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1960-12-01 第36回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十二月一日(木曜日)    午前十時十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     杉山 昌作君    理事            上林 忠次君            山本 米治君            天田 勝正君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            大谷 贇雄君            岡崎 真一君            梶原 茂嘉君            木暮武太夫君            堀  末治君            前田佳都男君            荒木正三郎君            木村禧八郎君            野溝  勝君            平林  剛君            永末 英一君            須藤 五郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 水田三喜男君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵政務次官  秋山 利恭君    大蔵省主税局長 村山 達雄君    大蔵省理財局長 西原 直廉君    大蔵省理財局資    金課長     鈴木 喜治君    大蔵省為替局長 賀屋 正雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査  (国際収支に関する件)  (昭和三十五年度租税収入見込み状  況に関する件)  (財政投融資に関する件)   —————————————
  2. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) ただいまから会議を開きます。大蔵大臣が御多忙中おいでいただきましたので、まず先に大蔵大臣に対して財政金融問題一般について質疑をいしたいと存じます。御質疑のある方は、順次、御発言願います。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大臣、だいぶお忙しいようですから、端的に御質問いたしますが、最近非常に重大化しているドル危機の問題でございますが、この点について三点ばかりお伺いしたいのです。このドル危機成り行きいかんによっては、大臣も十分御承知と思いますが、日本財政あるいは貿易ですね、経済全般にかなり大きな影響が現われると思いますし、また政府が九%高度成長政策とか、所得倍増政策、こういうものをこれから推進しようとしておりますが、この成り行きいかんによっては、そういう根底はくずれてしまう。九%成長どころの騒ぎではない、所得倍増どころの騒ぎではない。そういう成り行きいかんによっては、かなり重大な影響が現われると思うのです。そこで、三つの点についてお伺いいたします。  まず第一は、このドル危機の今後の見通しですね、どういうふうに政府は見ておられるか。具体的に申し上げますれば、端的に結論から申しますれば、金価格引き上げ、つまりドル切り下げは必至であると思う。人によってはいろいろ見解があると思いますが、私は私なりの根拠をもって御質問しているわけですが、どういうふうに見通して、それでこれに対処しようとしておりますか、まずこの点についてお伺いしたい。
  4. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ただいまの御質問ですか、私ども考え方は、アメリカ政府ドル切り下げを行なうということはないと大体考えております。今のところは。それは、この九月にIMF総会でもアンダーソン外務長官がはっきりそういう演説をしておりますし、また私どもも個々にお会いしてこの問題について話し合いをして参りましたが、ドル切り下げを行なうというようなことは、アメリカ政府は絶対やらないだろうと現在確信しております。先ごろ大統領の指示がいろいろございましたが、そういうようなことによって、大体アメリカドル防衛がある程度成功するだろう、そういう見方をいたしております。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは現在の時点においてのお考えでしょうが、もう少し長期的に見まして、まあ非常に独断かもしれませんけれども、少なくとも一年も私はもたないんじゃないかと思うんです。それで、もう少し大臣論拠を伺いたいんですね。ただ、向こうが、アメリカさんが切り下げないと言っておると、こう言っておりますけれども、しかし、この問題の起こってきた原因があるわけです。その原因が排除されなければ、また、それに対するいろいろな七項目ばかりの措置を講じておりますが、それが成功しなければ、切り下げざるを得なくなると思うのです。それで、時間がございませんから、私の考えを申し上げますと、大体アメリカ物価は、一オンス二十五ドルですか、三十五ドルをきめたときと比べて、大体倍くらいになっております。ですから、この状態が変わらないと、私はやはり絶えずドル不安というものかあるのであって、物価を半分に引きげるということはもちろん困難ですね。それで、今後のドル切り下げというのは、ルーズベルトの前のニュー・ディール政策のときと違って、これからインフレ政策をやるための切り下げではなくて、すでにもう減価しているドルですね、それを物価状態に調整するということにすぎないんですね。事後措置だと思うんですよ。ですから、インフレ政策をやるために切り下げをやるんじゃなくて、もう減価しているドルですね、それの調整を行なうということでございますから、私はそれをまたやらざるを得ないと思う。また、アメリカ金価格引き上げると、共産圏ソ連なんか持っている金、それでもうけさせることになるからやらぬだろうという、そういうことは、私は反対のやらないという論拠にならぬと思うのです。従って、今後の推移いかんによるのでありますけれども、私はもう時期の問題である、そういうふうに最悪の事態を頭に置いて対策を講じないと、あとでちょっと御質問申し上げますが、それは取り返しのつかない——もうすでに日本対策は少しおくれてしまっておると思うんですけれども、ぼやぼやしておったものですから、対策が一年くらいおくれたと思うのです。もっと早く処置すべきであったと思うんです、一九五八年こりから問題になっておったんですかり。非常に怠慢であったと思うんですが、その点はいかがですか。そんなに楽観しておってよろしいんですか。
  6. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) アメリカ国際収支赤字の問題ですが、その内容を見ましても、経常収支赤字を出している段階ではございませんし、問題は対外援助とかそういうものによる総合的なドル流失になってきておるというだけですから、今のようなアメリカ政府対策がもう少し具体的に進むというのでしたら、別にドル切り下げ事態なんていうものはわれわれは考えぬでもこれは済むだろうと思いますし、また今度の選挙戦を見ましても、ケネディの政策の中にやらないとはっきり言っておりますし、またそれを、ドル切り下げというような事態が将来起こり得るであろうということを考えるのでしたら、今度のような措置もとらなくてもいいだろうということも言われますので、いろんな角度から考えて、アメリカドル切り下げ事態に将来なるということは、われわれ全然今のところ考えられない状態でおりますので、この事態は私はないと信じています。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはまあ議論になりますけれども、それで済ませればそれは辛いですけれどもヨーロッパ諸国なんか、もうそういう切り下げ前提として準備をしていると思うのです。あるいはこの間の、ソ連ルーブル交換率を変えまして、来年の一月一日から実施することになったでしょう。あれなんか、どうお考えですか。私は、やはりこういうことと関連がないとは言えないと思うのです。アメリカ金価格改訂関連がないとは言えないと思うのです。見越しているんじゃないか、そういう見方もありますよ。ヨーロッパなんかは、やはりもう少なくとも今後一年以内くらいに改訂が行なわれるのじゃないかという観測で、対処しているのじゃないかと思うのです。それは大蔵大臣が信じられることはけっこうですか、しかし、全然ないという論拠を今伺いましたが、それはどうも薄弱で、また切り下げが行なわれるんじゃないかという論拠もあるのでありますから、そういうことも十分に考え措置しませんと、それは非常な日本として大きなマイナスになりますし、今後のいろんな施策に、今大蔵大臣考えられているような、そんな簡単な割り切り方で私はいいかどうか非常に問題だと思うのです。その点、十分もう海外のいろんな情報をよくとって、お調べになっているのかどうか。
  8. 平林剛

