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1960-09-01 第35回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年九月一日(木曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長代理 理事 高橋 禎一君    理事 淺香 忠雄君 理事 高橋  等君    理事 前田 正男君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君 理事 田万 廣文君       内海 安吉君    富田 健治君       保科善四郎君    山口 好一君       飛鳥田一雄君    柏  正男君       久保田 豊君    杉山元治郎君       中原 健次君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         国 務 大 臣 高橋進太郎君  委員外出席者         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         総理府総務長官 藤枝 泉介君         総理府総務副長         官       佐藤 朝生君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   増子 正宏君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  山口  酉君         大蔵政務次官  簡牛 凡夫君         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      船後 正道君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 九月一日  委員綾部健太郎君辞任につき、その補欠として  山口好一君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公務員制度及び給与に関する件(人事院勧告  問題)      ————◇—————
  2. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 これより会議を開きます。  池田委員長は所用のため、委員長指名により理事の私が委員長職務を行ないます。  公務員制度及び給与に関する件について調査を進めます。  この際国家公務員法第二十八条及び一般職職員給与に関する法律第二条の基定に基づく一般職職員給与についての報告並びにその改定についての勧告に関し、人事院当局より説明を聴取することといたします。淺井人事院総裁
  3. 淺井清

    淺井説明員 人事院は去る八月八日国会及び内閣に対しまして、給与に関する報告及び勧告をいたしたのでございますが、以下その要点につきまして申し上げたいと存じます。なお御質疑に応じて御説明を申し上げたいと存じます。  われわれがこの報告をいたします場合に、まず第一に考えましたことは、公務員給与民間また公務員の中におきましても、人事院の所管の一般職公務員給与が低いということでございます。  第二には、御承知よう一般職国家公務員団体交渉権及び争議権がございませんので、この人事院勧告をよりどころとして給与改善をこれまでやって参った情勢でございまするが、これが勧告をいたしましても、実施せられるのは翌年の会計年度からでございまして、これがために非常に給与改善がおくれがちになるという事実でございます。  次に一般職公務員給与は、昭和三十四年三月におきましては、給与月額区平均は一万九千七百四十円でございましたのが、人事院調査によりまして、その後本年四月におきましては二万一千六百円となっております。  一方民間給与はどのようになっておるかと申しますると、御承知のごとく人事院は従来五十人以上の常勤従業員を雇用する全国の民間事業所給与につきまして、毎年三月に調査を行なって参ったのでございまするが、たまたまこの月が賃金の計算上比較的低い傾向を示すのでございますし、また許される範囲で最近の民間給与実情を反映させる必要があると思いまして、本年はこれを四月に切りかえまして調査いたしました。その結果によりますと、基準内給与平均月額は、職員にありましては昨年の三月の二万一千九十五円に対しまして、本年四月は二万二千六百九十四円となっておりますし、また工員にありましては一万三千百八十五円に対しまして一万四千五百三十円となっておることが判明いたしました。  また本院の調査によりますると、職種別民間給与の純上昇率は、お手元に差し上げました報告書別表第一にございまする通り昭和三十四年三月から昭和三十五年四月までにおきまして約一一、二%を示しておりまして、労働省の毎月勤労統計調査の結果によりましても、同一期間中におきまして九、六%の上昇を示しておるのでございます。しかも四月は新規に学校を卒業した人の職業につく月でもございますので、民間給与上昇率は右の毎月勤労統計調査による数字をさらに上回るものと思われるのでございます。  次に毎年調べておりまする民間における特別給は、当該企業景況のいかんによりまして変動がありまして、国家公務員の同種の給与のように固定性を持っておるものではございませんが、本年四月の調査によってみますれば、昭和三十四年五月から本年四月までの一年間に、基準内給与平均月額の三・一九カ月分が支払われておるということが判明いたしました。  しかしながら公務員給与民間給与との較差を正確に把握いたしまするためには、民間勤労者一般職国家公務員とを職務種類別に、また責任の度合い、学歴、年令等条件を同等にして、その給与を比較することが適切であると思います。ゆえに本院は前記民間事業所に勤務する常勤従業員のうち、公務共通性を有する職務に従事すると認められるもの約二十七万人につきまして、本年四月分の基準内給与を比較いたしました結果と、公務員給与等実態調査の結果とを上述の方法で比較いたしましたところ、その結果はお手元に差し上げました報告書別表第二に示す通りでございまして、全共通職種を総合した官民全体の較差について見ますと、民間給与国家公務員のそれを一二・五%上回っておるのでございます。  この結果を、さきに申し上げました人事院調査による民間給与上昇率一一・二%及び毎月勤労統計調査による民間給与上昇率九、六%とをあわせ考えますと、いずれの調査におきましても、昭和三十四年三月から昭和三十五年四月までの間における民間給与上昇が特に顕著であった事実を示しておるのでございます。これは特に昨年度におけるわが国経済成長率が、政府経済白書にも述べられておりまするように、一般予想をはるかに上回り、戦後を通じて比を見ないほどの高さを示しておる実情を反映したようにも思われます。  この官民給与の比較におきまして、特に医師及び研究職について著しい較差が認められます。また世論もございまして、官民給与較差を離れまして、大学教授給与改善必要性のあることを指摘いたしたいと思います。  次に本院におきまして毎年算定いたしておりまする、すなわち標準生計費でございまするが、これは本年四月の独身男子十八才程度の標準生計費は、月額約八千七百十円と見込まれておるのでございます。ただしこれは東京について算定したものでございまして、暫定手当の各支給地域にひとしく妥当するものではないと思うのでございます。  以上、報告いたしました諸事情を総合勘案いたしまして、民間給与との均衡、あるいは科学技術振興等の要請に基づきまして、この際一般職国家公務員給与につきまして全面的かつ合理的な改善を必要とするものと認めたのでございます。それで人事院は八月八日この報告とあわせまして、政府に対しまして次のような勧告をいたしたわけでございます。  第一は、俸給表の問題でございまするが、これは各俸給表をそれぞれお手元に出しました別紙のように改定するということ、言葉をかえますれば、すべての俸給表のすべての号俸改善するということでございます。そういたしまして、各俸給表に定められました昇給期間をすべて十二カ月に統一いたすということでございます。  第二は期末手当に関する問題でございまして、これは毎年十二月に支給する期末手当を〇・一カ月分増額するということでございます。  第三は、新たに初任給調整手当を設置いたしたいということでございます。これは科学技術振興趣旨に従いまして、有為な人材を公務に誘引いたすためでございます。  以上の勧告を実施する場合におきまして、一般職職員給与に関する法律適用を受けておりまする国家公務員の全職種平均給与水準、すなわちベースは、昭和三十五年五月一日におきまして、おおむね一二・四%上昇いたしまして、およそ二万四千二百八十円となるはずでございます。  もしこの勧告が実施される場合におきましては、給与法の適用を受ける公務員につきましては、年間おおむね俸給表改定に対しましては約百七十七億円、期末手当の増額及び初任給調整手当の新設に対する経費といたしましては約九億円を要する見込みでございます。  次に人事院は、この勧告の基礎となっておりまする官民給与較差が、昭和三十五年四月を基準といたしておりますることから見まして、この勧告が本年五月一日から実施されることを適当と考えておるのでございます。  どうぞ国会におかれましては、この報告及び勧告を御審議下さいまして、すみやかに適切なる処置をとられるように切望する次第でございます。
  4. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 大臣が発言を求められております。高橋国務大臣
  5. 高橋禎一

