○矢嶋三義君 その点私は了とします。その点に関する限りは、前内閣の中曽根科学技術庁
長官と
答弁が変わってきているようです。前内閣の中曽根科学技術庁
長官は、あの人の在職中の私の質疑に対して、中共が核装備をするようになれば、
日本も核装備をしなくちゃならないようになるだろう、こういう
答弁をいたしました。私はこれには非常に問題があると思うのですが、今、あなたの
答弁を了とします。そこで、
先ほど申し上げました質疑をするわけですがね、先般
日本においでになりました米統合参謀本部の政策顧問であるハーバート大学のキッシンジャー博士、教授ですね、この方が
日本の記者団と記者会見されておりますね。これは各紙に報道されておりましたが、このキ博士は、全面戦争のときには
日本には基地は必要はないということを言われているわけですね。そうしてアメリカ自体は核装備をしている。このキ博士の見解によると、中共が核装備をした場合には、
日本も核装備を必要とするであろう、するようになるであろう、こういうまあ言明をされているわけです。非常に注目さるべきことだと思うのですね。ところが、
日本側としては、そういう核装備というものはもちろんやらない。それからそのキ博士は、科学兵器の進歩とともに基地というものの性格というものも変わって参ったし、そういう基地も考えを改めなければならぬ、また原子力潜水艦の時代になって、そうして非常に深い所から、対潜水艦哨戒機等でキャッチできないほどの深い所で原子力潜水艦が行動する、そこからロケット攻撃をやるような時代になれば、基地に対する考え方というものも変わってしまう。で、
日本にはそういう必要がない。こういう見解を表明されているわけですね。それからアメリカで今大統領選挙が行なわれていますが、その論争の中の
日本の国防政策に
関係のある
一つの傾聴に値すべき
意見としては、ケネディ氏並びに彼が大統領になった場合には、その
最高のスタッフになるだろうという方は、今までのアメリカの
日本に対する国防政策、再軍備政策というものは間違っておったということを演説しているわけですね。それは、従来アメリカは
日本に小アメリカを作るという考えで臨んでおった。それからアメリカの軍の小型化した軍隊、小アメリカ軍を
日本に持ってもらう、こういう方針で軍事援助をし、また助言をして、きょうまで来たことは間違いだということを非常に主張しておるわけですね。また金門、馬祖に対する見解にしましても、あるいはU2型機等に対するニクソン派の見解に対してまっこうの立場で対立しておる。それはアメリカの世論も割れておる。場合によるとケネデイが優勢の情勢にすらあるわけですね。そういうときに
日本の外交政策にしても、国防政策にしても、小アメリカ的な態度だとみずからも、他国からもとられるような、そういう眼で見られるような国防政策、外交政策をやっておるということは非常に問題があると思うのですよ。だから、このロッキードの問題にしても、ロッキードを今、国内で生産をする、あるいはこれから論じられるであろう業務
計画にしても、海上自衛隊の艦船の近代化をはかるとかなんとか、こういう
計画というものは全部それはキッシンジャー博士の見解等とは相当のズレがあるし、それからアメリカの今度勝利を博するであろうといわれているケネディ派の主張している
意見、対日政策、
日本観、それからアジア観とは相当に私はずれていると思うのですね。そういう今の世界情勢を誤った小さなワクの中でこの
防衛計画を考えるというのは再
検討を要するのではないか。
それからまた、これらの問題に関連して、外交政策が大事だということが論じられておる。ところが、
日本の最近の外交が依然として自主性を持たないで、やはり小アメリカである
日本というような目をもって見られるような外交路線を歩いている。これは国防政策と外交路線というものは表裏一体ですからね。たとえば、最近の国連総会にしても、あの中共の問題についても、アジア・アフリカ・グループから孤立するような動きをしている。棄権さえしないで、やはりアメリカのしり馬に乗って反対のなにをしている。最近の列国議会同盟会議がここで開かれて、軍縮問題なんかずいぶん真剣に論じられた。かつては原子爆弾を落とされた
日本国並びに
日本国民に非常に同情する発言、それから民生向上という立場からの国防政策はいかにあるベきかという点で、新興国が特に非常に発言をやっておる。それでソビエトとアメリカが冷たい対立をしていることに対して、両大国に反省を求めるような
意見を新興国の代表は盛んに吐いておる。そして、アイゼンハワーによって代表されるアメリカでは、ソビエト側もそうですが、軍備を背景とした力の均衡をしようとしている、これは世界の他国に迷惑であるから、最近会見もしないで対立し続けている、反省を促そう、あわせて軍縮を推し進めるようにすべきであるという問題が提起された。あるいはブルガリアとかオーストリアがそのアッピールの決議案を出された。ところが、多数を持っている
日本の自由民主党さん、与党さんとしては、非常なアメリカ側に懸念されて、このブルガリアとかオーストリアのアッピール、内容は——当然だと思うのですが、社会主義国もそれからアジア・アフリカ・グループなどはこぞってこれに賛成するのに、
日本は保留、棄権でなくて、反対の
意思表示をする。こういう点は僕は、アジアに生きている
日本として、アジア・アフリカ。グループから孤立化するおそれがある。今の世界の情勢と非常に食い違っている感じがしてならないわけですよ。アメリカにさえ二つの論が起こって、小アメリカをこしらえる、小アメリカ軍をこしらえるというような、そういう態度は間違っておった、自省すべきであるというまっ二つに分かれた討論も行なわれておるのに、
日本自体が自主性不十分に、再軍備政策にしても、小アメリカ軍、それから自由国家郡の小アメリカを作っていくというような形でいるということは、私は非常に重要な問題だと思うのですね。そういう点について、
防衛責任者の
防衛庁長官はどういうふうにお考えになっておられるか。そういう角度から考えれば、この業務
計画でも、非常に私は問題点があると思う。さしあたって、私が今まで
質問して参りましたこのロッキードですね、こういう国内生産
計画というものは、その後つまずきもしているのですが、私
ども、再
検討なさるべきだと思うのです。住友金属としても、あのF104Jの脚の生産を断わった理由には、今の兵器の状況から、有人ジェット戦闘機の将来性がない。今投資してなにしても、将来償却に困難する。そういうものをやるよりも、他の方に手をつけた方がよろしい、こういう見解が一番大きな理由になって、住友さんは脚の生産をお断わりしたわけです。ところが、通産省はあわてふためいて、それでは全般の
計画が狂うというので、ほかの
条件を提示して、そうして御
了解願った、こういう経過をたどっておるということを私は直接聞いておるわけなんですが、従って、ロッキードの国内生産等はそういう角度から私は再
検討されてしかるべきだと思う。
また、
日本国内にあるアメリカの基地、これに対する国民のいろいろな要望やら、いろいろあるわけでしょう。
伊藤さんも問題を提起していましたが、具体的に私が提起している富士
演習場の問題にしても、すみやかに
返還を実視させ、そうして
地元民の要望をいれて、トラブルが起こらないように善処、
解決していただきたい、そうされてしかるべきじゃないか、かように私は考えるのですが、
長官の御所見を承りたいと思う。