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1960-12-01 第36回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十二月一日(木曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            天埜 良吉君            江藤  智君            小酒井義男君    委員            金丸 冨夫君            重宗 雄三君            平島 敏夫君            村松 久義君            重盛 壽治君            中村 順造君            松浦 清一君            白木義一郎君            加賀山之雄君   説明員    運輸省海運局長 朝田 静夫君    運輸省船舶局長 水品 政雄君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君    日本国有鉄道常    務理事     関  四郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (船舶に関する件)  (日本国有鉄道運営に関する件)   —————————————
  2. 江藤智

    理事江藤智君) これより委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。  本日は、まず戦標船に関する件について質疑の通告がございますので、この際御発言願います。
  3. 松浦清一

    松浦清一君 海運局長船舶局長、ちょっと前へ一つ……。  きょうは別にむずかしい難題を申し上げるというつもりは一つもないのですが、海運関係の全体的な予算折衝がどういうことになっておりますか、選挙がありましたり、また新内閣の組閣——組織がえですか、そういうこともあるやに承っておるので、最終的な政治折衝がまだ本格的に行なわれていないことは承知をいたしておりまするけれども選挙中における事務当局間の折衝の経過を一つ簡単に海運局長から御説明願いたいと思います。
  4. 朝田静夫

    説明員朝田静夫君) ただいま大蔵省と特に戦標船処理対策予算につきまして折衝をいたしておる状況を御説明を申し上げたいと思うのでございますが、現在の段階におきましては、まだ各般の資料の提出を要求されておりまして、個々、具体的なきわめて詳細なデータをそろえるということに両省間の事務が運びつつあるのでございます。ただいまのところでは、戦標船処理対策といたしまして私ども要求をいたしております金額は、御承知通り旅客船公団を改組いたしまして戦標船処理対策を進めていくわけでございますが、この旅客船公団に対しまして政府出資が八億円、財政資金融資でまかなうものが四十四億五千万円ということでございまして、この点につきまして、公団方式をもって処理対策を進めていくのがいいかどうかということが、今の説明段階における問題の焦点でございます。  御承知のように国内旅客船公団は、民生安定に必要なわが国離島航路を初めとして、そういった民生安定に必要な航路老朽船を、公団共有計画的に代替建造をやって参るということが趣旨でございます。そういう趣旨なり精神と全然同じような考え方戦漂船処理も、この公団方式でやっていくのが適切であるかどうかということが、現在の問題点の一番大きなポイントであると思うのでございます。まあ大蔵省のまだはっきりした意向はわかりませんが、そういうところに問題の一番大きな点があるようにうかがえるわけでございます。それから、こまかい資料を提出いたしまして、特に中小企業が、こういった公団方式によりまして新造船を作っていきました場合に、一体その会社がどういうふうになるか、あるいは旧債処理の問題も関連いたして参りまするので、そういうような一つ見通しといったようなものも要求されておるのでございまするし、また、作りました船舶採算がとれるかどうかというような点につきましても、こまかいデータをもって説明に当たっておる最中でございます。  その他の点につきましては、来年度のいわゆる財政資金によりますところの造船所要資金計画に基づきまして財政資金——正確に申しますと、開発銀行融資要求しておるものが二十六万トン、百五十五億ばかりの資金要求いたしておるのであります。この点につきましては、まだそういうところまでは入っておりません。開発銀行の金利と市中金融に対しまする利子補給といったような、わが国海運国際競争力の強化の面につきましても、本格的なところまではまだ折衝はいっておらないのでございます。その他の問題につきましても大体同様の進行過程でございます。一般的に予算折衝過程を、今の段階におきますところの状態を申し上げた次第でございます。
  5. 松浦清一

    松浦清一君 外航船舶計画造船にも深い関連があるのですけれども最初運輸省の方で予定された四千五百トン未満の船を、今の旅客船公団を改組して、公団方式でやるのだという、その基本的な問題すらもまだ解決がついていない、こういう御意向ですか、その点はいいけれども、それを多いか少ないかというところが問題になっているのですか。
  6. 朝田静夫

    説明員朝田静夫君) 今そういう根本的な、公団方式でやることがいいかどうかという根本的な問題が一番重要な問題点になっているのは先ほど申し上げた通りであります。この問題が解決するならば、あとは各金額の問題になるということで、一番やはり政策の大事な点がそこにあるというまだ段階でございまして、特別国会あるいはそれが終わりましたあとで、来年度予算編成に本格的な折衝に入りまして、そういった点が自然はっきりして参るという予測でございます。
  7. 松浦清一

    松浦清一君 公団方式に対して何か不安な点があるというような意見を持っておる人がどこかにあるのですか、大蔵省その他のところに。
  8. 朝田静夫

    説明員朝田静夫君) そこまではっきりした、これはどうかという非常に強い疑問を持っておるという意味ではございませんので、まだ何ともその辺の態度が正式に表明されていないといった方が、今の段階では当たっておるかと思うのでございます。いろいろな考え方ができるわけでございまして、それなら金融ベースというものを考えるかというと、それがいいのだということを言っておりませんし、公団が悪いということも言っていないのでありまして、その点をまあ慎重に検討しているという段階でございます。
  9. 松浦清一

    松浦清一君 運輸当局としてはどうなんでしょうかね。反対説が起こってくれば引っ込めてもいいというお考えでしょうか。それとも公団方式が最善の方法なんで、最後まで強くそれで押されるという方針ですか。
  10. 朝田静夫

