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1960-03-25 第34回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十五日(金曜日)    午前十時十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    主査      佐藤 芳男君    副主査            藤田  進君    委員            大谷藤之助君            杉原 荒太君            苫米地英俊君            小林 孝平君            辻  政信君            岩間 正男君   国務大臣    国 務 大 臣 赤城 宗徳君    国 務 大 臣 菅野和太郎君   政府委員    調達庁長官   丸山  佶君    調達庁総務部長 大石 孝章君    調達庁総務部会    計課長     鐘江 士郎君    調達庁不動産部    長       柏原益太郎君    調達庁労務部長 小里  玲君    経済企画庁長官    官房長     村上  一君    経済企画庁長官    官房会計課長  塚本  茂君    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    経済企画庁総合    計画局長    大來佐武郎君    経済企画庁総合    開発局長    藤巻 吉生君    経済企画庁調査    局長      金子 美雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十五年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、経済企画庁所管議題といたします。  まず、政府から説明を願います。
  3. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) ただいま議題となっております経済企画庁予算案について御説明申し上げます。  歳出予算要求総額は四十六億三千七十三万六千円でありまして、これを前年度予算額三十七億四千二百六十五万九千円に比較いたしますと八億八千八百七万七千円の増額となっております。  この増額となったおもな理由は、離島事業費が七億一千六百二十万円と、国土総合開発事業調整費において一億二千万円増額となったためであります。  次に、経費の内訳を申し上げます。  第一に、経済企画庁の項では、要求額は四億一千二百七万三千円でありまして、前年度三億七千二百九十八万円に比較いたしますと三千九百九万三千円の増額となっております。  この要求経費内容を御説明申し上げますと、人件費二億四千四十万八千円と事務費一億七千一百六十六万五千円であります。  この事務費は、一般庁務の運営経費並びに次に申し上げる内容のものであります。  一、国民所得倍増計画を策定し、長期経済展望の作業を実施する経費は、経済審議会経費とともに前年度に比し若干増額し、合わせて六百五十九万四千円であります。  二、わが国経済に関する年次計画の策定、海外経済協力の推進、基本的な経済政策企画立案並びに肥料審議会その他各審議会運営等に要する経費が三百七十四万七千円であります。  三、わが国内外の経済の動きを的確に把握し、また経済白書等報告書及び統計指標を作成する等経済動向調査分析に必要な経費が三千六百二十一万八千円であります。  四、わが国経済の構造と経済の循環その他経済の基本的な事項を調査研究するために要する経費が一千一百四十九万一千円であります。  五、わが国国富調査は戦後初めて昭和三十年に調査を実施しまして、次の本調査昭和四十年を予定しておりますが、新年度は両調査年度中間に当たりますので、簡易な中間調査を実施いたします経費として五百七十六万八千円を要求しております。  六、河川、湖沼、港湾沿岸海域等公共の用に供する水域水質の保全をはかり、あわせて水質の汚濁に関する紛争の解決に資するため、水質審議会運営し、公共用水域調査に関する基本計画の決定及び公表並びに水質規準調査設定及び紛争処理事務を行なうため、これに必要な事務費三千七万五千円を要求しております。  七、国土総合開発調査に必要な経費は二千八百七十二万六千円でありまして、前年度二千三百七万六千円に比較いたしますと五百六十五万円の増額となっております。  この経費は、国土総合開発法電源開発促進法特殊土ょう地帯災害防除及び振興臨時措置法離島振興法東北開発促進法台風襲地帯における災害防除に関する特別措置法等の各法律に基づきまして、それぞれ災害防除生産力の発展を促進する諸施策を樹立するために要する経費国土総合開発審議会電源開発調整審議会特殊土ょう地帯対策審議会離島振興対策審議会東北開発審議会九州地方開発審議会台風襲地帯対策審議会地盤沈下対策審議会運営に要する経費であります。  なお、九州及び四国地方等総合開発を促進するための調査費として九百三十九万五千円を要求しております。  第二に、土地調査費の項では要求額は一億九千五万四千円でありまして、前年度一億七千七百二十七万円に比較いたしますと、一千二百七十八万四千円の増額となっております。  その内容を申し上げますと、基準点測量におきましては四等三角点新設点数を九百五十点と予定し、これに要する経費として二千六百三十六万五千円国土調査法の規定によって、地方公共団体土地改良区等が地籍調査を行ないますときの補助金として一億五千六百四十七万九千円、土地分類調査水調査については五百三十二万九千円となっております。  第三に、国土総合開発事業調整費の項では、七億七千万円を要求しております。  国土総合開発法に基づく開発事業は、各省各庁によってそれぞれ所管を異にして実施されるため、開発事業相互の進度に不均衡を来たし、総合的な効果が発揮せられない場合があります。このような場合に、経済企画庁がこれを調整いたしまして、総合開発効果を上げようとするものであります。特定地域及び調査地域並びに東北地方四国地方九州地方及び首都圏地域における開発事業を対象といたすものであります。  第四に、離島振興事業費の項と揮発油税財源による離島振興道路事業費の項を合わせて要求額は三十二億五千八百六十万九千円でありまして、前年度二十五億四千二百四十万九千円に比較いたしますと七億一千六百二十万円の増額となっております。  この経費離島振興法に基づきまして離島において国が行ないますところの治山治水道路整備港湾漁港食糧増産等公共事業に必要な経費と、地方公共団体等が行ないますところの公共事業農山漁村電気導入事業簡易水道事業に必要な事業費を補助するための経費であります。  この経費は、経済企画庁に一括計上したもので、その使用に際しましては、実施に当たる各省所管に移しかえるものであります。  以上で経済企画庁予算説明を終わりますが、なお、御質問に応じて詳細御説明を申し上げたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の上すみやかに可決せられんことをお願いいたします。
  4. 辻政信

    辻政信君 経済企画庁岸内閣経済に関する総合的な最高のブレーンだと思いますので、きょうは主として燃料対策について、これは大蔵省所管やら、通産省所管等もあるのでありますが、それらを総合なさって、エネルギー総合的対策から長官石油問題について、どういうような考えを持っておるかということを承りたいと思います。  この前の委員会の答弁で、エネルギー総合対策を、今審議会を開いて検討中であり、その結論がまだ出ておらない、こういうので延ばされております。その結論は大体いつごろ出るというお見通しでありますか。
  5. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 経済審議会エネルギー対策部会を設けまして、エネルギーの根本問題について、今審議をいたしているのでありますが、大体、昨年この審議を始めましたときには、この三月の終わりに結論を出すという予定になっておったのであります。ただいまの進行状態では、おそらく四月中旬ごろにその結論が出るのではないかというふうに見ております。
  6. 辻政信

    辻政信君 こういう機関が方々たくさんできておりますが、ただ学者とかその他の人を集めて、漫然と議論しても仕方ないと思います。私はこういう審議会ができるときには、政府の根本的な腹案を示して、そうしてその具体策について検討せられるべきものである、無責任な委員が出て、いろいろ議論した上、でっち上げた方向というものをうのみにすべきものじゃないと思います。大方向政府が示さなければならぬと思います。従いまして、このエネルギー研究委員会に、長官として、国全般立場から、どういう方向をお示しになって研究を開始されておるのか、それをまず承りたい。
  7. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) ちょっと局長から……。
  8. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 昨年の春エネルギー部会経済審議会に設置されまして、そのねらいといたしますところは、この一昨年、三十二年にできております現行の長期計画エネルギー計画内容が、主として物量的な面の検討に少し片寄っておりまして、価格による影響という問題の掘り下げが足りなかったのではないかというような点がございましたので、かたがたいろいろそのエネルギーの問題が、石炭中心にいたしまして、非常に重要な問題になってきておりましたので、新たに設けましたエネルギー部会といたしましては、第一に石炭石油、その他のエネルギー長期価格変動についてのデータを検討いたしまして、将来の価格問題、値段の問題の検討をやる、それを基礎にいたしまして、特に石炭石油競合需要関係見通しをつけて参ります。で、まあ将来ある石油価格を想定いたしまして、それと競争し得る石炭というのはどういうコストになっておるか。あるいはその場合に、単にカロリー値段だけでは参りませんで、メリットというものがございまして、石油をたく場合の方が同じカロリー当たりでも石炭から比べてコストが安く上る。たとえば、発電所の場合に貯炭場が要らなくなるというような問題がございますので、そういったメリット比較を各エネルギー消費産業について、かなり詳細に検討いたしまして、それで、今の石炭石油比較を行なって、まず最初に値段で割り切った検討をいたしまして、次に今度は価格だけではいかない。国際収支外貨の節約の問題、それから雇用に対する影響、それからエネルギーを安全に確保できるというような国の政策立場、つまり値段の問題から出発いたしまして、最後国際収支雇用、それから安定的な確保、そういった問題で総合的に検討いたしまして、今後のエネルギー問題のあり方を明らかにしようというわけでやっておりまして、大体検討は進んでおるわけでございますが、たまたま、所得倍増計画の作成が現在同時に進行いたしておりますので、このエネルギー消費というのはエネルギーだけでは片づかないと申しますか、鉱工業生産の水準とか経済成長率とか、そういうものに非常に関係いたしておりますので、具体的な数量的な結論というものは、やはり所得倍増の一環としてのエネルギー政策というふうにまとまってくるのではないかと考えておるわけでございます。
  9. 辻政信

    辻政信君 一番重要な問題は、石炭石油関係だと思います。そこで、その結論を出される前に、政府としての方針委員会にお示しになるべきものじゃないか。この石炭産業保護育成考えることはもちろん重要でありますが、単に、失業救済としての保護政策であってはならない。もしそういうことをして、こそくな、いわゆる価格検討だけに終わってしまいますというと、再び壁にぶつかる、こう思うのであります。でありますから、石炭から石油へ大きく変わっておるというこの方向には抗し得ない。こそくな手段じゃなしに、根本的な政策が必要である、こう思うのであります。従いまして、石炭産業の斜陽化による失業というものは、他の産業開発事業に積極的に吸収すべきものと考える。その点長官のお考えは……。
  10. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) ただいま辻委員のお尋ねの中にあったんですが、石炭産業が全部だめになるとは考えられない。現在の日本石炭産業のうちで、石油と相対立して存立し得る石炭産業はあると思います。それはやはり維持していくという建前でいかなきゃならぬ。石油と対立できないような、不良と申しますか、そういう炭山は、これは閉鎖して、そして失業者は救済するということをやるのでありますからして、従って、失業者救済ということは二次的な問題でありまして、やはり問題は、石油と相対立して存続し得る石炭産業は、これはあくまでこれを維持していくということ、そしてそれ以外は石油なり重油を用いるという政策でいかなきゃならぬのではないかと考えております。
  11. 辻政信

    辻政信君 そこで石油問題に入りますが、現在の国内で消費する石油は、年間どのくらいと御検討になっておりますか。
  12. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) ただいま二千五百万キロリットル、詳細な数字は申し上げますが、昭和三十四年度の推計で、需要の総計が二千二百三十五万キロリットルになっておるわけでございます。
  13. 辻政信

    辻政信君 それが五年後にどのくらいに伸びるとお考えになっておりますか。
  14. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 実は長期計画考えました数字に対しまして実績の伸びがかなり大きいわけでございまして、長期計画では石油消費量が三十七年度に二千八百八十三万キロリットルと見ておるわけでございます。しかし、これは二年半ばかり前にできました計画で、その後の数字の上から申しますと、この数字かなり上回るのではないだろうかというふうに見ております。
  15. 辻政信

    辻政信君 私は今のお見通しは過去の実績と現況から見て非常に低いと思います。まだまだわれわれの想像外に伸びていくのじゃないかと、こう思うのでありますが、このように伸びる需要に対して国内開発というものはこれは微々たるものであります。どんなに努力しましても九五%以上は大体外国からの輸入にまたなけりゃならぬ。政府方針国内開発重点を置かれようとするのか、それとも外地に資本を投下して、あるいは原油輸入ワクを拡大して需要を満たそうとされるか。内地開発、それにどのくらいの重点を置き、あるいは海外資本投資にどのくらいの重点を置き、原油をとにかく安く買ってくることに重点を置かれるか、どっちに重きを置かれるか承りたい。
  16. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) まあまあ政府経費を出して内地石油の採掘について努力いたしておりますが、お話通り、もうそう見込みはないと思います。でありますからして、勢いやはり外油に待たなきゃならぬ、こう思うのでありまして、そこでその外油はあるいは日本みずから石油を、まあアラビア石油みたいに石油を採掘するか、あるいは外国石油を買うかという問題があると思います。その点についてはまだどちらがええということはまだ政府としてもきめておりません。
  17. 辻政信

    辻政信君 これはその現実の問題なんですね。まだ政府がきめておらぬということじゃ心細い、これこそ真剣に検討されて国際情勢、それからそれの安全度、それから、日本外貨の問題、これこそ早目に御方針をお示しにならぬと業界が混乱するし、政府施策も中途半端になる、こう思うのであります。  そこで一つ次質問に移りますが、私の考えでは、国内資源というものはきわめて貧弱でありますから、これを根こそぎあさろうということをやめて、その開発によってまかなう程度はしれたものですから、むしろこの資源というものは最悪の場合に温存をする、自分の領土にあるものですから、いざとなったら思い切ってやれるのですから——調査はしなきゃならぬけれども、こいつは食いつぶさずに最後のストックとして、貯油として残しておこう。そうして、それよりも平和の時代に貿易で入る時期に所要のものを買って、そうして日本国内にタンクで貯蔵しておく、こういうことが有事に備える方針として考えていただかなきゃならぬ点と思いますが、いかがでございましょうか。
  18. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) まあ長期経済計画では大体二カ月の貯油考えております。しかし現状では一カ月の貯油です。それで大体外油輸入ということを計画しておるわけでありますが、なお今のお話の、内地資源については、もう大体ここらで一応ストップしなきゃならぬのじゃないか。だからして、これ以上金をかけることがはたしていいのかどうかということは、この際検討する必要があると思います。そこで今後やはり外油というもので政府としては対策考えていかなきゃならぬと考えております。
  19. 辻政信

    辻政信君 そこで、その外油を入れることになりますと、結局資本投下によるか、あるいは買うかという問題が出てくるわけなんです。私は巨大な国際資本に対し、小さな民間資本を投下しましても、これはなかなか太刀打ちできるものじゃない。やるとすれば、思い切って国が庇護しなきゃならない、こう考えるのでありまして、アラビア石油会社に対して国がどの程度御援助なさる方針かどうか、これをまず承りたい。
  20. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) この点は、私の方ではまだそこまで相談に乗ってないのでありまして、これは通産省大蔵省とで、まあどこまでやる腹を持っておるか、まだそこまではたして両省とも持っておるかどうか、私ははっきりしませんが、またそういう問題は、私どの方では一切相談に乗っておりません。
  21. 辻政信

    辻政信君 そこに私は菅野さんに一つ乗り出してもらわにやならぬ点がある。こういうことに方向をきめるのが経済企画庁です。この大方向に基づいて、通産省どうせい大蔵省輸銀からどのくらい融資せい、こういかないと、ともすると業者が直接の官庁である通産省とか大蔵省に働きかけて、政治的なコネクションをつけて、そしてやろうということがある。こうなると、国全体の燃料政策に私は非常な不都合を来たすと思うのです。で、これをいわゆるエネルギー研究機関から結論を出すことはできないと思うから、これこそ長官経済閣僚をリードされて、国の安全と大方針だから、こうだから輸銀はこのワクを出せ、通産省どうせい、こう言われるべきじゃないかと思うのです。  それじゃ伺いますが、今までにアラビア会社に投下された民間資本と、輸銀からの融資はどのくらいになっておりますか、現在。
  22. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 現在までに行なわれております投資は、これはまだ政府機関輸銀から出しておりませんのでして、民間だけでやっておるわけでございますが、払込金が五十二億五千万円を本年度中に全額払い込み予定になっております。その限度が現在の資金と考えられます。全体の今後の所要額といたしましては、全額で一億一千四百万ドル程度、これは将来一九六四年度においての会社計画でございますが、その場合約一千百万キロリットルの生産を見込んでおる、こういうことになっております。
  23. 辻政信

    辻政信君 輸銀はどのくらい融資を今考えておるか、それはおわかりになっておりませんか。
  24. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 目下のところ、まだ輸銀からどれだけ出すかという点ははっきりいたしておりません。
  25. 辻政信

    辻政信君 それはあなた方が知らぬのか、それとも内々では交渉されておるのですか。
  26. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 話し合いは行なわれておるようでございます。
  27. 辻政信

    辻政信君 どのくらいのワクですか。
  28. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) まだはっきり具体的な数字にはなっていないようでございます。
  29. 辻政信

