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1960-09-20 第35回国会 参議院 建設委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年九月二十日(火曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————   委員の異動 九月三日委員西田信一君辞任につき、 その補欠として米田正文君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     稲浦 鹿藏君    理事            武藤 常介君            田中  一君    委員            太田 正孝君            小沢久太郎君            大沢 雄一君            小山邦太郎君            田中 清一君            吉江 勝保君            内村 清次君            武内 五郎君            安田 敏雄君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣   建 設 大 臣 橋本登美三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    林野庁長官   山崎  斉君    林野庁林政部長 高尾 文知君    農 林 技 官    (林野庁指導部    治山課勤務)  山口 岩介君    建設省河川局長 山内 一郎君   参考人    全国治水砂防協    会常務理事   赤木 正雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (治山事業十カ年計画に関する件)   —————————————
  2. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  本日は前回に引き続きまして、治山事業十カ年計画に関します調査を行ないます。前回に、建設大臣並びに赤木参考人から計画案策定根本方針砂防重要性等につきまして説明をお伺いしておりますが、本日は林野庁から治山事業十カ年計画について御説明を承りまして、それに次いで質疑に入ります。  なお建設大臣は今閣議でございまして、閣議が済み次第出席するそうでございます。ただいま出席されておるのは山内河川局長高尾林野庁林政部長参考人として赤木正雄君が出席しております。  それでは治山事業十カ年計画について御説明を願います。高尾林野庁林政部長
  3. 高尾文知

    説明員高尾文知君) 私かわりまして、お手元にすでにお配りしてございまする資料に基づきまして、ごく簡単に御説明を申し上げたいと思います。  それに入ります前にこれは表題にも「治山事業十カ年計画(案)」となっておりまして、政府部内におきまして、それぞれ関係方面連絡はいたしておりますが、それがまだ閣議決定を経ていないという段階でございますので、そういう意味でお受け取り願いたいと思います。  なおこれは目下進行中の所得倍増計画と並行いたしまして、それの推移を見ながら決定といいますか、閣議に持ち出していく、こういう段取りになっております。  この経過を簡単に申し上げますと、すでに御承知のように、過般治山治水緊急措置法が成立いたしまして、それに基づく計画でございますが、計画の大宗でありまする治水計画につきましては、建設省の方でおやりになっておることでございますが、治山の方につきましては、林野庁の方で一応事務的な案を検討いたしたわけでございます。これが、去る七月の二十八日に、農林大臣から中央森林審議会会長宛諮問が出まして、それによりますると、「治山事業前期五箇年計画の案及び治山事業後期五箇年計画の案を別紙の通り定めてよいか、治山治水緊急措置法第三条第一項の規定により貴会の意見を伺う。」こういう趣旨諮問がございまして、八、九と二日間審議がございまして、七月の二十九日付で中央森林審議会会長小林準一郎の名前をもちまして答申が出ておるわけでございます。  「治山治水緊急措置法第三条第一項により諮問のあった治山事業前期五箇年計画の案および治山事業後期五箇年計画の案については、慎重審議の結果、全会一致次通り決したので答申する。」「記」としては、「原案通りで差支えない。」なおこれに付帯条件といいますかがついておりまして、「なお上記案の運用に当っては、確実にこれを実施することは勿論、昭和二十八年閣議決定治山治水基本対策要綱に明示されてあるように、本事業密接不離関係にある造林事業並びに林道事業についても積極的な実施に充分留意されたい。」こういう旨の付帯決議がついております。以上のような経過でございまして、従いまして、ただいまお手元にありますのは、先ほど申し上げましたように、あくまで計画の案として御提出しておるわけでございます。
  4. 田中一

    田中一君 ちょっと議事進行で。今の説明の中の審議会答申案というものがあるならば、資料としてすぐお出し願いたいのです。読み上げてもわれわれは頭に入らぬ、すぐ出していただきたい。
  5. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) いいですね、それじゃ案を出して下さい。
  6. 高尾文知

    説明員高尾文知君) 後刻御提出いたしたいと思います。
  7. 田中一

    田中一君 後刻では理解しにくいから、先にお出し願いたいと言っているのです。
  8. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 今出せますか。
  9. 高尾文知

    説明員高尾文知君) ちょっとお待ち願いたいと思います。
  10. 田中一

    田中一君 そういうものがあるなら、当然資料としてつけて出すのがわれわれに理解しやすいのですよ。
  11. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  12. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) それでは速記を起こして下さい。それでは説明して下さい。
  13. 高尾文知

    説明員高尾文知君) それでは「治山事業十箇年計画(案)」というものによりまして簡単に御説明いたしたいと思います。治山事業の緊急かつ計画的な実施を促進し、国土保全開発をはかり、もって国民生活の安定と向上に資するため、昭和三十五年度以降の十カ年間に千六百六十七億円(昭和三十五年度以降の五カ年間に七百二十九億円、昭和四十年度以降の五カ年間に九百三十八億円)の治山投資を行なう基本方針のもとに、治山治水緊急措置法昭和三十五年法律第二十一号)第三条の規定により治山事業前期五カ年計画及び治山事業後期五カ年計画を次の通り定める。次が第一といたしまして、治山事業前期五カ年計画について述べております。それから六ページの第二といたしまして、治山事業後期五カ年計画を述べているわけでございます。  一ページに戻りまして、第一、治山事業前期五カ年計画。  一、事業実施目標治山事業特に砂防事業と十分な連係のもとに、荒廃山地復旧並びに防止事業効果的に実施して、山地よりの土砂の流出を調整するとともに、急増する諸用水の需要及び土地利用高度化に対処するため、前記五カ年計画においては、治山治水緊急措置法第二条に規定する治山事業のうち、事業効果より見て特に緊急を要するものを実施し、昭和三十九年度末において全事業量の約三〇%を完成するものとする。この計画における事業種別ごと事業実施目標は次の通りとする。  (一)といたしまして国有林治山国有林地内及び民有保安林買い上げ予定地における荒廃地五万八千ヘクタールと年々発生する新生荒廃地約六百ヘクタールを対象とし、緊要なものを優先して二万ヘクタール、千六百カ所の復旧または防止工事実施するとともに、四千ヘクタールの防災林造成事業並びに八万一千ヘクタールの保安林整備事業実施するものとする。これが国有林治山でございます。  (二)民有林治山民有林荒廃地二十六万一千ヘクタールと年々発生する新生荒廃地約四千二百ヘクタールを対象とし、緊要なものを優先して七万九千ヘクタール、四千九百カ所の復旧または防止工事実施するとともに、一万七千ヘクタール、九十四キロメートルの防災林造成事業並びに二万八千ヘクタールの保安林改良事業実施するものとする。このうち事業の規模及び効果より見て重要な三十四地区(一万八千ヘクタール、千八百カ所)は国が直轄実施するものとし、昭和三十五年度以降十五カ年で完了することを目途として前記五カ年間に三十二地区(七千ヘクタール、七百カ所)の工事実施するものとする。  二といたしまして事業の量でございますが、前期五カ年間においては、治山治水緊急措置法第二条に規定する治山事業について総額七百二十九億円に相当する事業実施するものとし、事業種別ごと事業の量はおおむね次の通りとする。  一々読み上げるのは省略いたしまして、(一)国有林治山。これが百七十九億二千七百万円。事業種別荒廃地復旧荒廃防止地すべり防止防災林造成保安林整備と列挙したわけでございます。  (二)といたしまして、民有林治山五百五十億円でございますが、これが御承知のように直轄治山補助治山と分かれておりまして、補助治山をさらに内地と北海道とに分けておるわけでございます。細部は省略さしていただきます。  六ページへ参りまして、第二の治山事業後期五カ年計画でございますが、一、事業実施目標後期五カ年においては、前期五カ年に引き続き国土保全開発の見地から、効果の大なる治山事業実施を推進し、昭和四十四年度末までにおおむね昭和初期山地の状態に復元するとともに、防災林造成事業並びに保安林整備事業を極力推進するものとする。この計画における事業種別ごと事業実施目標は次の通りとする。同じく国有林治山民有林治山とに分けておりまして、(一)は国有林治山でございますが、前期五カ年に引き続き二万一千ヘクタール、二千カ所の復旧、または防止工事実施するとともに、一千ヘクタールの防災林造成事業並びに八万三千ヘクタールの保安林整備事業実施するものとする。(二)民有林治山前期五カ年に引き続き十二万ヘクタール、九千カ所の復旧または防止工事実施するとともに、一万三千ヘクタール、百二キロメートルの防災林造成事業並びに三万三千ヘクタールの保安林改良事業実施するものとする。このうち直轄治山事業は二十六地区(六千ヘクタール、一千カ所)の工事実施するものとする。  二が事業の量でございますが、後期五カ年間においては総額九百三十九億円に相当する事業実施するものとし、事業種別ごと事業量はおおむね次の通りとする。  同じく国有林治山と、民有林治山に分けてございますが、国有林治山の方は百八十八億三千八百万円、それから八ページの民有林治山の方は七百五十億円となっておるわけでございます。  以上、はなはだ雑に申し上げましたが、大体の十カ年のうち前期後期に分けました計画案は以上の通りでございます。
  14. 田上松衞

    田上松衞君 念を押しておきたいのですが、さっきの三ページのところで、初めから三行目九十四キロメートル、そうかと思ったところあなたの説明の中には、この場合は九万四千キロメートルと言われたわけだ。それから七ページについての二行目の場合、百二キロメートル、これは百二キロメートルと言われた、どちらが確かですか、  これは百二キロということであれば、三ページの場合でも九十四キロととるべきだろうと思うのですが、御説明の中では九万四千キロと説明されたのですが、どっちがほんとうですか。
  15. 高尾文知

    説明員高尾文知君) 申しわけありませんが、ここに書いてある通り、三ページ、九十四キロメートルでございます。私の読み違いでございます。御了承願いたいと思います。
  16. 内村清次

    内村清次君 あなたのただいまの説明では、治山事業の緊急かつ計画的な実施を促進するために十カ年計画を立てるのだ。そうしてその資金内容というものは、三十五年度以降十カ年間において一千六百六十七億円、それから前期が七百二十九億円、後期の方が九百三十八億円、こういう説明をされましたが、それが資料の方には、前期五カ年計画では五百五十億円、後期五カ年計画では七百五十億円、計が一千三百億円、こういうふうになっておりますが、数字が少しよけいになっておるが、この点はどういう関係ですか。
  17. 高尾文知

    説明員高尾文知君) 申し上げます。ただいま御質問のこの金額でございますが、資料の方に上がっておりますのは、第一の、千三百億、内わけが前期五百五十億、後期七百五十億と申しますのは、これは民有林関係治山事業でございます。これに国有林関係治山事業を含めますと、ただいまのような金額になるわけです。
  18. 内村清次

    内村清次君 そうすると、民有林国有林を合わせてその差額というものは、国有林関係の方の差額、それが加わったというだけですね。
  19. 高尾文知

    説明員高尾文知君) そうでございます。この国有林の方の金額は、資料の二ページの、別に二といたしまして提起いたしております。国有林治山事業長期計画……。
  20. 内村清次

    内村清次君 これが審議会の大体了承を得て、この内容でやれ、こういうような公式な話になっておるのだということですか。
  21. 高尾文知

    説明員高尾文知君) さようでございます。
  22. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、あなたの方ではこのような御計画をなさるにあたって、その基本となる考え方、いわばはっきり申しますると、治山治水基本対策要綱というのが二十八災に出されましたが、この基本対策に従ってこの治山計画というものはなされたかどうか。この点はどういうふうにお考えですか。
  23. 高尾文知

    説明員高尾文知君) もちろん大きな線といたしましては、基本対策要綱の線に沿って計画いたしておるわけでございます。ただその後いろいろ新しい現象が起きておりますので、そういうものを加味いたしまして、ただいまのような案を策定いたした、こういう実情でございます。
  24. 内村清次

    内村清次君 この現実、三十五年、もちろんそれから三十六年から今後十カ年間の問題につきましては、現実のこの三十五年度の予算計画につきましても、いろいろ現況は変化があるということは、これは十分わかる。が、問題はこの基本計画要綱というものがまだこれは十分果たされておらない、現況に合わせた工事計画というものはこれはなされるでありましょうけれども、基本計画でしっくりと基本的に、当時の状況から勘案して治山の問題を完全にやろう、という大方針が打ち立てられておるとすれば、これに従って今後の十カ年計画というものは、当然これは計画せられなくちゃならない、現実々々で予算がずっと変わっていくという形では、これが進んだならばいいんだが、二十八災の基本対策要綱というものが、これがすでにあなた方の仕事として完成したならばそれは別として、これがまだ中途半端なときにおいて、現実を重視してこれはこういうふうになるのだということでされては、これはいつまでたっても筋の通った治山計画というものはできないのだが、そういうところは十分農林省の方では、また林野庁の方では重視してやっておられるかどうか、この点はどうですか。林野庁長官に来てもらいたかったのはその点ですよ、あるいは農林大臣でも来てもらいたかったのはそこです。あなたの方ではたとえば三十四年度がこれだけの事業の進捗ができたんだから、それに合わせて現実の一番近いところに合わせて今後の十カ年計画をきめていこう、というような考え方でやっておられるのかどうか、その点が明確でないわけだな、こういう点はどうですか。
  25. 高尾文知

    説明員高尾文知君) 先ほど申し上げました通り基本対策要綱の線というものは十分尊重してやっておる、こういう考えでございます。もちろん先ほど来申し上げておりますように、治山治水緊急措置法というものを作らざるを得なくなったというようなことは、もちろんこれは重視されざるを得ませんので、その趣旨考えてこれはあに治山のみではございません、治山治水計画といたしましていろいろ検討いたしてこういう案を作り上げた、そういうことでございます。
  26. 内村清次

    内村清次君 その点はちょっと明確でないのだが、もちろん私たちが今後質問をしていきますけれども、治山だけではこれは災害防除ということはできないことはわかり切ったことです。治山治水も合わせて、特にまた治山関係がもとですから、その治山関係がやっぱり完備してなくちゃ河川のはんらんということはとうてい防止することはできない、ということはよくおわかりのはずですよ。それが私たち考え方では治山の方がまだ建設省関係との連絡が不十分ではないか、あるいはその守るべき分野が乱れておるのではないかということが、この委員会で再三政府の方を追及しておる問題点一つですよ、そういう点をお考えになって、それは何としても、二十八災のあの大災害後にできました基本対策要綱に従って、緊急治山計画というものがなされておるかどうか、というところを明確にしたいというのが私たちの念願なんです。それが一応考えておりますけれどもとおっしゃるのですけれども、それではあなたの方で二十八災の基本対策要綱とどういうふうな関連があるか、どういうふうな考え方事業推移というものがなされておるかという御説明ができますか、その点を一つ、そこに持っておられますか、二十八災のときの基本対策要綱、各分野にわたって一つ関連した御説明を願いたいと思います。
  27. 田中一

    田中一君 内村委員答弁ができないの、できないならばできないでいいですから、かわりにだれかきてもらったらいいですから、長官なりだれでも呼んで下さい、もとより所管外のことならわれわれ答弁を要求しても困るだろうから、その点はどうなんですか。
  28. 高尾文知

    説明員高尾文知君) 長官の方の都合も連絡いたしまして、できるだけこちらに出席いたすように連絡いたします。
  29. 田上松衞

    田上松衞君 関連して、きわめて簡単なことですが、ちょっとお聞きしておきたいのですけれども、案と資料食い違いがあるのですよ、一番端的に申し上げると、案で言われる場合のは、前期後期と合わせまして千六百六十七億ですね、そうでしょう。
  30. 高尾文知

    説明員高尾文知君) はい。
  31. 田上松衞

    田上松衞君 間違いありませんね、そのように案の中では書いてあるんです、はっきり。ということは、昭和三十五年度以降五カ年の間に七百二十九億、昭和四十年度以降の五カ年に九百三十八億、さっきの七百二十九億ですか、それでこの計が千六百六十七億になるわけですよ、この場合の計算は間違いないのです。ところが資料で出てきまするとこれが食い違っておる、民有の場合の前期の五カ年では五百五十億、それから国有の場合では百七十九億、ですからこの場合前期の場合は合わせて七百二十九億になるわけです。後期の場合で言いますると、国有の場合は百八十九億、民有の場合が七百五十億ですから九百三十九億になるのです。これでいきまするとこの数字は千六百六十八億になるのですよ、片方では、案の方では、一億くらいはどうでもいいとあなた方はお考えになっているかもしれないけれども、国民の場合の一億ということは大へんな金額ですよ、こういうのが案と資料とが食い違ってくると、どっちを一体信用すればいいか、さっきの答申はどれに基づいてやられたんでしょうか、なおその点の疑問が出てきてしまうと思うのです。案の通りだと言われる、案の通りだと言えば千六百六十七億だろうし、資料説明するところは千六百六十八億になるのです。どう信用すればいいのですか、その点。
  32. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ちょっと速記とめて下さい。    〔速記中止
  33. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 速記を始めて。
  34. 高尾文知

    説明員高尾文知君) これは計画の案として出してあります当初の千六百六十七億、これが正しい数字だと思います。
  35. 田上松衞

    田上松衞君 私が申し上げますのは、こういう大きな仕事ですから、その中で一千万とか三千万とかという違いは切り捨て、切り上げ等関係であろうと思うのです。しかし明確にこう資料を出された中に一億違ってくるということは一体こんないいかげんな、正しい数字をいいかげんに並べるものだろうかという疑惑を持つ。その点が一点。  もう一つの、案は、さっき言われた審議会答申された内容というものはどっちに基づいたのかということですね。細かいあれをやったのか、事業の一々の工事内容なんというものについては、技術者にまかせておけばいいので、われわれが考える問題はやはり予算関係ですよ。そういう場合に自分たちはどうこれを認識してかかればいいのか、それに一億という数字ですからね。それを言っているわけですよ。
  36. 高尾文知

