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1960-09-01 第35回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年九月一日(木曜日)    午前十時二十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三木與吉郎君    理事            天埜 良吉君            小酒井義男君    委員            谷口 慶吉君            平島 敏夫君            村松 久義君            相澤 重明君            大倉 精一君            重盛 壽治君            中村 順造君            松浦 清一君            白木義一郎君            加賀山之雄君   国務大臣    運 輸 大 臣 南  好雄君   説明員    運輸省海運局長 朝田 静夫君    運輸省船員局長 土井 智喜君    運輸省船舶局長 水品 政雄君    運輸省自動車局    長       国友 弘康君    気象庁長官   和達 清夫君    日本国有鉄道副    総裁      吾孫子 豊君    日本国有鉄道常    務理事     滝山  養君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (気象に関する件)  (自動車行政に関する件)  (日本国有鉄道の運営に関する件)  (海運に関する件)   —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ただいまより委員会を開会いたします。  まず、運輸事情等に関する調査を議題といたします。  これより気象に関する件について質疑の通告がございますので、この際御発言を願います。
  3. 大倉精一

    大倉精一君 長官にお伺いしたいのですけれども、去年の伊勢湾台風のときに、時の楢橋運輸大臣特別委員会において、大臣重点施策一つとして気象業務という項を一つあげられたのでありますけれどもその後気象業務に対する強化の実績について御説明願いたいと思います。
  4. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 昭和三十五年度の気象業務の新規の施設を申し上げます。  まず、上高層観測では南大東島に観測を開始するようなことになり、レーダー施設につきましては室戸岬名古屋に設置するようになりました。地震観測につきましては昭和三十四年度来の観測整備を三十五年度には四カ所行なうことにいたしました。大洋観測船は、三十四年度から建設をいたしておりましたのは、三十五年度にでき上りました。これは長崎海洋気象台所属の長風丸でございます。通信施設につきましては、それぞれテレタイプの回線の整備、あるいは国際の通信網整備とか、無線系新設とか、それぞれローカルの必要なところにいたしました。水利気象につきましては、只見川の水系の水利気象設備を行ないました。水害気象においては、北海道の十勝川流域にその施設をいたしました。航空気象におきましても、航空路の伸展に伴って女満別、仙台その他に施設をいたし、またジェット機の運航に対する整備をいたしました。農業気象は福島県及び山形県の一部に施設をいたしました。防災気象官は本庁及び管区気象台及び地方の予報中枢に計二十七人の人員を配備する手はずになっております。営繕に関しましては、旭川、延岡測候所新設をいたしました。測候所といたしましては延岡一つ新設することになりました。三十五年度はそれだけいたしまして、まあこの状態は必ずしも三十五年度が例年に比べまして画期的に多いというわけでございませんけれども、たとえばレーダー施設のごときは、伊勢湾台風のあとでその必要性を認められ、室戸岬名古屋と二カ所に据えることになり、防災気象官のごときも伊勢湾台風を教訓としてこういう仕事をする職員が大切であるということから、ここに計上されたわけでございます。
  5. 大倉精一

    大倉精一君 今の御説明の点は、後ほど資料として一つ出してもらいたいと思います。  それをまあずっと承っておるというと、いわゆる重点施策という中身はどうもそういう感じがしないのですね。たとえば、あの当時はですよ、岸総理もあるいは佐藤大蔵大臣も、飛行機観測観測用飛行機が必要であるということは一様に認めておったわけです。そこでアメリカ軍との折衝もしておられたのですけれども、その後その結果はどうなったのか。もし不調に終わったというのなら、それにかわるべき何らかの措置をとられておるのかどうか。そういう点についてはどうですか。
  6. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 航空機の観測は、御承知のように、現在主として米空軍によって行なわれております。日本側が独自に実施いたしたいと考えて、目下その可能性防衛庁と協議いたしております。
  7. 大倉精一

    大倉精一君 そこで、重点施策としてやるというならば、当時総理大臣みずから飛行機観測が必要である、観測用飛行機を持つことが必要である、こういう工合意見の発表があったのでありますけれども、今アメリカ軍によるところの飛行機観測連絡といいますか、通報あるいはその他の協力関係は十分なんですか。この前の私の質問に対しては、十分に的確にやっておる、こういうような答弁であったと思うのですけれども、その実態はどういうものですか。
  8. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 十分という言葉は、気象仕事にはもう少し回数とか精密さをほしいのでありますが、この仕事の非常に困難性考えまして、まあ米軍には感謝してしかるべきじゃないかと思っております。
  9. 大倉精一

    大倉精一君 これは非常に大事なことでありますので、われわれしろうとであるし、大臣もまたそういう関係については必ずしも詳しく御存じないかもしれませんので、これは一つ長官があっちやこっちに遠慮することなく、これはこうだということをずばりと言ってもらわないと悔いを残すのではないかと思います。で、米軍飛行機観測というものはずっと前から問題になっておったのですけれども、これはあくまでもアメリカ軍の必要を重点に置いて行動をしておるのであって、日本気象業務に対する協力というのは二の次だ、こういうふうに私は聞いておったわけです。そういう事実があるとすれば、これは率直に言ってもらわないと、非常にこれは将来に災いを残すのではないかということを必配しておる。特に今度の十八号台風、十六号台風におきましても、昨日の新聞で、朝日新聞でありますか、そういう点をずばりと言っておるのですけれども、そういう点についてはどうなんですか。アメリカ軍飛行機観測は必ずしも協力は十分ではない、あの十八号台風にしても、はたして現地へ行って飛行機観測をして台風の目を見たのかどうか、これは疑問だということを言っておるのですね。あの午前七時のアメリカ軍通報によれば、必ずこれは西の方へ来る、来なければならぬという位置にあった。ところが、十一時から十二時になってもうすでに東の方へ行つちまっておるということが書いてある。これは事実かどうかわかりませんけれども新聞報道ですから。そういう点についてアメリカ軍側協力実態について率直に言ってもらわないとこれは非常に困るのじゃないか。さらに小笠原島からのアメリカ軍資料提供もあるいは通報もない、まるきり台風の進路についてはめくらだと、こういうような格好なんですが、この実態はどうなんですか。
  10. 和達清夫

    説明員和達清夫君) まず先に小笠原方面米軍資料提供の方から申し上げますが、現在硫黄島に米軍気象観測がございまして、それは日本の方に送られてきております。小笠原つまり父島は、もと日本測候所のありました所でありまして、終戦後米軍はそこでしばらく気象観測をいたしておりましたので、その当時はその資料が来たのでありますが、米軍自身気象観測を現在父島ではしておらないのでありますので、そのためにその資料は入らないのでございます。  飛行機に関しましては、先ほども申し上げましたように、この観測が非常に困難を伴うものでございますので、日本がその資料をもらって扱った場合には、まだまだ日本としてももう少し正確にやってもらえれば、予報が正確になるという注文はございますけれども、なにしろ日本が一度もやらないのでありますから、日本がやればもう少しという希望はありましても、それをもって米軍がどうだということは私どもとしては技術的にはちょっと申しかねると思っております。
  11. 大倉精一

    大倉精一君 どうも長官答弁が何かに遠慮しておるのじゃないかというような気がするんですがね。やはりこれは、日本人の心理的にも、自分の国で持って日本人が乗って日本人飛行機観測をやって、そこで台風に対処しておるのだということと、アメリカ軍に頼ってやっておるのだ、日本飛行機は一台も持っていないのだ、こういうところに非常に問題があるのじゃないかと思う。それで今、どこやらは今やっていないとかやっておるとかというお話がありましたが、やっていなければいないで日本の方で埋め合わせしなければならん。私は、朝日新聞のこれを読みまして非常にがく然とした。十八号台風というのは関東に上がると、こういう予報でもって、上がらずに向こうへ行つちまったから、予報官としてはまことにどうも申しわけないと言っていますけれども、申しわけないじゃなくて、逆だったらどうなるか。これは東へ行つちまうのだ、安心しなさい、警報解除だ。こいつがどっこい上がってきた。これは逆だったら、たいへんなことになると思うんですね。こうとうところに、去年伊勢湾台風であんなにがい経験を持ってしかも大臣みずからが重点施策の中に気象をやると、こう言っておきながら、いまだにこの気象業務に対する特に台風に対する措置というものが、予報といいますかね、非常に重大な欠陥があるこういうことですね。さらにまた、これも私はしろうとでわかりませんけれども新聞によりますというと、函館仙台新潟広島という所にレーダーを置かれるとなっておるそうでありますけれども、これは台風のコースには関係ないそうですね。ですから、そういうことを見れば、関東一帯はほとんど台風に対しては無防備状態にある、こういうことも言われておるんですけれども、そういう実態はどうなんですか。
  12. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 過日の新聞につきましては、私ども気象庁の真意としているところと多少食い違いがあるのじゃないかと非常に残念であります。十八号台風は確かに予報よりもそれる率は多かったのでありますが、私ども関東の方へ来る合算がある、それるかもしれないと言っておったのでありますが、報道並びにわれわれの防災の立場からは、万一のことをおもんばかり、その用意を忘れないように、来ることを強く申した点はあると思います。もちろんその予報がわれわれの考え通りであるとは申しませんのですけれども、ただいまのお話のようにこれが逆になるということは、私どもはほとんど考えられないことだと思います。つまり来るのをそれるということはほとんどの考えられない。それる場合の方が、報道その他の関係上、そういう印象は深いのではないかと思われるのであります。なお、これらの点につきましては、もちろん、観測施設が足らないのでありまして、飛行機を初めとしてわれわれがその施設充実に多大の意欲を持っておることは申し上げるまでもないことであります。従って、できるだけその施設を作ろうと計画をいたしておる次第であります。レーダーにつきましては、確かに三十六年度の予算といたしましては、ただいま御指摘になりました函館仙台広島新潟予算を計上しておりまして、南西諸島——いや、間違いました、豆南諸島の方には三十六年度には予算として計上されておりません。しかし、それは重要性を問題にしているのでなく、十分その点は考え計画いたしたのでありますが、そういう島におきまして実際行なうというのには、技術的にも、また場所を選ぶにもいろいろ解決しなければならない問題があるので、残念ながら、今回はその予算を立てることが間に合わなくて、来年度に延ばさざるを得なかったのであります。なお、他の四カ所は台風関係ないと言われますが、それはないとは決して申せません。しかし、レーダーというものがそもそも最重要性を認め始めたのは、豪雨のためであります。また日本海——北海道のごとき日本海側設備のない所で、低気圧などが発達しながらくるということが、非常に気象上の欠陥であるために、新潟函館におきます——もちろんこれは函館青函連絡の重要なる任務を持っておる。それぞれの重要性がありまして、単に台風だけでもって出ているわけでもございませんので、台風につきましては豆南諸島にできるだけ早く備えつける。なお、できれば台風に対する他の場所にも置こうと考え設備すべきだと存じております。
  13. 大倉精一

    大倉精一君 どうもこういうような問題をいろいろ問答しても、前からそうですけれども、私が感ずることは、中央におる皆さんと、第一線に活躍する人々との間の意見なり、あるいはいろんな認識なりが、食い違っておるんじゃないかというような気がするんですね。新聞を見ておっても、たとえばこの朝日新聞でも、現地予報官なり気象官と、中央との意見が若干違っておることが、これはまあわれわれどっちがいいかわかりませんけれども、議論しておるということも、これはけっこうかもしれませんけれども台風は待っていないんだな、これは待っていない。で、レーダーというのは一機幾らするか知りませんけれども、やっぱり毎年くるものなら、やはりこれは最重点にやらにゃいかんと思う、必要なものは。それから飛行機も、ロッキード買うというのをちょっと五、六台待って、そしてこいつを買うという、そっちの方へやっぱり重点を置く。そういうことをやって初めて重点施策ということに私はなると思います。それを先ほどからずっと説明を聞いておるというと、何かちょっと手直しとか、ちょっといなかの方の施設をちょこちょこっと直す程度のもののような印象を受けるんですね。抜本的なものはない。たとえば定点観測あたりにしましても、北方あたりにしましても、以前には予算要求もあったのですけれども、最近はない。こういうようなことで一体気象業務というのはどんどん向上しておるのかどうか、非常に疑問に思う。それから今のレーダーにしましても、技術その他の面において準備が小十分だから予算要求ができないというんですが、じゃ、いつになったらこれは技術はできるんですか。気象がやかましく言われてから、もうずいぶん、六、七年になりますね、これも。にもかかわらず、未だそういう技術については云々というなら、一体いつになったら技術がちゃんとなるか、こういうふうになるんですが、これはどうですかね。もう少し気象事務については、やはり、何というか、強気といいますかね、そういう高い、高姿勢でもってやっぱり要求されないというと、なかなか達成ができないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  14. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 御指摘のような点は十分に反省して、なお高い意欲を持ち、できるだけ努力いたしたいと思います。まあ部内におきましても、気象業務は発達していく学問でありますし、いろいろな技術の方法がございますので、現場の職員こそ非常に強い意欲を持っていろいろしたいと希望しておりますので、そういう人たちのいろいろの希望を、これを技術的にも、事務的にも、移し、実行する段階になりますと、やはりその通りには参りませんので、まあ多少その点において、新聞その他における食い違いは出たかと思いますが、今後その点も十分気をつけたいと思っております。  なお、気象庁気象業務整備の五カ年計画というものを、ことしの六月ごろ、先生方にも見ていただいたと存じておりますが、この五カ年計画に従って、われわれはいたしておるのでありまして、手直しのごとくではございますが、これも予算が十分ありますれば、もっと早くその手直しを終わるわけでありますが、これも三年とか、五年とかいう計画手直ししておるこの計画の一部であります。  御指摘の、飛行機定点観測が最も大きな問題であります。この点は私としてはいろいろのこともございますけれども、何しろこれらは他の予算の大部分に匹敵する大きな問題でございますので、この五カ年計画を見ていただきましてもわかりますように、いろいろ内部にやらなければならないところがございますので、それらを勘案しつつ、できるだけその実現に努力したいと存じております。
  15. 大倉精一

    大倉精一君 これは大臣にお伺いするのですが、よろしいですか。今お聞きの通りで、非常に低姿勢なんですね、長官は。しかも宇宙科学というものはもう驚異的な進歩発達をいたしておるのですけれども、この中でですよ、レーダー一つについての技術が云云ということをいまだに言っているということは、何かに欠陥がある。しかも、この長官は世界的な権威者ですよ。これは地震学、あるいはその権威者なんです、世界的に、幾ら権威者でも、行政面においてそれがちゃんとならなければ、本を読んで勉強をするだけではどうにもならんと思うのです。ですから、これを裏づけるのは大臣一つ仕事だと思うのですけれども、いかがですか。この気象業務でも、大臣がおかわりになりますと、必ず重点的にやりますというお話があるのですけれども重点的に実がならんうちにかわってしまうということになると、それでしかもこの気象業務というのは、骨を折ってもすぐ目につくものじゃありませんから、あるいは票にならんかもしらん、あるいはまた金もうけにもならんかもしれませんけれども、これは一番大事なことだと思うのですね。今長官の御発言でも、定点観測飛行機、非常に重大な問題であるけれども予算その他の関係があってと、こういうお話がある。しかしですよ、予算その他の関係がむろんありましょうけれども、それじゃ防衛庁予算というのは一体無条件に通るじゃありませんか。今度の、たとえばヘリコプター航空母艦を作る、それは賛否両論あって、いろいろやったというが、これは賛成ときまればぱっといっちゃう。予算の問題は何もない。しかしほんとうにこの毎年きまってくる侵略軍というなら台風ですね。これに対して予算を削ったり予算を遠慮して、そしていつくるかわからんような、国土防衛といいますか、侵略軍といいますか、そういうものの予算無条件で通っている。こういうところに私は非常に大きな矛盾があるのじゃないかと思うのですが、この気象業務強化について、具体的にどういう工合にする抱負を持っておられるか、大臣一つお伺いしたいと思うのですよ。
  16. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 私も就任早々から、気象関係の非常に重要でありますことにつきましては、十分意識しております。いろいろ和達長官からも話を聞き、また自分考えも申しておるのであります。それは大倉さんの仰せまでもなく、災害を受ける所もこれを受けないように、また最小限度に犠牲をとどめるようにすることが、はるかに国家財政の上においてもプラスになることでありますから、そういう意味合いにおきまして気象業務充実ということは、何よりも必要だと私も考えております。しかし、何と申しましても、国家財政との調整も考えなければならぬことでして、飛行機観測定点観測というような問題につきましては、気象庁みずからがそういう物を持ってやるというようなことは、なかなか私困難だと思うのです。それはどうしてもやはり自衛隊飛行機を使うとか、海上保安庁の船を使って定点観測をするとかいうふうに、それぞれの持っておる物を利用してやっていく、こういうことにならざるを得ぬと思う。南方定点観測ども海上保安庁の船を使ってやっている。で、気象官が乗って、運輸省がしておるということになってくるのだろうと私は考えております。北方定点観測につきましては、長官からも話を聞いておりますが、適当な船が海上保安庁にないように聞いておりますので、こういう要望にもこたえられるような船を三十六年度に一つ代舶建造として要求してみたいということも考えておりますが、しかし何といいましても、船を作るということは相当多額な金が要るものですから、これは予算折衝をやってみなければはっきりいたしません。しかして決して気象業務ということをおろそかにしているわけじゃないのでありまして、できるだけ、技術的にも進歩しておりまする関係から、これに相応するようにいろいろな施設をやっていきたい、こういうふうに考えて、三十六年度の予算につきましても、十分心して目下事務的に固めつつあるようなところであります。しかし、そういいましても、大倉さんの御満足のいくようなふうにはなかなか参りかねると思いますが、できるだけのことはやっていきたいと考えておるのでございます。
  17. 大倉精一

    大倉精一君 それは毎年々々、満足のいかぬことは満足のいかぬことで済んでしまって、この問題に関する限り、歴代大臣の御答弁は大てい同じことなんです。それで海上保安庁の船だろうが、自衛隊の船だろうが、とにかく北方定点観測が必要であるというようならば、定点観測業務を始めることですよ。海上保安庁に適当な船がなかったら、作ることです。何もヘリコプターだの航空母艦を作らぬでもいいですよ。ですから定点観測船を作ることです。飛行機が要るのだったらそれを作ることです。技術が間に合わなかったら、技術振興考えて、技術者を養成する具体的な措置を講ずることです。金が要るのなら金を使うことです。そうでなかったら、十分必要性を認識しているといったって、毎年そうなんだからだめです。台風は毎年きまってやってくるのですから、どうですか、大臣、必要なものは作るとこの一言でいいのです。必要なものは作る、必要な業務は開始をする、こういうふうになりませんか。
  18. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 御意見は私も十分わかるのでありますが、しかし、こういう問題につきましては、予算折衝の際において、いろいろの問題と見合わしてやっていくのであって、御承知でもありましょうが、そこがなかなか各省ともみな不平を並べておるのでありまして、運輸省としては、気象業務の大事でありますことはお言葉通りでありますので、最優先、今後もこういう方面に力を入れて、そうして予算を十分取って、国民の方々に安心していただく、はずれないような、そういう気象業務ができるようにということでやっておるのであります。しかし、まあ、やってみないと、これは大倉さん、なかなかこういうことをやれと言われても、年度途中でもございますので、この程度一つ御了承願いたいと思います。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 念のためにお伺いしておきたいのですが、やはり気象業務強化充実ということは、重点施策一つになっておりますか。今度の池田内閣でも……。
  20. 南好雄

    国務大臣南好雄君) そういうつもりでおります。
  21. 大倉精一

    大倉精一君 つもりじゃなくて、そうなっておるのですか。
  22. 南好雄

    国務大臣南好雄君) これは私としてはその通り……。
  23. 大倉精一

    大倉精一君 池田内閣ではどうなっていますか。
  24. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 池田内閣ではどういうことになるか、まだお聞きしておりません。
  25. 大倉精一