    平林剛君 関連して。大蔵大臣、非常に楽観的な観測をしておりますけれどもアメリカに行っている日本の大使などの報告などからは、もっと大きな影響があるという報告書ども来ているという話を私は聞いているわけです。選挙のときは影響ないということで切り抜けるかもしれませんけれども、やはり相当の準備がなければ、これからの政府のいろんな政策にも影響が出てくると私は見ているわけです。そこで、今、木村議員からは、長期的な見通しで、ドル切り下げというところでしぼったような質問になっていますから、あなたは影響がないとかということを言っておられるのじゃないでしょうか。  そこで、私は、貿易自由化とか、あるいは特需の問題であるとか、これからのアメリカ向けの輸出であるとか、あるいは防衛分担金の問題であるとか、各影響が来ると見られる問題について、それについても何ら、何にも考えなくてもいいんだという態度で、お答えになっているのですか。私は、そういう各方面の影響についてあなたが現在考えていることを、明らかにしていただきたい。そういう問題についても、何にも考えなくてもいいんだというお答えなのかどうか。
  9. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そういう趣旨では全くございませんで、大統領がこの間指示したものが、日本にどういう影響があるかというようなことは、政府内部でも十分検討しておりますが、そうじゃなくて、今木村さんの御質問は、ドル切り下げを将来やると見るがどうだということで、これをやられた影響というものは、これは相当大きい問題でございますので、私どももこの九月にアメリカへ行ったときに、そういう問題を中心に十分いろんな検討をしてきましたが、私どもはそういうことはないと今思っているということを申し上げたので、そのほかの、影響が皆無であるから何も考えないという問題じゃございません。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 僕の質問に対して、具体的に、ルーブルその他諸外国の……。
  11. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それは、今欧州諸国がやはりアメリカドル切り下げがあるだろうということを予想して、いろいろ対策を立てているというお話でございましたが、私どもの知る限りでは、そういう問題は欧州には今ないと思っております。現に、この間の金の暴騰のときでも、欧州各国中央銀行は金を買ったりなんかしませんし、いろんな協力態勢をとっておるところから見ましても、欧州はそれを予想していろいろな対策を立てているというような情勢は、現在のところございません。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この問題は突然起こってきた問題ではないわけですね。もうすでに一九五八年ごろから問題が起こっております。それで、大蔵大臣も御承知アメリカの通貨問題の権威であるフランツ・ピックですね、ピックなんかもうすでに、アメリカ政策の改革が行なわれなければドル緊急引き下げが起こる懸念があるということを、もうすでにだいぶ前から主張しているわけですが、大体ピックが今まで見通してきたような状態になってきているのですね。最初は百九十億ドル台を割れば切り下げか行なわれるんじゃないかと言われておったのですが、それはもう百九十億ドル台を割り、しかも百八十億ドル台を割っているでしょう。通貨準備率改訂も行なわれなければならなくなるのではないか。私は一挙にドル切り下げまでいかないと思うのです。その前には通貨準備の比率の引き下げですか、そういうようなことも行なわれざるを得なくなるのではないかと思うのです。もっと私は、この事態は突然起こってきた問題ではありませんし、大蔵省だってこのぐらいのことは前から十分に研究しておかなければならないはずです。それで、そういうドル切り下げが行なわれるのではないかという見通しの方にどんどん近づいていっているわけでして、私は大胆かもしれませんが、はっきりと、ここもう大体一年以内にはそういう問題が具体化する可能性があると、そういう前提でいろんな問題を処理しなければ、あとで具体的に伺いますが、日本外貨準備なんか、在外資金の処理なんかについても、重要な問題が起こるのですよ。もうすでに手おくれじゃないかと思っているのです。その点、もう一回ここで伺っておきます。それから次にその他の影響等について伺いたいと思いますから。
  13. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それはおっしゃられる通り影響が大きいものであるということで、私ども十分検討しておりますが、ドルの今の大統領防衛政策がうまくいかなくて切り下げ事態になるというふうには、今のところ全然私ども考えておりませんので、それを前提としたいろいろな考慮というものは、そう今のところしなくても済むと私ども考えております。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、これは水かけ論になりますから。そのかわり、あと大蔵大臣は、そういうような今御発言がありましたが、その点では速記録に残っておりますので、あとで後悔されないようにお願いしたいと思います。それはほんとうですよ。もっとこれは真剣に考えなければならぬあれですよ。もっとよく各国情報とか、もちろんアメリカの方の情報も貴重でありましょうが、これは今突然起こった問題ではありませんから、われわれしろうとでもしろうとなりに検討して、どうしたってこれは切り下げが不可避の問題として対処しなければならない時期に来ていると、こう思います。これは私の意見であります。  それで、その次に伺いたいのは、一応ドル切り下げの問題は、大蔵大臣が言われたようにすぐ起こらない、また将来もかりに起こらないとしましても、このドル防衛措置としてアメリカが七項目ばかり対策を講じているわけです。この影響について、特に日本に対する影響ですね、どうお考えか。私は問題はたくさんあると思います。  まず第一に、その影響として、今後日本に対する自由化ですが、自由化の要請が非常に強くなるのではないかという点です。この点、どうお考えですか。この問、本年の九月に大蔵大臣IMFに出席されておる。そうして帰ってこられて、十月四日ですか、羽田空港新聞記者に談話を発表しています。日本自由化をサボっているのではないかというようなことについて。それから岸内閣のときに発表しました、六月二十四日ですか、三年間に八〇%自由化するというあの政策は、もっと早めなければならなくなるのではないかということを言われている。その後このドル危機の問題が起こってきておるわけですか、アメリカ日本に対して一そう強く自由化の促進を要求してくるのではないかと思いますが、こういう点についてどうお考えですか。
  15. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この日本自由化の問題については、御承知のように、IMFでも、もう少し、日本の今の国際収支の状況に比べてもっと促進すべきだという意見は、各国からみな出されている状態でございますので、まあ日本自由化についてもう少し早めるようにという希望が出てくることは、一応は予想されますが、これは日本自体としても、その問題とは離れて、私ども自由化は、無理のない、できる範囲において早めたいと今でも考えているところでございますので、その点、これによって特別の影響があるとも今のところは考えていません。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そんないいかげんな御答弁でいいのですか。はっきりと、大蔵大臣は十月四日の羽田空港での新聞記者会見で、岸内閣の当時発表した三年間八〇%の自由化措置ついては、もっと時期を早めなければならなくなったと言っているじゃありませんか。今までは日本の資本のペースにおいて自由化をぼつぼつやる。悪影響のないように関税を上げたり、あるいは輸出入取引法を改正してカルテルを強化したり、あるいは税制面法人税の免税をしたりして、対外競争力をつける。そうやっておいて、ぼつぼつやっていくというような考えでおったが、これからは、日本ペースではやっていけなくなってきているのではないですか。特にアメリカドルの問題を契機として、アメリカが強く自由化を要求してくる態勢にあるわけでしょう。そのときに、大した影響もないとか、やはりぼつぼつやっていけるというような……。まるで事態が変わってきているのですよ。はっきりと事態は変わってきているのです。そうすると、岸内閣の出された、財界は三年間八〇%の自由化率ということを前提にいろいろな計画を立てている、それを今度早めるということになるのです。これは大へんな影響があるわけです。  それでは、大蔵大臣に伺いますが、どの程度早めるのか。早める場合には、どういう措置を講ずるのか。大豆一つ取り上げても、アメリカでは大豆関税引き上げ反対しているじゃありませんか。反対していて、どうしてできますか。そういう深刻な問題も起こってきている。砂糖関税問題も、おそらくはアメリカ圧力がかかったのではないかと思うのです。そういう問題が現に出てきている。もっとこの問題は具体的にお答えしていただかなければ困ります、そんないいかげんな考え方では。
  17. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まだ向こうでそういうことを申してきたわけではございませんが、今申しましたように、そういう要望考えられるということは、その通りでございますが、そうではなくて、私どもは今政府できめた自由化プログラムをできるだけ促進したい、早めたいという考えは、われわれ独自の考えとして現に持っているのですから、その線に沿って私どもはやれる範囲のことをやろうと。現に砂糖の問題でもそうですし、大豆の問題でもできるだけ早くこれは自由化をやるつもりでおりますので、アメリカドル防衛関連してそういう要望があるないにかかわらず、私ども考えは今できるだけ早めようという考えですから、その点においてこれが特別影響するということはない、こう言っただけでございまして、私どもも独自の立場からこれは早めたいと思っております、今でも。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣は隠しておられると思うのですよ。もっと率直に申し上げますれば、第十六回のガット総会、あのときにアメリカ側が非公式に、IMFや、ガット勧告した場合に貿易自由化を早めよ、そういう勧告をした場合一年以内にこれを実行しない場合は、報復手段を講ずるという提案をしている。ガットの規定にもありますね。そこで非常にびっくりした。それで、一年以内に実行しないと報復手段を講ずるというのはあまりきついというので、それを緩和して、なるべく早目に実行をさせると。それで、早目にやらない場合は報復手段を講ずるというふうに緩和されたと聞きましたが、その後、やはりアメリカが今度そういう点を出してくるかもしれないということが言われておるわけでしょう。もしその勧告を受けて、一年以内にやらなければ報復手段を講ぜられるということになれば、三年間八〇%の自由化政策はできませんよ。こっちのペース、こちらの都合によって大臣は何かできるように考えておるのですけれども、そうではないのです。今まではそうであったかもしれませんけれども情勢が変わってきている。新しい圧力が加わってきている。そういうことをもっと率直に大臣は言われる必要があると思うのです。そんななまやさしい事態ではないのですよ。私も多少調べて質問しているのですから。
  19. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それは、ことしの七月のIMFのコンサルテーションでも、日本のいろいろな事情をみんな認めて帰って、日本に対して勧告を出すという事態にならなかったということは、御承知通りであります。ですから、全体の日本自由化政策の問題は、今言いましたように、たとえばあの計画をできるだけ早めるという方向でやっていけばいいのじゃないか。それから、特にアメリカについて、アメリカが関心を持っている問題は、対米いわゆる十品目アメリカに対して特に差別待遇日本でしている問題が、これは今まで問題でございましたが、もう差別品目は大体撤廃してしまいまして、あと米差別品目は二つしか残っておりません。これももう私どもとしては、いつごろやりたいという大体のプログラムかできておるときでございますので、特にこの点についてアメリカ側が特別にどうこうという問題も私はないだろうと思いますので、一般の問題はそういうふうに私ども独自にやっていきますし、対米問題というものの差別待遇の問題はあらかた片づいている問題でございますし、あと大豆ともう一つだけでございますが、大豆についても、今関税反対だというお話でございましたが、大体日本自由化前提として三%程度の関税を上げるということについては、一応ガット会議で了解を得られるというところへ来ておりますので、大きい問題ではないと思います。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間がありませんから、これはまた今後お伺いしますが、そんな最近の——まだ選挙当時の気分が大臣お抜けになっていないようですが、情勢が大へん変わってきておると思います。そんななまやさしい問題ではないと思うんですが、時間がございませんから、次の質問に移りますが、この防衛政策影響の第二ですが、国際収支にどういう影響をしてくるとお考えですか、これを具体的に伺いたいのですね。  米軍の家族、これが引き揚げたり、あるいは今後、これまで軍事援助として無償援助であったものが有償援助に切りかわるとか、あるいはまた後進国の開発に対してアメリカはもっと日本が積極的になれというような、アメリカ対ソ防衛負担日本に肩がわりさせる、そういう線が出てくると思うのです。要ドイツの場合のように、直接ああいう形では出てこないかもしれませんが、その他の形でアメリカ対ソ防衛費負担日本に肩がわりさせる。これはまた後進国援助も含まれているわけでありますが、そういうことを総括して、例の国際収支にどのような影響が現われてくるとお考えですか。多少具体的に計数的にわたって、何ドルぐらい影響があるということを、大体今から見通しがつくはずだと思いますが、お考えを伺いたい。
  21. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そういう影響については私どもも十分勉強しておりますが、まだアメリカ当局具体案ができているわけではございませんので、それを見ない限りはわかりませんか、若干の影響があることは考えられましても、今のところ、私どもはそう日本国際収支に大きく影響するような問題は起こらぬという一応の見通しを立てております。では、具体的にどうかという問題ですが、まだ向こう具体案もないときでございますし、また、かりに影響のあることがあっても、これはないように私どもがするいろんな対策もございますし、そうなるとこれはやはり外交に関する問題も含むことになりますので、どういう影響がどういうふうにあるかというようなことを今政府筋からいろいろ述べる時期ではないと思いますので、この点は御了承を願いたいと思います。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ずいぶんそれは無責任ですね。日本新聞でさえ、大体アメリカの七項百によるドル防衛策によって節約される海外の支出は年間十億ドルで、このうち、さしあたり日本に関係するのは一億二千万ドル前後だろうと言われているというのですよ。そういう推測さえ出ているのです。しかも、七項目については詳しく、かなり具体的に出ているわけでしょう。こういうことが計算できないはずはありませんよ。それで今度の補正を組むのだ、三十六年度予算を組む、こういうことを計数的にできなくて、どうして予算が組めますか。
  23. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 具体案アメリカにないときですから、それは一応予想した影響というようなものをいろんな方が推定したりなんかすることは、これはもう御自由でございますが、政府筋として、こういう影響があるとかなんとかいうことを言える今段階ではございませんので、これは御遠慮したいと思います。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そんなばかな話はないじゃないですか。大体この程度の影響があるんではないかということを、なぜ国会で言えないのですか。また、言うべきですよ。明らかにすべきです、このくらいの影響があるだろうということを。影響が全然ないということは言っていないのですから、その程度のことが言えないというのは、これはもう無責任です。これはまたあとで、ほかの方から質問さしていただきます。  私の質問は、じゃ、最後に、日本在外資金の分布状態ですよ。どうなんですか。その在外資金ドルが幾らで、ポンドが幾らで……。外国銀行に預金してあるでしょう。これはもう、さっきお話しした一九五八年ごろからこの問題が起こっているのですから、もしドル切り下げが起こったような場合、どうするのですか。政府も前に多少の措置はぼつぼつしておったようでありますけれども、最近になっては、何かアメリカから要請ございましたか。アメリカの、ドル防衛に対して協力してもらいたいというような、何か要請がございましたか。
  25. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 別にございません。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の在外資金ですね、資金の分布はどうなっておるか。それから、これまであれはどうしたのですか、金を多少前に買ったようでありますが、その経過、それから今後どうするのか、ドル預金や何かをどういうようにするのか。
  27. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 外資準備の内訳は、金で政府の保有分が二千七百万ドル、日銀の保有分が二億二千万ドル、二億四千七百万ドル現在金を持っておりますが、そのほかは外貨預金、それから外資証券に運用しておるというのが実情でございますが、私どもは、さっき申しましたように、ドル切り下げがあったり金の値段が上がるということはないと、いろいろな情勢の分析からそう思っておりますので、特にこの際金を買うとかというようなことは今のところ考えておりません。ただ、将来の問題として、できるだけ金準備を多くすることは好ましいというふうには考えておりますが、今のところ、こういういろいろな不安を起こしておるときに金を買うとかというようなことは、今一切考えておりません。
  28. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 木村君に申し上げますが、大臣、きょうは補正予算案の最後の仕上げで非常に忙しいようでありまして、約束の時間もありますので、一つ締めくくり的な質問をどうぞ。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今締めくくり的な質問をいたします。  今、日本の外貨保有高は十七億ドルをこえておると思うのですね。その内訳を今聞いておるわけです。その一番お聞きしたい点を御答弁になっていない。そのうち、十七億余のうち二億四千万ドルですか、金で持っておる、その残りは外貨貯金あるいは外貨証券。それはドルは幾らでポンドは幾ら、それでドルはどこに預金し、どういうふうふうにと、内訳を前から要求しておるわけです。どのくらいドル預金をし、どのくらい証券を持っておるのか、通貨別にこれは前に要求してあるのですから、なぜもっと具体的に発表しないのですか。
  30. 賀屋正雄