    辻政信君 そこを私が言うのです。これこそ経済企画庁が乗り出して政府方向をきめて、このワクでやれ、民間資本はこうだ、こうしてやらぬというと、事が国内産業と違うのです。巨大な外国資本相手に戦わなきゃならぬ。それに計画なしで、ただ政治家会社の社長がいろいろ取引するようなことにしてやっていきますというと非常な危険です。こういうことを私は言うのです。その一つの例を申し上げますと、実は私、この石油問題が日本の国防及び産業の上にきわめて重大であるというので、三年前と二年前に、二回私費で旅行いたしまして、この石油問題は、クエート中心にイラン、イラク、サウジアラビアかなり詳しく現場を見ておるのです。そうしてそこに外国資本がどのくらいの程度で投下されておるか、これに反発する民族運動、アラブの、これはどうなっておるか、これに対してソ連はどうなっておるかということを、かなり詳しく見てきたんです。そうして感じました点は、アラビア石油会社は、現状のままでおきますというと、踏みつぶされるということです。なまやさしいものではない。特に米英資本に対抗するには、もう少し政府が腹をきめてかからんと、単に山下太郎さんの仕事を傍観するというような態度じゃいかぬ。少なくとも民間資本を五十数億ぶち込んでいるのです。またその結果が、ふき出しているのですから、これこそ政府民間の一事業としないで、国策の上から大方針をお立てになる、こういうことが必要じゃないかと思うのです。いかがでありますか、この点は。
  30. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 今この石油の問題につきましては、そういう問題についてはまだ国策としてきめてないと思いますが、しかし今の辻委員お話によって、われわれも大いに啓発されたのでありますが、この石油問題を根本的に、将来ということを考えて、一つこの際根本策を立てなければならぬ時期が到来したと思います。で、もうこの問題につきましては、今の経済審議会で、エネルギー部会結論が出ますから、それと関連して、石油を将来どのようにして日本が獲得するかということ、これは政府が直接乗り出すか、あるいは民間人にやらすか、そういうことを一つその際にきめたい、こう存じております。
  31. 辻政信

    辻政信君 私はこのエネルギー部会結論というものが、この国家の要求というバツク・ボーンじゃなしに、先ほどおっしゃったように、物量とか価格とか、他の産業との関連性という技術的な問題から出てくる。それよりもう一つ大きな見地から方向をお示しになるのがあなたのお仕事だと思います。私が調べたところでは、このアラビア石油会社が、クエートサウジアラビア側協定しておりますね。この協定に大きな問題が含まれている。それは利益の配分を、五六%をアラビア側に与える、四四%をこっちに取ることになっている。これが大問題なんですね。米英はどうかというと、五〇%を与えているのです。折半なんですね。日本相手国に非常に有利な条件を与えたということは、アラビア側からは歓迎されるでしょう。しかしこの比率を獲得したアラビア側としては、米英巨大資本に対する民族運動となって、日本のレベルに引き上げようとするわけですな。そうなってきますと、米英資本というものは日本が甘い汁を与えたということで現地側の反撃を受けるでしょうから、それにソ連政治的策動というものが加味されてきて、中東がこの石油利益のバランスの問題で波乱を、災いを生み出すという重大な政治にまで発展する、これをお考え願わなければならぬ。そうなってきますというと、米英資本は、このアラビア会社をつぶそうとします。弱いものがやってきて、ちょっかいかけた、なまいきだというので非常な圧力がかかってくるということはわかっている。それに対して政府は今生まれた子供みたいなアラビア石油会社というものを見捨てるつもりか。そのときにはこの五六対四四という比率を堅持して、輸銀融資をして、どんどんこれを育てていこうという決意を持っているかどうか、これを承りたい。
  32. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 今日のアラビア石油に対しては、この際政府はあくまであれを育てるような決意を私は持たなければならぬ、こう思っております。あれだけ石油もふき出しておりますし、今日までの、とにかくあれだけ努力をしているのですからして、従ってこれは今後、いろいろな障害あるいは圧迫というようなことについては、政府がやはり責任をもってこれを援助しなければならぬ、こう考えております。
  33. 辻政信

    辻政信君 政府が援助するとなると、アラビア石油会社現地協定をそのまま、うのみにすると認められるか、どうですか。
  34. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 実はまだその協定内容自体ははっきり知りませんが、それは一つよく検討すべき問題かと思っております。
  35. 辻政信

    辻政信君 だれか政府委員で知っておりますか、この協定内容というものは。きのう予告してある、ちゃんとやるから勉強して来いって。
  36. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 詳細の内容につきましては存じておりませんが……。
  37. 辻政信

    辻政信君 いけないというのです、それでは。このくらい重大な問題はない。日本でいえば、これは利益の配分が五六対四四というほかに、もっと大きな問題がある。それは現場で仕事をする山下さんの会社が、人間を雇用する場合でも、現地人を七〇%以上雇用しなければならない、こういう条件がついておる。また日本にその販売網を敷くとき、日本国内における販売網の中にも現地人というものを三〇%採用しなければならない。これはほかにない例です。山下さんの協定が成功したからといって、国内では非常に凱歌をあげておるのだが、この成功の裏には外国資本じゃ見られないような特権をアラブ側に与えておる。こういうことがはたしてコストを、安い石油を持って来られる条件になるかどうか、外国資本に対抗して。これのお見通しはどうですか。
  38. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 先ほど来、汁先生の御指摘のように、やはり新しく石油資源を獲得するために非常に条件が、不利な条件を押しつけられておる。その意味からいいますと、従来の外国との競争を考えました場合に、やはり不利を免れないのじゃないか、かように考えております。
  39. 辻政信

    辻政信君 それを認めるならば、外国資本の圧迫に対して国が育てていくという決意の間に、これは重大な問題が生まれてくる。見捨てるか協定を変更させるかという、政府が金を出してやるからには条件をつけなければいけません。アラビア石油現地と結んだ条件をまる呑みにして、そうしてその子供を殺さないようにするためには、よほどの金を注ぎ込まないと伸びられないと思うが、いかがですか。
  40. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 今私も辻委員お話で初めてその内容を知ったのでありまして、これは一つ根本的にわれわれも検討しまして善処したい、こう思っております。
  41. 辻政信

    辻政信君 それじゃ次の問題に移りますが、これは油は出ることは出るが、その油の坂路を日本国内のみの消費に向けるのか、それとも国際市場に出して競争させるということまで考えておるのですか、どうですか。これは通産省関係があるのだが……。
  42. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) これは具体的には通産省の問題でございますが……。
  43. 辻政信

    辻政信君 見通しを持たなければならない。
  44. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 私どもの見通しとしましては、これは主として日本に持って来ると思いますが、情勢によっては外国に売るという場合も考え得ると思います。
  45. 辻政信

    辻政信君 政府がそれを育てようというなら、そこまでの見通しを持たんというと、口で育てるというてもできない。日本に持ってくるには日本の販売網、それから今までの資本構成、こういうことを考えて、そうしてそこに割り込むような配慮を加えていかなければならない。外国に売るとすると、アフリカを、その他のものを相手に競争しなければならない。大へんな問題が出てくるのですね。そこで、ただ一つ山下さんの言うことは、ドルでなく、日本円で買えるのだ、外貨の問題からいって非常に有利だというふうに宣伝しておられるのです。ところが研究すると、そうでもない。なぜならば設備投資と経営には多額のドルを投下しなければならない。結局ドルで輸入するのと大差ないのじゃないか。こういう感じを受けるのですが、その辺の見通しはどうですか。
  46. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 施設をいたしまする場合にも、かなり日本の資材を持っていけるという点において、外貨面から見れば、やはり純粋の外国のものを入れますよりは、外貨の面ではプラスになるのじゃないかと思います。
  47. 辻政信

    辻政信君 それは幾分プラスになるが、まるまる日本円でやれるというようなあまい見通しではいけませんね。  次に、スマトラ方面の開発にはどういう態度をおとりになるのですか。
  48. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) これは今日まで折衝が続けられておりまして、今日最終的にこれをまとめるかどうかの段階に入っておりますが、今日の考え方といたしましては、一応従来民間側の事業家が中心になり、必要な資金で、ある程度のものは輸出入銀行から融資をするということで話が進んでおりまして、現在のところ、大体その線で協定の話し合いを進めるということができる段階になっております。
  49. 辻政信

    辻政信君 スマトラの油というのは、これは海のものとも山のものともつかぬものでしょう。アラビア石油会社というのは、もうすでに実績示しておる。政府輸銀融資をするにしても二またかけるのですか、どうですか。
  50. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) これはいずれにつきましても、アラビア石油につきましても、先ほどのお話のように、当初のスタート・ラインからやはり政府としては、これを援助するつもりにおいて、外貨の送金その他を認めてやって参っておるわけであります。北スマトラの問題につきましては、現在まあ問題になっておりまして、本件についてもやはり並行して進めるという考え方でいっているものと思います。
  51. 辻政信

    辻政信君 並行して進めるだけの金はありますか。どっちも本腰を入れてないのだ、まだ……。
  52. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 北スマトラの関係の方は、やはり開発銀行が百八十八億円くらい入れることになっておりますので、やはり相当の負担になると思います。これは現物をもって返済するという条件になっておる。これから計画通りに参りますれば、ある程度計画としては実行可能なものになるのじゃないか、かように思います。
  53. 辻政信

    辻政信君 そうすると、アラビアも育てる、スマトラも育てる、こういう大体の方向はきまったのですか。
  54. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) スマトラの今の問題でも、アラビアの問題でも、最初はやはり政府がこれについては同意いたしておりますので、やはり両方とも育てるという方針でございます。
  55. 辻政信

    辻政信君 それでは聞きますが、このスマトラの油は木下商店とブリジストン、これが共同でやる、小林中氏が中に入った。ところが責任者はだれになっておりますか。社長が逃げてしまったじゃないですか。これは御存じないですか。
  56. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) この問題は、まだ私どもは、直接担当いたしておりませんので、詳細のことにつきましては握っておりません。
  57. 辻政信

    辻政信君 そんな経済企画庁ならやめてしまって、そうして大蔵省通産省に皆さん月給をもらいにポストを変えたらいい。私は菅野さんにお願いするのはこれなんです。どうも見ておるというと、山下太郎さんと小林さんが自分の懇意な政治家にコネをつけながら、輸銀から何とか金をひねり出そうと、民間資本を何とか持っていこうとしておる。中には、現地の政権にあの手この手を使ってうまい汁を吸おうとする。資本も小さい後進性をもっておる日本が、外国へ行って国際資本と対抗するのだから、こういう不統一な状態では両方ともつぶれるような結果になったら、だれが責任を負うのですか。現にブリジストンと小林さんが、どうもむずかしくなったから、社長になりてがない、逃げてしまった。それは御存じですか。それは菅野さんが知らない間に大蔵大臣と何かやみ取引が行なわれたという感じを持たざるを得ないが……。
  58. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 辻委員に申し上げておきますが、経済企画庁というところは、経済計画を立てるところであって、第一線の仕事大蔵省なり通産省でやりますので、そこまで私の方が第一線のことに……。
  59. 辻政信

    辻政信君 それはわかっておるが私の聞くのは、持ちごまが少ないのです、金が。この相手が大資本だから……。そういうところへ乗り込んでいくには、あなたがきれいな人格で、利権に関係のない菅野さんが、どっちにもとられずに采配をふるわなければ、菅野さん、それはだめですよ。  それでは、もう一つスマトラについて少し聞きましょう。スマトラも私は見てきた、一昨年。そこで今度できますというと、小林さんの会社の最大の弱点はどこにあるかというと、スカルノ政権を相手にしていこうとしている、そこにある。スカルノ政権というものは、これはもう、これは速記録に書かれると困る、国際問題として困るのだけれども、残念ながら申しましょう。この支配はスマトラに及んでおらない。スマトラの油田地帯の大部分、それは反乱軍です。スカルノ政権というのは、大体ジャワ島、これから成り立っておる。そうして金を出すところはスマトラなんです。資源とか収入というものは、それはジャワが持っております。それをジャワの本島民の利益のために使うから、スマトラの現地民は金を出しながらこれは恩恵を得られないというので、このスカルノ政権に反旗を翻して、政治家と軍隊と結託して、それを知らずに木下とか、ブリジストンとか、小林さんが行ってスカルノと会った。で、スカルノを岸さんと同じように見ておる、岸さんと同じようなところがあると、条約を結ぶのも、料理屋に行くのも好きですから……。その政権というものはきわめて安定性を欠いておる。そしてこういう後進国というものはスカルノ政権がつぶれて新しくできますと、スカルノによって結ばれた協定というものはたちどころに破棄する。こういう政情の不安を伴う。そういうところに、長官が知らぬのに輸銀が出すとか出さぬとかいって交渉が行なわれておるようなことでは、これは一つ経済閣僚会議で大いに開き直ってもらわなければならぬ。日本国策を忘れて、単なる利権の結合ではいかん。そういう政情の見通しはどうなんだ、こういうことをおやりにならなければならぬと思うのですね。私がこういう問題に深く関心を持ったということは理由があるわけなのです。それはスエズ事件のときに石油が非常に暴騰した。幸いにして事件が拡大せずに短期間で平静になりましたからどうにか落ち着きましたが、あのスエズ運河の開通がおくれたら、あるいは中東の動乱が拡大すると、日本所要石油資源というものの九割は中東から受けておる。それがばたっととまったときに日本はどうなるか。バスも飛行機も船もボイラーも一ヵ月でお手上げになって、また木炭自動車を出さなければならぬ、こういうことを心配したからわざわざ行ってきた。そこでこういうことを考えますというと、国内のそういう突発的な事件に対抗しての国の交通、産業を麻痺させないだけのへそくりをある程度持たなければならぬ。こういうことが私の最大の関心事なのです。少なくもあなた方は非常に小さく見積られて三十七年度末の所要額を二千八百八十三万キロリットルと見ておるが、私は大体三千四、五百万キロリットルに上がると思っておる、われわれの想像外に伸びておりますから。そうすると最悪の場合に、今あなたの方の考えでは二ヵ月の非常用のストックを持とうというのですが、これくらいではだめなのです。最小限半年のストックがなければならない。二千万キロリットルというものを持っておらぬというと、スエズで戦争が起こったときに青息吐息をつかなければならぬ。そうして石油業界というものは大混乱に落ち込まなければならない。その弱点に外国資本が入ってくる、こういうことになるわけです。そういう意味におきまして、ほんとうに考えてもらわなければならぬ。そこで半年分の額を、小さく見積っても二千万キロリットルを貯蔵するということを考えると、これは民間会社としてはそろばんがとれない。こうなると、国がやらなければだれがやるか。どこでも考えておらない。経済企画庁考えてないし、通産省大蔵省はあしたのことしか考えておらぬ。こういう非常事態に対して半年のストックを持つという計画を立てるのは経済企画庁でなければならない。そうして、こういう方針は必要だから、通産省はこうやれ、大蔵省はこうやれ、輸銀はこうせい、こうやらなければならない。人ごとじゃないと思うのです。  それでは聞きますが、太平洋戦争前の日本国内における石油事情はどうなっておったか。
  60. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 御質問の点のお答えになるかどうか存じませんが、石油事業にはある程度の統制がございました。石油事業に対して国の統制があったことは御指摘の通りでございます。それ以外に戦争前は軍の関係で特殊なものがありました。
  61. 辻政信

    辻政信君 そのくらいの程度の常識ですか。石油で戦争が起こり、石油で戦争に負けたのですよ。だれか知りませんか。日本はかつてどのくらいのストックを持っておったかということです。
  62. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 私の記憶では、当時所要量が大体四百万トンくらいではなかったかと思いますが、軍がおそらくそれと同量くらいの所要量を持っておられたのではないかと思います。
  63. 辻政信

