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1960-10-11 第35回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十月十一日(火曜日)    午前十時二十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉江 勝保君    理事            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            小柳 牧衞君            中野 文門君            一松 定吉君            鶴園 哲夫君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            辻  政信君            高瀬荘太郎君   国務大臣    国 務 大 臣 江崎 真澄君    国 務 大 臣 高橋進太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁教育局長 小幡 久男君    防衛庁経理局長 木村 秀弘君    防衛庁装備局長 塚本 敏夫君    調達庁長官   丸山  佶君    大蔵省管財局長 山下 武利君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君    郵政大臣官房人    事部長     長田 裕二君    郵政省郵務局長 板野  学君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (群馬太田飛行場返還に関する  件)  (自衛隊補給所による河川汚染に関  する件)  (航空自衛隊次期主力戦闘機に関す  る件)  (昭和三十六年度自衛隊業務計画に  関する件) ○国家行政組織に関する調査  (公務員の定員に関する件)
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それではこれより内閣委員会を開会いたします。  国の防衛に関する調査を議題とし、群馬太田飛行場返還問題に関する件、自衛隊補給所による河川汚染に関する件、航空自衛隊次期主力戦闘機に関する件、来年度の自衛隊業務計画等について調査を進めます。  政府側出席の方は、江崎防衛庁長官門叶防衛庁官房長加藤防衛庁防衛局長木村防衛庁経理局長塚本防衛庁装備局長小幡防衛庁教育局長丸山調達庁長官柏原不動産部長山下大蔵省管財局長細川大蔵省管財局国有財産第二課長の方々であります。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいま陳情のございました太田大泉飛行場返還問題に関連いたしまして、前回に引き続いて二、三お伺いしたいと思います。  八月十日の当内閣委員会で、江崎防衛庁長官は、太田大泉飛行場については、大体いつごろ返還になるかという、こういう意味の私の質問に対しまして、最終的には、「おそくも二カ月、三カ月のうちには必ず片づけてしまわなければならぬ問題だと自分も痛感しておると、このように言っておりますので」——このように言っておるというのは、調達庁長官がそういっておるので、御期待に沿うように全力をあげて努力いたします、こうおっしゃっておるわけです。本日でちょうど満二カ月すでに経過しておるわけでありますが、いまだに返還がない。今陳情のありましたように、地元では官民をあげて、一日千秋の思いで待ちわびておるわけです。その後いかようになったか。もうこの辺で御回答あってしかるべきだと思うのですが、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  4. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) この問題につきましては、かねてから伊藤委員から非常に御熱心なお話を承わりまして、われわれの方といたしましても、誠意をもって折衝をいたしおるわけでごいます。米軍側の方におきましても、これはいろいろな技術的な点の検討もありまするので、他に候補地を求めまして詳密な検討を進めておるわけであります。お説の通り、当時調達庁長官ともいろいろ打ち合わせまして、少なくとも二、三カ月のうちには解決をしたい問題だというふうにお答え申し上げて、その線に沿いまして、できるだけ御期待に沿い得るように結論を急がせておる次第でございます。御了解を願いたいと思います。
  5. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今、長官のおっしゃったことは、いつも同じようなことを繰り返しておられるわけですが、ただいまも申し上げたように、「御期待に沿うように全力をあげたいと思います。」こう言っておるわけですね。それから二カ月経過しておる。そこでお伺いしたいのは、この二カ月の間全力をあげて努力されたのだから、その努力された具体的な面を一つ御説明いただきたいと思います。
  6. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) この問題につきましては、調達庁長官に全責任を持って折衝をさせておりまするので、詳しい、いつどうしてどうなったというようなことは、正確を期する意味で、調達庁長官から答弁させたいと思います。御了承願いたいと思います。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 調達庁長官には別途またお伺いする用意があるわけです。防衛庁長官には最高責任者としてお答えいただく。調達庁長官は当面の責任者として、それぞれ立場が違うわけですから。
  8. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私からそれじゃ答弁申し上げますが、施設特別委員会が開かれるたびに、この問題はもう二、三カ月以内には代替地を見つけて一つ移転を完了したいという線に沿っていろいろ打ち合わしておるわけなんです。また米軍側においても、これはどこでどうしてというふうにいいますというと、これまた問題が起きまするので、どこに候補地を見つけるとかどうとかいうことは、一つ了解願いたいと思いまするので、そういう候補地について、米軍側としては今技術的に十分研究しているから、もうちょと待ってくれという話し合いをしながら今日に至っておるというのが実情でございます。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 九月一日の当内閣委員会丸山調達庁長官は、米軍側としても、日本側事情をよく了とせられて、結論を急ぐよう努力したいと、こういう意味調達庁長官からお答えがあったわけです。しかし、最大努力をされるとお約束されてから、調達庁長官のお約束があってからも、すでに今日で四十日になると思うのですがね。その間、調達庁長官はどういうふうに努力せられたのですか。一つ、ただ抽象論でなく、具体的にお伺いしたいと思います。
  10. 丸山佶

    説明員丸山佶君) この問題の事情、それからこれが地元にとって首都圏工場予定地ということの事情のために、早くめどをつける必要があるということは、前回委員会でも、私ども、また政府としても十分承知しておる、従って、この措置を急ぐことを、正規ルートである日米間の施設特別委員会において取り上げる旨を申し上げておりますが、その通り施設特別委員会において取り上げまして、返還措置の具体的な方策の検討を進めておるわけでございます。前回にも申し上げましたように、この滑走路は物の投下訓練に現在使用しておる。その代替場所ということに関して意見の一致を見るならば、その方面に移転することによってこの問題の解決をはかる、この大きな筋は日米ともにきまっておりますので、その後の施設委員会を通じまして、候補地につきまして、これが物の投下に適当であるか、そこに若干の整備を要することがあるか、これの周囲に関する影響はいかん、そのような技術的の検討が現在なされておるわけでございます。従いまして、この結論を急ぎまして、前回も申し上げましたように、できるだけ近い機会に所期の目的を達するように調達庁努力しております。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 日米合同委員会施設委員会は、御承知のように、隔週の火曜ということになっておるわけです。そうしますと、九月一日以降数えてみますと、九月六日、九月二十日、十月四日、三回開かれたはずです。その三回のそれぞれで、一体調達庁長官はどのように発言されて、米側はどのようにお答えになったのか、ただいまの御答弁では、前々お答えになっておることと少しも変わっていないようです。ただ抽象的に重ねてお答えになっておるだけで、いささかの進歩もないわけです。一歩も出ていない。こういうことではまことに無責任だと思うのですが、だんだん交渉を重ねれば、一歩でも二歩でも進んでおるはずですが、少しも進んでいない。そこでお伺いしたいのは、九月一日以降、今申し上げた三回施設委員会が持たれておるわけですが、それぞれの委員会でどのように一体発言されて、どういうふうにお答えになっておるか、具体的に承りたい。
  12. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 委員会のそれぞれのときの模様に関しましては、先ほども申し上げましたように、趣旨として、ある候補地がこれのかわりになるかならないか、これらに関する種々の角度からの検討、またその後に基づくところの、なお必要とするところの調査をすること、これらのことについて米側と話を進めております。そのつどどういう話のやりとり、あるいはどのような返答ということに関しては一々申しかねますが、趣旨とするところの方法は申し上げた通りの筋で進んでおるのであります。最終的にここならよろしい、ここをこうすればよろしいというところの最終的の結論的の話し合いが出ておりませんから、前のことを繰り返すようなことになってまことに申しわけないのでございますけれども、その筋のもとに話が進んでおるので、私どもといたしましては、前回にも申し上げた通り、近い機会においてこれの結論を急ぐように努力いたしておる次第でございます。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも調達庁長官の御答弁は、同じようなことを繰り返されておって、九月一日にお約束された。最大努力をされると、いやしくも国会の場で御答弁になっておるわけです。そのことに対しては責任を持っていただかなければならないと思うのですが、ただその場その場で適当な答弁をされて時間をかせいでおるのではないかとさえ考えられるような点が多いわけです。  そこでお伺いいたしますが、調達庁としては、何カ所かの代替地について検討を加えて、それをしぼって、そうして米軍に示した。米軍米軍で、また代替地さえ指定されるならば返還するという意思表示もあるわけですか。そこに問題があるのではなかろうかと思うのですが、この点はいかがですか。調達庁長官、そういう点についてまだはっきりこちらでは理解できないわけです。その点を明らかにしていただきたい。
  14. 丸山佶

    説明員丸山佶君) お話通り代替地問題について、双方がいろいろな候補地をあげての協議を進めて参りましたが、話の進むに従いまして、最近において一カ所にほぼ候補地の見当がついております。それが双方のために支障ないかどうかという集中的な検討段階に至っております。従いまして、先ほどから申し上げましたように、遠からぬ機会においてこの問題のめどがつく、このように私は考えて、その結論を急ぐために最大努力を払っておる次第でございます。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 調達庁としては、その道専門官庁であろうと思う。その専門官庁ともいうべき調達庁が、長年かかって最大努力をして代替地を見つけた。しかも、それをしぼって米軍に示した。ところが、なかなかオーケーを与えない。そこに問題があると思うのです。おそらく米軍オーケーを与えないということは、調達庁が選定した、一つにしぼった代替地に対して不満だからではないかと考えざるを得ない。もし専門官庁である調達庁がそんなに最大努力をして米軍に示したが、それでも米軍不満であるというならば、もはや日本の狭い国内に適当な代替地はないとしか考えられない。そうであるとするならば、この前も申し上げたように、狭い日本でのこういう訓練をあきらめて、広い本国で訓練すれば十分足りると思う。その辺が、もうよほど前から今おっしゃったようなことを言われている。それから検討中とか、あるいは考慮中とか、同じ抽象語を繰り返しておるにすぎない。一歩も出ていないわけです。その点は一体どうなんですか。なかなかもって了解できないです、そういうことでは。
  16. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 話が現在のところ、だいぶ集中的に進展いたしておりますので、この筋による解決策、これに関する結論的なこと、私はさほどなお長日月を要するとは考えておりません。その筋によるところの進展工合をここしばらく見ていただきたいと考えております。調達庁正規ルート委員会を通じてのこの問題の処置に関しては、繰り返すようでございますが、最大努力をして進めておるわけであります。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前の防衛庁長官である赤城さんと、現調達庁長官丸山さんが、昨年十二月の当内閣委員会で、私の質問に対して、「前回も申し上げたように、おそくも明春三月までには返還するよう努力したい」こういうふうにお約束せられておるわけです。それからどのくらいたったかということは、もうおわかりだろうと思うのですが、そこで、一応太田を中心とした現地の各官民あげて、もういよいよ三月には返還になるということで、首都圏整備法に基づく工場誘致計画を進め、準備を進めて来たわけです。そうして、また幸いにそういう運動が功を奏して、A級の大工場が次々に進出をほのめかして来た。ところが、三月になっても一向、そうして四月、五月、六月、七月、本日に至ってもいまだにそういう確報がない。そこでA級の大工場は、もう業を煮やして、あきらめて他都市へと進出をしておるわけです。これは非常に大きな問題だと思うのです。何といっても償うことのできない大きな問題、大体三月に返還するというめど計画を進め、準備を進めた。そこで大きな工場が次々に進出約束して来たわけです。ところが、待てど暮らせど解決しないので、もうあきらめて他都市へとどんどん移っておる。こういう物心両面にわたるはかり知れない損害現地では受けておるわけです。これは大きな問題だと思うのですよ。なぜ国会の場でできないことを約束されるか。その場その場で適当なことばかり言うて時間をかせいで、その時期が来ると、またあと一、二カ月とか二、三カ月、こう国会の場で約束されたことについては、全責任を負わなければならない。そういう事態が、現地では今申し上げたように、はかり知れない大きな損害となって現われてきておる。これはまことに責任だと思う。防衛庁長官は当面の責任でなくしても、やはり最高責任者として責任がある。調達庁長官は当面の責任者として、やはり考えなきゃならぬ。いま少し最大限努力をするというならば、隔週に持たれる施設特別委員会だけでなく、八方手を尽して、八面六臂の活動をされて、それで初めて最大限努力をされたというのです。ただ隔週に持たれる施設委員会で二、三遠慮しいしい発言されたくらいでは、なかなかもって功を奏さないと思うのです。この点いかがですか。
  18. 丸山佶

    説明員丸山佶君) お話通り赤城防衛庁長官時代におきまして、この太田大泉関係部門につきましては、地元要請、これが首都圏の指定ということにからみまして、ぜひ米軍から返還させよう、この方針のもとに対米交渉を開始しまして、まず大泉のキャンプを昨年返還させました。そのときに、今後引き続きの住宅地帯並びに滑走路の問題がある。まあこれらに対する話において、住宅地帯に関しましても、米軍が作ったところの住宅建物の処分をして返還する。それから滑走路に関しましては、先ほど来申し上げました通り、ほかに適当なものを求めてそこへ移して、この地帯一帯返還して地元要請にこたえる。このことの大原則日米双方とも了解しまして、従いまして、私どもとしてはこの最終的なものを急ぐ。すみやかにこの実現になる筋に進めて参ったわけでございまして、住宅地帯の大部分に関しましては、この五月に返還になる。あとまあ滑走路関係は、今のような代替場所の問題にしぼり、これもいろいろあったものを、集中的な一つのものに双方ともにしぼって、この結論を急いでおる。時期的には昨年の末に申し上げましたよりもおくれまして、はなはだその点は遺憾にたえないのでございますが、その筋によるところの施策を進めておりますので、先ほど来申し上げた通り、近いうちにこの結論を得るように努力いたしている次第でございます。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほど申し上げたのは、だいぶおくれてしまったので、A級の大工場進出を変更して他都市へ移ってしまった、この損害ははかり知れないものがある。ただそういうことだけでなくして、今後大体いつごろになると、責任をもって期日を明確にしないと、現地当局としても、今後の工場誘致準備、また計画が全然立たぬわけですね。大工場から進出方の申し入れがあっても、答えもできない、こういうことで、過去において大損害を受けただけでなく、今後計画も立たない。そういうふうに予定が立たないという点に悩みがあるわけです、現地としては。従って、ただ過去にこういう工場に逃げられたということだけではなくして、今後の計画が立たないわけです。大工場が移りたい、大体いつごろになると返還になるのか、そういうめどがなければ約束もできないわけですね。そういう点で、やはり三月からすでに七カ月もたっておる現在、やはりもうこ段階で最終的に全責任をもって期日を明確にすべきであろうと思う。この点はいかがですか。
  20. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) だんだんの御意見は全くごもっともで、しかも具体的に前長官、それから私になりましてからも、大体めどとしてこの程度ということで御答弁をしておりまする以上は、当然国会尊重の建前からしても、これが実現全力をあげなければならぬと考えております。  従いまして、私どもとしましても、ちょうど二、三カ月の、もうあと一カ月うちに最大努力を払わせまして、何としても一つ目鼻をつける。ただ、一つ了解賜わりたいのは、相手仕事でございまして、なかなかそれにおいそれと応じてくれぬかもしれませんが、しかし、それはわれわれの方の十分な努力によって説得をしていく、了解をさせていくというようなことで最善の努力をしますから、よろしく御了解を願います。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 相手のあることだから、あるいは思うようにならないかもしれない、そういう弱腰では、もう延ばされるのは明確になっておるわけです。そういうことでなく、必ず承知させる、必ず今回は通させるのだ、そういう必勝の信念がなければ、なかなかもってそういうへっぴり腰では通らぬと思うのです。  そこで、重ねてお伺いしますが、群馬県の神田知事が九月十二日に米軍司令部を訪問しておるわけです。そこでこういうことを米軍から聞いておるわけです。飛行場返還要請したそのことに対して、米軍側では、日本政府代替地あっせんしてくれるなら返還に応ずるという意味答弁があったわけです。そうだとすると、調達庁長官代替地幾つかのものをしぼって実現あっせんしておる、そういうこととちょっと食い違うのですがね。米軍代替地あっせんさえしてくれれば返還に応ずる、群馬神田知事にそういう意思表示をしておるわけです。調達庁長官はもうあっせんしておる。一体どちらがほんとうか、われわれはちょっと了解に苦しむ、その点を明確にしていただきたいと思う。
  22. 丸山佶

    説明員丸山佶君) これは別に矛盾でも何でもございませんで、代替地の問題が、代替地としてあげておるものが代替地になるかどうかという、そのやはり検討があるわけでございます。これが代替地として適当だ、このことにいろいろ技術的な面も含めての検討が集中しておるわけでございますから、別に米軍知事に申しておることも、また私が代替地にあげたものに対して双方検討を加えておることも、同じ意味のもとに話が進んでおると私は考えてよろしいものと思っております。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いや、そこはちょっとおかしいですね。米軍側では代替地あっせんがあれば返還するといっておる。調達庁長官は、今申し上げたように、代替地あっせんしておる。そうすると、あっせんしたが、米軍としては不満である。それではだめだということになるのですか。それで不満だから、それは代替地じゃない、そこのところがぼけておるのです。そこをはっきりさせていただきたい。米軍不満なら不満のように、次の手を打たにゃならぬわけですね。その点をはっきりさせていただきたいと思う。
  24. 丸山佶

    説明員丸山佶君) いわゆる代替地の問題でございますが、どこでも何でも、今そのようなものを投下する演習場代替地になるという問題でございません。やはりそれに必要ないろいろのその事態の、滑走路なりあるいはその周辺事情なりというものがそろいまして代替地たり得ることになります。従いまして、調達庁米軍とともに検討を加えておる土地が代替地としてなり得るかどうか、今検討を進めておるわけでございます。どこでも調達庁のあげたものは、向こうはこれは物量投下にこういうような意味合いで支障があるとかないとかいう検討も加えずに、それなら直ちにそこでいいんだということにはならない。従いまして、私どもとしてはその今の使用目的に従って、これなら適当だと思い、またその周辺事情から考えても、これならば今までのようなところの周辺に迷惑もかからぬと思うようなところと考えておるところをあげる。米軍もそのようなところをいろいろ考えておるが、日本側と話をあわせまして、それならばここが代替地として最も適切であるかどうか、その点を現在検討調査を加えておる次第であります。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今おっしゃったことは、八月十日、九月一日の当委員会でも同じような意味のことをおっしゃっておるわけです。それからどのくらいもうたっておるのですか。大体調達庁にもその道専門家が集まっておるわけですから、そういう方々が諸条件を勘案して、これならといういわゆる自信をもって幾つかの代替地の中の一つをしぼったと思うのですね。もちろん米軍でも専門的の視野からこれを検討するでしょう。そういうことは初めの段階ではあり得るわけですけれども、それからもうすでに相当期間がたっておるわけです。まだ検討中ということですが、そういう専門家がそろって、その程度のことがイエスかノーかわからぬはずがないと思う。そこのところがおかしい。それは結局遠慮しいしい交渉しておったのでは、幾らたっても実現しないと思うのですね。そこでお伺いしたいのは、一体先ほど防衛庁長官がおっしゃったように、もう二、三カ月うちの二カ月たったから、あと一カ月、これはほんとう最大限責任をもって確約できるかどうか、こういう点を重ねてお伺いしたいと思うのです。
  26. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) できるだけその線に沿ってこれは実現努力します。もし見込みのないものなら、赤城君のときにでも三月までとか、あるいはここ二、三カ月のうちにとか、期限を切って答弁するというようなことはできぬわけでございまして、十分誠意をもってやり得る可能性があるから日を切ったわけでございますので、努力をいたして参りたいと思います。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、大体あと一カ月くらいで何とか最大限努力をして実現したい、そういうふうに了解してよろしいのかどうか。
  28. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) そういうことでございます。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは最後に一点お伺いしますが、この前お伺いしたドル住宅の件ですが、もういよいよ防衛庁長官も大体一カ月で返還できるという見通しもあるように伺っておりますが、そうなると、ドル住宅が早速問題になるわけです。大蔵省管材局長おいでですか、この前お伺いしたら、そのことについては承知していないので、よく検討してお答えしますということですが、その後何らお答えがないわけですが、一つそのことについて明確にお答えいただきたい。
  30. 山下武利

    説明員山下武利君) この前お尋ねのありましたときに、私具体的事実を存じませんでしたので、御答弁を留保しておりましたが、その後調達庁当局にもお伺いしまして、いろいろと実情を調べましたところでは、ドル住宅の中で、一部日本人が買い受けているものがあるということでございます。ただし、これは米軍から解体撤去条件にして買い受けたというふうに聞いておるわけでございます。大蔵省といたしましては、米軍に提供いたします財産が返って参ります場合、その上にドル住宅があります場合には、これは原則として国有財産に帰属いたすわけでございます。すでに提供中にそのものが民間に所有権を移しているという場合には、これはすぐに国有財産になるというわけではございません。その点返還になる前に撤去をされるもの、かように期待しておるわけでございます。太田大泉の場合にもそういうふうに処理されるものと、かように考えておるわけでございます。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは調達庁もそれに関係あるわけですが、これは前橋調達事務所長から太田市市長にあてて、契約書の内容についての報告があったわけです。これによりますと、契約物件として太田大泉飛行場及び住宅地区内のドル支弁により建設された住宅五十六棟(百五戸)及び建物の土台から五フイート以内の付帯設備、こういうことですね、これは撤去条件が明確になっているのです。契約物件は、契約の日より百二十日以内、その日は三十五年四月十四日までに撤去すること、こういう条件まで付しておるわけですね。ところが、現在ほんの一部を撤去しただけで、まだ大部分がそのまま解体されずにいるということ、これは一体どういうわけなんですか。これは調達庁長官からもその事実に対してお答えいただきたい。こういう契約書まで入っておって、そうしてその日がもうすでに四月十四日ですから、ずいぶんたっているわけです。いまだに一部を除いて撤去がない。もう近く一カ月もすると飛行場返還になる。工場誘致、こういう事態になったとき、さっそく支障の起こる問題だと思うのです。この点を一つ態度を明らかにしていただきたい。
  32. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 今、先生もその契約で御承知の通り米軍はそれを売りますのに、解体撤去条件にいたしておるわけでございますから、当然その買い受けた者は解体撤去すべきであると私どもは考えております。これ関しまして、調達庁は契約の当事者ではございませんので、直接所有者にどうこう言う筋合いかどうかは知りませんけれども、少なくとも私どもは、この今の土地そのものの返還にあたって、米軍との間にそのようなことが支障になるということでは困りますので、私ども米軍に対しては、こういうことで撤去を条件に売り渡しているならば、早く撤去させるようにすべきである、この申し入れをして、それを実現させたいと私は考えております。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 非常に日程が詰まっておりまして、このことだけに時間がとれませんので、最後に要望を申し上げて質問をやめたいと思いますが、もう繰り返す必要もないと思いますが、防衛庁長官調達庁長官も、今度こそ国会の場で二度約束を破るかどうかという瀬戸際にきたと思います。そういうことで、この国会の場での約束一つ十分責任を持たれて、強い信念で、必ず一カ月以内には解決できるように、しかも、この問題は代替地にかかっておると思う。従って、調達庁はそれぞれ専門化を抱えておるわけですから、十分さらに最大限努力をされて代替地を早急に見つけ、米軍側にも確信を持たせ、施設委員会だけじゃなくて、十分一つ確約をされて、必ず一カ月以内には円満に返還を了するように、そうすることによって、現地当局では首都圏整備法に基づく工場誘致計画も立つし、準備もつく。過去の物心両面にわたるはかり知れない損害損害として、今後大工場を誘致することにおいて過去の損害を補償したい、こういうふうな決意を固めておるようでありますので、さらに重ねてこの問題については、文字通り最大限努力をしてほしいということを強く要望申し上げて私の質問を終わります。
  34. 横川正市

    ○横川正市君 長官にちょっと事前にお伺いいたしたいのでありますが、たとえばこの現地の司令官と、地域の住民ないしは地域住民の代表と協約、協定書を結ぶ場合、長官はそれぞれ関係の了承を求めて結ばれるものと思うのでありますが、さようですか。
  35. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) その問題によるわけでございまして、現地の司令ないしは駐屯隊長等において、権限内のことは当然その職務の責任において契約をいたしますし、権限外のことにつきましては、上司の指令なり了解なりを得て契約を結ぶ、そういうわけでございます。
  36. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、これは北海道の島松演習場の航空隊の射撃演習に関する地域住民の陳情を、現地の千歳司令官——司令官の名前は入っておりませんが、司令の捺印によって協定書が結ばれておるわけですが、その内容は、騒音等によって起こってくるいろいろな経済的損失とか損害等について、これは協定によりますと、具体的な数字が出れば、二カ月以内にこれらのものは一切補償され、支払われるというような協定書なんです。私はこれは現地の司令官と、それから地域の住民ないしはその代表者との協定書というよりか、本来ならば、これは防衛庁本庁の、まあ何かその付属書といいますかね、そういうものをつけてやるべきではないかというふうに思われるわけでありますが、まああの司令官が委任を受けておれば、もちろんこれは有効だと思うのでありますが、この点は大体その範囲内ですか範囲外ですか。
  37. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) この問題は現地の司令官に委託をしておりまするが、本庁からも人を直接派遣いたしまして、そうして本庁と司令官を十分打ち合わせの上で契約をしておるわけでございまして、本庁の方でも承知をいたしております。詳細につきましては経理局長がおりまするので、答弁いたさせます。
  38. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) ただいま長官からお答えのございましたように、地元でもって損害、損失が起きました場合には、地元その当該部隊内において損害額の算定を行ないまして、そうして本庁に対して上申をして損失の補償をする、こういう手続になっております。従って、今度の島松の問題につきましては、現地の隊司令と地元との間に契約が結ばれておるのでございますが、しかし、こういう事例は各地にございますので、全国統一をはかる必要がございますので、本庁からも人を出しまして、そうしてその協議の中に加わっております。
  39. 横川正市

