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1960-08-31 第35回国会 参議院 建設委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年八月三十一日(水曜日)    午前十時二十一分開会   —————————————   委員異動 八月十九日委員河野謙三辞任につ き、その補欠として大沢雄一君を議長 において指名した。 本日委員米田正文辞任につき、その 補欠として西田信一君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     稲浦 鹿藏君    理事            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            大沢 雄一君            太田 正孝君            小山邦太郎君            田中 清一君            西田 信一君            内村 清次君            永岡 光治君            安田 敏雄君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣   建 設 大 臣 橋本登美三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設政務次官  三和 精一君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省道路局長 高野  務君    建設省住宅局長 稗田  治君   参考人    全国治水砂防協    会常務理事   赤木 正雄君    日本道路公団副    総裁      上村健太郎君    日本道路公団理    事       浅村  廉君    日本道路公団計    画部長     藤森 謙一君    首都高速道路公    団理事長    神崎 丈二君    首都高速道路公    団理事     西畑 正倫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (台風による被害状況に関する件)  (新道路整備五カ年計画に関する  件)  (治水事業十カ年計画に関する件)   —————————————
  2. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。八月三十一日付、米田正文君が辞任されまして、西田信一君が選任されました。   —————————————
  3. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 初めに理事補欠選挙についてお諮りいたします。  去る七月十三日以来理事欠員が生じておりますので、この際その欠員互選を行ないたいと存じます。互選の方法は前例により省略いたしまして、委員長から指名選任することにいたして御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 御異議ないと認めます。それでは委員長から松野孝一君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 次に参考人出席要求についてお諮りいたします。  新道路整備五カ年計画調査に関しまして、日本道路公団総裁岸道三君、理事浅村廉君、計画部長藤森謙一君、首都高速道路公団理事長神崎丈二君、理事美馬郁夫君、同じく西畑正倫君を今明日の委員会出席要求することにいたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんですか。
  6. 田中一

    田中一君 今委員長が読み上げた方で欠席者があるように聞いておるので、一応かわりの方々が来ておるようですから、一つ確認なさって、もう一度参考人としての議決をとっていただきたい、こう思います。
  7. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 日本道路公団総裁岸道三君がこられぬそうですから、副総裁上村健太郎君に変更いたします。
  8. 内村清次

    内村清次君 治水事業の十カ年計画に対する参考人として赤木正雄君の出席を要求いたしたいと思いますが、その点一つ諮っていただきたいと思います。
  9. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 赤木正雄君を参考人出席要求することにいたしますが、御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) それではさよういたします。   —————————————
  11. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 以上御異議がないようでありますから、今日の調査を行ないます。  本日は初めに去る二十九日の台風第一八号関係災害状況について、建設省当局から説明を聞いた後、建設関係新政策の一環として新道路整備五カ年計画水資源利用推進治水事業十カ年計画調査、並びに先般委員派遣報告調査を行なうことにいたしたいと思います。  それではまず十六号台風建設省関係り災害状況、並びに建設省のとられた措置についてこれまでのところを御説明願います。
  12. 山内一郎

    説明員山内一郎君) それでは台風一六号による公共土木施設被害概況につきましてお手元プリントがございますが、これに基づきまして御説明をいたします。  台風十六号によりまして、だいぶん被害を受けまして、現在まだ調査段階でございまして、最終的な被害報告額はまとまっておりませんが、一応中間の段階でこの数字印刷してございます。非常な西日本の広範な地域に被害を受けまして、ここに各県ごと被害中心地、それから降雨量、おもなる被害河川、それから被害報告額、それがずっと補助災害の分がずっと書いて、ございまして、一番終わりに直轄災害関係、こういうふうな内容になっております。  宮崎県でまず申し上げますと、県の南部地方、これが被害を受けまして、河川で申し上げますと、広渡川、北川、こういう河川被害を受けまして、現在の報告額は六十七カ所、一億四万円、こういうふうになっております。河川海岸道路、橋梁各内訳が書いてございますが、ここに書いてある通りでございます。それから大分県つきましては、被害中心地は、佐伯市、臼杵市、大分市、こういうような海岸地方被害を受けまして、被害個所二十三カ所、一千六百二十六万円、こういう数字になっております。高知県は台風中心が上陸をした地点でございますが、県の中央部及び西南部被害中心がございまして、雨量関係がここに書いてございますように、最高は物部村——物部川付近でございますが、三百三十七ミリ、あと大体二、三百ミリ程度、こういうような相当な大雨が降っております。被官の河川は松田川、仁淀川渡川新地海岸、こういうような個所でございます。二百七十七カ所、三億八百万円、こういうような数字になっております。それから徳島県は県の中央部山地地帯の方、それが被害を受けまして、雨量にいたしますと相生町、これは那賀川水系でございますが、これが五百ミリの豪雨が降っております。それらによりまして被害個所数八十九カ所、一億二千六百万円、こういうような数字になっております。次は愛媛県でございますが、新居浜市、越知郡、西宇和郡、南宇和郡地方、大体愛媛県の西の方でございます。河川で申し上げますと国領川、これは四十二カ所で三千五百万円、それから香川県は被害は比較的僅少でございまして八カ所、五百八十三万円、それから岡山県は被害中心地でありまして、和気町、備前町、倉敷市の周辺でございまして、河川で申し上げますと吉井川、それから吉野川というのは吉井川の支川でございますが、吉井川水系被害があった。それからこのプリント県南東部、水島港、それから下に手窓となっておりますが、これは牛窓の間違いでございます、牛窓港。こういう港で異常潮位がここに書いてあるような数字を示したわけでございます。被害総計は百四十三カ所、八千八百万円。それから鳥取県は非常に僅少でございまして五カ所、百六十八万円。それから和歌山県につきましては県の南部地方でございまして、河川名は書いてございませんが富田川とか、日高川、古座川、こういうような河川被害発生をいたしております。総計はここに四十カ所、五千八百万円となっておりますが、この印刷あと報告が参りまして現在、三百三十九カ所、二億九千九百万円、こういうような数字になっております。それから三重県でございますが、被害中心は志摩郡の地方、それから熊野管内三重県で申し上げますと大体南の地方でございます。被害個所は六カ所で二千万円。それから兵庫県は被害中心地神戸市、姫路市、西宮、八鹿町、川西、洲本市、この二重丸が書いてございますのは災害救助法発令市町村でございまして、従って、兵庫県の東の方の瀬戸内海側、これが非常な被害を受けたわけでございます。河川で申し上げますと武庫川、船場川、丸山川、八鹿川、被害は百九十八カ所、一億九百万円となっておりますが、その後、印刷あと報告が参りまして、二百五十五カ所、二億一千二百万円、こういうような数字になっております。それから京都は非常な豪雨のため、今回の十六号台風によりまして一番ひどく被害を受けたものと推定をされますが、町村名で申し上げますと園部町、京北町、八木町、亀岡市、日吉町、大体、桂川由良川水系でございます。京北町におきまして三百四十ミリという豪雨が降っております。推定被害額約十億円となっておりますが、その後、報告が参りまして一千百八十八カ所、十四億四千九百万円、こういうような非常な被害の額になっているわけでございます。それから大阪でございますが、大阪の大体、市内の河川、その被害合計が三百三十九カ所、一億三千百万円。それから奈良県につきましては、吉野管内五条管内大宇陀管内、こういうような地方におきまして三十五カ所、三千万円。それから石川県は、道路が三カ所で、一千万円、こういうような報告が参っております。それから次は福井県でございますが、被害中心大野和泉村、九頭竜川の最上流の地方でございまして、その付近におきまして三十七カ所、五千三百万円。それから岐阜県におきましては、白鳥町の周辺河川では長良、揖斐、根尾川、九十六カ所、一億四千六百万円。それから神戸市の裏六甲に四百五十八ミリの豪雨がございまして、百四十八カ所、九千四百万円。以上を合計をいたしますと、この印刷では千五百五十六カ所、二十三億三千六百万円でございますが、先ほど御訂正申し上げました数字合計いたしますと三千百カ所、三十一億二千九百万円、こういうような額に上っているわけでございます。  それから次は直轄関係直轄河川災害でございますが、ここに掲げてございます河川名警戒水位以上の今回の出水を見たという河川でございます。揖斐川におきましては——この警戒水位計画高水位、今回の最高水位の欄をごらんいただきますと、揖斐川では六メートルの警戒水位に対しまして七メートル四十九、簸川につきましては二メートル二十に対しまして三メートル六十、これは警戒周水位をこえておる、こういう状況でございます。それから牧田川につきましては六メートル五十に対しまして七メートル六、長良川におきましては三メートル二十に対して三メートル五十五、多少警戒水位をこしたという程度でございます。それから猪名川でございますが、二メートル五十に対して三メートル四十五、大体計画高水位に近づいておるという出水を見ております。担保川につきましては三メートル五十、大体警戒水位に近い出水を見ております。由良川につきましては四メートル四十に対して五メートル、淀川の本川が四メートル五十に対して四メートル六十三、大体警戒水位に近いのでございます。それから桂川につきましては三メートル五十に対して四メートル十六、それから渡川が六メートル五十に対して七メートル二十五、仁淀川が七メートル二十に対して七メートル四十九、那賀川が六メートル八十七と、大体警戒水位と同じような出水を見ております。これは庄川は流量で書いてございますが、八百三十三トン、警戒流量に対して千三百九十トン、こういうような状況でございます。ただいままで地方建設局から入りました被害の額は担保川におきまして三百万円、渡川におきまして四千三百万円、仁淀川につきまして三千六百万円、那賀川が二千四百万円、以上合計いたしますと一億六百万円、これに府県災害合計すると三十二億三千五百万円、こういうような数字に相なっておるわけでございます。こういうような状況で、ございまして、まあ京都が一番ひどくやられておるような状況でございます。もう少し様子がわかりましてから京都にはさしあたり検査官派遣をいたしまして、工法指導並びに現地調査をやりたい、こういうようなつもりで現在やっております。  以上で御報告を終わります。
  13. 田中一

    田中一君 この静岡方面のその前の局部的な大雨の場合の災害の方も御説明願いたい。
  14. 山内一郎

    説明員山内一郎君) それでは三十五年度静岡の分も含めまして、一月以降の災害概況につきまして、プリントがございますのでこれによって御説明申し上げます。  一ページをお開きを願いますと、直轄関係補助関係とを分類いたしまして、月別にどういうような災害発生をしておるか、これは被害報告額が計上してございます。直轄で申し上げますと、一月から五月、これは融雪、風浪、豪雨、こういう災害でございますが、五億一千万円、大体北海道東北方面でございます。それから補助関係では千八百八十三カ所の十八億七百万円、これも東北北海道方面でございます。それから、それを合計いたしますと二千五十二カ所の二十三億一千八百万円、こういうふうになります。  それから次に、五月にチリ地震によりまして津波による災害発生をいたしておりますが、直轄関係で三カ所八百十万円、補助関係で三百七十四カ所四十一億一千九百万円、これはすでに御承知のように、北海道三陸地方その他海洋地帯が点々とほとんど全国にわたって被害を受けておりますが、北海道岩手県がこのうちでも被害が一番ひどくおのおの十四億円、宮城県が九億円というような被害発生しております。  それから次に六月ないし八月の豪雨関係でございますが、局地的の豪雨が非常にひどうございまして、直轄災害補助災害は、ここに掲げてございます数字のように、合計いたしますと九千三百三十三カ所八十億四千五百万万円、こういうふうに相なっております。このうち六月には、和歌山県、福井県、熊本県、それから福岡県の各県が非常に被害がひどうございまして、七月には山口県、新潟県それから広島県の豪雨災害、それから八月には青森県それから秋田県の豪雨災害、こういうような局地的の豪雨災害発生いたしております。  次に十一号ないし十二号台風、十一号と十二号が引き続いて参りましたので一緒に書いてございますが、直轄補助合計をいたしますと四千五百七カ所で五十八億七千三百万円、こういうような数字に相なっておるわけでございます。  これはどういう地方かといいますと、中部近畿地方に非常に被害発生いたしておりまして、中でも岐阜県は二十億円——内訳は後の方に書いてございますが、静岡県が八億四十万円、和歌山県が六億九千万円、その他、山梨、長野、富山、愛知福井県にそれぞれ二億円以上の被害発生をいたしております。  次に十四号台風でございますが、これは八月に本土に来襲しておりますが、千葉県の沖を通りました関係上、被害が比較的僅少でございまして、補助関係で三百八十九カ所、五億五千六百万円、こういうような状況になっております。これを合計いたしますと総計で二百九億二千百万円になります。  そういたしますと、これに先ほどの三十二億を合計いたしますと、三百四十一億というような数字に上がるわけでございまして、これをごく最近の各県と比較をいたしますと、三十一年が約百億円、三十二年が百九十六億円、三十二年が二百四十二億円、三十四年は非常に大災害でございまして五百六十四億円、こういうような数字になっております。大体本年は三十三年くらいの発生状況を示しておるのでございます。  二ページに移りまして、これは今御説明した概要が書いてございますので読むのを省略いたします。三ぺ一ジも省略いたします。  それから四ページに参りまして、直轄災害被害状況、これが地建別、それから河川別、それから発生月別にこういうふうに分類して書いてございます。これでごらんいただきますように、中部管内が、右の合計でごらんいただきますと、河川の計が五億二千四百万円、それから砂防が一億七百万円、これは直轄関係のものばかりでございます。こういうふうに台風十一号、十二号による災害中部地方に非常に発生をした、こういう状況に相なっておるわけでございます。  それから五ぺ一ジに参りまして、これは補助関係災害でございますが、県別月別にずっと個所と金額が書いてございます。大体月別の御説明は先ほど申し上げた通りでございまして、六ページの最終の合計のところをごらんいただきますと百九十五億、こういうふうになっておりまして、今までの総計におきまして被害のひどかった所を申し上げますと、北海道が二十五億、岩手県が十四億、新潟県が十三億、岐阜県が二十億、和歌山県が十億、広島県が十一億、山口県が十三億こういうような県が今までのところ非常に被害を受けているという状況でございます。  それから七ページに参りまして、災害発生ごと被害のひどい県にはさっそく検査官を出しまして、調査並びに工法指導に当たらしておりますが、引き続きまして緊急査定それから予備金支出、こういうことを現在やっております。その査定状況並びに予備費支出状況でございますが、七ページは直轄災害査定、それから予備費支出状況でございます。  緊急査定につきましては、ここに書いてございますように、災害の起こるたびごと、非常に被害のひどい所こういうものを逐次査定をやっております。その合計緊急査定の申請が六億二千四百万円、査定をいたしまして五億一千百万円、そのうち閣議決定をいただきまして七月五日と八月十六日、この三回にわたりまして一億七千七百万円、この閣議決定を行なって、現在極力復旧をやっております。  それから八ページに参りまして、これは補助災害関係でございますが、これも同様に緊急査定予備費支出、これをいたしております。大体、チリ地震津波までの分を一括してやっておりまして、ここに書いてございませんが、現在青森県、秋田県に八月二十五日から査定をいたしております。静岡県は九月五日から、岐阜県は八月三十一日、和歌山県は九月五日、千葉県が九月八日からこういうように逐次査定、引き続きまして予備費支出をやる、こういうふうにいたしております。  以上で御報告を終わります。
  15. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 次に住宅災害について。
  16. 稗田治

    説明員稗田治君) 昭和三十五年度発生しました住宅災害につきまして、資料に基づきまして御説明申し上げます。  お手元にお配りしてございます「昭和三十五年発生住宅災害状況調」という一枚刷りのプリントがございますが、最初四月の十六日に鹿児島市の火災がございまして、滅失戸数は百四十七戸でございます。これにつきましては災害公営住宅建設計画の欄に四十戸というのがございますが、正確ではございませんけれども、ここに災害対策として書いてあるわけでございます。一般公営住宅割当を追加いたしまして、罹災者用にこれを運用していただくという意味で割り当てたわけでございます。住宅金融公庫災害復興住宅融資は、ここに書いてございますように、省令第一条第三号に該当するものといたしまして告示をいたしまして、ここに書いてございますように災害復興住宅承認戸数が七戸、個人住宅災害特別貸付が十九戸というように承認に相なっております。  次は六月二十二日の梅雨前線降雨による被害でございますが、大阪府、静岡県、福岡県、熊本県、愛媛県、和歌山県、六府県合計いたしまして十二戸の滅失でございます。これは住宅金融公庫個人住宅災害特別貸付受付を開始いたしているわけでございます。  次は六月の八日でございますが、熊本県におきまして二十四戸の災害がございます。これも同様に住宅金融公庫個人住宅災害特別貸付受付を開始いたしているわけでございます。  次は七月の七日から八日にわたる集中豪雨関係でございますが、広島県、山口県二県におきまして八十三戸の滅失戸数がございまして、これも同様に住宅金融公庫個人住宅災害特別貸付ワク運用をいたしているわけでございます。  次は新潟県におきまして七月十三日から十四日にかけまして三戸の滅失がございます。  次は八月の二日でございますが、青森県、秋田県二県にわたりまして六十八戸の滅失がございまして、公営住宅はこれも一般公営住宅追加割当をいたしまして、その運用によって罹災者の救済に充てているわけであります。住宅金融公電の方は、個人住宅災害特別貸付ワク運用をいたしているわけでございます。  台風十一号、八月十一日岡山県におきまして一戸の災害がございます。  台風十三号は八月十三日静岡長野岐阜愛知三重福井和歌山七県にわたりまして、百八十一月の滅失戸数がございまして住宅金融公庫個人住宅災害特別貸付ワク運用いたしているわけでございます。  五月二十四日はチリ地震津波による被害でございますが、北海道岩手県、宮城県その他の府県におきまして三千二百三十六戸の滅失戸数がございまして、これは災害公営住宅におきましては特例法によりまして、そこに書いてございますように三十五年度分としては六百四十二戸の建設、三十六年度としては、次年度といたしまして三百五十九戸の建設をいたすことに相なっております。  なお住宅金融公庫災害復興住宅融資、また個人住宅特別貸付ワク運用等につきましては現在の状況はその欄に書いてある通りでございます。  台風十六号の住宅関係被害でございますが、いまだ調査の途中でございますので、そこに九府県の計といたしまして百九戸の住宅滅失がございますけれども、これはなお逐次調査の徹底に従ってふえていく見込でございます。けさほどの警察庁の調べによりますと、全壊、流失合せまして百九十八戸の戸数にふえて参っております。被害のはなはだしい所は京都府、兵庫県でございまして、京都府におきましては全壊、流失合せまして七十三戸、兵庫県が八十二戸ということに、六時現在で相なっております。なお、被害戸数が確定いたして参りましたときに、それぞれ各県の要望等に基づきまして適宜の処置をとりたいというように考えておるわけでございます。
  17. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) それでは、これに対する質疑はあとにいたします。   —————————————
  18. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 次に、新道路整備五カ年計画について建設大臣から計画概要事業計画資金計画財源等について基本的な御説明をお願いいたします。
  19. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま委員長からお話しになりました通り、新道路整備五カ年計画の策定を目下建設省におきまして計画中であります。従ってこれから申し上げますることは、建設省中心にして建設省内において検討中のものでありますからして、政府として方針が決定したという性格のものでないことを御了承願いたいと思います。  建設省におきましては、最近の交通情勢が急激に輻湊して参りまして、もちろんこれが日本経済の急激なる伸張、成長というものが原因であります。従って現行道路整備五カ年計画を改定をして、新道路整備五カ年計画を策定する必要を感じまして、目下これが新案の検討をいたしておるわけでございます。一応建設省としての構想をお話し申し上げましてぜひとも御協力を願いたい、かように考えております。  まず、現在実施中の五カ年計画でありまするが、御承知通り、本年度はその第三年度目にあたっておるわけでありますが、その進捗率昭和三十五年度末におきまして、一般道路事業五二・五%、有料道路事業を加えた全体では四七・三%となる予定であります。これは過去二カ年間の進捗状況を見ますと予算通りに順調に推移をいたしております。この五カ年計画あと二カ年を残しておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、最近における目ざましい日本経済の成長、これに伴うところの輸送需要の増加、とりわけて自動車によるところの輸送量がきわめて高い伸び率を示しておるわけであります。現五カ年計画を策定いたしました当時に予想した自動車輸送の計画と、その後における実績とを対比してみますと、貨物におきましては計画に対して昭和三十三年度一・二五倍、昭和三十四年度一・三二倍、旅客については昭和三十三年度一・一一倍、昭和三十四年度一・一三倍とそれぞれ当時の計画を上回っておる現状であります。諸外国の例を資料によって調べますると、自動車輸送が今後ますます伸びていく情勢が予想せられるのでありまして、現行五カ年計画が達成されるといたしましても、全国の至るところに道路交通の混雑と行きづまりというものが起きる可能性を、強くわれわれは予想することができるのでありまして、従って現行五カ年計画ではこれらの混雑を解消することはできない状態であります。で、この現状を打開するためには、この際道路事業規模を大幅に拡大する必要を痛感しておるようなわけでありまして、建設省といたしましては、経済企画庁を中心に目下所得倍増計画を考えておるのでありまするが、この計画を達成するためには、その基礎的条件ともいうべき道路の整備を促進して経済発展の基盤を強化しなければならない、かように考えております。  このような情勢に対処するために、建設省におきましては現行道路整備五カ年計画昭和三十五年度をもって発展的に解消をして、昭和三十六年度を初年度とする新道路整備五カ年計画を策定する方針を立てておる次第であります。新五カ年計画は、将来の経済の伸長に伴う輸送需要に対応するよう定めるべきでありますが、その投資規模は、今後十カ年間に六兆円の道路投資を行なうことによって目途の五カ年計画を策定したい、かように考えておるわけであります。  この新五カ年計画における道路整備の基本方針骨子を申し上げますと、まず全国的幹線道路網である一級国道につきましては、昭和四十年度に改良舗装をおおむね完了する、二級国道につきましても緊急に整備を要する区間の整備を完了する考えであります。  次に、大都市及びその周辺、工業都市及び国際観光都市における幹線街路の整備をはかるとともに、地方幹線道路につきましても整備を促進し、また資源の開発、産業の振興並びに国際観光等の見地から、緊急に整備を要する路線の整備を進めることにいたしたいと考えております。  高速自動車国道につきましては、名神高速道路建設を完成するとともに、その他の高速道路につきましても、緊急を要するものにつきましてはこれを着手もしくは区間的な完成を見、並びに中央自動車道及び東海道自動車道につきましても着手をいたしたいと考えておりまして、首都高速道路につきましても、この建設を促進する所存であります。  また、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保をはかるために、積雪地域道路事業の拡充をはかるつもりでおるわけであります。  以上、目下検討いたしております新道路整備五カ年計画案の概要を申し述べましたが、この案により関係当局とも折衝を進める予定でありまして、私といたしましては、目下道路整備は重大なる案件でありまするので、全力をあげてこの計画の確立に努力をいたす決意でありまして、何とぞ皆様方の絶大な御支援、御協力を切にお願いする次第であります。
  20. 田中一

