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1960-03-26 第34回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十六日(土曜日)    午前十時十九分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    主査      佐藤 芳男君    副主査            藤田  進君    委員            大谷藤之助君            杉原 荒太君            苫米地英俊君            湯澤三千男君            小林 孝平君            島   清君            辻  政信君            岩間 正男君   国務大臣    外 務 大 臣 藤山愛一郎君   政府委員    外務大臣官房長 内田 藤雄君    外務大臣官房会    計課長     吉田 健三君    外務省アジア局    長       伊関佑二郎君    外務省アメリカ    局長      森  治樹君    外務省経済局長 牛場 信彦君    外務省経済局経    済協力部長   關守 三郎君    外務省条約局長 高橋 通敏君    外務省条約局外    務参事官    藤崎 萬里君    外務省国際連合    局長      鶴岡 千仭君    外務省情報文化    局長      近藤 晋一君    外務省移住局長 高木 廣一君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和三十五年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) ただいまから、予算委員会二分会科を開会いたします。  昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管事項を議題といたします。  まず、政府から説明をお願いいたします。
  3. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 外務省所管昭和三十五年度予算につきまして大要を御説明いたします。  予算総額は百二十八億六千三百二十五万七千円で、これを組織別に大別いたしますと、外務本省五十三億五十四万九千円、在外公館七十五億六千二百七十万八千円であります。  ただいまその内容について御説明いたします。  第一は外務本省でございます。外務本省一般行政に必要な経費十一億八千七百八十六万円は、外務省設置法に定める本省内部部局及び附属機関一般事務処理するため必要な職員一、三六四名の人件費及び事務費等であります。第二の外交運営充実に必要な経費三億七千万円は、諸外国との外交交渉により幾多の懸案の解決をはかり、また各種条約、協定を締結する必要がありますが、これらの交渉わが国に有利に展開させるため本省に必要な工作費であります。第三は、アジア諸国に関する外交政策樹立及び賠償実施業務処理に必要な経費千八百九十七万三千円、これはアジア諸国に関する外交政策企画立案及びその実施総合調整並びに賠償の円滑かつ統一的な実施をはかるため必要な経費であります。第四は、欧米諸国等に関する外交政策樹立に必要な経費六千四百四十九万四千円でございます。これは北米、中南米、西欧、ソ連東欧、中近東、アフリカ及び英連邦諸国に関する外交政策企画立案及びその実施並びに日米修好通商百年記念行事に必要な経費であります。前年に比し五千四百六十三万円の増加は、日米修好通商記念事業補助金等増加によるものであります。  第五は、国際経済情勢調査及び通商交渉準備等に必要な経費千四百五十四万三千円でございます。これは国際経済に関する基礎的資料を広範かつ組織的に収集し、これに基づいて国際経済を的確に把握するための調査及び通商交渉を行なう際の準備等に必要な経費であります。第六は、海外経済技術協力に必要な経費八億三百二十万八千円でございます。これは海外との経済協力に関する企画立案及びその実施総合調整を行なうとともに、コロンボ計画等に基づく技術者交換及び各種技術センター新設等経済技術協力実施するため必要な経費で、技術協力実施委託費四億六千二百七十七万九千円、海外技術センター等事業実施委託費一億九千万円、メコン河開発事業調査委託費五千七十七万九千円、国際技術調査委託費千四百八十二万三千円、社団法人アジア協会補助金四千百三万四千円、財団法人国際学友会補助金二千九百五十四万一千円、財団法人ラテンアメリカ協会補助金千百三十万六千円であります。前年度に比し一億千九百七十三万二千円の増加技術協力実施委託費メコン河開発事業調査委託費及び社団法人アジア協会補助金増加によるものであります。第七は、条約締結及び条約集編集等に必要な経費千百六十八万六千円でございます。これは国際条約締結、加入及び条約集等編集条約典型作成条約国際法並びに内外法規調査研究のため必要な事務費であります。第八は、国際協力に必要な経費二億三百八十万七千円でございます。これは国際連合等に対し協力するため国際連合機関との連絡、その活動調査研究等に必要な事務費及び諸種の国際会議わが国代表を派遣し、また本邦国際会議を開催するため必要な経費財団法人日本国際連合協会補助金千二十四万二千円、財団法人日本エカフェ協会補助金五百八十五万円、財団法人日本ユニセフ協会補助金九十七万円、国際鳥類保護会議東京開催費補助金百万円であります。第九は、情報啓発事業及び国際文化事業実施に必要な経費二億千百七万九千円でございます。これは国際情勢に関する資料の入手、海外に対する本邦事情啓発及び国内啓発並びに文化交流を通じて国際間の相互理解を深めるため必要な啓発宣伝資料作成、購入に必要な経費と、財団法人国際文化振興会補助金二千八百三十六万六千円、財団法人国際教育情報センター補助金三百八十八万円及び啓発宣伝事業委託費二千万円であります。前年度に比し二千三百五十四万円の増加啓発宣伝事業委託費等増加によるものであります。  第十は、海外渡航関係事務処理に必要な経費二千二百六十五万一千円でございます。これは旅券の発給等海外渡航事務経費と、その事務の一部を都道府県に委託するための委託費千二百四十八万八千円であります。第十一は、国際分担金等支払いに必要な経費十億六千九百六十六万一千円でございます。これはわが国が加盟している国際機関各種分担金及び拠出金等を支払うため必要な経費であります。前年度に比し七千五百七十七万四千円の減少国際連合分担金及び国連警察軍スエズ派遣費負担金等減少によるものであります。第十二、旧外地関係事務処理に必要な経費七百七万七千円でございますが、これは朝鮮、台湾、樺太、関東州等旧外地官署職員給与、恩給の支払いその他残務整理に必要な経費であります。第十三は、旧外地官署引揚職員等給与支給に必要な経費二千万円でございます。これは三十五年度中の旧外地官署引揚見込み職員七名と未引揚職員二三八名の留守家族に支払う俸給その他諸給与等であります。第十四は、移住振興に必要な経費十二億九千五百五十一万円でございます。これは中南米等に移住する者一万人を送出するための旅費、事務費及び渡航費貸付金六億五千二百九万三千円、日本海外協会連合会補助金三億七千九百七十三万九千円、移住者支度費補助金五千八百十万円、農業労務者派米協議会補助金千八百九十万四千円等移住事業振興をはかるため必要な経費並びに横浜移住あっせん所新営費一億千五百十八万五千円であります。前年度に比し二億二千五百五十七万五千円の増加横浜移住あっせん所営費及び日本海外協会連合会補助金等増加によるものであります。  次に、在外公館につきまして申し上げます。  第一は、在外公館事務運営等に必要な経費六十四億八千六百七十四万二千円でございますが、これは既設公館九十四館二代表部七百二十六名と三十五年度新設予定の在サウデイアラビア大使館、在エクアドル公使館、在モントリオール総領事館及び在ソールズベリー総領事館のために新たに必要となった職員十六名並びに在ラゴス領事館大使館昇格及び既設公館職員増加四十三名、計七百八十五名の人件費及び事務費等であります。第二は、外交運営充実に必要な経費六億三千万円でございますが、これは諸外国との外交交渉わが国に有利な展開を期するため在外公館において必要な工作費であります。第三は、対外宣伝及び国際文化事業等実施に必要な経費七千九百五十九万三千円でございます。これはわが国と諸外国との親善に寄与  るため、わが国の政治、経済文化等の実情を組織的に諸外国に紹介するとともに国際文化交流を行なう等のため必要な経費であります。  第四は、ローマ日本文化会館建設に必要な経費一億六千百二十六万八千円でございます。これはわが国イタリア国相互文化交流の増進をはかるためローマに設置する日本文化会館建設に必要な経費であります。第五は、在外公館営繕に必要な経費二億五百十万五千円でございます。これは在オーストラリア大使公邸(第二年度)、在アメカ大使館事務所増築(第一年度)、在ホノルル総領事館事務所増築及び在外職員宿舎の新営並びに在外公館事務所及び館長公邸建物修理費等であります。  以上がただいま上程されております外務省所管昭和三十五年度予算大要であります。詳細御審議のほどお願いいたします。
  4. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) これより質疑に入ります。  特に、この際私より御了解を得たいと思うのでありますが、十二時十五分より十四時までアデナウアー首相を主賓とする宮中の催しがございますので、その間、大臣は退席をされます。なお、十五時三十分より十七時までアデナウアー首相外務大臣の会談がございますので、この点もお含みおきを賜わりたいと思います。従いまして、大臣に対する御質疑は、これより直ちに始めまして、できまするならば、十二時までに終了いたしたいと思います。やむを得ざる場合におきましては、十四時三十分から十五時十分まで、さらに大臣質疑を行なっていただきたいと思います。さように取り計らわざるを得ない次第でございますが、この点御了解をお願いいたしたいと思います。別に御異議ございませんか。
  5. 辻政信

    辻政信君 それは大臣の御答弁いかんによります。
  6. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 大臣の御答弁いかんにもよりますが、ただ、渉外関係ですから、特にあらかじめ御承知おきを願いたいと思います。何分よろしくお願いします。  速記をとめて下さい。    〔速記中止
  7. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 速記を起こして。  それでは、ただいま委員長よりお願い申し上げました点、御了承賜わつたことと決定をいたします。  それでは、通告順に従いまして、これを許します。
  8. 辻政信

    辻政信君 まずお伺いしますが、岸総理は、過去四回にわたる海外の大旅行で、どのくらい金を使われたか、そのうち外務省予算で出されたものはどのくらいになるか。
  9. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 三十四年度外務省総理外遊に際して出しました報償費は、欧州及び中南米諸国訪問の際、計一千四百万円でございます。米国及びヵナタ訪問の際は、外務省として総理に対しては報償費は出しておりません。なお、内容の詳しいことは政府委員からお答え申し上げます。
  10. 辻政信

    辻政信君 私の調査と少し違つております。
  11. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 総理中南米欧州おいでになりました際、今大臣が御答弁になりましたように、千四百万円出しておりますが、その内訳は、設宴関係で十一カ所分に八百万円、それから同行議員工作費として六百万円を出しております。それから、安保関係おいでになりましたときは、今大臣がお答えになりましたように、外務省としては出しておりません。
  12. 辻政信

    辻政信君 私の計算によりますと、これは三十四年度の予算だけではありませんが、過去四回の漫遊で使われた経費が大体一億円になります。そのうち、外務省のやつが千四百万円ということになるらしいですが、一体同行代議士に六百万円の金を出すということはどういう理由でお出しになるのですか。そんな余裕外務省予算にあるのですか。なぜこれをけとばさないか。
  13. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 総理が行かれましたのは、総理の随行として、総理一行の立場において、広く要路者として意見交換をされるということであったのでございまして、従って、この機会同行議員方々が、通商貿易政策でありますとか、あるいは国際情勢等の場に広くこういう機会を利用されますことは、外交上非常に必要なことではないか、国政審議にも資することになるというような立場から、総理同行議員方々にそうしたことをいたしたわけでございます。
  14. 辻政信

    辻政信君 これは、立法府国会議員が行政府予算で旅行するということは、いいことか、悪いことか、将来またそういうことをおやりになるのですか。こういうことはきつぱりおやめにならぬのですか、いかがですか。
  15. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 立法府方々が広く国外においで下さいまして、いろいろ御検討願い、御研究願うということは、私はけっこうなことだと思っております。ただ、こうした経費外務省予算から持ちますことについては、やはりその場合十分注意しなければならぬと思うのでありますけれども、今回の場合は、総理が行かれたことでありましたので、そういうふうな取り計らいをいたしたのでありますが、将来ともこういうことにつきましては十分注意をいたしていかなければならぬと私も考えております。
  16. 辻政信

    辻政信君 国会議員がぞろぞろついていったことは、外務省として、プラスになったと思うか、じやまになったと思うか、どつちですか。
  17. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私ども、国会議員方々が、先ほど申し上げましたように、外国に広く行かれまして、たびたび各地の要路者と会われるという機会を持たれたことは、大へんけっこうだと思っております。ですから、こういうように総理と行かれて、そういう機会が特に大きく持てるという場合には、悪い影響はないのではないかと思いますが、しかし、今辻委員お話のような点も、われわれとしては十分考慮いたさなければなりませんので、みだりにこういうことが取り行なわれないように、できるだけ善処して参りたいと、こう思っております。
  18. 辻政信

    辻政信君 それでは次に、読売新聞の一月二十一日の政界メモに、次のようなことが出ております。「岸首相が渡米の途中ハワイに立ち寄つて、文化センター日本館建設費として一万ドル(三百六十万円)を寄贈して、アメリカ筋では評判がよいとの外電が伝えられたが、日本政界筋では、「伊勢湾台風でも五千円の見舞金より贈らなかったのに……」と話題になっている。二十日の川島自民党幹事長との記者会見でも、この問題が取り上げられた。外国に対する寄付は十ドルまでというワクがあって、一万ドルはおろか百ドルでも実現はなかなかむずかしく、下手をすると外国為替管理法違反になる。川島幹事長は、「昨年の外遊のときに寄付したものらしいが、どこから出た金か、またどんな方法で金を送ったか、全然わからない」と、わざわざ山田外務次官を電話に呼び出して真相を聞き出そうとしたが、同次官も全く見当がつかないとの返事であった。いずれにしても、もしドルで送っているとすれば、五ドルや十ドルヤミドル事件と違って政治問題化することも予想されるが、「首相が帰国したらよく聞いてみる」と川島幹事長も首をかしげていた。」と、こういうことが載っております。これは外務省まさか御存じないでしょうな、この一万ドルは。
  19. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 総理が先般、この前の前のときでございますか、安保で行った前のときですね。そのときに、ホノルルへ寄られまして当時ホノルル在留邦人の中で文化会館等を建設したいと、そういうことで、日本政府から何らかの援助してもらいたいというような話を総理が受けて帰ってこられました。そうして、外務省にこの話がございました。同時に、現地の総領事館の方からも、在留邦人のそういう希望があるということがありましたので、このハワイのいわゆる移民の七十五年の記念の時期でもございますので、それを受けることが適当だと思いまして、ハワイ総領事館に送金をいたしました。
  20. 辻政信

    辻政信君 これは個人の資格で寄贈されたものですか、日本総理大臣という立場で公的な寄贈ですか。
  21. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 政府立場においてでございますから、公的な立場寄付しております。
  22. 辻政信

    辻政信君 岸個人立場じゃなくて、日本政府が寄贈されたのですか。
  23. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) そうです。
  24. 辻政信

    辻政信君 そんな予算があるのですか。どこに組んである。
  25. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) それは、予算としてそういう寄付をするということの予算上の金はございません。従いまして金の種類は報償費でございます。
  26. 辻政信

    辻政信君 岸さん個人ハワイ文化センターに一万ドル――三百六十万円という、これはわれわれの常識から言えば、国民常識から言えば相当なものです。これは五千人死んだ愛知県では岸総理は五千円ですから、一人当たり一円の香典でしょう。ハワイ文化センターには三百六十万円、あなた方の予算から寄付する金があるなら、われわれはそういう報償費があるなら、これから外務省報償費を削る。私もたびたび外国旅行して第一線の外交の役人がいかに苦労しながら仕事をしているか、この金を生かしたらどのくらい助かるかと思って帰ってきた。ハワイ文化センターになぜ一体、国家の予算報償費から一万ドルやらなければならぬという理屈があるのか。それほど余裕があるのですか、あなた方の報償費に。
  27. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) これは、そういうもののために一万ドル出すのが妥当かどうか、これはいろいろ御意見あり得るとは思いますけれども、個人の金を寄付されたというふうには了解しておりません。総理おいでになりましたときに、こういうことがあるからぜひ日本政府においても援助してもらいたいという話で、いわば総理に陳情がありまして、それがわれわれの方の正規の総領事館からも、その話が伝わって参りまして、われわれはこれを適当と認めて処置したわけでございます。
  28. 辻政信

    辻政信君 あなた方はその乏しい予算から外交活動ができぬといっては大蔵省と四苦八苦しながらこの報償費を獲得されたんだが、それにぼこんと一万ドル出す余裕があるのですか。そんな余裕があるならおっしゃりなさい。こんなものに賛成できない。なぜそれをけらぬ。
  29. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) その余裕が乏しいということにつきましてはわれわれも感じておりますけれども、これはハワイ文化会館というものも非常に意義のあることだとわれわれも考えましたから、総理のそういう御趣旨に従いまして一万ドルをこれに出すということをきめたわけでございます。
  30. 辻政信

    辻政信君 ほかの人が行ったときに、それだったら、やるのですか。ほかの大臣外国に行ってもっと重要なことがあったら出しますか。
  31. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) それはそのつど重要性、その価値ということを判断してきめるより仕方がないと思います。
  32. 辻政信

    辻政信君 私が言うのは、文化センダーに一万ドルやるということについては、新聞でみんな笑っているのですよ、岸さん自身のブームを沸かそうとしてやったんだと、これはあとつじつまが合わなくて、為替管理法違反でつかれたりするから、あなた方はそのあとから事後処理のためにやったんじゃないですか。そういう余裕があるならばあるとはっきりおっしゃりなさい、ことしから切るから。
  33. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) つじつまを合わせるためにやったというふうには考えておりません。総理からそういうお話があり、さらにまた正規な総領事館からの申請もございまして、それによって処置をいたしたわけであります。
  34. 辻政信

    辻政信君 大臣はそれ決裁なさったんですか。
  35. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私特に書類上の決裁をいたしたかどうかは記憶しておりませんが話は聞いております。
  36. 辻政信

    辻政信君 話を聞いただけで出せるのですか、一万ドルぽこんとこの乏しい予算から。おそらくこれは三十四年度の予算の中には予想してなかったんでしょう。大蔵省の折衝にもなかったんでしよう。それを無理やり出さしたんでしょう。
  37. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) まあ一万ドル一ぺんに出すというようなヶースは確かにそう多くはございません。しかし、外務省のこういうものにつきましてあらゆるものが事前に予想されておるということは実際上不可能でございまして、報償費というものはやはりそういう場合に処するための金でもあると、われわれは了解いたしておる次第でございまして、結局その内容がはたしてそれだけの価値があるかどうかは、これは御意見いろいろあり得るとは思いますけれども、しかし、予定していないものを出したから不当であるとか、あるいは非常な圧迫によってやったのじゃないかという御批判は必ずしも当たっていないのじゃないかというふうに考えております。
  38. 辻政信

    辻政信君 三百六十万円というものは限られたこの報償費の中から――容易ならざる額です。皆さんがどう苦労をしているか私は知っておるが、それをぼこんと出すだけの余裕があるんですか。今度の予算でもそれがあるんですか、こういうことをやる。
  39. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) それは繰り返し申し上げておりますように、具体的な問題が起こりましたときに、その必要性とか価値とかを判断してきめるより仕方ないわけでございまして、それが非常に重要なものである場合には、あるいは一万ドル出すというケースも将来あるかもしれぬと思いますけれども、今からそれだけの余裕があるかどうかという御質問に対しましては、われわれとしてはなかなかそういう余裕はなかろうと思っておりますけれども、しかし、今申し上げましたように、その必要性なりその価値なりによってはやらなければならぬ場合もあるかと思います。
  40. 辻政信

    辻政信君 それじゃ価値がありましたか。
  41. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) このことがすぐ価値があったかどうかということを今判断いたすのはなかなか困難と思いますけれども、とにかくハワイは御承知のように相当多くの邦人がおりますし、長い間そこでつちかって参りまして相当な地位も獲得してきておりますから、そこで文化会館というようなものを邦人が設立したいというのもごもっともと思いますし、そういう際に日本政府としてできる限りの御援助をいたすということは、あながち不当とは私は考えておりません。
  42. 辻政信

    辻政信君 一方、国内においてはまだ伊勢湾台風で家がなくてふるえ上がっている人がおるんです。国全体から見たら、ハワイ文化センターに三百六十万円やるなら、なぜそれを伊勢湾台風罹災者にやらないかというのです。岸さん個人の金を使うなら勝手です。これは国の予算でしょう、国民の出した税金でしょう。それを使うのに、日本人は今これから冬に向かって寒さにふるえ上がっているときに、ハワイに行って文化センターにやらなければならぬという理屈がどこにあるんです。国の予算を使うのに、総理大臣であろうが何だろうが、それを外務官僚が黙って見ていることがあるか。岸さん個人の金を使うならだれも文句は言わない。一方、国内においてはどうなっているか。しかも、名古屋の罹災地の人に五千円、われわれの寄贈したのと同じだ。文化センターになぜ三百六十万円やらなければならぬ。国民がこれを聞いてどう思うか。その罹災者の遺族が聞いたら、これだけあるならなぜ救ってくれぬのだと言いたくなるじゃないか。同じ予算を使うなら。それであなた方は平気な顔をしておるんですか。一人として外務官僚の中に総理大臣にかみつく者がおらぬのか。やめなさい、やめなさいというのがおらぬか、総領事館に。
  43. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) これは辻委員がおっしゃいますように、結果において伊勢湾台風の時期になったかと思いますけれども、話はただいま大臣からも御説明いたしましたように、前のときに、伊勢湾台風が起こるかどうかわからぬときに、その話がきまっておったわけでございます。それでただいま申し上げましたように、ハワイの居留民のいろいろの催しと申しますか、気持、いやわれわれとしてはできる限り応じた方がいいのじゃないかというので処置したわけでございまして、私どもといたしましてこれが非常に、なるほど乏しいことは辻委員のおっしゃる通りでございますけれども、それだからこの一万ドル出したことが非常に間違っておるというふうには解さないでもいいのじゃないかと思  います。
  44. 島清

    ○島清君 関連して。三十五年度の予算の中にそれに該当する項目というものは……。
  45. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) それは、ここに、在外公館の第二にございますか
  46. 島清

    ○島清君 説明書の中で何ぺ―ジですか。
  47. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 在外公館の十一ページから十二べ―ジにかけて、「第二、外交運営充実に必要な経費として六億三千万円」と書いてございますが、その中の経費であります。
  48. 島清

    ○島清君 ところが、これにはそういう経費は書いてありませんね。「諸外国との外交交渉わが国に有利な展開を期するため在外公館において必要な工作費であります。」ということで、そういう邦人関係に使うということは、項目は書いてありませんね。項目外流用になりませんか。
  49. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) これは、いわゆる報償費につきましてこういう形で書いてあるわけでございますが、これは、われわれ大蔵省との話、あるいは会計検査院との関係におきましても、一般的に確かにここの外交交渉ということとはちょっと関係ないようではありますけれども、ただいま申し上げましたように、在外邦人と申しましても、その中にはまあ二世の人、アメリカ人になっている人もたくさんおるわけでございますが、結局そこの総領事館外交工作上の必要と、広い意味ではそういうことに入るものとわれわれは了解いたしております。
  50. 島清

    ○島清君 それは非常な詭弁でありまして、たとえばこの項目からすればですよ、第三の「対外宣伝及び国際文化事業等実施に必要な経費」、これから出したというなら一応はあるいは説明がつかないこともないのかもしらないと思うのですよ。けれども、第二の「外交運営充実に必要な経費」からでは、今、辻委員が鋭く追及されたことの答弁にも言いわけにもならないと思うのですね。第三はどうなんですか。これも報償費の中に入るのですか。
  51. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 第三の費用は、これは全然報償費とは別でございます。この費用は、まあ対外宣伝あるいは国際文化事業に直接関係いたします。パンフレットを作るとか、あるいはもちろん人を呼んだりなんかする場合の旅費などにもなる場合もありますけれども、まあいわばルーティン的なもので、大体項目ごとにこれは予定されておるものでございます。従いまして、この第三のカテゴリーに入るようなことでも、その価値必要性というようなことがあります場合には、第二の報償費の金を使っておるというのが実情でございまして、必ずしもこの、確かにここに書いてある字句だけで申しますと、少し範囲を逸脱しているんじゃないかという御批判が出るのもごもっとものように思いますが、実際上はこの対外宣伝あるいは広い意味においての在外大公使館あるいは総領事館等の外交工作、あるいは、何と申しますか、宣伝等に必要な場合の金もこの第二の項目の金が使われているというのが実情でございます。
  52. 辻政信

    辻政信君 私は、あなた方は今そういうことをおっしゃるが、この一月二十一日の読売の「政界メモ」という欄にあるのですよ。これは困ったのです、川島幹事長も。そうしてさっそく、「山田外務次官を電話に呼び出して真相を聞き出そうとしたが、同次官も全く見当がつかないとの返事であった。」と、こうなっているんですよ。あとから為替管理法でやられる、ロッキードのリベートじゃないかと疑われる、四苦八苦して、そうしてあとからあなた方がしりぬぐいをする。この直後に山田次官は、知らぬと答えているじゃありませんか。新聞にも書いてある。この新聞記事は間違いですか。
  53. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 私の了解していることとは違いますから、その意味では誤りだと言わざるを得ないと思います。
  54. 辻政信

    辻政信君 言わざるを得ないか誤りか、はっきり言いなさい。僕は新聞記者に聞いてみるから、もう一ぺんやるから、これは。どっちですか。川島さんから山田次官に電話をかけたら、知らぬと答えている。困っている、党は。
  55. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) そういう事実がありましたかどうですか、私もちろんそれがイエスとは申し上げることはできませんし……。
  56. 辻政信

    辻政信君 間違いと言わざるを得ないなんて自分で言っているから、確かめずに。
  57. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) それはそうなんです。間違いと申し上げざるを得ません。電話をかけたかどうかというようなことは存じませんですよ、私は。しかし、結論として、これが非常にえたいの知れないものであるという意味ならば、誤りであると申さざるを得ないと思います。
  58. 辻政信

    辻政信君 去年からそういう話があったなら、事務的に次官も知り、大臣も決裁し、政務次官も知っておらなければならぬ、一万ドルの寄贈というものは。この新聞を見てだれも知らない。困っている。それで川島さんが岸さんが帰ったら聞こうと。下手をすると為替管理法の違反になるぞと心配をした。あげくのはて事後承諾の形式で報償費から出されたという疑いを持たれても、この新聞記事を見て弁解の余地はない。
  59. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) この話自体は相当古いものでございまして、数年来のいわば懸案と申しますか、外務省も応分の寄附をしてもらいたい、寄附と申しますか援助をしてもらいたいという話は数年来ございまして、現実の送金が行なわれましたのは昨年の七月でございます。それでまあ総理に対する陳情というものが一つの大きなきっかけをなしたかと思いますけれども、われわれといたしましては通常の事務の線にのった形において行なわれておるというふうに了解いたしております。
  60. 辻政信

    辻政信君 私は、報償費というのは、そんなものじゃないと思うんです。報償費というのは、実際情報工作費なんです、貴重な。文化センターに寄贈する費用は含んでいないと思う。あなた方が外務省大蔵省と折衝してほんとうに苦労して取ったこの情報費ですよ。何の必要があってばかなことをやるかというんだ。これはどうせ国民が判断するから、そう逃げるなら、これ以上追及せん。ほかにたくさんありますから、あとに譲って問題を保留しておきます。  その次は、アジア協会に補助金四千百万円を出しているが、何をやらしているのか、どういう成果を上げておりますか、大臣
  61. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知の通り、アジア協会は、財界の方が集まってコロン・ボプラン等に対する協力関係をやるということが趣旨でございます。コロンボ関係の技術者の受け入れ等に対しては、外務省のやれないような機能をもってあっせんをしていただいておるのでありまして、そういう意味からいって、これらに対して相当な補助金を出しますことは不適当ではないとわれわれは考えておるわけでございます。
  62. 辻政信

