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1960-12-22 第37回国会 衆議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十二月二十二日(木曜日)     午後一時十九分開議  出席委員    委員長 山本 猛夫君    理事 齋藤 邦吉君 理事 永山 忠則君    理事 藤本 捨助君 理事 柳谷清三郎君    理事 五島 虎雄君 理事 滝井 義高君    理事 八木 一男君       井村 重雄君    伊藤宗一郎君       小沢 辰男君    佐伯 宗義君       櫻内 義雄君    澁谷 直藏君       田中 正巳君    中山 マサ君       長谷川 峻君    福田 繁芳君       赤松  勇君    大原  亨君       小林  進君    島本 虎三君       吉村 吉雄君    井堀 繁雄君       本島百合子君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  石野 信一君         労働事務官         (労務局長)  冨樫 總一君         労働事務官         (職業安定局         長)      堀  秀夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    大月  高君         大蔵事務官         (銀行局銀行課         長)      青山  俊君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      大島  靖君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 本日の会議に付した案件  労働関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 山本猛夫

    山本委員長 これより会議を開きます。  労働関係基本施策に関する件について、調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。福田繁芳君。
  3. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私は一般労働行政の中において、きょうは金融機関ストに関して、大蔵省並び労働省両省に伺いたいと思います。  まず順序として、初めに、大蔵当局から銀行局長が来ておられるので、伺いたいのです。  本年度、言いかえれば昭和三十五年度には相当の金融機関ストがあったようにわれわれ聞いておるのですが、どの程度のストがあったか、銀行別に伺いたい。
  4. 石野信一

    石野政府委員 お尋ねの地方銀行に関しまするストでございますが、給与の引き上げ等に関連しまして、団体交渉が行なわれましたものは数多くございますが、また若干部分的なストというような形のそういう関係の生じたものがございますが、いわゆるストということになりましたものは千葉銀行だけでございます。
  5. 福田繁芳

    福田(繁)委員 その千葉銀行のは目下どうなっていますか。
  6. 石野信一

    石野政府委員 解決いたしまして、今ストを行なっておる銀行はございません。
  7. 福田繁芳

    福田(繁)委員 最近の新聞などによりまするというと、これがはたして正確かどうかということは責任持ちませんが、東京都内においても信用金庫の最も顕著な争議がある。あるいはまた東北方面にも七十七ですか、岩手ですか、こういったのが今なお継続しておるというように聞いておるのですが、さようなことはありませんか。
  8. 石野信一

    石野政府委員 先ほどお答えは、銀行ということでお答えをいたしましたものですからあれですが、東京信用金庫は御指摘通りストをやっております。それから七十七は今ストをやっているとは思いません。そういう意味の問題はありますが、ストをやっているかということを形式的にお答えしているものですから……。そういう意味ストに関連した問題は、まだいろいろ交渉を持ったりしているものはあると思いますけれども、現実にはストというような形にはなっていません。
  9. 山本猛夫

    山本委員長 石野銀行局長委員長から申し上げますが、君の話によりますと、七十七銀行千葉銀行以外にはストというようなものをやったということはないと言っていますが、君は銀行局長としてストをやっていることを知らぬのですか。その七十七銀行は明らかにりっぱなストをやって、それは終息をしております。それから岩手銀行も明らかにストをやって、これは終息して、その後第一組合、第二組合、第三組合というのができて、この二十六日からまた実力行使に入る。いいかげんな返事をしてはいかぬ。
  10. 石野信一

    石野政府委員 ただいま委員長から御指摘ございましたように、ストをやったということは確かに御指摘通りでございます。ただ解決をいたしておりまして今やっておりませんし、先ほども申しましたように、そういう意味で若干ストをやったものはあるというふうに申しましたので、その面で明確な答えが抜けましたのは申しわけありませんが、確かに御指摘通りです。
  11. 山本猛夫

    山本委員長 石野銀行局長にさらに御注意申し上げておきますが、今福田繁芳委員質問に対して、千葉銀行以外にはストライキをやったというとろは聞いていないと、こう言っている。ところが私の知り得る範囲でも各所でやっています。今のお話に出ました仙台の七十七銀行盛岡岩手銀行、さらにさかのぼっては東北銀行、これは明らかにストライキをやっておるんです。そういうことを君は知らないでおるんですか。もう一ぺん聞いておきます。
  12. 石野信一