    田中一君 最初に大臣に申し上げておきたいのですが、今、あなた十二時から何か閣僚懇談会があるからそちらに行くというようなお話がございました、また御出席が非常におそい、はなはだ遺憾であります。従って、われわれはきょうは午後に通じて十分に新しい道路計画並びに治水計画について御意見を伺いたい、なおかつ発生しておりますところの災害のその対策等についても質疑をいたしたいと、こう考えておるのでございますが、午後には何時からこちらの方にお見えになりますか。
  21. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 午後一時半から衆議院の方の建設委員会がありまして、それが終わりましてから、三時ころまでありますか……。  また、きょうおくれて申しわけないのですが、きょうは非常に重要な首都圏整備委員会を午前八時半からやっておりまして、十時までにお伺いする予定でありましたが、首都圏整備委員会の方の都合があっておくれました。そのような次第でありまして、御了承願いたいと思います。
  22. 田中一

    田中一君 きょう、あすの委員会は約一カ月近く前に事務局から話をしているはずでございます。従って建設省内におけるところの他の委員会等は、当然官房長からそれぞれ当委員会に支障のないような措置がとられたと思っているわけでございますが、明日はどうなりますか。
  23. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 御承知のように、明日は防災の日でありまして、建設大臣は一応指揮官といいますか、現場の指揮もとらなければならぬものでございますし、午前中から現場の視察等をやりますから、午後三時近くまでは都合がつかぬと思います。それ以後になろうかと思います。
  24. 田中一

    田中一君 委員長に伺っておきますが、防災の日というのはこれはどういう機関のどういう決定に基づいてそのようになさるものですか。当委員会は御承知のように委員会の決議をもってきょう、あす委員会を開くことは御承知通りであります。従って建設省が防災の日として、建設大臣地方に視察に出ることと、当委員会出席して質疑に答えることと、どちらに国防大臣としての責任の軽重があるか、その点委員長に伺っておきます。
  25. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) まことにむずかしいことでありますが……。
  26. 田中一

    田中一君 これはむずかしいことでも何でもないのです。もしも九月一日にどうしても大臣が予定されたものがあって出席ができなければ、何も二日に延ばすことも一向差しつかえない。われわれは理事会を開いたかどうか記憶がないのですが、委員長に一任する形で三十一日、一日ときめておったのでありますが、それがことに治水計画にしても、道路計画にしてもこれは五年間、十年間、この事業をしばるような案が出ている。われわれも休み中は現場に行ったり何かして相当勉強いたしているのであります。だからちょうどいい日を選んだのが三十一日、一日というわけであります。時間もないのにこういう本筋でない質問を委員長にしたのは、今後の運営に危惧を感ずるからで、大臣は閣議と当委員会出席を要請されたのに対してどういうように考えておりますか。はなはだ遺憾であります。従ってこれは橋本さんにばかり言ってもしょうがないから、委員長がどのような措置をとるか伺っておきます。
  27. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 防災ということも大事でございますから、大臣が陣頭に立ってこれを指揮されるというのだから、これをとめるわけにはいかない。それで本日大臣が大体二時までおられるそうですから、それで大臣に一つ質問いたしまして、もしこれで終わらぬときにはまた適当な日を選んでそうして委員会をもう一度開く、かように思っております。
  28. 田中一

    田中一君 きょう二時までおられるならばこういう質問は私はいたさないのであります。大体二時ぐらいでよかろうというような考えを持っておったところが、今十二時までということを言われているのです。事務局からきた連絡は二時までおられるというので、それなら十分質疑の時間があるだろうと、こう思っておりました。ところが本人から閣僚懇談会があるから十二時に終えてくれと言っておきながら、出席したのは十一時に近いのです。それでは参議院の当委員会を軽視するということを言わざるを得ないのであります。そういうことはあり得ません。歴代の大臣がそのような措置をとったことはございません。
  29. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 先ほど十二時までと申し上げましたが、今交渉させまして、国会は大事でありますからできるだけここにがんばりますからそれで御了承願います。
  30. 田中一

    田中一君 それで了解いたしました。そのくらい時間があればいいようであります。
  31. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) それではこれから大臣に対する質疑を行ないますから、順次御発言を願います。
  32. 田中一

    田中一君 新道路五カ年計画というものを策定したいという政府の意図に対しては、われわれ社会党としても満腔の賛意を表するものであります。しいて申しますならば、当然もっと早くこうした作業が続けられなければならぬように考えておりましたけれども、ようやく十カ年計画に含める前期五カ年計画というものが一応論議の的になったことは賛成でございます。  そこで申し上げたいのですが、一体新しい道路整備計画というものはだれのために行なおうとするのか。たとえば、むろんこれに対しては財源等に関する問題等については、国民の所得倍増論なんというような言葉がちらちら見受けられておりますけれども、国民所得の倍増なんという問題は政府自身が考えるべきものでなくて、当然総合的な結果として生まれるものであろうと思うのです。それで、今までもわれわれは岸内閣、その前の吉田内閣以来非常な数々の裏ぎられたところの政策を聞いております。しかし、今度は道路整備五カ年計画に対しては真剣にやるということは賛成ですから文句は、ございませんが、まあ余分なことは言わぬでよろしいから、国民にアピールするようなものよりも、国会にアピールするような現実的な計数をお書き願いたい。たとえばこれらに要する財源というものは、伺ってみますと、前期五カ年計画で二兆三千億というものが要るんだ。今の説明の中ではこの二兆三千億の財源のことに対しては少しも触れないで、この辺で一つ説明を端折ってしまっております。従って、二兆三千億というものの財源をまず御説明願いたいと思います。  あなたが大臣になられたときに、水田君も大蔵大臣になり、道路公債等も発行してもいいのではないかというような談話もちらほら新聞に出ておりましたが、最近ではそれが引っ込んでおるという現状から見ても、これはどこに財源を求めるのであろうかということについて、もう少し詳細に御説明を願いたいと思います。
  33. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 田中委員の御質疑ごもっともでありまして、建設省といたしましては一応その財源に対しましても見解は持っております。一応、建設省事務当局といいますか、建設省で作りましたこの資料でごらんの通り、五カ年計画で二兆三千億円を投資しよう、そうしなければ現在の道路は日本の経済成長に合っていかない、こういう見解で、日本の経済成長というものを基準にして、この程度道路はどうしても最小限度必要であるという見解に立っておるわけであります。  その財源問題ですが、一応現在のガソリン課税の率を固定した考え方で、それに経済成長率というものを合わして、五カ年間にガソリン税の収入は七千二百億円、これを推定し得ると。従ってそれ以外の財源を必要とするのですが、それ以外の財源は総額において四千三百七十億円くらいになるわけであります。で、この四千三百七十億円というものの財源は何に求めるかということが、何といいましてもこの新道路計画の重要な線になります。もちろん、今の大蔵大臣が政調会長当時に道路公債はもう出してもいいんじゃないかという意見を言われておったようでありまするが、現在の心境はまだ私は正式に伺っておりませんが、もちろんこの四千三百七十億円の財源の一つには公債の考え方もある、一つには預金部資金等の借入金も考えられる、また一つには一般会計からの繰り入れも考えることができる。まあ幾つかの方法はあるわけであります。従って建設省としてはいろいろな意見を持っておりまするが、これが財源をいずれにきめていくか——あるいは二者を併行するか、あるいは三者を取り入れるか、いろいろの方法は政府として、あるいは大蔵当局として、大蔵大臣としては考えてもらわなければなりませんが、ただ建設省側としては、これだけのものをやらなければ今後の日本の経済成長に伴わないのだと、その結果としては、いわゆる日本の経済が順調に伸びるべきものが行き詰まりの状態を来たして、かえって経済成長を阻害する結果になる。建設大臣としてはその点が私は主張すべき重点になるであろうと思う。財源等につきましてはもちろん一応の考えは持つべきでありましょうが、何といっても主管の省があるのでありますから、主管の省が十分に考慮すべき問題でありますからして、ただわれわれとしては、こういうものをやらなければ今後の日本の経済成長率はとまってしまう、これをわれわれは強調したい。そういう考えからで、今後財源問題につきましては先ほど申しました三つの財源の方法はある、あるいはこれを組み合わせれば四つなり五つともなるわけでありますが、いずれにせよ、少なくともこれだけのものをやらなければならぬという考え方のもとに大蔵省当局と折衝を重ねたい、こう考えておるわけであります。
  34. 田中一

    田中一君 今お話の中の預金部資金とか、あるいは道路公債とかいっております点も、一般会計としてはどのくらいのものをパーセンテージとして予定されておるのです。もともと道路整備五カ年計画は、この揮発油税が目的税じゃないという前提のもとに出発したはずのものであります。それが後数年たって揮発油税を主として目的税として道路整備に使うのだというように方向も、考え方も変わったようであります。そこで、一般財源というものが年少しのものをつけておりますけれども、この五カ年計画を遂行するには一般財源をどのくらいの。パーセントに考えておるか、また全然これをなし、という考え方を立てておるのか、その点はまあ大臣が折衝しておられるのじゃないでしょうけれども、この交渉をまとめるについておそらく私ども交渉があったと思うのです、その方の方からの交渉の経緯でもけっこうですが説明願いたいと思うのです。  それからガソリン税の伸び、まあ譲与税、並びに軽油引取税等、これらのものの伸びというものの予想されるものというものと、三十五年度の決算ですね、これはもうほぼ出ていると思うのですが、これらはどういう実態になっているか、御説明願いたいと思うのです。
  35. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 進捗率等については事務当局から答弁をさせます。  当時の現行五カ年計画を策定するにあたって、一般会計からどのくらいの割り合いで繰り入れるべきか、ガソリン税はいわゆる百パーセント目的税じゃない、こういう考え方で当時折衝したものと考えるのであります。ただその後におけるといいましょうか、国全体の財政計画関係し、かつまた道路に関しましても、たとえば有料道路関係の公団の出資金等は、一部は一般会計から繰り入れるものもあるし、あるいは低利資金等によって借り入れるものもある、こういうことがございますが、一般道路については、御承知のように三十五年度は非常に僅少な額しか入っておらないわけでありまして、ただ私は当時この折衝にあたってはおりませんが、必ずしもどうも一般会計からの一般道路に対する繰入金が何%という強い考え方ではなかったようでありまするが、当時その衝に当たった者から答弁をさせますが、私の今後の方針を申し上げれば、一応道路計画は、原則として一般会計の繰り入れば必ずしも多くを要求しない。もちろんこれは一般道路も、公団があるんですからして、いわゆる一般会計から相当金を繰り入れるべきであるという理論も成り立ちますけれども、実際上の問題として相当膨大な計画になりますと、これを全面的に一般会計から繰り入れるということは財政計画からいって無理がある。しかしながら、現在の経済成長から見て、どうしてもこの程度はやらなくちゃならぬということになれば、一般会計の足らざるところは、先ほど申しましたような借入金なり、あるいはできれば公債なり、そういうようなことを考えて、ある意味においてはパーセンテージは必ずしも幾らときめなくても、並行的にものを考えていきたい、こう考えております。
  36. 田中一

    田中一君 そこで、公団による借入金は具体的に何か予想されるものがあるのですか。道路公団に対する世界銀行の資金の借り入れというものを予定されておるように聞いておりますけれども、それらは初めに伺ったときから相当何年たちましたか、三年か三年たってようやく少しの金が借りられたということになっておりまして、そのあとにくる世界銀行の資金などはどのくらいに予想されておるのですか。
  37. 上村健太郎

    参考人上村健太郎君) 世界銀行からの引き出しは、現在までに契約が済んでおりますのは四千万ドルでございまして、百四十四億円でございます。今日まで借り入れが済みましたのが円に換算いたしまして二十四億一千八百万円でございます。今後この借入額は、主として第一次の計画、すなわち、これは滋賀県の栗東から尼崎までの間の事業に対しまする借入額でございまして、今後名古屋から栗東までの間の事業に対しまして借り入れを申し入れたいと思っております。その額は、まだ世界銀行との折衝を待たなければなりませんので、未定でございますが、大体事業費の四五%ぐらいの程度のものを借り入れを申し入れたいと思っております。
  38. 田中一

    田中一君 この道路公団による借入金というのは四千三百九十二億円とするならば、これを五カ年間に均等割りしてみると、八百七十八億というものを年間調達しなければならないのです。八百七十八億の借入先と申しますか、調達する当てはどういうことなんですか。自信はあるんですか。
  39. 浅村廉

    参考人浅村廉君) 実は五カ年計画の中におきまして、私ども道路公団がどの程度やらしていただくことになりますか、現在道路局と御相談中でありまして、まだ私どもはっきりしたところを伺っておらないようなわけでございます。田中先生も御存じのように、道路公団の資金源といたしましては、借入金的なものは三種類ございまして、一つは資金運用部資金の借り入れでございます。もう一つは、道路公団債券の発行による資金の調達でございます。それから第三番目のものが、ただいまお話が出ました世界銀行からの借入金でございます。そのようなものがどういうふうに組み合わされまして、五カ年計画の中におきまする道路公団の事業の財源になりますか、実はまだ私どももこまかい作業に入っておりませんので、ただいまは五カ年計画の中において、道路公団としてどれだけワクとしてやらしていただくことができるか、ということを御相談申し上げておる現状でございます。
  40. 田中一

    田中一君 私は、この計画が実現することを非常に希望しておるわけです。従って、まあ社会党としてもいかなる協力もしたいと考えておりますが、ただ財政当局に対する一つの意思表示、並びに、まああまり確定しないアドバルン的な計画であるならば、これはやはりもう少し検討してもらわなければならぬと思うんです。政府のあげたアドバルンにわれわれがついていくというわけにいかない。もう少し地道な地についた計画でなければならぬと思うんです。今伺ってみると、世銀の方にしても、あとの借款の予定もあるやに副総裁は言っておりますけれども、何も確定したものでなくて、これだけの仕事をしたい、これだけの仕事をしなければならないというようなところからくるものであろうと思いますけれども、財源の問題は財源の問題として、はなはだ不十分なものであり、これから考えることだと思うんですけれども、少なくともこれだけの仕事をするのにどれだけの陣容でやるかということは大きな課題なんです。道路公団なり首都高速道路公団なり、あるいは政府が行なうという直轄工事、補助工事等も、今のような形の規模ではとうていなし得ないと思うんです。だからそういう点を総括的に建設大臣はどういう考えをもってこれを遂行しようとするか。こういう状態では資金の問題は不十分です。むろん説明する段階ではないということをおっしゃりたいんだと思いますけれども、少なくともこういうりっぱな本にして、草案じゃなくて、一応省議として確定した希望的な宣伝用のパンフレット、こうみていいわけですねこれは。そうなれば、やはりつじつまの合うような財源措置と、それから実際この期間に施行し得るという自信を示さなければならぬと思うんです。道路公団にしても首都高速道路公団にしたって、御承知のように用地の問題は進みません。おそらくここのところ一年や二年できまるべきものでないと思います。用地すらきまらないでその計画計画通りいくなんという考えは、これは非常に甘い考えです。まあおそらく道路公団にしても首都高速道路公団にしても、それらの問題については、もう非常ににがい経験をなめたと思うんです。従って、そうした予算の問題は、一応まあ不十分ながらこういう数字の羅列でございますということで了承してもよろしいんですが、実際仕事をする場合に、どういう工合いに、実現し得る可能性があるかどうか。私は今のような規模、今のような考え方では、とうてい用地の問題一つすら解決されないと思うのです。でありますから、まあ大臣も、ほかの方の質問もあると思いますから伺っておきますが、どういう規模で行なおうとするか、それから用地の問題はどういう心がまえでこれを解決しようとするか、われわれが出席しなかった前国会におきまして、公共用地取得制度調査会なるものが出発しまして、どういう国民に強圧を加えて用地を取得しようとするのか、それらの構想が明らかにならなければ、国民を欺瞞するものにすぎないのです。具体的にこういう手をもって、こういう方法をもって、こういう法律に基づく行政措置をもって行なうのだというような決意を示さなければ、全く絵に書いたもちなんです。従ってそれらを十分に二公団並びに政府としても考えておられると思うのですが、もう少し具体的にお示し願いたいと思います。
  41. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 十カ年計画として六兆円の道路投資をやろうという考え方は、私としては確固不動の決心を持って当たります。もちろん大蔵大臣もしくは内閣の決定を待たなければなりませんが、これは日本の経済を順調に伸張せしめるためには絶対的条件である。これなくしては、現在企画庁の考えておる種々なる政策というものは、それこそこれはもう絵に書いたもちになってしまうので、根本的の考え方はあくまで貫きたいと考えております。問題は今、田中委員のおっしゃるように、それらの財源等をどう考慮するかという問題と、これを確実に実行するためにはどういうような構想でいくか、こういう問題になろうと思います。で、財源問題は先ほど申しましたが、陣容の問題ですが、十カ年計画で六兆円の道路投資を行なうという方針のもとに、三十六年度から初年度を始めたい。で三十六年度の三十五年度との予算及び事業量の増加の割合ですが、これが一応問題があろうと思います。十カ年計画を十で割って平均六千億円、こういうような事業は実際上できませんからして、御指摘のように監督官庁である建設省の陣容並びに建設業界等の受け入れ態勢、こういうものをやはり一、二年は指導育成していく必要があろうと思う。従って三十六年度に現われる予算が、必ずしも六兆円の十分の一という考え方じゃなく、いわゆる等差級数的に将来は数字が割に伸びていくというような計画を策定をいたしたい。こう考えておりますからして、従ってこの事業遂行における技術者等の面、あるいは建設業界の受け入れの面なり、そういう面はもちろんこれは努力をしなくちゃなりませんが、また皆さんの御協力を得なくちゃなりませんけれども、一応のめどは私たちとしてはつけておく方針でございます。財源措置もそうした考え方のもとに等差級数的に進めていくのでありますからして、従ってもちろんこれは政府が最重点政策として取り上げていかなければなりませんが、その方針である以上は、あらゆる手段を講じて財源措置を講ずるであろうし、また私は講じてもらうように皆さんの御協力を得てやっていこうと、こう考えておりますので、われわれとしてはこの考え方を確実に実行するように努力もし、また皆さんから絵に書いたもちだとお叱りを受けないようにやって参りたいと、かように考えております。
  42. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連。これはただいま田中委員からも質問しておるわけですが、私も財源の問題について若干質問いたしたいわけですが、債券の発行ということは、大体公団が中心になってやるように見受けられるわけですね。しかもこの規模を見ますと四千三百九十二億、揮発油税を除いた一般財源に十分匹敵する財源ですが、よほどの私はしっかりした援助、指導がなければ、公団といえどもなかなか容易にこれだけの額を消化しきれるかどうか、実は疑問に思うわけです。従ってそういう点についての大臣の考え方ですね、それを一つ聞かしていただきたいのと、もう一つは国とか地方においては、それでは公債あるいはそういった債券というものを全然発行しない考えに今おるのかどうなのか。つまり私の聞きたいのは、債券の発行というものは公団だけに一応とどめるという計画に今立っておるのかどうか、それをまず二つ聞きたいと思うのです。
  43. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) この十カ年六兆円という計画は、経済企画庁の所得増勢計画といいますか、まあ所得倍増という言葉でも言っておりますが、そういう経済企画庁の考えておりまする基本的な経済成長の線に沿って策定しております。ということは、三十三年に決定されました現行五カ年計画の考え方を基礎にしておる。それから特に建設省がプラスアルフアを加えておりません。たとえば道路の原単価のとり方にいたしましても、三十一年の七十七万円という線をとって、そうして経済企画庁の考えておる今後十年間における経済成長の伸びというものとあわせて、その方式は現行五カ年計画と全く同一の基調に立ってプランができておるわけであります。ということは、要するにその後における日本の経済成長ということが当時と違って、先ほど数字で申しましたように当時の計画を相当に上回っておるということから、当然日本の経済の成長率が高まっているので、それに伴ういわゆる道路計画を改定しなければならないという、日本の経済成長という点から制約せられて出てきたものでありますから、ただ建設省がいわゆるひとりよがりで道路計画を作ると、こういう意味でないことを御了承願いたいのです。そういう基本的な点に立っておりますから、この前の五カ年計画、現行五カ年計画道路の原単価につきましても、経済成長率につきましても、全く同じ点を取り上げて、そうしてこしらえ上げていっておると、どうしても十カ年間に六兆円の道路投資が必要である。ただし、私たちは今六兆円と申しましたが、経済企画庁の計算によりますと幅があります。低く見た場合、最低の場合は四兆七千億円、これを高く見るといいますか、その成長率の最高点をとって計算いたします五兆九千億円になるわけです。五兆九千億円というのは、この前の現行五カ年計画の一兆円という計算をいたした時と同じ考え方の尺度でとった場合に五兆九千億円になる。まあ五兆九千億、端っぱですから一千億円プラスして六兆円です。そういう基本的な計画は経済企画庁の作業と相待っておるわけですが、その計画のもとにこれだけのものはどうしても必要だという計画の立案の根拠が出ました。  そこで第二段の債券の問題ですが、従来ともに公団関係は、政府の低利資金または公団債を発行して現在の仕事を進めておるわけであります。従って従来ともに領金部資金の借入金及び公団債の発行、並びに外債等も考慮してそれを財源としてやって参ります。一般道路の財源は先ほど来から申しましたように、国の財政なり金融情勢等を勘案して、いわゆる道路公債なるものが一本でいってよろしいか、あるいはまた国の一般会計の十分なる余裕金があれば、それから大幅に繰り入れるということも考えられるし、また領金部資金等の金もその方面に余裕があれば使うことも考えられる。そういうことで、この問題はなおしばらくの間検討してみませんと、いずれで財源を埋めるかという最終的な段階には参っておらないわけでございますが、いずれこれらの方針がきまれば、三十六年度の予算の編成になるわけですが、その場合においてまた皆さんに中間的に御報告申し上げて御協力、御了承願いたいとこう考えております。
  44. 永岡光治

