運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-25 第34回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十五日(金曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    主査      松澤 兼人君    副主査            村山 道雄君    委員            小柳 牧衞君            斎藤  昇君            一松 定吉君            加瀬  完君            大竹平八郎君   国務大臣    国 務 大 臣 石原幹市郎君   政府委員    内閣官房長官 小笠 公韶君    内閣総理大臣官    房会計課長   小林 忠雄君    内閣官房内閣審    議室長内閣総    理大臣官房審議    室長      大島 寛一君    憲法調査会事務    局長      武岡 憲一君    人事院事務総局    管理局長    木村 又雄君    総理府総務長官 福田 篤泰君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    総理府恩給局長 八巻淳之輔君    日本学術会議事    務局長     竹下 俊雄君    公正取引委員会    事務局長    坂根 哲夫君    警察庁長官   柏村 信雄君    警察庁長官官房    長       原田  章君    警察庁長官官房    会計課長    大津 英男君    国家消防本部長 鈴木 琢二君    国会消防本部総    務課長     山本  弘君    土地調整委員会    事務局長    奥村 虎雄君    首都圏整備委員    会事務局長   樺山 俊夫君    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    行政管理庁行政    監察局長    原田  正君    北海道開発政務    次官      大森 玉木君    北海道開発庁総    務監理官    木村 三男君    北海道開発庁主    幹       佐藤 健司君    自治庁長官官房    長       柴田  護君    自治庁長官官房    会計課長    中西 陽一君    自治庁財政局長 奧野 誠亮君    自治庁税務局長 後藤田正晴君   説明員    自治庁税務局府    県税課長    降矢 敬義君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十五年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) これより第一分科会を開会いたします。  昭和三十五年度総予算中、内閣及び総理府を一括して議題といたします。なお、総理府につきましては、防衛庁調達庁経済企画庁及び科学技術庁は除外されております。  議事進行の便宜上、最初に総理府総務長官より全般的な御説明をいただき、午前中は、内閣及び総理府中自治庁北海道開発庁を、午後は他の総理府関係について審議することにいたします。  それでは、まず福田総務長官から御説明を聴取することにいたします。
  3. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 昭和三十五年度における内閣及び総理府歳出予算案について、その概要を御説明いたします。  まず、内閣所管昭和三十五年度歳出予算計上額は十億七千九百四十三万二千円でありまして、これを前年度歳出予算額九億五千七百五十九万一千円と比較いたしますと、一億二千百八十四万一千円の増額となっております。  内閣所管歳出予算に計上いたしましたものは、内閣官房法制局人事院憲法調査会及び国防会議事務執行に必要な経費であります。  次に、総理府所管昭和三十五年度の歳出予算計上額は、六千三百七十四億八千六百六十五万六千円でありまして、これをすでに成立した昭和三十四年度予算額と、今国会で成立した昭和三十四年度予算補正追加額との合計額五千八百五十億九百二万三千円と比較いたしますと、五百二十四億七千七百六十三万三千円の増額となっております。  総理府所管歳出予算計上額は、総理本府のほかに公正取引委員会国家公安委員会土地調整委員会首都圏整備委員会の四つの委員会と、宮内庁、行政管理庁北海道開発庁自治庁防衛庁経済企画庁及び科学技術庁の七庁の外局に関するものでありまして、そのおもなる経費を以下予算要求書の順を追って事項別に申し述べますと、文官等に対する恩給に必要な経費百七十二億一千二百四万二千円、旧軍人遺族等に対する恩給支給に必要な経費一千四十億二千七百二十五万円、警察行政に必要な経費百四十一億八千四百九万七千円、北海道開発事業に必要な経費三百五十七億四千六百一万六千円、交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに必要な経費二千八百六十五億一千六百五十一万二千円、防衛本庁に必要な経費一千四百八十五億五千二百万円、科学技術庁に必要な経費百八億六千百八十万五千円等であります。  次に、その概要を順を追って申し述べますと、文官等に対する恩給支給に必要な経費は、恩給法等に基づいて、退職した文官等に対する年金及び恩給並びに国会議員互助年金法に基づいて、退職した国会議員に対する互助年金を支給するため必要な経費でありまして、前年度に比べ十一億二千九百七十六万三千円の減額になっております。  旧軍人遺族等に対する恩給支給に必要な経費は、恩給法等に基づいて旧軍人及び遺族に対して恩給を支給するため必要な経費でありまして、前年度に比べ七十二億七千五百四十万七千円の増加となっております。  警察行政に必要な経費は、警察庁及びその付属機関並びに地方機関経費及び都道府県警察費補助に必要な経費でありまして、前年度に比べ四億九千三百六十四万一千円の増加となっております。  北海道開発事業に必要な経費は、北海道における住宅、土地改良開墾開拓泥炭地開発港湾及び漁港、空港等事業に必要な経費と、治水事業国有林野事業道路整備事業特定港湾施設工事等に必要な経費に充てるための財源の各特別会計への繰入金などでありまして、事業費については、その執行にあたって関係各省所管に移しかえて使用されるものでありまして、前年度に比べ四十五億三千三百五十三万九千円の増加となっております。  交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに必要な経費地方交付税法及び交付税及び譲与税配付金特別会計法規定により、昭和三十五年度の所得税法人税及び酒税収入見込額のそれぞれ百分の二八・五に相当する金額合算額と、昭和三十四年度に実施された所得税の減税に伴う道府県民税及び市町村民税収入額減少を考慮し、あわせて地方財政健全化を促進するため、昭和三十五年度において所得税法人税及び酒税収入見込額のそれぞれ百分の〇・三に相当する金額合算額とを、地方公共団体交付すべき地方交付税交付金及び臨時地方特別交付金財源として、交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるため必要な経費であり、これを既に成立した昭和三十四年度予算額と、今国会で成立した昭和三十四年度予算補正追加額との合計額に比べますと、二百七十四億二千八百六十万四千円の増加となっております。  なお、総理府所管につきましては、他に九百四十一億五千五百四万百四十五円の国庫債務負担行為を計上いたしております。その内訳のおもなものは、北海道開発庁におきまして、篠津地区泥炭地開発事業で、機械及び器具の借料について八千四百三十七万四千円。ただし、購入の場合には、三億一千七百六十九万四千円でありまして、借り入れ、購入とも為替相場に変動があったときには、その率に従った金額防衛本庁におきまして、航空機購入器材整備弾薬購入施設整備及び艦船建造について九百十八億六千四百八十五万八千円、科学技術庁におきまして、日本原子力研究所出資核燃料物質購入等及び航空研究施設整備について二十二億五百六十四万円となっております。  以上申し述べました予算計上額のうちには、防衛庁経済企画庁及び科学技術庁に関する予算計上額一千六百六十三億一千九百二十二万五千円、防衛庁及び科学技術庁に関する国庫債務負担行為要求九百四十億七千四十九万八千円が含まれておりますが、これにつきましては、他の分科会において御審議願っております。  最後に、総理府及び大蔵省所管交付税及び譲与税配付金特別会計について御説明いたします。  本会計歳入は三千百八十九億一千八百六十一万二千円、歳出は三千百八十三億九百十三万七千円になっておりまして、歳入は、一般会計より受入れる収入と、入場税法地方道路税法、特別とん税法規定に基づき徴収する租税収入と、交付税及び譲与税配付金特別会計法規定により、前年度決算上の剰余金見込額を本年度において受け入れる収入その他であります。  歳出は、地方交付税法入場譲与税法地方道路譲与税法、特別とん譲与税法規定により、おのおの定められた地方公共団体に対して交付または譲与するために必要な経費と、昭和三十四年度に実施された所得税に伴う道府県民税及び市町村民税収入額減少を考慮し、あわせて地方財政健全化を促進するため、特別交付税交付の例により地方公共団体臨時地方特別交付金交付するため必要な経費その他となっております。  以上をもちまして、昭和三十五年度一般会計内閣及び総理府所管歳出予算計上額と、交付税及び譲与税配付金特別会計歳入歳出計上額の御説明を終わります。  詳細につきましては、御質問に応じまして、政府委員からお答えいたしたいと思います。よろしく御審議あらんことをお願いいたします。
  4. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 福田総務長官は、御差しつかえがあって、説明だけなさって、御退席されるそうであります。少しはいいんですか。
  5. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 実は衆議院内閣委員会に今出席要求されております。
  6. 加瀬完

    加瀬完君 今御説明の中に、内閣調査室でございますか、その費用概要というものはどうなっておりますか。それから、現在内閣調査室の主とした仕事の内容というものはどういうことですか。
  7. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 調査室関係は、官房長官所管でございますから、小笠長官から御答弁いたします。
  8. 加瀬完

    加瀬完君 予算は今御説明の中に盛られておらないですか。
  9. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 含まれております。
  10. 加瀬完

    加瀬完君 その内閣調査室費用の大要ですね、それから特に報償費といいますか、特別調査などに使われる費用というものは幾らですか。
  11. 小林忠雄

    政府委員小林忠雄君) 内閣調査室関係情報収集及び調査に必要な経費は三億九百七十三万一千円計上いたしております。
  12. 加瀬完

    加瀬完君 昭和三十四年度、主としてどういう内容のものにこれは支出されておりますか。
  13. 小林忠雄

    政府委員小林忠雄君) 三十四年度におきましては、十二の団体委託いたしまして、その例を申しますと、たとえば、日本放送協会内外情勢調査会というようなところに調査委託いたしまして、その結果の資料を分析、総合いたしまして、政府政策決定に資するためのものでございます。
  14. 加瀬完

    加瀬完君 この内閣調査室調査は、警察庁、あるいは公安調査庁その他海外公館特別連絡があるやり方をしているのですか。あるいは、今御説明費用は、海外公館情報関係費用にも出ておりますか。
  15. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) お尋ねの、調査やり方について、警察あるいは公安調査庁海外公館、こういうものとの関係でありますが、連絡の点はとってやっております。ただ、経費の点は、これを海外公館に回すということはいたしておりません。
  16. 加瀬完

    加瀬完君 警察公安調査庁に主として連絡をいたしておる事項はどういうことですか。それから、公安調査庁などと違って、特別に内閣調査室調査をしておる対象はどんなものですか。
  17. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 公安調査庁調査いたします対象は、御承知通り破防法を中心として、これに関係する情報調査というふうなことに限定されております。内閣で行なっております調査、あるいは情報収集につきましては、広く、特定のものに限らずに、国政運営上必要な各部面にわたっての調査をいたしておると、こういうことでございます。
  18. 加瀬完

    加瀬完君 国政運営といいましても、たとえば商工関係とか経済関係とかいうものは、経済企画庁なり通産省なりで情報がわかれば、国政全体の趨勢ということはわかるわけです。自治体関係ならば、自治庁でわかるわけなんです。治安関係ならば、警察でわかるわけです。一歩譲って破防法を取り上げても、公安調査庁でわかるわけです。内閣調査室で、それらのほかに、特別に情報収集その他の調査をやらなければならないという対象は一体何ですか。
  19. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 今御指摘のように、各省庁においても、その職務の遂行上必要な限度においての情報収集調査をいたしておることは、お話通りでございますが、たとえば、内閣調査室において経済問題に関する情報調査をやらなくてよいと、こういうことになりますと、実は全体的な経済動向、あるいは各省それぞれの所管を総合してものを見ていく、こういうような見地から、経済調査につきましても、内閣調査室といたしましては、その調査をいたしておるのであります。もちろん、各省庁の行なっておりまする情報調査参考にしながら、さらにその上に総合的な立場から調査をすると、こういう必要があるように考えておるのであります。
  20. 加瀬完

    加瀬完君 私の伺っているのは、そんなことを言ったって、内閣調査室のあの人員で、この費用で、できるはず、がないですよ。経済企画庁以上に経済調査ができるはずはないし、あるいは治安関係調査公安調査庁警察庁以上にできるはずがないでしょう。あなた方の調査室でそれらと異って特別にやっておる対象は一体何であるか、こういうことを聞いているのです。  それからもう一つは、この調査費用が、大体昭和三十二年、三十三年、三十四、三十五年と、どう変わっておりますか。
  21. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 内閣調査室予算動向を先に申しますと、昭和三十二年度は一億三千百万、昭和三十三年度は一億四千九百万、昭和三十四年度は一億二千六百万、こういう経緯でございます。  それから、もう一つ内閣独自の調査部分というものはないじゃないか、こういうような御趣旨に伺ったのでありますが、調査情報の、特に情報等につきましては非常に時間——タイミングの必要なことがあるのでありまして、刻々移る情報をあらかじめとらえていくという必要があるように考えます。そういう点におきましては、どうしてもその目的のために内閣調査室情報をすみやかに拾っていく必要がある。それからもう一つは大きな経済動向、あるいは治安動向、こういうものを考えます場合に、どういたしましても、これを総合的に見ていく必要がある、こういうような考え方をいたしておりまして、内閣調査室におきます調査というものは、そういうふうな総合性というようなもの、特に一つの問題に対して早く事態の傾向を知る、こういう必要があるように考えております。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 だから、そのタイミングに合わせて情報をとるのだという、その情報というのは一体何だ、それを聞いておるのです。それからタイミングに合わせなければならないというけれども、この十二団体委託しているでしょう。その委託費幾らですか。それからできますれば、十二団体のうちの委託費の多いものの団体委託した内容を合わせて説明して下さい。
  23. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 昭和三十五年度におきます予算三億九百七十三万一千円のうちで、今御指摘調査委託費は二億六千七百五十一万を予定いたしております。  それから本年度、昭和三十四年度に委託いたしました団体は先ほど申し上げましたように、日本放送協会内外情勢調査会、共同通信、ラジオ・プレスなど十二団体にお願いをいたしておるのであります。それで、たとえばその委託事項は、日本放送協会につきましては海外放送の聴取及び記録の作成、こういうようなことをお願いいたしております。また社団法人内外情勢調査会につきましては、記録の翻訳とか編集というふうなものをお願いいたしておるのであります。
  24. 加瀬完

    加瀬完君 情報というのはどういう情報なんですか、肝心のことの御説明がまだないです。
  25. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 情報ということになりますと、まあ要するに、いろいろな動きの現象といいますか、物事の動きの状態をつかまえる、早く知る、こういうこと、いわゆる普通いわれるインフォーメーションであろうと思うのであります。
  26. 加瀬完

    加瀬完君 だから経済企画庁通産省でつかもうとする情報と、内閣調査室でつかもうとする情報は、内容が違っているわけです。だからあなたの方で主として対象としている一体情報というのはどういうものを対象としてやっているか、それを御説明いただきたいと、先ほどから繰り返しているわけです。
  27. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) まず、先ほど来申し上げておりますが、情報——インフォーメーション、あるいはインテリジェンス、こういうふうな意味かもしれませんが、実は情報を集める情報範囲の問題が第一点になると思います。その範囲の問題につきましては、限定が……。
  28. 加瀬完

    加瀬完君 範囲を聞いているのじゃない。
  29. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 限定があるというふうに考えます。  それから第二の問題は、しからばそれらの中でどういう事項といいますか、に重点を置いておるか、こういうことであろうと思うのであります。その点につきましては、国政運営上の一つの問題として、いわゆる思想の動きの問題もありましょう。特に最近におきましては、海外経済動きというものはどうしても頭に入れておかなければなりませんので、海外動き、あるいはまた国内の社会的な動きというふうなものにも重点を置いて、いろいろ調査情報をとっておる、こういう状況でございます。
  30. 加瀬完

    加瀬完君 三十五年はこれからのことですから質問しません。三十四年度、あなた方が主としてどういう対象について情報収集をやったか。いいかげんなことを言われちゃ困りますよ。海外情勢経済情勢などをキャッチする、在外公館には通産省から派遣されている参事官がおるじゃありませんか。あなた方の方で海外経済情報をとるということは、いけないということはありませんけれども、とるべく政府からの派遣されている参事官というのがちゃんといるのです。それからとった方がいいのじゃないか。あなた方自体で一体主としてやっていらっしゃることは何かということを伺っているのです。だから昭和三十四年に、あなた方は一番どういうものを対象情報収集をやったか、その対象を聞いている。
  31. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 先ほど申し上げましたように、既存の行政機関から資料をとるということは、もちろんそれぞれとらなければなりません。でありまするが、ともすればフォーマルになりがちなということも、また遺憾ながら事実であります。で非常に実態的な動きをとらえるには、他の面からその動きを捕捉していく、こういう必要があるのでありまして、そういう意味においての調査を、同じ経済問題につきましても調査収集をいたしておる。さらに私が申し上げるまでもなく、一番昨年度の情報調査活動重点の置きどころはどこか、こういうお話でございますが、まず第一に、海外におきますいろいろな動き経済問題は別にいたしまして、動きというものを早くつかまえていく。これは先ほど申し上げました放送協会放送その他を通じて、早く、どういうような電波で動きとかいろいろなことが行なわれておるかというふうなことをつかまえるということも、一つ重点になっております。第二の問題は、国内におきまする社会情勢動向という問題についてもウエートを置いて調査をし、情報を集めておるわけであります。
  32. 加瀬完

    加瀬完君 国内社会情勢動向についての調査は、どういう方法で行なっておりますか。
  33. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 御承知通りに、内閣調査室機構といたしましては小さいので、十分にみずからの手によってやりにくいので、先ほど来申し上げましたように、十二の団体委託をいたしまして、委託目的を指示しまして、その委託団体から時々報告を受け、それを整理し、判断をして活用していく、こういう状況であります。
  34. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、昭和三十四年度における委託団体と、委託団体調査依頼をした事項と、それらの調査依頼にこたえての報告と、この概要資料としてお出し下さいませんか。その資料をいただきまして、きょうの夕方でももう一回質問さしていただきます。  それから、今みずからの手によってはできないと——その通りだと思う。そこで、あなた方の方で警察庁公安調査庁に当然連絡をして調査をする事項というものはあるはずです。また、やっていらっしゃる。これらについてもそのときに資料として御提出願いたい。質問を一応保留いたします。
  35. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 今資料の御要求がございましたが、三点になっておるようでありますが、委託団体委託事項委託の結果、大ざっぱに言うと、こういうふうなことですが、この結果につきましては、非常に具体的に出し得るものもありますし、その都度、いわゆる行政運営参考として処理してしまって、まとまったものでないものも当然ございます。だから、でき得る限りそろえてお出しをする、こういうことにいたしたいと思います。
  36. 加瀬完