    ○横川正市君 この種の協定を結んでおります現地の状況というのは、まあ一応問題はスムーズに解決をいたしております。ですから、私はこの種のものが協定された場合には、遅滞なく協定に従って契約を履行する、こういうことが必要なんじゃないかと思うと同時に、実はこれと同じような問題になるのだと思うのでありますが、ただ種別が違いますが、島松の補給処、それからもう一つは、あそこはたしか機械化工兵大隊かが沿線にずっと駐屯いたしております。そのまた、ちょっと川の名前、今調べておりますが、あまりはっきりいたしません。柏木川という川だそうであります。これは川の質は、大体わき水と、それからまあ普通の河川の要素と二つを持っておりまして、ここに澱粉工場を設立したときは、この川の何といいますか、水の質といいますか、それをまあ唯一の澱粉工場工場施設をするときの条件として工場が設立された。そのされた今までのこの状況をずっと見ておりますと、非常にまあ優秀な質の澱粉が製造されて、そうしてそのために、大体この販売先は森永とか明治というような、乳業の嗜好品を生産する工場へ一括納品をしておった、こういう種類の工場なわけです。ところがその川が、現在島松や、あるいは、その他の駐屯基地から水洗便所の汚水、それから炊事のまあ汚水ですね。これが流れて入って、これができましてから著しく品質低下を来たしてしまう。ことにひどいのは、大腸菌の未処理のものが入っておって、澱粉の等級といいますか、これに大きな影響力を持っておる。あるいは色が、これはもう真っ白ということになるわけでありますが、それがまあ黄色い色をしておる。黄色いというのは、何も糞尿が混ったから黄色いのじゃないと思いますが、やっぱり水の質によってそういうものになるというので、この点について、第一には、この川上への工場移転の補償問題、それから第二には、澱粉価格の等級下落による価格補償の問題、二つの問題が現地では提起されておると思うのです。でまあ直接的には私はこの騒音のようなものによって起こる被害については、ある程度積極的な何か協定書を結ばれておるようですが、間接的にこの種のものに対しては、あまり熱意を示されておらないのじゃないか。現地ではたびたびこれは要求をしておるようなんですが、これに対して現地の司令官も、おそらく上局へこれを上げておるのか上げていないのかわからない程度の始末のしようじゃないか。これは一つの具体的な例でありまして、おそらくこの種のものはたくさんあると思いますが、長官としてこの種のものをどう処置されようとするのか。ことにこれは住民の生活権の問題に関係することでありますから、この点をはっきり一つ具体的に方向を明らかにしていただきたいと思います。
  40. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) この問題につきましては、本庁の方に上がってきております。それから、また私が先般北海道の方面総監部を視察いたしましたときにも、方面総監から詳細に聞いておるわけであります。ことに自衛隊が国民的信頼を得ていくという建前からいたしましても、こういった問題はきわめて慎重に、しかも住民の意向を十分くんで、調整できるものは調整していくようにということで指令もいたしておる次第でございます。従いまして、目下の状況は、当庁におきましては、排水溝、それから浄化槽の施設を設置するかどうか、または管理の瑕瑾があるのかないのか、こういった点を十分調査いたしております。それから流水汚水浄化のための滅菌等の行為に何かあやまちがないかどうかというような点につきまして、本庁の方からも人を差し向けて調査をいたしております。結論的には、賠償責任を負うかどうか、その事実の関係調査しておるというのが現状でございます。
  41. 横川正市

    ○横川正市君 ここに表があるわけですが、この表によると、設立当時からの鮮度といいますか、品質の点からいきますと、大体一等澱粉ということで生産されておりまして、価格についても、大体市中の相場価格を維持して生産されておる。ところが、あそこに補給処その他ができてから急激に品質の低下を来たし、しかもそれは今のように、色とか大腸菌とか、こういうことで、一括購入先から品質の点で相当きびしい選択を受けておる。こういったことになりますと、これは今長官陳情を受けて後にどうこうということになったのか、あるいはその前からやっているのだが、事実上問題の所在が自衛隊にあるのか、あるいはその他の原因にあるのかということで、具体的な結論が出ていなかったのか、いろいろな理由がつけられると思うのです。しかし、それにしては非常に大きな経済的損害を与え、工場としては経営それ自体にさえ相当問題を起こしつつある。それからもう一つは、ここは今盛りですね、大体北海道は今イモをとって澱粉の製造をするわけですから、そういうものを目の前にしながら解決が遅々として進まないということについては、私はこれは調査をしていますよと言われただけでは、ちょっと了解しかねる。しかも、相当長い年月を費して陳情が続いておったようでありますから、もう少しあなたの性格上も、それから年令からいっても、こういった問題は的確に解決してしかるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
  42. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 先きほど申し上げた通り、大いに努力しておるわけでありますが、正式に申し入れのありましたのは八月の下旬でございます。従いまして、九月に入ります早々から今日まで調査をしておるというわけでございますので、期間的にはそんなにじんぜん日を過ごしておるというわけでもありませんので、御了解願いたいと思います。
  43. 横川正市

    ○横川正市君 私は、時間的なものを今ここでとやかく言っても仕方がないので、問題は解決されるかされないかが問題なわけですから、事態はやはり品質とか、あるいは価格とか、それから製造過程のいろいろな変化とかいうものは明らかなわけでありますので、そういうようなものが明らかである場合、私はもっと的確に処理されてしかるべきだと、こう思うわけですが、長官調査調査ということで、調査に重点を置いておりますが、解決は一体どうなされるのか、この際はっきりしておいていただきたい。
  44. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは排水溝を作って、それによって事足りるものか、あるいはまた一歩を進めて浄化槽を作らなければならぬのか、いずれにしましても、そういった基本的な調査をしておるわけでございます。それから、また流水汚水の浄化のために滅菌をするわけですが、これなどについてもどの程度にしておくのか、金に糸目なくいろいろな施設をすれば一番いいわけですが、そうも参りませんので、できるだけ一つ工場側に迷惑のかからぬ姿で最善の措置を講じたい、こういうつもりで研究調査をさせておるというわけでございますので、御了承を願いたいと思います。
  45. 横川正市

    ○横川正市君 すみやかにその点で解決されるとして、今日以降の問題なんですね。今日までの損失被害等については、どのようにお考えになっておりますか。
  46. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 今日までの損害額については、会社側の方では、大体一千八百万円程度という見積りを出してきておられますが、私たちとしましては、この損害額が、はたして実損額として確認できるものかどうかという点についての調査、あるいは損失の補償は、御承知のように、民法の不法行為、国家賠償法による損失補償の規定によりますが、その澱粉の品質の低下と、自衛隊の流出する汚水との間に因果関係があるかどうか、それから将来の問題といたしましても、はたして工場の移転をしなければ、将来こういう損害は避けられないものであるか、あるいは現状の場所においても、何か自衛隊側における施設の改善によって、設備移転をしなくてもやっていけるものかどうか、そういう点についての調査を現在現地においていたしておりますので、この調査の結果によって損害補償すべき損害がはっきりしましたならば、当然これは補償すべきものと考えております。
  47. 横川正市

