○前田(榮)
委員 私はただいま上程になっておりまする
中国地方開発促進法案につきまして、
自由民主党、
日本社会党、
民主社会党を代表いたしまして、賛成の討論をいたしたいと思うものであります。
本
法案は、
地方国民が年来要望いたしておりまする重大な案件でございまして、本日ここに
委員会に上程され、この
法案の
成立を見ようとすることは、まことにわれわれの慶賀にたえないところであります。しかしながら、これはただ単にこうした道が開けたということで終わってはならないのでありまして、この
法案が
法律となって公布され、この
立法の精神に基づいてますますその成果が上げられなければならないのでありまして、大体
日本の
国土開発については、非常に私はおくれておると思うのであります。本
法案のごときも、どちらかといいますと、おそきに失するきらいがあると思うのでありますが、この際、この
法律的に
実施を見なければならないという点について、二、三要望を加えて、賛成をいたしたいと思うのであります。
この
法律は、
日本全体の
国土の
開発をいかにすべきかという点と、あわせて
中国地方という
地方の特殊性に基づく
開発の問題、この両面があると思うのであります。
全国的な問題につきましては、
日本は非常に
国土が狭く、特に山間部の多い、土地の利用度の非常に困難な国であるということで、困難な状態になるのは仕方がないのだ、こういう一つのあきらめ主義のような声が、国民の中にも今まであったわけでございます。しかしながら、たとえばヨーロッパおいて、山国といわれておるスイスのごときにいたしましても、
日本に比較いたしますと、山の状態は大体似たり寄ったりにもかかわらず、
国土の
開発は
日本の二倍以上をこえておる
開発が行なわれておる
事情を見ますと、やはり国の
施策がそこに及ばなければならないということにわれわれは着眼しなければならぬと思うのであります。ことに池田内閣が、
経済成長率を十カ年のうちに倍にする等の問題から、農村人口の
調整の問題等まで国民の中に大きく取り上げられたことは、全く
日本の
国土の
開発等が、その底に流れた重大な案件であることにわれわれは着眼しなければならぬと思うのであります。そういう点において、
全国的に
国土総合開発をやらなければならぬという点に、特に
政府は留意を払っていただきたいと同時に、その根幹になるべきものといたしましては、先年の衆議院における
国土開発縦貫自動車道、これは単に道路のみならず、いかにして
国土を
開発するかという意味を含めた問題でありますけれども、これらも、その後における
発展というものはほとんど見ておらないという
程度であろうと思うのであります。
中国地方においても、この縦貫自動車道の
実施を見まして、それにいわゆる肋骨道路ともいうべきものの
設置を十分に行なうことになりますならば、今問題になっております低
開発地域の問題等は、おのずから解決のつく問題であります。ことに山陰、山陽の
経済の
格差等は、直ちに本案の重要な問題でありますけれども、山陰
地方における
経済の
立地条件、これらは全く見捨てられておる状態でございまして、これらの問題を解決つける大きい問題といたしましては、やはり縦貫自動車道法における肋骨道路というようなものから、山陰、山陽の
経済の直結を行なう、こういう点を大きく取り上げなければならぬ問題であると私は思うのであります。
なお、
地方の特殊性に基づく問題といたしましては、世界にほとんど類例のない風光明媚な自然を持っている瀬戸
内海の
開発をいかにすべきかということが、重要な問題ではないかと思うのであります。これにつきましては、たとえば
中国と
四国との連絡については、宇野—高松間もございますし、あるいはまた国鉄で
計画いたしておりますところの、淡路島を通ずる鳴門海峡の鉄橋あるいはまた隧道の
設置の問題とあわせまして、尾道—今治間の島嶼の飛び石伝いの道路
計画、今治から愛媛県の海岸線をずっと
通りまして、
九州の佐賀関に通ずるところの、一番短距離の
四国・
九州・
中国本土の連絡、
経済開発の重要な路線でありますが、これらの問題等も大事な問題であると思うのであります。いずれにしましても、これらの問題を、今までの
日本の政治は、これは保守党、革新党ということを離れまして、どうも
計画性が十分に発揮されていないと思うのでありまして、たといこれは自由主義
経済のもとに立っている政党といえども、これらの問題につきましては、積極的に長期の
計画性に基づく
国土の
開発こそが、ほんとうに将来に明るみを持つ問題だろうと思うのであります。
そういう点につきまして、今度のこの
中国地方の
開発促進法の
実施は、やはり
日本全体の
国土をいかにすべきかという長期的な
計画の上に立って、そうしてその
地方の特殊性を十分に生かして
発展させなければいけない。今日、一億に近い人口を持ち、ほんとうに狭い
国土の上に、御承知のように、もう交通は交通地獄といわれるような状態にまで追い込まれておる今の
日本といたしましては、前もってそういう
日本の実態というものを見きわめまして長期的な
計画を立て、ほんとうに国の全力をあげてこれを解決つけるということにならないと、この問題はとうてい
日本の国民に安心を与える状態にならぬと思うのでありまして、これらも十分に
考えて、われわれはこの問題の解決に当たらなければならぬと思うのであります。この点を特に重要視いたしまして、本
法案の
成立におきまして、ただ単にこの
法案の問題のみならず、この
法案が、なお今後の機会においても、ますます時代の進運に伴いまして
発展せしめるような
改正法等が必要であるならば、どんどんこれら
改正法を
成立せしめてやるという意気込みのある点を十分にお
考え下さいまして、
政府は、この
法案を重要視して
実施されんことを、特に希望を申し上げまして、本案に全幅的な賛成を表するものであります。(
拍手)