    説明員賀屋正雄君) わが国の外貨準備の内訳を詳しく発表しろというお話でございますが、ただいま申し上げましたように、金とそれ以外の外貨の形で持っております準備の内訳は、大臣のおっしゃった通りでございます。  さらに、外貨を通貨別に分けて、どうかというようなこまかい点になりますと、これはもう御承知と思いますが、アメリカを初めヨーロッパ各国中央銀行、あるいは政府にいたしましても、自分の国の外貨がどういう通貨で幾ら持っておるというようなことは、われわれが聞きに行ってももちろん知らせてはくれませんし、積極的に自分の国、あるいは中央銀行から、そういう発表はいたさないということは、もう木村委員承知通りでございまして、わが国といたしましても、そういうことを積極的にあるいは聞かれましても公表すべき筋合いのものではないというふうに考えておりまして、従来そういうことは発表いたしておらないわけでございます。ただ、抽象的に申し上げまして、ドルが大部分であるということは申し上げても差しつかえないと思いますが、それを数字的にこの際公表するのは差し控えさせていただきたいと思います。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そんなばかにした答弁はございますか。今まで発表したことがあるのですよ、政府で。ありますよ、通貨別に。あるのですよ。そんなことはないなんてうそ言って。私、資料持っておりますよ。前には発表した、通貨別にですね。前に、あまりドル貯金が多過ぎるというので、それで内訳を要求して、発表したことかあるのです。それ、なぜドルばかりこんなに偏在しているかと言ったら、それは特需の関係がございまして、やむを得ないでドル預金しております、そういう答弁したことがある。そして資料をわれわれに発表したことがあるのです。前の東条為替局長のときあるのですよ。そんないいかげんな答弁では困りますよ。なぜ発表できないのですか、国会に対して。こんな重大なときにですよ、今後ドル貯金が損するかしないか重大な関心が持たれているときに、どうして発表できないのですか。
  32. 賀屋正雄

    説明員賀屋正雄君) 私、まだ為替局に参りまして一年もたっておりませんので、その以前のことは詳しく聞いておりませんので、あるいはそういうドルとポンドの内訳を何らかの機会に申し上げたことがあるかもしれませんが、少なくとも報告と申しますか、毎月発表いたしておりますわが国の外貨準備荷という形で発表を始めまして以後は、絶対にその中身は内訳を公表しておらない。確信を持っております。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国会が在外資金の内訳を知ることができないのですか。それは秘密事項なんですか、国会に対して。
  34. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  35. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 速記をつけて下さい。  大蔵大臣、今の御答弁を発表できるかどうか、それを一つ大臣から。
  36. 天田勝正

    ○天田勝正君 議事進行について。これは国会に対して発表できるかできないかと、木村君聞いておるのですよ。それはできないはずがないのであって、ただ、問題は発表する技術上の点で、秘密会議にするかどうかというだけのことだと思うのですよ。私は、ですから、秘密会議にすれば発表できるのかできないのか、ここだと思うのです。そういうふうにお諮り願いたいのです。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 委員長、前にそういう前例があるのですよ。前例がないと言われたが、むしろ銀行別に発表されているのですよ。そういう例があるから、聞いているのですよ。前に発表したことがあるのです。
  38. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 前にあるということと、これをまた最近は発表しないことになっておりますから、それでその問題はまた別ですから、私の方としては大体それは発表はちょっと困るということです。
  39. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  40. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 速記つけて。
  41. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私どもはそういう方針と聞いていますので、私ども相談しますが、これを言う場合には言う形式もございましょうし、これは研究させていただきます。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、考えて下さい。
  43. 平林剛

    平林剛君 さっきのいわゆるドル防衛の問題に関して、アメリカ側からはまだ正式に申し入れがないと言われました。私どもは、先般ボンで行なわれたアメリカと西ドイツの会談については、注意深くこれを見守っておった。いずれ近い将来にそういう申し入れがあると思われるのであります。そのときには、現在、その次善的な何らかの要請とか動きはありませんか。  それから、この間、二十五日であったか、小坂外務大臣アメリカ大使との間に非公式の会談をしたということは、そのときの中身はこの問題に関連して話し合ったのではないか。私は、日米経済協力という形で、アメリカ側からその条約をたてにとって話し合うということがあると思いますけれども、それはどういう場所で行なわれるか。私の希望することは、裏でやたら国民がわからない間にいろいろなやりとりをやってもらいたくないということなんです。これは日本の経済に大きな影響を与えるし国民の、これからの政府政策に国民所得倍増とかいろいろありますね、そういうものと重大な関係かあるのでありますから、裏でこそこそやるようなことをしないで、堂々とガラス張りの中でやってもらいたい。国会にこれを秘密にしたりなんかしないでもらいたい。そうしてわれわれが納得でき、筋の通った話し合いを希望するのです。ですから、まだないとかあるとか、どこでやったかわからないようなやり方でなく、一つちゃんと表玄関で話し合って、国民の注視の中で一つ話し合いをしてもらいたい。私はそれが日本の自主性のある交渉だと思っていますから、もしそんな話がかりにあったら、ぜひガラス張りでやってもらいたいということを希望いたしますか、まだないとおっしゃったのは正しいのですか。
  44. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まだ全くありません。というのは、御承知のように、アメリカ政府の中にまだ具体案ができているわけでは全然ございませんので、そういう話かないのがまた当然だと思います。
  45. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 大蔵大臣お忙しいようでございますから、これで退席してけっこうでございます。  今の問題、引き続き木村委員からありましたら、政府当局、各局長が見えております。政務次官もいらっしゃいますので、御質問願います。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の在外資金の問題について伺いたいのですが、アメリカからそういう日本の金準備をもっと充実するようなことについてはいろいろ協力を求めてくると思うのですよ、ヨーロッパ諸国に協力を求めたように。もっと前にも問題になったことがあるのでして、国会でも。それによって金を買ったわけでしょう。金を準備したわけです。その後、全然やっていない。これは非常に私は怠慢だと思うのですがね。金という問題についてどういうふうに考えているか。これは金について……。ドルは金じゃないのですからね。ドルを持ってれば安心だと、そんな考えじゃ私はいけないのじゃないかと。今後この在外のドル預金についてどういうふうに処理していこうとしているのか、その点、一つ。
  47. 賀屋正雄

    説明員賀屋正雄君) 今後、在外と申しますか、外貨準備をどういうふうな形で保有をするかというお尋ねでございますが、ただいまのところ、現在の方針を特に変更する考えは持っておりません。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ただいまという、そのただいまのことは聞いたのです。今後ということを今尋ねたのです。それでいいのですか。
  49. 賀屋正雄

    説明員賀屋正雄君) 今後も、今のところはただいまの方針を踏襲する考えでございます。ずっとここ十年、二十年先の話になりますと、これはまあ想像がいりまして。権威ある答弁とはなりません。ただいま申し上げますことは、従来とって参りました方針をここで変えようという考えはございません。
  50. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、金準備ということについてどういうふうに考えていますかね。今国内の産金はどのくらいで、どの程度買い上げているのか。国内の金です。
  51. 賀屋正雄

