○齋藤(憲)
委員 関連して。
この南極問題に関しましては、本年がちょうど白瀬中尉が第一回南極探検を始めましてから五十年に相当するのであります。白瀬中尉は、私の出生地のごく近くの出身でございまして、郵政省では、この白瀬中尉南極探検五十周年を記念いたしまして、本年は記念切手を発行したのであります。十円切手八百万枚と私は聞いておるのでございますが、ようやくこの
国際地球観測年に
日本も参加するだけの実力を持ちまして、南極の実態を数年にわたって
調査することができたわけでございます。西堀越冬隊長にいろいろな話を聞きますと、
日本が獲得いたしました
昭和基地は、南極における最もすぐれた基地であって、ここに
日本が足をとどめて南極の
調査を総合的に進めていく、将来に対して非常に大きな
国際的な力がここから生まれてくるのではないかというようなことを私も聞きまして、たとえ地球観測年が終わりましても、
世界はあげて、今度は宇宙観測年に入っておるわけでありますから、
日本も宇宙開発という
建前から、こういう
国際的な趨勢におくれざるように、宇宙観測という大きな表題に切りかえて、そして、あくまでも
昭和基地に毎年探検——と申すと語弊がございますけれども、いろいろな科学
調査を行なうところの人々を派遣して、
世界の大勢におくれないようにすることが一番いいことじゃないか、そう私は感じておったのでありますが、ただいま前田
委員と
政府当局との質疑応答を伺いますと、三十五年で打ち切って、あとはやるかやらないかという根本問題がきまっておらない、こういうことですね。それには私も非常に驚いたのでありますが、せっかくあれだけの
努力をして
昭和基地をあそこに確立して、さて、これから南極の実態を通じていろいろな近代的な
調査が行なわれる、そういう点だけでも、
日本は
世界の先進国と肩を並べてやれるんじゃないか、こう思っておった。その南極に対する根本
方針がきまっておらないということは、これは何と申し上げていいか、戸惑うようなわけなんでありますが、どうか、一つ所管外でございましょうけれども、
池田長官におかれましては、この根本問題を早くきめていただきたい。一体、三十五年度で打ち切ってしまうのか、将来やるのか。将来やるということの根本
方針がきまっておったならば、これは三十六年度に、前田
委員の言われるように
予算措置を講ずることが私は賢明であると思う。たとえ五、六名であっても、もう一年間継続をしておる間に、さらに積極的な方法を講じていく。私のおそれますのは、三十五年で一たん打ち切ると、せっかくあれだけの設営をいたしました
昭和基地が一体どうなってしまうのか、あれは暴風雪によってなくなってしまうかもしれない。将来継続的にやっていくことをやらないなら、これは
考えもありましょうけれども、そういう根本
方針を早急に決定していただくようにお願いしたいと思う。これは、単に文部省だけが所管省というように今伺いますが、南極それ自体に関するところの国家的な
立場は、文部省一つだけの問題でなくして、これは国家の総合的な問題だと私は思うのであります。そういう点をよろしく御勘案下さいまして、所管外で、どんなにこの問題で御活躍になっても
池田長官はおこられることはないと思いますから、その点よろしく御配慮願いたいと思います。