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1960-03-19 第34回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十九日(土曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————   委員の異動 三月十八日委員白木義一郎辞任のた め、その補欠として市川房枝君を議長 において指名した。 本日委員堀木鎌三君辞任につき、その 補欠として安井謙君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            大谷藤之助君            西田 信一君            秋山 長造君            鈴木  強君            松浦 清一君            千田  正君            大竹平八郎君    委員            太田 正孝君            金丸 冨夫君            小柳 牧衞君            斎藤  昇君            重政 庸徳君            白井  勇君            杉原 荒太君            手島  栄君            苫米地英俊君            一松 定吉君            武藤 常介君            村山 道雄君            米田 正文君            荒木正三郎君            加瀬  完君            木村禧八郎君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            永岡 光治君            平林  剛君            藤田  進君            松澤 兼人君            島   清君            永末 英一君            市川 房枝君            辻  政信君            森 八三一君            岩間 正男君   国務大臣    法 務 大 臣 井野 碩哉君    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    文 部 大 臣 松田竹千代君    農 林 大 臣 福田 赳夫君    通商産業大臣  池田 勇人君    郵 政 大 臣 植竹 春彦君    国 務 大 臣 石原幹市郎君    国 務 大 臣 菅野和太郎君   政府委員    人事院総裁   浅井  清君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    科学技術政務次    官       横山 フク君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    会計検査院第二    局長      保岡  豊君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十五年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) これより予算委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告申し上げます。  昨日、白木義一郎君が辞任せられ、その補欠として市川房枝君が選任せられました。   —————————————
  3. 小林英三

    委員長小林英三君) 次に外務大臣から、病気のため今週中欠席したいとの申し出がありましたことは、一昨日の委員会で御報告いたした通りでございますが、それに伴う今後の議事の進め方につきまして、一昨日来委員長及び理事打合会を開きまして、協議を重ねて参ったのでございますが、その経過につきまして御報告申し上げます。  まず、現在当委員会一般質疑中でございますが、外務大臣に対する質疑は保留のまま、他の要求大臣に対する質疑を予定通り進めていただき、二十一日、月曜日には外務大臣も出席できる見込みでございますので、保留された質疑につきましては、その際、おのおのの持ち時間内で、一括して取り扱うことといたしました。  右の事情でございまするので、御了承の上、議事の進行について何とぞ御協力をお願いいたしたいと存じます。   —————————————
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) 次に、分科会につきまして御報告いたします。  一、分科会の数は四つといたし、おのおのの所管及び分科担当委員数と各会派別の割り当ては、お手元にお配りしてございまする刷りものの通りといたすこと。  二、分科担当委員の選定は、先例によりまして委員長において指名すること。  次に、締めくくりの総括質疑につきましては、質疑時間を三百分、その各会派に対する割当は自民党百人分、社会党百二分、民社党無所属クラブおのおの三十分、同志会二十分、共産党十分といたしました。質疑順位は、社会党自民党民社党無所属クラブ同志会共産党とし、以下その順位を繰り返して行なうことといたしました。  ただいま御報告いたしました通り運営することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議がないものと認めます。   —————————————
  6. 小林英三

    委員長小林英三君) 昭和三十五年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。市川房枝君。
  7. 市川房枝

    市川房枝君 まず、自治庁長官にお伺いしたいと思います。問題は、地方議会議員報酬値上げの問題でございます。この問題は小さいように見えますけれども、地方議会議員及び地方自治に対する国民の信頼の問題に関係いたしますので、私は非常に重大な問題だと考えております。自治庁長官は、この問題について、去る二月二十四日に、全国知事会及び全国都道府県議会議長会事務局長をお呼びになりまして、報酬値上げを自粛するようにと勧告をなすったことを承知いたしておりまするが、どういうお話し合いがそこでできましたか、またそれに対してどんな、まあ効果があったか、きき目があったか、それをまずお知らせを願いたいと思います。
  8. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 御質問のように、地方議会議員報酬値上げの問題が、最近各地で論議せられておった、ことに関東地方とかいろいろブロック的に共同して、いろいろやろうというようなうわさも出ておりましたので、これは地方団体それぞれの自主的問題ではございまするけれども、地方財政の現況であるとか、あるいはまた国会で今いろいろ論議されている動向等にかんがみまして、できるならば自粛してもらいたい。しかし、これもなるべく地方自治権自主的範囲内で行なってもらいたいと存じまして、知事会並びに議長会事務局長に来てもらいまして、当方の意向を伝えたわけであります。意向を受けました知事会並びに議長会におきましては、それぞれ団体名前をもちまして地方にその趣旨を流したようでございます。その結果は、値上げをしようと考えておったようなところは、ほとんど全部と申してもよろしい、自粛をしているようであります。それからすでに提案しておったような府県も若干あったようでありますが、それらの府県審議未了にするとか、あるいは提案を撤回するとか、いろいろの措置をとりまして、全国を通じまして、今ほとんど全部終わりまして、問題になっている県は、たしか一県だけだと思います。そういうことだと思います。
  9. 市川房枝

    市川房枝君 納税者でありまする一般国民は、今お話のように、地方議会議員の一種の共同謀議とでもいいますか、お手盛りの値上げにずいぶん腹を立てておりましたので、長官のそういう措置は、皆歓迎をしておったようでありますが、しかしあのとき新聞記者方々お話によると、長官は、まあ今ちょっとうるさいから、いま少し待ってくれというようなお話し合いだったらしいというようなうわさを実は聞いております。いや、長官がそうおっしゃらなくても、私は今は一応御報告いただきましたように、引っ込められたようでありますけれども、やがてまた出てくると思います。で、国民ほんとうに納得させるような適当な方法、まあそれとしては、やはり自治庁のお考えとして、新聞で適当なべースといいますかというものだとか、あるいは国民納税者意見を聞いてするというような方法をお考えになっているというようなこともちょっと新聞に出ておりましたけれども、その具体案を伺わせていただきたいと思います。
  10. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 地方議会議員報酬も、高いところでは七万ぐらいのところもございますし、ごく低いところでは、三万円程度のところもあるのでございまして、私は今地方議会議員報酬、一概に一切値上げはいかないとかどうとかいうことはこれは言えないと思うのです。その地方経済事情であるとか、あるいは地方団体財政力であるとか、いろいろなことから論議をしなければならぬと思うのです。そこで、国会議員につきましては一般職公務員最高を下らざる範囲というような一つ基準がございます。地方議会については、今そういう基準はないようであります。そういう意味で、一般職地方公務員の最点基準とか、あるいはその県の財政力地方経済事情公務員の俸給にも地域差という問題が若干あるのでありますから、そういうことを考慮して何らかの基準を設けたらいいじゃないかという考え方も一部にあるのでございまして、そういう線で検討してみたいと思っておりまするが、まだ、ただいま成案を得ておるという段階ではないのであります。
  11. 市川房枝

    市川房枝君 地方議会議員報酬値上げについては、結局私は国会においての歳費値上げ、あるいはその値上げの仕方などがお手本になっておるとも思いますけれども、長官はその点はどうお考えになりますか。国会における歳費値上げの問題なんかと関連があるのかないのか。あるいはもう一つは、国会議員地方議会議員とは違うかどうか。あるいは連関して考えるべきものかどうか。今地方議会議員報酬は、地方議会公務員最高を下らないといいますか、なんというようなお言葉もありましたけれども、結局それは国会議員歳費のところに、そのような規定がありますけれども、かえって地方議会議員報酬報酬といっているところに少し違いがあると思うのですが、値上げになると、いや地方公共団体のために奉仕すべきだ、名誉職だというような意見もまああるようでありますけれども、国会との比較問題等一つ考えを伺いたいと思います。
  12. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 国会との比較の問題はどうも私から論ずるのもどうかと思いますが、国会議員歳費の問題は、皆さんでこれはおきめになることでありまするので、私がとやかく言うべきことではないと思います。ただ国会地方議会議員との関係につきましては、国会議員通常国会が百五十日もあり、臨時会を合わせますると大体二百日以上くらい、ほとんど定職のようになっておると思います。地方議会も昔に比べますると相当議会開催日数もふえておりまするが、国会よりはまだまだそういうことも少ないと思いまするし、国会議員全国から東京へ集まって来ておるわけでありますが、地方議会議員は、それぞれ地元でいろいろ活動しておるというようなことで、いろいろ違う点はあると思います。それからまた、地方議会には旅費であるとかあるいは手当だとかいろいろな名目で、普通定められた報酬以外にそれぞれのものが今あるようでありまして、一概に国会と一律に比較はできないと思うのでありまするけれども、いろいろな意味地方議会についても非常にでこぼこもありまするし基準もありません。それから一概に一切値上げはいかないという議論も、これは私は非常に酷であろうと思います。まあ地方地方的に段階的な何らかの目安を置くということも一つの問題、しかし、ただ目安を置けば逆に目安より低いところが目安までみんな上げるという傾向もありまして、これはなかなかめんどうな問題だと思いまするが、先ほど、今ちょっと待て、あとあと考えればいいのだというようなことをうわさしておるとか、私がそう言ったとか、そんなことは断じてございません。今後ともやはり地方民代表でありまするから、なるべく自粛して師表に立つような指導をしていきたい、かように考えております。
  13. 市川房枝

    市川房枝君 今の問題に関連して、なお一、二ちょっと伺いたいのでありますが、国会においては国会議員互助年金法が成立して実施されておりますことは周知のことでありますが、その地方議会議員方々もこれにならって、まあ退職年金法といいますか、なんかいうものを計画しておられたようでございますが、この問題はその後どうなっておりまするか、あるいは自治法との関係はかまわないのでありますか、それについての自治庁のお考えを伺いたいと思います。
  14. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 地方議会議員互助年金等考え方が一部台頭しておりましたことは御指摘通りでございます。これはちょうど国家公務員恩給制度年金に切りかえられまして、地方公務員恩給国家公務員にならいまして年金制度に変えたいということで検討しておったのでありまするが、その際に地方議会議員についても年金制度を検討したいということで動いておったのであります。地方公務員年金制度の切りかえが延ばされましたので、この問題は今一時立ち消えになっております。で、まあ私はここでも今までいろいろお答えをしておったのでありまするが、やはりやるならば、互助的性質の非常に強いものであり、自分が掛金をしましていくような形のものならばこれまで抑制する。国民にすれば一般国民年金制度ができておるのですから抑制することはできないけれども、公費を非常にたくさん使う年金考え方は、これは適当ではないのじゃないかと、それからまた、今御指摘のように、地方自治法に触れる面もあるのでありまして、そういう問題も検討しなければなりませんが、この問題はただいま立ち消えになっておりますということを申し上げておきます。
  15. 市川房枝

    市川房枝君 三十一年の自治法改正で、この地方議会議員に対しても従来いろいろな名義で支払われておりましたのを、報酬費用弁償期末手当、それだけに限定して退職金は支払わないということになったのでありますが、その当時退職金にかわるべくといいますか、報酬東京初め方々でずいぶん値上げをされて、結局その改正趣旨は必ずしも達せられなかったと私ども思っておりますが、どのくらい自治法が実施されましたあと退職金にかわるものとしてといいますか、あるいはそれも表面に出さないとしても、実際に値上げされた額は相当に私は多かったと思うのでございますが、そういうものの数字がありましたら伺いたいのですが、なければまたあと、別の機会でもよろしゅうございます。  それからもう一つ、その自治法改正のときに、地方議会議員には非常に税金滞納が多いというので、自治庁では改正案の中に、税金滞納者には職権停止をする、こういう点を一度お加えになったようでありまして、それが新聞に大きく発表をされましたことを覚えております。ところがそれに対して反対が出て、とうとう自治法改正の中には出て参りませんでした。そのときの自治庁調査の結果によりますと、約十億円全国地方議会議員滞納があるという計算が出ておりましたが、今もそういうような調査をなされておりますかどうか。どのくらい滞納がありますか。まあこれも数字が今わかりませんでしたら、あとまた別な機会に教えていただきたい。そういう調査をやはり自治庁としては私は始終やっていていただきたいと思います。これはもしお答えをいただけましたらお答えをいただきたい。ございませんでしたら、次の問題に移りたいと思います。
  16. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) ただいまは地方議会議員滞納が非常にあるかどうかということは、今自治庁当局でもちょっと調査していないようでございまして、まあ調査していないということは、地方でも問題になっていないということの現われの一つじゃないかと思うのであります。この問題はなお今後一ぺん調べてみたいと思います。
  17. 市川房枝

    市川房枝君 次に、選挙法改正の問題についてやはり自治庁長官からお伺いしたいと思います。  この選挙法改正岸内閣の三大政策一つで、安保条約と並んで出ておったことを覚えております。この国会の初めにも総理から施政方針の演説の中で選挙法改正提案するということが入っていたと思っておりますが、まだ国会提出されておりませんが、もっとも、きょう新聞自民党選挙調査会の正副議長会議での選挙法改正案を拝見いたしましたが、いつごろ提案されましょうか。まあ内容は、まだ今の段階でははっきりしないかもしれませんけれども、一つお見通しを伺いたいと思います。
  18. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 選挙法改正につきましては、御案内のように、昨年の暮れ内閣選挙制度調査会答申がございまして、それにつきまして自治庁で一応の要綱の案をまとめてみたのであります。しかし、選挙法改正は、何と申しましても、やはり政党なり議会なり、これらを、よく意見を調整しておきませんというと、一方的の役所の案を出してみましても、これはなかなか成立するものではありませんので、自由民主党の方にも選挙調査会が設けられておりますが、その方べその調整をはかっておったのでありますが、御案内のように、党の選挙調査会会長、副会長でまとめました試案でありますが、試案が一応まとまりまして、それが新聞発表されておるのであります。これはまあ選挙調査会の総会の議を経て、さらに党の最高機関意見を調整いたしまして、また自治庁といたしましても、その案について意見のあるところは述べまして案をまとめ、できるだけ早い機会提案をしたいというのが政府並びに党の最高首脳部考えだと私は考えております。まだ時期については、ちょっと申し上げることはできないと思います。
  19. 市川房枝

    市川房枝君 けさ自民党選挙調査会の案を拝見いたしましたが、選挙制度調査会答申並びにこの間発表のありました自治庁の案の以外に、新しいことも加わっておりますようですし、自治庁の案よりも少し進んだような点もあるように拝見を実はしております。その中で、私拝見いたしまして、新しいこととして、立候補推薦を必要とされておりますが、ただ、要綱を詳しく拝見いたしますと、現在の公職選挙法にありまするのと比べまして、従来の推薦選挙制はそのままで、これを七名ないし十名の推薦が必要となっております。普通今まで候補者個人の一人の名前立候補届出ができましたのが、今度は七名ないし十名の推薦を必要とすることとなっております。これでも私はないよりも幾らかいいと思いますが、全部を推薦選挙制に切りかえられることの方がむしろ望ましい。おそらく青木調査会会長は、先般イギリス選挙をごらんにお出になりましたので、これはイギリス選挙からおとりになった一つ考え方ではないかと思うのでありますが、イギリス選挙でありますと、いわゆる候補者個人届出というものは認めないのでありまして、十名以上の推薦者が届け出る。それに対して候補者立候補承諾書に署名するという制度になっておるわけであります。もちろんイギリスでも現在は形式的になっておりますけれども、しかし、私はやはり候補者推薦されて立候補する、推されて出るのだというような考え方が非常に大事でありまして、そうすれば、選挙費用はだれが出すか、推した人たちが出すのだというイギリスのようなやり方になってくると思いますので、この点は自治庁でさらにこの成案をおまとめになりますときに一つ考えを願いたいと思います。それから、トラックが使えないことになっているのは、私は大賛成でございます。それから、選挙違反者の票数を削減するということでございますが、これもけっこうだと思いますが、ただ技術的にどうかと思います。この点に関連しては、あとでまた私も選挙費用の点でちょっと言及したいと思っておりますが、それを自治庁に特にお願いをしておきます。  選挙制度調査会答申案前文を見ますると、選挙公明化をはかるためには、衆議院議員選挙について小選挙区制を採用すると、選挙制度根本を改める、こういうことになっておりますが、政府はこれをどういうふうに御解釈になっておりますか。小選挙区制というものはもう既定の事実で、もう決定しているというふうに御解釈になっておりますかどうか、それを伺いたいと思いますが、私はまあ小選挙区制必ずしも反対ではございません。イギリスの小選挙区制のよいところも見て参りましたが、現在の日本選挙界の実情、有権者政治意識から見まして、かえって不公明になる心配が多分にございます。また多数党がさらに増加し、少数党が減少するという状態は、日本の現在の政治にとっては望ましくないと考えておりますので、日本ではむしろ西ドイツで行なわれている小選挙区制と比例代表とを併用する、議員半数は小選挙区制で選挙する、半数名簿式比例代表によって党に投票する、有権者は二票持っている、こういうやり方でございますが、その方が私は日本の現在には適当しているのではないかと思っております。自治庁ではこの制度についての調査をお進めになっておりますかどうか、長官はこの制度に対してどういうふうにお考えになっておられますか、御意見を伺いたい。
  20. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 選挙公明化をはかっていきまするには、結局政党政策、主義、主張で選挙を争うところまでいかなければほんとう選挙公明化明朗化をはかれないのではないかという考え方からいたしまして、選挙の一応理想の形は小選挙制度ではないかということで、先年も選挙制度調査会におきまして小選挙区を採用すべきであるという答申が出て、かつて議会提案され、審議不成立に終わった経過は御存じであろうと思う。考え方根本といたしましては、この大筋に私どもは変わりはないと思っております。昨年諮問いたしました選挙制度調査会におきましても、大筋におきましてその考え方を継ぎまして、答申前文に表われているような次第でございます。しかし、今市川委員が御指摘になりましたように、これについてもいろいろ議論もございます。ことに日本選挙界現状等からして、あるいは日本政治常識段階からいたしましてどうであろうかという議論もあることは、よく承知をいたしております。そこで御指摘になりましたように、西独でやっておりまするような小選挙区的考え方比例代表を加味した制度考え方というものが台頭してきておることは私も承知をいたしております。先般英国の選挙を視察して、そのついでにドイツのこれらの制度を研究しておるようでございます。るが、自治庁からも一人参りまして、それらの点も研究してきておるようでございます。しかし比例代表の問題は、私から今申し上げるまでもなく、なかなか政党法の問題であるとか、いろいろ選挙根本問題に触れて参りまするので、昨年の選挙制度調査会におきましてもそこまでまだ触れていないのでございます。さしあたっては比例代表という考え方をどうするということは一部少数意見にはございまするけれども、総体の意見として、まだそこまでなっておりません。これは今後研究さしてもらう問題の一つと存じます。
  21. 市川房枝