    説明員賀屋正雄君) ただいまちょっと、その日本の毎年の産金の資料を持っておりませんが、私の記憶では、年十トン以下だと記憶いたしております。で、先ほど大臣が申されました金準備のうちの二千七百万ドル、これが政府が金資金特別会計で保有いたしている分でございまして、ちょっとそれ以上の詳しい資料は、また後ほど提出できますものはお出しすることにいたしたいと思います。
  52. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あとは資料として出してもらいたい。それから、できましたら、在外資金についても、よく相談して、資料としてできたらやはり委員会に出してもらいたい。できたらですよ。この点は、まあ出すべきだと思うのです。前に銀行別にまでして出したのですよ。その前例もよく調べまして、出して下さい。  それから、今の産金の問題ですが、大体十トン以下。その五%しか買い上げていないのですね、大体政府は。そんなものなんですよ。やはり金準備というものについて、もう少し関心を払うべきじゃないか、金というものについてですよ。大体、私は、今までドルを持っていれば大丈夫なのだという先入観念があって、ドルが金であるというような考え方をしておったのじゃないかと思うのですよ。そういうこともあり、やはり今の資本主義の経済のもとでは、金というものが——資本主義ばかりじゃないです。ソ連あたりもやはり金というものを対外支払い手段として非常に重要視しているわけなんですから、それが考え方が十分にできておらなかったので、今後金価格引き上げのような場合には非常に損をするのじゃないかと、こう思うのですが、それに対してやはり私は考慮を払うべきだと思うのですよ。金価格引き上げが絶対ないなんていうことは、あり得ないと思うのです。そういうこともやはり頭に置いて、ドル証券なりドル預金については、私は対処すべきであると、こう思うのです。
  53. 賀屋正雄

    説明員賀屋正雄君) 先ほど資料がないと申し上げましたが、わが国の毎年の金生産量でございますが、昭和三十四年におきましては一〇・二六一トン、十トンを少し上回っております。私の記憶で申しましたのは少し古い数字でございまして、三十三年度は九・五八トン、三十二年度が九・四一トンということでございまして、そのうち政府の買い入れます数量は、木村委員の御指摘の通り、大体四、五%程度と相なっております。  それから、金についての関心をもう少し持てというお話でございますが、もちろん従来ともその点は十分考慮の上、今日まで政策をとって参りました。今後も十分、金の動向等については絶えず情報も集めますし、いろいろな研究もいたしまして、いやしくもわが国に対外的な影響から非常な損を招くというようなことのないように、一つ十分注意して参りたいと考えております。
  54. 平林剛

    平林剛君 そのことでちょっと聞きますけれども国際収支の見込みに関連して、政府国際収支計画を見ますと、かなりユーロ・ダラーというのですか、いわゆるホット・マネーでささえられている部分が大きいわけですね。で、最近のドルの信用低下という問題から、これに対して何らかの変化が起こっていますか、起こっていませんか。あなたは、各方面の情報をつかんで配慮しておると言うけれども、わが国のロンドン銀行その他に預金されているものでも何でも、そういうものに対する変化が現われているかいないか、それをこの際確かめておきたい。
  55. 賀屋正雄

    説明員賀屋正雄君) 平林委員の御指摘の通り、わが国の外貨準備が最近非常にふえております実態の一部分に、日本のロンドンに出ております銀行がいわゆるドル預金を受け入れまして、それを国内へ回金いたしまして外貨準備に充てておるという点は確かにございます。それも相当、ことしの六、七月ごろ——ちょうどわが国が七月に円の交換性を、部分的ではございますが、付与をいたしまして、自由円勘定を作りました前後からユーロ・ダラーが非常にふえまして、最近のところは御指摘の通りやや減少の傾向にございます。ふえ方が少ないということでございまして、日本の銀行の受けておりますドル預金も、年内に期限が参ります分が相当多いようでございますが、しかしながら、これの全部期限が参りますれば引き揚げになるかと申しますと、従来の経過から見ましても決してそういうことではございませんで、やはり引き続き継続して預けておるような状況でございますので、これが来年に入りましてわが国の外貨準備に非常に大きな影響を来たし、これがなくなって準備が減少に転ずるといったようなことはないという確信を持っております。
  56. 平林剛

    平林剛君 具体的に尋ねたいのですけれども、私が前に調査したときには、大体この金額は三億ドルぐらいあった。あるいはそれを少し欠ける程度と思いました。伸びないで、ただ流出もないと言われますけれども、現在の高としてはどのくらいになっておりますか。
  57. 賀屋正雄

    説明員賀屋正雄君) ロンドンのドル預金の受け入れ額でございますが、先ほど申しましたように、ことしの四月ごろは三千万ドル程度であったのでございますが、急にふえましたのが六月、七月ということでございまして、八月末が二億六百万ドル、それから九月、十月と引き続きずっと二億台でございまして、最近わかっております十一月十九日現在で二億二千万ドルということで、大体、二億ドル台を維持いたしております。従いまして、お話のございました三億になったことは今までございません。
  58. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) お諮りいたしますが、けさからのドル防衛関連しての調査はこの程度にいたします。   —————————————
  59. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 次に、昭和三十五年度租税収入見込みについて審議したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) さようにいたします。  これにつきまして、まず大蔵当局から御説明をいただきます。
  61. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) お手元に三十五年度の自然増収見込みということで、おおよその概数をお配りしてございます。この数字は、目下補正予算の編成のさなかでございまして、各税目にわたりまして精査の最中でございます。従いまして、いよいよ確定いたします場合には、これはある程度の異動があるかと思いますが、さようなお含みでこの数字をながめていただきたいと思います。  本文の方にはいずれも約と入っておりますが、表の方には約は入ってございません。自然増収見込み額は、所得税、法人税、酒税、その他に分けまして、いずれも、ラウンド・ナンバーで入っております。そういう意味で非常に概数的なものでございます。収入見込み額は、当初予算にこのラウンド・ナンバーで見込みました自然増収見込み額を出したものでございます。従いまして、収入見込み額は端数がついて非常に正確なようでございますが、これは単純に概数で見込みました自然増収額を加えたものであるために、結果的にそういう端数がついている、かようなことでございます。  ここにあげました租税につきまして、ごく大づかみに最近の見込みの基礎になりました動向を申しますと、所得税は、これは源泉所得税が大部分でございます。特に給与は、最近におきます生産の伸び、企業の好況を反映いたしまして、給与ベースは相当上がって参っております。八月くらいまでの各月の実績をよく見まして、今後の給与べースがどういうふうに変わるか、こういうことを見込みました。公務員につきましては、十月から基本給に対しまして一二・四%、本俸に対しまして一三・九%くらいですか、これくらいのべース・アップがある。それから年末手当は大体〇・一ふえる、こういうふうに前提いたしまして、この数字をはじいたのでございます。それによりまして約二百十億円の増収見込み額が出るわけでございます。  法人税につきましては、当初予算におきまして、その当時の経済見通しとして見込みました生産物価をもとにし、それに当時見込みました前年度に対するいわば収益率あるいは所得率の変化、これを見込みまして、当時四千三百八十八億円見込んだわけでございますが、その後、経済の指数が大きく変動いたしまして、生産特に鉱工業生産の指数が大いに伸びている。国民総生産あるいは消費支出も、当時見込みました数字と大きく変わって参ったような次第でございまして、これらの点を見込みまして、なお従来の法人税の収入実績その他を見込みまして、およそ八百八十億円程度の増収見込みということでございます。  酒税につきましても、従来の経験からいたしまして、おおよそ六%ぐらいの消費、の伸びしか見られなかったわけでございますが、これまた国民の消費資金の増加によりまして、予想よりも相当程度伸びてございます。平均いたしますと、約一割以上伸びておる状況でございますので、今後もこの情勢が続くものと考えまして見込んだ次第でございます。その数字が約二百二十億ぐらいになっておる。  その他諸税いろいろございますが、これもそれぞれの税目ごとに積算いたしますと、これはまだほんとうに概数の段階でございますが、三百二十億程度が見込めるのではないか。  こういたしますと、総計いたしまして約千六百三十億、かような数字に相なろうかと思うのでございます。
  62. 平林剛

    平林剛君 政府は、選挙の前には千三百億円程度の自然増収ということでしたが、本日の御説明によると、千六百三十億程度ということで、だいぶ見込み違いをされた。前の千三百億程度と見込んだときには、ただいまの分類に従うと、どういうような計算で、どこに大きな狂いが出たか。私この際はっきり知りたいと思いますので、その千三百億とはじいたときはどうだったか、これを御説明願いたい。
  63. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) こまかいデータは、もしあとでありましたら御説明しますが、その当時は、たしかあれは八月でございましたか、七月でございましたかですが、六月ぐらいまでの実績をもとにいたしまして、それで経済指数も、また収入実績も、六月当時までの実績を基礎に置きまして見込んだわけでございます。その後だいぶ変わって参りまして、法人等につきましては八月決算、それから給与につきましても大体八月、公務員については九月までわかっております。こういうだんだん、経済指数におきましても、あるいは課税収入実績におきましても、変わって参っておるわけでございます。そういうものを見込みに立てたことによる変化がある、かように思う次第でございます。
  64. 平林剛

    平林剛君 そうすると、八月ごろの政府の試算というのは、六月しか見ておらなくて、きょうの千六百三十億というのは、今後の傾向も勘案して推算すると。そのときどきによって、自然増収の推算はそんなに変えるのですか。私は、ちょっと今の御答弁は納得できないですな。きょう御説明のやつは、千六百三十億程度のやつは、ここに書いてあるように、「今後の傾向を勘案して推算した」と書いてありますね。これは間違いないですか。もう少したって、来年の一月になりますというと、この間のやつは、実は今後のやつを入れてなかったというようなことを言わないように、この際はっきりしてもらいたい。
  65. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) それは、いつの時点に立ちましても、今後の見通しを入れることは同じでございます。従いまして、千三百億と申し上げました当時におきましても、その当時の判断の基礎になりました与えられたデータ以降のものは当然見込んであるわけでございます。ただ、一年間のうち、あるわかっている月が非常に少ないですと、その後のそれが一般的な傾向であるかどうかということにつきましては、相当推測を入れざるを得ない。実績がだんだん固まって参りますと、ある程度実績値がどの程度の、その月のうちのどの程度のものがイレギュラーなものであるか、これが恒常的なものとして続くものがどの程度のものであるかというようなことが、おのずから推測できるわけでございますので、その辺でおのずから違ってくるわけでございます。もちろん、生産指数その他も動いているわけでございまして、そういった点もあるわけでございます。特に給与につきましては、公務員ベースアップというようなことはその後にきまっていることでございまして、これも新たに織り込んであるわけでございます。
  66. 平林剛

