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1960-10-10 第35回国会 参議院 法務委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十月十日(月曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————   委員異動 九月七日委員堀木鎌三君及び藤原道子辞任につき、その補欠として泉山三 六君及び千葉信君を議長において指名 した。 本日委員泉山三六君辞任につき、その 補欠として佐野廣君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            大川 光三君            高田なほ子君            大谷 瑩潤君    委員            後藤 義隆君            佐野  廣君            野上  進君            千葉  信君            赤松 常子君            片岡 文重君            市川 房枝君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君  説明員    警察庁保安局長 木村 行藏君    警察庁保安局防    犯課長     綱井 輝夫君    法務大臣官房経    理部長     近藤 忠雄君    法務省矯正局長 大澤 一郎君    法務省刑事局長 竹内 壽平君    厚生省社会局長 太宰 博邦君    厚生省社会局生    活課長     翁 久次郎君    労働省婦人少年    局婦人課長   高橋 展子君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  (青少年犯罪対策に関する件)  (売春対策に関する件)   —————————————
  2. 大川光三

    理事大川光三君) ただいまより法務委員会開会いたします。  本日、松村委員長が御病気のため御欠席でございまするので、かわって私が委員長の職を勤めることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  九月七日付、堀木鎌三君、藤原道子辞任泉山三六君、千葉信選任。  本日付、泉山三六君辞任佐野廣選任。以上であります。   —————————————
  3. 大川光三

    理事大川光三君) なお、審議を始める前に一言申し上げます。  本委員会開会予定日につきましては、前回の委員会において、臨時国会召集日の前日と申し上げたのでありますが、諸般の事情を考慮いたしました結果、本日に決定いたしましたので、どうか御了承賜わりたいと存じます。それではこれより検察及び裁判運営等に関する調査を議題といたします。  まず、青少年犯罪対策に関する件について調査を行ないます。  本件について、法務省よりは竹内刑事局長井嶋保護局長大澤矯正局長近藤経理部長警察庁よりは木村保安局長綱井防犯課長の各氏が出席されております。  質疑に入る前に、青少年犯罪対策の現況について、政府当局から簡単なる御説明を聴取することにいたしたいと存じます。
  4. 木村行藏

    説明員木村行藏君) 警察で扱いました資料に基づきまして、ごく最近の状況を申し上げたいと思います。もうすでに何回か御説明申してありますので、御案内の点がたくさんございますが、大まかに申し上げて少年犯罪は戦後昭和二十六年をピークにいたしまして、その際に最高非行少年の数を示したわけであります。その後、数年間若干停滞いたしまして、少年犯罪の数も、あるいは質も横ばいといいますか、比較的平穏な状態でありました。ところが三十年から再び少年非行状況が悪くなりまして、特に昨年の昭和三十四年におきまして、戦前戦後を通じまして、少年非行犯罪が最大の数字を示しました。で、非常に憂えておりましたのですけれども、さらにことしに入りまして、ことしの一月から六月までの上半期状況から考えまして、戦前戦後を通じまして、昨年刑法犯最高ピークを示しておりまして、質も悪くなっておりましたが、それにも増して、ことしに入りましてから、なおかつその憂慮すべき状態が強まっておるということを申し上げることができるかと思います。  数字でことしの一月から六月までの半年の間の状況を、少年刑法犯について申し上げます。この刑法犯の数、それは触法少年を一応含まずに申し上げておきたいと思います。満十四才以下で法律に触れるような触法性少年については一応含まずに、刑法に触れた少年犯罪で、警察で検挙いたしました数を申し上げたいと存じます。この半年の間で検挙いたしました少年刑法犯の数は七万二千七十四名、これは前年同期の昨年昭和三十四年の一月から六月までの状況に比較しますと、前年同期は六万四千五百九十九名でございますので、七千四百七十五名の増加でございまして、一〇・四%の増加であります。従いまして、戦前、戦後を通じて最高ピークを示した昨年のそれよりもさらに一割一分近くの増加でありまして、成人犯罪は、ことしの上半期状況は、昨年の上半期状況に比較しまして六三%増でありますから、成人の約六%の増加に比較しまして二倍近い一一%近くの増になっているわけでありますので、その点から見ましても、非常に憂うべき点があると思います。この状況でいきますと、ことしの年間推定でございますが、いろいろ資材を検討いたしまして、ことしの昭和三十五年一年間少年刑法犯の数——警察で検挙いたします数——は、十五万六千人くらいになるかと思います。昨年の一年間は約十三万九千でございましたので、相当の数の飛躍になる。それにさらに触法少年すなわち満十四才以下の触法少年を含めますと、ことしの少年非行の数は十九万五千人くらいになるかと一応推定されるのであります。昨年は十七万六千八百九十九名でございましたので、二十万近い本年の年間推定から見ますと、ことしはやはり相当少年非行の問題については深刻な問題があるかと思います。  それ以外に、虞犯行為虞犯少年状況を申し上げますと、一昨年は七十二万人警察補導いたしたのであります。すなわち少年刑法犯なり、あるいは触法少年以外に、犯罪一歩手前の非行虞犯行為という形で少年警察補導を受けたというのが一昨年七十二万でございました。昨年は七十九万であります。ことしはまだはっきりしたデータがありませんが、おそらく大体昨年並みにふえましても年間六万くらいふえておりますので、おそらく八十五、六万くらいの補導人員になるかと思います。従いまして、八十六万に、先ほど申し上げました触法少年を含めたいわゆる犯罪少年というものが十九万五千くらいに勘案されますので、すなわち二十万近くになりますので、ことしは少年犯罪及び虞犯少年というもの全体総なべて百万を突破するのではないかと思われます。一昨年は八十六万くらいの数であり、昨年は九十六万くらいの数であり、ことしは日五、六万くらい。総体いたしますと警察のタッチしますのが百万を突破するというような数になろうかと思います。そういう状況でありますので、非常に憂うべき状態だと思います。  それからことしの上半期少年刑法犯内容を分析しますと、一応強姦とか知能犯というものは若干横ばいになっている、あるいは減少しているという現象が見られておりまして、これは相当検討を要すべき新しい研究課題ではないかと思います。しかし、それ以外の各種犯罪はなべて全部増加いたしております。強姦は、ただいま申し上げましたように、ことしの上半期状況が昨年の上半期状況に比較いたしまして七・一%、約七%の減になっております。ここ数年間、特に一昨年までは、少年強姦関係犯罪は非常に激しい増加を示しておりましたのが、昨年は若干ふえ方も減っているといいますか、弱まっているように思われますけれども、ことしははっきりパーセントにいたしまして七%減少しているという状況が出ております。これは若干検討を要すべき問題でありまして、まだ半年くらいの状況でどうのこうのということは申せませんけれども、私たちも掘り下げて詰めて研究してみたいと思っております。それ以外に、一番ふえている罪種から申し上げますと、賭博が一番ふえておりまして、賭博がこの上半期状況で一二四・七%、約一二五%という増加でありまして、非常に賭博がふえたということは、少年の将来と少年の何といいますか、質的な問題からいいまして、非常に考えさせられるのではないかと思われます。その次にふえたのは脅迫でありまして一九・四%、二割近くふえております。それからわいせつ犯罪強姦以外のわいせつ犯が、刑法犯でございますが、その刑法犯などのわいせつ犯罪、これが一七・八%、約一八%ふえております。その次が強盗でございまして、一三・二%、一割三分ばかり。それから窃盗がふえております。この窃盗関係は一昨年までは逐年減っておったんですけれども、昨年から窃盗関係少年犯罪でふえております。ことしの上半期で一二%ふえております。これは非常にやはり注目すべき問題でありまして、終戦直後から昭和二十六年の少年非行問題の一つの大きな波がありまして、二十六年までの一つの大きな山といいますか、この山までの犯罪はおもに窃盗、かっぱらい、こういう財産犯が多かったのであります。それは戦争の影響によって生活苦その他生活上からくる経済問題から、かっぱらいその他がふえたのでありまして、窃盗犯というものが圧倒的に多かったのでありますけれども、その後の状況は、むしろ逐年窃盗犯罪が減って、脅迫とか強盗とか強姦とか、そういうようなものが、いわゆる粗暴犯凶悪犯が非常にふえておった。ところが、昨年から窃盗がふえましてことしの上半期もふえているというようなことは、一つの大きな研究テーマではないかと思います。これは一応今までの私たちの観察では、やはり遊興費ほしさ——いろいう性犯罪その他の関連、賭博もあるかもしれませんが、一連の、遊興費をかせぐ、そういう面からくる窃盗が多いようでありまして、そういう意味合いにおいては、昭和二十六年までの第一の山であった少年非行の場合の窃盗犯と、質がだいぶ変わっているというように思うのであります。それから次に多いのは恐喝でありまして、八・二%増、約八%の増。それから暴行七・五%の増、そういう状況でありまして、強姦の問題は別にいたしまして、一応やはりここ数年来、この少年犯罪非行の性質というものが、やはり依然として悪化の方向にあるということを申し上げることができるかと思います。  それから次に、これもこの半年だけの状況でありますので、はたしてここで報告申し上げて御参考になるかどうか疑問かと思いますけれども、若干われわれが注目しておる問題は、これもここ二、三年来、少年非行年令層が低下しております。数年前までは十八、十九というものが多かった。また一昨年からは十六、十七、昨年は十四、十五というのが、非常に非行の数がふえたわけです。昨年の十四、十五才の非行少年刑法犯ふえ方は、一昨年の二二%もふえております。そういう状況で、非常に低年令層——ローティーンふえ方が激しかったのであります。ところが、この一月から六月の上半期では、それがやや低調になっておりまして四・二%の増にすぎないのであります。先ほど申し上げた全体として一〇・四%、一割一分近くふえておりますけれどもローティーンの十四才、十五才のふえ方は、この半年では四%にすぎない。圧倒的に激しいのはやはり十八才、十九才という比較的高いティーン・エージャー、ハイ・ティーンが十七・六%、一割八分近くふえておるわけであります。そういう意味合いにおきまして、憂慮すべきことは同じでありますけれども、低年令層ふえ方が若干低調になっているということについては、一時的な現象であるか、あるいはここ一、二年続くかという問題については、今後非常に注目すべき問題だろうと思います。  それから成人を含めた被疑者総数、すなわち警察で検挙いたしました事件の全体、少年成人も全部含めまして、その全体の中に占める少年犯罪比率少年刑法犯比率というものは、総数で二六%であります。すべての刑法犯警察のタッチした中で、少年刑法犯は二六%。しかし強盗は四八%、それから強姦は依然として五二%、半分以上は少年恐喝は五四%という状況でございまして、大体そういう状況上半期に見られておりますけれども、今後さらに半年を見まして研究を詰めて参りたいと思っております。
  5. 大川光三

    理事大川光三君) 以上をもって説明は終わりました。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 高田なほ子

    高田なほ子君 大体傾向を伺いましたが、私はその対策について項目別に少しお尋ねしたいと思うのですが、木村さんに一つお尋ねしておきましょう。  三十三年からの激増した今の数字をあげての御説明でありましたが、この一〇・四%増という少年刑法犯は、一般人口との比率でこの一〇・四%という数字を出しておりますか。それともその件数だけでそういう数字を出しておるのでありますか。
  7. 木村行藏

    説明員木村行藏君) これは人数でやっておりますので、警察でタッチしました検挙件数、その件数の中に一件で何人もタッチしておるのがありますから、一応一人々々の人数を中心にして比較しました。
  8. 高田なほ子

    高田なほ子君 やはり長期計画をお立てになるためには、その件数だけではなくて、児童人口比率等についても——もちろん御研究いただいてはいると思いますが、やはり長期計画をお立てになるのには、件数だけでふえたふえたということになりますと、いろいろ対策が、ある意味で疎漏になる場合があると思います。ですからこの犯罪白書をいただいたのを見ると、少年、それから成人刑法犯の対人口比率指数が出ているようですけれども少年犯罪者指数を見ますと、必ずしもこの成人犯罪者と比べて特段にものすごくふえたというような比率にはなっていない。いただいた資料の二百九十一ページを私、今見ておるわけですが、それはそれとして、とにかくそれに対してどうするかということは、大へん重要な問題になり、また、この対策のための予算措置というものも、ずいぶん今後重要な問題になってくるだろうと思います。従いまして、以下いろいろの問題を尋ねますから、お答えいただきたいと思います。  青少年犯罪増加に関して、少年警察官の涙ぐましい活動というものは、私よく承知しております。しかし現在、この少年警察官の数というものは、わずかに五千百四十五人という数字があげられているようでありますが、一体この五千百四十五人という少年警察官の数というものは、この激増している現状に比べて、どういう結果を持っておるか。また、これの対策を万全にするためには、この少年警察官の数をどのようにふやしていかなければならないか、こういう点についてお尋ねしたいと思います。
  9. 木村行藏

