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1960-03-23 第34回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十三日(水曜日)    午前十時三十八分開会   ————————————— 昭和三十五年三月二十二日予算委員長 において本分科担当委員を左の通り指 名した。            太田 正孝君            木暮武太夫君            武藤 常介君            村松 久義君            吉江 勝保君            米田 正文君            荒木正三郎君            木村禧八郎君            平林  剛君            東   隆君            原島 宏治君   —————————————  出席者は左の通り。    主査      東   隆君    副主査            米田 正文君    委員            太田 正孝君            武藤 常介君            吉江 勝保君            木村禧八郎君            原島 宏治君   国務大臣    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君   政府委員    大蔵政務次官  前田佳都男君    大蔵大臣官房長 宮川新一郎君    大蔵大臣官房会    計課長     牧野 誠一君    日本専売公社監    理官      佐々木庸一君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省主計局次    長       吉岡 英一君    大蔵省主税局長 原  純夫君    大蔵省理財局長 西原 直廉君    大蔵省管財局長 賀屋 正雄君    大蔵省銀行局長 石野 信一君    大蔵省為替局長 酒井 俊彦君   説明員    大蔵省印刷局業    務部長     崎谷 武男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選昭和三十五年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————    〔年長者太田正孝君仮主査とな る〕
  2. 太田正孝

    ○仮主査太田正孝君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして、私が年長のゆえをもちまして、正副主査選挙を管理させていただきます。  これから正副主査互選を行なうのでございますが、互選は、投票によらず、便宜、選挙管理者にその指名を御一任お願いいたしたいと存じますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 太田正孝

    ○仮主査太田正孝君) 御異議ないと認めます。  それでは、主査東隆君、副主査米田正文君を指名いたします。(拍手)   —————————————    〔東隆主査席に着く〕
  4. 東隆

    主査東隆君) ごあいさつ申し上げます。皆さんの御推薦によりまして、私は主査ということに相なりました。御協力をいただきまして、これより本分科会の運営を行なっていきたいと存じます。よろしくお願いいたします。  審査に入ります前に、本分科会議事の進め方につきましてお諮りをいたします。本分科会は、昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算及び政府関係機関予算大蔵省文部省厚生省及び労働省所管について審査をいたすわけでありますが、審査の都合上、本日は大蔵省所管、二十五日は文部省所管、二十六日は労働省所管、二十八日は厚生省所管について御審議を願うといった方法で進めて参りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 東隆

    主査東隆君) 御異議がないと認めまして、さよう決定いたします。   —————————————
  6. 東隆

    主査東隆君) これより本日の議事に入ります。  昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算大蔵省所管を議題といたします。  まだ、本件につきまして政府より説明を願います。
  7. 前田佳都男

    政府委員前田佳都男君) ただいまから、昭和三十五年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算につきまして、去る一月二十九日内閣から提出した予算書に基づいて御説明いたします。  まず、一般会計歳入予算額は一兆五千六百九十六億七千四百七十万二千円でありまして、これを前年度予算額一兆四千九百八十一億六千四百九十四万七千円に比較いたしますと、七百十五億九百七十五万五千円の増加となっております。  以下、各部について簡単に申し上げますと、第一に、租税及び印紙収入の総額は一兆三千三百六十六億三千百万円でありまして、これを前年度予算額一兆一千七百二億四千百万円に比較いたしますと、千六百六十三億九千万円の増加となっております。この予算額は、現行の税法によって見積った場合の収入見込額一兆三千三百八億六千百万円に、今次の税制改正に基づく関税の増収見込額五十七億七千万円(平年度六十五億九千八百万円)を加えたものであります。  次に、各税目別内訳を申し上げます。まず関税につきましては、現行法による収入見込額は八百三十七億二千四百万円でありますが、これに今回の税法改正に伴う原重油等に対する減免措置改訂廃止による増収見込額五十七億七千万円を加えた八百九十四億九千四百万円を計上いたしました。関税以外の税目におきましては、昭和三十五年度に計上いたしました収入見込額は、源泉所得税二千五百七十九億六千五百万円、申告所得税七百二十九億九百万円、法人税四千三百八十八億五千七百万円、相続税百十一億七千四百万円、再評価税三十一億八百万円、酒税二千二百五十一億一千八百万円、砂糖消費税二百四十五億四千六百万円、揮発油税九百五十一億九千四百万円、物品税六百四十九億六千四百万円、トランプ類税二億八千七百万円、取引所税五億七千万円、有価証券取引税四十九億三千八百万円、通行税三十五億二千四百万円、とん税六億七千五百万円、印紙収入四百三十三億八百万円、であります。以上租税及印紙収入合計額は一兆三千三百六十六億三千百万円となっております。  第二に専売納付金は、千三百六十四億一千二百十一万六千円でありまして、これを前年度予算額千二百二十六億二千四百七十七万六千円に比較いたしますと、百三十七億八千七百三十四万円の増加となっております。専売納付金の内訳について申し上げますと、日本専売公社納付金千三百五十九億四千九十二万六千円、アルコール専売事業特別会計納付金四億七千百十九万円となっております。  第三に、官業益金及び官業収入は百七十一億八千六百四十四万五千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと七億六千八百二十二万四千円の増加となっております。官業益金及び官業収入の内訳について申し上げますと、印刷局特別会計受入金七億二千二百三十二万四千円、病院収入百六十四億六千四百十二万一千円となっております。  第四に政府資産整理収入は百九十二億八千二百四十三万三千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、四十二億九千百五万一千円の増加となっております。政府資産整理収入のおもなる内訳について申し上げますと、国有財産売払収入五十六億五百三十一万二千円、有償管理換収入五十七億三千七十四万一千円、地方債証券償還収入六十億五千百三十九万六千円等となっております。  第五に、雑収入は四百三十三億四千百八十一万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、二百七十九億四千九十一万一千円の減少となっております。雑収入のおもなる内訳について申し上げますと、国有財産貸付収入十九億九千五百五十一万四千円、日本銀行納付金百二十四億六千二百万円、日本中央競馬会納付金二十二億八百三十七万円、恩給法納金及び文官恩給費特別会計等負担金六十億三千三百三十四万五千円、特別会計受入金二十億八千三百七十万円、授業料及び入学検定料二十億四千七百九十六万五千円、懲罰及び没収金三十九億二千九百十八万一千円、弁償及び返納金二十一億四千七百五十三万五千円、矯正官署作業収入二十五億五千五百九十三万七千円、物品売払収入二十四億六千七百七十七万六千円等となっております。  最後に、前年度剰余金受け入れにおきましては、昭和三十三年度の決算によって同年度に新たに生じた純剰余金百六十八億二千八十九万八千円を計上いたした次第であります。  次に、昭和三十五年度大蔵省所管一般会計歳出予算額は、千六十四億五千八百八万三千円でありまして、これを前年度予算額千八百七十億四千二百八十三万八千円に比較いたしますと、八百五億八千四百七十五万五千円の減少となっております。  この歳出予算額を、まず、組織に大別いたしますと、大蔵本省七百四十八億八千九百四十万八千円、財務局二十九億四千二百九万円、税関二十六億二千七百二十八万四千円、国税庁二百五十九億九千九百三十万一千円となっておりますが、これをさらに組織別に、おもなる事項に分けて御説明いたしますと、次の通りであります。  大蔵本省におきましては、大蔵省設置法に定める本省内部部局所掌一般事務を処理する等のため必要な経費として、大蔵本省の項に十七億一千三百四十五万八千円、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法に基づく年金の支払いと、これに伴う事務費国家公務員共済組合連合会等に交付するため必要な経費として、国家公務員共済組合連合会等補助及び交付金の項に十八億九千九十二万三千円、国債償還国債利子及び大蔵省証券発行割引差額支払いに充てる財源並びにそれらの事務取扱費国債整理基金特別会計へ繰り入れるため必要な経費として、国債費の項に二百七十四億七百二十八万八千円、国家公務員のための国設宿舎を設置するため必要な経費として、公務員宿舎施設費の項に十七億五千八百二十九万九千円、理化学研究所法に基づいて、科学技術の振興に寄与する事業を行なう理化学研究所に対して出資するため必要な経費として、政府出資金の項に五億二千万円、造林事業に対して農林漁業金融公庫長期低利の融資を行なうに必要な資金を同公庫に出資するため必要な経費として、政府出資金の項に七億円、新たに設置する医療金融公庫の行なう事業に要する資金の一部として同公庫に対して出資するため必要な経費として、政府出資金の項に十億円、国際開発協会の設立に伴い、同協会に出資するため必要な経費として、国際開発協会出資金の項に六億四百六十二万円、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約及び日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の規定に基づく合衆国軍の駐留、並びに日本国アメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の実施に関連し、わが方で支出を必要とする経費として、防衛支出金の項に六十億二千五百万円、賠償等特殊債務処理特別会計法に基づく賠償等特殊債務の処理に充てるための財源を同会計へ繰り入れるに必要な経費として、賠償等特殊債務処理費の項に二百四十億二千三百二十四万七千円、なお、予見し難い予算の不足に充てるための経費として、予備費の項に八十億円を計上いたしております。  次に、財務局におきましては、大蔵省設置法に定める財務局所掌一般事務を処理する等のため必要な経費として、財務局の項に二十九億四千二百九万円を計上いたしております。  次に、税関におきましては、大蔵省設置法に定める税関所掌一般事務を処理する等のため必要な経費として、税関の項に二十一億一千九百九十六万九千円、保税地域その他関税法規上特殊の取り扱いをなす場所等において、税関事務の一部を処理するために派出する税関官吏に必要な経費として、税関派出諸費の項に五億七百三十一万五千円を計上いたしております。  次に、国税庁におきましては、税務官署の項に、大蔵省設置法に定める国税庁所掌一般事務を処理するため必要な経費として二百十八億五千三百六十二万三千円、直接税及び間接税調査事務等に必要な経費として十八億二千二百八十六万二千円、その他調査査察及び徴収管理事務等に必要な経費として八億三千四百八十六万七千円、計二百四十五億一千百三十五万二千円を計上いたしております。租税収入を確保するため、滞納の整理及び差押物件処分等に必要な経費として、滞納整理費の項に五億三千三百六十八万六千円、内国税過誤納金の払い戻し及び青色申告制度に基づく還付金に対する加算金に必要な経費としては、租税還付加算金の項に、七億円を計上いたしております。  次に、昭和三十五年度大蔵省所管の各特別会計歳入歳出予算につきまして、その概要を申し上げますと、造幣局特別会計におきましては、歳入歳出とも七十九億三千四十九万四千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも十六億九千五百二十三万二千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、製造経費の増加に伴う補助貨幣回収準備資金より受け入れの増加によるものであり、歳出におきましては、原材料地金購入に必要な経費等の増加によるものであります。  印刷局特別会計におきましては、歳入六十九億七千五百七十五万三千円、歳出六十二億五千三百四十二万九千円、差引七億二千二百三十二万四千円の歳入超過となっておりまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入において八億八千五百三万円、歳出において七億四千四百七十九万一千円をそれぞれ増加いたしております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、日本銀行券及び切手類等製品売り払い収入並びに雑収入の増加によるものであり、歳出におきましては、これに伴う製造経費及び工場施設等を整備するため必要な経費の増加によるものであります。  資金運用部特別会計におきましては、歳入歳出とも千百二十二億三千四百四十万九千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも百五十億二千七百四十八万五千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、資金運用部資金の運用による利子収入の増加によるものであり、歳出におきましては、郵便貯金その他の預託金に対する利子の支払いに必要な経費の増加によるものであります。  国債整理基金特別会計におきましては、歳入歳出とも四千六百九十億八千九十九万四千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも五百八十六億七千六百六十五万四千円の増加となっておりますが、その内訳は、債務償還費において四百九十八億四千七百六十四万二千円、国債利子借入金利子及び短期証券割引差額において八十八億六千二百二十五万六千円の増加となっており、国債事務取扱諸費において三千三百二十四万四千円の減少となっております。  貴金属特別会計におきましては、歳入歳出とも二億三百六十七万三千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも二十四億四千五百八十四万八千円の減少となっております。減少いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、貴金属地金売払代の減少によるものであり、歳出におきましては、一般会計へ繰り入れるため必要な経費の減少によるものであります。  外国為替資金特別会計におきましては、歳入歳出とも二百三十億四百五十六万五千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも百七億六千二百六十四万八千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、外貨証券の運用益の増加によるものであり、歳出におきしまては、融通証券発行割引差額に必要な経費の増加によるものであります。  産業投資特別会計におきましては、歳入歳出とも二百六十九億三千四百十二万七千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも百二十一億六千百八十八万五千円の減少となっております。減少いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、この会計に置かれている資金からの受け入れ及び一般会計より受け入れの減少によるものであり歳出におきましては、産業投資支出の減少によるものであります。  経済援助資金特別会計におきましては、歳入歳出とも十二億二千八百五十四万三千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも、五億二千五百三十三万円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、運用資金の回収及び前年度剰余金受け入れの増加によるものであり、歳出におきましては、援助資金支出に必要な経費の増加によるものであります。  余剰農産物資金融通特別会計におきましては、歳入歳出とも六十九億三百四十六万七千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入において六億九千百五十三万円、歳出において四十四億二千百九十一万八千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、運用資金の回収及び前年度剰余金受け入れの増加によるものであり、歳出におきましては、貸付金の増加によるものであります。  賠償等特殊債務処理特別会計におきましては、歳入歳出とも二百九十八億七千九百四十万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも三十四億七千八百十一万四千円の減少となっております。減少いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、一般会計より受け入れの減少によるものであり、歳出におきましては、賠償等特殊債務処理費の減少によるものであります。  国有財産特殊整理資金特別会計におきましては、歳入一億九百万三千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入において一億四千二百五十六万五千円、歳出において二億五千百五十六万八千円をそれぞれ減少いたしております。減少いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、「国の庁舎等使用調整等に関する特別措置法」に基づく特定庁舎の処分による収入が減少したためであり、歳出につきましては、資金を効率的に使用するため本年度におきましては計上せず、全額昭和三十六年度以降の歳出の財源として持ち越すことにいたしております。  最後に、昭和三十五年度大蔵省関係の各政府関係機関収入支出予算につきまして、その概要を御説明いたします。日本専売公社におきましては、収入三千三十億二千八百四十五万七千円、支出千六百九十一億八千八百九十万八千円、差引収入超過額千三百三十八億三千九百五十四万九千円となり、これに昭和三十五年度における資産増加額二十九億八千三百五十四万七千円を加算した千三百六十八億二千三百九万六千円が事業益金となるのでありますが、これより固定資産増加額八億八千二百十七万円を控除いたしまして、専売納付金は千三百五十九億四千九十二万六千円となるのであります。  以下、たばこ、塩及びしょう脳の各事業予算についてその概略を申し上げますと、たばこ事業におきましては、三十五年度における製造数量は千二百五十四億本、販売数量は千二百二十九億本でありまして、これを前年度に比べますと、製造において百二十億本、販売において百十二億本をそれぞれ増加いたしております。たばこ事業予算額は収入二千七百六十五億二千八百六十九万八千円、支出千三百六十一億七千四百三十四万四千円、差引収入超過額千四百三億五千四百三十五万四千円となっておりまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において二百九十三億五千五百七十五万七千円、支出において九十七億四千三百二十三万五千円をそれぞれ増加いたしております。  塩事業予算額は、収入二百五十六億五千五百六万七千円、支出二百九十二億六千八百二十七万一千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において二十億二千八百九十一万七千円、支出において六億一千八百八十九万一千円をそれぞれ増加いたしております。  次に、しょう脳事業予算額におきましては、収入八億四千四百六十九万二千円、支出八億三千二百四十四万二千円でありまして、これを前年予算額に比較いたしますと、収入において五千九百三万四千円、支出において五千九百三十五万五千円をそれぞれ増加いたしております。  国民金融公庫におきましては、収入九十億四千五百六十三万二千円、支出八十四億四千百三十九万八千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において十一億五千七百十八万円、支出において九億八千六百七十二万八千円の増加となっております。  住宅金融公庫におきましては、収入百十五億三千四百三十三万三千円、支出百十四億八千九百三十九万八千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において二十億二千四十一万四千円、支出において二十一億三千四百二十二万三千円の増加となっております。  農林漁業金融公庫におきましては、収入百七億四十三万七千円、支出百一億八千六百四十七万一千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において二十億八百七十二万九千円、支出において十九億九千五十二万三千円の増加となっております。  中小企業金融公庫におきましては、収入百二十九億三千九百九十万四千円、支出百十一億五千五十万四千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において十八億六千五百九十六万六千円、支出において十二億八千六百六十四万八千円の増加となっております。  北海道東北開発公庫におきましては、収入四十一億四百二十七万円、支出三十億五千三百八十九万五千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において九億五千九百五十三万円、支出において五億六千七百二十二万五千円の増加となっております。  公営企業金融公庫におきましては、収入二十四億四千九百五万七千円、支出二十億三千六百三十三万九千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において九億三百七十三万三千円、支出において五億一千四百九十八万円の増加となっております。以上申し述べました六公庫につきまして、それぞれ増加いたしましたおもなる理由は、収入におきましては、貸付金利息収入の増加によるものであり、支出におきましては、借入金利息及び業務増量に伴う事務費の増加によるものであります。  中小企業信用保険公庫におきましては、収入十六億四千百四十八万五千円、支出二十二億三千百三十八万八千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において一億九千六百六十一万三千円、支出において五億九百五十二万七千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、収入におきましては、回収金保険料収入及び貸付金利息の増加によるものであり、支出におきましては、支払い保険金及び業務増量に伴う事務費の増加によるものであります。  医療金融公庫におきましては、収入七千六百四十四万四千円、支出七千六百二十七万九千円を計上いたしておりますが、この公庫は、医療機関の適正な整備及び機能の強化をはかるため、私的医療機関に対し長期低利の資金を融通することを目的として新たに設立されることとなったものでありまして、収入におきましては、貸付金利息を計上し、支出におきましては、人件費事務費並びに借入金利息等の経費を計上したものであります。  日本開発銀行におきましては、収入三百八十三億七千二百二十四万一千円、支出二百二十六億六千九百四十一万八千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において五十七億一千三百二十八万二千円、支出において三十九億一千百十三万二千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、収入におきましては、貸付金利息収入の増加によるものであり、支出におきましては、借入金利息及び業務増量に伴う事務費の増加によるものであります。  日本輸出入銀行におきましては、一般勘定予算額は、収入四十九億四千百五十四万円、支出四十七億二千三百二十七万二千円。  東南アジア開発協力基金勘定予算額は、収入一億十二万一千円、支出千百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、一般勘定において、収入七億五百五十八万円、支出十一億五千六百十二万七千円の増加となっており、基金勘定において、収入七千七百十七万二千円を減少いたしております。一般勘定において増加いたしましたおもなる理由は、収入におきましては、貸付金利息収入の増加によるものであり、支出におきましては、借入金利息及び業務増量に伴う事務費の増加によるものであります。  以上、昭和三十五年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について、その概要を御説明いたしました。
  8. 東隆

