運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-23 第34回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十三日(水曜日)    午前十時三十三分開会   ————————————— 昭和三十五年三月二十二日予算委員長 において本分科担当委員を左の通り指 名した。            泉山 三六君            小林 英三君            小柳 牧衞君            斎藤  昇君            一松 定吉君            村山 道雄君            秋山 長造君            加瀬  完君            松澤 兼人君            大竹平八郎君   —————————————  出席者は左の通り。    主査      松澤 兼人君    副主査     村山 道雄君    委員            小柳 牧衞君            斎藤  昇君            一松 定吉君            秋山 長造君            加瀬  完君            大竹平八郎君   政府委員    宮内庁次長   瓜生 順良君    皇室経済主管  高尾 亮一君   事務局側    管 理 部 長 佐藤 吉弘君   衆議院事務局側    庶 務 部 長 知野 虎雄君   裁判官弾劾裁判所事務局側    事 務 局 長 隈井  亨君   裁判官訴追委員会事務局側    事 務 局 長 小林 健治君   国立国会図書館側    副  館  長 岡部 史郎君   説明員    会計検査院事務    総長      大沢  実君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選昭和三十五年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————    〔年長者小柳牧衞君仮主査となる〕   —————————————
  2. 小柳牧衞

    ○仮主査小柳牧衞君) ただいまより、予算委員会第一分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条により、年長者のゆえをもちまして、私が正副主査選挙管理をいたします。  これより正副主査互選を行ないます。互選は、投票によらず、便宜、選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小柳牧衞

    ○仮主査小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。  それでは主査には松澤兼人君、副主査村山道雄君を指名いたします。    〔松澤兼人主査席に着く〕
  4. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 皆さんの御推薦によりまして私が主査を勤めることになりました。まことに不なれなものでございますけれども、御協力をいただきましてこの分科会の運営を行なっていきたいと存じます。  審査に入る前に、議事の進め方についてお諮りいたします。本分科会所管は、昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費国会裁判所会計検査院内閣、総理府のうち防衛庁、調達庁、経済企画庁、科学技術庁を除きました部分、及び法務省所管並びに他の分科会に属しないものを審査することになっております。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  5. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 速記を始めて下さい。  主査の方で作りました審議日程案をお手もとにお配りしてございますが、その通り進行することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより昭和三十五年度予算中、皇室費及び宮内庁費を議題といたします。まず説明を求めます。
  7. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) 昭和三十五年度皇室費歳出予算につきまして、その概要を説明いたします。  本歳出予算に計上いたしました金額は、四億七千四百七十八万五千円でありまして、その内訳は、内廷費五千万円、宮廷費四億一千百二十八万五千円、皇族費一千三百五十万円であります。  これを前年度歳出予算に比較いたしますと、内廷費及び皇族費につきましては、前年度と同額となっておりますが、宮廷費におきまして一千九百三十六万二千円の減少となっております。  次にそのおもなる経費につきまして、事項別に申し述べますと、内廷費は、皇室経済法第四条に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上いたしております。宮廷費は、内廷費以外の宮廷において必要な経費を計上いたしたものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費約二千四百万円、その他皇室用財産管理等に必要な経費約三億八千七百万円であります。皇族費は、皇室経済法第六条に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって、計算した額を計上いたすことになっておりますが、本年度は、秩父高松三笠の三宮家に必要な経費を計上いたしております。  以上をもちまして、昭和三十五年度皇室費歳出予算説明を終ります。  よろしく御審議あらんことをお願いいたします。
  8. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 宮内庁につきましては、特に御説明するほどのものはないということでございます。これより質疑に入りたいと思います。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  9. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 その前に、御出席の方はどなたとどなたですか、ちょっと……。
  10. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 政府委員といたしましては、宮内庁次長瓜生、それから皇室経済主管高尾、御両名の方でございます。
  11. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 最初にお尋ねいたしたいのでありますが、これは私ども新聞で拝見する以外には全然わからないのでありますが、たびたび国会でも問題になっておるのでありますが、皇太子さん並びに妃殿下外遊の問題が新聞に出て、たびたび掲載されておるわけですが、これはどの程度まで一体本ぎまりになっておるのか、それからもしおいでになるとすると、どことどこをお回りになるか、あるいはまた日時としては宮内庁として大体どの程度の目安をつけておられるのか、この点をまず伺いたい。
  12. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇太子殿下並びに同妃殿下の御外遊のことでございまするが、本年度において、今話題になっておりまするのは、一つアメリカ訪問の件でありまするが、これはことしがちょうど日米修好百年祭になるというので、その百年祭の機会アメリカから大統預が六月ごろにこちらへ見えますと、日本からは、アメリカ側としては皇太子並びに同妃殿下をお招きしたいということを言っておりまするので、それで、本年度中にアメリカを御訪問になるということをおおむね予定いたしておるわけであります。その時期の問題につきましては、今アメリカ側と、外務省を通じて相談をしてもらっておりまするので、まだ確定はいたしておりませんのですけれども、大体はこちら側としては、秋の方がよろしいというふうに希望しております。これは妃殿下が先日御出産がございまして、この御出産、並びにこのお生まれになりました親王殿下に対するお乳を妃殿下御自身でおあげになっていくことを考えられておりますので、母乳の関係などを考えますると、あまり早い機会でありまするとその点で支障がございまするので、まあ秋に入ればよかろうということで話をしております。アメリカ側からは、まだそれに対するはっきりした、それじゃいつごろがいいという返事はございません。これはアメリカ側の御都合もあって、大統領の御都合の悪いときに行かれても親善訪問の実が上がりませんので、大統領の御都合を聞いておるわけであります。まあ多分秋のどこかの時期を大統領の方で都合されるようなふうに今一応察しておるわけでありまするが、そのどの時期ということはまだ返事がございません。なおその他今日までわが国へ外国の元首の御訪問がだいぶあります。エチオピアの皇帝、イランの皇帝、それからインドの大統領、それからインドネシアの大統領、フィリピンの大統領、こうした元首訪問がありまして、そうした国におかれても、かねて皇太子殿下おいでになることを希望されておるむねをわれわれの方に伝えられておるわけであります。この点については、実はその希望はだいぶ前からありまして、実を言いますと、昨年の秋ごろ、場合によっては、そういうような御希望がある国全部一ぺんにというのも期日が長くなるから、まあある期間ということで考えてみようかということで計画を内に進めたのでございますが、ちょうど御妊娠のことがございまして、それではおそろいでおいでになることはむずかしいということで、それを一応延期いたしたのであります。そのことは今年に、まあ御健康並びにお生まれになった親王殿下との関係などを考えて、まあ秋ならばよかろうということが考えられるわけであります。で、そのどの国を御訪問になるかということは、まだ確定はいたしておりません。しかし、今まで元首が見えましたところ全部を一ぺんにということではなくて、そのうちの半数ぐらいの国をこの秋にでも御訪問になったならばよかろうかというようなふうのことを一応いろいろ——まあそれは関係の国とも実は内々で少しお話を現在したりしておるわけでございまするが、まだきまっておりませんので、従って時期は、どういう時期にどこの国とどこの国というふうにまだはっきり申し上げる段階にきておらないのであります。おいでになります期間関係は、アメリカの方の先方の御都合もありましょうし、そう長い期間ということも、こちらにもいろいろ事情がございますので、まあ一週間か十日ぐらいのところを考えたらどうかということを考えております。その他の国についても、何カ国かをお回りになるのもそう長い期間でなくて、全部合わせて一カ月以内がいいんじゃなかろうか、これもまだ確定いたしておりませんが、そういうようなことを考えております。
  13. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そういたしますと、今回は日米修好百年祭という問題と、それからアイゼンハワー大統領の訪日、こういう問題がありますので、まずアメリカを中心にされておいでになるということのようでありますが、今お話の中にございましたが、各国の元首皇帝が時折おいでになるということにつきまして、また答礼の立場からおいでになることもまことにけっこうなことだと思います。ことになるべく世界の状況を広い視野で見ていただくという点におきましても、私ども非常にけっこうなことだと思っておるのですが、そういたしますと、これは相当の長期計画としてこの御渡航のことが宮内庁において立てられておるわけだと思うのであります。今お話通り、そう長くもおいでにならないといっても、行先というものは非常に多いように思うのでありますが、何か何年計画というような、そういうものの構想宮内庁としてはお立てになっていると思うのでありますが、それをお差しつかえない限り御説明願いたい。
  14. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇太子殿下の御外遊の何年計画というようなものはまだできておらないのでございます。ことしはどこ、来年はどこ、再来年はどこという、そういうふうな、はっきりしたものはできておりませんが、しかし、なるべく早く御訪問になった方がよろしい国があると思いますので、そういう国は、あるいは来年、あるいは再来年とか、あるいは日本のこちらの事情先方事情、両方を合わせまして、そういうような時期に計画を立てる、そういうふうな、ばく然としたようなことを考えております。
  15. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、御説明の中にありました宮廷費の約一千九百三十六万円、この減少はどういうことになるのですか。
  16. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) いろいろ減増の要素が錯綜いたしておりますが、大体において結論的に申しますと、昨年度皇太子殿下の御成婚がございまして、その御成婚の祝典その他の費用といたしまして約千九百万円予算をいただいておりますが、それが皆減になったというふうにお考え下さってけっこうだと思います。
  17. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私ども時折参内いたして皇居内を拝見いたしまして、だいぶ荒れておるようなところが多いし、ことに戦災受けた打撃が相当ひどいように思われるのでありますが、これに対して旧建物復旧とか、あるいはまた新しい視野に立った建物の必要とかというようなものがいろいろあるのじゃないかと思うのでありますが、そういう点について何か宮内庁の御計画がございましたらば、この際承っておきたい。
  18. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) ただいま仰せになりましたように、戦災受けまして以後現在格段なことはいたしておりませんで、不体裁にならない程度手入れをいたしておるわけであります。実はここ数年来皇居造営の問題が世論となって参りまして、昨年におきまして皇居造営審議会が設置されまして、皇居造営方針について御答申がございます。その結論に基づきまして、三十五年度と三十六年度でございますが、皇居造営について準備費用計画いたしております。順調にいきますれば、三十七年度以降において皇居造営の実施に取りかかりたいというふうに考えております。  それからお住居の方でございますが、お住居の方は、やはり戦争中にお建てになりましたものに現在一時的にお仮住居になっておるわけでございますが、これは三十五年度及び三十六年度二カ年にわたりまして、今のお住居に付属いたしまして、お住みよい簡素なお建物をお作りしたいということで、その第一年度経費が約一億円計上されておるわけでございます。  それから皇居東側に現在所在しております土地でございますが、これは現在は大部分大蔵省管理になっておりますが、これも手入れその他将来の計画考えますと、現在の状況では不便でございますので、近い将来に宮内庁の方へ大蔵省から所管がえを受けまして、これは皇居造営審議会結論にも、御答申にもございましたので、将来は皇居に付属する庭園として整備して、皇室の行事にさしつかえない限り一般市民の利用に供し得るようにしたいということで、この方も先ほど申しました準備計画の中に繰り込んでありまして、三十五年度から庭園整備計画を始めることになっております。  大体大きな点は以上であります。
  19. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうしますと、ただ戦争前にあった建物復旧するということではなく、新しい構想の上において——あるいはまた戦争前の旧建物復旧もあるし、それから全然新しい構想でおやりになる、こういう両者を含めておやりになるわけでございますね。
  20. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) さようでございますが、むしろ新しい構想で全部考えていきたい。こういう建物復旧というような意味は現在のところほとんど持っておりませんで、新しい構想、そういうことで進むように考えております。
  21. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それで大体完成年度の目標はいつごろになっているのでございますか。
  22. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) 皇居造営の方は、ここ二年——三十五年度、三十六年度準備をいたしまして、もし三十七年度からかかり得るとすれば三十七年度を含めまして五カ年間で完成いたしたい。それからお住居の方は、これは準備を整えておりますので、三十五年度、三十六年度、二カ年をもって完成いたしたい。それから東側庭園整備の方は、おそくとも皇居完成以前には整備をいたしまして一般に利用していただくというふうに考えております。
  23. 一松定吉

    一松定吉君 今のお尋ねに牽連してお伺いしたいのですが、宮廷費が一千九百三十六万二千円減額になったというのは、昨年は皇太子殿下の御結婚があったから、その方の費用に当てるためにそれだけ当てたが、本年度は御結婚は終了せられたので、この辺の費用は要らぬので減額したと、こういう御説明でしたね。ところが今度は皇孫殿下が御生誕になったので、ずいぶん費用がふだんよりも要るように思いますが、それはどうなるのですか。
  24. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) 皇孫殿下の御誕生関係は、大体それに要します費用は、これから御成長になられますために必要な費用内廷費でもって処弁いたしてございます。そうして内廷費の方は五千万円という法律定額がございますが、これは内部の構成員が大へん動きますれば別でありますが、多少構成員が動きましても定額としてきまっておりますので、動かないという建前になっておりますので、内廷費で処弁し得るわれわれの方の考えでございます。現在三十四年度におきましては、清宮様が内廷にいらっしゃいましたが、清宮様が御存じの通りこの三月十日に皇籍を離脱されました。その方の費用内廷費としては不用になるわけでございます。こういう構成員の増減によって内廷費を動かすということは内廷費建前からいって不適当でありますので、処弁し得る限りは定額の中でやるということで、現在三十五年度内廷費といたしましては、皇孫殿下関係経費が十分に処弁できる見込みでおります。
  25. 一松定吉

    一松定吉君 減額費用のことはわかりましたが、昨年度に比べて本年度はまだ諸物価が上がっている、民間の方は生活費が昨年度よりも高騰しておりますね、そういうときに内廷費もしくは皇族費というものが増額もされていないということはどうですか、ずいぶん御不自由を感ずるようなことはありませんか。
  26. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 内廷費関係は三年ほど前に三千八百万円でありましたが、これを五千万円に増額になられたのであります。皇族費関係もそのころ定額がお一人が百九十万円でありましたのが三百万円に上げられました。これは皇室経済法施行法でその定額法律できまっております。その法律改正の必要のある場合には皇室経済会議を開かれて、その御意見等に基づいて皇室経済法改正ということをはからうわけでございます。物価の値上がりもその当時から見ますと、特に改正をしなければいけないほど上がっていないものですからそのままになっております。幸いある程度予備費もありまして、そう御窮屈ではないというふうに思っております。
  27. 一松定吉

    一松定吉君 この皇族費の一千三百五十万円というのは、説明によると、秩父高松三笠の三宮家にお分けになるのですね、これを三つに分けると四百五十万円ぐらいになる、四百五十万円というと、それを月に分けると三十何万円ということになる、そういうことで御不自由はありませんか。
  28. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この皇族費関係については、ほんとうにこれで十分で、もうそれ以上上げる必要は全然ないというふうに断言するのもこれはどうかと思うのでありますが、しかし三年前に定額の基礎が百九十万円を三百万円に上げていただきまして、そのときから前に比較いたしますと、だいぶその点はお楽になられました。それで、物価その他の事情を見まして、さらに今日経済事情が変わって参りますれば、この増額ということも法律改正によってお願いしなければいかぬときがあるいはあるかもしれませんが、現在のところは、まだそれでそう御無理ではないというふうに思っております。
  29. 一松定吉

    一松定吉君 皇族費宮廷費内廷費等について関係せられているあなた方が、そんなに御不自由はないと感じますという程度なら、私どもは安心しますが、しかし、どうかというと、よほど御節約なさっておるのではないかと思われるような節がときどきありますから、こういう点は一つよほど御考慮に入れておいて予算を組むように御留意なさることがいいと思います。だからして、そういう点について、将来関係当局でも御留意願いたいことを私は希望いたします。  それから、皇居の御造営ですが、これはつまり建前からいたしますれば、国家の費用で御造営することは当然であるが、民間でその御造営のときには相当の一つ寄付を申し上げて、ちょうど仁徳天皇の高津宮と同じような考え国民の間には持っておる者もあるのですから、そういうようなものはやはり喜んでお受けになるという考えはあるのでしょうか。そういうようなものは一切お受けにならぬという考えでしょうか。その点を承りたい。
  30. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この皇居造営経費の主体は、国費で造営するというふうに考えますが、しかし、国民の熱意に基づく御寄付ということにつきましては、これは弊害のないものにつきましてはこれを受けるという方針でございまして、昨年皇居造営審議会が開かれました、審議会答申の中にもそのことがありましたし、この一月二十九日、皇居造営に関する内閣方針を閣議で決定されました中にも、自発的な寄付については宮内庁長官の定めるところによって国がこれを受けることとするというふうになっております。そういう方針でおります。
  31. 一松定吉

    一松定吉君 ほんとうの善意をもって皇室にお手伝い申し上げ、皇室の御経費を幾分でも負担して皇恩に報いようというような純情な考え寄付するような人は、もちろん喜んで寄付をお受けになることはいい。何か寄付を利用していろいろな利権をあさろうというようないやしいような寄付をやろうというようなものは、これは一つ、やはり、お考えの上で御受理なさるということにした方がいいと思う。そういうようなことについては、寄付受けるというような審議会とか何とかというようなものを設けて、そういうような弊害を除却するような方法を何かお考えですか。
  32. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 寄付受ける場合に、特に審議会を設けて、そこで審議をして受けるというような方針は、今のところは考えられていないのでございまするが、しかし、この寄付の要綱というものを宮内庁告示で公にしたいと思っています。その告示の中に条件をきめまして、条件に合うものはお受けになる。国として受け受けないの判断については、その告示の要領に基づいて宮内庁長官が十分考えて決定するというふうに今のところは考えております。
  33. 一松定吉

