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1960-08-31 第35回国会 参議院 逓信委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年八月三十一日(水曜日)    午前十時二十五分開会   —————————————   委員の異動 七月二十三日委員谷村貞治辞任につ き、その補欠として上原正吉君を議長 において指名した。 七月二十六日委員上原正吉辞任につ き、その補欠として谷村貞治君を議長 において指名した。 八月二十二日委員野田俊作辞任につ き、その補欠として植竹春彦君を議長 において指名した。 本日委員光村甚助辞任につき、その 補欠として久保等君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木 恭一君    理事            柴田  栄君            手島  栄君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            植竹 春彦君            黒川 武雄君            新谷寅三郎君            寺尾  豊君            谷村 貞治君            久保  等君            鈴木  強君            野上  元君            山田 節男君   国務大臣    郵 政 大 臣 鈴木 善幸君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君    郵政大臣官房人    事部長     長田 裕二君    郵政省郵務局長 板野  学君    郵政省電波監理    局長      甘利 省吾君    日本電信電話公    社施設局長   大橋 八郎君    日本電信電話公    社施設局長   平山  温君    日本電信電話公    社保全局長   黒川 広二君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査  (台風被害状況及び対策等に関す  る件)  (カラーテレビジョン放送問題に関  する件)  (集配請負人制度等に関する件)    —————・—————
  2. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) ただいまより開会いたします。  委員変更についてお知らせいたします。八月二十二日野田俊作君が委員辞任せられまして、その補欠として植竹春彦君が委員に選任せられました。  八月三十一日光村甚助君が委員辞任せられまして、その補欠久保等君が委員に選任せられました。   —————————————
  3. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 郵政事業及び電気通信事業の連隊並びに電波に関する調査を議題といたします。  質疑の通告がございますので、順次これを許します。
  4. 鈴木強

    鈴木強君 今度の台風十六号が近畿、四国を中心にして、かなり被害があったようでございます。幸い電電公社は手回しがよくて被害状況の御報告をプリントでいただいておりますので、大かた被害内容がわかったのでありますが、この復旧対策は、大体どんなようでございましょうか、それをちょっと、先に承っておきます。
  5. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 被害状況につきましては、御質問がないようでございますから、では省略いたします。  この状況につきましては、各通信局において極力復旧に努めておりますので逐次復旧に向かっておる次第でございます。特に取り立てて特別の災害対策本部を作るというような程度には至っておりませんが、まあふだんの災害復旧の構成のもとに、全力を尽して復旧をすると、かような状況でございます。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 大きく分けて、通信被害職員被害とに分かれると思いますが、大体あれですか、比較的規模が小さいという工合に把握されているわけですか。そして何日くらいで、これは全部復旧できる見通しですか。それから職員に対するいろんな救援対策といいますか、そういうものが、どうなっておりますか。
  7. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいまの御質問に対して、詳細保全局長から。
  8. 黒川広二

    説明員黒川広二君) お答え申し上げます。  対策といたしまして、四国通信局及び徳島通信局高知通信部災害対策本部を設置いたしまして、ここと京都及び岡山辺がかなりひどいのでございますが、四国を除きましては、大体二、三日後、それから四国につきましては、これもまあおくれても四、五日後に復旧するだろう。こういう予定にいたしております。
  9. 鈴木強

    鈴木強君 職員関係はわからないですか。
  10. 黒川広二

    説明員黒川広二君) 職員関係につきましては、被害状況職員の、ここに手元に差し上げました資料にございますように、家屋の被害状況、三分の一壊が二戸、床上浸水が三十一戸で、幸い死傷者がなかったというようなことでございまして、この程度でございますと、通信局職員部が主としてこの救援に当たるということをいたしております。
  11. 鈴木強

    鈴木強君 大体了解いたしました。  それで私たち今度チリ津波災害地である宮城、岩手等視察をさせていただいたわけでございますが、痛切に感ぜられるのは通信施設がああいう際に非常に重要な立場に置かれるわけでありまして、この復旧というものを、非常に地域人たちは一日も早いことを念願しておるわけでございますが、通常国会の際にも、被害の根本的な対策について、いろいろと私意見を申し上げておるわけですが、特に台風の常襲地帯等に対するこれからの通信施設災害対策を含めて、来年度予算等にも、多少考えていただいておるわけですか、詳細なことは、またあらためてお尋ねいたしますが、基本的にどんなふうになっておりますか、それだけ簡単にお聞きしておきたい。
  12. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 将来の災害に対する対策としましては、この通信ルートは一ルートでなく、少なくとも二ルート、できれば三ルートというふうに、一方に被害がありますと、他のルートを利用して疎通がはかれるようにという考慮のもとに、すべての計画を立てるように準備をいたしております。また、今までもそのつもりでやっております。  なお、台風に伴う水害等の場合を考慮いたしまして、ことに昨年の伊勢湾台風の経験等々をもとにいたしまして、今後は、できるだけ水害地水害の及ばないような高い所にできるだけ局舎を設けるというような配慮等も十分考慮して、今後の設計に当たるつもりでございます。
  13. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  14. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記を始めて。
  15. 森中守義

    森中守義君 それでは時間がちょっと合間があるようですから、二つほど聞いておきますが、この年間建設計画進捗は、予定通り進んでおりますか。
  16. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 建設状況について申し上げますが、大体順調に進んでおると申し上げてよかろうかと思います。  月別に申し上げますと、四月の雑談は七十二億三千万円の工事を執行いたしました。全体の工事幅から言いますというと五・三%弱です。五月は七十八億五千万円、これが全体の工事幅から見まして五・八%に当たります。六月は百十六億二千八百万円、これが全体の工事幅から見まして八・六%。七月は百六億九千万円、工事幅七・八%。この四カ月全部累計いたしますと、全体の工事幅の二七・五%ということになっておりまして、昨年等に比べましても、進捗状況が相当進んでおるように考えます。
  17. 森中守義

    森中守義君 それから例の公社法の改正による外債の見通しはどうですか、片づきましたか。
  18. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) この問題につきましては、いろいろ御配慮をわずらわしたのでありますが、幸いに関係する公社法等も通過いたしましたので、それに基づいて直ちに準備を整えておるわけでありますが、目下、どういう証券業者等にこれを引き受けてもらうかというところの調査を進行中でございます。そのうち遠からず、ある程度見通しがつくと考えますので、そういたしますと、それに基づいて公募の手続き等を、できるだけ早く進捗いたしたい、かように考えております。
  19. 森中守義

    森中守義君 大蔵省等の根本的な問題は、片づいたわけでございますか。
  20. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 特に大蔵省等の根本問題で意見を調整しなければならぬ点は今日までありませんのですが、常に連絡をよくとって、大蔵省意見も十分しんしゃくして、協議の上で進めることにいたしておりますので、その点は、支障はないと思います。
  21. 鈴木強

    鈴木強君 今の建設工事進捗状況ですが、四月から七月までの四カ月間に二七・五%の進捗ですから、非常に私も当初心配していたよりも好調だと思うのですが、この建設工事の場合でも、基礎工程サービス工程いろいろあるでございましょうが、四月の七十二億というのは、これは基礎工程にほとんど力点をおいてやったと思うのです。五月の七十八億というのは、サービス工程基礎工程あわしてやったと思いますが、これは四月、五月の工事進捗率が、四カ月を比べてみると少ないように見えるのですが、この点は、五月についてはどういうわけなんですか。四月は大体わかるのです。
  22. 平山温

    説明員平山温君) お答え申し上げます。  鈴木先生お話で、四月、五月、特に五月が四カ月のうちで工事進捗が低いのは、どういうわけかという御質問だと思いますが、実は、例年の例で申しますと、昨年も、実は四月、五月という年度当初の立ち上がりというのが低うございまして、後半等で進捗をはかったような結果になっているのでございますが、私どもとしましては、やはり年度当初から、平準的に同じ程度工事実施されることを理想といたしまして、そういうふうな進捗を考えているわけでございますが、四月の方は、サービス工程の影響もあるのだろうが、五月はどういうわけかということでございますが、実は、毎月の進捗状況の中に、工事費支出というものを見ました場合に、大きく分けまして、工事に使います物品と申しますか、線路とかあるいは通信機材といった関係、それから物品決算の金、それから同じ物品を取り付けるための工事費工費といいますか、それと大きくいって二つ分かれるわけであります。それで、その月に新しく着工いたしましたときに物品決算することにいたしますが、そういうものが多いときは、同じ程度工費、要するに手間の方は同じようにかけておりましても、見かけ上の工事進捗というものは、低い場合もありますし、逆に、工費の方は同じであっても、その月に着工したものが多い場合には、物品代決算関係で、その月の支出が見かけ上大きくなるというようなこともございまして、平準的に仕事をやると申しましても、今申し上げましたような関係で、多少月によって出入りがあるということはあり得るわけでございます。  しかし、それを勘定いたしましても、七十億台のものと百億台あるいは百十億台のものと比べますと、若干のの開きはあるわけでございまして、それについきましては、やはり全体の手配の関係一般的な年度状況と同じように、年度当初の立ち上がりというものが、まだことしも完全にはいかなかった、しかし、昨年に比べますと、昨年年は五月が、やはり四十八億ぐらいであったと思いますし、四月が二十八億ぐらいであったと思いますので、昨年よりも、だいぶ年度当初も立ち上がりはよくなったと思いますけれども、まだほかの月と同じように完全に平準的に年度当初から立ち上がるというところまではいかなかった、かように御了解を願いたいと思います。
  23. 鈴木強