    辻政信君 そんなことでは石油に対して関心のないことをあなたは表明しておられる。それは陸海軍の平時の所要量で、戦争になったときの大体の見通しは二年分持っていた。しかしやってみると足りなかった。政府民間、軍部を入れて大体二年分のストックを持っておって戦争に踏み切った。ところでやってみると、それは一年くらいで底をついてしまった。そしてスマトラの油田の開発も、パレンバンも、ボルネオも思うようにやれない。持って来る船はみな潜水艦で参ってしまった。そこに敗戦の決定的な原因がある。石油さえ確保しておったら負けるいくさでなかった。こうさえ言える。石油の問題から戦争が起こり、石油の不足から戦争に負けている。こういう事態を考えると、今日本で自衛隊を三十万なり、五十万なり作ろうとしているが、ガソリンがなくては飛行機も戦車もでくの坊です。ところで自衛隊は石油をどのくらい持っているか、あなた方は御存じないでしょう。私が言うことを与党の議員さんもよく聞いてもらいたいのだが、一千五百億円で防衛力の充実をすると言いながら、ガソリン一つとってみても、一ヵ月分もおそらく持っておらないのではないか。そういう状態に今あるのです。生産も同様なのです。私は自衛というものは、単に兵隊の数をぶやすことではないと思う。活動するエネルギーをどうして確保するか、しかもそのエネルギー源は日本国内に出ないのです。これほど防衛に弱体をなすものはない。大砲が少々どっちに曲っていようが問題でない。飛行機の問題に夢中になって、飛行機を動かすエネルギーというものを考えておらない。そこに日本の防衛産業の最大の欠陥と弱点を持っているということ、ほんとうにお忘れにならないようにしてもらいたい。まあ御研究がないようですから、たくさん資料はありますが、これくらいにして置きます。  最後に申し上げますが、この半年分のストックの二千万キロリットルを民間でやらないとすると国がやらなければならぬ。国がやるのには貯油のための設備が要ります。それを保管する予算というものは生やさしい問題ではありません。こういう面から考えても、ロッキードに七百億も使うということがいかにばかげたことか。エネルギーということを考えずに、格好ばかり並べても何にもならない。こういうことこそ、菅野さんが大局から防衛庁の頭に水をかけ、通産省の怠慢に鞭を打ち、大蔵省融資に目を光らす必要がある。それをやることを私は菅野さんに大いに期待しているのだが……。  それじゃその次の質問。これはおわかりでしょうから、現在の日本石油事業に対しては米英資本かなり入っております。昭石、日石などにどのくらいの資本が入っているか、お調べになっているでしょう。大堀さんばかりでなく、課長クラスからも答えて下さい。
  64. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 私は全体のことをやっておりまして、個別的の事情については十分承知しておりませんので申しわけありません。大体国内資本による大きな会社は現在二社ございます。小さいのは幾つかございます。それ以外は外国資本と提携してやっている、かように存じております。
  65. 辻政信

    辻政信君 それだけですか。これは調べればすぐわかるでしょう、外国にあるのじゃないから。  それじゃ一つ最後にきめ手を申します。外資を入れる限界を考えなければいけないと思うが、どのくらいまで許すつもりですか。
  66. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 現在東亜燃料工業、日本石油精製、興亜石油、三菱石油昭和石油、五社ありまして、払込資本金が、概略だけ申し上げますと、東亜燃料が四十九億、日本石油が四十億、興亜石油が十五億、三菱石油が二十六億、昭和石油が二十五億。外資の入り方は東亜燃料が五五%、その他の四社が五〇%になっております。
  67. 辻政信

    辻政信君 これだけはどうにか聞き出したようですが、ただ問題は、知っておるだけは知っておるが、これでいいかということなんですね。アメリカ、イギリスの資本日本会社にお入れになるときに、これはあなた方の専門ですが、一番大きな問題はどこにあるのですか、資本構成のパーセントをどうするかということ。もっとわかりやすく言えば五五%を入れてしまったら会社の経営権というものが押えられる、そうすると、日本石油業界はこのままの状態でいったら五五でしょう、ほとんど外国資本によって左右されるのですよ、それでいいのか。価格の問題、ストックの問題、利潤の問題、雇用関係、よろしゅうございますか。
  68. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) これは、戦後の復興過程におきまして、石油事業の再建のためにこの辺まではやむを得ないということで認められてきたものと考えます。御指摘のように、やはり持株の比率が通常の場合でも二割をこえて持っておることはかなり支配力を持つといわれるのでありますから、五割を持つということは、かなりその意味では影響を受けると、かように考えております。
  69. 辻政信

    辻政信君 かなりじゃないですよ、決定的ですよ、決定的に握られておるのです。この石油事業というものが日本国内において日本国民の利益のために動けない。民族資本はわずかなものでしょう、ちょっと太刀打ちできるのは出光くらいなものだ。そこで外国資本日本国内産業にお入れになるときは、日本が五一として向うが四九というのが私は最大限だと思う、最悪の場合でも五十、五十ですね。日本が満州に行きまして、満州に鮎川さんを筆頭に大資本を投下したときに、満州側は極力反対したけれども、五一を日本にして四九を満州にして、名実ともに満州の産業経営を日本資本で支配した、それと同じことを、それ以上のことを、今やられておるのですね、事があったらどうするか。そこで、政府としてはこういう資本構成は現状においてやむを得ない点があるでしょうが、これを至急なおす。それで日本石油産業は少なくも日本資本を優先的にして日本利益のために動かすようなお考えをお持ちになる。同時に、現在、こういう国際資本と対抗して苦労してまで民族資本日本の商社、これは利権を抜きにして国家的見地から政府が腰を入れてそれを助けていくというふうになさらぬと、今、日本エネルギーの三分の一は米英に握られて、引きずり回されている。電力と石炭を押えていても石油というものは……。こういうことで一体経済政策はいいのか。もう少し頭を冷やして、ほんとうにやっていただきたいというのが、きょうの私の質問結論なんです。決してあなたをいじめて、あげ足をとろうというのじゃありません。重大な欠陥がありますから、一つ長官、御在職中に、最後の置きみやげとして忘れられた最も危険な、利権を伴いやすいような問題に、あなたのようなきれいな人が勇気と責任をもって日本石油政策のあるべき方向というものを閣議にはっきり示され、そうして現在の間違いを是正していかれるように、これは心から苦言を呈して、私の質問を終わります。
  70. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 辻委員から石油の重大性並びに今後の対策についていろいろ御示唆を得たことを非常に感謝いたしておりますが、ただ、私がちょっと辻委員の話で気つきましたことは、なるほど今の石油会社というものが外国資本によるし、外国の技術によっていると思う。これは戦後の疲弊した日本経済力ではやむを得なかったと思います。しかし、私は、今の日本人の能力をもってすれば、やがて日本民族の資本で漸次奪回、というと語弊がありますが、回復できるのじゃないかということは、辻委員も御承知の通り、たとえば明治の初年などにおいても、外国人の手で、鉄であろうが、電力、ガスであろうが、みなやっていたが、結局日本のものにしてしまった。そういう意味で私たちは、日本人の経済力というものを絶対信頼をし、期待しておりますので、現在まではやむを得なかったが、今後はおのずから日本人によってすべての産業をリードするということを期待し、また、われわれもそのように指導していきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  71. 辻政信

    辻政信君 これでやめようと思ったら、一つ出たから、もう一度申し上げます。それは、そうおっしゃいますけれども、たとえば国有財産の払い下げ問題をとってごらんなさい。四日市の燃料廠をどうしたか。徳山をどうしたか。徳山へ行って私は驚いた。あそこは出光と昭和石油が買ったのでしょう。半分にして払い下げを受けている。半分にするな、民族資本にやれということはわれわれの要求だった。それを昭和石油に半分譲ったが、三年たって行って見ると、昭和石油のところは草がぼうぼうと生え、荒れ野原になって、地価の上がるのを待っている。出光は十ヵ月で、民族資本で堂々と石油事業を開始した。日本において一番優秀なものだ。そこに、いわゆる政治家が利権と結託して国の財産を切り売りをするという過去に忌まわしい事件が起こっている。これ以上追及しません。四日市も同様で、そういうことをお考えになるときは、よほど目を光らして、民族資本を育てるような方向政治をやってもらいたいと思う。これ以上答弁は要りません。
  72. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 ただいま辻委員から石油事業についての御質問がありました。私もまた別の角度から一つだけお尋ねしたいと思います。それは海外におけるわが国石油資源開発に対する政策についてであります。大体の石油資源の世界的の需給状況を見ますと、だんだんと、端的に言うと、むしろ供給面が非常に豊かになってきて、供給の方が過剰といっては何かもしれないが、過剰になり得るような趨勢にあるように思う。そこで、そういうことを背景にして考えてみると、国内において、できるだけ石油資源開発に努力するのは当然だけれども、中東とか、ことに中東は非常に危険なところで、ある意味では、戦争のことを考えなくても、日本の資金力と照らし合わせてみると、非常に大きな犠牲を払うわけだが、既存の着手している分をかれこれ言うのじゃないけれども、今後、方向として、中東とか、要するに海外において石油資源開発して、ますます開発することに政府として助成するという方向でやっていくのかどうか。石油に対してはいろいろ、重視すべきわが国の今の現状からしても問題点がたくさんあるのだが、日本の何といっても限られた資金力を前提にして考えてみて、たとえば、ますます今後海外において、非常な資金を要する海外石油資源開発するということと、たとえばまた、別の運賃、タンカー、そういうところの力の入れ方の工合、その辺のところをどういうふうなあんばいに一体政府として考えておられるか。あるいは経済企画庁として、あるいはまた、きちんときまったものはないにしても、大体の考え方として菅野さんはどういうふうな考え方をしておられるか。その点を一つお聞きしたい。
  73. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 石油の根本問題についてお尋ねがありましたが、先ほど辻委員からもお尋ねがあってお答えをしておいたのでありますが、御承知のようにこのエネルギー問題、エネルギー資源で最近石油というものが重要視されてきたのはごく最近のできごとなんです。これは世界各国とも大体はエネルギー資源としては石炭考えておったのです。ところが、それが最近の石油の産出の増加その他、交通の発達というようなことで、石油というものがエネルギー資源として非常に重要性を帯びてきたのでありまして、それだからして英国でもドイツでも石炭産業が斜陽産業とか何とかいわれてきているのでありますが、やはり日本でも同じことで、この石油問題が非常に重要な問題になってきましたので、昨年来経済審議会におきまして、エネルギー部会というものを設けまして、今後の日本エネルギー資源を一体石油重点を置くか、石炭重点を置くか、あるいは将来は原子力というものに重点を置くかということを根本的に研究調査しようというので、エネルギー部会というものを設けて目下調査研究中なんでありますが、そこでお話通り石油の産額は、御承知の通りサハラ砂漠でも石油がどんどん出るというようなことで、アラビア地方もどんどん出るということでありまするからして、石油の供給は今後ふえてきます。従ってまた石油価格も私は安くなると思います。でありますからして、この安いエネルギー資源を使用することがその国の産業を発展せしめることになりますから、やはり日本としてもこの安いエネルギー資源である石油をだんだん多く使うという根本策でいかなければならぬ、こう思うのですが、ところが悲しいかな国内では石油が出ませんからして、従ってやはり外油にたようなければならぬ。そこで外油を今後はいかにして獲得するかという根本問題、それについては、まだ政府として確固たる方針をきめておりません。しかし、私は、これは確固たる方針をきめなければならぬ時期に到来したと思うのです。それで外油を獲得するについては、あるいは政府、あるいは民間資本をもって石油採掘をやるかということを根本的にきめていかなければならぬ。まあ、その点において、今のアラビア石油あるいは北スマトラの石油という問題が起こっているのでありますが、そういうことも一つ政府としては根本的な態度をこの際きめていかなければならぬ、こう思っているのでありまして、今のところ、政府はどういう方針でいくということは、まだきめていないというのが現状だと、こう思っております。
  74. 辻政信

    辻政信君 ちょっと今のに関連しまして、今の杉原さんの意見は非常にいい意見なんです。大体世界的に石油生産過剰になっている。特に最近の傾向としてアルジェリア、サハラ砂漠、これは非常な大発見です。もう一つは、アメリカよりも石油が少ないといわれておったソ連が、第二バクーが予想外の開発で実は困っているのですね。自分の国内だげで消費できんで、今安保条約でけんかしているけれども石油だけは一つ日本に売りたいというので売り込みに来ているのですね。しかも第二バクーからナホトカまでパイプ・ラインを引ことうしているのです。このくらい大規模な消費を考えている。そのときに、日本が山下さんの会社とスマトラの会社へ貧弱な資本を投下するのがいいのか。あんなものは政情によってひっくり返るのですから、日本資本海外投資するときには、やはり防衛できる範囲の安全圏ということが一つの原則になってくる。不安定な遠い所にやって元も子もなくするより、石油全体の政策からいえば、杉原先生がおっしゃったように三万トンや四万トンのタンカーじゃだめだから、十万トンのタンカー、そしてそれに伴って港湾設備、そして運賃のコストを下げていく。製油場は日本に持つ。そうしてでき上がった製品というものを国内に半年分ストックする。この国内のストックとタンカーと港湾設備と、これに思い切った金を使って、あぶない所に海外投資する金はやめたらいい。——結論はあんまり早く出さんでおこうと思ったが、あなたが今研究中と言うから、それだけのことを杉原さんに関連して申し上げておきます。これは大事な問題ですから、ほんとうに真剣に考え日本方針を確立してもらいたいと思います。
  75. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) ただいま辻先生から、また杉原先生から御注意ありました点、私どもエネルギー部会事務局として、ある程度考えて参りましてさように申し上げました。安定的確保という表現が実はそういう意味、それと石炭をどの程度維持するかということを含んでありまして、これはまだ、個人的には実は三ヵ月程度ということを考えておりましたが、半年となりますと非常に大きなものになるわけでございます。  それから、世界の石油の過剰傾向というのは、私どもが調べてみましても確認埋蔵量を原油生産量で割りましていわゆる何年掘れるかというのが、一九四三年には二十二年、それから自由世界全体で一九五八年の推定では四十五年というふうに、掘れば掘るほど埋蔵量の方がよけいふえるという状況でございますし、またソ連の、ただいまお話のございました輸出可能量も大体年間五千万キロリッターぐらいの輸出力が最近ある。そういう点から申しまして、もう一つは貿易自由化という問題と関連いたしまして、日本原油採掘は将来かなり基本的な問題がいろいろあると存じておりますので、いろいろ御注意の点も考えまして、この審議会結論に何らかの形で反映していただくように考えたいと存じます。
  76. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) それでは、ほかに御質疑もないようでございますから、経済企画庁所管の事項についての質疑はこの程度で終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 御異議ないと認めます。それでは午後十二時半より再開をいたします。これにて休憩いたします。    午前十一時二十八分休憩    —————・—————    午後零時四十七分開会
  78. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) ただいまから予算委員会第二分科会を再開いたします。  昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、調達庁所管の事項を議題といたします。  まず政府から説明を求めます。
  79. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 昭和三十五年度における〔組織〕調達庁の歳出予算要求額につきまして、その概要を御説明いたします。昭和三十五年度の〔組織〕調達庁の歳出予算要求総額は、二十二億七千四百六十八万四千円でありまして、これを昭和三十四年度予算額二十三億一千一百四十二万三千円に比べますと三千六百七十三万九千円の減となっております。これを(項)別に見ますと、(項)調達庁十四億五千七百六十一万三千円(項)調達労務管理事務費六億六千八百四十八万九千円(項)国際連合軍等関係補償費一億四千八百五十八万二千円であります。  次にこれを(項)別に御説明いたしますと、(項)調達庁。この項より支出するものは調達庁の業務遂行に必要な人件費及び物件費でありまして、この要求額は十四億五千七百六十一万三千円であり、前年度の十五億二千一百九十八万三千円と比較いたしますと六千四百三十七万円の減額となっております。  減額のおもなるものは、人件費で四千二百七十二万七千円、返還物品処分費九百八十五万二千円、土地建物借料二千九百三十二万五千円、その他五百十六万九千円、計八千七百七万三千円でありますが、一方増額のおもなるものは、占領期間中の人身被害の見舞金未受給者に対する見舞金支払事務並びに実態調査を行なう経費として約二百八十万円、また今回の安全保障条約及び行政協定の改訂によりまして、施設の現況調査及び物品の日米合同調査並びに駐留軍労務者の直接雇用から間接雇用に切りかえることによって生ずる業務等のための経費一千四百九十万三千円、調達物件補償費五百万円、計二千二百七十万三千円でありまして、差引六千四百三十七万円の減額になったものであります。  (項)調達労務管理事務費この項より支出するものは駐留米軍の使用する労務者の労務事務を処理するために必要な経費であります。この要求額は六億六千八百四十八万九千円でありまして、これを昭和三十四年度の七億三千三百八十二万円と比較いたしますと、六千五百三十三万一千円の減少となっております。この減額の主なるものは、駐留軍使用労務者に支給する特別給付金が整理退職の減少に伴いまして、前年度より相当少なくて済む見込みのためであります。  (項)国際連合軍等関係補償費この項より支出するものは、国連軍協定を実施するため及び旧連合国軍に提供した土地等の返還にかかる各種補償に要する経費でありまして、この要求額は、一億四千八百五十八万二千円で、昭和三十四年度の五千五百六十二万円と比較いたしますと、九千二百九十六万二千円の増額となっております。  この増額の主なるものは、広島県原村演習場防災工事補助金一百八十五万四千円、同地区返還道路復旧工事費補助金一千五十二万六千円、占領期間中の人身被害に対する事故見舞金八千万円その他事務費として五十八万二千円であります。  以上が〔組織〕調達庁として計上いたしております経費の概要であります。  なお、「日米安全保障条約」第三条の規定に基づく「行政協定」第二十五条第二項(a)並びに「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」第二十四条第二項の規定に基づき、在日合衆国軍に「施設及び区域」を提供するに際し、日本政府として負担することになっている経費、すなわち「防衛支出金」は大蔵省所管〔組織〕大蔵本省に計上され、必要の都度昭和三十五年度一般会計予算総則第三十三条に基づき予算を移しかえて使用することになっております。  以上をもちまして調達庁予算の概略の説明を終ります。  何とぞ慎重審議の上御賛成下さるようお願いいたします。
  80. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 暫時休憩いたします。    午後零時五十四分休憩    —————・—————    午後一時八分開会
  81. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 再開いたします。  これより質疑に入ります。なお防衛庁長官は他の委員会に御出席になることに相なっておりますから、赤城国務大臣に御質疑のおありの方は先に御発言をお願いいたしたいと存じます。
  82. 岩間正男