    説明員朝田静夫君) 私どもとしましては、四千五百トン未満船舶を、戦標船をスクラップいたしまして、四千五百トン未満船舶を作って参ります場合には、公団方式が最も適当な施策であるというふうに考えておるのでございます。総じてこの対象になります船主中小企業が多いことでありまするし、純粋な経済政策で割り切っていけるものではございませんで、社会政策的な意味も入りますので、私ども担保力の不足、その他開発銀行その他の金融機関との取引関係等をしさいに検討いたしました結果、こういった公団方式による共有でもって戦標船処理対策を進めて参りますことが、最も適当なやり方であるということは依然として変わらない考え方を持っておるわけでございます。
  11. 松浦清一

    松浦清一君 船舶局長に伺いますけれども、非公式だったと思うのですが、いよいよ十二月一日から検査基準が強化され、これが実施されることになるのですが、今までのあれですと十二月の月中にどういう船が検査を受けなければならぬということになっておるか、一月は幾ら、二月は幾らという、最近二、三カ月の統計を一つ資料でもらいたいということをどこかで言ったように思うのですが、まだないのですが、すぐお答えできますか。
  12. 水品政雄

    説明員水品政雄君) その点でございますが、ちょっと探してみまして、もしございませんなら直ちにお届け申し上げます。
  13. 松浦清一

    松浦清一君 言葉で御説明ができればしていただいたらけっこうです。
  14. 水品政雄

    説明員水品政雄君) 相当な数になりますので、ここにも今表がございますけれども、十二月に十七隻という数字だけははっきりしておりますが、そのほかのものにつきましては手元に実は表をうっかり持って参りませんでしたが、直ちにお届けをしたいと思います。
  15. 松浦清一

    松浦清一君 十二月に十七隻ですね。
  16. 水品政雄

    説明員水品政雄君) そうでございます。
  17. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると、いよいよきょうから十二月になるわけですが、何の裏づけ措置もできていないのですが、どうするのですか、これは。
  18. 水品政雄

    説明員水品政雄君) 裏づけの問題があるのでございますが、実はこの通牒が七月に出ましてから、関係方面からいろいろと要望、意見等が出まして、また私どもも当然この問題につきまして十分技術的な観点の研究をいたしまして、非常に問題点となりますのは、非公式ではございますけれども相当数船主から、最近の機会に船を解体する考えを持っておるが、そういうものに対して何か特別な考え方ができないかという点が一つございます。それからもう一つは、十二月一日以後の最初検査に、外板デッキ等工事はそのとき直ちにやるという、こういう建前に通牒がなっておるのでございますが、これは一般の船の検査におきましても、状況の悪いものは直ちに取りかえることが原則ではございますけれども、いろいろと、たとえばドックの事情とか、あるいは材料その他の手配の都合等によりまして、ある期間その船の現状を見て、大体よろしいということであれば延ばしてもらうという措置が従来とられておるのでございますが、そういうことについては、普通の船舶検査と同じような取り扱いができないだろうかという問題。それからもう一つは、瀬戸内海等を中心として航海している船舶は、航路が非常に平穏であるから、そういう船については特別なしんしゃくをしてもらうことができないだろうかというようなこと。それからもう一つ、非常に戦時規格材料材質が悪いのでございますので、重要部分については材質検査をして、材質の特に悪いものは、検査をした後一カ年後に取りかえると、こういう前の通牒になっておりますが、その材質検査に基づく不合格の範囲が非常に大きい。これについてはいま一度検討してもらいたいというようなことが、大体全体を通じての問題点でございます。  その他の問題点は割合に個々の問題でございまして、これは個々の船について検討しなければならない、こまかい問題でございますが、全体を通じてそういう問題でございますので、私どもといたしましては、ごく最近の機会にこれらの問題に対して通牒を出すべく現在取り運んでおりまして、ごく最近の機会通牒を出したいと思うのでございますが、その内容といたしましては、第一点は、最初検査から二年以内に解体をする、こういうことがはっきりきめられておる船舶については、先般の基準にかかわらず、その船は非常に大事に使ってもらう、つまり積み荷の量、積み方等にも十分に注意してもらう。それから気象、海象等に関する注意も通常以上に十分にやるということを十分に約束をしてもらいまして、そういう前提に立って船の現状、あるいは解決までの期間等を勘案して、施工すべき工事をさきの基準によらずにその状況に応じてしんしゃくをする。こういうふうな措置を講ずべく現在取り運んでおるのでございます。  また、さっき申しました第二点の、十二月直ちに工事をしなければならぬ、こういうふうな解釈一般に行なわれておりますが、そういう点につきましても、普通の船舶においてやっておりますようなやむを得ない事情、事由がある場合には、臨時検査を指定して、工事の一部をその臨時検査まで延期するというふうな措置をとってもよろしいと、これは現場の判断によってきまることでございますが、そういうふうなことをきめたい。それから船の資格が第三級船であって、瀬戸内海及びこれに準ずる区域航行する船舶、これは中小船主の大部分の船はほとんど九割以上の船がそういう使用をされておるのでございますが、これは瀬戸内は御承知のように、大体において平水区域というふうな指定を受けている比較的平穏な区域でございますので、そこの航路に限って航海しておるというような船舶については、外板等に対する衰耗限度基準しんしゃくすることができるようにしたい。それからさっき申しました外板の、あるいはデッキ材質が非常に悪いというものについて化学分析——ケミカルの方の化学でございますが、そういう調査をやって、一年後に良否を決定して、悪いものは取りかえてもらうという問題につきましては、すべてこれの合格、不合格決定は一応本省、あるいは海事協会の船については本部ということになりますが、そこに伺い出た上に決定するということにいたしまして、今後引き続きこの問題は検討いたしまして、現状よりどういうふうな緩和ができるかを技術的に検討し、緩和の方向に向って研究したいと、こういうふうに考えておりまして、もともと、この通牒スタートにおきまして、戦標船が非常に不完全な状況で航海されておる、人命、船舶の安全上、これだけの最低線は何事に先んじても確保しなければならぬというふうな考えからスタートをいたしておりますので、これだけのことを最近のうちに通牒を出しまして、十二月からの検査に対処していきたいと、こう思っております。  それからもう一点申し落しましたが、すべての船舶検査証書が切れましても、航行都合で、一航海ぐらいを限度といたしまして、一カ月程度航行延期を許されておるわけでございまして、十二月に十七隻と申しましたが、その船につきましては、今正確にはまだきておりませんが、大体私どもにわかっておるところでは、七隻程度はどうしても十二月に検査を受けたいというふうに船主が言っておるようでございますが、その他の船につきましては、一月以後に工事を指定することに、一カ月の航行延期をすることに大体なっております。
  19. 松浦清一