    一松定吉君 非常によい考えだと思うがね。その寄付を強要するというような方法はとられないようにしなければならぬと私は思うのだね。強要するというて、金持、会社等に行って、あれだけ、これだけ出せというようなことをしなくても、これだけ寄付する者にはこういうような勲章をやる、こういうような褒章をやるんだとかいうようなことをきめて発表すると、勧誘もしくは強制というようなことになるから、そういうようなことは一切抜きにして、ほんとうの純情な御寄付受ける、その受けた御寄付に対しては、後日宮中の方で何らかのお考えを実施すればするというようなことは後日のことにきめて、寄付受ける以前に、そういうようないやしいような態度には出ないように宮内庁の方でも考えてもらわなければならぬと私は思うのですが、その点はもちろん抜かりはないと思うが、どうですか。
  34. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その寄付受けます告示を出します際も、これを出した場合にはどうというような、そういうようなことはもちろん言いませんし、また、実際そういうことを考えてもおりません。告示の要点は、要するに、強制にわたったり、あるいは売名、宣伝に利用されるとか、そういうような弊害があるものは受けない。その寄付の中で、金で寄付される場合と物の場合とあります。金の場合は今の一般原則、物の場合は、なお、そのほかに皇居造営の実際計画に必要な物でありませんと、受けても無駄になりますから、その物が実際皇居造営に必要なものであるということも一つよく研究した上で受けるというようなふうに大体の精神は考えられております。
  35. 一松定吉

    一松定吉君 最後に一点ですが、宮中のお掃除だとか、草刈りだとか、ああいうようなことで全国から奇特な人人が上京して数日を費やして皇居内等において活動しておるようですが、あれに対してはどういう待遇をしておるのですか。
  36. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) おいでになりますのは一日三百人以内のところでお受けしておりますが、その来られた方の待遇関係ですが、その中で百数十名の方は宮内庁の中に宿舎がございまして、そこでお泊まりになる。その他の方々は市内の方に泊まっておる。市内の方でもそういう方のために特別に考えられておる場所があるようでございますけれども、そこへ泊まる。その方の希望によります。皇居の中にお泊まりになりますと窮屈な点もあって、そういうふうに両方分けておりますが、皇居の中にはそういうような施設がありまして、寝具、燃料、そういうものは宮内庁側から出しております。米ですとか、そういうもの、あるいは副食物を地方から持っておいでになりまして、自炊されることもできるように設備がされております。おいでになった方は、両陛下が皇居おいでの場合には、まあ原則として一回お会いになりまして、「どうも御苦労でした」ということをおっしゃいます。その程度でございます。
  37. 一松定吉

    一松定吉君 これでおしまいです。今のお話を承って私も非常に安心したのですが、わざわざ陛下のためを思うて地方から上京してきて勤労の御奉仕をしようという、その精神は非常にいいことであるから、宮中にそういう宿舎を設けて、彼らを泊めるということもよいし、この泊めたときの食事等、もちろん宮内庁が持つのですか、どうなんですか。
  38. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 食事の方は宮内庁では持ちませんですけれども、自炊できるように燃料はこちらで出しますけれども、その点はおいでになった方が自弁をするのでございます。
  39. 一松定吉

    一松定吉君 これでおしまいです。それで、そういうことで、その奉仕者に対して両陛下がごあいさつを申し上げるというようなことは非常にいいことであって、いわゆる陛下と民衆との間の接近の密度を深めるということで非常にいいことであります。そういうようなことでやれば、全国民はこぞって宮中のために勤労奉仕をしようということに一そうなる。それによって、皇室と民衆との間が緊密になるのであって、国民は喜ぶことだと思う。どうか、そういう点については十分御留意相なりまして、今あなたのおっしゃるように、費用宮中が持つとか、食事を出すということは、これは要らぬことで、宿舎を設けて、そうして、そのまま寝泊まり待遇をしてやるということで、彼らは満足して、それを名誉として国に帰るということですから、そういうことを一つ御継続して、民衆が喜んで御奉仕ができるような方法を継続しておとり下さらんことを希望いたしまして質問を終わります。
  40. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 さっき話が出ました献上の問題ですが、これは、たしか皇太子さんのときにも議運でも問題になったのですが、何か占領中に司令部の方から献上に対していろいろ物品を——むろん金額ではありませんが、物品を金額に査定をして、何か一カ年幾らとかいうような限度をもってきめられたことがあったように聞いておる。で、それが何か今でも続いておるように聞いておるのであります。ということは、皇太子さんにわれわれ参議院として何かをやらなきゃならぬという場合があったのですが、これはどういう根拠でお考えでしょうか。そういうことをちょっと一つ
  41. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 献上をお受けになる、あるいは皇室から贈与をなさるということに対しましては、憲法の第八条で「国会の議決に基かなければならない。」という憲法の規定がございまして、その規定に基づきまして、皇室経済法という法律によりまして、献上をお受けになる金額が年額百二十万円、それから贈与になりますのが三百七十万円、これをこさない場合には国会の議決が要らないということになっております。ですから、平素の、その範囲のものでありますと国会の議決は要りませんですけれども、それをこすようなことが考えられるような場合においては国会の議決が要る。従って、昨年の皇太子殿下の御結婚の際のお祝いの場合につきまして、どうしても百二十万をこすということが考えられますので、国会の議決をお願いしたわけでございます。  それから、今ちょっと関連で、皇居造営に関しまする寄付というのは、皇室に対する献上というのじゃなくて、国に対する寄付、しかし、まあ皇室の用に供する寄付ですから、普通の、何にでも使っていくというものじゃございませんけれども、これは国に対する寄付でございますから、これは憲法八条との関係はないのでございます。
  42. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 わかりました。  いま一点伺いたいのですが、この費目の中にも出ておるんですが、正倉院の施設費という項目が出ておるんですが、これはあれですか、来年度においてどういうこと——これは正倉院はまあ一年や二年で整備できるものじゃないんですが、来年度計画としては、これはどういう計画ですか。
  43. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) 正倉院につきましては、すでに今から六年くらい前ですが、正倉院の仮庫と申しまして、修補品を入れております倉にありますものを——これは木造の倉庫でございますが、そこにありますものを安全な場所に移したいということで、鉄筋コンクリートの倉庫を一棟作りまして、現在そこへ納めているわけでございますが、なおそれは仮倉だけの問題でございまして、御存じの校舎に入っております——本宝庫とわれわれ言っておりますが、本宝庫にあります一番肝心な宝物が——校舎は保存上はいいのでございますが、火災その他天災地変に対しては非常に脆弱な面を持っておりますので、これをやはり安全な鉄筋コンクリートの、内部が完全に防湿、防温されるという所へ入れておきたいという希望を持っておりまして、その計画を立てまして、三十四年度から校舎の中にあります宝物を移す倉庫の新営にかかっております。三十四年度にすでに予算をいただきまして、三十四年度は二千三百六十万円、これは木材を買いましたり、主として準備的な費用でございますが、三十五、三十六年度、三カ年度完成する予定で、この三十五年度では六千八百五十七万円、残りを三十六年度でやる。三十六年末には宝庫ができ上がりますわけでございます。それで、その宝庫ができますと、中は、大体完全に機械装置によりまして、現代科学の粋を集めまして、湿度、温度その他を調節できるようにいたしたいというふうに考えておりまして、そこへ現在校舎に入っておりますものを格納いたしまして、校舎は、もちろん、校舎そのものとして重要な文化財でございますので、従来通り慎重に管理していきたい、かように考えております。
  44. 加瀬完

    加瀬完君 先ほど、次長さんですね、一松先生の皇居造営寄付の問題についてのお答えに、宮内庁告示で、寄付についての受け入れの条件といいますか、そういうものをお出しなされたというふうに私は伺ったのですが、そのように受けとりましてよろしゅうございましょうか。
  45. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) さようでございます。
  46. 加瀬完

    加瀬完君 で、これは皇室に対する寄付ではありませんでね、国に対する寄付となる、皇居造営の場合は。そのような御説明もございましたが、その通りですか。
  47. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その通りでございます。
  48. 加瀬完

    加瀬完君 国の事業ということになりますと、これは純然たる国費でまかなうべきであって、それを宮内庁寄付受け入れ態勢を何か初めから作るということには、私疑問を持たざるを得ないのです。で、一般の国民寄付をする考え方は、国に寄付をするという感じ方ではなくて、皇室にまあ御寄付をする——申し上げるという気持だろうと思う。そうすると、必要なものは何で、必要でないものは何だというような区別までして、その受け入れをするということになりますと、これは新憲法で、はっきりときめられております国民皇室という考え方からしても、特殊の者だけはその気持を表現することができるけれども、一般の国民は、皇室に対する敬慕の気持というものを何か表わしたいということになっても、持っていったものを受けつけられないという問題があっては、これは非常に、何か皇室が旧憲法の時代のように、特殊な環境、経済状態で、一部の国民のつながりしか持たれないものになるという憂いも私は生じてくると思うのです。どうして国の費用でやるべきものであるならば、一体宮内庁告示で、寄付受け入れ条件などというものをなさるのか、わからなくなってくるという疑問を持ったのです。この点どうでしょう。
  49. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 国に対する寄付でありますが、それは、まあ皇室用財産として作られるものの資に充てるようにということにしております。と、この宮内庁は、国の機関として、まあ今御審議になっております宮廷費関係は国の予算でございますが、そういうような予算関係は、宮内庁の長官が処理をすることになっておりますので、従って国の方に対する寄付ですけれども皇室用財産との関係があるものですから、それでまあ宮内庁がその事務をとるという建前なので、その事務のとり方について長官が告示をして、その点をはっきりするというような考えであります。  それから、なお御質問の中に、国費でやるのが建前で、寄付なんか受けない方がほんとうじゃないかという御意見がございましたので、その点は、筋は国費をもって充てるのが本体でありまするが、国民の中に、ぜひこの寄付をしたいということでいろいろ申されている向きもございます。それは単に一部ということでなくて、いろいろの方にあるものでございまするから、まあそういう国民の方のそういうお気持を、むげに、もう全然シャット・アウトすることも、民主日本の現状から見て、やはり避けるべきものじゃないか。そういう要望があれば、御無理でない、弊害のないものであればこれを受けるという方がよかろうというようなことで、これは金額はそうたくさんを期待するわけじゃないのでございまして、予算の方でも、国の予算でできるように考えられるのですけれども、その気持を全然シャット・アウトすることも感心しないということから、まあそれを認めようというふうになったものであります。
  50. 加瀬完

    加瀬完君 一歩譲りまして、この国民寄付を申し上げたいという気持を率直に受けたいということなら、これに宮内庁告示で制限をつけることは必要はないと思う。皇室に対する寄付をしたいという気持でありましょうから、これは皇室御一家として受ける、受けないをおきめになろうし、あるいは制限をしないで、国民の気持というものを率直にお受けになるということなら、私は立場は違いますけれども一応筋は通ると思う。で、国の財産といいますか、造営物ということになりますと、そういう形で行なわれる皇居造営に対する寄付というものは、国の現在の方針というものは、たとえば地方などにとりましても、寄付金の規制というものを厳しくしているわけです。そういうときに、皇室関係があるからといって、国の事業に寄付を初めから受けるということは私は首尾一貫しないと思う。政府の方針としても、これは皇室というものと、それから国の営まなければならない仕事というものをまるでごっちゃにしておるやり方じゃないか、これははっきりさしてもらわなければ、少なくとも宮内庁においては、はっきりさせてもらわなければならないものだと私は思う。経費が足りないということであれば、当然国の予算をこれは増額させて充てるべきであって、大体足りないだろうから、こういう問題は国民の一部の寄付にまたなければならぬという考え方で参りますると、かえって私は皇室国民というものの気持を離間させることになるのじゃないかという心配すらもつわけです。このへんの御判断をどのようになさっていらっしゃいましょうか。
  51. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この寄付受けるというのは、経費がどうも国の予算では足らんだろうから、それを補う意味において少し寄付考えるという趣旨では全然ないのでありまして、これはもちろん国の財政の都合で、予算を、いろいろ査定も受けまして、この範囲でというのに予算が組まれますのですが、その範囲で考えられるわけでありまするが、一方その際に、国民の中で寄付をしたいという熱望がある場合、弊害がなければその気持を生かす意味においてシャット・アウトしない。金が足らないから受けるというのと精神的にそういうお気持のあるのをシャット・アウトするのも感心しないというような考え方でございます。
  52. 加瀬完

    加瀬完君 ですからね。その寄付を申し上げたいというのは、皇室御一家に対して寄付を申し上げたいという私は国民は気分だろうと思うのです。しかしこの仕事そのものは、これが国の仕事なんですね。ですから、皇室御一家に御寄付を申し上げたいというなら、皇室御一家でそれぞれ事務的な責任のある方たちがこの寄付をどういうふうに受け入れるか、あるいは受け入れないようにするかおきめになって始末をすればいい。一般の国民は、これは、宮内庁の仕事と皇室御一家の純然たる経理問題というものと一々区別をいたしませんから、皇室に対する寄付というものは、宮内庁で、当然国でやらなければならない仕事を一手に引き受けて、これは受け取る、これは受け取らない、そういうことをきめるというのもおかしいじゃないか、国民寄付受けるなら受けるということを一歩譲りまして認めるとしても、率直に国民が献上するものをお受けになればいい。それを必要なものと、不必要なものがあるから、不必要なものをいただいたって仕方がないから、初めから基準をきめておいて、受け取るものはむだがないように受け取るのだということではどうもおかしいと思うのです。
  53. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その制限の告示で、ある程度こういうものは弊害のないものは受ける、しかし物については先ほども申しましたように実際必要のないものであれば受けかねるというふうになるということを申し上げたのですが、これはやはり国が寄付受ける、寄付一つの双務契約で、他の、国のいろんな事業の場合に、寄付の規制はもちろん厳にしておるのでございます。まあ弊害のないように、しかしまた受ける場合もむだのないように、やはりやられるというように、これは一つ寄付は一方行為じゃなくて双務契約ですから、国の立場の方の意思が働く、その国の意思がどう働くかというのは、これは宮内庁長官がその国の機関として考えていくということで、制限はこれは弊害のないようにするということについては、これは普通の国の他の寄付の場合においても似たような気持があると思うので、皇居の場合についてももちろんそれが考えられるのじゃないかと、なおもう一つ、これは皇室の方への寄付じゃなくて、国への寄付ということにはなるのですけれども、この国民の中で皇居というのは憲法第一条の国民の総意に基づく国の象徴である、この天皇のお住まいになるところ並びに象徴として活動される場所ということですから、まあそういう国の象徴である方のそういう施設について何か寄付をしたいという、そういうような意味でのお気持、これも了解して、それを尊重をするということも、これはやはりまあ正しいことじゃないかというふうに考えられるわけです。
  54. 加瀬完

    加瀬完君 だから私は寄付などを受くべきじゃないと言うのです。憲法ではっきりときめられておる皇室なり天皇なりというものに対する考え方からすれば、当然一部の者の寄付にしかならない宙付などを宮内庁条件をきめて受け入れるということはおかしい。寄付受け入れるならば条件なしに、これは皇室に対する尊崇という考え方から寄付をするものであれば、これは皇室がお受け入れすればいいことなんで、条件を設けることがおかしいと申し上げておるわけであります。しかし、これは議論になりますから質問を続けますが、先ほどからお話のように、皇居なり宮廷なりの御造営をなさるわけでございますが、皇居の規模といいますか、まあ宮城の区域といいますか、いろいろ首都圏整備の問題や、あるいは首都の交通量の問題等で、皇居の下に地下道で通り抜けるものを作ったらといったようなことも、衆議院か参議院かの建設委員会で何か出たようなこともあるように記憶いたしております。そこで、今御指摘のように新憲法下の天皇なり皇居なりというものの新しい御造営でありますから、今度は皇居の規模といったようなものもあるいは宮廷の方式といったようなものも何か審議会等でも当然問題になったと思うのです。そこで現在宮内庁におきましては、この皇居の規模といいますか、現在の区域というものについて、どのようにお考えになっておられますか、現在の皇居というものは皇室財産というものが非常に潤沢に、前提としてございまして、十分にこの皇宮をも運営し得る経済的条件の上に皇居が存在しておったわけであります。今は状態も変わっておりますし、天皇の地位というものも昔とは変わっておるわけでありますから、新しい皇居の規模というものはここいらで私は考え出されなければならないと思うのです。これらの点について何か御論議がございますでしょうか。
  55. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇居の規模、皇居のずっと地域の広さの問題かと思いますが、現在皇居と申されておるあそこは全部ずっとお濠の全体で三十三万坪ありますけれども、そのうち皇室財産としては二十六万坪でありますが、その皇居の地域の関係につきまして、昨年開かれました皇居造営審議会の際に皆さんいろいろ御審議を願いましたわけですが、それで結局その皇居としてのあの地域、その一部を全然開放して、あるいは住宅を作るとか、あるいはビルディングを作るとか、そういうようにすることは、これは都市の計画上からも感心しない、都市のセンターにはどこの国でもあれよりもっと広い緑地帯がある。だからやはり健康的な緑地としておくということは、大都市の東京のためにも考えるべきだということ、で、しかしこの皇室のお住居、またあるいはいろいろ行事をなさる、それに支障のない関係の地域についてはもう少しく一般に公開することを考えたらどうかということです。そこで、この皇居のうちの約三分の一を占めまする東側地区——ちょうど大手門から入りました方の馬場とか、あるいは宮内庁病院があったり、楽部があったりするあの一角、もとの江戸城の本丸なり二の丸のあった、江戸城の本拠になる方の地域、ここは陛下がお住みになっているわけではありません。清宮さんがお住みでありましたけれども、まあ御結婚になりましたし、その地域十万坪ぐらいのところを一般に公開をするというふうに考えておるわけでありまして、で、今ほどちょっと予算のことで経済主管から御説明をしましたけれども東側は今いろいろな点で雑然としておりまして、公開して公園風に、庭園風になっていないのであります。以前はよかったらしいのですけれども、今は整備が十分じゃないものですから、あそこを整備をしてそして、この皇居の付属の庭園ということで宮内庁がそれをきれいに管理をしていく、そして皇居の行事に宮中の行事に差しつかえない範囲においては一般の方に自由に入っていただけるようにし、散策されるレクリエーションの場所も考えよう。ちょうど新宿御苑に似たような形——夜はいかぬかと思いますが、昼、宮中で、たとえばそこで園遊会を開かれるとか、あるいは新年とか、天皇誕生日にお出ましになって、多数の国民のあいさつを受けられるとか、そういういろんな行事のある場合はこれはいけないのですけれども、行事に差しつかえない範囲においては大部分の、そういう行事はありませんから、そういうふうに公園風にこれを公開しようというふうに考えておるわけであります。
  56. 加瀬完