    辻政信君 通産省関係の予算を一昨日審議をいたしましたときも、アジア経済研究所というのがありまして、これに外務省以上相当の額を計上しているのですね。各省ごとにこういうものをお作りになるのはいいけれども、大局から見たら国費の消費じゃないか、人的にも仕事の面においても。アジア協会とアジア経済研究所の仕事に大きな違いがあるのですか。これを一つに統合できない理由があるのですか。
  63. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) アジア協会は、御承知の通り、実質的なコロンボ・プランに対する協力関係、そういうような事業の類のものをやっておるわけでございます。アジア経済研究所は通産省が、おととしでありましたか、若干の予算を計上してアジア経済、貿易振興等のためにこれを設置いたしまして、そうして貿易振興その他の研究調査をするというのがアジア経済研究所の目的であるわけであります。われわれ外務省としましても、このアジア方面、アジアとか必ずしも制限いたさないで、低開発国方面の国の経済事情を十分知っている、ひいては世界経済までという考えは持っておりますけれども、そこまで経費の関係がいかなければ、少なくもアジアに関係しては経済、貿易の関係で基礎的な調査をやることが必要だというのでもって、外務省としてもそういう考え方を持っておりまして、しかし、通産省でそういうような予算をすでにつけて若干やっておられますので、昨年から通産省の予算でそれを出していく、こういう方向をとられたわけでございます。で、そういうことでありますので、現状においてはアジア協会の仕事とアジア経済研究所の仕事というものは、本質的の意味から言えば、違った行き方に進んでおるわけでありまして、従ってこれを一つに統合すること自体は必ずしも効果的ではないのじゃないか。ただ大きな面から見まして、アジア経済研究所の運営というものが、単純な貿易の振興だけの調査でなしに、もう少し基礎的な調査ができていくということをわれわれ希望しておるのであります。幸いにして、東畑先生のようなごくじみちな、基礎的な考えを持っておられる方がやっておられますから、通産省のアジア経済研究所もそういう方向に進むことができ、またわれわれもそれに御協力していくことがいいのではないか、こういうふうにまあ考えておるわけであります。
  64. 辻政信

    辻政信君 日米修好百年祭のために四千五百七十三万円というものが支出されておりますが、具体的にどういう行事をおやりになるのですか。大臣でなくていいです。
  65. 森治樹

    政府委員(森治樹君) これは国内で行ないます行事とアメリカで行ないます行事と二つに分かれております。私の方は国内の方を担当いたしておりまして、国外の方は情報文化局の担当になっておりますので、私から国内の方をまず御説明申し上げます。  まず、この機会に在米功労者の表彰を行ないたい。約三千名の方々が多年労苦をいとわず、第一線で御活躍になったので、この際表彰を行ないます。これに要する経費が約三百万円計上してございます。それから国内日米修好通商記念行事運営会というものが経団連、日本商工会議所、日本貿易会、対米貿易合同委員会、日米貿易振興会、日米協会、国際文化振興会、日本観光協会、日本新聞協会、日本民間放送連盟、日本船主協会、これらの団体が中心になりまして、こういう一つの運営会という財団法人ができたわけでございます。これに対する補助金といたしまして、約千五百万円計上いたしておる次第でございます。この運営会のやります事業は、親善使節の派遣及び日米百年史の刊行、日米有力者在米の有力者の招待、それから米人功労者の表彰、日米経済交流会議費等が主たるものでございます。
  66. 辻政信

    辻政信君 まあ岸さんの寄附よりはいいでしょうがね、一万ドルの寄附よりは効果はあるだろうが、何だか花火線香式なお祭り騒ぎという感じを非常に受けるんですが、もう少しじみちな方法はないかと思われますが、これはまあこれ以上やりません。  その次は、在外公館の借り上げ料五億一千六百万円を計上しております。これは年々五億円以上の家賃を払っておる。いかに不経済な、ばかげたことかということは、経済専門家の藤山さんはよく御存じだろうと思う。先年、私がトルコに行ったときに、トルコは日本大使館を建てるのなら広大な土地をただでやろうとしておる。そうすれば、銀行から借り上げて作っても、家賃を払うその十年間分でその公館というものが国有財産になって、みすぼら「しい借家住まいから、ほんとうに日本の公館としての権威が備わる。そういうことを考えられるのに、なぜ年々歳歳五億円の実賃を払って、その結果が何にもならぬようなばかなことをしておるかというのです。あなたは経済人ですから、銀行から借りてもいいじゃないですか。銀行から借りて、そうして家賃として五億円やってていけば、十年後には国有財産になる。なぜいつまでもこういうことをやらなければならぬのですか。
  67. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私もその点は辻委員と全く同じような気持、同じような考え方でございまして、私も辻委員のごらんになりましたトルコに参りまして、私もあそこにりっぱな地所をトルコが提供しようと言っていることは、実は外務大臣になります前に、実は聞いて知っておったのであります。でありますから、われわれそういう点等に対しましても相当家賃を払いますよりは、自分でもって敷地を買い、あるいは建物を買い、既存のものを買わないまでも、新しく敷地のあるところは建物を建てるというようなことの方が長い目で見ていいということは、これはもう十分計算の上からも出て参ります。従って私どもとしては、できるだけそういう線に沿ってまあいきたいということを考えておるのでございます。大蔵大臣あるいは大蔵省の方とも事務的にも折衝をさせておるのであります。でありますから、適当な買いものがあるといったときにはそういう方向に進めていきたいと現在思っているのでありますが、なかなか思うにまかせない点もございますので、私どもとしては苦慮いたしているわけでございます。
  68. 辻政信

    辻政信君 これは普通の外務大臣じゃできないので、藤山さんならできそうに思うのですね。将来一つそういう前例を作ってもらいたい。  もう一つは、あの公館に働いている下級の職員、その人が日本から来て高い家賃の部屋を探すのに四苦八苦して、その家財道具をまた高い金で買い集めている。今度は帰るときには二束三文でですね、売って帰って来る。これまた個人生活に入るが、気の毒というか、不経済というか、ばかげたことやっていると思います。どうせだれか行かなければならぬのなら、その宿舎も恥ずかしくないものを作ってやって、そうして家賃を取ってもいいじゃありませんか。そうすれば住宅問題で一つも苦労せずにやれる。そういう親切気が一つもない。総理大臣の場合は気前よく出すというのに、そこで働いている外務省役人に対して、上の方はあたたかい涙のある政策をとっておらぬのじゃないのですか。いかがであります、これは。
  69. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) その点は私もこれまた辻委員と同じように考えるわけでありまして、今お話のように、非常に高い家賃を払って家が借りられるところはまだそれでもよろしゅうございますけれども、適当な家が借りられない。ことに東南アジアなりあるいは中近東、アフリカ等も回ってみますと、住宅そのものがまあないのでございまして、しかもかりにありましても、品格を失するような、あるいは設備の非常に日本外務省の人が入るのに適当でないような場所しかまあかりにあっても借りられないというような状況は、これは何としても改善しないといけないと思っているのであります。で、ぼつぼつでございますけれども、東南アジア方面に対して若干この何と申しますか、住宅を作りまして、アパートみたいなこの長屋を作りまして、そうして下の方の人に住まわせるという計画を起こしまして、現に二年“目でございますか、ただ予算が非常に少ないという関係もございまして、十分に進みませんけれども、それは進め  ているのでございます。ただ現地でそういうようなことをやります場合は、何か金融機関その他を利用してやれるという方法がありますと、そうしてその家賃で払っていく、あるいは国家の予算の中で普通に下の方の人の家賃として出してやる。あるいはそういうふうな形でそれを所管するものができればなおけっこうだと思うのであります。昔の実情から申しますと、いわゆる正金銀行あたりが相当適当な援助をしながらやられていたのでございますが、今日はそういう金融機関も全然ございませんし、まあ苦慮いたしているわけでありますが、そういう点についても十分やらなければならぬと存じまして、ほんとうのぼつぼつでございますけれども、昨年度の予算から若干入れて、東南アジア方面には今やっている、こういうことでございます。
  70. 辻政信

    辻政信君 一つ藤山さんが外務大臣でおられる間にこの方針を立てられて、外地の人たちが少しも不安なしに一生懸命仕事のできるように、親心の一つモデルを作っていただきたい。  その次にお尋ねするのは、特殊語学手当がわずかに四百二十五万円、これまたアフリカ語、トル三語、インド語、インドネシア語、タイ語、ビルマ語、この語学の力、特に小さな国の語学を覚えることが非常に親善外交を招いているのであります。同時に、これらの人はつぶしがきかない。フランス語や、英語担当ならききますが、そういう人に対して思い切った手当を支給しなさいということは三年前から言っている。そうしてきょう初めて見ますと四百二十五万、鼻くそほどの予算が出ている。こんなことでいいのですか。
  71. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろんこの特殊語学の人の養成ということは、これは非常に必要なことだと思うのでありまして、しかも特殊語学を十分やられた方々は、まあ何といいますか、通俗な言葉で言うとほかにつぶしがきかないということもございます。そういうようなむずかしい状況のもとに長く困難な特殊語学をやられなければならぬのですから、こういう、しかもこれが非常に重要な立場になるわけです。でありますから、日本としてそういう人をこれからますます養成していかなければならぬ、これはもう間違いございません。でありますから、そういう人の待遇を改善していく、これは当面の給与ばかりでなく、将来に対する位置を確保するというような問題についても外務省としては、これは新しい観点に立って実は考えていかなければならぬ問題だと思うのでありまして、まあそういうことで考えとしては推し進めるようにいたして参りたいこ、こう思っております。今お話のよりに、手当等につきましては非常にまだ十分でないと思います。
  72. 辻政信

    辻政信君 私がなぜこれを言うかといえば、これは優秀な外務省の役人は出世街道をどんどん驀進されている、イギリス、アメリカ、今度は本省勤めと。それもちゃんとスケジュールはきよっている。二年たったら本省のどこの課長だ。ここへ行っている連中はそうでないですね。つぶしがきかぬだけに、あの環境衛生の悪い所で、暑い砂漠の所で、未開発地に、映画一つない所で、まつ黒な土人を相手にしながら一生そこで骨を埋めようとしておる。これくらい嵩高なるものはないです、日本外交官として。だからこの人たちの、せめて名誉は得られないにしても、物質的に不自由しないというだけの親心をなぜこの予算にもっと思い切って取らないか。アメリカの百年祭のお祭り騒ぎに四千万円取るなら、この語学の人たちにその四千万円を振りかえてもむだでないでしょう。  その次に、在外勤務が大体三年で、皆さんの人事行政で交代するようにうまく組んでおられるが、イギリスあたりでは十年、二十年とほとんど同一人が一生その土地に根を張っている。それでこそ最高のエキスパートになるので、それをやらせようとすれば子供たちの教育を内地で見てやらなければなりません。学校へ行く子供が小学校へ入るようになっても日本語を知らない。帰って来てさっそく困る。なぜこれを外務省が、これは特別なものですから、戦地へ出かけて行った軍人と同じだ。その留守家族というものを教育の面において、厚生の面において、宿舎の面において、ほんとうにおやりなさいよ。そういうところが真剣になってやっていない。一番苦労するのはこの教育です。もしそれをやるとするならば、たとえば十人の館員がおって子供を連れて行くなら、せめて小学校の教育をできるくらいの先生を公館の職員として連れて行くくらいの思いやりかあってもいいじゃないですか。これたけの予算を使いながらできておらない、ほとんど。できておると言うなら具体的に言って下さい。安心してあなた方行くでしょうか、子供を託して行くだけの寄宿舎があるのか。
  73. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) こまかいことは官房長から現状御説明を申し上げますけれども、三年ぐらいでもって、というのは、これはごもっともなことで、在外勤務地には少なくともまあ三年ぐらいいないと、その国の実情を十分に把握してほんとうの仕事を始めるには、最初の一年は十分でないと、これはどんなに有能な人が参りましても一年は土地の事情その他過去のいきさつその他を知るのにかかると思います。でありますから、二年過ぎてからほんとうの仕事ができていくのじゃないか。そういう点はわれわれも十分考えて参らなければならぬのでありますけれども、ただ今日のような状況でありますと、これはまあ私の力が及ばないからいかんじゃないかと言われればそうでありますが、今申し上げましたように、住宅の設備とかその他非常に悪いのでございますね。そして給与の関係におきましても私どもは、これは在外勤務者についてはもう少し根本的に大蔵省とも相談して考えていかなければならぬと思うのでありますか、非常に暑い土地、あるいは後進国のアフリカであるとか中近東であるとかいうところに三年おりますと、相当からだに影響するから、で、外国のように必ずしも予算措置を伴って、二年に一ぺんはニカ月なり何なりの休暇がとれると、そして本国に帰って、本国の事情も十分承知し、そうしてその上でもってからだの保養もしていくというようなことになると、さらに二年目なり三年目なり四年目が非常に大きな活用ができるということになるのでありますが、残念なことにそういう予算がまだ十分でないわけで、二年に一ぺん必ず奥さんを連れて帰して、そうしてやるというようなこともできません。でありますので、そういうことが完全にできない限りにおいては、やむを得ず三年くらいで少し気候のいいところに変わって、静養させるというような形をとりませんと、健康を害するような場合が起きてくるわけであります。ですから、まあ今お話のようなことをわれわれも考えて、見ておってそうではありますけれども、今の現状がいかんことは、残念なんでありますが、私が先ほどから辻委員とほとんど同感と申しますのは、私の外務大臣としての予算の取り方はどうも下手だし、あれになるわけでございますけれども、そういうような実情でやっておるわけなんです。で家庭、子供の教育というのは、外交官にとりましては、御指摘のように非常に重要な問題でありまして、これがきまらなければ心を落ちつけて親として仕事ができないということもあるわけです。そういう点にも気を使って参らなければならぬと思います。現状必ずしも十分でございませんが、現状は官房長から。
  74. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) ただいまの辻委員のお説、非常にわれわれとしてもありがたく伺うわけでございます。人事の方の問題からまず御説明申し上げます。三年で異動と申しますのは、一応予算の基準といたしまして、在外公館の者は三年で動ける、あるいは帰朝できるというその費用を算定する根拠として、そういうことになっておるわけでございますが、実際問題としてむろん二年でかわる場合もございますし、あるいは三年、四年という場合もあるわけでございます。でその際、ただいま大臣お話がございましたように専門家の人は、ことにこの気候の悪いようなところの人の場合には、あるそう長くない間に一たん賜暇帰朝と申しますか、外国ではその制度が非常に発達しておるわけでございますが、日本の場合になかなかそこの予算が現在のところは非常にまだ貧弱でございますので、十分と申せませんですが、しかし、昨年以来だいぶ大蔵省の方面でもその点の理解が深まって参りまして、今度の予算では従来に比しますと非常に飛躍的に、そういう賜暇帰朝をできるのではないかというように期待いたしておるわけでございます。  それからもう一つ、その非常に長く勤務させろという御意見はわれわれとしてもこの専門家を養成するという意味で非常に大事だと思っておりますが、同時に現在の外務省は、まだ昭和二十七年に再開されましてから、まあいわば建設途上と申しますか、そういうまだ過渡的な段階を脱しておりませんものですから、やはりある人が一定のところにずっと長くおりますと、そのかわりの人をやはり同時に養成して参るということを考えなければなりませんので、その意味では専門家の養成と同時に、そのかわりを作っていくということを考えながらやって参らなければならぬじゃないかというふうに考えております。  それから宿舎とか子供の問題でございますが、これも昨年来外務省の外郭の団体などに委託をいたしまして、これはまだ中学生以上でございますけれども、四十人ほどの子共が預かれるような設備をいたしまして、それから宿舎につきましてもこれは、御承知のように公務員宿舎だとかいろいろな一般の大蔵省が全公務員にやっておりますものも、もちろん適当に利用させてもらっておりますけれども、それ以外に外務省独自の外地における宿舎などにも、これは漸次ではございますけれども、だんだん努力いたしておるというのが現状でございます。
  75. 辻政信

    辻政信君 今度サウディ・アラビアに新しく公使館をお作りになりましたが、あの不便な暑いところに勤務する人に、どれくらいの一体給与を考えておられるか。
  76. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) サウディ・アラビアは実際にひどいところなんでして、半年ぐらいで、何と申しますか、動かなければならない。(辻政信君「ひどいですよ。物価は高いし、気候は悪いし」と述ぶ)外国なんか半年くらいで休養を与えているところもあるのですが。
  77. 辻政信

    辻政信君 一体どのくらいの給与水準ですか。
  78. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 給与水準は、現在のところ共産圏が特別になっております以外に、自由諸国圏では、アメリカの一〇〇というのを基準に、一〇〇をこしておるところはまだございません。サウディ・アラビアはたしかその最高の一〇〇をとっております。しかし御指摘のように、あすこは物価などいろいろな角度から見まして、それでは非常に不十分だというふうにわれわれも見ておりますので、このアフリカの諸地域だけは、特殊な方法を速急にやりたいと考えております。しかし、違法なことをやるわけに一も参りませんので、さしあたり法規の許す範囲内におきまして、できる限りそこに勤務する人たちに有利な方向ということを、われわれとしても考えておるというのが現状でございます。
  79. 辻政信

    辻政信君 アメリカが一〇〇なら、私は外務省としては、ああいうところへ二〇〇やるのが当然だと思います。いずれこれはほかの機会にやりましょう。  もう一つお伺いしたいことは、経済幕僚というか、その関係の館員が手不足で、経済外交にマッチしない陣容をとっておる。その一つの例を申しますと、エジプトのカイロ、あすこに中共の大使館が出ておりますが、館員は二百名、ほとんど全部が経済関係です。それに対して、こちらは土田大使以下ごくわずかしかおらない。私はあのとき感じたんですが、なぜジェトロの海外派遣員、これは予算をその方から出さして、あれを在外公館の無給兼員にして、そうしてほんとうに経済幕僚として活用なさらぬかと通産大臣にも言っておきましたが、これは藤山外務大臣一番痛切にお感じになっているでしょう。何も外務省の役人が怠慢だというわけじゃない。限られた人員で、過去の経歴からいっても、経済の深い研究はなかなか容易にできませんから、通産省出であろうが、民間出であろうが、有能な日本人はみな現地において大使館員を兼任さして、そうしてスタッフにするというだけのお考えをお持ちになるべきだと思いますが、いかがですか。
  80. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御指摘の通り、在外公館の館員というものは、非常に少ないのでありまして、今回も若干、増員を特に認めてもらうように大蔵省とも折衝して、若干ずつ認めてもらっておりますけれども、現在非常に手不足でございます。その上、今お話のように、経済外交を担当します人というものが十分でないことは、これは申すまでもないのでありまして、従って、そういう面で非常な手不足であり、全般の活動に支障を来たし、あるいは通商貿易の関係なり、あるいは他省の金融関係、あるいは農林省の関係とか、いろいろな方面からお世話をしなければならぬくらいで、予算の足りない面もございます。しかし、何とかこれを予算の範囲内でできるだけやっていくという点につきましては、今、辻委員お話のようなことも、十分考慮する必要があろうかと思います。われわれとしても、今後そういう点につきまして一つ考究いたしておきます。
  81. 辻政信

    辻政信君 次はインドの問題ですが、インドの農村に、日本の青年が数名私費で入って、数年間苦しみ抜いて、その結果病気になり、インドのいなかの病院で療養しておる、このニュースを知ったのですが、外務省はこれについて、どの程度に調査されておりますか。これはきのう予告しておいたのですが、どなたでもよろしい。
  82. 關守三郎

    政府委員(關守三郎君) 去年現地からそういう報告がありまして、取り調べたのでございますが、これは日蓮宗のお坊さんが主になって行かれて、今おっしゃったように病気になった。たまたまこの連中を帰したらどうかという話もございましたが、那須大使から、そういうことはやらないで現地で活用すべきである。特にインドは食糧に不足して困っておる、これに対して、日本の農業をデモンストレーション――実際にやって見せて教えてやることが非常に大事であろうから、そういうふうに何とか取りはからってくれという意見具申がございまして、本省といたしましても、確かにその通りである、これは外交工作上非常に大事なことであるというので、那須大使の意見具申を採用いたしまして、そうしてこの四人の人たちに、日本の農業技術を実地に見せてやるようにということを決定した。それで、病気にかかられた一人の方は、現地の病院へ行かれて、なおって、今元気になって働いている、こういう実情でございます。
  83. 辻政信

    辻政信君 そんなことを聞いたのじゃない、私の聞いたのは。もっと大事なことがある。この四人の青年が、数年間からだを粉にしてやった。その信用は、皆さんの百回のレセプションをやる以上の国際的信用を博しておる。新聞に伝わり、口からロヘと……。しかもそれに対して、一体インド大使は、援助の手を差し伸べておるのか、事前に経済面において。
  84. 關守三郎

    政府委員(關守三郎君) これは政府とは関係なしにおいでになりましたものですから、事前には、特別な援助の要請もございませんし、その必要もなかった。これは、もう少し詳しく申し上げますと、ビハール州政府日本の日蓮宗の坊さんとがお話しになって行かれたわけです。ところがビハール州政府は、向こうの予算の関係もございまして、予算が切れて、それで困っておられたわけでございます。そこで、それじゃ大へんだからというので、都須大使から助けてやることにした、こういうわけでございます。
  85. 辻政信

    辻政信君 助けておりますか、現在。
  86. 關守三郎

    政府委員(關守三郎君) 現実に助けております。
  87. 辻政信

    辻政信君 那須さんというのは、農業の権威ですから、その大使がおりながら、日本の青年を見殺しにするなんて、外交じゃない。
  88. 關守三郎

    政府委員(關守三郎君) そういうことではない、もうなおられて元気にやっております。
  89. 辻政信

    辻政信君 アジア外交を推進すると口ではおっしゃるが、アジアの後進諸国家からの青年学生を日本の国費で日本に留学させることは、長い目で見ると、非常な親善外交になるんですよ。現在どのくらいの学生を援助しておられますか。
  90. 近藤晋一

    政府委員(近藤晋一君) 国費留学生の問題は、文部省の所管になっておりまして、予算は文部省に計上されてございます。しかし、どの国から呼ぶかという国の割当につきましては、外務省と協議をして割り当てております。今、ここにその資料を、三十五年度の予算に基づく予定の表を持っておりますが、国費留学生の総数は、各国から七十名呼ぶことになっておりまして、そのうちの四十五名が、東南アジア各国から呼ぶことになっております。われわれといたしましても、文部省と協力いたしまして、七十名ではとうてい少ないので、もっとふやすことを大蔵省と毎年交渉しておりますが、本年度、三十五年度予算におきましては、三十四年度予算と同数の七十名のワクになっております。
  91. 辻政信

    辻政信君 私が、昭和三十年、モスクワへ行って、あの大学を見ましたときに、モスクワの大学一つだけで、世界各国の青年六千人をソ連の国費で、ソ連人と同じように徹底した教育をやっております。日本と二けた違うのですよ。口で東南アジアと言いながら、これは文部省の所管だと言って済まされるものじゃない、国がやるべきことです。外務省とか、文部省とかいわずに、十年、二十年の先に、その青年たちによってわれわれと手をつなぐ工作を今のうちにやらぬというと、人の養成には十年かかるのですから、もう少し本気でこの問題と取っ組んでいただきたい。  次は、釜山の抑留者が近く帰されるということは、うれしいニュースですが、刑期が終わらない者を残すというのは、どういうわけですか。
  92. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) われわれはむろん李ラインを認めておりませんから、刑を受けるというようなことは承認しておりません。現実の問題として、韓国側との折衝において一応刑期の終わった者というのを直ちに帰していくということになったわけであります。また今回の場合には、刑を終わり次第、今後の人は帰すということになっております。これはそのこと自体がわれわれ李ラインの正当性を認める意味ではございません。
  93. 辻政信

    辻政信君 それは否定されますが、結果から見ると、刑を認めることが李ラインの主張を黙認したことになるのですけれども、なぜもう一歩強くやらないか。どうせ帰すなら、三十人、四十人一括して来い、どうしてそれをやらないのだ。
  94. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) その点におきましては十分交渉しておりますが、先方が応じないわけでございまして、全員帰るまで待つか、現在百六十七名、すでに四年、五年の人もおりますから、まずこれを解決するかという問題になるわけでありましてわれわれとしましては、百六十七名をまず帰し、あとの者は逐次引き取っていくということを考えております。
  95. 辻政信

    辻政信君 これはよほど注意なさらぬと、あとで後悔を残しますよ。こそくな手段で安きにつくというと、刑を認めたじゃないか、李ラインを認めたじゃないか、こう開き直ったときにどうしますか。
  96. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) その点につきましては十分念が押してありまして、絶対に李ラインを認めるものではないということははっきりしております。
  97. 辻政信

    辻政信君 外交は口先ではないのですね、そういう実績が裏づけになるのですよ。だから私は言う。涙もないような話だが、三ヵ月おくれてもいいから一しょに帰せ、また早く来る者もそうでしょう、自分だけ帰るのだ、三十人残して来るその気持どうですか、考えてごらんなさい、帰りたいだろうが、三十人残る者のことを考えると、同じ日本人として、待ってもいいから一しょに抱いていこうという気持になるじゃありませんか。なぜそういうことを主張しないのですか。
  98. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) これは漁業関係の団体の方々とも御相談いたしまして、全員帰ることにこしたことはないが、まだ帰れない、全員主張するためにまだ延びるという場合は、やむを得ないから、百六十七名の方を先に帰してもらいたいというのが漁業団体の方の考えでもあったのです。
  99. 辻政信

    辻政信君 次は、竹島問題について。これはずいぶん議論になりましたが、予算に関係ありませんが、締めくくりする意味で二、三お伺いしたい。竹島問題について今まで政府がお述べになったことを総合いたしますと、日本の領土であり、施政権を譲ったことはないが、この八年間韓国の不法占拠によって施政権の行使を妨げられているとお答えになっている、この見解に間違いございませんか。
  100. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) その通りでございます。
  101. 辻政信

    辻政信君 それでは次。竹島の燐鉱石、これは最大の資源でございますが、約四十万トンと見られております。この調査に相当の資本を投じて、採掘権を許可された一人の民間人が、採掘を始めようとしたとたんに、韓国軍に占領されて、今日まで事業収益は全くない、税金だけを払わされているのです。この一民間人の犠牲によって、数年間税金を納めているという事実が、個人には気の毒であるが、この事実によって日本の施政権があるということを裏づけされている、こういうことです。国際裁判に将来訴えるときは、日本側の主張に対する何よりの立証事実である、この通り税金を取っておる、納めておるのだ……。こういう人には国としては感謝すべきだと思うのですが、どうですか。
  102. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お話のように、今そうした事実がありますこと自体が一つの大きな理由になるだろうと思うのでありまして、そういういろいろ犠牲を払われたという、今すぐに利益がないけれども、そういうような税金だけを払って維持していく気持に対しては、われわれ感謝いたしております。
  103. 辻政信

    辻政信君 このように、一人の民間人が国のため犠牲になっているとき、政府は、竹島の施政権を完全に取り戻すために、どういう努力を一体今までやってこられたか。
  104. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) こまかい経過については、局長から申し上げる方が適当だと思います。この問題については、むろんわれわれとして、韓国側に対しましても数回にわたって、絶えずこの問題に注意を喚起しております。そうして解決の道を得るように努力してきております。またその過程におきましては、国際紛争として国際司法裁判所にこれを提起するということで、韓国側に対してもそれをいたしたこともあるわけでありまして、その意味において十分な努力をいたしてきておるつもりでございますけれども、しかし、さらに一そうこういう問題については、日韓会談の全面的な解決と並行して、問題の解決をはかっていかなければならぬと、こう思っております。
  105. 辻政信

    辻政信君 時間がないので、私の調査を御参考に申し上げる。李承晩が国際法を無視して、一方的に李ラインを宣言した直後、昭和二十七年一月二十八日でしょう、外務省が最初の口上書で、これは亜二号、第八号ですね、各国に抗議されておる。それから昭和三十四年九月二十三日まで、八年間四十一回、同じような口上書を韓国政府に伝えておる。効果がありましたか。
  106. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 残念ながら十分な効果を現状期待し得ないのであります。
  107. 辻政信

    辻政信君 この八年間に四十一回の抗議を出しておるが、返事はございましたか。何回ありましたか。
  108. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 回数は覚えておりませんが、返事はございます。返事と申しますよりも、向こうから逆抗議をしておる、向こうの主張を言ってくるというような形でございました。
  109. 辻政信

