運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-08-10 第35回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年八月十日(水曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤野 繁雄君    理事            秋山俊一郎君            櫻井 志郎君            大河原一次君            東   隆君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            田中 啓一君            田中 茂穂君            堀本 宜実君            高橋  衛君           小笠原二三男君            亀田 得治君            北村  暢君            戸叶  武君            中田 吉雄君            藤田  進君            千田  正君            北條 雋八君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    経済企画庁調整    局長      中野 正一君    農林政務次官  宇田 國榮君    農林政務次官  田口長治郎君    農林大臣官房総    務課長     東辻 正夫君    農林省農林経済    局参事官    松岡  亮君    農林省農林経済    局金融課長   太田 康二君    農林省農地局長 伊東 正義君    農林省農地局管    理部長     丹羽雅次郎君    水産庁次長   高橋 泰彦君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事の辞任及び補欠互選の件 ○農林水産政策に関する調査  (開拓に関する件)  (農林畜水産関係物資国鉄貨物運  賃に関する件)  (チリ地震津波による災害に関する  件)  (大豆に関する件)   —————————————
  2. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  この際、お諮りいたします。  理事田中啓一君から理事を辞任いたしたい旨の申し出がございますが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  次いで、理事補欠互選を行ないたいと存じます。互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜委員長から指名することにいたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。よって委員長は、理事櫻井志郎君を指名いたします。   —————————————
  5. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 開拓に関する件を議題といたします。  本件について御質疑の御要求があります。千田委員
  6. 千田正

    千田正君 前国会はわれわれが会期延長を認めないという立場をとっておった関係上、委員としましては当然われわれ出席しなかったのでありますが、その間に開拓三法が一応当委員会を通過して本会議も通過したという、いわゆる単独審議のもとに通過したのであります。そこで、この開拓三法を通すに際しまして従来もわれわれはその前に一応の審議には参加しておりましたから、大体の考えはよくわかっておりますけれども、これに対して政府の所信をただしたいのは、これに盛ったところの予算のべースはわずかに一億円、この程度で、今まで幾多の問題をはらんだところの開拓営農に対しましての十分なる効果を発生し得るかどうか、はなはだ疑問なのであります。それで、衆参両方とも自民党で通されたようでありますが、これに対しては何らの附帯決議も、何らの附帯条件も付しておらなかったかどうか、その点を審議経過にかんがみまして一応の御説明をいただきたいと思うのであります。
  7. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 参議院の農林水産委員会では、    開拓関係法律案に対する附帯決議  政府は、開拓営農振興審議会に諮り、速かに開拓基本方策の確立を議録第一号図ることとし、さしあたっては開拓営農振興対策刷新強化に努め、特に開拓者の負債の実情を明確にしてこれが整理に関する抜本的な措置を考究すべきである。  右決議する。   昭和三十五年七月十二日  以上のよう附帯決議をしております。
  8. 千田正

    千田正君 今、自民党の皆さんでいろいろ御質疑をなさって結論としてはただいまのよう附帯決議がついたようでありますが、そこで、ちょうど次官並びに政府当局が見えておりますのでお伺いしたいんですが、これは一体暫定的なおそらく処置だろうと思うのであって、暫定的にいたしましても、わずか一億程度のことで、今までの不均衡の是正をどれだけの段階に進めるかということは非常に疑問なのであります。そこで、ただいま委員長が読み上げられた——われわれがおらなかったにしましても、与党の各委員さえもそういう附帯決議を出されたように、これを抜本的に整理して、今後の開拓営農に万全を期さなければならない。しからば、どういう施策がこの久に行なわれるかということは、新内欄において担当して考えなくちゃならばい。それでその点を伺いたいのでありますが、一億円で一体どれだけのここができるのか。それから北海道、東北等における旧入植者と新しい機械開墾によるところの新規入植者との間のこのギャップをどういうふうな面において調整されるか、こういう新政策に対してのはっきりした意見がわれわれは聞きたいと思いますので、その点を、待に次官も見えておられますからお尋ねいたしたいと思います。
  9. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 私から初めにお答え申し上げます。御指摘通り本年度予算におきまして、特別会計に一億の災害用予算を、融資予算を計上いたしました。これは御承知通り開拓者資金特別会計におきましては、在来設備資金等しか融資いたしておらなかったのでありますが、今回国会で御審議を願いました特別会計法の改正によりまして、被災者に対しまして営農資金を貸し出す道も開くということと相表裏いたしまして、予算面で一億程度経営資金融資の財源を三十五年度予算で行なったわけであります。で、これに伴いまして、特別会計から融資をいたす法律の御審議をいただいたわけでございます。御指摘通り開拓者に対します融資は非常に円滑を欠いておるわけでございまして、一億円程度災害用資金を新設したからというて抜本的な対策にはなつないという点は、われわれも重々さ出うに考えておるわけでございます。そこで、開拓者振興法審議の際に、衆議院にかかります前に御意見等がいろいろございまして、審議会を設けることにいたしたわけでございます。委員の数等も、国会修正で数をふやしまして、十四人をもって開拓制度上のいついろな問題、これには営農類型の問題のみならず、融資あり方、それから団体のあり方、それから今後の入植あり方等の問題があるのでありますが、これらの問題につきまして、抜本的に一つ議論を起こせという御意見でございました。そこで、私どもといたしましては、急速この審議会を八月からでも開きたいという考え方でただいま人選をいたしておるわけでございます。そこで、今御指摘のございました問題点につきましては、各方面の御意見を十分承りまして、対策を確立いたして参りたい、こういうよう考え方でございます。
  10. 千田正

    千田正君 まあ八月でなかなか暑くて集まらないだろうし、われわれ委員会としましても、一月のうちきょう一回くらいしかやれないので、この問題についてはあらためて涼しくなってから論議するのでしょうが、特に私は聞きたいのですが、累増した旧入植者借金ですね、この借金整理に対して一億程度のものではとうていどうにもならぬ、われわれはそう考える。相当累増した、政府からの融資あるいは冷害対策、あるいは災害対策等によって借り入れたところの借金、こういうものが累増しまして利息だけでも背負いきれない現状なんですから、これを一億程度の金ではどうにもならない。一応窓は開いたという程度にしかすぎないだろうが、それに対する根本的な施策考えてやらなければ、これは生きてこないと私は思う。そういう点について十分な施策をやってもらいたいという点ですね。それはまああらためて次の機会に聞きますが、そういうようなことに対して審議会の答申を待つまでもなく、農林当局としては対処する方針を何か考えておるかその点です。
  11. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 前国会におきまして、実は開拓法案といたしまして、三つの法律の御審議を願っております。そのうちの一つ開拓者資金融通法による政府貸付金償還条件緩和に関する特別措置法というのを御審議願ったわけであります。この法律考え方については、本委員会等でも予備審査等で十分御審議願ったので御承知と思うのでありますが、考え方といたしまして、非常に累増いたしております債務につきまして、開拓者の中でなかなか返せない人間、これは在来債権管理法の運用で猶余をいたしておったのでございますが、こういうことではとうてい円滑を期し得ないということで、わざわざ法律を出しまして据置期間なり、一定のものにつきましては、もう一ぺんあらためて据置期間を置き、償還期間を延ばすという措置をとりあえずとったわけでございます。で、これによりまして五年なり十年なりのもう一ぺん新しい償還のルートに乗せるという形で当面を緩和をいたしまして、それに即応いたしまして、将来のあり方は、委員会その他の結論とあわせて参りたい。当面といたしましては、三法案一つとしては、今ありますものについて、償還能力の困難な開拓者に対しましては、据置期間償還期限を新たに定めまして返済させる、そういう緩和措置をとった次第でございます。
  12. 千田正

    千田正君 あとの諸君もお尋ねの点もあると思いますから、ただ一点、この点について伺いたいのですが、今おそらく三十六年度予算準備工作中だろうと思うのでありますが、その工作中に、たとえば今申されましたところの開拓三法、次ぐところのさらに新たなる何かの施策を見合って予算工作のうちに盛り人れて何か開拓対策考えておるかどうか、この点はどうですか。
  13. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 三十六年度予算につきましては、現在農林省の各部局におきましていろいろ原案も作成中でございまして、私どものところにおきましても、開拓者関係予算要求態度を今議論中でございます。で、いろいろ根本論がございますが、何といたしましても、関係方々の御意見をできるだけ早く聞きたいという考え方で、国会休会中でございますが、特段の御了解を願いまして、この八月から審議会を発足させまして、三十六年度の、今、委員の各位の先生方との話につきましては、まことに暑い際でございますが、三十六年度予算にかかわるものにつきましては、ぜひ御意見を反映した要求を作りたい。つきましては、この八月の半ばから九月にかけまして、ひんぱんに一つ委員会を聞きまして、三十六年度予算に反映をさしていただきたいということで、今、委員予定者方々にも御相談中でございますが、一つ考え方といたしましては、三十六年度予算に、ここによります審議会の御意見を反映させて要求をさせて参りたい。この委員会に諮ります私どもの方の三十六年予算につきましては、今内部で検討中でございます。一応委員会の御意見を参酌いたしまして、三十六年度に反映さして参りたい、かよう考えておる次第でございます。
  14. 北村暢

