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1960-09-10 第35回国会 衆議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年九月十日(土曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 秋田 大助君    理事 臼井 莊一君 理事 加藤 精三君    理事 高見 三郎君 理事 栗原 俊夫君    理事 長谷川 保君       坂田 道太君    田村  元君       灘尾 弘吉君    濱野 清吾君       勝間田清一君    金丸 徳重君       西村 力弥君    原   彪君       山崎 始男君    鈴木  一君  委員外出席者         公安調査庁長官 藤井五一郎君         公安調査庁次長 関   之君         文部政務次官  大坪 保雄君         文部事務官         (大臣官房長) 天城  勲君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤誉三郎君         文部事務官         (調査局長)  田中  彰君         文部事務官         (管理局長)  福田  繁君         専  門  員 石井つとむ君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  教育に関する件      ――――◇―――――
  2. 秋田大助

    秋田委員長 これより会議を開きます。  教育に関し調査を進めます。質疑の通告がございますので、これを許します。西村力弥君。
  3. 西村力弥

    西村(力)委員 きょうは大臣出席を求めておったのでございますが、どういう御都合か御出席ありませんので、おいでになったときに、ゆっくり、しかも徹底的にいろいろな点についてただしてみたいと思うのでございます。きょうは、いないところであまりやりますと、欠席裁判のようなおそれもありますので、あまりやらぬことにいたします。  ただ私、新聞を拝見しまして、また参議院の九月一日の文教委員会会議録を見まして、非常に問題だと思う点がありますので、その点についてお尋ねをしたいと思うのです。その速記録を拝見しますと、加瀬完君の質問に対しまして、大臣は、あたかも日教組が破防法適用すれすれの団体である、こういうような見解を示しておるのですが、このことは日教組に対する批判としても、大臣の言としてはあまりに軽卒ではないか、こういう気持がするのであります。その点についてここに速記録もあるのではっきりしておりますが、公安調査庁見解だけは一応聞いておかなければいかぬじゃないか、こう思って御出席を願ったわけです。昨日連絡しましたので、速記録をお読みになったと思うのでございますが、公安調査庁の方いらっしゃいますか、――公安調査庁が来てないとすれば……。
  4. 秋田大助