    大倉精一君 それを出して下さい。
  26. 南好雄

    国務大臣南好雄君) まだ総理の手元でまとめつつあるような状態でございます。
  27. 大倉精一

    大倉精一君 ですから予算折衝で、あっちの金、こっちの金が要るのですけれども、やはりその中でどれを重点的に使うかという、そういうことがまず大体方針がきまっていなければ、優先もできない、あるいは考慮もできないと思うのです。これは池田内閣としては、気象業務に対しては重点施策としてやる、岸さんのとき、伊勢湾台風のときはどうでしたか、これは。
  28. 南好雄

    国務大臣南好雄君) なんでも総理のところで、新政策の話を、いろいろこちらからも要望し、向こうのお考えも聞いたのでありますが、池田総理お話では、新政策には相当こまかく予算と切り離して考えているようでありまして、それは予算の裏づけがない新政策なんというものはないけれども、ごく大ざつぱなものしか新政策にはできぬようであります。従って気象業務重点というようなことが内閣の新政策の中に入っているかどうかは、今の段階でははっきりしておりませんが、運輸省として大蔵省へ要求する場合は、これは私はっきり申し上げておきますが、運輸省重要施策として気象業務を取り上げておることだけは事実であります。
  29. 大倉精一

    大倉精一君 どうも私は、はなはだ失礼な話だけれども、ほんとうはそうでないような気がするんです。それで、二十七日の産経新聞を見ますと、あなたは池田総理から具体的に四つばかり指示を受けておられますね。一つは、大都会へ地下鉄をやれ、それから観光ホテルをどうにかせい、あるいは港湾関係に力を入れろ、海運企業は、小さいやつは整理してしまえというような指示を受けておられる。その中に気象業務は入ってない。このくらいな具体的なこまかいことまで総理大臣が指示するなら、気象業務はあなたとして重点施策一つになっているという工合にお考えになっておるのなら、やはりこういうところにも出てこなければならぬわけです。岸さんのときに伊勢湾台風が来て、重点施策一つとして気象業務を入れているのだから、そうなってくれば、今の内閣にこれは当然引き継がれておると思うのです。これを見ておると、あなたの所管の中で気象業務が抜けておる、こういうわけです。
  30. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 大倉さんは、内閣の新政策運輸省重要施策と結びつけてお考えになっていらっしゃるようですが、内閣の新政策と申しますものは、どちらかと申しますと、減税と公共事業と社会福祉という三本の柱になっておる、そういう関係についての運輸省の所管のものについて、ただ総理が言っただけの話で、運輸省全体の問題としては重要施策を幾つかあげますうちに、気象業務というものも私の方では入れて、確かに要求しております。
  31. 大倉精一

    大倉精一君 あなたのおっしゃるのは、新聞に出ておる三つの柱であって、あれは一つの三悪追放みたいなものです。実際、具体的にやっているとなれば、各省の重点施策についてやはりお触れにならなければならぬと思うのです。あなたの方の気象業務については——これは海運重点でしょう、それで優先はあるでしょうが、気象関係については、台風が来るたびに重点重点だといって、それで台風が終わってしまうと、どうかなってしまって、また台風が来る。また重点々々といって、何もやってない、これを繰り返されておるわけです。ですから私はこれ以上申しませんけれども、強く一つ、私の要望じゃなくて、これは国民の要望だと思うのです。ぜひとも一つ気象業務については、抽象的でなく、要るものは買う、必要なものは施設をする、必要な業務は開始をする、こういうことを具体的に一つ大臣の在任中にお骨折り願いたいと思うのです。これをぜひとも一つ要望しておきます。  続いて自動車局長にお伺いしたいのですけれども、まず最近の交通の事故というものは非常にふえてきた、ふえてくるばかりでなく内容的に非常に憂慮すべき傾向があるというふうに私は感じているのですが、たとえば踏み切りにおける事故があとを断たない、ますますふえてくる、さらにバスの大きな事故が相次いで出てくる、しかも今度はトラックの事故が毎日、新聞紙上をにぎわしておる、こういう工合に、交通事故に対しては、かねてから国会で関心を持ってやっているのですけれども、ますます事故の傾向がふえてくるという、こういう実態についても説明を願い、これについて運輸省としては一体どういうふうな手を打っておられるのか説明をしてもらいたいと思う。
  32. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 事故防止に関しましては、運輸省重点施策として取り上げて、これは最も大切なことであるとして、いろいろ措置をいたしておるわけでございますが、最近比叡山におきまする事故を初めとして、バス等におきましても相当な死傷を伴う事故を発生さしておりますが、全体的な自動車事故の概要を申し上げますと、昭和三十四年中の自動車関係事故は約十七万四千件ございまして、死者が八千二百人で、これを一日平均にいたしますと、毎日四百七十五件の事故が起こっておりまして、このために二十二人が死亡していることになっております。これは昭和三十四年が出ておりますので、昭和三十四年を中心にして申し上げますが、昭和三十三年、前年度に比較しますと、事故件数は一七%、死者二二%の増加を見ております。ただこれは自動車の激増に伴いまして事故も増加しておるのでありますが、千台当たりの死者数等を見てみますと、これは毎年減少しておりまして、昭和三十四年には三・二八人ということで、カーブを引いてみますと台数当たりの事故というものは非常に減って参っておりまして、そういう状況を呈しております。これはことに事故防止対策本部が内閣昭和三十年にできまして以来、神風タクシーの問題、それから神風トラックの問題等を取り上げまして、いろいろな措置をいたし、運輸省といたしましても運輸規則の改正とか、あるいは道路運送法の改正とかをいたしまして措置をしたわけでございますが、これらの施策の浸透もあったかと思いますけれども、割合重大事故及び台数当たりの事故というものは減って参っております。で、この昭和三十四年の事故を前年度に比べてみますと、事故件数の増加が特に著しいものは軽自動車でございまして、これは三三%も増加しております。増加の趨勢としては軽自動車が一番多くて、次に貨物自動車の増加は十八%の増加であります。軽自動車、貨物自動車の事故が多い、こういう傾向を示しております。  そこで私どもとして現在中心を置いて施策をしておりますものは事業用自動車の事故防止でございますが、まずバス転落事故が最近新聞紙上に報道されるものが非常に多い。そこでバスの転落事故につきましての各種の事故防止対策の促進徹底によりまして、実は昭和三十一年以来は死者の発生数が著しく減少しておったのでございます。ことに昭和三十二年、三十三年あたりは、貸し切りバスにおきましては、年間死者ゼロという数字を示しておったのでございますが、三十四年から再び増加いたしまして、ことに三十五年に入りましてから、事故件数はそれほどふえておらない。むしろ減少傾向にあるのでありますが、死者を伴う大きな事故というものが最近出て参っております。でもこれらにつきましては、根本的な事故防止対策、及びその都度事故防止警報等を出しておりますが、また年末年始の輸送繁忙期、あるいは梅雨期等には、特に事故防止の通達を出しまして、重点的に指導しております。また先般の比叡山におきまする事故の発生に際しましては、直ちに現地調査をいたし、また事業者に対しまする特別の監査及び行政処分等を行ないますとともに、自動車事故警報を発令いたしまして、特に主要観光地の運転基準図の利用、これは各社が自分業務担当範囲にあります観光地等の運転基準図を作っておるのでありますが、それらを各ほかの観光バス会社等にも配って、それらを運転者が十分利用できるようにせよというような措置もいたしたわけでございます。それから事業用のトラックの事故防止につきましては、従来から監査を強化して、指導してきておりますが、先般京浜国道におきまして居眠り運転による、沿道の人家にトラックが飛び込みまして、死者五名を出したというような事故が発生いたしましたが、この事故を中心といたしまして、自動車事故警報を発令いたしまして、過労防止について厳重に注意をするように促した次第でございます。そのほか全般的なことは、先ほどあげましたが、事業用の自動車に対しまする事故防止の一そうの強化をはかるために、さきの通常国会におきましても、道路運送法の一部を改正する法律案を提案いたしまして、御審議を願い、通過をいただいたのでございますが、運行管理者制度を法律化いたしますとともに、運行管理者に対しまする解任命令、不都合があった場合の解任命令等も規定いたしまして、及び事業者に対しまして、運輸規則違反等があります場合に、それを是正させるための保安命令を行ない得るような措置をいたしたわけでありますが、今後車両管理、あるいは労務管理等の指導に一そう努力いたしまして、事故の防止をはかりたいと考えておる次第であります。
  33. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  34. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて下さい。
  35. 大倉精一

    大倉精一君 いろんな事故の原因なりあるいは考え方があるでしょうが、最近の傾向としてきのうちょっと私は触れたのですが、運転手が非常に不足しておる。さらに将来もそういうような傾向があるという、こういう趨勢にあると思うのですけれども、この対策について特に考慮しなければならぬと思うのですが、当局としてはどういうような考慮を払っておられるか。特にこういう不促の事態になりますというと、免許をとってすぐに自動車を運転させる、あるいはするということから事故を発生する。しかも悪質な事故が発生する、こういうような傾向があるように考えられますが、この点はいかがですか。
  36. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 運転免許に関しましては、旅客自動車運送事業の事業用自動車の運転者はいわゆる第二種運転免許を持っていなければならない。かつ道路運送法に基きます政令に定める要件を備えた者でなければならないことになっておりますが、この第二種の運転免許制度をとられました関係上、第一種に合格をいたしましたあと一定年限を経たあと第二種運転免許がとられるということになりまして、その試験の程度も高くなりまして、合格者が割合少ないという現象も呈しておることを存じておるわけでありますが、第二種運転免許はいわゆる事故防止の見地から第一種の運転免許だけではなしに、人命を預かる事業用自動車を運転する者といたしましては、その業務の性格上旅客の安全確保のためにより高度の努力を要するという意図のもとに事故防止対策本部でも取り上げて、公安委員会の方で措置をいたしたわけでございますが、私どもといたしましては第二種運転免許の所持者が多いことを希望するのでございまして、ことに最近、昨日も申し上げましたように、ハイヤー、タクシーの増車というようなことを全国的に考えてそういう措置をし、実施にも移されておるわけでありまして、そういう観点からも運転者の不足ということは言われて参っているわけでございますが、これらの点に関しましては実は実態を把握しようと思って現在調査を進めておるのでございますが、これは地域的にあるいは業種別に実態を把握しなければなりませんので、今までその実情を全部全国的把握しておらないのでございます。それでこの実情を把握しました上で、運転者の不足によって円満な輸送の確保が困難となるようなことがあっては困りますので、こういう場合には何らかの措置を本格的に警察庁当局と打ち合わせなければならないと考えておりますが、現在は実はその全国的な調査ができておりませんので、保安局長の方へは、大都会等において二種免許所持者が少ない、そういう傾向が見られるので、第二種免許の制度等についてはあるいは試験というようなことについては、何らかの措置考えてもらいたいということを二回ばかり私は打ち合わせたことがあるのでございます。全国的な実情が把握できました上は、そういうどの地域はどうというようなことにつきましても警察当局と打ち合わせて参りたいと思っております。
  37. 大倉精一

    大倉精一君 あなたの所管は営業用の自動車の所管ですから、大体それを重点答弁されておると思うのですが、最近の事故の実態は白ナンバーが非常に多いのじゃないですか。しかも表面は白ナンバーであるけれども、先般われわれも木材あるいは鉄鋼の視察に行ったときにいろいろ認識を深めたわけですけれども、表面白ナンバーでも実際はそうじゃなくて、やはり営業用と同じ仕事をやっておる、こういうところは二種も何もないのですから、運転者が足りないからきのう免許をもらった者がすぐ運転を始める。そういうような状態で白ナンバー、特に砂利トラックあるいは木材あるいは鉄材トラックというものの事故というものは非常に多いような気がする。特に最近でこういうような例があったような気がする、砂利トラックが正面衝突をして、ブレーキがかかっていなかった、向こうからもこっちからもよけないものだから、何を、と言ってぼんとぶつけたというようなこともあるのですね。こういう工合に事故というものが、われわれの常識で考えられないような状態で発生してきている、あるいはまた道ばたにおる人がはねられて死亡をする、あるいは家の中ヘトラックが飛び込んでくる、こうなってくると、もう国道の沿道はトラックが飛び込んでこないような何らかの施設を国家がやらなければならぬということになる、そういうようなことから、私は営業用もさることながら、自家用車運転手にもこの事故防止ということについて特段の配慮を払わなければならぬと思うのですけれども、所管の違いならば担当所管と緊密な連絡をとるなり、別途に何らかの方法をとるなり、こういうことをしないと非常に工合が悪いと思うのですがいかがですか。
  38. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 今お話のございましたように、運輸省の自動車局では事業車の運転を中心にして施策をやっておりますので、事業車の運転者につきましては十分措置をしていきたいと考えておりますが、自家用事の運転者に関しましては所管が警察庁、公安委員会の方に重点がございますので、まあ私ども警察庁の方と打ち合わせをいたしておるのでございますが、内閣の事故防止対策本部でもこの問題を取り上げておりますので、事故防止対策本部におきまする回答の場合にも、十分今大倉先生からお話のございましたような点につきましては措置考えるべきであるということを申し入れもし、私どもも一緒になって具体的ないい案ができまするように協力をしていきたいと考えております。
  39. 大倉精一

    大倉精一君 そこでまあ私がお尋ねしたいのは、今後ますます運転手が足りないという傾向が出てくるのではないか、自動車がどんどんふえていく、これはふやすなといっても自然の趨勢としてふえていく、しかも自家用車がふえていく、これに対して運転手が足りないという傾向、こういうような傾向に対して特に運転手の養成なりあるいはそういうようなことについての施策を考慮されていく意思があるかどうか、こういうことを私はお尋ねしたのですが、それはいかがですか。
  40. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 一般的な自家用の運転者の養成に関しましては、最近の自動車ブームでむしろ乗用車の自動車練習所というようなものが非常にたくさんできて参りました。しかしながら地方等におきましては、あるいは東京でも郊外地区にございますが、大型の普通車の運転あるいはトラックの運転の練習場も相当にできて参っておりまして、警察庁の方でもこれらの運転免許のための練習場というものを相当積極的に作っておるようにわれわれは見ております。ただこれは警察当局の方の所管でありまして、私の方としましては警察当局が大いに作り、そうして技量の優秀な運転者を養成して参りたいと思っておりますので、むしろそういう点につきまして警察庁の力にも申し入れをいたしたいと思っております。
  41. 大倉精一

    大倉精一君 そこで、こういうような運転者不足の時代に、私はかねがね疑問に思っておることは、たとえば二千八百両なら二千八百両あるいは三千両というような、そういう増車申請が出てこれを免許する場合に、その運転者の供給といいますか、確保といいますか、そういう状態はどうなっておりますか。この二種免許はやはりちゃんとした運転者が確保できますか。
  42. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 今回の、たとえば東京の場合の二千八百両のタクシー運転者の確保ということは、これはできつつあります。そのためにトラック事業者の方から優秀な人が引き抜かれるというような発言がございますが、まあしかし、これにつきましては先ほど大倉先生の申されましたように、多量に技能優秀な運転者の養成をするということを考えていかなければならないと思っておりますが、今後はわれわれとしては、大量の二種免許運転者の需要が一時に多くなるというようなことを、できるだけ避けるような方法を考えなければならないのではないかと思っておるのでありますが、まあ今後タクシーの免許というような場合にも、何かそういう方面における配慮というようなこともいたしていきたいと思っておりますが、これは今後十分に検討いたしたいと思っております。
  43. 大倉精一

    大倉精一君 そこでこれは大臣にお尋ねするのがほんとうかもしれませんが、担当者としての御意見を承っておきたいのですが、警察庁の方で特に交通局というものを作って、特に事故防止等について専門的な機構を作ろう、こういう動きがあるのですけれども、これに呼応して運輸省の方でもこの画期的な自動車の発達に即応する機構を考える必要があるのではないかと思うのですが、御意見としてはいかがですか。
  44. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) この点に関しましては、大臣からお答え願った方が私はいいと思っておりますが、自動車事故等の防止対策といたしまして、警察庁の方で交通局を設置いたしたいという案があることは承知いたしております。で、警察当局としては昭和三十六年度の予算要求の中に入れて要求をいたしたいということも考えておるのでございます。ただ現在では予算要求段階でありして、行政管理庁あるいは大蔵省の方への折衝は今後になるということでございますが、事故防止に関しましては、総理府の事故防止対策本部等で昭和三十年以来いろいろな打ち合わせをし、措置を講じ、事故防止対策要綱も作って、さらにこれを拡充いたしまして、自動車行政に関します対策本部のようなものを作るべきではないか、という意見が各方面から出ております。私の方からもその希望を昨年あたり述べたことがあるのであります。こういう全体的な行政機構にすることは、今自動車行政に関しまする限りは運輸省、警察庁、通産省、建設省その他いろいろに分かれておりますので、これらを一挙に一緒にするということもなかなかできかねますので、そういう総合的な自動車行政をやり、総合的な施策を進めるような何らかの機構というものが必要でないかと思っておるのでありますが、まず、それが第一だと思っております。ただ交通局は警察庁で作ろうとされておるのですが、この強化もさることながら、今申し上げましたような何らかそういう各省が集まって作るような機構をまず作らなければいけない。さらに進んでは自動車庁というようなものについても、私は考えるべきだと思っておるのであります。  昭和三十六年度に関しましては、重要施策の中にもあげておるのでありますが、私どもとしては陸運事務所が現在運輸省自動車行政機構の中で一番問題点の多い中途半端な、そして陸運事務所の職員自体についても、その勤労意欲を阻害するような形の運営になっておりますので、それを運輸省の直轄の地方支部部局にしたいということで、昭和三十六年度の重要施策の中にも自動車関係の冒頭に取り上げまして、自動車行政機構の整備をはかるという考え方でおるのでございます。
  45. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連して。内閣にある事故防止対策の委員会ですか、あれは今何ですか、どのくらい、一カ月に一回とかあるいは二回というふうに定期的に開かれておるのですか。
  46. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 事故防止対策本部に関しましては、前内閣の間、本内閣になってからは開かれませんですが、三、四カ月前までは一カ月に一ぺんないし二カ月に一ぺん開かれておりましたが、予算編成の関係あるいは新政策関係等で最近は開かれておりませんが、二、三カ月前までは一カ月ないし一カ月半に一回開いて、いろいろな各方面にわたる事故防止の対策について打ち合わせをしておりました。ことに、単に私どもとしては神風タクシーの問題とか神風トラックの問題とかいうだけでなしに、踏み切り事故の問題とかあるいは各般の労務管理の問題に至りますまで、事故防止に関しまするすべてのテーマを取り上げまして、それを一つ一つ解明し検討していきたいという方向で、委員会及び幹事会を開いて参ったのでございます。
  47. 小酒井義男

    小酒井義男君 これも直接の関係ではないと思いますけれども、最近踏み切り事故でダンプ・カーの事故が非常に多いのですね。車の性質上、事故が起きると非常に死傷者も出るというような例があるのですが、このダンプ・カーの事故の場合にはやはり一たん停車などが、やられておらぬ例が多いのではないかと思うのです。このダンプ・カーの運転手なり、ダンプ・カーの供用者に対して、事故防止の立場から警告を発するとか注意をするというようなことをやる必要が私はあると思うのですが、そういうことをやられておるか。直接でないから自動車局長にお尋ねするのは少し無理かもわかりませんが、何かそういう問題で関係をせられたことがあったらひとつ……。
  48. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) ダンプ・カーの事故等につきましては、私どもも最近も多いことを聞いておるのでありますが、踏み切りの通過の場合の一たん停車というのは、道路交通法ですべての自動車が一たん停車することに規定いたしておりますので、重量トラックであろうとも止まる形になり、あるいは特殊車でも止まることにいたしておるのであります。この点に関しましては私も新聞で見た程度でありますが、警察庁当局でもだいぶこの事故防止については今考えておるようでございますが、この前はっきりいたしませんのと、これらの事故防止に関しましては重要なことであると思います。で、警察庁の方ともその措置等についても聞き、また、われわれも協議して措置を進められるようにいたしていきたいと思います。
  49. 白木義一郎