    鈴木強君 事務的に、いろいろな作業の準備とかあります予算との関係で四月、五月の多少のおくれのあるのはわかりますが、何とか公社事業の本来の使命から考えまして、工事の繰り越しということもできるわけですし、平準化ということは、われわれも希望していることであるし、それに沿ってやられているので、大綱としては、私は了解できますが、もう一般工夫を、年度切りかえ時における工夫をやっていただけましょうか。  それから、せんだって東北の管下の視察をして感じたことは、非常に成績がいいですね、あそこの管内は。加入者増にしても、あるいは農村公衆電話においても、市町村の電話統合も、大体半数以上ぐらいいっているのですね。私ども非常に推奨もするし、けっこうなことだと思ってきたのですが、これは季節的な問題もありますから、できるだけやり得る時期に馬力をかけてやるという方針だと思いますが、こういうものは、やはり北海道なんかも特異的に出ているもので、ございましょうか、通信局別にみると、一番成績のいいのはどの辺ですか、これは七月を例にとっていただいてもいいのですが、進捗率で一番いいのはどういうところですか。
  24. 平山温

    説明員平山温君) 最初年度当初の立ち上がりについて、さらに一そう努力をせよ、こういうお話につきましては、私どもといたしまして、まことにごもっとものお話だと思いますので、今後とも努力いたしまして、年間、平準的に仕事ができるように努力いたしたいと思います。  いずれにしても、建設工事進捗については、先生方に非常に御心配をかけているわけでございますが、私どもといたしましても、最大の努力を払って、御期待に沿いたいと思います。  それから通信局別進捗でございますが、今ここの手元にございます資料では、年間支払額数字はございますのでございますが、計画額と対比しました資料を実は持ち合わせてきておりませんですけれども、私の記憶いたしますところでは、本年度におきましては、各通信局とも一せいに今調子を揃えて、例年と比べますと、順調にいっていると思います。今先生の御指摘の東北北海道といいますのは、大体寒いときは、やはり工事がしにくいものでございまして、現地の方からも強い要望がございますので、なるべくこういう向きには、早く工事命令を出して、早く工事ができるように心がけておりますし、ほかの地域におきましても、やはり年度当初から工事をやるということにつきましては、設計を早くし、工事命令を早くし、実施を早くするという以外にございませんので、そういうふうに心がけておりますが、東北の方のそれぞれ支出額がどれだけだという数字はございますが、全体の計画額とその関係をちょっと出しませんと、一等いいのはどこだというお等えは、今すぐにはできません。しかし、どこもほとんど甲乙なしに進んでいるということで御了承いただけたらお願いいたしたいと思います。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 約五割増しの予算ですから、大へん御苦労だと思いますが、非常に総裁以下工事促進については異常な努力を持っていることは、私も感謝をしているわけですが、なお一つ期待に沿い得るようにお願いしたいと思います。  大臣が見えましたので、郵政関係をちょっとお尋ねいたしたいと思います。今度の十六号台風被害関係については書面でいただきましたが、特別のあれですか、応急に措置をしなければならぬという、そういうことはなかったわけでして、比較的被害郵政関係は少なくて済んだわけですし、復旧は、もうすぐ、二、三日のうちにできると理解してよろしゅうございますか
  26. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) お手元被害状況を御報告申し上げておりますように、比較的郵政関係は軽微でございまして、両三日中に復旧が可能である、こういう状況にあるわけであります。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 それから大臣御就任以来、非常に各地も回られておるようでございますし、勉強していただいておりまして、この点は感謝しておるわけでございますが、来年度予算編成にからめて、池田内閣の新しい政策の一環として通信関係の施策について大臣は御所見を持っておられるようですし、いろいろ新聞紙上等で私たちも拝見するわけでございますが、本来、きょうは休会中の委員会でありますから、大臣の施政の御方針等を伺った上で、基本的な問題については、あらためて私質問をさしていただきたいと思いますが、とりあえず緊急に考えられるのは、カラーテレビの問題でございますが、この問題は、植竹郵政大臣当時から本委員会におきましても、何回か論議をしたものであります。ご引き継ぎはあったと思いますし、当時この放送標準方式の点については、NTSC方式に大体おきめになって、審議会の方におかけになったようでございますが、その後委員会休会でありますし、昨日の大臣記者会見等によりますと、九月十月ごろには、本放送に踏み切るというふうな形で電波審議会の議を経る、こういうような御方針でございますが、その後の一つ経過を大まかに御説明いただけませんでしょうか。
  28. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) カラーテレビにつきましては、九月一日に省令公布をいたすことに相なっておりまして、その省令に基づきまして放送事項変更申請を正式に郵政省として受け付けて審議をすることに相なるわけでございます。  郵政省といたしましては、二日にその放送事項変更の件を電波審議会諮問いたしまして、その審議決定を待ちまして許可をするわけでありますが、直ちに設備検査実施いたしまして、検査の結果よろしいということになりますれば、放送開始の届出がございますから、それで放送が始まる、こういうことになるわけでありますが、検査に一週間くらいの時間を要すると思いますので、大体九月の十日ごろには、カラーテレビ放送サービス開始される、こういうことでございます。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 後半のことはわかりましたが、前段の植竹郵政大臣が、たしか三月十八日でございましたかの審議会標準方式諮問しておりますね。十八日だと思いましたが、その答申大臣にあったと思いますが、その答申は、どんな答申が出ておりますか。
  30. 甘利省吾

    説明員甘利省吾君) 当時三つ省令案諮問いたしまして、標準方式、それから設備規則免許手続規則、この三つ省令案諮問いたしました。答申といたしましては、標準方式NTSC郵政省原案でおおむねよろしい、こういうことでございまして、これは即日施行ということになりました。元来標準方式と申しますものは、いろいろの実際の放送申請をするとか、免許をするとか、そういうことに相当先だって公布すべきものであるということで、即日公布になりました。ところが聴聞会その他における一般世論の動きというものを見ますと、カラーテレビ実施につきましては、標準方式がきまって即日実施ということは好ましくない。もちろんそれまでも実験放送はいたしておりましたが、やはり各放送会社で、標準方式がきまってからカラー放送実施意図のある会社は、それぞれ準備をいたしまして、申請をして認可になる、こういう手順を踏むべきで、その間に、若干の日にちを必要とする。またこれに対してメーカー側も、受像機を製造する態勢をかなり準備はいたしておりましたが、本格的にこの態勢に移行するために、若干の日にちを必要とする、こういった点を考えあわせて、答申としましては、免許については約三カ月間猶予期間を置いて実施することがよかろうと、こういう答申でございました。その答申郵政大臣としましては全面的に尊重しまして、九月一日を期して免許手続規則設備規則施行ということにいたしたわけでございます。その後、各社それぞれカラーテレビ実施意図するところは準備をいたしまして、現在まで相当数申請が出ております。たとえば東京で申しますと、NHK総合並びに教育、日本テレビラジオ東京大阪におきましては、NHK総合教育並び大阪読売放送、朝日放送、これらが申請を提出してございます。その他申請をしておるところが二、三ございますが、九月初句を期して直ちに放送実施に入れるというのは、先ほど申しました東京大阪の局だけでございます。たとえば、名古屋の中日放送というようなものも申請書を出しておりますが、これは認可をされても、十二月一日からでなければできないというような状況でありまして、また徳島四国放送は、やはり申請書を出しておりますが、認可の日から八カ月を必要とするというような状況になっております。  また、各社に対しまして、カラー放送開始をする意図があるかどうかということを問い合わせてみましたが、その結果を総括しますと、まだ全然方針をきめていない、あるいは回答のないというような会社が二十二社、他の約二十社は、三十五年度から四十年度にかけて徐々に開始するという計画になっております。現在のところ、まだ中継用マイクロウエーブカラー化しておりませんので、地方で申請しました会社カラーのやり方は、主としてビデオテープとフィルムでやるということになっております。逐次マイクロウエーブカラー化しましたならば、中継も可能になる、こういう状況でございます。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 その最初三つ省令諮問をした場合の審議会における論議というものがよくわからないのですが、答申結論はわかりましたが、この委員会でも御承知通り、たしか民放五社から参考人として御出席をいただいて、いろいろと御説明を承ったのでございますが、NTVは非常に積極論でございました。あとNHK慎重論を含めた賛成意見だったと思います。ですから、大勢として今局長の話にもありましたように、大メーカー生産能力の問題、あるいは技術の水準の問題とか、いろいろあると思いますが、そういった面からみて、かなり委員会慎重論であったと思うのです。  そういう中に、植竹郵政大臣がいわば強引というか、私らにいわせれば強引だという言葉を使っていいと思うのですが、諮問をしたという経過があるだけに、その審議会審議経過というものが、答申に対する反対論がなくてきまったようにも聞こえるのですが、この内容については、議事録ども残っていると思うのですが、ここで詳細に聞く時間もないと思いますから、こういった審議経過等について、われわれが参考にできる程度のものは出していただけますか。慎重論もかなりあったのじゃないのですか。
  32. 甘利省吾