    秋田委員長 それ以外の問題はありませんか。もう二、三分で来られるらしいが……。
  5. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは初中局長に伺います。過般、私当委員会から福井に視察に行きました。いろいろ地元の要望も聞いたり、また私たち自身もこの目で見て、いろいろ啓発されて参ったわけでありますが、一つ問題としては、生徒増に伴う中学校校舎増築予算、あるいは近くくるであろう高等学校生徒志望者増、こういうものに対処して学校建築あるいは学校新設について、第一点としては、何としてもそれを完全に収容し得られるだけの予算措置というものは当局において当然なさるべきである。それから第二点は、その年の増に対してその年の予算に計上するというようなことは、これはあまり感服できないやり方である。その二つについてどういう方針を持っておるか。それが高等学校まで含めますと、相当長期の見通しを立てなければならぬわけでありますが、これは監理局の関係かもしれませんが、その点についての具体的な計画の策定はどうなっておるか。そして私どもとしましては、高等学校生徒なんかは、やはりピーク時にあたっては相当思い切った学校新設あるいは校舎増築を行なって、そして生徒が減になったときには、志望者全員高等学校に入れる、こういう展望を持ってやるべきじゃないか。日本子供たちはまず幼稚園の初めから入学試験なんかに悩まされて、中学校三年、まず半ば青年になりかかってはおりますが、ああいう工合試験地獄にさいなまされて、ほんとうに闊達な青年というものは生まれないのではないか。あまりにかわいそうじゃないかと私は思うのです。試験地獄就職地獄人生大半の喜びを失ったままにおとなになっていくということは、私たちはどうしても解消する努力をしなければならぬと思うのです。その点から、これはどこでも希望することでございましょうけれども一つこれに対する当局構想をお聞かせいただきたい。
  6. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連。ただいまの西村委員質問は、私まことに時宜を得た名質問だと存じます。つきましては、私もこれに関連して非常に重要なことをお尋ねしたいと思うのでございますが、政府の国税の減税その他によりまして、地方財政にしわ寄せがくることのないように、新政策充実にあたりましては、政府の方で極力努力していただきたいのでございます。そしてそれが新政策地方財政の分には十分調節するの覚悟があるかのごとき――十分に考慮するという言葉を使ってありますが、今は地方財政非常時であるということを一般の人があまり認識していないので、もし政府がその点を、あまり陳情が十分でないからぴんとこないというようなことがありますと大問題になります。と申しますのは、本年七十万人の中学生急増を見るわけでございますが、明年度は百万人、明後年度は四十万人、合計二百十万人、それから明後年の次の年から中学生が減る、中学生が減るのもいいけれども、今度また高等学校生徒がぐんぐん増してくる。今でも入学試験地獄で、高等学校に入るための予備校というものが随所に行なわれるようになった。これは非常な悲惨なことでございますが、こういうことの対策につきまして、地方財政ワクが、従来のような地方財政計画上のワクだけではとても支弁することはできないのではないか。一見、文教施設の建設にあたりましては、まあ普通の人の考えでは、半分は国費で半分は地方費、半分は補助で半分は起債というふうに考えやすいのでございますが、実際上はこの補助率が二分の一になっているのや三分の一になっているのやまちまちであり、同時に統合なんかは中学の場合は二分の一で小学校の場合は三分の一じゃないかと思いますが、そういうようなことで、いずれも同じ義務教育施設でありながら、その間に若干の差があるというようなこともございますし、それから義務教育というのは国家の各地域における均衡を維持すべきものであるのにかかわらず、どうも実質的には文教施設建造費国庫補助起債部分というものはもう半分くらいの場合が相当ある、あるいは半分以下になる場合もある。校舎ばかりでなしに校地をも含めて考え、また通学道路その他の設備をあわせて考える場合は、学校を作る費用というのは、地方団体負担はずいぶん大きな割合になるのでございます。そういうようなことからいうと、単に起債の率を増したくらいの話ではとても完全に処理することはできないのでございまして、結局地方財政計画において財源測定をしますその財源需要額を上さなければどうにもならぬ。財源需要額を上せますのにも、従来の所得税法人税、酒税は二八・五%になっておりますね。それくらいのものでは、新しい教育施設費経費需要増を加えたところの基準財政需要額である場合、市町村財源不足額の総計から見て、とうてい足りないのです。それで中学整備もしなければならぬ、高等学校整備もしなければならぬというときは、まことに地方財政の超非常時でございます。  ただいま市町村財政ばかり申しましたけれども府県立学校、すなわち、高等学校施設定時制を含めたこれの政財需要というものは大へんなものです。どうしても財源不足貧弱団体におきましては、府県立学校も、また市町村立学校も、非常に設備が不十分にならざるを得ない。また教育人件費におきましては、ことに府県立学校教員人件費は、全額府県負担になるわけでありまして、これもまた非常に大きな負担であるわけであります。貧弱な府県におきましては、その地域高等学校教育水準がどうしても下がりやすい。富裕な県の高等学校を出なければ、よい上級学校に入学できないといったような現象が起きる。そういうようなことに対しまして、まことに教育機会均等ということからおかしい現象が起こっておる。すなわち、どうしても東大その他慶応大学とか早稲田大学とか、比較的学力の充実した、そうして卒業後就職やなにかに都合のいいような学校に入ろうとすれば、高等学校時代から東京その他の学校に転学させる、はなはだしきに至っては、中学時代から転学させるというような、少し経済の余裕のある地方名望家等はそういうことをどんどんやっておる。こういうことは、教育機会均等ということを一枚看板にしてやって参りましたわが国教育行政から見て、ここまで乱れたのは初めてなんです。これは近来における教育行政の不面目の一つだと僕は思っておる。これはひとしく私たち文教常任委員であった者も、顧みてこの責任を負わなければならぬ。と同時に、文部当局責任を負わなければならぬ。明治の初年から家に不学の子なく村に不学の戸なしという理想を掲げて学制発布をしたこの輝かしいわが国教育行政の歴史から見て、今日の現状はとうていがまんのできないものであります。それがとかく大蔵省に押えられがちになりまして、十分教育機会均等理想を掲げることができない。また実践することができない。そうして高等学校教育というものにネックがありまして、そのために貧弱なる府県からは英才が出ない、そうしてその地方に貢献し、国家に貢献するそういう人材が少なくしか出ないということは、これまた民心の上から非常な不満、憂いを招くと私は思うのであります。そういうことは、国家財政教育財政調和というような点で、非常に根本的な病根であると存ずるのであります。そういう非常な不合理に乗じまして、高知県におきましては中学三年の父兄なんかを相当指導したり扇動したりいたしまして、教員組合完全入学というような旗を掲げまして、何でもかんでも、ある程度施設が不十分であってもいいけれども、入りたい生徒は全部入学させるのだというような方針を唱導したりいたしておりますが、その結果を見れば、いわゆる完全入学を叫ぶ前にその実態を見れば、高知中学を出た者の、中学三年のときの進学予約制度、この制度の適用の状況を見ましても、進学予約指定生徒は、十人のうち上級学校高等学校以上に入学しようとしましても、実際合格する率は非常に低く、二、三〇%にすぎない。それくらい学力が低い。また就職のときにおきましても、いわゆる完全入学という旗やのぼりを立てて大騒ぎをしておる高知県が、四国四県のうちで最も上級学校進学就職等において喜ばれないというふうなことは、これは非常に大きな問題であると思うのです。もっとまじめに考えまして、そして政府としてもこういうふうなところの教員組合がそうした空虚なるイデオロギー的な宣伝を上手にやることによって、他の府県教員組合をリードしていこうというような問題に対しましては、進学予約制度指定された生徒の八割以上も確実に上の学校に入学するというような、山形県のようなまじめな実績を上げている県の実態と、高知県のような実態とを比べ合わせてみまして、ことに山形県の教育につきましては質問者西村力弥氏が非常に力を入れてまじめに指導をしておられましょうが、山形県は指定生徒のうちの上級学級入学率も全国一だ。しかるに今西村委員宣伝されました――宣伝というと非常に悪いのですけれども、いわゆる完全入学なるものをやっている高知県は、山形県の三分の一も入れないというような、具体的には非常な不結果を来たしているのであります。こういうところには何かいわゆる宣伝教育政策実践教育政策日本社会党政策と自由民主党の政策との具体的な非常な差があるのじゃないだろうかというようなことを感じますが、その点につきましてもお考えをいただきたい。  以上のような財政教育財政との関連の問題とか、それから完全入学についての宣伝教育政策実践教育政策日本社会党政策と――日本社会党と言えるかどうですかね。完全入学政策日教組だけじゃないですかね。そういうものと、それからそういう軽っ調子な政策、自民党の重々しい実践教育政策、それらに対する内藤局長の率直な御感想を承りたいものであります。関連質問終わり。
  7. 内藤誉三郎