    北村暢君 開拓の問題で千田さんの御質問に対しまして関連してお伺いいたしますが、今度の予算の中に、開拓者間引き予算が組まれておったと思いますが、これの進捗状況はどのようになっておられるか。また見通しについてお伺いしたいと思います。
  15. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 今年度予算におきまして、六百戸を一つのテスト的な考え方で間引くという、事、開拓者過剰入植地におきましては、農外に出ていただくか、新しい開拓地に入っていただくか、いずれにしろ過剰な入植地を少し整理したらどうかという試みといたしまして、三十五年度予算に、間引き予算が若干でございますがとれたわけでございます。で、これの運営につきましては、現在各事務局に大体の間引き目標ワク戸数ワクをおろしまして、県庁及び現地と折衝をやらしておるわけでございます。現在の段階におきましては、まことに申しわけないのでございますが、具体的に何戸という形に確定に至った県はまだございません。と申しますのは、いろいろとやってみますと、十五万円程度ではなかなかむずかしいのではないかという問題、あるいは旧債の問題の処理等につきましても、なかなか円滑を欠くわけでございまして、ことしの実際の経験にかんがみますと、来年度はもう少し工夫を加えませんとあの構想は十分に生きて参らないのではないかという現状にあるわけでございますが、ともかくも可能なものを何戸でもやってみるという態勢で現在督励中の段階でございます。
  16. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、間引きのネックは、やはり転業もしくは他の開拓地、まあ海外、いろいろ種類はあるようでございますが、それの援護措置が僅少なために成果が上がらない、こういうことのようにも考えますが、そうしますと、本年度計画計画としてやはり一戸十五万、海外の場合二十五万、その程度援護をする、それをまあ増額するというようなことは考えられないのか、予定よりも数が少なくなれは、その基準より上げて間引きする、こういうことはできないのか。そうしますと、それで私は年度内に与えられた計画予算というものを五百戸にして一戸当たりの単価をふやす、こういうような臨機の措置がとれないのかどうなのか、その点はどういうふうにお考えになっておるか、ちょっとお伺いしたい。
  17. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 御指摘通り、六百戸十五万円の予算でございますから、三百戸に減らせば三十万になるという問題があるわけでございます。話し合いによれば、そういう措置をやってやれぬことはないわけでございます。たた私ども考え方といたしましては、実はことしの予算戸数を操作することによって、間引きに対します転出手当金の額をそういう便宜論から実はぎめたくない。大事に考えまして、明年度あるべき額を本格的に大蔵省なり関係方面の御意見も聞きつつきめたい。便宜ことし余っているから三十万円にするとかいうこともやってやれぬことはないわけでございますが、事柄がやはり非常な重要な問題でもございまするし、考えようによりますと、基本問題調査会等意見等ともからんでおる重要な問題でございますので、ことしはそういう便宜論によらないで、三十六年度予算におきましてどの程度ワクを出すことが全体の立場から妥当であるかという、本格的に取り組ましていただきたい、ついては、ことしは便宜的な額をきめることは避けたい、かような今考えで進めておるわけでございます。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の質疑過程から二つをお伺いしたいのです。一つは、開拓三法が通った、審議会で今後抜本的な対策を講ずる、その点はよくわかるけれども、非常に民主的なような言い回しで、審議会の御意見を御意見をと言いつつ、農林当局自身施策はどこにあるのか、あれだけ開拓三法で論議した過程から、来年度予算要求は今各省で練っておる。練っておるのに、その方はその方として、審議会を九月ごろから始めてそれで十分御意見を尊重してというようなそんな態度が私おかしいと思う。わかりきっておることがある。根本的にこうした方がいいというふうに、基本問題として幾つかはただやるかやらぬかという問題にかかっておる問題なわけだ。で、農林当局としては、どだい審議会に提案するなら提案する原案というものがもうできているのですか。夏中にでも集まっていただいて一つがんばってもらおうというぐらいの意気込みである農林当局が、こういう方向でいかがであろうかという審議会に諮られる構想というものは持っておられますか。おったらそれを発表していただきたい。それがなくてこういうときだけ、審議会審議会だといっておっかぶせて、行政当局自身が何にも持っていませんというのはおかしいと思う。その点をお尋ねしたい。  それから第二点としては、六百戸の間引きの問題ですが、金の操作は便宜的なことをしたくないと今おっしゃった。これも一面賛成です。しかし、そもそも三十五年度で六百戸を間引きするなどということで腰だめで十五万円見当だと出したそれ自身便宜的でないか。それ自身が、三法の審議のときにもう問題にされておったことじゃないか。それで法が実施されて各県がその適用にちゅうちょしておるという現状はもう初めからわかっておったことじゃないですか、それは。各県当局は、どこの開拓地で何戸間引きすればあとの残った開拓者への耕地の配分その他で適正な農家経営ができるともできないとも、そんな科学的な診断をして真剣になってこの十五万円を生かして使うようにやろうと考えておる県当局がありますか。みんな困り抜いているのじゃないですか。ただ開拓関係者に、希望する者はこういうことをしてあげますよという程度の通牒なり通達ぐらいに終わっておる。出先と申しますか、各県においても、この点については持ち扱いかねておる。それが現状じゃないですか。そもそも根本的に最初が便宜的ですよ、農林省のやったことが。自分のことはたな上げにしてだね、金のことだけは便宜的にしたくないということは、私はおかしいと思うのですよ。じゃ、来年以降はどうするのですか。実際的に効果を上げ、開拓農家に適正な規模の農家経営をさせるがために、既存開拓農家のうちからどれだけ間引きし、また、そのためには資金的にどういう手当をするか。便宜的でなくて本格的にどうしようというのですか。その二点をお伺いいたします。
  19. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 御指摘通り農林省自身考えがあるべきである、またあってしかるべきであるという御指摘は、まことにさよう通りと存ずるわけでございます。ただ問題が非常にむずかしい問題でございますし、いろいろと真剣に考え本件を、前国会中のいろいろの御意見等も十分に考えに入れさしていただきまして、農林省としての考えをきめて参りたい。また、そのきめた考えにつきまして審議会の御意見も承りたいというつもりでおりますことは先ほど申した通りでございますが、じゃ、今の時点で農林省考えがあるだろうということでございますが、目下のところ、いろいろな問題につきまして鋭意検討中でございまして、本日それぞれの問題につきまして、こういうふうに割り切ったと、あるいはこういう考えで進みたいと申し上げる段階に至っておりません点は、御了承を得たいのでございます。いずれ審議会に並行いたしまして当農林委員会等でも適切な機会に申し上げる機会を得さしていただきたい、かように存ずるわけでございます。本日のところはまだそこまで至っておらない点をおわび申し上げます。  それから十五万円の問題も、当初からわかっておったのではないかという点でございます。御承知通り、新しい予算を試みますことは、なかなか当初はむずかしいわけでございまして、私どもといたしましても、もっとまとまった金でこれをやることが、間引き政策なりなんなりを円滑に進めるゆえんであることは、予算折衝あるいは予算妥結段階におきましてもいろいろ考えた点なのでございますが、ともかく第一歩といたしまして手をつけてみるということの意味におきまして本年度はまあスタートいたしたわけでございます。移民の方々、あるいはちょっとのところでひっかかって出れなかった方々も、今回の措置によって出て行けるよう改善面は全然ないとは考えておらないわけでございます。ただ大きく政策として取り上げるにつきましては、明年度予算との関係も十分考慮いたしまして、もう少し掘り下げて検討をさしていただきたい、こういう気持にありますことを先ほど申し上げた次第でございます。
  20. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 小笠原委員の御質問で、大体私はお尋ねしようと思っておったことのお答えを得たのでありますが、間引き政策は、正直言って農林省が過去に行なった農林行政、いわゆる過剰入植に対する一つ反省としての現われで、私は農林省が率直にそういう態度に出てきたことは、非常におそくはあるけれども行政としては正直なやり方だというふうにとっておったのであります。ただ、その十五万円というのは、私ども予算を見ておる過程において、こういう少ない予算ではやれないのじゃないかということを再三忠告したのでありますが、農林省はやれますと、こういう答弁であった。今、丹羽部長が正直に、確かに少なかったということを言っておられるのは、それはそれとして、来年度はこうした法則が確実に行なえるようにもっと腹をきめて一つ予算要求はやっていただきたい。それからテスト・ケースだというような弱々しい表現ではなしに、やはり少なくとも過去の行政に対する反省という立場で出てきた以上は、もっと積極的な意図で、あくまでこれはやり遂げるという強い決心で今度の予算要求予算編成に臨まれることを希望しておきます。
  21. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 他に御質疑もなければ、本件についてはこの程度にいたします。   —————————————
  22. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 次は農林畜水産関係物資国鉄貨物運賃に関する件を議題といたします。  本件に関しては、当委員会においては、かねてたびたび委員会の問題とし、決議を行ない、公共政策割引現状通り恒久的に継続実施するよう当局善処を求め、一応来たる九月末まで存続されることになっているのでありますが、間もなく九月末日となりますので、この際、委員からの御要求もあり、重ねて問題とすることにいたしました。まず森委員質問を許します。
  23. 森八三一

    ○森八三一君 質問に入ります前に、政府関係出席者はどういう方でございますか。
  24. 藤野繁雄

  25. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま議題になりました農林畜産物鉄道運賃、いわゆる公共政策割引の問題は、委員長からもお話がありましたように、この委員会では十数回にわたってこの問題を慎重に取り扱ってきました。関係物資は、きわめて零細な農漁民生産に属しているとか、それからその生産物は、また庶民、大衆の生活に直結しておるきわめて重要な地位にある物資であるということ等から考えまして行なわれておる公共政策割引については、各般から考えまして、この制度は恒久化すべきであるという再三にわたる議決もいたしました。しかも、それは全会一致決議のもとに政府善処を求めてきたのであります。ところが、政府当局におきましては、さらに詳細な検討を要するということで、本年の九月末まで従来の措置を暫定的に延期をするというような挙に出られております。私どもは非常にこれは遺憾に思っております。委員会が数回にわたって恒久化すべしという要求をしておることについて小刻みに期間を延長して、じんぜん日を今日に送っておられるという態度については、まことに残念に存じておるのであります。そこで、九月末までという期間になっておりますので、九月末までにどういうよう措置をされようとしているかについては、その後における詳細な検討がなされておらなければならないはずだと思います。まずもってその検討経過について、この際、おそらくこれは企画庁の方で取りまとめをしていらっしゃると思いますので、企画庁のその後における実情についてまずもってお伺いいたしたいと思います。
  26. 中野正一

