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1960-07-23 第35回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年七月二十三日(土曜日)    午前十時二十一分開会   —————————————   委員長異動 七月二十二日岩沢忠恭委員長辞任に つき、その補欠として稲浦鹿藏君を議 院において委員長に選任した。   —————————————   委員異動 七月二十一日委員田中清一君及び河野 謙三辞任につき、その補欠として江 藤智君及び川上為治君を議長において 指名した。 七月二十二日委員江藤智君、川上為治 君及び田中茂穂辞任につき、その補 欠として田中清一君、河野謙三君及び 後藤義隆君を議長において指名した。 本日委員後藤義隆辞任につき、その 補欠として松野孝一君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     稲浦 鹿藏君    理事            武藤 常介君            米田 正文君            田中  一君    委員            岩沢 忠恭君            太田 正孝君            内村 清次君            安田 敏雄君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣   建 設 大 臣 橋本登美三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設政務次官  三和 精一君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設省計画局長 關盛 吉雄君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省道路局長 高野  務君    建設省住宅局長 稗田  治君    建設省営繕局長 桜井 良雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (建設事業並びに建設計画等に関  する件) ○委員派遣に関する件   —————————————
  2. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) それではただいまから建設委員会を開会いたします。  私、きのうの本会議委員長を仰せつかりました。岩沢さんのあとで、まことに貧弱な委員長でございます。どうぞよろしく御支援のほどお願いいたします。
  3. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  4. 稲浦鹿藏

  5. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 委員異動について御報告いたします。七月二十三日付で後藤義隆君が辞任せられまして松野孝一君が選任されました。   —————————————
  6. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 初めに理事補欠選挙についてお諮り申し上げます。このたび理事に一名の欠員が生じましたので、この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。  先例によって、互選の方法は省略して、委員長の指名に御一任願いたいと思いますが、さよう取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 御異議ないようでございますから、それでは委員長から米田正文君を理事互選いたします。   —————————————
  8. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 次に建設事業並びに建設計画に関する調査を行ないます。  本日は、別に本件調査について問題を設定しておりませんが、建設省から各局長が出席しておりますので、委員各位から問題を出していただきまして、適宜に質疑を行なっていただきたいと思います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  9. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 速記を始めて。  それでは政務次官が見えましたので、新たに政務次官就任せられました三和精一君からごあいさつをいたしたいと申し出がありますのでこれを聴取します。
  10. 三和精一

    説明員三和精一君) 昨日建設政務次官を拝命いたしました。もとより浅学凡才でございます。当委員会は特段の経験者ばかりのお集まりでございます。今後とも特別の御指導、御鞭撻を賜わりたいと特にお願い申し上げます。
  11. 武藤常介

    武藤常介君 新たに大臣政務次官をお迎え申して初めてのきょうは委員会に臨みまして、所見を申し上げることを私は非常に欣快に存ずる次第でございます。  大体、最近の世界の情勢を見ますると、各方面を視察して参りました人の話を聞くと、いずれもそのみやげ話は、建設事業が各方面とも非常に進展している、ことにわれわれがほとんど問題にしていなかったところの中共のごときも、非常に建設事業が進展しているということを聞かせられまして、われわれはむしろ東洋における先進国であると任じているところ日本の国でありますので、いま一段と建設事業に対しては力を入れなければ、国民の要望に沿うことができないのではないか、かように私は存ずる次第でございます。ところが、幸い今回の建設大臣並びに政務次官殿のいろいろお話を伺いますと、今度は根本的に計画を立てて進もうという話を伺いまして、私は非常に心強く感じているものでございます。私ども過去の五カ年計画等実施にあたりましても、何だかその実施の状態を見ますと、さらに験が見えない。地方でも五カ年計画ができたからして非常に喜ばしいという話は聞いておりましたが、さて実行にあたりましてはさらに遅々として進まない。御承知のように、中間の道路あるいは東海道の高速道路のようなものが大体計画されましたことは、これは非常に喜ばしいのでありますけれどもが、また地方国民叫びは、そういう根本的な大道路ももちろん必要であるが、地方地方道あるいは二級国道、これらを整備拡充することが最も必要じゃないか、こういうふうな叫びが非常にあるのでありまするからして、どうか本年度におきましては根本的に計画を立て直して、この道路整備計画を徹底さしていただきたい、かようなことを私は最初にお願いを申し上げる次第でございます。つきましてはこれに対する、大臣はお見えになりませんから、政務次官殿から御意見をお伺いいたしたいと思います。
  12. 三和精一

    説明員三和精一君) ただいまの御質問は、さきに私も各国十七カ国を回って帰りまして外国の道路行政のたくましさにはぎょうてんして帰った次第であります。ユーゴスラビアのごときは、私どもは第三等国、四等国と考えておりましたが、行ってみましたところが実に驚くべき道路発達であります。これではわが国いかに、もちろん戦前は一等国でありますが、今日では何等国かわかりませんが、せめてユーゴスラビアあたりくらいまでの水準に高めたい、かように考えておるのであります。ただいまのお話ことごとく同感であります。
  13. 田中一

    田中一君 住宅局長一つ答弁してほしいのは、きのうの新聞橋本建設大臣は、郵政大臣と話し合って庶民住宅を百万戸年金還元融資として実現するのだというようなアドバルーンを上げている、この真相いかんを伺いたい、具体的にどう進んでいるか。
  14. 稗田治

    説明員稗田治君) まだ来年度予算編成その他につきまして、大臣打ち合わせが進んでおりませんので、大臣の御意向を伺いまして、その指示に従って実現に努力したいと思います。
  15. 田中一

    田中一君 従来年金還元融資によって勤労者に与えている住宅というものは三十億程度だと記憶しておりますが、幾らですか、これは厚生省が持っているやつです。
  16. 稗田治

    説明員稗田治君) 政府施策住宅の中に、御承知のように建設省が直接関係しておりません部門を含めまして「その他住宅」というのに、厚生年金還元融資等による住宅を一応数えておるわけであります。「その他住宅」といたしましては全体として年間三万戸というふうに数えておるわけでございますが、その細部につきましてただいまちょっと資料を持って参りませんから調べまして御報告申し上げます。
  17. 田中一

    田中一君 ちょうど建設大臣が見えたから反復して質問しますが、昨日の新聞建設大臣郵政大臣との話し合いで、年金還元融資で百万戸の庶民住宅を作りたいというような意向新聞記事を拝見しましたけれども、今住宅局長に聞いてみるとまだ打ち合わせが済んでおらぬから、詳しいことはわからぬが、建設大臣の意思がそこにあるならば、十分にその意を体して実現するように取り運びたい、かような意見の開陳があったのです。建設大臣所見自信のほどをお聞かせ願いた  い。
  18. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 新聞を私は拝見しておりませんが、実はきのう閣議の終了後に郵政大臣と雑談をかわしまして、かねてから簡易保険加入者に対するサービスというものが、郵政省内でも相当関心を持たれておるわけであります。この問題について私衆議院においてその方面常任委員をしておりましたが、当時からこの問題についての意向は、国会側方面にもあり、かつまた政府当局の方においても、郵政当局の方においても何らかの形で加入者に対するサービスをしたいという意向があったわけであります。そこで池田内閣といたしましては、一面において福祉国家建設というものに重点をおいて参りたいという考え方からして、民生安定の一貫としてやはりこの庶民住宅といいますか、簡易住宅普及をはかりたい、こういう考えを持っておるわけであります。そういう観点から郵政大臣と雑談的にお話をしたのですが、多少私の話した点が出たのではなくして、あるいは郵政大臣が何かの話し合いのときにこういう話が出たと思いまするが、数字の百万戸というのは、簡易保険の金をもって百万戸を建てるという考え方じゃなく、政府及び政府関係機関等において行なうもの、その辺を目標にしようということでありますからして、簡易保険なりあるいは年金等によって行なわれるものはどのくらいの数字になるかどうかわかりませんし、かつまた具体的に事務当局とその点についての打ち合わせをしているわけではないのでありまして、ただ、ただいまも申し上げましたような考え方からして、積極的にいわゆる住宅難を打開したい、そのためにはあらゆる資金を動員する必要がある、こういう観点からある程度の、まだ下準備といいますか、そこまでも参っておりませんが、そういう話になっております。ただ建設省としては今申したようになお全国的には住宅の不足は非常に目立っておりますからして、今日経済成長率の点から考えても、そういう方面相当資金を投入することは当然なさなけばならぬのでありますからして、具体的な研究を進めて各位の御期待に沿うような案を考えたい。これにつきましては何といいましても、委員各位の積極的な御協力がなければ予算上においても困難がありますので、その点十分に一つ今後ともに御指導御協力あらんことをお願いいたします。
  19. 田中一