    松浦清一君 その通牒はいつごろ出されますか、大体最近とは。
  20. 水品政雄

    説明員水品政雄君) はっきりとした日は、事務的な問題もございまして申し上げられませんが、私の希望といたしましては、なるべく今週中くらいに、今週末くらいには出したいと、かように考えて、事務的に進めておるのでございます。
  21. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると、今週末に通牒が出されて、現場にそれが届くのはだいぶん——中旬ごろになりますね。中旬までの間に検査を受けなきゃならぬというふうな船はどうなるのですか、大へんこまかくなって恐縮ですが。
  22. 水品政雄

    説明員水品政雄君) すでに戦標船のそうした関連のある海運局長には、決定ではございませんが、私ども考えを打ち合わせの形で申し述べておるので、電話その他で適当に対処できるような体制を作っておるのでございます。
  23. 松浦清一

    松浦清一君 内示をしてあるわけですね。それから最初検査、一番先におっしゃった最初検査から二年以内に解体をするものについてはと、こういうふうな説明をおっしゃったのですが、最初検査というのは十二月一日から最初検査ですか。
  24. 水品政雄

    説明員水品政雄君) 船によって違うのでございますが、十二月一日に最初検査のあるもの、あるいは来年の十一月末に最終の検査になるという、その一年間の幅があるわけでございます。
  25. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると先ほど海運局長の発明のありました予算が、運輸省要求通り通りましても、これが成立するには三月三十一日で、四月一日でなければ新しい計画と実施ができないわけですね。そうすると十二月、一月、二月、三月と四カ月あるわけですね。この間四カ月間に検査を受けなければならぬ期日に該当しておる船舶は、今あなたのおっしゃった基準に基づいてやっていくということですか。通念でいえば、七月に出した通牒幾ら緩和して、そうして二カ年以内に解体するという条件をつけさえすればそのまま運航してよろしい、少し金はかかるけれども手入れをして運航してよろしい、こういう趣旨でしょう。
  26. 水品政雄

    説明員水品政雄君) そうです。
  27. 松浦清一

    松浦清一君 それは十二月、一月、二月、三月、この四カ月間にわたるわけですか。
  28. 水品政雄

    説明員水品政雄君) これはただいまの戦標船に対してそういうことがひっかかるわけでございます。
  29. 松浦清一

    松浦清一君 いえ、四月一日からはどういう結果になるか知りませんけれども戦漂船解体して新造を作る、四千五百トン未満旅客公団でやらせる、四千五百トン以上は一般計画造船に含めてやる、こういう大局方針ですね。その予算がきまるのが三月三十一日、その予算が実行できるのは四月一日だから四カ月間にわたって、この間に検査を受けなければならぬようになっている船全体に適用されるのであって、今あなたのおっしゃる戦標船全部に関係があるというわけじゃないでしょう。四月十五日と五月二十日と、四月過ぎて検査を受けなければならぬやつは、七月に出した通牒が厳として生きておるということでしょう。
  30. 水品政雄

    説明員水品政雄君) 四月までには解体するか、解体しないかが決定しにくい、そういう場合にどうするかという意味を含んでの御質問じゃないかと思うのでありますが、解体すると現在相当きめている船主も、非公式ではありますがございます。そういうものについては、これは四月までに検査があろうと、それ以後でございましょうと、とにかく二年間で——二年間というのは技術的にいろいろ検討してくれた数字でございます。二年間で解体すると約束してくれた船については基準緩和しよう、こういうことにいたしております。四月までに予算がきまらないから、予算がきまった上で解体するか、解体しないかを決定する、それまでは非常に決定しにくい、そういうものの扱いをどうするか、こういう点につきましては、確かに見方によって問題があるのでございますけれども、私ども今まで非公式ながら、相当多数の船主ともいろいろ話を聞いておりますが、大体において、船の採算面から、その船に対する一応の考えは持っておるようであります。それで、それまでは現在持っておる考えで一応方針をきめてもらって処置をしていかざるを得ないのじゃないか、かように考えて、それまでは多少無理が入るかもしれませんが、船主解体するか、あるいは引き続き使用するかということをきめて、そうしてその決定に基づいてさっきの方針をアプライしていかざるを得ないかと思っておりますが……。
  31. 松浦清一