    内藤説明員 ただいま西村委員からのお尋ねでございますが、中学校急増対策につきましては、昭和三十六年度に百万人生徒がふえますので、その対策につきましては三十六年度予算に必要な経費を計上しておるわけであります。お話のようにこういうものは一年前にやるのが建前でございますけれども、実は三十五年度に七十万人の生徒増加がございましたので、できるだけ早い機会に三十六年度手当て及び三十七年度手当てをいたしまして、就学に支障のないように万全の措置をとりたい、かように考えておるのであります。  それから高等学校急増対策につきましては、ただいまいろいろ検討をいたしておりますが、昭和二十八年度中学校卒業生が出てきますので、これから三十八、九、四十、この三カ年間に約二百万人以上の中学校卒業生が出てくる。そこでこの子たちに不安のないように、また両親に心配のないように、現在の進学率は保証していきたい。そこでこの保証する場合に、全日制が大体五割でございます。定時制通信教育を含めて六割程度になっておりますので、この率はぜひ保証したい。それから同時に毎年景気の上昇によりまして高等学校収容力は一%くらいずつ増大いたしております。そこで昭和四十五年には所得倍増計画の十カ年計画が一応終わるという想定をいたしまして、四十五年までには少なくとも七十%までの進学率を確保したい、こういう考え方を持ちまして検討をいたしておるわけでございます。  そこで生徒急増した二百万人をどう処理するかという問題になろうかと思うのですが、その第一は、まず一割程度のすし詰めは、これは忍んでいただきたいと思うのです。現在五十人入れているところは五十五人くらいまでは入れていただきたい。一割の増加をいたしますと、大体二十五、六万の生徒公立学校では収容できるわけであります。それから既設高等学校に一割程度学級増加をいたしたい。これで約二十五・六万が収容できるわけですが、この機会にできるだけ既設の場合には工業学校重点を置いて学級増加をいたしていきたい。約五十数万はこれで解決するわけですが、その残り新設で充てたいと考えております。新設は先ほど申しましたように、あまり乱増いたしますと地方財政も実は困るし、いろいろな弊害もございますので、大体四十五年にどの程度まで全日制高等学校が伸びるかと、過去の実績等検討いたしまして、大体一学年で五万くらいを、三学年で十五万くらいを新設で処理したい、こういう考え方で、この程度新設でございますれば、平年度化した場合に生徒ががらあきになるというようなことはないという見通しを立てております。公立学校で大体六十五万から七十万以内を消化いたしたい。それから現在の公私立割合は、私立が三で公立が七くらいになっておりますので、三十万前後のものは私立学校で消化していただきたい。こういうことで百万程度子供たちは三カ年間に収容いたしたいという大体の計画を立てておるのでございまして、新設の場合には工業重点を置いて、六割程度工業に、普通過程を四割くらいにいたしまして、技術者要請にもこたえたい。こういう基本的な考え方を持っておるわけであります。  そこで、それの財政の問題で、特に加藤委員から地方財政教育財政との調和お話がございました。現在補助率がまちまちになっておりますことも事実でございますが、これはいろいろ経過がございましたので、義務教育の場合でも三分の一のものもあれば二分の一のものもある。原則としては義務教育は二分の一、非義務教育は大体三分の一というのでございましたが、この原則についてもさらに検討しなければならぬではなかろうかと実は考えております。  次に工業高等学校等につきましては、三分の一ではとても工業学校新設ができない、こういう事情もございますので、補助率検討、引き上げも考えなければならぬし、またそれに見合うところの地方財政計画についても検討をしなければならぬと思う。もちろん補助率のほかに、地方財政としては起債考えなければならぬと思うのです。この場合臨時費起債でまかなうといたしましても、経常費はどうしても交付税単位費用で考慮しなければならぬと思いますので、交付税の中の教育費を十分確保したい。高等学校経常費はなんと申しましても人件費が一番大きいのでございますので、実は高等学校定数基準の法律も用意いたしまして、その定数基準にきめたものだけは交付税で確実に保障するような道を開いて、先般の国会に提案いたしましたけれども、不幸にして成立を見なかったのでございます。人件費地方財政の中で優先的に確保し、残り経常費につきましては、これは額も少ないことでございますが、交付税単位費用を十分検討いたしまして、単位費用改善をはかって地方財政支障のないように取り計らいたいと考えておるわけであります。  それから西村委員からも力藤委員からもお話がございました高等学校全員入学のことでございますが、私ども高等学校義務教育に準ずる教育考えておりますので、できるだけ希望者を入れたいというのが趣旨でございます。この場合に、今日高等学校入学希望者が百十数万ございますけれども、現実に進学をいたしておりますのが百五、六万でございまして、九五、六%は進学をいたしておるのが実情でございます。ですから落ちているのはほんの数万でございますけれども有名校に集中するために非常な試験地獄の問題が、一方において高等学校においても起きておる。お話のように中学校から東京に来て進学しておる。父兄にも非常な迷惑をかけておるわけであります。この場合、義務教育の段階において学力の相違が非常にあるわけです。これが加藤先生からお話しのように山形の場合には非常に進学がよくて、高知の場合には進学が悪い。こういう点なんでございまして、やはり施設整備教員定数整備をはかり、教育内容の改定もいたしましたので、できるだけ今後すし結め学級を解消して、教員定数の充足をはかり、また教育施設設備改善充実をはかるとともに、教員の資質の向上もはかっていきたい。できますれば、やはり全国的な標準テストのようなものをいたしまして、全体の学力水準向上していきたい。一方においてできるだけ全員希望者を入れるということで、義務教育水準を上げると同時に、高等学校もそれに準ずるような措置をとっていきたい。将来、所得倍増計画の終わる四十五年ごろには高等学校進学率もおそらく七〇%をこえるのではなかろうかと思うのであります。だんだん義務教育に準じた措置を講じていきたい。同時に学力向上につきましては、今後一そう努力をいたして全国的な機会均等を実現したいと考えておるのでございます。
  8. 西村力弥

