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1960-12-13 第37回国会 衆議院 社会労働委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    委員昭和三十五年十二月九日(金曜日)議長指名で次の通り選任された。       井村 重雄君    伊藤宗一郎君       浦野 幸男君    小沢 辰男君       大石 武一君    大沢 雄一君       大高  康君    大橋 武夫君       加藤鐐五郎君    倉石 忠雄君       藏内 修治君    佐伯 宗義君       齋藤 邦吉君    澁谷 直藏君       田口長治郎君    田中 正巳君       中山 マサ君    永山 忠則君       長谷川 峻君    早川  崇君       福田 繁芳君    福永 一臣君       藤本 捨助君    松山千惠子君       柳谷清三郎君    山本 猛夫君       赤松  勇君    大原  亨君       河野  正君    小林  進君       五島 虎雄君    島本 虎三君       多賀谷真稔君    滝井 義高君       中村 英男君    八木 一男君       山口シヅエ君    吉村 吉雄君       井堀 繁雄君    本島百合子君 十二月九日  山本猛夫君が議院において委員長に選任された。 ————————————————————— 昭和三十五年十二月十三日(火曜日)     午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 山本 猛夫君    理事 大石 武一君 理事 齋藤 邦吉君    理事 永山 忠則君 理事 藤本 捨助君    理事 柳谷清三郎君 理事 五島 虎雄君    理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君       井村 重雄君    伊藤宗一郎君       浦野 幸男君    小沢 辰男君       大沢 雄一君    藏内 修治君       佐伯 宗義君    澁谷 直藏君       田口長治郎君    田中 正巳君       長谷川 峻君    福田 繁芳君       松浦周太郎君    松山千惠子君       大原  亨君    小林  進君       島本 虎三君    多賀谷真稔君       吉村 吉雄君    井堀 繁雄君       本島百合子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 古井 喜實君  出席政府委員         厚生政務次官  安藤  覺君         厚生事務官         (大臣官房長) 高田 浩運君         厚 生 技 官         (医務局長)  川上 六馬君         厚生事務官         (社会局長)  太宰 博邦君         厚生事務官         (保険局長)  森本  潔君         労働政務次官  安部 清美君         労働事務官         (大臣官房長) 三治 重信君         労働事務官         (労政局長)  冨樫 総一君         労働事務官         (職業安定局         長)      堀  秀夫君  委員外出席者         厚生事務官         (医務局次長) 黒木 利克君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      大島  靖君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 十二月十日  委員大高康君及び福永一臣君辞任につき、その  補欠として松浦周太郎君及び小川半次君が議長  の指名委員に選任された。 同月十二日       大石 武一君    齋藤 邦吉君       永山 忠則君    藤本 捨助君       柳谷清三郎君    五島 虎雄君       滝井 義高君    八木 一男君  が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事互選国政調査承認要求に関する件  厚生関係及び労働関係基本施策に関する件(  医療機関における労働争議に関する問題)      ————◇—————
  2. 山本猛夫

    山本委員長 これより会議を開きます。  ごあいさつを申し上げます。社会労働関係等につきましてはふなれでございますので、皆さんの御協力を得て運営の万全を期したいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  3. 山本猛夫

    山本委員長 これより理事互選を行ないます。
  4. 福田繁芳

    福田(繁)委員 本件に関して動議を提出いたします。  去る十日の議院運営委員会の決定の基準に従いまして、理事はその数を八名とし、委員長において指名せられんことを望みます。
  5. 山本猛夫

    山本委員長 ただいまの福田繁芳君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山本猛夫

    山本委員長 御異議なしと認め、よって動議のごとく決しました。  それでは理事に    大石 武一君  齋藤 邦吉君    永山 忠則君  藤本 捨助君    柳谷清三郎君  五島 虎雄君    滝井 義高君  八木 一男君以上を指名いたします。      ————◇—————
  7. 山本猛夫

    山本委員長 この際、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  一、厚生関係及び労働関係基本施策に関する事項、二、社会保障制度医療公衆衛生社会福祉及び人口問題に関する事項、三、労使関係労働基準及び雇用・失業対策に関する事項、以上各事項についてその実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面よりの説明聴取及び資料の要求等方法により、本会期調査を進めたいと存じます。つきましては、衆議院規則第九十四条により議長承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山本猛夫

    山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  9. 山本猛夫

    山本委員長 次に厚生大臣より発言申し出があります。これを許します。  厚生大臣古井喜實君。
  10. 古井喜實

    古井国務大臣 私、今回第二次池田内閣の成立にあたりまして厚生大臣を拝命いたしました。かねて厚生行政について御造詣の深い各位の御協力を得まして、この責任を果たして参りたいと考えております。この機会に一言ごあいさつを申し上げ、あわせて厚生省所管の諸行政に関して所信の一端を申し述べたいと存じます。  あらためて申し上げるまでもなく、社会保障充実をはかり、もって国民生活の安定と福祉向上をはかりますことは、福祉国家実現を期する上にきわめて重要な意義を有するものでありまして、現内閣基本的な施策一つとしておるところであります。厚生行政は、これら諸施策推進するにあたり、その中核をなすものとして非常に重要な役割を有するものでありますので、私といたしましては、微力ながら全力を尽しまして、社会保障制度整備充実重点を置きつつ、厚生行政施策推進に努めて参りたいと考えております。  まず第一に医療保障の問題でありますが、国民健康保険につきましては、すでに実施いたしております東京都など以外の未実施大都市におきましても事業開始の準備を進め、予定通り今年度中には皆保険が達成される見込みであります。  一方給付内容向上につきましては、結核及び精神病に関する国民医療費負担がきわめて著しい現状にかんがみまして、まずこの点に重点を置いて対策を講ずるよう検討いたしております。  また医療保障の実効を上げるための問題といたしまして、まず医療施設整備充実の問題がございますが、これにつきましては、本年八月から業務を始めております医療金融公庫資金ワク増大等努力いたします一方、また医療施設運営合理化につきましては、特に最近における世上諸般状況にもかんがみ、その指導に十分の工夫と努力を注ぎたいと考え、目下鋭意検討しておる次第であります。  なおこの春発足いたしました医療制度調査会は、その後順調に調査審議が進められておりますが、何分審議内容が重要な問題でありますので、十分な審議を尽し得るよう、場合によっては審議期間を延長するための必要な措置をとりたい考えであります。  第二に国民年金の円滑な実施であります。  国民年金制度は、福祉年金の支給に引き続きまして明年四月からいよいよ拠出制年金が発足いたすこととなり、この十月一日から全国一斉に加入者届出受付が開始されたのでありますが、特に大都市等都市部進捗状況に若干問題があるほかは、まず予期された進捗状況で進んでおります。  申すまでもなく国民年金は、国民保険とともに社会保障制度確立の二大支柱をなすともいうべきものでありまして、採来国民所得保障の分野に重要な役割を果たすべきものであります。その健全な発展いかんは、今後国民生活の安定に重大な影響を及ぼすものと考えられますので、死亡一時金の創設、六十才からの減額年金実施等改善すべき点は、来たる通常国会にお諮りいたしまして、早急に改善措置をとり、円滑な実施をはかる所存であります。  また厚生年金保険等各種公的年金制度との通算調整につきましては、国民年金基礎を固める意味において、その実現がぜひとも必要でありますので、目下具体案を検討いたしておる次第であります。  以上のほか生活保護につきましては、その基準引き上げ等によってその改善をはかり、また母子、老人、身体障害者等に対する施策に特段の配慮を加えて、いわゆる日の当たらない階層にも、その生活向上等にできる限りの努力を払う所存であります。  さらに健康な国民生活基本となる生活環境改善につきましては、これが関連施策内容が、国の他の施策内容と比較してあまりにもつり合いがとれていない現状にかんがみ、また一九六四年のオリンピック開催一つの契機となって生活環境整備を要望する世論がありますことにもかんがみまして、上下水道、屎尿処理施設等環境衛生施設整備をはかりたい念願であります。  その他母子衛生向上、児童の健全育成施策を強化し、国民資質向上基礎を固める一方、国立公園及び国定公園整備同和対策推進等国民福祉向上努力いたす所存であります。  以上るる申し述べましたが、いずれにいたしましても今後推進すべき厚生行政の具体的な諸施策につきましては、できる限り皆さん方の御意見を十分に尊重いたし、その具体的実現につきまして関係各位の御協力、御援助をも得まして、厚生行政発展をはかりたい所存でありますので、ここに重ねて皆さん方の御協力をお願い申し上げる次第であります。(拍手
  11. 山本猛夫

