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1960-07-21 第35回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年七月二十一日(木曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————   委員異動 本日委員松野孝一君辞任につき、その 補欠として、田中茂穂君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            稲浦 鹿藏君            武藤 常介君            田中  一君    委員            小沢久太郎君            太田 正孝君            小山邦太郎君            田中 茂穂君            吉江 勝保君            米田 正文君            内村 清次君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣   建 設 大 臣 橋本登美三郎君    国 務 大 臣 迫水 久常君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    経済企画庁総合    開発局長    藤巻 吉生君    自治省財政局長 奧野 誠亮君   —————————————   本日の会議に付した案件九州地方開発促進法の一部を改正す  る法律案(第三十四国会内閣提出、  衆議院送付)(継続案件) ○継続審査要求に関する件 ○委員派遣に関する件   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。七月二十一日付、松野孝一君が辞任せられ田中茂穂君が選任せられました。   —————————————
  3. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) この際建設大臣経済企画庁長官から就任のあいさつをいたしたいとの申し出がございますので、これを伺うことにいたします。
  4. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) このたびはからずも建設行政を扱う市費に任ぜられまして、ただ各位の御承知のようにその方面は全くしろうとでありまして、ただ私幸運に思いまするのは、当委員会各位はその道の専門家でありまして、皆さんのお力ぞえによって大過なく仕事を果たして参りたい、こう考えておるのであります。どうか今後ともよろしく御指導願います。
  5. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 池田内閣経済企画庁長官に任命されまして、はなはだ未熟でございますけれどもせいぜい勉強いたしまするから、どうぞよろしくお願いいたします。   —————————————
  6. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に九州地方開発促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず専務当局から具体的の説明を願います。
  7. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) 九州地方開発促進法の一部改正法律案の要旨を御説明申し上げます。  九州地方開発促進法は昨年の春成立をいたしておったわけでありますが、東北開発促進法にございますような再建団体に対する国庫負担率引き上げ規定が、昨年成立いたしました法律の本文には入っておりませんで、この問題は三十五年度以降、九州地方の県につきまして国庫負担率引き上げる必要ができた場合には、別に法律で定めると、こういう規定が付則には入っておったわけでございます。そこで九州地方開発事業を行なっております各県のうち、財政再建団体になっております県につきまして、国庫負担率をどの程度引き上げるか、それから再建団体になっておりません県につきましてどう処置するかと、こういう点につきまして、昨年来政府関係各省で相談をして参ったわけでございます。東北開発促進法にならいまして、九州地方開発促進法による開発事業を行なう九州各県で、財政再建団体になっております県につきましては、東北の例と同じように通常国庫負担率を二割だけ引き上げよう、こういうことに話がきまり、なお再建団体になっておりません県、すなわち福岡宮崎大分の三県につきましては、その各県の財政状態考えまして、政令で定める率だけ引き上げよう、こういうことに大体話がきまりまして、国会にそのような趣旨法律案を提出いたした次第でございます。財政再建団体になっております県につきましては、東北開発促進法関係と同様でございますから、さようにきめたわけでございますが、再建団体になっておりません県、すなわち福岡宮崎大分をいかにするかにつきましては、政府といたしましては、その三県の財政状態考えますと、福岡は県の財政の力を表わします指数として、地方交付税法の定める基準財政需要に対しまする基準財政収入割合をとってみたわけでございます。そういたしますと、福岡県は昨年度におきまして基準財政需要に対して基準財政収入が七一・八%となっております。これに比べまして大分宮崎の両県は、それぞれ二七・一、三七・〇と、こういう数字になっております。なお単年度だけとってはいかがかと思われますので、三十二年度から三十四年度までの三カ年平均をとってみましても、福岡県は七五・五という、いわゆる財政力指数となっております。これに比べまして大分宮崎の両県はそれぞれ二九・四、三一・七というふうになっておりますので、福岡県につきましてはこの際国庫負担率引き上げを行なわないで、県の力によって仕事を進めていただくことにしよう、通常国庫負担率でいっていただくことにしようということになりました。そこで宮崎大分の両県につきましては、一定の割合引き上げることにいたしたらどうかという話になったわけでございます。  そこでその引き上げの率をいかにするかという問題が起こるわけでございますが、これはいろいろ政府部内でも検討いたしたのでございますが、三十四年度における九州地方再建団体国庫負担率引き上げが、三十四年度の実績をとってみますと大体一割六分弱になっております。従いまして、宮崎大分の両県は、三十四年度の財政再建団体であった県の国庫負担率引き上げの率と、大体同じ程度にまで引き上げたらいかがであろうかということで、一応その点からは一割六分という数字を出してみたわけでございます。  なおそのほかにいろいろ考え方がございまして、九州財政再建団体になっております県で、一番悪い所といい所をとってみて、その間のいろいろ数字をスライドさせて考えてみたらどうかということで計算いたしてみましたが、やはり大体一割六分見当に相なるわけでございます。従いまして、政府としてはこの率は政令できめるわけでございますが、宮崎大分同県の国庫負担率引き上げは、大体一割六分ということに考えておるわけでございます。  御審議を願っております改正法律案内容といたしましては、ただいま申し上げましたように、東北開発促進法と並びまして、九州地方開発促進法によって開発事業を行ないます各県のうち、財政再建団体については普通の国庫負担率、たとえば五割補助を普通の県が受けております場合には、六割を受けることにする、つまり二割だけかさ上げをするということにすることと、再建団体に属していない県で宮崎大分の両県につきましては、財政力が非常に乏しいので特に一割六分だけ引き上げることにしたい、こういうのが法律案内容でございます。
  8. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) これより質疑に入りたいと思います。質疑の方は順次御発言を願います。
  9. 内村清次

    内村清次君 委員長政府の方にちょっとお尋ねしますが、九州地方開発促進法の一部改正というような法律案は、社会党といたしましても先国会に提出しておるわけでございます。それがどういう取り扱いになったのか、この点を一つ明確にしていただきたいと思います。
  10. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 衆議院との関係は私は全然知らない。ただ向こうが本会議を通してこちらに来ておる。それで私ども今これを受けて審議しておる、こういうことなんです。それで向こう審議内容は、僕が仄聞するところによると、自民党も社会党も一致してこの九州地方開発促進法を議決した、こういうことだけ聞いております。
  11. 内村清次

