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1960-08-10 第35回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年八月十日(水曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————   委員異動 七月二十三日委員前田佳都男君辞任に つき、その補欠として西川甚五郎君を 議長において指名した。 本日委員松本治一郎辞任につき、そ の補欠として千葉信君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉江 勝保君    理事            村上 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            伊能繁次郎君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下村  定君            一松 定吉君            鶴園 哲夫君            千葉  信君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            辻  政信君            向井 長年君   国務大臣    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君    国 務 大 臣 江崎 真澄君    国 務 大 臣 高橋進太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    内閣官房長官  大平 正芳君    人事院総裁   浅井  清君    人事院事務総局    給与局長    滝本 忠男君    総理府総務長官 藤枝 泉介君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    調達庁長官   丸山  佶君    厚生省医務局長 川上 六馬君    気象庁長官   和達 清夫君    自治省行政局長 藤井 貞夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家公務員制度及び恩給に関する調  査  (公務員給与に関する件) ○国の防衛に関する調査  (国の防衛に関する件)   —————————————
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それではただいまより内閣委員会を開会いたします。  最初に、委員異動について御報告いたします。去る七月二十三日前田佳都男君が辞任され、西川甚五郎君が選任されました。   —————————————
  3. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、国家公務員制度及び恩給に関する調査を議題とし、公務員給与に関する件の調査を進めます。政府側出席方々は、大平内閣官房長官藤枝総理府総務長官佐藤総理府総務長官増子内閣総理大臣官房公務員制度調査室長浅井人事院総裁滝本人事院給与局長、以上の方々であります。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 給与内容に入る前に、官房長官にまずもってお伺いしたいのですが、前の話し合いで、本日のこの委員会までに、官房長官責任をもって給与担当大臣について所信を明らかにする、そういうことであったようです。従ってまず給与担当大臣の面について、一体どうなっておるのか、その点について経過を明らかにしてもらいたい。それによってお尋ねしたいと思います。
  5. 大平正芳

    説明員大平正芳君) 給与担当大臣設置方につきまして衆参両院内閣委員会方々から御要請がございまして、私どももその趣旨には全然異論はないのでございます。  ただ給与の問題は、いろいろな観点から大へん大切な問題でありますので、一国務大臣片手間にお取り扱い願うには、ウエイトの高い問題だと思いますので、内閣といたしましては各省の所管に属しない事務を総合調整するという建前で総務長官制が実施されておりますので、総務長官が全責任を持ちましてこの問題にお取り組み願うことが給与問題の能率的な、責任のある処理といたしまして適当だと考えまして、先般の閣議藤枝総務長官に御担当願うことになったわけでございます。しかしお申し出のように、総務長官はただいま国務大臣としての資格をお持ちになっておりませんから、内閣全体としての給与問題についての最終の責任は、総理大臣自体国会に対して負うべきものと承知いたしております。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 官房長官説明によりますと、公務員給与問題は非常に重要だから総務長官に専管させる、これはまさに逆な意味に私どもはとれるのですがね。大事だからこそ、われわれは閣議発言権のある担当大臣をきめてほしい、そういうことを要求しているわけです。大事だから閣議発言権のない総務長官に担当させる、非常におかしいわけですね。それなら最終的には総理大臣責任を負うということであるならば、そのつどつど総理大臣が出るなら、これは別問題です。総理大臣が出て、その事務的なことについて総務長官に担当させる。それなら話はわかるのですが、その点が了解しがたいのですが、そこをいま少しはっきりしてもらいたい。
  7. 大平正芳

    説明員大平正芳君) お言葉でございますが、総務長官は従来閣議に列しておりまするし、総務長官の本委員会等におきましての発言につきましては、全的に総理大臣責任を負うということにいたしておるわけでございます。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 自民党政府は、かつては労働大臣をして公務員給与を担当させました。その後閣議発言権のない総務長官にこれを担当させるという方式になったので、三十四国会では私ども社会党から強く申し入れをして、公務員給与については非常に重要であるから、ぜひ担当大臣をきめてほしいと強く申し入れをしてきたわけです。そこで、岸自民党内閣においては、その筋の通った社会党申し入れを了として、それで益谷総理給与担当大臣にしてきたわけです。今回同じ自民党内閣である池田内閣が朝令暮改で、またさっそくこれを総務長官に担当させるということについては、非常に納得しがたいと思う。やはりこの委員会を重要な場として、それぞれ一句々々責任のある答弁をするためには、やはり閣議発言権のある担当大臣をきめる方が筋が通っている。そういうふうに私どもは解釈せざるを得ない。そうなると、総務長官一つ々々の答弁に対して全責任を負って答弁できるのかどうか。その点が非常に問題になると思うのです。そうでないと審議を進めるわけに参らぬわけになる。その点をはっきりさせていただきたいと思う。それでなお申し上げますが、私どもは前には、三十四国会には福田総務長官、今度は藤枝総務長官ということですが、特定の人をいいとか悪いとか、そういうことを言っているわけではない、その点誤解のないように。ただ、閣議発言権のない総務長官に、公務員の大事な給与の問題を担当させることについては、非常に了解しがたい。そういう意味なんです。そこのところを間違いませんように。そしてはっきりと責任の所在を明確にしていただきたい。
  9. 大平正芳

    説明員大平正芳君) 先ほども申し上げました通り給与問題は大事な問題でございますし、また、その能率的な、効果的な処理内閣にとりまして大へん大切な問題だと思いますので、責任を明確にいたしましてまた事務処理が能率的に参りますようにということを祈念いたしまして、このたびは総務長官に全責任を持っていただこうということに相なったわけでありますが、仰せのごとく、閣僚でございません総務長官の御発言に、危惧の念がありますことも当然だと思いますが、先ほど申し上げました通り総務長官の御発言につきましては、総理大臣が全的に責任を持つということになっておりますので、相なるべくならば私は御了解を願いたいと思います。
  10. 横川正市

    横川正市君 関連して。これは閣僚の人数がきまっておって、それでそれぞれ配分をした結果本来ならば総理府総務長官国務大臣としての割り振りをもらっておれば、この問題はここで新たに追及することはないわけなんです。ですから、私どもの方ではきまった各省大臣のその数が足りないからあるいはその配分の仕方の結果から、総理府総務長官国務大臣の数の中に入らないで漏れてしまった。こういうことは私は内閣を構成するときの考え方で解決することなんではないかとも思われるけれども、しかし数が少ないから絶対的にこれは困るということで、総理府総務長官は毎回この問題で変に矢表に立たされておるという事情があるわけですよ。ですからこれは私どもの方は現内閣としてそういうような問題を考慮の上、配慮すべき点があるのではないだろうか。それから第二は、総理大臣に毎回給与の問題で出てきてもらう、こういうことは私どもは本来ならばこれは非常に好ましいことなんだけれども総理大臣が毎回給与問題をやるたびに、全責任をもってここに出席をするということは非常に困難なんです。そこで、それじゃ総理府総務長官にこれを代理させるかということになると、少なくともこの問題はあなたの言うように重要問題だから閣内でいつでも発言のできる立場の人がこれを担当すべきではないか、単に総理府総務長官の地位というものについては、私ども云々するのではないわけでありまして、そうではなしに給与関係の持っております重要さの問題から担当大臣がほしい。それから総理大臣責任を持たしめるといっても、毎回出席するということはこれは幾ら約束してもあなたの方ではできないことです。そういうことで総理大臣にかわって担当大臣をきめてもらいたい。これが社会党の一貫した主張で、前回もやはりきめられておらなかったものが、中間から益谷さんが担当大臣にきめられた、こういういきさつになっておる。それからもう一つは、給与関係は、実は私重要だと言われながら非常に二義的に取り扱ってきたきらいがあるのじゃないかと思うのです。今まで内閣の中で。ですから、その重要だということを実際上示してくれるということになれば、今度はやはり担当大臣を明確にして、そうして事に当たらしめるということがこれは重要だということを裏づける政府の私は態度じゃないかと思うのです。依然としてこれはそういうふうになっておらないということは、給与を二義的に取り扱うのじゃないか、こう私は懸念をするわけであります。この私ども懸念にこたえて、たとえば、官房長官事後総理大臣給与の問題に関して要求があれば必ず出席してもらえるという約束があれば、私の方でここで特別質問を繰り返す必要はないわけです。それから総理府総務長官国務大臣として任じて、そうしてその任に当たらしめるというのなら、これはまあ私はその他の関係で、当然総理府総務長官が担当しておるのですから、これまた問題は解決する。いずれにしてもそれらのことが困難だという段階にあるわけでして、われわれとしてはやはり重要な給与問題に、ぜひ担当大臣を置いて責任の衝に当たらせてもらいたい、こういう要望をしておるわけですから、この点を一つ今の答弁では、われわれは前回の蒸し返しをやっておった、前回大臣を置いたという岸内閣のいわば結果から見ると、今度の場合には、相当後退をしたということになるわけです。その点を一つ明確にしていただきたいと思います。
  11. 大平正芳

    説明員大平正芳君) 御指摘の点ですが、ただいまの行政組織が非常に分化して参りまして、現在の内閣制度の中では、たとえば国家公安委員長でございますとか、科学技術庁長官であるとか、あるいは首都圏整備委員長、そういった国務大臣をもって充てる職が兼務になっておる状況でございます。総務長官についても同様でございます。従いまして今御指摘の問題は、総務長官国務大臣にして給与問題についても全的な責任を御負担願うというように私どもしたいものと思うのでございますが、内閣制度全体の調整と相待ちまして、今後慎重に協議いたしまして相なるべくはそういう方向に進めたいと思っておるわけでございますが、そういう状態に相なりますまで、給与問題についての責任の帰一する点をちゃんと確立して御迷惑をかけないようにしたい。国務大臣兼務をあえて云々するわけではございませんけれども、中二階を置いて、御連絡上若干のまた時間をかけるとかなんとかということのないように、総務長官は全責任をもって当たっていただき、その結果につきましては、総理大臣が全責任を負うという態勢が、端的に給与問題を処理する政府態勢といたしましては適当である。給与問題を重視するがゆえの私どもの念願でそのようにいたしたわけでございますので、御了承を願いたいと思います。また、総理大臣は事実上給与問題について毎回々々各委員会出席をするということは御意見の通りなかなかむずかしいことと思うのでありますけれども総務長官が本委員会で御発言相なりましたことは、全的に総理大臣責任を負うということで御了承を賜われば、非常に仕合せと思うわけでございます。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 各委員から内容について質疑が逐次行なわれますので、この問題について時間を取りたくないのですけれども、しかしこの問題は非常に重要でありますから、私は一、二点伺いたいと思う。  結論的に言いますれば、行政府立法府に対して今あなたの答弁されたようなことでは、責任を果たすことにならない。その理由を明確にして下さい。この問題については池田内閣が発足すると同時に、うちの党機関に諮って正式決定の上、あなたの方に申し入れた一項であった。私どもはあなたにお目にかかった、本日も官房長官がそういう答弁されるということは、あなたわかっておって、答弁されておるが、私は絶対了承できない。それは前提として申し上げますが、藤枝総務長官云々ということは申し上げておらない。藤枝総務長官並びにその御兄弟は特殊な才能を持っておって、知能的に優秀であるとか、人柄がりっぱであるとか、それから数理に明るいし、まめに動き、よく御努力なさるという人柄も熟知している一人である、藤枝さん云々ということはいささかも触れておらない。それを前提にして聞きますが、総理府総務長官閣議構成メンバーですか、メンバーでございませんか。
  13. 大平正芳

    説明員大平正芳君) 閣議構成メンバーではございませんけれども、常時閣議に列席いたしております。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 オブザーバーとして出ておりますね、閣議に対しての。起案権提案権採決権がありますか、ありませんか。
  15. 大平正芳

    説明員大平正芳君) それはございませんが、総理大臣を通じてやることになっております。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理府総務長官はありませんね。従って言えることは、内閣なり、国家行政組織上、法律的に立法府に対して最高責任を持てないわけでしょう、責任を持った答弁はできなくなる。各国務大臣事務は分掌することになっておる。従ってあなたがさっき言ったように、総理大臣最高責任者とする。しからばきょう、こういう勧告が出た場合に、総理大臣出席を願っても出てこられない。それで如実に示しておるように、総理大臣給与の問題で委員会出席することは不可能です。そういう答弁するならば、きょうこれだけの問題が出ているのであるから、総理大臣を呼びなさい、出席されていないじゃないですか、官房長官要求しておるにかかわらず、このことは明白であるにもかかわらず。伊藤委員質疑に対して、その立法府に対して、委員会においては総務長官が全責任をもって云々と、そういうことは言えないわけです。行政府立法府に対してそういうことは言えない。従って、内閣法、並びに国家行政組織法上、立法府に対して責任を果たしていないということになる。またわれわれとしても、行政事務は分掌するということになっている。国務大臣でも閣議構成メンバーでもなければ、起案権も、提案権も、採決権もないような人を相手に最終的な議論はできますか。従って、日本社会党としては国務大臣を必ず置くことを要求している。当然だと思うのですよ。そうでなければ立法府に対して責任を果たしたことにならない。明敏な大平官房長官よくおわかりだと思う。だから給与の問題を論議するたびに、担当国務大臣出席してほしいというようなことは、そういうやぼなことは言わないということを前内閣時代申し上げて、そうして益谷総理担当国務大臣になられて、問題がスムースにいった。従って、私は要求します。立法府に席を置く一員として、担当国務大臣を必ず置いてほしい。最高責任総理大臣なんていっても、総理行政全般についての最高責任でしょう。とてもこんなものできるものですか。  それからさっき片手間というお話がありましたけれども総務長官という仕事は、仕事のはきだまりみたいなものですよ。どなたが総務長官になっても過労になるくらい仕事がある。それは私が申し上げるまでもなく、従って、有力な補佐役として藤枝総務長官がやられることはけっこうです、適任だと思う。しかし、法律上から立法府に臨むにあたって、給与担当国務大臣は何々国務大臣だということをできるだけ早くきめてほしい。これは変わらざる日本社会党要求です。やっていただきたい。それをやっていただかなければ、きょうこれだけの重大な勧告が出て審議するのですから、内閣総理大臣を二十分間以内ぐらいに御出席を願いたい。いずれか二者択一です。
  17. 大平正芳

    説明員大平正芳君) 私が先ほどから申し上げております点で、矢嶋先生の御了解いただけるかと思うのでございますが、まず、第一に給与問題は大事だということで、それの専任の方をきめて精力的にこの問題に当たっていただきたいという政府趣旨は、御了解願えると思うのでありますが、問題は立法府に対して、行政施政として国務大臣でなければならんという強い御要請でございます。今、先ほど申し上げました通り、現在の内閣制度では、大臣定員が少なくて、まだ兼務のままになっているような状態でございますので、でき得べくんば、私は給与専担国務大臣があることが政府施政としてもけっこうと思いますし、また立法府に対する責任上もその方が望ましいと思うわけでございまして、この問題につきましては先ほども申しました通り内閣制度全体と関連いたしますので、私どもの方で審議し、また御審議をわずらわす機会があろうかと思うのでございます。そういう態勢ができ上るまで、今の政府施政お許しを願えますかどうか。お許しが願えないというのでございますれば、内閣の方でもう一度考え直さなければいかんということになると思うのでございますが、今の態勢で誠心誠意当たる決意でおりますので、それを御了承願えれば、仕合わせと思うのでございます。
  18. 一松定吉

    一松定吉君 社会党の三君の主張は、法理上正しい解釈だと私は考えております。三君の質問に対しては、法理論として、今大平官房長官の言われるようなことは意味をなしません。でありまするから、これは一つ今この席でしばらくこれでがまんしてくれ、許してくれというようなことを言わなくて、一応引き取って、一つよく内閣総理大臣と御相談の上で、そうしてやはり国務大臣責任者にしてお出しになるということが一番いい。そうでないというと、今の三君の言われることは理路整然であって、われわれ立法府にある者としては、三君の主張は間違っておるのだということは一言半句も言えない。あなたの方のは便宜主義であって、法理上の主張じゃないのですから、この際は一つ、きょうはこの程度でよく考えて適当な処置をとりましょうということにして、三君の質問にはあとでお答えになるようにした方がいいと思う。あなた方の両者の質問応答をじっと静かに聞いておって、私は何とかせんといかんなあと考えておりますから、卑見を申し上げてあなた方の御参考に供する。
  19. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止
  20. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それじゃ速記つけて。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 給与担当大臣の問題につきましては、ただいま自民党一松さんから理路整然たるお話ございまして、まことにその通りだと思いますので、官房長官におかれては、早急に担当大臣について誠意をもって緊急に再検討してほしいということを重ねて要望申し上げて内容の点に入りたいと思います。  まず順序として、人事院総裁を主体にお伺いしたいと思いますが、私が申し上げるまでもなく、昭和二十三年十一月に公務員基本権制約、ないしは剥奪することによって人事院が生まれて、そうして昨年までに十二年間にベースアップ勧告したのはたしか六回、しかも、その六回の中で政府がこれを忠実に実行したのは、六千三百七円べースだけであって、他はいずれも制約もしくは削減しておる、そういう実情であったわけであります。それから二十九年以降昨年まで六年間については一回もべース・アップしておりません。そこでここに記録がございますが、二十九年、三十年についてはゼロ勧告をしております。それから三十一年については民間との較差が今回にほぼ近い一一%もあったわけですね。にもかかわらず、一一%という相当の較差があったにもかかわらず、これはベースアップ勧告をしないで、いわゆる俸給表の一部手直し勧告をしておるわけです、これが三十一年の実態。三十二年には期末手当通勤手当勧告をしておる。三十三年が初任給手直し勧告。昨年が中だるみ是正勧告というような実情であって、公務員利益は従来ほとんど守られてきていなかったわけです。さらに観点を変えて人事院物価とか、あるいは生計費あるいはまた民間給与実態、こういう面を検討してみても、非常に不合理ははっきりと出ているわけです。たとえば物価について考えてみましても、戦前一銭五厘の葉書が現在五円になっておるということは物価が三百三十三倍、これは一銭五厘の葉書を五円に直したのは政府でありますから、この三百三十三倍というのは、相当根拠があるものと私どもは見ておるわけであります。そういう点から言いますと、戦前小学校の教員の本俸は四十五円であった、それが三百三十三倍ということになると一万四千九百八十五円だ、そういう面から今度は人事院勧告を見ますと、はるかに下回っておるということです。それから生計費について申し上げても、人事院のやっておるマーケット・バスケット方式では生計できない。そういう実態が出ておる。それから日本人事院のとっておるのは、男子独身生計費基準にしておる。外国の多くは夫婦の生計費基準にしておる。こういう点からも、日本人事院公務員にとって非常に不利な生計費のきめ方をしておる。  なお、民間給与実態を見ましても、今回われわれ国会要求を一部とられておることについては敬意を表するのでありますが、まだまだ不十分の点が相当あります。たとえば年間を通じて民間給与の一番低いのは三月である。今回はこれを改めてわれわれの声を声としてこれを四月に改めたことについては敬意を表するわけであります。  なお、公務員との比較でございますから、民間給与実態をとる場合に、大企業体対象としなければならないのに、今回も、依然として、五十人以上という小規模の企業体実態調査対象としておるということが、依然としてこれはまだ改まっておらない。なお、今まで民間については臨時職員の面をも対象としておるが、公務員については定員内の職員、そういうふうに不合理があった。今回この臨時職員については前進したようです。その点についての前進を私どもは認めるわけであります。  そうこうしてこれを検討いたしますと、二十三年人事院が発足以来実に昨年まで十二年間に、ほんとうに勧告をし、政府がこれを取り入れたのは、十二年間に一回ということに要約できる。しかも、人事院が今回のように民間給与の一番低い三月を避けて四月にとるとか、あるいはまた民間臨時職員を除外してやるとか、そういうことを今までにやったならば、今回初めて一二・四%ということがたまたま出たわけですが、今までも相当それ以上高い較差が出ておるに違いなかった。その間公務員は長い長い間不当に不利益を受けてきたわけです。従って人事院もそういう点を十分考えられて、一部われわれの声を取り入れた。そういうふうに考えまして、取り入れた面の誠意については、私どもは感謝しておるわけですけれども、まあ一、二例を申し上げましたように、まだ公務員利益は全面的に守られておらないということははっきり申し上げられ得る。こういうような点について当面の責任者である総裁としては、どのようにお考えですか、まずお伺いしたいと思います。
  22. 浅井清

    説明員浅井清君) だんだん御説明がございましたけれども人事院といたしましては、団交権及び争議権のない国家公務員利益を保護するために、これで及ばずながらずっと努めたつもりでございます。ベースアップ勧告のあるときとないときということがございましたが、これは国家公務員給与民間給与生計費、その他の事情によって定められるという国家公務員法の条項に従いまして人事院の判断にまかせらるべき問題であろうと思います。しかし、今回におきましては、最近の民間給与の上昇、官民給与較差等にかんがみまして全面的にベースアップをすることを必要と判断したわけであります。この判断につきましては、いろいろ御批判もあろうと思いますが、今回の勧告につきましては、私自身は妥当なものではないかと考えております。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この資料の一部を拝見したわけですが、人事院はかねてから公正厳正に調査をしておる、そういうことをいつも言明しておるわけです。そうだとすれば、調査せられたその資料の一切を公開してしかるべきだ。ここで拝見した資料を見ましても、これが全部ではなかろうと思う。やはり公正妥当な線で調査をせられたといたしますれば、調査資料の全部を当然国民の前に出して、そうして堂々とその批判を受けるべきだ、そういうふうに思うのです。毎年のことですが、われわれがなかなか要求しても全面的な資料の提出がないわけです。そこで検討するのには、なかなか不十分なわけです。やはり調査せられた資料一切は、公正厳正な立場から、またそういう角度から調査せられたということであるならば、どなたが見ても差しつかえないと思う。どうして全面的な資料の提出ができないのかどうか、この点をあらかじめお伺いしておきたいと思います。
  24. 浅井清

    説明員浅井清君) 人事院は資料の公開を決して拒否いたしておりません。ただ、勧告前においてこの公開をすることはいろいろ問題がありますのでございますが、勧告後におきましては、これはできるだけ公開をいたしたい。本日お手元に出してありますものは、これは人事院が必要と認めてお手元に出したのでございますから、今後御要求によりましては、なお御提出いたしたいと思っております。ただし、調査の現況につきましては、これは調査された民間の会社で迷惑をいたします。これはきわめて数の多いもので、個人票は二十七万枚にわたりますような状態でございますから、こういうものは提出いたしかねると思います。なおお手元に差し上げました資料で御不足と思われる点がございますれば、御要求によって提出いたしたいと思います。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、その資料については、今後要求に応じて極力求めに応じたいと、そういう態度には変わりないわけですね。
  26. 浅井清