    高橋国務大臣 今回私が公務員給与並びに公務員制度に関する事務に関しまして担当することに相なりましたので、何とぞよろしくお願いをいたします。
  6. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 これより質疑を許します。石山權作君
  7. 石山權作

    石山委員 それでは質問の関連からして、給与担当高橋国務大臣立場というものと総理府総務長官立場、実際の操作総理府でやられる、あなたはその責任立場で御答弁していただく、そういうのでございますか。
  8. 高橋禎一

    高橋国務大臣 さよう御了承願ってけっこうだと思います。
  9. 石山權作

    石山委員 人事院総裁にお伺いします。何かおからだが悪いそうですが、私が質問中でも工合が悪かったら、合図していただけばやめますから……。せっかくおいでになりましたから、大まかなことだけでもあなたから御答弁を聞きたいと思います。  あなたの御説明を聞いていると、そこには政治的意図はないのだと、私はそういうふうに感じ取っているのですが、その通り解釈してよろしいでしょうか。
  10. 淺井清

    淺井説明員 その政治的意図というのがどういう御趣旨で仰せられたか知りませんが、われわれといたしましては、いわば科学的に民間給与を考えました。ただし公務員法民間給与標準生計費、その他の事情もあわせて考慮して俸給をきめることになっておりますので、その趣旨でやっておるわけであります。
  11. 石山權作

    石山委員 それでは私も努めてそういう格好で御質問したいと思います。  今までの勧告等を見てみますと、昭和二十八年からほんとうに長い間ベース改定に関する勧告は行なわれていないといわれているわけです。あなたの方では、一昨年手直しをした、去年だって中だるみ是正をやったというふうなことを言われるかもしれませんけれども、ベース改定としては、実際昭和二十八年以来、七、八年目のべース改定だといえる。それだけ待ちに待った勧告だと思います。おそらく政府も、あるいは給与勧告その他に関して強い関心を持っている民間人たち日経連等と言ってもよろしいと思います。普通一般経営者あるいは労務担当者と言ってもよろしいと思います。その人たちはこの勧告数字かなり強く受けたと思う。そのことのよしあしはともかく、もしこの数字に対して人事院が非常な自信を持っているにもかかわらず、強い感じを受けたとすれば、今までの人事院はなすべきことをなさなかった例証の一つの現われになっておると思います。しかし今まであまりやらなかったものだから、今回あなたの方で正確に確実に科学的に操作を行なって出した数字に対して、かなり強い印象を受ける。ですから政府などでも、何か口実があれば一二・四%の中を少し減らしてやるとか、あるいは実施期日五月一日にさかのぼれというのを、これを一刀両断に切り捨てる、こういう口実を探そうとするのじゃないかという危惧を私は持っておるわけです。しかし勧告全般から見まして、皆さんも大へん自信のあるやり方で私は出しておると思う。今回の勧告の全体の姿、これは前にはたとえば中だるみ是正初任給手直し、今回の場合は普通言われている大幅勧告です。この大幅勧告というものは、いわゆる体系をいじるには都合のいい数字を持っているわけです。手元財源を持っているわけですから……。今度の体系は一応人事院としては確信を持った体系で、各俸給表を出されておるのか、その点をお伺いしたい。
  12. 淺井清