    ○岩間正男君 まずお開きしたいのは、行政協定改正がなされるはずでありますが、これに伴って合同委員会の合意に関連した諸取りきめが今までなされてきたと思います。調達庁関係のこの諸取りきめはこれに関連して変更されるのかどうか、このことをお聞きしたい。
  83. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 調達庁長官から先に答弁させます。
  84. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 合同委員会関係の当庁に関する諸取りきめ、これらのものは新しき協定になりますというと、内容的に古い名称等と異なるもの、そういう部分に関するものは当然改めますが、今まで取りきめましたものの必要なものというものは、実質的にはそのまま新たなる協定において新たに有効なものとして取りきめて、効力を継続させる、そういうことになると思います。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、ただいまの御答弁では、ほとんど形式的な変更、名称なんかの変更、実質的な内容なんというものはほとんどそのまま残される、こういうことになるわけですね。  この前、社会党さんから資料要求が出まして、「合同委員会合意書に関連し実施されている主要事項」、こういうものが出されたわけですね。これは非常に不完全でありますが、調達庁関係のものは七つあるわけですね。そのうちの私は第六の「基本労務契約に関する事項」、このことについてお聞きしたいと思うのですが、これは労務基本契約はどうですか、全然変更ございませんか。従来のままこれがそのまま継続される、こういうことになりますか、お伺いいたします。
  86. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 労務基本契約に関しましては、今度新しくなりまする新協定によって、労務の事項に変更部分がございます。それに関連する事項は、基本契約も改定しなければならないと考えております。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは防衛庁長官にお伺いしますが、行政協定の十二条ですね、この中で保安解雇の分が改正されるのですね、これは御存じだと思います。そうすると、それとの関連で、今度のこの契約内容というものは変更になるのでございますか。
  88. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 十二条関係ですか。そういう関係で労務関係に変更を来たす面があります。従って、労働協約みたいなものですか、向こうとの取りきめの方で、今度の改正される部分につきましては新たに協議していく、こういうことになると思います。
  89. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、その他の部分は、これは十二条の第六項ですか、この点はだいぶ大幅に改定されたわけですが、その他の部分というものは、ほとんど従前のまま継承される、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  90. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 今の、第十二条の四項も変わります。関接雇用になるわけです。こういう変更分につきましては、アメリカとの関係の規約が新しくなることと思います。その他は大体において今まで相当練ってきた問題でありまするから、今までのものが踏襲される、こう思います。
  91. 岩間正男

    ○岩間正男君 だいぶもう八年も九年も練った問題ですから、その点は変わらないと、新しいこうした分についてだけのこれは取りきめ、こういうふうに了承してよろしゅうございますね。  それでは、次にお伺いしたいのは、現在労務基本契約、こういうものがなされておると思うのですが、現在行なわれておる労務基本契約は、いつ締結されたものでございますか。
  92. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 昭和三十二年の十月一日から契約が発効したことになっております。
  93. 岩間正男

    ○岩間正男君 昭和三十二年の十月一日。そうしてその後変更がございませんか。そのままずっと継続されておりますか。
  94. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 変更になった部分もございますし、それから付属協定をしていまして、これは基本契約でございますが、その付属協定が締結されておる面もございます。
  95. 岩間正男

    ○岩間正男君 大綱は、もうほとんど現行のものと、この昭和三十二年に発効したものとほとんど同じでございますか。
  96. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 同じでございます。
  97. 岩間正男

    ○岩間正男君 占領中はどうなっておったんですか。占領中の労務基本契約というようなものはなされておったのか、なかったのか、あるいは占領行政でまかなわれておったのか、その点防衛庁長官いかがでございましょうか。
  98. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 事務当局から……。
  99. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 占領中はアメリカ軍の指令官の指令に基づきまして日本政府が労務者を提供しておった。別に契約等はございません。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、現行の安保条約が結ばれ、これに伴って行政協定が発動いたしましたね、その直後はどうなんでございますか。つまり三十二年までの間に少なくとも六年か七年期間があったでしょう、その期間はどうなっておりますか。
  101. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 昭和二十六年の七月一日に、これは占領中でございまするけれども、日米基本労務契約、いわゆる旧契約と称しておりますが、旧契約が締結されまして、それ以後、昭和三十二年の十月一日まで旧契約でやってきたわけでございます。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、三十二年の十月一日から発効した、それが現行のもの、そうしてそのままほとんど大綱においては全部そのまま継続されておる、そういうことでございますね。そう了解してようございますね。その点はようございますね。これは昭和三十二年といいますと、ちょうど岸内閣が発足したときでございますね。その前に、六月に岸さんがアメリカに参られた、そのあとでございますね。その変更の理由はどういうことでございますか。
  103. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 昭和二十六年の七月一日に締結いたしました基本労務契約、いわゆる旧契約は占領中のアメリカ軍の指令をもとにしてほとんどそのままの状態で日米間で契約が結ばれたといういきさつがございますので、日本国が独立いたしましたゆえに自主性を持った基本労務契約を結ぶべきであるという労働組合等からも主張があり、日本政府もそういう考えのもとに古い基本契約を改正しようということで、講和条約発効と同時に日本政府といたしましてもあらゆる努力を払ったのでございますが、非常に広範な内容を持っておりました関係上、日にちが遷延いたしまして、それの妥結を見たのが昭和三十二年十月一日、こういうことでございます。
  104. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 岩間君に申し上げますが、赤城防衛庁長官迎えの催促がきておりますから、よろしゅうございましょうか。
  105. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう少し。
  106. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) じゃあもう一問だけ。
  107. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっとその前に確めなくちゃならないのですが、このときの条約の調印者は、これはどなたとどなたですか。
  108. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 調達庁長官とアメリカの駐留軍の代表権利を持っておるアメリカ軍の契約担当官との間に結ばれております。
  109. 岩間正男

    ○岩間正男君 何という名前ですか。
  110. 小里玲

    政府委員(小里玲君) ミスター・ゴードンといいます方。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 何をやっておりますか。
  112. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 契約担当官といいまして、アメリカ軍から日本政府と契約を締結する権限を与えられた人であります。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは在日米軍調達部とは関係ないわけなんですか。
  114. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 調達部の関係の人であります。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に、この労務契約は非常に膨大だという今のお話でございましたが、これは私たちもその片鱗を聞いておるのですが、本文があって、それから細目書のI、II及び細目書の附表、こういうものから成っておると思うのですが、この中にはむろん細目書I、細目書II及び附表、こういうものを含んでいると思いますが、どうでございましょうか。
  116. 小里玲

    政府委員(小里玲君) その通りでございます。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 長官にそれではお伺いいたしますが、こういう労務調達の中で、アメリカ軍の軍事機密を探るというような、軍事スパイですか、こういうものを調達した事実はございませんか。
  118. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 私よくその間の事情を承知いたしておりませんけれども、機密を探るような労務者を調達したということはないと思いますが、十分まだ私調べてありません。
  119. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはそう確認してようございますか、調達庁長官どうでございますか。
  120. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 労務基本契約に基づきまして、米軍の使用に服する労務者、これにはいろいろその全部の職種別が中にきめてございます。その職種に基づくものを調達庁では提供する、こういうことになっております。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっとその中でお聞きしたいのでありますが、こういうのがあるんです。この職種の中に、軍事情報研究分析職、あるいは軍事情報分析職、軍事情報顧問職、私たちこの契約書の一部内容を見たわけでございますけれども、こういうものがあるんですが、これは何をする役なんですか。
  122. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 米軍は、軍隊の組織といたしまして、軍事に関するいろいろな情報等を収集し、あるいは分析する業務があることは当然でございます。そういうようなものについて、今のような職種に従事することによって働いている者は、米軍のそのような部門に従事する、こういう関係でございます。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点非常に重大だと思うのですが、それではこういう職名についての説明はございますか。これは調達庁長官御存じだと思うんです。それから防衛庁長官も、この問題については、日本の現在の立場、それから憲法との関連において、非常に重視すべき問題だというふうに私は考えるわけです。この職名の内容について、今私申し上げました三つの職名、たくさんここでお聞きしたい問題が実はあるのでありますけれども、防衛庁長官が時間があまりないというお話なので、この問題から先にお聞きするんですが、これをちょっと説明していただきたい。
  124. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 職種は全体で千に近い職種がございまして、各労務者が従事しておりまする仕事の、職種の内容の詳しい資料を持ち合わしておりませんので、ここでちょっと説明いたしかねると思います。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は労務契約についてお聞きするということで、一昨日からお話をし、そしてそれについて、きのうもまた確めておいたと思うのですが、この基本契約書をお持ちにならないんですか、どうなんですか。
  126. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 非常に膨大なものでございますから、部分的には持っております。
  127. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 今のお尋ねでありますが、労務部長から御答弁申し上げましたように、職種は非常に多くなっておるように私も承知いたしております。情報関係で、今の御指摘の点について、何かスパイ的なことでもさせるための職種ではないか、こういうお尋ねじゃないかと思いますけれども、調達庁長官から御答弁申し上げましたように、アメリカ軍ならアメリカ軍として軍が行動をするについてのいろんな情報を収集する、これはやはり軍としての仕事一つだと思います。特に何かいわゆるスパイ的な、あるいは昔の特高的な考え方からじゃなくて、軍の行動としての考え方の職種というふうに私は理解すべきだと思いまするし、また、こちらで調達するといたしましても、情報等に適したもの、こういうことで、そのために何か特高的だとかあるいは憲兵的というような職種として、こちらから労務を出しておるというふうには私は理解しておりません。
  128. 岩間正男

    ○岩間正男君 防衛庁長官、この契約書をお読みになっていらっしゃいますか。
  129. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 私は全部読んでおりません。
  130. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはお読みになっていらっしゃらないから、そういうことをおっしゃられるのだろうと思うのですが、その内容を今説明してもらうと明らかになるのですが、これは大へんなことになっていると思うのです。私は、実はこの契約書を全部見たわけじゃございませんが、主要なところをあちこち見まして、その中に出ておる、たとえば一例としまして、今の軍事情報研究分析職、これをちょっと読んでみますと、こうなっております。「軍事情報研究の分野において、専門的、科学的作業について勧告し、運営し、監督し、または実施する労務者。この作業は、国家の安全に影響を及ぼすような一定の地域における物理的、地理的、科学的及び軍事的状況、一定地域の戦争が起る可能性に直接的に関連を有するようなその地域の政治的、経済的状況または外国軍隊の軍事的組織、訓練、武器および戦術に関する情報のしゅう集、評価、分析および解釈をも含んでいる。この職名にある労務者は、次の職務を行う。(1)情報を入手する。(2)情報源を選択する。(3)情報を批評的に分析する。情報の量的不足を満たし、その質を向上せしめる。(4)地図、図表、写真をもって豊富にさしえを入れた総括的、かつ、確定的な報告の形式をもって情報および結論を提供する。その報告は政策立案の係官がすみやかに決定をするため考慮中になっている特定的な問題または論点に関連を有する技術的データまたは情報を圧縮したもので、いく分短く、かつ、それほど詳細にわたることのない報告であったり、専門的な問題を解釈するため特殊な知識を必要とする事項にわたる特殊な報告であったりする。」これは、軍事情報研究分析職というような形で規定され、明白にこの契約書に出ておるのでございますが、これはどういうことでしょうか。その中で、たとえば「一定地域の戦争が起る可能性に直接的に関連を有するようなその地域」、こういうものを言っておりますが、これはどういう所を指すわけですか。
  131. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これはやはりそういう労務を提供させる前提としての原則論をいっていると思います。ですから、たとえば日本なら日本と、こういう、日本において労務を供給させるためには日本と、こういうふうに考えていただいていいと思います。
  132. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはそういうことをおっしゃっていますが、これは予算委員会でも赤城長官はそういうふうな地域としてあげられていると思います朝鮮、台湾海峡、インド国境、あるいはベルリン、こういうようなところは今アジア並びに世界の中で非常に緊迫しておると、こういうような問題についてというようなことをあげていられるので、結局これに該当するのではないかと思うのです。まあその問題ですね。それと関連しまして、一体「その地域の政治的、経済的状況または外国軍隊の軍事的組織、訓練、武器および戦術に関する情報のしゅう集、評価、分析および解釈」これはどういう行為なのですか。これこそは私は軍事情報を探知する、いわゆる名前をあげていえばスパイという言葉を使うか使わぬか別としまして、これはそういう任務を持ったものです。しかもこれはあとで長官時間の関係からおいでにならないから私は申し上げますが、これははっきり軍用人種学分析員というのがございます、この中の職種の中に。この職種の中のある職種は何をするかというと満州に関する研究調査、それから満州に関する情報入手、この道を工夫開拓する、そういうようにはっきり「満州」という言葉がうたわれておるのです。そういう点から考えますと、私はこれは非常にやはり日本の、平和的な体制をとり、日本の安全のためにこれを守ってもらうあくまで防衛的な安保条約だという建前をとり、このことにつきましてはわれわれはむろん賛成はしなかったわけでありますが、そういう格好で進められておりますが、このアメリカの要求、随時これに対して、この要求に応ずるという格好で日本の調達庁は当然これに対する私は責任を持たなくちゃならない。これはあとでまたお伺いしますが、そういうことになっていると思います。そうしますとこれはどうでございますか。この点政治的な問題でございますから、ぜひ防衛庁長官からお答え願いたいのでありますけれども、こういうようないわゆる軍事情報を提供する、このようなスパイ的な行為、こういうようなものを一体平和憲法のもとにある日本政府機関がこれを提供するということは一体どういうことになるでありましょうか。
  133. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これは日本政府がいわゆるスパイの札つきみたいのものを提供して、そしてそのスパイの援助をするということであると、これは相当考えなくちゃならぬ問題だと思います。ただ、今私も詳しくその基本協定の中を検討いたしておりませんが、お読みになったところで私も判断いたしますのに、日本の軍事情報といいましても、日本の新聞、あるいは雑誌、あるいは防衛庁等によりまして印刷物も相当出しております。だから、しさいに検討すればほとんどわからない問題というものはあまりないくらいに日本の防衛庁、あるいは自衛隊のあり方というものはさらけ出してあるといいますか、なまのままで出ております。あるいは御承知のように、国会等におきましても十分な論議、御質疑等もありますので、私はそういうものを集めていくというので、そういう人をほしいというようなことだろうと私思います。それを特に何かいわゆるスパイというものがどういうふうな定義になるかわかりませんが、いわゆるスパイ的な活動ということを援助するというような形で労務を提供していると、こういうふうには私は解しませんですが。そういう事態になっているのじゃないかと思います。
  134. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはぜひ防衛庁長官にここのところを、私は、日本の将来、それから今度の新安保との関係でゆるがせにできないところだと思って実は御質問申し上げておるのです。これをお読みいただきたい。残念ながら向こうにおいでになるということですから、私は、委細を尽くすことはできませんけれども、理路整然たることになっておりますね。今のは軍事情報分析員とか、それからいろいろな職種の人がありますよ。その背後には、むろんこれはG—2の中にはっきりこれを受け入れる態勢がある。そうしてこれは、軍事顧問職とか、軍事情報顧問職とか、それからその下にまた軍事情報分析員とか、そういう機構がはっきりあるのですね。それらの情報を集め、さらにそれによって一つの作戦行動がまさに起こるような事態において地図を作るとか、そういうような仕事まで現実にやっているわけです。非常に機構的なものなんですね。私は、これは日本の憲法の建前から考えまして、行政協定の要請のもととはいいながら、このような軍事情勢を提供する人を日本の労務者から提供するということは、これは正しい行為とお考えになるのか、憲法に対して一体違反しないのか。この点は非常に現在の日本の行われておる労務提供の実態を詳細に検討してみるときに、そうしてしかも、今から三年前に結ばれたものが現在行なわれており、しかもこれに対して、先ほど私はお聞きしたのでありますけれども、今度の新しい安保条約の改正による行政協定の改正によっては、こういうような労務契約、こういうような諸取りきめというものはほとんど変更がない。ただ形式的な変更だけだ。そうすると、この実態というものが今後引き継がれるということになるから、私はこの問題は決して軽々しく見のがすことのできない重大問題だと思うのです。ですから、これにどういうふうに対処されるか、まずお聞きしておきたい。
  135. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 赤城防衛庁長官に申し上げますが、私とお約束した時間がすでに経過をいたしましたから、お答え下すって、それから退席されてけっこうです。
  136. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 私は、先ほどから申し上げていますように、憲法にどうこうという問題はなお検討いたさなければならぬと思います。が、それは別といたしましても、日本で提供しているその労務というものは、再々申し上げまするように、スパイ活動に協力するとか、援助するというような形でなくて提供していると、こういうふうに考えています。ただ提供を受けた向こうの方でこれをどういうふうに使うか、これは、その資料によっていろいろ判断したりいろいろ考えるだろうと思いますけれども、こちらの労務提供の趣旨は、お話のような趣旨で提供しているのじゃないと、こう私は考えています。
  137. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほどからしばしば申しましたように、この詳細をお読みにならないから、長官はそういう御答弁が私はできるのだと思うのです。これは読まなければ、私たちもそういうふうに考えていましたよ。ところが、これを見まして実に驚いたわけです。決してそういうことにはならない。この中には、細菌学職、それから物理学職、地理学職、そういう人たちから、さらに産業体制についてもいろいろな、特殊労務顧問とか、こういうことになっております。それから訓練担当員というものが置かれております。
  138. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) いずれ研究しますから。
  139. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうですが。研究されて、最後に私はもう一度これを詳しく機会を得てそれでぜひお聞きしたいと思うのですが……。これは実に重大な政治的な問題であります。決して今の御答弁のようなことになっておりません。私は、決して自分たちで考えたのではなくて、具体的なこういうものについて、そしてあなたたちが政府の責任において調印されたものについて私は申し上げておるのでありますから、この点十分御検討いただいて、そしてこれについての再答弁をしていただくことをここで確約してよろしゅうございますか。
  140. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) いずれ検討しておきます。
  141. 岩間正男