    説明員浅井清君) お説の通りでございます。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いしますが、今まで人事院勧告国会並びに政府に出されてから、実際これが実施ということについては一年ないし二年の空白があって、その間、長い間公務員は不当な不利益を受けてきたわけですが、今回珍しく、前にもありましたが、五月にさかのぼって出したということについては、そういう人事院の考え方が前進されたことについては敬意を表しますが、ただしここでちょっと不可解なのは、民間給与実態調査されたのは、四月ですね、四月をとられたと思います。そうであるならば、四月すでに較差があったとするならば、五月というのはおかしいので、四月にさかのぼって当然実施の勧告をすべきが筋ではなかろうかと思います。また、四月一日であるというならば、年度の初めですね、万事その点の方が好都合だと思いますが、あえて五月にいたしましたのはどういう理由ですか。
  28. 浅井清

    説明員浅井清君) これまでの先例によりますれば、人事院は三月現在といたしております。これに対して四月一日から実施すると、こういう勧告をいたすのが先例になっております。今回は四月でございますから、五月といたしました。年度初めというお言葉がございますけれども、これはこの通り実施いたしますれば、きっと遡及することになると思いますので、年度初めということは問題にならぬと思っております。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 公務員の諸君が従来から要求し続けてきたことは一律三千円のべース・アップですが、これが今回は取り入れられなかった。しかも、上にきわめて厚く下にきわめて薄い、そういう点は従来からもそういう傾向があったのですが、今回は特に上に厚く下に薄いという傾向が顕著に出ている。たとえばいただきました資料の「俸給月額比較表」を見ましても、最初のページにあります一等級の面を見ますと、たとえば一等級の一号俸、これは引上率は三三・六〇%になっている。そうして額を見ましても一等級の八号俸を見ますと、二万三千八百円というこういう上昇を見ているわけです。ところが、同じ大学卒業の七等級の表を見ますと、たとえば七等級の七号俸を見ますと、引上率は一〇・四%と、三三・六〇%、相当開きがあるわけです。今までもございましたけれども、さらに今回は上厚カーブの線が顕著に出ている。これは今回の特に目立った点であろうと思います。その率においても三三・と一〇・、そういうような開きがある。それから額にいたしましても、たとえば七等級のまだまだ下で八等級などを見ると低いわけですけれども、やはり同一学歴というような観点から、七等級は大学卒であろうと思いますから、これの十五号俸などを見ると千百円の引上額になっている。ところが、先ほど申し上げたように、一等級の八号俸については二万三千八百円、こういう大きなべらぼうな開きがある。こういうものは意図的にやられたのか、この点は非常に了解に苦しむわけですが、従来からも公務員の皆さんは上厚下薄の傾向を非常に是正すべきである、そういう旨人事院に対しても要求し続けてきたわけです。国会におきましても、私どもこの給与改訂の精神から見ても、きわめて上に厚く下にきわめて薄い、こういうことは給与改訂の精神からもどうもそぐわないように私ども解せざるを得ないわけです。この点について納得しがたいと思うのです。この点いかがですか。
  30. 浅井清

    説明員浅井清君) 上下較差の問題は、給与を生活給的に見るか、職務給的に見るかに帰するかと思っております。国家公務員法の規定によりますれば、給与は職務と責任に応じて支給するという規定になっておりますが、やはり職務と責任において上下に相当の較差が生ずるということは、私は差しつかえないのじゃないか、しかも、今回の勧告におきまする上下較差はかつてもあった程度のものでございまして、特に今回顕著に思われまするのは、上級公務員給与を過去二年間にわたって特に上げないで押えていたということが第一、第二は、世論に従いまして大学教授、研究職、医療職等の給与を大幅に引き上げる必要があった。従ってこれに準じて他の職種も上げた、こういうことでありまして、別に下級公務員を特に薄くするという意図は決して持っておりません。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 お言葉ではございまするけれども、従来も相当較差がございましたけれども、大体上と下の差は十一倍くらいであった。今度は大体概算してみますと十三倍以上に開いているわけです。従って相当開きが顕著になったということはいなめないと思うのですけれども、前に中だるみ是正をやって、その前の夏に初任給の引き上げをやったから、今度は上級の番だ、こういうふうに一応お考えになったのだろうと思いますけれども、結局給与改訂の精神からいって、先ほども申し上げたように給与改訂の精神からいって、上にきわめて厚く下にきわめて薄いということについては、やはり再検討を要するのではなかろうか。しかもその現実の姿が従来とても相当開きがあって十一倍くらいあったものが、今回は大体私の概算によっても十三倍くらいになる。この点は繰り返し申し上げるように、給与改訂の精神からみてどうも不当であろうと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  32. 浅井清

    説明員浅井清君) ただいまお答え申し上げましたように、職務と責任に準ずるということ、過去二年間上級公務員を引き上げなかったということ、今回科学技術振興、大学教授の待遇改善等にかんがみてそちらを上げたために、やはり同じ公務員としての均衡をある程度保たせなければならぬということであって、それ以外に他意はないわけでございます。  なお、現在の上下較差からごらんになりますればさようになりまするが、過去数年を見ますると、必ずしもこれが非常な上下較差になっているとは考えられません。給与局長からちょっと補足させます。
  33. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) ただいまのお話しでございますが、総裁の概括的に答えましたところを私から補足させていただきます。まず、今回の勧告におきましては、上下を通じまして俸給表上で一〇%、まあ多少例外的なところがありますが、一〇%は全部上がっておるわけであります。このようなことに相なっております。それからまた、金額で見ましても、千円という、八百円、九百円というのが中学卒あたりに多小の例外がございますが、これは千円以上おおむね上がっておるというようなことになっておるのであります。それで、三十一年以降におきまして、三十一年のときにも別に何もいたさなかったのであります。それから初任給改訂、中だるみ是正、こういうふうに俸級表上で下の方、中間の方を漸次上げて参ったということでございまするので、今回はそういう状況と比較してものを言うのは、これはどうも適当でないように考えられまするので、たとえば初任給改訂ということから後にどれだけ各俸給が上がっておるかということを申し上げますると、全部計算したわけではございませんが、一例といたしまして、たとえば八の二の新高卒というところでありますならば二五%上がっておる。それから七の一の大学卒でありますれば二四%上がっておる。七の五の一般係、これは七の五をかりにとったのでありますが、そういうところでは二二%上がっておる。それから課長を三等級の五ととってみますと、この辺が二四%上がっておる、局長を二の五ととってみますれば三二%上がっておる。こういうふうに初任給改訂以後の状況を見てみますると、その改善率というものはそれほど径庭のあるものではないというふうにわれわれ考えております。  また、上下較差の問題でございまするが、これをかりに新高卒と事務次官というふうに比べてみまするならば、いわゆる一万二千円べース、二十七年十二月実施のものでございますが、そのときの較差は十一倍、今回におきましても十一倍、小数点以下は四捨五入で申し上げたのでありますが、そういう状況になっておりまして、大体妥当なものであると考えておる次第でございます。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の都合もございますので、あと一、二点、人事院に対してはその程度にとどめておきたいと思います。  次に、期末手当の面についてお伺いしたいのですが、民間の大体の期末手当の平均は、人事院の報告によっても三・一九と、そういう数字が出ておるわけですね。従来公務員の面については二・九であったが、今回〇・一上げて三・〇ということで、さらに歴然として〇・一九の較差があるわけですね。こういう較差が歴然としておるにもかかわらず、あえて〇・一にとどめたその根拠ですね、考え方、こういう点については、どのようなものであったか、これを明らかにしていただきたい。
  35. 浅井清

    説明員浅井清君) これは報告書の中にも書きましたように、民間のこの種の給与は、その会社の景況によりまして非常に変動があるのであります。上げるときもあれば下げるときもむろんあるのであります。ところが、国家公務員給与は固定されておりまして、これを下げるというようなことはまずないものと考えなければならぬ。よってこれは民間の上昇率を追って進んでいくということは、これはやむを得ないのじゃないか、そこで今回は〇・一の増額にとどめた次第でございます。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは総裁には最後の一点をお伺いしますが、同じく期末手当の問題ですが、三十四国会で当内閣委員会において、総裁に勤勉手当と期末手当との区別については、意味がない。これはまた行管からの勧告にもあったように、手当はきわめて簡素化すべきである、そういうような趣旨にも沿うて、あまり必要はない、そういうようなことであるので、結局人事院総裁としても十分検討したい、そういうような意味の御答弁があったのであります。その後、相当日時もたっておりますし、私ども期末手当、勤勉手当の区別については全然認めがたい、そういうような趣旨でお願いしてきたのでありますが、こういう面についてまだ結論が出ないのか、また大体のお考え方の動向についてはどういうものなのか、その点もはっきりさせていただきたいと思います。
  37. 浅井清

    説明員浅井清君) 勤勉手当を廃止するかどうかということは、なお研究中でございまして、これはいろいろここで申し上げるひまもありませんが、これをまだ廃止するという勧告にはなっておりません。ただし、最近はずっと、すべて期末手当の増額で取り扱っております。勤勉手当の率は固定しておる、今回も勤勉手当でなくて、期末手当で増額しておる、かような状態でございます。   —————————————
  38. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) この際、委員異動について御報告いたします。本日松本治一郎君が辞任され、千葉信君が選任されました。   —————————————
  39. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の伊藤委員質問に関連をいたしまして三点ほど伺いたいと思いますが、最後の方の期末手当であります。これは人事院の今度の調査によりますと、民間は三・一九カ月分だ、国家公務員は二・九カ月分だ、その差は〇・二九カ月分になる。それを今回〇・二九カ月分という勧告をしないで〇・一勧告をされました。これがどうしても納得がいかない。それは従来期末手当については、民間公務員との差というものはないように人事院としては努力してこられたはずなんです。〇・一と、〇・一九、〇・二もネグレクトされたというようなことは、これは人事院創設来ないことです。〇・〇三とか、小数点以下三位ぐらいはネグレクトされたこともあった。ですけれども、〇・一九という大きな数字をネグレクトされたことはないのです。どういうわけで、今回はこういうでっかい数字をネグレクトされたのか。これは人事院の中だって、民間期末手当公務員期末手当はごく接近して処理されてきているというのが、今までの例なんです。どういうわけで、こういうでっかい数字をネグレクトされたのか。俸給表の方で二千六百八十円という改定をされるという関連でネグレクトされたのか。今までないことですからぜひ伺っておきたい。
  40. 浅井清

    説明員浅井清君) ですから報告書にもその点は書いてある。国家公務員のこの種の給与は固定性を持っていて、一ぺん増額されたものは将来消すことはない、まずそういう例でございます。大きなものを無視するというお言葉でありますが、一ぺんふやしたものを消さないということも従来の慣例になっておるわけです。だからこれは漸進的に上げていこう。こういう考えで、まず今回は〇・一で年間三カ月、こういうふうに考えたのであります。
  41. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それは二つ問題があると思いますが、従来そういう方針でこられた。そういう方針でこられて、小数点以下三位ぐらいのところはネグレクトされたことはある。ところが小数点二位をネグレクトされたことは今までないのです。〇・二というのをネグレクトされたことはないのですよ。今までも、今おっしゃったような理屈できておられる。どういうわけですか。  それからもう一つ問題は、今おっしゃいましたように、民間は上げたり下げたりする、それは事業の不振によって行なう。こういうお話しです。それはそうだろうと思う。それは一つの企業、あるいは五つ六つ、十、百の企業はそういうことがあったとしましても、全体としてそれは一つの数字が出るわけですから、民間期末手当の数字というのは出る。それと関連づけて今まで人事院処理してこられておる。木ばかり見て森を見ないやり方です。そうじゃございませんですか。ですからずっと今まで、民間は不況のところもあるしあるいは倒産するところもあるでしょう。そういうところで総体として民間期末手当をとってそれときわめて接近して勧告してこられた。今回に限ってこういう大きな数字をネグレクトするということは、今申し上げた二つの理屈からいっても成り立たないと思う。もう一ぺん御説明いただきたい。
  42. 浅井清

    説明員浅井清君) これ以上申し上げることはないのでありますが、〇・ ○以下の数字の操作につきましては、これは従来切り捨てたことはあるのであります。ただ、鶴園さんのお話は、〇・二九になっておるから、この程度の大きな数字は、少なくとも四捨五入になってなければならぬということであろうと思います。これは私どもの判断によりまして、まず今回は〇・一を繰り入れることがよかろうということになっただけのことであります。
  43. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一ぺん伺いますが、〇・一というものをネグレクトされたことはございますか。私は切り上げろというようなことを言っているのじゃありません。〇・一という民間の差があった場合に、それをネグレクトされたことはございますか。
  44. 浅井清

    説明員浅井清君) 今回は〇・一九になっているわけでございますから、〇・一は中に入れているわけでございます。
  45. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうもおかしいですね、総裁……。〇・二九差があるんです。そのうちの〇・一だけ勧告されている。残っているのが〇・一九なんです。それをネグレクトされたわけですよ。
  46. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) ただいまのお話しでございまするが、ただいま総裁から申されたように、幾ら勧告するか、出た数字を見比べまして幾ら勧告するかということにつきましては、人事院として判断いたしまして、三カ月というのは、非常にこれは一つの大きな関門でございます。従いまして今回は三カ月ととどめたのでありまして、たとえば先ほど伊藤委員からお話が出ておりました期末、勤勉手当の関係をどうするかというような問題もございまするし、また民間と公務、民間のいわゆるボーナスというものを、直ちに公務の固定性のあるいわゆる期末、勤勉手当というものに移しかえるのがいいのかどうかというようなことは、まだまだ問題が残っていると思うのであります。たとえば将来にわたりまして、もし三カ月以上にするのが適当であるとか、あるいはそういう数字が出たならば、それは本俸で操作して、期末手当、勤勉手当というものは三カ月程度にしておくのがいいのだろうか、こういうことは研究問題だと思います。そういう意味におきまして、今回は〇・一増すという勧告になった次第でございます。
  47. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私の言っているのは、勤勉手当がどうだとかということを言っているのじゃないし、それから三カ月をこえたらどうだということを言っているのじゃなくて、従来人事院民間期末手当と、公務員期末手当をごく接近さして今まで処理してこられたわけです。それを今回に限ってこんな大きな数字をネグレクトされた真意を聞いているのです。それ以外に聞く必要はない。真意を聞いている。たとえば民間が三・五になったらどうなさるのですか。あるいは三・二になったらどうなさるのですか。三カ月分が大きな台だから、それ以上勧告しないという、そういうお考えですか、真意を率直に聞きたいと思います。
  48. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 切り捨てたとか、切り捨てないとかという問題ではないのでございまして、これは人事院調査いたしました数字を、人事院がどう判断したかということでございまするが、それらの差額が〇・一以上いわゆる〇・一位のところであったかどうかというお話上でございまするが、そういう御質問でありますならば、それはございません。
  49. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ですから、これはこれ以上質問申し上げませんですけれども、ただ申し上げておきたいことは、非常にこれは不当ですよ。今まで〇・一というものがネグレクトされたことはないんですよ。ところが〇・二というものがネグレクトされている。これは納得いかない。また、今の給与局長答弁のように、〇・一というものはネグレクトしたことはない、〇・〇五というものもネグレクトしたことはないはずです。それをこの大きな数字をこの際においてネグレクトされた、どうしてもその真意がわかりかねる、不当であるということを申し上げておきたいと思います。  それから先ほど伊藤委員が行一の例をとりまして、これはまあ行一だけじゃなくて、それぞれの俸給表に該当する問題でありますが、例として行一をとられた。たしかにこれは圧倒的多数を公務員の中に占めておりますから、この行一の例をとって、一等級、二等級、三等級、八等級まであるわけですが、一等級は次官、長官、これは大体三三%、二等級の局長が大体三〇%から三一%、課長が三等級、大体二二、三%、それで班長、係長というのが一五、六%、係長が一二%、それから上級係員というのが十一、下級係員が十一、こういう数字になっているわけですね。これについて伺いたいのですが、実によく並んでおる、一等級は三三%、二等級は三〇%、ずっと一一まで。行一の民間との較差は二〇%ですね。その較差をこれで見ますというと、下の方をずっと削っている。いわゆる八等級、七等級、六等級、五等級、四等級というものは全部削ってしまってそうして上に重ねた、そうじゃありませんですか。
  50. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) ただいまの御質問でございまするが、われわれ作業をいたしまする際に、まず医療、研究、これは較差が非常に大きいのでございます。
  51. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 医療を聞いているのじゃない。
  52. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) ちょっと話の順序として申さしていただきますが、医療、研究職が非常に較差が大きいのであります。そういうところにおきましては医療、研究の主体となるべきものについてまずどの程度改善するか、われわれが今回の改善にあたりまして一番最終的に問題といたしました数字は、報告書に出ておりますように、一二・五%でございまするが、それをどういうふうに使って各俸給表を是正するかということを考えた次第でございます。その際に、まず医療、研究の一等級—三等級というものをどのように改善するかということで、おおむね三〇%程度のところをいたそうと、こういうことにいたしたわけであります。それを行一に及ぼし、そうして現在俸給表の体系におきまして、上位等級におきましては互いの俸給表の関連がございますので、それを行一に持っていったと、こういうことになっております。それでもう一方、行一の六、七、八というものにつきましては、行一の全体的較差は二〇%でございますが、その六、七、八の民間との較差というものをかりに全体平均の較差に直したならば、それがどの程度になるであろうかということを計算いたしてみたのでありまするが、おおむねそれは一一%程度という数字が出たのであります。従いまして、一方におきまして初任給のことを考慮しながらその一一%という数字を頭に置きまして、それから上と下とをとり、適当に俸給表の形を十分考えまして今回の俸給表を作成したと、こういう経緯であります。
  53. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そういう形式的な話じゃなくて、それじゃもっと突っ込んで伺いたいと思います。それは、この今の一等級は三三%、二等級は三〇%、課長は二三%、それ以下ずらっと一一までですね、これを見てみまして、次官あるいは局長、要するに一等級、二等級、三等級というところは大体民間との較差をとられた、こう見ておる。しかし四等級以下は、依然として民間との較差が大きく残っておる、こういうふうに思うのです。もし四等級、五等級、六等級あるいは七等級と、こういうところですね、若い人たちのところを三〇%程度上げられるならば、大体民間との調整がとれるのじゃないか、こう思っておるわけです。そういうことは無理だろうというお話かもしれない。それじゃもう一ぺん申し上げますと、去年の勧告、これは勧告の参考資料の中に出ておるのですが、たとえば三等級を例にとってみましょう。三等級は昨年の勧告では四千三百十五円民間よりも低いと、パーセントに直しますと九・三%低いという数字を出しておる。去年は三等級、課長のところは全然上げなかった。今回七千円上げておる。パーセントにしまして二二%。そうしますとですね、この課長のところは大体私考えてみて民間ととれている。局長のところを例にとってみましょう。去年は一万三百三円、一七%低いと、こういう数字を出されておる。本年は一万四千円から一万五千円上げておられる。三〇%ほどですね。去年一七%低いというのをことしは三〇%引き上げられておる。そうしますと、この局長のところは、民間とほぼ均衡がとれてきたと見る。それに対しまして、たとえば四等級、五等級を見てみましょう、五等級は昨年は民間よりも五千円低いと出された。それで。パーセントで申しますと、一八・九%という数字を出されて、そうして去年の勧告で、この四月から九百七十一円上げたが、なお四千三十円低いということが出ていた。今回二千円上げた、なお去年の四千円低いというよりまだ二千円足りない、去年の段階にまだ追いつかない、もっと詳細に申し上げてもよろしゅうございます。これは七等級、六等級を例にとっても歴然としている、これはどうですか。
  54. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 先ほど私がお答え申しましたことを繰り返すようなことに相なるのでございますが、別の方面からもう一ぺん申し上げてみますると、本年度におきましては、四月現在におきまして民間給与調査をやったわけでございます。その結果は、例年でありますならば、十二カ月分のその間におけるいわゆる評価がえといいますか、それ以後のベースアップといいますか、そういうものが現われてくるという関係になると思います。ところが今回は、昨年三月に調査をいたしまして、それ以後に本年の四月に調査をいたしたわけでありますから、十三カ月分の数字が、そこにいわゆるベースアップ給与改訂というものの行なわれました結果が出てくる、こういうことに相なるのであります。それで先ほども申しました通り、われわれが俸給表を作ります場合に、部分的な一々を合わすということよりも、全体的にたとえば初任給を合わすというようなこと、また上級職等におきましては、これは俸給表間におのずからバランスがあるものですから、そういうことでバランスを合わせる。そういうことに重点を置きまして、各俸給表を等級別に順次全体的に見ましても体系の整ったものにいたす、こういう考えでやっているのでございまして、ただいま申し上げましたように、この俸給表はそういうことでできております。  それで、上の方が高い率になっているというお話しでございまするが、それは去年、おととしにおきましては上級職の改善がなかった。従いまして俸給表の体系として、こういう観点から見てみまする場合には、初任給の調整をいたしました一昨年の勧告並びに昨年の中だるみ是正の勧告をあわせてお考えいただきたい、そういう観点から見まするならばおおよそ二〇%、あるいは先ほど申し上げましたように初級職試験に合格した者を二五%程度上げますので、場所によりまして多少の違いはございますが、おおよそ二〇%ないし二五%、そうして上の方が三〇%、このようなことになっている次第であります。
  55. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私はそういうことを伺っているのじゃなくて、そういう面も人事院の考え方だろうと思いますが、私の伺っているのは、局長のところの三等級、それから課長のところの三等級、これは去年の人事院が出した数字等を見て、大体今年の民間の局長あるいは課長に該当する者と均衡がとれている、にかかわらず、四等級以下についてはこれが大きく均衡がとれていないということを申し上げている。しかも、去年人事院が出しました数字をあげて申し上げているわけでありますから、それに対してそうであるのかないのか承ればいいわけです。滝本さん、もう一ぺん詳細を申し上げますと、三等級は昨年は四千三百十五円低いという数字を出された、民間よりも。これは九%低いという数字です。今年は七千円上げておられる。大体七千円、二〇%ですよ。二二%です。そうしますと、これから言いますと、大体今年はこの課長のところは民間と均衡がとれるという数字が出るのです。それに対して、五等級係長ですね、五等級の場合は、昨年は、五千円低いという数字を出された。そして、約九百七十円上げられた。その差は四千円です。去年まだ民間より四千円低かった。今度二千円上げられた。去年の数字を使ってもなお二千円低いじゃないか。そうしますと、課長のところは民間と大体均衡がとれた。ところが、この五等級のところは、これは全部同じですよ。五等も四等も七等も六等も同じです。私は例として五等級をあげている。この五等級のところでは、昨年の状態よりまだ二千円足りないということが言えるのじゃないか。それについて伺っているわけです。
  56. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) ただいま鶴園委員の御議論でございまするが、これはそういう観点から見ればそういうことに相なろうかと思います。ただ、人事院といたしましては、これは公務と民間というものは、職種が同じでございましても、公務の特殊性というものがございまして、必ずしもそれをそのまま移すことが適当であるかどうかということは、やはり問題が残ると思うのであります。たとえば、民間給与調査で公務の方が高く出たものを上げて、それで公務の方が低く出たものをこれを引き下げるというようなことをいたす、かりに民間給与調査をそのまま移すということになればそういうことになるのであります。それは公務部内の均衡としていたしかねるのであります。たとえば、今回のこのわれわれの勧告いたしましたものにつきましても、たとえば大学教授のごときはもちろんその最たるものでございまするが、そのほかにおきましても、医療三のごとき、公務のほうが高いというふうに出ているものもあるのであります。従いまして、部分的に見ますると、ただいまおっしゃったようなことが言えるのでございまするが、われわれが今回やりましたことは、行一におきまする六、七、八、これはその辺が非常に圧倒的に多数を占めているのであります。そういう較差というものを、行一だけでなしに、俸給表全体を含めた較差に置きかえて考えてみるならば、どれぐらいな程度になるであろうか、こういう数字を計算いたしまして、その程度にはこの辺は上げる。そして上の方は、これはやはり教育を上げなければならぬという要請もございまするし、また、現に医療、研究につきましては、相当な較差が出ているという問題もございまするので、それらをあわせ勘案いたしまして、おおむね三〇%前後というところを目標に置きまして、そしてそういうふうにいたしまするならば、上位等級について俸給表相互間の関係もございまするので、それを行一に移し、そして先ほど申しました六、七、八の改善率、一一%、三二、三%というものとの間を俸給表上最も昇格の際の魅力を考え、また、たとえば一つ俸給表におきまして昇給していきまする場合に、従来の昇給期間が十五カ月、十八カ月となるようなこともないように、いろいろな考慮を加えまして俸給表を作成した、こういうことに相なるわけであります。
  57. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 民間給与を公務にそのまま移しかえるわけにいかないというようなお話もありましたが、たまたま一等級、二等級、三等級に限ってはそのまま移されている。大体均衡をとれている。あるいはそれは医療職と均衡をとられたのかもしれない。しかし、結果的には民間給与と均衡がとれている。ところが、それ以下の四等、五等、六等、七等、八等というところは、去年の水準にも、まだ二千円も三千円も足らない。こういう数字を人事院が平気で出されるということは、私は了解に苦しむんです。民間給与をそのまま公務に移すわけにいかないといっておって、課長以上は全部移してしまう。そうして下のほうは去年の水準にもまだ追いつかない。二千円も三千円も追いつかない、去年の数字に。ことしのことを言っておるのじゃなくて、去年の数字にまだ二千円も三千円も追いつかない数字を今回勧告されるということは、これはどうしても了解に苦しむ。これは今、滝本給与局長認められた通り、その通りだというお話しですから、これ以上責めるわけにいきますまい。僕は非常に不当であるということは言えると思う。困りますよ、これじゃ。四等級、五等級の人は、あるいは六等級、七等級の人たちは困りますよ。そこで、私冒頭に申し上げたように、これは財源関係から下を削って上へ持っていったのじゃないか。逆に言って、四等級、五等級というところも約三〇%近く上げれば、大体課長、局長と同じような、民間と均衡がとれた数字になるのじゃないか。そういう考えはとれませんですか。あまりにもこれじゃひどいです。去年の数字にまだ二千円も三千円も追ついかないような勧告をされたのじゃですね。大ワクは二千六百八十円という数字であるし、一二・四%という数字であるけれども、中身は今言ったように非常な問題のあるこれは内容を持っているわけです。いかがですか、その点。
  58. 浅井清