    主査東隆君) これより質疑に入りますが、今政府側から出席されておる人を申し上げます。佐々本日本専売公社監理官賀屋管財局長、西原理財局長、前田大蔵政務次官、牧野大臣官房会計課長、酒井為替局長、吉岡主計局次長、大月財務調査官、それから大臣はもうすぐ見えることになっておりますが、これより質疑に入りますが、順次御発言を願います。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 分科会でございますので、こまかい質問になるかと思うのでありますが、まず第一に予備費につきまして御質問したいと思います。  予備費は最初はまあ予算編成の過程で百億といわれておりましたが、大蔵省原案で八十億、予備費はこれは幾らでなければならぬということはないと思いますけれども、大体まあこれまでの慣例、通念からいきまして、大体およそ予算総額の一%程度というのがこれまでの慣例あるいは通念になっていると思うのです。ですから、まあ一兆五千億の予算になりましたら、少なくとも百五十億程度の予備費はみておかなければならぬ。最初百億計上されたのですが、その後復活要求等があって二十億削ったわけであります。これは非常に窮屈な予算になっているわけですね。私はこういう予算の組み方は、いたずらに不要の——不要ではないでしょうが、弾力性を保つために、よけい計上することもよくありませんけれども、やはり大体妥当の線というものはあるんだ。八十億ではこれは少な過ぎる。これを二十億削ったことは私は適当な措置じゃないと思うのですが、いかがですか。
  10. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま御指摘の予備費の金額でございますが、予備費を計上するということは、これはなかなかむずかしいことでございます。お話の通り予算規模から見て一定の率を考えたらどうかという、こういう考え方はしごくごもっともな考え方だと思うのであります。しかし最近のように予算規模が大きくなって参りますと、まあ一%にしてもただいまお話のように百五十億、で、予備費自身の使い方から見まして、そういう予算規模に対して一%にしろ、金額はいかにも大きいような感じがいたします。私どもそういう意味から百億程度が適当な金額じゃないか、かように一応すなおに見ましたときに、そういうように感じました。在来の実績等から見ましても八十億ではやや不足がちではないか、しかし、まあ同時にこれについてはいろいろな議論がありますけれども、政府の流用といいますか、その処分を認められる分でございますから、その方の性格から申せば、小さい方が望ましいということだろうと思いますが、これらの諸点から考えまして、まあ適当な額ではないか、こういうふうに思いまして、そこで百億じゃ——というので、いろいろ予算編成のときから見て結局八十億、前年並みにしたということになります。規模から申しましてやや不足というような気持がないことはないと思いますが、普通の状況のもとならば、予算の方で相当実情をよく勘案して計上していくといたしますれば、予備費の使用の場合も比較的少ないといえるのであります。ただ過去の経験から申しまして、予備費の範囲内におさまったことは非常に少ない、そういう意味から申せば、もう少しふやすこともあるいは必要かもわからないと思いますが、まあ一応政府にまかされる金とすれば、前年同額、この辺のところが適当じゃないか、実はかように思って最終的には八十億といたしたわけでございます。ただいま御指摘になりましたような点は私どもも、もちろん理由があることでございます。十分考えなければならぬと思いますが、今回は前年同額ということにおさめたわけでございます。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 予備費は幾らでなければならぬということもないから、予算の復活要求があるとすぐそれに手をつけるということになって、二十億最初の大蔵省の考えよりは減ったと思うのです。予備費ばかりではないのでありますが、最初は大蔵省原案は私はいろいろな面において必ずしも賛成しがたい点もあったのでありますが、しかし大体において、満点はつけられませんけれども、まあ及第点はつけられたと思うのですね、大蔵省原案は。しかしそれが次々とみんなくずれてしまっておるのですね。まあこの予備費なんか一番手のつけやすいものですね。それで最初、たとえば造船利子の補給につきましても反対だったと思うのですよ。経理関係を見ましても九月決算はいいのですからね、資料を見ましても。ただ減価償却ということを考えると、それは船会社の利益も十分でないと思うのですが、しかし船会社の原価計算に問題があるのですよ。しかし減価償却をやっても黒字が出てきておるのですからね。そういうときにまた利子補給を復活するということもこれもいかがかと思う。最初大蔵省が反対したのは理由があると思う、造船利子補給についてもですね。その線もくずれた。それからさらに医療金融公庫ですか、これもいろいろないきさつがあって結局こんなことになった。次々と大蔵省の原案がくずれて——私ははなはだ失礼と思いましたが、ある雑誌に、大蔵大臣は責任をとってやめるべきだということも私は書いたことがあります。その書いた責任もありますのですが、やはり何も大蔵省原案は一ぺんきめたからといってそれを貫かなければならぬということは決してないと思います。しかし、やはり筋を通さなければいけないと思うのですね。佐藤大蔵大臣は最初しろうと大蔵大臣とか何とかいろいろな批判がありましたが、それを非常によく御勉強されまして、私もその御努力に敬意を表しておったのでありますが、しかし、やはり最後には筋を通さなければいかぬと思う。朝日新聞ですかにちょっと出ておりましたが、これは岸総理が、総理の自由になる予算として、これは青少年対策でしたか、そういう予算を特別にワクを取ってくれということに対して、大蔵大臣が承認を与えたようなことが新聞に出ておりました。小さい記事でございましたが、そういうことも私は非常に重大だと思うのですね。そういう意味で大蔵省の原案が次々とくずれたことに対して、大蔵大臣としても御不満があったと思います。私はやはり筋を通さなければいけないと思うのです。その点、今度の予算の一つの悪い性格ですよ、次々と筋の通らない譲歩をしたこと。この点について御所見を承りたい。今後のこともございますから。
  12. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、どうも予算接衝の過程において主張が変わってきたのじゃないか、そういうことで予算編成しちゃまずいじゃないか、こういうお話でしたが、そのまま伺えばしごくもっともでございます。先ほどの予備費にいたしましても、大体昨年と同額の八十億になっている。これが原案では百億であった。その他にも原案と決定金額と異なった事項があるだろう、これはまあ予算編成の技術上の問題でありますし、なかなか技術上のやりくりというものもできない。今回予算の金額等でいろいろやかましく言われている問題、そういう点が技術上ずいぶん私どもの工夫したものでございます。ただいま予備費の問題は、まあおそらくだれが見ましても、本年どの程度に参っておるかということで、一応公庫か何かからふやす財源があるのじゃないかというふうな言い方をされる。今回もおそらくまたあとでお話が出るかもわかりませんが、賠償の関係の見積りだって相当違ってくると、こういうようなところがこの手品の種と言えば手品の種、それ以上ないわけではありません。政府の方の原案を作りまして、一番私どもが譲れない点は、歳出の面の数字のあやはそれは相当あるのでございますが、その点は御了承いただきたいと思うのですが、歳入の面で手加減ができない。これは非常にはっきりしているということでございます。この点は絶対に変わってくるわけじゃございません。でございますから、私大蔵大臣になります前に、この前も委員会で申し上げたのですが、よく最初出した原案通りにおさまるものだ、ずいぶんどこかに工夫があるのか、こういうことを私自身も疑問に思ってきたものですが、しかしやはり予算編成をしてみると、そういうものが往々にあるということを実は申し上げて、経過についての御批判は、これはまあしばらく技術上の問題としておまかせをいただいて、そして、でき上った予算についてつ御批判をいただきたいということを実は申したのですが、ただいま申しますように、第一の要求に対して大蔵省が査定を加え、復活要求があり、また大蔵省が査定をし、また復活要求があり、最終的にこれがきまるというような、普通なら三回なんですが、今年はそういうことができないというので、第一回をやりまして、二次査定、三次査定というようなことをしないで原案を骨子にしていきなり折衝を始めた。そのために予算折衝の過程においていろいろ問題が起こり、御承知のようにあまり手際がいいとはどうしても申せない結果になって、年があけてから最終的に予算がきまったということであります。ただいま申されますそういう技術上の問題は、そういう意味で一つ御了承願いたいと思います。たとえば造船、まあ海運関係の利子補給の問題、あるいは医療金融公庫の問題、これなどについて私は結果的に見まして、一応満足すべき結果を得た、かように実は考えております。おそらく医療金融公庫にしてもあるいはまた造船利子補給等にしても、要求側は非常に膨大なものを言って参っております。ただいま海運界の実情はだいぶ変わってきているじゃないか、こういうことを言われておりますが、海運の基本方策として考えた場合には、これはまあひとり海運ばかりでございませんが、最近の貿易自由化等のことを考えて参りますと、金利高が日本のこういう状況のもとにおいて国際競争に当面する場合に、特別な措置を考えていかなければならない。これはもう当然わかることなんです。ただそれがやや成績がよくなった、あるいは海運市況がどうなったということで右往左往すべきじゃなくて、一つのはっきりした考え方があってしかるべきじゃないか、今後も貿易自由化等に当面して参りますと、おそらく産業の面では金利というものが大きく響いてくるでしょう。今国際競争に当面しておる海運界としては第一番にそういう問題がある。かように実は思います。  従いまして、それが一般産業との関連において、適正な方法で考えられるなら、その政策は私は新しい政策と、申すまでもなくこれは御賛成がいただけるのじゃないか。かように私は思います。社会党の一部におかれましても、盛んに海運の助成方策について、政府側に要望されておる向きもありますが、おそらく国際競争、ことにその金利高、こういうような点を強く指摘されておるものじゃないかと思いますし、また英米、ドイツ、その他西欧諸国等も、海運について特別な助成方策をとっておる。そういうような意味から、わが国海運に対しても競争力を十分強める基本的政策をとれというその主張、その線に沿ったものだろうと、実はかように思います。ただ、その線を貫く場合におきましても、国内産業との一応の均衡はとらなければならない。補助政策、保護政策の限度というものは、そういうところにあるんじゃないか。かように私ども考えますが、そういうふうに見ますと、今回の措置は適当な措置じゃなかったかと思います。  また医療金融公庫の問題にいたしましても、折衝の途上において大蔵当局が、各種の金融機関のふえることを望まない。これはもう当然のことでございます。そういう意味の大蔵当局の主張、これはもちろんでございますが、この国民皆保険等が推進されておる今日、医療機関の整備ということについては特殊な金融措置を講ずべきだというこの基本的な方針から見れば、この種の措置もまたやむを得ないのじゃないか。私どもそういうような意味で、金融機関の数がふえることには全面的に賛成するものではございませんが、それぞれの特殊事業について特殊金融機関を設けろ、かように申されましても、全面的に賛成するものではございません。ありませんが、今日の国民皆保険等の措置から考えてみますと、それに対応するものとしてこの種のものを考えるというのは、ほぼ政策として私ども納得いくものではないか。  で、ただいま御指摘になりますように、予算折衝の経過において、まことにまずいんじゃないかということでございますが、これは双方の立場がありまして、これはまあ予算にかけ引きなどするような状況では、これはまずいのですけれども、過去の経過から見まして、やはりそうしないとなかなか適正な予算規模を守り抜くということは困難でございます。そういう点はそういう意味で御了承賜わりたい。かように念願いたしております。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣、あまり懇切に御答弁下さいまして時間が、——そのことはありがたいのですが。何もわれわれ造船の海運政策ですか、それに対してこの補助することが悪いとか、療医金融公庫を作ることが悪いとか言うのではないのです。これについては意見があるのでございますが、時間がありませんから。しかし、海運政策は間違っておるんですよ。実はもっと深いところにあるんです。計画造船が高い船を作る。そして不景気の安いときには外国にどんどん船を作って売っちゃっておる。ですから、私はあのころにはストック・ボートというものを作るべきだと言った。ストックして。計画造船自体にも問題があり、減価償却自体にも問題があり、海運業者の経営合理化についてもその努力に問題がある。また医療金融公庫につきましてもその運用に問題があるのですね。これまで無医村地区にもっと活用すべきだった。全体の医療体系から見てこれをしなければならぬ。まあ議論になりますから。  しかし、私は大蔵大臣に、やっぱり大蔵省のこの伝統の線というものはあるわけですね。それはいろいろ窮屈な面もあると思うのですけれども、やはり一つの財政法に基づく線というものがあるわけです。そういうものはやはり守らなければいけないので、そこに大蔵省の合理的な立場というものがあるわけですから、今後やはり非常にこの予算の編成が世間から疑惑の目をもって見られるような、圧力団体の圧力に荒らされるとか、そういうような批判が起こるわけです。そういう点についてもっと筋をきぜんとして通すべきじゃないかと、これはしかし私の意見であります。  それから次に、歳入につきましての見積もりについて御質問したいのであります。それは、参議院の公聴会におきまして、歳入の見積もりについて二つの公述人の意見が出たわけです。その一つは、慶応大学の高木寿一教授が、財政学の権威ですが、高木教授の意見によると、歳入の見積もりが非常に少ないのじゃないか、この高木教授の意見は必ずしも私は全面的にそれを理論的にそれでいいかどうかということについては、その点にわかに賛成しておるわけじゃありませんけれども、大蔵省の見積もりと非常にかけ離れておりますね。大体三千八百億円くらいの自然増収があるのではないか、政府の見積もりとの間に非常な大きな、千八百億くらいの差があるわけですね。それでもう三十五年度年度内にでも減税をすべきであるという御主張でした。で、私は減税すべきであるという意見には賛成なんですが、歳入の見積もりについて、はたしてそんなに歳入を見積もれるかどうかですね。政府の見積もりは私は過小ではないか、もう少し自然増収はあるのじゃないかと思いますけれども、それにしても高大氏の御意見は政府の見積もりと非常にかけ離れておるのですね。それからもう一つの御意見は下村治氏で、高木氏の意見と関連して下村氏の御意見は、約二千百億の自然増収は困難ではないかと、むしろ反対の意見なんですが、窮屈じゃないかと。そこで政府の見積もりにつきまして大蔵大臣の見通しを伺いたいのです。これは見積もりですから、正確にはなかなか得がたいと思うのですが、そういう公述人の意見がありましたので、それに関連して御意見を承りたい。
  14. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 私もひょっくり公聴会に参りまして、ちょうど高木博士の話の最中で、ただいまのようなお話も伺いました。下村君の話は聞かなかったのであります。で、なかなか税の見積もりというものは、しろうとにはわかりにくいのでありますが、一応御批判をいただく意味で、私どもが見積もりを立てました事務当局の構想というものを一通りお聞き取りをいただきたいと思います。私はそれをいろいろしろうとはしろうとらしく判断をいたしまして、これは適正だと最終的に決定いたしたものでございますが、一応主税局でどういう考え方でこの見積もりをしたか、お聞き取りをいただきたいと思います。
  15. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 補足して御説明申し上げます。高木教授、それから下村氏の御意見は、大体今までの約十カ年くらいの間におきまする国民所得の伸び、ないし国民総生産の伸びと、税収の伸びとの相関関係を何らかの係数に集約いたしまして、それで昭和三十四年度の当初の国民所得ないし国民総生産を基礎に置いて、三十五年度の見積もりをするというやり方をとる方法であります。それも一つの方法だと私ども思いまするが、私どもは毎年来たる年度の税収を見積もります場合には、そういう方法でやりますと、非常にあぶないと思いまして、もう少しこまかい条件を読んで見当をつけるわけであります。ただいまのようなこの係数、指数によってやりますことは、過去の十年の間に、御記憶の通り朝鮮動乱以後のブーム、それからそれが二十八年にはかなり末期的なブーム——末期的なと言ってはなんですが、かなり補正予算でブームの最後がはね上がって、それがまた一兆予算ということで大きく締める、またそれが神武景気で大きく上がった。またこれも総合緊急対策というようなことで、大きくぐっと締めるというようなことで、行ったり来たり、非常に波動の多い年であったわけです。波動が多ければ多いほど、御案内の通り今申しました所得ないし生産に対する税収の弾力性は大きくなるわけです。ですから今高木教授の使っておられます弾力性の数字は、そういう大きな山谷を描いた中の数字、しかもそれが税収は年度で区切られますから、年度と国民所得との関係は若干のズレがあったりする関係上、かなりに偶然の要素が入ってくる。ですから、かりにたとえば二十四年、五年をベースにしてとる場合と、あるいはそれを二十七年からとります場合とで、係数が非常に違う場合があります。と申しますことは、逆にといいますか、別の面で見ますと、三十五年度を見積もります場合に、三十五年度の経済の波がどういう状況で動いているか、それは三十五年度だけではいけないので、三十四年度から通してどういう波で動いているかというのを読みませんと、今の一・五というような弾力性が現に二になったり、あるいは一を下って〇・幾らとなった年があるわけですから、具体的に三十五年度が二になるのか、〇・幾らになるのか、あるいは一・幾らになるのかということを読むという必要があるのであります。それは結局指数で読んで参るというのでなくて、やはり各税についてできる限り固い確実な見積もりを立てるということだと私ども思っております。従いまして、昭和三十五年度租税及び印紙収入予算説明という刷りもので差し上げましたように、各税について見積もりをやる。大体各税とも国民の所得、消費、あるいは流通というようなものをベースにして見積もっておることは御存じの通りで、その中で一番むずかしいのがやはり法人税の見積もりで、この辺に今の所得の税収の弾力性ないし限界租税係数の焦点がくるわけであります。これを読みます場合には、そういう景気の波とそれに応ずる税収の波というようなものの過去の経緯等を分析しまして、そうして今度の波がどうだというようなことももちろん見ております。しかし、これはまあそういう方法だけでは非常にむずかしいので、そういう方法とあわせまして、この大法人については九月期、あるいはその後について、できる限り第一線の税務官吏を使いまして所得の見込みをつけます。これは各経済的な新聞、雑誌等でもやっておられることで、ですから、まあ法人税収の半分を占めます一億円以上の法人については、そういうことで大体積み上げ的に見当をつける。むずかしいのは中小法人でありますが、中小法人につきましては、そういう大法人の動きに照応して、従来中小法人がどういうふうな所得の動きを示したか、景気の波の関係はどうかというようなことを読むと同時に、できる限り予算を組みます時期までのデータを入れまして、そうして組んで参るというやり方をいたしております。つまり、長い過去の趨勢、弾力性ないし限界租税係数に出て参っておりますもの、実際にはそういう数字が高低があった、その高低と、当時の景気の高低との関係を読んで、達観的な見当をつける、半面積み上げ的に今のような見当をつける。で、両者の焦点を合わせまして、最終の見込みを立てるということをいたしております。  そういうようなやり方をいたしておりますので、両氏の考え方、見当というようなものは、一つの方法論でありますが、これは学者的な方法論として、こういう数字を前提とすればこうだという意味では、私は意味があるとは思いますが、国の租税収入を見積もる上では、どうもあれだけでは、肯定できないような間違いを犯すことにもなりはせんかというふうに思います。なお、高木教授の意見あたりをこまかく分析いたしますと、いろいろ問題がございますが、一応概括的に私どもが租税収入を見積もりました態度を、概括的に高木教授の方法論と対比して申し上げますと、そういうことでございます。
  16. 太田正孝