    石野政府委員 いえ、やっております。先ほど答えはそういう意味言葉が足りなかったと思います。大々的なストという意味千葉銀行ということを申しましたので、そういう意味で、もう解決してしまっているものですからそういう言い方をいたしましたが、御指摘通りでございます。
  13. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私は先ほどから質問を継続しているのであるが、委員長にお願いしておきたいのだが、私の質問が完了するまで委員長から本件に関する御発言は御遠慮願いたい。  銀行局長にまた繰り返して伺いたいのですが、この金融機関ストは、一般療養ストなどと違って、非常に悪質な点があるようにわれわれ見聞しておるのであります。たとえば盛岡岩手銀行のごときは、不思議なことに組合が第一、第二、第三までできておる。実にわれわれ不可解に存じておる。このことを銀行局長、御承知ですか。
  14. 石野信一

    石野政府委員 そういうふうに組合が分かれておりますことは、承知をいたしております。
  15. 福田繁芳

    福田(繁)委員 第一組合、第二組合はほぼわれわれも了察するのだが、第三組合というのは実体は何か。もしあなたの方に何か資料があれば、この際参考に公開してもらいたい。
  16. 石野信一

    石野政府委員 直接担当しております大月調査官からお答え申し上げます。
  17. 大月高

    大月説明員 現在岩手銀行労働組合は、第一と第二とに正式に分かれておりまして、第二組合ももうすでに県の労働委員会の方に正式に届け出済みでございます。今お話しの第三組合は、組合という形態をとっておりませんで、第一組合の中でむしろストをやるというようなことに反対な人が別の行動を起こしておる。その数が当初五十人ばかりあったというように聞いておりますが、現在百人を若干越えておるというようなことになっておりまして、いわゆる第三組合というものではないというふうに現在のところ承知いたしております。
  18. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私の見聞するところによると、その岩手銀行経営権組合が奪う、その前提として非常に経営に干渉し、団体交渉でも、大よそまとまらないということを前提として交渉しておる。それがために妥結ができないから、二十六日からストに入るということを聞いておるわけなんです。もしも二十六日からストに入られると、東北地方は御承知のように、ことに盛岡のごときは、唯一中小企業者対象銀行なので、年末に中小企業者が融資に非常に困るわけです。そういう経営権を奪うためにやっておるというようなことが耳に入っておるのだが、あなたたち監督官庁としてさようなことは御存じございませんか。
  19. 大月高

    大月説明員 事実の関係でございますので私からお答え申し上げますが、ただいま岩手銀行では組合労働協約が十二月の九日でございますか、すでに期限が経過いたしまして、現在無協約状態になっておるわけでございます。その際第二組合もすでにできておる関係もございまして、二つの組合が改定の際に問題になっておる、一つ組合が二つございます関係で、従来第一組合だけを唯一交渉団体として協約にうたってあったのを、経営者側としては、それは必ずしも唯一でないという条項を入れてほしいという申し入れをしております。それから第二点は、現在の協約はユニオン・ショップになっておりますが、これをそうでない自由な協約にしてほしいというのがおもな問題でありまして、これは団体交渉権の本質に触れるような問題、あるいは組合の性格に非常に重大な関係があるというので、なかなかむずかしい交渉事項になっておる、こういうように承知いたしておりまして、必ずしも組合の方で経営権に関与するという方法では動いておらないというふうにわれわれ聞いております。
  20. 福田繁芳

    福田(繁)委員 大蔵当局は、もちろん金融機関に対する直接の監督責任者でありますから、金融機関ストに関してはあまり発言と申しますか、忠告と申しますか、勧告と申しますか、そういったことを非常に御遠慮されて、そして静観されておるというような傾向があるのだが、まず順序として伺いたい。
  21. 石野信一

    石野政府委員 お話通りに、確かに労働問題というものは労使間の関係の問題でございまして、銀行局金融機関に対する監督の目的は、やはり金融面での預金者の保護と、それから金融政策に関連する金融機関経営というようなことが主眼に相なります関係で、労使間の問題に関与するということは、できるだけ避けるという方針をとっておる次第でございます。
  22. 福田繁芳

    福田(繁)委員 そこで伺いたいのでありますが、ストによって一般大衆からの信頼を失って預金が減っていくということが如実に現われておるのです。たとえば先ほど銀行局長お話では、妥結した、解決ついたと言われております千葉銀行の例をとってみましても、千葉銀行はこのストためにいかほど預金が減ったと存じておられますか。
  23. 石野信一