    西村(力)委員 前段の中学生の増に伴う校舎増築、そういう予算は本年度もまた明年度の増に対する予算要求しかしない、こういうことでありましたが、それではやはりいつまでたっても仕事はうまくいかぬし、子供たちも悪い環境で勉強しなければならぬということになる。今ふえている子供たち戦争の終結に伴って多数生まれました子供たちです。そういう点は戦争犠牲者といっちゃ何ですが、そういう戦争というものの結果生まれた諸君でありまして、そんな工合に悪い環境にいつまでも放置しておくというようなことはあまり好ましいことではないのではないか。その点は明年度分明後年度分とを含めた予算措置を明年はやる、こういう決意、考えはないのですか。それをやれないというのはおかしいと思う。
  9. 内藤誉三郎

    内藤説明員 詳細なことは監理局長がお答えすると思っていますが、文部省としてはもちろん三十七年度分も考慮しておる、こう考えておりますが、全部対象になっているかどうか、私この点若干疑問に思います。もちろんある程度は三十七年度分も考慮しているわけでございます。
  10. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連して一言だけ……。池田新内閣の新政策の中に、昭和三十五年、三十六年、三十七年の生徒急増対策は三十六年度中にこれを完了するという文章が明記されているのであります。その方針でいかれると思いますが、大坪政務次官にその点につきましてお答えをお願いしたい。
  11. 大坪保雄

    大坪説明員 三十七年度措置すべきことを三十六年度予算に全部計上しているかどうか、私はただいま十分記憶はございませんが、大体そういう含みをもって、ぎりぎり三十六年度需要分を三十六年度に、三十七年度需要分を三十七年度にというようにしないで、幾分の余裕を持ってやるということで計画を立てております。三十六年度分については、もし国会で御承認が得られますならば、大蔵省と交渉して補正予算等によってでも事前の措置を講ずるようにしようということで運んでおりますから、大体お説のような方針をもってやっておるということだけ、私にはお答えさせていただきたい。
  12. 西村力弥

    西村(力)委員 この点は監理局長が来てから詳しく聞かしてもらいたいと思います。  二番目の高等学校のことにつきましては、今から相当の構想を持っておるということで、けっこうでありますが、ただ加藤委員の言われるところを聞いておりますと、いかにも完全入学は人的にむだがあるというような意見であるように聞いたのですが、文部省としては完全入学というものを実現する、こういう基本的な態度である。しからばいつこれを実現するか、こういうような構想を持つべきであると思うのであります。今のお話におきましてはまだ決定的なことが出ていないように思うのであります。私たちは、高等学校義務教育に準ずる、しかも年々進んでいる日本の情勢からいって、当然希望者は全員入り得る、こういう条件を整備しなければならぬと思っておるわけであります。その点について、高知県で全員入学をやった結果、入学率が悪いといっておりますが、週刊新潮が手に入りましたので見てみますと、前には陸士とか海兵なんかにたくさん入った、このごろは防衛大学に入学する者が少ない、だから学力が低下しているのだ、こういうような言い方をしておりますが、こういう言い方はちょんまげをつけて言うべきことで、今言うべきことでない。しかも入学率学力は比例するのだというところに問題がある。これは相当疑問じゃないか。また現在の入学率がいい悪いということも、ほんとうに人間を育成するという立場からいいますと、今の学校入学試験に対処する勉強の仕方、これは相当疑問があると思っております。ひどいのになりますと、女子の高等学校で夜まで補習教育をやっている。オールナイトというかナイトショーというか、ああいうように夜までやっているようなことになりますと、これはおそろしいことじゃないかと思う。そんなことは決して学問の常道じゃないと思うのです。でありますから入学率イコール学力だというような考え方は払拭すべきじゃないか。これは内藤さんの見解はどうか。ここには伊藤という調査課長の言われたように書いておりますが、この点、高等学校全員入学を確立するのだ、そのためにはこうするのだということを、もっとはっきり伺いたい。それから学力入学率イコールであるかどうかという問題についてお答え願いたい。
  13. 加藤精三

    加藤(精)委員 ちょっと関連して。西村委員は横暴にも、私が高知県の完全入学を批判したことについて、人的資源が重複してむだになるからいかぬとか何とかいうような理屈をつけて加藤精三は非難しているというようなことを申しておられますけれども、そんなことではないのです。日本教員組合教員組合宣伝教育政策をいかにも誇らしげに言うことの手段として、高知完全入学を悪用した、私はそう考えておる。迷惑をこうむったものは、高知県下の児童であり、生徒である、私はそう固く信じておる。それから西村委員が特に代議士になる前から力を入れられました、西村委員の御郷土の山形県の教育が能率が非常に上がって、そうして業績が上がっているということを僕が称賛したのに対して、この進学予定の生徒指定された栄誉あるその生徒上級学校入学率、これがいいと言っても当てにならぬ、あるいはそれは試験のやり方で――あるいは承りますと、いかにも曲解すれば、高知県の方の学力が、西村委員が代議士になる前から一生懸命努力されて水準を上げた山形県の教育よりも学力程度が低い、教育効果が上がってないとでも言うかのごときお言葉を承ったことは、西村委員の御郷里の山形県のために非常に残念だと私は思う。  それからなんか士官学校防衛大学と比較して、その入学率がその県の生徒学力に比例しないとかいうようなことは、論理学で言えば比喩の誤謬です。そんなものは何ら今の第一の問題と関連しないことです。そのことを私は訂正して西村委員の御質問に答えていただきたい。
  14. 内藤誉三郎