    説明員甘利省吾君) 今お尋ねのは、聴聞会のことだと思いますが、これは、全部議事録は印刷してございまして、関係者には配付してございます。また、審議議会の御審議は、簡単で総括的にではございますが、やはり聴聞会議事審議官が整理しまして答申をしましたその結論に基づいて、電波監理審議会結論を出された要点と申しますか、主要な点は全部新聞発表をしてございます。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 それは、資料としてもらえますね。
  34. 甘利省吾

    説明員甘利省吾君) それはできます。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 委員長、それをお願いしておきます。  それから、お話によると東京大阪合計六社が本放送になるようですが、中日放送なり四国放送は、すでに申請をしているところで、さらにまた二十二社は未決定であるというような状況からみると、民放NHKを含めて、NHKは多少異論があると思うのですが、民放からいうならば、多少準備のできているところはどんどんやらしていく、おくれているところはあと回しだというように割り切ったと思うのですが、どうもそういうことをみましても、まだ業界というか、放送業者協力態勢というか、実施に移せるだけの態勢というものはないというふうに判断する。この六社は、ラジオ東京とかNTVは、比較的前からやっていると思うのでありますが、どうもぴんとこない。放送というものは、やはりできるだけ公平にやろうという趣旨なのでしょう。たとえば福島のテレビが、まだ東北六県の中で一つもやられていない。これは御承知通り五社が競願しておる。郵政省方針は、できるだけ地域住民に中立な、しかも公平な報道の任務をもっていってもらいたいということから、五社の競願の中では、一社に認可できないということで、今日もまだ東北へいっても、テレビがない、民放は。私は、それは正しいと思うのです。そういう方針からいったって、どうも今度のカラーテレビの本放送に踏み切ることについては、われわれとしては釈然としないし、納得できない点がたくさんある。なぜ、そういうものを残しても、あえて準備のできたところだけ順々にやらなければならない理由があったのか。これは大臣、どうでございますか。
  36. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今お話のございましたように、テレビ放送につきましては、いろいろの御意見や御議論があったわけでありますけれども、政府といたしましては、前大臣の当時、これを促進することに方針をきめまして、そしてそれぞれの手続をして参っているわけであります。  で、私といたしましても、その方針を踏襲いたしましてやっていくことが適当である、こう考えまして、諸般の省令公布、その他の準備も進みましたので、先ほど申し上げたように、促進して参りたいと、こう考えているわけでありますが、白黒テレビ放送につきましては、鈴木委員のおっしゃる通り、現在のところ民放各社が、比較的足並みを揃えて、放送が全国的に行なわれている、まあテレビにつきましては、そのようなことが望ましいのでございますけれども、今のところ、全部がその準備ができてないということでございますので、準備のできたものから、これを放送させていくこういう方針で臨んでいるわけであります。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 大臣、あなたは、植竹郵政大臣の引き継ぎ事項であったし、すでにスタートした中に就任されたわけですから、その政府の方針に基づいておやりになるのは、これは一つ筋としてわかりますよ。ただ内閣が変わって、新しい池田内閣の中における郵政事業というのは、相当に再検討されるような点も、大臣みずから自民党の政調会の方にも、何か御説明しているようでございますがね。ですから、そういう新内閣のもとに、もう一度あらためて再検討をする必要が私はあろうと思うのです、この問題は。  ですから、過去のそういったいきさつから見ると、大臣も非常に立場は苦しいと思いますが、しかし放送事業というものは、やはりできるだけ公平に、しかも地域住民に、この利益をもたらすというのが使命ですから、そういう意味からいって、できるだけスタートを同じようにしてやるということが私は正しいと思うのです。九州へ行ったらカラーテレビは見られない、東京へ来れば見られる、こういう姿は、やはり望ましくないと思います。  ですから、今国民がほんとうに要望しているのは、まだ四万円も五万円も六万円もする白黒テレビ受像機を、政府としては物品税の撤廃もやってやらない、業者から見ると、こういった公共施設でもあるし、せめて物品税ぐらいは免税してくれないか、こういう意見もあるわけですね。一時特例として減税しておったのですが、それも廃止して、十四インチ以上、税額は違いますが、そういう課税もされている。従って、国民は二万か三万くらいで白黒テレビを見たいというのがほんとうの気持だと思うのです。ところが、まだ一台六十万円もするようなカラーテレビを買う能力は、限定されていると思うのです。アメリカにおいても、ヨーロッパにおいても、ヨーロッパなどが、特に長い間の実験放送を重ねつつも、本放送に踏み切れないということは、世界の趨勢であるし、アメリカの状況を見ましても、なかなか当初考えたように進んでいない。これはアメリカのようにすぐれた経済機構の中でやられても、しかくのことですからね。なかなかカラーテレビ放送をしても、街頭に幾つか取りつけられるとか、一部の人たちが見るという形になってしまって、本来の使命である公共的な使命を持った放送事業からいうと問題があると思うのですね。  ですから、私は理屈があって、こういうわけで、こうだというはっきりしたことがわかればいいんですが、今お話を聞いても、しからば白黒テレビに対して、政府はどういうふうな御方針で、これを安く、しかも全国あまねく見られるような放送をやろうとしているのかということと、それからカラーテレビが、大体郵政大臣が本放送に踏み切ろうとする際に、この視聴者は、どの程度であるという判断をされておるのですか。業界だって、白黒の方にできるだけ安いものを提供しようとして設備投資をしている。それを安くしょうと思うのだが、これはカラーが始まると、そっちの方へも資産の投資をしなければならぬでしょうし、これは業界自体においても困難な点が出てくると思う。ですから、業界としては慎重論ですよ、私の知っている範囲内では場……。そういうふうな慎重論があるにもかかわらず、あえてこの六社だけをやらなければならぬのか、こういう点が国民に理解できないのですね。ここらはもう少し踏み切ったら踏み切ったなりに、われわれの納得のできるだけの御説明がほしいと思うのです。ですから、カラーテレビに対する政府の今後の方針というものは、白黒を含めて、どういうふうにお考えになっておりますか、そうして、これはどういうふうな予想をもって踏み切ったのですかね。
  38. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 政府といたしましては、このカラーテレビも先ほど申し上げたように、実施するという方針をきめて諸般の行政手続を進めております段階でございますので、今これを変更するという考えを持っておりません。かえってそのことが混乱を招くのではなかろうかと、こう考えますわけでありまして、従来からの既定の方針で進めて参る所存でございます。  御指摘のように、現在カラーテレビ受像機は、国産で五十四万円程度もいたす高価なものでございまして、これが白黒のように国民の各層に、大衆に全部手に入って見れるという段階までには相当の時間がかかると思うのでありますが、その間におきましては、できるだけ街頭、屋外におきましても、公衆一般に見せられるようなサービスの設備も提供させまして、そうして各個人が受像機を持ちませんでも、カラーテレビに市民がこれを親しめるように、そういう便宜も提供さしていきたいと考えております。そういうことをしながら、この受像機等の出産コストを下げるような方向で、だんだん普及の道も考えていったら、どうかと、こう考えておるわけであります。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 どうも納得できないのですがね。まあ非常に強い意思でやられるそうですから、これはまあやるならやるので、わしらの納得のできるような、やっぱり勉強もされたでしょうし、その方針に立ってやられておると思うのですがね。今お話大臣の御答弁では、多少専門的なわれわれが勉強している立場から見ると、了解できない点もあるわけでございまして、それじゃ、あれですか、たとえばテレビ物品税なんか、こういうものは少し廃止するような方針を持っておりますか。
  40. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これは白黒の受像機と現在のところ同じように考えております。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 白黒も、わしらの意見では、これはもうぜいたく品でも何でもないのですね。従って、税を課するということ自体も、ちょっと矛盾しているので、これは一つ免税してくれという意見が、かなり強く出ているのです。ですから、カラーも含めて、そういう方針で、私は前の佐藤大蔵大臣と、それから池田通産大臣の当時から、だいぶやりあったことがあるのですが、だから政府自体も検討する余地はあるということは言っているのですが、なかなかそこまで踏み切れないという、まあ国家財政全般から見て、税の点もあるでしょう、大局的に立てばわかりますけれども、できるだけそれをなくして、それだけの負担を、やはり業者にも利用者にも軽くしてやる。そうしてできるだけ受像機を安く買えるように配慮してやるということも、一つの方法だと思うのです。その点はどうでございましょうね。
  42. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この問題につきましては、御趣旨のような私も考えを持っておりまして、党の税制部会等で、現在御検討願っておる段階でございます。で、今後ともそういう方向に努力したいと思います。
  43. 山田節男