    説明員高尾文知君) ここに詳細資料がございますが、千六百六十七億六千五百万円という数字が出ておるわけでございます、積み上げは。これを切り捨てましたのがこの当初の案に掲記してある数字でございます。これはあとの方の計画資料にはまるめてそれを出してありますので、ただいまのような御質問があったわけでございます。もちろんわれわれとしては十分検討いたしました結果いずれにするかということは問題でございましょうが、一応案といたしましては七億という数字で出してございますので、この数字によって、中央森林審議会としては決定されたというふうにお考えになればいいかと思います。
  37. 田上松衞

    田上松衞君 わかりました。
  38. 村上義一

    村上義一君 ちょっと内村委員質問関連して一ページに書いてあります「事業実施目標」、この中に「砂防事業と十分な連繋のもとに、」とただ抽象的に書いてあるのですが、この意味昭和四年に当時の内務省農林省共同で非常に詳細な調査検討をせられて、そうしていわゆる治山関係分野、そうして内務省所管砂防分野とを区分するという明確な書類ができまして、そして閣議を経て両次官名全国管下一般依命通牒せられておるわけであります。おそらくそれを意味するのだと思いますが、砂防事業治山、つまり荒廃地復旧事業とは有機的な関連がなければならぬと思うのであります。従ってそれに対処すべく昭和四年に両次官名依命通牒が、閣議決定を経て指令されているのであります。これは今日ももちろん生きていると思うのであります。それをこれは意味しているのでありますかどうかという点と。  いま一点、内村委員も指摘せられました治山治水基本対策要綱、二十八年にきまりました、これをおそらく今回の調査を無視しておやりになったのじゃないと思う。これの基盤の上に立っての御調査の結果、ただいま御説明になったような数字が現われてきたのだと思うのであります。であるとすれば基本対策要綱で、きまった治山費のうちで今日まで、正確に言えば二十九年から三十四年度までに遂行したその残りの残事業量はこれこれだ、そしてさらにその間にいろいろ災害等のために新規に発生した、いわゆる追加事業量というものがこれこれだ、この合わしたものはいわゆる今回の計画基盤になっておるのだと思うのでありまするが、その辺が明確を欠いておりますので、一つ説明を願いたいと思うのであります。要するに治山治水基本対策要綱基盤の上にもちろん立っている。それならば今日の残事業量がどれだけだ、また新規に追加する事業量がどれだけだという御説明を伺いたいと思うのであります。さらに最初に申しました砂防事業との十分な関連のもとにということは、昭和四年に両次官名依命通牒を発せられたものを指摘しておられるのかという、この二点を伺いたいと思います。
  39. 田中一

    田中一君 内村委員村上委員関連して伺っておきたいのですが、それはここにある荒廃地復旧という事業はどういう形の事業を行なうのか、これを一つできるならば絵解きして説明をして下さい。それから次に荒廃防止という事業はどういう事業を行なうのか。これも絵解きしていただきたい。次に地すべり防止というのは地すべり防止法によるところの事業と思いますけれども、林野庁としてはどういう事業を行なうのか。これも絵解きしてもらいたい。それから防災林造成、これは大体わかると思いますがこれはどういう地点をどうするか。これも絵解きしてもらいたい。それから保安林整備というのも現在ある保安林はどういうもので、これをどうするかということを絵解きしてもらいたい。われわれは残念ながらここに文字で現わしてある事業と、あなた方が実際にやっている事業とは非常な食い違いがあるのじゃないかというような、われわれの視察、あるいは実見、自分の目で見た目から言いますと、非常に違っておりますので、これを明確にしてもらいたい。これは内村委員村上委員質問関連がありますから要求しておきます。
  40. 高尾文知

    説明員高尾文知君) ただいまの当初の御質問でございますが、昭和四年とおっしゃいましたが、昭和三年だと思いますけれども、それの閣議決定のあの趣旨に沿ってやっておるかどうかという大きな御質問がございましたので、それにつきましては、私ども特に治水事業との調整ということで、この案を作りますときにいろいろ考慮いたした点の大きな一つでございます。当時審議会の方に配りました資料の中にも特にその点は明記してございまして、一応参考までに読み上げますと、「河川、ダム、砂防計画はもとより、発電ダム、農業ダム等についても、それぞれ出先機関において連繋協調して、総合的な効果を上げ得るよう計画の調整を行なった。特に砂防事業との調整については昭和三年の閣議決定」——(参考付表)として先ほど御指摘の通牒をつけてございますが——「に準拠し、山腹工事を主とするものは治山、渓流工事を主とするものは砂防の所掌に属するものとし、主要流域については本省間において施工予定後さらに綿密な調整をはかり、計画個所の重複をさけるとともに、総合効果の確保に努める」ということを特にその際申し添えておるわけでございます。従いまして、先ほど御指摘のありました旧内務省農林省時代のあの閣議決定趣旨、並びにそれに基づきます両次官からの各地方長官への依命通牒というものの趣旨はそのまま生きておる、また、それに従ってわれわれもやってきておると、こういうように考えておるわけでございます。  なお、関連いたしまして計数的な説明の問題でございますが、これは担当官が参っておりますので、説明いたさせたいと思います。
  41. 山口岩介

    説明員(山口岩介君) 昭和二十八年の治山治水基本対策要綱におきます治山事業計画でありますが、その中の砂防事業と特に関係のあります山地治山事業は、十カ年計画で三十六万一千町歩、二千二百五十一億二千一百万円でありました。これは国有林事業も含んでおります。その後復旧あるいは災害荒廃地の発生、それから事業内容の変更その他調整がありまして、三十四年度末残は三十二万町歩、一千八百七十五億一千一百万円になっております。今次の長期計画はこの全体計画をそのままとりまして、これの約七割を十カ年間に復旧することにいたしております。で、調整その他の変更のおもなものを申し上げますと、民有林国有林間におきまして、民有保安林の買い上げによりまして約五十一億が民有林から国有林に移っております。それから復旧しましたものが約四百七十三億、それから発生しました災害荒廃地が三百五十一億、それから事業計画の変更その他による調整が、減でありますが、二百五十三億減になっております。それを全部差し引きましたものがさきほど申し上げました一千八百七十五億であります。
  42. 村上義一

    村上義一君 ただいま、案の一ページにあります第一の一、実施目標について、砂防事業と十分な連繋のもとにという趣旨は、かつての内務・農林両次官命による依命通牒趣旨だと、あれを厳守していくんだという御説明を伺いました。これは昭和三年に閣議決定があったと記憶します。しかし、それでもさらにこれを明確ならしめるために、両省間に協議を重ねられて、そうして両次官の依命通牒昭和四年の十二月に、さらに重ねて閣議の了解を得て全管下に通牒せられたと私は記憶いたしておるのであります。まあそれは時期はよろしいが、どうも関連として田中委員から申されたように、現実は非常にあの通牒の趣旨と異なった工事が行なわれつつあるということを遺憾に思っておるのであります。したがって、田中委員から図面で説明を求められたのだと思うのであります。私も同様のことを痛感いたしておりますので、この依命通牒趣旨を農林・建設両省間において十分徹底せしめるように特に要望いたしておきます。
  43. 内村清次

    内村清次君 ただいま田中委員及び特に村上委員から言われましたことは、私の質問関連しておりますが、大体私の質問内容の点も触れておられるのです、質問の要点がね。というのは、二十八年の基本対策要綱に従って一体今日まで、今回の法律がきまって今後十カ年間の計画を立てるというまでに、治山関係におきましてはどれくらいの進捗率がなされておるか、どれくらいの予算が投下されておるかというようなことを一つまず明らかにしてもらいたい。それはどこまでも基本対策要綱というものを尊重した意味においての事業の進捗率というものはどうなっておるか、これをまず明確にしてもらいたい。ただいまの答弁を見てみますると、今後十カ年間においてさきほど言われましたような一千六百六十七億円を確定をして、そうしてそれによって大体七〇%の進捗率を示すんだ——今後の問題を言われているんだな。今までの問題の説明がなされておらない。この点を十分一つ説明をしていただきたいということをまずつけ加えておきます。  それからまた、村上委員の言われました中に重要な問題があるのです。これはあとで質問しまして明快に究明していきたいと思うのですけれども、まず昭和三年に閣議決定がなされている。それの取り扱いが四年にまた次官名で出されている。その取り扱いまで出されているけれども、それが現実には明確にその分野というものが守られておらない。はっきり言えば、林野庁関係仕事というものが治山の区域を離れて、そうして建設省砂防の区域に食い込んだ個所がたくさんあるじゃないか。だから、これは一つ田中委員の言われるように図面で説明しなさい、こうやって明確にされているのですから、今あなたも来られて、十分そういった質問の要点がわからなかったと思うのですけれども、それをやはりはっきりと出してもらいたいと思う。というのは、これは今までこの委員会農林大臣にも来てもらいました。これは私たちはこの委員会に席を置いておりますのは長いのだが、もう何回と大臣はかわっている。そのつど、重要なときには、特にまた災害は最近では毎年起こるのだから、それを委員の各位はみずから山に行って現地を見て、そうして十分現地の林野関係の人たち建設関係の人たちと相談しながら現地を見て、腹の中に、頭の中に入れているのですよ。ところが大臣はその場限りの答弁のがれで全く無責任だ。で、私たちは、今回の緊急措置法がきまり、またさらに特別会計もきまった今日ですから、今回は一つこういった災害というものを再び山のもとからただして、この点に重点を置いて、そうしてすっきりした適切な予算計画を立ててもらいたいという念願で、委員の方々もこの点には非常に熱心なんです。そういう関係だから、あなた方がこういった月に一回しか開かぬような委員会に責任者が出て来られないとか、来てもちぐはぐな答弁をしておっては困るのだ。やはり時間は有効に使って的確な答弁をしてもらって、そうしてこうやっていきますぞ……、閣議決定の前には両省の関係というものが非常に密接になって、こうやって両省ともに力をあわせてやろうじゃないですかという意気込みを見せてもらわないと……、私たちはこれはおざなりでやっているのじゃないのですよ。この点は十分お考えになって、委員の方々の質問に対してはやはり急所を突いてそれに答弁をしてもらいたいと思う。以上です。
  44. 田中一

    田中一君 一体、今われわれは何を協議しているのですか。答弁できない政府委員は帰ってもらって下さい。答弁できる政府委員に出席してもらって下さい。
  45. 山口岩介

    説明員(山口岩介君) 基本対策要綱から現在までの実績でございますが、山地治山におきましては大体二割を実施しております。で、残事業が一千八百七十五億でありまして、このうちの約七割強でありますが、山地治山は大体一千五百億弱をやるように計画をされております。  それから、砂防事業との重複の問題でありますが、これは過去たびたび問題となりまして、治山の方でも若干の行き過ぎもあったように思われております。しかし今次の長期計画につきましては綿密に現地で調整をいたしまして、山腹の荒廃跡地の復旧緑化及びその基礎となる溪流工事は、治山事業対象としまして、その他の貯砂用のダム、あるいは山腹工事の全然できない、植裁の見込みのない所における工事、そういうものは砂防対象といたしまして十分連係をとって重複のないように、あるいはぬかりのないように十分できていると考えております。
  46. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 林野庁長官は三十分ぐらいしたら来るだろうというのですが……。
  47. 田中一

    田中一君 私はこの閉会中にも山を見て歩いているのですが、実際に山腹砂防を行なわなければならぬという地点が放任されて、そうして、全く溪流砂防というか砂防施設を農林省がやっている実態を見ている。当然山腹の荒廃があるにもかかわらず仕事をしていないという点が多々あるのです。  そこで今度の治山治水緊急措置法によるところの事業というものは、この計画によって少なくとも五カ年間は縛られるわけなんですよ。どういう考えで、むろんこれは地元等の災害といいますか、実態から見て積み上げられた計画であろうということは信じておりますけれども、事実あなた方がやる仕事というものは何かということを知りたいわけであります。でありますから、たとえば今の荒廃地復旧というものは何を指しているか、具体的にどういう形のものかという点を明らかにしてほしいのです。あなたは、末端において砂防事業を担当する土木部とそれから山腹砂防を行なっているところの林政というのですか、これは話し合いができているということを言っておりますけれども、話し合いができていないのが実態なんです。勝手にやっているのです。まあこれは幸いここに吉江元山梨県知事がいるから、吉江さんなんか実情をよく知っていると思うのですが、特に山梨県なんかのそういう実態をよく知っている。岐阜県なんかに行ってみると仕事の話し合いはしていないのです、勝手にやっているのです、仕事を。でありますからこういう問題について、一つ具体的な、この場合にはこういう仕事をするのだということをあなたが、スケッチでもかいて見していただきたいのです。やっぱりやすきにつくのです。当然山腹の土どめ工事ができるものでも、それをうっちゃっておいて、そうして溪流にあなたの方で砂防を作っている実態がたくさんございます。なるほど働く人たちも、それは山の中でそういう仕事ばかりしてはつまらん、そういう点を考慮されていると思うのですけれども、これは別の問題だ。実際に今、村上委員が言っているように、昭和三年、昭和四年、二回の依命通牒によっておのおの分担する分野というものはきめられておりながらそれに対して拡大解釈をしたりなんかして勝手気ままに仕事をしているのです。ほんとに勝手気ままに仕事をしている実態を知っているのです。でありますから、国有林民有林補助治山等の事業と実態というものは何かということを明らかにしていただきたいのです。この部分は山腹砂防関連する事業であるから、この溪流に対しては堰堤を作るんだというものがあるならあると、これはどのくらいの個所ございますと、全然治山事業ができないからこれは捨ててしまいます、従って、これはどこか建設省の方の砂防事業でやっていただきたい、溪流砂防をやっていただきたいという地点がどのくらいあるのか、それを明確にしてほしいのです。仕事というものはやすきについてはいかぬのです。困難であるからこそ治山事業を行なわなければならないのです。ですから具体的に示していただきたいのです。補助砂防はどんなものがどうあってどういう地点でどうであると、具体的に示してほしいのです。計画そのものはよくわかっております。それは決して悪いものだとは考えておりません。当然しなければならぬ。またあなた方が良心的にその事業計画というものを積み上げたものだと思います。具体的に何々県においてはこういう例がある、こういう実態がある、これはこうするのだということを明らかにしていただきたいのです。これは何も治山関係の問題ばかりを伺っているのじゃないのです。建設省河川局長にも同じように実態に対しての質問をしているのです。なぜかと申しますと、今度の計画によって五カ年間というものは縛られてしまうのですよ、事業そのものが。それはむろん災害等によって新しく発生するものはこれは別でしょうけれども、あた方の目にとまらぬ事業が残されてしまうならば、これは知らなければならないのですよ。これは政治的にも実体論としても非常に重要な計画なわけなんです。だからくどくわれわれが河川計画質問したと同じように治山計画に対しても十分にそういう点の質疑をかわしておきたいのです。従ってもう少し親切に具体的に答弁なさい。あなた方はこれで長い間仕事をしているのじゃありませんか。ですから伺っている。昭和三年、四年の依命通牒内容というものでやっているはずでございますとか、それを守っておりますとか、多少行き過ぎがございますとかいうような抽象論じゃなくて、私は、具体的に今度の事業はこうしてやるんだということを議事録に残しておきたいのです。だからあなた方はその権限がないなら林野長官呼んで——あなたの方に二へんも三べんも同じようなことを繰り返すのはたまらぬですから、その趣旨で責任ある答弁を議事録に残したい。残す以上はあなた方はそれを実行することです。もうあえてあなた方が説明できなければ説明は聞きませんから、あなた方が林野長官にはっきり言って、その答弁を林野長官から求めます。
  48. 山口岩介

    説明員(山口岩介君) 具体的な計画でありますが、流域ごとに、森林区ごとまでに全部おろしまして事業計画ができております。その図面は今持ってきておりませんですが、図面をお持ちして御説明いたしたいと思います。  それから復旧工事の具体的な内容という御質問でありますが、これは崩壊跡地の緑化の工事と、それから溪流の侵食が原因して崩壊しておりますような場合には、溪流工事も伴うわけであります。その溪流工事治山分野でやっております。それから防止事業でありますが、これは最近の災害の実態から見まして、崩壊跡地の復旧だけではいけない、未然に崩壊を防止することができれば非常に効果的であるということで、大蔵省の方からも特に強力な要望がありまして、崩壊が予想されるような場所、これは主として溪流沿いになりますが、地形、地質あるいは降雨量から見て非常に崩壊の可能性が大だというような溪流につきまして、あらかじめ小さい谷どめ、これは高さは五、六メートル以下のものでありますが、小さい谷どめを入れまして脚を固定する、また一方溪流に関係のない山腹につきましては、亀裂なんかの発生しているものに対しまして一部の排水溝、あるいはくい打ちなどのような、山腹崩壊の予防施設もやっておりますが、全般的に見ますと復旧工事が八割を占めておりまして、防止の工事は二割程度であります。
  49. 田中一

    田中一君 きょう参考人として出席されております赤木さんに一つ伺いたいのでありますが、ここに示されております、非常に簡単な総括的な文字でものて表現されているところの事業というものと、実際に行なっておる林野庁事業というものとを、どういう工合に実体論として理解されておるか伺っておきたいと思います。
  50. 赤木正雄