    加瀬完君 私の資料を出していただきたいというその理由は、昭和三十二年には一億三千百万、昭和三十三年は一億四千九百万、昭和三十四年は二億二千六百万、昭和三十五年は三億九百万というように、経費が非常にふえている。従って、これは調査そのものの作業というものも相当だんだん拡大されてきていると見なければならない。しかも、その一つ重点社会情勢動向ということです。社会情勢動向というものを調査するということは、当然のことかもしれませんが、その調査方法によってはいろいろのこれは問題をも生じてくる。しかも、それは政府みずからの手でやらないで、委託団体にやらせる。どういうような調査方法をして、どういう結果が報告されたかということは、われわれはこの予算審議の上からも十分伺ってみなければならない。委託団体の性能というものも効率というものをもこの予算の上から検討しなければならない。そういう意味合いでありますから、予算増高に比例するような、国家にとって一体調査収集効率というものは上がっているかどうか、こういうこともわかるような資料を御提出いただきたい。
  37. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 極力作ります。  なお、今のお話で三一言だけ誤解があるといけませんので申し上げますが、内閣調査室自身能力が不十分だと申し上げるのは、全然できないという、こういうのではなく、機構が小さいので十分全部はできない、こういう趣旨で申し上げたわけでございますから。
  38. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ほかに御質疑がないようでございますから、内閣所管に関する質疑は、ただいまの加瀬君の問題が多少残りますけれども、この点は他の委員諸君ともよく御相談いたしまして後刻処理することにいたしまして、内閣所管に関する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  40. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 次に、自治庁議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  41. 村山道雄

    村山道雄君 私は、去る三月十一日の予算委員会におきまして、未開発地域を開発いたしますための公共事業を、住民の所得水準がいまだ低く租税負担能力の乏しい地域におきまして、完全に実施させまするために、その費用国庫負担率を特に引き上げていただきたい旨を要望をいたしました。これに対する政府の御見解をただしたのでございます。私のこの質問に対しまして、石原自治庁長官からは趣旨に賛成であり、すでに成案を得て大蔵省当局と折衝中である旨のお答えがございまして、私も意を強くした次第でございます。一方、佐藤大蔵大臣からは、この問題は十分に検討をするつもりであるが、地方団体に対する財政調整措置としては、まず自主財源である交付税によって処置をいたしたいというお答えがあったのであります。私は、今日の交付税は、シャウプ勧告によりまする基準財政支出と基準財政収入との差額をすべて国庫から補てんするという建前の平衡交付金制度からすでに変質をいたしておるのでありまして、その総ワクに限度がございまするので、交付税のワク内ではとうてい、例を東北開発促進計画にとって申しますと、十年間に一兆二千四百八十億というような大規模な公共事業に対しまして、東北各県の地元負担力を補うには不十分な実情でございまするので、なお十分に検討をいただきたいと要望をいたしまして、一応私の質疑を打ち切ったのでございます。  そこで、私が本日さらに進んで自治庁の御当局にお伺いいたしたいと思いますことは、未開発地域開発のための公共事業に対しまする国庫から地方団体への特別助成の方策といたしまして、地方交付税制度によるいわゆる特別態容補正というものが、もしかりにその予算のワクを拡げることができるといたしまして、はたして適当なものであるかどうか、これら公共事業に対する国庫負担割合の直接の引き上げよりも一そう望ましいものであるかどうか、この点に関しまして自治庁当局の率直な御見解をできるだけわかりやすく御解明を願いたのであります。
  42. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方団体財源を与えます場合に、どういう意味財源を与えるのか、その金をどういう方面に使用することを期待しているのか、そういうことによっておのずから財源の与え方を異にしてよろしいと思うのであります。ただ財源を与えさえすればよいんだ、それで職員の給与を上げようと、あるいは学校の改築を行なおうと、あるいは開発事業に金を使おうと、全くどちらでもよろしいんだということでありまするならば、それはある程度地方交付税の配分方式の改正によって、そういうような線を出すことができると思います。また、現状におきましても、財源の乏しい団体に対しましては、かなり傾斜的な財源配分を行なって参ってきておるわけであります。  従いまして、一般に税収入が多い富裕な団体だといわれている団体が、地方譲与税や地方交付税を全部合わせてみますと、かえって貧弱だといわれている団体よりも、人口一人当たりにいたしますと財源が少ない、こういう姿になっております。しかし、これをさらにどういうような姿に持っていくことが正しいか、そういうことが大いに議論されまして、正しい方向に持っていくような配分の仕方に、たえず改正を試みて何ら差しつかえはないと思います。  しかしながら、今言われております開発促進ということは、その団体が整備したい港湾を整備する、その団体が行ないたい道路を舗装するだけのことじゃございませんで、やはり国家的に考えまして、どこの工場立地条件を整備するか、そういようなところから、そこに集中的にそれらの仕事を起こさなければならない、起こせるような財政制度をとりたい、こういうことに根本の問題があろうかと思うのであります。  そうしますと、そういう事業を受け入れやすいような財政制度をとるべきだ。現状においては、補助事業があまり多くなりますと、貧弱団体に限りませんで、かなり富裕と言われている団体でも、補助金を返上する、こういう姿になっていくことはよく御承知通りであります。そこで集中的に公共事業を起こさなければならないようなところについては、事業分量がふえればふえるに応じて、国の援助を強くしていこう、国の負担率を上げていこう、そういうようなうまみがあるものだから、事業分量が多くなって、持ち出し額がふえても、他の事業をけってまでも、その事業を受け入れようとするような、魅力のある財政制度をとるべきだ、こういう考え方が、開発事業を促進するための国庫負担金の引き上げを提唱している方々の御趣旨だと、かように私たちは考えているわけであります。  従いまして、どういう意味で、金をどういうところに持っていこうとするのかというところから、財源の持って行き方をきめればよろしいと思うのであります。その性質によりましては、地方税を増額した方がよろしいでありましょうし、また必要によりましては、地方交付税増額した方がよろしいでありましょうし、あるいは地方譲与税の配分方式を変えた方がよろしい、あるいは補助金をふやした方がよろしい、あるいは補助金の率のきめ方を変えた方がよろしい、かように私たちは考えているわけであります。  そこで今、特別態容補正を強化するための可否の問題がありました。私たちは、特別態容補正は、全く臨時的にやられた措置でありまして、一日も早く、こういうような方向は、もっと全地方団体が納得するというような方向に切りかえるべきだ、こういう考え方を持っているわけであります。理論的に穏当でございませんし、実際的にも、また妥当な結果を来たしていないわけであります。  理論的な点をごく簡単に申し上げますと、特別態容補正は、人口一人当たりの税金が、税収入が少ない、あるいはまた原始産業就業者の数が、全体の就業者の中に占めている割合が高い、そういう団体につきましては、同じ長さの河川でありましても、同じ面積の田畑でありましても、その財政需要額を多く見積っていく、多く見積る場合には、総額幾らふやそうかということから、逆算的にふやす率をきめていこう、こういうやり方をしておるわけであります。税金が少ない団体につきましては、基準財政需要額から基準財政収入額を差し引きました差額が交付税でありますから、当然そういう団体には、交付税増額になっているわけであります。それにあわせまして、さらに河川費とか、道路費とか、農業行政費用を割増しするわけでありますから、全く税金を二重に使ったという格好になっておるのではなかろうかと思います。また同じ田でありますのに、原始産業人口の多いところの農業行政費がよけいかかるのだ、これも理屈が通らないと思うのであります。そこで私たちは、理屈の通るような方向で、財源の傾斜的配分をしたい、こういうような考え方をとって参っているわけであります。  従いまして、たとえば税収入の少ない団体には、地方財政の混乱時代に借金を多くさせたわけであります。償還能力があるから借金させるのではなくて、税収入がないから借金をさせたのであります。そこで、特別態容補正の方法がとられたわけでありますが、今申し上げたような方向では、財源の与え方が全地方団体の納得を得られませんので、その当時、発行した地方債の元利償還額の一部を基準財政需要額に算入するが、税収入の少ない団体には、償還能力がないのだから、割合を多くして算入して上げよう、こういうやり方をして参ってきておるわけであります。全地方団体には二五%しか算入しないのでありますが、それを五〇%に引き上げ、七五%に引き上げ、来年からは九五%に引き上げようと、こう考えております。こういう方向なら私は納得が得られようと思うのであります。あるいはまた、既存の道路だけをとりませんので、これから道路を作っていかなければならない地帯については、その費用を見るべきであって、だから、原始産業人口が多いから、同じ道路費を割増しするのではなしに、面積を測定単位とするような財政需要額の算定の仕方を示すというようなことを三十四年度から行ないまして、三十億をそれで配分をしたわけでありまして、三十五年度は、さらにそれを六十億円に高めようとしておるわけであります。  こういうような方向で、特別態容補正につきましては、三十一年度から始めたのでありますが、三十二年度、五十四億円これで配分をいたしておりまして、三十三年度から三十億円に下げたわけでございます。しかしながら、今申し上げましたような方法で配分いたしておりますものが三十四年度で九十三億円、三十五年度で百二十三億円、合計二百十六億円を配分しょうとしているわけであります。特別態容補正どころの問題じゃございません。もっと大きな傾斜的財源配分方式をとっておるのであります。  従いまして、今申しあげた数字よりか、もっと貧弱団体の数字はふえておると思うのでありますが、三十三年度の決算で申し上げますと、愛知県とか、静岡県、神奈川県は、富裕な団体といわれております。神奈川県は、交付税交付されておりません。ところが、人口一人当たりの税金を見ていきますと、神奈川は四千四百二十円、愛知は三千六百二十五円、静岡は二千六百六円、非常に多いわけであります。これに反しまして、たとえば福井県は千五百五十五円、山形県は千二百五円、高知県は千百八十七円、鳥取県は千九十六円、非常な差があります。ところが、地方譲与税、地方交付税全部合わせました財源を見ますと、神奈川県は四千七百七十四円、愛知県は四千五十六円、静岡県は三千九百三十一円でありますが、福井県は五千八百五十四円、高知県は五千五百五十円、鳥取県は五千四百五十二円、山形県でも四千七百四円、みんな上回っております。これ以上に、もっと上回る方がよろしいか、よろしくないか、これは、もっと議論をした方が、もっと正しい方向に持っていった方がよろしいと思いますが、私は、しかしながらこういう問題と別だと思っております。未開発地域に対しまして、まだ国がやっていないかもしれないけれども、そこの工場立地条件を整備するために港を整える、また自動車は輻湊していないけれども、道路を整備する、あるいは工業用水等を設けるためにダムを作る、そういうような先行投資を考えていく、経済現象、社会現象をとらえて、道路をつけていく、住宅を作っていくのだということになれば、そういう地域が、ますます発展するのじゃないか。そういう公団投資を見ますと、すでに開発された地域に、むしろ大きな財源を投ぜられるのが現状じゃないか、こういうあり方について是正をするのが、今日大きく言われております開発促進の問題だと、こういうような気持を持っておるわけであります。  それはそれなりの財源の配分方法を工夫すべきである。私は国の財政だ、地方の財政だというなわ張りで申し上げておるわけじゃありません。財源の配分のあり方が、ねらう方向によってきめられるべきだと、かように存じておるわけであります。
  43. 村山道雄

    村山道雄君 御趣旨は、よくわかりました。  そこで、自治庁の御当局が、よくそれらの議論をお尽くしになりまして、大蔵省と折衝を重ねられまして、交付税のワクの拡張に御努力をいただきますことはもちろんでございまするが、それと同時に、未開発地域の開発のための公共事業に対する国庫負担率の引き上げがすみやかに実現いたしますように、切に希望をいたしまして、私の質問を終わります。
  44. 加瀬完

    加瀬完君 本年度の財政計画で、八百二十一億円の地方税の増を見ているわけですね。しかし実質的には、これよりはるかに下回るということになろうと思いますが、どうですか。下回るというのは、増加の額が、とても三十四年度に比べて八百二十一億にいかない……。
  45. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 八百二十一億になっておりますが、交付税の財政計画の説明の中にも述べてあります通り、そのうち三十四年度で三百八十億大体入る予定でございまして、残りの四百四十億程度が、実質三十五年度の歳入として受けられることになるわけでございます。
  46. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、三十四年度来膨脹しております公共事業費等を——公共事業費ばかりを問題にして恐縮ですが、一体八百二十一億の増というものを見込んで財政計画ではつじつまを合わしておるわけですけれども、実質的には四百四十億円しか増加がないということになると、この財政計画は破綻を来たしませんか。
  47. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方財政計画は三十四年度の当初計画との比較において策定をいたしておるわけであります。三十四年度中に増収になりましたものも、三十五年度引き続いて、その増収が得られるものでありまする限りは三十五年度で計画している財政需要の財源に充てられるわけでありますので、別段支障ないんじゃないか、かように考えております。
  48. 加瀬完

    加瀬完君 三十四年度ですね——まだ決算が出ませんけれども、三十四年度、まあ赤字が出なくて、どうやら財政計画の予定通り、いくということになるのは、公共事業費が相当膨脹し、災害なんかがありましたが、これをまあ、まかなう自然増が相当あったので、どうやらバランスが合ったと、こういうことになるのでしょう。まだ三十四年度決算が出ませんけれども、決算を見込んで想定すれば、まあどうやらバランスが合うと、もし想定するならば、それは公共事業費、その他の費用も膨脹したけれども——災害復旧などで相当膨脹したけれども、それを裏づけるところの自然増収というものも相当あったので、どうやらまかないがついたということになるのでしょうか。それは、それでいいんでしょうね。
  49. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お話のような点もあろうかと思います。
  50. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、三十五年度になりますと、八百二十一億の増というものは、実質的には四百四十億しか増にならないということになると、今度は、三十五年度決算のときには、これは三十四年度よりも条件が非常に悪くなるということになりませんか。
  51. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 三十五年度において必要となるであろう財政需要額は、一応この地方財政需要額の中に計上していくというつもりでございます。  従いまして、それに対応する財源さえ得られるならば、バランスは合う、こういうことになろうかと思います。ただ、三十四年度に増収があった。それを財源として将来に尾を引くような金の使い方をした団体があるとしますと、その団体につきましては、この財政計画のほかに、なお財政需要の増加がついておる、こういうことになろうかと思いますので、その団体については、それだけ財政面が窮屈になってくる、こういうことが起ころうと思います。  従いまして、私たちといたしましては、三十四年度において増収のあった団体は、それは三十五年度の新規財政需要の財源に見積られていくものだから、三十五年度以降に尾を引くような金の使い方は、できるだけ避けてもらいたい、こういうような指導をいたして参ったのであります。従いまして、また団体といたしましても、臨時的な歳出に充てますとか、あるいは積み立てをいたしますとか、それぞれ年度間の財源調整ということを頭に置きながら、運営に当たってくれている、こう私たちは考えているのであります。
  52. 加瀬完

    加瀬完君 しかし、地方だけで計画をしていくならば、今財政局長お話のようにいくと思う。財政計画の内容そのものが、地方の自主的な決定だけで織り出されておるならば、お説の通りだろうと思う。  ところが、大半の財政計画の領域というものは、特に公共事業関係などは、国が一つのワクをきめて、これは好むと好まざるとにかかわらず、地方が金を出していかなければならないという形になりましょう。公共事業費が増強するときに限って、必ずこの財政計画に基づくところの予算額と、それから決算額というものに開きができてくる。いつだって財政計画と、この決算額が同じということがないでしょう。特に団体にすれば、予算額と決算額が大きな開きが出てくる。その開きのもとはどこかというと、公共事業費の関係事業が非常に膨張しますと、必ずといっていいくらい、この決算額と予算額の開きができてくる。それで、あなたのおっしゃるように、確かにこの財政計画の通りに、これを基準に運営するならば、そういう採算の合うことになりますけれども、財政計画の通りには、運営できない大きな要素というものが別にあるわけですから、これは八百二十一億を見込んで、結局四百四十億しか実質的な増がないということになりますと——八百二十一億見込んで一千億以上の増というものが実質的に生まれてくるならば、採算がどうやらとれると、今まではそういう経過をたどっていたのです。この三十五年度の財政計画というものは、そういう意味においては、私は運営が誤りがちな方向をたどらざるを得ないので、どうしても三十五年度の決算というものはおそろしい結果になるのじゃないかということが心配されるのです。この点、どうでしょう。
  53. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 御心配いただいていますことは、大へんごもっともな点であります。一般に自然増収になるような都市は、財政運営が楽でありまして、自然増収を織り込んで、さらに大きな増収を見込むような都市になりますと、かえって前年から尾を引いておるとか、必ずしも経済が順調にいかないで、逆調に転じてくるとかいうようなことになりまして、金がかかっていくわけであります。三十二年度は、予想外の増が見込まれまして、三十三年度は相当の増収を見込んでおったけれども、かえってむしろ見込みに穴があくくらいの状態になった、そのために非常に財政運営に困った、こういうようなことになるおそれのないようにしなければならぬと思っておるわけであります。  そういうような意味で、三十四年度よりも三十五年度の方が、地方財政計画は姿はよくても、実際上は苦しいんじゃないか、こういう御指摘だろうと思うのであります。そういう点につきましては、私たちはよく地方団体に理解して運営してもらうように注意していかなければならないだろう、かように考えておるわけであります。  しかしながら、いずれにいたしましても現在のところ、これだけの財源を見込むことは、確実に見込めるわけでございますので、これを基礎にして財政計画を立てておるわけであります。  なお、地方団体に対しましては、この計画が基礎になって、交付税の計算がなされるわけであります。基準財政収入額も、この数字が基礎になって、大体見込まれてきているわけであります。従いまして、三十四年度の基準財政収入額を基礎とした収入よりも、現実の税収入が多かった場合に、その多い部分は、三十五年度の新規財政需要に対する財源として三十五年度の基準財政収入額に算入されてくるんだ、こういうようなことが、相当の経験を経てきて参っておりますので、地方団体にもわかってきておるわけであります。従いけして昨年の——三十四年度の基準財政収入額を上回って得られました税収入につきましては、地方団体においても、その運用について相当な配慮を加えているものだろう、こういう期待を持っているわけであります。またそういう注意をたびたびいたして参っているわけであります。  そういうような運用において、今御指摘になりましたような欠陥を是正して参りたい、かように考えておるわけであります。
  54. 加瀬完