    ○永岡光治君 大体決意はわかるのですが、四千三百九十二億円、かなりこまかい数字まで出しておるわけですから、およその目算を立てておいでになると思うのですが、御承知通り資金部は国も、その他、国でやっているいろいろな公共体等の問題も起きて参りましょうし、将来資金部に資金がたまりましても、たとえばそれを厚生省関係ではそういう関係の方の福祉の方に使わしてくれという問題も出ておるやに承っておる次第ですから、資金部の借り入れでもそう甘く考えるものでもないと考えるわけで、四千三百九十二億というものを五カ年間にやろうというわけですから、かなり資金部の借り入れを考えなければならんと思うのですね。債券発行ももちんこれは考えて参りましょうが、これとてもそう私は簡単に引き受けてくれるほど甘いものでもないというように今日の情勢で考えるわけです。  それでもう一つ突き進んでお尋ねいたしますが、四千四百億近い公団の資金の調達でございますが、大体今、浅村理事から御説明いただきますと、資金運用部資金、債券発行、世銀の借り入れ、大まかにいえばこの三つくらいあるというお話でありますが、しからば資金運用部に重点を置かなければならん、どうしても低利資金でなければ公団経営も容易でないわけですね。そこで資金運用部と、それから債券、あるいは世銀の借り入れというものは、およそ今のところのあなたの考え方は、最終的にどうきめるというのは先でしょうが、八・二・一とか六・四・一とか何かそういう関係があるかと思うのですが、大体どの程度の比率をお持ちになっているのですか。
  45. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 特に比率ということも今のところはっきり申し上げにくいのですが、というのは御承知のように、永岡さんがおっしゃったようにかなり預金部資金というものは方々からだいぶねらわれておるのですから、かなり枯渇を来たしておるようです。ただ今おっしゃったように、やっぱり幾らかでも安い利子の金を使うことの方が、早く有料道路が無料道路になるのですから好ましいわけです。従って建設省の要求としては、やはり預金部資金の借り入れを中心に交渉をいたしますが、今申したような国家財政上の都合なり、先ほどあなたからもおっしゃったような他の方面からのねらいもございますからして、交渉の結果はどういう割合になるかはちょっと申し上げかねるのですが、考え方としては永岡委員のおっしゃった考え方で、できるだけ安い金で道路を作っていこう、こういう気持は基本的にはあります。
  46. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうすると、重点を資金運用部に置くけれども、細部にわたっての比率はまだきめていない、こういうことですが、ついでにお尋ねいたしておきたいのですが、十ページの今の四千三百九十二億に関連する問題ですが、事業費を見ますと、有料道路の項目で国が六百億、地方が二百八億、公団が四千三百九十二億、合わせて五千二百億ということでございますが、この国と地方で行なう有料道路と、公団で行なう有料道路ですね、これは何か特別に方針があるのですか、あれば一つ……。
  47. 高野務

    説明員(高野務君) この十ページの有料道路、国、地方、公団と分かれております。御説明いたします。有料道路はいずれも日本道路公団、あるいは首都高速道路公団で行なう有料道路事業をあげておるわけでございます。ただ国と書いてございます六百億は、国の出資を予定しております。地方という分は東京都の出資を予定しております。
  48. 永岡光治

    ○永岡光治君 どうも不勉強で申しわけないのですが、実は私は、国も有料道路をやって、地方も有料道路をやってということに思えたものですから、そうすると、何か公団でやる有料道路の方針と、国で経営する有料道路の方針と、何か区別があるのかと思って……。これは財源をそういうふうにまかなっていただける、こういうような考え方ですか。
  49. 高野務

    説明員(高野務君) さようでございます。
  50. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこで、結局私はこの財源を、冒頭大臣に所見をただしましたように、公団によるところの事業、これが非常に大きな分野を占めるわけです。従って非常に公団に対する期待も大きいわけですが、そういう意味では、今後この公団の育成強化と申しましょうか、そういう面についての大臣の考え方を私は尋ねたわけでありますが、あまり触れられていないわけでありますが、これを一つ大臣に考え方を……。
  51. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 有料道路が、一般的といいますか、世間的には、ややもすれば観光道路に主眼があるのではないかというようなお話もありますが、実際上これが調査、もちろん建設省がこれは委託するのですから、純粋の観光道路に作られる点は比較的少ないのであります。もちろんこれは観光道路と産業道路と兼ねているような面もありますけれども、純然たる観光道路の割合は非常に少ないのであります。パーセンテージでも申し上げにくいのですが、おそらく三〇%前後だろうと思います。あとはやはり産業道路なりあるいは観光道路を含めたものが作られておる、こういう意味で、必ずしも公団の作るのは観光道路だというような一部のお話は、これは実際上とはだいぶ食い違っておりますので御了承願います。  なお公団の工事の施行ですが、建設省道路局なり、私も直接最近は、月一回は必ず公団の当局と会合いたしまして、従来なかったのですが、必ず月一回は定期に会合をして、皆さんの意のあるところなり、国民の意のあるところを十分に伝えて、業務運営については万全を期しておるわけであります。ことに最初申しました、いわゆる観光道路重点主義ということは、これは十分に考えなければいけませんからして、従って地方の場合においても、地方道路である程度採算の可能なものは積極的にやるようにという意味で、いわゆる公団でやる道路のうちでも、一般有料道路の金額を相当にふやしていこう、こういう考え方であるわけであります。ただ御承知のように法律の規定するところで、路線一本についての何といいますか一種の独立採算ですね。こうなっておるものですから、あまりに財源の引き合わない線はプール計算ができないという点においての不便があるようですが、それについては公共道路と引き継ぐような形をとり、そういうことによって一応採算ができるような状態において、地方の産業道路の開発も公団がある程度できるものにやっていく、こういう方針でやっております。
  52. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは国が六百、地方が二百八億というこの負担をするわけでありますが、それは大体公共道路と申しますのは、道路は公共も何もないのですが、産業道路、ここに重点をおいた支出だと、こういう考えですか、それとも観光道路というものも国も地方もある程度負担する、こういうように解釈していいのかどちらですか。
  53. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) お話のように、観光的に完全に採算のできる所は国が出資せぬでもいいのですが、全体の事業を区分いたしまして、所によっては道路的にどうしても採算が合わない所は産業道路が主になります。そうするとどう計算してみてもマイナス面が出ますから、道路公団の財源の方は利子が高いです。が、政府の出資なりあるいは預金部資金の借入金というものは無利子ですから、そういうものによって、そういう面の産業道路的な性格があり料金だけでまかなえない、こういう所にもある程度やらしていこうというところにねらいがあると思います。
  54. 田中一

    田中一君 そこで、この六兆円の事業費というものに対する全体の織り込んでおるところの路線と申しますか、地点と申しますか、こういうものの作業は一応済んだのですか。大づかみな経済の伸張率あるいは所得倍増というような資金の面から算定したところの計画であるのか、実際の必要なものを、これだけ、いついつまでに建設しなければならないという必要度、それから作業されて積み上げているところの六兆円ですか、その点はどうなっているのですか、これは道路局長一つ……。
  55. 高野務

    説明員(高野務君) 私ども十カ年に六兆、五カ年に二兆三千億という構想を考えておるわけでありますが、この六兆に対しましても、二兆三千億に対しましても大体の積み上げをしておるわけであります。ただ六兆に対するものは将来の予想でございますので困難な点がございます。詳しくは二兆三千億、五カ年計画に対して積み上げを重点的にやっております。五カ年計画におきましては各種別の道路をそれぞれ基準をきめまして、その基準によりまして積み上げていく必要量はどれだけかという数字を出して、相当に、マクロ作業による二兆三千が適当である、あるいは二兆三千が必要最小限度であるという自信をもってそれの数字を出したわけでございます。
  56. 田中一

    田中一君 それでは一つ、先ほど大臣の説明を聞くように、どこまでも資金の面からこの数字というものは出たように印象を受けるようです。これは道路局長にお願いしたい。それは、二兆三千億の五カ年計画というものは、まあこまかい問題は困難であろうからそこまで要求しないが、しかし道路公団の面を一つ言うと、道路公団では橋を作らなければならない、あるいはここに隧道を掘るとかいうようないろいろな事業の性格があるでしょうが、今、永岡委員からも質問があったように、観光的なものの路線はどこどこ、それから産業的な道路はどこどこ、有料道路はどこどこ、橋はどこどこ、また並行道路として産業にも観光にも、かつまた交通量、交通というウエートですか、そういうものを含んだものがどこどこというような大まかな線が出ていると思う。それを一つ資料としてお出し願いたい。これは何も道路局長がとやかく言うべきものじゃないのです。道路公団は道路公団としておのずから見方があると思うのです。与えられた権限内において希望的数字、希望的事業これでいいと思う。道路局長、手を上げてそういうことではいけない。そこで、同じく首都高速道路公団もそれらの路線について率直に自分の意見を言うべきであるということです。私の大臣の説明から受けた印象というものは、資金の面を押えて財源というものを一応見通しをつけながら、今度事業面に下りてきたというような印象を受けたものですから、今度あなた方の方は実際の仕事をこれはすべきである、首都高速道路公団の法律によるところの目的というものはこれである、ということが出なければならぬ、前期五カ年計画には。これは道路公団も同じでございますよ。何も一々道路局長の指示を受ける必要はない。公団の管理人なんかいうのがいますね、そういう者の制肘を受ける必要はない、法律に命ずるままに自分の意思によって行なうのである。これはどうしても前期五カ年計画においてはしたい、これはいついつまでにやりたいのだ、というような意思表示をする考えの資料を出してもらいたい、当委員会に。  それから道路局は地方の実態というもの、たとえばわれわれがこの間三陸地方道路を調べに参りましたところが、これはまるっきりもう離れ島と同じなんですね。そうすると一番重要なものは何かというと、道路の問題である。ある面においては鉄道をという人もいますけれども、私の考えとしては鉄道よりも道路であるというような印象を受けて帰って参りましたけれども、これらのものは二級国道であろうと全然通っておらない、切れているのです。車は通れないのです。こういうのは当然二級国道という性格からしてしなければならないというようなものを、地方の実情に合わせて積算したものを一つ盛り上げたものを資料としてお出し願いたいのです。道路公団並びに首都高速道路公団は政府を経由しないでじかにお出し願いたい、当委員会に。政府の方は地方から数々の陳情、ことにわれわれのところへ各地方道路関係の団体から長文の電報、同文電報が各委員にもきていますが、こんなむだをやるくらいに、どうしても道路整備をしてほしいという希望が表われているのですから、相当の地方公共団体から要望があると思いますが、それを一つ出していただきたい。何も道路局長も建設大臣の財源難というものを考えずに、どうしても前期五カ年計画においてしなければならないのだというようなものを、一つ素材として当委員会に出していただきたいと思うのですが、これはよろしゅうございますか、建設大臣、監理官がいるそうですから、首都高速道路公団並びに道路公団に対してはあなたの方の部下に監理官がいますから、監理官がいけないと言えばいけないのですから、大臣から一つこの許可を与えていただきたい。よろしゅうございますか、大臣。
  57. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) はい、よろしいです。
  58. 田中一

    田中一君 これを一つお願いします。
  59. 高野務

    説明員(高野務君) ただいまの資料、できるだけ作らしていただくわけでございますが、先ほど積み上げでと申し上げたわけでございます。その通りにいたしました。ただ、ただいまの積み上げは投資のワクを幾らくらいがいいだろうかという意味の積み上げが重点でございます。
  60. 田中一

    田中一君 もう少し大きな声で……。
  61. 高野務

    説明員(高野務君) 投資のワクを幾らくらいにきめるべきかというための目的の作業が重点でございました。今後はさらにこれを検討いたしまして、配分の計画もするわけでございますが、従いまして、ただいま田中先生からの資料は、将来さらに検討を要するものである、素材であるというお話でございましたので、そのつもりでございますが、多少、将来修正がありましても御了承願いたいと思います。
  62. 田中一

    田中一君 次の委員会までに一つお出し願いたい。次の委員会委員長とも相談してきめますから、それまでにお出し願いたいと思います。
  63. 高野務

    説明員(高野務君) 資料についてお尋ねして恐縮でございますが、一般道路につきまして、具体的な資料と申しますと、路線別ということでございましょうか、全体的なものでよろしゅうございますか。
  64. 田中一

    田中一君 路線別にお願いします。
  65. 高野務

    説明員(高野務君) 路線別というと非常にたくさんございます。
  66. 田中一

    田中一君 たくさんあるから……。
  67. 高野務

    説明員(高野務君) これは非常に膨大な、こんな資料が最後にできるわけでございますが、今のところちょっと不可能だと存じます。
  68. 田中一

    田中一君 何もそれが何キロあってどうでこうでというようなことでなくていいから、一つの路線は一行でいいです。こういう横の書類ならば一行あればいいです。
  69. 高野務

    説明員(高野務君) 一級国道、二級国道、主要地方道というようなものは路線がたくさんございませんが、一般地方道に至りましては路線が非常にたくさんございますので、その辺は手……。
  70. 田中一

    田中一君 一級国道、二級国道、それからそれに準ずる幹線がありますね、主要道路か、これだけを一つ出して下さいな。あとの市町村道ですね、補助的というとおかしいですけれども、幹線でない道路は何々県には何キロあってどのくらいだというようなそれでけっこうですから、あなたの方あるでしょう。
  71. 高野務

    説明員(高野務君) 今後作業をいたします。素材がございますので……。
  72. 田中一

    田中一君 それでけっこうです。そこで主として道路公団並びに首都高速道路公団に伺いたいのですが、道路公団は四年ちょっとたったわけです。首都公団はまだ早々一年しかたちませんけれども、ここでその仕事を開始するにあたって一番の難関は何でございましたか、それを双方から伺っておきたいと思うのです。一番の困難な問題点は何であったか。
  73. 神崎丈二

    参考人神崎丈二君) 問題なく用地問題なんです。用地の獲得が私どもできれば、仕事は大半終わったものと今から心得えております。しかもその用地が戦後ことに困難になってきたのです。この獲得のために、私どもの仕事は残念ながら今非常におくれているのです。これに対してむろん公団自身として大いに考えなければならないし、それから関係官庁その他にも御協力を強くお願いいたしたいと考えている次第であります。
  74. 上村健太郎

    参考人上村健太郎君) 首都公団からお話ございました通り、私どもの方も一番の困難な問題は用地でございます。私どもの方は都会地ばかりではございませんので、いなかにおきましては比較的円満に折衝が進みます所もございますけれども、都会地にかかります所では、盛土により路線を高架にしなければいけないとかというような希望が、ございまして、そのために経費が非常に増大をするというような問題が一番私どもとしては大きな問題でございます。
  75. 田中一

    田中一君 建設大臣、両公団から一番の困難な問題は用地である、用地さえ取得できれば、もう建設できたものとみなしてもいいのだというような一発言がありますが、これに対して建設省としての対策はどう考えておりますか。
  76. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 両公団当局が答弁された通りであります。困難なのは土地の取得であります。特に土地の取得といたしましても二通りあります。一つは、いわゆる郊外地といいますか地方、こういう場合の用地取得の問題と、市街地における用地取得の問題で、とにかく困難なのは市街地における用地取得の問題であります。これについては、この前の国会で議決いただきました土地収用法等の改正、これを一つ次の国会に出して御審議願いたい。その前に調査会の発足をみまして内容等については検討をしてもらうことになりますが、調査会の運営といいますか、討議内容についても随時中間報告をして皆さん方の御協力を願いたいと思っておりますが、そこでこの地方といいますか郊外地といいますか、そういう方面の土地取得でももちろんこれは障害がないわけではない、あるわけでありますが、これらはこの委員会でもいろいろ御忠告があったように、早目にこれを取得する方法を講じたらどうかというような御意見もあって、この予算上許す範囲内においてはそれをもあわせてやっておるわけであります。ただ建設予定地を前もって大規模に買い上げておって、そうしてやってはどうかという御意見もあるように聞いておりますが、名案なんですが、実際上の問題としては会計法上その他から困難もあるようであります。あるいは補償額というものを別個の予算を確立しておいて、その補償額を常に充当し得るような御意見もあるようですが、これらについても今後十分に研究したいと思っております。ただ実際上今首都高速公団なり、あるいは道路公団が困難をきわめているものは、市街地における土地の取得が困難である、これは御承知のように市街地は営業を継続中のものを中断させるような結果になりますからして、そういう点で買収せられるものと買収する方との間に協議がなかなか整えにくいという点もあるようですが、こまかいことになりまするが、目下考えておりますのは、一つはたとえば東京都であれば東京都から道路促進対策本部のようなはっきりしたものを作ってもらう。そこで一括してそうした事務的な処理ができるようにしてもらいたいという意味で、先だって東京都の副知事、道路局長等を呼びまして、ぜひともこの東京都内の高速道路の促進については、そういう補償の面、あるいは関係者等の折衝等に積極的に、—従来もちろん協力してもらっているですが、積極的に協力してもらいたい、それには促進対策本部のようなものを作ってもらってはどうか、こういう意見を述べて東京都の方でも十分考慮しましょうということであります。  もう一つは、できればこれは官有地というか、国有地がないとまずいのですが、そういう店を一時閉鎖することになりますから、それらをどっか近い所で商売のできるように一応してやって、そうして多少でも営業的損害を少なくせしめる、もちろん補償の面においても考えなければなりませんが、やはり商売を継続するということが被買収者にとっては重要な問題のようですから、こういうことも一つできる場所においては考えてみたい。いろいろ苦心はしておるのですが、何といっても急速に大都会における道路網は完成しないと、いかに周囲の道路を作りましても最後のところがふん詰まりになりますからして、これは全力を尽して打開の道を講じたいと考えております。
  77. 田中一