    ○岩間正男君 それではもとに戻ってお聞きしたいと思うのです。まあ防衛庁長官にここでじっくりお聞きいただくことが非常に好ましかったのでありますが、残念ながら衆議院の方とダブリましたので、その機会をまた別とするとしまして、私は事実について詳しくお聞きをしたいと思います。それでまたもとの問題に戻りますが、この労務基本契約の契約書の正式な名称は何ということになっておりますか。
  142. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 基本労務契約、こういう名称であります。
  143. 岩間正男

    ○岩間正男君 その前にありましょう。
  144. 小里玲

    政府委員(小里玲君) それだけだろうと思うのですが……。それだけの名称であろうと思います。基本労務契約。
  145. 岩間正男

    ○岩間正男君 こうなっておりませんか、「アメリカ合衆国軍隊による日本人および通常日本国に居住する他国人の日本国内における使用のための基本労務契約」、こうなっておりませんか。これはあなた方がお出しになっているこの資料で、調達庁がお出しになっている調達庁関係重要法規集労務編調達庁、これが一ばん根拠でしょう。
  146. 小里玲

    政府委員(小里玲君) その点ちょっとはっきりいたしませんから、調べまして追って御説明いたします。
  147. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 調達庁長官に申し上げますが、私語をなさってけっこうですから、なるべく的確な答弁をすみやかにされるようにお願いをいたします。
  148. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはあなたの方でお持ちになっていないのですか、こういうのは。
  149. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) じゃ次を一つやって下さい。
  150. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはそういうことになると思いますが、それではお聞きしますが、ここにいう通常日本国に居住する他国人というのはどういう人を指すのですか。
  151. 小里玲

    政府委員(小里玲君) アメリカ合衆国の国籍を持った人以外の日本国民または外国人と、こういう意味でございます。
  152. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはアメリカ人は抜けるわけですか。
  153. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 抜けるわけでございます。
  154. 岩間正男

    ○岩間正男君 調達庁長官にお伺いします。これらの他国人を日本政府と米国との契約の中に入れたというのは、これはどういうことですか。行政協定に基く契約としては、これは他国人のそういう契約まで、これは関係を持つのですか。
  155. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 通常日本人でございますが、日本国に通常居住しておるものであるならば、日本人以外のものまたアメリカ人以外のものでも居住者として必要がある、こういうものはやはり調達庁が雇用して軍側に提供することは差しつかえないと思います。
  156. 岩間正男

    ○岩間正男君 ここのところは非常にこれは疑問のあるところですね。日本国とアメリカ合衆国のこれは契約、政府間の契約になっておりますが、他国のことまで日本に一体これは調達庁がタッチしていいのかどうか、まあこれは議論のあるところですが、この問題は後に保留いたしまして、そこでお聞きしますが、この契約書による労務者は完全に日本国内における使用のみに限定されるのですか、それとも、ほかに国外にも出るのですか、この点はどうでございますか。
  157. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 原則的には日本国内で使用をされますが、ただそのうちに、船員関係がございます。船員関係は船に乗るのが任務でございますので、日本国を船とともに離れる場合もございます。
  158. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは船員だけの問題ではなくて、これは船員を除くという規定があったと思うのです。これは船員以外の問題だと思うが、国外に行くのは、それではその船員以外にはない、これははっきり言明されましょうか。
  159. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 出張等もあることもございますけれども、原則として日本国内でございます。
  160. 岩間正男

    ○岩間正男君 出張で参るということを言われましたが、これは出張という名目で何ぼでも拡大解釈されるわけですね。ところがこういうことで大体出張することにしても、何のために行くか、日本国内仕事に限定されるのが当然だと私は思うが、この規定を見ますというと、外国を旅行、こういう規定がございますね、これは条文は何の条文ですか。あなたの方は御存じだと思うが、ここのところを読んでみて下さい。
  161. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 労務部長が申しました通り、在日米軍の国内における必要な労務に服するのが原則でございますが、国内における軍の仕事関係で国外にも用事がある、こういう場合には、出張の形式で出すことがありますので、その場合のことを規定しておるわけでございます。
  162. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは重大な問題だと私は思う。私が今お話しましたように、外国旅行の名で、そうして長期に滞在することができる。ですからこういう形では国内だけではない、国外のそういうものをもこれは当然含むとなれば、私はこれは調達庁の仕事以外のものであるというふうに考えられるのですが、一つこの外国旅行の条文をちょっと読んでみて下さい。
  163. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 「外国旅行については、旅費支給の決定基準として、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和二十五年法律第百十四号)の規定を準用し、個々の場合につき、両当事者の相互に同意する額の旅費を支給するものとする。」。
  164. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこはいいが、外国とは、外国のどういうところかということを規定したところの定義のb項を……。
  165. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 外国旅行。日本から他国への旅行をいうものとする。ただし、旅費計算上、千島列島、歯舞群島、色丹島、小笠原諸島、硫黄諸島、鬱陵諸島、竹の島、済洲島、北緯二十七度以南の南西諸島、大東諸島、沖の鳥島、南鳥島および中の鳥島は他国とみなすものとする。」
  166. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこでお聞きしますが、歯舞、色丹というのは、これは何しに行くのですか。こういう規定があるからには行く可能性がある。何しに行くのですか。
  167. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 何しに行くかはわかりません。使用主の主体が米軍でございますので、こちらにはわかりません。
  168. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから私は言っておるのですね。調達庁というのは、そういう米軍の要求というものが、これは当然安保条約並びに行政協定によって日本国内を守る、そういう範囲において、国内の労務にこれは従事する。そうして在日米軍の要請によって随時これを提供するということになっておると思うのです。そうでしょう。ところが、今言ったように、どこに何しに行くのだかわからない。たとえば、今、私は千島列島、歯舞、色丹、択捉、国後、こういうところをあげたわけです。それに対して、何しに行くのだかわからないという答弁で、何ら日本が責任を持たないということですね。そうして、その労務者を調達するということは、一体これはどうなるか。安保条約あるいは行政協定の趣旨から考えたって、私は明らかに違反だと、こう思うのですが、調達庁は、アメリカが言えば、何でもこれに応ずるのですか。
  169. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 日本に駐留するアメリカの軍隊は、条約にあります通り日本の安全に寄与し、また極東の平和と安全に寄与する、こういう任務のもとに日本に駐留しておるのでございます。従いまして、そのアメリカ軍隊の仕事、任務の範囲内におきまして、日本におるアメリカ軍隊の仕事に必要なもの、これを基本労務契約で日本の労務者を出しておるわけでございます。従いまして原則的にはもちろんこの勤務地というものは日本であるわけです。その勤務に関連して、たまたま、連絡あるいはその他の任務ができて、そのために外国にも行く場合がある。そういう場合には旅費等をどうするかということをこの労務契約はきめているわけです。
  170. 岩間正男

    ○岩間正男君 ただいまのような御答弁をなしていらっしゃると、私は政府の答弁と食い違いが出てくると思うのです。これは新安保の論議の中で出てきたのです。在日米軍と言うのは日本にいる期間だ。これがほかの地域に移ってしまったときには在日米軍ではなくなる。ところが、この労務調達は明らかに在日米軍に対してやっているのでしょう。これはそうですね。在日米軍以外のアメリカ軍に労務を調達する、こういうことじゃないでしょう。そうすると、今の答弁はどうなりますか。一応、勤務することの関連などと言うのですけれども、関連なんというのは、何ぼでもつければ限りないのですけれども、従って、地域的に、はっきり限定しなければ、この問題を決定するモメントはないわけです。ところが、今のように、米軍が要求すれば、どこに行こうが、その労務者がどういう仕事をしょうが、そういうことと関係ないというような形で、そうしてこのような労務者調達に応じられるという事態が起こるとすれば、私は全く限界がないと思うのです。どうでございましょう、この点は。
  171. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 在日米軍の仕事のために提供しておるのでございます。従って在日米軍の仕事に従事する。その在日米軍の仕事は、この日本にある事務所あるいはその他の施設区域で、そこで勤務するのが通常の状態でございますが、その任務の遂行の中に、そとへ出る必要がある、こういう例外的の場合を労務契約できめたものと私は心得ております。
  172. 岩間正男

    ○岩間正男君 私ははっきり言って、日本から離れたら在日米軍でなくなると言っておる。性格が変わると言っておる。政府の答弁でそれははっきりしておる。これは勝手に違う答弁をしておるのです。そうすると、存日米軍の仕事で出て行った、外国に行ってしまった場合には、これは在日米軍でなくなるんです。そういうような場合にあなたたち、はっきりした限定を——あなたたち調達庁で応ずるときの限度というもの、境いというものがはっきりなければ、全く無制限にこれは何でもいいというようなことになるし、そういう結果が起こる。現に起こりつつあるのじゃないか、こう思うのですが、この点はどうですかと聞いておるのです。
  173. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 私が申し上げておるのは、在日米軍自体がそとへ出た、そのそとへ出ておるところの米軍に調達庁が労務者を供給しておると、こういうことじゃございません。あくまで在日米軍に労務者を出しておりますので、この軍隊がよそへ移ってしまったそこまで私どもは出しておるのじゃございません。それはその契約の地域ではございません。
  174. 岩間正男

    ○岩間正男君 あとは野となれ山となれと、こういうことですね。あのときは向こうから言われたからそれに応じた。あとはどういうふうにやられても、それからどこへ行ってもかまわない、こういうことなんですか。
  175. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 繰り返えすようでございますが、こちらから出しました労務者が働くその実質的の使用者というものは日本におる軍隊、在日米軍でございます。在日米軍自体がそとへ移った。それにくっついてそこへ行くというようなことは、この基本契約の範囲外でございます。在日米軍自体の仕事に対してたまたま労務者が国外に出る場合がある。このことを規定したにすぎないのであります。従って向こうに提供した以上、それらがどこへ連れていかれて、どうしようがかまわぬという筋のものではございません。
  176. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし事実そうなるでしょう。これに対して、たとえばほかへ出るときは、もうその労務者を解雇するとか、そういう条件で契約すれば今の問題は明らかになるのだが、しかしそれは全く限定も何もないのです。こっちで拘束力が全然ない。そうしてあとは野となれ山となれということです。ですからこの前の朝鮮事変のように、日本の労務者が連れて行かれて、そうしてあそこで労務をした。中には死骸の引き取りをやった。それを持ってきて日本の港に上げた。そういうようなときの要員というようなものが非常に出たわけですね。こういうような労務者というのは、へたをするというと、これはすぐに、軍関係の労務者ですから——日本人のこれで生命財産、それから基本的権利が守られるかというと守られない。アメリカ軍隊に付属した形で外国に出て行く、そういう事態があったわけです。こういうときに、調達庁は日本の憲法を守る建前から、在日米軍に対する限界というものを置かなければならぬと考える。ところが今の繰り返している御答弁で明らかになったことは、とにかく調達されるときに応じればいいのだ、あとはこれについては全くどこに使おうが、どこに連れていかれようが、これは調達庁の関知したごとじゃない。こうしたようなことは、私は政府機関としてこれは非常に問題である。今度の新安保の中にはこの事態がこのまま引き継がれるということでありますから私は重大な問題だと思います。しかしここであなたとこれ以上論議をしても仕方ありませんから、私はこれはまた次の機会に聞くことにしまして、次に進みます。  その次、現在この労務基本契約によって雇用されているのが何人なのか、この内容を、直接雇用、間接雇用、それから日本人以外の日本国にいる他国人で雇用されているのは何人か、この数字をお知らせ願いたい。
  177. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 一番最近の数字で申しますると、ことしの二月一日現在の間接雇用の労務者数は六万二千四百二十二名、直接雇用の数は、去年の十二月一日現在の数字で一万五千五百五十六名でございます。それから第三国人は現実には提供しておらないと承知しております。
  178. 岩間正男

    ○岩間正男君 これらの労務者は、先ほどありましたが千種——その職種内容は正確には何種ですか。この契約書にはっきりあると思いますが六百三十四種じゃないですか。そうですな、この点ようございますか。
  179. 小里玲

    政府委員(小里玲君) はっきり数字を持っておりませんが、その数字で大体間違いないと思います。
  180. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの方が本職なんですよ。私の方はしろうとなんだから。そしてあなたは千種類あると言われて、私がこれで調べてみて六百三十四種と言ったら、大体間違いないというお墨付をいただいたわけですが、どうもこれはちょっと妙なことになってくるんですね。私の方が調達庁みたいになっては工合が悪いのですから、十分もう少し調べて——これだけいろいろあるのですから、ちょっとここのところを数字を持ってきていただきたい。まあこれはいいです。  それではこれらの雇用について、日本政府は当然提供の義務を持っていると、こういうふうに思いますが、これは先ほどからの御答弁でも明らかだと思いますが、なお念のため確認したいと思いますが、いかがですか。
  181. 小里玲

    政府委員(小里玲君) その通りでございます。
  182. 岩間正男

    ○岩間正男君 さらにこれは当然第三条で随時に要求してくる、こういうときにはこれは拒否することができるんですか、どうです。この契約の主文の第三条によって、随時に向こうでいつでも必要に応じて要求してくる、こういうときに、これを拒否する、そういうことができるのかどうか、あるいはもう必ずこれに応じなくちゃならないのかどうか、その点。
  183. 小里玲

    政府委員(小里玲君) この契約の条項に基づいて米軍から要求がありました場合には、契約の規定の範囲内で日本政府が提供いたします。
  184. 岩間正男

    ○岩間正男君 むろんそうすると契約の規定の範囲内では拒否することができない、こういうことですね。これを確認しておきたいと思います。  それでは先ほどの軍事情報研究分析職、それから軍事情報分析職、それから軍事情報顧問職、こういう三つの職があるんですけれども、これについて、先ほど軍事情報研究分析職につきましては、私はその任務というようなものを読み上げたわけですが、軍事情報分析職というのはどういうことですか、その職務の内容をお聞きします。
  185. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 先ほど防衛庁長官からお答えがありましたように、各新聞あるいは雑誌等に出ておりまする情報の分析だと思います。
  186. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの勘で答えられちゃ困るので、これはやはり法規があるのでしょう、よりどころがあるでしょう。これをお持ちでないのですか。契約書の内容にある。だから私はただしたのです。附表も、これも皆含めてこれが契約になっている。単に主文だけじゃない。この点はさっきはっきりそうだと言われた。そういう中にちゃんとあるでしょう。附表の中に職種内容が書いてある。こういう点でもお答えをいただきたい。私はこれじゃどうも困るのです。
  187. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 今その細目の資料を取り寄せまして……。恐縮ですが、岩間先生、調達庁のものをお持ちでございますので、そこに書いてある通りでございます。
  188. 岩間正男

    ○岩間正男君 論議を通じてこれは明らかにしようというのです。これは私たちは手にしております。しかし、これ自身よりも根拠のあるあなたたちの何を聞いているのです。それについて質問をしているのですから御答弁願いたい。
  189. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) まことに恐縮ですが……。
  190. 岩間正男