    内村清次君 結論として、前国会としてはこの臨時国会に引き続き案件として残ってきておらないように考えるが、どういうような状態になったのか。
  12. 田中一

    田中一君 関連して質問。これは内村君も知っている通り政府がこれを特別措置をしないために、社会党としてはいち早く四月五日に提案したわけです。政府がこれによって出てくればこれは審議未了に持ち込んでもよろしいという態度で実はおったわけです。従って、われわれ五十日間の空白国会、われわれは空白国会と言うのですが、の間ことに今月の十五日にはこれだけは衆議院の方は上がってこちらへ来ております。社会党の方では審議未了になったというふうに聞いておるのです。おそらくそうだと思う。これは建設大臣に聞けばわかると思うのですが、そういうふうに僕は承知しているのです。政府の方に聞いて下さい。
  13. 内村清次

    内村清次君 政府の方ではどういう……
  14. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) 衆議院社会党の力から、九州地方開発促進法の一部改正法案提案されておったことは存じておりますが、この前の国会でいかなる結末に相なりましたか、ちょっとつまびらかでないわけでございます。どうも私が覚えておりますところでは審議未了になったと思っております。
  15. 田中一

    田中一君 と思ったなんていかんよ、君、主管者じゃないか、それじゃ調べたらいい。
  16. 内村清次

    内村清次君 この点は一つ私もよう調べますけれども、あなたの方では成り行きがよくわかっているだろうと思う。調べて委員長から一つ報告していただきたいと思います。  そこで私がこの問題の取り扱いについては、これはもう前国会の五月二十日以降の国会につきましては、私たちはその会期の延長も無効だ、こう思っているのですからして、これを一方的にその間においていろいろな法案というものが単独審議せられておるし、こういう事態に対しましても遺憾に思うわけです。その成り行きについて非常に心配しておりました関係で、明確に一つ結末委員長から報告していただきたいと思います。問題はその社会党が出した内容というところ十分経済企画庁検討したかどうか、その点であります。その意をどういうふうにあなた方は御検討されたのか、その点は一つこの委員会報告してもらいたいと思います。
  17. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) 衆議院国土総合開発特別委員会に、社会党九州地方開発促進法の一部改正法律案提案になったことは、私どもも十分承知しておりまして、その案の内容につきましては十分検討を加えました。社会党の案は、九州地方財政再建団体である県につきましては、国庫負担率を二割引き上げる、それが第一点でございます。それから財政再建団体以外の県に関する特例といたしまして、福岡大分宮崎の三県につきまして、それぞれ国庫負担率引き上げ規定を設けているわけでございます。で、私どもの方で特に十分検討を加えましたのは、福岡県に対する問題でございまして、社会党の御提案になる法律案によりますと、福岡県については一割国庫負担率引き上げるようになっております。それから宮崎大分の県につきましては二割引き上げるようになっておるわけでございます。宮崎大分の両県の国庫貧打率引き上げにつきましては、私ども社会党の御提案による案も十分検討いたしました上で、政府としても一割六分ということを考えておりますけれども福岡県につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、三十二年度から三十四年度の三カ年平均をとりましても、県のいわゆる財政力指数と申しますか、基準財政需要に対する基準財政収入割合が七割一分ないし七割五分程度になっておるわけでございまして、従って、福岡県については、国庫負担率引き上げ財政再建団体と同じようにしないで、普通の国の補助率でいっていただこう、こういうことに結論としてはなったわけでございます。
  18. 内村清次

    内村清次君 私が政府の方に検討したかという要点というものは、社会党案の一番基準となるところは、こういった地方開発後進性を脱却していくというのがこの国土総合開発基本線であるからですね。この基本線に沿うて前例としては東北開発の問題もあるし、これは大体法案策定のときにおきましても、補助率は二割だというような基準が明確になっておる。で、これと同じようにやはり九州後進性を脱却していくという観点に立って発足したこの法律である以上は、これに要するところ事業費に対しては当然二割というのが基準でなくちゃならない。その範囲内において、その内容において補助の率を不確定な問題にするということは、これはその財政事情を十分勘案するとはいえども、やはり基準は二割でなくちゃならない。もしその範囲内において検討するとするならば、具体的な、すなわち基準率というものを明確にして、そうしていった方か各県ともに公平なことがやれるのではないか。これは法文として明確にしておかなくちゃならないというのが社会党考えです。だからして、法律の十三条の二項に対しましても、基準財政需要額に対するところ比率が百分の三十五をこえる県については、その率をこえる度合いに比例して、その比率を百分の五十の場合には一となすというような具体的な率を提案しておるわけです。こういうような思想というものが、今回の政府提案されました一部改正法案には、内容ではこうやって検討したというような御説明があるけれども、明確でないですね。いわばその県の財政事情については総理大臣が勘案するというようなことで法案の立案がなされておるのですから、これでは私は、最初地方開発という大きな眼目に対するところの問題が、時の総理大臣の勘案によって変更されていくというようなことは、これは十分法律の精神というものが生かされておらぬじゃないか、こういうふうに考えておるわけですかね。これに対してはどうですか。企画庁長官は。
  19. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 率直に申しまして、実は私もまだ勉強が若干足りないのでございますけれども、今内村さんのおっしゃること、ごもっともの点もあると思います。それで、企画庁といたしましては、この問題についてもう一ぺん根本的に今年中には考えて、全国的な問題として考えていきたい、こういうことで研究を進めておる段階でございますので、さしあたり当年はこの方法でやっていただきたいというお願いでございます。
  20. 内村清次