    淺井説明員 まず第一に、人事院は過去においてベースアップをしないではないかと仰せられますけれども、べースというものは給与の総平均でございますから、初任給を直しましても、中だるみ是正をやりましても、べースは上がるのでございます。ただ今回のは全面的にすべての俸給表のすべての号俸を訂正するという意味ベースアップをしたのでございます。それで今回は確信があるのかと仰せられますけれども、人事院はいつもこれは確信があると、私の立場からは申し上げたいのでございまして、決して今回だけが確信があるという意味ではないのでございます。いつも合理的に出しておる。でございますから、全面的べースアップをやった勧告だけが確信があって、そうでないものは確信がないというわけではないのでございます。これは官民給与較差その他いろいろな諸条件を総合判断するということは、人事院の権限にまかせられておるのでございまして、それに対する種々なる御批判はあろうと思いますが、毎年そのつもりでやっておる次第でございます。
  13. 石山權作

    石山委員 一部手直し確信がある、私はその通りだと思う。一部手直しというのは、そのものだけ見れば確信があるのでしょうけれども、ベース全般から見た場合は、必ずしも適切でない場合が往々あるのではないか。それが昨年の中だるみ是正のとき私たち論難をしたことでございます。私たちはその論難人事院をいじめるために言った論難ではなくて、今日でもやはりわれわれの言った論難というものは適切だと考えておるわけです。ただ私たちはここで人事院立場を考えられるのは、一部是正をせざるを得ないようないわゆる客観情勢、これは何も政治的意図だけではございません。たとえば民間経済変動によるところの原資がなかったということにも基因するでございましょう。しかし中だるみ是正そのもの、一部改正したからといって、自信がありましても、形そのものが正しいということにはなり得ないということは理論だと思う。形全体が正しいとは言われないと思うのです。ですから自信があっておやりになられた過去のことであっても、われわれが考えておるような形でいわゆる給与体系というもの、日本の現在置かれた公務員給与体系というものについては、私は人事院は努力しただろうと思うけれども、その結果はそんなに上がっていなかったというのが私の言いたいところでございます。しかし今般の場合はかなり原資を持ちまして操作を行なったのですから、自信を持ったのだろうと思うけれども、自信のほかに冷静な意味体系を見た上で、当分この体系でやっていく。たとえば来年度また民間給与が上がった場合、一〇%のあれが出る。そうした場合に、今度の場合のこの皆さんの方のあれを見ますと、これは新聞社の方々も指摘している通り、上に厚い、下に薄いと言っているのです。これはたとえば下の方が一二%くらいのとき、一等五号は三二%。ですから私の言いたいことは、これは形を整えるための、あなたの方から言わせれば正しい体系を組むための操作である。一応そういう形で是認をするならば、来年度になれば、こういうふうな昇級昇号の仕方は行なわなくても済むのかということです。一〇%上がればあるいは中卒の方であっても一〇%、一等五号のところであっても一〇%というふうな形で昇給が行なわれる可能性が、このことによって生まれるかどうかということです。
  14. 淺井清

    淺井説明員 今年は民間景況も非常によろしゅうございますから、いろいろなことを判断してこういう体系にしたわけでございます。ただこの体系が将来どうなるかということについての御質問でございまするけれども、実はこの上厚下薄ということをよく批判されますけれども、初任給是正を一昨年やり、去年は中だるみ是正をやり、上の方は実は押えられておったのでございます。今回はやや合理的な給与曲線を引き得たと私は思っておるのでございます。そこで来年はどうなるかということは、これはちょっと私申し上げかねるので、来年はまた今後のことを考えてやるのでございます。ただしかし給与昇給曲線が合理的にはなってきた、かように考えております。
  15. 石山權作

    石山委員 これは民間給与を対象にするという建前ですね。しかし人事院の存在は、民間給与をそのまま移行するという建前でないですね。より合理的にまじめに働いている公務員諸君に不評を与えないような、職場に働いてそれを奨励するような体系を組むということが、最大の任務なわけですね。そうした場合には、民間給与は対照されながらも、おのずからしていわゆる公務員給与体系というものは生まれてこなければならぬわけです。あなたに言わせれば生まれつつある。しかし私の言っていることは、今回の形からいってかなり大幅にやったのですから、その体系が今回整ったのかというのを聞いている。あなたはまだ来年のことは言えないと言いますけれども、それではちょっと不見識だと思うのです。固まりつつあるものならば、来年度はこの体系を押し進めていくということになるわけでしょう。そんなに来年のことはわからぬなどというほど変化のあるという予想が立つとするならば、人事院の今回の体系は行き当たりばったりの体系ということになるじゃありませんか。
  16. 淺井清

    淺井説明員 私が申し上げたのはそういう意味ではないのです。ただ来年のことをどうするかということは、責任を持って申し上げられないというこを申し上げたので、私は今回の体系はほぼ従来の欠陥を直し得たと思っていることは事実でございます。
  17. 石山權作