    太田正孝君 ちょっと関連して質問してよろしゅうございますか。……私も高木教授の意見聞きましたが、少し私どもの考えと違って、あんなにあるものと思いません。ただ、歳入見積もりにつきましては一番大切な問題であり、年々自然増収が出るというときには、税法に問題があるか、あるいは社会における経済現象にあるかと、こう思うのでございますが、大体、今主税局長の言われたように、例外の年を抜いて平均をとっていく、それから上り坂にあるか、下り坂にあるかという経済事実をつかまえてやっていくあの方法しかないと思うのですが、前は、歳入見積もり準則というものが、私どもが大蔵省で属僚としておったときありましたが、ああいうものが今あるのでございますか。これが一つ。  第二は、実は木村さんとも考えが違いますが、もそっと自然増収があるだろうということでございますが、昨年の夏ごろ千五百億円くらいといわれたものが、出ておる予算は二千億をこしておる。そうすると、九月決算というものはなかったのでございますが、あまりにもその間に五百億もふえたのでございますので、そのふえた理由をちょっと主税局長から御説明願いたい。  第一は、歳入見積もり準則というのが昔あったのですが、今そういうものがあるかどうかということ。第二は、昨年の夏ごろは、千五百億円の自然増収と見たものが、予算最後に作り上げたときにおいては、二千億円以上になっておる。ここのところの差の理由です。
  17. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 第一の歳入見積もりの準則という名前をつけておる規則ないしそれに類する規則的なものはございません。まあ昔あったのは、いつどういう経緯でそうなってきたのか知りませんのでございますが、まあ私の感じでは、昔の見積もりに比べて今の見積もりがより大ざっぱになっているということでなくて、おそらくより精緻になってきておるのではないかと私は思います。と申しますことは、準則という名では呼ばないけれども、各税の見積もり方法については、たとえば先ほど申しました、あの租税及び印紙収入予算説明をごらんいただきましても、ここでは特定の方法を前提とした数字が出ておるわけであります。つまりそういう意味で各税についてのまあ方法も書いてあるということになると思います。なおこれらの個々の項目につきまして、生産、物価、あるいは各間接税の対象物資の消費の見込みというようなことにつきまして、毎年毎年各省等の資料をいただいて処理をする場合に、だんだん年々仕事の中身をよくしようというような意味でやっておりますので、部内ではもちろん毎年のやり方というものがございますが、これを形でまとめたものはございません。まあしいて申しますれば、この収入予算説明で大体の方向が出ている。部内ではなおこれらを精細に組み立てて基礎を作っていくということでございます。  それから第二の昨年の夏ごろには千五百億といっておったのが、二千億をこえる増収になったという点でありますが、大体この岩戸景気といわれるような景気が出て参ったわけですが、やはり三十四年度予算を組みます場合に、率直に申してあれまでの見通しは立てておらなかったわけであります。従いまして、三十四年度の見通しに対しまして、実績は税だけでなくて、国民経済全般が非常に伸びて参ったわけであります。それで千五百億といいますのは、大体それを十分組み入れないまだそれが十分数字になって参りません時分に見た見方でやっておった、ですから、まあ千五百億はあると思いますがというふうに申し上げた段階が夏ごろまでありましたが、その後国民経済の動きが非常に大きいということがだんだんはっきりして参りまして、そういう際には、先ほども申しましたように、弾力性係数が悪いときには〇・幾らとなる、いいときには二にも及ぶというようなことで非常に上がるわけであります。その結果三十四年度の税収が、三次の補正予算で組みましただけでも五百七十三億円の増収を見積もるということになっておりますが、つまり三十五年度を見積もります土台になる三十四年度が当初予算よりも実績見込みがふえて参ったということがございます。その上に三十五年度を見積もりますので、今申しました五百七十億を踏み台として盛ったというだけでも三十五年度が千五百億ではおさまらないというようなことになってきております。率直に申し上げまして、昨年の九月期あたりの見込みは、夏のころを見ましたよりも実際に九月になりました方がふえておる。その後の情勢も波が横ばいになるのではないかというような感覚が、実際には横ばいならずにその後も堅実に伸びていくというようなことから、やはり三十五年度には相当今も申した三十四年度の踏み台が高くなるというような意味で、千五百億が二千百億に近い数になったというような事情でございます。まあこの辺は非常に経済が一番あわ立ったブーム的な様相を示すときの見込みでありますので、われわれの見込み自体が追っかけ追っかけになって、大へん大きな開きを生じたわけでありますが、そういう事情でございますので御了承いただきたい、こう思います。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私も政府の見積もりよりは大きくなるのじゃないか、もう少し増収があるのじゃないかと思うのですが、結局今後の景気見通しということになると思うのです。これについてはもうしばしば大蔵大臣も予算委員会でお述べになっておりますが、どうも私は三十五年度のこの景気は一本調子ではない、やはり上期と下期と分けて処理しなければならぬのじゃないかと思いますし、下期はどうもこれまで拡張された設備がかなり入ってくるので、一部で言われるような設備過剰の問題も現われてくるのではないか、それから世界景気の方も下降はしないけれども、停滞ぎみになるのではないかという気持がしますね。そうなると、やはり税収の見込みも変わってくるのではないかと思うのですが、その点簡単に大蔵大臣にお伺いしたいのですが。
  19. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 大体経済の見通しについては、数回お話いたしましたので繰り返して申し上げません。私どもは非常に自信を持っていると言うに尽きます。しかし御承知のように、その月々の変更は、高低はもちろんあると思いますし、ことに私どもが特に気をつけなければならないと思いますのは、今後貿易・為替の自由化というものが具体化して参る、またそれに対する国内体制の整備というような問題がこれから月を経るに従いまして相当露骨になってくるだろうと思います。そういう場合にどういうような影響をもたらすか、これに対しての時宜を得た措置さえとれば、趨勢そのものとしては心配はない、かように私は考えております。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次に、印刷局の問題について御質問したい。最近印刷局では残業が非常に多いように聞いておるのですね。百時間から百五十時間ぐらい残業が行なわれているといわれているのですが、そこで日本銀行券の発券の操作に対して印刷局の製造能力、いわゆる残業にたよらないでやっていけるのかいけないのか、その点まず伺いたい。
  21. 崎谷武男