    説明員浅井清君) ただいまの御質疑は、私のほうとしては滝本給与局長から申し上げた以上にはないのでございますが、ただ、財源を考えて下をふやせば上に困るから上のほうへ持ってきたと仰せられまするけれども、そういうことは全然考えていないのであります。ただいま出しましたものでも、私は、財源はすでに莫大なものに上っておると思っております。
  59. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それじゃ再度伺っておきますが、この問題の結論は、一等級、二等級、三等級というところは、これは民間との調整をとられたけれども、それ以下の四等級以下のものについては全くその点については考慮が払われていない、あまりにも数字が大き過ぎる、去年の数字とまだ二千円も三千円も違う、そういうふうに理解して私としてはこの質問を終わりたいと思います。
  60. 浅井清

    説明員浅井清君) 民間との問題を申しますれば、教員のごときは、逆に均衡は決してとれていないのでございます。民間の教職の教員の俸給はずっと低いのでございます。しかし、われわれはそういうことを考えずに逆にやっておるのでございますが、鶴園さんと逆の場合も出ておるということを御了承願いたい。
  61. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の教育職の場合については、これは教育職の一のことを言っておられると思うのですが、この点については、このあいだ内閣委員会でも私申し上げたように、日本の教育の本質からいって、長い伝統からいって、独特の俸給表というものを考える必要があるのじゃないかということをるる申し上げた。今回人事院はそういう立場をとられた。そうでしょう。ところが、それ以外の職種については、そういう考え方じゃなかった。できるだけ民間との関係を考えて処理されようという。こんなむちゃな数字を出されたのじゃ、何といっても私不満です。これで終わります。
  62. 横川正市

    横川正市君 人事院勧告の形態が、今回は職務給と責任給とを重点的に取り上げたと、こういうことでありますが、前回までの理由としては、たとえば、初任給是正で底辺を底上げして、その次に上級職の手直しをし、それから中だるみを是正し、そうして今回は職務給、責任給ということで、大体人事院の作業が四回の勧告をめぐって一巡をしたような格好にとれるわけですね。ただ、こういう格好で現在のまあ頭脳を養成している学校から行政職に希望に応じて人を採用することはできるかどうかというこの問題を解決するという点では、いささか今回の職務責任給の是正だけではちょっと問題になるんではないか、ことに最近は各官庁とも新聞で現われているように青田刈りといって、まだ在学中に他に抜きんじて試験を行なって、そうして採用するというような一例も出ておりますけれども、今一番問題なのは何といっても就職をする年令、それから勤続をしてそれぞれ一本立ちするような年令に達するまでの待遇等を考えて、相当まあ優秀な人たちの職種の選考ということが行なわれるわけです。そういうふうに傾向をたどっておるのと、今回の勧告とをあわせて見ますと、依然として私は人員の登用問題では問題を残した勧告だということがいわれると思う。それをたとえば人事院で言えば三級職、四級職、五級職、六級職等の試験を行なった人たちの初任給の問題ですね。これがはたしてその民間との初任給とあわせて見て、今回どういうふうに是正されたか、これはやはり私は問題だと思う。まあこの委員会も前国会ではこの点から相当現在のものに対しても人が抜かれていくから、これに対して手当とか、あるいは何か特別な給与、研究費等も与えて足どめをしているという問題と、それからさらに人員を登用するためには、どうしても給与の是正を民間とあわせてしなければいけない、こういう点が強く各行政担当の大臣から要望されておったことは、これはもう総裁もお聞きになっていることと思う。その点が今回のこの勧告からはどうも私は是正されたとは思われないわけでありますが、その点はどうおとりになって今回の勧告の、いわゆる初任給に該当する部門をお考えになったのかをお聞きしたい。
  63. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 今回の勧告におきましては、まあ俸給表の形で初任給は出るわけでございますが、これは初任給のところにつきましては、ただいま御指摘の点等を十分配慮いたしたつもりでございます。たとえば下級職試験七の一というところをとって見ますと、これはまあ本俸と暫定手当を加えて、東京の数字で申し上げまするが、従来でありますれば一万二千二百四十円であった数字の点でございますが、今回は一万三千四百四十円、これはわれわれの民間給与調査に出ておりまする数字とほとんど狂いのない数字でございます。なお、非常に採りにくい技術系の、たとえば物理でありますとか、電気、機械、あるいは応用化学、まあそのような非常に採りにくい職種につきましては、初任給調整手当というものを二千円つけることにいたしておりまするので、一万五千四百四十円、こういうことに相なるのであります。従いましてこの程度の金額でありまするならば、まずまず考えられるところではなかろうか。ただ問題は、技術系職員等につきましては、なぜ公務に来ないかという点になりまするが、これはやはり公務における将来のポジションというものがなかなか保証されない。まあ保証という言葉は言い過ぎでありますが、そういう観点もあろうかと思います。まあ、これはやはり政府がもちろん科学技術振興を考えられておるのでありまするから、われわれはやはり技術系の上級の官職をお作りになって、そうして責任のある仕事をしてもらえるであろうことを期待いたしております。従いましてもしそういうことに相なるといたしまするならば、それはやはり行政俸給表に掲げてあるような数字を適用されまして、これはその程度において十分であろうかと思うのであります。ただ、民間の青田刈りというようなことがたまたまあるようでありますが、そういう特殊のケースに対して競争し得るというところまでは、もちろんできなかったわけであります。
  64. 横川正市

    横川正市君 まあ私は初任給の問題と、それから現在の中堅になっております四等、まあ五等、六等、それからまあ下級職員であります七等、八等等の職員状態というものを直さなければ、今の行政職の実際上の人員の頭脳面からくる不足を補うことはできないのではないか、この点が強く要望されておったんでありますが、それが十分でない。ことに、昇給期間が今度は一律に十二カ月に全部直っているわけであります。これはまあ在来でありますと早いのになれば三月で昇給したという前例もあります。まあ大体は六カ月、九カ月、それから一年というように、下級職についてはそれぞれ昇給期間というものを短くして、そして急速に業務の熟練度に合わして賃金の安定度を保っていくという昇給制度がとられておった。今度はこの十二カ月一本でいきますと、ますますこれは下の方に低く上の方に厚くなるという結果が昇給面からは出てくるんじゃないか。これはもちろん十二カ月にしたことを悪いというのではなくして、下級職についてはもう少し昇給期間を短くしていくべきではなかったかというふうに思うわけでございますが、一律十二カ月にした理由はどこにあるかお聞きしたいと思います。
  65. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 先ほど鶴園委員の御質問の方とも関連をいたすのでありますが、中級職あたりを改善したい、もちろんわれわれその気持は十二分にあるのであります。ただ先ほども申し上げましたように、鶴園委員は行(一)と(二)間の較差のことをお話しになったのでありますが、われわれは、たとえば今回教育(二)の俸給表と教育省の方は比較いたしておりません、教育(二)と教育目の関係は、現在の関係を維持するように改善をいたして、別に教育(二)と比較いたしておりません。ところが教育(二)を比較いたしましても、やはり民間よりも高いという数字が出ておるのであります。しかし、われわれが今回改善いたしましたこの改善の度合いというものは、やはり行(一)と同様の改善をいたしておる。従って、この行(一)だけに着目いたしませんで、全体俸給表をかりに横にごらん願うということになりますれば、現在のところはまあこの程度のところになるのではなかろうかと思うのであります。  次に、昇給期間の問題でありますが、今回は一律に十二カ月にいたしました。従来十五カ月に入りますと、折れ曲がりというようなことが俗称されておったのでありますが、実は十五カ月昇給期間の半ばぐらいは年間昇給率に直すと十二カ月と同じようなところが半分くらいはあったのであります。しかし今回の改善におきましては、従来の十五カ月のところまで、十五カ月の最終号俸のところまでを大体十二カ月の期間の昇給率と同じくらいにいたすという改善をいたしました。その後におきまして年間昇給率はおおむね昇給期間が延伸している部分につきましては、現在と同程度を目途にして俸給表を作ったのであります。行(二)につきましては、従来六カ月が十二カ月になるのは不利ではないかというお話しでございますが、この点につきましては、われわれは年間に受け取ります給与というものの面積計算といいますか、そういうものをいたしまして損のないようにいたす、損のないようにいたすということよりも、むしろただいま申しましたように年間昇給率をどの程度にいたすかという点は、行(二)にももちろん考えている次第でございますので、まあ年間昇給率は多少はよくなっていると、こういうことで決して損になっていない、このように考えております。なお、六カ月やあるいは九カ月の短い昇給期間、これは行(二)にだけあったのでありますが、そういうことで昇給するのがいいのか、もう現在となっては、民間におきます昇給の実例を見ても、これはほとんど一年間一回昇給、あるいは回数で申しましても年一回というようなことであります。われわれの方は現在年一回ということにしましても昇給期が四回ございますので、ばらまかれるということもありますが、そういう点を勘案いたしましてこれを現在の状況において十二カ月に統一するということは、必ずしも不当ではないのではないか、また従来行(二)の俸給表が行(一)の俸給表と比較いたしまして、昇給期間等がそういうふうに違ったやり方をしておるというところが、何か差別待遇をしておるのではなかろうかという印象を与えておったのでございます。われわれは決して差別待遇はしていないという、もちろんつもりでございまするので、これは行二だけを残すということをいたしませんで、これを合わせて十二カ月に統一した、こういう状況でございます。
  66. 横川正市

    横川正市君 今の各官庁の実態を見てみましても、先に行なわれた生計調査の中にも出ておりますように、人事院の生計調査の占める住居費あるいは光熱費、食費、そういったものの単価が、これはまあ都市を中心とされたか、あるいは平均をとられたか、その取り上げられた資料によっては、説明のできないくらい低いものであったということがいわれるわけであります。それと合わせて昇給期間というものを勘案してみて、勤続十年ないし十五年勤続いたしましても、一人の食費が都市においてはまかなわれない、こういう状態が出てきている。これを実態的に見ますと、大体官庁で特殊な例として出ておりますのは、同じ役所ないしは同系統の業務をやる役所等の問で夫婦の共かせぎ状態というのが非常に多くなってきております。おそらくそういった点は、調査すればその割合というものは相当高いものが出てきているのじゃないか、それは一般の傾向として下級職にある者の適令期における給与の不満足さというものが、結婚だけは適令期になっておりますのでやりますけれども給与がそれに伴わない、そこに共かせぎの状況というものが出てきている。一人で働けば足りないが二人ならばまあまあ中堅ぐらいなところへいくというような状態一つの生活水準を維持している、こういう傾向が非常に強く出てきていると思う。ですから、私はそういった面から、この実例にも出ておるように、もし実際上これを直すとすれば、もう少し上下の差を縮めた俸給表というものが必要であったのではないだろうか。そのことは、引いては一例としては青田刈りということになりましたが、実際上は人員登用の面からも解決策になったのではないかというようにも思われるわけであります。ただ俸給表を作る場合、私ども経験がないわけじゃないのでありますが、実際上の俸給を上にどのくらい、下にどのくらいといって非常に段階を多くする俸給表を作って参りますと、この点はどうしても形としてはこういうふうになるので、それを等級をもう少し縮めて、それで頭打ちを是正するような格好で一等級、二等級、三等級から八等級まであるのを、せいぜい五等級ぐらいまでにして、そうして、俸給表をずっと長くしたものを作ったならば、その面からの是正というものはできる、いわゆる上下の差というものをもう少し縮めることができるのじゃないかと思うのでありますが、作業上の問題とも関連してお聞きをいたしたい。
  67. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) ただいまのお話しの中で現在共かせぎが非常にふえておるという事実を御指摘になったのでございまするが、そのようなことは、われわれも同様にそういう方々が非常に多くなっておるということは承知いたしております。まあ夫婦共かせぎの場合には、これは生活的にも余裕ができる。まあ最近いろいろな生活の便益が種々の方面からございまするので、そういうことを享受する機会も非常にそういう方々はあるだろうという予想はつきます。まあ、われわれとしましては、やはり一人の公務員が生計を維持し、そうして夫婦生活をしていくに十分な給与でありたいということは、これは念願として持ち続けておる次第でございます。ところが、まあ民間との比較等のことを考えますると、なかなかそれがわれわれの気持がありましてもできないということが実情でございます。現在のところにおきましては、人事院がいわゆる標準生計費というものを計算いたしまして、初級職試験に合格いたしました者の給与をチェックするということをいたしております。で、その結果、ことしも東京におきまして計算いたしまして、大体見合っておるのでございます。ただ、東京における生計費というものを直ちに現在のゼロ級地、一級地に換算したものがその級地において妥当であるかどうかということになりますると、これは勧告でも申しておりまするように、必ずしも妥当とも言えないのではないかという感じを持っております。一例としまして、たとえば総理府統計局でやっておりまする生計費調査、これは二十八都市についてやっておるのでありますが、これは便宜、公務員の暫定手当の地域に区分をいたして種分けをいたしまして、その生計費の状況を費目別に出してみる、また、消費支出の全部を出してみるということをいたしますると、現在東京に対しましては、一級地でありまするが、これは生計費をやっておる所でございまするが、帯広、青森、高崎、松本、鳥取、今治、都城、こういう所の平均をとってみますると、七〇・四%というような数字が出ております。これは生計費観点から見ましても、地域差が相当にあるという状況がわかるのであります。もちろん、これは平均で出しておりますから、そのいわゆるモードで見てみますると、これよりは多少縮まるのではなかろうかと思うのでありますが、まあその計算は、資料がないのでできません。しかし、それにしましても、生計費観点から見ましても、級地別に相当の開きがあるという事情があるけれども公務員の方は、現在暫定手当が固定されておりまして、今度また俸給が上がりまして、暫定手当が据え置きになりますので、これは較差がますます減ると思いますが、おおむね十一、二%というところだろうと思います。そういう関係から見まして、標準生計費で無級地のところを考えるのは不当ではなかろうか。従いまして、東京でのみ、現在の資料がありますので、チェックいたす、こういうようなことをやっておる次第でございます。  また、上の方と下の方の較差を減らせば、中間に回し得るのではなかろうかというお話しでありますが、かりに上の方を五%へずりましても、これはほとんど全体の率には影響しないという程度で、行政職におきましては、行政職は少ないのでございますが、等級の数を減らして考えるのはどうか。これは一つの御意見だと思って、われわれ、今後十分その問題を研究してみたいと思いまするが、同時に、現在の八等級というのは、これはどうも少し等級の数が少ないのじゃないか、そのために非常にやりにくい面があるから、もう少し等級をふやしたらどうかという議論もございます。実際これは議論がいろいろあるわけで、より今後の研究問題として、われわれは十分考えたいと思いまするが、今回の勧告におきましては、俸給表等級は原則として変えない。その範囲内でこの期間を一律に十二カ月の昇給期間にする、あるいは、従いまして各等級の、従来は越年号俸があったものを廃止するというような操作をいたしたわけでございます。
  68. 横川正市

    横川正市君 関連してこの際聞いておきたいと思うのでありますが、地域給のこの暫定手当組み入れでもって、一応何かこの地域給としては、その形態というものを固定するような状態になっておりますけれども前回委員会での質問でも明らかにされておりますように、人事院としては、不合理については是正をしたいという意向を、総裁がこの席上申されておりました。私どもとしてはそれを了として、その後、やはり地域給に対する不合理の部分的修正はあるものと、こういうふうに思っておったのでありますが、この点について、人事院としてはどうお考えになっておるか。  それからもう一つは、法律二百号が国会でもって制定されたので、人事院としてはこれには関与しないという建前をとっておられたようですが、その後、北海道の石炭手当に見合う東北の寒冷地域に対する薪炭手当の各省における新設と、あるいは手当の支給等がありまして、当然給与の形からすれば、人事院としてもこれの研究調査ないしはその結果的には、いずれ、どれくらい支給することが妥当かの線まで出てしかるべきだと考えて、その調査について依頼をいたしましたが、これは前回お約束をいたしていただいておりますので、この点についてどうなっているのか。  さらに、寒冷地給の支給についても、同じように国会の修正に対して相当大きな意向を持っておりました。これも人事院としては、当然給与の一環として相当調査する必要を私どもは認めておるわけでありますが、これらの、法律二百号関係について、人事院としてどういうふうに現在お考えになり、進めておられるのかをお聞きいたしておきたい。
  69. 浅井清

    説明員浅井清君) これは全部まとめてお答えいたしますが、これにつきましては、国会の附帯決議もございまするので、これは来年度四月から実施するようにというような附帯決議にもなっておりまするので、それまでにあらためて勧告いたしたい、今回には含まない、こういうことでございます。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 だいぶ時間が過ぎましたので、重複せないように重要な点だけ一つ人事院並びに政府、それから自治省にもちょっとだけあとでお願いしたいと思います。  まず前提として、実はこの勧告は一昨日出されたとき相当世論を喚起したようでございます。人事院としてはきわめて思い切ったものを出したという新聞記事も相当出ておりましたが、率直に申しまして私らの立場からするときわめて不満です。それにつきましては先ほど同僚議員からもるる申し述べられましたが、全体の金額としてはまあ相当いいと思いますけれども内容から見るときわめて不満がございます。そこで質問の順序としてこれはまあ形式的な問題ですが、人事院総裁にお聞きしたいのですが、この報告並びに勧告はまあ法律で出すようになっておりますが、いつ内閣に、八日の何時に出されたか。
  71. 浅井清

    説明員浅井清君) これは八日の十一時だろうと思います。国会から内閣へ、国会へ先に出し内閣へ回っていきましたのは、大体十一時と御了承願いたいと思います。
  72. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 午前十一時ですね。そうするとこの勧告は正式に法律に従って出す前には、総理大臣には御相談はされておらないですね。
  73. 浅井清