    田中一君 ずいぶん大臣はおかしなことを言っている。一体既成市街地と農地では地方の方がやさしいんだという考え方は大きな間違いであります。ことに市街地における営業者、商売をしている者に対して営業所を別に作ってやるなんということはあたりまえのことなんです。なぜ今までそれをしないのですか。自分で自分の今までやったところの政治というものに対して自分で白状しているようなものです。当然のことなんです。大体こういう重要な国策といってもいいくらいの事業を行なうのに、あなた方自身が土地を買いに出ることは間違いなんですよ。買うための条件としてああもしてやろう、こうもしてやろうということをあなた方言っている。あなたの店をつぶすけれどもそのかわりのものを作ってあげましょうというようなことを言っているのは、商売の上の買い入れの考え方なんですよ。その上に権力を持ちながらそれを進めていこうというところにこの用地の、取得ができないという大きな原因があるのです。店をつぶされたらその営業所が心配にならないような、あるいはもう少し余分に利益のうんと上がるような地点に楽々と仕事ができるように決定するのが、これが土地収用委員会の権限なんです。あなた方は買う買わないで、お金で用地を取得しようという考え方を持つ。これは土地収用法によるところの土地収用委員会というものの権限というものは、金で処置するならば金を上げましょう、金がいけなければそれに見合う土地なり家なり環境なりを与えましょうという権限は、土地収用委員会の権限でしかないのですよ。あなた方は権力を金をもってそういうことをおっしゃるけれども、そこにそういう行政上の間違いがあるということなんです。法律をもってあなた方が行政を行なっていく上において、大へんなる心がまえの足りなさがあるというのです。おそらく今の建設大臣のような考え方でいくならば、これはとうてい用地の問題は解決すべきものじゃないです。ここにあるように、公共施設の整備に関連する市街地改造に関する法律、これがすべて買収という面から部分的な区画整理、区画整理といってもこれは買収ですから金銭賠償をするけれども、その状態というものは前よりよくしてあなた方に再配分しましょうというところに問題がある。これは私が長い間主唱してきた問題です。しかし、これは部分的な問題ですけれども、全体を通ずるところの、ことに首都高速道路公団が行なっておるところの市街地の買収などというものは、金を持っておる者が買いましょうなんということを言ったのでは解決すべきものじゃないのです。なぜ法律が示しているような行動、行政措置をしないかということです。事業を施行する者が買い入れるということよりも、公共事業というものが当然これは憲法二十九条によってこの事業は公共事業と認められるならば、これは公共の福祉のために提供することになっているのです。その是非の問題を、これは金をもって買いに出られて、第三者によって判断させればいい、そうして高い安いということを言わないで、正当な妥当な価格で買うような法律を十分生かして使うようにしなければ、とうていこれは解決すべきものじゃないのです。私が、今あなたに申し上げるのは、三つの間違いがある、市街地はむずかしくて農地はやさしい、あるいは中央の市街地は困難で地方はやさしいのだ、同じような条件です。現に今日まで建設省は二年半にわたって筑後川の上流下筌ダムの問題でこれまで騒いでおります。ああいう山間僻地でも反対する場合には反対しているのです。従って、公共事業を遂行するための用地の取得というものは、今までの考え方をすっかり捨てて、ほんとうに国民のためのものであるということが徹底しなければ用地問題は解決せぬと思う。これは首都高速道路公団が一年間の経験によって、あるいは、道路公団が名神国道の買収等今日まで二年半かかっております。いまだに完全に用地の買収は済んでおらない。会計法の制約があるから一括して土地が買えない、こういうようなことも今建設大臣は言っておるけれども、会計法は役人たちのためにあるのじゃないのです。会計法は民族の平和と繁栄のためにあるのです。それを償うところの役人が間違いを犯しちゃならぬと思って会計法というものがあるのです。間違いがないという前提に立って、場合によれば会計法をかえてもよろしい、そうして一日も早く平和な繁栄の、公共事業をぜひ行なうべきですよ。そうした根本的の問題を解決しないので、あの法律がひっかかるのだ、この法律がひっかかるのだということじゃおそらく解決しません。今までのような、これは建設大臣に就任して間もないのですから、私はそんなに建設大臣を責めることはしないが、建設省の事務当局の諸君が今までのような考え方をするならば、とうていこの新五カ年計画計画通りに進むべきものじゃないと思う。いみじくも神崎理事長が言っているような、用地の取得即完成というような見方もできるのではないか、これはまことにいい言葉です。そのように計画を発表する前に、しいて申しますならば、五カ年分の用地を全部買ってからおっしゃりなさいということです。それは財政とかでいろいろ困難があるようですが、これに対してはいろいろな方法がある。土地債券を発行してもよろしいので、現金を一々払わんでもよろしい。それはその方面にまかすとしても、用地を全部取得してから事業というものを開始する、これが正しいと思うのです。こういうことが行なわれないで、今日の財政法に縛られ、会計法に縛られて、そうしてこういう大事業を年度年度このようにして仕事を進めようというところに大きな間違いがある。そういうことでは、われわれが非常に熱意をもって賛成しようとしているところの道路整備五カ年計画も、おそらく十年たっても完全にいきません、下手をしますと十五年かかります。そういうことであってはならない。それには第一番のネックというものは用地問題であるというのがある以上、用地問題に対するこの公共用地取得制度調査会なりというもので収奪的な思想をもって行なうということよりも、現在の法律を高度に利用して、これによって納得した用地取得というものをお考えにならないと、日本中常に二千個所、三千個所くらいの用地買収交渉というものが地域的に行なわれている。これらのものが一挙に立ち上がって権力主義的な行き方に対しては反撃するであろうということを憂えるものです。従って道路局長にしても河川局長にしても何十年という間建設省のめしを食い、旧憲法下における旧土地収用法の精神があなた方の頭にある以上、私がこういうことをいうと奇異な思いがするかもしれない。しかし、今度の新しい土地収用法で、公共用地に対しては自分の財産を提供するのだという心がまえは憲法を守る国民は皆持っている。なぜこれを避けて事業の起業者が金をもって、権力のにおいをふんぷんとさせてそれを取ろうとするか。当然他のいろいろな法律の面からいって、国民の持っているところの主権に対する認識、意識、これは強い。私はどういういい財源があり、いい路線ができようとも、実行にあたっては相当な新しい心がまえができなければ、これはとうてい所期の計画通りには進まないだろうという考えを持っていて、どんどん、せめて首都高速道路公団あるいは道路公団等には大幅な用地買収の自由な権限を与えることです。あまれば、どっちみちこれは売ればいいのです。その地域が整備されて道路ができれば、余分に買ってもあまれば高く売れる。しかしこれは高く売るのが目的じゃない。そういう考えを持たなくても、もとの人に返してやればいい。そういう心持で用地の取得をしよう。それから土地債券、現金でも、これはでき上がったらあなたにお返しする、とにかくこの仕事を進める間一年なら一年、一年半なら一年半土地を貸していただきたい、しかし貸すのは困るなら、あなたにはいつでも現金にかえる債券を渡しておきましょう、でき上がった場合はもう一ぺんあなたにお返ししましょうというようなことがなければ解決するものじゃないと思うのです。従って、建設大臣に申し上げておきたいのは、公共用地取得制度調査会というものは、どういう目的を持って、建設大臣はこの調査会に対してどういう原案を出して注文しようとするのか。その案と、そのメンバー、その機構、その他を加えたものをどうか次の委員会までに資料としてお出し願いたいと思うのです。
  78. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私は、田中委員の考え方とそう根本的に違っているとは考えておりません。ただ私が先ほど申し上げましたことは、いやしくも建設省は権限をもってやるべきじゃない、従って、将来のことについても相談にあずかるべきであるという精神的な面を申し上げたのであります。従って、土地取得に関して土地収用法があり、これを活用することは十分に今後ともにやって参りたい、その方針でおります。ただ、話し合いでできるものは話し合いでやってもよろしいのであって、それを無理に強権を発動しようとは考えておりません。また強権はありません——法律以外に建設大臣としての強権はないのでありますからして、ただお役人であるといって相手をおどかし半分でものをきめるということは考えておりませんし、また実際上できないのであります。従って、私が先ほど申し上げましたことは、被買収者というものは、これはやはり犠牲者である。何といっても国の公共のための犠牲者である。そういう人に対してできるだけ親身になって相談にあずかるべきであって、そういう面から、そういういろいろな点をお互いに考えてやらなくちゃいかぬのではなかろうか。こういう点を申し上げたのでありまして、いわゆる補償額決定が話し合いでもってつかない場合は、これは当然土地収用法によって、第三者の意見によってきめるべきでありますから、それを権力でその金額をきめようという考えは毛頭持っておらない。その点は一つ御了承願いたいのであります。ただ従来、あるいは土地収用法等の取り扱い方が十分でなかった、あるいは個々の問題についてさようにとられる節が従来あったとすれば、これは私は今後絶対に——建設省の役人はややもすれば、表面的にみれば、建設省の権威をもって話し合いをつけよう、こういう態度をもし持っているとすれば、これは私のとらざるところでありますから、絶対に今後厳重にそれは取り締まります。ただ、今申したように、もちろん法律があるのでありますからして、法律の規定によって行なうのですが、何もかも片っ端から問題もないやつを土地収用法をかけていくという必要もないのでありますから、お互いに談笑裏に話し合いのできるものは話し合いできめればいいのではないか。ただ基本的な考え方としては、田中委員のおっしゃるように土地収用法を完全に活用して、そうして第三者によるところの補償金額の決定を待つ。ただ、補償金額の決定を待って補償額がきまりましても、その後のこともやはりお互いに相談ずくで、お互いの立場を尊重して考えてやることがこれからの民主政治ではなかろうか。もう金だけ出したらあとはどうでもいいという考え方では、従来の官僚の態度と同じことではないか。こういうことからして東京都にも、そういう跡始末のための相談役としてのそういうような対策も考えてもらいたい、こういう意味であります。  なお、農村地区が簡単だと申し上げたわけではなかったのでありますが、もしさようにとられたならば、これは市街地と同様に農地の場合もそういう重要問題がありますから、もちろん私は、農地の問題といい、市街地の問題といいましても、同様に重要視してこれが万全の措置を講じたい、さように考えております。
  79. 田中一

    田中一君 もうあなた時間ですから、もう一つだけ伺いますが、路線の決定というものに対して、地元の利害関係者に対して何らの手を打っていない現状だということを指摘したいのです。それはなるほど知事なり市長なりが物の値段をきめるでしょう。一番顕著な例は首都高速道路公団の昨年法律を通した場合、われわれ社会党はるるとしてもう一年待ちなさい、そうして十分に市民の声を聞いて、市民が納得するような路線の決定をする——路線の決定をしてしまってから、これでするのでございますというような提案の仕方はいけない、十分に市民の納得の上に立って仕事をしなさいとるると言ったところが、あなた方の方はあなた方というのは、いわゆる与党の諸君が討論を打ち切って採決をしたのが、今日の首都高速道路公団です。東京都が今まで調査なり計画を立てた、それをうのみにしたところに大きな間違いがあり、今日の首都高速道路公団は総反撃を食っております。これが半年かかろうが一年かかろうが二年かかろうが、計画者なり起業者が十分に利害得失を説き、実態の計画というものを示し最善の理解を求めようとしたならば、このような抵抗はなかったのです。あまりに今日まで道路整備というものがおくれておった——終戦後おくれている。終戦前はこれは御承知のように絶対の権力で、師団と師団を結んだり、旅団と旅団を結んだり……、軍用道路が主であったのでこれは強行できた、今は違うのです。従って、今後五カ年計画を遂行する——計画を立てるにあたっては、むろん地方公共団体の地方道その他については要請もあり、また一級国道、二級国道にしても十分に地元の利害関係者の意見を聞き、公聴会を開き、学識経験者から十分に意見を聞いてそれをPRし、首都高速道路公団等も全くその利害関係者に対して、十分なる公の意見を知る機会を作って、決定をするべきであったので、これは何も最大公約数——一人だけが反対してもこれはむしろ逆に地元がその一人に対して説得することもあるものです。これは公共事業であるから、都民のためであるから、そういうことを簡略して事を行なうところに今までの用地の取得の困難さが助長されるのです。  私はここで一言神崎さんに伺っておきますが、もし首都高速道路公団の今日まで、八路線の計画というものが、今あなた方の手でこれからすべての路線を検討し、おそらくあなた方、ことに神崎さんは民間人であるし、十分に利害関係者の意見も聞いて計画を策定しようとするならば、今日のような困難には到達しなかったであろうと私は考えているのですが、神崎さん、今までの路線というものを一ぺん御破算にして、地元の利害、全都民の利害、国の利害を考えて、全体の御計画をあなたが今日策定しようとするならば、その方法をとるか、あるいは今のままでもやるということになるのか。もっともあなたは建設大臣から任命されている理事長だから言いにくいだろうけれども、これは私まじめに申し上げているのだから、国民の前にはっきりと一つ考え方を示していただきたいのです。
  80. 神崎丈二

    参考人神崎丈二君) こういう仕事をこれから計画し行なうとすれば、私は田中委員の説に賛成であります。しかし、現在すでに発足している首都公団、そうして私の方は御承知のように実施機関でありますから、その基本計画はすでに昨年十月十七日に建設大臣から指示されておる。これを今あらためて全部御破算にして云々ということは、これはもう不可能であって、私はやはり建設大臣から指示された基本計画を最善を尽して実行いたしたいと思います。
  81. 田中一

    田中一君 まあそれ以外には御答弁ができないと思います。しかし、これは建設大臣に申し上げたいのですが、全部がそうだとは言いません。しかし、困難な路線ほど強行しようという形があるのです。首都高速道路公団法の法案が当委員会に、国会に提示されたときには、もはや路線の決定がなされておった。というのは、正式決定じゃなくても他の企画路線なんというものは考慮されないで、これが唯一の計画であるという形で提案されたのです、法律案が。ですからその際にも一年、二年待てと言ったんですが、強行されて通ったのが今日の現実の状態なんです。そこで、新道路五カ年計画を行なうにあたっても、これは完成ということを目当てにするならば、どうしても用地の問題が先行しなければならぬ。計画を出す前に——何に使おうといいじゃないですか、千億でも二千億でも、とにかく新道路五カ年計画を遂行するにあたっての、用地のための予備費的の予算を、国が計上すればいいんです。そうして単年度ごとの事業費の中の用地費というものは一割なり二割なり入って、その部分しか買収ができないんだというような、今日までの予算の方式を修正すべきであると思うのです。そうしなければ、幾ら用地買収費というものは動くものだといいながら、末端の職員はやはりその壁をしょいながら買収交渉をしなければならなくなってくるのです。私は、国民は全部憲法を守るべきものだと思います。国民は少なくとも民族・全体の問題に対して犠牲になるくらいの覚悟は持っておると思う。なぜならば、戦争で大ぜいの人間が飛び出していったという事態からみましても、平和な国土を建設するためには自分の持っている財産も犠牲にすることはあえて反対しないと思うのです。行政上の措置に不信感を持たれるところに、こうした事業の遂行がおくれておる原因があるのだというように、実態を見て感ずるものなんです。従って、先ほど申し上げたように、公共用地取得制度調査会というものが何をねらって、どういう方法で結論を出そうとするのか。むろん、これは原案というものは建設大臣が作成して答申を求めるであろう、その原案を一つ次の委員会までお出し願いたいと思います。
  82. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 田中委員の御意見、今後大いに検討していきたいと思います。なお、公共用地取得制度調査会の原案ですが、私の目下の方針としては、建設省から案を作ってこの案によって、検討してもらうという考えを持っておりません。公平な学識経験者、第三者が出ておりますから、その委員の間で原案を作ってもらって——もちろん、それに対して建設省は意見を述べますけれども、原案は建設省が出してそれを検討してもらうという考え方じゃなく、少なくとも、憲法上ある程度の制限が行なわれるような重要な土地収用法でありますから、その収用法の改正にあたっては、あくまで第三者の方々によって原案を作る、こういう考えでおりますからして、従って、次の委員会建設省の原案を出すと、こういうことにはならぬと思います。ただし、その調査会において、ある程度の原案ができますれば、この最終決定を待たずに、当委員会が開かれる機会がありますれば、こういう原案が出ておる、こういう点での御報告ができると思います。右御了承願いたいと思います。
  83. 田中一

    田中一君 実は、この法律案は私ども五十日間御承知のように国会に出なかったときに通ってしまったものです。そこで、公式な話し合いではございませんけれども、調査会には調査委員として、われわれの方の会派から推薦する者を必ず入れます、という確約を大臣並びに官房長しているわけです。官房長も約束しておるのです。ところがそういう者は全然入れずして勝手に委員の任命をしたらしいのです。私はやはりここに不信感を持っておるのです。従って今、建設大臣に伺うと、建設大臣としては原案を作って調査会に付議をしないということなら、それを信用いたします。しかし、案ができたら一つ当委員会にも、固まらないうちにお見せ下さることをお約束していただいたからありがたいと思いますが、ただ、何も定数があるわけじゃないでしょうから、調査委員にわれわれの会派から推薦する委員を約束通り入れるという用意がございますか。これは前建設大臣、並びにこれは官房長は知らぬはずはない。じゃなければ、関盛君だ。これはこういう約束をしておった。
  84. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まあ以前のことで、私も詳しく引き継ぎを受けておりませんので承知いたしませんが、当委員会でいろいろ御意見が出た考え方を十分に織り込んで、厳正公平を期すつもりでございます。一つ御了承を願いたいし、この七日の日に第一回の会合をやる段取りになって、すでに委員を任命をいたしたわけであります。しかし、今申しましたように、当委員会の皆さんの空気を十分に参酌いたしまして、この人選につきましては公正無私に、しかも、被補償者の立場を十分に達成できるような委員の人選を私の手元でいたしましたので、御了承願いたいと思います。
  85. 田中一

    田中一君 それはしかし、前村上建設大臣は確約しておるんですよ。何もわれわれが五十日いなかった、出席しなかったからといって、委員のメンバーまでも放棄したわけじゃないんですよ。これはやはり私は、前建設大臣にも連絡をとって、そういう約束をしたということが明らかになれば、追加して委員を任命しますか、委嘱しますか。責任はやはりとらなければいかぬ。
  86. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 委員の数が御承知のようにきまっております。それで、委員をもう決定しましたから、将来必要がある場合は、何らかの参考人の形式でも何かの形で、そういうような必要があればこれを呼んで意見を十分に述べることのできるような機会を与えることができると思いますからして、当委員会の皆さんの御意向というものは、当然この調査会でも十二分にこれが反映することができる、またそういうように運営いたして参りたい、こういう点で一つ御了承願います。
  87. 田中一

    田中一君 法律で委員の数をきめたのじゃない、建設大臣が自由になるんです。建設大臣の権限で自由になるんです。一体、鬼丸官房長はどういうことを大臣にアドバイスしようとするのか知らぬけれども、これは大臣の権限でいかようにもなるものです。従って、自分の権限内における問題を他人がやったように、委員がきまっておるからとかなんとかいうことはあり得ない。大臣がほんとうの決意を持って、政令か命令か知らぬけれども、そういうものでもって直しますと言えばいいんですよ。そんなことを官房長、ちょこちょこ出て大臣に間違いを起こさしてはいけません。
  88. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま申しましたように、法律に基づき、政令によって決定して、政令が十五名ときめたものですから……。
  89. 田中一

    田中一君 政令は建設大臣の権限なんですから、直したらいいじゃないですか、十六でも、十七でも。
  90. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) そういうようなことで委員の任命が済んでおりますから、将来、そういう運営をする必要があれば、私は、運営の方法いかんによっては、十分に皆さんの意向は達成し得ると思います。委員であることだけが万能じゃありません。これは十分第三者の意見を聞かなければなりませんから、ことに第三者の範囲が非常に広いのでありますからして、できるだけ運営上これが万全を期していく、こういう方針で一つ御了承願いたいと思います。
  91. 田中一

    田中一君 了承できませんから、これはいずれ次の機会でもってもう一ぺんやりましょう。
  92. 田上松衞

    ○田上松衞君 時間も相当迫っておるようですし、大体新道路整備五カ年計画の案の大要もわかりましたし、論議を通じて看取できる問題は、ほとんどこの問題について特に反対だという線はないはずだという感じが第一点。これを完成させることのために問題になってくる財源の問題及び実際事業について特に考えてもらわなければならぬ点は、用地取得の問題、こういうような問題に尽きるかと考えるわけであります。いずれもこれに対してお互いに最善の努力を一つし合おうじゃないかという決意を持つことはこれは当然であります。ただその中で、用地取得に関する問題、抽象的な議論については、田中委員のお考え方及び建設大臣のお考え方について、若干の基本的なことについて違いがあるとは思うけれども、いずれにしても、その両方の熱意についてはわれわれ敬意をもってこれを聞いておるわけです。ただ実際の問題として、思わない事態が引き起こることはこれはあることです。私ども今度関西の方を視察して参ったわけなんですが、その視察の対象となっておった一つの名神高速国道の問題を視察して参りました。ところが、この中で京都の山科地区ですか、あの中で思わない問題を実は発見してしまったわけです。と申し上げることは、あそこに——まあ金額ではどういう点かよくはわからぬけれども、一部には家が一軒で、ちょっとしたかわらぶきで、神様を祭ったような草ぶきの家が連なっている。大体普通であるならば、あんなものを移転するのに五十万も出せばたくさんかと常識的に考えられるような場所、こういうように考えるわけです。ところがそこに住んでいる者が、そこは何か弥生文化発祥の史跡とか何とかいうようなことであります。その人物は、よけいな話ですけれども、何か朝鮮人であって、日本に帰化しておるとか何とかということらしいのですが、いずれにいたしましてもこれが非常なじゃまをしておると。結局これを無理やりに除くということなれば、自分が今までやってきた仕事がゼロになるということと、みずからの生命が危険になってくると。何かこういうものを合わせてどうしてもやるというならば、これを含んで四億五千万円の補償でなければ絶対立ちのかぬ。まあ実にこれは何か数字の間違いじゃないかと思うのですけれども、実際問題としてはそういうわけであって、それでほとんど道路公団でも手をやいてしまっておると。この問題が、まあ大体大まかに聞くところでは、さっき議論になっておった公共用地取得制度調査会ですか、これらにかけられて何とかする、どかすかもしれないと。ですから、これこそ建設大臣が言われる話し合いでいく道でもだめだろうと思うし、田中委員の言われる収用法でも、とてもじゃないけれども、これはだめだろうと思うのですが、現実の問題として、こういうものをどういう工合に処理しようとお考えになっておるのか、この際一つ決意を伺いたい。私は、このことは単にあそこ一戸の問題だけにあらずして、この問題の処置をあやまちますならば、これは実に将来もう手のつけられないような事態が起こってくるのじゃないかということを危惧するから、特にこの際一つその決意を聞かしていただくとともに、できることならば用地だけについてでも、これは公団からでも建設省からでもいいですが、一つその内情を報告されつつ大臣の決意を伺ってみたいと思います。
  93. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいまの御視察の結果のお話でありまするが、まことに困った問題があるわけでありまするが、この問題はお話のように、とうていこれは話し合いでも五十万と四億五千万じゃつきませんし、さればといって現行の土地収用法では、補償金額がきまりましても、これは相手側からこれに対して不服がある、こういう法律的な手続がとられれば、なかなか——結果においては五年、十年やっておれば片づくかもしれませんが、実際上には法律的にもなかなか困難な問題なんであります。そういう問題は御承知のように公共用地取得制度調査会を作って、もっと土地の取得が民主的に、しかも容易に取得できるような方法はなかろうかと、こういうことがやはり調査会設置の眼目だろうと思うのです。外国の例で、たとえばアメリカ等では、補償金額がそうした委員会において決定された場合には、これをまず執行する、そうしてその後における折衝において金額の大小が決定される、こういう道があるやに聞いておりますが、もちろんそういうようなものになるかどうかは考えておりませんけれども、とにかく現行の土地収用法では、今申したように究極においては、それは五年、十年やっていればきまりますよ。しかしそれじゃ道路計画の遂行は不可能と同じ状態になるのでありまして、そういう問題の解決をどうすべきかということがこの公共用地取得調査会の一つの問題点であろうと思います。その具体的な問題につきましては、道路公団がその衝に当たっておりますからして、道路公団の方から報告をいたします。
  94. 上村健太郎

    参考人上村健太郎君) お話の山科地区の特殊な宗教を信じている人でありますけれども、この問題は非常に私ども弱っておりまして、全く今お尋ねがありました通り状況でございます。今のところ京都の土地収用委員会に裁決を申請しておりまして、裁決がありましたら立ちのき執行をお願いしたいと思っている次第であります。
  95. 田上松衞

    ○田上松衞君 まあ実際にはこの問題は、さっき申し上げましたように、これは日を経るに従ってほとんど全国民が注視する問題だとこれは考えておるわけなんであります。しかも詳しくはないのですけれども、私どものお尋ねしたところでは、それは土地所有者ではないわけなんですよ。土地は借りている。公団は地主に向かっては一応の話し合いをつけて、そうして何かすでに相当金額を支払って済みになっておったはずなんですね。ところが今申し上げたこの人物は、その土地を借りて家を作っているということだけなんですね。単なる借地人だ。これが公団がその手を打ってから本人は地主に向かって訴訟を起こしてしまったと、そこから問題はだんだん発展してしまったらしいのですが、いずれにいたしましても殺すなら殺してしまえと、どんなあれがあっても絶対立ちのかぬという立場をとっておることは、これは御承知通りなんであります。一体これをどうするかというのですね。私さっきからいろいろ聞いておりまするが、繰り返すようですけれども、公共用地の取得制度調査会等でも、これは一体どういう工合に日本の憲法あるいは法律のどこへどう当てはめてやるか、あるいは裁判所が憲法、法律をどう解釈していくかというわれわれの考え方からいうならば、すべて公益が優先しなければ、その中には個人の人権もへちまもあったものではないとわれわれは考えているのでありますけれども、今までたって、しかもあそこで行き詰まってしまって、あの大きな事業はにっちもさっちもいかぬという羽目に陥っている。この現象をどう打開するかということは、今大臣のお話は、道路公団がその衝に当たっているから公団が何とかしろなんということではこれはどうにもならんのではないか。ここにこそ私は一つの大きな決意が必要なのではないかと考えるわけです。この問題は、私がさっき申し上げたことを繰り返すようですけれども、実際国民に与える一つの方向といいますか、これは重大な、見のがすことのできない大きな問題だと考えるから、くどいようですがもう一つ、公団はただ報告の範囲でいいのですけれども、大臣のこの際やはり決意をお聞きしておかなければいかぬと思うのです。
  96. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 田上委員のおっしゃる通りでありまして、いわゆる憲法上に認められておるところの国民の自由及び権利というものは、公共的には一部が制限されるのは当然であります、従って独立立法で、多少の制限はこの問題に限らず行なわれておるわけなんですが、現在の土地収用法では、もちろんこれは最終的には法律的措置ができるわけですが、それとこの事業の執行期間、期間的な執行というものとがズレがあるわけでありまして、おっしゃるような非常な御心配があるわけであります。しかし何といいましても、われわれ政府当局が仕事をする場合は法律に基づいて処置をしなければなりませんので、現在公団は土地収用法を適用してこれが撤去を裁判の決定権によって処理しようと、こう考えてこの方針を支持をいたしておるわけであります。しかしながら、他のあらゆる手段を講じてこれが問題の最終的な、しかも急速的な解決をはかっていきたい、かように考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  97. 田上松衞

