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1960-08-31 第35回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    七月二十二日 羽田武嗣郎委員長辞任につき、その補欠として 大倉三郎君が議院において委員長選任された。 ————————————————————— 昭和三十五年八月三十一日(水曜日)     午後一時五十五分開議  出席委員    委員長 大倉 三郎君    理事 逢澤  寛君 理事 砂原  格君    理事 二階堂 進君 理事 山中 吾郎君    理事 塚本 三郎君       新井 京太君    川崎末五郎君       佐藤虎次郎君    島村 一郎君       徳安 實藏君    服部 安司君       廣瀬 正雄君    堀内 一雄君       石川 次夫君    岡本 隆一君       兒玉 末男君    實川 清之君       三鍋 義三君    大野 幸一君  出席国務大臣        建 設 大 臣 橋本登美三郎君  委員外出席者         建設政務次官  三和 精一君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (河川局次長) 鮎川 幸雄君         建設事務官         (道路局次長) 前田 光嘉君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君         建 設 技 官         (住宅局住宅建         設課長)    尚   明君      ————◇————— 七月二十二日  委員木村守江君、林唯義君及び松澤雄藏辞任  につき、その補欠として瀬戸山三男君、大倉三  郎君及び新井京太君が議長指名委員選任  された。 八月二十二日  委員橋本正之辞任につき、その補欠として久  野忠治君が議長指名委員選任された。 同月三十一日  委員武藤武雄辞任につき、その補欠として大  野幸一君が議長指名委員選任された。 同月三十一日  理事南好雄君七月十九日委員辞任につき、その  補欠として逢澤寛君が理事に当選した。 同日  理事木村守江君七月二十二日委員辞任につき、  その補欠として砂原格君が理事に当選した。     ————————————— 七月二十日  公共土木施設災害復旧事業費国庫負担金の増額  交付に関する請願原茂紹介)(第四八号)  同(松平忠久紹介)(第四九号)  国土開発縦貫自動車道建設法に基づく中央自動  車道の早期実現に関する請願原茂紹介)(  第五〇号)  同(松平忠久紹介)(第五一号)  長野下主要幹線道路舗装促進に関する請願  (原茂紹介)(第五二号) 同(松平忠久紹介)(第五三号) は本委員会に付託された。 七月二十二日  一、街灯整備促進法案川村継義君外十六名提  出、第三十四回国会衆法第四一号)  二、日本住宅公団法の一部を改正する法律案(  内閣提出、第三十四回国会閣法第一二一号)  三、地代家賃統制令の一部を改正する法律案(  内閣提出、第三十四回国会閣法第一三六号)  四、公共施設整備に関連する市街地の改造に  関する法律案内閣提出、第三十四回国会閣法  第一四〇号)  五、国土計画に関する件  六、都市計画に関する件  七、災害対策に関する件  八、道路河川及び住宅に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 大倉三郎

    大倉委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ちまして、一言あいさつを申し上げます。  私、今回はからずも建設委員長に赴任いたしたのでございますが、責任の重大なるにかんがみまして、微力ではありますが、誠心誠意努力する所存でございます。幸い、練達堪能委員各店がおられますので、何とぞ御援助、御鞭撻のほどを切にお願い申し上げます。簡単ではございますが、ごあいさといたします。(拍手)     —————————————
  3. 大倉三郎

    大倉委員長 この際、建設政務次官和精一君より就任のあいさつをいたしたい旨申し出があります。これを許します。建設政務次官和精一君。
  4. 三和精一

    三和説明員 今回政務次官に就任いたしました。もとより浅学非才、その任ではないかもしれませんが、誠心誠意努めたいと思います。どうぞお引き回しのほどをお願い申し上げます。  (拍手)      ————◇—————
  5. 大倉三郎

    大倉委員長 この際理事補欠選任に関する件につきましてお諮りいたします。去る七月十九日、理事南好雄君が、また同月二十二日、理事木村守江君が、それぞれ委員辞任されましたのにつきまして、理事が二名欠員しなっております。この際、その補欠出任をいたしたいと存じます。先例にとりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大倉三郎

    大倉委員長 異議なきものと認めまして、逢澤寛君と砂原格君を理事指名いたします。      ————◇—————
  7. 大倉三郎

    大倉委員長 次に、災害対策に関する件につきまして調査を進めます。  この際、台風第十一号、第十二号及び今回の第十六号の災害状況につきまして、政府当局より報告を聴取いたします。  鮎川河川局次長
  8. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 公共土木施設災害状況につきまして御報告申し上げます。  お手元に二種類の資料を差し上げておりますが、一つは厚い方の、とじた方でございまして、もう一つは薄い方の十六号関係でございます。  まず最初に十一号、十二号の関係を申し上げますが、この機会に、昭和三十五年災害被害報告がありましたところで、十四号までを取りまとめておりますので、これについて御報告を申し上げます。  厚いとじの方の一枚目にございますが、まず一月から五月の融雪、風浪、豪雨等による被害でございますが、これが直轄関係につきましては百六十九カ所、金額にいたしまして五億一千万円でございます。それから補助災害につきましては千八百八十三カ所、十八億の被害でございます。合計いたしまして、個所数は二千五十二カ所、約二十三億の被害額になっております。  次に、今年五月に北陸地方北海道地方を襲いましたチリ地震津波による被害でございますが、個所数は、直轄関係で三カ所、金額にいたしまして八百十万円でございます。それから補助関係におきましては、個所数は三百七十四カ所、四十一億余円になっております。合計いたしまして三百七十七カ所で、四十一億余円となっておるわけであります。  それから、六月——八月の豪雨によります被害は、直轄関係が六十一カ所、金額で二億三千万余円、補助関係では九千二百七十二カ所、金額で申しますと七十八億余円になっております。合計いたしまして九千三百二十三カ所、八十億余円に達しております。  それから、十一号、十二号の台風による災害でありますが、これは、直轄関係におきましては七十八カ所、五億八千万余円。補助関係につきましては四千四百二十九カ所、五十二億余円になっておりまして、合計いたしますと四千五百七カ所で、五十八億余円になっております。  十四号台風は八月に襲っておるわけでありますが、これにつきましては、直轄関係はありませんが、補助関係で三百八十九カ所、金額にいたしますと五億五千六百万余円になっておるわけであります。  全体を通じまして、十四号台風までを総まとめいたしますと、総個所数で一万六千六百五十八カ所、二百九億余円になっておるわけであります。これを例年の災害に比較してみますと、三十四年度は特別に災害が多かったわけでありますが、三十二、三年の災害とほぼ同様な金額になっておるわけであります。  この資料うしろの方には、その個所別の内容あるいは災害ごとの、どの災害についてはどういう個所被害があったかということの状況について、次のページ以下に記しておるわけであります。五番目の十一号、十二号関係について申し上げますと、「八月中旬には、台風十一号及び十二号が相次いで来襲し、そのため、中部、近畿その他の地方にかなりの被害を生ずるに至っており、中でも岐阜県の二十億円、静岡県の八億四千万円、和歌山県の六債九千万円を初め、山梨県、長野県、富山県、愛知県、福井県等もそれぞれ二億円以上の被害を生じており、全体では、二十一府県で約五十三億円の被害をこうむっている。また引き続いて本土に接近した台風十四号では、千葉県の四億七千万円を主として約五億六千万円の被害があった。一月から現在までに、これら地方公共団体から報告のあった被害総額は、補助災害で百九十五億七千余万円である。」  なお、六番目には直轄災害のことを記してありますが、「直轄災害としては、一月から五月までの五億一千万円、六月から八月までの二億四千万円、及び台風十一、十二号によるもの五億九千万円を合わせ約十三億五千万円の被害がある。」ということであります。  十一号から十四号までの概況は以上の通りでありまして、その他の資料は各県別被害状況であります。これは省略いたします。  次に、台風十六号による公共土木施設被害概況を御報告申し上げます。この被害状況報告は、まだ集計中でございまして、この資料は十時ごろの資料でございます。なお、今後この資料は、県からの報告によりまして若干修正をしなければならぬようなところが相当あるかと思いますが、けさ報告数字でございます。  まず補助災害について申し上げますと、宮崎県関係では、被害報告による個所は六十七カ所、一億余円になっております。次に、大分県が二十三カ所、千六百二十六万円。高知県が二百七十七カ所で、三億八百万余円。徳島県が八十九カ所で、一億二千六百万余円。愛媛県は四十二カ所、三千五百四十四万円。香川県は八カ所で、五百八十三万円。岡山県が百四十三カ所で、八千八百二十二万円。鳥取県は五カ所で、百六十八万円。和歌山県は三百三十九カ所で、二億九千九百八十二万円。三重県が六カ所で、二千五十九万円。兵庫県が二百五十五カ所、二億一千二百九十五万六千円。ただいま申し上げました兵庫県の数字は、お手元に差し上げてある数字と若干違っておるかと思いますが、これはその後修正された数字で申し上げておるわけでありまして、兵庫県の場合は百九十八カ所、一億九百万円になっておるかと思いますが、これは二百五十五カ所、二億一千二百九十五万六千円というふうに御訂正をいただきたいと思っております。それから京都は、総額はあるいは出ておらないかと思いますが、京都は千百八十八カ所で、被害総額がただいまのところ十四億四千九百万円、特に甚大な被害をこうむっております。大阪は三百三十九カ所で、一億三千百五十万円。奈良は三十五カ所で、三千三十七万円。石川が三カ所で、一千万余円。福井は三十七カ所、五千二百三十万余円。岐阜は九十六カ所で、一億四千六十四万円。神戸市が百四十八カ所で、九千四百万円となっております。  補助災害関係合計は、お手元に配付いたしております数字と若干変わってくるわけでありますが、三千百三カ所で、三十一億二千九百九十五万七千円になっておるわけであります。  なお、このほかに直轄関係災害が一番最後に出ておりますが、直轄関係災害状況は、左の方に河川ごとに出しておりますが、被害報告がありましたのは担保川関係護岸、渡川の護岸水制、仁淀川の護岸、那賀川、庄川等について被害報告があったわけでありまして、その合計が十四カ所で、一億六百万円ということになっております。  補助直轄合計で申し上げますと、個所数は三千百十七カ所で、三十二億三千五百九十五万七千円ということになっておるわけであります。最初に申し上げましたように、これはけさ方数字でありまして、若干今後の状況によって変わってくるかと思いますが、ただいまの状況について御報告を申し上げる次第であります。
  9. 大倉三郎

