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1960-03-21 第34回国会 参議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十一日(月曜日)    午前十時二十七分開会   —————————————   委員の異動 本日委員安井謙君、羽生三七君及び市 川房枝君辞任につき、その補欠として 堀木鎌三君、阿具根登君及び原島宏治 君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            大谷藤之助君            佐藤 芳男君            館  哲二君            西田 信一君            秋山 長造君            鈴木  強君            松浦 清一君            千田  正君            大竹平八郎君    委員            泉山 三六君            太田 正孝君            金丸 冨夫君            木暮武太夫君            小柳 牧衞君            斎藤  昇君            重政 庸徳君            白井  勇君            杉原 荒太君            手島  栄君            苫米地英俊君            堀木 鎌三君            武藤 常介君            村松 久義君            村山 道雄君            湯澤三千男君            吉江 勝保君            米田 正文君            阿具根 登君            荒木正三郎君            加瀬  完君            木村禧八郎君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            永岡 光治君            平林  剛君            藤田  進君            松澤 兼人君            島   清君            永末 英一君            辻  政信君            原島 宏治君            岩間 正男君   国務大臣    外 務 大 臣 藤山愛一郎君    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    文 部 大 臣 松田竹千代君    農 林 大 臣 福田 赳夫君    通商産業大臣  池田 勇人君    運 輸 大 臣 楢橋  渡君    労 働 大 臣 松野 頼三君    国 務 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    法制局第二部長 野木 新一君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁経理局長 山下 武利君    経済企画庁総合    計画局長    大來佐武郎君    外務政務次官  小林 絹治君    外務大臣官房審    議官      下田 武三君    外務省アジア局    長       伊関佑二郎君    外務省アメリカ    局長      森  治樹君    外務省条約局長 高橋 通敏君    外務省国際連合    局長      鶴岡 千仭君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省主税局税    関部長     木村 秀弘君    大蔵省為替局長 酒井 俊彦君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君    通商産業省石炭    局長      樋詰 誠明君    通商産業省公益    事業局長    小室 恒夫君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  廣瀬 眞一君    運輸省自動車局    長       國友 弘康君    労働省労政局長 亀井  光君    会計検査院長  山田 義見君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————昭和三十五年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) これより予算委員会を開会いたします。  この際、委員の変更について御報告申し上げます。  本日、羽生三七君及び安井謙君が辞任せられ、補欠として阿具根登君及び堀木鎌三君が選任せられました。   —————————————
  3. 小林英三

    委員長小林英三君) 次に、ただいま続行中の一般質疑は、当初本日までを予定しておりましたが、審議の都合上、明日まで行うことにいたしましたから、さよう御了承願います。  昭和三十五年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。  島清君。
  4. 島清

    島清君 先日の私の質問に対して、外務大臣からお答えをいただくことになっております。沖縄問題に関連して、外務大臣からお答えをいただくことになっております。それをまずお答えいただいた上で、質問に入りたいと思います。お許しを得たいと思います。
  5. 小林英三

    委員長小林英三君) その点言って下さい。
  6. 島清

    島清君 その点は、大臣のところに、しばしば外務省事務当局の方から問い合せがありまして、こういうことについてお答えいただきたいということを御連絡申し上げておりますから、十分、大臣のところに行っておると思いますから……。
  7. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 島委員の御質問お答えいたします前に、ごあいさつを申し上げたいと思います。  先日、病気をいたしましたために、欠席をいたしまして、御審議に支障を与えたのではないかと思います。病気のため、まことに恐縮いたしておる次第で、よろしく御了承願いたいと思います。  島委員から、沖縄の問題について、福祉のため全力を尽くすという三十二年六月の日米共同声明があったけれども、具体的には、どういうことをその後やっておるかということが第一だと思います。  三十四年以来、日本といたしましては、沖縄福祉のためにできるだけ十分な努力をして参るために考えて参ったわけでありまして、アメリカ側とも十分相談の上、まず教育指導委員の二十四名を本土から派遣をいたし、また沖縄の教員、学生各五十名の本土研修または留学、あるいは戸籍指導担当官五名の本土よりの派遣、及び琉球戸籍吏員四十七名の本土研修経済関係技術者二十五名の本土よりの派遣及び琉球技術者五十三名の本土研修等を実施して参ったわけでありまして、三十五年度におきましても、同種の計画を、一そう拡大された規模におきまして実施いたすべく、目下具体案を作成中でございます。現地側におきましても、模範農場の設置でありますとか、家内工業の振興でありますとか、あるいは医療協力等を特に要望しておるようでありまして、その要望にできるだけ沿うべく、政府としても考えておるわけであります。  なお一般的な経済技術援助のほかに、最近二つの大きな計画が具体化しておるのでありまして、一つは御承知通り西表島の総合開発のための基礎調査計画でございます。この西表島の総合開発につきましては、現地米民政府及び琉球政府においても種々計画されておりましたが、昨年十二月に至りまして、米民政府は、その第一歩として十万ドルの予算をもって、土地利用、地質、森林鉱物資源道路港湾水力発電産業等総合調査を行なう旨を発表いたしまして、日本政府としては、農業部門調査を担当してはどうかという招請があったのでありまして、関係省庁協議の上、積極的にこれに参加することにいたしまして、目下十名の調査団を約二カ月の予定でもって派遣をいたしております。  また南大東島は、南方方面からの台風の進路に当たっておりまして、同島におきまして、高層気象観測を行なうことができれば、沖縄はもちろんのこと、日本全土台風災害防止対策上きわめて望ましいのでありまして、同島において、日本政府琉球政府共同高層気象観測を行なう計画につき、すでに米側と話し合いつきまして、明年一月から、実施する目途をもって、目下具体的な施策を検討いたしておる次第でございます。
  8. 島清

    島清君 答弁漏れがありますね。第一に、石川というところの小学校にジェット機が墜落をしましたね。それで、アメリカ民政府の方で誠意をもってその補償に当たっていないので、琉球立法院では、全会一致をもって日本政府の方にその実情を訴え、その解決にお骨折りをいただきたいという訴えが参っておるはずなんですが、それに対しての扱い方。  それからもう一点ですね。今のナイキ基地が、八カ所にできておりまして、さらにそれ以外に最近ホーク基地を設定するというので、基地の取り上げを宣言しましたけれども、それに対しましても、沖縄では超党派的にその土地新規接収に反対しておるのですが、それに対しまする、共同声明福祉の問題と、その土地新規接収との間には矛盾するところがあるのではないか、これに対する政府考え方を、この前ただしたのですが、その二点だけ落ちているようです。
  9. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) こまかい点については、両方とも政府委員から御答弁をいたさせますが、共同声明にあります、沖縄福祉のために今後尽くしていくということは、平生はむろんのことでございますが、同時に、非常事態が起こりましたような場合におきましても、沖縄島民の衣食住、そういう関係において、福祉が十分に保たれるように協議をしていかなければならぬということを共同声明にうたっておるわけでありまして、必ずしも現在の状況において、基地等関係で、特にそれと矛盾しておるというふうには私ども考えておりません。
  10. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) この飛行機の堕落事件につきましては、まだ未解決の件数が約七十六件ほどでございますが、これにつきまして、沖縄側から、正式に日本政府に対してあっせんしてほしいという申し出は、まだ受け取っておりません。  それからホーク基地の問題につきましては、現在アメリカ側に詳細なる情報を要求いたしております。この情報が参りました上で、検討いたしたいと存じております。
  11. 島清

    島清君 今回、政府批准を求めております新安保条約は、政府が、どういうふうに弁解をされようとも、同盟条約的性格を持っておりますることは、これは周知の事実だと思います。  従いまして、この種の条約を締結いたしまする場合には、今までの慣例から見まするというと、世界各国は、隣国の友好国に対しましては、事前に了解工作をやるのが、国際的な慣例になっておりまするし、それがまた、外交だと思っております。遠くは、日英同盟の場合でも、日本イギリス等は、ロシアに対してすら、了解工作を求めたのでありますが、今度の条約締結に際しまして、この辺をどのように配慮されたか、その経過について、御説明をいただきたいと思います。
  12. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今回の条約は、現行安保条約を、われわれは自主的に、かつ日本国民の願望に沿って変えるようにやって参ったわけであります。特に新たに防衛条約を作るというような関係の問題でございませんから、特別にそうした手続をとっておりません。しかし調印後、むろん安保条約内容等につきましては、各国の駐在の大公使館を通じまして、それぞれ政府説明はいたしております。
  13. 島清

    島清君 その了解工作をされないことによって、ソ連、それから中国は、日本の真意を了解していないと思うのですが、何か、外交にセンスの欠けるもの、それから怠慢があったように思われるのですが、その点は、どのように反省をしておられますか。
  14. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私ども、この種の条約の改定に当たりまして、特に隣国等に一々話をすべきものであろうとは考えておりません。従いまして、外交上何らか手落ちがあったのじゃないかというふうには、われわれは考えておらぬのでございます。
  15. 島清

    島清君 現行安保条約批准を求められたときの国会の審議経過を見てみますというと、政府は、アメリカ基地を提供するのではないということを、しきりに基地否定をしておられますが、今回の交換公文では、基地ということが、明確に出ておりますが、この辺の変遷の経過について御説明をいただきたいと思います。
  16. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 現行安保条約では、御承知通りアメリカ軍日本基地を使うまあ権利と申しますか、そういうものを使用することができるのだというふうになっております。今回は、われわれといたしまして、日本としては、アメリカが、基地を、日本を守ってくれるというような意味からいいまして、われわれとしてです、当然それらに対する必要上、基地を提供することにいたしたわけでございます。
  17. 島清

    島清君 現行安保条約は、日本を守ってくれる条約ではなかったと、そういう御答弁でございますか。━━もう一ぺん説明しましょうか。
  18. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) はあ。
  19. 島清

    島清君 もしあの、外務大臣が十二分に御理解をいただいてなければ、委員長、すわって、もう一ぺん説明しましょうか。
  20. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 現行安保条約においては明記されない、占領以来の基地として使っておったという形になっております。従って、われわれとしては、今回それを改めるべきが適当であると、こう思ったわけです。(永末英一君「関連」と述ぶ)
  21. 小林英三

    委員長小林英三君) もう少し待って下さい、島君の方がいいでしょう。
  22. 島清

    島清君 いや、すわったままでいいですか、答弁にならぬですよ。
  23. 小林英三

    委員長小林英三君) 答弁にならぬ……。
  24. 島清

    島清君 答弁にならないですよ。だから、関連質問を認めてもらわぬと、答弁にならないのです。
  25. 小林英三

    委員長小林英三君) いや、あなたのを先にやって下さい。
  26. 島清

    島清君 いや、だから、それが答弁にならない。
  27. 小林英三

    委員長小林英三君) すわったままで許しますから。
  28. 島清

    島清君 いいですか。  あのですね大臣現行安保条約批准をお求めになりましたときに、本院の条約委員会では、政府並びに外務事務当局も、区域であって基地ではないということを、極力否定されたのです。そしてその否定をされた理由としましてはですね、速記録をお読みいただいておられると思うのですが、基地というのは、そのときの条約局長西村熊雄さんですかですが、その基地というのは、一定年限、九十九年なら九十九年間、一定年限を限って提供して、その軍事施設をしてそれを使用してもらうことが軍事基地である、こういうことを言っておる。だから基地ではない、明確に基地ではないということを、否定をされた。そのときの政府法務総裁大橋さん並びに外務次官草葉隆圓さん、こういう方々も、口をそろえて、基地ではないということを、明確に否定されておる。今大臣が御答弁になりましたことは、占領延長であるから、基地概念否定したのだと、こういうことではないのです。基地概念を明確に規定をいたしまして、それから、そういうような概念に該当しないのだ、だから基地じゃないのだ、こういうことを言っておるわけです。ところが今度は、この交換公文の中にも、明確にその基地ということを政府は、はっきりいっておられるわけですね。  そうすると、あなたが京都で新聞記者会見でおっしゃった通りですね。この条約本旨は、アメリカ基地を設定してもらうことが、条約本旨であるというようなことを、新聞記者会見で談話を発表しておられるのですね。そうしますと、それと関連をしいたしまして、条約第六条が非常に問題になってくるわけです。  その意味においてですね、この基地という概念現行安保条約においては御否定になって、今回お認めになったということについての、この変化経過、それを御説明いただきたいということなんです。だから占領政策延長であるということはですね、他の大臣はいざ知らず、外務大臣としては、ちょっと、議会の速記録、その審議経過からいたしましても、それはちよと外務大臣答弁にはならないのです。そういうことです。
  29. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 基地という言葉が、通俗的に言われますのであれでございますけれども、今回の条約におきましても、第六条で「施設及び区域使用することを」アメリカ軍に許しておるのでございまして、いわゆる基地という考えでは━━基地協定というようなものの考え方ではございません。交換公文にございますが、それは、使用目的をいっておるのでありまして、そういうような詳しい点につきましては、条約局長から御説明をいたさせます。
  30. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 補足いたさせていただきます。  ただいま御指摘の点でございますが、「施設及び区域」という点につきましては、新安保条約━━ただいま御承認を求めております条約と、現行安保条約と、両方とも何ら変化があるわけではございません。当時と同じように、現在においても「施設及び区域」でございまして、これは基地という観念は、われわれは、当時と変わりはないと考えております。  と申しますのは、これは基地という、これは概念の問題になるかと思いますが、基地とわれわれ考えます場合には、基地協定、たとえばアメリカフィリピンとの間の基地協定のような、その提供した基地があたかも非常な、治外法権的な強力な地位を持っておる、租借地みたいな慣行を持っておる、そのような意味において、われわれはこれを基地というふうには考えておりません。やはり施設区域でありまして、この点は、前と同じだと考えております。(「治外法権ではないのか」「関連」と呼ぶ者あり)
  31. 小林英三

    委員長小林英三君) 関連ですか。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ええ関連です。ただいま、この施設区域基地というものの概念ですね、違いについて、お話しございまして、現在日本は、治外法権的なものになっておらないから、基地ではない、施設区域である、こういうふうに言われました。  しかしですね、現在の安保条約の第三条に基づく行政協定行政協定に伴うところの国内法です、国内法によってですよ、アメリカ軍が、占領中に持っていたところの特権を広範に許していると思う。刑事特別法、あるいは民事特別法、あるいは国有財産管理に関する法律、あるいはまた土地等使用等に関する特別法、あるいは航空法、あるいは電波法、あるいは郵便法、あるいは所得税及び地方税法特例、あるいは道路運送法特例、あるいは水先法特例、このように、駐留軍占領中に持っておった特権国内法において広範に認めている。これで治外法権的なものではないということを、どうして言えるでしょうか。現実は、ベースじゃないですか。ベース、英語ではベースでしよう。それをどうして基地と言わないで、どうして施設区域というふうに言うのであるか。どうしても私は今の御説明では、施設区域と、基地とのこの区別がはっきりしないのです。  で、島君が御質問になりましたように、私も前に岡崎外務大臣にこの点質問したことがあるのです。岡崎外務大臣も、基地ではない、施設区域だということを言っておられますが、現実は、今の条約局長の御説明ですと、治外法権的な特権を許している場合には、基地であると言えば、これは明らかに基地ではありませんか、しかもそれは、ただ一定区域を許すだけではなく、全土基地なんです。アメリカ軍が必要とするときは、どこでも日本基地になり得る、そういうアメリカフィリピンとの基地協定以上に、もっと広範に、アメリカ特権を与えている基地協定なんです。それを施設区域と呼んでおる、それは国民に対して、ごまかしていると思うのです。基地であるべきものを、施設区域というふうに、基地でないかのごとく言っておりますが、アメリカフィリピンとの以上に、全土基地協定ではありませんか、この点、どうもただいまの御答弁では満足できないのであります。もう少しはっきり施設区域基地との区別について、御説明願いたいと思います。
  33. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) ただいま御指摘の点でございますが、やはりわれわれといたしましては、「施設及び区域」これはベースという言葉を使っておりません。しかしベースという言葉基地という言葉の問題になるかと思いますが、「施設及び区域」というふうに観念しております。それが、通常申します基地米比協定における基地と違うという点は、そのただいま御指摘の点は、軍が日本におります必要上、軍の行動といたしまして、そのようないろいろな点がございます。しかしそれは地域的な効果として、そういうような問題が除外されているわけではない、すなわち地域でございますから、その地域にあるのと地域にないのによって、それが区別されていないわけでございます。たとえば裁判管轄権裁判でも、これは公務とか非公務とかの、こういうような問題によって区別をされておりまして、地域外地域内かにおいて区別されていない、すなわち地域的効果によって左右されていない、こういう意味合いにおきまして、私は、いわゆるわれわれが考えている基地ではない。こういうふうに考えている次第でございます。
  34. 島清

    島清君 あのね、委員長。ちょっと私の説明を十分に御理解をされていなと思うのです。で、すわったまま、もう一ぺん説明させていただきます。
  35. 小林英三

    委員長小林英三君) それは、質疑は立ってやって下さい。それをただすのですから、立ってやって下さい。切りがない。
  36. 島清

    島清君 時間の制限がありますからね。
  37. 小林英三

    委員長小林英三君) それはあなたの満足のいくような答弁は得られない、それをただすのが質疑ですから、立ってやって下さい。島君。
  38. 島清

    島清君 基地ではないとおっしゃる。間違いないですか。条約局長
  39. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) その通りだと思います。
  40. 島清

    島清君 大臣交換公文には「基地」と書いてあるが、どういうことですか。
  41. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 交換公文におきましては、「戦闘作戦行動」として使用されます、そういう意味合いにおいては、これは「基地」として考えておるというふうな次第でございます。(永末英一君「委員長関連」と述ぶ)
  42. 小林英三

    委員長小林英三君) 永末君は、すぐあと、あなたの質疑時間でございますから、その機会にやって下さい。(「委員長、そんなことはないですよ、関連関連だ」と呼ぶ者あり)
  43. 小林英三

    委員長小林英三君) 島君、続行を願います。
  44. 島清

    島清君 交換公文の中に明確に「基地」と書いてあって、外務省の一条約局長が、「基地」という概念を認めない、こういったような、そのつじつまが合わないような答弁というのはないでしょう。
  45. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいまの条約局長が申し上げました通り交換品公文においては、出撃等目的に使います基地としてという意味において「基地」という言葉が使われておるわけでございます。
  46. 島清

    島清君 もう一ぺん答えて下さい。
  47. 小林英三

    委員長小林英三君) 外務大臣、もう一度。
  48. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいま条約局長が御説明申し上げました通り交換公文におきましては、出撃等行動に対する基地としてという意味において、この「基地」という言葉が使われておるのでありまして、いわゆる基地協定基地という意味ではございません。
  49. 島清

    島清君 基地協定基地は、どんなものですか。
  50. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいま条約局長の御説明した通りでございます。
  51. 島清

    島清君 条約局長、もう一ぺん説明して下さい。
  52. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 基地協定におきましては、たとえば基地期間が九十九カ年だとか、まあ非常に長い期間を貸与しているという部面もありますが、もっと大きな部面といたしましては、先ほど申し上げましたように地域的な効果として、この基地内と基地外で、たとえば裁判管轄権というのが全然違う━━というようなことはありません。これは基地内外でも、別の基準によって、裁判管轄権のどちらに付属するかというのが規定されているわけであります。従いまして、その地域的効果として、当然にそのようなものが差別を受けないわけでございますから、これはわれわれは基地というふうな観念では、これは律することはできないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  53. 島清

    島清君 基地概念に該当しないものを、どうして交換公文に「基地」という表現をしたのですか。
  54. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) その場合の米軍の行動が、行使の態様といたしまして、戦闘作戦行動として使われるわけでございます。その部面をとらえまして、これは、その部面からは、これは基地というふうに考えた次第でございます。だからといって、これが全部が、ただいま大臣から申し上げましたように、米比基地協定のような基地であるというふうにはわれわれは観念いたしておらないわけでございます。(「基地でないものを、基地という言葉をなぜ使ったのか」と呼ぶ者あり)
  55. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連。  ただいまの答弁によれば、何ですか、米軍は日本戦闘作戦行動をやらない、そういうことがはっきりしておれば、今のような説明も成り立つかと思うのです。ところが、はっきりこれは事前協議の対象にもなる、こういうことなんです。従って、当然基地の中に、そういうような条項が入っているので、これを施設区域という言葉でごまかしたのでは、全然問題にならないと思います。  それからもう一つ、さっきの答弁ですが、これは特定された区域、それだけじゃなくて、それ以外のところにでも適用されるから、基地という概念には入らないというふうな、これは答弁をやっておりますけれども、これは、もっと悪い。実際、先ほど木村委員が言ったように、全土基地というようなこれは現われなんです。そういう意味で、私は基地というものについての概念は、この前の現行条約審議のときから、このことが問題になっておったのですが、はっきり統一解釈を出して答弁してもらいたい。全然これはごまかしだ。口先だけで、施設区域などと言っても、現状を見てだれが、日本人が、また世界の人が、これに対しまして、そのような国会内のごまかし答弁では、絶対承服しない、こういう点から、この点を明確にされることを望みます。
  56. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今御答弁申し上げたことで、明確になっていると思うのでございますが、この「施設及び区域」を貸与する、使ってよろしいということを許しておりますが、交換公文の方は、御承知のように作戦行動をいたしますときの、いわゆる本拠地という意味でございます。従って、いわゆる基地協定における基地というような意味の内容のものではないことむろんでございまして、そういう意味に、御了承いただければ、はっきりおわかりいただけると思います。
  57. 島清

    島清君 ふだんは施設区域、戦争になると基地変化するわけですね。
  58. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ふだんと戦争中と、特に違ったわけはございませんが、戦闘作戦行動をやりますときには、そこがいわゆる本拠地になる、そういう作戦の何と申しますか、方法論として、そういう表現が出てくるわけでございます。
  59. 島清

    島清君 今米比条約を、基地貸与の条約について、条約局長はそれを引例されましたが、NATOによりますと、ベルギーとイギリスとの協定は、どうなっておりますか。
  60. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) NATOでも、同じでございます。
  61. 島清

    島清君 ベルギーとイギリスの協定もそうですが。そうじゃないようですね。答弁答弁。ベルギーとイギリス……。
  62. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 全部、NATO協定加盟国でございますから、NATO協定によって、規律されるわけでございます。従って、そのNATO協定と同じである。NATO協定ということと、われわれの基地の観念とは、同じであるということです。
  63. 島清

    島清君 違うけれども、あとで質問します。  政府は、金門、馬祖を極東の行動目的範囲に入れるというので、ずいぶん物議をかもしましたが、三木さんが、ヨーロッパから帰ってきまして、それは大へんだというので、何か政府と与党との連絡会議で、金門、馬祖を含めないというて、統一見解をされたようでございますが、そのいきさつについて、金門、馬祖を含めるか含めないか、御説明願いたい。
  64. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先般、総理が統一見解を表明された通りでございます。
  65. 島清

    島清君 訂正する御気持はないですね。
  66. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 訂正する気持は今ございません。
  67. 島清

    島清君 あとで変更するようなこともありませんね。
  68. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 政府が統一見解を申し上げたのでありますから、変更することはございません。
  69. 島清

    島清君 どうかな。  六条と四条についてですが、四条について、「日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威」云々、それから六条によりまする「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全」云々ということとは、日本文で言いますというと、二つの、第四条も第六条も、同じ目的を持っておるように思えるのです。「日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全」と、こういうふうになっておるようですが、しかしそれと、六条の「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全」と、こういう二つの目的の場合が掲げられておるようですが、しかしながら英文を読みますというと、そうでもないのですが、第四条では、日本の安全又は極東における国際の平和と安全、二つの項目、事柄に分かれておりますが、これは一つだと思うのですが、いかがでございますか。
  70. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 四条と六条は同じ意味でございます。英文につきましては、条約局長から御説明をいたさせます。
  71. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 英文におきましても同一でございます。異なったところはないと考えております。たとえば第六条でございますが、日本の安全に寄与し、ということと、極東における国際の平和及び安全の維持に寄与し、この「寄与し」ということは英文では一つにくくっております。しかしここで一つにくくりまして、日本の安全と並びに云々の安全の維持に寄与ということにしていいのでございますが、そうしますと、安全の維持ということが、上の日本の安全の万にもかかるような誤解を与えますので、これを二つに区切ったわけでございます。
  72. 島清

    島清君 英文では「又は」ということを、四条の「又は」は、「オア」になっていて、それから六条では、「並びに」ということが「アンド」ということになっております。
  73. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) その通りでございます。(「なぜ、その通りかということを言ってくれなければ」と呼ぶ者あり)
  74. 島清

    島清君 条約局長、それを説明してくれなければいかぬよ。
  75. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 第四条は、日本の安全又は極東における国際の平和、安全に対する脅威が生じたときにいずれか一方の要請がありましたときに協議するわけでございます。従って日本の安全が脅威された場合、または━━または、でございます。または極東における国際の平和、安全が脅威された場合、いずれにおきましても、そのつど要請によりまして協議するということでございます。  それから第六条、これは、施設区域使用することを許される、許可する一つの理由といたしまして、この二つを並び掲げた次第でございます。すなわち直接使用の条件というようなものでございませんで、日本における施設区域使用することを許す、許可するのに、われわれは、どういう目的と申しますか、心組みと申しますか、それで許可したのであるか、そういうことを明らかにするために、日本の安全と並びに極東の国際の平和と安全の維持、この二つながらを心に描いて、その心がまえで、この使用を許可した、こういう意味合いを第六条で出したわけでございます。
  76. 島清

    島清君 第六条の駐留目的以外に、国内の暴動や間接侵略が入っておるかどうか
  77. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知通り日本におきまする国内の騒乱その他につきましては、日本が処置するのは当然だと思うわけであります。間接侵略というような問題について話し合いをするのは、第四条でございます。
  78. 島清

    島清君 暴動、騒擾なんかが起こった場合は、どうなりますか。
  79. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 第四条によって協議をいたしますが、それがいわゆる侵略であるかどうかということを考えなければなりません。間接侵略という問題は、広範な問題でございまして、一々これが間接侵略だということを確定的に今いたすわけには参らないのでございます。
  80. 島清

    島清君 戦闘作戦行動の場合は、協議することになっておりますが、しかしながら、条約から見ると、日本基地というものは、補給基地としての役割が非常に重要になってくるのですが、補給行動は、なぜ事前協議の対象にされなかったか。
  81. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日本施設区域、いわゆる基地と申しますか、そこから戦闘作戦行動をやりますことは、非常に重要な問題でございまして、これについては、当然事前協議をするのが、この条約上適当だと考えたわけでございます。平常の補給活動につきましては、われわれとして、それは当然アメリカ軍がおります以上、それは許すのは当然だと考えます。
  82. 島清

    島清君 防衛庁長官は、アメリカが極東地域以外の地域において戦争状態に入った場合には、日本は完全なるヘーグ条約に認められた中立国である、こういうことを答弁になった。その中立国において、補給を事前協議の対象にしないで、無限に補給行動を許されるのですか。
  83. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) ヘーグ条約によって、極東以外においてアメリカが交戦状態になった場合に、日本の立場はどうなるかという、その権利義務は、ヘーグ条約においていう中立国として認めるのかという御質問でありましたが、言葉が足りません点がありましたので、なお補足さしていただきます。この間申し上げました、米国が第三国と交戦状態に入ったからといって、日本が当該第三国と交戦状態になるものではないと、こういう意味お答えしたわけであります。すなわち戦争に巻き込まれるようなことはしない、こういう意味お答えしたのであります。  なおへーグ条約は、日本も調印をしておりますので、これを守ることにはなりますけれども、同時に、国際連合にも日本は入っております。また安全保障条約も締結されるということになりまするというと、国際連合にも縛られ、あるいは安全保障条約に縛られて、へーグ条約と一致しない点は、安全保障条約の方が優先されるというふうに私ども考えます。すなわち口連憲章を前提として事態を考えなければならぬことになると思います。これによると、正しい武力行使と不正の武力行使、こういうふうに区別され、加盟国は正しい武力行使国に援助する考え方がとられております。従って今日では、いつでも旧来の厳正中立の観念を維持できるかというと、これははなはだ疑問があると思います。すなわち中立観念の基礎が変わりつつあると考えます。新条約では、米国は国連憲章に従って行動するのでありますので、侵略があって初めて行動する、こういうことに相なります。従って米国が第三国と交戦状態に入ったのちも、米国に新安保条約に基づいて日本の安全と、極東における国際の平和と安全の維持のために、基地の提供といいますか、施設の提供を継続することは、国連憲章にも適合するもので、これに違反するものではない、こういうふうに考えておりますので、この間の答弁に対しまして補足し、少し足らなかった点を申し上げておきます。(秋山長造君「今のを資料として配って下さいよ。そんな長たらしいことをずらずらと言っては困る。」と述ぶ)
  84. 島清

    島清君 金門、馬祖についてもう一言聞きます。金門、馬祖を目的の範囲に含むわけですか。
  85. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 極東の平和と安全ということは、日米両国の関心事であることも申すまでもございません。むろん極東というものが、包里的概念を言いますれば、非常に広範なものだと思います。しかし、本条約において、われわれが共通のいわゆる関心を持っておるまた極東の平和が害されるときには、日本にもやはり影響があるというような地域は、先般来申し上げておりますように日本の周辺それを取り囲みます地域ということになるわけであります。われわれとしては、金門、馬祖の事情がどうあろうとも、あの辺で、いろいろな戦闘行動が起こりますことは、極東の平和と安全にも影響があるということで、関心を持たざるを得ないのでございます。
  86. 島清

    島清君 目的範囲は、極東の範囲でございましょうが、行動範囲は、別に極東の範囲に制約を受けますか。
  87. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 行動範囲そのものは、直接的には、この条約において制約は受けておりません。
  88. 小林英三

    委員長小林英三君) 島君、時間が終了いたしました。
  89. 島清

    島清君 立ったついでに、もう一言。在日米軍が増強される場合には、日本国への配置における重要な変更とみなして、事前協議の対象になっておるわけですね。減少する場合は、対象にならないわけですね。それではですね、たとえばフイリピヒンや韓国で戦争が始まったとします。戦闘行為があったとします。またはその以前に、それについて日本から移動をしたといたします。移動します、すなわち減少する場合ですね、そういう場合には、もうその事前協議の対象にはならないわけですか。
  90. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この条約におきまして、事前協議の対象に、アメリカ軍日本から退去するといいますか、あるいは移動をする場合には、そういう場合には事前協議の対象にはなりません。むろん四条の条約によりまして、全般的な協議はいたしますけれども、いわゆる事前協議の対象にはならないのであります。 (秋山長造君「議事進行」と述ぶ)
  91. 秋山長造

    ○秋山長造君 議事進行。  先ほどの防衛庁長官の、島委員の戦時における中立の問題に対する答弁の補足説明ですが、これは、まあ名前は補足説明ですけれども、なかなか重大で、複雑な内容をもった御発言だと思います。ぜひ一つ、これを早急に資料にして、われわれにお配りを願いたい。ちょっと委員長の方でも、その辺をお取り計らい願いたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)よろしいか。
  92. 小林英三

    委員長小林英三君) よろしゅうございますか。防衛庁長官。
  93. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) いいです。
  94. 小林英三

    委員長小林英三君) いいそうです。   —————————————
  95. 小林英三

    委員長小林英三君) この際、委員の変更について、御報告いたします。  市川房枝君が辞任され、その補欠として原島宏治君が選任されました。
  96. 小林英三

    委員長小林英三君) 加瀬完君。
  97. 加瀬完

    ○加瀬完君 文部大臣は、前回の私の質問に、あらためて調査の上、御答弁下さるというお話でございましたので、調査の結果の御答弁をあらためてお願いいたします。
  98. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 御答弁申し上げます。  九月の八日に、大蔵省から九月一日付で流用の承認を得た旨の通知があったので、文部省では、同日に九月一日付で示達をいたした。なお群馬県で、この経費を支出したのは、九月十五日以降でありまするので、この点、何ら不当な事実はございません。
  99. 加瀬完

    ○加瀬完君 九月八日に大蔵省から承認通知があったことはわかりましたが、文部省で、この金を支出したのは何月の何日か。
  100. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 今申し上げました通り、群馬県で、この経費を支出したのは九月十五日以降でございます。(加瀬完君「群馬県じゃなしに、文部省、全体に示達したのは……。」と述ぶ)通知を受けましたのは八日で、現金を渡したのは九日でございます。
  101. 加瀬完

    ○加瀬完君 九月一日に示達をしているのじゃありませんか。
  102. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 支払い計画は一日でございます。
  103. 加瀬完

    ○加瀬完君 某県では、出納長を通して、現金が九月の一日に入っております。あなたの方の初めの資料では、ちゃんと三十三年九月の一日に計画書とともに示達をしているという文書も出ているのであります。(「金が出ているじゃないか。」、「大臣答弁」と呼ぶ者あり)
  104. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私からお答えいたします。(「それではだめなんだ。」「議事進行」と呼ぶ者あり)
  105. 鈴木強