    ○田上松衞君 ちょっと、まあ大体のあれはわかるのですけれども、もっと具体的に決意をお伺いしたいのですが、やはり何といってもこれは予期しない問題、さすがに法律の中でも予期できなかった、今の場合は、ただ、大臣がさっき言われたように、外国等にあって、それがたとえば日本で言うならば公共用地取得制度調査会なら公共用地取得制度調査会が一つの決定を与える、そうすると事業は直ちにそれに基づいてどんどん進めていく、あとのこの問題については裁判所が引き受けてしまえというようなことに持っていくような一つの立法措置を、これは大きな事業をなすことに実際に、ぶつかっていきます建設省の立場として、そうした法の、至急にこれを立法措置を講ずるような御意思までおありになるかどうか、念のために一つ聞いておきたいと思います。
  98. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 先ほど答弁いたしましたように、これはまあ田中委員……。建設省としてはこの委員会、公共用地取得制度査調会で案を作っていただくわけでありまするが、そうした一つ一つの実例を十分に調査会でも審議していただきまして、そうして個人の権利と公共の優先という関係の調整を十分にはかってもらいたい。先ほど申しましたように建設省自身の考えもありまするが、何といいましても重要な問題でありますからして、田上委員のおっしゃるような法的、具体的な方針を原案の中に盛るかどうかという問題は、やはり調査会の原案に従って建設省としての意見を述べていく、こういうことによって最終的には十分に憲法等を考慮して、なおかつ公共事業が十分に推進し得るような道を講じたい、かように考えておるのでありまして、その点御了承願いたいと思います。
  99. 田中一

    田中一君 田上君、ちょっと関連さして。今の問題、収用委員会でかりに決定した場合にですね。これは補償金額が決定した場合には、公団はそれをのむんですか。
  100. 上村健太郎

    参考人上村健太郎君) 収用委員会の裁決がありますれば、公団はそれに従いまして、あと立ちのきを要求ということになります。
  101. 田中一

    田中一君 私はそこに重大な問題があるのです。鳴子ダムというダムが、宮城県の行政区内にある。多くの者は、大部分は話し合いで買収に応じたんですが、たしか一軒か二軒といっていたんですが、これは応じなかった。収用委員会の決定は、買収に応じた人の金額よりも相当上回っておる決定額、そのために建設大臣はこれに対して抗告をしております。訴訟を起こしております。いいですか、あなた方が最善として買収をした、これに応じた者以上の収用委員会の決定があった。これに対して政府は、建設大臣、事業の執行者が抗告をしておる。現に係争中のはずです。結論がついたということを聞いておりません。山内君どうですか。こういう事態というものはあってはならない。私が土地収用法を使えというのはそこなんです。善意の買収に応じた方が損をして、がんばればおのずから一年、二年、三年経過した場合には——現在の政府の考えておる土地政策というものは、土地の値上りの方向に向かっておる。ちょうど経済の伸長率と同じように土地価格も伸びておるでしょう。その今の問題の土地の居住権を持っておる人、これに対する補償金額が一年前とおのずから違って、三割増し、五割増しになった場合には、買収に応じた諸君は五割、三割少ないところの金でもって納得したということになると、これは公共事業に対する不信感が国民に植えつけられるということです。あなた方のねらっておる、事業の執行者のねらっておるところの金額に、収用委員会の決定が落ちつけば、これは問題ないのですが、私は必ず伸びるものだと思うのです。何割か上がるものであることを指摘したいのです。それは経済企画庁が言っておるところの経済の伸び等を勘案する場合には、自然にそうなるのです。その場合に一々それに対して抗告をするということになるか。これは抗告をしておるのは建設大臣が抗告しておるんです。あるいは今度地元の買収に応じた諸君が、なんだあいつは、おれは一万円なのに、あいつは一万五千円取っておる。こいつはごねた方が得だという印象を与えることになるのです。ですから全部一律の法律によって、これは決して強権でも強圧でもないのです。土地収用法という法律は、今建設大臣が言っておるように、法律的な手続をすれば時間がかかる。時間がかかるから簡略にやろうというところに、便宜主義から生まれたところの法律の改正を企図しておる。これがいけないと言っておるんですよ。全部を収用法にかけてどこが悪いか。正しい判定が下って、一律にみな同じような補償率がきまるものだ。ということは、二万円と一万円の違いはあっても、それは違うべき条件があって違うのだ。私は今の場合、これはなるほど新興宗教で収入がこれくらいある。この場所でやったならば、どうしてもこれは今まで十万円のものならば、これは五十万円なければ無理であるという判定が下った場合は、あなた方は今それを支払えといったら支払うでしょう。支払った場合に、善意の諸君は一体どういう印象を受けるか。そこに政治の問題があるんです。政治に対する不信感を国民に植えつけちゃ何にもなりません。幸いにして善意のものでくればほっとするでしょうけれども、もしこれが企業者に向かって抵抗しているという抵抗には、あるいは今言ったような思想もあるかもしれませんが、経済的な面においては、どうしてもそうしなければならぬというような根拠があり得るものなんです。どろぼうにも三分の理があるんですよ。従って、それがあなた方の買収したものと違った結論が出た場合には新しい問題が起きるんですよ。これだけに対する新しい不信感というものが国民に植つけられる。これを避けるためにも、どうしても全部に向かって収用委員会の決定によるところの用地取得をめざせということを、十年間僕は叫び続けてきておる。現に建設大臣——建設大臣か地建の局長か知りませんが、収用委員会の決定が上回ったために裁判所に抗告をしております。こういう事例があるんです。これは、国民に政治に対する不信感を与えることは一番いけないわけです。一つの悪というものが国民全部に広がるものと見なければならぬ。ごね得という思想が生まれてくるんです。だから、現在あるところの現行法で、まずもって三年かかろうと五年かかろうと、合法的な判決を見て、この判決が五つでも十でも判決が出ると、三年がんばっても同じだ、五年がんばっても同じだということになれば、がんばる者がなくなってくる。この政治に対する信頼というものがすべての公共事業というものをスムーズに行なわせることなんです。私は、今、副総裁がそういう発言をしたのですが、この収用委員会の決定が問題を起こさなければ幸いであります。しかし、あなたの発言は相当重要な要素を持っておるから、覚悟していただきたい。現に建設大臣は抗告しておりますよ。これを一つ念のために申し上げておきます。これは一つ事態というものを十分にお調べになってそういう発言をするならよろしいけれども、今の発言を取り消すようなことがあってはならない。もし取り消すなら、今取り消しなさい。そうでなければ、問題は大きくなります。ことに政治に対する不信を善良な国民に植えつける危険があるから、この点は今の答弁を保留するなら保留していただきたい。浅村君、よく君助言しなければいけませんよ。そういう事実があるんですよ、建設省には。
  102. 浅村廉

    参考人浅村廉君) ちょっと副総裁の申しましたことを補足いたしましてお答えいたしますが、この田上先生のおっしゃっておる事例が、私どもの考えております事例とぴったり合うかどうか、実はそこまであまり詳しくは考えておりませんでしたが、私ども今考えております一つのケースに非常に似ておりますので、さようにお答えいたしたわけであります。なお、制度的に申しますれば、土地収用委員会の裁決があった後において、なおかつ、またそれに対しての意見を申し述べるという道はあることになっておると私は今思っております。御質問が、土地収用委員会の裁決に今持ち込まれておるものを、裁決が下ったらどうかというお尋ねでございましたので、別にそう深くも考えないでお願いしておることでありますから、しかも私どもは早くこの事業を実施したいのでありますから、土地収用委員会の裁決が下れば、その線に従ってやりたい考えであるということを申し上げたのであります。まあ結果がどういうことになりますか、またその場合におきましては別なことを考えなければならぬかもしれませんけれども、ただいま私どもはそこまで深く考えてお答えいたしたわけではございません。
  103. 田上松衞

    ○田上松衞君 もうこれでいいんですけれども、どうもあなた方の話を聞けば、聞くほど、一体なぜそう軽くとられるかと反問したくなる。私は重大だと思うんです。だれが見ても、ただあれは普通の場合においては、さっき言ったように、宗教団体でなく、個々の個人については家屋の移転費だけの問題です。さっき申し上げたように、五十万ならばおんの字だといいたくなる。普通のところだったら二、三十万円で済むんじゃないか。それを宗教関係ということを考えて五十万円くらいじゃないかと思います。ところが十倍と見て四百五十万円、百倍で四千五百万円、千倍で四億五千万円です。一体それはどこの話だと言いたくなってくる。こういう問題に現実に公団がぶつかって、さっき申し上げたように、このことのために道路なんか行き詰まってどうにもできなくなっているんじゃないですか。しかも次から次に台風に襲われてくるという危険なあれをやって、それをこういう軽い程度に考えているということ自体に、私は事業について、どこまで熱意を持って取り組んでおられるのか。さっきこの機会に申し上げたのは、五カ年の計画を相当の熱意を持ってやられるようで、その意気にわれわれは感銘しているわけなんですけれども、こういうような実際にやる問題について、何もこれに対する対策をお持ちにならないようでは心細くてしょうがない。その他いろいろな問題に影響してきますから、そこで私はこの問題については、一刻も早くこれができるように、この名神高速国道というものが早くできて、そうして住民の期待に沿うように進めていくことを一つ真剣にやってもらいたい。この趣旨から実は申し上げていることであって、しかも用地取得の問題はさっきから繰り返しているように、一番重要なポイントの問題なんですから、ほかの少しぐらいの問題については、賢明な役所と、信頼する公団とがやっていけば、どうにかこなしていくでしょうけれども、こういうふうに日本の憲法、現行の法律の中で処理できないだろうと考えられるような問題にぶち当たったときの問題こそ、これはやっておかれないと、とんでもない問題になる。こういう趣旨で申し上げたことであって、そんなさっきの副総裁のお話の、軽い程度にやって、その場当たりにこれに応じますというようなことは、私も実際は田中委員が言われたように、この問題は保留されるならしてほしいんです。仕方がない、理屈は抜きだ、これを解決するためにというようなことでは、この影響が大きいんですから、言葉をもって言い尽くせないような厄介な事態ですから、これは十分あれをされて、問題はわれわれの望むような姿に持っていけるような最善の方途を一つ至急にこれは御検討願いたい、そうして立案されたい、このことを希望を申し上げて打ち切っておきます。
  104. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 この「新計画における道路整備の基本方針」を見ますると、大体一級国道についてはおおむね完了する。しかし二級国道については、緊急を要する区間の整備を完了する。特に3の、地方幹線道路の整備をはかるのは、観光上であるとか、産業の開発ということが主体であるように書いてありますけれども、これによる方針に従って、十一ページの表を見ますというと、二級国道については、大体今の倍ちょっと上、都道府県道については、地方道を含めて大体今の倍以下、こういうことになっているわけなんです。先ほど来から説明を聞いておりますというと、何か輸送量の需要の増大にかんがみて、日本の経済の伸び率を考えて道路整備を拡充していくんだ、こういうことであります。私はこれは確かにその点については賛成できますけれども、具体的の問題として、今地方の人たちがどういう考え方でその道路の舗装を要求しているか。従来改良前においては、ほとんど地方においては農作物はその辺においては三割減収だといわれておる。特に最近のように交通量が非常に多くて、大型観光バスあるいはまた大型貨物自動車が通る、こういうことになりますというと、沿道の住民は非常に迷惑をしているわけなんです。従って私はこの道路整備計画については、やはり国民生活の安定という問題を強く打ち出さないとこれは間違いじゃないかと思うのです。ただ、いたずらに都市中心主義になってみたり、あるいは輸送力増大に名をかりて、大きな企業の発展育成に国の財源を使ってやるんだというような、企業的な面が出てきてしまう。これでは私は国民は納得しないと思うわけなんです。こういう点について、もう少しくその迷惑をこうむっておる地方住民の生活安定というか、民生安定のために、やはり私は二級国道あるいは都道府県道等についても、もっと力を入れなきゃいかぬだろうと思うのですが、この点はどうですか、ちょっとお伺いをしておきます。
  105. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 安田委員の御質問にお答えいたします。御意見の通りでありまして、実は予算が十分に許せば、この十カ年計画内に、少なくとも一級国道、二級国道、主要地方道、こういうものは完成したいのであります。しかし当初に申しましたように、日本経済の伸長とこれはあわせしなければ、財源の出どころもありませんし、こういうところから、一応財源の出どころというものを計算いたしまして、十カ年間六兆円、こういう計算が出て参ったのですが、そういたしますというと、やはり十カ年間にやるべきものは何を順序としてやろうか、こういうことにならざるを得ないわけであります。一級国道は、御承知のように、何といっても輸送量が非常に多いのでありまして、これはそのために一級国道にもなっているんですから、一級国道はできるだけ早い期間に完成しよう、こういうことで、前期五カ年計画において九七%までできることになりました。それはほとんど完成といってもよろしいのです。二級国道になりますと、十カ年計画で大体というところまでいくんですが、主要道になりますというとなかなかそこまで参りませんし、二級国道でも、いわゆる路線を計算して百パーセントいくかといいますと、今申したように百パーセントまで参りませんので、そこで一応先に十年以内に完成するところは、輸送量の非常に多い区間をまず先にやっていきたい。そうなりますというと、今、安田委員がおっしゃったように、実際上の問題としては、人家の稠密した地区は、先へやはり舗装まで進められると思うので、そうしてかなり長い距離が、何といいますか、たんぼとか、人家のない地区、そういうところがあとになる、こういう順序になろうと思います。主要地方道、県道等につきましても、やはり住民の迷惑ということを先に考えまして、やはり区間的にはそういう個所をねらって、かつまた区間としては、たとえば一級国道と一級国道の横断道路として相当に利用価値が多い、こういう地区は区間として完全の舗装のところまでやらなきゃいけませんが、そういう場合に、この十年計画では、一般県道まで全部が改良舗装が完成しませんので、この予算内でやるとなりますと、区間の完成というような言葉を用いざるを得ないし、もちろん十年で終わるわけではありませんから、引き続いてやる新計画が立てられまして、何といいましても、一般県道まで完全な舗装を、将来においてはこれは長期計画になりますが、行なうという方針でありますが、一応十年間の見通しというものは、そういうことにならざるを得ない。しかしまた安田委員のおっしゃったように、住民の不利益はできるだけこれを早い機会に除いていく、そうして生活安定に資する、こういう面で道路の改良舗装等はやって参りたい、かように考えております。
  106. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私は先ほど言った前提からして、新しく十カ年計画を立てるというならば、当然その二級国道以下の地方主要道路等を強化しなければいかぬと思うのですよ。そういう面からいって、これは前期の五カ年の間に、たとえば地方道においては、もちろんこれは地方自治体が主体で工事をするわけでございますけれども、地方にそういうようなものについて財源がないわけでございますから。といって住民の民生安定の面からするところの要求というものは非常に熾烈なものがあるわけなんです。そういうようなものを調整するためには、この道路整備五カ年計画を立てる際に、当然補助の対象としてのワクを拡大するような法的な措置を講じる、そういうようなことでなければ、その地方の人たちが納得しない。これは政府がそういうように、表向きに道路整備五カ年計画——それは選挙政策にはいいかもしれないけれども、現実には地方の生活に全然影響がない、こういうことに帰着するわけですですから国民生活安定の建前からいくならば、当然この際助成の方法を具体的に講じていくべきである、増額の方法を講じていくべきである、こういうわけですが、その点についてのお考えを聞きたいと思います。
  107. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 御意見のように、今回の新道路五カ年計画で、地方公共団体の負担は相当な増加を予算の上において見ることになります。で、もちろんガソリン税の分与あるいは軽油税等がありまするが、それだけではもちろんこれはやっていけませんから、当然に都道府県としては、新たに財源を必要とするわけであります。この問題については、自治庁及び大蔵省とも折衝をして、地方公共団体の負担が過重にならぬような措置を講じて参りたい。もちろん今おっしゃったような補助率の問題もありましょうし、その他の問題がありましょうが、一応今度の計画では、この問題に触れずに計画を進めてはおりまするが、地方税等の問題と関連して、将来この点についてもおそらく検討をしなければならぬと考えているのであります。  ただ、おっしゃいましたように、いわゆるこの地方道及び主要地方道あるいは一般府県道ですが、これらの改良あるいは舗装の達成率は、従来の計画よりは相当引き上げて今度の計画はできております。というのは、従来の五カ年計画でも、一級国道は大体において九六%できることになっておりますが、今度の五カ年計画では、その点一応この案が認められれば、一兆三千億円多いですから、一兆円の計画のときでも、一級国道は大体完成に近いものでありますからして、従ってそれに関する費用はもちろん、維持管理費は当然除きますが、改良費としては二級国道以下に振り向けられるわけですから、今度の新五カ年計画によれば、二級国道並びに主要地方道及び一般府県道、こういう方面に、一級国道に使うべき改良費は相当回るということになっております。従って従来の五カ年計画よりは相当数字としては伸びがあるわけでありますので、一応御参考に申しまするというと、従来の五カ年計画を進めて参りますというと、たとえば二級国道におきましては二二%七、これを今回の新しい五カ年計画で参りますというと、これは初年度の計算ですが、二四%九ですからして、約二五%、まあ二%強の率が上がる。で、これを三十七年度で計算しますというと、三十七年度というのは現行五カ年計画の最終年度ですが、それを現在の予算で処理をいたして参りますというと二四%九ですから約二五%、それに対して二九%五と、約四%半の上昇率を示す。地方主要道で申し上げますというと三十六年度は四〇%七、これが現行の五カ年計画、これが今度の新しい計画で参りますというと、初年度においても四一%一七、約一%の上昇率、これがまあ三十七年度、現行の最終年度の五カ年計画と比べまするというと、一五%三が現行五カ年計画最終年度、新五カ年計画の三年目においては一八%三、約三%の上昇率になります。一般県道においてはそう伸びが十分に見られないのであります。これはまあ都道府県の主たる道路でありますが、これなどは最終年度で現行五カ年計画では五%六であります。これを新五カ年計画では六%二と、こういうことになるわけですが、これが最終年度に、だんだん最終になって参りますというと、一級、二級の金がこっちに下がって参りますからして、後年度に参るほど上昇率が急カーブで上がっていく、こういう計算で、このいわゆる緊急度に従って予算を配分いたしますからして、十分とは申しませんが、しかし現行五カ年計画よりはかなり上回ったものが地方主要道あるいは一般県道、こういうのに回せる。現行ではとうてい回し得ないような予算措置になっておるわけであります。こういうように御了承願って、いわゆる地方住民といいましょうか、国民の生活安定なり、道路による利益というものを、今度の五カ年計画で相当に上がっていくような率を考えて処理をしている、こういうように御了承願います。
  108. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) それでは道路に関する質疑は、本日はこの程度にいたしておきます。   —————————————
  109. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 続いて治水事業十カ年計画に対する調査を行ないたいと思います。大へんおそくなりますが、しばらくごしんぼう願いまして、計画説明を願います。
  110. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 治水事業十カ年計画につきましては、さきに当委員会で御決定を願いました治山治水緊急措置法に基づきまして、閣議決定をすべく現在準備を進めておる段階であります。治山治水緊急措置法で河川審議会に意見を聞くことになっておりまするが、同審議会には計画部会を設けて、この計画部会において検討をしてもらいまして、計画部会は一応の結論が出ております。これは資料でお手元に差し上げておる通りであります。計画部会に提出いたしました原案は次のような方針で作られたものであります。  治水事業費は河川改修事業、砂防事業、ダム事業及び建設機械に分けられますが、これらの各種事業を計画的に実現していく場合に考慮すべきことは、これらの計画がそれぞれの河川について、河口から水源に至るまで総合的に一貫して調整され、かつ調和のとれた形で事業を進めていくことであります。また一方これらの事業が経済的に最も効果を発揮し、かつ民生の安定及び産業基盤の拡充強化に十分に役立つようにしていく必要があります。さらにまた昭和二十八年にきめられました基本対策、あるいはその後の情勢の変化に基づく変更計画等の総体事業計画、もしくは従来の実績等を考慮して、次のようにきめなければならぬと考えておるわけであります。  特に砂防事業につきましては、近時頻発いたしておりまする災害の性質にかんがみて、従来に比べてこれを極力推進する考えであり、また治山事業との関連につきましては、計画の一貫性を確保するように調和のとれたものとするとともに、個々の施工個所については、昭和三年十月の閣議決定事項に基づき調整を行なう方針であります。  またダム建設事業は、本来治水機能においては河川改修事業と同一視点から考えるべきものでありますが、最近特に急速に伸びてきた水需要の事情を考慮しまして、建設事業の実施の見通しの確実性、経済的な実施能力等を勘案いたしまして、各ダム建設計画を実施する考えであります。  以上のような見地から各事業の積み上げ試算作業を繰り返しまして、別表治水関係事業興総括表の通りの案を作成いたしました次第であります。その治水関係事業費の総括表でありますが、一応案としては治水事業費、これを河川におきましては前期五カ年計画で二千四十億円、後期五カ年計画で二千七百六十億円、十カ年計画で四千八百億円、砂防前期五カ年計画で七百三十億円、後期五カ年計画で千四十億円、合わせて千七百七十億円、ダム前期一五カ年計画で八百十億円、後期五カ年計画で九百六十億円、合わせて千七百七十億円、機械前期五カ年計画で七十億円、後期五カ年計画で九十億円、合わせて百六十億円、これらを総計いたしますというと、前期五カ年計画で三千六百五十億円となり、後期五カ年計画で四千八百五十億円、十カ年計画において総額が八千五百億円、こういうような数字になるわけであります。なお、災害関連事業費及び都道府県単独事業費、これが前期五カ年計画が三百五十億円、後期五カ年計画が三百五十億円、合計七百億円というものを考えると、合計九千二百億円となるわけであります。  また、この治水事業十カ年計画は、現在政府において検討中の所得倍増計画とも関連がありますので、その結論を待って閣議決定をすることになっております。時期的に多少おくれて参っておることは恐縮でありますが、かような事情もありまして、閣議決定がおくれておるような状態でありますことを御了承願います。
  111. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 治水事業について質疑を行ないます。ただいま全国治水砂防協会常務理事赤木正雄君が出席されております。質疑のある方は順次御発言を願います。
  112. 内村清次