    辻政信君 八年以上も根気よく四十一回のラブ・レターを出した。相手からは一回もいろよい返事がない。これくらいのことが一体ありますか。常識で考えてないことはわかっているでしょう。国内の世論があるから、仕方なしに抗議をする。聞くということを考えずにやっている。これがいわゆる外務省外交事務。責任のがれと言われても仕方がない。いいかげんに思い切ったらどうですか。ラプ・レター四十一回出して、八年間いろよい返事は一ぺんもない。最後にたんか切ってきた。いいかげんに見切りをつけて、その方法ではいけないということが、もう八年の経験から出なければならぬと思います。どうですか、藤山さん。
  110. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 竹島の問題も同様でございます。日韓会談そのものも八年間と申して差しつかえないのであります。先般も申し上げましたように、私はこの問題を扱いましてすでに二年半でございます。あるいは近く三年になるところでございます。相当これはこのままでいっては長過ぎるという感じは、私自身も持ってきておるわけであります。全面的な日韓関係と、竹島の問題とは十分考慮していかなければならない、こういうふうに存じております。
  111. 辻政信

    辻政信君 国連に加盟されたのはいつですか。
  112. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 一昨々年でございました。
  113. 辻政信

    辻政信君  そのとき恩赦までやったのです。国内ではちょうちん行列までやって、そうして選挙違反をやったやつもみな救っておいた。そのくらいの大きな意義を持った国連加盟であり、年々十億の国連関係費を予算において分担しております。にもかかわらず、国連中心の外交といいながら、なぜこの機構を紛争解決に利用しようと、今までされなかったか。
  114. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 二国間の問題につきましては、できるだけ二国間でまず片づける努力をする、これが国連提訴その他の前提であること、むろんでございます。従いまして、われわれとしても、できるだけ一国間で話し合いをして、どうしてもいけない場合にには、やはり国際機関等に持っていて、それだけの努力をして、持っていきますことが、国際機関に対するわれわれの、二国間の問題としては、務めでもあると思うのでありまして、そういう意味において、今日まで努力してきておるのでありますけれども、お話のように、長くなって参りますし、われわれが努力しても成果がないとなれば、そういう点を考えていかなければならない、こういうことでございます。
  115. 辻政信

    辻政信君 私の言うのは、八年間なぜやらなかったかということです。国連加盟と同時に、国連に提訴する方法は幾らでもあった。それを今までなぜやってこなかったか。国連憲章第三十三条をだれか読んで下さい。どう書いてあるか。憲章の第三十三条、大臣にわかるように読んで下さい。
  116. 鶴岡千仭

    政府委員(鶴岡千仭君) 「1いかなる紛争でもその継続が国際の平和及び安全の維持を危くする虞のあるものについては、その当事者は、まず第一  に、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域的機関又は地域的取極の利用その他当事者が選ぶ平和的手段による解決を求めなければならない。  2安全保障理事会は、必要と認めるときは、当事者に対して、その紛争を前記の手段によって解決するよう要請する。」。
  117. 辻政信

    辻政信君 その通り、はっきり書いてあるのですね。あなたは今まで二国間の紛争と言われるが、国際紛争というのは二国間ですよ。それに巻きぞえを食って数国になる。三国で争うということはないのですね、最初はどうしても二国間、この二国間の紛争が数国間の紛争に発展するのだから、それを早目にとめることが国連三十三条の精神で、その手段方法には救済もあるだろうし、調停もあるだろうし、いろいろあるでしょう。だから私の言うのは八年間同じことを、くだらぬことをやらずに、国連加盟と同時になぜこれを利用しなかったか、そこに、それはあなたの責任じゃないのですけれども、今までの外交上怠慢と言われるか、万全を尽さないという点があるのじゃないかと思う、いかがですか。
  118. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 過去においても当事者としては万全を尽くす努力をいたしたと思っております。私といたしましても、自分がなりましてからできるだけの努力はこれにして参ったと思っております。ただ、今お話のように、相当長くなっておりますので、やはり適当に解決をする時期がだんだんきておるのじゃないかというふうに私も考えておるわけでありまして、ただ前段で申し上げましたように、できるだけまあ関係国が、まず関係国といえば二国なのでありますから、両方で話し合いをした上で、それが解決しないときに国際会議に持っていくのが、国際機関をただいたずらにわずらわすのもどうかと思いますので、それだけの努力を私どもとしても払っておるつもりであります。
  119. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 辻委員に申し上げますが、簡潔にお願いいたしたいと思います。
  120. 辻政信

    辻政信君 答弁がいかぬから長くなったのです。それじゃ国連憲章の三十四条を読んで下さい、何て書いてあるか。
  121. 鶴岡千仭

    政府委員(鶴岡千仭君) 「安全保障理事会は、いかなる紛争についても、国際的摩擦に導き又は紛争を発生させる虞のあるいかなる事態についても、その紛争又は事態の継続が国際の平和及び安全の維持を危くする虞があるかどうかを決定するために調査することができる。」
  122. 辻政信

    辻政信君 その通りです。調査することができるのですよ、あなたの方が頼めば。それをなぜ一体八年間頼まないのですか、国連に入って頼む必要がないと思っておられたのか、必要がないと思うならば、今後もそれは必要がないのだ、どうですか。
  123. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 頼む必要のないというわけじゃございませんが、頼む前にできるだけ日本としても努力をしてみて、その努力の話し合いの結果がどうしてもいかぬ、だからこそ国連なり国際機関にお願いするのだということが一番順当ではないかと思うのです。
  124. 辻政信

    辻政信君 十億の金を国連に払いながら、一昨年加盟しておきながら、なぜその国連の機構というものを、国際世論に訴えるということを今までやらなかったかと聞いておる。それは過失なら過失とはっきり言ったらどうですか。早くやったらよかったということ、言えませんか。
  125. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) われわれとしましても今申し上げたように、むろん二つの国の間のこういう問題については話し合えるだけ話し合って、それを解決できるということが一番望ましいことなんでありますから、その努力はまずしてみなければならぬわけでありまして、過去、まあ私になってから今申し上げたように、二年半、すでに三年近くなりつつある、われわれとしてこれだけの努力は、まあ過去の方々もされたと思いますけれども、私、当事者として、それだけの努力はした上で、問題の進展をはかっていくことが適当だと思ったわけであります。
  126. 辻政信

    辻政信君 今から八年間の交渉過程をお考えになって、もう少し早くやっておけばよかったように思うということをほんとうに、率直にお考えになるでしょう、あまりこだわらずに……。
  127. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 別にこだわっておりませんが……。
  128. 辻政信

    辻政信君 怒りますよ、国民は。
  129. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) できるだけそういう意味で国際司法裁判所に堀訴するということも、過去において考えられたと思います。でありますから、国際機関を利用して、ことに国通等を利用して、この問題の解決をはかるということは、これは最終的にはむろん考えていかなければならぬことであると思います。
  130. 辻政信

    辻政信君 私がしっこく聞くのは、国民があまりにも政府がやり方がへたであるから、切り込み隊までやろうとしておるのですよ、大へんなことですよ。だから、政府がやってきたことがまずかった。これから本気でやると、一言おっしゃればどうですか。
  131. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今までも本気でないわけではなかったわけでございますけれども、私いろいろ外務交上の問題につきまして、必ずしも私のやっておることが、全部まずかったということは、申し上げるわけには参りません。従って、まずい点もあろうと思います。だからそれらの点につきまして、国民の批判を仰ぎながらわれわれもその声を聞いて、悪い点は直していかなければならない。
  132. 辻政信

    辻政信君 万全を尽くさず、まずい点もあったと率直に認めますか。あなたらしくはっきりおっしゃった方がいい。平等とは言えないでしょう。
  133. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今まではそういうふうに努力したけれども、その努力が実らなかったということであります。努力が実らなかったということであれば、それは結果においてはまずかったんじゃないかと思うのであります。
  134. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 辻君これだけにして下さい。独占しては困ります。さっき運営の方針が決定しておるのです。
  135. 辻政信

    辻政信君 それでは大臣答弁によってはやめます。私はこういう問題は、人は神様ではないのですから、あなたの前の人の責任も追及しようと思えば……。やはり八年間、四十一回もやって何にも得なかったということは、何といっても、これは政府の手落ちというか、十分でないと思うのです。率直に   あなたが認めるならば私はやめます。悪いことは改たむるに憚ることなかれ。
  136. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 申し上げておりますように、われわれも最善を尽くしておりますけれども、しかし、長くなりますと、国民の批判から見て必ずしも今までは交渉が適当でないというようなことでありますれば、われわれもむろんそれは反省していかなければならない。私どものやったことすべてがよくやったとは私どもは思っておるわけではございません。何度も申し上げるように、まずいところがたくさんあったと思います。でありますから、そういう点については十分耳を傾けて……。
  137. 辻政信

    辻政信君 まずいことがあったと認めますか。
  138. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) これは竹島の問題になると――ほかの問題全部がまずいとは申せません。まずいことがあることは、それはあろうかと思います。それで国民の声を……。
  139. 小林孝平

    ○小林孝平君 今の外務大臣答弁は、この新安保条約が調印される前なら外務大臣の御答弁でいいと思う。あのいいじゃない――それで外務省立場として、そういうことで御答弁になることはあり得ると思う。ただ先般の予算委員会でもお尋ねいたしましたのですが、この新安保条約ができることによって、この条約の適用区域と米韓防衛条約の第三条の適用区域と重複するのです、竹島の問題については。従って、どうしてもこれはこの際明らかにしてアメリカの真意を日本としても確かめる必要がある。アメリカはそう思っておるというようなことでは今度は済まされないと思う。しかも日本は、アメリカにこの行政協定によって竹島を含む地域を演習場として貸しておったことがある。それは二十八年でしたか、返したようですが、そういう経過から考えても、これはあいまいなことを言って二国間だけであるというようなことで済まされないと思う。それでこの際、アメリカの真意を確かめられるかどうか。国会の批准前にそれをお尋ねいたします。
  140. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この問題については、われわれ韓国と日本との関係の問題の一つとして、アメリカ側に対してその経緯等は常に通報いたしております。アメリカはその経緯の上に立って問題を考えておるわけでございます。われわれとして十分この経緯については十分アメリカは了承しておる、こう存じております。
  141. 小林孝平

    ○小林孝平君 了承しているだけでは……。それは一方的なことなんです。この米韓条約の関係で了承していないはずなんです。向こうは竹島を含むことになっているのです。向こうの条約ではちっとも了承していないのです。それは外務大臣が一人で了承していると思っている。こうおっしゃっているだけで、ちっとも明らかになっていないからお尋ねしているのです。明らかになっておるならば、私はお尋ねしませんよ。  それからもう一つは、二国間のことだから、他の国からの仲裁等を必要としないと言うけれども、そんなら、この間のアメリカのハーター国務長官が、この韓国と日本の問題について、韓国大使を通じて警告を発したことはどうなんです。日本としてはどう考えるのですか。
  142. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は、その二国間の問題は二国間でできるだけまず解決するのが第一点。そして解決できないときには、さっき申しあげたように、国際機関なり、あるいは、第三国が仲裁をする、あるいは調停をするということについて、反対をし、あるいはそれがいけないということを申しておるわけではないのであります。ただ、二国間の問題は、第三国が調停等をする前にもやはりできるだけ両国間で話し合いをして片づけられるものであれば、第三者が介入しないで片づくことが望ましいことだということを申し上げているわけです。従いまして、正そうでない場合にはやはり第三国の調停なり、あるいはあっせんなり、あるいは解釈なりというものを確定的にしてもらうということが必要なことな「んです。
  143. 小林孝平

    ○小林孝平君 この二国間の問題は、二国間の問題とおっしゃるけれども、これは日本と韓国だけの問題じゃないのです。アメリカもその当事者なんです、この条約を通じて。外務大臣は全然お考え違いなんです。漁業問題なら、これは二国間の問題なんです。ところが、竹島の問題についてはアメリカは第三国じゃないのです。当事者なんです。二つの条約を結んで、その竹島がいずれにも属している、適用区域に入っている。こういうことで、日本と韓国だけの問題ではないのだから、明らかにしておかなければならぬ。これは調印をする前にアメリカに確かめなければならぬ。外務大臣は、それはアメリカはそう思っているだろうと……。外務大臣はお人がいいからそういうことをいつもおっしゃるけれども、アメリカはどう考えているかわからぬじゃないですか。だから、それを外務大臣がそうおっしゃっているなら、もう一度念を入れて確かめるのが当然じゃないですか。これだけみんながわからないと言っているのだから、アメリカに一度確かめてみるのが当然じゃないですか。それを答弁をしていただきたい。
  144. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先ほど来申し上げておりますように、竹島の経緯につきましては、アメリカ側にも絶えず通報し、あるいは連絡もいたしておりますので、アメリカとしても十分そのいきさつについては了承しておると思います。ただしかし、今すぐアメリカが何らかの意思表示するということは……、われわれ二国間でできるだけ話し合いをして、できない場合にそういうような、第三者としての調停なり仲裁をするのが一番適当だと思います。
  145. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、だから、この前の本委員会のときにも質問したのですね。新安保が発足すれば、当然これは試金石になる。第一の問題は竹島の問題ですね。今とにかくこういう問題が起っている。ここのところに発動しようというと、第五条の発動の最も具体的な問題としてこの問題が出てくるし、国民の間にもそういう世論がある。政府もそこに追い込まれるのじゃないか。そうしてこれが非常に紛争のもとになる、新安保が紛争を作るという結果になる。どうしても批准の事前にこの問題を解決しなければならない。こういうことを私は申すのですね。これに対してはっきりした答弁はなかったのですけれども、私は、これは非常に政府としてはこの点ははっきりしなければならないと思う。小林君は今具体的にアメリカとどうするかという問題を出されました。私も、先ほど辻委員から出されたように、国連を尊重する、尊重すると言っておる。都合のいいときは尊重する。しかし、実際には国連の機構を使っていない。国連は全くたな上げしている。あなたは今アメリカの問題と言うけれども、アメリカではこれは解決のつかない問題かもしれません。両方にとにかくいいように言っているのですから、これは解決できない。やはり国連のような世界機構でなければこの問題は完全に解決がつかないし、アメリカに求めるというのは本筋でないような感じがする。この国連尊重というのは日本外交の三大方針の一つじゃないですか。国連を尊重するのだ、こういうことを言っておるが、口先だけだ。単にレッテルだ。実際はどうかというと全くこれに違反した行動をしておる。従って、私は、辻委員、小林委員からの質問からも、かつての私の質問とも関連して、どうしてもここで、今のは、はっきり批准前にこの問題は明らかにする。国会にこの事態を明らかにする、国民の前に明確にして、そうして対処するということが必要だと思うのですが、どうですか。
  146. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今まで申し上げております通り、われわれとしては、過去において両国の話し合いによってこの問題を解決すべく最大の努力をしてきた。最大の努力ということが必ずしも外部から見られましてそうでもないのじゃないかという御批判もありましょうけれども、われわれとして、できるだけのことはやってきたと思います。そういう上に立ちましてなお解決しない場合に、われわれはどういう方法をとるか。あるいはそれを国際司法裁判所のルートをとるか、あるいは第三国の調停を求めるか、あるいは国連機関等に提訴しまして、そうしてこれによって解決をはかっていくというようなことが一番適当な方法とわれわれとしても考えて参らなければならぬことは当然なことでありまして、永久にこの問題を紛争のままにしておくというわけに参らぬこと、これまた当然でございます。従いまして、われわれとしては、できるだけそういう問題について、いろいろな場合を考慮しながら措置等をいたしておるのでありまして、二国間で話し合いがつきません場合には、当然その他の方法を考慮することはむろんでございます。
  147. 岩間正男

    ○岩間正男君 努力する、努力すると言って、主観的なそういうことじゃだめです。やはりはっきり国連機構というものがあり、そうしてそこのところを使って国際紛争を解決するというのがこれは今、世界の基本方針です。そうしてあなたたちの掲げている方針でもある。それなのに、この問題を今言ったように、二国間の話し合いでどこまでもいくのだと、こういうことだけでは私は……、それはやはり続けなければならないですよ。しかし、同時に、国連機構というものがあるのです  よ。これを最も正しく運用するというのが当然これは国連に参加したところの日本の任務だし、それからあなたたちの外交方針にもふさわしい。従って、それをこの条約を批准してからのんべんだらりんとやるということではお話にならぬです。今、なんですか、外務大臣は努力すると言われました。このことは批准前に努力すると、そういうふうに確認してようございますか、私はこの点、重要だと思います。
  148. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) これは、批准の前とかあととかいうような、時期を必ずしも考えるわけではございませんが、われわれとして、先ほど辻委員にもお答え申し上げましたように、われわれ最善の努力をして、相当な年月がたっております。従って、相当な年月がかかったという事実もわれわれは認めておるのでありまして、従って、将来どういうふうな手を打っていくかということは非常に大きなこれはやはり検討すべき問題でありまして、そういう検討を現在続けておるわけでありまして、その上に立って問題の解決をはかっていきたい、こういうふうに考えておるのでありまして、必ずしも国連に提訴しないということも申し上げているわけではございません。
  149. 辻政信

    辻政信君 これは大臣、時間が切迫しましたから、私最後に切り上げる意味で、はっきりした御答弁を願いたい。  とにかく八年間同じことをやって効果がなかったのです。国連利用のチャンスがあった、それもやってないというところに、尽くすべきことを尽くしてないということは率直に認めなければならない。そうして過去は不十分であった――不十分であったが、確かに過失もあり、怠慢とまでいかぬけれども、十全じゃなかった。これから国連を活用し、そうしてこの際にほんとうやるという御決意をお持ちになるものと確認してよろしゅうございますか。
  150. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) もう御指摘のように、八年もかかっておる。あるいは私がこれを担当してからも二年半もたっておるという事実は私も率直に認めておるわけでありまして、そうした経緯の上に立ちまして、竹島を含めて日韓間の問題というものをこの際早急に解決しなければならぬ、すべきじゃないかということは、私は決して皆さん方の人後に落るちものではございません。その点ははっきり申し上げられると思います。ただ、どういう方法をとっていくかということについては、御指摘のように、第三国の仲介ということも一つの方法でございますし、あるいは国連に提訴するということも方法でございます。そうした問題については、十分われわれ検討して万全の策をとっていくことが必要じゃないか、こういうふうに思います。
  151. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 冒頭に運営の方針を御決定を賜わっておったので、その趣旨によりまして十二時になりましたから、藤山外務大臣、一応退席されて差しつかえございません。
  152. 辻政信

    辻政信君 国民が腹の底から今怒っておる、日本の八年間の怠慢外交に、これは率直に認めておる。これをやらなければ切り込みをやろうという問題が出てくるのです。これをやったら大へんな問題になるのです。これをやらぬためには、率直にまずいものはまずいと、正直な、あなたから今までは十分でない、これからやるということをはっきりおっしゃればそれで済むのです。過去のことは問いません。
  153. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私、今申し上げましたように、われわれは最大の努力をしてきましたが、それが効果的でなかったということは、やはり行き届かない点もあったと思います。その点は、ですから、それをわれわれは認めないわけではございません。従って、今後どうしていくかという、相当年月をたっておりますので、私としてはその問題については、十分慎重に考慮しながら相当な決意をもってこの問題の解決に当たりたいということを申し上げておるわけであります。
  154. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 御退席なさってけっこうです。(「主査、々々」と呼ぶ者あり)
  155. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 島君に申し上げますが、島君はおそくおいでになった。ですから、運営の方針は決定しておりますので………。
  156. 島清

    ○島清君 大臣が十二時に退席される場合は、大臣にだけの質問にして下さい、そういう事情だから。あと局長、課長は答弁させないで、大臣に質問のある人は大臣答弁をしていただいて帰ってもらう。ところが、局長、課長に答えさせて、それだけの時間の余裕があったらこっちは黙っている。そういうふうに運営をするのですよ。
  157. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 この会議を開く前に、国際関係でこういう時間には大臣が退席するということをこの委員会できめたのでありますから、この決定したときにおらない人にかかわらず、初めにきめた通りに進行していただきたい。
  158. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 主査といたしま「しては、満場一義の決定通りに進行いたします。
  159. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは一応のワクなんで、予定しておるところがあと午後の四十分ですから、まだ質問者が三人も四人もいて審議を尽くすことができない。従って、この運営について一つ諮っていただきたいと思います。まだとにかく少なくとも五人くらいあるのです。私が約一時間つぶして、それから島委員、小林委員、これだけでも、野党側だけでも少なくとも一時間ずつやっても三時間。そうすると、どうしてもこれは間に合わぬわけです。そのほかに与党の委員の方も二人くらい。そうすると、やはり今の焦点になっている重大な問題ですから、一応決定された通りにやられたが、辻さんの質問は非常に重大な問題であるから、どうしてもやはり時間が要る。これはまたやむを得ない。われわれとしては全面的に協力しなければならぬ。従って、御検討いただいて、そうして外務省の方とも交渉してもらって、きょうの四十分をもっと延ばす、あるいはあさっての経済の問題もあるけれども、これは私たちあまりやるようなものはない。従って、重要な論議の点ですから、外務省交渉して、あさってに延長していただいて、大体時間を一時間ずっくらい延ばしていただいて、そうしてうまくやればスムーズにいくのでないか。四十分であとの五人を持ち込むということは、これは不可能です、事実問題として。そのお計らいを願いたいと思います。
  160. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) お答え申し上げます。主査といたしましては、冒頭に満場一致で決定をいたしました方針を一応尊重いたしまして、なお、その後の状況によってさらに考えていきたいと思います。
  161. 島清

    ○島清君 何も私はそういう決定がいけないというわけじゃない。そこで委員長というのは、大臣がそういう時間的な制約を受けて、委員各位の質問も十分受ける時間がないという場合には、その大臣にだけ答えてもらって、局長、課長が答えなければいかぬことは、大臣が退席されたあとから質疑応答をさせるということが、今までのこの委員会の運営の慣例になっている。ところが、あと速記録を読めばわかると思いますが、局長、課長の答えの時間と大臣の答えとが半分くらいになっている。僕は、余裕が若干あるかと思って、こっちの方はそういう慣例に従って運営されるだろうと思ったから何も言わないで、そういう議事の運営方法をながめていたのです。ところが、冒頭において決定したのだから、大臣帰りなさい、こういっては、従来の慣例に従うどころか、委員会運営の方式を曲げておるとも言える。それは、僕らは冒頭において決定したことをけしからぬというわけではないけれども、そういう時間的制約を受けて委員会を運営するには、大臣の方で退席願わなければならぬ場合には、そういう制約のもとにおいて大臣答弁をしてもらわなければならぬということを、十分主査が心得ていかなければならない。
  162. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 島君にお答えいたします。おっしゃる通りの方針で、そうした宣告をいたしたのでありますけれども、辻委員の御質問が大臣だけでは満足されないので、結局連関が十分ございまする案件でございましたので、やむを得ず他の政府委員答弁に当たった次第であります。従って島委員から御指摘がございましたが、心得てやっておる次第でございます。さよう、御了承願いたいと思います。  なお、大臣以外に御質問のおありの方から御発言を願います。
  163. 小林孝平

    ○小林孝平君 私はこの際、どなたかしれませんけれどもお尋ねしますが、北鮮の帰還問題に関連いたしまして、日本の新聞記者と北鮮の新聞記者と相互に交換をするという取りきめが行なわれまして、具体的に出発の日取りまできまっておったところが、その後、日本の方は、北鮮の記者を東京までよこすわけにはいかぬ、船に乗って新潟まで来て帰れというようなことで、せっかくの話し合いが停頓してそのままになっているはずです。従って、この経過はどういうふうになっておるのか。それから、そういうことは取りきめの通り、日本の記者は平壌まで、向こうは東京まで、こういうことでお互いに記者諸君を交換して、事情を明らかにすることは、この北鮮帰還を促進する意味からもいいのじゃないか、こう思いますので、この機会外務省の考え方、政府の考え方をお尋ねします。
  164. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 両方の記者を交換するという問題は、協定には関係ございませんけれども、北鮮赤十字の希望もございまして、日本側の新聞社の希望もございまして、両赤十字の話し合いによって、そういうことをしようということになっておったわけでございます。最初の十二月十四日に第一船が出たわけであります。これで向こうが来、こちらもそれに乗って行こうという話であったわけでありますが、当時、韓国系の民団等の騒ぎも、何といいますか、妨害のおそれもございましたので、無用の紛争を起こしてはということで、一月十何日かになりますが、第四船まで延ばそうということになっておったわけであります。ところが、その間に、北鮮側の方は、初めは新潟までということであったのでありますが、東京まで来たいというような新たな条件をつけましたので、その点は政府の関係機関部内で相談いたしまして、その際、東京まで来るのは早過ぎるのじゃないかということで、この話は向こうの申し出に応じておらぬ次第であります。かつ一方、日本側の方の新聞社におきましては、全部ではございません、三社か五社でありましたが、中央経由で北鮮に参りまして、向こうの事情等は報道いたしております。
  165. 小林孝平

    ○小林孝平君 記者を交換するというのは、向こうは清津まで、こちらは新潟まで、そこで帰ったんでは何の意味もないと思うのですね。それぞれ東京、平壌まで行って初めて意味があるので、初めの考え方もそういうことから出発していると思うんです。それで、どうして東京まで来るのは悪いのですか。
  166. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 記者を交換する意味は、ニュースとして大きなニュースであるから、その船に乗る状況とか、向こうに着いたときの状況を、要するに報道するという意味で初めは話しておったのでありますが、東京まで来まして全般的な日本の動きを報道するというふうなことは、初めには考えておらぬかったわけでございまして、それをまあ初めに考えておらぬからといたしまして、現在それがいいか悪いかという問題でございますが、これは政府としましてまだ早過ぎるという結論でございます。
  167. 小林孝平

    ○小林孝平君 早過ぎるというのは、どういう意味なんですか。
  168. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 日韓の関係を考えまして、日本と北鮮の関係につきましては慎重に考慮しております。
  169. 小林孝平

    ○小林孝平君 そんならば、韓国とも記者を交換したらいいじゃありませんか。新聞記者が十何人来て、それが具体的に影響があるのですか。
  170. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 韓国との記者の交換につきましても、従来から交渉いたしておりますが、この点につきましては、記者の交換だけではありませんで、代表部の問題その他いろいろな懸案がありまして、一括して今話をしているところであります。
  171. 小林孝平

    ○小林孝平君 北鮮との記者の交換が悪いという問題、それが韓国に影響を与えるというのだから、韓国とも記者を交換するということなら何ら差しつかえないのじゃないですか。早過ぎるという意味がわからない。なぜ早過ぎるのですか。
  172. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 韓国とは国交を結ぼうというふうな考えを持っております。朝鮮につきましては、韓国を認めるか北鮮を認めるかという問題がありますが、いずれにしろ、どこの国も二つとやろうという考えはないのでございまして、どちらか一つということで考えておるわけでございます。日本は南一つという考え方で今までの方針できております。
  173. 小林孝平

    ○小林孝平君 私は、国交回復の問題を言っているのじゃないですよ。新聞記者を十六人日本の新潟まで――それなら、なぜ新潟までよこすのに同意したのですか。新潟はいなかだからよろしい、東京は首都だからいけないというのですか。新潟をあまりばかにしないで下さい。困る。
  174. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 北鮮帰国事務に直接関係のある報道ということで考えたことであります。
  175. 小林孝平