    説明員(崎谷武男君) お答えいたします。ただいまのところ、日本銀行が非常に多い数量を要求しておりますので、超勤というものに全然依存しないということは、現実にはここ二、三年、あるいはもっと長く見通しがっきかねると、こういうことは申し上げられると思います。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の残業の実態はどうなんですか。それで二、三年こういう状態が解消されないというお話ですが、それはそのまま何ら手当をしないで放っておくという考えなんですか。
  23. 崎谷武男

    説明員(崎谷武男君) 今の超勤の実情でございますが、三十三年度は大体平均して四十時間というものが予算上つけられている。三十四年度は三十九時間、三十五年度は三十六時間、金額は単位がふえて参りますので変わりませんけれども、時間的にいっては少しずつ減っております。それで今後の見通しはどうかという、ここ二、三年内で解消するつもりはあるのかないのか、こういう問題でございますが、日本銀行の今後三カ年、あるいは五カ年にわたる銀行券の製造計画といいますか、製造の要望を申し上げますと、やはりどうしても、超勤を少しずつ減らしていくことは可能かもしれませんが、急激になくする、超勤時間をゼロに近づけるということはちょっと私どもとしてはできないのじゃなかろうかと考えております。それに対応いたしまして、もちろん機械の関係はできるだけ古い機械を更新して参りますし、新鋭機械も購入して参りますが、それでも超勤が急速にゼロに近くなるということは期待できない、かように思っております。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ただいま伺いました残業時間ですね、これはわれわれが組合の人から聞いたのと大へん違うのです。非常に多い。百時間から百五十時間、これは多い人がそういうことだというのですが、どうも実態把握についてちょっとズレがあるのですが、もう少し正確にどうなんですか。
  25. 崎谷武男

    説明員(崎谷武男君) おっしゃる通り、非常に印刷局の一部職員の中で超勤時間の非常に多いのがございます。百時間をこえておるのも現実に三十四年度でもございます。それはたとえて申し上げますと、ちょうどこの真下くらいにございますけれども、参議院の印刷局の分工場で、国会の印刷をもっぱらやっております。昨年の八月でしたか、たしか百五十時間ついております。市ケ谷工場——活版印刷工場でございますが、これが百時間をこえていることがしばしばあります、これは主として国会分工場の関係で。その他証券工場、紙工場におきまして百時間をこえる超勤は三十四年度ございませんし、特殊なボイラーとか、それから警備の関係で臨時に休む者が多くて、ほかの者が超勤した実績が多くなりまして、それで八十時間くらいのところのが一部ある月にはございますが、そのほかでは百時間をこえるというようなのは、今の国会分工場、市ケ谷工場の特殊なものだけでございます。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 残業にたよらないで発券操作に見合う能力を持つのにどのくらい年限がかかるのか。その御計画があるのか。投資計画とか、それから人員の計画等について、やはりお見通しがあるのじゃないかと思いますが、特に銀行券の印刷能力、これが非常に不足しているといわれておるのですが、デノミネーションなんか今後やる場合に、今すぐやる問題でないとしても、早晩問題になるというような場合に、これではとてもやろうと思ったって発券の製造能力がなくてとてもお話にならぬ、問題にならぬ状態であるやに聞いております。ですから、フランスがやった場合には相当なストックというものが必要だったわけですね。ですから、今ストックがあるどころじゃない、逆に能力が足りないという状態でしょう。今すぐデノミネーションをやるやらぬは別にしましても、発券操作に対して印刷能力が非常に不足しているという状態は、これは計画的に直していかなければならぬのじゃないかと思うのですね。そこで、投資計画なり営業計画について伺っているわけです。
  27. 崎谷武男