    参考人赤木正雄君) 先ほど林野庁の御答弁を聞いたのですが、昭和三年の閣議決定と、昭和四年にその閣議決定はこういうふうに解釈すべきだという意味で、内務、農林両次官から各長官に出した通知、これをはっきり了解されていないというふうに解釈いたしました。と申しますのは、先ほどの御答弁の中に植樹のできぬものは砂防工事とす、こうおっしゃいました。これは昭和三年の閣議決定はそれがあったのです。それで溪流工事内務省の所管とす、ただし植裁のできない山腹工事内務省の所管とす。それから造林を主とするものは農林省の所管とす、これに関連する溪流工事農林省所管とす。ただしこれは見方によってはどっちがどっちだかわからないのです。それで困る人は実際仕事をしてもらいます地方民でありますから、これをはっきりしようというので、昭和四年に内務、農林両省の通牒が出ております。それには植樹のできない山腹工事内務省の所管とするというふうなことははっきり消してあります。よし植樹しても崩壊の大きくないというものは、やはり内務省の溪流工事関連して仕事をするというようになっております。それからこの農林省のなさる仕事は、山腹工事の維持あるいは修繕を主として、これに関連する溪流工事ということになっております。でありますから、山腹工事の維持あるいは修繕、いわゆる山腹工事というのは農林省の所管で、いわばどうしても山腹工事の維持あるいは復旧上必要なものは、これはやむを得ぬということになっております。それから先ほどの農林省のお話の中で、溪流の侵食による崩壊は溪流工事でも農林省、こういう御答弁がありましたが、これは大へんな何といいますか、農林省のなさる分野砂防工事のすべき分野とを混淆しておりゃせぬか、どの溪流をと申しましても、溪流がその両岸を侵食してそれを崩壊するのが大部分なんでございます。そういう場合にどういう仕事をするかといえば、申すまでもなく山腹工事ではありません。主として溪流の堰堤などをやる、そうすれば自然に崩壊が防げる、こういうふうになっていますから、溪流を侵食する仕事農林省がやる。これは非常に昭和三年、昭和四年の両省の通牒と違反した行為と、こういうふうに解釈せざるを得ないと思います。
  51. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 林野庁長官が出席されました。
  52. 田中一

    田中一君 同じことばかり繰り返しているのだけれども、部長の方から長官に話して御答弁願います。
  53. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 林野庁の行ないます治山事業建設省の行ないます砂防事業とが、どういうふうな関連を持って今事業をやられるか、ということの問題についての御質問と承りますが、基本的にはただいま、この建設委員会におきましても私から御答弁申し上げましたように、昭和三年の閣議決定昭和四年におきます両次官からの地方長官への依命通牒という線に沿ってやっていることはもちろんでありますが、林野庁工事主体はやはり山腹を主体にして工事をしていくということは、この線からも当然でありまして、ただこの山腹工事をやるということに伴いまして、土砂が下流に流出するというようなことは、当然防がなければならないという限度におきまして、堰堤等の工事もあわせて行なっていくという形でやるべきである、というふうに考えておりまして、われわれの計画もまたそういう線に沿ってこれをやっておる次第であります。
  54. 田中一

    田中一君 河川局長に伺いますが、今赤木さんの指摘された問題、それから林野長官並びに林野庁の各説明員説明した問題等と関連して、実態というものはどういうふうに理解を、理解というか、おのおのの事業に対する認識を持っているか伺っておきたいのです。私ども依命通牒趣旨は今赤木さんの説明された通りだと思うのです、ここに通牒文を持っておりますから。ただ実体論としてはそういうような形のものが行なわれておらぬということを指摘しなければならないのですよ。非常にあいまいなものであって、今赤木さんが言っているように、侵食してあぶない、山崩れがくるんじゃなかろうかと思うような所を溪流工事をして、あなた方の方で砂防工事の堰堤を作れば、これはしずまりますから崩壊が防げると思う。というのは、これは山復の荒廃防止関連する砂防工事という認め方をしようとするのか、あるいはこれは崩壊した、そこでこれはそれより以上の崩壊をとめるには、砂防堰堤というものを作って崩壊をとどめるのだという仕事は、これは農林省仕事と理解しようとするのか、その点が非常にあいまいなんです。そうして現場においても、現場というのは末端の都道府県においてもこれらが調整をとって仕事をしておらないのです。まるで力づくでものをやっているような感じすら受けるわけです。そこで河川局としてはそういう点に対する理解はどういうふうに持っているか、伺っておきたいと思うのです。
  55. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 建設省砂防事業農林省治山事業との関係の問題でございますが、実際的には非常に各個所ごとの計画をきめるという段階になりますと、この文章だけでは果してできるかどうか、多少の疑問のところがあると思います。ただ精神は昭和三年の閣議決定昭和四年の次官の通牒、これによりまして当然やるべきであります。従ってこの線で実際に具体的に個所をつき合せしなければ重複……、あるいはこの線に沿って実際の両省の計画ができているかどうかということは非常にむずかしいと思います。今回の治山治水十カ年計画におきましてはその点を十分注意をいたしまして、溪流ごとに両省で事務的に打ち合せをやっております。その結果、現在としては両方の打ち合せした線によって今後実施をしていく、こういうことで現在進めている状況でございます。
  56. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) もう一点補足的に説明さしていただきたいと思いますが、山が崩壊いたしまして、それからさらに山腹工事を行なうという事業、もちろん林野の治山事業の中心でありますが、これに比較しまして山腹が崩壊に瀕しておる、それに少しの手を加えれば非常に少ない経費で、しかも効率的な効果が得られるという場合が少なくないのでありまして、いわゆる予防治山という考え方でこれを林野庁も始めておるのでありますが、これにいたしましても、もちろん大きな溪流にダムを作るというふうな仕事をこの部門でやる、というふうにはさらに考えてないのでありまして、そういう事業に伴いまして実施するダムにいたしましても、ほんとうの山の上の、いわゆるわれわれの方では野溪と呼んでおりますが、そういうものにきわめて簡単な空積みの堰堤を作るという程度のものをやっているわけでありまして、溪流に対してそういう工事をやるということは、われわれは考えてないということをつけ加えて御説明いたしておきます。
  57. 田中一

    田中一君 しかし今まで完全にもうどう見ても溪流と実態がみなさなきゃならぬ場所に、ずいぶん農林省砂防を作っておりますね。これは作っておらぬという否定はできないと思うが、今までどうでしたか、林野庁長官
  58. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 昭和三年の閣議決定及び付属しました依命通牒にもありますように、また河川局長から今お話がありましたように、なかなかこの文書だけでは現場というものを律することは非常に困難なことは御承知通りでありまして、各河川ごとあるいは溪流ごとに両省の計画を打ち合せまして、どういうふうにどっちでやるかというような点、疑問の点は両者で連絡し合ってやっていくということで進めておるわけでありまして、この文書通りできないという場合も、文書にもまあそういう趣旨のところもあるわけでありますし、そういうふうに十分打ち合せしてやるという形に進んでいることをお含み願いたいと思います。
  59. 田中一

    田中一君 河川局長、そういうあいまいな通牒がまだ生きているということは、これはやっぱりおのずから行政分野においてあまり好ましいことじゃないと思うわけです。私はできるならば砂防工事なんというものは一本にすべきであると思っている。おのおの別々にですよ、たとえば山腹砂防、溪流砂防という分け方をしているけれども、それがなかなか十分に個所々々によって判定がつかないという危険が多分にあるならば、そのためにしないことも困るのです、しなければならないのです。従って一つにするというような議論も成り立つのじゃないかと思うのです。また、あるいは現在そういう機構になっているからということで、もし変えようとするならば、この昭和三年の閣議決定というものをもう少し具体的に、それから近代的に、実態的にこれを修正すべきであるというような考え方が出るわけなんですよ。なるほど、中央においてはそういう話し合いは、一応大蔵省という金を出す方の担当省がありますから、いろいろそういう意味の疑義等は、話し合いで了解ができなければ金も来ませんから、やっておろうと思いますけれども、末端になりますと、それはそう行なっておらないのです。昨年でしたか岐阜県へ行って驚いたのです。全然話なんかしたことがないというのです、砂防課と林政課といいますか。そういうことは事務分担の分野予算の配分の点から見ても、はなはだ不明確な制度と、それから、今のような古い感覚のものでそのままそれを踏襲して今日まで来ているのだというところに、間違いがあるのじゃないかと思う。この治山治水五カ年計画というものを、あるいは十カ年計画というものを策定するにあたって、当然それらの問題は解明されて、国民の前に知らさなければならないと思う。その点はどういう考えを持っていますか。
  60. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 昭和三年、四年のこの両省の関係の問題でございますが、このときにも、先輩の方々の話を聞きますと、両方はっきりした取り扱いというものをきめることは非常にむずかしい、そういう話も聞いております。  従って、この取り扱いの中にも次官通牒の三でございますが、「溪流工事ノ維持上施行スル山腹工事ニシテ面積大ナル場合及山腹工事ノ維持上施行スル堰堤多数ニ及フトキハ各主管ノ部課ニ於テ工事連絡ヲ採ル為メ協議スルコト」として、なお協議事項が残されておるというような状況でございます。しかし、これをさらにはっきりさせるということについては、私たちも努力をいたしておりますが、さらに努力をして明確なる取り扱いにしていきたい、こういうふうに考えております。
  61. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ただいま建設大臣が出席されました。
  62. 田中一

    田中一君 明確にしていきたいと——明確にすればいいじゃないですか。実際もう三十数年たっている。三十数年たって、今日ではおのずからそれらの結論が出ているのではないかと思うのです。三十年間いわゆるなわ張り争いみたいにして、不明確な担当分野というものがそのままで残されておるということは、国民には迷惑なことなんです。そこにやはり災害を人為的に招くというような行為をあなた方は侵しておるということも、決して過ぎた言葉じゃないと思うのです。ましてや直轄工事があり、それから民有地に対するものを持ち、あるいは補助工事もある。林野庁林野庁として、もし極言すれば、山くずれは私の方は一向差しつかえございません、まあ土砂があまり下へ行かないような、流れないような施設をすれば、小さな崩壊なんというものは当然あり得ることですからうっちゃっておきたいのだ、というような思想もあり得ると思うのです。治山庁じゃない、林野庁なんだ、そうして特別会計で林伐等によってもうかっておる林野庁に、治山の面をおっつけるところに無理があるのじゃないかと思う。もう林伐等をして収入があるのですから、それを全部治山のために使っていいのです。全額使う。それも林野庁でやる場合には、しいていえば植林、造林の商売という見方も言えるのじゃないかと思う。従って、そういう今までの帝室林野局的な古い伝統がある役所ですから、これは新しい近代的な国民のもの、国民の所有であるというような形に切りかえる、そういう腹になれば昭和三年、四年のこの通牒等も、具体的に明確に、協議を行なって一つの新しい結論を出すことは当然であろうと思うのです。これは河川局長から一つ大臣によく話をして、昭和四年のものを三十一年間うっちゃっておいて、いまだにそれが解決されないなんということはあり得ないのです。この中には旧憲法時代の問題もあったでしょうし、また帝室林野局という、どうにもならない強い権力を持った役所であったと思うのです。そういうものに国民の生活を擁護する行政というものが圧殺されていたということもあり得ると思うのですが、今日は違うわけなんです。しいていうならば林野庁をほんとうに国民のものとして、国民生活のために必要な林野庁ということにならなければならぬと思うのです。今の問題一つ取り上げても、そういう点について一つこの際十カ年計画を策定するにあたって、そうした問題は完全に解決して、なお足りないものは、むろんこれは同じ総理大臣のもとに分担しておる行政分野ですから、話し合いが当然あっていいと思います。せめてそういう問題を解決する方向に向かってこの十カ年計画というものを樹立するということは、当然であろうと思うのです。その点一つ今、大臣来たばかりだから理解しにくいかもしれぬけれども、河川局長よく話をして答弁を……。
  63. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) ただいまの田中委員の御質疑並びに御意見はごもっともでありまして、関係事務当局としては連絡協議を重ねて、原則的にはその打ち合わせは済んでおるようであります。ただ工事を施行する場合においての場所においては、工事施行上そのつど、現場に従っての協議を進めなければならぬ場所もありまするが、原則としては協定通りに両者がお互いに資料を持ち合って、そうして図面上の協議は十分に遂げておるわけでありますが、今申したように、個所によっては、なお個所々々に従って具体的に協議を進めて施行する、こういうような方針でやって参っておるわけであります。なおこの今回の十カ年計画につきましても、一つ一つその場所等については林野庁と打ち合わせをして、その場合において詳細な点まで具体的に打ち合わせを進めて、予算の分担等を決定いたしておるような次第でありまして、なお今後これらの処置につきましては、御意見の通り明確にこれをして、なおかつ施行上においても円滑を欠かないようにやって参りたいと思います。
  64. 田中一

    田中一君 あなたね、昭和三年、四年に出ているこの「砂防事務ト荒廃地復旧及開墾地復旧事務ノ取扱ノ件」というような通牒は、今日までいろいろ行政分野において混乱を招いているという事実をお知りならば、少なくとも今回の画期的な治山治水十カ年計画というものを策定するにあたって、これを明確にするのがあなたの義務なんです。事実今まで三十年来この通牒によってその分野を担当して来た。しかしながらそこにもやっぱり混乱があるということならば、今回の十カ年計画を策定するにあたっては、当然これを明確にすべき義務があると思うのです。画期的なこの事業を行なうに当然のことだ。もししいて言うならば、いやこの通牒でいいですよという御意見ではなかろうと思うのです。従ってその点について十カ年計画を策定するんだ、そういう点についての意義というものは、当然これは解明して国民に安心させるということにならなければならないと思うのです。その点の決意を伺っているわけですどうですか。
  65. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) おっしゃる通りにこれはまあ昭和三年十月十日に流れました通牒ですが、その通牒はイロハと書いてありますが、イは「原則トシテ溪流工事及山腹の傾斜急峻ニシテ造林ノ見込ナキ場合ニ於ケル工事内務省ノ所管トス」、まあ今の建設省であろうと思います。ロは「森林造成ヲ主トスル工事農林省ノ主管トシ尚溪流工事ト雖モ右工事ト同時ニ施行スル必要アル場合ニ於テハ農林省ノ主管トス」、一応この原則としてはこの文書に表われておるように、所管の区別はこの文書の上では一応表われておるわけであります。ただ問題は、現実の現場の状況からいえば、必ずしも文書の上でこう分けたように、しからば分けられるかと言いますと、おっしゃる通りに分けられない部分が実際上出て来るだろうと思うのです。一応この原則がありますからして、この原則に従って当然これはあえて現場を見なくとも分けられるものは、これはもう問題ないのですが、このいずれに属するかその現地の実情に従ってきめなければならないものもあります。そういうこの文書に含まれざると言いますか、あるいは含んでおることになるのでしょうか、この文書だけで処置できないような現場については、一つ一つ農林省建設省が個々の問題について打ち合わせをして、そうしてこれは建設省でやることにする、これは農林省でやることにすると、こういうやり方で今日まで、今回の策定にあたっても、この方針を踏襲して現実調査とそうした文書上といいましょうか、通牒上における区分と、こういうものとを合わせまして今回の内容の策定をきめていく、こういうやり方をとって参っております。従ってこの文書を原則としてそうした措置をとってお互いの所管を明らかにする、こういう形をとっておるわけでありまして、その点一つ御了承願いたいと思うのであります。
  66. 田中一

    田中一君 明らかにして、明らかにしてとあなたはおっしゃるけれども、明らかになってないから伺っておるわけなんですよ。今日まで歴史的に明らかになっておらないのです、実体論としてですよ。だからどうするかを伺っておるのです。従って、私はこの際こういう通牒なんかに関係あったという、今参考人として出席しているところの赤木さんが関係しておったと思うのです。あなたにも責任があるじゃありませんか。従ってあなたからもどうすればいいかという御意見を一つ伺いたいと思うのです。
  67. 赤木正雄

    参考人赤木正雄君) 今大臣のお答えがありましたが、局長から大臣に昭和四年の両次官の通牒によって昭和三年の閣議決定はこういうふうに解釈するのだ、それを大臣にお話になっていないから、大臣がああいうような御答弁をなさっていると私は思います。昭和四年の両次官の通牒には何らの疑問はないのです。先ほど林野庁長官からして空積みのあの場合は、これは山腹工事としてあるいは包括するおそれがある、こういうようにおっしゃいましたが、その通りです。そういうふうに山腹工事に包括するかもしれないというような観点から、空積みの堰堤でもおさまるというふうなものなら、当然林野庁がなさって差しつかえないと思いますけれども、そんなものではないのです、実際は。田中さんもほぼ御承知でありましょうが、要するにどうしたかと、私の責任であります。確かにこれは決定するとき私はその当事者でありました。昭和三年にも四年にも私はその責任者であります。だんだん協議をして来た。結局予算の問題だ。そのときちょうど内務省予算農林省予算のところで、この決定によって両方の仕事をするからと、やり方を見てこのように予算もこれくらい、それからして仕事もこういうふうに決定する、それでうまくいくというところでこれは決定したのであります。しかし第三項にあるように、どうしても協定のできぬものは両省で協議するとありますが、大体はこの溪流工事は大体内務省で、上砂崩壊があってそうしてその崩壊を溪流工事関連してやってもいい、こういうまあ面積の大きくない限りは造林いたしましても内務省の所管でこれはいい。それからしてもう一方では山腹工事の維持あるいは修繕これに関連する溪流工事は、農林省の所管でありますからして、どうしても山腹工事が主たるものであります。その山腹工事の維持しなければならぬあるいは修繕しなければならぬそういうふうな溪流工事は、大体わかっています。従っておのずから限界がきまっているんです。田中先生おっしゃった通りにこれを文句でもってはっきりして、なお具体的に。その当時でも一体こういうことを両省でまたがっているのはおかしいので、これは一省に持っていくべきだ、これは非常に議論された。しかしどうしても一省に持っていくことはできなかった関係でこういうふうになりました。従って大体は今申しました昭和四年の通牒を通じて運営をやっていく。ただこれに関する予算が今日のように向こうの予算とこっちの予算がうまくバランスがとれていないときには、非常に変なことが起こりますけれども、予算さえうまくいけば両省の通牒で実際はうまくいくと思います。
  68. 内村清次