    松浦清一君 私の聞き方が悪いのか、ピントが合わないか知らぬが、はっきりわからぬけれども、大体最初計画が、戦標船七十万トンでしょう。七十万トンのうち二年間に三十六万トンを解体して、一対一で新造せしめるというのが基本点でしょう。そうして二十万トンは三十六年と三十七年に旅客船公団でやる、あとの十六万トンは計画造船に抱き合わせてやる、こういうのが方針ですね。そうするとあとの残りの三十四万トン、正確な数字はちょっと出ないけれども、大体三十万トン余りの船というのは、今までにすでに外板あるいはデッキ等の鉄板を取りかえまして、それはそのまま使っていけるものという見込み、大体そういうことなんでしょう。そのままで使っていける、大局見込みとして。予算がもし運輸省が主張している通り、三十六万トンの半分を三十六年度において建造するという額が取れなかった場合、延びていくわけですね。二年間の計画が三年に延びることもあり得るわけです。実際問題として要求通り予算というものは、なかなか通りません、通ることをわれわれは念願するけれども。そうなっていくと、さしあたって問題になるのは、四月一日から、来年、四千五百トン未満旅客船公団の船が十万トンになるのか、八万トンしか作れぬのか、七万トンしか作れぬのかわからぬわけですね。四月一日の予算がはっきりここを通ってしまわなければいかぬのだから、そうでしょう。そういう問題ともからみ合わせて、今早急に予算が通って、七万トンか八万トンか十万トンかという計画が立つまでの臨時措置が必要なのですね。それだから、今あなたのおっしゃる検査基準を若干緩和していくという方針がずっと先々まで貫かれていくのか、三月までだというのか、予算が通るまでか、その辺がちょっと僕は納得がピンとこないのだ。
  32. 水品政雄

    説明員水品政雄君) 先ほどの私の説明が少し、今のお話を聞いて足りなかったようでございます。私が先ほど申しました解体船については緩和をする、それからあと三点ばかり申しましたが、非解体船については、あと三点ばかりの措置を講ずることによって実質上緩和ということになりますけれども、これは通牒解釈のしようでございますので、私どもこういうふうに解釈をしておるわけでございます。そこで四月までにおきましても、四月以後におきましても、解体する船については、二年間以内に解体する船については緩和をするということは、ずっと同じような扱いをして参る予定でございます。
  33. 松浦清一

    松浦清一君 わかりました。解体をしないで、今まで相当金をかけて、外板、それからデッキ等のあれをかえているというような船は、解体するのはもったいない、惜しい、もう少し補強をしてこのまま継続して使いたい、そういう向きについては、この間の通牒が生きてやっていく。それから今の緩和されるというやつは、二年以内に解体するというのがはっきり明確に約束されたものについては、今おっしゃられたようにする、こういうことですね。
  34. 水品政雄

    説明員水品政雄君) その通りでございます。
  35. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると、この間の通牒からそれだけ緩和されたわけだ、こういうふうに受け取ってよろしいですね。
  36. 水品政雄

    説明員水品政雄君) 解体するという船については、緩和ということははっきりいたします。それから非解体船につきましても、さっき申しました三点ばかりを解釈上はっきりいたしましたことによりまして、たとえば瀬戸内海だけを航海するというような船舶については、ある程度緩和になるわけでございます。
  37. 松浦清一

    松浦清一君 大体わかりましたけれども、この委員会が終わるまでにあなたのおっしゃったやつをちょっと簡単にメモ書きしてくれませんか、それだけでいいです。   —————————————
  38. 江藤智

    理事江藤智君) 次に、昨日説明を聴取いたしました国鉄運営に関する件及び港湾関係補正予算に関する件について、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  39. 中村順造

    中村順造君 私は、きのう説明されました五カ年計画について、時間がありませんから、一、二の点だけお尋ねしたいと思います。  関常務が来ておられますが、きのう説明されたのですが、国鉄の五カ年計画というのは今回が初めてじゃないわけですが、きのうの説明内容を聞きますと、まさに画期的な感じがするわけですが、計画を実施するということについてのいろいろ問題はあると思うのですが、見通しはどうなんですか、その点をまず聞いてみたいと思うのです。
  40. 関四郎

    説明員関四郎君) この計画そのものは、私どもとしては今の経済成長のテンポに合わせるために、ぜひともこれだけは必要なものであるということは確信いたしております。それからまた、これが実行ということについても、技術的には十分確信を持っておりますが、しかし資金の面について、これが一番最大の問題だと思います。この点について今後いろいろ各方面の御援助をいただきたい、こう考えております。
  41. 中村順造

    中村順造君 私もやはり今のあなたが心配しているような点が一番心配なんですが、今までの例から見ましても、新幹線の問題にしても、一億ドル世銀から借款を受けるためにでもアメリカへ二回も三回も行って、そうして日本の金にして三百六十億ですか、それがそういうふうな実情で調達されるというような実績から見ても、五カ年問に約一兆円ですね。一体そういう資金をどういうような方法で出される考え方でおられるのか、運輸省もおらないからあれですが、国鉄としてはどう考えておりますか。各方面の御協力をお願いするということだけで一兆円という膨大な予算が出るのか出ないのか、その点はどうなんですか。
  42. 関四郎

    説明員関四郎君) これはおっしゃる通り大へんに容易ならざることだと考えております。ただ、これを私ども——これは運輸省からおっしゃっていただくことかと思いますが、国の経済発展に伴いまして、鉄道輸送というものに対してこの程度の投資をすることは、国の発展上ぜひ必要なことじゃないだろうか。投資といいますか、何らかの方法資金を調達して、これだけの資金を投じて鉄道を増強するということは、決して等閑に付せられるべき問題ではないのではないかというふうに考えておりますので、これについてはぜひとも何らかの方法で調達していって、ぜひこうしなければ、今の経済成長に合わしていくことができない、こう考えておりますので、ぜひとも何らか、あらゆる方法を講じて調達していかなければならない、こういうふうに考えております。
  43. 中村順造