    説明員中野正一君) 経済企画庁の方から御質問にお答えいたします。国鉄運賃暫定割引につきましては、過去において、御承知ように数回にわたりまして暫定延長をしてきまして、今お話のありましたように、最近は昨年の十二月に関係経済閣僚が集まられまして、いろいろこの問題を審議をされたわけであります。その決定に基づきまして、とりあえず本年の三月末まで延長する、その後また九月の末まで延長されまして現在に至っておるわけでございまして、経済企画庁といたしましては、昨年の八月二十五日に、御承知と思いますが、十二月の末まで期間延長いたします際に、国鉄の公共負担全般についての再検討を行なうという決定が行なわれまして、その決定に基づきまして、まあ経済企画庁が中に入って一つ調整したらどうだということになりまして、大蔵、農林、通産、運輸省等の関係局長を構成員といたしまして、関係各省の関係会議を数回にわたってやって参っておるわけでございまして、その結果、十二月には実は事務当局といたしましていろいろな案を提示いたしまして、関係閣僚の御審議をいただいたわけでございますが、とりあえず三月末まで延ばすという決定だけ行なわれまして、その後も会議をやっておるわけでございますが、今、当委員会におかれましても、この問題は民生の安定、産業の振興等に非常に及ぼす影響も大きいという見地から、数回にわたって委員会の決定、決議が行なわれておる通りでございまして、主として、まあ農林省方面等におかれましては、民生安定等に非常な影響もあるので存続すべきであるという意見が強く、また一方、運輸省方面では、国鉄経理の改善のためには、その影響も勘案しながらではあるが、漸次これを整理をする、もちろんこれを整理をするにあたりましては、営業割引なり、あるいは運賃の等級の変更等によりまして影響を緩和する、また一方、経済も最近は相当発展をいたしまして、各運賃を払う方の側の負担力というようなものもよく考えて逐次やってもらいたい、こういうよう意見がありまして、企画庁が実は正直なところを申し上げますと中に入ってやっておるわけでございますが、なかなか結論が事務的にも出にくいという問題がございまして、とりあえず今お話ように、九月の終わりまで延長されておるわけでありまして、この問題につきましては、経済企画庁が決定的にこれをどうするというわけではなくて、中に入りまして関係当局の話し合いを続けていただいて、そこに妥当なる結論を出したいというのが経済企画庁立場でございまして、そういう意味におきまして、数回にわたっていろいろやっておるわけでございます。まだ関係の閣僚会議なり適当な機構に諮ってこれを決定するというには至っておりません。これが従来の経過でございます。
  27. 森八三一

    ○森八三一君 経済企画庁が中に入って調整をしつつ適当な結論を得たいという態度であることは承知をしておりますが、その場合に、経済企画庁としてはこの委員会で十数回にわたって審議をいたしましたことは十分御承知のはずなんです。その結論として、与野党一致、全会一致決議が行なわれて、恒久化すべきであるということも再三にわたって申し入れをしており、その申し入れを中に入って調整をされようとしておる企画庁としては、どういうように受け取って話をまとめていくという作業を進めていらっしゃるのか。企画庁が調整をするという限りは、企画庁としては何かの方向というものをつかみつつ話をまとめていくということでなければならぬと思うのです。全然何もなしに、ぼんやりと話し合うというだけではこれは問題にならぬので、企画庁企画庁として、国全体の経済の推移なり、及ぼす影響なりというものを深く認識して、その上に立ってかくあるべきであるという方針だけはお持ちになって話をまとめていかなければまとまるものじゃないと思う。そこで、企画庁としては、庁の意見というもの、態度というものがなければならぬと思うのですが、それは一体どうなんですか。
  28. 中野正一

    説明員中野正一君) 企画庁といたしましては、先ほど御説明申し上げました通り関係省の中に入りまして調整をするということが大体与えられた任務になっておりまして、この問題のように、影響は非常に大きいのでございますが、具体的な、できれば関係各省の話し合い、それによる政府の方針ということに従って国鉄がどうするということで決定されるようないきさつになっておりますので、企画庁として先ばしりまして、あまり案を出しまして、どうだこうだと言いましてもかえって問題を紛糾させるのじゃないかという態度を従来もとってきたようでございます。従いまして、事務当局といたしましては、話し合いの際に両方の意見をよく聞いて、そこに一つの適当な妥当なる線を見出すということに努力しておるわけでございます。企画庁として、これをたとえばもういつまでにやめてしまえとか、あるいはこれは永久に続けるべきであるというふうなことは考えておりません。ただ、あくまで今度の割引措置というものは、従来のいきさつから見ましても暫定措置ということで行っておりますので、ういう問題につきましては、この七月一日に御承知ように五品目につきましては等級の変更に伴いまして影響がほとんどないということで、従来百十品目ありましたものを七月一日からは五品目制限いたしまして百五品目になったわけでございます。これは一つの従来からの適切なやり方であったのじゃないか。これは何も企画庁がそれでやったというわけじゃございませんが、関係者の話し合いによりまして妥当なる線に落ちついた一つの事例じゃないかと思うのでございます。そういう線で関係省が話し合いをされ、企画庁が中へ入ってそこを適当に調整をするということができればと思って関係省と話し合いをしておるわけでございます。
  29. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、公社の方ではこれは廃止したいというかねがねの意見なんですね。それから関係の現業——農林、通産等の省では非常に影響する面が多いから現行制度は存続すべきであるという建前に立っておる。この両者の意見というものは全く相対立しておるのですね。それを調整して結論を見出そうと申しましても、これは容易ならぬことだと思う。そこで、九月末というのはもうあと四十日に迫っておるのです。それまでに結論が出るという見通しが持てるのか持てぬのか。今の現時点における話し合いの経過にかんがみましてどういう見通しを持っていらっしゃるのか。もし九月末に結論が出せるというような情勢であるとすれば、その模様について当然この委員会に報告をされなければならぬと思いますが、見通しはどうなんですか。
  30. 中野正一

    説明員中野正一君) 今のところの見通しは、九月末までにこれを全面的にやめるとか、あるいは永続させるとかというよう結論は、今の話し合いの過程で、私のこれはまた見通しでございましてまことに申しわけないのですが、事務的な見通しから言いますというと、非常にむずかしいのじゃないか。ただ、できればその際に将来の方向なり問題のありかをはっきりさして方向は打ち出すということに持っていくべきじゃないか。従って、現在の見通しから言いますというと、九月末までに具体的に品目的にどうするかというような、そういうふうなことは結論は出ないのじゃないか。従って、そういうようなことから言いますと、九月末までにこれはまたしばらく延長するのか、あるいは一部のものについて何か適切な方法があって、両者の話し合いの結果適当な線が出るか、目下のところまだせっかく努力中でございまして、いろいろむずかしいということで御了承いただきたいと思います。
  31. 森八三一

    ○森八三一君 政務次官にお尋ねしますが、ただいま企画庁と私との質疑を通じて明らかになりましたように、きわめて重大な問題であり、九月末には、事務当局の見通しといたしましても、結論は出しにくいということが明確になったわけです。といたしますれば、これは関係する面が非常に多いので、そういうような情勢であるとすれば、当然これはさらに延期の措置を講ずるなり、われわれとしてはこの機会に恒久化するということを決定すべきであると主張いたしますが、このことは話し合いの過程にあるのですから、今直ちに結論が出ないものといたしますれば、さらに延期をするという措置をすみやかに講ずるべきであると思います。なお昨年のちょうど今ごろ、この問題を論議した当時における当委員会の各委員の皆様方の御意見の集約は、公社が赤字であっていいということではございませんので、その公社の経営が赤字であるという内容としては、政策的に赤字路線の建設を無理に押しつけておるというようなこと等も多分にある。そういうような面については、これは一般会計からそういう部分は補給をしてやるということが当然政府全体の中における措置としては考慮すべきごとではないか。だから昭和三十五年度予算の編成のときには、この重要な農林畜水産物に対する公共政策割引を存続するということによって鉄道公社の方のこうむっておる収入減というものは当時おおむね二十億と言われておりましたので、予算措置によってそういう問題を解決すべきだ、企画庁は少なくともそういうことに触れて問題の整理をしなければいけないということが結論的に出ておったのです。ところが、昭和三十五年度予算にはそういう点については何ら触れられておりませんから、これは非常に残念ですが、昭和三十六年度予算の編成には当然そういう感覚で政府全体が善処をさるべき私は筋合いのものであると思うのです。そういたしますれば、少なくとも九月末に結論が出ぬということがはっきりしておるならば、その予算の編成等と関連をいたしますので、来年の三月三十一日までは、これはもう必然的に延期の措置を早くとることによって、関係業界なり生産者の不安を一掃しなければいかぬと思うのです。たまたま九月末は国会の休みの時ですから、これは行政措置でできるというようなことで、政府が勝手な措置をされるというようなことでございますと、今までのこの委員会審議経過にかんがみまして、これは重大な問題になると思うのです。留守中に勝手なまねをする、こういうことではいかぬと思うのです。結論が出ぬというなら、もうこの段階においては、すみやかに三月三十一日までは延期する。その間に、今申し上げましたように、昭和三十六年度予算との関連において恒久化するための抜本的な措置を講ずるという態度農林当局は当然もうやらなければならぬ、そういう段階に来ておると思うのですが、その点はいかがですか。
  32. 宇田國榮