    ○横川正市君 補償すべき結果が現われてきたら補償すべきだというのは、これはあたりまえなんじゃないですか。そうではなしに、私は、これは工場の設立から、それから生産段階に入ってから年月を経てあそこに自衛隊の駐屯地ができたという、その歴史的な経過の中で工場の被害というものは出てきて、これが陳情とか要求とかになってきておるわけですから、この点、やはり第一には調査をすみやかにするということと、長官の言ったように、対策を立てるということと、事前の損害をどうするかということを的確にやらないと、実際上これは大腸菌の入った澱粉を食わされる。おそらく本州まで移出されるということになると、ゆゆしき問題ですよ。それが生産段階に何らの手落ちもないのに、流出されるそういった駐屯地の人たちの持っておりますいろいろなそういう雑物が入っておるなんということになれば、これはやはり、できれば私はもっと被害の少ないところの上流へ工場移転の処置をとってやる。これはその川の質がいいから澱粉工場が建ったのであって、その質が悪くなれば、これは当然移転をして対処するというのは当然なことなんです。しかし、いろいろな措置をとれば現在であってもやれる。その措置の取り方が形式的には安く上がるということならば、この措置も私はいいと思います。そういう事前、事後、それから今までの損害に対する補償というものは、もう少し的確にやってもらわないと、大へんこれは大きな問題になるのじゃないかと思うのですが、小さな工場や何かで作られる嗜好品などにダニがいるとか何とか、全国的に大問題を起こしているわけですから、小さな工場だ、町工場だということで放任できない問題だと思うのです。よって来たる原因が、駐とんされているいろいろな事情にあるのだということになれば、私はもっと的確にあなたの方で問題を処理しないと、やはり自衛隊だからそういう損害に対してはどうも少し甘やかし過ぎるのじゃないかということになりかねないと思うのです。今日われわれは調査をしていますとか、欠陥があれば被害に対しては賠償しますということではなしに、現実にその問題が、おそらく短期間に出る問題だと思う、この調査というものは。そうしたらそれに対してどう対処しますと、これをはっきりと一つしておいていただきたい。
  48. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これはお説の通りでございまして、やはり賠償責任を負うという結論が出れば、応分のことはしなければならないことと考えております。
  49. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと速記をとめて下さい。
  50. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  51. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記を始めて。
  52. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はこの際、ロッキードの国内生産の問題について質疑いたしますが、そういう防衛問題を論ずる前に、私は前提とし防衛庁長官にぜひとも聞いておきたとことがある。そのあなたの答弁次第で私の以下の質問の展開の仕方を変えなければならぬ。ということは、長官は非常にお若くて優秀です。そうして頭の回転がよくて、非常に行動力もあるという点については、私は敬意を表します。しかし、新安保体制下になって、日本防衛の問題が質的に変わろうとしている。こういう段階になればこそ、あなたが所管している自衛隊そのものは、憲法との関係においてはどうなのか、あるいは自衛隊に対する国民の眼、感情というものは、それぞれ人々によって相違があると思うのです。従って防衛庁長官の言動というものは、きめこまやかであり、私は慎重でなければならぬ点があると思う。しかし、あなたが活動的であり、頭の回転が早いだけに、私はかなり勇み足の傾向があると感じておるのです。  そこで私は具体的に例をあげまして、あなたに非常に重要な根本問題としてお伺いしたい。その重要な問題というのは、この十一月一日に自衛隊の記念日が行なわれる。あなたはこの記念日に天皇陛下の観閲を受けたいという申し入れを、宮内庁長官から体よく一応お断わりされた。ところが、引き続いてあなたは、できるだけ近い機会に天皇の観閲を受けたい、こういうことをお考えになり、また発表されているようです。このことは私は相当重要な問題だと思うのです。それは申すまでもなく、日本国憲法第一条に、天皇の地位、国民主権という項目のところで、象徴ということをうたっております。そうして第四条で、天皇の権能、国事行為と国政権能の委任として「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。」こういうふうに規定されているわけです。それから、かりに天皇陛下の観閲を受けるとなると、今の自衛隊の法規規則も改正をしなければならぬ。御承知のごとく、自衛隊法施行規則の第十二条には、「儀式は、左の各号に掲げるものとする。」と規定をし、それから栄誉礼を受ける資格のある人を十三項目についてあげられている。その第一項目に「天皇」という活字があります。しかし、この十三条の前提には「栄誉礼は、栄誉礼受礼資格者が自衛隊を公式に訪問し若しくは視察する場合」云々と、こういう前提があるわけですね。そして天皇も内閣総理大臣も最高長官国務大臣も並列してあるわけなんですね。そこで、あなたが今構想され発表されているような天皇の観閲というものは、これらの法規からはずれると思う。で、天皇と自衛隊、この関係、天皇との結びつき、これらについては、旧憲法下における日本の軍隊と天皇の関係とは、かなり違うものがある。国民は相当これについては敏感に受けるものがあると思うのです。従って、あなたのお考えとその発表というものは、やや勇み足の私は傾向があると思う。その一方、あなたは津市において、自衛隊は憲法と矛盾するということを記者団に語られておる。自衛隊は実質的には軍隊であることは間違いない。憲法も自衛隊の戦力は許していると解釈しているが、矛盾を感じていることは事実だ、憲法は改正すべきだと思う。こういう談話を津市において発表されておるわけなんですね。こういう点、先ほど申し上げましたように、あなたが行動力を持っており、頭の回転が早いという美点はあるのだけれども、やや防衛庁長官としては、国民感情というものを軽く見た勇み足的なところがあると思う。新安保体制下に入っているだけに、国民への影響性というものは、非常に大きい問題だと思うのです。私は、まずこの問題についてのあなたの所見を承って本論に入りたいと思う。
  53. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ごもっともなお話でございまするが、実は、天皇の観閲の問題につきましては、きのう読売新聞に出ましたのが初めてだと思います。そのほか、何か囲みものの記者席式のものでいろいろ触れておる向きがございまして、これは宇佐美宮内庁長官話し合いをしたことはございません。で、実は十一月の一日が自衛隊の十周年でございます。これには、政府ならば総理を初め各閣僚、それから国会ならば両院の議長を初め各議員さん方をお招き申し上げておることは例年の通りでございます。そこで、天皇の観閲の問題についていろいろな議論が出て参りましたのは、先般皇太子が訪米をいたされましたときに、ハワイあるいはワシントン等におかれて、米軍の儀仗隊に対して閲兵をなさっていらっしゃることであります。そういった問題がありますことから、しばしば新聞記者諸君から、外国の軍隊は、皇室において——これは天皇陛下あるいは皇太子、どういうふうに置きかえてもけっこうでございますが、閲兵はなさるが、国内においては全然自衛隊の視察はもちろんのこと、閲兵もなさらない。こういうことについては君はどう考えるかというような質問がしばしばございましたので、そこで、私は自衛隊ももう十年になったのだ、それにまた陛下は、今、矢嶋議員御指摘の通り、憲法に国民の象徴であり、同時に国民統合の象徴でもある。それは主権者であるところの国民の総意に基づくものである。こういう条章もありまするから、国家公務員でありまする以上、陛下が警察官のたとえば式典にお出かけになるとか、あるいは消防士の式典にお出かけになるとか、自治庁が発足すればそのお祝いにおいでになる。あるいは厚生省において何かそういった催しごとのあるためにおいでになるというならば、われわれ自衛隊においでいただくことも、当然国家の公務員として願わしいことであるし、望ましいことである。こういうふうに私は今日まで答えて参ったわけでございます。この考え方においては、私自身はただいまでも変わりはございません。それじゃ十一月の一日に陛下をお招きして、記念行事に観閲式をやるか、このことについては、具体的にまだ話をしたものでもございませんし、別にそれに対して、内々にしろ、あるいは公にしろ、工合が悪いとかいいとか、そういうことを交渉しておりませんので、全然ないわけでございます。  それから津の問題でございますが、これは私は、私自身も新聞記事を見まして、これはどうも困った記事を出してくれたものだというふうに思いまして、実は御指摘の私の勇み足というより、若い記者の勇み足ではなかったか。ということは、それほどの重要発言ならば、他の新聞も当然載せるはずでございます。あれはたしか朝日新聞だったと思いますが、朝日新聞は、東京のは私はまだ見ておりませんが、中部地区に配達されるものが一段見出しで出ておりました。これはだんだん見て参りますというと、現在の憲法において自衛の戦力というものは認められているから、自分は現行憲法においては、この今の何といいますか、自衛隊ないし防衛庁の存在というものは、何ら差しつかえがない、これははっきり言い切っているわけです。それから、しからば憲法改正についてはどう思うかというから、自分は今内閣において憲法調査会が設けられて、この取り扱いをどうするかということについて研究しているから、政府の大臣としては、憲法調査会の結論を待つべきだ、こういうふうに考えるが、あえて個人的見解をというならば、私は特に個人的見解をというならばと、こういう前提のもとに、私は憲法は改正すべきだという立場をとるものである、こういうことを言明をしたので、それが直ちに防衛庁や自衛隊の問題について矛盾があるから改正しなければならんなどということは、これは重要な問題であるから、一言半句も申した覚えはございません。もしそうだとすれば、これは今の地方局の若い記者の人の聞き違いではないか、こういうふうに考えておるわけでございまして、今申し上げた通りが私の言明でございます。
  54. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私の本論の質問に入りますが、その前に、私は特にこの点については要望申し上げておきます。それは特定の日に、各種の自衛隊の部隊を特定の場所に集められて、そうして天皇陛下の観閲を受けるという、このことについての国民への影響、国民の受け取り方というものは、私は種々さまざまだと思うのです。もっとも憲法と自衛隊の関係というものは、国民の深刻にして広範な論争点になっているわけですからね。だからこの点については、今憲法との関係を述べられましたが、私も意見がありますが、きょうは本論ではないから触れません。従ってこういう問題については、十分一つ慎重に御研究の上御検討されるよう、強く要望します。若い新聞記者の勇み足とあなた言われますけれども、中にはそういう人もあるかもしれませんけれども、しかし、記者諸君というものは、発言する人の心の中までも洞察をし、眼光紙背に徹するような態度において責任取材をするわけですからね。だから、こういう記事が出たことは、大臣諸公が一方的に、これは若い記者諸君の勇み足だ、自分の発言とは無関係だというようなことで事に臨まれては、一国の国務大臣ですからね。非常に影響性が大きいわけですから、慎重な態度を特に要望して本論に移ります。
  55. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ちょっとすみませんが、誤解があるかもしれませんから。今の若い記者諸君といいましても、これは非常に優秀なりっぱな人が多い社会でございます。ところが、地方に参りましたときに、全く無責任に書かれることは、われわれこそいい迷惑でございまして、これは記事になるような話をしておるならば、私にして今あなたにはっきりお答えした通りの考えを持っておるわけですから、あのあたりには中部日本新聞を初め、相当部数を出しておる新聞がこれを取り上げないわけがありません。のみならず、防衛庁長官たる者が、現在の自衛隊と憲法が矛盾しておるなどと言うことは、これは非常に重要発言でございます。
  56. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたはそういう気持を持っている、腹に。
  57. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) それからもう一つ率直に言うならば、何もことさら選挙の前に、いわゆる自民党の党員でもある私が、そういうきわだった言い方をする必要はさらにないわけでありまして、この点は一つよく御了解を得ておきたいと思います。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 日本の政治家は、特に大臣諸公は、院内ではなかなか発言をしないが、旅先に出ると非常にくちびるがほころびるものですよ。そして、つい本音が出る。これが一番悪い癖だと思います。あなたというわけじゃないですよ。  そこで、本論に入って伺いますが、時間がありませんから項目的に伺って参りますから、答弁は簡潔に要を尽くしていただきたいと思います。  第一番に、防衛庁と三菱重工との契約はできたか、契約をしたか。この契約をする前に、主生産の新三菱と、副生産の川崎との割合等をきめると、前に本内閣委員会において答弁しておりますが、それをきめたかきめないか。きめないとするならば、いつきめるか、お答え願います。
  59. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 政府委員から答弁させます。
  60. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 三菱と防衛庁とは、まだ契約を結んでおりません。これは多分来年の三月になるんじゃないか、かように考えております。それから、なお契約前に三菱と川崎との配分をきめなければならぬ問題がありますが、まだ決定いたしておりませんが、近く両者話し合いまして防衛庁の承認を受ける、こういう段取りになっております。
  61. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 前の委員会においては、二百機生産に伴う歳出計画はそのうちにきめるという答弁をしておりまするが、歳出計画はきまったかきまらないか。きまらないとするならば、三十六年以降四十年までの歳出計画を、数字をもってお答え願いたい。
  62. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 三十六年度の歳出計画は、大体大蔵省との間に話はついております。
  63. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 幾ら。
  64. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) それ以降のは、まだついておりません。正確に申しますと、三十六年度の歳出は五十七億七千二百万でございます。
  65. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 従来の質疑では、搭載機器等が米決定であるから、最終価格は示されないということでありました。また、部分品を含んでの一機平均百三十四万四千五百ドルの内容については、契約以前であるから、西ドイツ並びにカナダヘの影響を勘案するときにロッキード社との儀礼上発表できないといって、私の質問答弁しておりません。現時点においてF104Jに搭載する機器は決定をしたかしないか。したとするならば、一機平均生産価格は幾らになったか、お答え願いたい。
  66. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 104に搭載します機器は、大体きまっております。これはまだ少し検討の残っている部面もありますが、大体決定いたしております。なお、その価格につきましては、総予算の範囲内で、一機当たり平均百三十……
  67. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 幾ら。答えて下さい。
  68. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) ちょっと計算いたします。
  69. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 調べて来てくれるようにお願いしておったでしょう。
  70. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 百三十四万ドルであります。
  71. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちょうどですか。そんな基礎数字をまごついていては困るじゃないですか。
  72. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 百三十四万四千五百ドルであります。
  73. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その内容の細目は今まで答弁されていないですが、現時点において資料としての提出を求めたならば、提出されますか。提出を要請します。
  74. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) これは御承知のように、さっきも申しましたように、三菱との契約は来年の三月でありまして、予算のこまかい内容内訳は、今まだ契約前でありますので、発表を差し控えさせていただきたい、かように考えます。
  75. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 附属品を含む国産化率は何%でありますか、お答え願います。
  76. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) これは機体、部品につきましては、だいだい四割ということで現在作業を進めております。それからエンジンにつきましては、ノック・ダウン及びDJの部分を除きまして全部を国産する。それから通信機につきましては、大体大部分を国産したいと、かように考えております。
  77. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでトータルとして、金額にして国産化率は一〇〇のうちに幾らですか。
  78. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) これは、今トータルのうちでその分がどれくらい占めるかというのは計算いたしておりませんが機体、部品がトータルにおいて大体四割ということでお考え願いたいと思います。
  79. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 搭載機器のほうは。
  80. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 搭載機器は、今申しましたように、通信機、これが大部分国産ということに考えております。
  81. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 じゃ具体的に伺いましょう。それでは輸入するのはどういうものを輸入しますか。
  82. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 大まかに申しまして、輸入いたしますのは、DJ及びノック・ダウンとハード4、FCS、オート・パイロット、こういったものであります。
  83. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 六月二十八日に、搭載主要機器は国産から輸入に切りかえるという方針を転換されたように承っているのですが、この点はどうですか。
  84. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 搭載機器のうち、FCS、これは当初から予算上輸入として考えておりました。別にこれを国産から輸入に移したという経過ではありません。
  85. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 FCSにすると、オート・パイロット、それからエア・データ・コンピューター・コマンド・ラジオ、こういう主要な機器はこのF104Jの国内生産がきまった当時、日本防衛産業を育成する、国産することによって防衛産業を育成する、それによって日本の技術の開発もできるという大きな方針でスタートして、それで関連産業界としては、物心両面準備態勢を整えたのです。ところが、われわれの追及があった関係もありますが、付属部品を含まないで一機百十五万ドル以下に押えたい、これは昨年の十二月の時点における前防衛庁長官の確約だったのですね。この百十五万ドル以下に押える、それがことしの一月に百十二万八千ドルになったわけです。部品を含まない、二割の部品を含まないということになったわけですね、価格をあまり上げないため。そのために国産化率を落とす、国産すれば高くなる、それで最初はこの国産はF86Fの場合の七〇%のように、あるいは六〇%、七〇%国産化したい、そうすることによって日本の産業の育成に役立てようという方針でスタートしたのです、三年くらい前に。ところが、邦貨に直して一機五億円以下に押えたいという、上のラインを押えられたから、だから輸入を多くすることによって価格を押えたいというので四〇%になったわけですね、五〇%というのが。ところが、その後あなたは御承知と思いますが、カナダ並びに西ドイツ向けのロッキード開発のために金が要ったので、そこでアメリカの方で開発費を出せなくなった、それでアメリカのメーカーは値上げを吹っかけてきたわけでしょう、値上げを。それで値上げを吹っかけてきたから高くなる、で、国内生産率を下げなければ、先ほどあなたが言った百三十四万四千五百ドルというので押えられないので、主要な機器を輸入に転換をした、国産生産率が下がった、そのために国内生産を予定しておったメーカーの方々は大きな衝撃を受けた。それで、たとえば住友金属工業のごときは、こういう国内生産に転化したのでは採算がとれないというので、F104J用の脚の生産に協力をするはずだったのを断わってきたわけですが、通産省が周章ろうばいしたではないですか。こういうこの経過というものはどこから出てきているのか。だからこの結果としては、あなたがさっき私の質問に答えたように、総予算の範囲内でしたい、ところが、アメリカ側から値上げを吹っかけてくる。そうなるというと、性能の悪いこの機器を代用品で間に合わせなくちゃならぬというような事態が起こりつつある、そうしますと、当初あなた方が企図し説明されたF104Jの性能というものは変わってくる、その性能が落ちるおそれが私は出てくると思うのです。これらの点についてどういう見解を持たれているのか、お答え願います。
  86. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) さっきも申しましたように、FCSにつきましては、当初から輸入ということで考えておりまして、これを国産から輸入に切りかえたという、値段を押えるためにそういう経過をとったという経緯は全然ありません。当初からこれは相当高いものでありますのと同時に、膨大な試験設備が要りまして、二百機程度の国産ということでは、その試験設備の点から見まして不経済でもあるということで、その国産につきましては、これは当初から考えておらなかった次第であります。なお、値段を押えるために搭載機器の品質が低下するのではないか、かようなことであります。そういうことは絶対ないように今後も努力をいたしたい、かように考えております。
  87. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたの答弁はおかしいですよ、たとえばFCSのナサールにしても、赤城防衛庁長官は、かつて私にこういう答弁をしておるのですよ。ナサールについては、西ドイツ、カナダで開発したものにわが国で若干の改修を加えて採用するんだ、これは三十五年一月十二日に赤城防衛庁長官はそういう答弁をしている。その当時の予定した価格よりナサールは現在高くなっているでしょう。高くなっているか、安くなっておりますか。高くなっているでしょう。これの答弁を願います。そのために約一万五千ドル高く吹っかけられてあなた方困っております。そのためにレーダー・フォーミング・ミサイルは、ある程度あきらめなくちゃならぬという事態まで追い込まれている、いかがですか。
  88. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) ナサールは、前長官からも申しましたように、西独のものをさらに日本向けにこれを改良したものを現在でも考えております。それによってある程度値上がりするという傾向があるのでありますが、この点はできるだけ予算の範囲内でおさめたいと、かように現在努力いたしております。それによってレーダー・ミサイルが落ちたじゃないかということですが、レーダー・ミサイルは初めからこのロッキードの予算には載せておりませんでした。
  89. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そういうことはないですよ。最初からレーダー・フォーミング・ミサイルを採用するということを答弁しておりますよ。これはサイド・ワインダーは使うということを言っております。価格が値上がりしたためにこういうことがやれなくなったのでしょう、どうですか。そういう答弁をしております。
  90. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) サイド・ワインダーをつける装置はもちろんつけてありますが、サイド・ワインダー自身は、これを別途に買うつもりでありましてその予算は載っておりません。
  91. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 具体的に伺いますが、オート・パイロットは国内生産する予定であったのではないですか。今は国内生産しますか、どうしますか。
  92. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) オート・パイロット、FCSは、これは当初から国内生産の予定はいたしておりません。通信機と、それから機体、部品の四割、こういうふうに申し上げております。
  93. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは角度を変えて伺いますが、私が伝え聞くところによると、あなた方装備局と、それから航空幕僚の第一線では意見の相違を来たしておるということを聞いておるのです。その後値上がりになってきた、この方針で進んでいけば、おそらく十分のオーバーホールが国内でできなくなるだろう。十分のオーバーホールができぬようでは、いざという場合に軍の作戦に非常に困る、こういう強い要望が航空幕僚幹部の実践部隊の方からあなた方にある。それに対して装備局としては価格で押さえられて参るものですから、だからその期待に沿い得ずに意見の相違を来たしているということを伝え聞いているのですが、この点はどうですか。
  94. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) これはお説の通り、FCS等につきましても、国産いたしておきますれば、将来のオーバーホールのメインテナンスに非常に都合がいいというのは当然でございますが、さっき申し上げましたような事情で、当初から輸入に予定いたしておりまして、そのオーバーホールだけはこれはできるようにしたいということで、現在現地の会社といろいろ話を進めておりまして、この点は将来完全にオーバーホールはできるということに考えております。
  95. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次に伺いますが、F86F、それからT33A、これを国内生産する場合に、アメリカのメーカーと日本のメーカ、あるいは防衛庁、その間に、ある取次をする貿易商社が入りましたか入りませんでしたか。
  96. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 商社と申しますと、T33、それからP2V、これにつきましては、商社というのがどういう意味かちょっとわかりませんが、ロッキード・エアクラフトと、ロッキード・エアクラフト・インターナショナルという両方の会社がありまして、ロッキード・エアクラフト、これは生産会社であります。それからライ社と申しますが、あとの分はロッキードの販売会社でありまして、そういう意味の商社はT33及びP2Vの場合にも同様に中に入っております。
  97. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そのライ社は付属部品等を納入するに当たって、中に入ってきて、マージンは幾ら取ることになっていますか。
  98. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) ライ社からの申し出見積りは、これはベンダー部品下請けに出す分でありますが、そういうものについては二七%の原価見積りは出ておりまして、ただそれをそのままわれわれは容認いたしてはおりません。
  99. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その二七%のマージンというのは、F104J生産に関しての数字でしょう。
  100. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) F104Jにつきまして、そういうような見積りをライ社から出してきております。
  101. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それではF86Fの生産のときにも貿易商社が入ったというのは、その商社に対してマージンは幾ら払ったのですか。
  102. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) F86ではありませんで、T33、P2Vでありますが、これはやはり見積りとしましては、ライ社から大体同程度の見積りが出ております。
  103. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 実際には幾ら支払うことになっていますか。
  104. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) これはその見積りにつきまして、たとえばT33、P2Vにつきましては、川崎がLAIとネゴをするわけでありまして、最終的につきました分は、そのうちに何%が口銭で、何%が工場価格ということははっきりいたしておりません。向こうの申し出通りにこちらが考えておりますれば二七%を認めたということになりますが、それより値下げをいたしておりますのでその分いずれが何%であるかということは判然といたしておりません。
  105. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私が調べ、また聞いたところによると、こういう飛行機並びに兵器を売買する場合には、アメリカでも欧州のメーカーでも、その手数料というものは、平均五%から六%が普通だということを聞いている。ライ社というのは国際的に非常に信用の悪い会社ですよ。ロッキード・エアクラフト・インターナショナル、この社長はハルさんというのです。このハルさんというのは、グラマンからロッキードに変わる段階に、十何回も日本においでになった方です。一年の半分以上日本においでになって、赤坂、新橋かいわいで非常に活躍された。日本の政界にも非常に食い入ってこられた方です、ハルさんは。これほどがめつい業者はないというのが定評です。これはあなた方御承知の通り、かつて本委員会でも指摘された。西ドイツ、カナダがこのLAI社にやられたわけです。だから当初の予定よりは非常に高い生産費になって、西ドイツでもカナダでも苦慮しているのは御承知の通りでしょう。われわれがこの問題が起こったときに、その二の舞をしないようにということを。再三本委員会を通じて警告を発しておったのです。ところが、今になって西ドイツとカナダのわだちを踏んでいるじゃないですか。しかも防衛庁は、この国産、輸入の選択権をロッキード社に与えた。付属部品を納入するに当たっては全部このLAI社、ハルさんの会社を通して納入する。しかもそれは二七%の手数料を取る。こういう無法な取りきめというものはないと思うのです。御所見を承ります。
  106. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 外国商社の手数料が五%とか何とかいうことでありますが、これは純粋の手数料でありまして、二七%というものの中には、いろいろ梱包費用とか、あるいは検査の費用とか、あるいはまた輸送の費用とか、その他そういった実費的なものが入っておるわけでありまして、それが全部純粋のコンミッションというわけではありませんので、必ずしもこれが一般の手数料よりも不当に高いというようには私どもは考えておりません。なお、ロッキード社がいろいろそういった点につきまして、従来から価格についてあやふやな点があったということは、われわれも交渉の途中においていろいろ経験いたしたのでありますが、現在におきまして、その点はなお今後そういうことのないように、われわれとしましては十分注意をいたしたい、かように考えております。
  107. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたの答弁、私は了承しないのです。それでさらに聞きますが、付属部品等の納入は全部ライ社を通す約束になっているのですね。どうですか、それは。
  108. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) さっき申しましたようなFCS、オート・パイロット、そういったもの、及びDJノック・ダウン機、これはロッキード生産会社から買うものでありまして、これももちろんライ社を通ずることになっております。特にベンダー部品等につきましては、一々これを生産スケジュールに間に合うように、しかもこれはほとんどロッキード社のデザインのものでありまして、それを検査した上で生産スケジュールに間に合わせるということからいいまして、やはり経験のあるライ社にこれをやらせるということが、生産をスムーズに進める上からも当然必要であろうと、かように考えております。またライ社はやはりロッキードのデザインのものを扱うわけでありまして、そういう点からもわれわれが直接やるということはなかなか困難な事情にあるわけであります。
  109. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それで、国内で生産した部品は直接いきますか。ライ社を通しますか。一説ではライ社をやはり通すのだという話がある。
  110. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) これは国内で生産いたしますのは、大部分三菱あるいは川崎から下請に出すものでありまして、そういう分はライ社を通りません。ただ、今、矢嶋先生が申されたのは、あるいはこういうことがあるのじゃないかと思っております。ライ社が受けましたものにつきましても、その一部分につきまして日本に発注してくれないかという話があるわけでありまして、そういうものにつきましてはRAI社が日本に発注することも考えられるわけでありますが、現在のところまだその点はわかりません。
  111. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 では、ライ社が日本に発注した場合には、それはライ社を通して、ライ社が二十何パーセントのマージンを取る、こういうことになるわけですね。あなたは、このライ社を非常にカバーするような答弁をしていますが、たとえば私、一つ例をあげて伺いますが、エアー・データ・コンピューターですね、これは最初アメリカのギャレット・コーポレーション・エア・リサーチで、ここに注文することになっておって、そして日本では島津さんがその協力態勢を作って生産準備をしておったというわけです。ところが、この付属部品の納入権を獲得したハル社長は、これを急にリットン社に変更した。そのためにエアー・リサーチはもちろんのこと、それに協力態勢をとった日本の島津さんも非常に迷惑したということが伝えられているわけです。どうもそれをさらに追及してみるというと、ライ社は、このエアー・リサーチよりもリットン社の方が中間利潤を取るのに都合がいいので変えたらしいと、こういうふうに判断される。ともかくこのライ社のハルさんという人は、国際的にも一流の認められたがめつい人なんですね。そのために、防衛庁の浦準備室長以下、アメリカに派遣された人は非常に交渉に苦労しているじゃないですか。こういう点についてはライ社に反省を促すし、これを進めていくにあたっては、これを私は再検討してしかるべきじゃないか、この点どうですか。また、日本防衛生産委員会の方から、次々にこういうふうに変更されては困るし、また、ハルさんに引きずり回わされすぎやしないかという立場からの抗議があなた方に出ているはずです。それから住友金属さんがF104Jの脚の生産を通産省にお断わりしたのも事実でしょう。従って、非常にあなた方は今周章ろうばいしていると私は判断しているのですが、これらの点について明確にお答え願いたい。
  112. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) エアー・データ・コンピューターにつきましては、今、矢嶋委員から仰せのようなことがありました。当初われわれがロッキードから聞きましたのは、エア・リサーチのものであったのであります。その後これをリットン社に変えるというようなことが情報で入りましたので、至急われわれは厳重にロッキードに申し入れまして、近くロッキードからも人が参りましてわれわれと交渉することになっております。でありますから、もしエアー・リサーチよりリットンのものがよければもちろんいいわけでありますが、値段を安くするために悪いものに変えるということがありますれば、われわれとしてはこれは重大な問題でありますので、厳重に抗議をいたしたい、かように考えております。また、当然変えさせたいと、かように考えております。それから住金も、前にそういった問題がありまして、一時辞退したいと、これは脚でありますが、脚の国産はしたくない、辞退したいというお話がありましたが、大体了承願いまして、住金の従来の工場でやっていただくことに現在決定いたしております。
  113. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 続いて伺いますが、あなたは価格は変わらない変わらないと言っているが、それではなんですね、責任持って答えていただきますよ、昭和四十年までに二百機を生産するというのですが、米側は七千五百万ドル負担する。そうすると日本の支出は六百九十八億五百八十二万二千円となっているのですが、これで所期の性能を持った飛行機が必ずできると、こう考えられているのですか。
  114. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) これは非常にむずかしい問題でありますが、五年間の問題でありまして、私としましては、当然予算の範囲内でやらなければならぬ、かように考えております。もちろんいろいろな経済変動もありますが、できるだけそういうふうにいたしたい、かように考えております。
  115. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 防衛庁長官に聞きますが、この生産に関する日米交換交文は。実は四月十五日に交換されております。これは米側負担としては七千五百万ドルというふうに明記されている。日本側の負担をなぜここに明記されなかったのですか。理由をお答え願いたい。
  116. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 向こう側の出す分につきましては、明記して義務づけて置くことが必要である。こちらの方は明記する必要がないということで、それで義務づけを十分確認する意味相手の額を書いた、こういうことであります。
  117. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その答弁はおかしいですよ。共同生産に関する日米両国間の交換公文ですよ。それを入れてないから、これができると同時に、ロッキードはしめたものだというので値上げを吹っかけてきたわけです。その後値上げの傾向が出てきて、心配しているのは事実でしょう。
  118. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) ただいま長官が申しましたように、日本側の負担額を入れませんでしたのは、これは予算決定前に交渉したものでありまして、両方の合意ができましたのは予算決定前であります。大蔵省では、さらに日日本側の負担分をある程度削られるのではないかということがあって、ここまではっきり日本側の義務を書く必要はないじゃないか、もし削れれば日本側も少し少なくしてもいいじゃないかということがあって、そういう表現方法をとったのでありまして、それをロッキードが、その額が協定書に書いてないからまだふやせるのだということは、日本の予算の制度を十分説明してありまして、予算にこれだけ計上してあれば、これが限度なのだという説明をしておりまして、そういうような誤解はないと思っております。
  119. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それではあなたは何ですか、当時予定した六百九十八億より金額は下がることがあっても、ふえることはないと、こう判断されてこういう交換公文の形にしたというのですか。
  120. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) これは米側と最終的にきまりました額はもう少し上でありまして、それを大蔵省といろいろ折衝しまして、少し下げております。でありますから、完全に米側と話をした場合のわれわれの考えた額とは、幾らか違っております。大体現在のところ、六百九十八億と七千五百万ドルの範囲内で私はやっていきたい、かように考えております。
  121. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 やっていきたいと考えているのは、それはそれでいいでしょう。しかし、この交換公文を調印して以後、搭載機器等の価格が当初の予想より上がりつつあるということは事実でしょう。どうですか。
  122. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) ある程度そういう傾向はあると思います。
  123. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 高く吹っかけられて困っているのでしょう。だから当時われわれは日米共同生産ならば、この交換公文の中に日本の負担金をはっきり書くべきだということを言った。ところが、アメリカの負担だけ書いて、こちらは書かない、だからその後次々と価格を引き上げられてきている。そうして周章ろうばいしているのじゃないですか。その結果として、国内生産を安くするために、ハルさんも都合がいいし、ライ社も都合がいいというので輸入の形に切りかえた。そうすると、日本のメーカーは、国産化率が下がるから採算がとれないというので断わってくる、それじゃ困るといって拝み倒して無理にやる。従って、当初よりは質的に落ちたものが使われるようになる。飛行機の形はできるが、でき上がった性能というものは、当初国会答弁したものと違ってくるおそれが多分に出てきたと私は思う。第一、一月に市ケ谷で日米両国が話したときに、あなた方は国会約束した百十二万八千ドルと言ったときに、アメリカの代表が、そんなことでできますかと言って、やられたじゃないですか。これは私は直接聞いている。それじゃできぬだろう、それで今でも装備局の一部の人は、付属品を入れないで百十二万八千ドルじゃできない、少なくとも百十五、六万ドルは付属品を入れないでかかるであろう、こういうふうに予想しているんじゃないですか。この点についてはどうです。
  124. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 値段を押えるために国産化率を下げるということは全然考えておりません。さっきも申しましたように、FCS等は、これは当初から輸入を予定いたしておりまして、通信機及びエンジンあるいは機械部品の四割、これはできるだけ四割は確保いたしたい、これは当然できると思っております。国産をそれだけ減らすということは考えておりません。また、それによって値段を下げるというようなことも全然考えておりません。むしろ私個人としましては、質を上げるために、さらに少し金がかかっても質を上げた方がいいんじゃないかというぐらいに考えているくらいでありまして、別に値段を押えるために、これはもちろん予算がありますから、そうむやみに経済を考えないで質を引き上げるということはできないわけでありますが、そのために、逆に質を下げるというようなことは毛頭考えておりません。
  125. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 資料として要求いたしておきますが、国産部品の名前を一覧表にしたものを資料として出していただきたい。それからこのF104Jを動かすに当たって、アメリカ空軍は付属品を二九%使っているわけですね。ところが、価格を五億円以下に押えるために、あなた方は付属品を二〇%、二割で計算しましたね。米軍でさえ二九%部品を使っている。ところが、こちらは二〇%、これについての第一線部隊は不安を持っているということを私は聞いています。これはやはり従来通り二〇%でいくのか、それで大丈夫なのか、やはりそう判断されているのか、これは念のため承っておきます。
  126. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) まず第一に、国産化部品の名前でありますが、当初に申しましたように、現在三菱、川崎及び防衛庁で、いろいろ国産化する部品のアイテムを検討いたしております。大体全部がそろいますのは十二月末になると思います。もちろんだんだん決定いたして参りますので、十月、十一月と順次決定して参りますから、決定のつど申し上げることはできると思いますが、まとめて全部四割部品についてすぐに出すということでは、ちょっと資料がととのわないのじゃないか。十二月になりますれば、大体全部どういうものを国産するということが結論が得られると、かように考えております。  それからスペア・パーツ、アメリカは二九%で、日本の場合は二〇%ということでありますが、これはもちろんわれわれとしましては、スペアはできるだけ多い方がいいわけでありますが、予算の関係もありますし、なお、アメリカ軍及びロッキード社の従来の経験等も聞きまして、大体二〇%程度あれば予備部品としてはいいじゃないかということで、われわれは二〇%を踏んでおるわけであります。
  127. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いずれこれは速記録に残しておけば、にっちもさっちもいかないときが必ずあなた方にきますから、そのことも考えてしっかり答弁しておきなさいよ。  次に伺いますが、この生産にあたって七千五百万ドル日本に援助するというんですが、これはドルでくるのかどうかですね。それから、国内生産に伴って日本から出るドルはどのくらいなのか。また今の時点に立って、その九百六十八億円以外に関連器材費、来年度はバッジ組織もやるようですが、関連器材費として予定しているのは、どの程度の金額を、今の交渉段階で数字をもっておられるか、お答え願います。
  128. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) アメリカから援助を受けます七千五百万ドル、これはドルとして日本政府にくるのではありませんで、日本側がロッキード社、あるいはその他のアメリカの会社から買いました分につきまして、アメリカ政府が直接払ってくれる、こういう性質のものであります。それからなお、日本側から七千五百万ドルのほかに、どの程度ドルとして流れるかということでありますが、これは大体見当でありますが、約八千万ドル程度米側から買わなければならないのじゃないか、七千五百万ドルのほかに、八千万ドル程度はドルの支出があるのじゃないか、かように考えております。
  129. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連器材……。
  130. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 来年度の歳出としまして、関連器材……
  131. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 来年じゃない。全部そろうまで全額を聞いているのです。九百六十八億以外に、関連器材が全部でどのくらい必要かということを、現時点において数字をつかんでおられるか。
  132. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) その点は、全部につきましてでありますと、今ちょっと計算いたしますから、しばらく御猶予願います。
  133. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大まかに言ってどのくらいですか。そういうのは、質問すると言ったら、ちゃんと数字を持って来なければいかん。今よく調べて答弁して下さい。  装備局長に伺いますがね、そのときどきに答弁が違うのは困るのですよ。七千五百万ドルについては、時によって答弁が違う。たとえば二月二十二日の衆議院予算委員会の淡谷委員質問に対して、二月二十二日ですよ、赤城防衛庁長官は、七千五百万ドルはアメリカが日本に金で渡すのだと、こういう答弁をしている。二月二十二日の衆議院予算委員会です。七千五百万ドルは日本にアメリカが渡すと答弁している。その後に、七千五百万ドルというものは、アメリカでライ社が物品を買うて、そうしてそれを幾ばくの価格の品物だといって日本に渡すようになってしまったのであります。だから、がめついライ社としては、ある社の品物を買って、それが百万ドルの価格でも、百三十万ドルぐらいな評価をするわけですよ、そうして形式的に国防総省に行って、判をついてもらって、それで、この品物は百三十万ドルの値打のものだぞといって日本に渡すわけです。こういうふうに変わってきたのです。だから七千五百万ドルというが、金でくるのじゃない、あなたが言うように品物でくる。はたしてその品物がライ社のやり方からいって、ほんとうに七千五百万ドルのものがくるかどうかというのは非常に問題です。こういうふうに変わってきた。こういう点についても、ライ社に引き回わされているじゃありませんか、ハルさんに。二月二十一日の答弁以後に変わってきている。日本としては八千万ドルが日本から出ていくわけです。アメリカから援助を受けて国内共同生産、あたかも非常に日本の負担は軽いようになっているけれども、ドルとしては日本からよけい出ていくようになっている。これは二月二十一日の淡谷委員に対する答弁のように、七千五百万ドルを現金でもらうようにロッキードと交渉しなさい、どうですか。
  134. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 七千五百万ドルにつきましては、これは米側交渉いたしましたときに、相当われわれとしましても問題にしたわけでありまして、日本側がロッキード社で買いました分を、米側が直接ロッキード社にドルで払ってくれる、こういう制度であります。その場合におきまして、その値段をどうするかという問題でありますが、これは日本政府と、それから米空軍及び三菱が十分調査をいたしまして、ロッキード社と十分協議をいたしました上でやはりきめるわけでありまして、日本政府の値段の承認を得なければ、米国政府は払わない、こういう建前になっておるわけであります。
  135. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 赤城さんはどうしてこういう答弁をしたのか。その後どういう事情があって変わったのですか。
  136. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 日米交渉の場合におきまして、大体そういう方向でいこうということにきまっておったのでありますが、七千五百万ドルを、二つのやり方がありまして、従来は米政府が直接物を買って日本に供給する、こういうやり方をやっておったわけでありますが、今度の場合におきましてはファンドといたしまして、米政府といたしまして、その分の使い方は日本政府にまかせる、こういうような制度にしたわけであります。この意味におきまして七千五百万ドルを日本にくれる、こういうふうに長官から御答弁したと、かように推測いたします。
  137. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 相手はハルですからね。ライ社なんですから、よほど注意しないと私さっき言ったような結果になりますよ。だからあなた方市ケ谷でもがんばったけれども、ついにハルの政治力にやられたわけです。この点も変わってくる。さっきの関連器材費は幾らになりましたか。
  138. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 三十五年度の国庫債務としましては約十七億、それから昭和四十年度までに、なお七十億程度関連器材としてわれわれ考えております。この中にはバッジは入っておりません。
  139. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 バッジは入っていない……。バッジは幾らですか。
  140. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) バッジは現在いろいろ調査いたしておりまして、正確な見積りは今出ておりませんが、現在まで二百億以上かかるのではないか、かように考えております。
  141. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 二百億以上かかる。シミュレーターは七十億の中に入っていますかいませんか。
  142. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) シミュレーターは入っております。
  143. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 七十億の中に入っていますね。そこで時間が参りますから結論に参りますが、グラマン、ロッキードの問題のときにずいぶん論議されたわけですが、ついに源田報告は公表されなかったが、この時点になれば源田報告は公表されてしかるべきだと思うのです。防衛庁長官、源田報告を公表した方がよろしいと思いますが、新長官に伺いたい。
  144. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) お説でございますが、内容に機密の部分が相当ありまするので、現在の段階ではいまだ出せないと、こういうふうにわれわれ考えております。
  145. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 機密の部分とは何ですか。
  146. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 米軍側の機密でございます。
  147. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 米軍側の機密というよりも、日本側の機密があるのじゃないですか。米軍側の機密を抜いた形で公開されたらどうですか。たとえば、伺いますが、今の時点についても、滑走路は八千フィートでけっこうだ、これ以上滑走路を延ばす考えはない、前防衛庁長官答弁をそのまま了承しておいてよろしゅうございますね。
  148. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 滑走路の本体につきましては、前防衛庁長官が答えた通りでありますが、長くなるものなら、それはなお理想的であろうかと考えます。
  149. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 長くなるものでなくて、八千フィートで十分だという答弁をしておる、それには間違いありませんね。技術的に八千フィートで十分だという答弁をしましたが、間違いありませんか。
  150. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 現在の技術的理解では十分だと考えております。
  151. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 源田報告にはそういうことを書いてないということが最近わかっておる。源田報告では、メートルに直した場合に三千メートル必要だということが書いてある。すなわち一万フィートをこえる。ところが、滑走路八千フィートでいいというのは、ロッキードをきめるのに一番大きな要素になったのです。ところが、源田報告にはそうは書いていない、加藤さんどうですか。
  152. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 源田報告の中で、滑走路一万フィートという、これはちょっと私思い当たりませんです。
  153. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 メートルにして約三千以上、その点だけでも公開する考えはございませんか。防衛庁長官に伺います。
  154. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私もまだ詳細を実は見ておりませんが、これはさっそく一つ責任上見ておきたいと思います。今、加藤防衛局長の話によれば、そういう数字的なものは見当たらない、こう申しておりますので、御了承願います。
  155. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは公表できないというわけですな。そこの部面だけでも見せていただけませんか。
  156. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは米側話し合いをしまして秘密にした問題でございまするので、今ここでにわかに答弁できぬことを残念に思っております。
  157. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 江崎長官、新長官になって引き継がれたわけですがね、この問題は再検討されてはいかがですか。というのは、この経過から考えてみると、日本の技術開発、防衛産業の育成、こういう立場から国産計画を立てたわけですね。ところが、その国産計画というのはだんだんと後退していったわけですよ。そしてまあ四〇%程度というのですが、それがさらに後退しつつあるので、非常に期待しておった軍需産業界、関連産業界では、非常に衝撃を受けているわけです。だから通産省なり防衛庁の装備局あたりに防衛生産委員会から、抗議といいますか、希望、申し入れといいますか、そういうものがあっているはずなんです。それから第一に問題は、ハルという人物ですね。これは国際的に評判が悪いのです。西ドイツは徹底的にこの人にやられたのだから。この人にひっかき回わされているわけです。それで浦さんという代表が向こうに行って、五億円以下で所期の飛行機を作るために交渉に行って、非常に苦労をしたわけです。それらの結果が、今や装備局と航空幕僚監部との第一線の意見の相違が出ている。第一オーバー・ホールのできるような飛行機を持ってきてどうするのか、こういうところにきている。ハルなる人物は、グラマン、ロッキードの問題のときの大きな黒幕であったわけです。それはあなたも御承知の通り政府与党の首脳部で、ハルさんに会った人というのは多数おるわけです。三菱、川崎にしても、ハルさんに会っておらぬ人はおらぬ。新橋や赤坂あたりの一流料亭のおかみに聞いても、ハルさんの顔を知っていない人はおりませんよ。それほど有名な大きな存在だったハル氏が、これはとにかくさきに装備局長はとやかく言っているけれども、二七%の手数料を取って、しかもそれは全部ライ社を一ぺん通さなければならぬ、しかも日本のメーカーに作らせた部品でもライ社の窓口を通さなければならないというふうに、ハルさんはそういう権限をとってしまった。だから、彼は値をどんどんふっかけている。今のままでできるとして九百六十八億でしょう。この二七%は実に二百六十億円ですよ。ロッキード・エアクラフト・インターナショナルというのは単なる一つの商事会社、貿易商社なんです。取り次ぎだけなんです。世話役なんです。それをこの二百機だけで二百六十億円ですよ。その一割がかりに日本の政界に流れてきたというならば実に二十六億円ですよ。一割で二十六億円、一%で二億六千万円です。それが日本のどこかに流れてきているらしいというもっぱらのうわさなんです。うわさだから私は人の名前と金は言いません。しかし、私に入った情報ではある人に百万ドル行った、ある人は、その百万ドルを受け取ったのをやや脅迫して五十万ドルもらった。こういうような名前と数字が来ている。これはうわさ程度ですからここでは名前をあげませんが、しかし、このロッキード、グラマンの騒動、これは防衛庁の中でも大問題になったわけですね。そしてハルさんがその中に入ってきて二七%の━━私は当初二五%と聞いておったら、最近二七%というから、きょう聞いてみるとやっぱり装備局長も二七%と言う。これは防衛庁の内部で問題になっている数字で、二百六十億円、その一%で二億六千万円ですからね。今や総選挙を前にして、これらの金というものは非常に注目を浴びているところなんです。こういう問題等を考える場合に、このF104Jの性能関係の問題もありましょうが、日本の関連産業にいろいろの衝撃、影響を与えています。それら等も勘案し、またライ社との商取引という立場からも、これは再検討をされたらいいじゃないか。その前提にさらに国防政策の問題等ありますけれども、このF104Jの国内生産の問題にしばっても、国内生産量、それからその価格への影響、ひいては性能の低下、国内でオーバー・ホールができるかできぬかという問題ですね。それからハル社長のライ社の二七%のマージンの問題、こういう問題等を十分再検討されてしかるべき要素を持っていると思いますが、防衛庁長官の御所見いかがですか。
  158. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) だんだんのお話でございまするが、二七%の手数料につきましては、さっき装備局長からも申しておりましたように、それが荷作り費であるとか、あるいは運賃であるとか、その他多数の下請工場に出したものを総まとめするいわゆるあっせんの手数料ということで、これが商慣習の上で世界各国、よその国に対しても認められておるものであるというならば、それは妥当であると思います。ただし、ハルさんの人物、また、その辣腕ぶり等々お示しがございましたが、それについては私よく知りませんが、また、そういうことについては責任者の立場から十分検討してみたいと思います。  また、この二七%は、当然の商習慣上支払わるべき手数料であるという建前に立つならば、決してこれは何ら問題はないわけであります。しかし、そこにいささかでも不純なものがあるとするならば、これは容易ならぬ問題であります。さような手数料の一部が日本の政党に——それは自民党といわず、社会党といわず、これは私は政党の権威のために申し上げたいのでありまするが、さようなものが流れてきておるなどということはゆめゆめ考えません。もしまた、そういうふらちなことがあるとするならば、それは政党のだれかれを問わず司直の手によって糾明せらるべき問題でありまして、特に選挙を前にいたしまして、こういった問題は世上の疑惑を招きやすいものであります。私はさようなことは絶対ないと確信し、また、これを疑わないものでございまするが、もしかりにそんなことがあるとするならば、これはもう当然表に出すべき性質のものだと思います。しかし、どうぞこれは政党の権威のためにも、矢嶋議員においてはさようなことは一つあまり深く疑惑をお持ちになったりしませんように、日本の政党というものはそんないいかげんのものじゃないと思います。
  159. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは疑惑を持たざるを得ないのです。それで重ねて伺いますが、この二七%というのは世界各国の商取引の習慣なのだと言いますけれども、この習慣はない。私が二、三の商社に聞いてみると、二七%というこんな高いものはない。だから、もしそうならば二七%の出てきた根拠ですね、それを交渉のときに防衛庁持っておられると思いますからプリントで出して下さい。こういうようなことで二七%出たということを数字として出して下さい。それから非常に疑惑の出てくるところは、グラマンからロッキードに変わるときのハルさんの活躍と、それからその後どういうわけでこういうハルという個人に引き回されるのか、引き回されているじゃないですか、防衛庁と日本の商社は。たとえばさっき一つの例が出ましたけれども、どこで作るという計画をちゃんと進めて進んでいくのに、途中で日本防衛庁の了解も何も得ないで、そして下請メーカーを変えるというようなこと、そしてそれじゃ困るといって日本側から抗議を申し込まなければならぬというような、こういう形というものはおかしいことだと思うのですよ。そういうようにハルさんは横暴をきわめていますよ。これは取りきめの仕方にも私はまずい点があると思うのです。だから、私はがめついという形容詞で表現しているのですがね。この点については装備局長はどういうふうに考えているわけですか。大体取引して、どこで作るということがきまって、協力体制も作ってやっているのに、途中で了解も相談もなくて転々として変えられたのでは、これはあっちこっち迷惑すると思うのですね。また、あなた方としても一々そんなことで抗議するのもいやだと思うのです。そういうことを続けるならば、このハル社長のライ社との取引をやめたらいい。西ドイツのわだちを踏まないように私はしていただきたいと思うのです。装備局長の見解を承ります。
  160. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 二七%につきましては、この内訳はもちろんありますが、あとで表でお出ししますが、なお、それにつきまして、さっきも申しましたように、向こうの見積もりは二七%になっておりますが、値ごろの結果値下げをしておりますので、その場合の手数料がどれくらいになるか、全体の中にどれくらい占めるか、これは全然わかりません。これは向こうも商策上なかなか申しません。でありますから、当初に向こうが見積もりました二七%につきましては、われわれは一応調べてありますのでそれを提出させていただきます。  それからなお、エア・リサーチから変えたという問題でありますが、これはさっきも申しましたように、厳重にロッキード社に申し入れてありまして、近く向こうからもその担当の者が来ることになっております。でありますから、もしこれはかえってよくなるのであればわれわれとしてはもちろんよろしいわけでありますが、それによって悪くなる、少なくとも、少しでも悪くなるというような問題がありますれば、しかもまた、同等であるという場合におきましてもこれは絶対前言を守ってもらいたいということで厳重に交渉いたしたい、かように考えております。
  161. 横川正市