    白木義一郎君 関連して。自動車局長にお伺いしますが、東京の二千八百台の増車の問題でタクシー業界から前任の東京陸運局長及び芳賀自動車部長に不信任状を出している。こういうような報道があるのですが、その増車及び新免処理について公正を欠いたということについて、不信任状を出したという記事が出ておりますが、この点どんな内容になったか、できたらお知らせ願いたいのですが。
  50. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) ハイヤー・タクシー協会の方で、根本的には既存業者に対する増車が少なかったということであろうと思うのでありますが、楢橋前運輸大臣及び東京陸運局長、芳賀自動車部長等に不信任であるという決議をしたということを聞いたのでありますが、これに関しましては、しかし、ハイヤー・タクシー関係の協会としてそういう措置をしたのではありますが、運輸省当局としてはそういう決議にこだわることなく、また拘束されることももちろんないのでありまして、私どもは私どもとして公正な施策を進めていけばいいと考えておるのであります。で、まあ現実の問題といたしましては、東京陸運局長は観光局長になり、自動車部長は鉄道監督局の車両工業課長にかわりまして、後任の東京陸運局長としては仙台陸運局長の木村君が参り、自動車部長には本省から山上君が出たわけでありますが、これによりまして東京陸運局としては新しい同長のもとにまた施策を進めていくことになると考えておりますが、タクシー協会等の不信任といいますか、それの内容については、私どもとしては東京陸運局長も自分の信ずる公正な措置をいたしたと考えておるのでございます。
  51. 白木義一郎

    白木義一郎君 今の問題はまた別の機会にお尋ねしたいと思いますが、きのうの局長の答弁では、このタクシー問題について白タクが起きたという根本的な原因は、需給のアンバランスとそれから大衆がそれを支持したと。こういうことから白タクが起きたんじゃないかと私はこう思うわけなんですが、それについてあくまでも法律がある以上これをもって取り締まっていかなければならないことは当然ですが、一方関西におけるような料金問題について、いつまでも責任者がそれを放置しておくということは、大衆が納得しない大きな欠点であろうと思うのです。で、需要者の立場からいえば、できるだけ白タクは取り締まると同時に、増車をできるだけ延ばしていく、それでタクシー協会がいつまでも独占的な料金で利潤を上げていくというような感じをみんな持っているわけです。ですから白タクを取り締まると並行して、あくまでも不当な料金制度を改革してそうして順法精神を高揚していく、こういうようなことが大事なんじゃないかと思うんですが、関西、近畿方面においては相変わらず料金問題の引き延ばしをやっているような感じがありますが、局長としてこの深夜メーターという問題をどのように今後指導し監督していくか、御意見を伺っておきたいと思います。
  52. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 料金問題は非常に重要なことでございますが、関西の深夜メーターに関しましては、大阪陸運局長も先般更迭になったわけでありますが、前の局長のときもこれは早急に解決しなければならないということで、陸運局長も積極的に業界を指導しておったのでございますが、新局長もこれは早急に解決したいということを考えておりますので、時間から申しますと相当の時間がたったようにも思われるかと思いますができるだけ早く近近のうちに深夜メーターに関しては措置をいたしたいと思っております。
  53. 白木義一郎

    白木義一郎君 そのようなお話を伺って、それが実現するならばけっこうですけれども、実は取り締まりの方は早急に実現をしている。変則国会で道路運送法の改正もいつの間にか急速に行なわれている。取り締まりのほうは急速に行なわれているけれども、大衆の立場に立った行政は遅々として進まない。こういうような点を責任者が心して指導監督に当たっていただきたいと、このように要望申し上げます。
  54. 大倉精一

    大倉精一君 大臣がおいでになるまでちょっと関連事項等についてお伺いしたいんですけれども、トラックあるいは終夜タクシーの営業所ですね、そういうものの設置場所の認可というのはどこがやるんですか。あなたの方か、あるいは警察ですか。
  55. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 新しい免許に関連いたします場合には、本省が同時に審議するわけでございますが、既存業者が営業所の設置等を申請いたします場合には、事業計画の変更許可申請として陸運局が担当いたしております。
  56. 大倉精一

    大倉精一君 たとえばトラックを免許する場合においては、その事業所なりあるいは常業所に、車庫あるいは適当な収容場所というものの設置が必要だと思うんですが、そういう条件がやっぱりあるんですか。
  57. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 自動車運送事業には自動車の収容場所、車庫等は絶対必要条件でございまして、これに関しましては免許申請あるいは事業計画認可申請の場合に、必ずそれを事業計画の中に入れて出さなければ、審議の対象にならないということでございまして、確かにそういうものが入っております。
  58. 大倉精一

    大倉精一君 大臣おいでになりましたから、局長にその点について一点だけお伺いしておきたいのだが、最近私のところへ個人的な陳情やいろいろ来るんですけれども、内容は、タクシーあるいはトラックの営業場所を新たに設置して、しかもその場所が住宅地等にあるがために、非常に騒音でとても耐えられぬというような陳情があるんです。あるいはトラックのごときは、荷物を積んで路上に置いたまま休息夜明けにずっと一斉に始動開始する、三時か四時ごろになってガーガーと鳴って寝られないというそういう陳情があるのですが、そういう陳情についてはこれは警察かどこかわかりませんけれども、免許した者の責任の一端としてやはり関心を持って何らか措置をする必要があると思うのですが、この点についてはいかがなものでしょうか。
  59. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) まあ住宅地であるから絶対に常業所を置けないということはないと思うのでございますが、しかしまあ住宅地区等に対して、やはり設置の場所あるいはその運営の状況等において十分考慮しなければならない、運営にも考えなければならぬと思いますので、まあこれらの点は陸運局が免許をし認可をする主管官庁でございますが、都道府県の公安委員会等の方に意見聴取を行なって、それら具体的な個々の常業所が設置にふさわしいかどうか、道路の状況は出入にいいかどうかというようなことに関しましても照会をいたしておるわけでありまして、非常に不都合が起こるような場所であると思われるようなときには、これらのものをまあ認可をしないというような措置を現在までも講じたことがございます。まあ十分警察庁の方の実際のそういう運用面とも連絡をとっておるわけでありますが、まあこういう問題は諸般のいろいろな状況を勘案して、営業所の設置をまあ認可なりしなければいけないと思いますけれども、今後も十分そういう点を考えていきたいと思います。
  60. 大倉精一

    大倉精一君 この点については認可をするときもさることながら、認可後、営業開始後において、そういう近所隣りに迷惑が出てきておるという事態に対しても、十分関係方面連絡をしながら措置をするように一つ配慮を願いたい思います。  そこで大臣お出になりましたからお伺いしたいのですけれども気象業務に続きまして自動車行政についてきのうからお伺いしておるのです。そこで他の委員もいろいろ質問がおありでございますから端的にお伺いするのですけれども、まあ一言にして言うならば、現在の道路運送というものは無政府状態と言ってもいいと思う。これは今ここで私が例をあげて説明しなくても大臣おわかりだと思う。事故の発生状況、件数につきましても、あるいはまたトラックあるいは乗用車の営業の類似行為の横行、これによるところの法規の紊乱、無政府状態です。大臣はこの近代の寵児であるところの自動車に対して、こういう無政府状態で放っておくということは非常に重大問題だと思う。これを一刻も早く正常な状態に戻す、これが大臣としての大きな当面の任務と思いますが、どういう工合にまあお考えになっているか御所見をお伺いしたい。
  61. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 私も自動車の行政につきましては就任早々言葉のような気がしたのであります。事務当局ともよくこの問題についていろいろ話をしたのでありますが、私は縦の問題でなくて横の問題からこれを見て、トラックそれから乗用車両方の運行管理とかあるいは労務管理とかいうものをもう少し秩序を立てて、そうしてまあ私のねらいはどちらかと申しますと、事故の発生を極力防止して、もちろん内閣に事故対策本部を設けておりますが、これは各省にわたっておりますために総合的に置かれたものでありまして、やはり何と申しましても責任は運輸大臣が持っておりますので、横の方からできるだけ事故の発生を防止していきたいというので、事務的にもどうしたらいいか、一つ至急事務当局としてのそういう問題についてのもう少し徹底した案があるべきと思うから、それを至急立案するようにということを命令するとともに、自動車審議会におきましても一体どうしたらこういう問題をほんとうに徹底的に防止するような態勢をとれるかということか諮問いたしました。早急に結論をお出し願うように目下お願いしておるわけでありますが、まあ何と申しますか、道路の状況それから自動車の生産の状況、こういうものがからみ合いまして近代の輸送が漸次近距離につきましては自動車に変わりつつある、貨物輸送にいたしましても旅客にいたしましても、近距離については近代のこの輸送機関に変わりつつあるという現象に道路が旧態依然である、こういうような矛盾で、そこにお言葉通りに輸送秩序の混乱をきたしておるということも事実である。こういう問題につきましてはもちろん今まで運輸当局はそのままに放任しておいたんではなかろうと思います。一生懸命にやってきただろうと思いますが、依然としてほんとうこの根本的な対策がなかなかついておらぬように私も考えておりますので、問題といたしましては非常に大きな問題でありますので、運輸大臣だけで解決のできない面があります。ありますけれども、こういうような問題に真剣に取っ組んで、もう少し輸送秩序を立てていく、こういうようにやっていきたい。さらに進んで、これは私も非常に考えておるのでありますが、旅客輸送につきましては航空機の発達等もありますし、それからさらにバスその他のいわゆる非常に進んだ輸送が鉄道による輸送とかちあって参っておるわけであります。都市交通につきましてはこの三者の調整というものがなかなかむずかしいと思っております。そういう問題につきましても何か輸送分野というものを画然ときめられぬものか、そういうような問題につきましても真剣に一つ考えるように、私自身の手元におきましても構想を練っておる状態でありますので、いましばらく余裕をいただきたいと、こういうふうに考えております。
  62. 大倉精一

    大倉精一君 今のお話は輸送分野の確立とかあるいは高度な輸送、交通政策の問題をお話しになったのですけれども、当然これはやってもらわなければならぬ。その前に私が今申し上げておるのは、無警察状態、無政府状態になっておるこの道路運送の状態をいかにして元へ戻すかということですね。つまりあれは免許をされてもその免許に何ら権威がないという状態になっておるのですね。大都市、名古屋、大阪でもそうでありますけれども、警官の目の前であるいはお役人の目の前で、陸運局の目の前で白ナンバーが堂々と営業をしておる。しかもきのうも私はお話したんですけれども名古屋あたりで夜十時ごろから盛り場に立っておるとほとんどそういう状態です。もう黄ナンバーはありませんよ。しかもきのう毎日新聞の夕刊を見ますと稲葉秀三が書いておる。白タクに乗ったところがその白タクの運転手いわく、アルバイトで白タクをやっておったが学校を出ても勤める気になれずに引き続いて白タクをやっておる、おかげさんで友人二、三人も白タクをやらして二千万円くらいたまりましたが、税金も一ぺんも納めたことがありません。もう三年くらいやったら私も一つ社長になろうと思っておる、そういう話を運転手がしておる。どうですか。こういうことで一体日本自動車行政に関する政策があるのかないのか、これが非常に問題なんです。そこで、これはさっきの気象業務以上に、非常に困難な問題で、現在ここまできてしまった事実をもとへ戻すということは並み大ていな努力では、これは帰らないと思うんです。事務当局にその案を練れといったって練れまいと思います。ですからこれは高度な政治力を発揮してもらって、そうして一日も早く正常な格好に戻すとともに、きのうも申し上げたんですけれども、現実に何千、全国では何万人かしれませんが、こういう人々が白タクのハンドルを握って現実に生きてきているのです。ここまで追い込んできた政府としては、こういうものを軌道に乗せるとともに、そういうものの救済についても、何らかの方法を考えなければならぬ段階に私はきておると思うんです。こういう点について、大臣は一大決意をもって、一大勇断をもって対処されぬと、なかなか通り一ぺんの決意では私はできない、非常に困難な難事業だと思います。しかしこれをやっぱりやってもらわなければいけない。経済、文化の発展とともに自動車はますますふえていく、道路もますますよくなっていく、しかも自動車行政は野放しである。これでは私は非常に社会不安が起こってくると思います。もう一回それに対する大臣の御決意を伺いたい。
  63. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 大倉さんの御質疑につきましても、私大臣になって早々の場合であったのでありますが、私も同様の考えを持っておったのです。何とかして白タクの問題、あるいは白トラックの問題、こういうような問題は、もう少し秩序の確立をやらないと、免許をせられた者の立場において、また一般大衆の立場においても、非常に遺憾の点が多いということで、そういう趣旨の希望をいって、厳重にまあ事務当局を督励しつつあるような状態なんであります。白タクの問題は、大倉さんも御承知のように、なかなか取り締まり自身が警察でも困難であります。公安委員会その他に連絡はしておりますけれども、お前の手元で調べて告発をすればというような生ぬるい返事も聞くのであります。そういうような形で今日の大都市、ことに六大都市におきます白タクの問題は、なかなかお説の通り解決は困難である。またこういうものを法律の示す通りにびしびしと取り締まってばかりいても、次から次へとあとを断たない問題でありますので、そういうことで、お言葉のように、何かほんとうに根本的な対策がありそうなものだと私も考えておるのであります。しばらくの間御猶予を願って根本的な解決に努力をしてみたい、こういうふうに目下考えつつある状態ですから、一つ御了承願いたいと思います。
  64. 大倉精一

    大倉精一君 最後に要望しておきますけれども、白タク、タクシーばかりじゃなくて、トラック、オート三輪、あらゆる部面にあります。ですから単にこれこそ運輸省の対策だけばかりじゃなくて、池田内閣の大きな一つの施策として取り上げてもらはなければならぬと思います。これを放任して置いたら社会不安が起こりますよ。必ずああいう法網をくぐって行なうには暴力がついておる。ですから事故防止のあらゆる問題もここから始めなければならぬと思います。これを放置しておいて高等政策ばかり云々しておってもこれはだめだと思います。ですから一つこれを池田内閣として大きな重点施策として、これは運輸省ばかりでは解決できませんから総合的な解決策を講じて、まあ異常なる決意をもってやってもらいたい。でなかったらこれはほんとうに社会不安が起こって、輸送秩序の混乱、無政府状態、こういうことになると思いますから、この点を一つ強く要望してきょうは私の質問を打ち切りたいと思います。
  65. 小酒井義男

    小酒井義男君 大臣に一点とそれから国鉄の方へ一点お尋ねしたいと思います。  実は先日私ども北陸地方の運輸事情の調査に参りまして、福井から大野を経由して越美北線の予定コースを通って岐阜へ出たんですが、その途中で大野の自動車営業所ですか、あそこでもいろいろ説明を聞いたんですけれども大臣もあちらの事情はお詳しいと思いますが、福井から大野へは、御承知のように、京福の電車が通っております。それに国鉄のバスがその中にずっと入っている。この自動車の営業成績を聞いてみますと、三十四年度の営業成績は百五十六万、自動車はすでに赤字であるわけです。そこへ並行して新線建設が行なわれてきて十一月に開通する、こういうことになるように工事が進んでいるのを実は見たんです。あの場合に、私は新線建設というものの絶対的な必要性があるかどうか。そうすると、今度あれが開通すると、国鉄の鉄道とバスとの間の競争ですか、自動車の方でもこれは大へんな赤字が出る心配があるから、赤字を出さないように旅客の誘致等で努力しなければならぬというので、非常に熱心な気がまえで現地の人はやっておるようですが、同じ国鉄バスで、しかも赤字のバス路線に並行してああいう新線建設をするということが、はたして必要かどうか。それだけの価値があるだろうかという私は疑惑を持って帰って来たんです。かねて私は新線建設については非常に疑問を持っておりまして、前に楢橋運輸大臣のときにも一度私の意見を言ったことがあるんですが、まずあの線を具体的にあげて、やはり鉄道がなければどうしても困る所だというような御説明があれば、一つ教えていただきたいと思います。
  66. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 今御質問になりましたのは福井県の話でございまして、私あまりその間の事情をよく存じておりませんのですが、新線建設の方針につきましては、これは御承知通り鉄道建設審議会というものがございまして、これは与野党の議員が皆それぞれお出になっております。非常に長らく審議の結果で、必ずそういうものの意見を聞いて許可になっていくものであります。私はおそらく越美北線から南線は、岐阜の方と福井と連絡する意味におきまして、途中とまってまだ連絡しておりませんけれども、将来連絡するということになりますると、これは相当の交通上のいろいろの便利なことになっていくんじゃないかと考えております。ただ先ほど大倉さんの御質問のありました際にも私、返事をしておきましたように、鉄道の輸送とバスの輸送というものの調整をどこにおくかということで、これはもう相当突っ込んで掘り下げて研究して、結論を早急に出さなければならぬ時期にきているんじゃないかというような気もするのであります。総じて大体新線と申しますものは初めは皆赤字であります。しかし、だんだん地方の産業が培養せられそうして黒字に変わっていくというのは、総じてどこでもそういう例になっておるのでありまして、初め赤字だからといって、すぐに簡単にこれはもうというような結論にはなかなかなりがたい。ただ、総じてこのごろ新線といっておりますのは、よほど、何と申しまするか、今まで重要な必要性のあるものは大体解決しました。地方民の長年の要望で、鉄道というものに対するあこがれからぜひとも鉄道をつけてくれ、こういうことから、そういうのが鉄道の新線建設審議会ですか、そういうものの手続をやらしていただくということになってきておるんだろうと思います。ですから赤字の線ということは、いずれこれは国鉄の方からも話があると思いますが、私も再再聞いておりますが、まあ私は鉄道につきましては、新線建設と申しましても行きどまり線は、これは地方開発上よほどの特殊の事情がある場合にはこれもまたやむを得ませんが、総じて今後は何としても連絡線だけは考えていかなければならない、新線建設というものは連絡線というものが重点であるべきだというような気もして、事務当局にもそういうふうな趣旨のことを言って、もう少し掘り下げて研究するようにということを言っております。その前に何と申しましても、これは自動車輸送と鉄道輸送ともっと深い掘り下げの調整を考えていかなければ至るところにそういう問題が起きてくる。それからもう一つは、バスそのものにいたしましても長岡バスと国有鉄道バスとの利害の調整もありますし、これはなかなか大きな問題なのでございますが、バスと鉄道による、あるいは電車軌道によりまする旅客輸送との調整と申しますか、今までもやって参ったのでありましょうが、今後はもっと特段の掘り下げの結果、結論を出していきたいというふうに考えています。
  67. 小酒井義男

    小酒井義男君 やはり新線建設では沿線の資源開発であるとか、いろいろな建設的な経済的な条件がある所に、当初は赤字になっても新線を建設するということは必要だと思います。また気候状況等で冬期に積雪のためにバスが動かぬというような場合には、やはり適当な新線建設は赤字の場合があってもやむを得ぬと私は思うのですが、一方御承知のように鉄道レールをはずして自動車にしようということが一方において行われておるんですね。そういう中に新線を建設するということは、私はよほど十分慎重な検討をしてきめて、そして予算を使うようにしていかぬと非常に一重投資といいますか不経済な結果が出てくると思うのです。そういう点をいろいろお尋ねしたいのですが、まあほかの委員の御質問もありますから、私はきょうはそういう点について大臣に、今後予算をとられる場合、具体的に交渉、路線の決定をなされる場合等に一つ慎重にやっていただきたいということを今申し上げておきたいと思うのです。  それで、越美南線と北線とをつなぐ予定になっておるのですが、これはやはりあそこの今度の新線で打ち切ったのでは実際そういう意味はないですね。ところが従来の予定線のものを、途中に今度ダムができて水没する地域ができて、人家の移動等が行なわれるということになると、またほかのコースを考えなければならぬ、こういうことがあるのですが、そういう問題も引き続いて調査を進められる予定でありますか。
  68. 滝山養