    加瀬完君 話が飛びますが、三里塚の旧御料牧場は、今どのような形になっておられますか。
  57. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 三里塚の御料牧場は、現在皇室用財産として宮内庁の方で管理をいたしておりまして、馬、牛、豚、そういうようなもの、野菜も作ったりしておりまするが、特に馬の生産については長い伝統がありまするし、その伝統を受けて、その生産のことをいたしております。なお、外交団のために花見のころに呼びまして、接待の場所として使うというようなこともいたしておるわけであります。なお今ちょっと馬のことを申しましたが、予算の中に、予算の庁費のところに、動物購入費なんというのがありますが、これは三里塚の馬——種馬とかそういうものを買ったり、それから種になる雌馬を買ったり、そういうような経費であります。
  58. 加瀬完

    加瀬完君 今、皇室におとりになりまして、三里塚の御料牧場を維持管理をしていかなけりゃならない特別の御必要があるんでございますか。たとえば今の馬のお話がございましたが、戦前や戦時中でございましたら、皇室が特に軍事に非常な御熱心だったということで、御料牧場を持って、最も優秀な馬を皇室においていろいろと飼育をなされるということも、国民に与える影響その他からいって非常に価値があったと思います。今、皇室が競走馬になる馬を特別飼育をされておらなきゃならないという御理由はなんでございますか。
  59. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 三里塚の牧場での馬は競走馬も実はありますけれども、その他の乗馬、それから馬車の馬、特に今度予算なんかにありますことは、主として馬車の馬なんかの関係でありますが、宮廷の馬車で特に外国の貴賓がみえました際に、この馬車を使っております。で、そういうような馬の補充というのも、一般のをなかなかそう得がたい点があるものですから、やはり三里塚の牧場で、宮中に必要な馬を入れさしていくというようなことをやっていることに大きな意義があると思うのでございます。  なおそのほか、あそこへ先ほど申しましたように、外交団を招いたりして、接待用に使ったり、外交上国際親善上の効果も上がっておりますし、なおあそこでのその他の家畜、野菜等を、宮中でのいろいろ祝宴とかあるいは招宴すとか、そういうような宴会の際に、その材料を使っている。場合によると、三里塚の牧場でこういうふうに特に工夫をしたこういう肉ですというような説明をしながら外国人に出す場合に、特別にまた接待されたような気持を強くするというようなこともあったり、そういうような効果もありまして、皇室用財産として持っておられることには意義があると思っております。
  60. 加瀬完

    加瀬完君 ことしの予算で三里塚の御料牧場に関係する経費は幾らになっておりますか。それから現在面積は幾らになっておりますか。それから開放された面積は幾らですか。
  61. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 三里塚の牧場の経費は、予算面では、全体を合わせますると、二千百十二万になっております。これは農機具を買ったり、動物購入なんかの経費とか、そのほか事業用の燃料とか飼料とか肥料、そういうようなもの、それから建物の修繕費だとか、そういうものを合わせまして、そういうふうになっております。  三里塚の牧場の現在の広さは、百二十八万八千八百六十坪という坪数になっております。終戦後開放しましたのが、この面積からみて、半分ぐらいの面積のところを開放しております。三分の二ぐらいは残っております。
  62. 加瀬完

    加瀬完君 百二十八万坪現地残っている。それに二千百十二万の予算で、その中には馬匹の購入とか、機械の購入とか、いろいろあると思います。あるいはまたあそこには、相当の人夫その他がおりますから、この人件費も相当あると思います。現在この百二十八万坪が三十五年度二千余万の予算でありますが、完全に万全の運営といいますか、整備といいますか、旧御料牧場時代のような条件になっているとごらんになっておりますか。
  63. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 旧御料牧場時代に比較いたしますると、人員等の関係ではずっと減っておりまするし、そのときと劣らないようにできているかといいますと、そうは今言えないのじゃないか、幾らか手の届かない点もできているだろうというふうに思うのでございます。
  64. 加瀬完

    加瀬完君 その百二十八万坪のうちには貸付地も含まれておりますか。
  65. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは貸付地はありませんので、全体をフルに利用しているところでございます。
  66. 加瀬完

    加瀬完君 旧御料牧場時代からみれば、幾分かではなくて、相当程度私は荒れているのじゃないかと思います。で、次長さんは、先ほど外交団などの招待に花見などをさせるといいますけれども、旧御料牧場時代のような桜の木はほとんどありません。かわりの若木もあまり植わっておらないというのが現状じゃございませんか。管理が非常に行き届かない実情では、どのくらいの費用でもって御料牧場を推持するかということすら疑わしめるほどの不行き届きに管理状態が陥っているんじゃないかというように感ずるんです。これは予算のせいなのか、熱意のせいなのかわかりませんけれども、少なくとも百二十八万坪の、あれだけの馬匹を抱えて、二千万くらいの予算で、あれだけの人間を抱えてやっていこうというのは無理じゃありませんか。
  67. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この桜の木などが以前あったのが非常に減っているとかいうのは、以前、御料牧場が開放される前の、御料牧場へ入るところの道路、あれは、以前は両側にずっときれいに桜がありましたが、開放しました地区については、その点は以前の姿はございません。しかし、現在管理しております地域については、以前から見てそう劣るというようなことはないと思います。われわれも外交団の接待のときに、係員として一緒に回りますけれども、中の方は、花を見るのにそう荒れているという感じはしていないと思っております。
  68. 加瀬完

    加瀬完君 大竹さんの御質問に関連するわけでありますが、皇太子の訪米のことがいろいろ新聞等をにぎわしたわけでありますが、これは一体宮内庁自身の御計画として、訪米その他外国の御訪問をお考えになっておったのか、それとも政治的なほかの動きにつれて皇太子アメリカ訪問というものが浮き出てきたのか、この間の事情はどうですか。
  69. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇太子殿下の外国を御訪問されることにつきましては、これは宮内庁だけで考えるわけでもありませんので、やはり広い意味の外交の点がございますので、役所で申しますと、宮内庁と外務省とが相談するわけでありますが、政府の方と十分打ち合わせをした上でやるわけであります。この訪米問題につきまして、何か宮内庁が知らないうちに、いわゆる政府方面で政治的に運ばれたんじゃないかというふうに考えられたりして、誤解を受けている点がありまするけれども皇太子殿下アメリカへ来ていただきたいという話は、去年の夏ごろ、先方の日米協会の方から、ことしは百年祭にも当たるし、来ていただきたいという話がありましたのですけれども、団体からの御招待だけではどうしたものだろうかということで、それは一応御辞退しておったんですが、その後、アメリカの国として、大統領の名においてお招きしたいというふうになって参りまして、ここで、特にアメリカ側から百年祭に大統領も見える。だから日本側からも来ていただきたいというような話、これにつきましては、広い国際親善という意味から、これは御都合がつけられればおいでになった方がよろしくはないかというふうに考え、その時期等の問題については、御無理のない時期ということでわれわれの方も希望を述べ、たぶん秋のころになると思うのでございます。
  70. 加瀬完

    加瀬完君 これもどこかの委員会で取り上げられた問題かもしれませんが、宮内庁は今御説明のように、昨年夏、アメリカ訪問の要請に対して一応お断わりしておった。これは間違いございませんね。それで、岸さんがアメリカに参りましたときにも、宮内庁とは特別の打ち合わせばなかった。ところが一方、福田総務長官は、向うへ行って、皇太子訪米の打ち合わせをいろいろと具体的に進めてきた。この間ほとんど宮内庁は、つんぼさじきに置かれた、こう言われておりますが、アメリカに福田総務長官あるいは岸さんが参りまして、向うで皇太子訪米のお話がいろいろ出ましたときに、宮内庁には何か御連絡がありましたか。それとも行く前に、事前の十分な御連絡がありましたか。この点はどうでしょうか。
  71. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 岸総理がお出かけの前に、私の方の宇佐美宮内庁長官と会っておられますが、これはアメリカ大統領を国賓として招待される、それについては、国賓といいますと、皇室並びに政府の賓客として迎えるというので、皇室でもいろいろもてなしをされる関係上、皇室の方の御了解が要るので、見えまして、それはよろしいという了解になり、その際に、そうすると、あるいはアメリカ側皇太子殿下に来ていただきたいというような話が出るかもしれないが、それはどういうふうに考えるかということもそのとき話があったように聞いております。しかしながら、これはまだ、先方がそう言うか言わないかわからないわけでありまするが、そういう話があれば、その話を聞いて、それに対して即答はしないで慎重に考えるということにしようというふうに、総理と宇佐美宮内庁長官との間の連絡はあったわけであります。  それから、アメリカおいでになる。なおホワイトハウスの声明で、大統領日本側から招待を受けるというような意味のことを先方が言われ、その際に、日本に対しても、皇太子同妃両殿下をお招きしたいというお話があり、岸総理も、帰ってからそれに対して実現するように努力しましょうというようなことを言われたということが、ホワイトハウスの声明で発表になっておりますが、その発表のあります二、三日前に、アメリカに行っている人から山田外務次官に連絡があり、山田外務次官から宇佐美宮内庁長官の方へ連絡がありまして、そういうふうになることは、その声明が出ます二、三日前に連絡はされておったわけであります。
  72. 加瀬完

    加瀬完君 一部の新聞の伝えるところは、岸さんが、五月二十日ごろ皇太子が訪米されるというお話をなさっておるのですが、五月か六月かに皇太子の訪米という点について、宮内庁に何か政府からお話がありましたか。
  73. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その時期の問題につきましては別に話はありませんので、要するに、先方のそういう希望があればそれをよく聞いてきて、帰ってから十分相談しようということでございます。
  74. 加瀬完

    加瀬完君 宇佐見長官は、五、六月の訪米というものが無理だという御見解を初めからお持ちのようでございましたが、そう了解してよろしゅうございますか。
  75. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点、はっきりは聞いておりませんけれども、そういうふうに想像されます。
  76. 加瀬完

    加瀬完君 で、宮内庁は、事前に政府なり総理大臣なりと打ち合わせをしたときにも、おそらくその五月ごろの訪米というものは無理であろうということは伝達されてあると思うのです。それが、政府の方では、五、六月の訪米というものを一方的に報道している、発表している、これでは先ほど御説明の中にもございましたように、国民の象徴である皇室を政治に巻き込ませる、政治に利用する、こういう傾向をわれわれは認めざるを得ない、この点について、宮内庁はどういう御所見をお持ちですか。
  77. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 宮内庁といたしまして、これはもう現在の天皇の地位、皇室のあり方としてすでに国民全体の象徴というお立場でおいでになることが正しいわけでありますから、一部の政治的な面にいろいろ誤解を受けるようなふうに御行動されるようなことは、これは感心しないというふうに考えておることは、はっきり申し上げていいと思うのでありますが、ただ先ほどおっしゃいましたが、出かけられる前に、総理と宇佐見宮内庁長官の間に五、六月はどうか、そういう具体的のことは出ていなかったと聞いております。
  78. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、皇室の御都合もお考えにならずに政府は五、六月ごろ渡米説というものを放送した。こう了解してもよろしいですか。少なくとも、あなた方の方には何らの御連絡もなく時期の発表をされた。しかし、あなた方としてはそれはできないので、先ほどのお話のように、秋ごろでなければ訪米は御無理だ、こういう御回答をなすったと了解してよろしゅうございますね。
  79. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) それは政府側でも、他の委員会での速記録をいろいろ拝見しますのですが、五月説とか六月説を言ったことはない、何か誤って伝えられているというふうに聞いておりますので、その点の行き違いはない、国会からいろいろ誤解を生んでいるじゃないかと思います。
  80. 加瀬完

    加瀬完君 それではこれも御説明の中にありましたが、外国の元首がすでに日本を御訪問なさっておる向きもありますので、その御答礼に伺わなければならない、こういうお立場を宮内庁としてはおとりになったわけで、アメリカ訪問ということもさることながら、その前にすでに日本に御訪問をなすっておられる元首の国に対して御答礼をしなければならない、こういう考え方が基本的におありになったと、この点はこのように了解してよろしゅうございますか。
  81. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これはすでに訪問になっている国に対して御答礼の意味を含んで御訪問になる、これは昨年の秋も一ぺん考えたと先ほど申し上げたのですが、かねてそのことの必要性を考えておったわけであります。ただアメリカ関係のは、これはまた別の意味で日米修好百年祭というのがことしにあたる、その百年祭の機会に相互に訪問という、これは答礼とはまた別の意味のものでございますので、今年やはりお互いに訪問されないと百年祭の行事としては意義がなくなる、だから今年御訪問になるというふうに考えております。
  82. 加瀬完

    加瀬完君 すでに元首日本を御訪問された国への御答礼を先にしなくては、アメリカだけの訪米を考えるわけにいかないということではないですか。
  83. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは御答礼を先にしなければアメリカへいけない、そういうふうに窮屈には考えておりません。やはり百年祭というのは、ことしなのですから、この秋、場合によっては外国におでになろうとする場合に、すでに元首の見えております場合でも、ことしおいでにならない場合もあると思いますが、これはまた、別の意味でまた近いうちにお考えになればよろしい。アメリカ関係は答礼ということとは関係なしに、百年祭ということと結びつくものですから、やはりことしというふうに別個に考えていいんじゃないか。
  84. 加瀬完

    加瀬完君 しかし、別に宮内庁の長官が御否定なさっておりませんから、今まで新聞等で宮内庁の長官の御意見として出た点を私ども伺っておりますと、とにかく外国の元首訪問なさったその御答礼というものを全然考えないで、対アメリカということだけで、かりに百年祭であろうとも、それだけに出て、ほかの方はかまわないという形は、宮内庁としては慣例からも、あるいは外国の元首に対する当然の儀礼からもとり得ない、こういう御見解のように承っておったわけですが、前後の差は若干あっても、一応その宮内庁のお考えというものはお変わりにならないでしょうか。
  85. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点は今おっしゃったようなふうに考えております。
  86. 加瀬完

    加瀬完君 そこで、さきの御説明の中に、アメリカにも行くついでといっては悪いけれども、そのついでに、すでに元首の来た国に対する答礼にも向かう、しかし、それは行ける国と行けない国がある。こういうお答えがありましたが、行ける国と行けない国をどのようにしてこの際前後をつけるのですか。
  87. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは、この相手国のやはり事情もございまするし、それから気候その他の関係で、ちょうどいい時期ということもございまするし、そういうふうな、総合的に考えるので、従って、その場合に、その国との関係、しかもいずれかというと、早く来ておられるようなところはなるべく早くというようなことはございます。総合判断していきたいと思います。
  88. 加瀬完

    加瀬完君 それじゃ、今までおいでになられた外国の元首で、この際御答礼に一応お伺いしなければならないという国々はどういう国でありますか。それから今度の予定の中にお組みになる国はそのうちのどれ、それから今度の御予定の中には組み入れられないで、あとに残る国はどこか。またその理由は、今御説明のほかにございましたら、さらにつけ加えていただきたい。
  89. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 今までこちらを御訪問になりましたのは、最初はエチオピアの皇帝が見えております。それからイランの皇帝、それからインドの大統領、フィリピンの大統領、インドネシアの大統領そういうような順序で見えておりまするけれども、それでその元首の見えておりますところは五カ国、皇太子として見えたのは三十四年度にイラクがございますが、これはだいぶ国情が変わっておりますが、イラクがそのほかにございます。そういうような国について、先方でも日本皇太子おいでいただきたいという希望が伝えられております。その点をいろいろ考えまして、まあ一ぺんに全部はむずかしいから、比較的早く見えられたようなところが先に考えられるかと思います。  なお相手国の国情なり気候その他も考えられるわけであります。従って、今じゃ、ことしはどこへおいでになるかという点は、ここでまだ申し上げるのはちょっとまだ早いと思います。先方の方ではっきり意思がきまっておりません。向こうへ勝手に申しましてもやはり国際親善上おもしろくございませんので差しひかえたいと思うのでございまするが、その全部ではないが、半分くらいのところは考えられたというふうな状況でございます。
  90. 加瀬完

    加瀬完君 そういたしますと、アメリカ並びに、今エチオピアほか元首の御訪問が合わせて五国、それから皇太子の御訪問が一国、六つの国があるわけでありますが、この半分くらいに御訪問なさる。その御費用は今度の予算の中にお組みになっておられるわけでしょう。そうすれば、大体どこの国に行くということも、一応先方の御都合もありましょうが、宮内庁としては御予定があるのじゃないですか。
  91. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この御訪問経費は、今年度のこの予算の中には入っていないのであります。といいますのは、まだ未確定なものですから、従って、当初予算には組んでありませんので、そのことがきまりますと、大蔵省予備費の支出をわれわれの方で要求いたしまして、予備費の支出を願っておでましを願う。従って、その金額についても、その確定した後にいろいろ大蔵省とも相談してきまるということになります。
  92. 加瀬完