    加瀬完君 これは、運用において欠陥を生ませないようにするためには、地方団体の財政計画なり予算というものの編成をどっかで——局長のおっしゃるような点に、ピントを合わせる制約を加えていかなければ、なかなかできないと思うのです。三十四年度、政府公共事業費を大幅に増額した、そのために地方は、今、村山先生の御指摘のように、公共事業費をすなおに受け入れられないような状態にあって、たびたび、これは自治庁の方にも陳情があったのは御承知通り。それが、去年、三十四年度は、交付税が新たに加えられたり、いろいろに財政的措置が講ぜられたから、あるいはまた、自然増があったりして、バランスがどうやらとれた。去年のように、また交付税によって、財源補てんをするようなことは考えられない。で、地方税なり、その他の財源なりが、三十三年度の三十四年度に対する比率のように、三十五年度が、三十四年度に対して計画以上に増大することも考えられる。しかしながら、公共事業費そのものは、災害復旧も加えて、非常に膨張した、こうなってくると、私は、なかなか問題じゃないかと思う。財政計画そのものが、運用よろしきを得れば、バランスを得られるということでなくて、極端にいえば、下手な運用をしても、とにかくそう大きなミスを犯さない限りは、地方団体の健全財政をそこなうようにはならないであろうという一つの基本線というものも、私はやはり押えなければならない。  今までは、大体政府は、地方の予算膨張というものに対して、極力政府の力で押えて、健全財政という名のもとに縮小均衡予算というものをとらしておった。今度は、膨張予算を、地方団体が好まないにかかわらず、膨張予算をとらなければならないように公共事業費を、ばあんとぶっつけて、政府自身が、もう悪くいえば放漫財政、良くいってもやりくりのつかないような膨張予算というものを、地方が組まなければならないようにさせて、そうしてこの政府の政策というものを受けて、地方の財政計画を立てておる、ここに私は問題があると思う。  こういうことを感じませんか。感じましたとは言えないでしょうが、どうでしょう、危険がないですか。
  55. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 財源の自然増収等があった場合に、運用を誤ることのないようにしなければならないというようなこともございまして、今回の地方財政法の改正を提案をいたしておるわけであります。年度間の財源調整の規定を整備するとかというようなことも行なっておるわけであります。  また、今お話のありました公共事業費の問題につきましても、他面行政水準が行き過ぎるということもいっているわけでありますので、できますならば、公共事業の分量を多くしたいという希望も持っておるわけでございますので、来年度の財源を確保する見通しから申しますと、私どもは、ぜひこの程度の公共事業は実施してもらいたいものだ、こういうような感じを持っておるわけでございます。  もし、そのために単独事業が窮屈になると、これではおもしろくないわけでございます。単独事業につきましても、地方財政計画上、公共事業の伸びと同じように、一五、六%の増加財源を、それに向けておるわけでございます。さらに税外負担の解消ということも予定いたしておりますので、必ずしも国の公共事業だけに、地方財政上の財源を全部持っていってしまったというような仕方になっておりませんので、一応、妥当な地方財政の計画ができていると、こう思ってよろしいのではないかと、こう思うわけでございます。
  56. 加瀬完

    加瀬完君 三十四年度財政計画では、結局公共事業費の負担が非常に増加いたしましたので、特に道路などの維持補修費というのは、増額零にした。今度は、維持補修費として一応三十四年度に比べて三十五年度はふやしてありますけれども、去年の公共事業費そのものすら、地方独自の単独事業や維持補修費というものを増額させない、これを押えて、こちらの方の財源に充てていったという、まあ何といいますか、地方にとっては、はなはだ中央の施策に制約された予算を組まざるを得なかった。これが今年は、さらに速度を強めておると思うのです。災害復旧と引続き国の公共事業費、財源は、とにかく去年よりたくさん要る。これは既定の事実だ。それならば、ここで地方税そのものの、やはり改変というものも、ある程度二つの面でやらなければならなかったのじゃないかと思う。  非常に地方の公共事業費が、支出が多いから、バランスの上では、さっき言ったように狂ってくるかもしれぬけれども、公共事業費というものを伏せておけば、相当地方財源というものも豊富になってきたのだから、これは国の減税々々という名のもとに、地方はさっぱり減税されておらなかった。住民税やなんかの問題というもの、あるいは去年ここで付帯決議で大臣の答えた大衆課税的な色彩の強い大衆飲食に対する免税点の引き上げといったような問題は、一応取り上げらるべきじゃなかったか減税の面で。  もう一つは、非常に税を上げる方から、不合理な面が幾つか残っている。自治庁自身も、これは利用税などというものを上げることを、一応案として持っている。しかし出てこない。それから消防施設税なんていうのも出てこない。  それから固定資産税なんかも、このごろでは、ゴルフブーム。ところがゴルフ場の芝などというものは、ゴルフ施設としては大きな資産ですよ。ところが、ゴルフ場の芝というのは、雑地として、特殊な固定資産税をかけるわけにいかない。しかし一坪幾らという多額の金を出して、造園と同じような形で作られているものが、雑地と同じような税金というのは不合理じゃないか。もっと、税金を取る何らかの方法があるのじゃないか。こういう問題を一切伏せてしまって、ただ、政府の方策の公共事業費と増収分をバランスを合わしただけで、減税もしなければ、当然とるべきところから適切な税もとっておらない。こういう点が、私は非常に不自然に感じられるのですけれども、税務局長おりますか。税務局長でなくても、いいですよ。財政局長でもいい、官房長でもいいです。どうなんです。あなた方消防施設税、それから娯楽施設利用税というものは主張するということを言っておった。そんなものは出てこない。不自然じゃないか。古きずにさわるわけじゃありませんが、何か、政治的な大きな運動があれば、芸者の花代というものは半分に下げた。ところが、当然多くの地方団体が望んでいる、こういうような問題は、さっぱり財源を非常に必要とする今日においても、適正な課税というのは行なわれておらない。どうも政府のワクだけで、地方財政計画というのが、あまり自治庁独自の新味というのが、ことしの財政計画ぐらいないものはないというように思われる。どうですか。
  57. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 前の方から、よく聞いておりませんので、足りないところがあるかもしれませんが、まず減税の問題でございますが、これは、住民税につきましては、御承知のように公約に基づく所得税その他の減税から、これはどうしてもやらなければならぬというわけで、住民税の減税は、地方税法の改正案として出しておるわけであります。その他の問題につきましても、増税すべきもの、あるいは減税すべきもの等について自治庁なり、あるいは私といたしましても、それ相応の意見を持っておったのでございまするが、御承知のように昨年の伊勢湾台風その他と関連して、国土保全なり、災害対策を中心とする三十五年度の予算編成でありまするので、減税ということも、まあ一般的には、国も見送っておる。でありまするので、地方費の負担が大きい三十五年度といたしまして、やはり原則として見送るべきじゃないか、減税も見送るのでありますから、増税部分についても、いろいろ意見は持っておりまするけれども、とにかくこれも一応見送りたい。合わせて税制調査会なり、地方制度調査会なりで、いろいろの検討が加えられておるのでありまするから、それをさらに参考といたしまして、部分的な地方税の増減税は、残念ながらこの際、見送りだというのが現状でありまして、一部の圧力でどうとか、そういうことはございません。  それから財政計画云々のお話でございましたけれども、私は、ことしくらいいろいろ新しい項目を入れて、財政計画に、いろいろな考え方を入れておるのは少ないのじゃないかくらいに逆に思っておるのでありまするが、加瀬委員からは、全然新味がないという御批判でございますけれども、相当ことしの地方財政計画は、いろいろなことの考え方が入れられておるように私は思っておる次第であります。
  58. 加瀬完

    加瀬完君 まあそれは、御努力がなかったとは言いませんよ。しかしですね、政府が約束した減税ができないほど財源が困っているなら、当然、政府で計画された増税の面というのを——増税というか、適正課税の面というのを、これは、ここで打ち出されなければおかしいのじゃないですか、そう申し上げているのです。それから、財政計画は、確かにそれは目新しいものを幾つか盛ってありますけれども、財政計画の基本である地方財政健全化というものには、私は、ことしの財政計画は、今までよりも、うかつな点があると思うのです。で、大臣が来る前に伺っておったのですけれども、たとえば八百二十一億増税があるといったって、実質的な増税は、それだけはない、四百四十億。それから、何か、ことしはあれでしょう、三十五年度から地方に積立金制度みたいなのを作るんでしょう。こういう膨張予算で、全部予算を食い尽くしてしまっておるときに、積立金なんかが、なかなかできますか。一番積立金をさせなきゃならない貧弱団体は、積立金どころじゃない、公共事業費に、自分たちの財産を振り向けるのに精一ぱいという状況じゃありませんか。首尾一貫しないと思うのですよ。
  59. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) もう論議は、ここで繰り返されたあとかもしれませんが、これはどうも加瀬委員と、先般来の予算委員会を通じて、若干見解が違うのですが、交付公債などについて、非常な新機軸をことし出したわけです。全廃とまでいきませんけれども、大部分——いわゆる特別会計に属しておったもの……。これはもう地方財政健全化する上において、地方から年来要望されておったことであるし、われわれもこれが一番だと、こう思って、交付公債の廃止に乗り出していったわけでありまするので、これは、まあ非常に大きな一つのエポツクじゃないかと私は思うのです。  それから、年来論議されておった税外負担の問題も、わずか九十億程度ではございますけれども、これは一歩踏み出した。しかも、地方財政法まで改正して、法的にも規制を加えておるという状態ですから、これは非常な前進ではないかと思うのです。  それからあと、給与の実態調査をして、給与の是正をしたり、あるいは単独事業のワクも若干であるがふやしたり、これをやっておるのでありますから、どうも交付公債の問題を、加瀬委員はあんまり評価しておられんのでありまするけれども、非常な前進で、私どもは、この交付公債の元利償還については、あるいは財政計画であるとか、あるいは交付税の割当であるとか、こういう面にまで配慮して、今まで若干残った禍根も断ちたいというぐらいの意欲で進んでおるのでありまするから、まあ今後、いろいろ御指導はいただかなければなりませんけれども、われわれの意欲だけ、考え方だけを、一つ御承認願いたい。
  60. 加瀬完

    加瀬完君 私は、自治庁が年来地方制度調査会の答申などに基づいて、たとえば今、長官がお出しになりました交付公債の問題でもいい、年来自治庁が考えておった計画の通りに進んでおるというなら、これは長官もおっしゃるように、何も異論を申しません。  私が予算委員会以来主張しておりますのは、私の説が、自治庁の説なんです。ことし、あなた方がやったことは、自治庁の説と、大蔵省の説を足して二で割ったような、便宜的な方法だ。——一歩前進には違いない、一歩前進かはしりませんけれども、見方によっては、これで交付公債の問題というのは、もう結論的には処理ができたというふうに、大蔵省はこの間の答弁では考えておる。そうであるならば、交付公債というものを、一般公債に肩がわりをしただけで、交付公債の持っている地方に与える重圧というものは、一つも変わらない。これでは、交付公債の私は処理にはならないと、こう言いたいのです。  寄付金、負担金などの問題でも、寄付金、負担金の制度というふうなものが、PTAの寄付なんかというものは、一部何とかなるにしても、もっと大きな寄付金、負担金の制度そのものの重圧は、まだ完全には解消されておらない。それでは困るのじゃないかと申し上げているのです。  たとえば、村山先生も一番最初に御質問なさったわけでありますけれども、未開発地域というか、あるいはそれほど……、税源が、財源のない府県というか、こういうところは、今までの公債費に相当苦しんでおって、住民は、もうひどいところになりますと、公債費を払うために税金を払っているという始末になりかねない。こういうときに、肩がわりをさせられただけでは、私は、交付公債に限ってみても、交付公債の問題解決にならない。大臣は、これは第一段階で、来年度からは年来の自治庁の御主張のような形に必ずなるというなら、お説ごもっともと申し上げたいのですけれども、現状においては、どうも、お骨折りはありがとうとお礼を申し上げたいけれども、おかげさまで、すっかり安心をいたしますという程度には、まだならない。  そこのところです、私が質問しているのは。
  61. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 加瀬委員も、一歩前進したということは認めていただきましたので、これはまあ私も、この点は喜ぶのであります。  それでよくわかったのでありますけれども、あなたの言われた、交付公債なら交付公債を廃止する方向は、交付公債という形はやめたけれども、地方債に一部肩がわりしているのだから、根本的解決じゃないと、これはもう、その点は率直にその通りだと私は思います。  そこで、まあ今回も、いろいろ議論されましたのは、直轄事業その他は、全部国費でやって、国でやって、地方に負担をかけないようにしたらどうか、こういう議論も持ち出しておるわけでありまするが、そうすれば、そのかわり、逆に補助事業といいますか、地方的な事業は、これは地方の自主財源でやって、補助金であるとか、そういう面の国庫負担のようなものはやめるべきじゃないかということも、また一方では主張しなければならないのであります。何もかにも、全部国でやってしまえということはいけないのです。そこの割り切りですね。  それからなお、直轄事業というものの今のいろいろ分類を見ましても、変なところが、直轄事業になっておりまして、むしろ直轄事業に持っていかなければならんようなものが補助事業であったり、地方の単独事業にされておるような面もあるのです。そういうものも、全体を通じてここでやはり検討し直さなければ、先ほど来申し上げましたような、どっちかに割り切ってしまうという問題の解決もつかないのじゃないかということで、これは、まだやはり研究が不十分といいますか、もう少し検討しなければならないということで、こうなっておるわけであります。  交付公債も特別会計の分は廃止になった一般会計に載っておる分が残っております。これは、私は三十六年度には、大蔵省は当然、これもやめるだろうと思います。そういう意味で、一般起債には残りますけれども、私どもが一番不健全性を唱えておったのは、交付公債という考え方であった。だから、この点は、一つ前進しておるのじゃないかと思います。  それから今の国、地方の負担を分けてしまうということも、未開発地域——後進地域の、かさ上げその他の問題が、もっと進んでいけば、また非常に解決しやすくなるのじゃないかと思いますので、理想にはまだ、相当時間はかかると思いますけれども、その方向に近づいておるという、一歩一歩前進しつつあるということは、一つお認めを願いたい。また、加瀬委員などから、終始そういう鞭撻を受けておるということが、こういう考え方を進めていく上においても、非常にいいのではないかと私どもは思っておる次第でございます。  それから税外負担の問題につきましては、ここでスタートしたのでありますが、われわれは、二百五十億ぐらいの税外負担といっておりますけれども、調査の仕方によってはこれが四百億なり、五百億なりもっとあるのじゃないか、非常に大きな膨大な数字も出ておりますので、こういう問題も、さらに検討を続けまして、負担の適正を期していかなければならない、かように考えております。
  62. 加瀬完

    加瀬完君 交付公債というものを一般公債に振り込んだといったって、私は交付公債の問題が解決したということにならないと思うのです。交付公債も問題だけれども、一般公債も、非常に問題になっておったわけです、これは地方制度調査会あたりでもいつでも。一般公債で、何と言いましょうか、やがて返還財源を生み出すようなものであるなら別ですが、そうでないものを、徐々に減らしてくるというような形が、今年の財政計画に出ているかというと、一般公債は、今年はもっとふえるのじゃないかという、公共事業にしても、その他の点も、災害復旧などの関係で、私は財政計画上、そういう点も拒むわけには参らないと思うのです。  だから交付公債も含めて一般公債の増加分というものが、この上加重されてきたら、これは一体、昭和二十八年度の災害復旧予算以来、二十九年、三十年と再建法というものを生まなければならないような事態がまた繰り返される要因を、三十五年度地方財政計画の中には否定するわけに参らない。そういう点を心配いたしておるわけです。  たとえば伺いますが、三十五年度の地方財政計画上の公共事業費等についての負担金の額は、一体どのくらいになりますか。
  63. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) ちょっとその前にあなたの前段についての私の考え方を、こういう機会によく申し上げた方がいいと思いますが、あなたに、今さら申し上げることもないと思うのですが、交付公債と一般公債との振りかわりだから大したことじゃないと言われるのだが、私がそれが、大したことだと言いたいのは、交付公債というのは、その府県の財政の中に、直接乗ってこなくて、都道府県会などで、その県のいわゆる財政計画として論議する機会が非常に少ないわけです。一般起債になりますと、これは当然、財政に乗っけて議会で大いに論議をしなければならないということになりますので、そういう意味で、私は健全性が非常に増した、こういうことを言いたいわけであります。  それから一般起債につきましては、これはだんだん起債の額も減ってきておると思うのです。詳しい数字は、あとで財政局長から必要であれば答えると思いますが、それから自治庁としても、できるだけ抑制しております。ことに赤字再建団体等については、これ非常な抑制をしております。  それから今年、もう一つ変わりましたことは、後刻御審議を願います交付税法の一部改正案におきまして、その地方の財政力に比して、公債の占める割合が多い地方です。これはやはり、貧弱団体になると思いますが、そういうところに対しましては、いわゆる交付税も傾斜度を強めまして、そういう起債の元利償還が少しでも楽になるようにということを、交付税の配分にあたっても、特に三十五年度からは強く考慮していこう、こういうふうに起債の増大を抑制するという措置をあらゆる面で講じておるのでありまして、加瀬委員が言われることも、考えておられることも、私どもの考えておることも、方向に違いはないと思う。一ぺんに理想の境地に行けないということを非常に御指摘になるのだろうと思いきすが、一歩々々前進しておるということをよくお認め願いまして、重ねて今後も、そういう面でいろいろ御指導なり、御鞭達をいただきたい。あと数字は、一つ財政局長の方から……。
  64. 加瀬完