  10. 稗田治

    稗田説明員 三十五年度住宅関係災害につきまして、お配りいたしました資料に基づきまして御説明申し上げます。  四月の十六日に鹿児島市に火災がございまして、百四十七戸の滅失戸数がございました。これにつきましては、災害公営住宅の八条適用にはなりませんので、一般公営住宅を四十戸割り当ていたしまして、その運用によりまして被災者救済に当たっておるわけでございます。なお住宅金融公庫におきましては、災害復興住宅建設個人住宅災害特別貸付をいたしておるわけでございます。  次は、六月二十二日の梅雨前線の降雨による被害でございますが、大阪府を初めとする六府県におきまして、十二戸の滅失戸数がございます。これにつきましては、住宅金融公庫個人住宅災害特別貸付ワク運用をいたしておるわけでございます。  六月八日に蘇陽町の火災がございまして、二十四戸の滅失戸数がございます。これも住宅金融公庫災害特別貸付ワク運用いたしております。  七月七日、八日にわたります集中豪雨による被害については、広島県、山口県におきまして、八十三戸の滅失戸数がございまして、これも同様に住宅金融公庫個人住宅災害特別貸付をいたしておるわけでございます。  次は七月十三日、十四日、新潟県におきまして集中豪雨によりまして三戸の被害がございます。  八月二日の東北地方の大雨による被害におきましては、青森県、秋田県の二県に六十八戸の滅失戸数がございました。これにつきましては、秋田県におきまして、公営住宅一般割当を二十戸ほど追加いたしまして、それによって罹災者救済運用いたしております。なお、住宅金融公庫個人住宅災害特別貸付運用は同様にいたしておるわけでございます。  台風十一号におきましては、岡山県におきまして一戸の滅失戸数でございます。  台風十二号、八月十三日におきましては、静岡県を初めとする七府県におきまして、百八十一戸の滅失戸数がございまして、これにつきましては住宅金融公庫個人住宅災害特別貸付ワク運用をいたしておるわけでございます。  チリ地震津波による被害、五月二十四日の被害におきましては、三千二百三十六戸の滅失個数がございましたけれども災害公営住宅三十五年度におきまして六百四十二戸、次年度におきまして三百五十九戸の建設特例法によっていたすことに相なっております。なお、住宅金融公庫災害復興住宅建設並びに補修の融資、また個人住宅災害特別貸付運用等をいたしております。  台風十六号につきましては、今調査が全部途中でございますので、昨晩の六時現在の滅失戸数でございますが、九府県合計におきまして百九戸という損害の戸数になっております。けさほどの警察庁のお調べによりますと滅失戸数が百九十八戸というように逐次追加になっております。被害戸数等が、調査の結果に待ちまして確定いたしますれば、それぞれ時宜に適した措置をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  簡単でございますが、御報告申し上げます。     —————————————
  11. 大倉三郎

    大倉委員長 本件に対しまして質疑の通告がありますから、これを許します。  三鍋義三君。
  12. 三鍋義三

    三鍋委員 今、河川関係住宅関係災害報告があったのですが、人命関係についてどういう状態になっておるか、それはわかりませんか。もし、わかっておったら、現在まででよろしいから、報告して下さい。
  13. 稗田治

    稗田説明員 十六号台風人命被害でございますが、警察庁けさ六時の調べでございますが、総計におきまして死亡が三十人、行方不明が二十四名という調査報告が参っております。
  14. 大倉三郎

  15. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)委員 河川局次長さんに一言お聞きしておきたいのです。年々こうした災害が繰り返されることはまことに遺憾であります。実は三十三年災、三十四年災の復旧工事がもし完成されておったとするならば、こういう被害最小限に食いとめ得られたではないかということは、専門家であるあなた方が十分御承知のことだと思っておるのである。三・五・二の比率においてその工事施行をやられておることはよく承知しておる。しかし、今日はたしてその三・五・二の比率によって工事施行されておられるかどうか。また、おられないとするならば、その隘路はどこにあるか。大蔵省でその金を出し渋っておるために、最小限に食いとめ得られるこの被害を、より以上大きくしておるのが今日の実態ではなかろうか。実は本日も砂防関係全国大会があられたようでありますが、私ども建設委員としては、もはや今日まで十年一日のごとくこの質問は繰り返されておるのであります。私は、きょう重ねてこのたびの災害に対して、今後を未然に防ぐにはどうするかということに思いをおいて、実は三十三年、四年災が進まざる実態を打ちあけて、忌憚なく御答弁願いたい、かように思います。
  16. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 ただいま災害復旧進捗はうまくいっておるかというお尋ねでございますが、原則的に申し上げますと、ただいまお話のございましたように、緊急なものにつきましては、三・五・二の比率によりまして、それぞれ各過年度災害復旧公共土木施設災害復旧費の法の趣旨に従いまして、実施をいたしておるわけでございます。ただ、御指摘の点が、はたして予算上こちらが十分と思えるほどいっておるかどうかという点のことかと存じますが、個々の災害について、あるいは復旧費の見方について、財務当局と若干の意見食い違いがありまして、あるいは場合によっては、計数的に意見が十分一致していないという点は若干あるかと思いますが、原則的に申し上げますと、三・五・二の比率において事業を実施いたしておるわけでございます。  なお、そのような場合、いろいろな点で緊急を要する場合には、特に各年度災害を通じまして、後年度の急ぐ災害につきましては、特に重点的な施行をはかるようにいたしておるわけでございまして、それによって予算の不足が出るような場合には、さらにあとからこれを見るようにいたしまして、災害復旧のことについて全力を注いでおるというような状況でございます。
  17. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)委員 建設省当局建設委員会というものは、表裏一体のものでなければならないのであります。そこで、こういう席で速記録に残されなくてもよろしゅうございますから、建設委員会協議会でも開いて、そして財務当局あるいは大蔵当局が、その予算支出に対して惜しんでおるといいますか、遅々として進まざる実態でありますから、十分忌憚なき腹蔵のない意見をあなた方から教えていただいて、そうしてこうした災害最小限に食いとめるようにしなければならない。なぜなれば、もはや三十六年度予算要求の時期がきております。ゆえに、建設委員会建設省というものは、ただいま申し上げたごとく、表裏一体のものであって、あなた方のために、あるいは国民のために、国家のためにも、どれだけでもわれわれ委員会予算要求に対しまする協力を惜しまざるものであります。ゆえに、どうか遠慮せず、こういうわけで大蔵省あるいは財務当局が出し渋っておるとか、査定の認定にあやまちがあったとかということを、速記録に残さずとも、協議会の席上でもよろしゅうございますから、委員長と御相談の上、腹を割った話をしていただきたい、かように思います。
  18. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 ただいま、財務当局建設省との間の数字食い違いはないかという御指摘の点がございましたが、この点は、おそらく過去の過年度災害における入札差金の問題のことかと思います。この点につきましては、私どもも、いろいろと資料を整理しまして、大蔵省当局とも十分に相談いたしまして、災害復旧が正確にいくようにただいま資料整備をはかっておるような状況であります。
  19. 大倉三郎