    市川房枝君 日本選挙で一番悪いのは、選挙に非常にたくさん金が要る。それもだんだんよけい要るようになってきている点でありまして、それが汚職、利権につながり、政治を腐敗させる、こういった点は、すべての人たちが認めているところであります。ところが、公職選挙法では、百九十六条で費用制限規定がございまして、それを超過すれば、二百五十一条によって当選無効となるという規定がございますけれども、しかし肝心の届出選挙費用というものはおよそナンセンスだ、ほとんど事実を届け出ていない。だれもそれを信用していないわけでございます。費用超過で罰せられたり、あるいは当選無効になったというような例は、聞いたことが私はまだございませんけれども、そうじゃないのでございましょうか。昨年六月の参議院選挙で、私東京地区から立ちましたが、東京地区の法定費用は三百七十三万二千十七円でございました。ところが、同じ東京地区から立候補されまして、非常にたくさんの金をお使いになり、非常に派手な運動をなすった某氏と申し上げれば、おわかりになると思いますが、その方の届出選挙費用を三十四年九月十日の東京都公報で拝見しますると、選挙運動費用としては三百二万二百四十三円と記載してあります。また、その立候補の準備のための費用としては、三十二万九千六百五十六円とだけ出ておるのであります。ところが、この方の選挙違反が今東京地検で取り調べ中でありまするが、その選挙違反で、裏金として問題になっておりますのが約五千万円、そのほかに当時、都会議員あるいは区会議員推薦料としてお出しになった金が千二百万円、これだけははっきりしておるわけであります。こういうのは非常にはなはだしい例でございますけれども、こういう事態が現に存在しておるという点から申しまして、選挙制度調査会は、選挙費用については、公営を拡充強化するとともに合理化すること。運動費用制限が実際に即しないから、再検討する、こういって増加するような方向になっておりますけれども、私は、増加したって何にもならない。結局裏金が問題なんです。こう思われます。そこで、法定選挙費用というものが確実に守られるようにすることが非常に大事な問題だと思いまするけれども、その点には一つも触れていないのであります。ただ選挙制度調査会は、費用公開方法を実効が上がるようにということを言っておられるのでありまするが、これは一体どうしようというのか、どんな具体案が出ておったか、ちょっとわかりませんが、自治庁公職選挙法改正案でも、あるいはまた、きょうの自民党の案でも、そういう点については触れていないと思います。自治庁長官は、その届け出の法定選挙費用というものが必ずしも事実に即していない、実際にはそれを超過している場合が多いんだということをお認めになりますかどうか。また、それをはっきり守らせるような対策というものを一体お持ちになって、自治庁でお考えになっているかどうか、それを伺いたいと思います。
  22. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 選挙の費用の問題にお触れになったのでありまするが、これはいかに選挙制度、あるいは選挙法を整備いたしましても、結局は候補者の自粛といいますか、また選挙人の自覚、いわゆる選挙公明化運動といいますか、そういうことが徹底していかなければ私はなかなか実効が上がらないんじゃないか、今御指摘になりましたように、実際は法定費用より相当たくさんのものが使われておるじゃないかという、この実態は私も率直に認めざるを得ないと思います。しかしながら、選挙制度調査会なりあるいは選挙法改正していこうという立場にある者といたしましては、少なくともこれがもう少しやはり実情に即した、守られるようなものにしたい。たとえば、労務者の費用などでも、他の一般労務者の費用と比べて均衡がとれるようにしたいとか、あるいはまた、選挙の事務員、事務所で働く人たちにも、選挙は本人でなしに人がするのだから、全然これは手弁当、無報酬で働いたらいいということでも私はいかないと思うのです。だからそういう人にも、適当の報酬が払えるようにするとか、あるいは食費、宿泊料等についても、できるだけ実情に即したようなものに直していくべきじゃないか、こういう考え方をできるだけ入れまして、少しでも守りやすいものにしたいというのが私どもの考え方でございまして、要は、最初申し上げましたように、やはりそれぞれ候補者が自粛する、あるいは選挙人も自覚して、ほんとう選挙をきれいな正しいものにしていくという気持にならなければ、私は、法をいかに整備し、制度をいかに変えましても、実効を完全に期し得ることはできない、かように考えておる次第であります。
  23. 市川房枝

    市川房枝君 この問題について法務大臣の御意見を伺いたいと思います。
  24. 井野碩哉

    国務大臣(井野碩哉君) 私も自治庁長官お答えしたような考えを持っております。
  25. 市川房枝

    市川房枝君 今の問題でありますが、法務大臣に、もう一ぺんちょっと伺いたいと思います。さっきの、私申しましたように法定費用というもの、それから本人の届け出の費用というものがあるのですが、別に選挙違反で、裏金が、最後的にどれだけ使ったという額は出て参りますね。そうした場合に、その裏金を届け出の選挙費用に加える、そうしてそれが法定費用に超過した場合に、自然に当選を無効にするというような方法はできないものか。これは、実は私、現在選挙違反をお取り調べになっておりまする検察当局とこの問題を話し合ったのですが、検察当局は、今私の申しましたような点を希望しておられるといいますか、そういうふうにもし法の改正ができるのならば、非常に楽だといいますか、選挙費用の超過によって当選を無効にするということは非常に簡単にできる、そういう意見を検察当局としては、ときどきといいますか、いつも上の方へ上申したことがあると、しかし上の方ではどうもお取り上げにならないのだというようなことを実は聞いたのでありまするが、それに対して法務大臣はどうお考えになりますか。
  26. 井野碩哉

    国務大臣(井野碩哉君) 法定選挙費以上に費用を使いますれば、これは当選に影響してきますことは、御承知通りであります。ただ、その裏金が、候補者の自分の考えで出ている場合もありまするし、またそうでない場合もあって、一がいにその金をすぐ法定選挙費に加えて当選無効にするという行き方は少し酷じゃなかろうか、その点につきまして、いろいろ今度、選挙法改正で、出納責任者の責任、あるいは総括主宰者の責任というものと結び合わせてそういう問題は検討していくべき問題で、ただ数字的にすぐ合わせて無効にするという行き方はなかなかむずかしいのじゃないかと考えます。(「そんなことでは法務行政は守れないじゃないか「きたない選挙になる」と呼ぶ者あり)
  27. 市川房枝

    市川房枝君 きょう発表されました自民党改正案の中に、さっきちょっと触れましたけれども、選挙違反が確定した場合に、その違反者の票数を差し引くというようなことが実は出ておるのですが、これは私大へんけっこうだけれども、技術的に大へんむずかしいと思いましたが、これさえお考えになるほど自民党の方の幹部の方でお考えになっているなら、私今の選挙費用が、それは本人は知らないかもしれないけれども、やはり責任をしょって、そうして使われたということで計算して、超過をするというふうになすってもいいかと思いますが、これは意見になりますから省きます。  それからついでに、これは自治庁長官にお伺いすることになりますが、選挙費用の公開の仕方が実効があるようにということを選挙制度調査会が掲げられておられることを先ほど申し上げたのですが、その一つ方法として、日本では官報あるいは東京都の公報に届出をしました選挙費用が公表になっております。ところが、だれもそんなものはあまり見ていない。なかなかわかりにくいように出ているように思うのですが、これはそれこそイギリスのやっておりますように、届出をしました選挙費用の報告を国会に報告して、そうして政府の機関、印刷局がこれをまとめて、一冊に印刷して、そうしてこれを販売もしております。それを見ますると、当選者、落選者全部の選挙費用の内訳が一目で見られるようになっておりますが、私こういうものがあれば、一般有権者も見て、そうしてこれじゃ少し多過ぎるとか足りないとか比較ができて、やはりその届出の費用というものが正確かどうかということに対する疑問を持ってくるようになるというふうに考えますので、そういうふうな方法なんかいかがでございますか、御意見を伺いたい。
  28. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) ただいま選挙の費用を英国あたりで一冊にまとめて公開しておるというお話でしたが、日本でもそのつど官報、府県の公報等には出しております。お話のように、これを一まとめにしたようなものを作ってみるというようなことも一つ考え方じゃないかと思いますが、研究さしていただきたいと思います。  それから、ただいまわれわれの方でも、将来政令等で選挙費用の内容をもっと一般にわかりやすいようなものにいたしまして、それに基づいてさらに選挙管理委員会でいろいろ検討を加える、こういうような方向に持っていきたいと思いまして、その点も考えておる問題の一つでございます。
  29. 市川房枝

    市川房枝君 選挙で法定以上に非常に金が要るということは、一方から見ますと、金を出す人があるからだ、こういうことが言えるのじゃないかと思いますが、その金の源を断つ方法として、いわゆる政治資金規制法がございますが、その規制法を改正して、そうしてこれはアメリカのように、個人からの寄付は一定限度認めるようになるけれども、銀行、会社、団体等、そういうところからの政治基金は禁止をするという行き方が望ましいと私は思うのでありますが、この問題については、前に私予算の総括質問で岸総理にお伺いしたことがございます。そのとき総理は、趣旨としては私の意見に同意されましたが、現実の問題としてはなかなかできない、こうおっしゃったのでありますが、各政党へのいわゆる政治基金の寄付者の氏名と金額の数字は、自治庁からもいただきまして、拝見をしたのでありますが、ここ二、三年来非常に多くなっていることが目につきます。それに比例して、選挙に非常に金がかかるようになったのもここ二、三年来でありまして、これはやはり因果関係があるのじゃないかと私は思うのでありますが、選挙制度調査会がこの問題に全然触れていないのであります。選挙公明化ということは私はこの問題に当然触れるべきだと思いますが、その点で私は遺憾に思ったのでありますが、自治庁として正式に規制法の改正の問題についてどの程度調査をしておいでになりますかどうか、それを伺いたいと思います。
  30. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 政治資金規制法の問題につきましては、当委員会でも一度申し上げたかと思うのでありますが、これは、昭和二十九年度であったかと思いますが、当時政党が五つございまして、五党でいろいろ会談をし、折衝をしたのでありますが、遂にまとまらなかったのであります。会社その他の献金ということもありましょうし、しからば組合であるとかそういうところからの金はどうするかとか、いろいろ議論があって、とうとうまとまらなかったのであります。今回の選挙制度調査会等におきましても、この問題はそういうころからの経緯もございまするし、容易に結論も得られまいということで、今回は検討をいたしていないのでございますが、いずれは検討していかなければならない問題である、かように思っております。
  31. 鈴木強

    ○鈴木強君 ちょっと関連。法務大臣と文部大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、今市川委員からの御質問の中に、法定の選挙費用というものがあるわけですね。その上に各人が金を使って買収行為をやり、選挙違反が摘発されて、そういう事実が明らかになって、法定選挙費用のほかに確かに買収費を使ったという事実が明らかになった場合に、票を減らすなんということでなしに、自動的に候補者が失格する。そういうふうに制度上はっきり書いたらどうかという質問であったと思います。そうしましたら、あなたは、それは酷だというお考えですが、酷だということはどういうことなんですか。公営にしても、とにかくなかなか取り締まりがむずかしいのですが、どうしても法的に厳格なそういう一つ規定をおいて、そうして一方反省を求めると同時に、また、候補者に立つ人たち選挙民も選挙というものを理解して、ほんとう公明選挙ができるようにしていきたいと思うのです。そのためには、まずそういった厳罰主義といいますか、摘発されて明らかになった場合には自動的に失格するというような、やはりはっきりしたものを作らなければ私はだめだと思うのです。ですから、そういうものをやって、なおかつみなを啓蒙していくというような方向にいきませんと、いつまでたっても今のような、鮎川さんではないけれども、ああいったものが出てくるのです。だからそういうことがちょっと酷だというのはどういうことですか、私よくわからぬ。その点を、もうちょっと法務大臣にきょうは聞いておきたいと思います。  それからもう一つ、事前運動の取り締まりについて関連があるのですが、これはもう取り締まりはむずかしいと思います。しかし、明らかに、私は特にきょうは名を秘しますが、ある県で自民党候補者で酒屋さんが菓子屋さんに変じてあめ屋を始めた。何々あめというものを作って、盛んに宣伝カーを飛ばして全県下を回る、ラジオでは何々あめという名前まで入れた歌を作って、そうして民放を通じて放送する。これは目にあまるのです。いよいよ選挙に入りまして、私たちちょうどたまたま社会党候補者の応援に行った。名字が同じなんです。何々だといって行くと、トラックのまわりに小学校の子供たちが飛んできて、あめをくれという、何々あめくれといって手を出す。あめなんかないというと、このけちんぼうといって石をぶつけたりつばをしたりして逃げていく子供の姿を見まして、青少年の何とかかんとかいうのだが、まずそういうところから変えていかなければならぬ。これはもう将来次代をになう青少年が、選挙になったら金がもらえるのだ、くれないやつはばかやろうだ、つばをひっかけるというような、そういう事態が現に起きてきているのです。これはゆゆしい問題だと私は思うのです。こういう点は文部大臣も御勉強していればわかると思いますが、これは非常に私は子供の教育にも重大な影響があると思って憂えている一人なんです。そういった点も選挙の問題にからんで、これは事前運動であっても取り締まりは困難であろうが、そういうふうに客観的に見まして、具体的にそういう事実がある場合には、峻烈に取り締まってもらわなければ困ると思うのです。そういうような点を一つこの機会に聞いておきたいと思います。
  32. 井野碩哉

    国務大臣(井野碩哉君) 法定選挙費以上に金を使ったということがあとでわかったというときに、すぐそれを加算して無効にしたらいいじゃないかという御意見ですが、法定選挙費を出納責任者が扱っておりまして、それに超過したところがわかりますれば、これは当然無効になるわけであります。ただその候補者関係から出たものか、手から出たものかということがなかなか立証が困難な場合があります。ですから、すぐそれが必ずしも加算されないで当選無効にいかないという場合もありますが、これは御趣旨の点は非常にけっこうだと思う点があるが、しかし、なかなかそれが実際に、いかないにくい点があるのじゃないか。検察当局からも、しばしばそういう点は、十分に厳重に調べまして、そういう場合にはどんどん起訴して、当選無効の方に持っていくようにやっておりますから、今の制度でできないことは、なかなか実情において困難だというふうに御理解をいただきたいと思います。
  33. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 罰則主義を強化して、そうして違反を抑制するようにするということも、従来からしばしば論議せられたことでありまするので、それもむろんある程度必要であると思います。一つ方法であります。しかし、それのみによってはとうてい選挙違反を防ぐというようなことはできない。私は、要するに人心の弱点につけこんで選挙を目ざしてやるというようなことこそ、いろいろの点から取り締まっていかなければならない、かように考えております。要するに選挙公明にやっていくということについては、あらゆる方面から、教育の面からも徹底せしめ、また候補者みずからも、むしろ選挙を通じて政治教育をやるのであるというような気がまえでやるべきものであると私は考えているのでございます。要するに国民一般の深い自覚、民主主義下における政治は、自分たちが自分たちの手によってやるのであるという深い自覚を持たしめるというようにやっていかなければならないと思います。
  34. 鈴木強

    ○鈴木強君 あめの問題はどうなんですか。
  35. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) あめの問題は、私はよく御趣意は何しますが、それは冒頭において申し上げましたように、人心の弱点につけこんだような行為はおもしろくないということで御了承を願います。
  36. 千田正

    ○千田正君 関連して。文部大臣にお伺いをいたしますが、今の市川委員の御質問に関連しましてお尋ねするのでありますが、あなたが法務大臣に就任される前の問題だと思いますが、先般の参議院の選挙等において各地方において非常に残念な問題が方々に起きておる。それは、戦争前の政党政治における弾圧あるいはその他の圧迫等の時代と違って、今日においては民主政治だということを岸首相はいつでも言っておりますが、最近の選挙の前には、大体判事、検事等の異動が盛んに行なわれる。今度の選挙を通じてわれわれが感じましたことは、選挙違反の疑いがある者を検察当局が取り調べる。取り調べる起訴、不起訴かのまさにあぶないせとぎわにきたときに、突如として取り調べの検事をかえる、異動する。どうもこれを国民から、選挙民から考えるというと、何か政府選挙干渉をしているのじゃないか、あるいは明らかにあれは選挙違反しておる人間だが、途中において取り調べが峻厳になってくるというと取り調べの検事を異動して今度は別の検事がやってくる。そのうちにもう龍頭蛇尾になって、起訴も何もなくなって不起訴になってそのまま終わる。こういう事例が方々で見受けられますが、こういうことはある種の選挙干渉であると私は思います。少なくとも今日における民主政治においては、法のもとには峻厳にそういう問題を取り調べられ、かつ法の適正な効果を表わさなければいわゆるほんとう政治が行なわれないのじゃないかというふうに非常に疑わしい点がありますので、幸い井野法務大臣はそういう意味において今後におそらく新しい機軸を出されると思いますので、確信のある御答弁を願いたいと思います。
  37. 井野碩哉

    国務大臣(井野碩哉君) 選挙違反の発生しましたときにおいて検事をかえて、そうしてその選挙違反を不起訴にするとか、政治的な圧迫を加えるというようなことは私は今まで聞いておりません。現に選挙違反の起こりました場合におきまして、必ず係り検事の会同をいたしまして、選挙違反に対しましては厳重にやれ、決して政党的な色彩を持って動いちゃいかぬということは絶えず訓示もいたしておりますし、その方針で首脳部もやっておりますので、そういうことはないはずなんであります。ただ、たまたま選挙違反の事件を扱っておる場合に検事のかわること、これはあり得るのじゃないか。何回でも、百日裁判と申して、選挙違反はできるだけ早くしろという法律の規定もございますけれども、事件は非常に最近におきましては複雑になって参りましたので事件が長引く、その間に検事としましてはかえなければならぬ場合も起こって参りまして、かえたこともあると思いますけれども、これは決して政治的な意図からかえたということはないと私は信じておりますし、また今後そういうことはあってはならぬと思いますから、もしもそういう疑いが非常に濃い事例がございましたら、お知らせいただけば、私は厳としてそういう問題については臨んで参りたいと存じます。
  38. 千田正

    ○千田正君 けっこうな御答弁をいただきましたが、残念なことにそれはある。私はここに人の名前を指して、現在そういうことを言うのは常識上差しひかえますけれども、選挙違反が紛叫してきて、しかも国民の疑惑が非常に大きくなってきたときに限って、突如として取り調べの検事が異動させられるということはままあることを私は知っております。しかし、本日はそういうことについて名前を言うたり、そういうことは言いませんが、今後そういうことのないように厳重に扱っていただきたいということを特に要望いたしておきます。
  39. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。
  40. 小林英三

    委員長小林英三君) 市川委員に対する関連ですね。
  41. 加瀬完

    ○加瀬完君 大蔵大臣と通産大臣に政党献金の点で伺いますが、この前、私は質問のときに租税特別措置法の適用によりまして資本の集中度が激しくなっておるということを指摘したわけであります。昭和三十三年八月から三十四年六月までの一年間の献金を見ますと、たとえば丸善石油は七千八百三十万、富士製鉄は四千六百十六万、八幡製鉄が五千二百八十万というように租税特別措置法を適用されておる会社が非常に多額の献金をしておる。従いまして、この会社は相当財産状態も良好と見なければならぬ、そういうものに献金が、このような多額な献金ができるような会社に租税特別措置法をさらに適用していく理由があるか。さらにもう一点、政府が特別助成政策をとって補助金なり、あるいは融資なり、いろいろの方法を講じている会社でまことに献金が多い。たとえば、前の面にも触れますが、都市銀行融資というのが八千八百万の献金をしております。テンサイ糖の会社は、これも多額な献金をしておる。船主協会も多額の献金をしておる、こういうことになりますと、献金がすなわち政府の補助政策に表われるという疑問を国民は持たざるを得ない、これらの点についてお答えをいただきた
  42. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 租税特別措置法は特殊の事柄についての措置をいたすわけでございます。たまたま献金した会社がその恩典を受けておるということ、これを結び付けて考えるわけにいかぬと思います。また、補助においても同様のことが言えるのじゃないか、かように私は考えております。
  43. 加瀬完

    ○加瀬完君 国民はさっき私が指摘したような疑問を当然持つわけです。租税特別措置法などという特別方法を講じて財政援助とひとしい方法を取ってもらっておって、しかも税金はまけてもらう、献金は幾らでもやる、これでは疑問を持たざるを得ない。特に補助なんかをいただいておりまする会社が、献金を多額にするということに至りましては、さらにこれは疑惑を持たざるを得ない。こういう点について、それはそういう会社に、一切補助政策なり租税特別措置法を適用して悪いと私は言わない。一応政府としては警戒をして、留意をしなければならぬのじゃないか。その留意の点を、さらに詳しく御意見を承りたい。
  44. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 最もはっきりいたしておりまするものは、政府の事業を遂行する、こういうものについては、政治献金ができない、こういうことで、これは除外いたしております。その範囲を一体どこまでするのか、たとえば今言われますような、特殊な事業についての補助がある。補助を受けておる会社は、これは政治献金ができない、こういうふうにしろ、こういうようなことは、実はただいまの政治資金規制法では、そこまでは要求していない、かように私は考えておりますので、先ほどのような答弁をいたしたわけであります。たとえば製鉄所の関係で申しますならば、特殊の機械を使っている、その機械は製鉄所はたまたま使っておりますが、それが租税特別措置法の適用を受けているという恩典がございます。しかし、これは会社自身に対するものと考えるよりも、その機械そのものに対する輸入関税の免除とか、かように考うべき筋である。むしろその会社よりも、同種の機械を作っております会社自身がいろいろ利益を受けておるというような場合もあるわけでございます。これは一がいには申し上げかねる、かようにお答えいたしたわけであります。非常にはっきりいたしております。政府関係の事業を遂行しておる、こういうものははっきり除外しておるというのが、ただいまの政治資金規制法の建前である、かように心得ております。
  45. 市川房枝

