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1960-09-09 第35回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年九月九日(金曜日)     午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 大島 秀一君    理事 岡部 得三君 理事 小平 久雄君    理事 中村 幸八君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君 理事 武藤 武雄君       遠藤 三郎君    鹿野 彦吉君       木倉和一郎君    田中 榮一君       野田 武夫君    板川 正吾君       勝澤 芳雄君    小林 正美君       櫻井 奎夫君    東海林 稔君       中嶋 英夫君    矢尾喜三郎君       八木  昇君    和田 博雄君       加藤 鐐造君    山下 榮二君  出席国務大臣         通商産業大臣  石井光次郎君  委員外出席者         法制局参事官         (第三部長)  吉国 一郎君         通商産業事務官         (重工業局長) 佐橋  滋君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      大堀  弘君         通商産業事務官         (公益事業局次         長)      須賀井敏行君         参  考  人         (関西電力株式         会社常務取締         役)      森岡 俊男君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 八月十八日  委員小平久雄辞任につき、その補欠として三  和精一君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員和精一辞任につき、その補欠として小  平久雄君が議長指名委員に選任された。 九月九日  委員遠藤三郎君及び木倉和一郎辞任につき、  その補欠として中村三之丞君及び早川崇君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員中村三之丞君及び早川崇辞任につき、そ  の補欠として遠藤三郎君及び木倉和一郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  理事小平久雄君八月十八日委員辞任につき、そ  の補欠として小平久雄君が委員長指名理事  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭に関する件  公益事業に関する件  重工業に関する件      ————◇—————
  2. 大島秀一

    大島委員長 これより会議を開きます。公益事業に関する件について調査を進めます。本日は電気に関する問題でありますが、本問題調査のため、特に参考人として関西電力株式会社社長芦原義重君の御出席をお願いいたしておりましたが、やむを得ざる所用のため、常務取締役森岡俊男君が御出席になっておりますので、同君を参考人とし、質疑応答の形式をもって御意見を承ることにいたしたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大島秀一

    大島委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際参考人森岡俊男君に一言ごあいさつ申し上げます。本日はきわめて御多忙中にもかかわらず、わざわざ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございました。本問題に関し、忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  それでは質疑の通告がありますのでこれを許します。田中武夫君。
  4. 田中武夫

    田中(武)委員 まず最初公益事業局長にお尋ねいたしたいのですが、先日の当委員会におきまして私は質問をいたしました。その質問に関連をいたしまして資料を要求いたしました。その資料を八月十八日付で私の手元まで送ってもらったわけなんですが、この資料を拝見いたしまして、この資料は私の質問の趣旨に答えたものであるかどうか、大きな疑問を私は持っております。一体公益事業局長は当委員会における私の質問をどのように理解しておられたのか。当日の議事録をここに持ってきておりますが、私の聞いたのはこういう抽象的なことではありません。そうしてそのことを当局へ申し上げた。そうするときのう公益事業局から、関西電力株式会社から公益事業局長あてに出された資料をもらいました。その方がむしろ内容につきましてはこまかくて、具体的に私の質問に答えております。そこで公益事業局長にお伺いいたしたいのですが、あなたはこの八月十八日付の報告書資料は何によって作られたものであるか、お伺いいたします。
  5. 大堀弘

    大堀説明員 先般の委員会におきまして田中先生から御質問がございまして、それに関連して資料提出の御要望がございました。私どもといたしましては、この事件が関西で起きております関係上、関西電力の方から責任を持った事実についての報告を受けまして、それをもとに私どもの方で資料を作成して御報告申し上げるということで努力いたしたわけでございます。その際にできるだけ早く出した方がよろしいと考えまして、電話その他で打ち合わせをいたしまして、口頭で聞き取り書を作って資料を作成したわけであります。私はただ口頭誤りがあるといけませんので、これは文書にして提出させてもらいたいということで、あとで出しましたのがお手元に後ほどお届けいたしました記録でございますが、できるだけ早く事実をお知らせしたいということで差し上げたのか、最初に差し上げた資料でございます。
  6. 田中武夫

    田中(武)委員 こちらが十八日の日付で、こちらが十九日。関西電力の方かあとから出ている。これが出たのになぜこれを私の方に送ってくれなかったか。これはあなた、これと比べてこれに基づいて書いたものではないですよ。ここで食い違いがもしあればどちらが正しいのですか。どちらを主として質問に入ったらよろしいですか。
  7. 大堀弘

    大堀説明員 私どもの方で作成いたしましたものは、非常に急ぎました関係で、多少不正確な点があるかと存じますが、その点につきましては、後ほどお届けいたしました資料によって補足をさしていただきたいと思います。
  8. 田中武夫

    田中(武)委員 それではお伺いいたしますが、まず公益事業局から出された資料についてお伺いいたします。  私が二つの例をあげましたうちの一つは、新聞記事だけであって、私自身事実の調査をいたしておりませんから、それはしばらくおくといたしまして、私が事実を調査したものに対してお伺いしたいのですが、これによると、八月の二十九日午後五時半に違約金のうち内金として二万円の入金を受け取っておりますが、八月三日に違約金金額決定いたしているのであります。関西電力電気供給規定の五十五項でしたか、違約金についての条項がございますが、これによって計算せらるべきであろうとは考えますけれども金額決定していないのに内金というものがあり得るのですか、どうですか。
  9. 大堀弘

    大堀説明員 私ども伺ったところによりますと、事実上大体この程度になるという数字のめどを置いたということを伺っております。その意味において正式の決定はどういう段取りにいたしましたか、私まだ詳細聞いておりませんが、そのうちの内金——この内金というのは常識的な言葉で使ったわけですが、先に金が二万円だけ払われたということを書いてある。
  10. 田中武夫

    田中(武)委員 基本的なものがきまらないのに内金なんて常識的にあり得るのですか。しかもその金額決定以前に連帯保証書提出せられておるのです。この連帯保証書なるものは一体いかなる性格のものですか。連帯保証人はきまった違約金支払いに対しての連帯保証を負うんじゃないのですか。金額がきまらないのに連帯保証書提出というのはあり得るのですか。あなた、これを文書に書いたときにそんな疑問は起こらなかったのですか。
  11. 大堀弘