    中村順造君 それは運輸省がおられないからわからぬと言われればそれだけですが、あなたの方で計画しただけで、五カ年計画だということで、まさにその通りだというだけなら何も言うことはないのだが、やはり計画をして、国鉄の責任においてそれを実施するということになれば、今まで、たとえば運輸省あるいは大蔵省あたりとの意向についても折衝は全然なされておらないかどうか。そういう見通しも全然立たない、御協力をお願いするという範囲だけのあれなんですか。今までそういう点についての折衝が何回かやられて、大体この計画を発表する段階に至っては実施の見通しが立つ、こうならなければ全然意味がないと思うのですが、その点はどうなんですか。
  44. 関四郎

    説明員関四郎君) これについてはもう運輸省とも数回いろいろ御相談申し上げておりますし、私ども常々申しておりまするように、国鉄が現在公共企業体という性格から申しまして当然のことかもしれませんが、公共的な仕事として、定期運賃の割引とか、その他いろいろなことで概算いたしまして約五百二十五億というものが公共的なことに、何といいますか、犠牲を払っているというようなこともございますし、そのほか、たとえば直接費もまかなえないというようないわゆる閑散線と申しますか、こういうところの赤字の累計が大体百億近くになっているということもございまして、これらの点に基本的に欠陥がございまして、これも何とかしなければならないというここは、この資金調達とは別途に考慮して何とか解決してゆかなければならないものだと思いますが、こういうものか正常状態にありますれば、この資金調達も、何といいますか、借金でやってゆく、それからその他の自己資金をふやしてゆくというような方法で何とかまかなってゆけるのではないか、こういうようなふうに、そのうまい解決方法を見出すために運輸省とも御相談を申し上げている次第でございます。
  45. 中村順造

    中村順造君 そういうお話になると、やはり今その定期の話がたまたま出たので、それは定期、そういうものはいわゆる原価運賃から考えてまた検討をする余地があるとか、あるいは政策運賃についても検討する余地があるとかいうことは、この前からこの委員会でもたびたび問題になっておりますが、結局なんですか、運賃値上げというようなこともやはり関連をして、その点で折衡したのであって、五カ年計画の新しい計画に基づく資金の調達というような面で折衝したのではなしに、運賃値上げも含めて折衝して、そういう面でまかなってゆくという考え方もあるわけなんですか、その点をどうぞ。
  46. 江藤智

    理事江藤智君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  47. 江藤智

    理事江藤智君) 速記をつけて。
  48. 中村順造

    中村順造君 電化の問題をずっといろいろ電力事情その他と一緒に問題になっておって、今度の計画の中では非常に新しい車両がたくさん投入されるようになっているが、これはどうなんですか、製造能力というものはあるのですか。
  49. 関四郎

    説明員関四郎君) 現在車両計画では、この六ページの表にございますように、年平均生産高約五百二十二億というものを生産してゆくという計画になっておりますが、これだけの生産は十分ございます。
  50. 中村順造

    中村順造君 ディーゼル動車なんか非常に生産が間に合わないというようなことを今まで聞いておったのですが、そういうことはないのですか。それからディーゼル機関車、それから客車では、これじゃ減るようになっているんですが、これについては、あなたでは問題があるかもしれませんが、二等の運賃にして、運賃は変わっていないんだが、よく巷間言われるのは、運賃は二等にしたが、乗る箱は三等だと、こういう悪口を言われているんだが、これは減らされるというのは、新しいのと入れかえるのなら別だが、これはどうなんですか、客車については千七百両の減になっておるのだが、これはトータルで減ですか、全然新しいのを作らないということなんですか、その点はどうなんですか。
  51. 関四郎

    説明員関四郎君) きのうもちょっと御説明のときに申し上げましたけれども、将来の輸送形態としまして、旅客列車というものは順次電車及びディーゼル動車にかえて参りたい、こう考えておるわけであります。これが最も日本的な輸送方式であるという確信のもとにやっておるわけですが、この表にございますように、客車は千七日両減りますが、反面電車とディーゼル動車が五千両ふえまして、差引三千三百両増加するということで、これは電車、ディーゼル動車ですか、スピードも早いということから使用効率も上がるというような点で輸送能力もふえますので、これで十分まかなってゆける、こう考えております。
  52. 中村順造

    中村順造君 ちょっと話が小さくなったんだが、電車とディーゼル動車で置きかえのきくところは今あなたの考えでいいと思うんですが、ところが私の今言っているのは、ローカルの急行なんというのは悪い箱を、客車を使っているんですよ。そういうやつに非常に非難があるんだが、それはそういうふうな、結局新しいものを全然作らぬということになれば、そういうふうな線の列車についてはそれはそのままだと、こういうようなことに考えられるんだが、全然客車を作らないというのは問題があるんじゃないかということを聞いておるわけなんです。その点はどうなんです。
  53. 関四郎

    説明員関四郎君) この客車はもちろん普通の修繕をやっておりますし、それからもう一つは、一番悪い車から廃車してゆくわけでございますから、作らなくても、従来幹線に使ったような客車はローカルの方に回すというようなことはございません。しかし一方ディーゼル動車がかなりローカルの方にも出回って参りますから、総体的に旅客輸送のための何というか、輸送環境というものは上がってゆくというふうに考えております。
  54. 中村順造

    中村順造君 まあ製造能力の点についてはディーゼル動車、ディーゼル機関車、こういうものについてのまだあれはないんですが、十分それは要求に対して間に合うということだけなんですが、それはその通りならいいんですが、これは今までの実績からいうと、その通りなっていないと思うんですが、その点はどうなんですか。
  55. 関四郎