    説明員(滝山養君) 今御質問のございました通り、越美南線と北線は路盤ができて開業の準備ができておりますが、勝原というところがございまして、それから先、山を越して越美南線につながる所が予定線でもあり、着工線でもありますが、近く電源開発になってダムができる予定になっておりますが、ダムの建設も最終的になっておると承っておりますが、いずれにしましても路線の選定についてはいろいろ検討しなければなりませんので、今電源開発の方からいろいろ資料をいただきまして、将来どうしたらいいかということを検討中でございます。
  69. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから大臣、新線建設審議会の委員に国会議員を入れることが私は一つ問題じゃないかと思うのです。これをもっと学者なりあるいは産業人なり、そういう角度の人で委員会の構成をするようなふうにかえる必要があるのではないかと思うのですが、そういうことはお考えになりませんか。
  70. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 新線建設委員会委員に国会議員を入れますことは、最初からやっておるのですね。それでずっと今も続いておりますので、お言葉の趣旨も、一つもわからぬということはないのでありますが、なかなか国会議員をはずして……これは与野党の大物の方ばかり出ていらっしゃいますので、私はむしろ新線建設委員会言葉をまことにつつしんで尊重していかなければならぬ立場におりますので、委員をかえていきますということは、なかなかこれはむずかしかろうと思いますが、お言葉の意味も十分私わかります。最近レールをはずしてバスの専用路線にするというような意見も出ておりますので、大所高所から私は勘案すべきものだと思っております。またそういうことをやっていただくために、国会の与野党の、そういう問題についての非常に高いところから考えていただけるはずの方々を委員にお願いしてあるはずなんでございまして、趣旨は私も十分わかりますので、ちょっとこの委員をかえるというようなことにつきましては、これは小酒井委員のお言葉もございますが、よほど慎重に研究してかからないとなりませんので、むずかしいと考えております。
  71. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから大臣にこういうことも一度頭の中に入れておいていただきたいのですが。  私が前に質問したときに、赤字新線をどんどん作っていく国鉄は、非常に経営は、一方では独立採算を押しつけられている。そういう中で国鉄の近代化だとか五カ年計画に非常に無理ができてくるのじゃないかという質問をした。そのときにはいやそういうことにはなりませんという答弁でしたから、それならけっこうだと思っておったのですね。ところが赤字がだんだんできてくるから今度は運賃を上げるという問題ができてくる。一方ではそういう仕事を国が押しつけてやらしておいて、そうして赤字ができたからといって国民の負担にその解決の道を求めよう、こういうことになっていくと、運輸行政として私は少し無賛任じゃないかと思うのです。そういう点について、私はやはり、たとえば私鉄の場合などでも、必要な鉄道に対する赤字は補助をする制度があるのですね、国として必要な所の赤字路線には。新線建設をやるなら、それに対するところの国としての補助なり助成の責任をもっていく、こういうことをやらないと、だんだんとしわ寄せされていく。ところが運賃に持っていかれたのではこれは大へんだと思うのです。そういうことをこのままやむを得ぬということでするするといくということは、少し無責任じゃないかと思うのですが、どうですか。
  72. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 小酒井委員の御質問の通りに私も考えております。国鉄という大きな世帯、これにどの程度公共性を持たして考えていくかという問題に最後はなると思うのです。まあ新線計画も新線建設の予算も年々六、七十億、せいぜいやりましても八十億程しかやれない。二千数百億の大きな世帯にわずかばかりの新線計画なり新線建設そのものには大したことはないのでありますが、それを経営すると赤字が出るということでありますから、それが非常に厄介な問題であるわけであります。一方そういう国民の、これは地方的な問題ではありますが、鉄道に対する地方民の要望というものは、小酒井委員も御承知通り非常に熱烈なものであります。三十年、四十年かかって運動を続けているという、その情も考えていかなければなりませんので、必ずもうかる所だけをやるならば、それは私鉄にやらしていいのであって、国有鉄道である以上もうからなくてもやらなければならぬという面も出てくる。一方独立採算制をとり、経済効果ということをやかましくまた要求される面もありますし、そういうものをあげて、運賃さえ上げればいいじゃないかという安易な方法もとるべきじゃない。そこで公共性、負担というものをどの程度考えなければならぬか。すぐ、三十六年度の国鉄の予算を組む上におきましても、この問題は突っかかってくる問題でありまして、私は就任早々でありますから、気持はそういう気持を持っておりますが、どの程度に調整するかということにつきましては、目下鋭意それぞれの角度から所管の部局に研究させているというような実情であります。私もお言葉通り安易にこういうものを運賃で解決するようなことは絶対さすべきじゃない。国鉄も赤字については自己の企業努力というものでやるべきだ。どうにも解決できないものは一般的のいわゆる一般会計からめんどうを見るとか、あるいは運賃の値上げもやむを得ぬというような結論を出していきたいということで、今十分研究させております。研究させておりますが、私はお説の通りそういうことにつきましては、あげて運賃で解決するというような安易なことをやってはこれは大へんなことになるというので、その点につきましては国鉄当局にもあるいはこれを監督する鉄道監督局の首脳部に対しても、厳重に警告を与えて掘り下げて研究さしておりますのが現在の実情でございます。
  73. 小酒井義男

    小酒井義男君 監督もけっこうですが、そういう無理を押しつける原因もやはり考えていかなければ、無理なことを押しつけておいて、そしてその解決方法に道がないように追い込んでいくところにも責任がありますから、大臣そういう点やはり考えなければ、監督だけでは私は解決つかんと思います。これは私の意見ですが、具体的には来年度の予算、新線の着手等の問題のときに私はもう少し大臣にいろいろお尋ねしたいと思いますが、きょうは時間が大へんおくれておりますからこの問題は一応この程度できょうはやめておきます。  それからもう一つ災害のことで簡単にお尋ねをしたいのですが、きのう資料をいただいた以外に、この前の台風で、ちょうど私たちが通ってきた越美南線が、ようやく昨年の災害の鉄橋が直ったところへまたその下流で鉄橋がやられておるのですね。ちょうどあちらへ帰っておったので私は災害の現地を見てきたんですが、美濃市から郡上八幡までというのは非常に道路が悪いのです。国道だそうですけれども、道路というより現在は道路とは言えぬですね。さんざん災害でやられておる。しかも道が狭くてバスの大型などは途中で行き違いができなくて、バックしていかなければならぬというようなこういう条件ですね。そこに鉄道が復旧がおくれるということになると、非常に交通上問題点が多いのです。聞くところによると、あそこの復旧、今はバスで途中連絡がとられておるようですが、鉄道の復旧が非常におくれるのではないかということが言われておるのです。そういうことですと、ああいう道路の事情等から考えて不測の事故が起こるような危険性が非常に多いわけですから、あれの復旧はやはりできるだけ早くやる必要があると思うのですが、そういう点について計画があれば一つ承っておきたい。
  74. 滝山養

    説明員(滝山養君) 今お話のございましたのは越美南線、特にひどかったのが木尾深戸という区間の十二キロでございます。この門の橋梁が二つやられております。あとは応急処置をいたしまして今開通しておるのであります。実はこの区間の復旧につきまして二つの考え方がございまして、とりあえず通すということをいたしますと十二月の末くらいまでには何とかなり得るということもございますが、ところが非常に不安定な状態でございまして、この間も昨年の応急復旧の線路がすぐ流失いたしまして、幸い本復旧のものが切りかえられたものですから役に立っておるわけでございますけれども、そういった関係でやはり丈夫なものにしようといたしますと、最初から本復旧にかからなければならぬ、そういうことになりますと、やはり来年の三月ごろまでかかるんじゃないか。それを今申し上げましたように応急を先にやりましてから、本復旧にかかりますと、相当手戻りがございますが、来年の夏までかかる。本復旧ができますまで非常に長い間不安定な状態が続きますので、こういったような再々災害か起こっておりますので、予算関係もございますけれども、安全の面から見てどちらがいいかと今しさいに検討しております。それから災害の例にかんがみまして、従来より線路の橋梁の高さを一メートルないし二メートル半てらい上げろという話も起きておりますし、また川幅を広げろということも話が出ております。そういった協議の問題もございますので、いろいろと現地と打ち合わせまして比較検討さしております。それにいたしましてもまだ水も出ており、災害のあとでございますので、十月ごろでないと着工はできないと思います。今言ったようなことについて検討中でございます。  なお不通で御迷惑をおかけしてはいけないということで、本日からバス連絡をして奥に飛び込みましたジーゼルを利用してお客には御迷惑をおかけしないように措置をとり、特に奥地に御母衣の電源開発がございますので、この輸送がおくれることによって御迷惑をかけてはいけないということで、ほかの線を経由するということで今いろいろ打ち合せをしております。
  75. 小酒井義男

    小酒井義男君 できるだけ早くあそこの復旧のできるようなことを御研究願いたい、ということだけお願いをして私の質問は終わります。
  76. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 大臣に時間がないから私は質問というより要望に重点を置いて申し上げたいのですが、その一点は十月下旬に解散ということであるが、九月十月、あなたの手によって来年度の運輸省予算の大綱が決定せられる、そこでまず第一番にお尋ねをし、またがんばっていただかなければならぬことで、まま予算のたびに問題になってくることは、道路の拡充強化をしていく、これは当然のことであります。日本の産業の根幹となるものは、道路の拡充強化であり、いわんや交通強化であることは申し上げるまでもありませんが、そういうことが問題になるし、それに関連をして道路を直すためにガソリン税の振り向けということがよく言われて従来やっております。そういうために、場合によってはガソリン税の引き上げをやって道路修理をやるといいのではないかということが言われておるのですが、これらは当然私は道路をよくするということは、国家のあらゆる産業の基軸となるべきものでありますからこれはやらなければならぬ。ガソリン税のみでやるというへんぱな考え方は改めなければならぬ、ガソリン税は大衆消費税に振りかえられております。これはむしろ減らしていくともふやすという考えをお持ちになっては困る、従ってこれらを十分がんばっていただきたい、これが一点。  それからもう一つは、特に東京都、大阪という大都市に関連をして、先ほどから言われる困難な交通状態の中にあって地下鉄事業をどんどん推進しておる。これが政府の起債等が思うようにいかないためにままおくれがちになっておる。大体十二月下旬になりますと来年度の起債をふやせという要求というか、お願いにどんどん運輸省、大蔵省、建設省に上がりますが、そうしたときにもう予算がきまってしまったんだということではらちがあかないのでありまして、運輸省はここらを十分がんばってこれの確保に御努力を願いたい。  もう一つ、私が申し上げたいことは、あなたの方でありますが、運輸省仕事は非常に広範多岐にわたっておる。どの部面にもここは人が余っているからこの人員をほかに回してやろうということは、私ども運輸省関係しておる間にはない。特に足りないのは、先ほど来問題になった自動車の、特に検査をする人であるとか、いわゆる陸運局あたりに使われておる人が非常に手不足で取り締まりもできない、検査もできないという状態に置かれておる。こういう点を十分考慮してもらいたい。あるいはどうも台風がくると、あとの台風の仕上げ補修ということになる、台風を未然に防ぐための一番大きな役割は運輸省の中の気象庁が持っておる。この気象庁——大倉君が先ほど触れたようですが、十分な設備のないことや、さらに人手が非常に不足しておる、こういう点を十分考慮せられて、一言で言うならば運輸予算の中で人員の増加を確保してもらわなければ、これはなかなか一般の諸君が言えない部面であるから、これは一つがんばっていただきたい。この三点について御意見を聞き、さらに実現のために御努力を願いたいと思います。
  77. 南好雄

    国務大臣南好雄君) ただいまの御質問になりました道路の財源にガソリン税をもってもっぱら充てる、これは私建設省の政務次官をやりました際に、私が立案してあの法律を衆参両院にお願いした、議員立法ではありましたが、実際は省で作ったわけであります。そのときからガソリン税の上げ分と、一般会計からの繰り入れ分をちゃんと明確にやかましく言っていたのです。そういう趣旨でたえずやって参つたのでありまするが、飛躍的に拡張する、大きくなるものでありますから、それに伴って、一般会計の繰入額がだんだん少なくなる。昨年のごときはそれがないというので、大へん私たちやかましく大蔵当局に交渉した事実があります。お言葉はごもっともで、あげてガソリン税の財源をもって道路拡張、あるいは道路をよくするということに向けて行くというようなことは、国家としても非常に考えなければならぬ問題でありますが、とかくガソリン税が非常に増加するものでありますから、道路も相当大幅の予算になりましても、それでもかつ十分ではないということが出てくるのがそこにあるのであります。しかし、相当大きな、大幅な道路拡張になるようでありますから、その問題も私の立場におきまして、運輸大臣の立場におきまして、十分考えて善処していきたいと考えております。  それから起債の問題は、これは私も、そういうふうに考えております。あながちこういうむちゃくちゃに切っていいのでもないのでありまして、できるだけ事業に支障のないように、既定計画の遂行に必要にしてかつ十分な起債だけはとりたいと、ただいま交渉しております。  第三番目の定員の問題は、事務当局から再々話を聞いております。御指摘通りの点もあります。また私自身としても考えておりますが、もう少し事務を簡捷にして御迷惑のかからないようにできる道はないものか。  定員は、なかなか行政管理庁との問題もありまして、こちらの思う通りにいかない問題も往々起こりますので、事務の簡捷をして、国民の皆さまに御迷惑をかけないように、最小限度の人員の増加をいたしていきたいというふうに考えております。
  78. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 私は、あなたが建設にいただけに、実は心配している。私も三年ほど建設にいたが、今や道路云々というような問題は、国家全体の問題として考えてやらなければならぬということで、あなたがあそこで名案をやられたことは、私も知っているものだから、運輸省に行ったからと言ってあなたは、すぐ変わるのはおかしいじゃないかということを言うと、非常にやりにくくなるので、今度は私は運輸委員会の立場から、がっちり処理してもらうように要望をしたわけですから、一つがんばってもらいたいと思います。その他の問題もなかなか、いろいろ研究ももちろんけっこうでありますが、研究している間に予算も済んでしまって、実行おくれになるということで、えらく失礼な言い分でありますが、研究はほどほどにして、実現の方向に向かってもらいたいということを要望して質問を終わります。   —————————————
  79. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、海運に関する件について松浦委員の質疑通告があります。この際、御発言を願います。
  80. 松浦清一

    ○松浦清一君 けさから委員会の運営が予想通りいきませんで、大へん長い時間をとりまして、委員の方に大へん恐縮ですけれども、できるだけ簡潔に御質問したいと思います。  今年の十二月一日から戦標船の検査基準を強化するという問題が起こりましてから、日本海運界にとって、少し大げさに物を言いますと戦後最大の事態に直面しておるといってもいいのではないかと思うのであります。運輸大臣就任されて、在来のような計画造船の積み重ね、これにも少し財政資金が多かったり少なかったりして、船を余計作ったりするということは、運輸省は大して努力をしないで済んだが、今度は戦標船をどうするかというような、大臣就任後一番最初に、海運問題の最も重大な問題に直面されている。私の質問は三十五年の八月に出された運輸省の三十六年度運輸省重要施策要綱、それから戦時標準船関係資料、これは役所の方から出されている施策の決定版という、そういうつもりで御質問申し上げますので、事前に御了承願いたいと思います。  戦標船の問題は、御説明を申し上げるまでもなく、戦争中にむしろ商権用に供される船という目的ではなくて、軍の作戦遂行のために軍の直接物資、人員を輸送することが必要なために政府の要請、指示に基づいてできたものであることは申し上げるまでもない。その船を作りますときに、すでにもういろいろの材料、あるいは規格等が、とにかく戦争中に間に合わせさえすればいい、こういうつもりで作ったので、戦後十五年たっている今日、これが使用に耐えなくなっているということは天下周知の事実なんです。むしろ今ごろ検査基準を強化するとか、解体をするとかいうことを考え出すことが時期が少しおそきに失するおそれがある。当然やらなければならぬ事態に直面していると思うのです。  そこで、いろいろ資料を総合してみますると、まだ隻数なりトン数なりという最終の数というものの把握ができていないようですが、この運輸省から出されている戦時標準船関係のこの資料によりますと、二百二十六隻、七十万トンという、そういう書き出しでありますから、そのつもりで御質問申し上げます。今までこの資料に載っておりまする運輸省の決定の線は、大体もう解体しなければいかぬだろうという大まかな考えから四千五百トン未満の船は、国内旅客船公団を改組して、そっちの方でやらせる、それから四千五百トン以上の船は、計画造船にリンクしてやる、そういう方向に決定されたということが資料にも出ておりまするし、新聞報道にも、そういうふうに出ておるわけです。  そこで問題になる第一点は、計画造船のリンクされると言われている八万トン——十六次、十七次にリンクさせようという八万トンの予算のワクが、どこにも出ていないわけです。要求のワクの中に出ていない。これは計画造船の予算要求として出ている二十五万トン建造の百五十六億円の財政資金というワクの中に含まれているのか、また計画造船について予算なり融資の要求をされてから、戦標船を解体して新造船を作る、そういう方針が立てられて、別にワクとして要求されるという御方針であるか、まず第一に、それを伺いたいと思います。事務的なことは皆書いてありますから、書いてあることは、海運局長にいわれなくても読んでわかっておりますから、大臣から所信を聞いて、実現性を知りたい。それを実現せしめるあなたの熱意と態度を大臣から御答弁願いたい。
  81. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 御質問の四千五百トンをこえる分につきましては、計画造船とリンクしていくことになっておりますから、そこに計上してあります予算の中でめんどうをみるつもりであります。
  82. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、この中に、三十六年度の予算要求の数字が、各項目別に出ておりますけれども、国内旅客船公団を改組して四千五百トン以下の船を作らせるために政府が八億円出資をしなければならない、財政融資の四十億もしなければならない、こういうことを書いてある。ところが、外航船舶の整備についての予算の項目には二十五万トン、百五十六億円の財政融資、こういうことだけ書かれて、その内容としては戦標船の問題には触れていないわけですが、その点のところは、どういう経緯を通って、どういうふうに運輸省として決定されておるのか、それを一つ伺いたい。
  83. 南好雄

    国務大臣南好雄君) それは大体四千五百トンぐらいのものは、一部は外航にも使えますが、これは主として内航船である。まあ内、外航船ということで分けておったわけであります。内航船のうちには今一番問題になっているのは戦標船です。それで別に書いた。外航船舶については、四千五百トンをこえるものは、これを内航船に使わないこともないわけでありますが、主として外航船に使う。そうすると、外航船一般のものと一緒にやってもいいじゃないかというので、戦標船全体として別系統の予算の立て方をせずに、外航船については、一般と同じような形で百十六億を予算計上をした。それだけの数字の中に戦標船を含めて外航船対策として考えた。  それから四千五百トンまでのものは、一部は外航にも使えますが、主としてどちらかというと内航が主である、そういうものについては、特別に問題がそこに多いのでありまするので、戦標船の問題として別の形をとる、こういうのがいきさつであります。
  84. 松浦清一