    ○鈴木強君 議事進行について。  内藤さん帰りなさい。この委員会が始まるときに小林委員からも議事進行で強く意見が出て、総理大臣は、明らかに質問があった場合には、大臣答弁できないものは、大臣政府委員をして説明させますと、こう断わってから委員長は指名することになっておる。何も大臣がそういうことを言わないのに出てくるのはおかしい。今後注意してやって下さい。
  106. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 支払い計画は九月一日にいたしました。それで現金を出したのは九日でございます。
  107. 加瀬完

    ○加瀬完君 それでは文部省は、国会の調査室を通して、資料の提供を要求したわけでございますが、その提供をした資料は、虚偽の資料を提供をしたと、こういうことになりますか。
  108. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 文部省は虚偽の示達をしたのではございません。
  109. 加瀬完

    ○加瀬完君 それならば、あなたの方で国会に出した、機関を通じて提供をしたことの資料を、三十三年の九月一日に、各都道府県にわって明細を数字に載せて示達をしたという資料をわれわれに提供しているじゃありませんか、これがうそかというのです。
  110. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 先ほど申し上げました通りに、計画は九月の一日に立てて示達をしたと、現金は九日に出した、かように申し上げたのであります。
  111. 加瀬完

    ○加瀬完君 内藤局長は、この前の委員会の私の質問に対して、九月八日に大蔵省より九月一日付で流用承認あった旨正式通知があったので、同日前記支払いの委任通知書を発送したと、こう答えておる。
  112. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 繰り返し申し上げておりまするように、一日にそういう示達をいたしました。しかし現金は九日にいたしたわけであります。
  113. 加瀬完

    ○加瀬完君 財政法三十三条で、各日の間における彼此の流用並びに大蔵大臣の前項の規定に基づく流用の承認がなくて、示達ができますか。
  114. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 大蔵省から承認がないのに金を出すというようなことは、文部省としてはいたしておりません。
  115. 加瀬完

    ○加瀬完君 現金が行っていることは一応留保しておいても、示達命令書といいますか、示達書を各出納長に発送をした。承認のないものを示達できますか。
  116. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 先ほど申し上げましたように、九月一日付で流用の承認を得ておるのであります。それによって計画を立ててしたことであります。
  117. 加瀬完

    ○加瀬完君 大蔵省の主計局長に伺いますが、あなたの方でこれを承認したのは何日でありますか。
  118. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 流用の点につきましては、八月中に相談を受けまして、部内の相談をいたしまして、九月一日付をもって承認をいたすという口頭の通知書を出しております。正式の書類が出ましたのは八月の十五日でありまして、九月の八日に九月一日付をもって承認をいたしおるのであります。
  119. 加瀬完

    ○加瀬完君 おかしい。あなたの方に私の方から問い合わせたときも、八月十二日文書の申請があって、八月十五日に大蔵省として起案をして、九月の四日に九月一日付をもって承認するとの文書が……。あなたが決裁したのは九月四日、九月四日でなければ決裁が出ないものを、九月一日に示達書をどうして文部省は行なえるのか。日付を先に繰り上げてやるということはできるのか。
  120. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 先ほど申し上げたことが多少繰り返しになるのでありますが、八月中に話を受けまして、部内といたしましては、相談をいたしまして決裁をいたしております。文書によりまする決裁は、先ほど仰せもございましたように九月四日でございます。その前に決裁をいたしまして、口頭をもって通知をいたしおりますので、それに基づきまして文部省が措置をしたというふうに御了承願いたいと思います。
  121. 加瀬完

    ○加瀬完君 大蔵大臣に伺いますが、あなたの方では、目の変更その他流用には、いつも口頭で許可をいたしておるのでありますか。
  122. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この点はただいま主計局長お答えした通りでございます。私の方でもよく調べたわけでございます。ただ問題は、一日付で許可をしたものを四日なりあるいは八日に、書類が八日になっておりますが、いかにも事務の処理がまずいのじゃないかということで、私も事務当局につきましても、今度の種の処理のないように実は注意をいたしおります。問題は、ただいま御指摘になり、またお話の出ておりますように、事務処理上にやや工夫すべきものがあるように思います。相当急いでおった、それに八月の半ばに正式に書類がきたので、おそらく事務当局相互の間においては、その取り扱い方について、電話その他で数回にわたって連絡したに違いないと思います。そういう事柄が、正式の書類として見ますと、口頭の処理の部分が相当出ているということで、誤解が私出ていると思います。これらの点は将来十分注意をして参るつもりであります。
  123. 鈴木強

    ○鈴木強君 大蔵大臣、下手な答弁しない方がいいと思うのです。主計局長が言っているように、電話か口頭か知りませんが、今口頭と言っておったのですが、決裁が済んでおって話をした、こういうのですね、話で。しかし決裁をする場合には、大蔵大臣の承認を得なければ発効しない、三十三条からいっても予算総則からいっても。従って大蔵大臣が承認の決裁をしてはんこを押したのが九月八日でしよう、九月八日とも四日とも言っているが八日なんです。そうすれば、その間にどういう話がやられておったか知らぬが、すでに決裁をしておった、その決裁をしておったことが、文書上から見るとどうなんです。要するに話し合いでよろしいと言ったのかどうか、そういう場合であっても大蔵大臣が明らかに承認を与えなければいけない。それを事務当局がそういうことをやるということは違法です。そこのところがはっきりしないのです。それが間違いであったら間違いだと、ここではっきりとしたらどうですか。
  124. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この種の事柄は大臣決裁はいたしておりません。従いまして、局長においてこれは処理している事項でございます。非常に異例に属するような大きな事柄でございますれば、もちろん事前に、大臣が決裁しなくても、大臣の意向を聞くことはございますが、この種の事柄は局長で処理している問題でございますから、先ほど局長から御答弁いたしましたように、八月半ばに書類が出て、そうしてもちろん処理が全部されれば、文部当局も相談にくると思います。非常に支出を急いだに違いないと思います。そこで大蔵当局は八月中に関係主計官等と相談をして主計局の意見をまとめ、その実際の処理は九月の四日になっておる。また、その文書の文部省への送達は八日になっておるということであります。いずれにいたしましても、大蔵省から文部省までの間が四日から八日までかかるというのは、いかにも長いことでありますし、おそらく、それらの間において事務的な連絡をして処理したものだ、かように私は考えます。
  125. 鈴木強

    ○鈴木強君 この財政法三十三条にね、大蔵大臣の承認を得るということが書いてあるのですね。ところがお話を聞くと、それは主計局長の権限だと、こう言っているのですがね。それは省内における分掌規程か何かありまして、少なくとも財政法に明示された大臣の承認権であっても、これは一局長にまかしてあるということなんですか、いずれにしてもそれが一つと、もう一つは、正式にその承認行為というのは、おそらく文書を起案して、それが大臣のところまで行っていると思うのです。行っていないのですか、その点だ。要するに大臣というものはロボットであって、国会の財政法に対する責任はどう思っているのですか。
  126. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 法律はただいまのように大蔵大臣の承認ということになっています。省内の分掌規程でこれらの事項は局長に委任してございます。委任事項として局長が処理するわけでございます。で、大蔵大臣のところには正式にその書類がくるわけのものではございません。でございますから、全部の書類は大蔵大臣の責任において処理されるということになっておりますが、御承知のように仕事はまあそれぞれ分掌規程で委任いたしますので、その範囲は局長が専決するということでございます。
  127. 鈴木強

    ○鈴木強君 法律を無視して省内においてこういう大事な、国会では承認をされておりますけれども、移流用は非常に、厳に大蔵省は注意しているところでしょう。そういう大事な問題について、省内の委任規定か何かによって、法律というものを無視してそういうことをやるということは、これはおよそ法律解釈から言ってもおかしいじゃないですか。少なくとも私は省内における委任規定というものはそんなものではないと思う。法律に抵触しない範囲においてなら私はわかりますけれども、少なくとも大蔵大臣が承認をしなければ移流用できないとはっきりきまっている以上は、それを局長に委任するなんということはこれは越権行為もはなはだしい、これは法律解釈から言ったっておかしい。これは現にそういうことであれば、これはもう重大問題ですから、これはおさまらぬと思う。
  128. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 鈴木委員も官庁ではございませんが、公社の仕事に関係された方でありますので、官庁事務の処理は大よそ御承知のはずだと思います。で、いわゆる軽微なる事項は委任するということでございまして、これで初めて非常に膨大な事務も遂行できておるのでございますから、ただそういう意味で何もかも委任するというわけのものではございません。委任の範囲が適当なりや不適当なりやという議論はあると思いますけれども、私どもがやっております事務の処理上では今日まで不都合なかった。しかしながら、先ほど来の今回の問題などは、いかにも事務処理といたしましては迅速、円滑な処理だとはどうも言えない。そういう意味において、私も事務当局に十分注意したような次第でございます。その点はそういう意味で御了承いただきたいと思います。
  129. 加瀬完

    ○加瀬完君 委任事務であるということは私もわかっておりますが、委任事務であるからといって、委任の範囲内として口頭で通知をされれば、それが承認の効果が生ずるんだという権限まで委任されておるんですか。
  130. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 事柄によりましては、口頭をもちまして通知をいたしまして、書類の決裁がそれより以後に相なるということがあるわけでございますが、ただいま大臣の仰せになりましたように、そういう関係ができるだけそういうことになりませんように、事務をできるだけ促進をいたしまして、あとで決裁が出るというようなことにしたくないと考えております。
  131. 加瀬完

    ○加瀬完君 主計局長に重ねて伺いますが、あなたが正式文書の承認書がいかなくても支出してよろしいという承諾を文部省にお与えになりましたか。
  132. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 三十三条の第三項にございまする通知は、「承認をしたとき」ということになっておりまするので、承認の事後の通知ということに相なるわけでございます。従いまして、その三項はそういうことでありますが、その前の二項の承認そのものがいつであるかということでございますが、これは先ほど来申し上げましたように、事実上決裁をいたしまして支出をいたしますれば、それをもちまして承認ということに相なるかと考えております。
  133. 加瀬完

    ○加瀬完君 あなたの決裁は九月四日だ。決裁するまでは形式的にも内容的にも承認はされておらない。それを九月一日に支出をしていいという承諾をお与えになりましたか。
  134. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 先ほどから申し上げておりますように、九月四日に書類上の決裁をいたしております。しかしながらその前に、八月中に相談を受けまして、いろいろな点の審査をいたしまして、これは九月一日付をもって承認をするということにいたしております。それに基づきまして通知を口頭でいたしております。
  135. 加瀬完

    ○加瀬完君 通知というのは、九月四日あなたの決裁に基づく九月八日付のものは通知でございませんか、そのほかに通知というのがありますか。これは会計検査院にも伺いますが、あなたの方は、承認をされたというものを、口頭でお認めになりますか。それとも、決裁をした一切の文書を添えた正式なあなたの方に参りました通知書によりまして承認の日を御確定になりますか。
  136. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) 私の方には大蔵大臣から九月一日に流用の承認をしたという通知が参りまして、そして支出は十五日になっておりますから、何ら不当不法な行為はないとして検了いたしております。
  137. 加瀬完

    ○加瀬完君 九月八日の日付で、九月一日にさかのぼって、九月一日付で承認をするという通知なんで、今の主計局長も言うように、その決裁をした行為は九月四日、九月四日の決裁前に文部省は支出をしておる。こういう点を御勘案になりまして、一体、具体的に口頭で通知をしたという、それを一体お認めになるのか、九月八日のあなたの文書を正式の承認とお認めになるのか、前の答弁と違いますね。
  138. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) 私の力では、九月一日に流用したという通知をいただいておりまするから、それによって十五日の支出を検了いたしたのであります。それ以前のことは私は承知いたしておりません。
  139. 加瀬完

    ○加瀬完君 九月四日ですよ、決裁は。この前の答弁と違います。(「おとといの局長答弁と違うよ」「速記録を調べてこい」と呼ぶ者あり)
  140. 鈴木強

    ○鈴木強君 議事進行について。土曜日の日には、九月四日と八日の差はございましたが、いずれにしても正式な文書によって流用が承認をされたのは九月四日なんだ、この文書によりますと九月四日なんです。ところが、実際に文部省では九月一日の日にすでに示達をしておる。従って、かりに大蔵省が九月の一日にさかのぼってやってもよろしいと、こういう承認を与えたとしても、実際に承認をした日は九月四日なんですから、その間、四日間の差があるわけでしょう。ですから、あなた方の方では少なくとも九月四日の、大蔵大臣から文部大臣に対して流用可、してよろしいという承認があったときに、初めて行為ができるのであって、その前の九月一日の日にやったことは、これは不当だということをきのう局長はここで明言した。ですから加瀬委員質問しているのは、九月四日で承認があるのにかかわらず、一日に支払い行為をしている、示達をしたということは、これは不当ではないかということを言っておるわけです。そこのところはっきりして下さい。
  141. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) 局長がどういう答弁をいたしたか、私存じませんが、もしそういう答弁をいたしたならば、私が答弁するのが正しいのでありまして、ここに矛盾する答弁がありまするならば、その答弁は間違いであります。
  142. 加瀬完

    ○加瀬完君 笑っている場合じゃないですよ。金額が少ないといっても、明らかに財政法の違反になるかどうかという問題である。少なくとも不当であるという御答弁をあなた方自身でなさった。いいですか、九月の四日に決裁が行なわれているんですよ。ところが金はすでに九月の一日に示達をされている、これを一体お認めになるか、決裁がないんですよ、まだ九月一日には。
  143. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) 繰り返して申しますが、九月八日に大蔵大臣から九月一日に承認をした、流用の承認をしたという通知がありまして、そうしてその後十五日に支出ができておりますから、その九月一日の示達と十五日の支出と、この二つだけはわれわれが関与しておるのでありまして、それについて何ら不当不法がないと検了をいたしたということを申しております。それでまた繰り返して申しますが、以前に局長が何か答弁いたした事実があるかもしれませんが、それがもし私の答弁と矛盾する面がありますれば、その答弁は誤りであります。
  144. 加瀬完

    ○加瀬完君 さらに速記録を調査の上で質問をいたしますが、あなたには、九月一日に金が支払われている、こういう事実も十分御調査の上、あらためて御答弁いただきまして、また質問します。  あと若干の時間は保留いたします。
  145. 小林英三

  146. 永末英一

    永末英一君 外務大臣と防衛庁長官にお伺いをいたしますが、私どもは、日本国民日本国において生命の安全を保ち、あるいはまた平和な生活を営み、国民的文化の伝統を維持していくというためには、外国の理不尽な侵略から国民共同社会の安全を守るというようなことは、国民の当然の務めだと考えております。理想的に言えば、国際的法秩序の基礎の上に世界国家という考えが実現して、初めて世界平和の中で日本の平和が保たれると考えておりますが、世界の現状はまだこの状態にはほど遠いということを認めざるを得ないと思うのです。しかし、不完全であるとはいえ、現実に存在しております国際連合などの機関の改革、強化するなどの努力を払って、完全な軍縮協定の成立をはかりながら、この目標に一歩々々接近していくというのが、われわれの歩むべき道であると私どもは信じておりますが、こういう考えについて外務大臣並びに防衛庁長官は同感ですか。
  147. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お述べになりましたように、戦後、平和を維持する機構として国連ができたわけでありまして、従って国連によります平和維持の組織なり機能なりというものを強化して、そうして国連によって世界の平和が維持していける、話し合いの場によって維持していける、これはわれわれが当然希望しているところでございまして、日本外交もその線に沿って推進して参りたいと、こう存じております。
  148. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 長いお話を聞きませんので、今のお話だけですが、今のお話だけ聞きますと、大体私の考え方と同様だと、こう感じております。
  149. 永末英一

    永末英一君 理想状態に到達していない現状でございますが、そこで、われわれ日本国民は、自分の手で国を守る措置というものをこれは講じなくちゃならぬと私どもは思うのです。しかし日本の国を守るのは、他のだれでもない、日本国民みずからであろうと、われわれは考えております。従ってこういう意味で、日本国民の国を守ろうとする意思というのは、国を守る基盤であるとわれわれは考えておりますが、外務大臣、防衛庁長官、同感ですか。
  150. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろん独立国の国民として、自分自身の手で、できるだけ自分の防衛をやっていきたいということは、これは当然どこの国民でも考えるところであります。日本国民もまたその考えを持っていると、間違いないと、私は思います。
  151. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 全く私は同感であります。やはり日本の国を守るという意思は、日本人自身が持たなければいけないと思います。それでまた、そういう意思をやはり具体的に現わさなければならぬ。そういう意味で私は自衛隊というものがある、こういうふうに考えております。主体はあくまで日本でなければならぬ。ただ、国際情勢や、その他によりまして、そういうことを実現する意味において安保条約というようなものも必要になっておりますけれども、あくまで主体は日本人自身が日本の国を守るということでなければならぬ、こう考えております。
  152. 永末英一

    永末英一君 元来、政府というのは、こういう国民の意思の上に立っている機関です。従って政府国民に対して、国の安全がどういうような場に置かれているか、また、安全を守るためにどうしなくちゃならないかということを明らかにする私は義務があると思う。もちろん、わが国の場合、太平洋戦争における敗北あるいはまた原子爆弾の被災、長期にわたって外国軍隊の占領を許し、次いでまた駐留というような目まぐるしい変遷がありまして、国民はどういう観点から国を守る意思を固めるかということについての判断に苦んでいるのが現状だと思いますが、政府国民に対して、このような点について明らかにしてきたことはございますか、防衛庁長官。
  153. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 私どもは機会あるごとにそういう面で国民理解を求めるために努めているわけでありまして、第二次計画の前等におきましては、自衛隊の実力といいますか、戦力といいますか、そういうものなどもあまり発表しなかったのであります。できるだけそういう面も国民に発表し、あるいは予算その他を通じて国民理解を求めるという手段を講じておりますが、まだ足らない面は相当あるということは考えております。    〔委員長退席、理事佐藤芳男君着席〕
  154. 永末英一

    永末英一君 どこの国でもそういう観点に立って、一体自国の防衛はどういうものであるかということを明らかにしております。たとえばアメリカ合衆国につきましても、大統領は予算教書等について現状を明らかにし、イギリスなどは国防白書をわざわざ出してやっている。ソビエトや中国においても、それぞれの大会等において明らかにこれを国民に知らせている。ところが、あなたのところの政府は、これについて総括的な現状を明らかにしたことはないと私は思うが、どうですか。
  155. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 実は、御指摘の国防白書でありますが、私も昨年就任以来、国防白書を出すようにということで検討をし、また、ことしに入りましてからも、今、国防白書を作って、国民に実情を明らかにするように、こういうことで検討を続けております。全般的に明らかにしたことは、今のようにありませんけれども、三自衛隊その他につきましては、それぞれ文書によって出してはおりますけれども、御指摘のような点も考えて、目下国防白書も出すつもりで検討いたしております。
  156. 永末英一

    永末英一君 防衛庁長官は、用意はしているけれども、やったことはない、こういうことでございます。やったことがなければ、国民があなたの立てておられる防衛方針について深い不信と不安の念を持っているということはお認めになりますか。    〔理事佐藤芳男君退席、委員長着席〕
  157. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 全般的にそういうPRの文書を出したことはありませんけれども、各自衛隊その他、いろいろな場合に直面いたしまして、国民理解を求める方法は講じております。それとは関連あるか、または関連がないといたしましても、いずれにいたしましても、国民理解が十分でないということは私も承知しています。十分理解を求めるよう、なお一そう努力するつもりでおります。
  158. 永末英一

    永末英一君 最初、防衛庁長官、大蔵大臣、ともに日本の国の安全を守る基本的方針は同感であると言われたのでありますが、今の点で、たとえば昭和三十二年に第一次防衛計画を立てて国防会議でおきめになった。ところが、本年度の予算を見ましても、それは第一次防衛計画の最終年度であるからこういう予算提出したのであるという御説明を承るだけであって、何か防衛費というものは、たった十二億円とか、あるいは九億円とかふえただけであるというような、はなはだ消極的な御説明国民に与えるだけです。しかし、この間、国民は、昨年の十月、防衛庁が独自で第二次防衛力整備計画を立てられたことを知っておる。しかし、それは国防会議にまだ諮っていないから、政府としては確定したものでないというような説明をせられるだけでありますけれども、一体、第一次防衛計画を立てた昭和三十二年以降、どういう工合に近代兵器の躍進があったかということは、あなたが一番よく知っておると思う。国民も知っております。それにもかかわらず、そのときに立てられた防衛計画を埋めているだけだという説明だけでもって、一体これからあなたが何をしようとしているかということは、国民は知るところがない。三十五年度予算で、今のような変遷についてあなたが予算に盛られたところがあればお示しを願いたい。
  159. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 再々申し上げておりますように、三十二年度に作りました第一次計画の最終年が三十五年度であります。実は申しわけ的になりますが、三十五年度が終期になりますが、今お話のように、第一次計画の中におきましても、延期すべき計画がありまするし、あるいはその中には変更をしなくてはならぬような問題もありまするし、あるいは第一次的には達成できないような問題もありますので、三十五年度を始期といたしまして四十年度を最終年度とする防衛第二次六カ年計画というものを策定、検討をいたしておったのであります。ところが、いろいろ予算の編成時期に入ってしまいましたので、この予算の方の要求あるいは折衝ということに追われ、そして第二次計画が、まだお話のように国防会議にも諮れないような状態であるときに、三十五年度予算の御審議をいただいておる、こういうことに相なりました。でありますので、第二次計画は、三十六年度を始期といたしまして四十年度を終期といたす五カ年計画に改めて、目下検討いたしておるのであります。  そこで、三十五年度の予算の中に、第二次計画の中で変わったものを含めてあるかどうか、どういう点が幾分変わっておるかということでございます。御承知のように、次期戦闘機の問題は第一次計画の中にも入っておったのでありますが、これは第一次計画の結末として御審議を願っておるわけでありますけれども、後年度にわたりますので、これは第二次計画の中にも当然入るわけでございます。それから、誘導兵器、ミサイルの研究、開発ということも、これは第一次計画の中に入っておったのであります。そういう研究、開発を行なっておる段階におきまして、誘導兵器等を導入することが、わが国自衛隊の装備の近代化というようなことからも必要であるというような関係から、第一次計画の中でも、飛行機につきまするサイド・ワインダー等は入っておりますし、予算でお認めも願ってきておるのでありますが、その他にできました地対空の誘導兵器、ナイキ・アジャックス等を導入したいというようなことで、そういう訓練の部隊を、四十数名でありますが、アメリカに出そうというような計画もあります。あるいは海の方におきまして、これも地対空の誘導兵器でありますが、本年度の予算におきまして警備艦の建造をお願いいたしておりますので、それに装備するタータ一等の予算をこれに振り向けて、ターターを装備していくというようなこともあります。大体は第一次計画の最終年度としての予算の裏づけをお願いしておるわけでございますけれども、その中には第二次計画において芽を出すべき、あるいは芽を出してくるべきものを含んでおるわけでございます。今申し上げたのは、その一つの例でございます。
  160. 永末英一

    永末英一君 そういたしますと、三十五年度予算は、第一次防衛計画の手直しだけの意味にとどまらず、来年、三十六年度を始期とする第二次防衛計画の芽を出すということですから、第一歩まで踏み込んでおるという工合に解釈してよろしいか。
  161. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 大体におきましては、第一次計画の最終年度としての予算の裏づけをお願いしているわけでありまするが、三十六年度からの芽も含んでおるわけでございます。出しておるといいますか、含んでおるといいますか、その程度はいろいろ問題があろうかと思いまするが、芽を含んで、芽を少し出しているものもあると思います。
  162. 永末英一

    永末英一君 芽を出すといえば、芽がだんだん大きくなって、木になり実がなるということを考えなくちゃ、芽を出すということは、これは言えない。そこで、防衛庁としては、正式には第二次防衛計画は三十六年度から始まるのだから、国防会議にかけなくちゃならぬというのでありましょうが、大体において三十五年度で新たに手直しをされたような形で出ておる、今言われたような誘導弾、ロケット等の装備は、三十六年度以降にもそういうものがふくれてくる、このように解釈してよろしいか。
  163. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 大体そういうものがふくれていくといいますか、含まれて計画を検討していきたい、こう考えております。
  164. 永末英一

    永末英一君 防衛庁設置法ないし自衛隊法によりますと、これらはわが国の平和と独立を守り、国の安全を保つために設置してある、こういうのでありますが、国民は、これらのものが、直接にわが国の平和と独立を守り、国の安全を保つだけであるのか、あるいはまた、アメリカの極東防衛線の一環としての地位を自衛隊に与えようしてとおるのであるかということを、非常に疑問に感じております。たとえば、一九六一年、今年度のアメリカの合衆国大統領が議会に出しました予算教書によっても、アメリカの大きな世界戦略を描き、その中で、アメリカが二国間のいわゆる同盟的な、あるいは相互防衛的な条約を結んでいる国々に対しては、アメリカ側は在来兵器を供与して、アメリカの大きな世界戦略、われわれ日本にとっては極東戦略の一環を保たせるのだ、こういうことを言っております。政府は、これらのアメリカ側日本に要求している考えについてどう考えておるか、お伺いしたい。
  165. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 今お話しのように、日本の防衛態勢あるいは安保条約が、アメリカの防衛のためといいますか、アメリカのためにあるのだ、こういうふうには私どもは全然考えておりません。日本の防衛あるいは安保条約も、日本を主体とした日本の平和と安全のためにあるのだ。しかして私は、これも私の最近の世界情勢から見た考え方でありますが、やはり世界の国防というものが戦争の抑制力になっておる。これは東西両陣営の大国の両方ともそういうふうな形に変わっておると思います。しかし、小さいといいますか、それに対しましては、やはり日本のような国が、こういう大きな戦争抑制力としての国防力を持つ、こういうことは考えるわけには参りません。また、考えることは、これはなかなか日本の国力、国情から無理だと思います。そこで、やはり小さいなりに、日本の世界における戦争抑制力に協力するという責任を持つ。これはやはり、日本の安全、平和を中心とした考え方であらなければならない、そういう点から考えますならば、やはり日本でも、そういう意味において、国情に応じた自衛力というものを整備していくという必要がある、こういうふうに考えております。そういう点から考えまするに当たりましても、やはり日本のこの防衛力というものが近代化され、やはり効率化されるということが私必要だと思います。やはり経済原則に従ったような効率化ということも考えなくちゃならない。そういう意味におきまして、日本の装備も近代化、効率化という点を考えているわけであります。それに対してアメリカが援助するか援助しないか、アメリカといたしましてもアメリカの立場があると思います。アメリカの国会に対する立場もあると思います。またアメリカ国民に対するタックス・ぺーヤーといいますか、税金を払っている人々に対するアメリカ政府考え方もあると思います。そういう点で、アメリカの費用を出すにつきましては、やはり近代化され、効率化されて装備されるところの自衛力といいますか、そういうものにより多くの金を出すというのは、これはアメリカの考えとして、アメリカ国民に対するアメリカ政府の責任としても、これは当然ではないかと思います。そのことが日本の防衛がアメリカに寄与しているということでなくて、やはり私は日本が主体性を持ち、日本の自衛力の近代化、効率化に対してアメリカが考えていることであって、アメリカ自身の防衛ということでなく、やはり日本日本の防衛、日本の平和と安全というものに対してアメリカはそういう考え方を持って援助する。それはアメリカ自身だけのためだということには考えておりません。もちろんアメリカも考えては、ただ金を出すというわけではありませんから、考えはあるでしょうけれども、主体性はやはり日本である、こういうふうに私は考えます。
  166. 永末英一

    永末英一君 抽象的に主体性を守って、日本の安全を守るということを伺っておっても、これは具体的にならない。そこで、私は少しこまかくあなたの方の持っておられる自衛隊の内容について伺いたいのでありますが、大体どの自衛隊でも、陸上、海上、航空、それぞれ考えても、どういうような状態を想定し、それでどういうような装備を持ち、どう配備するかということを考えなくちゃ、これは自衛隊の装備にも配置にも何もならない。第一に陸上の場合についてお伺いいたします。現在、五方面隊、六管区隊、四混成団等を主軸にした編成配備をやっておりますが、伝え聞くところによると、侵略軍の上陸、着陸に対してしばらく対抗しよう、こういうのが目的であるというのでありますが、一体どういう場合を想定してこういう装備を行なっておるか、これをお伺いしたい。
  167. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 先ほどから申し上げておりまするように、抽象的だという御指摘になるかもしれませんが、日本がほかの国まで行って、そうしてそこで戦争しようというふうには考えておりません。しかし、戦争の抑制力として自衛力を持っていくということのためには、やはり侵略があるといたしまするならば、その侵略をはねのけるための力を持っておらなければ戦争の抑制力というものにはならぬと思います。また、平和と安全を守るというわけにも参らぬと思います。しかしこれをもって、たとえば今お話の、陸上自衛隊がいつまでも、この侵略等がありました場合に、これをたえ得るかということにいたしまするならば、これは戦前と非常に違っておりますし日本の状態も違っていますので、そういう長い期間、もしも上陸侵略というものがあった場合にたえ得るかということにつきましては非常に問題があろうと思います。でありますので、上着陸がどこかに行なわれて、侵略が行なわれたという場合に、相当期間持久が可能であるということに対処し、あるいはまた国内の治安維持という問題もありまするので、警察力の足らないのを補っていく、こういう点で今の部隊の編成もいたしておる、こういうことでございます。
  168. 永末英一

    永末英一君 自衛隊法によりますと、自衛隊は直接侵略並びに間接侵略に対処する、こういうことでございますが、直接侵略と間接侵略は、その態様が非常に異なっておるとわれわれは思っておる。異なっておるとするならば、その二つの目的に対して現在の陸上自衛隊の装備、配置は一体どうなされておるかということをお答え願いたい。
  169. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 現在の自衛隊といたしましては、直接侵略があった場合を目途としてやっておるのが大部分であります。
  170. 永末英一

    永末英一君 先ほど、国を守るのは国民みずからの手でやるというのが基本線であるという、まあ防衛庁長官並びに外務大臣の考えでございますが、このごろの経過を見ますと、いわゆるこのアメリカから供与されておったところの兵器等は、アメリカの国内生産の事由でどんどんストップしてきている。従って、通産大臣に伺いたいのでありますけれども、通産省としては、この間、いわゆる兵器生産について、大学等について補助金を出したり、あるいは何とかいう飛行機会社を作って、うまくいかなかったりということでありますが、今のような防衛庁に考え方があるとして、通産大臣はいわゆる国内の防衛企業と申しますか、そういうものに何かお考えがあれば伺いたい。
  171. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) わが国における兵器生産の現状は、非常に微々たるものでございます。直接兵器の銃砲弾、あるいは砲は、これは自衛隊の充足をまかなう程度でございます。年に二十億程度のものでございます。飛行機につきましては、アメリカ軍の整備その他で相当の収入をあげておりまするが、自分のところで防衛隊以外の飛行機の製造はいたしておりません。ただ、輸送機の研究はいたしておる状況でございます。
  172. 永末英一

    永末英一君 防衛庁長官は、まあ主として直接侵略に対する目的のための装備を配置されておるということでございますから、間接侵略はほとんど準備していない、こういうことでございますか。
  173. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 準備していないわけではありません。間接侵略に対しましても相当準備をいたしておりますが、現在でも、あるいは装備の目的をどちらに多くかけているかといえば、直接侵略があった場合に対してのウエートを多くかけております。そのことがやはり間接侵略があった場合に対処するというふうに考えておりますので、間接侵略をおろそかにしておるということではございません。
  174. 永末英一

    永末英一君 あとでまたお伺いしますといたしまして、次に海上の場合のことを少し伺っておきます。海上自衛隊の任務というのは、海上からの侵略に対する防衛、または海上交通線の確保、さらにまた海上警備等にあるといわれるのでありますけれども、第一に海上からの侵略に対する防衛といいましても、現在の警備艦等を持っている力で、どういう侵略に何を一体防衛しようとするか、これを明らかにしていただきたい。
  175. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 日本の海峡とか港湾が封鎖されることに対しまする対策、こういうこと。それからまた機雷を敷設されるという場合に対処しまして、掃海の点に力を入れております。それから潜水艦の跳梁といいますか、潜水艦の機能が相当多くなってきておりますので、それに対処しまして、哨戒といいますか、これは御承知のP2V等によりまして潜水艦の所在を明らかにするとともに、潜水艦に対処する方法を考えております。御承知のように、昨年は潜水艦を一隻作りましたので、今年も予算に計上しておるわけであります。そういうようなことを任務といたしまして、訓練をいたしておるわけであります。
  176. 永末英一