    ○横川正市君 関連してちょっと防衛庁長官に伺っておきたいのですが、アメリカの軍事援助でお金をもらって防衛庁の装備をする、こういう問題は一つ私はこれは思想問題として一つの論議の中心になると思いますが、これは置いておくといたしまして、それからその場合に、アメリカの、おそらくこれはアメリカ自体は比較的大きな会社で製品化していくわけでしょうけれども、製品を日本で買う場合に、これは私は純然たる取引であるというふうに言ってもいいのじゃないかと思うのですよ。その取引がどうも、今、矢嶋委員の並べたように、先ほどあなたは非常に正義感に富んだようなことを言っておりますけれども、それは抽象論ですね、実際には。もっとやはり、国民の疑惑を解くならば、具体性というものがなければならぬと思うのですよ。そういう意味合いからいって、矢嶋委員質問をした幾つかの内容について、装備局長はある点は認め、ある点は否定しております。そうなると、純然たる取引の面に、あなたが言ったようないわゆる公明正大な取引だということにはならない点が多々あるように思うわけですね。一体、この取引は、防衛庁長官としてこれから進めるのにどうするのか。その点を一つはっきり具体性を持たせてお答え願いたいと思うのです。
  162. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これはごもっともな質問です。だから、もし疑惑の点があるならば、これはもう事のいかんを問わず、政府としては、特にまた防衛庁の問題であるから、長官としては責任を持って正確を期さなければなりませんから、これは善処していきたいと思うのです。また同時に、そういう問題と、それからまた、その取引に伴って、それが国内政界に流れてきておるというような話とは、これはおのずと別だと思う。だから、その後段の点については、さようなことはないと私は確信する。疑うものではない。しかし、世の中は間違いはあるかもしれませんから、もしそういう間違いがあるとすれば、それは由々しき事態です。さようなことは何党の何たるとを問わず、国民の名において敢然と糾明すべき問題であるから、それはきびしい態度で臨むべきだ。しかし、私はさようなことが夢あろうとは思わない。これは日本の政党の権威のためにも、選挙前にさようなことがあっちゃならぬわけですから、私はさようなことはゆめゆめ思わない。だから、あるとするならば、それは表ざたにすべき重大問題だ、こういうことを申し上げたわけで、この答弁に私変わりはございません。部内については十分一つ注意をいたしまして、検討をして間違いのないように、正しい姿で取引がなされるように責任を持ちたいと考えます。
  163. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それでは、午前中の質疑はこの程度にとどめ、暫時休憩いたします。    午後零時五十二分休憩    —————・—————    午後一時四十四分開会
  164. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を再会いたします。  午前に引き続いて国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を続けます。
  165. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この前の九月一日の当委員会防衛庁長官に、奄美大島の瀬戸内の海上自衛隊の基地の問題で、住民についていろいろ調査をしたかどうかという質問に対して、まだ十分引き継ぎをしておらぬからわからぬと、こういうことであったのですが、詳細に御報告願いたいと思います。
  166. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) お示しがありましたので、さっそく防衛庁の鹿児島地方連絡部奄美大島駐在員樺山事務官を差遣いたしまして、町長、町会副議長、漁業組合長、教育長、商工会長、婦人会長、青年団長というような関係者に会って確認をいたさせましたところ、誘致賛成の旨を確認できたと、こういうふうに報告が参っております。
  167. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう形式的なことはよくわかるのですが、どういう方法でやられたのか、事務官が行って個々に会って尋ねてきたのか、どういう方法でやられたか、それを詳細に報告してもらいたいと思います。
  168. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) それでは、これは政府委員の方から答弁させます。
  169. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) ただいま大臣がお話しになりました点でございますが、鹿児島地方連絡部に下命をいたしまして、鹿児島地方連絡部の責任において調査するように命じたのであります。鹿児島地方連絡部におきましては、奄美大島に駐在しております事務官を古仁屋に派遣をいたしまして、まず最初に瀬戸内の町長川井さんにお目にかかりまして、その意見を聞いております。結論から申し上げますると、賛成でございます。その次に瀬戸内町の町会議長をおたずねしたようでございますが、町会議長が御不在でございましたので、副議長の田中という方にお目にかかりまして御意見を伺いました。田中さんのおっしゃいますことは、瀬戸内町の議会としては、二回にわたりまして誘致及び町有埋立地の譲渡の議決をしている次第であって、全面的に賛成であるというふうなことでございます。その次に瀬戸内町の漁業組合長の的場さんという方にお目にかかって意見を聞いております。的場さんの御意見は、本件については、役員会等でも話し合った結果として、自衛隊の来ることには賛成だという御意見でございました。その次に瀬戸内町の教育長の池島さんという方にお目にかかりまして御意見を聞いております。これも賛成でございます。その次に瀬戸内町の商工会長の植木さんという方にお目にかかりまして御意見を聞いております。植木さんの御意見も賛成でございます。その次に瀬戸内町の婦人会町の山野さんにお目にかかって御意見を聞いておりますけれども、これも賛成でございました。反対する婦人はおらないと思うということでございました。その次に瀬戸内町の青年団長永井さんという方にお目にかかって意見を聞いておりますが、これも賛成でございました。鹿児島地方連絡部の奄美大島駐在員が、以上申し上げましたような役におられる方々につきまして御意見を承ったわけでございます。
  170. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 念のためにもう一ぺん聞いておきますが、樺山事務官、これは鹿児島の駐在員ですか、こっちの本局の人ですか、ちょっと聞き漏らしましたので……。
  171. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 鹿児島地方連絡部の大島駐在員でございます。
  172. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それからこの的場という漁業組合の組合長に会った場合に、漁業権の問題について、何ら触れておらなかったかどうか、そのしさいはわかりませんか。
  173. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 詳しく申し上げますると、的場さんの御意見は、結論においては賛成である、周辺一帯の漁民のカツオのえさなどに支障はないと思うと、これは役員会等でも話し合った結果であると、将来自衛隊が大きくなった場合にはこの問題が起こるであろうが、それはお互いの話し合いによって解決できると思っていると、こういうことでございます。
  174. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、現在の状態ではカツオのえさ場については何ら影響がないと、こういう趣旨で言っておられるのですね。その点もう一ぺん確認しておきます。
  175. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) これも話し合いでございますから、こちらの方からどういうお尋ねをしたかということについてはわかっておりませんけれども、的場さんの御意見としては、今のところ、周辺一帯の漁民のカツオのえさには支障はないということでございます。
  176. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それだけ確認しておけば、一応……、また、こちらの方でも調べます。
  177. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ロッキードの問題の最後の二問は、装備局長が来てから質問することにしまして、江崎防衛庁長官に伺いますが、先般米太平洋軍総司令官のフェルト海軍大将がおいでになってお目にかかりましたですね、そのときに、大体どういう話がなされたのか。新安保体制下における日本の第二次長期防衛計画の点等について話がなされたことと思うのですが、どういう骨子の話がなされたのか。特に私がこれから承る東富士、北冨士演習場の問題、この返還について消極的なお話があったやに漏れ聞いているのですが、どういう内容の話であったのかお答え願いたい。
  178. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) フェルト大将が参りましたが、われわれの方として、第二次防衛計画、そういったことについてはまだ結論を得ておりませんので、それには言及をいたしておりません。  それから富士山の問題につきましても、これは御承知の通り調達庁施設特別委員会を持っておるわけでございます。しかも、この施設特別委員会を九月に開きましたときに、この演習場返還については、特別委員会を設けて、双方が十分了解をし合って、こちらの主張を受け入れてもらうというために、新しい機関を設けておるわけでございまして、その機関を中心にして話し合っていくということで、懇談のうちに——これは懇談です。話し合いをしたことはありまするが、それ以上進んで、この富士山をどうするとか、ああするとか、あなたはどう考えるとか、さようなことについては触れませんでした。
  179. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは伺いますが、東富士、北富士両演習場は、六カ月以内に大体返還ができるように努力すると、そういう見通しだということを前に答弁しておりますが、この基本方針と見通しは変わりませんね。
  180. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) この返還につきまして、六カ月と申しましたか、それはきっとそういう記録はあるかと思いますが、六カ月を目途として努力をしていこう、その考え方には変わりございません。のみならず、私どもの主張としては、この米軍が使用しておりまする演習場を自衛隊に切りかえる、そうして米軍が従来の例ならば、昭和三十三年以来きわめて短期間しか演習場の使用をしておりませんので、そのときには米軍に対して自衛隊が主体になって差しつかえない範囲で利用をしてもらう、こういう条件話し合いをいたしております。
  181. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 日米合同委員会の下部機構である施設特別委員会はその後開かれたことと思いますが、調達庁いかよう話し合いが進んでおりますか。お答え願います。
  182. 丸山佶

    説明員丸山佶君) この前の当委員会、九月一日だと思いましたが、そのときに御説明いたしました通り、八月二十三日の施設特別委員会においてまず取り上げたのでございます。その後九月に二回ございまして、その際の話し合いといたしまして、まず根本的な方針問題として、ただいま江崎長官お話通り、年のうち数十日しか使わない米軍実情、常時そこに駐屯し使用しておるところの自衛隊の実情、これらを見て、これを基本的に処置方法の形を変える。つまり、アメリカ側から返還を求めてこれを自衛隊の演習場にする。しかしながら、アメリカが必要とするときにおいては演習を認める。この基本方針に関しまして了解を取りつけております。従いまして、この問題の実現に関しましては、それならばその使用時期、条件等、アメリカ側の現在のものをいかに変更し得るか、こういう問題にかかるわけでございます。従いまして、そのような専門的な事項を鋭意検討するために特別にこの富士演習場に関する専門の委員会をまた設けまして、これによって検討を進めて目的を達する、このように段取りをいたしております。
  183. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 じゃ、長官に伺いますが、入会権を尊重するというこの前の答弁ですね、これはあくまでも住民の入会権を尊重するという前提に立ってやるということには相違ありませんね。
  184. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私どもの方では入会慣行と、こう言っておりますが、それを尊重するということは従来ともちろん変わりございません。
  185. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そこで、東富士の場合には、返還した場合に、水田造成等の話し合い条件ができているようですが、北富士の問題について、そういう話を進めていくにあたっては地元側とどういう話し合いを進めていくか。地元意見を聞き、話し合いをして物事を進めないとまた紛糾の種を作ると思うのですが、地元とはどういう今まで話し合いをされているのか。今後また話し合いをされて、そして事を運んでいくお考えでいるのか。その点お答えおき願いたいと思います。
  186. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 今のところは、御承知の通り自衛隊で使わしてもらいたい、その点はいいか。それから米軍が短期間使用をしたいというときには米軍に貸与するという条件もあるがいいかと、そういったことについては、大体代表者とおぼしき人、あるいは県当局等の了解は得て交渉をしているわけでございます。その他、まだ北富士演習場の従来の地域をどうするかというようなこまかいことについては、まだそこまで入っておりません。むしろ施設特別委員会の北富士返還に関する特別委員会を中心に、もっともっと米側の理解を、アメリカ側のこれに対する協力を依頼する、こういう段階でございます。
  187. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 重ねて聞いておきますが、地元側とは十分話し合いはしてやりますね。
  188. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) その点は県当局等を通じまして十分話し合ってやっていくつもりであります。
  189. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点は十分意見を、話し合って物事を進めていってもらいたいと思います。要望しておきます。  そこで、この前調達庁長官に要望しておきました昭和三十五年八月七日横浜調達局長渋谷さんから住居民に出された手紙ですね、これに対して調達局長から各戸に対してごあいさつの手紙を出すようにということを要望しておきましたが、出されたか出されないか。出されたとすれば、どういう骨子の内容のものを出されたか、それをお答え願います。
  190. 丸山佶