    ○岩間正男君 ないのですか。それじゃ、この軍事情報研究分析職というのは調達庁を通じて何人ぐらい今まで雇用されましたか。
  191. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 各労管で全国にわたってそれぞれ労務者を提供しておりますので、具体的にただいま正確なその数字を持っておりません。
  192. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほどの人数をお出しになるときに、積算の基礎がなくちゃこれはお話にならないと思うのです。先ほど間接雇用、直接雇用、それから他国人、第三国人、これについてあなたたちは数字をはっきりされたじゃないですか。それを職種別に分類するくらいのことを、官庁としてそういう統計をやられるのが当然ですが、それをやっておられないのですか。
  193. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 御承知のように、駐留軍の労務者は毎月々々人員整理ございまして、その全体の数字がいつも変動しておりますので、絶えず職種別に人数を明らかにするということは相当の手数でもございますので、絶えずそれをやるということは今までいたしておりません。
  194. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは人員が不足だということじゃないのですか。昨年は二百三十人なんですね、防衛庁に合併されて定員が減らされた。ことしは七十人と伺ったのですが、そういうことですか。人員不足でそういう仕事ができないか、あるいはやっていないというのですか。
  195. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 実は員数が足りないから、あるいは人員が足りないからということではございません。実は分類の仕方はいろいろございますが、一応手元で必要として調べておりますのは、技術系統、事務系統の区分け、あるいは陸海空三軍別の区分け等の資料は絶えず作っておるわけでありますが、六百数十種にわたるこれに基づく統計を今まで実は作っておらなかった、こういうわけであります。
  196. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、その元の本はあるわけですね。私はこれは重要だと思うのです。当然私たちは国会にこういう資料は提出さるべきものだと思う。しかもこれは問題になっておるのですかね。移動しておるというお話ですが、私お聞きしているのは年度別でいいんですが、年度別に今まで何人提供したかと、こういうことを聞いておる。何々職種はどのくらい、何々職種はどれくらい。私お聞きしたいのは、ついでにこれは資料としてお出し願いたいと思うのですが、軍事情報研究分析職、軍事情報分析職、軍事情報顧問職、この三職。さらに軍事情報顧問、それから軍事情報分析員「A」、軍事情報分析員「B」、それから軍用人種学研究分析員、軍用人種学研究分析員「B」、それから特種語学顧問、それから上級作戦分析員、地理学者、細菌学職、物理学職、産業技師、工場監査技師、測量製図管理職、測量製図、特殊労務顧問、訓練担当員、保安専門職、それから犯罪調査職、これだけの職種が明白にこの表の中にうたわれておるのでありますから、これについて今までどれだけ提供したかということですね。こういう統計というか、調査はおできになると思うので、これを予算が終わるまでにお出しいただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  197. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) ただいま岩間委員から資料の要求がございましたが、機密にわたらざるものはできるだけすみやかに御提出を願いたいと私から申し上げておきます。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  198. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) 速記をつけて。  二十分間休憩をいたします。    午後二時十四分休憩    —————・—————    午後二時四十八分開会
  199. 藤田進

    ○副主査(藤田進君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  200. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは軍事情報分析職、これの職務内容についてお伺いいたします。
  201. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 職種、軍事情報分析員……。
  202. 岩間正男

    ○岩間正男君 分析員というのは違うのですな、これは何だな、質問を何するためにページを申し上げましょうか。
  203. 藤田進

    ○副主査(藤田進君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  204. 藤田進

    ○副主査(藤田進君) 速記を起こして下さい。
  205. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 「軍事情報分析職。軍事情報の分野において、専門的または科学的研究活動を含まない作業を監督し、または実施する労務者。この作業には、国家の安全に影響を及ぼすような外国地域における物理的、地理的、科学的または軍事的状況、一定の外国地域の戦争が起る可能性に直接的に関連を有するようなその地域の政治的および経済的状況、または外国軍隊の軍事的組織、訓練、武器および戦術に関する情報のしゅう集と分析を含んでいる。この職名にある労務者は、次の代表的な職務を行う。(1)情報源を選択する。(2)情報を入手する。(3)情報を対照する。(4)情報を批評的に分析する。(5)総括的、かつ、確定的な報告の形式をもって情報を提供し、もって政策立案係官の用に供する。」以上でございます。
  206. 岩間正男

    ○岩間正男君 その次に、軍事情報顧問職について。
  207. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 「軍事情報顧問職。この職名の労務者は、計画的または行動的な使用に供するために必要とされる地理的情報の作成および調達について、監督し、勧告し、意見を述べ、または遂行する。この業務は、地理的情報を研究し、分析し、総合すること、軍事行動に関連し地勢、気候、土質、水路および海洋、通信、輸送および都市状態についての軍事的配慮を含む正確な情報を提供するための資料および情報源を展開することを、含む。割り当てられた任務の達成について、また、軍事計画影響する適切な問題について、上級の管理的な、かつ、権限のある担当官に勧告し、相談に応じ、論議するとともに、軍事的、地理的報告を完成するために必要な計画および手続を勧告する。」以上でございます。
  208. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは調達庁としては、私はこれは調印される前に実はこの実態について一応御研究になられたはずだと思うのです。どうでございますか。
  209. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) この職務の分類に関しましては、調達庁としても検討を加え、また労働組合とも十二分に協議した上きめたものでございます。
  210. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういう今の三つの私は職種をあげましたけれども、こういう問題についてもこれは相談したわけですか、労働組合と。それはどうですか。
  211. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) この職務内容、つまりこの基本契約並びに附属の細目等の内容全般でございます。
  212. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、この問題は労働組合ははたして承認したかどうか、このときわかりませんが、私は今三つあげましたが、この三つは非常に関係があるわけでしょう。とにかく機構が明白なんですね。現地におけるそういう実態をつかむ、それを持ってきて今度は選択し、さらにそれをまとめ、さらにそれを今度は顧問があって、顧問職の方では、そういう問題について絶えずまた監督、指揮、そういうものを与える。そしてそれについて建議する。これは米軍に対して建議する、こういう形でありますから、この三つの職種というのは、一つのそういう軍事情報を採集する。しかもこれは非常に地理的な問題ということが一つ大きく出ていますが、これはおそらく空軍が使うんじゃないか。そういう情報が非常にこれは多い。地理的というのが非常に出てきております。こういう問題について、こういうような一つの機構がはっきりできている、こういう形になっています。従いまして、私は、この人数は今までどれだけかということは、先ほどお願いしたわけでありますが、これもまたお出しを願いたい。こういう情報の機関について、これはスパイであるなしという論議は、ここでは繰り返したくないと思うのです。あまりにも明白だと思います。  その次に、極東軍司令部現在は太平洋軍司令部ということになっていますが、このG—2におります情報部地理課長の一般的指揮のもとにあってやっておる。こういうような形から軍事情報顧問、それから軍事情報分析員「A」「B」、こういうような機構があると思うのです。ここで働いておる労務者の職種が、はっきり軍事情報顧問、それから軍事情報分析員「A」、軍事情報分析員「B」、こういう形でうたわれていると思いますが、この三つの職種について伺いたいと思います。これ全部をお読みならなくとも、最もその中で特徴的なところを出していただいていいのです。しかし今にわかなことで、ここで悪ければお読みいただくよりほかないと思いますが、どうですか。
  213. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 全文を読ましていただきます。「職種。軍手情報顧問。受ける監督。極東軍司令部G—2情報部地理課長の一般的指示の下に、極東軍管下の国連軍の戦略計画および戦術的作戦に要する軍用地理の研究計画および準備のために、上記の課において補佐ならびに顧問として勤務する。全般的方針を討議し、極東軍司令部の要求により地理上の情報を提供する目的のために、軍事予定計画および戦場の予想遭遇事項につき起草する。行う監督。他の者に対しては直接の監督は行わないが、上記課の重要な従業員に技術的助言および補助を与える。任務と責任。1計画および作戦に使用するために必要な地理に関する情報の作成ならびに入手について、事務所の各係官に対する技術顧問として勤める。2 極東軍管下米国駐留軍のこうはんな計画部面に関する事項について作業を行う。その作業には、地形、気候、土じょう、水路学、海洋学、通信、運輸および都市の状況等の軍事部面を含む極東軍司令部管下の軍作戦に関する正確な情報を国連軍司令部に提供する目的のために行う地理に関する情報の研究、分析、総合および資料の完成等がある。現在の地理に関する刊行物の改定もしくは訂正を勧告する。水路事務所、気象台、外務省、地理調査所およびその他の研究所等のような日本政府の適当な機関と連絡をする。3 現在の刊行物の改定ならびに人員配置の変更が必要か否かを決定するため、割当てられた研究計画の進行について監督者と協議する。軍事計画影響する問題について高級の行政および執行官等と協議する。国連および日本国側代表との高級な会議に参加する。指示があれば日本国側係官との会議において課代表者として勤める。4 軍用地理に関する報告を完成するために必要なあらゆる情報の入手を保証するための計画ならびに手続を勧告する。困難な先例のない問題を解決することにつき援助をする。5 割当てられたその他の職務を実施する。資格要件。専門学校卒業者で軍用地理の計画および作業部面につき、最低十五年の経験を有すること。」次に……。
  214. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのことでちょっと。これはG—2に直接所属して、そして、「極東軍管下の国連軍の戦略計画および戦術的作戦に要する軍用地理の研究計画および準備のために、上記の課において補佐ならびに顧問として勤務する。全般的方針を討議し、極東軍司令部の要求により地理上の情報を提供する目的のために、軍事予定計画および戦場の予想遭遇事項につき起草する。」というのでありますから、これはまあ一つの参謀的な補助だと思うんですが、従って、これは軍事情報顧問、こういうような名前になっておるのでありますが、これはやはり日本軍がこのような米軍の作戦に参加していく。しかも最低十五年の経験がある者ということになりますと、具体的には、これはどういう人をさすことになりますか。どういう人ですか。これは旧軍人と見ていいと思うんですがね、最低十五年のそういう経験を持っておるというのは。こういうふうにこれは考えてようございますか。
  215. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 具体的にどういう人ということは、はっきり承知しておりませんが。旧軍人の人が相当多いだろうと思います。
  216. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく、日本は敗戦以来、まだ満十五年を経ていないんですから、その前に軍事的なこういう経験を持つと言ったら、これは旧軍人である。こういうふうに、これは旧軍人の、しかも相当これは高級な作戦に参画するわけですから、これは非常に重要な位置を持つ。しかも、極東軍司令部の参謀第二課に直属する。こういう形だ。こういうようなことを、この問題、やはり調達庁としてはこれに応ずるという形をとられたと思うのでありますが、このこと自身は、しかし日本政治の動向の中では、非常にこれは重大な問題じゃないかと私は考えます。旧軍人に対する、ポツダム宣言受諾後における規定があるわけなんです。こういう中で、明らかに今度は米軍にこれは協力するという態勢をやすやすと調達庁はとられるということには、非常にこれは大きな問題がある。しかし、これはまあここで長官を追求してみても十分でありませんから、これはまあ別に政治問題として発言することにしまして、その次に、軍事情報分析員について、あまり附属的なところはもうけっこうですから、その中心になるようなところを一つ
  217. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 「軍事情報分析員A。受ける監督。極東軍司令部G—2情報部地理課都市計画係長の一般的監督の下に、極東軍および陸軍省によって使用される都市研究の準備のため、管理経営の指示ならびに口頭および文書による一般的指示を受ける。行う監督。十人以上の熟練せる軍事情報分析員の監督に対しまた地理課の他の係の業務と部下の業務との総合的調整に対し責任を有する。任務と責任。1日本国の復員局、外務省、海外文書局、海上保安庁、引揚援護諸団体および他の多くの日本政府の重要な機関と常に連絡することによって情報の径路を考案し、その進歩および開拓をはかる。2特別地域における地理的情報の範囲を増進するため十分な調査研究を行う。3特種の情報使命を達成するため情報をしゅうしゅう、分析し、処理、評価し、かつ、交換する。4新規採用の労務者に訓練講習を行い、かつ、収集し、手続または技術上の変更を指示する。行っている業務の要求事項および完成調書の必須要素を係員に熟知せしめ、仕上げ調書の正確を期するため特に資料の評価に重きをおく。5以前に得られた情報が断片的で、信頼できずまたは現実的でないような不明瞭、かつ、遠隔の都市をも含む広範囲な種々の地理的地域の都市計画図の作成に対して責任を有する。6広範、かつ、細微にわたる計画および指定された特殊の計画の完成に対して責任を有する。命ぜられれば、その他の職務を遂行することもある。資格要件。大学卒業者で、情報またはその関係分野において少くとも十五年の経験を有すること。英語を十分に活用し得る知識を有すること。  以上でございます。
  218. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは日本の復員局、外務省ですね、海上保安庁、引揚援護団体、こういうところの重要な、政府機関と連絡を常に密にする。そうして情報を集める。このこと自身が一つ非常に大きな問題だと思います。さらに特別地域の地理情報の十分な調査研究。この特別地域というのは、これは何をさすのか。これは先ほども問題になったように、ある特定の対象された地域、こういうことになるのじゃないかと思う。それから、特種情報の使命の達成、それから新規採用労務者の養成、こういうようなことになりまして、この軍事情報分析員「A」なるものは、まあやはり十五年の経験を持つところの、これは情報官ですね、非常にこれはやはり日本の行政との間で、大きな問題を起こす問題じゃないか、まあこういうふうに考えられるわけでありますが、こういう問題については、全くこれは検討されなかったのですか。
  219. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) この種の問題に関しましては、先ほども申しましたように、米軍が日本に駐留しておる、その目的任務、その任務の範囲内において、軍隊がいろいろ軍事的な情報が必要である。従ってG—2という組織も向こうにあること当然でありますが、これらの任務遂行の範囲内において、その下働きに日本の労務者が必要である、これを調達庁が出すということも当然である。これが特に日本の法制上禁止されておる事項ではないと考えて提供しておるわけでございます。従って、それらの労務者が、これらの任務につきましていろいろ仕事をする、そのこと自体が日本の法制に反するというようなことになりますならば、これはもちろん労務者を提供しません。この契約上の任務外でございますが、その法制に抵触せず、範囲内のものであるならば差しつかえないもののように心得、かような職種を設け、従って、それに基づく要求がありましたときには、適格者を出す、このように契約いたした次第でございます。
  220. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ、日本の法制に抵触する範囲だったら、これについて異議を申し立てるつもりだったが、まあ抵触しないから、これに応じたというようなお話でありますけれども、これは日本国民の、当然の日本憲法のもとにある国民の権利義務、そういうものを考えますときに、私はどういうことになるか、日本のこのような情報のもとに、しかも相当なこの中では特別地域地理的情報の十分な調査研究あるいは特殊情報の使命の達成、こういうようなことになりますと、私は単純なこれは軍協力などということは、とても言えないと思うのです。こういうことが法文の中に明記されているのに、これをやはり検討することが十分でなかった。そして日本のまた労務者は非常に失業者が多くて生活が苦しい、こういう大ぜいの中では、とにかく仕事があればというので、やむを得ずこれはそれにやはり入っていくという事態も起こったのだと思うので、こういう点から考えますと、非常に異論のあるところです。しかし、これも議論になりますから、その次に参りたいと思いますが、軍事情報分析員、これについては大体こういうことになっていると思うのです。日本語を使って日本人に質問する、情報の出所、作成者の評価、情報の研究性を高める情報のため、研究所、図書館、外国政府、出版所、写真などの利用、すべての情報を総合して完成地図の作成をする、こういうような任務になっておるようでありますから、ここのところはお読みいただかなくてもけっこうです。  そのほか特に私はお聞きしたいのですが、これは五百五十六ページです。軍用人種学研究分析員、これはどういう意味かお尋ねします。
  221. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 軍用人種学研究分析員の職務内容を読み上げます。「受ける監督。第六〇〇四AISSしゅう集管理部特別計画課長の一般的指示の下に第六〇子午線の東方アジア各地における社会学、心理学的総合調査のあらゆる研究活動、へんさん、評価および作成を指示する。また東アジア地域の重要地方およびまたは軍事施設の専門的研究事項を準備する。全般的目的を討議し、調査および研究事項のへんさん照校および評価に用いられる方針を決定し、もって極東空軍および合衆国空軍の要求する如き、特殊の情報を提供する。行う監督。部内の主要な職員に専門的勧告を行い、またそれぞれ東アジア地域の研究について五年から十年の経験を有し、かつ、英語、ドイツ語、ロシア語、支那語および朝鮮語で研究を行っている五人の日本人の専門研究分析員の研究および分析業務を直接に監督する。また前記研究分析員の活動によって得られた研究結果の最終的評価者として勤務する。なお業務報告の複写を行う複写技術者二名の作業に指示をする。任務と責任。1極東地区における、社会学、心理学および人類学的要素ならびに経済的要素に関して特別計画課およびしゅう集管理部の士官に対する技術顧問として勤務する。諸計画および手続につき勧告をなし、研究および分析業務を完成するに要するあらゆる適切な情報を取得しうるようにする。2割当てられた研究計画の進行を監督官と相談し、以前に提出した資料の改訂および補足が必要か否かを決定する。業務報告(通常二三五頁〜三六五頁)に対する草案を作成し、説明資料を選択する。また内容をグラフで示すために原図を計画する。業務報告全体を検査し、細部にわたり正確を期し、必要な記述、註釈、批評、および必要な細部事項を加えて上記報告書を訂正または補足し、報告書を完成する。なお五名の熟練研究員の補佐を得て報告を複写する。3著者目録を作成し、研究方法を略述し、また英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、日本語、朝鮮語、支那語、蒙古語、チベット語、トウングー語、ギリヤック語、梵語、アイヌ語、カスカリアン語、イラン語およびアラビア語の参考資料を用いて社会学、心理学および人類学的総合調査を行う。上記のこうはん複雑な調査によりしゅうしゅうされた資料を、各種の分析評価技術を用いて組合せ評価し、もって東アジアの多種多様な社会的および人種的集団の住民生活に関する社会的および専門的要素について評価し、かつ、根拠と正しい情報を上級司令部に提供する。資料の大部分は外部から得なければならない。4政府産業、教育およびその他の機構の分野において公私の個人および機関と連絡を作り、かつ、それを維持し、その活動を調整する。アジア大陸から帰還した日本人および日本人以外の人々に面接して、社会、政治産業および軍事的発展についての報告を検証し、もって上級司令部に対して総合的な最近の情報を提供する。」
  222. 岩間正男