    内村清次君 今企画庁長官は全体的に再検討しておるというお話ですが、再検討ということになってくると、これは私たちもいろいろな意見があるのです。しかし、きょうは補助率だけの法案についてでありますから、私はあまり多くを言いません。この委員の中にも、前国会に四国のあの開発法案がかかりまするときにも、十分と各委員からも意見が述べてあられましたからこの点は一つ、新長官にも十分国土総合開発のあり方について意見を申し上げたいと思うのです。そういう機会がありました際には、十分その点を勘案してもらいたいと思う。きょうはその点に触れません時間の関係もございますから。ただ、今回この法律案は確かに急ぎます。というのは私もこの審議会委員の一人であります関係で、大体審議会の状況というものはよく知っております。が、私が審議会の中におりましての委員としても、だいぶ意見を言っておった事態というものが、あまり政府の方では重要視されておらない。というのは、これは政府答弁を聞きたいと思いますが、今日まで九州地方開発促進計画というものが一体どういうふうな推進状態をなされておるのか。こういう点を、これは一つ明確にしていただきたいと思うのですね。これは、各委員方々も一体法律は作ってやったんだけれども、この推進状態がどうなっておるのかという点を、これは簡潔でいいですから、まず政府から説明していただきたいと思います。
  21. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) 九州開発促進法が昨年の春に成立いたしまして、私どもは直ちにこの法律に基づく九州開発審議会を設ける準備をいたしたわけでございます。申しわけないことながら、その審議会を設けますのに非常に手間がかかりまして、昨年の九月三十日でしたか、やっと審議会ができたようなことでございます。その後、私の方では三十五年度の九州開発促進計画を練りまして、その審議会に御審議をお願いいたしましたのは、もうすでに各省予算が大蔵省へ参っておった段階でございまして、従いまして、三十五年度の予算につきましては、促進計画に基づいた十分な予算各省予算に組み入れられているとは申しかねるわけでございます。そこでこれは時間の関係でやむを得なかったことといたしまして、三十六年度の九州開発促進計画に基づく各県の実施計画につきましては、十分な用意をいたしますために、先般九州各県の御要望をまとめまして、関係各省説明をする会を設けまして、各省がこれから予算を組む段階においてそれに盛り込んでいただくと、こういうことにいたしておるわけでございます。どの程度来年度予算がつきますか、私どもこれから大いに努力をしなければならないわけでございますが、開発促進計画は大体公共事業を主としておりますので、やはり何と申しましても、促進計画が促進されるのは、第一に予算をたくさん取るということになるわけでございます。昨年度はそういう関係予算のつきが必ずしも十分でございませんでしたが、来年度につきましてはこの点につきまして十分準備をいたしておりますので、先生方のお力添えを得まして、促進計画が順調に進むようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  22. 内村清次

    内村清次君 全くの簡潔な御報告でございましたけれども、まあ報告を聞かれてもわかりまするように、まだ予算が来年度から本格的に出発していくんだというような段階ですね。これでは私たちがせっかく熱意をもって……、この法律ができました際の努力につきましても非常に遅々としておる。しかも一番私たちが不満に考えておりますのは、一応審議会におきましても九州地方開発促進計画というものは出されておるのですけれども、これはただ書物と同じことです。こうやったいろいろの事業別の問題があるんだと、しかもその事業別の問題は三十一年から四十二年までにおいてこういうふうな生産計画がなっていくんだというようなことを表に表わしただけの問題です。私たちが要望するのは、一体この四十二年の指数というものが、これはまあ不確定希望数字かもしれませんけれども、であっても毎年々々どういう点から基礎的に開発をしていくかというような年次別計画一つお立てになって、そうしてこの基準に従って、時の経済情勢その他を勘案しつつ、基本線に沿うた開発計画をやっていくというようなことを、早く立案されたらどうかということを私は常に述べておるけれども、一向年次計画というものがなされておらない。ここに熱意を持ったところ九州各県の県民の方々も非常に失望しておるのですね。こういう点をなぜ企画庁というものは本気になってやらないかということを……私たちは念願しておるわけですが、こういうようなことは、一つ企画庁長官はどういうふうにお考えになりますかね、この点は。
  23. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 内村さんのお話を承っておりますというと、私なんか一々ごもっとものような気がいたします。気がいたしますけれども、八年間の計画になっておるので、事務当局に聞きますと、なかなか年次別計画というものの立て方がむずかしいということも、技術的な問題としては大いにあり得るとも思うのでありますが、今企画庁では所得倍増計画等も立てて研究いたしておりますので、それと関連をして一つできるだけ御趣旨に沿うように考えていきたいと思っております。
  24. 内村清次

    内村清次君 常にまあ長官審議会の席上でもそうですが、そうやった御答弁をなさるのですよ。それでは私はどうも開発本筋に乗ってこないと思うのですね。政府にしましても、これは社会党長期計画的な最初出発点についてのその計画をまねられておるのかどうかしらぬが、政府部内では、大体やっぱり五カ年計画あるいは十カ年計画というものを、二、三年前からだんだんお出しになっておる。大体建設委員会の場合におきましても、あるいは河川その他治山関係長期計画を大体お考えになっておる。しかし所得倍増というようなものは、それはもちろん研究過程にあるかもしれませんけれども、私たちはそれをまだほんとうに信ずることはできないのですよ。これは予算委員会の席上におきましても、政府方針を聞きましても、前岸内閣のときにおきましても、そうであるように、一応看板だけは出しておられるけれども、その内容の点におきましても、いつ一体コンクリートになったところのそうやった計画が出てくるかということはまだ信用の段階ではないのですね。がしかしそういうことを待っておりますよりも、今治山治水十カ年計画、道路の十カ年計画こうやった問題が大体この委員会の意向を聞きつつもやっておるのですから、また農林省におきましても、やはり治山計画といたしましても、五カ年計画が練られておる、こういったのが大体本筋となって地方開発というものがそれに運輸問題、海運の問題、すなわちいろいろな関連的な産業基盤の政策というものが、やっぱり長期計画的に立案されつつあるのですから、だから、私はこうやった特異的な地方開発というものは、その線にのっとったやはり年次計画というものの基礎を作っていって、そうしてこれに予算を確保していく、そうすると今度は地方の県におきましても、またそれにのっとったところの自主的な産業開発計画が容易になっていくという筋道が出て来るでしょうが、ただ絵に書いた、三十一年度から四十二年度においてはこういうふうな生産計画がなされてきますよというような、ばくたる指数だけでは、これは地方の具体的な計画というものはなされていかないと思う。これを私たちはしきりに言っておるのです。しかし前言われたような長官のようなことばかりで今まで、もうじんぜんこの法律ができてからもう一年半くらいになるのですよ。来年から本格的にやりましょう。各省が協議して来年度から本格的な一つ予算の獲得も一つやっていきましょうというくらいの調子でしょう。国土総合計画昭和二十五年に策定されておる。この大きな国の総合開発計画というものが地域に分散されてしまっておる。一つも大本というものは動いてはおらないというような現状でしょう。これではあなた方がどうも内閣が変わり大臣になっても、そのとき大臣の期間だけ糊塗しておれば何でもいいというような態度じゃないかと私は思うのですよ。これでは国民はたまったものじゃありませんよ。たくさんの税金を出して、これではたまったものじゃない。これには大臣に確固たる一つの御方針をここで述べていただきたい。
  25. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 具体的に私申し上げる準備勉強もまだ足りませんから、具体的には申されませんけれども、何カ月か知りませんけれども大臣でいる間ことが済んでしまえばいいとは決して考えておりませんで、法律の本旨に従った答えを何とか出したいと固く決心をいたしておる次第でございます。
  26. 内村清次