    ○小林孝平君 ところで、それは直接と言ったって、その東京の空気等、そういうものをいろいろやって初めてその実際のニュースがつかめるのであって、新潟の船の上、あるいは新潟の市内で帰すなんて、それじゃ意味がないじゃないですか。まあ、そんなことはどうでもいいが、その早過ぎるという意味がわからないのですが、何か東京まで来ると不穏の計画があるとか何とかということなんですか。その十六人を入れると日本の治安上悪いとか、あるいは、あなたはさっき韓国との関係があると言われたけれども、十六人の記者を入れるということがそんなに韓国を刺激するのですか。大韓国ともあろうものがおかしいじゃないですか。そんな思い過ごしだから韓国との会談もうまくいかないのじゃないですか。
  176. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 思い過ごしであるかどうか、私はそう思いません。向こうは非常にそういうことを一気にいたしております。早過ぎると申しましたのは、北鮮と日本との関係というものにつきましては、記者の交換ということだけに限らず、貿易の問題とか、その他いろいろな問題がございます。現在のところは、北鮮との関係というものはこれは全然まだつけておらぬわけであります。従いまして、この記者の場合につきましても、これは人道問題ですから、そういう特殊なヶースとして新潟までということにきめておったわけであります。
  177. 小林孝平

    ○小林孝平君 私は、ほかのことを言っているわけじゃないのです。新聞記者の交換をやる、それを、新潟までならいけれども、東京までなら悪いというのはどうなんです。新潟まではいい。同じ日本国内じゃありませんか。もう少し納得のいくようにお話しにならぬと、わからぬじゃないですか。
  178. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) これは、私は全般の問題を申し上げておりますのは、日本と北鮮との全般的な関係から見まして普通ならば新潟にも来ることも今の日本の方針から見れば認めないというくらいの考えでありますけれども、人道問題でありますから、まあこれは特殊のケースとして新潟までだけを認めるということであります。
  179. 小林孝平

    ○小林孝平君 新潟まではいいけれども、東京まで同じ日本国内でどう違うのですか。新潟まではいいが、東京までは悪いというその理屈がわからぬ。
  180. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 先ほどから申し上げておりますように、直接関係のあることに限るということなので新潟になったのでありまして、東京まで延ばせば、またなぜ東京だけか、全国でもいいじゃないかと、どこまでも広がるわけであります。
  181. 小林孝平

    ○小林孝平君 いや、そうじゃない。東京までなら全国じゃないんです。東京までというのです、今私言うているのは。あなた勝手に広げておる。李ラインじゃないですよ。今昔っているのは、はっきりと新潟までというのと東京までとどう違うか。なにも発展さしているのじゃないですよ。外務省の国会の答弁はいつもそうなんです。聞きもしないことを勝手に想定してこうだこうだといってあなた答弁する。なぜいかないのですか。
  182. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) これは程度の問題であります。
  183. 島清

    ○島清君 ちょっと関連して。今、アジア局長答弁の中に、何か韓国を刺激するというような意味の発言があったんですが今小林議員が、なぜ新潟まではよし、東京まではよくないかという質問に対して、何か韓国を刺激するとまずいんだというような意味の発言があったんですが、それはそういう意味の発言になったのですか。
  184. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 新潟、東京という問題だけについて申し上げたのでなくて、日本と北鮮の関係をどう持っていくかという全般の考え方につきまして、日本と北鮮の具体的な関係をどの程度まで進めるかという問題、これは常に韓国との関係を考えながらわれわれはやっておるわけであります。その意味において、やりようによっては韓国を刺激する、こういう意味で申し上げたわけであります。
  185. 島清

    ○島清君 それは局長答弁としては少し言い過ぎだと思うんですね。少なくとも局長というのは事務的な立場において御答弁を願わないと、非常に誤解が生ずると思うんですね。何もあなたに外務大臣じゃないから教えるわけじゃないけれども、それは反対の立場から聞けば、日本日本としての外交をやるのであって、何も李承晩さんの一笑一顰に付して外交をやるという義理はない。どうも伊関外交というものは万事がその通りなんだね。柳大使におどかされてへっびり腰になってそうして何にもできないというのが韓国に対する伊関外交の腰のなさなんだ。これは別に僕だけが言うのではなくして、そういう状態なんだ。だから政治的なことは、あるいは大臣なり総理大臣に聞くでしょう。それはあなたの答弁の限りじゃないんだ。事務的なことを聞いているんだ。だから、事務的な立場において――刺激するとかしないとか、そうじゃなくて、新潟も日本の領土である。日本の領土まであれして、なぜそれが東京まで延長することが事務的にできないのだ、こういうことなんだがね。
  186. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 関係各省の事務当局が相談いたしまして、新潟までならよろしい、東京はいかぬ、こういうふうにきめたのであります。
  187. 小林孝平

    ○小林孝平君 私は、伊関局長が、非常にむちゃくちゃを言う韓国を相手に長い間折衝を続けられて、ある程度の送還の問題も、いろいろ不満の点がありますけれども、まあその糸口をつけたというその努力に対しては私はこれは認めるんです。そういうことをおやりになっておるから、この韓国というものに対して必要以上にいろいろ警戒されて、筋の通った新潟と東京というような問題も、もうこれは東京まで来れば大へんなことになるというような考え方になら回るというその心境はわかるんだけれども、それでは困ると思う。そこで、これはこれ以上アジア局長にお尋ねしても解決しませんから、外務大臣にお尋ねしますから、昼からやります。
  188. 島清

    ○島清君 ちょっと、僕は関連して。  まあ北鮮ですね、南鮮とが三十八度で線が引かれてそれから南ベトナムと北ベトナムに線が引かれているのですね。線が引かれている。何度線――十八度線ですかで、線が引かれている。どうして日本国内において、新潟と東京で線を引かなければならないのですか。
  189. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) よくわかりませんが、全然別だと思いますが、そういう政治的な線を、われわれは新潟、東京を区別する場合に、そういう意味で考えておることは全然ございません。
  190. 島清

    ○島清君 そういう意味ではないと言っても、結果的にはそういうことになっているでしょう、結果的には。僕らは、何か知らないけれども、日本国内においてそういう工合に北鮮だ南鮮だと言って、いつも何か線が引かれている。しかもその線の引き方は、伊関外交の軟弱外交によって、その線が引かれるのですね。それから、今の大局的な外交の方向というものは、その線を撤廃しようという方向にあるわけなんですね。その情勢の中にあって、何か知らないけれども、日本国内まで、その帰還問題にしてもその通りなんですね。帰還問題にしても。帰るという人は皆帰せばいいのであって、何も南鮮であるとか北鮮とか、そんな国籍はどうでもいいんだと思うんだね。これはまあ赤十字の問題になっているから、それは問わないにしても。しかも日本国内においてすら、何も北鮮だ南鮮だと言って―一どこの人だって入れたらいいじゃないですか。来てもらったらいいじゃないですか。それを日本外交が南鮮を相手にやっているから、李承晩さんのきげんを損するといけないというような、みずから線を引くというようなことはないと思うが、結果的にはそうですよ。結果的には線を引いたことになりますよね。
  191. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 私は外務省事務当局でございますから、外務省的観点でこの問題の外務省の考えを申し上げておったのでありますが、新潟にするかあるいは新潟以上東京まで認めるかということは、政府部内で十分審議したわけでございまして、その際に、たとえば法務省、これももちろん反対いたしております。これはまあ治安の立場から反対するというふうな議論もあったわけでありまして、私の方は外務省として、北鮮に対する関係も考えつつ、まあほかの省も反対しておりますし、いろいろ考えまして、まだ早かろう、こういう外務省の結論を出しておるわけであります。ほかの省はほかの省の立場から、まあ反対しておるわけでございます。
  192. 小林孝平

    ○小林孝平君 私は、アジア局長にもうお尋ねしないつもりだったのですけれども、おかしいじゃないですか、今のは。あなたに、さっき御答弁を求めたのは、政府の見解を求めたのです。あなたはその当面の窓口として御答弁が、この事務当局としてではあるけれども、政府の窓口として御答弁があったはずなんです。私もそう伺っているが、そうしますと、今まではそうでなくて外務省だけの考えをお述べになったんですね。治安上の関係があって反対がある、そういうことを私は聞きたかったのです。ところが、あなたは今までちっとも韓国の話だけして、おかしいじゃないですか。外務省の伊関局長というのは、各省の窓口としてのあなたは立場で御―発言になるんでしょう。それを外務省立場だけと、こういうことを御発言になるのはおかしいじゃないですか。この予算委員会のときにもこれはどこの省とは言いませんけれども、今の外務省なんというものは、各省は各省みんなやるんだから、外務省予算なんというのは大幅に削減すべきであるという意見もあるんです。これは政府の部内においてもあります。あなたはそういう発言をされるとなおそうなる。法務省のことは法務省、農林省のことは農林省、通産省は通産省。そんなことを言うから、外務省なんというのは儀典事務とそれからほんとうの条約の問題だけやればいいので、あとはみんな各省にまかせればいいというような、予算査定に重要なる関係のある人がそういう発言をされているんです。外務省なんか徹底的にやっつけるべきだという発言も出てくるわけだ。私は違いますよ。私は外務委員会でも外務省予算をもっとふやすべきであるという主張をしたこともあるんだから違いますけれども、あなたはそんなことを言うから、外務省予算を削減せいとかあるいは外務省なっていないとかいう声が出るのじゃないですか。私はさっき韓国を東京まで持ってくるのは、治安の関係やその他の問題もあるだろうからそれを聞いたんです。そうしたらそれをおっしゃらないで、今ごろになって私は外務省のことだけだというのじゃ、私はあなたの御答弁要りませんけれどもね、ちょっと御忠告申し上げておきます。そんなことを言っているから、外務省徹底的にやっつけろという声が政府の部内からも出てくるんです。まあ外務大臣にお伺いしますから。
  193. 島清

    ○島清君 議事進行についてですがね。記録に別にとどめる必要はありませんけれども。
  194. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 速記をとめて。    〔速記中止
  195. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 速記を始めて。  それではこれで休憩いたします。午後は二時三十分に再開いたします。    午後零時三十八分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十九分開会
  196. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) ただいまから第二分科会を開会いたします。  午前に引き続いて、外務省所管事項を議題といたします。  通告順に従いまして、順次質疑をお願いいたしますが、この際はっきりと申し上げて、委員の各位の御了承をあらかじめ得ておきたいと思います。外務大臣の都合は、けさの運営の方針の決定によりますれば、十五時十分ごろまででございますが、なお、それでは通告者がまだ四人残っておりまするので、不可能と思いまするので、特に外務大臣の了承も得ましたので、本日五時四十五分より六時五十五分まで、さらにに大臣に対する質疑を行なうことといたします。従いまして、四人の質問通告者に公平にこの時間を分割をいたしまして、一人往復二十五分程度とお心得願いたいと思います。さようで進行いたしますから。なお、できる限り大臣御出席の間は大臣にのみ質問を賜わりまして、なお残余の事務当局に対する御質問は、別にこの時間に拘泥せず、適当に許可をいたしたいと思いまするから、念のため申し上げておきます。かように御了承を願います。御異議ありませんね。さよう決定をいたします。  それでは通告順に従いまして質疑を許可いたします。
  197. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは、お伺いいたします。  まず第一に、米軍の原爆の持ち込みなんかが非常に問題になっておりますのは、日本の空の管轄権が国民の間に重大な問題になっております。これは御承知だと思います。政府は対等な立場で主権を回復するために新安保を結んだと言っておりますが、領空権の問題はどうなったのですか、これを伺いたい。
  198. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知の通り、領海領土上空の問題が領空権というわけでありますが、今日まだ国際法上はっきりした定義がないと申し上げて差しつかえないと思います。従いまして、国際法上特別な明確な取りきめがないので、これをどういうふうに規定するかということは将来の問題だと思います。
  199. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは、お聞きしますが、現行の安保条約による行政協定では、米軍は自由に日本の空を通航する権利があり、自由に基地に入り、基地から自由に飛び出しているのですが、これが新しい条約ではどうなりますか、どんな改定をしたか、それを伺いたい。
  200. 藤山愛一郎

    政府委員藤山愛一郎君) 行政協定第五条でやっておりますので、特別な変更はございません。
  201. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、今までの通り、全部米軍は自由に日本の室を飛び、日本の基地に入り、基地から飛び出す、こういうことになっておるのですね。これはどうですか。対等な立場に立って条約を結ぶと、こういう国民に対するキャッチ・フレーズが、全く実際は空の問題ではごまかしになっておる、こういうふうに見てよろしゅうございますか。
  202. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 特別にごまかしではないわけでありまして、現行の規定にありますような関連において、引き続きそれをとっていくわけでありますから、特別なごまかしということではございません。
  203. 岩間正男

    ○岩間正男君 ごまかしでないと言っておりますけれども、これは岸総理に私も質問したのですけれども、原爆の持ち込み問題が非常にやかましくなって、アメリカの軍隊は原爆を積んで日本の室を飛んでいるのではないか、基地にも持ち込んでいるのではないかと、こういう質問をしたときに、岸総理は、いや、絶対にそういうことはありません、日本人もそういうことを絶対希望しておりませんし、アメリカもそういうことは希望しておりませんと、こういう話です。しかし、現在の行政協定によると、それを通告していない。向こうが入ってきたときに、痛告していない。それから、通告に従てはっきりそれを確認するということもしてない。そうすると、全然日本は室に関する限りはつんぼさじきに置くれる。そうすると、原爆を持ち込んでも、通告もしない、それを調べる権利もない、こういうものが新しい安保条約に持ち込まれるとしたならば、依然としてわれわれはこういう問題はつんぼさじきになるわけですが、これは十へんな問題だと思います。いかがですか。
  204. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 昨年の十月から、御承知の通り、航空管制は日本の手に帰しております。従って、管制業務は日本の手によってやっておりますから、通告はございます。なお、今度の条約改正におきましては、原爆を持って参ります場合には、事前協議になるわけでございます。
  205. 岩間正男

    ○岩間正男君 こんなことでは、これは話にならぬと思います。七月一日から民間の航空権は移されたということになっておる。実はこの問題も、一昨年二回にわたって、四時間あまり関係者を追及した問題なんです。そのときに、七月一日からということになっておりました。ところが、どうですか、これは現在見ましても、この航空管理権は日本に移ったということになっておりますけれども、民間の飛行場に対する管理はやっておりますが、米軍の管理は一体日本がやっておりますか、どうですか。入間川の航空センターはどうですか。
  206. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 全般的な日本の航空管制というものは、日本に移されておりますから、日本がやっております。ただ、米軍の基地の周辺と申しますか、上空の近辺だけについては、その基地でやっております。
  207. 岩間正男

    ○岩間正男君 全般的に移されているというけれども、一体日本の航空管制の中心はどこにありますか。これはジョンソン基地内にやはりあるのです。そうして、しかも、暗い地下室みたいな穴倉の中で、その一室を与えられておるのだけれども、依然としてこれは米軍がその主権を握っておる。これは東京新聞だったと思いますが、その管理権が移された直後に、これは相当詳しく報道されておる。その実態は全く変わっていない、こういうことは私たちははっきりしていると思う。従って、これを民間に返したと、こういうようなことで、この問題を一応日本人の目の前からぼかした。私は話にならないと思うのですが、いかがですか。
  208. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 入間川ジョンソン基地の中でやっておりますけれども、管制そのものは日本人の手によって昨年の七月一日からやっております。
  209. 岩間正男

    ○岩間正男君 その管制のやり方だって、ほとんど米軍式でしょう。そして、その要員というのは、みんな英語を使う。そうして、私たちもコントロール・タワーを伊丹とかその他ずいぶん見ましたけれども、そうしてこの問題を追及したのですが、依然としてこの問題は変わっていない。しかも、どうですか、米軍というものは、これはしばしば第七艦隊との関連でも問題になったのだけれども、太平洋軍の部でしょう。日本に管理権があるといっても、日本だけのものではない。その背景には、大きく太平洋軍の指導を受けておるのです。従って、この制空権というものは極東における地域を全部つなぐところのものなんで、その中で航空管制が行なわれておるということは明らかだと思います。私たちは、そういう点についてごまかすことはできないと思うのです。そういう態勢の中で、日本の領空権、管制権は返された、大丈夫だというようなことは、これは全くごまかしだと思います。ですから、黒いジェット機のような問題が起こっておる。それから今度の衝突事件、こういうような問題も、軍優先、そうしてその背後には、アメリカが日本の空を依然として彼らの管理のもとに置いておる、こういう実態ははっきりしておると思いますが、これはいかがですか。
  210. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今申し上げたように、日本全体の航空管制というものは、日本に返還されまして、日本人がやっております。今申し上げたように、基地の周辺に着陸したり離陸したりするという場合にのみ、基地の関係によって米軍がやっておるわけでありまして、従って、それによって日本日本の航空管理権を持って実施しているということでございます。むろん、必要がある場合には、連絡員等がおる場合もございましょうけれども、今申し上げたようなことでございますから、日本が管理しているということははっきりいたしております。
  211. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ伺います。全国四十三飛行場のうち、運輸省管下の飛行場は十一にすぎないのですよ。そうしてジョンソン、横田、立川、厚木など重要な十四飛行場は、全く米軍の手に渡されている。そうして航空交通管制を含めて米軍の全面的管理下に置かれている、こういう実態はこれはどう見ます。この実態をごまかすことはできますか。
  212. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今申し上げましたように、日本全体としての航空管制は日本に返還されておるわけでございますけれども、基地そのものに離着陸するというような場合の管制だけはアメリカがやっております。
  213. 岩間正男

    ○岩間正男君 この基地の管理が非常に重大問題で、平常の場合においては、民間航空というものと一応これは調整してやるという建前になっておりまするが、しかし、普通の場合でもなかなか軍優先です。ましてや、非常事態が起こったというような場合には、これはそんなことにやならない。これは全く軍優先で、日本の空はアメリカの管理権のもとに置かれるということは、これは明白だと思う。私はきょう、時間を今制約されまして、十分に具体的な事実をあげてやりたいのですけれども、今のような形で全然これを変えていない。国民はこのことを心配しておる。原爆が持ち込まれているのだ。いませんと、岸総理がどんなに答弁したって、いないということを国民の前に明かにすることは全くできない。調べることができない。向こうが通告するわけでもない。全くこれはつんぼさじきに置かれている。こういう実態のもとに、行政協定が再びこれは新しい条約に持ち込まれていっている。これは私は重大な問題だと思います。この問題については、やはりもっと時間を見て徹底的に追及したいと思いますが、時間の関係から、きょうはこのくらいにしておきます。  その次にお聞きします。在日米軍調達部というのがございますが、この在日米軍調達部というのは、これはどんな法的根拠で作られておりますか。
  214. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 在日米軍の調達につきましては、アメリカの規則によって作られているのでございます。
  215. 岩間正男

    ○岩間正男君 何ですか、法的根拠は何の法によりますか。
  216. 森治樹

    政府委員(森治樹君) アメリカ陸軍の規則に基づいていると承知いたしております。
  217. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、そういうアメリカ陸軍の規則というけれども、これは行政協定のあれじゃないのですか。
  218. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 行政協定との関係と申しますと、これは十一条あるいは十二条の公認調達機関というものの一つでございます。この設立の根拠というのは、アメリカ陸軍の規則によっておる。
  219. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本の国会で論議しておるのですよ。そうして一体、法的根拠を聞いたときに、これは安保条約、それに基づく行政協定、これの十二条、こうあなたお答えにならなければ。私のようなしろうとを前にして、何ですか。専門家がそういうことじゃ、お話になりませんね。これは行政協定によってはっきり作られておるのですね。そうしますと、これはどういう仕事をし、またこの権限ですね、何ができるのですか、この内容をお知らせ願いたい。
  220. 森治樹

    政府委員(森治樹君) この機関は、米軍のための調達を行なう機関でございます。
  221. 岩間正男

    ○岩間正男君 その範囲はどうですか。調達を行ないますのは、これは在日米軍ですから、当然日本国内だけに限定するものと考えますが、いかがですか。
  222. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 主として日本におる、単に陸軍のみでなく、海軍、空軍の分も取り扱っておりますが、MSA関係の域外買付の業務も行なっております。
  223. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、MSAですか、今何ですか、MSAとどういう関係になりますか。安保条約に基づく行政協定の十二条によって、これも法的根拠がある……。それは今度MSA機関の仕事までやるのか。こういうことは混淆ではないですか。
  224. 森治樹

    政府委員(森治樹君) あくまで日本の軍のための調達は行政協定に基づいてやっておるわけでございます。同時に、MSA協定に基づきまして、アメリカがたとえば日本以外の第三国にMSA援助をします物資を日本で買い付けるための調達機関としての役割を果たしております。
  225. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、その点は何か取りきめがございますか。これは当然、私は行政協定十二条によってできた機関である。ところが、MSAは違う。これを兼務するとかどうとかいう取りきめがございますか。
  226. 森治樹

    政府委員(森治樹君) MSA協定第六条でございます。
  227. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、これはやはり非常に問題だと私は思う。在日米軍調達部ということになっていて、実際それはMSAの仕事までやっておる。そういうことで、非常に権限の逸脱があるのじゃないかと思う。つまり、日本国内における労務とか、いろいろなものを調達しておるだけではない。ほかのところも実はやっておる。そういう例はたくさんあります。たとえば、ベトナムにおける電信電話、こういうもの、あるいはフィリピン、台湾、こういうようなところの電信電話の敷設、こういうものが在日米軍調達部によってやられた事実は、これは明白です。これは前国会でわが党の須藤五郎君が、相当この問題を郵政省に、郵政大臣にただした。そのときに非常に不明瞭だったのだが、今あなた方の方でそういうふうに答えたが、そうすると、非常にここに問題になってくるが、MSA援助というものはそういうものですか、MSA協定の何条によるのですか。
  228. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 第六条でございます。
  229. 岩間正男

    ○岩間正男君 第六条のどういうところですか。
  230. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 第一項のbでございます。
  231. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっと読んで下さい。
  232. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 「附属書Eに掲げる日本の租税が、この協定又はアメリカ合衆国政府と他の被援助国との間の同種の協定に基く資材、需品、装備および役務の調達のための日本国におけるアメリカ合衆国政府の支出金又は同政府が融資する支出金に影響するときは、その租税の免除又はその払いもどし。」……。
  233. 岩間正男

    ○岩間正男君 租税のことについて書いてある。そういう根拠はないじゃないですか。域外調達をやって、第三国にそういうことをやるということは書いてない。これは時間の関係であとでやりますが、MSAの八条によるんではないか、日本がMSA援助を受けておる。そうしてそのために、これは「自国の政治及び経済の安定を矛盾しない範囲でその人力、資源、施設及び一般的経済条件の許す限り自国の防衛力及び自由世界の防衛力の発展及び維持に寄与し、自国の防衛能力の増強に必要となることがあるすべての合理的な措置を執り、」云々と、これはここでやることになっておる。  そういうことになりますと、私は非常に問題だと思うのでありますが、MSA協定のこれは附属文書というのが、交換公文が出されておる。私は、単にこの問題をこの前も藤山さんにお聞きしたのですけれども、この問題は非常にあいまいでした。ほとんど答弁になっていなかった。ただ、形式的に字句が変わったから、それだけのことをやるんだ。今度の交換公文もそうだ。しかし、内容安保条約と新しい安保条約、これだけ深い関心を持っている。そして在日米軍調達部というものがあるけれども、実際はMSAのこういうような仕事までしている。こういうことになりますと、私はMSAの問題をもっともっと明らかにしなければならないと思います。しかし、この問題は、これも時間の関係で、私は次に移らざるを得ないのですけれども、そこで、MSAの問題に入りたいと思います。  MSA援助は今どれくらい行なわれているか、それから今後ふえるか減るか、それから今年度の見通しはどうか、それでMSA援助は日米の協力に役立っていると評価されているかどうか、あるいはこれはあまり効果がない、やめた方がいい、こう評価されているか、こういうような問題について外相の御答弁を願いたいと思います。
  234. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知のように、MSA協定による運用というものは、防衛庁と在京の米国軍事顧問団との間で話し合いをしてやるわけであります。外務省は直接の主管官庁でございません。アメリカが日本に対してMSA援助を今日までして参ったものは、防衛庁当局の発表しておりますように、約四千四百億円ということになっております。今日では、アメリカ側が無償援助というものを逐次有償援助に切りかえていくという傾向にあることは、厳然として事実でございます。今後これらの問題につきまして日本の防衛当局とアメリカ軍事顧問団と話し合いながら進めて参る大体の傾向にございます。
  235. 岩間正男

    ○岩間正男君 アメリカは、必要だからこれを続ける、こういうふうに考えているわけですか。そうすると、こういう問題を、これを調べて本国に通知し、また日本に通知をするところの機関というものがあるだろうと思う、MSAの。これはどういう機関ですか。
  236. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今申し上げましたように、MSAの援助に対する話し合いというものは防衛庁と在京の米軍事顧問団といたされるわけであります。そういうものの話し合いがつきましたときに、それを外交上の手続をとる場合に、われわれとしてはその手続というものを扱って参りますけれども、直接の内容等の問題につきましては防衛庁がやっております。外務省としてただいま申し上げかねると思います。
  237. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、MSA協定が結ばれたのはどこですか、締結されたのはどこですか。
  238. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 御承知の通り、外国との条約を調印するのは外務省でやっております。漁業協定も外務省で調印しております。あらゆる問題を調印しておりますけれども、それぞれ内容につきましては主管官庁がございますので、その主管官庁で……。
  239. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、条約の条項にあるくらいのことは……。第七条はどういうふうになっているか、それから附属文書のF、これははっきりしているでしょう。こういう人たちがMSAの実態を調べているのだ。これもあとで詳しく聞きたいと思うのですが、現在アメリカ大使館の通常人員は何人か、MSAによる人員というのは何人ですか。何をやっているか、日本で。それから、今までやった仕事はどうか、その結果日本にそういう者の通告があったのかどうか、こういう問題について、これは今外相の答弁の時間の関係からお答えができなければ、あとで係からお聞きするのでありますが、どうですか。この中で、これはMSA附属文書のFの中のbですね、a、b、cとあるようですが、aはこれはまあ軍事顧問団でしょう。しかし、第二等級の職員というのは非常に重大な何を持つんじゃないか、これは何人でございますか。
  240. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 詳しいことは、いずれ事務当局から申し上げますが……。
  241. 岩間正男

    ○岩間正男君 人数だけ言って下さい。
  242. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日本におりますアメリカ大使館の人は、いろいろな人までまぜて、約四百人くらいいると思っております。
  243. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのうちMSAが…。
  244. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 米軍事顧問団は二百人くらいだと思っております。詳しい数字は、間違えるといけませんから、事務当局なり、アメリカ軍事顧問団の方は防衛庁から……。
  245. 岩間正男

    ○岩間正男君 第二級の職員は何人ですか。
  246. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 二百数十名でございます。
  247. 岩間正男

    ○岩間正男君 正確にはわからないのですか。
  248. 森治樹

    政府委員(森治樹君) ただいま概数だけはわかっておりますが、正確には……。二百二十二名でございます。
  249. 岩間正男

    ○岩間正男君 この人たちには非常に外交特権が与えられておるのですね。第二級の等級の職員の場合は、国際慣習により、同大使館の特定の等級の職員に認められておる特権、これは全部免除される。それから、それだけじゃないんですね。そのほかに特権があるでしょう。どういう点ですか。
  250. 森治樹