    石山委員 私の得た資料が間違いであれば、私いつでも訂正いたしますが、上の方が押えられておったという御意見です。しかし私が知らしてもらった資料の中には、三十四年四月一日に一等四号が一等五号になったという経緯がある、これは間違いないと思います。そうすれば必ずしも上を押えたという経緯じゃないと思う。  それから私再度申し上げたい点は、今年度のこの体系は、だれが見ましてもかなりに荒っぽい数字操作だと考えてよろしい。しかしこれは体系を改めるための原資があったのですから、その体系を改めるための荒っぽい操作であって、やむを得ない操作であった。これならばちょっと耳を傾けてもいいと思います。しかし来年もこういうふうな操作が行なわれるかもしれないなどというならば、それこそ新聞の方が解説を書いているように何だと言うのです。下はたった九百円しか上がらないのに、上は二万二千円も上がるというのは何事だ、こういう端的な言い分がそのまま生きてくる可能性があるのではないかと思う。私は何ぼか給与皆さんから教えていただいているから、そういう平面的なことだけを追及しているのじゃないのです。そうじゃないのですけれども、来年に対してあなたの方で確信のないような答弁があれば、来年また下は一二%、上は三二%上げるというようなことがあるとすれば、これは許しがたいやり方だと思う。これはほんとうお金が必要で、最も職場で難儀をしておる人々にいかないで、試験に一ぺん通過したからといって身分が安定した人に多くの賃金が与えられるというような格好、これが今年だけでなくして、来年も荒っぽくこの数字をやるとするならば、大へん格差ができる。今度のこの体系からこういう印象を受けております。給与面から見た職階の権威というものが、金額によって示されるというような印象を受けております。これはある意味では整った数字だと思うのですが、今までのようなゆとりがなくなっているのです。これはあなたの方のねらいでございましょう。そして職務に応じたところ、たとえば係長以上、課長補佐以上、ここへ重点的にお金の集まるような仕組みがされた。この仕組みは今回多くつけただけじゃないでしょう。昇給年限をみな十二カ月にしたということもあわせて考えると、特にそういう印象を受けざるを得ないと思います。これは私はいつも人事院考え方が違うのではないと思うのです。ただ現実の問題についてのとらまえ方にかなりの相違があると私は見ております。  その一つは、たとえばわれわれが初任給が低いのだ、ここを上げることによって全体の給与体系が変わるのだ、ここをいつも力説しているわけです。現実のとらまえ方からすれば、初任給が上がるのでございますから、どうしても上下の格差というものはこの段階においてはあまり広げることは、経済実情にマッチしないという意見です。しかし今度の人事院勧告を見ますと、初任給はそんなに上がりません。東京都の生活と比べると八千なんぼというものは、やっと計数に合うことでしょう。それにもかかわらず上の方はぐっと上がっておった。そのことは経済実情を、生活実情を無視した職階給を今回しいたのではないか。それをまたぞろ来年延長をやるとすれば、なおさら実情に合わない職階給がしかれていくということなんです。ですから先ほど申し上げましたように、かりに今回のは人事院に同情して、一つ体系を作るための荒い数字の使い方をしたのだが、来年度になればそういうことはいたしません、こういうことであれば、私は皆さん考え方かなりに理解できると思うのですが、その点に関すると、どうも人事院総裁は自分の体系自信がないのかどうか、あるいは職階給というものはもっと強くしがなければ、日本官公吏制度というものがきちんとしないのだ。あるいはあなたがお金によって吏道刷新ということを考えているのかもしれません。私の言いたいことは、ことしはやむを得なかったかもしれぬけれども、来年度はそういう形を取らないのだ。下が一二%、上が三二%も上がる、こういうような格好をとらないのだというふうなことを答えていただけると思って、さっきから何べんも御質問申し上げているわけなんです。
  18. 淺井清

    淺井説明員 だんだんと伺っておりますと、石山さんのお尋ねになることも、私の答えておりますのとあまり違ってないのです。ただ問題は、今年は下は一〇%上げ、上は三〇%以上上げておるのですが、来年もまたこういうことをやるのではないか、こういうことであります。それに対しまして、私は来年度のことに対してどうするのだということを、ここではっきり言えとおっしゃっても、できないと申し上げておる。ただし今回の勧告によりまして、ほぼ給与体系が合理的になったと思っている。こういうわけでございますから、言葉のニュアンスだけの話であります。どうぞ御了解を願いたいと思います。
  19. 石山權作

    石山委員 私の方ではそういう点で了解をしておきますが、この内容については、もっと時日をかけてあなたの方から御答弁をいただきたいし、私の方もただしたい点がありますが、問題点としてはそういうことがあるということであります。今年度の操作をした結果、来年度の操作というものは十分にそれに対して考慮をしていただけるものだというふうな理解のもとで話を進めていきたいと思いますが、昇給期間の問題でございます。縮まった方はいいわけです。今まで十五カ月とかというようなものが十二カ月になった。この方はいいわけです。六カ月、八カ月というのがあったと思いますが、こういう延びた人たち、それはどういうふうな解釈のもとで延ばしたか。
  20. 淺井清

    淺井説明員 これはただ延ばしておるわけではなく、昇給金額で調整しているわけです。ちょっと給与局長から……
  21. 瀧本忠男

    瀧本説明員 昇給期間の点でございますが、昇給期間を十二カ月にしたということは、従来の昇給金額をそのままにして十二カ月にしたというわけではないのでございます。この点は、われわれの方からも説明いたしておるところでございます。従来十五カ月あるいは二十一カ月、二十四カ月というような昇給期間の定めがあったわけでございますが、この十五カ月あるいは二十一カ月、二十四カ月というようなことになりますると、昇給期間が非常に延びた感じがいたします。これは今まで三年間運営いたしました経験によりますと、どうも職員の意気を阻喪せしめる点が非常に大きいのではないかというようなことを考えた次第でございます。従いまして、今回は昇給期間を全部標準十二カ月、良好なる成績で勤務いたしました者に関しましては十二カ月ということにいたしたのでございます。これは年間の昇給率は現行制度と大体同程度、あるいは場合によっては多少よくなっておるところも部分的にはあろうかと思います。そういう目途をもってやった次第でございます。従来六カ月、九カ月という昇給期間がございましたのは、行政職(二)俸給表、これに六カ月、九カ月というのがあったのでございます。これはどうも行政職(二)を別扱いしておるのではないかというような御批判が従来非常に強かった。われわれは何も行政職(二)というものを別扱いしておるわけではないので、これは業務の実態等に着目いたしましてそういうふうにやっておったのでございますが、これとても何も六カ月ということを存置しなければならぬという理由は、今非常に薄れておるのではないかというように考えまして、しかしながら六カ月目に昇給し、それから十二カ月目に昇給するという場合には、とにかくその昇給した期間だけは、その昇給額だけもうけておる。それは上がっておるわけです。それをまとめて十二カ月目に昇給いたしますと、その部分だけ損をしはせぬか、こういう心配があるわけでございますが、そういう点は調整をいたしまして、損のないようにいたしておるということで、全体を十二カ月、こういうことにいたした次第であります。
  22. 石山權作