    説明員木村行藏君) ただいまの御質問につきまして、現在、実は少年専従警察官は、高田先生のおっしゃるほど多くございませんです。専従の方は千六百人くらいかと思います。それ以外に兼務でやっておる者がございますので、全体としてそれくらいの数になるかと思いますけれども、しかし、たとえ、かりに五千人にいたしましても非常に手不足でございまして、これに関しましては、おととしから警察官の一万人増員計画警察庁立てまして、大蔵省に要求し、すでに過去二年の間に五千五百人の増員を認められております。あと残りの四千五百人は来年度の予算に要求いたしまして、重点事項として大蔵省当局に強く要望いたしつつあるわけであります。その一万人増員計画の最も大きな理由といたしましては、少年警察交通警察関係であります。この少年警察交通警察の両面が、この増員計画のほとんど半分の理由を占めております。あとのいろいろな警察事務がございますけれども、大体交通少年、この大きな事務ふえ方重要性からいたしまして、それに重点を置いて要求いたしております。その残りの四千五百人の増員が、来年認められますと、ある程度カバーできると思いますが、それでも必ずしも十分でございません。今後さらに先生のおっしゃるように、増員はもちろんのこと、さらに少年関係の機構といいますか、組織というものについても検討して、整備して参りたいと思います。
  10. 高田なほ子

    高田なほ子君 犯罪増加だけは実際あげられているが、しかし、その対策というものは、今お話通りまことに情けない次第ですが、ここでお尋ねしておきたいのは、この少年警察活動というものが、この対策に欠くべからざる私は重要な問題であると思います。今のお答えにもあったように、本務の者とそれから何らかほかのものと兼務しているようなものの中で、今御答弁の中にあったように、ほんとう活動している者は千五百人そこそこだというようなことでは、この現状に対しては非常に心細いように思うのですね。この四千五百人というのは、とにかく来年の予算に計上されておるようですけれども、これがふえれば、ある程度そのめどがつくというような御答弁ですが、その通りですか。
  11. 木村行藏

    説明員木村行藏君) 一応の当座としては、ある程度めどがつくと思います。しかし、これでも必ずしも十分でございませんで、先ほど申し上げましたように、交通の問題も非常に今輻湊しておりまして、大へんな問題でございますので、両方カバーするのはなかなか大へんでございます。やっぱり将来もっと増員しなければいかぬというふうに思いますし、それから現在それぞれの地方で少年課をだいぶ作りつつあります。それから——署はほとんど少年係ができておりますけれども、そういうほんとう少年問題だけを扱う各県の本部における少年課というものは必要かと思います。それは、やはり少年警察というのは、ほかの警察と若干ニュアンスが違いますので、相当専門的に署が掘り下げて、しかも、警察だけ独走してはいけませんので、各省、各団体と総合的に歩調を合わしていかなければならぬ。そういう意味合いにおきまして、どうしたって専従の課というものが県本部に必要かと思います。そういう方向にできるだけ推進して参りたい。
  12. 高田なほ子

    高田なほ子君 竹内刑事局長にこの際お尋ねいたしますが、少年事犯の中で、交通違反者というもの、交通犯罪ですか、それに属するものが非常に多いことは今あげられておるわけですが、一体交通事犯を取り締まることは当然であるし、そのための手不足も今あげられておりますが、問題になるのは、安全運転キロ数というのは大体二百七十キロぐらいだそうですね。ところが、この法務省陸運局相談をしていわゆる政治的にきめられたタクシー等の一日の走る総キロ数というのは三百六十五キロ、これが政治的なキロ数になっているようです。そうすると、安全運転をずっと一日やると二百七十キロしか走れないものを、なぜ三百六十五キロというような、政治的な、料金をあげるためのキロ数政府できめているか。三百六十五キロがいわゆる公定の走るキロ数であるとするならば、タクシーはやっぱり追い抜いて、交通違反を犯すにきまっている。少年もそれに右へならえをして、この事犯を繰り返すような結果に私はなると思う。一体、この陸運局できめたキロ数と、それから国が公に、この道路は四十二キロとか、この道路は三十キロとかいう何と申しますか、安全に走られる範囲というものとの計算というものは、ずいぶんでたらめなものじゃないでしょうか。そこらあたりに問題があるのじゃないでしょうか。こういう点、どういうふうにお考えになっておりますか。
  13. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) ただいまお尋ねの安全運転走行キロ数という問題でございますが、法務省陸運局相談の上できめたというふうに御質疑があったように思いましたが、私どもは全然そのキロ数を三百六十五キロにきめることにつきまして、私の知っております限りでは、相談を受けた記憶はございません。またそれは政治的にきめたか、何かはかの科学的な根拠に基づいてきめましたか、あるいは政治的なそろばん勘定の上に立った計算でありますか、その辺も私つまびらかにいたしませんが、いずれにいたしましても私どもの所管とは内容も異なっております。これの犯罪という面からは非常な関心を持っておりますが、三百六十五キロが相当であるとしたことにつきましては、何ら私ども決定に関与いたしておりませんことを明らかにいたしておきたいと思います。
  14. 高田なほ子

    高田なほ子君 安全運転をすると大体二百七十キロきり一日走れないものを、何のためにか陸運局業務上の三百六十五キロというようなオーバーしたキロ数をきめるから、前の車でも何でもふっ飛ばして、それで交通事犯を起こすようなことに私はなってくるのだと思う。だから国がきめている安全運転の線というものは、当然やはり利潤をあげなければならないタクシー業者等についてもそれが守られるような業務上の範囲キロ数というものが検討されていいんじゃないかと思うのです。それでなければ三百六十五キロやらなければ食べていけないというようなことであれば、当然やっぱり飛ばすでしょう。飛ばせば交通違反になるし、それに右へならえするのはやはり青少年たちだから、これは全然関係ございませんというお話でしたけれども、これは政治の問題だから、一つ陸運局あたりともこういう点について御連絡下すって、今後こういう業務上のキロ数などをきめるときには、やはり安全運転を維持できるキロ数というものを計算してきめるべきが妥当でないか。これが私は政治というものじゃないかと思います。そうでなければ、何ぼ少年警察をふやして、交通違反の車を取り締まったり、罰金を取ったりしても、悪循環が続くような気がする。どうも大もとがそういうふうな親切さがないように思います。
  15. 木村行藏

    説明員木村行藏君) 今の安全運転の問題は、私の方の警察にも関係がありますので、お答え申し上げたいと思います。三年ぐらい前に神風タクシーという問題がありまして非常に危険な運転をやりました。また悲惨な事故がたくさん起こったわけです。この神風タクシーを追放するという意味合いにおいて、内閣にございますところの交通事故防止対策本部という機関がございまして、その機関運輸省警察庁、建設省、あるいは労働省等ほとんど各省が入っておりまして、各省局長級がメンバーになって、この事故防止に関するいろいろな連絡調整をいたすわけです。その際に、神風タクシーの追放という問題に関連しまして、たしか一昨年でしたか、一日の走行キロをきめましたが、そのときは三百六十五キロということできめました。それ以前は神風タクシーなどおそらく五百キロあるいは六百キロも一日に飛ばしておったと思うのです。非常に乱暴に飛ばす、われわれこれは大へんなことだということで、一応走行キロで押えていこうということで、その線で一応押えて、両三年それで指導してきたわけです。そのときに、まあ私はおりませんでしたからよくわかりませんが、いろいろなデータを集めて、一応それが妥当じゃないかという結論で出したわけです。しかし、その後いろいろ実施してみますと、やはり若干再検討を要するような状況にきているんではないかと私たち思います。というのは、交通事故事件を処理しまして、若干その問題を考えさせられる問題がありました。運輸省当局にはこの走行キロの再検討ということを一応われわれの立場からも申し入れをしておるわけであります。どの程度が妥当かということは、まだ私たち結論は出ませんけれども、一応やっぱりそういう線で再検討いたさせてもらいたいということを要望しておるわけであります。それからこれは実は運転者だけの問題でなしに、すなわちドライバーだけが悪いのでなしに、その背後にやっぱりそれを使って無理なノルマをかせがして、非常に、何といいますか、過労にわたる無理な運転を、時間的にも、スピードの上でもさせているというような雇用者側責任も十分に考えられますので、この前の通常国会で新しい道路交通法を作りまして、今まで道路交通取締法では、行為者だけが処罰されるのが建前でありましたが、これを根本的に変えまして、行為者と同時にその背後スピード違反をどうしてもせざるを得ないような業務命令を課した場合、その場合には、雇用者側にも責任がある、あるいは雇用者側の一部といたしまして、車両の運行管理を直接やっている管理者側の車庫長といいますか、あるいは営業課長といいますか、そういう面の責任もある、この運転をさせるのは非常にあぶない、あるいはアルコールも入っているというような危険な運転をやる可能性のあるようなことを知りながら運転を命じたり、あるいは運転することを容認する、黙認するという場合にも追及できる規定を作りまして、ともにこれは相当重い罰がかかっております。そういう面から、できるだけ安全運転をさせる方向に持っていきたいと思っております。で、少年の法令違反のほとんど九割は道交法の違反であります。そういう面におきまして、先生のおっしゃった問題も大きな問題でありますので、さらに研究を進めて参りたいと思っております。
  16. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは話は少し横道にそれちゃったようですが、要するに安全運転キロ数イコール業務上の走行キロ数、こういうふうにやらなければ、法律なんかあったって守らなくたっていいというようなことに結果としてなりますから、これは一つ研究問題として大いに一つ研究していただきたい。  それから続いて少年警察官の数に触れましたが、少年警察官活動が人員の不足上大へん過労に陥っておられるように私ども伺っております。これはごもっともな話であります。こういうような関係で、通り事件等の解決などもなかなか思うようになっていないようです。多少枝葉にわたる質問になるかと思いますが、ひんぴんとして起こる通り事件というものは、ことし一年間にどういうふうに起こっておるか、しかもそれがどんなふうに検挙されておるものか、これが一つ。それからもう一つは、先ごろ私新聞で拝見いたしましたが、東京の目黒区の碑文谷署で少年のいろいろの問題を取り扱われることが新聞に出ておりました。その中で注目すべきことは、そのほとんどがナイフを持っておる。そのナイフは飛び出しナイフもあるでしょうし、その他の刃物もあるでしょう。こういうふうに、ちょっと問題のある子供たちはおおむねナイフを持っておるというようなことで、こまかいデータを掲げられて、少年のナイフ所持という問題と飛び出しナイフの問題について大きな示唆を与えておるように思いますが、その現状はどういうふうになっておるものか。  この二つの問題は、一つ要領よく、時間がないからお答えいただきたいと思います。飛び出しナイフの問題については、竹内刑事局長も、現在の子供たち状態というものは容易じゃないことですし、再検討するお考えはないものか。実は法務大臣にきょう御出席いただいて、この問題に触れたかったんですが、お見えになりませんから……。
  17. 木村行藏