    山本委員長 次に厚生政務次官より発言申し出がありますので、これを許します。  厚生政務次官安藤覺君。
  12. 安藤覺

    安藤(覺)政府委員 このたび私、厚生政務次官に任命せられました。皆さんとともに厚生政策について働かせていただく立場に相なった次第であります。  厚生精神だけは潤沢に持ち合わせておる自信がございますが、さてその施策につきましては全く右も左もわからないしろうとでございますが、皆さん方の御意見を承りまして、練達な古井大臣をお助け申し上げて御期待に沿うよう努力いたしたいと存じております。  何とぞ今後ともよろしく御支援、御協力をお願い申し上げましてごあいさつといたします。(拍手
  13. 山本猛夫

    山本委員長 次に労働政務次官より発言申し出がありますので、これを許します。  労働政務次官安部清美君。
  14. 安部清美

    安部政府委員 私は今回労働政務次官に就任いたしました安部清美であります。まことに未熟なものでありますが、皆さんの御指導、御鞭撻によりまして、その任を果たしたいと存じております。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  15. 山本猛夫

    山本委員長 次に厚生関係及び労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。特に医療機関における労働争議に関する問題について質疑を行ないます。  滝井義高君より発言を求められております。これを許します。  滝井君。
  16. 滝井義高

    滝井委員 きょうは厚生行政あるいは労働行政の大局的な問題につきましては、両大臣が参議院の方の本会議質問関係がございまして御出席がございませんから、それは次会に譲らしていただきまして、当面問題になっております病院争議の問題に関して特に集中的に政府の御見解を聞かしていただきたいと思います。  今年に入りましてから、多分厚生年金病院労災病院等ストがあった記憶を持っております。特に労災病院争議は、労働省と直接関係のある労働福祉事業団が所管をしておる病院争議でございましたので、われわれはその動向を注目いたしておりましたが、当時労働当局なり、福祉事業団当局の御努力によって、多分千百円程度ベースアップで終幕をしたと記憶いたしております。ところが、今回起こりましたこの病院ストは、かつて日本医療史が経験したことのない非常に大規模病院争議の様相を呈しておるということでございます。一体、なぜ突如として——厚生当局の言を借りれば、あるいは政府の言を借りれば、景気は非常にいい、所得倍増、公務員の給与も、人事院勧告等が出て、まあ政府必ずしも気前はよくはありませんが、十月の一日からベースアップをやるのだ、こういうように非常に景気のいいような情勢が出ておるにもかかわらず、一体なぜ病院にこんな日本医療史始まって以来の大規模ストが起こらなければならなかったのかということでございます。これに対する一つ病院所管をしておる厚生省見解、それから労働行政を担当をしておられます労働省見解、どうしてこういう大規模病院争議というものが起こらなければならないのかということを、厚生省立場労働省立場から一つ大局的な御見解をお伺いしたいと思います。
  17. 川上六馬

    川上政府委員 病院スト原因につきましては、御承知のようにいろんな点が指摘されておるわけでございますが、おもなるものは、やはり給与その他の労働条件に問題がある。また病院管理運営がよくない面がある。それから医療費が適正でないのではないかというような問題、さらに医療制度欠陥があるというような、そういう点が問題にされておるのでございます。
  18. 冨樫総一

    冨樫政府委員 労働省の方の立場から一言申し上げます。  大体におきまして、ただいま厚生省から申されたこととおおむね同感でございまするが、つけ加えますれば、病院における当事者は、医療関係者といたしましては、相当高度の知識水準を持っておるわけでありますが、労働関係につきまして申しますと、率直に申しましてややおくれた中小企業的な水準のように存じます。そこで最近組合が組織いたされますと、ふだんのいろいろな不満が爆発的に出てきた。こういうようなことから事態が急速に拡大しておるというふうに見ております。
  19. 滝井義高

    滝井委員 労働省見解は、病院における労使関係というものがインテリ的である、高度の知識水準を持っておるが、労働関係はややおくれて中小企業水準である。病院はみんな中小企業です。大体中小企業的な経営です。それから組合が組織をされて不満が爆発した。こういうことが労働省の見た原因になっておるようです。それにつけ加えるに、厚生省見解同感であるというのですが、厚生省は、給与その他労働条件に問題がある。管理がうまくいっていない。医療費が適正でない。医療制度欠陥がある。こういうように日本医療制度欠陥だらけだ。だれが一体こんなに欠陥だらけの姿で放置してきたのか。だれが今まで政権を担当して医療政策を遂行してきたのかということなんです。これに対するあなた方の具体的な対策は一体どういう工合にしたらいいのですか。まず給与その他の労働条件が悪い。これはどういう工合監督官庁としては直していかれるのか。病院管理運営については一体どうされる方針なのか。医療費が適正でないならば、これを具体的にどう適正化していくのか。医療制度欠陥はあまり大き過ぎますから一口でなかなか言えないと思います。まずこの三つの問題、給与その他の労働条件の問題が大きな問題だ、それから管理運営がおくれておる、医療費が適正でないという、この三つに対する政府見解をまずお聞かせ願いたいと思います。
  20. 大島靖

    大島説明員 病院診療所労働条件の問題についての御質問であります。  労働基準法に基づきます病院診療所監督指導につきましては、かつて昭和三十三年に、五月であったと思いますが、特に病院診療所につきまして、基準法監督指導重点として取り上げるようにいたしました。  三十二年におきましては、監督実施いたしましたのが四百八十病院程度であったと思いますが、三十三年には二千七百七十、三十四年におきましては二千七百七十一の病院診療所につきまして、監督指導実施いたしたのであります。この監督の結果、基準法関係違反につきましては、各種ございますが、特に違反率の多いのは、労働時間、休日の問題、それから安全衛生関係違反、こういう点であります。さらに申告監督と申しまして、関係当事者から基準法違反ないしそれに関連する問題について申告がございますと、これに基づいて監督をいたしますが、この申告監督をやはり三百件ほどいたしておると思います。合わせて、約三千の監督実施いたしたのであります。この監督の結果、違反のありましたものについては直ちに是正措置をとらしておりますが、なかなか是正していないもの、ないしはその点について技術的な困難のありますものにつきましては、再監督実施いたしております。再度監督に参りましてこれを完全に是正させる、こういう措置をとって参っておるのであります。なお今後とも基準法に基づく監督指導についてはさらに厳重にやって参りたいと思っております。  同時に私どもとして特に感じますことは、病院診療所関係につきましては、やはり何と申しましても経営者の万に労働問題についてのふなれというものが非常に大きいのじゃないかと思うのであります。そういう意味合いにおきまして、先ほども中小企業類似というふうなことが言われたわけでございますが、こういうふうな労使関係当事者が比較的労働問題についてふなれなものにつきましては、私どもとしましては何と申しましても一番基本的に大事なことは、就業規則あるいは労働協約、こういうものにつきまして、実施すべきことあるいは実施可能なこと、こういうことについてあらかじめ規則できめる、あるいは組合との約束である労働協約できめる、こういうふうな形を、しかも就業規則につきましてもいわゆるサンプル就業規則というような形ではなしに、実施可能な、また実施すべきことは、そこに規定する、こういうふうな就業規則を作り、また労働協約を作って、これを完全にやって参る、これが一番基本的な大事なことじゃないかと思うのであります。そういう点につきまして、今後とも監督と並行いたしまして労務管理のあり方あるいは労務管理の今後の実際の運営の仕方、こういう点につきましてさらに集団指導とかその他の方法によりまして努力をして参りたい、かように考えております。
  21. 滝井義高

    滝井委員 今お述べいただいたのは、いわば労働条件の問題ですね。特に今御指摘いただきました労働時間なり休日というような、いわば労働基本的な問題についての違反が非常に多いということは、裏返して言えば病院における定員その他の充足が、法律に定められた、いわゆる医療法の定めるところに従って運営がなされていないということがその背後にひそんでいる感じがしますが、これを基準局当局としてはどうごらんになっていますか。
  22. 大島靖