    石山委員 どうも実施の状態をお聞きしないと、実際からいえば言葉通りになっておるかどうかという疑問を持ちます。  それから今回の体系のうちで、底上げをする原資というものを手持ちがありながら、二千六百円もありながら底上げを行なうという意欲を欠いたことは、今回のべースアップ改定の一番欠点じゃないか、私はこう思っている。いろいろなことを言えばたくさんありますけれども、底上げを行なう熱意を持ってなぜおやりになっていただけなかったか、このことが今回の給与改定のうちの一番欠点だし、人事院に対して、今後もあることですから、一応警告の立場をとっておきたいと思います。何と申しましても、私は現在の給与体系から見まして、こんなに大幅な、政府なんか頭の痛いほど大きな数字だと思う。この数字に対して底上げに対する熱意を見せるような体系を組まないなんというのは、どう考えましても私は納得することができません。  それから今度の体系を考えてみて、こういうことを便法的に考える必要があったのではないか。たとえば初任給が少ないのでございますから、なるべく上下の差を縮めることが、給与体系からすればいい体系だと信じております。それはあなた方も否定できないと思う。しかし役職についた、総合的な責任の地位にある人は、ではどうするか、見殺しにするかということになると思います。ですからこの場合、それは号俸からはずしまして、いわゆる管理職の手当なら管理職の手当というものを考えてみたかどうか。それは民間ではよく役付手当とかどうとかいいまして、役につけば当然その責任の軽重に従って金額がつくわけです。そうして無住所になれば本給だけ支給されるという建前を厳重にとっているのですが、今回はそれを一応考えてみていただいたかどうか。
  23. 瀧本忠男

    瀧本説明員 まず全体的に底上げをすべきではないかという御意見でございますが、われわれの今回やりました俸給表改定の基本方針というものを申し上げて御了解を得たいと思うのです。それはまず一二・五%という数字官民相互の較差として出した次第でございます。これは人事院職種別民間給与調査というやり方でやっております。現在官民の全体的比較を得ますためには、この方法が一番いい方法とは申しませんけれども、現在われわれが考え得る中ではベターな方法であろうというふうに考えております。しかしそうは申しましても、この俸給表別、等級別に比較いたすわけでございますが、その較差を直ちに公務に導入するということは、やはり公務の特殊性として適当でないというようにわれわれは考えまして、職務責任という観点だけでなく、やはり公務員が終身職であるというようなこと、あるいは公務部内が現実俸給表間の異動がある。その異動の際の困難な問題を避けなければならないというような問題いろいろなことを総合的に勘案いたしまして、俸給表を作る。従ってここに厳密には俸給表別あるいは等級別の格差を、われわれが俸給表改定いたします際に、とらないということでございます。しかしそうは申しましても、研究職、医療職、こういうものは、民間と比べますと較差がずば抜けて高いのでございます。このようなものにつきまして、全体的にならしてしまうということは、これはやはり問題があろうかというように考えます。また現在科学技術奨励というような観点から、研究職給与の増額ということはあらゆる方面から問題になっておりまするし、またわれわれの調査からもそのようなことが出ておるわけであります。お医者の給与は、これは民間給与が非常に高いので、公務にお医者さんをつなぎとめることすら非常に困難であるというような現状があるわけであります。大学教授較差は出ておりませんが、現在私立大学の教授の給与——大体大学教育というのは国でやるというのがわが国の場合においては原則であろうと思いますが、そういう場合に職務内容が同じであるからというので、たとい計算上は対比をとりましてもそれにこだわるべきではないだろう、むしろ研究という観点から考えますならば、研究職と同じように考えていいのではないかというようなことがございます。  以上のような背景におきまして、われわれが今回やりましたことは、まず行政職(一)の六等級、七等級、八等級、こういうところに相当いたしまするものは、これを俸給表にこだわらず行(一)以外の俸給表の大体対応いたします等級を全部集めてみまして、これの官民較差がどれくらいであるかというのを調べてみますと、これはおおむね一一%程度であります。従いまして六、七、八の辺は一一%程度改善する。その程度改善を行ないまするならば、われわれの調査によります初任給もおおむね民間実情と符合する、こういうことになるということがいろいろ研究の途中でわかったのでございます。  それでは今度は研究、医療をどのように処遇するかということでございますが、研究職、医療職につきましては、研究職、医療職、行政(一)とこれを合算いたしまして、その二等級あたりが民間と比べてどのくらいの較差になるかと申しますと、これがおおむね三一%程度になるのでございます。従いましてこのおおむね三〇%ないし三一%というところを、この研究、医療、教育並びに行(一)の二等級あたりの改善率にいたす。もっとも二等級は必ずしも俸給の幅が各俸給表を通じて同じでございません。従いまして出ておる数字を見て的確な判断はいたしがたいのでありますが、おおむね三一%程度というところに置いたわけでございます。  以上のような方法によりまして、われわれは俸給表を今回作成いたした次第でございます。これを別の面から見ますならば、ただいま九百円、八百円くらいな増額になる部分があるではないかというお話でございますけれども、各等級別にごらんいただきますならば、等級を平均して見るならばおそらく一〇%はもちろんこえておる。それで千円もこえておる。これは見ようによっては千円ないしは一〇%の格上げ、こういうふうにごらん願ってもけっこうなような数字であろうとわれわれは思っております。従いまして、もちろん部分的には多少低いところもございますけれども、そういうことに御了解願いたいと思うわけであります。来年どうやるかというお話でありますが、総裁も先ほど申しましたように来年の話は、これは民間給与調査をやってみなければわからぬことであります。しかしながら総裁も申しましたように、おおむね体系的には今回でほぼ一応の目標を達しておるのではなかろうかというように考えるのでございます。それから先の話は今後一年間に民間でどういう変化が起きてくるか、来年の調査をやってみなければわからない、こういう状況でございます。
  24. 石山權作