    市川房枝君 時間がなくなりましたので、法務大臣、文部大臣に質問がございますが、あと一つだけ自治庁長官に伺って、あと分科会にいたします。それは、民間における公明選挙運動を推進するということで、三十五年度の予算に、前年度と同様に一億円の選挙管理委員会を通じての啓発運動が予算に出ておりますが、もう一つ、ことし新しく三千万円で、民間の団体公明選挙運動の委託をなさることになっておりますが、その民間の団体というのは、前田多門氏が会長をしておられまする公明選挙連盟でありますかどうか。その公明選挙連盟は、実は去年の地方選挙あるいは参議院選挙があまりに選挙がひどいので、しかも、その選挙違反を政府の高官がみずから選挙違反を平気でなすっておった、そういうような選挙界の実情に対して、非常に憤慨をしてといいますか、あるいは絶望して、その公明選挙連盟は、実は開店休業みたいの状態になっていたと思いますが、今度その団体にまたなさるか、その場合には一体どんなふうな条件でといいますか、委託をなさいますか。その点を一つお伺いしたい。
  46. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 団体お話がありました公明選挙連盟でございます。昨年、公明選挙連盟の連盟自体の中でも、いろいろ事務局の組織だとかいろいろなことで、若干問題がございまして、御指摘のように、しばらくの間活発でなかったこともございまするが、前田会長も非常に快く、今、一生懸命やっていただいておりまして、三十五年度では、特にまた三千万円増額をしてもらいまして、公明選挙運動の推進に当たりたい、かように考えておる次第でございます。
  47. 市川房枝

    市川房枝君 あとはまた分科会でお伺いすることにして……。   —————————————
  48. 小林英三

    委員長小林英三君) 松澤兼人君。(拍手)
  49. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私の質問は、外務大臣及び防衛庁長官というふうに考えておったのでございますが、きょうは御両人とも欠席でございますので、外務省及び防衛庁に関する質問は後日に保留いたしまして、出席しておられる各国務大臣に御質問申し上げたいと思います。  第一に申し上げたいことは、この前にも御質問いたしたのでございますけれども、今回の政府の自由化というものが、きわめて思いつきというふうに考えられる節がある。総合対策というものが必要であるということは、財界方面からも強く出ております。時期の問題もそうでございますけれども、政府は、たとえば、三十五年度予算におきましても、十分なるこの対策というものができていないのでありまして、この点は政府の思いつきによって、業界に多大の影響を与えている。この事実につきましては、政府自身が慎重に反省しなければならないと思うのであります。そこで、あらためてお聞きいたしますけれども、政府の自由化に対する総合対策というものは、いつ、どういう形でおまとめになりますか、この点から質問申し上げておきます。
  50. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 貿易、為替の自由化につきましては、昨年の三月五日にその自由化をやるということが、経済閣僚会議で決定いたしたのであります。その後、貿易、為替の自由化については、閣議の決定に基づきまして、昨年の四月一日から自由化のできるものは自由化をいたしておったのであります。その後、昨年のガットの総会などからして、また日本の経済が非常な躍進をしてきたというようなことで、内外の事情から見て、もう貿易の自由化はやっていいというような確信も持ちましたので、そこで、いよいよ貿易自由化をやるという閣議決定をいたしたのでありまして、決して思いつきでやったわけではないのであります。でありますからして、この貿易自由化は、やはり慎重にやらなければならぬということで、この一月十二日の貿易、為替の自由化の促進閣僚会議におきまして、自由化のやり方について、進め方についての方針を定めたのでありまして、今度の四月一日から、対ドルの六品目について、大体四品目を四月一日。あるいはそのうちの二つは、大体十月ごろからやるという方針を定めたのでありまして、そのほかの問題につきましては、各省においてそれぞれ検討いたしまして、そうして五月中にスケジュールを作るということを計画で進めておるのでありますからして、従いまして、慎重に各省において今、目下、貿易、為替の自由化についてその対策を検討中であります。その検討ができました上で、五月に閣僚会議を開きまして、そうして自由化のスケジュールを作りたい、こう考えたものでありますからして、それで初めて具体化され、また総合的な対策がはっきりいたすわけであります。
  51. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 現に、貿易、為替の自由化ということは進行中なんでありまして、すでにその影響というものは、各方面に出ているわけであります。当面、問題となります点は、つまり自由化に弱い産業あるいは抵抗力の少ない産業、これに対して政府はどういう考えを持つのかという点が第一であろうと思うのであります。あるいは場合によりましては、自主規制ということも考えなければなりませんし、あるものにおいては独禁法を改正して、カルテルということも考えられる、あるいは関税対策ということも考えられるのではなかろうか。あるいは通産関係でいえば、中小企業の問題をどうするかというようなことや、あるいはまた、近代化、あるいは合理化ということになれば、労働対策ということも考えなければなりません。そういう一連の対策あって初めて自由化に踏み切るということが、順序ではないかと思うのであります。政府は逆に自由化を先にやって、あとで体質改善というものをやっていくのだと、こういう考えのように見受けられるのですけれども、それでは本末転倒ではないかというふうに考えるのでありますが、これらの点につきまして、それぞれ所管の大臣から御答弁を願います。
  52. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 自由化の具体化策につきましては、今申し上げましたように、各省で考えているのでありますからして、体質改善問題ももちろん重要な問題であります。体質改善につきましては、あるいはこれは租税政策の上で考えなければならない問題も多々あると思います。そういう問題は、目下検討中でありまして、そういう問題が具体化され、これがいよいよ法制化されるのは、来年の次の通常国会かと思っております。また、それで十分間に合うとわれわれ考えておるのでありまして、目下のところ、貿易・為替の自由化をやっておりますのは影響の及ばない品目について自由化をやっておるのでありまして、影響を及ぼす品目につきましては、それの対策━━あるいは体質改善なり、あるいは関税、あるいは租税その他のいろいろの方策を目下研究中なのでありまして、それが五月中に大体でき上がって、そしてまあ具体化されることになりますからして、やはりこの自由化とそれからその準備とはわれわれ十分検討して、そしてその自由化の実現をはかりたい、こう考えている次第であります。
  53. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 先般の箱根における自由化のゼミナールなどにおきましても、政府が総合的な対策を持たないために、非常に困惑しているというような傾向が見えるのです。私もこれは新聞の記事を読んだだけでありますけれども、第一、時間的な問題や、あるいはまた抵抗力の弱い、少ないということ、政府の総合対策が明らかでないために非常に戸惑っているというような記事が載っていたのであります。こういう点につきまして、そういう心配はないということを断言できますかどうですか。
  54. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 目下各省におきまして、業界の事情を聞いておるのであります。この業界で、自由化になればこういう点は困るとか、こういうふうにしてほしいというようなことは、各省においてそれぞれ聞いておりまして、それらの業界の事情を聞いた上で、最後の具体策を講ずるということに相なっておるのであります。先般の箱根のゼミナールにおきましても、自由化については、何も反対する人はないのであります。自由化にするについては、こういうことをしてほしい、こういうことをしてほしいという希望は出ておったようであります。また、私もその事情を聞いたのでありますが、従いまして、そういうことはわれわれ聞かんとしておる目下事情なのでありますからして、これは各方面からいろいろの事情を承って、その上で最善の策を考えたい、こう存ずる次第であります。
  55. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それではお尋ねいたしますけれども、この国会におきましては、自由化に関する法律の改正法律案というようなものは何ら準備されておらないということでございますか。
  56. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 先ほど来、菅野長官お答えになった通りでございまして、ただいままでやりました自由化につきましては、さしたる影響はない。今やろうとしております、すなわち来年の四月からやろうとしております繊維原料の自由化につきましては、これは一年半の期間を置いて準備するのでございますから、この繊維関係につきましては、今国会におきまして繊維工業設備臨時措置法を改正いたしまして、来年の四月から自由化になりまするための動揺を防止しようと、こういう法律を出すことにいたしております。これはすでに出しました。その次には、輸出入取引法につきまして、必要な改正を今立案いたして、今国会に出すつもりであるのであります。いずれにいたしましても、自由化自体は一つの手段でございます。日本の経済をこれ以上拡大し発展さすための手段でございまするから、経済に非常な悪影響を及ぼしたり、また摩擦を起こすようなことは避けていく準備を整えて、だんだん自由化に進んでいきたいと考えておるのであります。
  57. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それでは大蔵大臣にお尋ねいたしますが、この通常国会におきまして、自由化に関する法律案はどんな準備をされておりますか。
  58. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ただいま繊維製品などについての関税率変更の法律案を審議中でございます。その他の面につきましては、ただいま法律案はないように思っております。
  59. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 関税の問題でありますけれども、わが国の現在の関税制度がきわめて不完全であるということ、これはもう一般の常識になっているようでありまして、この関税定率を変えるということ、特に自由化の問題に関連してこの問題を再検討しなければならない時期が来ているように思うのであります。これにつきましては、どういう進行の状況でございますか。
  60. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 御指摘通り、自由化に備えまして、関税率を全面的に再検討するということにいたしております。ただいま関税率の審議会という、すでに法律に基づく審議会がございますので、この審議会委員を選任し、さらに常任委員制度を設けまして、この関税率審議会を通じて、全面的に関税品目並びに税率についても検討いたす考えでございます。
  61. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 わが国の関税品目がきわめて少ないために、実情に適していないという意見があるのでありますが、将来どのくらいにこの品目の決定をなさるお考えでございますか。
  62. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) この関税品目表を、今国際的に最も多い、また最もよく精査されたものもございますので、それを例にとりまして整備して参るつもりでございます。
  63. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 国際的な基準に合わせることから考えますというと、現在の九百四十という税目数というものは、相当大幅に増加しなければならないことだろうと思うのであります。特にまた来年は、ガットの協定関税率というものも改定されるということが予想されておるのでありますが、これに合わせる必要もあるでしょうし、一応大蔵大臣としては、どの程度ということを一つお述べ願いたいと思います。
  64. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ブラッセル方式を採用するつもりでございます。二千ないし六千と申しております。
  65. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 自由化の問題は、やはり一定の目標を定めて、その目標を逐次的に実現していくということが一番必要だろうと思うのであります。私は、思いつきだと、こう申しましたが、菅野長官は思いつきではない、こう言うわけでありますが、問題は、やはり根本にさかのぼって考えますというと、まあ自由か統制かということは、しばしばいわれたことで、今そういう問題をここで持ち出して議論する考えはございませんけれども、自由化運動ということは、結局目標的な経済を考えていくということでなければならないと思います。結局自由か統制か。ということではなくして、自由化ということは自由化計画ということであって、ある意味におきましては、野放図に自由放任の経済をやるというのではなくて、どこかで何かチェックするような機構なり、あるいは性格なりということを持っていなければいけないのじゃないかと、こう思うのであります。ただ自由に貿易をまかせておくんだ、あるいは外貨の問題も関税の問題も自由放任にするんだということであってはならないと思うのでありますが、基本的にいいますと、このわが国の自由化というものは、どういう目標あるいは性格の経済であるかという問題になってくると思うのです。菅野長官の御意見一つ
  66. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) お話通り、自由化という言葉は、戦前の自由放任化というように直ちに解釈されやすいのでございますが、御承知通り、戦前の経済と今の経済とは違っておりますので、戦前のような自由放任という意味の自由化では決してないのであります。この自由化ということは、まあ私たちの使っておる言葉では、指導する━━指導される自由化という言葉を使っておるのでありますが、やはり政府がその自由化については、それについて責任を持ち、すべての経済の発展のためになるように、産業がますます発展するような自由化というものをはからなきゃならぬので、戦前でありますれば、個人の自由放任にまかしておいたらいいということでありますが、決してそうはできないと思っております。従いまして、自由化によって産業に打撃を及ぼさないように、やはり政府がそれぞれ指導していかなきゃならぬ、こう考える次第であります。
  67. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 指導という言葉がいいか悪いか問題だと思うのでありますが、われわれの立場からいえば、やはり計画性のある経済ということだろうと思うのであります。もしそういう指導される経済ということであるとするならば、官庁の機構としては、将来もやはり経済企画庁がこの自由化促進及び指導される経済というものの全責任を負われるお考えでございますか、あるいは別に委員会等を作って運営されるお考えでございますか。
  68. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 自由化につきましては、各省がもちろん責任を負うていろいろ対策を考えてもらうのでありますが、これを総合的にかつ円滑にこの自由化を実現するがために、先般から申し上げます通り、貿易・為替自由化の促進閣僚会議というのを設けたのでありまして、その世話役を経済企画庁がやっておるのであります。でありますからして、貿易・為替の自由化が実現されるまではこの閣僚会議が存続されると思います。実現されたあとは、やはり各省が責任を持ってそれぞれ経済対策を考えられる、こう考えております。
  69. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 問題を変えまして、ヨーロッパにおきまして自由化が非常に進み、ほとんど完了したという形になっておりますことは、たとえば欧州経済協力機構というような、一つの共同市場というものがその背後にあって初めて実現したことであって、日本の場合にはそういう共同経済市場といったようなものがまだできておりませんし、もし、そういえば東南アジアというようなふうにおっしゃるかもしれませんけれども、この共同市場というような考え方が、全然わが国の場合においてはできていないし、また将来もできる可能性というものは非常に少ないように思うのであります。この日本の場合における、たとえば共同市場という言葉を使うとすれば、どういう構想のものが考えられるか、これを一つ明らかにしていただきたい。
  70. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 御承知通り、欧州共同市場というものは、やはり貿易自由化を目的としてできたものでありまして、欧州共同市場のローマ条約の前文にはその点がはっきりうたわれておるのでありますが、しかし、欧州の共同市場というものができましたのは、大体その経済条件が対等な地位にあるというところからこの共同市場というものはできたと私たちは見ておるのでありまして、従いまして私は、東南アジアの共同市場というものは、これは今のところは私はできないと考えております。それは、東南アジアの経済状態と日本の経済状態とはだいぶ違いますので、従いまして、東南アジア諸国と日本との共同市場を作るということについては、いろいろ誤解を招くおそれもありますから、私は目下のところでは、東南アジアの共同市場というものは作ることは差し控えたいと、こう考えておるのでありますが、しかし東南アジアの経済開発が進みまして、それぞれの国の経済が躍進いたしますれば、いっかはこの東南アジアの共同市場というものを作るような時期が一日も早く到来することを、われわれといたしましては念願いたしておる次第であります。
  71. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 今回のわが国における自由化の促進は、日米の経済協力という点からきておるという説がある。われわれもまた、そういうところに重大な問題があるのじゃないかというふうに考えるのです。そのことは別といたしまして、日本の自由化の焦点というものが、結局、対米あるいは対西欧ということに重点が置かれておるのではないか。そうしますと、やはりたとえばエカフェなどにおきまして、先般もエカフェ内の地域における自由貿易の促進というような問題につきましては、いろいろと話し合いがあったようでございまして、そちらの方からも、日本への東南アジアあるいはエカフェ地域からの輸出というものを、もっと日本考えるべきではないかというような議論も出たようであります。今、菅野長官お話によりますというと、東南アジアの共同市場というような考えは持っておらないというふうに言われるのでありますけれども、少なくともエカフェに加入しております日本としましては、この東南アジアの経済協力というものを別にして自由化というものを考えることは、非常に困難であろうと思うのであります。この点、あるいは通産大臣から、東南アジアの貿易の現状なり、あるいは経済協力の問題と自由化の問題につきましてお答えを願えればけっこうだと思います。
  72. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 東南アジアとの貿易関係は、御承知通り、第一次製品が、一昨年を中心といたしまして相当値下がりいたしておりまする関係上、あまり期待通りには伸びてはおりませんが、しかし最近に至りまして、経済力もある程度回復しつつある状態であります。従って、日本と東南アジア各地との貿易は、前年度に比べまして相当ふえておるのであります。なお、われわれはこれをもっとふやすために各般の施策をいたしまして、東南アジア開発をし、彼らをして日本のものを輸入し得る素地を作ることは必要だ、こういう考えのもとに進んでおるのであります。
  73. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 東南アジア貿易につきましては、今、通産大臣のお話にありましたように、第一次製品が多く、しかもまた各国とも同じような製品が輸出を希望されておるという困難がある。しかし、考えようによりましては、三角貿易等の問題が考えられれば、わが国の東南アジア貿易というものも伸長する可能性も見出されると思うのであります。現在のような状態では、東南アジア貿易に非常に大きな期待を持つことはできない。けれども、他の方法によるならば可能性があるのではないか。たとえば東南アジアにおける支払い同盟というようなものがもしできる、もしくは、今申しましたような三角貿易というような構想が実現するとすれば、非常に好転するのではないかというふうな意見もあるのでありまして、これにつきまして通産大臣としてはいかがですか。
  74. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 支払い同盟とか三角同盟、いろいろ言っておりますが、何分にも、先ほど申し上げましたように、東南アジアの開発がおくれておりますので、今の状態では、私はすぐ実現はむずかしい。じみちに彼らの経済力を上げていくようにこちらが協力するということが先だと思っております。
  75. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それでは問題を変えまして、カルテル制度という問題は、好むと好まざるとにかかわらず問題になってくると思うのですけれども、政府は、この自由化を促進するために独禁法を改正するとかいうようなお考えを持っておいでになりますか、この点を。
  76. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 独禁法自体を改正する考えは今のところ持っておりません。しかし、自由化のためにわが国の貿易を阻害するようなことが起こりましては大へんでございまするから、最小限度において、輸出入についての取引法規の改正をやってみたいというふうな計画をしております。
  77. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 輸出入取引法の改正、その他単独法、たとえば繊維工業設備臨時措置法といったような、これも改正なさる。そういうようなふうに考えてみますと、単独法の面におきましてもやはり改正を必要とするものがあるのじゃないかと思いますが、この点いかがですか。
  78. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) ただいまお答え申し上げましたごとく、繊維工業設備臨時措置法、これも提案いたしております。これと、最近提案いたしまする輸出入取引法の一部改正、この二つだけ、こう考えております。
  79. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 次に、問題を変えまして、外貨の保有高の問題は先般もお聞きいたしましたけれども、現在のような状態でも自由化に対しては心配ない、こういうお話でございましたが、一部におきましては、現在のような保有高であっては、自由化を促進することは非常に困難ではないかという意見もある、この点は大蔵大臣いかがでしょう。
  80. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ことしの経済企画庁で立てております計画、これを実施することはもちろんでございますが、今の状況から見ますと、それより以上の成績も上げ得るんじゃないか、かようにも私は考えておる。大へん楽観しておるようでございますが、今月などの貿易状況なども、輸出は相当伸びておる、かように考えております。
  81. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 もう一つ菅野長官にお伺いいたしますが、総合対策の一環といたしまして、中小企業、あるいはまたは近代化、合理化に伴う労働者あるいは従業員の整理、配置転換というようなことが非常に大きな問題となってくるんじゃないかと思うのです。この点非常に労働組合などにおいても心配しているのでありますが、これは労働省等の連絡があったのかどうか、将来こういう面につきましてはどういうふうにするお考えですか、この点を。
  82. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 自由化に  つきまして、産業にいろいろの影響を及ぼすと思います。その影響の一つには、やはり雇用関係が現われてくると思いますので、そういう問題につきましては、通産省あるいは労働省におきまして、雇用関係がどうなるかということを目下検討中でございまして、それによって、それぞれ対策を考えてもらうことに相なっておるはずであります。
  83. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 その問題に関連いたしまして、やはりわが国の低賃金ということが問題となって参ります。特に、自由化が促進されましても、低賃金あるいはソーシャル・ダンピングといったような問題がもしも将来残るということになれば、外国の輸入、日本の輸出でありますけれども、その問題について、輸入国からいろいろと文句が出るのではないかというふうに心配しているのであります。この低賃金を改善いたしまして、ソーシャル・ダンピング等の非難をわが国の経済が受けないような措置考えておられますか。
  84. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 日本のこの低賃金のことが外国にも問題になっておるようでありますが、これは日本経済事情をよく調査していただきますれば、この日本のは、外国に比べては低賃金でありますけれども、日本の経済状態から見ればそう低賃金ではないと思うのであります。もちろん、これは低賃金に甘んずべきではないのでありまして、将来低賃金でもって日本の産業の基本にするということは、これは私たちは根本的に間違っておるのであります。従いまして、将来はやはり賃金も向上し、同時に日本の産業も発展するというやり方でいくべきだと考えておりますからして、目下のところでは、外国に比べて低賃金でありますけれども、これは私は経済状態を比較すれば、決して低賃金ではない、こう考えておる次第であります。
  85. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 菅野長官の、わが国の低賃金ということは社会的な必然性があるというのでありますけれども、外国の側から見れば、それがすなわちソーシャル・ダンピングになる、こういうようなふうな見方をするのであります。将来これを是正していくということになれば、どういう方策が必要であるかということを、一応構想をお示し願いたい。
  86. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 賃金の問題は、結局、日本の産業経済がどう発展するかということが問題でありますからして、従ってまず根本的には、日本の産業経済を発展せしめるということ、これが先決問題です。前提条件であります。そういうふうに日本の産業経済を発展せしめて、そして賃金問題もおのずから解決していくというふうにやっていきたいと考えておるのであります。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと関連して。低賃金に関連しましてお伺いしたいのですが、この自由化が行なわれますと、むしろ低賃金は固定化されていくのではないかという懸念が多分にあると思うのです。これからだんだん自由化が進んで、特に資本の取引の自由化などになりますと、アメリカの実業家のビッグ・ビジネスがこの間参りまして、日本の低賃金というものに非常に魅力を持っているのです。従ってこの自由化が行なわれて参りますと、むしろ低賃金を固定化していくと、こういう危険が多分にあるのではないか、この点が非常に憂慮されているのではないかと思います。この点どうなんですか。ことに、また外資が入る場合、日本の経営の方にいろいろまた意見を述べてくる、どの程度に支配力を有するか、これはまた問題だと思うのです。それはやはり、低賃金ということに対してかなり強く向こうは魅力を持っておりますから、そういうところに関心も持って現われてくるのではないか。低賃金が固定化されるのではないかということは、労働界においても非常に憂慮されていることなんです。この点はどうなんですか。
  88. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) アメリカから見れば、日本の賃金は低賃金でありますけれども、アメリカから見ればイタリアなども低賃金だと思います。ヨーロッパの各地の賃金も、アメリカから見たら低賃金だと思います。でありますからして、これは、それぞれその国の経済状態によって賃金がきまつておると思うのでありますから、そこで自由化にしたら低賃金がこれできまってしまいはせぬかという御心配ですが、その点は、私は、自由化するということは、日本の産業を発展せしめるという目的のために自由化にするのでありますから、従って、日本の産業経済が発展すれば、おのずから賃金の問題も解決していくのではないか、こう考えておる次第であります。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは今までの経過を見ましても、日本の経済を発展さしていく場合に、その技術の革新もありましょう。生産の向上もありましょう。しかし、一番大きな要素になっているのは低賃金なんですよ、むしろ。西ドイツのエアハルトも来て低賃金を指摘しております。また低賃金が非常な強味に、日本の資本家にとっては強味になっているわけですね。ですから為替の三百六十円にしても、もし他の条件を除外して、賃金だけから比べれば、もっと日本の為替は強くなるといわれているくらいなんですから、ですから今まで低賃金をもととして発展しているのですね。そういう状態でありますから、一そう今後自由化になった場合、海外と競争するという場合に、この低賃金というものに非常に大きなウエートを置いていくのじゃないか。  それからもう一つは国内のカルテル化ですね。それで貿易は自由化しますが、日本の経済は不自由化されていくと思うのですね、逆に、カルテル化されていく。そういう点が非常に問題になるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  90. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 先ほども申し上げました通り、低賃金が日本の経済の特色といえば特色でありますが、しかしこれは決して誇りとすべきものではないということは、もうわれわれ同感でありまして、従って今後の経済の発展に従って、賃金も高めていくということをやらなければならぬ。それがためには、やはり全体の産業を発展させるという建前から、賃金を高めるということの政策をとっていくべきじゃないか、こう考えておるのです。現在のところは、今お話通り、最近この産業の発展と比較して賃金の向上率はあるいは低いと思います。この点はわれわれも非常に憂慮いたしておりますので、従って今度の国民所得の長期倍増計画におきましては、特にこの所得の較差という問題にやはり重点に置いて、長期経済計画を立てたいと、こう考えておる次第であります。決して今の現状のままでいいという考えは持っておりません。これを何とかして一つ改善したい、こう考えておる次第であります。
  91. 島清