    説明員浅井清君) これはもう御相談すべき事柄ではないように思っております。
  74. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、若干内容について御説明申し上げ、質問したいのですが、たくさんあるのですが、実はなかなか時間もありませんので、要点のところだけあとで質問する関係上、この説明資料です、これについてちょっと、これは局長でもけっこうですから、第二表、公務員の平均給与月額、三ページ、わかりましたね、これの昭和三十四年一月の実態はこれでいいのですが、四月の推定値というのはどういう方法で出されたのですか。
  75. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) これは毎年定例的に人事院各省から給与の支払い状況の報告を受けております。ところが、その支払い状況報告だけでは、等級別、号俸別人員分布ということまではわからない。従いまして年一回公務員給与実態調査ということをやっておりまするが、その数字からその以後における昇給等の推算を加えまして、このような数字を出しておるような次第であります。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それからその表の、第三表です。同じページの第三表、この民間職員・工員別基準給与月額、これは人事院が調べられたのでおわかりだと思いますが、この調査の際にこの比較はいわゆる昭和三十四年の三月、昨年の勧告の基礎とされた三月、本年は四月になっておりますが、昨年の同月の資料が出ておるかどうか。昭和三十四年の四月の資料が出ておるかどうか、その点一つ
  77. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) それは出ておりません。昨年は三月を調査いたしまして調べたわけでございまして、四月は調べなかった。今年はここに出ております数字は、人事院民間給与実態調査の中でいわゆる事業所表というもので、幾ら支払われて、その支払われた人員が幾らかということを簡便に調べる付帯調査のようなものでございまするが、その付帯調査では昨年の三月の状況、本年の四月の状況だけ調べましたので、四月の状況は出ておりません。
  78. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、ここでもう一つ人事院調査の方法についてお聞きしておきますが、四月はというと、大体四月限りの調査であって、大体年間のいわゆる民間の工員、職員調査というものは参考に出ておりませんか。
  79. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) この今ごらんになっております第三表というものは、これはただいまも申し上げましたように、支払い総額を人員で割った平均ペースということになります。従いましてこの間に異動が相当あったり、また給与改訂があったというようなことがありますれば、影響して参る数字でございます。で、これと同類のものといたしましては、毎月勤労統計が労働省で出しておられます。これは毎月出ております。しかし、この数字は月々いろいろ変動がございまして、ごらんになれば、われわれの資料にもつけてございますがございまするが、まあ、大体これと比較して類推し得る資料といたしましては、毎月勤労統計が毎月調査されております。
  80. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 時間がないから、私の質問に対する答えだけでけっこうです。私がずっと言うていくうちに、私の言わんとするところは最後に明らかになってくると思います。第四表の民間における初任給。次の第四ページの四表、民間における初任給、これも人事院が調べられたということになっておりますが、この基礎となったものは、どういう規模の事業所であったか。それとも五十人以上のすべてのところの初任給を全部やられて平均値をとられたのか、その点ちょっと。
  81. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) これはわれわれの方の、そこに書いておりまするように、民間給与実態調査の中の個人票という本体たる調査によりまして調べたものでありまして、五十人以上のところで調べたわけであります。
  82. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、五十人以上といったら相当五千何種類こういう調べられた事業所は出ておりますね。それで出し方は、いわゆるそいつを五千なんぼのやつを調べたというと、全部総計で五千幾らで割って、その平均値であるか。その出し方を。
  83. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 五千とおっしゃるのは、これは事業所の数でございます。われわれが調べたのは二十七万人の個人票で調べたわけでありまして、その中に初任給該当者が、ちょっと今数字を記憶いたしませんがおるわけでございますが、それを平均いたしたものでございます。
  84. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私の言わんとするところは、実は事業所によって、大規模の事業所と、極端に言うと五百人以上あるいは百人以上、あるいは百人以下というところでは、非常に初任給の差があるんです。だからその二十五万人ですか二十六万人を抽出されて、その中から出されたということであっても、その態様はどうなっておるか。調べられた態様が。五百人以上の大事業所のいわゆる初任給だけ調べられたらこういうものではない。従っていわゆる五十人以上というのはまんべんにいわゆる五十人の規模の工場あるいは五百人以上あるいは百人というようなものが、まんべんなくこの中に含められて、平均値が出ておるのか。なんか中間の層だけとらえておるのか、この点だけ一つ
  85. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) われわれの方の調査は、いわゆるランダム・サンプリングによってやっておりまするので、われわれが調査いたしました事業所で、これはいわゆるサンプリングで全部は調べておりませんけれども、実はその事業所に入って参りましたのみならず、調査しなかった事業所全部を含めまして、初任給を全部調べたと同じような効果があるような調査になっておるわけであります。従いまして本年度、本年四月に採用されましたいわゆる新しく入って参りました者は、五十人以上の事業所について全部調べたと同じ形になっておりまして、それを平均した、たとえば途中で規模でくくって薄めたり増したりというようなこともしていないし、あるいはそれを事業所の規模に、事業所の数字に直してやるというようなこともやってない。こういう数字でございます。
  86. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、その各事業別、いわゆる調査対象のクラスが三つありますね。それの各規模によっての事業別の初任給というような調査はされておりませんか。これだけですか。この方だけですか。
  87. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) われわれの調査といたしましては、必要な最小限度に今までやって参りました。従いまして、今ちょっと私、そこまではっきり記憶いたしておりませんが、非常に急いで、資料も必要なものだけを集計するといったことをやったはずでございまするので、そこまでできていないだろうと思っております。
  88. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体私らはそういう機関を持たないので、十分な調査はできませんが、大体初任給は、小企業、まあ零細企業は除きましょう。小企業あるいは中企業、大企業、大企業の中でも相当較差があります。非常に相違がある。ただ公務員は、はたしてどういう事業の規模に相当するのが公務員初任給で妥当であるか、これをわれわれ常に考えておるのです。滝本局長が言われるのは、五十人以上の規模のものがすべて要素となって平均値が出されているというので、若干これは問題がありますが、これはまた時間があれば、あとでもう少しあなたの方の意見を聞きたいと思います。  次に、第五表です。これは私簡単に申しますと、特別給の内容、これは民間ですが、これはどういう調べですか。ちょっとこの参考資料についておるのですが、理解するために教えてもらいたい。
  89. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) いわゆる定例的に支給されておりまするのが本俸であります。まあ民間ではいろいろ給与の名前がありまするが、いわゆる定例的に支給されているものは除いて、臨時に支給されているものだけ入っております。
  90. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 たとえば。
  91. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 入っておるものでございますか。いわゆるボーナスでございます。
  92. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 賞与。それじゃ、次に第八表。東京における独身男子標準生計費の問題です。これについてはずいぶんお尋ねしたいのですが、先ほど横川君が尋ねたので、きょうは省きたいと思うんですが、ただ一点だけ、昨年の調査から本年の調査基準カロリーを一〇%、二千五百三十から二千五百四十、十だけ上げておられるのですが、これは何か科学的な根拠があるのですか。
  93. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) それは、日常のカロリーは、われわれ独自に考えるものではないのでございまして、国民栄養調査の結果、これは東京都の標準生計費を計算いたしまするので、それに現われた数字でありまするが、その国民栄養調査の結果、出ておりまする東京都の平均カロリーというものがあるわけであります。それをいわゆる十八歳程度の男子に換算いたしまして、この辺はカロリーが少し高いのでございますが、換算乗数も、これはちゃんときまっておりまするが、その乗数をかけて出した。これは毎年同じであります。栄養調査の結果によっておる、こういうことであります。
  94. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 栄養調査、それはわかっておるのですが、私の聞いているのは、カロリーは本年一〇%、これは科学的に必要なカロリーでしょう、問題は。
  95. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) これは科学的に必要なということではないのです。国民栄養調査の結果、東京都において平均どのくらい消費しておるかというカロリーです。
  96. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ずいぶんありますので、一応大体そういう点だけ資料については質問をいたしましたが、問題はたくさんありますので、次に本質的な問題に移りたいと思うんですが、実は今度の勧告につきましては、冒頭に申しましたように、内容については、われわれの立場ではこれは全く不満である。不満というか、妥当でない、こういう考えでいるんですが、先ほど鶴園君が、この第一表について等級別の性格を申しましたが、私は同じ結論に到達いたしますが、第一表と第二表の性格からくる今度の内容、上げ方、いわゆるわれわれのいう上厚下薄、この点がきわめて顕著に出ているんです。これは第一表の場合は、先ほど出されたように、それから内閣委員会でも資料が出ているように、一等級から八等級まで、引き上げ率はきわめて大きく上昇をしておる。最高は三三・六%、最低は一一%、こういう一〇%程度出ておるんですが、これを第一表と第二表を比較しますと、第二表の場合には、これは現業関係、いわば筋肉労働に相当する方々が多いと思うのでありますが、これの上昇率は、これはほとんど変わらない。五等級から一等級まではほとんど同じような、もちろん絶対額は若干ふえておりますけれども、一等級で二千円、二等級で千五百円、三等級で千二百円、四等、五等八百円、きわめて傾斜がない。もちろんいわゆる行二を受ける職種の実態から出されていると思いますけれども、これはわれわれとして、きわめて不満の一つなんです。われわれがいつも主張しているように、かつては昭和三十年ですか、相当大幅に公務員給与の改訂をやられたんですが、今度一千億がべース・アップに必要だというので、相当問題になっております。それは一千億という国費は相当大きいでしょう。しかし、それは実態的に公務員の能率増進と申しますか、そういう方面に多く使われているかどうかということについては、非常に不満であるから申すわけです。この点についての人事院の考え方があると思います。責任の度合いが違うとか、職階級からいえばこういうことがあるが、いかにも上厚にすぎはしませんか。その差がどういうところから出てくるか、念のため聞いておきたい。
  97. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 先ほどからお答え申し上げたことを繰り返すようになって恐縮でありますが、要点だけ申し上げます。ただいま行二の問題が出ましたが、われわれの今度の俸給表を改正いたします際には、非常に特徴のある教育、医療、研究というところは、これに注意を払ったのでありますが、おおむね横の関係も十分注意をいたしまして、たとえば行二の一等級は、大体行一でいうならば何等級くらいに相当するか、また行二の二等級は行一のどの等級に相当するかというようなバランスは考えております。今回の行三の俸給表の改善は、そういうバランスにおきまして、行一と同様、あるいは行二の中におきましても、特に技能関係職員が該当しまするようなところは、特に改善を加えまして、平均的には行一よりもよくなっておる。このような改善を施した次第でございます。数字の上だけでごらん願ったのでは、これはどうも適当でないように思っております。
  98. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 数字の上で見ても適当でないといいますが、われわれに給与が支払われるのはみな数字でくれる。われわれも、いわゆる説明だけ聞いておっては払いが大きくならない。数字がものをいっている。これが三千円になっておれば、五月から三千円ふえる。そういうことで、われわれは数字を基礎にしている。われわれは労働者ですから、その理由よりも、われわれの属する立場の人がもらえるかということが問題なんです。だから私が言っている第一表は、いわゆるカーブがきつい。一一%から三三%に上がっている。二表では同じ思想からいくと、やはり金額は少なくても、だいぶ落ちているんです。同じような調子で上がっていなければならぬのが上がっておらない。それは人事院では、この職種、いわゆる第二表を適用する人は、こういう責任のない人だから、相当長くおって級が上がっても、これでしんぼうするんだという、そういう思想であると思うんですが、その点はどうかということです。
  99. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 先ほどちょっと私は言葉が足りなかったのでありますが、数字の点というのは、たとえば行一の一、二等級の上がり方がどうだ、行二の一、二等級の上がり方がどうだ、そういう数字をもし対比されるならば適当でないということを申し上げたので、言葉が足りなかった点を補足さしていただきます。行二につきましては、やはりこれは職務の実態から見まして、どういうふうに行二の俸給表を作るのが適当であるかということは、これは行二の俸給表は行一とはおのずから性格の違いがあるわけでありますから。しかし、今回の改善率におきましては、行二の一等級、二等級、そういうところをかりに対応等級行一で求めてみますならば、あるいは五等級、六等級というようなことに相なろうかと思うのでありますが、四等級の一部も入ると思うのでありますが、そういうものに比べましては、改善率は多少でもよくなっておる、このようなことで作ってあるのでありまして、行二を特殊扱いにしたというよりも、むしろ行二については細心の注意を払って改善をいたした、このように考えます。
  100. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはわれわれの言うのは、もちろんこの行二だけを見れば、上の方は若干よくなっておることはわかっておるのですが、思想的にいって第一表と同じように、いわゆる上級の方が第一表ではきわめて大きく上がっておる、次官とか局長、課長級に上がっておると思う。ところが、第二表はそういうカーブでなくて、きわめていわゆる並行的に、横ばい的に上がっておると思う。これは同じ号俸表からいけば、等級表からいけば、ある程度やはり、好んでいる、好まぬは別ですよ、別だが、やはり一等級、二等級の差が非常に少ない。これはどういう思想からきておるか、それを尋ねておるのですが、今現在あるやつについて改善した、こういう理由じゃなくて、そういう思想はどこから出ておるか。
  101. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) それは行二の仕事というのは、大体体系的な仕事が多いのでありまして、これを民間で調べてみましても、その昇給曲線は、おおむね最初は上がっていって漸次横に、平らになるというような昇給曲線をとっておるのが、これが民間実情のように心得ております。また、公務における行一における職務は、職務と責任の段階によりまして、これは民間におきましても昇給曲線というものがおのずから違っておるのでありまして、そういう実態がやはり写し出されて行二の俸給表になっておる、特に人事院の思想を加えたというようなものではないというふうに考えております。
  102. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃそう言われたら、もうはっきり出てきたと思うのです。やはり私はそういう言葉は使いたくないが、やはり今度の人事院勧告は官僚的なものである、いわゆるやはり官僚的な圧力も私はあったんじゃないかと思うのです。こういう結果を第一表案の実態を見まして、その点を先ほどから追及したかったんです。私は大体昔から公務員給与については、こういう立て方に反対なんです。実際生活というものを見ずに、いわゆる階級によって一応立て方を考えておるということに反対なんです。しかし、私は次官とか局長とかいうのを軽視するのじゃないですよ。そういう人は出費が多いです。多いからそれは別な意味のいわゆる職務給といいますか、いわゆる徳川時代の足高の制度というのがあったようでございますが、そういうものでまかなわんと、全般の行政能率と申しますか、人件費といいますか、そういうものが非常に不当にいっておると思う、私の意見ですが。かりにこういう号俸をしていきますと、その職をかりに離れても、身分の残る場合には、それだけの等級号俸を与えなくちゃだめです。こう言うと悪いけれども、同じように二等級あるいは一等級の人でも、そういう職におらぬ人でももらっておる方がある、逆にいうと、行政能率からいうと、そういう人があるがために、またポストを与えなくちゃならぬというような、人事行政上の問題が出てくるんです。これは給与からも、その人の給与を、かりに職場を離れたとしても落とすわけにはいかぬでしょう、本俸を。こういう点を、私は早くから人事院の当局に考えられないか、これが世論の大きい反発を買っているのです。われわれの立場の人々はきわめて不満なんです。一千億国費が要るか要らぬかは別といたしまして、非常に国民は反対、国民が反対かどうか知りませんが、世論が喚起されております。ラジオ、テレビに出される。しかし、その大半の受けるところは上級の方で、下の方は先ほどからみんないろいろ比較されたように、民間給与と比較しても、まだはるか下にいるということは事実なんです。そういう点を私は本日これを言いたい。これは人事院だけじゃない。この勧告によって、将来おそらく早急に法律化される政府の方に、私は言っておきます、そういうものでないかと。われわれの考え方を人事院は否定されても、私は本日も明らかになったし、また一般の世論も、私はそう向いてもらわなければ困ると思うのです。現実に税金を集めにいく人あるいは市民に接する人、その人は満足しない。人事院勧告されて、おそらくこれは給与改訂になるでしょう。そういう人がどういう反撃を受けるかという問題です。お前ら一千億も国費を使って、べース・アップしてやったじゃないか、こういう国民の不満が起こってくると思うのです。こういう点はやはり人事院は、人事行政の以外に脱するかもしれませんが、その勧告についても、やはりそういう点も考えてもらいたい。別の意味からも考えてもらいたい。給与体系についても、私は大体人事院の方では、その意味はあるのだというふうな言い分を、人事院総裁から聞いておきます。  従って私は政府にこれからちょっと申したいのですが、実は本日いろいろ論議されました。政府部内では相当この人事院勧告は、閣議でも問題になっているやに新聞でも見ております。しかし、そういう問題を含んでいるということを、本日総務長官、そういう点はどういうふうにお考えになられたか。人事院主張とわれわれの主張が、公正な立場で聞かれて、どちらに分があるか、一ぺんその点の感想を聞きたいと思います。
  103. 藤枝泉介

    説明員藤枝泉介君) だんだん先ほどから御質問並びに人事院のお考えを伺っておりますと、私どもの方も、一昨日この勧告をいただいたばかりでございまして、もちろん従前通り人事院勧告を、その使命から考えまして、尊重する建前で検討はいたしております。ただ、本日の当委員会で御議論になりましたような点も含めて、十分検討をいたしたいと考える次第であります。
  104. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃあと一点だけにしておきましょう。これはこれから審議続くと思うのですが、すでにこの人事院は、五月から実施すべきであるという、今度はこの点だけ、私はある程度、ぼろくそに言うだけが能じゃない、期限を切って出された人事院に対しては、この点だけはよかったと思います。この五月から実施ということについて、政府はどういうお考えであるか。
  105. 藤枝泉介

    説明員藤枝泉介君) 今回の人事院勧告は、五月一日から実施ということを勧告の中にうたわれております。もちろんそういたしますると、これを実施いたしますのには、相当の財源を必要とするわけでございます。財政事情の見通しその他を十分検討をいたしたいと考えているわけでございます。その点に関しましても、目下検討をいたしている段階でございます。
  106. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 総務長官はおそらくそういう答弁以外にできないと思う。そこで冒頭で給与担当大臣をきめてもらいたいというのは、そこなんです。これは第三十四国会に、この問題でもうすでにやめられたけれども、岸総理大臣が本会議で、この点については、人事院勧告は尊重すべきであるということを、あの演壇から、衆参本会議で言われている。また、具体的に五月の十二日、前の副総理であった給与担当益谷大臣が、はっきりとこう言っているのです。人事院勧告が四月なら、四月にさかのぼりますと言っているのですよ。従って財政の関係は、おそらく私は検討されてもいいと思うのですが、少なくとも前の国会で、内閣はかわっても、これは自民党内閣には変わりはない。しかも、益谷さんは、今や自民党の幹事長なんです。そこで私は冒頭に、人事院総裁に尋ねたのですが、いわゆる勧告前に、池田総理大臣に御相談なさったかどうかということを尋ねた。してない。ないということは、これはおそらく全然ないかもしらなかった。しらなかったけれども、すでに勧告は一応五月から実施しろということが出た以上は、これはここで藤枝総務長官は、いろいろ財政の状態審議してと言われますが、勧告を尊重するということは、日にちは変わっても、内閣は変わっても、この内閣委員会のこの場所で言ったことを、今の自民党内閣はくつがえすことはできないと思うのです。その点どうですか。
  107. 藤枝泉介

    説明員藤枝泉介君) 前内閣時代に、給与担当大臣であられた益谷総理が御答弁なすったことも存じております。また、人事院勧告を尊重するという建前は、これは歴代内閣のとってきた方針でございます。そういう点を十分勘案いたしまして研究を続けたいと考えます。
  108. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 総務長官はそれ以上答えられないと思うのですが、私の言ったことは十分御理解されていると思います。こういう公式の場所で追及することは、まあ今後のためにまたいかぬと思いますので、この程度で終わっておきます。十分私の言うことはわかったと思う。また、内閣責任も感じておられると思います。実施時期についてはこれでとどめておきます。  最後に、これこそ最後ですが、自治庁の藤井局長見えておりますが、地方公務員の場合に、これ新聞に相当出ておりますが、今までの慣例からいうと、もちろん国家公務員の法律が変われば、地方公務員にも準用するということで、時期的には条例改正がずれても、五月一日に遡及して出すということですが、この点について自治省の、自治庁の方が言いやすいのですが、自治省としてはどう考えておられるか、その点だけ。
  109. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 給与関係につきましては、従来からと同じ取り扱いでございまして、国家公務員について一定の方針がきまりまするならば、それに準じた行政指導をとっていく、またこれに必要な財政措置等についても、必要があれば十分の措置を講じていくということについては変わりございません。
  110. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 政府側の出席者、その後荒木文部大臣が出ておられます。宮地文部大臣官房人事課長、原田行政管理庁行政監察局長、山口行政管理庁行政監理局長、それからただいまの藤井行政局長が出席をされております。
  111. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間が参りましたから、若干の点だけについて伺っておきたいと思う。  まず、官房長官伺いますがね、この池田内閣発足以来、よく報道機関で低姿勢、低姿勢ということを言われておりますが、たとえば教育の振興をはかるために教職員の待遇をよくするとかね、あるいは伊勢神宮にお詣りになった際に、公務員給与は低過ぎる、少しゆがめられておるからこれを直さなければならない、こういう給与政策に関して発言をされております。これは池田さんの低姿勢の一環ともとられるわけなんですが、あの低姿勢は選挙前の擬装じゃなくて本物だと、かように了承して差しつかえないと思いますが、念のために伺っておきます。
  112. 大平正芳

    説明員大平正芳君) 私どもは低姿勢であるとか、高姿勢であるとかいうような考えはないのでございまして、与えられた条件のもとで最善を尽くしたいという一念でございます。
  113. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点は了としておきます。そこで、次の質問を発する前にですが、所得倍増計画というものが立てられておる。これは大きなあなたたちの政策の柱になると思う。人事院からいろいろ内容について問題があるにしましても、ベースアップ勧告が出た。それで、公務員給与を上げると購買力がつく。物が売れる、生産が盛んになる。そこで経済活動が活発になってくる。経済の成長率が伸びていく。こういう政策というものが池田内閣の政策の考え方というもののバック・ボーンになっていると思うのですが、いかがですか。
  114. 大平正芳

    説明員大平正芳君) 仰せの通りでございます。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それから政治をやっていくにあたっては、財源という問題になりますが、これは財源を作り出す政策をやることが政治である。これも私は池田内閣一つの大きな方針だと思うのですが、この点念のため承りたい。
  116. 大平正芳

    説明員大平正芳君) これまた御高説の通りでございます。
  117. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に承りたい点は、給与政策について、岸内閣時代と池田内閣時代になって変わったか変わらんか。もし変わった点があれば、どういう点が変わったか、同じ自民党を与党とする政府であり、現内閣の首班は岸内閣の主要閣僚であったわけなんですが、その給与政策について変わった点があるのかないのか、踏襲されるのかどうか、その点基本的なものを承りたい。
  118. 大平正芳

    説明員大平正芳君) 先ほど総務長官から御答弁がありましたように、人事院勧告を尊重いたしまして、できるだけの配慮をしたいということにつきましては、前内閣と何ら変わりがないと思います。
  119. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 しからば、私は明確に承りたいのですが、その第一点は、この給与改訂の実施時期なんですが、五月一日から実施してしかるべきだという勧告を出されたのは、人事院としては初めてです。で、これらの点について、前内閣では責任国務大臣が、当委員会において、六月七日与党委員村山君の質疑に対しましてこういう速記録を残している。「人事院から勧告が参りますれば、常に申し上げております通り、これをすなおに忠実に実行いたしたいと考えております。」「私は、たとえば人事院は、いつからいつまで、五月の一日というような指定があれば、できる限りそれに沿って参りたいと考えております。本年のごとく、一年間延ばすような考えは毛頭持っておりません。これはたびたび閣議にも強く要請をいたしております。」こういう速記録を、六月七日与党の委員と意見が一致いたしましてこういう速記録を残しておるのです。そうなりますと、この人事院勧告尊重ということと、前内閣給与政策において基本的な考え方は変わっていないと、この柱からいって、五月一日実施というものは、道義的にもこれは動かせないものだと思う。また当時の佐藤大蔵大臣も、「一般公務員に対しては人事院勧告に基づいてきまると、かように御理解をいただきたいと思います。」こういう明確な速記録を残している。わが立法府に残してくれた。それで私は本院に席を置く者として、古い話でなくてつい最近の話なんですから、この五月一日、勧告通りに実施されるべきものと思います。また要求をいたします。そういうふうに了承してよろしゅうございますね。
  120. 大平正芳

    説明員大平正芳君) 先ほど山本委員総務長官から御答弁がありました通りでございます。
  121. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、私は官房長官直接承りたい。
  122. 大平正芳