    石野政府委員 このストによって幾ら預金が減ったかという数字は、なかなかつかみにくいのでございますが、ある程度そういうものの影響があることは確かでございます。今のところそういう意味で、スト前と比べて今すでに預金が減っておるという事実はございませんが、いずれにしましても、そういう意味ストが行なわれますと、預金者に不安を与えて預金が減るとか、金融機関に対してそういう影響があることは事実でございます。しかし、そういう問題がございますから、従ってそういう問題を当然考えますと、その問題が非常に重要なことで、これは金融機関経営者のみならず、従業員としても、やはり自分の金融機関でございますから、そういうことは十分によく考えて、預金が減って銀行そのものがつぶれてしまうというようなことにならないように、その辺は労働問題として労働省所管でございますけれども、基本的にはそういう問題があるということもみな自覚した上で、労働問題として考えられることが肝要だと思うのでございますが、私どもといたしましては、それがゆえに銀行がつぶれるとか、それがため預金者に非常に迷惑をかける危険があるというような場合には、やはり経営者に対してはいろいろ注意はいたしますけれども、何分にも問題は労使間の問題でありますので、直接その労働問題に銀行局として関与するというわけにいきませんで、そういった問題全体を含めて、労働問題解決関係では、労働省なり労働委員会なり、そういったところで、できるだけ円満に経営者労働組合間でよく話し合いがつきまして解決することを常に期待する、そういう方針でおる次第でございます。
  24. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ただいま一例をあげました千葉銀行でも、目下のところ預金が減ってないという当局お話がありましたが、必要ならば私は資料を提出してもよいと思っております。私は実は千葉銀行の株主なんです。そこで、最近の書類をとってみますれば、少なくともストため——この前の古荘頭取大蔵当局圧力でよさして、日銀の大久保何がしを頭取にされたあのときと今日では、総預金量の三分の一減っております。御存じございませんか。  なおまたもう一つ例をとりますならば、先ほど申しました東京信用金庫ですか、これはもちろん銀行ではありませんが、これのごときも約一割預金が減っておる。私が最もおそれるのはこれなんです。これが次々こうなっていったときに、一般の者が非常に不安、不信を持って、大きい言葉で言いますれば、これが蔓延していけば金融恐慌を来たすことを懸念しておる。一刻も早くこれを労働省大蔵省と何らかの話を持って——おっしゃる通り金融機関をつぶしちゃいかぬのだから、話をする心組みがあるかということをまず一応伺いたい。
  25. 石野信一

    石野政府委員 御意見通り金融機関がこういう労使間のいざこざのため預金が減るとか、信用がなくなるというようなことは、私どもとしてもできるだけ防止したいのでございます。従いましてそういう労働関係で問題が生じました場合には、できる限りこれを円満に話し合いで、また労働委員会等のお力にもよりまして解決をなるべく早くはかりたい、こういう気持は私どもも十分に持っております。従いまして、そういう方向労働省等にも御相談をいたしまして、御意見を伺うこともあるわけでございます。ただ何分にも労使間の関係というのが、なかなかそう法律で割り切ったように参りませんことが多いものでございますから、結局話し合いが熟していって解決を見るということに相なるわけでございまして、その辺のところは御意見通り、私どもとしてもそういう気持を十分持っておりますけれども、実際問題として銀行行政として、その労使間の関係に直接干渉するというようなことはできない関係でございますので、その辺は御了承いただきたいと思います。
  26. 福田繁芳

    福田(繁)委員 そこでもう一点伺いたいのですが、なるほど御説のごとくに、労使間の問題に対しては大蔵当局が強い圧力を加えることはできない、これは了承いたします。ただわれわれ聞くところによりますると、金融機関に対して、大蔵当局は、たとえば人件費は全預金量の何%とか、あるいは設備資金は何%とかというところの数年前あるいは十年前におきめなさったそれをそのまま今日まで固執されておられるために、今日の金融機関は、もうだれでも御承知のように、もうかって金が余って困っている。待遇をよくしてやろうと思っても、大蔵当局に数年前に締められたままだから、勢い待遇をよくする要求をいれるということができぬがために、両者が非常に暗礁に乗り上げておるということを聞くのですが、さようなことはありませんか。
  27. 石野信一

    石野政府委員 これは申すまでもございませんが、金融機関預金者の金を預かりまして、それを一般に貸し出しておるわけでございます。これは設立についても認可というようなことに相なっておりまして、と同時に、為替自由化とか、貿易自由化というようなことを考えますと、できるだけ金利も下げていきたいというような考え方もございまして、そういう関係からこの金融機関経営費がどんどんふくらむということは、監督行政としてやはり基準をきめて押えていかなければならぬ、こういうことがあるわけでございます。従いまして人件費にいたしましても、不動産等の取得につきましても、一定の基準をきめて監督いたしておるわけでございます。従いまして、経理内容が悪くならないかということに対しては非常に関心を持っておるわけでありますが、これは一般的に関心を持っておりまして、具体的な争議のときにこれがこえるから、この争議はどうなってもこうしろ、そういうような意味の干渉をすることはございません。従って経理内容の問題としては関心を持っておりますけれども、それがため銀行がつぶれてしまうというようなことになると大へんだという意味で、関心がございますことはおっしゃる通りでございますけれども、それがゆえに労使間の関係を特に干渉するとかいう考え方はございません。
  28. 福田繁芳