    説明員関四郎君) この車両製造能力につきましては、三十二年度の車両予算としましては、三十二年度予算が四百億ちょっとでございまして、そのほかに債務負担行為でもって百億ばかりで、全部で五百億当時作りまして、この五百億程度の車両製造能力ということは、もう問題ないくらい余裕がございます。そのほかに実質車両が大体三割から四割占めておりますから、国内の車両工場の製造能力としては十分あると存じます。  それからディーゼル動車はここでごらんになりますように、年平均三百六十両程度でございます、装備されるのが。これをごらんいただきましても、本年度のディーゼル動車の製造が四百三十両ばかり制作しております。製造能力としては十分にございます。
  56. 中村順造

    中村順造君 時間がないから、それじゃ私もやめたいと思うのですがね。あの製造能力の問題、今度できたやつに東北本線の交流電気機関車の故障、これはこの前の委員会で問題になったのですが、その点はどうなんですか。でき上がった品物についても問題があるのだが、特に東北本線の交流電気機関車の故障の状態というのは解消したのですか。
  57. 関四郎

    説明員関四郎君) まだ完全に解消したというまでにいっておりませんが、ああいうような新しい車両で、しかも私ども作った場合には、従来直流機関車は非常に重い機関車で、割に出力の少ない機関車を作っておりましたので、そのために技術の進歩が約三十年くらい足踏みしていたという点から考えまして、少し高い水準をねらったというところに原因があるわけでございますが、このために、単にあの東北本線の機関車のみじゃなくて、全体の機関車製造能力というものは非常に上がった。そうしてそれに伴って「こだま」のような電車とか、そのようなものができてきたとか、いろいろな副次的なものがございますので、われわれが技術的に見ては、あれは一つの踏み台としては十分意味があったと考えておるのでありますが、一方、一般のお客さん、また現場の職員に非常な苦労をかけさしたという点については、これは今後大いに反省していかなければならないと考えておりますが、これは技術の発展段階一つの苦しみと私ども考えて、これを踏み台にしてなお一そう進めていきたい、こういうふうに私ども考えております。
  58. 中村順造

    中村順造君 踏み台踏み台と言われるけれども、それは大へんなことだと思うのですけれどもね。その点は大へん議論のあるところだと思うのですが、それはいいです。それは逐次、——どもが当時問題にしたときは原因さえつかめない、こういう状態だったから非常に心配で、それから最近聞くところによると、それがまだ解消をしておらぬ、こういうことであるから今聞いたのですがね。私やめますが、ちょうど委員会がありまして、非常に現場で問題になっておると思うのですが、今までもあったのですがね。理事会あたりで関常務からお話をいただきたいと思うのですが、近代化、合理化を進めていく場合に現場の統合、廃止という問題がやはり出てくるわけです。これを国鉄当局は支社長の権限だという言い方をしているらしいのですね。それがそういうことになると、ことしの八月でしたか、関西線で汽車が半日とまったことがあるのだが、そういう問題から端を発して、そういうことじゃ私は——関さんは担当が違うかもしれませんが、そういうつまらぬ問題でただ内部事情で権限がだれにある、かれにあるということで、つまらぬ紛議を起こして、そのために汽車を半日もとめて国民に迷惑をかけると、これはまあ関西線であった当時、私も現地に行きまして、その点については支社長にも局長にも私ども考え方を話しておいたのだがね。これはそういうことでなしに、ちゃんともうそういう問題についてはだれが一体責任を持ってやるのか、全国、ケースみな違うからね。だからそれを一つ、私が非常にこの問題について関心を持っているということを、帰って理事会あたりで一つ発表していただいて、まだその問題が、国鉄自身としてそういう現場の統合、廃止あるいは近代化、合理化の進め方、こういう問題について問題が解消しないということなら、これはまたそれから後の委員会でお尋ねをすることにするが、さしあたっては、担当者おらぬということなら、理事会で一つそういう面の心配をしておったというふうに一つ発表して、何とかそういうことのつまらぬ紛議のないようにということを私が申し上げたということを発表してもらいたいと思います。終わります。
  59. 関四郎

    説明員関四郎君) 今の点については、具体的な実施については支社長にまかしてあるという形でありますが、大きな筋としては、これは本社で方針をきめてやるべきことであります。ただ、今御承知のように動力車そのものが、今まで申し上げましたように、客車が電車とかディーゼル動車にかわるとか、蒸気機関車が電気機関車、ディーゼル機関車にかわっていくというようなことが、いわゆる動力近代化ということが今発足したばかりでございまして、こういう点で、今のこの方針をいかにきめるべきかということの論議の最中でありますために、多少トラブルが起きたということはまことに遺憾でございますが、この点は御趣旨ももちろん私どもも十分に考えておりまして、そういうような今後御迷惑をかけるようなことのないようにやっていきたい、こういうように考えております。  ただ私ども近代化合理化と申します場合に、私ども一つには生産性を上げるといいますか、国鉄でいいますと、輸送量を増すということもございます。もう一つは、作業環境をよくするということが一つはございまして、非常にきたないところとか、それから苦しいところ、そういうような作業あるいは危険な作業というものをできるだけ少なくしまして、そうして快適な職場環境を作っていくということも一つの大きな目的でございまして、これらをどういうふうに組み合わしていくかということが、私ども新しい技術を使っていく場合に常に考えておるようなわけでございます。今後とも一つそういう点十分考えながらやっていきたいと思います。
  60. 江藤智