    説明員木村行藏君) 通り事件関係について申し上げますと、ことしになって非常にこれはふえておりまして、ことしの一月から八月まで約八カ月間の状況を申し上げますと、警視庁管内で発生いたしたいわゆる通り事件というのが、五百三件に及びます。このうち約七割は検挙されております。  しかし新聞紙上を非常ににぎわしましたいわゆる大きな通り事件というのが、最近六件起こっておりますけれども、これは残念ながらまだ検挙にいたっておりません。これはけっして警視庁がこの検挙に力を入れてないというわけじゃ絶対ないのでありまして、非常に全力を注いでやっておりまして、この関係の捜査本部を作っておりますが、ただ事件が御想像の通り夜間行なわれるということが非常に多うございますし、しかも瞬間的に行なわれる、人通りの少ない所で行なわれるというような関係から、なかなかこの捜査の手がかりになる証拠といいますか、証人といいますか、目撃者といいますか、そういう足がかりがなかなかつかみにくいのであります。しかし、それでもなおかつ特に警視庁におきましては、捜査本部を作りまして、この未検挙の大きな六つの事件については、全力を注いでおります。  それからこれに対する予防対策といたしましては、第一点は、まあパトロール、重点警らと申しますか、重点を置いて特にそういう通り魔の犯罪が起こりやすいような環境の場所、そういう場所につきましては外勤警察官を動員いたしまして、重点的に警らをいたさせております。それからそれ以外に、私服で専従班を作りまして、実際にいろいろ張り込みといいますか、そういう点の未然防止の私服による活動をいたしております。それから問題は、自転車を使ってやるのが大半でありますので、この自転車の検問ということについては、一斉検問をやりましたり、特に怪しい個所における無灯火のものが多うございますので、この無灯火の自転車のそういう運行に対して検問を実施する。それから事件が起こった瞬間に一一〇番その他緊急の通信を使いまして、それに即応してすぐに緊急配備をする。できるだけ未然に防ぎ、あるいは命を失なわないように特に緊急配備の迅速化ということをやる。  それからすでに設置されておる防犯灯、まあ暗いために犯罪を起こされておるのでありますので、既設の防犯灯というものを再検討いたしまして、できるだけ防犯の意味において効果の上がるような設備に変える、あるいは場所に変更する。こういう防犯灯の再検討をいたします。それからいろいろな班を作りまして、この広報活動をいたしまして、ことに御婦人の方がそういう犯罪にあわれないように、いろいろそれによる要領といいますか、そういうことについての指導といいますか、そういう協力方を——いろいろなパンフレットを配りましたり座談会をやりましたり、その他婦人団体にお願いをいたしまして、種々の都民への協力方のPRをいたします。そういう関係の未然防止を盛んにやっておりますけれども、この点については今後さらに力を継続するように、警視庁に指示を続けて参りたいと思います。  それからナイフを用いての事件であります。これは確かに最近そういう事件が多うございまして、特に警視庁管内で多いものですから、警視庁の防犯部が中心になりまして、各警察署とタイアップしまして、児童にそういう凶器を持たせない、ナイフを所持させないという大きな都民運動をやろうということで、これを計画しておりまして近いうちに実施になると思いますが、そういうものを通じて、できるだけ不用意にナイフを持っておることによって犯罪を起こされないようにということを都民に協力を求めて運動を展開すべく、目下進めております。
  18. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 少年がナイフを持ちたがることは、これは私どももよく承知しておりますし、この傾向は日本だけじゃなくて、世界各国とも同じようで、少年のナイフを持ちたいという衝動、そういうものは一般的に認められておる傾向のように思います。高田先生も御承知のように、飛び出しナイフについては制限を加えようという考え方が、実は前にあったわけなんでありまして、私どもも大いに賛成の意を表し、その推進に努力をして参ったのでございましたが、いろいろな事情のために法律改正に至らなかったわけでございますけれども、もちろん法律によって制限を加えるだけで問題は解決いたしません。ただいま保安局長からもお話のございましたように、問題は実質的にそういうものを持たないような風潮を作ることが大事でございますので、今の都の青少年協議会と婦人団体、あるいは一般家庭の人々が相協力しまして、こういうものから興味を他の方へそらすような運動を強力に展開することが私は必要だと考えております。
  19. 高田なほ子

    高田なほ子君 御苦心の対策をいろいろ承ったのでありますが、やはりこの対策は消極的になっておりますね。もちろんこれは政府予算を出さないから消極的になるのだろうと思います。大体防犯灯なんかというものは、幾ら要望したってつけてくれない。現に私は、二三べん事件が私の近所で起こりましたから要望をするけれども、防犯協会が街灯の権利を一手に握っちゃって、防犯協会が何とかかんとかしなければつけないとか何とかいうのだが、まことにこれは驚くべきことだと思う。で、これは前の委員会でも私は発言したのですが、国自体が予算を組んで、それで防犯灯をつけるような積極的な計画をとるべきだということを主張し、大臣もそのことに賛成されたが、さっぱり予算なんか組んでいないのですよ。そういう予算を組んでいない。もう一つは、あそこの防犯灯をつける、街灯の電気料金、これは何か一般普通の電気と同じような料金にしているらしいけれども、あれじゃいけないですよ。この料金はもっと安くできる方法が私はあるはずだと思います。そういうふうな方法で電気の料金も安くし、また街灯が積極的につけられるような予算措置も講じなければ、これはつきませんね、永久に。私どもの所なんか二年も地元の志村警察に言うけれども、すべったのころんだのと言うて、ちっともつけやしない。現にゆうべも私の家に自転車に乗った怪しげな子供が裏木戸から入って来まして、それで女中部屋の所がちょっとあいてましたところが、そこからのぞいて、幸い犬がいたから、犬が追っ払ってくれましたけれども、ちゃんと自転車に乗っていて、むすこに追っかけさせてみたら、やはり少年ですよ。犯罪の起こりそうな所につけない。予算がない。これじゃ——地元のことに及んではなはだ恐縮ですけれども、私が言ってさえつけないのだから、一般の人がここは困ると言っても、それは見向きもしないだろうと思う。これはやはり予算関係に由来するところが多いので、ぜひこれを予算化して、積極的に計画せられるように私は要望したい。この要望は、まあお答えいただかなくてもあなたのところはよく御承知ですから、一つこれは要望しますが、大臣がいらっしゃらないから、一つ竹内刑事局長からも、こういう強い要望があったのだ、予算化しなければもうだめだということで、一つ御連絡いただきたい。  それからもう一つ、地区の婦人団体等に大へん協力をされることをPRしていらっしゃるようですが、少年相談員の組織というものは、青少年犯罪に関する窓口的な役割を果たす大へん大事なものだと思いますが、その人数は三千百八人、現在少年相談員の数が三千百八人、その三千百八人のうち指導員が四六・八%、保護司が三五・八%、こういうような比率になっているようですが、この少年相談員の組織というものは五大地区だけに限られているものではなくて、もう少し人数をふやしたり、これを組織化するというところに重点を置いてもらわなければならないと思います。なんでこれはふやせないのですか。なぜ五大都市だけにこれ限られているものか。もっと積極的な少年相談員の整備拡充というものをはかられなければならないと思います。こういう点はどういうふうになっておりますか。
  20. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) ただいまお尋ねの点は厚生省の所管でございまして、詳しい事情は私どもつまびらかにいたしませんが、もし御必要でございましたら、厚生省をお呼び下さいまして御質問願いたいと思います。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、これは少年相談員というのは全然ノー・タッチなんですか。少年犯罪を取り扱う警察庁の方とか何かとは全然ノー・タッチで三千何人というものがきめられているのでしょうか。
  22. 木村行藏

    説明員木村行藏君) その少年相談員は、今、竹内局長から御説明がございましたように、厚生省の所管でございますが、少年問題は各省協力してやらなければどうにもこうにもならぬ非常に複雑な問題でございますので、この問題については、先生もおられたかと思いますが、中央青少年問題協議会、そこでいつも予算なり人員を報告し合って連絡しておりますので、私たちは大体の数はわかっております。それから第一線で、あるいは警察庁単位、あるいは県本部単位でいろいろ計画する場合にも、その問題は相談し合っております。今おっしゃったように、私たちの目から見ても、とてもそれでは足りないので、ことに先ほどお話がありました五大地区ですか、この犯罪の多い所では非常な手不足じゃないかと思います。
  23. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは直接警察庁の方に御関係がないにしても、やっぱり今おっしゃったような現状にかんがみて、これは御相談して、積極的な計画を進めるような各省間の連絡というものが中央協議会だけじゃ、ちょっと私はあれじゃ物足らないと思いますが、一つ少年相談員の増員とか計画等については、もう少し積極的に厚生省の方と御連絡下さって、がんばっていただきたいというこれも要望であります。  それから次に進めていきますが、少年院は急造施設で間に合わせるような形になって、どんどん今計画中であるようですが、三十六年度の少年院の増築計画等については、一応私承りたいのですが、これはどういうふうになっておりますものですか。
  24. 大澤一郎

    説明員大澤一郎君) 少年院の収容人員の増加に伴いまして、少年院を整備するという問題は、過去数年来問題にしておるところであります。特に少年院は少年法の改正によりまして大急ぎで全国にございます少年保護団体を少年院に転用したというような事情もございますし、またその後、社会情勢、犯罪情勢の変化に伴いまして、大体まあ各地に偏在し過ぎたというきらいがございますので、昨年度よりそれを整備いたす計画でございます。来年度、三十六年度におきまして、東北地区と北海道地区、四国地区に各少年一つを新設すべく、予算要求をいたしておる次第でございます。
  25. 高田なほ子

    高田なほ子君 現在は本院が五十八、分院が三カ所、こういうことになって、分院は少年刑務所に併置されているようですけれども、新設するだけでなく、分院等の、少年刑務所と併置されているというような分については、何か計画はないのですか。
  26. 大澤一郎

    説明員大澤一郎君) ただいま御質問の、分院が少年刑務所に付置されておるというのは、何か私ども資料の間違いかと存じますが、現在分院は、東北地方等におきまして、秋田県にございませんので、仙台の東北少年院の分院が秋田にある。あるいはまた群馬県にございます女子の少年院の分院が長野県にあるというふうに、分院はそれぞれ独立した非常に小さな施設でございますが、拘置所とか刑務所というものとは全然別個にそれぞれ独立して設置されておる次第でございます。
  27. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は少年院の数がふえることを決して望まないのです。少なくなることをこそ望むのですが、現在の少年院の収容状態は、先般の本委員会で、るるとしてその惨状が述べられておるわけです。従いまして、本院五十八カ所の中でも、急造施設のために、はなはだ老朽しているというような部面も多いかと思われますが、三十六年度に東北、北海道、四国の三カ所を新設するだけではなく、老朽した中に、オール満員、満員以上の満員を示しているような所について、特に三十六年度で予算措置をして、これを改造していくとか、あるいはこれを増築するとかというような計画は当然私は考えられていいものじゃないかと思いますが、この点はどうでしょうか。
  28. 大澤一郎

    説明員大澤一郎君) ただいま御指摘の点につきましても、ごもっともな点でございまして、われわれもこの点につきまして、少年院を急いで作りましたために、収容定員が非常に大きい四百人程度の所がございます。あるいはまた五十人というような小さな施設もございます。大きい所では教官の目が届きませず、少年に個別的な指導が十分行きわたらない。また小さい所では非常に家庭的でいいことはいいのでございますが、その点、教官が非常に不経済でございます。そのような点も考えまして、小さい所を合併して、われわれの今までの調査で最も適当な管理定員と申しますか、二百人程度のものにまとめていく、また反面、四百人のものは二つに分けていくというような計画も進めておりまして、なおかつ非常に古い建物を急いで転用いたしましたものですから、現在その個々につきまして、数年来、少しずつではございますが、法務省の営繕費の整備費の中から、寮舎あるいは食堂というような個々について、改築計画を現に進めておる状況でございます。
  29. 高田なほ子

    高田なほ子君 改築計画は三十六年度には大体どのくらい……。あとでまたよく聞きますが、あと説明して下さいますか。
  30. 近藤忠雄

    説明員近藤忠雄君) 少年院の来年度の改築計画の予算要求いたしております点の説明を簡単に申し上げます。  新営につきましては、先ほど申しましたように、新しい個所が三カ所新営でございますが、その三カ所は新営でございますが、継続工事として十カ庁——現在ある施設に加える予定のところが十カ庁ございます。各所新宮関係は九十三カ庁ございまして、それからそのほか一般の施設の改善を計画いたしております所が三十二カ庁、それから整備の関係、たとえば単独室あるいは貯水槽の整備とかという関係でございまして、単独室の整備が九カ庁、それから貯水槽の整備が十六カ庁というふうに、合計それだけの設備がございます。それから暖房設備が二カ庁になっております。それから機関施設整備が三カ庁、それから浄化槽の施設整備が八カ庁、それからX線の防護設備が二十三カ庁、特別修繕を要する所がございますので、それが六カ庁、合計いたしましてその金額を見積りますと、予算の要求金額といたしましては、八億一千三百八十八万七千円と相なっております。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 ありがとうございます。  次に、この少年院の小さい所には職員もだぶついているから云々というお話がありましたが、実際私はそのだぶついているなんというのは、ちょっと不思議に思います。少年院の職員の勤務上の条件というのは非常に悪い。大へんよくない。たとえば、その夜勤というのがありましたでしょう。夜、当直のようになすって、いろいろ夜じゅうその任務におつきになる。けれども職員が不足のために、その次の日もまた出てきて平常の業務に服さなきゃならない。こういう大へんお気の毒な状況の所がかなりあるようであります。私としては、こういうような人権を無視したような勤労条件というものを、一日も早く改善させなきゃならない。それに加えて、相当危険の伴うような勤務条件もあるようでございます。こういう方に対する危険手当なんというものは、これはないものか、あるものか。それから、当直と続けて平常勤務をさせるなんということは、これはもう全く労働法上おかしなものだと思いますが、この実態はどうなっておりますか。職員の待遇改善等については、何か方策を法務省として考えておいででしょうか。
  32. 大澤一郎