    田中一君 私ども郵便貯金とか厚生年金等資金が、日本憲法に背反するような軍需生産へ流れることに対しては反対しておった、幸いにして新しい大臣が見えて、そうして今まで百万戸はおろか、ようやくかき集めて五十二、三万戸というのが今までの年度建設計画なんです。それが少なくとも国民の預金を悪用しないで国民に還元する、国民のために使うのだという考え方に対しては双手をあげて賛成いたします。今建設大臣国民サービスするなんと言われることはおこがましい言動です。不謹慎なことです。これは政府のものではないのです。政府に一時預けているものです。それをサービスするなんという考え方に立っては困る。これは当然国民のものなのだ、従って大幅にそれらの資金というものを国民が一番求めているものに投入する、もちろん住宅ばかりじゃございません、公共事業国民全部に幸いを与える施設事業には投資してよろしい、特定なるものに特定なる目的をもって、ましてや、憲法に違反するような形の産業に対しての融資等は差し控えてほしいということが私ども考え方なんです。従って今の建設大臣考えには満幅の賛成をいたします。いたしますが、私ども長い間当委員会において住宅政策の実情を見、住宅建設促進を強く政府に要望して参っておりますが、昨日新聞を見ると、この発言、これはおそらく違うでございましょう、また建設大臣就任早々そういうものが実現するかしないかの問題は、むろんそこまでの御自信はお持ちにならぬことはこれは当然わかっております。わかっておりますが、少なくともああいう発言をなさりそれが新聞に出た以上、国民はひとしくこれに対する期待を持つものなんです。ましてや新しい保守政権として生まれた池田内閣がこれは相当社会保障的な面を開発して、前進するものと私は期待しております。それだけに非常に重大な発言であり、かつまた国民双手をあげて歓迎する政策でございます。従ってもう少しこの問題に対してあなたと話し合ってあなたが閣議において常々と、この就任早々発言というものに対する実行内閣全体に対して推進するような方途を示していただきたいために、あなたを追及するわけなのです。今日まで厚生年金融資というものは、大体私が記憶しているところでは年間三十億程度厚生大臣に与えられております。私ども住宅政策というものが二元、三元的に行政官庁から出るものでなく、どうしてもこれは建設大臣にまとめて、厚生大臣から三十億、あるいは五十億というものの資金を取り上げて、住宅政策として国民全部に対して均等な条件で、だれにでもそれらの住宅を持たせるような施策をとらなければならないということをやかましく言ってきておりましたけれども、不幸にしていまだにこれが実現されておりません。厚生大臣年金資金は都道府県を通じまして地方産業会社企業者に対してこれを融資しております。従って建設大臣が所管するところ公営住宅、あるいは公団等との性格を異にしております。そうして厚生省としては何もこれに対するところの、住宅に対するところの何らの施策を持たずして、住宅資金融資するということのみに尽きておるわけです。そこで厚生大臣との話し合いも今後ございましょう。おそらく中山マサ厚生大臣は御婦人としてこれはどうしても母子寮その他にそれを使うのだと言って、おそらくあなたの御意見には同調しないかもわかりません。しかしそうしたものをこえて、われわれが長い間念願しておりますところ住宅政策の一元化、そうして厚生省の所管する住宅建設大臣が所管する住宅とが違うというものであってはならないのです。こういう意味において、相当決意を持たなければこの実現は不可能です。従ってもう一言、一つあなたの政策、あなたの御希望をわれわれはうしろから押し上げるというような形において決意を示していただきたいのです。そうして閣議においても、十分なる発言自信を持つところの行動を、あなた方ここに並んでおりますところ相当練達局長連中に合理的な計画を立てさせて、三十六年度には必ずそれを実現する……百万戸というのはちょっと私も困るのです。困るというのは、まゆに一生懸命つばをつけてもどうしても百万戸は出て参りませんけれども、まあまあせめて厚生省が持っておりますところの窓口を建設省一つにすることで十分です。そういう形でその道をとりましてやっていただきたいのです。建設省には御承知のように同じ資金から同額の金が流れております。これも同じように住宅金融公庫を通じまして企業者に対して融資をしておる住宅がございます。従ってこれも住宅公団におきますところ政策、あるいは企業者にいわゆる社宅的な住宅等々の一つのねらいは持っておりますから、一応この制度を認めるとしても、厚生省から住宅に関する予算というものは全額全部建設省にやることがまず第一、そうしてそれを少なくとも五百億円ないし一千億円程度を持ってこなければ百万戸にはなりませんから、その点も十分御勘考を願って、一つ大いに、一ぺん大臣が口を出した以上、これをやるのだという決意をここではっきりとお示しを願いたい。
  20. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいまの御意見でありまするが、少し事情が違いますのは、簡保の金から住宅公団なりあるいは住宅金融公庫の方に投融資の形で出ておる金もあります。これは一応ある程度の限度がありますからして、この面で大幅にふやすということは困難であろうと思います。私が考えておりますといいますか、郵政大臣と話をしておりまする内容は、もちろん今、田中さんのおっしゃったように、住宅政策を、建設省中心にして一貫的に持っていくということはまことに望ましいのでありまするけれども簡保資金性格上その全部をいわゆる建設省の所管の住宅資金に投入するのだという形は、簡保建前からいって一応の困難もあります。従って、もちろん従来投資せられておる金額を一方においては増額して、建設省住宅政策一環を強化すると同時に、他面において簡保のいわゆる一種奨励制度といいますか、先ほどサービスと申し上げましたのはそういう意味なんですが、簡保普及発達のためにこの簡保加入者目標とするところ住宅というものを考える必要がありはしないか。もちろんこれはその機関等においては建設省住宅政策に関連をして、分離した政策であっては困りますが、政策としては一貫した中に入ってもらうのですが、その建設関係等の費用の面においては、必ずしも建設省がそれを全部引き受けてやるという形でなくとも、住宅政策一貫性建設省中心にしてこれを持っていく。ただし、簡保のそうしたような特殊事情からして、簡保仕事としていわゆる簡保加入者に貸しつける、こういう建前での住宅というものがあっていい。というのは従来御承知のように簡保資金によって老人ホームなりあるいは一種ヘルス・センターなり、そういうものが現に本年度は二カ所、老人ホームヘルス・センターが一カ所、こういうような施設をやっております。これは簡保加入者を一応対象として行なわれるものでありますが、これをもっと拡げて簡保加入者の一人々々を対象としての政策が必要じゃないだろうか、こういうことが今回郵政大臣との話に出た一つ方針であります。厚生年金の問題もありまするが、簡保にいたしましても厚生年金にいたしましても、これらは利回りの点がありまするからして、一切を建設省関係で所管するということになれば、これが元利、利回り等の問題からいろいろの困難がありますからして、その意味においては先ほど申しました簡保関係のものの一部は、簡保自体仕事として、そうして加入者に対する一つサービスといいますか、そういうような考え方でものを進めていっても、その分だけは一般住宅がふえてくる、こういうことになることによって、一般住宅者住宅難が幾分でも緩和せられる。戸数の問題は、これから検討して参らなければなりませんからして、数字の面は、今後皆さんといろいろ大きな面から御相談を願って、最大限をどこまで持っていくかと、こういうことも考えたいと思っておりまするが、原則としては今申しましたような事情一つ考え方として、少なくとも新しい政策といいますか、民生安定の積極政策として住宅問題も取り上げていきたいと、こう考えておるわけであります。
  21. 田中一

    田中一君 大へんけっこうです。従ってどうか一つ、きょう新聞、ラジオ、テレビを見ますと、いよいよ閣僚、各行政官庁に対して新政策を作れというような首相の指示があったようでございますから、実現し得るように、なおほかの事業とも関連して住宅問題というものは口には言うけれども、なかなか実現遅々として進まないというのが現状であったのですから御努力をお願いしたいと思います。
  22. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 承知いたしました。
  23. 内村清次

    内村清次君 建設大臣質問いたします。もちろんこの問題は大臣の重要な引き継ぎ事項であったと思うのですが、三十四国会におきまして建設行政といたしましては、三十五年度予算と関連いたしまして治山治水緊急措置法というのが成立いたしました。この法律によって治水特別会計がまたこれも法律によってその計画を遂行していくという関係におきましてこれはまあ相当重要な建設行政の大きな政策一環であると私たちはこれを非常に重要視いたしておるわけです。ところで、この治山治水緊急措置法の第三条の中に建設大臣は、河川審議会意見を聞いて、昭和三十五年度以降の五カ年間において実施すべき治水事業に関する計画、この案及び昭和四十年度以降の五カ年間において実施すべき治水事業に関する計画、この案をそれぞれ作成して閣議決定を求めなくてはならないという条文があるわけですね。当時私たちがこの委員会でこの法律を審議いたしております際において、大体の骨格としては一応委員会を通じて鮮明になりました。というその骨格というものは、まず前期治水において四千億、それから後期が五千二百億と、計の九千二百億という一つワク説明されたわけです。このワクにおいて一体前期の五カ年計画において、どういうような計画実施というものがなされていくか、というのが第三条の目的であろうと思うのです。当時大体六月か七月ごろには閣議決定を済ますと、こういうような村上大臣説明があっておったのですね。これは重要でありまするもので、ぜひ閣議決定後はもちろんでございますが、その前においては一応建設省で立案したところ計画委員会にも一つ見せていただいて、十分関心を持っておる当委員会意見も特に一つ聞いていただきたいというのが当時の約束ごとであったわけです。で、その間一体作業というのが先ほど言ったように六月中に閣議決定までなされたのであるか、あるいはまたどういうふうな経過になっておるのであるか、この点を一応御説明願いたいと思うのです。
  24. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいまお話がありましたように、建設省といたしましてはおそくとも七月中には閣議決定の運びにいたしたいと、こういう考え方で小委員会等において種々討議を進めて参っております。従ってその内容はだんだんと固まりつつありまするが、一つにはこの経済伸長の都合もありまして、最終的な案をもって経済企画庁長官と協議する段階にはまだ至っておりませんので、建設省の側からいいますと事業団体でありまするから、おくれればおくれるほど、いろいろこれは仕事が差しつかえるのでありますから、なるべく早い機会にこれが最終決定をいたしたいと、こういうことで作業はかなりに進んで参っておるわけでありまするが、一つには経済企画庁といたしましては、最近における経済成長率伸び等の問題もあり、全体的な計画とのにらみ合わせからして慎重なかまえを持っておるようですが、事務当局をして再三再四これが促進方を要望し、当方においてもこれが内容についてはほぼ固まりつつありまするが、なお検討すべき点が二、三ありますので、ここ二、三日中に最終決定あるいは閣議を経るというわけには参りませんが、できるだけ八月上旬、あるいは中旬までには閣議決定に持っていって仕事を進めたい、こう考えておりまするが、なお具体的な内容につきまして政府委員をして答弁せしめます。
  25. 田中一