    内村清次君 三十四国会で当時の内閣の重要施策は、治山治水の緊急措置法及びまた治水特別会計法、この二つが当委員会といたしましても関連しました重要な法案だったのですね。この緊急措置法の第三条において、ただいま大臣も発言されましたように、今後前期五カ年計画あるいはまた後期五カ年計画、この十カ年計画の策定を河川審議会の意見を聞いて閣議決定をする、これが第三条の目的であったのですね。そこで私は先月の委員会では、この閣議決定というものは、当時予想せられました一応の、これは九千二百億ですか、この数次の配分いうものがどうなっていくか、あるいはまたこの数次というものが、今後どういう性格を持ってその前期、後期に配分せられていくかということは、非常に重大でありましたから、その閣議決定の前に、たまたま大臣がおかわりになったのですから、委員会の空気も十分一つ聞いていただく。もちろん具体的な河川審議会にかかっておるような、その数字の問題については後に回しても、とにかく閣議の決定というものがもう非常に切迫しておるのですからして、これには一つ大臣の再考を促したいという気持で私は発言したつもりです。ところが大臣から説明されましたこの数字を見てみますと、これはもう私たちの申し述べました、また各委員からも当時申し述べましたような意見というものが少しも考えられてない。特に大臣は、村上前建設大臣からは引き継ぎを受けられた、砂防の問題については特別に配慮をするというような引き継ぎを受けられたということは、当時の委員会でも御発言になっております。そうやったことが、ただいまの数字には一つも現われていないのです。  そればかりでない。これはあとで申しますけれども、そればかりでなくして、重大なあやまちを犯しておるのです、性格の点につきまして。この点は私は遺憾に思いますが、あとで順次質問しますけれども、何といたしましても、きょうの委員会を期待して、またあすの委員会も期待してきておるけれども、委員会の審議の時間の配分というものが、非常に大臣の威厳をもって乱されてしまっておるのです。もちろん私たちも道路問題につきましてもまだ質問したかったのです。これはまたいつかの機会にやらせてもらいたいと思いますけれども、その機会というものは、なかなかお互いに忙しいところを、あなたも忙しい、だれもが忙がしい。だから相当な間隔が要るのですね。こういった重要な問題のときに、大臣の出席の時間というものが非常に制約されておるということは私たちははなはだ遺憾です。だから私もきょうはいろいろ質問もいたしたいのですけれども、ただ質問の前に、この委員会で発言をせられましたことがどういうように尊重されて、その閣議決定の前提であるところのこの河川審議会や、その他省議においてお考えになっておるか、その点を一つ一点お聞かせ願いたい。それが第一点です。  それから第二点の問題は、私もあとでその答弁を聞きましてか一言、これはまああと時間がないですから総括的に申します。  そうして実は第三点におきましては、審議会の委員でもあられるし、しかもまた多年砂防その他の治水の問題につきましては造詣の深い赤木さんもここに参考人として呼んでおりますから、私は質問という形よりも、むしろ赤木さんのこれまでの御意見を、この問題に対する御意見や、審議会におけるところの問題につきましても、一つ同時に大臣のおられるところでぜひ意見を申し述べていただく、その後に、私は計数的な問題につきましては、あすもありますから、これは大臣のお時間を尊重いたしまして、あるいは河川局長やその他の人たちから聞いてもよろしゅうございます。こうやったことで、最後には委員長の審議にも協力し、また大臣の時間にも協力して、こうやって質問なり発言なりをしていくわけです。
  113. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 先ほど申し述べましたように、この案は計画部会で審議をされまして、まだ河川審議会は最終的な決定を見ておりません。従って閣議の決定を待つ段取りまでには多少の時間があることと思います。私も砂防の重要性につきましては十分に考えておりまして、せんだっても各地のはんらん状況を見まして、砂防がいかに重要であるか、こういう点を考えて、これを指示し、かつまた事務当局にもこの考え方は述べて、案の作成に当らしたわけであります。  この表をごらんになりまするように、河川に関しましては前期五カ年計画の平均の伸び率は一一・三%であります。砂防は一四・四%、こういう数字で、従来の砂防に対する費用よりは相当の伸びを示しておるわけでありまするが、もちろんこれで十分だとも考えておりません。ただ全体の費用に、予算に制約をせられておりまする関係上こういうような数字になっておりまするが、将来これらの十カ年計画が改定をせられる機会がありますれば、経済成長等から考え、かつまた個々における河川改良の必要性から考えて、将来において内容等が改定せられるという場合においては、なおこれが検討する必要はあろうと考えておるわけなんですが、現在のいわゆる八千五百億円の十カ年計画の範囲内では、この辺が河川改良等とにらみ合わせて妥当なものじゃなかろうかということで、計画部会にこの案が出されておるわけでありまするが、なお、審議会においていろいろの御意見がありましょうし、当委員会におきましても、いろいろの御意見があろうと存じますから、十分皆さんの御意見を聞いて、そうしてこれを尊重し、最終的な決定を考えたい、こう考えております。
  114. 内村清次

    内村清次君 ただいま三十五年度の事業費関係におきまして、砂防が百九億何がしですか、そうして、この前期の平均伸び率において一四・四%であり、さらにまた河川の方は、一一・三%である。だからして、大体この伸び率であったならば、砂防の方はそう悪くはないじゃないか、こういった御答弁だったと思います。しかし、これはただ一四・四%であるからというようなことでは、砂防に対するところの治山治水の問題というものは完全に解決しません。これは何としましても、大臣が基本的にお考えになっていただかなくてはならないことは、二十八年のあの大災後にお作りになりました治山治水の基本要綱です。これは前委員会でも私は詳しく申しました。これが一貫して今日まで建設省といたしましても、また当時の政府からも、治山治水に関するところの根本的な災害防除対策としての基本的な考え方、これには一貫して変わりはないということを各大臣も明言してきたのです。ところが、この基本対策要綱というものが、これはよく大臣も読んでおられますかどうですか、これを御検討になっておるか、この点をまず一つ御答弁願いたいと思います。もしよく御検討になっておれば、今回の重要な緊急対策の措置法によるところの年次計画に対しては、考え方というものが変わってこなくちゃならぬので、これに対して今の答弁ではどうしても私たちは満足ができませんが、まずこの基本対策要綱というものをどういうふうにお考えになっておるか、この点を一つ御答弁願いたいと思います。
  115. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 基本対策の御趣旨は十分に了承しております。先ほど申しました金額を出しましたのは、いわゆる砂防個所を積み重ねて、これだけのものはこの範囲内においてはどうしてもやらなくちゃならぬという数字を、ただばく然とパーセンテージ一四・四の伸びを見るという考え方よりも、そうした砂防の設置個所を一つ一つ計算いたしまして、それから積み上げさせると同時に、八千五百億円ということとにらみ合わしてこしらえた数字がこういう数字になるわけでございますが、詳細の点につきましては、河川局長をして説明させることにいたします。
  116. 内村清次

    内村清次君 河川局長はまたあとで十分聞かれますから、赤木さんにお尋ねいたしますが、ただいま私たちとしましては、砂防の問題につきましては、政府は、二十八災以後策定せられましたところの基本対策要綱によって、今日までも、また今後も施行するようにということが、これは委員会の決議でもあったし、あるいはまた私たちが一貫してとってきたところの考え方でございましたけれども、今回の前期五カ年計画といい、また後期五カ年計画に対しましての予算の措置というものが、これは河川審議会でもずっと御審議になったと思いますけれども、こういうような審議会の御審議について、どういうような考え方を建設省の方はしておるか、この点についても付言して十分一つ詳しく御説明を、願いたいと思います。
  117. 赤木正雄

    参考人赤木正雄君) まず私、本日参考人といたしまして、治水問題、ことに砂防問題について私の意見を述べる機会を与えていただいたことを大へん幸いに思っております。これは水害に困っておる水源地方全国民にかわって私はありがたくお礼申し上げます。のみならず、大臣にこの砂防問題について深くお考えいただいていますが、重ねて私の意見を大臣の前にお述べする機会を得たことを大へんにありがたく存じております。  まず、私お話し申したいのは、いろいろな問題がありますが、治山治水の根本計画をお出しになるについて、治山と砂防の問題がどういうふうになっているか、このいきさつを一応お話し申したい。御承知通りに明治二十九年に河川法ができました。三十年に砂防法ができました。一方、砂防事業は、森林の仕事が多いのでありますから、むしろ農林省でこの法案を作るべきではないかという意見がその当時ありました。しかし治水という観点から、河川は内務省でやっていますから、これに密接な関係を持つ砂防はやはり内務省でしょうと、これは農林省とも協議の結果、明治三十年に砂防法ができました。そうして砂防はこの法律に基づいてやりましたが、その当時は農林省にはこれに該当する仕事は全然ありませんでした。ところが明治四十三年のあの全国的の大水害があった際に、初めて第一回の治水会議が行なわれました。その第一回の治水会議のときに、いわゆる農林省の側からも委員が出ました。どうも砂防事業を内務省ばかりでやっておられるが、森林は農林省に関係しているのである、農林省もこういう仕事をやるべきじゃないか、こういう意見が出たのです。そこで初めて農林省では明治四十四年から荒廃地復旧工事という名前で仕事をしました。ところがやってみますと、砂防事業と何ら変わりがない。そのために両方の仕事の統一もない。ただ迷惑するのは地元の人ばかり、両方で労銀のかさが上がります。また芝その他の材料が高くなる。こういう観点から、この仕事を一つの省にまとめてくれという意見がずいぶんその後あったのであります。それがしばしば国会に反映しまして、砂防事業、荒廃地復旧事業を一つの省に持ってこいということがありました。しかしそれがなかなかまとまらぬ。ところが大正十二年のあの関東大震災がありました。これに関連して、内務省は直轄工事といたしまして、東京そ他の関連災害府県に、砂防で堰堤を作りました。そうして小さい単位の堰堤は、これは府県補助工事として砂防でやりました。そうしてただはげ山に木を植える、これは農林省の所管でやったのであります。そういう例がありました。この仕事を一省にまとめてくれという声は国会でますます高くなりました。  そこでどうしようかというので、「昭和三年十月の閣議で荒廃地復旧及開墾地復旧に関する事務(農林省所管)と砂防事業(内務省所管)との間に存する権限整備は次の如く決定された。」、これはちゃんとうたってあります。これを見ますと、「(イ)原則として渓流工事及山腹の傾斜急峻にして造林の見込みなき場合に於ける工事は内務省の所管とす。(ロ)森林造成を主とする工事は農林省の主管とし、尚渓流工事と雖も右工事と同時に施行する必要ある場合に於ては農林省の主管とす。(ハ)右詳細は実施に先ち実地に付両省に於て具体的に協定するものとす。」、こういう閣議決定がありましたが、これを読んで見ますと何が何だかわかりません。自分の方に勝手な都合のいいように解するからどうにもならないのです。一体この閣議決定ができたときに、私は内務省の砂防関係技術官として、これは一向わからぬ、どういうふうにして解釈していいのかわからぬ、それで大臣に強く申しまして、こんなことでは現場の人は困るばかりだ、これをもっとはっきりしなければ困るということで、ではこれをいかにも不都合な点があるというので、内務大臣、農林大臣協議の上、この昭和三年の閣議の決定事項は次のように解釈するのであるということを昭和四年十二月に内務、農林両次官から各地方長官に通牒を出しました。  それは「砂防事務と荒廃地復旧及開墾地復旧事務の取扱の件の依命通牒が各地方長官に発せられて現在それに基づき両事業施行上の権限が確定されている。」それによりますと、「一、閣議決定(イ)の場合に於ける取扱造林の見込ある場合と難も渓流工事の維持上必要とする近接の箇所にして面積狭少のものは渓流工事と併せ内務省に於て施行すること」、さきの初めの閣議の決定事項は造林の見込みないときにすると、そういうべらぼうな決定をした。こんなことはないというので、造林の見込みのある場合でも渓流工事と関連する山腹工事の中の面積の大きくないものは内務省、今日の建設省でする。「二、同(ロ)の場合に於ける取扱山腹工事の保護又は維持上必要とする箇所に於ける渓流工事は農林省に於て施行すること、」これは非常に大事なんです。つまり農林省は渓流工事をやりませんが、山腹工事の保護または維持上必要な渓流工事は向こうがやってもいい。どうしても山腹工事は農林省の主たる仕事なんです。これで両省の仕事をする範囲がやっと明確になったのです。しかもこの場合に三といたしまして、「三、渓流工事の維持上施行する山腹工事にして面積大なる場合及山腹工事の維持上施行する堰堤多数に及ぶときは各主管の部課に於て、工事の連絡を採る為め協議すること。」、かようにして両省の施行分野がはっきりいたしました。  ところが、こうやって参りますと、終戦前の内務省、つまり建設省で所管している砂防工事をかりに三といたしますと、農林省所管の山腹工事の割合が一、つまり三対一、つまり山腹工事はそういうふうに扱うが、それに反して渓流工事は非常に金がかかる、大体三対一という割合で仕事をやったのであります。ところが終戦後になりまして、安本ができまして、砂防事業の経済効果は何か、こういうことが問題になりまして、その当時安本には砂防専門の技術官がいなかったのです。砂防の経済効果を、堰堤を作って、その堰堤で何万立米の土砂をためる、これは砂防の経済効果だ、こういう線ばかり出たのです。そうして砂防事業というものは根本的に縮小された。これに反して農林省の仕事はだんだんふえてきました。私はその当時GHQの方へ行きまして、GHQの人と、あるいは山梨県あるいは神奈川県、方々視察して、一体これはどういうふうに考えるといったところが、GHQの連中も、砂防工事は非常に重要だ。しかし、GHQがそういっても、安本としてはGHQの方で制約しているから砂防はできないのだ、こういうふうにいいましたら、GHQが安本に抗議するといって、砂防をなぜこういう、ふうに軽視するかというふうな強い抗議が出た。それでやっと砂防がものになろうと思ったときに進駐軍が帰ってしまった。こういう情勢で、とにかく両方の事業というものはどういうふうにするか、これは非常に大きな問題で、要するにこれは予算の割合ということです。それで昭和二十八年の治山治水基本対策要綱を決定する際に、私はやはりその委員でありました。ことにこの砂防問題と治山問題、荒廃地復旧問題、これは密接な関係があるから、特に私はそれを十分検討するように、こういうふうに話を受けたのであります。それで私は建設省砂防課長の部屋に行きまして、農林省のお出しになる治山事業を全部お出しなさい、それから建設省砂防事業を全部出しなさい、そのうちでこれは渓流と山腹ではない、あるいはこれはむしろ農林省に属するべきものだ、それを大体明確にいたしました。その結果、この治山治水基本対策要綱にあがっているように、ちょうど建設省の所管の砂防事業は三千八百二十五億、それから農林省所管の荒廃地復旧工事は二千二百八十億であります。この割合は、建設省の一・六八に対して向こうは一・〇〇、こういうふうで、これでよかろうということで、この治山治水基本対策要綱ができて、これは閣議でも御了承になった数字であります。  そういうふうでありますから、この治山の問題と砂防の問は非常に重大な関係がある。今大臣がおっしゃった通りに、山の上からおさめなければいかぬ、これは非常に大事なことであります。しかるに、私は非常に不可解に感じましたのは、今度のお示しになりました予算に対して、実は今回の治山治水事業は前期は、五百五十億、後期は七百五十億でありますが、それに今まで持って参りました特別会計の費用をあげますから、治山事業の前期五カ年では六百五十六億になるのであります。それから後期五カ年では八百七十三億にこれは特別会計で決定いたしました。念のために申し上げますが、治山事業と申しましても、いろいろの林野関係で保安林の編入とか保安林の管理とか造林事業とかありますが、この中で砂防と最も不可分の関係にある荒廃地復旧事業だけのことを申しますと、それが農林省ではこのほど決定しております。これに関して、さきの一・六八をお掛けになれば、少なくとも両省の仕事がうまく関連していくのには、建設省砂防は前期で千百二億、後期で千四百六十六億要します。それに今回お示しになりましたこの治山冷水の根本対策では、前期に七百三十億でありますから、これでうまくいくはずはない。私ここに申しますが、六月十七日に第一回の河川審議会が開かれたときに、これはそのときには速記録はなかったのです。テープレコーダーで、河川局長は、今後の治山事業、砂防事業は昭和三年の閣議——今私の申したところの閣議の決定によってやるのだということをはっきり申されております。それなら、治山事業がこれほどの予算があるならば、それにマッチする砂防事業でない以上は、治山治水に相関連していい仕事ができるはずはないのです。  もう一つ参考に私申しておきます。では現在どういうふうに向こうは仕事をされておりますか。私はしょっちゅう山にいきました。これはなかなかその仕事を見せません。しかし、私が写真で集めたところでみると、これが現況なんです。全然山腹工事をやっていない。これは当然建設省のやるべき砂防工事です。これは治山工事としてやっているのです。これはどの県でもたくさんありますから、あとから大臣なり各委員諸君がごらん願いたい。  こういう両省の決定違反の仕事をしていながら、しかも治山事業をどうする。私はこの間も静岡県の災害等を見ました。山に入りますと、手をつけていやせぬ。そうして砂防の仕事をやるのに、渓流仕事をちゃんちゃんと計画している。昨年のあの奈良県の水害も見ました。ほとんど全部といっていいほど山腹の崩壊を放棄して、この渓流工事ばかりやっています。私は農林省を非難しません。けれども、国民といたしまして、山がはげて、それを治めてくれない。渓流ばかりやっている。何の効果がある。どうしても治山事業に関連してやってほしい。  そういう意味から、渓流ばかりなぜやるかといえば、言いかえるならば、砂防費が少ないから、砂防費とそれから治山費とがうまくマッチしていませんから、こういう結果になっています。どうしたらマッチするかというと、先ほど申し上げたように、一・六八に対して一・〇〇、これでやってうまく仕事ができる。それを無視して七百三十億でいい、これは建設省として、はたしてそうやすやすと長年苦労している問題を、一朝一夕に河川局長、砂防課長は、これで支障がありません。そんなばかなこと言えるはずはないと思うのです。  私は地方にいくたびに、どうして砂防事業、治山事業をうまくやってくれませんかといった場合に、山がはげているのを何にもやってくれないじゃありませんか。あれは君、農林省の仕事だ、こういうふうに渓流工事ばかりやっている。これが現状です。私は案内してくれとおっしゃるならば、今でも案内します。それが実態なんです。建設省は実情を見ていないのです。今日の砂防はまことに私から言いますならば、例の安本の結果、大きな堰堤を作って、これに土砂を何万立米溜めればいい、そんな安易の、砂防の道をはずれていて、これで大臣ほんとうに砂防はいいか、昨年山梨県下に被害がありました。これは前の大臣もよく御承知です。こういう厳たる事実がありますから、単に砂防を圧迫しようとか、そんな簡単な考えでやられたのでは、国民はたまったものじゃありません。そういう観点から、私は治山治水の十カ年計画は、なぜ砂防と治山と分けるか。局長は簡単に片づく、砂防工事はこれで差しつかえありません、どういう責任をもって、それが言えるか。私はわからない。これは非常に不可解である。まずこれから……。
  118. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  119. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 速記をつけて。
  120. 内村清次