  20. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 私は今度の十六号台風についてお伺いしたいと思うのであります。  十六号台風各地被害が出ておることは、ただいま御報告をいただいたのでありますけれども、その被害のうちで、京都府の被害について私はお伺いしたいのでございます。京都府の今度の災害特殊性は、昨年やられたところがそのまま同じ形において、ことしやられておる、こういうことなんです。ことに京都府の今般の口丹波災害というものは、口丹波三郡というものは全く災害の常襲地帯になっておりまして、昭和二十四年ごろのヘスター台風でありますか、あれから始まりまして、ジェーンあるいは二十八災、それから昨年、ことしと、これで約十年の間に五回同じような災害に見舞われておる。このような災害の常襲地に対するところ恒久対策というものが一向行われておらない。そのために、住民はたび重なる災害に対して非常な被害を受けておる。そしてまた災害に対して戦々きょうきょうとして暮らしておらなければならない。それに対して、また為政者の方では、根本的な対策というものを樹立されておらない。何ら着手しておられないというようなところに基本的な性格があるのではないか。そしてまた同様の災害というものが、今後もこの調子でありますと、十年に数回というふうな形でもって繰り返されていくということが予想されるのでございますけれども、それについて政府の方では、そういう常襲地帯に対するところの基本的な対策というものをどう取り組んでいくかという点について、何かお考えを持っていらっしゃるか。あるいは、そういうところは運が悪いのだ、しんぼうしろというようなお考えなのか。その辺のところ一つ承りたいと思います。
  21. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 大へんおそくなりまして、申しわけありません。  十一号、十二号、続いて十四号、十六号、引き続いての台風が参って、被災地の方々に対してはまことにお気の毒にたえない。職掌柄いえば、相済まぬと考えております。  ただいまの御質問でございますが、私もせんだって各地災害地を見て参ったのでありますが、今度の十六号台風でも、直轄工事が比較的災害が少ない。そして県工事といいますか、補助工事の方が災害が多い。そういう数字の面から見ましても、どちらかといえば、補助工事の面は、いわゆる工事自体進捗率が悪いということを一面においては物語っているのではないかと思います。  もう一つは、私、技術者でありませんから、技術的にはよくわかりませんが、関係者には指示をしておるのですが、直轄工事工法といいますか、規模ですか、そういうものと県工事工法というものに相当の開きがあるのではなかろうか。こういうことは、技術者をして十分に目下検討をさしております。  ただしかし、大きくいいますれば、何といっても河川改良費といいますか、治山治水の費用が災害に対して十分じゃない。また、あるいは災害がしょっちゅうくる日本治山治水費というものが十分じゃない。十分じゃないことは、国の財政というものとの関係から一つは参っておるわけでありますが、御承知のように、さきの国会におきまして治山治水緊急措置法といいますか、特別会計が設けられて、本年から本格的にやろう。そういう点では、大へんにおくれておったことは申しわけないのですが、これも戦後の日本経済情勢というか、どうにもならぬ一つの前提が実はあった。しかし日本経済が一応安定をし、積極的なそういう改良面においても予算支出が可能になった今日初めて特別会計ができて、緊急措置法皆さんのお力できまったわけであります。これでやりましても、当時の皆さんがいろいろ御協力下さったように、全体計画としては、この十カ年計画で九千二百億円、必ずしもこれで建設省としては満足しておるのでないことは御承知通りであって、従ってこれが計数の調整をはかりますというと、相当多量の河川においても四千数百億円、あるいは砂防ダム等においても四千億円というような残事業量があるわけであります。残事業があるということは、それだけ改良しなければならぬところがあるということなんです。そういうような事態でありますので、一応基本計画といいますか、計画は十カ年計画というものを立てられましたが、これでもって万全の措置ができるかというと、残念ながら万全の措置は困難ではありますが、ただ、従来終戦後におけるような情勢を脱却して、少なくともある程度安心できるような工事を進められるという過程に入ったことは、一応の進歩だろうと私は思うのであります。  今お話がありましたように、抜本的な措置がはたしてあるかないかと言われますと、財政上の十分なる裏づけができれば抜本的な措置ができる、こういうのですが、現在の情勢は、ただ最善を尽くして国民の不安を一掃する、こういうことを大きく言えばそう申し上げることができると思いますが、こまかい点で、今申したように工法についても、あるいはお話のような台風の常襲地区については、これを優先的に取り上げなければならぬという問題が具体的にはあろうと思います。最近近畿、中部地区の方へ台風がちょいちょい参るようになって、少し方向を変えたようでありますが、九州の台風襲地区を通るのかと思ったらあまりそっちに行かない。なかなか台風を捕捉することも困難でありますが、しかし、どこへきてもある程度これに対応し得る県行政なり、建設行政をやることが当然建設省の任務でありますから、方針としてはその方針に従ってやって参りたい。かように考えております。
  22. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 台風が常襲いたしましても、それに備えがあればいいわけでございます。常襲地帯にあって、しかも備えがないから、今度は災害の発生の常襲地帯ということになってくるわけであります。ただいまお答えの中で、なるほど、あなたのおっしゃる通り財政的な裏づけがなければならないことは、もちろんでございますけれども、しかしながら、災害発生の常襲地帯にとっては、財政の裏づけがあるとかないとかいうことは、十年間に五回も被害を受けた地域の住民にとっては、それはもう通用しにくい言葉になってきているということはお考え願いたいと思うのです。従って、ただいまお答えいただいた中で、そういうふうな常襲地帯については優先的に考えていきたいという御意見がございましたので、私はそのことを、特にもう一度大臣の御答弁の中にその言葉についての御注意を喚起して、特にその辺のことは今後とも御配慮願いたいとお願いしておきたいと思います。  そこで、今の口丹波災害に対する対策でございます。河川局長にお伺いいたしたいのでございますけれども、昨年の災害発生の当時にも私はその点について特に口丹波災害についてお願いしておいたのですが、それは御承知通り、淀川は三本の川が合流しております。そのうちの二本の、宇治川については天ケ瀬ダムの計画がございます。それから木津川については、今の高山ダムの計画がございます。ところが、もう一本の桂川について何らダム計画がないわけなんです。そうしてまた今度の災害、私は昨日現地を見て参りました。現地を見て参りますと、もう非常な奔流です。だから、一時出水がものすごい勢いで流れてくるために川の本流のところが横にあふれておりますね。本流のところが盛り上がって見えるくらいの激流です。だから、自衛隊の兵隊さんが園部でもってきのう二人なくなっております。自衛隊のゴム・ボートが転覆して、おそらく自衛隊のゴム・ボートに乗る隊員が私は水泳の心得がなかったとは思わないのです。ところが、その激流の中でひっくり返ったら、そういうふうな屈強の人ですら溺死するというくらいの奔流になって、大堰川という川は桂川の上流ですが、大堰川は流れるのですね。だから、そのような激しい一時出水がどうして出るようになったかということを根本的に考えていかなければなりません。同時にまた、そのような一時出水を食いとめる方策というものは、これはもう流路調節以外にはないわけですね。ダム建設以外にはない。昨年も私はその点を指摘しておいたのですが、昨年からことしに直ちにそのようなものが実現するとは思いませんけれども、しかしながら、それについて何らかの、将来はこういうふうにしてこの河川の統制をやっていくのだ、河水統制をやっていくのだという方針を、何らかお考えを願わなければならないと思うのですが、その後局の方で何かそういうような考え方を進めていただいておるのか。その辺のところを伺いたいと思います。
  23. 山内一郎