    内村清次君 林野庁長官、僕は先ほどあなたがまだ欠席しているときに、林野庁関係治山の今後十カ年間の計画について、二十八年に策定された基本対策要綱というものをどういうふうに尊重し、そうしてその十カ年間の予算計画というものを立てられたか、こういう点を質問した。これに対してまだ明確に答弁がなされておらない。ただ私がここで答弁として聞きましたことは、今日までの基本対策要綱によるところの予算計画は、事業費において約二〇%の進捗率だと聞いていますが、で、今後十カ年間を後期五カ年、前期五カ年として、あなたの方から資料を出しておるような一千六百六十七億円を突っ込むと、大体七〇%の進捗率になるんだという説明がなされておる。そこで私が、それではこの基本要綱の中に農林省関係、特に林野庁関係が、今後、また従来この基本対策によって措置をしてきたところの、たとえば林野関係においては治山事業、それから保安林の整備拡充、保安林の管理、さらに造林、搬出施設の合理化、伐採規制の確保というような、こういう各項目に対する進捗率というものは一体どうなっておるか、これを端的に具体的に一つ説明を願いたい。  その前に林野庁長官は、この二十八年に作成せられたときは一体どういう職におりましたか、それからそれとこの基本対策という問題について、林野庁長官になった後から全責任を負うてあなたはこの基本対策要綱というものを守ってきたか、予算の上にどういうふうな考え方で守ってきたか、それをまず冒頭に一つ答弁してから予算内容を具体的に説明してもらいたい。
  69. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 二十八年ごろはたしか当時の経済安定本部におったように思っております。二十八年後治山事業林野庁におきまして関係を持つようになりましてから、この治山治水事業計画の線で達成していくということに、十分なる誠意を持って十分な努力を払わなければならぬということで、予算その他の折衝に当たってきたというふうに考えております。
  70. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ちょっとお諮りいたします。食事の時間がきましたからこれから一時まで休憩しまして、一時から続行いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは休憩いたします。    午後零時二十四分休憩    —————・—————    午後一時十八分開会
  71. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  御質疑の方は御発言願います。
  72. 内村清次

    内村清次君 先ほど私が質問いたしました答弁が、まだ途中で切れているようですから、その質問に対して答弁していただきたい。
  73. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 治山事業基本対策要綱に基づきますその後の実行の状況及び今後の十カ年間におきます事業計画を簡単に申し上げますと、治山事業におきましては、基本対策要綱計画に対しまして、三十四年度までの実績が約二〇%であります。これの三十五年度以降の残りに対しまして、十カ年間に約七〇%の事業実施するという計画になっておるのであります。次に防災林の造成事業に対しまして、基本対策要綱に対しまして、三十四年度までの実績が約二五%に相なっておりまして、十カ年計画におきましては、残りの事業に対して約八〇%を実施するという考え方でおるのであります。次に保安林整備事業につきましては、基本対策要綱に対しまして、三十四年度までの実績が三八%、今後の十カ年間におきましては、残されたもの全部を実施するという計画になっておるのであります。
  74. 内村清次

    内村清次君 ただいまそのパーセンテージだけの御説明ですから、実はまだ私といたしましては不十分だとは思うのです。ただこのパーセンテージだけを見ましても、どうしても私たちが納得いかない点が二、三点ありますから、その点を一つ説明願いたいと思うのですが、まずその考え方ですね。というのは、私がなぜ長官に、二十八年の十月十六日に治山治水基本対策要綱というものを決定して、今後災害に対してはこうやって強力に防除するのだという、これは当時私たちも、二十八年までにもずいぶん年々たくさん災害事故はありました。ありましたが、特に全国的に非常に大惨害を起こしましたこの災害に対しまして、もう一つ保守党でもやはりこれは本気になって、敗戦後の国土保全につきましても、また特に敗戦というああいったみじめな環境からようやく立ち上がろうとする国民が、年がら年じゅう災害復旧災害復旧と追われて、しかもまた、こういった大災害を起こした以上は、何とかしてこの災害を強力に一つ防止するのだ。防止の点まで考えて、国費をこれには集中して、復興及び防除対策を立てるという本腰になった姿の保守党の姿を要望しておったのですよ。で、この基本対策が、当時吉田内閣として副総理の緒方さんが責任の立場をとって基本対策要綱というものができた。その対策要綱によって、今日まで尊重する尊重すると言いながら、わずか二〇%ぐらいの進捗しか見ておらないという事態が——これは建設省関係にもありますよ。これは建設省の方はあとでそういった今日までの事業の進捗状態から残事業までのパーセンテージは出ておりますから、これははっきりわかりますけれども、農林省関係といたしまして、わずかこれぐらいのパーセンテージしか出ておらないということを非常に私は遺憾に思う。というのは、あなたが当時の官職から長官の方に栄転せられまして、先ほどの御答弁では、基本対策要綱というものを十分尊重して予算折衝をしておる次第と、こう言われておりますが、まず基本対策要綱方針の中にはっきりとこう書いてありますることは、「特に公益上緊要な河川流域及び重要水源地域については継続費制度によって事業の早期完成を期する。」、これは河川関係もございまするが、特に第三の「措置」のところに、まず治山関係として、「山崩、はげ山、地すべり地等の荒廃林野及び荒廃に移行しつつあるもののうち、公益上重要なもの三六万町歩について荒廃の復旧及び防止を行うの外、二六万町歩の水源林の造成を行う。右のうち治山治水上重要な地域については、事業完了期間は七ケ年とする。」、こう明確にしてあります。  これはもう基本要綱というものは具体的要綱ですよ。最初の目的のところにおきましても、「近時の深刻な災害の頻発する現況に鑑み、この際従来の治山治水に関する諸施策に再検討を加えて、」「これが強力な実施を推進し、もって国土保全開発に遺漏なきを期するものとする、これが目的ですからね。こういった心がまえで、そうして強力な施行の措置として、もう七カ年間というものは期限が切ってあるのだな。切ってあるにもかかわらず、もう今年まで、大体二十九年から実施したといたしましても、もうすでに三十六年では八年ですね。三十五年度では七カ年です。七年にはもう完了しておらなくちゃならぬのだな。この進捗は、山くずれ、はげ山、地すべり等の荒廃林野等の状態は一体どうなっておりますか、具体的に。
  75. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 先ほど御説明しました通り荒廃地復旧をしなければならないもの、あるいは防災林の造成をしなければならないというようなものは、基本対策要綱計画に対しまして、先ほど申し上げました通り、二〇%あるいは二五%というふうな程度の進捗を、三十四年度末におきましてもその程度の進捗しか見なかったということは、われわれとしても非常に遺憾に存ずる次第でありまして、今後この治山治水につきましての十カ年計画が策定されまして、閣議決定を見るという段階にようやく相なったわけでありまして、これによって期待しておる事業というものは、計画通り実施するということに全力をあげて進んでいかなければならぬというふうに考えておる次第であります。
  76. 内村清次

    内村清次君 まあその全体的な陳弁的な言葉でなく、これはやはりお互いに研究しなくちゃならぬところですよ。たとえば先ほど言いましたような治山事業としての大きな項目でも七カ年間で完了するのだ。いわゆる災害の一番もとである治山というものを七カ年間で完了すると、こういう厳格な、非常に国民を安心させる期間というものを明示した規定が設けられておるのだな。特に第二項といたしましては、「保安林の整備拡充」において、「保安林の配備」の点ですね。これには「治山治水上重要な水源地域については昭和二十九年度以降三カ年以内に六十六万町歩の保安林を、その他の地域については四カ年以内に二六万町歩の保安林を新たに設定する。」と、こう書いてある。これはどうなっておりますか、この具体的問題は。
  77. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) ただいまの保安林の設定の問題につきましては、三十三年度をもちまして必要な地域の調査を完了いたしまして、今年度中に大体計画の線に沿った保安林の設定ができるというふうに考えておりますが、一部分——きわめて一部分、三十六年度に事務的な手続の関係上残るものが出るという形になるかと思っております。
  78. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、それは何ですか、第二項の「保安林の管理」という項に、「保安林管理の適正を期するため重要な水源地域の保安林については三カ年以内に、その他の地域の保安林については四カ年以内に保安林管理実行計画を樹立し、」、この実行計画の中ですか、今おっしゃったのは。「且つこの実行を指導監督するため、民有保安林に対しては監視員制度を設ける。」、(ロ)の項には、「保安林管理の徹底を期するため重要な水源地域にある公益上重要な林地については、森林所有者の申出により国が買上の措置を講ずる。」、「民有保安林に対する適切な補償制度を確立する。」、こういうことになっておりますがね。
  79. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 保安林につきましては、二十九年の基本対策要綱に従いまして、やはり保安林整備臨時措置法というものを制定していただきまして、必要な地域に保安林を大幅に増量設定するという線と、先ほど先生のお話しのありましたきわめて重要な地域の民有保安林につきましては、所有者の希望があれば国が買い上げるという二つの法律的な事項を内容とする臨時措置法を制定して進んでおるのでありまして、保安林の設定につきましては、先ほど御説明した通りであります。それで、重要な水源地域の民有保安林の買い入れにつきましても、二十九年から継続実施いたしておりまして、大体年々三万町歩前後の民有保安林を現在継続して買い上げてきておりまして、今後ともこれは続けていきたいというふうに考えておる次第であります。  なお、保安林の施業につきまして監視人を置くという一項目があるように思いますが、これはいまだ実現はされていないのでありますが、森林法に従いまして、保安林の管理というものを適正に実施していくということで、各府県に林業改良指導員というものを二千数百名置きまして、こういう仕事も分担させて実施しているという現状であるのであります。
  80. 内村清次

    内村清次君 そこで、第三の項に「造林事業」というのがありますね。この中の「造林事業計画実施」という項目の中に「森林資源を積極的に維持培養しその保全効果を発揮させるため、次の方針により昭和二十九年度以降八カ年以内に四七九万町歩の造林事業計画的に実施する。  右のうち重要な水源地域については、特に財政援助の強化によりその促進をはかる。」、そしてまあ第一項からありますけれども、いわゆる二十九年度以降八カ年以内に四百七十九万町歩の造林事業計画的にやるということになっていますが、この計画はどうなっておりますか。
  81. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 造林事業につきましては、林野庁の公共事業の中におきましても、一番計画と実行が相似かよるというふうな線にあるのでありまして、基本対策要綱等をもとにして計画しました造林面積に対して、八〇%ないし八五%程度の成果を上げつつあるのでありまして、その基本対策要綱につきましても、大体その程度のものは達成されておるというふうに考えております。
  82. 内村清次

    内村清次君 そこで、あなたが答弁された通り、確かに基本的には二〇%内外、造林事業については二五%、保安林関係が三八%、こうやった数字しか進捗率というものがないわけです。で、私が不審に思いますことは、たとえばそのときの、別表として、この林野関係としましては、一般会計が五千四百五十億、そのうちにこれは各項目がありますが、治山事業として一千九百九十六億、国有林の特別会計として、治山事業として二百八十四億、こうやった数字が明確にもう確定されてありまして、そして基本対策要綱というものは具体的に計画ができ上がった。  そこでお尋ねすることは、こうやった数字を出される上については、これはあなたは当時おられなかったというんですが、しかし、責任者としてこの数字が出た根拠というものは、十分その当時お調べになったことであろうと思う。こういうような大きな基本対策というものができるんですから、今まで累積しておったいろいろな予算上の不便を考えて、そうしてそれも一つ一気に解決するというようなことで、大きなこれは審議会ですか、協議会もお作りになって、そうしてその基礎になるところの各統計というものをじっくりと立てて数字というものはでき上がったものだと思う。たとえば一般会計として五千四百五十億という、それに今後の十カ年間におきまして、あなたの方では、大体一千六百六十七億、こうやった予算計画をプラスをして、二〇%の進捗率というものが、どうして七〇%の進捗率になるか。これくらいの予算の増加でなるか。私は計算の考え方が違っているかもしれませんが、その点はどうして七〇%の進捗率になっていくかという経緯、それから基本対策要綱を策定したときにおいては、これはもうほんとうにその当時累積しておったところの地方の災害関係をやりたい。防除関係も正確な調査のもとにこれは立てましたというような御答弁であるかどうか。それも一つ含めて答弁をしていただきたいと思う。
  83. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 基本対策要綱におきまして、数字的に申し上げますと、山地治山事業は二千二百五十一億円を要するというふうになっておるのでありますが、これに対しまして二十九年から三十四年度までの実績が、先ほどお話しました通り、約二〇%の進捗率になっておるのであります。で、三十四年度末におきます事業の残というものが二千百四十三億ということになるわけでありまして、これに対して今後十年間に千五百二十九億円の事業実施するという計画になっておるのでありまして、大体先ほど申し上げました通りのものができるというふうに考えておる次第であります。
  84. 内村清次

    内村清次君 そうすると、今後十カ年間の予算計画としては、私が申しましたあとの方の資料によった一千六百六十七億だが、しかし、これは三十五年度以降ですから、三十五年度の予算も含め、三十四年度の予算も含めていけば二〇%よりも幾らか進捗率というものは上がってくるという現実性はあるわけですね。
  85. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 先ほど御説明しましたのは、山地治山だけについて申し上げましたので、誤解があるかと思いますが、基本対策要綱におきまして、山地治山、それから防災林、保安林、この三つを加えますと、二千四百八十四億円の事業を予定しておったのでありますが、これに対しまして三十四年度末の実績が約二二%ということになりまして、三十四年度末における残量が二千三百六億円、これに対して十カ年間に千六百六十七億円の事業実施するという計画になったのであります。それで基本対策要綱に従いましても、三十五年度の事業量を加えますと、基本対策事業に対して三十五年度末においては約二六%の進捗率になるということになるわけであります。
  86. 内村清次

    内村清次君 そこで、この治山事業の、これは基本対策要綱によるところの二百八十四億という、国有林関係の特別会計のこの数字というものは、これは当時の策定といたしましては、あなたの方の一つの基準になる、根本になるというような正確さがありますか、どうですか。
  87. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 国有林特別会計におきます事業は、大体基本対策要綱等で定めました線とほぼ同じような線で進んでおるというふうに了解しております。
  88. 内村清次

    内村清次君 この点は私が特にあなたに注意を喚起しつつ質問いたしますのは、十分これは建設省関係も、この予算の出し方、それからまあこれは当時の災害個所、あるいはまた今後やっていかなければならないというようなことについて、数字的にも十分建設省とはお話し合いの上で確認し合った数字であるということを、私たちは確認してよろしゅうございますか。
  89. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) その通りであります。
  90. 内村清次

    内村清次君 そこで、これは結論的に、先ほど大臣も御答弁になりましたように、建設省関係との治山砂防の問題ですね、いわゆる施行区域の明確さという問題については、先ほど十分、田中委員村上委員からもお話もあり、御答弁もあったわけです。この点がどうも最近乱れておる。私たちもやはりその点は現地視察いたしまして乱れておるような感じがいたしますから、これはもう個所別に指摘してもよろしいですよ。あなたの方の施行した堰堤がどういうふうな、何年これはもうやって、こういうふうな状態になっておるという、個所別に指摘してもよろしいです。私は資料を持っていますからね。しかし、これは時間の関係もありますから……。確かに認定といたしましては、現地を調査した結果、まだ十分な、すなわち連絡調整というものが乱れておるのだという認識はあなたの方では持って、国会答弁だけで十分やっておるというようなことでなくして、これは一つ厳格に守りつつ、やはり分野をはっきりして、建設省関係でやらすやつは一つやっていく、また技術的な問題はその技術者の方にまかせていくというような方針を確立して、今後十カ年間の治山治水対策に基づくところの法律に従って一つやっていただきたい、これは一つ要望しておきます。
  91. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) お説の点につきましては、治山砂防両者がほんとうに渾然一体となりまして総合的な効果を発揮するように実施されなければならないということは、もうお説の通りでありまして、われわれもそういう方向に進まなければいかぬと強く感じている次第であります。午前中に建設大臣からもお話がありましたように、この十カ年計画につきましては、具体的な個所ごとに両者で調整もいたしておるわけであります。今後さらに実行の段階におきましても十分に府県その他を督励いたしまして、そごのないように今後も一そう努力していきたいというふうに考えております。
  92. 内村清次

    内村清次君 建設大臣にお尋ねいたしますが、これは前委員会でも申し上げましたように、この緊急措置法が制定せられましてから、もうすでに措置法の中には施行期日も明確になっております。だからして私たちは大体六月ごろ閣議でもうすでに内定しておりまするような九千二百億のワク内でか、あるいはまたどうなっておりますか、今後御質問していきますが、一応九千二百億のワク内で河川審議会の議を経て閣議決定がなされる、こういうような予想を立てておったわけです。そこで特別会計と同時に、明確な基本のもとに今後は確実な責任を持った予算の遂行がなされていく、事業の遂行がなされていくのだ、こう期待しておりましたが、もうすでに九月になっていて閣議決定がなされておらないというような事情のようでございますが、その間の事情を——いつごろに決定されるものか、どういうような今の作業の進行状態であるか、この点につきまして御答弁を願いたいと思います。
  93. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) 内村さんのおっしゃるように、大へんにおくれておりまして、われわれの方でも十カ年計画を具体化するためには、閣議決定を一日も早くしてもらうことが大前提として必要でありまして、近く経済企画庁ともこれが打ち合わせを進めておるのでありますが、今、経済企画庁の方では、所得倍増計画に伴って全体的な計画を進めておるわけであります。ことに最近のできるだけ新しいデータによって所得倍増評画を練り直しておるというような事情から、この治山治水特別会計に関する閣議決定の件が、それらの調査とにらみ合わせましてだんだんとおくれて参りまして、まことに残念でありますが、なお建設省としては、今申したような建設省本来の事業計画の推進の必要上から、一日も早く経済企画庁の方でこれが最終的な調整ができることをやかましく注意いたしております。今のところでは十月の上旬になりはしないかというように考えておりますが、なお御意見のように一日も早く決定する必要がありますからして、経済企画庁その他関係各省と十分に連絡をとって、できるだけ早くこれが最終決定を見るような措置を講じたい、かように考えております。
  94. 内村清次