    大島説明員 ただいま監督の結果、労働時間の違反の問題あるいは休日の違反の問題が違反率としては多いということを申し上げたのでありますが、ただこの監督結果、対象になりました病院診療所についてのみ申し上げますと、割合に手続的な違反が多かったのであります。と申しますのは、必ずしも超過勤務の問題、女子については基準法超過勤務についての定めがありますが、これに違反しているというような問題よりも、むしろ手続的な問題、こういう点が多かった。従って、その違反率の多いことから、直ちに今滝井先生指摘のような問題に関連するかどうか、その点につきましては、監督の結果からは直ちにそういう結論には直接には結びつかないと存じます。
  23. 滝井義高

    滝井委員 給与その他に非常に問題があるということが医務局側指摘をされているわけです。基準局としては、業者間の最低賃金その他全国的に賃金動向については絶えず御調査になっているはずなんですね。監督官庁である医務局は、給与その他の労働条件に問題があるということ、給与という問題が特に出てきているのですが、これについて労働省見解はどうなんですか。
  24. 大島靖

    大島説明員 この賃金の点につきましては、もちろん御指摘通り労働省といたしましては各種産業につきまして賃金動向統計調査によって把握いたしておるのでありますが、たとえば毎月勤労統計によりましても、各種産業と同時に医療衛生事業についての月間の賃金数字は出て参るのでありますが、ただそれが全産業と比べてどうであるか、高いか低いか、これは賃金産業間の格差、業種間の格差というものは非常に比較が困難なのであります。ただ平均的な数字としては出て参る。私どもの方といたしましては賃金の点で特に注目いたしておりますのはやはり割増し賃金の点でありまして、この点につきましては先ほど申しました監督の結果によりますと、大体一〇%程度違反率であったかと記憶いたしております。
  25. 滝井義高

    滝井委員 割増し賃金その他一割程度違反率があったということですが、問題はあなた方がごらんになって、医務局長の方は特に今度の医療スト原因一つとして給与問題というものをあげておるわけですね。賃金の問題をあげておるわけです。基準監督局としていろいろ御調査になっておるはずです。たとえば都の労働局あたりもそれぞれの初任給なんかを調べておるわけですね。あなた方の方も調べておるはずなんです。労働経済情勢なんか、ああいう膨大なものを御発表になっておるのですから、医療機関だけをお調べになっていないということはないのですから、あなた方がごらんになって、こんな歴史的な争議が起こるのに、給与問題というのが一つの大きな理由になっておるということを監督官庁厚生省は御指摘になっておるのですから、その給与その他についてやはり全国的に御調査になる基準局としては、医療機関給与というものが一体他の産業に比べて高いのか低いのかというぐらいの見解はお持ちだと思うのですがね。これがなければ今度の争議であなた方の方の所管に属する中央労働委員会なり都労働委員会にすみやかにあっせん申請その他をして解決してやれというような指導都道府県知事に流したところで、その賃金の実態をつかまえておらずして幾らやれといったって、これはだめなわけです。大島さんの方としては、一体病院給与というものが他の産業に比べて均衡がとれておるのか、とれていないのか、この見解一つ御発表願いたいと思うのです。これが一番大事なところなんです。
  26. 大島靖

    大島説明員 病院賃金につきましては、現在労使の間で交渉中でございます。またこれらの点について妥結を見ません場合は、やはり労働委員会の手によってあっせん調停さるべきものだと思います。この際私から病院賃金についてその高低を申し上げるのは差し控えたいと思います。また統計といたしましては、全般的な医療保健産業ということになっておりまして、この数字はもちろん毎月勤労統計で出ておりますし、これは毎月発表いたしておるわけなんですが、ただこれをたとえば全産業と比べてどうであるか、他の産業と比べて高いか低いか、この辺の高低の問題につきましては技術的に非常に困難な問題でありまして、平均的には申し上げられますけれども、ただそれは労働者の構成、職種のいかん、性別、年令別学歴別各種の要素が混在して平均されておりますので、直ちにここから高低結論を引き出すことは困難ではないかと思います。
  27. 滝井義高

    滝井委員 私は、今ストをやっている個々の病院について、これが他の産業と比較して高いか低いかを言いなさいというのじゃないのです。問題は、事実問題を言っている。客観的に見て、今あなたは医療保健事業ならばあります、それはけっこうだと思います。医療保健事業と一般産業との比較は一体どうなんだ、それを聞いている。こういう事実問題は言っても差しつかえないと思うのです。あるいはもっと具体的に言ってみると、日赤の現在の初任給なら初任給と、他のものとの比較はどうですか。これは高いとか安いとか言う必要はないので、その比較だけは当然これはできるでしょう。こういう大きな争議になったのですから、それを把握し、これを十分確かめておくことは、私は行政当局の任務だと思うのですよ。だからそういう現実にある姿だけを比較してもらえばいいのです。それから先それをどういう工合に采配を下して、その争議の解決に持っていくかということは、これは中央労働委員会なり地方労働委員会の任務になると思うのです。その現実に比較された場合にどのくらい低いか高いかということをお知らせ願いたい、こういうことです。
  28. 大島靖

    大島説明員 毎月勤労統計調査の結果によりますと、昭和三十四年の平均で、医療保健業の関係は、現金給与総額におきまして二万一千六百十二円という数字が出ております。これは三十人以上の場合です。それから五人から二十九人の小規模と申しますか、この関係医療保健業につきましては、一万四千九百五十二円という数字が出ております。ただし今申し上げましたように、医療保健業といたしましては、病院、一般の診療所、それから歯科の診療所、助産所、保健所、獣医所等の業種を一括して保健衛生としてくくっております。さらにこの平均賃金は、各職種、お医者の俸給に対しましても、看護婦さんのあれにいたしましても、あるいは事務職員のあれにいたしましても、各職種を包括して平均いたしておりますので、この点から個々の業種あるいは病院そのものを直ちに結論することは危険ではなかろうかと思います。
  29. 滝井義高

    滝井委員 一般との比較はどうですか。
  30. 大島靖

    大島説明員 調査産業全般の平均といたしましては、三十人以上につきましては、二万二千六百八円になっております。それから五人から二十九人につきましては、一万四千四円になっております。
  31. 滝井義高

    滝井委員 現在集中的にストが起こっているのは、三十人以上なんですね。そうしますと二万一千六百十二円と二万二千六百八円で、明らかに医療保健事業が低いですね。ところが医療保健事業に従事している人たちの技術の実態を見ると、全部国家試験というものを通過しなければならない人たちなんです。日本における産業の技術構成といいますか、いわゆる技術を持っている人が、どの程度その産業に従事しているかということを見ますと、電気産業に従事する労働者が一番技術的に高い。そして医療労働者、これはほとんど全部いわゆる国家の試験を受けている。国家の試験を受けている方が二万一千六百十二円、全産業の平均が二万二千六百八円ということになると、明らかに低いことがはっきりしてきました。そうしますと、一体最低と最高はどうなっておりますか。三十人以上における最低と最高、五人から二十九人の最低と最高、おわかりになっておれば御説明願いたい。
  32. 大島靖

    大島説明員 毎月勤労統計におきましては平均の数値をとっておりますので、最高、最低は残念ながら出ないのであります。なお、ただいま御指摘の一般産業と保健医療業の平均賃金の比較の問題につきましては、この点はさきに申し上げましたように、地域別あるいは職種別、男女別、年令別学歴別、経験年数、勤続年数、これらの労務構成が全般的に非常に違っておるわけですので、その点を直ちに比較いたしますことが危険であることは、滝井先生一番よく御存じのことだろうと思っております。
  33. 滝井義高

    滝井委員 問題は大局的に論議をしていけばいいのです。スト病院においては看護婦さんも、薬剤師さんも、たとえば日赤あたりでは助産婦さんまでもみんな加わってやっておるのです。だから総体的に見て大体低いか高いかということはわかってくると思うんです。大体これで給与問題に一つ原因があるということがわかって参りました。  次は医療費が適正でないという問題が出てきたわけです。この医療費が適正でないという問題に入る前に、冨樫さんの方から病院における労使関係というものがおくれておるというお話があったのです。病院における使用者というものは一体何ですか。たとえば日赤における使用者、それから健保連における使用者、それから労災病院における使用者、この使用者とは一体何者ですか。
  34. 山本猛夫