    ○山内(一)説明員 ただいま御指摘のございました、どうやって災害を防ぐかという治水の方式の問題でございますが、御承知のように、上流でできるだけ洪水を処理をいたしまして、下流へ流れる分はできるだけ早く海の方へ流す。こういうことが現在治水の原則として私たちはやっております。  それで、淀川の水系についてでございますが、ただいまお話ございましたように、宇治川については天ケ瀬のダムで洪水調節をやる。それから木津川水系については高山、青蓮寺、宇陀川、こういうようなダムの地点で今後逐次築造をやりまして洪水調節をやりまして、少なくなった水をできるだけ早く下流へ流す。こういう方針でやって参っておるわけであります。それから桂川の問題でございますが、現在、ダム地点をどういうところがいいか、こういう点につきまして極力調べておりますが、なかなかダムを作る個所というものは、たくさんあるようでございまして、数は少ない。適格な個所というのはなかなかないというのが現状でございます。従って、適格であり、非常に効果のあるというところから、現在天ケ瀬、高山の順序で施工中でございまして、桂川水系についても極力いいダム・サイトを見つけまして、できるだけ早くいい地点があれば着工したい、こういうような考え方で今進んでいるわけであります。
  24. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 これは、早くダムを作らなければだめだという考え方に立って調査を進めていただきたいと思うのです。今度の災害状況を見ましても、昨年やられたところが全く同じ形でやられております。被害の程度も全く同じ、あるいは以上と言わなければなりませんので、こういうようなことの繰り返しでは住民の不安は解けませんので、一つ積極的に、どこへ作ったらいいだろうというような気持で、早急にダム建設計画を立案するという形で、真剣に取り組んでいただくようにお願いいたしたいと思います。  それからもう一つ建設大臣にお伺いしたいのでありますけれども、このように常襲的に年々繰り返して災害が出てくる。しかも臨時国会が開会されない限り、それに対する特別立法というようなものは出て参りません。従って、そういうふうな場合、一体、この災害復旧あるいは補助率の問題ですね、昨年はああいうふうな全国的な大災害があったので特別立法があり、高率補助が行なわれました。同じように今度は、そういうふうな程度の激しい災害が局地的に起こっておる。そうすると、その市町村にとっては、水田はうんとひどくやられます。従って、同時にまた一般の個人災害も相当ひどうございますから、税収は減る。しかも、いろいろな、なにでもって出費は多いというふうな形の中で、やはり相当な政府からの援助がない限り復旧が非常に困難であると思うのでありますが、そういう点について、政府はどういうようにそれを財政的な裏づけを措置していただけるのか。それについてのお考えを承りたいと思います。
  25. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 災害対策といいましょうか、罹災者に対する対策問題は、まことに被害者にとっては重大問題でありまして、従来大きな災害が起きましたときは、皆さんにお願いいたしまして、臨時立法でこの趣旨をはかって参っておるわけであります。しかし、臨時立法で従来やって参っておるわけでありますが、これは毎年のように台風は来るのですから、小といえども、当たったところは、やはり個人から見ると大の人と同じに損害を受けておるのです。そういう点もあり、かつまた、災害地地方財政の面から考えても、個人経済の面から考えても、重大な損傷をこうむるわけでありますから、従来は臨時立法によってこれを措置して参ったわけであります。ところが、いろいろ各方面からの意見もあり、そうして災害対策基本法というものを作って、恒久的立法を作るべきじゃなかろうか、こういう御意見もあって、政府としてもこれが研究を現在進めておるわけであります。事務当局等でそれぞれ資料を集め、災害対策基本法というものを作るべく目下検討を重ねておる、こういう状態でありますが、もちろんできるだけ早くこれが立法措置をいたすようにいたしたい、かように考えております。
  26. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 災害対策の臨時立法の恒久化については、後ほど同僚の委員から御質問があると思いますので省略いたしますが、防災ダムについて河川局長にお伺いしたいのです。大堰川にも、一つ天若という防災ダムがあるんですね。それは発電を兼ねておるのです。ところが、どうもその運営がうまくいっておらない。そのために、昨年は相当その水を抱いておって、それからそのダムがもたないというので、ばっと放出したものですから、非常な一時出水があって、そのために下流の家が吹っ飛んだりなんかしまして、非常に大きな問題になりました。ところが、ことしになりまして、その管理について神経質になり過ぎたのか、今度は台風がありそうだというと全部出してしまう。たまたまそのときに台風がこなかったわけです。そうすると、発電に必要だからというので、今度は水を節約して全然流さないんですね。そうすると、農家の方に灌漑用水の非常に必要なときに下流では非常な渇水がくるということで、また住民から非常な不平が出て参っております。だから、こういうふうなダムの管理については、ある程度住民の意見を絶えず取り入れるというふうな制度を設ける必要があるのではないか。言いかえますならば、住民をその中に加えたところのダムの水量調節の管理委員会というふうなものを置いて、単に電力会社が管理するだけでなしに、あるいはそれに行政官庁の意見が加わるといたしましても、行政官庁と電力会社との合議だけでなしに、関係の水域の住民の意見を十分取り入れる形の委員会のようなものを作って、その上でもって管理をしていただかないと、いろいろな、そのあとで起こってきたことについての不満の爆発というものが私は大きいと思います。それからまた、電力会社が管理の主体になっておるということでありますと、勢いその運営がどうしても、かりに善意であったといたしましても、幾分違った形で、下流の住民の福祉第一というふうなことにはならないと思いますので、その辺について、一つ今後何かそういう機構を設けるようなお考えがおありなのかどうか、御意見を承りたいと思います。
  27. 山内一郎

    ○山内(一)説明員 大災害が発生いたしますと、最近は特にダムの操作の問題で下流に被害をさらに大きくしたというような話をよく聞きまして、いろいろ調査をいたしておりますが、どうも利水単独のダムにつきましては、やはり利水という面が非常に重要視をされまして、ただいま先生のお話もございましたように、早くその水を放流し過ぎますと、その後の台風の雨がどこかへそれまして、水が満水にならないで非常な損失をこうむったというような点もございまして、まずその操作規程というものを、建設省としても、建設大臣が承認をするという建前で現在操作規程を非常に重要視をしてやっているわけでございますが、雨の降る時期ととびらをあける時期といいますか、非常に関連がむずかしゅうございまして、その点の予報的の現在のいろいろな観測施設といいますか、それがまだ満足でないために、いろいろな問題が起きていると思います。結局、要するに、ダムのないときの自然の状態で洪水が下流に流れてくれば、下流の方々がダムのないときと同じ状況でございますから、いいわけでございまして、そういうふうに、ダムがないときと同じようなということで、操作規程の基本的な考え方を現在やっているわけでございます。そういう点につきましても、いろいろ下流の方の御意見を聞くべきだと思いますが、そういうふうにダムがないときということになれば、それで御納得がいけるのではないかと思います。今後洪水調節を兼ねましたダムにつきましては、割合現在局地的ななにがございましても、下流の被害が少なくて済んでおりますが、そういうような利水単独のダムにつきましては、今後さらに検討する余地が相当あるのじゃないかという点で、極力いろいろな点で調査を進めていきまして、操作が悪いために被害が起こらないように心がけている次第でございます。
  28. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ただいま申しておりました天若というダムは、これは最初洪水調節の目的でということで地元民に話があって、それがいつか発電ダムに変わっておるようななにでありますので、その辺については、特にもう一度よく建設省の方でも検討していただきまして、——地元民の口々に言うことは、天若のダムができてから一そう水害がひどくなってきた、こういうふうなことなのです。  それから、ことにこの桂川流域については大臣にもよくお願いしておきたいと思いますが、戦前よりも、戦後非常に水害の頻度が多くなってきている。このことは、やはり日本の国策であった大東亜戦争と非常に密接な関係があり、その日本政府の長い間の治山治水対策の不備の蓄積がこうして現われてくるところ災害襲地帯となってきたという点に特に心をとめられて、緊急に根本的な治水対策を立てていただくことをお願いいたしまして、私のきょうの質問を終わらせていただきます。
  29. 大倉三郎