    説明員大澤一郎君) ただいま私の説明の不十分なために、やや誤解を受けた点があったかと思うのでございますが、小さな少年院ではだぶついているというような意味で申し上げたのではございませんので、非常に不経済でございまして、やはり院長が要る、それに関する庶務、会計というような、管理部門に、相当大勢の職員が、やはり大きくても小さくても必要でございますので、さようなものをまとめまして、かような管理定員はなるべく減らしまして、それを指導教化の教官の方に振り向けたい、それを少年院の施設の整備とからめて考えていきたい。そうしてそれから出ます——必要な管理定員の中からの節約で出ましたものを、なるべく指導教化の教官の面に振り向けたい、そういうふうに考えておる次第でございます。  この少年院の教官の勤務の、きわめて繁忙であり、また非常に過労に陥っているという点は、ただいま非常に御理解ある御質問をいただいて、われわれとしても感激しておる次第でございますが、これにつきましては、数年来要求を続けておりまして、三十二年度、三十三年度、三十四年度、毎年人員の一部分ではございますが、増員が認められておりまして、木三十五年度から、予算上二十五名が認められておるのでございますが、まだ定員法が改正になりませんので、まだその準備ができていない状況でございます。この二十五名を入れましても、なおかつ少年院におきまする少年院の教官の勤務は、非常に他の職種、職務と比較しまして、多忙になっております。今御指摘の、三日に一ぺんの夜勤をしてなお翌日の非番がとれないという状況にもございますので、来年度におきまして、百三十四名の教官の増員をいたしまして非番には必ず休める体制をとるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。なおまた少年院の教官の危険の度でございますが、これまた御指摘の通り少年院の内部におきまする教官に対する暴行というものが最近は非常に減って参りましたが、終戦後非常に多うございまして、ガラスを割ってそれで凶器を作ったり、あるいはまた夜間の指導に教室に入りまして座談会等をやっている教官をやつつけて、集団逃走をするというような事故が非常に多いのでございます。その点、少年院の教官というものが非常に危険にさらされておるということもよく御理解になってありがたく存ずる次第でございます。この危険手当の問題でございますが、さようなもので、少年院の教官は公安職の特別俸給を適用されることになっております。しかしこれとて決して十分と思いませんが、まあ目下のところ、この公安職の特別俸給をもって処理していきたいと、かように考えておる次第でございます。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 私はこの少年院にお勤めになっていらっしゃる職員の待遇というのは、実際、検討する時期にきているのじゃないかと思います。ここに御列席の本委員会委員の皆さん方もそういう実情についてはずいぶん御心配になっていらっしゃる点も多いわけです。私が一人発言していますけれども、皆さんそういう点については御心配になっていらっしゃる。しかし、これは公安職の特別俸給等についてこれに準じて待遇されていらっしゃるようでありますが、現段階の状態から見ての労働条件というものを、もう少し大蔵省あたりによくわからせたり、また自治庁の方にもよくわかっていただいたりして、特別一つ考えないと、どうにもならないのじゃないかという気がいたしますがね。まあこれは私ども研究さしてもらいますけれども一つ当局においてももっと積極的にこれをアッピールしまして、あまりにもひどい職員の待遇というものが改善されるように、特に二十五人きりふえないなんてばかばかしいですよ。自衛隊をごらんなさい。自衛隊のふえ方をごらんなさい。二万人でも三万人でもいくらでもふやすでしょう。これを少年院のために二十五名ですよ、わずかに。こんなばかな話ありませんよ。これはまあ一つがんばっていただくところです。  それからもう二つで私質問終わりますが、端折って御質問申し上げますけれども少年院の職員がこういうわけですから、職業補導とか何とかいっても、なかなか手が回らないのはこれはあたりまえのことなのです。しかし、しなくていいという理屈はないと思うのです。そこで、この院外委嘱の職業補導というものについて、相当最近は成績が上がっているように私承っています。しかし、この院外委嘱の職業補導の実態というものは、あまり明らかにせられていないようであります。また、この委嘱するについての条件も相当むずかしいものがあるから、かなり制限されているような面もあると思いますが、方針としては、院外委嘱の職業補導というものについて、どういうような方針をお持ちになっておられるのか、この点一つ……。  それからもう一つは、竹内刑事局長にお尋ねしたい点です。少年がお酒を飲んでならないということは法文にはあるわけでございます。しかし、最近の状態はどうもそういう法律というものは全く空文にひとしくなっているようです。酒は次々と犯罪を生むものだと私思います。酒を飲まなければこういうことをしなかったものを、飲んだためにこうなったということで、大へんこれはゆゆしい問題だと思う。われわれ参議院も、ここにいらっしゃる市川先生、赤松先生等も大へん御心配になられて、めいてい者の問題については立法措置も講ぜられたわけでございますけれども、何といってもこの少年の禁酒について、もっと積極的な対策というものが私は立てられてしかるべきものじゃないかと思います。深夜喫茶等の問題は、一応形では解決したような状態ですが、これはもう今は野放しですよ、ね。お酒の問題はこれはどうしたものでしょうか。朝に晩に私はこの点悩みを深くしておるわけですけれども、局長としても当問題についてはいろいろお考えがあられるのじゃないかと思います。もしあられるようでしたら、この際、これを承らせていただきたいと思います。
  34. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 少年犯罪を犯したときに、酒を飲んでいたというふうに見られる事例が非常に多いわけなのです。仰せのように禁止されておるにかかわらず、ほとんど野放し状態にやっておることもこれは遺憾ながら私も認めざるを得ないと思います。そこで、この問題はまあ法律上禁止されておることは間違いないのでございますが、この法律が励行されてないのは一体何であるかということに、私どもまあ反省をしてみなきゃならないわけでございます。今の禁酒の問題、深夜喫茶の問題、その他すべてを通じまして、私は少年問題に対しましては法律の執行ということをもっと励行していかなければならないのじゃないか、別の機会にまた御説明を申し上げることがあるかと思いますが、各国の実例等を見ましても非常に法律の励行ということが大事なことだという、またその励行がうまくいっております国におきましては、犯罪防止に貢献をしておる事実もこれは認められるのでありまして、一般的に見まして日本の法律の励行の程度というものは、私は低いと思います。この点、とかく何か問題がありますと、法律改正の方に議論がいきますけれども、実は法律改正よりも法律の励行という点、励行させるにはどういうふうに執行したらいいかという点につきまして、私どももっと反省してみなければならぬ。そういうふうに考えております。
  35. 大澤一郎

    説明員大澤一郎君) 少年院におきます院外の委託の職業補導状況でございますが、昨年度におきまして約二百名をそれぞれの商店あるいは家庭に委託いたしまして、あらゆる業種にわたりまして、——女中さんから食堂、店員、理容師あるいはクリーニング、食品加工、洋裁、染めもの、板金、その他あらゆる業種にわたり御協力を得まして職業補導をしたわけであります。この職業補導は、退院後引き続いて就職するというような更生の面にも大いに役立っているのであります。またそれに就職しませんでも、少年院から社会に出ます際に大きなギャップがそこで取り除かれるというように、きわめて有効な手段だと存じております。広く社会の協力を得まして活発に推し進めていきたい、かように考えております。
  36. 高田なほ子

    高田なほ子君 総括的に申し上げれば、青少年の問題というのは幾ら言っても言い過ぎたということはないと思います。幾らこれを守ろうと主張しても、その主張がオーバーだからといって非難する人はいないと思う。そういうふうな青少年を守るというそのことは、社会の中でも政治の中でもきわめて大切なものだと私は思います。そうしてまた当局者も少年関係する係の方々は大へんじみな仕事だけれども、みんな熱心に職務のためにがんばっておられることを私はよく承知したわけであります。幸い参議院の法務委員会は、青少年問題について皆さんも御熱心ですから、幸い予算も大体骨組みはできたところでしょうけれども予算折衝に当たるときは、もっと鬼のようになって、これは言い過ぎたということはないと思いますから、鬼のようになって予算を獲得するために全力をあげていただきたい。少なくとも私ども青少年の問題に対しては前国会で決議をして、そうして青少年犯罪対策については万全を期するという決意を委員会は示しているのですから、今あげました数々の問題については、まだまだお尋ねしたいこともございますし、意見もございますけれども、どうか一つうんとがんばっていただきたい。ここにいらっしゃる方、みんながもうほんとうにがんばっていただきたい、このことを切望いたしまして、大へん長時間私だけ質問いたしましたが、これで終わります。
  37. 赤松常子

    ○赤松常子君 私もちょっと二、三お尋ねしたいと思っております。この前の委員会に私欠席して失礼いたしまして、話題が出たかとも存じますが、この間私どもは四国班に入りまして高松管区の刑務所、少年院を少し見せていただいたわけですが、いろいろ感ずるところがたくさんございました。先ほど、今度少年院を四国、東北、北海道に新設する御計画のようでございましたが、普通の少年院なんでございましょうか、四国においてはいかがなんでございましょうか。
  38. 大澤一郎

    説明員大澤一郎君) 四国の少年院の分布状態であそこに医療少年院がございません。どこかにできましたならばその一部ないしはどこかの少年院というものを医療少年院に充てまして身体的と申しますか、いわゆる疾病ないしは精薄児というものの特殊施設にしていきたい、かように存ずる次第であります。
  39. 赤松常子

    ○赤松常子君 それを伺って安心いたしました。この間、高松管区をちょっと拝見したのでございますけれども、四国には特別少年院も医療少年院も独立していない実情でございまして、大へん少年の矯正処置が非常にむずかしいように第一線の方々のお声が相当出て参りました。私どもが申すまでもございませんけれども、あすこには四国の松山とそれから丸亀に女子の少年院がございます、それだけでございますものですから、特別少年院がないものですから、みんな一緒くたに入れて参りまして、非常にお困りのようでございます。それからまた家庭裁判所が遠い。遠隔地の方へ送らんならんものですから、山口県の何ですか、新光学園でございますか、それからまた大阪の河内少年院の方に送る、こうおっしゃっておりました。ですから、家庭裁判所の人もあんまり遠い所に送るのは予算のことだとか、ついていく人の問題で、どうもおっくうだというような言外の意味も拝察いたしました。ぜひそういう施設を特別に作っていただきたい。まあ私伺いまして、医療少年院だけでも早く作っていただきたいとお願い申し上げます。
  40. 大澤一郎

    説明員大澤一郎君) ただいま申しおくれまして御指摘を受けた点でございますが、特別少年院も、できますればその少年院の区分の中に入れましてせっかく計画を進めておる次第でございます。
  41. 赤松常子

    ○赤松常子君 ありがとうございました。それはちゃんと八億の中に入っておるのでございましょうね。
  42. 近藤忠雄

    説明員近藤忠雄君) 入っております。
  43. 赤松常子

    ○赤松常子君 ぜひ実現するようにお願いしたいと思っております。ちょっとこの間見て参りまして、非常に現地のお声が強かったものですから、ちょっとかわって申し上げた次第です。
  44. 近藤忠雄

    説明員近藤忠雄君) 先ほど高田先生からも非常に御理解のあるお話がございましたし、また今、赤松先生からも非常に御理解のある今後のわれわれの微力な点を鞭撻していただくお言葉をちょうだいいたしまして、当局として非常に感謝いたしておる次第でございます。  問題の少年院問題につきましては、法務省の所管といたしましては、各部局にわたるわけでございますが、いずれにいたしましても、御指摘の通り非常に重大な問題でございます。じみではございますが、非常に重大な問題とわれわれも考えておる次第でございます。一生懸命従来もやっておったつもりではおりますけれども、われわれの力が足りませんために、必ずしもその目的を達していない、今後におきましても十分努力するつもりではおりますけれども、いかんせん微力でありますがゆえに、はたして御期待に沿えるだけの成果を期待することができるかどうか、若干疑問の点もございます。なお今後もわれわれは一生懸命努力するつもりでございますので、なお足らざる点につきまして、先生方の御協力をお願い申し上げまして、何とか目的を果たしていきたい、かように考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  45. 市川房枝