    石山委員 私は職制につながる等級号俸があるために、無理な昇給をさせている面があるのではないかと思う。つまり差を多く設けなければならぬ。そしてその差を役付にするために二段階に飛ばさせる方法を無理にとらざるを得ない。それが役付手当というものがあれば号俸はそんなに伸ばさなくても済むし、自然な形で、だれが見ても妥当だという形で昇給等が行なわれていく。私はこういうビラをもらったのです。ビラをもらったのと、あなたの方でお示しになったこの職階給が非常にきちんと定められてきたこの体系の中で民間でいう役付給、あるいはあなたの方で言えば管理職ですか、職にある者をば別個の形でいいという工夫をしないから、そういう無理が起きたのではないか。これは人事院にも関係があるからあなたの方も御承知かもしらぬけれども、全商工、通産省の大阪の組合で起きていることです。これは公務員制度調査室の方にもお聞きしたいと思いますが、法律的には許されていますが、号俸を飛び越えるという建前、しかもこれは二十七年に上級試験を通過したわけですね。二十七年に上級試験を通過したという建前で、今回一ぺんに十五人二号俸も飛び越えた。それで某なる者が大阪の局の第一課長に天下り就任した。これはやはり一つの金がつくことによってこういう問題が起きてくると思うのです。ですから役付にならなければ高い給料をもらえない。それが自然の形で一段階々々々と上がっていかなければいけないはずです。これは上級試験をとらない者はおおむねそういう形で長い間やってくるわけなんです。この表から見ますと中学卒、高校卒でもいいかもしれません。四十年かからなければ次官級までいけない体系でしょう。片方の方は資格をとったから二号も三号も飛び越えていいというふうな、こういう慣習が日本公務員の中でできている。これは好ましい姿でないと私は思う。じみに働いている、実際に職場でまじめに働いている古い係長は頭打ちをしている。おそらくは課長補佐どまりになるでしょう。しかし片方の方はぼさっとしているかどうか知りませんけれども、二号、三号飛んで、そして天下り人事に就任する。これは私はいい習慣だとは考えられません。こういう点は公務員制度調査室では御検討なさっているかどうか、しておりましたら一つ説明いただきたいと思う。
  25. 増子正宏

    ○増子説明員 ただいま御指摘になりました全商工の事例でございますが、私どもの関係におきましては、直接この実際の問題を処理いたす権限はございません。つまりただいまの問題は制度的に申しますと任用の資格の問題、あるいは給与上の操作の問題、昇格等の問題でございまして、いずれもこれは法律に基づきまして人事院規則なり人事院の運用方針によりまして、各省人事当局がやっておるところでございます。人事問題がございますれば人事院の方針に従って処理さるべき問題でございまして、内閣もしくは総理府からこれを指揮監督すべき筋合いではないと考えております。
  26. 石山權作

    石山委員 そうしますとあなたの方の権限分野に属するわけですが、あなた方は、こういう体系を組むからそういうことが行なわれやすいということにはお気づきになりませんか、操作上からして。今度こういうことをやると、なおさらこの体系ができたために今度のこの問題が特に起きてきたというふうに私は思う。上下の差が広がったのですから、この機会に飛び込まなければいかぬというのがこの行き方だと思う。だから私は特に職階級の上下の差というものを狭めておきながらも、実際責任の地位にある人たちのことを考えるならば、役付手当というふうなもの、あるいは管理職手当というふうものを考えておけば、こういうふうな危険性はなくなるのではないかというふうに質問したと思っております。
  27. 瀧本忠男

    瀧本説明員 先ほどの説明が長くなり過ぎまして、お答えの中心に触れなかったのでありますが、いわゆる特別調整額というものを増額してこれをやればよろしいではないかというお話でございますが、この特別調整額というものは主として管理、監督の任にあるということでございます。これは行政職におきましては、そういう方法をとることは非常に適切かもしれません。しかしお医者あるいは研究職あるいは大学の教職員というふうな場合におきましては、そういう方法によることが必ずしも適当ではないのではないかということと、それから現に現在の俸給表におきましても、教育すなわち大学に適用いたしまする俸給、それから研究、医療、それから行政職は、一等級は同じ金額で同じ幅になっておるのでございます。これはやはり各俸給表間のバランスをとる、いわゆる最高の場所におけるバランスをとるという必要上から、そういうふうになっておると思うのでございますが、そういう観点からも考えまして、やはり今回は俸給表で改正するのが至当ではないかということと、それから先ほど御説明申し上げましたように、なるほど研究、医療の上級職の改善度合いが非常に大きいのでありますけれども、これはやはり統計資料に基づきましてやっておる次第でございまして、特に上級職を意識的に調査資料以上にやったというものではないのでございます。従いまして、今回はやはり特別調整額を全面的に引き上げるという方法をとることは、技術的にまずいのではないか。しかし特別調整額の現在の体系がそれでは全部完備しておるかと申せば、これはそうではございません。従いまして今後われわれは研究いたしまして、これの整備をいたさなければならぬと思っておりますけれども、今直ちに特別調整額の最高額をさらに引き上げるという方法をとるのは不適当である、このように考えた次第であります。
  28. 石山權作