    説明員丸山佶君) その点は、九月十七日に局長が地元に手紙を出しまして了解を求めました。これに対しまして地元側も了承するということで、これに関連する局と地元関係の感情的な対立は解消することになると思います。
  191. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それはけっこうでした。そこで次に、防衛庁長官に伺いますが、太平洋軍司令官のフェルト大将がおいでになったのは、安全保障条約に基づく安保協議会に御出席になるためにおいでになったと承っておるのですが、どういう話し合いがなされたか、その骨子と、それからこの安保協議会の下部機構である防衛委員会ですね、これは書簡の交換で設置する形になっているわけですが、いつ設置されるのか。あの第一回の会合ではきまらなかったようですが、いつ設置されるのか。それと、私が関心を持っていることは、あの構成メンバーは交換文書できまっているわけですが、伝えられるところによると、防衛庁長官は、その防衛委員会にもやはり文官のエキスパートを入れる必要がある、こういう見解を持たれているということなんですが、はたしてそうであり、また、これは日米間の合意に達しているのかどうか、それをお答え願いたい。
  192. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 安保協議会は、御承知の通り、条約の締結によりまして新たな機関として発足をさせなければなりませんので、とりあえず条約に規定せられたものが顔合わせをして、そうしてこれを発足させるというわけでございます。別して深い話し合いはその場面ではなされたわけではございませんでした。そうして防衛委員会の問題につきましては、まあきょうは発足をしたばかりであるし、この問題は双方においていろいろ考え方をまとめてみようじゃないか。御指摘のありましたたとえばこの防衛委員会の中にシビリアンを入れるか入れないかというような問題についても、ただ思いつき的な発言ではもちろんこれはいけませんので、双方においてそういった問題を十分検討して、そうしてそれぞれの結論を、いずれまた安保協議会の第二回の会合をするときまでにそういったものを十分検討しておこう、こういうことでございます。  それからまた、今お示しの点につきましては、目下われわれ防衛庁においても検討中でございまして、今、私から申し上げる結論には至っておりません。
  193. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 長官の御見解は、どういう見解を持たれておりますか。
  194. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは私個人としての意見は持ち合わせておりますが、正式に両国の間でその問題を検討しようと、こういうことで話し合いをして別れたわけでございまして、目下組織に命じて検討をいたしておりまするので、しばらく私の個人的見解ということについては御容赦願いたいと思います。
  195. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は午前伺いましたロッキードの国内生産の問題、それから富士演習場の問題、そういう演習場、墓地関係の問題、それから日米安保体制発足後における協議会の問題、こういう問題をひっくるめたところを一つ私は長官に伺いたいと思うのです。突っ込んだ詳しいことは、業務計画のところでほかの方が伺ったあとでまた伺いたいのですがね、その前提に一つ質問をすることを許していただきたい。前提として、具体的な問題ですがね、もし中共が核兵器を持つ、核装備をするという事態が招来された場合に、日本は核装備を研究し、やりますか、必要を認めますか。それとも依然として今までの方針通り小型核兵器といえども、みずからも持たないし、持ち込ませないというこの方針通りに参られますか、お伺いしたいと思います。
  196. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 非常にこれは微妙な問題でございまするが、従来の方針を踏襲していくべきであるというふうに考えております。それはわれわれは、核兵器による世界最初の犠牲者でございまして、その厳粛なる事実にかんがみまして従来の方針をとっていくべきだと考えております。
  197. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点私は了とします。その点に関する限りは、前内閣の中曽根科学技術庁長官答弁が変わってきているようです。前内閣の中曽根科学技術庁長官は、あの人の在職中の私の質疑に対して、中共が核装備をするようになれば、日本も核装備をしなくちゃならないようになるだろう、こういう答弁をいたしました。私はこれには非常に問題があると思うのですが、今、あなたの答弁を了とします。そこで、先ほど申し上げました質疑をするわけですがね、先般日本においでになりました米統合参謀本部の政策顧問であるハーバート大学のキッシンジャー博士、教授ですね、この方が日本の記者団と記者会見されておりますね。これは各紙に報道されておりましたが、このキ博士は、全面戦争のときには日本には基地は必要はないということを言われているわけですね。そうしてアメリカ自体は核装備をしている。このキ博士の見解によると、中共が核装備をした場合には、日本も核装備を必要とするであろう、するようになるであろう、こういうまあ言明をされているわけです。非常に注目さるべきことだと思うのですね。ところが、日本側としては、そういう核装備というものはもちろんやらない。それからそのキ博士は、科学兵器の進歩とともに基地というものの性格というものも変わって参ったし、そういう基地も考えを改めなければならぬ、また原子力潜水艦の時代になって、そうして非常に深い所から、対潜水艦哨戒機等でキャッチできないほどの深い所で原子力潜水艦が行動する、そこからロケット攻撃をやるような時代になれば、基地に対する考え方というものも変わってしまう。で、日本にはそういう必要がない。こういう見解を表明されているわけですね。それからアメリカで今大統領選挙が行なわれていますが、その論争の中の日本の国防政策に関係のある一つの傾聴に値すべき意見としては、ケネディ氏並びに彼が大統領になった場合には、その最高のスタッフになるだろうという方は、今までのアメリカの日本に対する国防政策、再軍備政策というものは間違っておったということを演説しているわけですね。それは、従来アメリカは日本に小アメリカを作るという考えで臨んでおった。それからアメリカの軍の小型化した軍隊、小アメリカ軍を日本に持ってもらう、こういう方針で軍事援助をし、また助言をして、きょうまで来たことは間違いだということを非常に主張しておるわけですね。また金門、馬祖に対する見解にしましても、あるいはU2型機等に対するニクソン派の見解に対してまっこうの立場で対立しておる。それはアメリカの世論も割れておる。場合によるとケネデイが優勢の情勢にすらあるわけですね。そういうときに日本の外交政策にしても、国防政策にしても、小アメリカ的な態度だとみずからも、他国からもとられるような、そういう眼で見られるような国防政策、外交政策をやっておるということは非常に問題があると思うのですよ。だから、このロッキードの問題にしても、ロッキードを今、国内で生産をする、あるいはこれから論じられるであろう業務計画にしても、海上自衛隊の艦船の近代化をはかるとかなんとか、こういう計画というものは全部それはキッシンジャー博士の見解等とは相当のズレがあるし、それからアメリカの今度勝利を博するであろうといわれているケネディ派の主張している意見、対日政策、日本観、それからアジア観とは相当に私はずれていると思うのですね。そういう今の世界情勢を誤った小さなワクの中でこの防衛計画を考えるというのは再検討を要するのではないか。  それからまた、これらの問題に関連して、外交政策が大事だということが論じられておる。ところが、日本の最近の外交が依然として自主性を持たないで、やはり小アメリカである日本というような目をもって見られるような外交路線を歩いている。これは国防政策と外交路線というものは表裏一体ですからね。たとえば、最近の国連総会にしても、あの中共の問題についても、アジア・アフリカ・グループから孤立するような動きをしている。棄権さえしないで、やはりアメリカのしり馬に乗って反対のなにをしている。最近の列国議会同盟会議がここで開かれて、軍縮問題なんかずいぶん真剣に論じられた。かつては原子爆弾を落とされた日本国並びに日本国民に非常に同情する発言、それから民生向上という立場からの国防政策はいかにあるベきかという点で、新興国が特に非常に発言をやっておる。それでソビエトとアメリカが冷たい対立をしていることに対して、両大国に反省を求めるような意見を新興国の代表は盛んに吐いておる。そして、アイゼンハワーによって代表されるアメリカでは、ソビエト側もそうですが、軍備を背景とした力の均衡をしようとしている、これは世界の他国に迷惑であるから、最近会見もしないで対立し続けている、反省を促そう、あわせて軍縮を推し進めるようにすべきであるという問題が提起された。あるいはブルガリアとかオーストリアがそのアッピールの決議案を出された。ところが、多数を持っている日本の自由民主党さん、与党さんとしては、非常なアメリカ側に懸念されて、このブルガリアとかオーストリアのアッピール、内容は——当然だと思うのですが、社会主義国もそれからアジア・アフリカ・グループなどはこぞってこれに賛成するのに、日本は保留、棄権でなくて、反対の意思表示をする。こういう点は僕は、アジアに生きている日本として、アジア・アフリカ。グループから孤立化するおそれがある。今の世界の情勢と非常に食い違っている感じがしてならないわけですよ。アメリカにさえ二つの論が起こって、小アメリカをこしらえる、小アメリカ軍をこしらえるというような、そういう態度は間違っておった、自省すべきであるというまっ二つに分かれた討論も行なわれておるのに、日本自体が自主性不十分に、再軍備政策にしても、小アメリカ軍、それから自由国家郡の小アメリカを作っていくというような形でいるということは、私は非常に重要な問題だと思うのですね。そういう点について、防衛責任者防衛庁長官はどういうふうにお考えになっておられるか。そういう角度から考えれば、この業務計画でも、非常に私は問題点があると思う。さしあたって、私が今まで質問して参りましたこのロッキードですね、こういう国内生産計画というものは、その後つまずきもしているのですが、私ども、再検討なさるべきだと思うのです。住友金属としても、あのF104Jの脚の生産を断わった理由には、今の兵器の状況から、有人ジェット戦闘機の将来性がない。今投資してなにしても、将来償却に困難する。そういうものをやるよりも、他の方に手をつけた方がよろしい、こういう見解が一番大きな理由になって、住友さんは脚の生産をお断わりしたわけです。ところが、通産省はあわてふためいて、それでは全般の計画が狂うというので、ほかの条件を提示して、そうして御了解願った、こういう経過をたどっておるということを私は直接聞いておるわけなんですが、従って、ロッキードの国内生産等はそういう角度から私は再検討されてしかるべきだと思う。  また、日本国内にあるアメリカの基地、これに対する国民のいろいろな要望やら、いろいろあるわけでしょう。伊藤さんも問題を提起していましたが、具体的に私が提起している富士演習場の問題にしても、すみやかに返還を実視させ、そうして地元民の要望をいれて、トラブルが起こらないように善処、解決していただきたい、そうされてしかるべきじゃないか、かように私は考えるのですが、長官の御所見を承りたいと思う。
  198. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 相当多岐にわたる御質問でございまするので、一口にお答えいたしかねまするが、日本としては、国連を中心に、この国の外交、防衛政策を展開していくという根本方針はきまっておるわけでありまするが、国連の会議自体にも現われておりまするように、真正面から意見が対立したり、衝突をしたりというふうで、国連の機能そのものがまだ十二分に効用が発揮されておるものとは考えられません。従いまして私どもは、アメリカと日米安全保障条約を締結して、国連がきわめて理想的機能を発揮するまで、この安全保障条約によって国の防衛問題を考えていく、これは申し上げるまでもなくわが国の基本方針であるわけでございます。  同時に、また、日本の自衛隊というものは、アメリカの小型ではないか、こういう御指摘でありまするが、私はそうは思いません。それは戦後の空白を埋め、同時に近代科学の進歩に伴いましてのそれぞれの装備の充実発展というような見地から、アメリカ側の指導を得て、また協力を得て今日を得たことは事実でありまするが、日本は独立国として独自の防衛政策を持っておるわけでございまして、それが今までの三カ年計画であり、また来年度の業務計画にも、その一環が現われておるわけでございまして、これは当然日本独自のものであります。アメリカとの安全保障条約によって、共同目的のためにわが自衛隊を使用するということについては、これはもう申すまでもないところでございまするが、存在においては、日本独自の立場で考慮し、また存在をしておるというふうに申し上げていいと思います。  それからまた、基地の問題についてでございますが、これは北富士演習場のように、あまり使用度のひんぱんでない、返還可能と思われるものに対しては、機関を通じまして、今まで申し上げて参りましたように、積極的にその返還を求める、これが日米両国民にとってむしろ一そうの理解を進めることであると思いまするから、そういう問題には遠慮なく返還を要求するものでありまして、ただし、必要と考えられて——日本防衛上また日本の平和確保のために必要な基地に関しましては、これは従来通り、アメリカの駐留を認めるという方針においても私どもは変わりはございません。何も日本ばかりにアメリカの基地があるわけじゃないんでございまして、御承知の通り、イギリスでも六万の駐留米軍がおりまして、四カ所の大基地を提供しておることはもうすでに御存じだと思います。フランスも三カ所の大基地があること、イタリアも二カ所を持っております。さように考えて参りましたときに、私どももアメリカに必要な基地を提供するという根本方針は貫いて参りたいと考えております。
  199. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点についてもう一回聞きますが、基地に対する親元であるアメリカと、それから援助を受けている日本とに狂いができているのです。それから日本を舞台とする核武装の問題についても、キッシンジャー博士が言っているように、アメリカ側と日本側には食い違いがあるわけです。前から警戒し、申していることは、新安保条約のもとに結ばれている食い違いがあると力関係で必ず引っぱられていくわけなんです。それを防ぐ方法としては何かというと、日本が核武装に引きずり込まれ、核武装の競争をするような場に日本が追い込まれないように防ぐ方法としては何か。それは具体的な方法としては中共の国連加盟であり、中共を含むところの軍縮会議であり、それから安保体制の打破なり弱化だと私は思うのです。安保体制を強化する、それから中共を入れないで軍縮委員会を持つ、中共を国連に加盟させない、このことは結果論としては、中共の私は核武装というものを招来して来ると思う。安保体制を強化せしめ、国連にも入れない、それから軍縮委員会にも入っていなかったら、ソビエトと中共との関係は必ずしもよくないということをある面でとやかく言っておりますけれども、私は中共の核武装を、フランスに次いで中共の核武装を招来する一つの大きな要素になると思う。そうなって参ると、キッシンジャー博士が言っているように、結果論としては、安保体制を結んでいるというと、その力関係日本の核武装というものは引っぱり込まれていってしまうわけなんですね。こういう点が今あなた方が答弁し、考えられていることと結果が私はだいぶ違って参ると思うのです。そこで、日米安保体制で結ばれながらも基地に対する考え方にいたしましても、そういう核武装に対する考え方にしましても、狂いがあるところに私は危険性があると思う。英国とかドイツとか、そういうことを申されておりますが、それは私は事情が違うと思うのですよ。西ドイツの再軍備についても、今度の列国議員同盟会議で白熱的な討論が行なわれまして、両方いろいろな意見がありましたですが、日本が一番重要なことは、あれでしょう、国防政策は一方に向いていって、外交政策はどうもアジアに生きている日本としてはうまくいっていない。それはもう最近はっきりしてきたんですよ、国連の場合においても、いかなる場合においても。日本はアメリカに追随だけして、明らかにしり馬に乗っておりますよ。小アメリカ的な行動ですよ、それは。これは否定できないと思う。アジア・アフリカ諸国の最も先進国として指導的な立場に立って、イニシアチブをとってこれらの国と団結し、アジアの平和を保ち、アジアの大衆の生活を向上させる、そのリーダー格ともなるべき日本がどれだけの信頼を受けているか。信頼は受けておりませんよ。だんだんと離れて行っている。そんなことは私はあまり論じないが、そういうことは私は否定できないと思う。そういう立場において、その外交政策とうらはらの関係で今の再軍備政策を貴重な国税を使ってやっていくということは、私はどうしても再検討されなくちゃならぬと思うのです。今、飛行機を二十機作るのを、二十五機にするとか十八機にするとか、あるいは、たまの備蓄が少ないからもう少し備蓄したいが金が幾ら要るかどうかという、そういう問題以前の問題として、それに取りかかる前に、そういう角度からの私は再検討があってしかるべきだ、具体的にはこのロッキードの国産計画を再検討すべきである、こう思うのです。その最後のところにピントを合わしてお答え願いたい。
  200. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 御意見として十分拝聴をいたします。ただし、今、防衛局あるいは装備局等においてやっておりますることは、正しい方向を歩んでいるものと私どもは信じておるわけでございます。武器はそれこそ日進月歩と申しまするか、時々刻々変わって参りまするので、長期計画を立てますものの、その間において変化に応ずべきものは当然応じて、弾力性を持たせること、これはその点は御意見通りだと思います。
  201. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これを質問して、あとほかの人の質問もあるので、それからまたあとでやります。ロッキード関係の最後の質問として、装備局長お見えになっているから伺いますが、さっき、防衛生産委員会関係、それから防衛産業関係のことを承りましたが、いろいろ要望があるのです。必ずしも防衛関連産業界ではああいう方々が当初予想した通りにはいっていない。満足はしていない。不満やら要望の点は通産省なり防衛庁に相当持ち込まれているのでしょう。その点はどうですか。
  202. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 経団連の防衛生産委員会におきまして、FCS及びオート・パイロットについてそういうお話がありました。通産省にも申し出があり、また防衛庁にも申し出がありました。その点はただいま矢嶋先生のおっしゃった通りであります。
  203. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その一番根源は契約の仕方にあると思うのですよ。主役を演じているLAI社、ロッキード・エアークラフト、インターナショナル、この存在、そのハル社長の動き、これがこういう事態を招来しているわけであって、この根源は、ロッキードにきまるときのハルさんの果たした役割からこういうことになってきていると思う。それから交換公文のきめ方、それから六月十八日にきめた細目取りきめですね、大体交換公文を四月十五日にきめているのですよ、そして細目取りきめが六月十八日。こんなに交換公文の取りきめから細目の取りきめまで期間が置かれるということは常識上考えらない。交換公文をきめて二週間ぐらいで細目がきまるだろうと答弁しておった。ところが、実際は二カ月。前例もない。そこに非常に大きな問題があったということを立証しているわけです。もう少し防衛庁はしっかりして、RAI社、これを代表するハルさんあたりに引き回されないようにがんばるべきだと思うので。これは要望も含めてあなたの御所見を承っておきます。
  204. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 交換公文、それと細目取りきめが非常に時間がかかったということでありますが、これは実体的な問題で時間がかかったわけじゃありません。日米間に合意ができました通り実体は全然動いておりません。ただ、あれは英文でありますので、いろいろそういったテニヲハ等の修正等に相当時間を要しました。また実態は話し合いがついておった関係上、そう急ぐ必要はないという見地から、まあある程度の時日が遷延したわけであります。なお、RAI社に、特にハル社長に相当引ずり回されるのじゃないかということでありますが、その点はわれわれとしましては、われわれの考え通りやっておる次第でありまして、特にさっきのFCS及びオート・パイロット等につきましても、一時われわれもライ社の申します値段が相当高いので、これを国産したいというところまで最後に考えたこともあります。で、国産の場合に、一番有利な点で国産した場合、これはまあ国産でやりました場合に、一番有利な条件だけを考え合わせましたときの値段でありますが、その値段よりもライの値段が高いという場合には、われわれは当然国産しよう、その場合、国産は有利な条件でありますので、ある程度また国産に危険があります。国産の場合は相当それ以上に値上がりする可能性があるわけでありますが、それでもなお危険を踏んで、当然国産しようじゃないかというところまでわれわれ覚悟したこともあるわけでありますが、それ以下に向こうが値下げをいたしましたので、将来の値上がり等も考えますと、やはりライ社を通じてやった方が日本としては有利じゃないかということで、われわれ自身の考えで決定したわけであります。別にライ社に引きずり回されたということは全然ありません。
  205. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は警告を含めて申し上げておきますが、価格の問題があるのですよ。それから性能の問題が出てくるのですよ。上昇力とか、そういう性能の問題が出てくるのですよ。それから約束している八千フィートの滑走路で十分かどうかという問題、それから安全性のようなものが入ってくるのですよ。そういう条件をそろえたところで、ほんとうに役に立つ飛行機が昭和四十年までにできるのかどうか、私は非常な疑問を持っている。だから、さっきから私はあらゆる角度から再検討された方が適当だ、かように申し上げているわけで、この言葉をよく覚えておいていただきたい。それでその後のこの国内生産で、じゃ、価格は上がってくるような関係から中間ジェット練習機ですね、この当初計画は縮小された。そのためにこの中間ジェット練習機の今まで立てておった計画は縮小されたので、この生産をやっておった石川島重工あるいは富士重工、こういうところは計画が狂った上に、単価——コストが高くなって、施設投資に対する償却等に困難を来たして、非常に困っているということを聞いているのですが、こういう事実もあるのでしょう、どうですか。
  206. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) ジェット中間練習機につきましては、当初パイロット養成計画等よりして、百十機程度を予想いたしておったのでありますが、その点、最近に至りまして百十機より相当下回った数字をわれわれ決定したのでありまして、そのためにエンジンにつきましては石川島重工でJ—3と申しますものを開発を進めておりまして、まだ試験段階でありまして、最終的な結論を得ておりませんが、そういった機数の変化によりましてそのJ—3も最終の結論が出ましても、あるいは経済的に引き合うかどうかの問題も起こっております。その点は矢嶋先生のおっしゃる通りであります。
  207. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ここで一応打ち切りますがね江崎長官、あなた、お若くて、行動的で頭の回転がいいものだから、前だけ見て両側とうしろを見ない傾向があるのですよ。それで自衛隊で次のオリンピックの選手を養成する印象を国民に与えてみたり、全国から代表的部隊を集めて長官思い出の地で天皇陛下でもお迎えして観閲式をして防衛庁長官として胸を張りたいというような、そういうような国民に印象を与えるような言動が出てくるわけです。私は両側とうしろを少し見ていただきたいのですよ。今のこの問題でも非常にずさんですよ、計画は。きめがこまかくない。先を見通していない。多くは世界情勢あるいは軍事情勢、科学兵器の把握等もありましょうが、同じやるにしても、きめのこまかい計画と見通しがなければならぬと思う。それから関連産業にも、関連者との十分の協議ですね、協力態勢というものを整えなければならぬと思う、ところが、そういうものは比較的ないがしろにして、そうしてアメリカ側からMSA援助が幾ら来る、それに対してこれだけの増強計画をしてほしいとなれば、それにすぐ食いついていって、そうしてきわめてずさんな計画を立ててやっていこうとするから、やっていく間にいろいろボロが出て、あっちこっちにつまずくわけなんですね。こういう点は私は自主性がないと思うのですよ。もう少し大きく自主性を持って緻密な計画を立ててやられなければ骨折った上に効果が上がらないし、そうして血税の浪費になると思うのですね。こういう点で私は防衛庁に反省を促したいし、防衛庁長官も、前だけでなく、勇み足だけじゃなく、両側とうしろ側も見ながら防衛庁長官の職務を果たしていただきたい。これは私は希望も含めて長官の御所見を承り、一応ここで質問を切って、後刻残った問題を伺います。
  208. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 御意見十分拝聴いたしました。
  209. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと委員長、関連して長官の御意見をお伺いしておきたい。  装備局長の答弁の中に、これは言葉じりをとらえるわけではないのですが、全体的構想からいえば、ロッキード二百機というものはもうこれで防衛庁の計画の中では最大のものであって、将来にあまり期待をかけないものであるというような印象が受けられるのです。なぜなら、装備の中で少しくらい値段が高いとか安いとかいうことで全部アメリカから買うことにしましたということではなくて、少しくらい高くても、そのことが国内で十分次に役立つものならば、私は無理をしてもこの際買うべきでないというのが、装備する場合の心がまえだとおもうのです。ロッキードを大体装備するのに、私は、そのこと自体に熱意もなければ迫力もないような印象を受けたのです。これはそういう気力の問題の上に立って、一体防衛庁としてはどういうふうにお考えになっておるのか、防衛庁長官一つ意見をお伺いしておきたい。
  210. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ごもっともな御質問でございますが、やはり国内で生産の可能なものは極力国内生産に向けていく、特に武器の生産の場合は、他の平和産業その他すべてにいい結果をもたらすものでございまするから、できるだけ国内でやっていきたい、こういう方針には変わりございません。ただ先ほどからだんだん装備局長が御説明申し上げておりますように、国内で意想外のそれに対する設備費がかかる、しかも、オーバー・ホールその他は国内で十分準備をしておる、こういうことでございますから、これは一つ了解を願いたいと思います。
  211. 辻政信

    ○辻政信君 ごく簡単に要点を二、三点質問しますが、昭和三十六年度自衛隊業務計画について読みまして、これはおそらく防衛庁として、大蔵省折衝なさる防御予算編成の根本方針だろうと考えますが、いかがでありますか。
  212. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) その通りでございます。
  213. 辻政信

    ○辻政信君 従来この内閣委員会で、与党でないわれわれが、どんなに意見を出しても黙殺されたのであります、予算決定後においては。にもかかわらず、今回はその前例を破って予算編成の根本問題を当委員会の議題に提供されたことに敬意表します。そこで希望することは、今から述べる意見長官ほんとうに正しいと思ったら、大蔵省との折衝で決定なさる前にこれを修正なさる余裕があるかどうか、それを承って、余裕があるならば建設的な意見を述べるし、相変わらず黙殺するならばむだだと思いますが、いかがでございますか。
  214. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 当然国会の御意見というものは尊重する立場にありますので、十分敬意を払って承りたいと思います。
  215. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ貝体的に、あげ足をとる質問じゃなしに、ほんとうに必要な点を限定して申し上げてみます。この「方針」の第一項に、「教育について特に精神面の充実を期する」と、こうありますが、この精神面の充実が新年度の予算に具体的にどういうふうに織り込まれるものと解してよろしゅうございますか。
  216. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは従来陸海空各自衛隊におきましてそれぞれその隊状に応じて精神面の教育を行なって参ったのでありまするが、この際広く自衛隊全体に対する教育の基本となるものを見出していきたい。それは一つは、教科書の編さんといったような具体的な問題が出てくるわけでありまするが、その内容といたしましては、民主主義を基本として、自衛官たる者はいかにあるべきかというような心がまえを明確にいたしたいと考えておるものであります。従ってこういった問題は口で申しますというときわめて簡単でございまするが、なかなかこれを明確にするためには容易なことではありません。そこで部内のみならず、でき得れば部外の有識者の意見も十分参考といたしまして妥当な教材を作っていきたい、当然また辻委員のような権威ある御意見をこういった方面にも反映をさしていただければ非常に仕合せである、こんなふうに考えております。
  217. 辻政信

    ○辻政信君 それもごもっともな御意見でありますが、私は自衛隊の精神面の充実ということは、訓練によってできると思います。訓練費を増強することが精神力を高める根本だと思います。そこでお伺いしたいのは、昨年の訓練費と新年度の訓練費においてどれだけの増加を予想されておるか。
  218. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) お答えいたします。訓練費といたしましては特に増加をはかっておりません。
  219. 辻政信

    ○辻政信君 精神面というものは教科書を作って精神訓話をやるのも一つの面でありますが、自衛隊という特殊任務を持った公務員でありますから、訓練が非常に向上して、腕に自信を持ちますと精神力は高まる。精神力というのは決して教科書の編さんじゃない。訓練費を増強せずにおいて口先だけで精神の充実をしても、これはほんとう自衛隊の精神力にならないと私は考えておる。自衛隊の予算編成を見て毎年痛切に感ずるのは、訓練に必要な経費というものが常に大蔵省から削られる、単に二十万の人間を食わすと、寝かすということに予算編成の技術が走ってしまいまして、その中身を充実するということが軽視されるおそれがあるから、特に予算折衡においてはこの点に重点を置かれて、昨年並みの訓練費でこういうことを方針の第一項におうたいになるということは、悪い言葉でいうと、少し羊頭狗肉という感じを受けます。この点はもう少し御検討になったらいいと思う。  その次に「体育の振興」という点がありますが、これはオリンピック選手ということも将来考えていらしゃいますか。
  220. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 体育の振興は、やはり隊員に基本的な一貫した一つの体育訓練を施していくためには、その指導者の養成も必要でありまするし、従来のような姿でなしに、もう少し基本的にまとめていきたいという考え方を一歩前進させようと、こういうわけでございます。  それからオリンピック選手の問題は、まあ、たまたまオリンピックでわが国が三番目に多数の選手を繰り出しながら、精神的な迫力に欠けるがゆえに、その成績はきわめて芳しくございませんでした。そこで、私は防衛庁に赴任をいたしましてから、陸海空の自衛隊をながめてみますと、きわめて規律は厳正であります。しかも、訓練は正当であります。そういう状況を見まして、こういった自衛隊の環境において、体育を振興すればおのずとまたそこに優秀な選手も生まれてくるであろう。何も私は自衛隊そのものを選手の訓練機関などとは考えておりません。しかし、その環境がきわめて優秀な選手を生む環境にありまするので、将来日本でオリンピックが催されるときに進んで一つ自衛隊から参加しろ、こういうことは言うておるわけでございます。
  221. 辻政信

    ○辻政信君 これは非常にけっこうな着想と思いますが、私から率直に言いますと、少し時流におもねるというような感じを受けます、悪い言葉で言いますと。自衛隊の特殊任務を考えると、オリンピックの中にももちろん自衛隊の訓練科目に相当するものがございますが、そういう本然の訓練を向上してその最高水準の者をその種目に関するオリンピックに出すというならわかるが、拳闘の選手を作ったり水泳の選手を作ったりということは、これは自衛隊のやるべきことじゃなかろう、こういう、これはちょっと言葉が言い過ぎましたが、老婆心ながらつけ加えておきます。その次の第二項の「防衛力の近代化及び質的強化を促進する。」というのですが、陸上自衛隊について十七万を十八万にするということは、どうなっておるのですか、今度の予算で。
  222. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 今度の予算におきましては御承知の通り十七万一千五百——これは防衛二法が通っておりませんから十七万でございますが、そこで、十七万一千五百の線から、陸上に関しましては、増員をする計画は今度業務計画から省いております。それは御承知かと思いまするが、欠員もございまするし、まず欠員を十分充足して、しかる後また必要に応じてこれを増加するということであるならばいつでも増勢ができる、こういうこと。  それから前後のオリンピックの件でありますが、これは誤解があってはなりませんので私率直に申し上げておきますが、辻委員のおっしゃる御意見は私もう十分了といたします。その通りだと思います。しかし、士気が高揚し、規律が厳正であり、しかも、体育も奨励する環境の中から、ぜひ一つオリンピック選手を生みたいという念願の裏には、自衛隊がいかに士気高揚を念願いたしましても、国民的なこれに対する理解と支持というものがなければ、士気高揚というものは言うべくして伴わない、半減するものだと思います。そういう点では、平時において国土をよくするという意味から公共事業に協力をしたり、あるいは災害出動をしたりして民生協力をすると同じような考え方で平和的な国際競技において、自衛隊から平素の訓練の延長として優秀な選手が出てくるということになれば、国民は何ほどかこの自衛隊というものをよりよく理解してくれるのではないか、そういった面からの念願で私はこれを大いに進めておるわけでございまして、この点はぜひ一つ了解を願って御協力を願いたいと思います。
  223. 辻政信

    ○辻政信君 第三項の「対空誘導兵器の導入を促進」とありますが、これは具体的に技術研究所でGMの開発費を計上されるつもりかどうか。されるとすればどのくらい計上なさるお考えであるかどうか。
  224. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ちょっと政府委員からお答えいたさせます。
  225. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) ただいまおっしゃいましたように、GMの開発研究のための開発費、研究用器機材器具類、それから若干の人件費、旅費等でございまして、要求といたしましては十億三千九百万を要求いたしております。
  226. 辻政信

    ○辻政信君 先年スイスから買い込んだエリコンの特許は買い込まれましたか。
  227. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) エリコンの特許は、これは防衛庁が特許を買うということでございませんで、会社のこれは三菱電機、これとエリコン社と技術提携を結んでおります。
  228. 辻政信

    ○辻政信君 「弾薬等有事初動に必要な備蓄資材の確保」、これにつきまして、ことしの三月二十三日の予算委員赤城防衛庁長官にかなり具体的に質問しております。それはおそらく現在の装備局長もあなたも答弁しておりますから、十分織り込んでこの年度計画に入っておると思いますが、具体的に弾薬の現在持っておる保有量は幾らになっておるか。それを大口径、中口径の砲弾と、小口径の砲弾と分けて御答弁願いたいと思います。概略でいいです。
  229. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 大、中、小別のあれは、ちょっと資料を探しておりますが、総体として、三十五年度初めにおきまして陸上が九万九千七百トン、海上が四千五百トン、航空自衛隊が四千トン、合計十万八千トン程度になっております。
  230. 辻政信

    ○辻政信君 それはいけない。これは三十四年度末において大体陸上のやつが、ストックが九万九千トンだったわけです、三十四年度末においてあなたの方で提出した資料が。私の言うのは、このワクの中で最も欠陥がある小口径弾薬というものがない。そうして日本があまり持っておらない大口径の砲弾が大部分を占めておる。これは平時の訓練においても支障を来たしておるから、防衛庁はその実際をよく見て、弾薬保有高のでこぼこを使用別に応じて修正しなさい。それに小、中に必要な弾薬がないのです。そしてそれを見たときに、この予算等をあなた方反省されてこの欠陥を補うために具体的な数字がここに記載をされておると思って御質問したのですが、装備局長、いかがですか。
  231. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) お説の通り小口径の方が非常に不足いたしておりまして、通常の訓練射耗弾程度しか現在持っておりません。来年度予算におきまして、小口径の方を十分見たい、かように考えておりましたが、全体的な予算の関係上、大体本年程度しか予算の要求ができないような状況になっております。
  232. 辻政信

    ○辻政信君 江崎さんに申し上げておきますが、104のロッキードがずいぶんこの委員会の論戦の主体を占めておる。それは将来の問題なんです。今、私の言うのは、現在の足元でもし事が起こった場合に、小口径の火砲がない。たまがほとんどない。その日暮しなんです。たまのない鉄砲を持ったらかかしと同じで役に立たない。そういう地についた研究がこの予算の中に盛られておるかどうかということを防衛庁長官もう少し忠実に部下を督励していただきたい。  それから装備局長に聞きますが、年間の必要な使用量はどのくらいになりますか、小口径。
  233. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 年間七千トン。
  234. 辻政信

    ○辻政信君 加藤防衛局長は、予算委員会の分科会で私に答えておる。少なくとも有事九十日分の備蓄をしなければならぬと思うのですが、むずかしい。有事九十日、有事九十日というのは具体数字でどのくらいになるとお考えですか、装備局長。
  235. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 大体二十万程度になるかと思います。
  236. 辻政信

    ○辻政信君 その二十万トンのやつを装備するとしてどのくらいの金がかかりますか。
  237. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 大体現在の大口径等を除きまして、不足分を補うとしますならば一千億程度要るのじゃないか、かように考えております。
  238. 辻政信

    ○辻政信君 こういう膨大なものが実際要るのです。ところが、今はその日暮しです。これはほんとうに頭に入れておいて下さい。そうして日本防衛生産を育成するといいながら、小銃のたまを作る工場は年度だけの注文を受けるが、この注文が何年続くかわからぬから、防衛生産はつぶれようとしておる。飛行機会社ならば政府が血目になって援助をするが、これまで育成してきた群小の中小工業をどうするのか。政府の怠慢というか、防衛計画の欠陥というか、そこに目に見えない欠陥がひそんでおる。  その次はガソリンです。ガソリンを今どのくらいストックを持っておりますか、防衛庁は。
  239. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 三十四年度末におきまして、合計二十六万三千キロリットル持っております。
  240. 辻政信

    ○辻政信君 これは平時訓練の何カ月分になりますか、飛行機、自動車の。
  241. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 海上を除きまして、大体ランニング・ストックの程度であります。
  242. 辻政信