    内藤説明員 高等学校義務教育に準ずる教育でございますので、できるだけ希望者を入れたい、こういう趣旨には賛成でございます。ただ地方財政という問題もございますし、一挙に希望者があるから全員入れるというわけにも参らぬと思うのです。ただそういう努力は私どもも現在しております。百十数万の希望者に対してすでに百五、六万、九五、六%のものが進学しておる実態を見ていただきますれば、御趣旨の点は貫ぬかれておるのではなかろうか。今後もできるだけ高等学校進学率を上げて、昭和四十五年までには七割程度まで進学率を引き上げるように計画を進めておるわけでございます。  それから第二番目の標準テスト入学試験との関連、あるいはそれがどういうふうな関係にあるか、こういうようなお尋ねでございますが、文部省で行なっておりますところの標準テストは、これはあくまでも標準テストでございまして、大学の進学率とはある程度関連があろうと私は思う。しかし必ずしもイコールではない、こういう趣旨でございまして、この点は誤解のないようにしていただきたい。ただ今日の試験制度にもいろいろ弊害がありますので、入学試験の選抜方法につきましては、特に大学の問題につきまして、中央教育審議会にも今諮問をしている最中であります。いずれこの結果も出ると思いますので、入学試験改善を行なうと同時に、学力水準を上げるようにいろいろな努力をしていきたいと思っております。
  15. 西村力弥

    西村(力)委員 私の考えておることは、今希望者の九五%程度高等学校教育を受けている、あと五%のところが不幸にして希望が達せられないという現状だというお話ですが、これはますます生徒増に伴ってひどくなるのじゃないか。それを解消する。その期間においては、その程度のことはやむを得ないじゃないか、しかしそれを越えたあとにおいては全員入学は可能である、こういう工合にやはり構想を立ててやらなければならないじゃないか。そのときに学校が余るなんていいますけれども、現在の学校の規模というものは、それは高等学校という名にふさわしくない状態にあることは間違いない。生徒だって五十何人にするなんて言っていますけれども、そんなままにいつまでも放置すべきではないので、特別教室だってこれはふんだんにあってしかるべきだ。決して僕はそれで教室、校舎、そういうものが余ってしまうということはあり得ないと思うのです。ですから、そういう構想をもって、今からあわてない考えではっきりした対策を立ててもらわなければならぬと思う。そういう点について一つ御希望をしっかりと申し上げます。考え方においては、大体において皆さん方も同じだと思いますが、ただそれを実現する御努力は、これはぜひ戦争の跡始末という意味においても誠意をもって貫いていただかなければならぬのではないかと思っているわけなんであります。  次に継続して福井県を視察した場合の問題についてお伺いしますが、先ほど加藤委員からもありましたし、局長からもありましたけれども高等学校新設あるいは増築に対する国家補助ですか、助力というか、これも義務教育並みにぜひやってもらわなければならぬのではないか。それとともに積雪寒冷地帯に対する学校建築の場合の補正というものがありますが、それに湿潤度ですか、こういうものを一枚加えていただきたい。これは現実にモルタル張りの校舎なんか見ますと、そういう湿気の多いところは非常に持ちが悪い。でありますので、そういう点をやはり水湿、寒冷度に応じた補正と同様の補正の考え方を打ち立てていただかなければならぬのではないか、この点をお伺いしたい。
  16. 福田繁

    ○福田説明員 ただいまの御質問でございますが、現在の公立文教施設五カ年計画におきましては、たとえば屋体等を例にとりますと、屋体は当初積雪寒冷地帯から優先的に実行するということで負担事業が始まったのでありますけれども、実際に全国的に見ますと、湿潤多雨地帯にも屋体は必要であるというような関係で、現在屋体につきましては、そういう負担事業を実施いたしておりますけれども、一般的に校舎につきましてはそこまでまだいっておりません。従って、この湿潤補正というような問題は、将来の問題として私どもとしては研究いたしたいと考えております。  それから先ほどの高等学校急増対策につきましての問題でございますが、将来三十八年以降におきまして高等学校生徒急増に備えて何らかの措置を講じませんと、相当の増加する高等学校生徒の収容ができませんので、私どもは現在の考え方といたしましては、公立の場合におきましては、富裕府県はともかくといたしましても、一般の県は相当施設設備整備ということに困難を来たす場合が多いと思います。従って公立高等学校につきましては、一応施設の二分の一補助、それから特に産業教育関係の課程につきましては、必要な施設についても補助を行ない、また従来のように設備についても補助を行なう、こういうようなことを考えておるわけであります。ただこれは公立でございますが、私立につきましても何らかの措置をいたしませんと、私立学校の場合においては特に困難を来たすと思います。従って一般の施設につきましてはこれは従来から私学振興会の融資ということが建前でございますので、できる限り有利な融資を行ないまして施設整備を行ないたい。設備あるいはまた先ほど申しました公立と同様に産業教育関係の課程につきましては補助をもって措置をしたい、こういうような考えで現在は進んでおるわけであります。
  17. 西村力弥