    ○松浦清一君 四千五百トン末満の船を旅客船公団を改組してやる、こういうことですが、今までの国内旅客船公団のは、まことにいい実績をあげておりますね。ことしあたり五十隻五千トンぐらい作って、しかもそれが非常によくやっている。これは運輸省海運政策としては一番成功の最たるものじゃないかと思うのです。ところが国内旅客船の方は七・三の割合になっていますね。その三の方の、つまりわかりやすくいえば頭金のうちの一八%は損保が貸し付けるということの条約が簡単にできまして、そうして一割二分だけ船主は金を作れば船が作れる、そういう好条件にある。ところが戦標船の方は、そうは参らぬわけです。戦標船の方は、たとえばA型の七千トンの船を作るということにして概算七億円見当と踏んでも、これは概算ですから的確な数字ではありませんけれども、三割というと、二億一千万円船主が金を作らなければ、船をつぶして新しい船を作ることはできない。スクラップするということになれば、これはくず鉄値段ですから、なんぼに売れるか知りませんけれども、これも概算一万円ぐらいに売れたとしたところで七千万円ぐらいしかないのだ。一億五千万円ないし二億円の金を作らなければ、今の住宅金融公地の——土地を持っても頭金を持たなければ家が建たぬと同じように——できぬことになる。それに対する金融あっせんの措置は、どのように考えておられますか。
  85. 朝田静夫

    説明員(朝田静夫君) ただいまの三割の船主の持ち分の資金調達の問題でございますが、お説の通りに、国内旅客船公団の場合におきましては、三割のうちの一部は損保が持つということになっておりますけれども、これは制度を作ります際に、そういった約束がなかったわけであります。できましてあとで保険をつけるという場合にも、いろいろな話し合いがありまして、そうしてそういう話し合いができたというようないきさつもございます。当初そういったものが確保されて、ああいう制度ができたわけではないのであります。従いまして制度論としては、そういったことが運用の問題にまかされて、当委員会の審査の場合でも、そういうことはあり得るという御説明をした記憶をいたしておるわけであります。今度も非常に中小企業が大半を占めておりますので、しかもその簿価なり債務というものが千差万別の状態であることは事実であります。従いましてそれに対しまして金融機関が債務をどういうふうに処理するか、あるいはそういう資金調達ができない場合に、二社なり三社なりが合同して一ぱいの船を作るというようなこともあり得ると思うのであります。この結果については、なかなか個々の事態を予測することが非常に困難であるというほど複雑な関係にあることは御承知通りであります。従いましてそういう際に、大体一般的に考えられますことは、スクラップした代金は、今御指摘通り六千万円ないし七千万円、そういった船型でありますというと入る。それを二億一千万円のうちのまず三分の一といったようなものがもとになって、金融機関が長い間に債権を回収していくかどうかという問題になってくると思うのであります。  そこで一律にこういうモラトリアム、保険とか、制度的にこうしろというようなことが、なかなか金融機関の資金調達の場においてはむずかしいものがありますが、まあむずかしいからといって放置するわけにもいきませんので、私どもは全銀協と話し合いを詰めて参りたいと、こういうふうに考えるわけであります。
  86. 松浦清一

    ○松浦清一君 この運輸省資料によりますと、私は先ほど七千トンの船はスクラップにして七千万円は概算に入るだろうという、そういう尋ね方をしたのですけれども、これはちょっとピントがはずれておりますね。運輸省が八月十八日現在調べている二百六隻についてのその現況における償却不足の累計が六億一千万円であり、それから借入残高が百三十億円、借金が百三十億円あって、未償却は別として、借金の百三十億は、スクラップにして売るということになれば、これはとられますね。新しい代替船建造の費用には使えないですね、実際問題として。債務取り立ての順位からいくと、船を売ればやはり銀行がとるでしょう、それは。どういうふうなものですか。
  87. 朝田静夫

    説明員(朝田静夫君) その点につきまして、先ほど説明いたしましたように、ここで借入残高が、今御指摘通り、二百六隻で百三十億四千九百万円あるわけであります。簿価が百三十四億七千四百万円でありますが、帳簿残高に対して、これだけの借金を金融機関から背負っておるという数字になっておるわけでありまして、そういたしますと、解撤をしてスクラップの代金が入ってきても、それは借金の一部の返済に充てられてとられてしまうという問題を今御指摘になっておると思うのでありますが、そこは市中金融機関と各企業別の側々の問題であるということを申し上げておるわけであります。  そういうことになりますと、企業によっては営業手段がなくなりますし、もちろん船員の失業問題が起こって参りますが、そういう際に、今まで貸してある借金が全部回収不能になるということになっていいのかどうかという金融機関の判断であります。それよりも一ぱいここに新しい船ができるので、その船のかせぎに期待して、長い間に過去の借金をロングランに回収していくかどうか、またその償還の見込みがあるかどうかということは、各企業の個別的な判断の問題である、こういうことを申し上げたつもりであります。
  88. 松浦清一

    ○松浦清一君 だから、そういう担保力があるとか、営業の成績などが金融機関から信用される程度の人は、これは心配ないでしょう。ところが御存じの通りの営業船を持っておる九十社ですか、それから特に戦標船だけしか持っておらない十四社のごときは、何の担保物件も、何の営業上の信用力も持たないわけです。それに対しての金融あっせんというものが、船をつぶして新しい船ができるかできんかの境目になるわけであります。それについての相当政治力を発揮されないと、単に銀行の窓口に行って、何とかしてやってくれくらいのことでは、銀行というものは金を貸しませんから、実際は十二月から始まる検査に合格しないし、適格船でないという焼き印を押されて解撤しなければならぬ、しかし次の船が作れない、こういう現実に直面をしなければならぬ船主が非常にたくさん出てくるのじゃないかと、こう思うのです。  それを事務的に海運局長考えちゃおられるだろうけれども、多分に政治性を帯びておる問題なので、大蔵大臣とも話しをせんと解決つかぬ問題ですが、運輸大臣、どうでしよう、そういうこと。
  89. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 先般戦標船の問題につきましては、外航船の問題と一緒に水田君と相当突っ込んで話しをしているのであります。ただ大蔵省は、政府の全般の施策を見てからでないと、この問題についての考え方というものは、はっきりできないというようなことで、まだ大蔵省から公式の回答は得ておりませんけれども、お言葉のように、私も同様に、そう考えております。かなり突っ込んで水田君とは話し合いをしております。おりますけれども、まだ確定した段階には至っておりません。
  90. 松浦清一

    ○松浦清一君 大臣の言われること、わからぬことはないんですけれども、閣僚の一員として国家全体の財政の問題から判断をしていかなければならんでしょうけれども、そういうことで静々とやっていると、いつでもやられてしまうんですよ、海運というやつは。今まで、この前の楢橋さんにも私言ったことがあるんですけれども、あなたはそうでないけれども、運輸大臣というものは、伴食大臣みたいなもので、予算を取るのは一番不得手だ、党内の実力関係からいっても、閣僚の席次の上からいっても、というふうに言われるほど、運輸相は予算の取り方が下手だ、今まで、それだから、横車を押せということを私は要請しませんけれども、相当強力に日本の今政府で立てておる所得倍増の問題だとか、いろいろの計画の問題に対応して、輸送というものは、これは海運ばかりじゃなく、国鉄もずいぶん滞貨があるから、だいぶ問題でしょうが、とにかく船はつぶすという、こういう問題に直面してきたんだから、相当腹をくくって、相当ねばり強く、相当心臓強く、これはやられぬと、置き去りにされるおそれが多分にあるということを私は非常に心配しておるわけです。六日にあなた神戸に行かれるそうですから、顔を見たときは、船主はそうがんがんは言いませんけれども、今神戸あたりは、中小船主はけんけんごうごうたるものです。全学連に頼んでこよう、あの全学連は一番勇敢だから、あの辺一つ頼んでやらにゃしようがないという、事ほどさように今混乱をしています。もう言葉上手に大臣の前では表現はようしないかもしれませんけれども、腹のうちは煮え繰り返るほどで、だからもうかるか、もうからぬかという話の前に、今船主は食えるか食えぬかという、そういう境目にきておるわけです。だから私は公団改組は、これはけっこうだと思うんです。国内旅客船公団に抱き合わせることけっこうだと思います。改組の内容については同意見です、それはけっこうだと思う。  ところが七——三の三割の方の頭金の金融措置についての強力な政治施策がありませんと、船は使えないし、あとの船は作れぬというような、そういうようなことに直面するおそれがあるということを私は非常に憂慮しているんです。それどうですか、一つ真剣にやってもらいたいと思うんです。これは言葉荒く言えば、もしそれができなかったら、あなたどうするんだ、海運関係大臣として資格ないぞということぐらい書いたいのだが、そういうことは言いませんけれども……。
  91. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 松浦さんのお言葉は、心も気持も私十分くみ取っておるつもりであります。何にしても相手のある仕事なものですから、今の私の立場では、もっぱら低姿勢でお答えするよりほかありません。これはお考えの分れるところだろうと思いますけれども、私は相手のあることですから、できもせぬ先から、あまりえらそうなことを申し上げるのもどうかと思いますので、もっぱら低姿勢に出ておるわけです。  しかし戦標船の問題は、お言葉のような問題は、十分私はこの問題を考えるときに掘り下げて一応結論を得て、そうして大蔵当局に当たっているようはわけなんです。確かにその三割の問題は、私も痛いだろうと思うし、そのペースに乗らないという問題も起こることは万々あるだろうと考えております。  しかし幸い国内旅客船公団……損保が一割七分ですか、持つようになったことが、あとでできたという話も聞くんですが、金融機関があくまでこれに反対しておっても、そのくらいの形勢になってしまうと、債権の確保ができない。私は、話のやり方によって、長期に確かに取っていけるという見通しがつけば乗ってくるものだと思うのであります。一方、船が停船になったりして、かせぎの道を失ってしまえば、債権を幾ら持っておりましても、これは浮動債権で取り立てのできないのであります。それを政府も努力する、あなた方も政府の施策に協力せいということで、私は相当話が進めていけるもりだ。いずれそういう場合には、私も乗り出すつもりでおりますけれども、その前に、戦標船というものをことしから二年間で二十万トン、四千五百トン未満のものは、こういう組織で真剣に取っ組んでやるのだから、ということの予算をとらねばならない。そういうことの方がむしろ、私はどうしても、戦標船をことしあたりから解決にかからねば大問題になってくる。こと人命に関する問題でありますので、前々、先の大臣からも事務引き継ぎを受けておりましたので、真剣に考えた結果、ああいう案を出したわけであります。  目下、大蔵省と事務的な話でなくて、政治的に、総理の耳にも入れて、交渉しているというのが現在の状態でありますから、一つ御了承願いたいと思います。
  92. 松浦清一

    ○松浦清一君 だから、この四千五百トン未満とか以上とかでなくて、全体に通ずる問題ですが、その基礎財源たる財政資金を確保するというようなことが第一の条件ですね、国の予算の中で。  それからもう一つは、先ほどから繰り返しているように、あとの頭金の金融が、大手筋とか、今まで評価造船でやってきた船と同じような形では金を貸してくれないだろうと思うのです。そこに特別に政府が何か裏づけをしてやるとか、国のつまり信用を貸してやらなければ、自力で金を作って、頭金を作って船を作るというようなことは、ほとんどができないんじゃないか。内々何にもないんだと言っても、少しくらいは出てくるかもしらぬけれども、絶対に自力で三割の頭金を作るというようなことはできないと思う、私の考えでは。  それからもう一つ、旅客船公団を改組するというのですが、その改組する構想を一つ聞かしてくれませんか。どういうように改組するのか。ただ上に乗っけるだけなんですか、この予算を、人間だけ上に乗っけるだけなんですか。機構上の運営の内容をちょっと聞かして下さい。
  93. 朝田静夫

    説明員(朝田静夫君) ただいまの旅客船公団は、御承知のように国内旅客船で民生安定に必要なもの、しかも資金調達困難なものに限っているわけであります。  そこで、こういうものを取り入れてやりまして、ひとしく中小企業対策の一環として旅客船公団を活用する場合に、機構をどうするかということは、今詳細に検討中でございますけれども、私ども予算の概算要求でとりあえずきめましたことは、ここに政府出資の八億というものを要求いたしているわけでございます。その中で五億円というものは、資金運用部資金のコストが御承知通り六分五厘で、貸し倒れ準備金の予備的なものを使用料の中に入れますというと、船主負担が七分になっているのが現状であります。従って六分五厘で船主負担をとどめようとするならば、五厘のやはりコストのかからない一般会計からの出資が必要であるということで、五億を入れているわけであります。  あとの三億というものが、今言われました機構の強化、あるいは事務の増大に対応する一般管理事務員——二億に対する六分五厘で回しただけの千九百五十万円が、業務拡大に伴いますところの一般管理事務費ということにいたしておるのであります。庁費あるいは通信費その他の業務費あるいは人員増というようなことを、一応の試算をいたしまして、三億の利子の分で一般管理事務費をまかなう、こういう考えでおります。ただ、理事を何名ふやすとかいうようなことのこまかいものは、なお作業中でありますから、ただいまのワクは、その程度のものがなければ、業務拡大に伴うところの一般管理費というものはまかなっていけないというようなことで、概算要求をしたわけであります。
  94. 松浦清一

    ○松浦清一君 その利子を何ぼにするとか、人間を何ぼにするとかいうことはどっちでもいい。公団の中に客船と貨物船と、世帯が一緒になって、旅客船の方は、先ほど申し上げたように非常にうまくいっている。滞りなく利子も払え、滞りなく元金も払えているわけである。そういうことを予想しては悪いけれども、今の海運市況からいって、今、問題になっている昔の船舶公団の共有船と同じような運命をたどらぬと保証ができない。利子ちょっと待ってくれとか、元金がちょっと払いにくいとか、そういうような状況に達してくると、それが今うまくやっている国内旅客船の方の運営経理内容とごちゃごちゃになってしまって、せっかく、うまくこじんまりとやっているところに荒くれ男が飛び込んでいったようなことになるおそれがある。  だから、私の希望を先に述べますけれども、それは経理とか運営の内容を、頭は、総裁は一つでいいですから、全然別個の機構にする必要があるのではないかと、こう思うのです。それはどうです。
  95. 朝田静夫

    説明員(朝田静夫君) 別個の経理にするということについては、私ども考えておるわけであります。  ただ、そういったものを特別会計的に別にするかどうかという技術的な問題はさておいて、精神としては別個に扱っていくというふうに考えております。そうしなければ、旅客船の計画並びに新造というものも、五カ年計画に即応したものが確保できない、こういうふうに考えておりますので、そういう趣旨でもってやって参りたいと、こう考えております。
  96. 松浦清一

    ○松浦清一君 それは趣旨ではなしに、絶対に私はそうしなければ——ほんとうを言えば別の公団を作ってほしいくらいだ。ところが、今政府の方針としては、公団を少なくするという方針だから、それに逆行するようなことは、政治家としてはまずいので言いませんけれども、別に作るべきはずであるが、それはいかんので、一つのものであるけれども、内容的には別の運営と別の経理である、こういう考え方で改組を絶対してもらいたい。そうしなければ、指摘しておきますけれども、中で非常な混乱が起こりますよ。これはもうあなたも、いろいろな方面から事情を開いておられるだろうけれども、私も、いろいろな方面から事情を聞いている。そうして聞いた事情の中で、とるべきはとって、話にならない話は聞かないふりをしている。だからいろいろな海運界全体に流れているところの空気というものは、政府のやり方がどうだ、こうだということでなしに、公団を改組して一緒にやるということにできないことはないのだから、こうしてもらえば一番いいのだ。これはもう決定的な意見である。それを一つ大臣もよくお耳に入れていただいて改組をしていただきたい。  それから、これは予想のことを申し上げて、はなはだ恐縮ですけれども、十万トンの八万トン、十万トンの八万トン、三十六万トンですね、今の計画は七十万トンの中で三十六万トンを三年間にやる。あと残りの三十四万トンはどうなります。
  97. 朝田静夫

    説明員(朝田静夫君) その資料で御説明をいたしますが、少し数字が後ほどの調査によって変わって参りましたのですが、便宜上、今の御指摘になりました数字をもとにして申しますと、六十八万トンのうちで、継続使用するという意思を表明しておるのが二十四万トン、これは補修費が相当かかっても続けて使っていくわけであります。中には、船の簿価の下がっておるものもございますし、主機換装をして簿価は高いけれども、どうしても使っていかざるを得ないというものもあります。  従って、そういうものを私どもの方は、実態調査をやりまして、各関係船主からアンケートをとったわけであります。その意思をはっきりと継続使用でいくというふうに出て参りましたのが、今申し上げましたように三十四万トン、従って、六十八万トンから二十四万トンを引きました四十四万トンというのが、解撤の対象になるトン数でございます。十六次船で、ことしじゅうに実施をいたしますところの、開発銀行資金によりますところのいわゆる新造船は、大体スクラップ・アンド・ビルドをリンクいたしまして、八万トンばかりを期待しておるわけであります。  そこで、まあそれを差し引いたものが三十六万トン、こういうことになるわけでございます。
  98. 松浦清一

    ○松浦清一君 継続使用を希望している三十万トンですね、現況においては。船舶局長に尋ねたいのですが、この間指示された検査基準によって大丈夫ですか。  それは大丈夫なようなつもりで補修もする。その大丈夫だという検査をやられるんでしょうけれども、弥彦丸でも検査が通ったのですからね。それは私の浅い昔の船乗りのちょっとした経験からいいましても、そんなにすみからすみまで検査ができるものじゃないと思うのですよ。どだい全体が狂ってるんですからね。びようの一つ一つまで調べられるかどうかと、こういうことは非常に私は難点があるのじゃないかと思うのだが、継続使用の申し出のある部分については、全部それを受け入れて、そして、あなたの方で検査をされて、目の届かぬところもあったかもしらぬけれども、目の届いたところだけは大丈夫であったと、こういうことで継続使用をさせると、こういう方針ですか。
  99. 水品政雄

    説明員(水品政雄君) 非常にむずかしい御質問でございますが、この船の経緯から申しますと、昭和二十五年に外航船舶としての強度を持たせるための補強を御承知のようにやらせたわけでございます。そのときは、外航船舶としての国際的な強度の水準——大体水準に近づけるだけの強度を持たせるわけでありますから、もし普通船であったといたしますれば、まだそれから十年しか経ておりません。それからその前を考えましても、十七年でございますから、今日、こういう非常な大きな問題を起こすような結果にはならなかったと思います。  しからば、今度どういう補強をさすかと申しますと、今度も大体十七、八年くらいの平時船に近い計算上の強度に近づけようと、実は全く同じくはできませんが、大体近つけよう——計算上は国際条約その他の関係で、大体その水準に到達さすことができ、また、その面からみますと、普通船が、使えるような状況まで使えるはずでございますが、御指摘のように、薄板が部分的に非常にたくさんございまして、そういう部分までも、平時船と同じように見ることはできませんので、従って、平時船が普通二十五年くらいまで使えるというような場合は、相当割引してこれを考えなければならぬと思います。しかし、いつまで使えるかという問題は、今後のメインテナンスと非常に関係があり、あるいは積荷、使用法等の関係もございますので、私どもの方といたしましては、これは今後何年使えるかという質問をよく受けるのでございますけれども、それは的確に幾らということは申し上げられない現状でございます。
  100. 松浦清一

    ○松浦清一君 運輸省の方からの資料に出ておる、ほかの資料にもありますけれども、冒頭に、この船は「設計、材料および工作の点で平時の規定に合格しない戦時規格によっており、例えば材料寸法については建造当時において船令二十五年程度の平時船に相当するものであった。」——作ったときに平時船の二十五年の船齢を持った脆弱な船である。これは、普通の平時船でも二十五年もたてばおんぼろ船になる。それから十五年たっておるのですから、年月のたったあれからいえば、四十年もたっておる。四十年の貨物船というものはあまり今ないでしょう、日本で使っておる船で。四十年も使っておるやつ、これはもう絶対に安全が保障できぬ。大しけにあったり、大波を食らったりするという、そういう非常事態に直面すれば、船だって沈みもするし、こわれもするだろうけれども、普通の状態において絶対に安全が保障されるという自信がありますか。
  101. 水品政雄