    永末英一君 今、ばあっとした御返答でございますけれども、一体、海上交通線を確保するといった場合に、この前の戦争でも、一体日本海軍は一生懸命防衛隊を作ってやりましたが、どの程度海上交通線を確保できたか。できなかったというのが答えです。しかも、今度のあなた方の目的では、船団護衛や外航護衛までしなければならないというのですが、現在十二万四千トンの船の中身を調べてみれば、警備艦はまだ四十隻にも足りない。しかも、潜水艦を作ったといっても、潜水艦は標的でしょう。潜水艦は何をするのかわかりませんが、あなた方の説明では、標的のために作ったというお話です。海上交通線を確保するという問題だけを出しましても、一体どこからどこまでの海上交通線をどういうような護衛力をつけて防衛するのかということがはっきりしなければわからないのです。いわんや、また十二万四千トンという中身が、雑船が非常にたくさんある。その場合に、一体どういう場合を想定して海上交通線を確保しなければならぬかと考えておられる根拠がわからない。こういう点を、もう少し明らかにしていただきたい。
  177. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 海上護衛の範囲につきましても、今の艦船でもってどの程度できるかということにつきましては、海上自衛隊あるいは統合幕僚会議等におきましてもそれぞれ検討をいたしておるわけであります。しかし、御承知のように、そのときの規模等によりまして画一的に参らぬことは御承知通りでございます。でありまするけれども、その規模等をいろいろ構想いたしまして、それに対して、こういう場合にはどの程度まで護衛ができるかというようなことにつきましては検討は続けておるわけでございます。そういう詳しい検討の結果につきまして、今この席で私が申し上げるだけの資料を持っておりませんけれども、検討はいたしておる次第でございます。
  178. 永末英一

    永末英一君 国会の席で資料がないから言えないなんということは非常にべらぼうな話だと思いますが、今あなたの持っておられる船で、いわゆる海上交通線の確保ができるとお考えですか、今何か始まった場合。
  179. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) ですから、何か始まったときの規模によろうと思います。しかし、今の艦船、ことに十二万四千トンの計画を第一次に持っておりましたが、これができ上がるといたしまするならば、護衛の点につきましても、相当遠い距離まで護衛ができる計算のもとに建造計画を立てておるわけでございます。どの程度までというのは、今その規模によりませんとちょっと申し上げかねると思います。
  180. 永末英一

    永末英一君 一例を申し上げますと、たとえば外航護衛をするという場合には、明らかに日本国の領域を離れて遠い所へ行くわけです。ところが、安全保障条約審議の過程において、はなはだどうも妙な解釈が政府の統一解釈として行なわれている。そこで、外航護衛という言葉を一つ取り上げて、そしてそれで海上交通線を確保するという場合には、一体現在の海上自衛隊の力でどの辺までの海上交通線の確保ができるとお考えですか。これを伺いたい。
  181. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 先ほどから申し上げておりまするように、護衛艦船を少なくすれば相当遠くまで行けまするし、多くすればその方にさかれますから、そう遠くまで行けない。しかし、相当遠くまで行けると思います。
  182. 永末英一

    永末英一君 防衛庁長官、多くすれば小さくなったり、小さくすれば大きくなったり、相当遠くへ行ってみたり━━それじゃ、あなたは、どういう場合を想定して一体十二万四千トンというのを確保し戸あるいはまた、それ以上また来年度から船を作ってくれ、それで継続費でやってくれなんということを国会に申し出られても判定する基準がない。私が伺っておるのは、外航護衛といえば、だれが考えたって、日本に入ってくるいろいろな物資というものは、出てくる所がきまっている。その場合に、一体日本の独力でどこまでやろうとしてこれだけの整備をし、しかも、継続費で船を建造しようとしているかということを伺いたいのですから、大きいとか、小さいとか、大体とかということを言わずに、計画があればお答え願いたい。答えがなければ計画がないと私は認めざるを得ないのです。
  183. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) もちろん、計画を持って予算を要求し、審議をお願いしておるわけでございます。しかし、先ほど来申し上げましたように、具体的な数字で、どこまで行くのにはどれだけというような、こまかい数字は、今、私は持ち合わせておりません、こういうことを申し上げたわけでございます。計画のもとに審議をお願いしておることだけは、これは事実でございます。
  184. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連。ただいまの答弁では不明確でございますが、およそ、しかし、侵略された場合に、海上、たとえば潜水艦、戦艦、いろいろありましょうが、何万トンで何千ぐらいの兵力、航空機ならば何機ぐらいの侵略があっても大丈夫だとか、あるいは陸上兵力ならば何万人ぐらい来ても独力で防げる、一応のケース、ケースはありましょうけれども、大体この程度という、一つの、あなたの頭の中で考えた侵略の様想があると思うのです。日本の今の自衛隊が海軍、陸軍、空軍、それぞれありますが、それをフルに活動したといたしまして、私は、先ほど申し上げましたような、あなたの頭の中にある一つのケースを頭に入れて、こういう場合に何万トン、あるいは何機防げる、しかも、それは何カ月間ぐらい防げる、そういうのが一応私は具体的にあると思いますので、それをお答えいただきたいと思います。今、日本の自衛隊をフルに活動したら、ある構想のもとにおける一例でけっこうですが、その場合に、敵の勢力がこの勢力ならば何カ月間防げるという、その一つの例をお示しいただきたい。
  185. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 先ほどから申し上げておりますように、そのときの規模によって違ってきますので、この場合ならばあの場合ならば、というふうに例を申し上げることは非常に(「一例をあげて下さい」と呼ぶ者あり)むずかしいのであります。
  186. 永岡光治

    ○永岡光治君 いろいろ例があるとか、構想があるというわけですが、あなたが考えられておる一つの例を、それを一つ示していただきたいのです。一例だけでいいです。こういう場合にはこの程度のものはいける。それは規模によって違うけれども、この規模ならばという例をあげて説明していただければ非常に明確になると思います。そのことをお尋ねしておるのです。
  187. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これは実際、それがわかっておれば、第二次大戦でも何でも簡単に……。なかなか、そうわかっておって、何人来ればこっちは何人で済むというわけには参らぬと思います。三分の一で大体大丈夫といっても、その場合に、三分の一の日本の陸上兵力で三倍のものをやっつけ得られるかどうかということも、そのときの装備や状況等によって非常に違うと思います。ですから、たとえば三倍の上陸に対してはやっつけられるというふうには言われておりますけれども、必ずしもそれが、その場合においてそうなるかどうかということを断言するわけには参らぬと思います。あるいは飛行機などにおきましても、敵の飛行機の二倍ぐらいは日本で、あるいは三倍ぐらいやれるという自信は持っておりましょうけれども、そのときの飛行機の状況等によりまして違ってくるわけです。ですから、一がいに、例を言えといっても、これは非常にむずかしい問題でありますので、それはなかなか申し上げにくいと思います。
  188. 永末英一

    永末英一君 私の方から例を申し上げましょう。日本に対する鉄鉱とか小麦とかは、カナダあるいはアメリカから十ぱいぐらいの船を仕立てて日本へ持ってこなくちゃならぬ。同時に、食糧困難になって東南アジアから米をやはり十ぱいぐらいの船を仕立てて持ってこなくちゃならぬというような場合に、しかも、それを襲うであろう潜水艦は非常に速度が速くなって、水中速度三十ノット以上出るということが現状でございますから、そういうような場合に、あなたの持っておられる警備艦は全部対応できますか。
  189. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) アメリカ、カナダまで行って防衛するというわけには参りませんけれども、途中からならば大丈夫であります。東南アジア等においてはこれは十分な力を持つと思います。
  190. 永末英一

    永末英一君 まあ非常に不分明でございますが、不分明なことはまああとでお聞きいたしますとしまして、次は航空機の場合には、国土への侵略機を防備する、陸上、海上自衛隊の協力を行なうというようなことで考えておられるようでございますが、一体日本の国のように海岸線の長いところで、どんな形でどういう侵略機が入ってくると考えておられるのですか、お伺いしたい。
  191. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 日本に対する侵略というものが、いわゆる何といいますか、近距離誘導弾のような原水爆等によるものというものは、これはあまり考えられないのではなかろうかという気がいたします。やはり日本に対する空からの侵入というものは有人爆撃機を主としたものではなかろうかと思います。こういうふうに考えます。人の乗っている爆撃機です。無人じゃない、有人爆撃機を主としたもの、そういうものに対して日本の航空隊その他も対応するだけの措置をとって参りたい。
  192. 永末英一

    永末英一君 中距離弾道弾や短距離弾道弾が飛んでくる場合、いつも核装備をしているなんということは少しも確証がないのであって、もしそういう弾道弾がTNT火薬を詰めてくる、あるいは核破壊力以外の破壊力を持つものを詰めてくるという場合には、あなたのいうF86FやF86Dあるいはこれから作られるところのF104Jというものが全然対抗力にならない、こういうものについてはどういうふうに考えますか。
  193. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) でありますから、日本といたしましては国力、国情に応じた防衛力を持ち、それ以上にこの侵略その他が拡大するという場合には、やはり安保条約等による友好目の報復力といいますか、こういうものの力によって補うということに相なると思います。
  194. 永末英一

    永末英一君 でありますから、国力、国情に応じて……ちっともでありますからということと私は因果関係ないと思う。つまり今自衛隊が装備しておりますF86F、あるいはまたこれから装備しようとするF104Jというような飛行機は、もしかりにどこかの有人戦闘機やあるいはまた有人爆撃機がやってくるとするならば、しかもまた有人戦闘機や有人爆撃機は日本の領域に対して一定目的を持っている、それをいささかチェックをしようというだけの役割りであって、そうであるとするならば、わが国が、最初にあなたが言われたように、日本の国土を守るのは自分で守るのだということと非常に矛盾してくると思う。そこで私が伺っているのは、一体こんないろいろ飛行機を今数をそろえようとしておられることも、主たる目的は何だというと、あなたのお答えでは有人爆撃機に対応するだけである。その有人爆撃機は一体日本だけの安全のためにかかってくるとは考えられない。この間のあなたの考え方を明らかにしていただきたい。
  195. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 先ほどからお話がありましたように、日本日本を守る意思を持たぬ、守る方法を放棄するということは、これは日本日本人が捨てるようなものだと思います。それにつきまして、日本を守る方法としては、やはり日本を守る意思の発現としての自衛力を持つと、これは当然である。その自衛力が、たとえば世界の大国と対抗するような自衛力を持てといってもこれは無理でございます。日本国民生活その他日本の情勢からいって無理でございます。世界全体から見て、やはり一国だけで、もしそういう場合に守れる国というものは、私から申し上げるまでもなく永末さんも御承知のように、これはごく数えるほどもないと思います。そういうようなことから集団安全保障態勢というようなものがこれは生まれてきた。しかもこれは、当初は戦争をしたときに負けないようにということでありますけれども、現在におきましては、戦争の仰制力として機能しておると、こういうふうに私どもは理解しておるのであります。でありまするが、日本がとにかくICBMとかIRBMとかの攻撃を受けた場合に、日本は守れないのだから日本の自衛は放棄しろということにしたならば、これはだれが日本を守ってくれるか、日本を守る意思を日本人が持たないような国に対して協力するような国は私はなかろうと思います。また協力した場合には、日本占領する協力よりほかないと思います。そういう意味におきまして、私はやはり日本の国力、国情に応じたところの自衛力を持って、日本日本人自身で守るのだと、こういう意思を持ち、意思発現して、初めてこの協力態勢というものも私は生まれてくることと、こういうふうに考えていますから、私は日本の主体性として、日本が考えていることについて決して矛盾はない、こういうふうに考えます。
  196. 永末英一

    永末英一君 防衛庁長官は主体性という言葉を使われています。内容は主体性になっていないからわれわれわからぬということでお尋ねしているのですが、たとえばF104Jの問題につきましても、これでもって、つまり百八十機ぐらいが六年後にそろうと何か守れるかと申しますと、いうまでもなくこのジェット機は五年たてばどんどん落ちていく飛行機もあるし、常時百八十機が使えることはございません。これはあなたが使えると思たって、そんな実例はないのでありますから使えない。それを、これから国内生産で何ぼかやろうとしておりますが、国内生産を担当する今度は兵器産業の方は、これじゃもうからないけれども、これでもって電子工業が盛んになったり、あるいは冶金工学をやったりして、将来日本がもっとわれわれよりも力のおくれておる近代工業のないところへ向けてこういう航空機を供給する準備をしていくんだ、だからこのFXも受けるんだと、こういう見解があると伝えられておりますが、防衛長官と通産大臣に対してその御見解を承りたい。
  197. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) お話のように、大きな戦争というようなときに巻き込まれた場合に、日本の防衛力だけでこれをやっていけるかどうかということに対しては、非常にこれは疑問があると思います。でありますけれども、先ほどから申しましたように、私どもは、この日本の自衛力を持っておるということは、世界の戦争の抑制力に協力し、日本を平和と安全のために守る。でありますが、ただそういうことだけでなくて、やはりもしも侵略があるとするならば、それをはねのけるだけの日本の状況から見ての力というものを持たなければならぬ。そういうことから考えますならば、やはり戦闘機にいたしましても、今までのF86FとかDとかいうもの━━世界においても戦闘機の、人が乗る有人機としては御承知のように最も優れている有人機であり、戦闘機であります。そういうものをやはり自分が装備して、日本の空の哨戒をし、守っていく。いざというのだったらこれで相手に対抗するというような形を持っておることがやはり日本の平和と安全を守ることで、戦争をするというよりも、戦争を起こさないだけの一つの手段といいますか、方法に役立っておると、こういうように考えておりますので、やはり日本の戦闘機等の装備等もF104Jのようなものを必要とする、またそういうものも持ちたいということで進めておるわけであります。
  198. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) F104Jのような高度の技術を要するものを日本で生産されることは、わが国の産業の基礎を作り、そして技術を革新する上に非常に役立つと思います。だといって、これを今後量産して外国に売ろうというようなことは今のところ考えておりません。
  199. 永末英一

    永末英一君 陸上、海上、航空について、それぞれ防衛庁長官に伺ったのでありますが、たとえば陸上については、直接侵略だけを主として考えている。それから海上については、海上交通線の確保といっても、それはその状況によって日本の自衛隊だけでやるのではない。航空につきましては、ミサイル等については、もう防ぎ手がないから、どこかと一緒にやらなければならぬというそれぞれのことを伺ってみても、われわれの持っている三つの自衛隊の存在というものは、やはり安全保障条約が成立いたした暁において、日本領域にアメリカ軍軍事基地がある、その軍事基地━━アメリカが他国との何らかの関係で交戦状態に入った場合にその基地が動く、その基地をわれわれ日本の自衛隊が、いわば防ぎとめるために、われわれの自衛隊がいろいろな装備をしているというように思われる考え方がございます。防衛庁長官、それをどう考えておられるか。
  200. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) それとは非常に違った意味に私は考えております。現在の安全保障条約におきましては、アメリカ日本基地を勝手に使えるような形で一方的になっております。それは自衛力を持たぬからというような前提もあるようでありまするけれども、そういうような形になっている。何か大きな問題が突発した場合におきましても、アメリカは何も日本を防衛する義務というものはありません。アメリカが勝手に日本基地を使っているというだけが今の安全保障条約であります。でありまするが、今度の改定によりましては、やはり、先ほど主体性、主体性という言葉が抽象的だという御批評もありますけれども、とにかく日本が自衛力を持って、日本自身が日本の平和と安全を守るという基礎の上に立って、そういう自衛力もある程度できてきた、こういう段階においてアメリカ日本施設及び区域使用することを現在と同じように日本が確認いたしますけれども、同時にアメリカが万一の場合には日本に協力して日本の防衛に当たる、こういうことでありまするし、それに関連いたしましていろいろ日本が戦争に巻き込まれるのではないかということに対する配慮も十分にいたして、その点をあるいは交換公文により、その他によってしてあります。でありまするから、やはり今度の安全保障条約の改定というものは日本を主体とし、日本の平和と安全、それとまた極東の平和と安全が害されることによって、日本の平和と安全も、あるいは世界の平和と安全も害されるので、そういうことがないような措置をとるというふうにきめていこうというのが今度の安全保障条約の改定だ、こういうふうに私考えております。
  201. 永末英一

    永末英一君 私どもは今の防衛庁長官の御答弁を伺いましても、あなたの言われる通りに納得するわけにいかぬのでありますが、今ちょうど安全保障条約の話に入りましたので、安全保障条約の第六条では、いわゆる常時駐留を認めている。ところがいわゆる相互安全保障条約のいろいろなパターンを見ましても、NATO、SEATOは常時駐留は認めていない。常時駐留を認めているのは韓国並びに台湾に対するアメリカとの安全保障条約だけであって、フィリピン条約上は認めていない。なぜ常時駐留というものをわれわれが認めねばならぬか、この積極的な意味を防衛庁長官と外務大臣に伺いたい。
  202. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 常時駐留を認めている条約というものは他にもございますので、その点は何も全然特異なものではございません。先ほど来防衛庁長官も言っておられますように、日本としてこの安全保障条約を結びまして、そうしてこれは戦争をするために結んだ条約ではございません。やはり防衛のための条約でございます。従ってそういうような戦争抑制力としてもこれがあるという意味からいいますれば、常時駐留をしてもらっておることはそういう意味において適当だと思うのでありまして、われわれとしては常時駐留が適当である、こういうふうに考えております。
  203. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 北大西洋条約その他アメリカ・デンマーク間グリーンランド相互防衛協定━━常時駐留を認めている国も相当あります。日本において常時駐留よりも有事駐留の方がいいんじゃないか、常時駐留を認めている理由いかん、こういうことでございます。御承知のように、三年ほど前でしたか、岸・アイク声明によりまして、日本におけるアメリカの駐留はだんだん減らしてほしいというようなことを話し合いまして、その後、現在におきましてアメリカの陸軍等は戦闘部隊はほとんどおらぬ、こういうような状況で減ってきております。でありますが常時駐留を認めておるのは何も日本ばかりではないわけでありますが、同時に私はこういうことが考えられます。やはり日本の自衛力というものがもっと日本の国力が許して整備されておるということでありまするならば、私はこれはもう少し減らすとか、それはいろいろ考えられる点もあると思います。しかし国会でも論議されておりますように、あるいは国民の批判もありまするように、日本の自衛力というもの、私どもは国民の総所得の二%程度くらいはこれはほしいと思うのでありますが、しかし今の一・四八%でも多いという面も相当言われております。そういう点から考えまして、私どももっとほしいと思うのでありますが、国民の生活安定ということともよくにらみ合わせて考えなくちゃなりません。そういう点におきまして、最小必要限度という限度はなかなかむずかしいのでございますが、非常に少ない自衛力をもって日本の平和と安全を守るという立場に立っております。同時に、先ほど申し上げましたように、世界各国で、自国だけで平和と安全を守るというふうなわけには参らぬのが現状であると思います。そういう点におきましては、日本の自衛力とのにらみ合い、あるいはまたその他の状況から、現在において常時駐留ということもこれはやむを得ないといいますか、認めてしかるべきだ、こういうふうに考えております。
  204. 永末英一

    永末英一君 外務大臣、防衛長官はほかにもあるということでありますけれど、NATOにおいては条約上認めておらない。二国間の協定によって認めておる。私が伺いたいのは、台湾や韓国が常時駐留を認めておるのは、台湾と大陸中国、並びに韓国の朝鮮人民共和国というのが言うなれば交戦状態にある。そういう交戦状態にある一方とアメリカ合衆国とが相互防衛条約を結んでおるというような関係からして常時駐留を認めておる。いわば台湾や韓国というのは非常な緊急性があるわけです。日本に台湾や韓国と同様の緊急性を持っておるからこういうような常時駐留を認めたということですか、外務大臣
  205. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先ほど申し上げました通りでありまして、緊急性とか何とかという問題を主にしたわけではございません。御承知通り、この種の条約は、ただいま御指摘通り、NATOにもございますし、あるいは共産圏のワルシャワ条約にもそういうことがございます。そういうような意味で、防衛的な関係を打ち立てる場合に、有事駐留か常時駐留かという問題はございましょう。しかし、それはやはり抑制力として、ある程度進めて参る上においては常時に駐留している方が適当であろうというのがわれわれの見解でございます。
  206. 永末英一

    永末英一君 常時駐留をわが国がアメリカ合衆国に対して認めるわけでありますが、安全保障条約は全体として国際連合憲章のもとにあるということは前文に書いてございますが、国際連合憲章とこの常時駐留との関係については外務大臣はどういう見解をお持ちか。
  207. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知通り、国際連合憲章におきましては、集団的な安全保障体制を現在とるということは認められておるわけであります。その範囲内において、どういうふうに駐留状態をするかということは別の問題として、そのワクの中でそれぞれの国が置かれております立場等において考えていくべきことだと、こう存じております。
  208. 永末英一

    永末英一君 この第六条に関係のある交換公文においては、極東の平和のために戦闘作戦行動基地としてアメリカ軍がこれを使用するということを認めておるわけです。もちろん事前協議はございますが、事前協議というのは、これは認めることありということの前提に立たなければ協議の主題にならない。一体これは日本の安全にどんな関係があるかをお答え願いたい。防衛庁長官。外務大臣
  209. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 戦闘作戦行動のために日本基地を利用して、ここから出ていくという場合に、その規模その他その結果等をよく協議して、それを拒否するか、あるいはまたそれを応諾するかということをきめませんというと、日本が思わざる紛争等に巻き込まれるおそれがあるということを配慮いたしまして、そういう交換公文になっておるというふうに了承しております。
  210. 永末英一

    永末英一君 この交換公文の事前協議に当たって、今のような戦闘作戦行動アメリカ軍がしたいという場合の判断の基準として、規模、内容ということを防衛庁長官は言われる。しかし私どもの解釈するところによれば、これは条約上の一項目であります。従って、この条約に基づいてアメリカ軍戦闘作戦行動をやる場合には、条約に対して抵触しないかどうかということを言うだけであって、しかもこれは第五条との関連についてみれば、明らかにアメリカ軍がいわゆる極東の安全のためにのみ出動するだけの場合に限られると考える。そうであるとするならば、一体極東の平和と安全の維持に対してそれが発動する態様について一体日本国はどの程度の発言権を持つのか、あるいはまた全体として、この交換公文も連合憲章の中にあるとしたら、その連合憲章のそれぞれの条項に対して抵触するかしないかということについて、日本国は発言権があるだけであって、あなたの言うような内容等について発言をし、それをチェックするということができ得ないと思うけれども、もう一度考えて、これは外務大臣お答え願いたい。
  211. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知通り、極東の平和と安全ということは、日本の平和と安全を維持します上において重要な点であろうと思います。日本の平和と安全が維持されなければ極東はやはり混乱に陥ることになりましょうし、また極東に混乱が起こり、あるいは戦闘状態が起きるというようなことがありますれば、日本にも影響しないとはこれは言えないわけであります。そういう場合に、そういうことをわれわれは十分考慮に入れて考えて参るわけでありまして、条約上の判断の基礎というのはそういうところにあると御了承願いたいと存じます。
  212. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 御承知通り、第四条に規定されておりまするように、この条約の実施に関して随時協議し、あるいはまた、日本国の安全または極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでもいずれか一方の締約国の要請により協議する。というふうになっております。でありますので、第六条の、日本から戦闘行為に出動する場合におきましても、その前にこういうような事態が、協議しておるような事態があると思います。でありますので、突然の場合もあるかもしれませんが、大体においてはそういう情勢が起きるという場合には、そういう前にいろいろ協議がされておるので、やはりその内容、規模等についても協議され、その結果において応諾の回答がされるというふうに私は考えます。
  213. 永末英一

    永末英一君 今の御答弁によりますと、この交換公文、発動し得る場合も政府日本の安全ということを理由にしてこれに対してチェックし得るのだと考えておられると解してよろしいか。
  214. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お話の通り日本の安全と、日本の安全に及ぼす極東の平和と安全が乱されたとき、こういうふうに考えていただきたいと思います。
  215. 永末英一

    永末英一君 外務大臣の前段のことは日本の安全、後段のところは日本の安全と極東の安全、われわれは心配しておりますのは日本の安全がアメリカ軍の判定する極東の安全のために阻害されないかということを心配しているのだから、あなたはこの条約の解釈上、日本の安全ということに関係してくればこれをチェックし得るということをこの文章の解釈上何か、かちっとしたものを作ることができるとお考えですか。
  216. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今回の条約は御承知通り国連憲章に準拠してわれわれはすべて協議をし、相談をしていくわけで、極東に対する何か侵略、日本に対する侵略があった場合に発動していくわけであります。極東に対する侵略がありましたときにも、これは侵略があったからこそ国連憲章によってアメリカ行動し得るのでありますから、その点にも大きな制約がございます。しかも、それがやはり日本と全然関係のない問題であるというような場合は、非常に、そういう意味において日本に対する影響が薄いわけでありまして、そういう場合に十分日本基地を使ってもらいたくないという希望は、われわれとして当然主張しまた貫徹し得ると考えております。
  217. 永末英一

    永末英一君 外務大臣、希望はできるのであって、日本の安全にかかわらなければチェックし得るということはございませんか、これであなた自信ないですか。
  218. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 極東の平和と安全が先ほど申し上げておりますように、日本に何らかの、影響はないということは私どもの考え方でございまして、しかし、その影響そのものの厚簿によって問題を考えるということであります。むろん主体は日本を中心として考えることはこれは当然でございます。
  219. 永末英一

    永末英一君 この交換公文等は、極東というぼんやりした区域の安全のために戦闘作戦行動を認める、こういうことですが、しかも、この条約は全体として国連憲章のもとにある、国連憲章はそういう極東などという、どこの一国の主権も及ばないような地域のためにそういう作戦行動を認めるというような趣旨を認めておりますかどうか。
  220. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 国連憲章は集団自衛と個別的な自衛とを認めておるわけでありまして、国連が十分育つまでそれを認める、そして、ただし、それにとられた措置については直ちに安保理事会に報告することになっておるわけであります。そういうような国連憲章の精神に準拠してわれわれはこの条約が運営されることを当然だと思っております。
  221. 永末英一

    永末英一君 国連憲章は五十一条によっても、あるいはまた五十三条以下の「地域的取極」においても、それぞれの国の領域が武力攻撃を受けた、明白なる急迫不正な攻撃があった場合に発動する集団的自衛権あるいはまた個別的自衛権も、五十一条ではそういう場合だけを想定しているのであって、極東などという一国の主権の及ばないようなところに対して発動することを予定しておりません。あなたはそれを発動し得るようなことを言いますが、それでよろしいか。
  222. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今申し上げました通りです。アメリカアメリカで個別的自衛権と集団的自衛権とを持っております。日本もまた個別的な自衛権を持っておるわけであります。それで、それに従って極東に問題が起こりました場合に、おのおの考えて参るわけであります。この点については今申し上げましたように、日本に影響があるかないかという、日本を主体にして考えて、われわれとして極東の平和と安全が乱されたときには日本にも何らかの影響がある。しかし、それはその厚薄によって判断されるべきものだと、こういうふうに考えておるわけであります。
  223. 永末英一

    永末英一君 国連憲章との関係について外務大臣は明確に答弁がございませんが、これはまたあとで他の人から突いてもらうことにいたしまして、ちょうど先ほど島委員から防衛庁長官に伺ったところがここに関連して参りますので御見解を確定しておいていただきたい。あなたはこれによってアメリカ軍が出動する場合に、日本日本の領域内にアメリカ軍のいわゆる基地を持っておる。従ってその基地において補給行動がなされるとするならば、ヘーグ条約の海戦に関するもの、あるいは陸戦に関するものについても抵触をして参る。その場合、あなたは、安全保障条約が優先するのであって、ヘーグ条約はそれによって消されるのだ、こういうことがございましたが、それならば、あなたは、安全保障条約が締結せられた場合には、このヘーグ条約に関するそれぞれの条項に対してあらためて留保されますか。
  224. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 安全保障条約というものの土台をなしておるのは国連憲章であります。国連に日本も加盟し、アメリカも加盟しております。そういう関係から、国連憲章からいいますならば、ヘーグ条約ができた当時のように、侵略的な戦争というものは予期しておりません。アメリカが出動するというような場合には、どこかが侵略をした、こういうことに対処して出て行くというような関係になっています。そういう点におきまして、ヘーグ条約の問題の基地貸与とか、こういうことが中立違反というようなことにはならない。こういうふうに考えておるわけであります。
  225. 永末英一

    永末英一君 私のお伺いしておりますのは、アメリカが他の地域で何らかの形で交戦状態に入った場合に、われわれは安全保障条約を締結をしているために、日本におけるアメリカ軍軍事基地使用されるわけだ。そうすれば、何らそれが日本国の安全と関係のない所で行なわれているにかかわらず、基地として使用されたことによって、われわれは中立を主張する根拠を失う。それでよろしいかと聞いておる。
  226. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 先ほどの安全保障条約第六条により、日本から戦闘作戦行動に出るようなことに対しましては、これは当然拒否し得ると、日本基地において補給をする、単純なる補給をする、こういうことに対しましては、これは、アメリカが極東とかその他の範囲外において交戦状態に入っているといいましても、不当な不正な形で交戦状態に入っておるわけではありません。侵略があって、それに対処してやるというのが国連の建前でありますし、アメリカもそういうような建前のもとで交戦状態に入っているということでありまするならば、日本基地で補給するということも、これは不正に加担することではありませんから、これは差しつかえない。こういうふうに解釈しております。
  227. 永末英一

    永末英一君 不正とか不当とかいうのは、交戦国のそれぞれが判定することであって、それと別個のものが判定するのではない。われわれは国際連合に加盟しておるけれども、国際連合に加盟しておる国々の中で交戦状態が発生した場合に、われわれは一方的に、アメリカが正であって他国が不正であると断定してみたところで、アメリカと交戦をしておる国が、この条約をたてにとって、たとえば、「海戦ノ場合ニ於ケル中立国ノ権利義務ニ関スル条約」の六条等を援用して、それ以上の補給をしているとみなした場合には、わが国は攻撃を受けることになる。それをあなたはどう思うかということを聞いておる。
  228. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) この安全保障条約そのものは、国連憲章というワク内といいますか、これをかぶって安全保障条約というものができるわけになっています。でありまするので、安全保障条約においては侵略というものを認めないので、そういう交戦状態になった場合は、この加盟国は侵略をされたから交戦状態に入る、こう日本としては認めさるを得ないと思います。そういう関係から言いますならば、やはり先ほど申し上げた通りで差しつかえないと思います。
  229. 永末英一

    永末英一君 あなたは、アメリカ軍の動く場合は、必ず国連憲章のもとで動いて、そうであるから、相手国はいわゆる国連憲章で守られないものだと、こういう判定に立っておられますが、現実はそう出るとは限らないし、もしそういうことが心配であるとするならば、交換公文の第三項の━━第三項といいますか、第三番目の条項のごときは、事前協議の主題ではなくして、断わるということをはっきり言えないですか。
  230. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 事前協議の主題とするということでありまして、断わるというようにしたらいいじゃないかといいますけれども、こういうことは、寡聞でありますが、条約にそういうことが規定されたというような例はないというふうに私は聞いております。でありますので、主題とする。しかし、このことは、国際的な信義に基づいて、日本の意思に反してアメリカ行動しないというような共同声明もありますので、そういう形でこれは取りきめたというふうに私は了解しております。
  231. 永末英一

    永末英一君 再び重ねて。あなたは、最初の私の質問に対して、この条項が発動してもヘーグの条約には関係がない。従って、安保条約を優先せしめても、ヘーグ条約のそれぞれの条項に対しては、別に何も言わなくてもいいのだ、こういうことをお答えになりましたが、絶えず、国連が即刻に動いて、そうしてアメリカ軍行動が国連のワク内で動くとは限らぬという場合が起こり得るわけです。そういう場合を想定した場合に、われわれの国がその間、国連が国連の名をもって動くまでの期間にこの中立侵犯を問われて、われわれが無益な攻撃を受ける場合があり得ると思う。そこであなたは、もし安保条約が優先するのだと言われるならば、当該の条項はこの点に関する限り留保するということをはっきりさせるおつもりはないか。
  232. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 安全保障条約とヘーグの中立条約と抵触するといいますか、そのものに対して安全保障条約が優先するから、もしヘーグ条約の条項で違っているものがあれば、これは中止するというか、やめるというようなことを宣言する必要があるかどうかというふうなお尋ねでございますが、安保条約は、再々申し上げておりますように、国連加盟国として、また国連憲章をかぶって安全保障条約というものができておるのでありますから、国連憲章は正しく加盟国等によってこれを順守されるという前提のもとに安全保障条約というものも成り立つのでありますから、国連憲章によって進めていくということで、特にヘーグ条約に対して、こういう条項は安保条約が優先するというようなことを言う必要はないというふうに考えております。
  233. 永末英一

    永末英一君 先ほどこの交換公文についての基地の問題でいろいろ御答弁がございましたが、外務大臣は、基地と書いてあるけれども、これは根拠地という意味である、こう言うのならば、はっきりと、基地という字をやめて、根拠地という工合に直される意思があるかどうか。
  234. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 一般的に申しまして、この場合、基地という言葉がそういう意味に使われているということは明瞭でございますので、訂正する必要はないと思います。
  235. 永末英一