    田中一君 ちょっと関連して。今内村委員質問のうちにもあったように、前大臣言明等があるのです。そこで村上さんからはどういうような治山治水十カ年計画のうちの前期五カ年計画、十カ年計画を含んだ前期五カ年計画の具体的な問題につきまして何といいますか、引き継ぎがあったか、引き継ぎの実態というものをまず御報告願いたいと思います。どういう引き継ぎがあったか、これはむろんこういうことを申し上げると……、もう少しいいますから、ないならないと御答弁願いたいのでございますよ。そういういいかげんな中途半端な言葉は私は聞きたくないのです。われわれはここまでいかに日本国土を守ろうかという熱意を持って、長い間この問題については論議をし、話し合いをしておるのですから、ないならない、それからあったならこういう問題があったというような説明を願いたいのです。
  26. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 前大臣からは具体的な数字としての引き継ぎはありません。ただ考え方として、国土保全建前からして砂防等については積極的な施策を講ずべきであろう、という程度の抽象的な引き継ぎは受けております。なお、その方針に従って事務当局の方においては成案を進めつつあるというのが現状であります。
  27. 内村清次

    内村清次君 まあそういうような抽象的な引き継ぎがあって、実際において事務当局の方でそれを尊重して審議されておるかどうかという点が、私たちがきょうぜひ一つ閣議決定前と、こうおっしゃるのですから、大臣に一言私たちも御意見を申し上げておこうという気持になったわけでございますから、その点一つ十分聞いていただきたいと思う。で、もちろん今日までの経緯については、これはまあ大臣も衆議院議員の立場から十分この点も長い間の経験上、災害防除それからまた国土保全の立場、民生安定の立場からこの問題には関心があったと思うのです。が、当委員会といたしましても、これは毎年々々の災害ですから、この災害の根本を一つきっちりとした、たとえこれは保守内閣といえども、やはり建設委員会は超党派的な立場からでもこの問題に取り組んでいかなくちゃならぬという観点に立って再三にわたって決議もし進言も今日までやってきた。そうしてその過去の実績から見ましても、非常にこの砂防及びダム、河川というような項目の進捗率から比較しましても、一番欠陥のあるところのこの砂防の問題については、これは治山治水のいわゆる根本ですから、この点は十分一つ進捗率をもう少し向上させていかなくちゃならぬ、というのがこれは一致した意見です。これはもう決して自民党の方々も異論ないと思う。決議案もちゃんと決議もなされておるのですから、この点はもう間違いない。ところが最近この第三条によりまする閣議決定前の作業として、河川審議会あたりの、これは条文にありまするからして、進捗状態を見ておりますると、私も実は資料を要求いたしておりましたが、資料が出ておらない。きょう出て来た資料は、以前に見たような資料が出て来てこれでは各委員の方々もはっきりされぬだろうと思うのですけれども、この追加工事という問題が含まれておるのですね、追加工事量というものが。で、これは先ほど私が指摘しましたように、前期が四千億、後期が五千二百億、そうして九千二百億をもってまず治水の十カ年計画というものを立てていく、というのが私たちに提出されたところ数字であったわけですね。そうしてこのワク内において、一体どういうふうな進捗率というものを勘案しつつ計画を立てていかれるであろうか、こう見ておったが、追加工事量というのが約三千八百六十四億という数字が出ておる。こういう点は一体どういうふうなお考え方ですか。
  28. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) 私から御説明いたします。昭和二十八年に大災害がございまして、そのあと治山治水基本対策、こういうものが成立を見ました。その後、それに沿って治山治水事業というものが実施されて参ったわけでございます。しかし、二十八年後の災害の状況その他水資源の非常な強い要請、こういうような点でいろいろ二十八年の考え方を変更せざるを得ないというふうになって参ったわけでございます。今、内村委員のおっしゃいました追加事業というのは、そういう変更せざるを得ないという事業でございまして、さらに詳しく申し上げますと、河川について例をとりますと、たとえば直轄河川におきまして、二十八年後に大災害によって新しく仕事を起こさざるを得ない、たとえば長崎県の本明川その他六角川、大井川、九頭竜川、円山川等ございますが、そういうような河川につきましては、その後の状況によって直轄河川として取り上げざるを得ない。こういうものはすでに二十八年の基本対策ではなかったのでございますが、その後実施をされて参ったわけでございます。そのほか高潮の関係、それから汚濁防止、砂防事業についても同様なことが言えるわけでありますが、直轄の砂防に例をとりますと、石狩川、十勝川、最上川、黒部川、姫川等の新しく直轄として砂防事業を起こさざるを得ない。こういうものをその後の状況として新しく追加事業として計上されざるを得ないという状況でございます。ところで、九千二百億円のワクをどのように各事業に割り振ってやるかということにつきまして、やはりこの追加事業というものを考えてその内容決定せざるを得ない、あるいは決定した方が妥当である、こういうような見地からいろいろ検討いたしました結果、追加事業として三千八百六十四億、こういうものを考えて今後の治水十カ年計画内容をきめていこう、こういうような考え方で現在進めておるわけでございます。
  29. 内村清次

    内村清次君 この問題につきましては、私は深く突っ込んで数字的に検討して質問することは今のところちょっと差し控えておきます。というのは、やはり一応あなた方の作業過程でありまするから、また河川審議会でもその問題が問題となっておるはずですから、一応詳しい突っ込み方はきょうは省略いたしておきますが、しかしただものの考え方として今河川局長が言われましたけれども、私たちがどうしてもふに落ちない点は、この法律を通過をさせまする過程におきまして、委員会はこの付帯決議というものを出しているのです。この付帯決議の四項には、砂防事業の完遂は、治山治水の根本の要諦であるから、これが徹底的遂行をはかるとともに、二十八年策定の治山治水基本対策要綱に従い、残事業費の確保とその行政機構の拡大をはかること。こういう付帯決議をつけているんですね。そこで三十五年度のこの予算説明の際におきましても、こういうふうに大臣説明をなされております。長期計画については、昭和二十八年に策定いたしました治山治水基本対策に基づく残事業のうち、主要な事業昭和三十五年度以降十カ年で達成することを目途とし、このうち三十五年度から三十九年度までの前期五カ年間においては、総事業量四千億円の治水投資を行なう方針のもとに、治水事業五カ年計画を確立し、その財政措置として、新たなる構想のもとに既設の特定多目的ダム建設工事特別会計を統合して治水特別会計を新設して治水事業五カ年計画の確固たる実施をはかる所存であります。これが大臣説明であります。だからもちろんその後二十八年以降計画を追加しなくてはならないという、その事態が起こっていることを私は全然否定はいたしません。これは災害その他によりましてその原形も幾らかこの川の流れも変わっておりますし、それから土地、人家その他の変更によってまた幾らか防除工事というものが、変更がなされているというようなこともこれは私たちは否定はいたしません。いたしませんけれども、実際においてその進捗率そのものが、全体の約この三〇%、二四%ぐらいしか二十八年にこの基本対策要綱というものも進捗率が二四%しか進捗しておらない。そういう中におきましては、何はさておいてもこの基本対策要綱によって今後事業を進めていく、という基本が確立しなくちゃいかぬ。事業変更の追加という問題が起こっておっても、それをまた立ててそうして事業を変更していくというようなことでは、これは百年たってもとうてい事業の完遂というやつはなかなか困難です、そういうようなぐらついた考え方では。そこで私たちはまずこの二十八年からその後新五カ年計画でもなされたその進捗率を見て、そうして委員会決定いたしましたような治山の根本というものは、やはり砂防を重点として根源を断っていくという考え方に立った、やはり今回の画期的な法律に従った計画というものが、私は一番必要だろうと思うのです。それがどうかすると、こういうふうな追加事業がありますからといって分母だけを大きくしていって、非常に常々砂防という問題は軽視されていく、こういう傾向がどうも建設省内部においてこれはガンになっておるのですよ、ガンに。だからして、大臣は具体的な数字はそのときに検討されておったかもしれませんけれども、抽象的に砂防は一つ重要視してもらいたい、こういう言葉の中にも出ておりまするように、もう少し真剣になってどうやって根源を断つかというような方策を新大臣考えてもらわなくちゃいかぬ。私は追加工事の三千億というような、これは大変な数字です。これでも一兆五千億になりますから、九千二百億というのが一兆五千億になります。そうやった工事を平然としてまた出していくというようなことは、どうも私は建設省の態度というものが不可解でなりません。大臣はどういうふうにお考えですか。
  30. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 御意見の通り、基本対策に触れられました内容については、それを基本にして進めることが原則としては正しいし、そうしなければならぬと思っております。ただ御承知のように最近における台風の規模並びに通過等の変化等からして、河川その他に幾多の変化が起きておる、こういう実情が実際上に起きておりますので、それらを無視して、昭和二十八年度の基本対策のみに限定するというわけに実際上参らないということが、現実の問題として起きて参っております関係上、もちろんこれは十カ年計画においてはできないわけでありますが、やはり将来の治水治山というものを完全化する意味においては、こういうものを取り上げて、そうしてやはり今回の十カ年計画にも一部を織り込んで、全体計画を作っていく、こういうようなやむを得ざる事情のあることも御了承願っておきたいと思うのであります。具体的なこまかい点については政府委員をして答弁させたいと思います。
  31. 内村清次