    説明員大平正芳君) 人事院の御勧告を尊重して参るという基本的な態度には、何ら変わりはございません。ただ、今回の勧告を受けましたのは一昨日でございまして、政府がこの内容並びにこの影響の及ぶところに対する検討を開始したばかりでございまして、直ちにこの段階で五月一日から実施する、しないというようなことを御答弁できる段階でないことは御了承願いたいと思います。ただ、基本的には人事院勧告を尊重して配慮して参るという心がまえでおりますことを御了承いただきたいと思います。
  123. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはまあ当然だと思うのです。秋にはいずれ臨時国会が召集されるわけなんですが、その臨時国会にはこの勧告を受けて提案されて参るものと考えますが、それは相違はありませんね。
  124. 大平正芳

    説明員大平正芳君) その点もあわせて慎重に検討いたしたいと思います。
  125. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 現在のあなたの検討の態度は、尊重するというのだったなら、臨時国会にこの内容を盛ったものを提案する考えでいるのですか。それともそういう考えでいないのですか。あなたの考え一つですよ。官房長官の考え一つですよ。尊重というのは、どういう基本的な態度をとられるのか。私は当然臨時国会には間に合うように十分検討されるものと、かように了承するのですが、そう考えられるのですが、念のために伺っておきます。
  126. 大平正芳

    説明員大平正芳君) 先ほども申し上げましたように、ただいま検討を開始したばかりでございまして、今回の勧告矢嶋委員も御承知の通り大へん大きな勧告でございますので、この勧告を消化して法律化いたしまして、財源措置も用意して、臨時国会に臨み得るかどうかも含めまして、今政府の方で早急に検討を開始しておるわけでございます。この段階で、臨時国会に間に合わすことができるかどうかということを、決定的に私から御返答申し上げられない事情を御了承願いたいと思います。
  127. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 だから私は責任国務大臣総理にお出で願おうとしたわけです。総理がお出でになれないのだから代理の官房長官は答えられなければならない。それは作業しているのは総理府総務長官でしょう。しかし、それは首班大臣として臨時国会に間に合うように検討してほしいという指示を与えられるか、与えられないかで変わるわけであって、その方針を総理が来て伺えないとすれば、かわってお出でになった官房長官としては、その点お答えできぬのなら、尊重しているとか誠意があるというようなことは認められないと思います。そこまでいかなければ……。  そこはちょっとはずしておいて、総務長官に伺いますが、あなたは責任事務当局として検討もうすでに相当進んでおられると思いますが、一体今まで検討したところでは、本年度の税の自然増収並びにこの改正に伴って要するところの財源というものは、どの程度だと、現時点においては把握しておられますか。
  128. 藤枝泉介

    説明員藤枝泉介君) 人事院勧告にございますように、御承知の通り一般職の給与だけでございましたなら百八十六億でございます。これがどの程度に及ぶか。先ほど自治省の方からも御答え申し上げましたように、地方公務員にも相当の影響があることはもちろんでございますが、そのほか特別職その他の点につきましては目下積み重ねをやっておる状況でございまして、相当多額にわたるであろうということは予想できるのありますが、概算を申し上げられる段階ではまだございませんので、御了承いただきたいと思います。
  129. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは藤枝さん、少しおかしいんじゃないですか。こういう勧告が出たならば、あなたのところでは下旬から総裁は全国遊説に出るでしょう。この勧告とも関連して政策をきめるのでしょう、八月までに。それとこれとは無関係じゃないのですよ。それで勧告が出れば、一般職、国家公務員だけか、どこまで及んでいくか。地方公務員、特別職あるいは三公社五現業まで及ぶか及ばないか。及ぶとすればどの程度かということを聞いておる。あなたはさっき謙虚に承ったと言っておる。本日数字を持ってないということはないのですよ。それだったら私はあなたの怠慢として責任を追及しますよ。あなた方は尊重する尊重すると言って、引き延ばし作戦でいつまでも検討々々で引き延ばしているのでは、誠意を持って人事院勧告を実施する気持はないのだと、お答えにならなければ判断せざるを得ないわけです。私はきょうあなた方が申された数字を何日か後に違っておっても責任を追及しませんよ。現時点においてどういう見通しを、どういう数字を持っておられるか、概数をお答えいただきたい。
  130. 藤枝泉介

    説明員藤枝泉介君) ただいま御指摘のありました、特に三公社五現業にどういう影響がありますかということは、御承知の通り最近仲裁裁定が出まして手直しをしましたばかりでございます。その辺のところが一番むずかしいのでございます。ですから、三公社五現業を除きまして、しかも、地方費をどの程度見るかということを別にいたしまして、すなわち中央、地方を通じまして三公社五現業を除いて概算考えられるのは約一千億に近い数字だと思います。
  131. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ただいま政府側より高橋行政管理庁長官、川上厚生省医務局長出席になっております。
  132. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はその数字を神経質に将来責任追及しないというのだから、もう少しお答えになる用意をして出てこられなければ、逃げぬでもいいじゃないですか。ラジオやテレビのニュース解説で出している。ニュース解説の数字はあなた方の見解からすれば当たっておりますか、大きく狂っておりますか。
  133. 藤枝泉介

    説明員藤枝泉介君) 矢嶋委員のおっしゃるのは、ラジオ、テレビ、いろいろ数字がございますので、どの数字をお指しになっているのでございますか。
  134. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そんな失礼なことを聞くものじゃない。私から聞いたら、あなたは数字を答える義務がある。それを答えないから解説者もいろいろ気を配って心配して公務員給与がこんなに劣悪だった、何とかしなければ。自然増収がどうだこうだ。だから内閣誠意があればやれるやれないまで外部の人が心配している。それを担当している責任者がもしも答えられないで委員会に出るのは無責任ですよ。
  135. 藤枝泉介

    説明員藤枝泉介君) 先ほどお答え申し上げましたように、三公社五現業に対する影響の度合というものは現在検討中でございます。それをはずしまして、しかも地方の地方公務員と国と地方との負担分をどうするかということ、これもなお詳細調査をいたさなければなりません。三公社五現業を除き、そうして中央、地方を通じてこのまま実施いたしますと考えまして約一千億、こう申し上げたのであります。
  136. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこの勧告に対する政府の態度をきめるのに対しては逡巡を許しません。一体なんですか、官房長官伺いますが、何日ころまでにこの勧告に対する政府の態度をとりまとめようという目途のもとに事務当局に作業させておられますか、お答え願いたい。
  137. 藤枝泉介

    説明員藤枝泉介君) それははっきりきめたわけではございませんが、できるだけ早く新政策との関連もあり、総務長官のもとで検討するようにということを閣議できめたわけでございます。
  138. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 できるだけ早くということですが、二十日ごろまでには自民党の選挙の政策がきまって、下旬から総裁、全国遊説に出られるそうですが、二十日ごろまでに、この人事院勧告がいかように処理されるかということがきまる、かように了承してよろしゅうございますか。
  139. 藤枝泉介

    説明員藤枝泉介君) 一応八月二十日をめどといたしまして新内閣の施策の素材を整備しようということでございまして、それから総合的な調整をやりながら一応の仕上げをやるには、二十日以後下旬一ぱいぐらいの期間はかかるのじゃないか、こう考えております。遊説の方は、内閣と申しますよりは党の方のプログラムでございまして、九月上旬ごろになるのじゃなかろうか、こう考えております。
  140. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は新聞ラジオで拝見し、または聴取したのですが、この際改めて官房長官並びに行政管理庁長官にこの席でお答え願っておきたいと思います。まず官房長官ですが、この人事院勧告給与改善を取り扱うにあたって、定員を削減する、首切りをやるということはそういうことはやらない、ともかく行政能率の向上によって国民にサービスをするというそういう方面に対しては考慮を払うが、べースを上げたからといって行政整理で人員を削減するということはやらない、かように私は新聞、ラジオで承ったわけですが、そういうふうに了承してよろしいか。  それから行政管理庁長官については、行政機構については検討を要するけれども、この人事院勧告に伴う給与の改善と日本行政機構はいかにあるべきかという検討とは別個の立場において検討する、こういうことを私は新聞、ラジオで承っているのですが、念のためにこの席で承っておきたい。
  141. 大平正芳

    説明員大平正芳君) ただいまのところ行政整理をやるつもりはありません。
  142. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 矢嶋委員の今の御質問にお答えいたしますが、ただいま官房長官からお話がありました通りベースアップとそれに関連しての行政整理とか、あるいはまたそれに伴う行政機構の改革、こういったようなものは今のところ取り上げる考えはございません。ただわれわれといたしましては、そういう問題とは切り離しても行政運営自体につきまして相当これは能率化をし、あるいは民主的運営のために行政の簡素化、あるいはそれに伴う行政機構の若干の改善等の問題は、これは十分行管としては考えなければならぬ問題でございます。それはこれ自体として、べース・アップの問題とは切り離して、その点については十分に考えたい、こういうふうに考えます。
  143. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がないですから、政府が検討するにあたって、ぜひとも聞いておいていただかなければならぬ二、三点について若干私見を申し述べてお答え置き願いたいと思う。  まず、人事院総裁並びに文部大臣に承りたいのですが、科学技術振興の趣旨に沿い初任給調整手当を新設する。それから技術者確保のために技術職、医療職、こういう方面の待遇を改善する。それから大学教授の給与等上げられた。こういう点は立法府の両院において強く要望され、主張されたところで、この限りにおいてけっこうだと思います。そこで二人に承りたい点は、初任給調整手当を技術系統に二千円支給した場合に、今でもこの理工科系を卒業した人が科学技術の振興といいながら学校教員になることを非常にいやがっている、この点ですね。学校教員になろうとしない。そうなりますと、教育職俸給表にはこの調整手当というものはないのですね。そうなりますと、いよいよ科学技術振興の根底をなす理科系教員の確保に困って参るのじゃないかと思うのですが、この点は人事院並びに文部大臣どう考えておられるか。  それと次の質問は、文部大臣だけですが、今度のこの勧告給与政策の中に、科学技術の振興という大きな政策のバック・ボーンが入って、そして給与政策が打ち立てられたということは画期的だと思うのです、内容は不十分としても方針としては。そうなりますと、文部大臣に承りたい点は、まず大学の教授、研究職のべースを上げられたということはけっこうです。しかし、今一番苦悶している点は、若き技術者を確保できないということですね。日本の物理、電子工学、数学、こういう二十代から三十代の優秀な学生諸君はアメリカ、ドイツに盛んに出ていっております。そして帰ってこないのですね。御承知と思いますが、こういう研究職、大学教授、こういう者を養成する大学院の博士課程については五カ年ですが、民間給与がいいから理工系統で大学の博士課程、五カ年課程にいく人というものは大学の三十番以内にはいないのですね。ですから後継者養成に困っておるわけです。そうなって参りますと、科学技術振興という大きな政策が給与制度に入った場合、一体大学院の博士課程にいかにして研究職員一つ前提、卵、これを確保する政策をこの人事院勧告処理する場合に、それをいかに織り込んでいくか。これは一貫した政策でなければならぬので、ちょうど予算編成期でもありますので、これは政府で検討されますので、当面非常に喫緊の問題だと考えましたので、お二方に承っておきたい。やっぱり先に大臣からお答えをいただいた方がいいでしょう。
  144. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) いかがでしょうか、初めの勧告についてのお話、第一問がありますから、総裁から御答弁いただいた方がいいかと思います。
  145. 浅井清

    説明員浅井清君) 今回創設いたしましたいわゆる初任給の調整手当、これについてちょっと給与局長から概要を申し上げさした方がいいかと思います。
  146. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 今回勧告いたしました初任給調整手当というものは、上級職試験に合格いたしまして、おおむね新制大学を卒業している人々でありまするが、上級職試験に合格いたしまして国家公務員たる行政部内、あるいは教育職等に入ってくる人々に支給いたしたい、その範囲もこれは限定いたしまして、たとえば物理、電気、通信、機械、応用化学、造船、冶金、航空、計測、こういう職種に限定いたしましてやりたい。こういう職種を選びますることは、人事院として判断をいたしたい。しかし、そのおおむねの判断は人事院が採用試験をいたしました場合に辞退率が非常に大きい、こういう職種を目標にいたしまして限定いたしたい、このように考えておる次第でございます。
  147. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣が答える前に、教育職俸給表の一及び三にもこれを適用するのですか。
  148. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) これは行政職並びに公安職あたりに通信が多少あるだろうと思いますが、研究職、それから教育職員、それから医療職一、こういうところに適用します。
  149. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の伺っていることを答えてもらいたい。一の方はわかっている。教育職の二及び三表には適用しないのでしょう。
  150. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 教育職の二及び三には適用することは考えておりません。
  151. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで文部大臣答弁……。
  152. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) ただいま人事院からの御説明通りであるわけでございますが、二千円の調整手当というものが創設されましたことそのことは、従来に比べますれば非常にけっこうな考え方かと存じております。なお全体的にべースが民間との関係等も考慮せられて向上いたしておりますので、従来に比べれば御指摘のような懸念は相当解消し得るのではなかろうか、かように第一の点については存ずるわけであります。  第二の大学院の博士課程の者がどこかへ逃げていってしまうという御懸念でございますが、私もいろいろ聞いてみますると、まことに御指摘通りで、科学技術の振興と申しましても、優秀なブレーンがなければ、大学教育そのものの後続部隊がいないわけでございますから、何とかしてそれはそういう懸念がないようにしなければならないという意味合いにおいてのお説は、ごもっともだと存じます。ただ、今度の大学教授に対する給与の是正そのものの中には、むろん学生でございますから含んでいませんので、人事院勧告の線からは当然には考え得ないわけでございますが、お説の通り懸念すべき課題でもございますから検討を加えまして、何とかできるものならば考慮したいものだ、さらにまた、もし育英資金が適用できるような対象であるならば、そういう方法でもせめて考えることによって御指摘懸念、解消の一助にしたい、かように存じます。同時にまた、大学教授の給与の是正そのものが博士課程を通じて、助手となり講師となり助教授となり教授となっていく過程は、よくわかるわけでございますから、将来の生活の安定と申しましょうか、一応十分とは言えないまでも安定した姿で研究に没頭できるという意味では、今度の勧告は相当効果があるのではないかと思いますから、予算化の点についても、財源の許す限りの実現をはからねばなるまい、かように考えておる次第でございます。
  153. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 申しわけないが、もう一点だけ聞かしてもらいたい。文部大臣、失礼だけれどもまだ勉強不十分であると思うのです。第二点の方は、確かに今大学院の博士課程は一万円の奨学費を出しているわけですよ。だから大学としては来年の予算編成にあたって、大学院の修士課程、博士課程全員に対して奨学金を出す。そうして現在博士課程一万円ですから、適当な数字まで上げる、幾ら上げたって五、六億あれば十分できます。そういう手を打つことでなければ解決できません。第一点については、これは非常に重要な問題が起こってくるのですよ、これは浅井総裁、調整手当というものが画期的なもので非常におもしろいと思うのですが、これは運用がむずかしいのですよ。一体教育職の二表には適用されない。とんでもないですよ、うしろに会計課長、局長おられますが、一体工業高等学校の物理とか、電気あたりの教員は幾らくらい確保できるか、普通高等学校での物理なんかやるのは、大学を出た優秀なのは絶対来ないですよ、どんなのでもいいといってもなかなか来ないですよ。さらばといって適用するということは、全体の適用は非常にむずかしいわけなんですが、教育職の場合、一だけに適用するが、二、三には適用しないということになったならば、今でも工業高等学校の優秀なのが民間に引き抜かれていくわけです。この程度のベースアップでは食いとめられないと思うのですが、従ってこれを上回るくらいのを政府は実施しなければならないと思うのですが、この調整手当の問題があると思いますので、問題の提起だけしておきます。だから政府は運用するにあたっては十分慎重に検討することと、ことに、これは文部省に一番影響大きいのですから、あえてきょう文部大臣においで願ったわけで、十分検討していただかなければならぬと思います。これは要望です。  質問ですが、先ほど山本委員なり鶴園委員から資料をもって徹底的に追及されたんですが、上厚下薄の問題ですが、これについて私は人事院に伺っておきたいのですが、勝負あったですよ、鶴園さん勝ったですよ。上の方はそれでいいがどうしても四、五、六等級、こういうところの下級職のところがもう少し初任給を上げなければいかぬじゃないか。民間とのつり合いからいっても、また生活給という点からいっても、初任給をもうちょっと上げなければ、私はどうしても筋が通らないのじゃないかと思うのですが、この点は簡単でいいですがどうお考えになっているか、政府側の総務長官にも一言承っておきたい。
  154. 藤枝泉介

    説明員藤枝泉介君) 先ほど来いろいろ御指摘がありました点は十分考慮いたしたいと思いますが、なお、人事院のこの勧告を出されました詳細についても、さらに人事院側とも打ち合わせをいたしております。十分打ち合わせをいたしまして考慮したいと思います。
  155. 浅井清

    説明員浅井清君) 人事院といたしましては十分考えてこの勧告を出しておるつもりでございますが、ただいま仰せの初任給については、ちょっと給与局長からお答えいたします。
  156. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 先ほど鶴園委員、山本委員の御質問に対してお答え申し上げたのでございますが、われわれの調査によりまする初任給とはおおむね合っておる。ただ、技術系職員につきましては不足しておるような様子もございます。それで、われわれが今回改正いたしました行一の六、七、八等級あたりにおきましては、これは行一だけを民間と比較いたしました場合の較差、それから、また等級別に見ると、これは計算の較差ではございますけれども較差が出て参る。そういう全体にも、俸給表の全体を統一いたしました全体較差というものが出て参ります。行一の全体に対する六、七、八の較差はどの程度であるか、それを全体較差に直したらどの程度になるかということを目途といたしますと、おおむね一一%ということが出るのであります。その程度の全体俸給表を規定しましてやっておる、たとえば教育職の俸給表のごときは、これは教育職俸給表一、二とを問わず、全部、民間と比較することが適当であるかどうかという問題はあろうかと思いますけれども、しかし、出て参る数字は、やはり民間の方が若干高いというような数字が出て参るのでありまして、しかし、そういうところにおきましても、これは、相当いたします等級でございますようなところは、大体あわせて今回、改善をいたすということでございまして、調査の結果に従いますればその程度でございます。かりに、この規模を上げて考えますれば不足なことは言うまでもないのでございますけれども、現在、人事院は五十人以上ということでやっております、この調査結果と、その辺はあわせて、初任給はおおむね合っておる、こういう状態でございます。
  157. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは最後ですが、その質問は、さっき横川委員が暫定手当その他の点において総裁に伺いましたら、総裁は、来年七月から実施するように勧告するつもりだ、こういう御答弁です。それで、本院内閣委員会の五月三十一日に、同僚の村山委員がこの点については相当突っ込んだ質疑をされておるわけです。そのときに御出席滝本政府委員は、そういうように全般の検討、暫定手当の検討は、今までちょっと検討対象としてはずされておったが、今後、新たに人事院責任をもって検討するということになったならば早急にやるが、それが延びるならば、今までずっと問題になっておる、同一市町村内における不均衡是正、同一市町村内における暫定手当の不均衡だけを先に取り上げるようになるかもしれません、そうしよう、というような御答弁を村山委員にされておるわけですよ。そうすると、全般的な手当が将来に延びるとすれば、今度の給与改訂の場合に、同一行政区画、市町村合併による同一市町村内の不均衡はぜひとも今度の改訂のときに出さるべきものだ。これは自治庁にしても、文部省にしても、地方公務員の場合、行政能率の向上、教育行政の円滑という点で、非常にプラスになると思うのですが、この点について給与局長、それから藤枝総務長官、それから荒木文部大臣のお答えをいただきたい。  それからもう一つ定員法の問題ですが、定員法の一部改正法律案が前国会で継続審議になっております。これは行政府としてはどういうような運用をしておるか。行政運用に支障を来たしていないのか。これはいつ立法府に御審議を仰ごうとしておるのか。あの変則国会のときに、内閣の要望によって単独審議で与党が議決成立さした若干の法律があります。その場合に定員法一部改正法律案をあえて単独審議してほしいと政府側が与党に要望しなかったのはどういう理由なのか。あれはもう成立しないでいいというお考えなのか。私は単独審議は好ましくないが、内閣は与党に要求する場合には、イの一にこれはあげられるものではないかと、こういうふうにひそかに推測しておったわけなんですが、そうでなかったのか。一体、新官房長官は、どういうような考えであの当時国会に臨まれたのか、この点について官房長官行政管理庁長官答弁を承っておきたいと思います。時間がないからあとの点については他日また機会があるでしょうから、そのときに聞かせてもらいます。
  158. 浅井清

    説明員浅井清君) 矢嶋さんの御質問の点は、その当時は先にそういうことをやろうかとも考えておりましたが、ともかく今回の俸給表の改正が大仕事になったものですから、これも合わせてあとで勧告をしよう、こういうことでございます。
  159. 藤枝泉介

    説明員藤枝泉介君) ただいまのその暫定手当の点、前国会人事院において調査研究するということになりましたので、人事院勧告を待ってやりたいと考えておる次第でございます。
  160. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) ただいまお二人の御答弁で尽きておると思いますが、願わくば行政区域内は一緒になることが望ましいこととは存じます。財源が許し、また内閣の考え方として統一的な考え方が一致しますれば、むろんそういう線に沿って善処したいと思います。
  161. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 定員法の問題でお答えいたします。矢嶋委員お話しの通り政府といたしましても、定員法の関係法令は一日も早くこれは成立させたいことを念願しておるわけであります。従いまして今緊急の部分につきましては、部内でやりくりをしておりますけれども、全体的にはやはりこれは一日も早く定員法の改正が確立されまして、しこうして円滑なる運営ということが望ましいので、われわれといたしましてもこの法案が成立につきましては急ぎたい、こう考えておる次第であります。なお、あの当時の、前国会末のその状態につきましては、これは政府部内というよりはむしろ国会内での取り扱い方かと思いますが、私の知る限りにおきましては、やはり定員法等はある意味から言うと党派をこえた重要な問題でもあり、従って一党だけの審議でこれを可決することはふさわしくないということで、法案自体のこれは取り扱いと申しますか、法案自体の持つこういう性質から、この際は単独審議を避けたいとこう聞いております。従いまして今申し上げたような事情でございますので、十分にこれの実現に努力したい、こう考えております。
  162. 大平正芳