    ○山田節男君 今の鈴木君の発言に関連してですけれどもカラーテレビの問題ですが、先ほど来、るる鈴木郵政大臣からも御答弁がありますが、これはもとより自民党の岸内閣が倒れて池田内閣が成立したわけですけれども、昨今、ずっと新聞を見ていると、池田内閣方針というものは、前岸内閣の方策を見れば、むしろ裏をいくのじゃないか、裏をいくというと語弊がありますが、とにかく岸内閣のすべての方針に対して再検討を加える、そのことはおそらく閣議においても、いろいろ議論があったと思う。  そこで、鈴木大臣が前植竹郵政大臣から事務を引き継ぎなされて、ことにこのカラーテレビの問題は、これは単なる一参議院の常任委員会の問題じゃなくて、相当広範なところで、これは論議されている、こういうことになれば、これは事務当局からも、相当実情をあなたは聴取なさっているに違いないと思う。そういたしますと、これは岸内閣のきめたことだから、今後新しい政府もこれを当然踏襲すべきだということなれば、私は非常に無責任きわまると思う。というのは、この問題につきましては、先ほど来、るる答弁もあり質問もあった経過から見ても、ここに植竹並びに寺尾両前郵政大臣もおられますから、これは少なくとも私は公平に見て、日本の現状から見て、はたしてこれ正しいかどうかという問題、それから技術的の発展の段階から申しましても、これは私は決して、そういう技術屋ありませんけれども、いろいろ私も、これは再三再四実地に見て、実情を見まして、日本には時期尚早だというので、私も当委員会において、いろいろ質問じゃなくて、むしろ私は勧告を申し上げた。ところがいわゆる岸内閣の末期的症状に、このペースに巻き込まれたというか、はなはだ残念だけれども、岸内閣の郵政大臣の諸君においては、これを防ぎ得られなかった。そういう点において私は池田内閣においても、今後の郵政全般、ことにカラーテレビの問題は、国民の経済に非常に重要な関係のあるものについては、一応冷静に一つ再検討をされて、それがためには前大臣意見もありましょう、それから事務当局の、これまたこれまでの取り扱った経過なり、また専門的立場からの、いろいろな意見もあなた聞かれるべきだと思う。もちろんお聞きになったと思う。そうすれば、池田内閣としてのカラーテレビを一体どうするか、もう乗りかかっているから、これをやらざるを得ないというのなら、私は無責任だと思う。これはどこの国でも成功しているのならよろしいけれども、世界で、キューバもやめてしまった。アメリカだけで、しかも現在、なおもてあましておるという段階のものを、何で日本でやるかということ、国民一般のこれは何と申しますか、非常に一つの不可解の感じを持っている。これは事実なんです。ですから、あなたはもう岸内閣の、そのまま踏襲するというのは当然のことだというふうにおとりになっておられますけれども、そこで私は質問を申し上げたいのは、これは、私は忘れませんけれども、あの公聴会の開かれました第二日の総合的な公聴会に出席して傍聴しておりますが、今おっしゃる名古屋、大阪ひいては九州、北海道東北というような場合に、漸次カラーテレビ放送を許可しなければならないという場合に、一体マイクロウエーブ準備はどうなるか。電電公社の当時の責任ある技師長の石川君の証言によりますと、これはとてもしょいきれない。そうすれば電信電話が非常に犠牲になる。であるから、それがためには膨大な金も要る。であるから、ここ一年以上は、カラーテレビを地方に送るということのマイクロウエーブとしては、そのサービスはしかねるという、きわめて明快なそういう証言があったわけです。  今大臣のおっしゃるところだと、これは大阪、名古屋あるいは九州もやる、北海道も現に松平委員と私は行って見ますと、北海道HBCは、カラーテレビジョンの受像の設備までして待っておる。そういう場合に、北海道に対するカラーテレビジョンのマイクロウエーブ開始を一体どうするか。そういう根本的な目安をつけないで、九月から始める、申請するなら申請しろということでは、政府のやり方としては非常に無責任だと思う。  その間一体どういうような準備をなさって、九月十日から実施するか、その点のめどを、それに関連した最も重要な施設も、それに用意してあるのかどうか、これを一つ承りたい。
  44. 甘利省吾

    説明員甘利省吾君) カラーテレビのマイクロ中継に関しましては、公聴会のときにも電電公社から意見の開陳がございました。われわれもその実情をよく存じておるつもりで、また審議会においても、そういった事情を勘案された上で答申をされておるわけでございます。まあここで一応実施に踏み切ることになりました以上は、政府としては、できるだけその健全な発展のために手を打つということは当然でございますが、マイクロ中継に関しましては、電電公社本来の電話事業ということとの兼ね合いもありまして、必ずしも優先的にこれを施設するわけには参らない、もちろんそれも承知しております。また地方でカラーテレビ実施するにつきましても、ただ準備ができたから漫然とやるというふうな考え方ではございませんで、今回東京大阪というふうな地点について、審議会諮問いたすということにいたしております。理由は、東京においてはすでに実験放送も長年やっておりますし、それに応じて各メーカーが生産体制を整えておるということでございますので、これはいいとしまして、大阪方面にも、やはり相当有力なセットメーカーがございまして、こういった地点だけは、そういう実際の放送をすることによって、その生産態勢を完成していくと、またこのカラーテレビが発展するかどうかということにつきましては、前々からいろいろ予想されて論議が、ございましたが、今後は受像機の量産による低廉化ということが、やはり普及の眼目になると思ます。  またその前提としましては、放送が実際にいい状態で行なわれるということが必要でありますので、これはお互いに関連し合った問題になりますので、そういった点を十分監視しながら、要するに地方においても、漫然とするわけではなく、健全な発展を期するという観点から認可していくと、こういうふうに考えております。大体この放送事項変更ということでカラーテレビをつかまえましたのは、こういう影響するところが大きい問題でありますので、これを審議会の議を経てやるという意味合いで、そういうつかまえ方をしたわけでございます。本来なら、これは免許制にすべきだという意見聴聞会でございましたが、法律の技術として、そういうつかまえ方をして審議会の議を経て健全な発展を期するという体制に持って参ったわけでございます。
  45. 山田節男

    ○山田節男君 電々公社の方おられる……。今の甘利局長の御答弁ですが、たとえば札幌——北海道放送局、それから九州福岡の放送局、カラーテレビの回線ですね、マイクロウエーブは、現状で問に合うんですか
  46. 平山温

    説明員平山温君) お答え申し上げます。  御承知のように電電公社といたしましては、白黒のテレビ中継線につきましては、今お話がありました北海道からあるいは九州、また全国的にサービスを提供しておるわけでございますが、カラーテレビ中継線のことについてどうなのかというお尋ねだと思いますが、実は、カラーテレビ中継線の規格がどういう規格が必要だという考え方によると思いますが、先ほどから話が出ていますアメリカの例もありますし、あるいは電波局で当初指針としてお考えになった数字なんかも伺っておるわけでございますが、そういったものを頭において考えますと、私どもといたしましては、現在の白黒テレビ中継線で、そのままカラー中継をすることは困難だと考えておるわけでございまして、もしカラーテレビ中継の、カラーテレビの本放送が始まり、そうしてそれに対する全国的中継というものが必要になるとするならば、どうしても新たにカラーテレビ用の中継線を作らなければならないと、かように考えておるわけでございます。この場合に利用される方が、現在の白黒テレビと全然別個な中継線を御要求になるか、あるいは時間によって一つ中継線を使って、ある時間はカラーテレビをお送りになる、ある時間は白黒テレビをお送りになるとか、その辺は、放送の側のお話をよく伺わなければわからぬわけでございますが、私どもといたしましては、もし一つ中継線を使って、白黒もカラーも送るといたしますとすれば、その場合には、中継線の性能といたしましては、カラーテレビが送り得る性能の中継線に作りかえなければならないと、かように考えておるわけでございます。  そのために必要な期間が約二年、それから経費といたしましては、東阪あるいは東京——札幌あるいは大阪から福岡へ行く、そのそれぞれの区間につきまして、それぞれ約十五億見当の経費が必要だという見込みだということを先ほどちょっとお話が出ました聴聞会におきまして、当時の私どもの技師長の石川から申し上げたことでございます。
  47. 山田節男