    内村清次君 当時この法律をきめますときに、政府のお話では、もちろん当時はこの所得倍増の御計画もあったやに世間には流布されておりました。しかし、まだこの策定中でもありますし、御承知のごとく三十四国会は安保の問題が中心になりました関係で、予算委員会でもその問題の論拠については十分な説明もないし、またその点は深く質問がなかったような様子であったことは、当時私たちも十分承知しております。がしかし、今日確かに池田内閣として所得倍増の問題が表面に出てきたことは、これは偽りないことでございましょう。がしかし、私たちがずっと考えておりますと、やはりこれは根源は経済の拡大と同時に、国民所得が大きくなっていくと、その過程において基本的な産業復興案を確立する問題につきましても、それと計画の路線というものが一致していかなくちゃならぬということは、これは理論的にはわかります。わかりますけれども、問題は一番、村上建設大臣のときも重点になったのは、この基本対策要綱というものをどう生かしていかれるか、しかもこの基本対策の要綱によって、そして十カ年間の残事業についての計画的な推移については、九千二百億という数字が一応内定しておるんだ、それをどうやって配分していくかということが論議の中心であったわけですね。そして当時の建設省としては、基本対策の際も、残事業が相当あるんだから、これをまず完遂していこう、こうやった考え方のもとに説明がなされておるわけですよ。そうすると一面に、池田内閣の所得倍増というものが上にこう出てきますと、今の大臣のように、またこちらの方がきまらぬからなかなか確定もできぬのだ、こういうような形になっていって、先の先にいきますと、これがワクを拡大されて、九千二百億というものを拡大される気持でずっと作業を進められておるかどうかですね。この点が明確にならないと、なかなかここでまた細分して論議をしましてもおかしなことになって参りますし、大臣の腹としてはどういうふうなお考えですか。九千二百億のワクを拡大していくんだ。道路予算でさえもこれだけの拡大をしておるんだからして、この予算はぜひとも拡大した形で策定をしていくんだという腹がまえで言っておられるのかどうか、この間の事情を一つ十分御説明願いたいと思います。
  95. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) この総ワクの問題につきましては、皆さんが御承知通りに、これが治山治水特別会計としての十カ年計画をきめる際に、経済企画庁の見方と建設省の見方と、相当相違があったことは御承知通りであります。もちろんこれは経済企画庁としては、当時のいわゆる経済企画庁の持っておる経済成長率等を基準にして、そうして将来こうした計画量に対する出し得る範囲内というものを測定をして、そこからまあ当時十カ年——前期五カ年で、企画庁の方の考え方は、二千五百億もしくは六百億程度のことを主張しておったわけであります。建設省としては、これは経済企画庁の経済成長率等、日本の経済の将来の伸びというものを、もちろんこれは考えなくちゃなりませんが、それにしても経済企画庁の考え方が、あまりに基準のとり方が低過ぎるということを主張しまして、御承知のように大蔵省の意見と経済企画庁並びに建設省との意見の三者の食い違いがありましたが、最終的には総理の裁定によりまして、そうして前期三千六百五十億円、こういうことに決定を見たわけであります。従って計数の置き方という点ではいろいろ問題がございましょうが、建設省が内閣の決定を仰ごうとしている内容は、資料として差し上げましたように、十カ年計画総額九千二百億円、前期で三千六百五十億円というものをわれわれは認めてもらいたいと、こういう考え方で、それに従って河川砂防、その他の内訳を決定してもらおうと、こういう考え方でおります。従って内村さんがおっしゃるように、最近の新しい経済率をとって、そうして残十カ年計画総額を広げる考えはないか、これを広げる考えを持っているかどうか、こういう御意見については、この九千二百億円という総額決定した経緯から考えましても、一応この辺で本年度決定する場合においては妥当であろう。ただ将来、今後二年、三年後の経済成長率が、最近のように高い成長率を示すということが、一つの安定的な傾向になってくれば、これはもうまた当然この時期においては、やるべき事業総量というものは、九千二百億円をはるかに突破しているのでありますから、従ってその場合においては、また改定する時期はあろうとは考えますが、今日のただいまの状態においては、昨年度決定されました九千二百億をもって、一応現在の経済成長率から考えてはやむを得ない総額である、こういう見解で進みたいと考えております。
  96. 内村清次

    内村清次君 それで大臣の気持もわかりました。そうしますと、やはり拡大ということでなくして、九千二百億のワク内で一つ論議をしていこうじゃないかと、こういうことに限定されるわけですね。それでそういう考え方で、私たち質問して参りたいと思うのです。願わくは、私たちもやはりこれは新大臣の構想としての道路計画に見合ったような考え方をしてもらいたい、拡大をしてもらいたいという気持は、これは特に私はあるのです。これは大臣もこの職務を引き継がれましてから、そう感じられたと思うのですね。やはり災害関係を、早く一つ国土保全していくということは、一番大切なことだと、こう思うのですから、事人命にも関する問題でありますし、私たちも特に感じておりますけれども、今の方針で一応論議していきたいと思うのであります。  私も先ほどから、この基本対策要綱の細部について、農林省関係考え方も聞いたわけですけれども、概して私たちが聞いてみますると、進捗率というものが非常に農林省より低いということを発見するのです。私たちは一般に今まで年次予算だけ見ておりますと、どうも農林省関係治山関係予算というものは、建設省治山と匹敵するこの砂防関係予算とは非常に差が大きいと、なかなか農林省関係予算獲得はうまいなというような感じがしておったのですね。が、しかし全体的進捗率を見てみますと、非常に低い。そこでそのうまいところの農林省に対して、どうして建設省はこの砂防予算というものがいつもいつもいじめられているか、理論的にも計数的にも、どうしていじめられているか。あれほどこの委員会が何回にもわたって決議をして、各大臣はそれに対しては、誠意あるところの答弁だと私たちは思っているのですが、ところがその誠意ある答弁、形の上、言葉の上では誠意ある答弁だけれども、どうしても軽視される。どこにその根源があるかというところで、今まで私たちは努力しているわけです。これがどうしても解明できない。今回、先ほど言いましたように、この基本対策の策定、同時に非常に正確な統計のもとに出されたというその数字であるといたしましたならば、国有林の特別会計の治山事業が二百八十四億、事業費としてですね。その当時の砂防直轄砂防が三百億と、こうなっておるのです。この三百億というものは、おそらく河川局長も、今林野庁が言われたように、当時の資料としては、これは正確な資料をもってこの数字というものが出たのだと、こうおっしゃると思うのですね。そうしますと、この数字と比較検討してみますると、すなわち農林省治山関係を一とすれば、建設省の方の直轄砂防の点の数字一つとってみても、大体一・六八の比率になっていかなくてはならない。これが毎年の砂防予算としての比較論としては、やはり、この計数というものがずっと拡大されていかなくてはならない、こういうふうに私たち考えておるのです。この基本からあなた方に砂防予算は少ないじゃないかというようなことを追及しておるのですが、大臣としてはこの比率というものはなぜ守られていかないのか、この原因について調べられたことがございますか。
  97. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) こまかい点は局長から答弁させますが、私詳しいことを、何といいますかわかりませんが、皆様の方が詳しいかもわかりませんが、やはり問題は歴史的ないわゆる事情というものが大きく作用しておると思います。農林省が山を治めるという昔からの伝統、政策、その中には早くから一つ砂防等もやっておったでしょうが、河川関係——建設省はまず川を治めるという考え方、従って砂防の歴史は先ほど赤木さんがおっしゃられましたように、やはり建設省としては比較的に新らしい事業だろうと思うのです。そういうところに発足上の予算的措置が十分でなかった。こういうことで、全体の河川行政と申しますか、治水行政から見れば、いわゆる砂防事業というものがおくれて参ってきておる。それを何としてもこれは治水の全体の計画から見れば、砂防というものは重大に考えなければならぬことは、御説の通りであって、従ってこれを取り戻すために、できるだけ十カ年計画においては按分を砂防に置いてやっていく、こういうことで計画は進められておるのでありまするが、ただ全体として考えますというと、今建設省として治水事業に投ずべき必要な金というものは財源等を考慮しないで、ただ必要な金という点からいえば、一兆五、六千億くらいになるだろうと思うのです。しかし財源等の措置からして、緊急にやらなくちゃならぬものが、当然十カ年以内にこれくらいの仕事はやりたいと考えていても、その財源の裏づけとしては経済成長、いわゆる日本の経済規模からいって、九千二百億円と、こう押えられますというと、この九千二百億円のワク内で緊急なる河川の改修と砂防、ダムとをどう分けるか、こういう問題が出て参るわけであって、ことに最近台風があるたびに河川のはんらんがある。もちろんこれは根源的に言えば、砂防もしくはダム等を整備していくことが必要ではありますが、現実の問題として河川の堤防が破壊せられる。こういうような実情がしばしば出て参りますというと、その間においてやはり河川等の改修も緊急なるものとして計上せざるを得ないし、当然また治水本来の性格として砂防のことも考えていかなければならぬと、こういうあるワク内にしぼられておるということからして、そこに思い切った、いわゆる委員会各位が御希望なさるような金額を全面的にかけていくことができない、こういうような悩みがあるわけであります。しかしそういうことがありましても、何といってもこれは全体的に私も現場を相当見まして、砂防等に対してはやはりこれは思い切った措置を講じなければならぬという感じは強くいたしております。従って閣議決定にかける場合において、どういうような河川あるいは砂防、ダム等の割合をどうするか、こういう問題は私としては特に考えてこれが処置を行ないたいと、かように考えておるわけであります。
  98. 内村清次

    内村清次君 ただいまの答弁を信用するとすれば、まあ現在あなたの方で出してありまする前期五カ年計画の中の河川が二千四十億、砂防が七百三十億、それからダムが八百十億、機械が七十億、合計の三千六百五十億と、こういう数字というものは、これは固定的な問題でなくして、今度まあ砂防は幾らか一つ考えていかなくちゃならぬというようなふうに信用できるわけですね。大臣、これは重要な発言ですから、やはりこれは守っていただきたいのです。私たちが今努力いたしておりまするのは、その点の九千二百億にしぼって参りますると、これはまあ数字はまだ言いませんけれども、私はこの点は守っていただきたい。そうでないと、今までの各大臣が答弁せられたことと、それから基本対策要綱という問題を中心にして建設予算、特にまたこうやった河川予算砂防予算、ダム予算というものが作られてくる過程が信用できないというような形になっておりました関係もありますから、この点は一つ大臣、閣議決定の際には、この後の委員会にはやはり姿の変わった数字で、増額された数字一つぜひ委員会審議に出していただきたいということを私は端的に、ほんとうにもうよく実情を知っていられるのだから、これは強く要望いたしておきます。がしかし、私はその中でもどうもまだ二、三点ふに落ちないところがありますから、これは河川局長でもよろしいのですよ。また大臣十分もう腹の中に入れておられるようですから、大臣の答弁でもけっこうですが、とにかくそういう数字が変わってくる、増加するという前提のもとに、また二、三不審の点をただしておきたいと思うのです。  それでその第一は、これは大臣に特に念を押しておきたいのですが、先ほど言いましたように、この三百億の当時の直轄砂防数字というものが非常な正確な資料のもとに策定せられたのだ、農林省もこれを認めたのだ。そうしてくると一対一・六八という計数というものは、これはやはり私たちは、予算獲得の際にはこの比率のわずかばかりの変更はあるにしても、大体この姿の砂防予算というものが治山に対して予算額が明示されてくるのを期待するわけです。それはやはり建設省の伝統的な大臣の予算獲得の政治力という点に帰着するだろうと、私たちは、こう思うのです。だからその全体的な河川及び砂防、ダム等の予算の総ワクから分けていくという姿でなくして、やはり対農林省治山予算とこの比率を変えずに、今後やはり砂防には重点を置いてやっていくという確固たるやはり建設省方針というものが大臣の方針であり、大臣の意を体した河川局の責任ある態度でなくちゃならぬと思うのですが、この点はどうですか。
  99. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) 今、内村さんからいわゆる治山治水基本対策における治山事業砂防事業との比率の問題のお話がありましたが、これはおっしゃる通りに、一に対して一・六八という数字であるのにかかわらず、今回は十カ年計画でこの数字を両者ともにですね、一対一・一六、こういうような数字にこのままでいけばなるわけであります。私が先ほど申しましたのは、いわゆる比率の問題を中心にして考えてはおりません。というのは、御承知のように、その後におけるところの河川改修といいますか、台風襲来によっての新しい種々の条件が生まれてきておることは御承知通りであって、従来河川改修を十カ年以内にやらなくてもいい個所においても急速にこれはやらざるを得ない個所がふえてきた。それはそれでもって、この基本対策の、昭和二十九年以降における河川災害状況というものは大きな変化を来たしております。しかも全体から考えれば、それらの事業というものも緊急欠くべからざるものであって、これを放置することもできない。そういうような昭和二十九年以後における河川行政のあり方あるいは災害のあり方等から考えて、総額として、先ほど申しましたように一兆四、五千億円のワクを認められれば、両者いずれとも十分にある程度やることはできるのでありますが、九千二百億円というワク内で事を処理するということになれば、やはりその間に緩急の度合いも出てくるわけでありまして、従って河川の改修というものと砂防の設定等というものを、どういう工合にバランスをとっていくかということになるというと、一応建設省の事務当局の案としてできたのが、資料として申し上げておる砂防金額になるわけであります。これは御承知通りに、一に対して一・一六ということになる。こういうことになるわけなんですが、しかし、これに対しても現実の姿から見れば、河川局としては十分に砂防の重要性を勘案してこういう数字を出したものである、こういう見解であります。しかし、なお私はこれに対して、最近河川審議会の審査、あるいはみずから現場を調査した結果等を勘案して、そうして一応これは標準の数字でありまするが、これに対して建設大臣としての考え方を織り込むということは可能でもあるし、かつまたやるべきことでもあろうと考えておりますので、この点については今後善処いたしたいと思っておりまするが、ただおっしゃるように、一対一・六八の数字でなければならぬのじゃないかと、こういう見解に対しては、必ずしもその見解はとっておらない。その後の河川状況の実態から考えて、もちろんできればいいのでしょうが、予算上の制約から考えて、必ずしもその数字にはとらわれないで、一応事務当局でできておる案に対して、これをそのままでいこうとも考えておりませんし、従って、私としては重点を置いて一つ考えていきたい、かように考えております。
  100. 内村清次

    内村清次君 大臣、あなたの御答弁は、建設省でとった予算の中から砂防河川という問題を御説明していらっしゃるわけですよ。そうでしょう。砂防の一対一・六八という、これは治山の、すなわち農林省関係に対するところの比率ですね。それを一・六八であるというけれども、河川の方でも緊急にやらなくちゃならぬ関係もあるから、やはり砂防予算も、一・六八に見合うところの予算河川の方に回しても、これはもうやむを得ぬ場合のときもあるのだと、こういうお話ですね。私の申しますのは、原則としてこの二十八年の基本対策要綱にはこうやって三百億と二百四十六億ですか、こうやって農林省関係の、すなわち直轄治山の問題と、それから建設省関係直轄砂防の問題と、予算の比率というものがはっきりしておるのだから、これは厳格な資料のもとに出されておるのですから、この姿というものはどこまでもやはり建設省としては一つ守っていってもらいたいというのが私の原則論ですよ。そこで現実論として、あなたが、この建設省にきたところの予算関係では、先ほども繰り返しますけれども、河川の方に必要もあるが、砂防の方にもとっていかなくちゃならぬ場合もある、こうおっしゃっているのですけれども、私の言うのはやはり予算を獲得するときに、農林省の方の予算、たとえば前期計画におきまして、五カ年計画におきましては、農林省関係治山予算というものは五百五十億ですね、それに砂防の方は七百二十億ですよ。そうしますと農林省関係のこの治山予算を一といたしますると、建設省砂防予算というものは一・三〇ぐらいにしかならぬ。だから一・六八にならなくちゃならないのが一・三〇ぐらいにしかならない。そうしてみますると、対農林省関係においても、もうすでに砂防予算というものは非常に少ないじゃないか。だから大臣は、いま少しこの原則を一つしっかり予算閣議におきましては明確にしていただいて、やはり砂防予算というものは、最初の基本対策に従った比率くらいはまず取るというような心がまえで一つ予算を立ててもらいたいというのが私の意見です。
  101. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) 基本対策の場合とその後の実績、これは御承知と思いまするが、一応数字を申し上げますというと、なるほど基本対策ではそういうようなことが考えられておったわけですが、実際上の昭和二十九年からの予算を見ますというと、農林省の一に対して昭和二十九年度の予算は〇・八九、三十年は同じく〇・八九、三十一年度予算は一、三十二年度予算は〇・九九、三十三年度は〇・九六、三十四年度は〇・九七、三十五年度は初めて治山治水ができまして一・〇五、まあ一時、大体一対一になったわけですが、なお今後の十カ年計画では、御承知のように前期五カ年計画ではこれが一・一六、こういう工合に上がっていくわけなんであります。従って基本対策においてはそういうことが当時いわれたかもしれませんが、またいわれたのでありますが、実際問題として、御承知のような予算の制約があって、実行せられた数字は今言うような数字であります。これが私はいいと言っているのではありません。まことに遺憾のきわみであります。ただ当時は予算の全体の考え方からして、やむを得ず建設省としてはこれでもって屈服せざるを得なかったわけでありますが、しかし各位からの強い要望によりまして、従って十カ年計画においては相当の引き上げを行わなくちゃならぬという決意のもとにでき上がったのが、先ほど申しましたような一・一六の平均率がこう伸びる、こういう考え方で案を立てた。この事務当局の苦心のほどは御了察願いたい。ただ、それだけでも私はなお十分じゃないと考えております。従って、今後において、閣議決定に至るまでの間には、大臣としてなし得る最善の策を講じて、各位の要望にこたえたい、こういうように考えます。
  102. 内村清次