    ○市川房枝君 先ほど高田委員の御質問に関連しての竹内刑事局長の御答弁に関連して伺いたいと思いますが、法律の励行が必要だ、そのことの反省をしたいというお話で、私もそういうふうに考えておるのでありますが、この間十月一日に弁護士連合会あるいは法務省なんかで法の日ですか、何かの会合がおありになったように伺ったのですが、私はさしつかえがあって出席さしていただけませんので、ちょっと秘書をかわりにやったのです。そのときの報告をちょっと聞いたのですが、これは正しく合っているかどうか知りませんが、最高裁長官なりあるいは法務大臣ですか、何かのお話の場合に、つまり法が守られていない、その守られていない実例として集団暴力ということをしきりに強調があったそうでございまして、それはもちろんそれでいいと思うのですが、私報告を聞いてすぐ考えましたことは、ちょうど選挙の前でございまして、それで選挙については、言うまでもなく公職選挙法というものがあるのだけれども、実際守られていない。公明選挙運動というのが今までありまして、それは今度もあるようですが、今度は少し名前を変えて、公職選挙法を守る運動、こういう名称で運動が始められておるようですけれども、しかし幾ら選挙法が守られていないからといっても、公に選挙法を守る運動という名称で運動が始まるということは、私非常に恥ずかしい話であって、裏返して言えば、日本の公職選挙法が守られていないということを日本国ばかりでなく、外国にもそれをはっきりすることになるので、非常に変なことだと考えておりますが、そういう選挙法なんか守られなければならぬということは、そこではあまりなかったらしいのでございますけれども、さっき高田さんのお話少年禁酒法も守られていない、それからもう一つ守られていない代表として始終あげられますのが売春防止法なんですが、そういう守られていない法律を法治国としてどうして守らしていくのかということについて、刑事局長が御反省していただいておるということは伺いましたけれども、これは法務省として、ことに法の日というものを新しく作って、そうして法を守るようにしたいというならば、私もっと具体的にどうして法を守らせるか、なぜ法が守られていないのかという御検討があってしかるべきですし、その案を私ども伺いたいと思うのですけれども法務省としては、まだそこまでその問題についての具体的の計画というか、案というものが、何もできていないのでしょうか、どうですか。それを伺いたい。
  46. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 法の日が本年制定されまして、十月一日を法の日と定められたわけでございます。私外国へ出張を命ぜられておりまして、三日の夜帰って参りましたので、その法の日には参加できなかったわけでございますが、この法の日を制定しようという考え方は、ただいま御指摘のように、法は自分たちの仲間の社会生活を規律するものなんで、国会が承認した法律、その法律を尊重していくということが社会秩序を守っていくものである。そんなABCのようなことは今さら申し上げるまでもないことでございますが、そのいろはのような法律に対する考え方が、最近一般国民の間に鈍ってきておるのじゃないかというようなことの反省の上に立って、法律を尊重していこうじゃないか、昔の言葉で申しますならば、順法精神を振興していこうじゃないかというのが、この法の日を制定いたしました大きな理由一つになっておると私考えます。  そこで、法をどうやって守っていくようにするかということでございますが、もちろん法律として罰則が定められております限りは、この罰則を励行させるために、法の執行に当たります者は厳格にこれを適用していくということももちろん必要でございますが、そういう厳格な法律の適用をしていきます前に、国民がまずこの法律を尊敬する、尊重するという考えがありませんと、いたずらに苛察にわたるわけでございまして、この辺のかね合いというものが非常に大切だと思いますが、私ども内部におきまして、検察官に、法の適正な運用——適正という言葉を使っておりますけれども、これは寛厳よろしきを得てという意味を含んでおります——そういう運用をはかるべきだということは、これはもういつも私ども申しておることでございます。しかしながら、抽象的に適正な運用と申しましても、どういうふうに運用すれば適正になるのかということは、これはなかなかむずかしい問題でございます。具体的にじゃ売春防止法をどういうふうに適用していくか、あるいは少年に関する禁酒法、喫煙禁止法をどういうふうに励行していくか、深夜喫茶の取り締まりの条例をどういうふうに運用するかといったような問題につきましては、私どもとしましても具体的に、取り締まり当局は取り締まり当局なりの考え方をきめて参りたいと思います。抽象的には今言ったようなことは、もうしょっちゅう申しておるわけであります。それは抽象的じゃだめなんで、具体的に指示をし、話し合いながら進めていきたいと思います。いろいろな意味で、法律を尊重し、法律を適正に運用していきますためには、私どもだけではもちろん十分でございません。従いまして、法の日といったようなものはそういうものに対して一つの足がかりになって、国民運動も起こり、法律を執行する者も厳正な態度で臨むというようなことで、両々相待って私は正しい運用にいくと思います。その具体的な策を示せということでございますけれども、もちろん策を作文をすることは私はやさしいと思いますけれども、実際どういうふうにやるかということは、地域によりましても東京とまた地方によって違いますし、そのニュアンスがあるわけでございまして、その辺のさじかげん、そういうものはもう少し研究をいたしまして、それぞれその地域に適応したやり方で進めるべきだというふうに考えております。私の考えだけを申し上げたのでございまして、作文にしたものをあるいは運用方針とかというものは——もちろん取り締まり当局としての運用方針は私ども持っておりますが、今申したような事情で、両々相待ってやるべき事柄でございますので、検察の、ある法律の運用方針というようなものを申し上げるのもいかがかと思います。ただ、私の考えだけを申し上げて御参考に供したいと思います。
  47. 市川房枝

    ○市川房枝君 今、刑事局長の御意見のように、法を守るということは、一つは国民の側に順法精神が必要で、これはまあ法務省だけの御責任じゃないと、政府側からいえば文部省、あるいはその他責任を持つところはたくさんあることだと思います。もう一つは、検察当局としてその法を守らない者に対してどうするか、これは適正という言葉を今お使いになりましたが、まあ私どもからいえば、適正といって多少の手心が……、その間で法を守らない者の対象によって多少の手心があるということであっては困るのでありまして、むしろ、私は法の命ずる通りに、もっと厳格に処置するということが必要だろう。むしろ法を守らなくてもほとんどまあ何も処罰されないというようなことが、結局国民に順法精神を私は鈍らせることになるのではないかと思うのですが、そこで、特に刑事局長にお願いしたいのは、来たるべき選挙に際しまして、選挙法を守らないということこそ、私は一番民主主義政治の基本をゆるがすものだから、そういう違反者に対しては、検察当局として適正とか何とか言わないで、考慮の余地なく厳格にやっぱり執行していただきたい。たとえ相手が内閣総理大臣であろうとも、法を犯した場合には遠慮なく適用するということを一つお願いを申し上げておきたいのであります。
  48. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいまの問題は、これはもうやめようと思ったのですけれども、私は刑事局長の御答弁としてはちょっと物足りない、法の、選挙違反についての刑罰規定というものはちゃんとあるけれども、市川先生指摘されたように、やっぱり刑罰規定そのものが守られないですね。三十四年の参議院の選挙の場合には、悪質な買収というのが四六・一%を占めておる。これは非常に恥ずべきことです。こういうようなものが、第一審有罪の人員の中で、自由刑が二丁六%、その中の九八%が執行猶予、あと残りの二%はさらに控訴審でまた執行猶予になっておる。この刑法犯と特別法犯を通じて、こんなばかげたことはないというふうに専門家も指摘しておるごとくに、刑罰そのものが軽過ぎるのじゃないか、選挙に対して。私は専門家としての局長からそのやり方がひど過ぎるのじゃないかというぐらいの御答弁を実は聞きたかったのです。さらに罰金は、たとえばちゃんと罰則の中にありますけれども、大体罰金刑のものでも四分の三は一万円未満でしょう。しかも大体その中の半分以上が五千円以下というものですね。そういうようなことで、法律があっても執行猶予になったり、罰金も軽いというようなことでは、やっぱり問題になるのじゃないかと思いますね。この執行猶予がなぜこんなに九八%も特に選挙の場合に多いのか、良識ある参議院の選挙に買収が四六%も占めておる中でこういうようなことでは、口でばっかり言ったって、具体性がないのじゃないかと思う。それを国民の法を守る意識が低いとか何とかと国民に責任を転嫁させるようなことは、どうも私は納得いかない。確かに法意識は低いに違いない。公職選挙法にかかって第一審有罪の人員がなぜそんなに九八%も執行猶予にならなければならないのか。ここらに、私は法を守る精神が欠けておるところに問題があるような気がする。非常に具体的な数字なんです。どういうふうにお考えになられますか。
  49. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 選挙法違反の裁判所における裁判結果は、ただいま御指摘の通りでございまして、私どもこの結果につきまして決して満足いたしておるわけではございません。結果から見ますると、はなはだ遺憾な運用になっておるということを私は考えております。特に参議院議員の選挙におきましては、ちょうど地方選挙とダブってきましたので、いろいろ取り締まりの面におきましても、少し参議院の選挙のときには、ほかの選挙の違反に取り締まり当局が手を取られ過ぎておりまして、十分監察もできなかったから、比較的私は少ない数字で終わっておるようにさえ観察をいたしておる一人でございます。そういう意味から申しまして、決して参議院選挙も衆議院あるいは地方選挙に比べて違反が少なかったというふうにのみ断定できないような状況だと私思います。このように選挙違反が多いということにつきまして、取り締まり当局としましては、これは厳重な態度で臨んでおります。なぜかならば、選挙が公正に行なわれますことは、民主主義の基本に関する問題で、ただいま御指摘の通りでございます。従いまして、毎回の選挙におきまして数字が大きなのが出ることは、世界的に見て恥ずかしいことだと思いますけれども、これはやむを得ません。従いまして、今度の予想されます衆議院の選挙におきましても、私ども今月の末ごろに全国の検事正、検事長の会同を東京に開きまして、十分選挙の取り締まりにつきまして協議をする予定にしております。本省といたしましては、選挙違反につきましては厳重な態度で、かつ公平な態度で臨みたいという考えでございます。裁判の結果が罰金になったり執行猶予になったり、実際実刑として最後まで歩どまりと申しますか、そういうものは非常に少ない。この点は検察官が執行猶予の論告をしているわけではないのでございますけれども裁判がだんだん上へ進んで参ります間に、選挙の背景になっております部分がかなり明らかになってくるわけでございます。そうなって参りますると、違反者は当該法廷に立っておる被告だけではないんじゃなかろうかといったような考慮が裁判所に相当強く反映してくるようでございまして、取り締まるものは公平にやっておりましても、手の関係、その他の関係で結局ある違反者にこだわってしまうような結果になります。そこで野放しにされておる違反もあるんじゃないかということで、あたかも法廷に立っておる被告たちが犠牲になっておる人たちのような見方が出てくるわけで、そういう点が裁判所に反映して、あるいは罰金刑になり、あるいは執行猶予になるというような結果になるんじゃないかと思います。その辺のこともありますので、検察官としましては、できるだけ公平な立場で違反については分け隔てなく取り締まりには取り締まっているんだということを明らかにすることによって、当該事件に適正な刑をもっていくというふうに努力はいたしておりますけれども、何といたしましても、取り締まりには、どうしてもある事件が発生しますと、その事件にかからざるを得ない。そうすると、その間に行なわれている違反がまあ手抜かりになるという結果になる。この点を裁判所がしんしゃくした結果が、今言ったような結果になると思います。その点は、私どもの方の努力にかかるところが非常に多いのでございますので、せっかく努力をいたしまして、公正な、厳格な態度で選挙違反に臨みたいと考えております。
  50. 赤松常子

    ○赤松常子君 今の御発言、私非常に感慨深く拝聴いたしましたが、結局は一つ事件にかかっているその間に、他の犯罪が発生してもそれにかかれないというところには、検察庁の手不足、そういう点に帰着するのだと解釈してよろしゅうございましょうか。
  51. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) その通りでございます。検察官の数というものはそう多数増員することはできません。選挙になりますと、ほとんど全部の検察官が選挙の方に動員をされまして、普通の事件はしばらくたな上げみたいな形になるわけでございますが、それにいたしましても、ある時期、短期間に多数発生して参ります事件を処理いたしますのには、どうしても今の検事の数では十分だというふうには参らないわけでございます。
  52. 赤松常子

    ○赤松常子君 私が申したのは、他の犯罪ではなくて、選挙違反の問題なのです。それに限ってお尋ねしたのでございますけれどもほんとうに大事な時期でございますし、不公平のないようにお願いしたいと思うのです。結論に対しても法務省自体としては大へん遺憾に思うという態度、私よくわかりましたので、どうぞ不公平のないように、大きな魚がつるつると抜けないようにお願いしたいと思っております。   —————————————
  53. 大川光三

    理事大川光三君) この際お諮りをいたします。  御承知の通り竹内刑事局長には、過般来遠く外地に旅をせられまして、ロンドンにおける第二回国連犯罪防止及び犯罪者の処遇に関する国際会議——これは少年問題が中心でございます——及び同じくロンドンにおける国際廃娼会議——これは売春問題が中心でございます——及びオランダのへーグにおける国際犯罪学会議に、日本の法律家を代表して御出席に相なりまして、多大の御苦労とそうして多大の成果をおさめられまして、最近無事御帰京に相なりましたことは、私どもの心より歓迎を申し上げるところでございますが、その会議の模様、会議の中心問題及びその結果と貴重なる御体験と新しい知識を、われわれ委員会としても拝聴いたしたいと念じておるのでございますが、そういう機会を持つことについて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 大川光三

    理事大川光三君) しからばその時期、方法等につきましては、委員長ともよく相談をいたしまして、さように取りはからいますから御了承をいただきます。   —————————————
  55. 大川光三