    ○山田節男君 今の電電公社当局のマイクロウエーブカラーテレビに利用し得る状況——こういう状況なんだから、郵政大臣よくお聞き願いたいと思う。そうすると、経済的には採算としては電電公社は非常に高いものにしなくちゃならない。カラーテレビ放送なり設備、受信が非常に高いものになる。しかも、マイクロウエーブの施設では、二年も待って普及しないという。しかも、多大なむしろこれは不経済的な投資を電電公社に強要しなくちゃならぬという状況、これらは、私は今度のカラーテレビにおける最大の問題だと私は傍聴したのですが、そういう事実を、そういうことを考慮しておりながら、なお九月一日からこれを実施、できるだけ大阪、名古屋、東京だけでやるのだということは、これはやはり放送法の本質からみまして、そういうやり方は、これはいけないというのです。これはわれわれ立法者の立場からいえば、放送法の本旨に反するのではないか、こういう根本論も実はあったわけですね。ですから、そういう点は、どういうように調整されるつもりか。政府が非常に低金利な投融資でもそれに融通して、これをすみやかにカラーテレビのために、そういう特別のトランク・ラインを作るようにされる方針で今のような決定を、あなたは前の政府のカラーテレビ方針を踏襲されるのかどうか。ただその場限りその場限りでいくということは、これは私は、ことに池田内閣が低姿勢で慎重に岸内閣の政策を全般的に反省、再批判してやろうというこのいい態度を、閣僚の一員としては、少しこれはあなた軽率じゃないかと思うのですが、この点どうですか。  もう少し、少なくともここは前郵政大臣もおられ、また逓信次官もおられ、非常にここはベテランばかりなんですから、はなはだ失礼だけれども、衆議院よりも、参議院の逓信委員会は非常にその点においては、みなその道の大家が多いのですから、こういう点は、一つ政治の根本は、やはり国会の常任委員会にあるのだという、きわめて政府がもっと低姿勢、謙虚な気持で国民の声を、われわれ国民を代表しているのですから、それをやはり聞いてやるという建前をあなた方がお守りにならぬと、今後も前の諸大臣、前郵政大臣の諸君と同じように、ここにいろいろわれわれとして協力できないようなことになってきますから、その点どうですか。これは事務局から、こういう実情はお聞きになったのだろうと思うのですが、一つ今の電電公社の問題につきましても、二年も待って、ただ大阪から名古屋、東京だけで、これをやろうということは、これは放送法の立場とすればおかしなものです。これに対して大臣一つ所信を、現状はどうなっておっても、あなたはどういうようにお持ちなのか承わっておきたい。
  48. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今後私が郵政行政を進めて参る上から、両院の委員会の御意見を十分尊重し、その御趣旨に沿うように努力をいたしましてやって参るということにつきましては、私は今後、このことをはっきり申し上げて、十分御意見を拝聴し、また御趣旨に沿うようにやって参りたいと、こう考えているわけであります。  このカラーテレビの問題につきましては、私どもは、その前提といたしまして、白黒テレビの普及、また全国各地に難聴地域等がございますれば、波の許す限り中継局等も設けまして、できるだけ国民の皆さんがテレビ文化の恩恵に浴せられるようにして参る。このことは基本方針として考ておるわけであります。  他面また、このカラーテレビの面につきましても、これを前内閣以来の方針として取り上げているわけでありますから、これを育成し、徐々にこれを普及をして参りたい。すでに東京大阪の六局におきましては、試験放送をそれぞれやっておりまして、技術的にも本放送に移し得る段階にまできておるわけであります。また受像機メーカー等におきましても、そういうような方向で、それぞれの準備も進んでおる、こういうような段階でございまして、私としては、この方向を急に変更し、またチェックするということでなしに、白黒放送のほかにカラーテレビも、また国民文化の上から育成すべきものである、こういう観点で、これをやって参りたい、こう考えておるわけであります。  当面は、各地域でそれぞれ放送してもらいまして、そして電電公社の方のマイクロウエーブの整備と相まちまして、だんだん中継放送もやっていく、このために電電公社の事業に大きな重圧を加える、そういうようなことでなしにやって参りたい、かように考えております。
  49. 山田節男

    ○山田節男君 さっきの甘利局長の答弁の中にあったのですが、今回のカラーテレビジョンを免許にするか、許可にするか、たしか公平君の発言のときにもこれはやはり免許にすべきだという理論だったと思いますが、たとえばカラーテレビジョンだけの放送会社が、これを免許申請をする場合には、これは免許である、いやそういうこともあり得ると思うのです。ですから、今の許可を変更するだけでいいじゃないかということは、結局NTSC方式で見て、白黒と一緒にして、ただカラーをつけただけだという面から、今新しい免許でなく許可でいいじゃないかという、こういう郵政当局の意見だと思うが、将来カラーテレビ・プロパーの事業が起きた場合、これは許可でなく免許になる。というのは、これは民間放送が、どうにかやっておりますけれども、将来ネットワーク合併合同ということが起きてくるだろうと思う。そういった場合に、今のようなカラーテレビジョンを、あくまで免許でなく許可にしているというような、そういう規則ですか、規則だろうと思うのですが、これは、再検当の必要があると思う。この点、どうですか。
  50. 甘利省吾

    説明員甘利省吾君) 非常に説論のございましたところで、私どもは技術的に見まして、やはりサービス・エリアが同じであり、チャンネルが全然変わらず、設備変更だけで、カラーがそこで完全に送れ、しかも白黒、カラー共用であるという点から見まして、これは放送事項変更設備変更、こういうふうにつかんだわけですが、お説のように、カラー専門の局が申請された場合には、もちろんこれは免許事項になります。  ただ、今回省令改正しました場合に、在来の白黒テレビというのと、カラーテレビというのと、全然別個の局として、局種としてあげなかった。これを別個にあげれば、もちろん免許事項になるでありましょうが、単にテレビ放送ということで、一括してつかまえておるわけでございます。まあそれにも理由がございまして、必ずしもカラーテレビ局、白黒テレビ局と割り切って放送する会社ばかりでもありませんので、現実に即してやれば、やはり白黒を主としてやって、カラーが入ってくる。あるいは将来カラーだけといっても、白黒の部分も入る。こういうことで、それを仕分けすることが、かえって不自然だという解釈で一本にしました。その場合の白黒はどう、カラーはどうという、こういうように基準をきめていったわけであります。もちろんこの点は、将来カラーテレビが、ある程度健全に順調に伸展した場合には、あるいは再検討される必要があるかもしれません。これは今山田先生の指摘された通りの議論ももちろんございます。またわれわれも、そういう点を全然考えていないわけでも、ございません。  要するに、これは当初カラーテレビ認可していくのに、審議会にかけて慎重に認可していくということが主たる目的で、一つの技術として、そういうつかまえ方をした、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  51. 野上元

    ○野上元君 関連質問。  郵政大臣にお聞きしたいのですが、カラーテレビジョンの問題は、本委員会で非常に大きな問題になって、ただいま同僚議員から、いろいろと意見なり、質問なりが出た通りであります。本委員会でも慎重審議を重ねたわけですが、政府の方針は、今あなたからお聞きしましたが、この際、われわれが非常に遺憾に思うことは、少なくとも電波行政を国民の代表として審議する本委員会が、積極的な反対ではなくても、少なくとも慎重にやるべきであるという与野党あげてのこの見解を未だ堅持しておると私は確信しておるのですが、そういう状況の中で、あなたの方が、強硬にこれを実施に移されていくというような行き方について、非常にまあ不満を持っておるわけです。  従って、この際、あなたに聞きたいことは、少なくとも数カ月前までは、あなたの所属する与党の方も、これには非常に消極的であったのだが、最近における情勢は変ったのですか。
  52. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) いろいろ与党の一部の諸君にも意見がございましたが、今日では、政府と党の間には、意見の相違はないと考えております。
  53. 野上元

    ○野上元君 そうすると、数カ月前までの意見とは変って、現在では政府の方針を支持すると、こういう御意見に変ったということを、あなたの方では確認された、こういうことですか。
  54. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 党の方では、この問題につきましては、政府のやっておりますことを了承し、それに対して反対の意見を申し述べない、こういう党の空気になっております。
  55. 野上元