    ○岩間正男君 もうけっこうです。軍用人種学研究分析員の中で私は特に問題にしなければならないのは、第四に「アジア大陸から帰還した日本人および日本人以外の人々に面接して、社会、政治産業および軍事的発展についての報告を検証し、」云々、これは引揚者について全部そういうような情報提供のスパイ的行為というものが、実際引揚者に付随して行なわれておる。それがやはり米軍の要求によって日本の調達庁が提供しておったということは、これは非常に重大な問題じゃないかと思う。その次の軍用人種学分析員「B」ですね、これはどうですか。
  223. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 軍用人種学分析員「B」の職務内容を読み上げます。「受ける監督。第六〇〇四空軍情報隊特別計画研究C班長の一般的監督の下に、特定範囲ならびに広範囲にわたる満州に関する調査研究作成のため、上記班にあって、研究員および分析員として勤務する。その研究は、極東空軍および合衆国空軍の各司令部が使用するものである。行う監督。他のものに対しては、直接の監督は行わないが、主要職員に対して技術的助言と援助を与える。任務と責任。1民間および政府機関および個人と絶えず連絡をとって、満州に関する情報入手の道を工夫開拓する。2満州の全地域および特定地域に関する軍事、経済および政治的要素の客観的評価を提出する目的のための研究を行う。その研究には、関係情報の組合せ、分析、評価および解釈を含む。3極東空軍および合衆国空軍は勿論のこと、所属班の利益となり、価値ある日本語もしくは支那語で書かれた発刊物、定期刊行物、書籍、および参考資料を審査、選択および獲得する。」
  224. 岩間正男

    ○岩間正男君 その辺でけっこうでしょう。この問題では、「民間および政府機関および個人と絶えず連絡をとって、満州に関する情報入手の道を工夫開拓する。」とあるのですが、満州という言葉がそのまま使われているのは、ちょっとおかしいと思うのです。中華人民共和国の東北省ということになっているのですから、特に満州と指定しているのは非常に重大じゃないかと思う。さらに「満州の全地域および特定地域に関する軍事、経済および政治的要素の客観的評価を提出する目的のため研究を行う。」ということになっておりますが、はっきりしたこういう対象があって、しかも、日本の軍閥が非常にここに進出して、そして今度は敗戦によって排除された、こういうような満州についての特に研究がここに取り上げられている。これは非常に私はやはり日本の現在の平和憲法下における日本政治としては、私は非常な重大な問題を持っているものではないかと、こういうふうに考えます。さらに特殊語学顧問、ページ五百五十二ですか、これはいかがですか、どういう……
  225. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 「特殊語学顧問。受ける監督。極東軍情報学校の外国語要員養成課長の一般的監督のもとに、日本語、朝鮮語または広東語、標準支那語等の語学要員養成科で使用するテキスト、テスト資料およびその他の一般資料の作成、ならびにクラス教育の実施、ならびに指令にもとづく教師としての正規の職務の遂行のために管理および業務上の指令および口頭または文書による一般的指示を受ける。」……
  226. 岩間正男

    ○岩間正男君 その辺でけっこうです。その中の極東軍情報学校というのは、どこにあったのでしょう。
  227. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 極東軍司令部というものがあった当時、その司令部内にあったと思いますが、現在は極東軍がなくなりましたので、これはないと思います。
  228. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは確かめないで、そしてやはり何ですか協約を結ばれたわけですか。こういう点は向こうの言ってくるなりになったという感じがするのですがね。この極東軍情報学校というのは、これは非常にやはりこの正体が私たちによくわからないわけです、何をやっているのか。そしてどのくらいのこれは実際は学生がおって、どういうことを一体教えたのか、あり場所、こういうものについて、これは御存じないのですか。
  229. 小里玲

    政府委員(小里玲君) この職務の分類、職務の内容等につきましては、これは占領中に結ばれました旧契約のもとにおいてこの内容で契約を結ばれまして、新契約のときに当然それを詳細にわたって検討して字句等の修正も行なわなければならないということであったのでございまするが、非常に新契約を結ぶときの日にちの関係で取り急いだ関係もございまして、この職務内容等について詳細に検討を加えて修正を行なうという措置をとらなかった経緯はございます。従って、以前からのものをそのまま引き継いでこういう文書に残っておる、こういう関係でございますので、その点は御了解いただきたいと思いますが、この情報学校の内容等について十分承知しておりません。
  230. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあお聞きすればするほど驚くべきことですが、政府のとにかく調達を代表する機関がこういう格好であって、相手要求したのがどこにあるかもわからないで、これは応じ切れないのだろうと私は思うのです。  もう一つ大きいのは、極東軍という言葉が残っているということに今お話がありましたけれども、これは占領軍時代に作った。それを十分に検討することができなかった。むろんこれは膨大なものですから、これは主文、細目書を入れれば膨大なものでありますから、これは検討するには大へんな努力が要ったと思う。しかし、これは少なくとも日本の国民の平和と安全にとっては重大な関係を持つものですね。こういう問題がほとんど短時日の間に、もう言いなりほうだいにオーケーして協約を結んでしまうということは重大な事柄である。従って、これは占領政策時代の継続的なものがたくさん残っておる。言葉の中でもそうです、言葉だけじゃありません、これは内容的にも。ですから、これは具体的に言えば、当然この前に結ばれておった、つまり先ほど説明がありましたけれども、何年でしたか、この安保条約、行政協定を結ぶちょっと前に、つまり占領時代のやつをそのまま今度は労務契約として調印された。そしてそれが、今度の五七年の、先ほどは十月一日と言われましたが、それは発効したときで、実際は九月の十八日の調印になりておると思います。このものとどういうふうに内容的に変わっておるのか。実は私たちこれを非常に検討したいと思うのですね。元の古いやつ、そういう資料があるのかどうか、そういうものを出していただきたい。さらにこれは新安保に引き継がれる、実質的の内容がそのまま引き継がれるということを赤城防衛庁長官も、それから丸山調達庁長官も言われたのでありますが、これは重大問題なんだ、こういう細目の問題として。そういう点これはどうでございますか、この前の労務契約、基本契約、これはございますか。これはいただけますか。
  231. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 旧契約もちろんございますが、この職務内容、職務分類のところは、これは新と旧は全然変わっておりません。
  232. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはやっぱり重大な問題ですね。新と旧は変わっていない。そうすると、占領時代のやり方がそのまま継続したということが、今の御答弁ではっきりしたと思います。占領政策の延長だった。われわれは安保条約を結び平和条約で日本は独立したということをしばしば当時の政府の代表者から説明された。しかし、実態はどうかというと、これは、最も日本の国民の平和、安全、生活、こういうものとつながっておるところの労務契約の面において、こういう点では全然変わっていない。それがまた同じようになされておる。これは非常に私は重大だと思いますが、今の資料は、これはいただかなくても、これを見ればそれじゃ全く同じだと、こう解釈してよございますね。その点を確認いたしたいと思います。
  233. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 職務内容等は新旧全く同じでございますが、御指摘のような点がございますのと、それとこれが全部給与、労務者の給与との関係がありまするので、給与の是正という措置をここ昨年以来進めておりまして、その給与との関連においてこの職務分所、並びに職務内容等を検討いたしまして、そしてこれを改正をしていくという作業を進めつつありますので、これは非常に膨大な内容を持っておりますので、短時日にはなかなかむずかしいと思いまするが、研究作業を進めまして、是正をすべき点は是正をしていく、こういうことにしております。
  234. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく旧契約をいただきましょうか。旧契約いただけますね。資料ございますね。
  235. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 職務分類等のところは新旧同じでございますから、基本になるところだけでよろしゅうございますか、それなら差し上げることができると思いますが。
  236. 岩間正男

    ○岩間正男君 できれば職務分類の入ったものもあれば、できればそれもお願いしたい。  次に、上級作戦分析員、これは五百四十三ページですが、上級作戦分析員というのは何をするのでしょうか。
  237. 小里玲

    説明員(小里玲君) 上級作戦分析員の職務内容を朗読いたします。「受ける監督。極東軍司令部軍事歴史局日本研究課長の一般的監督のもとに業務に服する。極東軍司令部、陸軍省、海軍省、合衆国空軍および連合国の歴史関係団体が用いる軍事歴史の研究資料を作成するため管理および業務上の命令を受け、かつ、口頭および文書による指示を受ける。行う監督。三人から七人までの作戦分析員から成る高級専門職員の監督に対し、またこれ等部下の仕事の総合的調整に対して責任を有する。任務と責任。上記の課と日本国復員局ならびに日本政府のその他の機関との連絡に対して責任を有する。元日本国高級将校と必要な連絡を行う。第二次世界大戦における日本国の作戦全局面にわたる軍事論文の範囲および基準を展開する研究を行う。以前に作成された論文中に包含するため、新らしい報告を収集し、かつ、評価する。一九三二年から第二次世界大我を通じて日本軍の作戦に関するすべての問題につき、決定的権威を持つ、すべての機関からの報告を特に請求する手続をとる。これ等の請求は、歴史的および情報的の両方面の性質のものである。資格要件。最低二十年の軍務に服した元日本陸軍もしくは海軍の正規高級将校であること。第二次世界大戦中の日本国の作戦の全局面の完全な応用をすることのできる知識を有すること。」。
  238. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまた大へんなことだと思うのですね。これは日本の高級将校が米軍に協力し、そうして軍事情報並びに作戦に参加するというような形のものだと思うのです。この中で二十年軍務に服した元日本の陸海軍高級将校で、そして第二次大戦中日本の作戦の全局面に完全な応用のできる知識を有すること、こういうことになると、そんなにこれはいないと思うんですが、大体昔の範囲でいけば、どのくらいのものですか。やはり将校級ですか。佐官級ではなかなか見つからないと思いますがね、全面的ななにをやるのは。どうですか。
  239. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 詳しいことはそう知っておりませんが、佐官級ではないかと思います。
  240. 岩間正男

    ○岩間正男君 何人くらいおりましたか。これは著名な人だからわかるでしょう。
  241. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 数は承知しておりません。
  242. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは資料として出していただきたいと思います。  次には、細菌学職百四十三ページ、これはどういう仕事ですか。
  243. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 「細菌学職。この職務にある労務者は、バクテリア、リケッチア、ヴィールスその他細菌的組織体ならびにその発生の形状、組成および生命の過程、人、動物または魚類の病気の原因としての重要性、殺菌、消毒および統御の方法、病気療法上の利用、衛生、分解、はっこう、工業的過程または土じょう生産性に対するその活動と効果などに関する研究調査における研究または他の専門的および科学的作業について勧告し、運営し、監督し、または実施する。この職名にある労務者は、次のごとき代表的な職務を監督または実施する。(1)細菌に関する研究、実験室内の実験および観察をする。(2)特異なバクテリアまたは他の細菌をあらかじめ定められたまたは標準的な抑制媒体内に分離し、かつ、培養する。生物学的、形態学的、培養的特徴に対する顕微鏡的試験によって細菌的組織体を確認する。(3)湿度、通風、温度、酸度、栄養的要素を抑制し、細菌の再生、分裂または死滅に適当な状態を観察し、もって合成媒体内のバクテリアおよび他の細菌的組織体の成長、発展、栄養的要件について研究する。(4)バクテリアならびに他の細菌的組織体によって生物組織に生ずる酸、アルコール、酵素等の物質を化学的に分析する。」。
  244. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題も、石井中将の細菌作戦というようなものが日本で問題になった、そういうものと関連して私は非常に重大な等閑に付せられない問題だと思うのです。今言われたように、細菌学職というのは単に平和的な利用というようなものにとうてい考えられない問題だと思う。これが軍事的に利用される、そういうような点で旧陸軍のずいぶんこれは問題であったのでありまするから、こういう点についても十分検討されなければならない。ところがやはりこれはアメリカの協力機関として向こうから求められている、これに応ずる形で出ているというのは非常に問題じゃないかと思います。  時間もだんだん迫って参りましたから私は次に移りたいと思います。その次に産業技師、それから工場監察技師というような産業面に対しましてもこれはいろいろな要因が出されておるのでありますが、これは日本の平和産業という点から考えれば非常に問題じゃないか。その中で工場監察技師のごときは、空軍係官とともに日本全国の有力製造工場を訪問する。会社の執行部員と会見して現存の有能工場施設について協議する。有力製造工場を調査し、製品、生産過程、作業費、生産能力等、原料流入経路を調査する、そういう中で空軍係官の見て歩く工場というのは当然軍需工場的性格を持つものだと思うのですが、こういう方面までこれは入っておるんですね。  それからその次にお伺いしたいのは特殊労務顧問、これは何をする役目ですか、五百三十ページ。
  245. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 「特殊労務顧問。受ける監督。合衆国極東軍司令部G・1労働部長の指揮下にあり、一般的方針および手続に関して指示をうけ、労働部の責任である業務活動の組織および遂行上、判断、分別をなし、率先してこれを行う責任がある。行う監督。なし。任務と責任。1日本政府機関または日本国の労働団体と合衆国極東軍司令部G・1労働部との間の労務に関する契約ならびに連絡事項を取り扱う。合衆国駐留軍により直接または間接に使用される労務雇用の全部面に関する質問に答え、かつ、これに関する情報を配布する。2日本政府の労務募集機関と密接に連絡を保ち、作業部門の労務者をすみやかに募集する。労働市場の状態に関して、合衆国極東軍司令部G・1労務部長に定期報告をなし、せっぱくした労働市場に伴う労務募集問題を解決することに要する手続を推薦する。3恒常的性質のあらゆる労務連絡事項につき決定をなす権限を有する。政策事項の決定に関しては労務部長に附託する。日米労務基本契約、日本国の法律および日本政府の規則条例に関して専門的な情報を合衆国職員に提供する。承認を得るための方針手続を定め、作業部門に配付する。4直接雇用の労務者の管理につき、要すれば日本政府機関から政策文書および日本国の法律の解釈を入手する。5労働組合役員と絶えず接触し、また日本国の新聞記事から適当な情報を入手して日本国労働組合組織の研究をなす。このような情報を分析し、在日米駐留軍の労働政策および雇用習慣に対する関係を評価する。この研究分析から得られた事実に関し、極東軍司令部G・1労務部長に口頭または文書により報告し、かつ、将来の進展を予想する。6日米合同労務小委員会の会合において通訳をする。労務管理の各種の分野、すなわち日本国の労働組合法、労働関係調整法、労働基準法、労働者災害補償保険法、失業保険法その他の関係法令に関する法律上の学識ならびに職務分類、賃金率の決定、苦情処理、労務調達手続および労働者訓練計画の如き専門的学識を含む各種の部門につきこうはんな知識を用いる。7在日米駐留軍により使用される日本人労務者に関する地位に日本国民法および刑法を適用するために、それらの法の基本的研究をなす。8日米小委員会の両国委員の間に良好な作業関係を樹立し、かつ維持するために、また、審議中の問題を委員が迅速かつ完全に了解することを促進するために委員会の通訳をする間、機転ある外交手腕を用いる。9通信を出し、また返信する。」
  246. 岩間正男