    説明員(水品政雄君) 先ほど申しましたが、全体強度的な面は、今度の指令で大体国際的に、そのくらいな強度があれば無事に航海できると認められているものになすことができる。しかし、局部的な問題につきましては、相当今後も普通船と違った精密な検査を続けていきませんと、やはり依然としてクラックの問題等が起こるのじゃないかということを考えますので、先般も総さび打ちをやって検査をやるようにという指令を今年二月に出しておりますが、そのことは今後も続けていかなければならぬと思います。
  102. 松浦清一

    ○松浦清一君 そういうことを、あなたに追及をしていくのは無理かもしらぬけれども、帳面づら——そう言っちゃいかぬかもしらぬが、とにかく、船をすみからすみまで見るということは不可能だと思うのです。今の検査官の人的な関係、海事協会の関係、総力をあげて戦標船の検査をやってみても、なかなかそう簡単にはいくまいと思う。これは一つの懸案として、この委員会では残しておきましょう。私は、二十四万トン継続使用の問題が、そのままうのみにして面したらいいのだ、あなたの方できめた検査規格に合えばいいのだ、こういう安易な気持でこれを運用するということは、非常に危険が伴う。こういう心配が私に残っておる。あなた自身もあるだろうと思う。これは一つ懸案として残しておきましょう。  それからもう一つ海連局長に伺いますが、たとえば三千五百トンの船二はいつぶして七千トンの船を作りたい、こういった場合——というものができてきた場合、それから、七千トンの船をつぶして三千五百トンの船を二はい作りたい、いろいろ予算を、これからの折衝関係で、公団の方でやった方が工合がいい、こういう事態も起こり得る事態なんです、予想として。だから、七千トンの船を作るのは、ちょっとめんどうだ、資金関係で。三千五百トンの公団にはめ込んでしまえば、比較的工合がいいということになっても、それはよろしいわけですね、一トン対一トンの場合。
  103. 朝田静夫

    説明員(朝田静夫君) そういった実施の細目を今検討中でございまして、一トン対一トンということを前提にして言われると、そういう問題が出てくるわけであります。  ところが、先ほど申し上げましたように、未定という船主が相当あるわけであります。継続使用、未定、スクラップにしますという三つのカテゴリーがあるわけであります。これが相当また動いて参りますので、一トン対一トンというものがいいのか、あるいは、一トン対一・五トンあるいは一・三トンがいいかということを検討しておりますので、そういうことが最終的にきまりますと、これまた公団の方へいっていいか、あるいは四千五百総トンの方へいっていいのかということに対応してきまってくるということで、船主の方の態度が、もうほとんど最終的にきまるというところを押えなければ、そういう見込みはなかなかつかない問題がある。  大体大幅に二トン対一トンというようなことは起こりませんけれども、その辺船型できめるか、あるいはトン数できめるか、今言われたことで、七千トンの船をつぶして三千五百トンの船二はい作るということは、もうトン数の関係、あるいは何トンから何トンまでの船型のものを二隻つぶして一隻何トン型の船を作る、こういうことになりますというと、今十五次船で採用いたしておりますような、船型に応じて処理をしますというと、トン数と関係なく、ほとんど船型のトン数できまってくるというような問題が出て参りますので、その辺は、にらみ合って今最終的にきめるなかなか微妙な関係にありますので、今ここでフアイナルな結論はできない、こういうことでございます。
  104. 松浦清一

    ○松浦清一君 海運局長、僕をごまかしたってだめですよ。それは四十四万トン、もうすべて解体しなければならぬというふうに、さっきおっしゃった通りでしよう。これが多少の増減があっても、今計画されておる二年間の三十六万トンを割るということはしないと思うのですよ。あなたの見通しが正しいか、僕の見通しが正しいかわかりませんけれども、継続使用が許されるなら、もっと作ってみたいというのもまたふえるかもしれませんね、少々修繕代が高くなっても。——それはわからぬですよ。これ絶対、予算とってもらいたいけれども予算が非常に少なくなってきて、そうして困ったと、こういうことになってきたら、応急の措置として検査基準に合うような修理をして、もう少し継続使用をしたい。三十六万トンないし四十万トンの船が、予算措置によって大体建造ができる、こういうことが確定した後なら、これは別だけれども、まだこれはわからぬ。  しかし今、役所としてきめておかなければならぬことは、そういうことがあった場合にどうするかということ、これは旅客船公団の方へ下りてこようとするものできるかわりに、そんなに小さな船はだめだから、八百トンの船十ぱい一諸にまとめて、そうして八千トンの船を一ぱい作りたい——計画造船にリンクしてですね。そういうものが出てくるかわからぬですよ。これはそういう方針というものを役所の方で早く考えをきめておかないと、ますます要らざる混乱を招くおそれがあるということを私は心配する。それをもたもたやっておっては方針をきめかねるでしょう。  だから船主の方の考え方がまとまってきてから運輸省の腹をきめるということでなくて、この方針でいくのだという方針を先に役所の方がきめれば、その方針に合うように、あとはもう予算をしっかり頼むということになるわけだ。だから今の段階では、とにかく予算の方をしっかり頼むと、こういう態勢に船の方をおくことが必要じゃないかと、こう私は思います。そのためには運輸省が早く腹をきめる心要がある、こういうふうに思います。
  105. 朝田静夫

    説明員(朝田静夫君) ごもっともな御意見で、私どもも非常に複雑な関係になりますので、船主の意向をあまり問題にしないで、こういう方針でいくのだということを先に打ち出せば、それも一つの解決方法だと思いますが、船主の方々の動向を見て、最大公約数を見て、大体の政府の方針もきめていかなければならない、これは相関関係になるわけであります。  そういった面をにらみ合わせて至急にお説の通り方針を確定したいと、こう思っております。
  106. 松浦清一

    ○松浦清一君 それから予算要求の方で旅客船公団の方の、あの分の方はうまくいったけれども、あとのその計画造船の財政資金の方は、うまく要求通りいかなかったという場合もある、逆の場合もあり得るわけですね。  それだから、それが公団の中に入ってこようと、計画造船の中に入っていこうと、それは船主の自主性にまかせて、とにかく一対一だという方針だけでもはっきりと早急にきめられて、三千五百トン二はいが七千トンになろうが、七千トンを二つに割って三千五百トンになろうが、それは船主の海運経営上の見通しの上に立って、いい方を選ばせると、そのことは自由だという方針を今きめられませんか。大臣どうです。
  107. 南好雄

    国務大臣南好雄君) なかなかそれはむずかしい問題ですが、私もそういうような気で、最初海運局長とも話をしておったのであります。ところが、事情を聞いてみますと、そうもなかなか簡単に割り切れないものがある。  と申しますのは、予算がどういうふうに変わるかわからぬものですから、予算の組み工合で交渉の経過の後にきめていきたい、こういうふうに今のところは考えております。
  108. 松浦清一

    ○松浦清一君 予算要求をするからには、その内容の説明が絶対に必要でしょう。とれるかとれぬかわからぬと、とれれば、こういうことをやるという具体的な内容的な考え方というものがきまらなければ、予算折衝は弱くなりやしませんか。これだけ出して参りますけれども一つ都合のいいだけお願いすると、もらってみてから思案をして、どうしようと、こういうことでなしに——これは私は与党になったことがないからわからぬけれども予算折衝技術としては、もっと具体的な確定的な方針をきめて、そしてこれを実施するためには、これだけ金が要るのだと、こういうことで折衝をしないというと弱いのじゃないですかね。
  109. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 私も、予算をいろいろ要求してきた関係から、おっしゃることについてはそう思います。内容が不確定なものが予算要求の際には、一番不利な立場に立つことはよく存じております。  ただ、この海運の問題につきましては、今のところは、概算要求をやっている程度です。そしてその概算要求の進行の程度に応じて内容がだんだんきまっていくというのが、大体予算折衝の方法なんであります。今一対一でやるか、一・五でやるか、こういうことは松浦さん、今すぐきめることは、私は少し早過ぎるような気がするのです。
  110. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、予算がくずれたら三十六万トンくずれるわけですか。そんなへっぴり腰ですか。
  111. 朝田静夫

    説明員(朝田静夫君) 問題は一トン対一トンというものを、この際ここではっきりきめたらどうかと、こういうところが問題点であろうかと思うのであります。そして公団にいこうが、開発銀行の、いわゆる従来からやっておりました計画造船にいこうが、それは船主の自由にしろと、こういう御提案であります。これは私は自由にするということは賛成であります。四千五百トン以上の船をスクラップ・アンド・ビルトの際に、建造する際においては、これは開発銀行にいく、その点は御異論はないと思うのでありまして、四千五百トンで切って、それ以下の船は公団、以上のものは開発銀行の融資ということについては、御職論はないと思うのでありますが、どっちへいこうかということは自由であるということについては、私どももそう考えておるわけであります。  ただ一トン対一トンに対するのがいいかどうかということは先ほど申し上げておりますように、非常にむずかしい問題であります。  それからまた、そういうふうに簡単に刷り切って方針をきめれば、すらすらいくかというと、もう少し先のことも船主のために考えなければならぬ必要な問題があるわけであります。自由だから開発銀行の方へいけばいいんだというけれども、従来から開発銀行と取引関係が全然なかったものが、八百トンの船を十ぱいつぶして八千トン、こういったところで、従来開発銀行と取引関係のなかったものが、とたんに入ってきて、それで一体金融機関の判断でどう考えるかという問題についても、開発銀行その他の金融機関とも相談をしてみなければならぬ、こういうことで、今直ちにここで一トン対一トンの方針を最終的にきめるということはむずかしいということを申し上げたのであります。で、なお、今後とも金融機関あるいは企業家の動向もよく最終的に調査いたしまして、大体の方針はきまっておりますが、そういう実施細目については万全を期して参りたい、こういうふうに考えております。
  112. 松浦清一

    ○松浦清一君 船舶局の方では、これだけの規格に沿わなければ通らない。その規格の基準をぴちっときめたのですね。十二月一日以降の検査日になって通らなければそれは使えないわけでしょう。そうすると、船舶局関係の方では、もうここから先はいけないのだということがきちっときまっているわけです。海運局の方では、ここから先はいかぬのだときまっておることを受けて立たなければならぬわけですね。厳重にぱっとやる方だけはきちっときめておいて、あとをどうするかという、受けて立つ方が、言うならばもう十二月過ぎからあやふやなわけでしょう。それじゃ困るんじゃないですか。それじゃちょっと不安定ですね。これはそう言われたって、今のところどうもしょうがないとあなたは思っているんでしょうけれども、それをやっぱり早くほんとうにきめないと困るんですよ。それは民間にあなたも行くそうだからいって下さい。まあまあ大へんなことです。(笑声)  それから船の方で残っておるかもしらぬけれども、船員の関係ですね、これはどうするのです。七千名、八千名、とにかく常時それだけ失業するというわけじゃないけれども、船を解体して作るではとにかく休んでおらんならぬ。で、失業手当かなんかやろうとこういうことらしいが、とにかく船員の雇用関係に異常な事態が起こることは間違いない。非常に線密周到なあれがないといかぬと思うんです。どうなさる方針ですか。
  113. 土井智喜

    説明員(土井智喜君) お手元にお配りしてある資料にも、この戦標船二百二十六ぱい、七十万総トンに対しまして、乗組定員が七千六百二十五名となっております。で、さらに予備員を加えますというと八千余名、まあ約九千名に近い乗組員がこの戦標船に目下従事しておるわけでございます。従いまして、それの今後の見通しになりますというと、かりにこのスクラップ・アンド・ビルドでビルドされるということは、当然雇用の点から期待されなければならぬのでございまするが、そのビルドの間に時間的なズレがある。たとえ予算を取りましても、来年度に竣工いたしますから、その間、検査と竣工との間にどうしても時間的なズレがある。そこで直ちに船員の離職と申しますか、離職というと語弊がありますから、下船と申しますか、船員が下船をするという状態が起こるわけでございます。で、先ほど海運局長からも、大体解撤対象が四十四万総トンということでありますので、それに見合う船員というということになりますと約五千名というものになろうかと思います。で、その五千名のうち、もちろんリンクされ、あるいは将来そのビルドでもって救われる者があるとしましても、これは非常に大ざっぱな数字でありますが、ここの資料にも書いてございますように、約三千名というものはそこで非常に不安定な職場の対象になる。と申しますのは、先ほど松浦先生からも御指摘になりましたように、今までは外航の大型船に乗っておった者も、かりにビルドされましたものが四千五百万トン未満の内航になった場合においては、そこに船員の雇用の転換では、やはりすぐに一対一であるから乗り移れるというようなわけではない事態も起こり得るわけです。それから、はたして今までE型のような船に乗っておった者が、それがすぐに大型船に乗り得るかどうかということになりますと、エンジニア等の事情から見まして、そこに再教育をしなければならぬという事情が起こって参ります。そうでありますから、船員の対策ということは、やはりこれはもう今から事前に考えておかなければなりませんので、それについてまず第一に考えられますことは、ここにも書いてございますけれども、今までの戦標船は乗っておる者が、すぐにそれじゃ新しい船に配置ができるかどうかというと、たとえばエンジニア等においては、再教育をする必要もあろうかと思います。で、そういう場合においては、かりに船員学院等で養成をしなければならぬ。それからもう一つは失業期間の問題でありますが、御承知のように、ただいまは六カ月間は失業保険金というものが支払われているわけなんです。ところが、先ほど私申し上げましたように、もし検査に不合格で、解撤がきまるということになりますと、それが職場を得るまでには、六カ月ではとても新しい職場に行けない。新しい船ができるまでの間には六カ月以上の期間が見込まれざるを得ない。そういうことになりますというと、現在の失業保険金では六カ月間の給与期間をきめておりますけれども、それについてもこの際何らかの措置を一方で政府として考えざるを得ないのではなかろうか、そういう点が第二でございます。  それから第三には、かりにそういうようなことで、一応船腹としてはビルドでもって救うとしましても、先ほど松浦先生が御指摘になりましたように、個々の企業間の問題あるいはその船間の問題で、はたしてうまく配置がいくかどうかということになると、これは非常にデリケートな労働問題を生じますから、まあ数的な観点は別にしまして、たとえば職業紹介のやり方も、従来の職業紹介のやり方では不十分になりはしないか、何らかそこに職業紹介機関の強化というようなこと、場合によれば、今までのような狭い地域あるいは狭い業種だけの職業紹介という域を離れて、必要があれば海外へも送り出すとかいうようなことも考えざるを得ない。いわば職業紹介の広域化ということをこの際考えなければならぬのじゃないか。それにはやはり必要な資金的な措置も必要でありますし、また養成その他の措置も必要であろうと思って、目下予算要求を出しておる次第でございます。
  114. 松浦清一

    ○松浦清一君 大臣就任早々に、組合関係からの陳情を受けまして、船員の事情は御了承になっておると思いますけれども、とにかく七千人か八千人か知らないけれども、それだけたくさんな人間の中で、雇用契約がそのまま存続される人も中にはあるでしょう。ところが、失業手当で措置しようという五千人ですか、その人たちは会社との雇用関係が切れるわけだから、いるところがないわけです。帰郷する者も中にはあるでしょうけれども、そう帰郷もできないわけです。昨年も船員の福利厚生施設充実強化についても予算要求をしましたけれども、だめであった。今年も出しておりますが、出しておるというて、あなたの方が出しておるのだが、これは積極的に力を入れて確保するように——今までと違った特殊性が出てきておる。三国輸送も漸次増大しつつある。輸送量も隻数も増大しつつある。国内、国外ともに船員の寝泊まりできる施設を拡充強化する必要がある。政府だけで全部やってくれといわぬけれども、やはり見せ金をしないと、地方自治体なりその他の方も、なかなか先にやるということもできないので、これはやはり国策として作った船で、国の方針として船をつぶすのだから、岡がそのあとの始末を、やはり、全部とはいわないけれども、できるだけ多くの部分のめんどうを見る。こういう必要のために、今までよりも船員の厚生施設についての予算要求について現実性が加わってきましたからね。これは一つ力を入れてもらわなければならぬ。どうですか、何とか言って下さい。何とか決意のほどを聞いておかぬとね。
  115. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 先般も松浦先生役所においでになったときに申し上げた通りなんでありまして、戦標船の問題を解決するときには、相当数の失業のような、下船のようなことができると思います。そのときに考えておりますそれに関係する予算につきましては、これもちゃんと大蔵大臣には口頭ではありますが、話をしてあります。一貫して一つ研究してみるし、まじめに考えてみると言っておりました。私は一生懸命やるつもりでおります。やってみなければわからぬことでありますから、あまり大きなことを言いませんけれども、一生懸命やってみるつもりです。
  116. 松浦清一

    ○松浦清一君 それで結局二年間に三十六万トンの船をつぶして代替船を作ると、こういう方針を、政府の御方針を前提として、私は三つか四つの注文を出しましたね。その第一は、要求しておる予算全額をとるために、一つへっぴり腰でなしに、もっと科学的な具体性のある方針を立てて折衝してもらいたいということですね。それから、三割の頭金のできない船主が出てくるから、そういうものについて、特別金融措置を積極的に一つやってもらいたい。それから、船員の帰郷することもできないし、船主との雇用契約も切れた、そういう人たちの、さしあたり居住の場所もなくなってしまいますから、厚生施設については、在来以上格段の努力をしてもらいたい、こういうことですね。それから、予算要求の場合の具体的な科学的方針をきめるということは、一対一ならば、どういう形で作っても、それは船主の経営方針の内容、考えできめさせて、三千五百トンが一ぱいの七千トンになろうが、七千トンが二つに割った三千五百トン二隻になろうが、そういうことについては干渉しない方がよかろう。そういうことで、四つの注文をつけましたから、全体について大臣の積極的なすみやかな方針の確立と、予算要求についての折衝が具体化するように一つお願いしておきます。よろしいですね。頭を下げているからよいしいのでしょう。  それから在来問題になっている共有船の問題を簡単に伺いたいのですがね。これも何とか処理をせなければ、これは大蔵省とも折衝しなければだめでしょうが、何とか処理しなければいかぬと思うのですね。その処理方針を伺いたい。
  117. 朝田静夫