    西村(力)委員 次に中学校の――小学校もそうですが、給食設備なんかあちこち見せてもらいましたが、何かのその土地の状況によって生徒がうんとふえる。こういうような場合に既設の給食施設ではとてもとてもやり切れぬというところがある。ところがそれを拡充し、整備する場合においては何ら国としての手は加えられないので、これは楽でないというお話もありました。こういう点は体育局長の管轄だと思うのですが、そういう点についてはお考えはないでしょうか。これは次官にでも答弁してもらうよりほかないのですがね。
  18. 大坪保雄

    大坪説明員 ちょっとこまかいことのようで、私もよくあなたの御満足のいくようなお答えはできぬかと思います。一応関係局長から一つ御答弁させていただくことを御了承願います。
  19. 内藤誉三郎

    内藤説明員 給食施設につきまして現在のところ学校給食の拡充を急いでおりますので、新しく給食を始めるというところに重点を置いてやっておりますので、すでに既設で給食施設のあるところは、多少生徒がふえましても国の方でそこまではまだ手が届かない、こういうような状況でございますので、いずれ小学校にできるだけ広く普及いたしました後にこの問題も検討させていただきたいと思います。
  20. 西村力弥

    西村(力)委員 あまりこまかい話ばかりになりますので、ただ一応私が見てきたところの希望だけを申し上げたいと思います。福井大学に行ってみました。私は遺憾ながらこれが大学かとその設備の状況を見ましてほんとうに思いました。そんなことで科学の振興なんといってもおかしなものではないか。そしてまたそういう無理を重ねておりますので、学生も非常に危険な状態です。電気関係の実験室なんか足の踏みどころがないようにいろいろ相当のボルテージを持った線が張られておりまして、そして選抜された人が実験して、多数はその周辺で見るなんという、こういうのが大学教育となると、これは何といっていいか非常に私はさびしい気持がいたしたわけです。そういう学問の相当高度の研究をする大学が、科学教育振興の段階においては一等やはり充実されなければならないのではないか。そういう周辺の人々に対する教育の役割もそうやって十分果たし得るようにしていかなければならない、こう思います。  あるいは文化財保護の関係なんかでもあちこち見せてもらいましたが、あるところでは非常に大事な写経、三十何巻かありましたが、それが全然書庫もなく戦々きょうきょうとしてある一室に保管をしている、こういうようなところもありましたが、ああいう大事な文化財については、これはもう少し考えてやるべきじゃないか。そのほか多々ございましたが、これは折に触れてやることにいたしまして、視察関係はそのくらいにしたいと思います。  それでは最初に戻りまして、調査庁の長官おいででありますので、実はきのうも公安調査庁の方に連絡申し上げたのですが、過般九月一日に参議院の文教委員会において、荒木文部大臣が、加瀬委員質問に答えまして、あたかも日教組が破防法すれすれの団体であるかのごとき発言をしております。このことは新聞にも出ましたが、ちょっとゆるがせにできないことじゃないかと、こう思うわけです。こういう点について公安調査庁の何ものにも左右されない見解をここに述べてもらいたいと思う。こういうことが新聞に載せられて一般に知れわたるというようなことは、これは政策的、政略的には好む連中もおるかもしれぬけれども日本全体の公正な立場に立ってこういう発言がそのまま黙って見のがされておるということは許されないことではないかと思う。公安調査庁見解一つ聞かしていただきたいと思う。
  21. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連。私は日本教員組合というものは破防法すれすれの団体ではないか、そう考えるものでございます。現に私の目で見て、教員組合の教科課程講習会に対する妨害のごときは、実に言語を絶するものがありまして、このわれわれの平和な民主主義の日本国家におきまして、かかる不法が平然として横行するに至っては、国家のために深憂にたえないものだと考えるものであります。ある県におきましてはこの講習会を妨害するために、私の目で見たのでございますが、講習会の開始時間前に、その県の日教組並びに近県の日教組が続々と詰めかけて、講習会場を包囲する態勢を作ったのでございます。しかもこれに日教組本部の相当な指導者が、宣伝車をかって、良質の音声を出すところのスピーカーでアジっておるのであります。警察官をあるいは洗たくデモにかけていじめたり、あるいは講習会場のへいに石を投げたり、まことにこれらは破防法すれすれの団体でなければできないような行為だと考えるのであります。またある県の会場におきましては、第一日目は県教組の書記長が来られなかったので、非常に微温的なピケでございましたが、第二日目は県教組の書記長が――これは毎回の教組大会あるいは教研集会等の事前に共産党がグループ会議をやりますが、この会議にも明らかに出席しておる書記長でありますが、彼が来ますと、がぜん力を得まして、その地域の共産党の市会議員、日本社会党の県会議員、市会議員等が率先してこれを迎えまして、そうしてその日は特に強力な圧迫を加えるのです。警察署長がスピーカーをみずからとって、盛んに非合法な妨害をやらないように叫んでも、そんなことはうわのそらでございまして、ついに警察当局もやむを得ずしてそのピケに対して突破口を開き、そこを入ろうとする女の教員を、県会議員が自分の腕力、実力をもって阻止しているというような、実にひどい状況でございます。私たち考えによれば、日本教員組合というのは、まさに文部大臣が言うごとく、破防法すれすれの団体であるということを、この数年間研究の結果、われわれはそういう信念を抱いておるものでございますから、そういう点もお考えいただきまして、われらの衆議院文教常任委員会全部がそうしたことに反対している、そうした見解に反対しているものでないということをお考えいただきまして、あわせて御見解を承りたいのであります。
  22. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 ちょっと議事進行について。今加藤委員関連質問なるものは、関連質問の対象でなく、西村委員質問に対する当局の答弁に対して、何らかの影響を与えようとする意図のものであります。こういうことは不届きであると思う。だから、加藤委員質問したければ、別個に質問すればいい。こういうようなことは、非常に遺憾だと思う。今の発言は、明らかに当局の答弁に対して何らかの影響を与えようとする、関連質問に名をかりた発言であって、非常に遺憾だと思う。どうか委員長は、委員質問に対してはその十分な自由を認めて、また当局の答弁に対しては、公正な答弁ができるように運営をしてもらいたい。
  23. 秋田大助