    内村清次君 一応数字を拾ってみますと、追加事業としては、河川関係で二千六百二十四億、砂防関係では二百六十一億、ダムが八百五十二億、機械は百二十七億、こうやった追加事業そのものの計画にいたしましても、格段の差がある。そうして基本対策要綱によるところの三十五年度以降の工事残事業費としても河川は六千百八十億、砂防が三千五百九億、ダムが千三百八十一億、私はこうやった分母だけ大きくするということは、河川の方は、六千百八十億に追加が二千六百二十四億、そうして、一体十カ年間で百まで完遂できるかというとどうですか。この点、河川局長十カ年でできますか。
  32. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) 今追加事業内容がいろいろ問題になっておりますが、追加事業のうち河川につきましては二千六百二十四億の追加事業というふうに考えております。その内容を申し上げますと、直轄河川で千四百六十億、それから補助河川につきましては中小河川については全然増額をしておりません。新しく三十三年度から設けられました小規模河川、この新しい事業のみの所要額を追加事業として計上いたしております。そのほか汚濁対策、これも最近問題になってきたわけでございますが、それから高潮対策事業、こういうようなやむを得ざるというものだけを今回計上いたしておりまして、これらを考えますと九千二百億円のワクでは、十カ年では重要な所はできますが、全部をやるということはむずかしい、こういう状況であります。
  33. 内村清次

    内村清次君 いや、全部はできませんという、そういう簡単なものじゃないでしょう。十年間たちましても河川関係は五九%くらい、あるいは砂防関係は四四%ぐらいですよ、十カ年たって、そうでしょうが。だから私たちは十カ年ではとうていこれはできないことは数字的にも、財政的にもできないことはわかりきっておる。が、だから、せっかく無完遂に十カ年で終るとするならば、なぜ最初二十八年に立てた基本対策要綱で、その進捗率を見て、そうして、その根本的な災害防除という点で、国土保全という建設作業というものがなされていかないか。そうして直川を要する所、いわゆる緊急の必要があるというような場合のときには、その予算ワク外で仕事をやって、そうして十カ年間やって、その次にまた延ばす、追加でも延ばすべきところはその後においてまたさらに策定をした計画によってやっていくというようなことをなぜやらないか。私はそういうものの考え方というものは、こうやつたすなわちこの法律に従った閣議決定をするというようなときのどさくさにまぎれて、そうして追加も変えて、こうやった仕事のやり方というものはどうも私たちはふに落ちないですね。だからこの国会におきましても、特に委員会においても決議をやっておる。今まで長く二十八年の基本対策要綱にどうして基づいてやってくれないかということは、これは国民全部の声ですよ。それをそうして、やはり砂防は常に日の目を見ないというような計画というのが、建設省部内の中において依然としてこの根を断っていかないという状態は、大臣、これはどうしても私たちは看過できない。この点をたとい閣議決定の前の作業、操作の中に大臣はよく一つ目を静かに通していただきたいと思うのだな。そうして、こうやった根源というものはこの際なおしていかないと、これは特別会計になったから予算は余計に取れたといたしましても、災害のすなわち根源というものは断っていきません。こういうような点は今後私たちも八月の委員会のときにも、もう少し具体的によく御説明を聞いた上で、閣議決定前にぜひ一つ大臣関係を深くしていただきたいと思うのです。この点を十分一つ検討していただきたいと思います。
  34. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ほかに御質疑の方ございませんか。
  35. 田中一