    大倉委員長 山中吾郎君。
  30. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 大臣にお聞きいたしたいと思います。最近新しい内閣の各大臣が国土計画に関するいろいろの構想を、おのおの自分の識見に応じて発表いたしておるわけであります。たとえば農林省では総合河川開発の構想を発表したり、自治省では百万都市の構想を発表して予算を請求する。その他通産省においては通産省で工業用水のいろいろの構想を発表する。そういうまちまちな発表が行なわれておるわけですけれども国土計画、国土保全という立場においては建設大臣が最高の責任者であると思うので、そういうことについて大臣が一つの識見を、前もってはっきりと建設大臣としての方針を示さないでながめておれば、建設大臣というのはそういう実施機関の請負機関になってしまう。その点について、国土計画の立場、国土保全の立場からさまざまの各大臣がおのおの各省の立場から構想を発表しておることについて、少なくとも国土保全の立場においてぴりっとした一つの——あとで災害がまたきて、まちまちな工事の中で変なものが出てくることが明らかなので、その辺をもう少し全体の立場、一歩高い立場から御意見を発表される必要があると思うのですが、お聞きいたしたいと思います。
  31. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま質問されました点につきましては、私の考えておりますことを申し述べる機会を与えられましたことを厚く御礼申し上げます。  ただ、お話のありました、各省まちまちに発表をいたしておるような状態で、御注意を喚起されたのですが、実は建設省として正式に具体的に発表する段階になっておりませんので、党との打ち合わせ等の内容が漏れて新聞に書かれたような事実がありまして、その点いろいろな誤解を受けておりまして、まことに申しわけないと思っております。  ただ、御承知のように、建設省は国土全体の基本計画考えて、いわゆる国作りの省でありますから、全体的な構想を考えておるわけであります。その中に道路計画あるいは住宅計画治山治水計画、下水計画、水資源問題、これらが国全体の一つの基本的なものになろうと思います。特に私といいましょうか、政府においても同様ですが、十大政策といいますか、重要な政策として考えようとして取り上げております問題は、道路計画の問題を中心にして住宅政策、水資源等があります。そのうち新道路計画は、実は三十三年度から現行の五カ年計画が始められまして、本年は三年度目を迎えておるわけです。ただ、当時策定いたしました基本的な考え方は、現状なお不要ではありませんけれども、そこにおける経済成長といいますか、輸送力の急激な伸びによって、当時考えられましたいわゆる輸送量の標準が非常に窮屈になって参っております。三十三年と三十五年を比べますと、大体二割前後従来の経済と今日の実情とは食い違ってきておる。それだけ増大をしておる。輸送量が混雑をして参っております。こういうような観点から、ことに三十三年以降の日本経済成長というものが非常に目ざましいものがありまして、今申したような当時策定した道路計画ではこれをまかなうことが困難な状態になって、このまま現行の五カ年計画を進めて参りますと、道路の狭隘なことによって生涯の阻害を来たすような現状になっております。そういう実情から建設省としては、日本経済成長というものを十分に達成して国民の生活を安定せしめ、同時にまたこれを向上させるためには、産業の基本的な基盤である道路計画をこの経済成長に合わせなければならぬ、こういう考え方で、経済企画庁とも十分の連絡をとりながら、現在の経済の伸びというものと合わして、どの程度の道路計画が必要か、こういうことで、就任以来これが策定を検討中であります。目下建設省として大体結論といいましょうか、最終的な策定を見ましたものは、一応事業目標を十カ年計画といたしまして、その十カ年内に六兆円の道路投資を行なわなければ経済成長に追いつかない。いわゆる青年が少年のくつをはく状態になる。こういうことで、青年には青年らしいくつを与えるためには、どうしても道路投資として十年間に六兆円、五カ年間に大体二兆三千億から二兆五千億円ぐらいを実施しなければ、窮屈な着物を着せる、小さいくつをはかせる、そういう結果になるという資料がまとまったのであります。  問題は、これでどれくらいできるかと申しますると、一級国道は大体において一〇〇%舗装まで完了する。二級国道は約半分程度ができ上がる。地方主要道は二〇%前後、その程度であります。一般県道になりますというと、これはなかなか舗装はできません。これだけの新道路計画で二兆円ないし二兆五千億円という相当巨大な投資をいたしましても、今申したような状態にすぎないのであります。従って十カ年計画という目標を置いて、そうして十カ年内にはもちろん二級国道も完成し、主要道においても相当数量が完成するというような考え方で、十カ年計画というものを目標に置いての前期五カ年計画というものを目下策定中で、内容としては今申したような数字になるわけであります。  ただ問題は、経済成長率に合わしてこれだけの道路が必要である、これが日本の国作りの基本になるのだ、こういうわれわれの主張と、これを作るべき財源の問題にかかって参ります。財源の問題は、もちろん建設省考えなくてはいけませんが、その衝に当たるのは大蔵省政府当局でありますからして、大蔵省なり経済企画庁等と協議をして、あくまでこれが実現をはかろうということになるわけですが、ただ、従来の五カ年計画で御承知のように、その大部分の費用をガソリン税に置いております。このガソリン税を現在の率で経済成長率に合わして、新道路計画の場合に前期五カ年計画でどれくらいの金が出るかと申しますと、大体七千二百億円というものがガソリン税の収入による財源になる。それでもなおかつ単独事業その他補助事業のうちのいわゆる地方公共団体の負担の部分は別にして、国が出すべき金はなお四千五百億円くらい必要といたします。四千五百億円はむろん五カ年間でそうですが、この四千五百億円をどういう形で調達するかという問題があるわけです。これからその問題については大蔵当局その他と交渉を進めなくてはならぬわけですが、ただ建設省としては、そういう道路網を作らなければ、道路拡充をしなければ、将来の日本経済成長に対して責任が負えない、こういう建前を目下はとっておるわけであります。しかし、それだけでは御納得がいかないので、財源をどうするかという問題が出てくるわけですが、その財源はいろいろの方法があろうと思いますが、一つには道路公債の問題もあります。あるいは国の一般税収入といいますか、これが十分であれば、一般会計からの繰入金のことも考えられる。あるいはまた預金部資金等に余裕があれば、預金部資金から借り入れるという方法もあるし、あるいはこれらの二つなり三つを組み合せてこれだけの財源を作るという方法もありましょう。これらの問題は、今後政府当局等において十分に計算をしなければならぬ問題でありまするが、計画としては十年間には六兆円の道路投資をやらなければ、道路はふん詰まりの状態になって、生産を阻害する。経済成長を停止せしむる結果になる。こういうことが一応われわれ建設省側の見解であります。  住宅問題等につきましても、御承知のように、戦後非常な力を入れて住宅政策をやって参っておりまするが、なおかつ今日におきましても住宅不足は著しいものがあるわけであります。特に最近統計上の調査によりますと、低所得者の住宅難が増大しつつあります。これはどういう原因か。おそらく一つには、世帯の新しい分化が最近は多くなってきておる。こういうのは、国民所得が増大するにつれ、今までは複数世帯が一つの家におったものが、一応独立して住宅を持とう、こういう傾向が一つと、もう一つは、従来住んでおりました低家賃住宅といいますか、あるいは公営住宅もそのうちに入りますが、広い意味の低家賃住宅に住んでいる人が、所得は上がったにかかわらず、いわゆる少し高い家賃の方へはなかなか移りにくい。こういうことも一つの原因であろうと思います。最大の原因は、今申したように、国民所得の増大につれ、新世帯分化の傾向がこの二、三年来著しくなっておる。これは数字の上でもはっきりしております。こういうことに対処して、やはり住宅の増加をはからなければ、生活の安定あるいは国民生活文化の向上は期し得ないということから、建設省側の考え方としては、今後十カ年間に一千万戸の建設を行ないたい。これは終局的には一世帯一住宅、こういうことになるわけであります。  もう一つ、これに関連しますのは、御承知のように、最近産業構造がかなり急激に変化をしております。たとえば石炭鉱業のごときは一種の斜陽産業といいますか、離職者の数が逐次増加しておる。あるいはその他の産業におきましても転換が行なわれておる。弱電系統とか電子工業等は非常な勢いで伸びておるし、そうでない部面もあるわけであります。こういうことからして、住宅及び住居の移動といったようなものがある。住居の移動というものが行なわれますと、ある部分では住宅の不足というものが出てきて、ある部分では住宅があるいは余裕があるということもあり得るのですが、とにかく産業構造の変化でそうした変化が起きた場合には、それに対応する産業住宅と申しますか、そういうものは進んでやっていかなければならぬ。そういうことで、最近の統計を見ますと、産労の申し込みが非常に多いのであります。従って折計画でも産労住宅、勤労者の住宅というものにかなり重点を置いて、内容の質的向上とともに総体の数を増していこう。こういう考え方で住宅政策等も新たな策定のもとに来年度からやっていきたい。かように考えておるわけであります。  あるいは下水事業等につきましても、御承知のように下水というものは、文明国であればほとんど一〇〇%完成しておるのが外国の例であります。ところが、残念ながら日本では、これは全体の平均ですが、せいぜい五%に足りない。東京あたりでも大体において三〇%前後といいますか、三五、六%である。これは文明国として非常に恥かしいことであるのみならず、種々な病気の原因にもなるのでありますし、もう一つはむだに流れる水を再生する。下水を通して、浄化槽を通して流される水をもう一度再生すれば工業用水にもなるのでありますから、地盤沈下等の問題から、これらも含めての下水対策が必要であろうということで、これも十カ年計画を研究しておるような状態であります。  水資源の問題については、御指摘のように各省でいろいろ意見を言うております。厚生省では、水道が所管でありますからして、水道公団のようなものを作りたい。あるいは通産省では、工業用水が逼迫しておるので、工業用水の公団を作りたいとか、農林省においても同様な意見があるようでありまするが、ただ、水の問題は、一応現行の規定からいえば建設省がこれを管理いたしております。及び都道府県もこれに関連しておりますが、そういうことからして、水を作るということはやはり建設省の所管でなければならぬ。これが配分その他につきましては、もちろん各省と連絡し、協議し、そうして行なわれることは当然ですが、水を作るということはやはり建設省の仕事でありますし、先ほどから河川局長がダムの御質問があった際に御答弁申し上げましたように、現在すでに四十幾つかのダムができ上がり、今後四十幾つかをやろうとしておるわけでありますからして、従って、いわゆる水資源公団というものを作るにいたしましても、それは現在行なわれておるものを、今後の事業の運営上効果を上げるために公団を作り、同時にまた、全国的に、計画的に進める、こういう必要上からの公団であって、全然やっておらなかったことをやるのとは性質がだいぶ違うのであります。そういう意味で、具体的には各省とも連絡をとろうと考えておりまするが、まだその段階でありませんので、一応建設省としては建設省考え方を省内において固めておる。ことに私が心配するのは、先ほども質問がありましたように、これが他の事業体のダム、たとえば電力ダムとか、こういうことになりますと、利水的性格が薄れざるを得ないのでありますが、ただ、この問題をほんとうに考えるためにはいろいろの問題があります。補償の問題も大問題でありますからして、あえてそういう方針と申し上げるわけではありませんが、これは研究しなければならぬ問題であります。でありますからして、ダムの目的はもちろん多目的ダムで、利水あるいは工業用水、飲料水、農業用灌漑用水等を目的としたものではありますが、基本的には、利水計画に沿わなければ先ほどお話しのような危険が内在してくる。そういう意味で、やはりこうした大規模の多目的ダムというものは、建設省がいわゆる水の統制といいますか、指揮権を持っておらないと、かえって逆な結果を招来する場合もあるわけなんです。しかし、それには法律的にも経済的にも、なお検討しなければならない補償問題等が起き上がるわけで、問題は非常に広範囲の問題でありますから、個人的な意見は差し控えますが、一応原則論としては当然に建設省がこの指導権といいますか、指示権というものを持たなければ、利水上の目的を達成できないという危険性があるわけであります。こういう意味で、建設省としては、国作りをする本来の省として、全国的な視野の点に対して基本的な構想は考えていきたい。かように考えておるわけでありますが、これはぜひとも委員各位の絶大なる御支援がなければ、なかなか困難で、ひとり建設省だけでできる問題ではもちろんありません。特にこれらの問題につきましては、将来具体化するたびごとに当委員会にも御報告申し上げ、御意見を拝聴したいと思っておりますので、これら諸計画が十分に達成されますように、一つ皆さんの御支援をお願いする次第であります。
  32. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 明日大臣が出席されないというので、全体のことも含んでお聞きしようとしたわけなんで、お尋ねしようとしておることを大体全部含んで御説明になったようで、短期間に御勉強された大臣の抱負を聞いたという感じでありましたが、答弁されたことについて、それにあとを追って御質問いたしたいと思います。  私が最初にお聞きいたしたのは、各省のいろいろの産業の立場からの水の利用計画であるとか、あるいは厚生省の厚生の立場からの下水道計画であるとか、あるいは農業関係のいろいろの灌漑用水の計画であるとか、いろいろ出るわけでありますけれども、少なくとも国土保全という立場から規制をすることがないと、あとで非常なあやまちを犯すので、建設大臣としては、国土保全の基本方針といいますか、利水計画に対しても国土保全の立場において全体の原則、基準を定める。あるいは道路網についてもそうでありますし、立法化すれば国土保全基本法ということになると思いますが、行政的にも国土保全基本方針というものを明確にしておかなければならぬ。今までの数年の各省の土木工事の推進を見ますと、跡始末に大へんだというので、その辺から新しい建設大臣として、在職中に国土保全の基本方針を明確に確立される御意思があるかどうか、ということを第一に実はお聞きしたのでありまして、簡単にそれにお答え願って、あと、各論をお聞きしたいと思います。
  33. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御意見通りに、建設省といたしましては、先ほど申し上げましたように国作りが私たちの使命の根本でありますから、国土保全がわれわれの構想の根幹をなすものであります。従って、もし国土保全に障害を与えるような、他の省においてそういう計画がなされる場合は、われわれの基本計画に対して障害になるような計画がある場合は、これはわれわれとしては承服いたしかねますから、十分に再考を促すという考え方で、あくまで国土保全の根本方針に従ってこれを作っていく。今お話がありましたように、しからば国土保全に対する基本的な方針は何かといいますれば、特にこれを基本法として取り上げるかどうかの問題は別にいたしまして、全体の考え方としては、できる限りこれを具体化して、皆さんの御了解を得た上に、先ほど申しますような長期計画といいますか、十カ年計画にこれを内容として織り込んでいく、こういう方針で参りたいと思っております。