    永末英一君 基地というものがそういう意味で使われるということは明瞭だというのは、われわれから言えば、基地というのは一定概念内容がある。そこで、この前の安保条約審議においても、基地ではありません、施設並びに区域であるということを繰り返し政府答弁をしてきた。しかるにかかわらず、この交換公文で、戦闘作戦行動のために基地として使用するということがはっきりしておれば、これはやはり、戦闘作戦行動の起こり得る場合には基地と認める。基地と認めれば、基地内では、わが国の排他的な管轄権が排除され、アメリカは勝手にこれを使うということを認めることである。そこで、われわれはこれを心配するのである。あなたのように基地概念というものは、あなたの言われる根拠地とは全然別個のものだとわれわれは考える。そこで、こういう基地という名前をおやめになったがいいと思うのですが、あなたはこれに対してどう考えるか。
  236. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先ほども御説明申しましたように、施設区域の供与の問題でございます。従って、それでいわゆる基地の性格とははっきり別個になっております。ただ、交換公文においては、そういう出撃行動をする場合の場所としてという意味でありますから、いわゆる根拠地としてという意味において使われておるのでありまして、その点は明瞭だと思います。
  237. 島清

    島清君 関連して。先ほどは時間がなくて、お尋ねしようと思っていたことで、ちょっとお尋できなかったことがありますが、今、外務大臣は、先ほどお答えした通りで明瞭であるという御答弁でございますが、一向明瞭ではないのであります。それは、外務大臣は、作戦行動の場合基地として使うんだ、ですから作戦の基地である。こういうような意味の御答弁でございますが、しかしながら、「条約第六条の実施に関する交換公文」は、必ずしもそればかりを基地といっているわけじゃございません。それの四行目の、「合衆国軍隊の日本への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更」も基地にかかわるわけでございます。「並びに」云々ということがありますけれども、そういうものもやはり基地に無関係ではないわけでありますので、必ずしも作戦行動のためのみの基地ではない。だから、外務大臣の御答弁は、あと先の食い違いがあるわけでございます。それは私は、その外務大臣の御答弁と、それから事務当局答弁との食い違いがあるように思いますので、この点については、政府の統一見解を要求したいと思います。それから私は、これは基地関係してでございますが、施設区域基地ではないということで、現行安保条約審議の際においは、政府はあくまでも基地否定しておりながら、なぜ今回この交換公文では、「基地」ということを明確にうたっておるか。その考え方の相違、変化について説明を求めましたところが、しかしながら、基地ということは今も認めないんだ、認めないんだということを言いながら、交換公文では完全に「基地」といっておる。こういうことは、時間がないから、その場限りの言いのがれではないかもしれませんが、しかしながら、これは、だれが聞いても答弁にはならないんです。ですから、この疑点について、施設区域ということで、基地は認めないと言った政府がなぜ基地を認めるに至ったかということの変化について、もっと詳しく説明をしてもらわなければならない。と同時に、基地に対する政府の統一見解を求めたいと思います。そこで、後日資料を御提出願いたいと思いますが、もし関連をいたしまして御質問申し上げた点について、十分に納得のいくような御答弁が願えるならば、それでもけっこうでございます。
  238. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先ほど条約局長が御説明申し上げましたように、基地という性格は、法律的ないろいろの関係が設定されるというような問題で御説明をいたしまして、十分御了承を得たと思っておるのであります。従って、施設及び区域という関係においてわれわれはこれを了解いたしておるのでありますが、この交換公文には、御承知通り、「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための」、そのための「基地」という字が書いてあるのでありまして、従って、これが当然根拠地というような意味において、出撃の場所というような意味において考えられることはむろんでありまして、それにわれわれとしては疑義はないわけでございます。そういうことでありますので、何かその間に「基地」という字を使うについての思想的変化があったのではないかという御質問がございますけれども、別段われわれとしては、そういう思想的変化はございません。
  239. 永末英一

    永末英一君 文章の文脈だけでいけば、「戦闘作戦行動のために日本国内の施設及び区域使用」、こう続けばそれでいいわけである。わざわざそこに「基地」として、アズ・ベースという言葉を使いましたが、それを使う必要はなかったと思う。しかるにかかわらず、今の「基地」という言葉をここへ入れたことについて、われわれは、やはりその限りにおいては、自由なその使い方を容認している。しかも、それは戦闘作戦行動において容認している、こういう疑惑をわれわれは感じている。この点について重ねて御答弁願いたい。
  240. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私がただいま御説明したことで明瞭であると思うのでありまして、今申し上げたように、戦闘作戦行動をする場所というような、根拠地というような意味にわれわれはこれを使っておるのでありまして、その以外の、いわゆる基地という種々の問題を伴っております問題とは考えておらぬのでございます。
  241. 岩間正男

    ○岩間正男君 議事進行。
  242. 小林英三

    委員長小林英三君) 岩間君、簡単に願います。
  243. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほど基地に対する統一見解に関する資料が求められたわけです。先ほど私もこのことを要求したわけでありますが、当委員会として、このような要求を取り上げて確認してもらいたい。どうしてもこの点、けさほど来の論議では不明瞭です。非常に疑惑がある。従って、はっきりした統一見解を出して、それを資料として出していただきたい。
  244. 小林英三

    委員長小林英三君) あなたのは質問じゃありませんね。
  245. 岩間正男

    ○岩間正男君 議事進行です。
  246. 小林英三

    委員長小林英三君) 今のは関連質問です。
  247. 岩間正男

    ○岩間正男君 いや、私は議半進行について言っている。議事進行としてということであります。これを委員長、取り上げて確認しておいてもらいたい。当然だと思います。
  248. 島清

    島清君 永末君の質問関連して……。
  249. 小林英三

    委員長小林英三君) 今、十分ここで明らかになったようです。政府は十分答弁しておりますから。
  250. 島清

    島清君 ほかの方が関連質問するときに関連質問を許しておいて、僕が関連質問するときに、なぜ関連質問をさせないんですか。
  251. 小林英三

    委員長小林英三君) 今許しました。ですから、それに対して政府答弁しておりますから……。
  252. 永末英一

    永末英一君 第六条並びに交換公文に関する「基地」の解釈について、政府の統一的な見解を明らかにしてほしいという同僚委員の要求がございます。これに対して委員長、そういう今の要求についてお取り計らい願いたい。
  253. 小林英三

    委員長小林英三君) 政府は、今の永末君並びに関連質問に対する答弁につきまして、もう一ぺんはっきりと御答弁を願います。
  254. 秋山長造

    ○秋山長造君 基地についての見解を、きちっとしたものを刷りものにして出してほしいと言うんだから、そうしてもらったらどうですか。別に拒む理由はない。
  255. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今まで答弁しておりますので、別段違った見解を出しておりません。統一されたものだと思います。しかし、何かそれを口で言うよりも、紙に書いたものを出せ、こういうことでありますれば、それは、紙に書いて出しても一向に差しつかえない問題でございますから、お出しいたします。
  256. 小林英三

    委員長小林英三君) 午後は、一時五十分から再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後一時九分休憩    —————・—————    午後二時九分開会
  257. 小林英三

    委員長小林英三君) これより委員会を再開いたします。  午前中に引き続いて、質疑続行いたします。
  258. 秋山長造

    ○秋山長造君 議事進行について。外務大臣にちょっと申し上げるのですが、去る四日に、予算審議の冒頭において、私の方から合同委員会の日米合意書に関連した資料の提出を要求していたのです。その後、公式、非公式にしばしば催促をしているのですけれども、今日まで出ないのです。もう一般質問もあとわずかになりましたし、予算審議そのものがあとわずかになってきたのですが、われわれとしては、この合意書の資料要求というものは、きわめて予算審議の上に重大な位地づけをしているわけなんです。どういう事情になっておるのですか、あらためてお伺いしたいのですが、同時に、即刻御提出願いたいと思う。外務大臣は去る八日の日でしたか、この委員会の席上で、一両日中に出せるというような御答弁もあったわけですから、一つ早急に御提出を願いたい。あらためて資料の要求をいたします。
  259. 小林英三

    委員長小林英三君) 藤山外務大臣
  260. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私、休んでおりまして、よく事情を了承いたしておりませんが、さっそく事務当局に連絡をいたして、その旨を一つ、御希望に沿うようにできるだけいたしたいと思います。
  261. 小林英三

    委員長小林英三君) なお、ただいまの秋山君の資料要求につきましては、もうほとんど外務省としてはきょじうゆうに向こう側の何をして出すことになっておりますから、きょうじゅうには必ず出ると思いますから。
  262. 秋山長造

    ○秋山長造君 委員長外務省両方へお尋ねするのですが、きょうじゅうというのは、この委員会が終わるまでにという意味に了解してよろしゅうございますか。大体、当初これを要求されておった当事者は、主として木村委員ですね。木村委員質問も、どうせもう明日に控えているわけですからね、明日の朝になって資料を出されて、そうしてすぐそれを材料に質問といっても、そういう不用意なこともできませんので、せめてこの委員会が終わるまでに一つ資料を御提出願いたい。特に委員長からも強く要求してもらいたい。
  263. 小林英三

    委員長小林英三君) 承知しました。  辻政信君。
  264. 辻政信

    ○辻政信君 安保条約の改定に関しまして国民の抱いておる不安は、戦争の中に巻き込まれるのじゃないかと、この点であります。従いまして、私は、その観点に立って、第五条を中心にこの国民の不安を解くように政府の所信をただしたいと思います。  大臣は御病気のあとでありますから、追及するのは私の本意じゃございませんが、きょうは相当専門的な、また細部にわたりますから、外務省政府委員大臣のうしろの方へすわられて適時助言をされ、大臣の御存じないことは政府委員大臣にかわって御答弁を願いたいのであります。  まず、最初にお伺いすることは、第五条の「日本国の施政の下にある領域」という意味は、現実日本の行政、司法、立法の三権が行使されておる地域と解してよろしゅうございますか、外務大臣
  265. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろん、そういうふうに解していただいてけつこうだと思います。
  266. 辻政信

    ○辻政信君 この前の質問で、外務大臣は、竹島は施政権を韓国に譲った覚えはないから、理論的には第五条の「施政の下にある」というふうにお答えになっておりますが、御訂正なさる御意思はございませんか。
  267. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私の今申し上げたのは、この前申し上げた通り、理論的な立場からいってですね、施政権があるということを言っておる。現実に行使されている状態では今ないということでございます。
  268. 辻政信

    ○辻政信君 そういたしますと、竹島は現在におきましては第五条の適用を受けない地域と、こういうふうに見てよろしゅうございますか。
  269. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 現在はやはり施政下にある地域ではあるわけでありますが、ただ現実にそれが行使されておりませんから……。まあしかし、実際には施政下にある地域ということになっておりますから、含まれております。
  270. 辻政信

    ○辻政信君 そうすると、やはり第五条の適用に含まれるという御解釈を今でもお持ちですか。
  271. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) その通りと考えます。
  272. 辻政信

    ○辻政信君 アメリカが、安保条約批准に関しまして、ハーター長官からアイゼンハワー大統領に書簡を送っております。その書簡を読んでみますというと、日本現実に統治している領域、こうなっておるのであります。藤山さんの御答弁では、施政権は放棄したことはないからこちらのものだ、現在はないけれども。その意味において、第五条の適用地域に含むと御解釈になっておりますが、アメリカは、現に日本の統治権が行なわれておる領域とやっているのですが、日米間のこの解釈の食い違いがあるように思いますが、いかがですか。
  273. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) われわれ、竹島に対して施政権を持っております。従って、それがたまたま十分な行使ができない状態にあるというだけでありまして、この条約の過程におきまして、竹島は日本の施政下にある地域ということは十分アメリカも了承していると思います。
  274. 辻政信

    ○辻政信君 それでは、少し具体的にある状況を設想してお伺いしますが、三十八度線で戦争が再開されて、北鮮の軍隊が竹島の韓国軍を攻撃するというような場合も予想される。そうすると、北鮮軍のこの攻撃を日本に対する攻撃として韓国軍を助ける結果になりますか。これはいかがですか。
  275. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知通り、竹島は現在日本と韓国との間に係争中でございまして、平和的な解決を所期しているわけでございます。従って、韓国を北鮮の人が討つというような場合に、それは直ちに発動すべきかどうかということは、そこにまだ問題があると思います。
  276. 辻政信

    ○辻政信君 第五条を正式に解釈しますと、施政下にある領域で武力攻撃を受けたときと、こうなっておりますから、竹島は韓国軍が占領しておるが日本の施政下にある、こうなりますと、李承晩の軍隊を攻撃するのは北鮮以外にありませんから、北鮮が攻撃するということはあり得るごとなんです。そのときに、北鮮軍が竹島の李承晩の軍隊を攻撃したときに第五条を適用すると、この武力攻撃は日米双方に対する攻撃と、こう解釈することになる。そうしますというと、しゃくし定木のようでありますが、この解釈を固持なさいますというと、そこに理屈の合わぬ問題が出てくるのであります。でありますから、私は、これはあっさり取り消されて、現に施政下にないものは第五条の適用を受けないのだ、その施政権が将来紛争解決日本の手に入ったらあらためて加えると、こういうふうに御訂正なさるのがいいんじゃないかと思うのですが、いかかですか。
  277. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今申し上げましたように、施政下にある、日本の固有の領土であるということは、まあわれわれの主張でございますし、当然そうなければならぬと思います。たまたま施政権を行使することができないような若干状態にあるわけでありまして、でありますから、そういう場合においてこの条約から除いておくことは必ずしも適当だとはわれわれは考えておらぬのであります。ただいまお話しのような例が起こる可能性が、御指摘によって、なるほどある場合があり得ないとは言えません。しかし、今日日本としては、いずれの場合におきましても、日本の領土であり、施政権を持っているという建前は失わるべきではないと思う。ただ、そういうことが起こりましたときに、直ちに、今平和的な解決で話し合いをしている紛争事件になっておりますので、その紛争の問題として、さらに二国と申しますか、紛争に二国が入ってきたと━━日本を入れると三国になるわけであります━━というような状況でこれを解決していくということであろうかと存じております。
  278. 辻政信

    ○辻政信君 どうも、これは感じたくないのですが、御訂正にならぬなら仕方がない。  竹島の燐鉱石、あれを採掘する権利を持った一日本人が、長い間採掘できないで、税金だけをとられております。そこで、政府を相手に告訴しておりますが、裁判所はその告訴に対して実地検証の要求を出しております。施政下にあり、第五条の適用に含むなら、政府はその裁判所の実地検証の要求に対して、実力をもって実地検証をやらすだけの腹がまえを持っていらっしゃいますかどうか。
  279. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろん、そういうような場合は、まあ実力と申しますか、まず第一に外交交渉でそういう問題を交渉していくことになろうと思います。そうして、その上に立ってできるだけ紛争を解決していく過程でございますから、円満にそういう実地検証が行なわれるように努力していくことが当然なことではないか、こういうように考えております。
  280. 辻政信

    ○辻政信君 では、竹島と同じ見解で、国後、択捉も、これは施政権をソ連に譲ったわけではございませんが、それも同じように第五条の適用地位に入ると解釈してよろしゅうございますか。
  281. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この点は、共同宣言がございますので、全然状況が違う、別個であると考えております。
  282. 辻政信

    ○辻政信君 共同宣言があるとおっしゃるが、サンフランシスコ条約で千島と書いた中には南千島は含まないという解釈をとっておるのであります。これは日本の領土であるということは、この前岸総理がはっきりおっしゃて、この春からの教科書にも国後、択捉を日本の領土にしようとなさっておる。施政権をソ連に譲った覚えはないのです、どこにも。われわれが施政権、領土権を譲ったのは、国後、択捉を含まない以北の千島を譲っておる、サンフランシスコ条約で。そのほか譲ったことはない。そうなって参りますと、これは当然竹島同様に第五条の適用を受けるという解釈ができますが、いかがですか。
  283. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知のように、日ソ共同宣言でもって、この問題については、将来平和条約を作るときに解決しようということになっております。従いまして、その点をわれわれは考えていかなければならぬと思います。なお、詳しい条約上のことについては、条約局長から御説明申し上げます。
  284. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 私から補足させていただきます。竹島の問題と北方領土の問題については、法的ステータスの問題については異なっておると考えております。竹島の問題については、このようなソ連側との話し合いの結果におけるところの共同宣言、そういうものは全然ない事態でございまして、従いまして、北方の領土がわが固有の領土ということは確かでございますが、その点につきまして共同宣言において、とにかく現在におきましては、平和条約ができるまではこのような解決と申しますか、共同宣言ができ上がっておりますから、その点において、法的ステータスとしては全然異なっておると、こういうふうに考えます。
  285. 辻政信

    ○辻政信君 そういう二国間の国際紛争で問題になったところは、はっきり解決をされたとき初めて施政権というものが失われるわけで、解決に至る過程、その途中までは、やはり日本の主張である施政権は含まれると解釈されるのが通念じゃありませんか。
  286. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) ただいまの御指摘の点でございますが、わが方の主張としては、私から申すまでもないことでございます。ただ、この点につきましては、日ソ間の共同宣言があるわけでございます。共同宣言につきましては、平和条約が、このような島嶼の問題は、最終的な解決は平和条約においてこれが解決がなされると、こういうような相互の約束があるわけでございます。従いまして、その約束がわれわれはございますから、その約束に基づいてこれらの島嶼の地位が、そういうような法律的な地位があるわけでございます。従いまして、これは竹島とは全然私は違っている。すなわち、もっと申しますれば、現在のような地位、事態にあることを、われわれといたしましては相互の共同宣言によって不問に付しておる、こういうような一つの法律的なステータスでありますから、これは竹島の問題とは全然問題は別である、こういうように考えております。
  287. 辻政信

    ○辻政信君 それでは、国後、択捉の施政権は現在ソ連側に譲っておる、こう解釈していいですか。それとも、その施政権なるものが、ソ連にも日本にもなくて、中ぶらりんになっておる、こういうように見るのですか。
  288. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) それは、現にソ連側がそれを占有し、施政を行なっておるわけでございます。そうして御承知通りに、われわれの主張があるわけでございますが、一応そういうことを不問に付しまして、この共同宣言においてそのような事態を不問に付して、暫定的に認めている、こういうふうに考えます。
  289. 辻政信

    ○辻政信君 同じ意味において、竹島は韓国が施政をやっております。現に、何と言われようと、やっておるのです。そうなると、韓国だけは第五条に含まれると言って、そうして施政権をほんとうにソ連が行使しておるところは含まれないと言うのは、少し理屈が合わないじゃないですか。専門家がおられますが、どうですか。
  290. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 竹島の場合は、韓国が事実上そのような施政を現実に行なっているという、これは事実でございます。ただ、それにつきまして、われわれは何ら、共同宣言とかその他先方との話し合いにおきまして、これを認めるとか、不問に付すとか、そういうことは何らやっていない事態でございます。この点は法律的には私は本質的に違っている問題だと思います。
  291. 辻政信

    ○辻政信君 私は違っておらぬと思う。それは国後、択捉は、日ソの平和条約によって解決されるまでは、あくまで領土権と施政権はあるのだという主張を持っている。ただし、それが不法に占拠されている、こういう事態と認識しなければならぬじゃないですか。どこに違いがありますか、解決されるまでは。
  292. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 平和条約解決されることによって、最終的な帰属と申しますか、それはきまるわけでございます。それまでに至る間、それではどうかと申しますと、申すまでもなく、彼我の主張は相離れているわけでございます。従いまして、現在の共同宣言においてそのような状態を一応不問に付しながら、現在占有していることをわれわれは不問に付している、それがこの共同宣言においてそういうふうに認められているわけでございますから、その点は非常に暫定的でありますが、一つの暫定的なステータスというのがそこに存在している、このように考えます。
  293. 辻政信

    ○辻政信君 では、領土ではあるけれども、ソ連軍が占領しているという事実を認めて、それに伴う施政権もソ連が握っていることもお認めなさいますか。大事な問題ですよ。  大蔵大臣、よろしゅうございます、今日は時間がありませんから。
  294. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) そのような暫定的な現状を認めているわけでございます。
  295. 辻政信

    ○辻政信君 話題を変えまして、安保条約の第五条と日独伊軍事同盟との関係、これは相当重大な関連を持っておりますので、日独伊軍事同盟と安保条約と比較して御研究なさる必要があったと思います。特に武力で参戦をするという条件、これについてどういう御研究をなさっているか、どこに違った点があるか。これを、どなたでもよろしいから、お答え願いたいと思います。
  296. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 条約の比較等につきましては、条約局長からお答えいたします。
  297. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) これは私から申すまでもないと思いますが、現在の安保条約、新安保条約、これは国連憲章のワク内でございます。すべて国連憲章のワク内に基づくところの条約でございますし、その制約を受けるわけでございます。日独伊三国同盟というのは、当時そういう制約はなくて、一方が参戦した場合に日本も参戦するというふうな条約でございまして、その間、必要最小限度の自衛権の行使だとか、また国連に報告だとか、そういう点は全然なかったということでございます。
  298. 辻政信

    ○辻政信君 そうじゃない。日独伊軍事同盟では、この三国のいずれか一方に対して第三国から攻撃をした場合には、その攻撃が挑発によらざる攻撃である場合のみ他の国が参戦する義務を持っておったわけです。挑発によらざる攻撃を受けた場合、こうなっております。ところが、この第五条ではそうじゃない。いきなりずばりと、単に武力攻撃を受けたという現象だけをとらえているのであります。この原因がこちらの挑発によるものかどうかということを見きわめない。見きわめないで、即時無条件に共同して武力を行使するようになっている。これはきわめて重大な点であり、また、よほど慎重にやらなければならぬと考えるのでありますが、外務大臣、いかがでございますか。
  299. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今回の場合、先ほど条約局長が申しましたような、国連憲章に準拠してすべて行動する。従って、武力攻撃を受けました場合、それが全く国連憲章に準拠しております武力攻撃である、また、五条はそういう意味で国連憲章の字句を取って参ったわけでございます。そういうわけでございますから、われわれとしては、今御説明申し上げましたように、日独伊三国同盟条約と性格が全然違っているということが言えると思います。
  300. 辻政信

    ○辻政信君 私は、武力介入というものはきわめて危険でありますから、日本が第五条を適用して武力を行使する場合の基礎条件というものを、念には念を入れて制限をしておく必要があると思うのです。単なる武力攻撃を受けた。このミサイル時代にどこから攻撃してくるかわからない。あるいはアメリカの第七艦隊の飛行機が原爆を積んで常時警戒をやっておりますから、それがあやまってどこかに落ちる場合もある。いろいろな場合を検討するというと、これは過失であるとか、挑発によらない武力攻撃という認定がなされない限り、無条件に立ち上がることは危険だと思います。なぜ第五条に、挑発によらざるという文句で武力攻撃を受けた場合の日本の義務を縛っておかれなかったかどいうことです。
  301. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) お答え申し上げます。ただいまの挑発云々の点でございますが、これは憲章第五十一条にも挑発という言葉は置きませんで、武力攻撃という言葉になっておるわけでございます。まさしく、御指摘通り、挑発があってやったのか、挑発がなかったのかという問題は、非常に重大な問題でございます。それは、ある見方によりましては、挑発という言葉を置くということは、非常にこれは重大なことになるのじゃないかと考えられております。そこで、憲章五十一条でもそういう言葉は一切除きまして、武力攻撃そのものに限ったわけでございます。しかも、憲章の建前から申しますれば、単なる挑発であるからといって武力を行使することはできないわけでございます。挑発が武力を伴った挑発でございますれば、それは武力攻撃そのものになりますし、挑発が武力を行使しないという場合には、そのような挑発であっても武力は行使してはいけないというのが、国連憲章の建前でございます。
  302. 辻政信

    ○辻政信君 あなたは勘違いして答えている。受けた武力攻撃が、こちら側の挑発によって加えられた攻撃か、相手が日本を挑発しようとしての武力攻撃か、われわれが受身に立ってやられたか、どこに原因を探究するか、こちらが挑発したその結果から生じたか、その認定を私は議論をしているのであります。
  303. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) ただいまの点、挑発ということを入れますと、御承知のように、一方が他方を挑発する場合もあるし、他方が一方の方を挑発するような場合もありますし、一体どちらがどのようにして挑発したかというふうな問題に入っていくわけでございます。おそらく、そういう問題がございますので、この挑発というようなこと、またそれがもっと進みますれば戦争の準備というようなことにも進んで参りますから、そのようなことは一切危険であると考えまして、五十一条におきましては、憲章におきましては、一切の武力の行使を禁止したわけでございます。従いまして、それが明らかに、われわれが挑発することもいけませんし、先方が挑発いたしましてもそれに対して武力を行使するということはいけない。武力の行使は五十一条の武力攻撃が発生した場合に対する場合だけであるというのが国連憲章の建前でございますし、その建前にこれも従ったわけでございます。
  304. 辻政信

    ○辻政信君 例をあげて申しますが、この前の戦争では、日本アメリカと戦争状態に入りましたが、当然日独伊同盟でドイツとイタリアが即時参戦しなければならないにもかかわらず、ドイツ、イタリア両国は、あれは真珠湾に対する日本の挑発があったからアメリカがやったのだといって、ちゅうちょした事実がある。こういうことはきわめて重大な先例ですから、武力を行使するときには、ほんとうに念に念を入れて検討して、それがどういう原因で起きた攻撃であるかということを認定しなければならぬ。それの着意が欠けているような感じがするのです。この点いかがですか。
  305. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御指摘のように、真珠湾の例が出ましたのでございますが、今日国連憲章によりまして挑発的な行為をお互いにやらないことになっておりますので、そういう点は心配ないと思います。ことに、武力攻撃というものが現実にありましたとき、それに対抗する処置をとりました場合に、安保理事会に直ちに通報いたしましてその処置を待つことになっております。従って、狭い意味における武力攻撃と限定いたしまして、これで十分ではないかと思います。
  306. 辻政信

    ○辻政信君 では、第五条の「武力攻撃」には攻撃の準備行為を含みますか。それとも、爆撃などで直接日本人に被害を受けた場合だけをおさしになるのですか。
  307. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 攻撃の方は、準備行動というようなものもいろいろあるかもしれませんと存じますけれども、しかし、準備行動自体ではこれは含まれないのであります。現実に爆撃を受けるというような事態が武力攻撃だと思います。ただ、お話のように、たまたま領空を侵してあやまって爆弾を落としたというこの事態をすぐに取り上げて、それが武力攻撃という判定はつきかねる場合があると思います。
  308. 辻政信

    ○辻政信君 自衛権というのはこの施政権の中に含まれておる。従って、施政権のないところには自衛権は行使できない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  309. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 自衛権と施政権の問題でございますが、自衛権の場合には、集団的の場合もありますし、個別的の場合も……。
  310. 辻政信

    ○辻政信君 個別的の場合です。
  311. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) たとえば集団的自衛権の場合は、これはちょっと施政権とは別問題でございます。個別的の場合も、自衛権というのは、これはむしろ自国の権利が侵害されたかどうかということでございます。従いまして、全然国の権利が侵害されていないという場合におきましては、これは自衛権の発動の問題は起こらないわけでございます。
  312. 辻政信

    ○辻政信君 私の言うのは、たとえば沖縄、小笠原は施政権を持っておらない。そこに攻撃を受けた場合に、日本は自衛権を発動するのかしないのか。そういう意味から申しまして、自衛権と施政権とは関連があると思うのですが、その点をもう一回。
  313. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 法律的に申し上げますれば、権利の侵害でございますから、わが日本の法益━━法律で守られた利益と申しますか、法益が侵害されたという事実があれば、自衛権は発動し得る立場にあるわけでございます。
  314. 辻政信

    ○辻政信君 それでは、沖縄は施政権がないが、そこに武力攻撃を受けて領土を損壊した、こわしたというような場合には、自衛権を発動するのですか。
  315. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 沖縄は立法、司法。行政の三権アメリカを側が行使しておるわけでございます。しかし、われわれといたしましては、あすこの住民は日本人でございますし、潜在主権を持っておるわけでございます。従いまして、やはりその面におきまして日本の法益、権利が侵害されたということになりますれば、これは理論的、法律的に申し上げまして、自衛権が発動し得る立場にあると考えます。
  316. 辻政信

    ○辻政信君 では、沖縄に攻撃を受けて、沖縄民が殺されたというときには、日本は自衛権を発動しますか。
  317. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) これはするかどうかということは、第一点に政策の問題でございますし、それから、あすこには立法、司法、行政の三権を米国側がこれを行使しておるわけでございます。従いまして、その面からいいまして、理論的には、これはたびたび御説明になったところだと思いますが、自衛権を発動し得る立場にありますが、現実にそれを行使するということは、これは沖縄地域には先方が立法、司法、行政の三権を持っておるのでありますから、事実上これはできない、こういうような結論になる、こういうわけであります。
  318. 辻政信

    ○辻政信君 はっきり答えて下さい。沖縄に攻撃を受けて沖縄━━日本人が殺されたというときには、日本が自衛権を発動するのかしないのか。はっきり。
  319. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) これは発動するかどうかというお言葉の問題だと思うのでございますが、理論的に考えますれば、われわれは自衛権を行使し得べき立場にあるわけでございますが、自衛権の発動の条件はそろっておるわけでありますが、しかし、それじゃ現実にこれを行使するかというと、これは立法、司法、行政の三権を米国が握ってあすこを施政いたしておりますから、われわれが現実に自衛権を行使する云々という問題は、これはできないわけでございます。
  320. 辻政信

    ○辻政信君 条約第五条では、施政のもとの領域で受けた攻撃に対しては立ち上がることになっておる。だから、そうすると、施政権がないところで攻撃を受けても、これは日本の個別的な自衛権というものは含まれない。私は、自衛権というのは統治権の一部だと考える。いかがですか、大臣
  321. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今も御説明申し上げましたように、沖縄が攻撃された場合に直ちに日本が自衛権を行使するということには相ならぬと思います。
  322. 辻政信

    ○辻政信君 それでは、行政協定の改定で、本土のうちにおける米軍基地基地といったら何だが、施設と直しますが、施設区域の外側に対する日本の施政権、これは大幅に今度は日本の手に入っております。しかし、その施設の内側、鉄条網で囲まれた内側には従前通り実質的な変化はないものと考えてよろしいか。
  323. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 従来の取り扱いと特別に変わった取り扱いではございません。
  324. 辻政信

    ○辻政信君 では、本土内における米軍施設の内部、鉄条網の中に対して、日本の行政権はどのくらい行なわれておりますか。
  325. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 日本の行政権云々の問題でございますが、原則といたしまして、基地の内外を問わず日本の管轄権のもとにある、施政権のもとにあるわけでございます。ただ、行政協定によりまして、その行使がアメリカと約束しました範囲内においてアメリカがそれだけの特権を持っておる、こういうわけでございます。
  326. 辻政信

    ○辻政信君 軍票はなぜ使っておりますか。
  327. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 軍票につきましては、イギリス等におきましても軍票を使用をいたしております。これは為替管理をやっております国におきましては、はたして軍票を使う方がいいか、円を使う方がいいか、あるいはドルを使う方がいいかという問題は、確かにあると思います。しかしながら、日本の為替管理の現状におきましては、軍票を使う方が、いろんな物資の横流れとか、そういう点から妥当であるということから、軍票を使うことになっておる次第でございます。
  328. 辻政信

    ○辻政信君 北大西洋条約では軍票を使っていますか、ドルを使っていますか。
  329. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 北大西洋条約におきましては、軍票の使用に関する規定はございません。北大西洋条約は、御承知通りに、多数の当事国間におきまして適用されておる条約でございます。この条約のもとにおきまして、関係各国の間に細目協定が結ばれておる次第でございます。この中におきまして、イギリス等はいまだ軍票を使っておりまして、フランスにつきましては一九五八年一月一日まで使っておりましたが、その後フランスの為替の自由化に伴いまして、現在はドルとフランとを使っておる次第でございます。
  330. 辻政信

    ○辻政信君 なぜ日本で軍票を使わしておるか。軍票ということは、占領延長という感じを非常に受けるのですが、ドルを使わずに、占領政策延長としての、戦争の継続というにおいの残った軍票をなぜ使わしたのですか。
  331. 森治樹

    政府委員(森治樹君) この点は大蔵当局からお答え願った方が適当かと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、軍票を使うか、円を使うか、ドルを使うかということは、これはそのときの状況によって検討すべき問題でございますけれども、為替管理をやっておる現状におきましては、軍票を使った方が弊害が少ないという見地に基づいて、軍票の使用を認めておる次第でございます。
  332. 辻政信

    ○辻政信君 軍事郵便をなぜ認めておりますか。そしてその費用はだれが持っておりますか。
  333. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 軍事郵便につきましては、これはNATO諸国におきましても、NATOの協定にはこの規定はございませんが、実際上は軍事郵便局が認められておる次第でございます。この点につきましては、私より郵政省からお答え願った方が適当かと思いますが、費用は、これは私が間違っておりましたら郵政省の方から御訂正願いたいのでございますが、費用はアメリカ側が持っておると承知いたしております。
  334. 辻政信

    ○辻政信君 高橋さん、結論として、この基地といいますか、施設の中には、ほんとうは日本の行政権というものは大部分行なわれておらない。貨幣にしても、軍事郵便にしても、あるいは徴税にしても。それは行政協定によって向こうに譲っておると、こう解釈すべきではありませんか。
  335. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) その点は、行政協定に従いまして、そういう特権または免除と申しますか、アメリカ軍行動について、そういうふうな行動をすることをわれわれは認めておるということになります。
  336. 辻政信