    内村清次君 大臣は、この年度々々の予算比率では満足じゃないと、こう見ておられるから、私ども幾らかちょっと安心します。これがどうも河川局長、事務当局の答弁になってきますと、どうも逐年の予算というものが、農林省対の予算が、今言われましたように一対一にもならない、これが現実だから、現実がここまできていますから仕方がないじゃないですかというような考え方になっておりますね。これが私たち残念でたまらない。そこで、どうしても毎年の進捗率あたりを見てきましても、今回は前期五カ年計画の終了で、河川が一一・三%、それから砂防が一四・四%、ダムが九・四%というようなことでございますけれども、これをずっと検討してみますると、今日まで砂防は一一・七%、河川の方は一七・九%、ダムは三〇%というような、これも河川審議会に出されたと思いますが、この資料を検討してみましても、こういうパーセンテージが明確に出ておるのです。そうして最終的には前期五カ年計画では、河川関係で五五・九%でしょう。それから砂防の方がわずかに二〇・〇%、それからダムの方が二二・二%、機械が一・九%。こういった比率が出ておりますが、とにかく今までの進捗率を見ましても、砂防の進捗というものは非常に少ないですね。いわゆる結論的には砂防が五〇%、河川が七八%でしょう。ダムが一二八%、機械が一〇一%、総計で七六%の進捗率になるということがあなた方の資料で明確になっておりますね。こういうように河川との進捗率もうんと低いし、予算金額農林省関係とさえもその比率が間に合っておらないというような事実がはっきりしておるのです。だから事務当局が、現実予算農林省とはこういうふうな関係になっておるのですから、これが建設省の九千二百億の中ではこういうような比率になるのは仕方がありませんじゃないですか、これ以上に砂防予算をふやすとするならば、やっぱりワクの拡大をやらなければ、河川の方の予算を食い込むばかりですから、こういうような答弁になりがちです。私は事務的な考え方としてはいろいろなこともあるでしょう。河川の方の圧力その他もあるでしょう。ありましょうけれども、どうもその基本考え方が、やっぱり砂防にあまり重点を置いておらない。そうしてくると、結果はやはり災害というものは非常に拡大されるばかりじゃないか、砂防の充実した河川災害と、それから砂防の充実しておらないところの河川の被害というものは、一体どうなっているかということは、明確にされておりながら、これが実行されておらないという結論にならざるを得ぬのでございますから、この点はやはり、これは河川局長にお尋ねしますが、河川局長としてはどの点に苦心があるか、なぜ河川の方の予算を減ずれば非常な圧力があって困るのだというような具体的な例がどこにあるか、これを一つ明確にしていただきたいと思います。
  103. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 十カ年計画九千二百億円というのが一応決定をいたしまして、その内訳を閣議決定するという段階にいろいろ作業をやったわけでございます。河川砂防、ダム、機械の割合の問題でございますが、それは水系ごとに一つ一つ、ある水系は砂防がおくれていればそれを促進する、ある水系が河川がおくれておれば促進するというような具体的に検討する案ができたわけでございます。これでどういう事業ができるかということを総括的に申し上げますと、砂防では一万三千四百溪流、この資料の中にも書いてございます。それだけ一応やる必要がある。その内訳は、荒廃した溪流は五千三百、それから荒廃は進んでおりませんが、ある程度の措置をどうしても必要である、こういう溪流が八千百という内訳になっております。荒廃の溪流で申し上げますと、十カ年計画で四千九百溪流の着工を見るわけでございます。進捗率を申し上げますと九二%、九二%の着工を見まして、そのうち二〇%は完了する。それから手当を要する砂防につきましては、八千百のうち約七〇%、これは一期あるいは二期の砂防堰堤が必ず入る。従って、大体十カ年計画では、予防といいますか、一応態勢はできた、こういうような考え方で、九千二百億のワク内ではこの程度より以上やむを得ないのじゃないか、それにちょうど中小河川等を比較して申し上げますとはっきりいたしますが、中小河川では千河川今後着工する、あるいは工事をやる必要の川がある。そのうち手をつけられますのが十カ年全部で合計六百三十一河川、約六三%しか手をつけられない。完了いたしますのが二一%、こういうような状況でございます。  従って、考え方といたしましては、上流から下流へ土砂が流れてくる、これは非常な害を与えるわけでございます。また、中小河川で堤防が不完全なところはやはり洪水がはんらんするというような、二つの災害の原因をどのようにして組み合わして実施をしていくべきであるか、こういうことが非常にむずかしいと思いますが、そういう点に注意をして現在の計画はできているわけでございます。水系別に重要な水系で申し上げますと、木曽川水系の補助河川につきまして、これはずっと着工以来の進捗率でございますが、補助河川では六五%進捗するに対しまして、砂防では六九%木曽川水系の補助砂防については進捗する。直轄は両方似たようなものでございますから、補助だけで比較をしたわけでございます。また、淀川水系河川六八に対しまして砂防が六八・五、それから砂防のおくれている方で申し上げますと、北上では河川六六に対しまして砂防が五九、利根川は河川六八に対しまして砂防が五九、筑後川水系では河川関係が六六に対して五七、これは最初から、事業着工以来の全体に対する進捗でございます。以上のような状況でございまして、いろいろなお研究調査の上こういうような案ができた、こういう次第でございます。
  104. 内村清次

    内村清次君 局長に重ねてお尋ねしますが、あなたの方の今回基本対策事業治水十カ年計画関連表として出しておられる残事業の追加事業関係資料が出ております。先ほど言われましたように、今後基本対策要綱としては、河川が六千百八十億、それに追加事業として事業費が二千六百二十四億、合計八千八百四億、これを砂防関係基本対策の三十五年度以降が三千五百九億、追加事業が二百六十一億ですよ。合計三千七百七十億、こういった追加事業というものが出された。これはこの前の説明をちょっと聞いてみますると、確かに九千二百億のうちに、その後あれを策定いたしましてから調べてみると、緊急にやらなければならない問題もあるし、今後災害によってやはり追加事業として計上しなければならないものもある。これもわかります。わかるから、こうやって追加事業費というものを今回加えて、十カ年計画という問題についての計画を一応立てていきますという気持もわかります。わかりますが、この河川関係の追加事業をお調べになる際には、もちろん府県に対しましても砂防関係の追加事業も同時にお調べになったはずだと思います。そうすると現に砂防関係では、これは聞くところによりますると、当然追加事業に加えていただかなくてはならないという事業費が一千七百六十二億あるはずだ。しかもまたこの数字についてはやはり担当の課長も大体認めておる。ただ公式にそうだと言っておらないだけです。こうやったことがありながら、わずかに二百六十一億だけの追加事業を表面に出しておられる。ただ単に基本対策の三十五年以降の数字でさえも、先ほどから大臣にも私たち説明いたしておりますように、少ない額にかかわらず、追加事業のこの額も二百六十一億、実際は一千七百六十二億あるにかかわらずこれだけの数字しか出ておられない。パーセンテージにするとわずか一五%しか表面に出しておらないようなことは、一体どこから起こっておりますか。
  105. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 今回の十カ年計画を作る場合に、まず基本になりますのは、先ほどから先生のおっしゃいますように二十八年の基本対策基本になっております。しかし十カ年の内容を作る場合に、いろいろ検討いたしますと、二十八年に作りました対策の各川、各個所、そういうものを検討していきますと、その後の災害の状況によりまして、二十八年の基本対策になかったもの、これをどうしても計上していかなければならない。ただ基本対策というものは非常にあの当時の大計画でございまして、これも尊重していかなければならない。従って十カ年計画にどうしてもやむを得ないものだけ取り入れよう。実際これ以外にまだ詳細に検討するとあると思います。従って河川砂防、特に砂防が少ないというわけではございません。内容を一々検討いたしまして、砂防は十カ年にどうしてもこの部分を取り上げなければならないのじゃないか。それから河川につきましても同様であります。この内容の追加の内訳をごらんいただきますと、これは十ページにございますが、小規模河川に四百二十億円という金額が書かれております。これは小規模河川は御承知のように昭和三十四年から新しく始まった事業でございます。これはどうしてもやむを得ず計上せざるを得ない。従来やっております中小河川についてもそういう追加すべきものが相当あるのでございますが、それはこの十カ年計画考えるときにはやめておこうじゃないか、こういうような考え方のもとに一つ一つ検討いたしまして、こういう追加事業の額というものをきめたわけであります。
  106. 内村清次

    内村清次君 私が言っておりますのは、今砂防の当然追加事業費としてお出しになるならば、千七百億円というような追加事業費というものがあるのじゃないか。なぜその二百六十一億くらいの追加事業費をここに表面にお出しになったか。そういういきさつを一つ言ってもらいたい。だからそれを隠しておいて、そうして総額を出されるということはおかしいじゃないか。その説明一つしてもらいたいということでしたが、この点はどうですか。
  107. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 同じような趣旨の御答弁になるかもしれませんが、追加関係というのはいろいろ検討すればまだございます。ただ十カ年にはどうしてもこれだけを考えなければいけない、こういうものだけを選んで今回の追加事業に計上しているわけでございまして、砂防の千七百六十二億円のうち二百六十一億、これだけは十カ年計画考える際にどうしても考えざるを得ない。つまり着工しております一つの溪流につきまして、この追加を考えない場合にはもう十年以内で完了する。しかし追加を考えればなお事業が残るというふうに、取り上げた溪流そのものについては全体計画を掲げている、こういうような考え方でございまして、ほんとうにやむを得ないものだけを取り上げた、こういうわけでございます。
  108. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、確かにあなたとしては、追加事業としては千七百億というものは認めるのだ、これは建設省で調べた関係において、私は調べの方法も言いたいのですよ。まだまだ県等の方では出したいこともあるだろうと思うのだ、がしかし、それもどうしてもこの場合としていろいろあなた方の今まで県関係のPRが足りておったか足りておらないのか、私たちが問題にしているようないわゆる機構という問題がどうも不十分だ。だからして委員会は機構の問題も比べて一つ砂防の充実というものをはかってもらいたいという決議案も出しておる今日ですから、機構にもまだ不十分な点があるが、とにかくあなた方のPRというものがはたして徹底しておったかどうかという点にも私は疑念を持っているのですよ。そうして出てきたところの数字というものが千七百億も出ておるのだ。現実に出ておる。これは一つ認める。そのほかにもまだ隠れたところはたくさんあるのですよ、県の方でも。またあなたの方の下部機構でもその通りですよ。がしかし、一応認めるけれども、あなたの答弁では、十カ年のうちにさしあたってやらなくちゃならぬやつは二百六十一億だ、こういうふうに私は説明を善良に受け取っておりますが、それにしましても、河川の方は二千六百二十四億という大きな数字になっていますね。そうしてどうも結論といたしましては、砂防河川、ダムとのパーセンテージがいかにも均衡で進んでおるというような形を見せるための数字の取り方ではないかというふうにさえも私たちはやはりこれは考えられるのですけれども、この点はどう河川局長お考えですか。
  109. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 追加事業の問題でございますが、河川関係では十ページにございますように直轄河川新規にどうしても取り上げなければいけない河川、これが四百二十億ございます。それから高潮関係、これは伊勢湾台風後、重要な河川の河口付近の堤防の強化、これもどうしてもやむを得ない百八十七億でございます。そのほか計画改定といたしましては、区域の延長、それから計画洪水、流量の問題、計画の変更、こういうような金額はそれぞれ内容を検討して計上しているわけでございます。そのほかに中小河川につきましてはここに追加計上しておりません。それはやる必要な河川もたくさんございますけれども、十カ年計画として取り上げるのは、二十八年にきまりましたワクの中で一応おさめようじゃないか、こういうような考え方で、計上いたしておりません。小規模河川につきましては、新しく起きました事業でございますので、四百二十億円の追加をしている。  こういうような状況でございまして、一つ一つ検討していただければ、はたして重要なものであるということは、おわかりになると思いますが、単にその進捗率を云々するために、追加事業というものを適当に加えたものでないということを一つ御了解をお願いしたいと思います。
  110. 内村清次

    内村清次君 これは委員長に僕は聞きたいのだ。  というのは、先ほど基本対策要綱を策定するときには、林野庁長官もおらなかった。そうすると、もちろん新大臣も、事務引き継ぎとして、現に砂防その他の問題につきましても、非常な勉強をしておられる。しかし根本は、その基本対策要綱というものが、私たちは今日までこれを基本にして、この委員会としての流れを、私たち砂防及びまた河川、ダムの問題も含めて研究して、そうしてまた早く実現するようにと努力してきたはずです。そのために今日までも三回決議をやっておる。  だからして、この基本対策要綱を策定したときには、私はたしかあなたは建設省の事務次官であったと思うのだ。それでようく知っておられるはずだと思うのです。私も、あなたにもきていただいた。あるいはまた緒方副総理も、もちろん当時きていただいて、非常に画期的の問題であるから、十分この問題は将来ともに、一つ施行の面で努力していただきたいということを、特に、これは速記録の中に明らかにしておるはずですよ。  この点につきまして、委員長として、今日また第二の——基本対策要綱というものでなくして、第二期実施計画ですな、これは緊急措置法というのは。——それを前提として、委員会はこうやって、異常な努力をしているわけですけれども、先ほど私たちが論議をいたしました点を総合して、どういうふうに委員長として、今後委員会の処理、建設省予算獲得、そういう問題に対処して、委員会の運営というものをやっていこうとされるか。  この点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  111. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 基本対策を作った当時、私事務次官、緒方副総理が委員長で、関係大臣、それから学識経験者の方が入って、委員会で原案を作ることを仰せつかったのです。農林省の方は、今参議院におられる柴田栄君が責任者で、二人でいろいろ連絡しながら作ったのですが、結局でき上った案は、先ほどあなたがごらんになったような、非常にこまかい詳細のものだったのです。それを説明しまして、まことにこれはけっこうだから、これはぜひともやらなければならぬということでありましたが、ただその当時の全体の工事河川関係と、それから林野関係が、たしか一兆八千億ということだったのです。これを少なくとも最小限度十年間でやらなきゃ効果がない。これを三十年、四十年になったら、これは何にもならぬ。ぜひともそうしたいというような要求を技術者として、みんなやったのです。その当時委員の方は、非常にけっこうな案だが、日本の国力、財政力がこれを十年やるだけの余裕がないから、これは十年間にこれを実行するということは困る。だから少し待て。しかし、これを基本として、必要な重点的な仕事をやってもらいたいというような最後の結論だったのです。われわれそれで、国力がさような状態ならやむを得ないということで、引き下がった。  それから今日になりまして、現在、経済計画所得倍増計画などで、いろいろ企画庁が発表しておりまする状態を見ますと、日本の経済状態といいますか、国力というものは非常に急速に伸びていって、昭和三十年以後は、非常に経済成長率が大きく、現在は、数字があるいは間違っておるかもしれませんが、国民総生産ですか、十三兆なんかということになっております。九%の成長率でいっても差しつかえないというような、非常な国力が増大してきた。だから、このくらいの計画は十分にやり得るのだ、かように思って非常に喜んでおる次第でございます。ことに、今度は公共事業に対して、公共投資は優先的にやっていくということを総理自身が言っておられますから、今度の計画は、おそらく皆さんの努力によって実行し得るのではないか、かように思っておるわけであります。  それで、経済の伸びに従って、絶対的のものでないとすれば、あるいは経済の伸びに従って、まだこれで全部完了するわけではないのですから、来年、再来年、実行の年において、あるいは非常な経済力が伸びてくれば、これを変更してしかるべきものと、私はそう考えております。
  112. 内村清次