  34. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 国作りの省、いわゆる国土省の一つの構想、考え方のもとに、建設行政を推進されていかれるというお考えをお聞きいたしましたので、われわれは全副的にその方向に協力を申し上げたいと思いますし、そういうお考えに対して安心をして、建設省のあり方をわれわれも吟味をして、是々非々で努力したいと思うので、その点私は御答弁、満足いたします。  次に、今説明されました新道路整備五カ年計画でございますけれども、その点について詳しく御説明いただきました。たしか新聞の発表によりますと、三十六年度を初年度とする十カ年に総額五兆六千億円、そして五カ年計画として二兆三千億という予算建設省では新しい道路計画をお立てになっておるようでありますが、問題は、これを実現するのには、いろいろと財源に、今も御説明があったように、非常に厚い壁があると思う。大蔵省の方においてガソリン税の伸びその他についてもやはり見解の相違が出てくるでありましょうし、道路公債というお話もありましたが、現在においても道路公債は反対の立場を大蔵省はとっておる。そういう意味において、これを実際に実現するのには並み大ていのことではないので、大臣は相当かたい決心を持ってやられなければ実現はなかなかおぼつかないと思います。  そこで、そういう意味において発表されました新道路整備五カ年計画の二兆三千億円の実現について、責任を持ってこれを遂行するということについて、この委員会の席上でその方針の発表された識見というものを、いま一度明確に御答弁をいただきたいと思います。
  35. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま大へん激励のお言葉をちょうだいし、感謝にたえません。もちろん建設大臣の私といたしましては、十カ年六兆円の道路投資は断じてやりたいという決意を持っており、また皆さんの御協力をも得られることと考えておるわけであります。ただ、それが十カ年間に六兆円、前五カ年間に二兆数千億円という金額ですら、これをどういう線で持っていくかという問題はあろうかと思います。一つには、建設省の、拡大されました場合におけるこれが引き受け体制もありましょうし、また建設業者の引き受け体制等もありますからして、いきなり三十五年度に対して来年度が倍になる、こういうことは実際上の措置としては困難かと思いますが、前期五カ年計画においてそれだけの事業をやっていく、十カ年間において六兆円をやっていくという線はくずしたくないし、また各方面ともにこの大ワクについては了承が得られるのではなかろうか。  問題は、三十六年度からどういう率で上昇していくということは、財源の問題等におきましても問題があろうと思います。従って、もちろんこれから大蔵省等とも十分に折衝を重ねなければなりませんが、できるだけ初年度においてもある程度大幅な総ワクを実現して、スムーズにこれら五カ年計画なり十カ年計画が進むように持って参りたい。これには何として皆さん与野党の十分なる御協力がないとできませんからして、ぜひとも、日本の生産の基盤である道路の問題ですから、格段の御協力をお願いをしておきたいと思います。
  36. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 詳しい内容その他については次の機会にお聞きしたいと思います。  次に住宅政策についてお触れになったのでありますが、この点について一つ特にお聞きいたしたいことは、農村住宅政策について、これは前の大臣のときから私は主張して、そうして一部実現の方向に約束されてきておるわけでありますけれども、農村住宅の改造、生活改善を含んでこれを建て直すときに、低利長期の融資という制度をとることが日本の農村の民主化のために、また農村の実態からいって非常に重要な政策であると思う。ところが、現在の建設省の今までの伝統的な思想というものは、都市住宅政策であって、この農村の住宅の緩和、むしろ新しい住宅の改善を含んだ住宅政策、あるいは住民が共鳴する限りについては国の補助で融資することによって分散的な農村住宅形態を一方に集めて、農地を多くするというふうなことも実は可能な政策なんでありますが、そういうことについて、前の大臣からも申し送りはあったはずでありますが、お聞きになっておるかどうか。そして、農村住宅について今御意見があればお聞きしたいし、また検討されるということなら、次の機会にまた私も意見を申し上げて大臣の御意見をお聞きしたいのでありますが、農村住宅についての御意見を、今申し上げた趣旨でお聞きいたしたいと思います。
  37. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 全く御意見通りでありまして、前大臣からもその意見が述べられまして、当時は事務当局としてはその問題についての具体的な案を作ってはおりませんでしたが、就任以来、各位の御意見は非常に重要な御意見であり、かつまた必要な御意見でありますので、これが検討を命じまして、いろいろ研究いたしましたが、まず法律の改正を一部行なわなくちゃならぬところがあります。というのは、御承知のように住宅金融公庫法は、住宅に限って金を貸すことになっております。そこで実際上の運用ではどう扱ってくれるかということになりますと、たとえば店舗住宅の場合、住宅の部分が過半数を占める面積である場合に、それに対して金を貸すことができる。しかし、店舗を除いた、たとえば店舗と住宅をあわせて三十坪といたしますと、十五坪半か、十五、六坪でもいいですが、そういうものがあった場合には、その十五坪を対象にして金が貸せる。こういうような解釈であります。今の法律が一応そういう工合に解釈する以外に道がない。  そこで私は、実際皆さんと同じように農村出でありますが、地方に参りまして、何といっても今困っておるのは、一つには今申した農村漁村の住宅の不足。もう一つは、農漁村の住宅の改造であります。特に農漁村についての住宅の改造のうちで、食堂——食堂というのは変ですが、台所あるいはふろ場、こういうものの改造、並びに地方における商店の改造費、こういうものは実際出ないのであります。そこで、次の国会皆さんの御協賛を得たいと思っておりますが、現在の住宅法の一部を少し改正していただきまして、店舗付住宅の場合には、店舗を含めてこれを貸すことができる、こういうように直したい。問題は、それでは住宅じゃないじゃないかという御意見がありますが、これは皆さんの御経験でわかるように、ほんとうに小商人といいますか、小さい商人は店舗を一種の住宅がわりにしているのであります。そこに寝ないかもしれないけれども、昼間はそこでもって休養もしたりなんかしているので、あるときによってはそこに寝る場合もあり得る。ですからして、小さな二、三十坪の商店の店舗というものは、必ずしもこれは東京でいうような純然たる店舗とは性質が違のじゃないか。でありますからして、私の考え方は、それらを含めて一種の住宅とみなして、これを金融することができるようにしたい。こういうことで、地方農村における農村の住宅の改造並びに店舗つき住宅の改造にも金が出せるようにいたしたい。こういうことで、法案を整備すべく、目下成を作らせつつあります。これがで案きれば、御要望には十分に沿い得るようになろうと思いますし、かつまた公営住宅を、来年度は本年度に比べて——従来は大体同じような数を作っておったのですが、最近における地方における住宅不足にかんがみまして、その率を高めて、十分に農村地帯、漁村地帯の公営住宅といいますか、これが増加をはかっていきたい。かように考えております。
  38. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 農漁村住宅についての大臣の方針を聞いて、非常に期待をいたしております。通常国会までに、農村住宅、あるいは店舗を含んだ、住宅と経営とが分離できないようなそういう住宅について、法的に処理ができるように、ぜひ実現をお願いいたしたい。細部のことついては、住宅局長その他にお聞きして吟味したいと思います。  次に、こういういろいろの新しい計画を含んで、建設省予算、従って事業内容が、毎年非常にふえておるわけなんであります。そこで、予算の執行体制というものが、現在のままではいろいろの支障を来たすという段階に来ておると私は見ておるのです。人員の関係にしても、あるいは部局の関係にいたしましても、それから建設業自体の監督、指導という立場からいっても、再検討しなければ、これをこのままにしておきますと、予算のロスが非常に多い。それから水道を作る、下水道を作る、道路をひっくり返すという、ああいういろいろの関係において、国民から非難を受けるような、執行の中からくる矛盾がたくさんあります。あるいは治水の関係と利水の関係についても、いろいろ矛盾が出て参りますし、一方に道路建設するというところから砂利をとってくる。砂利をとるために、今度は河川の方からは、せっかく昨年作った堤防がくずれるとか、そういう事業が膨大に加速度的にふえておるために、執行体制の再検討ということは、おそらく建設大臣は、もうぼつぼつこれは再検討すべき段階にある。このままでは、きっと私はいろいろの矛盾が出てきて、国民の非難が出ると思う。治水五カ年計画道路計画も倍加するというような状況でありますので、この執行体制の再検討ということについて、就任をされた当初に、やはり一つの大きい課題としてお考え願わなければならぬのじゃないか。これについての御意見、これは簡単でけっこうですから、御意見だけお聞きしたい。
  39. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話のように、建設省予算は非常に膨大なるものがあります。のみならず、最近一種の土木行政から脱却して、当初申し上げましたように、国作りの行政機関として、国全体の国土計画を強力に推進しなければならぬ使命を与えられて参っております。従って、いわゆる行政の運用面における内容の改善という点も痛切に必要を感じておるわけでありますが、一応政府としては、全体的な計画をにらみ合わせておりますので、私個人の希望は、そうした統括的な局を設置する必要を感じておりますが、これは今後とも皆さんの激励を受けて、最善の努力をして、そうした統制ある計画的な省の組織を考えていきたい。かように考えております。
  40. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 突然お聞きしたので、十分な答弁を私は現在期待をしておりませんので、なお省内でよく部局の責任者にお聞き願って、なお次の機会にお聞きいたしたいと思います。  最後にお聞きいたしたいのは、災害関係でございますけれども、例の災害立法は、そのつど特別措置法によってやって参りまして、先ほど少しお触れになったと思いますけれども、いろいろと矛盾を、すべての国会議員も行政当局も感じてきたわけなんです。  そこで、今までの特別措置法を恒久立法化をして、各臨時国会ごとに三十幾つも各特別措置法を出していくというふうなことのないように、現在数次の洪水その他によって経験をして、当然国民の常識化をしておる、特別措置をすべきだという常識化をしておるものがたくさんある。これを恒久立法化をする段階に、もうすでに来ているんじゃないか。もちろん、これは各省にわたっております。建設省以下農林、社会労働、文教、通産、大蔵、地方自治、あらゆるものに数個ずつ特別法があるわけでありますが、これについて今度の臨時国会、十月になるかわかりませんが、その臨時国会に、少なくともこの災害については、またまた例の特別措置法の提案ということでなくて、それ以前に各党も、各関係大臣も合議をして、次の臨時国会までに今までの特別措置法を一まとめにして、あるいは各省ごとでもいいと思いますが、そういう恒久立法化の方向に持っていくべきであり、そういうことを大体常識的にみな認めておると思うのでありまして、この点について建設大臣として、一応各省の関係全部で一本というようなことになると大へんな問題になりますが、建設省なら建設関係だけを含んでもこれを恒久化するということについての御意見をお聞きいたしたいと思います。
  41. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御意見のように、災害ができるたびに臨時立法を作るということは好ましいことではないわけでありまして、できればこれは恒久立法と申しますか、一本にしたものを作ることが必要だと思います。ただ、ただいまお話がありましたように、各省にまたがっております。従って、これが災害対策基本法として一本にまとめるように、目下各省間で連絡をして、これが立法化に努力をいたしておりますが、現実の問題としては、この臨時国会に間に合うかどうかということになりますと、なかなか広範囲でありますからして、困難ではなかろうかと考えますが、建設省としてはできるだけその方向で努力をいたしたいと考えております。なお、建設省関係は公共災害でもって一本化しておりますので、その点はよろしいのですが、全体的な点で言いますれば、ばらばらになっておりますので、御意見通りでありますが、今申したようにかなり広範囲でありますので、多少時間を与えて下さらぬと、抜本的なものはできにくい状態でありますが、建設省としてはその方向で努力をいたしておりますからして、御了承願いたいと思います。
  42. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 今、建設省一本にしておると言いますけれども公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法のほかに、この対象にならないものとして、災害による堆積土砂及び湛水の排除に関する特別措置法、風水害に伴う公営住宅法の特別措置法、災害による高潮対策事業に関する特別措置法、こういう特別措置法があるわけなので、それで建設省の場合についても、やはりこれは再検討すべきものがたくさんあるわけです。実はきょう社会党の方では対策委員会を開き、恒久立法化をすべきであるというので、けさ官房長官にも会い、私も出席したのでありますが、それについて検討するという政府の答弁があり、それから自民党及び民社党とも三者で話し合いをして、臨時国会までに努力するということにほとんど異議なく賛意を表しておる零囲気があるわけでありますから、消極的にお考えにならないで、また官房長その他も消極的に大臣を牽制するようなことでなしに、進めるようにしてもらわなければ困る。臨時国会まで時間をかけないで、その前に短時間に各党みなまとめて、すぐ一本にできるような態勢に進めていこうという話まであるわけでありますから、建設省関係のもの、その他の関係のものについては大へんな立法技術上の問題があると思いますけれども、その方向に進むように積極的にお考え願いたいと思う次第であります。もう一度お聞きいたします。
  43. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 私の説明が少し不足しておりまして申しわけありませんが、公共土木に関しては一本になっておるので、建設省にはおっしゃる通り臨時立法が四つか五つあります。これらは御意見通りに、熱意を持って、なるべく早い機会にそのように取り計らうように努力いたしたいと考えております。
  44. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 大臣に対する質問は終わります。きょうは最初の総論的なことをお聞きしたのであって、内容的には次の機会に逐次いろいろと御質問いたしたいと思いますので、この肝心の質問は次の機会に譲って終わることにいたします。
  45. 大倉三郎