    山本委員長 冨樫君にちょっとお願いしておきますが、なるべく大きな声で……。
  35. 冨樫総一

    冨樫政府委員 この病院が法人であれば法人、具体的にはこの規約に基づきまする理事長、あるいは専務理事というふうなことになると思います。ただし率直に申しまして、現在の医療法によりますると、病院経営者、すなわち病院開設者というのと、病院業務の管理責任を持つ病院長、その下に事務長がおる。実際の労使関係の団交のときにおきまして、具体的に組合病院長のところに行きますと、自分はそれに応ずる権限がないということを言われ、あるいは理事者のところに行くと、理事者の方では病院長にまかしてあるといったようなことで、実際問題としてまずそういうところからもんちゃくが起こるというようなことを言われておりますので、できるだけ私どもといたしましては、経営管理、労務責任といったようなことから明確にしていくことが必要であるというふうに労政の立場からは感じております。
  36. 滝井義高

    滝井委員 従って使用者というものははっきりしないということですね。病院長のところに行けば、わしはそんな責任はない、開設者のところに行くと院長にまかせているんだ、今の答弁を聞いてはっきりしないことがわかった。そこでお聞きしますが、日本医療というものは何が主体になって行なわれているのですか。自由診療ですか、保険診療ですか、労働省はどう考えていますか。
  37. 冨樫総一

    冨樫政府委員 保険診療だと思います。
  38. 滝井義高

    滝井委員 今の健康保険法では、療養の給付を担当するのはだれが担当しますか。
  39. 森本潔

    ○森本政府委員 健康保険法によりますと、療養の給付は医療機関が担当いたします。
  40. 滝井義高

    滝井委員 保険医療機関が療養の給付を担当しているでしょう。全責任を持って療養の給付を担当している保険医療機関は一体何ものです。だれでもいいから答えて下さい。
  41. 森本潔

    ○森本政府委員 保険医療機関には病院診療所がございまして、それを構成しておりますところの人的のものと、それから構造、設備、これを一体としたものが医療機関でございます。健康保険法におきましてはそうでございます。
  42. 滝井義高

    滝井委員 だからその療養の給付を担当するものが基金に対して請求権を持っておるわけですね。これは開設者でもなし、管理者でもないですね。療養の給付を担当するのは保険医療機関——保険医療機関とは人格がありますか。一体近代の法律における保険医療機関というものは何ものですか。法人ですか、私人ですか。これは全責任を持って療養の給付を担当しておるんですよ。そこに働いておる医者は、看護婦さんは、薬剤師さんは、診療に従事しておる一つの歯車じゃないですか。診療に従事しておる一つの歯車、病院長だってそうですよ。保険医ですよ。診療に従事しておる一切の責任は保険医療機関が持っておる。この機関というものは一体何ものですか。人間じゃない。自然人、法人でもない。何かわからない。今あなたは、建物と機械と設備、こういうようなものが保険医療機関だ、こうおっしゃるが、それだけでは保険医療機関にならない。そこに今度はやはり生きた人間、保険医、保険薬剤師というものがいなければ保険医療機関にならないはずなんです。人間がくっつかなければ保険医療機関にならないんですよ。これは保険局長、あなたはよく知っておるはずだ。そうすると、人間がくっついて、建物と機械と設備と土地も一諸になって保険医療機関というものができて、これが全責任を持って保険医療を担当しておる。だからこれが悪いことをしたら抹殺されるのだ。保険医療機関指定の取り消しが行なわれるはずだ。保険医療機関の取り消しが行なわれても、そこにおる医院長であり、薬剤師であり、保険医というものは生きておるのです。これはどこかに行けば使いものになる。一体こういうものは何ですか。療養の給付を全責任を持って担当しておる者は使用者とどこが違いますか。どうなんですか。これは一体労働省なり医務局はどう見ておるかということです。こういうものを保険局が作り上げた。われわれが反対したにもかかわらず作り上げた。本人はもう次官になって今いないが、作り上げた。これが労使関係を不明朗にしておるのです。だから、使用者というものはどこに行ってもわからない。わかりますか。私はもっと具体的に尋ねてみましょう。今のストの一番大きな問題点になっておる日赤の使用者は一体だれです。日本赤十字社の使用者は、労働省はだれとごらんになりますか。日本赤十字社の労使の使用者に当たる人はだれです。
  43. 冨樫総一

    冨樫政府委員 究極的には日赤本社と考えております。
  44. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、本社の島津社長さんが全責任を持ちますか。次会からここに責任者を呼ばなければなりませんからね。
  45. 冨樫総一

    冨樫政府委員 その点につきましては私、日赤の約款ですか、定款をきっちり見ておりませんが、正確を欠くといけませんから、次会に申し述べたいと思います。
  46. 滝井義高

    滝井委員 それならば社会局長一つ。日赤における労使関係が問題になった場合に、国会に出て、いわゆる最高の判断を下し、五千円のベースアップについてイエス、ノーを言える人は一体だれですか。
  47. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 それは日赤の社長であります。
  48. 滝井義高

    滝井委員 社長さん、間違いありませんね。
  49. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 私は間違いないと思います。
  50. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、都道府県の段階における責任者はだれですか。
  51. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 都道府県の支部長がおります。
  52. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、日赤は独立採算制ということを非常に主張されておりますね。それぞれ病院は、今言ったように、おれのところじゃだめだ、病院長にまかしておるから病院長でやりなさい、病院長は、私はだめです、こうなると、都道府県では県知事が支部長ですよ。いいですか。都道府県段階では全責任は県知事が持ちましょうね。
  53. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 これは日赤の仕組みの問題でございまして、私がただいま聞いているところでは、大体お話のように、病院経営等につきましては、それぞれ独立採算制というものを日赤発足当初からとっておるようであります。従いまして、病院の問題について申し上げますれば、そこの間の労使の紛争が起こりました場合におきまして、これはまあそれぞれの病院で起こるわけでありますけれども、全国的な視野において日赤の本社というものが指導をいたしております。そこで、この給与ベースというような問題については、日赤の本社で最終的な責任を持って処置する、それから個々の病院の中で、たとえば年末に幾らぐらいの賞与を出し得るかというような点に関しては、これはそれぞれの施設に委任している、こういうふうに聞いております。従いまして、労使の紛争につきましても、日赤本社社長から委任された分については、それぞれのところでそれをまかなう権限があるわけでございます。
  54. 滝井義高

    滝井委員 まあ、独立採算制と僕がちょっと出したのですけれども、あなたも独立採算制というその言葉に乗ってきたようでございますが、実際は独立採算制じゃないじゃないですか。表面独立採算制にしておるだけで、実際になると独立採算制じゃないという、たとえば日赤の予算編成方針なんてものが出ているが、それを見てもどうもあいまいですよ。  それはちょっとあと回しにして、問題は、地方段階における支部長というものは知事ですよ。そうして日赤の機構をごらんになっても、社長、副社長、監事で、本社直轄の病院というものが三つある。それから支部長が知事です。これは知事でないところもあるらしいですが、大体知事ですよ。そうして病院というものがその下にあるのです。今度は市町村段階に行くと、支部長のもとに地区長というものがおります。これは市長です。それから分区長というものがおります。これは町村長です。こうなっているのですよ。だから、末端に行くと行政機関と一本ですよ。いわば、その頭というものはその自治団体の長が多くなっているということです。そうしますと、ストライキが起こって病院の経理が悪くなったという場合に、公的医療機関である日赤というものは最終的には一体だれが救済することになりますか。日赤がどうもこうもならなくなったときに、日赤社長も、私はだめです、これはやれませんと言ったときには、最終責任はだれが負うことになりますか。だれが負うのですか。
  55. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 お尋ねは、ちょっと私が予想していないようなことでありまして、にわかにとやかく申し上げられませんが、やはり独立採算を、細部はともかく大まかな点はたしか今やっているように私は聞いておりますから、そう申し上げて差しつかえないと思います。そういう建前にとっております。その経営が悪いかいいかという点その他については、まず第一線の病院の院長なり、あるいはこれを所管しております地方支部の問題であります。ただし、そういう独立採算なら独立採算というやり方でやるとかなんとかいうことにつきましては、過去のいわく因縁もあるかもしれませんが、これは本社の最高方針としてやっておることでありまするから、そういう点のために、もし病院経営なり何なりがうまくいかないということにつきまして、最終的にはだれが責任を持って処理すべきかというと、私は日赤の本社であると思います。
  56. 滝井義高