    平林剛君 大蔵省だからもう少し数字で説明してもらいたいのですが、先ほど私お尋ねしたように、千三百億円程度の増収の見込まれたときには、所得税の方ではどのくらいであった、法人税についてはその当時の経済の状況からどの程度の増収を見込んでいたのか、また酒税においてはどうであったか、こういうふうに合計して千三百億と見込んだ、こういう御説明を一つしていただきたい。
  67. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) 約三百億かりふえているわけでございますが、内訳は、源泉において約七十億、それから法人におきまして百億、酒におきまして三十億、その他諸税で百三十億程度でございます。合計三百三十億ぐらいでございます。
  68. 平林剛

    平林剛君 そうすると、たとえば公務員の給与べースの引き上げとか給与所得の増加というところで、七十億円しか見ていませんね。どうですか、私の推算だと、これまた過小見積もりになっているのじゃないかというふうに思うのたけれども、いかがですか。
  69. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) 公務員のベースアップにつきましては、まだその範囲その他が確定しておりませんが、ここでは一応七十五億程度見込んである。ちょうど十月からべースアップするものと考えまして、計算してあるわけでございます。
  70. 天田勝正

    ○天田勝正君 関連して伺いますが、どうもあまりそのつどそのつど見込み違い過ぎるような気がするのです。選挙前のここの委員会における質疑の論点は、平林君が、六月までの見込みで六百億、それが実績である、こう言ったのです。だから、そのまま伸びていくとするならば、二千四百億になるのじゃないかという議論であったのです。実際は少しく違うけれども、五百九十億であったと思います。六月末。そうでしょう、間違いないですね。自然増が第一四半期だけで五百九十億であった。間違いないね。そこで、そのときは明らかに公務員給与べースの引き上げだとかいうのは、ここの議論においては少なくとも見込んでおらない。見込んでおらないで六百億で、例年の例からしても、そうあとで第二、第三、第四と、この分が第一四半期と同額の伸びたというようなことは、今までの実績からあり得ない、多少年度末には鈍化するであろう、こういう話は大蔵大臣からされたと私は記憶している。第一四半期だけで十億ばかりの違いはあるけれども、とにかく大蔵省の発表でも五百九十億。そのときの平林君のここで議論したのも六百億。そう違いはしない。そうすると、千三百億というのは、第一四半期とあとの二、三、四がやや違わないという数字になるのですよ。それ自体がおかしい、ということを議論したはずです。そうすると、今度はそれに加えて給与べースの引き上げ、これは公務員給与べースの引き上げばかりではなくて、一般的に民間給与も自然に上がってきているのですね。そういうことから比べても、それらを見込むならば、今の千六百三十億かどうか、二千億にもならなければならぬという数字が出てこなくちゃならないと思うのですが、それはどういうことですか。
  71. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) ただいまの、六月末までの五百九十という自然増収という意味が、今ちょうど六月末の収入済額を持ってきておりませんので、どういう意味の自然増収のお話だからょっと今見当をつけておりますが、あるいは前年の五月末同期の収入済額に対する絶対の増加なのか、あるいは前年の六月末の収入歩合とことしの収入歩合の上昇、その上昇率を今年度当初予算にかかった数字が五百九十億であるのか、その辺の五百九十億に当たってみまして、それによりまして実はそのお話についてどういう事柄が問題になっておるかということによってお答えいたしたいと思うわけです。  当時、そういう自然増収が幾らあるかということは、なかなか年度の中途ではむずかしい問題でございまして、いろいろだ仮定を設けてやらざるを得ない。たしかこの前御説明しましたのは、その月末までの累計の前年度決算でいきまして、それが前年度収入歩合が幾らであるか、今年度はそれに対してどれだけ収入歩合が上回っておるか、その上昇歩合が今後も続くとすれば、続くという前提でおれば、それを自然増収というならばどのくらい出るであろう、こういう数字はたしか申し上げたと思うのですが、それ以上のことはわれわれの方は申し上げなかったと記憶しております。
  72. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は平林君の質問に割り込んだのですから、そう長くやるつもりはないのです。ただ、前回のと、どうもそのつどそのつど過ぎるから、私は念押ししておるのです。これは六百億ということを平林君から提示した場合、政府側から何人もこれは否定しなかったのですよ。速記録を見れば明らかですが、五百九十億というのは、私の言うのは選挙にあたっての政府与党側の、要するに減税に対する数字の中から私は見ておる。ですから、なるほどその平林君が指摘した数字は確かであるということを私は確認した。ですから、速記録を今ここに持っておりませんし、それからその新聞が何日何日だということも、ここに持ってきておりませんから言えませんが、少なくとも第一四半期における伸びは六百億である、このままのでいくならば二千四百億になるということに対して、大蔵大臣の答弁は、しかし後に鈍化すると、こういうことだったのです。鈍化しなければ合言った二千四百億になるわけですから、そうすると、われわれがそれを聞いておる場合に、第二、第三、第四を含めたものと、第一四半期一つだけと、ほとんど同額しか自然増がないというのは、従来の実績からしておかしい。そういうことからかんがみまして、その後において給与ベースの引き上げやら、全給与の増額やらというものか、そのときの時点よりよけいになったのだから、どうしろうと考えても二千億ぐらいの増収になるであろうということが推定される、こういうことを指摘しておるわけです。
  73. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) ただいまおっしゃいました点、さらによく精査いたしますが、年度の中途で区切って、そのとき現在で当初予算に対して自然増収は幾らに出ているかということは申し上げたことはないと思いますし、またわれわれそういう計算もやっておりません。ただ、ある仮定をもちまして、この調子でいくならば、ある前提を置いて、自然増収は大体幾らになるであろうか、年度の終わりに。これはある仮定をもって申し上げたことはあると思いますが、ある時点々々で現在の自然増収幾らという、こういう確定的な数字あるいは推測を申し上げたことはないと記憶しております。
  74. 天田勝正

    ○天田勝正君 推測を申し上げてあるのですよ。そんなことを言ってはだめですよ。
  75. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) なかなか、それはちょっと、どう計算していいか、ちょっと思いつかないものですから、私の記憶ではそういう数字は申し上げたことはないと思いますが……。
  76. 天田勝正