    政府委員(森治樹君) これはここに書いてございますように、大使館の特定の等級の職員に認められておる特権でございまして、大体大使館員に認められておる特権といいますものは国際的に確立いたしておりまして、それを享有しておるわけでございます。
  251. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間があと……。私急いでおるの、御存じだと思うのです。そういう答弁をされちゃ困るんです。そのほかに認められておる特権は何かと聞いておる。それは私言ったでしょう。当然これはほかの外交官に認められておるものは認められておる。しかし、それにプラスがある、こういうことです。私が言います。これはちゃんと附属書Fの中に書いてあるんですね。そのほかに「外交官用自動車登録番号標、外交団名簿への記載、社交的儀礼その他の外交官たる地位に伴う特権及び儀礼」、これは全部辞退するという形。しかし、名前は辞退でありますけれども、実際は義務なんだ。義務を実は怠る、義務を免除されておる。私は、これは非常に重大問題である。普通の外交官よりも、今言ったように、自動車の番号はこれはもうつけなくてもいい、それから外交団名簿には記載しなくていい、社交儀礼その他のところでは普通の外交官がやるものには全部出なくていい。そうすると、こういう存在の人が二百数十名日本にいる。そうしてこれは何をやっておるのですか、この職務内容は何ですか。この職務内容についてお知らせを願いたい。
  252. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 第一項に書いてございますように、MSA援助の進捗状況を観察する目的を保有しておるわけでございます。
  253. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 岩間君の大臣に対する何を終了いたしましたから……。
  254. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま一問だけ許していただきたい。
  255. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 簡単に。
  256. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは、私は、これは日本にはっきり登録されておるのですか。そうしてこの人たちの特権免除、しかも普通の外交官以上の特権、こういうことで日本国内を歩いておる。今も私これを見て想像するのは、歌舞伎のときに黒子というのが出てきますね。あの黒子というのははっきり正体のないもので、すっと歩いておる。そういう存在がMSA援助の陰にある。そうして、そういう人たちは何をやっているか。国内を自由に旅行し、そうしてさらに、今言ったように、外交官として公然とした活動をしていない。ここにやはり日本の一つの情報をつかみ、そうして活動をやっておる。こういうことをやったとしましても、これに対して日本の管轄権というものはほとんどないのです。これは非常に私は重大なのでありまして、この問題を明らかにしてもらいたいと思います。  それから、もう一つお聞きしたいのですが、先ほどMSA援助によって域外調達をやり、第三国のいろいろな電信電話の施設なんかをやっておる、こういうことでありますが、具体的にお聞きします。ベトナムのマイクロウェーブの施設をやりましたね。これははっきりMSA援助によってやったんですか。もっともっと勉強してもらわないと、われわれしろうとですよ、あなたたちはくろうとなんだから。どうなんです。
  257. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 米国の軍事顧問団が、電電公社でございますかに設計等調査を依頼して、そうして視察に出したということはございます。こういうことはこの前のときに明らかいたしました。それがどういう、いわゆるMSAの金で出ているのか、何で出ているのかということは、日本側では承知いたしかねておるのであります。
  258. 岩間正男

    ○岩間正男君 法的根拠です。法的根拠は、MSAの条項によってやられたのかどうかということ、このことです。
  259. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろん、今まで御説明いたしました通り、米軍の在外調達部というものは、日本におります在日米軍の調達以外に、今申し上げましたように、在日米軍の調達以外の調達も若干いたすのでございますから、そういう限りにおいてそういう話し合いをいたしたのだ、こう考えております。
  260. 岩間正男

    ○岩間正男君 MSAと、こう確認してよろしいですか。
  261. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただ、その金額が、そういうものがMSA援助から出ているかどうかということは、わからないのでございます。
  262. 岩間正男

    ○岩間正男君 ワクを言っているのです。MSAの法的根拠によって、そうして在日米軍調達部がベトナムのマイクロウエーブの施設の取りつけをやったのかどうか、こういうことを聞いている。法的根拠です。
  263. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ですから先ほど来御説明申し上げておりますように、米軍の調達部というものが日本の在日米軍の調達以外の域外調達に関係をいたしておりまして、それがまあ今説明申し上げたように、できるようになっている。ベトナムの場合に、それがMSAのいわゆる資金から出ているかどうかというようなことは、われわれにはわからないのであります。
  264. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 時間が……。
  265. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間が来ましたから、詳しくはほかの局長の諸君にお尋ねをいたします。
  266. 小林孝平

    ○小林孝平君 ちょっと、外務大臣にお伺いいたします、本論に入る前に。この重要な国会審議を放棄して、外務大臣はこれから総理官邸に行かれるのですが、一体何を話されるのですか。アデナウアーとどういう重要な件を……。われわれがこれだけ言っているのに、それを振り切って行かれるというのは、どういう重要な件があるのですか。  それから、もう一つ。国会の審議は、年度末を控えて繁忙をきわめていることはわかっているのです。西ドイ  ツに、四月になってから来てくれ、そうしたらゆっくり招待をし、話し合いをするというぐらいの交渉をやられなかったのですか。向こうから言われれば、何でも、はい、はい、アメリカだけでなく、外国のいうことは何でも聞くことになっているのですか。その二点を、まず本論に入る前に伺いたい。
  267. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) アデナウアー総理が見えましたことは、ヨー  ロッパにおける西ドイツの総理でありまして、今日世界の平和に関する同国の態度というものについても重要な問題があると思います。われわれ、アデナウアー首相から、国際情勢その他についての忌憚のない意見を聞きますことは、日本外交を推進していきます上においても、また将来国際情勢の判……。断においても、必要なことだと思うのあでりまして、決してつまらないことだとは考えておりません。  それから、外国から国賓等の見えますことについては、われわれも十分日本側の都合も申し上げておることはむろんでございます。しかし、同時に、先方側の時間的な要求等というものにも十分耳を傾けなければならぬのでありまして、それらの点を双方話し合いをした上できめるのでありまして、向こう側だけが日時を決定するというわけではございません。われわれの方も十分その点については意向を述べて決定しておるのでございます。
  268. 小林孝平

    ○小林孝平君 向こうから聞くだけなんですか、こっちは何か言わないのですか。アデナウアーの話だけ聞くのですか。こちらは、日本として聞かせることはないのですか。これからもおやりになるのですから……。
  269. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) これから総理とアデナウアーと話しをされることでありまして、むろん、両国の政治的な関係あるいは経済的な問題等について、今日、たとえば経済問題等についても、必ずしも円滑になっていないこともございます。従って、日本側からそういう問題について言うことも多多あると思います。
  270. 小林孝平

    ○小林孝平君 事務的にお尋ねしますが、行政協定によって、アメリカに竹島を含む海域を演習場として貸したはずなんですが、それをいつ貸していつ返してもらったか。
  271. 森治樹

    政府委員(森治樹君) これは調達庁の所管事項でございますが、私の記憶では、竹島の付近に施設が設定された記憶はございません。
  272. 小林孝平

    ○小林孝平君 演習場として貸しております。しかし、今のは、こういうことじゃ困ります。今、竹島の問題は非常に重要な、条約と直接関係ある問題なんです。それを、これは調達庁の関係だといって、こういうことを知らないようじゃ困りますよ。すぐ調べて下さい。返したのは二十八年五月のはずです。いつ貸して……。そんなこと、あなた、もうこの間から問題になっているのですから……。  それから、この竹島の問題に関連して、米韓条約の第三条で適用地域がきまって、それには「行政的管理のもとにある」と、こうなっている。それで、この問題を予算委員会で質問をしたとき、外務大臣は、正当な行政的管理のもとにないのだからと、こういうことを繰り返し答弁されているのです。これはおかしいので、それは日本が考えているだけで、この条約に書いてあることは、アメリカと韓国とがきめたことなんです。だから、外務大臣が幾らそう言ったって、条文を変更するわけにいかないのです。この点は、「行政的管理のもとにある」と、こう書いてある。そして韓国は、竹島は自分の領土だ、こう言っているのですから、条約上当然竹島はこの行政的管理のもとにあり、従って適用地域になっておるわけなんです。これを外務大臣答弁をいつもはぐらかしておられるが、条約局長はどう考えられますか。
  273. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) その件は、外務大臣から申し上げておる通りだと思います。すなわち第三条……。
  274. 小林孝平

    ○小林孝平君 通りなら、聞かないでもいい。
  275. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) 補足させて……。
  276. 小林孝平

    ○小林孝平君 補足の前に。外務大臣が言っておられることは、外務大臣は専門家でないから、そういうことを言われる。しかし、あなたたちはその専門家なんです。日本条約じゃないのですよ。韓国と米国の条約であり、韓国は、竹島は自分の領土であり、従ってこの条約からいえば行政的管理のもとにあるじゃないですか。従って、これは第三条により、当然竹島はこの適用地域になっているのです。それをなっていないというのがおかしいじゃないですか。日本の主張と違うのですよ。アメリカと韓国とのこの条約、それについて御答弁願いたい。
  277. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) 米韓条約の第三条には「行政的管理のもとにある領域」と、これが第一点でございます。御指摘の通りであります。「またはいずれか一方の締約国が他方の締約国の行政的管理のもとに適法に置かれることになったものと今後認められる領域」と、すなわち、いずれか一方が行政的管理に入れました場合に、他方がそれを適法に置かれるということを認めなければならない。それが第二点でございます。第一点の方も、行政的管理のもとにあるということは、当然適法に行政的な管理にあるということが前提だということは、私から申すまでもないことだと思います。  で、私どもといたしましては、御承知の通り、行政的管理に適法に入ったものではない、こういうことは主張している次第でございます。もちろん、御指摘の通り、韓国側は、あるいはこれは自分の行政的管理のもとにある、あるいは適法に入ったものと、こう主張しているかと思います。そこにお互いの主張の相違があるのであります。
  278. 小林孝平

    ○小林孝平君 だから、条約とは別に、竹島の所属の問題についての紛争があることはわかっているけれども、あなたも今おっしゃったように、韓国側は、この条約締結当時も、その後も、竹島は自分の領土であると主張し、従って行政的管理のもとに―一これは韓国とアメリカの条約ですからね。当然適法に行政的管理のもとにある、こういうふうに韓国は解釈するのは当然なんです。それを、そうでないように言うのがおかしいので、従って竹島はこの適用区域に入っている、こういうことになる。それを認めないというのは、条約局長、あなたはおかしいですよ。この適法に行政的管理のもとにあるかどうかというのは、これは日本と韓国との間の紛争であって、アメリカと韓国との条約にはそんなことは全然言われてないのですからね。  これを予算委員会で質問を数回やったけれども、大臣はそういう答弁を繰り返していられる。しかし、大臣は、それはまあ知らないのだから、そういうことを言っておられるけれども、あなたは私の説を認めるでしょう。今半分くらい認めた。それは当然そうですよ。それ以外に解釈はないですよ。解釈はないでしょう。そこで、そういうふうにもう明らかに米韓条約の適用地域に竹島が入っておるのです。それから、日本はこれは今度の新安保条約によって竹島は適用地域に入っておる、こういう状態でありますから、この間から、竹島の問題は日韓両国の間の問題であって、アメリカは第三者である、こういうふうなことを言われるけれども、この安保と米韓条約を通じてアメリカは当事者なのです、すでにこの問題については。二国の間の問題ではないのです。もしアメリカが当事者でないというなら、もうすみやかにこの米韓条約から竹島を除外し、それから日本の施政下にある地域から竹島は当分の間除く、こういうことになれば、これは当事者でないのです。第三者です。この条約を通じて今や当事者なのですから、私は何らかの意思表示をアメリカはしなければならない。これをほおかぶりしておるのはおかしいのです。私は、これは外務大臣が来たらさらにお尋ねしますけれども、事務的にそれくらいのことは当然じゃありませんか。どうお考えになりますか。
  279. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) でございますから、先ほど申し上げました通り、それぞれの行政管理のもとにあると。米韓においては、韓国はそのように考えているかと思います。それから、われわれといたしましては、そのようには絶対に考えていない。ここに問題、紛争があるかと考える次第でございます。そこで、今まで申し上げました通り、この紛争の問題につきまして米国が当事者か云々という問題がございますけれども、日本と韓国の間で今話し合いをやっておるわけでございます。そこで、できる限りその日韓両国間で話し合いをやろうという線で進めてきておる、こういうのが私の承っている内容であります。
  280. 小林孝平

    ○小林孝平君 あなたはそういうことを言ったって、だめですよ。いいですか。それならば、この「行政的管理のもとにある」というのは、この条文では向こうでは正当なのです。要するに、韓国は竹島は自分の領土だと言っておるのだから、この条文上では向こうとしては当然なのです。それで、今までの安保条約で新しい安保条約ができなければ、問題はないけれども、新安保条約の調印とともに、この竹島の問題は今までと同じような考え方では処理できなくなった。こういうふうに書いてあれば、韓国は正当と認めている。アメリカは認めていないのかといえば、認めているわけなのです。認めていないなら、この条約でこれを除外するということを何か交換公文か何かで書かなければならない。認めているはずなのです。韓国が自分の領土だと言っておるのだから、この条約では認めているわけだ。ところで、今度の条約では、今度は、またアメリカは日本の主張は認めているというので、施政下に入れている。だから、この新しい安保条約ができない前は、条約局長のおっしゃることも私はある程度了承できるのです。この調印とともに、両方に足を突っ込んでいるアメリカは、そしてしかも非常に重大なことは、竹島と同じような事件が起きたら、この第五条を発動するというような重大な発言もあるのです。条約局長はもっと事務的に解釈されたらどうですかね。これは今後の安保条約のあの特別委員会においても非常に論議されるだろうと思う。あなたに幾ら言っても、同じことを繰り返すでしょうが……。  もう一つは、この当事者の問題は当事者で解決すると言われておられたけれども、あの李ラインの問題並びにそれに関する漁夫抑留の問題、これについてアメリカは警告を発したじゃないですか。この警告のために、長い間の伊関局長の努力も実を結んだわけです。そうなれば、それ以上重要な問題の竹島の問題をなぜほおかぶりしているか。アメリカは、これを言ったらどうかと思うのです。言おうが言うまいが、向こうの勝手だけれども、あの李ラインの問題などで、今領海の問題で国際会議をやっているそのさなかに、あんなことを言うくらいなのだったら、日本が竹島の問題についてアメリカの考え方を求めると言ったら、アメリカも何かやらなければならないと思う。日本から借りていたのだから、二十八年の五月に返還しておりますけれども。ちょっとやってみたらどうですか。何も答弁ができませんか。
  281. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) それは、安保条約と離れて竹島の解決についてどうするかは私の方でございますけれども、それは非常に政策の問題でございますから、局長としてやるやらぬということは申し上げる筋でないと思いますけれども、しかし、いろいろと検討はいたしております。ただ、この際に、いつやるとかというふうなことを申し上げる段階ではなかろうと、こう思います。
  282. 辻政信

    辻政信君 これは先ほど大臣も、竹島を含む李ラインの問題は、八年間もたっいて解決できなかったのは、私ども努力したが、至らないところがあったと、率直にお認めになっている。あなた方事務当局も、あまり我を張らずに、むだなことを八年間やってきたと。とにかくアメリカがちょっと警告すると、漁夫を帰してくれたじゃないか。これと同じ筆法で、竹島もこういう関係で、今小林委員が言われたように、アメリカも確かに当事者としての地位に立たされている。李ラインを演習場に使って竹島を爆撃されたときから、アメリカも介在している。もう決して第三国ではない。むしろ事件を起こした発頭人と言える。そのアメリカに対して、八年間竹島の問題を何一つ、仲裁というか、関係国としての行動を要求しなかったことが、今日に至った原因の一つだということを率直にお認めになるでしょう。大臣も認めている。そうすれば、もう少し早く解決できておったと私は思う。
  283. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 漁夫の送還の問題につきまして、われわれはアメリカに頼んだわけではございません。われわれは、アメリカに事情は常に密接な連絡をとって説明いたしております。日韓の問題として、もし今度のあの問題がまとまらなければ、非常に日韓関係が悪くなるということは、アメリカも十分承知いたしておりまして、アメリカが自発的にああいう行動に出たわけであります。同じように、竹島の問題につきましても、アメリカ側もしょっちゅう聞きに参ります。十分情勢は連絡してございます。これに基づいてアメリカがいかなる措置をとるかということは、アメリカの自発的の意思によると私は考えます。
  284. 辻政信

    辻政信君 アメリカが動き出したら、日本のためになるのでしょう。それならば、アメリカに頼むのがなぜ悪い、仲のいい国に頼むのが。責任があるのです。それを、あなた方は、説明だけで頼んだ覚えがない。アメリカが自発的にやった。――そんなばかなことがありますか。形式はどうでもいい、もう少し早くやってくれと頼むのが、日米関係の間じゃないですか。水くさいことを言いなさぬな。どうなのですか。
  285. 伊関佑二郎

    国務大臣伊関佑二郎君) 情勢を十分説明いたしまして、正確な認識を持たせるということまではいたしますけれども、アメリカとの、米韓の関係もございましょうし、こちらからどうしろ、こうしろということは、申さないわけであります。発然向こうの判断でやるべきことはやるだろう、こう思います。
  286. 小林孝平

    ○小林孝平君 それがおかしい。大臣の話と、伊関さん、あなたの話、違いますよ。この認識をアメリカに持たせる努力をしている、アメリカはどう考えるか別だと言われておりますが、大臣はそうじゃない。大臣は、もう数回話をしているから、アメリカはもう竹島は日本の領土であると思っているだろうと、何回も言っている。アジア局長の言われるのと全然違います。
  287. 伊関佑二郎

    国務大臣伊関佑二郎君) 私が申し上げたのは、そういう意味でなくて、アメリカはこの際公に何か調停の行動をとる、そういうような韓国側に圧力を加えるというふうな点は、これはアメリカが自発的にきめるものだ、こう申し上げたのです。
  288. 小林孝平

    ○小林孝平君 それならば、先般抑留漁夫についてアメリカが警告をしたのは、日本政府は、当事国がやっているのに、第三国がそういう警告を発したことは遺憾であると思っているのですか。
  289. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) そういうことは考えておりませんが、なるべくできるだけ……。
  290. 小林孝平

    ○小林孝平君 あなた、喜んでいるんです。あなた、遺憾どころじゃない、あなたはそのために救われている。あなたの非常な努力が、私はアジア局長には非常に敬意を表しているのだけれども、それはあれによって、あなたの最後の努力が実を結んだわけなんです。従って、私は、あれを困るというふうに日本が考えているならば別だけれども、困らないというなら、あの問題どころでなくて、この第五条を適用するかどうかという重大な問題だから、これはアメリカにやってくれ。外務大臣お話では、もう当然に日本の領土だと思っているから、アメリカは日本の領土であると思っている、こう言ったっておかしくないじゃないですか。しかし、こんなことを言うあなたたちにまかしたら、みんな戦争になってしまいますよ。一言言えば片づくものを、第五条を発動しなければならぬ。  あるいは、もう一つ条約局長にお尋ねしますがね、アジア局長答弁できないだろうから、条約局長にお尋ねいたしますが、こういうことをかまわぬでおくとどういうことになるかというと、要するにこの安保条約は、これは共産陣営に対する問題なんだ。韓国や台湾その他、そういうところとは戦争が起きても適用できない。要するに、仮装敵国は共産陣営であるということになってしまう。政府は繰り返し仮装敵国はないということを言っているが、現実には認めることになる。これはどうですか。
  291. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) ただいまの問題は、竹島の問題だけに、私、局限してお答えしたいと思うのでございますが、竹島の問題は、この安保条約交渉をやっている以前の問題でございます。
  292. 小林孝平

    ○小林孝平君 それはわかりましたよ。
  293. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) それ以前にあのような違法な占拠が行なわれまして、それから以来、ただいま八年というお話がございましたが、ずっと一貫して平和交渉でやってきました。従いまして、この安保条約交渉の前後を通じて、初めからこの問題はこの対象とせずに、平和交渉の問題として扱ってきました、こういうわけでございます。従いまして、それ以外の共産圏云々の問題とは、ちょっとこの場合は別であろうと私は考えます。
  294. 島清

    ○島清君 関連して。それは、私は第三者的に今小林委員並びに諸君との質疑応答を聞いていたのですが、小林委員が非常に疑問として思っておられる点は、米韓条約の第三条によると、その米韓条約の第三条に基づいて、「それぞれの行政的管理のもとにある領域」と、こう書いてあるので、今は大韓民国行政下にあるわけですね。今はあるわけですね。事実としてはあるわけですね。日本日本のものであるというて主張しているけれども、今はそういう形になっておる。そうすると、今はそういう形になっていて米韓条約が結ばれている。しかしながら、日本の場合、日本の施政権の行なわれる所と、こういうことになっておるのですね。ところが、あれはまだ、日本は、あるいは施政権だとすると、どういうふうに主張されますか。潜在主権ですか、全く瑕疵のない施政権下にある竹島だと思っておられますか。瑕疵がありますね。あれは施政権ありませんから、瑕疵がありますよ。そこは武力の問題を離れて……。そこで、そういう問題について判断をするのは、この条約の適用地域を判断をするのは、一番アメリカじゃないか。だから、アメリカは第三国じゃなくて、アメリカは当事国じゃないか、こう来ているわけですね。  そこで、そういう紛争の事件があるので、そこでそれは平和的な解決をして、そうしてアメリカにも、韓国にも、日本領土であるということを認めさせて、努力中だと、あるいはそう言いたいのかもしれないけれども、それならば、それと、その条約締結の過程において当然に竹島問題が、これは話し合いに出ていなければならなかったはずだ。話し合いが出てくれば、小林委員は、交換公文として明確に両国の意思が何らかの形において表示されなければならなかったはずだと、こういうことを言っているわけですね。ほおかぶりをして、そうしてあれは日本の領土であるから、アメリカも多分そういう工合に了承しているはずだなんということは、少なくとも国の行政の担当としては少し軽率ではないかと、こう思うのですよ。だから、それは主観的な主張ばかりではいけないんですね。客観的な妥当性というものがなければいけない。客観的にそれは認められる形になければ、私言い得ないと思う。主観的主張については、何かしらそういうことを言いたいでしょう。言いたいでしょうけれども、それは二国間の意思が一致したという条約の形でございませんからね、それは。ですから、そういうことの竹島問題をどういうふうに、アメリカに、それじゃどういう形でアメリカの意思を天下に向かって表示させるつもりなんですか。それとも、条約の過程においては竹島問題がその紛争の形においてどういうふうに扱われたかということも、やはり説明しなければいかぬのじゃないかと、こういうふうな気がします。ベンディングになっているのか、あすこの行政権と施政権ということは表示が違うけれども、アメリカと日本との新条約締結の際に、竹島問題はお前たちは韓国と話し合いをしているのだからして、それはアメリカの方からあっせんをするとしても、その間は条約の上においてペンディングにしておこうという話があったのか。そこまで掘り下げていくと、何もあなたたちの責任になるわけじゃないですから、それは岸内閣の責任であって、あなたたちの責任は毛頭ないのだからして、やはりおっしゃっていいんじゃないでしょうかな。
  295. 辻政信

    辻政信君 心配せぬで、言いなさい。
  296. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) ただいま御指摘の線は、私了解いたしました。というのは、法律問題もございますが、それもさることながら、その問題を離れまして、と申しますのは、今度の新安保条約においても日米間で問題になっており、米国が一方の当事者である。それから米韓条約においても、韓国と一方の当事者は米国である。すなわち、同じ当事者があり、また同じ地域が問題となっている。従って、この問題を解決しあっせんするには、米国の何と申しますか、仲介が、あっせんが最も適当じゃないか、また条約もそのように、それを米国側が求められた場合に、米国側としても非常に関係がある点だと思っております。これは今まで、とにかく現在までは日韓の二国間で交渉をやってきたわけでございます。これが今後そういう立場にアメリカがあるから適当じゃないか、いいじゃないかという、一つの政策の問題として考えなければならない、こういうわけでございます。
  297. 辻政信

    辻政信君 それじゃ、これ大事な問題ですから、だめを押しておきますが、この八年間暗礁に乗り上げて解決できなかった。それは、当然交渉の当事国の一つと見られているアメリカというものを活用しなかった、進んで積極的にそういうことは率直にお認めになるべきだと。それをやっておれば、もう少し早く、この今度の安保にひっからまないで、解決しておったのではないかと思うのです。釜山の漁夫の帰還促進から見ても、これはもちろん伊関局長がずいぶん骨を折られたが、伊関さんもアメリカがやってくれたのでほっとされたと思うのです。そういう実績から見ても、竹島問題を早く解決するのには、五年ぐらいたったところで見きりをつけて、これはいかぬ、両国の話し合いだけではだめだから、アメリカに出てもらおうという気持をあなたたちが今までに起こして努力することが、私は至当だと思うのですよ。何も悪いことを責めようとするのじゃない。いかに考えられますか。あまりがんばると、長引きますよ、論争は。確かに悪かった、これからそうしましょうというなら、それはすらすらわれわれも忘れてやるから、どうです。率直に申しなさい。お互いにミスはあるのだから、がんばらぬでもいい、そんなことは。筋が通らぬのです。
  298. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 米韓条約それから日米安保条約の関係において、その観点からどう考えるかという問題は、私の方ではございません。これは外務省全体としての問題と思いますが、ただ一言私が申し上げたいのは、正式にアメリカに頼むという場合と、事実上アメリカが自発的にやっておるという、二つの場合があるのだと思います。今度の漁夫の問題は、正式に頼んだものではない。向こうが自発的に、韓国側のやり方が悪いということを認めて、ああいう発表をいたしたのであります。竹島問題につきましても、そういう意味ならば、今までも十分説明いたしておりますから、アメリカがやる気があればやれておったということで、同じだと思います。ただ、正式の調停を依頼する問題になりますと、これはまた別問題でございます。
  299. 辻政信

    辻政信君 そんなことじゃないのですよ。日本のためになる、日本のために早く解決したいと思うのだから、言うだけは言ったが、やるやらぬはアメリカの勝手だということは、間違いだと思うのです。それほど水くさい仲じゃないのだから。これを解決するにはアメリカ以外にないのじゃないか、腰を上げてくれということを、もう少し早目に私は要求してもよかったと思うのです。面子にこだわる必要はないのじゃないですか、重要な問題だから。特にアメリカは責任があるのです、この事件には。それを、言うだけ説明をしておいて、やるかやらぬかは勝手だなんて、そういうことは日本のためになりませんよ。
  300. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 私が申し上げておりますのは、過去においてそういう正式に依頼すべきであったかどうかという問題でございますね。これがよかったかどうかは、依頼しなかったわけでありますから、これについては何も申し上げておりません。ただ、今度の相互送還の場合と、もし今後正式に頼む場合とは、形が違う、観念が違うという点だけを申し上げたのです。
  301. 小林孝平

    ○小林孝平君 今、辻委員の言われた従来のいきさつと、そのアジア局長答弁の範囲内の問題と、それからもう一つは、条約局長、あなたなんです。この新安保条約の調印とともに、これは交換公文で明確にしておかなければならなかった問題であるという、二つの問題があるのです。  そこで、これは大臣に後ほど尋ねますけれども、もう一つこれに関連してお尋ねしたいのは、外務省はアメリカに、これは数回竹島の問題で了解を求めるために書類を出された、あるいは口頭で言われた、こう言うのだけれども、一言も返事を聞いていないのですね。いつもそんなものですかね、日本外交交渉というのは。竹島の問題で説明をして、日本はこうだが、あなたの方はどうですか、こういうことを言わないのですかね。ただ言いっ放し。何のために……。じゃ、アメリカに言ったのですか。アメリカにアメリカの意思を聞くために手紙を出したのでしょう。これは、手紙を出したということは、そこまで行くとおかしいのです。全然アメリカは当事国でないものに、こういうことがありましたといって、子供のけんかを親に訴えるようなものじゃないですかね。そんなばかなことを、大体、日本外務省というのはそんなことをやっているのですかな。そうして答弁は一つももらわない。アメリカは何を考えているかわからぬが、まあ悪くはしないだろうなんという話では、おかしいじゃないですか、これは。あなた方をわれわれは非常に尊敬しているのだけれども、これではあなたたちにまかせておくわけにいかなくなってくるじゃないですか。従って、こんな態度だから、予算委員会等の質疑を聞いておって、外務省にまかせてもだめだから予算まで削れなんという意見が出てくるのです。私がせっかく予算をふやせふやせと言ってみても、何にもやってないのだから、外務省予算なんか大削減せいなんという意見が、ひそかに責任ある人の間にささやかれている。こんなことをやっているからじゃないですか。伊関さんの努力は非常に高く買われているけれども、あなた一人ではだめですよ。大体、今の質問に一つ返答して下さい。これは伊関さんだけでなくて、外務省として。
  302. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) たとえば今度の相互送還の問題にいたしましても、アメリカはああいう覚書を韓国に渡したわけでありますが、この間、八年間にわたって問題はあったわけでございますが――漁夫の刑を終わったものを帰さぬという問題は、八年間はございません、この四、五年と思いますが、しかし、その間を通じましてわれわれが努力いたしておりますが、決してアメリカは表向きにこういうことを考えておるというふうなことは申さぬわけであります。もちろん、それをまた言える立場でもないわけでございます。言ったときには、まあ最後にああいうことを言ったわけでありますが、それはいろいろと従来のわれわれの努力の結果もあったかもしれません、また韓国のやり方もございましたし、言うときにはああいうふうになって出ますか、その過程においては外交折衝でもってわれわれがいろいろな話し合いをし、それに対してアメリカがどういうことを考えておるかというようなここは絶対に外部に漏らすべき筋のものではないと私は思います。
  303. 島清