    滝井委員 どうにもこうにもならなくなったときには、国は日赤に対して貸付金や補助金を出してくれますか。
  57. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 そのときは日赤の使命にかんがみまして、国としてその場に最も適切な手を打つべきであろうと思います。
  58. 滝井義高

    滝井委員 そうすると補助金、貸付金をするということですね。
  59. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 そういう点は今ちょっと申し上げかねます。それはそういうもので考えるべきときもございましょうし、あるいは他の方法でもって処理すべきときもございましょうし、今すぐにそういう仮定の問題について国が補助するとかなんとかいうことを申し上げるのは少し控えさしていただきたい。
  60. 滝井義高

    滝井委員 仮定の問題ではなくて、法律的にできますかと言っているのです。どうにもならなくなったときには、法律的にはできますか。やるやらぬの問題は、これはそのときの必要の事態によりますから……。これだから労使関係がはっきりしない。
  61. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 今の法律上補助しなければならぬということは書いてございませんが、それは、そういう場合があった場合に、政府がそういう措置をとり得ることを否定してはおらないと思います。
  62. 滝井義高

    滝井委員 日赤法の三十九条でできることになっておりますね。念には念を入れておかなければいかぬから言うておるのです。それから医務局長さんの方で、日赤は公的医療機関でしょうね。公的医療機関はそういう場合にはどうですか。政府は補助ができるのでしょう。
  63. 川上六馬

    川上政府委員 現在は御承知のように、公的医療機関に対しましては、設備費について還元融資をいたしておりますとか、あるいは特に病床の足りないところに公的医療機関を設けるような場合におきましては、それに対して補助をいたしております。
  64. 滝井義高

    滝井委員 わかりました。公的医療機関については補助はできるようでございますね。しかし日赤は別で、公的医療機関であるからそういう新しく作るときの補助もできるが、そのほかに「国又は地方公共団体は、日本赤十字社が、その業務の実施に必要な施設又は設備を整備する場合において、必要があると認めるときは、日本赤十字社に対し、補助金を支出し、又は通常の条件よりも日本赤十字社に有利な条件で、貸付金を支出し、若しくはその他の財産を譲渡し、若しくは貸し付けることができる。」こうなっておるのです。ですから貸付金はできるわけですよ。ここを一つあなた方はきちっと知っておいてもらえば、狂欄怒濤のような波に日本赤十字社がさらされた場合には、いよいよになれば、これは一つ親方日の丸があるというものでしょう。これは低利の安い金を貸してこの危機を乗り切るという問題が出てくるわけです。まあこれは一つおいておきます。  次は、今言ったように使用者というものが、いよいよの段階にいくと、はっきりしてこないのですよ。たとえば、もう一つ私はその使用者の問題を具体的に聞いてみたいのです。健康保険病院ですね、これは森本さんの所管です。ここにおける使用者、これは今までは多分参議院の鹿島守之助さんが会長だった全社連ですか、今何か病気で休まれている前の東京都知事の安井さんが会長らしいですね。これはやはりわれわれもいよいよここに出てもらわなければならぬ段階がきますが、一切の責任は会長の安井さんがお負いになるのでしょうね。
  65. 森本潔

    ○森本政府委員 いわゆる健康保険病院は国より、通常全社連と申しておりますが、この人に委託経営をいたしております。従いまして経営者と申しますか、使用者と申しますか、これは全社連でございます。従いまして全社連の内部機構によりまして会長が会を代表する、こういう立場でございます。
  66. 滝井義高

    滝井委員 なかなか機構というものはうまくできているもので、表面はそうなっているが、会長さんは実際は何も知らない。そうして都道府県段階に行くと、一体常務理事、専務理事的な役割をやっているのはだれですか、保険課長ですね。これは政府の役人です。これが実権を握っておる。べース・アップをしようと、あるいはボーナスを出す場合にも、やはりここと相談をしなければ動けないことになっておる。だから使用者がはっきりしない。役人のところに行くと、私は役人で知りませんよと言うけれども、肩書きは常務理事である。これが日本のいわゆる公的医療機関の実態ですよ。みんな雲の上に行ったら雲かかすみか消えてしまっておる。そうして足だけははっきりしておる。だから幽霊と逆ですよ。頭がはっきりしないんですよ。だから突き詰めていくと、今日赤で指摘したように政府になってしまう。保険局あるいは社会局というようなものになってしまうのですよ。だからこういう点もう少し労使関係というものを明確にしなければならない。そのためにはまず保険医療機関というような、こういういわゆる人格のない機関を、天皇機関説よりももっと悪いものを消さなければいけない。そうしてこれを消してはっきりとした責任者を現わしてくる。これは日本保険当局の大きなミステークだったんですよ。保険医療機関というような何かわけのわからないものを作って、それがわずかに四年で現在のようなストに現われてきて、労働省は困っている。この点を私はまず指摘しておきます。これについては一つ十分御検討を願いたい。保険医療機関というあいまいなものを持ってきたために、それの全責任を負わなければならないが、その実体がはっきりしないから、土地と建物とそこに働いている人間が保険医療機関で療養の給付を担当するというような、こういう架空的なものを作り上げたところに日本保険行政の大きなミステークがあった。これは今の答弁ではっきりしてきた。みんなどうもはっきりしない。作っておった本人がはっきりしないのだから、共同して省議を開いてお作りになった太宰さんも、そのとき官房長だったかあるいは薬務局長だったか、高田さんもみんな責任があるんですよ。  そこで次に移りますが、今ストライキの一番大きな対象になっているのは公的医療機関ですね。この公的医療機関というものは税金を払っていません。私的医療機関は税金を払っておりますが、日赤も健保連の病院もみんな税金を払ってはおりません。この公的医療機関というものは一体何ですか。
  67. 黒木利克

    ○黒木説明員 公的医療機関は、医療法の第三十一条に公的医療機関の定義がございますが、「公的医療機関とは都道府県、市町村その他厚生大臣の定める者の開設する病院又は診療所をいう。」と規定されております。
  68. 滝井義高

    滝井委員 どうもしろうとでこれだけではわからないのです。公的医療機関になるにはその資格が要ると思います。その三十五条に、「左の事項を命ずることができる。」というので、そこに勤務する医療従事者に対して診療または研究のために利用させるとかなんとかいろいろ書いてあります。しかしこんなことでは公的医療機関の条件というものははっきりしない。あなたの方でこれを公的医療機関であると指定するためには、何か公的医療機関の条件があるでしょう。
  69. 黒木利克

    ○黒木説明員 医療法上は、ただいま御指摘になりました三十五条でオープン・システムといいますか、「当該病院又は診療所医療業務に差支ない限り、その建物の全部又は一部、設備、器械及び器具を当該公的医療機関に勤務しない医師又は歯科医師の診療又は研究のために利用させること。」それから三十四条では、医療の普及をはかるため特に必要があると認めるときは、厚生大臣は、公的医療機関の設置を命ずることができる。それから三十五条の二項では、公的医療機関に対して厚生大臣なり都道府県知事がその運営に関して必要な指示をすることができる。こういう規定で、公的医療機関に一応対応するいわゆる開業医に対しまして、法的にはこういう特色を持っているということが医療法上言えると思います。
  70. 滝井義高

    滝井委員 こういうことはどうですか。まずその公的医療機関というのは、そこで適正な医療が実行されるということ、基本的な問題ですね。これは当然なことだと思う。同時にその公的医療機関においては、国が助成しているんですから、従って医療負担の軽減が当然そこでははかられなければならぬわけですね。これは当然の出てくる条件です。それからその経営が経済変動によって左右されないだけの一定の財政的な基礎がなくちゃならぬということですね。これはお認めになると思う。さらに社会保険との緊密な連携がとられなければならぬ。これはどれにも書いてある。そのほかに、保健予防に積極的に協力をするというような、こういうことが書かれている。今言ったようなことは、ちょっともおっしゃらなかったが、これはお認めになるでしょう。
  71. 黒木利克