    田中一君 これ今、内村君からるる御説明があったのですが、率直に申しますと、今回の今、審議会の専門部会に諮ってあるものが、二十八年度に策定した治山治水の基本的な要綱ですね、これから見ると、現在までの間の伸び率というのは、砂防は非常に低いということなんです。低いものの現実から、今の追加工事とか情勢の変化というものを織り込んだものが、このパーセンテージがそこに示すように一・四二%になるのじゃないかというような数字の面の説明ところが実態というものは何か、実態というものは砂防の施設をしない川と、した川との災害から受けるところの影響というものは、これはもう目で見てみんな知っておるわけですよ。まあいろいろここには三人の建設次官がおられて、われわれ、当委員会には建設省意向というものは、相当もういい面も悪い面もあらゆる面というものが当委員会にはこの三人のベテランから教育されておるのです、われわれは。従って、もう河川局長の方でいろいろな案が考えられておるというものの是非というものも、われわれは同僚の委員から十分承知しておるのです。そこでそのわれわれが、当委員会が、砂防事業の伸びが少ない、一つの砂防をしたならば、それほど大きな効果が上がるのではないということでもって、昨年、一昨年、二回にわたって当委員会政府に対して決議をしているのです。そうして多少は伸びて参っております。他の河川その他と比較して、伸び率はふえてきております。暮れになっても、野党のわれわれが、予算の編成期というよりも、ぎりぎりになって、大蔵大臣と廊下とんびをしながら砂防予算というものを伸ばそうとして努力しているのです。これは何かというと、一つは大てい夏になりますと砂防調べを行なっているのです、災害がありますから。これは一つ今、策定しているところの十カ年計画内容については、むろん皆さん方が相当な全体的な大きな見地に立って策定したものと思いますけれども、しかし砂防に対するところ関心というものは、まだ薄いのではないかというような印象を受けざるを得ないのです。そこで前建設大臣に対しては十分にわれわれの希望というものを申し上げておりまして、これは今の河川局長も知っていれば、山本技官もよく知っております。どうしても今のような計算では災害待ちのような状態なんですよ。それで河川の場合には、たとえ災害がありましても、災害復旧の予算治山治水十カ年計画の別ワクでございますから、これは仕事はどんどん進んで参ります。しかし砂防には割合に被害が少ないのです。砂防施設には被害は少ないということです。緊急砂防予算というものを立てておりますが、これは砂防のないところに災害を受けた。しかしこれには砂防施設をやったならば、これが相当守れるというので、緊急砂防予算というものから支出をして、応急的な砂防を年度内にやっているのが緊急砂切なんですよ。これは砂防工事じゃないのです。そこに砂防を施すならば災害から守れるであろう。これは災害を受けたためにそういう結論になるのです。しかし、それは事前に砂防があったならばどうかというと、これは相当な災害を守れるということになるのです、言葉をかえてみますと。そこでこれは河川局長もよく知っている通り、せめてこの十カ年計画の中に——十カ年計画きめますと、これはちょうど新安保と同じようにわれわれは強制されるのです。あなた方も強制されるのです。従ってこの策定にあたっては、砂防事業費を少なくとも十カ年でもって三百億程度のものを増額してくれという陳情をるる申し上げているのです。われわれは砂防の個所というものは、人口のまばらな、直接利害関係のある国民はおりません。少ないのです、割合に。われわれが自分の政治的な関心でもって砂防をやれというのでなくて、実際の国民を災害から守ろうという熱意に、ほかならないのですよ。従って私は休会になりましたところ国会を通じて何としても——河川審議会において論議がある中に、論議の内容を聞いておりますけれども、専門部会においてだれ一人として、砂防事業を増すべきであるというような議論を出した者は、砂防協会の常務理事の赤木正雄君以外にないのです。今日、日本の砂防学といいますか、砂防事業というものを伸ばしたのは、全く赤木正雄君なんです。一人として耳を傾ける者がなかったそうです。こんなことでは昨年、一昨年とも、長い間当委員会で要求しておる砂防事業の緊急性と申しますか、砂防予算をうんとつけろという要求に対しては、全く政府はこれを無視していることにならざるを得ないのです。橋本さんに私はいよいよこれで閣議決定しなければならぬという問題をここであなたに追及するわけじゃございません。実態をお調べになり、かつ審議会に付議されておるところのこの計画のまま——あなたはお国が近いのですから、いつでも帰れますから、どうか山梨県でも長野県でも岐阜県でも、山を歩こうじゃございませんか。私いつでもお供いたします。そうして実際にほんとうの地元の……。人口はまばらで、選挙民は少ないのです。従って山の中に関心を持たないのです。また変な言葉を使いますけれども、災害にあって初めて県が楽になるというような県も往々にしてあるのです。政治家もやはり災害によって仕事がふえる、災害によって栗が集まるというようなこともあり得ると思うのですよ。そういうことであっちゃならないのです、実際を言うと。そこでわれわれは再三決議をしているわけなんです。私はこのままでもってこれはむろん行政の面にまかしたところ治山治水特別会計、これはそういう前提、災害を守るための特別会計であるという認定のもとにわれわれは賛成しているのです。これは政府、与党側でもいろいろ議論があったでしょう。われわれの方にも議論があった。しかしながら根本的に長期計画を立てて、災害を守る、国土を治めるのだという観点から欣然とわれわれも賛成して、この推進の努力をしてきているわけなんです。このままの形でもって国会でわれわれが、あなた方の仕事調査するような機会もなくてこのまま審議会を通すならば、ほんとうに残念でたまらぬのです。またそういうことがあっちやならぬと思うのです。あなたの方の、大臣の方の選挙区は、これは下流も下流ですから、ことに砂防なんというものはあまり直接の影響はない。しかし今度一つ夏、暑いでしょうけれども十分に、この治山治水十カ年計画というものは十年を約束されるものであり、いやおうなしにこれに従わざるを得ないということに思いをいたしまして、どうか十分に現地をお調べ願いたいと思うのです。そうしてこの計画だけではわれわれは不十分でございます。どうしても砂防には最低二百億程度のものを増額してもらわなければ、建設省は災害待ちの計画を立てている、災害を待っているのだというような批判を受けます。一つ、おれはしろうとだからわからぬというようなことをおっしゃらないで、あなたは建設大臣ですから、どこまでも決定的な権利をあなたは持っているのですから、砂防事業を伸ばすことについて、政治家は今日の段階においてだれ一人としい反対する者はないと思います。それは自分の選挙区の堤防のかさ上げ等はしてほしいけれども——これは当然してほしいと言うでしょう。しかしながら、今日の常識では、年々歳々の災害によって、ここに砂防施設があったならばという声は、地元、それからわれわれもよく知っております。一つそれについて、当委員会は八月三十一日に今度の委員会を持つということになっておりますが、おそらく八月三十一日までには河川審議会の方の答申が出るかもわかりません。建設大臣意見として、あなたは十分実態をお調べになって、二百億程度予算の増額というものを、まあ計画の組みかえと申しますか、将来の問題ですから、将来災害を守れるのだというのならば、二百億程度の砂防費の増額は閣議でおそらく認めていただくだろうと思うのです、年度年度予算でございますから。そういう地点というものは河川局はよく知っているはずです。当委員会は今までも歴史的にこの問題について与、野党ともに全部総員が熱意を傾けている。砂防によって国土を守ろうというこの考え方に対して、建設大臣はどういうお考えをお持ちになろうとするか、それに対してどういう対策を立てようとするか、そうしてこの計画はいつごろまでにそれをまとめようとするか、そうして審議会に対してこれは建設大臣の諮問条項です、諮問案ですから。これにプラスして、実情に即した大臣の意思表示をなされるかどうかという点について御答弁願いたいと思います。
  36. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 両氏の御質問に対してお答えを申し上げます。  私も数年前に党の災害工事調査委員長として、災害地並びに砂防関係調査をいたしたことがあります。で、その経験——もちろん私は専門家ではありませんが、その経験から見て、いわゆる河川行政というものと、ことに砂防というものは相関関係にあるということは十分承知をいたしております。従っていやしくも治山治水をやる以上は、その相関関係にある砂防というものを無視して河川行政をやる考えは持っておらないのであります。従って現在検討しておりまする治水治山十カ年計画前期の処理につきましては、私も一つ考え方を持っておりますから、その方針に即して審議会の案を決定をいたしたい。ただ時期といたしましては、先ほど申しましたように、大体八月の中旬と考えておりまするが、あるいは多少延びる可能性があるようでありますが、少なくとも八月一ぱいには最終的な決定をいたしたいと、こう考えておる点を御了承願いたいと思います。
  37. 村上義一

    村上義一君 ただいま砂防問題について内村委員田中委員からよくお話になりました。また大臣からも、ただいま砂防の重要性についてお話がありましたので、多くを述べる必要はないのてありますから、簡単に申し上げたいと思うのですが、私は治水の要諦は砂防にありという信念を持っております。で、私しろうとであって、かかる信念を持つに至りましたゆえんは、建設委員として河川の水源地を見て歩いたという以外に、個人としてかなり多くの河川を見ておるのであります。で、砂防事業相当完璧にできておる河川はきわめてきれいな状態にある。そうして隣り合った河川が非常に荒れておる。それは必ず砂防ができておらぬという現象にかんがみてかかる信念を持つに至ったのであります。  で、今伺えば八月の中旬、下旬には内閣で具体的に御決定になるという趣きであります。とにかく最近では中流あるいは下流の水防団あるいは町村の首脳者各位意見を聞きましても、要するに砂防という問題に非常な関心を高めて参っております。で、上流の砂防の完璧な河川は、河床が出水ごとに低くなって堤防の内側の内張りをせぬければならぬというような事態もほとんど各河川で起こっておるのであります。で、かさ上げとか、今お話がありましたそういうものよりも、むしろ内張りをせぬならぬ堤防というような状態になって、川がきれいである、周辺の農耕地は実際荒らされてないという事態にかんがみて、私は固い信念を持っておるのであります。どうか一つ建設大臣この点を一つ御考慮になって、ただいまお述べになったお考えのもとに具体的の案を御策定下さるように切にお願い申し上げておきます。
  38. 田中一

    田中一君 道路局長にちょっと三十三年から三十七年までの道路整備五カ年計画、これは当然改訂しなければならぬ段階に来たと思うのですが、これについて作業はどういう工合に進んでおりますか。
  39. 高野務

    説明員(高野務君) 今の三十三年からの五カ年計画がどうなっておるかという御質問……。
  40. 田中一

    田中一君 三十三年から三十七年までの五カ年計画は改訂されるべき段階に来ているのじゃないかと、また改訂すべきであるという考え方を持っております。従ってそのどうすべきかという点の作業、新五カ年計画的なものはどういう工合に作業が進んでおるか、その規模等も、きのうちょっと個人的には大臣からその片りんを示してもらったのですが、それを一つ財源の点、その規模、それから期間等、あなたから説明を願って、大臣から一つその見解をお示し願いたいと思います。
  41. 高野務

    説明員(高野務君) 三十三年から三十七年に至ります道路整備五カ年計画は、三十三年から計画されました新長期経済計画に基づいてやっている計画でございまして、三十五年は第三年度目でございます。この五カ年計画は、予算の点、事業執行の点において順調に進んでおるのでございますが、その後における経済の伸長の伸びが、三十三年に予想いたしましたものよりはるかに高くなりまして、従いまして、交通需要が当初の予想より高くなっておりますので、まあ一級国道などは相当の効果が上がっているわけなのでございますが、それすら交通需要の方が上回っておる状態でございまして、一級国道以下二級国道、地方道に至りましては、とうてい交通需要に対する要望に応じ切れない状況であります。また最近経済企画庁といたしましては、所得倍増の計画もございます。それにあわせまして、私どもは三十六年から新しい道路整備計画を立てるという準備をしております。道路投資の額を経済成長率と合わせて計算する作業、また交通需要と道路状況による道路投資のワクの推定、また現地の道路状況に応ずる積み上げ作業、この三種類の方法によって現在作業中でございます。何分早く成果を得たいと思います。
  42. 田中一