    大堀説明員 私ども口頭で大体の話し合いができておると伺っておるわけでございます。
  12. 田中武夫

    田中(武)委員 口頭話し合いができるとは、本人関西電力との間にですか。どうなんです。
  13. 大堀弘

    大堀説明員 さように伺っておるわけでございます。
  14. 田中武夫

    田中(武)委員 そのようにあなたは聞いたんですね。参考人にお伺いいたしますが、今の局長答弁誤りがございませんか。
  15. 森岡俊男

    森岡参考人 私、もう一回その点について御説明申し上げます。大体違約金金額は算定されますので、それで需用家との話し合いの上で二万円を受け取りました。そうして後日こまかい計算をいたしまして、確定した残額をいただきました。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 その翌日、すなわち八月の三十日に本人が私のところに来ておるのです。そのときには金額決定しておりません。そうしてこういう保証書を出せと言われておりますがということで、保証書の原稿を持って参りました。あとで触れたいと思っておりますが、そのときに四十二万円は要る、しかしお前の出方次第によって五万になり三万になる、このように言われたと言っておるのです。かりに話し合いできまっておったといたしましても、はっきりしたものがきまっていないのに、保証書だとか内金だとかいうことがあり得るかというところが問題だと思うのですが、これは法律的にどうでしょう。法制局のだれだったかな、連帯保証書性格はどういうものです。白紙委任状というものはあるけれども白紙連帯保証書というのがあり得るのですか。
  17. 吉国一郎

    吉国説明員 ただいまの御質問で、金額の確定しない保証あるいは連帯保証というものがあるかという御質問と思いますが、この場合は金額が全く白紙ではございませんので、この借用に対して客観的に違約金の額がきまるわけでございますので、客観的に定まるべき違約金の額について本人と連帯して保証するという意味連帯保証書というものは、観念的にはあり得ると考えられます。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 内金も同じことですね。内金性格……。
  19. 吉国一郎

    吉国説明員 その点も同じでございます。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 やがて債務が確定するであろうということを予想いたしましての連帯保証法律的にあり得るということですが、この報告書によると、まず連帯保証書を出さしめる、そのときには金額はぎまっていないのです。話し合いがあったというが、ないのです。なおあったと言うならもっと多くの参考人を呼んでやらなくちゃならぬということになると思います。いずれにいたしましても金額がきまらないのに内金を取り、保証書を入れる。ここに私、独占企業実態が現われていると思います。  そこでお伺いいたしますが、五十五項による違約金なんですが、これには違約金についての事項規定してあります。ところが違約金決定にあたっては、本人というか、相手方意見を聞くのですか聞かぬのですか。たとえば刑事裁判におきましても判決終結にあたっては、裁判長は結審に先だって最後の陳述を許すわけなんです。刑事裁判においてすら刑事訴訟においてそういう規定がある。しかるに電力会社違約金決定というものは一方的になされていいものですか。
  21. 大堀弘

    大堀説明員 私は法律関係上どうなるかということを別にいたしましても、やはり違約金決定する際には、十分事前話し合いあるいは通知が行なわれてしかるべきものと考えております。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 大きくぴしゃっと四十二万円にもなる。また刑法によってあなたのやったことは犯罪を構成する、だがあなたの出方いかんによっては三万とも五万ともなり得るというようなことを言い、そうしておいて連帯保証書を先に提出せしめておいてから交渉に入る、これが独占企業実態である。そういうことによる違約金というものの決定がどういうように行なわれるかということは明らかであります。少なくともこの電力供給規程電力会社需用家との間になされる電力供給契約に関する契約内容である。従って契約内容である限り双方の意思によってきめらるべきものである。しかるに実際はそういうことではない。しかもここにはっきりしておるように、八月三日に金額がきまっておるのに、その前々日連帯保証書を出させ、そのあと数日前に内金を取っておるという事実、こういうことに対して公益事業局長監督上の立場から別に不思議とは思わなかったのですか。
  23. 大堀弘

    大堀説明員 この間先生から御指摘ございました四十二万円とか大きな金額を言って、相手方を多少威圧したような感じの事実でもありますれば、これは相当重大なことだと考えまして調べてみたのですが、どうもそういう事実はないと私どもは聞いております。話し合いの段階におきまして金額調定とかあるいはそれに対する保証とか、そういったことはやはりこの規程がございますので、この規程に従ってある程度実行して参りますことは、やむを得ないのじゃないか、ただ独占企業でございますから、あくまで先般も申し上げましたように、その実行につきましては慎重な態度十分需用家立場を考えて慎重に進めなければならぬ、かように考えております。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 答弁をそらしてはいかんですよ。違約金相手方意思——いわゆる話し合いできめるものか、一方的にきめるものかということを聞いておるのです。
  25. 大堀弘

    大堀説明員 違約金につきましては十分相手方と話し合ってきめるべきものと考えております。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 それで二万円の内金を取ったとき、及び連帯保証書の入ったときには、具体的な金額についての話し合いはなされていない、これははっきりしておる。しかも四十二万円云々ということについてそんな事実はなかったと言うが、あなたは後日出された関西電力のこの報告書をお読みになりましたか。
  27. 大堀弘

    大堀説明員 実は監督官庁でございますが、出先の末端の非常にこまかいとまで、はなはだ申しわけありませんが、詳細に承知できませんので、会社の方から御説明申し上げるようにいたしたいと思います。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 なまいきなことを言うな。こまかいことまでとは何だ。これは君あてに出されている報告書なんだぞ。それを読んでいないのですか。八月十五日付のものは大堀局長あてに出されている書類なんですよ。それをあなた読まなかったのですか。それがこまかいことだからわからぬと言うのですか。
  29. 大堀弘

    大堀説明員 一番最後に書いてございます通りと考えておりますが、これは会社側調査でございますが、「四十二万円という金額は、当社調査によれば、需用家長谷川重徳氏が、せん用発見直後、懇意にしている電気商に、内容を話して試算を依頼したのに対し、北村氏の答えた数字であるとの事で、当社の何等関知しないものである。」、こういうふうに報告されているわけでございます。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 何だかこまかい声でむにゃむにゃと言っておったが、このことについても私は意見があります。あと森岡さんに申し上げます。  いずれにいたしましても出入り電気屋であろうとも、四十二万円ということを言ったという事実は、あなたまで出ておるんじゃないですか。それを知らなかったということはどういうことなんですか。そういう事実はなかったとあなたは言ったんです。四十二万円と言ったという事実はあるじゃないですか。会社が言わなかったとしても、一般の人から見れば、かりにこの通りとしても、出入り電気屋会社の職員もあまり区別されない。四十二万円ということを言われたということは事実です。そういう事実がないということは言わせませんよ。
  31. 大堀弘