    理事大川光三君) ただいま議題と、なっております青少年犯罪対策に関する件についての御質問はほかにございませんか——なければ、本件に関する本日の質疑はこの程度にとどめたいと思います。   —————————————
  56. 大川光三

    理事大川光三君) 次に売春対策に関する件についての調査を行ないます。
  57. 赤松常子

    ○赤松常子君 ちょっと一、二、時間がございませんから要領よく質問したいと思っておるのですが、この間、四国各地を歩きまして売春防止法の調査一つの目的と思いますものでありますから、その関係者の方にお集まり願いましていろいろ御懇談いたしました。いろいろ御意見が出ましたが、要するに一つ大きく御発言になったことは、やはりヒモの処罰規定を早く設けてもらいたい。これはどこの懇談会でも、検察官、警察官等の御発言がありました。このヒモの問題も、この前からしばしば問題になっておるものでございまして、一応第一線の方は人権じゅうりんになるというようなことでちゅうちょなさっておるようでありますけれども、ヒモの問題にもいろいろあるのであって、悪質なボスあるいは暴力団、これは見逃していけないと思うのであります。こういうこと、ほんとうに御一線の方は刑罰にしたいという御意見でございましたが、売春防止法の改正について、その点のお考え、御研究、どうなっておりましょうか、お尋ねしたいと思っております。
  58. 大川光三

    理事大川光三君) ただいま御質問がございましたが、その答弁をかねて、売春対策の現況について簡単に政府から御説明をいただきたいと存じます。
  59. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 現況について御説明申し上げるわけでございますが、その前に、赤松委員から御質疑のありました点をお答えさしていただきたいと思います。  まず、ヒモの問題でございますが、これは過去売春防止法全面実施以来、幾多の問題を投げておる点でございまして、私どもも法律の欠陥等につきまして、心を痛めて参ったものでございます。事務当局といたしましては、先般の機会にも、私申し上げたつもりでございますし、間に合います限り法律改正をいたしたい考えを持っておりますが、ヒモの実態というものにつきましては、必ずしもつまびらかでない部分がございます。従いまして、今関係警察並びに関係各省にお願いをいたしまして、ヒモの実態というものについての調査をいたしております。その調査を待ちまして、しからばどういう法律の規制をかけるかというようなことに相なっておるわけであります。そういう調査研究をいたしておる次第でございます。できるだけ通常国会に間に合わしたいと思っておりますが、多少時期的におくれるかもしれませんけれども、そういう考えで、事務当局といたしましては努力をいたしております。
  60. 赤松常子

    ○赤松常子君 ちょっとこれに関連いたしまして、ヒモの種類でございますが、いろいろございますことは御承知の通りでございます。子供づれ、それからやはり家族づれ、こういう人々もあるわけでして、婦人相談員の方々の研究会に出てみますと、そういう子供づれの母が売春婦をしている。この人々を別個に収容する施設がほしいというようなことを、やはり第一線の相談員が切々とおっしゃっていらっしゃいます。ですからその調査のときに、こういう種類の一応御調査を願いたいと思います。失業の方あるいは子づれの母、こういう調査をいただきましてまたこれに対しての対策も考えていきたいと思っております。
  61. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) ただいまの御質疑の点、承知いたしました。十分調査をいたしたいと思います。
  62. 綱井輝夫

    説明員綱井輝夫君) 売春防止法が全面実施されましてから二年余りになりますが、現在までの検挙の状況を簡単に御報告いたしたいと思います。  全数字が四万九千六百五十件、四万四千五日二十六人、これが本年の六月までの二年三カ月間の検挙の状況でございます。  罪種別に見ますと、勧誘事犯が最も多くて二万九千三百二十一件、人数で二万九千二百人、全体の過半数を占めております。次いでポン引き等による周旋等の事犯が八千三百八十件、場所提供事犯が六千二百三十五件、それから売春管理と申しますか、それらの事犯が千七百七十一件、その他条項別に数字が出ておりますが、大体以上のような数字になっております。  最近の状況としましては、一つは暴力団関係と申しますか、売春婦並びに売春関係に暴力団ないし愚連隊、そういうものが介入して、人身売買的事犯が相当悪質化の傾向にあります。次に観光クラブあるいはガイド・クラブ、こういった名称で、いわば管理売春の脱法行為として行なわれるような事犯が相当多い点が最近の注目すべき現象であるというふうに考えております。
  63. 大川光三

    理事大川光三君) 他に質問する方、ございませんか。
  64. 市川房枝

    ○市川房枝君 竹内刑事局長にお伺いしたいと思います。赤松委員の御質問に対する御答弁に関連してでございます。  ヒモの処罰に関しては、今調査をしてもらっているが、その結果を待って、今度の通常国会に間に合わしたいけれども、もう少しおくれるかもしれぬと、こういうことでございましたね。ことしの春ごろのこの法務委員会で、刑事局長から、事務当局としては、この次の通常国会に、そのヒモの処罰等を含んだ売春防止法の改正案を提案したいと考えている、こういうお言葉をいただいておったのですが、少しそのときのとちょっと違って、何か今度の通常国会はだめになるかもしれないという印象を受けたのですが、そうでございますか。
  65. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 通常国会はだめかもしれぬというような考えではございません。あのときも事務当局——ども刑事局のものとしましては、そういう考え方をいたしているということを申し上げたわけでございますが、もちろんこれは法律ということでございますので、法務省全体の賛成を得なければなりませんし、さらにまた政府の御支持も得なければならないわけでございまして、手続としては幾多の難関があると思いますけれども、実態につきまして、若干この春ごろ私が簡単に考えておりましたのと違いまして、いろいろな形態があるようでございますし、また、これはお互いに外国も——私も今度行って初めてわかったのですが、世界各国共通のコール・ガール・システムのようなものもございますし、そのコール・ガール・システムにつきましても、いろいろなニュアンスがありまして、日本の大阪のそれと、東京のそれと、若干違うようなところもあるやに聞いております。そういう点をカバーをしたその売春による搾取というものを禁止しようという法律の形を考えてみますると、一本の法律で——国際廃娼会議などでは、私どもにサゼストしておりますけれども、日本の売春防止法は、それを幾つかに分解いたしまして、いろいろな規定で、すでにこの売春による搾取を禁じている規定も現にあるわけなんです。そういたしますと、日本の売春防止法のもとで、どの部分を補充すれば最もいい法律になるかというような点は、新しくもう一回考えてみなければならぬような、私気がいたしております。そういう意味で、全く政治的とかあるいは法務省内部の事情とかということを抜きにいたしまして、文字通り刑事局の事務当局の中において、もう少し研究を要するということが感じられておるわけでございまして、決して方針が変わったとか考え方が——変わったといえば今申したような点が若干変わっておるかもしれませんが、そういうつもりでございます。
  66. 市川房枝

    ○市川房枝君 ヒモの処罰の問題は、現在売春防止に関連しておりまする人たち、あるいは婦人団体なんかが非常に切望しておりますところで、この前の刑事局長の言明を大へん喜んでみんな期待しておるわけでございますから、いろいろな問題の掘り下げ方等にいろいろな問題があるかもしれませんけれども一つぜひ通常国会に間に合うようにしていただきたいと思いますし、それからいろいろなその問題に関連しての局長の御意見といいますか、まあ外国の模様は、この次の機会でいろいろ伺いますが、警察当局あるいは法務当局である程度の資料ができましたら一ぺんこの委員会でも早い機会にその問題を少し伺って、そして検討を私どもにさせていただきたいと思いますから、一つお含みおきいただきたいと思うのですが、まあ申し上げたいことは、非常に困難かもしれませんけれども、ぜひ一つしていただきたい。政治的な、上の方の問題はもちろんありますけれども事務当局でちゃんと案がまとまりますれば、上の方に申し上げることはやすいんじゃないかと思いますから、それをお願いしておきます。
  67. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) ただいま御要望のありましたように、資料なりともこの委員会に提示いたしまして御検討を賜わるようにいたしたいと思います。
  68. 赤松常子

    ○赤松常子君 それからもう一つ法律改正に関連いたしまして、婦人補導院の問題でございますけれども、これもあちらこちらよく現地のお話を聞いてみますと、やはり六カ月の収容期間というものが何とも意味のないことに終わりそうだという非常に現地の方の悲観的なお声が多いのでありまして、六カ月ということは、ほんとうに一時入れて、少し落ちついた期間にすぎない。ほんとうに立ち直るとか、あるいは技術を収得して社会にまた復帰する措置というものが、この六カ月ではちっともできないということをおっしゃっているのでございます。せめて一年、やはり中に病気を持っている人もありますし、それから精薄の人もありますから、まず根本的にはその分類が大事であるけれども、普通の女子で今申しますように六カ月の期間では何にもならないという、こういうことに対しまして、私ども勉強してほしいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  69. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) この問題は、抽象的に考えますと確かにこの六カ月の期間では補導院法が期待いたしておりますように更生させます準備期間といたしましては物足りないことは立法当初から予想されないわけではなかったのでございます。実際に運用をいたしました実績も、これはきわめて少数の例についての結果でございますけれども、ややその点を裏書きしておるような事情もございますが、矯正の御当局としましては、何はともあれ、一年くらいしか運用しておりませんので、もう少し様子を見たいという気持も現にあるようでございます。  それからまた制度といたしまして、やはりこの六カ月以下の、売春防止法五条違反の罪についての補導収容施設でございますので、その辺の法律上のバランスの点もありますし、保安処分というような法律制度ができて参りますれば、またこれを転用することによりまして一年に延ばすということも考えられるわけでございますが、いろいろこの法律制度としての難点も一つございます。  それからもう一つ、運用面で、今までは裁判所が補導処分の判決を言い渡しておりますのは、ほとんど常習売春者でございます。これは非常に知能程度も低いし、精神状態もときには精薄の者も多いのであります。こういう常習者だけを補導処分にするという運用になりますと、いかにも物足りないわけでございますが、本来、この補導院法の期待しておりますのは、そんな常習者だけをいうのじゃなくて、むしろあやまって売春をやりました者を深く染まらないうちに更生させていこうというねらいも含まれておると思うのであります。そういたしますと、常習者でない者をもむしろ入れるということも考えておったと思います。そういう者が入ってくるようになりますと、六カ月必ずしも短か過ぎるというわけではないと思います。その辺の実際の運用が、法律の期待しておるような運用にまだなっていない面もあるのでございまして、そういう点をいろいろ考えますと、私ども抽象的にはもうまさに赤松先生のおっしゃる通りだと思いますが、もう少しこれは研究を要する問題じゃないかというふうに私自身は考えております。
  70. 赤松常子

    ○赤松常子君 ほんとうに行って見ますと、まだまだ今、あなたのおっしゃるように試験期という感じもいたします。いろいろなケースの方が入っていまして、実際、教官の立場の方はお困まりでいらっしゃるのです。今申しますように、やはり分類がまず必要だと思うのです。  それから、何といいましても、技術の収得の設備、これも非常に不備でございます。一人前の技術者になるというその設備が十分でございません。で、まあ、お願いいたしたいことは、せっかくできているのでございますから、どうぞこれに対して将来性のある建設的な改革に将来努力していただきたいと思いますので、その点、私どもも見守っていきたいと思いますが、最初、補導院法ができるときに、なぜ六カ月かということについて御質疑をしたときに、やはり予算の点もちょっとおっしゃったように思うのです。予算が十分でないからというような御意見もあったのじゃないかと思いまして、非常に私も遺憾に思ったわけでございますが、どうぞこの面につきましても十分お考えいただきたいとお願いいたしておきます。
  71. 大川光三

    理事大川光三君) なお、先ほど市川君から御請求のありました資料については、適当な時期に御提出をお願いいたします。  高田委員に申し上げますが、先ほどの御質疑に関連いたしまして、厚生省から太宰社会局長が出席されておりますので、この機会に質問を願ったらと思います。
  72. 高田なほ子

    高田なほ子君 きょうは法務省のほかに労働省、厚生省からも大勢足を運んで下すって、大へんありがとうございます。特に厚生省からは厚生大臣の御出席を皆さん——赤松先生、市川先生へん御要望申し上げておったのですが、御都合でお見えになれず、また法務大臣も御出席にならず、私大へん理事といたしまして残念至極に思いますが、しかし、まあせっかくお見えいただいたことでありますから、簡明率直に私も質問をいたします。お昼の時間ももう回っておりますから、あまり人権じゅうりんのような運営も思わしくございませんが、せっかくお見えいただきましたので、お互い簡明率直にこれからわずかの時間ですけれども、時間を使わしていただきたい。  社会福祉法人全国社会福祉協議会、会長は元の文部大臣、灘尾弘吉さんであります。ここから売春防止法の改正要綱について、厚生大臣、労働大臣、警察庁長官、検察庁長官、こういうふうに要望書が出ております。この改正に対する要望というものは、ここに御列席になられました各責任者は、要望書の内容等については、すでにごらんになっておりますか、どうですか、この点、まず、どちらからでもけっこうですが、お答えいただきたいと思います。
  73. 太宰博邦