    ○辻政信君 これを将来どれくらいまで備蓄しようという腹を持っておられますか、防衛庁長官。ガソリンは大きな問題ですが、あなたのほんとうの気持として大体何カ月分くらいのものを完全にたくわえておくかという、その大あらましの数字です。
  243. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) この問題については非常に部内でも深刻に考えております。それは現在の自衛隊の性格から申しまして、十分の備蓄をすることが理想ではあっても、これができないというような実情にあるわけでございまして、そこで、有事即応というようなことには間に合わぬ形でありまするが、日本国内にどれだけの燃料があるかということも有事の場合には当然関連して考えられることである、こんなふうに思っております。
  244. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ、今の御答弁は正しいのですが、装備局長、現在日本の国内に民間を合わせてどれくらいの一体ガソリン不足があると考えておりますか。そうしてどれくらいの消費量ですか。
  245. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 日本全体で消費量が二千百万キロリッターくらいだと記憶しております。大体それでぐるぐる回しておるわけでありまして、ストックと申しますとどの程度になりますか、今のところ資料を持ち合わしておりませんが。
  246. 辻政信

    ○辻政信君 こういうことで一体自衛隊の防衛計画が成り立つか。小口径の火砲はその日暮らし、ガソリンは国内に幾らあるか主任者の装備局長が知らない。それで一体、日本を守ると言う。防衛に皆さん責任持てますか、万一の場合に。そういうことをなぜ突っ込んで通産省と協定をされて、国全体の生産と、防衛に必要なものはむしろ防衛庁がリードしてそのストック量をどうするのだ、政府で幾ら持つのだ、業者に幾ら持たすのだ、その輸入計画はどうするのだ、燃料国策はゼロなんです、日本に。これほどの危険な状態はない。自衛隊は、一番少なくとも弾薬と燃料があれば完全に活動できますが、この二つが欠けて一体何になるか、二十万の自衛隊が。それを主任の装備局長が国内のストックを知らぬでは済まされません。二千百万キロリットル、それは間違っております。そんな少ないものじゃない。それをぐるぐる回すなんて、そういう小学生のような答弁が一体どこにあるか。昨年から言っておるのにやろうとしないのです。そうして派手なものにばかり夢中になっております。104であるとか、GMであるとか、そんなものを持ってきても役に立たない。とりあえず役に立つのは陸上の十七万、これが日本防衛の現在における現実の力です。その力のエネルギー源が、また任務を達成する弾薬がこのような状態で一体自衛隊がどうなるかということを長官よく腹におさめられて、政府との折衝においては責任のある対策を講じてほしい。  次は「民生面に対する協力を強化する」、これはおそらく具体的には、お考えになっていらっしゃることは施設大隊の増強をはかりたいのじゃなかろうかと思う。その二つでよろしゅうございますか。
  247. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これはいろいろ考えております。今お示しのあった二点はもちろんでございますが、たとえば北海道に駐屯する部隊が比較的多うございます。これが、平時訓練、あるいは防衛に差しつかえのない範囲において厳冬の期間、暖かい地方に海上自衛隊の輸送能力を——これも一つ訓練でありますから、輸送能力によりまして移動をさせ、そうして公共事業に立ち働かさせるとか、そういった訓練を考えておるわけでございます。
  248. 辻政信

    ○辻政信君 非常にいい着想でありますが、ヘリコプターについてどういうお考えですか。風水害とか、その他非常にこれは民生面において協力するのですが、あなたの選挙区の場合。これを一体どうなさるか。自衛隊の限られた予算だけで、定数を整備するだけでその目的が達成できるのか、あるいはその他の何か御着想があるかどうか。
  249. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 現在の段階としては、自衛隊のヘリコプターをフルに活躍させるという以外にこれという具体的な方法はまだありませんが、ヘリコプターが実際伊勢湾台風その他の民生面において示しました利用効度というものは非常に高いものがあります。人命救助あるいは食糧輸送に、その他緊急の連絡に、これは少なくとも民生協力の花形であるというふうに私どもも考えておるわけでございますが、今後事情の許します範囲において、ぜひこれは一つふやしていきたい。ひいてはこれがわが国の国情から申しましても、防衛面にも非常に大きく貢献する近代武器でありますので、これが充実は一そう一つはかっていきたいと考えております。
  250. 辻政信

    ○辻政信君 来年度の予算で何機になりますか、陸海空合わせてヘリコプターの数は。
  251. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 来年度の増加分は今調べておりますから……。三十五年度末におきまして、陸上自衛隊におきましては、H—13、H—19、バートル44、合わせまして六十七機でございます。海上自衛隊におきましては、ベル47、S—55、S—51、S—55A、S—58、合わせまして二十八機になっております。航空自衛隊におきましては、H—19十八機で、三十六年度の要求は今調べております。
  252. 辻政信

    ○辻政信君 大体全部合わせて百機そこそこですね、大まかなところは。そこで問題は、自衛隊の限られた予算と任務だけでヘリコプターの数をふやすことは無理があります。何か方法を講じなければいけない。どういう方法を考えるか。私の着想でありますが、将来これは観光用、輸送用に民間でうんと使われるようになります。それで、政府がかつて自動車保護制度を作ったように、民間として使う分に対しては政府がその何割かを補助してやるのです。ただし、有事の時には直ちにそれを集めて救難に使用するというような一つの着想でも考えないと、ヘリコプターを民間と共同してやるということは、自衛隊の独力だけでは無理だ。そういう新しい着想についても、新しい通常国会ではぜひ一つ考案をめぐらしていただきたい、こう考えます。  その次は陸上自衛隊の問題です。師団を、十三個の戦略単位の編成を仕直そうというような着想が出ておりますが、現在の一師団一万三千を大体九千内外にすると考えておられますか。
  253. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) その通りでございます。
  254. 辻政信

    ○辻政信君 では、連隊というものを依然として持とうとするか、あるいは大隊を基準にした、大隊の戦術単位の充実によって新しい師団の編成をやろうとしているかどうか、どうですか、その根本は。
  255. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) その問題は前々から防衛庁においては研究しているところでございまして、辻委員の御意見もよく伺っております。結局、陸上自衛隊といたしましては、いろいろ運用してみまして、今の単位は、上から下まで三単位制をとっておりまして、一つの戦闘単位としては、普通科連隊を中心としまして約四千名、車両が六百両、これはどうも重過ぎる、もう少し機動性と融通性を持たしたいということからいたしまして、四単位制にいたしたい。一つの単位を二千名、車両が三百両くらいということで考えておりまして、この単位に今の連隊という名前を使うか、大隊というものにするか、連隊と大隊の中間になると思っております。まだその辺を決定しておりません。
  256. 辻政信

    ○辻政信君 けっこうであります。これは三年前から言っておるが、なかなかこれはお聞き入れにならなかったが、ようやくその着想に変わってきたことはけっこうです。  その次は海上自衛隊の問題でありますが、警備艦と潜水艦と掃海艇と駆潜艇というこのいずれに将来の重点を置こうとされるか、それを承りたい。
  257. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) これは御承知のごとく、警備艦、潜水艦、掃海艇、駆潜艇それぞれの任務を持っておるわけでございまして、私ども前から申し上げておりますように、海上自衛隊の任務と申しますのは、一つには掃海でございます。いろいろの掃海、このために掃海の部隊を相当増加したい。一つは港湾や海上の防備であります。これには駆潜艇その他を充てたい。一つは護衛の問題であります。警備艦というようなものは護衛とか上着陸に対する作戦、こういうものは警備艦が必要であろう。さらに潜水艦というものは非常に重要度が増しておる、これはあらゆる面に使えるかと思いますが、どれが重点であるということは、ちょっと一口に申し上げにくいと思いますが、またお尋ねに応じましてお答え申し上げます。
  258. 辻政信

    ○辻政信君 そこで私が申し上げたいのは、今度新しい安保条約ができますというと、日本とアメリカが手を握ってそのチームの力を向上することによって防衛しよう、今、皆さんのお考えは、日本が小さなひな形を作ろうというお考えです。三千トンの駆逐艦、それに潜水艦を二、三ばい、駆潜艇を何ばいかつけて、いわゆる小艦隊——先ほどある議員が言われたように、矢嶋議員の質問のように、小さな小型のおもちゃのような軍隊を作ろうとするからそういう案が出てくる。アメリカと手を握った以上は、その根本方針に基づいて、アメリカの得意とするものはアメリカに持たす。航空母艦であるとか、駆逐艦であるとかいうものは、これはアメリカは余っているんです。これを日本で作る必要がどこにあるか。アメリカの最大の不得手、欠陥は潜水艦の欠除にあります。しかも、その金は安い。そうなってくると、日本の海上防衛力というものは、安保条約の精神を生かす意味においても、アメリカの持たないものを持つ、そうして独力の——私どもの要望というか、力を持つ、こういうふうに切りかえる時期に来ているように思いますが、これはなかなかむずかしい問題で、こういうことを言うとおそらく海軍の武官出身は反対すると思います。大艦巨砲の夢がさめておらない。近代の科学の進歩をお考えになってそういう古い頭を切りかえられて、あなたの非常に柔軟な新しい頭で、日本の海上武力はアメリカとの共同の上においてどの部面を受け持つのか。日本の受け持つのは、最も得意とするところは水の中にある。これは大型一ぱい作るよりも小型十ぱいの方がよろしい。小型十ぱいは現にドイツが作っておる。そういうことをお考えになって、この問題を、通常国会においてまた論戦の種になりますから、予算を編成されるときには、過去の経緯にこだわらないではっきりとした意見を織り込んでいただきたいと思います。  その次は航空自衛隊について、ことしの分科会でも承っておいたのですが、F86Fの性能改善は、本年度の予算で五千七百万円を計上しておられたのですが、その試験の結果はどうなっておりますか。はたして皆さんが希望するだけの性能改善に効果を現わしたかどうかという点。
  259. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) まだその試験結果は確定いたしておりません。現在アメリカでそのいろいろの実験をやっておる段階でございます。
  260. 辻政信

    ○辻政信君 これは一つ江崎さんにお願いしておきますが、赤城さんのときに、この三月二十三日の速記録にはっきり書いてあります。今、空軍の整備も考えなければならぬ点がある。それは104を整備することよりももっと大事な点がある。現在持っておる三百五十機のF86Fの性能をどのように改善するか。泣いても笑ってもこのF86Fで四、五年間というものは防空しなければならない。それが非常に劣っておるのですね。劣っておることに気がついたから、性能改善に五千七百万円を計上しておる。もう年度末も近いのですからその試験ができないということは、これはおかしい。それができておるのだとしたならば、むしろその改善に思い切って金を使う。そうして三菱から新しく買うのはまだ四十機ぐらい残っておるでしょう。この三菱から納めるのは改造されない性能のやつだと私は思っております。むだです。それをストップして、その金で性能改善をやると、三百機というものでこれから四、五年間というものはほんとうの実戦部隊として役立つ性能を保持することができる。そこに非常に大きなギャップがある。104が整備されるなら、ほんとうに使えるのは一九六五年でしょう。昭和四十年。三十五年から四十年の航空兵力は飛行機の性能によって大欠陥がある。それを補うということについて、空僚も防衛庁ももう少し真剣にならぬといけないのじゃないか。あまりおくれた日本が世界一流の戦闘機国になろうというよりも、手に入れた現在持っておるやつをどう生かして使うかということをもう少しまじめに御検討願いたい。新しい通常国会ではその点も承りますから、十分それまでに検討されて、欠陥是正についての具体案をお持ちになっていただきたいと思います。  大体そのくらいでありますが、とにかくこの業務計画を拝見いたしまして筋書は大して異論はないのですが、これを掘り込んで具体的に検討しますというと、いろいろの問題が出てきますから、当委員会の立場を尊重されて、事前に議題に供せられたことに心から敬意を表して、今申しました意見を過去にとらわれないで、率直に御批判をいただいて、取るものは取るとして、新しく出た法案の審議にはむだな議論をしないように、最後に希望を申し上げて私の質問を終わります。
  261. 横川正市

    ○横川正市君 いろいろな観点から質問をされるので防衛庁長官はとまどいするかもわかりませんが、私は、装備がどうなっているかこうなっているかという問題よりも、根本問題で二、三質問したいと思うのです。ことにこの計画の中の教育、特に精神面の充実を期するとともに体育の振興をはかる項なんですが、先般安保闘争のさなかに自衛隊にこういう投書がありました。理由のない出動に対しては、われわれは命令には服従しなくてもいいのだ。これはいろいろの部内教育の面で、憲法も教育させるであろうし、社会問題も教育するであろうし、あるいは精神面のいろいろな強化策もはかられている。しかし、その中で一番問題になるのは、自衛隊の諸君が帰省をする。そうして自分の肉親やら、あるいは友人やら、あるいは近隣とある期間接触をする。そうして部隊に帰ってくる。そのとき自衛隊におけるところのいわゆる任務というものについて、さらに確固たるものを持って帰ってくるのか、あるいはきわめて自分の立場に対して質疑を持って帰ってくるのか、こういうような問題について、実際上教育面を生かして、あるいはいろいろの問題をとって、一体検討されたことがあるのかどうか。私は端的に一つ一つの事象で、あるいは二十数万いる者の中の一人や二人の行動でこれを律しようとは思わないわけでありますが、全体的な動きの中で、自衛隊が精神面あるいは教育を通じて、どういうふうな変化過程を通っているのか、この点について一つ明確な御答弁をいただいておきたいと思うのです。
  262. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは非常に重要な問題でありまして、私どもも就任以来この問題について注意をいたしておるところであります。現在の自衛隊の士のクラスは平均満二十一才、いわゆる第二次世界大戦、あの戦争というものを身をもって知らない諸君である。従って、新しい時代の自衛隊として育成していけば、これが理想的な自衛隊になることは言を待ちません。そこで、その教育がどう行なわれているか、これは私もずいぶん関心を払って、注目をいたしているわけであります。以前はそれが徴兵検査でありましたし、同時にまた、それは強制的な一つの方向に、型にはめていくという教育であったことは御承知の通りであります。ところが、戦争後の民主主義時代の教育というものは、比較的自由な教育環境の中で育ってきております。その者たちを一体どう動かしておるか、こういう点について見ておりますと、実によく納得させて、そうして一つの方向を与えていく。また納得させて自衛隊の隊員たるの気風を養っていく、こういう実があがっていると私は見ているのであります。従いまして、それぞれがやはり正しい判断に立って、世の中の政治情勢を理解するということは、一番大事なことでありまするから、むしろ郷里へ帰って周囲のいろいろの意見を聞いたり、いろいろの状況に接することは、これはいいことだと考えております。しかし、どういう場面、どういう意見に突き当たることがあっても、やはり自分としてのそこに判断をもって行動する。それからまた隊としてはそれらといろいろ懇談をし合って結論を見出していくということで、成果を上げているものと私は考えております。
  263. 横川正市

    ○横川正市君 答弁としては、私は非常につじつまが合っていると思うのです、形は。しかし、個人が物の判断をするのに、作られたり教えられたりした中で自主性をだんだん鍛えられていくわけですね。だから、実際上りっぱにする場合には、あらゆる要素というものを個人に注入して、初めて自身の判断というものが、誤まりないものであるか、誤まったものになるかということになるわけです。今、私は、一番自衛隊で問題なのは、やはり何といっても自衛隊発生以来の、きわめて世論の中の、数はどうであれ、きびしい批判の目と、それから批判の目でないのは、きわめて嘲笑的な目と、そういういろいろの面が片面にあり、片面では目的に従って自分たちの任務というものを遂行させられているという、そういう面をもって動いているのですよ。だから、常に片面から、たとえば帰郷したとか、あるいは外出したとかして、いろいろな接触面というものは常に反対側のものを見せられる。あるいはそれを持って隊内に帰ってくる。その場合に、隊で教えておったような教育が著実に積み重なっていくものなのか、それとも、そうでなしに、そういう年限がたてばたつほど自分の自信喪失のような格好になってきて、その何%の者は隊からまさにのがれるような結果になる。こういうことになるのは、私は精神面の問題としてはきわめて重要であると思うのですよ。そういう結果、自衛隊が生まれてきたというよりも、そういうものを生ましめた根本問題について一体防衛庁長官はどう考えて……。今あなたの答弁をおそらく聞けば、自分のやっていることは間違いないので、その間違いない考え方でいけば、りっぱな自衛隊員ができるという答弁が得られるかもしれませんが、私どもの見る限り、あるいは知る限りにおいては、隊員の中には相当人間的な深刻な悩みというものを持っていると思うのです。その深刻な悩み、あるいは疑問というものに対して答えてやれるかどうか。その面で、長官としては、今まああなたの考え方を相手に押しつけないで少なくともそういうような欠陥を排除しながら、りっぱな隊員というものを作るとするならば、どうしたらいいか。この点について考え方を持っていろんなら、お聞きしたいと思います。
  264. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 現在の自衛隊員は、まずその根底において志願者である、これがございます。そうして自衛隊というものを一応納得して入隊を希望した者、こういう根底があるわけであります。従いまして、それにさっきから申し上げましたような納得ずくで話をし、了解をさせていくということになれば、一、二の例外というものは、これは数の多い中にどこにでもあると思いまするが、自衛隊全員、いわゆるおしなべての話として、私は、教育は十分徹底し、規律も保たれておると確信を持っております。
  265. 横川正市

    ○横川正市君 大体根本が違うんですね。今、三つか四つの選択するべき残業というものを目の前にしておいて、その一つに自衛隊を志願するかどうかというやつを置いといて、そして志願する場合と、もうどこも行く所がない、あとは自衛隊だけだ、一つ自衛隊を志願しようという場合とは、おのずと本人の心がまえというものは、そのものを求めるものが違ってくるはずですよ。今の実情からいえば、自衛隊の育った母体が一体どこにあるのか。いろいろ検討してみれば、北海道なんかの場合にはあまりたくさん志願者がいなくて、そして東北とかあるいは九州、こういうような所に非常に多いという比率が出ておるですね、実際には。そうすると、一体東北とか九州になぜ多いかということは、やっぱりこれは経済母体の問題でしょう、実際には。そういう人たちを集めてきてそして教育する場合に、社会の全体的な、たとえば労働組合を理解させ、あるいは今の政治状態を理解させ、あらゆるものを理解させて、個人の判断というものに誤りないりっぱな人格というものを作っていく教育をやらされているのか。それとも私が自衛隊新聞を見たときに感じたように、昔の教育と同じように、勝手気ままに作られた一つの理論で、ほかのものを見せないで、まっすぐ歩かせるような、そういうPRの中で育てているのか。これは、私はゆゆしき問題だと思うんです、その結果は。しかも、成り立ちか成り立ちで、国の中には相当大半の反対勢力があって、そしてその中で一つの人間というものを育てて、それが国の防衛とかあるいは治安出動とか、こういったものに使われてくるということになると、反対している者の側からすれば、いろいろ理由はあってみても、非常に大きな問題があの中に介在していると、こういうふうに言わざるを得ないし、それから教育の面についても、私どもは心配する面が非常にたくさんあるわけですよ。そういう点で、一体精神面とかあるいは教育の上からいくと、精神面の拡充強化を期するんだ。これはここに書かれているから、何かりっぱなものができるようには思われるけれども、実際に一つ一つあてはめてみれば、実際危険な要素というものはなきにしもあらず。それには、戦前の兵隊さんを作った日本の軍国国家と同じような結果にならないか。そこまでいかなくても、非常に心配されるものがあるのじゃないかというふうに思うのです。その点は、いや心配することはない、こうやっているという、いわゆる教育というものをどう考えているかを私どもとしてはお聞きしたい。
  266. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) おのずと自衛隊員たる者の任務、目標、責任というものは、これはきめられております。だから、その線に沿って教育を施していくわけでありまするが、その人格の発展段階において、人間、それは自衛隊員たるといなとを問わず、いろいろな疑問に突き当たることは、これはもうあることです。あることが発展の一つの過程でもあるというふうに考えております。従って、そういう疑問を正しい姿で、本来の任務と責任を伴った方向に導いていくことは、上官たる者の当然の任務でありまするし、これらについて私はよく行なわれておると思います。具体的な問題についてならば、政府委員からお答えをさせます。
  267. 小幡久男

    説明員小幡久男君) 自衛隊員の精神の興隆につきましては、現在のところは、しいて求めれば、自衛隊法の五十二条にございます(服務の本旨)に書かれております。現在やっております教育を整理して申し上げますと、まず第一は、国家に対する忠誠ということであります。これは、御承知のように、民主主義のもとでは、国家国民に対する忠誠奉仕と、こういうのが基盤になっております。その次は、隊員各人の資質の向上ということでございますが、この点につきましては、特に注意を払っておりますのは、独善と偏狭というふうなものに陥らないように、体力、気力、情操、それらがおのおの均衡をもって発展する、そういう人間が戦場においてほんとうに勇気のあるということは、最近の朝鮮戦線においても実証されておりますので、大体基本は、そういった片寄りのない個人を作っていくというところに一つの基準を置いております。それから、その次は責任感でありますが、これにつきましては、自衛隊の服務は、御承知のように、生命を賭しての職務でありますので、また、その職務が非常に他の職務と密接不可分の関係にありますので、勇気とそれから戦友に奉仕する、やがては国家全体に仕えるというふうな友愛奉仕と献身の精神をもってやっていく。これが一般の社会におきましても公共奉仕の精神と同じであるというふうに考えております。なお、その次は規律でございますが、これにつきましては、その典型的なものは命令と服従でございます。これは、先ほどから問題になっておりますが、納得ずくで、自発自由の意思によって、誇りをもって服従し得るような命令規則というものを出していく。ときにはそういかん場合もありますが、任務が許す範囲におきましては、合理的な基準におきまして、隊員が納得ずくで進んで、誇りをもって服従し得るような命令規則というものを出していくというふうな点を重点に置きまして、結局は個人の自覚自律によりまして全体の団結をはかっていくというふうなところに基礎を置いております。従いまして、自衛隊でやっております精神教育の基調は、決して一般社会、一般国民の指導原理と矛盾するものではありませず、この措置におきまして、特殊な任務に即応した多少の差異はありますが、根本におきましては、一般社会の忠誠といいますか、あるいは奉仕といいますか、あるいは隣人愛といいますか、そういったものに基礎を置いた、健全な精神を現在育成しておる次第であります。
  268. 横川正市

    ○横川正市君 教育についての科目といいますかね。これは、何も自動車関係の方は運転だけが科目じゃなくて、一般に必要とされるところの常識の問題にしても、あるいはそれにいくらか専門的になったものであるとか、そういったものが幾つかの科目に分かれて教育されるのだと思いますが、大体一般の自衛隊員の教育に使ういろいろな教科書とか、あるいは科目というのは、どの程度になされておりますか。
  269. 小幡久男

    説明員小幡久男君) 科目と申しましても、特に術科の方は非常にたくさんございまして、一例を申しますと、航空自衛隊では七十五、陸上は何十種類とございますし、海上も航空機、艦船等を扱っておりますので、いろいろの特殊な学科が採用されておりまして、全体を合わせますと、何百という種類になろうかと思っております。
  270. 横川正市

    ○横川正市君 いや、一般科目ですよ。専門科目じゃなくて、教養科目といいますか……。
  271. 小幡久男

    説明員小幡久男君) 一般教養の方は、大体、精神教育として、一本でやっております。
  272. 横川正市

    ○横川正市君 どうなんですか。たとえば、強固な精神を持つために禅の棒でむちうつような、そういう形の一本の方法なんですか。それとも、いろいろなものを総合して、その人の意思を堅固にさせていく、あるいは思想をどういうふうにしていくとか、いろいろな形のものがあるはずですね。そういったものに、どういう科目と教科書を使っておりますか。
  273. 小幡久男

    説明員小幡久男君) いろいろの教科書を使っておりますが、その典型的な事例を申し上げますと、たとえば、陸上自衛隊の教養課程といわれておりますが、そこは一番典型的な教養課程ですが、そこの教科書を例にとりますと、やはり倫理とか国際情勢、それから日本の歴史、世界の歴史、それから宗教、そういった、隊員としての徳目以前の社会一般常識というものを相当教えております。その次に隊員としての徳目、自衛隊の任務、民主主義と自衛隊といったふうな、自衛隊的なものというものを教えております。
  274. 横川正市

    ○横川正市君 私は、きれいなものばかりというよりは、教えたいものだけ教えるというような内容ではなしに、相当これを教えて、それをその人間が正しいと思うようになっては困ると思われるようなものであっても、これはやはり課程の中に入れて、なおかつそれが総合的な批判力の培養になれば、私はそれはいいと思うのですよ。ところが、やっぱり教育ということになれば、両側を押えてまっすぐ走らせる教育ばかりしたのじゃ、私は相当危険な力というものがその中に作られてくると思う。いろいろ言葉の中では言われておりますけれども、そういう面も教育の中に十分入ってこなければいかぬということで、私どもこう言ったからといって、すぐあれも入れよう、これも入れようとあなた方は考えるとは思わないけれども、私は、これについて強く要請をしておきたいと思う。  それからもう一つは、私は、命令に対する絶対服従という問題についても、これはいろいろあると思うのです。その中で、納得しなければ個人としてはその命令に従わないのだというようなことが起こった場合、これはきわめて不忠なものであるということで、とたんに排除されてしまうのか、それとも、そういうものが起こってきても、それに対して最も適切な訓練指導をして、そうして納得させていくのか、これは私は、将来の教育の一つの方針としてあるべきだと思うのです。それはなぜかというと、安保のときに、たまたま理由のない出動に対してはわれわれは出動しなくてもいいのだという投書に対して、おそらく所属の部隊長かだれか、大へんろうばいしたような反駁を載せておったような記事を私は見たのですが、そういう点では、もう少し中に民主性があっていいのじゃないか、こういうふうに思われる。教育面では、この点も十分考えてもらいたいし、問題はやはり世論の中に非常にきびしい立場に立っておられるから、もう一つそういう点について、一方的な教育だけではこれは済まされないと、こういうことで、幅広く取材していかなければならないと思うのですよ。  それから同時に、この間、九月一日ですかに、矢嶋委員から防衛長官質問いたしてありました治安警備訓練の問題ですね。これは、今度の三十六年度業務計画の中には載っておらないのじゃないかと思います。防衛局長が言ったように、まだ全く、どういう内容にするか、試験的な段階なので、現段階では、他にこれを広めようとは思っていないというような答弁がありまして、一応納得されているようでありますが、八月十四日の、これはたしか東京新聞、それから八月十五日の北海道新聞に出ている内容を見ますと、相当広範な計画によって進められているようなんです。私は不満に思うのは、国会委員会で新聞を見てから質問するというのは、少し逆のような気がするのです。そうではなしに、やはりある程度の業務計画とか、あるいはその他の何らかの行ないたいという問題があれば、それは、先に一つの方針として打ち出されて、それに対してある程度の論議をされるということも必要じゃないかと思うのです、実際には。しかし出てしまったから、私たちはこれに対して質問いたしますが、たとえば、所在地の問題にすれば、大体管区に対して二カ所とか三カ所、こういうことで、全国に対してこれは何本になりますか、十幾つになる所へ設置をしたい、こういうふうな計画があるようでありますが、この新聞報道は、これは誤報ですか。それともこういう計画があるのですか。これは、先般の防衛局長の話とはだいぶ違うわけですが、その点をお尋ねいたします。  それからもう一つは、治安出動の教範ができたように言われているわけですが、この教範というのは、試験的なものとして、いわば暫定的な形で作られた教範なのか、それとも、もっと根本的な理由をもって作られた教範なのか、この点について一つ明らかにしてもらいたい。
  275. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 治安部隊の訓練につきましては、一個大隊、試験的に大隊の訓練、中隊の訓練というようなことをやっております。それは、御承知の通り、その任務の中に国内治安に任ずるという項目がございます。そこで、どうぞ誤解のありませんように、国内治安に任ずるという訓練は当然の任務でありますから、これはやらなければなりません。これを実際に何か事が起こったときに出動させるかさせないか、これは重要な政治的判断の問題になります。これと訓練をするということとは別であります。平素からたとえば有事即応の訓練をしておくということと、いよいよ戦端を開くということとの判断は、おのずと別でありますように、これはどうぞ御了解を願っておきたいと思います。  それから、今の命令の問題でございますが、その命令が間違っていない以上は、確実に命令に服することも自衛隊員としての義務付けがなされております。命令があって、その命令が正しい命令であるにもかかわらず、命令違反は勝手次第というようなことでは、一つの任務、一つの方向を遂行することに役に立ちませんので、そういう教育はいたしておりません。
  276. 横川正市