    内村清次君 まあこの点は十分一つ今後熱を入れて、国民の期待に沿うようにやっていただきたい、ということを強く要望いたしておきます。  そこで、この法案の中に、自治大臣とそれから経済企画庁長官と協議して定めるというような、事業範囲というのが書いてありますが、これは東北開発法律の中に、あるいはまた政令の中には、具体的な事項は書いてあるのですけれども、残念ながらこの九州地方開発促進法の中には、その協議事項の項目というのが明示されてありませんが、これは一体、どういう点を御協議なさるのですか。
  27. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) この重要事業範囲をどういうふうにいたしますか、私ども、一応は東北開発促進法に基づきまする重要事項をそのままとることと、ただ東北には新潟の地盤沈下対策のような特殊のものがございますので、これは九州にもはもちろんとれないといたしまして、そのかわりと申しては何ですが、九州にはまた九州の特有の特殊土壌地帯対策がございますので、さようなものを加えたりいたしまして、重要事情を実施しよう、自治庁と協議をいたしてきめたいというふうに考えておるわけでございます。大体は、東北開発促進法によってきまっております重要事業に、これはまだ十分協議済みではございませんが、特殊土壌対策を加えたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  28. 内村清次

    内村清次君 これはあとでこの政令その他に、協議事項事業別の項目というものは明示されますかどうですか。
  29. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) これは自治省と私の方で協議をいたしました結果を詳細に告示をいたすことになっております。
  30. 内村清次

    内村清次君 そこで、この法案説明によりますると、大分宮崎が大体一・六くらいの、これは総理大臣の勘案事項ですかね、財政問題に対する勘案事項として、補助率をそれぐらいにするのだと、こういうような御説明でございますが、今この三十四年度の基準財政収入額と、それから三十四年度の基準財政需要額のこのパーセンテージによって見ますると、東北開発の点につきましても、このたとえば青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島と、こういった補助率のパーセンテージと勘案してみましても、これも一・六ということになってきますると、少し私は低いような感じがしはしないか。と同時に、まあ今後という問題もありまするから、先ほどの説明通り、三十六年度からは大体本格的な第一年度としての開発計測というものが実施に移るのだというような情勢を勘案をしてみますると、やはりこの一・六という数字は少し少ないような感じがしやせんか。だからこれは将来性を持った補助事であるかどうか、この点を一つ明確にしてもらっておきたいと思うのですね。
  31. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) 宮崎大分の両県に対しまする国の負担割合引き上げ率が、大体政府考えておる一割六分は低いではないかというようなお話でございますが、私どももこの点に関しましては政府部内でいろいろ検討をいたしまして、結局そこに落ちついたわけでございます。ところが、どうも再建団体でももう少し財政状態のいい県もあるじゃないかというようなお話もございますし、将来にわたってこの一割六分を固定するということにつきましては、私どももいかがかと思われる点もございます。従いまして、来年度以降につきましては、自治省、大蔵省、企画庁、この三省で、もう少し全国的にながめて国庫の負担率の引き上げ割合をいかにするかということを検討しようじゃないかという話し合いがまとまっておりますので、できるだけ事務的にはそのような作業を急ぎまして、来年度以降はもう少し全国を見渡した引き上げ率をきめるようにいたしたいというふうに考えております。しかしこれは作業はまだこれからということでございますので、さしあたり本年度は間に合いませんので、宮崎大分は、三十四年度における九州財政再建団体の実際の国庫の負担割合引き上げ率であるところの一割六分ということにいたしたわけでございます。
  32. 内村清次

    内村清次君 ただ端的にいいまして、将来はまた引き上げるというような希望は持っておられるということですか、どうですか。
  33. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) 必ず将来引き上げると申しますと、私ども作業の結果がどういう結果になるかわかりませんので、誤りを申し上げることになりますので、検討し直すということにしているわけでございます。
  34. 内村清次

    内村清次君 これは鹿児島県もそうでございますが、実は先ほど御質問いたしました協議事項の中におきましても、また国会法律となりました台風常襲地帯のあのいろいろな施設、防除施設その他があるわけですね。こういった施設の整備というものが、あの法律に基づく予算措置というものも非常に微々たるものでございますね。ところがあの審議会あたりもどうもあまり能動的に動いておらないというような事実もありますし、特に鹿児島あたりは財政需要額に対しまして基準収入が非常に低い、こういったこともあるし、特に宮崎はそうでございましょうし、こういった中心地点の今後の補助率引き上げというものがやはり相当見込まれておらないと、政府の方でそういう気持になっておらないと、私どもは、完全にこの法律趣旨というものが徹底していかないのじゃないか、こういう点を非常に心配するわけですが、これは鹿児島県も含みまして、鹿児島県にはこういった施設関係において十分考えていくのだ、あるいはまた宮崎大分については将来に一つこれは引き上げるという考えも十分強くしているのだというようなことをやはりここで御説明しておかないと、私たちがせっかくの社会党案を出したのに——これはもう理論的にも財政収入とそれから基準額との問題を勘案して具体的に法案として出したのですが、聞けばこれが廃案になっているというような状況ですから、この点法律を通すにつきましては、そういう点を十分政府の方で御説明を願っておかないと、非常に私たちは不安心だと、こういうふうに考えるわけです。
  35. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) 私どもこの御審議をお願いいたしております九州地方開発促進法の一部改正法律によりまして、宮崎大分の両県を一割六分、その他財政再建団体を二割ということにいたすように考えているわけではございますが、お話のように宮崎大分、鹿児島等は、全国的に見ましても非常に未開発であり、かつ財政力の足りないところでございますので、全国をならして考える場合におきましても、さような未開発の県、財政力が足りない県につきましては、十分私どもも注意をいたしまして間違いないようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  36. 内村清次