    ○辻政信君 では、米軍施設の中に日本の司法権はどの程度に入っておりますか。
  337. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) お答え申し上げます。これは第十七条の規定でございます。十七条の規定は、地域内と外という問題でございませんので、特定の犯罪行為につきまして、基地の内外を問わず、たとえば公務の問題は第一次裁判権を米国に渡す、それから非公務の問題は第一次裁判権はわれわれにある、こういうふうに基地の内外は区別をいたしておりません。ただ、問題は、警察権のみは基地内部で特別の権限の行使を認めております。
  338. 辻政信

    ○辻政信君 ですから、その意味において、日本の司法権も、いわゆる軍事警察といいますか、米軍の警察権というものは完全に許しておる、こうなるから、司法権も完全に行なわれておらない、こう見るのですね。
  339. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) その点、司法権という考え方の問題になりますが、基地内部での日本人の犯罪は、当然日本人の犯罪で、外国の犯罪と違います。これは基地内部の日本人相互間の犯罪でございます。ただ、そういうふうな基地と申しますか、施設区域の安全上、特にその内部で警察権だけは米側の専権を認めた。ただ、わが方といたしましても、必要あらば当然中に入って警察権を行使することができるわけでございます。そのように一般的に司法権と申しますか、特定の権限について、私は、アメリカ側に協定によってこれを認めている、このように申し上げたいと思います。
  340. 辻政信

    ○辻政信君 米軍の施設内に日本の立法権はどの程度に入っておりますか。
  341. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 施設区域内の立法権と申しますか……。
  342. 辻政信

    ○辻政信君 国会で法律を立てられませんね。
  343. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 日本の立法権は当然、権利として、立法権としまして、全部施設の内外を問わず及ぶわけでございます。
  344. 辻政信

    ○辻政信君 行政協定の第三条、これによりますと、米軍は基地の設定、運営、警護、管理等について必要なあらゆる措置をとることができる、こうなっている。従来のやつは権利、権限、権能というどきつい表現だった。そのどぎつい文字だけは今度はやわらかくしたけれども、実質的には、ほとんどあの鉄条網の中は治外法権的な存在になっている。それよりも、多少は日本の立法、司法、行政の一部は入っておりますけれども、本質的には、完全にその基地内に日本の行政権が行なわれているとは見れない、一部はあっても。従いまして、私は、第三条によりまして、大幅にそれを米軍に委譲していると思うのでありますが、いかがでありますか。
  345. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) ただいまの御指摘の点でございますが、これはやはり日本に米軍の存在を許します以上、そのような特権と申しますか、免除と申しますか、それを行政協定によって認めているわけでございます。すなわち、アメリカ軍行動といたしまして、そのような特権を認めている。すなわち、これは属人的な意味合いにおきまして、そのような免除を認めているわけでございます。また、施設区域内の維持管理の必要上いろいろな措置をとることも、これは認めているわけでございます。しかしながら、これで全然日本の法令の範囲外である、すなわち治外法権的地位であるというふうなことは、われわれは考えておりません。
  346. 辻政信

    ○辻政信君 この前の衆議院の安保特別委員会で、竹谷君の質問に対して、沖縄の戸籍の返還に関し、戸籍は施政権の一部である、それを返還した場合において適用区域に入るかという質問に対して、総理は、一部は返還されても、立法、司法、行政の大部分がまだ返還されないから、その場合でも入らない、こうおっしゃっております。裏を返しますというと、第五条の適用区域に入るのは、日本の立法、司法、行政の三権が完全に行使できる地域と考えるのが私は至当だと思いますが、大臣、いかがでありますか。
  347. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) もちろん、施政下にある地域と申しますれば、立法、司法、行政が完全にあり得る地域でなければならぬと思います。
  348. 辻政信

    ○辻政信君 そうなりますと、日本本土の中における米軍施設というものの内部は、第五条にいう「施政の下にある領域」に含まれない。立法、司法、行政三権が完全に行なわれておらない。大部分は米軍側に譲渡している、譲っている、行政協定で。こう見ますというと、これは重大な問題が出てくる。いわゆる第五条の「施政の下にある領域」、その地域に加えられた武力攻撃は日本に対する攻撃とみなす必要がない、本土内における米軍の基地に対する攻撃は。こういうことが今までの問答から出て参ります。大臣、いかがでありますか。
  349. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今御説明申し上げましたように、外国軍隊が、何と申しますか、条約によりまして、他国に駐留する、一国に駐留するという場合に、それに対してできるだけの便宜を与えるということは、行政上からも必要だと思います。従いまして、駐留する限りにおきましては、できるだけ便宜を与えるという意味で、そういう特殊の取り扱いを行政協定その他できめるわけでございまして、その意味において、基地内には施政権がないということは言えないと思います。
  350. 辻政信

    ○辻政信君 ないとは言えない。一部はありますけれども、完全には行なわれておらない。総理の答弁で、完全に行なわれなければ、第五条の適用を受けぬと、はっきり言っておりますから、その論理から言いますと、本土内における米軍の基地には、日本の施政権がないと認めておるのでありますから、米軍の本土内の基地も、沖縄同様に、われわれに対する攻撃と認めないという条文の解釈が出てくる。これは感情じゃなしに出て参ります。いかがでございますか。
  351. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 辻委員のお話でございますけれども、今申し上げましたように、外国軍隊の駐留する場合に、できるだけ駐留目的を達するように便宜を供与すると、それは行政権の範囲内におきまして、ある程度の便宜供与を行政協定できめておるわけでございますから、すべてをその基地内で譲ってしまったという意味ではないのでありまして、日本の施政権を持っておるやつを、この程度まで便宜を与えるという形において承認したのでありますから、施政権を放棄しておるわけではありません。
  352. 辻政信

    ○辻政信君 ちょっとそこのところは解釈が不十分でありますが、確かに一部は行使しております、属人主義的の。しかし、大部分のものは、基地内における管理、警護、運営、施設、あらゆるものについて、あらゆる措置がとれるだけのものを移譲しておるわけなんです、行政協定で。単に黙認しておるわけじゃない。そうなりますと、本土内の米軍基地は、厳格に言いまして、日本の施政権が完全に行なわれておらない。飛び石的な、租界的な沖縄、小笠原と同じような性格を条文の中に持っておると、こういうことに見るのであります。もう一回はっきりお答え願いたい。
  353. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今申し上げましたように、日本が施政権を持っておりまして、その持っております範囲内においてと申しますか、内容として、駐留しておる外国軍隊に便宜をはかるために、日本みずからが、そういう待遇を与えるということを取りきめいたしたのであります。日本が施政権を持っておればこそ、そういう取りきめができるのでありまして、施政権を持っていないところで、そういう地域協定のような取りきめはできません。ですから、当然日本は持っておるわけでございます。
  354. 辻政信

    ○辻政信君 持っておるものを渡したから、日本にはなくなっておると見なければならない。持っておるものを渡してしまったのですから、その分だけ日本にはなくなっておる。ですから、はっきり言って、全部とは申しませんが、立法、司法、行政の大部分というものは米軍に移譲しておる。移譲した分だけ日本からなくなっておると、こう見るのがほんとうじゃありませんか。
  355. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) それはやはり日本としては、立法、司法、行政の権限を、基地内に全面的に譲っているわけじゃございません。日本自身が持っております司法、行政、立法の範囲内、その基礎の上に立って、アメリカに対して便宜の供与をするように取りきめをいたしたので、施政権を持っておればこそ、そういう地域協定のような取りきめができるわけだと、こういうわけでございます。
  356. 辻政信

    ○辻政信君 これは水かけ論になりますが、ほんとうのところを申しますと、交渉の過程で間違ったのじゃないですか。沖縄、小笠原を適用区域に入れちゃならぬと、こういう世論がありまして、それをはずす必要から、施政のもとの領域に限定した、この字句がこういう紛糾を来たすとはおそらく現在まで大臣お考えにならなかったのじゃないか。本土内の米軍基地を第五条に含ますならば、施政の下の領域という言葉を変更しなければならない。本土内、日本の領土、(沖縄、小笠原、南千島を除く)、こうしておけばこういう議論にはならなかった、いわゆる施政の下の領域というような、ほかの条約にない新しい言葉を使ったために、条文の解釈によっては今私の言ったような解釈は成り立つ、どのように言いましても成り立つ。そうすると、施政権を持っておらない軍事基地の中に攻撃を受けても、その攻撃は日本に対する攻撃とみなす義務がない、この解釈が理論的に出てくるわけです。その疑問が起こります。ですから私は、この点をはっきりするために、もう一回字句を冷静にお考えになって、日本の領土(沖縄、小笠原、南千島を除く)、そこに武力攻撃が加わったならば、両国共同のものとしたならば、一そうはっきりするのじゃないかと思います。良心的にお答え願いたいのであります。
  357. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) その表現につきましては、今お話のように、日本の領土、沖縄、小笠原その他択捉でありますか、それを除くという書き方も一つの書き方であるかもしれません。われわれといたしましては、今申し上げておりますように、施政下にあるというふうに書きます方が、より適当であろうということでございまして、そういう意味においてこれを書いたのであります。必ずしも今辻委員指摘のような疑問が起こるということをわれわれは考えておらぬのでございます。
  358. 辻政信

    ○辻政信君 第五条で、武力攻撃をやるときに、日米両軍が日米それぞれの指揮系統によると言われましたが、赤城さん、こういうことはしろうとをだますものと思いますが、いかがですか。
  359. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 常に緊密な連絡はとりますけれども、日本日本アメリカアメリカ、管理、指揮系統は違っておりまして、そういうのは日本の憲法の建前からいっても、そういうことになると思います。
  360. 辻政信

    ○辻政信君 憲法に遠慮してそういう不自然なことをやったのですか。
  361. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 遠慮しませんが、憲法を正しく運営する、こういう考え方からそういうような結果になろうと思います。
  362. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ一つの例を申し上げましょう。防空戦闘、地上はいいですよ、日米の防空戦闘隊が間髪を争う場合に、一同の目標に対して協議や連絡でやれると、まじめに考えておられますか。
  363. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) その突発したときに協議や連絡ということは、今の設営の場合はむずかしかろうと思います。しかし、そういう場合に、どういうふうにやるかということは、常々の協議の中で方法をきめておく、こういうことで目的は達成できると思います。
  364. 辻政信

    ○辻政信君 防空戦闘の勝敗を決するのは情報の速達です。一秒、半秒を争う。電子計算機、レーダー・サイト、こういうものも日米個々に持ち、個々に情報指揮をやりますか。
  365. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これはレーダー・サイト等につきましては、日本が譲渡を受けることになっておりますけれども、まだ完全に受けておりません。これは両方人を派して共同といいますか、連絡して対処していくことに相成ります。
  366. 辻政信

    ○辻政信君 常識では、地上軍は日本が有力ですから、米軍の地上軍が来ても、地上の指揮は日本がとる、防空と海上は米軍に指揮させるというのが、ほんとうじゃありませんか。
  367. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 緊密なる連絡はとりますが、法的に指揮系統は違っているわけであります。
  368. 辻政信

    ○辻政信君 在日米軍の行動は、安保条約だけで規制することはできますか、藤山外務大臣
  369. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 安保条約で規制されると思っております。
  370. 辻政信

    ○辻政信君 安保条約だけで在日米軍の行動は規制できないと思います。赤城さん、太平洋における米軍の戦略体制はどうなっておりますか。
  371. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 米軍の戦略体制につきましては、アメリカとしてもこれはなかなか公表いたしません。しかし、大体におきまして、この局地戦及び全面戦に対処する二つの戦略を持っていると思います。局地的な関係におきましては、日本ばかりでなく、各方面に安保条約を結んでおる国々等によりまして、戦術空軍を配置して局地戦に対処していると思います。あるいはまた、第七艦隊等もこの全面戦に対処しておりますが、局地的に太平洋を遊弋して戦争抑制に動いていると思います。大きな戦略体制といたしましては、戦術空軍等はこれはマリアナその他米本土にも戦略空軍がおりまするし、また、戦術空軍はさっき申し上げた基地に置いております。    〔委員長退席、理事館哲二君着席〕 また、第七艦隊もこれは太平洋の全線にわたっての抑制力として、あるいは戦略体制としても配置されておるわけであります。なお、これは非常に私どももその点はどういうふうに見たらよいかということについては、十分アメリカ側から戦略戦術ということを聞いているわけではございません。いろいろ書いたもの等、あるいはその他によって検討しておりまするし、また、辻さんの書いた自衛中立論等においても、アメリカの極東戦略体制というものの一斑を承っております。そういうことではっきりしたことは申し上げかねます。
  372. 辻政信

    ○辻政信君 アメリカの太平洋総司令部はハワイにあって、その総司令官フェルト海軍大将、その権限はインド洋から太平洋全域にわたる米軍の戦略行動を統一しておると考える。いかがでありますか。
  373. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) その通り承知しております。
  374. 辻政信

    ○辻政信君 そこで問題が出てくる。アメリカの太平洋における戦略体制から見ると、在日米軍は、ハワイの総司令官から指揮されておる。従いまして、米華、米韓、米比、日米、この四つの安保条約によって行動するので、在日米軍は絶対に日米安保条約によってのみ行動は規制できないと思う、戦略上から。藤山さんいかがですか。
  375. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日本におります在日米軍というものが、安保条約のかさをかぶっていると申しますか、安保条約の規制を受けているということはこれは申すまでもない事実でありまして、その意味におきまして、これは安保条約から離れて行動する場合には在日米軍としてはできないと思います。
  376. 辻政信

    ○辻政信君 それは非常な間違いであります。在日米軍を指揮する総指揮官が在日米軍指揮官じゃなくて、ハワイから、全般の視野から指揮をしている。その戦略の一環としての、在日米軍は戦略単位です。あなたにときどき野党が極東の限界を示せというが、なかなか示されぬので、私は政府の言われることを地図に書いてきましたが、大体この赤線になるのです。そうして青線は戦略体制を指示しております。これちょっとごらんに入れますから、これがいいか悪いかお答え願いたい。
  377. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 在日米軍はみんな今お話のように、フェルト大将の指揮のもとにありますけれども、しかし、日本におります在日米軍が行動しますときには第六条の交換公文等にも制約を受けております。そういう意味で、その在日米軍というものは安保条約の規制を受ける軍隊であるということには間違いないことであります。
  378. 辻政信

    ○辻政信君 その地図を答えて下さい。赤線でいいかどうか、極東の範囲は。(「勝手に二人だけでやつちゃ困るな」と呼ぶ者あり)いや、あとで見せる。
  379. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 太平洋のアメリカの戦略としては辻さんがおっしゃる通りだと思います。日本に駐留するところの在日米軍、これは安保条約第六条にその目的が書かれておりますように、日本の安全と極東の平和と安全のために駐留する、こういうことでありまするから、おのずから在日米軍の機能といいますか、これはアメリカ本来の動き方と違うわけでございます。
  380. 辻政信

    ○辻政信君 それどうですか、藤山さん。赤でようございますか。
  381. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 極東の範囲につきましては、先般の政府の統一見解で申したわけでありまして、地図の上に何か線を引きますことは適当でないと思っておるのでありまして、フィリピン以北、日本の周辺、それを取り巻く海域というふうにわれわれは考えております。
  382. 辻政信

    ○辻政信君 その図にありますが、グアム島は含みますか、含みませんか。
  383. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 個々の島を含むとか含まないとかという問題について特に議論をしたこともございませんし、われわれとしては、極東の範囲というものを安保条約条約目的地域としては極東に平和と安全が維持されるように、そういう範囲内において、安保条約の、先ほど申し上げたような範囲内においていろいろ紛争が起きることは困りますから、そういう意味において申し上げておるのでありまして、従って、グアム島を含むとか含まないというようなことを申し上げるわけに参らぬと思います。
  384. 辻政信

    ○辻政信君 そうじゃないのです。このグアム島というのはアメリカの極東における最大軍事拠点なんです。扇のかなめなんです。これを含むか含まぬかということは簡単に言えない問題なんです。鳥島とか小笠原とかと違いますから。扇のかなめが極東のグアム島なんです。これが条約の極東の中に含むのか含まないのか。はっきり答えて下さい。
  385. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいま申しあげましたように、一々の島について政府は論議をいたしておりません。従って、グアム島が含まれるとか含まれないとかという問題については議論をいたしたことはございません。
  386. 辻政信

    ○辻政信君 ちょっとおかしいですよ。これは経済条約ではないのですよ。軍事条約なんです。軍事のかなめ、極東における防衛の中心がグアムなんです。それをはずすかはずさないかということは重要な問題なんです。もう一ぺん答えて下さい。
  387. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今まで申し上げましたように、グアム島がアメリカの重要軍事基地であろうとなかろうと、それを含むか含まないかという問題につきましては、われわれとしては、極東として今申し上げたように、この条約では紛争が起こりまして、それが極東の平和と安全、ひいては日本の平和と安全をおびやかされることが極東の平和と安全に影響する、また、日本の平和と安全に影響するわけでありまして、そういう意味において極東というものをわれわれはこの条約では考えているわけであります。従って、この今申し上げましたような範囲内におけるどの島を含むとか含まないとかということを申すわけではないのであります。
  388. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ言えないとしておきましょう。しかし、あなたが言わなくてもグアム島は明らかに米華、米比、日米条約の適用地域であります。太平洋地域とか、西太平洋、こうなっている。これはのがれられない。そこで、グアム島が攻撃を受けた場合に、ハワイの米軍司令官は太平洋全域の米軍を統一指揮します。グアム島に攻撃を受けたときに、それが極東に含まれるか含まれないか、そんなことはどうでもいい。そうすると、日本における米軍はその他の地域にいる米軍と同じ戦略的な意味行動しなければならない。それが極東の区域でないからといって、グアム島攻撃に対して在日米軍の太平洋司令官からの指揮を日本がノーと言えますか。
  389. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この条約においては、最前から申し上げておりますように、やはり日本の平和と安全及びそれにつながります極東の平和と安全が侵された場合に在日米軍としてどう対処するかということなんであります。その対処します場合には、むろん日本としては今申し上げたようなことからして、事前協議を行なうわけでありまして、そういうことによりまして一切を判断し決定していく、こういうことになるわけであります。
  390. 辻政信

    ○辻政信君 そういうのじゃない。私の言うのは日米、米華、米韓、米比条約、それにSEATO、この五つの条約は個々に別々になっておりますが、五本の指みたいなものです。この五つの条約を一つのたなごころに占めて、その中心になっているのがハワイの米太平洋総司令官。そうすると、四本の指がやられて一本の在日米軍だけが動かずにいることはできない。日本の意思によってどうにもならない。日本政府が在日米軍の指揮権を持たない限り、インド洋から太平洋にかけて戦略米軍の一環として動かされる。その間においてどんなに拒否権があってもできるものじゃない。NEATO条約はでき上がっている、すでに。この事実を赤城さんどうお考えになっておりますか。
  391. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 日本アメリカ安保条約のもとに事前協議をするわけであります。でありまするから、アメリカの司令官がそういう行動を明示いたしましても、日本といたしましては、日本の平和と安全、極東の平和と安全、これとにらみ合わせて作戦行動に出動するかどうかということに対して応諾するか拒否するかの態度をきめることに相なります。
  392. 辻政信

    ○辻政信君 赤城さんは、在日米軍を指揮する権限はない、この通りです。ハワイの扇のかなめから動かされたときには、在日米軍だけが知らぬ顔をして、ほかはやられてもじっとしておることはできない、日本は拒否権はない、要するに、この四つの条約は米軍の太平洋における戦略体制の骨組みを外交的にカバーしただけである。日米安保条約だけで在日米軍の行動を縛れるものじゃありません。いわんや日本の、指揮権を持たない日本がとやかく言うのは、これは引かれ者の小唄でありまして、こういう場合に米軍の行動を拒否できるとか、制肘できるということは、あまりにも軍事を無視した、これは国民をごまかす議論と私は思うのであります。藤山さん、いかがでありますか。
  393. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) もちろん在日米軍はどういうふうにでも行動できますけれども、今申し上げましたように、安保条約でもって日本基地として使います場合には事前協議をいたすわけであります。でありますから、在日米軍としてはむろんどこへでも行動をしますし、ことにグワムがやられました場合には、アメリカとしては個別的な自分の国がやられた、日本はそれにむろん軍事同盟でございませんから助けに行くわけじゃございません。しかし、そういう場合に便宜的に考えることはございましょうけれども、しかし、在日米軍はやはりそれを考えるにいたしましても事前協議というワクに縛られるということだけはこれは事実でございます。
  394. 鈴木強

    ○鈴木強君 ちょっと関連。極東の範囲のことで今、辻委員から御質問がありましたが、これは最初中共の奥地が入るといい、それが変って三転、四転、五転してきて、衆議院の安保条約特別委員会で愛知委員質問に対して政府の統一解釈が出てきておるのです。ところが、きょう午前中の質問にも関連するのですが、藤山さんどうなんですか、先だって三木さんが帰ってこられて、岸総理との会見の中で、極東の範囲で金門、馬祖島を具体的に入れたことはおかしいという意見があって、機会を見て訂正する、こういうことが新聞で伝えられておるわけですが、その間あなたと相談があったかどうか、そして今グアムが入るかどうかという具体的な質問が出たのですけれども、午前中は、米国等も相談しておることですし、あなたは変える意思はない、こうおっしゃったのですが、その辺の食い違いがありますから、私はまたあらためて質疑をする予定ですが、とりあえずそのいきさつですね、三木武夫氏が岸総理と会った当時のいきさつの中で、あなたは承知しておったかどうか、これはアメリカとの話し合いの中でやっておると思いますから、あの統一解釈は変わらぬものだと私たちは思うのですが、非常にこの極東の範囲はばく然としておりますし、われわれの方から地図を要求しても出せない、こういうわけで今日まできておるわけですが、また、変わるようなことがあっては私はどうかと思いますから、この際はっきりと伺っておきたいのですが、グアムなんかを入れてもう一回再検討する意思はございませんか。
  395. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は病気で静養いたしておりましたので、総理と三木武夫氏との話がどういうことであるかは存じておりませんし、きょうも総理とまだ会っておりません。しかし、私は先般総理が愛知委員質問に対して、衆議院の安保特別委員会において答弁された、あれが政府の統一見解であり、あれを変えるという考え方は私、持っておりませんし、総理も持っていないと考えております。
  396. 辻政信

    ○辻政信君 事前協議で拒否できるといいますけれども、アイゼンハワー・岸共同声明、これが唯一の根拠でありますか。
  397. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 協議が整います場合には話し合いが妥結いたしまして、そうして意見がきちんと調整されるということでなければならぬと思います。片方が異論を唱えておりますれば、協議は整わないわけであります。でありますから、協議自体が整いますことのためには、当然拒否し得る状態があるわけございます。しかも今回の場合において特に事前に協議をするということにいたしましたのは、事前に協議をいたしますということ自体は協議が整わなければやれぬということでありまして、私どもは、この公換公文によりまして、いわゆる拒否権という若干あれがございますが、われわれは拒否するということができると、でその話し合いの過程をアイゼンハワー・岸共同声明によって一応確認した、こういうふうに思っておるわけでございます。
  398. 辻政信

    ○辻政信君 あの共同声明には、日本政府の意図に反して行動しない、こうなっておる。日本国民とは書いてない。国民がどのように反対しても、日本政府はあの条約に判こを押しております。それで条約に判こを押した責任上拒否できない。しかもこれは、米韓、米華、米比条約関連しておる在日米軍でございますから、日本政府が在日米軍の指揮権を持たない限り、その出動を自分の希望によって拒否できない。そこに判こを押したので、アイゼンハワーと判こを押した岸さんは拒否できない。だからその意図に反してやらない、こういう声明になっておると私は考えるが、いかがでございますか。
  399. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 判を押されました総理がアメリカの言うことを聞くというだけのことではないわけでございまして、むろん総理として今申し上げましたように、協議の整いますためには、イエスもノーもあるわけでございまして、そういう過程を通じて協議が成立するわけでありますから、従って、日本政府の意図として、これは拒否せざるを得ないのだとこういうことでございます。アメリカ軍行動してもらいますのには、日本の平和と安全にも適当でないのだという判断をいたしますれば━━。アイゼンハワー・岸共同声明はそういう意味を裏書きしているというふうにわれわれは信じております。
  400. 辻政信

    ○辻政信君 大臣は残念ながらどのように御信用になっても、アメリカの戦略を考えて、たとえばハワイにミサイル攻撃を受けた、で日本の上空を通過しておる。これは極東の範囲でもなければ、何でもない、そのときは全面戦争に入ります。そうしてそのときの指揮はアメリカのフエルト大将が握って、在日米軍の全部に作戦命令を出しますから、日本政府がいかに希望しなくても、アメリカの戦略に引きずられてしまう。これは事実です。どのように解釈しても戦いは冷厳です。ですからアメリカと一体となって結ぼうというのなら、この事実を国民に率直に訴えなければ、自分の都合の悪いことだけ隠しておいて、それでごまかそうといいましても、この安保条約審議はできない。運命共同体の決意があるかどうか。それなくして口先だけでごまして、そういう心配はないというようなやり方をしておりますと、まさかのときに取り返しがつかなくなります。ほんとうに腹を据えてお答えを願いたいのであります。    〔理事館哲二君退席、委員長着席〕
  401. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御質問が、この拒否することができるかできないかという御質問でございますので、むろんわれわれは、拒否することができるということ、協議が整わないことが起こりますと。ただしかし、こうした条約を作りますときに、われわれは、アメリカを信頼し、アメリカと今お話のように、一体になって一つ行くのだという気持においては変わりはないわけでございまして、そういう意味においてわれわれは決してごまかしておるわけではございません。ただ、今申し上げましたように、協議が整うか整わないかという問題になってきますと、整わないで、そうして整わない結果は拒否することができるということが言い得るのでございます。
  402. 辻政信

    ○辻政信君 公換公文のところに装備、配置の変更並びに日本から行なわれる戦闘作戦行動のための基地、この場合に協議になっておるが、赤城さん戦闘作戦行動というのは、戦闘行動より作戦行動、こう解釈していいか。
  403. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 戦闘行動及び作戦行動ではなく、戦闘作戦行動……。
  404. 辻政信

    ○辻政信君 そんな字句がありますか。
  405. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) あるのです。
  406. 辻政信

    ○辻政信君 戦闘作戦とどう違いますか。二つくっつけた。
  407. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これは私より辻さんの方がよく知っておると思いますが、戦闘作戦行動という言葉があります。  それから戦闘と作戦は違うのではないかといいますけれども、戦闘という言葉と、戦闘作戦行動というくっつけた言葉から言いますならば、戦闘作戦行動の方が非常に広く解されます。  それからもう一つは、作戦ということは、最近の何といいますか、軍事の書類を見ますと、補給作戦とか、いろいろ作戦の頭についたものがあります。そういうのを区別する意味において戦闘作戦行動、こういうふうに一つの術語になっておるわけであります。
  408. 辻政信

    ○辻政信君 この条約で新しくお作りになった術語です、それは。従来の兵学の概念でははっきり区別されている、戦闘と作戦というものは。私は専門じゃない。ここに「広辞苑」という中学生が読む辞書があります。作戦はこう書いてあります。「戦を進めてゆく上のはかりごと。」、もう一つは、「通常、戦略単位以上の兵団の或期間にわたる対戦行動の総称。兵団の集中・捜索・行軍及びこれらに必要な交通・補給などをいう。」、これが作戦であります。戦闘というのは、わかりやすくいえば、第一線部隊の短期間における局部的なチャンバラなんです。作戦というのは違う。少なくも戦略単位の、ある期間における集中、捜索、補給、そういうものを総称した術語が従来の兵学の世界に共通した術語なんであります。その二つのものをくっつけてごまかすということは、これは何としても納得できない、いかがでありますか。
  409. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 戦闘といいますと、英語でいえばバトルというような、小さい戦闘まで含めるようであります。でありますので、戦闘作戦行動というのは、日本のように、在日米軍の部隊を動かすというような大きなことを対象とする意味におきましては、戦闘作戦行動、それから補給作戦等と区別する、こういうことによりまして、こういう術語を使うというふうに私は了解しております。
  410. 辻政信

    ○辻政信君 補給を含まない作戦というのはあり得ますか。
  411. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 補給はもちろん含むと思います。作戦行動には含みますが、この場合の、事前協議の主題とする場合には、戦闘作戦行動を事前協議の主題とする。
  412. 辻政信

    ○辻政信君 それには補給は含まないのですか。
  413. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これは含みません。
  414. 辻政信

    ○辻政信君 はっきりして下さい。含むのですか、含まないのですか。
  415. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 補給は含まないのであります。
  416. 辻政信

    ○辻政信君 それでは、金門、馬祖島に戦いが起こって、米軍がその方面に移動をする、そうして日本本土が金門、馬祖の戦いの補給基地になった、こういう場合には、当然補給基地としての使用は、事前協議を要せずして随意に許すことになりますか。
  417. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 金門、馬祖の役例が適当であるかどうかは別といたしましても、補給につきましては、事前協議の対象にならないわけであります。
  418. 辻政信

    ○辻政信君 国際法上の通念として、作戦に伴う補給基地というものは、私は交戦地域に入ると解釈しますが、藤山さん、いかがでありますか。
  419. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 交戦地域に入るか入らないかというような問題については、条約局長からお答えいたします。
  420. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) これは交戦地域概念の問題であると考えます。すなわち、交戦地域であるから、それではそこに武力攻撃を今度は加えることが武力攻撃を加える側から正当化されるであろう、そういう意味からの交戦地域という意味合いにおきましては、常にその前段階において武力攻撃が行われ、侵略が行われているわけでありますから、そういうことは、私は、そこが交戦区域であるからといって、そのために武力攻撃がそこに行われるのが適法化されるということはいえないと思います。
  421. 辻政信

    ○辻政信君 はっきり言って下さい。交戦区域に入るか入らないか、補給基地というものは、国際通念として。もう一回。
  422. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) ただいまの私の申し上げた通りで尽きていると思うのでありますが、なぜ交戦区域か交戦区域でないかという問題もありましょう、おそらく。ということは、補給を許すからそこが交戦区域となるということは、そこが適法に攻撃されてもいい地域になるという意味で、すなわち、そこが当然戦場になるという意味においておっしゃることかと思います。そういう意味合いでは交戦区域ではありません。何となれば、その前の段階において、そこで侵略なり、違法なる武力交渉が行われているという立場に立つのでありますから、そのような反論は成り立たないわけであります。
  423. 辻政信

    ○辻政信君 戦争の勝敗は補給源を断つか断たぬかによってきまる。戦争しながら補給源を温存していくようなばかな国があると思いますか。そういうようなことで戦争というものは解釈していいのですか。交戦区域に入ります、国際法上。補給基地が入ったならば、戦争する相手国から報復を受けるのは常識です。それをどこまでも逃げますか。だれでもいいから答えて下さい。
  424. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 一般的なお話であると今のようなことがあるかと思いますが、安全保障条約の問題といたしましては、これは国連憲章に基づいてやるのでございますから、国連の建前からいえば、侵略がなければ行動を起こさないというのが、これは国連に加盟している国の建前であります。でありまするから、アメリカ行動を起こすというのも、侵略がなければ起こさないと、こういう建前で来ておりますので、今の一般的な問題は、これはこの場合に当てはまらないと思います。
  425. 辻政信

    ○辻政信君 それは戦争の概念から申しまして、補給源を断つことが勝敗をきめることなんですから、日本もそれで負けておるのです。補給基地としてアメリカに提供するからには、受けるということを覚悟した上でないとできないわけなんです。それが一般がこうであるから、これはどうも特例であるというのでは、国民が納得できない議論です。そこまで腹を据えておるかどうか、こういうことを聞いておるわけであります。
  426. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 国連憲章下ではそういうことは私はあり得ないと思いますが、あればやはり日本の自衛権を発動するということが当然だと思います。
  427. 辻政信

    ○辻政信君 今までの朝鮮戦争、金門戦争においても日本がやられておるのです、補給基地に使われておる。それが北鮮、中共からの報復を受けなかった理由はどこにあるとお考えになりますか。
  428. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) それは日本に在日米軍がおって日本を守るという建前があったからだと思います。
  429. 辻政信