    ○横川正市君 教範はどうです。
  277. 小幡久男

    説明員小幡久男君) 教範につきましては、現在、治安出動の際の訓練の基準といたしまして、そこの教材という意味検討しております。来年の四月までに部内で検討いたしまして、ほぼ満足なものができ上がりますれば、一応訓練の基準として作っていきたいという程度意味をもって検討いたしております。
  278. 横川正市

    ○横川正市君 これは、私は新聞の記事からこうではないですかと尋ねるのは、いささか不見識だと言われればそれまでですが、それしかないから聞くわけですが、この教範というものを作られているというのか。それとも教範はもうできているというのか。非常に問題なのは、この新聞のあれによると、もうちゃんと編成されているのですよ、総論から各論に至るまで。しかも、具体的な内容まで出ているわけですよ。だから、それがまだ検討中ですと言われると、この記事は一体捏造記事かということになるわけですね。一つこの点をはっきりしていただきたい。
  279. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは、今教育局長から答えました通りに、検討中でございます。
  280. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、新聞では「成る」ということですから、検討中じゃないわけですが、この記事と防衛庁の言動とは違うということになりますね。それじゃ、いつごろこれはできるわけですか。
  281. 小幡久男

    説明員小幡久男君) 来年の三月に大体第一次草案が内定する運びでやっております。
  282. 横川正市

    ○横川正市君 それから、この各管区に所在をずっと明記されておるようでありますが、これは、記事によると、これもまた誤報であって、加藤防衛局長が先般答えられたような、まだ試験的な、暫定的な段階だ、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  283. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) それはまだ考えておりません。
  284. 横川正市

    ○横川正市君 これをちょっと読み上げますと、北部方面部隊には、第二管区に旭川市春光町、第五管区に帯広市緑ケ丘、第七混成団では、札幌市に三個部隊、東北部隊云々、東部では幾ら、中部では幾ら、西部では幾らといって、設置の場所までこれは明記されているわけですよ。これは間違いかどうか、はっきりして下さい。
  285. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 今、政府委員ともここでいろいろ話し合いましたが、さようなものは、たとえば陸幕の試案というようなものでもさようなものはない、こう申しておりまするから、私も、それは具体的に承知いたしておりませんから、それはまあ、個人的な私見を何か聞かれて、あるいは記事になされたものかと思います。それは間違いありません。絶対。
  286. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 業務計画全般的な見解を一応述べて、長官の意向も聞きましたので、具体的に二、三点聞きたと思います。あなたが今、自衛隊のワク内で民生面に対する協力を進めていこうという考え方は、これでけっこうだと思うのですがね。私は具体的に伺いますが、爆弾とか小銃弾を備蓄するよりは、この民生面に対する協力と施設隊の充実という意味で、むしろ次の装備をすべきだと思うのです。これは、下部から具体的に要望が出てくるわけですがね。それは、部外工事用に備えての装備器材ですね。これは災害の場合必要ですが、たとえば、ローラー、クラッシャー、プラント、それから石を砕く砕石セット、それから、災害の場合に必要な消毒用ポンプ、それから野外浴槽用の加熱装置、それから災害等に連絡をとるために通信線の増加とか、それから、伊勢湾台風のように、長い期間にわたって出動した場合に、非常用糧食の改良とか、こういう装備器材の充実が、要望が下部から具体的にあるわけですが、これはもっともなことだと思うのですね。僕らは、むしろ爆弾とか小銃弾を備蓄することよりも、こういうものを整備して、そうして災害時とか、あるいは一般業者がやっている、採算がとれずに道路とか港湾の改修ができない、そういう公共事業に、民生協力に、態勢を整えることは適当である、こう思うのですが、長官の御見解と御決意を承りたい。
  287. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは、業務計画にうたっております通り、全く重要なことであります。自衛隊は、国の独立を守るという任務とあわせて、私は国土をよくするという言葉を使っておりますが、そういったやはり新しい新時代の自衛隊として任務遂行に励まなければならぬと思います。今お説のような器材を含めまして、本年度は、九億円部外工事用の器材として大蔵省に要求をいたしまして、目下折衝中でございます。
  288. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これはぜひ一つやっておいていただきたい。そうすると、われわれが政権をとって、あなた方からバトンを受ける場合に、国土建設隊に切りかえる場合非常にスムースにいく、当面役に立ちますから、これは僕の持論ですが、御要望申し上げておきます。  次には、十三個師団の編成に着手するという、こういう項目ですが、形だけ整えるということは問題だと思うのです。たとえば、私は具体的に善通寺の部隊を例にとって申しますが、あの部隊は、ともかく管理維持をよくやっております。私は自衛隊は反対だけれども、よくやっております。管理維持はよくやっているので感心しました。ところが、内容的に見ますと、たとえば四個中隊あれば、形だけはあるけれども、人員が整わぬから、演習をするときには、これは三個中隊に編成がえするわけです。別に。だから、平素やっているときと、今度は訓練演習をやる場合は、編成がえするわけです。そうでなければできないようになっているのです。こういう編成の仕方はないと思う。具体的にあげますと、駐屯部隊の人員の定員は二千六百四十五人、ところが、保有人員はそれよりも八百人少ない千八百三十七人ですよ、それで格好だけ整えているのです。第十五普通科連隊を見ると、定員千七百七十六名、これに対して、七百名以上も少ない千五名しか保有人員がない。そういう形で、形だけ整えている。逆に今度は、駐屯地の業務隊は定員が十九人、非常によくやっておったですが、定員は十九人です。保有人員は百八十七人、こんなことはでたらめですよ。定員十九人で百八十七人、こういう格好で、あなた方陸海空の編成というものは、アメリカの軍事顧問団の意見が相当入っているわけです。彼らは、軍事体制というものを頭に描きながらやっているのです。形だけは整っているが、人間がおらなければ、装備もない、人員もないということができているのです。訓練もできない。訓練にいくときには、大隊を縮小する、中隊を臨時編成するということでやっているのです。こういうところにも訓練に自主性がないのです、あまり顧問団の意見を取り入れて。だから、十三個の編成をするというのも、あなた方与えられた権限内でやろうとしているだろうけれども、私は、こういう点に反省があっての計画もしなければならぬと思うのですが、長官の御所見を承っておきたい。
  289. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) むろんそういった点も十分勘案いたしまして、新しい日本の地理的、国情等に即応した新師団編成を考えております。
  290. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いずれ論議しますが、今継続審議になっている防衛庁設置法では艦隊と呼ぶようになったですね。船隊を艦隊と改める場合、ここでは今まで混成隊とか管区を師団という名前で出てくるように、いよいよ憲法に抵触してくるようになりますよ、名実ともに。これはまた他日論議しますが、これは警告を、注意を喚起しておきます。  それから、この対空誘導兵器の導入促進というものが出ておりますね。この要求は十億三千万円しているというのですが、どういうものを誘導促進するのですか。
  291. 小幡久男

    説明員小幡久男君) これは、主として技術研究本部で、GM関係の研究開発のための経費、その研究に使います機械器具類、それから若干の人件費、旅費等でございます。
  292. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 今、先ほどの辻委員の御質問に関連いたしまして、開発費の関係を経理局長から申し上げたのでありますが、そのほかに、三十五年度におきまして、ナイキのアジャックスのパッケージ・トレーニングの部隊を一隊出すことにしておりますが、それをさらに引き続きまして第二次のパッケージ、トレーニングの部隊を三十六年度において要求したいということを今度やっておりますことを申し添えます。
  293. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ナイキ・アジャツクスの点はわかりました。ボマークの方は……。
  294. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) ボマークのことは考えておりません。
  295. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 考えていない。
  296. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 今のところ考えておりません。
  297. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 三井系のグループは、ホークの国内生産態勢を整えつつあるというのですが、これにも関係があるのじゃないですか。技術開発費を防衛庁は出すつもりはないですか、どうですか。
  298. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) その点については今後の予算は関係ありません。
  299. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関係なし。これは三井系グループはそういう態勢を整えつつあるということは、装備局長御承知ですか。
  300. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 承知しております。
  301. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 防衛庁長官、将来これに助成措置をやられるのですか、どうなんですか。何か話し合いが進められているのじゃないですか。
  302. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 次期防衛計画においてどういうミサイルを持つかということがきまりませんと、具体的にその問題は決定できないわけであります。
  303. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは、今三井系グループが活発に動いているのは、防衛庁とは無関係に動いていると、こういうふうに了承してよろしいですね。
  304. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) むろんそういうことでございます。大体業者が動くことは、先に勝手にやることでございますので、われわれの現段階において関知しておることではございません。
  305. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 よく地下で手を結んでいますからね。(笑声)  次に、この空対空ミサイルのサイドワインダーのことはわかっていますね。スパロー、ファルコンに手をつけるのじゃないですか、どうですか。手をつける意思はないですか。そう了承してよろしいですか。
  306. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 政府委員から答えさせます。
  307. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 御承知の通り、サイドワインダーはインフラレッドのフォーミングのものでございまして、レーダーフォーミングのものを持ちたいという希望はございます。航空幕僚の方に希望はございます。しかし、これは持つかどうかということは、なかなか大へんな問題でございまして、次期防衛計画において取り上げる一つの大きな項目だと思いますが、現在のところは持つ意思は決定しておりません。
  308. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それで伺いますが、この方針の、各綱領の「対空誘導兵器の導入を促進する」、これに関連する総予算額は十億三千万と、さっきのこの数字の範囲内だと、こういうふうに了承してよろしいのですか。ほかにまだ加わるのじゃないのですか。これは一部じゃないですか。新規だけじゃないですか。これは、数字をお答え願います。
  309. 山下武利

    説明員山下武利君) ただいまの十億三千九百万は、いわゆる試験研究のための開発費用でございまして、先ほど防衛局長からお答え申し上げました第一次のナイキのパッケージ、トレーニングの旅費は、それには含まれておりません。
  310. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは幾らですか。サイドワインダーを何発買って幾らですか。
  311. 山下武利

    説明員山下武利君) これは、第一次のナイキは、単にアメリカに行く旅費だけの問題でございまして、第一次分は無償で提供するという約束になっておりますので、予算的には入っておりません。
  312. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 だから総額を言って下さい、私は金額がわかればいいのだから、総額さえ。サイドワインダーも買うでしょうが。さっきは開発費が十億三千万ある。ナイキ・アジャックスもある。サイドワインダーもある。それを入れますと、要するに、誘導兵器の来年度の総予算額は幾ら要求しようとしているのか、それを聞いておきたい、総額を。その総額の答弁ができるまで、時間が迫りましたから、防衛関係の最後の質問をいたします。今、木更津のあの倉庫には、F86Fは何機ストックされておりますか。
  313. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 四十五機ストックされております。
  314. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 四十五機。この四十五機のうちの一部で、4航空自衛隊の項目の(1)にあるRF——86Fで一偵察飛行隊を作ると、こういうことですか。
  315. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) そういうことでございます。
  316. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その四十五機のうちの何機を使いますか。
  317. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 十八機を使います。
  318. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その予算額は三億六千万円、国庫債務負担行為を求めていますね。相違ありませんね。
  319. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) その通りでございます。
  320. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それならば、四十五機から十八機を引いたものは、それはどうしますか。
  321. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 木更津の四十五機は、いまだ全部残っているという答弁でありましたが、私の聞きましたところでは、先月二機小牧の方に移ったはずでございます。ですから四十三機だと思いますが、そのうち、四十五機のうちの十八機がRFの方に改装いたします。残りの飛行機は、これは全体のF86Fの使用状況に応じまして、順次増加して参りたい思っております。
  322. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 衆議院の予算委員会で、横路委員の質疑に対して、木更津の倉庫に入っている四十五機は、これは偵察飛行機に改装するのだと答弁したのはどういうわけですか。四十五機全部それにするという答弁をしていますよ。
  323. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 私はそういう答弁を記憶しておりませんが、どなたの答弁でしたでしょうか。十八機ということはきまっているわけでございます。
  324. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 防衛庁長官かあなたか、どっちか、横路さんへの答弁で……。十八機は前から知っています。だから、十八機をさらに改装するのかと思って伺ったのですが、それはないわけですね。
  325. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) ございません。
  326. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 本年度は、今新三菱で、本年度予算計上して、今四十三機F86Fを作っていますね。来年度は作らないのだと思いますが、その点確認しておいて下さい。
  327. 塚本敏夫

    説明員塚本敏夫君) 来年度は作りません。
  328. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうすると、結局去年の二月に木更津の倉庫に入っておった四十五機を返還を命ぜられて返したあと、なお四十五機残っている。そこで、そのうちの十八機を三億六千万円の予算で偵察飛行機に改装しよう。あと残りは、今配属してあるF86Fをどこかへ、おっこちたところに補充していこう、こういう計画だと了承してよろしいですか。非常にこれはずさんなんだな、計画が。四十五機返されたでしょう、二月。あと四十五機残っておった。今年また四十三機作った。そうして倉庫に入っておる中の十八機は、今ここに出ている(1)に、偵察飛行隊を作るというが、四十五機から十八機を引いたものは今すぐ使う計画はないわけですね。こういうところの計画は非常にずさんだと思うのですが、どうなんですか。
  329. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 今、これは御承知だと思いますが、木更津にあります四十五機は返還後のものでございます。そのうちの十八機を偵察機に改装して、残りは、パイロットが漸次増加して参りますから、現在86Fのパイロットは三百二十三名になっております。これは相当年度末にふえます。そのふえますに従いまして所要飛行機がふえるわけでございますから、その数を逐次各飛行機部隊の方に配置をしていくということでございます。
  330. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうして一方では、そういう。パイロットはまた104Jの訓練をしなければならぬわけですね。一方ではそのパイロットを104Jの訓練をする。そうして今、木更津に入っているのは、新三菱さんで今作っている四十三機と合わせて配属をすると、こういうことなんですか。
  331. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 104Jのパイロットの訓練は、もちろんこれは始めなきゃなりませんが、初めの間はごく少数でございます。このソースといたしましては、今申し上げました86Fの三百二十三名のほかに、86Dの九十九名、これらの中から数人を、とりあえず三十五年、六年におきましては数名の程度であろうと思いますが、こういうものの訓練をいたします。あとの86Fは、おっしゃいました通り、パイロットが漸次ふえて参りますから、飛行機の数がふえますから、それに応じて各飛行隊へ分ける、こういうことになります。
  332. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今、五千七百万円で二機の性能向上修理をやっている。それがうまくいけば、それらのF86Fを全部、一機約二千八百万円かけて性能向上をはかる、こういうわけですね。
  333. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 86Fの性能の向上の問題は、これはもうロケットをくっつけまして、上昇スピードを増すという問題なんですが、これはまだ、先ほど装備局長がお答え申しました通り、結果を聞いておりません。非常に成績がよろしくて、しかもあまり金がかからないというふうなことならば、そういう問題を検討して参ることになろうかと思います。
  334. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 五年後には、今度はF104Jを改良しなければならぬことですから、予言しておきましょう。  そこで、さっきの誘導兵器関係の総額は幾らでしたか。
  335. 山下武利

    説明員山下武利君) 資料を持ってきておりませんので、一億幾らだと思いましたけれども、今、数字を取り寄せておりますから……。
  336. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一億……。
  337. 山下武利

    説明員山下武利君) ちょっと詳しい数字は今覚えておりませんので……。
  338. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 防衛庁長官に対する最後の質問ですが、通告しておきましたが、この十一月で、お宅の別府のキャンプ、あれは期限が切れるわけです。それで、観光都市ではあるし、約束であるし、あの別府のキャンプは、十一月の期限で移転計画を実行に移されるものと思いますが、承っておきます。なお、当時の契約書類を資料として出していただきたいということを要望しておきましたから、それを矢嶋に届けていただきたい。お答え願います。
  339. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ここに資料がありますから、後刻お届けいたします。実は、本協定には、三年後の時期におきまして、自衛隊は当該地域に駐屯することが観光都市としての性格上著しく不適当と認められるときは、両者の協力によって移転に努力する旨記載してあるのでありますが、現在のところ、協定にあるような、観光都市としての性格上著しく不適当なものであるという情勢に立ち至っておるとは考えられませんので、移転については考えておりません。しかしながら、協定書にうたってありまする時期にも達しまするので、近く市当局とこの点に関する情勢判断を聞いてみるつもりでおります。
  340. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 珍しく慎重に読んでいるですな、これは。だから、一般に演習場とか部隊の所在地のことについて、一般論として聞きますが、希望している所もあるんですね。そういう所と、それから、いろいろの角度から希望しない所があるんですが、そういう点は防衛庁、やはり考慮したらいいと思うのですよ。たとえば高知あたり、地区施設隊をぜひ置いてほしいと強く要望されている、六十二名程度でけっこうだから……。そういう所は協力態勢もとれるし、僕はそういう所に持っていったらいいと思うのです。それから、いろいろな条件で都合の悪いという所は、そういう意思表示があったならば、それを考慮に入れてやられることがよろしいかと思うのですよ。だから、別府のキャンプの問題は前から引っかかっている問題ですが、第一、あの温泉都市の、夏だったらゆかたでタオルぶら下げて歩ける所で自衛隊を訓練するのでは、いい自衛隊はできませんよ。僕は、この前善通寺を見たが、善通寺なんかは地の利を得ているのですが、環境はいいし、同じ自衛隊があるのなら、やはり地元も歓迎しているようだが、ああいう所に自衛隊があったら、幾らかものの役に立つものに成長するのではないかと思うのですが、どこから見ても、別府なんという所は、地元もいやがっている所でもあるし、病人ができた場合に病人を収容する病院でも作って、そして療養をするとか休養をとるというような施設を作るということをやるなら、これは私も賛成で、けっこうなことだと思うのです。しかし、実戦の訓練部隊をあんな所に、しかも地元からいやがられているのに、置いておくことはありませんよ。十一月の期限が来ているのですから、地元の意向に沿って善処されることと思いますが、念のためお答えいただきたい。
  341. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) お説の通り、どうも別府という土地が訓練に適当な場所とは考えておりません。そこで、かねてこれは、米軍が接収しておりましたものを自衛隊が引き継いだという格好のものでございます。そこで、新たに土地を求め、建物を求めるということがなかなか、さっきからの御質問にもありますように、自衛隊として思うような予算も獲得できぬものでございますから今日に至っている、こういうわけでございまして、ぜひ一つまた予算獲得や何かにつきましては大いに御協力願いますと、そういう新たなる方面に、ここが適当な所とは思いませんので、かわる方途を講じていきたいと考えております。
  342. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 長官質問は終わります。
  343. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑はこの程度にとどめます。
  344. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、国家行政組織に関する調査を議題とし、公務員の定員に関する件の調査を進めます。  政府側の出席の方は、高橋行政管理庁長官、原田行政監察局長、荒巻郵政大臣官房長、長田人事部長、板野郵務局長、内藤文部省初中局長、岩間初中局財務課長、以上でございます。郵政大臣、郵政政務次官、文部大臣、文部政務次官は出張中でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  345. 横川正市

    ○横川正市君 管理庁長官にまずお尋ねいたしますが、先般矢嶋委員から要請がありまして、東京中央郵便局の定員外の職員についての調査報告が出されているわけでありますが、この調査に基づきまして、行政管理庁として郵政省に対して何らかの処置に出たのですか。それとも、調査した結果、何らまだ具体的な処置をとっておらないのですか。その点をまずお伺いしたい。
  346. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) この前、矢嶋議員からの御要求によって、われわれも調査いたしたのでございますが、調査の結果はお手もとに差し上げた通りでございまして、われわれも、定員法の改正等がおくれておりますために、これらの措置に非常にそごを来たし、実際の事務にいろいろと支障のあることは、われわれも承知しているのでございます。よく郵政当局ともその点につきましてお打ち合わせをしたのですが、郵政当局といたしましても、現在の勤務者の中に、近く定員法の通過等と相待って、その大部分を定員に繰り入れる、こういうような話でございますが、われわれといたしましても、あまりにも定員外の職員が多いので、郵政当局に対して、すみやかなこれの定員内の繰り入れという措置あるいはその他の待遇上の問題、そういう点について一応の意見も申し上げている。こういうような次第でございます。
  347. 横川正市

    ○横川正市君 郵政省の官房長の荒巻さん、あなたにちょっとお聞きしますが、これは行管からの、今長官の言ったような要請に基づいて具体的な何か処置をとったんでございますか。それとも、そのまままだ何ら具体的な処置をとっておられないのですか。
  348. 荒巻伊勢雄

    説明員荒巻伊勢雄君) 中郵の非常勤問題につきましては、行管の調査の結果ももちろん考慮いたしまして、逐次改善の措置をとっているわけでございまして、具体的には、非常勤の処遇の問題につきましても、過般来団体交渉を重ねまして、いろいろな点につきましての改善措置につきまして妥結を見ているわけでございます。その一つといたしましては、たとえば七時間勤務のパート・タイマーの問題につきましては、これをフル・タイムのものに切りかえるというようなことにいたしまして、実態に合わせるようにいたしておりますし、そのほか長期の非常勤者に対しましては、月給制をとるとか、あるいは休暇制を付与するとかいうようなことで、逐次改善の措置を講じてきているわけでございます。
  349. 横川正市

    ○横川正市君 この調査の結果、今、とり得る手段としてはとり得たというようなことでありますが、それじゃ具体的に、一カ月二十一日雇用の場合のいろいろな厚生福利関係の不都合もあるわけでありますが、これは、大体基準として、一カ月二十五日雇用にこれを切りかえて、そしてこれらの厚生福利その他関係については解決したと、こういうことですか。
  350. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 東京中央郵便局の問題と一般的な問題とございますが、全国的にいいましても、当然二十一日以下の雇用で済むものにつきましては別といたしまして、仕事上の方の状況からしますと、二十二日以上雇用するのが妥当であるのにもかかわらず、予算の都合などによりまして、二十一日雇用にとどめた、そういうようなものにつきましては、大体今後はなくすように、二十二日以上の雇用にするように、そういうふうに改めておるわけでございます。
  351. 横川正市

    ○横川正市君 その問題については、相当下部からも要請のあったことでありまして、解決したことに関しては、私の方としても、その点を了といたしたいと思うのでありますが、そこで、この雇用の条件のいろいろな変わった中で、数からいきますと、未加盟者の中で、一日八時間、一カ月二十二日以上の者で、二カ月から六カ月未満の者が五名、六カ月から一年未満の者が百三十一名、それから一年以上一年六カ月の者が四十七名、一年六カ月以上二年未満の者が百名、二年以上三年未満の者が百十六名で、合計して三百九十九人と、こういうふうになっておりますが、これは、全体的に加盟者と同じような取り扱いをするというようなことになったわけですか。
  352. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 実は、この行政管理庁の報告書の備考欄にも出ておりますように、ただいま御指摘になりました欄、三百九十九名のうち、在職一年以上の計二百六十三人、こういうふうに出ているわけでございますが、その備考欄の方にもございますように、この在職一年以上となっておりますけれども、全期間が、一日八時間、一カ月稼働日数二十二日以上というわけではございませんので、ここに出ております一年以上でありながら共済組合に加盟しておらない、加入しておらないという人につきましては、東京中央郵便局に入りましてから現在までの期間が一年以上たっているという点から作りましたので、内容をずっと洗っていきますと、あるいは一日の勤務時間が七時間以下であるとか、あるいは一カ月の就業日数が二十一日以下であるとか、そういうふうに、共済組合に加入できない資格の期間というものが間にはさまっておりますために、一年以上でも加入できない、そういうようなことになっているわけでございます。
  353. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、この改正から起算をして、そうして一年以上従事した期間に該当するものは、逐次雇用条件を変更していくということになりますか。
  354. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 共済組合への加入資格は、先ほど申し上げましたように、一カ年の期間、十二カ月以上、一日八時間、一カ月の稼働日数二十二日以上という要件がございますので、そういう要件に該当し次第、共済組合に加入することになるわけであります。先ほど申し上げましたように、今後は、ことに東京中央郵便局の場合におきましては、二十一日雇用というものがほとんどなくなる見込みでございます。ほとんど大部分が二十二日以上の雇用になるわけでございますので、今後時を追うて共済組合への加入が認められる、そういうことになるはずでございます。
  355. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、方法としてはいいわけですが、救済の方法としては、これから約一カ年たたないと、大体共済組合加盟という問題は実現をしないということにならないですか。
  356. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 全部が、一カ年かかるという人はごく少数かと思います。先ほど申し上げましたように、一年以上の者が二百六十三名ございますが、ごく最近の期間をとりますと、共済組合加盟の稼働日数なり一日の勤務時間なりというものを満たしている月数が相当ございますので、一カ年はかからないかと思っております。
  357. 横川正市