    加瀬完君 数字はあとで。  その点なのですよ、その交付税法を変えて、公債の占める割合の多い地方に交付税を流して、公債の処理を一部講ずる。これは大賛成です。もう一つ公債を減らすために、今後の起債を抑制するというけれども、政府の方針そのものが起債をやらなければ、公債をふやさなければ地方財政がまかなえないような計画を先に作っておいて、それで起債をやるなというなら、一般財源公共事業関係に流すよりほかない。そうしたら、地方住民の要望にこたえるところの地方団体の独自の計画というものは、それだけセーブされてくることになります。こういう災害復旧だけでも、容易でないところの公共事業費というものに対して、さらに国土保全計画だって、実際の計画というものは何もない。何もないところに、予算だけ、公共事業費だけぽこっと持ってくる。これで起債をやらないと言ったら、どうしてやりくりがつきますか。住民の要望というものを制圧して、単独事業なり、独自の財源というものを省いていかなければできない、そこが問題だ。これは見解の相違と言われれば、そうかもしれない。二十八年度のときは、災害後の地方財政というものに苦い経験を持っておりますから、今度も政策的に、この愚をもう一回繰り返すような心配が、どうも残る。そこのところを御説明いただきたい。
  65. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) ある程度そういうことになるかもしれませんが、しかし御承知のように災害関係の起債につきましては、ことに伊勢湾台風を中心としての大災害については、これは国庫負担等を大いにふやしていきたい。起債のワクがふえても、国庫の負担あるいは元利償還等について、特別のいろいろ配慮をしているわけであります。この面の起債が若干ふえたところで、これは本質的に、そう心配すべき起債の額じゃないと思います。  それから起債のワクが、三十五年度は一千五百億、四百億もふえますが、こうふえている大きな部分は、公営事業であるとか、あるいは準公営事業、つまり環境衛生の関係であるとか、あるいは採算のとれる企業、こういう面についての起債のワクをふやしているのでありまして、ことに公営企業面の起債がふえたと言っても、これは本質的に何ら心配すべき起債じゃない。元利償還についても、何もめんどうをみない、あるいはまた、消極的のいわゆる赤字的の起債のふえるということについては、これはもう、非常に心配しなければなりませんけれども、ただ、起債の数字がふえたからと言って、積極的の起債であるならば、これはむしろ果実を生んでいくのでありますから、これは私は心配すべきものでない。起債の内容なり、あるいはその元利償還について、どういう配慮が講ぜられているか、そういうこと全部を通じてやはり考えて、起債の動向ということについて論議しなければならないじゃないか。特に三十五年度の地方財政計画におきましては、投資的経費にかかる基準財政需要額というものは、相当ふやしているのでありまして、そういう面からも、いろいろの抑制というか、配慮をめぐらしている。  従いまして加瀬委員の御指摘は、十分留意いたしまして、地方財政が、さらに再び混乱の起こらないようにやらなければならない。起債の数字がふえた、あるいは減ったというだけで、私は論議すべきものじゃない、かように思います。
  66. 加瀬完

    加瀬完君 それならば、三十五年度に人事院あたりから、職員のベース・アップが勧告されて、おそらくそういう可能性が出て来ると思う。そうすると、地方の職員のベース・アップをしなければならないということになりましたら、この財政計画で、その財源が出て来ますか。
  67. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 給与の問題については、国家公務員に準じて地方公務員というものもやらなければなりませんし、現在の公務員の給与というものが高いとは思っておりません。ある程度是正していかなければならぬときが来るのではないかと思っております。そういう際に、やはり給与の是正ということも講じなければならぬのでありまして、そこで、この年度なかばにして、いろいろな是正の問題が起こってきた際には、これは補正予算かなんか組みまして、さらに新しい財源が加われば別でありますけれども、途中からは困難だと思います。非常にそういうために大きな変動が起こってくるという場合には、これは今後の問題として交付税をふやしていくなり、あるいは起債をふやしていくなり、いろいろの問題が起きると思います。  給与の問題については、私も十分考えていかなければならぬと思います。とともに、そういう面で、こういう経費で、起債がふえるような形に追い込んでいけば、これは非常に不健全性なものである。これは、ほかの財源でまかない得るような方法を講じていかなければならぬ、かように考えております。
  68. 加瀬完

    加瀬完君 私は、給与費の増を起債でまかなうようになるだろうということを申し上げておるのじゃない。八百二十一億というように、相当目一ぱいに増収分を見積っておる。そういう目一ぱいに見積った上に、財政計画がぎりぎり一ぱい立っておる、袋でいえば、もう詰められるだけ詰めて、ここにベース・アップというものを詰め込めば、袋が破けるか、大きな袋にするか、いずれかの方法をとらなければならない。  ですから、地方の財政運営そのものからすれば、地方団体はベース・アップ分を、どうしても自己財源でまかなわなければなりませんから、今度は、公共事業費に伴ういろいろの負担の費用というものは、これはなくなってくる、そうすればまた起債かなんかに頼らざるを得ないということにもなりかねない。そういう因果関係というものが生じてくるのではないか。とにかく財源を目一ぱいに見て組んだ財政計画というものには、私は非常に危険がある。しかも財源を目一ぱいに組んでも、目一ぱいが、さらにふくれる可能性が当然公共事業費というものには伴う。それを心配している。  たとえば、先ほども大臣がくる前に申し上げたのですけれども、財政計画と、それから決算というものとは、財政計画というより、もっとはっきりいえば、地方団体予算額というものと決算額というもので、公共事業費なんかに対する負担額というものは、全然予算をはみ出す大きな額に広がってくる。公共事業費が広がれば、負担額なども広がってくる。そうすると初めの考えた財政収支というものではバランスが合わなくなってくる。こういう点が、今までのわれわれが経験してきた実例です。  そうなって参りますと、ことしこれだけの目一ぱいの財源を組んで、一応地方団体運営をしても、こういう大きなかぶさってきた公共事業費に伴う負担というものについては、必ず私は、しょい切れない破綻が、どっかの段階に出てくると思う。なぜ、一体公共事業というものを、こういうように無差別に、国土保全計画といったって、国土保全計画はないということをはっきり言っておる。国土保全計画というものを、本年一ぱいかかって、きちんとできて、それに伴って、地方計画も、これにマッチするようにでき上って、それで財政計画というものを作っていくというなら、筋が立つ。しかし、何もない。国土計画というものについて。ただ災害復旧を中心に、ボコンボコンと適当に、悪い言葉でいえば、事業をおろしていく。その地方が好むと好まざるにかかわらず、これは負担をしていくということでは、これは、将来に禍根が残るのじゃないか、その点を、私は自治庁として、強く健全な財政を保持するという意味から、もっと国と地方が、総合計画に立った公共事業計画というものを立ててくれなければ困るということを、御主張していただきたかった。そうでなくては、私のような心配が、杞憂でなくなるようなおそれがありますので、伺っておるのです。
  69. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) その点、私も全く加瀬委員と同感でございまして、公共事業費のワクだけが、先に建設省とか農林省とか、そういうところだけの話し合いできめられちゃ困るということを、私は就任当初から言うておりまして、やはり地方負担ということも常に考えて計画を立ててもらわなければ、結局絵にかいたもちに終わる可能性が強い。同時に富裕団体は、何とかこれは消化できると思いますが、貧弱団体は、なかなか消化できない。ところが、そういうことをやらなければならぬ必要性の強いのは、むしろ貧弱団体の方が強いわけでありまするから、そこらに、そういう事業を起こさなければ国土が平均的に開発されていかないということをいつも私は主張しておったわけであります。  災害復旧については、先ほど申し上げましたように、いろいろと特例措置を講じたり、あるいは国庫負担法等がありまして、貧弱団体の災害については、非常に国庫負担がふえて、ほとんど全額に近いようなほどに、貧弱県についてはなっておるわけであります。公共事業費については、残念ながらまだその制度が確立されておりません。東北開発促進法であるとか、あるいは今度九州開発促進法とか、その促進法に入る地帯は、だんだんそういうことが是正されまするが、私どもは、それより一歩進んで全体について未開発地域のかさ上げ促進法を今提唱してやっておるわけですから、この問題は、どうしても解決したいと自治庁は今全力を上げておるわけでありまして、これが解決すれば、加瀬委員の今まで言われたような心配は、非常に軽減してくるのではないかと思うんです。  私どもは、あくまでこれを推進いたしまして、そうして今御指摘のように、国土総合開発あるいは国の公共事業というものは、やはり国、地方を通じた考え方のもとに、策定をしてもらわなければならぬということを、今後ともあくまで主張し続けるつもりでありまして、その点、全くあなたの考えと一緒でございます。
  70. 加瀬完

    加瀬完君 それでは端的に、結論を伺いますが、交付公債は自治庁の考えておったような点で将来処理されると、地方団体は受け取ってよろしいと解釈してよろしいですね。
  71. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) よろしゅうございます。
  72. 加瀬完

    加瀬完君 それからことしの財政計画で、PTA等の寄付の解消がうたわれておりますね、これは具体的には、どういうことになりますか。
  73. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方財政計画に、一応税外負担解消のための財源を見込んでおるわけでありまして、それを受けまして、交付税の基準財政需要額に小学校費、中学校費、消防費等の増額をはかっておるわけであります。さらに地方財政計画の中におきましては、本来公費で負担すべきものについて、その経費を住民に転嫁するようなことはしてはならない、かように書いておるわけであります。その場合にどういうようなものを転嫁してはならないかというような項目は、一応政令にゆだねることにいたしております。やはり限界を引くということになりますというと、だれが考えましても、そういうものの転嫁は穏当でないというような明白なものにして、あとは良識ある運営によって財政の秩序というものをはっきりさしていかなければならないんじゃないか、かように考えますので、小学校や中学校の維持修繕費及び市町村職員の給与費、こういうものは転嫁してはならない、こういう二つのものを列挙するにとどめまして、あとは良識ある運営によって一つ合理化をはかっていってもらう、こういう期待を持っておるわけであります。
  74. 加瀬完

    加瀬完君 しかしこれは、自治庁にも大いに地方を代表して、文部省に交渉して取りつけてもらわなければならぬ問題ですがね、たとえば危険校舎として補助対象になる合格坪数が百坪あるといたしますね、しかしこれはおそらく七十坪なり七十五坪なりにしか算定をされておらない、社会増等に伴う不足坪数が二百坪あるとしますね、百坪なり百二十坪なりにしか算定されておらない、そうなってくれば、地方の持ち出し分というものは、いろいろの法律や規則に伴って計算したのと合わなくなってくる。一般寄付も求めなければならないという事態がそういうところから生じてきている。  ですから補助は、補助の政令等できめられているように、やはり算定するように、地方団体としては、してもらわなければならない、この点が一つ。  それからPTA等で寄付を集めるということに問題があるということになって、特殊なものは、後援会組織を作っている、多くの学校で。そうして、たとえば施設を整えるための目的で、後援会組織を作って、これはPTAとは関係ない、随意に、篤志な希望者だけ入れておるんだから、文句はあるまいという形でやっている。そうすると、実際PTAなどの中では、特に子供には大きな影響があって、うちでは特別に学校に寄付をしているんだと、あなたのうちでは寄付をしておらないんだという問題まで起こしているところもある。  こういう後援会などの組織に対して、今度のこの計画、あるいは今言った自治法ですかによる注意等、どのように取り扱いますか。
  75. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 第一点は、税外負担の対象をはかるにしても、まずもとを正すべきだと、そういう意味においては国庫負担負担金等の適正化を期すべきだという御意見、まことにごもっともでありまして、私たちも、そういうような気持で従来努力して参っておるつもりであります。  国が府県に負担を転嫁する、府県が市町村に負担を転嫁する、市町村が住民に転嫁する、押せ押せになってきているだろうと思います。従来、地方団体は、国に寄付金を出してはいけない、こういう式の規定を入れておったのを、公団、公社、公庫に対しましても寄付金を出してはいけない、こういうような規定を財政法の今度の改正案の中に取り上げているわけであります。同時にまた、府県が市町村に負担を転嫁してはならないということにつきましても、地方財政法に、今回規定として取り上げているわけであります。  そういう場合に、やはり各省の一番心配しておりましたのは、国が補助金を適正に支出してくれないものだから、結果は下へだんだんしわ寄せになっておる。だから、しわ寄せはいけないと、こう言われても、当分はなかなかその通りにはやりにくいから、そういう規定を今直ちに作ることはやめてもらいたい、こういうことは、ずいぶん強い抵抗を実は受けたわけでございます。強い抵抗を受けたということは、逆に、また各省も補助金の適正に努力しなければならないという覚悟を持ってくれたものと私たちは考えておるわけであります。各省にも努力してもらわなければなりませんが、私たちも一層、今後努力を払っていきたいと、かように考えておるわけでございます。  なお、第二点の後援会の問題は、地方財政法の規定上は、直接であると間接であるとを問わず、住民に負担を転嫁してはならない、こう書いてあるわけでございまして、その趣旨は、割当寄付金の方法によろうと、後援会名義で、そういう手段をとってもいけないんだと、こういう気持でございます。  しかし、いずれにいたしましても、これは単に一片の法文を作ったからといって、それで解決できるものではございませんで、地方財政財源を充実しなければなりませんし、こういう考え方を漸次浸透さしていくという努力を払っていかなければならないと思うのでございまして、私たちは、今後行政指導の面、財政運営の面につきまして、今のようなお気持を体して努力していきたいと思います。
  76. 加瀬完

    加瀬完君 これは、予算そのものには直接関係がないことでありますが、参議院の地方行政委員会等で、地方議員のその関係する団体についての請負などを禁止する法律が論議されましたときに、知事、市長等のやはり事業団体の責任者となることも、一体それでよろしいのかという論議があったわけであります。  それで、二つの点を伺いたいのですが、議員の請負団体の責任者となることが、一応法律で防げでおっても、陰にかくれて、実質的にはその議員が請負行為と同じことをやっておるのではないか、この点がどうかということ。もう一つは、知事、市長等の関係会社の責任者への就任ですね。この問題は、その後どのように検討されておるか。相当弊害を起こしている事実もありますけれども、自治庁の御見解はどう変わってきているか伺いたい。
  77. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 前段の方でありますが、これは議員の請負は、自治法の改正で禁じられたわけでありまするが、まあ実体的には、議員の親族がやっておるんだとか、どうとかというようなことで、あるいは地方には、それぞれいろいろなボスなどがおりまして、全然そういうことはないとは、これは私も言えないと思います。しかし、まああの法律ができてから、自粛というか、そういう気持になっておるということは、ある程度買ってやってもいい。ただし、これはやはり今後とも非常に気をつけていかなればならんと思います。  それから、知事、市長の問題は、実は私もよくあまりなにしていなかったので、今聞いたのでありまするが、その後やはり検討は進んでないということであります。しかし、これは一方で議員の請負まで禁じておるのでありまするから、理事者が、自分が事業を計画して契約するのでありまするから、当然自粛をしておると思うのであります。
  78. 加瀬完

    加瀬完君 これで終わります。  これは小さい問題ですが、文部省の予算に学校長の海外派遣費というのが九百七十万盛ってある。ところが、この九百七十万が、このまま小学校、中学校や高等学校の校長に行って、それで海外旅行するなら問題はない。ところが、文部省が負担するものは三分の一で、府県で三分の一、市町村で三分の一という去年は分担の方法をとらした。しかし、地方の予算には、そういうものはない。地方財政法の十二条かなんかで、少なくも国の施策が地方負担をしいるというようなことは禁ぜられておるわけです。これは地方財政法違反にならないかどうか。校長の海外派遣費を文部省だけで決めて、その三分の一だけ文部省が持って、三分の二は地方に持たしておる。これは地方財政法の十二条かなんかの条文をそのまま読むと、少なくもかち合っている。これをどう解釈するか。
  79. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 海外派遣は、おそらくその公務員の身分を持っているところが派遣をしているのじゃないかと思います。身分を持っているところが派遣に要する経費も負担をしていく、文部省は、それに対する補助金を支出しているという格好になっているのじゃないかと思います。
  80. 加瀬完

    加瀬完君 そうじゃない。
  81. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) あるいはまた、そうでありませんと、身分を特に嘱託等の名義で、国家公務員に切りかえて交付費で持っておるということになっておるか、その辺の事情はよく承知しておりませんので、一応調査してみたいと思います。
  82. 加瀬完

    加瀬完君 海外派遣補助金とか補助費とかいうようになっておれば、あなたのおっしゃる通り。そうはなっていない、文部省のは。地方から申請してやるのでなくて、文部省から決めて、地方は、それに足りない分だけ出すわけだ。しかも足りない分の三分の二だ。こんなばかな話はない。地方団体としては、はなはだけしからんという不平が各所に起こっておる。そんなばかな予算によって、われわれは派遣できないといって、せっかくのいい制度が、府県によっては拒否されている。去年全然行けなかった実例もある。  これは、あとでもけっこうですけれども、十二分に検討して下さい。
  83. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 大蔵省と私たちとの関係で、予算上の取扱いは、学校長等海外派遣費補助金となっておりまして、補助率が三分の一、したがって三分の二は地方財政負担、こうなっておるわけであります。  しかし、どういう手続をとっておりますか、なおよく調査しておきたいと思います。
  84. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵省とは、そうなっていても、文部省の予算には、そうなっておらない。地方の財政計画にはないです。
  85. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) あります。
  86. 加瀬完