    ○野上元君 本委員会慎重論を唱えたのは、カラーテレビは、日本において実施することは未だ時期尚早である、それは先進国アメリカにおいてさえ、今日行き悩んでおるではないか、いわんや日本のごとき底の浅い経済力しか持たない今日において、これを実施することは非常にむずかしいと、しかもカラーテレビ一台の価格は五十万円内外するということでは、これがとうてい大衆的なものになるとは考えられない。しかもマスプロに乗るような情勢には、近い将来にはならぬ、こういう判断が立つからこそ、各種メーカーを呼び、あるいは放送局を呼んでいろいろと質問したところが、ほとんどの業界においては、非常に慎重論を唱えるという結論が出て、その結論に従って、われわれもまた時期尚早だというふう考えて慎重論を唱えてきたのだが、この教カ月の間に、著しい情勢の変化があったというふうに大臣はお認めですか。
  56. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、党内にも、いろいろ御意見がございましたが、現在では党の態勢としては、政府の方針を支持しておる。党と政府の問には、この問題で意見の相違はない、こう考えております。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 三月の十七日の日に、私がさっき申し上げましたように、当時の植竹郵政大臣が、カラーテレビについて、ヨーロッパ、アメリカを回られてきた結論として、NTSC方式というものが標準方式としてはよろしい、こういう判断をされた。その行く前には、われわれの質問に答えて、砂糖も甘いか辛いか、よくなめてみなければわからぬという話もありまして、砂糖をなめに行ったわけです。一カ月ぐらい回ってきて、なめてきたその砂糖がいいからきめたというので、何か形式的なことだけであって、本質的な問題に対する解明がなされておらなかった。だから少なくとも三月十七日現在における委員会では、与野党含めてきわめて慎重論ですね。もっと慎重にやってもらいたい、大臣はそれを受けて慎重にやります、こういう答弁をしたのです。にもかかわらずその翌日に聴聞会省令諮問するというようなことで、そういうやり方をした経過があるのです。私は、きょうもこういう委員会ですから、あまり基本的なことは言わなかったのですが、少なくとも大臣は、昨日も新聞記者に会見をされて、十日に本放送実施をされるというような御所見を発表されておる段階ですから、私は、こういう問題のあったことだけに、むしろ大臣から発言を求めて、今までのいきさつぐらいは十分にここに報告をされて、疑義の点はただしていただくというような態度に出ることを期待しておった。ところがそういうこともなかったので、私が質問を展開するということできわめて遺憾なんです。ですから、そういう経過をたどってみますと、政府と与党の間になるほどそれは意見が一致しなければならぬということもあるでしょうし、いろいろのそういうこともあるでしょう。しかもまた、与党の諸君も、これは当時各界、業界もそうでした。放送を担当の人たちも、相当広範に参考人を呼んで聞いてみると、積極論というものはきわめて少ない。消極論というか時期尚早論というものがかなり支配的であった。そういうこともありますから、われわれは国民を代表する国会の立場におるわけですから、そういう客観情勢とにらみ合わせて慎重論を唱えてきたわけですから、その辺が必ずしも私は、大臣のおっしゃるように、今日の段階においてきれいに割り切って政府に賛成していると思わぬですよ。ですから、山田委員もおっしゃったように、池田内閣にかわったのですから、われわれある程度、十数年間電波行政に携わってきた者から見たって、これは事務当局の諸君にもよく聞いてみて下さい。電波監理局のいろいろ意見があると思うのです。純粋に技術的に考えてもいろいろな問題があるのに、白黒とカラーをどう併用していくかという問題については、電電公社には迷惑をかけないと言うのですが、かりに十億、二十億の金がかかるとしても、現に電電が、あなたも言っておるように、来年は五十万にもふやすと言っておるのですから、七十二億のはした金を外国から借りてこなければできない、その上に十五億の金を出してくれますか。来年の予算で二年計画だか何だかしりませんが、そういうことを実際に政府がやってくれる保証があればある程度はわかりますが、一方には、本来マイクロは電話の即時に使われるのが使命である。もちろんテレビにも使われなければならないでしょうが、それをどうやっていくか。その辺をほんとうに深く理解していただかないと、われわれから見ると、電電の仕事だって大へんなことだし、政府の財政措置だって八十億じゃないですか。そんなでたらめな予算措置をしておって電話をふやそうたってそんなに簡単にいかぬと思いますね。私は、新内閣のもとに、あなたは新進気鋭で馬力もあるし、勉強もされておるようだから、少なくとも委員会のわれわれの空気も聞いてもらえれば、そうそう前にきまっておったからというので、やみくもに九月の十日にやらなければならぬということにはならないと思うのですよ。もう少し慎重に考えてもらいたいと思いますね。これは私の要望です。
  58. 森中守義

    森中守義君 これは委員長にお願いしたいのですが、大体在来の経緯もありますし、十日ということを大臣の方では、お考えのようです。この際ちょっと休憩しまして、現状のままこれを見のがしていくのか、あるいは委員会独自の意思を何かの形で表明するか、そういうことをちょっと相談してみたいと思いますが。
  59. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 暫時休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩    —————・—————    午後零時五分開会
  60. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 開会いたします。  それでは、私から一言だけ郵政大臣に申し上げます。  政府は、来たる九月十日よりカラーテレビ実施準備を完了せられたということでありますが、本日までの本委員会においての委員意見については、今後の実施について十分尊重せられたい、大臣にそのことを申し上げます。
  61. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま委員長から委員会を代表されまして私に御要望がございました点につきましては、十分委員会の御趣旨のほどを尊重いたしまして行政の衝に当たって参りたいと考えております。
  62. 野上元

    ○野上元君 本来ならば、郵政大臣の施政方針演説を聞いてからいろいろと系統的に御質問申し上げたいというように考えておりましたが、そういうチャンスも近い将来望み得ないというような情勢でもありまするから、二、三比較的緊急な問題について御質問を申し上げたいと考えます。  最初台風関係でありますが、先ほど鈴木強委員質問に答えられて、これだけだと、この書面に表わしておる被害だけだ、こういうふうに聞いたのでありますが、これを見ますと関東管内の被害状況が全然出ておりませんが、私はたまたま千葉県に住んでおりますが、千葉県夷隅郡の大多喜郵便局が、十六号台風によりまして夷隅川がはんらんし、局舎の中に浸水して参りました。交換台も浸水するというような状況でありましたが、交換手の諸君は最後まで避難をせずに通信の確保に当たったということで、町から非常に感謝されておる。こういう実情もあるのでありますが、そういう点について郵政当局としてはこの被害状況調査のときには判明しなかったものかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  63. 荒巻伊勢雄

    説明員荒巻伊勢雄君) ただいまの情報の問題でございますが、昨日夕刻までに監察局の情報ルートで集まったものを編集いたしたものでございますが、本日中にもまだ情報が入っておりますが、お示しのような大多喜局の問題につきましては、ただいままでのところ私どもの耳に入っておりませんのでございますが、十分にその辺のところの情報をさらに採集いたしまして、所要の措置を講ずる所存でございます。
  64. 野上元

    ○野上元君 私が申し上げたことについてすみやかに調査されて、相当局舎が浸水のために使用困難な状況にあるようでありますから、手を打つように労力をしてもらいたいという希望を申し上げておきます。  郵政大臣にこの機会に御質問しておきたいのですが、郵政事業の中で、山間僻地にある郵便施設の中で、集配請負人制度というのがあるわけです。これは従来からもあったのですが、特に昭和二十七年二月の行政整理の際に、九百六十名の集配——この郵政従業員が、次に私が述べるような理由によって郵政省の身分を解かれてあらためて請負人になった。そのときの理由は、日本は非常に経済的に貧困であって、郵政事業そのものも経営状態が必ずしも良好でない、従ってこのような山間僻地において採算がとれないような状態にあるから、しばらくの間郵政事業を離れてもらいたい、そうして郵政事業が再び再建をされ、経営状態がよくなったら復帰させるのだ、こういうことで職を離れた諸君があるわけであります。当時これらの諸君は九百六十名に上ったのでありますが、郵政当局の説明を了とし、一応職を離れたわけですが、その後日本の経済は飛躍的に成長をみておるわけであります。従って彼らとしてみれば、もうすでに十年もたっておるのだから、この機会に職場に復帰させてもらいたい、郵政従業員として復職させてもらいたいという希望が非常に強いわけです。特に三十一年には請負人組合というものを作って彼らの意向を郵政当局に伝えるべく努力を続けて参り、本日も本委員会において組合の組合長が陳情されたという実情がございました。しばしば郵政当局では問題になっておることでありますが、今日郵政当局ではこれらの諸君の復職についてどのような考えを持たれ、かつどのような手を打たれようとしているのか、その点について一応お尋ねしておきたいと思います。
  65. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 野上委員のお尋ねの郵便請負集配人の問題でございまするが、当時行政整理に進んで協力をされた方々が、今日請負人として集配の仕事に従事しておられるわけでありますが、その待遇、手当等が非常に現在低い状態にございまして、当時むしろ行政整理に反対をし、非協力であった人たちが今日本務者として相当の給与を受けてその間の所得の非常な格差、非常な不公平な取り扱いというような事態が出ておりますことは事実でございまして、非常にそのことにつきましては御同情にたえないと考えておるわけであります。そこで政府といたしましても請負料金の値上げでありますとか、あるいは手当の一面につきましていろいろ今日まで考えてきておるのでありますが、請負人組合の御要求は、できるだけ早く自分らを定員に繰り入れて、本務者として復職さしてほしいというのが御要求の御趣旨であるようでございます。私は就任以来郵政省仕事が、特に郵便の仕事が八〇%まではこの人件費と申しますか、郵政事業会計の八〇%までは人件費であるというように、この人の力に依存する側が非常に高い、そういうことから職員の待遇の問題、また給与の問題ということにつきましては深い関心を払ってをるわけでございます。現在二万二千名程度の非常勤職員が働いており、その中には先般の国会で成立をいたしますれば本務者になります二千三百名という者がおりますが、さらに一年以上ほとんど定数的な非常勤者といわれる者がなお六千七百名ほどございますわけでございます。で、そういうような状態でございまして、少なくともそれらの人たちはできるだけこれを本務者として定員の中へ繰り入れたい。なわ残余の一万名余りにつきましても、現在全国平均一日二百五十円程度の非常に低い給与で甘んじておるというような状態でございまして、こういうことが今日いろいろ郵政事業の運営の上においても円滑を欠いておる一つの原因にもなっているわけであります。そこでこの非常勤職員をできるだけ定員として本務化していきたい、こういう観点で閣議等におきましても数次にわたりまして発言をいたし、関係閣僚に実情を訴えまして、そうしてこれに対する政府の早急な改善策を要望いたしておるのでありますが、だんだん閣議の意見も、郵政事業のような現業官庁においては現在の定員制度というものを再検討いたしまして、そうして昭和二十四年以前に行なわれておりましたような予算定員というような制度をこの際考えてみることが適当ではなかろうか、こういう意見が行政管理庁長官からも発言があり、池田総理からもそういう方向で一つ今後の定員制度を早急に検討をしてほしい、という高橋行政管理庁長官に対する指示もあったような次第でございまして、私はそういう方向で現在努力をいたしておるわけであります。ただいまの請負人の問題につきましても、そういう郵政のこの店員問題と同時に、できるだけ御要望の線に沿うように努力をいたしたい、こういう工合に考えておるわけであります。
  66. 野上元

