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田中一君 そうしますと
事業本位ということですね。そこでこれは
内村委員に
経済企画庁長官は、これは深入りをしないというような
説明をしておりますけれ
ども、
昭和三十五年に
国土総合開発促進法という
法律ができたわけです。要するに日本の国土によって一億の
国民が生きようという
一つの
考え方が出たわけです。
ところがこの
法律は今日もはや十年たっております。十年たっておりますが、その十年の間には、国土によって生きようという
考え方よりも、たとえばアメリカに依存してアメリカ経済の一環としての日本の貿易立国的な立場に立って、十年前に作った
国土総合開発法の精神を忘れておるのが現状なんです。御承知のように、これは橋本
建設大臣は
衆議院に席を置いておるので、どうも
衆議院の方方は地元に制約されることが多い。そうなるとどうしてもこの根本の
国土総合開発という
計画が全く絵にかいたような現状であるから、自分の選挙区が一番大事になって、選挙区別的な、地域的な特例、特権を得ようとして数数の
地方開発立法というものが生まれてきておる。この間違い方は、御承知の終戦後、海軍根拠地があった地域に対する
ところの都市転換の問題であるとか、海軍根拠地点を、これを工業化しようというような
考え方の問題とか、あるいは広島、長崎のように原爆を受けた
ところの都市の復旧を中心とする
地方特例的な
法律——単行法ですが、あるいは温泉だ、観光だと数々の問題がたくさん出ておる。そうした
国会議員の中に思想的に流れておる
ところの、
政府に対する
ところの不信、政治に対する
ところの不信というものは、こういう数々の
地方立法となって現われておる。その
一つが北海道
開発法、
東北開発法、
九州開発法、また前回でも中国
地方の
開発の促進決議なんかもしております。一体その日本の国土というものは、日本人のすべてを、日本民族のすべてをささえる
ところの資源なんです。
これが常に、世界経済、今日では、交通網が相当時間的に短かくなっておりますから、世界経済に影響される点は、多々日本にございます。ございますが、何といってもわれわれが生きる基盤は、どこまでいっても、日本の国土以外にないのです。先ほど
迫水経済
審議庁
長官が、
国民所得倍増論とか何とか、これはもう、どうぞお手並み拝見します。ぜひとも示していただきたいが、少なくとも日本の国土に立脚した
ところのものでなければ、日本の民族のものでないのですよ。歴代の
経済企画庁長官が、ことに一番悪い例は、河野一郎という代議士です。あれは
大臣になっても、一ぺんも
国土総合開発というものに耳を傾けたことはございません。すべては対米貿易一本やりでございました。
こういうような形が、日本の政治に対する不信を生むもとであり、かつまた、こうした
九州地方開発促進法というような単独立法が生まれたものとなんです。そこで根本的に
迫水さん、今度は
大臣になったのですから、あなたの
考え方というものを、あなたの目を
国民に向けながら、自分の国土に結びつけていただきたいのです。私は、北海道
開発促進法案というものは、一日も早くやめにしていただきたいのです。日本にははっきりとした国土全体これに住んでおる
ところの民族の全部の生活が立つ
ところの全国的な視野から見る
ところの
開発というものが、緩急それぞれ当を得て持ち得るはずなんでございます。今、
迫水さんに伺っておるように、いろんな面から、この
公共事業に対する、
公共事業と申しますのは、
九州開発による
ところの
重要事業というものは、ここにも六つばかり羅列してございますが、これはことごとく
公共事業が主となっております。
公共事業という
事業を
推進するために
補助率という問題が起きるのか、あるいは地域的な貧困県、富裕県あるいは台風常襲地帯というような特異な現象から、それの
財政を助けるための
補助金なのか、その点は非常にあいまいであろうと思うのです。なるほど日本の大きな商社は代理店を持って、アメリカから、日本人が欲しそうな品物を買って二割も三割ももうけて、これはぬれ手でアワですよ。日本の労働者が作るものではございません。商社は、利潤だけ得るのですよ。そうして押しつけられた品物は、日本の
国民経済の上に浪費以外の何ものでもないというような品物すらあるのです。私は、どこまでも日本の民族は日本の国土によって、自分の持っておる
ところの労働力をこれに傾注して、そこに生産されたものによって、明るい生活を持つ、消費生活の向上をはかるということに、もとはなくてはならぬと思うのです。
迫水さん、
一つ歴代の
大臣がなし得なかった、この国土に対する
ところの見つめ方、情熱をどこに持っていくか、あなたは先ほど、やはり貿易なんてということをちょっとくちばしにのせたように聞いておりましたけれ
ども、それであってはならないのですよ。しかし、それは否定すべきものではございません。否定すべきものではないのですけれ
ども、そういうものを、うっちゃられておる
ところの日本の国土に対する抜本的な施策を持たなければ、日本の民族は安心しておられません。貿易というものは、売ってくれるものがなければ買えないのですよ。売ってくれる
ところのものは、いつ、でも一方的にキャンセルし得ることもあり得るのですよ。買おうと思っておっても、売ってくれなければ買えないのですよ。日本の品物を
向こうで今まで買ってくれたけれ
ども、
向こうに断わられれば売れないのです。幸いに日本の国土というものは、まだ相当の資源があり得るだろうという予想が立っておるのですよ。この際、全国的な視野から、この日本の国土を民族のものとして
開発し、利用し、そこにわれわれの働く道を求めるような抜本的な
計画をあなたは短かい何カ月なんていうことを言わないでも、一年でも、二年でも、三年でも、
池田内閣がつぶれても、私は、
経済企画庁長官として取っ組むのだというような熱情を持って御
答弁いただきたいと思うのです。