    大堀説明員 私は会社本人に四十二万円払え、そういうようなことは言ってないということを申し上げたのであります。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 会社が言わなくても、本人が四十二万円要るということを聞いたことは事実なんです。違いますか。そういう事実がないと言うが、事実はあるじゃないか、現に出ておるじゃないですか。
  33. 大堀弘

    大堀説明員 御本人がお聞きになって、北村という方が答えたということはここに書いてございますし、私は別にそれは否定いたしておりませんが、会社が四十二万円と言って、それで何か違約金が非常に多くて需用家の方をおどかしてやるということでもあったらいかぬと思ってそういうことがあったかどうかと聞いてみましたが、そういう事実はないということを申し上げたのであります。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 いずれにしても本人は四十二万円という金額は聞いておるんですよ。本人が聞いたということは、関西電力自体が認めておられるのです。この報告によっても明らかなんです。本人が聞いておるということは事実です。  そこで森岡さんに申し上げますが、答弁があればしてもらってもけっこうだが、あえて答弁を求めません。ここに出ております加古川市篠原町北村電気商会のこの「北村」という字は違います。喜多村というのがほんとうです。この人は現在関西電力指定工事人としての申請をしております。そこで関西電力に対しては弱い立場におります。加古川営業所長はその弱い立場の人をつかまえて、お前が言うたんだろう、こう言ってきめつけておる事実がある。本人はそういうことを全然知らぬし、私はそういう人の顔を見たこともありませんと言っているが、だが連絡したのはお前だろうということを言って、だいぶ痛めつけられたようであります。これを今申し上げても、あなたは加古川のことはわからないとおっしゃるだろうから、あえて答弁を求めませんが、一応そういう事実があったのかなかったのか、お調べになる必要があろうと思います。  いずれにいたしましても四十二万円ということは、本人は聞いておる。しかも何回も言っておるように、お前の出方次第によっては、五万、三万にもなる。しかも電気を切った場合、いわゆる送電を停止したとき、つけてほしければ二万円持ってこいということを言っておることも事実です。この報告書で明らかなように、違約金決定以前に保証書をとり、内金をとっていることも事実です。ここに官僚的なというか、独占企業あり方を物語っておるということを申し上げたにすぎないのであります。反省をしてもらえばいいと思います。  この五十五項の違約金でございますが、これはあくまで法制局で明らかにしておいてもらいたいのですが、違約金性格はどういうことか、私は、少なくともこれは電気会社需用者との電気供給契約内容だと理解しておる。従って違約金というのは罰金でも何でもないわけです。ここにきめられている条項は、その違約金決定するときの一つ目安にすぎないと思う。一方的にきめらるべきものでない。たとえば期間決定とか、この事実の有無というようなことについては、あくまでも違約金というものについては、相手方意見を聞かなければならぬと思う。そういう性格だけははっきりしておいていただきたいと思いますが、いかがですか。
  35. 吉国一郎

    吉国説明員 この違約金と申しますのは、電力供給契約というものを包括して電気供給契約ができるわけでございますが、その契約に基づいて支払わるべき金額でございます。その違約金の額がいかにして決定されるかということは、ただいまこの供給規程のみから判断することはできないかと思いますが、一応決定権は、違約金を請求する権利者側にある。しかしその決定をする場合に、全く一方的に決定するということは、事柄の性質上適当ではなく、相手側意見を十分に聞いた上で決定する、しかもその決定に対して需用家の方が不服である場合には訴訟をもって争う以外にないという性質のものであろうと考えております。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 参考人にお伺いいたしますが、本来違約金決定はどのようになされておりますか。
  37. 森岡俊男

    森岡参考人 違約金決定は、その需用家の使っておられる、たとえばポンプ電気で使っておるとすると、ポンプだとか、テレビだとか、ラジオだとか、電灯の個数を調べるわけであります。そうすると大体それが一般標準使用電力料、そういたしまして、これで算定いたしまして、大体これくらい使っておられるであろうという数字を算定いたします。それで、実際にメーターを開始して使われた額と対比いたしまして、五十五項に書いてございますように請求いたしまして払ってもらいます。しかしその場合、まず事実の認定の問題が第一であります。大体借用しているという事実は、立ち会いの上で発見いたしましたときに確認するわけでございます。そうして今度は、借用されておって、どれだけの電気をお使いになったか、それからまた期間はどれくらいであったかということについては話し合いをいたします。しかしその決定について、需用家との間に意見がはっきりまとまりません場合には、基準に照らして算定するということになります。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 要はこの違約金条項は、あくまで違約金をきめる目安である。金額決定十分相手方意見を聞いてきめる。こういうことですね。
  39. 森岡俊男

    森岡参考人 そうです。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 ついでに供給規程についていろいろとお伺いいたしたいのです。私も実は関西電力から電気を買っておる一人です。これは法制局部長にも尋ねたいと思うのですが、電気供給は商行為だ。そうすると商法の上に立って物を買わなければいけない。たとえば時効の成立とか、損害賠償とかいうことについては、民法よりかより厳格な規定を持っておるのが商法の特質であります。ところがこの供給規程を見ました場合に、いかなる場合を想定いたしましても、電力会社の方に損害賠償義務があるような条項は出てこないのです。そこで先日もこのことに触れましたところ、大堀局長は、そういうことが問題になっておるのでこれを検討する、こういうふうに御答弁になっております。ちょっと先日の大堀局長答弁を読んでみます。「供給規程の点につきましては、ただいま御指摘通りでございまして、電気料金制度調査会におきましても、やはり同様な意見がございましたので、私どもとしても、現在、供給規程あり方について、さらに検討いたしておるわけであります。今後十分検討いたしたいと思います。」と答弁しておられます。当事者としての参考人は、この規程についてどのようなお感じを持っておられますか。
  41. 森岡俊男