    内村清次君 そこでこの法案に対しまして、今度は福岡県の問題がいつも除外された形になっておりますけれども、除外した根拠といたしましては、これは三十四年度の財政需要額と基準収入額との点、この比率を見て、七一・八であるから、これは補助率は適用しないでもいいだろうと、こういうようなお考えのようでございますけれども、私は、福岡県というものが財政的にこういった非常に裕福な県である。だからしてする必要はないのだというような考え方でこの地方開発の、しかも九州地方開発の精神が満たされていくかどうかという考え方については、やはり納得できない。というのは、もちろん一応財政的には確かに他の九州の各県に比べますといいことは、これは数字によって明らかでありまするから、この点を私は否定いたしません。いたしませんが、しかし福岡県のこの後進性の脱却という点につきましては、私たちはまだまだこれは十分産業立地的な問題から考えていく必要がある。しかもこの福岡県がずっと通観して見ますると、たとえば鉱工業にいたしましても、鉄鋼、石炭、セメントというような一応素材生産の段階であって、これをまた近代化していくというような先進的な工業の立地条件には私はないと思うのです。そうしていきますると、やはり九州各県の先進工業地帯ではありましょうけれども、その内容というものは、まだまだ今後近代化していかなくちゃならない。それにはいろいろの産業基盤というものがやはり開発されていかなくちゃならない。当面やはりそういった工業に追いつくところの水利だとかいうような問題もあるし、いろいろな問題を含ませておると思う。そういったことを、後進性を一枚一枚脱却していくというところにこの法律のねらいがあるのですから、すべてその財政需要額が、相当これはまあ今後この面に対するところの収入がなされていくわけです。これをことごとく政府の特別な特例的な補助がなくしてやっていけということは、私は法律の精神上、非常にこの後進性をやはりいつまでも持続せいというようなことになっていきはしないか。財政的にやはりその面から圧迫を受けていくと、開発という問題がおくれていくというような結論になっていきやしないか。だからして、せっかくこういった法律ができたならば、何かの補助率をつけて、そうして開発を促進していくという方にこれは持っていくべきじゃないかと、こう思うのですが、政府としてどういうふうにお考えですか。
  37. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) お話のように、福岡県は九州では先進県でございますけれども、石炭、鉄鋼等の一次的な製品はたくさん出ますが、それが二次的な加工をする工業はあまりないという点で、やはり一種の後進県になっておるわけでございます。そこで、しかもその福岡県の北部は工業地帯になっておりますが、南部の方は農業地帯が多いわけでございます。必ずしも福岡は大工業県であるということにはならないわけでございますが、まあ私どもそういう点も十分考慮をいたしましたのですが、もしそういうような関係基準財政需要額が非常にふえて参りますとすれば、財政力指数が悪くなってくるわけで、私どもは何とか見なければならないということになるわけでございます。さしあたり三十四年度あるいは三十一、三、四の三カ年を見ますと、かなりの高さの財政力指数になっておりますので、ただいまのところでは、これは一つ普通の国庫負担率でやっていただこう、もし将来そういうような関係財政力指数などが変わって参りますれば、また私ども考え方も変えていかなければならぬであろうということは考えられるわけでございます。
  38. 田中一

    田中一君 これは奥野君に聞いてほしいのですがね。特定な補助率の特例というものを持とうという思想は、事業に対する促進ということなのか、いわゆる貧困県に対する全くの財政的な補助に基づく意思なのか、どこに自治庁としては補助金に対する理論的な考えを置いておるのですか、それをまず先にお伺いいたします。
  39. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 開発促進法に基づきます国庫補助負担金の特例につきましては、やはり開発促進を容易ならしめるために国が負担金の特例を設けた、こういうように考えておるわけでございます。開発を促進いたしますためには、今の事業量を傾斜的に増大していかなければならない。貧困団体でありますと、普通の場合でも償還が一そう困難だと思いますが、そういう意味から特に財政援助の程度を高くしておるのだと、かように考えておるわけです。
  40. 田中一