    ○辻政信君 そうじゃなしに、これは従来の安保条約は、占領の継続であり、日本の意思と希望と責任が入ってない。でありますから日本に対する報復は免れ得た。いわゆる今までの不平等な条約がそれだけの消極的な貢献をなしている。今度は日本の意思で、ほんとうに手をつないで入るから、日本の希望で締結された条約には責任を伴う。でありますから、向こうは明らかに日本の補給基地に対して報復攻撃を加えてくるのだ。それを覚悟しないというとこの条約はできません。アメリカとも手を握ろう、飛ばっちりを受けるのは避けようというようなあいまいな態度でこれをやったならば、とんだことになるとお考えになりませんか。現在の国際情勢から見て、この道しかないという考え方は一つの考え方であります。私は同意しないが、一つの考え方であるならば、ごまかさずになぜ勇気を持って、その危険があることを国民承知させて、その上で結ばなければならぬということを政府は堂々と言うべきじゃないですか。一方そういう危険があることをごまかして、口先だけで、伏せて、大丈夫だからついてこいというような態度は、これはできません。そういう不謹慎な卑怯な態度は、ほんとうに藤山さんや岸さんがこの条約を結ぶからには、最悪の場合には心中するのだ、軍事的には。それでもやらなければならぬということを国民理解させる勇気がなければならない。私は反対の立場をとります。ごまかして通すということはいけませんよ。施政下における領域においてはごまかしがある。在日米軍の行動安保条約だけでしばれるということは明らかにごまかしである。全体のアメリカの太平洋戦略から見れば全くごまかしであります。また補給をやっても報復は受けない、交戦地域だと認めておるが、国連の何とかによってこの場合は例外だというような、そういういいかげんなことでこれをお出しになるなら、おやめなさった方がいいと思います。きょうは岸さんにお伺いする予定  であったが、出られませんので、藤山外務大臣、よく一つ勇気と信念を持って、かくあるべしということを正直に率直に国民に訴えていただきたいと思います。いかがでございます。
  430. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 朝鮮変の時には御承知通り、国連の総会の決議によって、在日米軍が国連軍として行動したわけでございます。国連の総会の決議によりまして、それをサポートして参りましたのは、国連のメンバーとして当然なすべきことでありまして、それをなしたからといって、何か新しくされるような状況にはわれわれはないと思っております。今後の場合におきましても、国連憲章に従って、侵略があった場合には、日本も在日米軍もともに動くわけであります。そのことにつきましては、直ちに安保委員会に報告をいたしまして、その何分の決定を待つわけでありますから、私どもとしては、それが直ちに何と申しますか、日本基地を攻撃するという状況は起こり得ないのではないか。むろん、こういうような条約を作ります場合に、辻委員の言われますように、日本アメリカと最も親しい関係になって、協力関係に立っていくということは、これは当然のことでありまして、そういう意味において、運命共同体ということは、少し強い言葉に過ぎるかもしれませんけれども、われわれはできるだけアメリカに協力していくということは、当然のことだと考えます。
  431. 辻政信

    ○辻政信君 フグは食いたし命は惜しいということが日本の政治の方向じゃないと思う。フグは食うが、最悪の場合は死んでもいいという気持がなければフグは食えない、近ごろはよくよっているが。それじゃもう一つごまかしのあることを聞きます。この条約の第二条には、経済協力について規定をされております。しかし、その中身はない。国民はこれについて、軍事同盟のどぎつい性格を経済協力のオブラートでごまかしている、こういう疑いを持っている。この疑いを持たさぬように、この第二条をほんとうに生かす決意をお持ちになっておりますか、藤山外務大臣
  432. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) その前に。運命共同体の覚悟を持て、こういう御意見でありますが、私ども決してごまかして世間に訴えているわけではございません。日本の憲法の建前から申しまして、アメリカが攻撃された場合、アメリカまで日本が行ってこれを守るというようなことはできません。そういうことであるならば、これは運命共同体的なことでありますが、そういうことができないということだけは、世間にも申し上げ、日本の憲法のもとに条約を結んでいる、こういうことであります。でありますが、世間では何かアメリカのために安全保障条約を結ぶかのごとき議論が相当ありますが、私どもは再々申し上げておりますように、これが日本の平和と安全のため、日本の国を愛するがために、私どもはこういう形で安全保障条約を結ぶという、これは信念で進めているわけであります。でありますから、運命共同体というものではございませんが、決してごまかしでも何でもなく、信念のもとに日本の安全を守るという、こういうことについては決して人後に落ちないつもりであります。
  433. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 第二条の経済条項の問題でございますけれども、今回のような条約を結びます場合には、両国が経済的に、あるいは社会的に、緊密に連絡、協調を保ち、そうしてその間に摩擦が起こらないようにしていく、また経済問題について、国際経済の面におきましても、できるだけ協力をしていくというお互いに気持を第二条によって吐露しているわけであります。従いまして、むろん、これは単にカムフラージュのために入れたというわけではございませんで、今申し上げたようなお互いの立場をはっきりさせて参るわけでありますから、その立場に立ちまして、今後経済問題につきましても、お互いに協力していくような方法を考えていく、そういうふうな努力もしていくことは当然のことでございます。
  434. 辻政信

    ○辻政信君 それでは最後の質問。それじゃ、この経済協力の第二条をお生かしになる一つ具体的な事例をあげて外相の決意を承りたい。それはモスクワの漁業交渉が今やられております。おそらくこれは昨年より下回るだろうと思います。下回る一つの原因として、安保に対するこの作用がある、こう思うのであります。そうすると、安保改定をしなければ大体八万トンとれたものが、安保改定に対するしっぺい返しという意味で半分になるという最悪の場合を考えたときに、安保条約のためにオホーツク海の魚が減った、その減る分だけは日米加漁業条約を改めてアリューシャン方面における鮭鱒漁業に対するアメリカの不当な圧迫を排除して、オホーツク海でなくなった魚をアリューシャンで取り返す、こういうことがこの第二条でできますか。これについてはどうです。
  435. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ソ連としては安保条約に対していろいろの意見を持っているようでございまして、あるいは誤解の点もある、これを正解してもらえば現行安保条約の改善であるということが理解してもらえると思うのであります。ソ連が今日この問題をすぐに漁業交渉にひっからげてそうして言う立場はソ連のような大国が、私はそうとろうと思いませんし、今日までの過去数年の議論を見ましても、相当資源論争に非常に重点を置いておるわけでありまして、今日、去年あるいは一昨年等の議論を見ましても、やはり鮭鱒漁業の維持ということについて、お互いに科学的な調査の上に立ってやっておる共同調査は若干進めてきておりますけれども、まだその点については、やはり必ずしも調査の結果についての意見が一致しておりませんですから、ソ連はやはりそういう面から強くこれを言っておるので、何か安保条約の仕返しに漁業問題でとっちめようというような小さな国のような考えではないと存じております。
  436. 辻政信

    ○辻政信君 時間がありませんのでこれでやめますが、この条約を丹念にやりますとまだまだ欠点が多いようであります。いずれ特別委員会でお目にかかりますが、どうか政府は勇気を持って、国会をごまかし、国民を適当に口先であやつるのだというような信念ではなしに、世界の情勢を説かれて、こういう批判もあるけれども、こうしなければならぬのだ、それにはこういう犠牲、こういう苦痛は忍ぼうじゃないか、このくらいの気持でもって国民に納得させぬというと、口で言ったことと、実際起こった場合に非常なギャップが生ずるということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
  437. 秋山長造

    ○秋山長造君 外務大臣がおられる間に、議事進行について。大臣にお尋ねしますが、今この三ページの資料が配られたのですが、さきに要求しておった合意書の資料というものはこれなんですか。これだけですか。
  438. 小林英三

    委員長小林英三君) 藤山外務大臣
  439. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先般予算委員会でもって早急に出せというので、予算委員会の御注文によりました項目別の表を用意いたしたわけであります。その後、衆議院の安保委員会の方からもう少し詳細なものを、ということは先般私が申し上げた通りだと思います。その力がまだ準備ができておらぬから、それを差し上げたのではないかと、こう思っておりますが、なお、よく事務当局に聞いた上でどういうふうにいたしますか、あれいたしたいと思います。
  440. 秋山長造

    ○秋山長造君 どなたが外務省で事務的な責任をもってこれをお出しになったのか、出された方にちょっとお尋ねしたいのですがね、四日から今日まで待たしてやいのやいの言わせて出したものはこの三ページの、こんな資料を出て、それで事足れりという態度は私はあまりにも無責任で不親切だと思うのですがね。もう少し説明をつけるなり、日付をつけるなり、具体的なことを書き加えて出したらどうですか、こんな人をばかにしたものを出して。
  441. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 衆議院の安保委員会の方からそういうあれがありまして、それを今作成しておりますので、とりあえずそれをお出ししたのでありまして、衆議院の安保委員会に出すものと同じものを近くお手元に差し出せると思っております。
  442. 西田信一

    ○西田信一君 ただいまこの合同委員会合意書に関連する資料について、秋山委員から議事進行についての御発言がございましたが、これは、理事会で要求いたしました資料は、合同委員会の合意書に基づくところの関係各省の項目を要求するということになっておったはずであります。その項目がこれに漏れておるならばこれは適当でないと思いますが、項目が完全に盛られておるのかどうか、要求した資料は、項目を要求するということであったと思うのです。秋山さん、そうだったですね、その点いかがですか。
  443. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちょっと、項目といえばそれは項目だ。しかし、こういう何か見出しだけちょっと並べたようなものが、あなた方考えられて、これ資料としての価値がありますか。
  444. 西田信一

    ○西田信一君 しかし、そういう申し合わせ……。
  445. 秋山長造

    ○秋山長造君 いや、申し合わせじゃない。
  446. 西田信一

    ○西田信一君 要求したのはそうですよ。
  447. 秋山長造

    ○秋山長造君 たとえば調達庁の関係施設及び区域の提供ということの項目が出ておればですよ、これはいつ幾日具体的にどういう施設区域を提供したのかというくらいの説明書きをつけて出さなければ、こんな抽象的なものを項目だけちょろちょろと並べて出してですね、これでもう外務省の責任は済んだというようなことを考えてもらっちゃ困ると思う。それでおそらく外務大臣が今おっしゃった説明書きというのはそういう意味説明書きですか。
  448. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 衆議院の安保委員会の方からも、今お話のような説明をつけて出してもらいたいということでありましたが、予算委員会の方では項目ということでありましたから、とりあえずそういうものを用意いたしましたけれども、先般も私が申し上げましたように、片方の方は作成中だから若干おくれることになりますので、きょうとりあえず項目だけはお出しするということに事務的に取り計らったわけでありまして、しばらくお待ちいただければ、今の説明のついたものを衆議院に出したのと同じものを出します。
  449. 秋山長造

    ○秋山長造君 外務大臣、それはいつまでに出していただけますか。大体衆敵院も衆議院だけど、安保委員会は五月二十六日まであるんですからね、会期は。こちらの予算委員会は今月中しかないですからね。
  450. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 衆議院の安保委員会も非常にお急ぎになっておりますので、できるだけ早くやるようにいたしております。
  451. 秋山長造

    ○秋山長造君 この点は先だってからの経過を考えていただけば、私の言っておることは決して無理ではないと思うんですよ。委員長、この点はどうして下さるんですか。要求者の木村さんの質問はおそらく明日になると思うんですがね。私はもう繰り返し言ってきたように、おそくとも木村委員質問に間に合うように、この合意書の資料というものを出してもらいたいということを今まで要求してきた。この程度のものならもう少し早く出せたはずであるしね、こんなものをあんた四日から今日までかからなきゃできぬというようなことは、これはもう了解できぬことです。問題はやはり説明書ですからね、説明書を外務大臣きょうじゅうに出せませんか。
  452. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) きょうじゅうにというわけには参らぬと思いますけれども、今申し上げましたように、衆議院の安保委員会からもそういう御要求があるので、今作成いたしておりますから至急に出すことに取り計らって参りたい、督励をして参りたいと存じます。これはむろんこの程度のものでありますから、もうちょっと早く出せるのでありますけれども、先般も申し上げましように、衆議院からもそういう御要求があるので、説明書のついたものを今作っているからということで、実はこれは出さなかったわけであります。これがまだ間に合わないのはまことに遺憾でありますから、できるだけ早く出したいと思います。
  453. 小林英三

    委員長小林英三君) なお、念のため、ただいまのこの資料についての秋山君並びに西田君から御意見がございましたが、私が委員長といたしまして当委員会に御報告申し上げたことは、日米合同委員会に基づく各省別の合意書は提出できない旨、外務大臣から答弁がありましたが、合意書に基づき実施いたしました事項については、関係方面と協議の上、できるだけ早く提出してもらうことに意見の一致を見ました。意見の一致というのは理事会の意見の一致であります。こういうことを私が報告いたしたわけであります。この今の事項というのは、秋山さんはもっと詳しいことだということでありますが、西田君は事項ということはこれが事項だというような御意見があったのですが、ただ理事会の席上におきまして、外務省関係者を呼んで聞きましたときには、この内容ということになると、これは膨大なものだということを委員長も聞いておりました。ですから大体事項といえば、これでごかんべん願えるかどうかというだけの問題だろうと思います。
  454. 秋山長造

    ○秋山長造君 時間の関係もありますから、私は別にこれはあまりどういうことはないけれども、ただ西田さんのおっしゃるのは、それはただ理屈のための理屈であって、これは幾ら項目でいいといっても、これでは一体あまりにも抽象的で、これは何にも——いつ幾日に行なわれた項目が何もわからぬでしょう。ですから、それではやっぱりいかぬので、少なくとももう少し具体的なことのわかる資料でなければ資料としての価値がないと思う。だから、きょうすぐ出せと言っても実際問題として出せぬのだけれども、しかし、早急に今調製されておる説明書き、そうしてまた、その説明書きを一緒に出すからということでこれを今日まで出されなかったわけですから、ですから、説明書きも至急に作って出していただきたい。そうして木村委員質問をどう扱うかというようなことは、これは委員長においても、後刻理事会等もあるわけですから、理事会でも一つ考えていただきたいと思う。これはやはり今までの長い経過があるから十分考慮していただきたいということをこれは特にお願いしたい。
  455. 小林英三

    委員長小林英三君) 今、秋山君から御意見がございましたが、今三ページであります。確かに三ページでありますが、これを一つ一つ読んでみますと、やはり何に関する事項、何に関する事項という、これは委員長が御報告いたしましたことには合っているわけです。ただ外務省といたされまして、この事項につきまして今(「外務大臣が出すと言ってるぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)御静粛に願います。この事項につきまして、今、外務大臣のこの席で御意見のありましたように、すみやかに出せるのでしたら出していただきたいと思います。
  456. 阿具根登

    ○阿具根登君 企画庁長官にお願いしておったわけですが、お見えでないようでありますから通産大臣質問いたします。(「企画庁長官、政務次官は」と呼ぶ者あり)
  457. 小林英三

    委員長小林英三君) 経済企画庁長官は御病気大臣は寝ておられますが、きょうここに調整局長計画局長が来ております。(「大臣病気で出られなければ政務次官が出なければだめじゃないか。」と呼ぶ者あり)政務次官は御出張中です。
  458. 阿具根登

    ○阿具根登君 まず、通産大臣に御質問いたしますが、私、昨年の十一月、臨時国会におきまして、この席上から石炭政策について御質問申し上げましたところ、通常国会において合理化法の一部改正の法律案を出すに伴って、石炭政策について十分なる回答をする、こういう約束を企画庁長官並びに通産大臣にいただいておりましたので、この際、二十一億四千万円の政府出資による今度の合理化に対する問題と石炭政策全般に対する見通しについて通産大臣の御意見をお伺いいたします。
  459. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) ただいまお話の通り、今国会におきまして、石炭対策についての法律上並びに予算上の措置をとるということを申し上げたのでございます。従って、法律案といたしましては、石炭鉱業合理化臨時措置法の改正をいたしますし、また合理化に対しましての予算も御審議願っておるわけでございます。また合理化に伴っての失業対策につきましても適当な措置をとり、御審議を願っておる次第でございます。
  460. 阿具根登

    ○阿具根登君 私がお答え願いたいと思っておりますのは、こういうそのときどきの場当たりでなくて、一体石炭政策をどう考えておられるのか。たとえば十一月の臨時国会では一千二百万トンの貯炭をかかえて石炭産業は斜陽である、日没である、こういうような空気が流れておって、それに対する対策であったと思うのです。そして政府側は口をそろえて減産あるいはコスト・ダウンを叫んでおられたと思うのです。ところが、それから三カ月もたたない今日、石炭はすでに通常貯炭を割ってきた、こういうことがいわれておるわけでございます。事実上そういう現象が生じてきておる、こういうときに通産省からは、最近の新聞にも出ておりますように、さらに出炭の制限をやめるということを、三カ月前と全く反対のことを言っておられるわけです。こういう見通しのない、場当たりのことが労使間に非常なる紛争を与えておる。労使間の問題はあとで触れたいと思いますが、そういう観点に立って一貫したエネルギー政策についての所見をお伺いしておるわけです。
  461. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 就任以来、一貫した政策で私はやっておるつもりでございます。従いまして、お話の通り、昨年の八月ごろでございましたか、年度末には大体八百万トンから七百万トン程度に貯炭は下がるだろうと、私は衆議院の商工委員会で言っております。大体予定通り行っております。従って、通常貯炭になったから今将来を見越してまた増産をしろというふうなことは一切言っておりません。既定の方針で進んでおります。
  462. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういたしますと、三十八年度に一千二百円のコスト・ダウンせよと、こういうことを言われておるわけです。そういたしますと、一体三十八年度にどのくらいの石炭を使おうとしておるのか、三十八年度の総合エネルギーはどのくらいになるのか、そのエネルギーの配分━━電力、ガスあるいは油、石炭、こういうものの比率をどれだけ考えておられるのか、その点をお尋ねします。
  463. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 石炭の価格は、昭和三十三年を基準にいたしまして、三十八年には千二百円引き下げを目標にいろいろ案を立てておるのであります。三十八年の生産につきましては、大体私の見通しでは五千五百万トン程度と考えておりまするが、ただいまお話のように、総合エネルギー対策を企画庁において、また石炭の毎年の産出額、貯炭等につきましては、石炭鉱業審議会におきまして、せっかく今検討をいたしておる次第でございます。従いまして、三十八年末におきまする石炭、電力、原油、重油等につきましては、今ここでお答えする段階に至っておりません。検討中でございます。
  464. 阿具根登

    ○阿具根登君 つい最近の新聞で報じられておりましたが、緊急輸入炭についての構想をお知らせ願います。
  465. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 緊急輸入炭と申しますると、ちょっと言葉がわかりにくいのでございまするが、ただいまのところ、北海道炭砿の爆発によりますることと、また三井の三池炭鉱の争議によりまして、原料炭が不足いたしております。従いまして、東京並びに大阪のガス会社に対しまして、大体八万トンの原料炭の輸入を実施しておるのであります。それから大牟田におきまする三池合成、三井化学、これもストの関係でコークス用原料炭が不足いたしますので、二万トンを外国から仰ぐことにいたしております。また最近の鉄鋼の増産によりまして、当然国内炭でまかない切れない部分につきまして、鉄鋼の原料炭を六十三万トン計画いたしておるのであります。
  466. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこでお尋ねいたしますが、私は一企業の争議について、こういう場所で質問するのは適当ではないと思いますが、その規模の大きさ、労資の非常に鋭い対決、いわゆる経営者側から言わせれば三十三億の金を銀行から借りて合理化を実施する、その合理化がほとんど三池の問題に限られておる。しかも通産大臣もストだと言われましたけれども、これは会社のロックアウトによるものであります。会社がロックアウトをやって石炭が少なくなったから、これを、外炭を緊急輸入をしてそれをカバーするということになれば、一方的な私は措置ではなかろうかと、かように考えるわけですが、その点いかがでしょうか。
  467. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) ストによるロックアウトでございます。従いまして、今三池合成、三井化学に対しまして産業を停止するというわけには……私は通産大臣といたしまして、そういう産業、工場に対しまして輸入炭でまかなうことは通産大臣として当然の措置であると考えております。
  468. 阿具根登

    ○阿具根登君 通産大臣として当然な措置だとおっしゃいますけれども、それではただいま言われました原料炭を出しておる三井三池は、全部原料炭ではございません。北炭夕張でも実際ああいうガス爆発があって、今のところ出炭が少なくなっておりますが、それにしても微々たるものでございます。こういう一時の現象で、そのつどそのつど緊急に輸入炭を運ばなければならない、そういう行き詰まった状態であるのか。それならば、なぜ計画的にもう少し輸入を考えられないのか、あるいは日本の原料炭に対する措置を考えられないのか、こういうわずかまだ一カ月そこそこでございます。そういう問題について緊急に、輸入炭を持っていくことができないというようなことでは、私は何ら一貫性のない政策ではないか。むしろそれよりも私は周囲に与える影響の方が非常に多いのではないかと、かように考えますが、いかがでございましょうか。
  469. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 阿具根君の御承知通り、国内の石炭でできるだけまかなおうというので、極力国内炭でまかなえるだけまかない、足りない分を輸入することにいたしております。従いまして、どちらかといえばわれわれは優先的に国内炭を考えておるのでございますから、爆発が起こったり、そういうことがありますとしょせん足りなくなる。先ほど申しましたように、鉄鋼の生産もこれだけの生産目標だというので、それにマッチしてやっておるわけであります。それが急に鉄鋼の増産がありますと原料炭が非常に不足する、それを入れておるのであります。ぎりぎり一ぱい見込んでおります関係上、こういうふうなことになっているのであります。初めから余裕のある予算ではない、なるべく外国炭を輸入しないという方針でいっているからこういうことになるのであります。
  470. 阿具根登

    ○阿具根登君 石炭の問題を論ずる場合に、雨が降れば電気が喜び、雨が降れば石炭が泣く、こういうことをいわれておるわけなんです。ですから私どもは、そういうような一つも余裕のない政策ではだめだ、だからポケットを作るべきである、こういうことを主張しておったわけでございます。おそらく、これは商工委員会でも質問いたしますが、その場合の答弁では、去年は雨が多かった、ことしは雨が少ない、こういうことを言われると思うのです。そういう、雨が降れば困る、雨が降らねば困る、あるいはストがあったら困る、こういうことで石炭の政策は立てられていいものであろうか、かように私は思うわけです。  また、一応、ストの問題を考えてみます場合でも、おそらく相手が非常に困るようなことを考えて、なるべく早く話し合いができるようにやっておるものだと私は思う。そういう場合に、政府が助け舟を出して、そうしてそういう緊急輸入をする場合には、早く済むストも長くなる。こういう結果になって、結果論から言うならば、政府がストに対して相手側に援助をさせておられる、こういうような考え方が成り立つのでございますが、これは間違いでしょうか。
  471. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) スト並びにロックアウトの相手は三井鉱山でございます。だからといって、その土地にありまする三池合成、三井化学が事業を停止するわけにはいきません。従いまして最小限度の輸入でまかなうよりいたし方がないのであります。
  472. 阿具根登

    ○阿具根登君 水かけ論になりますから先に進みますが、三井が今ロックアウトをやっておる。ロックアウトをやっておるからこそ全部の石炭業者は北海道からまでも石炭を運んできておることは御承知通りでございます。決して三井がロックアウトをやったから、あの合成や東圧の事業がとまる、そういうことは決してございません。しかし通産大臣は、これを非常に強く考えておられるようでございますが、そういうことのないために、ロックアウトをやった会社に石炭業界あげてこれに支援をし、そうして各所から石炭を送って、すでに毎日ストをやっておるところを中止してまで石炭を陸揚げしていることは御承知のはずでございます。ですから、通産大臣が言われるほど私は逼迫しておるものと思っておりません。  それから、もう一つお尋ねいたしたいと思いますのは、農林大臣がおられますから、農林大臣に御質問申し上げてからにいたしますが、有明海の干拓、柳川地先の干拓は十七億の金を投じて、七年間でたしか五百町歩の干拓を、これは失業救済なりあるいは農村次三男の対策なりとして農林省では非常に強く考えて打ち出された、かように記憶いたしております。ところが、たまたまそこの下が日鉄の鉱区になっておる。だから日鉄の会社が動いて、あそこの干拓をやっていただくならば、四千万トンの石炭が掘れなくなるから干拓待った、こういうことになっておると思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
  473. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) お話のような問題はある。ありますが、まだ、事業実施は手をつけておりません。昭和三十年から三十四年にわたりまして、佐賀県知事からの要請によりまして調査をしてみたのです。結局、調査の一番の問題点は、問題点の場所が日鉄の鉱区のある場所の土地になるわけでございます。それで、日鉄の方が石炭採掘をやりましても陥没しないかどうかという点にあったわけでございまするが、専門家を依頼いたしまして、これは慎重に調査いたしましたが、結局これは、干拓と採掘は両立しない、こういう結論に相なりましたので、六百数十万円の調査費を投じましたが、その干拓工事はちょっと手をつけがたいものである、かように方針をきめておる次第でございます。もっとも、その調査費に六百五十万円出しましたけれども、その調査費につきましては、日鉄鉱業の方で自発的に国庫に納める、こういうことを言っておりますので、ありがたくこれは受け取ろう、こういうふうに考えております。
  474. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういうふうに国費を投じて調査をした、ところが、調査をした結果、石炭を掘れば干拓したところが陥没するかもしれないからやめてくれと言った、だから今度は調査費用は業者からもらおう、こういうような考え方だから、世間は信用しないのです。たといそうであっても、業者から何のためにもらう必要があるか。だから業者はこういうことを自由に動かせる。たとえば四千万トンという数字がほんとうならば、百万トン出しても四十年間掘ることはできない。四十年間干拓することができないのです。また四千万トンがまるまる掘れないわけでなし、私は技術の向上と立地的条件を加味していくならば十分やれると思う。それをやれなくなったから、国が調査した費用六百数十万円を利益会社から国に返すから、だからこれをやめてくれ、こういうふうなことがどうして私は通るかと思うのですが、それが事態だと思っておられる農林大臣として、日本の国土を少しでも広くしたい、しかもあれだけの失業者がおり、あれだけの農村二三男対策が逼迫しておる、だから何とかやれ、とあれだけの熱望があったものを、会社がその調査費用を弁償するからこれをやめるのだ、こういうような考えでは私は農林政策はなっていかないと思うのですが、いかがですか。
  475. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 会社が調査費を返納するからやめたというわけじゃないのです。会社から調査費を返納することはこれはつけたりで、そういうこともある、こういうことを申し上げたわけでございますが、ともかく柳川下流地帯の海岸に七億トンの石炭が存しておる、こういう状況でございます。その一環といたしまして、問題の干拓地帯、これに七、八千トンの石炭があるだろう、こういうふうに言われておりまして、そういう大きな石炭資源の問題と連なる問題でございます。しかもこれが何とかして干拓と両立できまいかというので、学界の権威の方にもいろいろお願いいたしまして検討いたしましたが、さようなうまいわけにはいかない、こういう結論でありますので、やむを得ずこれは一応調査はしてみましたけれども、実行はいたさない。かように、産業計画全体という見地もこれあり、また会社との権利関係もこれあり、というわけで見送らざるを得ない、こういう結論を出したのであります。
  476. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは通産大臣に御質問申し上げますが、ただいまと関連いたしまして、今芦屋地区の駐留軍が全員引き揚げる。だからあの地区に二千人の失業者ができる。炭鉱の失業者とあわせて非常な大きな問題を起こしておるわけです。ところが、芦屋地区は航空隊がございまして、飛行場がございます。ところが、この下には五億トン近くの石炭が埋蔵されておる、こういうことを言われておるわけです。そういたしますと、開拓もやめて石炭を掘る、有望ないい石炭を掘るのだという通産省の考え方であるならば、この駐留軍が引き揚げた芦屋地区に五億トンからの石炭が埋蔵されておるとするならば、ここに縦坑を掘る意思がありますかどうか、お尋ねいたします。
  477. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 石炭の数量ばかりではいきません。だれが掘るかという問題もありますので、私は従来話がありましたように、地下資源の拡張ということにつきましては特に心を砕いているものでございます。有望であり、また適正な経営者があるならば、芦屋地区をやるのに何のやぶさかではございません。
  478. 阿具根登

    ○阿具根登君 芦屋地区はたしか私の記憶では三菱、麻生、それから宇部かどっかの鉱区だと思うので、非常に有望な人たちがおるのですが、大臣はそうお考えになりましても、あの芦屋地区を炭鉱にするということは相当な反対もあろうかと思いますので、ここで言明されましたことを一つ閣内で十分実現できるようにお願い申し上げておきます。  それから労働大臣質問をいたします。  御承知のように、三池のロックアウトが五十数日に及びまして、毎日の新聞でも非常に大きく掲げられておって、労使非常な感情的な対立にまでなっておるのでございますが、これに対してどういうお考えをお持ちでございますか。極端に申し上げますとロックアウトの先制はいいのであるか、どうであるか。労働法を考える場合に、労働者諸君と資本家の比重をどう考えられて労働法ができているものであるか、それも先制的にロックアウトをかけていく、いわゆる会社が自分の言うことをきかないならば働くことはいらないということは、飯を食うことはいらない、こういうことになるわけです。こういうことが実施されているのは正しいあり方であるか、それとも正しくないか、御意見を承ります。
  479. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) ロックアウトの技術的な、法律的な根拠は労調法の七条に争議行為として規定しております。争議行為は、労働者の争議行為の中、これに対抗する措置として事業場閉鎖というものがロックアウトとして規定されているわけであります。これは法律的には平等な立場で、同じような意味しかとれませんけれども、現実問題としては、やはりロックアウトを先制的にやったという例は非常に少ない。主としてやはり争議行為に対する予防的措置としてロックアウトというのが行なわれたのが大部分でございます。なお三池の争議は円満に早く妥結をすることを期待すると私が申し上げる以上は申し上げられません。
  480. 阿具根登

    ○阿具根登君 さらにお尋ねいたしますが、最近三池が二つに分かれて不幸な労働者同士の争いが起こっているわけですが、これに対しまして非常に強力に会社が動かしている、会社が動いている、こういう実例が多々上がっておりますが、これは不当労働行為になると思うのですが、いかがですか。
  481. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 労働法の精神は使用者が支配介入ということを意図してその行動を行なうということが限界であります。そこによってその違法かどうかという判断をすることであります。組合のみずからの力を弱めて使用者の自由になるような支配介入をするということが労働法における不当労働行為の一つの精神でなくちゃいけない。従って三池の場合はどうかというと、私も現実には存じておりませんが、おそらく今日地労委あるいは労働委員会においてこういうものはまず調査をされることが妥当でありますので、労働省で調査をしたこともなければ、これについて今日介入したということもございませんが、要するにやはり支配介入ということが労働法の不当労働行為の方向でございます。  なお三池のロックアウトのお話でございますが、これはやはり昨年の暮れからの争議行為、それからロックアウト、こういう順序を経ておりますので、一般的にはロックアウトを先制した例は非常に少ないということを先ほどの答弁につけ加えて申し上げておきます。
  482. 阿具根登

    ○阿具根登君 つけ加えられなかったならば了解できたのですけれども、つけ加えられたので質問をもっと続けたいと思います。昨年の暮れからの争議だと言われるなれば、三井全山やっているわけです。御承知のように三井には六つの炭鉱がございます。その六つの炭鉱が同じような争議行為を、同じ組織のもとでやっている。それに対して三池だけにロックアウトをやったということは、これは三池だけを目標にした先制行為だと、かように思うのですが、いかがですか。
  483. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 御承知のように、やはり全山のストライキにおきましても、ストライキの状況はおのおの各山において違っております。週に二回という強いストライキをやったところもあれば、ある時期においてはストライキをやる、しかし週二回という強いストライキをやらなかった山もあるかと存じます。従ってロックアウトの条件というものも、その山々によって違ったということは、これは争議のおのおのの条件が違うというように違うということもあり得るという意味でございます。
  484. 阿具根登

    ○阿具根登君 三井の場合は同じような指令のものでやっているわけなんです。たとえば三池なら三池だけがやっているわけじゃない。そこで本論に入りますが、その場合に会社が職制を使って、また各労働者の家族を訪問し、家庭を訪問し、組合の切りくずしをやっているという現実がありますが、こうなったらこれは不当労働行為だと私は思うのですが、いかがですか。
  485. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 具体的な問題は労働省で調査をいたしておりません。要するに、それは支配介入ということが基本になって、労働法を扱うときには判断をしなければならないことだと思います。一々個々の問題はやはりそれは所管の委員会というものが実情を調査すべき性質のものでございますので、まだ私どもの方でそういう一々の事例については調査も報告もいただいておりません。
  486. 阿具根登

    ○阿具根登君 事例の問題で大臣が御存じなからねばそれでいいのでございますが、私は言うようなことであったならば、支配介入であり不当労働行為であるかということを尋ねているわけです。私の言っているのが違っておるか正しいかということは、それは労働委員会でも調査になるでしょう。しかし、私がこういう傾向があるならば、これは不当介入であるか、不当労働行為であるかということを尋ねているわけでございまするから、あなたは三池のことをお考えにならずに、かりにそういうことがあるならば、それは不当労働行為だとおっしゃっていただければけっこうなんです。
  487. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 先ほどから申しましたように、支配介入を目的とする動きならば、これは要するにある程度警戒を要しなければならない。いわゆる労働法上においては支配介入によって判断をすべきであるということでございます。
  488. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういたしますと、組合を二つに割るために各家庭を訪問し、あるいは家族を訪問し、あるいはその他の外部の方々を利用して動いたということは、これは支配介入になり不当労働行為になる、こういうように判断してよろしゅうございますね。
  489. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) ただいままた阿具根委員から新しい言葉が出まして、今までは、組合員を二つに割るという話は別として、要するに組合を支配介入する意思のもとにそうして行動したというならば、これは不当労働行為の疑いがございます。組合を二つに割るという今新しい質問でございますが、これはまた別個の意味であって、支配介入ということがやはり組合を割る割らぬの一つの問題である。いわゆる支配介入のために行なうということは、これは労働法においては疑いの強いところでありますが、その行為が要するにその方向で判断すること以外は、家庭を訪問したからどうだということは、これは私は議論のあるところだと思います。要するに、支配介入という意思のもとに行動を行なったということが労働法の問題でございます。
  490. 阿具根登