    石山委員 この問題はやはり数字等、長い間の慣習等も調べてみなければ、それの是非はなかなか決定できないと思うので、これは後に譲りたいと思います。  それで、きょうせくかく給与担当大臣や大蔵大臣も出ていただきましたので、人事院勧告に対する政府の取り扱い方等をこの際御説明いただきたいと思うわけです。慎重という言葉を大へん使っておるようですが、慎重という言葉は、政府人事院勧告に関しては誠意をもっておやりになるという慎重もございましょうし、慎重にやっているうち逃げ込むという場合の便法としての慎重もございましょう。いろいろ慎重というのがあるのでございます。今の政府の場合は、就任されない前の池田さんの心がまえ等を新聞でそれぞれ発表しているようでございますが、その中に公務員給与という条項も入っていたように思います。それに力を得て人事院の方々が奮励努力してやったという意味ではないと思いますけれども、そういうことも私は最終的な数字の設定の際、かなり影響しないとも言い切れない面があるのではないか。そうしますとやはり池田内閣としては、人事院勧告を慎重に研究していただいているだろうと思いますが、これは善意な方に慎重にやっていただいているだろうと思います。これは総理府でおやりになっていると思いますが、数字等の検討はどのくらいまで進んでいっているか。総務長官からお答えを願いたい。
  29. 藤枝泉介

    ○藤枝説明員 最初に、誠意をもってやっておるかということでございます。これはまさに誠意をもって研究を続けておる次第でございます。数字等につきましては、一般職号俸適用を受けるものは、人事院もお出しになっておりますが、大体さような数字だと思っております。そのほか、これが他の特別職にどの程度に影響いたしますか、あるいは地方の職員にどの程度に影響いたしますかというような点につきましては、なお少し研究の余地がございますので、その辺のところを目下せっかく努力いたしておるというところでございます。
  30. 石山權作

    石山委員 それから総務長官、もう一つお聞きしたいのですが、五月一日にさかのぼるという、この数字の取り扱い方はどうでございますか。これもあわせて研究していただいておるかどうか。それからあなたの方で研究していただいているということは、数字調査だけで終わるのか、それとも大蔵省との連関作業を行なうのか。その点も一つ明らかにしておいてもらいたいと思います。
  31. 藤枝泉介

    ○藤枝説明員 数字の検討は、単に数字の検討をいたすばかりではございませんで、それによってこれを実施する場合にどのようになるか、これは財源とのにらみ合はせがございますから、財政当局と十分打ち合わせをいたしながら進めておる次第でございます。従いまして、五月一日という勧告をどう取り扱うかということも、それも先ほど申しましたように、人事院勧告を十分に尊重するという建前において研究をいたしておる次第でございます。
  32. 石山權作

    石山委員 私はこれは的確な記憶がないのですが、人事院勧告されたとき、急遽政府の首脳部がお集まりになって、この問題を大まかに研究された。話し合われたということでしょうね。そのとき、この五月一日にさかのぼるということはとりあえず云々というふうなことを、私は新聞で見た記憶があるのですが、そういうふうな御決定が行なわれているかどうか。大蔵大臣がおいでになるから、この点は一番いいと思いますが、いかがでございますか。
  33. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この実施の時期、それから内容等、あげてとりあえず給与担当相の手元で検討するということをきめただけで、ほかの問題は一切きまっておりません。
  34. 石山權作

    石山委員 私もその新聞記事を見たとき、これは新聞記者の方々は非常に感覚がいいものですから、池田内閣の本体というものを先読みしましてそういうことを言ったので、おそらく皆さんとしてはそういうふうな慎重という言葉を使っているのですから、軽はずみにそんなさかのぼることはやめてほかのことを考えておくなどということは、申し合わせはされなかったと思っておりましたが、その通りで大へんいいことだと思います。  次に大蔵大臣にお伺いしたいことは、大蔵大臣は政調会などでも大へん経験の深い方で、保守党の方から見たところの日本の財政や産業など、いろいろごらんになっておるだろうと思いますが、今度の池田内閣がいろいろなことをなさる。岸さんの暗い感じをこの際一つ払拭して、新しい面で日本国を指導なさる、こういうふうな意欲に燃えていろいろ御勉強なさっているようでございます。そのあげられている項目を二、三見ますと、どうも来年度の予算の関係、これは今年度の予算にもつながるものかもしれません。予算の関係等で、われわれとしては特に当委員会は公務員給与、防衛庁の予算等もあずかっているわけですが、これがいずれも増の数字が出ているわけです。きのうも内閣委員会がありましたが、来年度は約四百億増、一千九百億をこえるという案を持っているようでございます。やはり人事院勧告をやるとすれば、これもいろいろ数字の多少があるでしょうけれども、一千億という大台は厳然としてあるのではないかと考えられます。それから中山マサさんが厚生大臣になったら、馬力をかけまして、二千億くらいを出してやる。これは去年より一千億こえるわけですね。減税は本命でございましょうから、一千億減税。しかし産業の再発展、来年度の自民党のお考えになっている五カ年計画ですか六カ年計画ですかを遂行するとすれば、港湾の改築、道路の整備、治山治水の問題等、これは必然的に行なわざるを得ない。そうしますと、どんなに小さく見積もっても、所要額が三十五年度よりも三十六年度はおそらく四千億をこえる財源を発見しなければ、いくら慎重におやりになっても、熱意をもって物事をやりましても、進まないのではないかということを私たちは思うのです。大臣は来年度の増収見込み額をどのくらいにお考えになって、来年度の予算項目を立てようとしておれらるか、それを一つ聞かしていただきたいと思います。
  35. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 今、各省からの予算概算要求書はきのうで締め切って、きのうまでで各省が大蔵省へ全部提出済みになったというところでございますので、私どもは各省の要求に対してどういう方針で臨むかというものをこれから作業するところでございますので、まだ来年度の予算についてここでこうするああするというところまで参っておりません。
  36. 石山權作