    説明員(朝田静夫君) 私どもの国家共有船舶に対する処理方針として大蔵省に申し出ておりますところの事項は四つあるわけです。まず第一に、すでに債権化されたものにつきまして、これはもう契約によって共有期間が満了いたしまして、すでに債権管理法によって債権化されて、大蔵省が債権を持っておるというものであります。これは船主経済の実情に応じまして、支払い期間を大幅に延長してもらうということが第一点、それから納付方法を、後年度になるに従って逓増をする、初めは低くしてもらいたい。それから第三番目は、現在の金利は、御承知通り大蔵省は八分でありますけれども、財政資金並みの六分五厘に下げてもらいたい。それから延滞料を日歩四銭とされておるわけでありますが、これは一般の債権管理法でも二銭四厘になっておるわけです。従いましてこの延滞料も一般並みの二銭四厘に引き下げるということが、すでに債権化されました五十六隻、十四万三千トンに対しての対策であります。  第二番目には、現在共有契約でまだ残っておりますもの、これは船主の今の内航海運の不振あるいはF型のように経済性がない、GHQに当時強制されてそういうような船ができ上がったといういきさつもありまするし、なおそういったものにつきましては、共有契約期間を五年間延長をする、それからたな上げ金利、今複利計算でやられておりますのを、それをやめてもらいたい。複利計算はやめてもらいたい。それから今後債権化するものにつきましては、これも船主のいろいろ経理内容の格差がございまして、債権化するというものにつきましては、共有契約当時とられておりました金利並みの五分五厘にする、延滞料を日歩二銭四厘にするということは、先ほど申し上げたこと同様であります。支払い期間、納付方法については大幅に延長をするということと、後年度に至って逓増するということも第一のすでに債権化されたものについての処理方針と同様にしてもらいたい。こういうようなことで、以上三つの対策でもどうしても償還見込みの立たないという船、先ほど申し上げましたような司令部当時の制約でできた船で、採算がとれないで、しかも償還見込みのないということが明らかでありますものにつきましては金利を免除して、償還期限を最長二十年にしてもらいたいという四つの要望事項を出して目下折衝中でございます。大蔵省の管財局とも事務的に再三折衝をいたしましたが、なかなかむずかしいという事態に立ち至っておりますので、昨日も大臣に申し上げたのでありますが、自民党の政調の交通部会、財政部会ともにそういう御意向もありますので、両大臣折衝に移す、それまでは現在苛斂誅求を加えておるといって、中小船主が非常に窮状に立っておりまする事態を、しばらくそういう手を伸ばしてもらいたい、ペンディングにしてもらいたい。こういうことで、昨日そういうようなことを衆議院でも運輸委員会で御質問がありまして、そういう方向でただいまは進んでおります。
  118. 松浦清一

    ○松浦清一君 これは大臣も御承知でしょうけれども、戦標船と非常に似た性格を持った船で、戦争で船がなくなってしまって、そうして何か船を作らなければいかぬというので、船舶公団ができた。そうして共有で作った船なんですよ。だから国家意識があるのです。それに延滞利子までとって、普通の利子でも払えぬのに、大蔵省がそろばん玉だけで勘定して、一つも政治性のないことをやって、そうしてだんだんと借金が大きくなっていく。船を動かさないと食えぬから動かしておるが、動かせば動かすほど、船を持ってなければ金が借りられないから、どこかから持ってきて金を借りてきては食いつなぐというのが実態なのです。自民党の政調会でも大体決定された模様ですから、話し合いはしやすくなったと思う。戦標船の問題もありますけれども、この方は早急に話ができるのじゃないかと思うのです。一つお願したいと思います。
  119. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 私も就任早々、共有の問題と戦標船の問題は非常にむずかしい問題だと率直に感じたのです。昨日衆議院においても同様の質問が関谷議員からありましたので、今海運局長から返事したような趣旨のことを私からも返事をして、水田君と交渉しようと思っております。ただ、水田君は、この前ちょっと話したのですけれども、よくわからないようでして、これは私が急に教わって言う程度のことで、向こうは受ける立場ですから当然だと思います。事務的に研究してみてくれと、どうしても解決しなければ困る問題だからという程度にして、一応引き上がってきたのであります。よく大蔵大臣はその事務当局の説明を聞いておらなかったようでありますから、今後引き続いて掘り下げて交渉してみたいと考えております。なるべく早くやらないと待ち切れないだろうと思うのです。交渉がおくれれば不合理な結果が積み重なるばかりでございますから、なるべく早い機会に一つやりたいと思って話を進めております。ただ、解決のつくまでは金をよこせということを待てということは、こういうことはすぐに話をしておかなければならぬ、こう思っておりますが、大臣同士の話し合いにしてくれ、事務当局の段階ではないという話も聞きますので、引き続いてやろうと思っております。
  120. 松浦清一

    ○松浦清一君 水田さんは船のことは知らぬと思うのです、失礼だが。共有船が今のような状態になっているということが、海運局長なども骨身に徹してわかっているのだから、あなた方の行動に対して差し出がましいことを言って恐縮だけれども、事前に海運局長などが行って、十分納得のいくように内容の説明を、事前工作を先になさったらいいのじゃないですか。あなたも御存じでしょうけれども、骨身に徹している人が先に話をしておく方がいいのじゃないか。これはほんとうにやらなければならぬから、そういうふうに、干渉するのじゃないが、意見を述べておきます。  それからもう一点だけ、あなたは、石炭専用船の問題ですね、今月の七日ごろまでに許可される方針らしいですね。
  121. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 海運関係は、私初めてなんでありますが、非常にむずかしい問題が多い。松浦さんはむずかしい問題をみな取り上げて御質問になったのでありますが、石炭専用船の問題は、日本の将来の海運界から考えてどうしてもあまり進まなかったものですから、あらゆる点を考慮して許可をせぬように持っていきたいと思って、いろいろ事務的にも研究させたのです。ところが法律の内容上どうしてもこれは拒否できないものであるということになってきましたから、年度途中におきまして、急にこの問題を解決するように、開銀の利子を引き下げる、あるいは、引き下げというか、たな上げにする、全然免除するというような方法も講ずるような意見が、なかなか大蔵大臣にありません。はっきり大蔵大臣も三十六年度から改めようというようなことを言って年度途中にこれを解決しようという意思が、もう二十日ほど前から、私いろいろの席で、閣議にも話をしました。経済閣僚懇談会においても話をしたのでありますが、年度途中にこれを解決するという見通しは現在のところありません。ありませんので、これをどうしても内外のいわゆる造船、日本人が船を持つ場合と外国人が日本の造船会社を使って船を持つ場合との金利の差が二分も三分もあるようでは、しいてこれを持てということも、日本の船会社が損をするというようなことも言いかねます。さりとて貿易の自由化の暁には相当思い切ったコスト・タウンをやらなければ、鉄鋼業それ自身もなかなかむずかしい問題にぶつかるというので、法律的に拒否する方法がないとすれば、やむを得ず、現在もうすぐ書類になって、私の判こをもらいにきているものにつきましては許さざるを得ないのじゃないかというので、閣議には報告し、了解を求めておきました。求めておきましたが、何としても将来日本海運界のために、非常に私はこれは考え方によってはマイナスになっていくのだろう、こういうふうに考えますので、至急内外の差、いわゆる輸銀で金融する場合と開銀で金融する場合との利子が違うような、そういうどちらかと申しますと、輸出奨励という意味から理屈は立てられぬこともありません。それでは、海運というものは、もうすでに貿易の自由化をやって、日本の港を離れれば外国の船と競争している。ある意味における貿易の自由化は海運ではもうすでに実行しているのですから、そういう状態ではとても私は太刀打ちができない。将来鉄鋼業というようなものがああいうような順当に発達して、四千五百万トンにもなればなるほど、その船も作りかね、そういうものまでやきもちをやかずに、十分に日本の作った船が動かす上においても差しつかえないという議論が成り立ちますから、もしそのあれがはずれるようなことになりますと、非常に日本の船会社に対する圧迫にもなるのでありますから、できるだけ早い機会において、これ以上そういう話を進めないようにということも、鉄鋼メーカーにも私厳重に申し渡しました。船会社等につきましても、もう少し真剣にこの問題を取り上げて、そうして造船会社に交渉するようにということを、わざわざきてもらって話もしているような現在なんであります。専用船の問題につきましては、ひとり石炭だけに私は限るべきものではなくて、将来こういうことで一ドル何十セントというようなコスト・ダウンというようなものが運賃フレートにてきるというようなことになりますと、メーカーに波及しましょうし、その他の場合におきましても、これはいろいろの専用船ということも、国際競争の上においては、日本の輸出産業の立場においてはやらなければならぬようなことにもなって参りますので、ひとり石炭専用船だけの問題ではないと私は思います。そういう意味合いにおいて、来年は何としても、年度中に解決が困難でありますならば、三十六年度はどうかしてこの問題だけはすっきりとした形に解決したいものだというので、大蔵大臣の顔見るたびにこの問題のすみやかなる決定あるいは概括的な回答というようなものを迫っているような状態なのであります。私は海運の中においても、これは、今までお話を申し上げた問題は、どちらかというと跡仕末の問題、この石炭専用船の問題は、建設的な日本海運界の致命的な大きな問題だと考えております。一生懸命に今やっている最中であります。一つそういうことで御了承願いたいと思います。
  122. 松浦清一

    ○松浦清一君 一生懸命やっておられるのはよろしいけれども、許可の方針をきめられたということは大へんなことだろうと思います。これは私が申し上げるまでもなく、同じ日本の政府機関の金融で、計画造船の方は、日本の船の方は開銀から六分の金を借りて、それから輸出船としては四分の利子を輸銀から借りる。それから輸出船として外国に注文したものは四分五厘というようなものですから、そんな二分も二分五厘も違う金利で競争してかなうはずないですよ。だから、ことしの予算委員会でも、前の運輸委員会で楢橋さんに、私ほんとうに真剣に言ったのですが、それは外国の船主が船の注文にくる、船を作って許可をしないというわけには法律的にはいくまい。いくまいけれども日本全体の政策としてその辺の考えができないようでは、これはばらばらじゃないか。通産省じゃ一ぱいの船でも作って輸出したいし、海運局の方では金利のこの開きは困ったものだと言っておるというような、役所だけのセクション、セクションで意見が違うというようなこと、そういうことばかりでなしに、日本海運に対して与える影響というものはまことに甚大だ。あなた神戸に行くとき綿花の問題持っていくでしょう。石炭の専用船の問題が起これば、タンカーも起こり、綿花も起こる。もうあらゆる方で外国の船主に船を注文して、それを用船契約をしてその荷物を積めば、財政支出して作っている日本の船はどうなるのです。私は日本の造船がどうなってもというのじゃないのだ、鉄鋼がどうなってもと言ったのじゃない。鉄鋼も栄えなければ、造船も栄えなければならぬけれどもしろうと考えたってわかる。その状態が現行法律でどうすることもできないのだといって放置するということは、全く無策だと思う。あなた、七隻まで許可すると新聞に出ているが、そうですか。
  123. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 私は今の立場では、今書類になって出ているのは七隻、しかし同様の計画を持っているものはまだあるようであります。これを区別するわけにいかぬ。こういういわゆる輸銀と開銀と利子が違っておって、そうしてあるものには許し、あるものには許さぬというようなことは、これまた許認可の方針として私はできぬと思う。そうなってくると大へんだから、何とかして日本の船会社が船を作っても、外国の船会社が日本の造船会社で船を作っても、日本の品物を運ぶ場合においてイコール・コンディションにおいてイコール・フッティングになる、そういう政策が望ましいというので、微力でありますが、一生懸命やっているのであります。  この問題は私になって急に起きた問題ではなくして、何年間もそういうことでやってきたものでありますから、大蔵省の方もなかなか私が言うほど強い意味で受け取っておらぬのです。そこでそれじゃ受け取っておらぬ方が間違いなんだから、これだけは一つ至急年度途中でもやってくれというので、経済閣僚懇談会にも二度も持ち出したのですが、なかなか同意を得るわけにいきませんでした。大蔵大臣も三十六年度には何とか考えようというところまで大体おりて参りました。先般新政策の打ち合わせの際にも総理にも話したのです。これも考えてみようという程度のところまでこぎつけたのでありまするので、もうしばらくの間一つ待っていただいて、この問題をはっきりさせていきたいものだ、こういうふうに考えているのであります。だからどんどん成約して、その方も出てくれば、これは許していかなければならぬのであります。七隻だけは許して、あとは許さぬということは、なかなかちょっとできないのじゃないかと思っております。思っておりますが、これからそういう仕事をやろうというようなものは、溶鉱炉の進捗状態、そういうものは、私は幸いそういう方面に特別の興味も持ち、従来もやってきておりますので、他の会社がこういうような場合には、溶鉱炉の建設計画と見合わせて、現実に粘結炭が要る、そういりような状態と見合わせて、非常に先走って人のまねをして、日本海運にマイナスになるような場合には、これは事前に許さぬというようなことを言うておいても対処できますので、そういり手もかたわら打っております。打ってはおりまするが、しかし、現実にそう許可申請が出て参りますれば、AとBとは区別するわけには参りかねる。A・B・Cと許せば、今あなたがおっしゃったような棉花、タンカーのようなものも許さざるを得なくなってくるというので、根本は輸銀と開銀の問題を解決し、さらに造船、溶鉱炉の内外の伸びというようなことも解決しなければ、こういう問題の根本的な解決にはならぬのじゃないか、こういうふうに考えております。何とか今年中においてでも、この二つの問題を至急解決したいものだ。最後の場合は、最後の細目までは各省予算の進行状態によってきまるにいたしましても、ともかく三十六年度は絶対そういうようなものについては、少なくとも利子のはっきりした、利ざやが出てくるような政策はやめていきたいものだ、こういう強い希望のもとにおいて、大蔵大臣と口のすっぱくなるように、顔を見るたびに何とか考えて、早く回答せいと言って詰め寄っておるような現在なんであります。
  124. 松浦清一

    ○松浦清一君 今の御答弁の中で、明らかにならないのですけれども、今書類の出ている部分は、許可する方針ですか。
  125. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 今現実に私の手元に書類の出ておるものは、これは許さざるを得ない状態になっております。
  126. 松浦清一

    ○松浦清一君 それは七隻ですか、二隻ですか。
  127. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 七隻だったと記憶いたしております。
  128. 松浦清一

    ○松浦清一君 八幡三隻、富士二隻、日鋼二隻、この七隻ですか。
  129. 南好雄

    国務大臣南好雄君) たしか七隻で、完全に書類になって僕のところに出ておるものは五隻、あと二隻は船舶局長のところにきておるようであります、書類は。
  130. 松浦清一

    ○松浦清一君 それは七隻だけ許可をして、あとからくるものをどうして食いとめますか。今政治的に食いとめることができるならば最初からとめられる。ところがそういう先例を作って、どうしてとめられるのですか。
  131. 南好雄

    国務大臣南好雄君) あとで出てくれば、同じような形式を踏んで出てくれば、許さざるを得ぬということを申し上げておる。ただ、今ここで私のところへ書類になって出てきておりますものは、ほんとうに輸送契約というものを本契約でやっておる。いわゆる本契約をやって、そうしてその本契約に基づいて造船許可を求めてきておるのであります。従って、これを許さぬということになりますと、これはいろいろの法律問題も起きてくるように聞いております。で、私前任者の楢橋君のときに、すでに許可せざるを得ぬということを業界にも言うておりましたし、あるいは委員会その他にもあるいはそういうような回答があったかもしれません。そこはまだ確かめてはありませんけれども、私はただその書類の処理の問題を申し上げておるのでありまして、続いてそういうものが出てくれば、私は許さざるを得ないのじゃないか。ただ、許さざるを得ぬのであれますが、Aという会社の高炉の計画が二年、三年先であります場合には、一年先であります場合には、何としても今からそういうものを本契約をするのはおかしな話である。従って、そういう場合には内外の差が同じくなれば、これはしいて外国の船にそういう契約を結ばなくても、日本の船会社で三万五千ないし四万五千トンの船が作られるならば、私は日本の船会社もそういうような契約をしたいような結論になってくるのじゃないか。だから、そういうものには急いでやらぬように、必ずそういうことになるから、またして見せるつもりでおるから、どんどん交渉を進めないようにということは、あらかじめ私は呼んで話をしてあります。
  132. 松浦清一

    ○松浦清一君 これは、しかし、大へんなことだね。海運局長どうですかね。専門的な立場から、日本海運に及ぼす影響というものは非常に甚大さが漸次拡大していくという憂いを僕は持っのだけれども、どうですか、大したことはないですか。
  133. 朝田静夫

    説明員(朝田静夫君) 現況から申しますというと、三十四年のハンプトンローズから日本に運んでおります製鉄用の石炭が約三百万トン、そのうちで日本船が百五十万トンばかり定期船のベース・カーゴとして運んでおります。ほとんど不定期船で運んでおらないので、あとの大体半分は外国船で運んでおるというような状況でございますが、今大臣も御説明になりましたように、四万五千トンの専用船で参りますというと、年間三十五万トン運べる、三万五千トンくらいで十七、八万トン、こういう輸送量になるわけであります。十ぱいといたしましても大体三万五千トン級で百八十万ないし二百万トン弱ということになりますので、将来鉄鉱石の輸送量が貿易規模の拡大に伴ってふえて参りますと、十五年間なら十五年間の長期のシェアというものはそこできまってしまうということで、大臣も非常に憂慮しておられる。ところが先ほどからのお話通り、臨時船舶建造調整法ではそれを不許可にする理由がないということになりますというと、どうしても海運政策の不十分な点を是正していくということを同時にやって、外国船と同じスタート・ラインに置く、それよりほかに解決の方法はないということで、大臣にも、経済閣僚懇談会その他の機会をとらえて、ほんとうに努力していただいておるわけであります。これは石炭専用船に限った問題ではありません。製鉄用石炭の輸送量のシェアだけの問題では御承知通りございません。過去においてフィリピンの十二隻の高速定期船の問題がございます。タンカーもございますし、最近ニューヨーク航路で航路の安定を害して、まさに貿易界、海運界に憂慮をされた問題もありますので、こういうアウト・サイダーが、一体どこで作った船でもって撹乱しておるかといいますと、私も過般命令によって米国へ参ったのでありますが、アウト・サイダーのマルチェシ一二が作った船は、日本の藤永田造船所が作っております。従って自国の海運を敵に武器を与えて、みずからその武器に傷つけられておるのじゃないかというような御批判も現実において現われておるのでありますから、海運政策の不十分点を金利負担の面においてでもイコール・フッディングに置くということをぜひともやっていただきたいということを念願しておる、解決の道はそこを是正するほかに私はないと、かように考えております。
  134. 松浦清一

    ○松浦清一君 大臣、経済上の貿易自由化の原則からいって、外国の船主が日本の造船所に船を注文する。日本の鉄鋼会社がそれを用船する。現行法ではそれを許可しないということはいえないし、また臨時船舶建造調整法を変えるということも、なかなか貿易自由化の原則からいってむずかしいと思うのですよ。だからそれに対抗する政治的手段としては、輸銀の四分一厘の利子に負けないように開銀の利子を三分五厘に下げるとか、競争ができるように、三分五厘に下げるとか何とか、外国船主に船を作らせる、専用船を食いとめるということには、政策でやるよりしょうがないわけですね。やり得ることは造船金利を下げることなんだ、競争ができるように金利を下げてやるということ、それをおやりなさい。それをやらなかったら日本海運はどうにもならぬ。海運局長の言うように、外国船でも今現在運んでいるから、大して影響がなさそうな御発言であったようだけれども、そんなことないですよ。現在外国船で運んでおるもののうちではなく、外へ食い入ってくるのですから、それだけ日本船の積み取り量が減るわけですから。それを一つやって下さい。それで私終わります。はっきりやると言って下さい。
  135. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、私はこの問題が海運界としては大きな問題だと思います。で、私は就任早々この問題を取り上げて、もうすでに許可の段階にきておるものが、書類をだいぶ抑えて一月きたわけであります。そういういつまでも押えておくわけにもいかぬので、あらためて閣議に持ち出して、そうして総理その他の経済閣僚にも事情を聞いてもらって、政策の足固めを今までやってきたわけです。おそらく三十六年度の予算要求の際においては、私は取り上げられるものと考えております。まだそういうことをここではっきりお引き受けする段階に至っておらないことを大へん残念には思いますけれども、一生懸命にやるつもりでおりますから、一つよろしくお願いします。
  136. 松浦清一

    ○松浦清一君 あなたの言い分は得心したわけではない。ですから専用船問題は執拗に私は反対します。日本海運政策上、これほどまずい政策はありません。これほどの愚かな政策はない。執拗に私は議席ある間はやりますから。それで、もうきょうは、終わります。
  137. 中村順造