    ○島清君 関連。たとえばテン・ダラーならテン・ダラーの中に占める、商品の価格によって表示される中に、日本なら日本の労働者の受ける分配の部分と、それからアメリカの労働者の受ける部分と、それから日本の経営者が受ける分配の数と、アメリカの経営者の受ける分配の数は、これはどういうような比率になっておりましょうか。
  92. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 今お尋ねの資料は、ただいま持っておりませんが、経済研究所の方で多分調べたものがあると思いますから、もし御希望であればあとでお渡ししたいと思います。
  93. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私、外務と防衛に時間を残す関係から、この辺で質疑を打ち切りますけれども、私が菅野長官に低賃金の問題について御質問申し上げる場合におきましては、あなたが貿易・為替の自由化の責任国務大臣であるということであるならば、やはりそういう問題につきましても、具体的にこうしたいということをお示し願わなければいけない。まだ、それこそ思いつきであって、そこまで御勉強もできておらないかもしれませんけれども、たとえば家内労働法をどうするとか、最低賃金法も現在できておりますけれども、そういうようなものではいけないというわれわれの見解、あるいは中小企業の問題はどうするかというような具体的な問題を逐次解決していくのだという答弁がなければ、どうも満足ができないのです。今イタリアも低賃金だというようなお話を聞きましても、われわれは納得できません。これ以上議論をしても時間がございませんので、また別の機会に御所見を承ることにいたします。でありますから、私は最初に申しましたように総合的な対策というものが必要なんだというところから、引っぱってきたわけであります。
  94. 小林英三

    委員長小林英三君) 午後は一時十分から再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時十六分休憩    —————・—————    午後一時三十二分開会
  95. 小林英三

    委員長小林英三君) これより予算委員会を再開いたします。午前中に引き続き質疑を続行いたします。  この際委員の異動について御報告いたします。堀木鎌三君が辞任せられ、その補欠として安井謙君が選任せられました。   —————————————
  96. 小林英三

    委員長小林英三君) 森八三君。
  97. 森八三一

    ○森八三一君 私は時間がそうありませんので、明年度予算の数字に基づきまして、相当お尋ねをいたしたい案件がありますが、それらの問題はいずれ開かれまする分科会の際に譲りまして、災害の防止に関する問題やら、選挙公明化の問題、さらに農政上の問題について、二、三の点をお伺いをいたしたいと思います。  そこで災害防止の問題につきましては、担当の中曽根大臣が所用のためにお越しをいただけませんので、それは他日に譲りまして、それに関連して大蔵大臣に一点だけお伺いをいたしておきたいと思います。と申し上げまするのは、台風だとか地震だとかいうような天然災害に際会して、最も注意しておかなければならぬことは、国民の不安と動揺につけ込んで、いろいろな流言飛語が巻き起こる問題であります。中でも経済上の不安混乱をかき立てる金融上の問題であります。これは私どもの常に細心の注意を払っておかなければならぬ非常に重要な点であると思います。過去を振り返って見ますると、大正十二年に発生いたしました関東大震災当時は、緊急勅令という制度がありましたので、そこでその事態の実情にかんがみまして、この制度の運用によりまして、モラトリアムを実施するというような施策が講ぜられまして、応急の措置をとり事なきを得たというように私は了解いたしております。ところが新憲法のもとにおきましては、申し上げまするような緊急勅令の制度というものがございませんので、国会を召集して立法措置をしてからでありませんと、そういうような措置がとられないということに相なっておると思います。そういうことでございましては、緊急の事態に対処して、不安その他を解消して参りまするための、必要な措置が時間的に講じ得ないということになるのではないかというように考えるのであります。そういうような非常に情けないことではありまするが、天然災害はいつどこで発生するかということは予測もできないことでありますので、そういうような不測の災害に対処するために、平時におきまして準備を整えておくということも、私は非常に大切な問題であろうと思います。かつて一萬田さんが大蔵大臣の当時に、この問題をこの予算委員会で私は取り上げまして、当時の蔵相の意見をただしました。その際に一萬田さんは、非常に大切な問題であって、すみやかにそういうような措置を講ずるように研究し、善処をいたしますということをはっきり申されております。自来もうすでに数年を経過いたしまして、おそらく歴代の大蔵大臣にはそのことが引き継がられておったと私は了承いたしまするのでありますが、その後における大蔵省内部におけるこの問題に関する研究なり、その研究の結果がどうなっているか、また現蔵相といたしまして、こういう問題に取り組んで参りまするための御所見なり、心がまえというものにつきまして、まず最初にお伺いいたします。
  98. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 御指摘の、また御意見の中にもありますように、天災地変等異常な事態が発生いたしますと、各方面に大へんな影響がある。ことに金融面において支障をきたして参りますと、経済上非常な混乱を来たすことになりますので、それについて過去は緊急勅令があった。最近はその制度がないので、どうするのだという御意見のようであります。ただいままでのところ、私どもはまあそういう自然災害等が発生いたしました際などは、それぞれ金融機関等を通じまして、指導によって一応の措置を講じて参っております。ところでさらに大正十二年の大震災というような事態を考えて参りますと、今までの程度の措置では不十分ではないか、こういう御心配があると思います。ただいまのところでは、日本銀行法の二十五条に「日本銀行ハ主務大臣人認可ヲ受ケ信用制度ノ保持育成ノ為必要ナル義務ヲ行フコトヲ得」という規定がございます。これがただいま金融措置についてよるべき唯一の条文ではないかと思います。応急の措置はこれでとりまして、そうして早急に憲法の命じますように国会を開いて、そうして問題を取り上げるというのが、ただいまの憲法の建前だと思います。緊急集会なりあるいは臨時国会なりを開く、ということになって処置をつけるということでございまして、ただいま言われますように、政府に特別の権限を事前に付与しておくことはどうか、こういう御意見も、私どもももちろん十分検討しなければならぬことだと思いますが、今の憲法の建前から申しますと、応急的な臨時措置が一応講ぜられれば、すぐ引き続いての臨時国会、あるいは緊急集会というような方法によりまして処置をつける、こういうことで政府に権限を委任するという考え方、これは憲法上相当検討しなければならぬ問題じゃないか、かように私は考えております。ただいまの日本銀行法二十五条で、一応の処置はできるように思いますので、さらに必要なことは国会を開いてしかる後に処置する、こういうことにいたすべきだと思います。
  99. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまお話の日銀法の二十五条で、国民の財産権に関する権利を抑制するというような措置まで、日本銀行法の二十五条は拡大をして、措置ができるというように了解していいのかどうか、この点をもう少し明確に御説明願いたい。
  100. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 日銀法二十五条は信用保持の規定でございます。従いまして、信用保持という観点に立って臨機な処置は取り得るのじゃないかと思います。しかしながら、相当長期にわたっての問題といたしましては、これは不可能なことであります。そういう点になりますれば当然国会において処理すべきことだと、かように考えます。
  101. 森八三一

    ○森八三一君 信用保持ということの限度、限界でありますが、金融機関に対して当然支払いを請求すれば無条件で支払う約束のもとに、預託されておる貯金の支払い等について、信用保持ということによってそのことを制限し、停止するということまで日銀法で解釈していいかどうか、という問題に非常に疑義を持つのですが、そういうように運営上解釈いたしましても、憲法上等何ら支障はないということでございましょうか。
  102. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 私権の停止あるいは制限ということになれば、これは問題があると思います。私は、日銀自身が金融措置を積極的に取り得る、こういうように解釈いたしております。そういう方面で救済可能ではないか、かように思っております。
  103. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの点につきましては、私はまだ「思っております」という程度の御解明では十分納得ができないのであります。二十五条にいう信用保持という規定は、そこまで拡大発展をして解釈をするということには、相当のむりがあるように私は理解をいたします。大臣お話のように、現憲法のもとでは、そういうような措置を事前に行政府の方に委任するような立法をするというようなことについては、非常に研究しなければならぬ問題も伏在しておる。私どもその点はよく了承いたします。いたしますが、それであればこそ十分一つ御研究願って、すみやかにその結論を出していただきたいというのが私の、数年前におけるこの予算委員会で、当時の大蔵大臣に質疑をいたしました内容であります。その研究の結果が、今お話のように、二十五条で当面の措置はできるのだ、そこでとりあえずの措置を講じまして、緊急集会等臨時の国会を召集して立法措置をすれば、そういうような非常事態における混乱に対処ができるというお見込みでありまするが、二十五条の信用保持という規定では、今私がここに考えておりますような問題にまで発展していくということは、相当むりがあるのじゃないかというように了解いたしますので、この問題は、今直ちに災害が発生するということを今予定しておるわけでもございませんので、時間的な余裕がないわけではございません。十分一つ御検討願いまして、確かにこの二十五条で措置ができるという明快な解釈がつくものといたしますれば、それでけっこうかと思いますが、私は非常にその点には疑義を持ちますので、もし二十五条の発動によって抑制、制限等いたしました結果が、それは違反であるということで訴訟問題等が巻き起こるということになりますれば、これまた非常に大きな問題に発展するということでございますので、最善の御研究を一つ願いたいということを申し上げておきたいと思います。
  104. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、立法の問題については検討をしなければなりませんし、国会の権能との問題でございますから、これは簡単なことでない。かように私は思いますが、ただいま申し上げました二十五条で、私が申し上げたことは、私権の制限、あるいは私権の行使の停止、こういうことも可能だというわけではございません。それはできないことであります。積極的に資金を融資してやる、特別融資を日銀がして、そしてその支払いに事欠かないような処置をとる、こういう事柄でございますから、その点が、もし私権の停止あるいは制限をするという考え方でおられますならば、二十五条では明らかに処置し得ないものだ、新しい立法の問題である、かように私も考えております。
  105. 森八三一

    ○森八三一君 私は、そういうような場合に、日銀から信用保持のために適切な措置を講ずるということが、緊急の現送等をいたしまして、融資等を行なって措置をするということでは、そういう非常事態に私はその効果を達するわけにはいかぬのじゃないか。と申し上げますのは、東京なら東京だけに震災が起きましても、そういうような行動というものは、むしろ地方の農村その他の都市に直ちに波及していって、全国的な問題が巻き起こるという危険も感じますので、これは時間がございませんから、これ以上その問題について質疑を重ねることをやめますが、十分一つ御研究を願いたいと思います。  その次に、自治庁長官にお尋ねをいたしたいと思いますが、午前中の当委員会におきましても、市川委員から選挙の問題について詳細な御質疑があったのであります。選挙が民主政治の基盤をなしておりますことは申すまでもございません。主権者である国民の意思が、間違いなく国政なりあるいは地方の行政の上に反映される、ということのための選挙の重要性という問題は、もう繰り返してかれこれ論ずる余地のないところであります。ところが、この大切な選挙が回を重ねるに従いまして、だんだん腐敗、堕落をしてきておるというふうに私は思うのであります。  そこで、昭和三十一年、三十四年の参議院の通常選挙、さらに昭和三十三年の衆議院の解散に伴う総選挙の際におきまする、公明ならざる状況というものは、どういうように発生したか、具体的な数字でまずもって御説明をいただきたいと思います。
  106. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) お答え申し上げます。三十四年の参議院通常選挙におきまする選挙違反についてみますると、検挙件数が七千七件、検挙人員が九千九百八十二人であります。このうち買収及び利害誘導による検挙件数は二千三百十六件、三三%、検挙人員は三千八百十五人で三八%にあたっております。これを前回の昭和三十一年七月の通常選挙比較してみますると、検挙件数で四百三十七件の増、検挙人員で七百三十八人の減となっております。このうち買収及び利害誘導による悪質犯の検挙件数は、五百七十六件増加しておりまするが、検挙人員におきましては六百九十五人減少しておるのであります。なお、昭和三十三年五月の総選挙における選挙違反について見ますると、検挙件数は一万九千二十一件、検挙人員は二万七百十五人であります。このうち買収及び利害誘導による検挙件数は八千二百九件、七五%、検挙人員は一万七千百七十七人、八三%であります。数字で申し上げれば以上であります。
  107. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま具体的な数字をお伺いいたしまして、明らかになりましたように、年によりまして多少の内容の変化はありまするが、概観的に漸次悪化してきておるということが言えるのではないかと思います。ところが、予算を拝見いたしますると、年々公明選挙推進に関する経費が計上されております。本年度の予算と申しまするか、三十五年度の予算にも同様の経費が見積られまして、今審議の対象になっておるのであります。ところが、こういうような公明選挙相当の経費が計上せられまして、運動が推進されておるにかかわらず、ただいま御説明をいただきましたように、一向に公明選挙の実というものがあがっておらないということは、非常に残念に思うのであります。  そこで、三十五年度の予算で計画されておる公明選挙推進の運動の内容というものは、一体何をお考えになっておるのか、今までのようなことを進めるということでは、公明選挙の実を期待するわけには参らぬのじゃないかという感じを過去の実績から私は想像するのでありまするが、何かそういう実績の上に立って、なおかつ、こういう経費を要求せられるということについては、新機軸を出して、こういうふうに一つやっていくというような御構想がなければならぬはずだと私は考える。  そこで公明選挙費につきまして、どういうことを今後推進しようと考えられておるのか、その点を大臣にお伺いを申し上げたいと思う。
  108. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 三十五年度の予算は、御承知のように三千万円ばかり増額をいたしまして、一億三千万円計上しておるのでありまするが、このうち一億円は、ずっと従来からも毎年全国選挙管理委員会を通じて、いわゆる話し合い運動というのをやっておるのであります。これは、非常にじみなようでございまするが、有権者政治意識の向上に相当効果をあげてきておるのではないかと思うのでありまして、たとえてみれば、婦人の投票率などは非常にふえてきておるわけでございまして、それから変な言い方になりまするけれども、こういう悪質な、いろいろ選挙違反あるいは金のかかる選挙とかというふうに、選挙に対しまして非常な世論がきびしくなってきておるというのも、やはりまあ、こういう運動の現われの一つではないかと思っております。三十五年度におきましても、話し合い運動、これは相当強化してやっていきたいと思っております。  それから公明選挙連盟の方へ、従来五百万円くらいやることといたしまして、公明化運動をやってもらっておったのであります。今回は、さらに三千万円を追加いたしまして、この予算が通りましたらば公明選挙連盟とよく話し合いまして、具体的な計画を進めたいと思いまするが、この連盟の方は、従来講師を派遣いたしましたり、あるいは講師格の者を養成してみたり、いろいろ地方の、こういう啓蒙運動の資料、パンフレットのようなものを作ったり、そういうことを中心にやっておるわけでございます。  今回は相当金額も増額されまするので、もっと具体的に公明化運動に入りたい、かように考えておる次第であります。
  109. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまお話のように、三十五年度の予算に組み込まれておる一億三千万円の金は、大体従来と同じような内容の行事を進めるということのように私は伺います。もちろん選挙の回を重ねるごとに、婦人の投票率がふえまするとかということは、その通りでありますが、私は選管を通して、そういうような話し合い運動が行われた結果が、婦人の有権者等の投票率がよくなったということじゃなくて、むしろ新聞その他の報道機関が選挙の重大性を論じ、棄権防止の運動をそのときどきに非常に強力に展開されておるということが投票率を上げておるということではないかと思うのでありまして、もう少し、この一億三千万円という、金額としては大きくないといえば大きくないんですが、大きいといえば大きいとも一言えると思います。これだけの金を使ってやる限りは、もう少し選挙公明化が保持されまするような、何かこう新しい機軸のある構想のもとに推進されてしかるべきではないか、今までと同じことを繰り返しておったのでは大した、一億円の金を投入してやりまする効果というものが期待できないんじゃないかということを感じますので、この予算が成立いたしますれば、もう少し、この問題の基本にふれた効果の期待されるような新しい構想のもとに進めていただきたいということを申し上げておきます。  そこで、第二にお伺いいたしたいのは、総理からは、同僚の各委員から、再三いろいろな角度から、解散はどうだというような質問がございましたが、ただいまのところでは、解散は考えておらぬということでございまするから、解散があろうとは思いませんが、最近における私の受け取っておりまする政情と申しますか、政局は、きわめてこう動揺をしておるように思います。いつ何どき解散があるかもわからぬというような感じが起きないわけでもございません。といたしますると、今度この国会提案をされまする選挙法改正には、今申し上げましたような公明選挙の実を期待し得るような内容のものが出てこなければならぬはずだと思うのでありますが、選挙法改正につきましては、先日松浦議員の御質問がありましたかの際に、きわめて事務的な点だけを改正したい、さらに選挙費についても、事態に適合するような増額を考えたいという程度の選挙法改正のように伺いましたが、今、国民選挙法改正に期待いたしておりますることは、繰り返し申し上げまする選挙の重要性にかんがみまして、公明選挙が推進されるような内容のものを作っていただきたいというところに私はあると思うのであります。そういう点が織り込まれない選挙法改正といたしますれば、まあ大して意味のないことだというふうに極言しても差しつかえないと思います。  そこで、重ねて申し上げまするが、今度提案されようといたします選挙法改正の内容として、公明選挙推進に関する問題を、どういうように取り上げていかれようとしておるのかをお伺いをいたします。
  110. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 今回の改正にあたりましては、御承知のように選挙制度調査会等からも答申が出ておるのでありまして、これはやはり、全体として選挙を、もっと公明化さなければならぬ。昨年の参議院選挙あるいは地方選挙等の結果からみまして、もっと金のかからない、違反の少い公明化されたものにしなければならないということで、大体、答申の筋も出ているのでありまして、たとえば選挙運動の制限の合理化であるとか、公営の拡充と合理化、それから違反に対しまする罰則その他の制裁の合理化、こういう点が中心になるのでございます。  まあそれらに基づきまして、自治庁でも一つ試案を作り、さらにそれが自由民主党の選挙調査会等とも、いろいろ調整をしておるわけであります。自民党選挙調査会におきましても、一つ試案発表されておるような次第でございまして、単に字句の枝葉末節のことのみでなく、先ほど申し上げました大きな三つの基本原則の線に沿いまして、それぞれ公明化の線に沿うて改正をしたい、かように考えておるわけでございます。
  111. 森八三一