    秋田委員長 承知いたしました。
  24. 藤井五一郎

    ○藤井説明員 お答えいたします。今の御質問の趣旨は、順序は違うかもしれませんが、先般荒木文部大臣日教組は破防法すれすれの団体だということをおっしゃったが、これに対する公安調査庁見解いかん、それからまた、要するに日教組は破防法に抵触するのではないか、こういう御質問だと思うのであります。その点についてお答えいたします。  破防法上の破壊的団体である要件は同法に厳格に定められておりまして、今日のところでは日教組において破防法に触れる疑いのある活動は、わが庁としては認められぬと思っております。従いまして、この団体については調査しておりません。それ以上この席で破防法との関係を申し上げることは、私としては差し控えたいと思います。  なお、荒木大臣から破防法すれすれのというお言葉があったようでございますが、文部大臣がどういう意味でこういう言葉を使われたか、その真意を伺わなければ、これに対してこの席でお答えするわけには参りませんが、ただ一言申し述べておきたいことは、今日までわが庁の調査によりますと、約三千余人の日本共産党員が日教組内におりまして、これが中央、地方の相当の組合の要職を占めて、共産党の指導のもとに運動を展開しておるという濃厚な疑いがあるのであります。従いまして、このような共産党の浸透という点から見ると、この党員数が示すがごとく、深く警戒を要するところであって、あるいは文部大臣もこの点を心配されてそういうことが出たのではないかと想像いたす次第でございます。
  25. 西村力弥

    西村(力)委員 私の求める答弁は、あなたの方で日教組を破防法適用すれすれの団体として認定しているかいないか、これだけであります。あとのところは、あなたの立場からつけたりとして申されたのだろうと思うのですが、しかしあとの言葉でも、私たちは軽々しくあなたの言葉をそのまま容認するということはできないのではないか。共産党員が何人おるか、調査するのは御随意でしょう。しかし、あたかも共産党員がおることによって、その団体が破防法適用の可能性というか、すれすれであるというがごとき印象を与える答弁はよろしくないと思う。共産党は非合法団体じゃないでしょう。党員が幾らいようと、何しようと、そんなことは――それはあなたの方で内々に調査されることは自由でしょうけれども、こういう席において、共産党員が何人おるから、それが指導的立場を相当持っておるから、共産党の指導を受けておる、これがために日教組がいかにも破防法すれすれの団体に近いような、そういう意味において文部大臣の発言というものが容認されるがごとき御答弁というものは、われわれはあってはならないことだ、こういう工合に思うのです。あなた方の職務というものは、われわれは好みませんけれども、非常にデリケートな重大な仕事をしておるはずです。それなりに、発言なりあるいは調査の方法なり、すべて最も厳正な方向というものが常に堅持されなければならないと思うのです。ところが今の発言を見ますと、いかにもそれとなく印象づけようとする、あるいは加藤委員の発言に対する一つのお答え的な心情も動いておるわけです。こういう御答弁でありますので、私たちはそういう御答弁というものをあなた方がやられることは少し軽率だといいますか、だんだんとあなた方の仕事というものが、そういう工合に共産党を非合法化するような方向に公然化しつつあるというような工合にも感じとしては受け取れるわけです。とにかく非合法団体、破防法すれすれの団体とか適用の団体としては考えていない、そういう明言がございましたので、この程度ではっきりして、その点は打ち切りたいと思います。  次に、来年度予算要求項目の中に学校調査のことが計画されておると新聞で報じておりますが、この件は調査の項目それ自体にも相当問題がありますが、基本的にこの調査を絶対に必要とする理由は何か、こういうことは私たちとしては非常に明瞭を欠くのです。個々の学校なりあるいは直接に管理しておる県教育委員会とか、そういうところにおいては相当の調査資料を持つということはぜひ必要でしょう。臨時の配置やすべてそうでありますが、文部省で一々の学校環境条件というものを調査させて、カードを備えさせて、そうしてやらないと文部省の行政がスムーズにいかないんだというような、こういうような考え方の基本に、私は非常な疑問を持つのです。その件についてどのような絶対的な必要性があって、こういう考え方を持たれたのか、まずそれをお聞かせ願いたい。
  26. 田中彰