    説明員宇田國榮君) ただいま森委員の御質問、御要望はまことに適切なことでございまして、私も就任早々でありますけれども、強くこの点を各省と関係を緊密にいたしまして、ことに鉄道公社、企画庁等と連絡をとって参りたいと思います。  なおまた、私は衆議院で実は運輸委員を今までやっておって、この問題が出ましたときにも、何といっても農山漁村の重大な問題であるからこの問題は慎重に考えるべきであるという、私は鉄道公社にむしろ進言をいたしたわけでございます。この内閣は、重要政策一つとして農山漁村の問題を掲げております。でありますから、今もおっしゃったようなこの運賃の問題は非常に重大な問題でございますから、強く私は省にも、あるいは企画庁にも、鉄道公社にも、これを真剣に考えて、取り組みたいと思いますから、どうかよろしく一つ
  33. 森八三一

    ○森八三一君 政務次官の非常に確固たる、非常に力強い所信の表明がございましたので、この政務次官に私は万幅の信頼を寄せたいと思うのです。つきましては、今申し上げましたように、九月末ということになりますともう幾日もありません。そこで、抜き打ち的に、もし万が一にわれわれの意思に反するよう結論が出れば、関係者には非常な影響を及ぼすということでございますので、もうはっきり結論が出にくいということが事務当局でも言明されておるのですから、すみやかに年度一ぱいは延期をする、その間に予算措置によって恒久化し得るよう対策をおとりになるということをやっていただけるものと私は了解をいたしましてこの質問を打ち切りますが、そういうよう善処願えるかどうかお尋ねいたします。
  34. 宇田國榮

    説明員宇田國榮君) とにかく最善の努力を尽くして参りますから、よろしくお願いいたします。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 政務次官は最善の努力を尽くすと言いますが、そういうことはもう農林当局どなたもおっしゃるのです。何回も聞いておることなんです。それでも結局は、結果として五品目なりなんなり適正な措置ということでなしくずしにぐずされておるのです。森委員のおっしゃることは、的確には九月になって事務的に話し合いでも妥当な結論が得られないという場合にどういう方向になるかというと、何品目か話のついた分だけはずしていく。そうしてあとはまた暫定的に延ばしていくということでなしくずしに問題を処理していくという行き方はいけないということを言っておるのです。で、全体的に国鉄経営の面から見て、また民政安定なり、経済の伸展の状況から見て、結論は得られないという状況であるならば、これは延ばすべきである。そして根本的に結論を得て措置せられるよう農林当局としてはがんばってもらわなければいかぬ。ですから、どういう話し合いになっておるかしらぬが、関係当局が容認しないままに運輸当局だけがこの改正に踏み切っていくというようなそういうことのないようにがんばってもらいたい。その点について、農林当局はそういうことは絶対に欄内においても、行政府内においてもやらせませんと言えれば最善の措置ということなんです。もう一度御答弁願いたい。
  36. 宇田國榮

    説明員宇田國榮君) とにかく新米でありますから一つお手やわらかに。一生懸命やりますから、これでごかんべん願います。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから調整局長に聞きますが、一番最初のあなたの答弁では、今までやってみて、三月までやってみたところでは、事務的にも話がつきにくい。それで何か一歩か二歩後退したような形で関係当局に話をさせてあっせんをし、調整をする、企画庁には実際責任はないのだ、そうあなたは言わぬけれども、責任はないのだ。そして見通しとしてはなかなか各当局ががんばっておるから話がつきにくかろう。本直に言うてこれは話がつかぬということなんです。つかないから企画庁が中に入っておるのじゃないですか。つける役割は、あなたが、経済全般を見渡しておるあなたのところが調整役をかわさせられた最大の理由じゃないのですか。幾らかでも行き違いがあるということなら、これでいきましょうとあなたの方で話をつける責任があるのじゃないのですか。いや、そういうことは何にもないのだということなら、われわれとしてはかえってもっけの幸いなんですから。農林当局さえがんばらせておけばいいんですから。どうなんですか。
  38. 中野正一

    説明員中野正一君) まあ先生がおっしゃった通りでございまして、何とかこれは事務的にできるだけ線を一致させまして一つの方向を打ち出したい。もちろんこれは先ほど来お話のありましたように、事務的にだけいける問題ではございませんから、政治にも相当影響のある問題でございますし、もちろん関係の閣僚の懇談なり、話し合いによって最終的にきまるということになるわけであります。その間事務的にわれわれとしましては、与えられた任務に従いましてできるだけこの両方で話し合いをして、一つの妥協点といいますか、もちろん企画庁立場から見て経済全体の発展の過程においてどういう影響があるか、これはどう持っていったらいいかということは、これは話し合いの過程においては当然いろいろな線を出してやるわけでございまして、企画庁がこういったから、それじゃ各省は必ずそれに従わなければならないというような規定にもなっておりませんし、あくまでそれは調整という線で話を進めていきたい、こういうつもりでございます。
  39. 森八三一

    ○森八三一君 どうも企画庁の話はわからなかったのですが、企画庁は両者に話し合いをさせて、話のついたものだけ取り上げていくようにやっておる。企画庁としては、まとめていくについては、小笠原委員もおっしゃったように、経済全体を総合して見ていらっしゃるという立場から、何らかの方向というものは実はつかんでいらして、両方の話を漸次その方向にまとめていくという努力があってしかるべきじゃないかと思う。そうだとすれば、われわれが十数回にわたって論議した過程というものを十分お考えになれば、この制度を廃止するというふうなことは万あるべきものではないという立場に立って御質問申し上げているのです。ところが、あなたは何もありません、話し合いをさしているだけで、両者の話し合いのあったものについてどうこうおっしゃっておるから、それなれば、農林省の方でしっかり考えておればいいと思っておったのですが、今のお話によると、やはり一つの方向があると思うのですね。それであればそれを一つ言ってもらわぬと困る。最初の私に対する答えは、企画庁には何ら方向的なものはありません、話し合いをさしている取り持ち役だけやっているのだ。今のお話一つの方向があるというお話なんです。方向があればそれは企画庁当局考えている。この委員会結論と違った方向を、あればけっこうですから、それをお話し願いたい。
  40. 中野正一

    説明員中野正一君) もちろん企画庁として間に入って話すわけでございますから、その間に事務的にはいろいろな考え方なりなんなりを話をする。何もただ両方集まってもらって、二人話し合いをしなさい。それじゃ話がつかないというので、企画庁が入ったらいいじゃないかといういきさつもありましてこういうことになったのだろうと思います。ただ、その話し合いを両方でしている過程において、企画庁の方で、この線でいけというようなことは今まで言ったこともありませんし、それはあくまで話の過程においていろいろな考え方、いろいろなデータを出して、両方の歩み寄りを、あるいは一つの方向というものがそこに政府として出ていくようにリードするといいますか、中へ入るというか、その程度のことに御了承願いたいと思います。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それなら今までの質問のあれは抜きにして、あなたにお尋ねしたいのですが、これの調整役をかって出られて、あなた御自身でも検討したのでしょうが、ワクとしては、さっき森委員の言うたように、二十億程度の増収をこの部面ではかるという国鉄当局考え方、これが経営面に寄与するという考え方企画庁としては賛成しているのですか。従って、運賃率のいろいろな操作によってこれに方向づけをし、解決をしていくという立場で調整しているのですか。それとも、それは根本論議として困難である、従って、ただ単にこの運賃率の改訂のみをもってきて、全部二十億をまかなうということは、今の経済情勢からいって困難である、従って、この点は、何らかの合理化なり、あるいは国の資金なり、その部面をも導き出すという方向を加えて問題を根本的に考えべきである、そういう方向を持っているのか。話し合いの過程といいましても、ただ、技術的にこれをまとめていこうとしておられるのか。そういう大きな立場に立って、そういう間口を広げるなら広げて、企画庁はこれを調整していこうと考えておるのか。あなたの方の態度いかんによってまとまる、まとまらぬということも相当ウエートがあるわけです。九月も近いのですから、この際正面切ってあなたの方の御見解を聞いておきたい。調整をする心がまえというものについて、独自に国鉄経営それ自身についても検討せられることをあなたの方はまかせられているのかどうか。だから、この問題とからんでどういう方向で調整をしようとしておるのか。方向があるとかないとかいう方向の内容はいろいろあるでしょうが、私の言うように、二つの方向が一つあるとするなら、そういうものは柔軟自在に問題が考えられるのかどうかお尋ねしたいと思います。
  42. 中野正一

    説明員中野正一君) この問題は、あくまで関係当局の話し合いでやっていただくという、その中に企画庁が入ると、こういうことに私は今までのいきさつから見まして承知しておりますので、企画庁一つの線を出して無理押しするということじゃかえってまとまりにくいのじゃないかという見通しを持っておりますので、見通しをいろいろこういうふうにしたらいいと、あるいは農林物資の影響についてはこういうふうであると、もちろん両者からいろいろな考え方が述べられておりますが、その間の調整はやって参るつもりでありますので、御了承願いたいと思います。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、調整の土俵は、あくまでも今問題として提起されておる問題を技術的に妥当な線に落ちつけようと、その線で調整していくという範囲だけですね。
  44. 中野正一

    説明員中野正一君) その通りでございます。
  45. 森八三一

    ○森八三一君 今のお答えはおかしいのじゃないですか。大堀さんが数回来られてのお話は、国鉄運営の全体についてもあなたの方では十分審査をしたと、そこで、私も先刻例示いたしましたように、政策的に赤字路線等の新設をしいた等のために国鉄に赤字があると、そういう部分なんかを、これは当然一般会計から補給する等広く考えていけば、この重大な政策割引の問題は、存置することによって、なおかつ国鉄の運営というものは保てるのだというよう結論もこれは出るのですね。そういうことも含めて企画庁検討する、中へ入っておると、こう了解しておったのです。今の小笠原委員質問の等えは、非常に狭い範囲だけで技術的に扱うのだということになると、それならこれは話は合わぬです。合いっこない。それをまとめようとしたってこれはとうていまとまりっこないと、そういうふうな感覚で九月末までにはまとまらぬと率直におっしゃったのだと思いますが、広い範囲を取り上げておるのか、ほんとうに狭い範囲で技術的に考えておるのか、どういうふうなんですか。出ていらっしゃる方によって答弁がみな違うのです。これはもっと国家的な広い視野に立って、この問題は経済全体として論議すべきじゃないか、こう思うのです。それはどうなんですか。
  46. 中野正一