    ○黒木説明員 ただいま滝井先生の御指摘は、医療法の法案審議の過程におきまして、一応厚生当局から説明した内容でございます。つまり、公的医療機関の制度を設立する趣旨について申し上げた内容と一致しております。確かにそういう面が現在でも継続しておるわけでございますが、ただその間、社会保険制度と緊密に連携協力することというような規定にいたしましても、一般の開業医におきましても、皆保険下においてはやはり同じような使命がございますので、だんだん公的医療機関と私的医療機関あるいは開業医との性格上の差が狭まって、あいまいになって参りまして、現在の段階においては、この公的医療機関にどういう性格を持たせ、どういう使命を持たせたら私的医療機関とどういう点が違うかというようなことを再検討する段階にあると思うのでございます。
  72. 滝井義高

    滝井委員 今私が読み上げたことが、医療法審議するときの政府の提案説明ですか、何かその説明だ。これが政府の公的医療機関設立の精神なんですね。この精神に現在の公的医療機関が合致をしておるかどうかということを見きわめていくと、今の争議に対する解決の一つの足場というか、かぎが出てくる感じがするのです。日赤ばかり出して気の毒ですけれども、日赤、済生会というのは全国的な網を持っている公的医療機関の一番最高峰にあるんですからね。公的医療機関でない第三の範疇のものが相当ある。たとえば今の全社連の病院なんか公的医療機関じゃない。こういうのも非常に厚生行政の盲点になっている片手落ちのところなんです。ああいうものは当然公的医療機関でなければならぬが、自分のところにあるものは公的医療機関でない、何か別のものに祭り上げてしまって、国民の眼から隠そうとしている。故意に隠そうとしたわけではないと思うのですが、しかし結果としてはそういう形が出てきているということは事実です。これだけは指摘しておきます。しからば、その公的医療機関の状態に日赤が合致しておるかどうかということです。まず第一に、今言ったように適正な医療の実行が期待され、しかも医療費の軽減が行なわれなければならぬ、同時に社会保険制度と緊密な連携が保たれなければならぬというのが、皆保険制度のもとにおける公的医療機関としては一番大事な点だと思うのですね。そうすると、今から多分四年くらい前、昭和三十一年の健康保険審議のときだったと思いますが、実は私は日赤を爼上に上げて当時の社会局長の安田さんに質問をしたことがある。私の質問点は、直していただきたいという質問をしましたが、直していなかった。それから今から一年か一年半前にもう一回やったのですが、直してない。今度はめぐりめぐって、あなたには悪いことになりますが、太宰さんということになった。私は今三十一年の古い資料を探してきた。それは「日本赤十字社中央病院入院案内」というものがある。これをもとにして当時御質問申し上げた。これだけ日赤が大きな問題になっているのですから、太宰さんの方も当然前の事務の受け継ぎもあって、滝井のやつまたこういう質問をするだろうということで、これは当然お調べになっていると思うのですね。日赤のことは今から四年前の資料ですから、今おそらく違っているだろうと思います。一年前、一年半前には直しておりませんでした。今日直しておられるだろうと期待して質問しているのですが、日赤中央病院に入院するためには、特別一人室として入院をするときに保証金三万円取られるわけですね。それから一等が一万円、二等が五千円、三等が三千円です。これは昭和三十一年ごろに私が手に入れたものです。きょうちょっともらってこようと思いましたけれども、時間がありませんのでもらいませんでした。これは今直っておりますか。これは直すというお約束を四年前にいただいて、一年前も直っていないのですが、今保証金は直っておりますか。
  73. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 はなはだ恐縮でございますが、私、今承知いたしておりませんので、調べてお答えいたします。
  74. 滝井義高

    滝井委員 これで三回目ですよ。仏の顔も三度ということがございますが、こういうように四年前に日赤の前途をおもんぱかって御忠告を申し上げた。ところがそれがおそらく直されていない。一年前に聞いたときは直されていない。おそらくこういう姿ではないか。金額は幾分変わっているかもしらぬが、われわれはこの保証金を身のしろ金と言っている。社会局長さん、日赤は今健康保険保険証を持っていったら、一文も金を払わぬで入院できるでしょうね。     〔委員長退席、大石委員長代理着   席〕
  75. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 特別の病室とか、また特別の治療を本人が要求するようなことでない限り、社会保険保険証を持って行きましたら、その法律の通りやっているはずであります。
  76. 滝井義高

    滝井委員 三等というのは、日赤ではベッドが多分六百か七百あると思うのですが、一体どのくらいありますか、
  77. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 大へん恐縮でございますが、今知りませんです。
  78. 滝井義高

    滝井委員 すぐわかりますか。
  79. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 調べてお答えいたします。
  80. 滝井義高

    滝井委員 今日赤はストライキの一番焦点でしょう。その中央病院の実態について社会局長さんの方がそういう状態ではいかぬと思うのですがね。そうすると医務局か、だれか調べておりますか、これではとてもこのストの解決とか、ストを一体どういう方向にやるかということは全然問題にならぬですよ。労働厚生行政の積年のうみが今病院ストに現われていますよ。こういうことでは処置ないですね。もう少しやっぱり積極的に——中央病院ですから、ここのストが解決すれば全部解決するのですよ。一番大事なときなんですから、だから私は公的医療機関として日赤が合致しているかどうかということを、今一つ一つ例をあげて御質問申し上げているのです。そうすると社会保険協力をし、医療費の軽減をはかろうとするところのものが、とにかく保証金を特一に入るためには三万円、三等で三千円払わなければならぬというのですから、保証金ですよ、入院するときに前に払うのです。これではどうもこれから先の質問が続けられぬですがね。監督官庁ですからもう少し実態をしっかりおやりにならぬとだめですね。そうするとどうですか、社会局長さんなり医務局長さんに、集中的にこれから日赤を中心にいろいろの問題を尋ねていくのですが、あなた方全然病院の実態をまだ何も調査されておりませんか、どうですか。調査されていなければ質問をしたって意味がたいんですよ。答弁ができる状態である程度お調べになっておれば、その問題を中心に質問を続けていきたいのですが、どうですか。正直に言っていただいて…
  81. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 先ほどお尋ねの件につきましては、まことに申しわけないんでありますが、私、承知していないので、正直にその通り申し上げたわけであります。ただお尋ねの趣旨が、もし日赤の病院はそういう特別室など持つのはいかがであろうかという趣旨の御質問であるといたしまするならば、私どもも、日赤というものもできるだけ大衆の便宜をはかる方向に徹してもらいたいということは、同様に考えておるわけであります。ただし先ほど申し上げましたように、それぞれの病院が独立採算と申しますか、その病院でもってその経営をまかなっていかねばならないということになりますれば、やはりその面からいたしまして、またそういう一般の患者の方からいたしましても、いろいろ社会的なお忙しい方その他によりましては、個室がほしいという御希望も、ある程度現実にあるわけでございまするから、そういう面とのにらみ合いにおきまして、そういうような措置をすることは、ある程度は認めざるを得ないんじゃないか、私はかように考えておるわけであります。
  82. 滝井義高

    滝井委員 いいですか、公的医療機関で博愛と人道を看板にして、税金を払わずに、そしてそこに入っている患者さんを調べたらお金持ちばかりだったという、これは一体営利主義じゃないですか。これは営利主義とは言わぬですか。そこに入っている病院の入院患者のほとんど六割、七割というものは、今言った身のしろ金を出して入るようなお金持ち、そして健康保険保険証で入っている患者はまあ三分の一か五分の一。そしてそれは税金を払っていない公的医療機関、国が補助金を出している。県知事が支部長。そういうのを営利主義と言わぬですか。日赤よりかももっと典型的なものを出しますと、聖路加病院、これは一体保険証だけ持っていって入院した人がおりますか。保険証だけで一文も要らずに入院さして下さいといって、入院できた人がおりますか。保険証を持って行ったって金を取るでしょう。どうですか。これも公的医療機関ですよ。私は日赤が大事だからまだ聖路加病院までは行きつかぬですが、どうですか。公的医療機関でここに貧乏人が入っていますか。いわゆる社会保障を拡充強化をし、三本の柱の第一に立てたこの社会保障のための公的医療機関に入っておりますか。     〔大石委員長代理退席、委員長着   席〕
  83. 川上六馬