    ○天田勝正君 まあ、割り込んだのだから、いいですよ。大蔵大臣が言ったのですよ。
  77. 平林剛

    平林剛君 この自然増収の見込みほど政府を信用できないものはない。僕らもこれは専門家でないし、あらゆる数字、資料を持っているわけではありませんから、どうしても自然増収幾らあるだろうということについては、政府の出してくる資料よりもっとずさんなものになるかもしれません。しかし、やはり国の予算をきめるとき、あるいはこれからの政策などを考えるときに、もう少し議員が自然増収はどのくらいあるということをいろいろの角度から検討できる資料は、提出してもらいたいと思うのです。ただ、こんなばく然としたことでは、私ははあ、さようでございますか、千六百三十億円ですかということで、審議をしていくわけにはいかない。特に今の「公務員の給与べースの引上等により」という言葉が入った所得税の中だけでも七十五億円だ、こう言われる。しかし、今度の国会で議論される公務員の給与べース、あるいは地方公務員、学校の先生、自衛隊の職員などを含めれば、政府はしばしば一千億円だと言っている。現在の税負担率を考えれば二〇・五、二割かけたって二百億円は出てくる。それが七十五億でとまっておるということ、これはいろいろの角度から考えますと、せっかくの御説明だけれども、このまま納得するわけにはいかない。  そこで、私はお願いですが、この間も言っておきましたが、もう少し議員に対して、この自然増収をはじく場合の方程式といいますか、基礎というものを明らかにしていただきたい。大蔵省もそういうことに対する研究資料というものを提出する私は義務があるのではないか、こう思うのです。どうですか、私のこの希望に対して答えてくれますか。
  78. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) おっしゃる通り、自然増収の見積もり方は非常にむずかしいのでございまして、当時見込まれました経済見通しもその後非常に変わるわけでございます。税目も、御承知のように、各般の税目にわたっておりまして、それが課税標準が御案内のように複雑多岐、技術的にできております。なお徴収の面におきましても、非常に法規的に複雑な関係になっております。そういうことで、われわれできるだけ勉強して参りたいと思いますが、なかなか年度の中途における自然増収というのは当たりにくいというのは、御指摘の通り今後勉強を要するところであります。  ただ、参考までに申し上げておきますと、われわれも勉強して参っておるわけですが、例年のずっと当初予算の見積もりと決算、あるいは補正予算を見積もったあとの補正予算と決算、これの開きをずっと見て参りますと、逐年この幅は縮まっておる。戦前は非常にこの点がラフでございましたが、いろいろ御指摘いただきまして、だんだん勉弧して参って、その差は、非常に縮まっておる。戦前に比べますと約四分の一程度に、当初予算で四分の一、補正予算でも約四分の一、これは四分の一ぐらいだんだん縮まってきておるということで、逐年縮まっておるわけであります。もちろん、これは経済の見通しその他につきましては、政府の統一的な見通しのもとに立って計算いたしますので、これが大きく動きますと、勢い動いてくるということにはなっておりますが、だんだんよくなってはいるというものの、事柄の性質上非常に狂いが大きいということでございます。今後とも勉強して参りたいし、いろいろ先生方の御示唆を得られれば仕合わせだと、かように思っているわけであります。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ただいまの、縮まってきたというのはどういうことなんですか。四分の一以下になったというのは、それはどういう……。
  80. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) 当初予算における一般会計の租税収入見積もりというのがあるわけでございます。それに対しまして、決算額は確定いたします。その差をパーセンテージでずっと追っていきます。それから補正でもってどれだけ出たということがございますね。補正で増加した分を今度当初予算に加えまして、それと決算の開きを見る。当初予算と決算の比率を見る。それから補正後予算と決算の割合を見る。この両方が縮まれば、だんだんと両方とも縮まってくれば、まあそれは当たらないにしても、逐次よくなっておるということは言えるだろうと思うんでございますが。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 何がよくなっているのです。
  82. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) 見積もりが実績に近い。最後は決算でもって実績が現われるわけでございます。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはまあそういうことで、見積もりがだんだん正確になってきたとおっしゃいますけれども、しかし、本年度の当初予算の当初見積もりと、それから今度この補正の見積もりを出されましたね。当初予算に比べて大体三千六百三十億の自然増になるわけでしょう。出初、あれが二千億の自然増収だったでしょう。二千億でしょう。三十四年度に比べてですよ、自然増が二千億だった。それを今度加えれば三千六百億でしょう、結局ね。そうしますと、非常に大きな狂いが出ているのですよ。  で、そういいますけれども、最初これは、僕は最近読んでみたんですが、三月十五日の参議院の予算委員会で慶応大学の高木教授が、その限界租税函数とそれから国税の所得弾力性、両方から推定して三千八百億という数字を出しましたよ。三千六百億、大体近いのですよ、これに。それで、この点についてわれわれ質問したわけですよ。どうも高木さん、あまり過大に見積もりをやっているんじゃないか。多くの人がそうだったのですよ、率直な話。これははなはだ、われわれも委員会で、どうも政府の見積もりは少な過ぎるけれども、高木さんの三千八行億は少し多過ぎるのじゃないかというふうに、われわれも聞きました。それで、政府の見積もりの基礎をいろいろ伺ったのですが、非常に各税目について個個にこまかく当たって見たものなのですというお話がありましたが、しかし、やはり高木さんが計算された限界租税函数とかあるいは所得弾力性からやった大局的な見積もりが当たっているのですよ。従って、われわれもやはりそういう自然増収の算定の仕方について教えられるところがあったわけなんですよ。結果から見てそうなっておるのです。もっとも限界租税函数なんかはいろいろ景気変動によってずいぶん違いますから、これを今後に伸ばすというわけにはもちろんいきませんけれども、やっぱり参考にする必要はあるんじゃないですか。これは高木さんにシャッポをぬがなければなりませんよ、大蔵省は。大体当たっているんですから。  で、私はこの千六百三十億も少し過小だと思う。結局、高木さんの言われた三千八百億になると思う。これが大体に当たっていると思う。で、自然増収見積もりが非常にむずかしゅうございます、困難でございますと言いますが、一学者は大体において推定をしておるんでありますから、むずかしいむずかしいというだけで、まあ、で、仕方がございません、狂いました。それで予算と決算と、これを比較してみますと、差が縮まっていますから、大体正確になってきていると言いますけれども、しかし、三十五年度に関する限り、最初二千億と言ったものが三千六百億になり、しかもまだ私はふえると思うんですけれども、何かそこにこの自然増収の見積もりについて、推定できるのに、高木さんは大体近く推定しているのですから、それにもかかわらず、政府のやり方が非常に大きく狂ったということについては、やはり算定の仕方に欠陥があるんじゃないか、何か反省してみる必要があるんじゃないですか、やり方について。そういうことについて率直にわれわれもこれから研究しなければなりませんし、御意見を伺っておきたいのです。
  84. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) その高木教授の問題の前段に、当初二千九十億、前年の当初予算に対しまする二千九十億、今年は増収があると見込みました。そのほかに関税引き上げによりまして五十七億になり、三千百億オーダーにしまして、増収を前年の当初予算に対して見たわけでございます。で、今ここで、この概数でございますが、千六百三十億と出ております。従いまして、この千六百三十億、当たるか当たらぬかは別にいたしまして、もし当初予算との開きということになれば、千六百三十億ということだろうと思います。前年の決算に対しましては、おっしゃるように三千八百近くのものになる、こういうことでございます。  なお、一教授でも当たるじゃないかということでございますが、当時高木さんの前提は、国民所得については当時見込まれました国民所得を使っております。その三十四年の国民所得も、それから三十五年の国民所得も、当時のものを使っておられます。従いまして、現在は三十四年の国民所得も三十五年の国民所得もまだ発表されておりませんが、先般ある程度非公式にGNPについては企画庁が発表しております。われわれ内々企画庁に、三十四年、三十五年の国民所得はどのくらいになるかということを連絡しておりますが、その数字を児ますと、その当初予算当時の国民所得とはかなり大きく動いている。そこで、高木教授は国民所得そのものは当時の企画庁発表によっておる。ただ、そのときに弾力性係数は幾らに見るかあるいは限界租税函数を幾らに見るかというときに、三十三年度のものを使っておるわけです。従いまして、そのときの限界租税函数は二五%であり、それから弾力性係数は一・八だということでございます。もし高木教授が同じ方法で、今後見込まれるであろう国民所得をべースにして、三十四年、三十五年の国民所得をもとにして、同じ方法論で教授がおやりになれば、おそらく五千九百億という自然増収を見込まざるを得ない立場ではないかと思うのでございます。われわれはこれが当たるとか当たらぬとは言っておりませんが、今のような積み上げ計算でいきまして三千八百億、こう言っておるわけでございます。教授が、もし現在のデータを与えられたならば、当時三千八百億ということでなくて五千九百億という数字を出すべきであっただろうと、こういうことだけは言い得ると思います。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 三十四年度の国民所得、高木さんは八兆九千二百億、それが今どのくらいしておりますか。
  86. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) 三十四年は、当初八兆九千二百八十億という数字でございます。これはまだ非公式ではっきりわかりませんが、九兆台になるだろうということは当然見込まれるわけでございます。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、三十五年は十兆四千六百億円になっておりますね。
  88. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) それは、GNPの伸びが実質で九%とすると、名目でGNPは大体一三%の増と見込まれますので、国民所得につきましても同じ率をかりに使って計算してみるといたしますと、十一兆三千億程度と見込まれるわけでございます。で、まだわかりませんが、三十五年度の国民所得の増は、あるいはGNPの伸びよりもあるいはふえるかもしれないというようなことで、目下研究の最中でございます。もしそれが現在GNPの伸びよりも国民所得の伸びの方が多いということの結果が出ますと、この十一兆三千億からさらに大きな数字になってくる。そういたしますと、その差額は相当大きく開いて参りますので、教授の使われた限界租税函数あるいは弾力性係数では、大体五千九百億オーダーの数字になるわけです。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省租税函数をどのくらいに見ているんですか。
  90. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) この函数はいっかここで御説明したかと思いますが、函数でわれわれは計算することをいたしませんです。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それも参考にするわけでしょう。
  92. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) 結果的に積み上げ計算した場合に、振り返ってその函数が幾らになっているかということは出しております。それから毎年々々の決算がわかりますから、そういたしますと、これは確定的な弾性値なり函数というのがわかります。その年々の動きを見て、それが一体どういう法則があるのかということは、これは研究の対象にしておるわけでございますが、なかなか一定の法則は今のところないというわけで、函数を使って話す場合には、大ざっぱな議論をするときには、長期の見通しに立って大ざっぱな議論をするようなときにはよろしゅうございますけれども、きめのこまかい見積もりにするときには、これは参考にしておるということでございます。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 弾力性はどうなんですか。
  94. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) 弾力性も同じでございます。
  95. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どのくらい見ておりますか。
  96. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) 結果的に見ましたのは、当初予算で一・五二くらいだったと思います。これで国民所得はまだわかりませんから、先ほど申しましたような推定される国民所得、それに対して見ているわけであります。
  97. 平林剛

    平林剛君 私は、きょうはもうあと質問しません。この問題については非常に研究を要するし、また基本だと思うのですね。予算案の審議、あるいはこれからの財政問題を議論するときでも。そこで、私は、自然増収を政府が見込むときのやり方、あるいは今のような見解、または実際上からの技術論など、いろいろあるので、それについての説明をしてもらいたい。これを資料で出してもらいたいということを、前に委員会に発言をいたしました。政府もそうするというお話がありました。きょうに至るもまだこれ出ていないのであります。ただ、これだけの説明書が来ただけで、私は満足していません。従って、これからも一つ研究して、私に御提出を願いたい。委員長も、この間の委員会ではこれを確認されて、政府に出しなさいと言われたのですから、政府に対しても委員長の方からも何らかの措置をして、議員に協力するようにというお話をいただきたい。これを要望いたしまして、きょうは質問を打ち切っておきます。
  98. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 了承しました。
  99. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) こまかい数字は、いずれ補正予算のときに、収入見積りに細目をつける予定でおります。それで一つごらんいただきます。なお、御質問の点がおりますれば、われわれの方から御説明申し上げます。   —————————————
  100. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 次に、財政投融資に関する件に移りまして、三十五年度の財政投融資計画について、大蔵当局から御説明していただきたいと思います。
  101. 西原直廉

    説明員(西原直廉君) 三十五年度の財政投融資計画につきましては、ここに資料として差し上げました第一ページと第二ページに当初の計画額を載っけてございます。金額といたしましては、総額で本年度の当初計画五千九百四十一億円でございます。この三十五年度における財政投融資の今までの実行状況は、十月までで大体二千五百九十億円で、ございまして、ただいま申し上げました、一十五年度当初計画の五千九百四十一億円に対しますと、約四三%強に当たっております。昨年は、ちょうどこの同じような期間をとりますと、やはりこれも約四四%でございますので、大体前年度並みに実行している、実行状況が推移していると申し上げられると思うのでございます。  今後の見通しにつきましては、先般国民金融公庫、中小企業金融公庫等に対しまして、年末金融として二百億円の財政資金の手当てをいたしまして、これはその次の三枚品の紙に「三十五年度財政投融資資金計画改訂見込」として差し上げてございますように、二百億円の財政資金の手当てをた行なうことといたしたわけでございます。これ以外に、ただいま補正予算の関係で、場御承知のように、日本輸出入銀行に対する出資の追加、またこの年末金融の二百億の中に一応入れてございますが、商工組合中央金庫に対する出資の追加二十億円の問題がございます以外に、補正予算関連いたしまして、災害とかあるいは公立中学校校舎の整備等のために、地方債でおおむね百億円くらいの追加が必要になるのではなかろうかというふうに予定されております。簡単でございますが……。
  102. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御質疑のある方は御発言願います。
  103. 永末英一