    ○森八三一君 まあ今二、三の点をあげられましたが、私は、必ずしもそのことが公明選挙を推進していくために役立たんというふうに申すものではございませんが、この程度では、最近の選挙の実況から考えますると、必ずしも国民が期待いたしておりまするような真の公明選挙というものを望むには、非常に距離があるのではないかということを感ずるのであります。そういう点で、さらに一段の工夫を一つしていただきたいということを申し上げまして、時間の関係上、次の問題に移ります。  最後に、農政問題について若干のお尋ねをいたしたいと思います。転換期にある日本農業に対しまして、終戦以来、一貫してとって来られました米一本槍の食糧増産農政というものから抜け出て、農山漁家の所得の向上、経済の安定というようなことを目ざして、福田農政は生産基盤の整備拡充と生産性の向上、農山漁村の環境の整備改善、就業、労働力の調整と、それに関連する二、三男対策という四つの柱を立てて臨んできておられます。新しい方向として、こういう問題を打ち出されましたことは、私も非常に賛意を表するところであり、敬意を表するのにやぶさかではありませんが、さて具体的に出ておりまする予算を拝見いたしますると、題目としては、非常にけっこうであって賛意を表するに十分でありますが、中身は、きわめて貧弱であり、さびしいということを感ずるのであります。このことは国全体の財政の関係からという御説明でありましょうけれども、今後、この打ち出されました新方針が実を結びますように、その内容を十分一つつけていくということに最善の御工夫をいただきたい。  特にこの際、留意しなければなりませんことは、食糧増産対策費というものが、農業基盤整備費ということにかわりまして、そのことの実体については、今申し上げましたように、これは非常に新しい方向を打ち出したものであり、けっこうであると思います。思いまするが、ともいたしますると、そのことがもう食糧の自給度向上という問題は、投げ捨てたのだというような感じを、誤解を生む危険がないとは申されません。このことについては農林大臣も、機会あるたびに、そうではないのだということを、国際収支等から説かれまして言っておられまするが、農相の気持は、十分私も了承はいたしておりまするが、実際世間では、そういうことを通しまして、もう食糧管理制度なんかは廃止するのだ、ことに、その根幹を動かしておるわけではありませんが、運営上のこまかい問題になりまするというと、年々歳々多少ずつの手直しが行われてきております。その手直しの行なわれてきておりますことが、結局なしくずしに、食糧管理制度というものを廃止に持っていく底意があるのだというように受け取られる。そこに持ってきて、食糧増産対策費というものが形を変えたということで、いよいよますますもって、食糧問題は投げ捨てたのだ、外国食糧に依存すればいいのだといったような誤まった考え一般には持ってくる危険があるし、そういうことも耳にするのであります。  そこで、この際私は、食糧対策につきまして農相の確固たる御方針を一つ明確に伺っておきたいと思います。
  112. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいま森委員からお話のように、食糧につきましては、昨年非常な米の大豊作であったというようなことから、食糧の需給は、もう安心すべき状態である。従って食糧の増産は一体みしたらいいじゃないかとか、あるいは管理制度について、検討し直したらいいのじゃないかというような議論が町に、あるいは政界等でも、一部あることはお話通りでございます。  しかし、私といたしまして、また政府といたしましては、食糧の状態は、さような、なまやさしい状態ではない、かように考えております。ことに、日本の経済の根幹をなす国際収支というような観点からいたしますると、多量の米を輸入することは、日本の生産には、何の役にも立たない、全く人間の口を通して消費されてしまうだけのものでございます。何といたしましても、食糧は自給化するという大方針につきましては、微動だもさしてはならない、かように考えておる次第でございます。  さようなことから、食糧の増産につきましては、なお今後とも大いに努力しなければならぬ。三十五年度の予算におきましても、一般会計の財政支出だけでも、食糧増産費をさらに五十三億円もふやしたということは、多言を要せずして、この方針が実証された、かように考える次第であります。  また、管理制度につきましては、これは私は、非常に日本として戦争という偉大なる犠牲を通じて育て上げた社会安定のための重要なる施策である、かように考えておる次第でございまして、これはどこまでも堅持していくという決意でございますので、さように御了承願いたいと思います。
  113. 森八三一

    ○森八三一君 新しい福田農政の柱として、農山漁村の環境の整備という問題が取り上げられました。このことも私非常に意を強くする点でありますが、先刻もちょっと申し上げましたように、環境整備という題目は非常にけっこうでございますが、その予算的な具体的な内容を拝見いたしますると、離島の電気導入八千七百万円、僻地農山漁村電気導入七千四百万円、同和モデル地区の振興特別対策二千二百万円ということで、どうも環境整備というふれ出しとその内容とがぴったりしない感じを抱くのであります。  そこで、一つ提唱いたしたい、さらにお伺いいたしたいことは、もちろんここに取り上げられておりまする気の毒な離島だとか僻地の無灯火地区に対しまして、電気を導入するということは大切なことでございます。これを非とするものではございませんが、真に農村の環境を整備し、文化的な生活を送らせようと考えますれば、私は、今日の農山漁村の実態から考え、何と申しましても水道の問題を完成するということが労力の面から考えましても非常に大きな問題であると思う。いつでありましたか福島県であったと思いまするが、改良普及員の諸君が調査をした結果、全国農山漁村における井戸と、井戸の水を使う風呂場なり炊事場なりの距離が、多くは平均して十二間ぐらいだ。そうすると、一年間に十人家族の入り用な水を運搬するためには、延べ青森から鹿児島までの距離を水をさげて歩いているという計算になるのだということを発表したと聞きまして実に驚いたのでありまするか、こういう点から考えますると、恵まれない農山漁村等の水道問題に、もう少し真剣に取り組む必要があるんではないか。そういうところに非常にむだな労力が費やされており、環境整備の問題としては保健衛生的な、この問題も一つ至急に考えなければならぬ、もちろん厚生省の予算に簡易水道助成の予算がございますから、そういうことにあるいは新農山漁村の助成金の中で、そういう問題も取り上げているとおっしゃると思いますけれども、新しい柱として、環境整備という問題が抜き出してとらえられてくる限りにおいては、この問題が取り上げられていかなければうそではないかという感じを持ちます。  なお同時に、一つあわせて考えなければならぬことは、最近非常に農林省でも努力をされておりますが、農山漁村における電話施設の普及問題、有線放送の完備の問題があると思います。これに対しまして農相は、一体どういうふうにお考えになるのか。  さらにこれに関連いたしまして、郵政相にお伺いいたしたいのは、有線放送を実施しようといたしまする場合に、既存の一般公衆電話の普及率が百分の十九ですか、何か普及しているところでは、有線放送は認めないというような措置が講ぜられている。これでは、とうてい恵まれない農山漁村は浮かばれないということに私はなるのじゃないかと思う。でございますので、公衆電話が普及している率がどうあろうと、農山漁村の諸君が、自分たちの生活を改善し、あるいは文化的な生活を送りたいという意欲から、共同で、そういう施設をしようとする場合には、これは当然認めてやるべきだと思うのでありまするが御所見は、どうでございましょうか。  さように申し上げますのは、一つの市町村の中で市街地をなしているところは商工業の中心地でございまするし、役場その他の機関の所在地でございますから、非常に普及をいたしております。そこの普及率が、全市町村からみると一割五分とか二割になっている。だから、その町村全体は、もうだめだと、こう言われてしまうと、残されている僻陬な、点在している農家の諸君は、いつまでたっても、こういう文化的な施設の恩恵に浴することができなくなってしまうのでございます。で、別に法律ではございませんが、運営上の問題として堅持されている公衆電話の普及率が何パーセントだから、そういうところはだめだというようなことは、これは一つ撤回をすべきだと思いますが、これは農林大臣は、農村の問題からこれをどうお考えになるのか。郵政相は、電話事業を監督されておる立場から、一体どうお考えになるのか。私はこれはこんなワクを作ってやっておるのは実はおかしいと思うので、そのことをお伺いする。さらにそういう有線電話を通しまして、ラジオをひょっとくっつけるとラジオの聴取料が全額取られておるという話を聞きまして、びっくりしたのですが、これはラジオを聴取するということで機械を備えつけ、自分の聞こうと思うときに自分の意思によって選択して聞くということであるなれば、これは聴取料を納めるのは当然でございますが、有線電話にひょっとくっつけるなんというのは、自分の意思によって聞くのでなし、自分の聞きたいものを聞くのじゃなし、それに料金を取るというのは少し苛斂誅求のようにも思うのですが、それに対しての植竹大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  114. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私が環境整備ということを言っておりますのは、まあ大いに努力をいたしまして所得の増強政策をやります、しかし、所得の増強政策をやりましても、農村の生活水準が、環境が他の地帯と違いましたならば、これはつり合いがとれないということになることをおそれるわけであります。そういうような考え方から、まあすでに新農村建設計画というものが行なわれておるということは御承知通りでございますが、これが一応三十五年度をもちまして一回りをいたすわけであります。そのあとを引き継ぎまして、さらにさような農村環境を整備するという考え方を強力に推し進めたい、こういう考え方から、三十五年度の予算におきましては、全国にわたりまして、その前提としての準備調査をするということにいたしておる次第でございまして、まあさような準備段階でございまするから、予算としてはそう多額ではございませんけれども、今後の芽をこの調査段階を通じまして出していくということにおいて、私は非常に大きな意味を持っておるのだというふうに理解をいたしておるような次第です。その場合におきまして、今後農村の環境を整備する、これはひとり農林省だけの問題ではないのでございまして、ただいま御指摘の郵政省の問題もあります、また、厚生省なんかにお願いしなければならぬ問題が多々あるわけでございます。あるいは文部省の学校の問題、公民館の問題、そういう問題にも波及というか、及んでくるような問題でございまして、これは各省にも、農林省がなわ張りとか何とかいうことでなくてお願いをする。そうして各省の予算の中におきましても、そういうものを実施してもらうのだということを積極的に農林省がお願いしなければならぬというふうに考えておるわけでございます。特に御指摘の水道の点は、これは特に重点を今後置いていかなければならぬ問題だろうと思うのでございまするが、中でも水道は、私は、農村の婦人の立場、また、農村の文化生活というような見地から特に力を入れていかなければならぬ問題と考えております。調査段階を通じまして、いろいろの企画も出て参りますので、それはあるいは厚生省でお願いすることもありましょうし、あるいは農林省でみずから担任するという面も出てくると思いますが、早く農村に水道が普及するということを実現していきたい、かように考えております。  なおまた、有線放送につきましては、ただいま実施中の新農村建設事業といたしましても、御承知通り、非常にこれがその中でも大きな部分を占めておるわけでございます。今後もこの問題を引き続きまして大いにまた推し進めたい、かように考えておる次第でございます。
  115. 植竹春彦

    国務大臣(植竹春彦君) お答え申し上げます。ただいまの御質問の第一点であります有線放送と、それから一般の、普通の電電公社でやっております電話と両方ある場合でも、その市町村に有線放送を広げていって、許可していくべきではないかという御質問につきましては、一般の電電公社の電話は、これは有線電気信通法、あるいは公衆電気通信法、また、日本電信電話公社法等の法律に基づきまして、電電公社がこれを施行しておるわけでございますので、もし有線放送を電電公社の施行しております地域に同時に行なうということにつきましては、日本の電話政策の基本問題に触れて参るわけでございますので、これは慎重に検討しなければならない問題と存じますが、他面におきまして、有線放送が、今日のごとく、その有線放送の設備の点におきましても、機械操作の点におきましても、非常に優秀なものになってきておりますし、また、農山漁村、また、新市町村建設というふうな面からも、この問題が、ここまでだんだんに要望が高まり、発達して参りますと、今日の段階としては、どの辺で線を引くか、有線放送と電電公社の電話とが二元的にいくべきものか、また、相変わらず公社一点張りでいくべきものかという点につきまして、これはただ日本の電話政策の基本問題に触れるからといって、これを今日のままにしておくことはできない。これはすみやかに、根本的に解決しなければならない問題である、さように考えまして目下、鋭意検討中でございます。  第二の御質問の、有線放送につきまして、NHKのラジオの料金を半減してはどうかという問題につきましては、つい数日前の衆議院の逓信委員会——日取りをちょっと今はっきり記憶しておりませんが——におきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党共同提案でもって決議がございまして、有線放送につきましては、特殊の事情から考えて、その料金を半減すべきである旨の御決議がございました。そこで、郵政省もこの御決議を尊重いたしまして、NHKとよく打ち合わせまして、それの実現方に、ただいま事務的に作業を進めておる次第でございますが、しかし、全免ということにつきましては、このNHKの聴取料制度に対しまする根本問題に触れて参りますので、NHKの存立問題にも、経理問題にもかかって参りますので、これはむずかしいことである、さように考えております。
  116. 森八三一

    ○森八三一君 今の、前段の公社の電話と、有線放送との関係は、全然、お話のように性格が違うのでございますね。で、農民諸君は、これは一般の公社の電話を架設いたしましても、それはほとんど用をなさない。有線放送でございますれば、職能的な関係で、しょっちゅうつながっていく問題でありますので、これは非常に生活の上にも、その仕事の上にも貢献をもたらすということであります。で、今お話のように、電電公社の業務上の関係で、一定率以上の普及のあるところは、有線放送が認められないということになりますると、そういうような関係から、農民の諸君は、永久に公社の電話を引くこともできませんし、それからまた、引くというと、必要のある有線放送のこの恩恵には浴し得ない、ここに非常に矛盾が起きてくると思うのでございます。でございますから、私は御研究を願うということでございますから、十分研究の結果に期待をいたしまするが、これは公社の電話というものと有線放送とは全然性格が違っておるのです。違っておるものを一つのものさしではかって、まあいろいろな研究をしておることは認めます。そこはその一般公社の電話を引いたらいいじゃないかという感覚ではこの問題は整理がされないと思う。その点を十分一つ生かしていただきまして、私は公社の電話の普及率いかんにかかわらず、職能的な立場から必要とする地点におきましては、もちろんそういうような、農民諸君の総意がそこにいかなければいかぬことでございますが、そういう場合にはこれを認めるという態度に改正していただきたいということを希望しておきます。  それからラジオの聴取料の問題も、聞きたくって聞くやつからは料金を取るのはこれはあたりまえのことで何にも異議がございませんが、聞きたくて聞くのじゃなく、ただ、たまたま有線放送の放送時間の切れ目に、放送事業を担当しておる役場なり組合なり、ちょいと接続するだけで、聞いておるか聞いておらぬかは別問題なんです。今お話しのように、半額になりましたことは一歩前進ですけれども、全免はできないということはこれはどうも納得いかないと思う。これは聴取料というものは、聞く意思があって聞く人から取るのでしょう。だから聞く意思がない人から取るというのは筋が通らぬのじゃないかと思うのですね。税金でも、所得のあるところから税金を取るのはこれは当然ですけれども、所得のないところから取っちゃいかぬと同じように、聞く意思がない人からは、これがつながってきたから取るというのはどうもおかしいじゃないか。ましてどこかから流れてくるラジオを聞いたから聴取料を取られるということになると、これはおかしなことになるのです。有線放送の場合に、放送の合間々々にちょっと接触するやつは——これはことしからすぐやれとは申しません、ことしは半額になるのですから、来年残りの半額を削るという努力をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  117. 植竹春彦

    国務大臣(植竹春彦君) ただいまのお話の前段でございますが、ただいま公社の電話を有線放送電話に接続する問題が起きておりますので、これはただ有線放送を設置、公社の電話のある市町村に有線電話を単に設置する問題だけとしてこれを解決することはできませんので、あわせてその問題をからみ合わせまして検討している次第でございます。  第二のお話につきましては、これは機械を、スピーカーが備えつけてあります以上は聞きたいこともおありでございましょうし、その設備があるところに聴取料をもらうというふうなただいまでは建前になっておりますけれども、ただいまの御意見のような貴重な御意見も、ただいま各方面からも出ておりますので、その点も解決の際に貴重な御意見といたしまして検討を進めておる最中でございます。
  118. 森八三一

    ○森八三一君 最後に、新農政の方向として生産性の向上の問題が取り上げられておりまして、このことに関しまして二、三お伺いをいたしたいと思っておりまするが、時間がなくなったようでございますので、いずれ分科会の際もございますので、分科会に譲りまして私の質問は以上で終わります。
  119. 鈴木強

    ○鈴木強君 ちょっと委員長、今の一つ聞きたいのですが、農林大臣に。今森委員の質問の有線放送電話施設に対する考え方について福田農林大臣のお考え方をちょっと承っておきたいのでございますが、私は農村といわず漁村といわず、どんな僻地に参りましても、電話というものは、当然今の日本電信電話公社の精神に基づいて国がやっぱりつけていかなきゃならない。これが基本だと思います。ところが、まあ現状では建設資金等が非常に足りないものですから、需要の非常に多い都会地、これはまあ中都市程度が重点的にやられておるわけです。従って、農村や漁村はいつも後手をくってしまうというのが現状なんですね。ですから私は、やはりもっとたくさん、電電公社が責任をもって農村地帯にも漁村地帯にもっけるように、政策として押し出していくということが基本だと思うのですね。そういうものがおくれておりますから、それにかわるべき何か便利な方法はないかということで有線放送施設ができてきたわけです。最初にその中だけで話をすることも。放送法の建前からいえばこれはできないことなんです。しかし、まあいろいろ生まれてきてしまった子供を育てないわけにいかぬのですから、過渡的に法律を改正して、内部のものは相互に通話できるようになったのですが、これと今度外部とつなぐという話が出てきておるわけです。これは重大問題であって、現在の有線放送の規格なり、品質なりあるいは性能なりを考えたとき、なかなか直ちに接続することは困難な情勢がある。そういったものが農村の悩みでありますから、私はやはり農林大臣が新農村建設五カ年計画をさらに第二次と踏み切っていくと思うのですけれども、やはり政府全体として公衆電話というものをどんどん使わせるような方向に政策としては持っていって、そうして過渡的な方法としてやむを得ず作るというような格好にしませんと、基本の考え方を取り違えると非常に問題だと思うのですね。当初これは農林省と郵政省との間の連絡が非常に不十分で、考え方が違っておったのだ、これは。私たち何回かおいでいただいていろいろな意見を聞いたんですけれども、最近多少わかってくれたようでありますが、こういった問題は、郵政大臣が言っておるように、非常に基本的な日本の通信政策の問題と関連がある問題ですから、私は慎重にやっていただきたいと思いますし、あなたの御所見で大体わかったんですが、念のために、今私が申し上げたようなやっぱり基本政策によって農村漁村を作っていくという態度にやっていただけるかどうか、それでなくちゃこれは解決できませんよ。その点一つちょっと伺っておきたい。
  120. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 先ほど森委員から有線放送のお話がありましたので、有線放送の点だけを申し上げたのでありますが、もとより赤電話等につきましても努力はいたしております。お話通り、まことに通信施設を整備することは農村の建設上重要なことでございますから、一段と郵政省とも協力をいたしまして推し進めていきたい方針でございます。   —————————————
  121. 小林英三

    委員長小林英三君) 加瀬完君。
  122. 加瀬完

    ○加瀬完君 防衛漸増方針は安保条約の義務ではないから、予算の関係では防衛費をふやさなくてもいい、こういう御答弁が先般あったのでありますが、それなら減らすことも自由であるかどうか。菅野さん、それから大蔵大臣、両大臣に御答弁いただきたい。
  123. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) わが国の防衛力につきましては、防衛力の基本方針、いわゆる漸増計画というものを立てております。歳入の状況と合わせ、国情に相応して防衛力を漸増していくという基本方針を立てております。で、この基本方針を遂行して参る立場でございますので、漸減するという考え方はもちろん持っておりません。
  124. 加瀬完