    ○島清君 非常に何か、責任でもないことを先に杞憂されておるようですが、それには及ばぬと思うのです。竹島の問題は非常に地域的には小さな問題だけれども、条約の面から見、そうして安保条約日本の将来の運命を左右するというまでに言われておる性格を持っておる点から見ると、つまり、米韓条約からすると、あの一面から見ると、新安保条約が発足をしても、極東の平和と安全という抽象的な概念の中にあの竹島が入るわけですね。ところが、日米安保条約からすると、今度は武力攻撃がかりに竹島にあった場合でも、あれは極東の安全と平和という概念で扱うというのですが、ところが、あれが安保条約から見るとそうじゃない。武力攻撃があったものとしてみなされるわけですね。その竹島の問題がああいう形にあることによって、条約の解釈が大へんに違ってくるということなんですね。しかも、御承知の通り、韓国と北鮮とがああいう対立の状態になって、そうしてもし世界に戦争になる危険がある地点といえば、あの辺と見られておるわけですね。そういうあぶないところにああいうあぶないものを置いて、それを明確にしないということは……。私としては、もし明確にすることによってあなたたちのその立場が困るというなら、国のために私は困ってもいいじゃないかと思うのですね。やはりその衝にある、純粋な条約立場からものを判断し、ものを言わなければならない立場の人は、ものを言ったからといって、条約局長ならあるいは局長という何がふっ飛んでもいいじゃないですか。そういう私は立場でやはり議会の答弁をしてもらわぬといけないのじゃないかというような気がしますね。そうでしょう。そういうことは何も、あなたたちの方が専門家なんだから、私なんかが説明をしなくてもいいはずなんですね。それで、一体そういう形でじんぜん日を送ったとして、その間にかりに竹島あたりにそういったような憂慮すべき事態が発生すると、日本は武力攻撃をされたものとして解釈するのか、それとも、あるいは韓国の今行政下にあるのだから、極東の平和と安全という形に扱うのか、当然に問題になってくるでしょう。そういう場合にはどういうふうに扱いますか。
  304. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) ただいま御指摘の点でございますが、これは二つの問題があるのではないかと思います。すなわち、第一点は、日本の施政のもとにあるということが一つと、それから施政のもとにおける武力攻撃が起きました場合に、これに対して直ちに武力行動をもって対処するか、この二つの問題、これは申し上げた点でございますので、繰り返しまして恐縮でございますが、そこで、この竹島の問題は、従来の経緯もございますので、これは全く特殊な異例な問題として初めから考えておりますので、この第五条の武力攻撃にあった場合に対処する行動に入るということを初めから考えていないわけでございます。従いまして、問題としては、安保条約を離れまして、この施政のもとにあるかどうかという、どちらに所属するかという紛争の問題としてわれわれは考えている。これはこの間も申し上げたつもりでございますけれでも、同じことを繰り返しまして恐縮でございますが、かように考えております。
  305. 岩間正男

    ○岩間正男君 私の質問の途中になったわけですが、竹島の問題に発展したわけですがね。今、私がここで聞いていまして、どうして一体アメリカにこういう話をして、そうして返事をもらえないのかという問題、それから積極的にこの問題にやはり解決してほしいという要請ができないのか。私これを裏返してみると、何かそういうことをやると、アメリカにどうも工合が悪い、アメリカにやりたくない、アメリカに不利だ、こういう問題があるとしか解釈できないですね。この前、辻委員が質問したんだけれども、これはまたアメリカの政府の中では、あそこで紛争さして、それが日本の再軍備に非常に根拠を与えるとさえ考えられるという話があったわけです。一体どうなんです。アメリカはこれを解決したいと考えているのかどうか、そうしてこの問題に対して積極的に出てこない理由の中には何か思惑があるのか。そういうことがあなたたちの考え方にいろいろ反映してきて、どうもアメリカに積極的に出ていくことができない、こうとしか考えられないのですがね。ここで何日か論議を重ねてきて、いまだにこの結論が同じところを何回も何回もやっているわけですがね。どうして一体そういう点を明確にやれないのか。どうも日本外交というのは、ちょっとわからぬですね。この問題だいぶやったんだけれども、なかなかあなたたちだけじゃ解決つかないから、外相が来てからやる。それからただしたいのだが、私は質問の途中だった。だから、外相が来てからやりましょう。
  306. 小林孝平

    ○小林孝平君 事務的にお聞きする。委員長に、これはさっき私が申し上げたように、外相にしっかりした答弁を求めますからね。午前中もちょっとやった。だから、委員長からも、外相が来られたらはっきり答弁するようにね。それから、事務当局も、ちょっとさっき、条約局長も米韓条約の三条の解釈についてやや明確に答弁されましたからね。よく大臣にその趣旨を話されて、今後行ったり来たりしないようにお願いします。もっとも、行ったり来たりするのが外務省の作戦らしいけれども、そうでなく、委員長、これ特にはっきり言って下さい。
  307. 島清

    ○島清君 関連して。今竹島の問題で、施政権が及ばないという扱い方をしておられるんですね。ところが、施政権が及ばぬということは、政権を放棄というのではなくして、いわゆる潜在主権だけを認められて行政権の及ばない地域を、さしたんじゃないかと思うのですね。あそこはそういう地域じゃないから、非常な特別な地点ではございますけれども、しかし竹島を施政権が及ばない地域として扱ったということについては、それは今までの条約上、日本が敗戦してからの、ないしはまた連合国側との話し合い、ヤルタ会談とか、ああいうものからも、全然出てこないと思うのですが、どうですか。
  308. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) その通りでございます。
  309. 島清

    ○島清君 その通りであるとすれば、やはり施政権は日本としては及ぶものとして条約締結に当たっているわけですね。当たっておられるけれども、しかしながら、実際は力によって向こうが行政権を奪還しておるんだと。そうすると、非常に特殊なケ―スとしての地点なんだから、それについては少なくとも両国の間にあの地点についての扱い方の意思の交換が必要じゃなかったかと、こういうことなんですね。またもとに戻るわけですが、どうですかね。
  310. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) よくわかりました。そこで問題は、ただその施政下にあるかどうかというその問題といいますより、むしろ第五条の問題です。すなわち第五条で、これが適用あるかどうかというふうな問題になってくるわけでございます。しかし、それはわれわれとしては初めからそのような問題として、あそこは特殊な問題であるから、考えていない。これは十分向こうも承知している点でございます。
  311. 島清

    ○島清君 そうすると、その条約の適用においては、ひとしく日本領土であっても、それは特別な扱いをしなければならぬという、条約について三段消の解釈の仕方があるわけですね、適用の仕方が。すなわち、今日本が施政権を持っている日本国内、さらに日本国ではあるけれども施政権を持たざる地域。しかしながら、純粋にどの日本条約上も、それから世界的に見ても、日本の国ではあるけれども、竹島みたいなところで日本の行政権が奪い取られておるところに対する条約の解状、この三通りの条約の適用の解釈があるわけですか。
  312. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) 御指摘の通りでございます。ただ、竹島のようなというお話がございましたが、決して……。あのようなものを先例と考えるわけではございません。竹島だけの唯一の異例的な例外的なケースです。これが一つあるわけです。
  313. 島清

    ○島清君 これは大きな問題になると思うのですが、小さいことではあるけれども。しかしながら、その国家意思として国と国とが条約を結ぶ場合に、そういう便宜的な条約を適用するということについては、大へんに大きな問題だと思うのですね。それはあなたから御説明をこれ以上求めても、御答弁になれないでしょうから……。ただ、三つつの条約の適用の解釈があるということは、これはもう一大事だと思うのです。
  314. 辻政信

    辻政信君 関連して。ちょっと条約局長に聞きますが、あなたはついていかれましたね、今度の安保の調印に。それから、交渉の矢面に立っておられますね。この日米交渉の間に、今小林委員や島委員の言われた米韓条約と日米条約の二つにはさまっておる竹島、この問題についてアメリカの意見を正式にただされたことはありますか。
  315. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) その点、第五条の問題としないということは、先方も十分了承いたしております。
  316. 辻政信

    辻政信君 いや、違うんです。日本の施政下の領域として竹島を扱うということをアメリカに納得させたのかどうかという、米韓条約との関係で。
  317. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) これは何と申しますか、八年来わが方としては平和的交渉をやっておりますし、わが方の主張をやっておるのでございますから、これはアメリカ側としても当然われわれの主張というのは知っておるわけでございます。
  318. 辻政信

    辻政信君 知っおると思っていて、念を押さなかったのか、だめをなぜおさなかったか、そういうことを聞いておる。だめを押したか押さなかったか、知っておるからほっておいたのか、だめを押したのかどうか。
  319. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) われわれとしてはもう当然、私の承知しております範囲では、これは八年間以来の交渉のことでございます。われわれの主張、これは明らかなことであります。
  320. 辻政信

    辻政信君 違う。それは国内の法律ならそれでいいんですよ。アメリカという国と日本が結ぶのでしょう。しかも、そのアメリカは韓国とも結んでいるんでしょう。そうして今はその二つに、交差点になっているわけですね、二つの条約が。その交差点になっておる、主張がダプっておる竹島をアメリカと結ぶ場合に、アメリカがどういう見解だということをだめを押さなければ、これは条約交渉にならぬじゃありませんか。向こうはそう思っておるだろうからといって念を押さないのですか、この重要な問題を。日本国内法ならあなたが思っておればいいんですよ。相手がある条約でなぜだめを抑さなかったかというのです。
  321. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) これはだめを押すまでもない。それからこの安保交渉以外その全部を通じての問題でございます。われわれの安保交渉において、問題にしますのは、この施政下にあるかどうかという問題よりも、施政下にある―一われわれはあると確信しております。当然その通りでございますが、問題は、あすこに入るかどうかということが問題となるのはあの五条の適用いかんということじゃないかと考えます。そこで、その問題を離れましては、ある地域が日本の領土であるということが現実にも施政権を行使してできるかどうかということの安保条約を離れた一つの問題としてわれわれは考えております。
  322. 島清

    ○島清君 非常に何か知らないけれども、その場のがれの答弁をしておられますが、それはあなたたち、何ですか、たとえば外務省外務省で、この竹島をこの条約適用にどうやって扱うかという省議を開いて、そうして外務省外務省としての統一見解を決定したことがありますか。それは条約局長だけの、限りの考え方なのか。外務大臣を入れて、そして各省の省議にかけて竹島の問題はこうするのだ、この条約は大体こうするのだ、そして外務省が統一見解を出して、それを外務大臣を通じて内閣総理大臣に何といいますか、了解を求めたというか、こういう条約上の解釈を統一した、こういうような経過があるのですか。条約局長だけの考え方ですか、どうなんですか。
  323. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) これはそのように、ただいまのような正式ないろいろな手続とか、そういうものは離れまして私は承っておりますし、私がまた理解し、そのように大臣にも申し上げております。政府とか、そういう閣議を開いてとか、会議を開いて一致したというような、正式と申しますか、手続でございません。そういう手続を経る問題以外に条約の解釈、条約締結の経緯、今後の扱い方というふうにする、そういうように考えておる次第でございます。
  324. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 竹島問題につきましては、なお大臣が来られましてから、事務当局と十分お打ち合せの上で大臣から答弁をしていただく。なお、私からも話をいたしたいと思います。従いまして、小林委員大臣に対する質問に引き続いて事務当局の質疑に入った次第でございますが、すでに退席をされましたから、岩間委員事務当局に対する質疑がまだ続行されなければならぬはずでございますので、この際、岩間委員に発言を許します。
  325. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほど在日米軍調達部、それがMSA援助による第三国の調達もできる、その根拠がMSAの六条にあるというのですが、どこですか。これを具体的に説明して下さい。
  326. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 私が先ほど六条によると申し上げましたのは、六条のbでごらん願いますと、アメリカがこの協定bに「附属書Eに掲げる日本の租税」といいますのは、「付属書E」に掲げております四つの日本の租税であります。この租税をアメリカ合衆国が他のMSAを受けている国と結んでいる同種の協定に基づいて日本で「資材、需品、装備及び役務」を調達する場合には、日本はそのアメリカの他国に対するMSA援助資金でもって日本で買うその物資に対して日本の四つの租税を免除するという規定があるわけでございます。従いまして、当然アメリカが日本でこういう調達をするということを前提として、そういう租税の免除を規定したのが六条でございます。従いまして、六条のbに基づくということを申し上げた次第でございます。これは第一条から実は来ているわけでございまして、第一条に「各政府は、経済の安定が国際の平和及び安全保障に欠くことができないという原則と矛盾しない限り、他方の政府に対し、及びこの協定の両署名政府が各場合に合意するその他の政府に対し、……装備、資材、役務その他の援助を、……使用に供するものとする。」という規定があります。従いまして、日米両国が合意する他国の政府に対して、こういう装備、資材、役務等を提供することがあるわけでございます。
  327. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの今説明を聞いておってもさっぱりわからない、私は。私が聞いているのは、在日米軍調達部が同時にこのMSA援助を取り扱っているのだという根拠です、法的な。ところが、今のMSA援助の取り扱いの問題とか、そういう問題を取り扱うというのは行政協定に基づくところの合衆国軍隊の公認調達機関、いわゆる在日米軍調達部というものがやるのだということをこれに書いてありますか。書いてなければそんなことをあなたが勝手に解釈したのか、そのことをはっきり言って下さい。
  328. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 御指摘のように、行政協定では、いわゆる公認調達機関というものがございます。それで先ほども御答弁申し上げましたように、アメリカの陸軍のみならず、空軍の物資もこの横浜の調達機関が調達いたしておるのであります。MSAの先ほど私が読みました点に関する調達機関というものは、日本では設けられておりません。従いまして、行政協定で設けられている調達部に便宜このMSAに基づく調達をやらしているわけでございます。
  329. 岩間正男

    ○岩間正男君 そんな答弁をやって、そうして国会をなにしては私はいかぬと思います。法的根拠がありますかと聞いているのに、あなたは今便宜上と言ったでしょう、そうでしょう。おそらくMSAの機関は当然正式なら求めなければならないわけです。そうしてそういう規定もしなければならないわけです。ところが、日本の現実の中では、とにかく行政協定に基づくところの調達機関を便宜上、便宜上これを兼務させているにすぎないのだ、何も法的根拠はないんでしょう。
  330. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 先ほど申し上げましたように、MSAでそういう職能をやることは認められているわけでございます。その機関をどの機関がやるかということはMSAにも規定がございません。しかしながら、そういう職能が認められておりますので、その職能を便宜調達機関にやらせているということでございます。
  331. 岩間正男

    ○岩間正男君 何ぼ言ったって、ここにみんないらっしゃるけれども、聞いて下さいよ。法的根拠を聞いているのです。ところが、法的根拠は言えないから便宜上々々々と言っている。便宜上という言葉を使う必要はないでしょう。法的根拠があったらこれは認めますか。それで何か取りきめがあるのですか。取りきめがなければ便宜上勝手にこんなことはできない。これは国際条約のこういうものに基ずいてやっているのですよ。それに基づいて日本政府了解を求めるとかなんとかいう、これは事前に知らせなければならない、そういうことが今まで向こうから通達があり、これに対する了解事項が向こうから通達されて、これに対して日本政府了解を与える、そういうような取りきめをやった事実がありますか。そういうなにが残っておりますか。
  332. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 答弁を繰り返して恐縮でございますが、このMSA協定によりますと、アメリカがそういうことができるということは御了解願ったことと思います。そういうことができる、ただ、できるが、どの機関にやらせるかということはこれは書いてございません。従いまして、先ほども申し上げましたように、便宜的にこの公認調達機関を利用さしておるわけでございます。そしてこの機関が調達しました結果につきましては、大使館を通じて通産省に通報が入っておるものと私どもは承知しております。
  333. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはできるというけれども、できるということは私は認めておるのです。MSAにそういうような規定がある。しかし、日本のこれは、在日米軍調達部というのは、行政協定の十二条に基づくところの公認調達機関なんです、これは米国の。従って、これが性格が混同するというおそれもあり得るのです。従って、当然まあ別に機関を設けるところだが、しかし、それもなかなかまあたとえば繁雑だから、これと兼用させるのだ、こういうことを明確にしなければMSA協定と安保条約の関係が将来非常に混同してくるし、また混同しているのだ、現実の政治の中で。従って、この点についても明快に当然政府了解事項なりなんなりして、それがきちっと一つの形になっていなければ、私は外交にこれはならないと思うのです。しかし、そういうことをあなたが言ったような、あなたの答弁しておられたようなあいまいな性格が、私は今日の一つ何かわけのわからない形になってきているのではないかと思うのです。そうでしょう、どうですか。とにかく、あのベトナムの、南ベトナムにおけるマイクロウェーブを取りつける、それを在日米軍調達部が日本の電電公社に契約をして、ここの調査を命じた、こういう事態があるわけです。その根拠は、先ほど外相も説明されたようにMSAによるのだ、こういうことを言われました。しかし、こういう混同が起こった根源は、そこのところをただすということのはっきりしていないところにある。これはあなたたちも認めなければならないと思いますが、どうですか。今言ったような便宜上アメリカがやったのを黙認するのだという形で来ておることは、非常に重大なことだと思います。
  334. 森治樹

    政府委員(森治樹君) ただいま御答弁申し上げたところでありまして、アメリカ側といたしましては別個の機関も設けようと思えば設け得ると思います。しかしながら、そういうことがはたして日本の業界からもいろいろな機関が各所にあることが便宜であるかどうかということの問題もございましょう。これに職能が認められております以上は、それをどういう機関に扱わせるかというところの問題であると思います。なお、その日本側との関係につきましては、附属書Aの第二項をごらん願いますと「両政府はアメリカ合衆国による日本国内における調達を容易にするため、両政府の間に十分な連絡手段を設けることが望ましいことを認める。」という規定がございます。この規定を活用することによりまして、その間の両政府の連絡を緊密にしていきたいというのが、私どもの気持でございます。
  335. 岩間正男

    ○岩間正男君 だからですよ、そこのところは何ですか、アメリカが勝手に便宜上取り扱っていいということになりますか。外交上そういうことになるのですか、あなたたち、こういう条項があるから。これははっきりただして明確にしておくべき問題じゃないですか。私がなぜこういうことを聞いているかというと、先ほどのような紛争が起こっている。問題になっている、国会で現に。在日米軍調達部というものの権能、こういうものが明確にされている。そしてその上にさらにMSAによるところのなにも並行するのだということがちゃんと確認されておればいざ知らず、ただ、勝手にアメリカの方で便宜上都合がいいからやったという形で、その結果はどうかというと、日本国内のいろいろな調達、そういうような契約、こういうようなものに混乱が起こっておるからこのことを問題にしているのです。つまり、あなたたちがそういう点をはっきりさせなかったという点が現在混乱を起こしている一つの大きな原因になっている、これは認めざるを得ないでしょう、どうですか。そこで私はお聞きしたいのだけれども、MSAの八条によって日本の電電公社、これが協力したわけですね、アメリカの公認調達機関に。そうしてベトナムに出て行った。そうしてこの内容を調べてみるというと、まことに明らでありますけれども、これはほとんど軍事用の電信電話の布設だ、こういうことをやっている。これは一体どうですか、日本の電電公社というようなこれは半官半民の機関、こういうものが外国のそういう軍事的な布設に一体協力する、そういうようなことについて、その混乱の根源というのは今の問題ですよ。在日米軍調達部というものが、権限をこういうふうな形でどんどん無制限に拡大して、何をやってもかまわないのだということになる。そうして日本人は、こういうようなものに協力できないのだということになっているのです、憲法によれば。ところが、それをやっている、これは重大問題です。それを何とか合理化しよう、こういうふうにいっろいろな点であなたたちこの問題について説明をされておりますけれども、こういう点を正しいと認めておるのですか。
  336. 森治樹

    政府委員(森治樹君) MSA第八条に、私は当該の事件はよく承知いたしておりませんけれども、ただいまMSA八条ということを御引用になりましたが、八条はそういうことには私は関係はないと思います。ただ、その電電でございますか、公社がどこに仕事をするかということは、これは当然調達機関との契約、あるいはその話し合いの期間の途中の経過において明らかになることでございまして、そういう点は混淆を来たすことはないと確信いたしております。
  337. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本の電電公社の任務ですね、あなたは電電公社のことを言われたが、電電公社の任務は何ですか、言ってごらんなさい。軍事協力の義務はあるか、とんでもない、言ってごらんなさい。
  338. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 私は、電電公社ができるとかできないとかいうことではなくしてMSA第八条が電電公社にそういう義務を課することはないということを申し上げたわけでございます。
  339. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは何でしょう、しかし、こういうような………、今度は何に基づいてやったのです、電電公社は何に基づいてやったのです。
  340. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 私は当該の契約はよく承知いたしておりませんけれども、これは通常の調達契約によっておるものと思います。
  341. 岩間正男

    ○岩間正男君 在日米軍調達部が通常の調達をやる、こういうようなことを言っていますけれども、日本の憲法に違反するようなこれは軍事布設、そういうものに協力するようなそういう何がどこにありますか。それはどんどんあなたたちは言いのがれをされようとしておりますけれども、これは重大問題ですよ、今後の日本の公社の運営の仕方、そういう点で。従って先ほどからMSA協定に基づいてやられた、こういうことを言っている、これは外相もはっきり言ったわけなんです。ところが、MSAのどこによるかというと、今のように何だかあいまいなようなことで、在日米軍調達部がこれをやってもいいのだというようなことについてはこれは言ったけれども、これに協力する、日本のそういうような公社がこういうものに協力していいと、そういう根拠にはこれはなっていないはずです。どうなんですか、この点。
  342. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 私は、たびたび申し上げますけれども、当該の契約はよく承知いたしておりません。しかしながら、電電公社が米軍の調達機関に対して自分の契約に基づかない、あるいは自分の欲しない契約をやって義務を負わせる規定はMSAからも出てきませんし、他のいかなる規定からも出てこない、こう考えます。
  343. 岩間正男

    ○岩間正男君 規定から出てこないといっても、先ほどMSAということを外相は言われておるのだ。その根拠はさっぱり、ほとんど明らかにならない。追及してみると、今のような電電公社がそういうことをやる根拠はない、そういうようなことでこれは答弁されているのですが、それじゃ私、別な角度から聞いてみたい。それでは日本の在日米軍調達部というものは、当然この法的解釈から入っていけば、日米合同委員会を通じて、これは調達をしなければならないと思うのですが、どうなんですか、この点は。
  344. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 調達機関日本の行政協定に基づく機能につきましては、行政協定の第十二条に規定がございます。その第十二条によりますと、「合衆国はこの協定の目的のため又はこの協定で認められるところにより日本国で供給されるべき需品又は行われるべき工事のため、供給者又は工事を行う者の選択に関して制限を受けないで契約する権利を有する。」、従いまして、アメリカ側は、この規定に基づきまして直接に日本の業者と契約するか、あるいは日本政府を通じて契約をするか、自由にどちらの形式をもとり得ることになっているわけでございます。
  345. 岩間正男

    ○岩間正男君 この直接調達の場合ですね、全然日本政府には通告なしに、全然もう向こうの勝手で、向こうの独断でやっていいということになっておりますか、どうです、運用上、どうです。
  346. 森治樹

    政府委員(森治樹君) これは第十二条の第二項によりまして「合衆国軍隊の維持のため必要な資材、需品、備品及び役務でその調達が日本国の経済に不利な影響を及ぼす虞があるもの」につきましては、日本側と事前の調整をやって調達を行なうことになっておりますが、この規定を除きましては自由でございます。
  347. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の電電公社の場合どうです。電電公社の場合は日本の憲法にも違反するような軍事協力をこれはさせられている、そうして何人かの電電公社の社員が向こうにこれは一年近く出張している、そこで全部これらの調査を、マイクロウェーブの調査をさせられている、こういうものは全くこれは電電公社の、公社法によるというと、これは全く違反ですよ。電電公社の公社法を調べてみなさい。この違反の仕事までさせられる、そうしておそらくそれによって経済的にも、これはまあこの報告を見ますというと、損まではいかなかったけれども、何らもうかりもなにもしない、全然もうかりもなにもしない、こういう格好になっている。電電公社の果たすべき任務はもっと別のところにあるわけです。民間のたとえば電話を見てごらんなさい。非常に不足している。それがそういう国内国民の利益をはかることが当然の公社の任務なんです。ところが、そういうような任務は、今言ったような、海外に勢力をさく、これは単にベトナムだけではありません。台湾にも、フィリピンにもそういうことをやっております、こういう事態が起こる。そうしますというと、全く公社法に違反したような任務を課せられることになる、こういうことに対して日本政府は合同委員会を通じてはっきりとこれらの一体報告を受け、これらの相談によってこの問題を解決をするのは私は当然だろうと思いますが、こういうことを事前にやられましたか、やられませんでしたか。
  348. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 電電公社の点につきましては、MSA協定からも、あるいは行政協定からも、電電公社が自分の欲しない契約をやるべき義務というものはどこにも発生してこないわけでございまして、従いまして、そういう契約をするかどうかということは、これは電電公社の独自の判断で決定せらるべき問題でございます。
  349. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本の現実はあなた、そうなっているかどうか、ここでどんななにをしたって、圧力というものがあるし、そうしてその背後からの支配というものがあって、あなたの答弁がそうなように、全くもうアメリカの申し分というと、それはただはいはいとなっていくのがこれが姿なんですね。従って、こういう態勢の中で電電公社の自主性にまかせるのだ、あくまでそうだといって逃げきれるかどうか。こういう答弁をされても信用できますか、できないのです。日本国民はできないのです。こういうことが行なわれているのが日本のこれは姿なんです。こういう点でもっと外務省はきちんとしなければならないと思うのです。行政協定十二条の規定があり、そしてこの調達についてはいろいろな問題が起こっている、こういう問題についてほんとうに積極的に出ていって、こういう問題を明確に日本の国の立場から解決するというような努力はされていない。その連続だ、そうしてしかも、その仕事はほとんどそのままそっくり新安保条約に継続されておるという形で進められておるところに非常に私は大きな問題があろうと思うのです。この問題はもっともっとやりたいところですが、これも時間の関係からこのくらいにしておきます。  その次、先ほどお聞きしたのでありますが、アメリカ大使館の要員は今どれくらいいるか。大体先ほどお話を聞きましたが、もう少し詳しく話してもらいたいと思います。それからMSAによる随員。それから今、何をそれらの人たちはしているのか、これらの行動については、一体日本政府は全然この消息を明らかにすることができないのかどうか。以上。
  350. 森治樹

    政府委員(森治樹君) アメリカ大使館の規模は、大体四百名内外というふうに承知いたしております。MSAの、いわゆるマーグの規模と申しますと、先ほど申し上げましたように、第二級の職員は二百二十二名でございます。外交団名簿に掲載されておる上級の職員は十名でございます。
  351. 岩間正男