    田中一君 そうしますと事業本位ということですね。そこでこれは内村委員経済企画庁長官は、これは深入りをしないというような説明をしておりますけれども昭和三十五年に国土総合開発促進法という法律ができたわけです。要するに日本の国土によって一億の国民が生きようという一つ考え方が出たわけです。ところがこの法律は今日もはや十年たっております。十年たっておりますが、その十年の間には、国土によって生きようという考え方よりも、たとえばアメリカに依存してアメリカ経済の一環としての日本の貿易立国的な立場に立って、十年前に作った国土総合開発法の精神を忘れておるのが現状なんです。御承知のように、これは橋本建設大臣衆議院に席を置いておるので、どうも衆議院の方方は地元に制約されることが多い。そうなるとどうしてもこの根本の国土総合開発という計画が全く絵にかいたような現状であるから、自分の選挙区が一番大事になって、選挙区別的な、地域的な特例、特権を得ようとして数数の地方開発立法というものが生まれてきておる。この間違い方は、御承知の終戦後、海軍根拠地があった地域に対するところの都市転換の問題であるとか、海軍根拠地点を、これを工業化しようというような考え方の問題とか、あるいは広島、長崎のように原爆を受けたところの都市の復旧を中心とする地方特例的な法律——単行法ですが、あるいは温泉だ、観光だと数々の問題がたくさん出ておる。そうした国会議員の中に思想的に流れておるところの、政府に対するところの不信、政治に対するところの不信というものは、こういう数々の地方立法となって現われておる。その一つが北海道開発法、東北開発法、九州開発法、また前回でも中国地方開発の促進決議なんかもしております。一体その日本の国土というものは、日本人のすべてを、日本民族のすべてをささえるところの資源なんです。  これが常に、世界経済、今日では、交通網が相当時間的に短かくなっておりますから、世界経済に影響される点は、多々日本にございます。ございますが、何といってもわれわれが生きる基盤は、どこまでいっても、日本の国土以外にないのです。先ほど迫水経済審議長官が、国民所得倍増論とか何とか、これはもう、どうぞお手並み拝見します。ぜひとも示していただきたいが、少なくとも日本の国土に立脚したところのものでなければ、日本の民族のものでないのですよ。歴代の経済企画庁長官が、ことに一番悪い例は、河野一郎という代議士です。あれは大臣になっても、一ぺんも国土総合開発というものに耳を傾けたことはございません。すべては対米貿易一本やりでございました。  こういうような形が、日本の政治に対する不信を生むもとであり、かつまた、こうした九州地方開発促進法というような単独立法が生まれたものとなんです。そこで根本的に迫水さん、今度は大臣になったのですから、あなたの考え方というものを、あなたの目を国民に向けながら、自分の国土に結びつけていただきたいのです。私は、北海道開発促進法案というものは、一日も早くやめにしていただきたいのです。日本にははっきりとした国土全体これに住んでおるところの民族の全部の生活が立つところの全国的な視野から見るところ開発というものが、緩急それぞれ当を得て持ち得るはずなんでございます。今、迫水さんに伺っておるように、いろんな面から、この公共事業に対する、公共事業と申しますのは、九州開発によるところ重要事業というものは、ここにも六つばかり羅列してございますが、これはことごとく公共事業が主となっております。公共事業という事業推進するために補助率という問題が起きるのか、あるいは地域的な貧困県、富裕県あるいは台風常襲地帯というような特異な現象から、それの財政を助けるための補助金なのか、その点は非常にあいまいであろうと思うのです。なるほど日本の大きな商社は代理店を持って、アメリカから、日本人が欲しそうな品物を買って二割も三割ももうけて、これはぬれ手でアワですよ。日本の労働者が作るものではございません。商社は、利潤だけ得るのですよ。そうして押しつけられた品物は、日本の国民経済の上に浪費以外の何ものでもないというような品物すらあるのです。私は、どこまでも日本の民族は日本の国土によって、自分の持っておるところの労働力をこれに傾注して、そこに生産されたものによって、明るい生活を持つ、消費生活の向上をはかるということに、もとはなくてはならぬと思うのです。  迫水さん、一つ歴代の大臣がなし得なかった、この国土に対するところの見つめ方、情熱をどこに持っていくか、あなたは先ほど、やはり貿易なんてということをちょっとくちばしにのせたように聞いておりましたけれども、それであってはならないのですよ。しかし、それは否定すべきものではございません。否定すべきものではないのですけれども、そういうものを、うっちゃられておるところの日本の国土に対する抜本的な施策を持たなければ、日本の民族は安心しておられません。貿易というものは、売ってくれるものがなければ買えないのですよ。売ってくれるところのものは、いつ、でも一方的にキャンセルし得ることもあり得るのですよ。買おうと思っておっても、売ってくれなければ買えないのですよ。日本の品物を向こうで今まで買ってくれたけれども向こうに断わられれば売れないのです。幸いに日本の国土というものは、まだ相当の資源があり得るだろうという予想が立っておるのですよ。この際、全国的な視野から、この日本の国土を民族のものとして開発し、利用し、そこにわれわれの働く道を求めるような抜本的な計画をあなたは短かい何カ月なんていうことを言わないでも、一年でも、二年でも、三年でも、池田内閣がつぶれても、私は、経済企画庁長官として取っ組むのだというような熱情を持って御答弁いただきたいと思うのです。
  41. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 田中さんのお話は、お気持はよくわかります。私も企画庁長官を拝命しまして初めて、実は国土総合開発というものが、十年間も計画ができないということを聞いたのですけれども考え方によれば、ことほどさようにこの問題がむずかしい問題であるということを意味しているのかもしれませんけれども、今田中さんのおっしゃったように、貿易は従であって、国土総合開発ということが主だという、そのお考えそのもののプリンシプルについては、私は必ずしもお旨葉の通りだとは、率直に言って私は考えません。しかし、国土総合開発という問題が、きわめて重大な問題であって、しかも今まですっぽかされておったということについては、きわめて遺憾でありますから、一つ真心をこめて、この問題をよく勉強さしていただきたいと思っております。
  42. 田中一

    田中一君 先だってやめられた管野長官は、何とかして全国的計画を一ぺん立てる、立てようという約束をしたのでございますが、現在の企画庁では、その点については、どういう作業が進んでいるか。
  43. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) 企画庁計画局が中心になりまして、所得倍増の長期経済計画を今策定中でございます。私どもの方の全国開発計画は、大体それと並行して作業をいたしておりまして、開発計画は、長期経済計画の施設方面の裏付けをするような計画にしたい、こういうふうに思って、毎週━——毎週一回でなくて、もっとやっているのでございます。作業を着々進めて、できるだけ早くこれを作りたい、作る上につきましては、また先生方の御審議をいただきたいというふうに考えております。
  44. 田中一

    田中一君 そこで迫水さん、私は貿易を否定するものじゃないんです。しかしながら、これは一番簡単なことなんですよ。自分が作ったものを、日本の金で買って国民に売るんです。ほかに売るのはまだいいんです。それを後進国に売って、その利ざやをかせいで、それが日本の国、民族の収入になるんですからけっこうですが、それを日本の国民に売りつけるわけなんです。こういう形のものよりも——これですと——日本で生産する必要はなくなってくる、買えばいい、日本人は、働く道がなくて潜在失業者が今一千万もいるというようなことをいっておりますが、これらを働かすという政策が、国民所得倍増論の裏付けになり、かつまた、国民の生活の向上にもなるわけなんです。あなた、私の考え方は違うと……、私は国土総合開発オンリーだというんじゃないんです。その点は、一つ誤解ないようにしていただきたい。  そこで、補助率の問題ですが、奥野さん、一体こんなことをして、あっちの県、こっちの県、この仕事には、こういう補助率でやるのだ、またこの事業には、この補助率でやるのだ、この県のこの事業には、この補助率でやるのだとか、これは貧乏だから少し余分にやるのだとか、あるいは災害が常襲するからやるのだというような考え方に立つところ補助政策というものは、これは国民全体の目から見た場合には、これは正しいという見方と公平であるという見方も立つと同時に、不公平だという見方も立つと思うんです。その点は自治省としては、どういうような考え方を持っておりますか。全体の補助政策、これに対して。そうしてばらばらに、この面あの面から、ちょうど今日の国土総合開発におけるところ地方計画と同じように、そういう法律ができるから、あなた自身が、すっきりしたところ地方自治体の健全な運営というか、伸展というか、これが公平にもっていけないのじゃないかというような不安を感ずるんですが、どういう考え方に立っており、かつまた、九州開発促進法なんという法律がなくても、国土総合開発の特定地区の指定があると思うんです。ですからこの面においても、これはなし得るのであるというような考え方に立っておるか、それを明らかにしてほしいと思うのです。  あなた方の疑問があれば、自治省としては困るというものならば、困ると言っていただきたいのですよ。法律だからやむを得ぬから、こうするのだというのじゃなく、そういう点、疑問があれば言っていただきたい。
  45. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) いろいろと御議論がありましたように、開発促進法の適用を受けています地域と、受けていない地域があるわけであります。受けている地域におきましては、国庫負担率についても、特例が設けられておりますので、その適用を受けることができます。開発促進法のすでに制定施行されている地域と施行されていない地域との間に、それだけはっきりした経済力の差があるかどうかということをみますと、非常に問題がございます。そういう意味から言いまして、現状は非常に不公平だと、こう私たち考えておるわけであります。  そういう意味から、全国的な未開発地域の開発促進のための国庫負担率の特例を定めるべきだと、こういう主張をして参ってきておるわけであります。幸いにしてそういう考え方が、だんだん理解されまして、来年度を期して、そういう方向で進もうということで、政府部内においても、一致をみているわけでございますので、私たちの希望通りに進んで参るものだと、かように考えておるわけでございます。  なお開発促進のために、開発計画を作って事業分量を傾斜的に増額していくという問題と、その消化が容易になりますように、国庫負担制度についての特例を定めるという問題と、二つあるのじゃないだろうかと、こう考えておるわけでございます。開発計画としては、いろいろなものがございましょうし、それを全国的に、どう積み上げていくかということについても、今御議論ございますように問題があろうと思います。財政制度の特例につきましては、これはあくまでも全国的な視野に立って考えていかなければ、非常な不公平を来たすのではないかということを考えておるわけでございます。  と同時に、そういうような傾斜的に増額された部分が消化されるように、思い切った制度を立てていきたいということを、あわせて考えておるわけであります。
  46. 田中一