    ○永末英一君 財政投融資で運用せられる金額は租税収入の約半ばにも達しようとしているし、特に来年度池田内閣が続くとして、公共投資なり財政投融資に重点を置いて仕事をやっていくという、そういう雰囲気の中で、一兆二千億程度の要求が出ている。そうすると、一体租税収入とも見合って財政考えていく問題のほかに、財政投融資の比重が非常に大きくなってきたと思います。そこで、この機会に三点ほど、一体大蔵当局は財政投融資のやり方についてどういうような原則を持っておられるかということに重点を置いて、質問したいと思います。  一つは、たしか資金運運用部資金なり、あるいは簡保資金なり、あるいはこれから積み立てられるであろう国民年金の積立金等の原資等は非常に大きくなっている。その中でいわゆる予算でもって財政投融資として大蔵当局として使っていこうという金額、つまり、いわゆる原資として扱われるその分の比率は、どういうところにめどを置いて考えてこられたか、あるいはいこうとされるか、まずその点を伺います。
  104. 西原直廉

    説明員(西原直廉君) 財政投融資の額は、今お話がございましたように、非常に割合に大きなウエートをだんだんと占めてきていると思います。これの原資は、今お話しのように、当初郵便貯金が主でございましたが、それに簡保資金、それから厚生年金の積立金とか、来年度からは国民年金の積み立てを始めますと、これも財政投融資の原資として大きなウエートを占めてくるようになると思います。  この財政投融資をどういうふうに運用していくかということの基本的な考え方でございますが、終戦直後は、もう御承知のように、すべての経済がいろいろ破壊された時代でございましたので、やはり国民生活の安定をはかりますためにも、まず経済の復興と申しますか、生産の復興が最初でなければどうにもならないという状況でございましたので、御承知のように、財政投融資も、いわゆる四重点産業等を中心といたしまして、これらの再建に役立つように、そういう意味で主役的な役割を演じて参ったのであります。その後、産業もずっと復興して参りまして、また民間資金も充実して参りましたので、こういうような重点産業に対する財政投融資の割合と申しますか、こういうような産業が財政投融資に依存する割合というものは幾らか低くなってきてもいいわけでありましたし、また現実に減少して参りました。最近に至りましては、財政投融資の配分と申しますか、そういうことについての基本的な考え方としては、こういう産業の復興ということから、むしろ産業基盤の充実とか、あるいは国民生活基盤の充実、あるいは生活環境の整備、また中小企業とか農林漁業金融、あるいは地方開発、こういうようなふうに重点が移って参っているわけであります。  最近の財政投融資の大まかな割合を申し上げますと、今のような病院とか、住宅、あるいは生活環境、あるいは義務教育等に伴う文教施設、こういうようなもので約全体の二五%を占めるというふうになっております。また、中小企業とか農林漁業関係の資金が約二〇%近い数字でございます。それから、道路、運輸、通信、それから国土保全、あるいは埋め立て、工業用水、そういう面の資金が約二九%、あるいは三〇%近い数字でございます。そうして、輸出振興とかあるいは産業開発の関係は二六%くらいでございますが、そのうちいわゆる地域開発の資金が約六%くらいでございますので、財政投融資の総資金のうちで、先ほど申し上げましたように、重点が移って参りましたと申し上げた生活環境の整備、あるいは産業とか民生の基盤の充実という、そういう面の公共的な投資面が七五%以上を占めるという状況に相なっているわけであります。こういうような情勢は、現在の経済状態、あるいは生活状態その他から見まして、やはり今後もこういう点は重点が同じように移っていくのではなかろうかというふうに考えております。
  105. 永末英一

    ○永末英一君 今の分類についてはいろいろ意見がありますが、その前に、大蔵省で見合い得る金額の中で幾らを一体原資として決定するか。決定の仕方について、何か原則をお持ちかどうか。つまり、いろいろな問題が起こったけれども、原資がないからやめだという、こういうようなことが起こり得るのだけれども、何か原則がなければやれるかやれないかわからない。租税の方は、今議論があったように、自然増収の見積もりとかなんとか議論ができますけれども財政投融資の原資についてははなはだ不明確でありますので、その点を一つ明らかにしていただきたいと思います。
  106. 西原直廉

    説明員(西原直廉君) 財政投融資の原資は、御承知のように、一つは産投会計の資金、その次は資金運用部資金、それから簡保資金、これ以外に公募債借入金、つまり民間資金をどの程度活用できるかという、この三つが大体原資なんであります。  で、この資金運用部資金は、先ほどちょっと申し上げましたが、大体郵便貯金、それから厚生保険の積立金、それ以外にいろいろ特別会計とかなんとかの預託金、そのほか来年度以降におきましては、私どもとして国民年金の積立金がこれに預入されるということを期待いたしているわけであります。今後の財政投融資原資といたしまして、大体こういうものが当てになるつまり原資ということになると考えております。
  107. 永末英一

    ○永末英一君 そんなことを聞いているのじゃないので、郵便貯金として国民が預託している、あるいは厚生年金で積み立てている、あるいは簡保で保険をかけている、その金額の中で、財政投融資で使う金額があるでしょう。その金額の決定についてはどういうことを配慮をされているか。そのことがわからなければ、たとえば国民年金の積立金がある場合に、たとえば二五%は厚生省へ振り戻して勝手に使わすのだと。一体その二五%はいいのやら悪いのやら、そこのところはわからぬのですが、そこを聞いているのです。
  108. 鈴木喜治

    説明員(鈴木喜治君) ちょっと、御資問の点がよくわかりませんのですか、現在財政投融資の原資を算定いたします場合に、今、局長から御説明しましたように、資金運用部資金及び簡保資金が政府資金としての融資原資でございます。それから、出資原資としては、産投会計の出資、それからそれで不足する部分について民間資金の活用という意味で公募債借入金を出しているわけであります。で、資金運用部資金なり簡保資金につきましては、原則として翌年度新たに増加する資金をすべて計上するわけでございます。それから同時に、回収になってくる資金、これは全部財政投融資の原資として組んでおるわけでございます。ただ、それぞれ、資金運用部にしましても、簡保にしましても、特に資金運用部につきましては非常に短期の預託金でございますので、短期の預託金につきましては、たとえば一カ月とか三カ月とかこういうものについては、長期的な資金計画であります財政投融資計画の資金としては計上しない。むしろ支払い準備的なものとして用意しておく。それから簡保につきましては、簡保の契約者貸付というのがございますので、保険料の収支の差額で積立金になる部分から契約者貸付に充て得る金額、これは郵政省が毎年の傾向から大体見当がつきます。これを除いたものは全部財政投融資の原資として計上するわけでございます。そういうものが中核になりまして、そのほかにそれぞれの機関においてコストの関係から出資を要するものについては、出資原資として産投会計から出資をするわけでございますが、これについては不足する場合は一般会計その他からの繰り入れということも考えられます。それから融資原資全体につきまして不足する分、これは融資先の問題として、どれほど財政投融資という形で見るか、あるいは市中調達という形で見るかなどによりますが、不足する、財政投融資として見る部分の不足部分は公募債借入金という格好で市中から調達するという格好でやっております。
  109. 永末英一

    ○永末英一君 今お答えがあった点を聞いたんですが、つまり問題は、郵便貯金なら郵便貯金の一つの事業、厚生保険なら厚生保険の事業の中で、その事業自体において持たなければならぬ金があるわけです。その残りは全部財政投融資で使いますというのですが、どんな事業だって幅を見込んでやるわけです。結局、財政投融資の最後的な結着をつける場合に、そんな幅を見込んだ交渉が行なわれるから、上がったり下がったりするんだろうと思うのです。しかし、抽象的なことじゃなくて、一ぺんその辺の、どういう計算で財政投融資を、郵便貯金から幾ら、厚生保険から幾ら出しておるかというようなことを、数字で示していただきたいと思うのです。これは委員長、一つ書いてほしいと思います。  それから、もう一つは、財政投融資の対象になっておるところを、今、局長のお話では公共的のものが七五%なんと言いましたが、政府のパンフレットはそういう言い方をとっておるが、そうじゃないのであって、明らかに私企業に対する融資もその中に含まれておる。ところが、民間に資金供給をされるものについても、金融だけの面でされるものもあれば、あるいはまた公団というような特殊な性格のものにやられるものもある。それから、私の会社に対してやられるものもあるし、それは、融資の面については返ってくるのだから問題なかろうと思いますが、少ないながらも出資というものかある。そういうそれぞれの点について、これは財政投融資の金でやられなくちゃならないものか、それとも民間資金でやられるべきであるかということのいわゆる資金効率、経済効果というものについて、何か測定をせられる原則をお持ちかどうか、伺いたい。
  110. 西原直廉

    説明員(西原直廉君) ただいまの資金効果という点でございますが、これはなかなか……。いろいろ採算の問題というのが一つの観点になるだろうと思うのであります。しかし、政府資金のことから考えますと、必ずしも採算だけで資金効果というものを見るわけにも参りません。政府といたしまして、どういうふうにそれでは財政投融資を配分するかということになりますと、やはり先ほどちょっと申し上げましたように、どういう面に財政資金を配分する、供給するというのが必要であろうかというようなことを、一番最初に一つ考えられる。もちろん、いろいろな出資、あるいは融資にいたしましても、大体回収するということが前提でございますから、そこに一つの限度がございます。そういうようなことから、そのときどきの経済、社会の情勢というようなものを見まして、そうして重点的に配分と申しますか、そういう点を考えてきていたわけでございます。  そういうようなことで、戦後は経済復興期でありますので、先ほど申し上げましたように、重点的に重点産業というようなものに財政投融資の資金を配分したその結果と申しますか、いろいろな情勢に恵まれて経済が相当復興したわけでありますから、そういう点である程度効果が上がって参りました。一応そういうことでそういう面の効果が上がって参りました今日におきましては、先ほど申し上げましたように、社会的あるいは公共的部門、農林漁業、中小企業というような部門に重点が移って参りました。そういうものが七五%というようなふうにただいまなってきているわけでございます。そうして民間資金と財政資金との割合と申しますのは、いろいろございますが、なるべく今後の動向としても同様と思いますが、産業資金的なものはできるだけ民間資金で、それだけまた耐えられるわけでありましょうと思いますし、民間資金でまかなうという方向で考えなければならないというふうに思っております。
  111. 永末英一