    ○加瀬完君 積極的、消極的の差はあっても、拡張義務があると認めてよろしいですね。
  125. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 義務と言われますとどうかと思いますが、日本政府自身が安保条約改定前から、ただいま申し上げるような防衛力漸増方針、基本方針を樹立いたしております。
  126. 加瀬完

    ○加瀬完君 それでは政府の防衛拡張の長期計画の概要並びにこれが必要予算額、さらに現在の防衛生産委員会あるいは防衛産業研究会の拡張計画で政府のわかっておる内容。
  127. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、第一次防衛計画、これを樹立いたしまして、ただいまこれの遂行中でございます。最近御審議をいただいております特に大きな問題は、その第一次防衛一計画の残部、FXのロッキードの二百機生産という問題でございます。で、今までの予算規模等はすでに御承知通りでございますが、今後の三十六年度以降どういう予算を遂行するかという点になって参りますと、その年の財政収入と、また必要なる支出と、また防衛力増強関係の必要なる経費、これをにらみ合わせまして、いわゆる民生に圧迫を加えないような予算を作るということでございます。ただいま数字も、三十六年度以降の数字を申し上げる段階にはまだ煮つまっておりません。
  128. 加瀬完

    ○加瀬完君 民生安定の費用とにらみ合わせて防衛費のワクをきめていくというお話でございますが、その年々ににらみ合いがきくものなのか、それとも本年度のように相当拡張した規模の予算というものを作って、将来予算規模をささえ得る経済状態が必然的に伴うかどうかという見通しも全然つかないで、一体予算編成というものができるものなのかどうなのか、本年度のような予算編成をするならば、同じような成長率、その他の良好な条件というものを見通した上で、われわれは判断するわけであります。そこで防衛拡張計画についても、四十年あたりまでの見通しがなくては本年度の予算は組めないと考えられるわけでございますが、大体四十年をめどにいたしますと、どのような防衛費を、総額だけでもいいですから、アウトラインをお考えになっておられるか。
  129. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、ただいま御審議をいただいております三十五年度の防衛予算は、防衛関係費といたしまして、昨年の予算に比べて、補正の前後と違いますが、九億あるいは十二億の増ということになっております。問題になりますのは、この予算以外に債務負担行為が相当多額に計上されておるのであります。この債務負担行為を所定の期間中にまかなうだけの財源の予想がつくのか、こういうお尋ねではないかと思いますが、この債務負担行為を予算化いたします際には、これを三十六年度以降四カ年の間に整備いたしますので、十分歳入とにらみ合わせて一般民生等、必要な経費の圧迫とならないように順次予算化していく計画でありますから、この点が一番問題でございましょうが、私ども最近の経済の成長率等を考えてみますと、この程度の債務負担行為を予算化していくことについては別に特に心配はないものと、かように考えております。
  130. 加瀬完

    ○加瀬完君 通産大臣に伺いますが、三十四年度の兵器産業の生産規模は三十三年度の機械工業総生産額の何%に当たっておりますか。
  131. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 兵器関係の生産は最近は非常に減りまして、年に十五、六億と考えております。飛行機の修繕その他を入れますと、これが別に百億ばかりございます、従って合計で百十億ないし二十億と考えております。全体の機械工業は大体一兆円くらいあるんじゃないかと思いますので、一%程度じゃないかと考えております。
  132. 加瀬完

    ○加瀬完君 通産省の資料を私の拝見したところでは、兵器生産の三十四年度の生産規模は四百九十五億、工業総生産は一兆四千三百九十五億、三・三%になっておりますが、これは間違いですか。
  133. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私の記憶では銃砲弾あるいは砲、こういう直接の兵器は三十四年の一月から六月までで十六億くらいと記憶いたしております。それから、飛行機関係が修繕その他ございますが百六、七億円、合わせて百二十億程度と考えます。機械総生産は一兆円余りでございまして、一%程度と、先ほど申し上げた通りでございます。もしその資料と違うならば事務当局で説明をいたさせます。
  134. 加瀬完

    ○加瀬完君 この防衛産業研究会の試案によりますと、四十年度計画では試作開発費が現在の七倍くらいを見込んでおりますが、政府も大体その辺をお見込みでございますか。
  135. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 四十年の兵器の試作費その他につきましては私は存じておりません。多分そういうものはないのじゃないかと思います。
  136. 加瀬完

    ○加瀬完君 防衛庁のどなたか担当官、これは防衛産業委員会が防衛庁と全然無関係に、一方的な数字を御発表なさるということもないと思いますが、これはどうですか。
  137. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 防衛産業研究会の発表しましたものを私も見ておりますが、私どもと直接の関係ございません。
  138. 加瀬完

    ○加瀬完君 北海道で防衛庁長官が大体四十年度の防衛庁費は二千九百億、この数字は防衛産業研究会の発表数字と符節が合っておる。それでも全然御関係がないとおっしゃいますか。
  139. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 防衛庁長官が八月に北海道で次期計画の構想を述べられたわけであります。その際に二千九百億円という数字が出たかどうか私はっきり記憶いたしておりませんが、防衛産業研究会の方は九月に作っておりますので、あるいはそこらから関連を求めておるのじゃないかと思うのであります。防衛産業研究会の発表も価値のあるものとは思いますが、どういう経緯で作られましたものか、そこまで深くは検討いたしておりません。
  140. 加瀬完

    ○加瀬完君 菅野さんにお伺いしますが、本年度の防衛庁費は一・四%、国民所得に対して一・四%と、こうなっております。あるいは支出金も含めて一・六%、先般来の政府の説明によりますと、大体国民所得の二%前後で民生安定との均衡を保ちたいというわけでございますが、かりに二%という数字を押えますと、昭和四十年は国民所得が幾らになりますか。
  141. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 昭和四十年の国民所得はまだ私の方では計算しておりません。ただ、今の七・二%で計算すれば大よそ出てきますけれども、私どもまだ具体的に四十年は幾らということは計算いたしておりません。
  142. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは十四億以上になります。そうすると、七・二%の成長率で、四十年になって十三ないし十四億という国民所得が出てきますか。いや兆です、十四兆です。
  143. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 先ほど防衛局長から御説明がありました四十年度二千九百億という数字は、一応当時の国民所得の増加率から見まして、四十年度十三兆と見込んだそれに対するパーセンテージを考えたわけでございます。その後国民所得の伸びは相当ふえておるように考えられます。
  144. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、民生安定計画と競合しないというのは、今言ったように国民所得が必然的に十分期待できるような増加力を持っておると、こういう御判定のもとでございますか、菅野長官
  145. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ちょっとお尋ねの点が不明瞭でございますが、今所得倍増計画、経済の成長を大体七・二%で計画を立て、これの実施を裏づけるような政策を遂行していくという考え方でございます。その観点に立ちまして、その国民所得に対する防衛費の割合が一体幾らが適切か、こういうところから逆算して、これは防衛庁は防衛庁で望ましい数字を持って参るでございましょう。また大蔵省が予算を編成いたします際には、パーセンテージ幾らかということでなしに、内容的に十分検討いたしまして、そうして必要な経費を計上していくということに相なるのでございまして、ただ、ただいま御審議をいただいております三十五年度にいたしましても、国民所得に対しては一・四、最近順次これが下がって参っておりまして、三十五年が一・四、昨年等から見まするとあるいは一・五だとかいうような数字が出たり、あるいは三、四年前だと一・七、あるいは二%だというような数字が出て参ります。結局その予算編成の際に各支出と十分にらみ合わして、そうして予算を編成いたすのでありまして、最初から防衛費に二%を提供するとか予定する、そういうわけのものでない、この点を御了承いただきたいと思います。
  146. 加瀬完

    ○加瀬完君 政府の御説明で、民生安定とのかね合いで防衛関係の費用はどのくらいに押えるのか、こういう質問がこの委員会で繰り返されましたとき、皆さんの御答弁は、大体国民所得の二%前後に押えるのだ、こういうお話があったのです。そこで、二%に押えるとするならば、一応防衛庁長官発表した二千九百億というものを押えて、その二%というものから比率を出していけば国民所得は十四兆以上になる。十四兆の国民所得というものは一体可能なのかと、経済企画庁の長官にこう伺ったわけです。
  147. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 複利計算でいきますと、大体昭和四十年には十四兆ということになります。
  148. 加瀬完

    ○加瀬完君 複利計算というのはどういうのですか。(「銀行と違うぞ」と呼ぶ者あり)
  149. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 複利計算七・二%というのは、昭和三十五年度は七・二%増加しておりますから、その増加しているのにまた七・二%、こういうのであります。
  150. 加瀬完

    ○加瀬完君 それならば、将来にわたって経済成長率、国民所得、租税負担、予算規模、どういうお見通しを持っておるか、企画庁長官に伺いたい。
  151. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 将来というと、今いつを言われておるか知りませんが、私どもの方では、今国民所得倍増長期経済計画を立てておりますので、それは国民所得七・二%ということで一応計算いたしておりますが、その七・二%が今問題になっておりますからして、従って、まだ五年後、十年先の国民所得がどうなるか、あるいは租税負担がどうなるかというようなことは、まだ私どもの方で計算できていないわけであります。(「おかしい、全く」と呼ぶ者あり)
  152. 加瀬完

    ○加瀬完君 それはおかしいですよ。防衛費は予算外契約等ではっきりきまっておって、これは漸増という言葉を用いるにしても、一応拡張しなければならないように義務づけられておる。それで、予算規模なりあるいは経済成長率なり、こういうものがはっきりきまらないと言うなら、この予算外契約によって義務づけられている防衛費の支出のために、予算規模の中で民生安定費というものはだんだん押えられてくるという結果になるのです。ならないと言うならば、一体どのように予算規模が拡張されていくのだという説明をいただかなければ納得できないと質問をしたのですが……経済企画庁長官ですよ、あなたの方の担当じゃありませんか。(「どっちが計画を立てておるのか、大蔵省と企画庁と」呼ぶ者あり)
  153. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) これは、今経済企画庁で長期経済計画を立て経済審議会にかけるということになっております。ただいま四十年の数字はどうなるかというお話でございますが、これはもちろんただいまからどうなるかということを申すことは、これは非常に早いわけであります。三十六年度以降の予算の規模につきましても、私どもこの委員会を通じましてただいま申し上げかねるということを何度も繰り返してお答えをいたしております。  ところで、先ほど防衛庁の二千九百億という数字、これは一応国民所得が幾らになればということでなしに、おそらく防衛庁の、防衛庁自身が研究しておる計画の数字だろうと思います。従いまして国民所得に対して二%が適当だというようなことがはっきりきまっておるわけのものではございません。先ほどの数字にいたしましても、ただいま防衛庁の方でどういう数字になっておるかということで聞いてみますと、大体二千九百億とすれば一応想定される所得に対しては二%ちょっと上回るだろう。二・二%ぐらいじゃないだろうかとか、あるいはそれ以下だ、とにかく二%を上回るという数字のようでございます。今年などは私ども防衛庁予算を作ります場合に、漸増計画ということがあるから、一般の予算の伸びだけ防衛関係費をふやすことをぜひ了承してもらいたいという強い要望があったのでございますが、他の支出等とのにらみ合わせから見ますと、いわゆる予算の伸び率、それだけを防衛庁関係においても伸ばすことができなかった。こういうような事情でございます。この一事を披露いたしますれば、予算編成の際に、各支出をにらみ合わせてそうして金額を計上する、こういうものであることをも御了承いただけるのではないかと、かように思います。ただ大まかに申しまして、今年などの予算から見て、それじゃ一・五%なら民生を圧迫しないで済むか、こういうことが言えるかと思いますが、そのときによりまして民生関係の方で特殊な非常な支出が要求されれば、これは一・五だろうが、あるいは一・三だろうが、それは圧迫するという事態ができると思います。また一般に民生関係の方は非常に事業が整備された後でございますれば、あるいは二・〇になってもあるいは二・五になっても圧迫しないと、こういう判断もつくだろうと思います。問題は具体的な予算編成の数字から御判断いただくこと、これが私どもの実際の編成の方針でもありますし、どうかそういうように御了承いただきたいと思います。
  154. 加瀬完

    ○加瀬完君 今年の予算規模があのように拡張されておりますので、特に公共事業費なんというのはだんだん累増していく形にもなりますから、そうしてまた防衛費もその上にかぶさって累増するという形で、将来の見通しが非常に不安だということになる。大蔵大臣は先ほど一応予算外契約等の債務負担行為というようなものは来年度以降の予算でだんだん消化されてくるというお話でございましたが、防衛庁の、これは発表になっておりませんが、いろいろと研究されておる計画によりますと、陸上用武器は大体四、五年の間に三・六倍、それから海上部隊の武器は四倍、艦船は二・五倍、航空機も二倍というように計画されておるようです。こうなって参りますと、債務負担行為は来年も今年のように九百億になるという数字にならないとしても、一応減るという見通しは非常に暗い。そこでさらに民生安定の費用を削減するようなことはないか。この前おっしゃるように、公債は発行しない、できるなら来年は減税もするというお話ですが、どのような方法でおやりになるのか、この点も承りたい。
  155. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ひとり防衛庁ばかりではございません。各省とも、各省はそれぞれの計画を持っております。その計画がしばしば発表されると、この予算編成は大へんな問題だろうと各方面から実は御心配をいただいております。防衛庁の防衛力の問題につきましては、国防会議でこれを諮りまして、そうして最終案を決定することになっておりますが、まだ国防会議にかかっておりません、あるいはおそらく各省の事業計画と同じ程度に一つ御了承いただきたいと思います。私どもただいままでのところ防衛庁の計画をそのままうのみにしたこともございませんが、今後もうのみにすることはまずないだろうということが言えると思います。そうした先ほど来予算編成についての基本的な態度は明確にいたしておりますから、そういうように御了承いただきたいと思います。従いまして、今後の問題として、おそらく艦船等については新しい債務負担行為がおそらく今後も出て参るでございましょう。しかしながら、一面ロッキードに関する債務負担行為がそのうち幾ら予算化されますか、きわめて初年度は、きわめてと申すと語弊がございますが、そう多額のものにはならないだろうと思います。そう考えて参りますと、予算化に不適当なような債務負担行為を私ども承認するつもりはございません。そういう意味で今後の予算案を御審議をいただきたいと思います。
  156. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 関連。ただいまの御説明を聞きますと、企画庁長官の方では四十年度までの長期計画がまだ立っておらない。それから、予算の方は単年度ごとに、一年一年しか見通しはできないというような状況である。そういう状態のときに、防衛庁の方では四十年度を目標にした長期計画を立てるのだと言っておられますが、もしそういうことになって防衛庁の計画だけが先に立ってしまうと、さっきからみんなが心配をしておるように、それだけが居すわってしまって、固定をしてしまって、ほかの方を圧迫をしてしまうという結果に相なると思いますので、国民経済全体の長期計画が、従ってまたそれに照応する財政の長期計画が立たない限りは、防衛計画、特にそれに関する所要の経費等の計画は立ててはならない、立てるべきじゃない。少なくともそれを立てるならば、その前提条件を整えてからでなければならない。こういうことに相なると思いますが、両大臣はそういう態度を堅持して、それがそろわない限りは絶対に防衛庁の計画は、そういう長期計画は認めないという態度を貫いていけるかどうか。それを貫くことなしには民生費その他が圧迫されることはもう当然であります。現在すでにそういうことの見通しなしに、継続費であるとか、国庫債務負担行為であるとかいうようなものをむやみやたらに、特に今年に至ってはもう全くべらぼうな膨大な国庫債務負担行為を認めておられる。そこで、もうそういう不合理をすでにしておられるし、禁を破っておられるが、さらに長期計画がきまると、そういうことがさらに確定をしてしまう、その辺に対する御所見を一つ伺っておきたいと思います。
  157. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 全体の所得計画あるいは歳入計画を整えるときに、長期の計画を立てることは矛盾がありはしないかという御指摘のように思います。理論はまさしくその通りだと思います。政府自身は今、今後の所得倍増計画というものをただいま経済審議会にかけて立案中でございます。で、これができ上がりますれば、十分御理解もいただけるような所得の成長計画、さらにまたその裏づけをなす財政計画というものを発表することができるだろうと思います。ところで、それができるまでは一切長期計画は樹立してはならないのか。今年なども治山治水についての五カ年計画がある、あるいは十カ年計画というものの御審議をいただいております。あるいは過去におきましても、文教施設等についての長期計画を立てておる、こういうものは一応その長期計画の全貌というものが明らかになって参りますと、まず過去の歳出等から見ましてどの程度の伸び率になるか一応考えてみる、また非常に大まかでございますが、ラフな数字でございますが、所得の計画というものも一応考えてみるということで、その長期計画を施行するのに支障ありやいなやということを勘案して参るわけでございます。過去の文教施設の計画にしても、あるいは今回の治山治水の計画にいたしましても、そういう意味では、私どもは将来の予算編成上この計画を途中で変更しなければならないような重大なものにはならぬだろう、こういう実は見通しでただいまの治山治水計画というものを進めているわけであります。防衛関係につきましても、基本的な漸増方針というものがございますから、私どもは、具体的に国防会議にそういう案が出て参りますれば、ただいま御指摘になりますような点について十分考慮を払って、そうして長期計画を了承することができるか、あるいはそれが不可能であるか、十分その際に判断して参るつもりであります。理屈から申せば、そのもとの歳入がきまらないのに一部だけ確定されてしまうと、今度はその方を優先的に採用するから、他に圧迫をするだろう、これは抽象的な御議論はその通りであります。しかし(佐多忠隆君「具体的にもその通り」と述ぶ)それを予算の編成の際におきまして、他のいわゆる計画というものは何もかも犠牲にして、真一文字に突き進むというような、いわゆる統制的な力はただいまのところ付与しておりません。たとえば債務負担行為にいたしましても、今後四カ年の間にロッキードを作ることでございますが、そのロッキードを予算化する年度計画は、今日の状況ではまだ作るわけにいかない。四カ年で幾らという金額は想定いたしておりますが、三十六年度が幾ら、三十七年度が幾らという年次計画を樹立するところまではいっておらないのでございます。(佐多忠隆君「それもけしからぬ」と述ぶ)この点がただいま申し上げたような総体の計画と、それから予算の編成の実際とそこの調整の問題でございます。御了承をいただきます。
  158. 加瀬完

    ○加瀬完君 いずれにしても、防衛費は増強せざるを得ないということだけははっきりしている。そうなって参りますと、私どもは、戦中、戦前地方歳出の国庫歳出に対する比率を思い起こさざるを得ない。これがどのような変化をしたか、自治庁長官御答弁いただきたい。
  159. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 時間外でもう一度……。
  160. 加瀬完

    ○加瀬完君 時間外でもう一度いいですか、委員長地方歳出の国庫歳出に対する比率が戦前、戦中どのような変化を来たしたか。これは自治庁の資料に出ておりますから、御答弁いただきたい。
  161. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 調べまして関連中にお答えいたします。
  162. 加瀬完

    ○加瀬完君 十一年には一二一%であった、それが十九年には一九%減っている。防衛拡張の費用がかさんで地方財政が圧迫されている。これは現実な証拠です。同じことが強弱の差はあっても現われてくるのじゃないか。その心配ないと言われるかどうか。大蔵大臣、自治庁長官両方に伺います。
  163. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 戦前、戦後という非常にとりにくい(加瀬完君「戦前、戦中です」と述ぶ)戦前、戦中、戦後と言われますが、大体私どもの見方では、国の規模あるいは地方財政の規模、これは大体国の方は六百倍、地方の方は六億三十倍ということで、国の伸び率よりも地方の方の伸びが多い、かように私は思います。これは歳出の面であります。そうして歳入の面では、国の伸び率と地方の伸び率を見ますと、これは地方の財政の伸び率が低い、小さい、こういうことでありますから、支出がふえて、歳入が減っているということで、地方財政は非常に苦しい状態になっているということが大まかに言えると思います。同時に、国の地方の経費に対する補助率といいますか、国が負担しているパーセンテージは、これとは逆に戦前は一割、戦後は二割五分になったということでございますから、この意味では国の補助が高くなったという状況でございます。そういう見方をしております。
  164. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 御案内のように、地方財政もだんだん順調に向かいつつありまするが、それと並行いたしまして、低い行政水準をできるだけ高めるように、今財政計画をいろいろ組んでおるわけでございます。従いまして産業基盤も拡大されていくことと思いまするので、地方財政力も、国の伸びに相応しまして、だんだんついていくとは思いまするけれども、しかし、今後の防衛費の伸び方いかんにもよりますけれども、普通の割合でありますれば、国と地方、平均してやっていけると思いまするので、それほど私は心配したことじゃない、かように考える次第でございます。
  165. 加瀬完