  46. 大野幸一

    ○大野(幸)委員 私は主として今度の十一号、十二号台風による水害の点でお尋ねいたしたいと思います。幸いでありましたが、ちょうど橋本建設大臣が東海方面を視察中に起きた風水害でありまして、翌日みずから現地を視察していただいたことは、ありがたかったのであります。でありますから、みずからよく見聞されたところでありますが、十一号、十二号台風では、おそらく長良川流域が最も被害を受けたところだと思います。かててまた、岐阜県を流れる揖斐川と両方であったと思うのでありますが、現地に臨まれた結果は、前質問者が言われましたように、この数年来続いて起きた同じ個所が再び決壊した。同じ個所といいましても、工事したその隣の弱かった部分に水力が加わったので、そこが決壊したというわけでありますけれども、しかし、同じ住民が同じ災害を受けたのであります。こういう点は大臣みずから見聞されたところでありますけれども、その際、伝えられるところによると、大臣は見聞されたる芥見地区というところに立たせられまして、直ちに復旧工事をする、のみならず本年内において二メートルの堤防の高さをつき上げるということを発表されたということですが、それに間違いがないかどうか、一つお尋ねしておきます。
  47. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 過日中部地区の視察に参りましたときに、十一号、十二号台風がありましたために、私は岐阜県の予定がなかったのですが、急遽予定を変えて岐阜市まで参ったのであります。長良橋を越えて市内に水が入る状況を見て、なお県当局とも打ち合わせしたのですが、あの問題は、土地の買収の問題等がいろいろの点で行き詰まっておりまして、所定の工事ができなかったためにあそこが口があいておるわけであります。それに対して県当局は、昨年もあったようですが、今回の災害にがんがみて十分に地元の各位と話をつけて、これは計画通りに実施するようにいたしたい。その場合に、建設当局としては話がきまったときには急速に工事に入れるようにしたい、こういう話がきまったわけで、その点は十分に了承して参ったのであります。  なお、長良川上流地区の決壊ですが、御意見通りに、昨年の復旧工事で原形復旧をいたしましたところと旧堤の境目がやられたので、弱点になっておるようであります。これは技術的にどうなるかよくわかりませんが、やはり、しっかりしたところがあると、かえって弱いところに強く当たる結果があるようで、全体の改良計画というものは、やはり原形復旧と相待ってその附近の堤防の改良工事をやっていかないと危険が残るということがわかるわけでありますが、ただ、昨年、御承知のような災害が起きまして、十一月末から工事を始めての、この出水期でありますから、一つには十分期間がなかったし、これまで予算的な措置も合法的にも手が伸びなかったということも原因だろうと思います。かつまた、長良川というのは、過去の場合におきまして比較的いわゆる悪川でなかった。それが最近来こういう洪水を見ておる状況ですが、一つには上流が今まで悪川でなかったために、上流における砂防、ダム等の施設も十分でないようであります。この点も直ちに検討を加えて善後措置を講じたい。並びにまた、長良川というものはいわゆるウ飼い等で特殊な川でありますから、河床等の調整についてもなかなか問題があるわけでありますが、これは十分地元の各位と協力しまして、将来こうした災害の起きないように、あらゆる方面から検討を加え河川の改良を実現したい、こう考えております。
  48. 大野幸一