    説明員大平正芳君) 前国会審議の状況を不幸にして私つまびらかにいたしておりませんが、御趣旨もありますので、できるだけ促進いたしたいと思います。
  163. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう時間もだいぶたっていますから官房長官総務長官に一点だけ勧告に対する態度をお伺いしたいと思います。政府は今までも口を開けば人事院勧告は尊重すると言い続けてきたけれども、過去の実績を見ると、少しも歴代の内閣人事院勧告を尊重していないわけです。たとえば二十三年人事院が発足してから昨年まで、十二年間に先ほども申し上げましたが、ベースアップ勧告をしたのは六回、その六回のうちで、政府が文字通り人事院勧告を尊重してこれを完全に実施したのは六千三百七円べース一回だけなのです。あとの五回は人事院勧告内容を切り下げたり、あるいはこれを黙殺しておる、こういう過去の実績から見て、口に人事院勧告を尊重しますと言ってはおりますけれども、実際は歴代の内閣少しも尊重していないじゃないですか。これはまあほんとうに口は重宝で、出まかせのことを言っておるけれども、実際には責任ある勧告を尊重していない。そこで三十四国会では前々から指摘申し上げたように、益谷給与担当大臣公務員給与民間より相当低いということを確認されておるし、また政府自体も、たとえば次官会議などでも早急にこれを是正してもらわなきゃ困る。政府自体がむしろ低いことを嘆いておる。こういう実績。そして益谷給与担当大臣もぜひ勧告が出ればこれを実施したい。これは繰り返し申し上げた。また池田新総理についても八月七日、新聞の記事を見ますれば、伊勢で積極的に給与改善の必要を強調されておる。そこで、最後に一点お伺いしたい。先ほど来私ども追及してきたのですが、人事院勧告については、まだまだ問題点が相当ある。不合理な点が相当ある。不満なものである。けれども一応不満の点は今後是正するとして、この人事院勧告については早急に文字通り尊重するというのであれば、これを切り下げたり、あるいは黙殺するようなことのないように、尊重というのはそのまま忠実に実施するのが、初めて尊重するという言葉になろうと思う。そういうことについて先ほど来冒頭に申し上げたように、給与担当大臣の問題について責任がとれないわけですが、一つここでしっかりと言明していただきたいと思う。その尊重の意味は、勧告通り実施することである。そういう意味のことを言明してほしいと思う。その一点だけをお伺いしておきたいと思います。
  164. 大平正芳

    説明員大平正芳君) 先ほども申し上げました通り人事院勧告を尊重するという建前のもとに、誠心誠意この問題に取り組みたいと思っております。
  165. 藤枝泉介

    説明員藤枝泉介君) ただいま官房長官の申し上げた通りでございまして、ただ何分これはやはり納税者と申しますか、公務員の最終的使用者とでも申すべき国民の納得を得る必要があると思います。そういう面も合わせて十分に尊重をして参りたいと考えておる次第でございます。
  166. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、問題を変えまして給与にも関係あるし、定員にも関係があるので、行管、それから医師の問題であるので厚生省、そういう点でお呼び願ったわけですが、そこで時間がだいぶ過ぎておりますから、ごく簡潔にお伺いしたいと思いますが、実は群馬の栗生楽泉園の国立病院の医師の問題ですが、これは定員は十五名になっている。この十五名の定員が、これは行管が中心になって厚生省が主体できめたと思うのです。この定員が十五名が適当であるかないか、そういうことを申し上げているわけじゃない。と申しますのは、ずっと欠員で十五名定員になったことがない。充足されたことがない。そこで、この十五名の適否ということでなしに、この十五名のうち検討いたしますと、五名が現在欠員なんです。そこで在籍医師は十名ということになります。そうすると三分の二だけでやっているということですが、さてこの三分の二を検討してみますと、こういうことになる。二名の方は発令はされているけれども、実際に赴任してないわけです。ただあいさつぐらいには来たでしょうけれども、実際に診療に従事していない。全然そのまま発令になったままで着任なしということです。それから一名は院長が入っている。それから二名は歯のお医者さんですから、一般の治療には従事しない。そうすると、十五名の定員中欠員五名で、十名でやっているということですが、こうして二名は発令だけ、院長が一名、歯医者が二名、合計五名を引くと、一般診療に従事しているのが五名です。さてこの五名をさらに検討してみますと、こういうことがわかった。医務課長と医務主任、これは厚生省にお伺いしますが、これはこういう方は診療に当たらないことになっている。直接診療に当たらないという、そういう職種になっているわけです。従って危険手当なども出てないのですね。こういう実情で差し引くと、結局一般の診療に従事しているのは十名の中から五名引いた五名、そのうち二名を引いた三名が何千という患者を相手に診療に従事している。こういう実情です。ところが本年の六月九日の行管の、これは高橋さんの前の益谷さんの時代ですが、国立病院に対するいわゆる行政監察の結果を勧告しております。この内容の一節を見ますと、医師の配置について国立病院における医師の充員状況を総体的にみると、九八・三%になっておって、全国的には非常にやや満足すべき数字を示しているのです。ところが一方栗生楽泉園のような特殊な国立病院になりますと、今御指摘申し上げたように、相当多い何千という患者を相手にしておりながら、十五名の定員中、実際に一般の患者に従事し得る者はわずか三名ということです。こういうことでは、なかなかもってこの国立病院の特殊使命は果たし得ないということを私どもは憂えておるわけです。同じ県内にありますので、私どもはただこの机の上だけでなく、何回となく同園をたずねてみて、現実に病院の実情を見て非常にこれは何とかしなければいかぬということを痛感しておるわけなんですが、これは一つ関係各省で何とか早急に手を打っていただきたいと思うのですが、そういう点について各関係官庁から一つ責任ある所見を伺いたいと思います。
  167. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 今伊藤委員の御指摘のように、群馬県の楽泉園の欠員の状況はその通りでございます。ただ、前内閣当時行管として定員を減少いたしましたのは、これは全体の現在の配置状況から常時百名以上の常勤欠員等がございまして、そうしてその配置等から考えますると、若干これが減員をいたしましても、全体的な配置の適正さえ考えれば支障がないというので、厚生省とも連絡いたしまして、十分そういう行管としての一応の減員につきまして定員の減を了承いたしたのでございますが、お話しの具体的に群馬県の楽泉園の状況につきましては、その後厚生省とも話しまして、これの充足を十分進めておるわけであります。ただお話しの通り、この問題は単に定員の問題ではない、それに従事する職員の補充につきましていわゆる危険手当であるとか、あるいは特別な手当であるとか、そういうような裏打ちがありませんと、定員だけをかりに置きましても、なかな補充が困難である、こういうような状況が十分判明いたしまするので、われわれといたしましても、厚生省あるいは大蔵省等につきまして、その実情を十分究明し、またその実情を問題点として取り上げまして、これの対策を厚生省その他にお願いをしておるわけでございます。それで先ほど申し上げました通り、前内閣におきまして行管が定員の減をいたしましたのは、これは全体のそういうような状況から見て、全体の数字に対していったのでございまして、これが適正配置につきましては、これはとくと厚生省等、その各関係の省と連絡をいたしまして、その補充あるいはこれの定員にふさわしい、またこれを充足する方策等について、十分施策を進めたい、こういうふうに考えております。
  168. 川上六馬

    説明員(川上六馬君) ただいま御指摘がありましたように、栗生楽泉園の医師は、不足をいたしておりまして、非常に私も遺憾に思っております。ただ、今お話がございましたのとは違い、園長も、医務課長も、あるいは医長も、みなこれは診療に従事いたしておるのでございまして、その点、御承知いただきたいと思います。しかし、何分ともだいぶ不足をいたしておりまして、実は急いでこれを補充しなければならぬと思いまして、現在三名の人に交渉をいたしておるわけであります。また、この整形外科のような治療につきましては、他の療養所から専門の医師派遣してこれを行なっておるような次第でございます。医師の確保には待遇改善が必要でございますが、このたび人事院におきまして、医師につきましてはかなりの大幅な、つまり全職員の平均では一二%、医師につきましては、ほとんどその倍に近い大幅な増加を勧告いたされたのであります。これが実現上ますと、医師の確保がだいぶやりよくなると考えております。しかし、らいの治療は他の一般の治療と違いましてこれに当たる希望者が少ないわけでございます。そういう点につきまして、特にその医師の確保には一般の場合以上に条件をよくしなければならぬと思いまして、従来の調整号俸につきましても、他の病院や療養所よりよくしているのでありますが、今後さらに一そう改善いたしたいと存じいろいろ検討いたします。
  169. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 一応の御答弁があったわけですが、特に問題なのは、今五名と実は申し上げたのですが、このうちで病気の性質上、外科の専門医は非常に必要とされている。ところが現実に外科治療を必要とする患者は現在でも二百名以上ある、ところが外科医は一人もいない。そこで、やむを得ず園長と化学治療担当医は兼務で担当している。従って私も何回か見たのですが、もう外科の診療日になると、患者さんが廊下へあふれている。みんな列をなして待っている。そういう実情で、園長さんや化学治療担当医の方も相当疲労困憊の色がよく見える。で十五名のうちこの実質五名という実情なので、これはただ単に園長とか化学治療担当医の外科兼務の方だけのしわ寄せでなく、全体的に医者が非常に過労に陥っていることは、われわれも目撃できる。これは人聞きに申し上げておらない、同じ県ですから何回か行って実情を見ておる。そこで、私も何回か厚生省にお伺いしてその窮状を訴えて、早急に手を打っていただきたいということですが、そういう過程においても、やめるお医者さんは出るけれども、さっぱり充足されていない。そういうことで患者さんも困り果てて、今は医師充員運動推進委員会などを作って各関係方面に陳情したり、あるいは請願を続けている。しかし、さっぱり具体的に少しも動いておらない、数カ月状況を見ているが。そこで現状は一体どうなっておるか、これはこのままでは人道上の問題です。患者は非常に不安におののいている、特に病気の性格上らい病ということで。しかも、これは科学の進歩、医学の進歩で全然らいはおそるるに足らない、どんどん治療すれば、適当な治療をすれば、なおるようになっておる。そういう危険を私どもも感じない、どんどん入っている。しかし実情はそういう点について非常に困り果てている。この目で見ているだけに、これは黙過できない。人道上の問題で、こそくな手段ではとうていできない。もちろん、最終的には医師の待遇が悪いということで、最終的にはそういうことは言える。しかも、定員の充足されないということについては、結局先ほどの全国的には国立病院九八以上という充足状況でありますけれども、一方にはそういう恵まれない国立病院もあるということを、十分厚生省としても当面の責任者として、従ってわれわれの追及するまでもなく、早急に手を打って、ただ園長さんにまかせるだけでなしに、今までの実情では園長さんに人選等を一任して、ただ厚生省はうちわであおいでいるというような様子が見えるのですが、やはり園長といえども、園長本来の使命達成は過労でできないと思う。外科手術なんか現に園長さん自体がやっておるから、そういう医師確保の対外的な運動なども不十分だと思う。そういう実情も頭に置いて早急にこれは具体的に早く充足しないと憂うべき実情が出てくる。患者さんは生命の危険にさらされて非常におののいておられる。これはほんとうに問題中の問題であろうと思う。もう少し具体的に責任ある御答弁をいただきたい。
  170. 川上六馬

    説明員(川上六馬君) ただいま申し上げましたように、急いで補充しなければならないと思いますが、実は三名ばかり交渉いたしております。あるいはそのほか特に専門的な手当をしなければならないときには、他の施設から振り向けること等いたしまして極力努力をいたします。
  171. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも、せっかく熱心にお願いしておるのですが、頼りない御答弁です。現在こういう交渉中に、もまたやめたお医者さんが出たというような問題もあるのですが、現状はどうなんですか、十五名の定員で欠員が五名そしてあと十名が在籍のわけですが、しかし、今言ったように、園長さんとか歯医者さんもいるわけです。それからもう前に発令になっておって、現実には帳簿の上では赴任の形になっておるけれども、二人はまだらい研究所で研究中で一回も着任していない。従って現実には欠員と同じだ。そういうことになると、結局五名残って、そのうちから医務課長、医務主任は、これは危険手当が出ていないでしょう。
  172. 川上六馬

    説明員(川上六馬君) 調整号俸がついております。
  173. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 出ている。特別に出ておればいいけれども。それを善意に解釈しても、定員十五名中、実際に一般の治療に当たっておる者は十五名中わずか五名というわけですね。そうでしょう、歯医者さんの分と。そういうことでは、なかなかもってほんとうの治療どころの騒ぎじゃないわけですが、これはただ一介の答弁ではなくて、具体的に早急に手を打っていただかないと、これは問題だと思うのですがね、患者自体がどんどん請願に来、また陳情に来ます。そういう事態じゃまずいと思う、病気の性質上。しかし、それを希望しておるわけです、患者さんは。われわれは、それは待て、もう必ず国会の場で堂々と要求して、早く解決してもらうからということでなだめておる。そういう事態が必ず来ます。患者がもう一斉に中央に請願陳情という行動をあえて避けないと思うのです。そういう緊迫した情勢にあるので、あえて具体的緊急な対策をお願いしておるわけです。いま少し具体的な方策を一つお示しいただきたいと思います。
  174. 川上六馬

    説明員(川上六馬君) 現在診療に従事している者が内科二名、外科二名、眼科一名、耳鼻科一名、歯科医師二名、合計八名が診療に従事いたしております。確かに外科医におきましても、今言ったように、整形外科医なども要りましょうし、私どもも急いでその不足を解消しなければならぬと考えておるわけであります。ただいま申しましたように、ある程度目安もついておりますので、早急にそれを確保するよう努力したいと思います。
  175. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をとめて。    〔速記中止
  176. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それでは速記つけて。  他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、この程度にとどめます。  それでは暫時休憩いたします。    午後一時四十五分休憩    —————・—————    午後二時五十一分開会
  177. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を再開いたします。  国の防衛に関する調査を議題とし、国の防衛に関する件の調査を進めます。ただいま出席されております政府側の方々は、江崎防衛長官、加藤防衛庁防衛局長、丸山調達庁長官、塚本防衛庁装備局長の四名であります。それではこれより質疑のあります方はどうぞ。
  178. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは昨年の十二月三日及び八日の当内閣委員会防衛長官調達庁長官に対して追及した点ですが、群馬県の太田、大泉の米軍飛行場の返還の問題について両長官にお尋ねしたいと思いますが、その当時のお答えでは、大体昨年の言葉で、明春三月までにはおそくも返還できる見通しである。そういう前提に立って、地元太田市を初めその周辺の町村ではいわゆる首都圏整備法に基づく衛星都市としての建設を急いできたわけです。非常に準備に急いできたわけでありますけれども、米軍の飛行場が予期に反して相当おくれておる、いまだに返還ができない、そういうような事態でこの衛星都市としての準備がはたと行き詰まっておる。地元民は非常に難渋しておるわけです。そのときの言質からいってこれは非常に遺憾だと思いますが、どういう事態でこういうふうにおくれておるか、その点をまず防衛長官に明確にしていただきたいと思います。
  179. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) その返還問題につきましては、鋭意調達庁を通じまして努力いたしておるわけでありまして、まだ御期待に沿うような成果が得られませんことは、私どもも非常に残念に思っております。詳しい交渉の経過等につきましては、幸い調達庁の長官も来ておりますので、長官から説明をさせたいと思います。
  180. 丸山佶

    説明員(丸山佶君) お話しの通り、あそこにあります飛行場、住宅地域及びキャンプ・ドルウの三カ所の返還問題につきまして、昨年から今日にかけて折衝をいたしております。キャンプ・ドルウの方は、御承知の通り、昨年の十月に全面返還になり、飛行場及び住宅地域に関しましては、今日まで住宅地域の約半数六万坪が五月に返っております。現在において住宅地域の半分並びにそれに接続する滑走路の地域がまだ返還になっておりません。この事情につきましては、昨年末の当委員会でも申し上げました通り、あの滑走路において米軍の飛行機が物を投下する演習、また飛行機から人が飛びおりる演習、この二つの仕事のために大事なものでありまして、これを返還するために代替地を求めなければならない。その代替地の問題について日本側とアメリカ側でその候補地を探してきておるわけであります。一、二の候補地につきまして、日本側としましては、ここならば、日本側から見た地理的の条件その他から農村都市にも近接せず、安全度が確保できるようなところ、これに関しまして飛行機から物を落とす技術上の問題、その飛行機がそこに発着するような問題、これらについてなお米側としてはここでは狭過ぎる、あるいはその障害物が安全度を害する、このようなことで、実は遺憾ながら、今日までこの候補地ならば、確実に安全度もよく、なおその仕事にも支障のないものであるということに意見の一致をみないために、いまだに返還になっておらないものであります。接続します住宅地域の半分は、この上に米軍が建てました建物の処理を急いでおりますので、これの処理が済み次第返還になる。今申しました滑走路部分も、そのようなことで今鋭意意見をつめておりますので、すみやかに返還になるように、なお一そうの努力をいたしたいと存じております。
  181. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題に関しては、首都圏整備法に基づく衛星都市としての準備が非常におくれているということだけでなくて、御承知のように昨年十二月一日には、あすこの飛行隊は物資投下訓練をやっているのですが、都市の上空で物資投下訓練をやっているのですが、たまたまジープを吊った落下傘が開かなかったために、そのジープが同市の東中学校すれすれに落ちた、幸い部分品だけが校舎に落ちたけれども、大体一メートル直径の穴があけられたのですが、大体天井にとどまったけれども、幸いけが人はなかったわけですけれども、純真な子供に与えた精神上の打撃は非常に大きかった。そういう危険もあるので、衛星都市としての建設がおくれているという、そういうことだけでなくて、やはり都市並びに農村の上空で物資の投下訓練などやるのはもってのほかだという、そういう声が非常に強かったわけであります。そういうことについて先ほど申したように、十二月三日並びに八日当委員会防衛長官に対して私がいろいろの角度から追及したことに対して、赤城防衛長官は、都市あるいはまた農村の上空で物資投下訓練などやるということについては非常に危険であろう、そのことについては米軍へ早急に申し入れたい。並びに基本的な問題である返還問題についても、早急に一つ返還できるよう申し入れたい。そういうお答えがあって、そうして本日まで待ったわけです。ところが、依然として現在ただいま上空で訓練は続けられているわけです。これはきわめて遺憾なんですが、この点いかように考えておられるのか、所信を明確にしていただきたい。
  182. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 御質問は仰せの通りでございまして、私どもも、はなはだそういう都会地、人口稠密地で投下訓練などをやるのは常識的でないと考えます。もしそういうふうでありますならば、これは調達庁を通じまして十分先方にもその不適当である旨を要求いたしまして、善処したいと思っております。
  183. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここで問題なのは、その当時の防衛長官である赤城さんがわれわれの質問を了として、さっそく米軍に申し入れたわけですね。そこでそれに対する米軍の受けとめ方、米軍の態度が問題であろうと思います。いわゆる都市、農村の上空での物資投下訓練は危険だ、いやしくも日本防衛長官申し入れたことに対して、依然として訓練が現在続けられているということは、米軍側では、日本防衛長官何するものぞと馬耳東風にこれを聞き流しているのじゃないか。いやしくも日本防衛長官のそういう申し入れを尊重するならば、そういうむちゃな訓練を続けるということはあえてしないはずだ。現在ただいま訓練を実施中である、ここに問題があろうと思う。もしそうだとすると、日本防衛長官は全然無視されているということになる。もしそういう前提に立ては、今度あなたが長官になられて確固たる一つ態度を示してほしいと思う。この点についてはいかがですか。
  184. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 全くお説の通りでございまして、こちらから防衛長官の意見として申し入れたものが、無視せられるなどということがあっていいはずのものではこれはございません。十分一つ私の方からも先方に対して強く申し入れをいたしまして今御質問の御趣意に沿えるような方向に努力いたしたいと考えます。
  185. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほども申し上げたように、その当時の防衛長官赤城さんのお答えでは、十二月のお言葉として、おそくも明春三月までには返還できるように努力したい、おそくもですよ、おそくも明春三月、これはことしの三月を意味しているわけです。それからすでに大体五カ月たっているわけですね。依然としてまだ何ら具体的な方策が打ち立てられていない。これはいろいろ都合のいいようにおっしゃいますけれども、結局怠慢ではないか、そういうように断定せざるを得ない。この点いかがですか。
  186. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 今、調達庁の長官から申し上げましたように、適当な代替地を一生懸命になって探しているわけでございまして、だんだん延引をして御迷惑をかけております点につきましては御了承を願いたいと思いますが、誠意をもって一つ促進するようにいたします。
  187. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大体防衛長官についての所信を伺ったので、結局、調達庁長官も見えておりますから国会でのこの要求質問等はそれとして、昨年のたしか十二月十日です、丸山調達庁長官に対して地元の代表の方々と私が、いわゆる調達庁に長官をおたずねして、いろいろの角度から要求もしお願いもしたわけです。そのとき丸山調達庁長官は、こういうふうにお答えになっているわけです。米側と目下懸命にかえ地を物色中で、決定次第返還したい、そうして見通しについては、おそくも明春三月までには何とかしたい、そういう見通しである、そういうふうに長官はお答えになっているわけですね。今申し上げたようにそれからもうすでに五カ月もたっているわけでありますが、依然としてまだ具体的に、もうすでに今一歩というところへき来いるとか、具体的に進んでいるならいざ知らず、そのときいやしくも代表並びに私どもに対して確信をもっておそくも、おそくもとあえてつけ加えておられたわけですね。おそくも三月までに何とかしたい、そういうふうに努力する、そういうことを確約されている、それからもうすでに五カ月もたっているということ、これではいろいろおっしゃいましょうけれども、結局具体的にどのような努力をされてきたのか了解に苦しむわけです。そこで、丸山調達庁長官から具体的にどのように一体努力して現在どういうふうな見通しになっているか、その点明確にしていただきたいと思います。
  188. 丸山佶

    説明員(丸山佶君) お話しの通りに昨年の末にそのような見通しを申し上げました。その見通しの実現に努力いたしてきたわけであります。候補地、代替地、当初数カ所ありましたが、その地形あるいは農村、都市、人家いろいろの比較検討の結果、一、二にしぼられ、それをなお検討を続けて、一つ日本側としてはここならば支障があるまいというところまで詰めております。米側はそれ以外の、こっちの方がいいという意見も出ております。しかし、われわれとしましては、この地形、地理的な状況から、こちらの方がよろしい、これに関する飛行機の離着陸あるいは物の投下に関連する技術的な問題、これに関して米側にもいろいろ意見がありますが、こちらもなお防衛庁の空幕の専門家等の意見あるいはその実際の試験ということまで進めて、これこれであるからこれがさしつかえない、このような段階に問題を詰めてきておりますので、話は進んできております。しかしながら、まさに昨年の末に見通しを申し上げましたことから、すでに五カ月もたっておって、この点も私も遺憾に存じます。
  189. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最後にお伺いしますが、私がお伺いしておるのは太田、大泉の以外のところならばどこでもかまわない、そういう意味のことを申し上げておるのではなくして、やはり日本全国どこであっても、都市の上空やあるいは農村の上空では相ならぬと思う。なぜならば、これは物資投下訓練という特殊な訓練飛行を含んでおるのですから、従ってぜひ要求したい点は、この都市とか農村の上空という特殊な地域を避けて、早急に具体的に事を運ぶことと、従ってまた何とか、衛星都市の準備もあるわけですね、全然準備が中断されておるわけです。地元としては非常に大迷惑を受けておる。そこで、一つ具体的に責任をもってそれでは大体いつごろ返還を完了したい、そういうこと、それを一つぜひ確約していただきたいということと、それとなお現在さらに訓練が続行されておるわけです、これは先ほども申し上げたように、赤城防衛長官が当時強く申し入れたはずなのに、なお訓練が続けられておるということについては先ほど申し上げた通り、そこでこれについては重ねて強く一つ当局に対して、米当局に対して、次が物色されるまで訓練を中止してしかるべきだと思うのです、その点を一つ強く申し入れる、この二点について確約できるかどうか、この点を一つ防衛長官にお伺いしたい。
  190. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 申し入れをいたします点については、さっきお答え申し上げました通りでございまして、十分これは念を押したいと思います。
  191. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それから見通しはどうですか。
  192. 丸山佶