    理事江藤智君) ほかに御質問ございますか。  それではちょっと私、先ほど関君のこの資金の調達の問題のときに、政策運賃の問題あるいは原価を償なうことのできないような線があることについての根本的な問題、そういうものの解決というようなお話があったのですけれども、これはもちろん国鉄経営の一番重要な問題にはなっておると思うのですけれども、ちょっと言葉が足らなくて僕は誤解を招くおそれがあるのじゃないかと思うのですが、実費をペイしない線区をみんな実費をペイするように上げるというようなことは、これはとんでもないことで、運賃というのはなるほど実費をペイするように、償なうようにきめることは当然ですけれども、これは総合的な問題であって、この線区は赤字だ赤字だといって、非常にこの線区がじゃまなような言い方をするかもしれないけれども、そうだったら東海道線のような非常な黒字の線はどうしてくれるのだというような議論も相当にあるわけなんですね。ですから、これはどこまでも総合的な原価の問題であって、国鉄として経営合理化の意味でそういうものを改善されることはいいけれども、その赤字線区だけを取り上げて、いわゆる資金調達あるいは運賃改定というような面にいくような印象を与えるようなふうに考えたように私は受け取ったので、そういう点は少し言葉が足りないのじゃないかと思うのですが、その点についてもう少し一つお話を願った方がいいと思います。
  61. 関四郎

    説明員関四郎君) 先ほどちょっと簡略化しまして、言葉が足りなかったと思いますが、国鉄では現在いわゆる黒字線区約四千キロのところで、大体四百億ないし五百億の黒字を出しております。それをほかの赤字線区に埋めているという状態で、これは国鉄は別に利益をたくさん出して、これを株主に配当するわけでもございませんので、収支償っておればいいわけなんです。ただその場合に自己資金として今後の増強、改良に出していく資金というものが非常に今度は足りないということがございましたので、それが頭にこびりついていた余り、赤字が気になって、そういうことを発言しました。これは総合原価で…。訂正いたします。
  62. 江藤智

    理事江藤智君) いま一点。私が発言して恐縮ですが、岡本局長もお見えになったので、私が多少疑問に思っている点について御質問いたしたいのは、建設線の問題と通勤輸送の増強の問題なんです。これはなぜ申すかというと、最近建設線については非常な批判が起こっておりますし、どうも国鉄の末端にまでその思想が徹底し過ぎておるような感じがするわけなんです。とにかく建設線というのは、これは赤字だ、しかも非常な金を食って、営業を始めれば赤字になる。だからこういうものはとんでもないのだという思想が非常に強く出ておって、最近ジャーナリズムなんかもだいぶんそういうことを取り上げている。ところが、東京の、たとえば通勤輸送につきまして、この新五カ年計画で六百四十億という金が見込まれておるわけです。これについても非常な金、建設費もかかりますし、また非常な割引もやります。片輸送もやらなければならない。こういうことを考えた場合に、これも相当な赤字が出るだろうと思うのです。そういう面について、その赤字や何かの収支を御検討願ったことがありますか。
  63. 関四郎

    説明員関四郎君) これについては十分なる検討を加えるというふうに計算方式がいろいろ考えられますのですが、一応現在の東京付近、大阪付近の電車運転区間の輸送原価、それから一車キロ当たりの輸送人員、それからそれに対する収入、こういうものを基準にしまして考えました場合に、今度増備します、たとえば一千両の電車は、朝夕のラッシュ・アワーの二時間ずつ、計一日四時間しか運転しないような、非常に乗車効率の悪い使い方になるわけでございます。そういうことで、そういうふうな点を考慮しまして考えますと、この一千両の電車を作りまして入る収入が約四十億程度でございまして、これに対する直接輸送のためにかかる経費が三十二、三億になっている。それに対して利払いが四十億余りになりまして、結局差し引き四十億前後の赤字になるというのが東京付近、大阪付近の通勤輸送の実態でございます。精密な計算ではございません。ごく概略申しますと……。
  64. 江藤智

    理事江藤智君) そこで私が申し上げたいのは、そういう四十億にも上ぼるような赤字については、国鉄の内部から通勤輸送についてのそういう批判というか、考え方というのが建設線のように起こっておらないですね。これはどういうわけでしょう。
  65. 関四郎

    説明員関四郎君) これは現在の原価計算方式で参りますと、山手線または中央線のような、従来からあります施設は、ほとんど利子というものを負担していない、財産価格が安くなっているというようなことから、資本費が非常に軽くなっております。そのために、一応従来の設備を使っている場合には、この通勤電車区間は割合に経営状態がいい。原価計算からいいますと、営業係数が黒字を示しているというようなことがあるわけでございまして、現在の原価計算方式から申しますと、これは通勤輸送は黒字という形になっている。しかし、増強の場合には、それが非常な赤字になって現われてくるというような非常に矛盾した状態になっております。
  66. 江藤智

    理事江藤智君) そこで、時間もありませんから、これは担当局長に、私少しとっぴな質問かもしれませんけれどもね。建設線は、非常に国鉄財政を危殆に瀕させる、これはもう徹底し過ぎるほど徹底している。ところが通勤輸送について国鉄財政を危殆に瀕せしめるということについては、建設線同様、あるいはそれ以上に影響があると私は思うんですが、その問題についてあまり検討されておらない。なぜかというと、とにかくこれは改良工事で、現在すでに線路がそこにあるから、お客が押しかけて、三〇〇%なんというような乗車効率になっておりまして、とにかくこれを緩和するということだけしか考えないからして、それにどんどん金をつぎ込んで、とにかく財政的な負担をして、国鉄内部では建設線のような考え方をしておらないと思うんです。ところが、実際は他の交通機関、地下鉄その他の綱も非常に今度は考えられてとってあります。国鉄の本来の使命というのは、一都市のそういう輸送というものよりも、日本全体の輸送というものを考えるのが使命なんです。そういう意味におきましては、これは自動車で代替できるような建設線をやるというのじゃなくて、鉄道をぜひ敷きたいというような、線路網を整備するというような建設線をとにかく考えるのと、それから通勤輸送で、しかもいろいろなとにかく交通機関によっても解決ができるような時代におきまして、やはり同様にこの通勤輸送というものの拡充についても、国鉄財政に及ぼす影響というものを一つよく検討してお立てになる必要があるのじゃないか。こういうことを言うと、通勤輸送に一生懸命になっている人は、何を言うかと言われるかもしれないけれども国鉄の財政という面から考えると、そういう面を少し幅広く、国鉄だけでなくて、全般的に一つ考えるように、運輸当局として一つ考えていただきたいと思うんですが、岡本さん、どういう御意見ですか。
  67. 岡本悟