    説明員(太宰博邦君) 私拝見いたしております。
  74. 高田なほ子

    高田なほ子君 太宰さんだけ御存じでございますか。労働省の方はまだ……。検察庁の方は皆さんお帰りになりましたか。
  75. 綱井輝夫

    説明員綱井輝夫君) 警察庁の防犯課長ですが、その会議に出ておりましたので、大体承知いたしております。
  76. 高橋展子

    説明員(高橋展子君) 私はその全社協の方の保護委員会の方の席を汚しておりまして、その席で一緒に仕事をいたしておりますので存じておりまして……。ただ、その案はいただいておりますが、要望書という形でいただいていたかどうか、ちょっとわからないと思います。
  77. 高田なほ子

    高田なほ子君 これはいずれにいたしましても、それぞれの第一線に活躍されている方々がお集まりになって、かなりりっぱな改正案の要綱ができているようでございます。この改正案の要綱の中には、先ほど赤松委員、市川委員から御質問にありました、いわゆるヒモに対する処罰規定などが入っておりますが、法務当局として、この売春防止法改正について、新聞等で拝見いたしますと、それぞれの検討を進めつつある、こういうような報道を最近私見ておりますけれども売春防止法改正についての作業というものは、どの程度、どういう内容で進められつつあるものか、この点です。
  78. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 私どもが問題点として取り上げておりますのは、ヒモの問題、それから管理売春の新しい形の売春ですね、たとえばコール・ガール・システムのようなものは、なかなかぴっしゃりと法律に当てはまらない面があるわけでございます。こういう問題、管理売春を取り締まる規定の改正。それから第三には、先ほど御指摘のありました補導院の期間の問題。こういうものが私どもの問題点として考えている点でございます。で、補導処分につきましては、先ほどお答え申し上げたような事情。それからヒモにつきましても、お答え申し上げたような事情でございます。それから管理売春の問題につきましては、コール・ガール・システムというものにつきましてもう少し日本の実情を調べたいという、私帰ってからの気持でございますが、そういう気持を持っております。そういう意味で調査検討したいということでございます。
  79. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは法務省のただいまの方針なり作業状態が述べられておるわけでありますが、単純売春についての処罰等については何ら意見は出ておりませんでしょうか。この協議会の改正案を見ますと、現行法では売春の相手方となった男子は処罰されない、これじゃいけないから、相手方となった男子をも含めて単純売春を処罰すべきであるという意見が刑事処分関係の中の冒頭に要望として出ております。この点については、法務当局としては何か検討される用意はないものでしょうか。
  80. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 単純売春を罰すべきであるという御意見が売春対策審議会等でも出ておりますこと、それから売春防止法が国会で審議される過程におきましてもその問題が出ましたことは、私もよく承知いたしております。いずれ御報告を申し上げる機会があると思いますが、今回の廃娼会議におきましても、単純売春の点をどうするかということは議論になりました。ところが、この問題につきましては、レゾリューションとして採択されましたものによりますと、単純売春は罰すべきでないというのが各国の強い意見でございました。なぜそうであるかということにつきまして、またもう少し書類を検討いたしましてお答え申し上げたいと思いますが、各国の、市川先生のような御熱心なアボリショニストは、たくさんその会議においでになっておりまして、非常に熱心に廃娼の問題を議論されましたが、単純売春を罰するということにつきましては、きわめて強い消極意見でございます。決議にもその点が採用されて、各国に勧告されておるわけでございます。この単純売春につきましては、売春防止法ができました当時の国会の御論議等の中でも明らかにされておりますように、いろいろな警察並びに検察も含めまして、取り締まり当局の行き過ぎから個人の人権侵害にわたるおそれですね、そういうおそれも出てくるのでということが国会で議論になったわけでございます。それのほかに、もう少し本質的なものとして単純売春を罰すべきでないという御意見もあったやに私承知するわけですが、何さま私どもの外国語の知識がすこぶる乏しいのでございまして、徹底して議論を理解するわけにいきませんでしたけれども、そういう人権じゅうりんのおそれがあるということのほかに、何か別の理由もありまして、単純売春は罰すべきでないという結論になったようでございます。これは日本の売春防止法の立場におきましてもそのようなことととっておりますが、なお日本の売春防止法は、売春は罪悪であるという宣言がありますが、この宣言規定がかなり問題になりました。非常に進歩的な立法であるというふうなことが各国で言われたわけでございまして、まず売春を犯罪視する——犯罪視するというか、売春を社会的な罪悪であるというまず刻印を押しておるところに日本の売春防止法は非常に特徴があるというふうにいわれておるわけでございまして、この点につきましては、私は従来消極の立場をとっておりますが、各国もまた同じような態度でありまして、もう少し先生方にも御検討を願いたいと思います。
  81. 高田なほ子

    高田なほ子君 コール・ガール等の組織的な方法で多数の婦女を管理するような管理売春の問題をただいまの御説明では改正の一つの眼目としてお考えになっていらっしゃる、こういうわけですが、現行法十二条の中で、「人に売春をさせることを業とした者は、十年以下の懲役及び三十万円の罰金」にしたいという、いわゆる罰則規定を強めたいという意見がかなりあるようです。また、そういう組織的な管理売春に対しては、その罰則規定を強く適用したいという声が、その要望書の中にはあるようですが、この点については、当局としてはどういうお考えをお持ちになっておられましょうか。
  82. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 管理売春の事件も絶無ではございませんので、私ども若干のケースを扱っておりますが、これの検察並びに裁判所の態度というものは、きわめて峻烈でございまして、非常に重い刑をもって厳に処断をいたしております。この考え方は、おそらく売春防止法の精神に最も適合した運用をしていると思います。  さらに、これを刑を重くするかどうかという点につきましては問題でございますけれども、ただ、従来の赤線とか青線とかをつぶすために必要な罰則という形で売春防止法はできております。従来の赤線、青線はもう消えてしまったわけでございますが、新しい形の赤線とまで言えるか知りませんが、青線らしいものが出てくる。これをどういうふうにやるかということになりますと、今の売春防止法を形式的に解釈をいたしますと、若干適用できない面が出てくるんじゃないかというのが私の心配でございます。
  83. 高田なほ子

    高田なほ子君 いわゆるヒモに対する処罰規定等については、かなり御熱心に検討されて、ただいまの御答弁の中にも、ずいぶん早く国会に出したいような御意向ですが、それは単独法としてお出しに——そのヒモの問題だけ抜き出してやるおつもりですか。それとも、今言うような現行法十二条にからんでこの改正案をお出しになるつもりでしょうか、どういうおつもりでしょうか。
  84. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) まだその形式等も実は内部で議論いたしておりませんが、もちろん売春防止法の一部改正という形だろうと考えております。
  85. 高田なほ子

    高田なほ子君 まあ補導処分等について、先ほど赤松先生から御質問があったわけですが、厚生省の関係として、あれでございますか、この補導処分の関係において、何かただいまのやり方ではいいか悪いか、どうするかというような御意見でもあれば、この際、一つせっかくお見えになっていらっしゃるわけですから、これを承りたいことが一つ。  もう一つは、婦人相談所、これは昨年から比べると昨年の予算は削られ、婦人相談員の員数もこれは削られております。ことしもまた削られるんじゃないかと私ども心配しておりますが、この改正案の要綱の中には、「検察庁及び裁判所は、起訴若しくは起訴猶予された要保護女子について適当と認めるときは、都道府県知事または婦人相談所長に送致すること。」、こういうような案が出ているわけです。こういう案が出ているけれども、実際は婦人相談所が減らされたり、また婦人相談員が減らされたりしては、これはもう問題にならないわけです。そこで、労働省の婦人相談関係の方は、こういう案について、現在の予算あるいは現在の政府のやり方で、こういう改正案が実際にやれるかどうかということは、私大へん疑問だと思うのです。ですから、この点について一つお尋ねをしたいのです。  それから労働省に続いてもう一つお尋ねをしたいことは、婦人相談員は常勤または非常勤としてもらいたい、こういうような要望が出ているわけです。これは、多分下の婦人相談員の方々の活動状態から考えてこういう案が出たのではないかと思いますけれども、婦人相談員の業務が大へん地方差が多い。売春環境によって、非常に地方差が多い。ですから、非常勤職員の行なう業務としては適切でないから、常勤制と非常勤、両方取り入れて、できるならば常勤制にすべきである、こういう適切な意見が出ている。ですから、こういう意見に対して労働省の当局としては、実際におやりいただけることができるかどうか。もしいただけるとするならば、今どういうふうにしたらいいか、こういうような意見を伺わしていただきたい。まずこれを一つお答えいただきたい。
  86. 太宰博邦

    説明員(太宰博邦君) 第一番の補導処分に対して何か厚生省の力で意見がないかというお尋ねでございますが、私どもの耳にいたしますのは、先ほど御指摘もありましたように、六カ月という期間がはたしてこれでいいだろうかということを私ども伺うことがございますが、先ほど法務省の方の御答弁でも、実施後間もなくでもあるから、十分慎重に検討してというお話、私はそれでけっこうであろうと思います。こういうことでございまするから、そうすぐに右から左と改正するということもいかがかと思うので、十分その点御検討いただければ、私の力としては格別それ以外に申し上げることはございません。  それから第二番目の婦人相談所の関係でございますが、これは私の方の所管でございまして、大体現在各府県に置いておるわけでございますが、予算として減った、あるいは員数が減ったというような御指摘でございますが、私どもの方の必要な経費は予算には盛っておるわけでございます。ただ、遺憾なことには、相談員の数が、私ども予算で取りました員数だけ実は消化ができておりませんために、これは予算の面からいたしますれば、その面が員数がふえるまでの間、暫定的に減らされる、こういうことはございます。これは、私の方として非常に遺憾に思っておりまして、できるだけ当該府県当局を指導いたしまして、少なくとも国が最低限に見た、それだけは必ず消化してもらいたい。あわよくばそれ以上に消化をしてもらう、こういうふうに目下指導しておるところでございます。  それから婦人相談員を常勤にしろというお話がちょっとございましたけれども、現在は、法律で非常勤の職員になっておるわけでありますが、これは特別職の非常勤でございます。これを常勤にいたすということにつきましては、一般の公務員ということにもなるわけでございまして、その点にからんで、また私どもといたしましては、この制度を伸ばすために、はたしてそれが役に立つものか、あるいは場合によっては、かえって今適切な相談員として御活躍いただいておる方の御迷惑になるようなことがあったのでは、これは逆効果でございますので、その点を検討せねばならぬのでございます。むしろ、今日の段階におきましては、今の非常勤の制度のままでその処遇をもう少し働きいいようにしてあげる方面について力をさらに尽くしてみたい、ただいまのところではそういうふうに考えておるわけであります。なお、これを常勤にするかどうかにつきましては、なお引き続いて検討していきたいと思います。
  87. 高田なほ子

    高田なほ子君 予算が使い切れないというような今の質問についての御答弁でありますが、それは、いろいろ地方公共団体の財政上の理由に基づく点が多いというようなことも考えられるのではないか。そこで、今度の改正案では、地方公共団体の売春防止に関する義務規定、つまり、売春防止については、国及び地方公共団体にその活動を義務づけるようにせよ、地方公共団体に義務づけるように、こういうような改正案が出ておるわけですが、予算の消化し切れない中には、今言うような地方公共団体の財政計画に関係あるものだと思いますが、どうですか。この点は、地方公共団体のこの活動について義務づけるような法の改正をしたならば、もう少し実績が上がるじゃないかというように思いますが、厚生省当局はどういうふうにお考えですか。
  88. 太宰博邦

    説明員(太宰博邦君) まあ国があえてどうこう処置いたしませんでも、地方公共団体は、当然自分の県に住所を有しますいわゆる県民の方々の福祉をはかるということは当然のことでございまして、私どもといたしましては、むしろその実態の点について指導の強化、あるいはまた、こういう問題は、申し上げるまでもなく非常にむずかしい問題でございますので、一般の方々の協力と申しますか、また道徳的な観念の向上と申しますか、そういうもののやっぱり総合した結果でございませんと、なかなかこの成果というものが上がるわけでございません。そういう点からいたしまして、ただいまのところ、お話のような法律の点で義務づけるということには、すぐにはまだ踏み切れない。もう少しこれは私ども地方に対する指導なりあるいはまた一般の方々に対する啓発と申しますか、そういうPRの面なりに努力すべき余地はあると思います。また地方も当然そういう面について私どもから指摘いたしますれば、その面について努力してくれるものと、こういう期待を持っておる次第であります。
  89. 高田なほ子