    加瀬完君 いずれにしても、十一月ごろアメリカに対しては皇太子御夫妻がおいでになるということは確定でございますか。
  93. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これもまだ確定ではございません。
  94. 加瀬完

    加瀬完君 十一月にかりに訪米をされるとすると、そのエチオピアほか五つの国にお回りになる予定というのはなかなかとれなくなってくるのじゃありませんか。結局アメリカだけには行くが、ほかの国には行けないという現象は起こりませんか。
  95. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 現在のところ十一月訪米とおっしゃいましたのですけれども、十一月の訪米はこれは無理だと思います。ちょうど大統領選挙のある月ですから先方都合が悪いと思います。それがないときになるかと思いますけれども、そのないときがいつごろかということはアメリカの方の都合も確かめておりませんので、きまっておりませんが、そのアメリカの方の時期と、それからさらに今の他の国との関係、今のばく然とした観測では可能と考えておるわけであります。
  96. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、十一月の前になるということになりますか。
  97. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 宮内庁側では前の方を希望しておりますので、先方もたぶん前の方でくるのではないかと思います。
  98. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、前の方ということになりますと、妃殿下のいろいろの御事情というものは、先になるほどよろしいというのであって、前に繰り上がってくるというと、いろいろと御困難な御事情が生じてくることにはなりませんか。
  99. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この点はもう秋——九月に入りますれば、お誕生から半年たちますので、いろいろ侍医その他の専門の人の御意見を聞きまして、秋になればどの時期でもそう御支障はないというふうに聞いております。
  100. 加瀬完

    加瀬完君 そう御心配はないということで、まだ満一年はおたちになっておられないのですから、皇孫殿下が。それで妃殿下だけをお離しになって支障は完全にないということが言いきれるのですか。
  101. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点は、これはわれわれはしろうとで、ちょっとはっきりした判断はむずかしい点でございますけれども、侍医等専門の人から聞いてみますと、それから先ならば支障はないというふうに申しておりました。まあお出かけのときには、お生まれになった浩宮様をお連れになるわけではないので、残しておいでになりますから、そういう点で、しばらく妃殿下とお別れになるという点で、お別れにならない方がいいのじゃないかということをあるいはお考えになってのことかと思いますけれども、そういう場合に、だんだん母乳から他の栄養の方へ移られるものですから、そういうような点では支障は、栄養的な点では支障がないし、十分その点を注意すれば支障はないと考えます。
  102. 加瀬完

    加瀬完君 結局外国に行かれる期間というものを短縮しなければならない必要に迫られて、アメリカには行くが、その他の諸国は行き帰りに寄られるくらいの程度寄ってお帰りになる。で、元首が御訪問された多くの国には、結局お寄りにならないという結果は生じませんか。
  103. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点は先のことでございますから、ここではっきりしたことを言えないかもしれませんが、しかしまあ、われわれの観測では、そのアメリカヘお行きになって、なお他の国もおいでになるということが可能であると、そう無理がなくておいでになれるというふうに今考えておるわけであります。
  104. 加瀬完

    加瀬完君 皇室といいますか、元首といいますか、こういうような外交上御訪問等の慣例は、御訪問受けたところにまず御答礼に御訪問をするというのが慣例になっておるのじゃございませんか。で、アメリカには行くが、日本に御訪問になられた国の、たくさんの国の御答礼が延びるということになりますと、これは国際親善の上からいっても、アメリカとは国際親善が増すかもしれませんが、一方では今度は非常な日本との阻隔を来たすというおそれは全然ございませんか。
  105. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点は、アメリカ関係は先ほども何度も申しましたように、百年祭ということがあるものですから、他の関係のも、去年の秋すでに考えられたことも、関係の国で知っていることもあるわけで、忘れていることでないことは十分御承知のわけで、ただ去年はちょうど御妊娠がありましたのでというようなことも知っておりますし、それで今年のことについても実は内々打診は他の国もしておりますし、で、特に外交上アメリカへ行くから他の国が不快に思うというようなこともないと考えております。
  106. 加瀬完

    加瀬完君 これらは宮内庁だけで御決定なさることではなくて、いろいろ外務省なりその他にも、外交上の慣例等からも、お問い合わせになっておきめになることだろうと思いますけれども、くどいようでございますが、初め宮内庁長官のお考えは、御訪問になったところは御答礼をしないでおくわけにはいかないというお考えであったはずでございますが、今度は結果——仮定でございますが、結果論として、アメリカには行ったが、御訪問なさった国々には御答礼があとになったということになりますと、これは宮内庁長官の今までのお考えからすると、どうも慣例上好ましいことではないという結果が生ずるように私には思われるのであります。この点は大丈夫ですか。
  107. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この点はアメリカの方との関係で、ちょうど何と申しますか、今年が修好百年祭のときだということで、しかもアメリカ側から大統領も見えるわけですから、百年祭の機会おいでになるのもことしでなくてはならないし、また大統領選挙が十一月にあることは他の国も知っております。で、都合のいいときというのは常識的に判断されるわけでありますから、その点で、元首の御訪問があったところに対する答礼について非常に失礼になるというようなことはないというように思っております。元首訪問になりましたところを早い機会に御都合をみて御訪問になろうとする、御訪問になることがよろしいという宮内庁長官考え方、これとの矛盾はないと思っております。
  108. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと今のに関連して二、三お伺いいたしますが、こういうことは一体だれの意思できまるのですか。宮内庁長官の意思ですか。本人の意思はどの程度入るのですか。
  109. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは先ほどから宮内庁長官宮内庁長官といいまして、表面に長官の名が出ておりましたが、この場合、御本人の御意思というものが大切であることは申すまでもないのであります。この御訪問のことに関しては、宮内庁長官は両陛下にも申し上げ、また皇太子殿下にも申し上げて、その御意向を受け宮内庁長官がいろいろ行政的にものを運んでいくということになるわけであります。しかしながら宮内庁長官は、皇室に関する国家事務をつかさどるという立場から、いろいろの状況、環境に応じて、またいろいろの条件に応じて、こうあられる方がよろしいというような点の十分の御進言をしていくということでありますから、その点での宮内庁長官考え方というものがいろいろさっきから話されていると思うのであります。
  110. 秋山長造

    秋山長造君 おいでになることについて、私は別にとやかくくちばしをいれるつもりも何もないのですが、ただ、今加瀬君へ答えられたように、たくさんの国を訪問されるという点は、まあ幾ら皇太子が若いといっても、そう精力的に回るというわけにもいかぬだろうと思うのですが、皇太子でなくても、たとえば義宮さんですか、ああいう人もいるのだし、高松三笠というような、みな皇太子と別にそう格の隔たりのない人もおられるわけですが、そういう人で手分けをしてやられたらどうですか。そうすれば早く片づいて、失礼にもあたらんでいいのじゃないかと思うのですがね。皇太子でなければいかんのですか。
  111. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 先方の国によりましては必ずしも皇太子でなくてはいけないということも強く考えていないところもあるかと想像しますけれども、大ていの国では、まあ今の天皇陛下のお出ましになることはむずかしいが、とすれば、その御名代の方として皇太子殿下にきていただきたいというような気持のところがまあ多いのであります。しかし、皇太子殿下でなくて、他の皇族さんがいろいろ国際親善のために訪問されるいうことも今までもございます。イランのごときはイランの皇帝の見えます前に三笠宮殿下がおいでになっておりまするし、三笠宮さんはそのほかイラクにもおいでになっておるのでございますし、それからセイロンにおいでになっております。なお南米の方、あるいは北欧の方。高松宮さんもフランスに行かれた。まあ他の宮さんもそれぞれいろいろ国際親善のために親善訪問をなさっておりますけれども、外国の方で考えます場合に、まあ他の宮さんの場合より、まあ皇太子殿下にきていただくことの方を強く要望している点がございますので、その点を十分こちらで考えていかなけりゃいけないのじゃないかと考えております。
  112. 秋山長造

    秋山長造君 やはり何ですか、行く先によっては旧軍人というようなことについての御遠慮がありますか。三笠高松というような人は旧軍人ですね。たとえば東南アジアなんかに行くのに旧軍人だったということについてのこちら側の遠慮がありますか。
  113. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点は今別にないと思います。今までも御訪問になっております先においても、旧軍人だからどうというようなことを考えておるところはないようにわれわれ思っております。
  114. 加瀬完

    加瀬完君 お話を伺っていると、少なくもアメリカだけには確実に行かれることは、もうはっきりしているわけですね。あるいはその他の何カ国かも全部じゃないにしてもお回りになるということもある程度確率が高い。それならば三十五年度予算に、一応その経費というのは当然これは宮内庁としては要求すべきじゃないか。あるいは旅費その他はそのときの予備費から支出してもらってもできるとしても、いろいろの準備費用もございましょう。あるいは外国を御訪問なさるわけでありますから、外国の元首なりその他のそれぞれの方たちに対して皇室から贈り物をしなければならない。御贈答品というのですか、贈り物の準備も要りましょう。そういうものの経費が本年度宮内庁予算の中におありなのですか。
  115. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この当初予算にのせる場合にはほんとうにやはりはっきりきまったものでありませんと、今までのところ無理とされておるので、まあ大蔵省の方の予算編成の方針からみて、ほんとうにはっきりしたものだけ、今のアメリカ関係も、これは今のところはアメリカ側から皇太子、同妃殿下にきていただきたいと意思表示になったのを公表されている。ほかの国はその点も意思表示されていない。その点の差があって、アメリカの方が、ここではっきりアメリカアメリカと言えるわけであります。ほかの国は公にはそうなっていない。しかし先方はそういうふうに意思表示されていますけれども、正式の招待状というものはある程度両方でその時期その他について打ち合わせた上でくるので、アメリカからも正式の招待状もまだきておらないわけであります。そういうような未確定のものでございます。そういう未確定のものについては予算には載せないので、必要に応じて予備費でやった方が経費のむだにならないという財政上の方針によってそういうふうにされておるわけであります。  なお、贈答品なんかの関係で、それじゃ少し早目に準備しなければいかぬところがありはしないかというような御意見もございましたが、これにつきましては、場合によりますと、この報償費の中である程度のものを準備いたしましたり、国によりますと、これは内廷費で一応おやりになっておりまして、あとから国の経費でいくというような、これは内輪のことでございますけれども、そういうようなことも場合によってはあることもあります。その点は経理の方ではそう支障のないように運んでいっているわけです。
  116. 加瀬完

    加瀬完君 くどいようですけれども宮内庁としては皇室をして親善外交というか、そういう方針を強く打ち出そうというお考えなんでございますか。それとも仕方がないので受けて立つということなんですか。
  117. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇室は従来から親善外交の面ですでにいろいろ御活動になっております。この新憲法におきましても、外国大公使の接受というのは天皇が受けられる。信任状を受けられるのは天皇となっており、外国からみますと、その皇室に対しての考え方については、まあ特別のものがありまして、皇室から外国に対してもいろいろ親善のことをなさいますことが、日本の国とその国との親善上大きな効果も上がっているわけであります。しかし、皇室としてそれを積極的に大いにやるのだというような、そういうことと考えても、これは誤解を受けると思うのでありますが、まあ自然の姿でそういうお立場におられますので、そのお立場を十分に生かしていく。その生かしていかれることも、結局国民の総意がそういうふうに要望するものという判断のもとに進まれていかれる。憲法の第一条にも天皇は国の象徴、国民統合の象徴。学者によりますと、国民統合の象徴というのは国内に対するもので、国の象徴というのは国の外に対する表現だとも言われているのですが、外に対する象徴としてのお立場というのは、相当重要でありますので、そういう意味において、いろいろと国民のためになることとしてなさるというふうに考えております。
  118. 加瀬完

    加瀬完君 象徴でありますから、当然予定される経費というものは予備費などでそれぞれの政治的な必要によって流用されるということではなくて、一応百年祭ということでアメリカに行くということなら、行く予算というものは当然私はとるべきだと思うのですが、もし向こうの事情で行けなくなつたら、それはそのまま翌年度予算に返還すればいい。百年祭だからアメリカにはことし行かなければならないと御主張なさっておりながら、当然もらわなければならない予算がもらえておらない。それでそれを、これは午後の会計検査院にも聞きたいと思うのですが、予備費でおやりになる、目の返還だの予備費の流用だのということを平気でやられるということは、予算建前上よろしくないと思う。政府もあんなに宣伝しているのですから、当然要求すればとれるべき予算でございませんか。それをおとりにならないというのはどうも私は手落ちだと思う。そういう初めからわかっておりますものをそのときになって予備費から流用するということは、私は財政運営の立場からまずいじゃないかというように思われるのです。この点はどうなんですか。百年祭だからことし行く、いらっしゃると、もうおきめになっている。当然経費は取るべきじゃないのですか。
  119. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この点は先ほど申しましたように、まだその確定はしておらないわけであります。なおそういうことが相当実現の可能性が濃いというふうに考えられてきましたのも、この予算なんかの編成も終わって、ことしに入ってからのことであります。しかも、ことしに入ってからアイゼンハワー大統領からおいでいただきたいという意思表示があった。それから総理が帰ってこられて、またいろいろ相談する。それからまた先方都合も聞いてというようなことで、今いろいろ都合を聞いている程度で、おいでになるという線で都合を聞いているのですが、これはしかし、場合によってはどうもうまく都合のいいときがないという場合は、これは流れることも絶対ないとは言えないわけです。そういういくらか未確定のものについては従来の宮内庁予算の編成の場合は、財政当局も当初から当初予算に入れて、もし不用になったら不用にするというような形はとりたくないということを言っておるわけであります。これは経費のむだ使いがないようにしたいという財政当局の熱心な気持からきておるわけですので、その点を受けて、われわれもそのつもりでやっておるわけであります。
  120. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) まことにこれはしろうとみたいなことを言って恐縮なのですけれども元首の訪日があった場合には、そこはぜひとも行かなければならない。元首のところですね。日本の場合は対外的にはどういうことになるのですか。象徴という言葉を普通に使うわけではないでしょう。ただ天皇ということでしょう。そういうことはどこか国会で議論されたことがあるのですか。日本の国を代表するとかいったような地位ですね。天皇というものの国際的な地位、対外的な地位というものがどういうものだということを議論されたことがございますか。
  121. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 特別にその点を国会での議論は——憲法調査会あたりで議論になったことはあります。  なお、外国から元首が見えた場合、必ずそれじゃこちらから答礼するかというと、それは国際慣例は必ずしもきちっとはいっていないわけであります。必ずというようなものではないようでございますが、まあその方がよろしいということでありますけれども、それじゃ元首訪問受けて、こちらから天皇の名代としてだれかが行かれる。それは元首の名代という意味かというと、日本の国内は元首という用語は使っていない。外国の方から見ると、日本の国家機関で、まあ権力機構としては別として、国家機関として最高の位置におられる方は天皇、やはり形式的ではございますが、総理大臣の任命ですとか、国会の召集ですとか、最高裁判所長官の任命ですとかに形式的には当たっているのですから、最高の人というふうに考える。従って自分の国の皇帝とか大統領とか、それと対等の方は日本では天皇であるというように考えておるわけでございます。従って対等のおつき合いの場合に、先方から皇帝が見えた場合に、総理大臣がおいでになっても何かそれでは物足らぬ感じがするわけです。そういう実際上の外国の考え方というものも考えあわせていろいろこういう問題が考えられたわけであります。
  122. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) そうすると、対外的には日本の国を代表する方といえば天皇だというふうに宮内庁としては一応意見の統一を見ているわけですか。
  123. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 日本の国を外国に代表する方と、そういうふうな解釈をとることは相当困難だと思います。やはり象徴として日本の国の最高の位置におられる。シンボルとしておられる。代表するというようなことになりますと、やはりそこに国家権力を代表するというような問題が出て参りますから、そういう面の御権能は今天皇はないのですから、従って代表という言葉はこれは使えないかもしれない。学者の中にはそう言ってもいいという人もありますが、その点は疑問だと思っております。どちらともわれわれとしては申し上げかねるわけでございます。
  124. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) そうしますと、外国の元首が来られた答礼として、天皇なら天皇の名代が行かれるということは国事行為になるわけですか。
  125. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは国事行為の中には直接入らないのですが、しかし象徴としての儀礼的な行為として、やはり国の公事というふうに解釈をされております。従来たとえば皇太子殿下が英国の戴冠式に御名代としておいでになりました。国の公事として考えられておる。公事というのは憲法第七条の国事の中にぴったりは入りない。しかし学者もそういう儀礼的な行為についてはそれを国事と考えて差しつかえないというのが通説になっております。
  126. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) もう一つ。そうすると、天皇の国事行為として外国の大公使を接受するということがある。それとは全然性格が違うものであるというお考えですか。
  127. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 全然違うということではちょっと表現が強過ぎます。外国の大公使を接受するのは憲法七条ではっきり明言されておる。しかしそういうことを、国事行為をなさるようになっていることは、要するにそういうような対外的に日本では最高の地位におられる方だというのでそういうふうになっておるわけですから、従って象徴としての御活動も直接この大公使の接受というような国事行為と同じように、条文の明文はありませんけれども、儀礼的行為ならばこれは国の公事としてなさるというふうに解釈しております。
  128. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ちょっと私もまだ十分質問の要点をはっきり自分自身がまとめておりませんので、これ以上申し上げませんけれども、やはりこれはどこできめていいことかわかりませんけれども、国の代表であるとか、元首に対する答礼の訪問であるとか、あるいは国事行為であるかどうかということ、こういうような問題は将来いろいろ解決しなければならない問題がたくさんあると思うのです。象徴という言葉を憲法の中に入れましたときには、そういういろいろな内容というものを考えていなかったと思うのです。まあ私は疑問だけ提起しておきます。  ほかに御質疑ありませんか。——ほかに御質疑がなければ皇室及び宮内庁に関する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないと認めます。  それでは午後は一時三十分より開会いたします。  休憩いたします。    午後零時二十七分休憩    —————・—————    午後一時四十六分開会
  130. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) これより分科会を再開いたします。  まず、国会所管を議題といたします。これより順次説明を求めます。衆議院知野庶務部長。
  131. 知野虎雄