    ○野上元君 私は鈴木郵政大臣が数次にわたって閣議でこの問題について発言されていることを知っております。かつまた郵政の現場の状況についてもいろいろと研究されていることについて深い敬意を払っているわけですが、請負人組合の問題は非常に長い期間における問題でありまして、私も先般、前植竹郵政大臣とこの請負人組合の組合長が会見をいたしました席をあっせんいたしたことがあるのでありますが、その会見に立ち会っていろいろ話を聞いたところ植竹郵政大臣は、今日非常勤でさえもこれを本務化したいという努力郵政省は続けておる。いわんや長年において苦労された諸君の問題については十分好意的に考えて努力をして参りたい。こういう答弁をされたことがあるわけでありまして、これに非常に請負人の諸君は感激しまして、その後いろいろと努力を続けておられるようでありますが、いまだ実現の緒につかない、曙光を見出せないということで非常に苦慮しておるようですが、鈴木郵政大臣もこの席でずばり回答ができるとは考えませんけれども、すみやかにこの組合長等とお話し合いをいただきまして、彼らの窮状も十分にお聞きの上、非常勤問題とからめて善処されるようにこの場で一つ御確約を願いたい。かように考えるわけです。
  67. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 先ほど申し上げました趣旨はさような趣旨で申し上げましたわけでありまして、非常勤職員の問題とあわせましてこれも先ほど申し上げた方向で解決をしたい。さように考えております。
  68. 野上元

    ○野上元君 では次の問題に移りますが、最近郵便物のおくれが依然としてあるようですが、このおくれの原因は、鈴木郵政大臣はいろいろと研究をした結果、やはり定員問題に非常に大きな原因がある。とりわけ非常勤が非常に多い、しかも本務者と何ら変らない仕事をしておりながら待遇が非常に悪い。従ってすみやかにこれらの本務化を実現しなければならぬ。そして職場の明朗化をはからなければ事業の円満な遂行は非常に困難だ。こういう見解を表明されたことについて私は非常に卓見だと実は敬意を払っておるわけですが、大臣が御認識のように今日郵政事業の中には非常勤が非常に多い、しかも相当年数非常勤の職にあり、しかも本務者と全く同じ仕事をしておりながら待遇は非常に悪い。従って若干陰惨な職場の空気さえ醸成されるような状態で私どもも非常に憂慮しておるところであります。従って本年度における郵政事業で最も大きな問題になるのは私はこの定員の問題、それから非常勤を本務化する問題、さらには電電公社等の電話拡充臨時措置法の具体的推進による電通の合理化に伴う、郵政が受託しておる電通業務要員の配置転換、これらが非常に大きな問題になるのじゃないかというふうに実は見ておるわけです。その一つの定員の問題ですが、非常勤の問題、今郵政大臣が見解を表明されたことで一応了解できるわけですが、これはいつごろそういう実現をはかろうとされておるのか、その点一つ明瞭にお答え願いたい。
  69. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 昨日も全逓の組合の幹部の諸君とこの問題で懇談をいたしたわけでありますが、私といたしましては、昭和三十六年度予算の編成、並びに所要の法的な措置も必要であれば講ぜなければいかぬわけでありますから、三十六年度からこの問題を抜本的に解決するように努力をしておるわけであります。
  70. 野上元

    ○野上元君 その点については本日はこれ以上もう突っ込んで御質問しないことにいたしますが、そこで実は具体的な問題で御質問申し上げます。従って若干細かくなりますので、大臣でおわかりにならないところは、事業局長も見えているようですから、事業局長の方から御答弁いただいてけっこうでありますが、実は中央郵便局の中にも非常勤が非常に多いのです。これは非常に大きな問題になっていることは大臣も御承知通りで、事務当局もすでに御承知通りでありまして、とりわけ郵便課における非常勤の内務者の中で三番交替をやっている非常勤がいるわけです。この三番交替をやっている非常勤の勤務時間は七時間ということになっている。正常ならば七時間二十分働くことになる、こういうことになっているのですが、これはなぜそういう差別がついているのか、その点を一つお聞きしたいと思います。
  71. 板野学

    説明員(板野学君) 大体普通の勤務の実働時間は、ただいま先生がおっしゃいましたように七時間二十分程度でございます。これは平均でございまするので、おのおの郵便局によって幾分その差が出てくるような状況でございまして、東京中央郵便局のような例の場合は、そういう関係で少しは勤務時間の点にそれは差異があるということでございまして、これはまあいわば拘束時間ということでございますので、その間少しやはり手すきの問題もございましょうし、いろいろ各郵便局によってその実態が違っているということでございます。
  72. 野上元

    ○野上元君 一般の本務者は七時間二十分勤務させ、非常勤は七時間にしている、こういう事実はありますか。
  73. 板野学

    説明員(板野学君) 特に中央郵便局につきましては、私はまだ具体的にその事実を知っておりませんので、のちほど調査をいたしまして御返答いたしたいと思います。
  74. 野上元

    ○野上元君 七時間二十分勤務させることと、七時間勤務させることによって待遇は違いますか。
  75. 板野学

    説明員(板野学君) 待遇は違いません。
  76. 野上元

    ○野上元君 それは待遇は全く同じだということですか、時間による差別はないということですか。
  77. 板野学

    説明員(板野学君) これは一種の拘束時間とか、実働時間が七時間二十分ということでございますので、それが各局の実情によって短くなっても、それによって待遇が変わるということはないと思います。
  78. 野上元

    ○野上元君 そうすると東京中央郵便局の場合、七時間二十分に統一するというような考え方は今のところはないというわけですね、現場にまかしているということですね。
  79. 板野学

    説明員(板野学君) 先生のおっしゃる通り現場にまかしてあります。
  80. 野上元

    ○野上元君 非常勤を一月の間に今日二十一日間勤めさしているということですが、二十二日以上勤めると待遇に著しい変化があるのですか。
  81. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) その点につきましては月に二十二日以上勤めた者が、二カ月なりそれ以上になりますと、期末手当とかその他の関係が出て参りまして、待遇に若干の相違がある、さように考えております。
  82. 野上元

    ○野上元君 そうすると二十一日で打ち切られた場合には、何カ月続けて勤務しても期末手当は出ない。そうして二十二日以上勤務した者には二カ月以上勤務すれば期末手当が出る、こういうことになると、若干の差別待遇ではなくて非常に大きな差異を生ずるのじゃないですか。
  83. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) ただいまの規定ではさようになっておりまして、結果的に二十二日以上勤めた者と二十一日以下勤めた者とで差異が出てくる、そういうことになっていると思います。
  84. 野上元

    ○野上元君 郵政省は二十一日で打ち切るという方針ですか。
  85. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 実は非常勤で雇いました者の支払い財源になっております賃金でございますが、賃金予算の建前としまして、大体が短期雇用というようなものが大部分でございます。予算の積算の根拠になっておりますものとして、短期雇用を前提にしたものが大部分でございますので、予算上期末手当等は大部分が算入されておらない実情でございます。二十二日以上雇いますと、予算上算定されておらないものを、まあ積算の根拠になっておりますが、支払わなければならないという財源の関係等もありまして、それと仕事の運行のにらみ合わせによりまして、一部二十一日雇用にとどめるというものがあることは事実でございます。
  86. 野上元

    ○野上元君 郵政大臣は、先ほど非常勤が非常な大きな差別待遇を受けているということに不満があるので、これを是正しなければならぬ、その根本的な方策は本務官にすることである、こういうふうな見解を述べられたことについて、そういう見解を持っておられるならば、少なくとも現状において、一日くらいの勤務日数を上下することによって、さらにまた待遇を悪くしていくというような行き方は、私はその精神が一貫しておらぬように思うのだが、事務当局はこの大臣の精神をどういうふうに受け取っているのか、その点を一つ明瞭に答えてもらいたい。
  87. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 大臣の先ほど申し上げましたような精神に従いまして、一方では来年度、現在の非常勤のうちの一部の者の定員化を、関係当局と協力しまして推進することにしております。また残った、あるいは残ることになる非常勤の人たちの待遇改善の問題につきましては、ただいま全逓その他の組合の方と鋭意交渉中でございます。
  88. 野上元