    説明員中野正一君) 今御指摘ように、先ほどちょっと御説明いたしましたが、昨年の八月の関係閣僚懇談会では、十二月の末まで期限を延長する場合に、国鉄の公共負担全般について再検討を行なうという関係閣僚の決定も行なわれまして、その後、企画庁が中へ入りましていろいろ調整をやっておるわけであります。私は、事務的にどっちかというと、技術的な点についていろいろ話し合いをしていくということを申し上げたのですが、もちろん基礎になっておる問題は、国鉄経営全般の合理化の問題等に関連しておるわけであります。もちろん技術的と申しましても、そういう点は国鉄、運輸省側からはいろいろ説明も聞いておりますし、その点も含めまして、もちろん調整の方向を出していきたい。ただ私の見通しでは、早急にぴしゃりとした結論は出にくいのじゃないか。これは私まことに申しわけないのですが、私が今まで仕事をやってきな関係から見ると、そういう見通しを持っているということを率直に申し上げたわけです。
  47. 森八三一

    ○森八三一君 最後に、政務次官一つお願いしたいと思うのですが、非常に誠意をもってやるという御決意、私も了承いたしました。そこで、そういうような非常に情熱をこめた決意のもとにやっていただきましても、遺憾ながらわれわれの意思とは反するようなことになる場合がないとは保証できぬと思うのです。そういう場合は、農林当局だけで事務的にこれを処理されないで、経過についてはこの委員会に報告せられまして、こういう趨勢にある、だから農林当局としてはかくしなければならぬようにも思うというくらいの了承を得られた上で措置されるということが、二年間にわたる審議経過にかんがみまして当然であると思いますが、そういうよう措置をされるお気持はございませんかどうか。
  48. 宇田國榮

    説明員宇田國榮君) むしろ農林当局に対する御激励、御鞭撻のお言葉でございまして、われわれとしましてはまことに感謝にたえませんので、逐次御報告申し上げるようにいたしますとともに、大臣にもこの点を強く要望して、関係閣僚等の折衝をすみやかにするようにはかりたいと思います。
  49. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 七月から改正されました通運料金の改正ですね、あれは農水産物だけで、年間にしてどれだけ増になりますか、いずれその詳しい計算があると思うのですが、いかがですか。
  50. 中野正一

    説明員中野正一君) 七月一日から実施いたしました国鉄運賃の改正によりまして、貨物運賃の収入は、従来のやり方と大体——高級と下級貨物といいますか、そういうものを調整しましたが、収入としては大体とんとんということで、一応国鉄の計算では一億円のマイナスという計算になっておる。
  51. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 資料を持っていないのですが、たしか農畜産物は上がるように記憶しているのですがね、そうなりますか、ほんとうに。
  52. 中野正一

    説明員中野正一君) 今私の申し上げましたのは、貨物運賃収入全体の話でございます。内容につきましては、今資料を持っておりませんので、また調査いたしまして御報告いたします。
  53. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は全体ではそう思いませんが、やはり農水産物は相当上がっているのです。私は非常にそこに問題が、形を変えた公共政策割引のなしくずしだ。しかも、そういう改正のないときですら、農産物の特殊性から公共政策割引は存置すべきだということがあった際に問題は起きていなかったのだ、しかも、等級の改正はやっているのです。私は事実上なかなかこれは国会で大へんだ、衆参両院とも。だから、形を変えて目的を達するというようなことで、そこで農産物の方ではかなり公共政策割引のマイナスをここで食い込み、さらにまた公共政策割引の今度内容を、適用品目等をいろいろ手心を加えれば、形としては公共政策割引を残すが、もう国鉄運賃収入においては、所期の目的を達するというような巧妙な方法に変わってくると思うのですが、そういうことのないように、私は特に希望したいし、やはり企画庁が調整される際には、やはり行司がどういうふうに判定するかというのは、ルールを自分のところで持たずに、双方の意見を聞いて足して二で割るというようなことでは、これは私はやはり非常に、まあ立場もわかりますが、やはり公共政策割引が創設された理由というものにさかのぼって、そういうものがもう基本的な理由がなくなって解消しているかどうかというような原則からやはり見ていただいて、農業の発展あるいは民生の安定というようなことからやはり見ていただいて、どうにもその存続は必要だとすれば、その赤字はどうするかというような、高いやはり公共政策の面もからめてやっていただきたいと思うのです。特に私はこの等級の面、通運料金の改正、この両方で、しかもまあ単独審議国会で、国民生活の重要な、国鉄ですらこれは通らぬとあきらめておったものを混乱国会ですぱっとやっちゃって、それで前の運輸大臣は非常に名声を高めたといわれるくらい、とてもこれは衆参両院の農林水産じゃ通らぬだろうというのを、混乱国会をもっけの幸いにして通運料金、等級改正、これで公共政策割引で二十億考慮していただいておる大半もいかれてしまい、そうして今度やはり内容について検討されれば、公共政策割引という名前は生けるしかばねとして残って、実質的にはもう運賃収入としては目的を達する、これでは農民と国民を私はあざむくものだと思う。やはり原則論に立ち返って、公共政策割引というものがなぜできたか、そうしてその必要性がもう解消しているかどうかというような根本原則を、企画庁とされては堅持されて、この問題と対処していただきたいし、一つ幸い予算編成期ですから公共政策割引を存続する、どうしてもその赤字の補てんが必要になってくるということになれば、一つ宇田次官におかれましても、予算編成の幸いいい時期ですから、ぜひとも両方の面兼ね合ったいい線を出して、多年の農林水産委員会関係産業の要望を一つ達していただきたいことを希望しておきます。一つその実際はね返りを、通運料金と等級改正ですね、実際農産物にどれだけはね返っているかというその計算を一つ資料にしていただきたいと思う、それだけ。
  54. 中野正一

    説明員中野正一君) 仰せの資料につきましては、整備いたしまして差し上げたいと思います。
  55. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 局長の所管であるいはないかもしれませんが、この問題を扱う調整者の立場から言うならば、当然御承知だと思うのですが、三十五年度予算編成のときに、国鉄側から国鉄の赤字補てんとそれから国鉄の公共性という見地から、新線の建設等について財政投融資等の予算要求があったかどうか、いかがでしょう。
  56. 中野正一

    説明員中野正一君) 実は私その当時企画庁におりませんでしたので、今担当の者から聞いたんでございますが、国鉄ではそういう要求をしたようでございます。結局大蔵省の査定の段階で落ちた、こういうことでございます。
  57. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 先ほどから森委員小笠原委員の御質問に対する局長のお答えを聞いていると、どうも率直に申し上げて積極的に解決しようという意図がやや薄いのではないかという感じを受けるのです、はなはだ失礼な言い分かもしらぬが。この問題はあなた自身がおっしゃっているように最近起こった問題ではない、長い間のいわば係争である、従ってどういう点にそれぞれ主張があり、どういう点に折り合いがつかないかということは、問題点は全部さらけ出されておるんだ、そうした点からいえば、いまだに調停者としての企画庁局長自身の案というものがないというようなことは、取り方によっては少したよりない感じを受けるのです。今、中田委員からもお話がありましたが、ちょうど予算編成期に差しかかっておるときだし、国鉄の独立採算制という問題と国鉄の公共性、特に新線の建設について、赤字路線の建設とかいうようないろいろな言い方もされますけれども、新設というものは言うならば赤字であるのがあたりまえだ、新線を建設してすぐそれが黒字をかせぐというようなことは、おそらく非常にまれであって、将来の産業の発展に即応してその新線がどういう働きをしていくかということで黒字に転換していくのが私はむしろ普通のあり方だと思うのですが、そういうような見方からすれば、問題は公共性に出ておる。われわれが今問題にしておる問題も、言うまでもなく名前の通り公共政策割引、そうした公共的な荷を背負いつつ独立採算という中で物事を処理していかなければならない立場考えるなら、私は一つの解決策として、やはり財政投融資という問題を調停者の立場からも強く推してやるということが一つの筋ではなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  58. 中野正一

    説明員中野正一君) 今お話通り、国鉄の今後の輸送力増強の線に沿った計画の推進等につきましては、もちろん企画庁としては全体の経済発展の立場からこれを強力に推進していくつもりでございます。
  59. 東隆