    ○阿具根登君 私が質問をいたしておりますのは、支配介入をするための行為でございます。支配介入をするための目的を持った行為をやっておるのが現実であると、だから不当労働行為であるということを言っておるのでございまして、先ほどから申し上げますように、どこがどうやっておるからどうだということでなくて、そういう現実があるならば、これは不当労働行為だとはっきりおっしゃっていいと思うのですが、いかがです。
  491. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 各種の問題につきまして労働委員会で常に問題の多いところでございます。まあ、はっきり申し上げられることは、家庭訪問が支配介入を明確に意図しておるんだと、そうしてそういうふうにもうきまっておるんだというならば、これはそういう疑いが出て参ります。
  492. 阿具根登

    ○阿具根登君 さらにお尋ねいたしますが、去る十五日に組合が二つに割れた場合に、まだ割れた組合が結成もしておらないのに、会社側が、直ちに生産再開に応じる、あるいは団交に応じるというような発表をしたことは、これは労働法上私はおもしろくないと思うのですが、その点はいかがですか。
  493. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 組合の結成が、いわゆる組合の誕生でございます。誕生によっていわゆる団交権というもので交渉が生まれるわけであります。従って、会社の方がどういう発表をされたかそれは知りませんが、要するに、労働法上は、いわゆる組合結成、団体交渉という議を経なければおそらく先の問題というのは労働法上進まないのではなかろうか。ただ、各会社の方がどう言われたか、私は聞いておりません。しかし、労働法の解釈としては、組合の結成が組合の誕生、それから権利というものが発生する、それから順次権利の行使を行なうと、こういうことでございます。
  494. 藤田進

    ○藤田進君 関連して。不当労働行為の法の解釈について非常に限定されている印象を受けますから、この際確かめておきたいと思うのであります。すなわち、支配介入の事実とその意思、この二つを常に強調されていたと思います。しかし、現行労働法は、そういう狭義なものではなくて、今も触れられたように、労働組合法にはその団体要件としての員数とかいうものも明定はされていない。そういう性質のものであります。従って、組合を結成しようとするときに、これを結成させまいとする。これは、組合を支配介入するのじゃない。その団体ができる過程においても問題が出てきます。それから、労働法改正の際に本院でもいろいろ言われたところですが、不当労働行為という中で使用者の援助行為、すなわち、自主性、民主性を阻害する行為、これを禁止する、こういうふうな説明。相当広範に不当労働行為というものはわが国の特殊事情からも言い得るし、法の今日解釈の定説としても言われている、判例も示していると思う。従って、殺す気でなかったが心臓を突いたら死んだんだ、決して殺す気ではなかったんだというような言い方は、これは通らないわけで、しかも、それは、直接使用者、株式会社の社長がやらなくても、その監督下にある人たちがいわゆる不当労働行為を行なった場合でも法に照らしてこれは相当の処置がなされる、こういう筋合いのもので、今の議論の対象はもちろん民間の労使関係を論じているように思うので、この点はもう少し労働大臣におかれてそう狭義なものであるのかないのか、明確にしていただきたい。
  495. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 組合法が組合の育成と発展を期待するものでございます。そういう精神のもとに立っての支配介入でありますから、組合をなるべく結成せざるように、あるいはまた、できた組合を給与経理によって支配介入をするという場合には、これは不当労働行為の疑いが出てくる。ただ、阿具根委員答弁を申しましたのは、一番的確な例を申し上げた。この問題は、事実認定で非常に実は議論の多いところなんで、従って、総合的に申しますとかえって疑義が生まれますから、一番端的なところだけ申し上げたので、ここだけだというのじゃありません。私、端的に申せば、この点が一番問題点だ。それで支配介入の範囲はどうといえば、これは非常にむずかしい問題が出ております。従って、その事実において認定をする以外において、同じ行為をしましても支配介入にあらざるある程度の組合に対する援助━━事務所を貸すということは確かにこれは便宜供与であります。しかし、支配介入の意図がなければ、この事務所も、ある場合には不当労働行為にならないという判断ができるわけでございます。従って、その事実認定で参りませんとこの問題は非常に誤解を招くというので、阿具根委員にも一番端的な心臓部の実は御答弁を申し上げておるわけでございます。
  496. 阿具根登

    ○阿具根登君 非常に労使紛争しておる中で私が質問をいたしておりますから、労働大臣が非常に慎重なお答えをされておると思うんです。私は、それを離れて、ただ単なる三井の争議だということでなくて、現在の争議の様相を見てみます場合に、非常にロックアウトを使用者側が使うようになってきた。非常に争議が悲壮な姿を持ってきた。その裏には労働法を踏みにじっておる傾向が非常にある。いわゆる不当介入、支配介入というのが非常に行なわれておるではないか。それを、現実問題としてつかみにくい、あるいは広範囲であるというようなことで、その結論が非常に出されておらないということは、労働法を作られたときのあの精神が、十数年たった今日、非常に失われてきておる。こういうことを私は指さしておる。そうすれば、労使間の対立感情というものはますます深くなるであろうと、こういう憂慮から私は質問いたしておるのでございます。さらに、先ほど申し上げましたように、一方には三十三億からの金を支出している、一方では各労働者からそれぞれ数十円、数百円のカンパをいただいてやっている、こういう段階になっているのでございます。そうして非常な危険まではらんでいると私は考えるわけです。そのさそい水を、それに火をあおっている者はだれかということを考えてみます場合に、自分の目的のためにはあらゆるものを使っているというのが、今日の労働争議の実態ではなかろうか、かように考えるわけでございます。だから、もしも支配介入の目的をもって組合員の家族を、あるいは組合員を、会社の職制によって訪問する、あるいはこれに対してまあ脅迫というのが当たりますか当たりませんか、会社側についておかなければ、あなた方の将来保証できませんぞというようなことがなされているとするならば、これは不当介入であり、支配介入であると、こういうことになりはしませんかと、こういうことをお尋ねしているわけなんです。
  497. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 私は労働大臣でございますから、組合の育成と労働者の権利を守ることにやぶさかではございません。ただ質疑の中で、非常に広範囲な御質問でございましたから、私の方もなるべく整理しておりますから、事実問題としてそういう問題があるならば、地労委あるいはその当該委員会にずっと申し出ていただけば、厳重に私の方も審査いたします。すでに阿具根委員の御質問の問題は、三月十二日、地労委にある程度の問題が提訴されておりますので、その事実認定を私はいたす権利はございませんが、方針としては、私の方は不当労働行為については厳重に監督いたします。
  498. 阿具根登

    ○阿具根登君 この場で大臣に事実認定をしていただきたいと言っているわけではございません。私は法の解釈を労働大臣にただしているわけでございます。だから、事実の問題とは離れて、こういうことがあるならば、これは不当労働行為であるということがはっきりわかればいいのでございまして、事実認定は地労委でもやりましょうし、それはその他の機関でもいろいろ研究してくれるでしょうから、私はただ法の解釈をここではっきりさせておきたい、かように思うわけでございます。  さらにもう一つお尋ねいたしたいと思いますのは、そういう第二組合ができる前に、すでに会社は海を越えて船で畳を運び、食糧を運んで、籠城の準備をされている、こういうことが言われている。ということは、組合を支配し、二つにつたならば、一方の組合を自分の会社の中に籠城させて生産をするんだ、こういう一つの大きな路線が引かれているわけでございます。こういうことは法から照らして正しい行き力であろうか、正しくない行き方であろうか。こういうことが、労使のより以上な感情の対立から、血を見るような悲惨な状態に進んでいくのではないかと非常に心配するものでございますが、そういう点はどういうふうに法の解釈をされますか、お伺いいたします。
  499. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) ただいま阿具根委員の御質問のような事実は、私よく承知いたしておりません。どういう意味で、どういう方向で、どうやられたかということは私は承知しておりません。ただ、組合が、かりに一般的な意味で二つになった、二つになったから必ず支配介入できるかというと、そんなものでは私はないと思います。同時に、そういう精神を労働法は植え付けてはおりません。おのずから、組合員みずからが、組合内部の事情によって二つにする、二つになるということはあり得ることです。これを禁止は労働汁はしておりません。ただそれが、いわゆる会社側と言われましても、管理、監督にある者が意図してやったのか、あるいはその職員の方が自発的におやりになったのかという事実認定によっても、この答弁というものはおのずから変わってくるわけであります。従って、社長が命令して、みずから費用を出して、そうしてやったというなら、これは非常な疑い濃厚な問題だと私は思います。これらの事実認定をやらなければ、これはわりません。しかし、この国会で御答弁できるのは、そういう事実があるなら、これは支配介入の疑いが濃厚だとは申し上げられますけれども、一々事実問題で、会社側と言いましても、会社側にも職員組合もあれば、これも一般の組合であります、社長もおれば、いろいろありますので、そういうものは事実認定の上に立たないと、なかなか、この答弁というものはむずかしいものだと、こういうふうな考えを持っております。
  500. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは時間もないようですから、最後の質問でやめますが、労働大臣に私が御質問申し上げておりますのは、たとえば苫小牧の問題がございます。苫小牧の場合に、一つの組合が二つになって、そうしてその二つになった一つの組合が、団体交渉を申し込んで、生産再開を申し込んだ場合の処置であるならば、私はそうこういうところで労働法の問題を、解釈を迫る必要もないと思うのです。ところが、それが二つになる前に、二つになるんだ、なすんだと、しかもなったならば、生産再開に持ってくるんだ、持ってこさすんだという下心から、すでに籠城の準備をする、しかもわからないように、夜の夜中に海から船を使って畳を入れる、食糧を入れる━━食糧の問題は、食管法もあるでしょう。そういう食糧は自由に手に入らぬはずです。そういうことが行なわれているのが、これが常態であるとするならば、これは不当労働行為もはなはだしいものである、組合の分裂、ひいては支配介入を企図しているのだと、かように考えるわけですが、いかがですか。
  501. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) そういう事実で、やはり事実認定をしませんと、なかなか言えないのじゃなかろうかと、こういうふうな私は考えを持っております。
  502. 阿具根登

    ○阿具根登君 あの労働大臣は、先ほどから私が申し上げておりますように、事実認定だとおっしゃるなら、これはここで論議する必要はないのです。事実認定は現場の人がやりましょう。また調査されたらいいのです。だから、もしもそうであったならば、労働法上これは認められておるか、認められておらないか、こういうことを聞いておるわけなんです。法の解釈を言っていただけば、私の言ったのが事実に合致しているのか合致しておらないのかということは、地方労働委員会その他で十分調査されるでしょう。これは別の問題なんです。だから、労働法の解釈としてそういうことが許されるか、許されないかという問題なんです。そうでなかったならば、労働法では許されないとここで大臣がはっきりおっしゃっても、相手の人は、おれはそういう事実は行なっておらないといってやるでしょう。だから、それを規制しようとして私は質問しているのじゃないのです。法の解釈を、厳然とした解釈をしていただきたい、こういうことをお願いしているわけです。
  503. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 一般論としてではお答えいたします。一般論として、やはり支配介入の疑いが濃厚だという行動及びその他のものについては、それは労働法の不当労働行為の疑いが出て参ります。従って、これ以上は事実認定になりますけれども、一般論としては、支配介入の疑いが濃厚だという計画、その他の問題については、これは疑いが出て参ります。
  504. 阿具根登

    ○阿具根登君 これで質問を終わりますが、一企業の争議の問題で時間をとりましたことをおわびいたしますが、この一企業の問題が日本の労働運動と、あるいは日本の経営者の態度というものが集約された形になって、少なくとも総資本対象総労働、こういうような形になって、一企業の中で血みどろの闘争が行なわれておる。しかも最近よく言われておりますが、日本の炭鉱の労働組合はよくストライキをやる、よその国から比べて、非常にストライキをやると、こう言われておりますが、その反面また日本の炭鉱ぐらい首切るところは、世界各国広しといえどもないのだ、日本の炭鉱の労働者ぐらい悪条件で、しかも低賃金で働いているところはないのだ、日本の炭鉱ぐらい保安を無視してやられているところはないのだ、こういうことを言われておりますので、日本の炭鉱の労使がなぜこんな闘争を続けるかということにつきましても、所管大臣並びに通産大臣の十分な一つ御検討をお願い申し上げたい、かように思います。  質問を終わります。(拍手)
  505. 小林英三

    委員長小林英三君) 藤田進君。
  506. 鈴木強

    ○鈴木強君 議事進行。今、本会議の方で、国会周辺デモの委員長報告に入ったんですよ。もう五分以上過ぎておりますから、一たん休憩して下さい。そうして討論採決が終わったあとにしていただきたい。休憩の動議を諮って下さい。(「異議なし」「鈴木君の提案に異議なし」と呼ぶ者あり)
  507. 小林英三

    委員長小林英三君) 暫時休憩いたします。    午後四時四十三分休憩    —————・—————    午後六時九分開会
  508. 小林英三

    委員長小林英三君) これより委員会を再開いたします。休憩前に引き続きまして、質疑続行いたします。藤田進君。
  509. 藤田進

    ○藤田進君 企画庁長官御欠席のようでありますから、防衛関係についてお伺いいたします。  先般十四日に、災害救助対策について、港湾舟艇大隊の新設ということが防衛庁方面から発表されたように聞いておりますが、新聞等でこれを私見たわけでありますが、詳しい事情を御説明いただきたい。
  510. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 先般の本委員会で、災害の常時対策について申し上げたのでありますが、平常時においてどういう対策を講じているかということについて申し上げたわけでございます。その中に舟艇隊という話があったじゃないか、こういうことでありますが、私といたしましては、舟艇の小さいものも装備としては考えられますが、応急対策といたしましては、建設大隊あるいは施設大隊あるいは地区施設隊というものを設けて、それに今までよりもより一そう災害に出動できるような態勢を整えるということ、それから装備、器材等についても考える、その中では、ヘリコプターとか、建設用車両あるいは通信施設及び通信器材の増強、こういうことも申し上げたつもりでございます。なお、常時地方公共団体と緊密な連絡を保っていく。すなわち警察、国鉄、気象庁、電電公社と連絡を保っていく。あるいは警備地誌でありますが、警備のために災害の発生場所とかあるいは規模等を予察するために地誌の調査整備をする。それから、地区施設隊の増強は、先ほど申し上げた通りであります。こういうことを対策として考えておるということを申し上げた次第であります。
  511. 藤田進

    ○藤田進君 陸上幕僚監部の結論として、昭和二十六年度第二次防衛計画の一環として、これを織り込んで実施をはかるということになっているわけですが。いかがですか。
  512. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 陸上自衛隊ばかりでなく、陸上、海上、航空、三自衛隊におきまして、災害の出動ということも、自衛隊法にきめられているごとでありますので、また、昨年の災害等にもかんがみまして、一そうこの方面を強化する必要がある。こういう観点から、陸上におきましても、海上におきましても、航空におきましても、災害出動及びその訓練、教育等について一そうの努力をして、災害に十分役立つようにするという考えをもって進めております。
  513. 藤田進

    ○藤田進君 新聞の所報では、かなり詳しいことが載っておりますが、これは正式な発表ではないのですか。
  514. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 正確な発表ではございませんけれども、そういう準備を着々進めており、新聞の発表のような方向でやっていることは事実でございます。
  515. 藤田進

    ○藤田進君 その中で、赤城防衛庁長官が、地方自治体に対して、その連絡等について要望を伝えて、そうして部内においては、陸上幕僚長を通じて各地方総監に趣旨の徹底をはかる通達をしたとありますが、どういう通達ですか。
  516. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 先ほど申し上げましたように、地方公共団体と緊密な連絡をとるという考え方から、地方公共団体等に、自衛隊として災害出動に対する態勢も一そう整えているから、出動を防衛庁長官に稟請しなくても、地方自治体限りにおいて、緊急の場合には、地方の出先において出動してもよろしいというようなことなどを通知してあります。すなわち、緊急のときには、地方で連絡をして、地方の出先のわれわれの部隊と話し合って、そうして部隊が直ちに出動できる、こういうふうな形をとりたいので了承してほしい、こういう通知を地方団体あるいは地方自治体等に出しております。
  517. 藤田進

    ○藤田進君 そうなりますと、従来災害等の出動については、都道府県知事の要請によるということが自衛隊法に規定されておりますが、この点の改正を伴う手続になるのかどうか。
  518. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 災害の派遣につきましては、自衛隊法八十三条の二項に、「長官又はその指定する者は、前項の要請があり」、これは派遣の要請でございます。「要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等を救援のため派遣することができる。但し、天災地変その他の災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、部隊等を派遣することができる。」こういうことになっておりますので、一応「長官又はその指定する者は」ということで指定をいたしましたり、または、その事態に照らし特に緊急を要する場合には、要請を待たないでも出動することができる、こういう規定がありますので、特に自衛隊法を改正する必要はないと思います。
  519. 藤田進

    ○藤田進君 第八十三条の二項は例外規定じゃありませんか。
  520. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 例外規定でございます。しかし、この例外規定を十分に活用したい、こう考えております。
  521. 藤田進

    ○藤田進君 しかし、それは自衛隊法のときにもいろいろ議論があったところでありますが、都道府県知事の要請で受けて立つということで、これが一般化すれば、この立法当時の精神をも大きく曲げることになり、そうだとすれば、当然法の改正をすべきじゃありませんか。
  522. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 原則は原則でありますが、すべての法律に、その他にもありますように、例外も設けて、こういうその例外が相当活用される場合も、これはあるわけでございます。でありますので、改正をいたさなくて、この例外の活用をはかるということが私は時宜に適しておる、こう考えております。
  523. 藤田進

    ○藤田進君 例外が一般化してくれば、その法を改正して、立法府の意思に向うというのが、これが建前でなければならぬと思う。いかがですか。
  524. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 例外でありまするから、それを一般化するということではありません。しかし、例外を十分に活用するという方針であります。もちろん、すべての法律におきまして、例外が原則のような形にこれは変わる場合もあります。しかし、今の自衛隊の関係におきましては、例外は例外として、それを十二分に活用する、こういう方針で進みたいと考えております。
  525. 藤田進

    ○藤田進君 この発表による通達並びに地方自治体に対する連絡等から見れば、都道府県知事の要請ではなくて、今の第二項を主体にしておられる。都道府県自治体に対しては、若干の自衛隊員を駐在させるということも言われていますが、どうですか。
  526. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 原則を変えるというわけではありません。原則は、当然都道府県知事等の要請によるということを前提といたしまして、緊急の場合その他があるので、この例外を十二分に活用するということであります。同時に、各県等に連絡員を出しておきまして、そういう災害等の場合に、地方自治体ことに府県知事等と緊密な連絡をとらせる、こういう方針で通達も出してあるわけであります。
  527. 藤田進

    ○藤田進君 米軍から水陸両用車を若干借り入れるということですが、具体的に話が進んでおるわけですか。
  528. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) そういう希望を持って話は進めておりますけれども、まだ具体的に実現するというところまで行っておりません。
  529. 藤田進

    ○藤田進君 これは、どういう性能を持ったものですか。たとえば、上陸用舟艇の種類とか……。
  530. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 事務当局から御説明いたします。
  531. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) この間の災害等の場合に、やはり水陸両用車のようなものがありましたら非常に便利だろうということで、一般的抽象的に話をしているわけでございます。水陸両用の車両と申しましても、いろいろ種類があるようでございまして、どういうふうな車両がいいのかというふうなところまで詰めるところまではまだ行っておりません。
  532. 藤田進

    ○藤田進君 この災害対策の大隊というのは、全国でどういう編成になりますか、人員と器材。
  533. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 防衛局長から御説明させます。
  534. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 災害対策の部隊と申しましても、特別なものがあるわけではございません。全般の部隊が災害の場合には協力するのでございますが、特にそのうちで一番役に立つと思われますものは、施設部隊でございます。もちろん、通信隊も役に立ちますし、航空隊も役に立ちますし、衛生隊も役に立ちます。一番直接的に役に立つものは施設部隊であると思うのでございます。施設部隊といたしましては、各管区隊及び混成団に施設大隊が一つずつございます。合計十でございます。そのほか独立の施設大隊九つ、建設大隊三つ、地区施設隊が二十、合計四十二あるのでございます。
  535. 藤田進

    ○藤田進君 次に移りますが、現在の三自衛隊、なかんずく陸上自衛隊の主力をなす部隊、これに関連する兵器は何と見てよろしいですか。
  536. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) お答え申し上げます。  陸上自衛隊といたしましては、御承知のごとく、方面隊、管区隊、混成団というふうな編成で第一線の部隊があるのでございます。装備といたしましては、管区隊で申しますと、これは、普通科の方の部隊は、御承知通り、小銃、機関銃、追撃砲程度のものを持っております。特科の部隊は、百五ミリ、百五十五ミリというふうな大砲を持っておるのでございます。そのほか特車は、M24、M4というようなものがございます。施設部隊は、ブルドーザー、レーダー、クレーン、シャベル、ダンプカー、こういうようなものを持っております。大体におきまして、一管区隊あたり車両といたしましては、千七百両くらいございます。  このほかに、第一線部隊として直轄の部隊がございます。これは、それぞれで特科の部隊とか施設の部隊とかございますが、このうちの特科の方の部隊が管区隊や混成団の持っております部隊よりか若干高度の武器を持っておりまして、特科の部隊で申しますと、直轄の特科部隊は、百五十五ミリのもののほかに八インチ砲を持っておるのでございます。
  537. 藤田進

    ○藤田進君 各管区約千七百の戦車、これは特車と言われておりますが、これは、どういう事態にどういう作戦なり用兵という見地からこういうふうになってくるのか、お尋ねいたします。
  538. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 車両千七百両と申しましたのは、これは特車ではございません。一般車両でございます。特車は、一管区当たりの大体六十両余り持っております。何と申しましても、陸上自衛隊におきましては、野戦の場合におきましては、特車というものが中心の武器になるわけでございまして、これによりまして防衛の責任を果たす。他の武器は、これを支援し、これに協力するという形になる場合が多かろうと思います。
  539. 藤田進

    ○藤田進君 午前中の永末君に対する答弁の中では、間接侵略でなくて、むしろ直接侵略を主体に日本の自衛隊の装備その他の計画を立てているということでありました。その通りでございますか。
  540. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 自衛隊の任務が直接及び間接の侵略に対処するということになっております。また、公共の秩序の維持、こういうことになっておりますが、午前中の答弁のように、力を最も入れておるのは、直接侵略に対処することであります。そのこと自体は間接侵略にも対処する、こういうことになると考えておりますので、直接侵略に対処するという考え方で訓練、装備を進めております。
  541. 藤田進

    ○藤田進君 大蔵省発行による日本の財政というところにある説明によりますと、各管区に特車千七百台、いろいろ書かれてありますが、人員は一万二千七百人の自衛官と特車千七百台とからなっている。混成団の方は六千人であって云々という点と、今の防衛局長の御答弁と違うように思いますが、これはどうですか。
  542. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) そこに書いてあります数字の千七百両と申しますのは、おそらく管区隊の全保有車両だと思います。これはお尋ねの機会にも御説明があったと思いますが、今自衛隊で持っております特車は全部を合わせまして七百数十両でございます。
  543. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、先般の公聴会で参考人等の意見を聞きましても、全面戦争はないんだと、局地戦争ということの可能性を強調されていたと思います。防衛庁長官は将来そういった事態があるとすれば、どういう態様を考えられていますか。
  544. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 私も全面戦争とこういうものは、非常に起こる可能性は少ないと、あるいはないのじゃないかというふうに思っておりますが、しかし、局地的な戦争、局地的な紛争は全然ないという保障はない、こういうふうに考えております。でありまするから、自衛隊といたしましては、局地的な紛争が起きないように、また起きたならばそれが全面戦争等に発展しないように対処しなくちゃならぬと思っております。しからばどういう態様でそういう局地戦争が起きるかというようなことでありますが、これはなかなかむずかしいことだと思いますが、とにかくそうものが起きるとすれば、起きないようにしておるのでありますが、起きるといたしますれば、やはり空から侵入されるということ、それから海の港湾あるいは何といいますか、輸送を遮断されるということ、あるいはまた上陸をされる、こういうような態様で起きると思います。もちろん日本日本の憲法の定むるところによって海外出動してよそに出て戦うというようなことはありませんが、日本の自衛のためにあるわけでありますから、その間には今申し上げたような態様は出てくる、局地的な紛争、局地戦争というものは、そういうふうに考えております。
  545. 藤田進

    ○藤田進君 紛争原因はどういうふうに想定しておりますか。
  546. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 紛争原因は、これは種々雑多だと思いますけれども、ただ、私どもは局地的な紛争がないという保障はないということを申し上げるのは、東西両陣営に分かれておりましてはその東西両陣営が戦争を抑止しようという形において、今軍縮とか雪解けとかいう形が現われております。しかし局地的に言いまするならば、ヨーロッパにおきましても、東西両陣営に分かれておる。ドイツの西ドイツ、東ドイツの関係、あるいはベルリンの関係、あるいは中近東の関係、あるいは中共とチベット、あるいはインド国境との関係、あるいはベトナムが分かれておる関係、ラオスの関係、あるいは台湾の関係、あるいは朝鮮の関係というふうに、この接触している局地的に紛争の種といいますか、そういうものはこれは話し合いによってなくすべきであると思いまするけれども、まだ全然なくなっておらぬということでありまするから、そういう面から、あるいは局地の紛争が起きるかもしらぬ、また起きないという保障はない、こういうふうに考えておるわけであります。
  547. 藤田進

    ○藤田進君 しかし、管区をそれぞれ現在もあるようにきめられる以上、あらゆる情勢を判断して、これが配置をされるし、またこれに付随する兵器も適切な防衛効率を上げるための配置をされているというふうに考えなければなりませんが、今あげられたベトナムその他西欧諸国の関係は、いずれも国境を接する、しかも陸続きで国境を接する事例であります。わが国のように大洋の島にある国として、これと同じような国境紛争が起きるということは、現に李承晩ラインというものがあるが、これも平和外交でもってというしばしばの御答弁であります。だとすれば、わが国の大きくは四つの島、これをめぐる局地戦争というものが、どういう要因でどういう態様であるかということは私ども地方に参りましても、国民が非常に疑問としているところであります。わが国の特殊事情からどういうことが予想されるかをお聞きしたいのであります。
  548. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 私は局地戦ができることを欲しているわけではないのでありますし、局地戦ができるという可能性を強く主張しているわけでもありません。局地戦がない、局地的な紛争がまたないという保障はないのだ、こういうふうに考えておるわけであります。そこで、日本が島国であり、陸続きの国境は持っておらぬ、こういうことはお話しの通りでありますけれども、やはり現在におきましては、海も空もこれはやはり国境を接しているような事態だと思います。世界も非常に狭くなってきているようでありますから、やはり海に囲まれているから国境を接していないと、ということには考えられない。物理的には国境を接しておりませんけれども、やはり事態といたしましては国境を接していると同じような形に考えていいのじゃないか、こういうふうに考えます。
  549. 藤田進

    ○藤田進君 言葉をかえれば、日本海なり太平洋なり、あるいはインド洋なりを渡って日本のいずこか、あるいは全部かを占領するなりなんなりという意図を持って来ると、間接侵略よりも直接侵略を主にした防衛体制を整えるという考え方が一貫している以上、何かそこになくてはならぬ。航空機をもって、有人機などによって爆撃をするということだけが、局地戦にいたしましても目的ではないはずであります。そこに日本をめぐる資源の関係とか、あるいはその他の何らかの外交上あるいは経済上の問題がなくてはならぬ。われわれは不幸にして現時点における一般の国際情勢から見て、局地戦が起こり得る要因というものを見出しがたいのです。李承晩大統領が信任されることでありましょうが、これが竹島ではどうもがまんできないので、さらに攻めて来るということがあるかどうかといったようなことを考えて見ても、どうもそこまで考えられない。しかし一方、防衛第二次計画も立てられるという確固たるものがある以上、ことに仮想敵国であるとかなんとかいうことは別にいたしまして、一応の目標というものがなければならん。過去の防衛も追いつき追い越し、大砲と軍艦の舷側の鉄の厚さというものは御承知のような追いつき追い越しをやってきたわけであります。追い越されまいとする、今でも同様だと思います。
  550. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 直接侵略がないという保障はない、こういうことを申し上げておったのでありますが、今やはり日本が、日本自体で日本の平和と、安全を守るこういう態勢を整えておりますから、私も藤田さんのお話のように、今直ちに日本に局地戦が起きるとは考えません。しかし、これはこういうものを持って日本の態勢を整えておるから、私はそういうふうになっておると思います。全然日本の自衛力というものを放擲しておくということになれば、これは局地的な紛争といいますか、可能性が起きる率は非常に多くなると思います。でありますから、私はこういうものを持っていることが、すなわち今直ちに局地戦が起きるというふうには考えられておりませんが、起きないという保障はない、こういう考え方から、日本の自衛態勢も整備しておくことが、日本の平和と安全のためである、こういう観点に立っておるわけであります。
  551. 藤田進

    ○藤田進君 だけれども、漸増方針でこれを強化していくということなんですから、今の態勢があるから来ないのだというならば、今の状態を堅持すればいいでしょう。これに安保条約というものが成立すれば、アメリカがともに集団的な形で守ってくれる、国際連合憲章がある、こうおっしゃるわけで、国民の疑問とするところは、それならば、なぜ増強していかなければならないか、これではなかなか納得がいかない、今の御答弁では。はたして局地戦争が起きるとすれば、その発火点というのは海上において起きるのですか、空中において起きるのですか。
  552. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 防衛力を維持、増強していくというのは、やはり世界の防衛態勢というものも相当進歩しております。それにやはり歩調をそろえる、全部大国と同じような歩調というわけには参りませんけれども、日本の国力に応じてある程度の歩調を合わせる、こういうことで、いつまでもとどまっておったのでは、やはり防衛態勢としてはよいものというわけには参らぬと思います。  そこでもう一つの、発火点はどこにあるか、こういうことでありますが、この局地戦衝突でも、海とか空とかに発火するわけじゃありませんで、やはりその原因というものがあると思います。その原因というものは、衝突の前に国際的な不安紛争、そういうものがあって、それが武力に訴えるか訴えないかというようないろいろな問題もありましょうが、日本ではとっさに武力に訴えることは全然考えておりませんけれども、そういうもとの関係があって、それが武力的にはどっかで衝突する、それが海か空かということで、海か空かから始まるのではなくて、そのもとがあると思います。
  553. 藤田進

    ○藤田進君 各自衛隊については、月月火水とはいわなくても訓練されておると思う、また演習されていると思う。これが古今東西を問わず、一つのここに想定をしてやることは、今も変わりはないと思うのです。どうなんですか。
  554. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) もちろん演習をする場合に、向こうからどのくらいのものが入ってきた場合には、どういうふうにするというふうな想定をしなければ、演習にならぬと思います。
  555. 藤田進

    ○藤田進君 それを聞いているわけです。演習の場合の相関関係、どういうふうな想定でやっているか。
  556. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これは別にどこの国を敵国とするということでなくても、演習には、こっちの部隊に対して向こうにやはり部隊を作ってみて、そうしてそういう部隊と訓練をするのですから、これはまあ幾らでも訓練ができると思います。
  557. 藤田進

    ○藤田進君 それならば、子供の兵隊ごっこと同じじゃないですか。そんなばかげた、国民の血税を使っていくのに、そんなことではないだろうと思う。いかに現在の防衛庁といえども、国防のやはり効率を上げていくということになればそんなしゃあしゃあとした答弁を、あるけれども言えないならば、言えないということでなくちゃならないと思う。
  558. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 再々申し上げておりまするように、最近の軍事力についてはよく調査もしているわけでありますから、そういう最近の軍事力に対処してどういうふうにするかということで訓練しております。しかし、仮想敵というようなことは、私はこれは再々申し上げておりまするように、これは敵国というものを作ってやるのは、これは中ソ安保条約等においてはこれは仮想敵国というものを設けております。あるいはワルシャワ条約においても設けております。しかし、安保条約において仮想敵国というものを設けてこの条約を締結するというわけじゃありません。世界全体が東西両陣営に分かれて、それが集団的な防衛体制から私は戦争の抑制力に変わっている。どこの国と戦いをしてという個々的に一つの国が仮想敵を考えるという時代ではない、事態ではないと大きく考えられている。その中のやはり戦争の抑制力に私は協力するという形で日本の自衛力というものがある。しかし、抑制力として持っていくためには、やはり相当精強なものでなければ抑制としての力を持たぬ、そういう点から考えて、日本におきましても日本の国力、国情に応じて、あるいは日本の地勢に応じて、相手方が侵入するとするならばどれくらいのものかと、こういうふうなことは、これは考えられます。しかし、どこの国が入ってくるとか何とかいうことをはっきりきめて、そして訓練、演習をしているというふうな、仮装敵国を設けてやっているというわけじゃありません。しかし、近代の兵力あるいは装備等に対してどれくらいまで日本が防衛態勢でやっていけるかというような演習はやっているわけであります。
  559. 藤田進