    加瀬完君 ありますか。
  87. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 今申し上げましたのは、地方財政計画上、国の支出に伴いまして、地方団体の負担のふえて参りますものは、これはやはり財政計画に計上いたしておるわけであります。そういう意味で、大蔵省と私たちとの間で、どういう取扱いをしておるかという意味で、今申し上げたのでありまして、しかし実態につきましては、なお調査いたします。
  88. 加瀬完

    加瀬完君 ひとつ調査の上で付け加えていただきたいのは、町村が好まなければ、どんなに派遣をさしてやりたいと考えた優秀校長でも出られないわけですね。そうでしょう。文部省の費用だけで行かれるわけじゃない。そうすると、財政的に有力な町村におらない限りは、その海外派遣というものは、校長の成績が優秀であっても行けないという矛盾した実情があるわけです。  ですから、県なら、県費に組んでやるというなら、話はわかりますけれども、市町村にまで負担させるということになりますと、やはり拒否する市町村が当然出てくるわけです。去年も、財政計画に組んでおりません。ことしは、お組みになったかどうかしりませんが、去年はなかった。だから、いろいろな矛盾が生じておりますから、その点もあわせて、何とかうまくいくように御検討願いたい。
  89. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ほかに御質疑もないようでありますから、自治庁に関する質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  91. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 次に、北海道開発庁議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。——それでは、どなたも御発言がなければ、私一つだけ、御希望申し上げたいと思いますけれども、北海道開発局の職員の身分だとか、あるいは定員の問題などで、私は、あとからいろいろ依頼を受けて人事院なんかに陳情したり運動したりなんかすることがよくあるのです。  たとえば船員の俸給表の問題だとか、それから前回の定員外職員の定員化の問題だとか、最近の、たとえば役つきの職員と、そうでない一般の人たちの割合の問題とか、どうも、あとでお話を承っておりますと、局の人事主管者といいますか、それから庁の人事担当者といいますかの間にうまく連絡がとれておりませんで、ほかの省庁などでは、もう政府予算が、こういうふうになったとか、あるいは政府の方針が、こういうふうになって、定員がふやされるのだというようなことを早くキャッチいたしまして、それに対処するいろいろの省庁内の措置を講じているわけなんですけれども、庁の方で、そういう情報をお聞きになりましても、局の方に直接また迅速に連絡がございません。ほかの方が、ほぼこういうふうに取り扱いができて参ります、それをあとで局の方でお聞きになりまして、そしてあとからもってこられる。直接局の職員に対する人事関係というものが、その担当している人たちに、中央の情勢がよく把握できないものですから、どうも後手々々になりまして、役づきの職員、他の地建だとか、あるいは港湾建設だとかいうものに比べて不利になってくるということが、よくあるのです。この点は、私ただ希望だけを申し上げておきまして、人事の面におきましては、もう少し現地の局と、それからこちらの庁との間に、密接な連絡をとって、そしてほかの省庁において、そういう人事の取り扱いの面で変った措置がとられる場合には、迅速に局の方まで御連絡下さいまして、それにおくれないように一つ措置をしていただくように、御希望申し上げたいと思います。  これは、どういうことになっておりますか。
  92. 木村三男

    政府委員木村三男君) 御案内のように、北海道開発局と私どもの庁は、上下の関係で、局は庁の出先機関であることは間違いないのでありますけれども、いろいろ人事面その他につきましては、たとえば建設関係でありますと、建設省から人をもらう、農林関係の部門には、農林からもらう、プロパーの人間というものは、あまり多くならない、そういうところで御指摘のように、従来人事面において、いわゆる親元である私どもと、それから子である開発局と、あるいはまた傍系と申しますか、農林、建設あたりの人事というのが入り組んでおりまして、交通整理上で、非常に御指摘のような点がありましたことを遺憾に存じております。  それで人事の面につきましては、四等官以上は、全部庁の方でやる、それ未満のものは現地の局等にまかせてある、こういう仕分けになっております。それからその区分にこだわらず、たとえば級別定数をいかにするか、あるいは俸給表の適用の問題をどうするか、定員外職員の定員化の問題、これは庁の方で、人事院なり、大蔵省なり、あるいは行管の方に速絡しなきゃならないというので、北海道開発局独自でやっているわけじゃなくて、私どもがやるのであります。それには、やはり常時緊密な連絡が必要であることは御指摘通りでありまして、その面につきましては、今からでもおそくないということで、実は定例的な人事関係会議をもちまして、そういう問題がありましたならば、あらかじめ問題になりそうな点は、局からも聞きまして、こちらの意見も言うということにして、もっともっと円滑にしたいというふうに考えておりまして、差しあたり新年度——四月ごろから、皮切りの連絡会議を開きたいというふうに考えております。
  93. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ほかに御質疑もないようでございますから、北海道開発庁に関する質疑は、終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないと認めます。  それでは、午後一時三十分に再開することとして、休憩いたします。    午後零時三十八分休憩    —————・—————    午後一時五十四分開会
  95. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) これより第一分科会を再会いたします。まず、総理府関係及び首都圏整備公正取引、土地調整の各委員会を一括して議論といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  96. 加瀬完

    加瀬完君 これは予算ではありませんが、首都圏整備委員会でちょっと伺いたいのですが、たとえば埼玉県、千葉県とか、首都圏整備のごく近い県等とは、どのような連絡をいたしておりますか。
  97. 樺山俊夫

    政府委員(樺山俊夫君) 御承知かと思いますが、首都圏の対象としております区域は、東京駅を中心といたしまして半径百キロの面積でございます。従いまして、関東各県が全部首都圏の仕事の対象に入るわけでございます。でありますから、それぞれの、ただいま御指摘がありましたような各県に関係いたします首都圏本来の仕事があるわけでございます。それらの仕事は常時各県の当局並びに関係の市町村とよりより連絡をとりまして、仕事を進めております。
  98. 加瀬完

    加瀬完君 特に首都圏の範囲内の区域では、その市町村の都市計画もまだ立っておらないところに、将来の計画上非常に支障を来たすような土地の区画整理ですね、それから建物の造成というようなものが、何といいますか、無計画、無統制に立っておって、将来首都圏整備という上から非常に困るのではないかと思われる節がありますが、これは直接首都圏整備法には触れないのですけれども、首都圏整備法の目的から言えば、非常に背反するような事象が行なわれておりますが、これについては委員会はどのような御見解をお持ちですか。
  99. 樺山俊夫

    政府委員(樺山俊夫君) 具体的な事例はちょっとわかりにくいのでございますが、大体周辺地域につきましては、首都圏といたしましては、現在やっております仕事は、工業衛星都市を作るという仕事をやっておりまして、それらの工業衛星都市の整備を進めておりますことが一つと、いま一つは、工業衛星都市相互間の連絡をいたします仕事並びに工業衛星都市と東京を結びます幹線道路の整備をするという仕事をしておりますのが、首都圏整備といたしまして直接タッチしております仕事でございます。ただいま御指摘がありましたような事例につきましては、そういった問題と関連をいたしまして、不適当なものがありますならば、私どもといたしましても、これは十分取り上げて検討していきたい、かように考えております。
  100. 加瀬完

    加瀬完君 イギリスのニュー・タウン運動などとは、どうも首都圏整備法の性格というものがずいぶん隔たりがあるように思うわけですよ。で、実際的な行政権というものを大幅に持っておりませんので、行政的には首都圏整備法とはまるでうらはらな都市行政あるいは住宅行政というものが行なわれておる。これでは委員会の計画がどんなりっぱなものができても、そのときは計画が遂行できないような事態というものが起こっておって、どうにもならないのじゃないかと心配なんですが、この点どんなようなお考えをお持ちですか。
  101. 樺山俊夫

    政府委員(樺山俊夫君) 私どもの首都圏構想は、ただいま御指摘がありましたロンドンの大ロンドン計画を非常に参考にいたしまして作って参っておるわけでございますが、今お話がございましたように、ロンドンでやっておりますかなり強力なニュー・タウン作りというものと比較をいたしますと、もちろん十分でない、不十分である。そういった点は漸次改善をいたしまして直していかなければならないと思っておりますが、それに関連をいたしまして、東京周辺の、たとえば埼玉県でありますとか千葉県等におきまする具体的な市町村の都市計画が、そういった意味において、将来私どもが仕事をやります上につきまして非常に支障になるというような問題が起こりましたならば、これはもとより、関係の県なり、あるいは市町村と十分連絡をいたしまして、そういった線にひどくはずれることがないように、私どもの方としても気をつけていかなければならぬ、かように考えております。
  102. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ほかに御質疑もないようでありますので、総理府本府及び各委員会に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  104. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 次に、国家公安委員会議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  105. 加瀬完

    加瀬完君 昭和二十九年ですか、警察法が改正になったわけですね。それでまあ名目は都道府県の自治体警察だということになっておるわけでございますが、昭和三十三年度における警察費の基準財政需要願は五百十七億六千万円で、府県の基準財政需要額に占める割合は一五・六、七%になっておる。しかし、これだけ経費を地方が負担をするのですけれども、実際の警察運営権というものは、これは実質的には国家警察、平たい言葉で言えば経費は地方に負担させるけれども、実際に警察の権限というものは国が握っておる、こういう実態にわれわれが現在の警察というものを見とらざるを得ない。この形態を警察庁はどのようにお考えになっておりますか。自治体警察の性格が実際はないじゃないですか。
  106. 原田章

    政府委員原田章君) ただいまの府県警察の性格は、お話のように自治体警察でございます。これが実態は国家警察的な色彩が強いのではないかという御指摘でございますが、ごく特殊の広域的な国家的な治安問題につきましては、国家公安委員会の管理に服する面がございますが、その他の面につきましては、全国的な調整をはかるという程度でございまして、それ以外の部分につきましては、府県公安委員会のもとに基本的に運営されておるということでございますので、この点につきましては、実態におきましても自治体的な性格であり、ただ例外的に広域的な国家的な面につきましては、指導、調整がはかられておるというふうに考えております。
  107. 加瀬完

    加瀬完君 それは全然知らない人のところにいらしてそういう御説明をなさっても、その御説明はすなおには受け取ってもらえないでしょう。公官委員会は諮問委員会にも劣るような力しか持っていないじゃないですか。たとえば本部長とか上級幹部は国家公務員でしょう。この国家公務員の任免権というものは、一応公安委員会に諮るという建前ですが、公安委員会が推薦した者を任命するのじゃなくて、ただ警察庁長官の任命する者に対して公安委員が形式的にオーケーを出すにすぎない、断わってきたといった実例がありますか。
  108. 原田章

    政府委員原田章君) お話のように、府県警察の最高幹部の人事につきましては、府県公安委員会の同意を得て国家公安委員会が任命をするということになっておるわけでございます。その実例はという御指摘でございますが、その同意の調整ができずに任地が変更されたという例はございます。
  109. 加瀬完

    加瀬完君 ございますか。
  110. 原田章

    政府委員原田章君) ございます。
  111. 加瀬完

    加瀬完君 一応警察庁で本部長の人事をきめまして、それが公安委員会によって断わられたという例がありますか、数が多いですか。
  112. 原田章

    政府委員原田章君) 私、直接人事をやっておりませんので、よく存じておりませんが、例としましてそんなに多くないと思います。と申しますのは、平素から府県の公安委員会委員の方々等が、県内の幹部の人格、能力運営やり方等につきまして、その幹部の人物につきまして、中央に反映いたしておりますので、そういうものをもとにしまして、国家公安委員会が妥当な人事を進めるわけでございますので、原則としましては、国家公安委員会から同意を求めました場合に、大部合のものはスムーズに同意が行なわれていっておる実情でございます。
  113. 加瀬完

    加瀬完君 そんなばかなことはないですよ。北海道の方面本部というのですか、におる者が、かりに埼玉県の本部長になってくる、千葉県の本部長になってくるというときに、埼玉県の公安委員や千葉県の公安委員が、北海道の方面関係におる者を、人物を知悉しているわけではない。ただ警察庁から天下り的にくるから、大体断わった例がないから、それを受けているにすぎないのじゃないですか。問題は、行政管理権というものは国家警察庁で持っていると言っても過言ではない。地方的な地方警察本部の行政管理権というものは、実質的には国家警察庁が握っているということになる。たとえば、知事なり議会なりこの警察行政権に対してどういう発言権がありますか、法律上。公安委員会だって公安委員会の発言する内容は法律にきまっているというが、警察権の全般に対して公安委員会が、教育委員会のような発言権を持っているわけじゃない。公安委員会は、警察行政権そのものを持っているわけじゃない、これはお認めになるだろうと思う。いかがですか。
  114. 原田章

    政府委員原田章君) 知事とか県議会等が警察運営につきましては、もちろん、予算的な面あるいは条例等の面がございますので、法的にも関与する余地はございますが、お話行政管理権については、公安委員会は教育委員会のように完全なものじゃないんじゃないかという点につきましては、まあ、この行政管理権につきましては、人事権あるいは予算関係その他ございますが、教育委員会の権限も私十分存じておりませんのでわかりませんけれども、まあ、若干の面につきまして、国家公安委員会の指導、調整を受けるということではないかと思いますが。
  115. 加瀬完

    加瀬完君 若干のといったって、交通取り締まりとか、ごくもうそれは実際の警察業務の本体からは、どちらかといえば脇役的な役割のものしか公安委員会としての権限というものはないでしょう。実際の警察行政の全般というものは、これは本部長並びに本部長に直属する。これは高級の地方幹部という者によって運営されておるわけです。確かにそれは予算をどうきめるかとか、条例をきめるという権限はあります。しかし、警察官、本部長なり幹部なりという者をどういう形においてでも指揮、命令、または監督する権限というものは、これは知事や議会にも、公安委員会にもない。
  116. 原田章

    政府委員原田章君) 公安委員会は、本部長を通じて警察運営の方針を指示して運営させるわけでございます。一々の場合に、具体的の問題につきまして一々指揮し、監督するという制度には、原則としては至っておりません。まあ大きな問題につきましては、もちろん関与することもございますが、方針につきましては、平素公安委員会のたびにいろいろな御指示がございますし、また警察やり方につきまして忌憚のない批判等も行なわれ、また警察官の教養の面等につきましても相当発言もございまして、そういうような御意見も聞いて本部長がいたしております。
  117. 加瀬完

    加瀬完君 それはただ諮問機関的な性格で意見を聞くだけで、本部長が、こう言いましょうか、本部長に公安委員会が決定したものを命令し、それに本部長あるいは幹部が背反したからといって直ちにこれを解職する、こういったような指揮、命令あるいは監督の権限というのは公安委員会にはないでしょう。
  118. 原田章

    政府委員原田章君) 公安委員会の意図に反して本部長等が執行しました場合におきましては、府県公安委員会国家公安委員会に対しまして、命令につきまして意見を述べるということになります。
  119. 加瀬完

    加瀬完君 意見を述べられるとか、諮問的な相談を持ちかけるということと、監督権があるとか指揮、命令ができるということとは別です。純然たる現在の府県警察というものは、これは行政管理権は国家警察庁にあるわけです。行政管理権のほとんどを国家で握っておって、その負担だけを地方に押しかぶせるというのは、つじつまが合わない話じゃないか。矛盾をどう考えるかということを先ほどから聞いている。地方とすれば、かつての自治体警察であれば、われわれは負担をするけれども、その警察自身の行動というものに対する監督権は地方住民が直接持っている、公安委員会を通じて。ところが今度は経費の負担はするけれども、しかし実際の住民の、自分で負担をしながら、警察官の警察行政全般にわたってのいろいろの住民の意思というものは、直接に反映する方法は一切断たれておる。これは非常に矛盾しているのじゃないか。これはもう数年前そのままに、あんなような形で警察法が改正されて以来捨てっ放しにされておる。これに警察庁は矛盾を感じないかどうか。
  120. 原田章

    政府委員原田章君) お言葉を返すようでございますが、私も府県警察の幹部におったことがございますが、公安委員会も相当突つ込んで、方針につきましても慎重に御考慮になりましたものを指示されまするし、また警察運営やり方につきまして、世論を反映しての御意見等も非常に強く、あるいは忌憚なく御指摘になりまして、そういう面から本部長も非常な、何と申しますか、一面制約を受けるようでありますが、また一面非常に大道を誤らないようなしっかりした行政が、それによってできるというような関係に私はなっていると思います。
  121. 加瀬完

    加瀬完君 私は特殊な自治警察というものの本質を十三分に公安委員会で発現しなければならないという考えを持った公安委員と、形式はどうであっても、内容的には、本部長として、やはり自治体警察あるいは民主警察の実をあげなければならないという本部長がおりましたときには、話はなるほどおっしゃるようになるでしょう。しかし、法律そのもの、制度そのものからは、公安委員会が指揮、監督をすることはできないことになっておりますから、何も本部長が一々公安委員会の言い分を参考としてとるか、とらないかというのは、自分の自由、公安委員会が意思表示をしたから、その通りやらなければならないという義務はないわけです。あるいはまた、地方負担の一般の警察官を実際に指揮、命令する監督の任の者は国家公務員である。ここにも私は矛盾がある、制度上の矛盾があると思う。今うまくいっておるか、いないかという具体的な問題は、うまくいっているところもあれば、うまくいっていないところもあるでしょう。しかし、制度的にはおかしいでしょう。大多数の地方公務員という者は、警察に限って国家公務員が直接指揮、監督する。これが制度の上に、警察法の上に現われている。これは筋からいっておかしいじゃないか、どう考えても……。
  122. 原田章