    ○東隆君 私はきょう国鉄の方が見えておりませんからなんでありますが、最初からこの公共政策割引に関しては、国鉄の方は漸次なくしていくと、こういうことをはっきりと表明をしておるわけです。そういうなんで戦いをいどんでおる、こういうような形でありますから、私はこの問題の解決にはどうしても政治的な解決よりほかに方法がないわけです。そこでたびたびそれが延期々々の形でもってきましたので、私は先ほどお話があったように、運賃の改訂によってその実質的なものをすりかえよう、こういうふうに意図されておると思うわけです。おそらく九月以降政治的な時節に入りますから、私はこの公共割引制の問題は、今みんな心配されておるようでありますけれども、今の政府はこれを解決がつかなければ簡単にお延ばしになるんじゃないか、こういう予測をするわけです。そこで、それでは基方的な解決にはならぬのです。私は今の自由民主党は基本的には自由主義経済の推進者になっておると思うのです。そこで国鉄の経営のような、国でもってやっておるような、そういうやり方に対しては、民間の方面のいろいろな仕事に対しては、これはだいぶ遠慮をされておるわけです。長瀞圧迫、こういうような形でもって、国鉄がやろうとする仕事に対してチェックをしておる面がたくさんあるんです。それで貨物の問題に関連して参りますと、私はやはり近距離輸送その他の面は、ほとんどトラック輸送にとられてしまう、国鉄は完全にそういう面から取り残されてしまつて、そこで十分にかせいで、そうしてその余裕を、遠距離輸送の方のいわばマイナスになるよう方面に補給をすべき筋合いのものがほとんどなされないで、そしてあまりもうからないものばかりが残っている、こういうのがこれが現状だと思うのです。そこで基本的に解決をするのには、私は国鉄はこの際トラック輸送をぐんぐんとやって、そうして近距離輸送の面においても十分に収入を上げて、その面をやはり国鉄全体として貨物輸送の弱い面に補給をしていく、こういう態勢を作れば、大国鉄の二十億程度の赤字だなんというのは、これは何も問題ではなくて、りっぱにやっていく態勢ができる。それを今の政府は、自由主義経済の基本に立っているものだから、民営圧迫だとか何とかいう声におびえてしまって、国鉄がせっかくやろうと考えておるところのトラック輸送だの何だのそういう面がチェックされる、こいつをぐんぐんやらなければならぬ。北海道のような道路はまだよくないとか、冬季間なんか国鉄でなければ輸送のできないようなところ、そういうようなところだけが残っておる。ほかの方は道路がどんどんりっぱになって、そうしてどんどんその上に民営のトラックが動いておるんですから、こういう点を十分に考えてやる必要があろう、こう思うんです。これは私は交渉を進めるにあたって、今後の問題になると思うのですけれども、しかし、そういうような点を考えて、国鉄の独立採算制と、それから公共性との関係は私はこの前の運輸大臣にるる申しましたが、公共割引のことを予算委員会でもって質問をしたんですけれども、それをきれいに忘れておった。それほどそっちの方は忘れて別な方面ばかっり重点を置かれておった。そういうよう関係があるのでありますから、私はこの際しわ寄せをされないように、農林省は十分にその点を一つ考えると同時に、国鉄全般の経営の中において、なぜマイナスになるんだという点を強くついて、その面の改正をやってもらわないと、将来これはますます遠距離輸送の面が影響をこうむってくる。そうしてそれは一般国民の消費生活の面に大きな関連をもってくる、こういうことになるんですから、私はこの点を十分お考え下すって、腹をきめて交渉をしていただきたい、こう思うわけであります。
  60. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 国鉄当局公共政策割引のことも考えるから、二十億を山分けぐらいして、十億円は国鉄が何とか合理化その他でやりましょう、あと半分は農産物に転嫁さしてくれということで、委員会でそういう発言をしたこともある。それを今度の等級改正では、御案内のように東委員から質問されたように、非常に値段の高い、等級の高い——これはトラック輸送にとられるものですから、そっちを安くして国鉄の荷物に乗っけるようにして、農産物の方を上げて、全体としてとんとんだというのですから、これはもう相当やはり転嫁しているのです。実際その辺はっきり品目別に一つぜひ資料を整えて——だから私は東さんも言いましたように、衆議院選挙もありますから、そうないのですが、実質的には公共政策割引というものは、さきの等級の改正で実質は打ち取られている。私はこう見ている。しかし、なおつり銭を取られぬように、一つ十分注意してもらいたい。資料を何よりもお願いいたします。
  61. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 他に御質疑もなければ、本日はこの程度にいたします。  なお、本件については従来の経過及び本日の経緯にかんがみ、公共政策割引が今後も現状通り継続実施せられますよう当局善処を強く要望いたします。   —————————————
  62. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 次に、チリ地震津波による災害に関する件を議題といたします。  本件については、御質問の御要求があります。なお、政府からの出席者宇田農林政務次官、東辻官房総務課長高橋水産庁次長、伊東農地局長、太田農林経済局金融課長であります。
  63. 千田正

    千田正君 去る七月三陸沿岸を中心に、さらに各地方に襲ってきましたいわゆるチリ地震の津波に関する農林水産関係の特別立法、あるいはそれに対する対処方針を伺いたいのですが、私は特にここで政府に聞きたいという点は、この津波が起こるや、同時にその被害調査と称して政府としましては農林大臣、運輸大臣、建設大臣等が現地に参られまして、避難民あるいは被害地の皆さんの要望にこたえて、やはり伊勢湾台風と同様の対処方針で臨みたい、こういうことを発表している。その後御承知通り岸内閣は総辞職して、新しく池田内閣が誕生したのですが、その岸内閣当時の農林大臣あるいは運輸大臣あるいは建設大臣と、実際に担当する行政の担当大臣がかわってきているのであります。前に言明したように、はたして伊勢湾風と同様の被害地に対する政府の対処方針をきめていくかどうか。聞くところによると閣議においては、補助金に対するところの三分の二の助成等に対しては、そういうわけにはいかない、二分の一だ、こういうふうなことを、初めとは違った方向に進みつつあるというようなことを仄聞するのであります。そうだとすると、当時被害地に行って大臣等が言明したことは、みなうそだということになってしまう。どういうふうに一体このチリ地震津波に対する対策を講じておられるのか、またかって岸内閣の担当大臣諸君が現地に行って堂々と声明したようなことと、もしも違反するようなことがありますならば、政治に対する不信であるということも当然出てくるのでありますから、どれほど違った対策を講じておるのか、あるいは同様の対策を講じておるのか、その辺を、時間もありませんから、要領よく両点をお答え願いたいと思うのであります。
  64. 東辻正夫

    説明員(東辻正夫君) 先般のチリ地震沖波関係の農林関係対策につきまして、そのおもなものの概要を簡単に申し上げたいと思います。  まず、特別立法措置といたしましては、伊勢湾台風と大体同じようなものといたしまして、共同利用小型漁船の建造に関する特別助成措置、これは無動力船あるいは五トン以下の動力船の被害が特に著しい県におきまして、漁業協同組合が必要とします共同利用小型漁船の建造費につきまして、県がその建造費の三分の二を下らない率による補助をする場合に、その県に対しまして半額を国が補助するという内容のものであります。今お手元にお配りいたしました資料にその概略が書いてございますが、この特別立法措置につきましては、以下申し上げますそれぞれにつきまして、それぞれ施行令を出し、またそれに必要な予算措置等につきましては、目下予備費の要求、あるいは査定等を行なっておる段階でございます。  次に、水産業施設の災害復旧事業に関しまして、特別の助成措置を講ずることとして、これに、従来からございました農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定法の特例を設けまして、真珠、真珠貝、カキの養殖施設の復旧事業につきまして高率の補助を行なうという内容のものでございます。  それから、特別被害漁村の復興特別助成措置でございますが、今次の災害によりまして、特に漁業施設、住宅等の被害の大きい部落につきまして、これが復興に資するために、その部落の漁業協同組合が漁民の共同利用に供するために、必要な特定の施設——小型定置網ございますとか、ノリの養殖施設等の施設の設置費につきまして二分の一の補助をするというわけでございます。  それからもう一つ法律を作りましたのは、天災融資法の改正でございまして、従来あります天災融資法の特例を設けまして、特に指定した都道府県内の被害漁業者に対しまする貸付限度を引き上げまして、カキまたは真珠の養殖に必要な資金の場合は五十万円、その他の一般漁業経営に必要な資金として貸し付ける場合は三十万円ということにいたしまして、貸付限度の引き上げを行なったわけでございます。  以上四つが特別立法措置によりまして措置をとりました内容でございます。  それから次に、新しく立法措置はいたしませんでしたが、従来からございます災害関係法律に基づきまして、農地、農薬用施設、あるいは水産関係以外の共同利用施設の災害復旧事業につきましては、御承知の暫定措置法によりまして復旧事業費の査定を行ないまして、所要の措置をとっておるわけでございます。また、漁港、農地、海岸施設及び海津の砂防施設につきましては、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法によりまして査定を行ないまして、国の負担金の交付を行なうことといたしております。それから海水の浸入によりまして、特に農地の除塩事業を行なう必要がありますので、これらのものにつきましては、その除塩に必要な障害物除去を含みまして、大体一市町村内の事業量の規模を設けまして、その事業量の規模がそれ以上のものにつきまして補助を行なう。これは別に法律はございませんが、予算措置で参りたいというわけでございます。それから漁場内に障害物が入っておりますので、これを除去するために、地方公共団体あるいは漁業協同組合等が行ないます排除事業に対しまして補助を行なう。それからまた、稲苗の確保のための輸送あるいは再仕立といったような事業を行なったものにつきまして、実情に応ずる補助をやる。それからまた、所によりましては、家畜の防疫事業としての健康検査、あるいは浸水しました畜舎の消毒事業を行なう。これは大体通常の予算の中に入っておりますので、それをもって活用いたしたい。大体これが予算法律あるいは従来の法律または法律によらない予算措置によりまして目下措置を行なっておるおもな項目でございます。  なおまた、災害復旧資金の融通につきましては、系統金融機関からつなぎ資金等の活用を行なったわけでございますが、先ほど申しました天災融資法につきましては、直ちにこれが適用の政令を出し面して、当時二十三億円の融資措置を講じたわけでございますが、先ほど申し上げました貸付限度の引き上げのための改正を行なって、それとあわせまして、さらに政令を改正いたしまして融資総額を三十億に引き上げるとともに、三分五厘適用のための特別被害地域の指定等を行なったわけでございます。さらにまた、公庫資金につきましては、大体伊勢湾台風の場合と同様な措置をとりまして、主務大臣指定復旧資金等につきましては、所要の施設の追加を行ない、また真珠養殖施設等の貸付限度の引き上げ、あるいは水産関係につきましては、現行七分でございますが、これを据え置き期間中六分、償還期間中六分五厘といったような特別な措置を講じ、また据え置き期間を一年を二年に延長するといったよう措置を講じたわけでございます。さらにまた、自作農資金の融通も、実情に応じ、これが措置をはかるということ等をやっておるわけでございます。  それからさらにまた、制度の活用といたしまして、漁船保険に加入しております漁船の被害を早急に査定を行ないましたわけでございますが、これが保険金の早期支払い、これは大体完了をいたしております。  それからなおまた、応急住宅用、あるいは公共施設用、それからいかだ用等の必要な木材等につきまして、要求に応じまして国有林材の売り払いを行なったわけでございます。お手元にお配りしました資料の中には、木材の売り払い、それから漁船保険の支払い、それから林野関係の治山関係のやつが落ちておりますが、その三つにつきましては、なおあることを御承知おき願いたいと思います。  以上が大体当時農林省として対策を立てまして、目下それぞれの手続によりましてとっております措置の大要でございます。
  65. 千田正