    ○藤田進君 私は、高度な防衛論争をやろうというわけではなしに、素朴な、国民としてはいろいろな疑問を地方へいくと投げかけてくる。私どものこれに答えるのは、結局使いものにならないむだ使いしているのだということになるわけで、堂々とこの委員会を通じてなるほどというものを聞き出してみたいと思う。結局戦車隊を中心とし、若干の火砲を持つということは、海外にこれを持っていかないということが大前提であることは、今言われている本土作戦を用意しているということは、はっきり言えるのじゃないですか。
  560. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) もちろん、日本の自衛というものは本土作戦であります。でありまするから、先ほども御質問がありましたように、態様というものがどういう形でくるか、これはいろいろあると思いますけれども、空からも、海の遮断も、あるいは日本の上陸というような態様もある、こういうふうに申し上げたのでありますから、日本本土において防衛するという形は今御指摘通りであります。
  561. 藤田進

    ○藤田進君 従って、今陸上自衛隊が中核であります。若干の火砲戦車がこのまた中核となる。これはわが本州並びに四国、九州、北海道、これらの広野が戦場となるということを意味しているのじゃありませんか、想定は……。
  562. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 戦場にならないように演習をしておるのでありますが、戦場になることも予想しながら、それは演習いたします。
  563. 藤田進

    ○藤田進君 言葉じりをとらえるわけじゃありませんが、今の演習をされるのは、戦場にならないような演習ということはかって奇襲上陸をし、あるいは真珠湾の奇襲攻撃をする、先制攻撃ということ以外に、わが国土に、あなた方の主観からすればですよ、攻めてくるどこかがあるとするならば、現在の演習そのものが攻めて来ないようになるということは、これなかなかむずかしい問題である。日本には相当頑強な防備があるから行くのはやめようということにはならない。時間がないから長いことを申し上げなくてもよく御存じだろうと思う。日本の自衛隊が無傷で相当な火力を持っているときに、いきなり日本本土に落下傘部隊がおりてくるというようなことを予想しているのです。かつての戦争でも後方はすでにたたかれている、生産力その他兵力が破壊されて初めて上陸作戦をするかどうかということになる、これは十五年も前ですが、飛んでくるのが、有人機で爆撃してくるのが、ロケット、誘導弾かという違いの大きな変遷はあるけれども、実際の作戦、用兵戦略というものについては根本的には変わりがないから、これは兵器を持って日本本土で待ち受けて迎え撃ってという想定のように思われる。そうだとするならば、後方はすでにたたかれておる、本土の戦力は破壊されておると、こう考えざるを得ないのじゃないですか。
  564. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 私は日本が侵略されないような演習をしておるということを申し上げたのは、そこまで攻めるとかいうことじゃありません。あるいは先制攻撃をするという考え方じゃありません。先ほど申し上げましたように、基本的な考え方からすれば、戦争の抑制力、作戦抑制力として帰納しておるのでありますから、常に訓練をして、来たならばこれを反撃するぞと、こういう形の訓練が侵略をいさなわない、侵略をさせないような形になるという意味で申し上げたので、決して先制攻撃をするとか、そういう意味で申し上げたわけでございません。
  565. 藤田進

    ○藤田進君 だけれども、いきなりそれじゃ落下傘部隊でおりてくるという想定になるのですか。戦車を使う場合、それに備えるというわけですか。
  566. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これはいろいろあると思います。
  567. 藤田進

    ○藤田進君 それを言って下さい。
  568. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これは私が申し上げるには時間が足らぬくらいでありますが、態様はそれはいろいろあるので、これはそう申し上げてもしようがないと思います。そういうものが来ないように訓練をしているのが大前提です。これが一つ。それから、次には、これは制空権という問題がありますので、空から入ってくるのが一番先だと思います。あるいは海を押えて、港湾あるいは機雷を敷設する、こういうこともありましょう。潜水艦の近つくのもありましょう、こういうことです。それから最後に、日本を侵略するならば、落下傘部隊、空挺部隊とか、こういうものによって日本に上陸するということも想定されないわけではありません。態様にはいろいろあると思います。そういうことは何千年かみな考えてきたことで、態様はいろいろあると思います。
  569. 藤田進

    ○藤田進君 いや、いろいろあるから狭めていくと、特車、いわゆる戦車ですね、戦車は、海上にやってきた、上陸用舟艇がきたといっても、そう射程もないわけでありますから、純然たる陸戦でしょう。そうすると、落下傘部隊がおりてくるというと、想定も、各地どういう所におりるかという条件調査もされてるいだろうと思う。戦車だけ使う様態だけ聞かして下さい。戦車をどういう場合にどうするか。
  570. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 相手方、これを敵軍といいますが、敵が上陸いたしまして衝突する場合に、向こうも、これは空挺ということになれば、戦車などもこれは空挺いたしますから、戦車なども来るでしょう。そういう場合に、こちらも黙っているわけにはいきません。戦車を出して大いに日本の防備に努めます。
  571. 藤田進

    ○藤田進君 そうしますと、本土作戦を用意されて、戦車は空挺戦車隊がおりてくるということのようですが、そうすると、当然ここに、本土作戦ですから、海洋関係はいろいろ石油なり、ゴムなり、あるいは食糧なり、補給線は、これは午前中も議論されたところでありますが、国内において相当な消耗をすると考えなければならない、この点はどう考えるか戦力の消耗。
  572. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 今申し上げましたのは態様の一つ、何かを言えということですから、態様の一つを申し上げたので、そればかりではありません。いろいろ態様はあると思います。もちろん、そういう衝突をいたしましたならば、これは両方とも消耗いたします。
  573. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、今の考え方を要約すると、日本の陸上自衛隊は、戦車を初め無傷、まあほとんど無傷なときに、これを迎え撃つだけの態勢のあるときに、おりてきて、空挺部隊が。本土作戦を相手はやるという想定のように思われる。私どもはそんな態様はないと思う、こんなばかげた。同時に双方とも消耗するということで、結局その戦争というものは、局地戦争にしろ、消耗し尽くしてしまって、ただ人命、その他の国の財産を失い、国際的には信用を失って、結局第二の敗戦を迎えるということになるのじゃないですか。
  574. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 国連の機構もありまするし、いろいろあります。しかし、そういうことを捨てておくというわけには参りません。近い例は、朝鮮におきましても、南北朝鮮が争ったという例もあります。これで第二次大戦みたいな結果になったわけでありませんで、国連や、その他で平和解決をしようというようなことでおさまった例もあります。でありますから、何も第二次大戦のように戦って、そうして負けて屈服するためにやっておるのだ、こういうふうな考え方は少し飛躍しているのじゃないかと思います。
  575. 藤田進

    ○藤田進君 いや、戦争はだんだんと飛躍していって、不拡大方針をとっても拡大されていくわけですね。従来の歴史が示しておる。今の予備自衛官は一万五千ですか。
  576. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 三十五年度で予算にも要求をお願いしていますが、一万五千人であります。
  577. 藤田進

    ○藤田進君 それはどういう計算で、一万五千でいいというふうなことになっているんですか。
  578. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 防衛局長から……。
  579. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 予備自衛官を一万五千人と組みましたのは、昭和三十二年度当時でございます。私どもといたしましては、予備自衛官につきましてはもう少し数がほしかったわけでございますが、当時の除隊者等の数からいたしまして、現在の除隊者が大体十万人ちょっとあったと思います。そういうところから計算いたしますと、建前として在隊しておった者で退職した者の中から、希望によって募集採用しようという建前をとったものでございますから、一万五千人くらいの採用ということで入れたわけでございます。
  580. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、彼我の消耗があるという前提のもとに言われているのに、私どもの基本的な考え方は違うわけですが、あなた方の議論に巻き込まれてみて一つ事情を聞いてみたいと思って申し上げているわけです。彼我の消耗があった場合に、一万五千本年度もそうだということになるとすれば、人員はそうでありますが、補給線の関係からいうと、その戦車自体が国産中型戦車ですか、特車、写真を出して、あなたの方で発行された防衛庁の現況にもはっきり出ているように、こういったような関連からするならば、結局このような自衛隊、特に陸上自衛隊というものが、はたして近代戦に耐え得るかどうか。また、その態様がこの自衛隊の編成なり質なり、こういったところから見て、これでやり通せるかどうかということになって、結局国の予算その他からもとに返って、国防をどうするかということで、議論も分かれている面もあろうかと思うわけです。予備自衛官等について足りないということですが、将来の計画はどういうふうに考えておられますか。
  581. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 御質問の前提が全然違っています。戦争をするためにやっているという御前提でありまするし、また第二次戦争前みたいにそこまでいってやるというようなことではないか、そうして一国と一国が戦争をする、こういうふうな御前提の質問のようでありますから非常に違っています。私は一国と一国が戦争をするというような態勢ではない。やはり国連というものができてきましてからは、そういう態様でなくなってきていると思います。そうしてまた、紛争が起こった場合におきましても、安保理事会等において阻止する、こういう機構ができておる。こういう形でありまするから、日本が今どこの国かと日本だけで戦争をした場合、その場合にどうなるかという御質問は、前提の上において私と非常に違っておりまするから、どうしても答弁も食い違う点があると思います。
  582. 藤田進

    ○藤田進君 いや、だからあなたの方の立場を聞くつもりで私は聞いておるわけですから、そうすれば国連警察軍なり何なりが来るまで耐え得るという考え方になっておるわけですか。
  583. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) もちろん、全力を尽くして日本の平和と安全のために対処いたしますが、国連の機構によってこういう紛争を解決するということも考えておるわけでございます。
  584. 藤田進

    ○藤田進君 今考え得る日本の防衛力からして、どれくらいその期間は持つのですか。国連の行動があるまでの間といっても、これはばく然としております。
  585. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) それはそのときの侵略の態勢等によってきまることで、今一がいに申し上げるわけには参りません。
  586. 藤田進

    ○藤田進君 しかし、いやしくも第一次防衛計画さらに第二次防衛計画、国の力というものもむろん制約があるけれども、しかし防衛庁自体としては、その長期計画の中に一つの想定があって、国をこれなら守れるという自信がつかめなくちゃならぬ。そのためにはどの程度の期間守り得るのか、いろんな態様を考えた上での事柄でなければならぬと思うわけです。観艦式をやるためになるべく舟艇が多くいれば威勢がいいとか、なるべく大ぜいいた方がどうもおもしろいとか、そんなふまじめなことで防衛計画がきめられることじゃないと思う。
  587. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これは態様によって変わりますから、先ほど申し上げましたように、一がいに一年とか二年とか、あるいは半年だとか、こういうふうには申せません。態様によって半年の場合もありましょうし、あるいはもっと長く耐え得る場合もありましょうし、あるいはもっと少ない場合があります。
  588. 藤田進

    ○藤田進君 その最も危険性を考えた上での防衛計画じゃないのですか。
  589. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) いろいろな態様を考えての防衛計画でありますが、先ほどから申し上げますように、日本だけでこれを戦争するとか、これで防衛すると、こういうような態勢とは、あるいは戦争を日本だけで戦争する、国内戦におきましても、日本だけが戦争するこういうような態様ではないということを重ねて申し上げておきます。
  590. 藤田進

    ○藤田進君 だから援軍がくるまでの想定をどう考えているのかということを、さっきから聞いておるのだ。
  591. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) いろいろな場合は考えておりますが、それはまだ申し上げるところまで、これは態様がわかりませんと言われません。
  592. 藤田進

    ○藤田進君 考えているが言われないというのは、軍の秘密の関係ですか、どういうことですか。
  593. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 態様がいろいろありますから、それに対してどの態様で対応する形だか、こういうことははっきり申し上げられるようなことではありません、こう申し上げているのです。
  594. 藤田進

    ○藤田進君 だからその態様をいろいろ想定してこれに対抗する手段を講じるのだが、それは言えないのであるけれども、言えないというのか、予想がつかないというのか、それを聞きたいのです。
  595. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これは言えない面もあります。しかしまた、態様によって違うのでありまするから、はっきりこの場合にはこれと、こういうことがきまっているなら、もう問題ないのですけれども、そういうものはさまっておりません。先ほど申し上げましたように第二次大戦でも、どこの大戦でも、そういうものがきまっておって、これだけで対応できるなら、これでやれるということなら、もうこういう紛争や何かを武力によって解決するなんていうことは、これはすぐにできるようなわけでありましょうけれども、それができないところに問題があるのであります。態様のいかんによってはどういうようになるかわかりませんから、その点をはっきりとこの態様ならこの態様で日本はやっていくということを、はっきり申し上げるまでにはできておりませんということを申し上げておる次第でございます。
  596. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、防衛力はまあとにかく多いほどいいということですか、結論は。
  597. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) それは武力に対処するのには多いほどいいでしょう。しかしそういうものを持つべきものか、また持てるものか、持てないものかと、こういうものはやはり政治的に考えなくてはならぬと思います。国民の安全を保障するということにつきましても、国民の生活、あるいは民生の安定、こういうものが基礎にならなければならないのでありますから、そういうものとの関連においてこれはきめていくわけであります。
  598. 藤田進

    ○藤田進君 第二次防衛計画の概要は、結論は正式に出ていなくても、約二千九百億、これが顧みて国民所得の二%程度と言われているわけですが、これは日本だけでなくて、かりに局地戦ないし全面戦争はむろんのことですが、相手方の、仮想敵とは言わないが、あり得るそういう侵略なり、あなた方の言うですね、そういう方面も、兵器の進歩ということもあるわけでありますが、この彼我の戦力について大まかに考えたときに、あなたの北海道で言われた二千九百億、約三千億の第二次防衛計画の内容というものは、彼我の力関係、戦力関係からいうと、結局は現在と同じような状態になるわけじゃないのでしょうか。
  599. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 彼我の戦力ということを非常に強調されますけれども、たとえばスイスのような中立国でありましても、あそこの軍備は、国民所得に対して幾らになっているかといえば、五九年でありましたが、国民所得に対して三・三%であります。こういうふうに中立国でもやはりその中立を守るというためには、この防衛力というものを固めておって、初めて中立が守れるものだと思います。そういう意味におきまして、彼我の戦力を考えてという考え方は、先ほどから申し上げまするように、日本とどこの国だけが戦争をするということだけを考えるならばそういうことになりましょうが、私はそういうふうに個々的に日本とどこと戦争するという形でなくて、局地の紛争を起させないために、起きたらば小さくするために、そうしてまた国際連合というような形において、地方的な局地的な紛争を世界的紛争に持ち込まない、こういう機構の中で日本の防衛力というものを考える、こういうことであります。でありますので、第二次計画の最終年の昭和四十年ごろには二千九百億ぐらいの防衛費は、これはそのときの進んだ増強された国民所得に対しましては二%程度でありまするから、その程度のものはほしい、こういうことを発表いたしたわけでございます。この二%というものも、世界のどこの国よりも国民所得に対しては低いと思います。しかし、こういうことも再々申し上げておりまするように、国民の生活安定というものがこれは国防の基礎だと思います。やはり守るに足る国民生活があって、そうしてそれを守ろうという国民の気持があって、国防というものは成り立つのでありますから、国民生活という基礎も考えなければなりません。でありまするので、第二次計画は、初め六カ年計画でありましたが、三十五年の終期が済みますので、予算の御審議をいただいておりますので、三十六年度から五カ年計画の第二次防衛計画を作成したいと思って目下検討いたしております。従ってその財政的な面におきましても、よく財政当局その他勘案いたしまして慎重に策定を進めていきたい。こう考えております。
  600. 藤田進

    ○藤田進君 本土作戦で、この日本が荒らされるというようなことが一つの考えにあるということは驚くべきことだと思うのでありますが、第二次防衛計画について防衛庁長官としての構想、国防会議その他の議員の意見は別として、陸上自衛隊の増強というものを、いわゆる漸増主義でいくのか、その他の近代兵器に置きかえるという説も漏れ聞いているところであります。そこらの構想を一つ発表していただきたい。
  601. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 本土作戦をするという構想は驚くべきことだ、こういうことでありますが、私が再々申し上げておりまするように、日本のこの自衛隊の維持強化という点も、戦争の抑制力として、戦争を起こさない、あるいは局地的な紛争が起きたときには、これを小さいうちになくしていくという方針でいっておるのだということは、再々申し上げておる通りであります。ただ御指摘が、日本へ上陸した場合にはどうだこうだ、こういうことでありますから、そういう場合には捨てておくわけに参りません、こういうことを言ったのでありますから、その点は誤解のないようにお願いいたします。  第二次防衛計画の構想はどうかということであります。これは国防会議の議を経ておりませんから、今的確に申し上げることはできませんけれども、防衛庁長官としてどういう考えかということであります。三自衛隊、陸、海、航空、の三自衛隊が個々ばらばらであってはいけないと思います。しかし、これを一体化する、一つにまとめるということもこれは考えられませんが、この三自衛隊の連絡協調を一そう強化していくということが、一つの考え方としてとられるべきだと思います。  それからもう一つは、装備等でありますが、装備等も近代化していかなければならぬと思います。いつまでも古いものでやっていくというわけには参りませんので、科学の進歩に伴って近代化していく。それから財政等の点、その他の点から考えましても、この装備その他につきましても、これは効率化といいますか、効率化をはからなければならぬ、こういうのが基本的に考えられることだと思います。  三自衛隊についてどういうふうに考えるか、こういうことでありますが、陸上自衛隊につきましては、第一次計画の最終年度におきましては、兵員におきましては十七万一千五百人ですか、こういうふうな兵員に相なりますが、また第一次計画の最終は十八万を大きく上回らない程度の陸上の兵員を必要とする、こういうふうに考えられておったのでありますが、第二次計画の最終年におきましても、私は、兵力量につきましては、陸上自衛隊では十八万を大きく上回ることはない、こういう目標でいくべきだと、こういうふうに思っています。それから建設部隊を増強して、国の行政活動、民生協力の一環たらしめる、こういうのも考えなくちゃならぬということで、先ほどから御質問も相当ありましたが、民生に協力するという面から、災害に対処するというような増強方面も考えておるわけであります。それから、編成等につきましては、管区隊及び混成団の編成を、日本の国土とか地形等に適合したものに改編する。でありまするから、一管区隊の人員が一律的に何人というようなことではなくて、やはりその差はあってもよろしい、こういうふうに考えております。  海上自衛隊につきましては、再々申し上げておりまするように、まだ非常におくれております。海峽に対して封鎖されることを防ぐとか、あるいはまた輸送に対しての遮断を防ぐとか、あるいはまた潜航艇、潜水艦に対しての哨戒等をする、あるいはまた掃海をする、こういうようなことで質量ともに相当程度の増強を考えなければならないと思います。第一次計画におきましては、トン数におきましては十二万四千トンということでありましたが、第二次計画の最終年には十五、六万トンくらいのものを必要とするというふうに考えております。ことにこの艦艇におきましては、老朽化したものが相当ありますので、漸次これを更新していく必要もあると考えております。  航空自衛隊等につきましては、今の戦闘機等を、これは第一次計画の最終年度として考えられ、本予算におきましても債務負担行為として御審議を願っておるわけでありますが、こういうのを増強していく必要があります。  それから三自衛隊共通の問題といたしましては、航空等につきましては人の乗る有人機が、この無人機といいますか誘導兵器にかわる傾向が非常にありまするし、これがまた防空上非常に効率的でありますので、戦闘機等を全部なくするというわけには参りませんけれども、そういうものにかえていくべきだ。でありまするから、航空機等におきましても、ことしの予算においても御審議を願っておりますが、サイドワインダーというような誘導兵器を入れるということ、あるいはまた船につきましては地対空のターターというような、警備艦及びそれに装備するものを必要とするというような、あるいはまた陸の地対空のものといたしましては、ナイキ・アジャックスというようなものを装備していきたい。しかしこれはいずれも核弾頭をつけるというようなことではございません。そういうような構想を持っております。  しかし繰り返して申し上げますように、こういう構想のもとにいろいろ検討いたしておりますが、まだ国防会議の議も経ておりません。財政的な予算との見通しというような検討も尽きておりませんので、その点をお含みおき願いまして、申し上げた私の構想を御了承願いたいと思います。
  602. 藤田進

    ○藤田進君 これはアメリカの極東戦略との関連において検訂されましたか、それは全然無関係ですか。
  603. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) アメリカの極東戦略を聞いてそうしてそれとにらみ合してどうこうということはありません。日本日本の防衛態勢を整えるという意味におきまして、そういうものを必要といたして考えておるわけであります。しかしその結果は、やはり共同防衛態勢でありまするから、それにやはり役立って、日本の平和と安全が守れるようなことにしていくという考え方はもちろん持っております。アメリカの極東戦略の一環としてこうこうこういうことをやれとか、そういうことから出てきたわけではありません。日本で考えたことが、そういうような共同防衛の一環を、あるいは戦争抑制力の一環を担うという形に相なると思います。
  604. 藤田進

    ○藤田進君 軍事顧問団の意見も何もなかったわけですか。
  605. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 援助等につきましてこちらから要請した、あるいは要請することにつきましては、軍事顧問団等についての意見もあります。軍事顧問団の方からこうこうこういうような第二次計画を作ってくれとか、こういうことは全然ございません。
  606. 藤田進

    ○藤田進君 これはアメリカの極東戦略、これはかなり公然化した面もあるわけであります。これらからこれを見ると相当なズレがあるように思われる。沖縄の防空訓練などを見ても、兵員に対する家族その他を急遽引き揚げて飛行機で輸送していくというようなこと、また、極東軍司令部がハワイに移転したというのは、単に日本の陸上自衛隊が増強されたからというのでなくして、極東戦略の変更からくるハワイヘの極東軍司令部の移転である、こう言わなければなりません。しかも米軍の極東戦略の一つとしては、わが国の基地を飛び立った有人機は再び爆撃のあと日本の飛行場には着陸できないので、従って南方洋上に退避して空中でガソリンの給油をして、そうして洋上補給の上で他の基地に帰っていく、こういうことが今日わが国の今言われておる防衛の考え方とはおよそズレのある実態ではないかと思うのです。いかに考えられますか。
  607. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) ズレがあるとは考えられません。極東ばかりではなく、これは大きく言いまするならば東西両陣営でも、何も中を抜きにして、ソ連とアメリカ東西両陣営でも原水爆を使うとかあるいはICBMを使うというような形になっております。そういう面から言いまするならば、これは極東もずれておるかもしれない、しかしそういう意味ではなくして、やはりおのおのがその戦争の抑制力に協力して、そうしてことに日本等におきましては局地的な紛争を未然に防ぐ、これをなくするという態勢から言いますならば、これは日本の防衛力というものはそうずれておるということは考えられません。ことにハワイとかあるいはマリアナ群島というものが一つの基地になったからといって、日本がそのために何かずれて余計なものになったということには考えられません。
  608. 藤田進

    ○藤田進君 あなたは防衛庁長官であって相当な事情まで御存じのはずだ、知っておられると思う。それを全部言えとは申し上げません。アメリカの極東戦略態勢は、すでに日本からの軍司令部の移転、あまり近過ぎる、グワム島を中心に、辻さんも言われておったように、相当態勢はかっての戦争の状態とは違うということで割り切ってしまって、ロケットなり誘導兵器に重点が置かれていくということになる。日本は逆に陸上自衛隊を中核としている、今の第二次の構想を聞いていると。あるいは哨戒機あるいは哨戒艇というような単なる触覚部隊、こういう状態である。再軍備をさらに増強しようという立場から私どもこれをいろいろ検討してみてもずれてしまっている、こう言わなければなりません。
  609. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 再々申し上げておりますように、ハワイとかあるいはグワム、こういう基地が役立つようになるのは全面戦争に入るときと、私は予想されると思います。で、この全面戦争というものはこれはない、大体ないというのがもう世界の通説といいますか見方であります。そこで世界的に考えましてもそういう戦争は考えられないけれども、局地的な紛争というものはこれはないとは限らぬ、こういうことで世界的に今方向が変わっておりますのは、やはり通常兵器によって局地的な紛争を起させない、起きたときにこれをなくしていこうというような傾向というものは、これはイギリスにおきましても、その他におきましても非常に強い傾向をなしておるのであります。でありますから、日本の防衛態勢というものが決してこれはずれていると、こういうふうには考えておりません。
  610. 藤田進

    ○藤田進君 イギリスは未だに植民地その他を持っているし、また日本とは違います。ですから日本をめぐる局地戦争の発火点となる要因ということに明確にこたえられないわけで、まことに防衛庁長官という立場にありながら、外交によってどうだこうだというその主管はこれは外務大臣、総理大臣にあろうかと思う。防衛庁長官が国を守るという職責からすれば、侵略に対して直接どうこたえるかということがすべてでなければならぬと思うのです。  外務大臣にお伺いいたしますが、今東西首脳会談等の関係において、それぞれの立場から軍縮案が出されております。やがてこれは国連に関連を持つ問題だと思う。日本政府としては、これらの軍縮案についてどのような基本的な態度を持っているのか。
  611. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日本といたしましては、むろん軍縮が達成できますことを希望いたしておることは当然でございまして、従って軍縮ができるようにすみやかにジュネーブ会議等で話し合いがついていくことを希望いたしておるわけでございます。
  612. 藤田進

    ○藤田進君 希望はどうかじゃなくて、両陣営の軍縮案が具体的に出ていますよ。日本はどういう考えを持っていますか。
  613. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知のように、ソ連は昨年の国連総会で三段階に分けて、四年間で軍縮を達成しよう、それから自由主義の側におきましては三段階というような、ソ連式の分け方ではございませんけれども、まあ三部に分けたというような、三つの考え方を集めて、そして軍縮を達成していこう、こういうことでございます。ソ連のは、御承知通り、第一段階におきましては、ソ連とアメリカが百七十万に減らし、その他の国もそれに続いて減らしていくというような案でございます。西欧側の今回ジュネーブ会議に出ようという案は、大体軍備そのものはソ連とアメリカが二百五十万ということでございまして、ただ一番違いますことは、西欧案といたしましては、今日の段階では、軍縮の基礎をなす情報の収集交換、そうして査察機構を確立するような道をまず開かなければ、お互いにまあ軍縮をするといいながら、その情報の交換、それらのものが基礎的にはっきりしてなければ、これはほんとうに信頼をして進めていけないという形におきまして、まあ第一部と申しますか、先ほど申し上げましたように、ソ連案のような年限を切った三段階ではございませんけれども、第一部というのにおいては、主としてそういう情報の交換、そうして兵力量その他に対するいろいろな情報の収集をいたしまして、そうしてそれを第二部において、国際会議を開いて集めて、そうしてそれに応じてやっていこう、こういうことでございます。ソ連の方は、今申し上げましたように、第一段階において百七十万にお互いに減らしていく、そして第二段階としては基地を撤廃していく、そして第三段階に至って核兵器その他のものをなくしていく、こういうものを四年間にやろうというのがソ連の案でございます。今日われわれが考えてみまして、国際間の軍縮問題で一番難点になりますのは━━やはりお互いに相互信頼の上に立たなければならぬと思うのでありまして、従って、そういう意味から申しますと、やはり国際的な機関によりまして情報の収集交換をいたし、お互いに自分の持っている兵力量その他を率直に通知し合って、その上に立ちまして、どういうふうな削減をしていくか、順を追ってどういうふうにしていくかということをやりますのが、一番これは適切な処置だと思うのでありまして、不信感を除去するのも、そういうところから始めることが適当ではないかとわれわれも考えております。  従いまして、日本といたしましても、いずれの軍縮案がいいかといえば、西欧側の方が実際的だと思います。ただ、ジュネーブの国際会議におきましては、この西欧案とソ連案とをお互いに提示しながら、つきぜまていろいろ話し合いをして参りますから、あそこで論議され、あるいは若干ずつでも進んで参りますものは、両方の案がいろいろ織りまざったものになってくるのではないかというのでありまして、そういう形において進んで参りますことは、実際的に軍縮を進めるゆえんでもあろうと思うのでありまして、われわれとしても、ジュネーヴの国際会議の進展というものを注視しているのが現状でございます。
  614. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、両、案折衷という形でこれが成功するであろうという見通しですか。
  615. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) われわれは成功することを希望いたしておりますけれども、御承知通り、この軍縮問題については過去においても数年の長い経験を持っております。従いまして、希望はいたしておりましてもすぐにそういうことが達成━━ジュネーヴの今回の会議だけでスムーズに進んでいくということは予想できないのでありまして、しかしやはり軍縮をやろうという十ヵ国の意欲が結集して参りますれば、お互いに時間はかかりましてもそういうことで話し合いが進んでいきまして、第一に、最初にはこういうことをやろう、全般的にはいかなくとも最初にはこういうことをやろうじゃないかというような、一つ々々の何か問題が解決しまして、これが実行に移っていけばそれは好ましいことだということでございます。
  616. 藤田進

    ○藤田進君 委員長、時間が実はあと五分というのだが、企画庁長官があす見えればあすにしていただきたい。
  617. 小林英三

    委員長小林英三君) 各大臣待っておられますから、あと持ち時間おやりになりますか、三分。━━それでは三分だけ保留しますか……。本会議後各大臣も見えておりますから、どうですか。
  618. 藤田進

    ○藤田進君 農林大臣にお伺いいたしますが、何しろ時間がないので趣旨を尽せませんが、ずっと本委員会における総括並びに一般質問を今日まで聞きまして私心配いたしますのは、農民の所得引き上げということについての、本年度この農村に関する予算も若干ふえては参りましたが、ただその考え方において、生産基盤の強化その他を見ますときに、結局生産増強ということ、これは豊作貧乏という経験もしておりますか、今日の農村の経済はかっての明治以来だんだんと変遷をして、そして完全な自給自足経済ではなくなってしまっている。いわば商品経済、農機具においてその他の生産手段においてしかりでありまして、この農民の商品経済という考え方が一本加わわらないと、農産物に対する価格の問題、ことに安定とこれが引き上げの問題、米なら米、その他の農産物、こういった点が非常に不明確になっていると思われます。一連の補助政策も水路の改良、溜池の新設をいたしましても、反当たりの自己負担がきわめて農村経済にとっては大きいわけであります。これらの関係から、農家所得引き上げの具体的な昭和三十五年度以降の構想をお尋ねいたしたい。
  619. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 農民の所得経済計画なんかにも関連いたしまして農業所得の向上ということがよく言われますが、私は農業所得の向上ということが私どもの考えの最終目的ではないのでありまして、農家所得の向上ということを最終の目標として考うべきだというふうに考えておるわけであります。さような見地から、農業生産自体につきましても、これは努力をいたすわけであります。これも相当私は努力の効果は期待し得ると、かように考えておるわけでございますが、そのまあ程度というふうな、そういうものにつきましては、しばしば本委員会でも申し上げておるわけでございます。同時に、しかしながらそれと並行いたしまして、農家所得向上の施策として農業の近代化、そういうようなものが行なわれ、また新しい営農方法なんかを取り入れる。それに伴って生ずるところの余剰労働というものを秩序正しく他産業に転換し得るというところの施策も必要である。かように考えておるわけであります。両々相待ちまして、私は今後長期にわたる国民の個人々々の平均の所得、この程度の農家所得の達成というものは、これは可能であると、かように考え、そのための施策を進めておる、かように御了解願いたい。
  620. 藤田進

    ○藤田進君 端的に言いますと、先般も自給自足体制を強めていきたいということも信念として言われておるように聞いておるわけですが、しかし実際問題として、施策を自給自足というところに重点を置くことがむしろ無理であって、農家商品経済という考え方にむしろ重点を置いての施策でないと、実情にうまくマッチしない政策になるような気がするのですが、いかがですか。
  621. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) お話のような面もありますが、しかし新しい農業の分野というものを開拓していかなければならぬ。それはやはりその場合に考えなければならぬことは需要でございます。需要ということを考えてみますると、国内の需要にはこれは私はある限界があると思う。そういうことを考えると、どうしても海外からの輸入に待っておる品物を国内の生産に置きかえる、こういうような考え方を相当農業方面におきましては、高度に取り入れていく必要がある。さような意味において一面自給政策だとかというような理解もあるわけでありますが、自給ということが目的でなくて、農家の所得を向上するには、農家のその仕事の幅を広めなければならぬ。それには外国から輸入するもの、たとえば砂糖のごときはその典型的なものでございますが、国産に置きかえるという考え方を大幅に取り入れなければならぬ、かようなことを申し上げておるわけでございます。
  622. 藤田進

    ○藤田進君 運輸大臣にお伺いいたします。今日国鉄新線あるいは既成路線と水力、電源の開発との競合が出て参っております。国務大臣とされては、これらの調整を国家の資源開発、国土総合開発という見地から単に運輸省、国鉄の立場だけでなしに調整される努力が必要だろうと思うわけです。基本的なお立場を聞いた上で、明朝企画庁長官おそろいのところであとはお伺いいたしたい。
  623. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 今お尋ねの件は、これはやはり総合的な資源の開発並びに運輸という問題をやはりお互いによく考え合ってなすべきことであると思うのでありまして、従って、その辺の調節は十分にはかりたいと思うのであります。
  624. 小林英三

    委員長小林英三君) 本日の質疑は以上をもって終了いたします。  明日は午前十時から委員会を、零時三十分から理事会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十七分散会