    政府委員原田章君) 法的には本部長の警察運営を認めまして、公安委員会国家公安委員会に対しまして、懲戒とか罷免の勧告をすることができるという規定があるだけでございます。従いまして、本部長が公安委員会の指示方針を体してやっておらない場合には、それをやっておらないことにつきまして、妥当でないという際におきましては、法的に認められました勧告権を発動するということになりまして、そのことによりまして警察の仕事が適正に運営されるということになるのではないかと思います。  それから、この警察法の建前は、自治体警察を原則としますが、広い国家的な見地で調和をはからなければならないという面がございまして、結局、国家的な見地と地方の実情に合うたという面との調和をはかられてできているのが警察法の性格でございまして、まあさような面から若干すっきり割り切るということはできないと思います。
  123. 加瀬完

    加瀬完君 調和をはかられておらないんですよ。調和が少しもはかられておらない。調和をはかるということならば、この前に市町村問の自治体警察でも、あるいは純然たる府県の自治体警察でも、調和の方法幾らでもあると思う。何もことさらに自治体警察という仮面をかぶせて、経費だけは地方に負担させて、行政権の全般に対する連絡調整の監督の権限は警察庁が握る、こういう方法をとらなくたって事は済むんです。問題は、あなたの御説明のあったように、自治体警察という名前だけで、自治体警察の実はなくて、警察行政権の全般を国が握っておるというところに問題があるわけです。こういう制度上のことは、とかく議論になりますから、一応やめますが、それなら、自治体警察だというならば、一切の経費が全部、自治体の議会できめられただけで運営されているか、そうでないでしょう。あなたの方から、直接これとこれとこれという種目については、国の方の予算が出ているでしょう。で、これによって、あなたの方から地方に直接出している予算は、どの種目ですか。
  124. 原田章

    政府委員原田章君) 県を通じておりますのが、百七十ページの都道府県警察費補助でございます。あとは大体国費で、予算で参りましたり、あるいは現品で参りましたり、大ざっぱに申しますと、そういうことになるわけでございます。
  125. 加瀬完

    加瀬完君 それはこの予算の中にはっきり盛られているからわかる。そのほかに警察庁予算の中から、今度は地方に伝達されていくものがあるでしょう。配分されていくもの、それは何ですか。
  126. 原田章

    政府委員原田章君) この各項目の中に入っておりまして、どれがどれということを申し上げるまでもないと思いますが、会計課長から……。
  127. 大津英男

    政府委員(大津英男君) 警察庁予算の中で、直接警察庁あるいは管区警察庁というものの設置に伴いまして、必要な人件費その他につきましては、これは府県に配分されないのでございますが、それ以外の装備関係あるいは鑑識の関係等、いろいろな費目につきましては、それぞれ府県に対しまして、国費の該当いたしまする法律あるいは警察法施行令で定まっておりまするものについての経費につきましては、その中から府県警察に配分をいたしております。それから、補助金は、施設費あるいは行政費につきまして、それぞれ半額を補助する、こういう建前になっておるわけでございます。
  128. 加瀬完

    加瀬完君 それじゃ捜査費は地方には総額で幾らいっておりますか。それから、調査費といいますか、そういったものは幾らなんですか、それから報償費幾らですか。人件費は、当然これははっきりわかっておりますからお伺いしません。
  129. 大津英男

    政府委員(大津英男君) ただいまお話がございましたが、警察庁の費目の中で、捜査費あるいは調査費というお話でございますが、調査費という項目は別段ございませんので、何かの別の項目のことかもしれないと思うのでございますが、捜査費等につきましては、総額のうち、それぞれ暴力団の事案あるいは警備実施の事案に伴う経費に分かれておりまするが、府県警察警察官のそういう活動のための、警備、捜査のための経費ということで、そのほとんど大部分は府県の活動のための経費ということになって参ると思うのでございまするし、また報償費につきましては、表彰関係、あるいは賞恤関係その他になっておりまして、これが警察庁の方の予算の大要になっておりまするが、そういう表彰される該当者は、府県の警察官の場合もございますので、府県に必ずしも配当はしておりませんけれども、そういうふうに支出をされているという形になっておる次第でございます。
  130. 加瀬完

    加瀬完君 報償費の次の項に、職員旅費というのがありますね。その中に調査旅費というのがありますね。これは府県に配分されるのか、されないのか。——もう一度申しますと、昭和三十五年度総理府所管一般会計歳出予算各日明細書の三十四ページで、目の8の職員旅費の中に調査旅費というのがございますね。それから、次の目の8の中に捜査旅費というのがありますね。こういうものは地方に配分をされるのじゃありませんか。
  131. 大津英男

    政府委員(大津英男君) ただいま御指摘のございました職員旅費中の調査旅費と申しますのは、これは、警察庁の職員、あるいは管区の警察局におりまする職員が、一般の警察行政調査という意味で各府県に参りまするために必要な旅費でございまして、特別犯罪関係等の活動のための経費というものではないのでございます。
  132. 加瀬完

    加瀬完君 目の8に、活動旅費として、その中に捜査旅費というのがあるじゃありませんか。これはやはり警察活動には関係ない捜査旅費ということがありますか。
  133. 大津英男

    政府委員(大津英男君) 先ほどは調査旅費というお話だったと思いまして、調査旅費について申し上げたわけでございますが、捜査旅費は、犯罪の捜査という問題につきまして、実際に活動いたしまして出張いたしまする職員に必要な旅費、こういうことになっております。
  134. 加瀬完

    加瀬完君 捜査費なり、それから今言ったような警察活動についての調査費用というものが、都道府県で予算を組むときには、そういうワクを自由にこれは都道府県できめられるのか、それとも警察庁の方から、こういう項目で予算を組まなければならないというものは、初めからきまっておるものかどうなのか。
  135. 大津英男

    政府委員(大津英男君) 国費の活動旅費の配分につきましては、各府県におきまするところの犯罪の発生状況その他のいろいろな事情を勘案いたしまして、毎四半期ごとにこれを配分していく、こういうことになっておるわけでございまして、各府県において必要な面につきましては、府県側から活動旅費の請求をしてくるということがあるわけでございます。
  136. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、予算項目としては、初めから警察庁としてこれだけのワクについて、款項についてあるいは目について、予算も組んでもらわなければ困るというものを、地方にきちんとワクをはめてあるのか。それとも捜査旅費は組むは組むけれども、変なものに使われるといけないから、これはこれだけ削ろうというふうに自由採択にまかせられておるのか、項目が。
  137. 大津英男

    政府委員(大津英男君) 警察活動に実しまする諸経費につきましては、警察法あるいは警察法施行令によりまして、国費該当のものと、それから府県費該当のものがございまして、府県費につきましては半額の補助金を支出をする、これは補助金の項目に組んであるのでございますが、先ほど申し上げましたのは国費に該当いたしまするものにつきましては、毎四半期、先ほど申し上げましたようなことを勘案いたしまして、各府県に配賦をいたしまして、これは国費が直接に府県に参るということでございまして、一般の県費につきまして補助金を必要といたしまするものは、これは府県の予算に計上いたし、府県会の議決を経ましたものでその執行をしていく、こういう形になるわけであります。
  138. 加瀬完

    加瀬完君 長官いらっしゃいましたから前の質問につけ加えましてあらためて伺いますがね。私が伺っておりますのは、今のお話のようにもう自治体警察といっても、警察予算というものは府県費で負担するものはどれで、それから国費で直接やるものはどれときまっておって、その款項目を自由裁量で地方の議会が勝手に動かすということはできなくなった。しかも、府県費にしても、二分の一は国の負担でいくと、こうなって参りますと、行政的にも財政的にもこれは国のワクというのが非常にきまっておるわけであります。しかし地方の負担も必ずしも少なくはなくて、基準財政需要額では、ちょうど府県の基準財政需要額のいわゆる警察費分は一五・七%に当たっておる、三十二年度決算で。必ずしも少ないことはない。しかし実体は、これは国の警察であることには変わりがない。それならばこの経費の負担分というものはもっと国が持つべきではないか。現行制度をそのまま認めるというなら、あなた方の御説明のように、いや、府県は完全な自治体警察だというならば、府県の権限というものをもっと、現在の警察法につけ加えていくべきではないか、こういう疑問を私は持っておりましたので、その点を伺っておったわけであります。長官の御所見いかがですか。
  139. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 府県警察におきまする予算の編成と申しますか、警察費について申せば、ただいま会計課長からも御説明を申し上げたと思いますが、純粋に国費だけでいくものと、それから純粋に府県費だけによるものと、それから活動費等につきましては、活動費とか施設費、こういうものにつきましては、半額補助ということに相なるわけであります。    〔主査退席、副主査着席〕 ところで純粋に伸びて参りますものは、これは明らかに府県が、いろいろと、府県警察からの要望というものはこちらで考慮いたしますけれども、国が指定したものに限られるということ  に相なるわけであります。それから府県費自体の問題は、たとえば定員ということがきめられて、定員の基準がきまりますと、大体その基準に、ほとんどは全部基準通り、あるいは基準を若干上回って必要と認めて定員をきめる県もございますが、そういうものによって純粋に県費で出すものがございますが、補助金につきましては、半額ということが基準に相なるわけでございますが、補助金とちょうど同じ額だけ出すという建前が、必ずしもこれは強制されているわけではございませんので、場合によっては補助金以上に出されることもあり得るわけでございます。しかし、何といたしましても、警察というものの性格から申して、国家的なものと地方的なものとのからみ合いがありますために、予算としても国家的な統制を相当に受けているということは、これは事実であると思いますけれども、もしこれを府県独自にする。たとえば戦前におきまする連帯支弁金制度、純粋国費以外のもので、府県で勝手に予算を組み、そしてその半額を欠損として国が負担せざるを得ないというような制度の立て方もあり得ると思うのです。そうすれば、今加瀬さんのお話のように、府県の独自性というものが非常に認められるという結果には相なろうかと思いますが、これは、一面におきましては国家の財政というものが、地方のやり方によって左右されていくという一つの懸念と、それから警察自体といたしまして見た場合におきましては、貧弱な府県においてはますます仕事がやりにくくなる。裕福な府県においては、これは警察費用というものは相当に組まれるという結果になろうと思いますが、貧弱なところにおいては、半額としても、できるだけ少なくしておいた方が、その半額で済すということになりまして、連帯支弁金制度というものも、地方自治という観点からはかなり歓迎される制度といたしましても、今申しましたような二つの難点がそこにはらまれるというようなことから、おいそれとそれに踏み切るわけには参らない。現在自治庁とか大蔵省といろいろ打ち合わせをいたしまして、現在の段階において、妥当なものとして国費半額補助、それから府県費、準府県費という三段かまえの行き方をとっているというのは、まずまず実情に即しているのではないかというふうに私は考えているわけであります。
  140. 加瀬完

    加瀬完君 行政的にも、結局上部の幹部というのは、これは全部国家公務員でありますから、警察行政の管理形態そのものも、もうそこできちんときまって、地方の議会なり地方の市長なりの意思というものが反映する余地というものが非常に制限されている。財政的にも今言ったように、一応国の予算というものがきまって、地方で組まなければならない、あるいは負担しなければならないワクというものがきちんときまっているわけですから、これも自由裁量で、地方の議会で、住民の意思だからと言って勝手に動かすわけにはいかなくなってくる、実態は。そうなってくると、行政的にも財政的にもこれは国家警察という色彩の方が強いじゃないですか。それならば、香川県かどこかに起こったように、捜査費用をおまわりさんの月給から、一応寄付と言っても天引きするような形で捜査費用を埋めなければならないようなことでなくて、そういう捜査費用を当然国でまかなうべきだ。そうでなくて、監督権は国だ、捜査費用は、地方からは自由には出せない。しかし監督権は国にあるわけだから、国家公務員にあるわけだから、それに監督されながら成績を上げなければならない。捜査費用は足りない。それじゃおれたちのポケットで出さなければ、いやいやながらも出して成績を上げざるを得ないじゃないかという結果に追い込まれる。これは財政的に非常に、私はあの問題を天引き醵出させたとか何とかという問題は、天引醵出させたとか何とかいう問題で私は追及しようとは思いません。天引きでなくても、好むと好まざるとにかかわらず、警察行政をあげようと思えば、自分たちのポケット・マネーを出して捜査費用に充てるか、あるいはそういう多くの人から醸金するのではなくて、自分自身で、一線の刑事たち、捜査官たちが、やはり自分の費用で捜査に当たらなければならないという矛盾を生じてくる。こういう行政面と財政面で、現在の警察法は現場において矛盾が生ずるような要因があるということはお認めになりますか、長官
  141. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 警察の第一線において国家警察的色彩が非常に強いというお話でございますが、先ほども申し上げましたように、警察の仕事というものは、国家的な性格と地方的な性格とのからみ合いであるので、国家的性格が入っていくということは、これは加瀬さんもお認めになることと思いますし、われわれもそうなくてはならない。もし完全に独立国的に自治体というものが、警察が動くということになれば、たとえば経済統制などについて——最近は統制が減っておりますけれども、むしろほかは統制しても、自分の方は自由にしておけば、その自治体は非常に工合がよくなるというような問題も起こって、国家的な統制の行政がうまくいかないというような問題もあるわけでございます。そのほか犯罪の態様とか、いろいろな点から、国家的な性格をある程度持たなければならないということは、これはお認め願えることと思いますが、しかし、現在の制度というものは、建前としては、あくまでも府県の警察ということでありまして、これに対して国家的にどうしても統制しておかなければならないというものを中央において握る。たとえば警察の教育が均一性を持たなければならないとか、あるいは通信施設というようなものであるとか、あるいは全国から集まります鑑識の、たとえば指紋表の収集であるとか、というようなことになりますると、これはどうしても国家的にやらなければならないということで、国家の統制はもちろんでありますけれども、建前は府県警察であり、従って府県知事によって任命され、府県議会の同意をもって任命されます公安委員会によって管理されるということに相なりますし、幹部の少数者を除いては、府県吏員ということにいたしておるわけでございます。これは警察国家性と地方性というからみ合いから、やはり現在の段階におきまして、今の程度の統制、調整というものと、それから府県自治体の独自性というものを適当に勘案した制度のように、われわれとしては考えておるわけでございます。  香川県の例をお話しになりましたが、あれは非常に新聞によって誤伝をされておるのでございまして、実は香川で捜査本部が三つも設けられるような、非常にああいう小さい県、と申してはあれですが、ああいうところでは珍らしい事態になったので、署長会議か何かの際に話が出まして、そしてみんなで協力して、全県をあげて捜査態勢を強化するという意味において、現実に捜査本部に今勤務している連中をねぎらおうという慰問の趣旨で醵出をしようと、しかも、自由意思でやろうということで、百分の一か何か出して、十八万ほど集めたということは事実でございます。しかし、十八万ばかりでそういうようなことの捜査費がまかなわれるものではなくて、これはたとえば夜食をするとか何かの、ほんとうにねぎらいの気持で全警察が醵出をしたということでありまして、県としましては、数百万の追加予算を組んで捜査費に充当している実情でございまして、国で全部がんじがらめに統制しているという問題ではなくて、たとえば施設費については、こちらからもちろん地方の要望を聞いてやるわけでございますけれども、配賦をする。そうすると府県において、とうてい今年度はこれに見合う府県費を出して施設をする力がないということで予算を減らす。そうして補助金を返還してくるというものもございまするし、また、補助金は少ないけれども、どうしてもこの警察についてはこのくらいの施設が要るということで、あるいは見合うだけ以上の予算を府県で組んでやるということもあるわけでございます。われわれとしては、やはり補助金というものを十分にとって、半額補助という建前を堅持して参りたいと思いますけれども、現状におきましても、補助金を押しつけるために困るということもございませんし、また、補助金が少ないときには、相当無理しても府県費を増額してやっておるという事例もあるわけでございまして、何から何までがんじがらめにしているという次第ではございませんので、御了承をお願いいたしたいと思います。
  142. 加瀬完