    千田正君 この地震津波等は天災融資法の対策の内容に入っておりますのですか。天災融資法としての対策の中に対象が入っておりますか、従来、津波は。
  66. 太田康二

    説明員(太田康二君) 入っております。
  67. 千田正

    千田正君 ただいま農林省当局から御説明がありましたが、私の重点的に聞いたのは、チリ地震津波対策と伊勢湾台風の対策とを比較してどういうふうな違いがあるか、おそらく準じた方法をとっておると思いますが、当時の大臣の声明は、伊勢湾台風と同じようなことをやるというふうなことを言った大臣もあるんだが、被害地においては伊勢湾台風と同じよう対策をやってもらうんだろうという考えを持っておったのに、だいぶ最近違っておるようだという声が強いんでありましてだから私はその点の差が、どういうふうな点が違っておるのか、そういうことを聞きたいのであります。  それから農地局に伺いたいのは、非常に御承知通り塩害が多かった、しかも植付時期と前後して水田等に対する塩害が多い。そこで塩害が多かったんだが、除塩作業は十分でないにもかかわらず、一応植付をした。で、秋の収穫においては当然違ってくるわけですね。そういう予期の通り収穫ができなかったことに対しては将来何か考えておるのかどうか、その点はどういうふうに考えられるか。  それから水産当局に聞きたい点は、これは建設省と同様の問題になってくるのでありますが、たとえば三メートルの高さに防波堤を作っておったんだが、今度の津波ではそれを越してやられてきた。どうしてもあと一メートルなければ港湾を保持できない。こういうものに対しては補助的にこれをかさ上げして修築をやるかやらないのか、建設当局はある程度大きな防波堤を沿革に張りめぐらして津波の防御をやるんだというようなことを言っておるんだが、しかし、延々それこそ何千キロというところにそれだけの膨大なる国家予算を投入してまで、はたしてやる気があるかどうかということは、はなはだ疑問でありますから、これは予算委員会等において私は質問いたしますけれども、大体水産庁といたしましては、少なくとも漁港、船だまり等に対しては、そういうふうな破壊され、あるいは将来破壊されるおそれのあるものに対しては、何ら防御措置を講ずるようなことを考えておらぬのかどうか、この点をお伺いしたいんであります。
  68. 高橋泰彦

    説明員高橋泰彦君) 伊勢湾台風との比較の問題でございますので、このたびの災害は、漁業方面に相当伊勢湾並みの、あるいはそれ以上の被害もございましたので、便宜私からその問題について御説明いたしたいと思います。  まず、その考え方といたしましては、被害の程度が漁業におきましては伊勢湾、あるいはそれ以上の地帯もあったように観察いたしております。特に今次の災害の特徴は、全体としては伊勢湾と同様のようにも思いまするけれども、しかし、局部の部落から見ますと、重点的に一カ所に集中したというのが今回の特徴でございますので、漁業関係といたしましては、そういう点も考慮いたしまして伊勢湾でとらなかった措置もあわせてとるように工夫をこらしたわけでございます。まず、小型漁船の建造に対する補助の問題でございまするが、伊勢湾におきましてとりました措置は、御承知ように、ある基準は設けまして、その基準に該当する個所につきましては三そうに対して一隻の割合で八割の補助をするというのが伊勢湾でとった措置でございます。しかしながら、今次のこの災害を見ますと、だいぶ資材補給その他の状況も変わっておりますので、必ずしも三そうに対して一隻ということにこだわる必要はかえって実情に合わないのじゃないのだろうかということを考えまして、今度の考え方としては、原則として一隻の被害に対して一隻の割合で補助金を出す、こういうふうに考え方をまず改めたわけでございます。で、補助率の問題でございますが、前回は三隻のうちの一隻に対して八割補助というのを、今回は国庫が三分の一、県費が三分の一、自己負担三分の一というふうに変えたわけでございます。表面的に見ますと、国の負担率が八割から三分の一に下ったように表面的には見受けられるのでございますが、この点は、三そうのうちの一隻に対しての八割補助というのを一隻に対して三分の一補助するということから考えまして、特に漁業者の負担の点から見ますと現実的には、今回は前回に比較して負担から見ますと、県費を考えますと、伊勢湾よりもさらに手厚い補助がいくというよう考え方でございます。要約いたしますと、この考え方も決して……考え方は多少違っておりますが、漁業者の立場から見ますと、伊勢湾以下ということはあり得ないというふうに考えております。  それからカキ、真珠等に対する水産養殖施設の災害復旧に対する補助の問題でございますが、これは特に今回は、三重その他の地帯におきましては、再度災害を受けたということもあわせ考えまして、従来の考え方のほかに再度災害の場合にはさらに補助の範囲を拡大するという考え方をとっております。事例をもって御説明いたしますと、伊勢湾の場合には、カキを例にとりますと、六台未満の経営体について十分の九という補助率でございますが、今般はそれを範囲を広げまして累年被害者につきましては七台から十台までのところは十分の五の補助を新しく出すというふうに範囲を拡大した次第でございます。従いまして、この点も、特にこのたびの被害は養殖施設に集中したという特徴もございますので、伊勢湾以上の措置を講じた次第でございます。その他部落の復興に関する新しい考え方でございまするが、法律の名前は特別被害漁村の復興対策事業に対する補助と、ごうなっておりますが、このたびの被害が特に特定部落に集中したという事情もございまして個々の被害の漁具、施設その他に対して従来のような方針で補助を出すだけでは十分でなくて、やはり部落として必要な漁業の復興をすみやかにするという新しい考え方をとりまして、いろいろな基準はございますが、要するに漁業の生産に関する共同施設を急速に復興して参りたいというものを新しく設けた次第でございます。それは伊勢湾になかった点でございまするが、このたびの被害の特質にかんがみまして特にお願いしてこのよう考え方をとった次第でございます。  以上、二、三の点で御説明いたしたわけですが、要するにこのたびは特に部落に集中したという点もあわせ考えて、決して伊勢湾以下の考え方ではなくて、特に漁業につきましては伊勢湾以上の措置を講ずることができたというふうに一応御説明いたしたいと思います。
  69. 千田正

    千田正君 今高橋次長が御説明になりましたが、そのうちノリが抜けているのですね。沿岸の養殖のうち、真珠あるいはカキ、ノリ——ノリはその当時一応採集が終わったあとだというものの、施設等は相当やられている。このノリに対しては何ら今回はこの対策に考慮が払われていないように見受けられますが、この点はどう考えておりますか。
  70. 高橋泰彦

    説明員高橋泰彦君) 伊勢湾の被害の場合にはノリひびの復旧につきまして高率の補助をいたしたのでございますが、今回は伊勢湾台風と違いまして、おおむね養殖期間が終了して、そうしてノリひびその他を漁場から引き上げ、海津倉庫ないしは自宅に集積したものが流失したというのが実態でございます。その他若干の例外はございますが、しかし、おおむねそういう状況であったと思います。従いましてこの問題につきましては真珠いかだないしはカキと全く同じく従来通り取り扱うことは適当でないという考え方で、一応この養殖施設に関する法律の適用からは除外したのでございます。しかしながら、御指摘ように事雲、ノリのひびをかりに海の中に設置しておる状態ではなかったにせよ、流失したのは事実でございます。この施設をすみやかに復旧いたしませぬと、この秋のひびを入れる時期を控えて、これは漁民としては非常に困る問題でございますので、この点につきましては単なる災害、従来のよう考え方をとりませんで、先ほど御説明いたした部落の復興の方で組み入れていきたい。具体的に申しますと、漁業協同組合が中心になりまして、ノリの養殖の施設を漁業者に利用させるという考え方の場合に補助をするという格好で事実上の復旧をさせたいというふうに考えた次第でございます。
  71. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 先ほど御質問の点は、あとの農産物の減収につきまして農地局で補償するとか、そういうことは実は考えておりません。二十八災、伊勢湾等で除塩をやりましたが、工事費につきましては補助をするという態勢をとっております。
  72. 千田正

    千田正君 ちょっと委員長聞こえなかったのですが、塩害ですね、さっき私お尋ねしたのは、塩害等が収穫に響いた、その原因は津波による原因だという場合ですね、減収等に対して相当の被害があった場合に、政府は何らかの考慮の余地があるのか、対策考えているのか、それを私聞いているのです。
  73. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 農地局でやっておりますのは、千田先生御承知ように、除塩の工事とかそういうことをやっておる、これは二十八災、伊勢湾台風同様でございますが、農作物の減収という問題につきましては、共済とかそういう面で考えていくのは従来通りでございます。
  74. 千田正