    ○永末英一君 経済効果、資金効率の計算がはなはだむずかしいというのは、その通りだと思いますが、租税収入に見合ってやっておる政府機関のいろいろな事業等については、あるいはまたそれが地方団体に行く場合、補助金というもので行く場合、交付金で行く場合と、非常に厳重に法律によってその効果を見、あるいは行政監査をするということが行なわれておる。ところが、財政投融資の出方については、出るときにはこちゃこちゃ話があるかもしれないけれども、出たあとで、今のお答えのままで率直に受け取れば、なかなかむずかしいという程度であって、そこまできちっと大蔵省で、国民の金を出しておいて、ただ単に利子が返ってきたらいいというのではなくて、たくさんの要求の中からそれをピックアップして取り上げられるというからには、いろいろな配慮があると思う。それはただ単に、これがいわゆるばく然とした言葉で、公共のためということではなくて、やはり経済効果もあれば、特にこれだけの莫大な財政資金が投資されるのだから、日本経済そのものに対する影響も非常に大きいはずだ、そういう面での経済効果の測定も必要だし、さらにそういう面から出したあとでの監査をし、あるいはいろいろな効果を見ていくということを、一体行政官庁として連絡はついておるかどうか、あるいはまた法律的にそういうことがやれるような仕組みになっておるかどうか、この点を伺いたい。
  112. 西原直廉

    説明員(西原直廉君) 財政投融資で資金供給します際には、たとえば住宅が現実にできるとか、あるいはダムができるとか、また道路ができるとか、そういう設備資金を大体供給することになっておりますので、そのために各公団、公庫というようなものが設立されて、そこに対して資金を供給する。そうしてその公団、公庫が直接自分で事業をする場合もございますし、そこがあるいはさらに資金をほかに供給するという場合もございます。こういうものについては、それぞれ監督の官庁ができておりまして、その監督官庁でそれぞれ実行を監督しておるわけでありまして、法律的にはそういうことでこういう資金の使用というものの効果を見ておることになっております。
  113. 永末英一

    ○永末英一君 その当該監督官庁下にあるものはあると思います。しかし、大体金を出すのは大蔵省です。いわばつかみ金で出ていく。それに対して大蔵省が知らぬということは言えぬと思うのですね。特に私企業の場合なんか、それから公団であろうと、公社であろうと、それを受けてくるいろいろな私企業があるわけでありますし、今までいろいろな問題が、あまりよくない問題が起こったのは、そういう一つの何というか、金が出ていくときは争うけれどもあとは知らないというような雰囲気が、財政投融資の金の使い方の持っている雰囲気であったのではないか。大蔵省はその辺もやはり考えてもらわなくちゃならぬと思います。  私がもう一つ申し上げたいのは、日本経済に対する財政投融資額は、私は年々上がっていくと思う。その場合に、経済効果というものを測定してもらわなければ、いわゆる租税と見合った財政支出だけで日本経済のいろいろな運用について上がってくる経済効果とは別に、重大な問題があろうと思う。それが、それぞれの与えているところの事業の性質によって、ニュアンスが変わってくると思うのです。そういうことの御準備はしておられるかどうか、この点のもう少し見解を伺いたいと思います。
  114. 西原直廉

    説明員(西原直廉君) いろいろな経済効果と申しますか、そういう点については、経済企画庁なんかを中心とする所得倍増計画とかなんとかいうことで、いろいろ配分のことを考えておられるわけだと思うのでありますが、私どももそういうものも一つのやはり今お話しのような経済効果を今後どう見ていくかという面が、何と申しますか、尺度というのでございますか、そういうことだろうと思うのでございます。財政投融資の配分を考えます場合においても、やはり全体的な必要性というようなものをいろいろ勘案するということによって、おくれているとか、あるいは一般の民間資金ではどうしてもそれだけ持てないとか、民間資金で補充できないというような点をよく考慮いたしますということで、これ自体の効果が相当出ていくというふうに見ております。まあそういうようなことで、今さっき申し上げましたように、いろいろな配分と申しますか、そういう点も漸次変わってきている次第でございます。
  115. 永末英一

    ○永末英一君 もう一点。そういう程度のことで、たとえば国民年金にしろ簡保の積立金にしろ、厚生省側が何ぼか一つ自主運営をさしてくれ、それは資金運用部で一元的にやらなくちゃ困るのだ、その根拠がないでしょう。もしやらせるとしても、それが一体何%になるかということをきめるためには、もし資金運用部の側からすれば、日本経済全体については自分の知らぬところでこういうことをやられては困るということがあるから、だから自主運営は困るのだ、こういう議論になろうと思うのです。一番もとのところがはっきりしていないのに、いや、おれのところがやるのがあたりまえということになると、これは単なるなわ張り根性になってしまう。その辺のところの原則をはっきりさせ、だれにもわかるように、国会にこうこういう理由だから自主運営が必要なんだという説明をしてもらわなければ、われわれにはその根拠がわからない。その辺の考え方はいかがですか。
  116. 西原直廉

    説明員(西原直廉君) 現在、今お話しの政府資金と申しますか、財政資金に依存するものは非常に多いわけで、本年度も資料として差し上げましたように、大体、三十五年度の財政投融資資金計画に対しては、来年度のこういう財政投融資に対する需要は倍になっている。そういたしますと、どうしても、これが逆のような形あるいはぎりぎりぐらいでございますと、非常に円滑にも参りますし、政府資金を一括して総合運用するというような問題も起こらないかと思いますが、こういうような状況でございますし、ただいまお話がございましたように、今後の情勢からいって財政資金に依存しなければならない程度というものは相当強くなるのではないかというようなお話がございました。そういうような際でございますので、一体こういう倍になるようなものをどういうふうに、まあ何と申しますか、配分というのですか、振り当てをしていくかということが大きな問題でございます。と同時に、片一方で資金が、それに対する原資の方が割合に少ないわけでありますから、比較的の話でありますか、どうしてもそれをそういう配分されたものに対して効率的に、そういう意味で効率的に使わなければならない。そういたしますと、どうしても統合的に運用するという必要があるわけでございます。  二五%とかなんとかいうお話の件だと思いますが、資金運用審議会で、民間委員の方でそういう御答申があったわけでございます。私どもとしては、本来これはパーセンテージとかという問題でなしに、全体的に総合して運用し、そうしていろいろな観点から見て必要なところに配分するということをすべきだと思うけれども、民間委員でいろいろお考えになったのは、まあそういうことだけじゃやはりいけないので、ああいう制度の円滑な発展と申しますか、運用開始というような意味から、ある程度の割合というものが還元的に融資されるとか、あるいは特別の使途に大体融資されるというようなことをした方がいいのじゃないかというような、円滑な運用の開始ということを考えられて、ああいうことを意見として出された、そういうふうに考えております。
  117. 永末英一

    ○永末英一君 希望しておきます。今までの御答弁では、これから膨大してくるであろう財政投融資の配分について大蔵省がはっきにりした原則を持ち、やっているようにはどうもよくわからない。わからない点は、効率的にと言われるが、その効率の測定についても何をもとにしておられるかということが、今までの御答弁では残念ながら私にはよくわからぬので、おそらく来年度予算を作られる際には、そういうものを含められながらお立てになると思いますが、そのときに質問しますから、そのときには答えられるように、一応一つ大蔵省の基本的な考え方くらいは政府を通してやれるように、これは政府考え方になろうと思います。政府のむちゃくちゃなつかみ取り主義にやられたのでは日本経済はめちゃめちゃになるので、希望しておきます。
  118. 平林剛

    平林剛君 私は、二つだけお尋ねします。政務次官に答えていただいた方、が適当でないかと思います。  政府財政投融資計画、これに対する希望が一兆一千七五十九億と、ほとんど三十五年に比較して六年度は倍加しておりますね。これからの経済政策あるいは政府の施策を進める上におきまして、この問題が、この要求金額がどの程度の幅になるのか、また現在これらの問題について政府部内はどれくらいまで検討しておるのかということが、まず一つですね。  それから、もう一つは、今お話があったように、財政投融資計画の問題を除いて予算審議をしても意味がなくなるくらい、かなり日本経済、財政に与える影響が大きくなってきていると思いますが、しかし、今日までその計画を立てるにあたっての構成が私は民主的でない、いわゆる官僚的だといって差しつかえないくらい、特に資金運用部資金運用審議会のごときは各省次官で網羅している、これはまずいのじゃないか。こういうことになって参りますと、ある程度各界の代表も加えた形で運営も民主的にしていく必要があるということを、私どもかねがね主張してきたのであります。ところが、何か民主的に改正をするというような答えが、先般、私、本会議質問したときに大蔵大臣からありました。具体的にどういう構想になっているのか、それを一つ聞かせていただきたいと思います。
  119. 西原直廉

    説明員(西原直廉君) 本年度の財政投融資計画額に対して約倍くらいの要求と申しまするか、御希望が来年度の財政投融資に対してございます。これについては、ただいまわれわれいろいろ検討をいたしております。大体例年のように、一般会計予算の方と同じような歩調で、一般会計予算が決定されるころには、これも同時に来年度の計画を決定されるようなふうにしたいというふうにやっております。  それから、財政投融資計画を作る場合と申しますか、資金運用部資金運用審議会の運営を民主的にという点でございますが、これは今までいろいろな経緯があると思いますが、ただいま御指摘のように、関係各省の次官、——いろいろ関係各省に非常に関係があるものでございますから、関係各省次官が大体それになられたり、それ以外に民間の委員が実は五人おられます。各部門のことをそれぞれ御存じの方であるというよりは、あるいは総合的に判断される点で、こういうものはやっていくべきかどうか、いろいろな点で民主的に運営するようなふうに、この資金運用部資金運用審議会を改組するというふうに検討しなければならないというふうに思っておりますし、また検討いたしております。まだ結論には達しておりません。ただ、今度は、いずれにしても、そういうような意味で、改正のことをしなければならないというので、寄り寄り準備をいたしております。
  120. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) ほかに御質問ございませんか。——なければ、本日はこの程度で散会いたします。    午後零時二十五分散会