    ○大野(幸)委員 長良川が悪い水でなかったということは、わけがあるのです。昔は日本中で最も悪水だったのです。昔というのは幕府時代でありまして、このときは、今のように住民が幕府に訴え出なくても、幕府は善政の一つとして、また国内の一説には、むほんを防ぐために鹿児島藩に対して長良川の築堤工事を命じた。そういうような政治力があって、初めて美濃の国は長良川の堤防が完成されたというわけであります。当の薩摩藩公が幕府にいじめられるということを知りつつも、人のためにというわけで、大へんな費用を投じて長良川築堤の命令に従った。藩公の命令を受けた平田奉行は、ついに予算が超過したという理由のために、あそこで自刃をしたという有名な物語があって、今でも治水神社として祭られており、何百年も過ぎたついこの間、今尾町は平田町と名を変えたほどに感謝されておるのであります。その幕府の善政があったればこそ、今まで救われてきたのでありますが、時を経て老朽したるためか、今度の災害を数回受けたのでありまして、どこの災害地にも、今京都府出身の先輩議員が言われましたように、数回これは受けているのでありまして、一回、二回、三回と重なると、住民の不安は雨の降るたび、少し風が吹くたびに、気象通報が発せられるたびに、全く生きた気持もない状態であります。そういうことを一つ私はここで陳情しておきたいと思うのです。  そこで、先ほどこまかく聞いていただいたことはありがとうございました。全くこの長良川は、岐阜市に面した流域だけは国家の直接管理でやっているようでありますが、それ以上、上流の方はそうなっていないのでありまして、そこに手薄が生じ、放任されておるのでありまして、今度被害がありましたあの三輪村の堤防は、堤防がなかったと同じで、全く堤防という堤防はないので、水が出れば村が水びたしになるということは当然でありまして、つい四月までにあれは完成する計画になっておったのです。それが工事がおくれたために、八月にあの災害を受けた。こういう実情だけは知っておっていただいて、そして一日もすみやかにこれに対する対策をしていただきたいということです。これは総花的でまことに申しわけありませんけれども建設省は金がない、こういうことに帰するようでありまするけれども、そこなんであります。先ほどの平田奉行じゃないけれども、後に感謝されるのは、やはり私は建設当局だと思うのです。建設大臣こそ私は後に感謝され、あの建設大臣のときに、あの建設当局のときに、こういうことになってくる。それと反対に防衛庁長官は、今ははなばなしいかもしらぬが、後になっては、必ずむだな仕事をしたということに帰着するのです。この点は、人間、そういうことがあるかないか知らぬけれども、とにかく平田神社ができただけでも明らかだと思うのですから、そういう点で、一つ建設大臣は天災大臣だということを新聞に出されましたので、私はこれは二字が抜けているのだ。決して天災大臣じゃなくて、建設大臣は天災救済大臣である。こういうように書かなければならない大臣だということを県民に伝えておきました。そういう意味で、一つ期待にそむかないようにしていただきたい。  先ほど河底が高くなった、こういうことは、まさしくその通りでありまして、これは砂利採取を下流にだけやった。そういうために、上流がほとんど河底よりは田畑の方がかえって低くなっている。あるいはまた中州ができて、水の流れを阻害しているということはあるようであります。そこで、どこの地方でもいわれますように、これを救うには多目的ダムを上流にこしらえてもらわなければならないということに世論が一致しているようであります。ダムをこしらえるのには、何といいましても、その買収が非常に困難でありましょうけれども、県民の世論として、こういうときを利用することは、少なくとも買収が非常にやさしくなるだろう。こう思うので、こういう点も、これは与党の知事でありますけれども、いずれ与党の知事の方からも陳情があると思いますが、そういう際には建設当局もよく研究していただきたいということです。  それからもう一つ、近ごろ東海道新幹線問題で、われわれは県民超党派運動をやっておるのですが、このことについては、建設省は、運輸省もしくは国鉄当局から何らかの相談あるいは諮問などを受けられておるでしょうかどうか、ということをこの際お伺いしたい。
  49. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 先ほどの私の答弁に少しそつがありまして、恐縮でありますが、おっしゃる通りに、昔はいわゆる悪川であったろうと思います。というのは、あそこに治水神社ができたというお話があったのですが、ああいうのが皆さんから尊敬されてきているということは、当時の悪川を治めたりっぱな人がおったから、ああいう神社ができたのだろうと思います。ただ、最近は比較的災害が少なかったので、つい油断しておったという点もあったろうと思います。具体的に申し上げますと、長良川上流に対してダム建設をする工事が直ちにできるかどうか。もしダムの建設をする工事ができるならば、何としても上で水を押えなければ、ああいう局所的集中豪雨ではこれを押えようがない。こういうことで、直ちに私はダムの建設が可能かどうか、及びこれが設計を急いで作るようにという指示をその場で与えて、目下それが検討を進めております。  もう一つ、大野先生からの直轄の区域を上流にまで延長できないか、こういうお話ですが、これもこの直轄工事県工事とに相当の開きがあります。予算の面も同様ですが、高低においても開きがある。これはどこでそういう区別を区間的にするかという面はありますが、重要河川であるから一つ直轄の範囲を広げることを研究せよといって、これが検討を目下進めております。地元の各位から善政をしいたといわれるように、長良川の改修につきましては最善の努力をいたしたい。特に大野さんからも数回にわって陳情を受けておりますので、最善の措置を講じたい、かように考えております。  東海道の新線の運輸省の計画につきましては、建設省にも交差点の問題等を中心にして事務的な相談にあずかっております。まだ最終的な段階に至っておりませんが、交差点等につきましたは最善の措置を講じたいと考えております。
  50. 大野幸一

    ○大野(幸)委員 そこで、希望を申し上げておきたいと思いますが、なるほど東海道線は米原から名古屋にまっすぐに最初の予定線がされたのであります。それを県内の発展のためにというので、なるべく岐阜寄りに申請しているわけですが、この東海道線工事については、相当の砂利採取の必要が起きてくる。そういう場合でも、北上すればするほど上流の砂利採取が非常に便利になりまして、一挙両得になるというようなことは考えなければならないので、こういう点も一つしんしゃくしてもらいたいという意味であります。東海道新幹線については直接の当局ではありませんので、建設途上における便宜としては、治山治水と交通と、同時に両方通過地点の住民のためにというならば、なるべく岐阜寄りに少々迂回してもらえると便利でないかと思いますので、この点を陳情しておきたいと思います。  以上で私の質問はきょうは終わります。
  51. 大倉三郎

    大倉委員長 石川次夫君
  52. 石川次夫

    石川委員 私は資料の要求だけをちょっとお願いしたいと思います。ちょうどほかの委員会に出ておりましたので、大臣の所見を承ってなかったものですから、明確なことは言えませんけれども、大体お話を伺いますと非常に積極的ではありますけれども、抽象的な御説明があったようでございます。実は、たとえば住宅の問題なんかは私たちも非常に関心を持っておりますけれども、新聞では非常に画期的な、積極的な五カ年計画を推進されるような意図があるということを伺って、非常に共鳴をいたしておるわけでございます。しかしながら、新聞等を通じてだけでは非常に不案内でございますから、われわれとしても共鳴して御協力申し上げることができる点は、非常に積極的に御協力申し上げたいという気持もあるものですから、ついては、河川あるいは道路、それから特に住宅、そういったものについての資料を、もし明日出せたら、いただきたいと思います。もちろん、いただいてすぐに質問するという段階にまではいけないだろうと思いますけれども、早い機会にそれをいただきたい。もし、あしたどうしてもだめだということなら、できる範囲でけっこうでございます。それからまた、あとから郵送していただくという形でもけっこうでございますから、その裏づけになるような、われわれの承知できる範囲で極力承知したいと思いますから、その資料の提出方をお願いします。
  53. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 一応の建設省で作りました案は最近大体でき上がりましたから、明日の午後配付いたしますが、ただ、これは建設省考え方だということを一つお含み願いたい。政府案ではないし、最終的な決定を見ておるものではないということを御了承願って、建設省考え方だということを御了解願いたいと思います。
  54. 大倉三郎

    大倉委員長 本日の質疑はこの程度にとどめまして、次会は明九月一日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会することにいたします。     午後四時二分散会