    森岡参考人 今供給規程全般について、電力会社を非常に保護し過ぎているじゃないかという御質問の要旨だと思います。われわれ電気事業者は、普通の商人と違いまして、供給義務を課せられて、御需用家さんから申し込みがあった場合には選択の自由がございません。どなたにも電気をお送りする義務を課せられております。また公益事業である関係上、非常に監督官庁の指導も受けております。われわれ一般的に考えまして供給規程等で保護を受けておるとは考えておりませんが、電気事業者の心がまえといたしましては、やはり独占企業でもございますから、需用家さんにとっても今度は売り手を選ぶというわけには参りません。やはり独善的な態度に陥ることなく、あらゆる問題で需用家本位に処していきたい、こういうふうに考えております。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 前回申し上げたのですが、たとえば盗電の場合は刑法ですら窃盗罪としている。今言ったような違約金条項によってびしびしやられる。現在では若干電圧低下もよくなったと思いますが、一ころは非常に悪かった。そういうような問題につきまして当局としては今日まで大きな関心を払っていない。そういう証拠を今申し上げてみたいと思うのです。そうしてこれに対する局長答弁を求めたいと思います。電圧の問題につきましては、昭和六年四月二日に公布せられました旧電気事業法、これの十五条によって「電燈ノ光度、供給点於テ保持スベキ電圧、周波数、電気工作物其ノ他供給業務ニ関スル事項ハ命令以テ之ヲ定ム」、こういって、もと法律において——もちろんこまかいことは命令に委任しておりますが、法律においてここでチェックしておる。ところが今日では法律において電圧低下について何らチェックするところがないのです。いわゆる旧電気事業法の当時は、この十五条に基づいて命令があって、それはプラスマイナス四%までの誤差は認める。戦時中はプラスマイナス六%までだった。ところが昭和二十五年十一月ポツダム政令による公共事業令によって電気事業法は廃止になりました。ところが独立に伴ないましてまあほんとう独立かどうかは疑問といたしまして、二十七年十二月に電気に関する臨時措置法というものができましてそのうち保安に関する面、技術に関する面については旧電気事業法を生かしておる。ところが経営の面においては生かされていないわけなんです。その面がほうってあるわけなんです。もっと根拠法を申し上げてもいいのでありますが、すなわち言いかえるならば、二十七年の電気に関する臨時措置法は、電気会社にいい点だけを生かして、都合の悪い点を殺したままにしておるのです。そうしてすでに八年たっておる。この間電圧が下がったり何かいたしましても何らチェックをする方法が一つもないわけなんです。しかも関西電力電気供給規程の附則第二項に、電圧及び周波数の変動ということが書いてあってずっと読んでもいいのですが、この条文を見て下さい、ずっと書いてきて「当分の間、電圧又は周波数に或る程度の変動を生することがあります。」と、こういうことになっておる。ここは切り捨てごめんなんだ。これは、あなたが公益事業局長当時ではないけれども、通産大臣が認可してできた規程なんだ。この当分の間とか、ある程度の変動を生ずるとかいう、このある程度のというのは一体どの程度なんですか。
  43. 大堀弘

    大堀説明員 ただいま最初法律関係のお尋ねがございましたからその点について申し上げたいと思いますが、この臨時措置法でやりました電気の保安の関係は旧電気事業法規定を生かして動かして参ってきておるわけでございます。経営の面の監督は、いわゆるポツダム政令でできました公共事業令がその根拠になっておるわけでございますが、これを臨時措置法で、さらにそのまま法律として使うということを明らかにしたものでございまして特に電圧とか周波数の関係を、そこで考え方を変えたというわけではございません。御指摘のように、確かに電圧及び周波数を安定させるということはきわめて重要なことでございますし、できますれば、あるいは法律によって拘束をしてしかるべき事柄かと思います。しかしながら御承知のように、戦後の段階におきましては、今日これは非常に御批判がございますけれども、サービス面、この電圧や周波数の関係でも非常な改善を見ておるわけでございますが、まだ電力の需給の関係からいきまして完全な理想の形態にもなっておりませんし、電気そのものの性質から見まして周波数は現在はほとんど安定をいたしてほとんど変動はございませんが、電圧につきましては今日でも多少変動は免れない。これは現実に即しましてある程度の変動は今日の段階ではやむを得ない、将来理想的な状態を考えました場合はさらにこれを縛っていくべきではないかと思っておりますが、今日の段階ではまだやむを得ないのではないか。アメリカあたりとかイギリスあたりの例を引きましても、数%ないし一〇%くらいまで電圧の変動はやむを得ないというふうに、取り扱い上認められておるケースが多いわけでございまして電気性質といたしましてもある程度のところはやむを得ない性質を持っておる、こういうふうに考えられます。その辺も考慮をして参らなければならぬと考えております。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 今申しましたように法律の面においても独占企業である電力会社に大きな保護が与えられておる、法律の面において一般より強いものが与えられておることだけはお認めになりますね。どうです。認めないというなら全部一ぺんやらなければならぬ。
  45. 大堀弘

    大堀説明員 独占企業でございますから、料金その他供給条件につきまして政府が認可にかけて相当縛るという指導をいたしております。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 縛るのじゃなしに、電気に関する臨時措置法でも営業面だけを生かしてないのです。昔よりよくなっているのです。法律面においてそれを認められますか認めませんか。
  47. 大堀弘

    大堀説明員 戦前の電気事業法と今日の公共事業令との、法律の建て方が多少違っておりますから、監督の仕方においても差異があります。ただいまの電圧の点については御指摘通りかと思います。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 公共事業令ですか、今おっしゃったのは。今のは電気に関する臨時措置法だけでしょう。それによってある面は公共事業令を生かし、ある面は電気事業法を生かしているのでしょう。問題は臨時措置法です。この臨時措置法において、いいですか、先ほど来言っているように保安技術の面は旧法を生かしておる、片方は生かしてないのです。そういうところが電力行政に対する法律的な片手落ちである、こう言っておるのです。
  49. 大堀弘

    大堀説明員 臨時措置法は、保安の面は御指摘のように旧電気事業法規定をそのまま生かしておりますが、その他の面は公共事業令規定をそのまま生かしておるわけでございます。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、そのまま生かしておるのだが、そこに法規の上における一貫性がない、アンバランスが生じておる。今言ったように戦前においては電圧低下につきましても法律において一応基準を設けることを、ぴしっとうたっておるのです。今はそれがないのです。あったら言って下さい。どの法律の何条です。
  51. 大堀弘

