てくる。
地方の積み上げてきたものを切り捨てるとか、余ったときには来
年度に送るというようなものの
考え方は、この際取り下げた方がよろしい。そして前段だけにこれをしぼってもらいたい。これ以上申し上げませんが、最後に、この百十七億を来
年度に繰り越すということはやめてもらいたい。それに基づいてもう一度この
単位費用の算定の基準というものを
一つ直してもらいたい。と申し上げますのは、この算定の基準というものは必ずしも正しいものではございません。これは逆算した
数字でございます。
地方の自治体はこれでよろしいとは言っていないのであります。それでよろしいと言っているならば、
地方の自治体が今のように
財政上窮屈な状態じゃないと思う。どうですか、大臣。くどくは申し上げませんが、前段の
単位費用を修正するということだけで、そして百十七億を加算した全額をこの際
地方に出すということは理論上私は成り立つと思います。この三百五十七億ですか、その中から特交だけを差し引いて、残りのものを次に送る。そして送ったものについては来
年度の
交付税の額にこれを加えるということになると、また問題が起こると思う。百分の六を流用させたことになってしまう。こういう
数字が出てくる。私はその辺の
数字のつじつまがどうしても合わぬと思うのですよ。ことしこれを差し引いておいて、そしてこの百十七億を来
年度に延ばす。そうして特別に
財政処置をするのかというと、そうじゃない。
交付税の中に入れるのだということになると、また
交付税の中から来
年度百分の六を差し引かなければならない。百十七億に関しては二度百分の六を差し引くことになりはしませんか。これは
数字的な問題として事務当局のお
考えでよろしゅうございますが、前段は、どうしてもこの際この
法律を通されようとするならば、
基準財政需要額の基準単価だけを
改正することにとどめていただいて、そして全額を出していただくことが妥当だと
考えておりますが、これは大臣の答弁は私は同じだと思いますが、もう一度念を押しておきたいと思います。