    ○衆議院参事(知野虎雄君) 衆議院関係歳出予算について御説明いたします。  昭和三十五年度国会所管衆議院関係予算の要求額は二十四億二千八百八十二万五千円でありまして、前年度予算額二十四億三千五百六十九万五千円に比較いたしますと、六百八十七万円の減少となっております。  次に、おもな事項について御説明申し上げます。  まず、国会の運営に必要な経費といたしまして、二十二億五千九百五十万二千円を計上しております。これは、衆議院が国会の権能を行使し、かつ、衆議院事務局及び法制局の所掌事務を処理するため必要な経費でありまして、議員歳費、通信手当、議員旅費、議会雑費、議員秘書手当、立法事務費及び列国議会同盟分担金等議員に関する経費として十一億四千四百三十四万二千円、委員派遣の旅費、審査雑費及び証人旅費等国政調査に要する経費九十五百九十四万六千円、事務局、法制局及び常任委員会の職員に要する人件費、旅費、事務費、その他議案類印刷費、光熱水料、通信費、議員会館等の維持管理に必要な経費十億一千九百二十一万三千円を計上いたしてありま  第二に、議会開設七十年記念に関し必要な経費といたしまして八百七十八万八千円を計上いたしてあります。  これは、議会開設七十年記念式典を挙行し、かつ、議会制度七十年史刊行に必要な経費でありまして、記念式典に関する経費七百四十二万五千円、七十年史編さん刊行に関する経費一千十五万一千円でありまして、所要総額一千七百五十七万六千円を衆参両院にそれぞれ折半して計上いたしたものであります。  第三に、列国議会同盟東京会議開催に必要な経費といたしまして六千六百十四万一千円を計上してあります。  これは、本年秋開催されることとなっております列国議会同盟東京会議に必要な経費でありまして、会場等の設備に要する経費四千四百二十八万七千円、列国議会同盟評議員会議長夫妻及び同盟事務局職員等の来日に要する航空賃及び滞在費一千七百三十九万三千円、会議運営のために要する経費一千四百二十七万円、各国の出席代表等の接伴に要する経費一千九百七十六万八千円、所要総額九千五百七十一万八千円を衆参両議院にそれぞれ区分して計上されたものでありまして、六千六百十四万一千円を衆議院に、二千九百五十七万七千円を参議院に計上されてあります。  第四に、営繕工事に必要な経費として八千七百三十九万四千円を計上いたしてあります。これは、議長公邸の新営等の営繕工事にかかる経費でありまして、衆議院議長公邸新営費に三千四百八十九万円、本館昇降機改修費に二千九百四十五万円、陸橋上屋増築費に三百八十万四千円、各所新営及び改修費に一千九百二十五万円となっております。  第五は、国会予備金に必要な経費として前年度と同額の七百万円を計上いたしてあります。  以上、簡単ながら概略の御説明を申し上げました。
  132. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 次は、参議院佐藤管理部長。
  133. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 次に、参議院につきまして御説明申し上げます。  昭和三十五年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、十五億六千五百四十六万円でありまして、これを前年度予算額十五億六千七百二万五千円に比較いたしますと百五十六万五千円の減少となっております。  次に、そのおもな事項について御説明申し上げます。  まず第一に、国会の運営に必要な経費といたしまして十四億三千四百三十六万一千円を計上しております。  これは参議院が国会の権能を行使し、かつ参議院事務局及び法制局の所掌事務を処理するため必要な経費でありまして、議員の歳費、手当、旅費及び立法事務費等議員に関する経費五億九千八百六十六万三千円、国政調査に要する旅費及び審査雑費等並びに事務局、法制局及び常任委員会の職員の人件費、旅費、事務費、その他議案類印刷費、光熱水料、通信費、議員会館等の維持管理に必要な経費等八億一千五百一万一千円、国際会議出席等海外派遣に必要な経費二千六十八万七千円であります。  第二に、議会開設七十年記念に関し必要な経費といたしまして八百七十八万八千円を計上しております。  これはただいま衆議院から御説明のありました記念式典並びに議会制度七十年史の編さん及び刊行に要する経費のうち参議院分として計上したものであります。  第三に、列国議会同盟東京会議開催に必要な経費といたしまして二千九百五十七万七千円を計上しておりますが、これもただいま衆議院から御説明がありました第四十九回列国議会同盟会議を、東京において開催するため必要な諸経費のうち参議院分として計上したものであります。  第四に、営繕工事に必要な経費として八千七百七十三万四千円を計上しております。これは参議院議長公邸の新営、本館昇降機の改修、陸橋上屋の増築並びに各所新営及び改修費等であります。  最後に、国会予備金に必要な経費として、前年度と同額の五百万円を計上しております。  以上、簡単でありますが、概略の御説明を申し上げました。
  134. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 次は、国立国会図書館岡部副館長。
  135. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 昭和三十五年度国会所管国立国会図書館の予定経費要求について御説明申し上げます。  昭和三十五年度国立国会図書館の予定経費の要求総額は、十億九千八百二十三万二千円でありまして、これを前年度予算額と比較しますと、二億七千二百五十二万四千円の増加となっております。  次に、要求額の内容を御説明いたします。国立国会図書館の管理運営に必要な経費といたしまして四億八千六百三十四万二千円が計上いたしてあります。これを前年度予算額に比較いたしますと、五千九百四十七万九千円の増加となっております。この経費は、人件費、事務費、図書購入費等の管理、運営に必要な経費でありますが、このうちには、予算編成にあたりまして重点として取り上げました科学技術関係資料の整備拡充に必要な経費が含まれております。すなわち、科学技術資料の整備関係経費は、前年度予算額に比較いたしまして、二千二百八万二千円の増加となっております。その増加のおもなものは、科学技術関係資料の購入費で約一千七百三十五万円、資料整備に必要な事務費といたしまして約百四十二万円及び整備要員として、十名の人件費約三百二十九万円であります。  次は、国立国会図書館庁舎の新営に必要な経費といたしまして、六億一千百八十九万円が計上いたしてあります。これを前年度予算額と比較いたしますと二億一千三百四万五千円の増加となっております。この経費は、現在工事中の国立国会図書館庁舎の第一期工事八千坪を完成し、昭和三十六年九月中に移転を完了して、十月に開館できるようにするために必要な経費であります。この工事費五億九千五百九十九万八千円と、予定敷地内に残存する一部未買収地及び家屋の購入費一千万円並びに工事関係の事務費五百八十九万二千円となっております。  以上、まことに簡単な説明でございますが、よろしく御審査のほどお願い申し上げます。
  136. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 次は、裁判官訴追委員小林事務局長。
  137. 小林健治

    ○裁判官訴追委員会参事(小林健治君)  裁判官訴追委員会の三十五年度予算要求につきまして、御説明申し上げます。  三十五年度における訴追委員会の予定経費の要求額は七百六十九万二千円でありまして、これを前年度予算額七百四十四万九千円に比較いたしますと、二十四万三千円の増加となっております。  この経費は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し、増加となっておりますもののうちおもなものは、給与改善による職員俸給並びに期末手当の増加によるものでありまして、その他は前年度と同様になっております。  以上、簡単でございますが、御説明申し上げます。
  138. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 次は、裁判官弾劾裁判所隈井事務局長。
  139. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) 昭和三十五年度裁判官弾劾裁判所関係予算について御説明申し上げます。  昭和三十五年度国会所管、裁判官弾劾裁判所歳出予算要求額は、八百二十七万八千円でありまして、これを前年度予算額八百八十三万五千円に比較いたしますと、五十五万七千円の減額となっております。  この減額は、自動車購入費の削除による減と、人件費の自然増加の差引等によるものであります。  次に、この要求額を事項別に御説明申し上げますと、まず、裁判官弾劾裁判所の運営に必要な経費といたしまして、七百七十一万六千円を計上しております。これは、当所の運営に必要な裁判長の職務雑費、裁判員の調査旅費並びに事務局の人件費、事務費等であります。  次に、裁判に必要な経費といたしまして、五十六万二千円を計上いたしております。これは、裁判官弾劾法に基づく、裁判官の弾劾裁判に必要な旅費、庁費等であります。  以上、簡単でありますが、概略の説明を終わります。
  140. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 以上で国会関係説明は終わりました。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  141. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 これは参議院の方でも衆議院の方でもけっこうですが、この列国議会同盟の東京会議の開催について、その構想とかそれから受け入れ態勢についての今まできまった状況、これを一つ御報告願います。
  142. 知野虎雄

    ○衆議院参事(知野虎雄君) ことしの列国議会同盟の東京大会につきましては、すでに御承知の通り一昨年のリオ・デ・ジャネイロ会議におきまして、日本議員団と同盟との間におきまして東京会議に関する協定ができておるわけでございます。その協定に基づきまして、それぞれ両院の議院運営委員会を中心に準備委員会というものができまして、その下にそれぞれ両院の事務局を総合しました準備事務局ができて、それから横の連絡機関としましては、各省庁の所管にまたがる関係がございますので、各省庁連絡会議というものがございまして、そういうところで今日まで協定、あるいは同盟からの、遠隔地で開かれた場合の会議の覚書並びに従来の各国の列国議会同盟の慣例あるいは昨年のポーランド会議の調査、経験そういったものをもとにしまして、今日まで諸般の準備を進めて参っておるわけでありますが、非常に広範にわたりますものですから、全般的な説明と申しましても、どの辺から申していいかわからないのでございますが、大体のことを申し上げますと、向こうの方から現在言われておりますのは、代表団五百、家族随伴者二百と大体七百名の各国の代表が東京に来るということが、一応原則になっておりまして、それに伴いますホテルの予約でございますとか、いろいろな会議の資料でございますとか、そういうものを基準にして行なわれるわけでございます。それでまだ本格的に正式にきまったものばかりでもございませんけれども、たとえば会場にいたしましても、今のところは、大体参議院の方で開会式をやれば、衆議院の方で本会議が行なわれるというふうなことで、協定の中に本会議場に近接しました場所を、すでに日本議員団としては協定したものがありますものですから、二階でございますがほとんど両院の二階は会議のために一時的に使用しなければならないというふうなことになろうかと思っておるわけでございます。会議期間は、九月二十九日から十月の七日までの九日間でございますが、二十九日の前の日の二十八日には評議員会というのがございまして、二十七日には執行委員会というのがございます。同盟の事務局は、事務総長、事務次長以下もう少し早めに来まして、この会議準備のためにいろいろこちらで活動を始めるというふうなことになりまして、それらに伴いますいろいろな準備を進めておるというのが、今までの概略でございます。
  143. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私の一番心配するのは、これは七百人の中には、おそらく婦人が入っておらぬと思うのですが、どうなのですか。七百人というのは随員とそれから本議員だけでしょう。
  144. 知野虎雄

    ○衆議院参事(知野虎雄君) その中には、家族も含まれております。また実際来てみないとわかりませんけれども大体の話の中には婦人も入っております。
  145. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それでまあ大体オリンピックも近くなってくるし、それからまたちょうど秋のことでもあるし、いろいろな外国からのお客さんも多いのですが、大体目安は千人と見て東京だけでどうですかホテルに収容しきる自信ありますか。
  146. 知野虎雄

    ○衆議院参事(知野虎雄君) 協定の方の文書の中に、ホテルのことがやはりありまして、代表五百、それから家族二百のホテルを日本議員団として予約してほしいということできまっておるわけでございます。私どもの方はそれに基づきまして現在五百三十ばかりの実数の部屋を一応もう確保してございます。この数は大体婦人が参加されますのは、従来の会議の前例を平均してみますと、大体代表団の三五%、三割強が婦人をお連れになっておられる。日本の場合は遠いという点もあるかもしれませんけれども、そういうことで、協定の中にも五百の代表に対して二百の婦人というふうに書いてあるのだと思いますが、それに基づきまして、今のところは同盟国の協定に基づく限りではホテルは、一応の予約はホテル協会と話し合いまして、確保だけはしてございます。
  147. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 ホテルということになれば、当然車という問題もあると思うのですが、その見通しもついているのですか。
  148. 知野虎雄

    ○衆議院参事(知野虎雄君) 車というのは、ホテルとの間のことでありますか。
  149. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いや、それに使用する車だね。
  150. 知野虎雄

    ○衆議院参事(知野虎雄君) 車につきましては、日本の議員さんが外地に行きました場合のように、在外公館あたりでいろいろお世話願うというふうなこともありましょうけれども、今度の会議に必要な日本議員団の準備としましては、ホテルと会場の議事堂の間をやはりバスを朝晩運行するというふうな建前のもとに用意することになっております。
  151. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それからこれはあくまでも国会のお客さんという格好になると思うのですがね。従って単に会議中のお世話ということでなく、まあわれわれが海外へ行ったときにも、いろいろお世話になるのと同じような意味で、しかしこれはとにかく開催地が日本で、七百人からの人間が来るわけなんで、私はなかなか机上プランでは私は容易じゃないと思うのですがね。そういうことで全国各地のいわゆる名所旧跡の案内というのもこれはやはり予定に立てておられるのですか。
  152. 知野虎雄

    ○衆議院参事(知野虎雄君) 御承知のように、会議そのものの運営は同盟がやるわけでございまして、日本議員団としまして非常に大きい問題は、ただいまおっしゃいましたように接伴の問題でございます。これは日本議員団の責任において各種の接伴を行なうわけでありますが、大体従来の列国議会同盟の会議の、各国の主催国の慣例としまして行なわれますおもだった接伴というのは、その国の議員団、日本議員団が行ないますレセプションでございますとか、それからその国の首相が行ないますレセプション、それから君主制をとっております場合には、その君主といいますか、イギリスの場合はクインがやられましたが、そういう場合の園遊会的なもの、それから市といいますか、東京でいいますと都知事でございますが、主催地の市長がやります場合でございますが、それからその国の特殊性に応じまして、たとえば音楽の非常に盛んな所であるとか、バレーの盛んなところであるとか、日本の場合は歌舞伎であるとかというような、代表的な演劇を一つお見せするというような事柄は、大体各国の従来の慣例になっているわけであります。そういうふうな慣例に基づきまして、わが国におきましても、会議の途中に織り込んでやっております。もう一つ、その近郊への小旅行というのを必ず各国がやっておりまして、日本の場合を考えますと、日光への小旅行といいますか、そういうようなものも一応現在予定せられております。そのほかに特に各国は婦人のために、随伴されました婦人のために、婦人の接伴のプログラムというものをするのが、やはり慣例になっております。一般の議員団は毎日朝から晩までほとんど本会議がございまして、昼間というのは会議がありますので、出て歩けない建前になっておりますが、御婦人はそうでございませんので、昼間を使いまして特別に婦人のためのプログラムを組むということになっておりまして、それらの準備もおいおいやっておるという段階でございます。
  153. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 とにかく、終戦以来初めて大きな外国のしかも代表的なお客さんを数多く迎えるわけなんだが、どうも予算を見ると、六千六百十四万、これは両方合わせると一億二千万円以上になるのだけれども、一体そんなことでできますか。それはむろんまあ精細にいろいろやられたのだろうけれども、どうもわれわれがちょっと概算しても、はたしてこれで満足にいけるかいけないか。これはいろいろまあ程度問題でもあるけれども、こんな予算で一体いけるのかね。
  154. 知野虎雄

    ○衆議院参事(知野虎雄君) まあ、これはいろいろその考え方あるいはやり方にもよるかと思いますけれども、両院に入っております一億の会議に要する経費というのは、会議だけでございまして、たとえば、この会議のためばかりでもないのですが、この会議のために院内に婦人便所を作りますとか、あるいはエレベーターを改造しますとか、そういうふうな金は別途に一億ばかりの金が使ってあるわけでございます。そういうふうなものを除きましたこれはものでございまして、まあわれわれは大体何とかやれるのじゃなかろうかとは思っておるのであります。
  155. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 このためにどうですか、接待費というのはどのくらい見積もっておるのですか。
  156. 知野虎雄

    ○衆議院参事(知野虎雄君) 接待費は約二千万でございます。
  157. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 二千万。それはむろんこの小旅行とかそういうものも一切含んでですね。
  158. 知野虎雄

    ○衆議院参事(知野虎雄君) さようでございます。
  159. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから汽車なんかどうするのか。無料パスを出すのか。
  160. 知野虎雄