    説明員(丸山佶君) この前の例がございますので、私この際、今軽々しく見通しも申し上げかねる状況で、遺憾でございますが、御趣旨の点等、私自身が昨年のことからこの問題をよく存じておりますので、なお一そう努力いたしまして、可及的すみやかに目的を達したいと、このように考えております。
  193. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう質問をやめようと思ったのですが、そういうあいまい模糊たるお答えではやめかねるのですが、繰り返し申し上げておるように、衛星都市としての首都圏整備法の準備を進めておるわけです。大体の見通しがつかないと、現場としても非常に困るわけです。それで防衛長官もさることながら、調達庁長官も昨年十二月には三月にはおそくも返還をすると、そういう一応約束をしたのだけれども、それが実現をできない、今度はまた大体の見通しを言うと、またあげ足を取られるということをおそれて、なかなか次の見通しについては具体的に示さぬということは、気持はわかりますけれども、それは無責任であると思う。大体の責任のとれる見通しはいつごろかということを明確にしていただきたい。そうでないと、地元でいわゆる首都圏の準備が全然手につかない、計画が全然立たないこれは大損害になるわけです。そういうことで責任をもって確約できるのは大体いつごろか、そういうことは確約できると思いますが。
  194. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これは三月と、大体前の長官が区切り、しかも調達庁長官もそういうふうに言うたということは、やはり一つ責任でございます。その後思うように代替地が見つからないというわけですが、先方に強く申し入れて、なるべくやめてくれるようにと言うことはもちろんでございますが、同時にこれは根本的に、よそへ移転するということが根本でございますから、その代替地をすみやかに見つける、一つ一つ督励いたしまして、御期待に沿えるようにいたしたいと思っております。
  195. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあ大体政府のお答えとしては、いついかなる場合でも、できるだけすみやかに、できるだけ早く、人事院勧告を見てもそうであったが、その人事院でさえも今回もさかのぼって五月一日に実施と、そういうことで明確にしておるわけです。人事院はこれだけ進歩してきたわけです。従って防衛長官も、調達庁長官も、そういう点を一つできるだけすみやかにとか、できるだけ早くとか、これはもう聞きあきておる言葉です。いま少し具体性をもって一つ何とか大体見当つくでしょう、責任をもって大体いつごろまでには何とかしたいという一応のめどを出していただかないと、首都圏整備の準備ができないという事情を今申し上げておるわけです。
  196. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 今御質問の最中にどうなんだといって、念を押しましたところ、これはおそくとも二カ月、三カ月のうちには必ず片づけてしまわなければならぬ問題だと自分も痛感しておると、このように言っておりますので、御期待に沿うように全力をあげたいと思います。
  197. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 当面の緊急案件について若干防衛長官以下関係者にお伺いいたします。具体的な問題に入る前に、三問を発したいと思います。  第一問は、日本国に駐留を許されていない他国の軍によってわが国の領空が侵犯されておるような事実があるかないか。もしあるとするならば遺憾なことかどうかという点と、それから、日本に駐留を許されている米空軍等の手によって日本の領海、領空を出て他国の領空に侵入し、領空侵犯をして偵察行動をした過去があるかないか、現在やっておるかどうか。もし過去にありまた現在やっているとするならば、そのことは好ましいことか好ましいことでないのか。私は新安保条約に基づく行政協定、これらの安保条約の違反だと考えるのでありますが、長官の御見解いかがでありますか、お伺いいたします。
  198. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 日本の領空を他国の飛行機その他に侵されたことはないかどうか、それをどう思うか、これがもし侵されておるとすれば、きわめて遺憾な問題でございます。また日本が侵したことがあるか、これは侵したことがないと確信をいたしております。
  199. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 日本の航空自衛隊みずからの手じゃなくて、日本に駐留を許されておる米軍の手によって他国の領空を侵犯し、偵察行動をした過去、あるいは現在あるかないか、もしあったならばそれは遺憾なことか、遺憾なことでないのか、あなたはどうお考えになるか。私はもしあったとすれば、それは安保条約違反であると考えるのですが、その点お答え願います。
  200. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 私はそういうことはあったということは承知いたしておりません。ありとすれば、きわめてそれは何国たるとを問わず遺憾なことだと思います。安保条約関係につきましては、もちろんこれは違反の問題と考えます。
  201. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に、一般的問題の第二問としてお尋ねいたしますが、それは、新たに池田内閣が発足し、その国務大臣として防衛長官を拝命しているわけですね。そこで長官に伺いますが、わが国は池田内閣の政策としては、たとい小型核兵器といえどもみずから持たない、また、小型核兵器といえどもみずから持たないのみならず、米軍等によって日本の領空、領海、領土内に持ち込まれることを拒否する、同意しない、持ち込んでもらいたくない、この立場をとられているものと思いますが、念のために承っておきます。
  202. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 池田内閣は、首班が変わりましたが、従来の自由民主党内閣でございますので、今日までとって参りました方向と変わっておりません。
  203. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 核兵器の問題に対する池田内閣の方針は、前岸内閣のそれと寸分変わらない、かように了承してよろしゅうございますか。
  204. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) さようでございます。
  205. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一般的質問の第三問としてお伺いいたす点は、沖繩あるいは台湾あるいは南朝鮮、フィリピン等に、条約のもとに駐留している米軍が日本の主権の及ぶ領土内において自由に演習をすることが許されているかどうか、許されているとするならば、その法的根拠はいずこにあるか、また、独立国日本並びに日本国民の感情、プライドからいっても日本国内における米駐留軍の手によって領土内の演習場を使用されることはともかくも、沖繩あるいは台湾、フィリピン、朝鮮等に駐留している米軍が日本の領土内で演習をするということは、独立国の国民の感情からいっても、プライドからいっても防衛長官はその点好ましいこととお考えになられるかあるいは好ましくない、できるならばそういうことはない方がよい、こういうようなお考えでおられるのかどうか、前段並びに後段についてそれぞれ御答弁を願いたい。
  206. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 現行条約並に行政協定におきましては、アメリカ合衆国は安保条約第一条に掲げる目的を遂行するために、条約第三条に基づく行政協定に従いまして施設及び区域を使用できることになっております。従いまして、たとえば御質問のありました沖繩米軍が演習等の目的で一時的に駐留する場合でも、同米軍が条約第一条の目的を遂行するための任務を持っている限りにおいて、施設及び区域を使用することを妨げるものではない、こういうふうに解釈いたします。
  207. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは前段、後段の御答弁をお願いします。
  208. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 後段は、好ましいか好ましくないかということでございますか、この問題は、好ましい、好ましくないという問題よりも、やはり行政協定に許されておるとするならば、それは合法的であり、認めるべきである。そうでない、他の独立国に所属をするものが何らこの日米安全保障条約とは関係のない姿において日本に勝手にやってくるというようなことがあるならば、これはむろん好ましいこととは考えられません。
  209. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第三問に対する答弁は不愉快です。今あなたが読まれたのがどなたが書いたかしりませんが、何条というその数字が違っておりませんか。改定される前の安保条約の条章を読まれているのじゃないのですか。訂正願います。骨子だけをお答え願いたい。
  210. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 失礼をいたしました。第六条の「日本国の安全に寄与し、」云々というその条項に照らして、合法的であるならばそれは認めるべきである、こういうわけでございますから、御了解願います。
  211. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで、この六条の「並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」この項は生きて、それであなたの見解ではフィリピン、沖繩、あるいは台湾、南朝鮮いずこに駐留している米軍でも、日本の領土内で演習はできる、こういう見解をとっておられる答弁だと思うのですが、私は、後段の答弁はまだ不十分なのでありますが、独立国日本の国民の感情とかあるいはプライドという立場からいって、国内に駐留している米軍と日本国以外のアジア地域、極東の各国に駐留している米軍とは、国民という立場としておのずと違うと思うのです。そういうところの米軍が随時来て演習をするということは、独立国日本国民の感情並びにプライドとして好ましいか好ましくないか。そういうことがたび多くあるのが何とも感じないのか。それともでき得べくんば、そういう事態、回数というものはできるだけ少なくすることが、独立国日本の国民の意思に沿うものとお考えになっておられるのかどうか。その点伺っておるわけですが、もう少し明確にお答えいただきたい。
  212. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 御質問の御趣旨きわめて明確に受け取りました。そこで、アメリカのどこの軍隊が勝手にやってきてもいいなどとは、私ども思ってはおりません。沖繩周辺、いわゆる第七艦隊に所属する海兵隊等が、日本の基地ないし演習場を使ったりする場合は、これは第六条の、今の、日本国の安全に寄与し云々という条項に照らして適当であると認めておると、こういうのでありまして、第七艦隊以外のどこのものがやってきてもいいと、そういうことを好ましいなどと私ども思っておりません。
  213. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは具体的に伺います。たとえば南朝鮮、台湾、沖繩、フィリピン、こういうところにそれぞれの国と条約上駐留している米軍が、日本に演習にくるという場合には断わりますね、好ましくないから断わりますね。
  214. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これは第七艦隊の存在そのものが日本の安全に寄与するという建前から申しまして、それは適当である。こういうことを申し上げておるわけでございます。
  215. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それであなた断わる考えがあるのかどうか。ここを私は聞いてるわけですよ。幾ら条約なんだからといって、幾ら演習に来ても何とも国民は感じない、放置しておくというお考えか、それともそういうのはできるだけチェックしていく、それが独立国日本の国民感情なりプライドに即応するものだ、そういうお考えでおられるのかどうか、承りたい。  それと合わせて承りますが、それでは、南朝鮮あるいは台湾の軍隊が、その台湾に駐留する米軍それと一緒に、日本の領土内の演習場に来て演習をしたような過去があるかどうか。そういうことは許されるか許されないか。どうお考えになっておるか。
  216. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 私は第七艦隊所属の海兵隊等が来ることについては、一向差しつかえない。日本政府としてはこれは認めておるものであるという態度をさっきから申し上げておる通りでございます。それから朝鮮、台湾等に駐留するものが一緒に来たことがあるかないか、これらについては政府委員から答弁させたいと思います。
  217. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) 朝鮮、台湾等に駐留するものが来たかどうかということでございますが、私の承知しております範囲では、修理等のために来たことはあるように記憶をいたしております。確かなことは資料をもちまして次の機会でもお答え申し上げたいと思います。
  218. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その資料できるだけ早く出して下さい。そういうことは好ましいことか好ましくないか、それも合わせてお答え願います。  それから防衛長官にお答え願いますが、この例の「極東」のが出てくるわけです。この「極東」を、規定をどうお考えになっておられるかということと、それから北富士の問題が起こっていますが、あの地に今度演習に来るという軍隊はどこから来て、どの程度の人員でどういう規模の演習をされようとしているのか。その点承知しているかどうか、お答え願いたいと思います。
  219. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 「極東」の範囲におきましては、すでに政府が統一解釈をしばしば安保審議で申し上げておる通りでございまするから、御了承願っておきたいと思います。フィリピン以北の日本及びその周辺の区域、こういうことで申し上げておるわけでございます。  それから北富士の演習場、これには第七艦隊所属の海兵隊が使用したいということで申し入れをしております。規模等につきましては、詳細説明員から答えさせます。
  220. 丸山佶

    説明員(丸山佶君) 今回北富士、東富士の演習場を使用する第七艦隊所属の海兵隊は一群と申しますか、一つのグループが約千三百人、これらのものが、当初の予定では、八月六日から九月二十五日にわたりまして五つのグループが逐次やってきて、両方の演習場で演習をすると、演習の日取りにつきましては、その期間の範囲内において策定して日本側に通知を受ける。なお、その規模等につきましては、発射演習も含みますし、それからそれ以外に戦車、車両の運搬、それから装甲その他のものが入っている、このようなものが状況でございます。
  221. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 以上の三問を柱にして具体的にしばらく伺いたいと思うのです。その具体的なものに入る前に、防衛局長に念のために伺っておきますが、「極東」の定義については、今日は主題でないですからあらためてやりますけれども、かりに今防衛長官が述べたものとすれば、それを認めたとして、その「極東」の範囲内における海軍の基地、ことに艦船等修理するのに優秀な基地、それはどこどことお考えになっておられますか。それから陸上で演習をする演習場として、今防衛長官が申したような「極東」の範囲内で非常に都合のいいような演習場はどことどこ、こういうふうにあなたは専門家として今理解されておられるか、それをお答えおき願いたい。
  222. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) これは矢嶋委員も御存じだと思いますが、極東方面における海軍の根拠地と申しますか、基地と申しますか、これはハワイに一つございます。それから日本で申しますれば横須賀と佐世保、それからフィリピンのスービッグ・ベィ、そういうところがおもなところだと思いますが、ハワイの修理施設は、私は見たことがございますけれども、これは相当なものでございます。ほかのところはよく存じておりません。  演習場につきましては、ハワイにはもちろん相当りっぱな演習場があるように思います。これは私見たことはございませんが、いろんな書類から察しまして、相当りっぱな演習場があると思います。他の地域については存じておりません。
  223. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この条約でいう「極東」には、ハワイは入るのですか、これは草案自体に西太平地域とか、いろいろ問題が起こりましたが、結局この問題はああいうことになったと思うのです。私は防衛長官が申された極東を条件に海軍の修理場と、陸上の演習場を伺いましたが、ハワイは陸の方にも海の方にも出てきましたが、これは入っているのですか。
  224. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) 私のお答えの中心が、米軍の配備を中心に申し上げたものですから、極東の範囲と若干食い違いますが、太平洋軍として見た場合のことを申し上げたわけでございます。
  225. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで防衛長官に伺いますが、核兵器に対する基本的態度は、さっき答弁されました。新聞にも伝えられておりますが、横須賀の基地にミサイル潜水艦グレイバック号が入っている。これは核弾頭の発射装置を持っていることは公認されているところですね。また、防衛庁の一部の方々の発表では、これはおりおり入港しておったんだということですが、はたしてそうなのかどうなのか。で、核弾頭を持ってきているのか、きていないのか。もし積みおろしているとするならば、どこで積みおろしてきたものなのか。その点について、あなたはすでに連絡あるいは調査されたことと思いますので、お答え願いたいと思います。
  226. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) グレイバック号以外のミサイル潜水艦が入ったことがあるのか、ないのかという御質問でございますが、過去の事例におきまして、これは数度ございます。詳しく申し上げますか。
  227. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ええ。
  228. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 昭和三十三年の八月タニイ号、昭和三十四の十一月グレイバック、バーベル号、それから同じく昭和三十四年の十二月にグレイバック号、昭和三十五年の六月にタニイ号、同じく昭和三十五年の七月三十日グレイバック号、こういうことに相なっております。今回のグレイバック号には、核弾頭はむろん装備されておらないということをわれわれは確報を得ておりまするので、認めたような次第でございます。
  229. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さっき列挙されたようなミサイル潜水艦の入港の目的は何ですか。
  230. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 大体修理等で来たようでございまするが、十分調査をいたしまして、また別の機会にお答えいたしたいと思います。
  231. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう調査してなくちゃいかぬですよ。こんなの書面をもって回答を求めなさいよ。遠慮することはないですよ。それでは核弾頭を積んでいないということは、何によって確認されたのか。で、核弾頭を積みおろして横須賀に入港したということですが、それはどこで積みおろされたのか。それらもおそらく確認されていると思いますから、お答え願いたい。
  232. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これは安保条約の条項によりまして、当然核弾頭を持っておれば、事前協議の対象となるわけでありまして、われわれ相互信頼の上に立っておりますこの場面で事前協議をして参っておりません。従いまして、私どもは核弾頭は持っていない、こういうふうに確信を持ってお答えできるわけでございます。
  233. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 おろしたというのは、どこでおろしたか問い合わせたのでしょう。
  234. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) それにつきましては、向こうの第七艦隊所属と聞いておりまするが、向こうのことでございまするので、詳細についてはよくわかりません。
  235. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 グレイバック号は核兵器に入りますか、入りませんか。当然これは核兵器に入ると思うのですよ。核弾頭を装備して、核弾頭の発射装置を持っているのですから、これは核兵器という部類に私は入ると思うのですが、あなたはどういう御見解ですか。
  236. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) レギュラスには1型と2型がございまして、今度の場合は、グレイバック号は1型を装備いたしておるというふうにわれわれは承知いたしております。従って、レギュラス1型は核、非核、両用兵器でございまして、いわゆる核専用のものではないわけでございます。いわゆるレギュラス型は御承知の通り核専用でありまするが、この場合はそうでございません。
  237. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 専用であれば何だが、併用であればよろしいというのは、どこに根拠があるのですか。それから、核弾頭を積んでいないというのは、米軍がそう言ったからそう思うというだけでしょう。常識上から考えて核弾頭がなければ陸上に上がった魚みたいなものですよ。修理に寄港する場合に、それを沖繩かフィリピンに積みおろして、そうして修理に入港する。そうしてまた修理ができ上がって沖繩なりフィリピンなりハワイなりに行かなければ、みずからの能力を発揮できない、そういうことが軍事的に考えられますか。
  238. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 現在は別に戦時というわけではございません。平時でもありまするし、先方も核兵器は積んでいないということを、はっきり世間に声明していることも御存じの通りでございます。われわれの方も事前協議を持ちかけられたこともありませんし、日米間は相互信頼の上に立っておりますまで、当然さようなことはないと思う次第でございます。
  239. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういうことでは私たちの不安は取り除くことができません。それでは具体的に伺いますがね、領海線から出たところで核弾頭を他の船に積みかえて、そうして横須賀で修理して、そうして領海から公海に出たところで核弾頭をまた積む、こういうこともあり得るわけですね。そういうのは条約違反にならないという見解をとられているのだろうと思うのですが、そうですが。
  240. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これは日本の領域以外で行なわれることがありとするならば、それはわれわれ日本側の察知することではありませんので、違反という問題ではないというふうに解釈いたします。
  241. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 だから、こういう核弾頭を持っていないから入っても差しつかえないというような見解は、核兵器に対する冒頭のあなた方の考え方と矛盾しますよ。それをただのがれるためには、今言ったようなそういうことをやられれば、実際は日本の周辺というものは核装備地域に入りますよ。それで一つの作戦行為になり戦闘行為になる。日本に補給なり修理するときだけ領海線ではずしておいて、そうして、修理が終わればすぐ領海三海里かに出て、そうして核弾頭を積んで、もうこれは在日米軍ではないという立場で自由な行動をするとすれば、そういう米軍の行動を見れば、日本の周辺というものは核装備地帯に入るのですか。中国なりあるいはソ連がそういうものを黙視しておりますか。非常な刺激をするかと思うのですね。だからこういう核弾頭を現に積んでいるか積んでいないか、私も確認できないわけなんですが、こういうグレイバック号のようなミサイル潜水艦を、日本の同意もなく自由に日本の基地に入れるということは、核兵器に対する政府の基本的政策に反するし、また、アジアの緊張を私は増すものだと思うのですね。だからこういう点については拒否すべきものだと思う。日本政府は拒否すべきだと思う。どうお考えになりますか。
  242. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) だんだんの御議論でございますが、私どもはそういうふうには考えません。しかも、私どもは今回のグレイバック号の入港につきまして、外務省においても念のために米側に一体核弾頭は持っているのかどうなのかということをただしております。絶対持ち込んではおらぬとはっきり言いますので、私どもはこれらについては何ら違法行為を相手が起こしているなどとは思いません。  また、先ほど日本の近海において、あるいは領海外にしても、そのボーダー・ラインでいろいろなそういう積みかえ等々が行なわれればというお話しでございまするが、さようなことはやはりこういう平時の場合、いろいろ想像をたくましくすれば、どんな場合も想像はできるわけでありまするが、常識的に考えてさようなことはないという見解に立つものであります。
  243. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこは私と見解を異にするのですがね。こういうことを黙認しておりましたら、日本はみずからも核装備しないし、核兵器の持ち入れに同意をしない、こういう基本方針、それから核兵器を持ち込ませないために交換公文によって事前協議、同意をしてやると、こういうことは空文化されてしまうと思います。実際、運用面ではそうなってくると思うのです。しかも、これが明らかに核兵器による軍事行動の一つの極東というかアジアといいますか、日本を取り巻く地域の軍事ブロックの中に入ってしまうと思うのですね。これは非常に危険だと思います。この点を中共等は非常に心配し、また関心を持っておるわけでありまして、あなたはそういう点についてはどういう御見解を持っておられますか。
  244. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これはもう今お答え申し上げましたように、今回のことについてそこまで想像をたくましくして危険であるというふうには私どもは考えません。
  245. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではもう一つ伺ってさらに質問しますが、これは第七艦隊所属ですね。だから、第七艦隊が核装備をしておるということは、これは常識だと思います。これは加藤さん、あなたお認めになりますか、もちろんお認めになるでしょうね。これは常識ですよ、第七艦隊が核装備をしておるということは。どうあなたは理解されておりますか。
  246. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) 第七艦隊の装備につきましては、前にもこの委員会お話したことがあると思いますが、核装備の可能であるということは、これはもう米国も言明しておりますし、私どもも疑う余地はありません。また核装備というものがどういう形で行なわれるかということでございますが、第七艦隊の核装備と申しますのは、私はやっぱり主として航空機だろうと思います。第七艦隊に所属する航空機が核爆弾を運べるということだろうと思うのであります。レギュラス等につきましてもこれは核、非核両用でございまして、核弾頭も発射できます。しかし、第七艦隊の主たる戦力をなすものは艦載の爆撃機だと思います。これは爆撃機でありますから、核弾頭を運ぼうと思えば運べるし、普通の弾頭を運ぼうと思えば運べるというふうに考えるのが常識だろうと思います。絶えず核弾頭を持っておるかどうかということにつきましては、これは米国としても非常な軍事機密でございましょうし、なかなか知る余地はございません。しかし、第七艦隊の核装備というものは、航空機による核爆弾の投下能力が中心であるというふうには言えると思います。
  247. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなた航空機用と言われますが、私もそうだと思います。しかし、今海のことを言っているわけです。核弾頭をつけたミサイルを海中の潜水艦から発射できる、これはもう今重点になってきておりますよ。ということは、核攻撃する場合の基地が見つからぬでしょうから、なってきておりますよ。だから第七艦隊でも当然これは持っておりますよ。そうしてしかも、極東の地域における海軍の基地、それから修理等をする最も優秀な基地といえば、あなたもお認めになったように、横須賀と佐世保、以外にないわけですよ。だから、入港する場合には核弾頭をおろすとか何とか言われますけれども、これは非常に危険ですね。従って私はミサイル潜水艦グレイバック号のごとき船が入港することはお断わりした方がいいと思う。そうしてハワイあたりで修理なさったらいいと思う。当然私は日本政府としては核兵器に対する基本方針、そうして国民に不安を与えないという立場から退去を求めて、そうして修理の御必要があれば、先ほど加藤さんが答弁されましたように、ハワイ島あたりで修理していただくのが適当だと思います。そういう措置をとっていただきたい、どうですか。
  248. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) それは御意見として承るのですが、私どもとしてはそのようには考えません。しかも先ほど申し上げたように、外務省からアメリカ側にも十分ただしましたところ、大使館のエルハルト公使は、核兵器を日本に持ち込むときには、必ず新条約に基づいて事前協議を実施するという原則を再確認いたしますと言って、はっきり誠意を示しているわけでありまして、それをしもわれわれは信頼の上に立ちながら押しのけるというような考え方を持っておりません。
  249. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなた方はアメリカの言い分を一方的に信用している、相互信頼に基づいて……、そういうことでわれわれの質問に対しておりますが、これは私を含む国民の大部分が信用することができない不安です。それで私は、具体的な例でお伺いいたしますが、例のU2機、これについてはアイクさんみずから、偵察飛行をしておったということを公言されておりますね。ところが同じU2機、同じタイプですよ、それが日本に三機、現在はともかく、それがいた。そのU2機は偵察飛行は全くやっていない、気象観測だけやっておったということを、米国務省も在日米軍も発表しておりますね。こういう点にあなたは疑惑を持ちませんか。同じU2機であります。これは全部で八機しかない、日本並びにトルコ地域にこれは配置しておったわけであります。それで同じU2機が西欧の方で、トルコからノールウエーに行く途中に御承知のように撃墜された。その当時アイク氏は居直って、何で偵察するのがいけないのか、偵察飛行をやっておった、情報活動をやっておったということを世界に明言されておりますよ。その同じ飛行機が日本に三機あって藤沢で墜落したから問題になった、墜落しなかったら問題にならなかったが。ところがそれに対して在日米軍、それから米大使館、それから米国務省、これはいずれも気象観測だけをやって他には何にもやらなかったということを、非公式に日本側に発表した。そうして日本政府は、米側がそういうのだから、これは気象観測だけしておったので、あとは一切偵察行動なんかやっていなかった。こういうふうにわれわれに説明するのでありますが、そういう点について、あなたはそれで納得できますか、私は納得できない、どうお考えですか。
  250. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これはまた見解の違いかもしれませんが、私は気象観測に従事をしておったものということを信じております。しかも、矢嶋委員きっと御存じだろうと思いますが、七月十一日に米国大使館のキットー参事官からわがアメリカ局長にあてましてはっきりした回答も来ております。そうしてこれは相当に気象観測上の成果を上げて任務は完結せられた、そうしてこれに参加しておったところの航空機はもうすでに全部日本から去っている。それで最初のものは本年の四月に撤去をされ、残っておった二機は解体荷作りの上、もう海上輸送をされたのだということを、今申し上げた七月十一日現在において言っているわけでございまして、今矢嶋委員のおっしゃるようには私は考えません。
  251. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 失礼ですが、あなた若干新興宗教じみておりますね、江崎さん。これは同じ型の飛行機が東と西にあって、その性能はきまっている、U2機がどういう性能のものであるかということは、世界に発表している。そうして東側はこうで西側はこうということは、なかなかそのままでは信用できません。気象庁の長官お見えになっておりますね、長官に伺いますが、あなた学術会議の議長でもあるから、こういうことで曲がった答弁はしないと思いますが、責任あるお答えをいただきたいと思います。気象庁はU2機からどういう気象情報を受けられたか。かつて私が承った場合に、あなたは本院で、受けた覚えはないということ、また、気象庁の次長の太田さんも気象情報を受けたおぼえはない。さらには気象学界の有志四十二名が、このU2機は気象観測に従事しておったというのは理解ができない、それは誤まりだと、いろいろと理由づけて声明をかつて発表されました。このこともあなたは御承知だと思う。それであえて長官にお伺いしたいのです。
  252. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 気象庁で台風が出ましたおりに、米軍の観測機から通報を受けておりますが、それらは機種を報告にしてございませんので、私どもは機種を知ることができませんのでございます。なお、気象庁の者が、機会があって米軍の台風の偵察機というのを見学に参りましたときには、WBの50というのを見たのでございます。なおU2機による気象観測にどういうのがあるかということを、われわれが確認できるものは、米国の気象学界の雑誌に出ておりますところの台風を観測した写真と、それによる研究を掲げたものがございまして、それはU2機において行なったということが書いてございます。それら日本あるいは日本付近の台風二、三個についてやった結果が出ております。結局要しますのに、私どもは日常受けているのはWBの50だと思っておりました。なおU2機は、研究用の観測をいたしておったことがあるということも確かだと思います。これ以上申し上げることは、私どもの資料ではできませんのでございます。
  253. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その七月十一日の発表の、気象観測の任務を終了したので日本から撤退したというのは、気象観測の任務を終了するということはどういうことなのですか。
  254. 和達清夫