    加瀬完君 そのあとの方からもう一回質問を重ねますと、香川県の問題ですね、私は天引き醵出をさしたというようなことを問題にしているのじゃないのです。結局国の予算のワクと地方の予算のワクというものがきちんときまっておって、捜査費なら捜査費というのがワクがはめられておるわけですから、そこで結局地方の方で大幅に予算をふやさなければならない必要があっても、監督形態は国家警察みたいなことになっているわけです、実際は。自分たち自身の警察という、かつての自治体警察とは違った感覚でしか受け取らないから、なかなか自分たちの意思も自由に反映するという形はだんだん遠のいてきているのが実情ですから、そういう点で、当然必要な経費というものも地方で出し渋っている傾向があるのじゃないか。といって、国は各地方のこれから起こるところの事件まで想定して、予算を十二分に組むわけにいかぬから、香川県のような問題が起こると、捜査費用がたくさんかかる。だから国がたくさんそこへぽんと補助金を出すわけにいかぬから、そこで現場の捜査に当たっている人たちは、地方も出してくれなければ、国もめんどうを見てくれない、苦しい事態の中で捜査をしているという事態が生じている。こういうために、ポケットマネーを出さなければならないのじゃないかという問題が起こってくるということにはならないのか。これは単に香川の問題ではなくて、表面に現われないで、捜査関係のおまわりさんたちが自腹を切っている例が、私はたくさんあると思う。この人たちは住宅も与えられておらない。署長になれば署長官舎がある、交際費がある。しかし一線の人たちは、情報を取ったり、あるいは実際泊り歩いたり、あるいは交通機関で遠くを捜査したり、しかし、その費用は全部これは警察費用だけでは出し切れない面が出て、自分の財布から追加をしている、いろいろの事情というものを私は知っている。だからもっと、この香川の問題一つをとってみても、監督形態そのものが国家公務員によって行なわれているということで、この現状を認めるとするならば、地方にまかせたって出し渋っているから、もう少しそういうことに十分、完全な警察活動ができるような予算的措置を国が責任を持って講ずべきではないか、こういう点を私は長官に伺いたいと思うのです。  それからもう一つ、逆になりましたが今のように地方に負担をたくさんかけておるならば、高級幹部を除けば全部地方の公務員であるから、地方の権限というものをもっと拡大してくれ、確かに地方の仕事と国の仕事はありますよ。しかし地方の権限を拡大したからといって、長官のおっしゃるように、無差別に、まるで独立国のけんかするみたいなことにはならない。なぜならば、国の法律があるのですから、条例が地方にあったって、国の法律に違反するような条例はあり得ない、国の法律で縛られているのですから。自治体警察の権限が若干膨らんだといって、自治体同士で衝突が起こるということはないのじゃないか。しかし現状を変改するということが無理なら、もう少し国がそれだけの監督権を持ってやっていけば、国の費用というものをふんだんに地方に出さなければ、私はおかしいと思う。一五・六七%も負担をさせておいて、それで高級幹部は全部国家公務員で警察の管理というものの実権は警察庁が握っておるというようなことではおかしい。あとの方はいいが、前の方、もう少し現場の警察活動をする人たちが香川のようなことをしなくても済むような方法というものを講じてもらいたいというお願いです、この点はどうですか。
  143. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 非常に第一線の警察官に対しての御同情ある御発言で、ありがたく思うわけですが、そのためにはお話のように国費分ももっと十分にわれわれはとりたいし、地方においては国費に見合う分以下ということは今のところほとんどございません。それだけ地方の負担というものがかかっておるということに相なるわけでございますが、そういう点は、単に現在の警察制度、国と地方のからみ合いからくる警察の立て方の問題ではなくて、もっと国、地方を通じての警察について理解の深まることが根本ではないかというふうに私なりに考えるわけでございます。  それから、警察官がポケット・マネーでやることが、確かに事実あると思います。しかしこれを救済するためには、もちろん潤沢な捜査費等を出してやることが先決かと思いますけれども、そういうふうにしましても、警察官としてある程度の自腹を切るというようなことは、また熱心のあまりやるということは、これは単に財政の過不足というようなことからくるものでない部分も相当あるのではないかと思います。しかし、生活費に充てるべきものを活動費にさくというようなことは筋としてよろしくないことでありますので、予算の措置ということについては今後も十分に考えて参りたいと思います。  それからお話にありました住宅の問題につきましては、本年度から第一線の警察官のための待機宿舎というようなものを、とりあえず今年度は東京、大阪、福岡、来年度はさらに数府県にわたってやるというようなことで、逐次これも十分とは申せませんが、第一線の警察官の活動に便宜ならしめ、生活を安定させるという意味で、住宅建設の計画もいたして進みつつある状況でありますので、申し上げておきます。
  144. 加瀬完

    加瀬完君 その捜査費というものはどういう方面に使われておるのですか。犯罪捜査のほかに思想調査が問題になっておる。思想調査などあるいは犯罪予防調査ということでやるにいたしましても、新聞など報道機関のいわゆる思想調査などにもこの捜査費は使われておるのか。
  145. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 捜査費と申しますのは、旅費とかそういうようなはっきりしたものでなしに、たとえば捜査活動に伴ってある場合は聞き込みに行かなければならない。そういうときに場合によっては喫茶店などに入っていかなければなりませんが、これが警察官であるような顔をして動向を探るというわけには参りませんで、お客のような顔をして行けばコーヒーの一ぱいも飲まなければならない、あるいは逃げる人間を追尾するというような場合に、タクシーに、いきなり拾って乗らなければいかぬというようなものを捜査費に充てておるわけであります。  思想調査というお話でございますが、思想調査という内容がはっきりいたしませんけれども、単なる思想調査というようなことを警察としてはいたしておりません。犯罪に関係ある、治安維持に関係ある状況調査ということをいたすことはございますけれども、個人の思想、どういう思想を持っておるかというような意味における思想調査はいたしておりません。
  146. 加瀬完

    加瀬完君 これは参議院の委員会でも問題になったことがございますが、いわゆる情報収集のために特定の者を警察が依頼をして、ある団体の中に入れて情報をとる、私はその一人であったとかなかったというような問題もこの委員会で論議されたことがございます。それに警察官にいわゆる報償費というのか、費用弁償みたいなものを与えておる。あるいは思想調査ということをあなた方は御否定なさいますが、こういう本をあそこの青年は読んでいるそうだが、そうか、お前のところのせがれはこういう人とつき合っているそうだがどうだ、という捜査がひんぴんとして私どもの地方に行なわれたことがある。こういったものの費用というものは一体捜査費の中から出るのか。
  147. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 極左あるいは極右というような、将来計画的に危険な行動に出るおそれがあるというような者については、相当長期にわたってあるいは組織的にこれを解明しておくということが必要でございます。従ってそういう観点からいたしまする調査、捜査ということのために捜査費を使うということは、これはございます。しかしながら、一般に学生の読書の傾向であるとか、あるいは個々の人間の趣味であるとか、あるいは考え方であるとかというようなことを調査するということはいたしませんし、いたす建前になっておりません。また、そういうことに捜査費を使うということも、従って、ないわけでございます。
  148. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は長官に伺いたいことは、暴力団の取り締まりの問題でありますが、これは現岸内閣においても三大政策の一つとして一応高く取り上げられ、従って取り締まりも最近は非常に峻厳をきわめて、いろいろ盛り場なんかも相当住みよくなったように聞いておるわけでありますが、しかし、それは浜の真砂は何とかで、今の警察力を総動員してもなかなか跡を断ち切れるというものではないと思うのです。また新手々々のいろいろな名前を変えたものがあとからあとから出てくるという意味からいって、まあ、暴力団といっても政治的な素質を持っていくのもあるだろうし、いわゆるテキ屋あるいはばくち打ち、そういうような流れをくむものもあると思うのですが、大体暴力団としての取り締まり対象の人数なり団体というのは、どういうように計算されておりますか。
  149. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) ちょっとそういうことを調べた結果がございませんので、今正確に申し上げかねますのであとで申し上げます。暴力団にもいろいろの種類がございまして、これの取り締まりには継続的に強力に行なっていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。そのための一つ方法として、単に現象的に暴力行為が行なわれた、集団的な暴力行為が行なわれた、ということの取り締まりはもちろんこれはいたさなければなりませんが、先ほど加瀬さんの御質問にお答えしたように、組織的なものについての組織の解明、このチンピラはどういうつながりを持っておるというようなところまでリストを作って、組織的にこれを解明しておく。そういうフアイルを用意するということにして、何か起こればこれの背後にはどういうのがあるというところまで科学的に追及できるように、せっかく現在骨を折ってやっている次第でございます。
  150. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 昨年だったと思いますが、東京近くの一番夏の盛り場としての逗子とか鎌倉、江ノ島など御承知通り夏は彼らの書き入れどきで、良家の子女は暴力団のためにずいぶん迷惑を受けているわけです。だれかつき添いの人間がいなければ、とても女子供を海水浴にもやれぬというような状態が、だいぶ前ですが続いたわけです。ところが昨年警視庁のフクロウ部隊とか称する警察官が行かれて非常な峻厳な取り締まりをして、そしてまあ非常に成績を上げたわけですね。こういうことは単に東京に近いから行きやすいという点もあるが、しかし、このごろは山にもあるし、それからことに山中湖あたりはまあ夏季でも非常に人の集まる所なんです。山中湖畔あたりは非常に多くてバンガローあたりにどんどん押しかけてやってくるというのも、われわれは始終耳にもし、実際にも私どもの関係の者がだいぶ被害を受けておることも、事実その話を聞いておるのです。こういうのは、ただ当該山梨県なら山梨県の警察に依頼しているというだけでなく、今のような鎌倉、逗子の昨年の夏の取り締まりのような状態に、やはり警視庁なり、それからまあ主力部隊といってはなんですが、その方面から派遣をしてやるのがいいと思うのですが、これはどういう工合になっているのですか。
  151. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 盛り場と申しますか、夏などにおける避暑地等において非常に暴力団の活動と申しますか不良な行為が頻発するということは、ただいまお話通りでありまして、昨年の夏は、神奈川県と警視庁と協力しまして、大体こういうことを私申すのはなんでございますが、警察というのは、やはり自分のところで責任を持ってやるという気持が非常に強いのでございますが、最近そういう気持につきましてもだいぶ改善されて参りまして、両方とも非常に快く協力態勢を作りまして、お話しのようにかなりの成績を上げた。またわれわれとしましても単に神奈川県ということに限らず、ただいまお話の山梨県であるとか静岡県であるとか、あるいは長野県であるとか、そういう夏の時分に非常に大ぜい集まって、とかく気持よく夏を送ろうとしているのにつけ込んで、不良な者がそういうことでそこで暗躍するというようなことについて、本庁としましても、各県にできるだけそういうことについての取と締まりを厳にするように指導いたしますとともに、また、何と申しましても、警視庁管内から出ていく者が非常に多いということで警視庁におきましては、その必要に応じて地元の県と連絡をとって取り締まりに当る。最近行なわれました一例としましては、これは必ずしも暴力団なり不良グループの取り締まりではございませんが、大阪府と兵庫県との間におきまして、あそこはまあ県は違うけれども、実際生活は一体化しているような面がございますので、これは両県が話し合いまして、大阪府の警察官を一時兵庫県の警察官に任命する、そして兵庫県の警察官を同数だけ大阪府の警察官に任命して、これは盛り場と申しますか、そういう所に配置をする。そうすると、兵庫県から大阪に流れ込んで悪いことをしているような者をつかまえやすくする。また、大阪から兵庫に流れ込む者もつかまえやすくするというようなやり方をいたしておって、逐次、こういうことは時期的にはもちろんでございますが、制度的にも交流人事というようなことが行なわれ、また応援態勢というものもできていくのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほど御質問のありました団体数と個人人数でございますが、大体団体が大小取りまぜまして六千くらい、それからその人数が約十二万というふうに考えております。
  152. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 団体数か六千、人数が十二万人というのは大へんなことなんで、従って、強窃盗というようなことはすぐに届出をして、そして警察の捜査を仰ぐということは常識なんですが、えてして暴力団行為というものについては、やはりあとの仕返しとかなんとかいうものをこわがるような、またいやがらせを行なうので届けない者が実に多い。ですから、警察庁関係で検挙をしておるおそらく何倍か何十倍かというものが、実際問題としては犯罪が行なわれているわけなんで、そういうわけで今団体が六千、人数が十二万というものを聞いただけで大体そこは想像しておるわけです。そこで、どうなんですか、昔はよくそういった暴力団的な団体に対して刑事が始終内偵していた、それからあるいはまた内偵するについては、いろいろ技術的な関係があるから懇意にもなるだろう。従って、予防的な措置というものが始終行なわれていたのですが、今、そういう点については、何といいますか捜査費等を相当出して、そういう点はどうなっておるか、やられておるかどうか。
  153. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 先ほども申し上げましたように、暴力団の取り締まりということは、私ども警察一つ重点事項として取り上げておりまして、長期継続的にこれをやっていくということを考えておるわけでありまして、先ほども申しました組織的な解明というようなことに力を入れておるわけでございます。ただ、非常に古く警察において行なわれましたように、親分を手なずけておいて、そうしてその子分で悪いことをした者を取り締まる、あるいは悪いことをした者が隠れ場として逃げ込んできた者を密告させるというような意味において、暴力団を懐柔するということはいたしておりません。これはそれによって起こるプラスよりも、そういうことによって暴力団を黙認すると申しますか、より大きな犯罪というようなものを誘発していくというようなことにも相なりますし、警察自体がそういう不正な者との、どんな形にいたしましても縁を持つということは、警察自体を腐敗させるということにも相なりますので、そういうやり方はやっておりません。しかしながら、別な方法で、今も申しましたような組織的な解明、同時に、盛り場等においては、従来数名で勤務しておるよう派出所の形を改めて、数十名の勤務をとるというような、いわゆる大派出所制度というものを考えまして、やはり目を常に光らせておるということを十分すると同時に、また、裏の組織についても、できるだけ巧妙な方法による解明ということをやっていく、そうしてその事象というものについては、厳正に取り締まりをしていくというふうに考えておるわけであります。  ただ、お話にもありましたように、確かに暴力団の行なっておる犯罪、あるいは犯罪に至らないまでも忌むべき行為というものは、表面に出たものよりも数倍するものであろうと私どもも考えますが、これは一つには仕返しをおそれてあれする、そういうことが確かにございます。しかし、これにつきましては、警察といたしましても、できるだけおそれずに協力してもらう、もし仕返し等をするような者については、また厳正に取り締まる、一度これを検挙して処置をしたから済ますということでなしに、あくまでもそのあとまでこれを注視していくということで、まず警察が徹底してやるのだという信頼感を市民の人に持ってもらう、こういうことが大事であろうと思います。  もう一つは、これは私どもの言うべきことではないと思いますが、現在の訴訟の手続が非常に長くかかり、なおまた判決というものがわれわれの期待するほどに重くないわけであります。従って、ちょっと行ってくると出てくる、そうしてそれはまたチンピラ仲間の間では箔がつくというようなことにもなりますので、こういう点がだんだん訴訟の手続なり、あるいは裁判の課刑の問題なりということについても、われわれの希望するところは、もっと敏速峻厳であるべきではないかというふうに考えておりますが、警察でできる面につきましては、ただいま申し上げましたように、長期継続的に強力に取り締まりを実施し、市民の方が積極的にこれに協力していただくという態勢を望んでおる次第でございます。
  154. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから今御報告団体数六千、この中には最近政治結社をした暴力団というものもおそらく含まれておるだろうと思うのですが、これは単なる暴力団の団体としてあなた方がごらんになったのと違って、ある特定の政党の院外団的な行動もやって、そういう面から圧力というと語弊がありますが、あなた方の仕事もしにくいというような圧力をかけておる面もあるやに聞いておるのですが、そういう団体はこの六千の中に相当あるのですか。
  155. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 私ども暴力団としてとらえておりますものは、現実にある組織をもって、そうして暴力行為等市民に対しての犯罪等を犯すおそれのある団体ということでとらえておるわけでございまして、これがどういう思想を持ち、あるいはどういう政治団体とつながるというようなことについては、これは私どもの一応関心の外にあるわけでございます。また現在警察として私の聞いている範囲におきましては、そういう政治結社を作って、ある政党との関連をもって相当の大物の政治家がうしろにおるために取り締まりにくいとか、あるいはそういうものが取り締まりにくいのみならず、そういうものに圧迫されるというようなことは、少なくとも私は事例を聞いておりません。ただ申し上げました約六千の団体の中には、おそらくそういう結社の一部は入っておるのではないかと思います。
  156. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それからいま一つお伺いしたいのは、これは検察庁に伺った方がいいと思うのですが、しかし検挙とか何とかということになると、やはり警察がおやりになると思うのですが、俗にあそこの言葉でお礼参りということがあるのですね。今長官お話通り、われわれでも実にあれだけのことをやって、何で一体あんな軽い犯罪で済んできたのか、入ったと思うとすぐ出できたというようなそういうのが非常に多い。そうしてなおかつまた再びお礼参り的なことをやってそうして検挙される。これが相当な数に上っておるのじゃないか、実際問題として。
  157. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 統計的に私もちょっと申し上げかねますけれども、先ほど申しました仕返しというに至らぬけれども、すごみをきかせるお礼参りというものはやはりあとをたっていないようでございます。しかし、これも数年来強力にこの取り締まりを進めておりまするし、市民に対しての協力の呼びかけもいたしておりますので、一時よりはだいぶ表面的ではなくなってきておるのではないかと思いますが、要はこういう組織的な暴力団、不良グループというようなものの撲滅というものにつきましては、警察が力を入れなければならぬことはもちろんでございますけれども、市民がやはり組織的に積極的に協力をして下さると、もしそういうお礼参りでもあれば、さっそく言って出ていただくというようなことによって、いわゆる町ぐるみ運動と申しますか、そういうようなものができて、それと警察の取り締まりとタイアップして、初めて成果をあげ得るものではないかと思いますし、われわれとしては警察の取り締まりに加えて、警察の市民に対するそういう呼びかけに力を注いでいる次第でございます。
  158. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そこで今お話の町ぐるみ協力という問題なんですが、これは私は新聞以外に知らないのですが、ときおり新聞紙で盛り場である浅草とか新宿等で町ぐるみ一緒になって、そうして警察と協力して暴力団を一掃して明るい町を作りたいという運動が、よく新聞で報ぜられているのですが、あれはずっと続いてやっておられるのですか。あるいはまた途中で今のようにすこみをきかされて、最初はえらい勢いだったけれども脱兎のごとくに雲散霧消するというような形になっておりますか。それともずっと続いておるという例があるのですか。
  159. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 私も、警視庁管内でそういう町ぐるみ運動というようなものが行なわれているということを聞いておりますが、その後の状況を正確には存じませんが、おそらくああいうふうにして行なわれたのであって、相当の運動が行なわれれば相当の成果を上げる。成果を上げればますますこれが広がっていく趨勢にあるのではないかと思います。また、そういうものと関連をもって、警察も先ほど申しました、大派出所制というようなものをとって、これと協力し合っていくという体制をとっておりますので、おそらくよい方向に向かっておるものと存じますが、これはまた警視庁等についてさらに精細に調べてみたいと思います。
  160. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そこで、今お話しの通り、町ぐるみのバツク・ボーンというものは結局、警察が絶えず連絡をして、そうして何が来ても安心して遂行できるというような体制を常にとっていってもらわぬと、なかなかできないと思うのですが、それはぜひ一つ、またついでのとき長官からでも説明をしてもらいたいのですが、それから同じ暴力の中に学生、これはテンプラ学生もあるかもしれませんけれども、学生の暴力行為で学生同士に対して与えるものが非常に多いのです。たとえば、一つの私鉄の線がありますと、ここにAという大学がある、それから同じ二つばかりの駅にBという大学がある。大学のクラスと言っちゃ何ですが、Aのクラスというものは非常に一流のクラスの学校である。Bは必ずしもそうはいかない。それが始終学校に行くときに一緒になるわけですな。それでこのつまり二つの大学の学生の中に行なわれる学生同士の、ことにつまりAの大学に対してBの大学が行なう暴力行為というものが非常に多いのですね。これは学生同士ですから、多少殴られたりおどされたといっても一々そんなものは警察に届けないのですね。これは私の経験した何なんですが、私も子供を二人同じ大学に出しておる。これは相当スポーツもやりかなり何なんですが、向こうは本職的なグループのB大学で、この連中に二人とも、一人は横浜のスケート揚でやられ、それから弟の方はこれはアイスホッケーの選手なんかをしていたものですから、スケートが上手だ。これは後楽園でいわゆる眼通し、お前の目が気にくわないとかタイプがどうだとかいうので、それで誘い出されて後楽園の入口でだいぶやられた。兄貴の方が横浜でやられるときには、目のここのところをだいぶ切りまして、相当傷がついたわけでありまして、だけれどもこれは学生同士だからと思って問題にしなかった。しかし、弟の方がやられたときに、これはどうも単に私の子供ということで済ます問題でないものですから、一ぺん後楽園の状況というものはどうなっておるのかと思って、そうして警視庁へ行って、そうして暴力団係りの人と会い、それから本富士の警察へ行って、係りの刑事の人に連れていってもらって、そうしてある時間を後楽園の視察をしたことがあるのです。なるほどその雰囲気というものは私の想像した通り出ているわけです。こういう学生の行なう暴力行為というものは、それは今お話しの通り、テンプラもあるし、ほんものもありましょうけれども、これは届けないやつが非常に多いのですね。こういうものは同じ暴力団の本職の取り締まりと違って、何らか特別な保護指導という面もありますから、必ずしも本職の暴力団を取り締まるようなわけには取り締まる方としてもいかないと思いますけれども、特にそういうことについてはどういうような取り締まりをやられておるのか、その点参考一つお伺いしたい。
  161. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) まあ大学で高学年の者になりますれば成年者が相当おると思います。そういう成年につきましては純粋に刑事事犯としてこれは取り締まって参る。ただ、事情によって届け出がないということで、警察が関知しないものも相当あると思いますが、警察の関知する限りにおいては、学生であろうとそうでなかろうと刑事事件として十分に取り締まる。また少年につきましてももちろんこれは刑事事件として取り扱うわけでございますけれども、例の少年法の関係がございまして、家庭裁判所等が関与する面が非常に多いわけでございます。最近の犯罪の傾向を見ますと、大体戦後非常にこの生活の窮迫ということから窃盗がふえて、二十六年ごろまでずっと上がって参りまして、それから犯罪の一般の件数というものはずっと減りまして、それから三十年くらいからまたすっとふえて上昇の一途をたどっておるわけでありますが、特にそれから一年か二年おくれて少年犯罪が同じやはりカーブでより急激なふえ方、まあ一時これも減っておりますが、三十一年ごろからまた非常にふえておる。しかもそのふえ方が二度目の山を作ったときは、窃盗はあまりふえないで凶悪犯がふえており殺人、強盗、強姦、傷害、脅迫というような暴行脅迫というようなものがふえてきている。これはおとなについてもそういう傾向がございますけれども、子供において特に顕著であるということが言えると思います。これはだから単に経済の窮迫ということでなしに、むしろ経済がある程度安定してきた時期において犯罪がふえているという異常な状態を作っているわけであります。しかもそれが少年に非常に顕著に出、しかも最近は少年の中で低い年令層にこれが顕著に現われてくるということで、私は国家の将来のため非常に由々しい問題だと思うわけでございます。  まあ原因もいろいろございましょうけれども、これについて警察としましてはやはり環境の浄化、まず家庭につきましては親のしつけということに期待したい。それからまた小学校、中学校等におきましては教師が教師らしくほんとうの意味の、正しい意味の公徳心の養成というようなことに努めていただきたいと思いますが、この家庭、学校がもちろん中心になりますけれども、一般社会もこの少年層を刺激の強いものによって悪に導いていく要素が非常に多いと思うのでありまして、こういう社会環境の浄化というようなことに特に努めて参りたい。もちろん犯罪は犯罪としてそれぞれの手続によってやりますけれども、その前にその前提としてやはり少年を悪化させる条件というものをできるだけ克服していかなければならぬ、ということで警察では力を入れて参っておるわけでございまするし、また内閣におきまして、青少年問題協議会等で関係各省の次官級の者が集まってやっておる。よりより相談いたしておるわけでございますが、警察として最近とりました方法としては、例の深夜喫茶の禁止というようなこともその一助になろうかと思って昨年やったわけでありますが、この問題は特に少年——将来の日本をになう者についての問題でありますので、警察としても慎重に、また警察官に対してもそれに必要な能力というものを与える教養の面というようなことについても、少年の取り扱い方というものは、一般の犯罪とまた別個な面も考えなければなりませんので、そういうことに努力をいたしておる次第であります。
  162. 村山道雄