    ○衆議院参事(知野虎雄君) これは国内の汽車でございますとか、あるいは私鉄でございますとか、日航でございますとか、国内旅行、こういうような場合には大体各国とも無料ということではありませんで、若干の割引もいたします。われわれの方も大体二五%の割引の線で話し合いを進めておる段階でございます。国際線の割引につきましては、これはちょっと、IATAといいますか、何か国際協定がございまして、勝手にできないことになっております。ただという考え方は今のところございません。私の方が日航機で日本議員団として御案内をするときは、全部こちらの費用でございますが、こちらの接伴日程にのっからないで、各人の自由に会議のあとで国内を観光旅行されますとか、そういうふうな場合は、各人の費用でやられるわけでございます。
  161. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 とにかく来られて、すぐ東京だけ見、また東京の回りだけ見て帰るという人は、まあ私どもが想像するに、少ないと思うんです。結局奈良へ行くとか、日本の名所旧蹟を見るとか、あるいはゴルフをやるとかというような人が非常に多いと思うんですがね。まあそういう点において、関係各省が、観光関係だから運輸省が中心かもしらぬけれども、それから各府県の関係などで、よほどよくやりませんと、ちょうど秋のシーズンだから、そうでなくったって、始終外人がフリーにやって来ても、いろいろ問題を起こして、そうして非常に日本に来て不愉快な思いをして帰るというのが、われわれの聞いておるところでもかなり多いのですよ。いろいろな設備の問題等があるかもしれませんけれども、だから大事なお客さんだから、よほどその点は運輸省を初めとして、その所管庁とも十分連絡をとっておやりになることを、特に一つお願いしておきます。  続いて、図書館の問題なんですが、副館長がお出でですが、これはよく議運でもだいぶ問題になって、もう一応の説明も、議運の理事会でもたびたびお聞きしたのですが、例の春秋会の問題というのは、あれはその後どうなったんですか。
  162. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 国会図書館の外郭団体として春秋会というのがございましたが、これはいろいろ館の仕事との混淆を来たすようなおそれもございまして、いろいろ御批判もいただきましたので、一昨年の十二月に解散届をいたしまして、その後清算過程に入りまして、昨年の八月、全部清算終了届をいたしまして、現在におきましては、すべて、その措置は終了いたしております。残余財産がございましたが、これも公認会計士その他の清算人によりまして、清算を結了いたしまして、余ったものは、図書、その備品その他につきまして、これを図書館に寄付してもらいまして、すべて清算は結了しております。
  163. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 清算の結果、図書館に寄付した金額は、どのくらいですか。
  164. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 後ほど詳細に資料をお届け申し上げますが、私の今の記憶では、約二百万円と承知しております。
  165. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから、だいぶいろいろ春秋会の問題については、あなたが御着任以前のことであったかもしらぬけれども、だいぶいろいろ問題があったわけですが、清算をしてみて、何か一部でいわれるような忌まわしい問題というのは起きなかったのですか。あるいは起きていなかったのですか。
  166. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 非常に一部でいろいろと言われたのでございますが、確かにその仕事のやり方におきましては、いろいろまずい点があったように思います。しかし、不正というようなことは、これは絶対になかったように思っております。
  167. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それからその次に、これもよく問題になっていたんですが、科学技術関係の問題なんですがね。まあ新年度予算に二千二百八万二千円という金額が計上されておるわけですが、これだけふえておるのですが、ここで私がお尋ねいたしたいことは、例の技術センターとの関係の問題と、それからまあ文部省との関係ですが、文部省は別といたしまして、せっかくああいう技術センターというものが国費によってできたものですから、これとの競合連関ということが、当時非常に問題になって、それから国立国会図書館自体に対する科学技術関係という問題については、これは御承知の通り、当時相当専門家が批判をしたわけです。そこへ持ってきて技術センターというものができてきたということで、一体この密接な連関をどうするかということが、議運の理事会でも問題になったわけですが、その後この技術センターとの関係というものは、どういうような状況になり、また連係をとりつつあるかという点を御報告願いたい。
  168. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 大へんありがたい御意見でございまして、この科学技術情報センターと国会図書館との関係につきましては、私、就任以来、慎重に配慮をいたして参りましたが、その眼目は、結局この二つの機関が、相協力して日本の科学技術の振興に役立つように資料面を受け持つということでございます。で、その資料面を受け持つ点において、両者が重複あるいは矛盾があるんじゃなかろうかというような意見もあるのでございますが、私の根本態度といたしましては、両者協力いたしましてこの大事な仕事をやっていきたい。で、その根本は、いろいろ科学技術の分野もございますので、その分野間の提携調整をはかる。具体的に申しますと、特に原子力資料関係につきましては、国立国会図書館が断然絶対的な地位を占めておりますので、原子力関係の資料につきましては、国会図書館が保管し、整理して、これを科学技術センターの方に利用させる。それから科学技術センターの方は、国立国会図書館と違いまして、有償で需要のあるところへ資料を販売するという建前でございますので、そのためには、おのずから、ある非常に需要の多い部門に精力を集中するということになりますので、それはその部門に力を集中することを私ども助けよう。その科学技術センターか、外国からごく具体的な目前の資料を買いまして、それを文献として配布する。その足りないところを、国会図書館が補う。それからまた、科学技術情報センターが売り込みにくい、すなわち、需要の少ない部面、これは国会図書館がカバーしてやらなければならぬ。それからまた、今申しました通り、科学技術情報センターというのは、大体独立採算制によりまして文献、情報を売るという建前、買わなければ一般の者が利用できないという建前でございますが、国立国会図書館は、広く国民に平等の立場で、ただで提供させるという建前でございますから、ごく急いで高い金を出しても手に入れたいという人以外は、国立国会図書館に来れば、公平な立場で収集資料の利用ができる。そういう意味で国立国会図書館というものが、科学技術に関して広く手を伸ばしたい。そうして科学技術情報センターというものが、現在の科学技術界の情勢にマッチするようなやり方を深くやっていく。こういうような根本的なやり方で、ずっと緊密な連絡をとって、協力してやって参っております。
  169. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 緊密な連絡を実際にとっておられれば、これに越したことはないと思うんですが、それでお伺いしたいことは、前年度に対しまして、今度科学技術関係が二千二百万円ふえた。技術センターと、それから国立国会図書館の使命というものは、今おっしゃったように、必ずしも一致はしない。しかしながら、同じ科学関係で利用し合うということについては、これはまあ緊密にやってもらわなければならぬわけです。そういう意味で二千万円以上のものがふえた。これは図書だけでなく、いろいろな施設、写真とかいろいろな関係もあると思うのでありますが、こういうことを予算に計上するにあたって、今度図書としては大体こういうようなものを一つ買いたいと思うとか、こういう施設を科学関係としてはやっていきたいとかいうようなことについては、それは何も義務じゃないけれども、何かあらかじめ関係者同士で、技術センターと話し合いをせられたかどうかということは、これは性質は違うにしましても、事、科学技術関係のものというのは、値段の高いものであります。同じようなものを両方で競って入れたら何もならぬわけなんですから、そういう点で、われわれは前々から両者の緊密な連絡提携ということを主張してきたわけでありますが、幸いにして今度二千万円も前年度に対して増額をしておるのですから、そういう点を行なわれたか、この点お伺いしたい。
  170. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) ただいま仰せの通り国会図書館の科学技術資料の整備につきましては、もちろん科学技術情報センターとの間に重複競合が起こらないように、あるいは予算の獲得に際しましても、両者が互いにぶつかり合う、排斥し合うというようなことのないように緊密に話し合いまして、大体こちらの重点を置く資料は、こういう方面だ、それから情報センターの要求するのは、こっちの方に重点を置くということで、食い違いのないように、これはたとえば大蔵省当局に予算説明する場合におきましても、それが食い違ったらおかしいものです。あらかじめ食い違わないように調整しておくことは当然でございますし、そのほかこの計画につきましては、学界の各方面、茅先生初め各方面の方々の御意見も承りまして、各方面の大体の御要望の上に、両者の食い違いがないような計画で要求いたしております。
  171. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、訴追委員会にお尋ねいたしたいのですが、訴追委員会は現在、これは現在といっても、きょうという意味じゃありませんが、どのくらい事件というものが今お手元で審理されておりますか。
  172. 小林健治

    ○裁判官訴追委員会参事(小林健治君) 大体現在四十件手持ち事件としてございます。
  173. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私も弾劾裁判所の予備員あるいは裁判員をずっと長くやっていたのですが、この訴追委員会と弾劾裁判所というものが事務局同士が何か必ずしも緊密な連絡があるようにもわれわれは思えないのですがね。その点いかがですか。
  174. 小林健治

    ○裁判官訴追委員会参事(小林健治君) 緊密な連絡といいましても、職責が違いますので、たとえば検察庁と裁判所とのような関係と私たとえて言ってよろしいかと思うのでございます。その意味では、ちょっと連絡をしない方がよろしいというような面がございます。ただし、個人的にあるいは共通の事務におきましては、これは緊密な連絡はとるべきである、こう考えております。ただいまのところ、私、一昨年の暮れに着任したのでございますが、それ以来弾劾裁判所との関係は、私としては非常にスムーズに、むしろ私は後輩として隈井局長その他の御指導をいただいておる、こんなような気持で執務しております。
  175. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 弾劾裁判所は、今問題はないのですか。
  176. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) ただいま事件はございません。
  177. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうすると、寺迫裁判長の判決以外は、今問題になっているのはないわけですね。
  178. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) 寺迫裁判官の裁判をいたしまして、その後は弾劾事件はございません。
  179. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 この予算を見ますと、何か法廷費というものがあるのですが、これはあれですか、あくまでも想像ですか。
  180. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) この裁判費と申しますのは、事件があります場合を想定いたしまして、要求申し上げているわけであります。これは事件がありません場合は、全然使用いたさずにお返し申しているわけであります。
  181. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうすると、想定というものは、過去何年間かの統計を見て、一応この予算を組んでおられるわけですか。
  182. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) これは私ども予算の概算要求を組みまして要求いたします場合には、日本で一番遠い裁判所に事件があったという場合を想定いたしまして、北海道の釧路、そこに一件事件があったという場合を想定して概算要求をいたします。ところが大蔵省におかれましては、あるかないかわからないものであるから、これを概算要求というのは認めていけないというので、この要求額のような金額になったわけであります。これは数年前と同じ金額であります。もし、そういう辺地の裁判所に事件がございまして、これをオーバーするような経費が必要な場合には、国の予備費あたりから出していただくという工合になっているわけであります。
  183. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうすると、寺迫の問題以外ないというと、計上はされても全然手をつけなかったという年度が多いわけですな。
  184. 隈井亨

    ○裁判官弾劾裁判所参事(隈井亨君) 事件のありません年には、この裁判費は全然使っておりません。
  185. 加瀬完

    加瀬完君 国会図書館に伺いますが、立法考査局の作業も数年前に比べて、何か質的に低下しているように私どもにはうかがわれる。これは優秀な職員も何かおやめになる方も相当あるように聞いておりますし、そういう意味で職員の待遇の問題なのか、それとも立法考査費用そのものが十二分でないのか、それからここ数年来図書館自体としては、立法考査費用をどのように要求をしてきたか、これらの点について御説明をいただきたいと思います。
  186. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 国会図書館が国会議員に特に奉仕する機構として調査及び立法考査局があるわけでございまして、この調査及び立法考査局の活動能力が高いということが、国会図書館の特色でなければならない。私はこの調査及び立法考査局が、議員さん方の御満足が得られるように最大の努力を払っておるつもりでございます。私が就任以来、ますます御利用をいただく方が多うございまして、このごろは忙し過ぎて職員が悲鳴をあげているような状態でございますが、まあもっと現在の状態に満足しないで、ますます勉強に最善を尽くすように督励をしているというような状態でございますので、ただいま加瀬委員から近来質が低下したというようなお感じのお言葉をいただきまして、これは意外でもございますし、また、恐縮いたしております。そういうことがあってはならぬと考える次第でございます。現在調査局には約百五十人の職員を擁しておりますし、それぞれの分野に分かれまして、相当優秀な職員がおりまして、現在毎日二十件ぐらいの調査事項につきまして、大体所定の期日に所定の内客を御回答申し上げておりますんで、最近質が落ちたということを、ほんとうに私、初めて承るのでありますが、ここの職員は大体一般職の国家公務員、各省庁の国家公務員と比べて、待遇が落ちるということもございませんし、素質もまた各省庁の職員と比べて落ちる、低いというようなこともないはずでございます。現に各大学の非常勤の講師に雇われております職員も多いことでございますし、またもらわれていくというような事例も多いのでございまして、相当実力はあるものと考えております。それでこの調査及び立法考査局の拡充ということにつきましては、これは年末の懸案でございますが、その予算資料につきましては、資料でここ数年間の要求はお手元に差し上げてもよろしいかと思っておりますが、現在のところ、職員が活動をするのに不自由をするというような、ひどく不自由をするというような予算状況ではないと考えております。
  187. 加瀬完

    加瀬完君 私の質問が非常に舌足らずでありましたので、つけ加えますが、質が低下しておるというのは、勤めておる職員の質が低下しておるということではなくて、われわれの報告を受ける報告調査の内客の質が、同じ課で三年前にいただいたものと、項目は違いましても、同じ課に最近またわれわれが依頼をして調査をしていただくその報告の内容を見ると、どうしても数年前の方が、私ども受ける感じでははるかに調査が行き届いておった。このごろはあなたが今、一日二十件もあって悲鳴をあげていると、こういう状態なので、一つ一つの件数の内容というものについての調査の手が少し省けてきているんじゃないか、そういう点で、私どもは報告書の内容が、どうも質が落ちてきているように思われる。それは勤めている者の質そのものもあろうけれども、もっと人員の問題、今御指摘の人員の問題、あるいは立法考査する費用そのものの問題、こういう問題で、また需要が多いだけ、前と同じような程度の報告ができないという要因があるんじゃないかという点も、お尋ねをしておるんです。
  188. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 確かに近来非常に調査局を利用していただく議員さん方が多くなりまして、これは調査局の存在の使命からいっても、非常にありがたいと存じております。それで、最近にも調査局長からの報告を受けますと、今申し上げた通り、このごろは忙しくてふうふう言っているんだ、今までは、今年度までは従来の人員でよかったけれども、この調子では来年度はどうしても人員増加の要求をしなけりゃならぬように思います。というような報告を受けております。しかし、それだからと、今非常に忙しいからといって質の低下ということが許さるべきことではございませんので、ただいま非常にありがたい御批判をいただきましたので、現在の人員で質の低下のしないようなレフアレンスをすることに、最大の努力をいたしたいと思います。
  189. 加瀬完

    加瀬完君 一般職と待遇は同じでしよう。
  190. 岡部史郎

    ○国立国会図書館副館長(岡部史郎君) 同じでございます。
  191. 加瀬完

    加瀬完君 それでですね、仕事は非常に立法考査局の課におるものは、骨も折れるし、仕事も多い。こういうことでは個人的な研究をする時間もないし、あるいは十二分に学問的な立場で調査をする時間もない。結局勉強したいものは大学へ帰るとか、あるいはほかに職を転ずるとかして、ただ普通のお役人と同じように、忙しさに毎日追われるという状況をそまま放置しておいては、この立法考査の目的は達せられないと思う。どうもそういう傾向が、われわれがこのごろいただくところの調査物には多い、こう感じますので、この点は一つ御研究をいただきたいと思います。
  192. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 一つだけちょっと私から、お願いかたがたのようなことになるのですけれども国会の周辺の、デモじゃないのですけれどもね、見学や参観が非常に多くて、このごろ道に自動車の駐車が非常に多くなって、国会議員の登院が、その意味で困難になったという感じが私はするのですけれども、確かにふえているでしょう。それと小学校の、割合低学年の人などが見学に来られますね。ただ建物を見に来るだけだったら、大した意味はないと思うのですけれども、そういう規制がどうなっているのか。遊覧バスの駐車というものがああまで多くなると、ある意味における規制というものが必要になってくるのじゃないかと思いますけれども、これはまあ国民の権利としての請願、陳情の問題とは、性格が遠うと思うのです。この裏の方の議員会館のところでも、国会側の片側全部駐車するでしょう。そうするとあと三車両ぐらいしかあいていませんわね。それで今度向こう側の議員会館の方に、一両とまるかどうかしたとすれば、まん中のところ二車両しかないですね。非常にあぶないと思うのですが、何かそんな問題は起こっていませんか。あるいはまた、そういうことの規制はどんなことですか。
  193. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) その点、議院運営委員会の理事会におきましても、そういう御注意がございまして、実は最近非常に見学する生徒なんか、数が多くなっておりますが、これは国会開会中は、十時以後は参観を原則として認めておりませんものですから、朝早く、夕方はあまりありません、朝十時前に参観に来るものが、一度に押し寄せてくるという格好になっているわけであります。ただそのたくさん来ます場合には、バスの置き場とか、こういうものが、非常にありませんものでございますから、御指摘のような御迷惑をかけているわけでございますが、まあ一応院外のことでもございますので、警視庁あるいは所轄の麹町署等と連絡をいたしまして、現在その対策を協議中といいますか、考究中でございまして、できるだけすみやかに、この登院を阻害するようなことのないようにいたしたいと思っております。
  194. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ほかに御質疑ございませんか。——質疑もないようでございますので、国会所管に関する質疑は、終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  196. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 次に、会計検査院を議題といたします。  まず、説明を求めます。
  197. 大沢実