    川上政府委員 聖路加病院は公的医療機関ではございません。
  84. 滝井義高

    滝井委員 公的医療機関でなくても、あの病院は税金を払っていない。非課税になっている。公的医療機関と同じ取り扱いを受けておりますよ。税金を払っていますか。払っていないでしょう。公的医療機関と全く同じです。それはたとえばインターンその他を収容してやるということで、アメリカの金も入っているということで、医務局その他税金をかけてない。大蔵省はかけると言ったが、あなた方の方の泣きつきによって、大蔵省の税制一課は税金をかけないようにした。公的医療機関と同じような取り扱いをしている。公的医療機関でなければそれに準ずるものです。そうしているのです。そうすると、私はこういうのを営利主義というと思うのです。そこに入っている患者さんは、今言ったように、財政豊かな、保険証を使わなくてもいい人たちばかりが入っている。そうして貧乏な、保険証を使って入っている人は少ない。そうして独立採算制といいながらも、そこでは低賃金で採用している。四年前に私がこれを質問したときは、大学を卒業して六年ないし七年の人が、医者で八千円だったんですよ。今これが一万何ぼくらいになっているかもしれません。あれから四、五年もたっていますから、相当ベースアップもできているでしょうが、こういう実態ですよ。だから労働条件というものは劣悪でも、取るだけはお金持ちからお金を取って、博愛と人道を看板としているのが赤十字の実態です。昭和二十年の終戦のときに、日赤の病院の数は三十七だった。ところがそれから月日が流れて十五年たったら、現在九十六になっている。一体こんな安い給料で人を働かしておって、そうして九十六、約五十以上も病院がふえているというのは、一体どういうことでふえたか。どこから金がきてふえたのですか。独立採算制を建前としているなら、こんなことはできないはずだ。ところがこれがふえてきている。だからこういうからくりを博愛と人道のもとにやられたらかなわぬですよ。だからこういう実態にもう少しメスを入れて、こんなにどんどん病院を作るお金があったら、そこにおける従業員の待遇は、日本一の公的医療機関ですから、きちっとやって、博愛と人道というものを広く天下に訴えなければいかぬと思うのですよ。一体どうでしょう。砂川のあの激しいおまわりさんと学生、労働組合が衝突したとき、日赤が出てきたでしょうか。この前の国会のあの多くの負傷者が出てきたときに、日赤が出てきたでしょうか。日赤の使命は救急の処置をするときでしょう。ところが日赤は、日本の歴史的な大混乱が起こったあの砂川、この国会のまわりの混乱のときに、日赤の赤十字のマークがついたのを見なかったんです。思想的なものだったら日赤は出ないのでしょうか。しかし競輪場が混乱をしたときは出ていっているんですよ。どうです。こういう実態をもう少し私たちは考えなければいかぬのじゃないですか。もはや日本医療は曲がりかどに来ている。だから根本的に公的医療機関についての再検討をして、むしろこういうところに税金をかけなければならぬ。こういうところに、どしどし税金をとって医療の近代化をはからなければならぬ。むしろ博愛と人道は、小さないなかの炭鉱地帯の病院診療所の方がやっているでしょう。それは重税にあえいでいるという実態です。だからこういう実態というものをやはりえりを正して明らかにしなければならぬ。葛西さんには気の毒だが、葛西さんが副社長でしょう。いわばあなた方の出店ですよ。だからこういう点をもう少し御遠慮なくメスを入れて、ただすべきところはただして、人道と博愛の名にそむかないようにしなければいけない。そこの労働条件についてはいろいろお調べでございましょうから、日赤の労働条件が一体どういう労働条件であるか、お調べになっておれば、太宰局長なり医務局長なり、どちらでもけっこうです。あるいは基準局の方でお調べになっておりませんか、どこでもいいです。お調べになっているところがおありになれば、日赤における労働条件というものを一つ御説明願いたいと思うのです。
  85. 黒木利克

    ○黒木説明員 日赤病院の従業員の全体の労働条件の資料は今手元に持ってきておりませんが、医務局で検討いたしております資料の中で、特に今度のストで問題になっております看護婦関係給与調査でございますから御報告申し上げます。  日赤病院従業員の俸給表は、一号から九十号までの延べ号俸制となっております。一号俸が三千百円、九十号というのが七万二千七百円。日赤本社、各病院ごとの独立採算制を御指摘のようにとっておりますので、病院によりまして採用時の初任給は差がついておるようであります。看護婦について申し上げますと、初任給は二十三号、これは七千五百円でありますが、二十三号から三十二号、これは一万一千二百円までの差がございます。准看護婦につきましても十八号、これは五千九百五十円でありますか、から二十六号八千六百円までの差がついておるようであります。昭和三十四年十二月末の調査によりまして、日本赤十字社全病院の看護婦、准看護婦の基準給与だけについて見ますと、平均月額が看護婦におきましては一万四千五十七円、准看護婦におきましては八千六百七十四円となっております。そこで御質問があると思いますが、一応私の方の国立病院の看護婦と比較した数字がございますが、必要があれば申し上げます。
  86. 滝井義高

    滝井委員 どうぞやって下さい。
  87. 黒木利克

    ○黒木説明員 初任給におきましては、国立病院の看護婦が一万二百円でございます。従って日本赤十字社の三十号と同額でございますが、国立病院の准看護婦は七千七百円でございまして、日本赤十字社の二十四号、これは七千八百五十円に近い額になっておりまして、国立病院の方が平均しますと日本赤十字社の初任給よりも少し有利になっております。それから基準給与につきましては、看護婦の昭和三十五年四月一日現在調査によりますと、国立病院の看護婦、准看護婦の平均月額が一万六千九百五十二円でございますが、赤十字社の看護婦平均月額よりも二千八百円高くなっておるということでございます。
  88. 滝井義高

    滝井委員 今日赤の給与号俸について御説明をいただきました。三千百から七万二千七百まで、一号から九十号まで、これだけある。そうして看護婦さんの初任給が七千五百円二十三号、それから准看護婦が十八号で五千九百五十円、こういうことでございました。この適用はそれぞれの病院によってまちまちであることは、今独立採算制ということを盛んに言われておりますが、これは独立採算制についてはいずれ別の機会に、少し内容を私検討いたしておりますから、やりたいと思いますが、きょうは時間がありませんから次会にしますが、私の手元にある資料によりますと、今のは看護婦さんでございますが、初任給でたとえば一般労務員なんかは三千七百五十円というのがあるんですね。今言った給与の表が一号から九十号まであって、一号が三千百円という、こういう安いものをとにかく持っておるということです。最近はこういう安いものを適用していないだろうと思って調べてみると、福島県の日赤病院では、一般労務員というのが三千七百五十円というのがあるんです。それから山梨県の何というか、むずかしい字が書いてあるが、ある日赤病院では、准看護婦が五千二百円、それから神奈川県の中野の日赤病院では看護婦が七千百五十円というように、実に低い状態なんです。こういう点についてはどうですか、太宰さんの方で公的医療機関として税金も払わずにやっておるんだから、やはり国がある程度施設まで金を出してやっておるし、それから全国に社員を作って、その社員から寄付金ですか、社員費ですか、そういうものを年間百円かなにか出すのでしょう。その金が九億くらいなんです。病院収入だって一年に百十億くらいあるんです。そういう状態ですから、これはやはり給与体系というものを全国的にきちっとして、そうして労働基準法違反のないように、ほんとうに博愛と人道が遂行できるような形で日赤を監視しなければいかぬと思うんです。今の状態ではいかぬと思うんです。そうして救護活動その他についても、いざ鎌倉というときには思想を越え、考え方を越えて活動していく、こういう形がとられなければならぬと思うんです。ところがこれは四年前にもそういうことを指摘した、一年半くらい前にも指摘した。やはりそれが直っていない。今度はいよいよこういう危急存亡に関するストライキなんですから、今のような状態でいっていれば日赤の存在価値がなくなってしまうわけです。だから、これは太宰さんの方で、ストとは別に、そういう根本的な問題点については、あなた方の方で改める意思がないですか。ないとなれば、社会党は日赤を検討して法律の改正をやらざるを得ない。そうして公的医療機関としての使命を果たしていないのですから、営利主義なんですから、税金もとってもらう。百十億の金があれば相当の税金がとれます。そうしてその金をむしろほかの方に回した方がよいことになる。どうですか、あなたの方で日赤についての今のような問題について再検討をやる意思があるのかないのか。
  89. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 ただいま例でおあげになりました、二、三の地方の初任給の問題でありますが、これは東京あたりで採用する場合、それから地方のいなかで採用する場合、これは何も病院に限りません、役場などその他でもあり得ることでございまして、それはそのときの労使の契約できまることであります。これをもって直ちに日赤の全般の給与水準が非常に低いのだと、そういうことはおっしゃらないと思いますが、というわけには参らぬ。全般的に見ますと、日赤の給与の体系なりそれからその他の勤務条件等は、それは欲を言えばいろいろなお直さなければならぬ点もございますけれども、比較的まだそう悪い方ではないように私は思っておるわけであります。それから日赤の使命というものは、できるだけ博愛と人道に基づいて、そういう方向に指導して参りたい。その指導する面がなおあろうかと思いますから、これは私ども今後とも怠らず指導して参りたいと思います。ただ今日の日赤はもう営利主義であるということをちょっとお考えでございましたならば、私は必ずしもそういうふうにはとらないわけであります。これは日赤といたしまして、先ほどお話しのように、この約九億前後のものが社費として社員から入ります。これは社員その他から寄付等が入りますが、日赤本社のいろいろな事業、その中には海外に派遣する——この間もアフリカのコンゴに派遣したというような費用、あるいは本社としての災害救助等に出動する場合の費用、その他いろいろな事業をやっております、そういうことに充てるものであります。各病院は、大体その病院の収入でもってまかなうという建前をとっておるわけであります。確かに年間にいたしますると百億前後の収支はあると思います。しかしこれも個々の病院によりましては今赤字を出しておるところもあるわけでございまして、全般的にそういうことを抜きにして出してみたものがその九十八億でありまするけれども、なおこのほかにいろいろ支出すべきものもこの中には含まれておるという点がございます。たとえば新しく医療器械を用意するとかいうものも入っておる。それからランニング・エクスペンスもこういうものに入ってくるというようなことでありまして、日赤全体が今日営利主義である、また営利を上げておるというふうには私どもは考えておらぬわけであります。先ほどの特別室の問題等についても、これは相なるべくはそういうものは少なくして、一般の、特に庶民のための便宜をはかることになお重点が注げるように私は持っていきたい。またおそらく日赤もそれを否定するものではないと思うのでありますが、先ほどのように、やはり採算をどうしてもとらなきゃならぬということになりますれば、どうしてもそういう面を全部今ネグレクトしてしまえというわけには参らないと思います。これはもう少し長い目で指導して参りたい、かように考えておるわけてございますが、その辺は御了承いただきたいと思います。
  90. 滝井義高