    ○加瀬完君 戦前は、国の財政規模に対して、地方の財政規模が一二一%、それが戦中には一九%も落ちた。これは十分自治庁としては警戒しなければならないと思う。今、産業が振興すれば、地方財政の収入額もひとりでにふえるような意味お話がございましたが、税収は確かに上がっております。税収は上がっておりますけれども、産業較差なり地域較差というものがなくなっておるかというと、なくなっておらないじゃないか。この較差を取り除くために、国の施策あるいは地方財政計画の中に、本年度どのように具体化されておりますか。
  166. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) たびたびここでも申し上げましたように、地方較差は、御指摘通り非常なものがございます。そこでこの較差を除きまするために、地方財政計画におきましても、あるいは交付税の配分等につきましても、後進地域、未開発地域にたくさん参りまするように、いわゆる傾斜度をますますつけると、こういうような方法をとりまして、別途御審議を願っておりまする交付税法の一部改正案その他につきましても、十分そのつもりは表わしておるつもりでございます。
  167. 加瀬完

    ○加瀬完君 経済企画庁長官に伺いますが、国土保全計画、所得倍増計画とにらみ合わせて、総合開発計画を考えているとこの前御答弁になりましたが、三十五年度予算で公共事業費がたくさん盛られておりますが、この中に、今言ったようなねらいが具体的に施策として現われておりますかどうか。
  168. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 地域的の所得較差につきましては、今の税制の問題もありますが、やはり地域的に産業を起こす必要がありますので、従いましてその産業を起こすためには、やはり資金の融通ということを考えなければならない。たとえば東北開発につきましては、北海道東北開発公庫の資金融通力を増しまして、また九州、四国の開発につきましては、新たに開発銀行に地方部というものを設けまして、そして九州、四国のために、それだけの資金のワクを設けたのであります。
  169. 加瀬完

    ○加瀬完君 私の伺っておりますのは、膨大な公共事業費の中に、あなたの御主張なさる国土計画なり、所得倍増計画なり、ひいては総合開発計画なりというものが、具体的に関連づけられておらないじゃないか、全然関連がないじゃないか、こういうことを聞いておる。
  170. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 今数字を私はっきり覚えておりませんが、東北開発の公共事業費は、三十四年度よりも三十五年度の方が増加いたしております。あと数字で申し上げます。
  171. 加瀬完

    ○加瀬完君 未開発地の開発計画、これは全体の公共事業費に対して〇・三%、去年もおととしも一つも変わりはないじゃありませんか。ところが、公共事業費は非常に膨大になっておる。公共事業費の中に未開発地の開発なりあるいはまた所得倍増計画なりというものが織り込まれなければ、来年度の予算に引き継がれないじゃないか、ことしぽっきりの公共事業費は、地方負担あるいは国の負担以外の何ものでもない、これではあなたの御主張なさる総合計画に乗らないじゃないですか、この点を言っているのです。
  172. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 後進地域につきましては、特に産業の基盤の強化ということ、すなわちこれは公共事業費でありますが、これは特に所得倍増、総合開発という意味において、これは増額しなければならぬということで、一例といたしましては東北の開発につきましては、去年よりもそういうような費目が増加されておるのであります。
  173. 加瀬完

    ○加瀬完君 ピントがはずれておりますから、今度あらためてまた伺います。  自治庁長官に伺いますが、このような膨大な公共事業費の増に伴う地方側の受け入れ態勢というものは、完全にできておりますか、どうですか。
  174. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 三十五年度の予算にあたりましては、国のいろいろ公共事業費の増大に伴いまする地方費の負担につきましては、一応計上されております。しかしながら、三十四年度におきましても、なかなかこの公共事業費の地方負担分を消化することは、未開発県、後進県においても非常に困難をきわめたのであります。臨特法の廃止によりますあの穴埋めを、三十四年は二十一億地方債のワクをふやしてもらいまして、どうやらできたというような次第でございまして、財政計画では一応組んでありますけれども、実際消化できるかどうか、非常に心配はあるのでありまして、そこで私どもは未開発地域、後進地域に対する公共事業費に対する国庫負担率の引き上げを、いろいろ願っておったのでありますが、国家財政その他の都合で、問題は一応見送りになっておりますが、しかし、先ほどから出ておりますように、東北あるいは今回は九州、こういう方面においては逐次そういうことが整備されていくのではないかと思うのでありまして、今後の目標といたしまして、未開発地域の公共事業に対する国庫負担率の引き上げというものを、今後とも要望していきまして、国土が平均的に開発向上されていくようにしたい、その間の措置といたしまして自治庁でできますることとしては、先ほども触れましたように、交付税の配分その他におきまして、後進地域に対する傾斜度をますますつける、あるいは地方譲与税、軽油引取税等の不交付団体に対する配分方法なども変えまして、でき得る限りの措置をとっているつもりでございます。
  175. 加瀬完

    ○加瀬完君 地方税で約八百億の増を見込んでおりますが、富裕団体と貧弱団体の較差というものは、八百億の増税がありましても埋まらないと思いますが、そう考えてよろしゅうございますか。
  176. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 八百億の地方税の増税は見込まれまするが、これは御指摘のように、法人事業税であるとか、あるいは住民税の法人割り等に増加が多いのでありますから、結局富裕団体の伸びが大きいということは、御指摘通りであります。そこで、これも先ほど申しましたように、足りない地方に対しましては、先ほど述べたような方法によりまして、その財源を補てんしていく、こういう措置をとっております。結果の数字においては、一応財政計画としては平均がとれている、こういった形になっていると思います。
  177. 加瀬完

    ○加瀬完君 財政計画の平均はとれておらないじゃありませんか。三十三年度の決算を見ましても、財政計画と決算の数字というものは、はなはだ隔たりがある。あなたは配分方法、配分方法と、譲与税、交付税の配分を問題にいたしておりますけれども、今の状態を変えない、交付税の総額が上がらないで、配分をどのようにやりましても、それはただ団体間の配分額が若干移動したということだけで、地方団体の財政計画そのものの、いろいろ問題になってくる負担を解消するということには私はならないと思う。この点はどうですか、たとえば寄付金、負担金ということが、公共事業には非常につく。寄付金、負担金というものの解消は今度の配分方法で解決できますか。
  178. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) それは御指摘通り交付税、地方交付税の総ワク等をできる限りやはりふやしてもらわなければ、そのワク内だけの配分方法では、これは御指摘のように、地方団体全体としての財政計画についての伸びはないと思っております。そこで、従来から予算編成期にあたりましては、自治庁というものは大蔵省といろいろ論争をいたしまして、今回でも臨時地方特別交付金というような制度まで設けて、三十億の財源補てんをしてもらうとか、いろいろ努力しております。それから先ほど申し述べました、まだ目標に達しておりませんけれども、未開発地域に対する国庫負担率の引き上げであるとか、こういうことをいろいろやっておるわけでありますが、一ぺんにはなかなか理想目標に達しません。地方税の自然増もあるのでありますから、がまんすべきところはしていかなければならぬと思います。そういうことで全体のワクをふやさなければならぬことは申すまでもありません。そこで、たびたび申し上げておりますように、大きな結論としては、地方制度調査会なり税制調査会で、国、地方の事務の再分配、それから税財源の適正なる配分措置というものが検討されておるのでありますから、別にこれを逃げ口上にしておるわけではありませんが、その結論を待って、そこで大きな改革を主張したい、われわれはこういう目標でおるわけであります。
  179. 加瀬完

    ○加瀬完君 地方財政計画で見て、三十五年度ほど今までかつて地方負担の増大した年はありません。しかも、それは地方独自の行政規模の膨張によって財政負担が大きくなったのではなくて、国の公共事業費といったような大きな影響が地方に来ている、こういうときに当然地方のしょい切れないところの負担分というものを国にまかなってもらうような方法を講ずるか、特定財源というものを地方に与えてもらうか、これを主張しなければどうにもやりくりがつかないんじゃないか。体、租税収入の実質的配分あるいは赤字が生ずる財政の穴埋めというものをどのように大蔵省に交渉したのか、具体的にお話をいただきたい。
  180. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 私も加瀬委員が言われているようなことをずっと大蔵省に言っているわけでありますが、大蔵大臣このうしろにおられますけれども、先ほど言いましたように、三十億の住民税の穴埋めを取るだけでもぎりぎりまでかかってやっと三十億が取れたというような事態でございまして、予算折衝というものはそう簡単に━━自治庁のことだけ言うておるわけにもいかないのであります。努力してやったということだけは一つお認めをいただきたいと思います。
  181. 加瀬完

    ○加瀬完君 若干の努力は認めますがね。それじゃ、さらに聞きますが、公共事業費の増に伴う負担金、寄付金等の増は、三十三年度に比して三十四年が、三十四年度に比して三十五年がどうなっておるか、三十五年は見込みでありますか、これを御説明いただきたい。
  182. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 御質問に適切な答えにあるいはならないかと思いますけれども、地方の負担は、つまり直轄事業なり補助事業なり、いろいろ負担率がきまっておるわけであります。その負担率を地方財政には計上しておったわけです。それから地元負担といいますか、寄付金、こういう税外負担につきましては、従来から問題がございまして、三十五年度にはささやかな努力でありますけれども、税外負担解消を九十億ばかり財政計画に組みましてまた一方、地方財政法の改正を企図いたしまして、そういう税外なり負担なり、寄付なりの規制を地方財政法の中で組んでおる、こういうことでできる限りの努力をしておりますが、負担率がちょっとどうなっておるか、具体的には今覚えておりません。
  183. 加瀬完

    ○加瀬完君 昭和三十二年度、昭和三十二年度の決算を見ますと、国庫支出金に対する負担金、寄付金の負担割合は、三十二年が一〇・六%に対して三十三年は一一・四%と伸びておる。三十四年はさらに伸びて三十五年はさらに伸びるはずだ。これは地元負担金として寄付金で出すんです。そういう寄付金の解消の方法というのは今度の財政計画にのっておらない。これで財政の赤字というものをどう処理していきますか。
  184. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 言葉の表現の問題だと思いまするが、税外負担という言葉の中にはやはり寄付金等も含めておるのでありまして、この税外負担なり寄付金の総額というものは、とりょうによっていろいろとれると思いますが、二百数十億ぐらいあるんじゃないか、こういう目途のもとに九十億をとにもかくにも解消しようというわけで、小学校費であるとか、あるいは中学校の費用であるとか、あるいは消防費であるとか、そういう方面から手をつけていっておるわけでありまして、税外負担の中にはそういう意味のものも含んでおるわけでございます。
  185. 加瀬完

    ○加瀬完君 それはわかるんですよ。教育費の税外負担とういものを解消するという計画は、地方財政計画の中にはっきりしておる。しかし、公共事業費の税外負担なり寄付金なりを解消する計画というものは財政計画にありますか。
  186. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 先ほど申しました地方財政法の中で、府県が負担しなければならないのを市町村に落としている、あるいは市町村が当然負担しなければならないものを区域内住民に落としておる、こういうものは先ほど申しましたような地方財政法の中で規制しよう、できないようにしよう、こういうことで、その額を約二十億ばかり、これは少ないんでありますけれども、一ペンには理想の目標に達しませんが、計上しておるつもりであります。
  187. 加瀬完

    ○加瀬完君 三十二年の負担金、寄付金は百十九億です。三十三年は百四十三億、公共事業費が膨張しましたから、もっとこれは比率に応じてふえるわけです。その中で二十億をまかなっても問題の解決にはならないと思うわけです。そこで、これは大蔵大臣に伺いますが、国、地方の財源配分に私は問題があると思う。たとえば道路関係歳出に対する特定財源歳入比率はどうなっておりますか、国と地方の比率がどういうパーセントになっておりますか。
  188. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 私ちょっとわかりませんから、事務局から数字ができましたらお答えいたします……。事業別の資料が今すぐできないそうです。
  189. 加瀬完

    ○加瀬完君 自治庁の資料ですよ、私の言っているのは。聞いている根拠は。大蔵大臣が財源を補てんするというのなら数字を言いますよ。
  190. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 御質問がちょっとはっきり理解しかねたのでありますが、三十四年度の道路費の地方負担は六百三十八億、そのうち道路譲与税なり軽油引取税二百六十八億ということになっております。三十五年度はそれが六百八十八億に対し三百二十三億、こういうことになっております。
  191. 加瀬完

    ○加瀬完君 三十三年は特定財源の歳入比率は、国が八二%であるのに地方は三六%ですよ。三十四年は国が八一%、地方が四四%、これだけの財源しか与えられないで、この上に寄付金、負担金というものを加えられて公共事業に押しつけられて、自治庁長官として御一言なくてよろしいのですかということを私は言いたい。
  192. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) それは一言も二言もしておるわけでございまして、ごとに後進地域の公共事業費に対する地方の負担、いわゆる国庫負担率を上げてもらわなければなかなか消化はできないんだということをこれはもう言い尽くすほど言っておるわけでありますが、遺憾ながらまだ認められない、こういう状況でございまして、しかし、まだこの問題はあきらめておるわけではございません。でき得ればこの国会中に未開発地域の公共事業費に対する国庫負担率の引き上げに関する制度を組み立ててもらいたい、こういう目標のもとにまだ努力をしております。
  193. 加瀬完

    ○加瀬完君 それでは、その前に交付公債の処理が適切を欠いておるという御見解が当然自治庁はあってよいと思う。そこで、大蔵大臣に伺いますが、交付公債に求めている河川、道路が大体七五%でありまして、茨城県が二十六億、福岡県が二十五億、千葉県が二十三億、埼玉県が二十二億、これらの原因を、大蔵省は何が原因で多くの交付公債をかかえておられると御認定になっておりますか。
  194. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 公共事業を遂行して参ります場合に地方負担金がございます。これを交付公債でまかなっております。
  195. 加瀬完

    ○加瀬完君 この原因を、なぜこれらの今指摘した県がたくさんかかえているか。
  196. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) その点はそれらの県の特別の事情が多いんじゃないですか。
  197. 加瀬完

    ○加瀬完君 その事情を聞いている。
  198. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) たとえば今の茨城だと、おそらく利根川の改修、これが問題になっていると思います。加瀬さんより過日もこの点でお尋ねをいだだきまして、この利根川改修も茨城のためというよりも東京とか下流地方のためで、こういうような説明があり中間の茨城がこれを負担することは非常に不適当だ、こういうようなお話が出ておりますが、私はそういう考え方には必ずしも賛成するものではありません。茨城を通過しておる利根川がもしも茨城県内ではんらんすれば、当然その県下は一様に災害をこうむることは、これはもうはっきりいたしておりますので、この議論には私必ずしも賛成いたしませんが、交付公債制度そのものについて、これがいいか悪いかということ、これはもういろいろ議論が出ております。が、ことしなど、特別会計分について交付公債をやめたのは、そういう意味からも一つの改善でありますし、来年度以降にさらに全面的に交付公債については再検討するという考え方でございます。
  199. 加瀬完

    ○加瀬完君 国の直轄河川の、たとえば利根川でありますとか、あるいは新潟のような場合は信濃川といったようなものを、膨大な負担を地方にかけて、お前の方は受益するんだから受益者負担だというような考え方は、国土計画の上からいってもおかしいじゃないか、公共事業費のように拡大をし、さらに国土保全計画を立てるというならば、この直轄河川の負担方法というものは、これは国として新しく考え直していただかなければならない問題じゃないかと思うわけです。そこで、自治庁長官に伺いますが、交付公債の処理の方法は、あれで自治庁の御主張は通ったことになりますか。
  200. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 全面的に通ったわけではございませんが、予算編成最中といいますか、終末に近づいたころのことでありましたので、そこで、特別会計分について一応の解決を見たのであります。全体から申しましたならば、その特別会計分に属しておる部分が約二百三億であったかと思います。それから一般会計の分は四十数億でございまするので、まあ、一応大きな部分がめどがついたということでございます。三十六年度の予算編成にあたりましては一般会計分についての解決をしてもらいたい、かように考えておるわけであります。
  201. 加瀬完

    ○加瀬完君 公共事業費がふえて参りますと、公債費はさらに増加をする傾向があります。現在、昭和三十三年度決算で公債費の府県税比率の四〇%をこえるものが二十三府県であります。ひどいのは府県税の一二二%という徳島のような例もあります。これを公共事業費の膨脹する三十五年度予算において処理の方法考えないと、三十六年、三十七年と大きな問題を起こすと思うのです。これは大蔵大臣に御所見を承りたいと思います。
  202. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) なかなか地方財政の規模にいろいろな問題があると思います。本体がそれぞれの自治体でございますし、しかもまた、国が国の事業としての直轄事業を各府県でそれぞれ施行をしております。そういう意味からなかなかむずかしい問題があると思います。ところで、今までのところのやり方は、御承知のように、災害等について特に短期間の間に災害復旧しなければならないということになれば、特例を設けて国の補助率を高めるという方法をいたしております。また自治体相互間の財源調整は、これは困難でございますから、そういう意味で交付税の使い方等につき、あるいは特別交付金等の使い方についていろいろ自治庁に工夫を願っておるわけであります。ところで、自治庁と私どもの方の考え方、先ほど来御議論がありましたように、交付税額をふやさない限り、その交付税額の中でそれをいかに配分しても不十分じゃないかという御議論がございますが、これは国の財政との関連の問題がございますから、理論だけでは片づかない問題でございます。そこで、少額ではありますが、その交付税額をできるだけ弱いものにたくさん行くような工夫をしていただきたいということを自治庁にもお願いしております。自治庁におきましてもいろいろ工夫されまして、三十五年度の交付税の配分については、いろいろ工夫しておられるようであります。在来取り上げなかった要素なども取り上げて、交付税が貧弱府県に行くように、さらにまた最近は、二十億ばかりの財源を特に公債の多いところの公債負担を軽減するというような意味でこれは配分されるという計画も今立てておられるようであります。問題は、全体の金額がふえれば非常にしあわせでございましょうが、ふえましても、おそらく相変らずもっと行政水準を高めるという意味の主張が強いに違いありません。そこで私どもの方で、今の主税についての二八・五、これは国の支出から見ますと相当重い支出です。事業に対する補助率等もございまするから、そういうことを考えてみますと、国が地方の所要の経費を負担しておるものは、何やかや全部合計いたしますと非常に多額に上ぼっておる、いわゆる後進県等においては大半を国の費用で負担しておる、本来の自己財源でまかなっておる部分は非常に少ない、こういうような状況までもうすでに出ております。しかし、いずれにいたしましても、地方自治体を強化しない限り、りっぱな国柄ができるわけではございませんから、財政の許す範囲において、私どもにおいても協力を惜しむものではございません。そこで、基本的な問題として、先ほど来御指摘のありますように、国、地方を通じての税源の分配が適正を欠いておるのじゃないか、こういう点がございますので、一昨年来税制調査会において、これを基本的な問題として取り上げておりまして、この結論が出て参りますれば、税源の分配においても適正を期することができるのじゃないか、せっかく審議中でございます。先ほどいろいうことしは、公共事業費が非常にふえたから地方が困るだろうというお話がございまするが、一面から、全部が平均しての自然増収ではございませんが、とにかく自然増収のあることは事実でございます。また交付税額等についても、ことしは自然増収が非常にふえておりますので、主税の伸びも大きいのでございますから、交付税額も例年に見ない金額が参っております。それらの点を勘案し、あるいは交付公債の制度等も一部これに改善を加えるということによりまして、地方におきましても、国の事業等の遂行に協力も願えるし、また自治体の独自の事業の遂行にも一応計画を立てておるという状況でございます。
  203. 加瀬完

    ○加瀬完君 松田文部大臣に伺いますが、これはあなたのおやりになったことではないことにも触れるわけでございますが、一応今までの文教行政についてお答えをいただきます。文部省のお考えは、教育予算を作ろうとしていらっしゃるのか、端的に言って労務管理予算を作ろうとお考えになっておられるのか、いずれでありますか。
  204. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 文部省はもちろん教育行政を推進していくために教育に重きを置いてそれらのことを考えておるわけであります。
  205. 加瀬完

    ○加瀬完君 人事院の総裁に伺いますが、小中学校長は管理職ではないという見解を二、三年前まで人事院は持っておられた。今度の小中学校の教頭を管理職であるという法的御見解はどういうことでありますか。
  206. 浅井清