    石山委員 こうするああするということをおっしゃっておりますが、私は人事院勧告を慎重に熱意をもって尊重するとおっしゃる言葉にすがっているわけなのです。ですからあれこれの中に公務員給与なんか入っては困りますよ。あれこれやっているうちになくなるのでは——あれこれはそれ以外の、たとえば防衛費は今年度増額分が百二十五億でしたか百二十億、それを四百億以上に上げるというのです。このあれこれならわかりますよ。四百億は少し多いのではないか。あれこれするうちに百二十億で押えるというならわかるけれども、人事院勧告まであれこれの中に入れてしまって、消えさすような形をとるというのは穏やかでない。しかもこれは給与担当大臣に私は特にお聞き願いたいと思いますが、これは新聞等の解説でもついておるのですが、近来にない公務員給与改訂なのです。これは先ほど浅井さんがおいでになりまして、いろいろなことを言われました。一部手直しベースアップだ、確かに一部手直しベースアップです。しかし手直し手直しで、及ぶところと及ばないところがあるわけです。ですからベース全般から見れば、確かに上がっていますけれども、全然恩典を受けない方があったということが、今までの経緯でございます。それからこれはおそらくあなたに総理府の方からそれぞれお話をしているだろうと思いますけれども、勧告をされても、政府はああでもないこうでもないと言って、勧告を受けなかった方が多かったのです。ですから、今までの勧告は非常にそういう点では不幸な目にあってきておりました。石田労働大臣がこの前の労働大臣の場合でした。権利義務をはっきりしようというので、あのときは勧告をそのまま受けました。そのまま受けたが、どういうことをやったかというと、それはやみ給与を返せということをやった。そして三年も前に支給したのも合算させました。そしてあのとき国鉄は七、八百円あったけれども、今までお前たちはやみ給与を取っておったというので、百何ぼしか給与を上げないということもあった。これが権利義務のお話です。今度は貸借がございません。私は今度いざとなったら、石田労働大臣もここのところへ呼んで、労働行政上からして、彼が今度の人事院勧告にどういうふうな態度を見せるかということをほんとうは聞きたい。けれども、まだその段階でないのですから、関係のある皆さんにお話を申し上げているのですが、高橋国務大臣、特に私はそういう経緯があって、公務員ほんとうにいろいろなことを言われているようでございますけれども、給与の面では非常に恵まれない立場でここ数年過ごしてきたということです。こういうふうな場合に、権利義務だけのお話で問題を片づけようとしても、これはやはりいかぬことだと思う。人事院勧告が行なわれた。これは救済機関みたいなことになっておりますけれども、政府の機関でございましょう。厳然としてあって、そこから妥当な数字を——私は浅井総裁に冒頭にお聞きいたしました。大蔵大臣、これは政治意図が含まれているのか。ちっとも含まれていない、全くの科学的な操作でございます、正確な数字でございますというふうに、浅井総裁は何べんも発言しているわけです。ですからこれはほんとう民間と官公との給与立場がこの通り開いているのだ、今年の四月において開いている、しかも過去においてはそれを補うようなことは何もなかったのですから、かりにもし今回あれこれの中に入れてしまって、変な減らし方をすれば、ほんとうに私は困る、恵まれないことになるし、それから皆さんの方から権利義務だけのお話をされるのでは、秋田の方言で言うと片一丁なことになってしまいます。そうでなくて、池田さんがほんとうに新しい政治をおやりになるとするならば、ここら辺で、おれたちだって何も経営者だけを見ているのではないのだ、君たちも見ているのだ、見ている証拠として——さっき申し上げたように、これはちっとも完璧なものではないのですよ。非常に不備、欠点を持っているのです。しかも職階給で、皆さんが考えている課長以上にうんとやるという案ですから、人事院政府代表になったような格好体系は作っているのです。それさえもいやなどというのでは、これはあなたたちのいい意味の手足になる子分どもにほうびをやらないということに通ずるのです。そこら辺も十分に考えてやったのか。次官に対して三二%上げようというこれです。いわゆる上に厚くして下に薄い、これさえもやれないというならば、私はあえて社会党づらをするのではないけれども、池田内閣望みなし、修正資本主義などとおっしゃっているけれども、修正などなさる含みはない、こういうふうなことをまたこの委員会でやり始めなければならないのですから、お互いそんなことにならないように、勧告だけは十分に一つ生かしていただくように御努力を願いたい。  きょうは初めでございますから、委員長、約束の通り十二時前に私は終わります。
  37. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十分散会