    田中一君 そうすると三十六年度の通常国会には、三十六年度予算に組み込まれた新しい計画が出るものという理解をしてよろしゅうございますか。
  43. 高野務

    説明員(高野務君) これは私ども道路局としての作業でございまして、新しい大臣がお見えになりましたので、御指示を仰ぎたいと考えております。
  44. 田中一

    田中一君 今大臣聞いていましたかな。ちょっと大臣から御説明願いたいと思います。抱負を一つ聞かして下さい。
  45. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 道路五カ年計画は、各位の非常な御協力によって、三十三年度から実行されておるわけであります。当時は非常に画期的な案である、こういうような考え方で、当時まあ国家財政の一面から見てはこの程度をもって最大限であるという政府考え方からして、当時あの案ができたのでありますが、その後の経済成長率並びに実際上の事業の面を勘案いたしますというと、あれだけのものをやりましても、全く道路としては九牛の一毛にすぎないというのが実情であります。当時は経済が安定しつつあるとはいいましても、今日事態を予測しての案ではございませんでした。当時の経済情勢から、この程度をもって一つの最大限の方針であるということからできたのでありますが、昨年あたりから日本の経済も急激に伸長して参って、かつまた、経済伸長率のカーブも非常に上昇しつつある、こういう面を考えますというと、いわゆる過日策定されました道路五カ年計画では、とうてい今後の産業には追いつかない状態にあります。こういう点を就任以来検計いたしまして、いわゆる自動車等の増から考えましても、昭和十年には、大体において今の金額に換算いたしまして、一台当たり二百八十万円程度を投資いたしております。最近はこれが自動車の伸びと道路投資額との比較を見ますと、七十万円を切っておる。これは自動車がふえたから、二百八十万円かけて投資をする必要はありませんけれども、実際上のいわゆる事務当局等の調査によりますと、大体八十万ないし八十二、三万程度の投資を必要としなければ、道路の価値を維持することは困難である、こういうことになっておるようであります。こういう点から考えますというと、三十三年度に策定されましたいわゆる道路五カ年計画というものは、根本的に再検討して、今後の交通情勢及び国民経済の伸長に合わせた長期計画が必要である。こういうことからして、事務当局として今日まず基本的な調査資料の収集に当たっておる程度でありまして、まだ具体的にこれをどの程度考えるかということは、これから資料の収集において完璧を期して、ただ方針としては、三十六年度をもって第一年度とする新道路計画を作りたい。これにつきましては、もちろん莫大な予算を要しまするので、当委員会の皆さんの絶大なる御協力によって、まあまあ一応道路計画なるものを、これならばというものを策定いたしたいと考えておりますので、ある程度の資料がまとまりますれば、また皆さんと御相談して最終的な案を作りたい、こう考えております。
  46. 田中一

    田中一君 そのために特別な資金の新しい計画ですね、資金計画というものをお持ちですか、その充てようという考え方……。
  47. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 大体一応私の個人的な大ざっぱな見積もりではありまするが、新十カ年計画というものを立てますというと、現在の経済成長率を基準としてガソリンの収入を考えますというと、大体六千八百億からして七千億円がガソリン収入による財源になろうと思います。もちろん今後飛躍的に日本の経済が伸長しますれば、それを上回るであろうと思いまするが、一応現在の情勢をもって判断いたしますというと約七千億円である、そういうものをまず基準といたしまして考えますというと、相当になお財源を必要といたします。その残りの財源というものを一般会計からの思い切った繰り入れによるか、あるいは日本の経済の現状から見て、将来いわゆる道路なるものはやはり産業振興の大きな手段であるからして、従って公債施策等、これによるか、こういう問題は今後の研究でありまして、一応基本財源としてはガソリン税を中心とし、残るものは、今申したような一般会計の繰り入れ、あるいはそれに全部をまかすことができなければ、あるいは公債等も考えなければならぬのではなかろうか。ただしこれは政府方針、基本的な政策に触れますので、今ここでその方針によるということを言明するわけにはいかない、こういう状態であります。
  48. 田中一

    田中一君 もう一つ、これは計画局の方にも伺いたいのですが、東京都内の首都高速道路公団が発足しながら、ようやく一号線だけが半分土地の買収もついて進んで、まだ大森地区では進んでおらぬ。二号線については相当な地元の反対もある。これは高速道路といえないような道路なんです。古川の上を通れば蛇行しておりますから、とうてい高速道路という、法律によるところの六十メートル以上という速度というものは出っこないのです。そういう点がいろいろ高速道路の機能ではないではないかという根拠でもって反対している向きもありますけれども、これはむろん東京都並びに首都高速度道路公団がるる地元と折衝しているようですけれども、そこで四十メートルないし四十五メートルの高速道路というものは、高速道路じゃないわけです。法律では、大体われわれが政府説明を聞いたところでは、六十メートル以上が高速道路であるというようなことをいっておりましたね。そこで、この案はまだ建設大臣は認証というのですか、認可というのですか、与えておらぬようです、二号線についてはですね。そこであの辺と同時に、あの古川線全般に対するところ道路整備、あれは高架線に、古川の上の高架線を通ったとしても、道路の拡幅は、現在大体ありますところの新五カ年計画に入っておらない。あの地域の道路整備計画というものはないわけです。そこでそれはどういう考え方を持っているか。道路整備五カ年計画高速道路関係、そういうものなしでも古川という川があるから、その上を通せばいいのだという考えでいるのか、あの計画が最善であるという考えでいるのか、あるいはその他にもう少し高速道路としてのほんとうの機能を発揮するような地点を求めて次善の計画を立てようという意図でいるのか、これは計画局の方の主務ですから、どういう考えを持っているか伺っておきたいのです。これにつきましても、どうか一つ公団並びに東京都だけにまかすのではなくして、実際にあの路線については検討する、あなた方が実際に見て調べるということが必要だと思う。あれは最善なる道、最善なる計画であるとお考えであるかどうか、伺っておきます。
  49. 關盛吉雄

    説明員(關盛吉雄君) ただいまお尋ねの東京都の自動車専用道路建設にかかる事業は、首都公団で実施いたしておりましてお話のように一号線を重点といたしまして、工事の実施をいたしております。全体として首都高速道路の約七十キロに相当する区間及びその経過地点につきましては、御承知の通りに都市計画決定が行なわれ、また都市計画事業決定建設大臣からしておりますので……。
  50. 田中一

    田中一君 どこがそれは、一号線でしよう。
  51. 關盛吉雄

    説明員(關盛吉雄君) そこでそれの一号線から八号線までのすべての路線につきましての事業計画決定は、すでに大臣からいたしておりますので、首都高速道路公団みずからは、その路線についての工事の実施の権限をすでに取得いたしているのでございます。大部分の約五百億程度のものが三十三年度からの道路整備五カ年計画に計上済みでございまして、そのうちいわゆる地上の道路の上を通過する高速道路の構造になる部分と、二号線のように河川等の道路以外の公共施設の部分、一部民家にかかる部分と、こういうふうなところとがございます。河川等の公共物の上を通過する部分につきましては、直接下の街路を拡幅する事業費は道路事業費の中に計上しなくてもいいことになっておりますが、ただいまのお話は、その工事の実施と、地元の道路建設に際して用地等を取られることとなる人たちの問題、高架になっております構造の部分と、地下の構造にしてもらいたいというふうないろいろな問題もございますので、現地におきましては、東京の都市計画審議会の決定の際にも、地元住民の方々と、その路線の工事の実施に際しましては、十分実施計画上の打ち合わせをするということになっておりますので、二号線のその部分につきましては、そのような話し合いの場を公団、東京都とも持っておりますが、もとより大臣計画決定事業決定をいたしております公団の実施できる路線でありますので、建設省といたしましても、そのような工事が円満にでき上がるように、また計画実施につきましては、詳細な検討も、必要な場合があれば、十分検討しなければならない、こういうふうに考えております。
  52. 田中一

    田中一君 一筆調査が行なわれない段階の計画というものが、都市計画法における事業認定はできるのですか、私は、できないと理解しているんですが……。あなたはできるとおっしゃっておりますが、昨年の十二月四日だかに出た一号線の事業認定は、確かにできたように聞いておりますけれども、一筆調査も済まない事態に対してそれの事業認定を建設大臣が行なうというのは、これは収奪です。ただ、予算決定して、そうして調査をしないものをそのまま認定するなんということは、僕はないと思うんですが、その点は、どうなんですか。実際に建設大臣が調べも何もしないで、地図の上に道をかいてそれを事業認定できるんですか。都市計画法は、そこまでの権限を持っているんですか。それとも建設大臣は、そういうものをかまわずに認定するんですか。  私が理解しているところでは、一筆調査が済まなければ、事業認定は行なわれないというふうに理解しているんですが、その点は、どうなんですか。
  53. 關盛吉雄

    説明員(關盛吉雄君) 都市計画決定につきましては、これは七十九キロの首都高速道路網というものが、一つの専用道路網としてのまとまりのある路線であります。その路線計画を定めるにあたりましては、公団の発足以前から、慎重に東京都並びに建設省におきましても、また首都圏におきましても、経過地の区域等につきまして、調査を数年間にわたって行なっておったのでございます。都市計画決定の最も重要な要素としては、当該地域の土地の利用に関して、国有地と民有地の区分に関する問題が、権利の制限行使に対する重大な関係がありますので、従って調査も行ない、官民の区分の限界につきましては、三千分の地図をもちまして地元縦覧もいたしまして、都市計画審議会の議を経まして決定を行なっておる、これが実情でございます。
  54. 田中一

    田中一君 そうすると、都市計画法によるところの御承知事業認定ということは、土地収用法の事業認定と同じ効果があるようになっておりますね。その土地収用法と同じような収用し得る効果というものは、一筆調査をしなくては生じないんじゃないかと思うんですが、その点、どうですか。
  55. 關盛吉雄

    説明員(關盛吉雄君) 土地収用法の事業認定と、都市計画法の事業決定との関係についてのお尋ねでございますが、これは都市計画法による都市計画事業決定の行なわれたものにつきましては、あらためて土地収用法の事業認定を行なわなくてもよろしいことになっておりまして、収用委員会の裁決の申請をいたす、こういうことになっておるわけでございますが、そういう意味におきましては、都市計画は当該施設の、つまり区域につきましては、図面でもって十分調べまして、地元住民にも縦覧をし、かつ、その権利関係の実態がわかるように、事前に措置をいたしておりますので、その内容等につきましては、精粗はないようになっております。
  56. 田中一