    ○岩間正男君 この外交団名簿に記載されておるというのは今の第二級のうちですか。それから第一級の軍事顧問団については二百名というような外相の答弁がありましたね。それから第二級、これが二百二十二名。十名というのは何ですか。
  352. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 第一級の人が十名でございます。第二級の人が二百二十二名でありまして、C級と申しますか、第三級の人はございません。
  353. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほどの外相の答弁は間違いでしたか。速記録を見るとわかるけれども、軍事顧問団二百人とさっき言ったはずです。これは速記録であとで明らかにしてもらいまして……。
  354. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 私もちょっと今正確を欠いたと思いますが、全体で二百二十二名でございまして、その中に十名の上級の職員がございますから、第二級の人は二百十二名でございます。そのほかに十名の上級職員があって、合計二百二十二名というのが正確でございます。
  355. 岩間正男

    ○岩間正男君 この第二級の人たちについて伺いたいのですが、これは名簿には全然登録されていないということになりますね。外交団名簿には記載しない。しかし、日本に何人入ってきたのか、何人出ていったのか、こういう通告は全然ないのですか。
  356. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 第二級の人につきましては、御指摘のように、外交団名簿には載っておりません。しかしながら、第二級職員の氏名、身分等につきましては、外務省に通報が参っております。
  357. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは今まで変動がありましたか。
  358. 森治樹

    政府委員(森治樹君) これは随時変動がございます。
  359. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体ここ数年のなにを聞かせてもらいたい。MSAをやったのは一九五四年ですか、五四年以後の第二級、こういうのを聞きたい。
  360. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 大体二百人前後だと思いますが、古い記録をただいまここに持ち合わせておりませんから、これは後ほどお知らせすることにいたしたいと思います。
  361. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは資料を出していただくということにしまして、それでこの仕事ですね、この仕事については、外務省では全然まだ報告を受けられ、それからこの内容を知ったりすることができないのですか、どうなんですか。
  362. 森治樹

    政府委員(森治樹君) これは私どもの方といたしましては、MSA援助の進捗状況を観察するために来ておられるということでございまして、むしろ防衛庁の方が常時接触されておりますので、防衛庁の方がよく知り得る地位にあると思います。
  363. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、外務省外務省なりに外交立場から当然これはMSAの機構に関してこれは知らなくちゃならないと私は思うのですが、こういう点について全然御存じないのですか、防衛庁にまかしていいのですか。
  364. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 私の方といたしましても、この構成の変遷とか、そういうことはわかるわけでございますが、実際の仕事の細部にわたりますと、これは私の方ではそれだけのスタッフもございませんし、この面に参りますと、防衛庁の方が接触面が多いわけでございますから、防衛庁の方が実際面の情報は知り得るよりよい地位にあるということを申し上げたのであります。
  365. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これは軍事的な性格の職員団というふうにいわれても仕方がないと思うのですが。
  366. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 御承知のように、MSA援助を求めます場合には、防衛庁とマーグの人たちの間で話が合いまして、そしてその結果に基づきまして防衛庁長官がこれらの資材の受取人になられるわけであります。従いまして、その最初にMSA援助を受けるとき、あるいはその資材の引き渡しを受けられるときの接触面が私どもより、より多いということを申し上げておるわけであります。
  367. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、今の御答弁によると、MSA援助というのは、最近では軍事資材だけと、こういうことになっているのですか。
  368. 森治樹

    政府委員(森治樹君) MSA援助は、大体大臣から御答弁がございましたように、有償援助、無償援助と、それから訓練という三つのことからなっておるわけでございます。従いまして、これらのそれぞれのワクでどれだけのものを受けるかということは、これは防衛庁が自分の防衛計画という面から判定されて折衝せられるわけでございます。
  369. 岩間正男

    ○岩間正男君 軍事資材以外にないのですか。
  370. 森治樹

    政府委員(森治樹君) MSA協定に基づきますものは、現在ではアメリカのMSA法の中には技術援助という項目がございます。で、この技術援助の項目に基づきまして、日本は生産性本部がこれを受け取るわけでありますが、これの協定にいう技術援助、いわゆるこの協定にいう援助ではございません。
  371. 岩間正男

    ○岩間正男君 職務内容について防衛庁まかせということを言われておるわけですけれども、外務省としては、これは非常にまずいのじゃないですか。どうですか、この大綱ぐらいは押えられておられないと……。  もう一つお聞きしたいのは、日本外務省として当然これは職員団の報告、これは年次なされておるか、その詳細を私は知りませんが、あるいはこれは一年に何回かに分けて報告しておるか。米本国に対して報告し、また日本に対しても、その位置などが通達されるという格好になっているのじゃないかと思いますが、これはどうなっておりますか。
  372. 森治樹

    政府委員(森治樹君) これは人員の変更ごとに通報がございます。
  373. 岩間正男

    ○岩間正男君 人員の変更じゃなく、MSAの実施状況、これを見に来ているのでしょう、そうでしょう。何もただ日本に遊びに来ておるのじゃない、これが任務でしょう。当然これはMSAの、この協定の附属文書によると、これははっきり任務が規定されておる。MSA法本条の七条によって明確にこれは規定されていると思うのです。そういう任務について当然その職務報告をしなくちゃならないと思うのです。MSA援助実施内容についての報告、これはどうなっていますか。
  374. 森治樹

    政府委員(森治樹君) これは、私ども防衛庁から報告を受けております。
  375. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは便宜ですか、正式にそうなんですか。
  376. 森治樹

    政府委員(森治樹君) これは先ほど申し上げましたように、MSA援助の実際の受け取り者は防衛庁長官でございます。従いまして、そのアメリカからの援助物資の受け取り及びこれが消化等につきましては、防衛庁でこれをなされるわけでございまして、その結果を私どもの方で報告を受け取るということでございます。
  377. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、官庁内の便宜的運用としてはそういうこともあり得るだろうと思いますけれども、MSA条約そのものは外交条約ですよ。この外交条約の本家本元である外務省が、この内容について、防衛庁を通じて受け取るということはちょっと解せかねるのですがね。防衛庁にも出す、しかし、日本外務省にも出すということが正式のものだと思うのですが、それでいいのですか。
  378. 森治樹

    政府委員(森治樹君) ただいま申し上げた通りでございまして、私どもはこの点に対して専門家ではございませんので、防衛庁の方で計画を立てられ、先方と話され、その結果を随時私どもの方に報告をいただいておるということでございます。
  379. 岩間正男

    ○岩間正男君 外務省はやはり権威を持たなければならない、外務省の主張というものがあると思うのです。そういう点は、どうも都合が悪くなると、今のような御答弁ではまずい。私は、一国の外交の主体である、責任者であるところの外務省が、当然条約実施については、その内容である防衛庁に報告したから、そこから受ければいい……、マーグの報告で満足しているというようなことではまずいと思う。こういうところも非常に折り目が正されていないと思う、今の問題は。便宜的な運用だということであなたは説明されるが、そうでもない。何だかこれがあたりまえのようなことであるということは、私は折り目が正しくないと思う。それはそれとして、その報告の内容によると、どういうことになっておりますか。一体資料のようなものを、概要をもらえますか。
  380. 森治樹

    政府委員(森治樹君) ただいまの御質問の趣旨は、私、取り違えてあるいは申し上げるかもわかりませんが、私の了解いたしましたところでは、どういうふうな援助をもらっておるかということだと了解しておりますが、これは、先ほども大臣が申されましたように、現在四千数百億の援助をもらっているということでございます。
  381. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうですか、資料的に、今までの年次報告のようなものを、概要を……、この内容はさっぱりわからないのだな。国会に報告される義務があると思うのですが、これについてどうですか。資料について言っているのですが。
  382. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 現在までの援助の資料につきましては、これは防衛庁で作成されておりますので、防衛庁の方に御要求願いたいと思いますが、なお、アメリカ側で発表いたしました数字ならば、私の方にございますから、これは資料として差し上げます。
  383. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのアメリカ側で発表されたものでいいですから、それをいただきたいと思います。  もう一つ、関連してお聞きしたいのですが、CIEの人たちというのはどこに所属しておるのですか。
  384. 森治樹

    政府委員(森治樹君) これは米軍の特別部局でございます。
  385. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほどのMSAの職員団の中には全然関係ございませんか。
  386. 森治樹

    政府委員(森治樹君) これは全然別個のものでございます。
  387. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、米軍のどこに所属しておるのですか。
  388. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 米軍の所属の詳細については、私の方にはわかっておりません。
  389. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもこの問題も、そういうことになると、あなたたちはわかっておられない。わかっておられな  いということになるのですが、これは、やはり明らかにする必要があると思います。それで、第二種の職員団ですがね、どうも、先ほど申しましたように、特権を辞退するというような形で、実は義務を免除されるような形になる。普通の外交官の特権の免除よりももっと広範なものを持っていると思うのですが、この行動について、やはり日本政府は全くこれはつんぼさじきになっている、こういう点で日本の対米問題をいろいろ考える上において、やはりこういうところに私たちは疑問がこう持たれるわけです。こういう点について、これは外務省は全然これにタッチすることができない、日本人もタッチすることができない、こういう形になっているのですけれども、全然行動については、あなたたちは何らの情報も得ておられないのですか。
  390. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 私どもの方には、MSAの職員が何らかその本来の職務を逸脱した行動があるというような報告には一回も接しておりません。
  391. 岩間正男

    ○岩間正男君 もっとも名簿にも記載しないのだし、自動車番号もこれははっきりしてない。それからいろいろ外交儀礼のそういうようなところにも出ないのですから、これは全くわからない存在、こういうことになるわけですが、どうもこの点はやはり日本の今後の運営の面で考えなければならぬと思います。  その次に私お聞きしたいのですが、先ほど領空権の問題をお聞きしました。日本に領空権はあると、こういうことになっておる。そしてこれも空の管制権については、日本に七月一日に返された、こういうことになっているわけです。しかし、日米合同委員会は今までこの問題についてどういうふうに具体的にタッチされてきたか。たしか森さんは日米合同委員会の日本側の首席だったと思いますが、そうでございますか。
  392. 森治樹

    政府委員(森治樹君) さようでございます。
  393. 岩間正男

    ○岩間正男君 この経過について御存じだったらお知らせ願いたいと思います。
  394. 森治樹

    政府委員(森治樹君) これはすでに御承知の通りでございまして、占領以降、日本側としましては、航空管制を行なうべき専門的な要員も、あるいは施設もございませんでしたので、アメリカ側に航空管制を行政協定第六条に基づきまして移管して、そしてアメリカ側がこの日本政府の委託に基づきまして航空管制を行なっておったわけでございます。先刻大臣が御答弁になりましたように、昨年の七月に、日米合同委員会で、今までアメリカ側に委託しておりました航空管制権をアメリカの専用飛行場に対するアプローチ・コントロールを除きましては、日本側に返還を受けた次第でございます。
  395. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは分科会で扱っておりますか、この内容は。
  396. 森治樹

    政府委員(森治樹君) これは非常に専門的でございますので、分科会で十分議を尽くされまして、そして分科会で一つの決定をなされまして、そしてそれを本会議に持ってこられる、そして本会議で分科会の決定を承認したという格好でございます。
  397. 岩間正男

    ○岩間正男君 この分科会は運輸省ですか。
  398. 森治樹

    政府委員(森治樹君) さようでございます。
  399. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本側では、この分科会のなんですか、主任ですか、そういう方はだれになっておりますか。
  400. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 航空局長だと記憶しております。
  401. 岩間正男

    ○岩間正男君 入間川の管制本部ですね、これは先ほどもお話ししましたように、入間川に移されて、米軍の地下室の一室を与えられるということになって、その付近はほとんど米軍、こういうことになっておる。ここの労働者の問題、これが非常に問題になっている。一週四十四時間、それからこの前の名古屋の空港でも問題になりましたように、非常にやはり勤務は過重だ、仕事の内容というやつは神経のすり減る仕事だ、こういう問題が出ておるわけですけれども、これは外務省の管轄ではないと思うのですが、こういう問題についてこれは航空管制上どういうふうにお考えになりますか。これは外務省の直接の担当ではないようでございますけれども、こういう労務者の待遇並びに労務条件として大へんなこれは問題と思うのですけれども、どういうふうにお考えになるか、お聞きしたい。
  402. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 私の方の所管ではありませんが、何分にもこれは相当の専門的な訓練を要するものだと私どもも承知いたしております。その現在の要員の充実の程度にもかんがみまして、あるいは勤務時間が長くなるというようなこともあるかと思います。これらの点は主管官庁において十分現在留意せられて、その改善の措置を講ぜられるものと期待いたしております。
  403. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 岩間君の質疑は終了いたしました。  杉原委員におかれましては、事務当局に御質疑ございましょうか。
  404. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 あります。事務当局だけ。  事務的な問題、ごく簡単に尋ねたいんだが、鮮魚、台湾、樺太、関東州、旧外地官署職員給与、恩給の支払い等に関する経費がここに計上されておる。私の特にお尋ねしたいのは、これらの官署職員の恩給の支払いに関することだが、その点をまず簡明に説明してもらいたい。
  405. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 恩給の問題につきまして今実は御質問ございましたので、恩給局の方に確めたのでございますが、朝鮮人、台湾人に対する――つまり日本の国籍のなくなった者につきましては恩給法第九条に基づきまして恩給が停止されております。台湾人につきましては、日華条約締結されましたとき以来、朝鮮人につきましては、サンフランシスコ条約締結以来、さようなことに相なっております。そういうことになった人の数ははっきりいたしませんが、大体千名程度ではないかというふうに見ておるようでございます。
  406. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 それでは、ここへ、恩給が停止になっている――恩給等についての経費が必要だというのだから、いかなる理由でそれが必要になっているか、そういうのを、ただ停止になっておるからというだけじゃ説明にならぬじゃないか。
  407. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 私は御質問が朝鮮人、台湾人というふうに伺いましたので……。
  408. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 そんな限定していないじゃないか。これについての説明をまず簡明にしてもらって、あとから個別的に質問するから………。
  409. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) それは、ここに掲げております費用は、日本人に関してでございます。外地から引き揚げてきております日本人、あるいは未引き揚げの人々を対象にした費用でございます。
  410. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 それだから、それに限定されるのだね。そうすると、それの一体何ですか。これはそれらの外地におった日本人の恩給の支払いに関する経費というのは、一体それはどういうものです、内容は。
  411. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 実際問題といたしましては、履歴の調査などをいたします人件費がおもでございます。
  412. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 そういうことを聞きたかったので、恩給費それ自体というものはちょっと常識的に考えてもおかしいようだが、一体どういうことだろうということ。それは何ですか、恩給の支払いについて調査を要する事項、その調査事務経費ということですか。
  413. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) そういうことでございます。実際問題としまして、最近までときどき、自分は外地から引き揚げてきて外地におったときはこういう雇用関係にあった。当然恩給はもらえる立場にあるというようなことを主張いたす例がございまして、それが実際そうであったかどうかということを調査いたしますのに、人件費とともに、それに所要の調査費も要ると、こういうことでございます。
  414. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 その次にお尋ねしたいのは、その調査する対象になる恩給権者の範囲の問題、別の言葉でいえば、そのここに外地の官署職員、その官署職員の範囲というものはどの範囲の者がちょうど対象になっているか。
  415. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) これは当時そこの公務員であった人の範囲でございます。
  416. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 それでは今の言葉でいういわゆる公務員なるものは当時の制度によると官吏、公吏となっておるが、その公吏も含まれるのかどうか。
  417. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 公吏も含んでおります。
  418. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 含む。そうすればその公吏について恩給法上、今、権利の存否の問題だけれども、存在を認められていない者もやはり調査するという……。
  419. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 実際問題といたしましては、その恩給権者であるかどうかということが問題になるわけでございますので、そういうことを調査いたすわけだと思います。
  420. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 その恩給権者なりやいなやということが問題になるということの中身は二つある。一つは、現行法上これこれのものは恩給権があるということを認めたもので、具体的の人についてはそれに該当するかどうかというのを調べる必要があるのと、もう一つは、恩給権そのものが、従来恩給をもらっておったけれども、現在の法制上からすれば恩給権の存在を認められていない。しかし、それらについても何らかの対策は立法論的には講ずべきかどうかという問題があるので、それだからそういう問題に対する今後の方針などをきめる必要からして従来の恩給権者の数などを調べるとか、そういうふうなことを目的としている経費なのかどうなのか。
  421. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) ただいま御指摘になりました後者の方の問題は、これは恩給局の方でいたしますので、今御指摘の第一の部分が問題になるとわれわれは考えております。
  422. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 そこで、後者の問題ですがね、これは恩給局の方でなさるのでと言っておられるが、恩給局の方で調査しているのですね。そこは外務省はどう処置しているか。なさるのでという筋合い、そこで実際はしているのかどうかという点はどうなのですか。
  423. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) われわれの方としては、恩給権者で……。
  424. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 恩給局の方でどうしておるかということを、知らぬなら知らぬでいいから、ついでに聞いておきたいと思う。
  425. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) それは恩給局の方で当然やっておると思うのです。
  426. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 それは恩給権の、現行法制上恩給権の存在しているものについての調査のことは外務省でやり、そうでないものについては恩給局の方でやる、そこの区別の法的の根拠はどこにあるのですか。
  427. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) われわれの方が主として担当しておりますのは、要するに履歴の調査、履歴の証明というような事務でございます。それを履歴に基づきましてはたして恩給があるかないか、また恩給権、その恩給権があるとしてどのくらいの恩給があるかという問題は恩給局の問題になるわけでございます。
  428. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 そうすると、今外務省の方で、つまりその範囲においての調査外務省でやるといった、その法の根拠はどこにあるか。外務省でこの恩給に関するどうせ恩給権の存否の問題に必要だからこそやるのだろうけれども、その部分を外務省でやるという、その根拠はどこにあるのか。
  429. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 私から御答弁いたしますが、旧外地で台湾、朝鮮の総督府等におられた職員の方の書類関係その他の組織がなくなりましたので、その残務整理外務省がその範囲内で引き継いだのでありまして、確かにその官庁に何年お勤めになったのか、それからその当時にあった学校の教員としての学校の先生の経歴がどうであったかというような証明を、外務省がその範囲内において、その職員に対する証明をいたすわけでございます。それを恩給局の方へ回わしまして、恩給局が諸規定に基き、恩給法により、恩給局でそれを裁定しておきめになるのでございます。
  430. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 僕が質問したのは、法的の根拠を尋ねたので、ことに、こと恩給などに関する限りは、それが法的にも効果のある、何らかの法的の意義を持つものでなくちゃならぬだろうと思うが、外務省でそれをやるという、その法的根拠はどこにあるのか。
  431. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 外務省の設置法の方でその業務を引き継いで規定され、また組織令でアジア局におきまして朝鮮、台湾、樺太、関東州、南洋群島その他の地域に関する残務整理事務を行なうことというのが、この権限に属しているわけでございます。
  432. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 もう一つ、別のことをお尋ねしたいのだが、先月、前にやった余剰農産物に関する協定の実施に伴っての積立金の利用に関する取りきめができたと思うが、それの内容の要点を教えてもらいたい。
  433. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) この交換公文は、去る二月十八日にいたしまして即日発効いたしました。これは内容といたしましては、われわれは今日まで二回にわたりしてま余剰農産物の協定をいたしまして、第一次の協定が一九五五年、第二次が五六年でございます。五五年におきまする総額が約八千五百万ドル、そのうちのアメリカ側の使用円として三〇%が使用されております。五六年におきましては六千五百万ドル、米側使用円が二五%となっておったのでございまして、三〇%ないし二五%の米側使用円というものは、協定によりまして次の五つの目的に使われることになっております。第一が、米軍軍人軍属の宿舎建設のため、第二が、第三国のための物資及び役務の調達、第三が、米国農産物の市場開拓のため、第四が、日米間の教育交換活動経費支弁のため、第五が、米国広報活動に要する資金のため、こういうことになっておったのでありまして、これに従ってアメリカ側はこの円を使って参るということになっております。ところが、今日までのところ、だいぶ余りが出て参りました。その余りが現在で二十四億七千八百四十七万五千四百三十一円ということになっておりましたので、これを元来の目的に使う必要がなくなったということで、別の目的に使おうという提案が向こうからございまして、それによりまして、両国間において合意をいたしたわけであります。そうしてその内容は、第一番に、日米両国の、日本の地図作成のため、これが二億五千二百万円、第二が、アジア諸国における軍用車両のわが国における調達及び修理のため五億一千六百万円、第三が、米国農産物の市場開拓のため三億六千万円、第四が、フルブライトの計画の八億四千六百万円、それからその次が、広島、長崎両大学付属病院建設のため、これが主として原子爆弾によりまする被害者の病院でございますが、これは二億一千六百万円、それから最後にアメリカン・スクールの校舎建設のため、これが一億八千万円ということになっておりまして、この提案がございましたので、政府におきまして検討いたしました結果、差しつかえないだろうということで、二月十八日に公換公文をいたしたわけでございます。
  434. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 その中で米国農産物市場の開拒充てるというのは、これはどういうことですか。
  435. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは元来の協定の中にもある費目でございまして、元来アメリカの余剰農産物協定と申しますのは、通常を上回る農産物の供給をこの協定でもって行なうということになっております。従いまして、需要の方がふえてこないと理屈は合わないわけでございます。そこで、その需要をふやすような宣伝も行なわなければならぬということで、これは余剰農産物協定の一つの柱になっております。こういうふうな事情からいたしましても、日本の需要がふえて通常輸入以上のものだから、アメリカから余剰農産物協定によって買った、あるいは日本の農業が不作であって、急に異常な需要ができてきたから買ったということでないと工合が悪いわけでございます。この内容は、従来は主として小麦の需要をふやすための宣伝ということでありまして、これはかつてわが国におきましても、米から小麦にだいぶ転換しようということが行なわれておりましたので、ちょうど日米の目的がそこで合致しておりましたので、そういう目的のために使われたわけでございます。
  436. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 僕はその内容の――協定の字づらじゃなく、実際の事実を知りたいので尋ねておるのだが、これを実際に当てはめてみた場合、具体的にどういうことに使われるのか。
  437. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは、たとえばこの小麦などをどういうふうにしてアメリカでもって食べておるかというようなことにつきまして、日本から公務員あるいは事業家などが向こうへ参る金にも使われております。それから向こうからこちらへ参りまして、実際こういうような食べ方があるんだというようなことをデモンストレートしておるというような事情もございます。実際宣伝カー、宣伝の自動車などがいなかへ参って動いておるようなこともございます。
  438. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 その方はそれでおしまいにしますが、前の方の質問を一つだけ補充して質問したい。さっき答弁の中で恩給権の現在ない者について、それは外務省でやらぬと、恩給局の方でやるでしょうという話があったが、さっきの外務省の官制からいっても、外地に関する残務整理事務の中からそれを除外したのはどういうことですか。一方、現在、つまり現行法上認められる恩給権者に限定して、そうでないものを除外した根拠はどこにあるか。
  439. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) ちょっと私正しく御質問の意味を了解したかどうか存じませんが、要するに恩給というのは日本人、日本国籍というのが前提になっておるわけでございまして、恩給法の規定で日本国籍を失った者には恩給を出さぬということになっておりますので、そういう意味で先ほど御答弁申し上げたわけでございます。
  440. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 あなたはもう少しそこをば実際の問題を研究されて、そういうものは除外すべきものじゃないですよ。現行法上それは認められておる者だけに限ると、恩給の関係、そういうものじゃないですよ。それは当然この中に含まれにゃいかぬですよ。たとえばこの台湾なら台湾の、昔の制度で国の官吏じゃなくても、あすこに公吏として、各道というか、日本の府県、市町村に相当するものがあった。そこにはあなたが言われる公吏だ、これも恩給をもらっておったんだ。ところが、現在はこれらが認められていない。これをどう処理するかというようなことは非常に大きな問題ですよ。そういうものこそ調べなければならない。これだけ特に除外するというのは理由がない。当然そういうものも含まるべきものだと思う。よく調べてみて下さい。調べた結果は、今答弁されておるようには感ぜられないから、一つ、そこはよく調べておいてもらいたい。当然それは含まるべきものですよ。
  441. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) ただいまの御趣旨はあれでございますか、台湾、朝鮮人で官吏なり、公吏であったものにも恩給を支給せよという前提……。
  442. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 そういうことは何も言っていない。日本人です。
  443. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) ちょっとただいまの趣旨がわからなかったのでございますが、日本人であるということを前提にしてというお話ですか。
  444. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 もちろんです。
  445. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) それですから、一応外務省調査いたすことでやっておるつもりでございますが…。
  446. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 私がなぜこんなことを言うかといえば、私からすれば当然のことだと思うのです。あなたがさっき現行法上恩給権の認められていないものについては外務省の方でやらないで、恩給局の方でやっておられるでしょうと言われるから、僕はこういう質問が出てくる。
  447. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 私からお答え申し上げますが、外務省でやっておりますのは、先ほど申し上げました地域の、いわゆる旧外地におりました官公署の職員及びその家族のことに関するもろもろの残務整理についてやっており、また、その引き揚げ関係の留守家族なんかの問題についても処理をいたしておるわけであります。従いまして、恩給があるかないかという決定権は恩給局が持っておるわけでございますが、それらの人のいろいろな証明を出したり、こういう事情になっておるという説明をお聞きし、所要の手続をとったり、あるいはまた、こちらの方から所要の調査をするということは外務省がいたしておるわけであります。
  448. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 僕は当然さっきのなにでそのことはわかっている。それを前提にして、その中から現行法上恩給権のないものについてのそういう書類、証明等については除外するというから僕は質問している。現に公吏については、もとは恩給権があったのにかかわらず、現行法上は認められていない。そういうものに関する書類は当然調べなければならない。除外する理由はない。ところが、さっき除外するから、こういう質問をしている。
  449. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 私、あるいは杉原委員の御質問の趣旨を誤解しておったかもしれませんですが、要するに日本人で当然出ている人は問題はないのでありますが、自分が本来権利者であると主張する人、あるいはあるかないわからぬような人につきまして、その過去の履歴などを調べることは当然外務省の任務だと思います。そこで問題は、履歴が、われわれの調べられた範囲でこういう履歴であるのだが、一体これが最後に実際恩給がもらえるのかもらえないのか、その方がどうなるかという問題は、私はこれは恩給局の方でやっておるというふうに了解しておるわけであります。
  450. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 官房長は僕の問題にしている点をはっきり把握して答弁して下さい。それは何べんも言っているように、公吏については現行法上は恩給権は認められていない。しかし、これは従来認められておって認められていない。これをどう処理するかということは一つの政治問題でもあるんですよ。そういうものに関する書類等は当然際外しないで、外務省調査事項の中に入るべきものですよ。それをあなたがさっきの答弁の中で、そういうものを除外するようなふうにとれるように言われたから、それで僕は質問するのです。そこをはっきりしさえすれば質問はないんだ。
  451. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) そういうものに恩給を支給すべきであるかどうかということは、確かにいろいろ問題だろうと思います。今までのが間違っておりましたら、われわれも反省をして立法論としてでも考えて参るべきかと考えております。
  452. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 君らにそんな恩給権の立法論としてどうするという外務省に任務はないので、そうじゃなくして、今言っているじゃないか。くど過ぎるくらい言っているのに、それを正面から答えぬから。
  453. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) かわってお答え申し上げますが、旧外地の官公署の職員及びその家族につきましては、その身分証明、恩給があるかないかということも外務省の方は詳細にこれを調べて、恩給局の方に提出し、証明すべきものは証明し、恩給をとれるようにしておるわけでございまして、それがとれるかとれないかは、これは外務省の権限外の問題でありまして、外務省として委員のお尋ねの点についての調査はやっておるわけでございます。
  454. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 わしの言うのがまだ何かはっきりせぬね。官吏と公吏と、かりに昔の制度において、官吏の方は現行法上も恩給権が認められるようになったのだ。ところが、公吏の方は認められていないのですよ。そういうものに関する勤務年限とか、いろいろ今後の立法論としてどうするかについて参考になるような、それがためには調査を要する。そういう該当者がどれくらいあるかというようなこと、これは当然あなた調査しなくちゃならぬことでしょう。それが含まれるか含まれないかということなんです、ここに言っている調査の中に。それだけを僕は聞いておる。それを正面から、含まれる含まれぬということを一言でいいから答えて下さい、はっきりと。
  455. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 旧外地の官公署におりました職員については、全部調査しておるわけでございます。
  456. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 つまり、恩給法の現行法上認められていなかったにもかかわらずだね。
  457. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 旧外地の官公署に勤めておりました職員でございますから、その中に各種の態様の人がおるわけでございますが、その職員の人を外務省が引き継いで残務整理を全部処理しておるわけでございます。
  458. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 それでは委員長、私の言ったのは含まれると、こういうふうに解釈いたします。
  459. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) それでは、五時四十分まで休憩をいたします。    午後五時十二分休憩    ―――――・―――――    午後五時五十分開会
  460. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) これより再開いたします。  小林委員大臣に対する持ち時間は二十二分でございます。なお、杉原君が二十五分、島君が二十五分でございます。時間の制約がございまするので、関連質問は努めて御遠慮を願いたいと存じます。  それでは逐次質疑を許します。
  461. 小林孝平