    ○野上元君 交渉が妥結されることを私は希望しております。というのは、この問題はことしの年末になって非常に大きな問題に発展する可能性があるわけです。しかもわずか一日の問題で非常に大きな問題になるというおそれもあるわけですから、本務官にすることがもうもちろん窮極の目的でありますが、それに到達するまでにはできるだけ現場の実情を考慮して、その現場の暗い空気を一掃して事業の円滑な運営をはかっていくことが、私は管理者として当然行なうべき任務であると思います。しかもその一仕事内容が、全く本務者と同じであるということなら、その点については十分郵政当局としては努力してもらいたいと思うのですが、その点について郵政大臣、確約はできますか。
  89. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 現在、組合との町に、この非常勤職員の待遇改善の問題につきまして話し合いを進めているわけ、でありますが、これはきわめて近い機会に円満に話し合いがつく見通しでございます。そのことによりまして、三六協定等の問題もまた話し会いが円満につくものと考えているわけでございます。先ほど申し上げましたように、私はこの郵政事業のような現業官庁、特別会計でやっておりますこの建前からいたしまして、仕事の量の増高とにらみ合わせて、人の面も自主的に解決できるようにしたい、そういうことから現在の定員制度を根本的に改正をして、そして自主性を持たしてこの郵政事業を運営して参る、こういう方向で抜本的な解決をはかりたい、こう考えております。そこで、そういう気持で事務当局にも指示いたしまして、できるだけ組合の要望も入れて、早く現在の団交も妥結するようにということで指示をいたし、それも組合との間に話し合いが円満に進んでいるわけであります。ただ三十五年度予算につきましては、すでにこれは決定をされております関係から、おのずからそのワク内で、現在の非常勤職員の待遇問題を改善するということにつきましては、おのずから限界がございますわけで、その点をきのうも組合の諸君とよく話し合いまして、今年度のワク内でなお解決できない面は、三十六年度以降の措置によって改善をはかっていく、そういうことについては今後も当局と組合側でよく話し合い、検討を進める、こういう約束をいたしておるような次第でございます。まあそういう方向で努力をしたいと思っております。
  90. 野上元

    ○野上元君 定員問題の抜本的対策についての見解を聞きまして、非常に心強く考えるわけでして、その点はどうか強力に一つ推進をされんことを希望いたします。かつまた、それまでの段階においては、——これもなかなか容易なことではないと思うのです、これを実現することも……。従って、その間はがまんしろというのではなくして、それができぬ間でも、できる限りの一つ努力をして待遇改善について関心を払ってもらいたい、かように実は考えるわけです。  そこで、一つだけお聞きしておきたいのですが、この本務者と非常勤との間に、共済組合に加入する、しないというような問題、あるいは厚生福利制度等の利用等についての差別というものがございますか。
  91. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) どうも着任後まだ勉強が足りませんで正確には存じておりませんが、先ほど申し上げました二十一日、二十二日という差異、あるいはその他勤務期間の差異等によりまして、非常勤者の一部に医療施設の利用あるいは厚生施設の利用、共済組合の加入の問題等で差異があることは事実であると存じます。
  92. 野上元

    ○野上元君 大臣もよくその点はお聞きおいていただきたいのですが、わずか一日のことで期末手当ももらえないし、共済組合にも加入できない、福利厚生施設も利用できないというような非常に大きな待遇の開きがあるわけです。これが非常に大きな不満になって爆発寸前にあるというのが今日の状態ですから、この点を十分に考慮をしてそういう差別待遇のないように何とか努力をして実現をしてもらいたいと思うのですが、大臣の御意見どうですか。
  93. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 早速そういう福利厚生の問題、その他の問題につきましても検討を加えたいと思います。
  94. 森中守義

    森中守義君 簡単に一、二聞いておきますがね。長期計画はいつごろでき上りますか。
  95. 荒巻伊勢雄

    説明員荒巻伊勢雄君) 鋭意長期計画の作案を急いでおるわけでございますが、実は三十五年度の問題として、郵便事業の今後の運営の大きな問題、すなわち問題になっておりますところの要員の関係、それから今後の待遇改善、ベースアップ等に伴いまする経費の増高の見通しという問題がございまして、当初の長期計画の初年度を三十五年度計画として昨年来検討して参ってきたわけでございますが、その後の大きな事情の変更等もありましたために、長期計画を三十六年度以降に考えることがむしろ長期計画の本来の趣旨にも合いますし、そういうことで、まずその初年度一つ考えるという点が第一点でございます。そのほかの貯金、保険共通、あるいは局舎関係等につきましては、すでに具体的にも検討済みでございまして、残る問題は、ただいま申しました郵側関係の二点の問題に集約されまして、現在最終的に成案を急ぎつつあるという次第でございまして、いつごろになるかというお尋ねでございまするが、ここ一カ月ないし二カ月の間にはある程度のはっきりとしたものが、郵便関係でございますが、まとまるというような考え方をいたしておるわけでございます。
  96. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、初年度実施年度は三十六年度ということになるのですか。
  97. 荒巻伊勢雄

    説明員荒巻伊勢雄君) ただいままでのところさように考えています。
  98. 森中守義

    森中守義君 資金計画ももちろん長期計画の中に一体化されていなければうそだと思うのですが、その通りですか。
  99. 荒巻伊勢雄

    説明員荒巻伊勢雄君) 資金計画も収支関係その他全体の中に織り込んで考えているわけでございます。
  100. 森中守義

    森中守義君 そこで長期計画と資金計画が一体になっていなければ計画にもちろんならぬのですが、大臣が数回にわたって料金改定の話を出されたのを見たことがあります。で、それはやはり長期計画の上に立っての大臣の言明であったのですか。
  101. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この郵便料金の問題につきましてでありますが、私は最近のこの郵便物の増高の傾向を見ておりますと、特に三種以下の郵便物、その中でもデパートあるいは証券会社等々のPR文書等が相当激増いたしてきておるわけでございます。そのために非常勤職員等も相当多く雇い入れまして、その物数の増高に対処いたしておりますし、また局舎等も現在非常に手狭になって、第二中央郵便局その他の局舎計画も立てておるわけであります。また昭和二十六年に改定をいたしましてから料金の調整はいたしておらぬ関係もございまして、その後の賃金あるいは給与の改善、特に民間の給与、賃金等の影響を受けまして、相当非常勤職員等の待遇改善も考えなければいけない、こういうような諸般の事情からいたしまして、今後長期的に見まして、郵政事業を独立採算制のもとに円満に運営して参りますためには、長期的な見通しの上に立って料金体系も再検討する段階にきてるんじゃなかろうか、こう考えておるわけであります。その際には一種、二種のような社会的、公共的な性格の強い面につきましては、できるだけこれを動かしたくないという気持を持っておりますが、全体的には先ほど申し上げましたように料金体系の合理的な調整を考えていく段階だ、特に長期計画とにらみ合わせまして、その必要を痛感しておるわけであります。
  102. 森中守義

    森中守義君 大体まあおっしゃらんとする意図はよくわかるのですが、やはり長期計画と資金計画が一体化されていないと長期計画の価値はないと思うのです。そこと私どもは従来しばしば、たとえば電電公社の第一次、第二次五カ年計画のような、そういうものが今日郵政省にも必要じゃないかというようなことを主張してきた結果こういうところまできたわけですが、何か長期計画の、原案が作業中であるのにぼこんと料金改定だけ出ますと、それとは別個のもののような感じがする、それが一つと。  それからもう一つは、今世間ではどうも郵政の予算総額は八〇%近く人件費に取られておる。それでまた八百何十円かの仲裁裁定が出た、あるいは新賃金の話が始まっておるというようなことが伝えられていて、何が何でもそういう職員の人件費に肩がわりしていくために料金改定をする、というように受け取られやすい面が非常に多いと思う。しかし実際の内容はもちろんそれもあるでしょう、しかしまあそれはそれなりに仲裁裁定委員会という公の機関が裁定を下しているわけですから、その辺のことは私は非常に微妙だと思うのですよ。しかし他面事業の拡大、施設の拡充ということはこれまた重要なことですから、ひとり人件費のみに充当するために料金改定というように世間がもし受け取れは、相当私はむずかしい世論の反撃を受けると思うのです。  それからもう一つは、電電公社からも例の料金体系の是正、合理化ということが次の国会あたりには出てくるようです。そうなると郵便料金の改定と電話料金の改定ということになりますと、一品に料金値上げというように世間にとられては、かなり私はむずかしい問題にこびれていくんじゃないかというようなことも考えざるを得ない。それで今ここでその大臣の言われるような三種、ことに低料扱いのものがはたして適正な料金であるかどうかということは、まことにこれは検討に値する問題だろうと思う。しかし、全体的な長期計画を出してもらって、その中で十二分に検討を加えたい、そういうことも考えておりますので、できるだけ料金の問題については事前に理解をしてもらうといいかもわかりませんけれども、よほど慎重に方々においでになった際におっしゃっていただかないと、逆に善意が悪意にとられるというようなこともあるでしょうから、その辺のことをとくと一つ御注意を願いたいと思っております。また料金のその問題につきましては、これから先重要な委員会の課題になってきますから、その際お話することにして、とりあえず人件費が増高するので料金改定というように受け取られないようなやり方をやってもらいたいと思います。
  103. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 別に御意見がなければ本日はこの程度にとどめたいと思います。明日は午前九時から委員会を開きます。  本日はこれで散会いたします。    午後零時四十九分散会