    説明員(崎谷武男君) デノミネーションの問題についてはともかくといたしまして、印刷局自体についての立場を申し上げますが、日本銀行からは銀行券の製造について長期的見通しがしばしば立てられるわけであります。私どもとしては、日本銀行がよくいわれるように、日本銀行はもっと発行したいのだが、印刷局の能力に制約があってできない、こういうことをしばしば私ども聞くわけであります。しからば、銀行券の製造計画というものが長期にわたってできるとすれば、それに応じて印刷局の能力というものもそれにマッチさせるようにしていきたい。これは印刷局の立場でございます。立場ではございますが、今のところ、毎年おおむね印刷局の現在の能力を少しづつふやしていきまして、日本銀行もそれに応じて、——日本銀行といいますか、大蔵省理財局も製造計画を見られるわけでありますから、日本銀行、理財局、印刷局、大体相談いたしまして、今の印刷局の能力を少しづつふやす方向で、また日本銀行もそれに合う程度の要望でがまんしていただいておる、私どもの立場からいえばそういうことが言えると思います。大体そういうようなことになっております。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もっと計画的に考えられる必要ないですか。大蔵大臣はこまかい事情をおわかりじゃないかもわかりませんが、やはり銀行券の製造について非常に不足だということは、これはやはり何か問題があった場合に非常に問題じゃないかと思うのですね。その点を大蔵大臣どういうふうにお考えですか。
  29. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまいろいろ印刷局の問題で考えさせられる点があるわけでございます。現在の印刷機械そのものではなかなかロスが多い、完全刷り上げが非常にむずかしい、それだけから見ましても、機械を新しくしなければならぬ。また適正な超勤というものを、超勤がないのが本筋でございますが、しかし適正な超勤がないと非常に収入にも影響してくる。こういう点もありますし、また機械を変えるというだけでも、そういう意味でいろいろ問題があるようです。これは従業員というか職員の十分な理解を得てやらなければならぬ。もともと私どもしろうとが一番考えやすいことですが、銀行券自身が非常に汚損しておる点、こういうことはあまり好ましいことではございません。だから一万円を発行いたしまして、銀行その他の計算あるいは支払い等にも非常に便利するようになったと思いますが、一万円券にいたしましても、相当長期でないと新しいものにかわらない、これが五千円、千円、さらに百円になりますと、おあしとしてやっぱり大事にするという感じすら薄れるような状況になっておる。こういうことは非常にまずいというので、勤務時間の問題もさることですが、銀行券自身を大事にするためにはやはり新しいものに刷りかえていく、それだけの計画にも今なかなか支障を来たしております。これは私一万円がどのくらいでかわっておるか、あるいは五千円がどのくらいになっておるかということを今はっきり覚えておりませんが、千円札やなんかになりますと、相当長い間かからないと新しいものが出てこない。私どもが手にするものも非常に汚損している。こういうことじゃ非常にまずいというので、これを一つできるだけ新しいものにしよう、こういう一つの指導方針を立てて、同時にまたその銀行券自身も銀行自身が相当のストックを持つということが必要になりますので、そういう意味の予備を、ストックを持つようにするためにもっと発行高をふやさなければならぬ、それにはとても追っつき得ない、そこで相当古いものもそのままにしておいて、できるだけ数をふやしていくというような方法を今とっておるということであります。こんなところから申せば、これはもう半分冗談になりますが、デノミネーションなど絶対にやれない。そういう意味でデノミネーションの議論なんてふっとんでしまって大へんしあわせでございますが、私は銀行券のあり方から見まして、今のような状態は非常にまずいと思っております。実は私自身も正直に白状いたしますが、印刷局の能力が気になりながらまだ印刷局を視察しておらない実情で、
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 怠慢ですね。(笑声)
  31. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) できるだけ早い機会に出かけて、新しい機械を出しまして、そして能率を上げていく。おそらく能率を上げるにいたしましても、先ほど印刷局から説明しておりますように、今日の需要の状況から申せば、日本銀行の考える通りに沿うためには相当年月がかかるであろう。しかし、これはぜひともそういう方向で整備していきたいと、かように考えております。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今大蔵大臣も言われましたように、銀行券はやはり信用の基礎になる、心理的にも、それから実際的にも基礎になるわけですから、やはりあまり粗末になると、また粗末にこれを扱うということがございます。今大蔵大臣のお話もその通りだと思います。そこでやはり早く計画をお立てになる必要があると思います。ただいま大蔵大臣もそういうような御意思でありますから、実態をよくお調べになりまして、今の日本銀行券製造能力が足りなくて、非常な多くの残業をしなければならぬということは、日本の今の経済に即して考えますと、これは非常に大きい問題だと思うのです。小さい問題じゃないと思うのです。私は、ことに信用の基礎になるものでございますから、これは真剣にやはり考えていただきたいと思うのです。  それから印刷局の業務は大体日本銀行券の印刷製造が主体のようでありますが、日本銀行の職員は、一応実際にはそういう待遇改善等の場合争議に訴えるということは、組合と当局との間に取りきめを行なっておるようですから、そういうことに訴えるということはないようですけれども、しかし、ストライキ権も政治活動の自由も一応保障されているわけです。ところが、日本銀行券の印刷に従事する印刷局の職員は、ストライキ権も政治活動もできないということになっている。そこでILO条約の批准に関してこういうものをどういうふうに処理されますか、問題になってくると思うのです。もし印刷局で両当事者の間に紛争でも起こって印刷に支障が生ずるということがあれば、これは重大な問題でもございますので、そういう点につきまして、どういうふうに政府でお考えになっておるか、この点お伺いします。
  33. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまILOの批准のお話が出ましたが、政府が準備がおくれているとか、あるいは一体いつ出すのかという意味でいろいろ督励を受けておりますが、昨年方針を決定いたしました際は、国内法を整備して、しかる上でILOの批准をするということを実は申しておるのです。もちろん批准の手続をとります前に、直接関係するものもございますが、ただいま御指摘になりますような点もやはりあわせて考えておかないと、ILOの条約批准の結果意外な事態が起きても困るということになるわけです。もちろん過去におけるりっぱな慣行等もでき上がりつつある際でございますから、そういう点を政府としては十分考えまして、そしてILO条約を批准しても支障がない、またこの批准の手続をとるについても、ILOの条約の精神を十分尊重するように、そういうふうにいたしたいものだということで、関係方面でそれぞれの点について検討し整備をいたしておる段階でございます。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣、今印刷局の残業について、これが一般のほかの事業場と比べて多過ぎると思うのですが、どういうふうにお考えですか。
  35. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 少し多いような感じがいたします。これは何といいますか、従業員の収入との関係もございますから、非常な無理な残業でないことが望ましい、そういう意味では十分な双方の了解を必要とするのではないかと思いますので、今日までのところは一応了承を得ておると思います。しかし残業収入が職員の収入において大きい部分を占めるということは、いずれにしても望ましい形ではございません。そういう意味において、残業を減らすことで収入が減る云々は、あまり有意義にならないと私は考えます。しかし現在の状況で、しからば給与を上げることができるかと申しますと、一般職員との関係もありまして、均衡を失するわけには参りますまい。そういう意味で日本の給与全般については、何かごまかしみたいなものが、理屈で割り切れないものがまだ残っておると思いますから、この印刷局の職員の給与などは、そういう意味では再検討を要する点かと思います。かように申して誤解を受けてはいけませんが、一般職員との均衡のことを考えなければなりませんから、印刷局だけ特別給与というわけのものではございません。ただいま申し上げるように、残業手当を加えての給与という見方は、これは本来の筋から見れば、やや曲がった方向ではないか、かように思います。いずれにしても、その点ではよく職員と管理者側の間に話し合うことが根本じゃないか、かように思っております。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは、大蔵大臣のお考えは逆だと思うのですね。よそとの均衡を、残業手当を本給に加えて残業をしなくても済むようにするということは、これが実は本筋であって、建前だと思うのです。一般は賃金が安いから残業によって低賃金を補おう、こういうことになって、身をすり減らして低賃金であればあるほど残業をする。こういう実情になっている。これは決して好ましい状態ではない。それで、経済政策全体から見ましても、大蔵大臣がしばしば言われますように、日本の賃金の二重構造、賃金ばかりでなく全体の生活の、あるいは所得の二重構造というものを直す上からいきましても、本来は残業をしなくても、憲法で保障された健康で文化的な最低生活を営む程度の賃金を、月給をも保障するのが、これが政治の建前でなくてはならないと思う。ですから、はたとの均衡上云々ということは、はたが非常に低い、だからやはり低い水準と均衡をとらなければならないということでは、私はいけないと思うのです。全体としてそれを直す方向で考えていただきませんと、結局、それは能率に影響してくるわけですからね。特に印刷局の場合は、収入をふやそうというために残業するばかりではないようですが、非常に製造能力が足りないものですから、無理に、残業をしたくなくてもせざるを得ないという実情なんじゃないかと思いますね。そういう点もやはり勘案されまして、従業者の人たちともよく話し合いされまして、その点は合理的に解決されるように切望するわけです。
  37. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 私の申したこととあるいは木村さんの言っておられることと同じようなものかと思いますが、問題は、実体をよくつかまえれば、私どもは、残業手当というものは本給にプラス・アルファの収入と、こういうふうに実は考えておりますが、木村さんは、実情はそうなっていない、残業手当と賃金を加えてそうして給与がきまっている、こういう見方をしておられるようですが、そういう見方のような実情であっては相ならないということを私は申し上げておるわけです。やはり残業手当はプラス・アルファだから、基本の賃金というものが適正なりや否やということが主体であり、この場合は印刷の能力の点から残業を特にお願いし、職員の協力を得ているということでございますが、それにいたしましても、結果的に見れば総収入がふえたということになるだろう。そういうことでつるということがもしあっちゃ相ならぬ、非常に俗っぽい言い方をすれば、そういう点を申し上げておるのです。基本的の考え方は、私は同じであろうと思いますが、その基本賃金そのものは、他の賃金との見合いからもきまるので、それが安いと言われれば別でございますが、一応、人事院も了承してそれがきまる、それに残業手当としてプラス・アルファがつく、そうして総収入がどうということになるのですけれども、残業の点は労働過重になることははっきりいたしておりますから、そういう意味では十分職員の納得のいくような方法で、機械を改善したり、また勤務時間も改善していくということでなければならぬ、かように思います。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体大蔵大臣のお考えわかりましたが、そういう線で、一つ、無理な、非常な過重な労働のようですから、実態をよくお調べになって解決されることをお願いいたします。
  39. 東隆