    田中一君 そういう考え方が、政府部内においても話がついたというのならば、私は期待しております。どうか出していただきたいと思います。  そこで建設大臣に伺いますが、御承知のように、公共事業の大部分は、建設大臣の所管する事業でございます。事業別な面から、常に建設省は補助率等も勘案してきているのですけれども、どうもまたこれは、そこに河川局長もいますが、まだどうも建設省の中にセクトがあるのです。河川技術屋、道路技術屋、いろいろな……、わが愛する委員長は、道路技術屋だそうでございます。そのように、どうも建設省の中にもセクトがあって、予算が左右される、むろん補助率も左右されるという点があるやに、かつて大蔵省の宮崎主計官から聞いたことがある。これははっきり議事録に載っているから、あえて申し上げるのですが、このようなセクトがあるとするならば、これは建設大臣、非常に覚悟してこれからのお仕事に臨んでいただきたいと思うのです。  今奥野財政局長が言っておるように、あなた自身がお持ちになるところ事業のうち、何何県は補助率が高い、何々県は低いのだということに対しては、お好みでないと思うのです。従って公共事業の今後のあり方、公共事業に対するところ補助政策等については、今自治省としては、そういうような考え方かあるように伺ったので、非常に満足しました。建設大臣としては、今後どういう持ち方をしようとするか、そしていずれ、今出ておりますところの河川審議会審議されておるところ治山治水十カ年計画、これらについても伺いますけれども、根本的な補助政策については、御意見を伺っておきたいと思います。
  47. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま田中さんの御質問でありますが、建設省当局としても、自治省の考え方に同調して、今後の補助率の問題を、原則的には自治省の考え方をもって定めたい、こう考えておりますが、ただ私、無論建設行政は不なれでありますからして、十分なる検討を積んでおりませんが、非常に事業別の種類が違い、かつまた、天災等によるところの特殊の条件もある、こういうようなことと、もう一つは、いわゆる地方財政に一部を依存しなければならぬ、こういうことのために、これは建設省がひとり補助率を変更するということは、非常に困難があるわけでありまして、基本的には国の政策として、いわゆる貧弱県というものを、どうするかという問題を、やはり国全体が考え、その上に立って、自治省の方針が貫かれるということが原則であろうと考えておりますが、田中さんの御意見、まことにごもっともでありまして、その点、われわれも研究して参りたいと思います。
  48. 田中一

    田中一君 もう一つ伺っておきたいのは、前国会で、各党の提案で砂防事業というものを大幅にしなければ災害からは守れないというので、砂防事業に対する補助率改正案を出しているわけであります。  その際にも、しばしば政府からも御答弁があったのですけれども、全国的な視野から見て、各地方自治団体の貧困県か富裕県かというような全体の面から見たところの視野から補助率考えてみたいということを、今奥野さんが言っていると同じように答弁しておりましたけれども、その場合に中心になるところは、地方財政からみたところのものという観点から、そういう考え方が出たのか、事業を主とするところ考え方から出たのか、その点、ちょっと疑問があるので、明らかにしておいていただきたい。
  49. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 国庫負担率の問題につきましては、事業ごとに、先ほどお話がありましたように違っているわけであります。違うにつきましては、やはり事業の性格からいたしまして、異にしているわけであります。その場合に、特に貧困団体であるから、国の負担率を引き上げる、貧困団体でないから引き上げないということは、私たちは穏当でないのじゃないか、こう思っているわけであります。  貧困団体につきましては、特に地方交付税制度をもちまして、財源の不足額は、国の方から補てんするというような、大へん進んだ財政制度が、今日においては確立されておりますので、そういう必要はないのじゃないかと思うのであります。しかしながら、開発を促進していくという考え方は、日本の全地域が、均衡のとれた発展をしていくためには、やはり未開発地域、後進地域を、この際、特に力を入れて開発をしていかなければならぬ、こういう問題が、今日の重要問題だと思うのであります。  その場合、そういう地域は、普通でも公共事業を受けることが困難だ、そうすると、事業分量がふえてくれば、一そう困難になるのじゃないか、それの受け入れを容易ならしめるような財政制度をとらなければならぬ、こういうところから私たちは、国庫負担制度の特例を、強く要求してお願いをしているわけであります。  そういうことを通じて、全地域の均衡のとれた発展をはからなければならないのじゃないか、こういうねらいでございます。
  50. 田中一

    田中一君 よくわかりました。  そういうことだろうと考えておったのですが、どうも与党の諸君も、貧困県、富裕県の違いというものを勘案しなければならないのだからというようなことで、相当な御意見があったので伺っているのですが、今の考えは、池田内閣においても、少しも変わっておりませんね、変わるようなことはありませんか。これはね、政治力によって左右される点が多々あるのですよ、公共事業なんというものは、政治力でもって左右されちゃいかんですよ、これはもう政府のものでもない、国民のものなんです。  この点は奥野さん、どういう信念を持っているか、大臣がいれば大臣に伺っておきたかったのですが、大臣にかわって……。
  51. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 先ほど来申し上げておりますような法律が、前内閣において閣議了解になっておるわけであります。それよりさきに、自由民主党の内部におきましても、御論議がございまして、そうして全国の未開発地域におきますところの総合開発事業に対しまして、国庫負担率の特例を定めたいというようなことについての委員会が、政調会の中に、すでに設けられまして、数回、来年を目途にして具体案を作るということで、検討がいたされているわけであります。自民党の内閣におきましては、当然、そういう考え方が踏襲されるものと、私たち考えているわけでございます。
  52. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ほかに御発言もなければ、質疑は終了したものと認めて、これより討論を行ないます。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにして、お述べを願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  53. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記を始めて。
  54. 米田正文