    大堀説明員 これは先生の御指摘通り、新しく電気事業法を定めるというような問題につきましては、私どもかねてから検討いたしておる問題でございますが、現状におきましてはそれを御提案して審議をいただくまでの段階に達しておりませんので、現状におきましては公共事業令と、保安関係は旧電気事業法規定臨時措置法においては生きておる、こういう関係に相なっておるわけでございます。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 そういう関係にあることはわかっておるのだ。その取り扱いが片手落ちであるということを言っておるのです。それに関連してでも申し上げられることは、この自家用電力といいますか、これに対しましてはいわゆる主任技術者の一級から三級までありますがそれを置く、それが工事の監督をする、そして保安の方もそこが持っておるわけです。今度の電気工事士法によって、一般需用に対しては工事は工事士がやるわけです。保安は電力会社がやるわけです。ところが今東京電力のやつを見ると、保安については経済的な負担はしない、こううたっておるのです。一体関西電力におかれましてはそういう一般の保安については、どのようなことを常になされておられますか、お伺いいたします。
  53. 森岡俊男

    森岡参考人 一般需用家電気設備の保安の問題につきまして隔年に一度われわれの調査員が参りまして、そうして安全であるかどうか、また漏電その他不完全なところがありますような場合には御需用家に申し上げまして、その設備の改善をお願いしております。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 何か東京電力では、保安とは当社の経済的負担を伴わないものをいうというようなことを書いてあるのであります。関西電力規程を今ちょっと探したのですが、見当らぬのですが、同じような規定が入るわけですか。
  55. 森岡俊男

    森岡参考人 ちょっと読み上げますと、保安責任、「需用家が安全に電気を使用できる状態に先方設備を維持するよう技術的に指導、勧告し、または応急措置を施す」そういうふうな格好になっておるわけであります。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 東京電力規程とはちょっと違うわけですね。経済的な負担云々ということはうたってないのですか。——それではまあいいです。そこでこの問題につきましても、先日当委員会において自民党の単独審議において成立いたしました電気工事士法とも大きな関係が出てくるわけなのです。一例を申し上げますと、関西電力におかれては、いわゆる百キロワット以上のもの、これを自家用として慫慂するということになっております。東京電力は五十キロワット以上で高圧、ここにたとえば工事士の仕事の範囲にいたしましても、関西においては範囲が広いわけです。東京におきましては五十キロワット以上は、自家用ですから工事士が仕事をしない。関西においては百キロ以上、こういうことになるわけです。一律に実施する工事士法におきまして、同じ資格を持つ工事士が仕事をする範囲が違っている。あるいはいわゆる保安の問題につきましても自家用はみずからが保安の任に当たる。一般需用は電力会社が保安の任に当たるということにおいてここに違いがある。関西電力の例をとりますならば、百キロワット以上を慫慂するということ——慫慂ということも法律的にどういうことであるかということも、また問題にしなければならぬかと思いますが、それはそれとして、独占企業のおっしゃることだから慫慂は命令に等しいと私は思うわけです。法律的に議論を言うわけじゃないんですよ。それはそれとして、法律的に五十キロ以上であって、高圧であって自家用にあらず、一般需用というものがあるわけです。それが関西電力におきましては約三千件あると聞いております。そういう点について、これは関西電力とか東京電力の問題ではなく、公益事業局としてはこれを監督上もあるいは電気工事士法を実施するにあたっても一定にすべきではないか、そういう点はいかがでしょう。
  57. 大堀弘

    大堀説明員 自家用電気工作物の基準が、五十キロと百キロと違っているという点もあるかと思いますが、これはやはりその地方の実情なり工場の実態なり、そういった現状がございますので、一律にきめることがはたして適当であるかどうか問題があるわけでありますが、電気工事士の仕事につきましては、これは工事の方でございますから、必ずしもこれに拘束されるわけではないと思いますが、ただいまの点については十分今後検討して参りたいと思います。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣が参りましたので、大臣にあと質問したい事項があります。従って時間の関係がありますから参考人に対する質問を一括して申し上げたいと思います。  まず第一点ですが、関西電力の天ケ瀬ダム、これは会社みずからも計画を持っておられたのか、それともたまたま建設省において多目的ダムの建設があった、それに便乗せられるということになったのか。この天ケ瀬ダムに対する会社の本来の計画をお伺いいたします。  次に二点、供給規程の第六項によると、「あらかじめこの規程を承認の上、」云々となっておる。ところが、私も実はこういうことがあって初めて規程を見たわけで、全然どういう規程があるか知らないけれども、過去何十年にわたって電気供給を受けてきたわけなんです。おそらく一般の人も知らないと思うのですが、契約にあたってはどのような方法をとっておられますか。なおこの契約内容一般に知らしめる方法としてはどのような方法をおとりになりますか。これは一つのあれですからいやみということでなく聞いてもらいたいのですが、こういうことがありました。加古川の営業所に電力供給規程を一部ほしいと言ったのです。ところが一部しかありませんのでということで、備付のしかないということです。天下の関西電力がそういうことでもなかろうと思うのですが、需用家から供給規程の請求があるならば当然出すべきじゃなかろうかと思うわけです。それについて……。  さらに、この前局長にちょっと意見を聞いたのですが、街路灯とか、保安灯、この料金が現在定額灯と同じことになっております。これは御承知のように防犯上その他から地方自治体の長とか商店連合会等からいろいろの陳情が会社にもなされておるだろうと思うのですが、こういう保安灯あるいは街路灯等についてどういうようなお考えを持っておられるか、今差しつかえなければ——あるいは言えなければそれでけっこうです。  それから、そうでなくても先ほど来言っておるように独占企業でございます。従って普通以上に丁寧にやっておっても横暴だといわれる。往々にしてそういう向きがありますが、どのような御方針で従業員を指導しておられますか。  まだほかにありますが、一応この程度でおいて次にまたお伺いいたします。
  59. 森岡俊男