    田中一君 一筆調査ができてないものに対して縦覧とか何とかいう措置ができるはずはないと思うのですがね、計画そのものに対する縦覧はできるのでしょうけれども、実態がどうなっている、こうなっているということは、一筆調査しなければ、できないわけでしょう。その点はどうなっているんです。むろん都市計画法としては、非常に強いのはわかっていますけれども、どうも実態の調査というものが済まなければ、利害等が明らかにならぬでしょう。  それで、現在二号線は済んでおらないですよ。済んでおらないということを、首都高速道路公団でも言明しておりますし、その際には、それでもかまわず事業決定しているのだから、それは土地収用法の適用を受けないでも、そのまま、たとえば収用し得るのだ、こういう建前になっておるのですか。
  57. 關盛吉雄

    説明員(關盛吉雄君) 土地収用法の事業認定は、都市計画事業決定のありましたものにつきましては、受ける必要がないことになっております。(田中一君「それはわかっている」と述ぶ)  そこで、土地収用法は、事業認定を行ない、かつ手続上は、土地細目の公告をするという手段を踏んで、当該土地関係者の権利の内容について、収用や補償金額の協議をいたし、かつ、ととのわないときにおいては、収用委員会の裁決を求める、こういう格好になっておりますので、こまかい土地細目等その明細につきましては、収用委員会の損失補償の問題になりますれば、やはり土地収用法の段階に入っていくわけでございます。
  58. 田中一

    田中一君 立ち入り調査を拒否して、入っておらぬ場合には、その細目はわかるのですか。
  59. 關盛吉雄

    説明員(關盛吉雄君) 都市計画決定なり事業決定をいたします場合におきましては、高速道路が通過する区域の限界何番地のどこを通るか、これをはっきり定めることが、都市計画事業決定、都市計画決定内容でございますので、その調査は、十分いたしておるということを申し上げておるわけでございます。
  60. 田中一

    田中一君 もう少し詳しく説明してくれませんか。民有地を通過する場合、民有地を細目調査してない、立ち入り調査もしてないのです。してないものに対しては、どういう措置をとるか。調査をしてなければ、収用委員会でも受けつけぬでしょう。かりに収用委員会に持ち込まれても……。
  61. 關盛吉雄

    説明員(關盛吉雄君) 私の説明があまりうまくできないので、誤解を与えておるようでございますが、要するに事業認定は要らない、しかしながらその後の土地収用法の、いわゆる土地細目の公告とか、そういうこまかい特定の内容の問題につきましては、すべて土地収用法の手続で参りますので、先生もおわかりの通りに、どこのどの区域を通過するか、こういうところまでは、都市計画事業決定をいたしておりますので、その段階は、土地収用法の事業認定と同じような精確さ、精密さのものでございます。従ってそれ以後のお話内容は、それは土地収用法の手続でいく、こういうふうになっておるわけでございます。
  62. 田中一

    田中一君 その問題は、いずれまた大臣のお力も借りなければならぬことになるかもしれませんから、一つよく承知しおいて下さい。  もう一つ官房長に伺いたい。  残念ながら空白国会で、定員法は御承知の通り、衆議院の方で、そのまま継続審議になっておるそうでございます。そこで、これは大臣に十分腹をきめてもらわなければならぬのは、定員法が相当純増等もあったはずでございますが、このままで、十月か十一月に予定されている解散、選挙、その解散という時期に持たれる国会で、この法律案が成立をしたならば、一切の公共事業その他所管の事業に対しては、支障なくやれるのだという前提になっておられるのか、あるいはそれがなくとも、補助員とか準職員とかいう定員法外の職員を充足して持とうとするのか、それから予算上の問題もございます。  そういう点について、どういう心がまえで現事態に対処しようとするのか、これは一つ建設大臣から答弁を願いたいと思う。
  63. 鬼丸勝之

    説明員(鬼丸勝之君) 私から初めに申し上げますが、御承知のように、今回定員法が不成立に終わりましたが、御承知と思いますが、政府原案では、建設省関係は、百四十八名の定員の増加を織り込んだものになっておりますが、そのほかに、いわゆる準職員と補助員合わせまして約一万五千名足らずのものの定員化の問題があるわけでございまして、この辺の問題をあわせまして、来たるべき臨時国会において、これが定員法として成立することを私ども期待しております。  ただ、今お話のように、これらの定員化を含めた定員法の成立が見られない場合に、事業の執行上、どういう支障をきたすかという点でございますが、私どもといたしましては、すでに今回の純増の分も見られておりませんが、結局準職員の欠員補充、あるいは必要な技術者、技能者等につきましては、補助員の一部暫定的な充足を認めまして、事業の執行上差しつかえないように、すでに措置をいたしております。  なお、将来の問題といたしましては、現在の定員法自体のあり方の問題がございまして、これは内閣において協議会を設けられて、私どもも参画いたしておりまするが、定員法のあり方とあわせて、現在の定員なり職員の処遇につきまして根本的な対策を目下検討中でございます。
  64. 田中一

    田中一君 それで、今の定員法の問題ですが、建設大臣としては、いつ、国会の召集を政府が予定しているかわかりませんが、少なくとも、秋に予想されておるところの臨時国会で、定員法は必ず通そうというような気持でおるのですか。
  65. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 御質問のごとくに、定員法は前国会でも何とか通したいというような内閣考えでありましたが、御承知のような状態で、その通過を見ませんでしたが、来たるべき臨時国会では、必ずこれを通して、職員の安定に資したい、こう考えております。
  66. 田中一

    田中一君 公営住宅新三カ年計画、あれはたしかことし作って、来年の、三十六年度予算に出すだろうと思うのですが、そうじやなかったですか。
  67. 稗田治

    説明員稗田治君) 第三期の公営住宅建設三カ年計画は、三十五年度を最終年度といたしておりますので、三十六年度から第四期の公営住宅三カ年計画に入るわけでございます。  従いまして、来年度公営住宅建設計画というものは、その最初の年度になるわけでございます。
  68. 田中一

    田中一君 もうぼつぼつ、八月から九月にかけて予算折衝に入るでしょうが、先ほどから建設大臣は、相当庶民住宅に対する供給をしようじゃないかという考え方があるので、われわれは大幅に公営住宅が伸びることを期待しているのですが、何かそういうような、省内で話し合いでもありましたか、また、新大臣は、どういうような意見をお持ちか、伺っておきたいと思います。
  69. 稗田治

    説明員稗田治君) 御承知のように、戦後住宅難を解決いたしますために、いろいろ建設計画を立てて実施して参ったのでございますが、三十三年度の十月に総理府の方で行ないました住宅事情調査等も結果が判明して参りまして、いろいろ今日の段階としまして、新たな見地に立って今後の住宅対策を策定いたさなければならない段階にきているわけでございます。ことに、住宅難世帯の階層分布の問題でございますが、やはり所得の低い階層につきましての住宅難の解消が若干おくれているわけでございます。  従いまして、われわれといたしましては、こういった低額所得層に対する住宅供給という面から、公営住宅は、ことに対二種公営住宅でございますが、大幅に建設戸数を増したいと、かように考えております。
  70. 田中一

    田中一君 建設大臣の、一つ公営住宅に対する御見解、抱負をお示し願いたいと思います。
  71. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま住宅局長から答弁がありましたように、私も住宅政策は、何といっても家のない者に家をやるということが第一義でなくちゃならぬ、ただ、家のない者に家を与えるということが第一義ですが、生活が向上するに従って、その最低限というものの内容をやはり高めていかなければならぬ、そういう意味では、どういうような資金のやりくり並びに償還方法をとるかということを考えていかなければならぬと思うのであります。現在のように、元利を取り上げて住宅公団でやらせるという考え方では、なかなか安い住宅を提供する、内容のいいものをあげるということには困難がある。  そういう意味では、もちろんこれは私の個人的な意見を出ないものでありますが、庶民住宅というものは、やはり一種の厚生事業でありますからして、国民の収入の不足な者に対する一つの厚生施設としての考え方を持っていく、こういうことになるというと、その料金の問題についても、必ずしも採算制的な考え方をとらなくてもよろしい、こういう考え方に立って庶民住宅といいますか、いわゆるよかろう高かろうというのでなくして、よかろう安かろうというものをやはり供給する、一部にあるところのデラックス的な住宅は第二の問題でよろしい、こういう、建設省公営住宅の面からいえば、こういう考え方を持っていきたい、こういう考え方であります。
  72. 田中一