    内村清次君 確かに委員長言われる通り、僕たちの方は、そうやった経済の伸びというものが、飛躍的に伸びておるのだから、国民所得が増大しておるのだから、この際、ひとつほんとうに実行予算として、十カ年間の計画というものが遂行されていくようにということは非常に熱望しておるわけです。  先ほど聞いても、農林省関係の二〇%でしょう、今後も七〇%、おそらくまた建設省も六〇%そこそこですな。それではいかないから、とにかくひとつ六〇%でもいい、とにかく確実に年次計画というものが遂行されていくようにと私たちは思って、まずその前提となる予算の配分について、まだ不満があるのだ。あなたがよく知っておるような基本対策要綱をきめられるときには、非常にあなたも苦心されたと思うのですよ。部内の責任者として、事務関係の責任者として苦心された。非常な綿密な計画を出し、資料を出して、そうして数字というものは決定したのだ、こう私たちも認めておる。そこで、私がまっ先にあなたに質問したいことは、先ほどの大臣質問あるいはまた、林野庁質問の中にもあるように、どうもあのときに策定したところの建設省農林省予算というものが、だんだんこれがよかれあしかれ、幾らか予算の獲得の面について、あなたとしても何か感じがあるはずですよ。もう少しは予算をとってもいいのじゃないか。それですから、砂防の問題でも、よけいにしてもいいのじゃないか。あるいはまた、昭和二十四年の決定分野というものも、あなたの次官当時から相当問題になっておったはずです。それがまだ依然として今日建設省がやるべきところを農林省がやってみたり、どうもやった仕事は、予算関係で仕方がないから、これは何も国民のためにならぬのじゃないから、やらせてもいいのだけれども、やった仕事が、どうもよくない。かえってそのために土砂の流出を防ぐのではなくして、河川の形を変えるような技術の方法でやっておるのじゃないかという点については、あなたはやっぱりあなたなりの、当時のまじめに立案された方として不満の点があろうと思うのだ。  その点を一つ率直に、あなた経験者ですから聞かせて下さいよ。
  113. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) あの対策を立てたときは、柴田君と、非常に両方の連絡を密にして、河川一本々々を検討していったわけです。ここは林野庁がやる、そこは建設省がやる、そこはどうだと、おそらくそのときには、そこに坐っておられる赤木参考人も、その委員の一人であったしそれで相当御意見も出た。  それで、案ができたその後の状態を見てみますと、やっぱり同じように農林省建設省とが相談し合ってやっておるはずなんです。末端において、たとえば県において、あるいはあなたがおっしゃるような、ある程度の食い違いがあったろうと思うのです。それはやっぱり指導によって、そうした方針が守っていかれる。私は自分のことを言っては失礼ですが、兵庫県で土木部長をしたときには、一つの田に行って、ここは林野庁関係でやってくれ、ここは土木でやるということを現地で相談してやったのです。それをやっていけば、多く違いはないと、かように思っています。  そこに少し勉強が足らぬところがあるかもしれない。おそらくその方針によって建設省なり農林省が指導しておる。私はかように考えております。
  114. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 ちょうど今話が、聞こうと思ったような話が出ておりますので、少しお伺いしたいと思いますが、今午前中から、治山工事と、それから砂防工事について渓流ごとに実際の計画を立てておられるというのでありますが、本委員会で問題になっているのは、そういう計画が立っておっても、実際はそう行っていないというところが、ここで突かれておるようなんでありまして、そういう点について突っ込んで聞いてみましても、それ以上の積極的な方針といいますか御答弁が得られないように思うのでありますが、そうであると、せっかくこういう基本方針がきまっておって、十カ年計画がまた立てられましても、予算が相当つきましても、やはり将来同じようなことが繰り返されていくのじゃないだろうか、こういうことを心配するので、午前中から非常に強く両省の責任者に質問が行なわれておると思うのでありまして、少し、そういう点をもう少し突っ込んで御説明といいますか、御研究願いたいのでありまして、赤木参考人からは、それは、はっきりしておるのだ、予算さえあればできるのだというような御答弁もあったように思いますが、しかし実際は、そうでもないので、現実の問題になりますと、やはり食い違いが相当あるのじゃないか、私もそう思うのであります。  そこで両省の、農林省建設省の出席されている方にお尋ねするのでありますが、こういうような問題について、国会でも相当議論をして参っておりまするが、国の機関においても、相当取り上げて今まで調査をし、あるいは調べておるのであります。たとえば行政監察局といいますか、行政管理庁の機構におきましても、こういう問題を取り上げて、そして相当綿密な調査をして、その結果を意見をつけて両省に勧告をされたことがあると思うのであります、最近において。  そういうことを、農林省林野庁長官はお受けになったこと、あるいはその内容について御承知でありましょうか、あるいは建設大臣もお聞きになっておるのでありましょうか、まず最初、それからお伺いをいたします。
  115. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 行政管理庁におきまして、愛知県の県下の治山工事砂防工事の連係につきまして、ややそごがあるという点の指摘を受けたことがあるのであります。
  116. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 それは何年ですか。
  117. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) それは本年度から、勧告を今受けておるところであります。
  118. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 建設省の方はどうですか。
  119. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 全般的に大きな問題としては、そういう勧告を受けたことは記憶にございません。ただ、今林野庁からおっしゃいました点については私の不勉強で知らないのでございますが、その点については調べたいと思います。
  120. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 水系別の公共事業の全般の工事について、行政管理庁が監察をやっておりますね。これは昭和三十二年に実施をいたしております。そうしてそれの結果は、両省の勧告あるいは府県に対する所見表示になっておるわけで、これは相当国が費用をかけて、また専門のもの——会計関係、決算関係であれば、会計検査院がやるのですね。そういう行政のやり方、技術のやり方については、相当詳細な調査をして、それを建設省なり林野庁政府内部で勧告をしておるはずなんです。  そういう内容を御承知になっておるかどうか。その点をもう一ぺん重ねてお伺いします。
  121. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 先ほど申しおくれましたが、三十二年に三重県の鈴鹿地方におきまして建設省事業林野庁事業とで、やや計画に重複があるのではないかという指摘を受けたこともあるのであります。
  122. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 政府に対する、各省に対する、両省に対する勧告は、もう少し詳細なものが出ておると思うのであります。これは今、あらかじめ申しておきませんので、御調査の期間を持ってもらった方がよかろうと思うのでありますが、今ここで、将来の十カ年計画というようなものを策定されるにあたって、ちょうど水系別の事業というものに、こういう欠陥が起こっておるということを国の機関が調査をして、そしてそれは出先の、地元の土木関係も、それから農林関係の者も、ほとんど承服をしておるもの、それが大臣に勧告として出ておるはずなんです。  そういうものについては、十カ年計画を策定されるときには、十分参考にして、予算をさらにとられるとともに、実施にあたって両省が、この基本計画にうとうてある言葉は、非常に完全に近いような文章になっておるのであります。たとえば「治山及び砂防事業の推進」というのでは、「上流水源地域等における治山及び砂防事業を有機的に関連せしめて強力に推進する。」とか、あるいは「治山治水の基礎調査実施」というところでは、「基本的事項に関し、広汎な科学的調査計画的且つ継続的に実施する。」とか、調査の方も実施の方も、この基本対策要綱では、完全に近いようにうたわれておるのでありますが、実際の問題は、現実にそれが行なわれておるかどうかということが、ここで午前中から議論になっておるのでありまして、それが一番よくわかるのは、三十二年の、とにかく国の機関である行政監察局が全力をあげて、一年間で一番大きい事業として全力をあげて監察した、その結果、まとまったものが両省に、指摘されて政府の勧告として出ておるのであります。それを一つ十分に、もう一度よくごらんいただいて、そして今回の十年の計画の間に、またそういうような勧告を受けることのないような施策を十分にとってもらいたい。しかし、ここでそれをまた言うておっても、実際考慮しますとか、そういうようにさしておるのでありますとかいう程度では、実際また起こるだろうと思うのです。現に昨年の災害の中で、そういう問題について一番大きい問題として一つの例をあげますというと、富士川の上流、釜無川の上流、大武川のあの治山工事と、それから砂防工事、これについて今年行政監察局が監察をした昨年の水害の結果を調査をしたものが、これも行政監察局の正式の所見表示として発表されておるのですね。それを見ますというと、やはり両省の出先機関の間にそごがあり、連絡がとれておらぬ、片っ方が言うても片っ方がやらないで、片っ方が資料を持っておりながらも、それを片っ方に言わないで、こういうようなことが三十二年に政府に勧告をされておるのに、三十四年の昨年の災害の再び原因になって、特に建設大臣が、最近ごらんになったように聞きますが、韮崎とか武川のああいう災害になって現われておるのでありまして、極言すれば、ああいう災害の原因というものは、こういう治山治水基本対策要綱というものが作ってはあるけれども、実際には出先きで、それが行なわれておらぬということが原因で、ああいう災害を引き起こしておるともいえるのではないかと思うのであります。これは行政監察局が発表しておるといいますか、勧告をし、表明をしておるのでありまして、そういうことに対して、一体御反省になっておるのかどうか、予算を取るだけの問題でないと思うのです。それが実際実施されるときに、そういう危険な個所について計画を立てられるとともに、実際それに適応したような工事を両方の出先が十分に、緊密に連絡をとってなさっておるのかということに対する指導と申しますか、監督というものをおやりになっているかどうかということを、もっともっと私どもは被害地の出身者として、強くお聞きしたいのであります。  農林省関係から御答弁願います。
  123. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 治山工事砂防工事の連携につきましては、午前中に河川局長からもお話がございました通り、流域別に、中央におきましても両者の調整を行なっておりますし、計画の段階についても行なっております、また実行の段階についても行なっておるわけでございます。そういうものをそれぞれまた各府県におろしまして、各府県で土木関係、林務関係、両者が十分に連絡をとってやるということを、私たちの方といたしましても指導の最重点という形で、ずっと続けてやって参っております。  その間に、御指摘のような不徹底なところがあるといたしますと、非常に遺憾でありまして、今後は、一そうその点を周到にやって参りたいというふうに考える次第でございます。
  124. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 やはり午前中におっしゃったのと同じような答弁なんでありまして、私どもは、現実に、その実際の状況というものを全部、私どもが調べたもので言うよりも、行政監察局が調査をした結果で申し上げた方が納得がいくだろうと思って言うたのですが、自分らの知っておる範囲でも、そういうように、なかなかいっていないのです。しかもそれを今度国の機関が調べて勧告をしておるのです。そういう実例から見ても、私は他の府県、多くの水系においても、中央では計画を立てておる、調査をしておるとおっしゃっても、それは実際税金を納めておる国民の生活の上には実施されておらぬというのが実情なんです。それでは政治にならぬ。実際の計画されたものが、よいものが計画されたら、それがやはり計画に基づいて、実際に実施されていくところまで御指導にならなければ、私は責任が果たせてないのではないかと思うのです。これは、きょうばかりでなしに、機会があればまた次の機会にも論議されるだろうと思います。また災害がくれば必ずこういうことは、はっきりわかってくるのであります。  でありますから、こういう十カ年計画を立てられるとともに、大事なことは両省が中央でも緊密な連絡をとられると同じように、必ずその水系のものに、しかも両方の出先に、必ず緊密な連絡をもっととられることを、確実な方法で、こういうようにやってやらせますというところまで、私は御説明がいただきたいのです。  これは建設省の方ではいかがですか。
  125. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 従来も、治山砂防事業関連につきましては、本省関係、それから出先機関についても、指導しまして、十分連携をとるようにやらせているつもりでございますが、ただいま御指摘のような点もございましたので、さらによく検討いたしまして、十分連携をとった計画並びに実施ができますように努めたいと思います。
  126. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 今申しましたのは、行政監察局の所見表示をやっているものも一つ取り寄せてお読みを願いたい。これは林野庁の方にも、大きな落度があります。それから建設省の方にも、大きなミスがあるのでありまして、そういうことが、結局あの七号台風で、ああいう大きな災害の原因になっているということは、もう県民が非常に嘆いておるのでありまして、こういうことにつきましては、ぜひとも今日の、これで終わるのではない、機会を得て私は重ねて両省の責任者に、また適当な場所においでを願いまして、さらに質問を申したいと思います。これで終わっておきます。
  127. 村上義一

    村上義一君 私は、昨年惹起しました各県下の大災害、また一昨年の静岡県下の大災害、特に天野川、日野川、狩野川、草野川等の現地の状況をつぶさに観察しまして、従来私が抱いておりました、治水の要締は砂防にありという信念の正しいということを再確認をしておるのであります。従って私は七月十五日に開催せられましたこの建設委員会で、このことを申し上げて、治水事業十カ年計画策定にあたっては、大臣を初め関係当局の格段なる御配慮をお願いしておいた次第であります。  しかるに先日配付せられました策定資料を拝見しまして、二十八年に決定された治山治水基本対策要綱が、実質的において無視せられておる。特に砂防事業が極端に軽視せられておる、軽んぜられておるということを知りまして、すこぶる遺憾に思っておるのであります。御承知通りこの対策要綱は、二十八年に、先刻もお話がありました通り稲浦委員長建設次官在任中に、その中心となって、建設、農林両省当局を初めとして、広く学識経験者層を集合して、督励せられ、全国の各河川にわたって、精密に、科学的に調査検討をせられ、策定された、そうして閣議決定を見たという性質のものでありまして、自来代々の建設大臣を初めとして、農林大臣、大蔵大臣は国会におきまして、今後この要綱を順守して事業を促進する、そうして災害を未然に防止するということを声明せられて、国民に誓約しておられるのであります。  今回本年度を第一年とする十カ年計画を策定せられて、九千二百億円の治水特別会計を設定せられんとすることは、まことにけっこうなことであります。しかし、各事業別の事業費の配分額は、全く私として不可解なんであります。納得ができないのであります。砂防事業が不当に圧迫され、軽視されておるのであります。御当局から提示していただきました資料を見ましても、基本対策要綱事業の二十九年から三十四年に至る実施率というものは、河川において一六・五九%、ダムにおいて二九・九七%。しかるに砂防は、わずかに一一・六八%であるのであります。これを見ても、まことに砂防事業が軽視せらておるということは顕著な事実であると思うのであります。  で、今回の十カ年計画を見ましても、三十五年の初めに残事業として残されておる六千百八十億、これに対して十カ年計画は四千八百億ということで、約八割を認めておられるのであります。ダムは十三割、しかるに砂防費は三千五百九億円に対して千七百七十億円でありますから、約五割であるのであります。かくのごとくなった理由は、その後の情勢の変化、災害の惹起、その他の事由で重点的に考慮せんならぬ工事を新たに追加した、その追加額が、先刻もお話が出ておりました河川において二千六百二十四億、ダムは八百五十二億、砂防費はわずかに二百六十一億ということになっておりまして、この追加額を加えた結果が、非常に変な格好になっておると思うのであります。一面、二十九年から、こちらの調査によりまして砂防費の増額を要する金額は千七百六十二億円ということを聞いておるのであります。この数字が適当であるとするならば、今回認められた二百六十一億というものはわずかに一割五分に過ぎないのであります。さらにまた、かりにこの追加事業費二百六十一億というものが適当であると仮定しましても、基本対策要綱の残事業費額とこの追加事業費額との合計額に対する十年計画事業費の率は、河川費が五割四分、ダム費は七割九分。しかるに砂防費は四割七分に過ぎないのでありまして、すなわち三段にも四段にも砂防費が不当に縮小されておると思うのであります。全く理解に苦しむところであります。基本対策要綱の精神は無視されておると思うのであります。この点全く私として理解できないところであります。  しかし、一面、先刻来治山十カ年計画の問題も出ておりまするが、これは治山費が大きいというお説も出ておりましたが、治山費が大きいんじゃない、砂防費が少な過ぎるんだということを私は思うのであります。治山費は十カ年計画で、つまり荒廃地復旧工事費は千五百二十九億になると私は思うのであります。計算があるいは若干間違っておるかもしれません。この治山費に適当する砂防費は、先刻来お話がありました治山費一に対して砂防費一・六八という率をかけますれば、砂防費は二千五百六十八億にならなければ、有機的な緊密を保持して災害防除工事を遂行することができないはずだと思うのであります。結局千七百七十億という砂防十カ年計画砂防費は八百億不足しておるということを言い得ると思うのであります。この二千五百六十八億ということにしましても、基本対策要綱の残工事費分に対しては約七割に相当するものである。しかるに先刻申しましたごとく、河川費は八割であり、ダム費は十三割であるのであります。言いかえますれば、山腹工事費、山腹荒廃地復旧事業費千五百二十九億という金は、河川費やダム費に比較して決して多いのではない、砂防費だけが僅少である。いま八百億増額されて、初めて砂防費、河川費、ダム費——ダム費は特別でありますが——関連を持ち得るのじゃないかということを痛感する次第であります。  で、私はこの十カ年計画資料を拝見しまして、どうしても納得がいかないのであります。私の考え方が間違っておるという点があれば、一つ大臣から御教示を願いたいと思うのであります。砂防事業費を重視して、予算措置を講じてもらいたいという決議は、先刻も内村委員から申し述べられたごとく、本委員会としては三回に及んで決議をしております。そのつど当時の大臣は、まことにごもっともしごくだ、自分も心から賛成する、この決議案の趣旨に従って今後最善を尽すという意味のお話がいつもあったのでありまするが、今十カ年計画を樹立せられるに際して、ただいま申しますようなふうに、二段にも三段にも、砂防費が不当に縮減されておる、軽視されておるということをすこぶる残念に思うのであります。これでは災害の防止ということは百年河清を待つ結果になるのではないかと思うのであります。建設大臣から一つ御見解を伺いたいと思うのであります。  なお赤木参考人はこの案をいかに理解されておるか、忌憚ない御見解を漏らしていただきたいと思います。
  128. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) ただいま村上委員から、詳細な御質問がありましたが、先ほど来から申し述べましたように、やはり問題は、十カ年計画のワクの問題と、そのワクが一応前提として承認せられれば、その内部において、いずれの事業が優先すべきかという問題もきまると思います。ただこれは、もちろん村上さんも、そういう御意図ではないと思いまするが、金額だけで、だいぶ御意見があるのですが、問題は、治水の全体の上から考えて、砂防河川改修といいますか、そういうものとの、やはり比重の問題があるようであります。専門家である河川局長から、具体的に答弁さしてもらいたいと思いまするが、先ほど来からの政府委員答弁にありましたように、荒廃しようとする溪流に対して、一応事務当局の案は、一溪流に対して一つ砂防を想定して、荒廃したものに対しては、二ないし三のものを想定して、これを積み上げて、一つ金額を出しておる。それに対して河川改修に対しては、現実に現われた河川改修を緊急にしなければならぬものを積み上げて、そしてそれの実績をとって、大体十カ年間に六〇%、こういう基礎的な数字からものを計算をいたしております。  従って一応議論の中心となりますのは、今建設省の事務当局が考えておるような荒廃するかもしれぬという河川一つ砂防考えておるのですが、これでいわゆる十カ年内の緊急措置として全く不十分である、従って河川に対するところの九千二百億円の内訳が、多少無理であっても、そちらに向くべきかどうかということを言うことは、やっぱり技術的な問題だと思うのですが、私は技術者じゃないから、その点の判断に苦しむのですが、従って金額だけでの御批判では、必ずしも当を得ない点があろうかと思いますが、ただ問題は、金額の上からいえば、先ほど委員長から当時次官のときに一兆八千億くらいが必要であった、こういう、これは事業の面から考えてのお話ですが、そういう面から考えていけば、そこで河川に対しても砂防に対しても、大体満足すべき一つ予算措置が行なえるわけでありますが、日本の財政経済等とにらみ合わして九千二百億円というワク内で仕事をせよ、こういうことになれば、そこにいろいろ実際上の積み立て作業というものが関係を持ってくるように考えられます。  もちろん私といたしましては委員会の皆さんの御期待もあり、かつまた御意見を尊重する意味合いにおいて、これらの調整についての考え方については、十分にこれが善処をいたしたいとは考えておりまするが、一応その善処の範囲内におきましても、今申したような河川の費用が多過ぎるのじゃないか、砂防の費用が少な過ぎるのだと、こう申しましても、九千二百億というワクが、一応今日きめられている以上は、今日ただいま、このワクを一兆何千億円というワクに広げればいいのでありまするが、現在の経済成長、日本の財政規模から考えて、これが限度であるという点で内閣の決定をみた以上は、この範囲内において少なくとも本年度は、これによって処理をしなければならぬ、ただ将来、先ほど申しましたが、三年後なり四年後において、日本の経済成長が予期した以上に伸び、そこに日本の財政的余裕が出てくる、こういうことになれば九千二百億円のワクにとらわれる必要はないのであって、そこで初めていわゆる十カ年計画の改定という問題も出てくるだろうと思いますが、今日、今閣議決定を受けようとする眼前においては、一応九千二百億円のワク内でこれを処理する、こういう考え方で、なお内部においては、それら砂防重要性等考えて、建設大臣としては善処をいたして参りたい、かように考えます。
  129. 赤木正雄