    ○中村順造君 大へん時間がおそくなりましたが、私もこういう問題をやることを実際は非常に不本意なんですが、やむを得ないと思いますが、大臣もかわられまして、まだ、今から私が申し上げることについてはあまりお話を聞いておられないと思うのですが、実は、昨年、楢橋運輸大臣の時代に、自衛隊の自衛官を鉄道の教習所に入れて教育をする、こういうことが問題になったわけです。そこで、私は、当然問題になったから、大臣の御意向を承ったわけですが、当時やめられたとばかり思っておったのです。ところがそれは依然として継続されてやっておる、こういうことで、一、二、国鉄の副総裁聞いておられるが、当時副総裁も答弁されたのです。二、三、国鉄側と質問をかわしまして、それで最後に、大臣にそれではどうですかという御意見も承りたいと思いますが、そういうような運び方で、あまり時間を取っても恐縮ですが、十分間余りよく聞いておきたいと思うのです。  そこで吾孫子副総裁にお尋ねするのですが、昨年の九月十日の本委員会で、当時小倉副総裁が出られたのですが、従来国鉄は、国会の権威と申しますか、委員会のいろいろなやりとりというものを非常に軽視をするという傾向が現実にあったという、実例を引いて、小倉副総裁に、そういうことのないようにということを確かめたところが、小倉副総裁は、そういうことはやらない。国会の権威についてはあくまで尊重します、こういう約束を昨年の九月十日の委員会でされているわけです。そこで私は一つ委員会の権威にかかわるから、この点を三たび持ち出したわけです。それで昨年の十二月十日と十二月二十二日に、この問題をこの委員会で取り上げて、質疑をやったわけです。最初の場合は、運輸大臣はその内容については知っておられない。しかし防衛庁長官とよく話し合ってみて、実際にまあ私どもの言っているような不都合があるならやめるにやぶさかでない、こういうことが結論づけられたわけでありますが、それが依然として国鉄がやっておられる、こういう現実があるわけなんですが、さかのぼって恐縮なんですが、その委員会の審議の内容というものは一応尊重するという建前で今でもおられるかどうか、その点を一つまずお尋ねしたいと思う。
  138. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 前に前小倉副総裁のお答え申し上げた通り、国鉄としましては、ここで御審議いただいたことはあくまでも尊重するという考えで依然おります。
  139. 中村順造

    ○中村順造君 それではこの十二月の二十二日がこの問題に対する結論が出されたときなんですが、これには副総裁もおられたわけなんですがね、どういうふうに理解をされておるのですか。大臣同士の、楢橋運輸大臣防衛庁長官と打ち合わせた結果こうこうだ、そして私どもの主張に対しても、お話はわかった、こういうことがやりとりされておるのですが、それを依然として国鉄は全然ここでやりとりをしたことを無視してやっておる。現在今十名かやっておるわけですね。どういう考え方で、どういう理解のもとにこれを受け取ってやっておられるのか、その点どうなんですか。
  140. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 当時もお答え申し上げた際、そういうことを申し上げておるかと思うのでありますけれども、国鉄としては、ごくきわめて少数の員数の御依頼であり、かつ期間としてもそれほど長いことでもないから、お引き受けできないことはない。それでお引き受けしておるのだというふうに申し上げでおったと思います。いろいろこの委員会で御審議になりまして、政府の方でも御相談を願うというようなお話になっておったと記憶いたしております。それで昨年度は当時非常にもう数も減っておったのでありますが、継続して教育をお頼まれしておった方だけを片づけて、それで終わっておったというわけでございますが、本年に入りまして、また御依頼がございましたので、人数もさしたる人数でもございませんし、地方の教習所でごく少数の方の教育を今お引き受けいたしたというような次第でございます。
  141. 中村順造

    ○中村順造君 そういたしますと、現実やられておるということからいたしますと、ここで十二月の十日と二十二日にやったことが、何らあなた方にはそれに対する考え方というものは変わっておらない。当時私ども申し上げたのは、陸上自衛官を何のために国鉄の運転を修得させるのか、その理由がわからない。ただし幕僚長が国鉄総裁にお願いをしたその趣旨は、あなたが読み上げられたからわかった。しかしわれわれはそれを納得しておらない。少なくとも日本の国内における国鉄の輸送といえば、国鉄四十万の職員にまかしてもらっておるのだ。その誇りによってみんなが協力してこの国鉄の輸送をやればよろしい。何のために陸上自衛官が国鉄の、特に運転を主体にそれを修得しなければならぬか、いろいろその当時私が申し上げました。将来大陸鉄道の経営だとか何とかいうことを考えればいざ知らずだ、おそらくそういうことは考えられない。そうすればもうその必要がない。必要のない理解しがたいものを、なおこれを強行してやるということになれば、職員の中にはいたずらに何らかの不安な感情が出てくる。さらにそのことがひいては国鉄職員の生産意欲にも影響するから、こういう理由をあげて、そして楢橋運輸大臣にもお願いをし、それから楢橋運輸大臣もまた防衛庁長官と打ち合わせをして、そしてこうこうだという話になっておるものを、ことし頼まれたからまたやるということは、一番冒頭あなたが言われたように、ここの委員会の審議の内容というものをほんとうに尊重するという気持があるかどうか、それを疑わしくなる。これから先も、今までやられた数も、私ここに持っておるのですが、まだ向こう側の要求に対しては半数にも及ばないのですが、ずっと継続してやるということになれば、これはやはり私は心配しておるような問題が現実に起きてきておるのです。この点についてのお考えはどうなんですか。
  142. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) お言葉をお返しするようで大へん恐縮でございますけれども、人数も本年度お頼まれしているものはわずか十数名でございますし、先生が御心配になっておられるような影響は私どもとしてはあまりないんじゃないかというふうに思っておる次第でございますが、自衛隊の方は自衛隊の立場で、やはり鉄道の輸送業務というようなものについての一応の知識を得ておきたいというお考え関係官をお派遣になっていることと思います。そこでこれは政府の方で何か特別の指図でもございますれば、また当然国鉄はその通りいたしたいと思っておりますけれども、私ども考えを申し上げますれば、きわめて小人数であり、期間も短いことでもありますので、国鉄としてお引き受けできないというような事情に置かれているとも思われませんので、お頼まれしたことは、こちらも仕事にじゃまにならない限りお引き受けをし、お手伝いを申し上げるというような気持でおるわけでございます。
  143. 中村順造

    ○中村順造君 私は、副総裁、現実の問題は少しどういうことになっておるのか、あなたはまだ御存じないと思う。一つだけ実例をあげて、副総裁の立場から見られた場合と、現地で自衛官と同じ机を並べて勉強する、こういう国鉄の職員の側から見た問題があるわけです。一つ私の耳に入った例なんですが、現在はどうしておるか知りませんが、問題になったときには、やはり生徒であるから生徒という同列の取り扱いで寄宿舎に置いておる。ところが食べ物が非常に粗末なんです。いわゆる寄宿舎の食べ物が。だからわれわれはこういう粗末な食べ物は食べられないということで、そのつど外に出て食事をしておった、派遣になった自衛官は。しかしこれらの現実の問題として、同じ国鉄の職員が食べるものが、なぜ自衛隊の自衛官が食べられないかという問題が起きたということを聞いております。そういう問題が、これは問題は小さいようですけれども、非常に中では、特に日常に接している人は不愉快なんです。国鉄の職員が食べられるものが、なぜ自衛隊の自衛官が食べられないか、こういうことにもなるだろう。ひいてはそのことの精神作用というものが非常にお互いの憎しみにまで発展をしないとも限りませんが、そういう小さい問題ですけれどもあるわけです。それから私はいつも、前にも申し上げたように、そういう必要のないものをやる必要はないのではないかということを強調したわけです。大臣はどういうふうにそのときに言われたかということは、議事録にも残っておるわけですが、確かに行き過ぎもあったであろう。それから防衛庁長官としても、そこまで深刻に考えてやったことではないのであるから、問題があればやめるにやぶさかでない、こういうことを言われておるわけです。だからもしことし、あらためて幕僚長から国鉄総裁にお願いがあれば、実はこうこうで国会で若干の問題になったから、この点についてはもしあなたが、当初私が申し上げたような気持があるとするならば、一応大臣なり御相談をして、その上でどうしようかということをおきめになっても、私は決して間違いではないと思う。ただ頼まれたからやるんだ、それからやめるときには何らか第三者から指示があればやめるんだ、こういうことでなしに、やはり二日もかかって問題にした問題ですから、それらしく国鉄としても取り扱うべきだと私は考えるのです。あなたの結局十二月十日と二十二日のこの委員会のこの審議の内容の受け取り方が、そんなものは問題じゃないんだと、あるいは言わせるだけ言わせておけば、あとはおれたちが勝手にするんだという気持があるならばいざ知らず、それでなかったなら、やはり今私が言ったような考え方に立たれて、一応問題になったからこうこうだという相談をされたのかされないのか、どうですかその点は。
  144. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 自衛隊の方でも、もちろん昨年国会でいろいろこの問題についてお取り上げになられたことはよく御承知の上でおられるはずでございまして、御承知なさりながらも、一応の自衛隊のお立場で、やはり鉄道業務についての一応の知識を自衛隊としては関係の者に持たしておくことが必要だとお考えになられたから、また重ねてお願いがあったのだと、こう考えておりますので、この委員会でいろいろ御審議のございましたことは御承知の上でまた重ねてのお願いであったというふうに私は承知いたしております。
  145. 中村順造

    ○中村順造君 これは副総裁は一貫して、教育をやられる方は国鉄がやっているのですからね。この点は一つ防衛庁の方がこの委員会の審議の内容を知った上で頼んできたのだ、だからおれは引き受けたのだと、こういうように聞こえるのですが、しかし現実教育をしておるのは国鉄がしておられるのだから、この点はあなたとやりとりしたって仕方がないけれども、私はあくまで現実に基づいて言っておる。そういういきさつなんです。十二月の十日に、大体そういうことは行き過ぎではないか、何の必要があって自衛官をいわゆる鉄道の運転部門、信号、あるいは保線、こういうふうな部門に重点を置いて教育をされるのか。ところが、十二月十日の日には、当時の楢橋運輸大臣はその内容を知っておられなかった。これは幕僚長から国鉄総裁が頼まれて、そうして国鉄で手配をした、こういうことでありましたので、大臣は知っておられなかった。だけれども、いろいろ話をした結果、私もまた、私の言う点において間違いがあれば、一つ大臣から御指摘をいただいて、お前の言うことはおかしいということなら、私はそのお話を承っても差しつかえない、こういうお話をいたしましたところ、いや、おかしいことはない、ある点了解ができるというようなことで、それではこの次までに一つ防衛庁長官と当時の赤城防衛庁長官でありますが、内容をよく相談をして、そうして委員会でみんなに報告をしてやろう、こういうことで十二月の十日は別れたわけです。十二月二十二日になりまして、また委員会が開かれまして、そしてこの問題がやはりこの委員会で取り上げられたわけです。いろいろ内容を伺っておりましたところ、千葉に鉄道連隊を作る準備だとか何とか、朝日新聞なんか書きましたけれども、そういうことでもないし、別に他意があったわけではない、こういうことで、行き過ぎであるならばやめるにやぶさかでない。それからなお、結論的に楢橋運輸大臣がその当時つけ加えられたことは、われわれの言う国鉄職員のいたずらなる不安感、それから、何と申しましても、これは一つの生産意欲——われわれはおもしろくないという気持があるわけなんです。これは現実に一緒に勉強する人なんかもおるから、そういう気持はひいては生産意欲にも影響するから、こういうことで私は申し上げたところ、その点はわかるから善処する、こういう約束を、ここに私議事録を持っておるのですが、されたわけです。ところが、私はきわめて人間が単純なのかもしれませんけれども委員会で取り上げられたことでもあるし、大臣がそういう約束をされたのであるから、私は当然三十四年度からもうやめられたものだと考えておったわけです。ところが、今大臣お聞きになるように、あらためて幕僚長の方から頼んできたから、国鉄の方は平然として、その問題になったことをまた繰り返してやっておる、こういういきさつなんです。大臣は今初めて聞かれることかもしれませんが、どういうことにお考えになっておりますか。新しく防衛庁長官もおかわりにありましたし、運輸大臣もおかわりになりましたから、また別な角度から検討してみるとか、こういう話し合ひをしてみるとかいうお考え方があるのかどうか、それは副総裁が言うのがほんとうだから、そのままやらせておいても差しつかえないと、こういうお考え方であるのか、一つここで御所見を承りたいと思います。
  146. 南好雄

    国務大臣南好雄君) 今の国鉄副総裁と中村さんのお話のことは、私は初めて聞くのですが、これは自衛隊が防衛出動の際、最小限の輸送を確保するために訓練する必要があるということで国鉄に頼んだのだそうであります。自衛隊がそういうような訓練の必要ありと見れば、これは自衛隊設備を持って訓練することもできます。それから、国の持っておる施設を借りてそういうことを訓練する方法もあると思うのです。おそらく、大した人間でもないというような場合には、わざわざ自分施設を持ってやるというようなことをせずとも、国鉄に頼んでやるということで、これは始まったものだと私は考えております。結局、要は、その人間が、どの程度の人を頼んでおるかという問題で一応の判断ができると思うので、さっきちょっと事務当局に聞きましたところが、今までのうちに六十何名とかいう程度なんです。そういうものであるならば、どういう問題が大きくなったのか、またそういう問題をどういう角度で楢橋君がそういう返事をされたのか、私はその雰囲気を知りませんので、ここでとかくの批判はできませんが、私の受けた感じでは、十五名や十名の者をもし防衛活動の上において最小限にそういう知識を得さす必要があるのだということであるならば、施設上自己の教育に差しつかえのないものであるならば引き受けてやってもよいのではないかと、すらっとして考えると、ここですわってお話を聞きながら、そういう気がしたのであります。しかし、どういうわけでそういうことが問題になり、楢橋君が赤城君と話をするというような返事をなさったのか、その間のことは、何も私は話を聞いておりませんので、今のお話について私は何とも判断できないのであります。今そのことについてあらためてお話を承ったのでありますから、帰ってよく実情を聞いてみて、この次の委員会にでも御返事を申し上げたいと思います。今すわっておって聞いた範囲内では、今のように五名や十名頼むということであるなら、国の施設であるという関係から、それはできぬと言って断わるということも、副総裁の立場ではちょっとできぬと思うので、要は、何百人という人間を頼むということであるなら、これは自分の方の教育に支障がありますから、断わると思いますけれども、人間が非常に少なかったものですから引き受けたのだろうと、そういうふうに私は解釈したのであります。
  147. 中村順造

    ○中村順造君 それは、大臣がおかわりになったから、前の楢橋運輸大臣が私どもに話をされたのがどういう意味で話をされたのかわからぬと、それからまた、大臣のお考えで方針も変わるかもわかりませんが、私どもとしては、やはり納得のいかない点があるわけなんです。一朝有事の際に最小限度の輸送を確保すると、こういうことがもし名目なら、これは少なくとも千名や一万名の人間の教育をしておかなければならぬ。昔の千葉の鉄道連隊みたいに何千名という人間を持てば、一朝有事の際に——一朝有事の際があるかどうか、それさえ私は疑わしいのですが、かりに百歩譲って、あったとしても、何千名という数の人がおれば、それは最小限の輸送は確保することができるでしょう。それが六十名くらいで——それは教育をする際の影響は、六十名くらいだから影響はないと言ってもいいでしょう。しかし、現実に、保線、信号、機関車乗務員を含めて六十名の人間を教育して、そうして六十名の人間が一朝有事の際に国鉄の最小限の輸送をするなんと言うから、われわれはわからなくなる。だからそこでどうしてもその四十万の職員に、これこれの人間はどうしても鉄道で教育をしておかなければならぬという、今日は納得と理解の世の中ですから、それなくしてはやはり協力態勢ができ上がらないから私は申し上げているのです。だからそういう四十万の職員が納得するような一つの大きな大目的と、それとまた現実にそれを照らして何ら矛盾がない。こういうことなら、何も教育するからとやかくということを私どもは言っているわけではない。おそらくやっていることがまさにナンセンス的なものであり、現実にやることによって現地で問題が起きている。だからそういう不必要なものなら、私どもから言えば、全く不必要じゃないか、こういう見地から前の大臣に申し上げた。大臣は多少わかっていただいた。そうして当時の赤城防衛庁長官と話をされて、それならやめてもよろしい、やめてもいいじゃないかと、こういうことにまで結論がいっているわけです。ところが三十五年度になったらまたそれを平気でやっている。ここに私は、委員会で審議をしておらないことならいざ知らず、二日もかかって、時間は短かったのですが、やった問題を、それを、野党の言うことであるからと黙殺するというような形でやられるということは、私自身としても不愉快です。また国鉄の経営の中に立ち至ってみても、そのことは全く無意味である。こういう考え方ですから、大臣もせっかく今お話のございましたように今までの事情がよくわからなかった、こういうこと、なら防衛庁長官もかわられておりますから、もう少し中身を掘り下げて相談をしていただいて、職員の側から言いますならば、こういうやっても何ら意味のないもの、それからやることによって弊害のある、こういう判断でありますから、やめさすという方向に、副総裁は頼まれたからなかなかやめられないとおっしゃるかもしれませんけれども、そういうことでなしに、ほんとうに国鉄の運営の一環の中の一つの事象として御判断を願って、そうして相談をいただき、次回の委員会あたりでどうなったという報告をいただけば、私どもはそれで満足する面もあるわけです。お願いします。
  148. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 私どもまだよく政府の御当局にも御相談申し上げて、その上で善処いたしたいと思いますが、先ほど指摘のございました、自衛官が教育訓練を受けております際に、国鉄職員との間でいろいろ感情上おもしろくない問題が起こっておる、そういうような問題を起こす可能性があるという御注意がございましたが、そういうような点につきましては、さっそくそういうことのないように十分注意をいたすようにいたしたいと思います。
  149. 相澤重明

    ○相澤重明君 運輸大臣きのうお見えにならなかったから、私質問する気はなかったんだけれども、あなたに注意、注文しておこうと思う。きのう私ども参議院の運輸委員会で各班に分かれて現地調査した結果を報告しております。事務当局はみなよく知っております。そこで、重要な問題が、先ほども松浦君からも申されたし、あるいは午前中大倉君や小酒井君も言われておりますが、そういうことはすべて含まれております。そこでおそらく今月のうちに数多く委員会を持つことはできぬし、あとで理事会でも、委員長中心にこの次の委員会をきめるわけですが、おそらく来月になると思う。そこでちょうど三十六年度の予算の大体内訳もあなたの方でできると思う。従ってそういう点について一つ、十分時間をかけて質疑するという時間がないから、事務当局によく精査をさせて、次の機会には一つ答弁をできるように、書類でできれば経過を出してもらいたい。それが一番また親切だと私は思う。時間の簡素化にもなると思う。  それから特に重要な問題として、きのう私申し上げたのは、国鉄の新東海道線の問題は、せっかくやろうという意気込みで始めたけれども、どうも土地買収等の問題についてもあっちからこっちから横やりが出るというようなことで、ぱっとしないんじゃないかというような点を、きのうも事務当局からも説明は一応聞いておきましたが、やはり運輸省としてのPRが足りないんじゃないか、もっと率直に話せるものは話して、そうして協力を求める態勢を作らなければほんとうの仕事というものは進まぬのだ、だから、さっきこれは一つの例を中村君も出したと思うが、やはり国会でいろいろ心配されて質疑をされたことについては、そのつど実は事務当局から先に説明をしてもらう、そのくらいの親切で、私は委員会というものをできるだけ進めていくというふうにあってほしいと思います。これは私の注文です。ですからぜひきのうの各班の報告もなされておりますから、そういうことで、一つできるだけ要領よくこの次の委員会に御説明をいただきたい、このことをお願いいたします。
  150. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ほかにありませんか。——ほかに御発言もないようでございますから、本日はこれで散会いたします。    午後二時三十六分散会