    田中一君 ぜひとも、そうしていただきたいと思うのです。  なお、たとえば住宅公団等がやっておりますところの、多少上級の層に供給する面については、やはりその上級の層、高収入の層には、その層だけの、やはり規模のゆるやかなものにするような方向も一つ持たなければならぬのじゃないかと思います。ことに、今までの一万戸作っております住宅公団の分譲住宅、これが大体半分ぐらいは、作られたものを買い取っていく際に改造しているのです。これはむだな話です。自分の住みいいように、また改造しなければならぬ、自分の家ですから。そういう点のむだを排するために、いわゆるオーダーメイドの家を作るというような考え方で、中の造作等全然作らないで、入れものだけを分譲するということになりますと、買う方も安くなる。あとは若干自分の資金で、自分の住みいいような造作にする。従って、公団としては、住みいいような家を作るというために、少しでも資金のかからないような方途で売るということが大事だと思う。往々にして今までの経験から申しますと、公団の住宅が、中の造作がないものだから単価が安くなるということになりますと、戸数でもって政治的の一つの主張をしておる関係上、予算が減るという傾きがたくさんある。その分を、どうか造作が減って、一戸当りの国が出すところ資金というものが減っても、その分を戸数でもってふやすというような予算の編成の仕方をとってほしいと思うのです。それが、大臣からその指示がないと、公団等では、これは踏み切れないのです。やっぱりむだのものでもいいから、一戸当り、坪当り幾らでもって何戸だというような計画を立てますから、せめて分譲住宅は、中の造作は住む人たちが自由に自分の資金で建てるというような方法をとりまして、従って、建設資金というもの、国が出す建設資金というものが軽減されるという方途を、一つことしはお取り願いたい、こう思うのです。——これは国家的の損でございますから、むだ使いでございますから。それを一つお願いしたいと思うのです。  それから、営繕局長一つ伺っておきたいのですが、これは、皆さん見えているから一言……。  最近の官庁営繕は、おおむね外装はしておりません。そこで、この外装をしていないということは、耐久力の面、それから美観の面、それから建築費のコストの面等で、どういう実績があげられているか、これを一つ、お示し願いたいと思う。
  73. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) 最近の建築におきましては、コンクリートの建物を外装をしないというものが多く見えるようでございます。これにも、いろいろございまして、政府のものはなかなか予算がございませんので、外装を、たとえばタイル張りというようなものはしない、したくてもできないので、やむを得ず、そうしている向きもあるのでございますが、中には民間のもの等は、特に建築の意匠という面から、コンクリートを肌のままで見せておくということが非常に美しいという建て前から、わざと外装をしないということも流行いたしておるようでございます。  これはいろいろ立場もございまして、肌を見せますためには、やはり型ワクに非常に金をかけまして、かえって外装するよりも、金をかけるというような、むしろ少し邪道に陥っている面もあるわけでございます。政府のやっているものにおきましては、そういう面は慎しみまして、ある意味におきまして、多少建築意匠的にコンクリートの肌を見せるということもやっておりますけれども、やはり耐久力の点等からは、外装いたした方がよろしいという建築研究所の調査も出ておりますので、なるべくは外装いたすようにいたしておりますけれども、やはり時代の潮流と申しますか、一部には意匠という面から肌を見せるということも許しておるわけでございまして、そういう場合には、鉄筋の被覆を厚くするというような建て前をとりまして、耐久力に影響のないようにいたしておりますが、根本的には、いかなる場合にも外装いたした方が耐久力の点からはよろしいということは明らかでございますから、やはり建築そのものも、百年も二百年ももつわけではございませんので、建築意匠という点からいえば、肌のままの建築を許すという面もあってよろしいかと思っている次第であります。
  74. 田中一

    田中一君 しかし、あなたの手元でやっている大きな営繕建築は、おおむねむき出しですね。私は、むき出しが悪いというのじゃないのです。  ただ考えてみますと、やはり十年ほど前に、今の農林省が入っている合同庁舎、あれにタイルを張ろうという案があったときに、当委員会でやかましく噛みつきましてとんでもない、建設省の役人すら家がなくて机の上に寝ている。にもかかわらず、外装をやるなんていうことは間違いである。外装をやるならば、あとでやりたまえ、財源が豊かになったらやりたまえ、それよります第一に自分の役所で、夜ふとんを持ち込んで寝ているのです。それを事実見ているから、この外装はいかぬと言って、とうとうあの外装をさせなかったことがあるのです。それがきっかけかどうか、それからは、おおむねそうなっている。大蔵省の現在の庁舎は、これは戦争になったから、外装すべきものがしなかったということなんですけれども、そういう点で、今の建築研究所の研究等で外装したほうがいいとなれば、これは国の、国民の財産でございますから、これは当然しなければならぬのですが、流行で云々というような考え方は、これは官庁営繕の場合には、左右されないと思うのですが、今後の方針としては、どうですか。
  75. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) 大蔵省の建物は戦時中で、外装をもちろんいたすつもりが、いたさなかったのでございまして、あれは三十五年度に、外装の予算を要求いたしましたが、やむを得ず削られまして、来年度は、予算の要求をいたすつもりでおります。  また、農林省のいわゆる合同庁舎一号館におきましても、先般、自民党の政務調査会におきましても、非常に中央官庁がきたない。もう戦後という時代は去ったのであるから、大いに環境を整備して、美しく心よい官庁にしろという御発言がありまして、あれにいたしましても、来年は外装の要求をいたしたいと思っております。あれは、当初外装をいたす予定でございましたけれども、今の先生のお話のように、とにかく戦後であるから、とりあえずコンクリートの建物を作れ、ほかのものはいかぬという建前から、ああいうふうにいたしたわけでございまして、あれはコンクリートの被覆は厚くいたしておりますけれども、やはり外観上、非常にみっともないものになっておりますので、来年は外装いたすようにいたしたい。あれはいたすように設計いたしております。元防衛庁の入っておりましたあれは、一つの試みといたしまして、やはり予算の制約上外装しない。そのかわり、外観をある程度なめらかにしようということで、型ワクを工夫しまして、しかも安く、外装せずに仕上げておるのでございます。  今後は、やはりなるべくいたしたいと思うのでございますが、懸賞設計、そういう設計がふえて参りますと、懸賞当選者の意向等もございましてたとえば国立国会図書館等のごときは、大体外装をしないということになっておりまして、建築の意匠と実際の耐久力というところのかね合いでございますが、普通一般のものにつきましては、なるべく外装いたして、やはり国家の建物は長く生命を持たせるという方針でいきたいと思っております。
  76. 田中一

    田中一君 どうも一般の、今度いよいよ、農林省あるいは大蔵省を外装するということになりますと、これはまた、何といいますか、投書家グループ、草の実グループが、また新聞に投書する、ああいうぜいたくなことをやると……。こういうことになりますと、これはまた政治的には、はなはだ悪影響になると思うので、その点は上手にPRしなければならぬと思う。  私は、やっぱり営繕局長言っているように、国の財産、国民の財産ですから、これは、もう耐久力があるものでなくちゃならぬと思うのです。しかしながら、あれに今さら外装を施すと、そんな金があるならば、われわれに住宅をくれということにならざるを得ないのです、国民感情としては……。その点、十分に勘案して、ただ自民党の政調会が、あれはきたないからもっときれいにしろということでするなら反対でございます。これはどこまでも耐久力の問題です。国民の財産であるということです。きれいなものにしろというような考え方、これは、われわれが政権をとったら、そういうことはいたしません。もう少しきれいなものにして安いものにしたい、こう考えております。その点は、十分に一つ注意してほしいと思うのです。  なお、国民に対するPRは十分してもらわぬと、いろいろわれわれの歳費を上げるということでもって、うんとたたかれるのですから、これはお化粧することによって政府がたたかれるのです。これはやっぱり同じく国会議員としては好ましくないので、この点は、十分にPRしてほしい。なぜ国会図書館をしないのだ、なぜ東京都庁をしないのだということになりますと、それを説明するのに骨が折れますから。あれは、こういうだらしがないものだというようなことにならざるを得ない、それに対する評価等も起って参りますから、十分に検討して、予算をとるにはお願いしたいと思う。  最後の問題は、三十五年度予算には、官庁営繕の面につきましては、一切木造建築はなくなったはずでございますね。ありますか。
  77. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) 三十五年度の面におきましては、先般、田中先生から御指摘がありましたように、約一・数%の木造の予算が官庁営繕費に計上されておりますので、先生の御趣旨を体しまして、先般全国に指令いたしまして、これは予算の範囲内でできるだけ、せめてコンクリート・ブロックにして計画するように厳重に指示をいたしておりますから、そのようになるわけでございます。
  78. 田中一

    田中一君 どうか大臣も、官庁営繕は一切耐火建築にしなければならぬ、いわゆる木造はいかぬというように、一つ、今後とも予算の編成にあたっては強力に大蔵省に要求して下さい。そういうことを北海道等では、法律でもってこれを強制している面があるのですから、その点を、一つよろしく御配慮願いたいと思います。これでやめます。
  79. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ほかにございませんか。——それでは、本日の質疑は、これで終了いたしたものといたします。   —————————————
  80. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 次に、委員派遣についてちょっと御相談申し上げますが、先般の委員会におきまして、一班二名、三班編成について決定したのでありますが、都合によりまして、三陸地方、中京・京阪神地方の二班としまして、一班三名編成にすることに変更いたしたいと存じますが、よろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 御異議ないと認めます。  それから、次回は八月の三十一日と九月一日両日、午前十時から開会することにいたします。  それでは、本日はこれで散会いたします。    午後零時二十二分散会