    主査東隆君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  40. 東隆

    主査東隆君) 速記をつけて。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実はきのうの続きなんですが、フィリピンのマリキナ多目的ダムです。どうも大蔵大臣の御答弁、よく私も理解できないわけなんです。そこで、整理して質問いたしますので、少しわかるように御答弁を願いたい。大蔵大臣は、三十五万ドルの問題は二つあるということを言われたのですが、この問題は、国際技術開発会社というのですか、あの会社はコンサルタントとして、賠償としてコンサルタントの何というのですか、費用を受け取ったわけですが、それは賠償の方から受けておると思うのです。これは認証は大蔵省が与えられておると思う。それが一つの三十五万ドルというケースじゃないかと思うのですが、私の御質問申し上げておるのはそれじゃないのです。そのあとで、国際技術開発会社が輸出入銀行の融資についてあっせんした。そのことに対して三十五万ドル、フィリピン側は払ったということなんです。それでフィリピンの新聞に出ておったということを私が申し上げましたために、大蔵大臣は、新聞報道には正確でないものがあり得るということを言われましたが、それはそういうこともあり得ると思うのです。しかし私が申しましたのは、新聞の推測じゃないのです。フィリピンにブルー・リボン委員会というのがあります。そこにおいて、国家電力会社の総支配人であるフィレモン・サブランという人、この人は相当有力な人なんです、この人がその委員会で質問に答えておるわけなんです。そのことを新聞は報道しておるわけなんですね。このサブランという人は、有力な日本の会社に対し、日本輸出入銀行からの三千五百万ドルの借款獲得の援助に対して三十五万ドル支払ったことを認めた、こういうようになっておるのです。ですからこれは賠償とは別だと思うのですね。最初の三十五万ドルはいわゆる設計の方に対する支払いということですが、これはまた別の口であると思うのですね。賠償とは関係ないのじゃないか。そこでフィリピンの議会でも、これは賠償の方で支払うべきじゃないかという意見も出ておるのです。そういうことなんでございますから、その点につきまして御答弁をお願いいたしたい。
  42. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 一応私からお答えしますし、それで何でしたら、さらに追加して申し上げます。今フィリピン側と、それから開発会社とのこの契約に、こういうことが書いてあるのです。問題はこれなんですが、「コンサルタントが本開発計画のための融資獲得に成功した場合は、コンサルタントは本開発計画のために供与された全融資額の一定の率に当たる金額を手数料として支払われるものとし、この  一定の率は、後日本契約の当事者によって決定されるものとする。」ということが書いてあるのです。これが、ただいま言われます一%にすれば三十五万ドルということになるわけであります。ところで、この契約をしていることの許可条件といたしまして、これは今後実際に処理する場合に、全部を了承したというのではなくて、これを必要の限度に私どもの方で制約することができる、こういう条件のもとにこの契約を承認しているという経過になっております。契約というより許可条件にそういうものがついております。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはコンサルタントの認証を、賠償額として与えるときの契約ですか。
  44. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) それで、今あげましたものに対して、大蔵大臣はこの条件を認めるについて、こういう条件をつけているのです。「申請書に係る契約書1の(f)項」——これはただいま申すことです。「「コンサルタントは、日本の適当な銀行又は金融機関から開発計画の資金融資のための措置を行うものとし、その返済は、賠償によってフィリッピン政府が行うものとする」旨の規定があるが、本許可は、日本の適当な銀行又は金融機関からの融資及びその賠償による返済を認めるものではないこと。」ということが条件としてつけ加えてあるわけです。それで、まだこれを当方といたしましては、向こうが開発会社の三十五万ドル、この辺に該当するものを払ったか払わないか、その辺はもちろん確認をいたしておりませんが、ただいま申し上げるような経過でございますから、まだこれは払っていないんじゃないか、あるいは新聞でブルー・リボンの方で委員長が申しましたのは、おそらく技術設計料の一億二千五百万円、ちょうどこれをドルに換算いたしますと、三十五万ドルくらいになるのですが、その分と何か混同されているのではないだろうか、こういう感じが実は私どもの方ではしているわけです。今お尋ねになります点は、まだむろん大蔵省に対して認証の手続も経ておらない、こういう現状にある、昨日お答えした通りであります。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでやや明らかになって参りましたが、ただいま大蔵大臣の御答弁は、この国際技術開発会社に賠償額としてそのコンサルタントの認証を与える場合の契約の条件であったと思うのです。しかしそれによりますと、大蔵大臣、あるいは大蔵省がその契約のために融資あっせんについて何かコミットされるようなことがあっては困るというので、そういう条件を契約に入れられたと思うのです。ところが実際にはその国際技術会社が融資のあっせんを輸出入銀行に対してやって、それに対して三十五万ドルの一%、フィナンシャル・フィーだと呼ばれておりますが、そういうものを払った、その点はもう少し御調査願いたいと思うのです。どうもフィリピンの方の、マニラ・タイムズの方の報道によりますと、これは新聞社の憶測で報道しているのではなくて、そこのブルー・リボン委員会におけるフィリピン側の有力な人です。これはマリキナ多目的ダム計画協力委員会の一人なんです、このサブランという人は。そうして国家電力会社の総支配人なんですから……。サブランが委員会でそういうふうに述べている、やはり融資を与えた約束に対してプロミスト・ヘルプと言っているのですよ。だからそういう確約したということに対するフィナンシャル・フィーに解釈できるのです。ですからその点はもう少しお調べになっていただきたいのですね。そうして輸出入銀行の方がそういうことをはっきり認めているのか、まだ融資は正式にきまっていないとかいう話ですけれども、しかし、そういうはっきり契約ができていると思うのです。きのうの御答弁によりますと、三十五万ドルの中の一万ドルが手数料であるような御答弁をしておられるのですから、もうそうじゃなければ手数料という問題が出てくるはずがないし、それは融資をきめたから、あるいはもう融資をしたからそういう手数料が払われるわけなんですから……。融資の方が、それじゃまだ大蔵大臣は、正式にきまったわけではない——どうもそこがわからないのですね。融資がきまっていないというのに、三十五万ドルのうちの一万ドルは金融あっせんに対する手数料というような御答弁もしておりますから、その実情をよく輸出入銀行の方にも当たっていただき、それから国際技術開発会社の方にもよく当たっていただいて、そうして実情をよく御調査の上、それから政府の考えではブルー・リボン委員会等の記録もおそらく外務省を通じて手に入るのではないかと思いますので、そういうものを手に入れられまして、そうしてしっかりした御答弁を願いたいと思う。これは政府の方もそういうことをはっきりさせる必要があるのではないか。  それから、ついでながら先ほどの契約のを、もしお差しつかえなければ、資料としていただけましょうか。
  46. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 今のお話ですが、ただいまの契約そのものは、相手方がございますので、当方だけで出すわけに参らないと思います。しかし、ただいま言われますように、ブルー・リボンの委員会等における証言等は、これは大使を通ずれば取れると思いますから、取りたいと思います。そこで、問題はどこに誤解があるのかわかりませんが、もう一度御了承をいただきたいと思いますのは、マリキナ・ダム開発計画というものを当初フィリピン政府との間で話を進めた。そうしてこれは調印までした。それが輸出入銀行が将来介在して、そうして延べ払い方式でそれを処理する。そうしてその支払い方法は三カ年据え置き、その後七年間で均等払いをする、こういうことになっているのです。その均等払いの分について、その年度の賠償額を担保にするということで、これは支払いをそこで確実にしたわけです。  ただいま問題になります三十五万ドルですが、この役務に関する契約及び決済に関する許可書というのを、国際技術協力開発株式会社取締役社長八田嘉明に対して、三十二年の十月二十六日に、当時の一萬田大蔵大臣から為替管理法の許可として出した書類があるわけです。それを先ほど来申しているのですが、その一萬田大臣から「外国為替管理令第十七条第二項及び第二十三条第一項の規定に基き、下記条件を付して許可する。」こういうものが実は行っているわけです。これは当時の大蔵大臣の一萬田尚登です。それで、その中に先ほどお話のあります三十五万ドル、それが第二の条項として、「申請に係る契約書1の(f)項に、「コンサルタントは、日本の適当な銀行又は金融機関から開発計画の資金融資のための措置を行うものとし、その返済は、賠償によってフィリピン政府が行うものとする」旨の規定があるが、本許可は、日本の適当な銀行又は金融機関からの融資及びその賠償による返済を認めるものではないこと。」まあそういう事情でこれをやっておるわけでございます。言いかえますと、このコンサルタントの金融あっせん云々については、ここで、お前の方で約束をしている通りのものじゃないぞ、それは自由にかかるものだぞということです。同時に最後のところで、「大蔵大臣が必要と認める場合には、上記条件を変更し、又は追加することがあること。」と、こういうような条件をつけて、そうして許可している。  ついでに全部読んでみますと、1としては「本許可に基く役務の提供は、許可の日から三月以内に開始すること。」2はただいま読んだ通りです。3は、「貴社が」——貴社と言うのは国際技術協力会社ですが、「貴社が比国においてペソ貨で受領する手数料のうち、比国において使用し得る額は一万二千二百八十三・六ペソ以下に限ることとし、それを超える額は、遅滞なく標準決済方法により本邦に回収すること。」それから4は「本許可に基く役務の提供及び決済の状況につき、その報告書を四半期毎に大蔵大臣に提出すること。」、5は「申請に係る契約書の条項について変更を行う場合には、大蔵大臣の許可を受けること。なお、契約の解除又は終了のときは、遅滞なく、大蔵大臣に報告すること。」、6は最後に、「大蔵大臣が必要と認める場合には、上記条件を変更し、又は追加することがあること。」「報告書提出大蔵省為替局外資課」こういうことで、先ほど問題になっておる契約に対する許可をしているわけです。契約及び決済に関する許可を与えるということでございます。で、まだこの点は進んでおらない。ただいまおそらく工事入札指名者というのが今きまった程度でございましょう。それで、一体いつ入札するかということが次の段階になるわけです。そうして初めて契約が今度は実施に移っていく。おそらくそれまでは、フィリピンがその会社に、その成功報酬というものを支払うかどうか、それは私は疑問のように思います。だから、先ほど言われます三十五万ドルは、いわゆる成功報酬というものに該当するものだろうと思います。その成功報酬というものは、まだ全部入札が終わらない前にフィリピン政府が支払うとは、実はちょっと考えられないのです。しかし木村さんの先ほど来の資料もございますから、よくマニラの方について実情を調べてみたいと思います。その後の処置の問題として、ただ単にこの工事の成功報酬としてフィリピンの当該開発会社といいますか、それが技術協力会社に払い、私どもは為替管理の観点からどういうふうに処理するかということだけ考えればいい問題か、あるいはさらに賠償の一部にそれが該当するかどうか、実態は十分精査して、あとで問題が起こらないように明確にしておきたいと、かように考えます。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほどお読みになった為替許可の資料、それを差しつかえなかったら提出していただきたい。よろしゅうございますか。  それで、ただいまの大蔵大臣の御答弁で、事態はかなり明らかになりました。これは、賠償として国際技術協力開発会社に認証を与える場合の契約であることが明らかになりました。それで……
  48. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) そうじゃないのです。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうでしょう、だって三十二年十月五日でしょう。それは賠償として認証を与える場合の条件としてその金融あっせんをしないということがどうも条件になっているように……。
  50. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 実はそうではございませんで、これは、こういうコンサルタントがいわゆる非居住者と申しますか、外国人と役務契約を締結いたします場合には、為替管理法の許可を要する。そこでその当時は、普通の経済協力ということで始まったわけでございますが、それが賠償になるか、あるいは輸銀に持っていかれるか、市中に持っていかれるかそれは別といたしまして、そういうコンサルティングをやるということにつきまして、これは当然必要経費の報酬をもらうわけでございますから、そういう契約を結んだ。それが将来賠償になるとか、あるいは賠償担保になるとか、普通の延べ払いになるとか、そういうこととは関係なしに役務契約を締結するわけでございますが、その中に、さっき申し上げましたように、日本側にあっせんする場合がある。その場合には、成功報酬的なことをうたってございますので、そういうものじゃございません。この役務契約を認可したからといって賠償でそれを払ってやるということでもありませんし、輸銀が金融してやるということでもありませんぞ、要するに、そういう役務契約で技術協力をすることはよろしい、これだけの意味を持っておるわけでございまして、昨日申し上げました中で、私の言葉が足りませんでちょっと御迷惑をかけました点を釈明させていただきますと、一万ドルと申し上げましたが、これは要するにコンサルタントの仕事は調査、設計が終わりますれば、それで終わるわけでございまして、国際的に見て、よくそういうそのプロジェクトを金融ベースに乗せるとかいう場合に、融資の申し込みその他のために必要な書類を作ることをやっております。そういう書類を作る経費、これには印刷費があり、それからまあ多少の人件費があり、会議費があり、いろいろな経費がかかるわけであります。そういうものを立てかえ払いにいたしておったのでありまして、これはいわば大きな意味では調査、設計費の一部、要するに調査、設計をしまして、どこかへ話が持って出られるような書類を作るということでございますから、この点は成功報酬とは全く別のものであります。ちょっとそれだけ釈明させていただきます。
  51. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ただいま御答弁いただきましたが、私の手元に集まりました資料に基づいての私の判断と、まだ多少食い違いがあるし、納得がいかない点がございますので、大蔵省の方でも、外務省なりを通じまして、フィリピンの方の実情もよくお調べになって……。私の資料としてもマニラ・タイムスその他、局限されたものです。しかし政府ならばもっと広範に資料が手に入るのであります。これはやはり日比の国際関係によくないと思うのです。こういう問題をもっと明らかにしておきませんと、上院で非常に問題になっておりますから、誤解を与えてもいけませんし、そこに不明朗なことがあってもよくないわけですから、この点は事態を明らかにしていただきたい。またよくお調べになって、機会がありましたらまた御質問を申し上げますから、政府の方からこの実態につきましてよく御答弁を願いたいと思います。  私の質問はこれで終わります。
  52. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 承知いたしました。
  53. 米田正文