    内村清次君 ただいま赤木さんの御説明を聞きましたけれども、これは私たちも、大体御説明につきましても、まだまだ物足らないところもあります。で、もう少し私は長く、また今日までの情勢に対してのお話を聞かせていただきたかったのです。大臣が、何としても時間がないようですから、ただ大臣に私は一言お聞きしまして、あと、また赤木さんの御答弁をお願いしたいと思うのですが、まあ河川審議会は一応死んだんだ。今後閣議決定をせなくちゃならない。これは当然の順序でございましょう。私たちは閣議決定を重要視するがために、この限られた時間で大臣の耳に入れたかったのです。十分でない。ただ一点としましてお尋ねしたいことは、先ほど大臣の何を、選挙もやらなくちゃならぬでしょう。予算はもちろん時期ですから、一応建設省の原案を作って折衝をされることは、事務手続上時期ではございましょう。が、しかし、一応また選挙をやらなくちゃならぬ。内閣が組織されなくちゃならぬ。それから本格的な予算の決定ということになっていくでしょう。だから、たとえば、あなたのほうで今あげられております道路計画におきましても、二兆三千億の五カ年計画ですね。こういうアドバルーンを上げられた。先ほど田中委員も、社会党も賛成だ、こういう発言があった。が、しかし、それはどこまでも、やはり財政的な裏付けというものが、社会党がほんとうに納得するような財政的な裏付けがあれば、その予算の規模を拡大された道路計画であるとしたならば、それは賛成でしょうが、しかし、予算の裏づけというものはない。ところが大臣がこの間名古屋においでになってから、この名古屋は御承知のごとく伊勢湾台風で非常にみじめになっておる。あなたはこの緊急治水対策においても、今後政府の方で決定するところの、十カ年間の対策も八カ年問でやりたいというような新聞発表をなさったのですね。これも一つのアドバルーンでしょう。が、しかし、そういった、そのお気持ちであるとしたならば、一方において二兆三千億というような、この金を投じられるとするならば、私たちはこの一番、この国民の民生と密接な関係あって、過去に非常な惨害を受けて今日まできておるところの国民に対して、まず何を報いなくちゃならないかという最重点は、やはり治山治水対策であろうと思うのです。それで、十カ年を八カ年でやる、その気持はありがたい。が、しかし、今回あなた方が審議会におかけになって決定した予算案でも、一応九千二百億でしょう。しかも、それが追加事業費を加えても、これは私たちはまた見ておりません、問題がございますが、あとで質問はいたしますけれども、こういった追加事業費を加えましても、残事業として河川においては四千億でしょう。あるいはまた、砂防においては二千億、ダムにおいても四百六十三億、こうやった十カ年間を経ても、まだ残事業というものが残っておる——五〇%以上残っておるのですよ。これに着目なさらずして、ただ八カ年間でやってしまうというような、ただアドバルーンを上げられても、国民はついてきませんよ。しかも、その根本の、治山治水の一番根本になるこの砂防の問題については、基本対策要綱というものを無視されておるのです。しかも、これは、大臣が、大臣のときにおいて無視されるとしたならば、この委員会としては一体どうやっていきますか。各今までの大臣の、この基本対策要綱によって治水はやっていくのだ、こうやって今日まで言明されてきておるのです。それを大臣のときになって、今赤木さんの言われましたような、治水と治山との比率においても全く考えておらないでしょう。それで、ここで押し通していこうというようなお考え方であるとしたならば、私はそれはもうあなた方の罪というものは非常に重いと思う。私たち建設委員といたしましては、今まで再三の決議を出して、政府を鞭撻するために、政府と協力するためにきた。すなわち私たちの考え方を根本的にかえて、今後建設省から出すところのいろいろの諸問題というものは、計画の問題というものは、これは毎度その当座限りの施策であるというようなふうに信ぜざるを得ないのですよ。  この点も、十分に一つお考えなすって、まだ時間もあることでございまするからして、どうかよく基本に従って、私たちの意見も十分に参酌なさって、閣議決定というものを、せめて選挙前に決定をしておいていただきたい。これが私は池田内閣といたしましての、国民に対するところの忠実な一つの施策ではなかろうかと思いますが、これはどういうふうにお考えでございますか。
  121. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま赤木先生からも、るるとして当時の事情並びに砂防の重要性ということの御説明がありまして、大いに緊張して拝聴いたしましたが、なお内村委員からの砂防の重要性につきましての御意見も拝聴いたしました。ただいま申し上げましたこの資料は、一応建設省の案として、河川審議会に出しまして、一応計画部会の通過は見ておるわけです。審議会の決定はまだ見ておりません。審議会の方は検討の途上である、こういうことになっております。  治山治水の基本対策の要綱から言いまするというと、赤木先生なり内村さんのおっしゃるような点が多々あるようであります。砂防の重要性というか、これは私が利根川の下流地区に生まれておりますが、下流地区は洪水をこうむりますから、重要性を考えておりまするからして、皆さんの御意見なるものは十分に参酌して、将来これが一解決をはかりたい。ところが私が名古屋での十カ年計画を八カ年でも計画を遂行したいと申し上げましたのは、ただいま内村委員がおっしゃいましたように十カ年計画でやりましても、これだけの残事業がある。当時御承知のように建設省が経済企画庁等と折衝をいたしました間に建設省のいわゆる全面的な方針が決定を見たわけではないのでして、いわゆる一種の妥協の産物であることは御承知通りであります。従って建設省としては十カ年間に一兆二千億円なり一兆三千億円の仕事をやらなければ十カ年間におけるところの河川行政の完璧まではいきませんが、それでも大体のコースを行なうことはできないという見解から、積極的に考えて執拗に経済企画庁及び大蔵省と折衝をしたのですが、結果としては、あの法律に関連して現状で認められておるような総額九千二百億円というところに落ち着かざるを得なかった。  ですからして、建設省は治水治山の責任を負うているのでありますから、財源その他の問題は、一応第二の問題として、とにかくこれだけのものをやらなければ責任は遂行できないのだという建前をとることが、私は建設省の立場だと思うのです。結果的には今申したように、政治的にどう固まるかは第三の問題であって、九千二百億円でも十カ年間は心配ないのだということは建設省としては言い切れない。従ってこの統計にも表われておるように、残事業量というものは相当の金額に上っておる。こういう点から、将来の日本の経済の伸長なり、こういう点で将来これは治山治水の十カ年計画なるものを改定し得る時期があるのじゃないか。こういう一つの見通しは持っても差しつかえないのじゃなかろうか。こういうことから、一応十カ年の仕事も、われわれとしてはできれば七年でも八年でも、あるいは財政の許す限りは、もっと短かくてもやりたい、またやらなければならない、こういうことの意見を申し述べたわけであります。  砂防の点につきましても、今申したように、治山治水の基本対策の面の数字とは合っておりません。まだこの面につきましても、事務当局は、——あとで皆さんから御質問があるでしょうが、私としてはできるだけこの基本対策の線を尊重して、その面で予算の配分等を行ないたいという考え方は変わっておりませんが、今申したような計画それ自体が、いわゆる残事業量を残さなくちゃならぬ、その場合に、いずれが緊急度があるかという問題も一つあります。それはいわゆる砂防等を緊急事として、そうして河川がある程度おくれてもやむを得ないという考え方もありましょうし、しかし何といっても、河川がはんらんすることによっての被害も増大するから、一応それで、それを押え、これが工事を行なっていくという考え方もありましょう。いずれが主になるかは、その予算の範囲内においての考え方の相違になりますが、しかしいずれにせよ、全体の事業量、予算等とにらみ合わせて、そうしてこれをきめていかざるを得ない。窮屈な総額の決定があるというところに一つの問題点もあります。  しかし今申したように、赤木先生並びに内村委員さんのおっしゃるように、いろいろ意見の相違はあっても、砂防の重要性というものは、これはもうひとしく認めておるところであって、河川改良というものと、どういう工合ににらみ合わしていくか。要するに足らざる予算の中ですから、十分にやれば問題はないわけですが、足らざる予算の中においては、どうにらみ合わしていくかということが基本的な問題になろうと思いますし、なお河川審議会等で、始終これから意見が開陳せられるだろうと思いますし、当委員会においても、この問題についての御意見も拝聴できまずからして、そこらを十分参酌して最終決定はいたしたい、こういう考えを持っておりますから、御了承願いたいと思います。
  122. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  123. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 速記を始めて下さい。  暫時、食事のために休憩します。    午後二時十九分休憩    —————・—————    午後三時十三分開会
  124. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) それでは、休憩前に引き続きまして、会議を開きます。  道路に関する調査を行ないます。質疑の方は、御発言を願います。
  125. 田中一

    田中一君 一応、先ほど建設大臣説明された計画のうち、きょう参考人として列席の道路公団、首都高速道路公団の役員の方々に質問するわけですが、積み上げられました計画、これはおもなるものを一つ、継続中のものがこれこれ、それから先ほど資料として出してくれと言ったものがおそらくあるに違いないのだから、そのあるものを口頭で一つお示し願いたいと思います。
  126. 上村健太郎

    参考人上村健太郎君) 政府の案が五カ年計画二兆三千億でございますうち、道路公団に大体三千八百億程度のものが計画に組み込まれると思うのでございますが、この内訳につきましては、名神道路の残りの事業費が入っておりまして、これは三十八年に完成いたしますが、なおそのほかに東京—名古屋高速自動車道、それから中央道、これらを私どもといたしましては三十六年度調査をいたしまして、建設大臣の施行命令を三十七年にいただいて着工したいと考えております。  そのほかの幹線自動車専用道といたしまして、第三京浜、船橋—千葉あるいは北九州の門司—福岡あたりの道路、また羽田—横浜というような、いろいろな道路計画に入れていただきたいと希望しておるわけでございます。  そのほか一般有料道路としましては、三十五年から継続をして工事をしておりまする残事業費が約百二十億ばかりでございます。なお三十六年度以降五カ年計画に入りましてから新しく着工いたします分につきましても、やはり三百億ないし二百五十億程度のものを入れていただきたいと希望しておるわけでございます。  新規着工工事の個所は、非常にたくさん候補地がございまして、御承知通り現在調査中の個所も相当ございますし、また各県から、ぜひやってくれという御希望のあるところも多数ございますので、どれから先に、この年度計画として繰り入れていただくかということは、まだ建設省と協議中でございます。大体一般有料道路としまして一カ年に七十億か八十億新規事業を計画に入れていただきたいと、こう希望しておるわけでございます。
  127. 田中一

    田中一君 法律で定められておる道路としては、当然国土開発縦貫自動車道、中央道と東海道の二路線が当然この五カ年計画にも織り込んであるはずだと思うのです。  そこで、これはいろいろ問題があって、道路局長は言明ができない点もあるんじゃないかと思うけれども、中央道に対する建設計画というものは、道路公団が考えておるところのものと同じものであるかどうか、たとえば今言っているように、道路公団では、中央道のうち東京—富士吉田間はやりたいというような意思表示をなされている、しかし法律できめられておりますところの中央道というものは、東京—名古屋間が——小牧その他の問題は、これは現にやっておりますから、残された問題としては東京—名古屋間の問題になる、この点は、どういう考え方を持っておりますか。
  128. 高野務

    説明員(高野務君) ただいま公団の副総裁から国土開発縦貫自動車道、中央自動車道につきまして東京—富士吉田間を着工するというお話でございます。私どもも東京—富士吉田間につきましては、有料道路で大体ペイするだろうということで資料が出ておりますので、その点については同じ考え方でございます。  ただその先の、富士吉田から先につきましては、目下調査中でございますし、今の一応の調査では、有料道路としてはペイしないだろうという結果が出ておるのでございますが、なお今後調査を進めるつもりでございます。今のところ有料道路としてペイするであろう東京—富士吉田間をさしあたり完成したいというつもりでございます。
  129. 田中一

    田中一君 そうすると新五カ年計画には、道路公団が考えておるところの中央道のうち、東京—富士吉田間だけは織り込んであって、富士吉田—名古屋間は、新道路計画には入らないということなんですか。
  130. 高野務

    説明員(高野務君) ただいま申し上げましたように、富士吉田—名古屋間は、目下調査中でございますので、私どもといたしましては、この五カ年計画では、東京—富士吉田間に着手したいと思っております。
  131. 田中一

    田中一君 もう一ぺん伺います。  東京—富士吉田間は有料道路として道路公団が受け持とうというのだから、あるいは施工命令というものを出すかもわからぬ。しかしそれより先の問題は、今調査中だ、おそらくそれは、前期五カ年かかる。だから後期五カ年計画には考えられることがあるかもわからぬけれども、前五カ年計画には、その計画はないということなのですか。
  132. 高野務

    説明員(高野務君) 先ほど申し上げましたように積み上げをしておりますが、今後さらに配分の検討をすると申し上げたわけでありますが、今のところ積み上げの作業といたしましては、東京—富士吉田間のみが入っております。
  133. 田中一

    田中一君 調査には五年間かかるから、だからその先の問題については、今度の新五カ年計画には入っておらないというふうに理解していいんですか。
  134. 高野務

    説明員(高野務君) 現在の資料では、そうでございます。
  135. 田中一

    田中一君 これは重大な問題であって、おそらく通常国会でもあるいは臨時国会でも、新五カ年計画の全貌というものが、下からの積み上げというものが、そういう結果になった場合には、これはまあいろいろな問題が起きと思うのです。  そこで、これはちょっとこっちへ置いて、東海道高速道路の問題については、道路公団はどういう考えを持っていますか。
  136. 上村健太郎

    参考人上村健太郎君) 東海道の問題につきましては、正確にどのくらい五カ年計画の中でいただけるかということが、はっきりまだきまっておりません。建設省と打ち合せ中でございますが、大体東京—静岡間を、まず私どもとしては着手の希望をしておるわけでございます。
  137. 田中一

    田中一君 東海道高速道路の問題は、これは道路局長に伺うのですが、新五カ年計画には——前期五カ年計画には、東京—静岡間だけが予算として計上されるということは、中央道と同じように理解すべきか、あるいはこれはもう名古屋まで、新五カ年計画では計上いたしますということなのか。
  138. 高野務

    説明員(高野務君) 東京—名古屋間の東海道幹線自動車道路につきましては、この特殊国道は全線有料道路としてペイするとして考えております。そういう資料を得ております。しかしながら全線を、この新五カ年計画に入れるだけの私どもの積み上げ作業はしておりません。  大体におきまして、この東京—名古屋の間で一番交通量の多く、また近く交通が逼迫しそうなのは東京—静岡—名古屋—岡崎でございます。従って着工いたしますと、東京—静岡—名古屋—岡崎で着工することになるかと思います。
  139. 田中一

    田中一君 これは何ですか、国道一号線のバイパス的な性格を持たせようというのですか、そういう部分的な一区画に対する施工を考えておるということは。
  140. 高野務

    説明員(高野務君) これはやはり自動車道路でございますから、全線通りませんと、全体的な効用を発揮しないのでございますが、しかし東海道でございますと——東京—静岡でございますと、静岡の今の国道に、ほかの道路を取りつける、一部供用開始ができるのじゃないかと思います。
  141. 田中一

    田中一君 それじゃもう一ぺん今の三つの線について、十カ年計画にはどういう考えでいますか。
  142. 高野務

    説明員(高野務君) 十カ年計画につきましては、東京—名古屋、これは有料道路でございますと、十カ年では完成しなければならぬと思っております。  それから中央道、東京—富士吉田、これはもちろん完成いたしますが、その先につきましては、ただいま幅員の関係、あるいはその他の関係について、さらに検討しているわけでございまして、調査が終り次第、その先を、もし有料でできなければ、公共事業等を通してやっていくということを考えているわけでございます。
  143. 田中一

    田中一君 かりに十カ年の間で東京—名古屋の東海道地高速道路が完成いう理由は、非常におくれる、なくなってしまう、減殺されてしまうわけです。それを心配して、今までえらくさわいでおったのを、とうから聞いておったでしょう。しかしそういう発言が、建設省の意図するところならば、これは別の意味の政治的な問題が起きてくるということを私ども考えるわけなんです。  政務次官、省議でいろいろなお話を聞いているでしょうけれども、一体、そういうことであなたは政治家として、それで建設省として、国会に対する態度として当然であるという考えであるのか。
  144. 高野務

    説明員(高野務君) その前に、ちょっと補足させていただきたいと思いますが、私どもは、省議におきましても、あるいはまたこの委員会におきましても申し上げましたように、この二つの自動車国道は、それぞれ別な意義があるのでございまして、二者択一的なものでないということを申し上げたわけであります。ことに中央道につきましては、この地域の開発ということをかねて目的とされているわけでございます。  従いまして、その道路の大きさが最初からどうであるという問題は別といたしまして、この地域の開発という点からいきますと、東海道ができた場合に、中央道は要らないというようなものではないように思うわけでございます。私さように承知しております。
  145. 三和精一

    説明員(三和精一君) 道路局長の話、その通りでありまして、私政治家として考える場合には、田中さんの御意見も多少耳を傾けなければならぬと、かように考えておりますが、誤解があるようにも受け取れるのでございます。
  146. 田中一

    田中一君 また同じような混乱を国会の各政党に持ち込むことは避けていただきたいのですよ。現に現在の五カ年計画にも、はっきりと五十何億かの金が中央道のために計上されているのです。この金が、中津川—名古屋を作るか、あるいは東京—富士古田に作るか別として、少くとも計上されているのです。  それは東京—富士吉田間の計画だけが、新五カ年計画並びに新十カ年計画に計上されて、自余の中央道の予算というものは、一つも顔を出さぬということになりますと、私どもがいろいろ各先輩、同僚諸君から聞いているところの建設省という役所が、どうしても中央道を抹殺したいのだというような意図が明らかになるような気がするわけです。今まで東海道高速道路についての、いろいろな反対の意見というものが、ことごとく東海道によって当面の交通緩和という問題は解決される。むろん中央道には、局長のお説のように国土開発という副目的があるわけです。まあ道路局長に言わせれば、これは主目的だと言うかもしれぬけれども、やはり全体の経済的な面から見れば、総合開発の国土計画の面から見ても、この重要性というものは否定するものじゃないと思いますけれども、これが十カ年計画におきましても、なお取り残されるということになりますと、これはまた同じような問題を国会に持ち込むことになるのです。もしそういうことが建設省の意思として今考えられておるならば、これは急速に私ども社会党としても党内に持ち帰って問題にしなければならないと思います。
  147. 高野務

    説明員(高野務君) どうも、先ほどの私の説明が至らなかったと思いますが、中央道が十カ年計画に入らないということを申し上げているわけではないのです。五ケ年計画は東京—富士・吉田。その先につきましては、並行して調査をするわけでございますから、後期の五ケ年画は、どの程度やるかということを検討しているわけです。
  148. 田中一

    田中一君 路線の建設計画も法律できめられておるのです。従って、あとは政府の意思一つにかかるわけです。これには時限的制約はございませんけれども、何というか、調査は、百年したったって調査できないものもあります。そういうような官僚的な答弁では、われわれは納得しないのですよ。調査をして悪ければやらないというのですか、調査をしてよければするというのですか。国会の意思というものは、政府にせよということを命令している、法律もまた建設大臣も、これこれの線でいたしますということを決定している。法律が可決されておるのです。この時点から、道路局長はもう少し……、何も、政治的な答弁をしなさいということではないのです。
  149. 永岡光治

    ○永岡光治君 今の質問に関連するのですが、どうも調査しているということがなかなか明確につかめないものですから、その調査ということは、調査した結果、後期の五年に入るかどうか、そこまではわからないという意味の調査なのか、施工主については、道路公団にするか、あるいは国がやるかということについての、施工主についてどうするかということについてきめる調査にするというのか、どっちなんですか。あるいは二つ含めての調査ですか。
  150. 高野務

    説明員(高野務君) 調査でございますから、いつからかかるということはないのでございますが、法律で予定路線をきめていただきまして、建設のための基本計画を作る段階になっておるわけです。  従いまして、私ども、調査をするということは、基本計画を作るための調査でございます。基本計画を作りまして、実施するための調査であります。
  151. 田中一

    田中一君 もう少し——これは高野君、これは政務次官に言質をとってはなおさら問題があるから、なるべく避けたいと思いますが、もう少し納得するような答弁をしないと、われわれはやっぱり党内に持ち帰らなければならぬ。おそらく自民党もそうでしょう。おそらく各党とも、この問題は党内に持ち帰って、大へんな問題が起きるんです。もう私は政治家が路線なんかをとやかく言うべき問題ではないというのです。技術家は技術的良心をもって、決定したものは、行政権にまかされたものは、その立場のものが、どんどん遂行すればいいのであるという立場をとっておるのでありますけれども、もしあなたのようなことが、建設省の現段階の考えであるならば、これは非常な重大な問題が起きます。  従って、建設省は少なくとも前国会で予定路線の決定というものを承認を求めて、単行法が出たのですよ。決定したわけですよ。  従って前期五カ年計画には東京——富士吉田までのものを施工いたしますと、その先のものについては、おそらく後期五カ年計画の中に織り込むでございましょう、その点は十分検討しておりますというような答弁をしなければだめじゃないか。
  152. 高野務

    説明員(高野務君) 私は、実はそういうふうに申し上げるつもりで……。
  153. 田中一

    田中一君 そういうような受け取り方はできませんよ。
  154. 高野務

    説明員(高野務君) そういうつもりでございます。
  155. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 関連して……。今月の八月の、日は忘れましたが、六日ごろの朝日新聞のローカル版、これに建設省は上野原—大月間の九メートルのバイパス道路計画して、これを道路公団をして実施させるというようなことが報道されておるのですが、この点の真相はどうですか。
  156. 高野務

    説明員(高野務君) 大月—上野原、この点につきましては、二十号のバイパスというお話かもしれませんが、私は全然知りません。中央道をやるにいたしましても、二十号は改良舗装は続けていきたいと思っております。有料道路に入れるということは全然考えておらないのでございます。あるいは地元でそういうような……。
  157. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 道路公団の方は。
  158. 高野務

    説明員(高野務君) 公団の方に伺ったのですが、ないようであります。
  159. 上村健太郎

    参考人上村健太郎君) 聞いておらないようでございます。
  160. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そういう計画はないのですね。
  161. 高野務

    説明員(高野務君) はい。
  162. 永岡光治

    ○永岡光治君 田中さんの質問でも明確にされないのですが、前期は、大体富士吉田までは調査している、後期で調査中というのは、後期の五カ年において名古屋までを完成すべく調査をするという、こういう意味ですか。
  163. 高野務

    説明員(高野務君) もう少しはっきり申し上げますと、私ども、今の東京—富士吉田間の道路につきましては、四車線の用地を買いまして、三車線を四十二年までに完成しようということを考えております。この間におきましても、その先を調査をいたしまして、もし有料道路にしなければ、公共事業に入れなければならないのではないかという考え方でおります。  なお、先ほど有料道路ということを申し上げておったのでありますが、現在の積み上げでは入っておりませんが、先ほど田中先生から御要求の資料の中に、今入っていないのですが、さっきその資料は修正するかもしらぬということを申し上げたのですが、この五年間に全然入らないということを申し上げたのも、私らとしては、どうかと思うのでございますが、それは今後の問題でございます。
  164. 田中一

    田中一君 この新五カ年計画が、三十六年度の予算に一応並行して予算化されると思うのですが、その際に、旧というか、現五カ年計画の中に織り込んである百二億程度の東京—富士吉田間の金は、今建設省が命令をすれば、直ちに調査あるいいは着工の段階——調査はすると思いますが、着工の段階に立ち至るのではないかと思うのです。金があるのですからね。五カ年計画には……。  調査は、公団に命令しているのですか。公団がやるという意思に対しては。
  165. 高野務

    説明員(高野務君) 目下中央道につきましては、基本計画ができておりませんので、施工主体になっておりません。従いまして調査費は建設省でやっております。  それから五カ年計画に入っております百億につきましては、五カ年計画に入っておるわけでございますが、予算化はしていないわけでございます。従って、今すぐに、この百億を使うわけにはいかない状態でございます。
  166. 田中一

    田中一君 そうすると、道路公団は東京—富士吉田間は、自分の方で有料道路としてやってよいという意思表示が副総裁からございましたが、これに対しては、どういう御見解を持っておりますか。
  167. 高野務

    説明員(高野務君) この五カ年計画で、東京—富士吉田間をやるというお話が副総裁からあったのでございますが、私ども来年度からの五カ年計画には、もちろん百億を含めたものと承知するのであります。なお予算化につきましては、今後各方面と協議をして、私どもこれを早く実施するように協力したいと思います。
  168. 田中一

    田中一君 従来とも——これは後ほど首都高速度交通営団にも聞くのですが、先ほど大臣の質問のときも申し上げましたけれども、建設省調査費をもって、建設省が自分でもって何というか実施調査するということと、道路公団が道路公団の意思をもって調査する場合と施工段階に至って、いろいろな問題があるのですよ。現に先ほど神崎理事長も言っているように、もしも自分たちが計画の当初から八つの路線の決定をしようとするならば、いろいろ考えるべきものはあるが、今日のようなこういう用地の問題で苦労しないで済んだであろう。現在東京—富士吉田間の調査というものを建設省がしておる、道路公団が、そういう意思がありながら、道路公団に調査をさせないということは、これは道路公団に仕事はさせないのだという前提なのか、自分の方が実地段階調査を終った場合には、それをそのまま道路公団の方に押しつけるというような形になるのか。その点はむだ使いはしない方がいいんです。道路公団と建設省調査と二つの調査というものが、これが非常な大きな違いがあるとは考えておらぬけれども、もしもほんとうに道路公団が、その希望があるならば、道路公団にさせようという意思があるならば道路公団に調査させればいいのです。予算的には、政府が持っておるけれども、これは道路公団に委託して道路公団が調査しているということなのか、その点明確にして下さい。あやまちを再び繰り返しちゃいかぬのです。
  169. 高野務