    参考人赤木正雄君) 村上委員の御質問ですが、治山治水基本対策を二十八年に作りましたが、この基本対策に対する考え方が、どういうふうに違うか、これは第一の問題でございます。そこで基本対策を作った場合に、当時の建設大臣戸塚大臣は、その際私は国会におりましたが、二十八年の十月十三日に国会で、「今後の治山治水の対策をどういうふうに持って行くべきかというようなことにつきまして、政府として根本的な恒久対策を立てる必要があるというふうに考えたのであります。」「大体の根本的に考えましたことは、従来砂防が割合遅れておったといいますか、堤防の改修のほうに重きを置かれておって、山の元地に対するやり方が足りないのじゃないかという点が考えられますので、砂防に重点を置くということを考えた。」これが基本対策を国会で大臣が説明されたときの当時の御意見でございます。  その後この基本対策に対して各大臣、たとえば三十年の五月十日に竹山建設大臣は、かように述べております。「その他、前内閣がというよりも、あらゆる各界の方々によって技術的、科学的に立てられた計画というものは、これはいろいろ政治情勢の変化があろうとも、私は少なくとも尊重をいたし、またそういう科学的な計画というものは変えるべきじゃない、」「従って治山治水計画につきましても、それを基本に最大の努力を払って実現をいたしたい。」かように国会で述べております。  また次の大臣、三十一年の五月二十四日に馬場建設大臣は、「治山治水の根本的な方針として、昭和二十八年にただいま御指摘の治山治水対策協議会というものが設置せられました。御審議の結果、対策が樹立せられたことは、御指摘の通りであります。この対策はどこまでも推進をいたし、これをできるだけすみやかなる機会に実行に移したいというのが、私の信念でございます。」「その要綱にうたわれておりまする趣旨並びに具体策につきましては、どこまでもこれを推進いたして参りたい、かように考えておる次第でございます。」これをやはり、今申します通りに馬場建設大臣は申されました。またこの前の前大臣もやはり治山治水の根本対策に沿うて九千二百億を実行したい、これをあなた方に御説明なすったことは、各委員承知通りであります。  かように申しますると、私はこの治山治水を立てた当時の一委員といたしまして、やはりあの二十八年大水害をどうして防ぐか、これは、各地方の災害の状況にかんがみて、砂防事業をやったところは比較的に水害が少ない。これはどうしても砂防を根本的にやらねばならぬ、こういうことが大きな動機になっていたことは明らかであります。  かような観点から、私はせっかくできた治山治水基本対策は、災害を防ぐんだという観点から、しかもそれには、砂防を重視せねばならぬということは、はっきりうたわれたと言わざるを得ないのであります。こういう観点からいたしまして、今後の計画に対して、はたして砂防は妥当であるかどうか、これはいろいろと見方がありますが、また考えを変えまして三十三年のころでありますが、建設省からお示しになりました三、四、五、六、七、この五カ年の計画をお出しになっています。これも委員各位の御承知のことであります。  それを見ますと、河川費は三十三年には二百二億三百万円、ダムは九十三億八千六百万円、砂防は六十九億三千八百万円、海岸は七億九千七百万円、機械が七億円、合計三百八十億二千四百万円、三十四年は河川は三百六十二億、ダムは百六十五億一千万円、砂防は百二十四億、海岸は二十一億、機械は十二億、合計六百八十四億一千万円、三十五年は河川は三百七十一億、ダムは百六十五億三千三百万円、砂防は百五十八億、海岸は二十五億、機械はやはり二十五億、合計七百四十四億三千三百万円、三十六年は河川は三百七十八億、ダムは百六十四億六千八百万円、砂防は二百十二億、海岸は三十億、機械は二十四億、合計八百八億六千八百万円、三十七年は河川は三百八十六億九千七百万円、ダムは百六十五億三百万円、砂防は二百七十三億六千二百万円、海岸は三十六億三百万円、機械は二十一億、合計八百八十二億六千五百万円、このうちの三十三年と三十四年は済みましたから、三十五、三十六、三十七年の三カ年の事業考えてみますと、河川は千百三十五億九千七百万円、ダムは四百九十五億四百万円、砂防は六百四十三億六千二百万円、海岸は九十一億三百万円、機械は七十億円、合計二千四百三十五億六千六百万円、とにかくこういうふうにして、基本対策に基づいて仕事をやるんだということをわれわれは説明を聞いています。従ってこの三カ年の事業に対しても、はたして今回政府のお示しになっている砂防が当を得ているか、全然当を得ていません。もしもこの割合からしてやっていくならば、砂防は少くとも前期に九百六十三億六千四百万円、後期五年に千二百八十億四千万円、合計二千二百四十四億四百万円、こうなります。従ってつい二、三年前にお示しになったこの河川、ダム、砂防、こういう方針でやっていくのだとおっしゃってから、まだそれほど年限がたたないうちに、かように数字の変わった形をお出しになりましても、これは実際、どこに基本を置いてあるか。多少の疑いを入れざるを得ない。ただいま村上委員から御指摘がありましたが、私もやはり、砂防だけにしわ寄せがきているのではないか。端的にそういう感じがするのであります。  また先ほど治山砂防とのお話がありました。この数年は、むしろ砂防事業の方が、治山治水事業よりも少なかった。やっと本年度になって少しふえた。これも事実でありましょう。しかしこれは、根底が私は間違っていると思います。御承知通りにむしろ大蔵省がほんとうにあの昭和三年並びに四年の閣議決定を尊重して、ことに二十八年の治山治水の根本対策というのを、その当時大蔵大臣も委員でありましたから尊重するならば、やはり砂防の一・六八に対して河川治山の一・〇〇、先ほど吉江委員からして、両事業に非常に不合理の点があると。私も、率直にそれを各地方で認めております。ここに一つ例外と申しますか、昭和三年に閣議決定で、荒廃地復旧工事砂防工事をどういうふうにきめるかという場合に、淀川流域の山腹工事はこれは明治十一年以来内務省砂防仕事をしておりますから、よし両省で、どういう決定があっても淀川流域の直轄の山腹工事だけは内務省でやる、こういう例外のもとに、あの昭和三年並びに四年の閣議決定ができております。そういう観点からして、先ほどお話のありました一・六八の砂防費と、一・〇〇の治山費が合うならば、これはともかく閣議決定に沿うて、両方ともよく円満に、先ほど御指摘のあったようなことのないように仕事ができる。かようになるのであります。しかし何分砂防事業費が少ないから、そこに非常に両省の仕事が、円滑に仕事ができない。いわゆる治山治水の実を上げがたい。こういう実態にあります。  こういう点からいたしまして、なるほど河川も大事でしょう。しかし砂防が、いかに治山治水基本対策決定した当時において重視せられたか。また基本対策そのものが砂防を重視せんならぬという基礎のもとにできているということを、ここにはっきり申してあります。  そういうことを一言お答えいたします。
  130. 田中一

    田中一君 御承知のように参議院の建設委員会は、二十八年度の災害以来砂防費に対する増額、いわゆる抜本的な治山治水計画というものは、砂防をまずしなければならぬということに結論ずけているのです。その間数回選挙もありまして、委員の姿も変わっております。変わっておりますが、少なくとも参議院の建設委員会は、超党派でその意思を表明しているのです。なぜ砂防費の伸びが短かいか。  たとえば、私はこれは非難するのではありませんが、農林省の方では、相当大幅に砂防費を増額している。これは、特別会計その他の関係もあるでしょうけれども。ところが建設省は、どうしてもそれが伸びない。これは建設大臣に申し上げておきますが、三年ほど前でありますけれども、大蔵省の主計官は、砂防予算の要求がないんだと、増額せよという要求がないんだということをはっきり言っておるのです。これは山内君も知っておるはずだと思いますけれども、その点についても、当建設委員会でずいぶん究明いたしまして、そういうことはないと。私自身が社会党に属していながら、治山治水計画国土保全というものは砂防が先行するんだという考えを持って、予算の編成期には大蔵省へ行って廊下とんびしてまでも、砂防予算というものに対する陳情をしておるのです。従って、もうこの段階になりまして、計画審議会の方に回されておる。あとは建設大臣が腹をきめる以外にないのです。  村上委員への答弁に、建設大臣はこう言っております。まあ現在の所得倍増論からくるところの経済の伸びというものは七・二ということを言っておりました、これが伸びるならば、あれは当然改定すべきであろうということを、今の答弁で言つておりましたけれども、池田総理大臣は、経済企画庁の見解としては七・二という伸びを、九という数字を示されております。従って、七・二という経済の伸び、伸張率というものは、これは全体の今までの数字の根源をなしたものである、もとをなしたものである。しかし、総理大臣が九と言っておる以上、当然今回の治山治水十カ年計画計画そのものは改定さるべきものであるというふうに私は考えるのです。これは建設大臣並びに農林大臣の決意いかんです。経済企画庁その他の機関が七・二と言っているにもかかわらず、九と言っている。一・八の開きがあるのです。一・八の開きというものは、その分だけは、当然治山治水十カ年計画に織り込まれた計数が生まれるべきです。従って、この点については、三十六年度の予算の編成にあたって、大蔵大臣がどういう見解を持つか、同時にまた、これにこたえて建設大臣並びに農林大臣が、この十カ年計画数字の改定を要求すべきが当然であろうと思うのです。  その点につきますところの建設大臣の所見をお伺いします。
  131. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) 午前中にも申し上げましたように、当時、経済企画庁は、当時の経済成長から考え、また財政規模の点などから考えて、全体規模を前期五カ年計画では一応四千億円が妥当であろう、こういう見解であったわけであります。建設省としては、必要なる事業を改修するためには十カ年計画で一兆二千億円、こういうことを主張して、これは、経済成長率とは別個に、今国土省としての建設省が十カ年以内にやらなければならぬ事業量というものは、そういう見解である、まあこういうことで争って、結局は、御承知のような前期三千六百五十億円というところに落ちついたわけであります。必ずしもこれは従って七・二という計算の基礎において、道路計画と同じような基礎においてやったものではなくして、もちろんそれも一つの大きな参考資料ではありますが、建設省としては、国土保全の上からどうしてもこの程度のものはやりたい、こういうような政治折衝の結果三千六百五十億円という前期計画にまとまったわけであります。  従って、最近総理が九%の経済成長率の伸びを言うておりますが、これと三千六百五十億円とを直ちにからみ合わせるということは、計数的にも困難であるのみならず、実際上の問題として、これからそういう作業をやっておったのでは実際上間に合わない。御承知のように、すでに本年度を第一年度として出発をして、その内訳は、近く閣議決定を見ようと、こういう段階でありますからして、この問題は、私は一応この問題としておいて、さきほど村上委員にも申し上げましたように、将来の経済成長率が相当の成長率でもって安定をした暁においては、当然これは改定の基本的な理由になろうと思います。  ただ、予算の要求としては、御承知のように、災害予算は、これは十カ年計画とは別個であります。これに関連してのいわゆる関連事業費というものもあります。まあこういう点で予算請求の場合においては、いわゆる砂防予算に対しては、十分なる考慮を払って委員会の御期待に沿うような努力を払って参りたいと、かように考えております。
  132. 田中一

    田中一君 そこで、三十六年度の予算の編成にあたっては、御努力は結構です、そうお願いしたいんですが、具体的に今審議されている審議会答申というものは、やはりある面の一つ国民の意思として、建設大臣が尊重しなきゃならんと思うんです。  そこで、まあ時間的に、今言う通り間に合わないから、一応この原案で通したいという気持があるならば、そこに建設大臣の意思というものがなくちゃならんと思う。これがこのように参議院の建設委員会あるいは審議会等で意見が、相当砂防予算を増大しなきゃならないんだというものがあって、これを認めるとするならば、これは建設大臣は善処しなきゃならんと思う。そういう用意があるかないか伺っておきます。
  133. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) 閣議決定に対する建設省の案は、審議会決定を経なければなりませんが、一応計画部会から出ておりまする内容は、皆さんの手元に配布のような資料内容であります。これからどういう審議会での議論が行なわれるかしりませんが、その審議会における審議内容並びに私が就任して以来各地を見て歩いた現実の問題、特に参議院の委員会において数年にわたっての主張、こういう点を勘案して、その数字に対する建設大臣が最終的な調整をする余地を残して参りたいと、かように考えております。
  134. 田中一

    田中一君 建設大臣のそういう措置こそ、われわれ参議院におきますところの建設委員全員の意思でございますから、ひとつ十分にその点はお考えおき願いたい。同時に、実行していただきたい。  そこで、河川局長に伺いますが、河川局長、あなたも河川行政をずいぶん長くやっておる。これは残念ながら——というよりも、ちょうどあなたが、この問題を決めようとするときに異動があって河川局長に就任したという経緯から見ても、なかなか立案の責任をとれということは言えんかもわからんけれども、あなた自身が、やはり砂防工事というものが国土保全の全部の事業に先行するものだというような考え方を持っておりませんか。私は、あなたが、ずいぶん長い間河川行政をやっていながら、どうも局長という職権というか、その辺が砂防事業というものが伸びないネックになっておるのじゃないかというような邪推をするわけなんです。したがって、今表明された建設大臣の決意というもの、それを一応補佐をするという形の局長としては、建設大臣がこの事態というものを認めて、これに対して一つ自分の意思を織り込もうという場合に、あなたは、それに対して賛否云々という問題じゃありません、あなたはそれに対して、どういうような理解を持って受けようとするか。今まであるところの計画そのものが不動のものであるというような見解を持っているか。あるいは当然、今日までの長い間——あなたが就任して以来長い間、この問題は論議されております。それに対するあなたの心がまえというものを承っておきたいと思うのです。そうして今後、こうして十カ年計画ができれば、一応これが実現することになるわけですが、あなた自身が将来の日本の経済の伸びとか、あるいは災害は別といたしましても、根本的な国土保全事業というものに携わっているあなたが、どういう態度をもって砂防事業に対する考え方を持とうとするか、それもあわせて伺いたい、河川局長に。
  135. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) 委員長……。
  136. 田中一

    田中一君 それは河川局長に一ぺん伺っておきたいのです。
  137. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) ただいまの田中委員河川局長に対する態度表明ですが、最終の責任は、建設大臣にありますからして、河川局長から答弁することは、お許しを願います。
  138. 田中一

    田中一君 こういうことを私が言うのも、今まで常に河川局長が、事務的に立案をしないというところに欠陥があったのです。もしこれが、河川局長に対する私の質問答弁の最終責任者は建設大臣だから、それでけっこうです。折がありましたら、後日、大蔵省の担当官を呼びまして、歴代の河川局長との対決をしていただきたい。これは、あなたに見せたいのです。それはあなた自身が、政治家として、一体、なぜ建設省砂防をごまかそうとするかということにお気づきになると思います。  こういう点が、非常にわれわれが長い間かかって、国土保全のための砂防事業というものを主張してきたのも、そこにあるのです。問題は、あなたの部内にある、問題は建設省の中にあるということを、われわれは数年前に発見したわけです。これは、どうか一つ建設大臣、十分に河川局長を引っぱりまして、事務的な、専門的な数字や事態に幻惑されないようにしていただきたいのです。今までの各大臣には、常にこの点を指摘して申し上げて参っております。従って、その意味河川局長に伺ったのですが、何も山内君に言うのじゃなく、河川局長に言うのでございますから、その点は一つ誤解のないようにして、十分各部局の問題というものを知っておいていただきたい、かように考えます。  私はこれで質疑はやめますが、どうか一つ、われわれの長い間の懸案、ことに十カ年という縛られる事業でございます。この事業が、一日も早く改定をして、国民全体の安心するような国土保全事業を大幅に伸ばしていただくようにお願いしたい。同時に、それには砂防事業が先行するものであるという事態を、あなたは、これからの長い間の大臣生活のうちで、十分に各所をお歩きになって現実を見ていただきたい。私はこれを要望いたしまして質疑を終わります。
  139. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ほかに御発言ございませんか。——ほかに御発言もなければ、本日の調査はこの程度でとどめたいと思います。  次回の委員会は、臨時国会の召集の前に開きたいと思いますが、よろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 質問ではございませんが、一つ要望があります。  先刻来、国土保全のねらいといたしまして、砂防の重要性は各委員の間からお話があり、また大臣も、それを十二分に認めて、これに善処するために、最後の調整等は、十二分に一つその各委員の意思を織り込むようにしたいというお話でありましたので、きょうの長い間にわたっての質疑応答の結果は、当局と委員との考えは一致しているものであるということを認めることができます。  さりながら、現実砂防に対する数字は、何としてもこのままでは満足ができないというのが現状であるのでございますから、かくまで長時間費やして当局との意思の疎通をはかりました以上は、これを具体的に効果あらしめるためには、どういうふうな方法をもってやったらよろしいか。本委員会は超党派でこの問題を、今日までその推進に努力をいたしているような次第でございますので、委員長におかれては一つ、協議会のようなものを御計画いただけますか。そうして当局を交えて可能な方法をお互いの間で生み出して、そうして大臣の意思及びわれわれの希望が具現する方法をとるようにいたしたいと思うのでございます。これを一つ委員長、お考えを願いたいということを希望として申し上げておきます。
  141. 武藤常介

    ○武藤常介君 ちょっと。私もあえて質問ではありませんが、希望を申し述べたいと思います。  本日は、朝来非常に熱心に砂防の件につきまして論じられまして、参議院の建設委員会は、最近は砂防一点張りというので、これは砂防河川の基礎をなす、こういう点から見て、私は賛成であります。  しかしながら、日本の現状を見るというと、とりあえずまず河川の改修が必要ではないか。河川の近くの農民あるいは商家、いずれも洪水のために戦々きょうきょうとしております。それは全く河川改修が速急に要求せられているのでありまして、河川協会等に集まる者は、非常な悲鳴を年々あげているのであります。しからば、砂防を完全にやれば、もちろん相当のはんらんはのがれることができるだろうと思いますけれどもが、必ずしも砂防をやったからといって、はんらんを防ぐことができない河川が相当多いのであります。そういう点から見るというと、河川改修には、あるいは砂防が先行すべきものであるかもわかりませんが、とりあえずはんらんを防いで、そうして沿岸民の災害を救済するということは、これもまた急務であると私は考えるのであります。  当委員会の各委員が、砂防のための増額を速急に要求することは、私も賛成であります。しかしながら、それかといって、河川の費用を少なくするということは、これまた重大問題でありますので、どうか、大臣は、その点をよく勘案せられまして、善処をせられることを私は心から希望する次第でございます。
  142. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 先ほどの小山委員の御希望に対しましては、理事会を開きまして、適当な機関を作って、後日御報告申し上げます。  それでは本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十九分散会