    ○岩間正男君 もうけっこうであります。  これは合衆国極東軍司令部G・1の労務部長の指揮下にあり、その指示を受け、そして日本政府の労務官と密接に連絡をして労務管理をする、こういうことなんでありますが、これは占領時代さながらじゃないですか。これは、こんなことをやっているのですか。これは不用意きわまるものだと思うのですね。どうでしょう、これなんかは全く露骨な内政干渉です、労務に対して。これはお認めになりませんか、どうでしょう。
  247. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 労務に関しましてはこの基本契約によりまして日本政府が労務者との間に雇用関係を結びまして軍側の使用に出している、従いまして労務の法律上の関係日本政府と労務者自身にあるわけであります。しかしながら実際的には作業の内容、あるいは作業の指揮監督、作業上一切駐留米軍の方にあり、かつその経費等も全部駐留軍に持たせる、従いまして労務事項に関しましても調達庁のみならず、軍自体においても十分に労働上の知識経験、法令上の知識、あるいはそれに対する情勢等も知ることが必要なのであります。そのために向こうには労務に関する特別の管理官もできている、そのアシスタントのために労務者がアシスタントとして働く、これは当然の必要だろうと私ども考えます。
  248. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは見解の相違になりますからここで議論しようと思いませんが、当然だとおっしゃったならばこれは大へんだ。占領時代ならG・1の労務部長が指揮をして、指示をして、そうして日本のその手下にある労務者を使うということもあり得たかもしれない。しかしそのような職務内容そのものがもう全くこれは違憲ですよ、こういうことは許されない。少なくとも平和条約を結んだ後においてはこういうことを軍がやることは日本の労務行政に対するまっこうからの干渉なんです。この干渉に対する手助けをする、それに対して調達庁が向こうの要求とは言いながらそれを出すという義務はないだろうし、こういうような形でこの条約を結ぶことは全く占領政策の継続ということを裏づけする重大問題だと思います。この問題一つ取り上げてみても私は今後社会労働委員会において検討される問題だと思いますが、重大問題だと思います。しかしここでは議論になりますから申し上げません。  そのほか、保安専門職、まあこの中で保安専門職、これなんかは非常に私は大へんだと思う、保安上。この保安専門職について百二十七ページですが、ちょっとお聞かせを願いたい。
  249. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 「保安専門職。この職名の労務者は、次の職務を行うことによって保安(課)長が軍機関の内部保安のための方針および手続を設定し、実施することを助ける。すなわち(1)共通の理解をもたらすために、米国と日本国との法律、習慣および手続の差異に関する情報、説明および解釈を軍側係官および日本政府係官に提供する。(2)軍側係官のための公式通訳兼翻訳官として働くが、その一般目的は日米行政協定およびそれに伴う刑事管轄権の相互の理解を進展せしめる。(3)地方保安規則について日本人に勧告し、指示し、監督する。(4)保安上の身もと調査雇用、すべての日本人労務者および各種商事会社の代表者のための身もと証明票および通門パスの発出等に関する記録を編集し、かつ、整備する。所要書類について各人に勧告をなし、かつ、その作成を監督する。(5)日本語で受け取った通信を翻訳し、会見の通訳をし、日本人に質問する。」。
  250. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは保安上身元調査をするということなんですが、これは私は十四ページの報告という章と照合して考えると重大問題じゃないかと思います。ここに報告というなにがございますね、十四ページに、私読んでみましょう。「B側は、」B側というのは日本側、「差し向けた応募者を試用期間労務者または常用労務者として採用する旨の通知を受領した場合には、この応募者が細目書IF節1に定める基準に該当するか否かを決定するために照合調査を行うものとする。B側は、その照合結果の報告書に、警察庁の犯罪記録照合の写、その応募者の本籍地および現住所を官轄する都道府県警察の犯罪記録の照合の写ならびにA側が特に要求する場合には、その応募者自身の紹介によらない者で、かつ、過去二年におけるその応募者の行動および交友関係について具体的に知っているもの少くとも二人を含む身近な参考人少くとも三人との面接結果の報告を添えて、A側に送付するものとする。C労務者への通知。B側は、採用通知書を受領した場合には、B側の定める様式により、次の事項を被採用者に通知するものとする。」そういう点がずっと書かれておるわけでありますが、この中で私は非常に、これはこの報告という問題とただいまの保安専門職、こういう関連から重大に思うのは、とにかくB側が、日本側が照合調査をする。それに対して日本側が照合結果の報告をする、そしてそれで警察庁の犯罪記録それから照合の写し、その応募者の本籍地、現住所を出す。さらにアメリカ側が要求するときは応募者の過去二年の行動、交友関係などを少なくとも二年、それから三人の身近な参考人の面接結果を添えて出す、こういうことですね。私はここでお聞きしたいのだが、一体警察に照合する、警察は、これは憲法上からいって、警察法上からいって、このような調査の権限が日本側にこれはありますか。どのような法規によって、こういうような一体調査をすることができるか伺いたいと思います。
  251. 小里玲

    政府委員(小里玲君) ここにも書いてありますように、犯罪記録の照合及び警察が持っておりまする職務権限の範囲内において警察が所持しておりまする情報の照会をいたしておるわけであります。
  252. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、これはとにかく何でしょう、日本の警察に行なわせるのですね。それで日本の警察はそういうような一体権限があるのですか、そういう調査をやるときに。これは全く憲法それから警察法から考えて、これは全く越権の仕事だと思います。それから大体だれがそれなら調査するのですか。アメリカ側の要求があればだれが調査するのですか。
  253. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 調査の責任は調達庁でございまするが、その調査いたしまする過程において警察の職務権限の範囲内のことを警察に照会をする、資料を求めると、こういう仕事でございます。
  254. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは議論をやってもしようがありませんから、こういうことは全く憲法違反の、警察法にもないそういう仕事をアメリカが命令すればこれはやると、こういうことになるのでありまして、そうしてそれを、これは保安専門職というような立場の人がその間の連絡なんかに当たってこれをやっていく。これはやはり人権の面から考えて非常に重大な問題です。これなんかも明らかにもうこれは占領政策の残根というふうに考えられると思います。しかもこういうふうなものを調査したりするためには調達庁の中に機構がなければすぐできないでしょう。このものだけ調査しろと言われてすぐに応ずることはできない。絶えずそういう機構を持っているのですか。これはどうなんですか。
  255. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 調達庁の機関といたしましては、都道府県に仕事を委任しておりまするその都道府県の機構、その都道府県の直接の行政実施機関として労務管理事務所がございます。それは労管といっておりますが、これ以外には別にこの調査機関としてはございません。
  256. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはしかし、そういう問題ですね、絶えず向こうから聞かれたときにすぐにこれは応ずるということになりますと、やはりそういう機構ですね、今言ったような形で何らかの形でこれは作っているという結果になるんじゃないかと思います。そういうことになりますと、これは明らかにどうも私はそういう権限は調達庁にこれはない。調達庁にそういう権限を与えたという日本の法的な根拠というのはこれはないと思うのです。これは明らかにやはり私は国内法及び憲法違反、こういうこと、しかも米軍の強要によってなされておると、こういう具体的な事実であると考えます。  最後にお聞きしたいのですが、犯罪調査職というのがありますね、これはどういうのですか。これは百八十三、四、特にこの二、三項について御説明願います。
  257. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 「犯罪調査職。犯罪事実の判明した者または容疑者の調査を指揮監督し、またはこれを行う。このためには、保証されている訴訟行為および訴訟手続、法廷よりの執行命令、規則、方針、手続、犯行方法ならびに多数の調査用および科学的犯罪発見用の装置の使用および操作に関する知識ならびに事実を正確、かつ、公平に検討して、それらを簡単明りょうに報告する能力ならびに迅速、かつ、聰明な観察をなし得る的確な能力ならびに良い記憶力および鋭敏な頭脳等を必要とする。この職名にある者は、(1)犯罪現場を調査し、科学的証拠およびその手掛りを捜査する。(2)逮捕した者および関係者を直接こう禁して調べる。(3)犯罪容疑者および関係者を尾行する。(4)容疑者および逮捕した犯罪者に面接し、質問する。(5)法規違反事実を知っているかもしれぬ者と面接する。(6)証人の口供書をたしかめるために証拠書類を利用する。(7)フアイルおよび記録を調べる。(8)事件解明の方法を計画し、事件の端緒、証拠、関係者がわかると否とにかかわらず完全な調査を実施する。(9)実証する証拠および書類によって完全、詳細、かつ、正確な報告書を作成する。」。
  258. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は今さらながら、今の説明で驚くのです。どうですか一体。これは軍事警察的な組織じゃないですか。犯罪者を逮捕し監禁する。それから犯罪容疑者に対しましては尾行する。こういうような任務を日本の労務者に与える。これは私は重大な問題だと思います。こういう権限というものに応じなければならない、こういうことをやる一体義務というものが日本人にありますか。日本の労務者といえども、この米軍の手先になってこのようなことをやらなくちゃならないという法的根拠を伺いたい。
  259. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 御承知のように、在日米軍はその所属する軍人に対して警察権を持っております。従いまして、逮捕しあるいは現場を調査する、この責任を持ってやるのは軍自体でございます。それに関連する補助に当たる程度のものがこの職に規定された労務者でありまして、別に労務者自身が自分の権限、責任をもってこのようなものに従事するものではないので、私は別に法令上特に違反と考えてはおりません。
  260. 岩間正男

    ○岩間正男君 一々丸山長官説明を聞くたびに私は驚きを深くするのであります。そういうことは、日本の平和憲法下に住んでおるところの国民がアメリカの手先、あるいは、まあ生活上の都合とはいいながら、そういうことに一体協力しなくちゃならない義務はどこを探せばある。日本憲法のどこを、どのような根拠を探せばそれは出てくるのですか。米軍が責任を持つのだから何でも協力さしている。こういうことになれば一体どういうことになりますか。これはなんぼ調達庁長官といえども、これは日本政府機関であり、そうして日本の国民の側に立たなくちゃならない日本人であると思うのです。ですから、今のような御答弁をされることは重大な問題だと思うし、またこういう答弁をするのが現実だとするならば、この調達庁の任務というものは何ものであるかということが非常に今さら明らかに出てきたし、私のあげたこの例というものは、この大分冊の契約書の全く一端です。この契約書をほんとうにもっともっと味読をしたならば大へんなものが出てくると思うのです。こういうものに調印した——一体何の根拠によってこういうものに調印されたか。私は、その内容検討しないで相即されるということは重大問題だと思う。これはむろん政府の責任でありますけれども、当面の責任者として調達庁としてはどういうふうにお考えになりますか。
  261. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) その点先ほども申し上げたと思いますが、駐留米軍は、安全保障条約に規定しました使命、目的のもとに日本におります。従ってその大きな条約目的からその任務範囲というものがあるわけでございますから、その任務範囲に属する仕事において、しかもその現地において労務者を必要とする。この労務者は日本側が援助して提供するということは行政協定にもうたってございます。従いまして労務者をそれに基づいて出すということでありまして、ただそのやる仕事内容あるいはその態様等はもちろん日本の法令の範囲内でなければならない。また契約に規定しました、いろいろ読み上げたことも、そういうことがあるから、これによって直ちにそういう権限を与えたという問題ではありませんで、軍の任務のある範囲内におけるその労務者が手伝うところの範囲をきめただけでありますので、そのやり方、方法等において法令上の違反がないこともはっきりしておるのでありまして、また契約としましては、そのようなことはないという考えでこの契約を結んだのであります。従ってこれに基づくところにおいても、これはやり方に、もし法令に違反があれば、これはこの契約の範囲を逸脱するということからそれはやめさせる、かような措置を考えておるわけであります。
  262. 岩間正男

    ○岩間正男君 ただいまの御答弁、これは私はなっていないと思うのです。行政協定それにあるから、行政協定の目的はとにかく、この表面うたわれておるものはそういうことになっていないと思うのです。たとえば今のどうですか、これは。尾行させる逮捕させる、監禁する、こういうような目的に協力させる、あるいは軍事スパイ、数々あけできまして。それはそうでないとか何とか言ったって、事実やっている仕事を見てごらんなさい。職務内容、それから労務者に対するところの不当ないろいろな勧誘をする根拠を作るためのいろいろな調査、あげれば数限りない。そうしてそれがあなたも一部認められたように、占領政策の全く延長であるという点、この点私は確認せざるを得ないと思う。占領政策の延長である。それからさらに日本の労務者がとにかくそこに追い落されたとは言いながら、とにかく日本の憲法に違反して、そしてそういうような仕事をやらなければならないものかどうか、そんな根拠は少しもないはずなんだ。米軍がそれをやらせるとすれば、実にこれは米軍の占領政策、さらに現在のこれは安保条約によるところのこの政策というものはいかに不当であるか、いかにこういうことをしなければ軍隊ということはやれないのだ。その占領軍というものの性格はまさしくこういうものだということを、まさしく具体的に示したところの何よりもこれは姿だと私は思うのです。こういうものに対して、果してこれはこのまま協力することはいいのかどうか。さらに私は驚いているのは、今度の新安保条約によって先ほどの防衛庁長官の言明によりますと、このまま持ち込まれるという、そうするとこれは十数年前の占領政策がそのまま持ち込まれるのが今度の新安保条約のこれは具体的な国民との接触する面におけるところの細部を規定したところの、権利、権限、そういうものを規定したところの問題だということを明らかにしておる。私はこういう点では非常に重大だと思う。そこで私は非常に時間をいただきまして申しわけなかったのでありますが、これは日本の将来の平和と安全にとって重大な問題だから、いささか皆さんを労しながらやったわけですが、ここに出されておる一体契約書、日米合同委員会の合意書に関連して実施されている主要事項というので占領——安保条約になってから出されたこの片々たる資料です。これによっても大へんなことがあると思う。労務契約の九牛の一毛を私が指摘してこの通りなんです。そうするとこれには施設及び区域の提供の問題、——調達庁に関するだけの問題でも、施設及び区域の提供の問題、演習場立ち入りに関する事項、第三として港湾施設を使用する問題、第四として契約協定委員会協定手続の問題、第五需品契約一般条項の新書式、そうして第六はただいまの基本労務契約に関する事項、第七民事裁判管轄権に関する事項、これらの合同委員会における合意の内容というものを今日国会で明らかにしたい。社会党の同僚諸君がこの予算審議の中で数次にわたりましてこれを要求したのはもっとも過ぎるほどもっともだと私は思う。そうして一端は私はここでまず明らかにされたと思う。不十分でありますけれども、とにかく問題は明らかになってきたと思う。そうすると、これに対して調達庁関係のこのような七つの項目がございますが、これはもっと詳細なものを出していただけますか。これを検討しないと不安でしょうがないです、どうも。基本契約に関する事項だけでもこれだけある。これはどうですか。
  263. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 労務基本契約に対しまして、憲法に違反するそのような労務者の提供をしており、仕事をさしておるというお話でございますが、これは繰り返しましたように、この契約は憲法並びに関係法令には違反しない、かように考えておるわけでございまして、そのためにこれによっていろいろ措置すること、これが具体的にも法令の個々の違反の起こらないように措置することがわれわれの義務と心得て仕事を進めておるわけでございます。なお今の合意議事録の関係で、労務の関係は膨大でありますが、この膨大なるもので全部尽しておるはずでございます、労務関係は。しかし、ほかの合意議事録のその内容の詳細に関しましては、これは実は合同委員会の決定事項は御承知の通り外務省の所属でございますので、もしどの程度までのどの範囲まで出し得るかということは外務省を通じていたしたいと考えております。
  264. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは外務省と関係あるかもしれませんけれども、総理府調達庁関係で私は今の七つあげたのですから、これはみな全く調達庁……。この資料は違いますか。そういうふうになっています。外務省関係ということになっていませんよ。
  265. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 私申し上げましたのは、その全部についてでございます。そこには外務省関係のは従ってございません。これがただ実体事項が総理府とかいろいろな省に関係しておるからそのように便宜区別をしただけで、全部外務省の所管が合同委員会関係でございまして、従ってそれ自身も外務省から出されておるわけでございます。
  266. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは外務省と話し合って、これはやはり努力をしてもらいたいと思う。われわれは自分でやりながら不安になってきました。やればやるほど、一部分でこれだけですから不安になってくる。それから丸山長官の先ほどの答弁でありましたけれども、私は全くこれは事実に合っていないと思うのですよ。私は具体的な例をあげたのです。ところが、今のように法令違反じゃない、当然だ、正当だということを言われましたけれども、これは絶対承認することができないと思う。しかしまあ、長官の今のお話では平行線になるから——私はきょうのこの質問からいろいろ得るところがありました。これをもとにして、さらにまた岸総理を初め、政府の責任を徹底的にこの問題で追及してみたいと思うのです。今のようなあなたのまるでアメリカのほんとうに言いなりほうだいになっている、そうして日本の国民の権利、日本の国民の当然なすべきそういうものを主張する、こういう立場に立っていない。またそういうところへ落とされているのかもしれませんけれども、しかし、とにかくひどいこの現在の姿、こういうものに対しては絶対にだれ一人国民は了承しないだろう。きょうの本委員会におけるこの質問内容の一端でも国民が知ったならば、今さらながら驚くだろうと私は思うのです。そういう意味で、他日、日を改めて政府を追及したい、こういうことをつけ加えまして、私の質問を終わります。
  267. 佐藤芳男

    主査佐藤芳男君) それでは、ほかに御質疑もないようでありますから、調達庁所管についての質疑は、この程度で終了したものと認めて御異議ありませんか。——御異議もないようでございまするから、さよう決定いたします。  明日は午前十時より開会して、外務省所管事項につき審議を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時十一分散会