    説明員(高野務君) このような調査は、基本計画がきまりましたら、なるべく早く実施する機関に調査をしてもらいたいと思います。  地方道につきましては富士吉田間をすぐかかるということになりますと、実地調査がすぐ始まるわけでございまして、これはもちろん施工主体である道路公団にやってもらうつもりでおります。
  170. 田中一

    田中一君 そうすると、大体東京—富士吉田間は道路公団の希望があるから、道路公団にさせるのだという考え方は、そういう方向になっているというように理解していいですか。
  171. 高野務

    説明員(高野務君) さようでございます。
  172. 田中一

    田中一君 それならばなぜ道路公団を含めた調査団に調査をさせないのですか。その今政府が委嘱しておる調査団といいますか、これには、道路公団も調査に参画しているのですか。
  173. 高野務

    説明員(高野務君) ただいま東京—富士吉田間は、関東地方建設局が担当してやっております。ただ調査を進めていきます上におきましては、道路公団の意見も聞くわけでございますし、協力を求めるわけでございますが、今度いよいよ五カ年計画に入るということになれば、さらに道路公団を通じてやっていきたいと考えております。
  174. 田中一

    田中一君 先ほど神崎理事長が言っているように、都内の八路線の問題にしても他人が計画してそれをおっつけられるということでは、いろいろ支障があるということですよ、従って関東地建と——関東地建はあなたの方の直属機関ですけれども、関東地建と道路公団が協力協議をしながら、今路線を決定するために調査しているというのならば認められますけれども、首都高速度交通営団がおかした困難さというものを再び繰り返してはならないといっているのですよ、なぜ道路公団をそれに参画させないのですか、道路公団にはそういう調査費を計上する権限がないのですか。  私は今まで道路公団の仕事というものは、大体自分から自発的に進んで隧道の調査、隧道をやってくれという計画があれば、率先して調査費を計上して、それに参画して自発的に進めていって実地調査をしているのですよ。なぜ道路公団に対して調査に参加することをはばんでおるのですか。
  175. 高野務

    説明員(高野務君) 調査に参画することをはばんでいるというようなことはないつもりでございますが、協力して助力を求めてやっていきたい。ただ自動車国道につきましては、基本計画がきまりまして以後、施工主体がきまりまして建設大臣から施工命令が出るわけでございます。  それから一般有料道路につきましては、道路公団で計画されまして、大臣の承認を求めていくという形になっておるわけでございます。  そこで、多少調査費のつけ方などが違ってきておるわけでございますが、しかし実質的にはそういう工合にいきませんので、これはいずれ私どもの方で、十分調査してやって参るつもりでございます。
  176. 田中一

    田中一君 どうも規則とかそれから予算のつけ方とかいうことをいっておるが、実質的には、道路公団がやるのでしょう、道路公団に協力させた方が楽じゃないですか。予算の使い方がまずかったら、直せばいいじゃないですか。一向差しつかえない、地建を中心にして地建の予算から、地建が道路公団に委託したっていい、調査を現にそういうことが可能じゃないですか。そういうことは、道路公団は、どういう考えを持っておりますか。  そういう現在の建設省が地建に霊地調査をさせて、そうして傍観している道路公団であるか、あるいはそれに参画してくれと言って申し入れているにもかかわらず、予算、調査費のワクが違うといって、あなた方の参画を拒否しているのか。その点一つ。
  177. 高野務

    説明員(高野務君) ちょっとその前に、補足させていただきます。  いかにも測量などの調査は、地建でやっておったのでありますが、交通調査その他は、両方の調査費で協力し合って調査しておるわけでございます。従いまして今後なお、それをはっきり協力の度を深めていくということは考えられると思います。
  178. 上村健太郎

    参考人上村健太郎君) 中央道の富士吉田間の調査におきましては、私どもも従来非常に関心をもっておりましたので、建設省と協力いたしまして、路線の調査あるいは経済調査などについては、御協力をしながら調査をやっております。予算はいただいておりませんけれども、われわれの調査費の中から旅費その他が要るわけでございますが、そういうものを使いまして、調査いたしております。
  179. 田中一

    田中一君 道路公団には、建設大臣から施工命令が出なければ実地調査させるということはできないでしょう。
  180. 藤森謙一

    参考人藤森謙一君) ただいまの点でございますが、建設大臣から予算がつきませんとできないわけでございます。  今、副総裁が御答弁申し上げましたのは、現在の調査費の中に、東京の周辺調査費がございまして、これは道路公団で第三京浜であるとか、そういうものを調査いたします費用で、また交通調査などは、全部東京周辺の交通調査ということになりますので、これは建設省道路局の方と関東地建と協力いたしまして、こちらの調査費から交通調査ということをやりまして、これに協力をいたしたいということでございます。  それから現在建設省がやっておりますのは、基本計画を作られますまでの調査ということでございまして、基本計画がきまりましたならば、道路公団が実施主体になるという、実施するための調査ということになります。たとえば基本計画の場合には、図面としては五千分の一程度までの図面ですべて計画される、これが道路公団のやります場合には、千分の一の図面によって計画する、そうすると、非常にこまかいことになる。  従って道路公団としましては、三十六年度の予算要求には中央道並びに東海道を調査いたしますために、本年度の三十五年度調査費が二億円であったわけでございますが、両方の高速道路が入りますために十億円の調査費予算要求をいたしておる。こういう段階でございますので、建設省の方から基本計画を、バトンタッチを受けながら、互いに連絡しながら、道路公団の方の実地調査を進めて参りたい。こういう経緯になっております。
  181. 田中一

    田中一君 三十六年度には実施する段階にくるわけですね。
  182. 高野務

    説明員(高野務君) 三十六年度には実地調査をいたしましてから三十七年度から……。
  183. 田中一

    田中一君 私は、なるべくそれが中央線を通るか、立川を通るかということは質問しない。これはへたな質問すると高野道路局長もお困りになり、道路公団も困るので言わない。少なくともこれらの路線の決定は、先だっての法律では大きな区域を示しておるにすぎません。従って道路技術家の良心に訴えて、最善なる道を選ぶであろうということを期待しておるのです。だから今後とも、この路線については非常に長い間、考えてみますと、もう六、七年になりますが、そのくらい紛糾したものが究極において政治家の圧力で路線が変更されるということがあってはならないと思う。あなた方が考える最善なる路線を選んでいただきたいということをお願いしておきます。党内でもこれは問題になっているんだからね。
  184. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ほかにありませんか。
  185. 田中一

    田中一君 時間がないので急いで質問しますが、首都高速道路公団のことですが、先だって来個人的に伺って、二号線の問題についていろいろ今の古川を渡る路線は高速道路の機能が発揮されないのではないかということを申し上げておいたのですが、しかし高野君にちょっと伺うのですが、昨年大臣が決定したところの一号線、二号線等の路線決定というものは、これは変更することは不可能でございますか。
  186. 高野務

    説明員(高野務君) 首都高速道路につきましては、都市計画決定に基づいて仕事をしていられるのでございまして、実は、私は都市局を主管しておりませんので、変更はどうであるか不案内でございます。
  187. 田中一

    田中一君 と言って、政務次官ではおかしいな……。それでは、これは西畑君に伺いますが、あの路線は、これはとうてい高速道路というような条件にはまっておらない道路であって、もう少し考えて新しい路線を考え、比較線を考えた方が楽に仕事が進むのではないかという気がするわけなんです。大臣が予算を決定したからといって、それが全然動かせないものじゃないはずです。先ほど神崎理事長も言っているように、どうもおっつけられた路線というものになると、これは、はなはだ国民のためじゃなく、東京都のためにああした道を作るということになってしまう。  私どもは、昨年あの法律案を審議する際にも、こういう路線を勝手にきめて、公聴会も開かない、地元にも何にも知らせないでだまって法律ができた。さあこれをやるんだというような形でくると、非常に危険がある。だから一年ないし二年これを待ったらどうかということを、今そこにいる理事をしておられる藤森画部長にも、こんこんるる要請したものです。ところが、与党の力に強引に押し切られて質疑も打ち切られたままに、あの法律案は通ったのです。腹の中では、私ども反対党としては、ざまを見ろという気持もするのです。しかし、東京の今日の事態を見るには、ざまあ見ろでは済まない。国民のために東京都民のため、地元の利害関係者のため、また国全体のためにも、どうしてもこの路線は完成しなければならない。反対するから変更するのではございません。どこまでも将来の既成都市におけるところの高速道路というものを考えますならば、あのような路線というものは、西畑君は技術家ですから、おそらく君の一生の汚点になる路線であります。君がもしほんとうに技術に忠実なら、当然これは別の案を考えるべきです。  そうして一ぺんできたものは、再びこれは修正できないのですよ。既成都市というものは、同じ苦しみをなめるならば、将来百年の悔いを残さないような路線を決定するのは、僕は最善の理想だと思うのです。ことに公共企業体として首都高速道路公団に課せられた責務であろうと思うんですよ。理事長以下、あなた方の首の問題なんかじゃございません。建設大臣なんというものは、半年か一年で変わるんです。あなた方は、りっぱに任期があるのですから、任期のある間は責任を持って堂々と自分の意見を具申できるんです。それをお持ちにならないということを僕は非常に慨歎するわけです。われわれの反対の立場に立っておるところの政府にしても、おそらくあなた方の言葉に対しては耳を傾けるものと考えております。  これについては、行きがかり上、どうもこれを変更すると、反対派の連中が効を奏したというような形で、悪い印象を他の路線にも与えるという心配をお持ちのようでありますけれども、この際、押しつけられた計画というものを、再検討するということをいうと、みんないやがるんですけれども、別の面で、十分に検討することが必要だと思うのです。トラックにしても何にしても、あの狭い川の上をおそらく二十五キロ程度しかスピードが出るはずがないんですよ、ことに輻湊してくれば。こういうことをてんとして命令されたからするんだというような考えでなく、技術家の面から見ても、十分に検討して、昔なら腹を切ってまでもやるというところでしょうが、そんな表現はいけませんが、ほんとうに日本の民族のための既成都市における高速道路ということならば私は考えてくれると思うのです。  この点、行きがかりを捨てた、神崎理事長並びに技術担当の西畑君の答弁を伺っておきたいと思います。
  188. 神崎丈二

    参考人神崎丈二君) 今、田中さんの非常に切実な御忠告があったわけですが、むろん私ども悪いと思うことを、首の問題やそんなことで顧慮しておるはずはないのですが、しかし私どもがやっておる仕事に期限的な大きな条件がついておることを私は認識しておる。たびたび公団内でも公団の諸君に言っておるのですが、まあ、われわれの仕事は、りっぱな道を早く作ることがわれわれに課せられた大きな責任であろうと考えておるということを申しておるのであります。  今お話の二号線の線形の問題ですが、このことについては、今技術担当の西畑理事から意見を申し上げると思いますが、私が一番心配するのは、かりに二号線の現在の基本計画が悪いところがある。こうしたらベターである、よりよくなるということがありましても、この基本計画を今変えるとしますと、おそらくは、あそこは御承知のように非常に反対の多いところです。ですからその反対者にとっては、もっけの幸いでしょう、喜ばれるでしょう。しかし新しく変更された土地に、また同じような反対が起こっておそらくは二年、三年あるいは五年の遅延を来たさなければならない、この点が、私は一番心配な点であって、あえて基本計画を変更するところまでふん切れない、これが根本なんです。おそらくこれを変えれば私どもの仕事は、どうしても三年、五年もしくはそれ以上おくれはせぬかということが一番の心配です。  さすれば多少——多少といったら、あるいは田中さん御不満かもしれないけれども、よほどのことがない限りは、基本計画をそのまま順守して、そうして仕事を早く終わりたい、早く完成したいということが、私の一番念願しておる点なのであります。
  189. 西畑正倫

    参考人西畑正倫君) 補足的に御説明申し上げますと、田中先生から御提示になりました案を、現地につきまして詳細な図面をとるわけにはいきませんので、あり合わせの図面で一応検討したのでありますが、線形は、御承知通りよくなります。延長は一割くらい短かくなります。しかしながら隧道区間が一キロくらいできますので、これに対する照明完備、そういうものを完備しなければいけません。なおかつスピードはわれわれが与えられた基本計画で六十キロとされておりますが、これにも例外がございまして、四十キロまで部分的に落してもいいという規定がございますが、四十キロ程度に隧道内は押えねばならないだろうというふうに考えております。  それと、やはり一番問題にします点は、地元に非常に反対が多うございまして、これに対する緩和対策として、われわれは全路線の中で移転戸数が約二百軒くらいございますのを、原案では、何とか工夫してランプ・ウエイを少し移動したりして、光林寺のところの百軒ばかりの移転戸数をなくするような工夫を考えております。従って移転戸数が、在来二百戸あったものが百戸くらいになります。それから新たな路線の方でいきますと、二百五十戸くらいの移転戸数が、これは全部避ける余地がございませんので、どうしてもそれを動かさねばならぬということになるわけでございます。しかしながらこれは隧道ができたあとで、その隧道の上にまた家を復元したらよいじゃないかという点も、一応はこれはどうしても考えなければならぬという点でございます。こういう利害得失を、いろいろ検討しまして、早く仕事をやるという意味においては、やはり移転戸数がなるべく少ない既定計画にある程度戻さねばしようがないのじゃないかと考えております。  現計画でも線形は悪うございますが、われわれ与えられました基本計画の六十キロというものは、どうやら通れる路線になるという、高速道路と申しますと六十キロということはちょっとうなずきがたい、みんな百キロ近いものを想定いたしますけれども、あの地形では、どうしてもやはり六十キロ、部分的には五十キロも採用しなければしょうがないような地形をとらなければならないと思います。
  190. 田中一

    田中一君 それは一つ神崎さん、今の隧道の位置の図面をお作りになっていただいて、次回の委員会にそれをお示し願いたい。それから今の西畑さんの御説明になった数字も入れて——どっちみち反対する数字でしょうけれども——それでもかまいませんから入れて、御提示願いたいと思います。  最後に伺いたいのは、道路公団と首都高速道路公団との事業の競合の問題です。どうもこういうものを作ったために、こういうものというのは首都高速道路公団の仕事なんていうものは、道路公団が行なっても一向差しつかえない仕事なのです。それをあえて首都高速道路公団を作ったというゆえんも、まあ政府の方に何か問題がありましようから、これは一応認めるとしても、今後やるところの首都高速道路公団は、東京都高速道路公団じゃないのです。与えられたところは、首都圏整備事業に関連するところの道路公団という性格のように私は理解しておるのです。従って、この理解の上に立って道路公団が考えられておられるような路線をも、当然含まれるものである。しいて申しまするならば、日本橋を起点として五十キロの円を暫く範囲が、これが首都高速道路公団の事業範囲であるということも言えるのではなかろうかと思います。  これは高野君に聞くのじゃないのです。高野君は道路局長で、計画局長がいないから言うのですが、そうなると羽田から都心に入る一号線、また羽田から横浜に入る延長線等も、これは道路公団がするか、あるいは首都高速道路公団がするのか、たとえば今言われているところの京浜三号線は、これは当然五十キロの円内に入るのだから、これは首都高速道路公団の仕事であることは当然である、ちょうど道路局と計画局とが、これは行政区分がはっきりしておりまして、都市部それから地方部というものと分かれております。これはけんかがありませんけれども、首都高速道路公団というものと、日本道路公団というものの施工分野というものは明確になっておらぬ。日本道路公団の方は、これは道路局長の権限だから、権限というよりも監督の範囲なんだから、これはまあどういう工合に道路局長は理解しておるか、これはもう宿命的に関連しているところの、そうした争いは絶えないわけなんです。午前中の赤木さんが言っておるところの林野砂防と渓流砂防の争いと同じように、その点は、どういう工合に割り切っておるのか、割り切ろうとしておるのか、道路局長は日本道路公団の立場だろうと思うのですか、それで一つ説明して下さい。
  191. 高野務

    説明員(高野務君) 私は、日本道路公団の立場であるかどうかわかりませんが、私といたしましては、日本の道路をできるだけ早くよくするということが念願でございます。ことに、首都樹管内の道路をよくするということが念願でございます。  仰せの通り日本道路公団首都高速道路公団の受け持ちの限界は、今のところ明確にはなっていないわけでございますが、今お話の東京から横浜という場合につきましては、この道路がいかにしたら早くできるか、どっちの方向にやったら早くできるかということによって、協議をしながらトラブルなしに受け持ちをきめていったらいいのではないかと思っております。
  192. 田中一

    田中一君 これは、三和政務次官に伺っておきます。あなたに、僕があなたの答弁を含めた質問をしますから、そういう意味で聞いておいて下さい。  今申し上げましたように、首都高速道路公団と日本道路公団の仕事の分野というものは、明らかになっておらないのです。建設省においては、街路は道路であっても、これは街路というか、既成都心ならば、街路として計画局が受け持つ、それからそうでないところは、全部道路局が受け持っているということになっております。しかし日本道路公団首都高速道路公団とは分野が明らかになっておらぬ、新道路五カ年計画、これによるところの二兆円からの仕事を行なうことになりますと、お互いになわ張りが生じてくるのです。こういうことは、あってはならないのです、あるはずがないのです、あるはずがないことが、往々にして行なわれているのです。指摘するなら、たくさんございます、そういう事例は。これは少なくとも、新五カ年計画を策定され、コンクリートして、そうして明年度の予算の編成までに分野を明らかにしていただきたいのです。  ただ、僕が言っているように首都高速道路公団は、もしこれが首都圏内におけるところの事業範囲という理解ならば、日本橋にコンパスを立ててぐるっと五十キロの円を書いたところがおれの事業範囲だ、こういうのが正しかろうと思うのです。また新しく新道路五カ年計画においては、大阪中心とする既成市街地の中の新しい公団をまた作ろうというような構想もあるやに聞いております。これらを考えますと、おそらくそうした、まあなわ張りというような言葉は言いたくありませんけれども、明確でない施工分野の争いが起きがちだと思うのです。これを一つ、急速に解決するようにしていただきたいと思うのです。  これは道路局長にというわけにいかぬから、三和政務次官に申し上げておきますが、これに対しては、当然そうすると思うけれども、一つ御答弁を願いたいと思うのです。
  193. 三和精一

    説明員(三和精一君) 私も常に田中君と同様な疑義を持っておる一人であります。これは半径五十キロが首都高速道路である、片一方は道路公団というような、非常に複雑な様相を呈しておるので、御意見のことは、全く私も同感で、大臣ともよく相談しまして、御期待に沿うように努力いたします。
  194. 田中一

    田中一君 首都高速道路公団が仕事をする場合に、ぶつかる問題は、御承知のように、都市計画の問題と、首都圏整備法の問題、それからあすこの白金の自然公園のように、文化財保護委員会とぶつかることがある。また外堀につける点なぞと、いろいろあるわけなんです。  これらの問題は、首都高速道路公団に、その解決を迫ることは、これは間違いなんです。これは当然、国がすべきなんです。少なくとも、首都高速道路公団は、実施する機関なんです。そうしたネックというものを全部解消して実施さすのが正しいのです。ところが今までは、傍観者とは言わないけれども、あちらでやるであろうという考えに立っていることは、これは大へんな間違いです。従って建設省は責任のがれで、うるさいことは全部あちらにかぶせている。あなたの方からも何というのですか、出ておるでしょう、監理官とか何とかというのが。監理官は一体用がないのか。監理官は、少なくとも首都高速道路公団の仕事をスムーズにいかすために、総力を結集して、これを助成するのが義務なんです。常に何か事があると、首都高速道路公団が泥をかぶっておる現状というのは、これはいけません。これは今後、それを反省して下さって、用地の買収の問題だってそうです。傍観者であってはならぬ、協力者なんです、ということを一つ、責任者がおらないけれども、十分に考えていただきたい。  こういう点について、もう一ぺん政務次官から、その点についての見解を伺っておきたい。あなたの発言は全部速記録に残るのですから。
  195. 三和精一

    説明員(三和精一君) ただいまの御高説、もっともでございます。十分気をつけます。
  196. 田中一

    田中一君 日本道路公団については、まだ問題が大きいので、次回に伺いますが、もう一つ、首都高速道路公団の方に伺っておきますが、用地の問題と同じように、今度住宅局、それから住宅公団等が強力に協力すれば、用地の問題等は、相当解決されると思うのです。  というのは、金銭補償ばかりであなたが考えているのでは、これは解決しない。住宅のないものには、適地に住宅公団に住宅を作らしてもいいでしょう。住宅局が一時借り受けさせてもいい、工事中は。いろいろな方法がある。金銭補償ばかりでなくて、既成都市における用地の買収、借り受け等については、そうした総合的な施策がなくちゃ解決されないものなんです。ましてや高速道路の、何というのか、柱ですね、柱の部分なんか、あなた方がそこでもって一つの金を生ませようなんていう考えを持ったのじゃ解決するものではない。こういう点は、総合的な都市計画の面、住宅政策の面、市街地区改造の面等を十分に織り込んだものが、今神崎理事長が言っている促進するもとなんです。  これに対する政府の協力が足りない。別な人間がやるのだからいいとこういう考えを持っている。首都高速道路公団の理事者も、そういう面に働きかける努力が足りない。これじゃできっこありません。従って、この点についても、十分に、日本道路公団と違った区域の建設をしなければならぬのですから、そういう視野を広くしたところの考え方を持たなければならぬと思うのです。きょう藤本君来ておらぬけれども、東京都が行なっておったような用地の買収なんという考え方では、この国策に近い事業というものは行なえないと思うのです。国策に近い事業であるというふうな信頼感を持たせなけば納得できません。東京都は、安井都政十何年でもって、都民は飽き飽きしておった。それに不信感があった。従って、そうでない人格の首都高速出路公団が仕事をしていく場合には、これに対するところのすっきりした、これは国民のものである、都民のものであるという気持を十分に反映させなければいかんと思うのです。官僚的な考えでもって用地の買収なんかするから、とうていスムーズにいかないのです。  そうしてまた、次回の委員会までに出していただく資料の中の図面ですね、これもおそらく私が申し上げた案が早くいくか、あなた方の今のような基本案が早くいくか、これは時間をかけて当らなければわからぬでしょうけれども、私は、私の申し上げた方が早く完成するだろうというような考え方を持っていますから、これについては、次回に十分に皆さんと質疑をかわしたい、こう考えております。  きょうは一応これで私は終わります。
  197. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ほかに御質疑の方ありませんか。——本日の質疑はこの程度にいたしまして、明日は、午前十時から派遣委員報告を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時十七分散会