    説明員和達清夫君) この米国の気象学会誌の書いているところによりますと、米国航究宇宙局は、空軍気象隊の助力を得て、一九五七年以来、日本において高層大気研究計画を行なってきたが云々と書いてありまして、まあこれで台風を研究をし、その結果を論文にして出しているのでありますから、そういうような一連の研究が終わったというのも、一つの見方ではないかと思います。
  255. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その航空宇宙局の発表というのは、何月何日付ですか。それから気象観測機というのは、常時あるべきものではないですか。私は任務を完了して全機引き揚げていったならば、観測に支障を来たすのじゃないかと思うのですがね。これはさっきあなたがあげられたのに比べれば、きわめて優秀なものですよ、U2機は……。というのは、航続距離からいっても、高度からいっても、優秀な撮影機を積んでいるという点からいっても、発表された性能から言えば抜群なものですよ。そういうものが三機全部引き揚げていくということは、私は支障を来たすのじゃないかと思うのです、真に気象観測をしていくのにはですね。そういう点も私は理解できないのですが、どういうお考えですか。
  256. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 先ほどの発表は、ウエザー・ワイズという雑誌の一九五九年の四月号であります。なお他にもウエザー・ワイズの他の号にもございます。今お尋ねの気象観測機というのは一般名でございます。気象観測をしている飛行機をそういうのでございますが、その中に、毎日ある道筋について気象観測をしているもの、台風が出れば出かけてやっていくもの、その他台風が出るときに特殊の目的を持って、つまり特殊の研究をもって出るというような観測機がございますので、それらを総称して気象観測機と申しますので、この総称からは何をさすかはわかりませんでございますが、この観測の任務を終了したというのは、先ほど申しました一つの一連の研究計画を終わったと解釈いたし、日常天気予報、暴風警報に有用なそういう観測を終わったという意味ではないと解釈いたします。
  257. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 先ほど私、矢嶋委員に、あまりくどくなるから簡略にお答えをしたわけですが、キットー参事官はこういうことを言っているのです。操業中であったU2型機は、いまだかつてない顕著な観測業務系列を打ち立てた。著名な台風に対する高水準の観察は特に印象的であった。これらの研究の結果は、本月下旬、これは七月ですね。七月下旬に、ボストンのアメリカ気象協会誌に初めて発表されることになっており、興味ある詳報が載せられることであろう。本研究結果は、日米科学者の合同調査によって得られたもので、特別研究に選ばれた台風は、アイーダとウィニーであった、こういうふうにはっきり根拠を示しておることをはっきりつけ加えておきます。
  258. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これに関連して二、三他に聞かなくちゃならないのですが、この点、これでとどめておきますが、そうおっしゃるならば、なぜ、なんですか、藤沢に落ちた、墜落した場合に、あの当時ああいう行動をとられたか。国際的に義務づけられたマークもつけないで国会で問題になった、藤山外務大臣は、マークをつけるように正式に申し入れた、六カ月後に質問したところが、まだマークをつけていないということを、その当時外務大臣答弁して、私はきびしく追及したことがあるのですが、なぜそういうことをなにするのですか、藤山さんは黒く塗っておるのは、あれは防腐剤だと言っているが、あなたもそう思っているのですか。
  259. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 今のマークは、矢嶋委員の強い御質問もありましたでしょう。むろんまた、政府からの正式の申し入れ等もありまして、つけました。その黒いのが防腐剤であるかどうかということについては、ちょっと私はよく承知いたしておりません。
  260. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは、これと類似の問題ですが、最近問題になったRB47、これは三型あるのですね。そのうちの気象観測のが日本に来ておったわけですが、過去どの程度、何年から何年ごろ、何機ぐらいこのRB47が日本に来ていたのか。現在は来てないということですが、それは間違いないのか。どういう性能のものがあったのか、これは航続距離その他からいって、横田に分遣基地がある。こういわれているわけですが、これはあなたが調査するということを衆議院で言っておりますがね、調査した結果、横田に分遣基地が明確にあるかどうかそれを合わせてお答え願いたい。
  261. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) RB47の問題は、日本には配備されたことはないということを米側がはっきり申しておることは、もう先般来新聞等に私どもも見解を表明した通りでございます。なお、分遣隊があるかどうかということにつきましては、こちらにおいても調査をいたしておりますので、政府委員からお答えをいたさせます。
  262. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) RB47につきましては、おっしゃった通り三型——E、H、K型とございます。ウエザーの方をやりますものと、写真偵察をやりますものと、電波の偵察をやりますものと三つあるわけでございます。今までに過去数回来たことがあるということは、これは米軍の方でも申しております。ただ、いつ来たかということは、私今ここに記憶いたしておりません。それから分遣隊のことでございますが、これは今、長官がおっしゃいました通り調査するということで今米大使館の方に問い合わせ中でございまして、まだ返事が参っておりません。
  263. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点にも疑問が残るのです。これは英国を飛び立ったRB47が撃墜されて、国連の安保理事会等でも問題になったことは、御承知の通りです。で、それについて米側はRB47型は西で情報活動をしておったということを発表しておるわけですね、情報活動をしておったと。ただ、ソ連の領空内に入ったか入らぬかという点が問題になっていますけれども、情報活動をしておったということは認めておるわけですね。で、日本に今まで立ち寄ったのは、いろんな私は雑誌やら資料を見ると、大体H型なんですね。これはレーダーの効力と周波のキャッチを大体やる型ですね。だから、やっぱり情報活動をする飛行機なんですよ、この性能からいいまして。グワム島に根拠地があるとなると、ちょうど横田あたりに一度寄航して中継基地として使って行動する性能を持っているわけです。このRB47は航続距離からいいましても、高度からいいましても、いずれもU2をしのいでおります。ことに、高度においては一万六千八百メーターとU2に対して相当高度をしのいでいる。それから航続距離が長い。こういうことからいって、このRB47は、大体グワム島を基地にして横田を寄航基地としてこのレーダーの効力と周波のキャッチ、逆レーダーを大体つけているのではないかと、こういうことが言われているわけです。明らかにこれはやはり偵察行動に参加しておったと認められるのですが、あなた方はどういうふうに判断しているか。で、現在いないとするならばU2、RB47というようなものは、先刻私が冒頭に承ったように、防衛長官、これはもし他国の領空を侵犯して偵察行動をするならば、これは安保条約違反でもあり好ましくないというのですからね、こういう疑惑のあるU2とかRB47は日本に入っては困るという意思表示を、はっきり私は米側に申し入れるべきだと思うのですが、お伺いいたします。
  264. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) U2並びにRB47等が国際法に抵触しない範囲で行動することについては、何ら私どもは支障はないと思っております。従って、もし侵犯をした場合ということを想定して、これについて日本へ寄航することは困るとかどうとかいうことは当たらないというふうに考えます。
  265. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 日本の領海、領空、領土内ではこういう飛行機は必要ないじゃないですか。こういう性能の飛行機は必要ないじゃないですか。従って、入ってもらわないことに越したことはないと思うのです。入る以上は、日本を基地にして日本の領空、領海、領土の外に必ず出るのですよ、性能からいいましてね。その点私は伺っておるわけです。それから、防衛長官お答えになったあと、加藤防衛局長、さっきの質問に答えて下さい。
  266. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これは日本のたとえば気象観測にあたって、非常に重要なる成果を得たということであるならば、これがなにも偵察に使われたとかスパイ行動に使われたとかいうことでなければ、これは私は差しつかえがないと思っております。また、RB47が先般横田に立ち寄った、これは機関修理のために立ち寄ったというふうに、われわれのほうへは通告があったわけでございまするが、そういうこともこれはあり得るというふうに考えます。
  267. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) RB47のH型でございますか、これは、先ほど申し上げました通り、電子偵察の用途にあてられる飛行機のように承知いたしております。これは電子偵察でございまして、地上または航空機、まあ艦船もございましょう、そういうものから出す電波を受けまして解明するという装置を持っておるものでございます。最近の電波等は数百キロに及ぶ距離、中にはもっと遠いものもございますが、そういうものもございますので、必ずしも日本の基地を使わなければ、RB47の機能が果たせないものかどうかということは、私は今何とも申し上げられないのでございます。いろいろな用法があるだろうと思います。それはアメリカの戦略空軍に属しておる飛行機のようでございまして、戦略空軍としては極島に配置してある戦略空軍の任務を遂行する上において必要な使い方をしているということは、これは当然考えられると思います。
  268. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つそれと類似のを伺いますが、防衛長官、RB57Dというマーケン機を知っていますか。どういう飛行機か御存じですか。
  269. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 私はちょっと承知いたしておりません。
  270. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) RB57Dという飛行機は、写真及び電子偵察の用途に主として使われまする飛行機でございます。
  271. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 アメリカの戦略航空隊の偵察隊所属の飛行機ですね。これも翼が非常に長くて、エンジンをかけたり止めたりするのがきわめて容易にできて、グライダーのように非常に滑走距離が長いというんですね。そうして優秀な写真機を持っているというように発表されている。それでこの飛行機も下半部を黒く塗っていますね。それはRB47の場合も同じだし、U2の場合もそう。これは防腐剤でなくて、電波の反射を防ぐんだと、こういうことが言われているんですが、このマーチンRB57Dが横田にいるというじゃないですか。これは加藤さん、承知していませんか。ちょっちょっと横田に来ているという。これはものすごく航続距離を持っているんですね。テキサス州のローレン基地を本拠に置いてゆらゆらと飛んで来るらしいですね。こういう飛行機が日本の基地に出入りしているということは、私は、日本の領土、領空、領海以外に出て相当他国の領空侵犯、偵察行動をやっているのではないかという一部の疑惑を打ち消すことができないわけなんですがね。だから、こういう種類の飛行機は日本のために僕は日本の基地に立ち寄ることを御遠慮願う措置を政府はとるべきだと思うんですが、この点と、RB57Dが横田に出入りしていることを承知しているかしていないか。もし承知していないとするならば、早急に調査して報告してもらいたいと思います。
  272. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) RB57ですか、この問題については、十分調査をすることにいたします。先ほどからお話しでございまするが、U2型は、これはもう日本から撤退をして将来も再び日本に駐留させる計画はないということは、アメリカ側もはっきり言っておりますから、この御心配はないものと、こういうことで御了解を願っておきます。それからRB47は、これは先般の国連の審議の経過にかんがみましても、これをU2型機と同一視して非常な恐怖を誘う飛行機であるというふうに解釈することはないというふうに私どもは考えております。従いまして、これについて今アメリカ側に、こちらへ寄るなとか寄らないとかというふうなことを言う見解はございません。
  273. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その答弁、私は了解しません。  時間がありませんから最後の演習場の問題を承って、あと十分ばかりで終わりたいと思うのですが、さっき一般論として伺いましたが具体的に伺いますが、北富士演習場の問題について、あなたは天野さんとお話し合いになって解決されたように承っているのですが、どういう話し合いでおまとめになられたのか、今後どういうふうに措置されるお考えであるのか、それをお答え願いたい。
  274. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これは今朝の新聞に詳しく出ておりまする通り、先方側からは、いわゆるこれは条件闘争ではない。忍草部落、忍野村全体の利害の問題であって、できるだけ早く米軍の演習場としてのこの土地を返還してもらいたい、こういう要求が先方からなされたわけです。従いまして、われわれの方といたしましては、米軍の演習地あるいは基地等々でも、先方の事情によって日本に返還の可能であるものは、これはすみやかに返還をしてもらいまして、そして、それが自衛隊の使用に帰せしむるとか、いろいろ日本本来のものにしていくということについては、全く同感でありまするし、北富士演習場の場合は、昭和三十三年末に米軍のあそこにおりましたキャンプが一応撤退をいたしましてからは、年に一カ月ないし二カ月この演習場を使用しておるというような状況でありまするので、願わくば、これは一つ返還を要求したいものだという見解に私どもも達しましたので、十分先方の要求の線に従ってこちらとしては誠意を尽くそうという話し合いをしてまとめた次第でございます。
  275. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この新行政協定の二十五条の二項に、日本政府または合衆国政府のいずれが一方の代表者の要請があるときは、いつでもこの合同委員会を開かなければならぬとなっているのですが、合同委員会の開会を早急に要求するものと思いますが、どうですか。
  276. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 現在の場面では、調達庁から十分話し合いをさせることによって先方と話し合が進むものと、こういうふうに考えております。
  277. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 調達庁長官に伺いますが、合同委員会を開かれるのですね。調達庁長官と米側の話し合いで返還が達せられる見通しはございますか。私は、当然この第二十五条に基づいて早急に合同委員会を開いて、そして、この返還を申し入れるべきだと思う。また、この新協定の第二条の二項に、いずれか一方の要請があるときは、前記の取りきめを再検討しなければならぬ、そして合意することができる、こういうふうに書いてあるのですから、この条項を生かして、正式な場において話し合いを進めなければ、品ではこの返還ができるように努力するとか、早急にやるといっても、私はなかなかできかねるのではないかと思いますが、調達庁長官の段階でできる見通しはございますか。
  278. 丸山佶

    説明員(丸山佶君) お話しの通り、米軍の使用する施設及び区域の提供あるいは返還に関する問題の討議場所としては、合同委員会がございます。また、その合同委員会の下部機構として特別に施設特別委員会というものが設けてございます。これらのものが交互に隔週定期的に開かれておる状況にあります。従いまして、調達庁がこの問題は米軍と折衝する、ただいま江崎長官が申されたことを正式にこれに乗せて話を進めるつもりでございます。
  279. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間が詰まって参りましたから、最終的な質問をいたしたいと思いますが、北富士の問題については、江崎長官も非常にげたをはいたと思う。責任があると思います。だから、今の答弁のように返還が一日も早くできるように善処されることを強く要望します。  一般論ですが、問題は、先ほど同僚委員からも群馬の質問をされておりましたが、新行政協定の第二条の一項の(b)に、もとの安保条約の第三条に基づく行政協定の終了するときに使用している施設及び区域は、この新協定における施設及び区域とみなす、こうなっておりますね、自動的に。ここは私は問題だと思う。旧安保条約並びに行政協定は、日本が敗戦国の立場にあるときに、当時の吉田全権が一人で安保条約を捺印をして帰って、それに基づく行政協定は国会の承認を得なかったことは皆さん御承知の通りですね、そうでしょう。このたびは、独立国という立場において、あなた方の説明をもってするならば、対等の立場において相互の理解のもとにやられたというのでしょう。そうなれば、当然、今まで米軍において接収されておりました施設及び区域について検討さるべきだと思う。そうして、しかも、この第二条の二項には、いずれか一方の要請があるときは、前記の取りきめを再検討しなければならぬ、となっておりますから、根本的には、私は、第二条の一項(b)、のこの取りきめの再検討を合同委員会を通じて要請すべきだと思う。また、要請すれば、先ほど申しましたように、二十五条によってこの合同委員会はいつでも開くようにしなければならぬ、いつでも開かなければならぬ、こうなっておるのですから、話し合いの場は十分あるわけですね。そうでなければ、今度の北富士のように、沖繩駐留米軍は、富士の演習場は非常に最適地だ、レクリエーションになるというので、おりおりやってこられたのでは、北富士の人は生活権を脅かされて生活にお困りになってくる。そのこともそうですけれども、やはり独立国の日本国民の感情とプライドが許せないと思う。だから、私は、新行政協定の第二条一項の(b)の再検討を第二条の二項によって要請し、第二十五条の一項及び二項によって合同委員会の場において話し合うように努力されることは、ああいう北富士演習場の問題、あるいは東富士にも起こっておるようですが、あるいは、先ほど伊藤委員からお話のありました群馬の問題とか、そういう問題を解決できる道だと思うのですが、いかがでしょうか。
  280. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 新安保の六条に基づきました基地ないしは演習場、われわれの方でこれは六条に基づいて必要であると思うものについては、これはもう当然従来通り確保しておかなければならぬと思うのであります。しかし、北富士の場合は、先ほども申しましたように、一年のうち、ほんの一カ月ないし二カ月という短期間の使用でありまするので、これは使用の実情から申しまして、日本に返還を迫り得る可能性のある演習場ということが言えると思います。従いまして、これは先ほど調達庁長官が申しましたように、施設特別委員会等にも諮りまして話し合いを進めていく、こういうことでございます。
  281. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後ですが、この演習場の立ち入りに関する事項等は、昭和二十七年の十二月の日米合同委員会で、訓練に支障のない限り、生計目的のための立ち入りを許可するというけっこうなことが並べてあるわけです。それが実行されていない。そういうところにいろいろ問題が起こっておるわけで、特にあなた方の善処を要望します。  いろいろと伺いたい点がありますが、きょうは時間も迫りましたので、これで終わりますが、最後に、念のために伺っておきたい点は、米軍関係の問題もさることながら、純国内的な防衛庁の本年度の業務計画並びに来年度の業務計画についても、私は池田新総理が民生安定、社会保障、公共投資、減税こういう政策を掲げておれば、伝えられるような何百億円も来年度増額するようなそういう事業計画は、明年度においては策定することなく、今の自衛隊をまあこじんまりと設置して参るというような防衛政策を、江崎長官に私はやっていただきたい。これが現在の池田総理の民生安定政策の根幹に触れる問題であると思うのですが、そういう私の願望を受け入れていただけるかどうか、承って、きょうの質問を終わりたいと思います。
  282. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 目下、業務計画につきましては検討中でございます。で、従来とって参りました自由民主党の政策でありまする自衛力の漸増、そうして充実、これはやはりこの内閣になりましてもむろん変わるものではありませんので、国民の常識と納得の上に、この防衛力の充実を期していきたい、このように考えております。
  283. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、この程度にとどめます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時二十三分散会