    森岡参考人 田中委員の御質問に対してお答えいたします。  第一点の天ケ瀬ダムの問題でございます。建設省の方で御計画になりまして、建設省で多目的ダムをお作りになりますので、その水をわれわれで利用させていただく、そういうふうなことで建設省の計画に沿いましてわれわれの方は発電の計画を立てたわけでございます。  それから第二点の供給規程の周知の方法でございますけれども、今田中委員から御指摘のように、加古川営業所におきましてそういう事実があったといたしますと、まことに申しわけないことだと思います。供給規程はいずれの営業所にも備え付けております。そうして御需用家の御請求があればそれをいつでも見ていただくという趣旨のものでございます。なお周知の方法でございますが、もちろん備え付けてはおりますけれども、何しろこういうなかなか大部のものでもありますので、直接需用家関係のある供給規程の抜萃を作りまして、営業御案内だとか、いろいろPRして、できるだけ多くの需用家に知っていただくように努めております。  それから需用家のお申し込みの方法でございますが、一般に電話ででも申し込んでいただければ、できるだけ早く点灯もしくは電気をつけるようにいたしております。形式的にはここにありますような申込書をあとでいただいております。先にいただく場合もあります。これは供給規程を了承の上申し込みなさるということになっておりますが、そういうことで電気供給規程一般需用家への普及の方法につきまして遺憾な点があったといたしますれば、今後より一そういろいろな方法で供給規程の周知に努めたいと思っております。  それから街路灯の問題につきましては、いろいろ問題があるかとも思いますが、なお監督官庁ともいろいろ御相談の上、また次の供給規程が改正されるような場合考慮されるべき問題かと思っております。  なお先ほども述べました通り、われわれ関西電力の社員一同、需用家へのサービス向上ということについては、当社の最も重点とするところでございまして、現会長並びに現社長もこの点はいつもやかましく言っておる点であります。昭和二十六年、当社創立以来独占の上にあぐらをかいてはいけない、前だれがけの精神をもって需用家に接しろということは会社の基本方針でございます。ただいろいろ需用家に直接接する面において遺憾の点があったといたしますならば、なお今後ともそういう精神に沿いまして、十分徹底するように努めていきたいと思っております。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 もう一つだけ、これは答弁をいただかなくてもけっこうです。資料をもらいまして、関西電力内部における停電というか送電停止、これの決定権が五十キロ未満は営業所長、以上は支店長にあるということはわかりました。ただここに事実だけを申し上げておきますが、そういう送電の停止を行なったときに、私が電話をかけたら、所長は知らないと言った。それじゃ一体だれに権限があるのか、こう言ったときに、営業課長にあります、こういうことの話があった。そういうことだけを申し上げておきます。それはもう当然この資料によっても明らかなように内規に違反した答弁であります。だからそういう事実があったかどうか。一応お帰りになってお調べになったらよかろうと思います。  最後に、いわゆる独占企業として一般の民衆に接する社員の態度についてはいろいろと気を使っておられるように拝承いたしました。先ほど来申し上げておるように、法規的にも、あるいは供給規程、いわゆる契約内容におきましても、独占企業は強い立場にあります。従ってこれを乱用せられるならば、公務員の職権乱用にもまさるとも劣らない迷惑を受けます。従いまして、今後とも十分に社員の指導に当たっていただきたいことを要望いたしておきまして参考人に対する質問を終わります。  それから法制局部長も急いでおるようですから、一言だけ申し上げて帰っていただきたいと思いますが、私の考えでは、一般的な契約関係においては民法がある。ところが商行為に対しては商法があって、商行為には厳格なる規定を適用しておる。こういう点からいいまして、一般の民法よりか商法のいわゆる商行為は厳格な規定で、たとえば運送業等において損害賠償の点なんかを見ましても、ただ単なる不可抗力であるということで免責になるのではなくて、本人及び使用人が十分注意をしたということの証明がなければ、免責が受けられないというような規定になっておる、あるいは民法に対して時効の完成も早い、こういうような点が、民法より厳格だという意味だと思うのです。電気供給規程におきましても、供給も商行為である以上、やはり商法的な観念でいくべきである。そういう点から、この供給規程等も、私は今後も相当検討していきたいと思っておりますが、法制局に専門的な立場からお伺いしたいことは、私が今言っているような考え方、いわゆる商法は民法よりも強いというか、厳格な態度でもって規制をしておるんだ、こういうことの考え方が誤りでないかどうか、お伺いしておきます。
  61. 吉国一郎

    吉国説明員 今のお話のように、商法においては民法よりも商行為の主体である商人に対して強い規制を加えておるということは、一般的にはまさしく言えることであろうと思います。しかし電気供給業、あるいは電気業と申しますか、そういうものについて直接商行為法で規定しておる部面は、一般的な事項のほかは、運送契約のようには具体的な規定がございませんで、すべては現在電気に関する臨時措置に関する法律によって、なおその効力を持っております旧公共事業令、旧電気事業法の一部分の規定が、公法として電気業を規律すると同時に、私法的な面についても電気事業を規律いたしておるわけでございます。先ほど通産省の方から御答弁がございましたように、電気に関する臨時措置に関する法律という格好で、非常に法制が不安定になっております点は、私どもといたしましても、はなはだ望ましいものではないとは存じますが、ただ具体的な政策の内容がいろいろ検討を要する点もございますので、いまだに新しい電気事業法の提案ができないような状態でございますが、できるだけ早い機会に内容を検討いたしまして、望ましい規律をするようにすることが適当であろうと思います。  繰り返して申し上げますが、先ほどのお話のように、民法よりは商法の方が、商行為の主体としての商人に対する規律が強いではないかという点は、まさにその通りであろうと思います。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 あまり長い答弁は要らなかった。現在の法制がどうであるかということはさっき言うたのだから、一番あとのことだけでよかったのですが、たまたまその答弁の中に出てきましたが、なるべく早い機会にというのは、法制局答弁よりは、むしろ通産大臣の答弁が必要だと思いますが、電気事業法はいつ出されますか。
  63. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 次の臨時国会というわけにいくまいと思いますが、通常国会に出すつもりで、今検討いたしております。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ参考人法制局部長はけっこうです。ほかの委員質疑があれば別ですが、私としてはけっこうです。
  65. 大島秀一

    大島委員長 参考人に対してほかに御質疑はございませんか。——質疑がないものと認めます。  森岡参考人に一言ごあいさつ申し上げます。森岡参考人には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。     —————————————
  66. 大島秀一

  67. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは引き続き質疑を続行いたします。きのう公益事業局からもらった天ケ瀬ダムの計算の基礎でありますが、そこに治水、発電となって、治水は四十億五千万円、発電の場合は三十八億二千六百万円、こういう数字が出ておるのですが、それによって、いわゆる資料として提出を受けました電源開発促進法六条その他の法令によって分けたのは二九・九%だ、こういうことですが、この基礎の金額というものはどうしてお立てになったのですか。
  68. 大堀弘

    大堀説明員 これは先生指摘になりましたように、特定多目的ダム法の施行令に基づきまして身替り妥当支出法あるいは妥当投資額、この二つのいずれか一つ数字を総合開発の場合はとって、その比率の按分で負担額をきめるという法律がございますので、それによって計算をいたしますと、かような数字が出るわけであります。
  69. 田中武夫