    政府委員(浅井清君) お答えを申し上げます。校長が管理職でないという見解は公にしなかったんでございます。ただ、事実この人事院規則の中にそれが出てなかった、かつて。それから後において校長に管理職手当をつけたわけでございます。そこで、今問題になっております教頭でございますが、これについては、ただいまのところ、人事院は何もきめておらぬのでございます。
  207. 加瀬完

    ○加瀬完君 文部大臣に伺いますが、人事院規則で教頭が管理職だという規定がなければ、これは管理職手当の予算だけ作りましても支給することができない。この前のあの校長の管理職の法案を提出するときも、人事院規則は伏せておいて、予算だけ組んでまた法律改正をして、逆にあとになって法律が通ってから人事院規則を改正したという便法を講じておる。これは正しい運営とは思わないわけでございますが、人事院との間にどういう今までの御折衝がございましたか。
  208. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 文部省といたしましては、教頭に管理職手当を出すについては、それぞれその法的の根拠によっては出しておるわけであります。その根拠と申しますれば、ここに教頭の職務は、学校教育法施行規則第二十二条の二の規定によって、「校長を助け、校務を整理する。」ということがあります。教頭は校長を助け、校務を整理するために必要であるときは、その職員に対して命令、指示を与える立場にあるので、一般職の職員の給与に関する法律の第十条の二に「俸給の特別調整額」という、管理または監督の地位にある職員の官職を考えられるのでありまして、管理職手当俸給特別調整額を支給することができるということになって、この根拠によって考えておるわけであります。
  209. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは松田解釈でございまして、通常の法律解釈としては、人事院規則の中に、管理職に該当するものだという規定がありませんければ、これは今のような御説明だけで管理職手当を支給することはできないはずであります。  そこで、人事院総裁に伺いますが、今、教頭は管理職であるという御見解をお持ちですか。
  210. 浅井清

    政府委員(浅井清君) お答えを申し上げますが、人事院規則にないから管理職手当が出せないと、なるほど今は出せないのでございます。ところが、すべてこれまで管理職に対しまする特別調整額というものは、まず予算に計上いたされまして、予算ができましてから人事院規則を改正いたしておるのでございまするから、これは将来教頭の予算は国会において成立いたしました場合にどう考えるかということと、今の人事院規則に教頭の名前がないということとは、これは別問題であろうと思います。
  211. 加瀬完

    ○加瀬完君 何を言っておる、人事院の総裁として不見識きわまりない。人事院は管理職というものの規定をきちんときめておったはずです。あなたの局長や課長は、そういう見解をたびたび公式にも出しておる。今までの管理職という人事院の考えの中にないものが入ってきたのだから、当然人事院は文部省と相談して、法律的に管理職に当たるか当らないかという見解を表明するのは当然だと思います。法律がきまれば、理が通らなくても管理職とするというなら、一体今までの人事院のいろいろな見解というものはどうなりますか。
  212. 浅井清

    政府委員(浅井清君) お言葉ではございまするが、これまで管理監督の地位にある者は、だんだんとその範囲が変わってきておるのでございます。ただいまないから、将来も一切拡大しないという解釈はできないのでございます。
  213. 加瀬完

    ○加瀬完君 こんなものに時間を取られたくありませんが、そうじゃない。しかし、新しく管理職というものができるならば、人事院規則できめるのだから、その統括の任にあるあなたのところで、当然、教頭は人事院規則の上から管理職に当たるべきものか、当たるにはいろいろの欠格条項があるかということは検討してしかるべきだ。文部省できめたから、それは教頭は管理職だという見解を人事院が下すというのは、あまりに不見識じゃないか、こういうことです。これは分科会でやります。  そこで、自治庁長官に伺いますが、国家公務員法でも地方公務員法でも、公務員の権衡の原則というのがあるはずです。校長、教頭を管理をする地方教育長では、ほとんどの方が管理職手当をもらっていません。あるいは任免権を持っている県の教育委員会の課長クラスあるいは管理主事クラスというのは、全然管理職手当が出ておりません。あるいは府県市町村の課長クラスでも管理職手当が出ておらない者がある。ほとんど権衡の原則に、管理される者が管理職手当をもらって、管理する者がもらっておらない。これは明らかに地方公務員法の権衡の原則にはずれることになる。これをどう解釈しますか。
  214. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 事実上出していないようなところもあるかとも思いますけれども、これはよく調べます。地方公務員はでき得る限り給与その他の体系は国家公務員に準じてやるという建前をとっておるのですから、そういう考えでよく調べまして、非常な不権衡があるところでは是正するようにいたしたいと思います。
  215. 加瀬完

    ○加瀬完君 文部大臣、管理する地方教育長や管理主事や課長が管理職手当をもらっておらなくて、管理される校長のその下の管理される教頭が管理職手当をもらうということは、権衡の原則にはずれる。これについてはどういう解釈を下しておられますか。
  216. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 学校の校長、またこれに準ずると申しますか、教頭、あるいはいろいろ名前が従来は用いられておったようでありますが、今日は教頭ということになっておるのであります。この教頭は校長と同じように管理監督の立場にあるということが今日ではきわめて明白であるのみならず、また仕事の上においてその管理監督の立場にあることも事実である。すでにどこの国でも、またいかなる事業でも、管理監督の地位にある者はそれぞれの手当をもらっておるのでありまして、これがあらゆる、少しでもそういう立場にある者はすべてがもらっておるとは——もらっておらぬ場合もありましょうが、われわれは、今日の現状に即して、管理監督の地位にある教頭等は校長と同様に管理職手当を支給することがすこぶる妥当なことである、かように考えております。
  217. 加瀬完

    ○加瀬完君 私が伺っておるのは、教頭を、これを管理監督する責任は法的には地方教育長にある。地方教育長は管理職手当をもらっておらない。管理する者が管理職手当をもらっておらないで、管理される者がもらうというのは、権衡の原則にはずれるじゃないか。大蔵大臣もこういうばかな予算をなぜお認めになったか、あわせて一つお答え願いたい。法律違反であります。
  218. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 学校の校長に管理職手当を出し、その後、校長だけでは不十分だ、校長を補佐し整理するような、校長の業務と同じような仕事をしておる教頭、これにもやはり管理手当を出してくれるように強い要望があります。私ども考えまして、その関係だけを考えると、ただいま御指摘になるような権衡の原則とでも申しますか、これはしごくもっともだと、こういうことで実は予算を計上いたしたわけであります。しこうして、あるいは教育長との関係は一体どうか、いろいろあるだろうと思います。特別職の職員について管理職手当を出しているものもあります。出してないものもあります。この管理職手当は、一部がもらっているから、全部もらうというものではございません。それぞれの業務の性質等から見まして、管理職手当を必要とするかどうか、勤務状況その他から実は勘案いたしておりますから、ただ監督の地位にあるとか、監督される地位にあるとかという関係だけでは、この管理職手当を支給することの基準にはならない、このように実は私どもは考えております。さように御了承いただきたいと思います。
  219. 加瀬完

    ○加瀬完君 党利党略でありますので、これは議論しても時間がかかりますので、これは一応文教委員会等で申し上げます。  最後に、三十三年度文教予算に、文教施策普及費というものが、予算面には載っておらないが、しかし事実においてこれを地方に流している。どういう方法で、どういう法的根拠によって、また支出総額は全体で幾ら、これを地方に流しているか、詳しく御説明をいただきたい。
  220. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 文教予算の中で、ただいまのお話のございました点は、三十三年度に二千五百万円、三十四年度において三千万円、これを流用したことになっております。この文教施策普及指導費は、国民に広く周知徹底せしめる必要から、文教施策についてのいろいろ普及に努める、その費用に充てるということでございます。
  221. 加瀬完

    ○加瀬完君 流用の理由、並びに流用の承認要求した日付、承認を得た日付、支出した日付。
  222. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 三十三年度におきましては、九月八日でございます。なお、この点については予備金の支出を願ったのでありますけれども、それまでに至らなかったという事情がございます。
  223. 加瀬完

    ○加瀬完君 どこから支出したか。
  224. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 文部本省費から出しております。
  225. 加瀬完

    ○加瀬完君 違っております。
  226. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 文部本省費のうちの共済組合の剰余金、共済組合の国の負担金だと思います。
  227. 加瀬完

    ○加瀬完君 剰余金はまだ出ないでしょう、九月一日ですから。国家公務員共済組合負担金から二千三百三十八万六千円、今のような目的で流用している。流用の申請は九月八日。許可になったのはいつですか。
  228. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 九月八日と記憶しております。
  229. 加瀬完

    ○加瀬完君 支出したのはいつですか。
  230. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 九月八日でございます。
  231. 加瀬完

    ○加瀬完君 支出は九月一日で、九月八日に承認をもらったにもかかわらず、すでに承認の許可のないものを九月一日に全部金を配った。
  232. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) そういう事実はございません。
  233. 加瀬完

    ○加瀬完君 文部省からの資料がちゃんとそうなっている。それから、各県を二、三見たところ、九月一日にちゃんともらっている。
  234. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 九月八日に承認を受けましたので、九月八日に支払いをしたわけでございます。
  235. 加瀬完

    ○加瀬完君 九月八日に承認をもらったのはその通り。しかし、支出は九月一日に支出している。
  236. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 承認のないのを支払いができるわけはございませんので、おそらく加瀬委員お話は大体この程度の金が出るだろうという内報かもしれません。その点は調べます。
  237. 加瀬完

    ○加瀬完君 あなたの方からもらった資料にちゃんと三十三年九月一日支払いとなっている。それから、ある県では三十三年九月一日に三十万二千円、その内訳は、謝礼金、委員等の旅費、印刷費、消耗費、その他として、こういう区分けをしてちゃんといっている。うそをつくのもいいかげんになさい。
  238. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私、間違っておりましたので、訂正さしていただきます。(「でたらめなことを言うな」と呼ぶ者あり)それは、流用について大蔵省との協議が成立することが明らかになったので、支払い委任計画等について八月二十六日に起案文書を作成し、九月一日、文部大臣の決裁を得た。各都道府県に対する支払い委任通知書を九月一日に起案し、同日、局長、会計参事官の決裁を得た。九月八日に、大蔵省より九月一日付で流用承認のあった旨正式通知があったので、同日、前記支払い委任通知書を発送した、こういう事実でございます。
  239. 鈴木強

    ○鈴木強君 議事進行について。御答弁はきわめて不親切であるし、でたらめなんです。少なくとも、加瀬委員が何回かあなたに質問したときに、きわめてあなたは誤解して、質問者に向かって何かでたらめなことを言っているようなごときことを言って、そういう無責任な答弁はないでしょう。あなたは、間違っているなら、ちゃんと、間違って申しわけなかったということを、そこで陳謝してからやりなさい。人間だから、間違いがあるだろう。私は間違いを、神様でない限り、許すのにやぶさかでない。そういう無責任な答弁をしたら困る。その点は文部大臣も監督の責任がある。少なくも政府委員として任命されている者が、質問者に対して大へん失礼なことまで言って、あなたがそう考えているんじゃないかというような無責任な答弁をして、それから資料をもらってきたから、誤りでございました。━━誤りでございましたら、申しわけなかったとなぜ言わないか、陳謝しなさい。そんな無責任な答弁は許さない。
  240. 小林英三

    委員長小林英三君) 松田文部大臣。
  241. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ただいま、内藤初等中等局長から答弁があったことに、事実と違う点があるということは、後になって明白になったということでありますから、それに対して陳謝いたします。
  242. 加瀬完

    ○加瀬完君 会計検査院に伺いますが、九月八日に承認を得たものを九月一日にすでに支払いをしておる。これが会計法から見てどうなんです。
  243. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) お答えいたします。事実、承認が九月八日でありまして、支払い時日が一日でありますのは、これは不当であります。この点は注意していただきたいと思います。その時日の点が前後いたしますと、その示達の趣旨が徹底しないおそれがありまして、初めに出したものを救えない場合がありますから、これは私ども時日の点は十分に考えて検査いたしております。これは書面上の検査ではありますけれども、書面上では一日ということになっております。一日に承認をしたということが、会計検査院の規定によりまして、九月八日に大蔵省から会計検査院に参っております。今承認のところが、実際大蔵省で九月一日に承認したということならば、九月一日に通知があってしかるべきだと思いますけれども、私どもに参りました通知の日付は八日でございます。そうして、今文部省からおっしゃいましたのは、九月八日に承認を得たとおっしゃっておりますので、その事実はそうであろうと思います。それで、支払いの点は、私ども書類上では別といたしまして、事実一日に支払っておるならば、これは不当でございます。
  244. 加瀬完

    ○加瀬完君 今の会計検査院の御答弁に対しまして、文部大臣のお答えをいただきたいと思います。
  245. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 事実、一日に承認を受けた、一日に支払っているということであるならば、会計検査院の御指摘通り、不当である。(「承認を受けたのは八日だ」と呼ぶ者あり)、だから、確実に承認を受ける前に支払ったということでありますならば、まことにそれは不当な処置であると思います。それに対しては、まことに申しわけないと思います。
  246. 加瀬完

    ○加瀬完君 この目の内訳として、文教施策趣旨徹底会開催費九十六万六千円、文教施策普及資料作成、購入、配付費二千二百四十二万円、こういう内訳が出ておりますが、この通りでございますか。
  247. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようでございます。
  248. 加瀬完

    ○加瀬完君 それでは、群馬県の教育委員会がどのように、七十六万群馬県に行っているが、これを使途したか、御存じですか。
  249. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようでございます。
  250. 加瀬完

    ○加瀬完君 さようでございますといって、どういうふうに使途したかというんです。
  251. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 文教施策の普及徹底費でございますから、あるいは講演会をする場合もあろうし、あるいは講習会をする場合もあろうし、あるいは資料、特に文書の資料もあるでしょうし、チラシのようなものもあるでしょうし、いろいろな形で、教育関係者及び父兄住民の理解と協力を得るための経費でございます。
  252. 加瀬完

    ○加瀬完君 群馬県の決算委員会調査によれば、群馬県へ七十五万出た。大体、五十九万ないし六十万を、勤評問題で処罰した者の処罰理由説明書として、これを新聞折り込みにして、二回にわたって配っている。あとの十五万円は、飲食費として費消している。これがこの予算の支出の内容として、文部省はお認めになっておりますか。大臣から御答弁願いたい。やった御当人では弁解になりますから、関係がなかった大臣からお答え願いたい。
  253. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私は、それらの事情についてはまだ報告も受けませんし、事をつまびらかにいたしておりませんので、何とも申し上げかねます。
  254. 加瀬完

    ○加瀬完君 何とも申し上げられないということないですよ。処分声明書━━県の教育委員会が任免権を発動して処分をした、その処分声明書に、このあなたの方の文教対策費が使われている。これが不当でないか。しかも、七十五万のうちから、十五万は飲食費に使っている。飲食費に使っていいということはどこにもない。それが、文教施策普及徹底費の使い方として、あなた方はお認めになっているのかどうか。
  255. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) もちろん、そういう費用が普及徹底のために要する費用として、それが飲食費に使われたということでありますれば、私はそれはむろん不当なことであると思います。しかし、会議費あるいはその他いろいろの弁当ぐらいのことならば、そういうことも協議の上でいろいろ普及徹底の運動をやるための必要経費かとも考えられます。
  256. 秋山長造

    ○秋山長造君 議事進行について。今の問題は、加瀬君の質問は、具体的な数字まであげて、きわめて明確です。しかも、加瀬君の論点は、会計検査院の答弁でも裏づけられているのですから、文部大臣が先ほど来おっしゃるように、何とかであるならばというような仮定のもとに弁解されるような形では、私はまずいと思うのです。文部大臣は、その当時の事情を全然知らないし、また現に今も知らずに、ただ当面を糊塗するような角度から答弁をしておられるから、われわれにはピンときません。問題はきわめて重大な問題をはらんでいると思いますので、だから、事実を文部大臣自身も十分お調べになって、あらためて責任のある明確な答弁をしていただきたい、今この席でなくてもいいから。
  257. 小林英三

    委員長小林英三君) 松田文部大臣。
  258. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お話ごもっともと思います。ですから、詳しく調べまして、事実をきわめた上で、あらためて御答弁をいたします。
  259. 鈴木強

    ○鈴木強君 議事進行。
  260. 小林英三

    委員長小林英三君) 鈴木君、何ですか。
  261. 鈴木強

    ○鈴木強君 議事進行ですよ。今の問題は、秋山委員提案通りで賛成ですから、私、けっこうです。ただ、内藤初等中等局長の今のこの委員会における態度は断じて許せない。それと関連がありますが、だから、あなたは、そういう面をはっきり、最初は質問者の方か誤解しているがごときことを言って否定していて、事務当局から連絡があって、間違いだということがはっきりしたと思うのです。あなたの間違いに対して、ここで陳謝しなさい。  それから、もう一つ文部大臣にお願いしたいのは、今の議事進行に関連をして……。そういう不正な支出があったということは、これは会計検査院の答弁によって明らかだ。これに対して、あなたは法の照らすところによって、断固たる処分をしなければならない。あなたはその決意を持っているか。
  262. 加瀬完

    ○加瀬完君 文部省の答弁は正確を欠いておりますから、正確な資料に基づいて、重ねて御答弁をいただいて、また質問をするまで、暫時私の持ち時間は保留さしていただきます。   —————————————
  263. 小林英三

    委員長小林英三君) 永末英一君
  264. 永末英一

    ○永末英一君 私の用意いたしました質問は、もっぱら大部分が防衛庁長官並びに外務大臣でございますので、本日はせっかく大蔵大臣が御出席であるから、そこに関係する点だけ御質問申し上げます。  三十二年の国防会議で防衛力を漸進的に整備するという決定をいたしておりますが、防衛力を漸進的に整備するというので、防衛費を漸進的に増大する決定ではないと承知しておりますが、そう解釈でよろしいか。
  265. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 金額自身のことは申しておりません。防衛力をどういう方法で漸増しますか、必ず予算が増加するだろうということは常識的に判断しておるところでございます。
  266. 永末英一

    ○永末英一君 先ほど加瀬委員の質問に答えられた中で、いわゆる国民所得であるとか、あるいはまた財政規模であるとかというものを押えて、それの一定比率をもって防衛費を考えるのではなく、大蔵省としてはそれぞれの防衛庁から出てくる予算の要求に対する内容について考えている、こういう御見解の発表でございました。従って、大蔵省としては、いわゆる日本の防衛力に関して内容的にいろいろお考えになっているのかどうかをお答え願いたい。
  267. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 大蔵省が、今後日本の防衛力はいかにあるべきかということを考えておるわけではございません。ただ、大蔵大臣も国防会議のメンバーでございますから、そのメンバーとしての、主としてですが、財政的負担という、こういう観点に立ちまして、国防会議においては十分大蔵大臣としての発言をする考え方でございます。
  268. 永末英一

    ○永末英一君 三十五年度の予算の最終的な防衛費のきめ方において、日本の自衛隊の装備等がいわゆる在来兵器、さらにまた供与装備というもので装備をせられてきている。従って、そういうものの転換期にある現在、将来━━将来と申しましても数年後ではございません。直ちに今からそれらの内容についていろいろな変革は加えられるだろうということは一般的にも言われております。おそらく大蔵省もこれをお考えだろうと思う。従って、そういう場合にいわゆる新しい兵器というものは非常に莫大な費用を食ってくることになる。そこで、私どもは在来兵器による現在の予算というものはほとんど限度一ぱいではないかということを考えております。従って、今のような形で自衛力の内容が変わってくるとするならば、大蔵省はこれに対してどういうような予想を持っておられるか、それをお伺いしたい。
  269. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 具体的に、内容の問題として、私どもも納得のいくということでないと、予算を計上するわけに参りません。従って、防衛庁が何と申しましても、技術的にも、また防衛力の増強計画、あるいはこの運用等につきましても、防衛庁自身の責任においてそれらのものが考えられるのであります。私どもは、この防衛庁の計画なり、あるいは運用計画が財政的にどういうような負担になるかという点から、私どもは意見を述べる、こういう考え方でございます。従いまして、今後の各国の防衛状態が、また計画がどういうふうになっていくのだということについては、つまびらかにいたしておりません。
  270. 永末英一

    ○永末英一君 あとは、防衛庁長官外務大臣が出席いたしましたときに、質問いたします。
  271. 小林英三

    委員長小林英三君) 明後日、月曜日午前十時から委員会を開会したします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会