    ○副主査村山道雄君) 他に御質疑もないようでありますので、国家公安委員会に関する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 村山道雄

    ○副主査村山道雄君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  164. 村山道雄

    ○副主査村山道雄君) 次に行政管理庁議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。    〔副主査退席、主査着席〕
  165. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 一、二点お伺いいたしたいのですが、この行政監察をおやりになって、そのいわゆる指摘せられた事項なんですが、それの最近年度の指摘事項の処理状況について何か書いたものがあったら一つ承りたい。
  166. 原田正

    政府委員原田正君) 行政監察の結果に基づきまして勧告いたしました事柄に対して、必ず相手省庁から回答を得ているわけであります。回答はおおむね各省庁から勧告後三、四ヵ月くらいにそれぞれに対しまして回答が入っておるわけであります。そのほか現地的に解決が可能だ、こういうふうな事柄につきましては、現地の各行政監察管区あるいは地方の行政監察局におきまして、それぞれ相手省庁、出先機関等に連絡いたしまして、それを通じて改善するようにこういうことを措置を求めているわけでございます。従いましてこの勧告に対しまする措置の回答は、それぞれそのたびごとに出ておるわけであります。そういうものを統計的に集めるということは、昨年末一昨年末等におきまして勧告した事項のうちどれだけが実施をされたか、こういうふうな件数的に調べておったわけであります。それらの状況につきましてはこれは一昨年、三十三年の十二月に、それまで勧告した事項についての改善状況、あるいは現地におきまして、私どもでは所見表示と称しておりますが、相手方に改善を求めた事項についての実施状況、こういうものを把握しております。その数字を申し上げますと、三十三年の十二月の調査におきまして、それまでに回答のありました二十二の監察の項目につきまして、勧告しました事項通り改善されたものが二百六十七件、七〇・八%。それから一部改善されたものを含めますと三百三十五件で八九%というような数字になっております。また管区や地方の行政監察局が現地で行なった改善の所見のうち、個々の不当事例等についての改善状況をみますると、その指摘件数八千百四十九件のうち改善されたものが七百八十件、まあ大体九六%が是正されている、こういう数字を得ております。昨年暮の状況につきましては私どもといたしましてただ単に件数だけで把握するのでは不十分ではないか。こういうことで改善された事例、どういう勧告に対してどういうふうな改善をされたか、その事例を集計しておりまするが、これは相当量が多くなっておりますので、いまだ完全に数字として集めているものはございません。大体におきまして勧告しました事項の六〇〜七〇%勧告通り実行されており、さらに一部改善した分を合わせますと七〇〜八〇%は改善されているという数字が出る今見通しでございます。しかし勧告事項によりまして非常に大きな問題点、相当改善に時日を要する点、あるいは予算をふやさなくちゃならぬ、あるいは人をふやさなくちゃならぬ、そういうようないろいろな問題点があります。そういうようなものになりますと、直ちに改善するということはむずかしい。従ってそれらについては、相当の時日を経て着々と改善の措置を講じていくということの必要なものが多いのでございます。そういうふうな見地にかんがみまして昨年来勧告に対しまして回答を一応受けます。その後大体半年くらいたった後において、その後どういうふうな改善措置がとられたか、そういうことをさらに再調査いたすという方法を講じておりまして、これにつきまして最近それらの報告が集まりつつある状況でございます。
  167. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから、問題によっては相当会計検査院と重複するような問題点も出てくるだろうと思うのですが、この会計検査院とのそういった連絡というものはどうされておるのですか。
  168. 原田正

    政府委員原田正君) 会計上の不正、不当等の問題と申しまするのは、おおむね現地的な問題で是正を求める。こういうふうな措置でおおむね解決されておる。しかし中央におきまして相手省庁に改善を求めなくてはならぬ、こういうものにつきましては、そういう事例を示しまして相手方に自発的に改善を求めていく、そうしてその結果を報告してもらう、こういう措置をとっておるのでございます。行政監察の性格から申しまして、会計検査院にその内容を個々的に通報するという建前を実はとっておらない次第でございます。
  169. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから、これは質問の観点が違うので大いに行政管理庁を私は高く評価する質問になるわけですが、昨年の伊勢湾台風のときにあたって、名古屋局からあの伊勢湾台風をある程度予想して、そうして各官庁に勧告をされたということを聞いておるのですが、これは私はその文を見たわけではないのですが、その事実を風水害対策特別委員会のときに政府当局に聞いたところが確かに出した。それからこれについて私は総括質問のときに政府の所見を求めたときに、自治庁長官からまことにそれを無視して申しわけないという意味の答弁があったのですが、これは何ですか、行政管理庁としてその中に気象台があるわけでもないし、これはどういうような形をとられて勧告をされたのですか、その点の事情がおわかりでしたら参考にちょっと私は聞きたい。
  170. 原田正

    政府委員原田正君) 大体今お話の監察の状況について申し上げますと、ちょうど伊勢湾台風が起こりまする一ヵ月足らず前に、昨年の一月から三月までの間におきまして、愛知県における水防対策並びにその水防活動の状況というものの実態の調査をやったわけでございます。これは関係機関の協力を求めまして、将来の対策に資するという意味におきましてそういうものを明らかにしよう、こういうことで調査いたしました。その結果が今申しました伊勢湾台風の起こりまする一ヵ月前ほどにまとまったわけでございます。そうしてその結果について報告書を作成いたしまして、関係機関にその状況説明し、善処を求めた次第でございます。ところが思いもよらず一ヵ月後にああいうふうに大きな台風が発生しました。そういう関係がありまして、事実上は私どもの調査して出しました結論——改善を要する諸点、それらについての是正が行なわれないうちにあの伊勢湾台風が発生、勃発した、こういうことになった次第でございます。そういうふうな事情でございますが、私どもといたしましては、伊勢湾台風がありました後におきまして、さらに台風の発生前後における状況また発生後におきまする各官庁のとりました措置、そういうものを十分に調査いたしまして今後の台風災害に対しまする恒久的な対策の樹立に資したい。こういう意味で名古屋管区並びに三重地方局、これの全体を動員いたしまして伊勢湾台風の、今申し上げましたような災害の原因とか、前後における各官庁の措置とかその後の復旧作業とか、そういうものの実態を把握しておるような次第でございます。こういうふうな結果に基づいて近く大体五月ころまでにはそれらの総合報告書ができ上がる。そのでき上がったものをもって、各官庁等にも必要なものにつきましては、具体的に実行可能だ、そういうようなものにつきましては勧告もするし、今後の対策上検討を要する、こういうものにつきましては、通報しまして、恒久対策の樹立等に資していきたい、かように考えておるのでございます。
  171. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それは時間的な問題で、三月や四月で高潮対策の堤防ができるものではない。だが御承知通り、一瞬にして数千の人命を失うような未曽有の大台風であったわけなんですが、少なくともそのあなた方の勧告をある程度までいれて、そうしてその心の準備をしておるならば、私はあれほどの災害が、一瞬にして、ことに人命の問題ですが、何か防げたのではないかという感じを持つわけです。従ってまあ、ある意味においては私は全然無視したとは言わないけれども、せっかくのあなた方の勧告というものに対してかなり無視したというか、重要視しなかったという点がわれわれに、現地を見て、また現地の人たちにいろいろ聞いてもそういう点は、これははっきりあるわけです。そこで、石原自治庁長官の弁明を聞いてもその点は私どもうかがえるわけなんです。こういうまあ勧告に対してそういうような無視しあるいは軽視したということについて、さらに一つ強い大きな勧告を与えたということはないのですか。ただそのまま出しつぱなしで、あの現状というものを見たままで、何らその後に、何かこの問題について手を打たれたということはないのですか。
  172. 原田正

    政府委員原田正君) 私どもの勧告しました事項の中に、ほかにちょうど、やはり八月ごろ私どもが気象行政の監察をやりました。その結果としまして、台風等の予警報等の発令が的確に行なわれておらぬじゃないか、こういうふうな問題について、これは気象庁に勧告をいたした次第でございます。これについて気象庁としては、私どもの勧告を十分に取り入れまして、応急に会議を開き、対策を指示する、こういうふうな措置をとりました。それが伊勢湾台風の場合におきまして的確に効果を生じまして、伊勢湾台風の場合におきまする、台風あるいは高潮等の予警報についての気象庁の措置というものはほとんど完璧に近い程度のものだった。こういうふうな私どもの勧告の結果というのはそういう点にも現われておるわけでございます。しかし今お話になりました愛知県におきまする水防体制等の調査についての結果について、それが必ずしも重視されなかった、勧告通り行なわれていなかった、こういう点については、先ほど来申し上げました通り、さらに現在十分な総合的な監察を実施しております。その結果によって、前の実態調査の結果あるいはその前に起きました静岡におきまする災害の監察の結果、そういうものをすべて取り入れまして、強く各省庁に勧告あるいは所見の提示、こういうものをいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  173. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ちょっと私一つだけ。行政管理庁所管だと思うのですが、定員法の廃止とかワクをはずすということは、今どんなことになっておりますか。
  174. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 定員法の廃止の問題につきましては、現在の定員法は運用上非常に過去十年間の経験から見ましても、困難がある。それは定員法自体に欠陥があるということが政府部内でも非常に論議されておるわけでございまて、定員管理の方法といたしまして、現在のような定員法という制度は必要はないのではないか、こういう大体の結論には達しましたけれども、しかしこれをただ廃止しっぱなしではいけない。廃止した後における、従来定員法があることを前提にしていろいろ取り扱って参りました事務がございますので、それらをどういうふうにすればよろしいかというふうな点について、少し時間をかけて事務的にも検討いたしたいということで、実は一応の目標を三十六年度から廃止しよう、それまでに廃止した後の処置を十分に検討しようということで、実は本日の閣議でさような了解をしていただいたような状況でございます。
  175. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 現在の定員法をはずしてしまいますと、あと予算関係だけですか、定員を縛るというのは。ほかにやはり何かこれにかわる法律か、あるいは行政的な措置でしょうか、はずという場合には、何かこれにかわるべき制度というものを考えなければならない。どういうことを考えていらっしゃるのですか。
  176. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 現在定員を規制いたしておりますものといたしましては、予算で規制をいたしますほかに、人事院規則で定めます級別定数というもので、これは等級別に数を押えております。定員法の方は全体のトータル・ナンバーを書いてあるだけでありまして、精密度から申しますと非常に粗雑なものになっておるわけであります。予算で総ワクを金額的にしばりますと同時に、級別定数というものがあります以上、定員法というものはなくてもよかろうと一応考えられるわけでございます。しかも従来の人事管理の実際といたしまして、定員の内外というもので、いろいろ事実上の取り扱いを変えております。それらについて何らか定員法できめておったような性格のものがほかの方法で必要かどうか、これは実は必要だという意見も一般的にないのでございますけれども、しかしともかく検討の中にはそういうことも含めていこうことにいたしております。
  177. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) そうしますと、定員職員と定員外職員ですね、この関係は定員法をはずしてしまえば全部なくなるものですか、それともやはり級別定数というようなことでワクがあって、定員の中の人と定員の外の人というものは現在のような状態で残ってゆくもんでしょうか、それが一つと、もう一つはそういたしますと、この国会には定員法廃止の法律案というものは出ない、次の国会というふうに了解してよろしいんですか。
  178. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 定員法を廃止いたしましても、それだけでは……現在の定員内職員については予算の立て方を変えております、目が違います。さらにそのほかにございます定員内職員は職員給与、それからそのほかに常勤職員給与それから賃金職員給与がございます。中には事業費などで職員費として事実上使える費目もあるわけです。その取り扱いの方をどういうふうに変えるかということが一つの研究問題でございます。定員法をなくしただけでは今の点についてはただちには解決しないということでございます。もう一つは、任用の制度が現在定員外の職員は二ヵ月以内の任期雇用になっております。二ヵ月以内の雇用をする者につきましては、いわゆる任用制度の試験制度というものを適用しないことになっておりますので、そういう点をどういうふうに取り扱いをするかという問題が残されておりまして、現在定員法をはずされただけでは、定員内職員と同時には扱えない、資格を持っていない職員というものはあるわけでございます。それから定員法は一応政府といたしまして三十六年度廃止を目途として作業をいたすことにいたしておりますけれども、成案ができるまでは現行制度のままでゆくつもりにいたしておりますので、今国会には廃止の案を出す予定はただいまのところございません。
  179. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 他に質疑がないようでございますから、行政管理庁に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないと認めます。  明日は、午前十時より開会し、裁判所及び法務省に関し、審議を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十七分散会