    説明員(大沢実君) 会計検査院所管昭和三十五年度歳出予算の御説明をいたします。  会計検査院所管昭和三十五年度一般会計歳出予算要求額は六億八千三百五十四万一千円でありまして、これは会計検査院が憲法第九十条の規定により、国の収入支出の決算を検査し確認するため、常時会計検査を行ない、会計経理を監督し、適正を期し、かつ、是正をはかるために必要な人件費、物件費、検査旅費等の経費であります。  今、要求額のおもなものについて申し上げますと、第一に人件費でありますが、五億六百四十八万七千円を計上いたしましたが、これは職員千百七十八人分の給与、手当等でありまして、要求額の七四%に当たっております。  次に、検査旅費として六千九百三万円を計上いたしましたが、これは各省各庁から提出されます証拠書類の検査と併行して職員を現地に派遣し、実地について検査をするために必要な経費であります。  次に、物件費として四千三百十万八千円を計上いたしましたが、これは事務上必要な備品、消耗品、通信費、印刷費及び光熱水料等の経費であります。  次に、庁舎施設整備費として六千二百二十二万四千円を計上いたしましたが、これは現在通商産業省が使用いたしております元会計検査院庁舎に移転することとなっておりますので、同庁舎を整備するために必要な経費であります。  次に、ただいま申し上げました昭和三十五年度歳出予算要求額六億八千三百五十四万一千円を前年度予算額五億七千四百六十三万九千円に比較いたしますと一億八百九十万二千円の増加となっておりますが、その増加のおもなものは人件費で三千八百十一万七千円、検査旅費で九十一万円物件費で九百十三万九千円、庁舎施設整備費で六千二百二十二万四千円となっており、減額となったものは、外国旅費等百四十八万八千円でありまして、これを差し引きいたしますと、前に述べました通り一億八百九十万二千円の増加となります。  はなはだ簡単でございますが、会計検査院所管昭和三十五年度歳出予算要求額の概要の御説明を終わります。どうぞ御審議のほどをお願いいたします。
  198. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御質疑のあります方は、順次御発言願います。
  199. 加瀬完

    加瀬完君 ただいまの御説明で、外国旅費等百四十八万八千円の減額ということになりますね、外国旅費九十六万四千円というものは、これは減額された残がこれだけということになりますか。
  200. 大沢実

    説明員(大沢実君) その通りでございまして、ことしの外国旅費としては九十六万円、昨年はもっと多かったのでありますが、この理由は昨年は、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロに会計検査機構の国際会議がございまして、これに院長ほかが出席いたしました。それの帰りに視察してきた旅費が相当多額に計上されておったのでありますが、ことしはそうした会議はない、そのかわり、かわりではありませんが、それとは別に、外国の在外公館、これを検査する必要があると思いまして、従来から大蔵省の方へ予算の要求をいたしておったのですが、その一端といたしまして、在外公館の検査という必要があるかどうかということを調査するという意味も兼ねまして、本年は九十六万円の予算の要求がいれられ、大蔵省の方で承諾されてここに計上されたのであります。
  201. 加瀬完

    加瀬完君 私のお聞きしたかったのは、説明の中にあった在外公館の経費、今までは在外公館の経費はどういう形で会計検査院で監査しておったのですか。
  202. 大沢実

    説明員(大沢実君) その前に申し上げますが、会計検査院の検査は、いわゆる書面検査と実地検査とありまして、書面検査といたしましては、在外公館の支出、支払いました経費の計算書は、全部証拠書類を添えて会計検査院の方へ外務省を通じて提出されております。在外公館の一般的な経費は、書面においてわかるわけであります。しかしながら、実地検査の方になりますと、これは会計検査院が明治二十三年かに発足いたしましてから、戦争中の、占領下の満州とか、シナとかいう方面には参ったことはありますが、いわゆる欧米各国の在外公館の検査ということは、今までいたしたことはないのでございます。それが必要だということは、絶えず叫ばれて、絶えずあったのですが、なかなかその予算の要求が、大蔵省の方のいれるところとならなくて、今日に至った次第でございます。
  203. 加瀬完

    加瀬完君 在外公館の報償費なんかが、非常に決算委員会なんかでも問題になっておりますね。こういうものを何十年にもわたって書面検査だけで実際の検査は一切やらなかったということであっては、やはりその間に書面検査ということになれば、悪く考えれば、書面の上の整備だけで、実際の運用はほかの立場でできるということにもなるわけで、これを何年間も放置しておけば、報償費の使用等で問題が起こるのは当然じゃないか、書面審査で何十年たっても実地検査をしなくて何といいますか、財政法上あるいは会計法上支障が起こらなかったという理由は何ですか。
  204. 大沢実

    説明員(大沢実君) ただいま報償費のお話が出ましたですが、在外公館の経費は、一般的な経費といたしましては給与がおもであり、あとは在外公館は借り入れが多くございますが、借り入れ費とかその他庁費の一部、これは証拠書類でほとんど内容がわかります。それで問題は、ただいまお話の報償費でございます。報償費のような、現在はそういうわけで、やはり出先出先によって実際について聞かなければならぬじゃないかというのがわれわれの要望であったのですが、それで今まではそれではどうしておったかといいますと、これは全部細大漏らさず報告が外務本省の方へは在外公館から参っております。そうしてそれを外務本省の検査のときに、その各方面のいろいろな報告を調査いたしまして、疑問の点はただして検査を済ました、こういうことを今までやっておった次第でございます。
  205. 加瀬完

    加瀬完君 在外公館だけでなくて、書面審査だけで済ましている事項が相当ございますね。たとえばあなたの方で考えて、書面審査だけでは問題が起こりそうだというように思うものだけでも、そこであげてくれませんか、留意しなければならないと考えている点。
  206. 大沢実

    説明員(大沢実君) なかなかちょっと一がいには申し上げかねますが、結局、実地検査しなければわからないという一番大きなものは、やはり工事とかその他いわゆる出来高を見なければならぬ、これはどうも実地に参りませんと、設計書その他で完成したという書類がついておりましても、はたして完成しているかどうか、設計書通りできているかどうか、これはやはり現場に行ってみなければなりません。これは現場に行って実地検査してみなければならない一番大きな点だと思います。もう一つ実地検査しなければならないのは、現金の出納、物品の出納というような、ただ計算書の書面上のしりではつじつまが合っているけれども、その日その日の出し入れ、あるいは金庫の現在高、倉庫の物品の現在高、こういうものをやはりどうしても実地に検査しなければ、適否が判断できないというので、その方面が主として実地検査の必要の点ではないか、こう考えております。
  207. 加瀬完

    加瀬完君 あなたの方の毎年の御報告でも、防衛庁関係の不当支出といいますか、あるいは不法支出といいますか、こういうとにかく会計検査院で問題になった事項というのは、非常に数が多い。その一つの原因として、防衛庁関係は目の流用が非常に多い。目の流用というものを、全然会計検査院では問題にしておらなかった。ここにあなた方は目の流用というものについて、もっと精密検査をしなければならないという必要性は感じませんか。
  208. 大沢実

    説明員(大沢実君) 目の流用は、これは財政法上大蔵大臣の承認事項でございまして、各省各庁が、理由を添えて大蔵大臣に承認申請をする。そうして大蔵大臣がそれを調査して、これを承認する。そうすると承認したことの当否ということは、いわば予算の、言葉は悪いかもしれませんが、まだ予算の執行の前のことではないか。流用することの当否、だからその点は、会計検査院としては大蔵大臣が流用を承認すれば、これは流用承認があったものとして、その後の予算の執行状況を検査する、こういう建て前をとっております。
  209. 加瀬完

    加瀬完君 建て前はわかりますよ。しかし、防衛庁のごときに至っては、とにかく予算の精算基礎である目というものを、参考資料ではありますが、国会に提示するわけですね。ところが、われわれが審議するのは、その目を参考にして、項以上のものを審議して予算を可決するわけなんです。ところが、御存じのように、防衛庁は国会に出す目とは別の実施計画というものを作るでしょう。実施計画というもので目を全然変えてしまって、それでいわゆる流用の前提のもとに今度は予算を使っていく、こういうやり方を、大蔵大臣だけが流用承認すればいいという見方で会計検査院がおりますから一事件件数も多くなるというような点は全然ないのですか。
  210. 大沢実

    説明員(大沢実君) 目の流用を、大蔵省も相当詳しくいろいろ調査して、承認をいたしていると思いますが、その承認が何といいますか、ルーズであったとかそうしたために不当経理が出る。そういうことは、ほとんどわれわれは検査の上では考えておりません。むしろ、正規の目が初めから目と同じようでありましても、主として指摘しておりますのは、高価であるとか、あるいは不用の物を買ったとか、そういうような事態でありまして、目の流用と直接関連のある事態ということは、検査の上で出てきているのはないと考えております。
  211. 加瀬完

    加瀬完君 われわれ国会は出された目を参考にして、こういう火器なら火器、どういう火器を買うのか、その費用は幾らか、これが是か否かという論議をしていく。ところが、実際の予算運営については、われわれが参考として十分審議した項目とは、まるっきり別の実施計画というものに基づく目が作られて、運営がされていくということになる。そうすると、たとえば火器なら火器という一つの購入条件がありますね。その中にはターターというのはない。ターターというのがそこに書いてあれば、そこで論議がわれわれ尽くせるわけです。それがない。いつのまにかターターに変わっている。こういう形で予算のわれわれの国会審議というものはまるでナンセンス。実際は行政府の自由勝手のままに予算が組みかえをされるという効果でもって運営されるということになる。これを会計検査院の立場で、大蔵省が承認すれば、それでいいということでは、私はどうもおかしいと思う。それならさらに一歩突っ込んで聞きますけれども、流用承認をされたものの支出内容というものを厳格に検査をして、目の変更等による弊害がこう出ているという、何か資料がございますか。
  212. 大沢実

    説明員(大沢実君) ただいまの御質問は、流用承認した結果不当になったような資料はないか、こういうお尋ねかと思います。先ほども申しましたように、流用承認が行なわれたために、不当の結果になったということは、われわれの方で今まで指摘しておる事態はございません。
  213. 加瀬完

    加瀬完君 ございませんと言ったって、あなた方の方は流用承認があった場合ですね、普通の経理状況の検査と同じような検査をしているのじゃありませんか。流用承認かあったということで、その流用承認がら不当な支出あるいは妥当を欠く支出が行なわれたものかどうかという念入りな検査が全然ないのですよ。目を勝手に変更するこの行政府の近ごろのやり方、大蔵省の承認のやり方というものに対して、疑義をもって検査をなすったことがございますか。
  214. 大沢実

    説明員(大沢実君) 流用に疑義を持ったということは、少なくともわれわれの承知しておる範囲においては今までございませんので、これは当然御承知のことと思いますが、防衛庁も項の中にいろいろな火器購入とかその他の目があるわけでございまして、これは一応項の防衛庁予算というものの積算として、予定経費要求書に提示されておるわけであります。それが財政法上認められた大蔵大臣の承認の手続を経まして、目間の流用をいたしておるのでありまして、それまではいわば予算の作成と同じようなもので、予算執行前の問題ではないかと、会計検査院としては考えておるのであります。
  215. 加瀬完

    加瀬完君 さきにも指摘したように、防衛庁の目というのは、実施計画というものができてから目の変更をして、それで使用をするという形をとっているじゃありませんか。そういうやり方を是認しているというところに、私は会計検査院としては厳格さが足りないと指摘したいのです。問題が起こらなければいい。たくさんの問題が起こっているのじゃありませんか。われわれに言わせると、全然目に触れないというか、目に触れるわれわれに提供された目ではないものが、予算運営の面では現われている。これを承認すれば当然だということでは私はおかしいと思う。
  216. 大沢実

    説明員(大沢実君) また繰り返すことも何でございますが、われわれとしましては、目の流用があった結果、その流用額の範囲において予算が執行されているかということを検査しておりますので、ただいま御意見のあった点は、ちょっとお答えいたしかねるのでございますが、一つの御意見として伺っておいて、また検討してみたいと思っております。
  217. 加瀬完

    加瀬完君 流用がすなわち不法だ、不当だと私は言っているわけじゃない。国会には提示をしなかった……、こう言いましょうか、国会にはほんとうのものを提示しないで、問題がなく通りそうな目だけを並べて、われわれに審議させておいて、実際の使い方はあとで支出の便宜のために行政府が自由勝手に目を想定して、それで予算運営をしている、こういうやり方を会計検査院としては好ましい方法とおとりになりますか。事件が起こる、起こらないじゃない。国会の出すものとやっているものとまるで違うようなやり方を、参考資料とは言い条、やっておるやり方を、会計検査院は事故の起こる一つの原因になるという御心配はお持ちになりませんか。
  218. 大沢実

    説明員(大沢実君) それが直接事故の原因になるとは考えておりません。それから、そうしたことは好ましい方法かどうかということに対する意見を述べろというお話でございますが、先ほどから申しましたように、会計検査院といたしましては、目の流用の当否ということは、これはいわゆる予算の執行前の問題で、大蔵大臣の権限としてする仕事であって、これに対して会計検査院としては批判するということは、批判する限りではない。ちょうど、例をあげて恐縮でございますが、予備費の使用決定があります。これもいろいろな点で予備費の使用決定がありましょうが、これをどういうふうに予備費の使用決定をしたかどうか、これが当であるか不当であるかということは、会計検査院では批判する限りではない。その予備費使用決定されたものり執行の結果を検査するというのが、われわれの仕事であると考えます。これはたしか参議院の決算委員会でもよほど前でございましたですが、そうしんことで一応の結論を出していただいたこともあったかと記憶しております。そういうわけでございますから、ただいまの流用のことに対しまする会計検査院の意見を述べろというお話でございますが、この点に対しては、当否を批判することは、会計検査院の権限外ではないかと考えますので、意見は差しひかえさしていただきたいと、こう存じます。
  219. 加瀬完

    加瀬完君 われわれは予算の目的に関する拘束は、項までであるということはわかります。しかし、項の積算基礎というのは、目というものがありまして、それで積算をされてくるわけです。逆にいうならば項を承認するも承認しないも、われわれ目を検討して、この目ならば差しつかえないだろうといって項を承認をするわけです。ところが、項が承認されたから、形式的には目はどのように変更してもよろしいということになりますけれども、われわれに提示したものとは、まるっきり違う目に作り変えて使用するということであっては、国会予算審議権というものは一体どうなりますか、全然及ばないことになるじゃありませんが、一つ二つそういうことがあるというなら私は是認できる、しかし、予算の多くの面にそういう方向をとるということであっては、これはどうも財政法からいって適切な予算の運営の方法とは言われない事項が出てくると思うのです。この点は全然無警戒でよろしいのですかということを伺っているのです。
  220. 大沢実

    説明員(大沢実君) また繰り返してお答えすることになりますが、目の流用をすることの当否ということは、会計検査院としては批判する限りではないという建前をとっております。しかしお話しのように、国会審議するとき何もわからないわけではない、目の内訳を出して審議しているじゃないか、それを違ったことをやってはけしからぬじゃないかという、これは御意見としてごもっともだと思いますが、それが会計検査院が不当だといって云々する事項ではないということを、私は申し上げておる次第でございます。
  221. 加瀬完

    加瀬完君 それならば、これらを起因として、当然会計検査院で問題にすべき事項が起こった場合はどうなりますか。で私は次の例を申し上げたいと思う。支出委任というものがございますね、その各省に対する支出委任の内容というものを、あなた方が先ほどの御説明のように、やっぱり在外公館と同じように書面検査しかしておりませんね、ほとんど書面検査でしょう。で、これは私は一般質問でも伺ったんですが、文部省では国家公務員共済組合負担金という目を、全然目のなかったところに新しい文教施策徹底費という目を庁費の中に一応想定をして、表向きは庁費に流用するという形で流用しておる、この主計局長が流用承認をいたしましたのが九月四日であります。ところが、文部大臣は九月一日に支払い委任通知書と文部省はこう呼んでおります。私はおそらく負担行為の示達書だと思います。これを九月一日に決裁をしております。それで会計検査院に伺いますが、九月一日に遡及して承認を認めた、だから九月一日に文部大臣が決裁をしても違法ではない、しかし九月一日に遡及するかしないかは、正式には九月四日の承認決裁というものがなければきめられないはずだ。ところが、九月四日の承認決裁がない前に、九月一日に文部大臣のすでに決裁が下りている、文部省に、通常の言葉で言わせるならば各都道府県の出納長に委任をする委任通知書ができている、もし一歩文部省の言い分を聞いて、発送しなかったといったところで、委任通知書の大臣の決裁があるものができておって、間違ってこれが発送されたらどうなりますか、また九月四日に決定したのですから、九月一日にさかのぼって流用承認があるかないかということは、わからないじゃありませんか、九月一日に。こういう流用承認のやり方をしておる、それであなた方に聞けば、目の変更は大蔵省の承認だからよろしいと、よろしいかもしれないが、こういうやり方が、一体あなた方は問題を起こさないと太鼓判を押せますか、一体今まで遡及して承認したという事実がありますか。
  222. 大沢実

    説明員(大沢実君) ただいまの文部省の流用の点は、私直接関係しておりませんので、局長から話を聞き、またこの間の国会のいろいろなお話を伺った、その結果によって承知しておるものでございますが、これは一日に承認があって、ただその書類の決裁が四日になったと、こういう事実であると私は承知いたしております。
  223. 加瀬完

    加瀬完君 承認があったということは承認の決裁が済まないのに、承認があったと認められますか。大蔵省と文部省は電話で話をしたとかいうような答弁を私どもにはしていただきました。しかし、もし九月四日に、九月一日にさかのぼって二千三百万の流用承認に変更が生まれたときには、一体九月一日の大臣の決裁はどうなりますか。通常こういうことが行なわれますと、あなた方は会計検査上問題が起こるおそれはないとお認めになるのですか。
  224. 大沢実

    説明員(大沢実君) ただいまのお話は、一日に口頭か何かで承認があった、それの決裁書が四日になった。こういう手続が絶えず行なわれておったのでは困りはせんかという御意見かと思いますが、これは確かにそういう手続をいつもやっておれば困ることは、確かに事務整理上困ると思いますが、ただこれが不当であるかどうかということになりますが、これは長らくの行政慣習といいますか、一つの例をまたあげて恐縮でありますが、たとえば休暇届というものも、朝電話で、きょうは一つ病気だから休みたいという、電話でよろしくといって、翌日出てきて、昨日の休暇届を出すという、こういうような行政慣習といいますか、そうしたものがありまして、会計検査院もそうした一、二日、数日の受け継ぎのいわゆる文書による受け継ぎのおくれということに対しては、今までもこれが不当だとは申しておりません。これが非常に手続上困ることが出てくるということは考えられますが、不当だということは、今まで検査院としても指摘したことはありませんし、またそうでもないという考えでおる次第でございます。
  225. 加瀬完