    ○横川正市君 大体郵便物の配送について、配達日数について、普通日本の南と北と、東京を中心としての配送日数というのは、大体近い所は当日配達、それから本州内にあっては二日ないし三日、北海道の一部に四日というような、こういう配送日数になっているはずですが、現在はどのくらいの配送日数になっておりますか。
  358. 板野学

    説明員(板野学君) 郵便局によりまして非常におくれたり何したりする。あるいは郵便物によりましてやはり違う。たとえて申しますというと、ある郵便局では、いろいろの問題があるために多少おくれる。あるいは同じ郵便物でも、一種、二種の郵便物と、五種というものと、内部における取り扱い方法が異なるものですからおくれる。いろいろ原因は違いますけれども、現在では、長い場合には、北海道あたりで一週間ぐらいかかるというようなものもございます。九州あたりでもそういうことになっております。しかし、それはごく一部であるというふうに思っております。
  359. 横川正市

    ○横川正市君 普通の業務実績が上がっている場合は、大体標準とされている配達日数というのもあまり早いとは思われないわけですが、そういう一応規準よりもさらにおくれているという原因に、大体職員側からは、定員関係の充足率の不十分さというものを訴えられているのでありますが、これに対しては、郵務当局はどういうふうに考えておられますか。
  360. 板野学

    説明員(板野学君) 郵便物がおくれるというような点につきましては、いろいろ原因があるわけでございまするけれども、確かにこの定員が実情にマッチしていないという面もございます。また、非常勤のいろいろな賃金の問題とか、そういう面もございます。まあこれらの点につきましては、私どもは、定員でどうしても足らないところは非常勤を持っていくというようにいたしまして、なるべく総労働力としては不足のないようないろいろな方法を考えておるわけでございまするけれども、所によりましては、どうも賃金が非常に低いので、なかなか雇いがたいというような現象も夏季の繁忙期あたりには見えたようでございます。また、この非常勤なるがゆえに非常に地位が不安定だというわけで、労働意欲をそぐと申しますか、そういう面から、郵便の取り扱いの能率が落ちてくるというような現象もあるようでございまして、そういういろいろと遅配の原因もございまするけれども、そういう原因とか、あるいは非常勤の問題ということも、一つ考えられる原因だというふうに考えております。
  361. 横川正市

    ○横川正市君 実はきょう大臣に出席していただいて、質問をしなければならない問題だと思っておったのですが、大臣も政務次官も来ておられませんので、事務当局の方に、ぜひこれは伝えていただきたいと思うのでありますが、昨日のこの委員会で、官房長官並びに本日出席の行政管理庁長官から、当面の定員改訂についての政府提案については、次の臨時国会で通してもらいたいということをそれぞれの関係に対して要請をしておる。こういうことがありまして、なお、行政管理庁長官からは、党内事情の点で大へんどうも煮え切らない答弁もありましたが、さらにこれは努力をされることを約束されておりますので、少なくともこれは、最も多くの定員改訂をこの法律案によって約束されておる郵政当局としては、私は、大臣の努力によって、さらに一つ次の臨時国会で成立を見るように努力をしていただきたい。これは私は、当委員会における正式の要望として申し上げておきたいと思います。
  362. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 時間が参りましたので、簡単にやりますから、しばらく……。行政管理庁長官にまず申し上げます。非常に行政管理庁の各級機関はよくやっております。最近私は、四国管区の行政監察を視察いたしましたが、業務概要のりっぱな報告が出ておりますし、乏しい予算と定員の中で非常によくやっているという点は、特に長官の耳に入れておきたいと思います。特に計画監察から地方計画監察、監察情報、苦情相談の措置等は、四国に限らず、各地の行政監察はよくやっているようで、この点は、長官として胸にとどめておいて、今後も長官としてしかるべく善処されるように、まずお耳に入れ、かたがた要望しておきます。この中央郵便局の特別行政監察をお願いしましたところが、きわめて適確に監察された点を感謝申し上げるとともに、敬意を表します。  そこで、郵政省当局に伺いますが、この九月二十四日付で行政管理庁が出されたこの調査報告ですね。この内容について、郵政省側としては異議ありませんか。事実と相違するような点があるかないか。その点をまず伺いたいと思います。
  363. 荒巻伊勢雄

    説明員荒巻伊勢雄君) 事実に相違しているようなことはございません。
  364. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは、それを前提に伺いますが、私のところに全逓信労働組合という、これは、内閣委員に全部送ってこられたと思います。「郵便御利用の皆様」というパンフレット、郵便はなぜおくれるか、こういうパンフレットを送ってこられた。おそらく委員長のところにも送ってこられたと思います。これは私のところにも送ってきた。これをごらんになったことがありますか。あったとするならば、この中にある数字は間違っておりますか、間違っていませんか、お答え願います。
  365. 荒巻伊勢雄

    説明員荒巻伊勢雄君) その資料につきましては、昨日ある人から見せていただきました。大体見まして、その数字につきましては、若干私ども意見がある、こういうふうに思っております。
  366. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 若干ある……、どういう点なんですか。時間がかからない程度で、二分間程度答弁願いたい。
  367. 荒巻伊勢雄

    説明員荒巻伊勢雄君) 郵便物数の増加と比率のとり方、それから定員の増減の比率のとり方等につきまして、私どもの考え方と少し違っている点がございます。なお、詳細につきましては、郵務局長から御答弁申し上げます。
  368. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私から申し上げて、お答え願いたいと思うのですが、この郵便物の量が、昭和九年を一〇〇とした場合に、昭和三十五年が一四五・五%ところが用員は、昭和九年の一〇〇に対して、三十五年度が逆に八六・七となっている。量の面では四五%ふえたのにかかわらず、定員面では一四%少なくなっている。それから、臨時職員については、昭和三十年を一〇〇として、三十四年は実に二二七・八、一二七・八の増加になっている。すなわち、郵便物の量が非常にふえた、定員は減らした、それを臨時職員でカバーしている、こういう状態だという数字が出ているのですが、この大きな傾向については、お認めになられておられるのでありますか。
  369. 荒巻伊勢雄

    説明員荒巻伊勢雄君) 物数の増加のとり方と、それから定員の増加の比率のとり方、これにつきましては、非常に定員がむしろ減っているというふうに、その算定の数字では出ているようなお話でございますが、私どもとしては、定員は減ってはいない、こういうふうに考えております。
  370. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 若干この資料とあなたの見解が違うようですから、時間がかかりますから深追いしませんが、行政監察として出された数字を見ると、たとえば、私が要求した中央郵便局の調査書によりますと、本務者が四百三十七人、非常勤職員が八百八十一人、これは、中央郵便局は特殊性があるということが書かれているのですが、これはおかしいじゃありませんか。しかも、七時間のパートタイムというのは、これはでたらめじゃないですかね。そうして一方では、一日八時間で月二十二日間、一年間経過しなければ共済組合員として扱わぬというのは、非常に私は従来無慈悲だったと、こう思うのです。だからあなた方も、その一部を是正すべく、二十一日の勤務の人が二十二日勤務できるように変えて参りたいという方針ならけっこうだと思う。しかし、過去において二十一日あるいは二十日で扱われたために、中にそういう空間があるために、さっき横川委員から指摘されましたように、二年以上三年未満経過した人が二百五十人も適用されていないことになっているわけです。だから、二十一日を二十二日間にするのでなくして、過去にさかのぼって、その勤務状況を検討して、あなた方の予算とかいろいろな関係で、二十二日間働かされるのに、二十一日か二十日にしたために、そういう時が一年、二年はさまっているために、長いこと働いていても共済組合の扱いを受けていないというような、そういう気の毒な人に対しては、この時点に立ってそういう方針を変えられたならば、私は、共済組合員として取り扱うようにすることが適当であるし、血も涙もある行政だと思うのですが、いかがですか。
  371. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) ただいま御指摘の点につきましては、実は国家公務員共済組合法の関係もございまして、私どもの方の省限りで単独に行きかねるような事情がございますが、矢嶋委員からお話がありましたような点につきましても、私どももなお考究いたしますが、同時に、内部限りの問題といたしまして、二十一日の雇用日数をふやすという、さっき申し上げましたそのほかにも、たとえば日額の単価を上げていくとか、あるいは少し長くなる者については月給制度をとると、そういうような改善によりまして、今の共済組合加入という面については、現在のところそういう制約がございますが、その他の面でできる限り優遇して参っているような次第でございます。
  372. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 共済組合のあなた方がきめた規則にそういうものがありますけれども、しかし、共済組合法を国会で審議し、成立したときの経過からいって、今私が申し上げたような人に適用したからといって少しも違法でない。処罰されません。立法精神はそうなんです。そういうような線で善処されたいことをお願いしますが、この願い、聞き入れてくれますか。お答え願います。
  373. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) そういう規定をよく検討さしていただきます。
  374. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それから、この郵政省関係で最後の質問ですが、事務補助員という職がありましょう。この人なんかは、毎月使っているんだから、直ちに私は組合員にしたらいいと思うんですがね。これは、間もなく本務職員になる人なんですからね。だから、組合員とされたらけっこうだと思うのですが、この所見のところにも、行政管理庁は、あなた方が非常勤職員の職務改善に努力されつつあることは認められる、こういうように書かれているわけなんです。あなた方の努力も多として認めているわけなんですね。だから、こういう点もこの調査報告書に即応してやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  375. 荒巻伊勢雄

    説明員荒巻伊勢雄君) 事務補助員は、お示しのごとく、まさに長期雇用という性格を持つべきものと考えますので、今までの制度の建前におきましては、短期雇用で一年未満の場合においては資格がなかったのでございますが、今後の問題といたしまして、新しい非常勤職員任用区分というものを制度化いたしまして、長期雇用のものであるならば、今後共済組合法の施行令の第二条の資格に該当する。また、その運用方針に合うようなことであるならば、事務補助員につきましても、共済組合法の恩典に極力浴せしめるように今後考えていかなければならないと思っているわけでございます。
  376. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 郵政省関係を終わります。  行政管理庁長官に一、二点伺います。今継続審議になっている定員法の一部改正法律案は、今度の臨時国会で成立することを担当大臣としては希望いたしますね。
  377. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) きのう官房長官からもお話しいたしました通り、私からも申し上げました通り、定員法の改正につきましては、われわれとしては、一日も早く、これが成立することを見通しておりますから、極力これの成立を急ぎたい、こういうふうに考えております。
  378. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 定員法の廃止については、賛成と反対とが政府部内においても外部においてもあるようですけれども、これには、担当大臣としてはいかようなお考えで対処されるおつもりでありますか。
  379. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 定員法の問題につきましては、先ほど来からお話のございました、特に機動的に動くところの職員について、これを定員法で縛るということは、どうも業務実態に合わないんじゃないか、こういうような観点から、定員法自体につきましても、何らかの措置を講ずる必要があるんじゃないかというような観点で、言いかえれば、行政運営の実態に応ずるように定員法を改廃していくということを意図といたしまして、今関係各省等とともに十分その検討を行なっている、こういう実情でございます。
  380. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは、また他日やることにいたしましょう。  最後に文部省、大臣来ていないようですが、初中局長に一、二点承ります。実は、先般内閣委員会で、地方、道都府県に調査に出張した。そのときに、地方公務員の給与並びに定員について調査するから、資料を提出してほしいと要請しておきましたところが、一県ありましたが、他の大部分の県は、教育公務員の数というものを表に掲上してこない。これは非常に私は遺憾なことだと思う。半額国庫負担にいたしましても、地方の教育公務員は、明らかにこれは地方公務員なんだから、当然都道府県というものは、資料をこしらえる場合には、警察職員と並んで教育公務員の表も入れてこなければならぬのです。ところが給与の面についても定員の面についても、それを資料に出してなかった都道府県があったことは、私は非常に遺憾に思いました。この点は、所管省として承知して、今後も、自治省あるいは地方自治体に接せられる場合には、しかるべくお願いなり、あるいは助言、指導をする必要があると思います。これは、まずその点注意を喚起いたしておきます。  そこで、この定員について一、二点伺いたい点は、例のすし詰め学級解消の五カ年計画というものを立てましたね。ところが、非常に重要なことは、三十五年度が中学校は五十四人に一人、小学校五十六人に一人となって、三十四年度から三十五年度になるときに、中学校の学級編成基準がストップしたわけですね。これは三十六年もストップするようですね。これは昭和三十三年に発足したわけですが、当時の松永文部大臣が国会答弁したその点と狂って、すし詰め学級解消計画というものは、新聞では、池田さんは国民の喜ぶような発表をしているけれども、足踏みということは公約違反だと思うのですね、昭和三十六年度の予算編成も最後に入っているわけですが、これは池田さんの言明通り、また、かつて松永文部大臣が昭和三十三年度予算編成当時の約束通りの何でやるべきだと思う。これは、五十四人、五十六人で行ったらストップになりますよ。昭和三十八年、三十九年に解決するといっても、これはほうっておけばできますよ。三十八年、九年から、だんだんとバス・コントロールが徹底して、小児は減ってくる状態ですから、そんな時代になれば、別に政策を伴わなくても、ひとりでに子供は減っていくわけですから、一学級五十人に一人ということになってくる。だから、私は具体的に伺っているのですが、すし詰め学級解消五カ年計画昭和三十三年度から発足した。当時の鳩山総理大臣、松永文部大臣が言明したことであり、最近池田さんは新政策としてそれを掲げられているわけなんだから、だから、中学校五十四人に一人、小学校五十六人に一人という計画、これを昨年度、本年度と足踏みした状況で予算を組むということは公約違反でありますから、是正してもらいたい。お答え願います。
  381. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) すし詰め学級の五カ年計画については、これは確かに公約しております。ただ、年度区分につきましては、別に約束いたしておるわけではございません。文部省は、当初すし詰め学級解消を計画いたしますときに、三十六年度は、これは、生徒数が中学校の場合百万人増加いたしますので、小学校の方の減をもちましても、一万数千の増員をしなければならぬ。こういうことでございますので、三十六年度は、当初の計画において足踏みをするという計画をいたしました。そこで三十五年のお話が出ましたが、三十五年は、当初計画といたしましては、実は中学校を五十三人にする予定でございましたけれども、何分にも中学校の激増が八十万に上りましたので、一年見合わせたわけでございますが、三十六年度に関する限りは、当初計画からこれは足踏みをする予定大蔵省との折衝をいたしておりました。
  382. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは、あなたの方の態度がいけないと言うのです。大蔵省に押しまくられている。ここの何だったら、三十九年だったら、私は、腕を組んでおっても、三十九年、四十年になると、三十八年ごろから解決していきます、子供が減っていくのだから、自然とバス・コントロールが徹底して。あなたは、松永文部大臣と一緒に参議院の予算委員会に来て、三十三年三月十日の参議院予算委員会で、私の質問に対して、松永さんがどういうふうに答弁したか、読んで下さい。文部大臣は、三十四年度から中学校は五十人にしますよ、こういうふうに答弁しているのですよ。これからスタートしたのです。そうして与党はこれを一枚看板にした。それから、三十四年から中学校は五十四人に一人、三十五年も五十四人に一人、三十六年も五十四人に一人にしている。そして子供がだんだん自然減になったときにこれを五十人にしていこうというのでは、そんなのだったら、羊頭狗肉の政策ですよ。三十六年の予算編成については、これは再度省議に諮って、大蔵省交渉をするように、一つ百要望します。  そこで、一般論として伺いますが、中学校五十四人に一人、あるいは小学校五十六人に一人の教師というもの、これを算出する場合に、教師それから事務職員、養護教員、こういうものを入れてありますね。だから、県によると、教課を教える先生がほしいというので、事務職員を全然使わないで、事務職員を全部PTAに持たせて、そして教課の教師だけを雇っているという県がありますね。これなんかは、私は、文部省として適切な指導をして、是正しなければならぬと思うのですね。事務職員は幾ら必要だということをあなたの方で認めて、基準を設けて指導しているわけですね。だから、必ずそれを持たなければ、それを持たないで、全部普通科の教師にしておいて、そして事務職員の分は全部PTAにおっかぶせている。これは現に、たとえば香川県なんか、はっきりそうですよ。こういう点は、指導をして是正する必要があるということが一つ。それから、事務職員というのは、これは教育公務員でもないし、一般の県の公務員と同じで、人事交流もさるべきものなんですからね。だから、小学校、中学校、生徒何人について教師一人という算定をする場合に、事務職員は、私は別ワクにすべきだと思うのですよ。筋が通らないと思うのですね。だからこういう事態が起ってくると思うのです。これに対する御見解を承りたい。
  383. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 小学校、中学校の、義務教育諸学校の教職員の定数の基準に関する法律は、そもそものいきさつは、半額国は実績で負担しているのです。ところが、貧乏な県は、交付税が十分参りませんせいか、どうも半額はつき合いかねる。そこで、あとの半額をどういうふうにして保障するかで、文部省でも実は大へん頭を悩ましている。ことに再建団体がたくさんできて参りまして、御承知のような佐賀県の首切り事件を初め、だいぶ教育界が混乱いたしましたので、残りの半分を保障するために基準を設けたわけです。その基準は、これは交付税であとの半額をできるだけ確実に保障しよう、こういう狙いでございまして、これによって小、中学校の定員をきちっときめるという趣旨のものじゃございません。従って、この定数できめたものは交付税で十分保障する。ここに大きな狙いがあるわけであります。そこで、事務職員につきましても、県費負担職員でございますので、県費負担職員を一括して、教員あるいは養護教員、あるいは事務職員というふうに分けまして、算定の基準をきめたわけであります。そこで、算定したものは、教育委員会——特に財政権がございませんので、教育委員会知事部局と交渉する場合の目安といたした。ですから、その中の彼此融通は、これはよろしいというふうになっておる、総定員として。ここまでは財源を保障した。ですから、確実に各県がその通りにやらなければならぬ性質のものでは法律としてはないわけです。そこで、今お尋ねの件でございますが、一応算定の基準としての目安でございますから、私どもとしては、それは守っていただきたいと思いますけれども、これは全体の職員構成の問題であるから、彼此融通を禁止するという趣旨ではないということをまず御記憶願いたい。それから、事務職員は別にはずしたらどうかという御意見でございますが、定員法としてなら各県が定数を、事務職員を何人にするかという定員法の問題と今の基準の問題とは私ちょっと違うと思うのです。あくまでも私の方は地方財政交付税で保障する基準をきめたものです。この場合、事務職員をはずしてしまいますと、それこそ府県は給与費関係で大へん困ってしまいます。実態を見まして、できるだけあるべき姿を検討しまして、もちろん私どもの基準も十分ではないと思っておりますが、特に小学校が十八学級について一人、中学校九学級について一人というものは十分ではございませんが、少なくとも現状よりは改善されておる、こう考えますし、特に先ほど来申しましたように、半額は実績で保障しておりますが、残りの半額を確保する方法としてのこの法案の趣旨でございます。事務職員を別ワクにいたしました場合に、国が保障する道がないのではなかろうかと考えるのであります。
  384. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一回聞きますが、その半額負担はけっこうなんですよ。それから彼此融通という点を、全部普通科の教師にそれをして、そうしてあと必要な事務職員をPTAで全部やるというのでは、彼此融通といっても、これはきわまるものと言わなければならぬと思うのです。だから、半額は事務職員は負担する、この財政措置は堅持しながら、小学校十八級に一人、中学校九級に一人なら、その基準で指導して、そうして確保するということでなければならないと思います。何がゆえにそういうような、この事務職員を全部PTAにかぶせて、教師にするかということは、結局は財政措置をする場合の、小学校五十六人に一人、中学校五十四人に一人という、この基準が無理だから、教師が確保されないから、子供かわいさで、教師教師というので、養護教員とか事務職員をはずし、PTA負担にする、こうなっておるわけです。だから、さっきから私が言っておるのは、すし詰め学級の解消の五カ年計画ができたら、五十四人に一人、五十六人に一人という数字を全部ストップさせないで、池田さんも前進させると言っておるから、事務職員は学校教育に必要なんだから、それを確保するとともに、半額は負担するとともに、小学校十八級に一人、中学校九級に一人というものは、確実に、PTA負担でなく、公費で置かせるような地方財政措置をするとともに、助言と指導をして、そういうふうにやらなければならぬ。香川県のように、全部PTAの負担にかぶせるということは、これは好ましいことじゃないと思う。重ねてお答え願います。
  385. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) その香川県が全部事務職員をかぶせるということは、これは適切でないと思う。また、PTAで負担するのは適当でないと思います。ですから、その点はさらに指導いたしますが、ただ、すし詰め学級解消の点は、一つには建物の問題なんです。ですから、特に中学校の急増の対策が関連しておりますので、なかなか処理が困難でございますが、建物はできるだけ三十六年に解決したい。同時に、この今の急増も何とか乗り切りながら、あわせてすし詰め学級解消という、二つのむずかしい要素をからんでおりますので、各県でもお困りと思いますけれども、ただいまのような、事務職員が一人もいないという事態がございますれば、これは、文部省としては指導するつもりでございます。
  386. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大へん長くなって迷惑をかけますが、最後に伺いたいのは、それに、高等学校の定数も、一昨年の基準の大体九四%しかない。これで新教科課程をやるということになっておる。こういう定数状況でいいとお考えになっておるのか。その点と、それから特殊学級の寄宿舎の寮母の問題、これは、戦後特殊教育は非常に振興して、関心を持たれて参ったことはけっこうだと思います。あなた方の努力によってずいぶんと進展した。戦後、教育の様相が変わったような状況で、非常に喜ばしいことだと思うのですが、ここに勤めておる寮母さんという方々は、ほとんど二十四時間勤務になっておりますね。そうして旧観念で、炊事婦、女中というような見方をしておる。しかし、いかに最近の教育が家庭における教育が大事かというので、生活教育が大事かというので、この寮母さんあたりは、家庭で自習を手伝ったり、教育をやっておるわけです。従来の炊事婦とか女中とは違うわけです。だから、こういう寮母さんは教育公務員にして、そうして肢体不自由とか、あるいは身体に故障があって収容されておる、こういう特殊児童の寄宿舎には、警備員を置くとか、それから養護関係の人を置くとかして、寮母には、ほんとうにその寄宿舎でめんどうを見、教育ができるように、研修の機会を与えるような制度にする必要があると思うのですが、こういう定数関係については、もう地方庁に行ってみると、全く無関心です。何も関心を持っていない。これは文部省で、やはり自治省あるいは大蔵省交渉を持ち、特殊教育が正常に行なわれるような条件を整えるのが私は文部省の責任だと思います。で、伺いますが、この寮母等に研修の機会を与えるとか、それから、これを教育公務員に扱って、それから、そういう心身に故障ある人が多いのですから、そういう人のいる寮には警備員を置くとか、あるいは養護関係の人を置くとかいうような格好で、教育態勢を整える必要があるのではないか。これは、学校が少ないから、予算はわずかです。きょうロッキードをやりましたが、ロッキードの維持費だけで、一機で五千四百万円かかる。この一機の一年間の維持費があればできるのではないかと思いますが、ぜひ一つ来年度の予算編成について努力してもらいたいと思いますが、あなたの御見解を承っておきたいと思います。実は、これを承ったのは、先般冒頭に申し上げましたように、調査に行ってみますと、第一、こういう問題は、地方公務員でありながら、地方教育公務員関係は、給与の面からも、また定員の表からもはずしている県の方が多い。ある県ではりっぱに出しております。そういう県は、私は賞揚しておきましたが、だから、今後あなた方が自治省と交渉を持ち、あるいは地方の自治体の指導者とお会いになる機会があろうから、そういう場合にお願いをするなり、それからまた、指導をしていただかなければならぬと思いますから伺ったのですが、高等学校の乙号基準の九四%程度といい、それから、寮母の身分と待遇の件について、責任ある文部省としてどういう見解を持ち、いかなる努力をされようとするのか、伺っておきたいと思います。
  387. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 高等学校の定数の関係で、御指摘のように、乙号基準の九四%、これは私ども不満でございます。遺憾に思っておりますが、昨今、ここ数年間にわたりまして、自治庁と交渉いたしまして、交付税の単位費用を決定するにあたりまして、毎年実は一人ずつ定員をふやしまして今日まで来たわけですが、なおかつ定数基準が低いという点は、私ども認めているわけです。そこで、いろいろ検討いたしました結果、どうも省令では十分でないのではないかというふうに考えまして、高等学校の教育職員の定数に関する基準の法律案を実は先国会に出したわけですが、不幸にして流れてしまいましたので、できるだけ早い機会に提案いたしまして、高等学校教育の充実をはかって、新教育課程の実施に間に合わせたいと、こういうわけでございます。  それからいま一つ、寮母の件でございますが、寮母は、特殊学級がスタートするときに、生徒五人に一人とか、あるいは七人に一人とかいうことで、国から予算を補助いたしまして、お世話をするようにいたしたわけでございます。現在のところ、教育公務員にはなっておりませんが、準ずる扱いをしている。決して炊事婦とか女中さんのような気持ではございません。今でも教育公務員に準ずる扱いをするのが建前であり、またそうしておるわけです。ただ、これを教育公務員にいたしますと、他の教育公務員は全部免許を持っておりますので、免許法というようなことで縛ることが適当かどうか。お母さんのような気持で、ほんとうに子供の世話をしていただくことが大事だと思うのです。あまり法律で規制するということはいかがかと実は考えておるわけです。しかしながら、大へん寮母の方々が御苦心して子供たちのお世話をしていただいておりますので、その実態については、今調査をしておりますし、できるだけ適正な処遇をし、お話のような、資質向上に役立つような研修をするとか、積極的に努力をしていきたいと考えております。
  388. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日は、これをもって散会いたします。    午後四時五十五分散会