    米田正文君 もう時間があまりないようでございますから、簡単に一、二お尋ねをいたします。  第一に、開発銀行の融資のうち、特に地方開発に出す分のことでございますが、開銀融資を見ると、来年度三十五年度は電力、海運、石炭、鉄鋼というようなのが次第に減って、化学部門だとか、あるいはその他産業部門の方に次第にふえていっているように思います。その点、私どももそういうものをやって、その他部門の育成をする必要があると、こういうふうに考えているわけですが、そこでその中に来年度予定として七十億の地方開発分がありますが、この内容を御説明を願いたいと思います。
  54. 石野信一

    政府委員(石野信一君) 来年度の開銀の融資計画の中に、一応地方開発に七十億円予定がございますることは御指摘の通りでございますが、内容というお尋ねは、主としてどういう方面にどういう関係の融資をするかというお尋ねかと了承いたしましてお答えいたしますが、融資の内容は、大体御承知の通りに後進地域と申しますのも語弊があるかもしれませんが、産業その他の面でおくれておる地域に対して地方の特有の資源の開発とか地方産業の開発、工場誘致というような関係で必要な融資を行なうということでございます。地域の関係でございまするが、これは建前といたしましては、別に九州、四国地方のみを対象とするわけではございませんで、今申しましたような意味で開発を必要とする地方に対して——ただし北海道と東北につきましては、北海道東北開発公庫がございますので、この地域は含めません。——そういう地域全般に対してこれを対象とするという建前でございます。ただ、しかし九州地方につきましては、御承知の通り現に開発促進法もございます。また四国地方につきましても開発促進に対する国会の決議もございますので、実際上、当面九州、四国地方の方面が中心に相なるかと思いまするが、まだこれはどういう方面にどういうふうに幾ら出すというようなことはさまっておりませんで、開銀の方に具体的に融資の申し込みがございまして、それを判断いたしまして決定をするということでございます。最終的に決定いたしておるわけでございませんが、大体今申しましたようなことに相なります。
  55. 米田正文

    米田正文君 たとえば九州開発については、九州開発委員会では五十億というようなことをはっきり説明しておるのですが、そういう地域的な割り振りがあり、まあそれはきまっておらぬと言われれば、おそらくまだ案の段階だとも思うのですが、今言っておる九州開発の問題で五十億というのは、一体まだ純然たる案ですか、それとも開銀と話を相当しておるものですか。
  56. 石野信一

    政府委員(石野信一君) 五十億というのも、委員会でそういうお話が出ておるのでございましょうが、開銀として五十億をきめておるということでなくて、これはやはり融資でございますので、申し込みが参りまして、そしてそれに対して貸せるか貸せないか、貸す必要があるかどうか、あるいは貸した方がいいかどうかというような審査をして決定をして参るものでございますから、そういう話は、一応希望のワクというようなことでは伺うにしても、開銀としてワクをきめて、どれに幾らというところに決定をするということには相ならないというふうに考えております。
  57. 米田正文

    米田正文君 三十四年度の九州分の実績は幾らになっていますか、今までの分はどの程度ですか。
  58. 石野信一

    政府委員(石野信一君) 実績は、今ちょっと手元にございませんが、三十四年度の実行見込は、地方開発全体で三十五億程度に相なろうと思います。
  59. 米田正文

    米田正文君 三十五億。実は、九州地方の連中が集まりまして、いろいろ話をしている最中に出るのは、開銀ではどうも貸し出しが悪い、何だかんだとやかましいことを言って、なかなか貸さぬ、それでまあ公庫を作らなければいかぬということを非常に強く言っておるわけです。まあ東北並みに一つ公庫を作らなければならぬということを非常に強く言っております。だけれども、これは融資が円滑にさえいけばいい問題です。が、現状は、私も具体的な個々の問題はあまり知らないのですけれども、何回か会議をやっているうちに、その声が非常に強いのです。その事情を御承知ですか。
  60. 石野信一

    政府委員(石野信一君) その点はよく存じておりまするが、まあ何分今全般として非常に資金に対する需要が強くて、一般の金融機関につきましても非常に強いわけであります。従いまして、開発銀行が三十五億程度の三十四年度の実績に対して、七十億を予定したということは、非常に大幅にこれを増額したことでございまするが、そういう要求にある程度おこたえしたことに相なると思いますが、ただ、そうかと申しまして、その強い資金需要に非常に御満足のいくようにすべてがいくということになりますと、これは全体の経済への影響ということもございます。まあ地方開発という特殊の事情ということを考えまして、この七十億をできるだけ有効に使うということは必要でございまして、これはやはり具体的な問題として解決する以外には、ちょっとワクをはめてやるというのもむずかしいと思います。そういう意味で、できるだけ有効にこういう七十億の金を使うことによって、御期待に沿っていきたいというふうに考えます。
  61. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 今の米田君のにお答えいたします。今御指摘のように、九州地方開発促進法というものができる、そうすると、まあ特殊の金融機関を作る、これは地方の要望がある、また引き続いて四国地方開発促進法ができる、あるいは北陸地方促進法ができる、今開発促進法を各地方に作る動きが非常に強くなりまして、その必要があるに違いない、かように思いますが、これは同時に、非常に後進地域だとして特に開発を必要とした北海道、東北というものとの均霑運動といってもいいかもわからない。そういうことになっている、そのつどこの特別公庫を作っていくということになりますと、金融の実情から見まして、ずいぶんおかしな格好になる。全国的に開銀というものがある、これは開銀自身で特別融資いたしますものも、特殊の産業も、それぞれ開銀からの融資ワクからはずして、それぞれ一般市中金融にたえ得るというような方向にならないと、特殊金融機関がいつまでも存在するということは、金融行政の面から見て必ずしも当を得たものでないと思います。そこで、ことしの開銀の融資額等においても、過去重点が置かれたものがあまり金額がふえないというのは、それぞれの電力等においても、もうそろそろ一般市中金融にたよっていいわけじゃないか、あるいは社債にたよっていいわけじゃないか、あるいは外債等にたよるとか、国内の開発銀行ばかりにたよらないという方向が望ましい。また北海道開発公庫にいたしましても、これが地方の銀行あるいは中央銀行との競合する面等については、これをできるだけ避けるようにして、本来の公庫の使命を達するのに遺憾なきを期していこう、こういう措置で、ただいま指導しておる次第でございます。また、さらに最近の傾向から見て、先ほど申すように、各地についての開発促進法ができてくる、そのつど公庫を作るということになって、政府資金をそれぞれ必要とするということでございますと、政府としても実際はまかなっていくのに非常に困難を来たす、産業の実態等から見まして、特殊な金融を必要とする事業と、一般金融によって処理されるものと、これは自然にきまっていくだろう。普通金融機関をとにかく高度に利用していただくことが主体であります。その場合に問題になりますのは、市中金融機関の高金利、金利高ということが問題になる。そういう点については、私どもも絶えず金利の適正化について努力していくし、基本的な方針は掲げておるところでございます。それについての努力を払っておる。あまりにも特殊な地域に対して特殊の公庫を設けていくことは、本来の金融行政から見ると、望ましい姿ではないのであります。そこで、今回もこういう後進地域に対する開発計画が立って、そうして今特殊の公庫の創設の要望も強いことは、これはよくわかっておりますので、しからば開発銀行に特別な資金を予定して、そしてそれが、ただいまの公庫にかわるような役目を果たし得るかどうか、まずことしはそういう処置をとってみようということで、大体七十億見当を地方開発のために融資する、こういう一応の予定のものを作っておるわけであります。この範囲で、開発銀行の方から、進んでそれじゃその金をどういうところに貸すというところまでは、まだ区分はできておらないと思います。結局、地方において、今度はその地方の特殊の産業として要望されるもの、また一般金融と競合しないようなものについて、この種の金融をしていくというのが本来の当然のことじゃないかということで、ことしの一つの試験的な方法として七十億というものを予定したわけであります。地方の産業開発について、開銀が在来のような融資方法をとっておれば、あるいは地方の要望にこたえることができないかと思います。ことに開発銀行が今までやっておりましたのは、基幹産業等について非常に限られた分野でやっておられた。今度は地方開発ということになりますと、今まで開発銀行で扱わなかったような業種のものがそれぞれ出てくるに違いない。そういう場合にどういうように融資の実際をやりますか、十分私も指導して参りたいと思います。そういうものでありますので、今の後進地方の開発促進法と結びつけて、実は今回の融資がどういう効果を上げるか十分検討して参るという筋のものであります。大体御指摘のような点をのみ込んでおりますので、いわゆる開銀の融資にいたしましても、この種の資金は特別用途に使われる、こういうことを開銀自身も心得ておると思いますから、実際については十分その目的を達するように私ども指導して参るつもりでございます。
  62. 米田正文

    米田正文君 今のお話で、この七十億のうち九州開発分に五十億というのは、はっきりきめておらぬということで、まあ私は今までのいろいろなここの関係やその他の委員会で聞いておったのと非常に違ってきておるのですが、しかし、これはそういう一つのワクがないと、なかなか実際運用の問題からいいますと、ただ必要なものに、適切なものに貸すというだけの原則では、これはやはり開銀の扱い等でどうにでも自由になってくるということでは、せっかく従来地域開発をやろうといった趣旨には非常に遠ざかってくるわけです。やはりそういう一応のワクというものは作ることは必要だと思うんです。それを全然ワクなしでやったんでは、せっかく開銀の融資ワクの中にこういうものを含めたという趣旨にも沿わないことにもなるんじゃないだろうか。やはり私は、一応のワクはあってしかるべきじゃないかと思うんです。また、九州地方の人は、みんな大体そういうつもりで進んでおるんです。私は、その辺をはっきりさせていただき、今すぐ年度内にきまらぬということなら、なるべく早い機会にきめて、一応のワクは設定してもらいたいということと、それから手続等についてあまりやかましいことを言わないように、鹿児島とか宮崎とかいうような所になってくると、そうあまりやかましいことを言っていると、行ったり来たりで時間ばかりかかるというようなことにもなりますから、そういう点の配慮は、一つ十分に開銀当局にもよく指示をいただきたいと思います。では、私は、この開銀で出せばいいか、公庫がいいかということは、おっしゃられるように、今後九州開発に続いて四国も中国も、きょうはまた北陸の方もやろうというような相談をしておるようなわけですから、いろいろ各地に地域開発の促進法が生まれてくることになるかもしれません、そういうことも予想して考える必要はあろうと思います。  私は、もうちょっと、次に地方財政の負担の特例等に対するお考えをお聞きしたいと思っておりますが、これは簡単ですが、武藤委員がちょっと先を急ぐようでございますから、私はその次に……。
  63. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 今のお話ですが、後進開発のために七十億という金だけは一応予定いたしております。しかしてまた、たとえば九州で電源の開発をする、その七十億から融資するのかと言われれば、これはおそらく電力関係でそういうものをまかなったらいいと思います。別にそういうことをやる筋じゃないでしょう。あるいは炭鉱開発をやる、これはもう石炭融資のワクが一つあるわけでございますから、それとダブらす必要はないと思います。そういうことをずっと考えて参りますと、どういう事業がこれからやられますか、たとえば木材会社を作るとか、そういうような場合に、普通金融ではなかなか困難だと、この開銀ならば融資金利等も安い、こういうような意味で、そういうものを必要とするということだろうと思いますが、そういうものは一体幾らになりますか、最初からワクをきめて、これだけワクがあります、さあお使いなさいというわけのものではなくて、やはり申請されてきて、そうしてそれについて事欠かないようにしていくということが望ましいんだと思います。ただいま御指摘になりますように、手続その他について十分地方の実情を考えて、その手続が簡になり、しかも開発の実を上げるような融資方法をとれとおっしゃることは、これはしごくもっともでございますから、そういう点は十分注意をいたします。しかし、公庫にしても、この開発銀行の今回の七十億にしても、とにかく融資でございますから、救済ではないんですから、そこでやはりコマーシャル・ベースに乗るか乗らないか、その検討だけはしていかなければならない、単に地方開発に必要だという抽象的な面から銀行の資金を引き出すというわけにはいかないものですから、それだけは根本的に御了承いただきたいことでございます。そういう意味ではないだろうと思いますので、御指摘の趣旨につきましては、私どもの方もなお十分注意をいたしまして、円滑な融資ということに、この上とも努力するつもりでございます。
  64. 武藤常介