    田中(武)委員 そうではないのです。私が四十億とか三十八億というのは、電気の場合よりか治水が高いということです。電力の場合は、先ほど参考人も言ったように、関西電力自体で独自ななにを立てていなかった、こういうのでしょう。電力の場合には三十八億二千六百万円という数字がどうして出たのか、こういうことです。あるいは二十一億円という金額はどうして出たのか、こういうことです。
  70. 大堀弘

    大堀説明員 この三十八億と申しますのは、結局電力だけが単独に建設をいたしました場合には、どういう設計でやってそれで幾らになるかという計算をいたしますと、三十八億、これが妥当投資額として、電力会社が単独でやります場合はこういう計算になります。これは技術的にはそういう計算が出て参るわけであります。
  71. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは治水の場合と発電の場合と、同じダムを作るのに金額が違うのはどういうわけですか。
  72. 大堀弘

    大堀説明員 治水の場合はやはり治水目的ということだけで、ダムだけで参ります関係でございますし、電気でございますと、電気を取るという目的で設計をいたしますから、その差があるということであります。
  73. 田中武夫

    田中(武)委員 どうも禅問答のようなことではっきりしないのですが、この金額はいわゆる机の上で計算した金額なんですね。
  74. 大堀弘

    大堀説明員 治水の関係数字は、これは建設省の担当でございます。建設省が出した数字であります。それから発電の関係は、最大四万八千キロ、常時六千六百キロ、発電電力量が二億五千八百万キロワットアワーの電気を得るために必要なこれは机上の計算でございます。
  75. 田中武夫

    田中(武)委員 この金額なんかでも、どうも作文のようにしか思えぬのですが、私が知りたいのは、なぜ二九・九ということになっておるのかという点ですが、これはまたこまかいことだからあとで説明を求めることにいたします。  電気関係については、まだまだ質問がたくさんあるのです。しかし大臣も十二時に用があるそうですから、私も大体午前中に終える予定で、ほかに質問があるから先に急ぎたい。だからこれだけで電気質問を終わったということでないということだけを申し上げておきたい。  最後一つ公益事業局長にお伺いしたい。これも先日申し上げましたように自民党の議員立法であって、われわれが参加しない委員会において単独でやられました電源開発促進法の改正法の問題につきまして、まだ私は疑問を持っております。と申しますのは、電源開発促進法の十三条には電源開発株式会社の目的が限定して規定してあるわけなんです。そういたしますと、電源開発促進法それ自体あるいは電源開発株式会社それ自体は何というか、おくれておる電気を開発するための暫定的な措置だとも考えられるわけです。それから今後海外進出、原子力、こうなってきたときには電源開発株式会社それ自体の性格を変えてきた、あるいは法律それ自体の性格を変えてきた、こういうことにも考えられるわけです。今日電源開発株式会社法律に定められた趣旨によって運営せられておるかどうかということも大きな疑問を持っております。と申しますのは、電源開発株式会社は電源を開発する施設を作っていく、その施設を電力会社に貸すとか売り渡すのが目的なんです。電気それ自体を売ることは本来の目的じゃない。ところが今日まで作ってきたものに対して電源開発株式会社はまだ一つも売っていないわけです。電力を売っている。そういうような性格において電力会社と電源開発株式会社とは同じようなことになってしまっておるわけです。それを今度海外進出を許すということになってくると性格の変更、こういうことで簡単に考えられない問題があるということだけを申し上げておきますが、そのような点についてこれはあとでゆっくり質問をします。あなたはどう考えますか。私の言っていることは間違っておるかどうか。
  76. 大堀弘

    大堀説明員 御指摘のように電源開発株式会社は電源開発を促進するということが会社の目的でございます。ただ現在やっておりますことは開発と同時に、やはりできた電気を卸売として電力会社に売っておりますので、卸売の仕事もわれわれとしては電気事業という範囲に入れております。そういう意味におきまして今後基本的にどう持っていくかということは相当問題がございますので、われわれも慎重に検討しなければならぬ問題だと考えておりますが、現状におきましてはそういう運営でございます。目的はおっしゃるように開発を促進するというのが会社の本来の目的と考えております。それで海外事業の今度の関係法律の改正につきましては、なるほど法律の本来の目的からいいますと多少ずれた点もあるかと思いますが、現在すでに相当いい技術者がおりますものですから、各国から技術者の提供を求められまして、実際上はこれが外に出ていきましてやっておるわけでございます。これが海外電力調査会等に雇われて、それを通してやっておるわけでございますが、今度の改正法によりまして、会社としていわゆるコンサルティング・エンジニアとしての仕事が受けられるということを、法律を直してやれるように認めていただきたいというふうに考えております。会社の本質を変えるとまで大きな問題と考えておらないのでございます。
  77. 田中武夫

    田中(武)委員 本質を変えているかいないかということについては、後刻また論議をすることにいたします。しかし、あなたはあまり詭弁をもって答弁としてはいけません。電源開発株式会社は目的が十三条に限定してある。これははっきりした法律規定の上の事実なんです。それを目的に沿った運営でないということ、しかしそれがいいか悪いか、法律的には目的に沿っていないが、実際面においてそれがどうかということと、あるいは海外進出が悪いかいいかは別問題です。ただそれがあの会社は簡単に考えられたが、この法律自体の性格を変えたものである、こういうことだけを申し上げておるのです。それについての議論はあとでやりたいと思います。  それでは重工業関係質問に切りかえます。     —————————————
  78. 大島秀一

    大島委員長 次に重工業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。田中武夫君。
  79. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと自転車振興会の問題につきましてお伺いをしたいと思うのです。競輪法規といいますか、自転車競技法の第十二条の九、これによりますと、日本自転車振興会の会長以下の役員は、通産大臣の任命ということになっております。聞くところによると、現在の松本会長以下の任期は本年の九月三十日までになっておるそうであります。そこで通産省内部においては次期会長等役員についての選考が進められておると聞いておりますが、一体今どういうように進んでおるのか、お伺いいたします。
  80. 佐橋滋