    千田正君 除塩も不可能であったという、作付不能のところがどのくらいあるのですか、被害農地は。全然作付ができないというのはどのくらいあるのです。
  75. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 私の方で実は予算要求いたしましたところは、除塩の方法としまして水をかける問題と、それから実は先生のおっしゃいましたように、水をかけられぬとかいうような場合には、一つ客土でやってそれで塩分を少なくしていくという方法と実は二つ要求をいたしているわけであります。今予備費で要求しておりますのは、現実に水をかけて〇・一%以下にしたというところにつきまして予備費の要求をいたしております。そういことができませんで、どうしても作付ができぬというところにつきましては、これは客土をやりまして、工事の面からいいますと客土をやってここの塩分の濃度を薄める、あるいは将来作付可能にするというようなことで工事面の要求をしようということで、実は先生のおっしゃいました水をかけられなかったというようなところにつきましては、私の方としては客土の予備費を要求するというよう考え方をいたしております。
  76. 千田正

    千田正君 そうしますと、それは土地改良ということになりますか、あるいは災害復旧というものに対する特別工事というふうなことになるのですか。またそれに対する政府としては、たとえば助成、土地改良の場合には従来の土地改良と変わらないところの助成しかやらないのか。このような地帯に対してどういうふうに考えられるか。そういう点です。
  77. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 客土の問題につきましては、私の方としましては従来の土地改良の団体、いわゆる耕地整理もございます。これは補助率は三割という割合に低いような補助率になっておりますが、本件につきましては従来の土地改良ではなくて、災害対策として補助率は二分の一ということにして、災害対策の客土として工事面はやっていくつもりでございます。
  78. 高橋泰彦

    説明員高橋泰彦君) 先ほど千田委員から津波対策の問題につきまして御質問がございましたのでお答えいたしたいと思います。この津波対策につきましては御承知ように、津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法というのが制定されまして、この施行に必要な政令は目下各省で協議中でございまするが、その内容は、まずチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業の計画を樹立するということと、計画審議のためにチリ地震津波対策審議会を設けるというのが内容でございますが、ただいまそのよう審議会が設けられることを期待いたしまして、その中でこの漁港の御指摘の津波対策的な改良事業その他についてその場所で、水産庁としてはっきりしたデータで、御審議を願うというようなつもりでおります。
  79. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 他に御質疑もなければ、本件についてはこの程度にいたします。   —————————————
  80. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  81. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記を始めて。
  82. 田口長治郎

    説明員田口長治郎君) お許しを得ましてちょつとごあいさつを申し上げますが、私従来から衆議院の方の農林水産委員といたしまして、皆さん方に特別のごじっこんを願い、また御厄介になったものでございますが、今度農林政務次官としてまた非常な御厄介になると思いますが、どうぞ一つよろしくお願いします。(拍手)   —————————————
  83. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 次に議題に追加いたしまして、大豆の件を付議したいと思います。  本件について御質疑要求千田委員からありますから、発言を許します。
  84. 千田正

    千田正君 農林省は八月四日付で大豆の自由化の対策としまして、国内産大豆の支持価格というものを一俵当たり三千二十円とするというようなことを発表しておるようでありますが、この支持価格の発表によるという報を聞いて、現実に大豆生産に従事しておる農民が非常に驚いておるわけです。それで、ぜひ従来通りの、三千二百円ですね、六十キロ、この三千二百円を堅持してもらいたい、そうでなければ農家経営として非常に困る、ことに大豆を生産するというような土地は非常な豊沃な土地と違いまして、山地であるようなところが多いのでありまして、ことに開拓その他の農民にも響く点が非常に大きい、それで支持価格が出された、このことに対して非常に困っておるのですが、政府としては、これはあくまで支持価格の通りでやれるおつもりなのかどうか。一方においては、大豆の輸入価格の関税をある程度引き上げてそのバランスをとろうという政策考えておられるようでありますが、そういう程度ではたしてこの大豆生産の農民等の営農に差しつかえないかどうかという点ですね。そういう点を簡単に、時間がありませんから重点的にお話し願いたいと思います。
  85. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) ただいま千田委員から、最近農林省がまとめました大豆の自由化対策について、支持価格を農産物価格安定法の支持価格でやることについて、従来三千二百円ということをしばしば農林省としてまあ出したよう関係もあり、心配があるというお話でございます。これについて、最近農林省がまとめました対策について簡単に申し上げたいと思います。  御承知ように、大豆のAA化の問題が昨年の秋から問題になりましたわけでありますが、それから農林省としましては、すでに一般に知られておりますA、B、C三案を出しまして、そのいずれか一つ対策をとりたいということで、各省及び党の方面とも御審議を願っておったのでございますが、なかなか意見の一致に至らずに今日に至っております。ところが、この九月からガットの関税交渉が始まりまして、その際、もしも大豆の関税を引き上げるといたしますると、これに対する方針を早急にきめなければならぬ、また自由化の時期をことしの十月という予定を一応の目途としておりましたので、それらの関係がありましてこの際早急にこの問題を解決する必要があるのではないかということで、従来の三案を基礎にしまして一案をまとめたのでございます。現在各省と事務的に話し合いをいたしておりますが、その内容は、輸入大豆の現行の関税、これは従価一〇%でございますが、これを従価一二%程度に引き上げて、従来の従価税を従量税としたい、これは輸入大豆の価格が値下がりした場合にも安定して今後できますのと、一方で価格支持財源をできるだけ減らさないようにしたいということもありまして、従量税にしたい、または現在の一〇%の関税は従量税に変えるだけにしてあとの二%については、いわゆる瞬間タッチで食糧管理特別会計の売買によって二%を徴収して大豆価格の支持財源に充てたい、そのいずれかの方法でとにかく自由化にしまして一二%程度の関税引き上げになり、あるいは調整金を含めた一二%の関税ないし課徴金を取りたい、これが一つでございます。  それから第二の点としましては、農産物価格安定法で政府がとにかく買い入れる、これは大豆と、これと競合しますところの菜種につきましても安定法によって買い入れたい、こういう仕組みを考えたのであります。その場合買い入れ価格でございますが、これは従来農林省といたしましては、過去三カ年間の市価の平均が大体三千二百円程度でございましたので、自由化によって急激な影響を農業生産に与えることは好ましくないということで、大体従来の市価の平均で考えまして、影響を与えない程度の価格で賢い入れたいということを申しておったのでございますが、一つには最近市価が下がる傾向が出ております。農産物価賃金調査によりましても、日銀の卸売物価調査によりましても、この数カ月間やや下がる傾向を示しておるのであります。もう一つは価格安定法によりまして、価格安定を今後恒久的に実行することにいたしましてできるだけ生産性向上対策に力を入れて、従来非常に等閑にされておりました大豆の改良対策を大いにやりたい、それによってコスト引き下げをはかって参りたい、こういう趣旨もありまして、一応原則として農産物価格安定法の現在の支持価格の算定方式によりまして出ますところの価格によって買い入れることにしたい、しかしながら、従来の経緯もありまして、三十五年産の大豆につきましてはすでに収穫も迫っておりますし、もしもこれを買い入れなければならぬような事態になりました場合には、でき得れば三千二百円ベースで買い入れることといたしたい、こういう考え方をとったのでございます。これによりまして、一方で関税または調整金によりまして、輸入大豆価格の一二%に相当するものを国が徴収するわけでございますが、この関税収入は従来のように一般財源として一般会計の全部の財源に充てることなく、目的税的に特定財源として大豆及び菜種の価格支持の財源に使いたい、これも一つの重要なポイントでございますが、この点につきましては、相当各省との間にまあ話し合いに力を入れなければならぬ問題だろうと考えております。  大体、主要なポイントは今申し上げましたようなことでありまして、一方において価格支持をやると同時に、生産改良も相当な力を入れて参りたい、かよう考えておるのであります。
  86. 千田正

    千田正君 まあ農林省のお考えもよくわかりますが、さっきも私申し上げた通り、大体大豆生産をするということは、山地の畑地が多いのですね。しかも一俵について百八十円も収入が違ってくるということは、そういう比較的に農家収入が、経営収入の少ないところにとっては大きな問題になる。今おっしゃったように、三十五年度産は一応従来の通り三千二百円でお買い上げ願えるとしまして、もう来年度からこれをかりに六十キロ当たり三千二十円にするということで、百八十円違う。その百八十円違った見合いとして、品種改良であるとかあるいはその他のことで、ある程度の埋め合わせを考えてやるというお考えようですが、あまりその段階がつき過ぎて、いきなりそういうようになると非常にこれは困るわけなんですが、来年からという考え方で、一応予備的な方向としてことしからそういうことを一応話しておいてそうしてことしだけは三千二百円で買うと、こういうお考えですか。
  87. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) ただいま千田委員のおっしゃったこと大体同じでございますが、自由化の時期を先ほど申しおくれましたけれども、来年の七月一日以降、もしも関係法律案が二月末ごろまでに国会で成立させていただけますならば四月一日から実施したいと、こういう考えでおりましてれそこにはまあ若干時間的ゆとりを見まして、出初のことしの十月ということを延ばしまして、若干ゆとりを見ておりますのと、まあ今後、来年に入りましてまきつけられる大豆及びことしの秋にまきつけられる菜種については、十分の農家としても用意をしていただきまして、一方政府としては生産対策にもさらに力を入れていくということで、三千二十円というのは、現在農産物価格安定法によりまして計算すると三千二十円という基準価格が出ますけれども、これは来年におきましては、来年の農産物価格安定法の基準価格によるということでありまして、そこは三千二十円と必ずしも一定したものではございません。安定法の方式によって考えて参りたい、かよう考えておるわけでございます。
  88. 千田正

    千田正君 私もう一度よく慎重に研究してみたいと思います。また、時間もありませんので次の機会にもう一度お話を承りたいと思いますので、きょうは質問は、私はこれで打ち切ります。
  89. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 他に御質疑もなければ、本件についてはこの程度にいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時五十四分散会