    滝井委員 賃金を一体どこと比較するかということが問題である。下を見ればきりがない。上を見ればきりがない。しかし日赤が公的医療機関として発足して以来、給与の体系をとっておるのは何を基準にしておるかというと、これは国家公務員の給与体系である。これはあなたも御存じだと思う。そうすると、われわれが言う場合は国家公務員との比較なんですよ。国家公務員の給与の体系と比較した場合に、一体日赤の給与体系が高いか低いか、こういうことが問題だと思います。それは健康保険病院についても同じです。国家公務員の給与体系に準ずると、こうなっているんです。従ってその問題について比較をしてみると、日赤は低いということです。むしろ非常に低いと言った方がいい。今度人事院の勧告によって十月一日以降一二・四%のベースアップが行なわれますと、これは一万円以上違うことになる。日赤の給与体系は平均してみて一万円くらい低くなる、こういうところに問題があるんですよ。  それからもう一つは、私はまだそれを具体的に展開しておりませんが、特別室とか一等とか二等とかいうようなものがよけいに出ることは、一体何を意味するかというと、これは今いわゆる健康保険における一類看護、二類看護、三類看護というのがあるんです。一類については、入院患者四人について看護婦さん一人となっております。それについてどういうことになるかというと、一日九十円の加算がつくんです。そうすると個室がよけいにできるということはどういうことを意味するかというと、看護婦の労働力の強化になるわけです。大部屋にたくさん人が入っている場合と、小部屋がたくさんできてお金持ちがそこに入る場合とでは、看護婦さんは、なるほど大部屋ならば、五人も六人も持ってるわけです。ところがだんだん個室に分けていくと、一人々々の量は大きくなって労働強化になっていく。そうして労働強化になっても九十円の加算がついているから、経営者はその九十円をとるためにどんどん働かせる。こういう形で労働強化が現われてくる。こういうこまかいところにまで保険行政なり医療行政が目を配って、そこに従事する人の賃金その他を考えてやらなければいけない。そういう点の配慮がちっともない。保険局と医務局と社会局との連絡、こういうものが全くなくて、それぞれわが道をいくという、こういう姿をとっておるところに、厚生省ができて以来の、この戦争中からの大きな失政がこの病院ストになって現われているんです。私はそういうことだけを一応指摘しておきますが、まだ日赤の具体的な賃金体系その他の内容については、十二時になりまして、あと関連質問がありますから、これ以上言いませんが、次会には細部のことも十分御研究いただいて、日赤の内容その他も十分御研究になって一つ御説明いただきたいと思います。
  91. 山本猛夫

  92. 本島百合子

    ○本島委員 時間があまりないそうでございますので、簡単に質問いたし、次会にまたやらしていただきたいと思います。  今回の病院ストについては非常な不安を巻き起こしていることは事実であろうと思います。私どももこうしたストをやっておられる方々にお会いしていろいろと調査もいたし、お尋ねもいたしましたが、何といっても経営管理あるいは労務管理、こういう点にどこかくぎの抜けたような格好があったということは、今滝井委員からの御質問にもあったと思います。こういう点については、今後病院ストについてはどういうふうに考えていかれるのか、どういうふうに妥結の方向へ持っていかれるかということをお尋ねしたい。  なおこの看護婦さんの給与の問題でありますが、私ども聞くところによりますと、一般の公務員より大体四千円から五千円安いということが言われております。労働時間は大体看護区割からいって三交代になるべきところが二交代である。こういうようなところで労働オーバーになっている。  それから経営者側が、先ほど言われたように、だれが使用者であるのかという実体がつかめないというようなことで、自分たちの問題の解決をだれがやってくれるのか、こういう不安を非常に持っていると思うわけであります。  そこで労働省にいたしましても厚生省にいたしましても、こうした根本的な問題を是正するのは当然であろうと思いますが、こうした点についてもどういう腹案を持って進まれようとしているのか、こういう点について一言御答弁を願い、次会にこの細部にわたってお尋ねしたいと思います。
  93. 川上六馬

    川上政府委員 どういうふうな対策を講ずるかという御質問であったと思いますが、先ほど申し上げましたような点に問題があるわけでありますから、それに対して改善をはかっていくということでありますが、中には先ほど申し上げましたように、医療制度なり医療行政なりに改善を要するものがあるというような根本的な問題につきましては、これは相当時日を要するわけでありますから、目下開かれておりますところの医療制度調査会などの御意見を徴しまして、できるだけ早く改善をしたいと思います。(「今起きているストをどうするかということを聞いている」と呼ぶ者あり)それは問題になっておりますところの病院が非民主的であるとか、あるいはその経営が前時代的であるとか、そういうような問題はストによって一朝に解決できるような問題ではないはずでありますから、そういう面の解決に対する努力も、厚生省労働省協力をいたして努力をいたすことはもちろんでありますけれども、施設側におきましても組合側におきましても忍耐、誠意あるいは努力を相当傾けて、時間をかけてやっていただかなければならぬ問題がだいぶあるように思うわけであります。  それから看護婦の問題も、今お話の中で出たのでありますけれども、こういう点も病院によりましては看護要員の少ないところもあるわけでありますから、そういう点も指導によって改善をしていくようにしなければならぬと思っております。
  94. 本島百合子

    ○本島委員 大へんわけのわからぬような御答弁でありますが、次回の委員会までに、具体的にこのような方法を考えておる、それに努力する、そういうふうに出していただかぬと、今の御答弁ではいつまでたっても問題の解決はできないと思います。同時に患者の不安とあわせ考えますとき、特にそうした面にも留意をされまして、できるだけ早い期間の妥結ということを目途として考えてほしいということを要望いたしまして、次回の委員会でもう一度この点につきましての御質問をいたしますので、これで終わらしていただきます。
  95. 山本猛夫

    山本委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時十一分散会