    高田なほ子君 いろいろ議論のあるところでしょうけれども、労働省の婦人少年局の力からお見えになっておられるわけですが、婦人少年局の方としては、婦人相談員の常勤または非常勤の問題については、実際におやりになっていらっしゃる方々の体験から、厚生省と同じ御意見であるかどうか、私大へん疑問に思いますけれども、高橋さんですか、婦人課長さんもその席に出ていらっしゃったようですから、労働省の方の意見を、この際、少し聞かしていただきたい。
  90. 高橋展子

    説明員(高橋展子君) 御存じのように婦人少年局では、出先の婦人少年室に婦人問題相談員を置きまして、これが売春問題の個別の相談にあたっておるわけでございますが、その相談業務を遂行するにあたりまして、当然に法によって置かれております都道府県の婦人相談員に御協力申し上げ、また婦人相談所あるいは補導員と連綿を密にとって仕事を進めさせていただいておるわけでございます。で、その私どもの出先といたしましての婦人少年室あるいはその婦人問題相談員が、売春の保護厚生に関する仕事を遂行していく。その立場からしかお答えできないわけでございますが、そういう点から私どもの把握いたしております範囲では、婦人相談員あるいは補導員に関しましては、先般来御指摘のような問題があるように伺っております。しかし、そのことについてどのようにそれを変えることが望ましいかということにつきましては、私どもなかなかむずかしい問題があるということがよくわかりますだけに、どのような改正案がよろしいかということにつきましては、先ほど来の両省の局長さんの方々のお考えのようなことが適切であるかと考えるわけでございます。
  91. 高田なほ子

    高田なほ子君 ここに働いていらっしゃる相談員の方は、前年度はその前の年よりも員数が減らされたのじゃないですか、この点いかがですか。
  92. 翁久次郎

    説明員(翁久次郎君) 現在、都道府県におります数が四百五十名、前年度より減らされたと申しますのは、先ほど局長から申し上げましたように、十二、五名程度を都道府県段階で消化しておりませんので、その実績に基づいて大蔵省が査定した数字が減らされた数字ということになるわけであります。現在要求しておりますのは、そういうことのないように、従来厚生省で確保しておりました数字をぜひとも実現するように要求中でございます。
  93. 高田なほ子

    高田なほ子君 私、はなはだ認識不足なんですが、婦人少年室の相談員と、厚生省関係の婦人相談員というのは、どういうところが違うのですか。これはさっぱりわけがわからないのですが、ここのところをもう少しはっきりしてくれませんか。どうもそこが私はこんがらがっちゃって、どういうふうに任務が違うのですか、そこは。
  94. 太宰博邦

    説明員(太宰博邦君) 私の方のは、御承知の売春防止法にございます転落した婦人あるいは転落のおそれある婦人の保護厚生のための職責を持った非常勤の職員であります。
  95. 高田なほ子

    高田なほ子君 すると、こちらの方はどうなんでか。
  96. 高橋展子

    説明員(高橋展子君) 婦人少年室におりますところの婦人問題相談員は、この売春防止法成立に先だちまして昭和三十年から設置せられておるわけでございますが、これはその法の成立に先だちまして、売春問題のかけ込み訴えというものが非常に増加したその数年間の私どもの室の実情にかんがみまして、特に労働省の訓令をもちまして設置したものでございます。従いまして売春防止法に基づくものではないわけでございます。その業務といたしましては、婦人問題の一環といたしまして売春問題の個別の相談に応じるということでございます。
  97. 高田なほ子

    高田なほ子君 まあ内容は、大体法に基づく基づかないにかかわらず、ほぼ同じようなことをおやりになっていらっしゃるように思うのです。何かもう少し統一強化するような方法はないものだろうか、それについては、やはりこの改正要綱の中に、実際運用上補導処分と保護観察との関係が不分明なので、両者を明確に区分するためにも一つ改正点を熟慮してもらいたいというようなことがあるのですが、できれば、ざる法案ざる法案といわれておるやさきに、同じ仕事の内容であるものを、人数を切区つたりいろいろしないで、何か統一して、もう少し強力に手を打てるような方法を考えられないものでしょうかね、どんなものでしょうかね。一緒にしちゃうとやはり工合いが悪いですか。
  98. 太宰博邦

    説明員(太宰博邦君) 私からお答えするのはいかがかと思いますけれども、今労働省の高橋さんがお答えになったように、労働省の方は婦人少年室に前から所属しておりました。まあそれの職責は、何も売春だけでなしに、相当幅広く御活動になっておるように前から承っておるわけであります。で、売春防止法というものができます前においては、やはりその売春の禁止あるいは保護の相談とかいうものを手がけていただいておったわけでございますが、こういうふうに、片方で売春防止法というものができて、法律に基づくそれぞれの相談所なり、相談員というものが出て参りますれば、お尋ねのようにその面に関する限りはダブった面もあるいは出てきて、どうもその辺すっきりしないんじゃないかという御質問も私はごもっともだと思いますけれども、まあしかし、こういう面に関しましては、いま少し理論的にはっきりしちゃって、まあ婦人少年室の方は、たとえばこういうものができた以上は、まあ売春関係一つそちらは扱わぬで、こちらへ回してくれということに理論的に割り切りましても、さて実際の活動となりますれば、やはり今の段階では、少しでも多くの方々がこの面に協力していただくということの方がいいのじゃなかろうか。ことにせっかく相談に行った方が、その場所が違っておったからといって、また回されるなんということになりますと、その回されておる過程においてまた変なことになって、せっかく相談に行ったのが途中からくずれてしまうというようなことになったんでは、やはりいけないと思います。まあ確かに御指摘を受ければ、その面はすっきりしない面もあるかと存じますけれども、ただいまの段階でいきますれば、やはり婦人少年局の系統においても、そういう人たちが参りましたときには、やはり婦人の一般問題の一つとしてまたよく聞いていただいて、それは、場合によればそれぞれ関係の省の方へお回しいただいてけっこうだと思いまするけれども、窓口を何も閉ざす必要はないんじゃないか、個人的な見解で大へん恐縮でございますが、ただいまの段階では、そういうような気がいたしますので、その辺をすっきりさせるかどうかということは、もう少し待っていただいてもいいんじゃないかと思います。
  99. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただ婦人少年局というのは、実際非常に親切なんですよ。そう言っちゃ失礼ですけれども、厚生省よりはずっと親切なんです。これは女で肩を持つわけじゃないんですけれども、厚生省はうんと仕事が多いんでしょう、それだものだから婦人少年局に比べると、やっぱり手抜かりの点があるんじゃないかと思う。ただその少年局の婦人室の方なんかは、かけ込み訴えが多い。それからヒロポンでどうする、何じゃとかいうかけ込みが多いために、実際に先々に行って調査をして、その調査の旅費なんかについては、ずいぶん私はお困りになっているように聞いている。だからその機能が十分発揮できないということでなくて、何か一本にして、もっと婦人少年局というのは大きくしてもいい問題ですね、これは総理大臣がいないから、ここでこう言ってもしょうがないですがね、婦人少年局はもっと機構を拡大して、できれば婦人の問題については、婦人少年局一本にしぼっていくくらいの英断というものがほしいし、もう少し高橋婦人課長も遠慮なさらないで、一本にしぼっていくというくらいの御意見を実は聞きたかったのです。それで、きょうおいでいただいたのですけれども、どうですか、今のこの出先の婦人少年室の相談員の方は員数が少なく、旅費が少ないということをしょっちゅう私伺っておりますけれども、そういうような実態というものはほんとうにそうなんですか。
  100. 高橋展子

    説明員(高橋展子君) 私どもの婦人少年室におります婦人問題相談員の仕事をいたします経路といたしましては、室にその相談員が駐在いたしておりますが、個別の調査であるとか、あるいは計数的なケアであるとかいうものにつきましては、婦人少年室のさらに協助的の機関でございます協助員という制度がございまして、この方々を通じまして、売春問題につきましてもその個別の相談指導を行なうこともあるわけでございます。で、この相談員及び協助員を通じまして、その経費、予算という面の不足ということは、これは常々いわれているところで、先生方もよく御存じのことと存じますが、その限られた予算の中で努力をいたしております。  それから先ほど来お話が出ておりますが、関係の諸機関との連絡ということを通しまして、私ども限られた予算と人員の中で懸命に努力をしている、そういう実情でございますが、おっしゃいましたように、私ども室の機能が強化されて参りますことを願っているところでございます。
  101. 大川光三

    理事大川光三君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  102. 大川光三

    理事大川光三君) 速記を始めて。
  103. 赤松常子

    ○赤松常子君 ちょっと一点だけ。営繕についてでございます。この間、私、徳島の刑務所を見に参りましてもうとてもとてもおんぼろでございまして、突っかい棒がしてあるのですよ。あそこは台風が多いところでございますのに、ほんとうにはらはらいたしました。特に町のまん中にございまして、市でも移転してほしいと、これは御承知だと思うのです。ところがその予算が、市で一時立てかえてほしいと、こういう法務省からの御要望でございますけれども、御承知のように、徳島市は非常に貧乏市でございます。県も貧乏でございまして、移転の立てかえ費がまかなわれない、それで非常に困っていらっしゃいまして、また一年延ばすというようなことになったということでございますけれど、これは法務省でどんどんなさったらいかがなんでしょうか、非常に困っていらっしゃるのでございますが……。予算の面で少しちゅうちょしていらっしゃる、この実情について御承知でございましょうか。
  104. 近藤忠雄

    説明員近藤忠雄君) 私の方の施設は、御承知のように全国で三千三百三十数カ所ございます。非常に広範に各地にあり、非常に数字的に膨大に各所に施設がございます関係に相なっております。さような関係におきまして、毎年私どもの方の予算の中におきましても、営繕関係予算につきましては、特に重点事項一つといたしまして強く要求いたしておるわけであります。幸いにしてこの数年来少しずつ増額になっておりますけれども、その額が希望から見まするというと非常に少ない、約十四億余りの数字しかまだ入っておらないのでございます。さような関係で、各地において御指摘のように非常に不工合の問題が起こっておるわけでございます。  御参考に申し上げまして恐縮でございますが、全国の施設が私どもの方の全体といたしましては、坪数で申しますというと、七十八万四千八百二十八坪あるのです。そのうち木造の建物が五十四万五千四百九十四坪、耐火的な建物がわずか二十三万九千三百三十四坪、こういう数字になっております。パーセンテージで申し上げますというと、木造のものが全体の建物の中の六九五%という数字になっております。しかもその建物は御指摘のように非常に古い建物が多いのでございます。その数字を申し上げて恐縮でございますが、概括的に申し上げますというと、四十一年以上の老朽的な建物、それから戦時中及び戦後の非常に粗製乱造いたしました建物、こういうものを合計いたしました数字がさきに申し上げました木造の建物のうち約五七%を占めておる。全般的に非常に膨大な数でございます。そこで私どもの方といたしましては、長期営繕計画というものを打ち立てまして、毎年それを逐次更新していくように大蔵省に強く要求いたしておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、それに対しまして少しずつは見てはくれておりますけれども、全般的に申しまして九牛の一毛というふうな数字に相なっておるわけでございます。そういう御承知のような関係にありますので、一生懸命努力をいたしておるわけでございます。先ほどの御指摘のような徳島の施設につきましても同様ないろいろな問題があるわけでございます。これについても一応検討いたしておるわけでございますが、具体的に私どもの方で検討いたしたいと思っております。
  105. 赤松常子

    ○赤松常子君 もう一点。これも今御報告の最後のページの中の営繕費の中に、浦和の刑務所が出ております。「浦和刑務所外五庁について」という文字がございますが、この中に徳島は入っておるのでしょうか、おらないのでしょうか。
  106. 近藤忠雄

    説明員近藤忠雄君) これは浦和の刑務所のほかに入っております。
  107. 赤松常子

    ○赤松常子君 入っておりますか、徳島が。じゃどうぞ推進していただきたいと思います。以上です。
  108. 大川光三

    理事大川光三君) ほかに御質疑もなければ、本件に関する本日の質疑はこの程度にとどめたいと存じます。   —————————————
  109. 大川光三

    理事大川光三君) 次に昭和三十六年度裁判関係予算に関する件並びに昭和三十六年度法務省関係予算に関する件の調査は、次回にこれを行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 大川光三

    理事大川光三君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  以上をもって本日の審議は終了いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時三十九分散会