    加瀬完君 欠勤届とは違うと思うのです。欠勤届は別に法律で厳格に規定をされているわけではない。ところが、流用承認並びに目の変更ということについては、財政法にちゃんと規定がある。御存じの通りです。「各目の経費の金額については、大蔵大臣の承認を経なければ、目の間において、彼此流用することができない。」と書いてある。大蔵大臣の承認ということは、通常これは委任されている主計局長の決裁ということをもって、承認と見なければならないのじゃないですか。口頭で下僚同士がどういう話し合いをしようとも、大臣にかわるものの決裁がなければ、その間において変更するということもあり得る。文部大臣は決裁した、あとで条件が変更になった。そうしたらこの責任はどうなりますか。第一、今まで決裁をするはるか前にさかのぼって流用承認をしたという例がございますか。
  226. 大沢実

    説明員(大沢実君) ただいまの決裁のお話は、いわゆる大蔵省内部の、大臣なりあるいは主計局長の決裁かと思いますが、これがいつ決裁が行なわれていたかということは、会計検査院としては一々これを確かめておりませんので、ただ会計検査院といたしましては、一日に、今の例で申しますれば、一日に承認をしたという通知が来ますと、それに基づいて一日に承認があったということを考えている次第でありまして、内部的に決裁がいつあったということを今まで究わめて云々したことはございません。
  227. 加瀬完

    加瀬完君 私が聞いているのは、それはわかっている。あなた方が帳簿の上で書面検査をして、九月一日にとにかく流用承認が出たのだから、九月一日に示達書が出たって違法ではない。それだけ見ればその通りだ。ところが、九月一日にさかのぼって、流用承認が認められたのは九月四日なんです。ところが文部省は、文部大臣の決裁で、各都道府県の出納長あてに、支出負担行為の示達書が九月一日にすでに決裁が行なわれている。行なわれておりますから、九月四日の決裁が九月一日にさかのぼってやらざるを得なかった。だから端的に焦点をきめて聞きますがね、通例大蔵省はあなた方の検査によって見れば、遡及をして承認をしているという事例が数多くありますか。
  228. 大沢実

    説明員(大沢実君) 遡及して承認するといいますのは、たとえば九月八日付の承認で一日に遡及して承認すると、こういうことかと思いますが、そうした事例はございません。やはり一日付の承認は一日付で承認しておる、そういうことになっております。
  229. 加瀬完

    加瀬完君 それが九月四日に承認されたものが、文部大臣の決裁は九月一日に行なわれておる。こういうことでは、これはあなた方の責任ではないかもしれぬけれども、こういうことで目の流用というのが行なわれておっては、これは財政上、会計上当然問題が生ずるという心配を、私は会計検査院も持ってもらわなければ困ると思う。九月一日で承認がされておるのだから、九月一日のこれは示達書だから違法でないと言うけれども、九月四日でなければ承認するかしないかというのはわからなかった。それを示達書はすでに大臣の決裁は九月一日に行なわれておる、こういうことが財政法上許されるのか聞いているのです。今伺えば遡及することは少ないというのでしょう。異例のことをしている。異例のことをしているというのが、すでに承認の決裁が行なわれておらないときに、文部省はこういう大臣の決裁手続をしてしまっておるから、そのつじつまを合わせるために遡及して承認をしたということならば、こういうことは不法ではないかもしれないけれども、妥当な方法として奨励できるかと言うのです。
  230. 大沢実

    説明員(大沢実君) 今の具体的な問題の事実関係が、私が聞いて承知しておるのと、今の話と多少食い違っておるように感ずるのでありますが、私が承知しておりますのは、主計局長も一日に承認しようという決裁、文書の決裁じゃありませんですが、意思をきめて大蔵省へ通知した、ただそれが何か事務が忙しかったせいかその決裁書に判を押すのが四日になったのだ、一日付の決裁が四日になって判を押したのだと、こういうように私は承知いたしておりますので、そうしたことは、今までも行政慣習上相当行なわれていることではないかと、こう考える次第であります。
  231. 加瀬完

    加瀬完君 私はね、文部省をとがめるとか、大蔵省をとがめるということでない、財政運営の、特に目の流用ですから、目の流用というのをひんぴんに行なっている弊を私は感じますので、一般論として伺っておる。九月四日に承認決裁が行なわれたということは、これは大蔵主計局長が言っているから事実です、承認決裁が行なわれたことをもって承認がされたと通常認めなければならないのじゃないですか。大体大丈夫だろうという話が承認決裁が行なわれたと認められますか。
  232. 大沢実

    説明員(大沢実君) これ以上ちょっと事実関係を私よく存じませんので、あまり申し上げて、あるいは違っておっても恐縮でございますから、これ以上の意見は差し控えさしていただきたいと思いますが、私としまして聞いておりますのは、もう一日に実質上はよかろうということで主計局長も承諾した、ただその判を押すのがおくれた、こう承知しておりますので、そうした点は今までの行政慣習上多々あった事態であった、こういうことであります。それ以上事実関係がはっきりいたしませんので、はなはだ恐縮でございますが、これ以上ちょっと意見を申し上げることを差し控えさしていただきたいと思います。
  233. 加瀬完

    加瀬完君 それでは支出委任の範囲というものを、あなた方はどのように規定しておりますか。
  234. 大沢実

    説明員(大沢実君) 支出委任の範囲といいますのは、おそらく各省各庁の長が支出官に支出を委任する範囲ということだろうと思いますが、これは現在は各省大臣が直接支出するのは一つもありませんので、全部が会計課長なりその他の支出官のほうに支出委任いたしておりまして、範囲は全部になっております。
  235. 加瀬完

    加瀬完君 私が伺っておりますのは、文部省なら文部省、厚生省なら厚生省というものには、当然行政権限の範囲というものがありますね。行政権限の範囲外のことにまで支出委任というものが及びますか。
  236. 大沢実

    説明員(大沢実君) お尋ねは行政権限の範囲外に支出委任が行なわれるか、これは行政権限の範囲外のことを支出することは第一ないのでありますから、行政権限の範囲外のことを支出委任することはあり得ないと思います。
  237. 加瀬完

    加瀬完君 支出委任の正、不正というものは、これは会計検査院がやはり権査をいたしますか、行政管理庁ですか。
  238. 大沢実

    説明員(大沢実君) 支出委任の正、不正とおっしゃいますのは、各支出官に支払う予算を、支払い計画を示達することの正、不正ということかと思いますが、これはあらかじめ国会の議決を経た予算が、大蔵大臣から、内閣からでしたか、各省各庁の長に配賦されて、各省各庁の長がその予算の範囲内において、各支出官にそれぞれの支出すべき金額を示達いたしますので、そこに正、不正という問題は起きないのではないかと考えます。
  239. 加瀬完

    加瀬完君 支出委任をいたしますね、今文部省の例をとれば、文部省が都道府県の出納長を通して文部省の事務の範囲内のことを支出委任をいたしますね、そういう支出委任の範囲の通りに支出がなされておったか、範囲外のことに使われておったか、こういう意味の正、不正の判断は会計検査院でなさいますか。
  240. 大沢実

    説明員(大沢実君) 今のお話は、結局結論から申しますると、文部本省という項の予算、これが文部本省という項の予算の目的外に使われておるのがあったらどうかと、こういうことに結論は言えると思うのですが、これは当然検査院としては、文部本省という項の予算が、文部本省という項の予算の目的外に使われておれば、これは予算の目的外使用である、こう責めることは、当然結論として出てくる次第であります。
  241. 加瀬完

    加瀬完君 それでは今問題の目の流用になりました二千三百何万という文教施策徹底費というものが、勤務評定の用紙の印刷代金として使われた、これは支出委任の範囲ですか、範囲でありませんか。
  242. 大沢実

    説明員(大沢実君) 今の具体的に何に使ったか、実は私局長からよく聞いておりませんので、ちょっとここでどういうものに使ったか承知いたしませんので、これに対して云々ということはちょっと申し上げかねる次第でございます。
  243. 加瀬完

    加瀬完君 これは仮定の問題に答えられないというなら、この先ほどの文教施策徹底費というものを各都道府県が支出委任をされたわけでありますが、どういう支出内訳になっているか、その明細書を御調査の上御提出いただけますか。問題があるから伺っているのです。
  244. 大沢実

    説明員(大沢実君) 今のお話は、各都道府県に支出委任した、それで支出した金額の内訳を出せるかと、こういうお話かと思いますが、これは会計検査院としては、これはこの問題に限りませんですが、何か検査の結果、不当と認めた事項がありますれば、これの資料は検査報告の資料といたしまして御審議の参考に提出する責任はあるかと思うのでありますが、各省各庁が検査院に検査のために提出した書類、これは原則といたしまして、むしろ国会その他に提出するのならば、各省各庁の方が提出されるべきではないか、会計検査院が検査の上で知り得た事項を、それをいわば取り次ぎ的に出すということは、建前上そうした筋合いではないのではないか、こういう考えでありますから、今ここで即座に提出いたしますということはお答えいたしかねる次第であります。
  245. 加瀬完

    加瀬完君 文部省設置法によれば、特別の法律できめられている以外の事項については、行政上及び運営上監督を行なわないものとする、と規定してある、勤務評定をやるかやらないか、あるいは勤務評定をする権限というものは、これは地方教育委員会にあって、文部省にない、文部省の行政事務ではない、これは地方の教育行政の固有事務です。あるいは地方職員の任免権というものは文部省にない、教育委員会が持っている。ところが、今言ったように、地方の固有事務である勤務評定の用紙を印刷する費用に、文部省からいった金が使われておる。それから免職をした免職説明書の印刷に文部省からいった金が使われておる。教育委員会と職員との問に訴訟が行われておる、その訴訟の説明書に文部省からいった金が使われておる。こういうものを数えあげてみると、これは支出委任の範囲内のことじゃないじゃないか、こういうわれわれは疑問を持つわけです。ところが、この決算はすでに三十三年度書面審査であなた方の方は問題外として通っている。通っている支出委任の内容はそういうものです。私は会計検査院に聞きたいのは、その支出委任というものの内容を各省庁にまかせて、会計検査院は実際にその調査をしておらないのじゃないか。そこで目の流用、支出委任、こういう逃げ道を認めておいては、これは会計検査院の存在からいっても、はなはだ問題が残るのじゃないか、こういうことを伺いたいのです。そういう意味合いで一つ十分、文部省に聞いたらそれは会計検査院のやることだとにべもなくこう答えました。そこで不正があるないということを会計検査院にその支出委任の検査をもう一回昭和三十三年度について検査してもらいたいという要望をいたしておきます。一体支出委任というようなことについて、あなた方はあまりにも、人員の関係予算関係があるかもしれませんけれども、放任じゃないですか、出てきた各省庁の文書だけでもって審査しておるのじゃないですか、それじゃ不正があったって、不正がわからないのじゃないですか。
  246. 大沢実

    説明員(大沢実君) この支出委任は、書面検査だけじゃないかというお話でございますが、これは支出委任された支出官が支出したその証拠書類は、書面として検査院は、これは書面検査いたしておりますが、また同時に、これは全国ではございませんですが、その支出官のところへ実地検査いたしまして、さらにそれを調べておる次第でございまして、これは支出委任だから書面検査だけいたしておる、こういうことにはなっておりません。その点だけ一つ御了解いただきたい。
  247. 加瀬完

    加瀬完君 それじゃ今の問題点を、支出委任だから各省まかせでない、会計検査院はおやりになるというなら問題点のある府県を私の方から申し上げます。御調査をして後刻御報告をいただきます。
  248. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 一、二点伺いたいのですがね、三十三年度の決算報告のこれは一つの例なんですが、これは批難案件として三百五十五件、それから批難金額が概算十二億、そして前年度に比較して、約三億円金額として減少しておる。こういうことが三十三年度の報告にあるわけなんでありますが、これは必ずしも前年度より、調査をした結果、この批難金額が、たまたまといっては悪いが、たまたまこうなったというように私どもはとれておるのですが、これは限りある人員と限りある予算で、そうしてこの膨大な会計検査をするのでありますから、これは全部徹底的というわけにはこれはむろんいかないと思うのでありますが、しかし、特に私どもが従来から会計検査院として特にやってもらいたいということは補助金の実施状況なんですね。これが三十三年度を見ますと、補助金の指摘事項が百七件出ておるわけなんであります。これは何ですか、当初いろいろ三十四年度はどういう構想のもとにやろうかという計画があるのでしょうが、大体そういった構想から見て、実際に調査をしたというもののパーセンテージというものはどのくらいですか、それはものによって違いますが……。
  249. 大沢実

    説明員(大沢実君) ちょっと大ざっぱなあれで恐縮でありますが、たとえば農林省を見ますると、全国の補償工事現場の約十数%というものを検査しておると思います。そしてその十数%のものを検査した結果、何か不当があって指摘した比率が、これが二十七、八年ごろは非常に悪くて、これもちょっと今、正確なパーセンテージを持っておりませんので、記憶によって申し上げて恐縮ですが、約四〇%くらいが、検査のうちの四〇%くらいが不当事項である。こういうことでありました。それで毎年々々検査をやりました結果、だんだんとよくなっておる、各事業主体の自覚によりまして、それにまた補助金適正化法の罰則規定もありました関係でありましょうが、同じ目で見ておるのでありますが、だんだん減ってきております。このごろは検査した個所に対する指摘率というものは三%から四%程度であります。非常に減少しております。これは同じレベルで見ての話でございますから、大体においてその比率で補助金の経理というものは逐次改善されていくのではないかというふうに考えております。しかしながら、一般の官庁から見ると、少なくともそれだけの指摘があるということは、まだ程度が悪いということでありますので、補助金検査は依然として続行したい、こう考えております。
  250. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうしますと、この補助金の実地検査、それからさらに大きい問題は、文部省関係の小学校のいわゆる国庫負担の教育費の問題だと思う。これなどはどういう、書類検査がどのくらい、実地検査がどのくらいか、そのパーセンテージはわかりませんですか。
  251. 大沢実

    説明員(大沢実君) 今のは義務教育費国庫負担というものの検査……。
  252. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうです。
  253. 大沢実

    説明員(大沢実君) これは県に行きまして検査しておるのでありますが、大体県が検査するのは三〇%くらい県は検査をしております。しかし、これを検査によりまして、どこまで深く入っていくかということになりますと、そのときの日数の関係その他がありますので、一概に三〇%検査が終わったと、すぐ申し上げることにはいかないと思いますが、大体その程度のものを見ております。
  254. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それからいま一つ、これは別の角度から伺いたいのですが、年々歳々批難事項というものがここに掲げられておる。しかし、この掲げられてあるものについては、一応これは各省の、国会に対して、御承知の通り、意見書が出ておるわけですが、あなたの方からわれわれのところに書類として提出する前に、批難事項として各省に指摘する、その場合、各省は、それに対して再調査なりなんなりして、そうして、その批難事項を取り消されたという例は相当あるのですか、これは。
  255. 大沢実

    説明員(大沢実君) これはたとえば、こうしたものは、これだけ過払いになっておるじゃないかという指摘に対して、向こうがすぐなるほど、それは間違っておったと言って取り消したというか、そういう例じゃないかと思いますが、こういうような例が多いということはありませんが、やはり相当のものがあります。しかしながら、それは百件になるか、二百件になるか、あるいは百件くらいになるかと思いますが、数百件になるということはないと思います。
  256. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  257. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 速記を起こして下さい。
  258. 加瀬完

    加瀬完君 先ほどの資料のことですが、次の府県をお願いしたい。群馬、秋田、山形、岩手、東京、静岡、三重、奈良、広島、高知、佐賀、熊本、文部本省。
  259. 大沢実

    説明員(大沢実君) ただいまの資料の御要求、各県のどういう資料の御要求かちょっとはっきりいたしませんのですが、ただどれだけ使ったかの全部明細出せという御要求は、先ほど申しましたように、これはむしろ文部省の方から御提出願う筋ではないかと思いますので、検査院として提出いたしかねます。
  260. 加瀬完

    加瀬完君 支出委任の検査は書面検査だけではなくて、問題があれば実地検査もするとあなた方おっしゃったでしょう。従いまして、その府県は私どもは支出に問題がある県だと見ているのです。そこで、文部省を督促してもけっこうですから、昭和三十三年度の文教施策徹底費というものが、支出委任の範囲内で支出されたか、範囲外に及んだかという点を知りたいので、どんな内容で支出をされているかという明細を知りたい。
  261. 大沢実

    説明員(大沢実君) これは三十三年度のことで、文部本省で決算検査いたしました結果、目的外使用はないという結論で、検査報告には掲げておりませんので、検査院といたしましては目的外使用とは認めなかった、こういうことになっておりますので、目的外使用のものを出せと言われましても、ちょっと御提出申し上げるわけにいかないのでございますが……。
  262. 加瀬完

    加瀬完君 内容でいいのですよ。使用された内容を知りたいのです。
  263. 大沢実

    説明員(大沢実君) その内容は、先ほど申しましたように、むしろ文部省本省の方に御要求になっていただくのが筋ではないかと私は考えるのであります。
  264. 加瀬完

    加瀬完君 文部本省に要求しましたら、会計検査院に要求して下さいということでありますから、あなたの方で文部省と話をして、いずれからでもいいですから、明細を出して下さい。
  265. 大沢実

    説明員(大沢実君) 文部省の方ともなおよくその点は話してみます。
  266. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ほかに御質疑もなければ、会計検院に関する質疑は終了したものと認めまして、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  267. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十三分散会