    福田(繁)委員 もっとも先般の当委員会医療ストの問題が——あなたの所管でありませんが、議題になった。病院スト以上にこの銀行金融機関ストというのはあまりよいものではございませんが、これはもちろん労使の問題に大蔵当局監督のなにはないとおっしゃるものの、言いかえれば、経営自体監督に関するものと紙の裏表になるものだから、でき得る限り決して取り締れという意味ではないのだけれども、世の中の秩序を、あるいは不安をかもさせないように、一刻も早く妥結するように、労働当局とも、法の許される範囲内で、何かと緊密な御連絡のもとに、こういう不安のない、ようにしてもらいたい。それを私はあなたに要望しておきます。  それで一言、労政局長がお見えだから伺いたいのですが、先ほどから私と銀行局長とがやりとりいたしておったわけなんであなたもよくおわかりでございましょうが、労働省のお立場本件に関してどういうような考えでおられるか、どういうお心組みがあるかということをあわせてこの際申してもらえますれば、銀行局長さんも何かと御参考になることと思うので、あなたの御意見を伺いたいと思います。
  29. 冨樫總一

    冨樫政府委員 本年の秋のいわゆる銀行賃上げ争議につきましては、いわゆる地銀連三十五組合のうち二十六組合がこれに参加したということは、今までの実績から見て相当の大規模なスケールを持ったものと私も考えております。労政局といたしましては、医療ストと同じようにこれをカンフル注射ですぐおさめるといったような立場にはございませんが、一応今度の経過を今後さらに掘り下げて検討して、今後の対策を作り上げたいと思っておりまするが、ともかく一応の感覚といたしましては、中には労使とも労働委員会に対する不信感といったようなものがありましたけれども、地労委が、銀行業務公益性にかんがみまして、相当積極的に乗り出し、それによって解決し、これによってまたさらに労使信頼感を得たというようなことで、その面においては非常ないい経験であり、前進であった、こう思っております。しかしさらに言葉を飾らずに申しますれば、銀行に関するストは、ちょくちょく相当深刻なストが従来起こりましたけれども、全般的には依然としてこの近代的な労使関係労使関係に関する労使の理解が十分でない。その間に、話によればトラブルメーカーといったものがおるといったようなことも聞きます。従いまして今後一段と労使は、言葉で言いますと、良識を発揮してでございまするが、つけ加えて言いますれば、経営者側におきまして、さらに、常に平和になれるということでなく、平常時から、労務管理労務対策というものに一段と力を入れていただかなければならぬのではなかろうかというように感じております。
  30. 福田繁芳

    福田(繁)委員 今の労政局長の御所見はわれわれも大いに多とするのでありますが、お話の中にもありましたが、なるほど金融機関はやはり労使ともいわゆる紳士的な業務をよく理解して、好まないことを起こさないようにやっていける条件の一番よい労使です。従って今度のあちらこちらのストも、おのずから労使側で至って円満裏に一刻も早く解決いたしたいらしいのだけれども地銀連という、お話にもあった非常に強い団体があり、これによって労使とも困っているということも聞くのだが、もしお差しつかえなければ、この地銀連の思想的の実体を、この際おわかりであれば、参考に申してもらいたいと思います。
  31. 冨樫總一

    冨樫政府委員 私ども立場といたしまして、労働組合が何系々々ということによって取り扱いを異にするという立場にございませんし、風評としていろいろなことが耳に入りますが、それはあくまでも風評の限度、限界内のことで、率直に申し上げまして、私どもはっきりしたものを持っておりません。しかしかりにそういうことがございましても、いずれは、地銀連組合員は四万人おるわけでございます。その人たちが、かりにいわゆるトラブルメーカーというようなことを言われる少数の人がおるにいたしましても、四万人の大部分は、一般的に常識的に考えまして、銀行の職員というものはインテリであり良識を持っておる。従いましてこの方たちの、一般の圧倒的大部分の方々の良識、それから労働問題に関する関心、それから具体的な問題については結局最後に譲り合う、最後には第三者の公正なる判断に従うというルール、慣行という方向に向かっていただきたい、それにまた経営者側も即応していただきたい、というふうに期待しておるわけでございます。  内部事情につきましては、われわれの立場を御了察いただきまして、御了承願います。
  32. 山本猛夫

    山本委員長 本日はこれにて散会いいたします。     午後一時四十八分散会