    ○米田正文君 私は自由民主党を代表して、この九州地方開発促進法の一部を改正する法律案には賛成をするものでございます。  ただ、この法案内容について、私の意見を申し上げると、この法案趣旨が、九州地方開発しようというのであって、財政の問題は、その手段としての問題でございますからして、この中で、実は財政再建団体と非再建団体とに分けていることが、私はむしろおかしいと思うので、事業を促進していく上においての財政上の見地から、これはきめるべき問題であって、再建団体であろうとなかろうと、これはむしろ問題でない。で、ここでは再建団体については、百分の百二十の負担割合にする、それから非再建団体については百分の百二十以内と、こういうふうに書き分けてあります。  で、再建団体の方は、東北開発促進法の場合と同じでありますから、まあこれは問題はないとして非再建団体の場合に百分の百二十以内としているところに問題がある。その百分の百二十以内の問題は、これを百分の百十六にしたいという御趣旨で、御説明を承りました。けれども、これは私は、地方団体の財政の上からいくと、どうも理屈としてはおかしい。財政全体を考えるべきであるという見地からは、むしろ今御説明では、地方財政指数というようなものでお話がございましたが、この指数が適切かどうかは問題としても、一つの表現の方法ではあろうと思います。  そこで、その指数が大体同じようなものについては、これは当然私は、その率も同じにすべきであって、再建団体と非再建団体との間においては、私はその間の障壁をむしろ取り除くのが理論的に正しい、こういうふうに考えております。  そういう意味合いから、私は附帯決議をいたしたいという提案をいたすのでございます。その附帯決議の案を、一応朗読いたします。    九州地方開発促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   法第十三条に規定する財政再建団体以外の県に対する国の負担割合は、財政再建団体と同程度財政力の県に対しては、将来財政再建団体と同率となるよう政府において措置すべきである。  こういうのでございます。御審議をお願いいたします。
  55. 内村清次

    内村清次君 私は日本社会党を代表いたしまして、本九州地方開発促進法の一部を改正する法律案に対しまして、賛成をいたします。ただ、先ほど質疑の中にありましたように、この法律が制定せられましてから今日までの九州地方開発促進状態は遅々といたしまして、まだ本格的な軌道に乗っておらないことを、はなはだ遺憾に考えているわけです。私はすみやかに政府の方では、一段とこの開発の促進に留意せられまして、後進性を脱却するためには、やはり年次別の開発促進の計画を樹立をして、そうして官民ともに後進性の脱却に努力するような明確な基準を、ここに制定せられることを強く要望いたします。  その関係におきまして、ただいま米田委員から附帯決議が出されておりますが、私もこの法律の制定の趣意にかんがみまして、この付帯決議も当然であると考えます。もちろん各県の財政の状況につきましては、これは、十分勘案すべきではございますけれども、問題は九州の全体が、後進性を脱却しておらない現実からして、その後進性脱却という特別な事業計画に対しましては、やはり政府の方で、均等の補助率を出して、そうしてその財政基盤を、あるいはまた、後進性脱却に対する産業開発を助長していくということが本筋であろうかと存じますからして、この点につきましては、今回の法律を適用しておらない県に対しましても、将来において十分と、この点をお考えになって、事業量の拡大についても、たやすいように努力をされんことを強く私は要望いたしまして、賛成の意見といたします。
  56. 田上松衞

    ○田上松衞君 民主社会党を代表いたしまして、一言申し上げておきたいと思うのです。  前国会が、すでに御承知のような状態で、まことに遺憾だったと思うわけです。もしあの国会が、正常化されておったならば、いろいろな、本案等について、意見を持ち合わせておったのでありまするけれども、不幸にして、その機会を逸してしまったわけです。しかも、もうきょうここに至っては、いろいろ時間的な関係もございまするし、われわれの過去の態度に対しても反省すべきものも実際は内心感ずるわけでございまして、今の場合は、提出の案の通りに賛成をいたしたいと思います。  なお附帯決議案をつけることも、あわせて賛成いたしておきたいと思います。
  57. 小平芳平

    ○小平芳平君 私も、附帯決議を含めて賛成いたしたいと思います。ただ先ほど来も、たびたび問題になっておりますし、また各委員会でも、問題になっておることと思いますが、九州総合開発、北海道開発東北開発、とにかく地域的な、そういうばらばらな計画であって、全国総合開発計価をやるやると言いながら、なかなかできない。どうか一つ所得倍増計画以上の熱意をもって、国土総合開発計価に着手していただきたい。
  58. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより本案の採決を行ないます。  本案全部を問題に供します。九州地方開発促進法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに、賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  59. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました米田君提出の附帯決議案を問題に供します。  米田君提出の附帯決議案を本法律案について、当委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  60. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 全会一致と認めます。よって本附帯決議案は、九州開発促進法の一部を改正する法律案について、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  それでは、本附帯決議について、政府の所見をお聞かせ願いたいと思います。
  61. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 附帯決議の御趣旨によりまして経済企画庁におきましては、十分検討さしていただきたいと存じます。
  62. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 本案の審査報告書につきましては、委員長に御一任願います。   —————————————
  63. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に、継続審査の法律案取り扱いについてお諮りいたします。  砂防法の一部を改正する法律案、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案、臨海地域開発促進法案が、いずれも本委員会に継続審査となっております。これらの法律案につきましては、いずれも閉会中に継続審査することにいたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。  これら三件の法律案を、いずれも継続、審査することに決定いたしました。  要求書につきましては、委員長に御一任を願いたいと思います。   —————————————
  65. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に、委員派遣についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、お手元に配付の案の通り、一班二名として実施することにいたしたいと存じますが、人選、調査事項、期間等につきましては、委員長及び理事に御一任願うことといたしまして、さよう決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  67. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記つけて。  別に御発言もなければ、これにて散会いたします。    午後、零時十一分散会