    武藤常介君 大臣には時間がないそうですから、簡単に二点だけ所見をお伺いいたしたいと思うんですが、先般たばこの問題で、審議会が、民営がよろしいという、あらゆる民営の有利な点を羅列いたしまして持って参りまして、私もそれを拝見いたして参ったのでありますが、御承知のように、ここにもあるように、専売の納付金は一千三百五十九億四千九十二万六千円という多額な納付金があるのでございまするが、これを民営にいたしまして、はたしてこういう収入があるかどうかということは、きわめて疑問であると同時に、それは政府の方針でどうにもなりましょうが、ただどうにもならない問題は、この耕作者に対しまして非常な悲観的な材料を与える、これによりましてタバコ耕作者は非常な不安の念を持っておるような状態でございますが、大蔵当局としては、将来のお見込みはどういうふうでありますか。ちょっと腹を伺いたいと思うのであります。
  65. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのたばこの民営の問題につきましては、あれは何年前でしたか、行政管理庁から勧告があったということで、いろいろ各方面から衆知を集めて結論を出すつもりで、ただいま審議会にかけて、近く答申を得ることになっております。その答申を得るまで、政府の考え方を申し上げることは適当でないと思います。答申が出る前に、大臣個人の考え方にいたしましても、それが示唆になったりすることは、せっかく委員会設けた上においてまずいように思います。ところで、この答申はおそらく今明日にも出るんじゃないか、きょうはもう出ないでしょうが、非常に近い間に出るだろうと思います。そういたしますと、その結果で、まあ右に出るか左に出るかで、いろいろ影響するところが大きいと思います。ところで、最近と申しますか、この審議会の答申を得る前に、松永委員会ですか、松永委員会の方で出しました民営を可とする議論が、これが相当大きく新聞等にも報道された、その結果、ただいま武藤委員の御指摘のように、耕作者の方に非常に影響を与えておるということでございますが、あの民営論そのものは、ずいぶん都合のいい民営論で、政府の資産が別に変わるわけじゃなくて、評価だけはしようというようですが、金を一文も出さないで民営をやろうというのですから、これは非常に都合のいい案です。が、それだけに、それはなかなか実行困難な問題でございましょう。そういう松永委員会の案についての批判をも含めての答申が、必ず近く出る、これだけを御披露いたしまして、私の私見はあまり交えないでおきたいと思います。ただ、一言申し上げておきたいのは、今、耕作者の方々から見まして、ちょうどタバコ耕作の時期に入っているということで、民営の結論が出るにしてもそれは一、二年のことじゃないでしょうが、やはり耕作の意欲について非常な影響があると思います。そういうような意味では、できるだけ早く答申が出て、迷いがないようにすべきじゃないかと、かように私考えるのであります。ことに私自身も終戦直後たばこの問題についていろいろ検討を命ぜられ、検討したことがございますが、その当時の検討の結果から申しますと、一つはタバコ耕作者に対する保護といいますか、これの見通しが十分つかないこと、同時にまた、国の収入確保ということについて十分な確信が得られないということで今日まで推移しておる。この一事だけは御披露して差しつかえないことだと思います。まあ問題は今明日にも答申が出て参るのでございますから、それまでは、なるべくとかくの批判をしない、私は、衆知を集めておるのでありますから、必ず正鵠を得た結論が出る、かように信じております。
  66. 武藤常介

    武藤常介君 ただいまの大蔵大臣の御意見で大体わかりましたが、私は実は茨城県ですが、昔はタバコの製造屋をやったのでありまして、その当時の状況は、先代からいろいろ聞かされておりますが、その当時のタバコの耕作者というものは非常にみじめなものであった。つまり製造屋あるいは仲介商にほとんどじゅうりんされて、きわめて気の毒な状態であったのでありまして、これが民営になったならば、再び必ずそういう事態が再来されるだろうと私は想像いたしておるのであります。また地方の耕作者が、とにかく地方においてはタバコは最も有利な作物であるというのでやっておるのでありますが、今、御承知のように所得倍増ということを叫ばれておりまするが、万が一これが民営にでもなりますならば、タバコの耕作者は倍増どころではなく、かえって半減される、こういうふうな結果にもなるのじゃないか、私はかように存じておりまして、地方民は戦々きょうきょうとしております。この間、私、審議委員の方からいろいろな説明を聞きましたが、審議委員というものは全く耕作者というものを眼中に置かない計算でありました。これが自由経済になりまして、はたしてどうなるか、為替の自由化になりましてどういう結果になるかということを考えると、私は非常におそろしい問題である、かように感じておりましたので、一言お伺いをいたしたような次第でございます。  時間もないようですから、きょうはこれで打ち切ります。
  67. 米田正文

    米田正文君 今さっき大蔵大臣から、開銀融資の問題についての総括的な御答弁をいただきましたけれども、私が言っておる趣旨は、あとでよく一つ大臣とも御相談願いたいのですけれども、開発公庫を作りますと、たとえば東北なり北海道なりについては、その地域の開発に必要な資金ワクというものをきめて開発のめどをつけておる。そこで私が言っておるのは、今度は九州なり四国なり、だんだんこうなるでしょうが、そういう所に融資をやるという場合に、ただ未開発地域一般というこういう表現では、さっぱりわからない。やはり九州の開発をどの程度のめどで開発するというのが一つの目標でなければならない。そういう目標を作るためには、一番はっきりするのは公庫のシステムであるけれども、三十五年度においては一応開発銀行でやってみようという趣旨であるが、やはりワクというものは必要だ。それで私はワクという問題を言っておるのです。それで、全体から見て必要なものを必要なだけやるのだということでは、地方の開発の観点からは筋が通らないということを申し上げておるわけです。だから、これは先ほどの大臣のお話の点でちょっと明確でなかったから、一つまた御相談を願っておきたいと思うのです。  そこで、国民所得の倍増計画等があって、これから産業開発も非常に急がなければならぬということになりますが、それには国民所得の倍増計画も一つのカーブを画いて見ているところであって、まだ具体的な内容がはっきりしておりませんが、いずれにしても、これから所得倍増計画を地についたものを作るということになれば、その内容を大体きめてこなければならぬだろうと思う。で、具体的に言うと、名古屋と四日市の問いわゆる名四地帯では、どういう産業をどういうふうに置くんだ、製鉄はどこに置くんだというような、少なくとも主要産業の配置計画というものは作っていかなければならない、また当然そうあるべきだと私どもは思っているわけです。そういう意味で、そういう機会に地方開発、いわゆる未開発地帯の開発を一緒にはかっていくことが——そういう趣旨をこの計画の中に加味していくことが必要だと思うという趣旨で、私は先ほどから言っているわけです。それで、今の民間融資を、低金利の融資をしていくことが一つの政策だと思うので、その問題を最初に言いましたが、もう一つは、いわゆる地方公共団体の財政力の問題で、特に工場地帯の造成なんということになると、公共事業に属する分野も非常に多くなってくる、そういう面の開発を今後進めていくためには、やはり一つの未開発地帯の促進のために地方財政の強化をはかる必要がある。そういうために、具体的に言うと、公共事業の負担金なりあるいは補助金なりの国の率を上げていくという政策が必要になってくるんじゃないか。現に東北地方についてのそういう補助率を上げる、負担率を上げるということは実施をされている。これはまた別の趣旨ですが、赤字県の再建団体に対する補助率の特例も実施をされている。で、九州開発についてもそういう特例が生まれようとしている。だんだんそういうように各地に生まれようとしているのですが、それに対応して、自治庁では、未開発地帯全体を一括してそういう国の補助率、負担率を上げる特例を作ろうという研究をしているようですが、この問題に対する大蔵省側の御見解を一つお伺いしたい。  で、繰り返し申し上げますが、いわゆる国民所得倍増計画の一つの問題として、地方開発の問題がある。特に今の現状における産業立地の条件のいい所だけというような開発をしないで、全国的に見て、未開発地帯の産業を育成して、そうして一律というわけにはいかぬでしょうが、全国的に見てなるべく経済発展を権衡化していくということが、この政策の中に盛られなければならぬという趣旨で私は考えているわけですが、そういう趣旨からいって、今のような国の特別の措置が必要であろうと思うのですが、どういうお考えを大蔵省で持っておられるかお伺いをいたしたい。
  68. 前田佳都男

    政府委員前田佳都男君) ただいま米田委員御指摘の国民所得の倍増と、これに関連いたしまして未開発地域の育成と、それに関連した補助率のアップ等の御意見でございまするが、御承知のように地方財政は、まことにピンからキリまでございまして、非常にアンバランスである。現在の地方税の税制の姿から見まして、当然そうなってくるわけでございますが、このアンバランスは、交付税という御承知のこの制度によりまして調整をとっているわけでございます。従いまして、われわれといたしましては、この交付税の交付基準特別態容補正であるとか、そういうものを十分検討いたしまして、その与えられた交付税のワク内においてできるだけ未開発地方に財源が回るような仕組みで検討いたしたい、補助率の引き上げ等の点につきましては、地方財政全般の姿を見て十二分に検討いたしたいと、こういうふうに考えております。
  69. 米田正文

    米田正文君 その問題についてはまだ私も相当意見がありますが、きょうはもう時間もないことですから、分科会なり予算委員会なりでなくてけっこうですから、また将来一つ一緒に研究をさしていただきたいと思います。
  70. 武藤常介

    武藤常介君 時間がないようですから、端的に一言お伺いいたします。  未開発地域の国庫負担率の引き上げの問題ですが、これは百分の三十五をもって限度といたされておるようですが、地域により種々な状態で多少のゆるみを置いてはどうであるか。たとえば百分の三十五、あるいは百分の四十、あるいは百分の三十八であるとか、そういうところに多少の余裕を持たせることが、やはり未開発地域の開発の関係から必要ではないかと思うのですが、その点はどういうふうになりますか。
  71. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 武藤先生のお話の点は、あるいは自治庁が現在検討といいますか、準備をいたしておりまする案のお話かと思うのでございまするが……。
  72. 武藤常介

    武藤常介君 さようでございます。
  73. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 実はただいま前田政務次官からお答えをいたしましたように、大蔵省といたしましては、地方の後進県あるいは後進地域に対しまする財源調整、財源付与というのは非常に重要な問題だと考えておりまして、先ほどお答え申し上げましたように、交付税の分け方を、後進地域に傾斜的に分けて参りたい。たとえば基準財政収入と基準財政需要との割合の問題、いわゆる七割、八割という問題、あるいは今、政務次官からお答えのございました特別態容補正の問題その他につきまして、かねてから自治庁と懇談をいたし、また、今年度の分け方につきましても話し合いをいたしておるわけでございます。それで、できるだけ後進地域に傾斜をして、後進地域が投資事業財源の欠くることがないように考えておるわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、今三十五という率がどうであるかという問題の手前のところにきているわけでございまして、東北の特別補助率、あるいは北海道の全額負担、あるいは再建団体に対します特別補助率の問題、各種の現在あります制度とも関連をいたしまして、そこらとあわせまして考えてみたいと思っておりますので、今、そこの限度をどうするかというふうな問題のもっと手前のところで検討いたしておる次第でございます。
  74. 東隆

    主査東隆君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御質疑もございませんようですから、大蔵省所管に関する質疑はこの程度で終了したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 東隆

    主査東隆君) 御異議がないようでありますから、次回は明後二十五日午前十時より開会し、文部省所管の質疑を行ないます。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後一時十八分散会