    ○佐橋説明員 ただいま田中先生の御指摘のように、九月末日で三年の会長の任期が切れるわけでありますので、現在改選をすることについて役所でいろいろ考えておりますが、非常に競輪自体むずかしい問題でもありますし、なかなか適当な候補者が現在決定をいたしておりません。目下慎重に研究中であります。
  81. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで私若干の質疑を大臣及び局長にいたしたいと思うのですが、私が質問するにあたりましての態度について一言申し上げておきたいと思います。それは毎々この委員会において私は競輪の廃止を主張するものであります。従って今から役員の選任等について質疑に入りますと、あるいは存続を認めたというような誤解を受けちゃいけませんが、そういう意味でなく、とにもかくにも前国会で関係法案を上げるときに附帯決議をつけ、大臣答弁がありましたように、ともかく一年間というものは一応そのままでおこう。それから先の問題になっておるのですね。少なくとも今あるという事実の上に立って質問をしていくという態度を明らかにしておきます。そこで私は三十三年、二年前の九月の十一日と、十月の一日、この二回にわたって自転車振興会の松本会長に参考人として当委員会へ来ていただきまして、いろいろと質疑をいたしました。そのときに松本会長は、そのときの会議録はここにあるわけですが、競輪についてはガラス張りの経理をやっていくようになったと、こう言明したのです。ところが御承知のような相続く不祥事件が起こりました。そのつど私は当委員会においてこれを取り上げまして追及いたしました。そこで昨年の九月十日松本会長に当委員会へ来ていただきまして、そこで私は松本さんにあなたはおやめなさい、こういう辞任の勧告をいたしました。その理由は、まず競輪についてガラス張りの運用をすると言いながら、いつも伏魔殿的な存在ではないか、こういう点を指摘いたしました。そういう点で必要であるならば、三十三回国会衆議院の商工委員会会議録閉会中の一号と、それから二十九国会の十三号、それから三十国会の一号で、経理の問題等については、これのほかにもやっておりますが、いろいろと追及いたしております。それから辞任を勧告いたしましたのは、三十二国会の第六号の閉会中審査、この会議録にも明らかであります。そういう点から私は松本会長に適格でない、こういうことを申し上げたわけであります。それは今言ったように、経理の問題及び法令を守らない、自転車競技法によって日本自転車振興会に与えられておる、たとえば業務方法書等についてもまだ作成が十分でない、あるいは選手の養成、監督等も十分でない、これは八百長事件等についても申し上げた。それからよくうそを言う。たとえば日仏交歓競技の問題につきましても、相当な金を使った。去年の九月十日に松木会長にここへ来てもらったときには、早ければことしの秋、おそくとも来年、すなわち、ことしの春には実行すると言ったが、音さたがない。聞くところによると、フランスから断わってきておるということだ。こういう運営等を見て参りました場合、適格者でないということは明らかであります。ところが、最近ごらんになったかと思いますが、朝日新聞の八月二十九日、これは自転車振興会と同時に松本学氏が理事長をいたしております選手会の新しい共済会、これに対してのだらしない経理の内容が暴露されております。この記事はお読みになったと思います。何なら全部読んでもよろしいが、それともまだ御意見があるようだったら、私、この経理の帳簿を私を通じて通産省へ提出してもいい、こういう申し出も受けております。この新聞は関係しておられる局長あるいは課長として当然見ておられると思いますので、内容は申し上げません。  次に、法律を守らないという点についても明らかな事実が九月五日の朝日新聞に出ております。それは「法令など知らぬ顔」こういう見出しであります。すなわち、八百長事件において判決確定した選手を、一年間の遠慮で堂々と走らしているということは、明らかに自転車審判員、選手および自転車登録規則第十七条二号、三号及び二十条の違反である、そういう事実も的確につかんでおります。なお必要ならばいろいろと適格でないという理由をあげたいと思いますが、もうそのようなことは申し上げるまでもないと思うのですが、松本会長の再任については考えておられるのかどうかお伺いいたします。
  82. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 ただいまのお答えをいたします。  ちょうど今月の末が任期になっておりますので、任期になった人はどうするかということをその機会に考えるのが当然でございまして、今のようなお話のあるなしにかかわらず、私といたしましては、このままでよいのかあるいはこの際かえるかということを考えなくてはならぬと思うのでございます。諸般の事情を十分考慮をいたしまして、これは私が任命権者のようですから、しかるべくやっていきたいと思っております。
  83. 田中武夫

    田中(武)委員 私話しておってちょっと答弁があれしたのですが、考慮をする、こういうことなんですか。大臣は通産大臣になられて間がありませんが、私は、この競輪の問題につきましては、二代の大臣にわたって質問し続けて参りました。今申し上げました松本氏のやり方等についても、これは議事録をお読みになったらよくわかると思うのですが、しております。しかも最近、これをお読みになったと思いますが、これだけ大きな記事が出ておる。この事実がこれまた違うというなら、またやらなければいかぬと思うのですが、しかしながら、たとえば法令を無視したという事実、これは当の選手の走っておるという——当然登録を取り消されればならない人、いわゆる判決確定後三年を経ない人、これが走っている事実、こういうことは明らかなる法令無視であります。しかも、経理の問題につきましては、先ほど言ったように、その帳簿を私の手元まで持ってこよう、そうして、通産省を通じてお返ししましょうという申し出を実は受けておる。だから、そういう事実がないとおっしゃるなら、その帳簿を委員会において公開いたします。そういうところから、私は一年前松本さんに辞任を勧告した。大臣はかわっておられますが、事実をあれほど明らかにし、その不適格を私はなじったわけであります。その人について、まさか大臣はお考えにならないことはないと私は確信しておりますが、今後この自転車振興会の会長選任にあたりましては、これは先ほど申し上げましたように、法第十二条の九によっての大臣の権限でありますので、一言希望を述べておきます。  次に、会長として選ばれるようにあたりましては、私が松本さんは不適格だと言ったその裏に当たるもの、すなわち、法令を守る、経理については厳格にやる、いわゆるガラス張りと彼は言ったがやらなかった、そうでなくとも相当世間から疑惑をもって見られている自転車振興会でありますから、そういう人をまず選んでいただきたい。それから古い型の官僚、これは松本さんをもって知っていると思います。ああいう方は避けていただきたい。それから、部内において統制力を持ち、同時に、世間的にも、あるいは言論界その他においても信用のある人、信頼できる人、これが今爼上に上がっておる、まないたの上に載っておる競輪をいかに料理していくかということの一つの大きなきめ手になるということを申し上げておきます。大臣の考え方だけを聞いて終わります。
  84. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 よくお話の趣旨を体しておきまして、十分考慮いたしたいと思います。
  85. 大島秀一

    大島委員長 他に御質疑はございませんか。——質疑はないようでございます。  この際お知らせいたしておきます。本閉会中に行ないました委員派遣に関しまして、派遣委員より委員長手元報告書提出されております。以上御了承願います。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時四十八分散会