    ○田中説明員 ただいまの学校調査に関する御質問でございますが、実はわれわれの考えておりますのは、全国の小学校中学校につきまして、その学校の属しております地域社会、社会的な、経済的な、あるいは教育的な、その他の文化的ないろいろな条件を調査をいたしますのが一点、さらに個々の学校について、施設設備の状況、教員の充足状況等を調査するのが第二点でございます。この二つの調査項目から成り立っておるのでございますが、この調査のねらいとするところはどこにあるかと申しますと、従来文部省においても、いろいろな調査をやります場合に、悉皆調査のできるものはこれは別でございますが、それのできない場合、すなわちサンプル調査をいたします場合に、従来は主として学校の規模によってサンプリングをしておるのでございます。学校の規模と申しますと、学級数が何学級から何学級までといったような幾つかの規模別に学校を分けまして、すなわち学級数に従って児童生徒数の大小ということになりますが、学校の規模別によるサンプリングをやっておるのでございます。そこでこのサンプリング調査の科学的な精密度と申しますか、これを高度に悉皆調査をいたしました場合とのギャップのなるべく少ない、精密度を加えるという意味から、先ほど申し上げました小中学校についてのいろいろな文化的な諸条件というものを調査いたしまして、その調査の結果を幾つかの類型に分ける、類型に分けましてサンプリングをいたします場合の基礎的な資料にしたい、こういうことで来年度学校調査考えておるわけでございます。
  27. 西村力弥

    西村(力)委員 それは学問的に博士号をとるために調査するというのならば話はわかりますけれども文部省が一々の学校教員の配置の状況とか、校舎の状況とかいうことは、これは府県ごとの類型でこれで十分に国の施策というものは考えられるのじゃないか。一々の個々の学校の条件を一つずつ検討しないでは国の施策が当を得るわけにいかぬというのは、これはあまりに煩瑣に過ぎるじゃないか、そういうまことにごていねいなようでありますけれども、私たちとしてはこれは官僚的だ、こういう評価をしたい、こう思うのです。官僚的というのは官僚的にでんとやって、このデスクの上で官僚の権限に基づく行政をやることが官僚的であると思うのです。またそういう工合に必要以上のそういうことをやることもやはり官僚的だと、私たちはそう考えております。そういう点から言いまして、どうもこれをやる目的、必要性というものについて私が理解できないであるわけなんです。実際にこの調査をなさって、いかなる場合にこれを引き出して調査されるか、指紋カードなんかは、それは犯罪の発生事実だけ調査するでしょうけれども、こういうものを整備していつカード式にこれを抽出してそうして利用されるのか、一々の学校についてあの学校はどうだった、こうだったということをされるのかどうか、こういうことについて疑問なんですが、それはどうなんですか。
  28. 田中彰

    ○田中説明員 都道府県単位の類型によってこの目的を達するのじゃないか、何も個々の学校調査は必要ないじゃないかという御指摘であったと存じますが、実はいろいろな要素、先ほど申し上げました社会的な経済的な教育的な文化的な、さような諸条件を総合的に調査をいたします。並びに当該学校教育の諸条件も調査いたします。この両者をかみ合わせまして、学校を幾つかの類型に分けようというのでございます。都道府県単位でございますと、あまりに地域が広大に過ぎ、また同じ県内でありましても、類型の異なった学校があるということは十分予想されるのでございます。従いまして、われわれとしましては、個々の学校調査いたしまして、それを一定の方式によって幾つかの類型に分ける。類型に分けましてそのサンプリングをいたします場合に、その類型の中から、学校を抽出いたしますれば、サンプリング調査というものが精密度を加えるのじゃないかということでありまして、それ以外に何らの他意があるものじゃございません。
  29. 西村力弥

    西村(力)委員 大体お考えのほどはぼんやりですがわかって参りましたが、しかし文部省のなすべき文教行政の必要資料としての項目の中に、たとえばその学校内の公務員の政党所属、そういうものが文教制度とどういう関係があるのかというようなこと、あるいは生活条件とか、あるいは文化の普及程度とか、これは学校教育で実際に子供を教育する場合には、これは学校で必要ですから、どこでもやっておるでしょう。しかし文部省の行政としてそういうことは必要あるのかどうかということになると、私たちはその調査項目の中に相当疑義を持たざるを得ないわけなんです。公務員の政党所属というようなことは、その学校のサンプル分類の場合にどういう意味を持つものか、これはどうも私はわからぬですな。まあ父兄の生活状況は、ずっとあそこは一般的に父兄が楽でないから、それじゃあそこの学校に経済とか何かよけいにやろうとか何とかいうならありがたいことですが、そんなことはないだろうと思うし、それはとにかくとして、政党所属の政治的条件ですね、党派別分布状態、こういうようなことはどういう意味を持つものか、調査局長はどういう工合考えられておるか。
  30. 田中彰

    ○田中説明員 公務員の党派的な分布状況を調査するというお話でございますが、われわれ、公務員の党派的な分布状況まで調べるということは考えておりません。
  31. 西村力弥

    西村(力)委員 その点はそれでは新聞記事は誤まり伝えられた、こう思って、了解いたしましょう。これが現実に行なわれておれば、これは文部行政の中に、調査自体に政治的色彩が相当濃厚になりつつある、そういう工合に思っておったんですがね、まあこれでよろしいのですが、ただ私はここで委員長に申し上げたいのですが、本日大臣所用のために出られないということなんだが、あと監理局長も来てない。たとい休会中の審査でも、もっと誠意を持って政府当局は私たちの審議に応じていただかなければならぬ。委員長これは責任を持ってやらなければならぬ。それから先ほど長谷川委員からもお話がありましたが、関連質問については同県のよしみをもって私は黙っておりましたけれども、やはり審議の規律というものはあってしかるべきではないか。  以上だけ最後に申し上げて私の質問を終わります。
  32. 秋田大助

    秋田委員長 次会は来たる十月十日午前十時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時三分散会