    説明員(岡本悟君) 実は通勤輸送の問題につきましては、東京、大阪、こういった都市が大きな問題を抱えているわけでございますけれども、特に東京につきましては、御承知のように、都市交通審議会の答申を得まして、昭和五十年を目標としました輸送力の整備増強方策というものを立てまして、これを実行に移しているわけでございますが、地下鉄建設の方は予定以上に進捗いたしておりますけれども、肝心の国鉄の担当している分野というものが少しも伸展していない。特にこの中央線の増強でございますが、三鷹—東京間を複々線化する、つまり具体的には中野と三鷹を線路増設する、それからお茶の水と東京間を複々線化する、こういう問題が一向に進捗いたしておりません。それから湘南電車と横須賀線の分離の問題、そこで、いろいろ運輸省としてもこの方面の、問題が重要でありますだけに督励いたしておりますけれども工事上非常に難点があったということもございますけれども、やはり根本的にもう少し国有鉄道というものは、通勤輸送の解決に積極的に熱意を持ってほしいという気持が率直にいたすわけでございます。もちろん、今委員長から御指摘のように、採算面の問題からいたしまして、そういう、どういいますか、言うなれば消極的な気持がやはり出てきておるのじゃないかという気がいたします。しかし、何といたしましても、都市交通、なかんずく通勤輸送対策解決は、これは非常に大きなウエートを持つ問題でございますので、どうしても解決してもらわなきゃならぬ。もちろん、採算の問題は国有鉄道全体としての立場からこれは考えるべきであろうと思いまして、この点は新線建設と同様、全体の立場から国鉄財政の健全化の問題を考えていく、こういうことでなければならないと考えております。ただ、しばしば国鉄内から、あるいは外部から指摘されておりますように、大都市の通勤輸送におきまして、国鉄の担当する分野といいますか、非常に大きいということは、大体東京を見てもはっきりいたしますけれども、たとえば中央線の沿線はどんどん発展していく、そのために輸送力が整備を迫られる。輸送力の整備をいたしますとまた沿線が発達してくる、ますます混雑してくる。まあイタチごっこのような格好になっておりますが、もとより郊外私鉄なり、そういった方面に肩がわりできないかというふうな問題があるわけでございます、日本国有鉄道としては。従いまして、運輸省において運賃調整をして、何とか国鉄の重過ぎる負担を郊外私鉄に転嫁するほかないということをしょっちゅう申しておりますけれども、その点は確かにございますので、たとえば地下鉄の建設方式にいたしましても、何十年来の伝統を破りまして、郊外電鉄と、新しく建設する地下鉄との直通運転をはかりまして、乗りかえによる混雑をなくすると同時に、郊外電鉄が持つ通勤輸送能力を、直通運転することによってフルに活用する。たとえばごく最近開通いたしますが、京成電鉄が都営地下鉄の押上—品川—馬込間の線路に乗り入れいたします。あるいは間もなく近い将来には京浜電鉄が品川においてこの都営地下鉄に乗り入れいたしますが、そういうことによりまして、一方、京成電鉄は国有鉄道の総武線の副次的な、通勤輸送能力を補う役割を持ち得るでありましょうし、また京浜電鉄は湘南電車の補助的な役割も演じ得る、このことによって。そういうふうに、われわれとしては、なるべく国鉄の重過ぎる負担というものを軽くするという、都市交通問題の解決について方針を立てる場合に、そういう考慮を取り入れてやっておるつもりでございまして、もっとこれを徹底いたしますれば、通勤定期の運賃調整をはかることによりまして、つまり具体的に申し上げますと、国鉄に乗ろうが、私鉄、国鉄を経由して都心に参ります場合においても、やはり国鉄に乗っておると大体同じ程度の運賃ならば、国鉄沿線のみに片寄るということはなくなるんじゃないかというふうにも考えておりますが、こういった根本的な方策を何らかの機会に実施すれば、理想的な、国鉄と私鉄を通じてアンバランスのない、均衡のとれた輸送体制ができ上がり、その結果、国鉄の負担も軽くなってくる。総体的にそういうふうに考えております。
  68. 江藤智

    理事江藤智君) 非常にけっこうです。私が運輸省に申し上げたいことは、東京都のその都市交通の面において国鉄の負担があまりにも重過ぎるんじゃないか、で、これも従来の山手、中央線というようなもののみによっておるときは、これはやむを得ないからやっておりました。非常な犠牲を払っても国鉄はやっておったんだけれども、もう地下鉄も、その他相互に、地下鉄と郊外電鉄乗り入れなんかも実現されるようになってさましたら、もっと広い目で見て、国鉄にあまり負担をかけないような方針をとるべきじゃないか。この点は今の岡本さんの御意見、その通りだから、私は一つそういう具体案を進めていただきたい。それから、そういう時期になってくると、国鉄当局としても、建設線に対する批判と同様に、通勤輸送に対する批判もやはり一つ考えて、十分そういう面を主張してもらいたいと、こういう意向で私は質問をしたわけなんです。これについては別に御返答は要りません。いいですな。  それでは、これで散会いたします。    午前十一時四十七分散会