    ○小林孝平君 外務大臣にお尋ねいたしますが、竹島の問題に関連して、外務大臣は、先般の予算委員会におきましても、この竹島の帰属の問題は当事国の問題であるから、第三国からのいろいろなあっせんその他はやってもらわない方針である、こうおっしゃいました。そこで、この当事国である日韓両国が相談をするというのは、この新安保条約の調印前の情勢なのか、新安保条約の調印後は、調印によって、アメリカは純然たる局外者であるということはできないと思うのです。当事国になったといわなければなりません。それは、先般の予算委員会でも申し上げた通り、米韓防衛条約の三条で適用区域をきめておりますが、それに行政的管理のもとにある地域、こういうふうになっている。それで、これは外務大臣は行政的管理と言うけれども、不法な、正当な行政的管理のもとにあるのじゃないとおっしゃいましたけれども、それは日本からの考え方であって、この条約は、韓国とアメリカとの条約なんです。従って、韓国は竹島を自分の領土といっておるのでありますから、この条約には、正当な行政的管理のもとにあることになっているわけです。従ってアメリカはこれを認めてあの条約を調印していると思うのです。今度は日本と、今までの条件と違って、日本は新安保条約で適用地域をきめた。それには竹島が入っている。しかもアメリカは、これは外務大臣のお言葉によれば、アメリカもこれを認めている。こういうことであれば、この竹島を中心にして、アメリカは日本と韓国との間に入って、その当事国になり、そうして竹島は韓国の領土であると認め、また日本の領土であると認める、こういうことになっておるわけです。従ってどうしてもこの際、アメリカに申し入れをして、アメリカはどういう考え方をとっておるのかということをはっきり確める必要があると思うのです。さらにその前に、ほんとうは交換公文かなんかで竹島の問題は明らかにされておらなければならないと思うのですが、その辺のいきさつはどういうふうになっていますか。
  462. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私が先ほど来申しておりますことは、日韓間の問題について、アメリカを含んで第三国に全然頼まないということを申し上げているわけではないのです。できるだけそういうような第三国に頼む、あるいは国際機関にあれする前に、二国間でもってできるだけ話し合いをして、解決さるべきものならば二国間で解決するのが一番望ましい、その努力を続けてきたわけでございまして、これが御承知の通り八年間もかかりましたということは、非常に長いことでありまして、しかも八年間に結果を生まなかったということは、まことに遺憾であります。われわれもそう考えておるわけであります。で、今後の問題として、むろんそういうことでありますから、われわれ、アメリカなり、あるいはその他の第三国なり、あるいは国際機関なりに対して、何らか問題を解決するということについては、これ以上だんだん解決が二国間ともできませんければ、そういった方向に向かって進んで参らなければならぬということを実は先ほど来申しあげておったつもりでございますが、あるいは言葉が足りなかったものですから、その点若干、第三国には全然頼まぬというふうにお聞き取りいただいたとすれば、ただいま申し上げたような考え方であるということを御承知願います。で、特に小林委員お話のありました点につきましては、われわれ今日までアメリカに、十分竹島の問題については説明をしてきております。また、それに対してアメリカも十分了解いたしておると思っておりますから、特段に、今回条約締結する場合に、お話のような措置はとらなかったわけでございますし、また、とらなくても大丈夫だと私どもは信じておるのでございまして、従来の経緯にかんがみまして、将来そういう必要がありますときには、その方法をとってこの問題の解決に資していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  463. 小林孝平

    ○小林孝平君 ところが、この日本との関係は、外務大臣がおっしゃる通りでいいかもしれませんが、韓国とアメリカとの条約で、この竹島ははっきりと韓国の行政管理下にあるということで、韓国の主張が行なわれ、そうして条約に両方調印しているんですから、アメリカも、何らこの竹島を除くとか何とかいうことをいわない限り、これは両方で竹島を認めることになっているんです。日本が、それは不当だといったって、アメリカと韓国との関係においては、そういうことはこの条文で明らかになっているわけなんです。外務大臣が幾らおっしゃったって、この条約を訂正するなり、あるいは何かはっきりした意思表示がない限り、今大臣が何べんおっしゃったって納得できないんです。
  464. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私ども竹島の経緯について、過去における連絡、いろいろな歴史的な事実等については、アメリカに十分了解をさしておりますし、また、アメリカも了解をいたしております。また、米韓条約の上における行政管理下という問題について、竹島がカバーされているとは私どもは考えておりません。従いまして、私は、特別にこの問題について何らか、文書かなんかでとる必要はないと考えておるのでありまして、その点は、小林委員としては、それではだめじゃないかというお話でありますけれども、私としては、従来の経緯から見まして、十分それで将来問題の解決に資していける、こう考えておるわけでございます。
  465. 小林孝平

    ○小林孝平君 外務大臣、アメリカと日本との関係だけなら、それでいいのです。韓国とアメリカとの関係をあなたがそう思っているとおっしゃったって、表面に出たところは、ちっもとそうなっていないのです。竹島は韓国の領土であると現に言っているのです。そのために紛争が起きている。そう言っていれば、行政的管理のもとにあるのです。外務大臣は、それは不当である、それは日本と韓国との関係においては不当である、不正である、しかし韓国自身からいえば、何ら不正でもなんでもない、これは自分の領土である、こう言っているのですから、当然条約の行政的管理のもとにあるのです。従って、アメリカが藤山外務大臣のおっしゃっている通りを完全に納得しているということになれば、この韓国との問の条約は、これはアメリカは不信行為を行なっているということじゃないですか。
  466. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は、完全にアメリカが了解しておると思うのでありまして、たとえば第五条の適用の場合でも、条約が発効したから、すぐにそれが適用されるという事態ではなくして、平和的にこれは解決する、今までの道筋を歩いてきておるわけです。先般も御質問ありましたように、将来竹島のような問題が突如として起こるというような場合には、当然第五条は発動するということになりますけれども、現在の場合におきましては、そういう形においてないのだ、これは過去のいきさつ等によって、平和的な紛争処理の問題として解決するのだということを、十分アメリカは了承いたしております。従いまして、私は、今言ったようなことが考えられないというふうに考えておるわけなんでございます。
  467. 小林孝平

    ○小林孝平君 この第五条の問題を出されましたけれども、今私が申し上げておるのは、第五条との関係を申し上げているのじゃないんです。こういうようなあいまいな、両方に、それぞれ竹島でもって紛争を起こしている、その両方の間に立って、アメリカは、日本にも竹島は日本の領土であるかのごとく話をしている。韓国に向かっては、韓国の主張をそのまま認めているから、この今の米韓防衛条約というものが成り立っているわけです。もし認めていなければ、この条文は変えなければならぬわけです。行政的管理のもとにあるという、そういうところが、藤山さんは善意にものをお考えになっているけれども、それははっきりしておかなければならぬ問題じゃないか、そこで私が申し上げるのは、こういう点が多々あるわけなんです、今回の条約にははっきりしない点が。そのはっきりしない点の一つとして今これを申し上げているので、どうしてもそれは納得できません。先ほども条約局長にだんだん聞いておるうちに、条約局長も、この行政的管理のもとにあるというのは、日本側から見れば不当であるかもしれぬけれども、アメリカと韓国との間においては、これは日本からとやかく言っても、竹島はこの行政的管理のもとにあるというふうに解釈するというようなことを言われているのです。あまりはっきり言うとまた困るから、その程度にしておきますけれども、大臣、もっとはっきりされたらどうですか、はっきり。
  468. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろん私としては、はっきりさしていくべき問題については、できるだけ条約交渉にあたっても、その他の場合でも、はっきりいたしていきますことは、これは当然、われわれ日本の独立ということのために外交は働いておるわけですから、当然そういう点でいくべきだと思います。その点において、決して私人後に落ちるつもりはございません。ただ、しかし、こうした国際問題の解決にあたりまして、はっきりしなくていいということではございません。けれども、しかしながら、今までの事情から申しまして、われわれが申していることが十分アメリカに対しても理解を得ているという強い確信を持っておりますので、私は現在それで十分であり、将来の解決に支障を来たすことはないというふうに考えているのでございます。
  469. 小林孝平

    ○小林孝平君 私は具体的にそれが紛争が起きるとか何とかいうことを言っているのじゃないのです。こういうことは、もう条約としておかしいではないか、このくらいはお考えになってもいいのじゃないですか。実際問題として紛争の種になることはない、そのくらいは外務大臣おっしゃったっていいじゃないですか、これはおかしいのですから。
  470. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 竹島は日本の領土であり、施政権があり、そうしてそれが不当に占拠をされているということを理解しているということは、米韓条約におけるこの問題の対象地域ではないという意味に解して差しつかえないと思うのでありまして、われわれはそういう立場の上に立って話し合いをしてきているのであります。その点において、われわれは今申し上げたように言っているわけでございます。
  471. 小林孝平

    ○小林孝平君 それならばもう一度問題をもとへ戻して、あなたはアメリカが十分理解している、理解していると言われますけれども、何を根拠にして理解しているのですか。今まで事務当局から聞くと、何回となくアメリカに言っているけれども、アメリカからは色よい返事どころではない、何とも、うんともすんとも返事は一度もないのですよ。そうおっしゃったのです。あなたは何を根拠にして、アメリカはあなたの、日本の主張を理解しているということを判断されたのですか。
  472. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この問題についていろいろな問題を話し合っておりますときに、日本立場を理解しておりませんときには、それに対して、いろいろな質問も参りますし、あるいはいろいろな意見も出てくるわけでございます。  しかし、そういうものが出てこない以上は、われわれとしては、それがやはり理解されているということに前提を置きますことは、国際的な話し合いの上において当然のことであると、今までの例で考えておるのであります。
  473. 小林孝平

    ○小林孝平君 そんなことはおかしいじゃないですか。今まで何回も言ったけれども、具体的に返事がない。その問題は、さっき事務当局とだいぶやりましたから、ここで繰り返しませんが、今回のこの条約締結に当たって、何回もやって、八年間もやって、結果が得られない。  そこで今回は、この第三国の介入でなくて、当事国にアメリカもなるのだから、この機会に、この条約の調印の際に、この竹島の問題は、この新しい条約を結ぶことによって、非常にその明確を欠くようになるから、何とかアメリカとしても、はっきり意思表示をしてもらいたいというくらいのことは言ったっていいじゃありませんか。またやるのが当然じゃないですか。過去において、何回どういう交渉をやられたのか、私はお尋ねしても、予算委員会でお答えがなかった。あまりやられないからお答えがなかっただろうと思うけれども、今回のこの機会にやるべきじゃないですか。  それから、私はもう一つ、時間の関係もあって申し上げますが、外務大臣は、二国間のことは、二国間で解決する、こういう建前をとって、そうして、こういう重大な問題を今回アメリカから介入をしてもらうのは当然なのをしてもらわない。それならば、先般の八一ター国務長官の韓国に対する警告は、日本はありがた迷惑とお考えですか。今までのあれでは、そういうことになるのじゃないですか。二国間は二国間で問題を処理する。れあほど強く言っておられるから、ハーター国務長官のあの警告は、日本としては迷惑ですか。
  474. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) これは、先ほど来申し上げておりますように、二国間でできるだけ問題の紛争の解決について努力をする。できなかった場合には、第三国の調停、仲介なり、あるいは国際機関なりにかけて、当然これは解決をしていかなければならぬと思います。  むろん、二国間の交渉が短期間であれば、そういうことをできるだけ続けて参りますけれども、今日になりますと、八年も続けている交渉でございますから、もうある程度二国間の交渉では非常に困難であろうということは考えております。でありますから、アメリカが、こうした問題について、おのずから適当な時期に問題の解決に対して、われわれの要請なりあるいは従来の経緯から見て、自発的に適当な時期に問題の声明をするというようなことは、これは私ども決して迷惑でも何でもないわけでありまして、この前も申し上げたと思いますけれども、日韓会議を開きます前の予備折衝の場合に、相当長期にわたって財産請求権の問題、在韓財産の問題について、いろいろ二国間で話し合いまして、議論が結局妥結に到達いたしません。従って、アメリカの解釈によりまして、最終的決定をいたしたようなわけもございます。従って、現在私は第三国のあれなり国際機関なりというものに対して、問題が解決しないときに、その援助をこうむる、あるいは調停、仲裁を取ってもらうということについて、決して私はやぶさかではない。ただ二国間の問題は、できるだけ二国間でまず話をしていくということが原則でなければならぬだろう、そうしてそれに努力するについては、やはりあるいはそれに努力してみなければならぬ、しかしそれがあまり長くなるということになりますれば、そういうことにするということで、決して先般のあれを迷惑だとも考えておりません。
  475. 小林孝平

    ○小林孝平君 今のその資産返還のような、そういう軽微な問題でも、アメリカの調停か何かを要請しておる。さらに今回のハーター長官の警告は、日本にとって迷惑でも何でもない、非常に喜んでいる、こういうようなことであれば、それに比べものにならないほど重要な問題、しかもこれは新安保条約の調印、批准と関係のある問題だから、当然この際、アメリカにそれを要求される必要があるのじゃないですか。どうですか。おやりになる意思はございますか。
  476. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 重ねて申し上げております通り、この事態について、十分に了承しておると思うのでありまして、従って、今後むろん竹島の問題の解決というものを日韓会談と並行して手をつけて参ります。そのどこの段階か、もし両国で話し合いがつきませんければ、当然、これは第三国なり、国際機関なりに訴えて、そうしてその処置を待つということにいたしていくべきだと思っております。
  477. 小林孝平

    ○小林孝平君 この国際機関国際司法裁判所に提訴するというようなことは、この新安保の調印前はあれなんですが、この新安保条約の調印によって、その前に、アメリカに直接解決をさせるということがまず第一点なんです。だから、それはぜひおやりになるのが当然であって、それをやらなければ、この批准ができないのじゃないかと思うのですね。  これは今後安保特別委員会で、また十分審議をいたしますけれども、外務省事務当局も、こういうふうな調印に至るまでの事務的折衝において、非常に重要な点を怠慢の結果やっておらないことになったのは遺憾だと思うのです。従って、よく研究をしていただきたい、こういうふうに思います。  そこで、もう御答弁をお願いしましても、藤山さんは、いつも同じことばかり繰り返されて進展しませんから、あらためてやりますから。この次の問題は、先ほど事務当局にお尋ねいたしましたけれども、この北鮮帰還の問題と関連いたしまして、北鮮の新聞記者と日本の新聞記者それぞれ十六社の記者を相互交換することになっておったのです。  ところが御承知のように、北鮮は、清津に上陸した後平壌まで日本の記者を迎える。日本は新潟でなければ困る。東京まで来ることは困るということで、もう一切の準備が完了しておるのを、そういう日本政府の態度のために、いまだにこれが実行されていないのです。  そこで、外務大臣にお尋ねいたしますが、なぜ新潟までならよくて、東京は困るのですか。同じ日本じゃないですか。
  478. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この問題は、北鮮の帰還という問題は、純人道上の見地から、国際赤十字に委嘱いたしまして、そうしてその監視下において、われわれはやっておるわけであります。従って、国際赤十字としても、政治的なできるだけ味のつかないようなというようなことを希望しております。われわれといたしましても、そういうことを十分考えてこれを実行して参りますことが必要であろうということは私ども考えております。それが円満に、この問題を根本的に推進させるゆえんだと思うわけでございまして、特に、当時の情勢からいいましても、直ちに東京まで新聞記者を入れるというような状況にはございません。でありますから、当時の状況におきましても、何といいますか、帰還船によります新聞記者の交換というものは、むろん新潟までであってそうして、それ以上ではない。同時にこちらから、かりに、もし乗っていくとすれば、清津までであるということであるわけでありまして、別個に、他のルートをもちまして参るということについては別でございますけれども、この問題に関して帰還船を利用するという形においてはそうせざるを得ないのが、今日実情でございましてそれをすることによって、むしろ北鮮帰還が円満にいっているということを申すことができると思います。
  479. 小林孝平

    ○小林孝平君 先ほど伊関局長お話でも、まだ交換は、東京まで来る、向こうは平壌まで行ける、これは少し時期が早いように思う、こういうことなんです。それで時期が早いように思うということですから、いつになったらいいのですか、具体的に。その支障はない、時期は早いように思うからというのですから、その時期はいつか。  それからもう一つは、そういう外務省が、今まで政府が渋っておられた一つの理由は、この抑留漁夫の送還の問題に関連して、これがこじれると、また工合が悪いということも配慮されて今日に至っているのです。これが伊関局長の非常な努力で解決いたしましたから、今や、いいんじゃないのですか。時期としては、もう工合がいいんじゃないのですか。
  480. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 従来からの例に見まして、日韓間の会談というものは非常にデリヶートでございまして、まあわれわれとしては、しかし日本側で、不当なことをやっているわけではございません。しかしながら、向こう側において、相当神経質であるのでありまして、われわれは、一方では北鮮帰還を円満にしながら、一方では抑留漁夫も円満に一日も早く帰したいと、そうして日韓会談を進めて李・ラインの問題等もやりたいと、まあ欲ばっておるかもしれませんけれども、両方円満にできるだけ進めるということのためには、できるだけ刺激の起こらないような方法をとることが必要であると、こう考えております。
  481. 小林孝平

    ○小林孝平君 時間があまりありませんから、簡単に一つお願いします。  私の言うのは、この今日まで延ばしていた一つの理由は、抑留漁夫等の日韓会談がうまくいかなくなると悪いからというので、まあそれまで待てというような含みが相当あったと思うのです。それが今や解決をした。非常に外務省としては、近来ない成功をおさめられた。そこで、時期としていいのじゃないか。さらに具体的に、伊関局長にお尋ねしたら、やや、今まで延ばしていたのは、時期として早いのではないか、こういうお答えであるから、いつになったら、早くないのか。もう一月か、あるいは半月か、具体的に、早いと思うと言うのだから、いつになったら、早くないのか。具体的に一つお尋ねいたします。
  482. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今、北鮮との新聞記者の交換等をいつにするかというようなことを、この席で申し上げることは適当でないと思っております。
  483. 小林孝平

    ○小林孝平君 その問題はやめますがね、先ほどの問題です。  またもとに戻って、批准までにアメリカに申し入れをされる意思があるかないか。それは具体的に、今度、これはいいでしょう
  484. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私としては、竹島の問題を根本的に解決するということが、まず第一だと思うのであります。でありますから、そういう点について、今後できるだけの努力をいたしたいと思っております。
  485. 小林孝平

    ○小林孝平君 批准までに、そういうことを申し入れをされますかどうか。必要なんだから。  もしそれをされないということになったら、これは非常に問題だと思いますね。
  486. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私、現在批准までとか、先般来申し上げておりますように、批准までとか批准後とかいうことを、実は考えておらないのであります。竹島の問題をできるだけ根本的に、一日も早くすみやかに解決する方途をつけておきたい、こういうことでございます。
  487. 小林孝平

    ○小林孝平君 私のお尋ねしているのは、批准までにそういう手続きをとられるかどうか、極東の範囲も非常に問題になっているけれども、(「批准の条件」と呼ぶ者あり)その問題の重要性は極東の範囲と同じだと思うのです。だから今も辻委員が言われるように、批准の条件、私もさっきからそれを申し上げておる、そういうことをおやりになるかどうか。
  488. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 批准の要件として、アメリカ側にそれを申し込む考えは持っておりません。
  489. 小林孝平

    ○小林孝平君 要件としてでなくても、具体的に申し込まれるのか申し込まれないのか、批准のわれわれは要件だと思うのですけれども、あなた方は、それは認められなくても、とにかく重要な問題だから、これを申し込まれるのか、申し込まれないのか。
  490. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 重要な問題ではあろうと思いますけれども、私どもとしても、過去の経緯から十分了承いたしておるつもりでございますので、現在すぐに申し込むという考えはないのであります。
  491. 小林孝平

    ○小林孝平君 すぐではない。
  492. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 批准までの間に申し込むということは、まだ考えておりません。
  493. 小林孝平

    ○小林孝平君 もう一つお伺いしますが、それならば、過去八年間努力せられたと、こうおっしゃいますが、過去八年の努力はわかりますが、この新安保条約の調印によって、過去の努力と今度違う条件が出てきた、そういうふうにお認めになりませんか。
  494. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この点は現行安保条約から見ましても、今度の安保条約から見ましても、特に変わったというふうには私どうも考えておりませんし、今度の場合においても、今申し上げたようなことなんでありますから、特に今度の条約ができたから、何かしなければならぬという強いあれではないと思っております。
  495. 小林孝平

    ○小林孝平君 変わったことがない、冗談じゃない、現行安保条約なら竹島は武力攻撃の対象にならない、それをあなたはこれは武力攻撃であると認め、第五条を発動する、これは過去において交渉しておったから、実際はやらないけれども、第五条の適用は受けられるものである、こういうふうに御発言になった。私は、そういう発言が政府からされるとは思わなかったのです。もっと別の言いのがれをされると思ったら、はっきりとそういうことをおっしゃった。これは大へんだと、こう思った。だからこの問題が何ら過去の条件と違わないなどとおっしゃるのはおかしいのです。こんなことはおかしいですよ。条約局長どうです。非常に変わっているのです。私は、あのときはびっくりしたのです。
  496. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) 全く同じでございまして、前とあとでは変わっていないと考えております。
  497. 辻政信

    辻政信君 この小林委員の質問は、私は党派をこえた国家的な問題だと思います。なぜならば、竹島問題というものは、政府はまあ一通りの手続きはとられたでしょう。八年間四十一回の抗議、しかしこれは抗議で解決ができぬということは御承知のはずです。八年もやっていれば、先ほど外務大臣も率直に、至らない点があったとお認めになっている。そこで問題は、この安保改正条約の批准ということが大きな外交上の転機になると思います。これをなぜ取り上げるかといえば、米韓条約でも竹島が含まれている、日米条約でも含まれておるということは、何といっても国民に納得のいかない不合理でありますから、批准までには、まだどんなに順調にいってもニカ月以上かかりますから、ひょっとしたら来年になるかもしれませんから、とにかく国民に対して、この竹島問題というものは、今までやっておったのはどうもまずかった。これからこの機会に解決するということを、そういう意味におきましても、私はアメリカに対して、一体どっちなんだ。この竹島は米韓条約に含まれておるのか、日本の方に含まれるのか、はっきりしろという意思表示ぐらいは、これは外務大臣おとりになってもいいのではないか。今すぐとはいいませんよ。釜山の漁夫が帰ってくるまでは待ちますから、そうしたら安心して国民の疑惑をこの機会にお解きになることが、八年間の怠慢外交、その怠慢外交に終止符を打たれる道じゃないか、こう思うのであります。新聞に出るからとおっしゃれば、これは出さんように手を講じて、ほんとうにこのニカ月間というものを竹島問題解決の絶好、最後のチャンスとして、アメリカに対して強く出られることが必要ではないか、かように思いますがいかがでございますか。
  498. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 竹島の問題の解決については、辻委員と私とはそう変わった考え方ではございません。従いまして、できるだけ早期にこの問題を解決していくということについての努力を惜しまないつもりでございます。ただ、先ほど言われましたように、今直ちにこういう問題について私がアメリカに対して何かの了解と申しますか、文章を作って交換するということを今いたすということは、申し上げかねるわけでございますので…。
  499. 辻政信

    辻政信君 それは申し上げかねるということは、いろいろデリケートの問題があると、こう解釈してよろしゅうございますか。――それは無理に出せとは言いませんよ、相手がありますから。
  500. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろん私ども先ほどから申し上げておりますように、われわれの立場というものを十分アメリカは了解いたしております。そしてこの問題についても私は誤解がないと思っております。しかしこの問題を根本的に解決する上において、必要な打つべき手というものについてできるだけ打っていくということについては、決してこれは竹島問題を今後ともなおざりにしていくという意味ではございません。その点は私どもも――しかも八年も長い時期をかけてまだ解決しない問題であるとすれば、これはできるだけ早い機会に解決してもらわなければならんことは、これは当然でございます。でありますから、そういう努力を惜しむものではないということははっきり申し上げられると思います。
  501. 小林孝平

    ○小林孝平君 それならばアメリカに調停してくれと言うことは早急にはできないと、まあ今後どういうふうにお考えになるかしらんけれども、早急におやりになる様子はない。それならばこれだけこの問題に国民が関心を持って、国会においても相当論議をされておるのですから、やってくれとは言わないけれども、日本の国会でこういう論議があったということを、この四十二回目のアメリカに対する抗議……ではないけれども、了解交渉を四十一回やられたというのですが………ああ、これは韓国ですか。アメリカには相当何べんもやられたらしいが、今度新たに、最近日本の国会において、こういうふうな論議が非常にあって、安保条約との関係でなかなかむずかしいという、この空気、情勢をアメリカに伝えることはいいじゃありませんか。それはおやりになりませんか。そういうことはおやりになる……
  502. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先ほど来申し上げておりますように、私としては二国間の問題についてできるだけ……。しかし、それでは将来全然第三国に頼まないかというと、頼まないというだけで済もうとは思わないのでありますから、従ってアメリカには十分こうした問題の経緯については通報いたしておりますし、アメリカばかりでなくかりに国際機関等に頼みます場合の必要もございますから、それ以外の各国に対しても、日韓問題というのはこういう問題であって、こういう係争の問題があるのだということについては通報をいたしておるわけでございます。従って日韓間の問題について、アメリカに対して十分今日の状況を報告するというようなことはやっておるわけでございますから、決してそういう点をないがしろにしようとは私ども思っておりません。
  503. 小林孝平

    ○小林孝平君 私が言っておるのは、過去におやりになったことを聞いておるのではなくて、将来おやりになるかどうか留保されていますが、具体的に言っておるのは、最近の国会の空気ですね、これをアメリカの国務省にこういう情勢であるというくらいのことはおやりになったらどうですか。情報文化局というのがあるじゃないですか、そのために。そのくらいのことは、日本の国会でこれだけ論議をされているということくらいはアメリカに伝えたっていいんじゃないですか、それでやってくれというのじゃないのです、こういう論議があるということくらいは。それはだめですか。
  504. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日韓間の問題について常時国民的な感触等につきましても、われわれは時に応じてアメリカ側に通報いたしております。そういうことはこの問の漁夫問題に対するハーター声明にもなったわけでございまして、今われわれが決してそういうことをないがしろにしておるというわけではないのでございまして、その点は御了解いただきたいと思います。
  505. 藤田進

    ○藤田進君 ちょっと速記をとめていただきたい。
  506. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) ちょっと速記をとめて下さい。    午後六時三十一分速記中止   ―――――――――――――    午後六時四十四分速記開始
  507. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 速記を始めて、小林君の質疑は終了いたしました。なお、質疑通告者のうち、島君並びに杉原君の行方が、お尋ねいたしましたけれども不明でございますので、質疑はこれにて終了いたしました。  ほかに御質疑もないようでございますから、外務省所管に関する質疑は、この程度で終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  508. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) さよう決定をいたします。  明後二十八日は午前十時より開会いたし、科学技術庁所管の事項について御審議を願うことにして、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十五分散会